(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】エラストマー化合物中でのナノセルロース分散を改善するための方法、及びエラストマー化合物中に分散されたナノセルロースを含む組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20220112BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20220112BHJP
C08L 91/06 20060101ALI20220112BHJP
C08L 101/12 20060101ALI20220112BHJP
C08L 1/02 20060101ALI20220112BHJP
C09K 23/52 20220101ALI20220112BHJP
C09K 23/54 20220101ALI20220112BHJP
C08J 3/215 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
C08L101/00
C08K3/04
C08L91/06
C08L101/12
C08L1/02
B01F17/52
B01F17/54
C08J3/215 CEP
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547047
(86)(22)【出願日】2019-10-21
(85)【翻訳文提出日】2021-04-21
(86)【国際出願番号】 US2019057225
(87)【国際公開番号】W WO2020086466
(87)【国際公開日】2020-04-30
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521172701
【氏名又は名称】ビルラ カーボン ユー.エス.エー.,インコーポレイティド
(71)【出願人】
【識別番号】521174163
【氏名又は名称】グランバイオ インテレクチュアル プロパティ ホールディングス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ アール.ハード
(72)【発明者】
【氏名】ザカリー エー.コームス
(72)【発明者】
【氏名】ルイス ビー.タニクリフ
(72)【発明者】
【氏名】キンバリー ネルソン
(72)【発明者】
【氏名】シャオポー パン
【テーマコード(参考)】
4D077
4F070
4J002
【Fターム(参考)】
4D077AC05
4D077DB02X
4D077DB07X
4D077DC02X
4D077DD13X
4D077DD61X
4D077DD65X
4F070AA02
4F070AC04
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4F070AE09
4F070AE14
4F070FA05
4F070FB09
4J002AB012
4J002AC011
4J002AC031
4J002AC061
4J002AC071
4J002AC081
4J002AC091
4J002AC111
4J002AE033
4J002BB151
4J002BB181
4J002BD121
4J002CK021
4J002DA036
4J002FD012
4J002FD016
4J002GN01
(57)【要約】
凝集防止剤及びナノセルロースを含むナノセルロース分散組成物、並びにナノセルロース分散組成物を製造する方法が、開示されている。これらの組成物は、タイヤ製造で使用するためのエラストマー配合物等のポリマーマトリックス中のナノセルロースフィブリル及びナノセルロース結晶の改善された分散性を促進することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含むポリマー組成物:
(I)ポリマー;
(II)以下を含むナノセルロース分散組成物(NDC):
(i)カーボンブラックフィラー、エラストマーラテックス、ワックス、又はそれらの任意の組み合わせを含む凝集防止剤;及び
(ii)ナノセルロース;並びに
(III)カーボンブラック添加剤。
【請求項2】
前記ポリマーの前記ナノセルロース分散組成物に対する重量比(ポリマー:NDC)が、約100:1~約1:1の範囲である、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
前記ポリマーが、エラストマーを含む、請求項1又は2に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
前記ナノセルロース分散組成物が、前記凝集防止剤を含まないナノセルロースの分散性よりも、前記ポリマー組成物中においてより大きなナノセルロース分散性を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
前記ナノセルロースが、ナノセルロース結晶(NC)、ナノセルロースフィブリル(NF)、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
前記ナノセルロースが、リグニン被覆ナノセルロース結晶(LCNC)、リグニン被覆ナノセルロースフィブリル(LCNF)、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
前記ナノセルロースが、親水性セルロースナノセルロース結晶(CNC)、親水性セルロースナノセルロースフィブリル(CNF)、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
前記ナノセルロース分散組成物(NDC)が、炭化水素油を更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
前記エラストマーラテックスが、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エマルジョンスチレン-ブタジエンゴム(ESBR)、又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
前記ワックスが、非分岐アルカンパラフィンワックス;天然鉱物、石油精製、若しくはリグニン精製の分岐パラフィンワックス又はセレシンワックス;ポリエチレンワックス;官能化されたポリエチレンワックス;又はそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項11】
前記カーボンブラックフィラー及び前記カーボンブラック添加剤が、それぞれ独立して、ファーネスカーボンブラック及び/又は表面修飾されたファーネスカーボンブラックを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項12】
前記カーボンブラックフィラー及び前記カーボンブラック添加剤が、それぞれ独立して、以下によって特徴付けられる、請求項1~11のいずれか一項に記載のポリマー組成物:
約90m
2/g~約140m
2/gの窒素表面積;
約80m
2/g~約125m
2/gの外部表面積;
約2.5~約4のpH;
約55cm
3/100g~約67cm
3/100gの50GM空隙体積;
約50cm
3/100g~約60cm
3/100gの75GM空隙体積;
約45cm
3/100g~約55cm
3/100gの100GM空隙体積;
約2.5重量%~約4.5重量%の水分含有量;
約4.5重量%~約6.5重量%の揮発性物質含有量;
約2.5重量%~約5.5重量%の酸素含有量;又は
それらの任意の組み合わせ。
【請求項13】
前記凝集防止剤が、前記カーボンブラックフィラー、前記エラストマーラテックス、及び前記ワックスのうちの少なくとも2つを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項14】
前記凝集防止剤の前記ナノセルロースに対する重量比が、約0.5:1~約25:1の範囲である、請求項1~13のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項15】
前記ナノセルロース分散組成物(NDC)は、以下を含む方法によって製造される、請求項1~14のいずれか一項に記載のポリマー組成物:
(a)前記ナノセルロースの水性分散液を前記凝集防止剤と組み合わせて、混合物を形成すること;及び
(b)前記混合物を乾燥させて、前記ナノセルロース分散組成物(NDC)を形成すること。
【請求項16】
前記ナノセルロース分散組成物(NDC)は、以下を含む方法によって製造される、請求項1~14のいずれか一項に記載のポリマー組成物:
(A)前記ナノセルロースの水性分散液を前記凝集防止剤と組み合わせて、混合物を形成すること;及び
(B)前記混合物を乾燥させて、前記ナノセルロース分散組成物(NDC)を形成すること;
ここで、前記凝集防止剤が、前記NDC中で安定であり、かつ、ナノセルロース粒子間に間隔を置いて配置されて、前記NDC中の前記ナノセルロース粒子の凝集を低減又は防止させる。
【請求項17】
ポリマー中での分散性を改善するために、水系中においてナノセルロースを凝集防止するための方法であって、前記方法が、以下を含む:
(a)前記ナノセルロースの水性分散液を凝集防止剤と組み合わせて、混合物を形成すること、ここで、前記凝集防止剤が、カーボンブラックフィラーを含む;及び
(b)前記混合物を乾燥させて、ナノセルロース分散組成物(NDC)を形成すること。
【請求項18】
凝集防止剤を用いて、水系中においてナノセルロースを凝集防止するための方法であって、前記方法が、以下を含む:
(A)前記ナノセルロースの水性分散液を前記凝集防止剤と組み合わせて、混合物を形成すること、ここで、前記凝集防止剤が、カーボンブラックフィラーを含む;及び
(B)前記混合物を乾燥させて、ナノセルロース分散組成物(NDC)を形成すること;
ここで、前記凝集防止剤が、前記NDC中で安定であり、かつ、ナノセルロース粒子間に間隔を置いて配置されて、前記NDC中の前記ナノセルロース粒子の凝集を低減又は防止させる。
【請求項19】
前記凝集防止剤が、エラストマーラテックス、ワックス、又はそれらの組み合わせを更に含む、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記ナノセルロースの前記水性分散液を、前記凝集防止剤及び炭化水素油と組合せる、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
請求項17~20のいずれか一項に記載の方法によって製造される、ナノセルロース分散組成物(NDC)。
【請求項22】
下記を含む、ナノセルロース分散組成物(NDC):
(i)カーボンブラックフィラーを含む凝集防止剤;及び
(ii)ナノセルロース。
【請求項23】
前記ナノセルロース分散組成物が、前記凝集防止剤を含まないナノセルロースの分散性よりも、ポリマー配合物中においてより大きなナノセルロース分散性を有する、請求項21又は22に記載の組成物。
【請求項24】
前記凝集防止剤が、エラストマーラテックス、ワックス、又はそれらの組み合わせを更に含む、請求項21~23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記ナノセルロース分散組成物(NDC)が、炭化水素油を更に含む、請求項21~24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
前記凝集防止剤の前記ナノセルロースに対する重量比が、約0.5:1~約25:1の範囲である、請求項21~25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
下記を含む、ポリマー組成物:
(I)ポリマー;及び
(II)請求項21~26のいずれか一項に記載のナノセルロース分散組成物(NDC)。
【請求項28】
前記ポリマーの前記ナノセルロース分散組成物に対する重量比(ポリマー:NDC)が、約100:1~約1:1の範囲である、請求項27に記載のポリマー組成物。
【請求項29】
前記ポリマーが、熱可塑性樹脂を含む、請求項27又は28に記載のポリマー組成物。
【請求項30】
前記ポリマーが、エラストマーを含む、請求項27又は28に記載のポリマー組成物。
【請求項31】
前記ポリマー組成物が、カーボンブラック添加剤を更に含む、請求項27~30のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への参照)
この出願は、PCT国際出願として2019年10月21日に提出されており、2018年10月22日に出願された米国仮特許出願番号62/748,564及び62/748,574の優先権の利益を主張しており、それらの全体を参照することによりそれらの開示を本明細書に組み込んでいる。
【0002】
本開示は、ナノセルロースの分散を改善するための方法、並びに、ポリマー配合物で使用するための、より具体的には、タイヤ及びその他の最終使用用途を目的とするエラストマー配合物で使用するための、結果として生じるナノセルロース分散組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
ナノセルロースは、プラスチックやエラストマー等、様々な用途のナノ材料として最近注目を集めている。ナノセルロースは、炭化水素材料ではなく、バイオマスに由来するため、これらの用途でのナノセルロースの使用は、得られる複合材料の性能及び今後の材料の持続可能な性質を改善することを目的としている。しかしながら、ナノセルロースの問題の1つは、疎水性の非極性溶媒及びマトリックス(プラスチック及びエラストマーを含む)への分散性であり、ナノセルロースが結晶形態であろうとフィブリル形態であろうと、通常、ナノセルロースは乾燥中にそれ自体に結合し、結果としてポリマー複合構造中のナノセルロースの大きな凝集体をもたらす。
【0004】
例えば、ナノセルロースがエラストマー化合物に混合される場合、ナノセルロースが良好に分散され、それによって、大きな凝集体が排除され、ナノセルロースをエラストマーマトリックスに組み込むことの完全な利点が実現されることが望まれている。任意のポリマー添加剤の大きな凝集体は、応力集中を引き起こす可能性があり、ポリマー複合材料の早期破損を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、ポリマー配合物中のナノセルロースの分散性を大幅に改善する方法を工夫することが重要になり、これは、多くの最終使用用途でのナノセルロースの開発、成長、及び商品化が直面する重要な問題である。したがって、本発明は、これらの目的のために一般的に向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本概要は、以下の詳細な説明で更に説明されている選択した概念を簡略化した形式で紹介するために提供するものである。本概要は、特許請求の範囲に記載されている発明特定事項の必須又は本質的な特徴を特定することを目的とするものではない。また、本概要は、特許請求の範囲に記載されている発明特定事項の範囲を限定する目的で使用することを目的とするものでもない。
【0007】
本発明の目的にしたがって、本明細書で具現化され、かつ広く説明されるように、本開示は、一の態様において、凝集防止剤(partitioning agents)が、そのまま残されて、ナノセルロース結晶及びナノセルロースフィブリルが互いに結合することを防ぐようにして、ナノセルロース乾燥工程中又はその前に凝集防止剤を添加するための方法に関する。その結果、エラストマー及びプラスチック等のポリマー配合物中に容易に分散できるナノセルロース分散組成物が得られる。
【0008】
したがって、本発明の一態様において、ポリマー中での分散性を改善するために水系中においてナノセルロースを凝集防止するための方法が開示されており、この態様では、前記方法は、(a)前記ナノセルロースの水性分散液を凝集防止剤と組み合わせて、混合物を形成すること、;及び(b)前記混合物を乾燥させて、ナノセルロース分散組成物(NDC)を形成することを含むことができる。前記凝集防止剤は、カーボンブラックフィラー、エラストマーラテックス、ワックス、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0009】
他の態様において、凝集防止剤を用いて、水系中においてナノセルロースを凝集防止するための方法が開示されており、この態様では、前記方法は、(A)前記ナノセルロースの水性分散液を前記凝集防止剤と組み合わせて、混合物を形成すること、及び(B)前記混合物を乾燥させて、ナノセルロース分散組成物(NDC)を形成することを含むことができる。前記凝集防止剤は、前記NDC中で安定であり、かつ、ナノセルロース粒子間に間隔を置いて配置されて、前記NDC中の前記ナノセルロース粒子の凝集を低減又は防止させることができる。前記凝集防止剤は、カーボンブラックフィラー、エラストマーラテックス、ワックス、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【0010】
本明細書に開示される任意の方法によって製造され得るように、ナノセルロース分散組成物も提供される。ナノセルロース分散組成物(NDC)は、(i)カーボンブラックフィラー、エラストマーラテックス、ワックス、又はそれらの任意の組み合わせを含む凝集防止剤;及び(ii)ナノセルロースを含むことができる。本発明の態様はまた、ポリマー組成物に関するものであり、そのような組成物は、(I)ポリマー;及び(II)本明細書に開示される任意のナノセルロース分散組成物を含むことができる。
【0011】
前述の概要及び以下の詳細な説明は、例を与え、説明てきなものに過ぎない。したがって、前述の概要及び以下の詳細な説明は、限定的に考慮されるべきではない。更に、本明細書に説明されたものに加えて、特徴又は変形が与えられ得る。例えば、特定の態様及び実施形態は、詳細な説明で説明されている種々の特徴の結合及び下位結合に導かれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付の図面は、本明細書の一部に組み込まれ、かつその一部を構成し、いくつかの態様を示しており、説明とともに、本発明の特定の原理を説明するのに役立つ。
【
図1A】
図1Aは、参照カーボンブラックグレード、N234を使用して混合されたモデル乗用車用タイヤトレッドコンパウンドの後方散乱走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図1A及び
図1Bの目盛りは同じである(スケールバー=300μm)。
【
図1B】
図1Bは、参照カーボンブラックグレード、N234を使用して混合されたモデル乗用車用タイヤトレッドコンパウンドの二次走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図1A及び
図1Bの目盛りは同じである(スケールバー=300μm)。
【
図2A】
図2Aは、本開示の様々な態様にしたがって、カーボンブラックの一部が、乾燥リグニン被覆ナノセルロースフィブリル(LCNF)で置き換えられた、例2の化合物分散液の後方散乱SEM画像である。
図2A及び
図2Bの目盛りは同じである(スケールバー=300μm)。
【
図2B】
図2Bは、本開示の様々な態様にしたがって、カーボンブラックの一部が、乾燥リグニン被覆ナノセルロースフィブリル(LCNF)で置き換えられた、例2の化合物分散液の二次SEM画像である。
図2A及び
図2Bの目盛りは同じである(スケールバー=300μm)。
【
図3A】
図3Aは、本開示の様々な態様にしたがって、カーボンブラックの一部が、LCNF、表面修飾されたカーボンブラック(SMCB)、及びTDAE油を含むナノセルロース分散組成物(NDC)の一部としてLCNFで置き換えられた、例3の化合物分散液の後方散乱SEM画像である。
図3A及び
図3Bの目盛りは同じである(スケールバー=300μm)。
【
図3B】
図3Bは、本開示の様々な態様にしたがって、カーボンブラックの一部が、LCNF、表面修飾されたカーボンブラック(SMCB)、及びTDAE油を含むナノセルロース分散組成物(NDC)の一部としてLCNFで置き換えられた、例3の化合物分散液の二次SEM画像である。
図3A及び
図3Bの目盛りは同じである(スケールバー=300μm)。
【
図4A】
図4Aは、本開示の様々な態様の、例4のモデルトラックタイヤトレッドコンパウンド分散の後方散乱SEM画像である。
図4A及び
図4Bの目盛りは同じである(スケールバー=300μm)。
【
図4B】
図4Bは、本開示の様々な態様の、例4のモデルトラックタイヤトレッドコンパウンド分散の二次SEM画像である。
図4A及び
図4Bの目盛りは同じである(スケールバー=300μm)。
【
図5A】
図5Aは、本開示の様々な態様にしたがって、カーボンブラックの一部が、乾燥LCNFで置き換えられた、例5の化合物分散液の後方散乱SEM画像である。
図5A及び
図5Bの目盛りは同じである(スケールバー=300μm)。
【
図5B】
図5Bは、本開示の様々な態様にしたがって、カーボンブラックの一部が、乾燥LCNFで置き換えられた、例5の化合物分散液の二次SEM画像である。
図5A及び
図5Bの目盛りは同じである(スケールバー=300μm)。
【
図6A】
図6Aは、本開示の様々な態様にしたがって、カーボンブラックの一部が、LCNF及び天然ゴムラテックスを含むNDCの一部としてLCNFで置き換えられた、例6の化合物分散液の後方散乱SEM画像である。
図6A及び
図6Bの目盛りは同じである(スケールバー=300μm)。
【
図6B】
図6Bは、本開示の様々な態様にしたがって、カーボンブラックの一部が、LCNF及び天然ゴムラテックスを含むNDCの一部としてLCNFで置き換えられた、例6の化合物分散液の二次SEM画像である。
図6A及び
図6Bの目盛りは同じである(スケールバー=300μm)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の追加の態様は、続く本明細書に部分的に記載されることになり、かつ部分的には、本明細書から明らかになり、又は本発明の実施により習得することができる。本発明の利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘される要素及び組み合わせにより実現及び達成されるであろう。上述の一般的な説明及び次の詳細な説明の双方が、単に例示的かつ説明的なものであり、特許請求の範囲で記述されるように、本発明を制限するものではないことを理解すべきである。
【0014】
本発明は、本発明の以下の詳細な説明及びそこに含まれる例を参照することにより、より容易に理解することができる。
【0015】
本発明の化合物、組成物、物品、システム、デバイス、及び/又は方法は、開示及び記載される前に、特に明記しない限り特定の合成方法に限定されず、又は特に明記しない限り特定の試薬に限定されず、そのようなものであるから、当然変動する可能性があることを理解されるべきである。本明細書で使用される用語は、特定の態様を説明することのみを目的としており、限定することを目的とするものではないことも理解されるべきである。本明細書に記載されたものと類似又は等価の任意の方法及び材料は、本発明の実施又は試験に使用することができるが、例示的かつ代表的な方法及び材料が本明細書に記載されている。
【0016】
本明細書で言及される全ての刊行物は、方法及び/又は材料を開示及び記載するために、参照により本明細書に組み込まれ、これに関連して、刊行物が引用される。
【0017】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0018】
本明細書で利用される試験方法は、当業者によって知られており、理解されている。必要に応じて、特定の試験方法の参照が提供される。例えば、干渉顕微鏡法(IFM)は、ASTM D2663、カーボンブラック-ゴムにおける分散の標準試験方法、方法Dを使用して実行された。
【0019】
本明細書で使用される場合、特に反対の記載がない限り、単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」及び「その「the」」は、複数の選択肢を含む。したがって、例えば、「ポリマー」又は「凝集防止剤」への言及は、特に明記しない限り、それぞれ、2つ以上のポリマー又は凝集防止剤の混合物又は組み合わせを含む。
【0020】
組成物及び方法は、様々な成分又は工程を「含む」という用語で本明細書に記載されているが、特に明記しない限り、これらの組成物及び方法は、様々な成分又は工程「から本質的になる」又は「からなる」こともあり得る。例えば、本発明の態様と一致するナノセルロース分散組成物(NDC)は、(i)凝集防止剤及び(ii)ナノセルロースを含むことができる;あるいは、(i)凝集防止剤及び(ii)ナノセルロースから本質的になることができる;またあるいは(i)凝集防止剤及び(ii)ナノセルロースからなることができる。
【0021】
範囲は、本明細書では、「約」1つの特定値から、かつ/又は「約」別の特定値までとして表すことができる。このような範囲が表される場合、別の態様は、1つの特定値から、かつ/又は他の特定値までを含む。同様に、値が、近似値として表される場合、先行する「約」の使用により、特定値が、別の態様を形成することが理解されるであろう。各範囲の端点が、他の端点に関しても、他の端点と独立しても、重要であることが更に理解されるであろう。本明細書に開示の多数の値があり、かつ各値も、その値に加えて、「約」その特定値として本明細書に開示されることも理解される。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」も開示される。2つの特定の構成部分間の各構成部分も開示されることも理解される。例えば、10及び15が開示される場合、次に、11、12、13、及び、14も開示される。
【0022】
本明細書で使用される場合、「任意の」又は「任意に」という用語は、続いて記載される事象又は状況が、起こる可能性があり、又は起こる可能性がないこと、ならびに、該事象又は状況が起こる事例、及びそれが起こらない事例を、記載が含むことを意味する。
【0023】
本発明の組成物を調製するための方法に使用される構成成分、及び組成物自体が開示される。これら及び他の材料は、本明細書に開示され、これらの材料の組み合わせ、部分集合、相互作用、グループ等が開示されるとき、これらの化合物のそれぞれの種々の個別的及び集合的な組み合わせ及び順列の具体的な言及により、明確に開示することができないが、それぞれは、本明細書で具体的に考察及び記載されると理解される。例えば、特定の化合物が開示及び検討され、かつ化合物を含む多数の分子に対して行うことができる多数の修正が検討される場合、特に反対の指示がない限り、可能な化合物及び修正のそれぞれ及び全ての組み合わせ及び順列が具体的に考察される。従って、分子D、E、及びFのクラスに加えて、分子A、B、及びCのクラスが開示される場合、組み合わせ分子の一例であるA-Dが開示され、次に、それぞれが、個別に列挙されず、それぞれが、組み合わせを意味すると個別的及び集合的に考察される場合であっても、A-E、A-F、B-D、B-E、B-F、C-D、C-E、及びC-Fが開示されると考えられる。同様に、これらの任意の部分集合又は組み合わせも開示される。従って、例えば、A-E、B-F、及びC-Eのサブグループが開示されたと考えられるであろう。この概念は、限定されないが、本発明の組成物を製造及び使用する方法の工程を含む本出願の全ての態様に当てはまる。従って、実行することができる様々な追加の工程がある場合、これらの追加の工程のそれぞれは、本発明の方法の任意の具体的な態様又は態様の組み合わせで実行することができると理解される。
【0024】
上記で簡単に説明したように、本開示は、水系中において、個々のフィブリル又は結晶状態で存在するナノセルロースの凝集防止の方法を提供し、凝集防止剤が、安定したままであり、かつ乾燥時にナノセルロース粒子間に間隔を置いて配置されて、個々のナノセルロースフィブリル又は結晶の互いの結合及びそれの凝集を防止させる。一の態様では、本開示は、ナノセルロースを凝集防止するための方法を提供し、別の態様では、本開示は、様々なポリマー及びエラストマー化合物に適するナノセルロース組成物を提供し、これらのポリマー及びエラストマー化合物におけるナノセルロース分散を改善し、その結果、ナノセルロース添加の完全な利益を実現することができる。例えば、エラストマー材料における改善されたナノセルロース分散の利点は、トレッドコンパウンドと非トレッドコンパウンドの両方について、タイヤコンパウンドの、タイヤの全体的な性能において重要であろうの、より低いヒステリシス又は熱蓄積、より低いコンパウンド重量、及びその他の性能特性を含み得るが、これらに限定されない。
【0025】
本開示のナノセルロースは、結晶形態であろうとフィブリル形態であろうと、そしてそれがすでに何らかの他の方法で処理又は修飾されているかどうかにかかわらず、任意のナノセルロースを含み得ることに留意されたい。ナノセルロースの供給源は、木材パルプ又は他のバイオマス材料から作られているかどうかにかかわらず、及び任意の工業プロセスによって作られているように、任意の適切な供給源であり得る。バイオマス繊維は、セルロースナノ結晶(NC)及びセルロースナノフィブリル(NF)を含む様々な形状及びサイズで工業的に抽出できるセルロース構造のビルディングブロックで構成されている。また、ナノセルロースの特定のサイズ及び形状は、幅及び/又は長さのいずれであっても、ナノスケールからミクロンスケールまでの範囲であり得る。NFは通常、幅5~20nm、長さ500~2000nmの寸法を有し、セルロースのアモルファスドメイン及び結晶ドメインの両方を含む。NCは通常、5~8nmの幅及び100~300の長さを有し、主に結晶性である。これらの範囲及び寸法は典型的であるが、本発明は、粒子形状又は粒子サイズ/寸法に関係なく、全てのNC及びNF材料を包含する。
【0026】
実際的にナノセルロースが用いられる全ての非水系用途に関して、その分散性の改善、及びそれによって得られるこられの応用に対する有用性及び利点は、この技術を実施するための主な障害となっている。したがって、分散を改善し、ナノセルロースをエラストマー化合物等のポリマーに高度に分散させる経済的かつ実用的な方法及び工程を見つけることは重要になっている。後処理技術の代わりに、ナノセルロース乾燥工程自体の中又はその前に凝集防止剤を使用することは、この目的を達成するのに役立つ。
【0027】
ナノセルロース分散の改善に関しては、乾燥後に様々な化学的表面改質アプローチが試みられ、最終的には成功したものもあるが、これらは通常、商業的な量にスケールアップするのが困難な極端な措置を必要とし、不経済であることが判明している。一般的に、これらの方法は、ナノセルロースの凍結乾燥(フリーズドライ)に基づいており、これはナノセルロースの不可逆的な粒子間結合を防ぐために確立された実験的な方法である。凍結乾燥は、ナノセルロースの商業生産にとって経済的でもスケールアップ可能でもない。
【0028】
したがって、より単純でかつより経済的な方法が望まれる。このように、乾燥前又は乾燥中のナノセルロース間の結合を防ぐためにナノセルロースを凝集防止する方法が提供され、結果としてプラスチック及びエラストマー等のポリマーにおけるナノセルロースの分散が改善される。
【0029】
〈ナノセルロース分散組成物〉
ナノセルロースは、例えば、化学的手段、機械的手段、又は化学的手段と機械的手段との組み合わせを使用して、バイオマスをサブミクロンのセルロースナノフィブリル又はナノ結晶に分解することによって製造することができる。例えば、バクテリアナノセルロース及び被嚢類-ナノセルロース等のナノセルロースを提供するための他の方法も利用可能である。通常、ナノセルロースの製造は、2つの主要な段階で行われる。第1の段階は、バイオマス中の例えばリグニン、ヘミセルロース、抽出物、及び無機汚染物質等のほとんどの非セルロース成分を除去するためのバイオマスの精製である。これは通常、従来のパルプ化と漂白によって行われる。セルロースナノフィブリルの製造では、第2の段階では、通常、精製されたバイオマス繊維の機械的な精製が必要である。セルロースナノ結晶の場合、第2の段階では、通常、精製された繊維の酸加水分解と、それに続く高せん断の機械的処理が必要である。用途の広いAVAP(登録商標)プロセス等の新しい製造工程では、SO2及びエタノール(様々な程度)を使用したバイオマスの化学的に分別、そしてその後の機械的な処理によって、セルロースナノ結晶又はセルロースナノフィブリルのいずれかを製造することができる。ナノセルロースの種類に関係なく、最終的な機械的処理段階の後、ナノセルロースは、通常、しきい値(通常は2重量%超の固形分)を超える濃度で安定のゲルとして水溶液に懸濁する。乾燥及び水の除去の際に、ナノセルロース粒子は、通常、不可逆的に結合及び凝集し、したがって、結果としてポリマー系において乏しい分散をもたらす。
【0030】
本明細書に記載されているように、乾燥中にナノセルロースがそれ自体に結合することを低減又は防止するために、凝集防止剤を水性ナノセルロース分散液に添加することができ、これは、ナノセルロースの表面と十分に相互作用し、かつ/又はナノセルロース粒子の間に均一に分布し、ナノセルロース凝集を低減又は防止する。
【0031】
ポリマー中での分散性を改善するために、水系中においてナノセルロースを凝集防止するための第1の方法は、(a)ナノセルロースの水性分散液を凝集防止剤と組み合わせて、混合物を形成すること、及び(b)混合物を乾燥させて、ナノセルロース分散組成物(NDC)を形成することを含むことができる。凝集防止剤を用いて、水系中においてナノセルロースを凝集防止するための第2の方法は、(A)ナノセルロースの水性分散液を凝集防止剤と組み合わせて、混合物を形成すること、及び(B)混合物を乾燥させて、ナノセルロース分散組成物(NDC)を形成することを含むことができる。凝集防止剤は、NDC中で安定であってよく、かつ、ナノセルロース粒子間に間隔を置いて配置されてよく、NDC中のナノセルロース粒子の凝集を低減又は防止させることができる。本明細書に開示された任意の方法によって製造されたセルロース分散組成物もまた、本発明に包含される。ナノセルロース分散組成物(NDC)は、少なくとも、凝集防止剤及びナノセルロースを含むことができ、凝集防止剤は、カーボンブラックフィラー、エラストマーラテックス、若しくはワックス、又はそれらの材料の任意の組み合わせを含むことができる。
【0032】
第1及び第2の方法の工程(a)及び工程(A)において、ナノセルロースの水性分散液は、凝集防止剤と組合せられて、混合物を形成することができる。ナノセルロースの水性分散液は、任意の適切な量のナノセルロースを含むことができるが、一般的に、少なくとも約2重量%の固形分から最大10重量%の固形分である(例えば、約2重量%~約5重量%の固形分)。
【0033】
水性ナノセルロース分散液を凝集防止剤と組合せるために任意の適切な容器及び条件を使用することができ、また、それはバッチ式又は連続的に行うことができる。一例として、ナノセルロース分散液及び凝集防止剤は、大気圧下で、任意に攪拌又は混合して、任意の適切な温度で、通常は約15℃から約60℃までの範囲で、適切な容器(例えば、タンク)内で、組合せることができる。
【0034】
ナノセルロースに対して用いられる凝集防止剤の量は、特に限定されないが、ナノセルロース分散組成物中における凝集防止剤のナノセルロースに対する重量比は、通常、約0.25:1~約25:1の範囲である。いくつかの態様において、凝集防止剤のナノセルロースに対する重量比は、約0.25:1~約25:1、約0.25:1~約15:1、約0.3:1~約10:1、約0.5:1~約25:1、約0.7:1~約15:1、約0.75:1~約15:1、約1:1~約10:1、約1.2:1~約12:1、約1.8:1~約8:1、約1.5:1~約10:1、約4:1~約15:1の範囲、又は、約0.25:1、0.4:1、0.6:1、0.8:1、1:1、1.2:1、1.4:1、1.6:1、1.8:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、21:1、22:1、23:1、24:1、若しくは25:1であることができる。複数の凝集防止剤が使用される場合、凝集防止剤の合計量は、重量比を決定するために用いられる。
【0035】
水性ナノセルロース分散液又はナノセルロース分散組成物(NDC)においても、ナノセルロースの種類は特に限定されない。一の態様では、例えば、ナノセルロースは、ナノセルロース結晶(NC)、ナノセルロースフィブリル(NF)、又はそれらの組み合わせを含むことができる。ナノセルロースは、表面リグニンとして、及び/又はバルク粒子に含まれるリグニンとして、リグニンを更に含み得る。他の態様では、ナノセルロースは、リグニン被覆ナノセルロース結晶(LCNC)、リグニン被覆ナノセルロースフィブリル(LCNF)、又はそれらの組み合わせを含むことができる。一般的に、これらのリグニン被覆材料はより疎水性である。更なる別の態様では、ナノセルロースは、親水性セルロースナノセルロース結晶(CNC)、親水性セルロースナノセルロースフィブリル(CNF)、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0036】
典型的には、適切な凝集防止剤は、ポリマー(例えば、エラストマー、タイヤ配合物)と適合性があり、NDCにおけるナノセルロースの凝集を低減し、ポリマー配合物における凝集を低減する。通常、ナノセルロース分散組成物中の凝集防止剤、又はナノセルロース分散組成物を形成するために使用される凝集防止剤は、カーボンブラックフィラー、エラストマーラテックス、ワックス、又はそれらの任意の組み合わせを含むことができる。任意の適切なゴムラテックスを使用することができ、その例示的な例には、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エマルジョンスチレンブタジエンゴム(ESBR)等が含まれ得るが、これらに限定されない。2以上のゴムラテックス材料の混合物又は組み合わせを使用することができる。
【0037】
ワックス成分には、非分岐アルカンパラフィンワックス、分岐パラフィンワックス及びセレシンワックス(天然鉱物、石油精製又はリグニン精製のいずれか)を含む微結晶ワックス、ポリエチレンワックス、官能化ポリエチレンワックス等、又はそれらの任意の組み合わせを含むが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0038】
本発明のカーボンブラックは、存在する場合、使用されるNDC及び/又はエラストマー材料と共に使用するのに適する任意のカーボンブラックを含むことができる。一の態様では、カーボンブラックは、ファーネスカーボンブラックを含む(又はから本質的になる、又はからなる)ことができる。追加的に又は代替的に、カーボンブラックフィラーは、酸化ファーネスカーボンブラック等の表面修飾されたファーネスカーボンブラックを含む(又はから本質的になる、又はからなる)ことができる。他の態様では、カーボンブラックは、ゴムでの使用、例えば、タイヤでの使用に適するカーボンブラックを含むことができる。別の態様では、カーボンブラックは、タイヤトレッド又はタイヤカーカスでの使用に適するカーボンブラックを含むことができる。種々の態様において、カーボンブラックは、N900シリーズカーボンブラック、N800シリーズカーボンブラック、N700シリーズカーボンブラック、N600シリーズカーボンブラック、N500シリーズカーボンブラック、N400シリーズカーボンブラック、N300シリーズカーボンブラック、N200シリーズカーボンブラック、N100シリーズカーボンブラック、又はそれらの混合物を含むことができる。本発明において有用であり得る例示的なカーボンブラックの様々な物理的特性を以下に列挙する。これらの値及び範囲は、本質的に例示的なものであることが意図されており、本発明は、特定の範囲、値、又は組み合わせに限定されないことを理解されたい。
【0039】
カーボンブラックは、例えば、ASTM方法D6556-14によって決定されるように、約8m2/g~約140m2/g;約20m2/g~約140m2/g;約45m2/g~約140m2/g;約60m2/g~約140m2/g;約90m2/g~約140m2/g;約95m2/g~約135m2/g;約100m2/g~約130m2/g;約105m2/g~約125m2/g;約110m2/g~約125m2/g;約115m2/g~約125m2/g;約110m2/g~約120m2/g;約115m2/g~約120m2/g;約115m2/g~約121m2/g;又は約116m2/g~約120m2/gの窒素表面積を有することができる。別の態様では、カーボンブラックは、約90、92、94、96、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、134、136、138、又は140m2/gの窒素表面積を有することができる。他の態様では、カーボンブラックは、約8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、又は140m2/gの窒素表面積を有することができる。更なる別の態様では、カーボンブラックは、約118m2/gの窒素表面積を有することができる。他の態様では、本発明のカーボンブラックは、本明細書に具体的に列挙される任意の値よりも大きい又は小さい窒素表面積を有することができ、本発明は、任意の特定の窒素表面積値に限定されるものではない。
【0040】
カーボンブラックは、統計的厚さ比表面積法(STSA、ASTM D6556-14)に基づいて、約8m2/g~約125m2/g;約20m2/g~約125m2/g;約45m2/g~約125m2/g;約60m2/g~約125m2/g;約80m2/g~約125m2/g;約85m2/g~約120m2/g;約90m2/g~約115m2/g;約95m2/g~約110m2/g;約95m2/g~約105m2/g;約98m2/g~約104m2/g;又は約99m2/g~約103m2/gの外部表面積を有することができる。別の態様では、カーボンブラックは、約101m2/gの外部表面積を有することができる。別の態様では、カーボンブラックは、約8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、又は125m2/gの外部表面積を有することができる。種々の態様において、カーボンブラックの外部表面積は、ゴムコンパウンドが利用可能な比表面積である。他の態様では、本発明のカーボンブラックは、本明細書に具体的に列挙される任意の値よりも大きい又は小さい外部表面積を有することができ、本発明は、任意の特定の外部表面積値に限定されるものではない。
【0041】
本発明のカーボンブラックは、例えば、試験方法A又は試験方法Bのいずれかを使用するASTM方法D1512-15によって測定される場合、約2.5~約4、約2.8~約3.6;又は約3~約3.4のpHを有することができる。別の態様では本発明のカーボンブラックは、約3.2のpHを有することができる。他の態様では、本発明のカーボンブラックは、本明細書に具体的に列挙される任意の値よりも大きい又は小さいpHを有することができ、本発明は、任意の特定のpH値に限定されるものではない。
【0042】
本発明のカーボンブラックは、例えば、ASTM法D6086-09aで測定される場合に、約55cm3/100g~約67cm3/100g(50GM);約60cm3/100g~約65cm3/100g(50GM);約25cm3/100g~約60cm3/100g;約30cm3/100g~60cm3/100g;約35cm3/100g~60cm3/100g;約40cm3/100g~60cm3/100g;約45cm3/100g~60cm3/100g;約50cm3/100g~約60cm3/100g(75GM);約53cm3/100g~約58cm3/100g(75GM);約45cm3/100g~約55cm3/100g(100GM);又は約47cm3/100g~約53cm3/100g(100GM)の空隙体積を有することができる。別の態様では、カーボンブラックは、約62.2cm3/100gの50GMの空隙体積;約55.3cm3/100gの75GMの空隙体積;及び/又は約50.4cm3/100gの100GMの空隙体積を有することができる。他の態様では、カーボンブラックの空隙体積は、本明細書で具体的に列挙される任意の値よりも大きい又は小さい可能性があり、本発明は、任意の特定の空隙体積に制限されるものではない。
【0043】
本発明のカーボンブラックは、例えば、ASTM法D1509-15で測定される場合に、約2.5重量%~約4.5重量%;約3重量%~約4重量%;又は約3.2重量%~約3.8重量%の水分含有量を有することができる。別の態様では、本発明のカーボンブラックは、約3.5重量%の水分含有量を有することができる。カーボンブラック材料の水分含有量が、例えば、環境及び/又は貯蔵条件に応じて、変動する可能性があり、かつそのようなものであるから、カーボンブラックの所与の試料の特定の水分含有量が、変動する可能性があると理解すべきである。他の態様では、本発明のカーボンブラックは、本明細書で具体的に列挙される任意の値よりも大きい又は小さい水分含有量を有することができ、本発明は、任意の特定の水分含有量値に制限されるものではない。
【0044】
一の態様において、本発明のカーボンブラックは、酸化ファーネスカーボンブラック等の酸化カーボンブラックである。カーボンブラックを酸化するための種々の方法、例えば、オゾン処理が存在し、カーボンブラックを酸化するための特定の方法は変動する可能性があり、ただし、酸素を含有する所望の複数の官能基が、カーボンブラックの表面に存在する。酸化カーボンブラックの表面に存在し得る典型的な酸素含有官能基には、例えば、カルボキシル、ヒドロキシル、フェノール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、キノン、及びヒドロキノン基が含まれ得る。種々の態様において、酸化カーボンブラックの表面に存在する官能基の量及び類型は、酸化処理の強度及びタイプに応じて変化し得る。一の態様において、カーボンブラックは、オゾン処理によって酸化されている。
【0045】
本発明のカーボンブラックは、約0.5重量%~約6.5重量%;約1重量%~約6.5重量%;約1.5重量%~約6.5重量%;約2重量%~約6.5重量%;約2.5重量%~約6.5重量%;約3重量%~約6.5重量%;約3.5重量%~約6.5重量%;約4重量%~約6.5重量%;約4.5重量%~約6.5重量%;約5重量%~約6重量%;又は約5.2重量%~約5.8重量%の揮発性物質含有量を有することができる。別の態様では、本発明のカーボンブラックは、少なくとも約4.5重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約5.5重量%、又はそれよりも多い揮発性物質含有量を有することができる。別の態様では、本発明のカーボンブラックは、約5.5重量%の揮発性物質含有量を有することができる。更に他の態様では、カーボンブラックの揮発性物質含有量は、本明細書で具体的に列挙される任意の値よりも大きい又は小さい可能性があり、本発明は、任意の特定の揮発性物質含有量値に制限されるものではない。
【0046】
本発明のカーボンブラックは、約0.25重量%~約5.5重量%;約0.5重量%~約5.5重量%;約1重量%~約5.5重量%;約1.5重量%~約5.5重量%;約2重量%~約5.5重量%;約2.5重量%~約5.5重量%;約3重量%~約5重量%;約3.5重量%~約4.5重量%;又は約3.7重量%~約4.3重量%の酸素含有量を有することができる。別の態様では、本発明のカーボンブラックは、少なくとも約3.5重量%、少なくとも約4重量%、又はそれよりも多い酸素含有量を有することができる。別の態様では、本発明のカーボンブラックは、約4重量%の酸素含有量を有することができる。更に他の態様では、カーボンブラックの酸素含有量は、本明細書で具体的に列挙される任意の値よりも大きい又は小さい可能性があり、本発明は、任意の特定の酸素含有量値に制限されるものではない。
【0047】
任意選択的に、炭化水素油は、凝集防止剤と一緒に使用されることができる。例えば、工程(a)又は工程(A)において、ナノセルロースの水性分散液は、凝集防止剤及び炭化水素油と組み合されて、混合物を形成することができる。炭化水素油は、一の態様において、脂肪族炭化水素を含むことができるが、別の態様において、炭化水素油は、芳香族炭化水素を含むことができる。しかし、別の態様において、炭化水素油は、脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素との混合物又は組み合わせを含むことができる。任意の適切な脂肪族及び/又は芳香族炭化水素を使用することができるが、炭化水素は、水性ナノセルロース分散液と凝集防止剤とが組み合わされる条件で液相にあることが有益である。凝集防止剤として使用できる適切な炭化水素油の例示的かつ非限定的な例は、処理された留出芳香族抽出物(TDAE)油である。
【0048】
任意選択的に、水性セルロース分散液、凝集防止剤、及び任意の炭化水素油を、高せん断下で混合して、個々の成分の均一な分布を確実にすることができる。高せん断混合技術は、均質化、シグマブレード混合、ローター-ステーター混合、及び静的インライン混合を含むが、これらに限定されない。
【0049】
第1及び第2の方法の工程(b)及び工程(B)において、混合物を乾燥させて、ナノセルロース分散組成物(NDC)を形成することができる。任意の適切な装置及び乾燥技術を使用することができる。一の態様において、水性混合物は、水を除去するために適切な乾燥工程にさらされ得る。乾燥技術は、蒸発、噴霧乾燥、凍結乾燥、スピンフラッシュ乾燥、高せん断混合、乾燥、及びドラム乾燥を含むことができるが、これらに限定されない。得られたナノセルロース分散組成物は、凝集防止剤及びナノセルロースを含有しており、一般的に1.5重量%未満の水/水分を含む。乾燥工程中及び乾燥状態において、1以上のカップリング化学物質を任意選択でNDC組成物に導入することができ、例えば、ナノセルロースの表面を修飾し、NDCを使用して調製されたゴムコンパウンドの加硫中にセルロース表面をゴムマトリックスとその後のカップリングが可能にする。
【0050】
カップリング剤は、当業者に周知であり、種々の態様において、メルカプト、アルコキシ、ビニル、アミノ、及びメタクリロキシ化学に基づく単官能性及び/又は二官能性シランを含むことができ、例えば、3,3’-ビス-(トリエトキシシリルプロピル)-テトラスルファイド等の一般的な二官能性硫黄含有カップリングシランを含む。
【0051】
有益的に、(i)凝集防止剤及び(ii)ナノセルロースを含むことができるナノセルロース分散組成物(NDC)は、ポリマー組成物において、凝集防止剤を含まないナノセルロースに対して優れたナノセルロース分散性を有し、干渉顕微鏡法(IFM)によって促成される場合、典型的には25%以上、又は50%以上である。例えば、IFMを介した(面積に基づいた)非分散材料の量は、凝集防止剤を含まないナノセルロースについては12%であった場合、25%の改善は、9%の非分散材料の面積分率になり、そして50%の改善は、6%の非分散材料の面積分率になる。
【0052】
〈ポリマー組成物〉
本発明は、いくつかの変形例では、本明細書に開示されたナノセルロース分散組成物(並びに、とりわけ、凝集防止剤及びナノセルロースの相対量、凝集防止剤の類型、及びナノセルロースの類型等のそれらのそれぞれの性質又は特徴)のいずれかを含む任意の組成物、配合物、及び製品にも関し、及びこれらを包含する。本発明の特定の態様では、ポリマー組成物が開示され、この態様では、ポリマー組成物は、任意の適切なポリマー(1つ又は1つ以上)及び任意の本明細書に開示されたナノセルロース分散組成物を含むことができる。
【0053】
ポリマー組成物に使用されるナノセルロース分散組成物の量は特に限定されないが、ポリマーのナノセルロース組成物に対する重量比(ポリマー:NDC)は、通常、約100:1~約1:1、約80:1,~約10:1、約75:1~約2:1、約60:1~約5:1、約50:1~約1:1、約40:1~約4:1、約75:1~約25:1、約90:1~約15:1、又は約100:1、98:1、96:1、94:1、92:1、90:1、85:1、80:1、75:1、70:1、65:1、60:1、55:1、50:1、45:1、40:1、35:1、30:1、25:1、20:1、15:1、10:1、8:1、6:1、4:1、2:1、若しくは1:1の範囲である。いくつかの態様では、ポリマー:NDCの重量比は、約75:1~約1.5:1、又は約50:1~約2:1の範囲内に収まることができる。
【0054】
一つ態様では、ポリマー組成物中のポリマーは、熱可塑性ポリマーを含むことができ、一方、別の態様では、ポリマーは、熱硬化性ポリマーを含むことができる。別の態様では、ポリマーは、単独で又は任意の組み合わせで、エポキシ、アクリル、エステル、ウレタン、シリコーン、及び/又はフェノール類を含むことができる。更に別の態様では、ポリマーは、単独で又は任意の組み合わせで、ポリエチレン(例えば、エチレンホモポリマー又はエチレンベースのコポリマー)、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、エチレンビニルアセテート(EVA)コポリマー、及び/又はポリオレフィン-スチレン(例えば、エチレン-スチレン)を含むことができる。
【0055】
別の態様では、配合物/組成物に使用されるポリマーは、任意の適切なゴム又はエラストマーを、単独で又は任意の組み合わせで含むことができ、非限定的な例には、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、合成シス-ポリイソプレン(IR)、エマルジョンスチレンブタジエンゴム(eSBR)、溶液スチレンブタジエンゴム(sSBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR/CIIR/BIIR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルエラストマー(NBR)、水素化ニトリルエラストマー(HNBR)、カルボキシル化ニトリルエラストマー(XNBR)、エチレンプロピレンゴム(EPM/EPDM)、フッ素エラストマー(FPM/FKM)、ポリウレタンゴム(AU/EU/PU)等、及びそれらの任意の組み合わせを含むことができる。
【実施例】
【0056】
本発明は、以下の例によって更に説明され、これらは、本発明の範囲に制限を課すものとして決して解釈されるべきではない。本明細書の説明を読み取った後に、本発明の精神又は添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者におのずから暗示し得る、種々の態様、実施形態、変形例、それらの均等物を用いればよいことを明確に理解するべきである。
【0057】
更に、これらの例は、ポリマー配合物で使用するためのナノセルロース分散組成物を調製するために使用できる利用可能な凝集防止剤又は利用可能なナノセルロース材料の領域又は範囲を決して制限するものではなく、凝集防止剤とナノセルロースを組み合わせて分散性の高いNDCにするというコンセプトを実証する目的でのみ例として記載されている。
【0058】
これらの例におけるナノセルロース結晶又はナノセルロースフィブリルは、上記のAVAP(登録商標)プロセス、及びフィブリル又は結晶の表面にリグニンを堆積させてそれらをより疎水性にし、ポリマー及びエラストマーとより適合性にする独自の方法を使用して製造された。
【0059】
例1では、モデル乗用車用タイヤトレッドコンパウンドは、参照カーボンブラックグレード、N234を使用して混合された。このコンパウンドは、典型的なカーボンブラックの分散レベルを示すための参照として含まれている。N234は、このコンパウンドのフィラーの100%を含み、これは、コンパウンド配合物における75phrに相当する。代表的なコンパウンド配合物の詳細な説明(phrの値)と標準的な混合手順を表1~2に纏めている。
図1A及びBのSEM画像に示されるように、N234カーボンブラックは、優れた分散性を示していた。
図1Aは、かみそりでカットされたコンパウンド表面の後方散乱電子画像であり、
図1Bは、同じ領域の二次電子画像である。干渉顕微鏡法(IFM)によって定量された分散は、概して98~100%分散の範囲であり、0.8%の非分散のカーボンブラックの面積分率を有した。
【0060】
例2は、例1と同じ混合手順を用いて製造された;但し、N234のごく一部(6.7重量%)は、乾燥したリグニン被覆ナノセルロースフィブリル(LCNF)で置き換えられた。LCNFは、フィラーの総充填量の6.7重量%を占め、これは、コンパウンド配合物の5phrに相当する。残りのフィラー充填量は、N234(93.3重量%)で構成されており、これは、コンパウンド配合物の70phrに相当する。
図2A及びBは、後方散乱(
図2A)及び二次(
図2B)SEM画像によるコンパウンド断面全体にわかるナノセルロースフィブリルの大きな凝集体によって証明されたように、ナノセルロースの分散が非常に悪かったことを示した。干渉顕微鏡法(IFM)によって定量化されるように、非分散材料の面積分率は9.11%であった。
【0061】
例3は、例2と同じ手順を使用して製造された。例2のように乾燥した独立型のLCNFを加える代わりに、例3は、NDCを用いており、このNDCは、凝集防止剤として、表面修飾されたカーボンブラック(SMCB、N234)で処理されたLCNF、及びTDAE油と天然ゴムラテックスを含んだ。LCNF:SMCB:TDAE油:NRラテックスの重量比は、1:1:1:1であった。NDCは、ナノセルロースの水性分散液をSMCB、TDAE油、及びNRラテックスと混合した後、高せん断均質化し、水が1.5重量%未満になるように乾燥させることによって調製された。NDCの総含有量は20phrであり、最終コンパウンドに添加されたLCNFは、フィラーの総充填量の6.7重量%であり、これは、コンパウンド配合物における5phrに相当する。
【0062】
図3A及びBは、ゴムコンパウンドミキサーにLCNF/SMCB/TDAE/NR NDCを添加した場合に得られたナノセルロース分散液を示す。
図3Aは、かみそりでカットされたコンパウンド表面の後方散乱電子画像であり、
図3Bは、同じ領域の二次電子画像である。非分散材料の面積分率が2.78%であり(IFMで定量化)、断面に存在するナノセルロースの凝集体がより小さくかつより少なくなり、例2(
図2A及び2B)よりも大幅に改善されている。分散性は、例1(
図1A及び1B)のN234カーボンブラックの分散性により類似しており、わずかな非分散領域を有する。
【0063】
例4では、モデルトラックタイヤトレッドコンパウンドは、参照カーボンブラックグレード、N234を使用して混合された。このコンパウンドは、典型的なカーボンブラックの分散レベルを示すための参照として含まれている。N234は、このコンパウンドのフィラーの100%を含み、これは、コンパウンド配合物における50phrに相当する。代表的なコンパウンド配合物の詳細な説明(phrの値)と標準的な混合手順を表1及び3に纏めている。
図4A及びBのSEM画像に示されるように、N234カーボンブラックは、優れた分散性を示していた。
図4Aは、かみそりでカットされたコンパウンド表面の後方散乱電子画像であり、
図4Bは、同じ領域の二次電子画像である。干渉顕微鏡法(IFM)によって定量された分散は、概して98~100%分散の範囲であり、0.15%の非分散のカーボンブラックの面積分率を有した。
【0064】
例5は、例4と同じ混合手順を用いて製造された;但し、N234のごく一部(10重量%)は、乾燥したリグニン被覆ナノセルロースフィブリル(LCNF)で置き換えられた。LCNFは、フィラーの総充填量の10重量%を占め、これは、コンパウンド配合物の5phrに相当する。残りのフィラー充填量は、N234(90重量%)で構成されており、これは、コンパウンド配合物の45phrに相当する。
図5A及びBは、後方散乱(
図5A)及び二次(
図5B)SEM画像によるコンパウンド断面全体にわかるナノセルロースフィブリルの大きな凝集体によって証明されたように、ナノセルロースの分散が非常に悪かったことを示した。干渉顕微鏡法(IFM)によって定量化されるように、非分散材料の面積分率は11.52%であった。
【0065】
例6は、例1と同じ混合手順を使用して製造された。例5のように乾燥した独立型LCNFを加える代わりに、例6は例3と同一のNDCを使用した。この特定の例では、NRラテックスは、NDCに使用されて、これは、トラックのトレッドレシピで一般的な材料であるためである;しかし、他のラテックスエラストマー材料を使用することも可能である。LCNF:SMCB:TDAE油:NRラテックスの重量比は、1:1:1:1であった。NDCは、例3と同様の方法で調製された。NDCの総含有量は20phrであり、最終コンパウンドに添加されたLCNFは、フィラーの総充填量の10重量%であり、これは、コンパウンド配合物における5phrに相当する。
図6A及びBは、ゴムコンパウンドにLCNF/SMCB/TDAE/NR NDCを添加した場合に得られたナノセルロース分散液を示す。
図3Aは、かみそりでカットされたコンパウンド表面の後方散乱電子画像であり、
図3Bは、同じ領域の二次電子画像である。非分散材料の面積分率は、IFMで定量化によれば、2.44%であり、例5よりも大幅に改善されている。SEM断面におけるいくつかの非分散領域は、
図5A/5Bのものよりも著しく小さいことに留意されたい。このコンパウンドにおけるナノセルロースの測定された分散レベルは、例4と類似している。
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
本発明は、多くの態様及び特定の例を参照して上記で説明されている。上記の詳細な説明に照らして、多くの変形が当業者にそれら自身を示唆するであろう。そのような明らかな変形はすべて、添付の特許請求の範囲内にある。本発明の他の態様は、以下を含むことができるが、これらに限定されない(態様は、「含む」と記載されるが、あるいは、「本質的になる」又は「からなる」ことができる)。
【0070】
態様1.以下を含むポリマー組成物:
(I)ポリマー;
(II)以下を含むナノセルロース分散組成物(NDC):
(i)カーボンブラックフィラー、エラストマーラテックス、ワックス、又はそれらの任意の組み合わせを含む凝集防止剤;及び
(ii)ナノセルロース;並びに
(III)カーボンブラック添加剤。
【0071】
態様2.前記ポリマーの前記ナノセルロース分散組成物に対する重量比(ポリマー:NDC)が、約100:1~約1:1の範囲である、態様1に記載のポリマー組成物。
【0072】
態様3.前記ポリマーの前記ナノセルロース分散組成物に対する重量比(ポリマー:NDC)が、約50:1~約2:1の範囲である、態様1に記載のポリマー組成物。
【0073】
態様4.前記ポリマーが、熱可塑性樹脂を含む、態様1~3のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【0074】
態様5.前記ポリマーが、エラストマーを含む、態様1~3のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【0075】
態様6.前記ポリマーが、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、合成シス-ポリイソプレン(IR)、エマルジョンスチレンブタジエンゴム(eSBR)、溶液スチレンブタジエンゴム(sSBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR/CIIR/BIIR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルエラストマー(NBR)、水素化ニトリルエラストマー(HNBR)、カルボキシル化ニトリルエラストマー(XNBR)、エチレンプロピレンゴム(EPM/EPDM)、フッ素エラストマー(FPM/FKM)、ポリウレタンゴム(AU/EU/PU)等、又はそれらの任意の組み合わせを含む、態様1~3のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【0076】
態様7.前記凝集防止剤は、前記ポリマーと適合性があり、ナノセルロースの凝集を低減する、態様1~6のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【0077】
態様8.前記ナノセルロース分散組成物が、前記凝集防止剤を含まないナノセルロースの分散性よりも、前記ポリマー組成物中においてより大きなナノセルロース分散性を有する、態様1~7のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【0078】
態様9.前記ナノセルロースが、ナノセルロース結晶(NC)、ナノセルロースフィブリル(NF)、又はそれらの組み合わせを含む、態様1~8のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【0079】
態様10.前記ナノセルロースが、リグニン被覆ナノセルロース結晶(LCNC)、リグニン被覆ナノセルロースフィブリル(LCNF)、又はそれらの組み合わせを含む、態様1~9のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【0080】
態様11.前記ナノセルロースが、親水性セルロースナノセルロース結晶(CNC)、親水性セルロースナノセルロースフィブリル(CNF)、又はそれらの組み合わせを含む、態様1~10のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【0081】
態様12.前記ナノセルロース分散組成物(NDC)が、炭化水素油を更に含む、態様1~11のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【0082】
態様13.前記炭化水素油が、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、又はそれらの組み合わせを含む、態様12に記載のポリマー組成物。
【0083】
態様14.前記炭化水素油が、処理された留出芳香族抽出物(TDAE)油を含む、態様12に記載のポリマー組成物。
【0084】
態様15.前記エラストマーラテックスが、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エマルジョンスチレン-ブタジエンゴム(ESBR)、又はそれらの任意の組み合わせを含む、態様1~14のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【0085】
態様16.前記ワックスが、非分岐アルカンパラフィンワックス;天然鉱物、石油精製、若しくはリグニン精製の分岐パラフィンワックス又はセレシンワックス;ポリエチレンワックス;官能化されたポリエチレンワックス;又はそれらの任意の組み合わせを含む、態様1~15のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【0086】
態様17.前記カーボンブラックフィラー及び前記カーボンブラック添加剤が、それぞれ独立して、ファーネスカーボンブラック及び/又は表面修飾されたファーネスカーボンブラックを含む、態様1~16のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【0087】
態様18.前記カーボンブラックフィラー及び前記カーボンブラック添加剤が、それぞれ独立して、以下によって特徴付けられる、態様1~17のいずれか一項に記載のポリマー組成物:
約90m2/g~約140m2/gの窒素表面積;
約80m2/g~約125m2/gの外部表面積;
約2.5~約4のpH;
約55cm3/100g~約67cm3/100gの50GM空隙体積;
約50cm3/100g~約60cm3/100gの75GM空隙体積;
約45cm3/100g~約55cm3/100gの100GM空隙体積;
約2.5重量%~約4.5重量%の水分含有量;
約4.5重量%~約6.5重量%の揮発性物質含有量;
約2.5重量%~約5.5重量%の酸素含有量;又は
それらの任意の組み合わせ。
【0088】
態様19.前記凝集防止剤が、前記カーボンブラックフィラー、前記エラストマーラテックス、又は前記ワックスを含む、態様1~18のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【0089】
態様20.前記凝集防止剤が、前記カーボンブラックフィラー、前記エラストマーラテックス、及び前記ワックスのうちの少なくとも2つを含む、態様1~18のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【0090】
態様21.前記凝集防止剤の前記ナノセルロースに対する重量比が、約0.5:1~約25:1の範囲である、態様1~20のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【0091】
態様22.前記凝集防止剤の前記ナノセルロースに対する重量比が、約1:1~約10:1の範囲である、態様1~21のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【0092】
態様23.前記ナノセルロース分散組成物(NDC)は、以下を含む方法によって製造される、態様1~22のいずれか一項に記載のポリマー組成物:
(a)前記ナノセルロースの水性分散液を前記凝集防止剤と組み合わせて、混合物を形成すること;及び
(b)前記混合物を乾燥させて、前記ナノセルロース分散組成物(NDC)を形成すること。
【0093】
態様24.前記ナノセルロース分散組成物(NDC)は、以下を含む方法によって製造される、態様1~22のいずれか一項に記載のポリマー組成物:
(A)前記ナノセルロースの水性分散液を前記凝集防止剤と組み合わせて、混合物を形成すること;及び
(B)前記混合物を乾燥させて、前記ナノセルロース分散組成物(NDC)を形成すること;
ここで、前記凝集防止剤が、前記NDC中で安定であり、かつ、ナノセルロース粒子間に間隔を置いて配置されて、前記NDC中の前記ナノセルロース粒子の凝集を低減又は防止させる。
【0094】
態様25.ポリマー中での分散性を改善するために、水系中においてナノセルロースを凝集防止するための方法であって、前記方法が、以下を含む:
(a)前記ナノセルロースの水性分散液を凝集防止剤と組み合わせて、混合物を形成すること、ここで、前記凝集防止剤が、カーボンブラックフィラーを含む;及び
(b)前記混合物を乾燥させて、ナノセルロース分散組成物(NDC)を形成すること。
【0095】
態様26.凝集防止剤を用いて、水系中においてナノセルロースを凝集防止するための方法であって、前記方法が、以下を含む:
(A)前記ナノセルロースの水性分散液を前記凝集防止剤と組み合わせて、混合物を形成すること、ここで、前記凝集防止剤が、カーボンブラックフィラーを含む;及び
(B)前記混合物を乾燥させて、ナノセルロース分散組成物(NDC)を形成すること;
ここで、前記凝集防止剤が、前記NDC中で安定であり、かつ、ナノセルロース粒子間に間隔を置いて配置されて、前記NDC中の前記ナノセルロース粒子の凝集を低減又は防止させる。
【0096】
態様27.前記凝集防止剤の前記ナノセルロースに対する重量比が、約0.5:1~約25:1の範囲である、態様25又は26に記載の方法。
【0097】
態様28.前記凝集防止剤の前記ナノセルロースに対する重量比が、約1:1~約10:1の範囲である、態様25又は26に記載の方法。
【0098】
態様29.前記ナノセルロースが、ナノセルロース結晶(NC)、ナノセルロースフィブリル(NF)、又はそれらの組み合わせを含む、態様25~28のいずれか一項に記載の方法。
【0099】
態様30.前記ナノセルロースが、リグニン被覆ナノセルロース結晶(LCNC)、リグニン被覆ナノセルロースフィブリル(LCNF)、又はそれらの組み合わせを含む、態様25~29のいずれか一項に記載の方法。
【0100】
態様31.前記ナノセルロースが、親水性セルロースナノセルロース結晶(CNC)、親水性セルロースナノセルロースフィブリル(CNF)、又はそれらの組み合わせを含む、態様25~30のいずれか一項に記載の方法。
【0101】
態様32.前記凝集防止剤が、エラストマーラテックス、ワックス、又はそれらの組み合わせを更に含む、態様25~31のいずれか一項に記載の方法。
【0102】
態様33.前記ナノセルロースの水性分散液を、前記凝集防止剤及び炭化水素油と組合せる、態様25~32のいずれか一項に記載の方法。
【0103】
態様34.前記炭化水素油が、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、又はそれらの組み合わせを含む、態様33に記載の方法。
【0104】
態様35.前記炭化水素油が、処理された留出芳香族抽出物(TDAE)油を含む、態様33に記載の方法。
【0105】
態様36.前記エラストマーラテックスが、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エマルジョンスチレン-ブタジエンゴム(ESBR)、又はそれらの任意の組み合わせを含む、態様32~35のいずれか一項に記載の方法。
【0106】
態様37.前記ワックスが、非分岐アルカンパラフィンワックス;天然鉱物、石油精製、若しくはリグニン精製の分岐パラフィンワックス又はセレシンワックス;ポリエチレンワックス;官能化されたポリエチレンワックス;又はそれらの任意の組み合わせを含む、態様32~36のいずれか一項に記載の方法。
【0107】
態様38.前記カーボンブラックフィラーが、ファーネスカーボンブラック及び/又は表面修飾されたファーネスカーボンブラックを含む、態様25~37のいずれか一項に記載の方法。
【0108】
態様39.前記カーボンブラックフィラーが、以下によって特徴付けられる、態様25~38のいずれか一項に記載の方法:
約90m2/g~約140m2/gの窒素表面積;
約80m2/g~約125m2/gの外部表面積;
約2.5~約4のpH;
約55cm3/100g~約67cm3/100gの50GM空隙体積;
約50cm3/100g~約60cm3/100gの75GM空隙体積;
約45cm3/100g~約55cm3/100gの100GM空隙体積;
約2.5重量%~約4.5重量%の水分含有量;
約4.5重量%~約6.5重量%の揮発性物質含有量;
約2.5重量%~約5.5重量%の酸素含有量;又は
それらの任意の組み合わせ。
【0109】
態様40.態様25~38のいずれか一項に記載の方法によって製造される、ナノセルロース分散組成物(NDC)。
【0110】
態様41.下記を含む、ナノセルロース分散組成物(NDC):
(i)カーボンブラックフィラーを含む凝集防止剤;及び
(ii)ナノセルロース。
【0111】
態様42.前記凝集防止剤は、ポリマーと適合性があり、ナノセルロースの凝集を低減する、態様40又は41に記載の組成物。
【0112】
態様43.前記ナノセルロース分散組成物が、前記凝集防止剤を含まないナノセルロースの分散性よりも、ポリマー配合物中においてより大きなナノセルロース分散性を有する、態様40~42のいずれか一項に記載の組成物。
【0113】
態様44.前記ナノセルロースが、ナノセルロース結晶(NC)、ナノセルロースフィブリル(NF)、又はそれらの組み合わせを含む、態様40~43のいずれか一項に記載の組成物。
【0114】
態様45.前記ナノセルロースが、リグニン被覆ナノセルロース結晶(LCNC)、リグニン被覆ナノセルロースフィブリル(LCNF)、又はそれらの組み合わせを含む、態様40~44のいずれか一項に記載の組成物。
【0115】
態様46.前記ナノセルロースが、親水性セルロースナノセルロース結晶(CNC)、親水性セルロースナノセルロースフィブリル(CNF)、又はそれらの組み合わせを含む、態様40~45のいずれか一項に記載の組成物。
【0116】
態様47.前記凝集防止剤が、エラストマーラテックス、ワックス、又はそれらの組み合わせを更に含む、態様40~46のいずれか一項に記載の組成物。
【0117】
態様48.前記ナノセルロース分散組成物(NDC)が、炭化水素油を更に含む、態様40~47のいずれか一項に記載の組成物。
【0118】
態様49.前記炭化水素油が、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、又はそれらの組み合わせを含む、態様48に記載の組成物。
【0119】
態様50.前記炭化水素油が、処理された留出芳香族抽出物(TDAE)油を含む、態様48に記載の組成物。
【0120】
態様51.前記エラストマーラテックスが、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エマルジョンスチレン-ブタジエンゴム(ESBR)、又はそれらの任意の組み合わせを含む、態様47~50のいずれか一項に記載の組成物。
【0121】
態様52.前記ワックスが、非分岐アルカンパラフィンワックス;天然鉱物、石油精製、若しくはリグニン精製の分岐パラフィンワックス又はセレシンワックス;ポリエチレンワックス;官能化されたポリエチレンワックス;又はそれらの任意の組み合わせを含む、態様47~51のいずれか一項に記載の組成物。
【0122】
態様53.前記カーボンブラックフィラーが、ファーネスカーボンブラック及び/又は表面修飾されたファーネスカーボンブラックを含む、態様40~52のいずれか一項に記載の組成物。
【0123】
態様54.前記カーボンブラックフィラーが、以下によって特徴付けられる、態様40~53のいずれか一項に記載の組成物:
約90m2/g~約140m2/gの窒素表面積;
約80m2/g~約125m2/gの外部表面積;
約2.5~約4のpH;
約55cm3/100g~約67cm3/100gの50GM空隙体積;
約50cm3/100g~約60cm3/100gの75GM空隙体積;
約45cm3/100g~約55cm3/100gの100GM空隙体積;
約2.5重量%~約4.5重量%の水分含有量;
約4.5重量%~約6.5重量%の揮発性物質含有量;
約2.5重量%~約5.5重量%の酸素含有量;又は
それらの任意の組み合わせ。
【0124】
態様55.前記凝集防止剤の前記ナノセルロースに対する重量比が、約0.5:1~約25:1の範囲である、態様40~54のいずれか一項に記載の組成物。
【0125】
態様56.前記凝集防止剤の前記ナノセルロースに対する重量比が、約1:1~約10:1の範囲である、態様40~55のいずれか一項に記載の組成物。
【0126】
態様57.下記を含む、ポリマー組成物:
(I)ポリマー;及び
(II)態様40~56のいずれか一項に記載のナノセルロース分散組成物(NDC)。
【0127】
態様58.前記ポリマーの前記ナノセルロース分散組成物に対する重量比(ポリマー:NDC)が、約100:1~約1:1の範囲である、態様57に記載のポリマー組成物。
【0128】
態様59.前記ポリマーの前記ナノセルロース分散組成物に対する重量比(ポリマー:NDC)が、約50:1~約2:1の範囲である、態様57に記載のポリマー組成物。
【0129】
態様60.前記ポリマーが、熱可塑性樹脂を含む、態様57~59のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【0130】
態様61.前記ポリマーが、エラストマーを含む、態様57~59のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【0131】
態様62.前記ポリマーが、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、合成シス-ポリイソプレン(IR)、エマルジョンスチレンブタジエンゴム(eSBR)、溶液スチレンブタジエンゴム(sSBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR/CIIR/BIIR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルエラストマー(NBR)、水素化ニトリルエラストマー(HNBR)、カルボキシル化ニトリルエラストマー(XNBR)、エチレンプロピレンゴム(EPM/EPDM)、フッ素エラストマー(FPM/FKM)、ポリウレタンゴム(AU/EU/PU)等、又はそれらの任意の組み合わせを含む、態様57~59のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【0132】
態様63.前記ポリマー組成物が、カーボンブラック添加剤を更に含む、態様57~62のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【0133】
態様64.前記ポリマー組成物、及び/又は前記NDC、及び/又は前記凝集防止剤が、カーボンブラック材料(例えば、カーボンブラック添加剤又はカーボンブラックフィラー)を含まない、上述した態様のいずれか一項に記載の組成物又は方法。
【国際調査報告】