(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】流体操作のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B64C 11/48 20060101AFI20220112BHJP
B64C 27/20 20060101ALI20220112BHJP
B64D 27/10 20060101ALI20220112BHJP
F15D 1/12 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
B64C11/48
B64C27/20
B64D27/10
F15D1/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547059
(86)(22)【出願日】2019-10-22
(85)【翻訳文提出日】2021-04-21
(86)【国際出願番号】 US2019057421
(87)【国際公開番号】W WO2020086568
(87)【国際公開日】2020-04-30
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520049352
【氏名又は名称】ネイサー、ポール
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ネイサー、ポール
(57)【要約】
胴体、翼、船体などの物体の近くで流体の流れを操作することにより、この物体に関連する波抗力を大幅に減らすことができる。これは、流体の流速と流体の流れの圧力の両方を局所的に変更することで実現できる。
【選択図】
図22
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波抗力を低減するためのシステムであって、
流体の外部流体流を受け入れるように構成された外面、
前記外面に結合され、前記流体の内部流体流を受け入れるように構成されたチャネルであって、流体入口および流体出口を含み、波抗力を低減するために前記内部流体流を操作するように構成されているチャネルを含み、この場合、前記チャネルは、
前記流体入口の下流の前記内部流体流を受け入れるように構成され、さらに前記チャネル内の前記流体流の速度および圧力を変更するように構成された第1の流体操作装置(「FMA」)、
前記第1のFMAの下流の前記内部流体流を受け入れるように構成された圧力封じ込め装置(「PCA」)、および
前記PCAの下流および前記流体出口の上流に前記内部流体流を受け入れるように構成された第2のFMAであって、前記内部流体流の前記速度および前記圧力をさらに変更するように構成される第2のFMAを含み、
自由流は、前記自由流内の波の波速度よりも大きい自由流速度を有する、システム。
【請求項2】
前記第1のFMAおよび/または前記第2のFMAが収束ダクトを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のFMAおよび/または前記第2のFMAが、収束する発散ダクトを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1のFMAおよび/または前記第2のFMAが発散ダクトを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のFMAおよび/または前記第2のFMAが、プロペラまたは推力発生装置を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のFMAおよび/または前記第2のFMAが、物体力発生装置を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記流体が圧縮可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記流体が、空気、窒素、または二酸化炭素を含む気体である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1のFMAは、前記内部流体流を減速し、前記自由流に対して前記圧力を増加させるように構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1のFMAは、亜音速の流体速度まで前記内部流体流を減速させるように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1のFMAは、遷音速まで前記内部流体流を減速させるように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1のFMAは、低次超音速まで前記内部流体流を減速させるように構成される、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記第2のFMAは、前記内部流体流を加速し、前記自由流に対して前記圧力を減少させるように構成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項14】
前記第2のFMAは、前記内部流体流を、前記自由流の速度に実質的に等しい速度に加速するように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記第2のFMAは、前記内部流体流を、前記自由流の速度を超える速度に加速するように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記第2のFMAは、前記内部流体流を、前記自由流の速度より低くまで加速するように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記流体が実質的に圧縮可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記流体が水を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1のFMAは、前記内部流体流を加速し、前記自由流に対する前記内部流体流の圧力を低下させ、それによって、同等の自由流の断面積と比較して、前記第1のFMAを出る、および前記PCAに入る前記内部流体流の断面積を減少させるように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1のFMAは、前記内部流体流を加速するように構成され、前記システムを含むビークルに対する、前記波抗力を含む総抗力が、低減されるようにする、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記第2のFMAは、前記内部流体流を減速し、自由流に対する前記内部流体流の前記圧力を増加させ、それにより、前記第2のFMAを出る前記内部流体流の前記断面積を増加させるように構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項22】
前記第2のFMAは、前記内部流体流を、前記自由流の速度の速さに実質的に等しい速度に減速するように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記第2のFMAは、前記内部流体流を、前記自由流の速度を超える速度に減速するように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記第2のFMAは、前記内部流体流を、前記自由流の速度より低い速度まで減速するように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項25】
前記PCAが、前記PCA内の前記内部流体流と前記外面の外部の前記自由流との間にある圧力の差を維持するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項26】
前記PCAが、円形、長方形、楕円形、または多角形の断面、および/または直線部分、屈曲部、エルボージョイント、またはターンを有するチャネルを含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記PCAが、揚力を生成し、前記PCA内の前記流体に正味の運動量を伝達するように構成された翼を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項28】
前記PCAが胴体を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項29】
前記PCAが、意図的運動量搬送装置、意図的運動量制限装置、ターボシャフトエンジン、ターボファンエンジン、ターボプロップエンジン、ターボジェットエンジン、ラムジェット、推力装置、抗力装置、ポンプジェット、プロペラ、またはアフターバーナーを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項30】
前記PCAが、
第1の推力装置であって、名目動作要件中に前記局所的な自由流に第1の誘導速度を与えるように構成され、流管を形成する第1の推力装置と、
第2の推力装置であって、前記流管の下流部分に配置され、前記第2の推力装置が前記局所的な自由流に第2の誘導速度を与えるように構成され、前記第2の推力装置の位置で前記第2の誘導速度が、前記第2の推力装置の前記位置で前記第1の誘導速度の方向と反対の方向の成分を有する、第2の推力装置と、を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項31】
前記第1または第2の推力装置がプロペラを含む、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記1つの推力装置によって抽出された電力の少なくとも一部が、他の推力装置に電力を供給するように向けられる、請求項30に記載のシステム。
【請求項33】
前記外面と前記内面との間のボリュームは、ビークルの少なくとも一部を含み、前記外面および内面は、自由流の流れにおける波抗力の影響を低減するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項34】
前記外面が自由流の流れの線に実質的に平行である、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記外面が環状シリンダーを含み、前記第1のFMAが前記シリンダーの上流端に配置され、前記第2のFMAが前記シリンダーの下流端に配置される、請求項33に記載のシステム。
【請求項36】
前記ビークルの前記外面が先細の円筒の形状であり、前記円筒の半径が下流方向に減少する、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記外面の断面積は、自由流の方向から見たときに、円形、楕円形、長方形、または多角形である、請求項33に記載のシステム。
【請求項38】
前記ビークルは、垂直方向に離陸し、実質的な量の波抗力を誘発することなく名目上動作するように構成される、請求項33に記載のシステム。
【請求項39】
前記ビークルは、相当の量の波抗力を誘発することなく、レベルの巡航において亜音速および/または超音速で飛行するように構成される、請求項33に記載のシステム。
【請求項40】
前記外面および前記内面は、意図的運動量搬送装置を形成し
前記システムは境界装置も含み、
前記境界装置の局所的な自由流の速度は、前記自由流の速度に対して、前記IMCAによって減少される、請求項1に記載のシステム。
【請求項41】
前記境界装置の前記局所的な自由流の流れの速度の前記低下が、前記局所的な自由流の流体内の前記波の速度を超える流速への低下である、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記境界装置の前記局所的な自由流の速度が、前記局所的な自由流の内部における前記波の速度に実質的に等しい速度に低減される、請求項40に記載の装置。
【請求項43】
前記境界装置の前記局所的な自由流の速度が、前記局所的な自由流の内部における前記波の速度よりも低い速度に低減される、請求項40に記載の装置。
【請求項44】
前記境界装置の前記局所的な自由流の速度が、前記境界装置の前記局所的な自由流の内部において、超音速である速度に低減される、請求項40に記載の装置。
【請求項45】
前記境界装置の前記局所的な自由流の速度が、前記境界装置の前記局所的な自由流の内部において、遷音速である速度に低減される、請求項40に記載の装置。
【請求項46】
前記境界装置の前記局所的な自由流の速度が、前記境界装置の前記局所的な自由流の内部において、亜音速である速度に低減される、請求項40に記載の装置。
【請求項47】
前記境界装置が胴体または船の船体を含む、請求項40に記載の装置。
【請求項48】
前記境界装置が翼を含む、請求項40に記載の装置。
【請求項49】
前記境界装置が、正味の誘導速度を前記第3のFIAの遠方後流に送達するように構成された第3のFMAを含み、前記第3のFMAの前記遠方後流の少なくとも一部が前記チャネル内に位置し、前記第3のFIAの上流、下流、および近くの前記チャネルによる前記局所的な自由流の速度低下により、前記自由流の速度よりも低い局所的な自由流の速度である、請求項40に記載のシステム。
【請求項50】
前記第3のFIAによって前記第3のFMAの前記遠方後流に送達される前記誘導速度は、前記第3のFMAの下流の前記PCA内の前記局所的な自由流の流れに垂直な非ゼロの正味成分を有する、請求項49に記載の装置。
【請求項51】
前記第3のFIAが翼であり、名目レベルの巡航動作中に揚力を生成するように構成され、前記翼の前記後流の少なくとも一部が、前記チャネル内において、低下した局所的な自由流の流れの領域の内部に位置付けられ、前記翼の前記遠方後流は、前記チャネルの前記出口の外側および下流の前記自由流に伸びる、請求項50に記載の装置。
【請求項52】
前記翼幅が、前記翼の前記位置における前記チャネルの有効直径の半分未満である、請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
前記翼幅が、前記翼の前記位置における前記チャネルの有効直径の4分の1未満である、請求項51に記載のシステム。
【請求項54】
前記翼幅が、前記翼の前記位置における前記チャネルの有効直径の10分の1未満である、請求項51に記載のシステム。
【請求項55】
前記第3のFIAによって前記第3のFMAの前記遠方後流に送達される前記誘導速度は、前記局所的な自由流の流れに平行な非ゼロの正味成分を有する、請求項49に記載の装置。
【請求項56】
前記第3のFIAが胴体またはプロペラであり、名目レベルの巡航動作中に推力または抗力を生成するように構成される、請求項55に記載の装置。
【請求項57】
前記境界装置が、前記IMCAの前記リーディングおよびトレーリングエッジによって形成される流管内に配置される、請求項40に記載の装置。
【請求項58】
ビークルの波抗力を低減する方法であって、
第1の流体操作装置(「FMA」)を設けること、
前記第1のFMAの前記下流流管内に、少なくとも部分的に第2のFMAを設けること、および
前記第1および前記第2のFMAの両方を通過する流管を少なくとも部分的に囲むように構成された圧力封じ込め装置(「PCA」)を設けることを含む方法。
【請求項59】
前記流体が圧縮可能であり、前記第1のFMAが前記流体の前記圧力を減速および増加するように構成され、前記第2のFMAが前記流体の前記圧力を加速および減少するように構成され、前記自由流の流れと比較して、より低速でより高い圧力の流れのレジームで揚力が生成されるように、前記PCA内に翼を設けることをさらに含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記流体が非圧縮性であり、前記第1のFMAが前記流体の前記圧力を加速および減少するように構成され、前記第2のFMAが前記流体の前記圧力を減速および増加するように構成され、より少ない波抗力が前記ビークルによって生成されるように、前記より低い圧力およびより低い断面積の流れを、前記PCAを介して、ビークルを通じて、前記第1のFMAから前記第2のFMAに輸送して、より少ない波抗力が前記ビークルにより生成されるようにすることをさらに含む、請求項58に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年10月22日に出願された米国仮出願第62/749,109号および2018年10月28日に出願された第62/751,623号の利益を主張している。本願は、2018年8月10日に出願された米国特許出願公開第16/101,391に関するもので、2017年8月10日に出願された米国仮出願第62/543371号、2018年6月15日に出願された第62/685295号、2018年7月27日に出願された第62/703898、および2018年8月6日に出願された第62/714,778号の利益を主張するものである。上記の各出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
多くの流体相互作用装置は、低い自由流の流速での大きな電力消費に見舞われている。例えば、ヘリコプターの場合、ホバー中に必要な電力は、名目レベルの巡航中に消費される電力の2倍程度になり得る。従来の固定翼航空機のプロペラ、または民間ジェット旅客機のターボファンは、名目レベルの巡航中に見られるものなどの、大きな自由流の流速と比較して、離陸時に見られるものなどの、小さな自由流の流速で、所定の推力の大きさでより多くの電力を消費する。同様に、従来のオープンローター風力タービンが流体から抽出できる電力量は、不必要に小さくなる。
【0003】
比較的低い自由流の流速の大きさに関連付けられた推力生成または電力抽出のこれらの非効率性を軽減する試みは、有効性が限られる。例えば、ダクトを採用して、プロペラ、ヘリコプターのローター、または風力タービンの局所的な自由流の流速を上げることができる。この増大の大きさは、ダクトのジオメトリによって決まり、そして今度、これは、流れの剥離に関する制約などの制約によって厳しく制限される。これらの制約は、小さな自由蒸気流の流速、つまりダクトが最も必要とされるまさにその状況にとって特に厳しいものである。これらの制約により、局所的な自由流の流れに対する大きな効果は、大きなディフューザーを備えたダクトでしか達成できない場合があり、これは例えば、極めて大きな湿潤面積および重量の増加に関連付けられる場合がある。
【0004】
流体に対して移動する胴体などの物体は、通常、摩擦力または抗力に遭遇する。従来技術では、この抗力を最小化する試みは、通常、物体の濡れた表面が可能な限り滑らかであることを保証することに限定されている。場合によっては、そのような滑らかさは、濡れた表面の少なくとも一部で層流に有利になり得、粘性抗力を減らすのに役立ち得る。しかしながら、この抗力は、層流が存在する場合でもかなり大きくなり得る。
【0005】
超音速または遷音速で空中を移動する航空機またはそのコンポーネントは、通常、衝撃波を誘発し、これがビークルにかなりの量の抗力をもたらす可能性がある。水の中を移動する船またはそのコンポーネントは、通常、表面波または重力波を誘発し、これもまた、ビークルにかなりの量の抗力をもたらす可能性がある。ビークルまたはビークルのコンポーネントの総抗力に対する波抗力の寄与を低減することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、抗力、特に波抗力の影響を受ける航空機、船舶、または陸上車両などの流体相互作用装置に関する。
【0007】
いくつかの実施形態は、波抗力を低減するためのシステムに関する。
【0008】
いくつかの実施形態は、波抗力を低減するための方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
いくつかの実施形態では、外面は、流体の外部流体流を受け入れるように構成することができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、チャネルを外面に結合し、流体の内部流体流を受け取るように構成することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、チャネルは、流体入口および流体出口を含むことができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、チャネルは、波抗力を低減するために内部流体流を操作するように構成することができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、チャネルは、流体入口の下流の内部流体流を受け入れるように構成することができ、チャネル内の流体流の速度および圧力を変更するようにさらに構成することができる第1の流体操作装置(「FMA」)を含むことができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、チャネルは、第1のFMAの下流の内部流体流を受け入れるように構成することができる圧力封じ込め装置(「PCA」)を含むことができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、チャネルは、PCAの下流および流体出口の上流に内部流体流を受け入れるように構成することができる第2のFMAを含むことができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、第2のFMAは、内部流体流の速度および圧力をさらに変更するように構成することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、自由流は、自由流内の波の波速度よりも大きい自由流の速度を有することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1のFMAおよび/または第2のFMAは、収束ダクト、収束する発散ダクト、発散ダクト、プロペラ、推力発生装置、および/または物体力発生装置のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、流体は圧縮可能であり得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、流体は、空気、窒素、または二酸化炭素であり得る気体であってよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1のFMAは、内部流体流を減速し、自由流に対して圧力を増加させるように構成することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1のFMAは、内部流体流を亜音速の流体速度まで減速するように構成することができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1のFMAは、内部流体流を遷音速まで減速するように構成することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1のFMAは、内部流体流を低次超音速に減速するように構成することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、第2のFMAは、内部流体流を加速し、自由流に対して圧力を低下させるように構成することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、第2のFMAは、内部流体流を、自由流の速度に実質的に等しい速度に加速するように構成することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、第2のFMAは、内部流体流を自由流の速度よりも速い速度に加速するように構成することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、第2のFMAは、内部流体流を加速して自由流の速度に劣るように構成することができる。
【0029】
いくつかの実施形態では、流体は実質的に非圧縮可能であり得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、流体は水であり得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、第1のFMAは、内部流体流を加速し、自由流に対する内部流体流の圧力を低下させ、それによって、同等の自由流の断面積と比較して、第1のFMAを出る、およびPCAに入る内部流体流の断面積を減少させるように構成され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、第1のFMAは、内部流体流を加速するように構成でき、システムを含み得るビークルに対する、波抗力を含む総抗力が、低減されるようにする。
【0033】
いくつかの実施形態では、第2のFMAは、内部流体流を減速し、自由流に対する内部流体流の圧力を増加させ、それにより、第2のFMAを出る内部流体流の断面積を増加させるように構成され得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、第2のFMAは、内部流体流を、自由流の速度の速さに実質的に等しい速度に減速するように構成することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、第2のFMAは、内部流体流を自由流の速度を超える速度に減速するように構成することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、第2のFMAは、内部流体流を自由流の速度より低い速度まで減速するように構成することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、PCAが、PCA内の内部流体流と外面の外部の自由流との間にある圧力の差を維持するように構成され得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、PCAが、円形、長方形、楕円形、または多角形の断面、および/または直線部分、屈曲部、エルボージョイント、またはターンを有するチャネルを含み得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、PCAが、揚力を生成し、PCA内の流体に正味の運動量を伝達するように構成された翼を含み得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、PCAは胴体を含むことができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、PCAが、意図的運動量搬送装置、意図的運動量制限装置、ターボシャフトエンジン、ターボファンエンジン、ターボプロップエンジン、ターボジェットエンジン、ラムジェット、推力装置、抗力装置、ポンプジェット、プロペラ、および/またはアフターバーナーの1つまたは複数を含み得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、PCAは、第1の推力装置を含むことができ、それにおいては、第1の推力装置が、名目動作要件中に局所的な自由流に第1の誘導速度を与えるように構成できる。第1の推力装置は流管を作成できる。
【0043】
いくつかの実施形態では、PCAは、第2の推力装置を含むことができる。第2の推力装置は、流管の下流部分に配置することができる。第2の推力装置は、局所的な自由流に第2の誘導速度を与えるように構成することができる。第2の推力装置の位置での第2の誘導速度は、第2の推力装置の位置での第1の誘導速度の方向と反対の方向の成分を有することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、第1および/または第2の推力装置は、プロペラを含むことができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、第1または第2の推力装置の一方によって抽出された電力の少なくとも一部は、他方に電力を供給するように向けることができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、外面と内面との間のボリュームは、ビークルの少なくとも一部であり得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、外面および内面は、自由流の流れにおける波抗力の影響を低減するように構成することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、外面が自由流の流れの線に実質的に平行であり得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、外面が環状シリンダーであり得、第1のFMAがシリンダーの上流端に配置され得、第2のFMAがシリンダーの下流端に配置され得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、ビークルの外面が先細の円筒の形状であり得、円筒の半径が下流方向に減少し得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、外面の断面積は、自由流の方向から見たときに、円形、楕円形、長方形、または多角形であり得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、ビークルは、垂直方向に離陸し、実質的な量の波抗力を誘発することなく名目上動作するように構成され得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、ビークルは、相当の量の波抗力を誘発することなく、レベルの巡航において亜音速および/または超音速で飛行するように構成され得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、外面および内面は、意図的運動量搬送装置を形成することができ、システムはまた、境界装置を含むことができる。境界装置の局所的な自由流の速度は、自由流の速度に対して、IMCAによって低減することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、境界装置の局所的な自由流の流れの速度の低下が、局所的な自由流の流体内の波の速度を超える流速への低下であり得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、境界装置の局所的な自由流の速度が、局所的な自由流の内部における波の速度に実質的に等しくてもよい速度に低減され得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、境界装置の局所的な自由流の速度が、局所的な自由流の内部における波の速度よりも低い速度に低減され得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、境界装置の局所的な自由流の速度が、境界装置の局所的な自由流の内部において、超音速である速度に低減され得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、境界装置の局所的な自由流の速度が、境界装置の局所的な自由流の内部において、遷音速である速度に低減され得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、境界装置の局所的な自由流の速度が、境界装置の局所的な自由流の内部において、亜音速である速度に低減され得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、境界装置は、胴体または船の船体を含むことができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、境界装置は翼を含むことができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、境界装置は、正味の誘導速度を第3のFIAの遠方後流に送達するように構成することができる第3のFMAを含むことができる。
【0064】
いくつかの実施形態では、第3のFMAの遠方後流の少なくとも一部がチャネル内に位置でき、第3のFIAの上流、下流、および近くのチャネルによる局所的な自由流の速度低下により、自由流の速度よりも低い局所的な自由流の速度であり得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、第3のFIAによって第3のFMAの遠方後流に送達される誘導速度は、第3のFMAの下流のPCA内の局所的な自由流の流れに垂直な非ゼロの正味成分を有することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、第3のFIAは、名目レベルの巡航動作中に揚力を生成するように構成することができる翼であり得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、翼の遠位後流の少なくとも一部は、チャネル内の局所的な自由流の流れが減少した領域内に位置することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、翼の遠方後流は、チャネルの出口の外側および下流の自由流にまで伸びることができ、翼幅は、翼の位置でのチャネルの有効直径の半分未満にすることができ、および/または翼幅は、翼の位置でのチャネルの有効直径の4分の1未満にすることができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、翼幅が、翼の位置におけるチャネルの有効直径の10分の1未満であり得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、第3のFIAによって第3のFMAの遠方後流に送達され得る誘導速度は、局所的な自由流の流れに平行な非ゼロの正味成分を有することができる。
【0071】
いくつかの実施形態では、第3のFIAが胴体またはプロペラを含むことができ、名目レベルの巡航動作中に推力または抗力を生成するように構成され得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、境界装置が、IMCAのリーディングおよびトレーリングエッジによって形成される流管内に配置され得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、第1のFMAを設けることができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、第1のFMAの下流流管内に、少なくとも部分的にし得る第2のFMAを設けることができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、圧力封じ込め装置(「PCA」)を設けることができ、第1および第2のFMAの両方を通過する流管を少なくとも部分的に囲むように構成することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、流体が圧縮可能であり得、第1のFMAが流体の圧力を減速および増加することができ、第2のFMAが流体の圧力を加速および減少するようにでき、自由流の流れと比較して、より低速でより高い圧力の流れのレジームで揚力が生成されるように、PCA内に翼を設けることができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、流体が非圧縮性であり得、第1のFMAが流体の圧力を加速および減少することができ、第2のFMAが流体の圧力を減速および増加することができ、より少ない波抗力がビークルによって生成されるように、より低い圧力およびより低い断面積の流れを、PCAを介して、ビークルを通じて、第1のFMAから第2のFMAに輸送できる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【
図1】
図1は、従来技術の推力装置の断面図である。
【
図2】
図2は、従来技術の推力装置の断面図である。
【
図3】
図3は、いくつかの実施形態による、意図的な流体操作装置(「IFMA」)構成の断面図である。
【
図4】
図4は、いくつかの実施形態による、IFMA構成の断面図である。
【
図5】
図5は、従来技術の流体操作装置の断面図である。
【
図6】
図6は、いくつかの実施形態による、IFMA構成の断面図である。
【
図7】
図7は、いくつかの実施形態による、IFMA構成の断面図である。
【
図8】
図8は、いくつかの実施形態による、IFMA構成の断面図である。
【
図9】
図9は、いくつかの実施形態による、正面図である。
【
図10】
図10は、いくつかの実施形態によるIFMA構成の斜視図である。
【
図11】
図11は、いくつかの実施形態によるIFMA構成の側面図である。
【
図12】
図12は、いくつかの実施形態によるIFMA構成の上面図である。
【
図13】
図13は、いくつかの実施形態によるIFMA構成の背面図である。
【
図14】
図14は、いくつかの実施形態による、IFMA構成の断面斜視斜位図である。
【
図15】
図15は、いくつかの実施形態による、IFMA構成の斜位図である。
【
図16】
図16は、いくつかの実施形態による、IFMA構成の斜位図である。
【
図17】
図17は、いくつかの実施形態による、IFMA構成の斜位図である。
【
図18】
図18は、いくつかの実施形態による、IFMA構成の斜位図である。
【
図19】
図19は、いくつかの実施形態による、IFMA構成の側面図である。
【
図20】
図20は、いくつかの実施形態による、IFMA構成の側面図である。
【
図21】
図21は、いくつかの実施形態による、IFMA構成の側面図である。
【
図22】
図22は、いくつかの実施形態による、ダクト装置の断面図である。
【
図23】
図23は、いくつかの実施形態による、ダクト装置の断面図である。
【
図29】
図29は、いくつかの実施形態による、ダクト装置の断面図である。
【
図30】
図30は、いくつかの実施形態による、さまざまな動作モードについての
図29のダクト装置の断面図である。
【
図31】
図31は、いくつかの実施形態による、さまざまな動作モードについての
図29のダクト装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
チャネルの「有効直径」という用語は、チャネルの断面積を円周率の数字で割った平方根の2倍として定義され、この場合、断面積はチャネル内の指定された位置で測定される。
【0080】
本明細書で使用される「流体」という用語は、流体の特性を示すすべてのタイプの材料を包含する。そのような特性の1つは、互いに相対的に移動する構成粒子の能力である。例えば、水などの液体、または空気、窒素、二酸化炭素などの気体を指す場合がある。流体は、いくつかのタイプの気体で構成される空気など、いくつかの異なるタイプおよび種類の流体を同時に含むことができることに留意されたい。指定されない限り、異なる流体のアセンブリは、簡単にするために「流体」と引き続き呼ばれる。
【0081】
「自由流の流れ」という用語は、装置のアセンブリなどの物体が流体と相互作用しなかった場合に発生する指定された点に対する理論的な流れとして定義される。したがって、それは、グローバルな自由流の流れとも呼ばれる場合がある。装置のアセンブリは、航空機または船などのビークル、あるいは例えば、風力タービンなどの異なるタイプの流体操作装置、あるいはそのようなアセンブリの任意の部分であり得る。自由流の流れは、慣性空間のビークルの動きなど、慣性空間の指定された点の動きからの寄与を含むことができる。風や流れなどの慣性空間での流体の動きからの寄与も含めることができる。指定された点が異なると、異なる自由流の流れが発生する可能性がある。例えば、装置上の異なる点が慣性空間で異なる速度で移動し、慣性空間で理論的に静止している流体において異なる自由流の流速が発生するように、装置を回転させることができる。
【0082】
「局所的な自由流の流れ」という用語は、指定された装置のみが、流体と相互作用しなかった場合に発生する指定された装置に対する理論的な流れとして定義される。局所的な自由流の流れは、自由流の流れの寄与のほか、流体と相互作用する、アセンブリの残りのものなどの他の装置による寄与も含む。例えば、水平固定翼によって生成されたダウンウォッシュは、翼の下流に取り付けられた水平安定装置に対する局所的な自由流の流速の大きさおよび方向に影響を与える可能性がある。
【0083】
「流体操作装置」またはFMAは、流体の特性を操作する装置として定義されている。例えば、FMAは、指定されたシナリオまたは境界条件の自由流の流速の大きさに対して、流体要素の流速の大きさを変更できる。別の例では、FMAは、指定されたシナリオの自由流の流速の方向に対して、流体要素の流体の流速の方向を変更できる。流体の流れに対するこの影響は、意図的または意図的ではない場合がある。流体に対する影響の少なくとも一部が意図的なものである場合、FMAは、「意図的な流体操作装置」またはIFMAとしてさらに分類できる。流体の流れに対する意図的な影響は、以下で定義する「意図的運動量搬送装置」またはIMCAの場合のように、いくつかのIFMAに対してのみ局所化できる。他のIFMAの場合、「意図的運動量制限装置」またはIMSAの場合であり得るように、流体の流れに対する意図的な影響も遠方後流で発生する可能性がある。これらの定義は、次の段落で明確になる。
【0084】
運動量制限の意図的な性質のために、IMSAは「推力装置」またはTAと呼ばれることもあり、これは、名目動作中に流体に運動量の意図的な変化率を与えるように構成された任意の装置として定義される。TAの例は、従来のプロペラまたはヘリコプターのメインローターである。名目定速巡航中に揚力を提供する固定翼航空機の翼も、推力装置とみなすことができる。利用可能なTAには他にも多くの使用可能なタイプがある。例えば、運動量の変化率は、電磁力を介してTAによって流体に適用できる。例えば、TAはホール効果推力または電磁流体力学(MHD)ドライブであり得る。フォイトシュナイダー推力、サイクロジャイロ、または同様のデバイスもTAの例である。
【0085】
推力装置の前述の定義では、運動量の意図的な変化率を流体に与える要件は、いくつかの方法で説明できる。例えば、装置のアセンブリの他の流体操作装置から隔離された推力装置を検討する。例えば、固定翼航空機の残りの部分から隔離した翼を検討する。または、従来のヘリコプターの残りの部分から隔離されたヘリコプターのメインローターを検討する。「孤立シナリオ」と呼ばれる理論的シナリオで、推力装置は単独で検討され、名目動作条件中に推力装置に対して遠方後流で意図的で非ゼロの誘導流が存在するという事実によって定義または特徴付けられる。
【0086】
名目動作条件は、場合によっては、空間および時間で均一な自由流の流速および方向を伴うことがある。いくつかの例では、定速巡航中の動作条件は、名目動作条件として説明できる。遠方後流は、この名目動作条件で推力装置から無限の距離に位置している。言い換えれば、推力装置は、自由流の流れ場と比較して、推力装置から無限の距離の流れ場に対して意図的で無視できない影響を有する。
【0087】
本明細書で定義および使用される「意図的」という用語は、運動量の変化率が、有用または故意であるという要件を指す。例えば、運動量の有用な変化率は、前述の孤立したシナリオの遠方後流での流体要素の平均誘導速度に寄与する可能性があり、ここで、速度は意図された推力または揚力の方向とは反対の方向に非ゼロ成分を有する。いくつかの推力装置の場合、遠方後流の流体要素の平均誘導速度は、意図された推力または揚力の方向と反対の方向に実質的な成分を有する。揚力または推力の生成に関連付けられた固定翼またはヘリコプターのメインローターの遠方後流の誘導流は、意図的なものとみなされる。推力装置の近くの流体の運動量の関連する変化率も意図的であるとみなされる。遠方後流に対する推力装置の意図的な効果は、遠方後流における流体の流れ場に対する意図的でない、有用でない、または非生産的な効果とは区別され、例えば、推力装置のいくつかの要素に対するプロファイル抗力、圧力抗力の作用などに関連付けることができる。これらの意図的ではない効果は、電力消費を不必要に、つまり、これらの効果が数学的に除去された理論的状況であるセテリスパリバスと比較して増加させる。
【0088】
運動量の意図的な変化率を流体に与える要件は、別の方法で説明することもできる。例えば、推力装置は、プラントルリフティングライン理論の単純化されたフレームワークで意図的に渦を放出するとみなすことができる任意の装置として定義することもできる。したがって、また、推力装置、またはTA、またはIMSAは、「意図的渦放出装置」、またはIVSAと説明される場合がある。リフティングライン理論のフレームワークは、非粘性および非圧縮性の流れなどの単純化された仮定に依存しているため、参照またはガイドとしてのみ検討されることに留意されたい。推力装置によって意図的または故意に放出される渦は、流体に運動量の変化率を与えることにより、推力装置に作用する揚力または推力に寄与する。名目動作条件中に前述の孤立したシナリオで推力装置を検討すると、意図的に放出された渦も推力装置から無限の距離に存在し、そこで意図的な誘導流を生成する。言い換えれば、推力装置のために、または推力装置によって生成される、非ゼロの、意図的な、遠方後流の誘導流速がある。推力装置は、理論的な放出渦の形で粘性抗力または境界層効果を考慮に入れた数学的モデルなど、いくつかのモデルで意図的ではなく渦を放出することも考慮され得ることに留意されたい。意図的ではない渦放出とは、故意に放出されないいずれかの渦、すなわち揚力や推力の生成などの有用な機能を実行しない、または寄与しないあらゆる渦を指す。
【0089】
意図的運動量搬送装置、またはIMCAは、孤立したシナリオで検討した場合、遠方後流に意図的に運動量を放出しない流体操作装置である。IMCAの例は、ダクトまたは従来の管状、または葉巻形状の軸対称胴体である。胴体は、胴体の周りの流れを意図的に偏向することによって自由流の流れを変更し、これにより、胴体が、定速巡航などの名目動作条件用の翼など、他のいずれかの流体操作装置と隔離されているとみなされる孤立したシナリオの胴体の近くの流れの速度の大きさも増加する。前述の意図的な流れの偏向は、胴体の近くに局所化される。したがって、胴体の近くにある流体要素は、運動量の意図的な局所的な変化率を受ける。理想的な場合、胴体から無限の距離にある流体の流れに影響はない。言い換えれば、胴体による流体の流れに対する意図的な遠方後流の効果はない。胴体の近くでの流体の運動量の意図的ではない変化率が存在する可能性があり、これは、自由流の流れと比較して、孤立したシナリオで胴体から無限の距離にある流体要素の運動量の意図的ではない変化に関連付けられる可能性もある。遠方後流の流体の流れのこのような意図的ではない変化は、例えば、プロファイル抗力の効果から生じる可能性がある。
【0090】
同様に、ダクトは、ダクトの近くの流速の大きさを意図的に変更することによって、自由流の流れを変更する。例えば、ダクトは、名目動作条件中の孤立したシナリオの自由流の流れに対する円形ダクトの中心にある流体要素の流速の大きさを低減するように構成できる。この場合、名目動作条件は、ダクトの中心対称軸に平行な一定かつ均一な自由流の流速を指すことができる。この意図的な変更は、ダクトの近くにのみ局地化され、ダクトの中心から無限の距離で無視できる値に収束する。したがって、ダクトによる流体の流れに対する意図的な遠方後流の影響はなく、つまり、ダクトと流体との相互作用による流体要素の遠方後流の意図的な誘導流速はない。前と同様に、抗力または一時的な影響により、遠方後流の流体の流れが意図的ではなく変更され、ダクトの近くの流体の運動量の意図的ではない変化率に関連する可能性がある。
【0091】
IMCAはリフティングライン理論の簡略化されたフレームワークでも説明できる。IMCAは、密閉された渦または拘束された渦を搬送するとみなすことができる。そのため、IMCAは「意図的渦搬送装置」、またはIVCAとみなすこともできる。例えば、流体に対する円形の軸対称ダクトの意図的な効果は、円形の渦輪、または渦度の2次元または3次元の連続分布、または漸進的に小さな離散渦輪としてモデル化できる。渦度の大きさが時間的に一定で、渦輪の円周に沿って均一である、名目動作条件中、意図的な渦度が流体に放出されないことに留意されたい。同様に、流体の流れに対する胴体の意図的な効果は、胴体内に含まれる、または胴体の表面、すなわち胴体と流体との間の界面に位置する渦度の3次元連続分布としてモデル化することもできる。
【0092】
IMSAの「誘導電力」とは、流体の運動量の意図的な変化率に関連付けられた、流体のエネルギーの変化率である。他のいずれかの電力消費は、「ゼロ揚力電力」または「プロファイル電力」で考慮される。「揚力」という用語には、この文脈における推力も包含することに留意されたい。IMCAは誘導電力をまったく消費しないことに留意されたい。純粋なIMCAに関連付けられた電力損失は、プロファイル電力損失とみなされる。IMSAは誘導電力を消費することができ、その場合、意図的な作業は流体の流体操作装置によって行われる。例えば、航空機または船のプロペラ、あるいは従来の固定翼航空機の固定翼は、誘導電力の消費をもたらすか、またはそれに関連付けられる。IMSAはまた、誘導電力を回収することができ、その場合、作業は、流体操作装置上の流体によって意図的に行われる。例えば、風力タービンによって生成される電力は誘導電力とみなすことができる。
【0093】
運動量の変化率を流体に適用するプロセスにおいて、流体操作装置は、局所的な自由流の速度に対する流速を変化させることができる。この速度の変化は「ダウンウォッシュ」または「誘導速度」である。誘導速度は、例えば、下流または上流に向けることができ、あるいは流れに対して垂直に向けることができることに留意されたい。誘導速度は、IMSAまたはIMCAによって生成できる。後者の場合、誘導速度は局所化される。つまり、IMCAの近くに制限される。これらの用語では、IMSAは、孤立したシナリオでの遠方後流に意図的な誘導速度を付与する装置としても特徴付けられ得る。両方のIMSAが一緒に検討される場合、1つのIMSAによる誘導速度の寄与は別のIMSAによって相殺できることに留意されたい。
【0094】
以下の段落において、および
図1~
図2の文脈において、先行技術で使用されるいくつかの装置および方法が議論される。
【0095】
図1は、従来技術のTAの断面図である。それはプロペラ1を示す。ここで、推力ベクトル39で示されるように、プロペラ1の推力は図の上部に向けられている。図示された動作条件では、矢印40で示されるように、図の上部から下部に流れる非ゼロの自由流の流れがある。
【0096】
点線は、自由流の流れとローターディスクを通して流れる流れとの間のおおよその境界2を概略的に示す。境界上にある線は流線と描写でき、境界に囲まれた体積は流管と描写できる。図に示されている境界は、特定の動作条件の例にすぎないことに留意されたい。境界の形状は、ホバーあるいは風または水流などの自由流の流れからのエネルギー抽出など、図示されたTAの他の動作条件または動作モードによって大きく異なる場合がある。プロペラのはるか前方の自由流では、流れは自由流の流れとほぼ同等である。
【0097】
流体のこの状態は、
図1のステーション3で示される。プロペラの流体の特性は、ステーション4によってカプセル化される。遠方後流の流れ、またはプロペラの下流の自由流は、ステーション5によって参照される。プロペラが流れを加速するため、流管の面積はステーション3からステーション4、ステーション4からステーション5に減少する。
【0098】
ステーション5では、流れは、ステーション3で見られる流れなどの自由流の流れよりも大きい速度を有するが、流管内の流れの圧力は、従来の単純な運動量理論のフレームワークで自由流の圧力に戻ったと仮定できる。ステーション5でのより大きな速度は、プロペラが流れを加速し、等しく反対の力または推力を受ける結果として、流体の運動量の増加を示す。より高い速度は、流体のより大きな運動エネルギーももたらし、これは、前述のフレームワークでは、推力を提供するのに必要な力を示す。
【0099】
単純な運動量理論は、TAを使用した揚力の基本原理を説明するためのフレームワークとしてのみ使用され、この理論内に従来含まれていた仮定は、実施形態に適用したり、範囲を制限したりするものではないことに留意されたい。例えば、ダウンウォッシュの分布は一般に、流管の断面全体で一定である必要はない。各ステーションでの流管のプロットされた半径は近似値であり、流管の一般的な形状を示すことのみを目的としていることに留意されたい。
【0100】
プロペラの断面図は、第1のプロペラブレード6および第2のプロペラブレード7を示す。第1のプロペラブレード6のトレーリングエッジ9および第2のプロペラブレード7のリーディングエッジ10も見える。プロペラを含むすべての図では、同様の構成が示される。
【0101】
図2は、別の従来技術のTAの断面図である。それはダクト付きプロペラを示す。ここで、推力ベクトル41で示されるように、プロペラ11の推力は図の上部に向けられている。図示された動作条件では、示された矢印42のように、図の上部から下部に流れる非ゼロの自由流の流れがある。リーディングエッジ17とトレーリングエッジ18、および断面19を備えた、ダクト16によって生成される追加の推力がある。
図1と同様に、はるか上流のステーション13、ローターのステーション14、および遠方後流ステーション15を備えた、流管境界12がある。ダクト16は、プロペラ11を円周方向に囲んでいる。
【0102】
いくつかの実施形態によれば、従来技術で採用されている方法よりも効果的に流れを変更できる装置および方法が提供される。変更は、流れの指定された位置での流速を参照できるが、これに限定されず、推力の生成に適用できるが、これに限定されない。
【0103】
本方法は、推力装置アセンブリに、名目動作中に自由流の流れに対して第1の方向に意図した力、または推力を生成するように構成された上流推力装置を提供し、さらに、少なくとも下流推力を推力装置アセンブリに提供することを含み、ここで、下流推力装置は、上流推力装置の下流流管の少なくとも一部に少なくとも部分的に配置され、下流推力装置は、少なくとも上流推力装置の流管の下流推力装置の位置での上流推力装置の誘導速度ベクトルの方向に平行なベクトル成分を備えた推力を生成するように構成され、ここで、下流推力装置の推力は、上流推力装置の流管と下流推力装置の流管との間の重複の領域の少なくとも一部にわたってこの方向基準を満たす。推力装置アセンブリは、少なくとも2つの推力装置を含むことができる。
【0104】
流管は、外部リフティング装置または推力装置によって湾曲させることができることに留意されたい。場合によっては、下流推力装置の位置での上流推力装置の誘導速度ベクトルは、上流推力装置が受ける推力ともはや整合する必要はない。場合によっては、上流推力装置の位置で上流推力装置の誘導速度ベクトルと整合することもできなくなる。下流推力装置の位置での下流推力装置の誘導速度ベクトルは、その位置での上流推力装置の誘導速度ベクトルと反対方向の成分を少なくとも有するように構成される。したがって、下流推力装置が受ける推力は、上流推力装置の推力と反対方向の成分を有する必要はない。
【0105】
代替として、本方法は、推力装置アセンブリに、自由流の流速ベクトルに対して少なくとも意図した方向に運動量の第1の変化率を与えるように構成された上流推力装置を提供し、さらに、少なくとも下流推力を推力装置アセンブリに提供することを含み、ここで、下流推力装置は、上流推力装置の下流流管の少なくとも一部に少なくとも部分的に配置され、下流推力装置は、上流推力装置の流管の流体に運動量の第2の変化率を与えるように構成され、ここで、運動量のこの第2の変化率の方向は、上流推力装置の流管と下流推力装置の流管との間の重複の領域の少なくとも一部のための上流推力装置の流管の流体に対する運動量の第1の変化率の効果の反対方向の成分を少なくとも有する。
【0106】
代替として、本方法は、流体に意図された量の誘導電力を送達するように構成された上流推力装置を推力装置アセンブリに提供し、さらに少なくとも下流推力装置を推力装置アセンブリに提供することを含み、ここで、下流推力装置は、上流推力装置の下流流管の少なくとも一部に部分的に配置され、および下流推力装置は、上流推力装置の流管と下流推力装置の流管との間の重複の領域の少なくとも一部にわたって流体から意図された量の誘導電力を抽出するように構成される。
【0107】
代替として、本方法は、流体から意図された量の誘導電力を抽出するように構成された上流推力装置を推力装置アセンブリに提供し、さらに少なくとも下流推力装置を推力装置アセンブリに提供することを含み、ここで、下流推力装置は、上流推力装置の下流流管の少なくとも一部に少なくとも部分的に配置され、および下流推力装置は、上流推力装置の流管と下流推力装置の流管との間の重複の領域の少なくとも一部にわたって流体に意図された量の誘導電力を送達するように構成される。
【0108】
このような推力装置アセンブリの利点の1つは、流管内の指定点での流速の変更である。例えば、上流および下流の推力装置間のステーションでは、流速を人為的に増加させることができる。理想的な場合、上流推力装置によって行われたいずれかの作業は、下流推力装置によって回収でき、その結果、プロセスでのエネルギー損失が最小限になる。さらに、上流推力装置によって流体に与えられる運動量の望ましくないあらゆる変化は、下流推力装置によって除去することができる。言い換えれば、上流推力装置が受ける望ましくないあらゆる推力は、下流推力装置によって相殺することができる。このようにして、いくつかの実施形態は、流れ変更のための方法を提供し、本方法は、先行技術で採用された方法よりも効果的であり得る。
【0109】
上記で概説した方法を採用する装置の可能な実施形態が多数存在する。一実施形態が
図3に示されている。当該図は、プロペラとして分類することができる、上流推力装置20、およびこの場合プロペラとして記述することもできる下流推力装置21を含む推力装置アセンブリを示している。他の実施形態では、推力装置20または21は、図示されたオープンロータータイプ以外のタイプのものとすることができる。例えば、推力装置は、いくつかのオープンローターを含むことができ、または少なくとも1つのダクト付きファン、または一対の同軸逆回転プロペラを含むことができる。
図1と同様に、はるか上流のステーション23、上流推力装置20のステーション24、上流推力装置20と下流推力装置21との間のステーション25、下流推力装置21のステーション26、および遠方後流ステーション27を備えた、流管境界22がある。この場合、下流推力装置21は、上流推力装置20の流管22に配置される。
【0110】
この例では、推力装置アセンブリは、推力ベクトル43で示されるように、図の上部に向かって、垂直上方に向けられた正味推力を提供する必要がある。矢印45で示されるように、図の上部から下部に向かって自由流の流れがある。この例の実施形態の目的は、ベースライン構成と比較して、所定量の推力に対して推力装置アセンブリの誘導電力を低減することである。この場合のベースライン構成は、
図1に例示するオープンローターの例のような単一のオープンローターであり、ここで、ステーション4および24の正味推力とアクチュエータディスク領域が同じである。
【0111】
いくつかの実施形態によれば、これは、以下の
図3に示されるIFMA構成により達成される。上流推力装置20は、推力装置アセンブリに必要な正味推力と平行でそれより大きい推力を提供するように構成され、ここで、正味推力は、下流推力装置21の推力に加算された上流推力装置20の推力である。推力装置アセンブリの正味推力は、必要な推力と等しくする必要がある。したがって、下流推力装置21の推力は、正味推力と上流推力装置20の推力との差に等しい。この場合、これにより、下流推力装置21に推力が生じ、それは、推力ベクトル44によって示されるように、図の下部に向かって垂直に下方に向けられ、上流推力装置20の推力とは反対の方向を指す。言い換えれば、下流推力装置21は、上流推力装置によって流体に与えられ、推力装置アセンブリの正味の必要な推力制約に違反し、この場合は超過するあらゆる運動量を抽出するように構成される。下流推力装置21はさらに、流体から電力を抽出するように構成される。ベースラインと比較して誘導電力消費を改善するために、抽出された誘導エネルギーの十分な部分またはすべてを、上流推力装置20に可逆的または直接送信する必要がある。
【0112】
エネルギーは、推力装置アセンブリ内に可逆的に格納するか、推力装置アセンブリと連動する別の装置に可逆的に伝達することにより、可逆的に回収することができる。例えば、下流推力装置は、機械的エネルギーの一部を電気エネルギーに変換するように構成された電気モーターを含むことができる、発電機Gを駆動することができる。電気エネルギーの一部は、バッテリー、コンデンサ、またはその他のエネルギー貯蔵デバイスに可逆的に格納できる。バッテリーは、推力装置アセンブリ内、またはビークルの残りの部分など、推力装置アセンブリに取り付けられた外部装置上に配置することができる。エネルギーは、フライホイールの形で機械的に抽出および格納することもできる。
【0113】
エネルギーは、いくつかの方法で上流推力装置20に直接伝達することができる。例えば、エネルギーが発電機Gによって下流推力装置21から抽出される場合、電気エネルギーは、電気導体または電線を介して上流推力装置20を駆動する電動機Mに伝達することができる。代替として、下流推力装置によって抽出された電力は、上流推力装置20と下流推力装置21をしっかりと接続する駆動軸の形で機械的に伝達することができる。いくつかの実施形態では、機械的エネルギー伝達装置は、堅固な接続を形成する必要はないが、調整可能なリンケージ、ギア、およびクラッチなどの他の機構を含む。
【0114】
下流推力装置21から機械的エネルギーを回収し、それを格納する、または上流の推力装置20に伝達するための、当技術分野で知られている他の多数の方法がある。
【0115】
上記の実施形態は、ベースライン誘導電力よりも少ない誘導電力をもたらす。ステーション4および24での所定の最大アクチュエータディスク領域、および所定の正味推力について、誘導電力は、上流推力装置20の推力が増加するにつれて減少する。上流推力装置20の推力は、この例のベースラインと比較して誘導電力の低減を達成するために、必要な正味推力よりも大きい必要があることに留意されたい。
【0116】
いくつかの実施形態は、
図2によって例示されるように、ダクト推力装置の改善をもたらす。ダクトは、プロペラの先端損失の低減など、いくつかの利点を有し、これにより、オープンローターと比較して同じ推力量に対してより低い誘導電力で動作することができる。ダクトもいくつかの欠点を有する。TAの重量のほか、湿潤面積、および関連する抗力が増加する可能性がある。さらに、ダクトの有効性は、拡散器の流れの剥離のリスクによって限定される。加えて、異なる流速で効率を上げるためにダクトの形状を変更することは、複雑さと重量のために実際的ではないことがよくある。
【0117】
いくつかの実施形態は、これらの欠点のいくつかによる影響が少ない。いくつかのダクトレスの実施形態では、推力装置は、同等の重量および湿潤面積のペナルティなしでダクトの利点を受けることができる。流れの剥離を避けるために、ダクトには大きな拡散器が必要になるが、これは重量およびサイズの制約のために実用的ではない場合がある。ダクトレスの実施形態は失速の制約に対する感度が低く、これにより、いくつかの実施形態はダクト付きローターよりも高い性能を達成することが可能になる。推力装置は、ダクトよりも複雑さを抑えて再構成することもできる。例えば、オープンロータータイプの推力装置は、プロペラブレードの集合ピッチを変えることにより再構成でき、回転速度は容易に制御できる。これにより、ホバリングまたはレベルの巡航などのさまざまな動作条件で、推力装置がより複雑でなく、より効率的に動作できるようになる。
【0118】
図3では、上流推力装置20は、特定の推力装置アセンブリの必要な推力のほか、下流推力装置21によって相殺される追加の推力も提供したことに留意されたい。いくつかの実施形態では、推力装置アセンブリの正味推力への寄与において互いに相殺する推力装置を、推力装置アセンブリの残りから物理的に分離することが望ましい場合がある。
【0119】
図4は、そのようなシナリオを示している。当該図は、プロペラとして分類することができる、上流推力装置28、およびこの場合プロペラとして記述することもできる下流推力装置30を含む補助推力装置アセンブリを示している。当該図は、同じくオープンロータータイプの中間推力装置29も示している。矢印49で示されるように、図の上部から下部に向かって垂直に下向きに向けられた自由流の流れがある。
図1と同様に、はるか上流のステーション32、上流推力装置28のステーション33、上流推力装置28と中間推力装置29との間のステーション34、中間推力装置29のステーション35、中間推力装置29と下流推力装置30との間のステーション36、下流推力装置30のステーション37、および遠方後流ステーション38を備えた、流管境界31がある。この場合、中間推力装置29および下流推力装置30は、上流推力装置28の流管31内に配置される。
【0120】
この例では、中間推力装置29は、推力ベクトル47で示されるように、全推力装置アセンブリの必要な正味推力に等しい推力を提供し、ここで、推力装置アセンブリは、上流推力装置28、中間推力装置29および下流推力装置30を含む。したがって、補助推力装置アセンブリは、正味推力を提供しないことが必要である。
図3のように、この例の実施形態の目的は、ベースライン構成と比較して、所定量の推力に対して全推力装置アセンブリの誘導電力を低減することである。この場合のベースライン構成も、
図1に例示するオープンローターの例のような単一のオープンローターであり、ここで、ステーション4およびステーション33の正味推力とアクチュエータディスク領域が同じである。
【0121】
いくつかの実施形態によれば、これは、以下の
図4に示される実施形態によって達成される。上流推力装置28は、全推力装置アセンブリに必要な正味推力と平行でそれより大きい推力を提供するように構成され、ここで、正味推力は、下流推力装置30に追加された、中間推力装置29の推力に加算された、上流推力装置28の推力である。したがって、上流推力装置28の推力は、推力ベクトル46によって示されるように、ページの上部に向けられる。下流推力装置30の推力は、この場合、推力ベクトル48によって示されるように、上流装置28の推力と等しく反対である。言い換えれば、下流推力装置30は、上流推力装置によって流体に与えられ、全推力装置アセンブリの正味の必要な推力制約に違反し、この場合は超過するあらゆる運動量を抽出するように構成される。下流推力装置30はさらに、
図3の下流推力装置21に関して前述した方法で、流体から電力を抽出するように構成される。
【0122】
それが目的である場合、全体の誘導電力が最小化されている限り、上流および下流の推力装置が個別に最小誘導電力で動作する必要はないことに留意されたい。例えば、目的がステーション38で遠い流管の断面にわたって一定のダウンウォッシュを維持することである場合、上流推力装置28または中間推力装置29のダウンウォッシュは、あらゆる不均一性が下流の推力装置によって除去される限り、均一である必要はない。
【0123】
同軸プロペラに適用される原理は、いくつかの実施形態にも適用されることに留意されたい。例えば、中間推力装置29のステーション35のアクチュエータディスク領域は、ステーション33の上流推力装置28のアクチュエータディスク領域と同じ大きさであり得る。したがって、中間推力装置の一部は、自由流の流れと連動している。中間推力装置は、この領域を使用して、全推力装置アセンブリの必要な推力の方向に運動量の変化率を流体にさらに与えることができる。これにより、推力装置アセンブリは、ベースラインと比較して誘導電力をさらに減らすことができる。同様に、
図4の30または
図3の21など、下流推力装置のアクチュエータディスク領域を増やすこともできる。バイパス流体の流れと相互作用する概念は、当技術分野で周知である。さらに、従来技術で周知のように、流管のプロペラの回転方向は、遠方後流の渦が最小化されるように選択することができる。
【0124】
以下の段落では、他の実施形態について説明する。
【0125】
一般的に、実施形態を単独で検討することは有益である。一実施形態では、装置の目的は、流れの指定された点での自由流の流れに対して局所流速を増加させることである。これは、下流の運動量の変化率を与えるように構成された上流推力装置を備えた推力装置アセンブリによって達成することができ、その結果、下流誘導流速ベクトルが得られる。上流の推力装置は、流れの指定された点の上流に配置され、上流方向の推力を受け、流体で作業を行い、結果として誘導電力が消費される。推力装置アセンブリは、上流の運動量の変化率を与えるように構成された下流推力装置をさらに備えることができ、その結果、上流誘導流速ベクトルが得られる。下流装置は、上流推力装置の流管に配置されている。下流の推力装置は、流れの指定された点の下流に配置され、下流方向の推力を受け、流体から電力を回収している。理想的な場合、上流装置によって流体に与えられたすべての誘導電力は、下流装置によって回収されるため、正味誘導電力は流体に失われない。推力装置アセンブリの正味推力ゼロの要件を伴うこの理想的な場合では、上流および下流の推力装置の推力はさらに相殺される。上流および下流の推力装置アセンブリが流れの加速を可能にするのに十分離れている限り、上流と下流の推力装置の間に位置する指定された点は、局所流速の望ましい増加を受けることができる。これは、誘導流、または上流推力装置のダウンウォッシュのほか、下流推力装置の、ダウンウォッシュによるものである。このダウンウォッシュは、その後、下流推力装置によって指定された点のさらに下流で回収できるため、理想的な場合、流管の遠方後流にダウンウォッシュは存在しない。
【0126】
別の実施形態では、装置の目的は、流れの指定された点で局所流速を減少させることである。いくつかの実施形態によれば、これは、上記の例と比較して、上流および下流の推力装置の役割を逆にすることにより達成することができる。したがって、上流推力装置は、上流の運動量の変化率を与えるように構成することができ、その結果、上流誘導流速ベクトルが得られる。同様に、下流推力装置は、下流の運動量の変化率を与えるように構成することができ、その結果、下流誘導流速ベクトルが得られる。理想的な場合、上流装置によって流体に回収されたすべての誘導電力は、下流装置によって消費され、そのため、正味誘導電力が推力装置によって流体から抽出されはしない。
【0127】
上流推力装置は、指定された点でのみ局所流速要件を満たす必要があることに留意されたい。上流推力装置のアクチュエータディスク領域を含む流管の異なる点は、自由流の流れと比較して、局所流速の異なる増加または減少を必要とする可能性がある。局所流速要件は、流管の指定された点または点の集合、あるいは流管の近くでの推力装置アセンブリのダウンウォッシュに関する要件として扱うことができる。これらの要件は、上流および下流の推力装置のアクチュエータディスク領域全体の推力分布を変えることで満たすことができる。指定された点でのこれらの流れの制約を考えると、誘導電力の最小化などの追加の目的がある可能性があり、それは遠方後流でゼロまたは均一なダウンウォッシュの追加要件に変換できる。目的は、この動作条件で消費される全電力を最小化することでもあり得る。
【0128】
推力装置アセンブリの動作条件を検討し、その目的は、構造的な制約が常に満たされると仮定して、所定の最大アクチュエータディスク領域および自由流の流速に対して流体から抽出される電力を最大化することである。風力タービンなどのオープンローターからなるベースライン構成を検討できる。いくつかの実施形態によれば、推力装置アセンブリは、上流および下流の推力装置を含むことができる。この例では、下流推力装置は、上流推力装置のスリップストリームに配置される。非ゼロの自由流の流れがある。上流推力装置は、下流方向の流れに運動量の変化率を与えることにより、自由流の流れに作用するように構成される。したがって、流体との相互作用により、上流推力装置は、上流に向けられた力を受ける。下流推力装置は、上流推力装置の流管の流れから電力を抽出するように構成される。言い換えれば、流体は、下流推力装置で作業を行っており、下流推力装置が下流方向の力を受けるように、上流に向けられた運動量の変化率を受けている。したがって、ベースラインのオープンローター構成と比較して、性能の改善を実現できる。例えば、風力タービンは2つのオープンローターを含むことができ、ここで、1つはマストの上流に配置され、もう1つは下流に配置される。ローターは上記のように動作できる。上流ローターによって消費される電力は、外部電源、または下流ローターによって提供され得る。
図3の説明で述べたように、例えば、シャフトとの直接接続を介して、または歯車列およびクラッチを含む調整可能な変速機を介して、上流および下流の推力装置の間で機械的に電力を伝達できる。電力は電気的に伝達することもでき、ここで、下流のローターは発電機を駆動し、その電気エネルギーは上流のローターを駆動する電気モーターに伝達される。他の構成も可能であり、当該原理は、水車または他の推力装置あるいは動作条件にも適用されることに留意されたい。
【0129】
いくつかの実施形態または動作条件では、下流ローターのアクチュエータディスクでの局所流速を増加させるのではなく、減少させることが望ましい場合がある。例えば、風力タービンの場合、いくつかの動作条件では、自由流の流速は、下流ローターの許容ピーク自由流の流速を超える場合がある。例えば、構造上の制限によって決定される上流ローターのピーク自由流の流速は、サイズおよび名目動作負荷が異なるため、下流ローターのピーク自由流の流速よりも大きくなる可能性があることに留意されたい。また、設計によって異なる場合がある。この場合、上流ローターの推力を逆にすることができ、そのため、流れから電力を抽出し、下流ローターでの流速を名目レベルまで下げる。このようにして、下流ローターの推力が設計限界を超えるのを防ぐことができる。したがって、推力装置アセンブリ全体の性能が最適化されるように、上流推力装置を使用して流れ場を修正することができる。そのようなシナリオに適用可能な当技術分野で周知の他の方法があることに留意されたい。単一のオープンローターの場合、回転速度およびプロペラピッチなどの動作条件を調整することができる。しかしながら、これらの方法の有効性は自由流の速度の範囲に制限されており、いくつかの実施形態はこれらの制限を拡大することができる。この文脈で説明されている原則は、他の動作条件およびシナリオにも適用できる。
【0130】
以下の段落において、および
図5の文脈において、先行技術で使用されるいくつかの装置および方法が議論される。
【0131】
「境界装置」は、流体要素に力またはモーメントを直接適用する、またはその逆の流体操作装置のいずれの増分表面または体積をも含む。境界装置の例は、航空機の胴体の濡れた表面、または船の船体の濡れた表面、翼の表面、平板の表面、または車の外側表面である。
【0132】
図5は、周囲の流体に対して移動する境界装置61の断面図を示している。境界装置61は、リーディング点64およびトレーリング点65を有する。リーディング点およびトレーリング点は、翼のリーディングエッジまたはトレーリングエッジなどのエッジにすることもできる。この特定の実施形態では、簡単にするために、境界装置は、閉じた外側表面62および内側表面63を備えた薄いシェルとして説明できる剛体である。この実施形態では、境界装置61の形状は、回転形状であり、すなわち、それは、リーディング点64およびトレーリング点65を通過する軸に関して軸対称である。
【0133】
次のように「境界装置フレーム」または「BAF」を定義できる。原点は、境界装置61の外側表面62によって囲まれた体積の幾何学的重心に位置している。x軸は、リーディング点64とトレーリング点65を接続する直線と一致し、リーディング点64に向けられている。指定しない限り、z軸は図のページで垂直を指している。
【0134】
3つの速度プロファイル67~69が示されている。速度プロファイルの各矢印は、境界装置に対する増分流体要素の速度ベクトルを示し、ここで、増分流体要素は、矢印の付け根に位置している。速度プロファイル67の矢印の先端を接続する線は、連続的な速度分布を示している。
【0135】
境界装置61は、周囲の流体に対して移動している。自由流の流速は空間的に均一で、時間的に一定である。
図5では、境界装置61に対する自由流の流体の流れは、BAFのx軸に平行に、反対方向に、すなわち図の上部から下部に向けられている。境界装置61のはるか上流では、増分流体要素の速度は自由流の流速にほぼ等しい。したがって、速度プロファイル67は均一であり、大きさと方向は自由流の流速に等しい。
【0136】
速度プロファイル68は、境界装置61の近くの速度分布を記述する。この実施形態では、境界装置61の表面にはノースリップ状態がある。他の実施形態では、外側表面62に沿って非ゼロのスリップ速度があり得る。粘性効果により、BAFのy軸の方向に結果として生じる速度勾配は、境界装置61に作用するせん断応力を生じさせ、次にそれが粘性抗力を生じさせる。粘性抗力はBAFのx軸に平行で、負のx方向に向けられる。
【0137】
流線66は、境界装置61に関連付けられた境界層のおおよその厚さを記述する。境界装置61は円筒対称であるため、流線66は流管66とも呼ばれる場合がある。
【0138】
速度プロファイル69は、境界装置61の遠方後流における速度分布を記述する。速度プロファイル69の流管66内の速度の減少は、境界装置61に作用する粘性抗力によって引き起こされる遠方後流の運動量不足を示している。
【0139】
いくつかの実施形態によれば、境界装置を囲む流れ場は、少なくとも1つの動作条件について、複合装置の粘性抗力がベースライン境界装置よりも低くなるように、流体操作装置によって変更される。
【0140】
ベースライン境界装置は、複合装置の境界装置と同じ形状を有する必要はない。ベースライン境界装置は、
図5に図示された境界装置61などの従来技術で使用される従来の装置である。例えば、ベースライン境界装置は、従来の管状の航空機胴体の形状を有することができる。
【0141】
スリップ速度は、境界装置の表面での、および境界装置の表面に対する流体の速度である。粘性のある流体では、流体が非粘性である理論的なシナリオで計算されたスリップ速度と比較して、スリップ速度の大きさは通常小さい。これらの2つの速度の差は「速度不足」と呼ばれる。粘性効果により、境界装置の表面での速度不足は、局所的な自由流の流速に垂直な方向に流体を通って伝播する。その結果、無視できない量の流体が速度不足の影響を受ける。この速度不足の影響を受ける流体の流れの領域は、境界層と呼ばれる。この領域の厚さは、境界層の厚さと呼ばれる。境界層の厚さは、流体が非粘性である理論的シナリオであるセテリスパリバスで計算された速度の大きさの1%を超える速度不足が存在する領域として定義できる。速度不足は運動量不足に変換され、これにより、境界装置に作用する粘性せん断応力と粘性抗力が生じる。
【0142】
いくつかの実施形態によれば、流体の流れに対する流体の流れ操作装置の効果が数学的に除去される場合と比較して、複合装置の湿潤面積の少なくとも一部について局所的な自由流の流速が減少する。流体操作装置は、ベースライン境界装置と比較した流体操作装置の追加の湿潤面積による複合装置の電力消費の増加が、ベースライン境界装置と比較して境界装置に作用する抗力により境界装置によって消費される電力の減少よりも大きさで小さいように構成される。境界装置によって消費される電力の減少の一部は、境界装置の局所的な自由流の流速の減少から生じ得る。代替的にまたは同時に、流体操作装置は、境界装置の境界層の少なくとも一部における乱流とは対照的に層流に有利になるように構成され得る。消費される電力の減少の別の部分は、ベースライン境界装置と比較した境界装置の形状の変化から生じ得る。流体操作装置は、流れの一部の剥離による圧力抗力の増加を招くことなく、境界装置の湿潤面積を減少させることができるように、流れを操作することができる。境界装置によって囲まれる所定の体積の場合、最小の湿潤面積を備えた境界装置の形状は球体である。しかしながら、球体は、球体の下流での流れのよどみにより大きな圧力抗力を引き起こす。失速していなくても、球体は、湿潤面積での平均平方の局所的な自由流の流速が大きいことのほか、境界層効果によっても、粘性抗力が大きくなることもある。これらの理由のため、製造の容易さのような他の理由の中でも、ほとんどの胴体は、チューブまたは涙滴の形状に類似した細長い形状を有している。流体操作装置は、境界装置の湿潤面積を低減することができ、同時にベースライン境界装置と比較して平均平方の局所的な自由流の流速も低減できるように、流れを変更することができる。
【0143】
流れ場の変更はいくつかの形をとることができ、変更の各形は、流体操作装置のいくつかの異なる実施形態によって実行することができる。
【0144】
図7は、周囲の流体に対して移動する境界装置95を含むIFMA構成を示している。境界装置95は、リーディング点98およびトレーリング点99を有する。リーディングおよびトレーリング点は、翼またはエーロフォイルのリーディングエッジまたはトレーリングエッジなどのエッジにすることもできる。翼の場合、リーディングエッジおよびトレーリングエッジは、指定された流れ条件のリーディングおよびトレーリングのよどみ線とみなすことができる。この実施形態では、境界装置は、閉じた外側表面96および内側表面97を備えた薄いシェルとして説明できる剛体である。この実施形態では、境界装置95の形状は、回転形状であり、すなわち、それは、リーディング点98およびトレーリング点99を通過する軸に関して軸対称である。
【0145】
境界装置95は、船の船体、または航空機の胴体であり得る。他の実施形態では、境界装置95は異なる幾何学的形状を有することができる。例えば、境界装置の形状は、
図5に示される境界装置61の形状に類似することができる。いずれか任意の用途に適した幾何学的形状を見つけることができる。境界装置は、さまざまな既存の方法および材料を使用して製造することができる。
【0146】
次のように「境界装置フレーム」または「BAF」を定義できる。原点は、境界装置95の外側表面96によって囲まれた体積の幾何学的重心に位置している。x軸は、リーディング点98とトレーリング点99を接続する直線と一致し、リーディング点98に向けられている。指定しない限り、z軸は図のページで垂直を指している。
【0147】
3つの速度プロファイル101~103が示されている。速度プロファイルの各矢印は、境界装置に対する増分流体要素の速度ベクトルを示し、ここで、増分流体要素は、境界装置に対して速度が測定された時点で矢印の付け根に配置される。速度プロファイルの矢印の先端を接続する線は、連続的な速度分布を示している。
【0148】
境界装置95は、周囲の流体に対して移動している。示されている単純化されたシナリオでは、自由流の流速は空間的に均一で、時間的に一定である。
図7では、境界装置95に対する自由流の流体の流れは、BAFのx軸に平行に、反対方向に、すなわち図の上部から下部に向けられている。境界装置95のはるか上流では、増分流体要素の速度は自由流の流速にほぼ等しい。したがって、速度プロファイル101の速度は、空間で均一であり、時間で一定であり、大きさと方向は境界装置に対する自由流の流速に等しい。
【0149】
速度プロファイル102は、境界装置95の近くにおける速度分布を記述する。この実施形態では、境界装置95の外側表面96にはノースリップ状態がある。他の実施形態では、外側表面96に沿って非ゼロのスリップ速度があり得る。
【0150】
流線100は、x方向に沿って見たときに円形の断面を有する、流管の境界を記述する。
図7の点線は、自由流の流れと上流IMSA104のローターディスクを通して流れる流れとの間の凡その境界100を概略的に示す。境界上にある線は流線と描写でき、境界に囲まれた体積は流管と描写できる。
図7に示されている境界は、特定の動作条件の例にすぎないことに留意されたい。境界の形状は、図示されたIMSAの他の動作条件または動作モードによって大きく異なる場合がある。
【0151】
速度プロファイル103は、境界装置95の遠方後流における速度分布を記述する。簡略化された、理想的なシナリオでは、速度プロファイル103は、
図7に示されるように、速度プロファイル101と実質的に等しい。他の実施形態では、こうである必要はない。
【0152】
いくつかの実施形態によれば、境界装置95などの境界装置には、意図的な流体操作装置が設けられる。
図7に示されるIFMA構成では、この意図的な流体操作装置は、プロペラとして分類できる上流IMSA104、およびこの場合プロペラとしても記述できる、下流IMSA110を備えるIMSAアセンブリとして、説明できる。この場合、下流IMSA110は上流IMSA104の流管100に配置される。他の実施形態では、こうである必要はない。例えば、下流IMSA110は、他の実施形態では、上流IMSA104の流管100の外側に伸びることができる。そのような構成は、下流IMSA110もIMSAアセンブリの正味推力に積極的に寄与するために使用されているシナリオで、有用となり得る。
【0153】
プロペラ104などのプロペラ、または上流IMSA104の断面図は、第1のプロペラブレード105および第2のプロペラブレード106を示す。第1のプロペラブレード105のリーディングエッジ109および第2のプロペラブレード106のトレーリングエッジ108も見える。プロペラを含むすべての図では、同様の構成が示される。プロペラブレードは、ローターハブ107によって構造的に支持されている。
【0154】
下流IMSA110は、上流IMSA104と同様の方法で構成され、したがって、同じ詳細では説明されない。上流IMSA104および下流IMSA110は、接続装置を介して、境界装置95にしっかりと接続されている。明確にするために、この装置は
図7には示されていない。
【0155】
他の実施形態で、IMSA104または110は、図示されたオープンロータータイプ以外のタイプのものとすることができる。例えば、IMSAは、いくつかのオープンローターを含むことができ、または少なくとも1つのダクト付きファン、または一対の同軸逆回転プロペラを含むことができる。IMSAは、サイクロジャイロまたは異なるタイプのIMSAにしてもよい。
【0156】
いくつかの実施形態によれば、境界装置の表面に垂直な方向に、流速の平均空間勾配が人為的および意図的に低減する方法で流体操作装置によって、境界装置の近くの流れ場が意図的に変更される。せん断応力は、ニュートン流体の流速の勾配に比例する。したがって、境界装置に作用する粘性せん断応力は、従来技術の実施形態と比較して低い。いくつかの実施形態では、従来技術の代表的な境界装置と比較して、境界装置によって消費される粘性力の減少は、意図的な流体操作装置の追加の粘性電力消費よりも大きい。したがって、粘性電力消費の正味の低減は、ある範囲の動作条件に対するいくつかの実施形態によって達成することができる。意図的な流体操作装置と境界装置の最適な構成は、用途と制約により異なり、多くのさまざまな方法を使用して見つけることができる。例えば、多くのそのような方法は、計算流体力学で周知である。
【0157】
図7に示されている実施形態では、前述の流体操作装置は、上流IMSA104および下流IMSA110からなる。この流体操作装置は、「IMSAアセンブリ」と呼ばれる。IMSAアセンブリは、境界装置95の表面の近くの流れの速度の空間分布を人為的および意図的に変更することにより、境界装置95の表面および表面に垂直な方向の流れ速度の平均空間勾配を低減する。
【0158】
いくつかの実施形態では、この変更は、フルスリップシナリオにおける境界装置95の外側表面96での流れの速度の大きさの減少を含む。「フルスリップシナリオ」とは、指定された表面に対して境界層効果またはノースリップ状態が存在しない、理論的なシナリオである。この理論的シナリオでは、流体の流れに対する外側表面96の境界層効果または粘性抗力効果は、指定された表面に対して数学的に除去されている。前述の速度の減少は、局所的な自由流の流体の流れ、すなわちIMSAアセンブリがない場合の境界装置95の周りの流れに対して発生し、この場合、これはフルスリップシナリオについても計算される。IMSAアセンブリが流体の流れに影響を与えないと想定されているシナリオは、「参照シナリオ」と呼ばれる。参照シナリオのプロパティは、比較されているシナリオによって決定されることに留意されたい。例えば、特定の参照シナリオをフルスリップまたはノースリップ状態のどちらで検討するかは、文脈から明確にする必要がある。速度の減少は、BAFの正のx方向に向けられている境界装置95の表面での上流IMSA104および下流IMSA110の組み合わされた誘導速度の結果である。フルスリップシナリオにおける境界装置95の外側表面96での流れの速度の大きさのこの減少は、参照シナリオと比較して、外側表面96でのレイノルズ数を減少させることができる。レイノルズ数のこの減少は、ノースリップシナリオで、境界層の厚さを増やし、外側表面96で外側表面96に垂直な方向の流速の平均空間勾配を減らすことができる。したがって、外側表面96の平均粘性せん断応力および粘性抗力損失を低減することができる。
【0159】
いくつかの実施形態では、外側表面96での速度は、大きさは減少するものの、外側表面96でのフルスリップシナリオで負のx方向に非ゼロ成分を依然として有する可能性がある。言い換えれば、フルスリップシナリオにおける外側表面96での流体要素の速度の一般的な方向は、フルスリップ条件を伴う前述の参照シナリオと比較して大きく変化しない可能性がある。
【0160】
図示の例では、境界装置95の外側表面96での流体の流れの大きさは、フルスリップシナリオでは実質的にゼロになる程度まで人為的に低減されている。フルスリップシナリオで所定の表面での流体の流速の大きさがゼロの場合、ノースリップシナリオはフルスリップシナリオであるセテリスパリバスと等しくなる。このシナリオでは、外側表面96の粘性抗力はゼロになる。流管100は、そのような理想化され、単純化されたシナリオにおける境界装置95の人工境界層であるとみなすことができる。IMSAアセンブリに対する粘性抗力の影響も検討する場合、このような構成は最適ではない、すなわち、全粘性抗力を最小化しない可能性があることに留意されたい。
【0161】
速度プロファイル102に示されるように、外側表面96に垂直な方向の流体の流速の大きさの勾配も、示された位置で実質的にゼロである。いくつかの実施形態では、この勾配は平均でゼロより大きくすることができ、ここで、平均は外側表面96全体にわたって計算される。それにもかかわらず、この平均勾配は、ノースリップ状態を伴う参照シナリオと比較して小さくすることができる。
【0162】
他の実施形態では、境界装置95の近くで流管100内の流体の流れの異なる空間変動または空間分布があり得る。例えば、流れの再循環があり得る。言い換えれば、境界装置95の外側表面96に隣接する流体の流速は、外側表面96の全部または一部について、フルスリップシナリオで、正のx方向に非ゼロ成分を有する可能性がある。この場合、閉じ込められた渦輪、すなわち循環流の輪は、境界装置95の全部または一部を取り囲む。対称性により、この渦輪の中心軸はBAFのx方向と整合、および一致しており、BAFのyz平面に平行な平面にある。このような渦輪は、IMSAアセンブリによって所定の位置に保持され、周囲の流れによって再活性化される。
【0163】
いくつかの実施形態では、境界装置95の近くの流管100内の流速の空間分布も故意に変更される。
図7に示される実施形態では、誘導速度の空間分布は、流管100内の流体の流速の大きさの実質的な線形の変動を生成するように構成される。示されるように、流管100内の流体の流速の大きさは、正のy方向に実質的に線形に増加する。他の実施形態では、流管100内の流速の大きさは、正のy方向に増加する速度で増大する。そのような構成は、境界層の厚さが流れ方向、すなわちBAFの負のx方向に成長している場合でも、外側表面96の境界層のレイノルズ数を人為的に低く保つのに役立ち得る。速度の大きさの緩やかな勾配はまた、流管100内の摩擦加熱および乱流効果を最小限に抑えることができ、したがって抗力損失を減らすか、境界装置95に関連付けられた正味の電力消費を減らすことができる。流管100が境界装置95の人工境界層であるとみなされる類推では、人工境界層が実質的に層状であり、そのままであることを確保するために、速度の大きさの緩やかな勾配が望ましい場合がある。さらに、流管100内の速度の大きさの漸進的な増加は、周囲の流れから流管100への運動量の伝達が最小になることを確保し、これにより、遠方後流、すなわち速度プロファイル103において流管100を囲む流れの運動量不足が生じ、境界装置95に関連付けられた粘性電力消費に寄与する。
【0164】
流管100内の流体の流速の大きさの最適な空間変動は、既存の方法を使用して見つけることができ、線形である必要はない。例えば、他の基準の中で、上流IMSA104によって流体の中に放出される全渦度の速度を低減することが望ましい場合がある。
【0165】
フルスリップシナリオでの外側表面96における流体の流れの最適な大きさと方向のほか、外側表面96での流速の勾配の大きさと符号も、所定の流れ条件または既存の方法を使用する所定の用途に最適化することができる。流管100内の流体の流速の最適な分布も、同じ方法を使用して最適化することができる。このような最適化の目的は、境界装置およびIMSAアセンブリの全消費電力を最小化することにし得る。
【0166】
境界装置95の近くの前述の速度分布は、速度プロファイル102によって提供されるスナップショットによって例示される。この速度分布は、フルスリップまたはノースリップ状態の参照シナリオの速度分布とは大きく異なる。いくつかの実施形態によれば、この差は、意図的な流体操作装置によって提供される。
図7に示される実施形態で、この流体操作装置はIMSAアセンブリによって具現化される。IMSAアセンブリは、特定の空間的に誘導された流れ分布を流体に与えることによって、流体を操作する。この誘導された流れは、フルスリップ状態の参照シナリオでの流体の流れに重畳されたとみなすことができる。言い換えれば、この参照シナリオからの流れを望ましい流速分布に変更するために必要な誘導された流れ分布を計算し、この望ましい誘導された流れ分布が達成される方法でIMSAアセンブリを構成することによって、望ましい流速分布を生成することができる。粘性抗力の範囲、すなわち、外側表面96に関連付けられた、境界層およびノースリップ状態の効果の範囲は、この重畳された流れ、すなわち誘導された流れと参照シナリオの流れの重畳によって決定または定義される。次に、この粘性効果は、前述の重畳された流れに重畳されるとみなすことができる。次の段落で説明するように、IMSAアセンブリの前述の誘導速度分布の産出または生成を説明できる方法が、いくつかある。
【0167】
境界装置95の近くでの誘導速度分布は、上流IMSA104との相互作用により流体要素が受ける運動量の変化率によって生成されるとみなすことができる。いくつかの実施形態では、いくつかの流体要素は、上流IMSA104との相互作用全体で、運動量の負の平均変化率を経る。この運動量の変化率は、当該流体要素が上流IMSA104と相互作用した後、境界装置95の外側表面96の近くの流体要素の運動量の正味の減少をもたらし得る。この減少は、フルスリップ状態の参照シナリオに対して、つまり、IMSAアセンブリが流体と相互作用しない場合に対して発生する。言い換えれば、いくつかの実施形態では、上流IMSA104は、前述の孤立したシナリオにおける上流IMSA104の遠方後流における流体の流れの少なくとも一部の平均運動量を低減するように構成される。
【0168】
いくつかの実施形態では、遠方後流における流体の流れの平均運動量のこの減少は、少なくとも境界装置95の外側表面96と相互作用する流線、または外側表面96の近くを通過する流線に対して生じる。孤立したシナリオの自由流の流体の流れと比較したこの流体の流れの運動量のこの減少は、孤立したシナリオの自由流の流れによって定義されるように、上流方向に非ゼロ成分を有する遠方後流の誘導速度をもたらす。境界装置95の外側表面96は上流IMSA104の下流に位置しているため、境界装置95の外側表面96での、またはその近くの流れも上流誘導速度を受ける。前述のように、境界装置95の外側表面96での、またはその近くでのこの上流誘導速度の大きさおよび空間分布は、フルスリップ参照シナリオと比較してフルスリップシナリオの自由流の流れの大きさを低減するように構成することができ、したがって、境界装置95の平均抗力、または境界装置95と流体との相互作用に関連付けられた平均電力消費を低減する。
【0169】
前述の誘導速度分布は、リフティングライン理論の単純化されたフレームワークで、上流IMSA104のプロペラブレードによって後流に放出される自由渦によっても生成され得る。これは、ヘリコプターのローター、従来のプロペラブレード、または風力タービンブレードの渦放出に類似している。いくつかの実施形態では、下流IMSA110によって放出される渦も、速度プロファイル102の位置など、境界装置95の近くで誘導速度に寄与することに留意されたい。
【0170】
前述の誘導速度分布は、上流IMSA104のプロペラブレードに沿った適切な揚力または推力分布によって生成することもできる。上流IMSA104の誘導速度は、上流IMSA104の少なくとも一部について、上流方向、すなわちBAFの正のx方向に向けられるため、上流IMSA104の動作は、風力タービンの動作と類似している。言い換えれば、上流IMSA104の後流における誘導速度分布に対応して、第1のプロペラブレード105などの上流IMSA104のブレードの少なくとも一部が受ける推力は、推力ベクトル127で示されているように、BAFの負のx方向で非ゼロ成分を有する。
【0171】
上流IMSA104の少なくとも一部は、流体から有用な電力を抽出するように構成されている。この電力は、多くの方法で抽出できる。例えば、発電機は、上流IMSA104のプロペラブレードにしっかりと接続された駆動軸にしっかりと接続することができる。
図7に示される実施形態では、駆動軸は、上流IMSA104のプロペラブレードの回転軸に平行であり得、BAFのx軸に平行であり得る。いくつかの実施形態において、上流IMSA104が従来のプロペラで構成される場合、前述の駆動軸は、ローターハブ、または従来のプロペラのプロペラシャフトであるとみなされる。電気モーターは、プロペラブレードに直接接続された駆動軸に直接接続されているため、この構成は直接駆動構成として説明することもできる。
【0172】
いくつかの実施形態では、発電機と駆動軸との間に変速機または歯車列が存在してもよい。いくつかの実施形態では、プロペラと変速機との間にクラッチが存在してもよい。いくつかの実施形態では、変速機を再構成することができる。言い換えれば、ギア比を変更したり、ギアを変更したりできる。いくつかの実施形態では、駆動軸に取り付けられた機械式ディスクブレーキもあり得、ここで、ブレーキは、駆動軸を停止またはその回転を防止できるように構成される。駆動軸の回転により発電機によって生成された電気は、電気エネルギー貯蔵装置に格納することができる。そのような電気エネルギー貯蔵装置は、例えば、バッテリーまたはコンデンサであり得る。電気エネルギー貯蔵装置は、機械的要素も備えることができる。例えば、電気エネルギー貯蔵装置は、回転運動エネルギーの形で機械的にエネルギーを格納する、フライホイールの回転速度を加速または減速するように構成される、電気モーターまたは発電機を備えることができる。電動発電機は、タンク内の空気などの気体を圧縮および/または膨張させるように構成されたポンプに電力を供給することもできる。電気エネルギー貯蔵装置に格納されたエネルギーの少なくとも一部は、後の時点で抽出できることに留意されたい。そのようなエネルギー貯蔵装置または機構は非常に多く、利用可能である。
【0173】
電力は、第2のアクチュエータに直接伝達することもでき、ここで例えば、伝達は電気導体を介して発生する場合がある。いくつかの実施形態では、第2のアクチュエータは瞬時に電力を消費することができる。第2のアクチュエータは、境界装置95に関連付けられた装置または装置のアセンブリの任意のアクチュエータであり得る。例えば、第2のアクチュエータを使用して、下流IMSA110を作動させることができる。したがって、上流IMSA104によって流体から抽出された電力の一部は、下流IMSA110に伝達され得、ここで電力が流体に再挿入される。いくつかの実施形態では、第2のアクチュエータを使用して、
図7に示されていない別個の装置または機構に電力を供給することもできる。
【0174】
上流IMSA104によって提供される電力も分割され、例えば、第2のアクチュエータ、第3のアクチュエータを駆動し、エネルギー貯蔵装置内に含まれるエネルギーを増加させるために使用され得る。いくつかの実施形態では、上流IMSA104によって流体から抽出され、上流IMSA104のプロペラブレードにしっかりと接続された駆動軸に加えられる電力は、下流IMSA110に機械的に伝達される。この伝達は、いくつかの方法で促進できる。例えば、上流IMSA104のプロペラブレードにしっかりと取り付けられた駆動軸は、「上流駆動軸」と示され、これは下流IMSA110のプロペラブレードにしっかりと接続された駆動軸にしっかりと接続することもでき、この場合当該駆動軸は「下流駆動軸」と示される。言い換えれば、上流駆動軸は下流駆動軸と同一であり得る。そのような構成では、上流IMSA104および下流IMSA110のそれぞれ上流および下流ローターは、同じ方向に回転している。他の実施形態では、上流駆動軸は、変速機、歯車列、または一連の歯車と二次または補助駆動軸を介して、下流駆動軸に電力を伝達することができる。いくつかの実施形態では、上流駆動軸と下流駆動軸との間の負荷経路に沿ってクラッチが存在していてもよい。いくつかの実施形態では、上流駆動軸と下流駆動軸との間の機械的接続のギア比または変速比を再構成することができる。言い換えれば、ギア比を変更したり、ギアを変更したりできる。
【0175】
いくつかの実施形態では、上流IMSA104および下流IMSA110のそれぞれ上流および下流ローターは、反対方向に回転している。このような構成により、IMSAアセンブリに関連付けられたあらゆる電力損失を減減することができる。これは、下流IMSA110が上流IMSA104によって流れに与えられたいずれかの渦を相殺した結果の可能性がある。
【0176】
いくつかの実施形態では、流体に対する上流IMSA104または下流IMSA110のプロペラブレードの迎え角は、ローターハブ107などのローターハブのピッチ制御機構により制御することができる。このピッチ制御機構および関連するピッチの自由度、または「DOF」は、電気モーターとディスクブレーキを備えることができる。ディスクブレーキの代替にまたはディスクブレーキと同時に、いくつかの実施形態は機械的ロックを備えることもでき、ここで、機械的ロックはプロペラブレードのピッチDOFをローターハブに対して所定のピッチ角だけロックするように構成できる。ピッチ制御機構は、従来のヘリコプターまたはプロペラの集合ピッチ機構に見られるような、油圧システムおよび機械的リンケージも伴うことができる。上流IMSA104または下流IMSA110のプロペラブレードのピッチ制御機構およびピッチDOFは、プロペラブレードがフェザリングされるよう構成することもできる。プロペラブレードのピッチ角と回転速度を制御して、IMSAアセンブリの流体への影響を調節できる。これにより、IMSAアセンブリの性能を、さまざまな自由流の流速などのさまざまな流れ条件に対して最適化することができる。
【0177】
図7に示すIFMA構成では、下流IMSA110は、流体に対する上流IMSA104および境界装置95の効果のバランスをとる、相殺する、または打ち消すように構成される。このように、速度プロファイル103によって示されるように、遠方後流における流体流速分布は、速度プロファイル101によって示されるように、自由流の流体流速分布に実質的に等しい。名目巡航中、このプロセスで下流IMSA110により消費される電力は、通常、上流IMSA104によって抽出される電力よりも大きい。
【0178】
下流IMSA110は、流体に運動量の正の変化率を与える、すなわち、流体を負のx方向に加速するように構成される。結果として、孤立したシナリオにおけるIMSA110の遠方後流でのIMSA110の誘導速度は、BAFの負のx方向に向けられる。遠方後流での下流IMSA110の誘導速度は、遠方後流での上流IMSA104の誘導速度を相殺するとみなすことができる。
【0179】
下流IMSA110の遠方後流における望ましい誘導速度分布は、リフティングライン理論の単純化されたフレームワークで下流IMSA110のプロペラブレードによって後流に放出される自由渦によって生成されるとみなすこともできる。これは、ヘリコプターのローター、従来のプロペラブレードの渦放出に類似している。
【0180】
孤立したシナリオにおける下流IMSA110の前述の誘導速度分布は、下流IMSA110のプロペラブレードに沿った適切な揚力または推力分布によって生成されるとみなすこともできる。下流IMSA110の誘導速度は、孤立したシナリオにおける下流IMSA110の少なくとも一部について、下流方向、すなわち、BAFの負のx方向に向けられるため、下流IMSA110の動作は、従来の固定翼航空機の従来のプロペラの動作に類似している。言い換えると、孤立したシナリオでの下流IMSA110の後流における誘導速度分布に対応して、下流IMSA110のブレードの少なくとも一部が受ける推力は、推力ベクトル128によって示されるように、BAFの正のx方向に非ゼロ成分を有している。
【0181】
いくつかの実施形態では、
図7の下流IMSA110などの指定された下流IMSAがないことに留意されたい。そのような実施形態では、上流IMSAによって抽出された電力は、代替の流体操作装置または方法を介して推力を提供するために格納または採用することができる。
図7の上流IMSA104は、BAFの負のx方向に力を加えていることに留意されたい。巡航飛行中、この力は、BAFの一定の巡航速度を維持するために、適切な推力によって少なくとも相殺する必要がある。この推力は、多くのさまざまな方法で提供できる。
図7では、この推力は、下流IMSA110によって提供される。他の実施形態では、この推力は、異なる推力装置によって提供され得る。
【0182】
いくつかの実施形態では、この推力は、上流IMSAのプロペラブレードの半径の増加によって提供され得る。そのような実施形態では、上流IMSAのプロペラブレードの長さは、
図7に示される流管100の半径より大きい。この場合、上流IMSA104のプロペラブレードは、2つの異なる部分を有することができる。第1の部分は、第1の、内側流管内に位置するプロペラブレードの部分であり得、これは同様のサイズおよび構成であり得、
図7に示される流管100と同様の目的を満たす。上流IMSAのプロペラブレードのこの第1の部分は、
図7に示される上流IMSA104全体と同様の目的を満たすように構成することができる。そのような上流IMSAのプロペラブレードの残りの、第2の部分は、前述の必要な推力を生成するように構成することができる。この第2の部分の後流は、外側流管を形成し、内側流管を囲むまたは包囲する。上流IMSAのこの推力生成セグメントの誘導速度は、誘導電力消費を最小限に抑えるために、遠方後流で外側流管全体で均一にすることができる。したがって、プロペラブレードの第1の部分によって抽出された電力は、プロペラブレードの第1の部分と第2の部分との間の剛性構造接続を介してプロペラブレードの第2の部分に直接かつ機械的に伝達される。内側流管内の流体のエネルギーの関連する損失の一部は、外側流管内の推力を生成し、流体のエネルギーを増加させるために使用される。前述のように、実施形態のこのクラスには指定された下流IMSAがないため、そのような構成は、内側流管内で後流に運動量不足を生じさせることに留意されたい。そのような構成は、遠方後流での不均一な速度分布をもたらし、したがって、遠方後流全体、すなわち内側流管と外側流管の両方にわたる速度分布が実質的に均一である構成よりも効率が悪い。しかしながら、そのような構成は、それでも粘性抗力に起因するエネルギー損失の一部の回復により、先行技術の実施形態に対して改善を提供することができる。
【0183】
他の実施形態では、内側流管内の前述の運動量不足は、下流IMSAを前述の構成に追加することによって除去される。
【0184】
他の実施形態では、下流IMSAは、流管100を超えて伸びることができる。例えば、下流IMSAのプロペラブレードの長さは流管100の半径より大きくすることができる。このようにして、下流IMSAを生成する推力の誘導電力消費を減らすことができる。この構成では、下流IMSAの内側と外側の流管全体で均一な遠方後流の誘導速度分布を実現することができ、これは、誘導電力を最小限に抑えるために望ましいものである。
【0185】
さらに他の実施形態では、
図7に示す実施形態と比較して、上流IMSAと下流IMSAの両方が、ローター先端伸張部を含むことができる。いくつかのそのような実施形態では、上流IMSAおよび下流IMSAのローター直径は実質的に同一である。他のそのような実施形態では、こうである必要はない。前と同様に、ローター先端伸張部は、内側流管を取り囲む外側流管を生じさせる。上流IMSAおよび下流IMSAのローターの内側部分は、
図7および流管100の文脈で説明したのと同じ方法で構成することができる。ローターの外側部分は、プロファイル抗力および誘導抗力を含む、全消費電力を最小限に抑えながら、望ましい推力量を生成するように構成できる。例えば、上流IMSAおよび下流IMSAの外側部分、すなわち外側流管に関連付けられた部分は、逆回転同軸ローターと同様の方法で構成することができ、上流および下流IMSAの両方がBAFの正のx方向に推力を生成する。別の例では、上流IMSAの外側部分は、BAFの正のx方向に向けられ、上流および下流IMSAの外側部分に必要な望ましい推力よりも大きい大きさの推力を生成するように構成できる。したがって、下流IMSAの外側の部分は、BAFの負のx方向に向けられた推力を生成するように構成することができる。そのような構成は、上流および下流IMSAの両方の推力ベクトルがBAFの正のx方向に向けられている構成と比較して、上流および下流IMSAの外側部分に関連付けられた誘導電力消費を削減できる。
【0186】
いくつかの実施形態では、上流IMSA104などの複数の上流プロペラ、および下流IMSA110などの複数の下流プロペラが存在し得る。境界装置95の近くの流管100内にいくつかのプロペラを配置することができる。流管100内で望ましい速度分布を維持するために、流管100内でいくつかのプロペラを使用することが望ましい場合がある。例えば、従来の民間輸送機の胴体など、テーパー状の端部を備えた円筒形の境界装置を検討してみよう。この場合、胴体の長さに沿っていくつかのローターまたはプロペラを配置すると便利で望ましい場合がある。例えば、プロペラは、第3のIMCA81などのダクトが
図6に配置されるように示されているBAFのx軸に沿った同じ位置に配置することができる。プロペラは、胴体の直径が変化しないように胴体に取り付けることができ、つまり、胴体はプロペラハブ内に配置されるか、プロペラハブの中心を通過する。胴体の円形形状は、胴体の周りを回転するローターの助けになる。ローターハブは、胴体の周りを回転できる剛性リングを形成できる。
図7に示すように、この場合、回転軸は円筒形胴体の縦軸に平行である。いくつかのプロペラブレードをローターハブに取り付けて、目的の流体の流れの操作を実行できる。電気モーターは、ローターが「上流」または「下流」の位置または構成にあるかどうかに応じ、ローターハブに電力を供給できるほか、胴体に対するローターハブの回転から電力を抽出することもできる。このような構成では、少なくとも理論的には、胴体が無限に長くなり、流管100内の流れ場は、名目定速巡航中に平均的に一定のままであり、ここで、平均は、胴体の長さに沿って均一間隔に配置されたプロペラ間の1つの分離距離にわたるBAFのx軸に沿って計算される。
【0187】
各ローターブレードの長さは、胴体の直径の何分の1かになる場合がある。ローターブレードの長さは、ノースリップ参照シナリオで、流れのその特定の位置で境界層の厚さ程度になる場合がある。いくつかの実施形態では、ノースリップ参照シナリオにおける、ローターブレードの長さと胴体などの境界装置の外側表面に沿った境界層の最大厚さとの比は2未満である。いくつかの実施形態では、この比は5未満である。いくつかの実施形態では、この比は10未満である。いくつかの実施形態では、この比は100未満である。
【0188】
図6は、別のIFMA構成の断面図を示している。
図6に示される装置のいくつかの特徴、および装置の動作原理のいくつかは、
図7に示される装置と類似性を共有しているので、
図6の文脈で同じ詳細では説明されず、逆も同様である。
【0189】
図6は、周囲の流体に対して移動する境界装置70を示している。境界装置70は、リーディング点73およびトレーリング点74を有する。リーディングおよびトレーリング点は、翼またはエーロフォイルのリーディングエッジまたはトレーリングエッジなどのエッジにすることもできる。翼の場合、リーディングエッジおよびトレーリングエッジは、指定された流れ条件のリーディングおよびトレーリングのよどみ線とみなすことができる。この実施形態では、境界装置は、閉じた外側表面71および内側表面72を備えた薄いシェルとして説明できる剛体である。この実施形態では、境界装置70の形状は、回転形状であり、すなわち、それは、リーディング点73およびトレーリング点74を通過する軸に関して軸対称である。
【0190】
境界装置70は、船の船体または航空機の胴体であり得る。他の実施形態では、境界装置70は異なる幾何学的形状を有することができる。例えば、境界装置の形状は、
図5に示される境界装置61の形状に類似することができる。いずれか任意の用途に適した幾何学的形状を見つけることができる。境界装置は、さまざまな既存の方法および材料を使用して製造することができる。
【0191】
次のように「境界装置フレーム」または「BAF」を定義できる。原点は、境界装置70の外側表面71によって囲まれた体積の幾何学的重心に位置している。x軸は、リーディング点73とトレーリング点74を接続する直線と一致し、リーディング点73に向けられている。指定しない限り、z軸は図のページで垂直を指している。
【0192】
3つの速度プロファイル76~78が示されている。速度プロファイルの各矢印は、境界装置に対する増分流体要素の速度ベクトルを示し、ここで、増分流体要素は、境界装置に対して速度が測定された時点で矢印の付け根に配置される。速度プロファイルの矢印の先端を接続する線は、連続的な速度分布を示している。
【0193】
境界装置70は、周囲の流体に対して移動している。示されている単純化されたシナリオでは、自由流の流速は空間的に均一で、時間的に一定である。
図6では、境界装置70に対する自由流の流体の流れは、BAFのx軸に平行に、反対方向に、すなわち図の上部から下部に向けられている。境界装置70のはるか上流では、増分流体要素の速度は自由流の流速にほぼ等しい。したがって、速度プロファイル76の速度は、空間で均一であり、時間で一定であり、大きさと方向は境界装置に対する自由流の流速に等しい。
【0194】
速度プロファイル77は、境界装置70の近くにおける速度分布を記述する。この実施形態では、境界装置70の外側表面71にはノースリップ状態がある。他の実施形態では、外側表面71に沿って非ゼロのスリップ速度があり得る。速度プロファイル77は、
図7に示される速度プロファイル102に類似している。したがって、この速度プロファイルの特徴、およびその代替実施形態は、
図6の文脈で同じ詳細では説明されない。
【0195】
速度プロファイル78は、境界装置70の遠方後流における速度分布を記述する。簡略化された、理想的なシナリオでは、速度プロファイル78は、
図6に示されるように、速度プロファイル76と実質的に等しい。IMCAアセンブリに関連付けられた抗力による運動量不足があり、これは、例えば、圧力抗力または粘性抗力から生じる可能性があることに留意されたい。他の実施形態では、境界装置70に関連付けられた抗力による運動量不足もあり得る。
【0196】
いくつかの実施形態によれば、境界装置70などの境界装置には、意図的な流体操作装置が設けられる。
図6に示す実施形態では、この意図的な流体操作装置は、第1のIMCA79、第2のIMCA80、第3のIMCA81、および第4のIMCA82を備えるIMCAアセンブリとして説明することができる。この実施形態では4つのIMCAが示されているが、より多くのまたはより少ないものを使用することができる。
【0197】
第1のIMCA79などの各IMCAは、円形ダクトとして説明できる。
図6に示される実施形態では、各ダクトは、半径方向外向きの方向の成分を備えた揚力を生成するように構成される。各円形ダクトの中心軸は、BAFのx軸と一致し、BAFのx軸の方向に向けられている。大まかな近似では、流体の流れに対するダクトの効果は、リフティングライン理論の渦ループによって生じるとみなすことができる。この単純化されたモデルでは、各IMCAの各渦ループはyz平面に平行な平面内にある。各渦ループの循環は、正のx方向に沿って見たときに、各ループの周りを時計回りの方向に向けられる。各IMCAは、第1のIMCA79のリーディングエッジ83などのリーディングエッジ、および第3のIMCA81のトレーリングエッジ89などのトレーリングエッジを有している。
【0198】
流線75は、x方向に沿って見たときに円形の断面を有する、流管の境界を記述する。
図6の点線の流線75は、第1のIMCA79のよどみ流線のおおよその位置、すなわち、第1のIMCA79のリーディングエッジよどみ線に入射する流線を、概略的に示している。そのようなすべての流線によって囲まれた体積は、流管として説明できる。
【0199】
図6に示される流管75は、特定の動作条件、およびIMCAアセンブリの特定の構成の例にすぎないことに留意されたい。他の動作条件、例えば、異なる自由流の速度の大きさに対して、流管75の形状は異なっていてもよい。例えば、流管75は、第2のIMCA80のリーディングエッジよどみ線にも入射するのではなく、第2のIMCA80の内部領域内を通過することができる。流れの剥離および関連する圧力抗力の増加を回避するために、IMCAが上流IMCAの後流内、つまり上流IMCAのよどみ流線に沿って、またはその近くに配置されないことが望ましい場合がある。しかしながら、これにより、IMCAアセンブリに関連付けられた粘性スキン摩擦抗力損失が増加する可能性がある。
【0200】
IMCAアセンブリの各IMCAは、接続装置を介して境界装置70にしっかりと接続されている。明確にするために、この装置は
図6には示されていない。
【0201】
他の実施形態では、IMCA79などのIMCAは、いくつかのダクトを備えることができる。このような構成では、IMCAは、
図6に示される単一要素の翼型とは対照的に、多要素の翼型として説明することができる。例えば、IMCAは4要素の翼型で構成でき、各セクションは効果的に個別のダクトを形成する。このような構成により、IMCAの最大揚力係数を増やすことができる。
【0202】
流体の流れに対するIMCAアセンブリの効果は、IMCAアセンブリの近くに局所的に誘導された速度分布の作成である。一般に、IMCAアセンブリ内、つまりIMCAアセンブリの中心軸の近くの誘導速度は、BAFの正のx方向に非ゼロ成分を有する。誘導速度の望ましい分布は、第1のIMCA79および第2のIMCA80などのIMCAを流体の流れ内の適切な位置に配置し、適切な循環強度、または単位円周あたりの適切な揚力を選択することで実現できる。
【0203】
いくつかの実施形態によれば、IMCAアセンブリは、フルスリップシナリオにおける境界装置70の外側表面71での流速の大きさが、フルスリップ参照シナリオと比較して低減されるように構成される。この減少により、ノースリップシナリオで、外側表面71でのスキン摩擦抗力が低くなり得る。この減少は、例えば、外側表面71での有効な自由流の流れの減少、外側表面71での層流の確立または維持、または外側表面71での流れのレイノルズ数の減少から生じ得る。いくつかの動作条件では、境界装置71に関連付けられた抗力のこの減少は、IMCAアセンブリの追加抗力よりも大きくなり得る。
【0204】
図8は、IFMA構成150の断面図である。IFMA構成150の質量中心は、慣性フレームの速度で移動しており、ここで、速度は大きさと、空間と時間の方向で一定である。速度はX軸と整合し、つまり、正のX方向に向けられる。
【0205】
上流IMSA151があり、この実施形態ではプロペラとして説明することができる。上流IMSA151の断面図は、第1のプロペラブレード152および第2のプロペラブレード154を示している。第1のプロペラブレード152のトレーリングエッジ153および第2のプロペラブレード154のリーディングエッジ155も見える。プロペラブレードは、ローターハブ156によって構造的に支持されている。IMSA151の推力は、推力ベクトル183で示される。ステーション179では、この実施形態の上流IMSA151により、運動量の正の変化率が流体に加えられる。
【0206】
下流IMSA166があり、この実施形態ではプロペラとして説明することができる。下流IMSA166の断面図は、第1のプロペラブレード167および第2のプロペラブレード169を示している。第1のプロペラブレード167のトレーリングエッジ168および第2のプロペラブレード169のリーディングエッジ170も見える。プロペラブレードは、ローターハブ171によって構造的に支持されている。IMSA166の推力は、推力ベクトル184で示される。ステーション181では、運動量の負の変化率が下流IMSA166によって流体に加えられる。IFMA構成150の下流では、IFMA構成150に対する流管176内の流れの方向は矢印185によって示されている。
【0207】
中間IMSA161も示されている。この実施形態では、中間IMSA161は翼として説明することができる。簡単にするために、翼161は直線翼である。翼は、例えば、胴体にしっかりと取り付けることができる。明確にするために、胴体は示されていない。中間IMSA161は、従来の固定翼航空機の固定翼と同様の方法で構成することができる。中間IMSA161は、正のY方向および負のX方向に向けられた揚力を生成した。流管176内の流れの方向の関連する偏向は、例示目的のために誇張されていることに留意されたい。
【0208】
中間IMSA161は、外側表面162、トレーリングエッジ165、およびバルク材料164を含む。バルク材料164は、アルミニウムまたは鋼などの金属、あるいはガラス繊維または炭素繊維などの複合材料を含むことができる。上流IMSA151は、外側表面158を備えた中空接続ロッド157によって中間IMSA161にしっかりと取り付けられている。下流IMSA166は、外側表面173を備えた接続ロッド172によって中間IMSA161にしっかりと取り付けられている。
【0209】
他の実施形態では、接続ロッド157または接続ロッド172は、中間IMSA161または関連する中間支持装置に回転可能に接続される。いくつかの実施形態では、接続ロッド157または接続ロッド172は、それぞれハブ157またはハブ171に回転可能に接続される。回転接続により、構成をさまざまな動作条件に適合させることができる。回転接続は、巡航中または操縦中の中央IMSA161および胴体などの任意の関連装置のピッチ角の制御に寄与できる。
【0210】
この特定の実施形態では、上流推力ベクトル183の大きさは、下流推力ベクトル184の大きさより大きい。したがって、上流IMSA151および下流IMSA166は、正のX方向に非ゼロ成分を有する正味推力を生成する。したがって、この正味推力は、IFMA構成150に作用する任意の抗力の相殺に寄与する可能性がある。他の実施形態では、これらの推力ベクトルの大きさは実質的に同一であり得る。さらに他の実施形態では、上流推力ベクトル183の大きさは、下流推力ベクトル184の大きさよりも小さい。
【0211】
上流IMSA151は、中間IMSA161の局所的な自由流の流速を中間IMSA161の自由流の流速よりも大きい値に増加させるように構成される。下流IMSA166は、このプロセス全体で上流IMSA151によって流体に伝達された過剰推力および過剰エネルギーの少なくとも一部を回収するように構成される。中間IMSA161の誘導抗力は、同じ中間IMSA161が上流IMSA151および下流IMSA166なしで同じ量の揚力を生み出したベースラインシナリオと比較して低減することができる。
【0212】
その結果、ステーション180の平均流速の大きさは、ステーション178およびステーション182の平均流速よりも大きくなる。ステーション180の流管176は、ステーション182または178よりも小さい流れ方向断面積を有する。ステーション180と比較したステーション182での流管176の流れ方向断面積のこの増加は、アスペクト比または中間IMSA161のスパンを増加させるとみなすことができる。
【0213】
図9は、
図8に示されるIFMA構成150の正面図である。上流IMSA151と下流IMSA166の両方は、負のX方向で見たときに反時計回り方向に回転することができる。代替として、上流および下流IMSAが反対方向に回転している可能性がある。
【0214】
他の実施形態では、あるいは上流または下流IMSAは、いくつかの個別のプロペラを備えることができる。これらのプロペラは、流れ方向に互いにオフセットすることができる。上流または下流IMSAは、例えば、逆回転同軸プロペラを含むことができる。いくつかの実施形態では、あるいは上流または下流IMSAは、流管の幅に沿って分布するいくつかのプロペラを含むことができる。言い換えれば、プロペラは、流れ方向を横切る方向に互いにオフセットすることができる。
【0215】
上流IMSA151のプロペラブレードの先端がたどる経路は、破線186で示されている。下流IMSA166のプロペラブレードの先端がたどる経路は、
図9の破線187で示されている。
【0216】
図10、
図11、
図12、および
図13は、中間IMSA201を含む、IFMA構成200の斜視図、側面図、上面図、および背面図をそれぞれ示している。簡単にするために、中間IMSA201は、楕円形の翼幅方向の翼弦分布、一定のエーロフォイルの形状、およびねじれゼロの直線翼として構成できる。翼は、例えば、胴体にしっかりと取り付けることができる。明確にするために、胴体は示されていない。中間IMSA201は、中間IMSA161と同様の方法で構成でき、その逆も同様である。IMSA201は、航空機または船の翼またはハイドロプレーンと同様の方法で構成できる。中間IMSA201は、外側表面202およびトレーリングエッジ205を含む。
【0217】
IMCA206は、中間IMSA201の局所的な自由流の流れを増やすように構成されている。言い換えると、ステーション224での流速の大きさは、上流ステーション223または下流ステーション224での流速の大きさと比較して、IMCA206によって人為的に増加する。IMCA206はダクトとみなすことができる。
【0218】
IMCA206はIMSA201にしっかりと取り付けられている。IMCA206は、外側表面207およびトレーリングエッジ210を含む。この実施形態では、IMCA206は、
図13に示されるように、流れ方向に見たとき、形状が長方形である。他の実施形態では、IMCA206は、楕円形または円形の形状であり得る。他の実施形態では、IMCAは、鏡面ベル形状を記述することができ、ここで、鏡面は翼のスパンと一致する。
【0219】
IMCA206は、リフティングライン理論のフレームワークで渦度をまったく放出しないように構成できる。言い換えると、IMCA206に関連付けられた循環は、IMCA206のスパン方向の長さに沿って一定である。他の実施形態では、IMCA206は渦を放出することもできる。例えば、IMCA206は、IFMA構成200の正味揚力に寄与するように構成することができる。そのような実施形態では、IMCA206は、IMCAの遠方後流に放出されるIMCAの束縛渦度に加えられる一定のスパン方向の循環を備えた、従来の閉じた翼または環状翼であると考えることができる。言い換えれば、IMCAはIMCAとIMSAの重畳であるとみなすことができる。いくつかの実施形態では、中間IMSA201は、閉じた翼として説明することもできる。
【0220】
IMCA206のスパンに沿ったIMCA206のねじれ角の変化は、流れ場に対するIMSA201の効果およびIMCA206の束縛渦度または循環の要件の結果である。
【0221】
いくつかの実施形態では、IFMA構成200は、IMCA206と同様の方法で構成されたいくつかの個々の閉じた翼を含むことができる。これらの個々のIMCAは、複数要素のエーロフォイルと同様に、流れ方向にオフセットできる。個々のIMCAは、局所的な流れ方向に垂直な方向にオフセットすることもできる。IMCAは別のIMCA内にあるとみなすことができる。例えば、第1の円形IMCAは、第2の円形IMCAと同心円状に配置されているとみなすことができる。
【0222】
流線222は、IMCA206による流れの加速による、ステーション224でIMCA206によって囲まれた流管の断面積の減少を示している。この流管の断面積はステーション225でより大きく、これはIMSA201のより大きな有効スパンに対応する。
【0223】
図14は、
図10に示されるIFMA200と同様の方法で構成される、IFMA構成240の断面図である。この実施形態では、ダクト241は、渦を後流に放出する。したがって、ダクト241はIMSA241とも呼ばれる。IMSA241はIMCAとIMSAの重畳であるとみなすことができる。IMSA241は、中間IMSA247の局所的な自由流の速度を増やすように構成されている。
【0224】
この実施形態では、IMSA241は実質的に軸対称である。IMSA241は、外側表面242、内側表面243、バルク材料246、およびトレーリングエッジ244を含む。バルク材料246は、バルク材料164と同様の方法で構成することができる。中間IMSA247は、中間IMSA201と同様の方法で構成される。中間IMSA247は、外側表面248およびトレーリングエッジ250を含む。
【0225】
流管254は、IMSA241を取り囲む、つまりその内部を通過するすべての流線を囲む。上流ステーション255での流管の断面積は、ステーション256での断面積よりも大きく、これは次に下流ステーション257での断面積よりも小さい。
【0226】
図15は、別のIFMA構成270の斜視図である。
図15に示される装置のいくつかの特徴、および装置の動作原理のいくつかは、他の図、および特に
図7に示される装置と類似性を共有しているので、
図15の文脈で同じ詳細では説明されず、逆も同様である。
【0227】
IFMA構成270は、民間輸送、あるいはボーイング737またはエアバスA320などのジェット旅客機などの固定翼航空機として示されている。胴体293、左翼300および右翼299、舵を含む垂直尾翼301、ならびに完全に飛行する左水平安定板304および完全に飛行する右水平安定板が存在する。IFMA270の飛行方向は、名目レベルの巡航中、実質的に推力ベクトル292の方向である。名目レベルの巡航中の実施形態270に対する実施形態270を取り巻く空気の自由流の流れ方向は、矢印305で示されている。
【0228】
上流IMSA271があり、この実施形態ではダクト付きファンとして説明することができる。この実施形態のダクトは、ファン内に位置するファンディスクに遭遇する前に流れを減速するように構成される。いくつかの実施形態では、ファンディスクに関連付けられた波抗力損失は、この方法で回避または軽減することができる。上流IMSA271は、ダクト272およびファンディスクを含む。上流IMSA271は、推力ベクトル281によって示されるように、IFMA270に対する平均自由流の流れと同じ方向に向けられる力をIFMA構成270に加えるように構成される。上流IMSA271は、周囲の流体からエネルギーを抽出するように構成されている。IFMA270は、このエネルギーの少なくとも一部を下流IMSA282に伝達するように構成される。前述のように、この伝達は、上流IMSA271のファンディスクを下流IMSA282のファンディスクに接続する機械的駆動軸によって促進することができる。上流IMSA271のファンディスクは、例えば、直接、剛性の機械的接続を介して、下流IMSA282のファンディスクに電力を伝送することができる。上流IMSA271のファンディスクは、駆動軸および歯車列を介して下流IMSA282のファンディスクに電力を伝達することができる。前記駆動軸は胴体293を通過することができる。上流IMSA271のファンディスクは、発電機を介して下流IMSA282のファンディスクに電力を伝送でき、それは、電線または導体を介して電気モーターに電力を伝送し、ここで、電動モーターは下流IMSA282のファンディスクに電力を伝達する。上流IMSA271および下流IMSA282は胴体293にしっかりと取り付けられている。
【0229】
下流IMSA282は、いくつかの実施形態ではターボファンエンジンとして説明することができる。電力が上流IMSA271から下流IMSA282に電気的に伝達される場合、下流IMSA282は、ハイブリッド電気ターボファンエンジンとして説明することができる。他の実施形態では、下流IMSA282はターボジェットエンジンとして説明することができる。下流IMS282はダクト283を含む。下流IMSA282は、推力ベクトル292によって示されるように、IFMA構成270に対して平均自由流の流れと反対方向に向けられる力を実施形態270に加えるように構成される。この実施形態では、下流IMSA282の推力の大きさは、上流IMSA271の推力の大きさよりも大きい。したがって、下流IMSA282は、IFMA構成270の顕著な推力要件を満たすように構成される。他の実施形態では、少なくとも1つの別個の推進ユニットまたはエンジンを少なくとも1つの翼に取り付けることができる。そのような別個のエンジンは、例えば、従来のターボファンまたはハイブリッド電動ターボファンであり得る。
【0230】
上流IMSA271は、少なくとも胴体293の局所的な自由流の流れを人為的に減少させるように構成することができ、下流IMSA282は、胴体293の後流および近くの流速の減少の少なくとも一部を相殺するように構成される。
【0231】
いくつかの実施形態では、上流IMSA271は、胴体293の人工境界層を作成するとみなすことができ、ここで、境界層は、ダクト272の内部を通過する流管によってほぼ囲まれている。胴体293および人工境界層は、自然境界層によって包囲されているとみなすこともできることに留意されたい。上流IMSA271は、全体として胴体293、およびIFMA構成270の抗力が、上流IMSA271がないベースラインシナリオと比較して、つまり、胴体が自然境界層によってのみ包囲されているシナリオと比較して、低減される方法で、この人工境界層内、または胴体293の濡れた表面の近くで速度プロファイルを変更するように構成されている。抗力の減少は、例えば、粘性抗力の減少、および/または波抗力または圧縮性抗力の減少を含むことができる。抗力減少は、上流IMSA271、およびより少ない程度ではあるが下流IMSA282による胴体293に対する流体の流速の空間プロファイルの変更に関連付けられる。
【0232】
上流IMSA271による、胴体293の局所的な自由流の流体の流速の大きさの減少、胴体293の濡れた表面での、およびそれに対する流体の流速の減少のほか、胴体293の濡れた表面の近くのより好ましい速度プロファイルの生成も、粘性抗力の前記減少に寄与できる。より好ましい速度プロファイルは、例えば、ピーク空間流体の流速勾配の減少、またはIFMA構成270の近くの空間流体の流速勾配の空間平均の大きさの減少を含むことができる。
【0233】
波抗力の減少は、流体がIFMA構成270の周りを流れる際の流体の流れ方向のより緩やかな変化、またはIFMA構成270による流体のより緩やかな変位の結果であり得る。これは、上流IMSA271による流体の流れの減速およびIMSA282による流体の流れの加速によって促進される。したがって、IFMA構成270による流体の流れへの外乱の強度を低減することができ、これにより、IMFA構成270に関連付けられた波抗力を低減することができる。
【0234】
抗力の減少により、IFMA構成270の消費電力をベースラインシナリオと比較して低減したり、IFMA構成270を所定の消費電力の流体に対してより速く移動したりできる。これにより、IFMA構成270の範囲または最高速度を増やすことができる。
【0235】
図16は、別のIFMA構成315の斜位上面図である。
図16に示される装置のいくつかの特徴、および装置の動作原理のいくつかは、他の図、および特に
図3に示される装置と類似性を共有しているので、
図16の文脈で同じ詳細では説明されず、逆も同様である。
【0236】
IFMA構成315は、クワッドローターヘリコプターまたはクワッドコプターとして説明することができる。実施形態315は、オクトローターまたはマルチトロッターとして説明することもできる。IFMA構成315は、IMSAアセンブリ316、339、362、および385などの4つのIMSAアセンブリを含む。各IMSAアセンブリは、IMSAアセンブリ362の上流IMSA365などの上流IMSA、およびIMSAアセンブリ362の下流IMSA375などの下流IMSAを含む。
【0237】
上流または下流の各IMSAは、プロペラとして説明できる。各プロペラは、下流IMSA375の第1のプロペラブレード377などの第1のプロペラブレード、および下流IMSA375の第2のプロペラブレード378などの第2のプロペラブレードを含むことができる。他の実施形態では、プロペラは、少なくとも1枚のブレード、またはただ1枚のブレードを含むことができる。他の実施形態では、プロペラは少なくとも3枚のブレードを含むことができる。プロペラハブ379または369などのプロペラハブは、各プロペラを駆動軸またはアクチュエータに接続する。
【0238】
IFMA構成315はホバーで示されている。IMSAアセンブリによって誘導される流れは、垂直に下向きの方向に向けられる、すなわち、推力ベクトル380と実質的に整合する。
【0239】
上流IMSA365などの上流IMSAは、推力ベクトル370または347によって示されるように、上方向に向けられるIFMA構成315に作用する推力を生成するように構成される。下流IMSA375などの下流IMSAは、推力ベクトル380または357によって示されるように、下方向に向けられる実施形態315に作用する推力を生成するように構成される。
【0240】
上流IMSAは、IMSAアセンブリがただ1つのIMSA、すなわち、上流IMSAのみを含むシナリオと比較して、それ自体に対して局所的な自由流の流速を増加するように構成される。対応する下流IMSAは、上流IMSAの後流の流体の流れのあらゆる過剰運動量を相殺するように構成される。名目ホバー中、4つのIMSAアセンブリすべてによって生成される正味推力の合計は、IFMA構成315の重量にほぼ等しいことに留意されたい。名目ホバー中、いずれか1つのIMSAアセンブリによって生成される正味推力は、4つのIMSAアセンブリの他のいずれかによって生成される正味推力に実質的に等しくなる。下流IMSAは、推力ベクトル380または357によって示されるように、上流IMSAを通る実施形態315に対して流体の流れの方向に実施形態315に作用する推力を生成するように構成される。下流IMSAの推力ベクトルの大きさは、名目ホバー中の対応する上流IMSAの推力ベクトルの大きさよりも小さい。
【0241】
IFMA構成315の各IMSAアセンブリは、ナセル340などのナセルも備え、それは、下流IMSAから上流IMSAへのエネルギーの伝達を促進するアクチュエータ、発電機、ギアボックス、または駆動軸を収容する。第1のIMSAアセンブリの下流IMSAも、第2のIMSAアセンブリの上流IMSAに電力を送信できることに留意されたい。
【0242】
図16に示す構成では、IMSAアセンブリの誘導電力消費は、流体に対する下流IMSAの影響が無視できる、同等のベースラインまたは参照構成の誘導電力消費よりも低く、すなわち、上流IMSAの推力は、正味推力要件にほぼ等しくなる。ベースライン構成では、IMSAアセンブリは上流IMSAのみを含むとみなすことができる。上述のように、いくつかの実施形態では、上流IMSAなどのIMSAがいくつかのプロペラまたは推力装置を含むことができることに留意されたい。この場合、ベースライン構成は従来のクワッドローターヘリコプターと同じである。
【0243】
各IMSAアセンブリは、ビームを介して胴体408にしっかりと接続されている。各ビームは、ビームフェアリング341などの空気力学的または流体力学的フェアリングで囲まれている。いくつかの実施形態では、ビームフェアリングは、ビームに回転可能に接続されている、すなわち、胴体408および対応するナセルに対して回転することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのビームフェアリングを採用して、名目レベルの巡航中に揚力を生成することができ、ここで、揚力は、従来の固定翼航空機の揚力と同様の方法で生成され、ここで、胴体の長軸はほぼ水平方向に、すなわち、慣性フレームの動きの方向に向けられており、ここで、少なくとも1つのIMSAアセンブリは、IFMA構成315に作用する抗力に対抗する正味推力を生成するように構成される。いくつかのIMSAのプロペラのピッチ角は、一部の実施形態では変更できることに留意されたい。巡航中に、いくつかのIMSAアセンブリのプロペラはフェザリングすることができる。
【0244】
いくつかの実施形態では、上流IMSAは、電気モーターによって電力を供給され得る。いくつかの実施形態では、上流IMSAは、永久磁石を含むブラシレスDCモーターによって電力を供給され得る。いくつかの実施形態において、IMSAアセンブリは、AC誘導モーターにより電力を供給され得る。いくつかの実施形態では、上流IMSAの駆動軸は、対応する下流IMSAの駆動軸にしっかりと接続されている。いくつかの実施形態では、駆動軸に電力を供給するアクチュエータは、直接駆動構成で駆動軸にしっかりと接続される。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、クラッチまたは歯車列を介して駆動軸に接続される。電力は、例えば、バッテリー、内燃機関、またはターボシャフトエンジンによって提供され得る。1つまたは複数のIMSAアセンブリに電力を供給するアクチュエータは、胴体408内に配置することもできる。電力は、例えば、そのようなアクチュエータからIMSAアセンブリに機械的または電気的に伝達され得る。
【0245】
いくつかの実施形態では、上流または下流IMSAはいくつかのプロペラを含む。例えば、上流または下流IMSAは、少なくとも2つの逆回転または同方向回転の同軸プロペラを含むことができる。
【0246】
上流IMSAおよび対応する下流IMSAのプロペラは同位相である必要はなく、名目動作中に同じ角速度で回転する必要がないことに留意されたい。いくつかの実施形態では、上流IMSAと下流IMSAとの間の所定の分離距離に対して最適な位相角があり、ここで、最適性は、ビークルの動作コストの最小化、またはビークルの耐久性の最大化を指すことができる。
【0247】
図17は、別のIFMA構成425の斜位上面図である。
図17に示される装置のいくつかの特徴、および装置の動作原理のいくつかは、他の図、および特に
図3に示される装置と類似性を共有しているので、
図17の文脈で同じ詳細では説明されず、逆も同様である。
【0248】
IFMA構成425は、従来のヘリコプターとして説明することができる。IFMA構成425は、窓449を備えた胴体448、およびテールローターアセンブリ451を含む。
【0249】
IFMA構成425は、名目ホバーで示されており、誘導された流れは、流れ方向456で示されるように、垂直に下向きの方向に向けられている。
【0250】
上流IMSA426は、第1のローターブレード427に関連付けられた推力ベクトル434または第2のローターブレード430に関連付けられた推力ベクトル435によって示されるように、上方向に向けられるIFMA構成425に作用する推力を生成するように構成される。第1のブレード427および第2のブレード430は、ローターハブ433を介して駆動軸に接続されている。駆動軸は、空力フェアリング436で囲むことができる。
【0251】
下流IMSA437は、第1のローターブレード438に関連付けられた推力ベクトル445または第2のローターブレード441に関連付けられた推力ベクトル446によって示されるように、下方向に向けられる実施形態425に作用する推力を生成するように構成される。第1のブレード438および第2のブレード441は、ローターハブ444を介して駆動軸に接続されている。駆動軸は、空力フェアリング447で囲むことができる。いくつかの実施形態では、上流IMSA426および下流IMSA437の駆動軸は同一である。他の実施形態では、上流IMSA426の駆動軸は、同軸構成で下流IMSA437の駆動軸の中心を通過する。他の実施形態では、胴体448は、上流IMSA426と下流IMSA437との間に位置する。
【0252】
IFMA構成425のメインローターシステムは、上流IMSA426および下流IMSA437を含むIMSAアセンブリとして説明することができる。
図17に示すホバリング構成では、IMSAアセンブリの誘導電力消費は、流体に対する下流IMSAの影響が無視できる、同等のベースラインまたは参照構成の誘導電力消費よりも低く、すなわち、上流IMSAの推力は、正味推力要件にほぼ等しくなる。ベースライン構成では、IMSAアセンブリは上流IMSAのみを含むとみなすことができる。この場合、ベースライン構成は従来のヘリコプターと同じである。
【0253】
名目レベルの巡航におけるある範囲の動作条件中、下流IMSA437の少なくとも一部は、上流IMSA426の後流にもはや位置しない。この部分が十分に大きい場合、下流IMSA437はフェザリングすることができる。いくつかの実施形態では、下流IMSA437のフェザリングは、ローターブレードの角速度をゼロまで低減させることを含むことができる。いくつかの実施形態では、下流IMSA437のローターブレードは折り畳まれている。例えば、ローターブレードは、名目レベルの巡航のために空力フェアリングに折り畳むことができる。他の実施形態では、名目レベルの巡航中に、下流IMSA437は、上流IMSA426の揚力ベクトルの推力に沿った正の成分を有する推力または揚力を生成するように構成することができる。その点で、下流IMSA437および上流IMSA426は、従来技術の同軸ヘリコプターのローターと同様の方法で動作または構成することができる。
【0254】
一部の実施形態の原理は、ティルトローターにも適用できることに留意されたい。例えば、ティルトローターの単一のローターは、2つのローター、すなわち、
図17に示す、上流IMSA426および下流IMSA437と同様に、支持シャフトによって分離された2つのローターで置き換えることができる。このようにして、いくつかの実施形態の利点は、巡航飛行とホバリング飛行の両方で利用可能にすることができる。
【0255】
図18は、別のIFMA構成470の斜位側面面図である。
図18に示される装置のいくつかの特徴、および装置の動作原理のいくつかは、他の図、および特に
図3に示される装置と類似性を共有しているので、
図18の文脈で同じ詳細では説明されず、逆も同様である。
【0256】
IFMA構成470は、風力タービンとして説明することができる。風向は矢印501で示されている。IFMA構成470は、水平ナセル495に回転可能に接続された垂直支持496を含み、ここで、回転軸は垂直軸に平行である。上流IMSA471および下流IMSA483は、ナセル495に回転可能に接続され、ここで、回転軸は同軸であり、水平軸に平行である。
【0257】
上流IMSA471は、この実施形態ではプロペラとして説明することができ、第1のブレード472、第2のブレード478、および第3のブレード475を備える。各ブレードは、ローターハブ481に回転可能に接続され、この場合、回転軸はブレードの長軸に実質的に平行である。風力タービンの性能を最適化するために、風の状態に応じて各ローターブレードのピッチ角を調整でき、ここで、性能とは、例えば、風から抽出した電力を指す場合がある。上流IMSA471は、流体の流れを加速する、すなわち下流IMSA483の位置で、慣性フレームに対する流体の速度の大きさを増加させるように構成される。上流IMSA471は、推力ベクトル482によって示されるように、上流方向に向けられた実施形態470に推力を及ぼす。
【0258】
下流IMSA483は、この実施形態ではプロペラとして説明することができ、第1のブレード484、第2のブレード490、および第3のブレード475を備える。各ブレードは、ローターハブ493に回転可能に接続され、ここで、回転軸はブレードの長軸に実質的に平行である。各ローターブレードのピッチ角を調整できる。下流IMSA483は、流体の流れを減速する、すなわち下流IMSA483の下流で、慣性フレームに対する流体の速度の大きさを減少させるように構成される。下流IMSA483は、推力ベクトル494で示されるように、下流方向に向けられたIFMA構成470に推力を及ぼす。流体から下流IMSA483によって抽出された電力の一部は、上流IMSA471に伝達され、この伝達された電力の一部は、上流IMSA471によって流体に適用される。前述のように、この電力は、例えば、機械的または電気的に伝達できる。
【0259】
IFMA構成470のローターシステムは、上流IMSA471および下流IMSA483を含むIMSAアセンブリとして説明することができる。
図18に示す構成では、周囲の流体、例えば、風や水流の動きからIMSAアセンブリによって抽出される電力は、同等のベースラインまたは参照構成によって抽出される電力よりも大きく、流体での上流IMSAの影響は無視できる、すなわち、ベースライン構成の下流IMSAの推力は、
図18に示されるIFMA構成470の正味推力に実質的に等しい。ベースライン構成では、IMSAアセンブリは下流IMSAのみを含むとみなすことができる。図示の構成では、ベースライン構成は従来の風力タービンと同じである。性能の改善は、特に低風速または流速で顕著である。
【0260】
図19は、別のIFMA構成515の側面図である。
図19に示される装置のいくつかの特徴、および装置の動作原理のいくつかは、他の図、および特に
図7に示される装置と類似性を共有しているので、
図19の文脈で同じ詳細では説明されず、逆も同様である。
【0261】
IFMA構成515は、船体536、水面548の上に上部構造539、および水面の下に舵542を備えた船としても説明することができる。
【0262】
上流IMSA516は、少なくとも第1のプロペラブレード517および第2のプロペラブレード520を備えたプロペラとして説明することができる。各プロペラブレードはハブ523に回転可能に接続され、ここで、回転軸はブレードの長軸に平行である。各プロペラブレードのピッチは、船の動作条件に合わせて調整できる。上流IMSA516は、フェアリング525によって支持され、いくつかの実施形態では、ハブ523にしっかりと接続された駆動軸を取り囲んでいる。いくつかの実施形態では、ハブ523は、直接駆動構成で発電機に接続される。上流IMSA516は、流れを減速し、船体536の局所的な自由流の流れを減らすように構成される。したがって、上流IMSA516は、推力ベクトル524によって示されるように、船体536に対して流体の流れの方向に向けられる推力をIFMA構成515に及ぼす。
【0263】
下流IMSA526は、少なくとも第1のプロペラブレード533および第2のプロペラブレード530を備えたプロペラとして説明することができる。各プロペラブレードはハブに回転可能に接続され、ここで、回転軸はブレードの長軸に平行である。各プロペラブレードのピッチは、船の動作条件に合わせて調整できる。下流IMSA526は、フェアリング535によって支持され、いくつかの実施形態では、前記ハブにしっかりと接続された駆動軸を取り囲んでいる。いくつかの実施形態では、ハブは、直接駆動構成で電気モーターに接続される。下流IMSA526は、流れを加速するように構成されている。したがって、下流IMSA526は、推力ベクトル534によって示されるように、船体536に対して流体の流れの反対方向に向けられる推力をIFMA構成515に及ぼす。
【0264】
上流IMSA516は、IFMA構成515の抗力を減らすことができる。抗力の減少は、船体536の粘性抗力の低減、および/または船体536の重力波抗力の低減を含むことができる。抗力の減少は、上流IMSA516による船体536に対する流体の流速の空間プロファイルの変更に関連付けられる。上流IMSA516による、船体536の局所的な自由流の流体の流速の大きさの減少、船体536の濡れた表面での、およびそれに対する流体の流速の減少のほか、船体536の濡れた表面の近くのより好ましい速度プロファイルの生成も、粘性抗力の前記減少に寄与できる。より好ましい速度プロファイルは、例えば、ピーク空間流体の流速勾配の減少、またはIFMA構成515の近くの空間流体の流速勾配の空間平均の大きさの減少を含むことができる。波抗力の減少は、流体がIFMA構成515の周りを流れる際の流体の流れ方向のより緩やかな変化、または上流IMSA516による流体の流れの減速およびIMSA526による流体の流れの加速の結果としてIFMA構成515による流体のより緩やかな変位の結果であり得る。したがって、IFMA構成515による流体の流れへの外乱の強度を低減することができる。いくつかの実施形態では、上流IMSA516は、例えば、従来の船体設計に見られる球状船首と同様の機能を実行するように構成することができる。
【0265】
図20は、別のIFMA構成560の側面図である。
図20に示される装置のいくつかの特徴、および装置の動作原理のいくつかは、他の図、および特に
図7に示される装置と類似性を共有しているので、
図20の文脈で同じ詳細では説明されず、逆も同様である。
【0266】
IFMA構成560は、列車またはトラックとして説明することもでき、第1のワゴン561、第2のワゴン576、第3のワゴン577、第4のワゴン589、および第5のワゴン591を含む。各ワゴンは、道路またはレール605に対するワゴンの動きを促進する、車輪563などの車輪によって支持されている。各ワゴンは、接続566などの接続によって隣接するワゴンに接続される。ワゴンは、支持構造578などの支持構造によって車輪に回転可能に接続されている。
【0267】
上流IMSA567は、少なくとも第1のプロペラブレード568および第2のプロペラブレード571を備えたプロペラとして説明することができる。各プロペラブレードはハブ574に回転可能に接続され、ここで、回転軸はブレードの長軸に平行である。各プロペラブレードのピッチは、ビークルの動作条件に合わせて調整できる。上流IMSA567は、流れを減速し、残りのビークルの局所的な自由流の流れを減らすように構成される。したがって、上流IMSA567は、推力ベクトル575によって示されるように、IFMA構成560に対して流体の流れの方向に向けられる推力をIFMA構成560に及ぼす。
【0268】
下流IMSA596は、プロペラとして説明できる。IFMA構成560では、実施形態560の製造コストを削減するために、第1のワゴン561を第5のワゴン591と同一にすることができる。第1のワゴン561は、第5のワゴン591とは異なる方法で動作することに留意されたい。下流IMSA596は、流れを加速するように構成されている。したがって、下流IMSA596は、推力ベクトル604によって示されるように、実施形態560に対して流体の流れの反対方向に向けられる推力をIFMA構成560に及ぼす。
【0269】
IFMA構成560の長さにより、実施形態560の長さに沿った上流IMSA574からの距離が増加するにつれて、上流IMSA574の抗力低減効果が減少する。これは、例えば、粘性効果による可能性がある。中間IMSA580は、IFMA構成560の外側表面の近くの理想的な速度プロファイルと比較して、実際の速度プロファイルに対するあらゆる歪みの影響を補正するように構成されている。中間IMSA580は、少なくとも第1のプロペラブレード581および第2のプロペラブレード584を備える。各プロペラブレードはハブ587に回転可能に接続され、ここで、回転軸はブレードの長軸に平行である。各プロペラブレードのピッチは、ビークルの動作条件に合わせて調整できる。中間IMSA580は、流れを減速し、残りのビークルの局所的な自由流の流れを減らすように構成される。したがって、中間IMSA580は、推力ベクトル588によって示されるように、実施形態560に対して流体の流れの方向に向けられる推力をIFMA構成560に及ぼす。
【0270】
いくつかの実施形態では、中間IMSA580と下流IMSA596との間のビークルの部分に作用する抗力および中間IMSA580に作用する推力または抗力の合計は、第3のワゴンと、中間IMSAがないシナリオ、すなわち第3のワゴンが第2のワゴン576と同様の方法で構成されるシナリオにおける実施形態の最後のワゴンとの間に作用する抗力よりも小さい。いくつかの実施形態では、いくつかの動作条件について、中間IMSA580などの専用の中間IMSAのない実施形態に作用する正味抗力は、IFMA構成560に作用する正味抗力よりも大きい。いくつかの実施形態は、中間IMSA580と同様の方法で構成された、いくつかの中間IMSAを含むことができることに留意されたい。ワゴン576などの複数のワゴンを、上流、中間、または下流IMSAの間に配置できることに留意されたい。いくつかの実施形態では、隣接するワゴン間の接続は、道路またはレールのカーブまたは曲がり中にワゴンが互いに対して回転できるように構成された空力フェアリングを含む。
【0271】
上流IMSA567および中間IMSA580は、周囲の流体からエネルギーを抽出するように構成することができ、一方、下流IMSA596は、抽出したエネルギーの少なくとも一部を、IFMA構成560を囲む流体に適用するように構成することができる。IFMA構成560と同様の実施形態は、少なくとも1つの車輪にトルクを伝達することにより実施形態の推進に寄与するように構成された別個の牽引モーターを含むことができることに留意されたい。他の実施形態では、下流IMSA596により、実施形態の顕著な推力要件が提供される。
【0272】
図21は、別のIFMA構成620の側面図である。
図21に示される装置のいくつかの特徴、および装置の動作原理のいくつかは、他の図、および特に
図7および
図20に示される装置と類似性を共有しているので、
図21の文脈で同じ詳細では説明されず、逆も同様である。
【0273】
IFMA構成620は、列車またはトラックとして説明することもでき、第1のワゴン621、第2のワゴン632、第3のワゴン633、第4のワゴン634、第5のワゴン646、および第6のワゴン647を含む。各ワゴンは、道路またはレール657に対するワゴンの動きを促進する、車輪623などの車輪によって支持されている。各ワゴンは、接続626などの接続によって隣接するワゴンに接続される。ワゴンは、支持構造によって車輪に回転可能に接続されている。
【0274】
上流IMSA627は、少なくとも第1のプロペラブレードおよび第2のプロペラブレードを備えたプロペラを囲むダクト628を備える、ダクト付きファンとして説明することができる。各プロペラブレードはハブに回転可能に接続され、ここで、回転軸はブレードの長軸に平行である。各プロペラブレードのピッチは、ビークルの動作条件に合わせて調整できる。上流IMSA627は、流れを減速し、残りのビークルの局所的な自由流の流れを減らすように構成される。したがって、上流IMSA627は、推力ベクトル631によって示されるように、実施形態620に対して流体の流れの方向に向けられる推力を実施形態620に及ぼす。
【0275】
下流IMSA652は、ダクト付きファンとして説明できる。IFMA構成620では、実施形態620の製造コストを削減するために、第1のワゴン621は第6のワゴン647と同一である。第1のワゴン621は、第6のワゴン647とは異なる方法で動作することに留意されたい。下流IMSA652は、流れを加速するように構成されている。したがって、下流IMSA652は、推力ベクトル656によって示されるように、実施形態620に対して流体の流れの反対方向に向けられる推力を実施形態620に及ぼす。
【0276】
IFMA構成620は、実施形態560と同様に、1つの中間IMSAを含むことができる。IFMA構成620では、中間IMSAは、1つではなく2つのワゴン、すなわち第3のワゴン633および第4のワゴン634によって具体化される。これらのワゴンは両方とも、実施形態620の製造コストを削減するために、第6のワゴン647または第1のワゴン621と同一である。第3のワゴン633のダクト付きファン634は、この実施形態ではフェザリングされる。第4のワゴン634のダクト付きファン640は、
図20の中間IMSA580と同様の方法で構成される。したがって、IMSA640は、推力ベクトル644によって示されるように、実施形態620に対して流体の流れの方向に向けられる推力を実施形態620に及ぼす。
【0277】
上流IMSAは、IFMA構成560または620の抗力を減らすことができる。抗力の減少は、ワゴンの粘性抗力の減少を含むことができる。抗力の減少は、上流IMSAによるIFMA構成560または620に対する、およびその近くの流体の流速の空間プロファイルの変更に関連付けられる。変更は、流体の流れの空間速度勾配の平均的な大きさの減少を指すことができる。上流および下流IMSAの構成は、例えば、構造的または財政的制限などの制約を受けるIFMA構成560または620の全電力消費を最小化する方法で数学的に最適化することができる。
【0278】
図22は、いくつかの実施形態による、ダクト装置700の断面図である。
図22に示される装置のいくつかの特徴、および装置の動作原理のいくつかは、他の図面に示される装置と類似性を共有しているので、
図22の文脈で同じ詳細では説明されず、逆も同様である。
【0279】
ダクト装置700は、胴体装置719を囲むことができる。示されるように、ダクト装置700は、X軸に沿って見たときに断面が円形であり、X軸に平行な軸に関して軸対称である。ダクト装置700は、IMCAの実施形態である。ダクト装置700は、外面717およびチャネル703を含むことができ、第1の開口部704と第2の開口部712との間に内面718が位置し、それにおいてチャネルは、第1の収縮部705、第1の膨張部706、X方向から見たときチャネル703の実質的に一定の断面積の領域707、第2の膨張部708、第2の収縮部710、および第3の膨張部711を含むように形成できる。「収縮」および「膨張」という用語は、軸対称チャネルの半径の相対的な大きさを指すことに注意されたい。
【0280】
ダクト装置700は、第1の区画730および第2の区画732を含むことができる。これらの区画は、複数の目的に使用できる。いくつかの実施形態では、それらは、着陸装置、燃料、貨物、または他の持ち上げまたは推進機構の構成要素を保持するために使用することができる。
【0281】
チャネルの半径または形状は、他の実施形態または他の操作条件のために、X軸に沿った位置の関数として異なる方法で変化するか、または異なるように構成され得ることに留意されたい。いくつかの実施形態では、第3の膨張部711が存在する必要はない、すなわち、第2の開口部は、第2の収縮部710の端部に配置することができる。いくつかの実施形態では、チャネル703または外面717の断面形状は、正方形、長方形、または楕円形であり得る。いくつかの実施形態では、チャネル703の断面形状は、例えば、Xの正の方向で正方形から円形に変化することができる。
【0282】
いくつかの実施形態では、円形または環状チャネル703の断面積は、時間とともに変化し得る。例えば、ステーション739のチャネルの半径は、さまざまな動作条件に合わせて変更できる。半径は、自由流の流速の大きさに応じて増減できる。このようにして、ダクト703を通る流れの特性は、本発明の原理が異なる自由流の流れの条件で適用され得るように修正および制御され得る。例えば、第1の膨張部706または第2の膨張部708内の衝撃波の存在または位置は、ステーション739でチャネル703の断面積を制御することによって調整することができる。時間の関数としてチャネルの断面積を変更するための多種多様な方法が利用可能である。例えば、ダクト装置700に接続された傾斜路は、水力学的にチャネル内に延長され得、したがって、チャネルの断面積を減少させることができる。別の例では、チャネル703内に位置するスパイクは、チャネルの長さに沿って、すなわちX方向に沿って軸方向に、チャネルの収縮部に向かって、またはチャネルの収縮部から離れて移動することができ、したがって、チャネルの環状断面積をそれぞれ減少または増加させる。
【0283】
ダクト装置700は、アルミニウム、鋼、またはチタンなどの金属合金を含むことができるバルク材料70から構築することができる。いくつかの実施形態では、バルク材料701は、炭素繊維またはガラス繊維などの複合材料を含む。
【0284】
いくつかの実施形態では、胴体装置719は、リーディング点720、トレーリング点721、内面723、および外面722を含む。いくつかの実施形態では、第1の胴体区画724は、隔壁728によって第2の胴体区画725から分離されている。胴体装置719は、支持支柱727などの1つまたは複数の支持支柱によってダクト装置700に堅固に接続することができる。支持支柱は、いくつかの実施形態では、支持支柱の位置でのチャネル703の断面積をわずかな量だけ減少させることができる。いくつかの実施形態では、胴体は、例えば、貨物、乗客、または燃料を搬送するように構成することができる。
【0285】
本発明の実施形態は、先に定義されたように、少なくとも部分的に流体によって包まれている。異なるタイプの流体が、本発明の実施形態の少なくとも一部を同時に包み込むことができることに留意されたい。例えば、船などの水を横断する実施形態は、水と空気の両方、すなわち液体の流体と気体流体の両方で包むことができる。
図22では、流体は圧縮可能である。例えば、流体は空気などの気体であり得る。
【0286】
図22に示される動作条件は、名目レベルの巡航の動作条件を含むことができる。図示の簡略化されたシナリオでは、ダクト装置700の重心に対する自由流の流れは、時間的に一定であり、大きさおよび方向が空間的に均一であり、方向はX軸に平行である。図示の動作条件では、ダクト装置700に対する自由流の流速の大きさは、流体中の音速よりも大きい。このシナリオでは風速は無視できると想定されているので、これは、慣性の基準フレーム内の流体内の音速よりも速い速度で、流体に対して移動するダクト装置700と同等である。
図22では、ダクト装置700に対する自由流の流速は、X軸と平行に、すなわち、ページの左側からページの右側に整列している。
【0287】
破線715および716は、ダクト装置700のリーディングエッジに入射するか、またはトレーリングエッジに由来するよどみ流線を示す。したがって、流線715および716は、ダクト装置700の周りを流れる流体を、ダクト装置700のチャネル703を通って流れる流体から分離する、流面または流管の一部である。この実施形態では、蒸気管は、X方向に沿って見たときに円形である。
【0288】
ステーション734などのダクト装置700の上流の流体は、
図22に示される構成の流体中の音速よりもダクト装置700に対してより速く移動している。チャネル703の第1の収縮部705、第1の膨張部706、および第2の膨張部708は、チャネル703を通って流れる流体をXの正の方向に圧縮するように構成される。第1のスロートは、X方向に沿って見たときに、第1の収縮部705と第1の膨張部706との間のチャネル703の最小断面積を有するチャネル703の部分として画定される。第1のスロート、すなわちステーション735でのダクト装置700に対する流体の平均速度は、その位置での流体内の音速にほぼ等しい。ステーション734などの上流では、平均相対速度は音速よりも大きく、ステーション737または738などのさらに下流では、平均相対速度は、この実施形態における流体内の音速よりも小さい。図示の実施形態では、チャネル703を通る流れは、摩擦を無視すると、実質的に断熱的で等エントロピー的である。他の実施形態では、第1のスロートとステーション738との間に衝撃波が位置する場合がある。言い換えると、第1のスロートの下流の流体の相対的な流速は、流体内において音速よりも速くなる可能性があり、相対的な流速は、衝撃波全体の音速よりも遅い速度に低下する。第1のスロートにて無限に弱い衝撃がある理想的なシナリオのように、音速よりも遅いステーション738での相対的な流速になる。
【0289】
チャネル703の第2の収縮部710および第3の膨張部711の両方は、チャネル703を通って流れる流体をXの正の方向に膨張させるように構成される。第2のスロートは、X方向に沿って見たときに、第2の収縮部710と第3の膨張部711との間のチャネル703の最小断面積を有するチャネル703の部分として画定される。第2のスロート、すなわちステーション739でのダクト装置700に対する流体の平均速度は、その位置での流体内の音速にほぼ等しい。ステーション738などの上流では、平均相対速度は音速よりも小さく、ステーション740などの下流では、平均相対速度は、この実施形態における流体内の音速よりも大きい。
【0290】
他の実施形態では、胴体装置719などの胴体をダクト装置に組み込むことができることに留意されたい。例えば、そのような実施形態は、胴体装置719などの中央に配置された胴体を特徴とする必要はないが、環状の形状のボリュームに配置することができる。例えば、第1の区画730または第2の区画732は、胴体であるとみなすことができ、胴体として構成することができる。別の例では、軸対称の胴体装置719は、軸対称のダクト装置700と同心円状に配置される必要はない。換言すれば、胴体装置719の中心軸は、ダクト装置700の中心軸と一致する必要はない。例えば、胴体装置は、
図22に示されるようにチャネル703内の中央に配置される代わりに、第1の区画730と同様に、ダクト装置700の内面718と同一平面に配置され得る。この場合、胴体の外面722は、チャネル703の内面718と同一であり、チャネル703は、胴体の中心のみを通過する。これは、
図22に示される実施形態と同様の構成と比較して、湿潤面積および粘性抗力を低減することができる。いくつかの実施形態では、第1の区画730は、第1の区画730と同様の方法で、ダクト装置700内に埋め込まれた環状胴体セグメントによって第2の区画732に結合されているとみなすことができる。いくつかの実施形態では、第1の区画730および第2の区画732は一致しているとみなすことができる。X方向に沿って見たときにダクト装置700の中心軸に対する胴体の断面によってなされる角度は、環状拳区画730によって例示される円周の場合のように360度である必要はなく、200度、または100度、または60度などであり得ることに留意されたい。他の実施形態では、胴体装置719は、X方向に沿って見たときに、断面が楕円形または長方形であり得る。
【0291】
流体内の波の速度よりも速い速度で流体を移動する外乱は、通常、波抗力を引き起こす。波抗力は、外乱によって生成された波のエネルギーの尺度である。波抗力を定量化する方法はいくつかある。例えば、波抗力は、指定された外乱によって生成された波力を、自由流の流速の平均の大きさで割って計算できる。
【0292】
外乱は、流体を置換するように構成されたボリュームによって引き起こされる可能性がある。ボリュームは、重力波を生成する船の船体、または衝撃波を生成する超音速航空機の胴体または翼があり得る。外乱は、指定された場所で流体の流れの特性を変更するように構成されたデバイスによっても引き起こされる可能性があり、変更には、流れ方向の変化、慣性空間における流速の大きさの変化、または、流体の温度の変化などを含み得る。そのようなデバイスは、例えば、電場または磁場発生装置、またはレーザーであり得る。表面の不連続性も、隣接する流れの場に外乱を引き起こす可能性がある。外乱は流体の流れを押しのけることができ、その結果、空気中の衝撃波や水中の表面重力波が発生する可能性がある。
【0293】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ダクト装置を使用して、外乱に関連する波抗力が低減されるように、外乱の近くの流体の流れを操ることができる。
【0294】
例えば、水などの非圧縮性流体を通って移動する実施形態の場合、表面波による抗力は、以下のように構成されたダクト装置によって低減することができる。入口を通ってダクト装置に入った後、流体は第1の収縮によって加速され、この場合、第1の収縮部は、いくつかの実施形態における第1の収縮部705と同様の方法で構成することができ、入口は、第1の開口部704と同様の方法で構成することができる。この場合の第1の収縮部における流体の加速は、
図22に示される実施形態における流体の減速とは対照的であることに留意されたい。いくつかの実施形態では、第1の収縮部で加速された後、流体は、実質的に一定の断面積のセクションを通って流れる。例えば、流体は、円形の断面積のパイプまたはチャネルを通って流れることができる。他の実施形態では、パイプは、
図22のステーション737にあるチャネル703の環状部分などの環状断面積を有する。所与の断面積に対する湿潤面積が減少すると、円形断面が環状断面よりも有利になる可能性がある。いくつかの実施形態では、前記パイプは実質的に真っ直ぐである。いくつかの実施形態では、このパイプは、曲線または曲がりを含む。例えば、パイプはコンテナ船の貨物倉の周りの流体の流れを導くことができる。実質的に一定の断面積を有する断面に続いて、流体の流れは、続いて第1の膨張部に入り、そこで流体は、出口または第2の開口部を通って出る前に減速される。いくつかの実施形態では、出口を出る流体の速度は、自由流の流速に実質的に等しい。いくつかの実施形態では、出口速度は、自由流の流速よりも大きくても小さくてもよい。ダクト装置が船舶に使用される場合、ダクト装置のリーディングエッジは船首を形成し、ダクト装置700の外面717などのダクト装置の外面は船体を形成し、ダクト装置のトレーリングエッジは船尾を形成する。チャネルを通って流れる流体によって占められていないダクト装置の外面内のボリューム(第1の収縮部、実質的に一定の流れ方向の断面積のパイプ、および第1の膨張部を含む)は、船の有用なボリュームであるとみなすことができ、例えば、貨物または客室を構成できる。ダクト装置は、流れ方向で見たときに円形の断面を有することができる。他の実施形態では、ダクト装置は、従来の船の船体と同様に、半円形の断面を有することができる。水中の重力波に関連する波抗力を低減するために、水と接触している船の部分のみが、前記ダクト装置によって包含され、埋め込まれ、または構成され得る。
【0295】
名目動作中、ダクト装置は、流体を介した有用なボリュームまたは他の外乱の移動に関連する波抗力を低減するように構成することができる。ダクト装置が相互作用する流体は、「内部流」と呼ばれる、ダクト装置の内部チャネルを通って流れる流体と、内部チャネルを通って流れず、代わりに「外部流」と呼ばれる、ダクト装置の外面の側面にある、ダクト装置の周りを流れる流体と言う観点で区別することができる。ダクト装置は、外部流に与えられる外乱を低減するように構成されている。この実施形態では、これは、自由流の流れに平行な外面によって達成される。ダクト装置700の外面は、例えば、円筒形であり、自由流の流れに平行である。したがって、外面によって与えられる外乱が低減される。いくつかの実施形態では、ダクト装置の外面の円形の流れ方向の断面は、例えば、下流の方向に直径が減少し得る。これにより、外面の境界層の外側にある外部流の部分の境界層の外乱を減らすことができる。いくつかの実施形態では、摩擦を無視する場合、ダクト装置の外面に関連する波抗力は無視できる。
【0296】
ダクト装置はまた、内部流に関連する波抗力を低減するように構成することができる。いくつかの実施形態では、名目動作中、入口の上流の内部流に関連する蒸気管の断面積および形状は、入口の断面積および形状に実質的に等しい。他の実施形態では、前者の断面積は、後者の断面積よりも大きくても小さくてもよい。他の実施形態では、前者の断面積の形状は、例えば、後者の断面積よりも大きくすることができる。目的は、波抗力だけであるのと反対に、総合の抗力を最小化することにし得るので、いくつかの実施形態は、従来技術の実施形態と比較して、減少するがゼロではない波抗力を有することができる。いくつかの実施形態では、名目動作中、出口の下流の内部流に関連する蒸気管の断面積および形状は、出口の断面積および形状に実質的に等しい。他の実施形態では、前者の断面積は、例えば、後者の断面積よりも大きくすることができる。他の実施形態では、前者の断面積の形状は、後者の断面積よりも大きくても小さくてもよい。いくつかの実施形態では、内部流に与えられた外乱は、無視できる程度の外乱または無視できる程度の波抗力を外部流に与える。いくつかの実施形態では、内部流への外乱によって外部流に与えられる波抗力は、従来技術の実施形態と比較して低減されている。一般的に言えば、第1の収縮部内に適用される外乱など、有限のボリュームの周りの初期の偏向によって流体に与えられる外乱の大きさは、それが第2の外乱、例えばダクト装置の第2の開口部より前の第1の膨張部によって加えられる外乱によって、相殺されるか軽減されるまで、ダクト装置の内部に外乱を封じ込めることによって減らすことができる。
【0297】
いくつかの実施形態では、推進ユニットは、ダクト装置のチャネル内に配置され、推進ユニットは、海上ポンプジェット推進と同様に、流体を加速するように構成された少なくとも1つのプロペラを含むことができる。例えば、プロペラは、プロペラの推力が上流方向に向けられる第1の収縮部セクションに配置することができる。いくつかの実施形態では、プロペラを使用して、第1の収縮部の内壁近くの局所的な圧力上昇を低減または回避し、第1の収縮部内で均一な流れを確保することができる。第1の収縮部は、ダクト装置の波抗力が他の構成と比較して低減される方法で、第1の収縮部内の流体を加速するように構成される。そのために、自由流に平行な方向、すなわち流れ方向で見たときの、第1の収縮部の所与の断面積に対する流体の流速の大きさの分散を減らすことができる。これは、例えば、推進ユニット、または第1の収縮部内に配置された環状フォイルによって達成することができる。そのような流体流操作装置は、第1の収縮部の断面積の減少が、第1の収縮部における流体の流速の大きさの対応する増加、および第1の収縮部における流体の圧力の対応する減少を伴うことを確実にすることができる。第1の膨張部は、同様の方法で構成できる。
【0298】
いくつかの実施形態では、プロペラは、第1の膨張セクションに位置付けられてよく、この場合、プロペラの推力が下流方向に向けられ、流体から抽出されたエネルギーの少なくとも一部が機械的または電気的に回収され、後の使用のため保存されるか有用な作業を行うために使用される、例えば第1の収縮部で上流のプロペラに電力を供給する。膨張部セクションのプロペラを使用して、チャネルを通る流体の流量を調整できる。このようなプロペラは、第1の膨張部セクションにおける流れの分離を回避または低減するために使用することもでき、これにより、膨張部セクションの流れ方向の長さを短縮することができる。他の実施形態では、環状フォイルまたはダクトを膨張セクション部内に配置して、流れの分離による抗力を回避または低減することができる。いくつかの実施形態では、推進ユニットは、第1の膨張部と第1の収縮部との間に配置することができる。そのような推進ユニットは、例えば摩擦によるダクト装置を通る流体の流速の低下を少なくとも相殺するために使用することができる。
【0299】
別の例では、流体中の波の速度よりも速い速度で圧縮性流体を通って伝わる外乱の場合、外乱に関連する波抗力は、
図22に示すように構成されたダクト装置によって低減することができる。問題の波は、例えば、音波または衝撃波であり得るが、本発明の原理は、他のタイプの波に適用することができる。そのような実施形態では、ダクト装置は、外乱の近くで流体の流速を人為的に低減するように構成することができる。
図22では、問題の外乱は胴体719であるとみなすことができるが、ダクト装置自体も流体の流れに外乱を与える。ダクト装置の場合、流体の偏向、減速または加速に関連する外乱などの、外乱の少なくとも一部は、互いに打ち消し合うように、またはダクト装置の近くで打ち消されるように構成される。この特定の実施形態では、流体の偏向または減速または加速に関連する外乱など、胴体装置719に関連する外乱の一部はまた、互いに打ち消し合うか、またはダクト装置の近くで打ち消されるように構成される。他の実施形態では、胴体装置によって流体に与えられる少なくとも1つのタイプの外乱は、相殺される必要はないが、
図24に示される実施形態の文脈で論じられるように、ダクト装置および胴体装置の下流の遠方後流に現れ得る。
【0300】
図22において、流管715の外側に位置する流れは、粘性抗力がゼロであると仮定されるとき、いかなる外乱も経ない。これは、自由流の流れに平行な円筒形の外面717によるものである。したがって、外面717の近くの流れは、最小限の量だけ偏向される。偏向は、例えば、外面717に関連する境界層に起因する可能性がある。他の実施形態では、外部流は、局所的な外乱を経る可能性がある。ダクト装置の外面は、自由流の流速と平行である必要はない。例えば、外面の流れ方向の断面積は、下流方向に増加または減少する可能性がある。例えば、外部流は、半径方向外向きの方向に少量だけ偏向することができる。いくつかの実施形態では、偏向は、半径方向内向きの方向であり得る。ダクト装置は、流体に対する実施形態の動きに関連する総抗力が最小化されるように構成することができる。ダクト装置の外面は、前記表面によって外部流に与えられる外乱を低減するように構成されることに加えて、ダクト装置の上流の流管715および下流の流管716のサイズおよび形状は、この理想的な摩擦のないシナリオで変化しないように構成される。換言すれば、ダクト装置によって引き起こされるいかなる外乱も、流管の形状またはサイズの変化の形で外部流に伝達されず、その結果、外部流のダクト装置に関連する波抗力は無視できる。ダクト装置の上流の流管715の均一な円筒形は、ダクト装置が流体中の波の速度よりも速く移動すること、および名目動作中にバウショックが形成されるのを防ぐように構成されたダクト装置の形状の結果である。
【0301】
前の例で論じたように、ダクト装置700の入口で内部流に与えられた外乱の少なくとも一部、すなわち、第1の収縮部705および第1の膨張部706における流体の圧縮は、それらが出口で相殺されるまで、すなわち第2の収縮部710および第3の膨張部711における流体の膨張まで、実質的に一定の断面積707または第2の膨張部708の領域など、ダクト装置700内に含まれるように構成される。第1の収縮部705内の圧縮は、単純化のために非粘性流を仮定するとき、等エントロピーおよび断熱であるように構成される。これは、第1の収縮部705を通って流れる流体の漸進的な圧縮によって達成することができる。第1の収縮部705内の内面718の要素によって生成される個々の圧縮特性は、流れ方向の下流の隣接要素によって生成される圧縮特性が、衝撃波を形成するべく上流の特性と合流または合体するか、またはそれに追いつくことができる前に、円周方向に隣接する要素の対応する特性と合流する。そのような実施形態では、第1の収縮部705は、微小に弱い圧縮衝撃波のファンを含むとみなすことができる。他の実施形態では、有限サイズの衝撃波は、第1の収縮部705内に形成することができる。これは、例えば、第1の開口部704における第1の内面718のより実用的な有限のリーディングエッジの角度の結果である可能性がある。第2の収縮部710および第3の膨張部711を経る膨張はまた、壁の摩擦および熱伝達効果を無視する場合、等エントロピーおよび断熱であるとみなすことができる。第2の開口部712および第1の開口部704での流体速度は、大きさおよび方向が空間的に均一であり、
図22に示される単純化された理想的なシナリオにおける自由流の流速ベクトルに等しい。
【0302】
流体が胴体装置719に遭遇する前に流体の流速が亜音速に低下するため、簡略化されて描かれた実施形態では、ダクト装置700内で胴体装置719によって生成される衝撃波はない。他の実施形態では、衝撃波は、チャネル703内で形成し得る。これらは、例えば、局所的な遷音速流が原因である可能性がある。例えば、
図24のIMSA817などのIMSAの周りの流体の流れは、局所的に超音速に到達することができる。IMSA817は、例えば遷音速翼型にすることができる。別の例では、前述のように、衝撃波も第1の膨張部706内に配置することができる。これにより、自由流の流れの変動によるチャネル703を通る流れの開始が妨げられ、バウショックが発生するのを回避できる。このような変動は、例えば大気中の風によって引き起こされる可能性がある。別の例では、チャネル内の流速は、チャネル全体にわたって、または外乱発生装置の近くで、超音速であり得る。このような実施形態では、衝撃波がチャネル内に形成される。これらの衝撃波の少なくとも一部は、ブーゼマン複葉翼の衝撃波と同様に、相殺するように構成できる。これらの衝撃波が相殺されない構成では、波抗力はダクト装置のチャネル内の外乱発生装置に関連付けられ、または本発明に従って構成された流体操作装置の近くでは、それにもかかわらず、外乱発生装置および流体操作装置に関連付けられた組み合わされた波抗力は、同等の外乱発生装置に関連するものよりも低くすることができ、それに対して、本発明に従って構成された流体操作装置によって流体の流れが変更されない。流体操作装置による自由流の流れに対する前記外乱発生装置の局所的な自由流の流れの減少は、局所的な自由流の流れがまだ超音速であるときでさえ、外乱発生装置の波抗力を低減することができる。
【0303】
空気などの流体の中を超音速で移動する胴体719などの物体は衝撃波を生成することに留意されたい。しかしながら、ダクト装置700による流体の流れの操作により、胴体719に関連する波抗力を低減することができる。ダクト装置700と胴体装置719の結合された波抗力は、本発明に従って構成されたダクト装置700などの流体操作装置の中に包含される、または埋め込まれることなく、胴体719単独、つまり、「参照シナリオ」の理論上の波抗力よりも低くすることができる。他の実施形態では、異なるタイプの外乱発生装置は、
図24に示されるように、胴体装置719の位置に、すなわちその代わりに配置することができる。いくつかの実施形態では、前記結合した装置の総抗力は、流体のみを通過する、すなわち参照シナリオにおける、外乱発生装置の理論上の総抗力、または適切な同等物よりも、低くすることができる。波抗力の減少は、例えば、追加のダクト装置に関連する粘性抗力のいずれの増加よりも大きさが大きくなる可能性がある。他の実施形態では、総抗力は、参照シナリオにおける総抗力よりも大きくすることができる。これは、例えば、胴体装置と組み合わされたダクト装置の追加または増加した湿潤面積に関連する増加した粘性抗力に起因する可能性がある。いくつかのそのような実施形態では、外乱発生装置によって生成される波に関連するノイズの低減から得られる利益は、依然、総抗力の増加に関連するいずれかのコストの増加を相殺することができる。チャネル703内の流体流速の減少はまた、ダクト装置700の粘性抗力の減少を促すことができることに留意されたい。
【0304】
ダクト装置700の目的は、部分的には、任意の外乱発生装置、この場合は胴体装置719の近くで圧縮性流体の圧力を減速および増加させ、外乱発生装置に関連する波抗力を減少させることであると考えることができる。外乱発生装置はまた、例えば、プロペラ、ターボファンエンジンのファン、翼、または水平または垂直の操縦面、またはIMCAのタイプ、またはIMSAのタイプ、などを含むことができる。
【0305】
図22では、胴体装置719は、ダクト装置700に接続されているが、ダクト装置700と容易に区別できる構造として示されている。他の実施形態では、胴体は、胴体がダクト装置700の内面718および外面717内に含まれるように、ダクト装置700内部に埋め込める。いくつかのそのような実施形態では、胴体は、第1の区画730または第2の区画732と同様に、環状の円筒形に構成される。換言すれば、チャネル703は、胴体の外面がダクト装置700の外面717と同一である状態で、胴体の中心を通過するように構成することができる。他の実施形態では、
図22に示すように、胴体はチャネル703を完全に囲む必要はなく、チャネル703は胴体を完全に囲む必要はない。例えば、チャネルは、その一部がダクト装置の胴体部分によって境界付けられ、別の部分がダクト装置の外壁によって境界付けられている円形の流れ方向の断面を有することができる。胴体は、断面を環状にする代わりに、流れ方向の断面を半円形または半環状にすることができる。胴体の円周方向の範囲、または円筒形ダクト装置の中心軸の周りの胴体によって定められる角度は、環状または円形の場合のように360度である必要はなく、300度、200度、100度、または60度などにすることができる。換言すれば、胴体は、連続的なボリューム、すなわち、チャネル703を完全には取り囲んでいないボリュームであるように構成することができ、チャネルは、円形または半円形の形状であり得る。閉じた円形断面形状などの閉じた形状のチャネルは、
図22に示される環状チャネルなどの環状チャネルと比較して、ダクト装置の湿潤面積を減らすのに役立つことができることに留意されたい。
【0306】
図24は、本発明の別の実施形態の断面図である。
図24に示される実施形態のいくつかの特徴、および実施形態の動作原理のいくつかは、他の図面に示される特徴および動作原理と類似性を共有し、したがって、
図24の文脈で同じ詳細では説明されず、逆も同様である。
【0307】
内面816および外面815内に含まれる装置は、固体の材料である必要はないが、ダクト装置800の質量またはコストを不必要に増加させないために、オープンスペースを含むことができることに留意されたい。例えば、ダクト装置800は、
図22に示される第1の区画730または第2の区画732と同様の区画を含むことができる。
【0308】
ダクト装置800は、IMSA817を封入している。示される実施形態では、ダクト装置800は、X軸に沿って見たときに断面が円形であり、X軸に平行な軸に関して軸対称である。ダクト装置800は、IMCAであると考えられる。ダクト装置800は、外面815およびチャネル803を含み、第1の開口部804と第2の開口部810との間に内面816が位置し、それにおいてチャネルは、第1の収縮部805、第1の膨張部806、X方向から見たときチャネル803の実質的に一定の断面積807の領域、第2の収縮部808、および第2の膨張部809を含むことができる。「収縮」および「膨張」という用語は、軸対称チャネルの半径の大きさを指すことに留意されたい。
【0309】
いくつかの実施形態では、チャネル803の断面積は、楕円形または長方形の形状である。いくつかのそのような実施形態では、形状の長軸は、名目動作中にZ軸に平行である。そのようなダクト装置は、Z軸に平行でもある長軸を有する翼のために、局所的な自由流の流れを収容または囲み、操作するように構成することができる。
【0310】
ダクト装置800は、アルミニウム、鋼、またはチタンなどの金属合金を含むことができるバルク材料801から構築することができる。いくつかの実施形態では、バルク材料801は、炭素繊維またはガラス繊維などの複合材料を含む。
【0311】
IMSA817は、翼の形に形成することができる。
図24の断面図は、トレーリングエッジ819および外面820を備えたIMSA817の翼のプロファイルを示している。IMSA817は、支持支柱824によってダクト装置にしっかりと接続することができる。IMSA817のよどみ流線、すなわち、IMSA817の右翼端のリーディングエッジのよどみ点に入射する流線、およびIMSA817の右翼端のトレーリングエッジのよどみ点から生じる流線は、点線841によって示されている。IMSA817の揚力ベクトルには、Y軸に平行な実質的な成分がある。翼817の形状およびサイズは、明確にするためにから誇張されて示されており、縮尺の表現または実際の翼ではないということに留意されたい。
【0312】
本発明の実施形態は、先に定義されたように、少なくとも部分的に流体によって包まれている。
図23では、流体は圧縮可能である。例えば、流体は空気などの気体であり得る。
【0313】
図23に示される動作条件は、名目レベルの巡航の動作条件として含むことができる。図示の簡略化されたシナリオでは、ダクト装置800の重心に対する自由流の流れは、時間的に一定であり、大きさおよび方向が空間的に均一であり、方向はX軸に平行である。図示の動作条件では、ダクト装置800に対する自由流の流速の大きさは、流体中の音速よりも大きい。このシナリオでは風速は無視できると想定されているので、これは、慣性基準フレーム内で静止している流体内の音速よりも速い速度で流体に対して移動するダクト装置800と同等である。
図23では、ダクト装置800に対する自由流の流速は、X軸と平行に、すなわち、ページの左側からページの右側に整列している。
【0314】
破線813および814は、ダクト装置800のリーディングエッジに入射するか、またはトレーリングエッジに由来するよどみ流線を示す。したがって、流線813および814は、ダクト装置800の周りを流れる流体を、ダクト装置800のチャネル803を通って流れる流体から分離する、流面または流管の一部である。この実施形態では、蒸気管は、X方向に沿って見たときに円形である。
【0315】
ステーション834などのダクト装置800の上流の流体は、
図23に示される構成の流体中の音速よりもダクト装置800に対してより速く移動している。チャネル803の第1の収縮部805および第1の膨張部806は、チャネル803を通って流れる流体をXの正の方向に圧縮するように構成される。第1のスロートは、X方向に沿って見たときに、第1の収縮部805と第1の膨張部806との間のチャネル803の最小断面積を有するチャネル803の部分として画定される。第1のスロート、すなわちステーション835でのダクト装置800に対する流体の平均速度は、その位置での流体内の音速にほぼ等しい。ステーション834などの上流では、平均相対速度は音速よりも大きく、ステーション837などのさらに下流では、平均相対速度は、この実施形態の流体内の音速よりも小さい。図示の実施形態では、チャネル803を通る流れは、摩擦を無視すると、実質的に断熱的で等エントロピー的である。他の実施形態では、第1のスロートとステーション837との間に衝撃波が位置する場合がある。言い換えると、第1のスロートの下流の流体の相対的な流速は、流体内の音速よりも速くなる可能性があり、相対的な流速は、衝撃波全体の音速よりも遅い速度に低下する。第1のスロートにて無限に弱い衝撃がある理想的なシナリオのように、音速よりも遅いステーション837での相対的な流速になる。
【0316】
チャネル803の第2の収縮部808および第2の膨張部809の両方は、チャネル803を通って流れる流体をXの正の方向に膨張するように構成される。第2のスロートは、X方向に沿って見たときに、第2の収縮部808と第2の膨張部809との間のチャネル803の最小断面積を有するチャネル803の部分として画定される。第2のスロート、すなわちステーション839でのダクト装置800に対する流体の平均速度は、その位置での流体内の音速にほぼ等しい。ステーション837などの上流では、平均相対速度は音速よりも小さく、ステーション840などの下流では、平均相対速度は、この実施形態における流体内の音速よりも大きい。
【0317】
ダクト装置800は、IMSA817の局所的な自由流の流れが自由流の流速の大きさよりも小さくなるように、この場合、IMSA817であるとみなすことができる外乱発生装置の近くの流体の流れを、減速するように構成される。ダクト装置の結果として、IMSA817、または同等のIMSAまたはリフト装置の局所的な自由流の流れが、自由流の流れに実質的に等しい参照シナリオと比較して、IMSA817に関連する波抗力は、減少する。局所的な自由流の流れは、依然として、前記流体内の波の速度よりも速い可能性があることに注意されたい。そのような実施形態では、結果として生じる波抗力はゼロより大きいが、わずかに減少する。図示の実施形態では、自由流の流れと比較した局所的な自由流の流れの減少は十分に大きく、適切に構成されたダクト装置の流体操作によるIMSA817の局所的な自由流の流れの大きさは、IMSA817での流体の音速よりも小さい。そのような実施形態では、結果として生じる波抗力を大幅に減らすことができる。参照シナリオでは、局所的な自由流の流れがIMSA817の位置での音速よりも大きいため、IMSA817または同等のIMSAは、名目動作中に周囲の流体と比較して音速よりも速く移動する。したがって、IMSA817または同等のIMSAは、参照シナリオの波抗力に関連付けられる。参照シナリオにおける同等のIMSAは、例えば、同じ平面形状領域および/またはジオメトリでIMSA817と同じ量の揚力を生成するように構成できる。本発明に従って構成された流体操作装置によって低減することができるのは、外乱発生装置に関連するこの波抗力である。
【0318】
本発明の原理は、遷音速流に関連する波抗力を低減するためにも適用できることに留意されたい。言い換えれば、自由流の流速の大きさは、自由流における音速よりも小さくすることができ、流体操作装置は、IMSA、IMCAまたは他の外乱発生装置の局所的な自由流の流速を、自由流の流速の大きさよりも小さい大きさに低下させるように本発明に従って構成することができ、その結果、外乱発生装置および流体操作装置に関連する結合させた波抗力は、先行技術の同等の外乱発生装置に関連する波抗力よりも低くなり得る。後者の波抗力は、例えば、局所的な自由流の流速の大きさが自由流の流速の大きさに実質的に等しい、参照シナリオにおける、同等の外乱発生装置に関連する波抗力であり得る。
【0319】
前述のように、
図22に示される実施形態の場合、参照シナリオは、ダクト装置700と同じ自由流の速度で移動する胴体装置719のみのシナリオであり得る。
図23に示される実施形態の場合、参照シナリオは、ダクト装置800と同じ自由流の速度で移動するIMSA817のみのシナリオであり得る。ダクト装置800の別の参照シナリオは、ダクト装置800と同じ自由流の速度で移動する理論上の超音速航空機のシナリオであり得、ここで、航空機の重量は、IMSA817の揚力に等しく、航空機の形状、例えば、航空機の長さまたは胴体の体積として、内部区画の長さまたは体積など、ダクト装置800の形状と共通の特徴を共有する。
【0320】
ダクト装置800は、ダクト装置800に関連する波抗力が以前の流体操作装置と比較して低減される方法で、IMSA817などの外乱発生装置の近くの局所的な自由流の流れを低減するように構成される。これは、前述のように、ダクト装置800の外側の外部流に、無視できるかまたは小さな外乱のみが与えられるように、流体操作装置を構成すること、ならびに内部流進入ダクト装置800の漸進的な圧縮および減速、ダクト装置の外壁による圧力上昇の封じ込め、および内部流退出ダクト装置800の漸進的な膨張および加速によって達成することができる。内部流の減速に関連する圧力上昇の封じ込めは、内部流に、ダクト装置によって与えられる外乱が伝達または外部流に移送されるのを防止または軽減するのに役立つことに留意されたい。圧縮中に内部流に与えられた外乱は、膨張している間またはチャネルを出る前に、少なくとも部分的に相殺されるように構成されている。
【0321】
一般に、本発明の実施形態は、ダクト装置を含む必要がないことに留意されたい。他の実施形態は、ダクト装置800の前述の機能の少なくとも一部を実行するように構成された流体操作装置を含むことができる。本発明の実施形態は、特定の外乱発生装置の局所的な自由流の流れを低減するように構成された流体操作装置を含み、結果として生じる局所的な自由流の流れは、音速よりも大きくても小さくてもよく、外乱発生装置は、翼、プロペラ、操縦面、胴体などのIMSAまたはIMCAであり得る。流体操作装置はさらに、外乱発生装置付近の圧力の上昇を人為的に封じ込めるように構成される。これは、外乱発生装置の波抗力を低減するだけでなく、流体操作装置に関連する波抗力を軽減することができる。
【0322】
例えば、流体操作装置は、指定された外乱発生装置の近くの流体に単位質量あたりの物体力を与えるように構成することができる。単位質量あたりのこの物体力の大きさと方向は、外乱発生装置の上流の流体を減速し、結果として生じる外乱発生装置付近の圧力の上昇を封じ込めまたは閉じ込め、外乱発生装置下流の流体を加速するように構成することができる。流体が水などの液体である場合、流れは、代わりに、前記流体操作装置によって、外乱発生装置の上流で加速され、下流で減速され得ることを想起されたい。外乱発生装置の近くでは、流れは高圧の「外部」の流れから保護されているとみなすことができる。つまり、外部流は閉じ込められているか、封じ込められているとみなすことができる。そのような実施形態では、流体操作装置を通るチャネルは必要ないことに留意されたい。代わりに、単位質量生成の場あたりの物体力は、流体操作装置の外部で生成することがあり、外乱発生装置の近くを通過する流線は「内部流」と呼ばれ、残りの流れは「外部流」と呼ばれる。ただし、両方の流れが流体操作装置の外部にある可能性がある。
【0323】
当技術分野で知られている単位質量あたりの物体力の生成装置および方法は多種多様である。例えば、外乱発生装置の上流の流体は、流体操作装置の上流部分でイオン化され、続いて、流体操作装置の下流部分でもう一度脱イオン化または中和される前に、外乱発生装置の近くでイオン化された流体を減速、閉じ込め、および加速するように構成される電場にさらされ得る。あるいは、または同時に、磁場を使用することができる。流体はまた、いくつかの実施形態において、電気的または磁気的に分極され得る。
【0324】
物体力は、潜在的な磁場の勾配の存在から発生する可能性がある。そのような例の1つは、電位の勾配から生じる力である。例えば、流体の要素は、帯電するように構成することができる。流体の文脈において、「要素」という用語は、例えば、分子などの流体の構成部分を指す。気体の場合、分子は、例えば、正または負にイオン化される可能性がある。電界を印加することにより、流体操作装置によって、単位質量あたりの物体力を、流体の帯電した要素に加えることができる。
【0325】
他の実施形態では、可動電荷を含む流体を使用、調達、または作成することは不可能または不便である可能性がある。この場合、流体の要素は、電界を印加することによって分極することができ、または、水などの極性分子の場合のように、これらの要素はすでに固有の分極を持っている可能性がある。電界勾配の中に置かれると、これらの分極要素は物体力を受ける可能性がある。留意されたいこととして、前記力の大きさは、他のパラメータの中でもとりわけ、電場に対する分極軸の向きに依存している。したがって、電界は、流体内の極性要素に単位質量あたりの物体力を生成し、必要に応じて流体内の要素を分極するように構成できる。電場は、当技術分野で知られている無数の方法で印加することができる。
【0326】
磁気を使用して物体力を生成することもできる。流体は、反磁性、常磁性、または強磁性の要素を含むことができる。磁化されると、流体内の個々の要素が磁気双極子を形成し得るか、これらの要素がすでに電子などの固有の磁気双極子を持っている可能性がある。これらの磁気双極子がゼロ以外のカールまたは勾配のある磁場に置かれると、これらは物体力を受ける可能性がある。物体力の大きさは、他のパラメータの中でも、局所的な磁場に対する磁気双極子の向きの関数であることに注意されたい。したがって、外部磁場は、流体内の磁化された要素に単位質量あたりの物体力を生成し、必要に応じて流体内の要素を磁化するように構成することができる。磁場は、当技術分野で知られている他の方法の中でもとりわけ、強磁性体の他の少なくとも瞬間的に磁化された要素によって、または電磁石のワイヤを通って流れる電流によって、生成することができる。
【0327】
図23において、ダクト装置は、IMSA817によって放出される渦度と比較して、ダクト装置800によってわずかな量の渦度のみが放出されるように構成される。これは、IMSA817の誘導流速および内面816における関連する後流が十分に小さいものになるように、IMSA817が内面816から十分離れて配置されることを確実にすることによって、部分的に達成される。ダクト装置800によって放出される渦度、または超音速外部流内におけるいずれかの誘導流速は、外部流に波抗力をもたらす可能性があることに留意されたい。したがって、ダクト装置800が、IMSA817の束縛渦ならびにIMSA817によって放出されるいずれかの渦度が、理論上の誘導流速、すなわち、誘導された局所的な自由流の流速を内面816で与えないように十分に大きいことが有利であり得る。そのような理論上の誘導速度は、流体が内面816を通ることを妨げる理論的制約のために、ダクト装置800に関連する理論的に拘束される渦、またはダクト装置800による渦の放出を生じさせることができる。ダクト装置800のテールエッジ、すなわち第2の開口部810でのこれらの放出された渦は、衝撃波および波抗力を生じさせ得る。この波抗力の大きさは、IMSA817の干渉、ならびにダクト装置800上のIMSA817の後流の干渉を低減することによって、低減することができる。これは、ステーション837での直径または断面積、またはIMSA817の下流のダクト装置800の長さに関して測定することができるダクト装置800のサイズなどのパラメータ、例えばダクト装置800内のIMSA817の位置およびサイズを適切に構成することによって、達成することができ、この場合、サイズは、翼幅の弦長または参照エリア、IMSA817によって生成される揚力の大きさ、ならびにステーション837での流体の特性に関して測定することができ、この場合特性は局所的な自由流の流速または密度を参照できる。ダクト装置800は、IMSA817の局所的な自由流の流れおよびその後流を変更することによって、IMSA817およびIMSA817の後流にかなりの量の干渉を与えることができ、実際に与えることに留意されたい。
【0328】
第2の収縮部808および第2の膨張部809において、IMSA817の渦シートは、流線841によって示されるように、Xの正の方向で、内部流、すなわちチャネル803内のバルク流と共に加速される。図示の実施形態では、第2の開口部810において、当該の位置の内部流の場合のように、IMSA817の渦シート内の渦の速度は、音速よりも速い速度でXの正の方向に移動している。第2の開口部810の下流では、IMSA817の渦シートは、バルク流に対して音速よりも速い速度で移動しない。したがって、渦シートは、界面に衝撃波を発生させることなく、内部流から外部流に移動することができる。これは、内部流と外部流の間にスリップ速度または速度差または速度勾配がある場合でも当てはまることに留意されたい。
【0329】
いくつかの実施形態では、ダクト装置800内の実質的に一定の断面積の領域内のダクト装置800に対する音速よりも小さい速度から、ステーション840でのダクト装置800と比較して音速よりも速い速度までのIMSA817の渦シートの加速に関連する波抗力は、先行技術における同等のIMSAに関連する波抗力と比較した場合、いくつかの実施形態では小さいか無視できる。これは、渦が周囲の流体よりも速く移動しないように、渦シートの自由渦の加速と内部流の大部分の加速によるものである。ダクト装置800などの流体操作装置のおかげで、拘束されたまたは自由であるIMSA817の所与の渦は、超音速にて前記渦供給源に対して移動している流れに著しい誘導速度を受けさせる、またはそれに外乱を付与することを妨害する、または妨げる。第2の収縮部808および第2の膨張部809における流体の漸進的な加速は、IMSA817の渦シートに関連するいずれの衝撃波の強度をも低減するのに役立つことができる。
【0330】
図24は、
図23に示される位置でXの正の方向に見られる、
図23に示される実施形態の断面図である。
【0331】
流線841が示されている。IMSA817のよどみ流線、すなわち、IMSA817の左翼端のリーディングエッジのよどみ点に入射する流線、およびIMSA817の左翼端のトレーリングエッジのよどみ点から生じる流線は、点線842によって示されている。IMSA817の内面823が示されている。
【0332】
図25は、
図24に示される位置でXの正の方向に見られる、
図23に示される実施形態の断面図である。
【0333】
この場所でのIMSA817の理論的な放出渦シートの断面は、破線843で示されている。渦シートの巻き上げが概略的に表されている。
【0334】
図26は、
図24に示される位置でXの正の方向に見られる、
図23に示される実施形態の断面図である。
【0335】
ステーション839でのIMSA817の理論的な放出渦シートの断面は、破線844で示されている。渦シートの巻き上げはさらに進んでいる。
【0336】
図27は、
図24に示される位置でXの正の方向に見られる、
図23に示される実施形態の断面図である。
【0337】
その場所でのIMSA817の理論的な放出渦シートの断面は、破線845で示されている。渦シートの巻き上げはさらに進んでいる。
【0338】
破線846は、前記断面図の下流のYZ平面に平行な平面への外面815の投影を示している。
【0339】
図28は、
図24に示される位置で負のX方向に見られる、
図23に示される実施形態の断面図である。
【0340】
図29は、本発明の別の実施形態の断面図である。
図30に示される実施形態のいくつかの特徴、および実施形態の動作原理のいくつかは、他の図面に示される特徴および動作原理と類似性を共有し、したがって、
図30の文脈で同じ詳細では説明されず、逆も同様である。
【0341】
ダクト装置850は、いくつかの実施形態では、翼、上流IMSA908、胴体装置869、下流IMSA919、およびエンジン925であり得るIMSA892を封入している。
【0342】
図示の実施形態では、エンジン925は、ターボファンエンジンとして説明することができる。いくつかの実施形態では、エンジン925のドライブシャフトは、ギアボックスに結合することができる。いくつかのそのような実施形態では、エンジン925は、ターボシャフトエンジンとして説明することができる。
【0343】
示される実施形態では、ダクト装置850は、X軸に沿って見たときに断面が円形であり、X軸に平行な軸に関して軸対称である。ダクト装置850は、IMCAであると考えられる。ダクト装置850は、外面867およびチャネル853を含み、第1の開口部854と第2の開口部862との間に内面868が位置し、それにおいてチャネルは、第1の収縮部855、第1の膨張部856、X方向から見たときチャネル853の徐々に増加する断面積857の領域、第2の膨張部858、第2の収縮部860、および第3の膨張部861を含む。「収縮」および「膨張」という用語は、軸対称チャネルの半径の大きさを指すことに留意されたい。
【0344】
胴体装置869は、破線875によって残りの胴体から概略的に分離された、リーディング点870、トレーリング点871、内面873、外面872、および胴体区画874を備える。胴体装置869は、いくつかの支持支柱によってダクト装置にしっかりと接続されている。示される実施形態では、ステータブレード913などの個々のステータブレードもまた、支持支柱とみなすことができ、逆もまた同様である。いくつかの実施形態では、胴体は、例えば、貨物、乗客、または燃料を搬送するように構成することができる。
【0345】
ダクト装置は、上流のくびれまたはダクト要素951内の第1の区画880と、下流のくびれまたはダクト要素952内の第2の区画882とを備える。これらの区画は、多くの目的を果たすことができる。いくつかの実施形態では、それらは、着陸装置、燃料、または貨物を保管するために使用することができる。
【0346】
チャネルの半径または形状は、他の実施形態または他の操作条件のために、X軸に沿った位置の関数として異なる方法で変化するか、または異なるように構成され得ることに留意されたい。他の実施形態では、チャネル853または外面867の断面形状は、X方向に沿って見たときに、正方形、長方形、または楕円形であり得る。いくつかの実施形態では、チャネル853の断面形状は、例えば、Xの正の方向で正方形から円形に変化することができる。
【0347】
いくつかの実施形態では、円形チャネル853の断面積は、時間とともに変化し得る。例えば、ステーション890のチャネルの半径は、さまざまな動作条件に合わせて変更できる。半径は、自由流の流速に応じて増減できる。このようにして、ダクト853を通る流れの特性は、本発明の原理が異なる自由流の流れの条件で適用され得るように修正および制御され得る。例えば、第1の膨張部856内の衝撃波の存在または位置は、ステーション890でチャネル853の断面積を制御することによって調整することができる。時間の関数としてチャネルの断面積を変更するための多種多様な方法が利用可能である。例えば、ダクト装置850に接続された傾斜路は、水力学的にチャネル内に延長され得、したがって、チャネルの断面積を減少させることができる。別の例では、チャネル853内に位置するスパイクは、チャネルの長さに沿って、すなわちX方向に沿って軸方向に、チャネルの収縮部に向かって、またはチャネルの収縮部から離れて移動することができ、したがって、チャネルの環状断面積をそれぞれ減少または増加させる。
【0348】
同様に、ステーション885でのチャネル853の断面積は、チャネル853内ならびにチャネル853の上流および下流に所望の流れのプロファイルを確実にするために修正することができる。
【0349】
ダクト装置850は、アルミニウム、鋼、またはチタンなどの金属合金を含むことができるバルク材料851から構築することができる。いくつかの実施形態では、バルク材料851は、炭素繊維またはガラス繊維などの複合材料を含む。
【0350】
いくつかの実施形態では、IMSA892は翼であり得る。
図29の断面図は、トレーリングエッジ895、内面899、および外面896を備えたIMSA892の翼のプロファイル893を示している。IMSA892は、支持支柱900によってダクト装置にしっかりと接続されている。IMSA892のよどみ流線、すなわち、IMSA892の右翼端のリーディングエッジのよどみ点に入射する流線、およびIMSA892の右翼端のトレーリングエッジのよどみ点から生じる流線は、点線901によって示されている。
図29に示される超音速、名目、等速度、レベルの巡航構成の間、IMSA892は、Y軸に平行な実質的な成分を有する揚力ベクトル941によって示されるように、揚力を生成するように構成される。
【0351】
リーディング点870で中央ハブ909に取り付けられた、ファンブレードまたはブレード911などのプロペラブレードを備えたプロペラまたはファンディスクを含む上流IMSA908が存在する。ステータブレード913などのステータブレードは、プロペラの下流に配置されている。他の実施形態では、専用のステータブレードはなく、上流IMSA908は、単一のファンディスクまたはプロペラのみからなる。別の例では、上流IMSAは、2つの同軸および逆回転プロペラからなることができる。図示の実施形態では、プロペラブレードおよびステータブレードは、それらの長軸を中心に回転できるように構成されている。換言すれば、ブレードのピッチ角は、上流IMSA908のステータブレードおよびローターブレードに対して調整することができる。
図29に示される超音速の名目レベルの巡航構成の間、上流IMSA908のファンブレードおよびステータブレードは、フェザリングされる、すなわち、低抗力構成である。いくつかの実施形態では、上流IMSA908のローターは静止している、すなわち、この構成では、ダクト装置850に対して回転しない。他の実施形態では、上流IMSA908のローターは、この構成で回転することができる。
【0352】
中央シャフトに取り付けられた、ファンブレードまたはプロペラブレード、例えばブレード922を備えたプロペラまたはファンディスクを含む下流IMSA919が存在する。ステータブレード924などのステータブレードは、プロペラの下流に配置されている。他の実施形態では、専用のステータブレードはなく、下流IMSA919は、単一のファンディスクまたはプロペラのみからなる。別の例では、下流IMSAは、2つの同軸および逆回転プロペラからなることができる。図示の実施形態では、下流IMSA919のローターは、上流IMSA908のローターと同じ方向に回転している。他の実施形態では、下流IMSA919の回転方向は、上流IMSA908の回転方向と反対であり得る。これは、上流と下流IMSAの回転軸に平行な軸の周りにダクト装置850に作用するトルクを、両者に働く抗力に起因して、低減するように、機能することができる。上流IMSA908の文脈で説明したように、下流IMSA919のプロペラブレードとステータブレードは、それらの長軸を中心に回転できるように構成されている。換言すれば、ブレードのピッチ角は、下流IMSA919のステータブレードおよびローターブレードに対して調整することができる。
図29に示される超音速の名目レベルの巡航構成の間、下流IMSA919のファンブレードおよびステータブレードは、フェザリングされる、すなわち、低抗力構成である。いくつかの実施形態では、下流IMSA919のローターは静止している、すなわち、この構成では、ダクト装置850に対して回転しない。他の実施形態では、下流IMSA919のローターは、この構成で回転することができる。
【0353】
いくつかの実施形態では、エンジン925は、ナセル931内に圧縮機928、燃焼室940、およびタービン932を有するジェットエンジンであり得る。タービン932の第1段は、ローターブレード934などのローターブレードを備えたローターディスクと、ステータブレード935などのステータブレードを備えたステータとからなる。タービン932の第2段は、ローターブレード936などのローターブレードを備えたローターディスクと、ステータブレード937などのステータブレードを備えたステータとからなる。エンジン925はツインスプールアーキテクチャであり、タービン932の第1段のローターディスクが、圧縮機928のローターディスクを駆動する第1のスプール926を駆動する。圧縮機928は3つの段を有することができ、それぞれは、第3段のローターブレード929などのローターブレードを備えたローターディスクと、第3段のステータブレード930などのステータブレードを備えたステータとからなる。タービン932の第2段のローターディスクは、例えば、ドライブシャフト927、ドライブシャフト915、およびドライブシャフト916を介して、上流IMSA908および下流IMSA919の両方のローターを駆動する第2のスプールを駆動する。フェアリング933は、タービン932の出口での流れの分離を低減または回避することにより、エンジン925の抗力を低減するように構成される。フェアリング933のトレーリング点871が示されている。
【0354】
図示の実施形態では、入口傾斜路またはドア938は、内部流の大部分がエンジン925に入るのを防ぐように構成することができる。入口ドア938は、エンジン925の入口を閉じるように構成することができる。出口ドア939は、ナセル931に空力的または流体力学的フェアリングをもたらすように構成することができる。
図29に示される超音速、名目レベルの巡航構成の間、入口ドア938および出口ドア939は、完全に閉じられた構成で示される。この動作状態の間、推力は、チャネル853内のフレームホルダー724などのフレームホルダーによる燃料の噴射および燃焼によってなされる。エンジン925は、この動作モードの間、オフにされている、すなわち、完全に電力がオフされているか、または実質的な電力を供給しない状態にあるとみなすことができる。他の実施形態では、エンジン925は、超音速、名目レベルの巡航中、オンのままにすることができる。例えば、エンジン925は、ビークル850の補助システムに電力を供給するために発電機を駆動することができる。電力は、バッテリーの充電に使用したり、フライトコンピュータやエアコンユニットなどの電気機器で消費したりすることができる。入口ドア938および出口ドア939は、
図30および
図31に完全に開いた構成で示されている。この構成では、チャネル853を通って移動する流体の一部は、例えば、燃料の燃焼を介して動力を生成することができるエンジン925によって摂取されるか、またはそれを通って流れることができる。
【0355】
エンジン925によって生成された電力は、前述のように、ドライブトレインを介して上流IMSA908および下流IMSA919に伝達される。いくつかの実施形態では、ドライブトレインは、例えば、クラッチ、ドライブシャフト、ギア、またはギアボックスを含むことができる。他の実施形態では、エンジン925によって生成された電力は、上流IMSA908および下流IMSA919に電気的に伝達することができる。エンジン925は、発電機に電力を供給することができ、それによって生成される電気の少なくとも一部は、電気導体を介して電気モーターに伝達することができ、電気モーターは、上流IMSA908および/または下流IMSA919に電力を供給するように構成することができる。前記電気の一部はまた、ダクト装置850の補助電気システムに電力を供給するために使用することができる。いくつかの実施形態では、下流IMSA919のローターディスクは、
図29に示されるように、ドライブシャフト927に接続することができ、これは、ひいては発電機を駆動するように構成することができ、その電力は、胴体区画874の周りの導電体を介して伝達することができ、上流IMSA908のローターディスクを駆動する電気モーターに接続する。
【0356】
図示の実施形態では、ドライブシャフト927から上流IMSA908に動力を機械的に伝達するドライブトレインは、ユニバーサルジョイントによって胴体区画874の周りに向けられている。ダクト装置850では、ユニバーサルジョイントは、等速ジョイント、またはドライブシャフト915をドライブシャフト916に接続するCVジョイント907などのCVジョイントである。
【0357】
図示の実施形態では、下流IMSA919のステータブレードは、隣接する流体の流れに燃料を注入し、前記燃料の燃焼中に火炎を保持することができるように構成される。したがって、IMSA919のステータはフレームホルダーとみなすことができる。
図29に示される超音速の名目レベルの巡航構成の間、フレームホルダーは、燃料をチャネル853に噴射し、前記燃料の燃焼中に火炎を安定化するように構成される。そのような実施形態において、およびこの動作モードの間、チャネル853は、ラムジェットと同じ方法で動作させることができる。ダクト装置850上の流体によって与えられる推力は、推力ベクトル943などの推力ベクトルによって概略的に表される。推力は、ダクト装置850に作用する流体の圧力の結果であることに留意されたい。言い換えれば、推力は、ダクト装置850の濡れた表面に作用する圧力の統合から生じる。結果として、ステーション891での内部流の流速の大きさは、自由流の流れの速度の大きさ、すなわち、ステーション884での内部流の流速の大きさよりも大きい。
【0358】
ダクト装置850の残りの部分に上流および下流IMSAの組み合わせによって与えられる任意の余剰トルクは、流体に対する下流および/または上流IMSAのステータブレードのピッチ角または向きを調整することによって相殺することができる。ステータブレードはまた、いくつかの実施形態において、ダクト装置850のロール、ピッチ、およびヨーの制御のために使用され得る。他の実施形態では、IMSA892と同様の専用IMSAは、流体がダクト装置に対して亜音速で流れているチャネル853の領域内に配置することができ、専用IMSAは、ロール、ピッチ、および/またはヨーの制御を維持するように構成される。さらに他の実施形態では、操縦面は、流体がダクト装置に対して超音速で移動しているチャネル853内の領域に配置することができる。いくつかのそのような実施形態では、操縦面は、ダクト装置のトレーリングエッジ、すなわち第2の開口部862に配置することができる。ピッチとヨーの制御は、推力偏向によって実現できる。例えば、推力は内部流の加速によって生成される。いくつかの実施形態では、垂直または水平テールなどのテール表面は、外面867に取り付けられ、外部流、すなわち、円筒形の流管865または866の外側の流れと相互作用するように構成され得る。
【0359】
本発明の実施形態は、先に定義されたように、少なくとも部分的に流体によって包まれている。
図29では、流体は圧縮可能である。例えば、流体は空気などの気体であり得る。
【0360】
いくつかの実施形態では、
図29に示される動作条件は、名目レベルの巡航の動作条件であり得る。図示の簡略化されたシナリオでは、ダクト装置850の重心に対する自由流の流れは、時間的に一定であり、大きさおよび方向が空間的に均一であり、方向はX軸に平行である。図示の動作条件では、ダクト装置850に対する自由流の流速の大きさは、流体中の音速よりも大きい。このシナリオでは風速は無視できると想定されているので、これは、慣性の基準フレーム内で静止している流体内の音速よりも速い速度で流体に対して移動するダクト装置850と同等である。
図29では、ダクト装置850に対する自由流の流速は、矢印944によって示されるように、X軸と平行に、すなわち、ページの左からページの右に整列されている。
【0361】
破線865および866は、ダクト装置850のリーディングエッジに入射するか、またはトレーリングエッジに由来するよどみ流線を示す。したがって、流線865および866は、ダクト装置850の周りを流れる流体を、ダクト装置850のチャネル853を通って流れる流体から分離する、流面または流管の一部である。この実施形態では、蒸気管は、X方向に沿って見たときに円形である。
【0362】
ステーション884などのダクト装置850の上流の流体は、
図29に示される構成の流体中の音速よりも、ダクト装置850に対してより速く移動している。チャネル853の第1の収縮部855および第1の膨張部856は、チャネル853を通って流れる流体をXの正の方向に圧縮するように構成される。第1のスロートは、X方向に沿って見たときに、第1の収縮部855と第1の膨張部856との間のチャネル853の最小断面積を有するチャネル853の部分として画定される。第1のスロート、すなわちステーション885でのダクト装置850に対する流体の平均速度は、その位置での流体内の音速にほぼ等しい。上流、例えばステーション884では、平均相対速度が音速よりも大きく、さらに下流、例えばステーション887、888、または889では、平均相対速度は、この実施形態の流体内の音速よりも小さくなる。図示の実施形態では、チャネル853を通る流れは、摩擦を無視すると、実質的に断熱的で等エントロピー的である。他の実施形態では、第1のスロートとステーション887との間に衝撃波が位置する可能性がある。言い換えると、第1のスロートのすぐ下流の流体の相対的な流速は、流体内の音の速度よりも速くなる可能性があり、相対的な流速は、衝撃波全体の音の速度よりも遅い速度に低下する。第1のスロートにて無限に弱い衝撃がある理想的なシナリオのように、音速よりも遅いステーション887での相対的な流速になる。好ましい実施形態では、そのような衝撃波は、上流IMSA908の上流に位置するように構成される。
【0363】
チャネル853の第2の収縮部860および第3の膨張部861の両方は、チャネル853を通って流れる流体をXの正の方向に膨張するように構成される。第2のスロートは、X方向に沿って見たときに、第2の収縮部860と第3の膨張部861との間のチャネル853の最小断面積を有するチャネル853の部分として画定される。第2のスロート、すなわちステーション890でのダクト装置850に対する流体の平均速度は、その位置での流体内の音速にほぼ等しい。ステーション887などの上流では、平均相対速度は音速よりも小さく、ステーション891などの下流では、平均相対速度は、この実施形態における流体内の音速よりも大きい。
【0364】
図29に示される超音速、名目レベルの巡航構成の間、ダクト装置850は、上流IMSA908、胴体装置869、IMSA892、下流IMSA919、燃料噴射装置およびフレームホルダー924、またはエンジン925などの外乱発生装置の局所的な自由流の流れを低減するよう構成される。ダクト装置850はさらに、それ自体の不必要に大きな波抗力を被ることなく、局所的な自由流の流れの前記低減を達成するように構成される。これは、前述のようにダクト装置を構成することによって達成できる。例えば、ダクト装置850の円形外面867の下流方向の直径の変化は、小さく、緩やかになるように構成することができる。内部流の減速中にダクト装置によって内部流に与えられる外乱は、ダクト装置の外壁によって外部流から遮蔽することができ、内部流に対する前記外乱の少なくとも一部は、第2の開口部862を通って出る内部流の前に相殺することができる。IMSA892または上流IMSA908によって放出される渦などの任意の渦の放出は、ダクト装置850内で、自由流の流れの速度と比較して低減された局所的な自由流の流れの速度で発生するように構成することができ、その結果、参照シナリオと比較して、放出プロセスに関連する波抗力が減少するか、無視できる程度になる。前述のように、同じ原理を、拘束された渦やIMCA、エンジン、燃料の燃焼などの他の外乱にも適用できる。ダクト装置850の内面868などのダクト装置850において、ステーション885と890との間などのダクト装置内の拘束されたまたは自由な渦によって与えられる干渉、または局所的な自由流の流れの速度の変更は低次であり、ダクト装置850が不必要に大きな波抗力を被らないようになり、この場合に、関連する波が内部流または外部流である可能性がある。これは、チャネル853の直径が、渦の強度および位置に関連して十分に大きいことを確実にすることによって達成することができる。拘束されたまたは自由な渦のフィラメントの強度、ならびにダクト装置の内面または外面までの距離は、前記干渉の強さを決定するパラメータのいくつかである。燃料の燃焼によって生じる外乱など、すべての外乱が渦を伝えたり放出したりするわけではないが、本発明の原理はそのような外乱にも適用されることに留意されたい。
【0365】
超音速、名目レベルの巡航中、図示のダクト装置850の重量の大部分は、IMSA892によって生成される揚力941によって運ばれ、推力の大部分は、ラムジェットとして構成できるチャネル853によって生成される。ダクト装置850は、例えば、超音速航空機として説明することができる。
図29では、ダクト装置850は、静止した自由流の流体に対して、超音速で、X軸に平行な負のX方向に移動している。
【0366】
図30は、異なる動作モードについて
図29に示される実施形態の断面図である。
図30では、ダクト装置850は、静止した自由流の流体に対して、亜音速で、X軸に平行な負のX方向に移動している。ダクト装置850に対する自由流の流れの方向は、矢印950によって示されている。この構成では、ダクト装置850の重量の一部は、ダクト装置850に作用する揚力945によって運ばれる。ダクト装置850の長手方向対称軸は、Z軸を中心に負の方向に回転している。結果として生じるダクト装置850の迎え角は、負のY方向の内部流および外部流の偏向をもたらし、これは、ダクト装置850に作用する揚力および抗力を生じさせる。ダクト装置850は、この動作モードの間、閉じた翼または環状の翼であるとみなすことができる。
【0367】
IMSA892と下流IMSA919との間の干渉を低減するために、IMSA892は、この動作モード中にフェザリングされる。干渉は、下流IMSA919での流れの場の歪みにつながる可能性があり、不必要な抗力、ノイズ、および振動につながる可能性がある。そのために、IMSA892の形状は、単純化された摩擦のないシナリオでIMSA892によって渦が放出されないように変更される。いくつかの実施形態では、IMSA892は、IMSA892の各翼形部のキャンバーおよび迎え角がゼロになるように変形させることができる。他の実施形態では、IMSA892は、フェアリング内に格納されるか、または内面868または胴体外面872などの内面に対して面一に取り付けられ得る。これにより、ダクト装置850の湿潤面積を低減すると同時に、IMSA892と下流IMSA919との間のいずれかの干渉を最小化または低減することができる。
【0368】
上流IMSA908は、推力ベクトル946によって示されるように、上流方向に向けられる推力を生成するように構成され、下流IMSA919は、推力ベクトル949によって示されるように、下流方向に向けられる推力を生成するように構成される。これは、チャネル853を通る質量流量を増加させ、揚力および推力の生成に関連する誘導抗力を低減することができる。上流IMSA908および下流IMSA919は、上流方向に向けられた正味の推力を生成し、これは、ダクト装置850に作用する抗力を打ち消し、ダクト装置850の正味の揚力に寄与することに留意されたい。
【0369】
上流IMSA908によって消費される電力は、下流IMSA919によって内部流から抽出された電力、ならびにエンジン925によって供給される。
【0370】
図30では、亜音速、名目レベルの巡航中、燃焼室940のエンジン925内を除いて、フレームホルダーを介して内部流への燃料の流れがなく、内部流での燃料の燃焼はない。他の動作モードでは、アフターバーナーの動作と同様に、フレームホルダーはチャネル853に燃料を噴射して燃焼させることができる。同様に、燃料は、エンジン925のタービン932のすぐ下流において、噴射および燃焼することもできる。
【0371】
破線959および960は、ダクト装置850のリーディングエッジに入射するか、またはトレーリングエッジに由来するよどみ流線を示す。したがって、流線959および960は、外部流、すなわちダクト装置850の周りを流れる流体を内部流、すなわちチャネル853を通って流れる流体から分離する、流面または流管の一部である。この実施形態では、蒸気管は、X方向に沿って見たときに円形である。
【0372】
図30に示される動作モードで自由流の速度が増加するにつれて、下流IMSA919の推力の大きさを減少させることができる。
図30および
図31に示される動作モード中の下流IMSA919の目的は、チャネル853を通る質量流量の増加である。自由流の速度の大きさが増加するにつれて、下流IMSA919の助けが、より少ない程度でのみ必要とされる。したがって、下流IMSA919の推力の大きさを減らすことができる。正味推力要件に応じて、上流IMSA908の推力は、自由流の速度が増加するにつれて減少または増加する可能性がある。低い自由流の流れの速度では、上流IMSA908によって生成される推力は、エンジン925の構造的制約または電力の制限によって制限され得る。自由流の流速が増加するにつれて、または前述の低い自由流の流速で、上流908によって生成される推力はまた、波抗力、圧縮性抗力、または上流IMSA908のローターブレードのノイズの増加によって制限され得る。波抗力は、その場所での音速を超える流体に対する上流IMSA908のローターまたはファンの先端の速度から発生する可能性がある。上流908のローターブレードの部分はまた、周囲の流体に対して高速で圧縮性抗力に遭遇する可能性がある。上流IMSA908の推力が減少するにつれて、所与の正味推力要件を満たすために、下流IMSA919の推力の大きさが減少する。十分に大きい自由流の流れの速度では、下流IMSA919の推力の大きさは非常に小さいので、下流IMSA919をフェザリングすることがより有利である。そのために、下流IMSA919は、クラッチを介してドライブトレインから切り離してフェザリングすることができるが、上流IMSA908は推力をもたらし続ける。この構成では、上流IMSA908およびエンジン925は、従来のターボファンエンジンとして動作するとみなすことができ、ファンは上流IMSA908によって表され、コアはエンジン925によって表される。
【0373】
速度がさらに増加するにつれて、上流IMSA919のローターの推力および回転速度を低減して、上流IMSA919のローターブレードに関連する波抗力および/または圧縮性抗力を回避または低減することができる。前のように、上流IMSA908およびエンジン925は、ファン、すなわち上流IMSA919によって生成される推力のパーセンテージが減少しているにもかかわらず、従来のターボファンエンジンとして動作するとみなすことができる。必要な推力の残りの部分は、それ自体がターボジェットエンジンとして動作するとみなすことができるエンジン925を通る流体の加速によってもたらすことができる。
【0374】
自由流の流速がマッハ1に近づき、マッハ1を超えると、エンジン925のアフターバーナーを任意に作動させて、マッハ1の近くの上流IMSA908の推力および回転速度の低下を補償し、エンジン925が正味推力要件を満たすのを補助することができる。あるいは、または同時に、フレームホルダーおよび燃料噴射器によって、ステーション889のチャネル853内で燃料を噴射および燃焼させることができる。速度が増加してマッハ1を超えると、上流IMSA908の局所的な自由流の流速が低下し、回転速度、および上流IMSA908によって生成される推力が、もう一度増加できる。十分に大きな速度では、燃料効率を改善するために、エンジン925のアフターバーナーまたはステーション889の内部流への燃料のいずれかの燃料の流れを減らすか、または完全に停止することができる。このような速度では、上流IMSA908とエンジン925はスーパークルーズのターボファンエンジンとみなすことができる。いくつかの動作モードの間、ダクト装置850の加速を補助するために、この燃料の流れの減少が起こる必要はない。速度がさらに増加すると、エンジン925のアフターバーナーまたはステーション889の内部流への任意の燃料の流れを増加させることができる。燃料は、フレームホルダーおよび噴射器、例えばフレームホルダー924によって、チャネル853に噴射され、燃焼され得る。したがって、内部流がエンジン925の外部に留まるチャネル853の部分は、この動作モードではラムジェットとして動作するとみなすことができる。速度がさらに増加するにつれて、上流IMSA908によって生成される推力を低減することができ、
図29に示される構成に対応して、上流IMSA908も同様にフェザリングすることができる。
【0375】
前述の説明では、低亜音速から超音速への加速について説明している。この加速中のダクト装置850に関連する波抗力は比較的低いことに留意されたい。この加速を実行できる他の方法があるわけではない。例えば、衝撃が第1の開口部854の上流に形成されることを許容することができる。この衝撃波は、例えば、別の胴体などの別個の専用の衝撃体によって生成することができる。衝撃波は、例えば、ステーション890またはステーション885でチャネル853の断面積を適切に減少させることによっても生成することができる。これにより、上記のシナリオと比較して、チャネル853を通る質量流量を減らし、マッハ1の近くで超音速で上流IMSA919のローターの推力と回転速度を増やすことができる。ただし、これにより波抗力が発生し得、騒音公害の原因となる可能性がある。チャネル853を通る質量流量の減少はまた、ダクト装置850の誘導される抗力または誘導される力を増加させることができる。
【0376】
図31は、異なる動作モードについて
図29に示される実施形態の断面図である。この動作モードは、定速の上昇として説明できる。ホバリング飛行中のダクト装置850の構成は、
図31に示される構成と同様であることに留意されたい。ダクト装置850は、超音速飛行が可能な垂直離着陸(VTOL)ビークルとして説明することができる。
【0377】
図31では、ダクト装置850は、静止した自由流の流体に対して、亜音速で、Y軸に平行な正のY方向に移動している。ダクト装置850に対する自由流の流れの方向は、矢印958によって示されている。
【0378】
破線961および962は、ダクト装置850のリーディングエッジに入射するか、またはトレーリングエッジに由来するよどみ流線を示す。したがって、流線961および962は、外部流、すなわちダクト装置850の周りを流れる流体を内部流、すなわちチャネル853を通って流れる流体から分離する、流面または流管の一部である。この実施形態では、蒸気管は、X方向に沿って見たときに円形である。
【0379】
上流IMSA908は、推力ベクトル955によって示されるように、上流方向に向けられる推力を生成するように構成され、下流IMSA919は、推力ベクトル841によって示されるように、下流方向に向けられる推力を生成するように構成される。前述のように、これは、チャネル853を通る質量流量を増加させ、推力の生成に関連する誘導抗力を低減することができる。上流IMSA908および下流IMSA919は、上流方向に向けられた正味の推力を生成し、これは、定速度上昇中にダクト装置850に作用する抗力および重量力を相殺することに留意されたい。
【0380】
上流IMSA908によって消費される電力は、下流IMSA919によって内部流から抽出された電力、ならびにエンジン925によって供給される。前記電力は、この実施形態では、ドライブシャフト915などのドライブシャフトを含むドライブトレインを介して、上流IMSA908に機械的に伝達される。
【0381】
図31では、亜音速、名目、等速度、垂直上昇中、燃焼室940エンジン925内を除いて、フレームホルダーを介して内部流への燃料の流れはなく、内部流での燃料の燃焼はない。他の動作モードでは、アフターバーナーの動作と同様に、フレームホルダーはチャネル853に燃料を噴射して燃焼させることができる。同様に、燃料は、エンジン925のタービン932のすぐ下流において、噴射および燃焼することもできる。
【0382】
図31に示される動作モードの場合、
図30の文脈で説明されるように、IMSA892はフェザリングされている。IMSA892を操縦面として使用しても、またはIMSA892がフェザリングされている構成の間にIMSA892の操縦面をアクティブのままにしてもよいことに留意されたい。
【0383】
着陸中、ダクト装置850は、着陸装置を展開し、
図31に示される構成と同様の構成で垂直に地面に接近することができる。離陸とホバリング飛行は同じ原則に従うことができる。離陸に続いて、ダクト装置850は、
図31に示される動作モードから
図30に示される動作モードに、続いて
図29に示される動作モードに移行することができる。移行は、例えばピッチの制御に使用されるのと同じメカニズムで実行できる。前述のように、これは、例えば、操縦面または推力の偏向によって実行できる。
【0384】
いくつかの実施形態では、ダクト装置850は、流れが外面867および内面868を通過することを可能にするスロットを備えることができる。これらのスロットは、くびれ951の下流、すなわち、第1の収縮部855の下流および第1の膨張部856の下流、ならびに上流IMSA908の上流に配置することができる。いくつかの実施形態では、スロットはまた、くびれ951を通過することができ、すなわち、第1の区画880の一部を通過することができる。スロットは、くびれ952の上流、すなわち、第2の収縮部860の上流および下流IMSA919の下流に配置することができる。いくつかの実施形態では、スロットはまた、くびれ952を通過することができ、すなわち、第2の区画882の一部を通過することができる。スロットは、円筒形または円形のダクト装置850の周りに円周方向に配置することができる。ドアまたは傾斜路は、スロットを閉じるか、スロットを開くように構成できる。これらのスロットは、例えば、ホーカーシドレーハリアーのジェットエンジンの入口にあるスロットに類似している可能性がある。亜音速の巡航または上昇などの亜音速での動作中、スロットは開いた位置にあり得、流体が上流IMSA908の上流のチャネル853に流入し、下流IMSA919の下流のチャネル853から流出することを可能にする。これにより、上流および下流IMSAを通る流体の質量流量を増やすことができる。スロットはまた、流れが第1のくびれ951または第2のくびれ952をバイパスすることを可能にすることによって、第1の開口部854および/または第2の開口部862または第1のくびれ951または第2のくびれ952での流れの分離を低減するのに機能し得る。これは、第1のくびれ951または第2のくびれ952に関連する拘束された渦の強度を低下させ、流れの分離の量を低下させる可能性がある。超音速などのより大きな自由流の流れの速度では、スロットを閉じることができ、その結果、
図29に示される構成と同様の構成が得られる。
【0385】
他の実施形態では、チャネル853内で、他のタイプの外乱発生装置、または異なる配置の外乱発生装置、例えばIMCA、IMSA、または流体の温度を上昇または低下させるように構成された装置を、使用または利用することができる。
【0386】
例えば、他の実施形態では、ダクト装置850の胴体は、エンジン925によって置き換えることができ、その大部分は、下流ではなく、下流IMSA919の上流に、配置することができる。そのような実施形態は、ダクト装置850のIMSA892などの翼を含む必要はなく、ドライブトレインは、ユニバーサルジョイントまたは等速ジョイントによって接続された一連のシャフトとは対照的に、単一の真っ直ぐなシャフトを含むことができる。そのような実施形態は、例えば、ターボファンジェットエンジンであるとみなすことができ、そのように操作することができる。
【0387】
エンジン925はまた、ダクト装置850の他の変形例において胴体装置869内に埋め込まれ得る。言い換えれば、エンジン925は、胴体装置869の外面872内、および下流IMSA919の上流、および上流IMSA908の下流に配置または包囲され得る。エンジン925は、チャネル853から胴体装置869に入るダクトを介して空気を供給することができる。ダクト装置850の他の変形は、下流IMSA919と同様の下流IMSAを特徴としない。いくつかの実施形態では、上流IMSA919のローターは、少なくとも1つの電気モーターによって電力を供給され得、次に、例えば、バッテリーによって電力を供給され得る。
【0388】
他の実施形態では、ビークルは、離陸、ホバリング、または着陸の間、実質的に水平を維持できるように構成することができる。換言すれば、VTOL動作中、長軸は、
図29に示されるように、X軸に実質的に平行であり得る。そのために、ダクト装置850と同様の方法で構成された実施形態は、ダクト装置850と比較して以下の変更を特徴とすることができる。
【0389】
ダクト装置の外壁は、前述のように、ダクト装置の周りを円周方向に走るスロットを特徴とすることができる。スロットは、IMSA908とIMSA919との間、すなわち、ステーション887の近くに配置することができる。スロットは、ダクト装置を通る十分な流体の流れがダクト装置の重量を支えることができるように十分に大きくなければならないことに留意されたい。他の実施形態では、スロットはまた、ダクト装置の内部またはチャネル853へのドアとして説明することができる。いくつかの実施形態では、スロットは、渦のリング状態およびエンジン925によるエンジン排気の再摂取を防止または低減するために、ダクト装置の上部、すなわちYの正方向に配置された部分に配置されるのみである。
【0390】
IMSA908および919の回転方向は、
図30に示される名目の亜音速巡航と比較して逆にすることができる。これは、IMSA908および919を駆動するドライブシャフトの回転方向を変更することができるように構成されたギアボックスおよびクラッチによって達成することができる。IMSA908または919が電気モーターで駆動される場合、モーターの回転方向を逆にすることができる。さらに、IMSA908およびIMSA919の個々のブレードは、それらの長軸、すなわち半径方向外向きの軸を中心に約180度回転することができるように構成される。他の実施形態では、IMSA908およびIMSA919のローターの回転方向は、亜音速、名目レベルの巡航と比較して、VTOL動作中に逆にする必要はない。例えば、IMSA908およびIMSA919のローターの翼型は対称にすることができる。または、それらは十分に小さいキャンバーまたはねじれを特徴とすることができ、IMSA908およびIMSA919のローターの回転方向を変更せずに、推力ベクトルの方向を逆にすることができるようにする。各IMSAのステータベーンは、亜音速の名目レベルの巡航と比較して、推力が逆転する方法で、ローターを操作することに関連する効率のいずれかの損失を軽減するために使用できることに留意されたい。
【0391】
さらに、第2の開口部862の前のダクトの部分は、湾曲することができ、場合によっては、90度程度で延長することができる。同様に、第1の開口部654の近くのダクトの部分は、湾曲することができ、場合によっては、約90度延長することができる。第1の開口部854の近くのダクトの部分および第2の開口部862の近くのダクトの部分は、ビークルのロール軸ならびにビークルのピッチ軸の周りで旋回することができる。ダクト装置のこれらの旋回部分は、例えば、ロッキードF-35のメインエンジンの下流の旋回ダクトと同様の方法で構成することができる。別の実施形態では、名目上真っ直ぐなダクトの壁の湾曲部分または回転部分は、従来のジェットエンジンの逆推力装置で使用されているバケットと同様に、流れを回転または方向転換するために、傾斜路またはバケットを流れに伸ばすことによって提供することができる。あるいは、または同時に、流れ偏向ベーンを使用して、名目VTOL動作中に、流れを下方向、すなわち負のY方向に偏向させることができる。これらのベーンは、流れを所望の方向に向け直すように再構成することができ、その方向は、例えば、ダクト装置の大部分に対して2自由度、または「DOF」を有することができる。これらのDOFは、ビークルのピッチ軸またはロール軸の周りのダクト装置を出る流れの回転を含むことができる。
【0392】
名目ホバリング中、すなわち外乱がない場合、流れはステーション887の近くのスロットを通ってダクト装置に入る。その後、流れは分岐し、IMSA908またはIMSA919のいずれかに向かって移動する。IMSA908によって生成される推力は、
図29に示される場面と同様のシナリオでXの正の方向に向けられ、すなわち、このホバリングシナリオの上流方向に向けられ、IMSA919によって生成される推力は、Xの負の方向に向けられる、つまり同様にこのホバリングシナリオの上流方向に向けられる。IMSA919またはIMSA908によって加速された後、流れは、X軸に実質的に平行な方向からY軸に実質的に平行な方向に90度偏向され、Yの負の方向に向けられる。第2の開口部862および第1の開口部854の平面は、もはやYZ平面に平行ではなく、名目ホバー中にXZ平面に平行である。
【0393】
ホバー中に消費される電力は、前述の実施形態ではエンジン925によって供給される。本発明のそのような実施形態は、説明されているように、垂直および水平の両方のVTOL動作が可能である可能性があることに留意されたい。
【0394】
ホバー中、ロールの制御は、IMSA908またはIMSA919のステータブレードによって提供できる。正味の推力ベクトルの作用線が重心を通過しない場合、推力ベクトル化によってロールの制御を提供することもできる。ピッチおよびヨーの制御は、ダクト装置の第1または第2の開口部の平面の旋回によって、すなわち、推力の偏向ならびにIMSA908またはIMSA919の推力の大きさの調整によって、提供することができる。位置の制御は、IMSA908およびIMSA919の正味の推力、および推力の偏向によって提供できる。十分な時間内における十分な振幅での推力の制御を容易にするために、IMSA908およびIMSA919の個々のローターブレードをそれらの長軸の周りで回転させることができることを想起されたい。
【0395】
水平なVTOLの動作が可能な他の実施形態では、前述のシナリオと比較した流れの方向を逆にすることができる。中央のスロット、すなわちステーション887の近くのスロットを通して流体を摂取する代わりに、流体は一連の中央のスロットを通して排出することができる。IMSA908の推力の方向はXの負の方向であり、IMSA919の推力はXの正の方向に向けられ、これは、
図30に示される亜音速、名目レベルの巡航中の推力の方向と同一である。これにより、IMSA908およびIMSA919の設計が簡素化される。スロットは、ビークルの安定性および制御を確実にするために使用することができる推力偏向装置を含むことができる。例えば、スロットは、スロットを出る流体の方向を制御するように構成されたガイドベーンを含むことができる。スロットは、ダクト装置の壁に沿って互いに十分に離れて配置することができ、その結果、十分なピッチおよびヨーの制御権限を容易にすることができる。そのような実施形態は、第1の開口部854および第2の開口部862を通して流体を摂取することに留意されたい。これらは、名目上90度の前述の屈曲を必要としない。しかしながら、そのような屈曲はビークルの制御性を改善することができる。IMSA908およびIMSA919は、ステーション887で圧力を増加させるか、または流れにエネルギーを与えるのに役立ち、この場合流れは、出口の近くのガイドベーンによって決定される方向にスロットの出口を通って出る前に、スロットへの入口に入り、この場合、ガイドベーンは、例えば、飛行制御コンピュータによって制御される。
【0396】
これらの他の実施形態のいくつかでは、エンジン925の入口は、IMSA908の下流だが、内面868のスロットへの入口の上流に配置されている。このようにすると、エンジンは水平のVTOL動作中に自身の排気を再取り込みしない。
【0397】
これらの他の実施形態のいくつかでは、スロットの入口は、IMSA908とIMSA919との間のチャネル853の内面868上に円周方向に配置されたいくつかの開口部の1つであり、一方、同じスロットの出口は、ダクト装置の外面867の4つの位置の1つに配置される。スロットの出口は、ダクト装置の壁を通過するパイプ、チャネル、またはダクトを介して対応する入口に接続されている。2つの出口は、第1の区画880の位置に配置することができ、2つは、第2の区画882の位置に配置することができる。
図29に示す場面では、出口はZ方向に互いにオフセットでき、一般にYの負の方向を向いている。ガイドベーンは、出口のすぐ上流に配置できる。ガイドベーンは、出口から出る流れの流れる方向を制御するように構成できる。パイプ内のバルブは、特定の出口を通る流体の質量流量を調整できる。スロットの入口と出口はドアで閉じることができ、非VTOL動作中に滑らかな外面867と内面868を確保する。
【0398】
水平VTOLの動作の利点は、とりわけ、患者の快適な輸送と、地面の近くでの風の外乱の減少であり得る。そのような風の外乱は頻■に地面と平行に向けられ、外乱によってビークルが受ける抗力の量は、ビークルをそのような風の外乱の一次方向に向けることによって、減らすことができる。
【0399】
いくつかの実施形態では、燃焼室またはフレームホルダーは、下流IMSA919の上流および上流IMSA908の下流に配置することができる。燃焼室は、例えば、ステーション887に配置することができる。したがって、いくつかの動作モードでは、チャネル853は、ターボジェットエンジンであるとみなされ、そのように動作され得る。追加のフレームホルダーをIMSA919の下流に配置し、前記ターボジェットエンジンのアフターバーナーとして操作することができる。
【0400】
いくつかの実施形態では、エンジン925の一部は、第3の膨張部861に対応するチャネル853のセクションに配置することができる。これは、ダクト装置850の全長、すなわち、中心軸に沿ったダクト装置850の範囲を減少させることができ、それは、全体の湿潤面積および粘性抗力を減少させることができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、これは波抗力を増加させる可能性がある。
【0401】
文脈から特定または明確にされていない限り、「または」という用語は、本書全体を通して「および/または」と同等である。
【0402】
本書に記載されている実施形態および方法は、本発明の原理を例示および例証することのみを意図している。本発明は、いくつかの異なる方法で実行することができ、本書で説明するか、または図面に示す、例、実施形態、配置、構成、または動作方法に限定されない。これは、1つの実施形態のみが説明または描写されている場合にも当てはまる。当業者は、本明細書に示されていない、または記載されていないが、本発明の原理を具体化し、したがってその精神および範囲内にある、多数の代替の例、実施形態、配置、構成、または操作方法を考案することができる。
【0403】
諸態様
本発明は、以下の態様によってさらに説明される。
【0404】
態様1.波抗力を低減するためのシステムであって、流体の外部流体流を受け入れるように構成された外面、外面に結合され、流体の内部流体流を受け入れるように構成されたチャネルであって、流体入口および流体出口を含み、波抗力を低減するために内部流体流を操作するように構成されているチャネルを含み、この場合、チャネルは、流体入口の下流の内部流体流を受け入れるように構成され、さらにチャネル内の流体流の速度および圧力を変更するように構成された第1の流体操作装置(「FMA」)、第1のFMAの下流の内部流体流を受け入れるように構成された圧力封じ込め装置(「PCA」)、およびPCAの下流および流体出口の上流に内部流体流を受け入れるように構成された第2のFMAであって、内部流体流の速度および圧力をさらに変更するように構成される第2のFMAを含み、自由流は、自由流内の波の波速度よりも大きい自由流速度を有する、システム。
【0405】
態様2.第1のFMAおよび/または第2のFMAが収束ダクトを含む、態様1に記載のシステム。
【0406】
態様3.第1のFMAおよび/または第2のFMAが、収束する発散ダクトを含む、態様1に記載のシステム。
【0407】
態様4.第1のFMAおよび/または第2のFMAが発散ダクトを含む、態様1に記載のシステム。
【0408】
態様5.第1のFMAおよび/または第2のFMAが、プロペラまたは推力発生装置を含む、態様1に記載のシステム。
【0409】
態様6.第1のFMAおよび/または第2のFMAが、物体力発生装置を含む、態様1に記載のシステム。
【0410】
態様7.流体が圧縮可能である、態様1に記載のシステム。
【0411】
態様8.流体が、空気、窒素、または二酸化炭素を含む気体である、態様7に記載のシステム。
【0412】
態様9.第1のFMAは、内部流体流を減速し、自由流に対して圧力を増加させるように構成される、態様7に記載のシステム。
【0413】
態様10.第1のFMAは、亜音速の流体速度まで内部流体流を減速させるように構成される、態様9に記載のシステム。
【0414】
態様11.第1のFMAは、遷音速まで内部流体流を減速させるように構成される、態様9に記載のシステム。
【0415】
態様12.第1のFMAは、低次超音速まで内部流体流を減速させるように構成される、態様9に記載のシステム。
【0416】
態様13.第2のFMAは、内部流体流を加速し、自由流に対して圧力を減少させるように構成される、態様7に記載のシステム。
【0417】
態様14.第2のFMAは、内部流体流を、自由流の速度に実質的に等しい速度に加速するように構成される、態様13に記載のシステム。
【0418】
態様15.第2のFMAは、内部流体流を、自由流の速度を超える速度に加速するように構成される、態様13に記載のシステム。
【0419】
態様16.第2のFMAは、内部流体流を、自由流の速度より低くまで加速するように構成される、態様13に記載のシステム。
【0420】
態様17.流体が実質的に圧縮可能である、態様1に記載のシステム。
【0421】
態様18.流体が水を含む、態様17に記載のシステム。
【0422】
態様19.第1のFMAは、内部流体流を加速し、自由流に対する内部流体流の圧力を低下させ、それによって、同等の自由流の断面積と比較して、第1のFMAを出る、およびPCAに入る内部流体流の断面積を減少させるように構成される、態様17に記載のシステム。
【0423】
態様20.第1のFMAは、内部流体流を加速するように構成され、システムを含むビークルに対する、波抗力を含む総抗力が、低減されるようにする、態様19に記載のシステム。
【0424】
態様21.第2のFMAは、内部流体流を減速し、自由流に対する内部流体流の圧力を増加させ、それにより、第2のFMAを出る内部流体流の断面積を増加させるように構成される、態様17に記載のシステム。
【0425】
態様22.第2のFMAは、内部流体流を、自由流の速度の速さに実質的に等しい速度に減速するように構成される、態様21に記載のシステム。
【0426】
態様23.第2のFMAは、内部流体流を、自由流の速度を超える速度に減速するように構成される、態様21に記載のシステム。
【0427】
態様24.第2のFMAは、内部流体流を、自由流の速度より低い速度まで減速するように構成される、態様21に記載のシステム。
【0428】
態様25.PCAが、PCA内の内部流体流と外面の外部の自由流との間にある圧力の差を維持するように構成される、態様1に記載のシステム。
【0429】
態様26.PCAが、円形、長方形、楕円形、または多角形の断面、および/または直線部分、屈曲部、エルボージョイント、またはターンを有するチャネルを含む、態様25に記載のシステム。
【0430】
態様27.PCAが、揚力を生成し、PCA内の流体に正味の運動量を伝達するように構成された翼を備える、態様1に記載のシステム。
【0431】
態様28.PCAが胴体を含む、態様1に記載のシステム。
【0432】
態様29.PCAが、意図的運動量搬送装置、意図的運動量制限装置、ターボシャフトエンジン、ターボファンエンジン、ターボプロップエンジン、ターボジェットエンジン、ラムジェット、推力装置、抗力装置、ポンプジェット、プロペラ、またはアフターバーナーを含む、態様1に記載のシステム。
【0433】
態様30.PCAが、第1の推力装置であって、名目動作要件中に局所的な自由流に第1の誘導速度を与えるように構成され、流管を形成する第1の推力装置と、第2の推力装置であって、流管の下流部分に配置され、第2の推力装置が局所的な自由流に第2の誘導速度を与えるように構成され、第2の推力装置の位置で第2の誘導速度が、第2の推力装置の位置で第1の誘導速度の方向と反対の方向の成分を有する、第2の推力装置と、を備える、態様1に記載のシステム。
【0434】
態様31.第1または第2の推力装置がプロペラを含む、態様30に記載のシステム。
【0435】
態様32.1つの推力装置によって抽出された電力の少なくとも一部が、他の推力装置に電力を供給するように向けられる、態様30に記載のシステム。
【0436】
態様33.外面と内面との間のボリュームは、ビークルの少なくとも一部を含み、外面および内面は、自由流の流れにおける波抗力の影響を低減するように構成される、態様1に記載のシステム。
【0437】
態様34.外面が自由流の流れの線に実質的に平行である、態様33に記載のシステム。
【0438】
態様35.外面が環状シリンダーを含み、第1のFMAがシリンダーの上流端に配置され、第2のFMAがシリンダーの下流端に配置される、態様33に記載のシステム。
【0439】
態様36.ビークルの外面が先細の円筒の形状であり、円筒の半径が下流方向に減少する、態様35に記載のシステム。
【0440】
態様37.外面の断面積は、自由流の方向から見たときに、円形、楕円形、長方形、または多角形である、態様33に記載のシステム。
【0441】
態様38.ビークルは、垂直方向に離陸し、実質的な量の波抗力を誘発することなく名目上動作するように構成される、態様33に記載のシステム。
【0442】
態様39.ビークルは、相当の量の波抗力を誘発することなく、レベルの巡航において亜音速および/または超音速で飛行するように構成される、態様33に記載のシステム。
【0443】
態様40.外面および内面は、意図的運動量搬送装置を形成しシステムは境界装置も含み、境界装置の局所的な自由流の速度は、自由流の速度に対して、IMCAによって減少される、態様1に記載のシステム。
【0444】
態様41.境界装置の局所的な自由流の流れの速度の低下が、局所的な自由流の流体内の波の速度を超える流速への低下である、態様40に記載の装置。
【0445】
態様42.境界装置の局所的な自由流の速度が、局所的な自由流の内部における波の速度に実質的に等しい速度に低減される、態様40に記載の装置。
【0446】
態様43.境界装置の局所的な自由流の速度が、局所的な自由流の内部における波の速度よりも低い速度に低減される、態様40に記載の装置。
【0447】
態様44.境界装置の局所的な自由流の速度が、境界装置の局所的な自由流の内部において、超音速である速度に低減される、態様40に記載の装置。
【0448】
態様45.境界装置の局所的な自由流の速度が、境界装置の局所的な自由流の内部において、遷音速である速度に低減される、態様40に記載の装置。
【0449】
態様46.境界装置の局所的な自由流の速度が、境界装置の局所的な自由流の内部において、亜音速である速度に低減される、態様40に記載の装置。
【0450】
態様47.境界装置が胴体または船の船体を含む、態様40に記載の装置。
【0451】
態様48.境界装置が翼を含む、態様40に記載の装置。
【0452】
態様49.境界装置が、正味の誘導速度を第3のFIAの遠方後流に送達するように構成された第3のFMAを含み、第3のFMAの遠方後流の少なくとも一部がチャネル内に位置し、第3のFIAの上流、下流、および近くのチャネルによる局所的な自由流の速度低下により、自由流の速度よりも低い局所的な自由流の速度である、態様40に記載のシステム。
【0453】
態様50.第3のFIAによって第3のFMAの遠方後流に送達される誘導速度は、第3のFMAの下流のPCA内の局所的な自由流の流れに垂直な非ゼロの正味成分を有する、態様49に記載の装置。
【0454】
態様51.第3のFIAが翼であり、名目レベルの巡航動作中に揚力を生成するように構成され、翼の後流の少なくとも一部が、チャネル内において、低下した局所的な自由流の流れの領域の内部に位置付けられ、翼の遠方後流は、チャネルの出口の外側および下流の自由流に伸びる、態様50に記載のシステム。
【0455】
態様52.翼幅が、翼の位置におけるチャネルの有効直径の半分未満である、態様51に記載のシステム。
【0456】
態様53.翼幅が、翼の位置におけるチャネルの有効直径の4分の1未満である、態様51に記載のシステム。
【0457】
態様54.翼幅が、翼の位置におけるチャネルの有効直径の10分の1未満である、態様51に記載のシステム。
【0458】
態様55.第3のFIAによって第3のFMAの遠方後流に送達される誘導速度は、局所的な自由流の流れに平行な非ゼロの正味成分を有する、態様49に記載の装置。
【0459】
態様56.第3のFIAが胴体またはプロペラであり、名目レベルの巡航動作中に推力または抗力を生成するように構成される、態様55に記載の装置。
【0460】
態様57.境界装置が、IMCAのリーディングおよびトレーリングエッジによって形成される流管内に配置される、態様40に記載の装置。
【0461】
態様58.ビークルの波抗力を低減する方法であって、第1の流体操作装置(「FMA」)を設けること、第1のFMAの下流流管内に、少なくとも部分的に第2のFMAを設けること、および第1および第2のFMAの両方を通過する流管を少なくとも部分的に囲むように構成された圧力封じ込め装置(「PCA」)を設けることを含む方法。
【0462】
態様59.流体が圧縮可能であり、第1のFMAが流体の圧力を減速および増加するように構成され、第2のFMAが流体の圧力を加速および減少するように構成され、自由流の流れと比較して、より低速でより高い圧力の流れのレジームで揚力が生成されるように、PCA内に翼を設けることをさらに含む、態様58に記載の方法。
【0463】
態様60.流体が非圧縮性であり、第1のFMAが流体の圧力を加速および減少するように構成され、第2のFMAが流体の圧力を減速および増加するように構成され、より少ない波抗力がビークルによって生成されるように、より低い圧力およびより低い断面積の流れを、PCAを介して、ビークルを通じて、第1のFMAから第2のFMAに輸送して、より少ない波抗力がビークルにより生成されるようにすることをさらに含む、態様58に記載の方法。
【国際調査報告】