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特表2022-508980リチウム遷移金属酸素化合物の製造方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(54)【発明の名称】リチウム遷移金属酸素化合物の製造方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   C01G 53/00 20060101AFI20220113BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20220113BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20220113BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20220113BHJP
【FI】
C01G53/00 A
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/58
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2020533074
(86)(22)【出願日】2019-12-02
(85)【翻訳文提出日】2020-06-16
(86)【国際出願番号】 CN2019122375
(87)【国際公開番号】W WO2021082166
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】201911038407.2
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519388479
【氏名又は名称】山東澤石新材料科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】張 会斌
(72)【発明者】
【氏名】王 瑛
(72)【発明者】
【氏名】王 金福
(72)【発明者】
【氏名】牛 龍偉
(72)【発明者】
【氏名】趙 洪東
【テーマコード(参考)】
4G048
5H050
【Fターム(参考)】
4G048AA04
4G048AB01
4G048AC06
4G048AD04
4G048AE05
5H050AA19
5H050BA06
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050GA02
5H050GA10
5H050GA26
5H050GA29
5H050HA02
5H050HA04
5H050HA05
5H050HA14
5H050HA20
(57)【要約】
本発明は、リチウム遷移金属酸素化合物の製造方法を提供し、それは、A)リチウム塩と前駆体とを混合した後、反応器に入れて仮焼成を行い、前記リチウム塩の粒子径(D50)は10~20μmであり、前記前駆体の粒子径(D50)は1~20μmであり、前記前駆体は遷移金属オキシ水酸化物、遷移金属水酸化物及び遷移金属炭酸塩の一種又は複数種であるステップと、B)仮焼成された生成物を流動床反応器に加え、順に一次焼成及び二次焼成を行い、リチウム遷移金属酸素化合物を得、前記リチウム遷移金属酸素化合物の製造原料は、さらに、酸素含有主族金属化合物を含み、前記酸素含有主族金属化合物は、リチウム塩及び前駆体を加えた後、仮焼成段階、一次焼成段階又は二次焼成段階で添加され、前記酸素含有主族金属化合物の粒子径は10~100nmであるステップと、を含む。本発明は、さらに、流動床反応器を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)リチウム塩と前駆体とを混合した後、反応器に入れて仮焼成を行うステップであって、
前記リチウム塩の粒子径(D50)は10~20μmであり、前記前駆体の粒子径(D50)は1~20μmであり、
前記前駆体は遷移金属ヒドロキシリチウム酸素化合物、遷移金属水素化リチウム酸素化合物及び遷移金属炭酸塩の一種又は複数種である、
ステップと、
B)仮焼成された生成物を流動床反応器に加え、順に一次焼成及び二次焼成を行い、リチウム遷移金属酸素化合物を得るステップであって、
前記リチウム遷移金属酸素化合物の製造原料は、さらに、酸素含有主族金属化合物を含み、前記酸素含有主族金属化合物は、リチウム塩及び前駆体を入れる仮焼成段階、一次焼成段階又は二次焼成段階で添加され、
前記酸素含有主族金属化合物の平均粒子径は10~100nmである、
ステップと、
を含むリチウム遷移金属酸素化合物の製造方法。
【請求項2】
前記仮焼成の温度は、50~150℃であり、
前記仮焼成の時間は、1~10時間である、
ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記酸素含有主族金属化合物における主族金属は、アルミニウム、チタン、マグネシウム、バナジウム、セリウム、ジルコニウム及びモリブデンの一種又は複数種である、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記のリチウム塩と、前駆体と、酸素含有主族金属化合物とのモル比は、(1.01~1.10):1:(0.001~0.01)である、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記仮焼成中に、流動床の気流速度は、1~10cm/sであり、
前記一次焼成中に、流動床の気流速度は、5~15cm/sであり、
前記二次焼成中に、流動床の気流速度は、10~20cm/sである、
ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記一次焼成の温度は、150~800℃であり、前記一次焼成の時間は、2~10時間である、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記二次焼成の温度は、500~1000℃であり、前記二次焼成の時間は、5~20時間である、ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
流動床反応器において、前記流動床反応器の上部に膨張部が設けられ、外側に全体包囲式加熱装置が設けられ、
前記流動床の底部封止ヘッドが球形、楕円体、円形又は円錐形であり、前記底部封止ヘッドの真上にガス導入口が設けられ、且つガス導入口の開口方向が流動床の底部封止ヘッドに向き、
頂部にガス排出管及びサイクロン分離器が設けられ、前記ガス排出管の出口がサイクロン分離器と連通している、
ことを特徴とする流動床反応器。
【請求項9】
前記流動床反応器には、セラミックライニングであるライニングが設けられている、ことを特徴とする請求項8に記載の流動床反応器。
【請求項10】
前記流動床の直径は0.1~10mであり、膨張部の直径は0.1~20mである、ことを特徴とする請求項8に記載の流動床反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年10月29日に中国国家知識産権局に提出した、出願番号が201911038407.2、発明名称が「リチウム遷移金属酸素化合物の製造方法及び装置」である中国特許出願に基づく優先権を主張し、そのすべての内容は援用により本出願に組み込まれている。
【0002】
(技術分野)
本発明はリチウム電池技術分野に属し、特に、リチウム遷移金属酸素化合物の製造方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
新エネルギー電池産業は、世界のエネルギー消費と環境保護の問題を大幅に緩和し、リチウム遷移金属酸素化合物は新エネルギー電池の重要な構成部分であり、幅広い市場価値を持つ。
現在、リチウム遷移金属酸素化合物を製造するためのよく知られている方法は、匣鉢焼成法を採用し、前駆体とリチウム化合物の混合物を匣鉢に入れ、その後、ローラーハースキルンにて高温で焼成した後、さらに、粉体化、洗浄、ろ過乾燥、表面乾燥、フイルム被覆、二次焼成、二次粉体化、スクリーニング、消磁、バッチ式混合を経て製品粉体を得るが、その方法は、処理プロセスが複雑で、生産制御ポイントが多く、生産性が低く、また、匣鉢のサイズが制限され、充填高さが制限されるため、ローラーハースキルン法に基づくスケールアップ生産は高い投資コストにつながる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、リチウム遷移金属酸素化合物の製造方法及び装置を提供することを目的とする。本発明の製造方法は、生産性が高く、且つ得られたリチウム遷移金属酸素化合物は、粒度の均一性がよく、規則的な形態を持ち、電気化学的特性に優れている。
本発明は、
A)リチウム塩を前駆体と混合した後、反応器に入れて仮焼成を行い、
前記リチウム塩の粒子径(D50)は10~20μmであり、前記前駆体の粒子径(D50)は1~20μmであり、
前記前駆体は遷移金属ヒドロキシリチウム酸素化合物、遷移金属水素化リチウム酸素化合物及び遷移金属炭酸塩の一種又は複数種であるステップと、
【0005】
B)仮焼成された生成物を流動床反応器に加え、順に一次焼成及び二次焼成を行い、リチウム遷移金属酸素化合物を得、
前記リチウム遷移金属酸素化合物の製造原料は、さらに、酸素含有主族金属化合物を含み、前記酸素含有主族金属化合物は、リチウム塩及び前駆体を加えた後、仮焼成段階、一次焼成段階又は二次焼成段階で添加され、
前記酸素含有主族金属化合物の平均粒子径は10~100nmであるステップと、を含むリチウム遷移金属酸素化合物の製造方法を提供する。
好ましくは、前記仮焼成の温度は50~150℃であり、
前記仮焼成の時間は、1~10時間である。
好ましくは、前記酸素含有主族金属化合物における主族金属は、アルミニウム、チタン、マグネシウム、バナジウム、セリウム、ジルコニウム及びモリブデンの一種又は複数種である。
好ましくは、前記のリチウム塩と、前駆体と、及び酸素含有主族金属化合物とのモル比は、(1.01~1.10):1:(0.001~0.01)である。
好ましくは、前記仮焼成中に、流動床の気流速度が1~10cm/sであり、
前記一次焼成中に、流動床の気流速度が5~15cm/sであり、
前記二次焼成中に、流動床の気流速度が10~20cm/sである。
好ましくは、前記一次焼成の温度が150~800℃であり、前記一次焼成の時間が2~10時間である。
好ましくは、前記二次焼成の温度が500~1000℃であり、前記二次焼成の時間が5~20時間である。
【0006】
本発明は、流動床反応器において、前記流動床の上部に膨張部が設けられ、外側に全体包囲式加熱装置が設けられ、
前記流動床の底部封止ヘッドが球形、楕円体、円形又は円錐形であり、前記底部封止ヘッドの真上にガス入口が設けられ、且つガス入口の開口方向が流動床の底部封止ヘッドに向き、
前記流動床の頂部にガス排出管及びサイクロン分離器が設けられ、前記ガス排出管の出口がサイクロン分離器と連通する、ことを特徴とする流動床反応器を提供する。
好ましくは、前記流動床反応器にはセラミックライニングであるライニングが設けられている。
好ましくは、前記流動床の直径が0.1~10mであり、膨張部の直径が0.1~20mである。
【0007】
本発明は、A)リチウム塩と前駆体とを混合した後、反応器に入れて仮焼成を行い、前記リチウム塩の粒子径(D50)は10~20μmであり、前記前駆体の粒子径(D50)は1~20μmであり、前記前駆体は遷移金属ヒドロキシリチウム酸素化合物、遷移金属水素化リチウム酸素化合物及び遷移金属炭酸塩の一種又は複数種であるステップと、B)仮焼成された生成物を流動床反応器に加え、順に一次焼成及び二次焼成を行い、リチウム遷移金属酸素化合物を得、前記リチウム遷移金属酸素化合物の製造原料は、さらに酸素含有主族金属化合物を含み、前記酸素含有主族金属化合物は、リチウム塩及び前駆体を加えた後、仮焼成段階、一次焼成段階又は二次焼成段階で添加され、前記酸素含有主族金属化合物の粒子径は10~100nmであるステップと、を含むリチウム遷移金属酸素化合物の製造方法を提供する。ミクロンレベルの粒子は流動化しにくいため、本発明は、ミクロンレベルのリチウム塩及び前駆体にナノレベルの酸素含有主族金属化合物を加え、流動化状態の技術により加えることにより、製品は良い性能及び流動化効果を得ることができ、さらに、本発明は、酸素含有主族金属化合物の添加するタイミングも限定し、リチウム塩及び前駆体を加えた後、仮焼成ステップにおける処理過程中に、リチウム塩及び前駆体中の遊離水、結晶水を除去させることができ、中間反応物粒子は、粒度が均一で、形態が規則的である傾向があり、粒子の粘度が低く、反応活性が高く、流動化状態である際に、ナノレベルの酸素含有主族金属化合物を添加すると、分布がより均一になり、相対的に反応時間が短くなり、ミクロンレベルの粗い粒子間のファンデルワールス力が低減し、凝集現象が減少し、さらに、製品の結晶格子へのリチウム挿入及びコーティング、ドーピングがより均一になり、製品の一貫性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の実施例又は従来の技術における技術案をより明確に説明するために、実施例又は従来の技術の説明で使用される図面を以下に簡単に説明する。以下の説明における図面は本発明の実施例に過ぎず、当業者は創造的な労力を要することなく、提供される図面に基づいて他の図面を得ることができることは明らかである。
【0009】
図1図1は、本発明の流動床反応器の構造概略図であり、 ここで、1は原料供給口、2は膨張部、3は全体包囲式加熱装置、4は外側断熱層、5はガス導入管、6は気力輸送によるガス導入口、7は排出口、8は自動制御排出バルブ、9は材料輸送管路、10はガス排出管、11はサイクロン分離器のガス排出管、12はサイクロン分離器の脚部、13は流動床反応器のライニング、14は流動床である。
図2図2は、本発明の実施例2で得られたリチウム遷移金属酸化物のSEM画像である。
図3図3は、本発明の実施例及び比較例1の仮焼成、一次焼成及び二次焼成過程中にまとめられた圧力差対比図である。
図4図4は、本発明の実施例1及び比較例1の製品の粒子径の対比図である。
図5図5は、本発明の実施例1及び比較例1で得られた製品の放電容量の対比図である。
図6図6は、本発明の実施例1及び比較例1で得られた製品のXRDパターンである。
図7図7は、本発明の実施例1及び比較例2における製品のXRDパターンである。
図8図8は、本発明の実施例3の製品のSEM画像である。
図9図9は、本発明の実施例1及び比較例4での流動床における昇温曲線である。
図10図10は、本発明の実施例1の製品のSEM画像である。
図11図11は、本発明の比較例5の製品のSEM画像である。
図12図12は、本発明の実施例1及び比較例5の製品の容量のサイクル特性グラフである。
図13図13は、本発明の実施例1及び比較例6の仮焼成、一次焼成及び二次焼成過程中にまとめられた圧力差図である。
図14図14は、本発明の実施例1及び実施例3のXRDパターンである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、
A)リチウム塩と前駆体とを混合した後、反応器に入れて仮焼成を行い、
前記リチウム塩の粒子径D50は10~20μmであり、前記前駆体の粒子径D50は、1~20μmであり、
前記前駆体は遷移金属ヒドロキシリチウム酸素化合物、遷移金属水素化リチウム酸素化合物及び遷移金属炭酸塩の一種又は複数種であるステップと、
B)仮焼成された生成物を流動床反応器に加え、順に一次焼成及び二次焼成を行い、リチウム遷移金属酸素化合物を得、
前記リチウム遷移金属酸素化合物の製造原料は、さらに、酸素含有主族金属化合物を含み、前記酸素含有主族金属化合物は、リチウム塩及び前駆体を加えた後の仮焼成段階、一次焼成段階又は二次焼成段階で添加され、
前記酸素含有主族金属化合物の粒子径は10~100nmであるステップと、を含むリチウム遷移金属酸素化合物の製造方法を提供する。
本発明は、まず、リチウム塩と前駆体とを機械的に混合し、その後、さらに反応器に加えて仮焼成することが好ましい。
【0011】
前記リチウム塩は、炭酸リチウム、水酸化リチウム、硫酸リチウム、酢酸リチウム、硝酸リチウム、塩化リチウム及びフッ素化リチウムの一種又は複数種であることが好ましく、炭酸リチウム及び/又は水酸化リチウムであることがより好ましく、前記前駆体は、遷移金属ヒドロキシリチウム酸素化合物、遷移金属水素化リチウム酸素化合物及び遷移金属炭酸塩の一種又は複数種であることが好ましく、前記遷移金属オキシ水酸化物及び水酸化物は、水酸化ニッケル、水酸化コバルト、水酸化マンガン、ニッケルコバルトアルミニウム水酸化物及びニッケルコバルトマンガン水酸化物の一種又は複数種であることが好ましく、前記遷移金属炭酸塩は、炭酸コバルト、炭酸ニッケル、炭酸マンガン、炭酸ニッケルコバルトアルミニウム及び炭酸ニッケルコバルトマンガン化合物の一種又は複数種であることが好ましい。
本発明において、前記リチウム塩及び前駆体は、ミクロンレベルであることが好ましく、前記リチウム塩の粒子径は、12~15μmであることが好ましく、前記前駆体の粒子径は、8~12μmである好ましい。
本発明において、前記仮焼成の反応器は、流動床反応器、移動床反応器、固定床反応器、攪拌床反応器、回転炉、回転床炉、揺動キルン、ローラーハースキルン又はトンネルキルンであることが好ましく、流動床反応器であることがより好ましい。
【0012】
本発明において、前記仮焼成の温度は、50~150℃であることが好ましく、100~150℃であることがより好ましく、前記仮焼成の時間は、1~10時間であることが好ましく、2~8時間であることがより好ましい。前記加熱の方式は、放射熱伝達であり、前記昇温の速度は、1~10℃/minであることが好ましく、5~8℃/minであることがより好ましい。
本発明において、前記仮焼成は、酸素ガス雰囲気下で行い、前記酸素ガスは、高純度酸素ガスであることが好ましく、前記酸素ガスの流速は、1~10cm/sであることが好ましく、5~6cm/sであることがより好ましい。
仮焼成過程中において、混合物が流動化状態である際に昇温し、固体表面の水及びリチウム塩の結晶水を除去でき、固体表面の水の蒸発温度は100℃であり、リチウム塩の結晶水の除去温度は150℃であり、水分が除去された後、気体状態になり、流動化状態下で気-固接触面積が大きく、迅速に他のガスと混合して固体表面から取り除かれ、焼成過程中に、固体粒子表面及び細孔は水の蒸発により露出し、固液界面を形成し、相界面が毛細管力により収縮するため、粒子を緊密に接触させ密着し、固体粒子の表面のヒドロキシル基が水素結合を形成し、水分の除去に伴い、2つの粒子の非架橋ヒドロキシル基は、自発的に-O-化学結合に変化し、凝集を形成する。凝集は、微細な粉末粒子の成長をもたらし、粒度及び形態が制御できない。
【0013】
本発明の仮焼成では、遊離水及び結晶水の除去は、ほとんどの熱を除去し、後処理中のエネルギー消費を低減させ、粒子が流動化状態である時に、水の減少により材料の凝集発生が減少し、凝集のさらなる減少及び固体粒子の流動化により、粒子サイズが均一になり、形態が規則的になる傾向があり、水の除去により、固体粒子の粘度を低減することができ、結晶水の除去により、リチウム塩の結晶サイズが減少し、反応活性が向上し、凝集しにくい且つ粘度が低下した固体粒子は流動化の安定化に役たつ。
上記仮焼成が完了した後、本発明は、仮焼成された生成物をパイプラインを介して次の流動床反応器中に輸送し、一次焼成する。好ましくは、一次焼成する流動床反応器は仮焼成する流動床反応器と同じ大きさ及び構造を持つ。
本発明において、前記一次焼成の温度は、150~800℃であることが好ましく、200~700℃であることがより好ましく、300~600℃であることが最も好ましく、具体的には、本発明の実施例では、500℃であることができ、前記一次焼成の時間は、1~10時間であることが好ましく、2~8時間であることがより好ましく、3~5時間であることが最も好ましい。前記一次焼成は、酸素ガス雰囲気下で行うことが好ましく、前記酸素ガスは、高純度酸素ガスであることが好ましく、前記酸素ガスの流速は、5~15cm/sであることが好ましく、8~10cm/sであることがより好ましい。
【0014】
前記一次焼成が完了した後、本発明は、一次焼成後の生成物をパイプラインを介して次の流動床反応器中に移し、二次焼成、即ち、焼成後処理を行う。好ましくは、二次焼成する流動床反応器は一次焼成する流動床反応器と同じ大きさ及び構造を持つ。
前記二次焼成の温度は、500~1000℃であることが好ましく、600~900℃であることがより好ましく、700~800℃であることが最も好ましく、具体的には、本発明の実施例では、730℃であることができ、前記二次焼成の時間は、5~20時間であることが好ましく、10~15時間であることがより好ましい。前記二次焼成は、酸素ガス雰囲気下で行うことが好ましく、前記酸素ガスは、高純度酸素ガスであることが好ましく、前記酸素ガスの流速は、10~20cm/sであることが好ましく、15cm/sであることがより好ましい。
製造プロセスにおいて、製品の電気化学的性能及び原料の流動化性能を改善するために、本発明は、製造中に、ナノレベルの酸素含有主族金属酸化物を加えることが好ましく、酸素含有金属化合物の添加により、製品は良い性能及び流動化効果を得ることができる。1)前記酸素含有金属化合物は、ナノレベル粉体であり、本発明は、流動化技術により製品のコーティングを実現し、異なる物質の接触面積を増加させ、コーティングがより均一になることができ、2)流動化状態にある時に、製品の自由空間が大きくなり、製品への損傷を減らし、製品のサイクル特性を向上させることができ、3)前駆体及びリチウム塩は、ミクロンレベルの粉末状材料であり、酸素含有金属化合物の添加により、ミクロンレベルの粗い粒子間のファンデルワールス力が減少し、材料の粘度が低下し、その流動化性能が向上する。
【0015】
本発明は、リチウム塩及び前駆体を反応器に加えた後、さらに、酸素含有主族金属化合物を加えることができ、リチウム塩及び前駆体を加える仮焼成段階でも一次焼成又は二次焼成段階でもかまわない。本発明の研究より、このような添加方式は、リチウム塩、前駆体及び酸素含有主族金属化合物を反応器に一緒に添加する方法と比較して、並びに二次焼成が完了した後、酸素含有主族金属化合物によるコーティングする方法と比較して、本発明は高温反応段階で酸素含有主族金属化合物を加えることにより、分布がより均一になり、相対的に反応時間が短くなり、ミクロンレベルの粗い粒子間のファンデルワールス力が減少し、凝集が減少することができ、さらに、製品の結晶格子を完全に発達させ、コーティング、ドーピングがより均一になることができ、製品の一貫性を向上させることを見出する。
本発明において、上記製造方法で製造されたリチウム遷移金属酸化物の化学式は、LiCoO、LiMnO、LiNiO、LiFePO及びLiNiCoMn1-x-y、LiNiCoAl1-x-y化合物などであり、ここで、xは0.33~0.93であり、yは0~0.33である。平均粒子径D50は1~20μmで、比表面積は0.1~2.0m/gである。
本発明で製造されたリチウム遷移金属酸化物は、一次または二次充電式電池用極板の製造に適用できる。
【0016】
本発明は、さらに、流動床反応器において、前記流動床の上部に膨張部が設けられ、外部に全体包囲式加熱装置が設けられ、
前記流動床の底部封止ヘッドは球形、楕円体、円形又は円錐形であり、前記底部封止ヘッドの真上にガス導入口が設けられ、且つガス導入口の開口方向が流動床の底部封止ヘッドに向き、
前記流動床の頂部にガス排出管及びサイクロン分離器が設けられ、前記ガス排出管の出口がサイクロン分離器と連通している、流動床反応器を提供する。
【0017】
前記流動床反応器は、下部にガス導入口が取り付けられ、且つ流動床の底部封止ヘッドが球形、楕円体、円錐形の1種であり、ガス導入管は封止ヘッドの上方で流動床の封止ヘッド部位に向き合ってガスを導入し、ガスは球形、楕円体又は円錐形の封止ヘッドを通過して逆混合された後、導入されたガスと再度混合し、ガス導入管の上部の水平断面のガス流速が均一に分布する傾向があり、ガスの流れ方向が上向きであり、上部の固体材料と均一に接触し、これは安定した流動化を形成する必要な条件である。しかも、側面には、内部材料の流動状態をモニタリングし、流速及び圧力を合理的な範囲に経時的に調整し、固体材料の安定した流動化を確保するように、異なる位置に圧力測定口が設けられている。
本発明の流動床反応器は、単段反応器であり、処理段階の低減が許容され、反応効率を向上させ、材料がパイプラインを介して単段反応器に移送した後、材料の焼成時間に従って排出バルブを開き、材料の熱処理時間を確保し、製品のバッチ間の一貫性を向上させる。
前記流動床反応器には、膨張部が設けられ、気固混合材料が膨張部に上昇する際に、ガス速度が低減し、材料に下向きの力がかかり、材料が減速し、一定の位置まで上昇した後、材料が下向きに加速し、膨張部の下に沈降し、管径が減少し、ガス速度が再び増加し、材料が減速して下降し、さらに加速して上昇し、材料が上昇下降運動サイクルを繰り返し、粒子間、粒子と内壁の間に熱及び物質交換を連続的に行い、製品の一貫性を効果的に向上させる。本発明において、前記膨張部と流動床非膨張部との直径比は、1~2倍であることが好ましい。
【0018】
前記流動床反応器の外側には全体包囲式加熱装置が設けられ、加熱装置の外側に断熱層が設けられ、包囲式加熱は熱放射により内部温度の均一性を大幅に向上させ、内部固体材料の熱はすべて熱放射に由来するため、加熱効率が高く、固体材料の昇温速度が制御可能であり、且つガス速度の低減が許容され、さらに、ガス消費量を削減させ、エネルギー消費を削減させ、熱処理の効率を向上させることができ、また、前記制御可能な昇温速度は、さらにセラミックライニング材料の特性に対して調整され、熱衝撃によるセラミック材料への損傷を減らし、セラミック材料の脱落によって製品に磁性異物が混入するリスクを低減させる。
前記流動床反応器のガス導入パイプライン及び原料供給パイプラインの外側には、加熱装置が設けられ、加熱装置の外側は断熱層で覆われ、導入されたガス及び材料を十分に予加熱し、熱衝撃を低減させる。
前記反応器の高さ及び直径は、生産能力の要求に応じて調整でき、直径は0.1~10m、高さは0.5~100mを選択してもよく、反応器の底部設計及び固体材料の熱処理ステップに基づいて、前記サイズの反応器内で材料の安定した流動化を確保できるため、単回材料供給直径が1mを超え、また、昇温速度及び熱処理時間の決定により、反応器の単回処理量がほぼ100トンに達し、反応効率が大幅に向上し、且つ製品が安定した流動化にあり、製品の一貫性が高くなる。
【0019】
前記流動床反応器の下部には、信号制御による排出バルブが設けられており、原料排出過程の自動制御を確保できる。前記流動床反応器の上部には、サイクロン分離器が設けられ、ガスに伴って運ばれた少量の粒子は、サイクロン分離器を通過した後、流動床反応器の内部に再び戻り、製品の収率が向上する。
前記流動床反応器は、開口弁の下方に気力輸送装置が設けられている。前記材料は、反応器の下方から排出し、気流により材料を加熱層が被覆されたパイプラインに輸送し、次の工程に入る。
本発明は、A)リチウム塩と前駆体とを混合した後、反応器に入れて仮焼成を行い、前記リチウム塩の粒子径D50は10~20μmであり、前記前駆体の粒子径D50は1~20μmであり、前記前駆体はリチウム遷移金属酸素化合物、遷移金属ヒドロキシリチウム酸素化合物、遷移金属水素化リチウム酸素化合物及び遷移金属炭酸塩の一種又は複数種であるステップと、B)仮焼成された生成物を流動床反応器に加え、順に一次焼成及び二次焼成を行い、リチウム遷移金属酸素化合物を得、前記リチウム遷移金属酸素化合物の製造原料は、さらに、酸素含有主族金属化合物を含み、前記酸素含有主族金属化合物は、リチウム塩及び前駆体を加えた後、仮焼成段階、一次焼成段階又は二次焼成段階で添加され、前記酸素含有主族金属化合物の粒子径は10~50nmであるステップと、を含むリチウム遷移金属酸素化合物の製造方法を提供する。ミクロンレベルの粒子は流動化しにくいため、本発明は、ミクロンレベルのリチウム塩及び前駆体にナノレベルの酸素含有主族金属化合物を加え、流動化状態の技術により加えることにより、製品はより良い性能及び流動化効果を得ることができ、さらに、本発明は、酸素含有主族金属化合物の添加するタイミングも限定し、リチウム塩及び前駆体を加えた後、仮焼成ステップの処理過程中に、リチウム塩及び前駆体中の遊離水、結晶水を除去させることができ、中間反応物粒子は、粒度が均一で、形態が規則的である傾向があり、粒子の粘度が低く、反応活性が高いことになり、流動化状態にある時、ナノレベルの酸素含有主族金属化合物を添加すると、分布がより均一になり、相対的に反応時間が短くなり、ミクロンレベルの粗い粒子間のファンデルワールス力が減少し、凝集が低減し、さらに、製品の結晶格子を完全に発達させ、コーティング、ドーピングがより均一になることができ、製品の一貫性を向上させる。
【0020】
本発明をさらに説明するために、以下、本発明により提供されるリチウム遷移金属酸素化合物の製造方法及び装置を、実施例を参照しながら詳細に説明するが、本発明の保護範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0021】
実施例1
A、LiOH・HO 2.8kg、Al(OH)ナノ粒子0.65kg、及び平均粒子径が10μmのNi0.8Co0.1Mn0.1(OH) 6kgを高速ミキサーに加えて混合した。
B、得られた混合物を直径が0.16mの流動床反応器Aに加え、前記反応器Aは底部が円錐形であり、外側に全体包囲式加熱装置が設けられ、反応器Aでの混合物は柱状充填層を呈し、層深さが0.5mであり、温度が上昇し始めると、高純度酸素ガスが予備加熱装置によって予備加熱された後、反応器Aの内部に導入され、底部で逆混合した後、混合固体粒子と十分に接触し、その後、ガス速度が5cm/sになるように調整し、材料を流動化し、前記反応器Aには全体包囲式加熱装置が設けられ、加熱方式は放射熱伝達であり、熱伝達が均一化であり、固体混合物は気固熱交換及び外部加熱を経た後、徐々に昇温し、昇温速度が5℃/minであり、150℃に加熱し、2h保温し、昇温過程で固体表面の水分及びリチウム塩の結晶水が徐々に除去され、前記反応器Aは上部に膨張部が設けられ、内部材料が膨張部に沈降し、循環混合を連続的に行った。
C、ステップBで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Bに輸送し、前記流動床反応器Bは流動床反応器Aと同じ大きさ及び構造を持ち、ステップBの処理を経て、ガス速度が10cm/sになるように調整することにより安定的な流動化を実現することができ、圧力変動値が±100paの範囲内で変動することを検出することにより、焼成温度を500℃、焼成時間を5hに設定した。
D、ステップCで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Cに輸送し、前記流動床反応器Cは流動床反応器Bと同じ大きさ及び構造を持ち、ガス速度が15cm/sになるように調整し、焼成温度を730℃、焼成時間を10hに設定することにより、実施例1のリチウム遷移金属酸素化合物を得た後、包装工程に気力輸送した。
【0022】
実施例2
A、LiOH・HO 2.8トン、Al(OH)ナノ粒子 0.65トン、及び平均粒子径が10μmのNi0.8Co0.1Mn0.1(OH) 6トンを混合した。
B、得られた混合物を直径が1.6mの流動床反応器Aに加え、前記反応器Aは、底部が円錐形であり、外側に全体包囲式加熱装置が設けられ、反応器Aでの混合物は、柱状充填層を呈し、層深さが5mであり、温度が上昇し始めると、高純度酸素ガスが予備加熱装置によって予備加熱された後、反応器の内部に導入され、底部で逆混合した後、混合固体粒子と十分に接触し、ガス速度が5cm/sになるように調整することにより材料を流動化し、前記反応器Aには全体包囲式加熱装置が設けられ、加熱方式は放射熱伝達であり、熱伝達は均一化であり、固体混合物は気固熱交換及び外部加熱を経た後、徐々に昇温し、昇温速度が5℃/minであり、150℃まで加熱し、2h保温し、昇温過程で固体表面の水分及びリチウム塩の結晶水が徐々に除去され、内部材料は流動化状態にあり、前記反応器Aの上部に膨張部が設けられ、内部材料は膨張部で沈降し、循環混合を連続的に行った。
C、ステップBで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Bに輸送し、前記流動床反応器Bは流動床反応器Aと同じ大きさ及び構造を持ち、ステップBの処理を経て、ガス速度が10cm/sになるように調整することにより安定的な流動化を実現することができ、圧力変動値が±100paの範囲内で変動することを検出することにより、焼成温度が500℃、焼成時間が5hであることを設定した。
D、ステップCで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Cに輸送し、前記流動床反応器Cは流動床反応器Bと同じ大きさ及び構造を持ち、ガス速度が15cm/sになるように調整し、焼成温度を730℃、焼成時間を10hに設定することにより、実施例2のリチウム遷移金属酸素化合物を得た後、包装工程に気力輸送した。
図2は、本発明の実施例2で得られたリチウム遷移金属酸化物のSEM画像であり、図2より、二次粒子の表面は全体として比較的滑らかであり、粒子の全体的な真球度は比較的高く、一次粒子の大きさは均一であり、高温固相反応は完全に行われ、酸化欠陥は発生していないことを示した。
【0023】
実施例3
本実施例では、実施例1の流動床反応器Aの代わりに固定床反応器を使用し、且つ実施例1での「5cm/s」のガス速度を「2cm/s」に調整した以外は、実施例1に記載のステップに従ってリチウム遷移金属酸素化合物を調製した。
本発明は、実施例1及び2で得られた生成物の性能を比較した結果が表1及び2に示し、結果は、生産量が10倍拡大し、実施例1及び2の製品の物理的性能及び電気化学的性能が基本的に一致し、流動床技術によるリチウム遷移金属酸素化合物の生産量拡大という問題を解決することを示している。
【0024】
【表1】
【表2】
【0025】
比較例1
A、LiOH・HO 2.8kg、Al(OH)ナノ粒子 0.65kg、及び平均粒子径が10μmのNi0.8Co0.1Mn0.1(OH) 6kgを混合した。
B、得られた混合物を直径が0.16mの流動床反応器Aに加え、前記反応器Aは、底部が円錐形であり、外側に全体包囲式加熱装置が設けられ、反応器Aでの混合物は、柱状充填層を呈し、層深さが0.5mであり、温度が上昇し始めると、高純度酸素ガスが予備加熱装置によって予備加熱された後、反応器の内部に導入され、底部で逆混合した後、混合固体粒子と十分に接触し、ガス速度が10cm/sになるように調整することにより材料を流動化し、前記反応器Aには全体包囲式加熱装置が設けられ、固体混合物は気固熱交換及び外部加熱を経た後、徐々に昇温し、昇温速度は1~10℃/minであり、500℃まで加熱し、5h保温し、昇温過程で固体表面の水分及びリチウム塩の結晶水が徐々に除去され、内部材料は流動化状態にあり、前記反応器Aの上部に膨張部が設けられ、内部材料は膨張部で沈降し、循環混合を続的に行った。
C、ステップBで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Bに輸送し、前記流動床反応器Bは流動床反応器Aと同じ大きさ及び構造を持ち、ステップBの処理を経て、ガス速度が15cm/sになるように調整し、圧力変動値が±500paの範囲内で変動することを検出することにより、焼成温度を730℃、焼成時間を10hに設定し、比較例1のリチウム遷移金属酸素化合物を得た後、包装工程に気力輸送した。
【0026】
図3は、本発明の実施例1及び比較例1での仮焼成、一次焼成及び二次焼成過程中にまとめられた圧力差対比図であり、図4は、本発明の実施例1及び比較例1における製品の粒子径対比図であり、図5は、本発明の実施例1及び比較例で得られた製品の放電容量対比図であり、図6は、本発明の実施例1及び比較例1で得られた製品のXRDパターンである。
図3~6に示すように、比較例1は、実施例1よりも150℃仮焼成の過程を減少し、仮焼成過程で脱水が不十分であることが分かり、圧力差対比図より、低速ではプラグ流、チャネリングを形成し、高速では圧力が比較的に低い値になり、チャネリングを形成し、安定的な流動化状態にならないことが分かり、粒子径対比図より、最終的に得られた製品の粒度は凝集している現象があり、凝集体は球状二次粒子とガスとの間の不十分な接触を引き起こすことが分かり、XRDパターンにおいて、比較例1の結晶形が不完全に発達し、また、材料が充電および放電されると、リチウムイオンの挿入と脱離の距離が大きくなり、放電容量が悪くなり、凝集体は、粉砕プロセスを経た後電気化学的性能を改善する必要があるが、処理ステップが増加し、投入コストが増加する。
【0027】
比較例2
A、LiOH・HO 2.8kg、Al(OH)ナノ粒子0.65kg、及び平均粒子径が10μmのNi0.8Co0.1Mn0.1(OH) 6kgを混合した。
B、得られた混合物を直径が0.16mの流動床反応器Aに加え、前記反応器Aは底部が平らであり、外側に全体包囲式加熱装置が設けられ、反応器Aでの混合物は、柱状充填層を呈し、層深さが0.5mであり、温度が上昇し始めると、高純度酸素ガスが予備加熱装置によって予備加熱された後、反応器の内部に導入され、ガス速度が5cm/sになるように調整し、前記反応器Aには全体包囲式加熱装置が設けられ、加熱方式は放射熱伝達であり、熱伝達は均一化であり、固体混合物は気固熱交換及び外部加熱を経た後、徐々に昇温し、昇温速度が5℃/min、150℃まで加熱し、2h保温し、昇温過程で固体表面の水分及びリチウム塩の結晶水が徐々に除去され、前記反応器Aの上部に膨張部が設けられ、内部材料は膨張部で沈降し、循環混合を続的に行った。
C、ステップBで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Bに輸送し、前記流動床反応器Bは流動床反応器Aと同じ大きさ及び構造を持ち、ステップBの処理を経て、ガス速度が10cm/sになるように調整し、圧力変動値が±1000pa範囲内で変動することを検出することにより、焼成温度を500℃、焼成時間を5hに設定することができる。
D、ステップCで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Cに輸送し、前記流動床反応器Cは流動床反応器Bと同じ大きさ及び構造を持ち、ガス速度が15cm/sになるように調整し、焼成温度を730℃、焼成時間を10hに設定することにより、比較例2のリチウム遷移金属酸素化合物を得た後、包装工程に気力輸送した。
図7は、本発明の実施例1及び比較例2における製品のXRDパターンであり、図7に示すように、比較例2の流動床反応器が平底であり、ガスが反応器に導入された後、均一に分布できなく、気固接触が不十分であり、最終的に、一部の材料の結晶形の不完全な発達につながることを分かった。
【0028】
比較例3
A、LiOH・HO 2.8kg、Al(OH)ナノ粒子0.65kg、及び平均粒子径が10μmのNi0.8Co0.1Mn0.1(OH) 6kgを混合した。
B、得られた混合物を直径が0.16mの流動床反応器Aに加え、前記反応器Aは底部が円錐形であり、外側に反応用直管部包囲式加熱装置が設けられ、反応器Aでの混合物は、柱状充填層を呈し、層深さが0.5mであり、温度が上昇し始めると、高純度酸素ガスが予備加熱装置によって予備加熱された後、反応器の内部に導入され、底部で逆混合した後、混合固体粒子と十分に接触し、ガス速度が5cm/sになるように調整することにより材料を流動化し、前記反応器Aには反応用直管部包囲式加熱装置が設けられ、加熱方式は放射熱伝達であり、熱伝達は均一化であり、固体混合物は気固熱交換及び外部加熱を経た後、徐々に昇温し、昇温速度が1~10℃/min、150℃まで加熱し、2h保温し、昇温過程で固体表面の水分及びリチウム塩の結晶水が徐々に除去され、内部材料は流動化状態にあり、前記反応器Aは、直管形状である。
C、ステップBで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Bに輸送し、前記流動床反応器Bは流動床反応器Aと同じ大きさ及び構造を持ち、ステップBの処理を経て、ガス速度が10cm/sになるように調整することにより安定的な流動化を実現することができ、圧力変動値が±100paの範囲内で変動することを検出することにより、焼成温度が500℃、焼成時間が5hであることを設定した。
D、ステップCで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Cに輸送し、前記流動床反応器Cは流動床反応器Bと同じ大きさ及び構造を持ち、ガス速度が15cm/sになるように調整し、焼成温度を730℃、焼成時間を10hに設定することにより、比較例3のリチウム遷移金属酸素化合物を得た後、包装工程に気力輸送した。
【0029】
図8は、本発明の実施例3における製品のSEM画像であり、比較例3の流動床反応器は、直管部であり、膨張部がなく、内部粒子間の周期運動を形成できなく、粒子間の熱交換及び物質交換はいずれも不十分である。
直管部は、不完全に包囲されている加熱装置であり、異なる位置での温度差が大きく、製品の内部に循環運動する際、熱処理を施す温度が異なり、反応物質の濃度が異なり、比較例3の相対標準偏差は実施例1よりも大きく、SEMから球状粒子の一次粒子の大きさが一貫しなく、製品の均一性が劣ることが分かった。
電気化学的性能の測定条件:CR2032、2.7-4.3V vs.Li+/Li@RT
【0030】
【表3】
【0031】
比較例4
A、LiOH・HO 2.8kg、Al(OH)ナノ粒子 0.65kg、及び平均粒子径が10μmのNi0.8Co0.1Mn0.1(OH) 6kgを混合した。
B、得られた混合物を直径が0.16mの流動床反応器Aに加え、前記反応器Aの底部は円錐形であり、反応器Aでの混合物は、柱状充填層を呈し、層深さが0.5mであり、温度が上昇し始めると、高純度酸素ガスが予備加熱装置によって予備加熱された後、反応器の内部に導入され、底部で逆混合した後、混合固体粒子と十分に接触させ、ガス速度が5cm/sになるように調整することにより材料を流動化し、内部材料の昇温はガス温度を制御することにより実現し、ガスの昇温速度は5℃/minであり、150℃まで加熱し、内部材料の昇温速度は約1℃/minであり、昇温過程で固体表面の水分及びリチウム塩の結晶水が徐々に除去され、内部材料が流動化状態にあることをモニタリングし、前記反応器Aの上部に膨張部が設けられ、内部材料は膨張部で沈降し、循環混合を続的に行った。
C、ステップBで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Bに輸送し、前記流動床反応器Bは流動床反応器Aと同じ大きさ及び構造を持ち、ステップBの処理を経て、ガス速度が10cm/sになるように調整することにより安定的な流動化を実現することができ、圧力変動値が±100paの範囲内で変動することを検出することにより、焼成温度が500℃、焼成時間が5hであることを設定する、
D、ステップCで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Cに輸送し、前記流動床反応器Cは流動床反応器Bと同じ大きさ及び構造を持ち、ガス速度が15cm/sになるように調整し、焼成温度を730℃、焼成時間を10hに設定することにより、比較例4のリチウム遷移金属酸素化合物を得た後、包装工程に気力輸送した。
図9は、本発明の実施例1及び比較例4の流動床における昇温曲線である。比較例4は、実施例1よりも全体包囲式加熱装置を削減し、材料はすべてガスによって加熱され、総反応時間は34hであり、反応効率は低い。全体包囲式加熱装置を使用する実施例1は、総反応時間が20hであり、反応時間がほぼ半分に短縮され、反応効率が大きく向上されている。
【0032】
比較例5
A、LiOH・HO 2.8kgと、平均粒子径が10μmのNi0.8Co0.1Mn0.1(OH) 6kgとを混合した。
B、得られた混合物を直径が0.16mの流動床反応器Aに加え、前記反応器Aは、底部が円錐形であり、外側に全体包囲式加熱装置が設けられ、反応器Aでの混合物は、柱状充填層を呈し、層深さが0.5mであり、温度が上昇し始めると、高純度酸素ガスが予備加熱装置によって予備加熱された後、反応器の内部に導入され、底部で逆混合した後、混合固体粒子と十分に接触させ、ガス速度が5cm/sになるように調整することにより材料を流動化し、前記反応器Aには全体包囲式加熱装置が設けられ、加熱方式は放射熱伝達であり、熱伝達は均一化であり、固体混合物は気固熱交換及び外部加熱を経た後、徐々に昇温し、昇温速度が1~10℃/minであり、150℃まで加熱し、2h保温し、昇温過程で固体表面の水分及びリチウム塩の結晶水が徐々に除去され、内部材料は流動化状態にあり、前記反応器Aの上部に膨張部が設けられ、内部材料は膨張部で沈降し、循環混合を続的に行った。
C、ステップBで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Bに輸送し、前記流動床反応器Bは流動床反応器Aと同じ大きさ及び構造を持ち、ステップBの処理を経て、ガス速度が10cm/sになるように調整することにより安定的な流動化を実現することができ、圧力変動値が±100paの範囲内で変動することを検出することにより、焼成温度が500℃、焼成時間が5hであることを設定した。
D、ステップCで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Cに輸送し、前記流動床反応器Cは流動床反応器Bと同じ大きさ及び構造を持ち、ガス速度が15cm/sになるように調整し、焼成温度を730℃、焼成時間を10hに設定し、その後、高速ミキサーに排出し、Al(OH)ナノ粒子 0.65kgを加えてコーティングし、600℃で再度焼成することにより、比較例5のリチウム遷移金属酸素化合物を得た後、包装工程に気力輸送した。
図10は、本発明の実施例1における製品のSEM画像であり、図11は、本発明の比較例5における製品のSEM画像であり、図12は、本発明の実施例1及び比較例5における製品の容量(mAh/g)サイクル特性を示すグラフであり、図10~11に示すように、流動床技術を利用することにより、酸素含有化合物粒子とリチウム遷移金属酸素化合物をより十分に分布させ、伝統的なプロセスである比較例5よりも、コーティングがより均一になり、材料のサイクル特性がより良い。
【0033】
比較例6
A、LiOH・HO 2.8kgと平均粒子径が10μmのNi0.8Co0.1Mn0.1(OH) 6kgとを混合した。
B、得られた混合物を直径が0.16mの流動床反応器Aに加え、前記反応器Aは底部が円錐形であり、外側に全体包囲式加熱装置が設けられ、反応器Aでの混合物は、柱状充填層を呈し、層深さが0.5mであり、温度が上昇し始めると、高純度酸素ガスが予備加熱装置によって予備加熱された後、反応器の内部に導入され、底部で逆混合した後、混合固体粒子と十分に接触し、ガス速度が5cm/sになるように調製することにより材料を流動化し、前記反応器Aには全体包囲式加熱装置が設けられ、加熱方式は放射熱伝達であり、熱伝達は均一化であり、固体混合物は気固熱交換及び外部加熱を経た後、徐々に昇温し、昇温速度は1~10℃/minであり、150℃まで加熱し、2h保温し、昇温過程で固体表面の水分及びリチウム塩の結晶水が徐々に除去され、内部材料は流動化状態にあり、前記反応器Aの上部に膨張部が設けられ、内部材料は膨張部で沈降し、循環混合を続的に行った。
C、ステップBで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Bに輸送し、前記流動床反応器Bは流動床反応器Aと同じ大きさ及び構造を持ち、ステップBの処理を経て、ガス速度が10cm/sになるように調整することにより安定的な流動化を実現することができ、圧力変動値が±100paの範囲内で変動することを検出することにより、焼成温度が500℃、焼成時間が5hであることを設定した。
D、ステップCで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Cに輸送し、前記流動床反応器Cは流動床反応器Bと同じ大きさ及び構造を持ち、ガス速度が15cm/sになるように調整し、焼成温度を730℃、焼成時間を10hに設定することにより、比較例5のリチウム遷移金属酸素化合物を得た後、包装工程に気力輸送した。
図13は、本発明の実施例及び比較例6での仮焼成、一次焼成及び二次焼成過程中にまとめられた圧力差図であり、図13に示すように、比較例6は酸素含有金属化合物の添加が減少し、実施例1と比較して、低速ではプラグ流、チャネリングになり、高速で流動化できるが、圧力変動が大きく、液面の状態が不安定であるため、酸素含有金属化合物の混入によりミクロンレベルの粉体の流動化性能を改善したことを分かった。
【0034】
比較例7
A、LiOH・HO 2.8kg、Al(OH)ナノ粒子 0.65kg、及び平均粒子径が10μmのNi0.8Co0.1Mn0.1(OH) 6kgを混合した。
B、得られた混合物を直径が0.16mの流動床反応器Aに加え、前記反応器Aのサイクロン分離器は装置の内部にセットし、底部が円錐形であり、外側に全体包囲式加熱装置が設けられ、反応器Aでの混合物は、柱状充填層を呈し、層深さが0.5mであり、温度が上昇し始めると、高純度酸素ガスが予備加熱装置によって予備加熱された後、反応器の内部に導入され、底部で逆混合した後、混合固体粒子と十分に接触し、その後、ガス速度が5cm/sになるように調整し、材料を流動化し、前記反応器Aには全体包囲式加熱装置が設けられ、加熱方式は放射熱伝達であり、熱伝達は均一化であり、固体混合物は気固熱交換及び外部加熱を経て徐々に昇温し、昇温速度が5℃/min、150℃まで加熱し、2h保温し、昇温過程で固体表面の水分及びリチウム塩の結晶水が徐々に除去され、前記反応器Aの上部に膨張部が設けられ、内部材料は膨張部で沈降し、循環混合を続的に行った。
C、ステップBで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Bに輸送し、前記流動床反応器Bは流動床反応器Aと同じ大きさ及び構造を持ち、ステップBの処理を経て、ガス速度が10cm/sになるように調整することにより安定的な流動化を実現することができ、圧力変動値が±100paの範囲内で変動することを検出することにより、焼成温度が500℃、焼成時間が5hであることを設定した。
D、ステップCで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Cに輸送し、前記流動床反応器Cは流動床反応器Bと同じ大きさ及び構造を持ち、ガス速度が15cm/sになるように調整し、焼成温度を730℃、焼成時間を10hに設定することにより、実施例1のリチウム遷移金属酸素化合物を得た後、包装工程に気力輸送した。
【0035】
本発明は、実施例1及び比較例7の製品について磁性異物の検出を行い、その結果を表4に示した。比較例7のサイクロン分離器は、ビルトインタイプであり、材料の選択が耐アルカリ性及び耐高温性の要求を同時に満たすことができないため、得られた製品は磁性異物の含有量が高くなる。
【表4】
【0036】
比較例8
A、LiOH・HO 2.8kg、Al(OH)ナノ粒子0.65kg、及び平均粒子径が10μmのNi0.8Co0.1Mn0.1(OH) 6kgを混合した。
B、得られた混合物を直径が0.16mの流動床反応器Aに加え、前記反応器Aは底部が円錐形であり、外側に全体包囲式加熱装置が設けられ、反応器Aでの混合物は、柱状充填層を呈し、層深さが0.5mであり、温度が上昇し始めると、高純度酸素ガスが予備加熱装置によって予備加熱された後、反応器の内部に導入され、底部で逆混合した後、混合固体粒子と十分に接触し、その後、ガス速度が5cm/sになるように調整し、材料を流動化し、前記反応器Aには全体包囲式加熱装置が設けられ、加熱方式は放射熱伝達であり、熱伝達は均一化であり、固体混合物は気固熱交換及び外部加熱を経た後、徐々に昇温し、昇温速度が5℃/minであり、150℃まで加熱し、2h保温し、昇温過程で固体表面の水分及びリチウム塩の結晶水が徐々に除去され、前記反応器Aの上部に膨張部が設けられ、内部材料は膨張部で沈降し、循環混合を続的に行った。
C、ステップBで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Bに輸送し、前記流動床反応器Bは流動床反応器Aと同じ大きさ及び構造を持ち、ステップBの処理を経て、ガス速度が10cm/sになるように調整することにより安定的な流動化を実現することができ、圧力変動値が±100pa範囲内で変動することを検出することにより、焼成温度が500℃、焼成時間が5hであることを設定した。
D、ステップCで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Cに輸送し、前記流動床反応器Cは流動床反応器Bと同じ大きさ及び構造を持ち、ガス速度が15cm/sになるように調整し、焼成温度を730℃、焼成時間を14hに設定することにより、実施例1のリチウム遷移金属酸素化合物を得た後、包装工程に気力輸送した。
【0037】
本発明は、実施例1及び比較例8の製品について電気化学的性能の測定を行い、電気化学的性能の測定条件:CR2032、2.7-4.3V vs.Li+/Li@RTである。結果は表5に示すように、表5より分かったように、実施例1は、比較例8よりも、740℃における焼成時間が14hから10hまで短縮されることにより、生産性が向上し、エネルギー消費を節約し、且つ焼成過程中のリチウムの強熱減量を低減させ、材料の電気化学的性能が向上した。
【表5】
【0038】
実施例3
A、LiOH・HO 2.8kgと平均粒子径が10μmのNi0.8Co0.1Mn0.1(OH) 6kgとを混合した。
B、得られた混合物を直径が0.16mの流動床反応器Aに加え、前記反応器Aは、底部が円錐形であり、外側に全体包囲式加熱装置が設けられ、反応器Aでの混合物は、柱状充填層を呈し、層深さが0.5mであり、温度が上昇し始めると、高純度酸素ガスが予備加熱装置によって予備加熱された後、反応器の内部に導入され、底部で逆混合した後、混合固体粒子と十分に接触し、ガス速度が5cm/sになるように調整することにより材料を流動化し、前記反応器Aには全体包囲式加熱装置が設けられ、加熱方式は放射熱伝達であり、熱伝達は均一化であり、固体混合物は気固熱交換及び外部加熱を経た後、徐々に昇温し、昇温速度は1~10℃/minであり、150℃まで加熱し、2h保温し、昇温過程で固体表面の水分及びリチウム塩の結晶水が徐々に除去され、内部材料は流動化状態にあり、前記反応器Aの上部に膨張部が設けられ、内部材料は膨張部で沈降し、循環混合を続的に行った。
C、ステップBで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Bに輸送し、前記流動床反応器Bは流動床反応器Aと同じ大きさ及び構造を持ち、ステップBの処理を経て、ガス速度が10cm/sになるように調整することにより安定的な流動化を実現することができ、圧力変動値が±100paの範囲内で変動することを検出することにより、焼成温度が500℃、焼成時間が5hであることを設定し、焼成過程中において、反応が完了するまで、酸素含有主族金属化合物であるAl(OH)ナノ粒子 0.65kgを徐々に添加し、合計のモル比が全量の0.5%を占めた。
D、ステップCで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Cに輸送し、前記流動床反応器Cは流動床反応器Bと同じ大きさ及び構造を持ち、ガス速度が15cm/sになるように調整し、焼成温度を730℃、焼成時間を10hに設定することにより、比較例5のリチウム遷移金属酸素化合物を得た後、包装工程に気力輸送した。
【0039】
本発明は、実施例1及び実施例3についてXRD及び電気化学的性能の測定を行う。
XRDの対比結果は図14に示し、図14より分かったように、実施例3のR値は実施例1より有意に大きいことがわかり、実施例3の結晶形が十分に発達することを示した。
電気化学的性能の測定条件:CR2032、2.7-4.3V vs.Li+/Li@RT。結果は表6に示し、表6より分かったように、実施例3で得られた製品の電気化学的性能の相対標準偏差は、いずれも実施例1よりも低く、実施例3の製品の一貫性が改善された。
【表6】
【0040】
以上の記載は、本発明の好適な実施形態にすぎず、当業者は、本発明の原理を逸脱することなく、さらにいくらかの改良及び変更が可能であり、それらの改良及び変更も本発明の保護範囲と見なされるべきである。
【0041】
(付記)
(付記1)
A)リチウム塩と前駆体とを混合した後、反応器に入れて仮焼成を行うステップであって、
前記リチウム塩の粒子径(D50)は10~20μmであり、前記前駆体の粒子径(D50)は1~20μmであり、
前記前駆体は遷移金属ヒドロキシリチウム酸素化合物、遷移金属水素化リチウム酸素化合物及び遷移金属炭酸塩の一種又は複数種である、
ステップと、
B)仮焼成された生成物を流動床反応器に加え、順に一次焼成及び二次焼成を行い、リチウム遷移金属酸素化合物を得るステップであって、
前記リチウム遷移金属酸素化合物の製造原料は、さらに、酸素含有主族金属化合物を含み、前記酸素含有主族金属化合物は、リチウム塩及び前駆体を入れる仮焼成段階、一次焼成段階又は二次焼成段階で添加され、
前記酸素含有主族金属化合物の平均粒子径は10~100nmである、
ステップと、
を含むリチウム遷移金属酸素化合物の製造方法。
【0042】
(付記2)
前記仮焼成の温度は、50~150℃であり、
前記仮焼成の時間は、1~10時間である、
ことを特徴とする付記1に記載の製造方法。
【0043】
(付記3)
前記酸素含有主族金属化合物における主族金属は、アルミニウム、チタン、マグネシウム、バナジウム、セリウム、ジルコニウム及びモリブデンの一種又は複数種である、ことを特徴とする付記1に記載の製造方法。
【0044】
(付記4)
前記のリチウム塩と、前駆体と、酸素含有主族金属化合物とのモル比は、(1.01~1.10):1:(0.001~0.01)である、ことを特徴とする付記1に記載の製造方法。
【0045】
(付記5)
前記仮焼成中に、流動床の気流速度は、1~10cm/sであり、
前記一次焼成中に、流動床の気流速度は、5~15cm/sであり、
前記二次焼成中に、流動床の気流速度は、10~20cm/sである、
ことを特徴とする付記1に記載の製造方法。
【0046】
(付記6)
前記一次焼成の温度は、150~800℃であり、前記一次焼成の時間は、2~10時間である、ことを特徴とする付記1に記載の製造方法。
【0047】
(付記7)
前記二次焼成の温度は、500~1000℃であり、前記二次焼成の時間は、5~20時間である、ことを特徴とする付記1に記載の製造方法。
【0048】
(付記8)
流動床反応器において、前記流動床反応器の上部に膨張部が設けられ、外側に全体包囲式加熱装置が設けられ、
前記流動床の底部封止ヘッドが球形、楕円体、円形又は円錐形であり、前記底部封止ヘッドの真上にガス導入口が設けられ、且つガス導入口の開口方向が流動床の底部封止ヘッドに向き、
頂部にガス排出管及びサイクロン分離器が設けられ、前記ガス排出管の出口がサイクロン分離器と連通している、
ことを特徴とする流動床反応器。
【0049】
(付記9)
前記流動床反応器には、セラミックライニングであるライニングが設けられている、ことを特徴とする付記8に記載の流動床反応器。
【0050】
(付記10)
前記流動床の直径は0.1~10mであり、膨張部の直径は0.1~20mである、ことを特徴とする付記8に記載の流動床反応器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2020-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
本発明は、リチウム遷移金属酸素化合物の製造方法及び装置を提供することを目的とする。本発明の製造方法は、生産性が高く、且つ得られたリチウム遷移金属酸素化合物は、粒度の均一性がよく、規則的な形態を持ち、電気化学的特性に優れている。
本発明は、
A)リチウム塩を前駆体と混合した後、反応器に入れて仮焼成を行い;
前記リチウム塩の粒子径(D50)は10~20μmであり、前記前駆体の粒子径(D50)は1~20μmであり、
前記前駆体は遷移金属オキシ水酸化物、遷移金属水酸化物及び遷移金属炭酸塩の一種又は複数種であるステップと、
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明は、A)リチウム塩と前駆体とを混合した後、反応器に入れて仮焼成を行い、前記リチウム塩の粒子径(D50)は10~20μmであり、前記前駆体の粒子径(D50)は1~20μmであり、前記前駆体は遷移金属オキシ水酸化物、遷移金属水酸化物及び遷移金属炭酸塩の一種又は複数種であるステップと、B)仮焼成された生成物を流動床反応器に加え、順に一次焼成及び二次焼成を行い、リチウム遷移金属酸素化合物を得、前記リチウム遷移金属酸素化合物の製造原料は、さらに酸素含有主族金属化合物を含み、前記酸素含有主族金属化合物は、リチウム塩及び前駆体を加えた後、仮焼成段階、一次焼成段階又は二次焼成段階で添加され、前記酸素含有主族金属化合物の粒子径は10~100nmであるステップと、を含むリチウム遷移金属酸素化合物の製造方法を提供する。ミクロンレベルの粒子は流動化しにくいため、本発明は、ミクロンレベルのリチウム塩及び前駆体にナノレベルの酸素含有主族金属化合物を加え、流動化状態の技術により加えることにより、製品は良い性能及び流動化効果を得ることができ、さらに、本発明は、酸素含有主族金属化合物の添加するタイミングも限定し、リチウム塩及び前駆体を加えた後、仮焼成ステップにおける処理過程中に、リチウム塩及び前駆体中の遊離水、結晶水を除去させることができ、中間反応物粒子は、粒度が均一で、形態が規則的である傾向があり、粒子の粘度が低く、反応活性が高く、流動化状態である際に、ナノレベルの酸素含有主族金属化合物を添加すると、分布がより均一になり、相対的に反応時間が短くなり、ミクロンレベルの粗い粒子間のファンデルワールス力が低減し、凝集現象が減少し、さらに、製品の結晶格子へのリチウム挿入及びコーティング、ドーピングがより均一になり、製品の一貫性を向上させることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
図1図1は、本発明の流動床反応器の構造概略図であり、 ここで、1は原料供給口、2は膨張部、3は全体包囲式加熱装置、4は外側断熱層、5はガス導入管、6は気力輸送によるガス導入口、7は排出口、8は自動制御排出バルブ、9は材料輸送管路、10はガス排出管、11はサイクロン分離器のガス排出管、12はサイクロン分離器の脚部、13は流動床反応器のライニング、14は流動床である。
図2図2は、本発明の実施例2で得られたリチウム遷移金属酸化物のSEM画像である。
図3図3は、本発明の実施例及び比較例1の仮焼成、一次焼成及び二次焼成過程中にまとめられた圧力差対比図である。
図4図4は、本発明の実施例1及び比較例1の製品の粒子径の対比図である。
図5図5は、本発明の実施例1及び比較例1で得られた製品の放電容量の対比図である。
図6図6は、本発明の実施例1及び比較例1で得られた製品のXRDパターンである。
図7図7は、本発明の実施例1及び比較例2における製品のXRDパターンである。
図8図8は、本発明の実施例3の製品のSEM画像である。
図9図9は、本発明の実施例1及び比較例4での流動床における昇温曲線である。
図10図10は、本発明の実施例1の製品のSEM画像である。
図11図11は、本発明の比較例5の製品のSEM画像である。
図12図12は、本発明の実施例1及び比較例5の製品の容量のサイクル特性グラフである。
図13図13は、本発明の実施例1及び比較例6の仮焼成、一次焼成及び二次焼成過程中にまとめられた圧力差図である。
図14図14は、本発明の実施例1及び実施例のXRDパターンである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明は、
A)リチウム塩と前駆体とを混合した後、反応器に入れて仮焼成を行い、
前記リチウム塩の粒子径D50は10~20μmであり、前記前駆体の粒子径D50は、1~20μmであり、
前記前駆体は遷移金属オキシ水酸化物、遷移金属水酸化物及び遷移金属炭酸塩の一種又は複数種であるステップと、
B)仮焼成された生成物を流動床反応器に加え、順に一次焼成及び二次焼成を行い、リチウム遷移金属酸素化合物を得、
前記リチウム遷移金属酸素化合物の製造原料は、さらに、酸素含有主族金属化合物を含み、前記酸素含有主族金属化合物は、リチウム塩及び前駆体を加えた後の仮焼成段階、一次焼成段階又は二次焼成段階で添加され、
前記酸素含有主族金属化合物の粒子径は10~100nmであるステップと、を含むリチウム遷移金属酸素化合物の製造方法を提供する。
本発明は、まず、リチウム塩と前駆体とを機械的に混合し、その後、さらに反応器に加えて仮焼成することが好ましい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
前記リチウム塩は、炭酸リチウム、水酸化リチウム、硫酸リチウム、酢酸リチウム、硝酸リチウム、塩化リチウム及びフッ素化リチウムの一種又は複数種であることが好ましく、炭酸リチウム及び/又は水酸化リチウムであることがより好ましく、前記前駆体は、遷移金属オキシ水酸化物、遷移金属水酸化物及び遷移金属炭酸塩の一種又は複数種であることが好ましく、前記遷移金属オキシ水酸化物及び水酸化物は、水酸化ニッケル、水酸化コバルト、水酸化マンガン、ニッケルコバルトアルミニウム水酸化物及びニッケルコバルトマンガン水酸化物の一種又は複数種であることが好ましく、前記遷移金属炭酸塩は、炭酸コバルト、炭酸ニッケル、炭酸マンガン、炭酸ニッケルコバルトアルミニウム及び炭酸ニッケルコバルトマンガン化合物の一種又は複数種であることが好ましい。
本発明において、前記リチウム塩及び前駆体は、ミクロンレベルであることが好ましく、前記リチウム塩の粒子径は、12~15μmであることが好ましく、前記前駆体の粒子径は、8~12μmである好ましい。
本発明において、前記仮焼成の反応器は、流動床反応器、移動床反応器、固定床反応器、攪拌床反応器、回転炉、回転床炉、揺動キルン、ローラーハースキルン又はトンネルキルンであることが好ましく、流動床反応器であることがより好ましい。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
前記流動床反応器の下部には、信号制御による排出バルブが設けられており、原料排出過程の自動制御を確保できる。前記流動床反応器の上部には、サイクロン分離器が設けられ、ガスに伴って運ばれた少量の粒子は、サイクロン分離器を通過した後、流動床反応器の内部に再び戻り、製品の収率が向上する。
前記流動床反応器は、開口弁の下方に気力輸送装置が設けられている。前記材料は、反応器の下方から排出し、気流により材料を加熱層が被覆されたパイプラインに輸送し、次の工程に入る。
本発明は、A)リチウム塩と前駆体とを混合した後、反応器に入れて仮焼成を行い、前記リチウム塩の粒子径D50は10~20μmであり、前記前駆体の粒子径D50は1~20μmであり、前記前駆体はリチウム遷移金属酸素化合物、遷移金属オキシ水酸化物、遷移金属水酸化物及び遷移金属炭酸塩の一種又は複数種であるステップと、B)仮焼成された生成物を流動床反応器に加え、順に一次焼成及び二次焼成を行い、リチウム遷移金属酸素化合物を得、前記リチウム遷移金属酸素化合物の製造原料は、さらに、酸素含有主族金属化合物を含み、前記酸素含有主族金属化合物は、リチウム塩及び前駆体を加えた後、仮焼成段階、一次焼成段階又は二次焼成段階で添加され、前記酸素含有主族金属化合物の粒子径は10~50nmであるステップと、を含むリチウム遷移金属酸素化合物の製造方法を提供する。ミクロンレベルの粒子は流動化しにくいため、本発明は、ミクロンレベルのリチウム塩及び前駆体にナノレベルの酸素含有主族金属化合物を加え、流動化状態の技術により加えることにより、製品はより良い性能及び流動化効果を得ることができ、さらに、本発明は、酸素含有主族金属化合物の添加するタイミングも限定し、リチウム塩及び前駆体を加えた後、仮焼成ステップの処理過程中に、リチウム塩及び前駆体中の遊離水、結晶水を除去させることができ、中間反応物粒子は、粒度が均一で、形態が規則的である傾向があり、粒子の粘度が低く、反応活性が高いことになり、流動化状態にある時、ナノレベルの酸素含有主族金属化合物を添加すると、分布がより均一になり、相対的に反応時間が短くなり、ミクロンレベルの粗い粒子間のファンデルワールス力が減少し、凝集が低減し、さらに、製品の結晶格子を完全に発達させ、コーティング、ドーピングがより均一になることができ、製品の一貫性を向上させる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
図3は、本発明の実施例1及び比較例1での仮焼成、一次焼成及び二次焼成過程中にまとめられた圧力差対比図であり、図4は、本発明の実施例1及び比較例1における製品の粒子径対比図であり、図5は、本発明の実施例1及び比較例で得られた製品の放電容量対比図であり、図6は、本発明の実施例1及び比較例1で得られた製品のXRDパターンである。
図3~6に示すように、比較例1は、実施例1よりも150℃仮焼成の過程を減少し、仮焼成過程で脱水が不十分であることが分かり、圧力差対比図より、低速ではプラグ流、チャネリングを形成し、高速では圧力が比較的に低い値になり、チャネリングを形成し、安定的な流動化状態にならないことが分かり、粒子径対比図より、最終的に得られた製品の粒度は凝集している現象があり、凝集体は球状二次粒子とガスとの間の不十分な接触を引き起こすことが分かり、XRDパターンにおいて、比較例1の結晶形が不完全に発達し、また、材料が充電および放電されると、リチウムイオンの挿入と脱離の距離が大きくなり、放電容量が悪くなり、凝集体は、粉砕プロセスを経た後電気化学的性能を改善する必要があるが、処理ステップが増加し、投入コストが増加する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
比較例6
A、LiOH・HO 2.8kgと平均粒子径が10μmのNi0.8Co0.1Mn0.1(OH) 6kgとを混合した。
B、得られた混合物を直径が0.16mの流動床反応器Aに加え、前記反応器Aは底部が円錐形であり、外側に全体包囲式加熱装置が設けられ、反応器Aでの混合物は、柱状充填層を呈し、層深さが0.5mであり、温度が上昇し始めると、高純度酸素ガスが予備加熱装置によって予備加熱された後、反応器の内部に導入され、底部で逆混合した後、混合固体粒子と十分に接触し、ガス速度が5cm/sになるように調製することにより材料を流動化し、前記反応器Aには全体包囲式加熱装置が設けられ、加熱方式は放射熱伝達であり、熱伝達は均一化であり、固体混合物は気固熱交換及び外部加熱を経た後、徐々に昇温し、昇温速度は1~10℃/minであり、150℃まで加熱し、2h保温し、昇温過程で固体表面の水分及びリチウム塩の結晶水が徐々に除去され、内部材料は流動化状態にあり、前記反応器Aの上部に膨張部が設けられ、内部材料は膨張部で沈降し、循環混合を続的に行った。
C、ステップBで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Bに輸送し、前記流動床反応器Bは流動床反応器Aと同じ大きさ及び構造を持ち、ステップBの処理を経て、ガス速度が10cm/sになるように調整することにより安定的な流動化を実現することができ、圧力変動値が±100paの範囲内で変動することを検出することにより、焼成温度が500℃、焼成時間が5hであることを設定した。
D、ステップCで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Cに輸送し、前記流動床反応器Cは流動床反応器Bと同じ大きさ及び構造を持ち、ガス速度が15cm/sになるように調整し、焼成温度を730℃、焼成時間を10hに設定することにより、比較例のリチウム遷移金属酸素化合物を得た後、包装工程に気力輸送した。
図13は、本発明の実施例及び比較例6での仮焼成、一次焼成及び二次焼成過程中にまとめられた圧力差図であり、図13に示すように、比較例6は酸素含有金属化合物の添加が減少し、実施例1と比較して、低速ではプラグ流、チャネリングになり、高速で流動化できるが、圧力変動が大きく、液面の状態が不安定であるため、酸素含有金属化合物の混入によりミクロンレベルの粉体の流動化性能を改善したことを分かった。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
比較例7
A、LiOH・HO 2.8kg、Al(OH)ナノ粒子 0.65kg、及び平均粒子径が10μmのNi0.8Co0.1Mn0.1(OH) 6kgを混合した。
B、得られた混合物を直径が0.16mの流動床反応器Aに加え、前記反応器Aのサイクロン分離器は装置の内部にセットし、底部が円錐形であり、外側に全体包囲式加熱装置が設けられ、反応器Aでの混合物は、柱状充填層を呈し、層深さが0.5mであり、温度が上昇し始めると、高純度酸素ガスが予備加熱装置によって予備加熱された後、反応器の内部に導入され、底部で逆混合した後、混合固体粒子と十分に接触し、その後、ガス速度が5cm/sになるように調整し、材料を流動化し、前記反応器Aには全体包囲式加熱装置が設けられ、加熱方式は放射熱伝達であり、熱伝達は均一化であり、固体混合物は気固熱交換及び外部加熱を経て徐々に昇温し、昇温速度が5℃/min、150℃まで加熱し、2h保温し、昇温過程で固体表面の水分及びリチウム塩の結晶水が徐々に除去され、前記反応器Aの上部に膨張部が設けられ、内部材料は膨張部で沈降し、循環混合を続的に行った。
C、ステップBで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Bに輸送し、前記流動床反応器Bは流動床反応器Aと同じ大きさ及び構造を持ち、ステップBの処理を経て、ガス速度が10cm/sになるように調整することにより安定的な流動化を実現することができ、圧力変動値が±100paの範囲内で変動することを検出することにより、焼成温度が500℃、焼成時間が5hであることを設定した。
D、ステップCで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Cに輸送し、前記流動床反応器Cは流動床反応器Bと同じ大きさ及び構造を持ち、ガス速度が15cm/sになるように調整し、焼成温度を730℃、焼成時間を10hに設定することにより、比較例7のリチウム遷移金属酸素化合物を得た後、包装工程に気力輸送した。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
比較例8
A、LiOH・HO 2.8kg、Al(OH)ナノ粒子0.65kg、及び平均粒子径が10μmのNi0.8Co0.1Mn0.1(OH) 6kgを混合した。
B、得られた混合物を直径が0.16mの流動床反応器Aに加え、前記反応器Aは底部が円錐形であり、外側に全体包囲式加熱装置が設けられ、反応器Aでの混合物は、柱状充填層を呈し、層深さが0.5mであり、温度が上昇し始めると、高純度酸素ガスが予備加熱装置によって予備加熱された後、反応器の内部に導入され、底部で逆混合した後、混合固体粒子と十分に接触し、その後、ガス速度が5cm/sになるように調整し、材料を流動化し、前記反応器Aには全体包囲式加熱装置が設けられ、加熱方式は放射熱伝達であり、熱伝達は均一化であり、固体混合物は気固熱交換及び外部加熱を経た後、徐々に昇温し、昇温速度が5℃/minであり、150℃まで加熱し、2h保温し、昇温過程で固体表面の水分及びリチウム塩の結晶水が徐々に除去され、前記反応器Aの上部に膨張部が設けられ、内部材料は膨張部で沈降し、循環混合を続的に行った。
C、ステップBで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Bに輸送し、前記流動床反応器Bは流動床反応器Aと同じ大きさ及び構造を持ち、ステップBの処理を経て、ガス速度が10cm/sになるように調整することにより安定的な流動化を実現することができ、圧力変動値が±100pa範囲内で変動することを検出することにより、焼成温度が500℃、焼成時間が5hであることを設定した。
D、ステップCで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Cに輸送し、前記流動床反応器Cは流動床反応器Bと同じ大きさ及び構造を持ち、ガス速度が15cm/sになるように調整し、焼成温度を730℃、焼成時間を14hに設定することにより、比較例8のリチウム遷移金属酸素化合物を得た後、包装工程に気力輸送した。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
実施例
A、LiOH・HO 2.8kgと平均粒子径が10μmのNi0.8Co0.1Mn0.1(OH) 6kgとを混合した。
B、得られた混合物を直径が0.16mの流動床反応器Aに加え、前記反応器Aは、底部が円錐形であり、外側に全体包囲式加熱装置が設けられ、反応器Aでの混合物は、柱状充填層を呈し、層深さが0.5mであり、温度が上昇し始めると、高純度酸素ガスが予備加熱装置によって予備加熱された後、反応器の内部に導入され、底部で逆混合した後、混合固体粒子と十分に接触し、ガス速度が5cm/sになるように調整することにより材料を流動化し、前記反応器Aには全体包囲式加熱装置が設けられ、加熱方式は放射熱伝達であり、熱伝達は均一化であり、固体混合物は気固熱交換及び外部加熱を経た後、徐々に昇温し、昇温速度は1~10℃/minであり、150℃まで加熱し、2h保温し、昇温過程で固体表面の水分及びリチウム塩の結晶水が徐々に除去され、内部材料は流動化状態にあり、前記反応器Aの上部に膨張部が設けられ、内部材料は膨張部で沈降し、循環混合を続的に行った。
C、ステップBで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Bに輸送し、前記流動床反応器Bは流動床反応器Aと同じ大きさ及び構造を持ち、ステップBの処理を経て、ガス速度が10cm/sになるように調整することにより安定的な流動化を実現することができ、圧力変動値が±100paの範囲内で変動することを検出することにより、焼成温度が500℃、焼成時間が5hであることを設定し、焼成過程中において、反応が完了するまで、酸素含有主族金属化合物であるAl(OH)ナノ粒子 0.65kgを徐々に添加し、合計のモル比が全量の0.5%を占めた。
D、ステップCで反応が完了した材料をパイプラインを介して流動床反応器Cに輸送し、前記流動床反応器Cは流動床反応器Bと同じ大きさ及び構造を持ち、ガス速度が15cm/sになるように調整し、焼成温度を730℃、焼成時間を10hに設定することにより、実施例4のリチウム遷移金属酸素化合物を得た後、包装工程に気力輸送した。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
本発明は、実施例1及び実施例についてXRD及び電気化学的性能の測定を行い、
XRDの対比結果は図14に示し、図14より分かったように、実施例のR値は実施例1より有意に大きいことがわかり、実施例の結晶形が十分に発達することを示した。
電気化学的性能の測定条件:CR2032、2.7-4.3V vs.Li+/Li@RT。結果は表6に示し、表6より分かったように、実施例で得られた製品の電気化学的性能の相対標準偏差は、いずれも実施例1よりも低く、実施例の製品の一貫性が改善された。
【表6】
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
(付記)
(付記1)
A)リチウム塩と前駆体とを混合した後、反応器に入れて仮焼成を行うステップであって、
前記リチウム塩の粒子径(D50)は10~20μmであり、前記前駆体の粒子径(D50)は1~20μmであり、
前記前駆体は遷移金属オキシ水酸化物、遷移金属水酸化物及び遷移金属炭酸塩の一種又は複数種である、
ステップと、
B)仮焼成された生成物を流動床反応器に加え、順に一次焼成及び二次焼成を行い、リチウム遷移金属酸素化合物を得るステップであって、
前記リチウム遷移金属酸素化合物の製造原料は、さらに、酸素含有主族金属化合物を含み、前記酸素含有主族金属化合物は、リチウム塩及び前駆体を入れる仮焼成段階、一次焼成段階又は二次焼成段階で添加され、
前記酸素含有主族金属化合物の平均粒子径は10~100nmである、
ステップと、
を含むリチウム遷移金属酸素化合物の製造方法。
【手続補正14】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
A)リチウム塩と前駆体とを混合した後、反応器に入れて仮焼成を行うステップであって、
前記リチウム塩の粒子径(D50)は10~20μmであり、前記前駆体の粒子径(D50)は1~20μmであり、
前記前駆体は遷移金属オキシ水酸化物、遷移金属水酸化物及び遷移金属炭酸塩の一種又は複数種である、
ステップと、
B)仮焼成された生成物を流動床反応器に加え、順に一次焼成及び二次焼成を行い、リチウム遷移金属酸素化合物を得るステップであって、
前記リチウム遷移金属酸素化合物の製造原料は、さらに、酸素含有主族金属化合物を含み、前記酸素含有主族金属化合物は、リチウム塩及び前駆体を入れる仮焼成段階、一次焼成段階又は二次焼成段階で添加され、
前記酸素含有主族金属化合物の平均粒子径は10~100nmである、
ステップと、
を含むリチウム遷移金属酸素化合物の製造方法。
【手続補正16】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図14
【補正方法】変更
【補正の内容】
図14
【国際調査報告】