(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(54)【発明の名称】シフトアセンブリおよびこれを備える移動キャリア
(51)【国際特許分類】
B62K 17/00 20060101AFI20220112BHJP
B62K 3/00 20060101ALI20220112BHJP
B62J 45/41 20200101ALI20220112BHJP
【FI】
B62K17/00
B62K3/00
B62J45/41
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547064
(86)(22)【出願日】2019-10-22
(85)【翻訳文提出日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 US2019057472
(87)【国際公開番号】W WO2020086606
(87)【国際公開日】2020-04-30
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519142217
【氏名又は名称】ピアジオ ファスト フォワード インク
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェイス ミッチェル
【テーマコード(参考)】
3D212
【Fターム(参考)】
3D212BB08
3D212BB12
3D212BB24
3D212BB72
3D212BB74
(57)【要約】
リンク機構式シフトアセンブリは、第1のアームと第2のアームとを備え、第1のアームの近位端には第1の車輪が回転可能に結合されており、第2のアームの近位端には第2の車輪が回転可能に結合されている。シャーシに結合するようにシフトアセンブリが構成されており、シフトアセンブリは、第1のアームおよび第2のアームの遠位端に結合されており、シャーシと第1の車輪および第2の車輪との間の相対的にシフトする動きを引き起こすように構成されている。リンク機構式シフトアセンブリは車両の一部を形成し得る。車両は二輪車両であり得る。車両は移動キャリアであり得る。移動キャリアは二輪車両であり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のアームおよび第2のアームと、
前記第1のアームの近位端に回転可能に結合されている第1の車輪と、
前記第2のアームの近位端に回転可能に結合されている第2の車輪と、
シャーシに結合するように構成されているシフトアセンブリであって、前記シャーシと前記第1の車輪および前記第2の車輪との間の相対的にシフトする動きを引き起こすように、前記第1のアームおよび前記第2のアームに動作可能に結合されているシフトアセンブリと、
を備えることを特徴とする、リンク機構式シフト装置。
【請求項2】
請求項1または任意の他の請求項に記載の装置であって、前記第1の車輪および前記第2の車輪は共通の回転軸を共有していることを特徴とする、装置。
【請求項3】
請求項1または任意の他の請求項に記載の装置であって、
前記第1の車輪および前記第2の車輪の少なくとも一方を駆動するように構成されている少なくとも1つのモータを更に備えることを特徴とする、装置。
【請求項4】
請求項1または任意の他の請求項に記載の装置であって、
前記第1の車輪および前記第2の車輪を独立的に駆動するように構成されている複数のモータを更に備えることを特徴とする、装置。
【請求項5】
請求項1または任意の他の請求項に記載の装置であって、
前記第1の車輪と第1の駆動モータの間にある第1のプーリシステムを更に備えることを特徴とする、装置。
【請求項6】
請求項5または任意の他の請求項に記載の装置であって、
前記第2の車輪と第2の駆動モータの間にある第2のプーリシステムを更に備えることを特徴とする、装置。
【請求項7】
請求項1または任意の他の請求項に記載の装置であって、前記シフトアセンブリは、前記第1のアームと前記第2のアームの間に配設されていることを特徴とする、装置。
【請求項8】
請求項1または任意の他の請求項に記載の装置であって、前記シフトアセンブリは、
ベルトまたはロープを介して前記シャーシに結合するように構成されているキャプスタンを駆動するように構成されているシフタモータを更に備えることを特徴とする、装置。
【請求項9】
請求項8または任意の他の請求項に記載の装置であって、前記シフトアセンブリは、
前記シフタモータを前記キャプスタンに結合する少なくとも1つのギアを更に備えることを特徴とする、装置。
【請求項10】
請求項9または任意の他の請求項に記載の装置であって、前記少なくとも1つのギアは、
前記シフタモータによって駆動される第1のギアと、
前記第1のギアによって駆動される第2のギアであって、前記キャプスタンを回転させるように構成されている第2のギアと、を備えることを特徴とする、装置。
【請求項11】
請求項10または任意の他の請求項に記載の装置であって、
前記第2のギアおよび前記キャプスタンは動作可能に結合されており、かつ同軸であることを特徴とする、装置。
【請求項12】
請求項10または任意の他の請求項に記載の装置であって、前記シフトアセンブリは、
前記第2のギアの角度を測定するべく前記第2のギアおよび/または前記キャプスタンに動作可能に結合されているエンコーダを更に備えることを特徴とする、装置。
【請求項13】
請求項1または任意の他の請求項に記載の装置であって、前記シフトアセンブリは、前記シャーシを前記第1の車輪および前記第2の車輪に対して前方および/または後方にシフトさせるように構成されていることを特徴とする、装置。
【請求項14】
請求項1または任意の他の請求項に記載の装置であって、前記シフトアセンブリは、加速のために前記シャーシを前記第1の車輪および前記第2の車輪に対して前方にシフトさせるように構成されていることを特徴とする、装置。
【請求項15】
請求項1または任意の他の請求項に記載の装置であって、前記シフトアセンブリは、減速のために前記シャーシを前記第1の車輪および前記第2の車輪に対して後方にシフトさせるように構成されていることを特徴とする、装置。
【請求項16】
請求項1または任意の他の請求項に記載の装置であって、前記シフトアセンブリは、前記シャーシを前記第1の車輪および前記第2の車輪に対して前方にシフトさせて前記本体を着座位置に置くように構成されていることを特徴とする、装置。
【請求項17】
請求項1または任意の他の請求項に記載の装置であって、前記シフトアセンブリは、前記シャーシを前記着座位置から加速位置へと、および減速位置へと移行させるように構成されていることを特徴とする、装置。
【請求項18】
請求項1または任意の他の請求項に記載の装置であって、前記シフトアセンブリは、前記シャーシを前記減速位置から前記着座位置へと移行させるように構成されていることを特徴とする、装置。
【請求項19】
シャーシを含む本体と、
第1のアームおよび第2のアームと、
前記第1のアームの近位端に回転可能に結合されている第1の車輪と、
前記第2のアームの近位端に回転可能に結合されている第2の車輪と、
前記シャーシに結合されているシフトアセンブリであって、前記シャーシと前記第1の車輪および前記第2の車輪との間の相対的にシフトする動きを引き起こすように、前記第1のアームおよび前記第2のアームに動作可能に結合されているシフトアセンブリと、
を備えることを特徴とする、移動キャリアシステム。
【請求項20】
請求項19または任意の他の請求項に記載のシステムであって、前記第1の車輪および前記第2の車輪は共通の回転軸を共有していることを特徴とする、システム。
【請求項21】
請求項19または任意の他の請求項に記載のシステムであって、
前記第1の車輪および前記第2の車輪の少なくとも一方を駆動するように構成されている少なくとも1つのモータを更に備えることを特徴とする、システム。
【請求項22】
請求項19または任意の他の請求項に記載のシステムであって、
前記第1の車輪および前記第2の車輪を独立的に駆動するように構成されている複数のモータを更に備えることを特徴とする、システム。
【請求項23】
請求項19または任意の他の請求項に記載のシステムであって、
前記第1の車輪と第1の駆動モータの間にある第1のプーリシステムを更に備えることを特徴とする、システム。
【請求項24】
請求項23または任意の他の請求項に記載のシステムであって、
前記第2の車輪と第2の駆動モータの間にある第2のプーリシステムを更に備えることを特徴とする、システム。
【請求項25】
請求項19または任意の他の請求項に記載のシステムであって、前記シフトアセンブリは、前記第1のアームと前記第2のアームの間に配設されていることを特徴とする、システム。
【請求項26】
請求項19または任意の他の請求項に記載のシステムであって、前記シフトアセンブリは、
ベルトまたはロープを介して前記シャーシに結合するように構成されているキャプスタンを駆動するように構成されているシフタモータを更に備えることを特徴とする、システム。
【請求項27】
請求項26または任意の他の請求項に記載のシステムであって、前記シフトアセンブリは、
前記シフタモータを前記キャプスタンに結合する少なくとも1つのギアを更に備えることを特徴とする、システム。
【請求項28】
請求項27または任意の他の請求項に記載のシステムであって、前記少なくとも1つのギアは、
前記シフタモータによって駆動される第1のギアと、
前記第1のギアによって駆動される第2のギアであって、前記キャプスタンを回転させるように構成されている第2のギアと、を備えることを特徴とする、システム。
【請求項29】
請求項28または任意の他の請求項に記載のシステムであって、
前記第2のギアおよび前記キャプスタンは動作可能に結合されており、かつ同軸であることを特徴とする、システム。
【請求項30】
請求項28または任意の他の請求項に記載のシステムであって、前記シフトアセンブリは、
前記第2のギアの角度を測定するべく前記第2のギアおよび/または前記キャプスタンに動作可能に結合されているエンコーダを更に備えることを特徴とする、システム。
【請求項31】
請求項19または任意の他の請求項に記載のシステムであって、前記シフトアセンブリは、前記シャーシを前記第1の車輪および前記第2の車輪に対して前方および/または後方にシフトさせるように構成されていることを特徴とする、システム。
【請求項32】
請求項19または任意の他の請求項に記載のシステムであって、前記シフトアセンブリは、加速のために前記シャーシを前記第1の車輪および前記第2の車輪に対して前方にシフトさせるように構成されていることを特徴とする、システム。
【請求項33】
請求項19または任意の他の請求項に記載のシステムであって、前記シフトアセンブリは、減速のために前記シャーシを前記第1の車輪および前記第2の車輪に対して後方にシフトさせるように構成されていることを特徴とする、システム。
【請求項34】
請求項19または任意の他の請求項に記載のシステムであって、前記シフトアセンブリは、前記シャーシを前記第1の車輪および前記第2の車輪に対して前方にシフトさせて前記本体を着座位置に置くように構成されていることを特徴とする、システム。
【請求項35】
請求項19または任意の他の請求項に記載のシステムであって、前記シフトアセンブリは、前記シャーシを前記着座位置から加速位置へと、および減速位置へと移行させるように構成されていることを特徴とする、システム。
【請求項36】
請求項19または任意の他の請求項に記載のシステムであって、前記シフトアセンブリは、前記シャーシを前記減速位置から前記着座位置へと移行させるように構成されていることを特徴とする、システム。
【請求項37】
請求項19または任意の他の請求項に記載のシステムであって、前記本体は格納コンパートメントを画定することを特徴とする、システム。
【請求項38】
請求項19または任意の他の請求項に記載のシステムであって、1組のユーザインターフェースデバイスを更に備えることを特徴とする、システム。
【請求項39】
請求項38または任意の他の請求項に記載のシステムであって、前記1組のユーザインターフェースデバイスは、1つ以上のボタン、タッチスクリーン、センサ、カメラ、レンジファインダ、発光デバイス、音声入力デバイス、および/または音声出力デバイスを備えることを特徴とする、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は一般に車両に関し、より詳細には、ただし排他的にではないが、軸方向に並んだ車輪を有する二輪車両用の安定化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
(関連出願の相互参照)
本願は、2018年10月22日に出願された「Linkage-based Shifting Assembly and Mobile Carrier Comprising Same」と題する米国仮特許出願第62/748,958号に対する、および、2018年10月22日に出願された「Shifting Assembly and Mobile Carrier Comprising Same」と題する米国仮特許出願第62/748,969号に対する優先権を主張し、これらはいずれも本明細書にその全体が組み込まれる。
【0003】
物品を輸送する目的で利用できる車両および/またはロボット車両(または「ロボット」)の数は増え続けている。典型的な車両および/またはロボットでは、車両の通常動作時の推進およびステアリング制御を実現するために、3つ、4つ、または6つの車輪が使用される。そのような車両および/またはロボットは静的安定性に依拠しており、車輪の位置によってあらゆる動作条件において安定するように設計されている。車輪間の長手方向または前後方向の隔離距離によって、重力または傾斜に起因して加わるトルクを平衡化する。このように、典型的な車両では、車両の長手方向における車輪間の適切な隔離距離を実現し、このことにより横軸に沿った乱れに対する車両の復元力を高めることによって、安定性が達成される。
【0004】
しかしながら、従来の長手方向の場合に対して、車輪が横方向または横並びに配置されている二輪車両で物品を輸送しようとした状況では、問題が存在する。ただ2つの車輪が横方向または横並びの構成で装着されている車両の使用の課題は、通常動作時の車両の動的安定性を維持することにある。この問題は一般に、車輪間が長手方向および横方向に離間されている3つ以上の車輪を有する車両には存在しない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの態様によれば、第1のアームおよび第2のアームと、第1のアームの近位端に回転可能に結合されている第1の車輪と、第2のアームの近位端に回転可能に結合されている第2の車輪と、を備える、リンク機構式シフト装置が提供される。シャーシに結合またはその一部を形成するように構成されているシフトアセンブリであって、シャーシと第1の車輪および第2の車輪との間の相対的にシフトする動きを引き起こすように、第1のアームおよび第2のアームに動作可能に結合されているシフトアセンブリ。
【0006】
様々な実施形態では、第1の車輪および第2の車輪は共通の回転軸を共有する。
【0007】
様々な実施形態では、装置は、第1の車輪および第2の車輪の少なくとも一方を駆動するように構成されている少なくとも1つのモータを更に備える。
【0008】
様々な実施形態では、装置は、第1の車輪および第2の車輪を独立的に駆動するように構成されている複数のモータを更に備える。
【0009】
様々な実施形態では、装置は、第1の車輪と第1の駆動モータの間に動作可能に配設されている第1のプーリシステムを更に備える。
【0010】
様々な実施形態では、装置は、第2の車輪と第2の駆動モータの間に動作可能に配設されている第2のプーリシステムを更に備える。
【0011】
様々な実施形態では、シフトアセンブリは、第1のアームと第2のアームの間に配設されている。
【0012】
様々な実施形態では、シフトアセンブリは、少なくとも1本のベルト、ストラップ、またはロープを介してシャーシに結合されているキャプスタンを駆動するように構成されているシフタモータ(shifter motor)を更に備える。
【0013】
様々な実施形態では、シフトアセンブリは、シフタモータをキャプスタンに結合する少なくとも1つのギアを更に備える。
【0014】
様々な実施形態では、少なくとも1つのギアは、シフタモータによって駆動される第1のギアと、第1のギアによって駆動される第2のギアであって、キャプスタンを回転させるように構成されている第2のギアと、を備える。
【0015】
様々な実施形態では、第2のギアおよびキャプスタンは動作可能に結合されており、かつ同軸である。
【0016】
様々な実施形態では、シフトアセンブリは、第2のギアの回転の角度を測定するべく第2のギアおよび/またはキャプスタンに動作可能に結合されているエンコーダを更に備える。
【0017】
様々な実施形態では、シフトアセンブリは、シャーシを第1の車輪および第2の車輪に対して前方および/または後方にシフトさせるように構成されている。
【0018】
様々な実施形態では、シフトアセンブリは、加速のためにシャーシを第1の車輪および第2の車輪に対して前方にシフトさせるように構成されている。
【0019】
様々な実施形態では、シフトアセンブリは、減速のためにシャーシを第1の車輪および第2の車輪に対して後方にシフトさせるように構成されている。
【0020】
様々な実施形態では、シフトアセンブリは、シャーシを第1の車輪および第2の車輪に対して前方にシフトさせて本体を着座位置(sitting position)に置くように構成されている。着座位置では、第1の車輪および第2の車輪は静止した回転していない状態であり得る。
【0021】
様々な実施形態では、シフトアセンブリは、シャーシを着座位置から加速位置へと移行させるように構成されている。
【0022】
様々な実施形態では、シフトアセンブリは、シャーシを加速位置から減速位置へと移行させるように構成されている。
【0023】
様々な実施形態では、シフトアセンブリは、シャーシを減速位置から着座位置へと移行させるように構成されている。
【0024】
本発明概念の他の態様によれば、シャーシを含む本体と、第1のアームおよび第2のアームと、第1のアームの近位端に回転可能に結合されている第1の車輪と、第2のアームの近位端に回転可能に結合されている第2の車輪と、を備える、移動キャリアシステムが提供される。シャーシにはシフトアセンブリが結合または統合されており、シフトアセンブリは更に、シャーシと第1の車輪および第2の車輪との間の相対的にシフトする動きを引き起こすように、第1のアームおよび第2のアームに動作可能に結合されている。
【0025】
様々な実施形態では、第1の車輪および第2の車輪は共通の回転軸を共有する。
【0026】
様々な実施形態では、システムは、第1の車輪および第2の車輪の少なくとも一方を駆動するように構成されている少なくとも1つのモータを更に備える。
【0027】
様々な実施形態では、システムは、第1の車輪および第2の車輪を独立的に駆動するように構成されている複数のモータを更に備える。
【0028】
様々な実施形態では、システムは、第1の車輪と第1の駆動モータの間に動作可能に結合されている第1のプーリシステムを更に備える。
【0029】
様々な実施形態では、システムは、第2の車輪と第2の駆動モータの間に動作可能に結合されている第2のプーリシステムを更に備える。
【0030】
様々な実施形態では、シフトアセンブリは、第1のアームと第2のアームの間に配設されている。
【0031】
様々な実施形態では、シフトアセンブリは、少なくとも1本のベルト、ストラップ、またはロープを介してシャーシに結合するように構成されているキャプスタンを駆動するように構成されているシフタモータを更に備える。
【0032】
様々な実施形態では、シフトアセンブリは、シフタモータをキャプスタンに動作可能に結合する少なくとも1つのギアを更に備える。
【0033】
様々な実施形態では、少なくとも1つのギアは、シフタモータによって駆動される第1のギアと、第1のギアによって駆動される第2のギアであって、キャプスタンを回転させるように構成されている第2のギアと、を備える。
【0034】
様々な実施形態では、第2のギアおよびキャプスタンは動作可能に結合されており、かつ同軸である。
【0035】
様々な実施形態では、シフトアセンブリは、第2のギアの回転の角度を測定するべく第2のギアおよび/またはキャプスタンに動作可能に結合されているエンコーダを更に備える。
【0036】
様々な実施形態では、シフトアセンブリは、シャーシを第1の車輪および第2の車輪に対して前方および/または後方にシフトさせるように構成されている。
【0037】
様々な実施形態では、シフトアセンブリは、加速のためにシャーシを第1の車輪および第2の車輪に対して前方にシフトさせるように構成されている。
【0038】
様々な実施形態では、シフトアセンブリは、減速のためにシャーシを第1の車輪および第2の車輪に対して後方にシフトさせるように構成されている。
【0039】
様々な実施形態では、シフトアセンブリは、シャーシを第1の車輪および第2の車輪に対して前方にシフトさせて本体を着座位置に置くように構成されている。着座位置では、第1の車輪および第2の車輪は静止した回転していない状態であり得る。
【0040】
様々な実施形態では、シフトアセンブリは、シャーシを着座位置から加速位置へと移行させるように構成されている。
【0041】
様々な実施形態では、シフトアセンブリは、シャーシを加速位置から減速位置へと移行させるように構成されている。
【0042】
様々な実施形態では、シフトアセンブリは、シャーシを減速位置から着座位置へと移行させるように構成されている。
【0043】
様々な実施形態では、本体は格納コンパートメントを画定する。
【0044】
様々な実施形態では、システムは、1組のユーザインターフェースデバイスを更に備える。
【0045】
様々な実施形態では、1組のユーザインターフェースデバイスは、1つ以上のボタン、タッチスクリーン、センサ、カメラ、レンジファインダ、発光デバイス、音声入力デバイス、および/または音声出力デバイスを備える。
【0046】
本発明は、添付の図面および付属の詳細な説明を検討することでより明らかになるであろう。それらに描写されている実施形態は限定としてではなく例として提供されており、同様の参照符号は同じまたは類似の要素を指す。図面は必ずしも正確な縮尺で描かれておらず、代わりに本発明の態様を説明することに主眼が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本発明概念の態様に係る、車両の第1の実施形態の様々な構成要素の斜視図である。
【
図2】本発明概念の態様に係る、車両の背面図である。
【
図3】本発明概念の態様に係る、車両の直動アクチュエータシステムの様々な構成要素の斜視図である。
【
図4】本発明概念の態様に係る、直動アクチュエータシステムおよびハブモータを含む車輪アセンブリの様々な構成要素を示す側面図である。
【
図5A】本発明概念の態様に係る、車両のシャーシに対する車輪およびキャリッジの最大後方位置を示す側面図である。
【
図5B】本発明概念の態様に係る、車両のシャーシに対する車輪およびキャリッジの最大前方位置を示す図である。
【
図6A】本発明概念の態様に係る、車両の直動アクチュエータシステムの様々な構成要素の斜視図である。
【
図6B】本発明概念の態様に係る、車両の直動アクチュエータシステムの様々な構成要素の側面図である。
【
図7A】本発明概念の態様に係る、車両の直動アクチュエータシステムの様々な構成要素の斜視図である。
【
図7B】本発明概念の態様に係る、車両の直動アクチュエータシステムの様々な構成要素の側面図である。
【
図8】本発明概念の態様に係る、車両の制御システムの機能ブロックダイアグラムの図である。
【
図9】本発明概念の態様に係る、移動キャリアの実施形態の等角図である。
【
図12】車輪が中心にある
図9の移動キャリアの側面図である。
【
図13】キャリアの車輪が後方におよび荷重が前方にある、
図9の移動キャリアの側面図である。
【
図14】キャリアの車輪が前方におよび荷重が後方にある、
図9の移動キャリアの側面図である。
【
図15】本発明概念の態様に係る、(左から右に)着座位置から起立位置(standing position)および駆動位置へと移行する、
図9の移動キャリアの側面図である。
【
図16】本発明概念の態様に係る、
図9の移動キャリアの一部を構成し得るリンク機構式シフトアセンブリの実施形態の等角図である。
【
図17】
図16のリンク機構式シフトアセンブリの正面図である。
【
図18】
図16のリンク機構式シフトアセンブリのリンク機構の底面等角図である。
【
図19】本発明概念の態様に係る、車輪シフトアセンブリの別の実施形態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明概念の様々な態様について、いくつかの例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照して、以下でより十分に記載する。ただし本発明概念は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に明記する例示的な実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。
【0049】
第1の、第2の、などの用語が、本明細書において様々な要素を記述するために使用されるが、これらの要素は、それらの用語によって限定されるものではないことが理解されよう。これらの用語はある要素を別の要素から区別するために使用されるが、要素の要求される順序を示唆するものではない。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に第2の要素を第1の要素と呼ぶことができる。本明細書で使用する場合、用語「および/または」は、関連する列挙された事物のうちの1つ以上の、ありとあらゆる組合せを含む。
【0050】
ある要素が別の要素に「接している(on)」または「接続されている」または「結合されている」と言及される場合、そのある要素は、直接その別の要素に接しているもしくは接続されているもしくは結合されている可能性があるか、または介在する要素が存在し得ることが、理解されよう。対照的に、ある要素が別の要素に「直接接している(directly on)」または「直接接続されている」または「直接結合されている」と言及される場合は、介在する要素は存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の単語は、同様に解釈されるべきである(例えば、「間に」に対して「間に直接」、「隣接して」に対して「直接隣接して」、等)。
【0051】
本明細書で用いられる専門用語は特定の実施形態について記載することだけを目的としており、本発明を限定するものとなることを意図していない。本明細書で使用する場合、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈上そうでないことが明確に示されていない限り、複数形も含むことを意図している。用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、および/または「含んでいる(including)」は、本明細書で使用する場合、言及された特徴、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を明示するが、1つ以上の他の特徴、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を除外しないことが、更に理解されよう。
【0052】
例えば図に示されるような、ある要素および/または特徴と別の要素および/または特徴との関係を説明するために、空間に関連する用語、例えば「下方」、「下」、「下側」、「上」、「上側」などが使用される場合がある。これらの空間に関連する用語は、図に描写されている配置のほかに、使用および/または動作時のデバイスの様々な配置を包含することを意図していることが、理解されよう。例えば、図中のそのデバイスを上下逆にした場合、他の要素または特徴の「下(below)」および/または「下方(beneath)」と記述される要素はその結果、他の要素または特徴「の上(above)」に配置されることになる。デバイスはそれ以外で(例えば、90度回転されてまたは他の配置で)配置されてもよく、本明細書で使用する空間に関連する記述語はそれに応じて解釈することができる。
【0053】
本明細書では、理想化された例示的な実施形態(および中間構造)の概略図である断面図を参照して、例示的な実施形態が記載されている。したがって、例えば製造技法および/または公差の結果としての、図の形状との相異が想定されることになる。このように、例示的な実施形態は、本明細書に示す領域の特定の形状に限定されるものではなく、例えば製造の結果生じる、形状の逸脱を含むものと解釈するべきである。
【0054】
機能的な特徴、動作、および/またはステップが本明細書において記載されるかまたはそれ以外で本発明概念の様々な実施形態に含まれると理解される限りにおいて、そのような機能的な特徴、動作、および/またはステップは、機能ブロック、ユニット、モジュール、動作、および/または方法として具現化され得る。そして、そのような機能ブロック、ユニット、モジュール、動作、および/または方法がコンピュータプログラムコードを含む限りにおいて、そのようなコンピュータプログラムコードは、例えば非一時的なメモリおよび媒体などのコンピュータ可読媒体に格納することができ、少なくとも1つのコンピュータプロセッサによって実行可能である。
【0055】
物品を輸送する目的で利用できる車両またはロボット車両(またはロボット)の数は増え続けている。典型的な車両では、推進およびステアリング制御を実現するために、3つ、4つ、または6つの車輪が使用される。そのような車両は静的安定性に依拠しており、車輪の位置によってあらゆる動作条件において安定するように設計されている。長手方向または前後方向の隔離距離によって、通常動作(例えば、制動、加速、および減速)中に車両が経験する、重力または傾斜に起因して加わるトルクを平衡化する。隔離距離(軸距)が大きくなるほど、長手方向に沿った乱れに対する車両の復元力が大きくなる。
【0056】
代替の手法には、車輪が横方向または横並びに配置された二輪車両を使用することが含まれる。そのような車両は、2つの車輪が独立的に推進されるようにそれらが切り離されると、特に操縦し易い。旋回半径は、一方の車輪が前方に、他方が後方に推進される場合に車輪間の距離の2分の1の小ささまで、または、旋回の内側の車輪と外側の車輪の間の速さの差を大きくすることによって任意のより高い程度まで、小さくできる。しかしながら、そのような車輪が横方向または横並びに配置された二輪車両の使用の課題として、車両の垂直方向の向きを維持するためにそれを動的に安定させねばならず、このことはほとんどの用途の要件となっている。そのような横方向装着型の二輪車両の推進は、モータ性能を最適化するためのギアボックスを場合により用いて、車両の車輪の中心にモータでトルクをかけることによって実現され得る。別法として、車輪をリム駆動で推進してもよい。
【0057】
動的安定化は能動的平衡化とも呼ばれ、制御システムが車両の動作、例えば走行、旋回中に、その安定性を能動的に維持する技法である。本開示の様々な実装形態において検討するような、車輪が横方向に並ぶ車両では、車両のピッチの向きが連続的に感知され、補正トルクがかけられる。様々な実施形態では、(1)車輪モータ自体を介するか、または(2)車両の長手方向の前方および後方に移動するカウンタウェイトの動きを介するか、のいずれかである、そのような補正トルクをかける2つの主要な手段が存在する。
【0058】
本明細書に詳述されている本開示の様々な実装形態では、モータトルクおよびカウンタウェイトの両方を介して動的安定化が達成される。しかしながら、その内容の全体が参照のため本明細書に組み込まれている国際出願第PCT/US2016/057529号に記載されたものなどの、これまでに開発された安定化システムとは異なり、別個のカウンタウェイトを使用するのではなく、開示される実装形態では、車輪が全体としての車両の本体に対して移動し、この結果本体およびシャーシがカウンタウェイトとして機能する。このことによって、車両質量の半分超をレベルアームのために使用できるので、顕著に高い制御能力が可能になる。この手法がもたらすことの1つは、リム駆動を使用する代わりに、車輪の回転を引き起こす推進力が車輪の中心に適用されることである。いわゆるハブ駆動は、車輪に組み込まれたまたは車輪の横に位置付けられたモータによって駆動され得る。各車輪を独立的に制御できる。本明細書に記載する様々な実装形態に応じて、車輪対モータの質量比は車両総質量の1/3という小ささにすることができ、質量の2/3を制御に用いることが可能になる。
【0059】
本開示の様々な態様によれば、車両(またはロボット)が人または別の車両に仮想的にリンクされ「先導役(leader)」の進路を実行する「追従(following)」モードを介して、誘導が実現され得る。別法として、車両が事前設定されたウェイポイント間を走行する自律モードを介して、誘導が実現されてもよい。いずれの場合も、障害の能動的な検出および回避が実施される。屋内および屋外のいずれの動作も、視覚SLAM(同時位置特定およびマッピング)の技術および手法を用いて実現され得る。
【0060】
本明細書において開示されるのは、フォロワおよび/またはキャリアロボット車両ならびにその構成要素の、様々な実施形態である。
図1は、本発明概念の態様に係る、車両100の様々な構成要素の斜視図を示す。ロボット車両100は、格納またはキャリアコンパートメントを有して構成されたフォロワロボット車両である。ロボット車両は先導役、例えば人を識別し、そしてその先導役に追従することができる。
【0061】
図2は、本発明概念の態様に係る、車両100の様々な構成要素の背面図を示す。
図1および
図2を参照すると、車両100はシャーシ15を含む。シャーシ15は車両100の構造フレームであり、車両100の保護シェルを形成する本体110を支持する。
【0062】
いくつかの実装形態では、車両100は、
図2に最もよく示されているように、少なくとも1つの車輪キャリッジ20を更に含む。以下で更に詳細に検討するように、車輪キャリッジ20はシャーシに移動可能に結合されており、シャーシに対して長手方向に変位可能である。車輪キャリッジ20は、そこに車輪、例えば車輪25、およびその対応するモータ30が、回転可能に結合するように構成されている。
図5Aおよび
図5Bを参照して以下で更に詳細に説明するように、車輪キャリッジは、シャーシ15のピッチおよび平衡化を制御するために車輪キャリッジがシャーシの長手方向において前後に並進するのを可能にする、直動アクチュエータシステムに結合されている。例えば、車輪キャリッジが直動アクチュエータシステムによって並進されるとき、車輪キャリッジに装着されている対応する車輪は、車輪キャリッジと一緒にシャーシに対して並進する。このことによりシャーシ15が反対方向へと相対的に並進して、その結果カウンタウェイトとして作用し、シャーシのピッチおよび重心を調整する。本開示はこのように、シャーシ15を車輪、例えば車輪25および/または車輪45に対して移動させることによって、カウンタウェイトとして機能しゼロに近いピッチ角を維持するように車両100の実際の本体を使用する、という利点を提供する。
【0063】
ある実施形態では、車両は、車両本体110の両側に配設されている第1の車輪25および第2の車輪45を含む。本開示から利益を得る当業者は、用語「第2の」を使用して記載されている要素が用語「第1の」を使用して記載されている物品の実質上の鏡像であり、「第2の」要素の各々が対応する要素である「第1の」要素と実質的に同じ様式で結び付けられ機能することを、諒解するであろう。
【0064】
上で検討したように、第1の車輪25は、第1の車輪キャリッジ20上に回転自在に装着することができ、第1の車輪キャリッジ20を介してシャーシ15に結合することができる。同様に、第2の車輪45は、第2の車輪キャリッジ50上に回転自在に装着することができ、第2の車輪キャリッジ50を介してシャーシ15に結合することができる。第1の車輪25および第2の車輪45は各々、幾何学上の中心および直径を含む。車輪のサイズは、要求されるトルク、地面クリアランス、および車両100の回転の中心に対する重心の所望の場所に応じて、様々であり得る。ただし好ましくは、第1の車輪および第2の車輪は同じサイズである。いくつかの態様では、車両100のサイズは12インチから30インチの間の高さをとることができ、同様の幅を有する。図示した図では、車輪25および45の直径は、車両100の長さおよび高さよりも小さく示されている。しかしながら、本開示の様々な実装形態はそれに限定されない。場合によっては反対のことが当てはまり得る。すなわち、車輪25および45の直径は、車両100の長さおよび高さより大きくてもよい。
【0065】
いくつかの実装形態では、車輪25および45の直径は、両端の値を含め12から28インチの間であり得る。ある実装形態では、車輪25および45の直径は、シャーシ15および/または車両100の高さ、長さ、幅、および/または直径の、少なくとも75%である。各車輪25および45はまた、車輪25および45の外面を実質的に定めるリムを含み得る。各リムの周囲にはタイヤを配設してもよい。タイヤは、各タイヤがそのリムと一緒に回転するように、対応するリム101に着脱可能に装着され得る。タイヤは、ゴム、ポリマー、または任意の他の好適な材料から作製することができる。タイヤは車両100の性能を向上させるために、車輪25および45と地面の間に摩擦接触を提供し得る。
【0066】
図3は、本発明概念の態様に係る、車両100の直動アクチュエータシステムの様々な構成要素の別の斜視図を示す。
図3に示すように、車両100は、第1の直動アクチュエータシステム40を更に含み得る。第1の直動アクチュエータシステム40を、第1の車輪キャリッジ20に結合し、車輪25を含む第1の車輪キャリッジ20をシャーシ15に対して長手方向に変位させるように適合させてもよい。
【0067】
車両100は、構造および機能が第1の直動アクチュエータシステム40と同様である、第2の直動アクチュエータシステム65を更に含み得る。すなわち、第2の直動アクチュエータシステム65は、第1の直動アクチュエータシステム40の反対側で第2の車輪キャリッジ50に結合され得る。例えば、第1の直動アクチュエータシステム40は車両100の左側に位置付けることができ、一方で、第2の直動アクチュエータシステム65は車両100の右側に位置付けることができ、またはこの逆も可能である。第2の直動アクチュエータシステム65は同様に、第2の車輪キャリッジ50をシャーシ15に対して長手方向に変位させるように構成され得る。
【0068】
車軸70が、第1の直動アクチュエータシステム40を第2の直動アクチュエータシステム65に結合する。第1の車輪25および第2の車輪45と同様に、第1のアクチュエータシステムおよび第2のアクチュエータシステムという場合、用語「第2の」を使用して記載されているが、これら「第2の」要素の各々は、「第1の」要素と呼ぶものと実質的に同じ様式で結び付けられ、機能する。
【0069】
いくつかの実装形態では、第3のモータ75は第1の直動アクチュエータシステム40および第2の直動アクチュエータシステム65を駆動するべく、第1の直動アクチュエータシステム40および第2の直動アクチュエータシステム65の少なくとも一方に結合され得る。いくつかの実装形態では、第1の直動アクチュエータシステム40および第2の直動アクチュエータシステム65はいずれも、第1のプーリ87および第2のプーリ89を含み得る。第1の直動アクチュエータシステム40および第2の直動アクチュエータシステム65はいずれも、シャーシ15にその長手方向に沿って結合されている少なくとも1つのレールを更に含み得る。いくつかの実装形態では、少なくとも1つのレールは、各々がシャーシ15に結合されている上側レール82および下側レール84を含む。上側レール82および下側レール84の各々はその中に延びている長手スロットを含み、対応する第1の車輪キャリッジ20および第2の車輪キャリッジ50は、第1のプーリ87および第2のプーリ89の回転を通して並進される。第1の車輪キャリッジ20および第2の車輪キャリッジ50は各々、レール内に結合されてレールに沿った車輪キャリッジ20および50の前後への移動を摩擦を減らすことで容易にする、1つ以上の縁部車輪を含み得る。いくつかの他の実装形態では、第1の直動アクチュエータシステムおよび第2の直動アクチュエータシステムは、シャーシの各側にただ1つのレールを含む。
【0070】
第1の直動アクチュエータシステム40および第2の直動アクチュエータシステム65は各々、第1のプーリ87および第2のプーリ89の外周に沿って配設されている、対応するベルト81および85を更に含む。いくつかの態様では、ベルト81および85は、第1のプーリ87および第2のプーリ89を互いに結合する。ベルト81および85は、第3のモータ75から動力を伝達して、対応する第1の車輪キャリッジ20および第2の車輪キャリッジ50をシャーシ15に対して長手方向に変位させるように構成されている。
【0071】
いくつかの実装形態によれば、第3のモータから送達される回転エネルギーがもたらすプーリ87および89の回転によってベルトが動かされるように、ベルト81および85を、プーリ87および89の各々の外周に着脱可能に取り付けることができる。ベルト81および85は、金属、金属合金、セラミック、ポリマー、ゴム、複合材料、または任意の他の好適な材料で形成され得る。いくつかの実装形態では、ベルト81および85の代わりにチェーンを使用してもよく、プーリ87および89の代わりにはめ歯歯車を使用してもよい。第1の車輪キャリッジ20および第2の車輪キャリッジ50は対応するベルト81、85に各々結合されており、ベルト81、85の動きが、シャーシ15に対する第1の車輪キャリッジ20および第2の車輪キャリッジ50の各々の、長手方向における対応する動きを引き起こすようになっている。以下でより詳細に記載するように、第1の車輪キャリッジ20および第2の車輪キャリッジ50の動きによって、モータ30および55を含む対応する車輪アセンブリが、車両100の残りの部分に対して長手方向において前後に並進される。このことの効果は、車輪キャリッジ20および50がその対応する車輪25および45と一緒に並進される方向の反対方向に、シャーシ15(本体)を並進させることである。
【0072】
動作時、第1のプーリ87および第2のプーリ89は、駆動ベルト73を介して第3のモータ75に直接接続される、駆動プーリシステム77によって駆動される。モータ75の回転エネルギーが、駆動プーリシステム77の駆動プーリ79から駆動プーリ86へと、プーリシステム77のベルト73駆動を通して伝えられる。次いで駆動プーリシステム77の駆動プーリ86は、ベルト73から第1の直動アクチュエータシステム40および第2の直動アクチュエータシステム65のプーリ87および89の各々へと、回転エネルギーを伝える。
【0073】
図4は、本開示の実装形態に係る、直動アクチュエータシステムおよびハブモータを含む車輪アセンブリの様々な構成要素を示す側面図である。
図4に示すように、車両100は、
図20に最もよく示されているように、第1の車輪25に組み込まれ第1の車輪キャリッジ20に結合されている第1のモータ30を更に含み得る。モータ30を、第1のシャフト35を通して第1の車輪キャリッジ20に結合することができ、第1の車輪25に駆動エネルギーを提供するように構成することができる。モータ30は、バッテリ90(
図3に示す)または燃料セルから電気エネルギーを受け取ることによって電力供給される。バッテリ90はシャーシ15の底面の中心に位置付けることができる。いくつかの実施例では、モータ30は、第1の車輪25の中心に直接装着されるハブモータである。この効果のために、モータ30は、表面に配設された一連の固定コイルを含むステータ52を有して構成されている。ステータは第1の車輪キャリッジ20に直接結合することができ、これを通してコイルに電流が提供される。モータ30は、第1の車輪25に組み込まれたロータ54を更に含み得る。ロータ54は一連の磁石を含むように構成することができ、バッテリ90から流される電流が電磁場を生成するときにステータ52を中心として回転するように、ステータ52の周囲に回転自在に装着される。第1の車輪25はスピンするロータ54に一体に取り付けられており、スピンするロータ54と一緒に回転する。
【0074】
車両100は、
図3に最もよく示されているように、第2の車輪45に組み込まれ第2の車輪キャリッジ50に結合されている第2のモータ55を更に含み得る。第1のモータ30と同様に、第2のモータ55を、第2のシャフト60を通して第2の車輪キャリッジ50に取り付けることができ、第2の車輪45に駆動エネルギーを提供するように構成することができる。第2のモータ55は、バッテリ90または燃料セルから電気エネルギーを受け取ることによって電力供給される。第1のモータ30に関して上で検討したように、第2のモータ55も同様に、第2の車輪45の中心に直接装着されるハブモータであり得る。この効果のために、第2のモータ55を同様に、第1のモータ30のステータ52およびロータ54と同様の構造および機能を有する、ステータ52およびスピンするロータ54を用いて構成してもよい。第1の車輪および第2の車輪と同様に、第1のモータおよび第2のモータという場合、用語「第2の」を使用して記載されているが、これら「第2の」要素の各々は、「第1の」要素と呼ぶものと実質的に同じ様式で結び付けられ、機能する。
【0075】
いくつかの実装形態では、ハブモータ30および55は互いから独立しており、自律および誘導コンピュータ99に含まれている1つ以上のモータ制御部94の個別のチャネルを介して制御することができる。車両100は自律および誘導コンピュータ99から命令を受け取り、これらの命令を対応するハブモータ30および55を介して車輪25および45の前方への動きに変換する。モータ30および55が独立していることによって、様々な旋回モードが可能になる。例えば、車両100は、モータ30および55を異なる速さでまたは異なる方向に稼働させることによって、所定位置で旋回することができる。別法として、車両100は、一方のモータをオフにしたままで他方を作動させることによって、車輪トラックの幅と等しい旋回半径で、急なコーナーを回ることができる。いくつかの態様では、車両100は、2つの車輪のうち旋回の外側軌道を定めるものを、内側軌道を定める車輪よりも速い速度で制御することで、小さい旋回から大きい旋回までを行うことができる。以下に更に詳細に記載するように、この操縦し易さをピッチ制御部98と結び付けて、安定した動作を得ることができる。
【0076】
本開示の実装形態に従い、
図5Aは、車両のシャーシに対する車輪およびキャリッジの最大後方位置を示す図であり、
図5Bは、車両のシャーシに対する車輪およびキャリッジの最大前方位置を示す図である。いくつかの実装形態によれば、直動アクチュエータシステム40および65の各々によって、ハブモータ30および55を含む対応する車輪アセンブリが、車両100の残りの部分に対して長手方向において前後に並進することが可能になる。このことの効果は、車輪キャリッジ20および50がその対応する車輪25および45と一緒に並進される方向の反対方向に、シャーシ15(および本体110)を並進させることである。いくつかの態様では、第1の直動アクチュエータシステムおよび第2の直動アクチュエータシステムの各々は、対応する第1の車輪キャリッジおよび第2の車輪キャリッジを、シャーシに対して最大300mm/秒の速さで変位させる。このように本開示は、車両100のシャーシ15の全重量を、車両100を平衡化し動的に安定させこの横方向装着型の車両100の垂直方向の向きを維持するための、カウンタウェイトとして機能するよう利用できる、という利点を提供する。
【0077】
図6Aは、本開示の第2の実施形態に係る、車両の直動アクチュエータシステムの様々な構成要素の上側斜視図を示す。
図6Bは、本開示の第2の実装形態に係る、車両の直動アクチュエータシステムの様々な構成要素の側面図を示す。
図6Aに示すように、車両100は、第1の直動アクチュエータシステム40および第2の直動アクチュエータシステム65の代わりに、第1の直動アクチュエータシステム63および第2の直動アクチュエータシステム67を含み得る。第1の直動アクチュエータシステム63および第2の直動アクチュエータシステム67は、第3のモータ75の代わりに第3のモータ72を含む。いくつかの実装形態では、第3のモータ72は第1の端部において、第1の直動アクチュエータシステム63および第2の直動アクチュエータシステム67を駆動するべく、第1の直動アクチュエータシステム63および第2の直動アクチュエータシステム67の少なくとも一方に結合され得る。第3のモータ72はその第2の端部上でシャーシ15に装着され得る。第1の直動アクチュエータシステム40および第2の直動アクチュエータシステム65の構成と同様に、第1の直動アクチュエータシステム63および第2の直動アクチュエータシステム67の各々は、第1のプーリ87および第2のプーリ89ならびに上側レール82および下側レール84を含むことができ、これらはいずれもシャーシ15に結合されている。第3のモータ72は、第1のプーリ87と第2のプーリ89の間の位置においてシャーシ15に装着されるように構成されている。上側レール82および下側レール84の各々はその中に延びている長手スロットを含み、これらに沿って、対応する第1の車輪キャリッジ(図示せず)および第2の車輪キャリッジ69が、第1のプーリ87および第2のプーリ89の回転を通して並進される。第1の直動アクチュエータシステム63および第2の直動アクチュエータシステム67は各々、第1のプーリ87および第2のプーリ89の外周に沿って配設されている、対応するベルト81および85を更に含み得る。
【0078】
いくつかの態様では、ベルト81および85は、第1のプーリ87および第2のプーリ89を互いに結合する。車軸70と同様の車軸によって、第1の直動アクチュエータシステム63および第2の直動アクチュエータシステム67の第1のプーリ87を互いに結合することができ、この結果、第3のモータ72の回転エネルギーを、第1の直動アクチュエータシステム63および第2の直動アクチュエータシステム67の両方の第1のプーリ87に伝達できるようになる。ベルト81および85は、第3のモータ72から動力を伝達して、対応する第1の車輪キャリッジ(図示せず)および第2の車輪キャリッジ69をシャーシ15に対して長手方向に変位させるように構成されている。いくつかの実装形態では、第2の直動アクチュエータシステム67は、第2の直動アクチュエータシステム67を第1の直動アクチュエータシステム63から独立的に駆動するための、別個の第4のモータ71を含み得る。第4のモータ71は、上述した第3のモータ72および75のいずれかと同様に機能することができ、シャーシ15の第3のモータ72の側とは反対側に結合され得る。これらの実装形態では、ベルト81は、第3のモータ72から動力を伝達して、第1の車輪キャリッジ(
図6Aには示されていない)をシャーシ15に対して長手方向に変位させるように構成されている。ベルト85は、第4のモータ71から動力を伝達して、第2の車輪キャリッジ69をシャーシ15に対して長手方向に変位させるように構成されている。
【0079】
いくつかの実装形態によれば、ベルト81および85を、プーリ87および89の各々の外周に着脱可能に取り付けることができる。第3のモータ72および/または第4のモータ71から送達される回転エネルギーがもたらすプーリ87および89の回転によって、ベルト81および/または85が動かされる。いくつかの実装形態では、第1の直動アクチュエータシステム63および第2の直動アクチュエータシステム67の同期した動きが得られるように、第3のモータ72および第4のモータ71を同期させることができる。
【0080】
図3に関して上に記載するように、第1の車輪キャリッジ(図示せず)および第2の車輪キャリッジ69の動きによって、モータ30および55を含む対応する車輪アセンブリが、車両100の残りの部分に対して長手方向において前後に並進される。このことの効果は、第1の車輪キャリッジ(図示せず)および第2の車輪キャリッジ69がその対応する車輪25および45と一緒に並進される方向の反対方向に、シャーシ15(および本体110)を並進させることである。第1のキャリッジおよび第2のキャリッジという場合、用語「第2の」を使用して記載されているが、これらの「第2の」要素の各々は、「第1の」要素と呼ぶものと実質的に同じ様式で結び付けられ、機能する。
【0081】
図7Aは、本開示の第3の実施形態に係る、車両の直動アクチュエータシステムの様々な構成要素の斜視図を示す。
図7Bは、本開示の第3の実装形態に係る、車両の直動アクチュエータシステムの様々な構成要素の側面図を示す。
【0082】
図7Aに示すように、車両100は、第1の直動アクチュエータシステム40および第2の直動アクチュエータシステム65の代わりに、第1の直動アクチュエータ88および第2の直動アクチュエータ91を含み得る。車両100は、第3のモータ75の代わりに第3のモータ76を含み得る。いくつかの実装形態では、第3のモータ76は第1の端部において、第1の直動アクチュエータシステム88および第2の直動アクチュエータシステム91の少なくとも一方を駆動するべく、第1の直動アクチュエータシステム88および第2の直動アクチュエータシステム91の少なくとも一方に結合され得る。第3のモータ76はその第2の端部においてシャーシ15に装着され得る。第1の直動アクチュエータシステム40および第2の直動アクチュエータシステム65の構成と同様に、第1の直動アクチュエータシステム88および第2の直動アクチュエータシステム91の各々は、第1のプーリ87および第2のプーリ89ならびに上側レール82および下側レール84を含むことができ、これらはいずれもシャーシ15に結合されている。第3のモータ76は、シャーシ15に装着され第2のプーリ89の少なくとも一方に直接接続されるように構成されている。上側レール82および下側レール84の各々はその中に延びている長手スロットを含み、これらに沿って、対応する第1の車輪キャリッジ(図示せず)および第2の車輪キャリッジ69が、第1のプーリ87および第2のプーリ89の回転を通して並進される。第1の直動アクチュエータシステム88および第2の直動アクチュエータシステム91は各々、第1のプーリ87および第2のプーリ89の外周に沿って配設されている、対応するベルト81および85を更に含み得る。
【0083】
いくつかの態様では、ベルト81および85は、第1のプーリ87および第2のプーリ89を互いに結合する。車軸70と同様の車軸によって、第1の直動アクチュエータシステム88および第2の直動アクチュエータシステム91の第1のプーリ87を互いに結合することができ、この結果、第3のモータ76の回転エネルギーを伝達して、第1の直動アクチュエータシステム88および第2の直動アクチュエータシステム91の両方の第2のプーリ89を回転させられるようになる。ベルト81および/または85は、第3のモータ76から動力を伝達して、対応する第1の車輪キャリッジ(図示せず)および/または第2の車輪キャリッジ69をシャーシ15に対して長手方向に変位させるように構成されている。いくつかの実装形態では、第1の直動アクチュエータシステム88は、第1の直動アクチュエータシステム88を第2の直動アクチュエータシステム91から独立的に駆動するための、別個の第4のモータ(図示せず)を含み得る。第4のモータ(図示せず)は、上述した第3のモータ75および76のいずれかと同様に機能し得る。これらの実装形態では、ベルト85は、第3のモータ76から動力を伝達して、第2の車輪キャリッジ69をシャーシ15に対して長手方向に変位させるように構成されている。ベルト81は、第4のモータ(図示せず)から動力を伝達して、第1の車輪(図示せず)をシャーシ15に対して長手方向に変位させるように構成されている。
【0084】
いくつかの実装形態によれば、第3のモータおよび/または第4のモータから送達される回転エネルギーがもたらすプーリ87および89の回転によってベルト81および/または85が動かされるように、ベルト81および85を、プーリ87および89の各々の外周に着脱可能に取り付けることができる。いくつかの実装形態では、第1の直動アクチュエータシステム88および第2の直動アクチュエータシステム91の同期した動きが得られるように、第3のモータおよび第4のモータを同期させることができる。
【0085】
図3に関して上に記載するように、第1の車輪キャリッジ(図示せず)および第2の車輪キャリッジ69の動きによって、モータ30および55を含む対応する車輪アセンブリが、車両100の残りの部分に対して長手方向において前後に並進される。このことの効果は、第1の車輪キャリッジ(図示せず)および第2の車輪キャリッジ69がその対応する車輪25および45と一緒に並進される方向の反対方向に、シャーシ15(本体)を並進させることである。第1のキャリッジおよび第2のキャリッジという場合、用語「第2の」を使用して記載されているが、これらの「第2の」要素の各々は、「第1の」要素と呼ぶものと実質的に同じ様式で結び付けられ、機能する。
【0086】
いくつかの他の実装態様によれば、第1の直動アクチュエータシステム40および第2の直動アクチュエータシステム65は各々、ボールねじ、ローラねじ、ボイスコイル、ラックおよびピニオン、液圧シリンダ、ならびに空圧シリンダから成る群から選択され得る。
【0087】
図3~
図5Bを再び参照すると、通常動作中、車両100は、横軸を中心としたピッチのモーメントを経験する。これらピッチのモーメントは、車両100の平衡化が精確でなかったことに起因して誘起される重力であるか、または、加速もしくは制動から動的に誘起されるものであるかの、いずれかである。平衡化を行う場合、横方向装着型の車両100は、車両100を長手方向の前方または後方にピッチングさせることなく重心が移動できる車両100の長手方向である、静的安定性マージンが非常に短い。安定性マージンの長さは、車輪25および45のタイヤの接地面の長さと等しい。車両100のシャーシ15の重心の精確な位置付けを回避するために、第1の直動アクチュエータシステム40および第2の直動アクチュエータシステム65の少なくとも一方を使用して、シャーシ15のピッチが補正される。直動アクチュエータシステム40および65の各々は、車両100の不平衡を感知すると、シャーシ15の重心を自動的に調整する。このことは、様々な物品を積荷容積16の中に重量分布に融通性を持たせて配置することが可能になるという利点を提供する。
【0088】
いくつかの実装形態によれば、直動アクチュエータシステム40および65の制御された調整によって、車両100がゼロに近いピッチ角を自動的に維持することが可能になる。ピッチセンサ96を使用して、水平面に対するシャーシ15または車両100のピッチ角が連続的に感知される。本明細書で使用する場合、水平面とは、地球の引力に対して垂直なまたは直交する平面を指す。いくつかの態様では、ピッチセンサ96は、シャーシ15上に位置付けられた傾斜計または慣性測定ユニットのいずれかであり得る。次いで自律および誘導コンピュータ99は、感知されたデータを使用して、シャーシ15のピッチ角を水平線からプラスまたはマイナス[2]度以内になるように維持して車両100の安定した動作を可能にするべく、車輪25および45の平面内で、シャーシ15または車両100の回転の中心を中心とする補正トルクを提供することができる。このことの効果は、シャーシ15または車両100のピッチをゼロに近いピッチ角に維持することである。補正トルクはこの場合、キャリッジ20および50ならびに対応する車輪25および45に対する、シャーシ15の前後の動きによって生成される。所与の質量(積荷容積16内の任意の積載物を含む)の車両100について、車両100の回転の中心からのずれの増大によって、生じるトルクが比例的に大きくなり、車両100の通常動作中に経験されるその横軸を中心としたピッチのモーメントと反作用する。
【0089】
第1の直動アクチュエータシステムおよび第2の直動アクチュエータシステムは、車両100の前方および後方への動きならびに旋回の動きの間、すなわちその通常動作中、連続的に動作される。いくつかの態様では、通常動作は複数回の始動と停止と旋回とから成り、結果的な減速および加速によって車両100のピッチングモーメントが生じるが、車両安定性を維持するためにはこれを打ち消す必要がある。更に、車両100は斜面、例えば車両100が走行する地形の水平面に対する傾斜の変化を、上り下りできなければならない。水平な地面からのそのような地形の変化は、車両100の重力ベクトルの変化を生じさせる。本開示が提供する利点は、直動アクチュエータシステム40および65の連続的な動作に起因して、連続動作するセンサおよび動的安定性補正を介して、車両100が最大20°の、およびいくつかの実装形態ではそれを超える斜面および下り勾配に対処し、それらの上を進行可能なことである。
【0090】
いくつかの態様では、車両100の重心(Cg)は、その回転の中心(Cr)の上または下のいずれかに配置され得る。CgがCrの下に配置されている場合には、車両100は動的に安定となり、どのような乱れも車両100を最終的にその撹乱していない状態に戻すことになる。しかしながら、CgがCrの上に配置されている場合には、加速およびブレーキを含む通常動作中に車両100は動的に不安定になり、撹乱によって車両100が、その撹乱に応じて前方または後方にピッチングし続ける。本開示は、CgがCrの上に配置されているときに前方または後方への連続的なピッチングによってもたらされる、車両の不安定性を制御するための解決法を提供する。上述した不安定性の問題は、本開示の様々な実装形態に従い、直動アクチュエータシステム40および65を使用した前方および後方へのシャーシ15の並進によって達成される、能動的制御を介して制御可能である。
【0091】
いくつかの実装形態では、2つの直動アクチュエータシステム40および65の動作は、少なくとも1つの直動アクチュエータ制御部92の使用を通して制御される。例えば、2つの直動アクチュエータシステム40および65の動きを同期させることができる。しかしながら、本開示の構成はそれに限定されない。他の実装形態では、2つの直動アクチュエータシステム40および65の動きは独立的であり得る、すなわち、車両100の所望の動きに応じて切り離され得る。車輪25、45の一方が隆起または小さな盛り上がりを乗り越えようとするときに他方が水平な地面上にある場合には、動きを切り離すことが有利な場合がある。高速旋回動作においても、動きの切り離しが必要かつ有利である可能性があり得る。
【0092】
図8は、本開示の実装形態に係る、車両100の制御システムの電気ブロックダイアグラムの図である。車両100は、
図6に最もよく示されているように、1つ以上のセンサを含む。いくつかの態様では、1つ以上のセンサは、車両自律用の2つの超音波センサを含み得る。1つ以上のセンサは、車両100および/またはシャーシ15のピッチを感知するための、ピッチセンサ96を含み得る。1つ以上のセンサはまた、車両100および/またはシャーシ15の加速度を感知するための、加速度計80も含み得る。1つ以上のセンサはまた、車両100および/またはシャーシ15の速さを感知するための、速さセンサ83も含み得る。センサ80、83、および96のうちの1つ以上を、シャーシ15の外面上に配設および/または固定することができる。コンピュータ99は、センサ80、83、および96のうちの少なくとも1つと電子的に通信する、直動アクチュエータ制御部92、モータ制御部94、ピッチ制御部98、およびメモリ97を更に含み得る。いくつかの態様では、コンピュータ99は、車両100のシャーシ15の向きまたはピッチの制御を連続的に調節するための制御ループフィードバック機構を適用する、比例-微分-積分制御部(PID制御部)またはPIDベースの制御部を含み得る。他の態様では、ピッチ制御部は、シャーシ15のピッチ角を連続的に調節および補正し車両100の安定性を維持するための、PID制御部を含み得る。
【0093】
本開示のいくつかの実装形態によれば、二輪車両100を動的に安定させるための方法は、シャーシ15上に配設されている少なくとも1つのセンサ80、83、および96によって車両100の動作中の水平線に対するシャーシ15のピッチを測定し、これに基づいてピッチ信号を出力することを含む。方法は、様々な移動および非移動状態、例えば「着座状態」において水平線に対するシャーシの向きを制御するために、少なくとも1つのセンサ80、83、および96のピッチ信号出力に応答して、ピッチ制御部98によって第1の直動アクチュエータシステム40および第2の直動アクチュエータシステム65の少なくとも一方を、第1の車輪キャリッジ20および第2の車輪キャリッジ50の少なくとも一方をシャーシ15に対して長手方向に変位させるように制御することを、更に含む。
【0094】
1つ以上のセンサ80、83、および96は、車両100および/またはシャーシ15の状態の測定値を決定し出力する。この決定はメモリ97および制御部92に送られ、制御部92は、第1の直動アクチュエータシステム40および第2の直動アクチュエータシステム65に動力供給する第3のモータ75の少なくとも一方の動作を命令する。例えば、ピッチセンサ96は車両100および/またはシャーシ15のピッチを判定し、測定されたピッチをメモリ97および制御部92に出力し、制御部92が第3のモータ75の動作を制御する。このように、車両100は、制御部92、94、および98によって、センサ80、83、および96のデータに基づいて、車両100および/またはシャーシ15の向き、加速度、または速さを決定できる。いくつかの実装形態では、センサ80、83、および96は、車両100および/もしくはシャーシ15の向き、加速度、もしくは速さの変化、または、車両100の向き、加速度、もしくは速さの変化の速度を決定するために、異なる時間にまたは連続的に複数の決定を行うことができる。
【0095】
いくつかの実施例では、車両100および/またはシャーシ15の向き、加速度、もしくは速さの、または、向き、加速度、もしくは速さの変化(または変化の速度)の、上記決定が行われると、制御部92および/またはメモリ97は、測定された決定に応答して第1の直動アクチュエータシステム40および第2の直動アクチュエータシステム65の少なくとも一方を移動させるように、第3のモータ75を制御する。一態様では、制御部92および/またはメモリ97は、車両100および/またはシャーシ15の横軸を中心とした車両100および/またはシャーシ15の向きを実質的に一定に維持するべく、第1の直動アクチュエータシステム40および第2の直動アクチュエータシステム65の少なくとも一方を移動させるように、第3のモータ75を制御する。この結果、直動アクチュエータシステム40および65の各々によって、ハブモータ30および55を含む対応する車輪アセンブリが、車両100の残りの部分に対して長手方向において前後に並進することが可能になる。このことの効果は、車輪キャリッジ20および50がその対応する車輪25および45と一緒に並進される方向の反対方向に、シャーシ15(および本体110)を並進させることである。このように本開示は、車両100のシャーシ15の全重量を、車両100を平衡化し動的に安定させこの横方向装着型の車両100の垂直方向の向きを維持するための、カウンタウェイトとして機能するよう利用できる、という利点を提供する。
【0096】
上記したように、いくつかの実装形態によれば、直動アクチュエータシステム40および65の制御された調整によって、車両100がシャーシ15のピッチ角を自動的に、例えば水平線からプラスまたはマイナス2度以内になるように維持することが可能になり、この結果、車両100の制御されたおよび/または安定した動作が可能になる。このことの効果は、例えば定常状態移動または一定速度の間のシャーシ15または車両100のピッチを、ゼロに近いピッチ角に維持することである。シャーシ15または車両100のピッチ角は、傾斜計または慣性測定ユニットのいずれかであり得る、ピッチセンサ96を使用して連続的に感知される。自律および誘導コンピュータ99がピッチ制御部98の代わりにPID制御部を含むいくつかの態様では、PID制御部は次いで感知されたデータを使用して、車輪の25および45の平面内で、シャーシ15または車両100の回転の中心を中心とする補正トルクを提供することができる。この効果のために、PID制御部は、所望のピッチ角(すなわち、ゼロに近いピッチ角)と車両100の不安定性に基づく測定された実際のピッチとの間の差としての誤差値を、連続的に計算する。次いでPID制御部98は、(例えばゼロに近い)所望のピッチ角と感知または測定されたピッチ角との間の値の差を最小にするために、比例項、積分項、および微分項に基づく補正係数を適用する。この結果、いくつかの実装形態では、比例-積分-微分(PID)制御部のアルゴリズムを使用して、カウンタウェイトとして作用するシャーシ15の動きを決定することができる。
【0097】
補正トルクは、車両100の安定した動作を維持するべく、シャーシ15のピッチ角をゼロに近いピッチ角に維持するために適用される。補正トルクはこの場合、キャリッジ20および50ならびに対応する車輪25および45に対する、シャーシ15の前後の動きによって生成される。所与の質量(積荷容積16内の任意の積載物を含む)の車両100について、車両100の回転の中心からのずれの増大によって、生じるトルクが比例的に大きくなり、車両100の通常動作中に経験されるその横軸を中心としたピッチのモーメントと反作用する。
【0098】
図9は、本発明概念の態様に係る、移動キャリア100の形態の車両の実施形態の等角図である。移動キャリア100は、本体110と1組の車輪120とを含む。この実施形態では、移動キャリアは2輪キャリアであり、第1の車輪122はキャリア本体110の一方側にあり、第2の車輪124はキャリア本体110の反対側にある。様々な実施形態では、本体110はまた、内部格納コンパートメント、積載物、および/または機器へのアクセスを提供する、蓋112も含む。様々な実施形態では、荷物を運ぶように移動キャリア100を構成すべく、内部格納コンパートメントは荷物を受けるように構成され得る。
【0099】
この実施形態では、キャリア100はユーザインターフェース130を更に含む。様々な実施形態では、ユーザインターフェース130は、使用者が移動キャリアの動作および機能を制御するのを可能にする、移動キャリアがセンサデータに少なくとも部分的に基づいて特定の動作もしくは機能を実行もしくは停止するのを可能にする、ならびに/またはこれらの組合せとなるように構成されている1つ以上の入力デバイスおよび/またはセンサを含み得る。例として、ユーザインターフェース130は、1つ以上のボタン、タッチスクリーン、カメラ、距離センサ、音声入力デバイス(例えば、マイク)、音声出力デバイス、発光デバイスなど、およびこれらの様々な組合せを含み得る。
【0100】
図10および
図10Aは、
図9の移動キャリア100の正面図である。
図10および
図10Aでは、2つの車輪122、124がよりはっきりと見えており、ユーザインターフェース130も同様である。
【0101】
図11は
図9の移動キャリア100の上面図である。この図では、本体110の一部が車輪122、124の上からの見通しを覆って隠しているため、車輪122、124は部分的に見えている。蓋112はこの視点からの方がよく見えている。この実施形態では、蓋112は、蓋112を開くのに役立つ2つのグリップ113、115を含む。他の実施形態では、蓋112を開くための異なる機構が提供され得る。
【0102】
図12は、車輪122、124が中心にある
図9の移動キャリア100の側面図である。
図12では、垂直軸線「Y」が車輪122、124の回転軸を通過している。この図では、車輪122、124はニュートラル位置にある、すなわち、軸線Yおよび移動キャリア100aの重心と概ね中心が合っている。様々な実施形態では、ニュートラル位置は、例えば移動キャリア100が加速もしくは減速していない場合である定常状態走行位置、および/または、車輪122、124の後方位置と前方位置の間でのシフト中に達成される中間位置であり得る。
【0103】
好ましい実施形態では、移動キャリア100は、本体110(そのシャーシを含む)を車輪122、124に対する前方位置と後方位置の間で前後にシフトさせる、リンク機構式シフトアセンブリ(以下を参照)を含む。リンク機構式シフトアセンブリは、加速および減速中の移動キャリア100に対する制御性を高める、すなわち、車輪122、124の回転軸に対する荷重の位置に応じて車輪122、124に対するトルク制御性を高める。様々な実施形態では、車輪122、124は共通の回転軸を共有しているが、独立的に駆動させることができる。
【0104】
図13は、車輪122、124が後方にあり重心(および本体110)が前方にある、
図9の移動キャリア100の側面図である。車輪122、124のこの配置は、例えば、車輪122、124のほかに本体の少なくとも1つの部分、例えば足部が地面に接触している、キャリア100の休止または「着座」位置であり得る。本体110は足部が地面から持ち上がるように僅かに前方にシフトすることができ、本体は、キャリア100を加速させるために車輪122、124に対して前方にシフトされた状態に留まることができる。したがって加速中、車輪122、124の回転軸がキャリア本体110の重心よりも後ろにシフトされ、このことにより加速中の車輪122、124のトルクに対する制御性が高まる。ニュートラル(または「起立」)位置から後方位置への車輪のシフトは、本明細書で検討するリンク機構式シフトアセンブリによって実現され制御される。
【0105】
図14は、車輪122、124が前方にあり荷重(本体110)が後方にある、
図9の移動キャリア100の側面図である。本体110(および重心)に対する車輪122、124のこの配置はキャリア100の減速の際に使用される配置であり得、このとき車輪122、124はキャリア本体110の重心の前方にシフトされており、このことにより減速中の車輪122、124のトルクに対する制御性が高まる。後方位置からニュートラル位置を通って前方位置に至る車輪122、124のシフトは、リンク機構式シフトアセンブリによって実現され制御される。
【0106】
図15(a)から
図15(c)は、車輪と本体の適切な相対的シフトによって、(左から右に)着座位置から起立位置および駆動位置へと移動する、
図9の移動キャリア100の側面図を示す。
図15(a)では、移動キャリア100は開始または着座位置にあり、車輪122、124が本体110に対して後方にある。これはまた、着座状態から移動状態へと移行するために使用される加速位置でもある。キャリア本体110は車輪122、124に対してシフトし、この結果キャリアが加速のために着座位置から起立位置へと移行される。移動キャリア100が加速する際、車輪122、124はこのシフトされた位置に留まる。
図15(a)では、キャリアは加速位置で示されている。
【0107】
図15(b)は、ニュートラル走行または移行位置にあるキャリア100を示し、この位置はまた起立位置でもあり得る。この位置は、キャリアが例えば実質的に一定の速さで走行しているときに使用され得る。この位置は加速および/または減速の際にも使用できるが、トルク制御は
図15(a)および
図15(c)に示す位置の場合ほどには良好にならないであろう。この位置はまた、本体を車輪122、124に対して後方にまたは前方にシフトさせる間の、中間位置であり得る。
【0108】
図15(c)は、車輪122、124が軸線Yに対して前方にシフトされている、減速位置にあるキャリア100を示す。車輪122、124のこの位置は、停止または速度を落とすのに有利である。
【0109】
図16は、
図1の移動キャリア100の一部を構成し得るリンク機構式シフトアセンブリ800の実施形態の等角図である。
図17は、
図16のリンク機構式アセンブリの正面図である。そして
図18は、
図16のリンク機構式シフトアセンブリの底面等角図である。
【0110】
アセンブリ800は、共通の回転軸を共有する2つ以上の車輪、例えば車輪122、124などに対する、キャリア本体110のシフトを可能にし実行するために特に有用である。アセンブリ800をキャリア本体110の中に配設し、キャリア本体110に対して移動させることができる。
【0111】
アセンブリ800は、アセンブリ800の両側に配設されている第1のスイングアーム802aおよび第2のスイングアーム802bを含む。アーム802a、802bは、キャリア本体110の移動キャリアシャーシに対してスイングするように構成されている。様々な実施形態では、アーム802a、802bは同時にスイングして本体110およびそのシャーシを車輪122、124の中心に対して移動させるように構成されており、この中心は軸線「X」と同軸のままである。
【0112】
各アーム802a、802bの近位端には、車輪122、124を受けるように構成されている接続構造804a、804bがある。この実施形態では、接続構造804aは、車輪122の車軸を受けるように構成されている開口部の形態をとり、接続構造804bは、車輪124の車軸を受けるように構成されている開口部の形態をとる。車輪122、124とそれらの対応するアーム802a、802bの間の結合によって、回転軸X上でのアームに対する車輪の回転が可能になる。
【0113】
本実施形態では、中間の第1の支持プレート806aおよび第2の支持プレート806bは、キャリア本体110、またはそのシャーシに対して不動である。支持プレート806a、806bはこの実施形態の場合のように、車輪122、124と実質的に平行に方向付けることができる。この実施形態では、第1の支持プレート806aおよび第2の支持プレート806bの各々は、第1の支持プレート806aおよび第2の支持プレート806bをキャリア本体110のシャーシに固定するように構成されている複数のフランジ805a、805b、807a、807bを含む。
【0114】
アーム802a、802bは、支持プレート806a、806bと平行にスイングするように構成されている。この実施形態では、支持プレート806a、806bの間に様々なリンク機構構成要素が配設されている。この構成は、移動キャリア110の内部格納コンパートメント(図示せず)、積載物、または機器に、最大限の空間を提供するように構成されている。
【0115】
第1の支持プレート806aから、第1のリンク機構アーム812aおよび第2のリンク機構アーム814aが延びている。第1のリンク機構アーム812aおよび第2のリンク機構アーム814aは、第1の支持プレート806aに回転可能に結合されている。そして、第2の支持プレート806bから、第3のリンク機構アーム812bおよび第4のリンク機構アーム814bが延びている。第3のリンク機構アーム812bおよび第4のリンク機構アーム814bは、第2の支持プレート806bに回転可能に結合されている。
【0116】
第1のリンク機構バー816aは、第1のアーム802aの遠位端と第2のアーム802bの遠位端の間に結合する。第1のリンク機構バー816aは、第1のリンク機構アーム812aの底端部にある開口部を通過して第1のアーム802aに結合し、第3のリンク機構アーム812bの底端部にある開口部を通過して第2のアーム802bに結合する。
【0117】
第2のリンク機構バー816bは、第1のアーム802aの遠位端と第2のアーム802bの遠位端の間に結合する。第2のリンク機構バー816bは、第3のリンク機構アーム814aの底端部にある開口部を通過して第1のアーム802aに結合し、第4のリンク機構アーム814bの底端部にある開口部を通過して第2のアーム802bに結合する。第1のリンク機構バー816aおよび第2のリンク機構バー816bは、車輪122、124の回転軸Xと平行な軸線に沿って延びている。
【0118】
アーム802a、802bの遠位端には、左側車輪プーリ808aおよび右側車輪プーリ808bも配設されている。この実施形態では、左側車輪プーリ808aおよび右側車輪プーリ808bは、第1のリンク機構バー816aと第2のリンク機構バー816bの間に配設されている。プーリ808a、808bは駆動モータ810a、810bによってそれぞれ駆動される。様々な実施形態では、モータ810aはアーム802aに結合されており、モータ810bはアーム802bに結合されている。この構成によりモータ810a、810bが車輪122、124に対して不動のままであることが可能になるが、その理由は、各モータ810a、810bもそのスイングアーム802a、802bに取り付けられているからである。
【0119】
プーリ808a、808bは、それらの対応する車輪122、124に動作可能に結合するように構成され得る。したがって車輪122、124のハブは好ましくは、対応するプーリ104a、104bを含む。様々な実施形態では、プーリ808aと車輪122の対応するプーリ104aとの間には、第1のベルト(図示せず)が動作可能に結合されている。同様に、プーリ808bと車輪124の対応するプーリ104bとの間には、第2のベルト(図示せず)が動作可能に結合されている。したがって、モータ810a、810bは、車輪122、124をそれらの対応するプーリシステムを介して独立的に駆動するように構成されている。
【0120】
アーム802a、802bのおよび支持プレート806a、806bの間には、シフトアセンブリ830が配設されている。シフトアセンブリ830は、キャリア本体110を車輪122、124に対してシフトさせるように構成されている。
【0121】
シフトアセンブリ830は、第1のリンク機構バー816aおよび第2のリンク機構バー816bが通過する底部を有する、ギアキャリッジ832を含む。ギアキャリッジ832の底部には第1のギア833があり、ギアキャリッジ832の上部には第2のギア834および同軸のキャプスタン835が配設されている。この実施形態では、ギアキャリッジ832は平行なプレートを備え、これらの間には第1のギア833および第2のギア834とキャプスタン835とが配設されている。
【0122】
少なくとも1つのシフタモータ836が第1のギア833を駆動して、第1のギア833の回転移動を引き起こす。第1のギア833は、シフタモータ836の作動に応答して第2のギア834に係合し、これを駆動する。第2のギア834は、キャプスタン835に結合されているかまたはこれを含む。第2のギア834の回転によってキャプスタン835の対応する回転が引き起こされる。
【0123】
エンコーダ838は第2のギア834およびキャプスタン835に動作可能に結合されており、第2のギア834の角度を測定する。キャプスタン835は、移動シャーシ(またはキャリア本体110)に両端が固定されている鋼索(図示せず)を巻き取る。第1のギア833によって係合され回転される第2のギア834の回転を介した、キャプスタン835の回転は、駆動モータ810a、810bおよび車輪122、124を備えたリンク機構アセンブリ800をシャーシの端から端まで伝ってゆくことによって、車輪122、124に対するキャリア本体110のシフト動作を実現し、この場合、シャーシに取り付けられている支持プレート806a、806bは相対的に不動である。
【0124】
したがって、この実施形態では、シフタモータ836は第1のギア834に結合されて、アセンブリ800を前方および後方に選択的にシフトさせる。アセンブリ800をシフトさせる際に、移動キャリア本体110は、車輪122、124および車輪回転軸Xに対して、制御された方式で前方および後方に選択的にシフトされる。
【0125】
図19は、本発明概念の態様に係る、車輪シフトアセンブリ900の別の実施形態の側面図である。
図1から
図18の実施形態は、特定のタイプの車輪シフトアセンブリである。様々な他の実施形態では、シフトアセンブリ900は、車輪122、124に対して前方および/または後方にシフトするためのキャリア本体および/またはシャーシのシフトを可能にする、任意の形態をとり得る。そのようなシフトを用いて、例えば直線状か曲線状かを問わない1つ以上のトラック902内で、車輪122、124を前方および後方にシフトさせることができる。そのようなシフトによって重心が車輪122、124に対して前方および後方にシフトされ、このことにより、移動キャリア100を加速度および減速するために車輪にかかるトルクの制御性が改善される。
【0126】
本開示の様々な実装形態は、車両シャーシの全質量、すなわち車両の全質量からハブモータおよび車輪を引いたものが、車両100を安定させるためのカウンタウェイトの役割を果たすという点で、先行技術に対する利点を提供する。このことによりこれまで達成可能であったよりもかなり大きい量のトルクが得られ、この結果より大きな加速および減速が可能になり、これに応じて制動距離をより短くし応答性をより速めることが可能になる。更に、トルクの増大によって、車両が傾斜が変化する地形を上り下りするときの性能の向上が可能になる。
【0127】
上記の内容は最良の形態と考えられるものおよび/または他の好ましい実施形態について記載しているが、それらにおいて様々な変形を行うことができること、ならびに1つ以上の本発明を様々な形態および実施形態で実施できること、ならびにそれらを本明細書にはその一部しか記載されていない多数の用途に適用できることが理解される。以下の特許請求の範囲は、各請求項の範囲内にある全ての変形および変更を含めて、記載されている文字通りの内容およびその全ての等価物を特許請求することを意図している。
【0128】
明瞭さのために個別の実施形態の文脈で記載される本発明の特定の特徴を、単一の実施形態において組み合わせて提供してもよいことが諒解される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で記載される本発明の様々な特徴を、個別に、または任意の好適な下位組合せで提供してもよい。
【0129】
例えば、(独立か従属かを問わず)請求項のうちの任意のものに明記された特徴は全て、任意の所与の方法で組み合わせ可能であることが諒解されるであろう。
【国際調査報告】