IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アールケイダブリュー エスイーの特許一覧

<>
  • 特表-弾性おむつ要素 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(54)【発明の名称】弾性おむつ要素
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/49 20060101AFI20220113BHJP
   B29C 63/02 20060101ALI20220113BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
A61F13/49 410
B29C63/02
A61F13/49 310
A61F13/15 311
A61F13/15 355B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021514060
(86)(22)【出願日】2019-08-22
(85)【翻訳文提出日】2021-05-12
(86)【国際出願番号】 DE2019100754
(87)【国際公開番号】W WO2020108679
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】102018130054.9
(32)【優先日】2018-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521100003
【氏名又は名称】アールケイダブリュー エスイー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ウィリング,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ウォラー,ポール
(72)【発明者】
【氏名】シェーラー,マイケル
【テーマコード(参考)】
3B200
4F211
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA11
3B200BA12
3B200BB03
3B200BB11
3B200CA05
3B200CA06
3B200CA07
3B200CA13
3B200DA21
3B200EA11
3B200EA24
4F211AA11F
4F211AD08
4F211AD16
4F211AG03
4F211AH66
4F211SA09
4F211SC06
4F211SD02
4F211SG01
4F211SJ11
4F211SP04
4F211SP41
(57)【要約】
本発明は、不織布から構成された弾性層(1)及び外層(2、3)を含む弾性おむつ要素に関する。おむつ要素は、外層(2、3)を弾性層(1)に接続するための接続領域(4、8)を有する。これらの接続領域(4、8)は、弾性層(1)の不織布材料及び固化材料の形状適合結合が形成されるゾーン(7、9)を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布の弾性層(1)及び外層(2、3)を有する弾性おむつ要素であって、前記おむつ要素が、前記弾性層(1)に対する前記外層(2、3)の接続領域(4、8)を有し、前記接続領域(4、8)が、前記外層(2、3)の不織布材料及び前記弾性層(1)の固化材料の形状適合複合体が存在するゾーン(7、9)を含むことを特徴とする、おむつ要素。
【請求項2】
前記接続領域(4、8)が、前記表面全体の90%未満、好ましくは80%未満、特に70%未満、及び/又は前記表面全体の10%を超える、好ましくは20%を超える、特に30%を超えることを特徴とする、請求項1に記載の弾性おむつ要素。
【請求項3】
接続領域(4、8)の間に配置されるのが、前記弾性層(1)の不織布材料及び固化材料の形状適合複合材料が主に存在しない領域(11)であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の弾性おむつ要素。
【請求項4】
前記接続領域(4、8)が、前記外層(2、3)の前記不織布材料が圧縮した状態で存在するが、完全に溶融されていないか及び/又は溶融した状態ではない外部ゾーン(6、10)を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の弾性おむつ要素。
【請求項5】
1つの外層(3)が梳綿不織布から構成され、前記不織布が、好ましくは、10から40g/m、特に15から25g/mの比重を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の弾性おむつ要素。
【請求項6】
1つの外層(2)が、ウォータージェット結合不織布、好ましくはエンドレスフィラメントの水結合不織布から構成され、前記不織布が、好ましくは、10から70g/m、特に15から25g/mの比重を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の弾性おむつ要素。
【請求項7】
前記弾性層(2)が、ポリプロピレン-ポリエチレンブロック共重合体から構成され、前記弾性フィルムが、好ましくは、10から100g/m、特に20から40g/mの比重を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の弾性おむつ要素。
【請求項8】
弾性おむつ要素用のラミネートを製造する方法であって、
不織布(2、3)の2つの層の間の弾性フィルム層(1)の押出ステップと、
前記層(1、2、3)を接続してローラ間にラミネートを形成するステップであって、前記ローラの少なくとも1つが高さを有するステップと、を含む、ラミネートを製造する方法。
【請求項9】
前記ローラの少なくとも1つが冷却ローラであることを特徴とする、請求項8に記載のラミネートを製造する方法。
【請求項10】
不織布層(3)の場合、活性化中に、繊維間の内部結合点が破壊され、及び/又は前記他の不織布層(2)が、機能的な耐荷重不織布層(2)として残り、横方向配向を受けることを特徴とする、請求項8又は9に記載のラミネートを製造する方法。
【請求項11】
前記ローラの高さが、100μmを超える、好ましくは300μmを超える、特に500μmを超える高さ、及び/又は1.8mm未満、好ましくは1.6mm未満、特に1.4mm未満の高さを有することを特徴とする、請求項8~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ラミネートが、不織布層(3)の場合、破断点伸びを超える、好ましくは20%を超える、特に40%を超える十分に広い範囲まで横方向に伸長されることを特徴とする、請求項8~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記ラミネートが、不織布層(2)の場合、破断点伸びに到達しないように横方向に伸長されることを特徴とする、請求項8~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
弾性おむつ要素として、特におむつ耳又はおむつウエストバンドとしての請求項8~13のいずれか1項に記載の製造されたラミネートの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布の弾性層及び外層を有する弾性おむつ要素に関する。
【背景技術】
【0002】
おむつには様々な閉鎖システムが使用されている。閉鎖は、フィルム上の粘着テープ又はループ層(ループ)上のフックテープ(フック)のいずれかを使用して行われる。フックアンドループのバリエーションは、これらの閉鎖システムが衣類からのフックアンドループ閉鎖の形態でも知られているため、ユーザの間で比較的高い評価を得ている。
【0003】
一時的に使用する製品の場合、より安価なフックアンドループの変形が使用される。おむつのそのような閉鎖接続は、例えば、国際公開第96/22065号パンフレット、欧州特許第719 533号明細書、欧州特許第721 770号明細書及び国際公開第95/25496号パンフレットに記載されている。
【0004】
多くのおむつ閉鎖システムは、ウエストバンド、ランディングゾーンとして知られているものに位置する繊維状材料、及びカウンタピースとしてのおむつ耳を含む。おむつ耳は、多層ラミネートから構成され、少なくとも片側に、おむつが閉鎖されているときにランディングゾーンに引っかかる材料を有する。
【0005】
着用感を高めるために、これらのおむつ耳ラミネートは、弾性部分の復元力によって身体の形状に確実にフィットする弾性コンポーネントを含む。通常フィルムの形態で導入される弾性コンポーネントは、心地よい触覚感覚のために繊維被覆材料を備えている。
【0006】
研究は、おむつ耳を閉鎖するとき、約10Nの最大力が蓄積されることを示している。伸長応力の後、おむつ耳は、その弾性のために大部分が再びリセットされる。0から100%の伸びの範囲、すなわち0から10Nの間は、機能範囲と呼ばれる。
【0007】
弾性フィルム及び不織布からラミネートを製造するための従来の方法は、熱接合又は接着接合である。
【0008】
熱接合の場合、接続のために、フィルム及び不織布の材料は、エンボスローラ(=グラビアスチールローラ)によって高温高圧で溶融される。この方法は、フィルムが損傷する可能性があり、「ピンホール」として知られるものが発生する可能性があるという欠点を有する。さらに、この方法は、点状の接続しか得られない。
【0009】
事実上全ての市販のおむつ要素を製造するために、今日では接着剤も使用されている。これらの接着剤は、さらに、例えばスチレンを放出することにより、臭気効果をもたらす。
【0010】
子供たちは、何年もの間、そして頻繁に1日24時間おむつを着用する。したがって、おむつには可能な限り有害物質が含まれていてはならないという要件が存在する。従来のおむつでは、以前は、おむつ耳に接着剤を使用せずに済ませるのは避けられなかった。ほとんど全ての従来のおむつ耳では、以前は、接着剤を使用して、上下の不織布層がそれらの間にある弾性フィルムに接続されていた。
【0011】
接着剤の使用は、生態学的な理由からも有害である。おむつ耳の製造には、年間22,000トン以上の接着剤が使用されていると推定されている。さらに、そのような接着剤の使用は、追加費用を伴う。
【0012】
欧州特許第3 082 702号明細書は、弾性不織布ラミネートを形成する方法を記載している。ラミネートは、2つのローラ間の第1のギャップを通って案内される。1つのローラは、溝を有する。次に、ラミネートは、結合ローラによって形成された第2のギャップを通って案内される。結合ローラは、パターンを備えている。パターンは、好ましくは、不織布の外側の表面全体の10から60%を覆う。
【0013】
欧州特許第2 951 016号明細書は、接着剤なしでラミネートを製造する方法を記載している。熱可塑性層の基材とその上に塗布された不織布の層は、赤外線放射を介して熱可塑性層に熱を供給し、それに続くプレス及びその後の冷却動作によって接続されて、ラミネートを形成する。
【0014】
独国特許第103 04 370号明細書は、ポリマーの可撓性で弾性のある担体フィルムからなる横方向に弾性のある材料シートを製造する方法であって、不織布シートが担体フィルムの上面及び下面に塗布される、方法を記載している。ラミネートを形成するための接続は、グリッドのように配置されたスポット溶接面の形態での溶接接続を介して行われる。
【0015】
欧州特許第0 714 351号明細書は、繊維性不織布及びエラストマーフィルムからフィルムを製造するための方法を記載している。エラストマーフィルムは、接続ユニットにおいて不織布に接続されている。このプロセスでは、エラストマー押出物がその軟化点を超える温度で押出され、ここで使用されるピンチローラは、エラストマーフィルムと不織布との間に平面接続を形成する。続いて、ラミネートは、延伸プロセスにかけられる。この方法で製造されるものは、弾性層と不織布とからなる平面シート材料である。弾性層は、ラミネートの表面全体にわたって不織布に接続されている。そのようなラミネートは、不十分にしか活性化されることができない。
【0016】
欧州特許出願公開第1 921 192号明細書は、不織布及びポリマーフィルムの多層弾性材料シートについて記載している。押出後、ポリマーフィルムに接続する前に、少なくとも1つの不織布層がウォータージェットを使用して結合され、その結果、前記不織布層が横方向に容易に伸長されることができ、材料シートが弾性変形されることができる。
【0017】
欧州特許出願公開第2 228 200号明細書は、おむつ閉鎖要素用の弾性ラミネートについて記載している。弾性ラミネートは、不織布の外層を含み、その間において弾性フィルムが少なくとも特定の領域に積層される。2つの外層の1つは、ウォータージェットで結合された不織布から構成されている。不織布は、弾性フィルムの領域において軸方向に引き伸ばされる。
【0018】
欧州特許第2 406 070号明細書は、おむつ閉鎖要素用の弾性ラミネートについて記載している。前記弾性ラミネートは、外層の間に弾性フィルムが積層された不織布の外層を含む。2つの外層の1つは、軸方向に引き伸ばされたウォータージェット結合不織布から構成されている。弾性ラミネートの層は、超音波スポット溶接又は接着剤によって接続されている。
【0019】
国際公開第2006/024394号パンフレットは、衛生関連物品用の不織布フィルムラミネートを製造するための方法を記載している。出発不織布シートは、出発フィルムシートとともに加熱シリンダ上に案内される。そこで、双方のシートは、フィルムシートの結晶子融点よりも高く、不織布シートの結晶子融点よりも低い温度にともに加熱される。不織布シートは、シリンダに接するようになる。次に、加熱シリンダ上に形成された複合材料は、エンボス機構において固定及び冷却される。エンボス機構は、エンボスローラとゴムローラとから構成されている。次に、複合材料は延伸動作に送られる。延伸は、横方向のリングローリングローラによって行われる。
【発明の概要】
【0020】
本発明の目的は、健康に関して無害であり、生態学的に持続可能である弾性おむつ要素を特定することである。おむつ要素は、臭いを放出するべきではない。さらに、それは、良好な引き裂き抵抗と最適な伸長プロファイルとを有する必要がある。さらにまた、それは、心地よい触覚を提供し、伸ばされたとき、十分であるが高すぎない抵抗に対抗し、その結果、伸長応力がユーザにとって心地よいと知覚される。この点で、ラミネートの機械的特性を維持するために、個々の層の構造が熱的に損傷してはならない。伸長応力が経過した後、ラミネートは、その弾性のために実質的に再びリセットされる必要がある。おむつ要素は、快適な着用感と良好なフィット感とを保証する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この目的は、本発明によれば、追加の独立した主請求項にかかるおむつ要素、方法、及び使用によって達成される。好ましい変形は、従属請求項、詳細な説明、例示的な実施形態、及び図面から導き出されることができる。
【0022】
本発明によれば、おむつ要素は、不織布外層の弾性層への標的化された方法で位置合わせされた接続領域を有する。これらの接続領域は、弾性層の固化した材料中に不織布材料が存在するゾーンを含む。弾性層は、不織布外層の間にキャストフィルム押出(キャスト押出)によって導入され、層の接続は、構造化ローラによって行われ、本発明によれば、選択された位置において溶融弾性層に熱的に影響を受けない不織布材料を、及び/又は不織布層に溶融弾性材料をプレスすることによって、標的化された方法で接続領域を形成する。
【0023】
本発明によれば、そのようなラミネートは、おむつ要素として使用される。この点で、おむつ閉鎖要素として、好ましくはおむつ耳としての使用は、特に有利であることが証明されている。ラミネートはまた、ラミネートの少なくとも部分的に弾性のあるストリップを含むおむつウエストバンドとしての使用にも適している。
【0024】
ラミネートの製造は、押出機の溶融能力以外にそれ以上のエネルギを必要としない。溶融物は、ローラ間で冷却される。その結果、溶融物は、固化し、本発明にかかる接続領域が形成され、これらは、例えば超音波溶接又は加熱ローラの場合のように、不織布層が外部からいかなる熱負荷も受けないように提供される。これは、ピンホールを緩和する。本発明によれば、ラミネートを製造するために接着剤は全く必要ない。
【0025】
キャスト押出による弾性層の選択的加熱と、不織布外層上の接続ステップ自体の間における内側から外側への高温流の同時発生の結果として、弾性層の支持構造が保持される。接続動作自体の間に内側から外側への高温流を確保することにより、おむつ耳として特に好ましい特性を有するラミネートが提供される。
【0026】
ここでは、内側から外側への高温流は、標的化された方法で制御されることができる。本発明の特に好ましい実施形態では、少なくとも1つの冷却ローラがこの目的のために使用される。冷却ローラの表面温度を下げることにより、内側から外側に流れる熱エネルギの流れが特に増加され、最適なおむつ耳又はおむつウエストバンドラミネートを提供することができる。
【0027】
押出後、弾性ポリマーフィルムは、好ましくは210℃を超える温度において溶融した状態で存在する。100℃以上、好ましくは150℃以上、特に160℃以上の冷却は、好ましくは、ローラによる接続ステップ中に行われ、その結果、層を接続するために使用される第1のローラ対の後に、ラミネートはほぼ室温で存在する。
【0028】
本発明の1つの変形例では、接続ステップ中に、異なる表面温度を有するローラが使用される。その間、高温流は、細分化されることができ、その結果、より大きな高温流が、他の不織布層よりも一方の不織布層上を外向きに流れる。2つの外向きに流れる熱量の好ましい比率により、おむつ耳又はおむつウエストバンドとして使用するために、ラミネートに最適な特性を提供することが可能になる。
【0029】
冷却ローラには高さを設けることができるため、エンボス効果が得られる。2つの冷却ローラを使用することも可能である。滑らかな冷却ローラが、高さを有し、冷却されていないローラと相互作用すること、又は高さを有する冷却ローラが、滑らかな、冷却されていないカウンタローラと相互作用することも可能である。ローラは、例えば、金属及び/又はゴムのような材料から構成されることができる。
【0030】
本発明によれば、ラミネートは、不織布材料及び固化した弾性材料への接続領域を有する。不織布シート間の弾性材料の押出後、選択された領域において、まだ溶融した状態にある不織布材料が弾性層に押し込まれる。不織布材料が弾性層の固化材料に適合する形態で存在するゾーンが形成される。したがって、標的化された方法で位置合わせされた固化した弾性材料及び不織布の接続領域が提供される。従来の方法とは対照的に、表面全体を押圧することは起こらない。
【0031】
本発明にかかる接続領域は、好ましくは、ストリップ状及び/又はウェブ状及び/又は溝状及び/又は菱形である。接続領域は、前後に配置された複数の列として形成されることができる。1つの列内で、直線及び/又は波状のプロファイルが可能である。接続領域の位置合わせは、好ましくは、おむつ耳又はおむつウエストバンドの張力方向に垂直であり、その結果、個々の列は、おむつ耳又はおむつウエストバンドの張力方向に対して横方向に位置合わせされる。
【0032】
最適なおむつ耳ラミネート又はおむつウエストバンドラミネートにとって重要なのは、隆起領域と沈降領域との比率であり、前記比率はまた、使用される構造化ローラの場合、ウェブ-溝比率とも呼ばれる。
【0033】
接続領域は、好ましくは、ラミネートの全表面の90%未満を含む。本発明の特に好ましい実施形態では、本発明の領域は、ラミネートの全表面の80%未満、好ましくは70%未満、特に60%未満でさえあり得る。さらに、接続領域は、好ましくは、ラミネートの全表面の10%を超える、好ましくは20%を超える、特に30%を超えるものを含む。
【0034】
接続領域が0.1mmを超える、好ましくは0.3mmを超える、特に0.6mmを超える幅、及び/又は8mm未満、好ましくは6mm未満、特に4mm未満の幅を有する場合に特に好ましいことが証明されている。接続領域は、好ましくは、おむつ耳又はおむつウエストバンドの張力方向に対して横方向にストリップのように位置合わせされる。
【0035】
驚くべきことに、特定の領域において標的化された方法でプレスされたラミネートは、おむつ耳又はおむつウエストバンドとしての使用に非常に適していることがわかった。活性化中に、結果として、横方向への不織布層の最適な過剰伸長が可能であり、この不織布層の内部において、不織布繊維間の既存の内部結合点の大部分が破壊される。同時に、他の不織布層は、繊維ウェブをおむつ耳又はおむつウエストバンドの張力方向に対して横方向に位置合わせすることによって横方向の配向を受け、おむつ耳又はおむつウエストバンドとしての用途のために耐荷重性を維持する。
【0036】
本発明の好ましい変形例では、接続領域は、外層の不織布材料が圧縮されているが完全には溶融していない状態で存在する、及び/又は外層の不織布材料が不織布状態で存在する、外部ゾーンを有する。
【0037】
接続領域の間に配置されているのは、それぞれの不織布層の繊維が主に弾性材料を有する形状適合複合材料中に存在しない領域である。これらの領域は、弾性層とそれぞれの不織布層との間の弱い凝集が直接接触面にのみ存在するため、個々の層の接続にごく僅かしか寄与しない。
【0038】
これらの「非結合領域」は、好ましくは、表面全体の10%を超え、特に20%を超え、好ましくは30%を超える割合を有する。これらの領域では、50%を超える、好ましくは65%を超える、特に80%を超える繊維が、弾性層の材料を有する形状適合複合材料中に存在しないことが好ましい場合である。
【0039】
これらの非結合領域が0.1mmを超える、好ましくは0.3mmを超える、特に0.6mmを超える幅、及び/又は8mm未満、好ましくは6mm未満、特に4mm未満の幅を有する場合に特に好ましいことが証明されている。非結合領域は、好ましくは、おむつ耳又はおむつウエストバンドの張力方向に対して横方向にストリップのように位置合わせされる。
【0040】
好ましくは、ローラを使用して、100μmを超える、好ましくは300μmを超える、特に500μmを超える高さ、及び/又は1.8mm未満、好ましくは1.6mm未満、特に1.4mm未満の高さを有する表面構造を接続領域に提供する。
【0041】
本発明の特に有利な実施形態では、少なくとも1つの不織布層は、梳綿不織布から構成される。不織布の製造中、梳綿は、不織布を形成するための緩い繊維の最初の位置合わせに役立つ。使用される梳綿不織布は、好ましくは、ポリプロピレン繊維及び/又は例えばポリプロピレン/ビスコース、ポリプロピレン/ポリアミド、ポリプロピレン/ポリエステルなどの異なる繊維タイプの混合物から構成される。本発明によれば、破壊された状態の大部分の完成したおむつ耳又はおむつウエストバンドに存在するものは、梳綿不織布層内に元々存在していた結合である。
【0042】
対照的に、他の不織布層は、その基本構造のままであり、機能的な耐荷重不織布を形成する。本発明によれば、第2の不織布層は、ウォータージェット結合不織布から構成される。ウォータージェットの使用による結合は、不織布のこの層に横方向に高い伸展性を与える。ハイドロエンタングルメントは、元の2次元繊維配列が3次元繊維配向に変換されるように、不織布の繊維を再配向する。繊維は、より顕著な程度まで不織布に結合されている。この不織布層は、好ましくは、5~80g/m、好ましくは10~70g/m、特に好ましくは15~25g/mの比重を有する。
【0043】
ウォータージェット結合された不織布層は、好ましくは、エンドレスフィラメントの不織布を含む。その製造プロセスにより、前記不織布は、ループのように形成された繊維ウェブを提供し、したがって、フックは十分な固定手段を有する。
【0044】
エンドレスフィラメントを製造するための材料として、例えば、ポリエステル、PLA、ポリオレフィン、特にポリプロピレン及びポリエチレンなどの紡糸可能なポリマーを使用することが可能である。それらは、特に好ましくは、ポリプロピレン材料及び/又はポリエチレン材料から構成される。
【0045】
弾性層は、好ましくは、ポリプロピレン-ポリエチレンブロック共重合体である。特に、弾性フィルムは、5~140g/m、好ましくは10から130g/m、好ましくは20~40g/mの比重を有する。本発明によれば、スチレン含有ポリマーは完全に省かれている。
【0046】
本発明のさらなる利点及び特徴は、図面を参照する1つの例示的な実施形態の説明及び図面自体から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1図1は、本発明にかかるおむつ要素の断面を示している。ラミネートは、不織布の2つの外層2、3の間に配置された弾性層1を含む。図面を見ると最上部にある不織布層2は、例示的な実施形態ではウォータージェット結合不織布であり、エンドレスフィラメントの紡糸不織布が使用されている。
【発明を実施するための形態】
【0048】
第2の不織布層3は、ラミネートを形成するための処理の前に元々結合点に結合された梳綿不織布である。このプロセスでは、サーマルボンディングと呼ばれる技術が使用される。サーマルボンディングは、不織布をサーマルボンディングするためのプロセスである。その結果、結合強度が大幅に向上し、軽量不織布の設計も可能になる。本発明によれば、ラミネートが好ましくは横方向にリングローリングによって引き伸ばされる活性化ステップにおいてラミネートを製造する場合、梳綿不織布層3のこれらの内部結合は、大部分が破壊される。
【0049】
同時に、活性化の間、ウォータージェット結合不織布の他の不織布層2は、機能及び耐荷重性を維持する。活性化の間、不織布層2において、ウォータージェット結合されたエンドレスフィラメントは、横方向に配向される。
【0050】
本発明にかかるラミネートは、一方では十分に伸ばすことができるが、それでも十分な反力を生成し、その結果、顧客がおむつ耳又はおむつウエストバンドを伸ばすときに心地よい感覚を有するため、おむつ耳又はおむつウエストバンドとして最適な性能を有する。
【0051】
それが閉鎖されているとき、おむつ耳は、好ましくは、およそ10Nの最大力を蓄積する。伸長応力が経過した後、本発明にかかるおむつ耳は、その弾性のために大部分が再びリセットされる。
【0052】
本発明にかかるおむつ要素がおむつ耳として設計される場合、それは、好ましくは30から120mmの間、特に40から100mmの間、好ましくは50から80mmの間の幅、及び/又は好ましくは40から200mmの間、特に60から180mmの間、好ましくは80から160mmの間の長さを有する。
【0053】
本発明にかかるおむつ要素がおむつウエストバンドとして設計されている場合、おむつウエストバンドが、少なくとも特定の領域において、本発明にかかるラミネートの弾性ストリップを有する場合に特に有利であることが証明されている。おむつウエストバンドは、10から160mmの間、特に20から140mmの間、好ましくは30から120mmの間の幅、及び/又は好ましくは300から800mmの間、特に400から600mmの間の全長を有する。おむつウエストバンドが本発明にかかるラミネートの弾性ストリップを備えている場合、これらのストリップは、40から200mmの間、特に60から180mmの間、好ましくは80から160mmの間の長さを有する。
【0054】
例示的な実施形態では、弾性ポリオレフィンのモノフィルムが弾性層1として使用される。これらは、好ましくは熱可塑性ポリマーである。特にこの点で使用されるのは、例えば、シリーズExxon Vistamaxx(PPベース):VM 6102、又はVM 6202もしくはVM 7810、及び/又はシリーズDow INFUSE(PEベース):INFUSE 9507、INFUSE 9107のポリプロピレン-ポリエチレンブロックコポリマーである。
【0055】
本発明によれば、標的化された方法でラミネートに組み込まれるのは、領域5よりもラミネートの個々の層1、2及び3との間にはるかに強い結合を有する接続領域4である。層1、2及び3の間の活性結合力は、領域5よりも接続領域4において、3倍以上、好ましくは5倍以上、特に10倍以上大きい。
【0056】
接続領域4において、不織布材料は、弾性層1の溶融材料に押し込まれ、本発明によれば、接続動作の間、外部から熱が供給されない。本発明にかかる接続領域4は、異なるゾーン6、7を有する。外部ゾーン6では、不織布層2の不織布材料は、圧縮した状態で存在するが、溶融した状態では存在せず、及び/又は完全に溶融した状態では存在しない。固化した弾性材料及び不織布材料の形状適合複合材料は、必ずしも外部ゾーン6に存在する必要はない。
【0057】
接続領域4の内部ゾーン7には、固化した弾性材料及び不織布材料の形状適合複合材料が存在する。この場合、不織布材料は、溶融される必要はないが、繊維は、単に弾性溶融物に押し込まれただけとすることができ、その結果、弾性層1が固化した後に形状適合複合材料が存在する。代替として、不織布材料の少なくとも個々の繊維が内部ゾーン7において溶融されることが可能である。不織布材料が内部ゾーン7の弾性溶融物中に完全に溶融した状態で存在することも可能である。全ての場合において、弾性材料が内部ゾーン7で固化した後、弾性層1の不織布材料及び固化材料の形状適合複合材料が存在する。
【0058】
図1に示されている三層は、ローラペア間で相互に接続されており、この場合、図面を上から見ると、高さのあるプロファイルローラが不織布層2を弾性層1に押し込み、図面を下から見ると、表面が滑らかなカウンタローラが配置されている。図1に示すラミネートを製造する場合、カウンタローラとして冷却ローラが使用される。冷却ローラは、スチールローラである。上から作用する構造化ローラは、ゴム状材料の非冷却ローラである。
【0059】
接続に使用されるローラは、間隔を空けて動作される。冷却ローラとゴムローラとの間は、固定間隔に設定されている。前記間隔は、3つの組み合わされた層1、2、3の厚さの少なくとも20%である。
【0060】
接続領域8は、接続領域4の反対側に位置している。前者は、不織布層2を弾性層1に押し込むプロファイルローラの高さの圧力が伝播し、したがって、接続領域8において弾性層1を不織布層3に押し込むように形作られている。その結果、内部ゾーン9が形成され、その中に不織布材料が弾性層1の固化した材料に適合する形態で存在する。
【0061】
この場合、不織布材料は、溶融される必要はないが、繊維は、単に弾性溶融物に押し込まれただけとすることができ、その結果、弾性層1が固化した後に形状適合複合材料が存在する。代替として、不織布材料の少なくとも個々の繊維が内部ゾーン9において溶融されることが可能である。不織布材料が内部ゾーン9の弾性溶融物中に完全に溶融した状態で存在することも可能である。全ての場合において、弾性材料が内部ゾーン9で固化した後、弾性層1の不織布材料及び固化材料の形状適合複合材料が存在する。
【0062】
さらに、接続領域8は、不織布層3の不織布材料が圧縮した状態で存在するが、それが溶融した状態では存在せず、及び/又は完全に溶融した状態では存在しない外部ゾーン10を有する。固化した弾性材料及び不織布材料の形状適合複合材料は、必ずしも外部ゾーン10に存在する必要はない。
【0063】
本発明によれば、接続領域4、8の間において、おむつ要素は、それぞれの不織布層2、3の繊維が主に溶融した状態及び/又は溶融した状態では存在しない領域11を有する。繊維は、境界5の弾性層1でのみ溶融又は溶融されることが可能である。
【0064】
ラミネートの全表面上の領域11の割合は、好ましくは10%を超える、特に20%を超える、好ましくは30%を超える、及び/又は60%未満、特に50%未満、好ましくは40%未満である。
【0065】
領域11の外部ゾーンでは、不織布層2、3の繊維は、本発明によれば、繊維が外部からの熱負荷を受けていないため、熱的にほとんど影響を受けない。活性化ステップ中の横方向への伸長による繊維の機械的影響のみが領域11に存在する。
【0066】
ラミネートは、好ましくは、10g/mを超える、特に30g/mを超える、好ましくは40g/mを超える、及び/又は400g/m未満、特に300g/m未満、好ましくは200g/m未満の単位面積あたりの比重を有する。本発明の特に有利な実施形態では、単位面積あたりの重量は、50から150g/mの間である。
【0067】
例示的な実施形態では、接続領域4、8及び非接続領域11は、ストリップのように構成され、ストリップは、おむつ要素の張力方向に対して横方向に延びる。ストリップは、0.5mmから2mmの幅を有する。例示的な実施形態では、接続領域4、8及び非接続領域11は、同じ幅を有し、双方とも1.2mmの幅を有し、その結果、非接続領域11に対する接続領域4、8の面積パーセンテージは同じである。
図1
【国際調査報告】