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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(54)【発明の名称】絶縁型データ伝送システム
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/00 20060101AFI20220113BHJP
   G01R 33/09 20060101ALI20220113BHJP
   H01F 17/00 20060101ALI20220113BHJP
   H01F 19/04 20060101ALI20220113BHJP
   H04B 5/02 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
H01F27/00 R
G01R33/09
H01F17/00 B
H01F19/04 U
H04B5/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021524042
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(85)【翻訳文提出日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 US2019053054
(87)【国際公開番号】W WO2020112225
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】16/200,799
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501105602
【氏名又は名称】アレグロ・マイクロシステムズ・エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】591150395
【氏名又は名称】コミサリア タ レネルジー アトミック エ オー エネルジー アルテルナティーヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】レイサム,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】フェルモン,クロード
(72)【発明者】
【氏名】パネティア-ルクール,ミリアン
【テーマコード(参考)】
2G017
5E070
5K012
【Fターム(参考)】
2G017AA02
2G017AD55
2G017BA09
5E070AA05
5E070AA14
5E070CB12
5E070CB20
5K012AA01
5K012AA03
5K012AB03
5K012AC06
5K012AC07
5K012AC08
5K012AC10
(57)【要約】
情報を送信するための駆動コイルと、駆動コイルに磁気的に結合される受信コイルと、受信コイルから情報を検出するために受信コイルに近接した第1の磁気抵抗センサとを備え、データ伝送を与えるための装置および方法である。実施形態において、駆動コイルおよび受信コイルは、絶縁材料介して分離されている。実施形態において、信号アイソレータICパッケージは、送信コイルおよび受信コイルと、前記受信コイルに結合される磁場感知素子とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を送信するための駆動コイルと、
前記駆動コイルから前記情報を受信するために前記駆動コイルに磁気的に結合される受信コイルと、
前記受信コイルから前記情報を検出するために前記受信コイルに近接した第1の磁場感知素子と
を備えるシステム。
【請求項2】
前記受信コイルは、前記受信コイルを流れる電流により生成される磁場を前記第1の磁場感知素子に集中させるように前記電流を増大させるための第1の狭窄部分を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
第2の磁場感知素子をさらに備え、前記受信コイルが第2の狭窄部分を含み、前記第2の磁場感知素子が前記第2の狭窄部分に近接している、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1および第2の狭窄領域は、前記第1および第2の磁場感知素子に差動的に結合するように配置され、ブリッジ構成を有する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の狭窄部分が前記駆動コイルの領域の外側に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の磁場感知素子を支持するためのダイをさらに備える請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ダイが前記駆動コイルおよび前記受信コイルを支持する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記ダイは、前記第1の磁場感知素子からの情報を処理するための回路を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記受信コイルが1の巻数を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記受信コイルが5未満の巻数を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記駆動コイルは、直列に結合される第1のコイルおよび第2のコイルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記受信コイルが接地されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1の磁場感知素子がGMR素子を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1の磁場感知素子がTMR素子を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記駆動コイルは、前記受信コイルおよび前記磁場感知素子から絶縁されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記絶縁が電気的絶縁および/またはガルバニック絶縁を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
情報を送信するための駆動コイルと、
前記駆動コイルから前記情報を受信するために前記駆動コイルに磁気的に結合される受信コイルと、
前記受信コイルから前記情報を検出するために前記受信コイルに近接した第1の磁場感知素子と
を備える信号アイソレータICパッケージ。
【請求項18】
前記駆動コイルと前記受信コイルとの間の絶縁をさらに含む請求項17に記載のICパッケージ。
【請求項19】
前記受信コイルは、前記受信コイルを流れる電流により生成される磁場を前記第1の磁場感知素子に集中させるように前記電流を増大させるための第1の狭窄部分を含む、請求項17に記載のICパッケージ。
【請求項20】
第2の磁場感知素子をさらに備え、前記受信コイルが第2の狭窄部分を含み、前記第2の磁場感知素子が前記第2の狭窄部分に近接している、請求項19に記載のICパッケージ。
【請求項21】
前記第1および第2の狭窄部分は、前記第1の磁場感知素子に結合するために配置され、ブリッジ構成を有する、請求項20に記載のICパッケージ。
【請求項22】
前記第1の狭窄部分が前記駆動コイルの領域の外側に配置される、請求項17に記載のICパッケージ。
【請求項23】
前記第1の磁場感知素子を支持するためのダイをさらに備える請求項17に記載のICパッケージ。
【請求項24】
前記駆動コイルに結合されるトランジスタブリッジをさらに備える請求項17に記載のICパッケージ。
【請求項25】
障壁領域を介して分離される第1のダイおよび第2のダイをさらに備える請求項17に記載のICパッケージ。
【請求項26】
前記トランジスタブリッジが前記第1のダイ上に配設され、前記駆動コイルおよび前記受信コイルが前記第2のダイ上に配設される、請求項25に記載のICパッケージ。
【請求項27】
前記第1の磁場感知素子センサが前記第2のダイ上に配設される、請求項26に記載のICパッケージ。
【請求項28】
前記トランジスタブリッジが第1の入力ピンに結合され、前記第1の磁場感知素子が第1の出力ピンに結合される、請求項24に記載のICパッケージ。
【請求項29】
情報を送信するための駆動コイルを用いるステップと、
前記駆動コイルから前記情報を受信するために前記駆動コイルに磁気的に結合される受信コイルを用いるステップと、
前記受信コイルから前記情報を検出するために前記受信コイルに近接した第1の磁場感知素子を用いるステップと
を備える方法。
【請求項30】
前記受信コイルは、前記受信コイルを流れる電流により生成される磁場を前記第1の磁場感知素子に集中させるように前記電流を増大させるための第1の狭窄部分を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
第2の磁場感知素子を用いるステップをさらに備え、前記受信コイルが第2の狭窄部分を含み、前記第2の磁場感知素子が前記第2の狭窄部分に近接している、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第1および第2の狭窄部分は、前記第1および第2の磁場感知素子に差動的に結合するために配置され、ブリッジ構成を有する、請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]信号アイソレータは、第1のダイおよび第2のダイを、または、1つのダイのうちの複数の部分を分離し得る障壁を越えて情報を伝送するために使用され得る。例えば、オプトカプラは、光透過性の絶縁体膜(または誘電体)を通して光を出射して光検出器に与えるLEDを含むことができ、当該光検出器は、その出射光に対応する電流の流れを生成するものである。RF搬送波も、複数の異なる電圧領域にダイを分離する障壁を通して情報を送信するために使用され得る。
【発明の概要】
【0002】
[0002]本発明は、信号アイソレータに対する電圧絶縁などの、電圧絶縁を維持しながら情報を磁気的に伝送するための方法および装置を提供する。実施形態において、信号アイソレータは、絶縁層により分離される第1のコイルおよび第2のコイルと、第2のコイル上の伝送情報を検出するための磁場感知素子とを含む。実施形態において、磁場感知素子は、1つまたは複数の磁気抵抗素子を含むことができる。
【0003】
[0003]いくつかの実施形態において、情報を送信することができる第1のコイルは、送信情報を受信することができる第2のコイルより多い巻数を有し得る。1つの個別の実施形態において、磁場感知素子が近くに配置される第2の(受信)コイルは、信号検出を最大化するために可能な限り多い電流を第2のコイルに有するように、1の巻数を有する。すなわち、N=1である。
【0004】
[0004]例示的な実施形態において、第2のコイルは、単一の巻数で1つまたは複数の領域を有し、当該領域は、生成された磁場を磁場感知素子に集中させるために当該コイルの残り部分より狭い。当該狭い領域は、追加のインダクタンスおよび抵抗に起因してコイル内の電流レベルを低下させるので、相反関係が存するということが認識されることになる。実施形態において、1つまたは複数の当該狭い領域は、浮遊場の排除を高めるために、コイル内の電流を差動的に感知することができるように配置構成されるべきである。
【0005】
[0005]いくつかの実施形態において、2つ以上のコイル/絶縁/コイル/センサ構造を使用することにより浮遊場のさらなる低減が達成され得る。例えば、そのような第1および第2の構造は、浮遊場を減らすことを実現しやすくするために180度位相を異にして動作し得る。代替的な実施形態において、浮遊場低減は、信号放射も低減し得る分割トロイド型コイル構造を使用することにより達成され得る。
【0006】
[0006]いくつかの実施形態において、積層体内の第2のコイルは、伝送されている信号が交流(AC)である際に、磁場センサと同一基準で接地され得る。これにより、絶縁層を越える過渡的な電圧変化がセンサ出力に攪乱を生じさせることのないように、磁場センサが効果的に遮蔽され得る。
【0007】
[0007]1つの態様においてシステムは、情報を送信するための駆動コイルと、駆動コイルから情報を受信するために駆動コイルに磁気的に結合される受信コイルと、受信コイルから情報を検出するために受信コイルに近接した第1の磁場感知素子とを含む。
【0008】
[0008]システムは、以下の複数の特徴のうちの1つまたは複数をさらに含むことができる。受信コイルは、受信コイルを流れる電流により生成される磁場を第1の磁場感知素子に集中させるように電流を増大させるための第1の狭窄部分を含む。第2の磁場感知素子では、受信コイルが第2の狭窄部分を含み、第2の磁場感知素子が第2の狭窄部分に近接している。第1および第2の狭窄領域は、第1および第2の磁場感知素子に差動的に結合するように配置され、ブリッジ構成を有する。第1の狭窄部分が駆動コイルの領域の外側に配置される。第1の磁場感知素子を支持するためのダイがあり、ダイは、駆動コイルおよび受信コイルを支持する。ダイは、第1の磁場感知素子からの情報を処理するための回路を含む。受信コイルは、1の巻数を有する。受信コイルは、5未満の巻数を有する。駆動コイルは、直列に結合された第1のコイルおよび第2のコイルを含む。受信コイルは、接地されている。第1の磁場感知素子は、GMR素子を含む。第1の磁場感知素子は、TMR素子を含む。駆動コイルは、受信コイルおよび磁場感知素子から絶縁される。ならびに/または、当該絶縁は、電気的絶縁および/もしくはガルバニック絶縁(galvanic isolation)を含む。
【0009】
[0009]別の態様において、信号アイソレータICパッケージは、情報を送信するための駆動コイルと、駆動コイルからの情報を受信するために駆動コイルに磁気的に結合される受信コイルと、受信コイルからの情報を検出するために受信コイルに近接した第1の磁場感知素子とを含む。
【0010】
[0010]ICパッケージは、以下の複数の特徴のうちの1つまたは複数をさらに含むことができる。駆動コイルと受信コイルとの間に絶縁がある。受信コイルは、当該受信コイルを流れる電流により生成される磁場を第1の磁場感知素子に集中させるように電流を増大させるための第1の狭窄部分を含む。第2の磁場感知素子では、受信コイルが第2の狭窄部分を含み、その第2の磁場感知素子は、第2の狭窄部分に近接している。第1および第2の狭窄部分は、第1の磁場感知素子に結合するように配置され、ブリッジ構成を有する。第1の狭窄部分が駆動コイルの領域の外側に配置される。第1の磁場感知素子を支持するためのダイがある。駆動コイルに結合されるトランジスタブリッジがある。障壁領域を介して分離される第1のダイおよび第2のダイがある。トランジスタブリッジが第1のダイ上に配設され、駆動コイルおよび受信コイルが第2のダイ上に配設される。第1の磁場感知素子センサは、第2のダイ上に配設される。ならびに/または、トランジスタブリッジは、第1の入力ピンに結合され、第1の磁場感知素子は、第1の出力ピンに結合される。
【0011】
[0011]さらなる態様において、方法は、情報を送信するための駆動コイルを用いるステップと、駆動コイルから情報を受信するために駆動コイルに磁気的に結合される受信コイルを用いるステップと、受信コイルから情報を検出するために受信コイルに近接した第1の磁場感知素子を用いるステップとを含む。
【0012】
[0012]方法は、以下の複数の特徴のうちの1つまたは複数をさらに含むことができる。受信コイルは、受信コイルを流れる電流により生成される磁場を第1の磁場感知素子に集中させるように電流を増大させるための第1の狭窄部分を含む。第2の磁場感知素子では、受信コイルは、第2の狭窄部分を含み、その第2の磁場感知素子は、第2の狭窄部分に近接している。第1および第2の狭窄領域は、第1および第2の磁場感知素子に差動的に結合するために配置され、ブリッジ構成を有する。第1の狭窄部分が駆動コイルの領域の外側に配置される。第1の磁場感知素子を支持するためのダイがある。このダイは、駆動コイルおよび受信コイルを支持する。ダイは、第1の磁場感知素子からの情報を処理するための回路を含む。受信コイルは、1の巻数を有する。受信コイルは、5未満の巻数を有する。駆動コイルは、直列に結合された第1のコイルおよび第2のコイルを含む。受信コイルは、接地されている。第1の磁場感知素子は、GMR素子を含む。第1の磁場感知素子は、TMR素子を含む。駆動コイルは、受信コイルおよび磁場感知素子から絶縁されている。ならびに/または、当該絶縁は、電気的絶縁および/もしくはガルバニック絶縁を含む。
【0013】
[0013]本発明の前述の特徴、および、本発明それ自体が、後に続く図面の説明から、より充分に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】[0014]本発明の例示的な実施形態による、磁気データ伝送を含む信号アイソレータの概略図である。
図2】[0015]図2Aおよび図2Bは、狭窄領域を有する受信器コイルを備える例示的な送信器コイル-アイソレータ-受信器コイル構造を示す図である。
図3】[0016]図3A図3Bおよび図3Cは、狭窄領域を有する受信器コイルを備える、さらなる例示的な送信器コイル-アイソレータ-受信器コイル構造を示す図である。
図3D】[0017]磁気データ伝送を含む信号アイソレータを示す、図3Aの断面図である。
図3E】[0018]図3Aの送信器コイル-アイソレータ-受信器コイル構造による使用のための例示的な磁場感知素子の概略図である。
図4A】[0019]磁場感知素子上で観測される磁場に対する受信コイルの狭窄領域の幅のグラフである。
図4B】[0020]受信コイルを流れる電流に対する受信コイルの狭窄領域の幅の例示的なグラフである。
図5A】[0021]例示的な送信コイルおよび受信コイル構成の概略図である。
図5B】[0022]受信コイル電流に対する周波数の例示的なグラフである。
図6】[0023]図6Aおよび図6Bは、マルチコイル型送信コイルおよびマルチコイル型受信コイル構成の概略図である。
図7】[0024]磁気データ伝送を含む信号アイソレータICパッケージ実施形態の概略図である。
図8】[0025]マッチングする第1のダイおよび第2のダイを有する、磁気データ伝送を含む信号アイソレータの概略図である。
図9】[0026]本明細書において説明される処理の少なくとも一部分を実行することができる例示的なコンピュータの図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0027]図1は、例示的な実施形態に係る磁気データ伝送を含む通信によって、信号アイソレータ106を介して第2のシステム104に結合される第1のシステム102を備えた例示的なシステム100を示すものである。実施形態において、信号アイソレータ106は、第1のシステム102から送信された信号が第2のシステム104(物理的接続)に送られる際に越える絶縁障壁108を有する集積回路として設けられている。。実施形態において、第1および第2のシステム102、104は、異なる電圧レベルで動作し得る。
【0016】
[0028]実施形態において、第3のシステム110および第4のシステム112は、第1のチャネルおよび第2のチャネルを通じて信号アイソレータ106を介して通信しており、第3のシステム110は当該第1のチャネルで第4のシステム112にデータを送信し、第4のシステムは当該第2のチャネルで第3のシステムにデータを送信する。第1のチャネルは、アイソレータ106へのTXB入力と、第4のシステム104へのRXB出力とを含む。第2のチャネルは、アイソレータ106へのTXC入力と、第3のシステム110へのRXC出力とを含む。
【0017】
[0029]図2Aおよび図2Bは、データ信号を送信するための第1のコイル202と、第1のコイルにより送信されたデータを受信するための第2のコイル204とを有する例示的なデータ伝送構造200を示す。絶縁材205が、第1のコイル202と第2のコイル204との間に配設されている。
【0018】
[0030]実施形態において、第1のコイル202は、第2のコイル204より多い巻数を有し、第2のコイルは、第2のコイルを通る電流の流れにより生成された磁場を集中させる狭窄領域206を有する。磁場感知素子208は、生成された磁場を検出するために第2のコイル204の狭窄領域206に近接して配置されている。例示的な実施形態において、狭窄領域206は、第2のコイル204の残部の区域の外側にある。本発明の実施形態によりもたらされる利点には、感知素子を送信コイルから離して配置することが含まれ、これは、ノイズを作り出す容量結合を少なくするのに役立つ。実施形態において、検出コイルは、図3Aにおいて示されるように接地されている。
【0019】
[0031]コイルの領域の外側における狭窄領域は、本明細書で用いられる際、最も外側のコイルまたはコイル部分の外部にある狭窄領域を意味する。換言すれば、狭窄領域は、コイルと重複しない。
【0020】
[0032]実施形態において、第2の(受信)コイル204は、相対的に小さなストリップライン短絡部から形成された狭窄領域206を含み、当該ストリップライン短絡部は磁場感知素子208上のコイル内の電流を集中させる。任意の実用的な数の磁場感知素子が、狭窄領域206および/もしくは他の所で、または、その近くで、第2のコイル204により生成された磁場を感知するために適した場所に配置され得るということが理解される。
【0021】
[0033]コイル-絶縁体-コイル構造200は、第1のコイル202からのエネルギーを磁場感知素子208に集束させる。第2のコイル204に対する第1のコイル202の巻数の値および巻数比(N)は、個別の用途の必要性を満たすために任意の実用的な値に設定され得る。例示的な実施形態において、コイル202を可能な限り少ない電流で駆動し、可能な限り多い電流をコイル204にもつために、第1のコイル202は第2のコイル204より多い巻数を有する。
【0022】
[0034]図3A図3Dは、第1のコイル302と第2のコイル304とを有する構造300のさらなる実施形態を示し、第2の(受信)コイルは、磁場感知素子に関する信号検出を増大させるために第1および第2の狭窄領域306、308を有する。狭窄領域306、308は、第2のコイル304の第1の「半分部分」と第2の「半分部分」とを接続し、図2Aおよび図2Bにおいて示される構成に対して下側に入り込むように、当該感知素子用のより短い狭窄領域を作り出すものである。狭窄領域は、コイルのインピーダンスを増大させて電流の流れを低減させるということが理解される。
【0023】
[0035]狭窄領域306、308の幅/サイズは、磁場感知素子により観測される磁場の大きさに影響を与えるということが理解される。絶縁体層310(図3D)は、第1のコイル302と第2のコイル304との間に配設される。例示的な実施形態において、ダイ312の活性層311は、コイル構造300を支持し、磁気抵抗素子などの1つまたは複数の磁場感知素子314を含むことができる。ダイ312は、磁場感知素子からの情報の処理、ならびに、符号化/復号、増幅およびフィルタリングなどのための回路を支持する活性層を含むことができる。
【0024】
[0036]図3Aにおける素子1,2上の磁場は、図3Aにおける素子3,4上の磁場と180度位相を異にする。図3Eは、差動出力を生成するために、図3Aにおける1、2、3、4と関連して配置される感知素子を有する感知素子ブリッジを示す。ブリッジ構成を有する磁場センサは、この技術分野においてよく知られているということが理解される。
【0025】
[0037]図4Aは、狭窄領域306、308の幅に対して、当該狭窄領域より約2.5μmだけ下方で磁場センサで観測される磁場をプロットした図である。例示的な実施形態において、第1および第2の狭窄領域306、308は、約30μmの長さを有する。確認できるように、感知素子の結合は、約6μmの狭窄領域幅に対して、約0.5G/mAの最大値を有する。図4Bは、狭窄領域の幅(x軸)に対するコイルを流れる電流(y軸)を示す。確認できるように、狭窄領域の幅が増大すれば、コイルを流れる電流レベルが増大して全体的に横ばい状態になる。
【0026】
[0038]確認できるように、狭窄領域306、308は、磁場を集中させて受信コイルの電流を低減させる一方で、経路上に抵抗を付加するものである。センサ上で最大量の磁場を得るための集中経路の最適なサイズが存する。例示的なセンサとしては、TMRおよびGMRなどがある。
【0027】
[0039]狭窄領域は、コイルの非狭窄領域と比べると、材料の断面積をより小さくする任意の幾何学的形態を有することができるということが理解される。コイル/狭窄領域は、平坦状、円形、偏心状態などであり、コイルおよび狭窄領域は、異なる形状を有し得る。受信コイルの1つまたは複数の狭窄領域は、個別の用途の必要性を満たすように受信コイルの任意の実用的な部分を形成し得ることがさらに理解される。加えて、コイルは、個別の用途の必要性を満たすように、任意の実用的な形状、幾何学的形態、体積、巻数比などを有することができる。
【0028】
[0040]図5Aは、1mAの流れと巻数5を有する送信コイルと、巻数1を有する受信コイルとを含む例示的な構造を示し、送信コイルおよび受信コイルは、30μmの間隔をおいて配置されている。銅を含む送信コイルは、10μmのスペースで10μmの幅を有する。受信コイルは、4μmの厚さのアルミニウムを含む。受信コイルと磁場感知素子との間の結合は、受信コイルにおける全電流が磁場感知素子の上方のストリップライン内にあることに基づいている。
【0029】
[0041]図5Bで確認できるように、100MHzでは、送信コイルでの1mAに対して受信コイルでの約3mAが存在する(効率60%)。この例において、磁場感知素子は、受信コイルより約2.5μm下方に位置し、受信コイルにおいて約0.8G/mAを観測する。全結合ファクタは、送信コイルで約2.4G/mAであり、これは3のファクタである。
【0030】
[0042]図6Aおよび図6Bは、浮遊場を排除するために逆方向に巻回されかつ直列に結合された第1のコイル602および第2のコイル604を示す。狭窄領域608を有する第3のコイル606は、第1のコイル602から絶縁されて配置され、狭窄領域612を有する第4のコイル610は、第2のコイルから絶縁されて配置されている。この構成によって、x平面またはy平面における浮遊場は、磁場センサに関する差動構成を使用することにより排除されている。z平面における浮遊場は、上記で説明された実施形態と同じようにして、システム内に結合し得る。このような例示的な2コイル構成は、電圧障壁を越えて差動的に信号を送信してz平面における浮遊場を排除する。これにより、それらコイルからの放射磁場が少なくなり、放射妨害波(放射エミッション)およびチャネルクロストークを減少させる。zにおける浮遊場は、閉じたコイル中に電流を作り出すことができ、その電流は、上記で説明された実施形態において検出され得るということが理解される。図6Aおよび図6Bの実施形態において、この電流は、両方の検出コイルに出現して差動構成により排除され得る。
【0031】
[0043]図6Aおよび図6Bの例示的な実施形態は、200MHzにおいて、およそ0.5G/mAの結合ファクタを有することが見いだされた(上部コイルにおけるmA当たりのセンサ上の磁場)。磁気センサを第1のコイルの下にまさに配置するならば、当該結合は、およそ0.17G/mAであり、これにより、約3倍以上の効率が達成される。
【0032】
[0044]実施形態において、第2のコイル604は、磁気センサを効果的に遮蔽するために接地され得る。この構成は、電力消費への有意な影響を与えることができる。なぜならば、障壁を越えて送られる信号は、一方の側から他方の側へ静電容量に起因して発生し得る攪乱の大きさに基づくことがあるからである。実施形態において、コイルと磁気センサとの間の遮蔽が追加され得る。
【0033】
[0045]図7は、コイル-コイル-センサ間データ伝送を含む例示的な信号アイソレータICパッケージ700を示す。第1の供給電圧は、第1の供給ピンVDD1に結合され得、第2の供給電圧は、第2の供給ピンVDD2に結合され得る。IC上の様々なサブ回路に供給するために、供給電圧によりそれぞれの主バイアス/調整器702、704に給電することができる。
【0034】
[0046]IC700は、信号が伝送される際に越える電圧障壁710を介して第2のダイ708から分離された第1のダイ706を含む。第1の入力ピンINPUT Aは、トランジスタブリッジ714に結合されたフィルタリング/符号化モジュール712により処理される第1の入力信号を受信する。第1のコイル716は、第1のダイ上のトランジスタブリッジ714から信号を受信するために第2のダイ708上に配置されている。第2のコイル718は第1のコイル716に結合され、第1の磁場感知素子720は、第2のコイル上の信号を検出するために第2のコイル718に近接して配置されている。例示的な実施形態において、第1の磁場感知素子720は、MRブリッジを含む。処理モジュール722は、感知素子720からの信号を増幅、フィルタリング、および/または復号することができる。処理された信号は、外部接続を提供するための第1の出力ピンOUTPUTAに送出される。同様の経路がINPUTBからOUTPUTBまで設けられ得る。
【0035】
[0047]実施形態において、第1のコイル716、第2のコイル717、および、第1の磁場感知素子720は、上記で示され説明されたように、図2A図3A図6Aまたは代替構成で示されるように設けられ得る。
【0036】
[0048]図8は、コイル-コイル間データ伝送を含む信号アイソレータIC806の例示的な実現形態を示し、その信号アイソレータIC806において、第1のダイ802および第2のダイ804は、実質的に同一であり、第1のダイ802の送信器814、816と第2のダイ804の受信器830、832との間、および、第2のダイ804の送信器826、828と第1のダイ802の受信器818、820との間の接続を実現しやすくするために、180度回転させられている。確認できるように、第2のダイ804が180度回転させられるならば、IC806,送信モジュールおよび受信モジュールのピン配列(VCC、GND I/O、VCC)は、第1のダイ802と第2のダイ804との間でワイヤボンドのような一連の相対的な直接接続を実現しやすくするように、一列に並ぶことになる。第1のダイ802および第2のダイ804は、同一であり、互いに180度回転させられ得る一方で、送信チャネルおよび受信チャネルを正しく指定することにより、ダイ間の障壁をほぼストレートに越える接続を用いて各々のダイへの所望の情報伝送を達成することができる。
【0037】
[0049]実施形態において、IC806は、スプリット・ダイ・パドルを含むことができ、ここでは、リードフレームは、第1のダイ802がその上に配設される第1の部分830aと、第2のダイ804がその上に配設される第2の部分830bとを含む。リードフレームの第1の部分830aおよび第2の部分830bが第1のダイ102および第2のダイ104を絶縁するということが認識されることになる。実施形態において、リードフレームの第1の部分830aおよび第2の部分830bは、物理的および電気的に絶縁される。実施形態において、別々の電圧供給信号および接地接続が、絶縁を実現しやすくするために、IC806の第1のダイ802および第2のダイ804の各々に提供され得る。
【0038】
[0050]このような構成によって、デジタル信号がIC806への入力として供給され得、そのIC806は、例えば複数のシステムがICを介して相互通信可能となるように絶縁される複数のデジタル出力信号を生成することができる。第1のダイおよび第2のダイへの接地電位接続では、例えば、数百ボルト変動することがあるということが理解される。障壁を越えて情報を伝送するために複数の磁気感知素子に対して、容量性、誘導性および/またはコイルによる絶縁が付与され得る。
【0039】
[0051]本明細書において使用される際、用語「磁場感知素子」は、磁場を感知することができる種々の電子素子を説明するために使用される。磁場感知素子は、ホール効果素子、磁気抵抗素子、および/または磁気トランジスタを含むことができるが、それらに限定されない。知られているように、異なるタイプのホール効果素子、例えば、平面ホール素子、垂直ホール素子、および円形垂直ホール(CVH)素子が存する。さらに知られているように、異なるタイプの磁気抵抗素子、例えば、アンチモン化インジウム(InSb)などの半導体磁気抵抗素子、巨大磁気抵抗(GMR)素子、例えば、スピンバルブ、異方性磁気抵抗素子(AMR)、トンネリング磁気抵抗(TMR)素子、磁気トンネル接合(MTJ)、およびスピンバルブが存する。磁場感知素子は、単一の素子であってもよく、または代替的には、様々な構成、例えばハーフブリッジもしくはフル(ホイートストン)ブリッジで構成される、2つ以上の磁場感知素子を含んでもよい。デバイスタイプ、および、他の用途要件に応じて、磁場感知素子は、ケイ素(Si)もしくはゲルマニウム(Ge)などのタイプIV半導体材料、または、ヒ化ガリウム(GaAs)もしくはインジウム化合物、例えばアンチモン化インジウム(InSb)などのIII-V族半導体材料から作製されるデバイスであり得る。
【0040】
[0052]知られているように、上記で説明された磁場感知素子のうちの一部は、磁場感知素子を支持する基板に平行な最大感度の軸を有する傾向があり、上記で説明された磁場感知素子のうちの他のものは、磁場感知素子を支持する基板に直交する最大感度の軸を有する傾向がある。特に、平面ホール素子は、基板に直交する感度の軸を有する傾向があり、一方で、金属ベースの、または金属性の磁気抵抗素子(例えば、GMR、TMR、AMR)、および垂直ホール素子は、基板に平行な感度の軸を有する傾向がある。
【0041】
[0053]本明細書において使用される際、用語「磁場センサ」は、磁場感知素子を、一般的には他の回路との組み合わせで使用する回路を説明するために使用される。磁場の方向の角度を感知する角度センサ、通電導体により伝わる電流により生成される磁場を感知する電流センサ、強磁性体の近接度を感知する磁気スイッチ、磁場センサがバックバイアスなどされた磁石とともに使用される場合に例えば環状磁石または強磁性ターゲット(例えば、歯車の歯)の磁区などの強磁性物の通過を感知する回転検出器、および、磁場の磁場密度を感知する磁場センサといった磁場センサが種々の用途において使用されるが、それらに限定されるものではない。
【0042】
[0054]図9は、本明細書において説明される処理の少なくとも一部分を実行することができる例示的なコンピュータ900を示す。コンピュータ900は、プロセッサ902と、揮発性メモリ904と、不揮発性メモリ906(例えば、ハードディスク)と、出力デバイス907と、グラフィカルユーザインターフェイス(GUI)908(例えば、マウス、キーボード、ディスプレイ)とを含む。不揮発性メモリ906は、コンピュータ命令912、オペレーティングシステム916、およびデータ918を記憶する。1つの例において、コンピュータ命令912は、揮発性メモリ904から読み出されてプロセッサ902により実行される。1つの実施形態において、物体920は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な命令を含む。
【0043】
[0055]処理は、ハードウェア、ソフトウェア、または、それらの2つの組み合わせの形で実現され得る。処理は、プロセッサと、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体などの製造物(揮発性および不揮発性のメモリ、ならびに/または、記録素子を含む)と、少なくとも1つの入力デバイスと、1つまたは複数の出力デバイスとを各々が含む複数のプログラマブルなコンピュータ/マシンで実行されるコンピュータプログラムの形で実現され得る。プログラムコードは、処理を実行するために、および、出力情報を生成するために、入力デバイスを用いて入力されたデータに適用され得る。
【0044】
[0056]システムは、データ処理装置(例えば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、または、複数個のコンピュータ)による実行のために、または、そのデータ処理装置の動作を制御するために、(例えば、機械読み取り可能な記録デバイス内の)コンピュータプログラム製品によって、少なくとも部分的に、処理を実行することができる。そのようなプログラムは、それぞれ、コンピュータシステムと通信するために、高レベル手続型またはオブジェクト指向プログラミング言語の形で実現され得る。しかしながら、プログラムは、アセンブリまたは機械語の形で実現され得る。言語は、コンパイラ型またはインタプリタ型言語であってもよく、その言語は、スタンドアローンプログラムとして、または、モジュール、コンポーネント、サブルーチン、もしくは、コンピューティング環境における使用に適した他のユニットとして、任意の形態で展開され得る。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、または、1つのサイト内もしくは、複数個のサイトにわたって分散され、通信ネットワークにより相互接続される複数個のコンピュータ上で実行されるように展開され得る。コンピュータプログラムは、多目的または特殊目的のプログラマブルコンピュータによって読み取り可能な記録媒体またはデバイス(例えば、CD-ROM、ハードディスク、または磁気ディスケット)上に、コンピュータがその記録媒体またはデバイスから読み出した際にコンピュータを構成し動作するように記録され得る。処理は、コンピュータプログラムとともに構成される機械読み取り可能な媒体により実現されてもよく、コンピュータプログラム内の命令は実行されるとコンピュータを動作させる。
【0045】
[0057]処理は、システムの機能を実行するための1つまたは複数のコンピュータプログラムを実行する1つまたは複数のプログラマブルプロセッサにより実行され得る。システムの全部または一部は、専用用途の論理回路(例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)および/またはASIC(特定用途向け集積回路))として実現され得る。
【0046】
[0058]本発明の例示的な実施形態を説明したが、それらの実施形態の概念を組み込む他の実施形態も使用され得るということが、当業者には今や明らかになることになる。本明細書に内包される実施形態は、開示される実施形態に限定されるべきではなく、むしろ、添付される特許請求の範囲の趣旨および範囲によってのみ限定されるべきである。本明細書において引用されるすべての刊行物および参考文献は、それらの全体において参照により本明細書に明示的に組み込まれている。
【0047】
[0059]本明細書において説明される異なる実施形態の要素は、上記で具体的に論述されなかった他の実施形態を形成するために組み合わされ得る。単一の実施形態の文脈において説明される様々な要素は、別々に設けられても、または、任意の適したサブ組み合わせで設けられてもよい。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9
【国際調査報告】