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特表2022-508951太陽光の健康関連UV曝露量を正確に測定する方法、システム、及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】太陽光の健康関連UV曝露量を正確に測定する方法、システム、及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/02 20060101AFI20220112BHJP
   G01J 1/04 20060101ALI20220112BHJP
   G01W 1/12 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
G01J1/02 G
G01J1/02 U
G01J1/04 B
G01W1/12 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547052
(86)(22)【出願日】2019-10-21
(85)【翻訳文提出日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 US2019057267
(87)【国際公開番号】W WO2020082084
(87)【国際公開日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】62/748,233
(32)【優先日】2018-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521164636
【氏名又は名称】ユーブイ ラブス,インク.
【氏名又は名称原語表記】YOUV LABS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】デュモント,エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】カプラン,ピーター
【テーマコード(参考)】
2G065
【Fターム(参考)】
2G065AA15
2G065AB05
2G065BA02
2G065BA09
2G065BB25
2G065BB27
2G065BC33
2G065BC35
(57)【要約】
紅斑重み付けUV曝露量を推定する方法であり、これは、メモリに記憶される、コンピュータで実行可能な方法であり、この方法は、305~315nmにおいてスペクトル感度を有する、入射光に敏感なセンサから、測定された放射照度を表す情報を入力として受け取るステップと、その入力情報を使用して紅斑重み付けUV曝露量(例えば、UVインデックス)を推定するステップと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射UV光に敏感なセンサと、
フィルタリングされない太陽光を含む第1の環境(E1)、並びに透過中心波長がそれぞれ300nm、310nm、及び320nmである第1、第2、及び第3のノッチフィルタのいずれかを含む第2の環境(E2)と、
を含み、
前記センサがE1、並びに前記3つのフィルタのそれぞれを有するE2に曝露される場合、前記センサの感度(S)が、E1と、前記3つのノッチフィルタのそれぞれを有するE2との間の、前記センサの出力のパーセント変化率として特徴付けられ、従って、前記センサはS300、S310、及びS320を有し、
前記センサの相対「R310マイナス」感度がS310/S300によって特徴付けられ、前記センサの相対「R310プラス」感度がS310/S320によって特徴付けられ、
R310マイナス及びR310プラスの少なくとも一方が15を上回る、
UV検出器。
【請求項2】
前記センサは、半導体の上に狭帯域フィルタが置かれている、請求項1に記載の検出器。
【請求項3】
前記センサは、波長が305~315nmである光に対して、波長が305~315nmの外にある光に対してよりも敏感である、請求項1に記載の検出器。
【請求項4】
前記センサは、半導体及び光学部を含み、前記半導体と前記光学部の組み合わせが、前記センサを、波長が305~315nmである光に対して、波長が305~315nmの外にある光に対してよりも敏感にする、請求項1に記載の検出器。
【請求項5】
前記センサは、309~312nmの波長のうちの少なくともいずれかの波長に対して敏感な半導体を含む、請求項1に記載の検出器。
【請求項6】
前記センサは、波長が308~312nmである光に対して、波長が308~312nmの外にある光に対してよりも敏感である、請求項1に記載の検出器。
【請求項7】
前記センサの出力を検出するように適合されたセンサ出力検出器を更に含む、請求項1に記載の検出器。
【請求項8】
前記センサが内蔵及び固定されたパーソナルデバイス(例えば、スマートフォン)を更に含む、請求項1に記載の検出器。
【請求項9】
前記パーソナルデバイスはディスプレイを有する、請求項8に記載の検出器。
【請求項10】
紅斑重み付けUV曝露量を推定する、コンピュータで実行可能な方法であって、コンピュータで実行可能な前記方法はメモリに記憶され、
305~315nmにおいてスペクトル感度を有する、入射光に敏感なセンサから、測定された放射照度を表す情報を入力として受け取るステップと、
前記入力情報を使用して紅斑重み付けUV曝露量を推定するステップと、
を含む方法。
【請求項11】
前記情報を使用して紅斑重み付けUV曝露量を推定する前記ステップは、前記情報と紅斑重み付けUV曝露量との間の、線形相関に近似できる関係を利用することを含む、請求項10に記載の、コンピュータで実行可能な方法。
【請求項12】
前記受け取るステップは、308~312nmにおいてスペクトル感度を有する、入射光に敏感なセンサから、測定された放射照度を表す情報を入力として受け取るステップを含む、請求項10に記載の、コンピュータで実行可能な方法。
【請求項13】
前記受け取るステップは、309.5~311.5nmにおいてスペクトル感度を有する、入射光に敏感なセンサから、測定された放射照度を表す情報を入力として受け取るステップを含む、請求項10に記載の、コンピュータで実行可能な方法。
【請求項14】
前記紅斑重み付けUV曝露量は、UVインデックスであり、既知の較正源の較正UVインデックスと、前記較正源に曝露された場合の前記センサの出力に対する、未知の電磁源に曝露された場合の前記センサの出力の比と、の積である、請求項10に記載の、コンピュータで実行可能な方法。
【請求項15】
前記受け取るステップは、半導体の上に狭帯域フィルタが置かれたセンサから、測定された放射照度を表す情報を入力として受け取るステップを含む、請求項10に記載の、コンピュータで実行可能な方法。
【請求項16】
前記推定された紅斑重み付けUV曝露量(例えば、UVインデックス)がディスプレイ(例えば、スマートフォンのディスプレイ)に表示されるようにするステップを更に含む、請求項10に記載の、コンピュータで実行可能な方法。
【請求項17】
前記推定された紅斑重み付けUV曝露量(例えば、UVインデックス)が、人がどれだけの時間、屋外で安全に過ごせるかを算出する方法(例えば、コンピュータで実行可能な方法)に入力されるようにするステップを更に含む、請求項10に記載の、コンピュータで実行可能な方法。
【請求項18】
紅斑重み付けUV曝露量の推定に使用されるように適合されたセンサを使用する方法であって、
入射光に敏感であって、305~315nmにおいてスペクトル感度を有するセンサからの放射照度を測定するステップと、
前記測定された放射照度を使用して紅斑重み付けUV曝露量を推定するステップと、
を含む方法。
【請求項19】
前記測定するステップは、半導体の上に狭帯域フィルタが置かれたセンサからの放射照度を測定するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
紅斑重み付けUV曝露量を推定する前記ステップは、前記測定された放射照度を表す情報を入力として受け取るステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
紅斑重み付けUV曝露量を推定する前記ステップは、メモリに記憶された、コンピュータで実行可能な方法で実施される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
紅斑重み付けUV曝露量を推定する前記ステップは、前記情報とUVインデックスとの間の、線形相関に近似できる関係を利用することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
紅斑重み付けUV曝露量を推定する前記ステップは、既知の較正源の較正UVインデックスと、前記較正源に曝露された場合の前記センサの出力に対する、未知の電磁源に曝露された場合の前記センサの出力の比と、の積を計算するステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記測定するステップは、入射光に敏感であって、308~312nmにおいてスペクトル感度を有するセンサからの放射照度を測定するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記測定するステップは、入射光に敏感であって、309.5~311.5nmにおいてスペクトル感度を有するセンサからの放射照度を測定するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記測定するステップは、前記センサからの電流を測定するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
前記測定するステップは、前記センサからのカウント数を測定するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項28】
紅斑重み付けUV曝露量の推定に使用されるように適合されたセンサであって、
波長が305~315nmである光に対して、波長が305~315nmの外にある光に対してよりも敏感であるセンサ。
【請求項29】
前記センサは、半導体及び光学部を含み、前記半導体と前記光学部の組み合わせが、前記センサを、波長が305~315nmである光に対して、波長が305~315nmの外にある光に対してよりも敏感にする、請求項28に記載のセンサ。
【請求項30】
前記センサは、309~312nmの波長のうちの少なくともいずれかの波長に対して敏感な半導体を含む、請求項28に記載のセンサ。
【請求項31】
前記センサは、波長が308~312nmである光に対して、波長が308~312nmの外にある光に対してよりも敏感である、請求項28に記載のセンサ。
【請求項32】
前記センサの出力を検出するように適合されたセンサ出力検出器を更に含む、請求項28に記載のセンサ。
【請求項33】
前記センサは、半導体の上に狭帯域フィルタが置かれている、請求項28に記載のセンサ。
【請求項34】
前記狭帯域フィルタと前記半導体の組み合わせが、前記センサを、波長が305~315nmである光に対して、波長が305~315nmの外にある光に対してよりも敏感にする、請求項28に記載のセンサ。
【請求項35】
前記狭帯域フィルタの中心波長が312nmである、請求項34に記載のセンサ。
【請求項36】
前記半導体は炭化ケイ素光検出器である、請求項34に記載のセンサ。
【請求項37】
前記センサが内蔵及び固定されたウェアラブルデバイスを更に含む、請求項28に記載のセンサ。
【請求項38】
前記ウェアラブルデバイスは更に、UVAセンサを含む、請求項37に記載のセンサ。
【請求項39】
前記センサが内蔵及び固定されたパーソナルデバイス(例えば、スマートフォン)を更に含む、請求項28に記載のセンサ。
【請求項40】
前記パーソナルデバイスは、ディスプレイを有し、前記推定された紅斑重み付けUV曝露量(例えば、UVインデックス)を表示するように、電子回路によって構成されている、請求項39に記載のパーソナルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年10月19日に出願された米国特許出願第62/748,233号の優先権を主張するものであり、これらは、あらゆる目的の為に参照により完全な形で本明細書に組み込まれている。
【0002】
米国特許出願公開第2017/0115162号及び同第2016/0364131号の開示内容が、あらゆる目的の為に参照により完全な形で本明細書に組み込まれている。
連邦支援の陳述
【0003】
本発明は、米国国立衛生研究所から与えられた助成金番号第1746461号による政府支援を受けて成された。米国政府は本発明における一定の権利を有する。
文献の引用
【0004】
本明細書中において言及される全ての公表文献及び特許出願は、それぞれ個々の公表文献又は特許出願が参照により具体的且つ個別に示されて組み込まれる場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0005】
紫外線(UV)は、波長が10~400nmの放射線である。地表に届く太陽光のUVは、波長が280~400nmである。波長が280~315nmのUV放射は「UVB」と呼ばれ、波長が315~400nmのUV放射は「UVA」と呼ばれる。
【0006】
UV曝露は、健康に対して短期的影響及び長期的影響があることが知られている。短期的影響は、例えば、日焼けである。長期的影響は、例えば、皮膚がんである。CDCによれば、皮膚のメラノーマは発生率で6番目に多いがんであり、その90%は過度のUV曝露が原因である。1987年にマッキンレー(McKinlay)とディフィー(Diffey)が、UV放射に対するヒトの皮膚の感受性を定量化する論文を発表しており、彼らは、ヒトの皮膚がUVBに対してはUVAに対してよりも指数関数的に敏感であることを発見している。彼らはこの感受性を「紅斑スペクトル」と呼んでおり、本願発明者等は紅斑作用スペクトル(EAS)と呼ぶことにするが、これを図1に示す。このスペクトル感受性は、世界保健機関(WHO)、国際標準化機構(ISO17166)、及びCIEによって健康関連UV測定に採用されている。他の健康関連感受性スペクトル(「重み関数」とも呼ばれる)も定義されている。例えば、「ビタミンD作用スペクトル」(http://www.cie.co.at/publications/action-spectrum-production-previtamin-d3-human-skin)は、UV領域の波長の関数としてのビタミンD3の生成量に注目する。ビタミンD作用スペクトルは、ほとんどの太陽光スペクトルの大部分を占める300nm超の波長に対する紅斑重み付けUVとよく似ている。これらのUV領域の健康関連感受性スペクトルの考案の目的は、本明細書において本願発明者等が呼ぶ「健康に関するUV曝露量」を測定する為であり、即ち、健康にとって意味があるUV曝露量の測定を実現する為である。なお、これらの感受性スペクトルは、太陽光スペクトルの放射輝度を最大限に利用する300~400nmの領域では互いにかなり似ている。従って、本発明概念は、方法を含め、健康関連の、太陽光からのUV曝露量を測定するあらゆる方式に適用可能である。
【0007】
健康に関する太陽光曝露量の測定には幾つかの単位がある。一般式は次のとおりである。
【数1】
【0008】
但し、λは波長であり、E(λ)は、波長に依存するUV関連重み付け関数(例えば、紅斑作用スペクトル)であり、S(λ)は、所与のUVスペクトルのスペクトル放射照度である。S(λ)は、通常、W/m2/nm単位で表される。Uは、これら2つの関数をUVスペクトル(280~400nm)にわたって積分したものであり、通常、W/m2単位で表される。E(λ)が紅斑作用スペクトルであって、Uが25mW/m2で正規化されると、「UVインデックス(UV index)」が得られる。UVインデックスは、UV曝露の危険について人々を啓蒙する為に、世界保健機関及び幾つかの政府機関(例えば、米国のEPA)によって採用されている。普遍的な勧告は、UVインデックスの値に基づく。例えば、WHOの推定では、UVインデックスが2を下回れば屋外にいても安全である。図2は、http://www.who.int/uv/intersunprogramme/activities/uv_index/en/index1.htmlにある、UVインデックスに基づくWHO勧告を示す。但し、UはUV曝露量の「瞬時」の定量化であることに注目されたい。UV曝露の経時的影響(例えば、Δtと呼ばれる一定時間にわたる影響)が関心対象であれば、次のように時間積分を行う。
【数2】
【0009】
Dは、通常、「放射曝露」と呼ばれるものであり、通常はJ/m2単位で表されるか、基準値で正規化されて無単位量で表される(基準値は、例えば「標準紅斑線量」であり、これは、ディフィー(Diffey)が「紫外線放射の源及び測定(Sources and measurement of ultraviolet radiation)」(アカデミック プレス(Academic Press)、2002年)で説明しているように、100 J/m2の紅斑有効放射曝露量に相当する)。同様に、量U及びDを表面(例えば、皮膚の表面)全体にわたって積分することにより、それぞれワット単位及びジュール単位の量を得ることが可能である。本発明概念(例えば、方法及び/又はセンサ)は、紅斑作用スペクトルやビタミンD作用スペクトルのような健康関連関数に関連するこれら全ての量の予測に用いることが可能である。従って、本明細書においてUVインデックスが推定される場合、それは例示的であって、本発明の革新的概念の様々な使用例に限定するものではないことを理解されたい。
【0010】
太陽光のスペクトルは時刻、場所、大気汚染等の関数として常に変化しているため、UVインデックスの測定を目的とする既存の検出器は、EASに従って各波長の正確な重み付けを行う必要があり、既知のUV源を基準として適切に較正する必要がある。そうしないと、それらの検出器は、コレア等(Correa et al.)によって示され、後にバナジー(Banerjee)と同僚等によって示されたように、極端に不正確になる。図3は、別々の3箇所で同時に測定されたUVスペクトル放射照度を示す。図4は、太陽光のUVインデックスの測定時の市販のパーソナルUVセンサの比較を示しており、出典はバナジー等(Banerjee et al.)(バナジー, S.(Banerjee, S.)、ホッホ, E. G.(Hoch, E. G.)、カプラン, P. D.(Kaplan, P. D.)、デュモン, E. L. P.(Dumont, E. L. P.)「ウェアラブル紫外線放射計の比較研究(A comparative study of wearable ultraviolet radiometers.)」、2017年、IEEEライフ サイエンス コンファレンス(LSC)(IEEE Life Sciences Conference (LSC))、9~12(2017))である。
【0011】
UVセンサ(本明細書ではUV光検出器又はUV検出器、或いは単にセンサと呼ぶこともある)のスペクトル感度は、半導体(例えば、炭化ケイ素)と、その上に置いた何らかの光学系(フィルタ等)、並びに場合によっては更なる電子部品(アナログデジタル変換器等)を組み合わせることによって得られる。UVセンサに内蔵される半導体は、一般に、炭化ケイ素、窒化ガリウム、又は窒化アルミニウムガリウム(これらは少なくとも2種類の化学元素から作られることから「化合物」半導体と呼ばれる)から作られる。従って、システムによっては、EASによく適合する光学フィルタと光検出器の化学物質(半導体)との組み合わせを見つけることが、UVインデックスを測定するシステムを構築する上での重要な課題である。図5は、一例示的UVセンサの基本アーキテクチャを示す。
【0012】
UVセンサ開発のこれまでの試みは、センサのスペクトル感度が比較的重要ではないと決めてかかる傾向、又はEASの感受性と一致させようとする傾向があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記従来の技術における課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示の一態様は、紅斑重み付けUV曝露量を推定する、コンピュータで実行可能な方法であり、この、コンピュータで実行可能な方法はメモリに記憶され、この方法は、305~315nmにおいてスペクトル感度を有する、入射光に敏感なセンサから、測定された放射照度を表す情報を入力として受け取るステップと、その入力情報を使用して紅斑重み付けUV曝露量(例えば、UVインデックス)を推定するステップと、を含む。
【0015】
紅斑重み付けUV曝露量を推定する上記ステップは、上記情報とUVインデックスとの間の、線形相関に近似できる関係を利用することを含んでよい。
【0016】
上記受け取るステップは、308~312nmにおいてスペクトル感度を有する、入射光に敏感なセンサから、測定された放射照度を表す情報を入力として受け取るステップを含んでよい。
【0017】
上記受け取るステップは、309.5~311.5nmにおいてスペクトル感度を有する、入射光に敏感なセンサから、測定された放射照度を表す情報を入力として受け取るステップを含んでよい。
【0018】
紅斑重み付けUV曝露量は、UVインデックスであってよく、これは、既知の較正源の較正UVインデックスと、較正源に曝露された場合のセンサの出力に対する、未知の電磁源に曝露された場合のセンサの出力の比と、の積であってよい。
【0019】
上記受け取るステップは、半導体の上に狭帯域フィルタが置かれたセンサから、測定された放射照度を表す情報を入力として受け取るステップを含んでよい。
【0020】
本方法は更に、推定された紅斑重み付けUV曝露量(例えば、UVインデックス)がディスプレイ(例えば、スマートフォンのディスプレイ)に表示されるようにするステップを含んでよい。
【0021】
本方法は更に、推定された紅斑重み付けUV曝露量(例えば、UVインデックス)が、人がどれだけの時間、屋外で安全に過ごせるかを算出する方法(例えば、コンピュータで実行可能な方法)に入力されるようにするステップを含んでよい。
【0022】
本開示の一態様は、紅斑重み付けUV曝露量の推定に使用されるように適合されたセンサを使用する方法であり、この方法は、入射光に敏感であって、305~315nmにおいてスペクトル感度を有するセンサからの放射照度を測定するステップと、その測定された放射照度を使用して紅斑重み付けUV曝露量を推定するステップと、を含む。
【0023】
上記測定するステップは、半導体の上に狭帯域フィルタが置かれたセンサからの放射照度を測定するステップを含んでよい。
【0024】
紅斑重み付けUV曝露量を推定する上記ステップは、測定された放射照度を表す情報を入力として受け取るステップを含んでよい。
【0025】
紅斑重み付けUV曝露量を推定する上記ステップは、メモリに記憶された、コンピュータで実行可能な方法で実施されてよい。
【0026】
紅斑重み付けUV曝露量を推定する上記ステップは、上記情報とUVインデックスとの間の、線形相関に近似できる関係を利用することを含んでよい。
【0027】
紅斑重み付けUV曝露量を推定する上記ステップは、既知の較正源の較正UVインデックスと、較正源に曝露された場合のセンサの出力に対する、未知の電磁源に曝露された場合のセンサの出力の比と、の積を計算するステップを含んでよい。
【0028】
上記測定するステップは、入射光に敏感であって、308~312nmにおいてスペクトル感度を有するセンサからの放射照度を測定するステップを含んでよい。
【0029】
上記測定するステップは、入射光に敏感であって、309.5~311.5nmにおいてスペクトル感度を有するセンサからの放射照度を測定するステップを含んでよい。
【0030】
上記測定するステップは、センサからの電流を測定するステップを含んでよい。
【0031】
上記測定するステップは、センサからのカウント数を測定するステップを含んでよい。
【0032】
本開示の一態様は、紅斑重み付けUV曝露量の推定に使用されるように適合されたセンサであり、センサは、波長が305~315nmである光に対して、波長が305~315nmの外にある光に対してよりも敏感である。
【0033】
センサは半導体及び光学部を含んでよく、この半導体と光学部の組み合わせが、センサを、波長が305~315nmである光に対して、波長が305~315nmの外にある光に対してよりも敏感にすることが可能である。
【0034】
センサは、309~312nmの波長のうちの少なくともいずれかの波長に対して敏感な半導体を含んでよい。
【0035】
センサは、波長が308~312nmである光に対して、波長が308~312nmの外にある光に対してよりも敏感であってよい。
【0036】
センサは、センサの出力を検出するように適合されたセンサ出力検出器を更に含んでよい。
【0037】
センサは、半導体の上に狭帯域フィルタが置かれていてよい。狭帯域フィルタと半導体の組み合わせが、センサを、波長が305~315nmである光に対して、波長が305~315nmの外にある光に対してよりも敏感にすることが可能である。狭帯域フィルタの中心波長は、312nmであってよい。半導体は炭化ケイ素半導体であってよい。
【0038】
センサは、ウェアラブルデバイスに内蔵されてよい。ウェアラブルデバイスは更に、UVAセンサを含んでよい。
【0039】
センサは、パーソナルデバイス(例えば、スマートフォン)に内蔵されてよい。パーソナルデバイスは、ディスプレイを有してよく、推定された紅斑重み付けUV曝露量(例えば、UVインデックス)を表示するように、制御回路によって構成されてよい。
【0040】
本開示の一態様は、推定UVインデックスを計算するシステムであり、本明細書のセンサのいずれか、及び本明細書の実行可能な方法のいずれかを含んでよい。本システムは、紅斑重み付けUV曝露量の推定に使用されるように適合されたセンサを含んでよく、センサは、波長が305~315nmである光に対して、波長が305~315nmの外にある光に対してよりも敏感である。本システムは、メモリに記憶される、コンピュータで実行可能な方法を含んでよく、この、コンピュータで実行可能な方法は、センサから、測定された放射照度を表す情報を入力として受け取ることと、この入力情報を使用して紅斑重み付けUV曝露量を推定することと、を行うように適合されている。
【0041】
本開示の一態様は、入射UV光に敏感なUVセンサ、フィルタリングされない太陽光を含む第1の環境(E1)、並びに透過中心波長がそれぞれ300nm、310nm、及び320nmである第1、第2、及び第3のノッチフィルタのいずれかを含む第2の環境(E2)であり、センサがE1、並びにその3つのフィルタのそれぞれを有するE2に曝露される場合、センサの感度(S)が、E1と、3つのノッチフィルタのそれぞれを有するE2との間の、センサの出力のパーセント変化率として特徴付けられ、従って、センサはS300、S310、及びS320を有し、センサの相対「R310マイナス」感度がS310/S300によって特徴付けられ、センサの相対「R310プラス」感度がS310/S320によって特徴付けられ、R310マイナス及びR310プラスの少なくとも一方が15を上回る。
【0042】
センサは、半導体の上に狭帯域フィルタが置かれていてよい。
【0043】
センサは、波長が305~315nmである光に対して、波長が305~315nmの外にある光に対してよりも敏感であってよい。
【0044】
センサは半導体及び光学部を含んでよく、この半導体と光学部の組み合わせが、センサを、波長が305~315nmである光に対して、波長が305~315nmの外にある光に対してよりも敏感にする。
【0045】
センサは、309~312nmの波長のうちの少なくともいずれかの波長に対して敏感な半導体を含んでよい。
【0046】
センサは、波長が308~312nmである光に対して、波長が308~312nmの外にある光に対してよりも敏感であってよい。
【0047】
センサは、センサの出力を検出するように適合されたセンサ出力検出器を更に含んでよい。
【0048】
センサは、センサが内蔵及び固定されたパーソナルデバイス(例えば、スマートフォン)を更に含んでよい。パーソナルデバイスはディスプレイを有してよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】紅斑作用スペクトルEASを示す。
図2】UVインデックスに基づくWHO勧告を示す。
図3】別々の3箇所で同時に測定されたUVスペクトル放射照度を示す。
図4】太陽光のUVインデックスの測定時の市販のパーソナルUVセンサの比較を示す。
図5】一例示的UVセンサの基本アーキテクチャを示す。
図6A】乃至
図6C】73,000個の太陽光スペクトルのUVインデックスに対する、300、310、及び320nmでの放射照度の線形フィットを示す。
図7A】乃至
図7B】73,000個の太陽光スペクトルにわたる実際のUVインデックスのうちの1%と90%との間にUVインデックスの推定値が幾つ入るかを示すプロットである。
図8A】乃至
図8B】炭化ケイ素、SiC4、及び完全な311nm検出器の感度曲線を示す。
図9】センサの受容範囲(帯域幅)に対する実際の正確さを示す。
図10図10A乃至図10Cは、試作センサ及び2つの既製品センサの正確さを示す。
図11】幾つかの市販の低コストUVセンサのスペクトル感度を示す。
図12図11の各例示的センサとそれらの1%の許容範囲における正確さを示す。
図13】(例えば)UVインデックスを測定するように設計された、本明細書のセンサのうちのいずれかのセンサの例示的概略を示す。
図14】センサ及び他の任意選択の構成要素を含む一例示的アセンブリデバイスを示す。
図15図14のデバイスを示し、この図は、内部構成要素の上に任意選択のディフューザを含む。
図16】一例示的使用方法を示す。
図17】様々なセンサの、帯域幅に対する相対「マイナス」感度(S310/S300)を示す。
図18】様々なセンサの、帯域幅に対する相対「プラス」感度(S310/S320)を示す。
図19】紅斑重み付けUV曝露量を推定する一例示的方法を示す。
図20】紅斑重み付けUV曝露量を推定する一例示的方法を示す。
図21】本明細書の実行可能な方法のいずれかを記憶できるメモリを内蔵できる一例示的デバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
紅斑重み付けUV曝露量(例えば、UVインデックス)により、様々な情報が人々に提供される。例えば、UVインデックスは、個人が太陽光曝露下でどれだけの時間過ごしてよいかについての大まかな指標を提供することが可能であり、或いは日焼け止めを塗るべきかどうかの判断の助けになりうる。UVインデックスは広範な用途で使用され、それらにおいて有用である。
【0051】
本開示では、地表における太陽光から紅斑重み付けUV曝露量(UVインデックスを含む)及び他の健康関連重み付け関数(例えば、ビタミンD作用スペクトル)を正確に推定するように適合された革新的且つ例示的なUVセンサについて述べる。本開示では又、特定の光センサが使用されることによらない、紅斑重み付けUV曝露量(UVインデックスを含む)を推定する革新的な方法についても述べる。本開示では又、UVセンサの製造方法、並びにUVインデックスを正確に推定する為の多数の光検出器及び光センサの修正方法についても述べる。
【0052】
本明細書では、紅斑重み付けUV曝露量はUVインデックスを包含する。本明細書に「UVインデックス」とある場合、これは例示的であると理解されたい。又、「紅斑重み付けUV曝露量」又は「ビタミンD作用スペクトル」のことでもあると理解されたい。健康に関するUV曝露量は、紅斑重み付けUV曝露量を包含する一般的な用語である。これは、ビタミンD作用スペクトル(http://www.cie.co.at/publications/action-spectrum-production-previtamin-d3-human-skin)等の他の重み付け関数も包含しうる。ビタミンD作用スペクトルは、ほとんどの太陽光スペクトルの大部分を占める300nm超の波長に対する紅斑重み付けUVとよく似ている。
【0053】
当然のことながら、本明細書の光センサは例示的であり、本明細書のUVインデックスの推定方法の実施には、本明細書の光センサの使用は必須ではない。
【0054】
本明細書に記載の発明的且つ例示的な光センサは、太陽光のUVインデックスを測定するように適合及び構成され、非常に正確であるが、EASを再現しようとするセンサより製造が簡単である。本発明の光センサの最初の妥当性検証は、EPA UVnetデータベース(米国EPA、研究開発局(ORD)、ヒト暴露及び大気科学(Human Exposure & Atmospheric Sciences)。EPA UV NET紫外線監視プログラム。https://archive.epa.gov/uvnet/web/html/index.htmlで利用可能(2018年10月5日にアクセス済み))にある何千もの太陽光スペクトルを解析することによって行われた。
【0055】
幾つかのUVセンサは、UVインデックスを正確に推定する為に、日付、時刻、及び/又はUVセンサの場所に基づく再較正が必要である。これにより、センサのハードウェア面及び/又はソフトウェア面の複雑さが大幅に増す。本開示に記載の驚くべき非自明な発見の1つは、正確なUVインデックスの推定が、より簡単な方法及び計算で可能になることである。例えば、本開示では、格段に簡単なセンサ、及び/又は格段に少ない光センサ出力処理でUVインデックスの推定を正確且つ簡単に行うことができるという重要な発見について詳述する。
【0056】
本開示の重要な発見及び態様の1つは、格段に簡単な方法及び/又はセンサで、センサの場所とは無関係に、且つセンサが光源(例えば、太陽光)に曝露される時刻とは無関係に、UVインデックスの推定を正確に行うことが可能になることである。これらの発見から派生した結果として、本デバイスは、日付、時刻、及び/又は場所に基づく再較正を行わなくてもUVインデックスを正確に推定することが可能である。
【0057】
本発明の光センサは、310.5nmを含む311nm前後の狭帯域の放射照度に対して直線的に応答する。本発明の光センサの驚くべき性質として、このシンプルなスペクトル感度は、実際の太陽光スペクトルの全てにわたってUVインデックスを予測する。即ち、このスペクトル感度を使用することにより、光センサが太陽光スペクトルに曝露される日付、時刻、及び場所に無関係にUVインデックスを予測することが可能である。本方法の基本は原理であって、使用される特定のセンサに依存するものではないが、この発見は、311~313nmに対してのみ敏感な例示的狭帯域光センサを試作することによって更に妥当性を確認された。具体的には、250~380nmに対して敏感な化学的性質の半導体(炭化ケイ素)を、中心波長が312nm(具体的には、311.25~312.75nm)である狭帯域フィルタ、並びに本システムの最上部にあるディフューザと組み合わせた。この試作品の妥当性を最先端の放射計と対照して検証する為に様々な太陽光スペクトルのUVインデックスを測定したが、これは予想外且つ非自明な発見につながった。即ち、この試作品は、既知の全ての低コストUVインデックスセンサより正確であった。これは、EASに似たスペクトル感度を示すことなくUVインデックスを正しく測定することが可能な初のUVセンサであると考えられる。このUVセンサは、意図的に比較的非常にシンプルである為、実験室グレードのUVインデックスセンサに匹敵する正確さでUVインデックスを測定することが可能な初の低コストUVセンサであると考えられる。
【0058】
理論。図6A、6B、及び6Cは、UVnetデータベースにある73,000個の太陽光スペクトルに対するUVインデックスの単波長予測の正確さを示す。方法は次のとおりである。即ち、各波長について、その波長における放射照度の73,000個の測定値の間で、対応する太陽光スペクトルのUVインデックスに線形フィットを適用した。図6A~6Cは、73,000個の太陽光スペクトルのUVインデックスに対する、300、310、及び320nmでの放射照度の線形フィットを示す。図6B図6A及び6Cと比べると分かるように、線形フィットは波長が310nmの場合に格段に良好である。
【0059】
各波長について、73,000個の太陽光スペクトルにわたる(EASを太陽光スペクトルに適用して計算された)実際のUVインデックスの(図中の黒色の)1%と(図中の薄青色の)90%との間にUVインデックスの推定値が幾つ入るかを示すプロットを作成した。図7A及び7Bで示すように、310.5nm前後(310~312nm)にピークがあり、これは、310~312nm(例えば、310.5 nm)における放射照度を使用する、これら全てのスペクトルについて、対応するスペクトルのUVインデックスを予測するものである。即ち、単波長を含む非常に限られた範囲の波長での放射照度を測定することが可能であり、しかも、これによって、測定時の時刻、日付、及び/又はセンサの場所に無関係にUVインデックスを非常に正確に推定することが可能である。従って、これにより、UVインデックスの正確な推定に使用可能なデバイス及び/又は方法を大幅に簡略化できる。図7A及び7Bは、単波長の放射照度(UV Netのデータ)から導出されたUVインデックス計算値のうちの1%(黒色)と90%との間に入るパーセンテージを示している。図7Bは同じ計算値を示しているが、関係する波長にフォーカスしている。これらのデータは、2016年5月にコロラド州ボルダーで様々なスペクトロメータによって取得された独立データセットからのものである。
【0060】
検出器のフィルタリングされていないUV感度。炭化ケイ素ダイオードは、感度がUVB領域全体にわたる為、最も一般的なUV検出器の中に入る(これらの検出器は275nmにおいてピークに達する)。このことは、それ自体では、検出器を良好なものにするが、本明細書に開示のような最適なものにはしない。この解析では、3つの検出器の予測される性能を比較した。これを図8に示す。図8Aは、SiC(直線でない実線)、高ピークSiC(SiC4(SiC4(ラムダ)=SiC^4)と呼ばれる)(破線)、及び理想的な310nm検出器(垂直線)を示している。図8Aが示しているのは、炭化ケイ素、SiC4、及び完全な311nm検出器の感度曲線である。スペクトル感度曲線の幅を狭めるだけでは、性能がわずかに改善するだけである(即ち、SiC検出器から高ピークSiC検出器になるだけである)。このことを図8Bで詳細に示す。図8Bは、UVNetデータセットを使用して計算された図8Aに対して、これらのダイオードの実際の正確さを示しており、本開示の利点を示している。図8Bの一番上の実線が311nm検出器であり、一番下の線がSiC検出器である。
【0061】
更に、最大感度が得られる波長領域の広さに関する考察を、図9のプロット中の311-w/2から311+w/2までの範囲における総光レベルに基づいてUVを推定することにより行った。何種類かの線は「正しい測定値」の許容範囲に対応する。即ち、許容範囲が1%の曲線は、UVI測定値が1%以内であれば正確と見なされることを意味する。図9は、センサの受容範囲(帯域幅)に対する実際の正確さを示しており、これによれば、好ましいセンサは、305~315nmの領域に対して応答性があって、その領域の外の光には応答しないようなセンサであり、305~315の領域の内外の光に同様に応答するセンサは本明細書に記載の発明概念を利用できない。そこで、本開示は、305~315nmの波長の光に対して、その領域の外の光に対してよりも応答性がある(即ち、感度が高い)光センサを提供する。より具体的な実施形態では、本開示は、308~312nmの波長の光に対して、その領域の外の光に対してよりも応答性がある(即ち、感度が高い)光センサを提供する。このように適合されたセンサは、本明細書に記載の重要な発見の利点を実現する為の一手段である。
【0062】
理論の妥当性の検証。上述の理論の妥当性を検証する為に、炭化ケイ素の(少なくとも311nmに対して敏感な)化学的性質と、中心波長が312nmである幅1.5nmの狭帯域フィルタと、そのフィルタの上に置かれるUV通過ディフューザとで一例示的光センサを製作した。当然のことながら、この妥当性検証用試作品は本発明の方法を支持及び例示するものであり、本発明概念はこの特定タイプのデバイス及び/又はシステムに限定されない。本明細書に開示の革新的且つ非自明な方法及び概念を利用する為に使用可能な他のデバイス及び/又はシステムも想定される。
【0063】
この説明的且つ例示的な試作品は、2つの一般的な既製品の低コスト検出器と同様に組み立てられた。この2つの既製品は、製造元によればUVインデックスの測定に特化して設計されており、本例ではRef1及びRef2と呼ぶ。UVインデックスに対するそれらの応答を、UVインデックスを測定するように設計された実験室グレードのUV放射計で測定した。その結果を図10A、10B、及び10Cに示す。「正確さ」を、測定値のうちの正値の5%以内にあるものの割合(%)で定義すると、試作品は90%正確、Ref1は12%正確、Ref2は50%正確であることが分かった。
【0064】
大気科学による正当化。上述の理論とその妥当性検証は驚くべきものであり、これまで当分野の専門家に注目されてこなかったものである。以下では、物理的且つ化学的な説明を提示する。時刻tにおいて観測される太陽光スペクトルは、次の複数のプロセスの結果である。1)太陽からの太陽放射スペクトルH(λ,t)の生成。太陽放射スペクトルは、太陽のうちの、温度が太陽の表面全体にわたって変動する複数の領域からの黒体スペクトルの組み合わせであって、太陽ガス(主に水素)の吸収によって変わり、その吸収スペクトルも圧力及び温度に依存する。2)地球のスポットxへの太陽光スペクトルの輸送T(λ,x,t)。これは、(x,t)における太陽方位角のみならず大気の吸収及び散乱にもジオメトリ依存しており、その大気の吸収及び散乱は、オゾン[O]及び水[HO]の局所濃度及び隣接濃度、並びに大気中及び雲中でのエアロゾル化された水蒸気及び他の粒子の散乱に依存する。なお、大気を通り抜ける放射伝達の理論的理解及び数値モデル化は、詳細に研究されてきた相当複雑なトピックである。
【0065】
地上では、スペクトルS(λ,x,t)=H(λ,t)T(λ,x,t)が観測される。但し、関数H及びTには内在放射の複雑な角度依存性が含まれる。
【0066】
UVIを追跡することが必要であり、これは次式のように、紅斑作用スペクトルEで重み付けされたSの積分である。
【数3】
【0067】
ここで、遭遇するオゾン及び水の総量以外の全ての変動要因を無視してよいという直観的であり正当化されていない仮定を行うと、次の仮定式が得られる。
【0068】
【数4】
【0069】
更なる解析の為には、次式のような、単調に関連付けられる量である、所望量の対数の積分について調べることがより簡単である。この対数をLog(U)と呼ぶことにするが、厳密にはUVIの対数ではない。
【0070】
【数5】
【0071】
【数6】
【0072】
吸収係数が、典型的には、遭遇する分子の数に単純に比例する為、更に次のように簡略化できる。
【0073】
【数7】
【0074】
ここまでで、その強度の尺度が完全関数を予測する指標波長の存在が、(式5)の2つの被積分関数が等しくなる(O(λ)=W(λ)となる)波長を求めることまで単純化される。実際には、吸収スペクトルが温度及び圧力に依存し、その温度及び圧力はいずれも、太陽光が地上まで伝わる際にとる経路に沿って変動する為、そのような波長が存在することを疑問視するのはもっともなことであろうし、もし存在するならば、この重要な波長が時間とともに大きく変動するであろうと考えるのももっともなことであろう。本発明概念は、重要な波長のドリフトが、天気、地形、及び空中の太陽のジオメトリ位置を含む広範囲の状況にわたって著しく狭い領域にとどまるという予想外の発見とその認識に基づく。
【0075】
利用可能なセンサ。NSFのSBIRの研究の一環として、大学の研究室が、調達が容易な全ての市販の固体UVセンサのスペクトル応答関数を調べた。280~400nmの領域における結果を図11に示す。これは、2018年夏の時点で市販されていた低コストUVセンサのスペクトル感度を示している。図11に見られるように、センサSは、310nm付近に感度のピークがあるが、285nmから325nmまでは10%超の相対感度を維持する。本発明の方法及びセンサの幾つかは、305~315nmの領域の外の波長をフィルタリングして取り除く。図12は、各例示的センサとそれらの1%の許容範囲における正確さを示す。
【0076】
UV光ダイオードに使用される3つの一般的な化学物質(炭化ケイ素、窒化ガリウム、又は窒化アルミニウムガリウム)の中では、炭化ケイ素が天然に275nmにおいてピーク感度を示し、275nmから315nmまで比較的フラットのままである為、本明細書の方法及び/又はセンサには理想的な化学物質である。他の半導体(例えば、化合物半導体)も本発明概念にとって有効な選択肢であろうと考えられるが、本開示では、炭化ケイ素の化学的性質を有する試作品について説明する。本明細書の特定の文脈で「化合物半導体」が使用される場合、これは例示的であると理解されたい。本出願の関連部分では「半導体」とも述べている。
【0077】
多種多様な検出器でUVインデックスを推定する場合に高い正確さを達成する一例示的方法を以下に示す。本方法は、少なくとも311nmに対して敏感な半導体を選択又は用意するステップを含む。この半導体は他の波長に対して敏感であってよいが、311nm前後に対しては敏感さを示さなければならない。この半導体の上に、中心波長が311nmである狭帯域フィルタが組み立てられる。フィルタの上に、当業者に知られている任意選択のディフューザが配置されてよい。組み立てられた検出器は、UVインデックスを正確に測定することが分かっている最先端の計測器を基準にして較正される。
【0078】
上述の方法は、他のステップを同様に含んでよく、限定的であることを意図していない。例えば、組み立てられたデバイスは、他のセンサを含んでよく、例えば、可視光センサやUVAに特に適合されたセンサを含んでよい。従って、組み立てられたデバイスは、明らかに他の構成要素及び電子回路を含んでよく、例えば、あらゆる目的の為に参照によって本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2016/0364131号に記載のそれらのもののいずれかを含んでよい。例えば、米国特許出願公開第2016/0364131号の図2は、一例示的センシングデバイスを示している。米国特許出願公開第2016/0364131号のセンサ107は、本明細書の光検出器のいずれかであると見なされてよく、本明細書の狭帯域通過フィルタのいずれかが、センサ107の上の、図2のセンシングデバイスに追加されてよい。任意選択のディフューザ102は、本明細書に記載の任意選択のディフューザとして使用されてよい。このセンシングデバイスは、任意選択で、その図2にある構成要素のいずれか(例えば、UVAセンサ109、又はいずれかの窓106を含む構成要素)を含んでよく、或いは他の構成要素及び/又は電子回路をより少なく含んでよく、又は全く含まなくてもよい。
【0079】
以下では、本発明概念を用いてUVインデックスを推定する一例示的方法を説明する。所与の時刻Tにおける太陽光曝露量を測定する場合は、(例えば、多種多様なデバイス(例えば、パーソナルスマートフォン、ウェアラブルセンシングデバイス、デスクトップコンピュータ、クラウドベースストレージデバイス等)に記憶される)コンピュータで実行可能なプログラムが、検出器が測定しているもの、即ち、UVI(T)=UVICAL×I(T)/Iに基づいてUVインデックスを推定することに使用されてよい。但し、UVI(T)は、時刻Tにおける太陽光曝露量の推定UVインデックスであり、UVICALは、較正時に使用された放射照度の下で基準計測器によって測定されたUVインデックスであり、I(T)は、時刻Tにおいて太陽光曝露量を測定しているときの検出器の電流であり、Iは、基準計測器と同じ条件で、較正時に使用された放射照度を測定しているときの検出器の電流である。この例では、電流は被測定出力であるが、これは例示的であって、UVセンサの出力は他のタイプの出力であってよく、例えば、デジタルカウント等であってよいことを理解されたい。なお、検出器がデジタル通信チャネルを使用している場合、その出力は、通常、カウント数であって、電流ではない。その場合は、較正関数を相応に修正しなければならない。
【0080】
図13は、UVインデックスを測定するように設計された、本明細書のUV検出器のうちのいずれかのUV検出器の例示的概略を示す。ディフューザは任意選択であるが、試作時には確かにセンサの性能を高めたことに注目されたい。
【0081】
310nm前後の感度が広いほど、センサの正確さが低下することが観測された。又、感度は、310nmの前後で対称でなければならないわけではないことに注意されたい。UVインデックスは、ほとんど290~315nmの波長から導出される為、フィルタの通過域が310~320nmであれば、フィルタも非常に正確になりうる。これに対し、フィルタの通過域が290~310nmであれば、より短い波長(290~315)がUVインデックスに大きく寄与する為に、フィルタの正確さが低くなる。
【0082】
この、本明細書のデバイスは、310nm前後の照射がある屋外でUVインデックスを測定するように適合されている。例えば、車内や屋内では、UVA(315~400nm)が窓を通り抜けて進むことが可能であり、これは、310nm又は311nmの前後の狭帯域を使用する検出器ではほぼ検知されない。従って、本明細書のセンシングデバイスはいずれも、デバイスが主にUVAに曝露されてUVBにはあまり曝露されない状況(例えば、太陽光が窓、UVAマシン等を通り抜ける場合)に備えて、修正された検出器の近くに1つ以上のUVAセンサを含んでよい。例えば、米国特許出願公開第2017/0115162号に記載の構成要素(例えば、センサ、電子回路、コンピュータで実行可能な方法、及びそれらに関する全ての説明を含む)はいずれも、あらゆる目的の為に参照により完全な形で本明細書に含まれている。
【0083】
図14は、一例示的センサ102を含む一例示的アセンブリデバイス100を示しており、センサ102は、SiC半導体等の半導体と、その半導体の上にマウントされる狭帯域フィルタとを含んでよい。センサ102は、本明細書のどのセンサであってもよい。アセンブリデバイスは更に、基準放射計104を含む。デバイス100は更に、任意選択の制御系106を含む。デバイス100は更に、制御手段108を含み、これは、デバイス100にある全てのセンサに対するインタフェース及び制御系として働く。デバイス100には任意選択の第2のセンサ102’が含まれてよい。アセンブリデバイス100には任意選択のUVAセンサ110も含まれる。図15はデバイス100を示しているが、任意選択のディフューザ120を含む。図14に示した内部構成要素は図15には示していない。
【0084】
図16は、UVインデックスを推定する一例示的方法を示す。ステップ132でセンサが用意される。センサは、本明細書に記載の革新的センサのいずれであってもよい。ステップ134で、較正源のセンサ出力が測定される。そして、ステップ136で、未知の源のUVインデックスが決定される。
【0085】
図17及び18を含む、本開示のこの後の部分では、本発明概念の範囲に入るセンサ及び方法の定量的な説明を行う。本開示のこの後の部分では、本発明のセンサ、並びに本発明の方法を別の様式によって特徴付ける。図17及び18、及びその説明では、本明細書に記載の重要な発明概念を用いるシステムと、健康関連UVの定量化方法についてのこれまでの理解を用いるシステムとを区別する為の定量試験についても説明する。
【0086】
透過中心波長が300、310、及び320nm、又はその近くにある幾つかのノッチフィルタを通る太陽光スペクトルを測定する場合のシステムの応答を比較する。ノッチフィルタは、中心波長の前後の狭帯域の外の光をブロックする。これらのフィルタは、ノッチフィルタの中心波長から1~10nmの波長の光を通過させる帯域幅を有するにように選択されてよい。各フィルタについて、入射光の2つの源に曝露された場合のシステム応答が記録されてよく、2つの源は、1/ U(ディフューザを通過するフィルタリングされない太陽光又は太陽光スペクトル)、及び2/ U(その同じ源に、ノッチフィルタを追加された同様の経路を通過する別の太陽光又は太陽光スペクトルを加えたもの)である。「システムの感度」はフィルタごとに測定されてよい。感度は、UとUの間の出力のパーセント変化率(S=(U-U)/U=U/U-1)である。検出器の相対感度は、S(300)に対するS(310)の比、又はS(320)に対するS(310)の比である。図17では、この感度の比をノッチフィルタの帯域幅の関数としてプロットした。これらの比を、R310_minus=S(310)/S(300)、R310_plus=S(310)/S(320)のように呼ぶことにする。以前のアプローチ及び以前のデバイスは全て、R310_minus及びR310_plusが両方とも15未満であるという特性があった。本発明概念を利用するシステムであれば、R310_plus>15、又はR310_minus>15、又はその両方になる。従って、本明細書の革新的センサはいずれも、R310_plus>15であるか、R310_minus>15であるか、その両方であることによって更に特徴付けられることが可能である。
【0087】
図17は、様々な帯域幅(1~10nm)に対して、中心波長が300nmのフィルタに対する検出器の感度に対する、中心波長が310nmのフィルタに対する検出器の感度の比を測定したものを示している。中心波長が310nmのフィルタにおいて帯域幅が5nmであることは、フィルタが305~315nmの光をフィルタリングして取り込むことを意味する。このグラフでは、280~320nmにおいて完璧な紅斑スペクトルを示している(又は敏感である)検出器が、相対感度R310_minusが15を下回る為に、本開示及び本発明に含まれないことに注目されたい。304~316nmにおいて感度を有する検出器、及び307~313nmにおいて感度を有する検出器は、1つ又は幾つかの帯域で相対感度R310_minusが15を上回るであろう。従って、それらは、本発明概念によって記述される。
【0088】
図18は、様々な帯域幅(1~10nm)に対して、中心波長が320nmのフィルタに対する検出器の感度に対する、中心波長が310nmのフィルタに対する検出器の感度の比を測定したものを示している。中心波長が310nmのフィルタにおいて帯域幅が5nmであることは、フィルタが305~315nmの光をフィルタリングして取り込むことを意味する。このグラフでは、300~340nmにおいて完璧な紅斑スペクトルを示している(又は敏感である)検出器が、相対感度R310_plusが15を下回る為に、本開示及び本発明に含まれないことに注目されたい。304~316nmにおいて感度を有する検出器、及び307~313nmにおいて感度を有する検出器は、1つ又は幾つかの帯域で相対感度R310_plusが15を上回るであろう。従って、それらは、本発明概念によって記述される。
【0089】
図19は一例示的方法を示しており、これは、本明細書のセンサのうちのいずれかのセンサからの出力を測定するステップを含み、更に、その出力を使用して紅斑重み付けUV曝露量(例えば、UVインデックス)を推定するステップを含む。
【0090】
図20は、(任意のタイプの適切なデバイスに内蔵されてよい)メモリに記憶されてよい、コンピュータで実行可能な一例示的方法を示しており、この、コンピュータで実行可能な方法は、センサ出力を表す(又はセンサ出力である)情報を入力として受け取るステップを含み、この情報が紅斑重み付けUV曝露量(例えば、UVインデックス)の推定に使用される。
【0091】
図21は、メモリ202を内蔵する一例示的デバイス200(例えば、コンピュータ、スマートフォン、サーバ等)を示しており、メモリ202には本明細書の実行可能な方法のいずれかが記憶されてよい。
【0092】
紅斑重み付けUV曝露量(例えば、UVインデックス)を推定する本明細書の方法はいずれも、その紅斑重み付けUV曝露量(例えば、UVインデックス)の任意の既知の使用を更に含んでよい。従って、参照によって本明細書に組み込まれている公報のいずれかにある、UVインデックスが使用される方法はいずれも明示的に本開示に組み込まれている。例えば、限定ではないが、本明細書の方法はいずれも、紅斑重み付けUV曝露量(例えば、UVインデックス)を利用して、人がどれだけの時間、屋外で安全に過ごせるかを算出するステップ、及び/又はその時間をユーザにアラートするステップを含んでよい。例えば、本明細書の方法はいずれも、紅斑重み付けUV曝露量(例えば、UVインデックス)がユーザデバイス(例えば、スマートフォン、コンピュータ等)のディスプレイに表示されるようにするステップを含んでよい。これらは例に過ぎず、ユーザに情報を提供することを含めて、紅斑重み付けUV曝露量(例えば、UVインデックス)の任意の既知の使用が本明細書に明示的に包含されている。
【0093】
特に示されない場合でも、本開示に記載の1つ以上の方法又は技法(例えば、コンピュータで実行可能な方法のいずれか)が、少なくとも部分的に、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの任意の組み合わせで実施されてよい。例えば、技法又は構成要素の様々な態様が1つ以上のプロセッサの中で実施されてよく、この1つ以上のプロセッサは、1つ以上のマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブル論理回路等を単独又は任意の適切な組み合わせの形で包含する。「プロセッサ」又は「処理回路」という用語は、大まかには、単独又は他の回路との組み合わせ、又は他の任意の等価回路の形の、上述の回路のいずれかを意味してよい。
【0094】
そのようなハードウェア、ソフトウェア、又はファームウェアは、本開示に記載の様々な動作及び機能をサポートする為に、1つのデバイスの中で、又は分離された複数のデバイスの中で実施されてよい。更に、記載されたユニット、モジュール、又は構成要素はいずれも、一緒に実施されてよく、或いは、離散的ながら相互運用可能な論理デバイスとして別々に実施されてよい。様々な特徴をモジュール又はユニットとして描くことは、様々な機能態様をハイライトする為であって、そのようなモジュール又はユニットが別々のハードウェア構成要素又はソフトウェア構成要素によって実現されなければならないことを必ずしも意味するものではない。むしろ、1つ以上のモジュール又はユニットに関連付けられた機能性が別々のハードウェア構成要素又はソフトウェア構成要素によって実施されてよく、或いは、共通又は別々のハードウェア構成要素又はソフトウェア構成要素の中に組み込まれてよい。
【0095】
ソフトウェアの形で実施される場合は、本開示に記載のシステム、デバイス、及び技法に帰する機能性がコンピュータ可読媒体上の命令として実施されてよく、そのような媒体として、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、不揮発性RAM(NVRAM)、電気的消去可能プログラム可能ROM(EEPROM)、フラッシュメモリ等がある。それらの命令は、本開示に記載の機能性の1つ以上の態様をサポートするように、プロセッサによって実行されてよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
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図15
図16
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図18
図19
図20
図21
【国際調査報告】