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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(54)【発明の名称】自動内視鏡ビデオ拡張
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/30 20160101AFI20220113BHJP
   A61B 1/045 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
A61B34/30
A61B1/045 622
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021518573
(86)(22)【出願日】2019-10-03
(85)【翻訳文提出日】2021-04-02
(86)【国際出願番号】 GB2019052801
(87)【国際公開番号】W WO2020070510
(87)【国際公開日】2020-04-09
(31)【優先権主張番号】1816164.6
(32)【優先日】2018-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516263638
【氏名又は名称】シーエムアール サージカル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CMR SURGICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】特許業務法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】ヘアーズ,ルーク デイビッド ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,ポール クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】メンジーズ,ルパート
(72)【発明者】
【氏名】スラック,マーク クリフォード
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161WW04
4C161WW14
4C161WW15
4C161YY13
(57)【要約】
タスクを少なくとも部分的に実施するために使用された外科用ロボットシステムの状態を記述する状態データに基づいて、タスクに関して内視鏡ビデオを自動的に拡張するための方法およびシステム。システムは、イベント検出器および拡張器を含む。イベント検出器は、状態データを受信することと、タスク中にイベントが発生したことを示す状態データにおける1つ以上のパターンを識別することと、を行うように構成されている。拡張器は、タスク中に捕捉された内視鏡ビデオを受信することであって、内視鏡ビデオが、状態データと時間同期されている、受信することと、イベント検出器が、イベントが発生したことを示す状態データにおけるパターンを識別することに応答して、内視鏡ビデオに関してイベントおよびイベントが発生した時間を識別する情報で、内視鏡ビデオの一部を形成するか、または内視鏡ビデオに関連付けられたメタデータを自動的に拡張することと、を行うように構成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張内視鏡ビデオを生成するための拡張システム(500)であって、前記拡張システム(500)が、
イベント検出器(504)であって、
外科用ロボットシステム(502)によって少なくとも部分的に実施されるタスク中に、前記外科用ロボットシステム(502)の状態を記述する状態データを受信することであって、前記外科用ロボットシステム(502)が、基部、および前記基部から器具の取り付け部まで延在するアームであって、前記アームが、複数のジョイントを含み、それによって、前記アームの構成が変更され得る、アーム、を有する、少なくとも1つの外科用ロボットを含む、受信することと、
前記タスク中にイベントが発生したことを示す前記状態データにおける1つ以上のパターンを識別することと、を行うように構成されている、イベント検出器(504)と、
拡張器(506)であって、
前記タスク中に捕捉された内視鏡ビデオを受信することであって、前記内視鏡ビデオが、前記状態データと時間同期されている、受信することと、
前記イベント検出器(504)が、イベントが発生したことを示す前記状態データにおけるパターンを識別することに応答して、前記内視鏡ビデオに関して前記イベントおよび前記イベントの時間を識別する情報で、前記内視鏡ビデオの一部を形成するか、または前記内視鏡ビデオに関連付けられたメタデータを自動的に拡張することであって、前記メタデータを、前記内視鏡ビデオに関する前記イベントおよび前記イベントの前記時間を識別する情報で拡張することが、前記イベントを識別する前記イベントの前記時間で、前記内視鏡ビデオにブックマークを追加することを含む、拡張することと、を行うように構成されている、拡張器(506)と、を含む、拡張システム(500)。
【請求項2】
前記拡張内視鏡ビデオが、前記タスクの後にユーザによって視聴されたときに、前記イベントおよび前記イベントの前記時間を識別する前記情報が、前記ユーザに対して可視的である、請求項1に記載の拡張システム(500)。
【請求項3】
前記拡張内視鏡ビデオが、前記タスクの後にユーザによって視聴されたときに、前記イベントおよび前記イベントの前記時間を識別する前記情報が、前記ユーザに対して選択的に可視的である、請求項1に記載の拡張システム(500)。
【請求項4】
前記拡張内視鏡ビデオが、ユーザに関連付けられた特権に基づいて、前記タスクの後にユーザによって視聴されたときに、前記イベントおよび前記イベントの前記時間を識別する前記情報が、前記ユーザに対して自動的に視認可能または視認不可能である、請求項1に記載の拡張システム(500)。
【請求項5】
前記1つ以上のパターンが、複数のパターンを含み、各パターンが、異なるイベントに対応しており、前記イベント検出器(504)が、前記複数のパターンのサブセットのみを選択的に識別するように構成可能である、請求項1~4のいずれかに記載の拡張システム(500)。
【請求項6】
前記1つ以上のパターンが、複数のパターンを含み、各パターンが、異なるイベントに対応しており、前記イベント検出器(504)が、前記拡張を開始したユーザに関連付けられたユーザ特権に基づいて、前記複数のパターンのサブセットを識別するように構成されている、請求項1~5のいずれかに記載の拡張システム(500)。
【請求項7】
前記状態データが、前記外科用ロボットシステム(502)によって生成されるデータを少なくとも部分的に含み、および/または前記状態データが、前記外科用ロボットシステム(502)の外部の1つ以上のソースによって生成されるデータを少なくとも部分的に含む、請求項1~6のいずれかに記載の拡張システム(500)。
【請求項8】
前記1つ以上のパターンが、1つ以上の器具イベントを識別するように構成されており、前記1つ以上の器具イベントが、前記外科用ロボットシステムの外科用ロボットアームに取り付けられた器具の変更であって、前記外科用ロボットシステムの外科用ロボットアームに取り付けられた少なくとも1つの器具が、通電器具である、器具の変更と、前記通電器具の状態の変化であって、前記外科用ロボットシステムの外科用ロボットアームに取り付けられた少なくとも1つの器具が、内視鏡である、前記通電器具の状態の変化と、前記内視鏡のクリーニングであって、前記外科用ロボットシステムの外科用ロボットアームに取り付けられた少なくとも1つの器具が、内視鏡である、内視鏡のクリーニングと、前記内視鏡の撮像システム上でホワイトバランスを実施することであって、前記外科用ロボットシステムの外科用ロボットアームに取り付けられた前記器具のうちの少なくとも1つが、内視鏡であり、前記内視鏡の移動のサイズまたは頻度が、ある範囲の外にある、ホワイトバランスを実施することと、前記外科用ロボットシステムによってアクティブに制御される器具の変化と、のうちの1つ以上を含む、請求項1~7のいずれかに記載の拡張システム(500)。
【請求項9】
前記1つ以上のパターンが、1つ以上の衝突イベントを識別するように構成されており、前記1つ以上の衝突イベントが、前記外科用ロボットシステム(502)の少なくとも2つの外科用ロボットアームの間の衝突と、前記外科用ロボットシステム(502)の異なる外科用ロボットアームに取り付けられた少なくとも2つの器具の間の衝突と、前記外科用ロボットシステム(502)の外科用ロボットアームと前記外科用ロボットシステム(502)の別の外科用ロボットアームに取り付けられた器具との間の衝突と、のうちの1つ以上を含む、請求項1~8のいずれかに記載の拡張システム(500)。
【請求項10】
前記タスクが、患者に対して実施される外科手術手技であり、前記1つ以上のパターンが、1つ以上の患者イベントを識別するように構成されており、前記1つ以上の患者イベントが、前記患者の1つ以上のバイタルサイン、または1つ以上の他の健康メトリックがある範囲の外にあることと、前記患者の1つ以上のバイタルサイン、および/または1つ以上の他の健康メトリックの変化と、のうちの1つ以上を含む、請求項1~9のいずれかに記載の拡張システム(500)。
【請求項11】
前記外科用ロボットシステム(502)が、オペレータによって制御されており、前記1つ以上のパターンが、1つ以上のオペレータイベントを識別するように構成されており、前記1つ以上のオペレータイベントが、前記オペレータの1つ以上のバイタルサインおよび/または1つ以上の他の健康メトリックがある範囲の外にあることと、前記オペレータのバイタルサインおよび/または他の健康メトリックのうちの1つ以上における変化と、前記外科用ロボットシステム(502)を制御するために使用される1つ以上の入力装置への前記オペレータによって及ぼされる把持力の変化と、前記入力装置のうちの1つ以上への前記オペレータによって及ぼされる押す力の変化と、のうちの1つ以上を含む、請求項1~10のいずれかに記載の拡張システム(500)。
【請求項12】
前記外科用ロボットシステム(502)が、オペレータによって制御されており、前記1つ以上のパターンが、1つ以上のオペレータ性能イベントを識別するように構成されており、前記1つ以上のオペレータ性能イベントが、前記タスクを許容可能なレベルを下回って実施する際の前記オペレータの性能と、前記タスクを実施する際の前記オペレータの前記性能の変化と、のうちの1つ以上を含む、請求項1~11のいずれかに記載の拡張システム(500)。
【請求項13】
前記タスクを実施する際の前記オペレータの前記性能が、1つ以上の性能基準に基づいており、前記1つ以上の性能基準が、前記タスクのステップの実施において外科用ロボットアームによって得られる経路と、前記外科用ロボットアームの滑らかさと、前記タスクのステップを完了するための持続時間と、のうちの1つ以上を含む、請求項12に記載の拡張システム(500)。
【請求項14】
前記タスクが、複数のステップを含み、前記1つ以上のパターンが、前記状態データから、前記タスクのうちの前記1つ以上のステップを自動的に識別するように構成されている、請求項1~13のいずれかに記載の拡張システム(500)。
【請求項15】
前記状態データが、前記タスク中に前記少なくとも1つの外科用ロボットに取り付けられた器具を記述する器具情報と、前記タスク中の前記外科用ロボットの移動および/または位置を記述する外科用ロボット位置情報と、を含み、
前記イベント検出器(504)が、前記器具情報および前記外科用ロボット位置情報におけるパターンを識別することによって、前記タスクにおける縫合ステップを識別するように構成されている、請求項1~14のいずれかに記載の拡張システム(500)。
【請求項16】
前記イベント検出器(504)は、前記イベント検出器(504)が、少なくとも2つの針ドライバが外科用ロボットに取り付けられていることを、前記器具情報から識別し、前記イベント検出器(504)が、前記外科用ロボットが繰り返し円運動で移動したことを前記外科用ロボット位置情報から識別したときに、前記タスクにおける縫合ステップを識別するように構成されている、請求項15に記載の拡張システム(500)。
【請求項17】
前記システム(500)は、イベントを識別する前記情報が、前記イベントが前記内視鏡ビデオおよび前記状態データに関して発生した前記時間を識別するように、前記拡張内視鏡ビデオおよび前記状態データのすべてまたは一部分をリンクするようにさらに構成されている、請求項1~16のいずれかに記載の拡張システム(500)。
【請求項18】
識別されたイベントに関する前記内視鏡ビデオの一部分および前記状態データの一部分が、前記イベントを識別する前記情報から取得可能である、請求項17に記載の拡張システム(500)。
【請求項19】
前記拡張システム(500)が、前記外科用ロボットシステム(502)を含む、請求項1~18のいずれかに記載の拡張システム(500)。
【請求項20】
拡張内視鏡ビデオを生成するコンピュータ実装方法(800)であって、前記方法(800)が、1つ以上のコンピューティングベースの装置で、
外科用ロボットシステムによって少なくとも部分的に実施されるタスク中に捕捉された内視鏡ビデオを受信することであって、前記外科用ロボットシステムが、基部、および前記基部から器具の取り付け部まで延在するアームであって、前記アームが、複数のジョイントを含み、それによって、前記アームの構成が変更され得る、アーム、を有する、少なくとも1つの外科用ロボットを含む、受信すること(802)と、
前記タスク中の前記外科用ロボットシステムの状態を記述する状態データを受信することであって、前記状態データが、前記内視鏡ビデオと時間同期している、受信すること(804)と、
前記タスク中にイベントが発生したことを示す前記状態データにおける1つ以上のパターンを識別すること(806)と、
前記タスク中にイベントが発生したことを示す前記状態データにおけるパターンを識別することに応答して、前記内視鏡ビデオに関して前記イベントおよび前記イベントの時間を識別する情報で、前記内視鏡ビデオの一部を形成するか、または前記内視鏡ビデオに関連付けられたメタデータを拡張すること(808)であって、前記メタデータを、前記内視鏡ビデオに関する前記イベントおよび前記イベントの前記時間を識別する情報で拡張することが、前記イベントを識別する前記イベントの前記時間で、前記内視鏡ビデオにブックマークを追加することを含む、拡張すること(808)と、を含む、コンピュータ実装方法(800)。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
外科手術を補助および実施するためにロボットを使用することが知られている。図1は、基部108、アーム102、および器具105からなる、典型的な外科用ロボット100を例示している。基部は、ロボットを支持し、それ自体が、例えば、手術室の床、手術室の天井、またはトロリーにしっかりと取り付けられている。アームは、基部と器具との間に延在する。アームは、その長さに沿って、外科用器具を患者に対して所望の場所に位置特定するために使用される複数の可撓性ジョイント103によって関節式に連結されている。外科用器具は、ロボットアームの遠位端104に取り付けられる。外科用器具は、外科的部位にアクセスするように、ポート107で患者101の身体を貫通する。その遠位端において、器具は、医療的手技で係合するためのエンドエフェクタ106を含む。
【0002】
外科用ロボット100は、図2に示されるオペレータコンソール200を介して、オペレータ(例えば、外科医)によって遠隔制御される。オペレータコンソール200は、外科用ロボット100と同じ部屋(例えば、手術室)内、またはそこから遠隔に位置してもよい。オペレータコンソール200は、アーム102および/またはアーム102に取り付けられた器具105の状態を制御するための入力装置202、204を含む。入力装置202、204は、ハンドグリップ、または平行グラムリンケージに装着されたハンドコントローラであってもよい。制御システムは、ハンドコントローラの移動を制御信号に変換して、外科用ルートのアームジョイントおよび/または器具エンドエフェクタを移動させる。オペレータコンソール200はまた、ディスプレイ206を含む。ディスプレイ206は、入力装置202、204を操作するユーザに対して可視的であるように配設される。ディスプレイは、外科手術部位のビデオストリーム(例えば、内視鏡ビデオ)を表示するために使用される。
【0003】
いくつかの外科手術手技は、いくつかの外科用ロボットを必要としてもよく、各々が、外科手術部位で他のものと同時に使用される器具または他の器具を担持する。図3は、患者308上の共通のワークスペースで動作する複数のロボット302、304、306を有する外科用ロボットシステム300を例示している。例えば、外科用ロボットは、内視鏡外科手術(例えば、腹腔鏡手術)でしばしば使用され、これはまた、低侵襲手術と呼ばれ得る。当業者に既知であるように、外科医は、内視鏡手技中に、口または鼻孔などであるがこれに限定されない、身体の小さな切開または自然な開口部を通して内視鏡を挿入する。内視鏡は、外科医が、同じ切開/開口部を通して、または異なる切開/開口部を通して、自身のツールを誘導するのを助けるために使用される、ビデオモニタ(例えば、ディスプレイ206)にリアルタイム画像を送信する、取り付けられた小さなカメラを有する剛直または可撓性の管である。内視鏡により、外科医は、切断して関連領域を露出させることなく、身体の関連領域を詳細に見ることができる。この技術により、外科医は、患者の体内を見て、従来の開腹手術で必要とされていたよりもはるかに小さな切開を通して手術することができる。したがって、典型的なロボット内視鏡外科手術では、1つの外科用ロボットアーム、および1つ以上の他の外科用ロボットアームに取り付けられた1つ以上の外科用器具(一対のピンサーおよび/またはメスなど)に取り付けられた内視鏡が存在する。
【0004】
図4は、低侵襲手術で使用するためのロボットアームの端部に取り付け可能である例示の内視鏡400を例示している。内視鏡400は、患者の外科手術部位への挿入のための遠位端402と、近位端404と、を有する。遠位端402は、細長いシャフト406によって近位端404に接続されている。近位端404は、ロボットアームの端部と係合するためのインターフェース408を含む。
【0005】
内視鏡400は、外科手術部位を照射するための電源および光源を有する。内視鏡400はまた、外科手術部位から画像データを抽出するためのデータラインを有する。これらはすべて、図4に示されるように、独立して、およびロボットアームの外部で、内視鏡400の近位端404に取り付けられ得る。図4では、電力は、ステム412を通して加えられ、画像データは、ステム412を通して抽出され、光は、光ステム410を通して加えられる。代替的な実装形態では、光入力、電力入力、およびデータ出力のうちのいずれか1つ以上を、ロボットアームを通して内視鏡に加えられ得る/抽出され得る。
【0006】
内視鏡400は、ロボットアームの端部に装着される。内視鏡インターフェース408は、ロボットアームの相補的インターフェースと係合する。内視鏡400は、ロボットアームおよび内視鏡インターフェースを介して、ロボットアームに取り付け可能であり、ロボットアームから取り外し可能である。一部の場合に、内視鏡400は、ロボットアームから独立してその取り外された状態で動作可能である。言い換えれば、これらの場合、内視鏡400は、ロボットアームから取り外されたときに、手術室スタッフのメンバーによって手動で操作することができる。
【0007】
手術中に使用される内視鏡(本明細書では、内視鏡ビデオと総称され得る)によって捕捉される画像に加えて、内視鏡によって捕捉される画像は、記録されてもよく、その後、外科手術手技を学習および/または教示すること、ならびに外科医(第三者または外科医自身による)の性能の評価および/またはレビューすることなどであるがこれに限定されない、様々な目的のために使用されてもよい。
【0008】
従来の手動外科手術よりもロボット支援外科手術の利点のうちの1つは、外科手術がどのように実施されるかについて、より簡単にデータを収集できることである。例えば、外科手術中のロボット(複数可)の動きおよび/または位置を監視し、ログに記録することができる。内視鏡ビデオを、外科用ロボット(複数可)によって生成/収集されたデータ、または外科用ロボット(複数可)に関するデータとリンクさせるか、またはそうでなければ接続して、教育、性能評価/レビューなどにおける内視鏡ビデオの有用性を改善し得ることが有利であろう。
【0009】
以下に記載される実施形態は、単に実施例として提供されるものであり、既知の外科用ロボットシステムの不利益の一部またはすべてを解決する実装形態を限定するものではない。
【発明の概要】
【0010】
この概要は、以下で詳細な説明でさらに記述される概念の選択を紹介するために提供される。この概要は、特許請求された主題の主要な特徴または必須の特徴を識別することを意図しておらず、特許請求された主題の範囲を制限するために使用することも意図していない。
【0011】
本明細書では、タスク中の外科用ロボットシステムの状態を記述する状態データに基づいて、外科用ロボットシステムによって少なくとも部分的に実施されるタスクに対して、内視鏡ビデオを自動的に拡張するための方法およびシステムが記述される。システムは、イベント検出器および拡張器を含む。イベント検出器は、状態データを受信することと、タスク中にイベントが発生したことを示す状態データにおける1つ以上のパターンを識別することと、を行うように構成されている。拡張器は、タスク中に捕捉された内視鏡ビデオを受信することであって、内視鏡ビデオが、状態データと時間同期されている、受信することと、イベント検出器が、イベントが発生したことを示す状態データにおけるパターンを識別することに応答して、内視鏡ビデオに関してイベントおよびイベントが発生した時間を識別する情報で、内視鏡ビデオの一部を形成するか、または内視鏡ビデオに関連付けられたメタデータを拡張することと、を行うように構成されている。
【0012】
第1の態様は、拡張内視鏡ビデオを生成するための拡張システムを提供しており、拡張システムは、イベント検出器であって、外科用ロボットシステムによって少なくとも部分的に実施されるタスク中に、外科用ロボットシステムの状態を記述する状態データを受信することであって、外科用ロボットシステムが、基部、および基部から器具の取り付け部まで延在するアームであって、アームが、複数のジョイントを含み、それによって、アームの構成が変更され得る、アーム、を有する、少なくとも1つの外科用ロボットを含む、受信することと、タスク中にイベントが発生したことを示す状態データにおける1つ以上のパターンを識別することと、を行うように構成されている、イベント検出器と、拡張器であって、タスク中に捕捉された内視鏡ビデオを受信することであって、内視鏡ビデオが、状態データと時間同期されている、受信することと、イベント検出器が、イベントが発生したことを示す状態データにおけるパターンを識別することに応答して、内視鏡ビデオに関してイベントおよびイベントの時間を識別する情報で、内視鏡ビデオの一部を形成するか、または内視鏡ビデオに関連付けられたメタデータを自動的に拡張することと、を行うように構成されている、拡張器と、を含む。
【0013】
拡張内視鏡ビデオがその後、ユーザによって視聴されたときに、イベントおよびイベントの時間を識別する情報は、ユーザに対して可視的であり得る。
【0014】
拡張内視鏡ビデオがその後、ユーザによって視聴されたときに、イベントおよびイベントの時間を識別する情報は、ユーザに対して選択的に可視的であり得る。
【0015】
拡張内視鏡ビデオがその後、ユーザに関連付けられた特権に基づいて、ユーザによって視聴されたときに、イベントおよびイベントの時間を識別する情報は、ユーザに対して自動的に視認可能または視認不可能であり得る。
【0016】
メタデータを、内視鏡ビデオに関するイベントおよびイベントの時間を識別する情報で拡張することは、イベントを識別するイベントの時間で、内視鏡ビデオにブックマークを追加することを含み得る。
【0017】
1つ以上のパターンは、複数のパターンを含み得、各パターンは、異なるイベントに対応しており、イベント検出器は、複数のパターンのサブセットのみを選択的に識別するように構成可能であり得る。
【0018】
1つ以上のパターンは、複数のパターンを含み得、各パターンは、異なるイベントに対応しており、イベント検出器は、拡張を開始したユーザに関連付けられたユーザ特権に基づいて、複数のパターンのサブセットを識別するように構成されてもよい。
【0019】
状態データは、外科用ロボットシステムによって生成されるデータを少なくとも部分的に含み得る。
【0020】
状態データは、外科用ロボットシステムの外部の1つ以上のソースによって生成されるデータを少なくとも部分的に含み得る。
【0021】
1つ以上のパターンは、1つ以上の器具イベントを識別するように構成されてもよく、1つ以上の器具イベントは、外科用ロボットシステムの外科用ロボットアームに取り付けられた器具の変更であって、外科用ロボットシステムの外科用ロボットアームに取り付けられた少なくとも1つの器具が、通電器具である、器具の変更と、通電器具の状態の変化であって、外科用ロボットシステムの外科用ロボットアームに取り付けられた少なくとも1つの器具が、内視鏡である、通電器具の状態の変化と、内視鏡のクリーニングであって、外科用ロボットシステムの外科用ロボットアームに取り付けられた少なくとも1つの器具が、内視鏡である、内視鏡のクリーニングと、内視鏡の撮像システム上でホワイトバランスを実施することであって、外科用ロボットシステムの外科用ロボットアームに取り付けられた少なくとも1つの器具が、内視鏡であり、内視鏡の移動のサイズまたは頻度が、ある範囲の外にある、ホワイトバランスを実施することと、外科用ロボットシステムによってアクティブに制御される器具の変化と、のうちの1つ以上を含み得る。
【0022】
1つ以上のパターンは、1つ以上の衝突イベントを識別するように構成されてもよく、1つ以上の衝突イベントは、外科用ロボットシステムの少なくとも2つの外科用ロボットアームの間の衝突と、外科用ロボットシステムの異なる外科用ロボットアームに取り付けられた少なくとも2つの器具の間の衝突と、外科用ロボットシステムの外科用ロボットアームと外科用ロボットシステムの別の外科用ロボットアームに取り付けられた器具との間の衝突と、のうちの1つ以上を含み得る。
【0023】
タスクは、患者に対して実行される外科手術手技であり得、1つ以上のパターンは、1つ以上の患者イベントを識別するように構成されてもよく、1つ以上の患者イベントは、患者の1つ以上のバイタルサイン、または1つ以上の他の健康メトリックがある範囲の外にあることと、患者の1つ以上のバイタルサイン、および/または1つ以上の他の健康メトリックの変化と、のうちの1つ以上を含み得る。
【0024】
外科用ロボットシステムは、オペレータによって制御され得、1つ以上のパターンは、1つ以上のオペレータイベントを識別するように構成されてもよく、1つ以上のオペレータイベントは、オペレータの1つ以上のバイタルサインおよび/または1つ以上の他の健康メトリックがある範囲の外にあることと、オペレータの1つ以上のバイタルサインおよび/または1つ以上の他の健康メトリックの変化と、外科用ロボットシステムを制御するために使用される1つ以上の入力装置へのオペレータによって及ぼされる把持力の変化と、入力装置のうちの1つ以上へのオペレータによって及ぼされる押す力の変化と、のうちの1つ以上を含み得る。
【0025】
外科用ロボットシステムは、オペレータによって制御され得、1つ以上のパターンは、1つ以上のオペレータ性能イベントを識別するように構成されてもよく、1つ以上のオペレータ性能イベントは、タスクを許容可能なレベルを下回って実施する際のオペレータの性能と、タスクを実施する際のオペレータの性能の変化と、のうちの1つ以上を含み得る。
【0026】
タスクを実施する際のオペレータの性能は、1つ以上の性能基準に基づいてもよく、1つ以上の性能基準は、タスクのステップの実施において外科用ロボットアームによって得られる経路と、外科用ロボットアームの滑らかさと、タスクのステップを完了するための持続時間と、のうちの1つ以上を含み得る。
【0027】
1つ以上のパターンは、緊急イベントを識別するように構成されてもよい。
【0028】
タスクは、複数のステップを含み得、1つ以上のパターンは、状態データから、タスクのうちの1つ以上のステップを自動的に識別するように構成されてもよい。
【0029】
状態データは、タスク中に少なくとも1つの外科用ロボットに取り付けられた器具を記述する器具情報と、タスク中の少なくとも1つの外科用ロボットの移動および/または位置を記述する外科用ロボット位置情報と、を含み得、イベント検出器は、器具情報および外科用ロボット位置情報におけるパターンを識別することによって、タスクにおける縫合ステップを識別するように構成されてもよい。
【0030】
イベント検出器は、イベント検出器が、少なくとも2つの針ドライバが外科用ロボットに取り付けられていることを、器具情報から識別し、イベント検出器が、外科用ロボットが繰り返し円運動で移動したことを外科用ロボット位置情報から識別したときに、タスクにおける縫合ステップを識別するように構成されてもよい。
【0031】
システムは、イベントを識別する情報が、イベントが内視鏡ビデオおよび状態データに関して発生した時間を識別するように、拡張内視鏡ビデオおよび状態データのすべてまたは一部分をリンクするようにさらに構成されてもよい。
【0032】
識別されたイベントに関する内視鏡ビデオの一部分および状態データの一部分は、イベントを識別する情報から取得可能であり得る。
【0033】
タスクは、ヒトに対して実施される外科手術手技であり得る。
【0034】
拡張システムは、外科用ロボットシステムを含み得る。
【0035】
第2の態様は、拡張内視鏡ビデオを生成するコンピュータ実装方法を提供しており、方法は、1つ以上のコンピューティングベースの装置で、外科用ロボットシステムによって少なくとも部分的に実施されるタスク中に捕捉された内視鏡ビデオを受信することであって、外科用ロボットシステムが、基部、および基部から器具の取り付け部まで延在するアームであって、アームが、複数のジョイントを含み、それによって、アームの構成が変更され得る、アーム、を有する、少なくとも1つの外科用ロボットを含む、受信することと、タスク中の外科用ロボットシステムの状態を記述する状態データを受信することであって、状態データが、内視鏡ビデオと時間同期している、受信することと、タスク中にイベントが発生したことを示す状態データにおける1つ以上のパターンを識別することと、タスク中にイベントが発生したことを示す状態データにおけるパターンを識別することに応答して、内視鏡ビデオに関してイベントおよびイベントの時間を識別する情報で、内視鏡ビデオの一部を形成するか、または内視鏡ビデオに関連付けられたメタデータを拡張することと、を含む。
【0036】
上記の特徴は、当業者に明らかであるように、必要に応じて組み合わされてもよく、本明細書に記載される実施例の態様のうちのいずれかと組み合わされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
ここで、実施例を、添付の図面を参照しながら詳細に記載する。
【0038】
図1】例示の外科手術手技を実施する例示の外科用ロボットの概略図である。
図2】例示のオペレータコンソールの概略図である。
図3】複数の外科用ロボットを有する例示の外科用ロボットシステムの概略図である。
図4】外科用ロボットアームに取り付け可能である例示の内視鏡の概略図である。
図5】例示の拡張システムのブロック図である。
図6】例示の外科用ロボットシステムの概略図である。
図7】例示の外科用ロボットの概略図である。
図8】内視鏡ビデオを拡張する例示の方法のブロック図である。
図9】例示のオペレータコンソールディスプレイの概略図である。
図10】例示の拡張内視鏡ビデオの概略図である。
図11】メディアプレーヤー上で視聴される例示の拡張内視鏡ビデオの概略図である。
図12】対応する状態データにリンクされている例示の拡張内視鏡ビデオの概略図である。
図13】例示のコンピューティングベースの装置のブロック図である。
【0039】
添付の図面は、様々な実施例を例示している。当業者は、図面中の示された要素の境界(例えば、箱、箱のグループ、または他の形状)が、境界の一例を表すことを理解するであろう。いくつかの実施例では、1つの要素は、複数の要素として設計され得るか、または複数の要素が、1つの要素として設計され得る場合がある。同様の特徴を示すために、適切な場合、図全体を通して共通の参照番号が使用される。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下の説明は、当業者が本発明を作製および使用することができるようにするための実施例として提示されている。本発明は、本明細書に記載される実施形態に限定されないが、開示される実施形態に対する様々な修正は、当業者には明らかであろう。実施形態は、実施例としてのみ記載されている。
【0041】
本明細書では、タスク中の外科用ロボットシステムの状態を記述する状態データに基づいて、外科用ロボットシステムによって少なくとも部分的に実施されるタスク(例えば、外科手術)中に捕捉された内視鏡ビデオを自動的に拡張するための方法およびシステムが説明される。外科用ロボットシステムは、基部と、基部から器具の取り付け部まで延在するアームであって、アームが、複数のジョイントを含み、それによって、アームの構成を変更することができる、アームと、を有する、少なくとも1つの外科用ロボットを含む。方法は、内視鏡ビデオを受信することと、内視鏡ビデオと時間同期したタスク中の外科用ロボットシステムの状態を記述する状態データを受信することと、タスク中に発生したイベントを示す状態データにおける1つ以上のパターンを識別することと、イベントが発生したことを示す状態データにおけるパターンを識別することに応答して、内視鏡ビデオに関してイベントおよびイベントの時間を識別する情報で、内視鏡ビデオを拡張することと、を含む。
【0042】
最初に、外科用ロボットシステム502によって少なくとも部分的に実施されるタスク(例えば、外科手術)中に捕捉された内視鏡ビデオを自動的に拡張するための例示の拡張システム500を例示する図5を参照する。外科用ロボットシステム502は、基部と、基部から外科用器具の取り付け部まで延在するアームであって、アームが、複数のジョイントを含み、それによって、アームの構成を変更することができる、アームと、を有する、少なくとも1つの外科用ロボットを含む。例示の外科用ロボットシステム502は、図6を参照して以下に説明される。
【0043】
拡張システム500は、イベント検出器504および拡張器506を含む。イベント検出器504および/または拡張器506は、図12を参照して以下に説明する例示のコンピューティングベースの装置などであるがこれに限定されない、1つ以上のコンピューティングベースの装置によって実装され得る。
【0044】
イベント検出器504は、ロボットタスク(例えば、外科手術)中に外科用ロボットシステム502の状態を示すか、またはそれを記述する状態データを受信するように構成されている。状態データは、タスク中に捕捉された内視鏡ビデオに時間同期される。状態データは、状態データから検出されたイベントを、内視鏡ビデオ内の特定の時間または期間と相関させることができる任意の好適な様式で、内視鏡ビデオに時間同期されてもよい。例えば、内視鏡ビデオおよび状態データの両方は、共通のタイムスタンプまたは共通のタイムラインを含んでもよいか、またはそれらにリンクされてもよい。
【0045】
以下でより詳細に説明するように、状態データは、外科用ロボットシステム502に関する任意のデータもしくは情報、および/または外科用ロボットシステム502がタスク中に動作していた環境に関する任意の情報を含み得る。状態データのすべてまたは一部分(例えば、外科用ロボットアーム(複数可)、それに取り付けた器具、およびロボットアーム(複数可)の移動を制御する任意のハンドコントローラの位置および/または移動に関連するデータ)は、外科用ロボットシステム502自体によって生成されてもよい。一部の場合に、状態データの少なくとも一部分は、1つ以上の外部ソースによって生成され得る。
【0046】
例えば、図5に示されるように、状態データの一部分は、タスクが実施される部屋(例えば、手術室)内の音声および/もしくはビデオを捕捉するカメラ508などであるがこれらに限定されない、音声および/もしくはビデオ記録機器、ならびに/または患者(タスクが患者に対して実施される場合)および/もしくは外科用ロボットシステム502を制御するオペレータ(例えば、外科医)の1つ以上の健康メトリックを監視する心拍数モニタ510などであるがこれらに限定されない、健康監視機器によって生成され得る。当業者にとって、これらは、状態データの外部ソースの例に過ぎず、状態データの他の外部ソースが存在する可能性があることは明白であろう。例えば、状態データの他の外部ソースは、患者ベッド(患者ベッドは、例えば、位置データを生成することができる「スマート」ベッドである)と、送気機器と、を含み得る。当業者に既知のように、腹腔鏡手術の間、二酸化炭素などであるがこれに限定されない、ガスは、より多くの作業室のために腔を膨張させるために送気機器を介して体腔内にしばしば送気される。
【0047】
イベント検出器504は、任意の好適な手段を介して、外科用ロボットシステム502および/または1つ以上の外部ソース508、510によって生成された状態データを受信してもよい。例えば、一部の場合に、外科用ロボットシステム502および/または外部ソース508、510のうちの1つ以上は、例えば、イーサネット接続、Wi-Fi(登録商標)接続、Bluetooth(登録商標)接続、近距離通信(NFC)接続、またはこれに類するものなどであるがこれに限定されない、無線または有線通信接続512を介して、状態データをイベント検出器504に提供し得る。これらの実施例では、状態データのすべてまたは一部分は、タスク(例えば、外科手術)が実施されている間に、リアルタイムで(または実質的にリアルタイムで)イベント検出器504に提供されてもよい。他の場合では、状態データは、タスク中に別の装置(例えば、コンピューティングベースの装置)によって捕捉され、記憶装置514(例えば、メモリ)に記憶され、その後、通信接続512を介して、または任意の他の好適な手段を介して、イベント検出器504に提供されてもよい。一部の場合に、状態データのすべてまたは一部分は、タスク場所(例えば、手術室)で、USB(ユニバーサルシリアルバス)メモリスティックなどであるがこれに限定されない、ポータブル記憶媒体上に記憶されてもよく、イベント検出器504に結合されたイベント検出器504の場所に物理的に移送されてもよく、その結果、イベント検出器504がポータブル記憶媒体から状態データを読み取ることができるようになる。
【0048】
イベント検出器504は、状態データを分析して、タスク(例えば、外科手術)中に発生したイベントを識別するように構成されている。タスク(例えば、外科手術)中に発生したイベントは、外科用ロボットシステムのロボットアームに取り付けられた器具が変更されたこと、複数のロボットアーム間、またはロボットアームに取り付けられた複数の器具間で衝突が発生したこと、患者のバイタルサインおよび/または1つ以上の他の患者の健康メトリックのうちの1つ以上がある範囲の外にあること、オペレータ(例えば、外科医)のバイタルサインおよび/または他のオペレータ健康メトリックのうちの1つ以上がある範囲の外にあること、外科用ロボットシステム502が、特定の技能(例えば、縫合)を実施するために使用されたこと、ならびに予期されるシーケンスイベントからの逸脱(例えば、縫合ステップが予期されるときに切断ステップが実施された)を含むが、これらに限定されない。イベント検出器504によって識別され得る、例示のイベントのより広範なリストを以下に説明する。以下でより詳細に説明するように、イベント検出器504は、状態データのパターンを識別することによって、タスク中に発生したイベントを識別するように構成されてもよい。例えば、イベント検出器504は、ロボットアームまたはそれに取り付けられた針器具によって得られた経路が、縫合が実施されたことを示す場合、外科用ロボットシステム502が縫合を実施するために使用されたことを決定するように構成されてもよい。イベントが発生したことを示すパターンは、予め決定されていてもよく、または以前に実施されたタスクから学習されてもよい。
【0049】
一部の場合に、状態データから、イベントがタスク(例えば、外科手術)の間に発生したことを検出することに応答して、イベント検出器504は、イベントが検出されたことを示す出力、イベントのタイプ、イベントの時間、および任意選択的に、拡張器506に提供されるイベントの持続時間を生成するように構成されてもよい。
【0050】
拡張器506は、タスク中に内視鏡516によって捕捉された内視鏡ビデオを受信するように構成されている。一部の場合に、内視鏡ビデオは、外科用ロボットシステム502のロボットアームのうちの1つに取り付けられ、かつそれによって制御された内視鏡516によって捕捉されてもよい。しかしながら、他の場合では、内視鏡ビデオは、手動で制御された内視鏡によって捕捉されてもよい。例えば、ユーザは、ロボットアームのうちの1つに取り付けられた内視鏡を取り外し、内視鏡の移動および動作を手動で制御することができる場合がある。一部の場合に、ユーザがロボットアームから内視鏡を取り外し、内視鏡を手動で制御する場合、手術用ロボットシステムは、内視鏡の位置および/または移動を正確に追跡することができなくてもよい。結果として、外科用ロボットシステムは、これが発生している間、制御入力への応答を制限するように構成されてもよい。
【0051】
拡張器506は、任意の好適な手段を介して内視鏡ビデオを受信してもよい。例えば、一部の場合に、内視鏡516自体は、イーサネット接続、Wi-Fi(登録商標)接続、Bluetooth(登録商標)接続、近距離通信(NFC)接続、またはこれに類するものなどであるがこれに限定されない、無線または有線通信接続512を介して、拡張器506に内視鏡ビデオを提供するように構成されてもよい。これらの実施例では、内視鏡ビデオのすべてまたは一部分は、タスク(例えば、外科手術)中にリアルタイムで(または実質的にリアルタイムで)、拡張器506に提供されてもよい。他の場合では、内視鏡ビデオは、記憶装置514(例えば、メモリ)に記憶され、その後、通信接続512を介して、または任意の他の好適な手段を介して、拡張器506に提供されてもよい。例えば、内視鏡ビデオは、タスクの場所(例えば、手術室)で、USBメモリスティックなどであるがこれに限定されない、ポータブル記憶媒体上に記憶されてもよく、拡張器506と結合された拡張器506の場所に物理的に移送され、その結果、拡張器506がポータブル記憶媒体から内視鏡ビデオを読み取ることができるようになる。
【0052】
拡張器506は、イベント検出器504がタスク中にイベントが発生したことを状態データから決定することに応答して、発生したイベントおよびイベントが発生したときを識別する情報(例えば、マーカー)を内視鏡ビデオに追加し、任意選択的にイベントの持続時間を識別して、拡張内視鏡ビデオを生成するように構成されている。一部の場合に、情報またはマーカーは、拡張内視鏡ビデオがその後、ビデオプレーヤーで再生または視聴されるときに、ユーザに対して可視的でない場合がある。例えば、一部の場合に、情報またはマーカーは、特別なシステムまたはソフトウェアによって検出可能であり得る。特別なシステムまたはソフトウェアは、情報またはマーカーから識別されたイベントを決定し、識別されたイベントのリストをユーザに提示するように構成されてもよい。ユーザが識別されたイベントのうちの1つを選択すると、システムは、識別されたイベントに関連する内視鏡ビデオの部分を提示または出力し得る。
【0053】
他の場合に、情報またはマーカーは、拡張内視鏡ビデオがその後、ビデオプレーヤーで再生または視聴されるときに、ユーザに対して可視的である場合がある。一部の場合に、マーカーは、拡張内視鏡ビデオがメディアプレーヤーによって再生されるときに、ユーザが内視鏡ビデオの特定のポイントに簡単にジャンプすることを可能にする、ブックマークの形態を取り得る。例えば、ユーザが拡張内視鏡ビデオをメディアプレーヤーで起動すると、ユーザは、ビデオ内のブックマークのリストを提示されてもよく、ユーザは、ブックマークを選択することによって、ブックマークによって識別されるポイントまたはセクションのうちの1つに直接的に移動することができる。一部の場合に、拡張器506は、例えば、イベントのタイプおよび/または任意の他の基準に基づいて、マーカーおよび/またはブックマークを自動的にグループ化するように構成されてもよい。一部の場合に、拡張器506はまた、状態データを介して識別されたイベントから追加のイベントを自動的に識別し、各追加のイベントを識別する情報/マーカーで内視鏡ビデオを拡張するように構成されてもよい。一部の場合に、特定のイベントに関連する情報(例えば、マーカー)は、内視鏡ビデオの一部を形成するか、または内視鏡ビデオと関連付けられたメタデータに含まれ得る。
【0054】
拡張システム500は、外科用ロボットシステム502から遠隔であってもよい。例えば、外科用ロボットシステム502は、手術室内に位置してもよく、拡張システム500は、病院または治療センター内の別の部屋にあってもよい。
【0055】
ここで、例示の外科用ロボットシステム502を例示する図6を参照する。この実施例では、外科用ロボットシステム502は、制御ユニット606によって駆動される2つの外科用ロボット602および604を含む。制御ユニット606は、第1および第2のコントローラ612、614からの入力を含む、オペレータコンソール610(図2のオペレータコンソール200などであるが、これに限定されない)からの入力608を受信する。制御ユニット606は、オペレータコンソール610から、フットペダル(複数可)入力、音声認識入力、ジェスチャ認識入力、視線認識入力などのような他の入力を受信し得る。制御ユニット606はまた、外科用ロボット602、604から入力616を受信する。これらの入力には、ロボットアームのジョイント上に位置する、位置センサおよびトルクセンサからの知覚データが含まれる。制御ユニット606は、各ロボットから、力フィードバック、外科用器具からのデータ、または外科用器具についてのデータなど、他の入力616を受信してもよい。制御ユニット606は、ロボット602、604およびオペレータコンソール610から受信する入力に応答して、ロボット602、604を駆動する。制御ユニット606は、1つ以上のプロセッサ618およびメモリ620を含む。メモリ620は、1つ以上のプロセッサ618によって実行されてドライバを制御することができる、ソフトウェアコードを非一時的に記憶する。
【0056】
図6の例示の外科用ロボットシステム502は2つの外科用ロボットを含むが、本明細書に記載の方法および技術は、1つのみの外科用ロボットを有する外科用ロボットシステム、および3つ以上の外科用ロボットを有する外科用ロボットシステムに等しく適用可能であることは、当業者には明白であろう。
【0057】
ここで、外科用ロボット700の例示の実装形態を例示する図7を参照する。図6の外科用ロボット602、604のうちの1つ以上は、図7の外科用ロボット700として実装され得る。外科用ロボット700は、タスク(例えば、外科手術手技)が実施されるときに定位置に固定される基部704から延在するアーム702を含む。一部の場合に、基部704は、シャーシに装着され得る。シャーシは、例えば、ロボットをベッドの高さに装着するためのベッドサイドカートなどのカートであってもよい。代替的に、シャーシは、天井に装着された装置、またはベッドに装着された装置であってもよい。
【0058】
アーム702は、ロボットの基部704から外科用器具708用の取り付け部706まで延在する。アームは、可撓性である。それは、その長さに沿って複数の可撓性ジョイント710によって関節式に連結される。ジョイント間にあるのは、剛性アーム部材712である。図7のアームは、7つのジョイントを有する。ジョイントは、1つ以上のロールジョイント(ジョイントのいずれかの側上のアーム部材の長手方向に沿った回転軸を有する)、1つ以上のピッチジョイント(前のアーム部材の長手方向に対して横方向の回転軸を有する)、および1つ以上のヨージョイント(また、前のアーム部材の長手方向に対して横方向であり、かつ同じ場所に位置するピッチジョイントの回転軸に対しても横方向の回転軸を有する)を含む。しかしながら、アームは、別様に接合され得る。例えば、アームは、より少ないかまたはより多いジョイントを有する場合がある。アームは、ジョイント、例えば、テレスコピックジョイントのそれぞれの側面の間の回転以外の動きを許容するジョイントを含み得る。ロボットは、ドライバ714のセットを含み、各ドライバ714は、ジョイント710のうちの1つ以上を駆動する。
【0059】
取り付け部706は、外科用器具708をアームの遠位端に取り外し可能に取り付けることを可能にする。外科用器具708は、直線状の剛直なシャフトおよびシャフトの遠位端にある作業チップを有する。作業チップは、医療手技に従事するためのエンドエフェクタを含む。外科用器具は、アームの末端ジョイントの回転軸と直線的に平行に延在するように構成されてもよい。例えば、外科用器具は、アームの末端ジョイントの回転軸と一致する軸に沿って延在してもよい。外科用器具708は、例えば、切断、把持、焼灼、または撮像装置(例えば、内視鏡)であってもよい。
【0060】
ロボットアームは、一連のセンサ716、718を含む。これらのセンサは、ジョイントごとに、ジョイントの位置を検知するための位置センサ716、およびジョイントの回転軸の周りに加えられたトルクを検知するためのトルクセンサ718を含む。ジョイントの位置センサおよびトルクセンサのうちの一方または両方を、そのジョイントのモータと一体化させることができる。センサの出力は、制御ユニット606に渡され、ここで、それらは、1つ以上のプロセッサ618の入力を形成する。
【0061】
ここで、外科用ロボットシステム502によって少なくとも部分的に実施されたタスク(例えば、外科手術)中に捕捉された内視鏡ビデオを、タスク中の外科用ロボットシステムの状態を記述する状態データに基づいて、自動的に拡張するための例示の方法800を例示する、図8を参照する。具体的には、方法800では、タスク中に発生したイベントが、状態データから検出され、内視鏡ビデオは、内視鏡ビデオに関して検出されたイベントおよびイベントが発生した時間を識別する情報(例えば、1つ以上のマーカー)で拡張される。
【0062】
方法800は、ブロック802で開始し、拡張システム500(例えば、拡張器506)は、外科用ロボットシステム502によって少なくとも部分的に実施されたタスク(例えば、外科手術)中に内視鏡によって捕捉された内視鏡ビデオを受信する。上述のように、一部の場合に、内視鏡ビデオは、外科用ロボットシステム502のロボットアームのうちの1つに取り付けられ、かつそれによって制御された内視鏡によって捕捉されてもよい。他の場合では、内視鏡ビデオは、手動で操作された内視鏡によって捕捉されてもよい。上述のように、内視鏡ビデオは、任意の好適な手段を介して、拡張システム500(例えば、拡張器506)で受信されてもよい。例えば、内視鏡ビデオは、有線または無線通信接続(例えば、イーサネット接続、Wi-Fi(登録商標)接続、Bluetooth(登録商標)接続、NFC接続など)を介して、内視鏡によって拡張システム500(例えば、拡張器506)に直接的に提供されてもよい。他の場合では、内視鏡ビデオは、別の装置のメモリに記憶され、他の装置を介して拡張システム500に提供されてもよい。
【0063】
ブロック804で、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、タスク(例えば、外科手術)中に、外科用ロボットシステム502の状態を記述する状態データを受信する。状態データは、タスク(例えば、外科手術)中の外科用ロボットシステム502を記述するか、または外科用ロボットシステム502が動作していた環境を記述する、任意の情報を含み得る。上述のように、状態データは、状態データから検出されたイベントを、内視鏡ビデオ内のある時点または期間と相関させることができるように、内視鏡ビデオと時間同期される。
【0064】
状態データのすべてまたは一部分は、外科用ロボットシステム502自体によって生成され得る(例えば、外科用ロボットシステムは、外科用ロボットアーム(複数可)および/またはそれに取り付けられた器具の位置および/または移動に関連するデータを生成し得る)。一部の場合に、状態データの一部分は、1つ以上の外部ソースによって生成され得る。状態データは、各々が内視鏡ビデオと個別に時間同期される、データの1つ以上のストリームを含み得る。用語「データのストリーム」は、本明細書では、同じソースによって生成されたデータのセットを意味し、外科用ロボットシステム502の同じ特徴を記述するために使用される。例えば、上述のように、外科用ロボットシステム502の各ジョイントは、ジョイントの位置を検知するための位置センサ716と、ジョイント回転軸周りのトルクを検知するためのトルクセンサ718と、を含んでいてもよい。各位置センサ716によって生成されるデータは、データのストリームとみなされ得る。同様に、各トルクセンサ718によって生成されるデータは、データのストリームとみなされ得る。
【0065】
状態データは、ロボットアーム(複数可)の位置および/もしくは移動、またはそのジョイントの位置および/もしくは移動を示す、位置および/またはトルク情報などであるがこれに限定されない、外科用ロボットシステムのロボットアーム(複数可)の現在の状態を記述する情報またはデータを含み得る。特に、状態データは、位置および/またはトルクセンサ716、718によって生成される位置および/またはトルクデータを含み得る。例えば、各位置センサ716は、検知しているジョイントのジョイント角度を報告してもよく、および/または各トルクセンサは、検知しているジョイントに作用するトルクを報告してもよい。当業者には、これが単なる実施例であり、外科用ロボット(複数可)が、ロボットアーム(複数可)の状態に関する情報を提供する他のセンサを含んでもよいことが明白であろう。
【0066】
状態データはまた、または代替的に、ロボットアーム(複数可)に取り付けられた器具の状態を記述するデータまたは情報を含み得る。例えば、状態データは、ロボットアーム(複数可)に取り付けられた器具が存在するかどうかを識別する情報、および存在する場合は、ロボットアーム(複数可)に取り付けられた器具のタイプを含み得る。特に、外科用ロボットシステム502は、器具がアームに取り付けられるかどうかを検出するための手段を含んでいてもよく(例えば、外科用ロボットシステムは、参照により本明細書に組み込まれる出願人の公開特許出願GB2552855Aに記載されるような器具係合手段を含んでいてもよく)、および器具(例えば、各器具は、ロボットアームに取り付けられたときにその同一性に関する情報を外科用ロボットシステムに自動的に提供するように構成されたRFIDまたは他の構成要素を含んでいてもよい)のタイプを自動的に検出するための手段を含んでいてもよく、この情報は、状態データとしてイベント検出器504に提供されてもよい。状態データはまた、または別の方法として、ロボットアーム(複数可)に取り付けられた器具(複数可)の位置および/または移動を示す、位置および/またはトルク情報などであるがこれらに限定されない、情報を含んでいてもよい。当業者には、これが単なる実施例であり、外科用ロボットまたは器具自体が、器具の状態の情報を提供する他のセンサを含んでもよいことが明白であろう。
【0067】
ロボットアーム(複数可)に取り付けられた器具のうちの少なくとも1つが、電流によって通電されて、外科手術機能(例えば、焼灼、切断など)を実施する、電気焼灼器具または電気外科用器具などであるがそれに限定されない、通電器具である場合、状態データは、通電器具が現在通電されているかどうか、およびもしそうであれば、器具に通電するために使用される電流の波形などであるがそれに限定されない、通電器具の状態に関する情報を含み得る。
【0068】
ロボットアーム(複数可)に取り付けられた器具のうちの少なくとも1つが内視鏡である場合、状態データは、内視鏡の位置、移動、状態、および/または視野を示す情報を含み得る。
【0069】
状態データはまた、または代替的に、ロボットアームおよび器具の動作を制御するために使用される、オペレータ入力装置(例えば、ハンドコントローラ612、614)の状態を記述するデータまたは情報を含み得る。上述のように、オペレータ入力装置は、例えば、ハンドコントローラまたはジョイスティックなどの手動で操作可能な機械的入力装置であってもよい。これらの場合、状態データは、入力装置(例えば、ハンドコントローラ612、614)の位置および/または移動を示す位置および/またはトルクデータなどであるがこれに限定されない、データを含み得る。例えば、入力装置のうちの1つ以上は、入力装置の位置を検知するように構成された位置センサ、および/または入力装置に加えられるトルクまたは力を検知するように構成されたトルクセンサを含み得る。一部の場合に、ハンドコントローラは、ジンバルを介して平行グラムリンケージ上に装着されてもよい。これらの場合、リンケージおよび/またはジンバルは、リンケージおよび/またはジンバルのジョイントの位置およびトルクを測定する、位置および/またはトルクセンサを含み得る。その後、これらの測定値は、状態データとして拡張システム500(例えば、イベント検出器504)に提供されてもよい。
【0070】
一部の場合に、入力装置がハンドコントローラである場合、各ハンドコントローラは、ハンドコントローラと使用者の手が接触しているかどうか、またはハンドコントローラが使用中であるかどうかを示すハンドコントロールを把持しているかどうかを検出するように構成されている、1つ以上のハンド接触センサなどを含み得る。これらの場合、ハンド接触センサ(複数可)によって生成されるハンド接触検出情報は、状態データとして拡張システム500(例えば、イベント検出器504)に提供されてもよい。一部の場合に、入力装置がハンドコントローラである場合、各ハンドコントローラはまた、または代替的に、ハンドコントローラに加えられる把持力(すなわち、オペレータがハンドコントローラをどの程度強く把持しているか)を検出するように構成されている、1つ以上の把持センサも含み得る。これらの場合、把持力センサ(複数可)によって生成される把持力情報は、状態データとして拡張システム500(例えば、イベント検出器504)に提供されてもよい。一部の場合に、ハンド接触センサ(複数可)および把持センサは、同じセンサであってもよいか、または別途統合されてもよい。一部の場合に、オペレータは、オペレータの手の動きを検出する動きセンサを自身の手に搭載してもよい。これらの場合、ハンド動きセンサによって生成されるハンド動きデータは、状態データとして拡張システム500(例えば、イベント検出器504)に提供されてもよい。
【0071】
状態データはまた、または代替的に、外科用ロボットシステム502の動作モードに関する情報を含み得る。例えば、一部の場合に、外科用ロボットシステム502は、オペレータ(例えば、外科医)が、ロボットアームのうちの1つ以上を制御して、タスク(例えば、外科手術)を実施する、アクティブモード、オペレータ(例えば、外科医)が、オペレータコンソール610から制御しようとしているロボットアーム(複数可)を選択するか、または切り替える、選択モード、ならびにロボットアームに取り付けられた器具のうちの少なくとも1つが取り外されている、取り付けられている、および/または変更されている、器具変更モードなどであるがこれらに限定されない、複数のモードのうちの1つで動作することが可能になり得る。アクティブモードには、いくつかのタイプがある場合もある。例えば、一部の場合に、オペレータがロボットアームに取り付けられた内視鏡を制御している内視鏡アクティブモードと、オペレータが1つ以上のロボットアームに取り付けられた1つ以上の他の器具を制御している器具アクティブモードと、があり得る。これらの場合、状態データは、外科用ロボットシステム502の現在の動作モードに関する情報を含み得る。当業者には、これらは外科用ロボットシステムの例示の動作モードであり、外科用ロボットシステム502の追加の、または異なる動作モードがあり得ることが明白であろう。
【0072】
実施されるタスクが患者に実施される外科手術手技である場合、状態データはまた、または代替的に、患者に関連するデータを含み得る。例えば、状態データは、患者の健康情報、またはタスク中の患者の健康状態を記述するデータを含み得る。例えば、状態データは、タスク(例えば、外科手術)中の患者のバイタルサイン(例えば、体温、脈拍、呼吸数)または他の健康メトリック(例えば、血圧、酸素飽和、血中グルコース/血糖)を記述する情報を含み得る。典型的には、手術中、患者のバイタルサインおよび他の健康メトリックは、心拍数モニタ、パルスオキシメーター、連続グルコースモニタ(CGM)装置などの特別な医療測定機器によって測定される。これらの場合、医療測定機器は、例えば、通信ネットワーク(例えば、有線または無線通信ネットワーク)を介して、バイタルサイン情報または他の患者のメトリック情報を拡張システム500(例えば、イベント検出器504)に送信するように構成されてもよい。
【0073】
しかしながら、他の場合では、患者のバイタルサインおよび/または他の患者の健康メトリックに関する情報は、別の様式で取得され得る。例えば、一部の場合に、外科手術が実施される手術室は、ビデオおよび/または音声記録装置を備えてもよく、バイタルサインデータおよび/または他の患者の医療データは、ビデオおよび/または音声記録から取得されてもよい。例えば、医療測定機器が、測定値の可聴表現(例えば、可聴音または「ビープ」のセット)を生成する場合、測定値の推定値は、ビデオおよび/または音声記録装置によって記録された音声の分析を通して取得され得る。別の実施例では、医療測定機器が、現在または以前の測定値を視覚的に表示する場合、測定値は、ビデオ記録装置によって記録されたビデオの画像分析を介して取得され得る(例えば、測定値は、医療測定機器から読み取られ得る)。他の場合では、患者のバイタルサインのうちの1つ以上が、内視鏡ビデオから取得されてもよい。例えば、患者の脈拍または血液酸素化レベルは、ビデオ分析技術を介して内視鏡ビデオから識別され得る。特に、患者の血液酸素化レベルは、患者の血液の色から決定されてもよい。内視鏡ビデオから患者のバイタルサインまたは他の健康メトリックを決定することは、患者の身体の関連部分の照射によって促進され得る。
【0074】
状態データはまた、または代替的に、年齢および体重などの人口統計情報、ならびに以前のスキャン(例えば、X線、MRI)、以前の転帰、既往歴、診断歴、および/または治療計画などの他の医療情報などであるがこれに限定されない、患者に関連するその他の情報を含み得る。
【0075】
一部の場合に、状態データはまた、外科医の健康情報または外科用ロボットシステムを制御するオペレータ(例えば、外科医)の健康を記述するデータを含み得る。例えば、状態データは、タスク(例えば、外科手術)中のオペレータ(例えば、外科医)の1つ以上のバイタル信号(例えば、体温、脈拍、呼吸数)および/または他の健康メトリック(例えば、血圧)を記述する情報またはデータを含み得る。例えば、一部の場合に、入力装置がハンドコントローラである場合、ハンドコントローラは、オペレータ(例えば、外科医)の心拍数、オペレータ(例えば、外科医)の動きの震え、および/またはオペレータ(例えば、外科医)の汗率を測定するセンサを含み、測定された心拍数、震え、および/または汗率に関する情報またはデータを、状態データとしてイベント検出器504に提供することができる。他の場合では、タスク中にオペレータ(例えば、外科医)のバイタルサインまたは他の健康メトリックを測定するように構成されている、外部の医療装置、または類似のものがあってもよい。上述のように、患者のバイタルサインおよびその他の健康メトリックに関して、オペレータ(例えば、外科医)のバイタルサインまたは他の健康メトリックを測定する医療装置は、例えば、通信ネットワークを介して、測定されたメトリック上のデータをイベント検出器504に提供するように構成されてもよく、または測定されたメトリックの推定値は、他の手段を介して(例えば、手術室のビデオおよび/または音声の分析によって)取得され得る。
【0076】
上述したように、一部の場合に、タスクが実施される部屋(例えば、手術室)は、タスクが実施される間に部屋の中の音および/または部屋の視覚画像を記録するための音声および/またはビデオ記録機器を備えてもよい。これらの場合、状態データはまた、または代替的に、音声および/またはビデオ記録機器によって捕捉されたビデオおよび音声データを含み得る。
【0077】
一部の場合に、状態データはまた、または代替的に、実施されるタスクについての情報を含み得る。例えば、状態データは、外科用ロボットシステム502によって少なくとも部分的に実施されたタスク(例えば、外科手術手技)に関する情報を含み得る。一部の場合に、タスクがいくつかのステップを含む場合、状態データは、実施されたタスクのステップおよびタスクのステップがいつ実施されたかを示す、情報を含み得る。例えば、外科用ロボットシステム502のオペレータ(例えば、外科医)は、タスク中に、その人が現在実施しているタスクのどのステップまたは段階かを示すことができ得、この情報は、状態データとして拡張システム500(例えば、イベント検出器504)に提供され得る。例えば、図9に示すように、オペレータコンソール610は、内視鏡ビデオ904を表示し、またオペレータにタスク906のステップのリストを提供する、ディスプレイ902を含んでもよいか、またはそれと関連付けられてもよい。列挙されたステップは、タスクに基づいて自動的に選択されてもよいか、またはオペレータ(例えば、外科医)によって手動で入力されてもよい。例えば、オペレータ(例えば、外科医)は、オペレータが実行することを望むタスクのステップまたは段階を手動で入力することができる場合がある。オペレータ(例えば、外科医)は、例えば、ハンドコントローラ上のボタンを押すことによって、または他の手段を介して(例えば、口頭でまたはディスプレイがタッチスクリーンである場合にディスプレイを介して)、入力装置(例えば、ハンドコントローラ612、614)を使用して、現在、列挙されているステップまたは段階のうちどれが実施されているかを選択することができるか、またはそうでなければ示すことができる場合がある。その後、オペレータ(例えば、外科医)によってなされる任意の選択は、状態データとして拡張システム500(例えば、イベント検出器504)に提供されてもよい。
【0078】
一部の場合に、状態データはまた、または代替的に、外科用ロボットシステム502のユーザ(例えば、外科用ロボット(複数可)を制御するオペレータ(例えば、外科医)および/またはタスクチームの他のメンバー(例えば、外科手術チーム))に関する情報を含み得る。例えば、一部の場合に、タスクが開始される前に、情報は、外科用ロボットシステム502および/またはタスクを実施するであろうユーザを示すイベント検出器504に提供され得る。他の場合では、タスク(例えば、外科手術)を実施するユーザ(例えば、外科手術チーム)は、外科用ロボットシステム502および/またはイベント検出器504に情報を自動的に送信し得る装置(例えば、RFID装置、携帯電話、タブレットなど)を備えてもよく、それらは、外科用ロボットシステムの近傍にあるときにユーザを識別する。こうしたシステムの例は、「DEVICE INTEROPERATION」と題する、出願人の同時係属中の英国特許出願に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる現在の出願と同じ日に出願されている。
【0079】
一部の場合に、外科用ロボットシステムを制御するオペレータ(例えば、外科医)、またはタスクチーム(例えば、外科手術チーム)の別のメンバーは、イベントが発生したことを手動で示すことができる場合がある。特に、一部の場合に、オペレータ(例えば、外科医)は、タスク中に発生し得る所定のイベントのリストを提示されてもよく、オペレータ(例えば、外科医)は、所定のイベントのうちの1つを選択することによって、所定のイベントのうちの1つが発生したことを示すことができる場合がある。オペレータ(例えば、外科医)によってなされる任意の選択(複数可)は、状態データの一部として、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)に提供されてもよい。例えば、図9に示されるように、オペレータコンソール610は、内視鏡ビデオ904がオペレータ(例えば、外科医)に提示されるディスプレイ902を含んでもよいか、またはそれと関連付けられてもよい。ディスプレイ902はまた、タスク中に発生し得る1つ以上の所定のイベント908を表示することができ、オペレータ(例えば、外科医)は、列挙されたイベントのうちの1つを選択することによって、所定のイベントのうちの1つが発生したことを示すことができる。所定のイベントは、イベントのタイプ、特定のオペレータ、および/もしくは任意の他の基準に基づいて自動的に選択されてもよく、またはオペレータもしくは別のユーザは、タスク中に発生し得るイベントのセットを手動で入力することができる場合がある。一部の場合に、拡張システム500、または別のコンピューティングベースの装置は、以前に実施されたタスクの状態データに基づいて、高確率イベントまたは重要なイベント、例えば、オペレータ(例えば、外科医)またはタスクチームの他のメンバーによって手動で識別され得るイベントとして、オペレータ(例えば、外科医)に提示される、これらの高確率イベントまたは重要なイベントを自動的に生成するように構成されてもよい。
【0080】
オペレータ(例えば、外科医)は、例えば、ハンドコントローラのうちの1つ上のボタンを押すことによって、または他の手段を介して(例えば、口頭で、またはディスプレイ902がタッチスクリーンである場合にディスプレイ902を触ることによって)、入力装置(例えば、ハンドコントローラ)を使用して、所定のイベントのうちの1つを選択することができる場合がある。他の場合では、タスクチーム(例えば、外科手術チーム)の別のメンバーは、コンピュータまたはタブレットなどであるがこれに限定されない、装置を有してもよく、その上に所定のイベントのリストが提示され、所定のイベントのうちの1つを選択することによって、所定のイベントのうちの1つが発生したことを示すことができる。その後、任意の選択は、状態データとして拡張システム500(例えば、イベント検出器504)に提供されてもよい。オペレータまたはタスクチームの別のメンバーによって手動で識別され得るイベントは、依然として、他の状態データから拡張システムによって自動的に検出可能であり得る。
【0081】
図8に戻ると、ブロック806で、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、状態データを分析して、タスク(例えば、外科手術)中に発生したイベントを識別する。用語「イベント」は、本明細書では、タスク中の識別可能なインシデントの発生を意味するために使用される。イベントは、器具イベント、衝突イベント、タスクイベント、患者イベント、オペレータ(例えば、外科医)イベント、性能イベント、および/または緊急イベントを含み得るが、これらに限定されない。これらのタイプのイベントの各々の例を以下に記載する。
【0082】
拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、状態データ内のパターンを識別することによって、状態データからイベントを識別するように構成されてもよい。1つ以上のイベントは、状態データの単一のデータストリーム内のパターンを識別することによって、または状態データの複数のストリーム内のパターンを識別することによって識別され得る。拡張システム500は、典型的には、イベントが発生したこと、およびパターンが識別する特定のイベントを識別するパターン(複数可)で予め構成されている。例えば、パターン(複数可)は、拡張システム500のメモリに記憶されてもよい。イベントが発生したことを示すイベントおよび/または特定のパターン(複数可)は、手動で決定されてもよいか、または以前に実施されたタスクの状態データから学習されてもよい。例えば、一部の場合に、拡張システム500、または別のコンピューティングベースの装置は、識別されたイベントの前にあった状態データ内の共通パターンを識別するために、手動でイベント情報を拡張した、以前に実施されたタスクの状態データを分析するように構成されてもよい。
【0083】
一部の場合に、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)はまた、または代替的に、状態データから器具イベントを検出するように構成されてもよい。器具イベントは、タスク中に外科用ロボットシステム502によって使用される(例えば、取り付けられる)器具に関するイベントである。外科用ロボットタスク(例えば、外科手術)は、多くの場合、複数の異なる外科用器具を必要とする。複数の器具は、同時に使用されてもよく(例えば、異なる器具が取り付けられ、それによって制御される複数のロボットアームがあり得る)、および/または複数の器具は、順次使用されてもよい(例えば、第1の器具は、特定の機能を実施するためにロボットアームに取り付けられてもよく、その第1の器具は、除去されてもよく、第2の器具は、異なる機能を実施するためにそのロボットアームに取り付けられる)。外科用ロボットタスク中に使用され得る器具の例示のセットには、限定されないが、はさみ、様々な形態および形状の把持器、モノおよびバイポーラ電気外科用器具、他のエネルギー駆動器具(例えば、レーザーまたは超音波器具)、ステープラー、および組織シーラーが含まれ得る。器具イベントには、限定されないが、器具変更であって、タスク(例えば、外科手術)中にロボットアームに取り付けられる器具のうちの少なくとも1つが、通電器具である、器具変更と、通電器具の状態の変化であって、器具のうちの1つが内視鏡である、通電器具の状態の変化と、内視鏡のクリーニングであって、器具のうちの1つが内視鏡である、内視鏡のクリーニングと、撮像システム上でホワイトバランスを実施することであって、器具のうちの1つが内視鏡であり、移動のサイズまたは頻度がある範囲の外にある、ホワイトバランスを実施することと、アクティブ器具の変化と、を含み得る。
【0084】
上述のように、状態データは、ロボットアーム(複数可)に取り付けられた器具の状態を記述する情報を含み得る。例えば、状態データは、器具がアーム(複数可)の各々に取り付けられているかどうか、各ロボットアームに取り付けられた器具のタイプ、および器具が通電器具である場合に、通電器具の状態(例えば、器具が通電されているかどうか、および任意選択的に通電器具に供給されている電流の波形、を識別する情報を含み得る。これらの場合、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、器具がロボットアームから取り外されたことを検出したときに、または器具がアームに取り付けられた場合に、器具変更イベントを検出するように構成されてもよい。これらの場合、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、通電器具の状態が通電状態から非通電状態に、またはその逆で変化したことを、状態データから検出したときに、または通電器具に供給される電流の波形が変化していると検出したときに、通電器具の状態の変化を検出するように構成されてもよい。
【0085】
上述のように、状態データは、内視鏡がクリーニング状態にあるかどうか、またはオペレータが撮像システム上でホワイトバランスを実施しているかどうかなどの、内視鏡の状態に関する情報を含み得る。これらの場合、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)が、内視鏡が内視鏡クリーニング状態であったこと、またはホワイトバランスが撮像システム上で実施されたことを内視鏡状態情報から検出した場合に、器具イベントが発生したことを決定するように構成されてもよい。状態データが内視鏡の状態に関する情報を含まない場合、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、内視鏡がクリーニング状態であったこと、または他の状態データから、ホワイトバランスが撮像システム上で実施されたことを自動的に検出するように構成されてもよい。例えば、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)が、内視鏡に対する特定の力のパターンを識別し、内視鏡の先端の位置が患者の外にあることを識別し、手術室のビデオから、内視鏡がクリーニングされたこと、もしくはホワイトバランスが実施されたことを識別し、および/またはそれらの組み合わせを識別したときに、内視鏡がクリーニング状態にあったこと、または撮像システム上でホワイトバランスが実施されたことを検出するように構成されてもよい。
【0086】
上述のように、状態データは、内視鏡の位置および/または移動に関する情報を含み得る。内視鏡がロボットアームに取り付けられ、オペレータコンソールでオペレータによって制御される場合、内視鏡位置および/または移動情報は、例えば、ロボットアーム上の位置および/またはトルクセンサによって生成され得る。これらの場合、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、内視鏡移動のサイズ(すなわち、大きさ)または頻度がある範囲の外にあることを、位置および/または移動情報から検出したときに、器具イベントが発生したことを検出するように構成されてもよい。
【0087】
上述したように、一部の場合に、外科用ロボットシステム502は、各々がそれに取り付けられた器具を有し得る複数のロボットアームを含んでいてもよく、オペレータ(例えば、外科医)は、ロボットアームおよびそれに取り付けられた器具のうちの1つ以上を、オペレータ(例えば、外科医)コンソールから選択的に制御することができる場合がある。オペレータは、オペレータコンソールを介して、入力装置(例えば、ハンドコントローラ)を特定の器具にリンクすることによって、どのロボットアーム、およびしたがって、どの器具をオペレータによって制御されるかを選択することができる場合がある。どの時点においてもオペレータコンソールによって制御されている器具は、「アクティブ」器具と呼ばれ得る。これらの場合、状態データは、どの器具がどの時点でタスク中にアクティブであったかを示す情報(これは、アクティブ器具情報と呼んでもよい)を含み得る。これらの場合、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、拡張システム500(例えば、イベント検出器503)が、アクティブ器具情報から、アクティブ器具のうちの1つ以上が変化したことを検出したときに、機器イベントが発生したことを検出するように構成されてもよい。アクティブ器具の変化を検出し、内視鏡ビデオを拡張させることによって、こうした情報は、タスク中に内視鏡ビデオがアクティブ器具の記録を含むことを可能にする。
【0088】
一部の場合に、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、追加的にまたは代替的に、衝突イベントを検出するように構成されてもよい。衝突イベントは、限定されないが、外科用ロボットシステム502のロボットアーム間の衝突、外科用ロボットシステム502の異なるロボットアームに取り付けられた器具間の衝突、および外科用ロボットシステム502のロボットアームと外科用ロボットシステム502の別のロボットアームに取り付けられた器具との間の衝突を含み得る。
【0089】
上述のように、一部の場合に、状態データは、ロボットアーム(複数可)および/またはそれに取り付けられた器具の位置および/または動きを示す、データまたは情報を含み得る。これらの場合、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、例えば、ロボットアームおよび/または器具の位置および/または動きを示すデータまたは情報に基づいて、衝突イベントが発生した(すなわち、ロボットアームまたは器具が、別のロボットアームまたは器具と衝突した)ことを検出するように構成されてもよい。例えば、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる出願人の英国特許出願第1810754.0号に記載されるように、(i)位置および/もしくは動きデータからアームおよび/もしくは器具の位置を決定または推定すること、ならびに1つ以上の器具および/もしくは1つ以上のアームの位置が同一であるか、もしくは実質的に類似していることを決定すること、または(ii)アームおよび/もしくは器具のうちの2つの上で等しく対抗する力が検出された位置および/もしくは動き情報(例えば、トルクデータ)から決定することによって、アーム間、器具間、またはアームと器具との間で衝突が発生したことを決定するように構成されてもよい。
【0090】
一部の場合に、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、追加的にまたは代替的に、タスクイベントを検出するように構成されてもよい。タスクイベントは、例えば、実施されるタスクのステップにおける変更を含み得る。例えば、タスク(例えば、外科手術)は、ステップの所定のセットと関連付けられてもよく、そのすべてまたは一部分は、タスク中に実施されてもよく、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、状態データから、実施されるタスクのステップの変化を検出したときに、イベントが発生したと検出するように構成されてもよい。実施されるタスクのステップを自動的に識別し、この情報で内視鏡ビデオを拡張させることによって、タスクのステップに基づいて内視鏡ビデオを自動的にセグメント化することが可能になり得る。これにより、ユーザは、タスクの特定のステップに関連する内視鏡ビデオの部分を容易に識別することが可能になり得る。
【0091】
上述のように、一部の場合に、状態データは、タスクのどのステップが実施されたか、およびその時を明示的に識別する情報(本明細書では、ステップ識別情報と呼ばれてもよい)を含み得る。例えば、上述のように、オペレータ(例えば、外科医)または他のユーザ(例えば、他の動作チームメンバー)は、タスク中に、タスクのどのステップが実施されるかを手動で示すことができる場合がある。これらの場合、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、ステップ識別情報からタスクのステップの変化を識別することができる場合がある。タスクのステップを明示的に識別する情報が状態データの一部として受信されない場合、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、他の状態データからタスクのステップを動的に検出するように構成されてもよい。例えば、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、以前に実施されたタスクの状態データの中のパターンに合致する状態データで検出されたパターンに基づいて、タスクのステップを検出するように構成されてもよい。特に、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)、または別のコンピューティングベースの装置は、現在のタスクと同じタイプの以前に実施されたタスクに関連する状態データ(例えば、同じ外科手術手技または同じタイプの外科手術手技に関連する状態データ)を分析し、分析に基づいて、そのタスクにおけるステップの共通のセットを識別し、および識別されたステップをリンクするマップを生成するように構成されてもよい。一部の場合に、分析は、内視鏡ビデオを少なくとも分析することを含み得る。
【0092】
他の場合では、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)、または別のコンピューティングベースの装置は、タスクのステップと関連付けられるセグメントに手動で分割された、1つ以上の以前に実施されたタスクの状態データを提供されてもよく、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)、または他のコンピューティングベースの装置は、各ステップと関連付けられる状態データの特性または特徴を識別してもよい。例えば、各ステップは、例えば、器具タイプ(複数可)、ロボットアームの移動、および/またはハンドコントローラの移動である、特徴のうちの1つ以上によって特徴付けられ得る。例えば、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)、または他のコンピューティングベースの装置は、縫合ステップに対応する状態データのセグメントが、それ自体として識別される、以前に実施されたタスクの状態データを受信するように構成されてもよい。拡張システム500(例えば、イベント検出器504)、または他のコンピューティングベースの装置は、次に、縫合ステップに対応するものとして識別された状態データの部分を分析して、ロボットアームの2つの取り付けられる針駆動器具、ハンドコントローラ(およびしたがって、エンドエフェクタ)との繰り返しの小さな湾曲運動を行うオペレータ、ならびにエンドエフェクタおよびエンドエフェクタジョーに及ぼされる強い力などの特徴を識別し得る。次いで、ステップの特性および/または特徴を使用して、後続するタスクに対する状態データからそのステップを識別することができる。一部の場合に、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)、または他のコンピューティングベースの装置は、タスクステップを十分に記述する、状態データの単一のセット(すなわち、以前に実施された単一のタスクに関連する状態データ)の特性または特徴から、それが状態データの別のセット(すなわち、別のタスクに関連する状態データ)で識別され得るように生成することができる場合がある。他の場合では、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)、または他のコンピューティングベースの装置は、タスクステップを十分に記述する特性または特徴を生成するために、状態データの複数のセットを必要とし、それによって、それが状態データの別のセットで識別され得る。
【0093】
拡張システム500(例えば、イベント検出器504)によって自動的に検出可能であり得る、ロボット支援外科手術手技のためのステップの例示のセットを表1に示す。ロボット支援外科手術手技は、これらのステップ(すなわち、サブセット)のすべて、または一部分のみを含み得る。
【表1】
【0094】
多くの場合、各タスクは、タスク中に実施され得る所定のステップのセットを有し、起こり得るステップのほんの少数の可能な組み合わせがある。これらの場合、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)が特定のステップを検出すると、そのステップの後に発生し得るかなり限られた数のステップがあるのが典型的である。これにより、タスクのステップを検出する際の拡張システム500(例えば、イベント検出器504)に対する負担が軽減され得る。それはまた、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、予期されるステップのセットから逸脱したとき(例えが、予期されるステップのリストにないステップが実施されたとき、または予期されるステップのリストのステップが順序外に実施されたとき)を検出することを可能にし得る。以下に記載されるように、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)が、ステップの予期されるセットからの偏差があることを検出すると、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、緊急イベントを検出するように構成されてもよい。
【0095】
一部の場合に、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、追加的にまたは代替的に、患者イベントを検出するように構成されてもよい。患者イベントは、患者のバイタルサインもしくは1つ以上の他の健康メトリックのうちの1つ以上がある範囲の外にあること、ならびに/または患者の1つ以上のバイタルサインおよび/もしくは他の健康メトリックが変化している(例えば、特定量を超えている)ことを含み得る。
【0096】
上述のように、一部の場合に、状態データは、患者の健康情報、またはタスク中の患者のバイタルサインおよび/もしくは1つ以上の他の健康メトリックのうちの1つ以上の状態を示すデータを含み得る。これらの場合、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、患者の健康情報またはデータが、患者の健康メトリック(例えば、バイタルサイン)のうちの1つ以上がある範囲の外にあることを示すときに、患者イベントを検出するように構成されてもよい。範囲は、健康メトリックの間で変化し得る(例えば、呼吸数および心拍数に対して異なる範囲があり得る)。
【0097】
一部の場合に、範囲は予め決定されてもよい。他の場合では、範囲は、以前に実施されたタスクの状態データから学習され得る。例えば、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)、または別のコンピューティングベースの装置は、以前に実施されたタスクの状態データから、ネガティブな転帰が発生する直前の異なる健康メトリックのレベルを識別し、識別されたレベルから範囲を生成し得る(例えば、最低および最高の識別されたレベルを包含する範囲が選択され得る)。範囲は、すべてのタスクにわたって決定されてもよく、または異なる範囲は、異なるタスク(すなわち、異なる外科手術手技)に対して決定されてもよい。例えば、それは、X~Yの範囲の心拍数が外科手術タイプAでは正常であるが、外科手術タイプBでは正常ではない、以前に実施されたタスクの状態データから決定され得る。
【0098】
一部の場合に、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、追加的にまたは代替的に、オペレータ(例えば、外科医)イベントを検出するように構成されてもよい。オペレータ(例えば、外科医)イベントは、限定されないが、オペレータ(例えば、外科医)バイタルサインおよび/もしくは他の健康メトリックがある範囲の外にあること、オペレータ(例えば、外科医)のバイタルサインおよび/もしくは他の健康メトリックのうちの1つ以上が変化している(例えば、特定量を超えている)こと、入力装置(例えば、ハンドコントローラ)のうちの1つ以上へのオペレータ(例えば、外科医)によって及ぼされる把持力が変化している(例えば、特定量を超えている)こと、ならびに/または入力装置(例えば、ハンドコントローラ)のうちの1つ以上へのオペレータ(例えば、外科医)によって及ぼされる押す力が変化している(例えば、特定量を超えている)こと、のうちの1つ以上を含み得る。例えば、拡張システム500(例えば、イベント検出器)は、オペレータの血圧が特定範囲外である場合、またはオペレータの心拍数が特定範囲外であり、かつオペレータによって及ぼされる把持力が特定の閾値/量を超える場合に、オペレータイベントが発生したことを検出するように構成されてもよい。
【0099】
上述したように、一部の場合に、状態データは、タスク中のオペレータ(例えば、外科医)健康情報、またはオペレータ(例えば、外科医)バイタルサインのうちの1つ以上、および/もしくはオペレータ(例えば、外科医)のその他の健康メトリックのうちの1つ以上の健康情報の状態を示すデータを含み得る。これらの場合、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、オペレータの健康情報またはデータが、オペレータの健康メトリック(例えば、バイタルサイン)のうちの1つ以上がある範囲の外にあること、または特定の量を超えて変化したことを示すときに、オペレータイベントを検出するように構成されてもよい。範囲および/または特定の量は、健康メトリック(例えば、呼吸数および心拍数に対して異なる範囲があり得る)、オペレータおよび/またはタスクの間で変化し得る。
【0100】
一部の場合に、範囲および/または特定の量は、以前に実施されたタスクの状態データから学習され得る。例えば、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)、または別のコンピューティングベースの装置は、以前に実施されたタスクの状態データから、ネガティブイベント(例えば、オペレータまたは患者に関連するネガティブイベント)の直前のオペレータの異なる健康メトリックのレベルを識別し、識別されたレベルから範囲を生成し得る(例えば、最低および最高の識別されたレベルを包含する範囲が選択され得る)。範囲は、すべてのオペレータに対して決定されてもよく、または異なる範囲は、異なるオペレータに対して決定されてもよい。例えば、それは、X~Yの範囲の心拍数が1人のオペレータでは正常であるが、別のオペレータでは正常ではない、以前に実施されたタスクの状態データから決定され得る。
【0101】
上述したように、一部の場合に、状態データは、オペレータによってハンドコントローラのうちの1つ以上に加えられる把持力を記述する、ハンドコントローラグリップ情報を含み得る。これらの場合、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)が、把持力が変化した(または特定量を超えて変化した)ことをハンドコントローラの把持情報から検出したときに、オペレータイベントを検出するように構成されてもよい。
【0102】
上述のように、一部の場合に、ハンドコントローラは、ジンバルを介して平行グラムリンケージ上に装着されてもよく、状態データは、リンケージおよび/またはジンバルのジョイントの位置および/またはトルクを示す位置および/またはトルクデータを含み得る。これらの場合、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、位置および/もしくはトルクリンケージならびに/またはジンバル情報から、入力装置(例えば、ハンドコントローラ)のうちの1つ以上へのオペレータによって及ぼされる押す力を決定し、拡張システム500が、押す力が変化したこと(または特定の量を超えて変化したこと)を検出したときに、オペレータイベントが発生したことを検出するように構成されてもよい。
【0103】
一部の場合に、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、追加的にまたは代替的に、性能イベントを検出するように構成されてもよい。性能イベントは、タスク(またはタスクの一部)を実施する際のオペレータ(例えば、外科医)の性能に関連するイベントであり、限定されないが、オペレータ(例えば、外科医)の性能が許容可能なレベルを下回ったこと、および/またはオペレータ(例えば、外科医)の性能が変化した(または特定の量を超えて変化した)ことを含み得る。
【0104】
一部の場合に、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、タスクについての状態データを、以前に実施されたタスク(例えば、同じタイプのタスク)についての状態データと比較することによって、オペレータ(例えば、外科医)の性能が閾値を下回ったことを検出するように構成されてもよい。例えば、拡張システム500は、以前に実施されたタスクについての状態データが記憶され、かつオペレータ(例えば、外科医)の性能が評価または識別された(例えば、性能は、限定されないが、1~10のスケールなどのスケールでランク付けされてもよい)データリポジトリへのアクセスを有してもよく、状態データは、リポジトリに記憶された状態データと比較されて、タスクについてのオペレータ(例えば、外科医)の性能レベルを決定することができる。
【0105】
一部の場合に、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、オペレータ(例えば、外科医)の1つ以上の性能メトリックを、以前に実施されたタスクについてのオペレータ(例えば、外科医)の性能メトリックと比較することによって、タスクについてのオペレータ(例えば、外科医)の性能レベルを決定するように構成されてもよい。例えば、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、性能メトリックに基づいて、タスク中の複数の時点で、オペレータの性能レベルを決定する(例えば、1~10のレベルを決定するなど)ように構成されてもよく、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、性能レベルが変化した場合、または性能レベルが許容可能な範囲外である場合に、性能イベントを検出してもよい。一部の場合に、性能メトリックは、タスクもしくはタスクのステップの実施においてロボットアームもしくは器具によって得られる経路、タスクもしくはタスクのステップの実施におけるロボットアームおよび/もしくは器具の移動の滑らかさ、タスクもしくはタスクのステップの実施にかかる時間、ならびに/またはロボットアームの移動の振幅もしくは頻度、のうちの1つ以上を含み得る。
【0106】
上述のように、一部の場合に、状態データは、外科用ロボットシステム502のアーム(複数可)および/または器具(複数可)の位置および/または移動を記述する情報を含み得る。これらの場合、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、アーム(複数可)および/または器具(複数可)の位置および/または移動を記述する情報から、ロボットアームおよび/または器具(複数可)の経路を決定するように構成されてもよい。得られた経路が識別されると、拡張システム500(例えば、イベント検出器)は、得られた経路を、そのタスクまたはそのタスクのステップについて「最良」または「最適」の経路と比較することによって、ユーザの性能を評価するように構成されてもよい。「最良の」経路は、以前に実施されたタスクについての状態データから決定され得る。例えば、拡張システム500、または別のコンピューティングベースの装置は、経路がランク付けされた、以前に実施されたタスクについての状態データから、「最良の」経路を決定するように構成されてもよい。上述の状態データのソースのすべてに加えて、以前に実施されたタスクの状態データはまた、転帰データを含み得る。当業者には知られているように、転帰データは、外科手術の結果(例えば、成功/失敗)に関する情報である。一部の場合に、得られた経路が「最良の」または「最適の」経路に近いほど、性能が良くなり、その経路が「最良の」または「最適の」経路から遠ければ遠いほど、性能は悪くなる。
【0107】
拡張システム500(例えば、イベント検出器504)はまた、経路が滑らかな曲線またはギザギザのエッジを有するかどうかに基づいて、経路の滑らかさを測定することができる場合があり、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、例えば、滑らかな曲線の数および/またはギザギザのエッジの数に基づいて、オペレータの性能を評価するように構成されてもよい。
【0108】
上述のように、一部の場合に、状態データは、タスクおよび/または実施されたタスクのステップを明示的に識別する情報を含み得る。他の場合では、拡張システム500は、他の状態データに基づいて、タスクおよび/またはタスクのステップを動的に識別することができる場合がある。いずれの場合においても、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、タスク間またはタスクのステップ間の時間を測定することによって、タスクまたはタスクのステップを実施するためにかかった時間を決定するように構成されてもよい。拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、タスクまたはタスクのステップを完了するためにかかった時間と、以前に実施された同じタスクまたは以前に実施されたタスク中の同じステップを完了するためにかかった時間(状態データから生成されるような時間)とを比較することによって、オペレータの性能を評価することができる場合がある。
【0109】
上述のように、一部の場合に、状態データは、入力装置(例えば、ハンドコントローラ)の位置および/または移動を記述する情報を含み得る。これらの場合、拡張システム500は、ハンドコントローラの位置および/または移動データから、ハンドコントローラの移動の振幅(例えば、大きさ)および頻度を決定するように構成されてもよい。次に、拡張システム500は、測定された移動の振幅および頻度に基づいて、オペレータの性能を評価するように構成されてもよい。特に、移動の大きな変化および/または多くの変化は、性能不良を示し得るが、小さな頻度の低い移動は、良好な性能を示し得る。
【0110】
例えば、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、ハンドコントローラの位置および/または移動データを、時間領域から頻度領域へ(例えばフーリエ変換を介して)変換し、イベントが発生したことを示す頻度領域のパターンを識別するように構成されてもよい。例えば、拡張システム500が、頻度ドメインにおける多くの低い頻度の構成要素を検出する場合、これは、疲労または中毒を示し得るが、頻度ドメインにおける多くの高い頻度の構成要素は、高レベルの震えまたはパニック運動を示し得る。一部の場合に、低い頻度および高い頻度の構成要素に許容可能な範囲があってもよく、その一方または両方が対応する許容可能な範囲外である場合、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、性能イベントが発生したと決定するように構成されてもよい。
【0111】
一部の場合に、拡張システムは、複数の性能基準に基づいて、単一のオペレータ性能スコア、または記述子を決定するように構成されてもよい。他の場合では、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、各々異なる性能基準に基づいて、複数のオペレータの性能スコアを決定するように構成されてもよい。拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、性能基準のうちのいずれかが許容可能なレベルを下回ったか、または性能基準のうちのいずれかが(例えば、少なくとも特定の量だけ)変化した場合に、性能イベントが発生したと決定するように構成されてもよい。
【0112】
一部の場合に、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、追加的にまたは代替的に、緊急イベントを検出するように構成されてもよい。緊急イベントとは、タスク中に緊急イベントが発生した、または発生した可能性が高いことを示すイベントである。拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、拡張システム500が、タスクのために存在する個人のうちの1人以上(例えば、外科手術チームのうちの1つ以上)が声を上げて話したこと、タスクのために存在する個人のうちの1人以上(例えば、外科手術チームのうちの1つ以上)が警告の言葉もしくは語句を話したこと、外科用ロボットアームによる突然の移動、および/またはタスクの所定のステップからの逸脱もしくは離脱を検出したときに、緊急イベントを検出するように構成されてもよい。
【0113】
上述のように、一部の場合に、状態データは、タスクが実施される部屋(例えば、手術室)のビデオおよび/または音声記録を含み得る。これらの場合、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)が、部屋の中の個人が声を上げて話したビデオおよび/または音声録音から検出したときに、緊急イベントを検出するように構成されてもよい。具体的には、個人が声を上げながら話した場合、それは、部屋/室内の個人間に何らかの衝突があること、および/または部屋/室内に論点もしくは問題点があることを示し得る。拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、任意の既知の音声分析技術を使用して、大きな声を検出することができる場合がある。
【0114】
状態データがビデオおよび/または音声記録を含む場合、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)はまた、または代替的に、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)が、部屋の中の個人が警告の言葉または語句(すなわち、問題がある可能性があることを示す言葉または語句)を話したビデオおよび/または音声記録から検出したときに、緊急イベントを検出するように構成されてもよい。拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、任意の既知の音声認識または分析技術を使用して、ビデオおよび/または音声記録中の警告の言葉および/または語句を検出するように構成されてもよい。警告の言葉および/または語句のリストは、分析を開始する前に、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)に予めロードされてもよい。一部の場合に、警告の言葉および/または語句のリストは、以前に実施されたタスクの状態データから学習され得る。例えば、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)、または別のコンピューティングベースの装置は、複数の以前に実施されたタスクの各々の状態データから、ネガティブな転帰の前の特定の期間、発話された任意の言葉または語句を識別し、特定の数の以前に実施されたタスクの間に共通する、識別された言葉または語句のリストを生成し得る。
【0115】
当業者には、これは、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)が検出する能力を有し得るイベントの例示のセットであり、他の実施例では、拡張システム(例えば、イベント検出器504)が、追加のイベント、イベントのサブセットまたは異なるイベントのみを検出するように構成されてもよいことが明白であろう。例えば、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)が検出することができる場合がある他のイベントは、送気機器内の圧力降下を含むが、これらに限定されない。
【0116】
一部の場合に、イベントのセットが状態データから識別されると、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、イベントのパターンに基づいて、追加のイベントを自動的に識別するように構成されてもよい。例えば、イベントの特定のパターンは、別のイベントが発生したことを示し得る。特定のイベントが発生したことを示すイベントのパターンを学習してもよい(例えば、以前に実施されたタスクについての状態データから-以前に実施されたタスクは、現在のタスクと同じタスク、現在のタスクと類似したタスクのセット、または現在のタスクに対する異なるタスクのセットであってもよい)。
【0117】
一部の場合に、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、状態データからイベントの所定のセットを検出することができる場合がある。拡張システム500(例えば、イベント検出器504)が状態データから検出することができるイベントの所定のセットは、受信した状態データのタイプおよび/または1つ以上の他の基準に基づいてもよい。一部の場合に、拡張システム500は、検出可能であるイベントの所定のセットのサブセットのみを検出するように構成されてもよい。例えば、ユーザは、拡張システム500(例えば、イベント検出器)がイベントの所定のセットのサブセットのみを検出するように構成することができる場合がある。これは、例えば、ユーザが内視鏡ビデオで特定の何かを探しているときに有用であり得る。例えば、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)にリンクされたユーザインターフェース(例えば、グラフィカルユーザインターフェース(GUI))があってもよく、それによって、ユーザは、拡張システム500を構成することができる。ユーザインターフェースは、例えば、拡張システム500によってサポートされるイベントの所定のセットをユーザに提示してもよく、ユーザは、サポートされるイベントのうち、どのイベントが拡張システム(例えば、イベント検出器504)によって検出されるかを選択してもよい。
【0118】
代替的に、または加えて、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)がどのイベントを検出するかを手動で選択することができるユーザに対して、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、拡張システム500にログインしているユーザに基づいて、検出されるイベントを自動的に選択するよう構成されてもよい。例えば、一部の場合に、状態データに基づいて拡張内視鏡ビデオを生成するために、ユーザは、拡張システム500でログインするか、またはそうでなければ、自分自身を認証しなければならない場合があり、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)によって検出されるイベントは、例えば、ユーザの特権に基づいている。例えば、タスクを実施したオペレータは、別のオペレータ(例えば、外科医)よりも多くのイベントにアクセスすることができる場合がある。例えば、タスクを実施したオペレータは、性能イベントを見ることができる場合があり、一方で別のオペレータ(例えば、外科医)は、その特定のタスクに関する性能イベントを見ることができない場合がある。以下でより詳細に説明するように、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、状態データからイベントの所定のセットのサブセットのみを検出するように構成されている代わりに、拡張システム500は、イベントの所定のセットのすべてを検出するように構成されてもよく、拡張ビデオが視聴されたときにユーザが利用可能なイベントは、構成可能であってもよく、および/またはユーザ特権に基づいてもよい。
【0119】
一部の場合に、状態データから検出された各イベントについて、拡張システム500(例えば、イベント検出器504)は、内視鏡ビデオを拡張するために使用されるイベント情報を生成し得る。イベント情報には、検出されたイベントを識別するイベント識別子、イベントがいつ開始したかを識別するイベント開始時間、および任意選択的に、イベントがいつ停止したかを示すイベント持続時間またはイベント終了時間(イベントが持続時間を有する場合)が含まれ得るが、これらに限定されない。イベント識別子は、検出されたイベントを識別する名前または番号であってもよい。一部の場合に、例えば、番号およびテキスト説明を有するルックアップテーブルに列挙される、検出され得る所定のイベントのセットが存在し得る。開始時間および/または終了時間は、絶対時間(例えば、3:45pm)であってもよいか、または相対時間(例えば、タスク開始の35分後)であってもよい。
【0120】
拡張システム500(例えば、イベント検出器504)が状態データを分析して、タスク中に発生したイベントを識別すると、方法800は、内視鏡ビデオが拡張されるブロック808に進む。図8の方法800では、イベント検出器は、状態データを分析して、タスク中に発生したすべてのイベントを識別し、その後、方法800は、内視鏡ビデオの拡張のためにブロック808に進むが、他の例示の方法では、内視鏡ビデオは、イベントごとに拡張され得る。言い換えれば、他の場合では、内視鏡ビデオは、すべてのイベントが検出されるまで待つ必要はなく、イベントが検出されるとすぐに拡張されてもよい。
【0121】
ブロック808で、拡張システム500(例えば、拡張器506)は、ブロック806で検出された各イベントについて、検出されたイベントおよびイベントが内視鏡ビデオに対して発生した時間を識別する情報で、ブロック802で受信された内視鏡ビデオを拡張することによって、拡張内視鏡ビデオを生成する。上述のように、一部の場合に、内視鏡ビデオに追加された情報は、内視鏡ビデオの関連時間(例えば、イベントが始まったとき、またはイベントの持続期間にわたって)に置かれるマーカーの形態を取り得る。情報またはマーカーは、拡張内視鏡ビデオがその後、例えば、メディアプレーヤーを介して再生または視聴されるときに、ユーザに対して可視的である場合がある。一部の場合に、マーカーは、拡張内視鏡ビデオが、例えば、メディアプレーヤーを介して再生または視聴されるときに、ユーザが内視鏡ビデオの特定のポイントに簡単にジャンプすることを可能にする、ブックマークの形態を取り得る。例えば、ユーザが拡張内視鏡ビデオをメディアプレーヤーで起動すると、ユーザは、検出されたイベントを表すビデオ内のブックマークのリストを提示されてもよく、ユーザは、ブックマークを選択することによって、ブックマークによって識別されるポイントのうちの1つに直接的に移動することができる。一部の場合に、特定のイベントに関連する情報(例えば、マーカー)は、内視鏡ビデオの一部を形成するか、または内視鏡ビデオと関連付けられたメタデータに含まれ得る。
【0122】
例えば、表2は、ブロック806で拡張システム500(例えば、イベント検出器504)によって検出された可能性のあるイベントのリストを示している。当業者にとって、これらは、例示のイベント、開始時間、終了時間、および持続時間であり、他の状態時間、終了時間、および持続時間を伴う他のイベントが検出され得ることは明白であろう。
【表2】
【0123】
図10は、ブロック806で拡張システム500(例えば、イベント検出器)によって検出された、表2に示されるイベントに基づいて拡張された例示の拡張内視鏡ビデオ1000である。図10から分かるように、この実施例では、拡張システム500(例えば、拡張器506)は、識別されたイベントの各々に対して1つのマーカー1002、1004、1006、1008を元の内視鏡ビデオ1010に追加して、拡張内視鏡ビデオ1000を生成する。具体的には、拡張システム500(例えば、拡張器506)は、縫合ステップが25分~45分に発生したことを示す第1のマーカー1002と、針ドライバ器具が25分~30分にロボットアーム0に取り付けられたことを示す第2のマーカー1004と、針ドライバ器具が30分~35分にロボットアーム1に取り付けられたことを示す第3のマーカー1006と、オペレータの性能が、65分でレベル7に変化したことを示す第4のマーカー1008と、を追加した。当業者には、これが、内視鏡ビデオがどのように拡張され得るかの単なる実施例であり、他の実施例では、内視鏡ビデオは異なる様式で拡張され得ることは明白であろう。
【0124】
拡張内視鏡ビデオが生成されると、拡張内視鏡ビデオは、後で使用するために、拡張システム500のメモリまたは別の装置のメモリ内に記憶され得る。例えば、記憶された拡張内視鏡ビデオは、その後、例えば、オペレータの性能をレビューし、オペレータに手技を実施するための方法などを教えるために、メディアプレーヤーを使用して、視聴または再生されてもよい。拡張内視鏡ビデオに追加された情報またはマーカーは、拡張された内視鏡が視聴または再生されたときに、ユーザによって視認可能である。特に、場合によっては、情報またはマーカーは、ブックマークとして提示され得る。例えば、図11に示すように、ユーザが、例えば、メディアプレーヤー1102を介して図10の例示の拡張内視鏡ビデオ1000を視聴するときに、ユーザは、内視鏡ビデオ1106とともにブックマーク1104のリスト(またはブックマークのメニュー)を提示される場合がある。例えば、図11には、表2で検出された各イベントに対するブックマークがある。すなわち、縫合ステップに対するブックマーク、各器具変更に対するブックマーク、および性能レベルの変更に対するブックマークがある。次に、ユーザは、ブックマーク1104のうちの1つを選択することによって、内視鏡ビデオ1106の特定の部分に自動的に移動することができる。一部の場合に、図11に示すように、ブックマーク1104は、例えば、タイプまたは時間に基づいて、グループでユーザに提示され得る。しかしながら、当業者には、これが単なる実施例であり、ブックマークが別の方法でユーザに提示され得ることは明白であろう。
【0125】
一部の場合に、ブックマークとしてユーザに提示される各検出されたイベントについて、内視鏡ビデオに追加された情報またはマーカーに加えて、検出されたイベントについての内視鏡ビデオに追加された情報は、内視鏡ビデオがプレイバックされる際にユーザに提示され得る。例えば、拡張内視鏡ビデオは、ビデオがプレイバックされたときに、画面の上部、下部、または側部にあるバナーにイベント情報を表示するように、すなわち、検出されたイベントについての情報を、内視鏡ビデオの適切な時点または関連する時点に表示するように拡張されてもよい。
【0126】
一部の場合に、拡張内視鏡ビデオが、例えば、メディアプレーヤーを使用して視聴または再生されたときに視認可能である情報またはマーカーが、構成可能であってもよい。例えば、拡張内視鏡ビデオのユーザは、拡張内視鏡ビデオにタグ付けされたイベントのリストを提示されてもよく、ユーザは、それらのイベントのうちのどれを視認可能とするかを選択することができる場合がある。ユーザは、個々のイベントまたはイベントのタイプを選択することができる場合がある。例えば、ユーザは、すべての器具イベントおよび/もしくはすべてのタスクイベント、または一部の器具イベントおよび/もしくは一部のタスクイベントを選択することができる場合がある。一部の場合に、拡張内視鏡ビデオが視聴または再生されたときに視認可能である情報またはマーカーは、拡張内視鏡ビデオを視聴しているユーザに基づいてもよい。例えば、一部の場合に、拡張内視鏡ビデオを視聴するために、ユーザは、内視鏡ビデオ視聴システムにログインするか、またはそうでなければ、内視鏡ビデオ視聴システムの認証を受ける必要がある場合がある。これらの場合に、拡張内視鏡ビデオが視聴または再生されたときに視認可能である情報またはマーカーは、ビデオを再生するユーザに関連付けられた特権に基づいて決定され得る。例えば、タスクを実施したオペレータは、すべての情報またはマーカーを見ることができる場合があり、他のユーザは、情報またはマーカーのサブセットのみを見ることができる場合がある。例えば、他のユーザは、性能イベントに関連するいかなる情報またはマーカーも見ることができない場合がある。
【0127】
一部の場合に、タスク中に発生したイベントを識別する情報またはマーカーで内視鏡ビデオを自動的に拡張するように構成されることに加えて、拡張システム500はまた、器具およびその位置ならびに/または状態データからの移動の三次元(3D)仮想現実(VR)再構成を生成するように構成されてもよい。次いで、拡張システム500は、拡張内視鏡ビデオを、器具の3D VR再構成と同期およびリンクさせ、その結果、内視鏡ビデオが視聴または再生されるときに、3D VR再構成を、拡張内視鏡ビデオとともに視聴することができる。例えば、上述のように、一部の場合に、状態データは、タスク中のロボットアーム(複数可)および/またはそれに取り付けられた器具の位置および/または移動を記述する情報、ならびにタスク中の各ロボットアームに取り付けられた器具を記述する情報を含み得る。これらの場合、拡張システム500は、ロボットアーム/器具位置/移動情報から器具の位置および移動を決定するように構成されてもよい。器具の位置および移動が識別されると、移動は、各アームに取り付けられた器具のタイプに基づいて、関連器具の3Dモデルにマッピングされ得る(状態データの器具情報によって識別されるように)。移動が3Dモデルにマッピングされると、3Dモデルをマージして、タスク中に器具の3D VR再構成を形成することができる。次いで、3D VR再構成は、時間同期され、拡張内視鏡ビデオにリンクされ得る。一部の場合に、3D VR再構成における器具の斜視図またはビューが、構成可能であってもよい(すなわち、ユーザは、ビューポイントを設定または構成することができる場合がある)。これにより、ユーザは、内視鏡のビューポイントとは異なるビューポイントで器具を見ることが可能になり得る。一部の場合に、ビューポイントは、プレイバック中に動的に再構成されてもよい。具体的には、3D VR再構成により、ユーザは、プレイバックまたは視聴中にビューポイントを調整することが可能になり得る。
【0128】
場合によっては、タスク中に発生したイベント、および内視鏡ビデオに関して発生した時間または期間を識別する情報またはマーカーで、内視鏡ビデオを自動的に拡張するように構成されることに加えて、拡張システム500はまた、拡張内視鏡ビデオを、識別されたイベントにリンクさせる様式で、状態データのすべてまたは一部分にリンクするように構成されてもよく、それは、内視鏡ビデオの関連部分だけでなく、状態データのすべてまたは一部分の関連部分にもリンクするように構成されてもよい。例えば、拡張内視鏡ビデオは、状態データを形成するデータストリームのすべてまたはサブセットのみにリンクされてもよい。例えば、状態データが、患者心拍データストリームおよび外科用ロボットアーム位置情報データストリームを含む場合、拡張内視鏡ビデオは、データストリームのいずれかまたは両方にリンクされてもよい。リンクされた拡張内視鏡ビデオおよび状態データは、拡張結合データと呼ばれ得る。
【0129】
上述のように、状態データは、例えば、共通のタイムスタンプまたは共通のタイムラインを介して、内視鏡ビデオと時間同期される。したがって、拡張結合データは、拡張された内視鏡ビデオを、状態データのすべてまたは一部分とリンクさせることによって生成されてもよく、その結果、内視鏡ビデオおよび状態データの対応する部分が、整列またはリンクされる。例えば、図12は、内視鏡ビデオ1000の対応する部分と状態データ1202とが整列またはリンクされるように、対応する状態データ1202にリンクされている図10の例示の拡張内視鏡ビデオ1000を例示している。この実施例では、状態データ1202は、2つのデータストリーム、すなわち、患者心拍データストリーム1206および外科用ロボット位置情報データストリームを含み、両方のデータストリームは、拡張内視鏡ビデオ1000にリンクされている。これは、例えば、30分(タスク内)での心拍データと外科用ロボット位置情報が、30分(タスク内)で内視鏡ビデオにリンクされることを意味する。しかしながら、当業者には、これが一例であり、状態データ1202が上述のデータストリームの任意の組み合わせを含んでもよいことが明白である。リンクされた拡張内視鏡ビデオ1000および状態データ1202は、拡張結合データ1208を形成する。
【0130】
拡張内視鏡ビデオが状態データにリンクされて、拡張結合データを形成すると、拡張内視鏡ビデオ内の情報および/またはマーカーを使用して、識別されたイベントの各々に関連する内視鏡ビデオの部分および状態データを識別することができる。このようにして、拡張内視鏡ビデオ内の情報またはマーカーは、識別されたイベントに関連する結合データの時間スライスを識別するものと考えることができる。例えば、縫合ステップを識別するマーカー1002は、縫合ステップに対応する内視鏡ビデオの部分、患者心拍データストリーム、および外科用ロボット位置情報データストリームを識別する。次いで、マーカーを使用して、そのイベントに関連する内視鏡ビデオおよび/または状態データの1つ以上の他のデータストリームからデータを取得することができる。例えば、拡張結合データ内の情報またはマーカーに基づいて、識別されたイベントのリストをユーザに提示することができる、拡張結合データを受信するように構成されたシステムまたはソフトウェアが存在し得る。次に、イベントのうちの1つを選択することによって、ユーザは、そのイベントに関連する内視鏡ビデオの部分および状態データを提示され得る。イベントに関連する内視鏡ビデオおよび状態データの部分は、任意の好適な形態でユーザに提示され得る。例えば、列挙されたイベントを選択することによって、そのイベントに関連する内視鏡ビデオの部分は、関連する状態データの表示とともに再生されてもよい(例えば、関連する部分の間の患者の心拍数は、再生される際に内視鏡ビデオの上方、下方、または側方へ表示されてもよい)。
【0131】
上述のように、拡張結合データは、最初に拡張内視鏡ビデオを生成し、次いで拡張内視鏡ビデオをリンクすることによって生成されるが、他の実施例では、内視鏡ビデオは、状態データのすべてまたは一部分にリンクされて、拡張前の結合データを生成し、その結果、拡張器506は、識別されたイベント、およびそれらがいつ発生したかを識別する情報またはマーカーで、結合データを拡張して、拡張結合データを生成する。
【0132】
ここで図13を参照すると、計算および/または電子装置の任意の形態として実装され得る例示のコンピューティングベースの装置1300の様々な構成要素が例示され、本明細書に記述される方法および拡張システムの実施形態が実装され得る。
【0133】
コンピューティングベースの装置1300は、データ変換パイプラインのハードウェア設計を確認する目的で、装置の動作を制御するために、コンピュータ実行可能命令を処理するためのマイクロプロセッサ、コントローラ、または任意の他の好適なタイプのプロセッサであり得る、1つ以上のプロセッサ1302を含む。いくつかの実施例では、例えば、チップアーキテクチャ上のシステムが使用される場合、プロセッサ1302は、(ソフトウェアまたはファームウェアではなく)ハードウェアにおいて、内視鏡ビデオを拡張する方法の一部を実装する、1つ以上の固定機能ブロック(加速器とも呼ばれる)を含み得る。オペレーティングシステム1304または任意の他の好適なプラットフォームソフトウェアを含むプラットフォームソフトウェアは、コンピューティングベースの装置で提供され、それにより、図8の方法を実装するソフトウェア1305などのアプリケーションソフトウェアが装置上で実行されることが可能になる。
【0134】
コンピュータ実行可能命令は、コンピューティングベースの装置1300によってアクセス可能である任意のコンピュータ可読媒体を使用して提供されてもよい。コンピュータ可読媒体は、例えば、メモリ1306および通信媒体などのコンピュータ記憶媒体を含み得る。メモリ1306などのコンピュータ記憶媒体(すなわち、非一時的機械可読媒体)は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータなどの情報を記憶するための任意の方法または技術に実装された揮発性および不揮発性、リムーバブルおよび非リムーバブル媒体を含む。コンピュータ記憶媒体には、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリもしくは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル汎用ディスク(DVD)もしくは他の光記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶装置、またはコンピューティングベースの装置によるアクセスのために情報を記憶するために使用され得る任意の他の非送信媒体が含まれるが、これらに限定されない。対照的に、通信媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、もしくはキャリア波などの変調データ信号内の他のデータ、または他のトランスポート機構を具現化し得る。本明細書で定義されるように、コンピュータ記憶媒体は、通信媒体を含まない。コンピュータ記憶媒体(すなわち、非一時的機械可読媒体、例えば、メモリ1306)は、コンピューティングベースの装置1300内に示されるが、記憶装置は、リモートで分配または位置し、(例えば、通信インターフェース1308を使用して)ネットワークまたは他の通信リンクを介してアクセスされ得ることが理解されるであろう。
【0135】
コンピューティングベースの装置1300はまた、コンピューティングベースの装置1300から分離され、またはそれと統合され得る表示装置1312に、表示情報を出力するように配置された入力/出力コントローラ1210を含む。表示情報は、グラフィカルユーザインターフェースを提供し得る。入力/出力コントローラ1310はまた、ユーザ入力装置1314(例えば、マウスまたはキーボード)などの1つ以上の装置から入力を受信および処理するように配置される。このユーザ入力を使用して、検証を開始することができる。一実施形態では、表示装置1312はまた、それがタッチセンサ式表示装置である場合に、ユーザ入力装置1314として作用してもよい。入力/出力コントローラ1310はまた、表示装置以外の装置、例えば、局所的に接続された印刷装置(図13には示されていない)にデータを出力することができる。
【0136】
これにより、本出願人は、本明細書に記載の各個々の特徴および2つ以上のかかる特徴の任意の組み合わせを、かかる特徴または組み合わせが、当業者の共通の一般知識に照らして、全体として本明細書に基づいて行うことができるような程度まで、かかる特徴または特徴の組み合わせが、本明細書に開示される任意の問題を解決するかどうかにかかわらず、分離して開示する。前述の説明を考慮すると、本発明の範囲内で様々な修正を行うことができることは当業者には明白であろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】