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2022-508926抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片、及びこれを含むキメラ抗原受容体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片、及びこれを含むキメラ抗原受容体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20220112BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20220112BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20220112BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20220112BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20220112BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20220112BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220112BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20220112BHJP
   C12N 5/0784 20100101ALI20220112BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220112BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220112BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220112BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220112BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20220112BHJP
   A61K 51/10 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
C07K16/28
C12N15/13 ZNA
C12N15/12
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C07K19/00
C12N5/10
C12N5/0783
C12N5/0784
A61P35/00
A61P29/00
A61P1/04
A61K39/395 T
A61K39/395 N
A61K35/17 Z
A61K51/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547023
(86)(22)【出願日】2019-10-21
(85)【翻訳文提出日】2021-04-19
(86)【国際出願番号】 KR2019013820
(87)【国際公開番号】W WO2020080908
(87)【国際公開日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】10-2018-0125538
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】521168531
【氏名又は名称】カーテクセル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ジン-ア
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ジェ-ギュン
(72)【発明者】
【氏名】キム,デ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ユ ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ビン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085BB31
4C085CC22
4C085CC23
4C085EE01
4C085KA05
4C085KB82
4C085LL05
4C085LL18
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB43
4C087BB65
4C087CA16
4C087NA14
4C087ZA68
4C087ZB11
4C087ZB26
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA28
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、L1CAM抗原に特異的に結合する抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片、これを含むキメラ抗原受容体、及びそれらの用途に関する。本発明の抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片は、L1CAMに対する特異性及び親和性に優れているので、L1CAMの高発現に関連した様々な癌及び炎症性疾患に関連した疾病の治療及び診断に用いることができる。特に、本発明の抗L1CAM抗体を含むキメラ抗原受容体をTリンパ球などの効果器細胞に発現させる場合、L1CAMに関連した様々な癌及び炎症性疾患の免疫治療方法として有用に用いることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のi)、ii)、及びiii)を含む重鎖可変領域(heavy chain variable region,VH)及び次のvi)、v)、及びvi)を含む軽鎖可変領域(light chain variable region,VL)を含む抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片:
i)次のアミノ酸配列を含むCDRH1(complementarity determining region 1 of heavy chain):
YAMX
ここで、互いに独立に、
は、D、S、又はNであり;
は、N、H、又はSであり;
ii)配列番号12、配列番号13、又は次のアミノ酸配列を含むCDRH2(complementarity determining region 2 of heavy chain):
AISSXGXYYADSVKG
ここで、互いに独立に、
は、S又はTであり;
は、S、又はGであり;
は、S、又はTであり;
はI、T、又はKであり;
iii)配列番号15~配列番号23から選ばれるいずれか一つのアミノ酸配列を含むCDRH3(complementarity determining region 3 of heavy chain);
iv)次のアミノ酸配列を含むCDRL1(complementarity determining region 1 of light chain):
RASQSIXLN
ここで、互いに独立に、
は、S又はGであり;
は、R、N、又はSであり;
は、D又はYであり;
v)次のアミノ酸配列を含むCDRL2(complementarity determining region 2 of light chain):
AXSXLQS
ここで、互いに独立に、
は、A、又はTであり;
は、S、N、R、又はTであり;
vi)次のアミノ酸配列を含むCDRL3(complementarity determining region 3 of light chain):
QQSXSXPX
ここで、互いに独立に、
は、Y、又はEであり;
は、T、F、又はYであり;
は、Y、W、L、又はFである。
【請求項2】
前記CDRH1は、配列番号1~7から選ばれるいずれか一つのアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片。
【請求項3】
前記CDRH2は、配列番号8~14から選ばれるいずれか一つのアミノ酸配列を含むる、請求項1に記載の抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片。
【請求項4】
前記CDRL1は、配列番号32~36から選ばれるいずれか一つのアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片。
【請求項5】
前記CDRL2は、配列番号37~42から選ばれるいずれか一つのアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片。
【請求項6】
前記CDRL3は、配列番号43~47から選ばれるいずれか一つのアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片。
【請求項7】
前記VHは、配列番号24~26から選ばれるいずれか一つのアミノ酸配列を含むFRH1(Framework region 1 of Heavy chain)を含む、請求項1に記載の抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片。
【請求項8】
前記VHは、配列番号27のアミノ酸配列を含むFRH2(Framework region 2 of Heavy chain)を含む、請求項1に記載の抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片。
【請求項9】
前記VHは、配列番号28又は29のアミノ酸配列を含むFRH3(Framework region 3 of Heavy chain)を含む、請求項1に記載の抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片。
【請求項10】
前記VHは、配列番号30のアミノ酸配列を含むFRH4(Framework region 4 of Heavy chain)を含む、請求項1に記載の抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片。
【請求項11】
前記VLは、配列番号48のアミノ酸配列を含むFRL1(Framework region 1 of Light chain)を含む、請求項1に記載の抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片。
【請求項12】
前記VLは、配列番号49のアミノ酸配列を含むFRL2(Framework region 2 of Light chain)を含む、請求項1に記載の抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片。
【請求項13】
前記VLは、配列番号50のアミノ酸配列を含むFRL3(Framework region 3 of Light chain)を含む、請求項1に記載の抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片。
【請求項14】
前記VLは、配列番号51のアミノ酸配列を含むFRL4(Framework region 4 of Light chain)を含む、請求項1に記載の抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片。
【請求項15】
請求項1の抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片を含む融合タンパク質。
【請求項16】
次を含むキメラ抗原受容体ポリペプチド:
(a)L1CAM結合ドメイン(L1CAM binding domain);
(b)膜横断ドメイン(transmembrane domain,TM);
(c)共同刺激ドメイン(costimulatory domain);及び
(d)細胞内信号伝達ドメイン(intracellular signaling domain,ICD)。
【請求項17】
前記L1CAM結合ドメインは、請求項1~14のいずれか一項の抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片を含む、請求項16に記載のキメラ抗原受容体ポリペプチド。
【請求項18】
前記膜横断ドメインは、T-細胞受容体のアルファ、ベータ又はゼータ鎖、CD28、CD3エプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137及びCD154からなる群から選ばれるタンパク質の膜横断ドメインを含む、請求項16に記載のキメラ抗原受容体ポリペプチド。
【請求項19】
前記共同刺激ドメインは、MHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、イムノグロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、信号伝達リンパ球性活性化分子(signaling lymphocytic activation molecule,SLAM)、活性化NK細胞受容体、BTLA(B an T lymphocyte attenuator)、トル様リガンド受容体(Toll-like ligand receptor)、OX40、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、4-1BB(CD137)、B7-H3、CDS、ICAM-1、ICOS(CD278)、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、及びCD83と特異的に結合するリガンドからなる群から選ばれるタンパク質から得られた機能的信号伝達ドメインである、請求項16に記載のキメラ抗原受容体ポリペプチド。
【請求項20】
前記細胞内信号伝達ドメインは、4-1BB、CD28、OX40、CD3ゼータの機能的信号伝達ドメイン、又はそれらの組合せを含む、請求項16に記載のキメラ抗原受容体ポリペプチド。
【請求項21】
請求項16~20のいずれか一項のキメラ抗原受容体ポリペプチドをエンコードする核酸分子。
【請求項22】
前記核酸分子は、配列番号60~63から選ばれるいずれか一つのヌクレオチド配列を含む、請求項21に記載の核酸分子。
【請求項23】
請求項21の核酸分子を含む組換えベクター。
【請求項24】
請求項16~20のいずれか一項のキメラ抗原受容体ポリペプチドを発現させる効果器細胞。
【請求項25】
前記効果器細胞は、樹状細胞、キラー樹状細胞、肥満細胞、自然殺害細胞、Bリンパ球、Tリンパ球、大食細胞及びそれらの前駆細胞からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項24に記載の効果器細胞。
【請求項26】
前記Tリンパ球は、炎症性Tリンパ球、細胞毒性Tリンパ球、調節Tリンパ球又はヘルパーTリンパ球からなる群から選ばれることを特徴とする、請求項25に記載の効果器細胞。
【請求項27】
請求項1の抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片を含む、癌又は炎症性疾患の治療又は診断用薬剤学的組成物。
【請求項28】
請求項16のキメラ抗原受容体ポリペプチドを発現させる効果器細胞を含む、癌又は炎症性疾患の治療用薬剤学的組成物。
【請求項29】
前記癌は、固形癌である、請求項27又は28に記載の薬剤学的組成物。
【請求項30】
前記固形癌は、胃癌、乳癌、膵癌、子宮頸癌、子宮内膜癌(endometrial carcinoma)、消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumer)、卵巣癌、黒色腫、胆嚢癌、肝細胞癌(hepatocelluloar carcinoma)、胆管癌(cholangiocarcinoma)、膵管腺癌(pancreatic ductal adenocarcinoma)、食道癌、腎細胞癌(renal cell carcinoma)、直膓癌、結腸癌、前立腺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、甲状腺癌、神経膠腫(glioma)、膠芽細胞腫(glioblastoma)、神経芽細胞腫(neuroblastoma)及び星状細胞腫(astrocytoma)からなる群から選ばれる、請求項29に記載の薬剤学的組成物。
【請求項31】
前記炎症性疾患は、炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease)である、請求項27又は28に記載の薬剤学的組成物。
【請求項32】
請求項16のキメラ抗原受容体を発現させる効果器細胞を、治療が必要な対象体に投与する段階を含む、癌又は炎症性疾患の治療方法。
【請求項33】
前記癌は、固形癌である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記固形癌は、胃癌、乳癌、膵癌、子宮頸癌、子宮内膜癌(endometrial carcinoma)、消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumer)、卵巣癌、黒色腫、胆嚢癌、肝細胞癌(hepatocelluloar carcinoma)、胆管癌(cholangiocarcinoma)、膵管腺癌(pancreatic ductal adenocarcinoma)、食道癌、腎細胞癌(renal cell carcinoma)、直膓癌、結腸癌、前立腺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、甲状腺癌、神経膠腫(glioma)、膠芽細胞腫(glioblastoma)、神経芽細胞腫(neuroblastoma)及び星状細胞腫(astrocytoma)からなる群から選ばれる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記炎症性疾患は、炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease)である、請求項32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、大韓民国未来創造科学部の支援下で課題番号第2016M3A9D3021340号によってなされたものであり、この課題の研究管理専門機関は韓国研究財団、研究事業名は“バイオ医療技術開発事業(次世代バイオ)免疫機転制御技術開発”、研究課題名は“キメラ抗原受容体及びB細胞を用いた多機能融合T細胞治療法研究”、主管機関はソウル大学校産学協力団、研究期間は2016.05.01~2021.01.31である。
【0002】
本特許出願は、2018年10月19日に大韓民国特許庁に提出された大韓民国特許出願第10-2018-0125538号に対して優先権を主張し、この特許出願の開示事項は、本明細書に参照によって組み込まれる。
【0003】
本発明は、L1CAM抗原に特異的に結合する抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片、これを含むキメラ抗原受容体、及びそれらの用途に関する。
【0004】
〔背景技術〕
卵巣癌は最も致命的な婦人科悪性腫瘍で、婦人科腫瘍による主要死因の一つである。手術的な接近方法及び細胞毒性治療剤の併行治療法が相当発展してきているにもかかわらず、診断当時にステージが多く進行していた大多数の患者では結局再発する場合が多い。このため、卵巣癌に対する新しい治療方法が切実に要求されている。卵巣癌の発生が免疫的原因によるものであり得る点と、卵巣癌が免疫系によって認識され攻撃され得るという点が次第に明らかにされることにより、免疫療法に基づく様々な治療方法が活発に研究されている。実際に多数のペプチドワクチン、樹状細胞ワクチン及び養子細胞治療療法が臨床実験中にある。
【0005】
特に、最近では、キメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor,CAR)を発現させるT細胞(CAR-T)を用いた血液癌を対象にした養子療法(adoptive therapy)の治療的可能性が立証され、市販されたことがある。また、新しく発表されている研究結果は、CAR-Tが固形癌でも類似の効果を示す可能性があることを暗示している。CARは、T細胞にHLA-非制限的方式で細胞毒性効果器機能を付与するという点で独特であり、特に、卵巣癌の進行がHLAの下向き調節と相関関係があるという点で非常に重要である。実際に卵巣癌に関連した因子として知られたメソテリン(mesothelin)、MUC16、葉酸受容体(folate receptor)に特異的なCAR-Tを用いた卵巣癌治療が試みられているが、治療効果が十分でないのが現状である。
【0006】
一方、L1-細胞接着分子(L1-cell adhesion molecule,L1-CAM,L1CAM)は、卵巣癌をはじめとする様々な癌腫で高く発現すると知られており、このようなL1CAMの高発現は、否定的な臨床的治療結果と関連している。以前の研究によれば、L1CAMに特異的に結合する単一クローン抗体を、ヒト卵巣癌細胞であるSKOV3細胞株にインビトロ及びこれを移植した動物モデル(human xenograft model)に直接処理した結果、腫瘍細胞の成長を抑制する結果を導出したことがある。本発明者らは、このようなL1CAMの様々な癌腫に対する関連性及び卵巣癌などに対する治療可能性に着眼して本発明を完成するに至った。
【0007】
〔先行技術文献〕
〔非特許文献〕
Hao Hong.L1 Cell Adhesion Molecule-Specific Chimeric Antigen Receptor-Redirected Human T Cells Exhibit Specific and Efficient Antitumor Activity against Human Ovarian Cancer in Mice.(2016)。PLoS ONE 11(1):e0146885
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明者らは、L1CAMに結合する抗体又はその抗原結合断片及びこれを含むキメラ抗原受容体を開発しようと鋭意研究努力した。その結果、開発された抗L1CAM抗体がヒト及びマウスL1CAM抗原分子に非常に特異的に結合し、これを含むキメラ抗原受容体及びCAR-TがSKOV3卵巣癌細胞株、SH-SY5Y神経芽細胞腫細胞株及びHela子宮頸癌細胞株に対して高い抗癌活性を示すことを糾明し、本発明を完成するに至った。
【0008】
したがって、本発明の目的は、L1CAM抗原に特異的に結合する抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片を含むキメラ抗原受容体及びこれを発現させる効果器細胞を提供することである。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、前記抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片、又は前記キメラ抗原受容体を発現させる効果器細胞を含む薬剤学的組成物を提供することである。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、前記キメラ抗原受容体を発現させる効果器細胞を対象体に投与してL1CAMの高発現に関連した疾患の治療方法を提供することである。
【0012】
〔課題を解決するための手段〕
本明細書において、本発明の一様態による抗体は、L1CAMに特異的に結合する抗体及び親和度成熟を経たそれらの変形抗体である。
【0013】
本発明の抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片は、従来の抗L1CAM抗体と同様にL1CAM抗原に対して特異的な結合能を有する。
【0014】
本明細書において、用語“抗体(antibody)”は、L1CAM抗原に対する特異抗体であり、完全な抗体形態の他、抗体分子の抗原結合断片(antigen binding fragment)も含む。
【0015】
完全な抗体は、2本の全長の軽鎖(light chain)及び2本の全長の重鎖(heavy chain)を有する構造であり、各軽鎖は重鎖とジスルフィド結合(disulfided bond)で連結されている。用語“重鎖(heavy chain)”は、その天然発生立体形態で抗体分子に存在し、抗体の属するクラスを一般に決定する、ポリペプチド鎖の2種類のうち相対的に大きいものを意味する。前記“重鎖”は、抗原に特異性を付与するための十分の可変領域配列を有するアミノ酸配列を含む抗体の重鎖可変領域(variable region of heavy chain)ドメインVHと3個の重鎖定常領域(constant region of heavy chain)ドメインCH1、CH2及びCH3とを含む全長重鎖及びその断片のいずれをも意味する。重鎖定常領域は、ガンマ(γ)、ミュー(μ)、アルファ(α)、デルタ(δ)及びエプシロン(ε)のタイプを有し、サブクラスとしてガンマ1(γ1)、ガンマ2(γ2)、ガンマ3(γ3)、ガンマ4(γ4)、アルファ1(α1)及びアルファ2(α2)を有する。
【0016】
用語“軽鎖(light chain)”は、その天然発生立体形態で抗体分子に存在するポリペプチド鎖の2種類のうち相対的小さいものを意味する。前記“軽鎖”は、抗原に特異性を付与するための十分の可変領域配列を有するアミノ酸配列を含む抗体の軽鎖可変領域(variable region of light chain)ドメインVLと軽鎖定常領域(constant region of light chain)ドメインCLとを含む全長軽鎖及びその断片のいずれをも意味する。軽鎖の定常領域(constant region of light chain)は、カッパ及びラムダタイプを有する(Cellular and Molecular Immunology,Wonsiewicz,M.J.,Ed.,Chapter 45,pp.41-50,W.B.Saunders Co.Philadelphia,PA(1991);Nisonoff,A.,Introduction to Molecular Immunology,2nd Ed.,Chapter 4,pp.45-65,sinauer Associates,Inc.,Sunderland,MA(1984))。
【0017】
用語“抗原(antigen又はAg)”は、免疫反応を誘発する分子を意味する。前記免疫反応は、抗体生産、又は特異的免疫適格細胞の活性化、又は両方を伴うことができる。
【0018】
本明細書において、用語“CDR(complementarity determining region)”は、免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の超可変領域(hypervariable region)のアミノ酸配列を意味する(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,4th Ed.,U.S.Department of Health and Human Services,National Institutes of Health(1987))。重鎖(CDRH1、CDRH2及びCDRH3)及び軽鎖(CDRL1、CDRL2及びCDRL3)にはそれぞれ3個のCDRが含まれている。CDRは、抗体が抗原又はエピトープに結合する際に主要な接触残基を提供する。
【0019】
本明細書において、用語“抗原結合断片(antigen binding fragment)”は、抗原結合機能を保有している断片を意味し、Fab、F(ab’)、F(ab’)2及びFvなどを含む。抗体断片のうちFab(fragment antigen binding)は、軽鎖及び重鎖の可変領域と軽鎖の定常領域及び重鎖の最初の定常領域(CH1)を有する構造であり、1個の抗原結合部位を有する。Fab’は、重鎖CH1ドメインのC末端に1つ以上のシステイン残基を含むヒンジ領域(hinge region)を有するという点でFabと相違する。F(ab’)2抗体は、Fab’のヒンジ領域のシステイン残基がジスルフィド結合をなしながら生成される。Fvは、重鎖可変部位及び軽鎖可変部位だけを有する最小の抗体断片であり、Fv断片を生成する組換え技術は、当業界に公知である。二重鎖Fv(two-chain Fv)は、非共有結合で重鎖可変部位と軽鎖可変部位が連結されており、単鎖Fv(single-chain variable fragment,scFv)は、一般に、ペプチドリンカーを介して重鎖の可変領域と単鎖の可変領域とが共有結合で連結されたり、或いはC末端で直接連結されているので、二重鎖Fvと同様にダイマーのような構造を有することができる。このような抗体断片は、タンパク質加水分解酵素を用いて得ることができ(例えば、全抗体をパパインで制限切断すればFabが得られ、ペプシンで切断すればF(ab’)2断片が得られる。)、或いは遺伝子組換え技術によって作製することができる。
【0020】
また、本発明の抗体は、単一クローン抗体、多特異的抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、単鎖Fvs(scFV)、単鎖抗体、Fab断片、F(ab’)断片、ジスルフィド-結合Fvs(sdFV)及び抗イディオタイプ(抗Id)抗体、そしてこれら抗体のエピトープ結合断片などを含むが、これに限定されるものではない。
【0021】
本明細書において、用語“フレームワーク(Framework)”又は“FR”は、超可変領域(hypervariable region,HVR)残基以外の可変ドメイン残基を示す。可変ドメインのFRは、一般に、4個のFRドメインFR1、FR2、FR3及びFR4で構成される。したがって、HVR及びFR配列は一般に、VH(又はVL/Vk)において次の順序で示される:
(a)FRH1(Framework region 1 of Heavy chain)-CDRH1(complementarity determining region 1 of Heavy chain)-FRH2-CDRH2-FRH3-CDRH3-FRH4;及び
(b)FRL1(Framework region 1 of Light chain)-CDRL1(complementarity determining region 1 of Light chain)-FRL2-CDRL2-FRL3-CDRL3-FRL4。
【0022】
本明細書において、用語“特異的に結合する”又はこのようなものは、抗体又はその抗原結合断片、又はscFvのような異なる構成物が生理的条件下で比較的安定な抗原と複合体を形成するということを意味する。特異的結合は、少なくとも約1×10-6M以下の平衡解離定数(例えば、これよりも小さいKDは、より強固な結合を示す。)で特性化し得る。2個の分子が特異的に結合するか否かを決定する方法は、当業界によく知られており、例えば、平衡透析、表面プラスモン共鳴などを含む。
【0023】
本明細書において、用語“親和度(Affinity)”とは、分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原)間の非共有相互作用の総和の強度を意味する。別に断りのない限り、“結合親和力(binding affinity)”は、結合対(例えば、抗体及び抗原)の構成員間の1:1相互作用を反映する内因性(intrinsic)結合親和力を示す。分子YとそのパートナーYの親和度は、一般に解離定数(Kd)で示すことができる。親和度は、本願に記述のものを含めて当業界に公知の通常の方法によって測定可能である。
【0024】
また、本明細書において用語、“ヒト抗体(human antibody)”は、ヒト又はヒト細胞によって生成された抗体、又はヒト抗体レパートリー(repertoires)又は他のヒト抗体コーディング配列を用いる非ヒト根源から由来した抗体のアミノ酸配列に相応するアミノ酸配列を保有する。ヒト抗体のこのような定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化(humanized)抗体を排除する。
【0025】
本明細書において用語、“キメラ(chimeric)抗体”は、重鎖及び/又は軽鎖の一部が特定根源(source)又は種(species)から由来し、重鎖及び/又は軽鎖の残りが他の根源又は種に由来した抗体を意味する。
【0026】
本明細書において用語“ヒト化抗体”とは、非ヒト(例えば、マウス)抗体の非ヒト免疫グロブリンから由来した最小配列を含有するキメラ免疫グロブリン、その免疫グロブリン鎖又は断片(例えば、Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2又は抗体の他の抗原結合下位配列)である。大部分の場合に、ヒト化抗体は、受容者の相補性決定領域(CDR)の残基が、目的とする特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(供与者抗体)、例えば、マウス、ラット又はウサギのCDRの残基によって代替されたヒト免疫グロブリン(受容者抗体)である。一部の場合に、前記ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(framework region,FR)残基は、相応する非ヒト残基によって代替される。また、ヒト化抗体は、受容者抗体からも或いは取り込まれたCDR又はフレームワーク配列からも発見されない残基を含むことができる。このような変形は、抗体性能をさらに改善及び最適化するためになされる。一般に、前記ヒト化された抗体は、少なくとも1つ、及び典型的に2つの実質的に全ての可変ドメインを含むはずであり、前記ドメインにおいて前記CDR領域の全部又は実質的に全部は、非ヒト免疫グロブリンのCDR領域に相応し、前記FR領域の全部又は実質的に全部は、ヒト免疫グロブリンのFR領域の配列を有する。前記ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc region)の少なくとも一部又は実質的なヒト免疫グロブリンの定常領域(Fc region)配列を含む。
【0027】
本発明の抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片は、通常の技術者が認知するように、L1CAMを特異的に認識可能な範囲内でアミノ酸配列の変異体を含むことができる。例えば、抗体の結合親和度及び/又はその他生物学的特性を改善させるために、抗体のアミノ酸配列に変化を与えることができる。このような変形は、例えば、抗体のアミノ酸配列残基の欠失、挿入及び/又は置換を含む。
【0028】
このようなアミノ酸変異は、アミノ酸側鎖置換体の相対的類似性、例えば、疎水性、親水性、電荷、サイズなどに基づいてなされる。アミノ酸側鎖置換体のサイズ、形状及び種類に対する分析によって、アルギニン、リジン(lysine)及びヒスチジンはいずれも陽電荷を帯びた残基であり;アラニン、グリシン及びセリンは類似のサイズを有し;フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンは類似の形状を有する、ということがわかる。したがって、このような考慮事項に基づいて、アルギニン、リジン及びヒスチジン;アラニン、グリシン及びセリン;そしてフェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンは、生物学的に機能均等物であるといえる。
【0029】
変異を導入するに当たって、アミノ酸の疎水性インデックス(hydropathic index)を考慮することができる。それぞれのアミノ酸は、疎水性と電荷によって疎水性インデックスが与えられている:イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスタイン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(-0.4);トレオニン(-0.7);セリン(-0.8);トリプトファン(-0.9);チロシン(-1.3);プロリン(-1.6);ヒスチジン(-3.2);グルタメート(-3.5);グルタミン(-3.5);アスパラギン酸(-3.5);アスパラギン(-3.5);リジン(-3.9);及びアルギニン(-4.5)。
【0030】
タンパク質の相互的な生物学的機能(interactive biological function)を付与する上で疎水性アミノ酸インデックスは非常に重要である。類似の疎水性インデックスを有するアミノ酸に置換してこそ類似の生物学的活性が保有できるということは公知の事実である。疎水性インデックスを参照して変異を導入させる場合、好ましくは±2以内、より好ましくは±1以内、さらに好ましくは±0.5以内の疎水性インデックス差を示すアミノ酸間において置換をする。
【0031】
一方、類似の親水性値(hydrophilicity value)を有するアミノ酸間の置換が、均等な生物学的活性を有するタンパク質をもたらすということもよく知られている。米国特許第4,554,101号に開示されている通り、次の親水性値がそれぞれのアミノ酸残基に与えられている:アルギニン(+3.0);リジン(+3.0);アスパラギン酸(+3.0±1);グルタメート(+3.0±1);セリン(+0.3);アスパラギン(+0.2);グルタミン(+0.2);グリシン(0);トレオニン(-0.4);プロリン(-0.5±1);アラニン(-0.5);ヒスチジン(-0.5);システイン(-1.0);メチオニン(-1.3);バリン(-1.5);ロイシン(-1.8);イソロイシン(-1.8);チロシン(-2.3);フェニルアラニン(-2.5);トリプトファン(-3.4)。
【0032】
親水性値を参照して変異を導入させる場合、好ましくは、±2以内、より好ましくは±1以内、より好ましくは±0.5以内の親水性値差を示すアミノ酸間で置換をする。
【0033】
分子の活性を全体的に変更させないタンパク質におけるアミノ酸交換は、当該分野に公知されている(H.Neurath,R.L.Hill,The Proteins,Academic Press,New York,1979)。最も一般的に起きる交換は、アミノ酸残基Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Thy/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、Asp/Gly間の交換である。
【0034】
本発明の一態様によれば、本発明は、次のi)、ii)、及びiii)を含む重鎖可変領域(heavy chain variable region,V)及び次のvi)、v)、及びvi)を含む軽鎖可変領域(light chain variable region,V)を含む抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片を提供する:
i)次のアミノ酸配列を含むCDRH1(complementarity determining region 1 of heavy chain):
YAMX
ここで、互いに独立に、
は、D、S、又はNであり;
は、N、H、又はSであり;
ii)配列番号12、配列番号13、又は次のアミノ酸配列を含むCDRH2(complementarity determining region 2 of heavy chain):
AISSXGXYYADSVKG
ここで、互いに独立に、
は、S又はTであり;
は、S、又はGであり;
は、S、又はTであり;
は、I、T、又はKであり;
iii)配列番号15~配列番号23から選ばれるいずれか一つのアミノ酸配列を含むCDRH3(complementarity determining region 3 of heavy chain);
iv)次のアミノ酸配列を含むCDRL1(complementarity determining region 1 of light chain):
RASQSIXLN
ここで、互いに独立に、
は、S又はGであり;
は、R、N、又は、Sであり;
は、D又はYであり;
v)次のアミノ酸配列を含むCDRL2(complementarity determining region 2 of light chain):
AXSXLQS
ここで、互いに独立に、
は、A、又はTであり;
は、S、N、R、又はTであり;
vi)次のアミノ酸配列を含むCDRL3(complementarity determining region 3 of light chain):
QQSXSXPX
ここで、互いに独立に、
は、Y、又はEであり;
は、T、F、又はYであり;
は、Y、W、L、又はFである。
【0035】
本明細書において使われた“X”及び“X”などの記号は、上記定義された一般式において位置n及びmのアミノ酸を表示するために使用したものである。ここで、n及びmは、前記配列のN末端から計算される前記配列内のアミノ酸位置を表示する整数である。例えば、X及びXは、前記配列のN末端からそれぞれ1番目及び5番目の位置のアミノ酸を表示する。
【0036】
本発明の一具現例において、前記一般式中のX又はXになり得る可能なアミノ酸残基のグループから独立に選ばれる。通常の技術者は、Xが、可能な残基の羅列されたグループのいずれか一つから選ばれ得るということと、このような選択がXのアミノ酸の選択とは独立してなされ、ここで、nとmが異なるということ、が理解できよう。したがって、前記一般式においてX位置で羅列された可能なアミノ酸残基のいかなるものも、他の様々な位置(X位置)で羅列された可能なアミノ酸残基のいかなる他のものと独立に組み合わせられてよい。
【0037】
下記実施例で詳細に記載される通り、本発明のL1CAMに特異的に結合する抗L1CAM抗体、その変形抗体、又はそれらの抗原結合断片のCDRH1、CDRH2、CDRL1、CDRL2、及びCDRL3はそれぞれ、前記i)、ii)、iv)、v)、及びvi)で表示され、前記一般式は、数多くのランダム変形抗体を統計的に分析した結果に基づいて作成されたものである。前記L1CAMに特異的に結合する抗L1CAM抗体又は抗原結合断片とそれらの変形抗体は、反復の選抜試験によってL1CAMとの相互作用が確認され、選択された。
【0038】
本発明の一具現例において、互いに独立に、前記CDRH1のXは、D又はSであり;前記Xは、N、H、又はSである。
【0039】
本発明の実施例において、前記一般式で表されたCDRH1のアミノ酸配列は、配列番号1~7から選ばれるいずれか一つのアミノ酸配列に対応する。
【0040】
本発明の具体的な実施例によれば、前記一般式で表されたCDRH1のアミノ酸配列は、配列番号1~3、及び7から選ばれるいずれか一つのアミノ酸配列に対応し、それらは、本発明において最終選別された4種の抗体のCDRH1に対応する。
【0041】
本発明の他の具現例において、互いに独立に、
前記CDRH2のXは、T、又はSであり;
前記CDRH2のXは、S、又はGであり;
前記CDRH2のXは、S、又はTであり;及び
前記CDRH2のXは、I、又はTである。
【0042】
本発明の実施例において、前記一般式で表されたCDRH2のアミノ酸配列は、配列番号8~14から選ばれるいずれか一つのアミノ酸配列に対応する。
【0043】
本発明の具体的な実施例によれば、前記一般式で表されたCDRH2のアミノ酸配列は、配列番号8~10から選ばれるいずれか一つのアミノ酸配列に対応し、それらは、本発明において最終選別された4種の抗体のCDRH2に対応する。
【0044】
また、本発明の具体的な具現例によれば、前記CDRH3のアミノ酸配列は、配列番号15~17、及び22から選ばれるいずれか一つのアミノ酸配列に対応し、それらは、本発明において最終選別された4種の抗体のCDRH3に対応する。
【0045】
本発明の一具現例において、前記CDRL1のアミノ酸配列は、配列番号32~36から選ばれるいずれか一つのアミノ酸配列に対応する。
【0046】
本発明の具体的な具現例によれば、前記CDRL1のアミノ酸配列は、配列番号32~34、及び36から選ばれるいずれか一つのアミノ酸配列に対応し、それらは、本発明において最終選別された4種の抗体のCDRL1に対応する。
【0047】
本発明の他の具現例において、互いに独立に、前記CDRL2のXは、A、又はTであり;Xは、S、又はNである。
【0048】
本発明の実施例において、前記一般式で表されたCDRL2のアミノ酸配列は、配列番号37~42から選ばれるいずれか一つのアミノ酸配列に対応する。
【0049】
また、本発明の具体的な実施例によれば、前記一般式で表されたCDRL2のアミノ酸配列は、配列番号37、38、及び42から選ばれるいずれか一つのアミノ酸配列に対応し、それらは、本発明において最終選別された4種の抗体のCDRL2に対応する。
【0050】
本発明のさらに他の具現例において、互いに独立に、
前記CDRL3のXは、Yであり;
前記CDRL3のXは、T又はFであり;及び
前記CDRL3のXは、Y又はWである。
【0051】
本発明の一実施例において、前記一般式で表されたCDRL3のアミノ酸配列は、配列番号43~47から選ばれるいずれか一つのアミノ酸配列に対応する。
【0052】
本発明の具体的な実施例によれば、前記一般式で表されたCDRL3のアミノ酸配列は、配列番号43又は44のアミノ酸配列に対応し、それらは、本発明において最終選別された4種抗体のCDRL3に対応する。
【0053】
本発明のさらに他の具現例によれば、本発明の抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片において、前記Vは、配列番号24~26から選ばれるいずれか一つのアミノ酸配列を含むFRH1(Framework region 1 of Heavy chain)を含む。
【0054】
本発明の具体的な具現例によれば、前記前記Vは、配列番号24のアミノ酸配列を含むFRH1(Framework region 1 of Heavy chain)を含む。
【0055】
また、前記Vは、配列番号27のアミノ酸配列を含むFRH2(Framework region 2 of Heavy chain)を含む。
【0056】
また、前記Vは、配列番号28又は29のアミノ酸配列を含むFRH3(Framework region 3 of Heavy chain)を含む。
【0057】
また、前記Vは、配列番号30のアミノ酸配列を含むFRH4(Framework region 4 of Heavy chain)を含む。
【0058】
本発明の他の具現例において、前記Vは、次のvii)のアミノ酸配列を含む:
vii)EVQLVESGGGLXQPGGSLRLSCAASGFTFS[CDRH1]WVRQAPGKGLEWVS[CDRH2]RFTISRDNSKNTLYLQXNSLRAEDTAVYYCAK[CDRH3]WGQGTLVTVSS
ここで、互いに独立に、
前記[CDRH1]、[CDRH2]、及び[CDRH3]は、上記で定義されたCDRH1、CDRH2、及びCDRH3のアミノ酸配列であり;
前記Xは、V、L、又はAであり;及び
前記Xは、M又はIである。
【0059】
本発明の具体的な具現例において、vii)において、前記XはVであり、前記XはMである。
【0060】
本発明の一実施例によれば、前記Vのアミノ酸配列は、配列番号52~55から選ばれるいずれか一つのアミノ酸配列に対応する。
【0061】
本発明の具体的な具現例によれば、前記Vは、配列番号48のアミノ酸配列を含むFRL1(Framework region 1 of Light chain)を含む。
【0062】
また、前記Vは、配列番号49のアミノ酸配列を含むFRL2(Framework region 2 of Light chain)を含む。
【0063】
また、前記Vは、配列番号50のアミノ酸配列を含むFRL3(Framework region 3 of Light chain)を含む。
【0064】
また、前記Vは、配列番号51のアミノ酸配列を含むFRL4(Framework region 4 of Light chain)を含む。
【0065】
本発明の他の具現例において、前記Vは、次のviii)のアミノ酸配列を含む:
viii)DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITC[CDRL1]WYQQKPGKAPKLLIY[CDRL2]GVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYC[CDRL3]FGQGTKVEIK
ここで、互いに独立に、前記[CDRL1]、[CDRL2]、及び[CDRL3]は、上記で定義したCDRL1、CDRL2、及びCDRL3のアミノ酸配列である。
【0066】
本発明の一実施例によれば、前記Vのアミノ酸配列は、配列番号56~59から選ばれるいずれか一つのアミノ酸配列に対応する。
【0067】
一方、本発明の抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片は、上述したアミノ酸配列に対して小幅の変化、すなわち、3次構造及び抗体の機能にほとんど影響を及ぼさない変形を含む抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片を含む。したがって、ある具現例において、上述した配列と一致しなくても、少なくとも90%、93%、95%又は98%以上の類似性を有することができる。
【0068】
また、本発明において、前記抗体又はその抗原結合断片に含まれる重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、一般式(G又は(Sで表示されるアミノ酸配列からなるリンカーによって連結されてよい。
【0069】
ここで、前記n、m及びpは独立に、
nは、1~7の整数であり;
mは、0~7の整数であり;
nとmの和は、8以下の整数であり;及び
pは、1~7の整数である。
【0070】
本発明の具体的な具現例によれば、前記リンカーは、n=1~5、m=0~5である。より具体的な具現例において、n=4、m=1である。より具体的な具現例において、前記リンカーは、(GS)又は(SG)である。
【0071】
他の具現例において、前記リンカーはVDGSであり、さらに他の具現例において、前記リンカーはASGSである。
【0072】
また、本発明に係る抗体又は抗原結合断片の軽鎖可変領域及び重鎖可変領域は、例えば、次の配向で存在してよい:
軽鎖可変領域-リンカー-重鎖可変領域;又は
重鎖可変領域-リンカー-軽鎖可変領域。
【0073】
本発明の最も具体的な具現例によれば、本発明の抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片は、配列番号64~67から選ばれるアミノ酸配列を含むが、これに限定されるものではない。
【0074】
本発明の他の態様によれば、本発明は、抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片を含む融合タンパク質を提供する。
【0075】
本発明において、前記融合タンパク質は、本発明の抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片の生産性、精製効率、生物学的活性の向上、融合タンパク質の安定性増加、フォールディング(folding)の向上及び/又は追加の機能性を持つ機能的モイエティ(moiety)との結合のために製造される。前記融合タンパク質は、2以上のポリペプチド鎖が組換え融合タンパク質(recombinant fused protein)として発現することにより共有結合によって連結されたり、或いは化学的コンジュゲート(conjugation)によって2以上のポリペプチド鎖が連結されたコンジュゲート(conjugate)の形態として具現されてよい。
【0076】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、次のを含むキメラ抗原受容体ポリペプチドを提供する:
(a)L1CAM結合ドメイン(L1CAM binding domain);
(b)膜横断ドメイン(transmembrane domain,TM);
(c)共同刺激ドメイン(costimulatory domain);及び
(d)細胞内信号伝達ドメイン(intracellular signaling domain,ICD)。
【0077】
本明細書において、用語“キメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor,CAR)”は、効果器細胞信号伝達又は効果器細胞活性化ドメイン(例えば、T-細胞信号伝達又はT-細胞活性化ドメイン)に連結されたターゲット結合ドメイン(例えば、単一鎖可変断片(scFv))を含む人工的に作製されたハイブリッドタンパク質(融合タンパク質)又はポリペプチドである。キメラ抗原受容体は一般に、単一クローン抗体の抗原結合性質を用いて非MHC-制限方式により、選択された標的に対するT-細胞特異性及び反応性を再誘導する能力を有する。非MHC-制限された抗原認識は、CARを発現させるT-細胞に、抗原処理に関係なく抗原を認識する能力を提供し、腫瘍逃避の主要メカニズムを回避させる。また、CARは、T-細胞に発現するとき、有利には内在性T-細胞受容体(TCR)アルファ及びベータ鎖と二量体化しない。
【0078】
本発明のキメラ抗原受容体は、上述した抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片を細胞外抗原結合ドメインとして含む。したがって、本発明のキメラ抗原受容体は、抗L1CAMキメラ抗原受容体(anti-L1CAM CAR)、抗L1CAM CARなどと表現される。
【0079】
本発明の実施例で使われた“L1-CAR”、“L1CAM-CAR”、“L1-H8-CAR”などの用語は、本発明者らが発明した抗L1CAMキメラ抗原受容体のコード名であり、上述したL1CAMに特異的に結合する細胞外抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体のことを指す。
【0080】
本発明の一具現例によれば、本発明のキメラ抗原受容体は、本発明において上述した抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片を含むL1CAM結合ドメインを含むので、L1CAM抗原を認識し、細胞の表面において発現する。
【0081】
本発明のキメラ抗原受容体は、細胞の表面に発現するので、膜横断ドメインを含む。前記膜横断ドメインは、T-細胞受容体のアルファ、ベータ又はゼータ鎖、CD28、CD3エプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137及びCD154からなる群から選ばれるタンパク質の膜横断ドメイン、又はそれらの全部又は一部の配列の組合せであるが、これに限定されるものではない。
【0082】
本発明の具体的な具現例によれば、前記膜横断ドメインは、CD8、又はCD28の膜横断ドメインであり、最も具体的には、配列番号78のヌクレオチド配列によってコードされるCD28の膜横断ドメイン、又は配列番号119のヌクレオチド配列によってコードされるCD8アルファの膜横断ドメインである。
【0083】
本発明のキメラ抗原受容体の前記共同刺激ドメインは、MHCクラスI分子、TNF受容体タンパク質、イムノグロブリン様タンパク質、サイトカイン受容体、インテグリン、信号伝達リンパ球性活性化分子(signaling lymphocytic activation molecule,SLAM)、活性化NK細胞受容体、BTLA(B an T lymphocyte attenuator)、トル様リガンド受容体(Toll-like ligand receptor)、OX40、CD2、CD7、CD27、CD28、CD30、CD40、CDS、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、4-1BB(CD137)、B7-H3、CDS、ICAM-1、ICOS(CD278)、GITR、BAFFR、LIGHT、HVEM(LIGHTR)、KIRDS2、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD19、CD4、CD8アルファ、CD8ベータ、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rアルファ、ITGA4、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、NKG2D、NKG2C、TNFR2、TRANCE/RANKL、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、CD69、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、LAT、GADS、SLP-76、PAG/Cbp、CD19a、及びCD83と特異的に結合するリガンドからなる群から選ばれるタンパク質から得られた機能的信号伝達ドメインであるが、これに限定されるものではない。
【0084】
本発明の具体的な具現例によれば、前記共同刺激ドメインは、CD28、OX40、4-1BB(CD137)、及びICOS(CD278)からなる群から選ばれるタンパク質から得られた機能的信号伝達ドメインでよく、より具体的には、配列番号79のヌクレオチド配列によってコードされるCD28の機能的信号伝達ドメイン、配列番号80のヌクレオチド配列によってコードされるOX40の機能的信号伝達ドメイン、配列番号101又は配列番号120のヌクレオチド配列によってコードされる4-1BBの機能的信号伝達ドメイン、配列番号102のヌクレオチド配列によってコードされるICOSの機能的信号伝達ドメイン、又はそれらの全部又は一部の配列の組合せである。
【0085】
本発明の他の具現例によれば、前記細胞内信号伝達ドメインは、4-1BB、CD28、OX40、CD3ゼータの機能的信号伝達ドメイン、又はそれらの組合せである。前記細胞内信号伝達ドメインは、最も具体的には、CD3ゼータの機能的信号伝達ドメインである。
【0086】
本発明の一実施例によれば、前記細胞内信号伝達ドメインは、配列番号81のヌクレオチド配列によってエンコードされるCD3ゼータの機能的信号伝達ドメイン、配列番号121のヌクレオチド配列によってエンコードされるCD3 zeta-iso2M、配列番号126のヌクレオチド配列によってエンコードされるCD3 zeta-iso2であるが、これに限定されるものではない。
【0087】
本発明の一具現例において、前記キメラ抗原受容体は、先導配列(leader sequence,LS)を選択的にさらに含む。前記先導配列は、キメラ抗原受容体を構成する組換えポリペプチドのアミノ末端(N-terminal)に位置する。前記先導配列は、キメラ抗原受容体の細胞内プロセス及び細胞膜に局在化(localization)しながら抗原結合ドメインから任意に切断される。
【0088】
本発明の具体的な具現例において、前記先導配列は、hCD8 alphaの先導配列、hGM-CSF receptor alpha-chainの先導配列、又は3E8抗体の先導配列でよい。
【0089】
本発明のより具体的な具現例において、前記先導配列は、配列番号128~130の塩基配列によってエンコードされるアミノ酸配列を含む先導配列である。
【0090】
本発明のキメラ抗原受容体の前記L1CAM結合ドメインは、ヒンジドメイン(又は、スぺーサ)によって前記膜横断ドメインに連結される。
【0091】
本発明の他の具現例によれば、前記ヒンジドメインは、IgG1、IgG2、IgG4、又はIgDに由来したヒンジ、CD8又はCD28に由来したヒンジ、CD28に由来した細胞外ドメイン(ECD)又はそれらの組合せである。
【0092】
本発明の一実施例によれば、前記ヒンジドメインは、配列番号77のヌクレオチド配列によってエンコードされるIgDヒンジ、配列番号85のヌクレオチド配列によってエンコードされるIgG1ヒンジ、配列番号86のヌクレオチド配列によってエンコードされるIgG1 CH3ヒンジ、配列番号118のヌクレオチド配列によってエンコードされるhCD8 alphaヒンジ、配列番号124のヌクレオチド配列によってエンコードされるヒンジ、配列番号125のヌクレオチド配列によってコードされるhCD28細胞外ドメイン又はそれらの全部又は一部の配列の組合せであるが、これに限定されるものではない。
【0093】
本発明の一態様によれば、本発明は、上述した抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片をエンコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。
【0094】
本発明の他の一態様によれば、本発明は、上述した抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片を含む融合タンパク質をエンコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。
【0095】
本発明のさらに他の一態様によれば、本発明は、上述したキメラ抗原受容体ポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を提供する。
【0096】
本明細書において用語“核酸(nucleic acids)”は、DNA(gDNA及びcDNA)及びRNA分子を包括的に含む意味を有し、核酸分子において基本構成単位であるヌクレオチドは、自然のヌクレオチドの他、糖又は塩基部位が変形された類似体(analogue)も含む(Scheit,Nucleotide Analogs,John Wiley,New York(1980);Uhlman及びPeyman,Chemical Reviews,90:543-584(1990))。
【0097】
本発明の一具現例において、本発明の前記キメラ抗原受容体ポリペプチドをエンコードするヌクレオチド配列は、前記キメラ抗原受容体分子を構成するアミノ酸配列をエンコードするヌクレオチド配列であればよく、いずれかの特定ヌクレオチド配列に限定されないということは、当業者にとって明らかである。
【0098】
これは、ヌクレオチド配列の変異が発生しても、変異されたヌクレオチド配列をタンパク質で発現すれば、タンパク質配列において変化をもたらさない場合もあるためである。これをコドンの縮退性という。したがって、前記ヌクレオチド配列は、機能的に均等なコドン又は同一のアミノ酸をコードするコドン(例えば、コドンの縮退性により、アルギニン又はセリンに対するコドンは6個である。)、又は生物学的に均等なアミノ酸をコードするコドンを含むヌクレオチド配列を含む。
【0099】
ただし、本発明の具体的な具現例によれば、前記キメラ抗原受容体のL1CAM結合ドメインポリペプチドをエンコードする前記核酸分子は、配列番号60~63から選ばれるいずれか一つのヌクレオチド配列を含む。
【0100】
上述した生物学的均等活性を有する変異を考慮すると、本発明のキメラ抗原受容体ポリペプチドをエンコードする核酸分子は、配列目録に記載された配列と実質的な同一性(substantial identity)を示す配列も含むものと解釈される。前記の実質的な同一性は、上記の本発明の配列と任意の他の配列を最大限に対応するようにアラインし、当業界で一般に用いられるアルゴリズムを用いてアラインされた配列を分析した場合に、最小で61%の相同性、より好ましくは70%の相同性、より好ましくは80%の相同性、最も好ましくは90%の相同性を示す配列を意味する。配列比較のためのアラインメント方法は、当業界に公知である。アラインメントに対する様々な方法及びアルゴリズムは、Smith and Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981);Needleman and Wunsch,J.Mol.Bio.48:443(1970);Pearson and Lipman,Methods in Mol.Biol.24:307-31(1988);Higgins and Sharp,Gene 73:237-44(1988);Higgins and Sharp,CABIOS5:151-3(1989);Corpet et al.,Nuc.Acids Res.16:10881-90(1988);Huang et al.,Comp.Appl.BioSci.8:155-65(1992)and Pearson et al.,Meth.Mol.Biol.24:307-31(1994)に開示されている。NCBI Basic Local Alignment Search Tool(BLAST)(Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403-10(1990))は、NBCI(National Center for Biological Information)などで接近可能であり、インターネット上でblastp、blastn、blastx、tblastn及びtblastxのような配列分析プログラムと連動して用いることができる。BLASTは、ncbiウェブサイトのBLASTページから接続可能である。このプログラムを用いた配列相同性比較方法は、ncbiウェブサイトのBLAST helpページから確認できる。
【0101】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明は、上記の抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片;又は上記のキメラ抗原受容体ポリペプチドをエンコードする核酸分子を含む組換えベクターを提供する。
【0102】
本明細書において用語“ベクター”は、伝達ベクターと発現ベクターを含む。
【0103】
本明細書において用語“伝達ベクター”は、断離された核酸を含み、断離された核酸を細胞内部に伝達する上で使用可能な物質の組成のことを指す。線形ポリヌクレオチド、イオン性又は両親媒性化合物と連結されたポリヌクレオチド、プラスミド及びウイルスを含むが、これに限定されるものではない。より具体的に、前記伝達ベクターは、自己複製性プラスミド又はウイルスを含む。前記用語は、細胞内への核酸の転移を促進させる非プラスミド及び非ウイルス性化合物、例えばポリリシン化合物、リポソームなどをさらに含み得るものと解釈される必要がある。ウイルス性伝達ベクターは、アデノウイルスベクター、アデノ連関ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターを含むが、これに限定されるものではない。
【0104】
本発明の一具現例において、前記ベクターはレンチウイルスベクターである。本発明の具体的な一具現例において、前記ベクターはプロモーターをさらに含む。前記プロモーターは、例えば、EF-1プロモーターであるが、これに限定されるものではない。
【0105】
本発明の他の具現例において、前記ベクターは、レトロウイルスベクターでよい。レトロウイルスは、遺伝子伝達システムのための便利なプラットホームを提供する。遺伝子伝達のために選択された遺伝子は、レトロウイルスベクター内に挿入され、レトロウイルス粒子内にパッケージングされてよい。次いで、組み換えられたレトロウイルスは、インビボ又はインビトロで目的とする宿主細胞に伝達されてよい。多くのレトロウイルスベクターが関連技術分野に知られており、本発明の具体的な具現例において、前記レトロウイルスベクターは、MLV-ベースのレトロウイルスベクターであるpMTレトロウイルスベクターであるが、これに限定されるものではない。
【0106】
本明細書において用語“発現ベクター”は、宿主細胞において目的遺伝子を発現させるために、発現させるヌクレオチド配列に作動可能に連結された発現制御配列を含む組換えヌクレオチドを含むベクターのことを指す。発現ベクターは、発現のための十分のシス作用因子(cis-acting element)を含み、発現のための他の要素は、宿主細胞又は試験管内発現システムによって提供されてよい。前記発現ベクターは、組換えポリヌクレオチドを含むプラスミドベクター;コスミドベクター;そしてバクテリオファージベクター、アデノウイルスベクター、レンチウイルス、レトロウイルスベクター及びアデノ関連ウイルスベクターのようなウイルスベクターを含む。本発明の具体的な具現例によれば、本発明のベクターにおいて前記スイッチ分子をコードする核酸分子は、前記ベクターのプロモーターと作動的に結合(operatively linked)されている。本明細書において、用語“作動的に結合され”とは、核酸発現調節配列(例えば、プロモーター、シグナル配列、又は転写調節因子結合位置のアレイ)と他の核酸配列との機能的な結合を意味し、これによって前記調節配列は前記他の核酸配列の転写及び/又は解読を調節する。
【0107】
本発明の組換えベクターシステムは、当業界に公知の様々な方法によって構築されてよく、これに対する具体的な方法は、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press(2001)に開示されており、この文献は本明細書に参照によって組み込まれる。
【0108】
本発明のベクターは、遺伝子クローニングのためのベクター、タンパク質の発現のためのベクター、又は遺伝子の伝達のためのベクターとして構築されてよい。また、本発明のベクターは、原核細胞又は真核細胞を宿主にして構築されてよい。
【0109】
例えば、本発明のベクターが発現ベクターであり、真核細胞を宿主とする場合には、哺乳動物細胞のゲノムから由来したプロモーター(例えば、メタロチオニンプロモーター、beta-アクチンプロモーター、ヒトヘモグロビンプロモーター及びヒト筋肉クレアチンプロモーター)又は哺乳動物ウイルスから由来したプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター、SV40プロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター、HSVのtkプロモーター、マウス乳房腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、HIVのLTRプロモーター、モロニーウイルスのプロモーター、エプスタインバーウイルス(EBV)のプロモーター及びラウス肉腫ウイルス(RSV)のプロモーター)が用いられてよく、それらは一般に転写終結配列としてポリアデニル化配列を有する。
【0110】
本発明のベクターは、それから発現するポリペプチド又はタンパク質の精製を容易にするために、他の配列と融合されてもよい。融合される配列は、例えば、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(Pharmacia,USA)、マルトース結合タンパク質(NEB,USA)、FLAG(IBI,USA)及び6x His(hexahistidine;Quiagen,USA)などがある。一方、本発明の発現ベクターは、本発明の抗体又はその抗原結合断片、及びこれを含むCARポリペプチドの発現を評価するための選択標識として選択可能マーカー遺伝子及び/又はレポーター遺伝子を含むことができる。選択可能マーカー遺伝子としては、当業界において通常用いられる抗生剤耐性遺伝子を含み、例えば、アンピシリン、ゲンタマイシン、カベニシリン、クロラムフェニコール、ストレプトマイシン、カナマイシン、ゲネチシン、ネオマイシン及びテトラサイクリンに対する耐性遺伝子がある。レポーター遺伝子としては、ルシフェラーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、又は緑色蛍光タンパク質遺伝子を含む。
【0111】
本発明の組換えベクターを細胞内に導入して発現させる方法は、関連技術分野によく知られている。ベクターは、当業界に公知の方法によって宿主細胞、例えば、哺乳動物、バクテリア、酵母、又は昆虫細胞内に容易に導入可能である。例えば、ベクターは、物理的、化学的、又は生物学的手段によって宿主細胞内に伝達されてよい。前記物理的手段は、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、粒子爆撃(particle bombardment)、微細注入、電気穿孔などを含む。前記化学的手段は、コロイド分散液システム、例えば、巨大分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフィア、ビーズ、及び水中油エマルジョン、マイセル(micelle)、混合したマイセル、及びリポソームを含む脂質ベースシステムを含む。また、前記生物学的手段は、上述したレンチウイルス、レトロウイルスなど、DNA又はRNAベクターの使用を含む。
【0112】
本発明の他の一態様によれば、本発明は、前記キメラ抗原受容体(CAR)ポリペプチドを発現させる効果器細胞を提供する。
【0113】
本発明の一具現例において、前記効果器細胞は、樹状細胞、キラー樹状細胞、肥満細胞、自然殺害細胞、Bリンパ球、Tリンパ球、大食細胞及びそれらの前駆細胞からなる群から選ばれるが、これに限定されるものではない。ここで、前記Tリンパ球は、炎症性Tリンパ球、細胞毒性Tリンパ球、調節Tリンパ球又はヘルパーTリンパ球からなる群から選ばれる。
【0114】
本発明において前記効果器細胞は、自己細胞又は同種異型細胞の集団を含む。すなわち、前記効果器細胞は、本抗L1CAM CARポリペプチドを発現させる自己細胞又は同種異型細胞の集団を含む。
【0115】
本明細書において、用語“自己”とは、個体に再導入される予定である、同じ個体から由来した任意の物質のことを指す。本明細書において、用語“同種”とは、物質が導入される個体と同じ種の異なる動物から由来した任意の物質のことを指す。
【0116】
また、本発明の一具現例によれば、前記効果器細胞は、抗L1CAM CARポリペプチドをコードする核酸分子を含むベクターで形質感染又は形質導入された細胞の集団を含む。前記形質感染又は形質導入は、上述したように、当業界に知られた様々な手段によって制限なく行われてよい。
【0117】
したがって、本発明の具体的な具現例によれば、本発明の効果器細胞、例えば、Tリンパ球、又は自然殺害細胞に伝達され、抗L1CAM CARコーディング核酸分子はmRNAに転写され、前記mRNAから抗L1CAM CARポリペプチドが翻訳されて効果器細胞の表面に発現する。
【0118】
本発明の実施例で立証された通り、本発明の抗L1CAM CARを発現させる効果器細胞は、表面にL1CAMを発現させる癌細胞株であるSKOV3(卵巣癌細胞株)、SH-SY5Y(神経芽細胞腫細胞株)、HeLa(子宮頸癌細胞株)を効果的に死滅させる。したがって、本発明の抗L1CAM CARを発現させる効果器細胞は、様々な癌腫に対する治療用組成物の有効成分として有用に使用可能である。
【0119】
本発明の他の一態様によれば、本発明は上述した抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片を含む、癌又は炎症性疾患の治療又は診断用薬剤学的組成物を提供する。
【0120】
本発明のさらに他の一態様によれば、本発明は、上述したキメラ抗原受容体ポリペプチドを発現させる効果器細胞を含む、癌又は炎症性疾患の治療用薬剤学的組成物を提供する。
【0121】
前記薬剤学的組成物は、上記の抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片、又はキメラ抗原受容体ポリペプチドを発現させる効果器細胞を含む免疫治療用薬剤学的組成物である。
【0122】
本明細書において“免疫治療(immunotherapy)”とは、兔疫体系が癌を除去するように手伝う癌の治療方法である。免疫治療は、能動的免疫治療と受動的免疫治療とに区別される。能動的免疫治療は、i)癌細胞又は癌細胞によって生成された物質を人体に注入して兔疫体系を活性化させる癌ワクチン治療(cancer vaccine therapy)、ii)サイトカイン(インターフェロン、インターロイキンなど)、成長因子など免疫調節剤(immune-modulating agents)を投与して特定白血球を活性化させる免疫調節治療を含む。受動的免疫治療は、特定癌細胞に結合する治療的抗体(therapeutic antibody)と免疫細胞治療(immune cell therapy)を含む。免疫細胞治療は、具体的に、樹状細胞ワクチン治療(dendritic cell vaccine therapy)とCAR-T(chimeric antigen receptor T cell)治療、NK細胞治療(natural killer cell therapy)、CTL治療(cytotoxic T lymphocyte therapy)、養子細胞転移(adoptive cell transfer)などを含むが、これに限定されるものではない。本発明において免疫治療は、主に、上述した免疫細胞治療を意味する。
【0123】
本発明の薬剤学的組成物は、標的細胞のL1CAM抗原に結合する抗体又は抗原結合断片、又はこれを含むキメラ抗原受容体を発現させる効果器細胞を含むので、L1CAMの高発現に関連した疾患の診断又は治療に効果的である。前記L1CAMの高発現に関連した疾患には癌と炎症性疾患がある。
【0124】
特に、前記L1CAMの高発現に関連した癌は、固形癌であり、該固形癌は、胃癌、乳癌、膵癌、子宮頸癌、子宮内膜癌(endometrial carcinoma)、消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumer)、卵巣癌、黒色腫、胆嚢癌、肝細胞癌(hepatocelluloar carcinoma)、胆管癌(cholangiocarcinoma)、膵管腺癌(pancreatic ductal adenocarcinoma)、食道癌、腎細胞癌(renal cell carcinoma)、直膓癌、結腸癌、前立腺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、甲状腺癌、神経膠腫(glioma)、膠芽細胞腫(glioblastoma)、神経芽細胞腫(neuroblastoma)及び星状細胞腫(astrocytoma)からなる群から選ばれる。
【0125】
また、前記L1CAMの高発現に関連した炎症性疾患は、炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease)であるが、これに限定されるものではない。
【0126】
本発明の薬剤学的組成物は、上述したCAR発現効果器細胞、例えば、複数のCAR発現効果器細胞を一つ以上の製薬的又は生理学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤と組み合わせて含むことができる。前記薬剤学的組成物は、緩衝剤、例えば、中性緩衝塩水、ホスフェート緩衝塩水など;炭水化物、例えば、グルコース、マンノース、スクロース又はデキストラン、マンニトール;タンパク質;ポリペプチド又はアミノ酸、例えば、グリシン;抗酸化剤;キレーティング剤、例えば、EDTA又はグルタチオン;アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);及び防腐剤を含むことができる。本発明の一具現例において、前記薬剤学的組成物は静脈内投与のために製剤化される。
【0127】
本発明の薬剤学的組成物は、経口又は非経口で投与でき、例えば、静脈内投与、皮下投与、血内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、腫瘍内投与、脳内投与、頭蓋骨内投与、肺内投与及び直腸内投与などで投与できるが、これに限定されるものではない。
【0128】
本発明の効果器細胞を含む薬剤学的組成物は、皮膚内又は皮下注射によって患者に投与される。一具現例において、本発明の薬剤学的組成物は、静脈内注射によって投与される。他の具現例において、本発明の薬剤学的組成物は、腫瘍、リンパ節、又は感染部位内に直接投与されてもよい。
【0129】
本発明を必要とする対象体は、末梢血液幹細胞移植後に高容量化学療法を用いた標準治療を受けることができる。本発明の一具現例において、本発明を必要とする対象体には、前記末梢血液幹細胞移植後に又は移植と同時に、本発明の拡張されたCAR T細胞が投与されてよい。他の具現例において、拡張された細胞は、手術前又は手術後に投与される。
【0130】
本発明の薬剤学的組成物の“免疫学的有効量”、“抗腫瘍有効量”、“腫瘍抑制有効量”、又は“治療量”に適合した投与量は、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病態、飲食、投与時間、投与経路、排泄速度及び反応感応性のような要因によって決定され、熟練した通常の医者は所望の治療又は予防に効果的な投与量を容易に決定及び処方でき、適切な投与量は臨床試験によって決定されるだろう。本明細書において用語“治療”は、疾患状態の減少、抑制、鎮静又は根絶を意味する。本明細書において用語“抗腫瘍”は、腫瘍体積の減少、腫瘍細胞数の減少、転移数の減少、期待寿命の増加、腫瘍細胞増殖の減少、腫瘍細胞生存の減少、又は癌的病態と関連した様々な生理学的症状の改善を含むが、これに制限されない。
【0131】
本願に記載されたT細胞を含む薬剤学的組成物は、通常、10~10細胞/kg体重、いくつかの場合に10~10細胞/kg体重(前記範囲内の全ての整数値を含む。)の投与量で投与できるといえよう。T細胞組成物はまた、これらの投与量で多回投与されてもよい。細胞は、免疫療法において通常知られた注入技術を用いて投与できる(例えば、[Rosenberg et al.,New Eng.J.of Med.319:1676,1988]参照)。
【0132】
本発明の薬剤学的組成物はまた、上述した有効成分の他、他の薬剤学的活性薬剤及び療法も組み合わせて用いられてもよい。前記“組合せ”は、同時又は併用投与で表現されてもよい。本願に記載のCAR発現効果器細胞及び少なくとも一つの追加の治療剤は同時に、同一の組成物内に又は別個の組成物内に、又は順次に投与されてよい。順次投与のために、本願に記載のCAR発現細胞が最初に投与され、追加の作用剤は2番目に投与されてもよく、その逆の順序で投与されてもよい。
【0133】
上記本発明の薬剤学的組成物と組み合わせて使用可能な治療剤には、当業界に公知の1以上の化学治療剤(例えば、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、メトトレキサート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチンなど)、1以上の標的治療剤(例えば、ベバシズマブ(bevacizumab)、オラパリブ(olaparib)など)、PD-1/PD-L1特異的な免疫関門抑制剤(例えば、オプジーボ、キイトルーダ)があるが、これに限定されるものではない。
【0134】
本発明のさらに他の一態様によれば、本発明は、前記のキメラ抗原受容体を発現させる効果器細胞を、治療が必要な対象体に投与する段階を含む、癌又は炎症性疾患の治療方法を提供する。
【0135】
本発明の治療方法の対象疾病である前記癌及び炎症性疾患は、薬学的組成物の治療対象疾病と関連して定義した通りである。
【0136】
本発明の一具現例において、前記対象体は、哺乳動物又はヒトである。
【0137】
本発明の癌又は炎症性疾患の治療方法は、有効成分として上述したキメラ抗原受容体を発現させる効果器細胞を共通に使用する方法であるので、重複する内容については本明細書の過度な複雑性を避けるためにその記載を省略する。
【0138】
〔発明の効果〕
本発明は、L1CAM抗原に特異的に結合する抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片、これを含むキメラ抗原受容体、及びそれらの用途を提供する。本発明の抗L1CAM抗体又はその抗原結合断片は、L1CAMに対する特異性及び親和性に優れるので、L1CAMの高発現に関連した様々な癌及び炎症性疾患に関連した疾病の治療及び診断に用いることができる。特に、本発明の抗L1CAM抗体を含むキメラ抗原受容体をTリンパ球などの効果器細胞に発現させる場合、L1CAMに関連した様々な癌及び炎症性疾患の免疫治療方法として有用に用いることができる。
【0139】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、ファージディスプレイライブラリーパンニング過程を図式化したものである。
【0140】
図2は、ファージパンニングラウンドによる抗原mL1CAMのファージの増幅(enrichiment)程度を示すグラフである(上:ファージ出力力価(phage output titer)、下:溶出力価率(Elution titer ratio))。
【0141】
図3A図3Cは、ファージパンニングラウンド別抗原mL1CAMに対して特異的に結合するファージクローンを選別するために単一クローンファージELISA(monoclonal phage ELISA)を行った結果を示す。
【0142】
図4は、本発明の選別された9種のscFvクローンの選別頻度を示す図である。
【0143】
図5は、ヒトL1CAMとマウスL1CAMに交差結合する抗体発掘のために本発明で選別したマウスL1CAMに結合するユニークな(unique)抗mL1CAM scFvクローンの9種を対象にしてhL1CAMに対して単一クローンファージELISAを行った結果を示す図である。
【0144】
図6は、精製された抗mL1CAM scFvクローンのSDS-PAGE分析結果を示す図である。
【0145】
図7A図7Cは、図5の可溶性(soluble)ELISA結果による本発明の4種の抗L1CAM scFv抗体のmL1CAM及びhL1CAM抗原に対する親和性を示す図である。
【0146】
図7D図7Eは、オクテットシステム結果による本発明の4種の抗L1CAM scFv抗体のmL1CAM及びhL1CAM抗原に対する親和性を示す図である。
【0147】
図8は、本発明の選別された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するために用いられたpMT-CARプラスミドのベクターマップを示す図である。
【0148】
図9は、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するための、一連のPCR増幅過程を示す模式図である。
【0149】
図10A及び図10Bは、本発明の実施例で作製された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-CAR-001、L1-CAR-002、L1-CAR-003、及びL1-CAR-004)の構造を示す図である。
【0150】
図11A及び図11Bは、本発明の抗L1CAM scFvを含む4種のCARコンストラクト(L1-CAR-001、L1-CAR-002、L1-CAR-003、及びL1-CAR-004)を導入したレトロウイルスベクターを示す図である。
【0151】
図12は、SKOV3細胞と293T細胞におけるL1CAM発現率を確認した図である。
【0152】
図13A及び図13Bは、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞のSKOV3細胞(L1CAM高発現、図13A)及び293T細胞(L1CAM低発現、図13B)に対する抗癌活性を示す図である。
【0153】
図14は、本発明の抗L1CAM CAR(抗L1-CAR)発現T細胞の生体内抗癌活性能を示す図である。
【0154】
図15は、本発明の選別された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するために用いられたpMT-CAR-002プラスミドのベクターマップを示す図である。
【0155】
図16は、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するための、一連のPCR増幅過程を示す模式図である。
【0156】
図17は、本発明の実施例で作製された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-002)の構造を示す図である。
【0157】
図18は、本発明の選別された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するために用いられたpMT-CAR-003プラスミドのベクターマップを示す図である。
【0158】
図19は、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するための、一連のPCR増幅過程を示す模式図である。
【0159】
図20は、本発明の実施例で作製された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-003)の構造を示す図である。
【0160】
図21は、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するための、一連のPCR増幅過程を示す模式図である。
【0161】
図22は、本発明の実施例で作製された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-004)の構造を示す図である。
【0162】
図23A図23Dは、本発明の抗L1CAM scFvを含む4種のCARコンストラクト(L1-H8-CAR-001、L1-H8-CAR-002、L1-H8-CAR-003、及びL1-H8-CAR-004)を導入したレトロウイルスベクターを示す図である。
【0163】
図24A図24Gは、SKOV3細胞、Hela細胞、SH-SY5Y細胞及び293T細胞におけるL1CAM発現率を確認した図である。
【0164】
図25は、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞のSKOV3細胞(L1CAM高発現)に対する抗癌活性を示す図である。
【0165】
図26は、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞の293T細胞(L1CAM低発現)に対する抗癌活性を示す図である。
【0166】
図27A及び図27Bは、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞のSH-SY5Y細胞(L1CAM高発現)に対する抗癌活性を示す図である。
【0167】
図28A及び図28Bは、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞のHela細胞(L1CAM高発現)に対する抗癌活性を示す図である。
【0168】
図29は、本発明の抗L1CAM CAR(抗L1-CAR)発現T細胞の生体内抗癌活性能を示す図である。
【0169】
図30は、本発明の選別された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するために用いられたpMT-CAR-004プラスミドのベクターマップを示す図である。
【0170】
図31は、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するための、一連のPCR増幅過程を示す模式図である。
【0171】
図32は、本発明の実施例で作製された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-001-28BB)の構造を示す図である。
【0172】
図33は、本発明の選別された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するために用いられたpBHA-ICOS TM+ICDプラスミドのベクターマップを示す図である。
【0173】
図34は、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するための、一連のPCR増幅過程を示す模式図である。
【0174】
図35は、本発明の実施例で作製された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-001-28ICOS)の構造を示す図である。
【0175】
図36は、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するための、一連のPCR増幅過程を示す模式図である。
【0176】
図37は、本発明の実施例で作製された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-001-28)の構造を示す図である。
【0177】
図38は、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するための、一連のPCR増幅過程を示す模式図である。
【0178】
図39は、本発明の実施例で作製された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-001-OX)の構造を示す図である。
【0179】
図40は、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するための、一連のPCR増幅過程を示す模式図である。
【0180】
図41は、本発明の実施例で作製された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-001-BB)の構造を示す図である。
【0181】
図42は、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するための、一連のPCR増幅過程を示す模式図である。
【0182】
図43は、本発明の実施例で作製された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-001-ICOS)の構造を示す図である。
【0183】
図44A図44Fは、本発明の抗L1CAM scFvを含む6種のCARコンストラクト(L1-H8-CAR-001-28BB、L1-H8-CAR-001-28ICOS、L1-H8-CAR-001-28、L1-H8-CAR-001-OX、L1-H8-CAR-001-BB、及びL1-H8-CAR-001-ICOS)を導入したレトロウイルスベクターを示す図である。
【0184】
図45A図45Iは、SKOV3細胞、SH-SY5Y細胞、Hela細胞及び293T細胞におけるL1CAM発現率を確認した図である。
【0185】
図46は、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞のSKOV3細胞(L1CAM高発現)に対する抗癌活性を示す図である。
【0186】
図47は、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞の293T細胞(L1CAM低発現)に対する抗癌活性を示す図である。
【0187】
図48A図48Cは、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞のSH-SY5Y細胞(L1CAM高発現)に対する抗癌活性を示す図である。
【0188】
図49A~49Cは、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞のHela細胞(L1CAM高発現)に対する抗癌活性を示す図である。
【0189】
図50は、本発明の抗L1CAM CAR(抗L1-CAR)発現T細胞の生体内抗癌活性能を示す図である。
【0190】
図51は、本発明の選別された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するために用いられたpBHA-3E8LS-H8Revプラスミドのベクターマップを示す図である。
【0191】
図52は、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するための、一連のPCR増幅過程を示す模式図である。
【0192】
図53は、本発明の実施例で作製された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-005)の構造を示す図である。
【0193】
図54は、本発明の選別された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するために用いられたpMT-CAR-005プラスミドのベクターマップを示す図である。
【0194】
図55は、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するための、一連のPCR増幅過程を示す模式図である。
【0195】
図56は、本発明の実施例で作製された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-006)の構造を示す図である。
【0196】
図57は、本発明の選別された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するために用いられたpMT-CAR-006プラスミドのベクターマップを示す図である。
【0197】
図58は、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するための、一連のPCR増幅過程を示す模式図である。
【0198】
図59は、本発明の実施例で作製された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-007)の構造を示す図である。
【0199】
図60A図60Cは、本発明の抗L1CAM scFvを含む3種のCARコンストラクト(L1-H8-CAR-005、L1-H8-CAR-006、及びL1-H8-CAR-007)を導入したレトロウイルスベクターを示す図である。
【0200】
図61A図61Fは、SKOV3細胞、SH-SY5Y細胞、Hela細胞及び293T細胞におけるL1CAM発現率を確認した図である。
【0201】
図62は、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞のSKOV3細胞(L1CAM高発現)に対する抗癌活性を示す図である。
【0202】
図63は、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞のSH-SY5Y細胞(L1CAM高発現)に対する抗癌活性を示す図である。
【0203】
図64は、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞のHela細胞(L1CAM高発現)に対する抗癌活性を示す図である。
【0204】
図65は、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞の293T細胞(L1CAM低発現)に対する抗癌活性を示す図である。
【0205】
〔発明を実施するための形態〕
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の要旨によって本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されないということは、当業界における通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【0206】
〔実施例〕
本明細書全体を通じて、特定物質の濃度を表すために使われる“%”は、特に言及しない限り、固体/固体は(重量/重量)%、固体/液体は(重量/体積)%、そして液体/液体は(体積/体積)%である。
【0207】
〔実施例1:L1CAM抗原に対するscFv抗体選別〕
1.1.ヒト合成scFvファージディスプレイ抗体ライブラリーパンニング
マウスL1CAM(mouse L1CAM,mL1CAM)抗原に結合する抗mL1CAM scFv抗体を選別するために、ヒト合成scFvファージディスプレイライブラリー(KscFv-1、KBIO HEALTH)を用いて、抗原mL1CAMタンパク質に対するファージパンニングを4ラウンドまで行った(図1)。抗原mL1CAMタンパク質(R&D system、Cat No.5674-NC)を免疫チューブに添加し、4℃で一晩インキュベーションした後、5%スキムミルク(skim milk)が含まれたPBS(MPBS)で常温で1時間反応してブロッキング過程を行った。KscFv-1にMPBSを添加後、常温で1時間反応して、ブロッキングされたファージ(blocked phage)を準備した。ブロッキングされたファージ(Blocked phage)を抗原mL1CAMタンパク質がコーティングされた免疫チューブに添加し、37℃で90分間反応した。0.05% tween20が含まれたPBSで洗浄した後、100mMトリメチルアミン(trimethylamine)を添加し、免疫チューブに付着されたファージ(phage)を収穫(elution)した。収穫したファージ(phage)に1M Tris-HClを添加して中和(neutralization)させた後、対数中期(mid-log phase)(OD600=0.5~1.0)状態で培養したTG1 E.coli(Lucigen,Cat No.60502-2)を添加し、37℃で1時間培養した。培養後に細胞ペレット(cell pellet)を集めて、アンピシリン(ampicillin)と2%グルコース(glucose)が含まれたTB培地プレートに接種した。培養されたコロニーを集めて50%グリセロール(glycerol)を添加し、-80℃で保管した。抗原mL1CAMタンパク質(R&D system、Cat No.5674-NC)がFcドメインと融合されているので、パンニング段階でFc除去(Fc depletion)するFc対照群(Fc control)パンニングも併行し、それぞれの出力力価(output titer)を毎ラウンドごとに比較することによって、溶出力価率(elution titer ratio)からファージの濃縮(enrichment)をモニタリングした。前記溶出力価率は、ファージ出力力価(antigen mL1CAM)値をFc対照群出力力価(Fc control output titer)(no antigen mL1CAM)で割った値である。図2に示すように、ファージパンニング2ラウンドからFc対照群(Fc control)と出力力価(output titer)において大きな差を示し、ファージパンニング2ラウンドから濃縮(enrichment)が始まってファージパンニング2ラウンドでは抗原mL1CAMに対して対照群(control)に比べて約23.9倍、ファージパンニング3ラウンドでは66.1倍、ファージパンニング4ラウンドでは141.4倍の差を示した。
【0208】
1.2.ファージELISAスクリーニング(Phage ELISA screening)
ファージパンニングから得たファージのうち、抗原mL1CAMタンパク質に特異的に付着するクローンを選別するために、パンニング2、3、4ラウンドで得たそれぞれ95個のクローンを対象に単一クローンファージELISA(monoclonal phage ELISA)を行った。
【0209】
具体的に、96ウェルプレートに抗原mL1CAMタンパク質を添加して4℃で一晩インキュベーションした後、2% MPBSで37℃で2時間ブロッキングした。抗原mL1CAMタンパク質がFcドメインと融合されているため、Fc対照群としてFcも96ウェルプレートに添加して4℃で一晩インキュベーションした後、2% MPBSで37℃で2時間ブロッキングした。次に、前記96ウェルプレートにファージ(~1011cfu)を添加した。常温で90分間反応した後、HRP-anti-M13(Sino Biological、Cat No.11973-MM05)をPBSに1:5000に希釈して96ウェルプレートに添加した。常温で1時間反応した後、TMB基質(TMB substrate)(Sigma、Cat No.T0440)と2N濃度のHSO(Merck、Cat No.100731)を順次に添加し、450nmで吸光度(absorbance)(OD)を測定した。その結果、抗原mL1CAMに対して吸光度(A450nm)カットオフ(cut-off)をそれぞれ0.4以上に決めて選別したとき、2ラウンドで1個、3ラウンドで総26個、4ラウンドで総9個のクローンが、抗原mL1CAMに対して特異的に結合すること(陽性)がELISAから確認された(図3)。
【0210】
1.3.本発明のmL1CAM抗原に対するユニークなscFvクローンの配列分析
単一クローンファージELISA(Monoclonal phage ELISA)において陽性反応を示した抗原mL1CAMに対する36種のscFvクローンを配列分析(sequencing)した後、カバットナンバリング(Kabat numbering)によって配列を整列(alignment)してグループ化(grouping)した結果、総9種のユニークな抗mL1CAM scFvクローンが得られた(表1及び表2)。抗原mL1CAMに対して得られたscFvクローンの選別頻度(frequency)を見ると、3ラウンドクローン(mL1CAM-3R-H8、mL1CAM-3R-E1、mL1CAM-3R-C9)がそれぞれ33%、26%、16%であって、多数クローンとして選別され、残りのクローンが3~10%範囲であって、少数クローンとして選別された(図4)。
【0211】
【表1】
【0212】
ここで、前記太字で表示したクローンIDは、各グループを代表するクローンIDを意味する。
【0213】
【表2】
【0214】
ここで、前記太字で表示したクローンIDは、各グループを代表するクローンIDを意味する。
【0215】
1.4.ヒトL1CAM(hL1CAM)及びマウスL1CAM(mL1CAM)に交差結合するscFv抗体の発掘
ヒトL1CAM(hL1CAM、R&D system、Cat No.777-NC)とマウスL1CAMに交差結合する抗体発掘のために、抗原hL1CAMに対するユニークな抗mL1CAM scFvクローンの総9種を対象に単一クローンファージELISA(monoclonal phage ELISA)を行った。その結果、抗原hL1CAMに対して吸光度(A450nm)カットオフをそれぞれ0.4以上に決めて選別したとき、総4個のクローン(mL1CAM-3R-H8、mL1CAM-3R-C9、mL1CAM-3R-E1、mL1CAM-3R-E9)がhL1CAMに交差結合することが確認された(図5)(表3及び表4)。
【0216】
【表3】
【0217】
ここで、前記太字で表示したクローンIDは、各グループを代表するクローンIDを意味する。
【0218】
【表4】
【0219】
ここで、前記太字で表示したクローンIDは、各グループを代表するクローンIDを意味する。
【0220】
1.5.本発明のヒトL1CAM及びマウスL1CAMに交差結合する4種のユニークなscFvクローンの大腸菌発現及び精製
交差結合性評価及び単一クローンファージELISAから得られた総4種のユニークな抗mL1CAM scFvクローンを、E.coli発現ベクター(pKFAB、KBIO HEALTH)にクローニングした後、TB培地200mLで0.5μM IPTGによって発現を誘導し、30℃で一晩培養した後、ペリプラズムタンパク質抽出(periplasmic protein extraction)によって可溶性タンパク質を得た後、strep tag IIカラムを用いた親和性クロマトグラフィー(affinity chromatography)で精製を行った。精製された各クローンの発現は、SDS-PAGE分析から確認した(図6)。
【0221】
1.6.親和性(Affinity)分析
本発明で選別及び精製された抗L1CAM scFv(4種)抗体タンパク質を用いた可溶性ELISA(soluble ELISA)によって、L1CAMタンパク質に結合する各クローンの親和性を比較分析した。
【0222】
具体的に、96ウェルプレートに抗原mL1CAMタンパク質又は抗原hL1CAMタンパク質を添加し、4℃で一晩インキュベーションした後、2% MPBSで常温で1時間ブロッキングした。次に、精製された抗L1CAM scFv抗体タンパク質を添加した。常温で90分間反応した後、HRP-anti-StrepMAB(IBA、Cat No.2-1509-001)を2% MPBSに1:5000に希釈して添加した。常温で1時間反応した後、TMB基質(Sigma、Cat No.T0440)及び2N HSO(Merck、Cat No.100731)を順次に添加し、450nmで吸光度(OD)を測定した。その結果、本発明の各クローンは、5nM(mL1CAM-3R-C9)~50nM(mL1CAM-3R-E1)の範囲の親和性で抗原mL1CAMに結合することが見られた。また、hL1CAMタンパク質に対する親和性を比較分析した結果、本発明の各クローンは、2nM(mL1CAM-3R-H8)~20.87μM(mL1CAM-3R-E9)の範囲の親和性で抗原hL1CAMに結合することが見られた(図7A図7C)。本発明の4種の交差結合クローンの結合力を各L1CAMに対して総合的に比較したとき、H8>E1>C9>E9の順に高いことが確認された。
【0223】
4種のanti-L1CAM scFvのうち、最高の結合力を示した3R-H8クローンに対して変換(conversion)過程を経て全(whole)IgG1抗体を確保した。精製された全IgG1抗体を用いたオクテットシステム(Forte Bio、Model No.QK384)によって抗原hL1CAM(Sino biological、Cat No.10140-H08H)タンパク質又はmL1CAM(R&D、Cat No.5674-NC)タンパク質との抗原-抗体親和度を分析した。その結果、抗原hL1CAMタンパク質とは4.14E-09KD(M)、抗原mL1CAMタンパク質とは2.05E-08KD(M)の結合力を有することを確認した(図7D図7E)。
【0224】
〔実施例2.抗L1CAM-CAR遺伝子発現T細胞作製及び効能確認〕
2.1.抗L1CAM-CAR遺伝子確保
2.1.1.抗mL1CAM scFv抗体遺伝子の確保
本発明で選別された抗L1CAM scFvのクローンを含んでいるァージミド(phagemid)からLacプロモーター-正方向プライマー(Lac promoter-forward primer)を用いた配列分析によって抗L1CAM scFvクローンの塩基配列を確保した(表5)。分析された塩基配列に基づいて正方向プライマー(forward primer)と逆方向プライマー(reverse primer)を作製し、前記ァージミド(phagemid)を鋳型にしてPCR方法で増幅してPCR生成物を確保した。確保した抗L1CAM scFv抗体のPCR生成物を鋳型にして配列番号68(表6)のプライマーと配列番号69(表6)のプライマーを用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、抗L1CAM scFv抗体可変重鎖(variable heavy chain;VH)の5’部位に結合するプライマーは、マウスの単一クローンIgGである3E8抗体の先導配列(leader sequence;LS)の12個の塩基配列を有し、抗L1CAM scFv抗体可変軽鎖(variable light chain;VL)の3’部位に結合するプライマーは、IgD hingeの12個の塩基配列を有する。したがって、前記プライマーによって増幅されたPCR生成物は、3E8 LS-scFv-IgD hinge塩基配列を有する。増幅したPCR生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0225】
【表5】
【0226】
【表6】
【0227】
2.1.2. 3E8抗体の先導配列(leader sequence)遺伝子確保
3E8抗体の先導配列を含むpMT-CARプラスミド(図8)を鋳型にして配列番号70(表6)のプライマーと配列番号71(表6)のプライマーを用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、3E8先導配列(LS)の5’部位に結合するプライマーは、Mlu I制限酵素塩基配列を有し、3E8先導配列(LS)の3’部位に結合するプライマーは、抗L1CAM scFv抗体可変重鎖の12個の塩基配列を有する。したがって、増幅されたPCR生成物は、Mlu I-3E8 LS-scFvの塩基配列を有することになる。増幅したPCR生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0228】
2.1.3.ヒトIgDのヒンジ領域、膜横断ドメイン、細胞内信号伝達ドメイン、共同刺激ドメイン及びCD3ζの遺伝子確保
本発明のCARコンストラクトを作製するために、次のような方法でヒトIgDのヒンジ(Hinge)領域、CD28の膜横断ドメイン(transmembrane domain,TM)と細胞内信号伝達ドメイン(intracellular signaling domain,ICD)、共同刺激ドメイン(costimulatory domain)であるOX40及びCD3ζ遺伝子を確保した。
【0229】
まず、pMT-CARプラスミド(図8)を鋳型にして配列番号72(表6)のプライマーと配列番号73(表6)のプライマーを用いてPCR方法で増幅した。このとき、ヒトIgD hinge領域の5’部位に結合するプライマーは、抗L1CAM scFv抗体可変軽鎖の12個の塩基配列を含み、CD3ζの3’部位に結合するプライマーは、XhoI制限酵素塩基配列を含む。したがって、前記プライマーによって増幅されたPCR生成物は、scFv-IgD hinge-CD28 TM-ICD-OX40-CD3ζ-Xho I塩基配列を有することになる(表7)。増幅したPCR生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0230】
【表7】
【0231】
2.1.4.pGemT-L1CAM-CARベクター製造
前記2.1.2で増幅したPCR生成物であるMlu I-3E8 LS-scFvと、前記2.1.1で増幅したPCR生成物である3E8 LS-scFv-IgD hingeを鋳型にして配列番号70(表6)のプライマーと配列番号69(表6)のプライマーを用いてOE-PCR(overlap extension PCR)方法で増幅した。
【0232】
その結果として増幅されたPCR生成物であるMlu I-3E8 LS-scFv-IgD hingeと前記2.1.3で増幅したPCR生成物であるscFv-IgD hinge-CD28 TM-ICD-OX40-CD3ζ-Xho Iを鋳型にして配列番号70(表6)のプライマーと配列番号73(表6)のプライマーを用いてOE-PCR方法で増幅した(図9)。その結果として増幅されたPCR生成物は、MluI-3E8 LS-scFv-IgD hinge-CD28 TM-ICD-OX40-CD3ζ-XhoIの塩基配列を有する。増幅したPCR生成物を直線型DNAの両端に多重T配列を有するpGemT EASYベクター(Promega、WI、USA)に結紮し、CARコンストラクトpGemT-L1-CAR-001、pGemT-L1-CAR-002、pGemT-L1-CAR-003、及びpGemT-L1-CAR-004を獲得した。獲得したCARコンストラクト配列分析から原本配列と同一であることを確認した(図10)。前記配列分析には、配列番号74及び75(表6)のプライマー対を使用した。
【0233】
2.1.5.pMT-L1-CARレトロウイルスベクター製造
4種のpGemT-L1-CARベクターにMlu IとXho I制限酵素処理してDNA切片を獲得した。獲得したDNA切片を、あらかじめMlu IとXho I制限酵素で処理されたpMTレトロウイルスベクター(米国登録特許第US7,049,143号)に結紮し、4種のpMT-L1-CARレトロウイルスベクターを作製した(図11)。こうして製造されたpMT-L1-CARレトロウイルスベクターは、MLV LTRプロモーターの調節下で抗L1-CARをコードする配列を含む。
【0234】
2.2.抗L1-CAR遺伝子発現T細胞製造
2.2.1.抗L1-CAR遺伝子発現レトロウイルス(抗L1-CARレトロウイルス)製造
抗L1-CAR遺伝子の伝達のためのレトロウイルスは、プラスミドDNA形質転換法を用いて作製した(Soneoka Y et al.,1995)。TransIT 293形質転換システム(Mirus Bio LLC、WI、USA)を用い、メーカーのプロトコルにしたがって行った。前日に60mm皿に1×10個で播種した293T細胞株に、前記2.1で作製した各pMT-L1-CARレトロウイルスベクター(pMT-L1-CAR-001、pMT-L1-CAR-002、pMT-L1-CAR-003、及びpMT-L1-CAR-004)、gag-pol発現ベクター及びRD114 env発現ベクターを形質転換後に、細胞を約48時間培養した。培養完了後に細胞培養液を全て収穫し、0.45μmフィルターを用いて濾過した。生産された4種の抗L1-CARレトロウイルスは、レトロウイルス力価測定キット(retrovirus titer set)(TaKaRa,JAPAN)を用いて実時間PCRで力価を測定した後、使用するまで-80℃に冷凍保管した。
【0235】
2.2.2.抗L1-CAR遺伝子発現T細胞製造
供与されたヒト血液をSepMateTM-50(STEMCELL)とFicoll-Paque PLUS(GE healthcare、Sweden)を用いて単核細胞を獲得した。単核細胞は、5%ヒト血清が含まれたAIMV培地(Invitrogen)を培養液として使用し、100mm皿に1X10個で分注した後、抗CD3(OKT3、eBioscience)抗体をmL当たり50ng添加してT細胞を活性化した。T細胞の成長のために、培養液にヒトIL-2(R&D)をmL当たり300U添加して培養した。48時間培養後に、活性化されたT細胞を収穫し、4種の抗L1-CARレトロウイルス伝達に使用した。
【0236】
6ウェルプレートに10μg/mL濃度で準備したレトロネクチン(retronectin、TaKaRa、Japan)をウェル当たり2mL添加した後、常温で2時間反応してプレートにコーティングした。反応後、残余レトロネクチンは除去し、2.5% BSA(bovine serum albumin)が含まれたPBS(phosphate-buffered saline)を、ウェル当たり2mL添加し、常温で30分反応してブロッキングした。反応後、ブロッキングに使用した溶液を除去し、1M HEPESが2.5%含まれたHBSSをウェル当たり3mL添加して洗浄した。抗L1-CARレトロウイルスをウェル当たり3×1010copiesで5%ヒト血清が含まれたAIMV培地で希釈して4mL添加後に、2000xg、32℃条件で2時間遠心分離してレトロウイルスをレトロネクチンに固定した。対照群として使用するウェルには、レトロウイルス希釈に使用した培地を同量添加した。反応後、残余レトロウイルスを除去し、活性化されたT細胞をウェル当たり2×10個で添加後に、1000xgで15分間遠心分離し、T細胞に抗L1-CARレトロウイルスを伝達した。伝達効率を高めるためには、翌日、伝達過程を1回さらに反復して総2回進行した。伝達24時間後に、T細胞を全て収穫し、5%ヒト血清とヒトIL-2が300U/mL含まれたAIMV培地でmL当たり5×10個でTフラスコに継代培養した。3~4日間隔でmL当たり5×10個で継代培養し、mL当たり2×10個を超えないように維持した。
【0237】
抗L1-CARレトロウイルスを伝達した活性化T細胞(抗L1-CAR発現T)において抗L1-CARが発現するかどうか確認しようとした。培養8日目と20日目に1×10個の細胞を準備し、ビオチン付着のprotein L(Genescript、Cat No.M00097)と4℃で45分間反応した。反応後、フィコエリトリン(phycoerythrin)付着のストレプトアビジン(streptavidin)(BD、Cat No.554061)と4℃で30分間反応し、流細胞分析法(flow cytometry)を用いて抗L1-CAR発現率を確認した。その結果、供与者によって差異があるが、培養8日目には約19.9%~67.2%の抗L1-CAR発現率を確認し、培養20日目には約34.5%~94.9%の抗L1-CAR発現率を確認した(表8)。
【0238】
【表8】
【0239】
2.3.抗L1-CAR遺伝子発現T細胞の抗癌活性能確認
2.3.1.ターゲット細胞におけるL1CAM発現率確認
ヒト卵巣腺癌細胞株であるSKOV3は、本発明の抗原であるL1CAMを高く発現させることが知られており、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞の抗癌活性能を確認するのに適している細胞株である。これを確認するために、SKOV3細胞株をPBS 100μLに5×10個で準備し、anti-hCD171-PE(5G3 clone)(eBioscience、Cat No.12-1719-42)抗体を0.25μg添加した後、4℃で30分間反応した。反応後、細胞をPBSで2回洗浄した後、流動細胞分析法を用いてL1CAM発現を確認した。その結果、SKOV3癌細胞において約74%のL1CAM発現率を確認した。これに対し、同一の方法により、ヒト胚芽腎臓細胞株である293TでL1CAMの発現を確認した結果、約3%の発現率を確認した(図12)。
【0240】
2.3.2.ターゲット細胞に対するL1CAM発現T細胞の抗癌活性能確認
ターゲット細胞(target細胞、T)に対する本発明の抗L1CAM-CAR(抗L1-CAR)発現T細胞(effector細胞、E)の抗癌活性能を確認するために、xCELLigence RTCA(Real-Time Cell Analysis)分析法を用いた。xCELLigence RTCA分析法は、ゴールドマイクロ電極バイオセンサー(gold microelectrode biosensor)がコーティングされたプレートに電気伝導性溶液(例えば、培養培地)を含む場合、電子流れがインデックス値に数値化して示され、ターゲット細胞がプレートに付着する場合、電子流れを妨害し、インデックス値が変化する。CAR発現T細胞(CAR-T)添加時に細胞殺傷能によって付着したターゲット細胞はプレートから落ち、インデックス値の変化を分析することによって抗癌活性能(cytotoxicity)が確認できる。ターゲット細胞を培養培地50μLに1×10個で準備し、分析用プレートに添加した。21時間後、抗L1-CAR発現T細胞を、ヒト血清とヒトIL-2が含まれたAIMV培地50μLに1×10個、5×10個、1×10個(E:T比率=1、5、10)で準備し、ターゲット細胞を含むウェルに添加して50時間実時間で細胞インデックス(cell index)値を確認した。また、ターゲット細胞だけを含むウェルを準備し、抗L1-CAR発現T細胞の抗癌活性能を下記のように計算した。
(式)
Cytotoxicity(%)={(ターゲット細胞ウェルのインデックス値)-(ターゲット細胞とT細胞反応ウェルのインデックス値)}/(ターゲット細胞ウェルのインデックス値)×100
【0241】
その結果、本発明の4種の抗L1-CAR発現T細胞のうち、L1-CAR-004は、CARを発現しないT細胞(対照群)に比べてSKOV3細胞において高い細胞殺傷能を示した。L1-CAR-001は、供与者によって差異があったが、対照群に比べてSKOV3細胞において細胞殺傷能を示した(図13A)。また、低いL1CAM発現率を示す293T細胞では4種ともに対照群に比べて低い細胞殺傷能を示した(図13B)。したがって、本発明の抗L1-CAR発現T細胞は、L1CAM抗原を高いレベルに発現するターゲット癌細胞に対して抗癌活性を示すので、抗癌用途の細胞治療剤として有用に用いることができる。
【0242】
〔実施例3.生体内における抗L1CAM-CAR遺伝子発現T細胞の効能確認(In vivo)〕
生体内における抗L1CAM-CAR遺伝子発現T細胞の抗癌活性能を確認するために、癌発生動物モデルを用いた。T細胞、B細胞、自然殺害細胞(NK細胞)が欠損したNOD/SCIDマウス(7週齢、雌)の右側横腹皮下(subcutaneous,SC)にマトリゲルと1:1に混ぜたSKOV3癌細胞(Target,T)3×10個を投与して癌を発生させた。In vitroで効能が確認された抗L1CAM-CAR発現T細胞の2種であるL1-CAR-002とL1-CAR-004、対照群T細胞を癌細胞投与3日後にそれぞれのNOD/SCIDマウスに1日1回で総3回投与した。1回投与当たりに2×10個のT細胞を尾静脈(intravenous,IV)に投与し、癌のサイズを25日まで測定した。その結果、対照群T細胞投与群に比べて、抗L1CAM-CAR発現T細胞の2種ともに癌成長速度が阻害されたことを確認した(図14)。特に、L1-CAR-002と比較してL1-CAR-004において癌成長速度が大きく阻害されたことから、生体内でL1-CAR-004の効能がより高いことを確認した。
【0243】
〔実施例4.様々なスぺーサドメイン(spacer domain)構造の抗L1CAM-CAR遺伝子発現T細胞作製及び効能確認〕
4.1.様々なスぺーサドメイン構造のL1-H8-CAR遺伝子確保
4.1.1.anti-mL1CAM scFv抗体遺伝子選定
実施例3で先行された抗癌活性能確認実験から、L1-CAR-004の癌成長速度阻害効果が最も優れることが確認された。L1-CAR-004(図10)のL1CAM特異的抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドの塩基配列を確保し、それを次の遺伝子を確保するために使用し、その後、pMT-L1-CAR-004をpMT-L1-H8-CAR-001と表記した。
【0244】
4.1.2.L1-H8-CAR-002遺伝子確保
4.1.2.1. 3E8抗体の先導配列(LS)、anti-mL1CAM scFv抗体遺伝子確保
pMT-L1-H8-CAR-001を鋳型にしてプライマー配列番号70(表9)と配列番号69(表9)を用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、3E8先導配列(LS)の5’部位に結合するプライマーは、Mlu I制限酵素塩基配列と3E8先導配列(LS)の18個の塩基配列を有し、L1-H8 scFvの3’部位に結合するプライマーは、hIgDヒンジの12個の塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、Mlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-hIgD hingeの塩基配列を有することになる(表10)。増幅した生成物は、次のPCR増幅過程に使用した。
【0245】
【表9】
【0246】
【表10】
【0247】
4.1.2.2.ヒンジ、CH3、TM、ICD、共同刺激ドメイン及びCD3ζ遺伝子確保
ヒトIgDのヒンジとIgG1のヒンジ、CH3、CD28のTMとICD、共同刺激ドメインであるOX40及びCD3ζ-iso1を含むpMT-CAR-002プラスミド(図15)を鋳型にしてプライマー配列番号72(表9)と配列番号73(表9)を用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、hIgD hingeの5’部位に結合するプライマーはL1-H8 scFv抗体可変軽鎖(VL)の12個の塩基配列を有し、CD3ζ-iso1の3’部位に結合するプライマーはXho I制限酵素塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、L1-H8 scFv-IgD hinge-IgG1 hinge-CH3-CD28 TM-CD28 ICD-OX40-CD3ζ-iso1-Xho I塩基配列を有することになる(表10)。増幅したPCR生成物は、次のPCR増幅過程に使用した。
【0248】
4.1.2.3. 3E8 LS、L1-H8 scFv、ヒンジ、CH3、TM、ICD、共同刺激ドメイン及びCD3ζ遺伝子確保
増幅したPCR生成物であるMlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-IgD hingeとL1-H8-scFv-IgD hinge-IgG1 hinge-CH3-CD28 TM-CD28 ICD-OX40-CD3ζ-iso1-Xho Iを鋳型にしてプライマー配列番号70(表9)と配列番号73(表9)を用いてOE-PCR方法(overlap extension PCR method)で増幅した(図16)。増幅されたPCR生成物は、Mlu I-3E8-L1-H8 scFv-IgD hinge-IgG1 hinge-CH3-CD28 TM-CD28 ICD-OX40-CD3ζ-iso1-Xho I塩基配列を有し、L1-H8-CAR-002の構造を有する(図17)。
【0249】
4.1.3. L1-H8-CAR-003遺伝子確保
4.1.3.1. 3E8抗体の先導配列(LS)、anti-mL1CAM scFv抗体遺伝子確保
pMT-L1-H8-CAR-001を鋳型にしてプライマー配列番号70(表9)と配列番号69(表9)を用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、3E8先導配列(LS)の5’部位に結合するプライマーは、Mlu I制限酵素塩基配列と3E8先導配列(LS)の18個の塩基配列を有し、L1-H8 scFvの3’部位に結合するプライマーはhIgD hingeの12個の塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、Mlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-hIgD hingeの塩基配列を有することになる(表10)。増幅した生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0250】
4.1.3.2.ヒンジ、TM、ICD、共同刺激ドメイン及びCD3ζ遺伝子確保
ヒトIgDのヒンジとIgG1のヒンジ、CD28のTMとICD、共同刺激ドメインであるOX40及びCD3ζ-iso1を含むpMT-CAR-003プラスミド(図18)を鋳型にしてプライマー配列番号72(表9)と配列番号73(表9)を用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、hIgD hingeの5’部位に結合するプライマーはL1-H8 scFv抗体可変軽鎖(VL)の12個の塩基配列を有し、CD3ζ-iso1の3’部位に結合するプライマーはXho I制限酵素塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、L1-H8 scFv-IgD hinge-IgG1 hinge-CD28 TM-CD28 ICD-OX40-CD3ζ-iso1-Xho I塩基配列を有することになる(表10)。増幅したPCR生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0251】
4.1.3.3. 3E8 LS、L1-H8 scFv、ヒンジ、TM、ICD、共同刺激ドメイン及びCD3ζ遺伝子確保
増幅したPCR生成物であるMlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-IgD hingeとL1-H8-scFv-IgD hinge-IgG1 hinge-CD28 TM-CD28 ICD-OX40-CD3ζ-iso1-Xho Iを鋳型にしてプライマー配列番号70(表9)と配列番号73(表9)を用いてOE-PCR方法で増幅した(図19)。増幅されたPCR生成物はMlu I-3E8-L1-H8 scFv-IgD hinge-IgG1 hinge-CD28 TM-CD28 ICD-OX40-CD3ζ-iso1-Xho I塩基配列を有し、L1-H8-CAR-003の構造を有する(図20)。
【0252】
4.1.4. L1-H8-CAR-004遺伝子確保
4.1.4.1. 3E8抗体の先導配列(LS)、anti-mL1CAM scFv抗体遺伝子確保
pMT-L1-H8-CAR-001を鋳型にしてプライマー配列番号70(表9)と配列番号83(表9)を用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、3E8先導配列(LS)の5’部位に結合するプライマーはMlu I制限酵素塩基配列と3E8先導配列(LS)の18個の塩基配列を有し、L1-H8 scFvの3’部位に結合するプライマーはhIgG1ヒンジの12個の塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、Mlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-hIgG1ヒンジの塩基配列を有することになる(表10)。増幅した生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0253】
4.1.4.2.ヒンジ、CH3、TM、ICD、共同刺激ドメイン及びCD3ζ遺伝子確保
IgG1のヒンジ、CH3、CD28のTMとICD、共同刺激ドメインであるOX40及びCD3ζ-iso1を含むpMT-CAR-002プラスミド(図15)を鋳型にしてプライマー配列番号84(表9)と配列番号73(表9)を用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、hIgG1ヒンジの5’部位に結合するプライマーはL1-H8 scFv抗体可変軽鎖(VL)の12個の塩基配列を有し、CD3ζ-iso1の3’部位に結合するプライマーはXho I制限酵素塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、L1-H8 scFv-IgG1 hinge-CD28 TM-CD28 ICD-OX40-CD3ζ-iso1-Xho I塩基配列を有することになる(表10)。増幅したPCR生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0254】
4.1.4.3. 3E8 LS、L1-H8 scFv、ヒンジ、CH3、TM、ICD、共同刺激ドメイン及びCD3ζ遺伝子確保
増幅したPCR生成物であるMlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-IgG1ヒンジとL1-H8 scFv-IgG1 hinge-CD28 TM-CD28 ICD-OX40-CD3ζ-iso1-Xho Iを鋳型にしてプライマー配列番号70(表9)と配列番号73(表9)を用いてOE-PCR方法で増幅した(図21)。増幅されたPCR生成物はMlu I-3E8-L1-H8 scFv-IgG1 hinge-CD28 TM-CD28 ICD-OX40-CD3ζ-iso1-Xho I塩基配列を有し、L1-H8-CAR-004の構造を有することになる(図22)。
【0255】
4.1.5. pMT-L1-H8-CARレトロウイルスベクター製造
3種の増幅したPCR生成物をMlu IとXho I制限酵素処理してDNA切片を獲得した。獲得したDNA切片を、あらかじめMlu IとXho I制限酵素で処理されたpMTレトロウイルスベクター(米国登録特許第US6,451,595号)に結紮して3種のpMT-L1-H8-CARレトロウイルスベクターを作製した(図23)。こうして製造されたpMT-L1-H8-CARレトロウイルスベクターは、MLV LTRプロモーターの調節下でL1-H8-CARをコードする配列を含む。
【0256】
4.2.様々なスぺーサドメイン構造のL1-H8-CAR遺伝子発現レトロウイルス(L1-H8-CARレトロウイルス)製造
L1-H8-CAR遺伝子の伝達のためのレトロウイルスは、プラスミドDNA形質転換法を用いて作製した(Soneoka Y et al.,1995)。TransIT 293形質転換システム(Mirus Bio LLC,WI,USA)用い、メーカーのプロトコルにしたがって行った。前日に60mm皿に1×10個で播種した293T細胞株に、4種のpMT-L1-H8-CARレトロウイルスベクター、gag-pol発現ベクター及びRD114 env発現ベクターを形質転換後、細胞を約48時間培養した。培養完了後、細胞培養液を全て収穫し、0.45μmフィルターで濾過した。生産された4種のL1-H8-CARレトロウイルスは、レトロウイルス力価測定キット(retrovirus titer set kit)(TaKaRa,JAPAN)用いて実時間PCRで力価を測定した後、使用するまで-80℃に冷凍保管した。
【0257】
4.3.様々なスぺーサドメイン構造のL1-H8-CAR遺伝子発現T細胞製造
供与されたヒト血液をSepMateTM-50(STEMCELL)とFicoll-Paque PLUS(GE healthcare、Sweden)を用いて単核細胞を獲得した。単核細胞は、5%ヒト血清が含まれたAIMV培地(Invitrogen)を培養液として使用し、100mm皿に1×10個で分注した後、抗CD3(OKT3、eBioscience)抗体をmL当たり50ng添加してT細胞を活性化させた。T細胞の成長のために培養液にヒトIL-2(R&D)をmL当たり300U添加し、培養した。48時間培養後に、活性化されたT細胞を収穫し、4種のL1-H8-CARレトロウイルス伝達に使用した。
【0258】
6ウェルプレートに10ug/mL濃度で準備されたレトロネクチン(retronectin、TaKaRa、Japan)をウェル当たり2mL添加した後、常温で2時間反応してプレートにコーティングした。反応後、レトロネクチンは除去し、2.5%ヒトアルブミンが含まれたPBS(phosphate-buffered saline)をウェル当たり2mL添加し、常温で30分反応してブロッキングした。反応後、ブロッキングに使用した溶液を除去し、1M HEPESが2.5%含まれたHBSSをウェル当たり3mL添加して洗浄した。L1-H8-CARレトロウイルスをウェル当たり3×1010copiesで5%ヒト血清が含まれたAIMV培地に希釈して4mL添加後、2000xg、32℃条件で2時間遠心分離してレトロウイルスをレトロネクチンに固定した。対照群として使用するウェルには、レトロウイルス希釈に使用した培地を同量添加した。反応後、レトロウイルスを除去し、活性化されたT細胞をウェル当たり2×10個で添加後に、1000xgで15分間遠心分離し、T細胞にL1-H8-CARレトロウイルスを伝達した。伝達効率を高めるために、翌日に伝達過程を1回さらに反復して総2回進行した。伝達24時間後、T細胞を全て収穫し、5%ヒト血清とヒトIL-2が300U/mL含まれたAIMV培地でmL当たり5×10個でTフラスコに継代培養した。3~4日間隔でmL当たり5×10個で継代培養し、mL当たり2×10個を超えないように維持した。
【0259】
L1-H8-CARレトロウイルスを伝達した活性化T細胞(L1-H8-CAR発現T)においてL1-H8-CARが発現するかどうか確認しようとした。培養1週目と2週目に1×10個の細胞を準備し、FITC付着のprotein L(ACROBiosystems、Cat No.RPL-PF141)と4℃で30分間反応し、流動細胞分析法(flow cytometry)を用いてL1-H8-CAR発現率を確認した。その結果、供与者によって差異があるが、培養8日目には約16.4%~52.4%のL1-H8-CAR発現率を確認し、培養15日又は18日目には約29.6%~69.2%のL1-H8-CAR発現率を確認した(表11)。
【0260】
【表11】
【0261】
4.4.様々なスぺーサドメイン構造のL1-H8-CAR遺伝子発現T細胞の抗癌活性能確認(In vitro)
4.4.1.ターゲット細胞におけるL1CAM発現率確認
ヒト卵巣腺癌細胞株であるSKOV3はL1CAMを高く発現させることが知られており、抗L1CAM-CAR発現T細胞の抗癌活性能を確認するのに適した細胞株である。これを確認するために、SKOV3細胞株をPBS100uLに5×10個で準備し、anti-hCD171-PE(5G3クローン)(eBioscience,Cat No.12-1719-42)抗体を0.25ug添加した後、4℃で30分間反応した。反応後、細胞をPBSで2回洗浄した後、流動細胞分析法を用いてL1CAM発現を確認した。その結果、SKOV3癌細胞で約93.4~99.2%のL1CAM発現率を確認した(図24A図24C)。同一の方法を用いて、ヒト子宮頸癌細胞株であるHeLaとヒト神経芽細胞腫細胞株であるSH-SY5Y、ヒト胚腎臓細胞株である293TにおいてL1CAMの発現を確認した結果、HeLaでは約99.9%(図24F)、SH-SY5Yでは約89.6%(図24G)、293Tでは約0.57~0.61%(図24D図24E)の発現率を確認した。
【0262】
4.4.2.ターゲット細胞に対するL1CAM発現T細胞の抗癌活性能確認(In vitro)
4.4.2.1.xCelligenceアッセイを用いた抗癌活性能確認
ターゲット細胞(target細胞、T)に対する抗L1CAM-CAR(L1-H8-CAR)発現T細胞(effector細胞、E)の抗癌活性能を確認するために、xCELLigence RTCA(Real-Time Cell Analysis)分析法を用いた。xCELLigence RTCA分析法は、ゴールドマイクロ電極バイオセンサーがコーティングされたプレートに電気伝導性溶液(例えば、培養培地)を含む場合、電子流れがインデックス値で数値化して示され、ターゲット細胞がプレートに付着する場合、電子流れを妨害し、インデックス値が変化する。CAR発現T細胞添加時に、細胞殺傷能によって付着したターゲット細胞はプレートから落ち、インデックス値の変化を分析することによって抗癌活性能(cytotoxicity)が確認できる。ターゲット細胞を培養培地50uLに1×10個で準備し、分析用プレートに添加した。約21時間後に、L1-H8-CAR発現T細胞を、ヒト血清とヒトIL-2が含まれたAIMV培地50uLに1×10個、5×10個、1×10個(E:T比率=1、5、10)で準備し、ターゲット細胞を含むウェルに添加して、約30時間の間に実時間で細胞インデックス値を確認した。また、ターゲット細胞だけを含むウェルを準備し、L1-H8-CAR発現T細胞の抗癌活性能を下記のように計算した。
(式)Cytotoxicity(%)={(ターゲット細胞ウェルのインデックス値)-(ターゲット細胞とT細胞反応ウェルのインデックス値)}/(ターゲット細胞ウェルのインデックス値)×100
【0263】
その結果、4種のL1-H8-CAR-001、-002、-003、-004発現T細胞は、L1-H8-CARを発現しないT細胞(対照群)に比べて、SKOV3細胞に対して高い細胞殺傷能を示した(図25)。
【0264】
同一の実験方法を用いて293T細胞に対する殺傷能を確認した。ターゲット細胞を培養培地50uLに2.5×10個で添加し、約21時間後、L1-H8-CAR発現T細胞を、ヒト血清とヒトIL-2が含まれたAIMV培地50uLに2.5×10個、1.25x105個、2.5×10個(E:T比率=1、5、10)で準備し、ターゲット細胞を含んでいるウェルに添加し、約30時間の間に実時間で細胞インデックス値を確認した。また、ターゲット細胞だけを含んでいるウェルを準備し、L1-H8-CAR発現T細胞の抗癌活性能を上の実験と同一に計算した。その結果、低いL1CAM発現率を示す293T細胞では4種ともに、対照群と類似の細胞殺傷能を示した(図26)。
【0265】
4.4.2.2. CellToxTMグリーン色素(Green dye)を用いた抗癌活性能確認
ターゲット細胞(target細胞、T)に対する抗L1CAM-CAR(L1-H8-CAR)発現T細胞(effector細胞、E)の抗癌活性能を確認するために、CellToxTMグリーン色素を使用した。CellToxTMグリーン色素は、死んだ細胞から放出されるDNAに付着して蛍光を示す染料であり、抗癌活性能(cytotoxicity)を確認するために用いられる。ターゲット細胞を培養培地50uLに1×10個で準備し、CellToxTMグリーン色素を0.2uL添加して黒色96ウェルプレートに添加した。L1-H8-CAR発現T細胞を、ヒト血清とヒトIL-2が含まれたAIMV培地50uLに5×10個、1×10個、5×10個、1×10(E:T比率=0.5、1、5、10)で準備し、ターゲット細胞を含んでいるウェルに添加して37℃ CO培養器で24時間反応した。CellToxTMグリーン色素とターゲット細胞の培養培地を含んでいるウェルにL1-H8-CAR発現T細胞だけを添加した群を準備し、これを反応時間中に死ぬL1-H8-CAR発現T細胞から放出されるDNAに付着し、発生する染料の反応値から除外した。また、ターゲット細胞だけを含んでいるウェルを準備し、low control(spontaneous DNA release)値を補正し、ターゲット細胞だけを含んでいるウェルに溶菌液(lysis solution)を添加してhigh control(maximum DNA release)値を補正した。ターゲット細胞に対する殺傷能は、下の方法で計算した。
(式2)
Cytotoxicity(%)={(ターゲット細胞と効果器細胞の反応値)-(効果器細胞の反応値)}-(Low control)/(High control-Low control)×100
【0266】
その結果、4種のL1-H8-CAR-001、-002、-003、-004発現T細胞は、L1-H8-CARを発現しないT細胞(対照群)に比べてSH-SY5Y細胞に対して高い細胞殺傷能を示した(図27A図27B)。
【0267】
同一の実験方法を用いてHeLa癌細胞に対する殺傷能を確認した。ターゲット細胞を培養培地50uLに3.5×10個で準備し、CellToxTMグリーン色素を0.2uL添加して黒色96ウェルプレートに添加した。L1-H8-CAR発現T細胞を、ヒト血清とヒトIL-2が含まれているAIMV培地50uLに1.75×10個、3.5×10個、1.75×10個、3.5×10個(E:T比率=0.5、1、5、10)で準備し、ターゲット細胞を含んでいるウェルに添加し、37℃、CO培養器で24時間反応した。ターゲット細胞に対する殺傷能は、同一の方法で補正して計算した。その結果、4種のL1-H8-CAR-001、-002、-003、-004発現T細胞は、L1-H8-CARを発現しないT細胞(対照群)に比べて、HeLa細胞に対して高い細胞殺傷能を示した(図28A及び図28B)。
【0268】
4.5.様々なスぺーサドメイン構造のL1-H8-CAR遺伝子発現T細胞の抗癌活性能確認(In vivo)
生体内ににおける抗L1CAM-CAR(L1-H8-CAR)遺伝子発現T細胞の抗癌活性能を確認するために癌発生動物モデルを用いた。T細胞、B細胞、自然殺害細胞(NK細胞)が欠損したNOD/SCIDマウス(7週齢、雌)の右側横腹皮下(subcutaneous,SC)に、マトリゲルと1:1に混ぜたSKOV3癌細胞(Target,T)3×10個を投与して癌を発生させた。In vitroで効能が確認されたL1-H8-CAR発現T細胞の4種と対照群T細胞を、癌細胞投与して3日後と5日後にそれぞれのNOD/SCIDマウスに1日1回で総2回投与した。投与回当たり2×10個のT細胞を尾静脈(intravenous,IV)に投与し、癌のサイズを25日まで測定した。その結果、対照群T細胞投与群に比べて、抗L1CAM-CAR遺伝子発現T細胞投与群の2種ともに癌成長速度が阻害されたことを確認した。特に、L1-H8-CAR-003の癌成長阻害効能が最も優れていることを確認した(図29)。
【0269】
〔実施例5.様々な共同刺激ドメイン(costimulatory domain)構造の抗L1CAM-CAR発現T細胞作製及び効能確認〕
5.1.様々な共同刺激ドメイン構造のL1CMA-CAR遺伝子確保
5.1.1. L1-H8-CAR-001-28BB遺伝子確保
5.1.1.1. 3E8抗体の先導配列(LS)、L1-H8 scFv、ヒンジ、TM、ICD遺伝子確保
pMT-L1-H8-CAR-001を鋳型にしてプライマー配列番号70(表12)と配列番号87(表12)を用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、3E8先導配列(LS)の5’部位に結合するプライマーは、Mlu I制限酵素塩基配列と3E8先導配列(LS)の18個の塩基配列を有し、CD28 ICDの3’部位に結合するプライマーは、4-1BBの12個の塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、Mlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-hIgD hinge-CD28 TM-CD28 ICD-4-1BBの塩基配列を有することになる(表13)。増幅した生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0270】
【表12】
【0271】
【表13】
【0272】
5.1.1.2.共同刺激ドメイン及びCD3ζ遺伝子確保
共同刺激ドメインである4-1BBとCD3ζ-iso1を含むpMT-CAR-004プラスミド(図30)を鋳型にしてプライマー配列番号88(表12)と配列番号73(表12)を用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、4-1BBの5’部位に結合するプライマーは、CD28 ICDの12個の塩基配列を有し、CD3ζ-iso1の3’部位に結合するプライマーは、Xho I制限酵素塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、CD28 ICD-4-1BB-CD3ζ-iso1-Xho I塩基配列を有することになる(表13)。増幅したPCR生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0273】
5.1.1.3. 3E8 LS、L1-H8 scFv、ヒンジ、TM、ICD、共同刺激ドメイン及びCD3ζ遺伝子確保
増幅したPCR生成物であるMlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-hIgD hinge-CD28 TM-CD28 ICD-4-1BBとCD28 ICD-4-1BB-CD3ζ-iso1-Xho Iを鋳型にしてプライマー配列番号70(表12)と配列番号73(表12)を用いてOE-PCR方法で増幅した(図31)。増幅されたPCR生成物は、Mlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-hIgD hinge-CD28 TM-CD28 ICD-4-1BB-CD3ζ-iso1-Xho I塩基配列を有し、L1-H8-CAR-001-28BBの構造を有することになる(図32)。
【0274】
5.1.2.L1-H8-CAR-001-28ICOS遺伝子確保
5.1.2.1. 3E8抗体の先導配列(LS)、L1-H8 scFv、ヒンジ、TM、ICD遺伝子確保
pMT-L1-H8-CAR-001を鋳型にしてプライマー配列番号70(表12)と配列番号89(表12)を用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、3E8先導配列(LS)の5’部位に結合するプライマーはMlu I制限酵素塩基配列と3E8先導配列(LS)の18個の塩基配列を有し、CD28 ICDの3’部位に結合するプライマーはICOSの12個の塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、Mlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-hIgD hinge-CD28 TM-CD28 ICD-ICOS ICDの塩基配列を有することになる(表13)。増幅した生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0275】
5.1.2.2.共同刺激ドメインICOS遺伝子確保
共同刺激ドメインであるICOSのTMとICD構造を合成した。遺伝子合成によって確保されたpBHA-ICOS TM+ICD(図33)を鋳型にしてプライマー配列番号90(表12)と配列番号91(表12)を用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、ICOS ICDの5’部位に結合するプライマーはCD28 ICDの12個の塩基配列を有し、ICOS ICDの3’部位に結合するプライマーはCD3ζ-iso1塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、CD28 ICD-ICOS ICD-CD3ζ-iso1塩基配列を有することになる(表13)。増幅したPCR生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0276】
5.1.2.3. CD3ζ遺伝子確保
pMT-L1-H8-CAR-001を鋳型にしてプライマー配列番号92(表12)と配列番号73(表12)を用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、CD3ζ-iso1の5’部位に結合するプライマーはICOS ICDの12個の塩基配列を有し、CD3ζ-iso1の3’部位に結合するプライマーはXho I制限酵素塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、ICOS ICD-CD3ζ-iso1-Xho I塩基配列を有することになる(表13)。増幅したPCR生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0277】
5.1.2.4. 3E8 LS、L1-H8 scFv、ヒンジ、TM、ICD、共同刺激ドメイン遺伝子確保
増幅したPCR生成物であるMlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-hIgD hinge-CD28 TM-CD28 ICD-ICOS ICDとCD28 ICD-ICOS ICD-CD3ζ-iso1を鋳型にしてプライマー配列番号70(表12)と配列番号91(表12)を用いてOE-PCR方法で増幅した(図34)。増幅されたPCR生成物はMlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-hIgD hinge-CD28 TM-CD28 ICD-ICOS ICD-CD3ζ-iso1塩基配列を有することになる(表13)。増幅したPCR生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0278】
5.1.2.5. 3E8 LS、L1-H8 scFv、ヒンジ、TM、ICD、共同刺激ドメイン及びCD3ζ遺伝子確保
増幅したPCR生成物であるMlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-hIgD hinge-CD28 TM-CD28 ICD-ICOS ICD-CD3ζ-iso1とICOS ICD-CD3ζ-iso1-Xho Iを鋳型にしてプライマー配列番号70(表12)と配列番号73(表12)を用いてOE-PCR方法で増幅した(図34)。増幅されたPCR生成物はMlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-hIgD hinge-CD28 TM-CD28 ICD-ICOS ICD-CD3ζ-iso1-Xho I塩基配列を有し、L1-H8-CAR-001-28ICOSの構造を有することになる(図35)。
【0279】
5.1.3.L1-H8-CAR-001-28遺伝子確保
5.1.3.1. 3E8抗体の先導配列(LS)、L1-H8 scFv、ヒンジ、TM、ICD遺伝子確保
pMT-L1-H8-CAR-001を鋳型にしてプライマー配列番号70(表12)と配列番号93(表12)を用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、3E8先導配列(LS)の5’部位に結合するプライマーはMlu I制限酵素塩基配列と3E8先導配列(LS)の18個の塩基配列を有し、CD28 ICDの3’部位に結合するプライマーはCD3ζ-iso1の12個の塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、Mlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-hIgD hinge-CD28 TM-CD28 ICD-CD3ζ-iso1の塩基配列を有することになる(表13)。増幅した生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0280】
5.1.3.2.CD3ζ遺伝子確保
pMT-L1-H8-CAR-001を鋳型にしてプライマー配列番号94(表12)と配列番号73(表12)を用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、CD3ζ-iso1の5’部位に結合するプライマーはCD28 ICDの12個の塩基配列を有し、CD3ζ-iso1の3’部位に結合するプライマーはXho I制限酵素塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、CD28 ICD-CD3ζ-iso1-Xho I塩基配列を有することになる(表13)。増幅したPCR生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0281】
5.1.3.3. 3E8 LS、L1-H8 scFv、ヒンジ、TM、ICD、共同刺激ドメイン及びCD3ζ遺伝子確保
増幅したPCR生成物であるMlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-hIgD hinge-CD28 TM-CD28 ICD-CD3ζ-iso1とCD28 ICD-CD3ζ-iso1-Xho Iを鋳型にしてプライマー配列番号70(表12)と配列番号73(表12)を用いてOE-PCR方法で増幅した(図36)。増幅されたPCR生成物は、Mlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-hIgD hinge-CD28 TM-CD28 ICD-CD3ζ-iso1-Xho I塩基配列を有し、L1-H8-CAR-001-28の構造を有することになる(図37)。
【0282】
5.1.4.L1-H8-CAR-001-OX遺伝子確保
5.1.4.1. 3E8抗体の先導配列(LS)、L1-H8 scFv、ヒンジ、TM遺伝子確保
pMT-L1-H8-CAR-001を鋳型にしてプライマー配列番号70(表12)と配列番号95(表12)を用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、3E8先導配列(LS)の5’部位に結合するプライマーはMlu I制限酵素塩基配列と3E8先導配列(LS)の18個の塩基配列を有し、CD28 TMの3’部位に結合するプライマーはOX40の12個の塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、Mlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-hIgD hinge-CD28 TM-OX40の塩基配列を有することになる(表13)。増幅した生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0283】
5.1.4.2.共同刺激ドメイン及びCD3ζ遺伝子確保
pMT-L1-H8-CAR-001を鋳型にしてプライマー配列番号96(表12)と配列番号73(表12)を用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、OX40の5’部位に結合するプライマーはCD28 TMの12個の塩基配列を有し、CD3ζ-iso1の3’部位に結合するプライマーはXho I制限酵素塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、CD28 TM-OX40-CD3ζ-iso1-Xho I塩基配列を有することになる(表13)。増幅したPCR生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0284】
5.1.4.3. 3E8 LS、L1-H8 scFv、ヒンジ、TM、共同刺激ドメイン及びCD3ζ遺伝子確保
増幅したPCR生成物であるMlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-hIgD hinge-CD28 TM-OX40とCD28 TM-OX40-CD3ζ-iso1-Xho Iを鋳型にしてプライマー配列番号70(表12)と配列番号73(表12)を用いてOE-PCR方法で増幅した(図38)。増幅されたPCR生成物は、Mlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-hIgD hinge-CD28 TM-OX40-CD3ζ-iso1-Xho I塩基配列を有し、L1-H8-CAR-001-OXの構造を有することになる(図39)。
【0285】
5.1.5. L1-H8-CAR-001-BB遺伝子確保
5.1.5.1. 3E8抗体の先導配列(LS)、L1-H8 scFv、ヒンジ、TM遺伝子確保
pMT-L1-H8-CAR-001を鋳型にしてプライマー配列番号70(表12)と配列番号97(表12)を用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、3E8先導配列(LS)の5’部位に結合するプライマーはMlu I制限酵素塩基配列と3E8先導配列(LS)の18個の塩基配列を有し、CD28 TMの3’部位に結合するプライマーは4-1BBの12個の塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、Mlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-hIgD hinge-CD28 TM-4-1BBの塩基配列を有することになる(表13)。増幅した生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0286】
5.1.5.2.共同刺激ドメイン及びCD3ζ遺伝子確保
pMT-L1-H8-CAR-004(図30)を鋳型にしてプライマー配列番号98(表12)と配列番号73(表12)を用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、4-1BBの5’部位に結合するプライマーはCD28 TMの12個の塩基配列を有し、CD3ζ-iso1の3’部位に結合するプライマーはXho I制限酵素塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、CD28 TM-4-1BB-CD3ζ-iso1-Xho I塩基配列を有することになる(表13)。増幅したPCR生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0287】
5.1.5.3. 3E8 LS、L1-H8 scFv、ヒンジ、TM、共同刺激ドメイン及びCD3ζ遺伝子確保
増幅したPCR生成物であるMlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-hIgD hinge-CD28 TM-4-1BBとCD28 TM-4-1BB-CD3ζ-iso1-Xho Iを鋳型にしてプライマー配列番号70(表12)と配列番号73(表12)を用いてOE-PCR方法で増幅した(図40)。増幅されたPCR生成物は、Mlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-hIgD hinge-CD28 TM-4-1BB-CD3ζ-iso1-Xho I塩基配列を有し、L1-H8-CAR-001-BBの構造を有することになる(図41)。
【0288】
5.1.6.L1-H8-CAR-001-ICOS遺伝子確保
5.1.6.1. 3E8抗体の先導配列(LS)、L1-H8 scFv、ヒンジ、TM遺伝子確保
pMT-L1-H8-CAR-001を鋳型にしてプライマー配列番号70(表12)と配列番号99(表12)を用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、3E8先導配列(LS)の5’部位に結合するプライマーはMlu I制限酵素塩基配列と3E8先導配列(LS)の18個の塩基配列を有し、CD28 TMの3’部位に結合するプライマーはICOS-ICDの13個の塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、Mlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-hIgD hinge-CD28 TM-ICOS ICDの塩基配列を有することになる(表13)。増幅した生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0289】
5.1.6.2.共同刺激ドメインICOS遺伝子確保
pBHA-ICOS TM+ICD(図33)を鋳型にしてプライマー配列番号100(表12)と配列番号91(表12)を用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、ICOS ICDの5’部位に結合するプライマーはCD28 TMの12個の塩基配列を有し、ICOS ICDの3’部位に結合するプライマーはCD3ζ-iso1塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、CD28 TM-ICOS ICD-CD3ζ-iso1塩基配列を有することになる(表13)。増幅したPCR生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0290】
5.1.6.3. CD3ζ遺伝子確保
pMT-L1-H8-CAR-001を鋳型にしてプライマー配列番号92(表12)と配列番号73(表12)を用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、CD3ζ-iso1の5’部位に結合するプライマーはICOS ICDの12個の塩基配列を有し、CD3ζ-iso1の3’部位に結合するプライマーはXho I制限酵素塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、ICOS ICD-CD3ζ-iso1-Xho I塩基配列を有することになる(表13)。増幅したPCR生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0291】
5.1.6.4. 3E8 LS、L1-H8 scFv、ヒンジ、TM、共同刺激ドメイン遺伝子確保
増幅したPCR生成物であるMlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-hIgD hinge-CD28 TM-ICOS ICDとCD28 TM-ICOS ICD-CD3ζ-iso1を鋳型にしてプライマー配列番号70(表12)と配列番号91(表12)を用いてOE-PCR方法で増幅した(図42)。増幅されたPCR生成物は、Mlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-hIgD hinge-CD28 TM-ICOS ICD-CD3ζ-iso1塩基配列を有することになる(表13)。増幅したPCR生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0292】
5.1.6.5. 3E8 LS、L1-H8 scFv、ヒンジ、TM、ICD、共同刺激ドメイン及びCD3ζ遺伝子確保
増幅したPCR生成物であるMlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-hIgD hinge-CD28 TM-ICOS ICD-CD3ζ-iso1とICOS ICD-CD3ζ-iso1-Xho Iを鋳型にしてプライマー配列番号70(表12)と配列番号73(表12)を用いてOE-PCR方法で増幅した(図42)。増幅されたPCR生成物は、Mlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-hIgD hinge-CD28 TM-ICOS ICD-CD3ζ-iso1-Xho I塩基配列を有し、L1-H8-CAR-001-ICOSの構造を有することになる(図43)。
【0293】
5.1.7.pMT-L1-H8-CARレトロウイルスベクター製造
6種の増幅したPCR生成物をMlu IとXho I制限酵素処理してDNA切片を獲得した。獲得したDNA切片を、あらかじめMlu IとXho I制限酵素で処理されたpMTレトロウイルスベクター(米国登録特許第US6,451,595号)に結紮し、6種のpMT-L1-H8-CARレトロウイルスベクターを作製した(図44)。こうして製造されたpMT-L1-H8-CARレトロウイルスベクターは、MLV LTRプロモーターの調節下でL1-H8-CARをコードする配列を含む。
【0294】
5.2.様々な共同刺激ドメイン構造のL1-H8-CAR遺伝子発現レトロウイルス(L1-H8-CARレトロウイルス)製造
実施例4.2と同じ方法で7種のL1-H8-CAR-001とL1-H8-CAR-001-28BB、-28ICOS、-28、-OX、-BB、-ICOS遺伝子発現レトロウイルスを製造した
5.3.様々な共同刺激ドメイン構造のL1-H8-CAR遺伝子発現T細胞製造
実施例4.3.と同じ方法で7種のL1-H8-CAR-Tを製造した。その結果、供与者によって差異があるが、培養7日又は8日目には約7.7%~88.4%、培養11日目には約9.0%~82.4%、15日目又は17日目には約6.7%~89.8%のL1-H8-CAR発現率を確認した(表14)。
【0295】
【表14】
【0296】
5.4.様々なスぺーサドメイン構造のL1-H8-CAR遺伝子発現T細胞の抗癌活性能確認(In vitro)
5.4.1.ターゲット細胞におけるL1CAM発現率確認
実施例4.4.1.と同じ方法でターゲット細胞におけるL1CAM発現率を確認した。その結果、SKOV3癌細胞において約80.4~98.5%のL1CAM発現率を確認した(図45A図45C)。同一の方法を用いて、ヒト子宮頸癌細胞株であるHeLaとヒト神経芽細胞腫細胞株であるSH-SY5Y、ヒト胚腎臓細胞株である293TにおいてL1CAMの発現を確認した結果、HeLaでは約99.6~99.9%(図45F及び図45G)、SH-SY5Yでは約52.1~98.1%(図45H及び図45I)、293Tでは約0.023~4.72%の発現率を確認した(図45D及び図45E)。
【0297】
5.4.2.ターゲット細胞に対するL1CAM発現T細胞の抗癌活性能確認(in vitro)
5.4.2.1.xCelligenceアッセイを用いた抗癌活性能確認
実施例4.4.2.1と同じ方法でSKOV3に対する7種L1-H8-CARの効能を確認した。その結果、7種のL1-H8-CAR-001とL1-H8-CAR-001-28BB、-28ICOS、-28、-OX、-BB、-ICOS発現T細胞は、L1-H8-CARを発現しないT細胞(対照群)に比べて、SKOV3細胞に対して高い細胞殺傷能を示した(図46)。
【0298】
実施例4.4.2.1と同じ実験方法を用いて293T細胞に対する殺傷能を確認した。その結果、低いL1CAM発現率を示す293T細胞では7種ともに、対照群と類似の細胞殺傷能を示した(図47)。
【0299】
5.4.2.2. CellToxTMグリーン色素を用いた抗癌活性能確認
実施例4.4.2.2と同じ実験方法を用いてSH-SY5Y細胞に対する殺傷能を確認した。その結果、7種のL1-H8-CAR-001とL1-H8-CAR-001-28BB、-28ICOS、-28、-OX、-BB、-ICOS発現T細胞は、L1-H8-CARを発現しないT細胞(対照群)に比べて、SH-SY5Y細胞に対して高い細胞殺傷能を示した(図48A図48C)。
【0300】
実施例4.4.2.2と同じ実験方法を用いてHeLa細胞に対する殺傷能を確認した。その結果、7種のL1-H8-CAR-001とL1-H8-CAR-001-28BB、-28ICOS、-28、-OX、-BB、-ICOS発現T細胞は、L1-H8-CARを発現しないT細胞(対照群)に比べて、HeLa細胞に対して高い細胞殺傷能を示した(図49A図49C)。
【0301】
5.5.様々な共同刺激ドメイン構造のL1-H8-CAR遺伝子発現T細胞の抗癌活性能確認(In vivo)
生体内における抗L1CAM-CAR(L1-H8-CAR)遺伝子発現T細胞の抗癌活性能を確認するために癌発生動物モデルを用いた。T細胞、B細胞、自然殺害細胞(NK細胞)が欠損したNOD/SCIDマウス(7週齢、雌)の右側横腹皮下(subcutaneous,SC)にマトリゲルと1:1に混ぜたSKOV3癌細胞(Target,T)3×10個を投与して癌を発生させた。In vitroで効能が確認されたL1-H8-CAR発現T細胞7種と対照群T細胞を、癌細胞投与して3日後と5日後にそれぞれのNOD/SCIDマウスに1日1回で総2回投与した。投与回当たり2×10個のT細胞を尾静脈(intravenous,IV)に投与し、癌のサイズを25日まで測定した。その結果、対照群T細胞投与群に比べて抗L1CAM-CAR遺伝子発現T細胞の7種の投与群の全てにおいて癌成長速度が阻害されたことを確認した。特に、L1-H8-CAR-001-28ICOSの癌成長阻害効能が最も優れていることを確認した(図50)。
【0302】
〔実施例6.様々な構造の抗L1CAM-CAR発現T細胞作製及び効能確認〕
6.1.様々な構造のL1CMA-CAR遺伝子確保
6.1.1. L1-H8-CAR-005遺伝子確保
6.1.1.1. 3E8抗体の先導配列(LS)、L1-H8 scFv_reverse遺伝子確保
3E8 LSとL1-H8 scFvの抗体可変軽鎖(VL)、リンカー、L1-H8 scFvの抗体可変重鎖(VH)の構造を合成した。遺伝子合成によって確保されたpBHA-3E8 LS-H8Rev(図51)を鋳型にしてプライマー配列番号70(表15)と配列番号103(表15)を用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、3E8先導配列(LS)の5’部位に結合するプライマーは、Mlu I制限酵素塩基配列と3E8先導配列(LS)の18個の塩基配列を有し、L1-H8 scFv-Reverseの3’部位に結合するプライマーは、hIgD hingeの12個の塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、Mlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-Rev-IgD hingeの塩基配列を有することになる(表16)。増幅した生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0303】
【表15】
【0304】
【表16】
【0305】
6.1.1.2.ヒンジ、TM、ICD、共同刺激ドメイン及びCD3ζ遺伝子確保
ヒトIgDのヒンジとIgG1のヒンジ、CD28のTMとICD、共同刺激ドメインであるOX40及びCD3ζ-iso1を含むpMT-L1-H8-CAR-003(図23)プラスミドを鋳型にしてプライマー配列番号104(表15)と配列番号73(表15)を用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、hIgD hingeの5’部位に結合するプライマーは、L1-H8 scFv抗体可変重鎖(VH)の12個の塩基配列を有し、CD3ζ-iso1の3’部位に結合するプライマーは、Xho I制限酵素塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、L1-H8 scFv-Rev-IgD hinge-IgG1 hinge-CD28 TM-CD28 ICD-OX40-CD3ζ-iso1-Xho I塩基配列を有することになる(表16)。増幅したPCR生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0306】
6.1.1.3. 3E8 LS、L1-H8 scFv-Rev、ヒンジ、TM、ICD、共同刺激ドメイン及びCD3ζ遺伝子確保
増幅したPCR生成物であるMlu I-3E8 LS-L1-H8 scFv-Rev-IgD hingeとL1-H8 scFv-Rev-IgD hinge-IgG1 hinge-CD28 TM-CD28 ICD-OX40-CD3ζ-iso1-Xho Iを鋳型にしてプライマー配列番号70(表15)と配列番号73(表15)を用いてOE-PCR方法で増幅した(図52)。増幅されたPCR生成物は、Mlu I-3E8-L1-H8 scFv-Rev-IgD hinge-IgG1 hinge-CD28 TM-CD28 ICD-OX40-CD3ζ-iso1-Xho I塩基配列を有し、L1-H8-CAR-005の構造を有することになる(図53)。
【0307】
6.1.2. L1-H8-CAR-006遺伝子確保
6.1.2.1. CD8 alphaの先導配列(LS)遺伝子確保
CD8 alphaのLSを含むpMT-CAR-005(図54)プラスミドを鋳型にしてプライマー配列番号105(表15)と配列番号106(表15)を用いてPCR方法で増幅した。このとき、CD8 alpha先導配列(LS)の5’部位に結合するプライマーは、Mlu I制限酵素塩基配列とCD8 alpha先導配列(LS)の18個の塩基配列を有し、CD8 alpha先導配列(LS)の3’部位に結合するプライマーは、L1-H8 scFv抗体可変重鎖(VH)の12個の塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、Mlu I-hCD8α LS-L1-H8 scFvの塩基配列を有することになる(表17)。増幅した生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0308】
【表17】
【0309】
6.1.2.2. L1-H8 scFv遺伝子確保
L1-H8 scFvを含むpMT-L1-H8-CAR-001(図53)プラスミドを鋳型にしてプライマー配列番号107(表15)と配列番号108(表15)を用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、L1-H8 scFvの5’部位に結合するプライマーは、CD8 alpha LSの12個の塩基配列を有し、L1-H8 scFv3’部位に結合するプライマーは、hCD8 alpha ヒンジの12個の塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、hCD8α LS-L1-H8 scFv-hCD8αヒンジ塩基配列を有することになる(表17)。増幅したPCR生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0310】
6.1.2.3.ヒンジ、TM、ICD、共同刺激ドメイン及びCD3ζ遺伝子確保
ヒトCD8 alphaのヒンジとTM、共同刺激ドメインである4-1BB及びCD3ζ-iso2Mを含むpMT-CAR-005(図54)プラスミドを鋳型にしてプライマー配列番号109(表15)と配列番号110(表5)を用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、hCD8αヒンジの5’部位に結合するプライマーは、L1-H8 scFv抗体可変軽鎖(VL)の12個の塩基配列を有し、CD3ζ-iso2Mの3’部位に結合するプライマーは、Xho I制限酵素塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、L1-H8 scFv-hCD8α hinge-hCD8α TM-4-1BB-CD3ζ-iso2M-Xho I塩基配列を有することになる(表17)。増幅したPCR生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0311】
6.1.2.4.CD8α LS、L1-H8 scFv遺伝子確保
増幅したPCR生成物であるMlu I-hCD8α LS-L1-H8 scFvとhCD8α LS-L1-H8 scFv-hCD8α hingeを鋳型にしてプライマー配列番号105(表15)と配列番号108(表15)を用いてOE-PCR方法で増幅した(図55)。増幅されたPCR生成物は、Mlu I-hCD8α LS-L1-H8 scFv-CD28 hinge塩基配列を有することになる。増幅したPCR生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0312】
6.1.2.5. CD8α LS、L1-H8 scFv、ヒンジ、TM、ICD、共同刺激ドメイン及びCD3ζ遺伝子確保
増幅したPCR生成物であるMlu I-hCD8α LS-L1-H8 scFv-hCD8α hingeとL1-H8 scFv-hCD8α hinge-hCD8α TM-4-1BB-CD3ζ-iso2M-Xho Iを鋳型にしてプライマー配列番号105(表15)と配列番号110(表15)を用いてOE-PCR方法で増幅した(図55)。増幅されたPCR生成物は、Mlu I-hCD8αLS-L1-H8 scFv-hCD8α hinge-hCD8α TM-4-1BB-CD3ζ-iso2M-Xho I塩基配列を有し、L1-H8-CAR-006の構造を有することになる(図56)。
【0313】
6.1.3. L1-H8-CAR-007遺伝子確保
6.1.3.1. hGM-CSF receptor alpha-chainの信号配列遺伝子確保
hGM-CSF rec.αの信号配列を含むpMT-CAR-006プラスミド(図57)を鋳型にしてプライマー配列番号111(表15)と配列番号112(表15)を用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、hGM-CSF rec.αの5’部位に結合するプライマーは、Mlu I制限酵素塩基配列を有し、hGM-CSF rec.αの3’部位に結合するプライマーは、L1-H8 scFv可変重鎖(VH)の12個の塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、Mlu I-hGM-CSF rec.α-L1-H8 scFvの塩基配列を有することになる(表18)。増幅した生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0314】
【表18】
【0315】
6.1.3.2. L1-H8 scFv遺伝子確保
L1-H8 scFvを含むpMT-L1-H8-CAR-001(図23)プラスミドを鋳型にしてプライマー配列番号113(表15)と配列番号114(表15)を用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、L1-H8 scFvの5’部位に結合するプライマーは、hGM-CSF rec.α LSの12個の塩基配列を有し、L1-H8 scFv3’部位に結合するプライマーは、ヒンジの9個の塩基配列とhCD28pECDの3個の塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、hGM-CSF rec.α LS-L1-H8 scFv-hinge-hCD28pECD塩基配列を有することになる(表18)。増幅したPCR生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0316】
6.1.3.3.ヒンジ、TM、ICD共同刺激ドメイン及びCD3ζ遺伝子確保
ヒンジ、hCD28のpECDとTM、ICD及びhCD3ζ-iso2を含むpMT-CAR-006プラスミド(図57)を鋳型にしてプライマー配列番号115(表13)と配列番号116(表13)を用いてPCR方法で増幅して使用した。このとき、ヒンジの5’部位に結合するプライマーは、L1-H8 scFv可変軽鎖(VL)の12個の塩基配列を有し、CD3ζ-iso2の3’部位に結合するプライマーは、Xho I制限酵素塩基配列を有するので、増幅されたPCR生成物は、L1-H8 scFv-hinge-hCD28pECD-hCD28 TM-hCD28 ICD-CD3ζ-iso2-Xho I塩基配列を有することになる(表16)。増幅した生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0317】
6.1.3.4. hGM-CSF receptor alpha-chainの信号配列、L1-H8 scFv遺伝子確保
増幅したPCR生成物であるMlu I-hGM-CSF rec.α-L1-H8 scFvとhGM-CSF rec.α LS-L1-H8 scFv-hinge-hCD28pECDを鋳型にしてプライマー配列番号111(表15)と配列番号114(表15)を用いてOE-PCR方法で増幅した(図58)。増幅されたPCR生成物は、Mlu I-hGM-CSF rec.α-L1-H8 scFv-hinge-hCD28pECD塩基配列を有することになる。増幅したPCR生成物は次のPCR増幅過程に使用した。
【0318】
6.1.3.5.hGM-CSF receptor alpha-chainの信号配列、L1-H8 scFv、ヒンジ、TM、ICD共同刺激ドメイン及びCD3ζ遺伝子確保
増幅したPCR生成物であるMlu I-hGM-CSF rec.α-L1-H8 scFv-hinge-hCD28pECDとL1-H8 scFv-hinge-hCD28pECD-hCD28 TM-hCD28 ICD-CD3ζ-iso2-Xho Iを鋳型にしてプライマー配列番号111(表15)と配列番号116(表15)を用いてOE-PCR方法で増幅した(図58)。増幅されたPCR生成物は、Mlu I-hGM-CSF rec.α-L1-H8 scFv-hinge-hCD28pECD-hCD28 TM-hCD28 ICD-CD3ζ-iso2-Xho I塩基配列を有し、L1-H8-CAR-007の構造を有することになる(図59)。
【0319】
6.1.4.pMT-L1-H8-CARレトロウイルスベクター製造
3種の増幅したPCR生成物をMlu IとXho I制限酵素処理してDNA切片を獲得した。獲得したDNA切片を、あらかじめMlu IとXho I制限酵素で処理されたpMTレトロウイルスベクター(米国登録特許第US6,451,595号)に結紮し、3種のpMT-L1-H8-CARレトロウイルスベクターを作製した(図60)。こうして製造されたpMT-L1-H8-CARレトロウイルスベクターは、MLV LTRプロモーターの調節下でL1-H8-CARをコードする配列を含む。
【0320】
6.2.様々な構造のL1-H8-CAR遺伝子発現レトロウイルス(L1-H8-CARレトロウイルス)製造
実施例4.2.と同じ方法で4種のL1-H8-CAR-003、-005、-006、-007遺伝子発現レトロウイルスを製造した。
【0321】
6.3.様々な構造のL1-H8-CAR遺伝子発現T細胞製造
実施例4.3.と同じ方法で4種のL1-H8-CAR-Tを製造した。その結果、供与者によって差異があるが、培養8日目には約22.1%~74.1%、培養11日目には約27.1%~77.1%、14日目には約24.6%~76.6%、培養16日目には約29.8%~81.9%のL1-H8-CAR発現率を確認した(表19)。
【0322】
【表19】
【0323】
6.4.様々な構造のL1-H8-CAR遺伝子発現T細胞の抗癌活性能確認(In vitro)
6.4.1.ターゲット細胞におけるL1CAM発現率確認
実施例4.4.1.と同じ方法でターゲット細胞におけるL1CAM発現率を確認した。その結果、SKOV3癌細胞で約67.1%~87.0%のL1CAM発現率を確認した。同一の方法を用いて、ヒト子宮頸癌細胞株であるHeLaとヒト神経芽細胞腫細胞株であるSH-SY5Y、ヒト胚腎臓細胞株である293TでL1CAMの発現を確認した結果、HeLaでは約98.4%、SH-SY5Yでは約65.0~70.9%、293Tでは約0.082%の発現率を確認した(図61a-61f)。
【0324】
6.4.2.ターゲット細胞に対するL1CAM発現T細胞の抗癌活性能確認(in vitro)
6.4.2.1.xCelligenceアッセイを用いた抗癌活性能確認
実施例4.4.2.1と同じ方法でSKOV3に対する4種L1-H8-CARの効能を確認した。その結果、4種のL1-H8-CAR-003とL1-H8-CAR-005、-006、-007発現T細胞は、L1-H8-CARを発現しないT細胞(対照群)に比べて、SKOV3細胞に対して高い細胞殺傷能を示した(図62)。
【0325】
実施例4.4.2.1.と同じ実験方法を用いてSH-SY5Y細胞に対する殺傷能を確認した。ターゲット細胞を培養培地50uLに1.0x10個で添加し、約21時間後に、L1-H8-CAR発現T細胞を、ヒト血清とヒトIL-2が含まれているAIMV培地50uLに5.0×10個、1.0x10個、5.0×10個(E:T比率=0.5、1、5)で準備し、ターゲット細胞を含んでいるウェルに添加した後、約30時間の間に実時間で細胞インデックス値を確認した。また、ターゲット細胞だけを含んでいるウェルを準備し、L1-H8-CAR発現T細胞の抗癌活性能を上の実験と同一に計算した。その結果、4種のL1-H8-CAR-003とL1-H8-CAR-005、-006、-007発現T細胞は、L1-H8-CARを発現しないT細胞(対照群)に比べてSH-SY5Y細胞に対して高い細胞殺傷能を示した(図63)。
【0326】
6.4.2.2. CellToxTMグリーン色素を用いた抗癌活性能確認
実施例4.4.2.2.と同じ方法でHeLa細胞に対する4種L1-H8-CARの効能を確認した。その結果、4種のL1-H8-CAR-003とL1-H8-CAR-005、-006、-007発現T細胞は、L1-H8-CARを発現しないT細胞(対照群)に比べてHeLa細胞に対して高い細胞殺傷能を示した(図64)。
【0327】
実施例4.4.2.2.と同じ実験方法を用いて293T癌細胞に対する殺傷能を確認した。ターゲット細胞を培養培地50uLに1.0×10個で準備し、CellToxTMグリーン色素を0.2uL添加して黒色96ウェルプレートに添加した。L1-H8-CAR発現T細胞を、ヒト血清とヒトIL-2が含まれているAIMV培地50uLに5.0×10個、1.0×10個、5.0×10個、1.0×10個(E:T比率=0.5、1、5、10)で準備し、ターゲット細胞を含んでいるウェルに添加し、37℃、CO培養器で24時間反応した。ターゲット細胞に対する殺傷能は、同一の方法で補正して計算した。
【0328】
その結果、低いL1CAM発現率を示す293T細胞では4種ともに、対照群と類似するか或いはより低い細胞殺傷能を示した(図65)。
【図面の簡単な説明】
【0329】
図1図1は、ファージディスプレイライブラリーパンニング過程を図式化したものである。
図2図2は、ファージパンニングラウンドによる抗原mL1CAMのファージの増幅(enrichiment)程度を示すグラフである(上:ファージ出力力価(phage output titer)、下:溶出力価率(Elution titer ratio))。
図3A図3Aは、ファージパンニングラウンド別抗原mL1CAMに対して特異的に結合するファージクローンを選別するために単一クローンファージELISA(monoclonal phage ELISA)を行った結果を示す。
図3B図3Bは、ファージパンニングラウンド別抗原mL1CAMに対して特異的に結合するファージクローンを選別するために単一クローンファージELISA(monoclonal phage ELISA)を行った結果を示す。
図3C図3Cは、ファージパンニングラウンド別抗原mL1CAMに対して特異的に結合するファージクローンを選別するために単一クローンファージELISA(monoclonal phage ELISA)を行った結果を示す。
図4図4は、本発明の選別された9種のscFvクローンの選別頻度を示す図である。
図5図5は、ヒトL1CAMとマウスL1CAMに交差結合する抗体発掘のために本発明で選別したマウスL1CAMに結合するユニークな(unique)抗mL1CAM scFvクローンの9種を対象にしてhL1CAMに対して単一クローンファージELISAを行った結果を示す図である。
図6図6は、精製された抗mL1CAM scFvクローンのSDS-PAGE分析結果を示す図である。
図7A図7Aは、図5の可溶性(soluble)ELISA結果による本発明の4種の抗L1CAM scFv抗体のmL1CAM及びhL1CAM抗原に対する親和性を示す図である。
図7B図7Bは、図5の可溶性(soluble)ELISA結果による本発明の4種の抗L1CAM scFv抗体のmL1CAM及びhL1CAM抗原に対する親和性を示す図である。
図7C図7Cは、図5の可溶性(soluble)ELISA結果による本発明の4種の抗L1CAM scFv抗体のmL1CAM及びhL1CAM抗原に対する親和性を示す図である。
図7D図7Dは、オクテットシステム結果による本発明の4種の抗L1CAM scFv抗体のmL1CAM及びhL1CAM抗原に対する親和性を示す図である。
図7E図7Eは、オクテットシステム結果による本発明の4種の抗L1CAM scFv抗体のmL1CAM及びhL1CAM抗原に対する親和性を示す図である。
図8図8は、本発明の選別された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するために用いられたpMT-CARプラスミドのベクターマップを示す図である。
図9図9は、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するための、一連のPCR増幅過程を示す模式図である。
図10A図10Aは、本発明の実施例で作製された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-CAR-001、L1-CAR-002、L1-CAR-003、及びL1-CAR-004)の構造を示す図である。
図10B図10Bは、本発明の実施例で作製された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-CAR-001、L1-CAR-002、L1-CAR-003、及びL1-CAR-004)の構造を示す図である。
図11A図11Aは、本発明の抗L1CAM scFvを含む2種のCARコンストラクト(L1-CAR-001及びL1-CAR-002)を導入したレトロウイルスベクターを示す図である。
図11B図11Bは、本発明の抗L1CAM scFvを含む2種のCARコンストラクト(L1-CAR-003及びL1-CAR-004)を導入したレトロウイルスベクターを示す図である。
図12図12は、SKOV3細胞と293T細胞におけるL1CAM発現率を確認した図である。
図13A図13Aは、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞のSKOV3細胞(L1CAM高発現)に対する抗癌活性を示す図である。
図13B図13Bは、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞の293T細胞(L1CAM低発現)に対する抗癌活性を示す図である。
図14図14は、本発明の抗L1CAM CAR(抗L1-CAR)発現T細胞の生体内抗癌活性能を示す図である。
図15図15は、本発明の選別された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するために用いられたpMT-CAR-002プラスミドのベクターマップを示す図である。
図16図16は、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するための、一連のPCR増幅過程を示す模式図である。
図17図17は、本発明の実施例で作製された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-002)の構造を示す図である。
図18図18は、本発明の選別された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するために用いられたpMT-CAR-003プラスミドのベクターマップを示す図である。
図19図19は、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するための、一連のPCR増幅過程を示す模式図である。
図20図20は、本発明の実施例で作製された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-003)の構造を示す図である。
図21図21は、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するための、一連のPCR増幅過程を示す模式図である。
図22図22は、本発明の実施例で作製された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-004)の構造を示す図である。
図23A図23Aは、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-001)を導入したレトロウイルスベクターを示す図である。
図23B図23Bは、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-002)を導入したレトロウイルスベクターを示す図である。
図23C図23Cは、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-003)を導入したレトロウイルスベクターを示す図である。
図23D図23Dは、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-004)を導入したレトロウイルスベクターを示す図である。
図24A図24Aは、SKOV3細胞、Hela細胞、SH-SY5Y細胞及び293T細胞におけるL1CAM発現率を確認した図である。
図24B図24Bは、SKOV3細胞、Hela細胞、SH-SY5Y細胞及び293T細胞におけるL1CAM発現率を確認した図である。
図24C図24Cは、SKOV3細胞、Hela細胞、SH-SY5Y細胞及び293T細胞におけるL1CAM発現率を確認した図である。
図24D図24Dは、SKOV3細胞、Hela細胞、SH-SY5Y細胞及び293T細胞におけるL1CAM発現率を確認した図である。
図24E図24Eは、SKOV3細胞、Hela細胞、SH-SY5Y細胞及び293T細胞におけるL1CAM発現率を確認した図である。
図24F図24Fは、SKOV3細胞、Hela細胞、SH-SY5Y細胞及び293T細胞におけるL1CAM発現率を確認した図である。
図24G図24Gは、SKOV3細胞、Hela細胞、SH-SY5Y細胞及び293T細胞におけるL1CAM発現率を確認した図である。
図25図25は、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞のSKOV3細胞(L1CAM高発現)に対する抗癌活性を示す図である。
図26図26は、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞の293T細胞(L1CAM低発現)に対する抗癌活性を示す図である。
図27A図27Aは、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞のSH-SY5Y細胞(L1CAM高発現)に対する抗癌活性を示す図である。
図27B図27Bは、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞のSH-SY5Y細胞(L1CAM高発現)に対する抗癌活性を示す図である。
図28A図28Aは、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞のHela細胞(L1CAM高発現)に対する抗癌活性を示す図である。
図28B図28Bは、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞のHela細胞(L1CAM高発現)に対する抗癌活性を示す図である。
図29図29は、本発明の抗L1CAM CAR(抗L1-CAR)発現T細胞の生体内抗癌活性能を示す図である。
図30図30は、本発明の選別された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するために用いられたpMT-CAR-004プラスミドのベクターマップを示す図である。
図31図31は、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するための、一連のPCR増幅過程を示す模式図である。
図32図32は、本発明の実施例で作製された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-001-28BB)の構造を示す図である。
図33図33は、本発明の選別された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するために用いられたpBHA-ICOS TM+ICDプラスミドのベクターマップを示す図である。
図34図34は、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するための、一連のPCR増幅過程を示す模式図である。
図35図35は、本発明の実施例で作製された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-001-28ICOS)の構造を示す図である。
図36図36は、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するための、一連のPCR増幅過程を示す模式図である。
図37図37は、本発明の実施例で作製された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-001-28)の構造を示す図である。
図38図38は、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するための、一連のPCR増幅過程を示す模式図である。
図39図39は、本発明の実施例で作製された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-001-OX)の構造を示す図である。
図40図40は、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するための、一連のPCR増幅過程を示す模式図である。
図41図41は、本発明の実施例で作製された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-001-BB)の構造を示す図である。
図42図42は、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するための、一連のPCR増幅過程を示す模式図である。
図43図43は、本発明の実施例で作製された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-001-ICOS)の構造を示す図である。
図44A図44Aは、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-001-28BB)を導入したレトロウイルスベクターを示す図である。
図44B図44Bは、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-001-28ICOS)を導入したレトロウイルスベクターを示す図である。
図44C図44Cは、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-001-28)を導入したレトロウイルスベクターを示す図である。
図44D図44Dは、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-001-OX)を導入したレトロウイルスベクターを示す図である。
図44E図44Eは、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-001-BB)を導入したレトロウイルスベクターを示す図である。
図44F図44Fは、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-001-ICOS)を導入したレトロウイルスベクターを示す図である。
図45A図45Aは、SKOV3細胞、SH-SY5Y細胞、Hela細胞及び293T細胞におけるL1CAM発現率を確認した図である。
図45B図45Bは、SKOV3細胞、SH-SY5Y細胞、Hela細胞及び293T細胞におけるL1CAM発現率を確認した図である。
図45C図45Cは、SKOV3細胞、SH-SY5Y細胞、Hela細胞及び293T細胞におけるL1CAM発現率を確認した図である。
図45D図45Dは、SKOV3細胞、SH-SY5Y細胞、Hela細胞及び293T細胞におけるL1CAM発現率を確認した図である。
図45E図45Eは、SKOV3細胞、SH-SY5Y細胞、Hela細胞及び293T細胞におけるL1CAM発現率を確認した図である。
図45F図45Fは、SKOV3細胞、SH-SY5Y細胞、Hela細胞及び293T細胞におけるL1CAM発現率を確認した図である。
図45G図45Gは、SKOV3細胞、SH-SY5Y細胞、Hela細胞及び293T細胞におけるL1CAM発現率を確認した図である。
図45H図45Hは、SKOV3細胞、SH-SY5Y細胞、Hela細胞及び293T細胞におけるL1CAM発現率を確認した図である。
図45I図45Iは、SKOV3細胞、SH-SY5Y細胞、Hela細胞及び293T細胞におけるL1CAM発現率を確認した図である。
図46図46は、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞のSKOV3細胞(L1CAM高発現)に対する抗癌活性を示す図である。
図47図47は、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞の293T細胞(L1CAM低発現)に対する抗癌活性を示す図である。
図48A図48Aは、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞のSH-SY5Y細胞(L1CAM高発現)に対する抗癌活性を示す図である。
図48B図48Bは、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞のSH-SY5Y細胞(L1CAM高発現)に対する抗癌活性を示す図である。
図48C図48Cは、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞のSH-SY5Y細胞(L1CAM高発現)に対する抗癌活性を示す図である。
図49A図49Aは、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞のHela細胞(L1CAM高発現)に対する抗癌活性を示す図である。
図49B図49Bは、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞のHela細胞(L1CAM高発現)に対する抗癌活性を示す図である。
図49C図49Cは、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞のHela細胞(L1CAM高発現)に対する抗癌活性を示す図である。
図50図50は、本発明の抗L1CAM CAR(抗L1-CAR)発現T細胞の生体内抗癌活性能を示す図である。
図51図51は、本発明の選別された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するために用いられたpBHA-3E8LS-H8Revプラスミドのベクターマップを示す図である。
図52図52は、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するための、一連のPCR増幅過程を示す模式図である。
図53図53は、本発明の実施例で作製された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-005)の構造を示す図である。
図54図54は、本発明の選別された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するために用いられたpMT-CAR-005プラスミドのベクターマップを示す図である。
図55図55は、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するための、一連のPCR増幅過程を示す模式図である。
図56図56は、本発明の実施例で作製された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-006)の構造を示す図である。
図57図57は、本発明の選別された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するために用いられたpMT-CAR-006プラスミドのベクターマップを示す図である。
図58図58は、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクトを作製するための、一連のPCR増幅過程を示す模式図である。
図59図59は、本発明の実施例で作製された抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-007)の構造を示す図である。
図60A図60Aは、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-005)を導入したレトロウイルスベクターを示す図である。
図60B図60Bは、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-006)を導入したレトロウイルスベクターを示す図である。
図60C図60Cは、本発明の抗L1CAM scFvを含むCARコンストラクト(L1-H8-CAR-007)を導入したレトロウイルスベクターを示す図である。
図61A図61Aは、SKOV3細胞、SH-SY5Y細胞、Hela細胞及び293T細胞におけるL1CAM発現率を確認した図である。
図61B図61Bは、SKOV3細胞、SH-SY5Y細胞、Hela細胞及び293T細胞におけるL1CAM発現率を確認した図である。
図61C図61Cは、SKOV3細胞、SH-SY5Y細胞、Hela細胞及び293T細胞におけるL1CAM発現率を確認した図である。
図61D図61Dは、SKOV3細胞、SH-SY5Y細胞、Hela細胞及び293T細胞におけるL1CAM発現率を確認した図である。
図61E図61Eは、SKOV3細胞、SH-SY5Y細胞、Hela細胞及び293T細胞におけるL1CAM発現率を確認した図である。
図61F図61Fは、SKOV3細胞、SH-SY5Y細胞、Hela細胞及び293T細胞におけるL1CAM発現率を確認した図である。
図62図62は、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞のSKOV3細胞(L1CAM高発現)に対する抗癌活性を示す図である。
図63図63は、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞のSH-SY5Y細胞(L1CAM高発現)に対する抗癌活性を示す図である。
図64図64は、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞のHela細胞(L1CAM高発現)に対する抗癌活性を示す図である。
図65図65は、本発明の抗L1CAM-CAR発現T細胞の293T細胞(L1CAM低発現)に対する抗癌活性を示す図である。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図14
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図16
図17
図18
図19
図20
図21
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図23a
図23b
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図24A
図24B
図24C
図24D
図24E
図24F
図24G
図25
図26
図27A
図27B
図28A
図28B
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図49C
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図65
【配列表】
2022508926000001.app
【国際調査報告】