(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(54)【発明の名称】容量性微細加工超音波トランスデューサ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H04R 19/00 20060101AFI20220113BHJP
H04R 31/00 20060101ALI20220113BHJP
B81B 3/00 20060101ALI20220113BHJP
B81C 1/00 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
H04R19/00 330
H04R31/00 330
B81B3/00
B81C1/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526659
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(85)【翻訳文提出日】2021-06-21
(86)【国際出願番号】 IB2019059848
(87)【国際公開番号】W WO2020100112
(87)【国際公開日】2020-05-22
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518312493
【氏名又は名称】ヴァーモン エス.エー.
【氏名又は名称原語表記】VERMON S.A.
【住所又は居所原語表記】180 Rue du General Renault, BP 3813, F-37038 Tours Cedex 1, France
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】グロス,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】メニエ,シリル
(72)【発明者】
【氏名】セネゴンド,ニコラス
【テーマコード(参考)】
3C081
5D019
【Fターム(参考)】
3C081AA01
3C081BA06
3C081BA29
3C081BA45
3C081BA48
3C081CA14
3C081CA20
3C081CA32
3C081CA45
3C081DA04
3C081EA21
3C081EA39
3C081EA45
5D019AA19
5D019DD01
5D019FF04
5D019HH01
(57)【要約】
容量性微細加工超音波トランスデューサは、下部電極と、上部電極と、下部電極と上部電極との間に配置され上部電極に取り付けられたメンブレンとを含む。アンカーは、下部電極とメンブレンとの間にキャビティが画定されるようにメンブレンおよび下部電極に接続される。1つ以上のポストはキャビティ内に配置され、ポストの一部がメンブレン内に埋設され、下部電極に向かって延びている。容量性微細加工超音波トランスデューサの製造方法は、アンドープシリコンのデバイス層上に酸化物成長層を形成するステップと、酸化物成長層の一部を除去して、デバイス層の外側表面を超えて延びる複数のアンカーと、ポストホールの内部に部分的に埋設されデバイス層の外側表面を超えて延びる複数のポストとを形成するステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部電極と、上部電極と、前記下部電極と前記上部電極との間に配置され前記上部電極に取り付けられたメンブレンと、前記下部電極と前記メンブレンとの間にキャビティが画定されるように前記メンブレンおよび前記下部電極に接続された複数のアンカーと、前記キャビティ内に配置された1つ以上のポストとを備え、
前記ポストの一部が前記メンブレン内に埋設され、前記下部電極に向かって延びていることを特徴とする容量性微細加工超音波トランスデューサ。
【請求項2】
前記アンカーの一部が前記メンブレン内に埋設されている請求項1に記載の容量性微細加工超音波トランスデューサ。
【請求項3】
複数のアンカーのそれぞれは、前記メンブレン内に部分的に埋設され前記下部電極まで延びている中央部材と、前記メンブレン内に実質的に埋設され前記中央部材を取り囲むガードリングとを含む請求項2に記載の容量性微細加工超音波トランスデューサ。
【請求項4】
複数の前記ポストのそれぞれは、前記メンブレン内に部分的に埋設され前記下部電極に向かって延びている中央部材と、前記メンブレン内に実質的に埋設され前記中央部材を取り囲むガードリングとを含む請求項1に記載の容量性微細加工超音波トランスデューサ。
【請求項5】
前記中央部材と前記ガードリングは、同じ材料で作られている請求項4に記載の容量性微細加工超音波トランスデューサ。
【請求項6】
前記中央部材は第1材料で作られ、前記ガードリングは第2材料で作られた請求項4に記載の容量性微細加工超音波トランスデューサ。
【請求項7】
複数の前記ポストのそれぞれは、前記メンブレン内に部分的に埋設され前記下部電極に向かって延びている中央部材と、前記中央部材を取り囲む前記メンブレンにより画定される空のガードリングとを含む請求項1に記載の容量性微細加工超音波トランスデューサ。
【請求項8】
前記下部電極は、高濃度でドープされたシリコンのウェハである請求項1に記載の容量性微細加工超音波トランスデューサ。
【請求項9】
前記メンブレンは、前記メンブレンの内部に部分的に延びる複数のポストホールを画定し、
前記1つ以上のポストのうち1つは、前記ポストホールの外へ延びるように複数のポストホールのそれぞれの内部に位置する請求項1に記載の容量性微細加工超音波トランスデューサ。
【請求項10】
前記1つ以上のポストのそれぞれの側壁と、それぞれの前記ポストホールの内側壁との間に隙間が形成された請求項9に記載の容量性微細加工超音波トランスデューサ。
【請求項11】
外側表面が露出したアンドープシリコンのデバイス層を準備するステップと、
前記デバイス層の前記外側表面をエッチングして前記デバイス層の内部に部分的に延びるポストホールを形成するステップと、
前記ポストホールを埋め前記デバイス層の前記外側表面を覆うようにデバイス層上に酸化物成長層を形成するステップと、
前記酸化物成長層の一部を除去して、前記デバイス層の前記外側表面を超えて延びる複数のアンカーと、前記ポストホールの内部に部分的に埋設され前記デバイス層の前記外側表面を超えて延びる複数のポストとを形成するステップと、
前記複数のアンカーを第1電極に接着して、第1電極、前記デバイス層、および前記アンカーによって画定されるキャビティを形成し、前記ポストを前記キャビティ内に配置するステップと、
前記デバイス層の前記外側表面とは反対側の前記デバイス層の表面上に上部電極を堆積するステップとを備える容量性微細加工超音波トランスデューサの製造方法。
【請求項12】
前記デバイス層の前記外側表面はエッチングされ前記デバイス層内に部分的に延びるアンカーホールが形成され、前記アンカーは前記アンカーホールの内部に部分的に埋設される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記デバイス層上に前記酸化物成長層を形成するステップは、前記デバイス層の高温熱酸化により実行される請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記高温熱酸化は、800℃から1200℃の温度範囲で行われる請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記酸化物成長層は、前記ポストホールの深さより大きい厚さ又は前記ポストホールの深さと等しい厚さまで形成される請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記酸化物成長層は、前記アンカーの高さより大きい厚さ又は前記アンカーの高さと等しい厚さまで形成される請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記酸化物成長層を平坦化するステップをさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記酸化物成長層は、前記デバイス層の前記外側表面と同じ高さになるまで平坦化される請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記酸化物成長層は、前記酸化物成長層が前記アンカーの高さと同じ厚さを有するまで平坦化される請求項17の記載の方法。
【請求項20】
前記酸化物成長層の一部を除去するステップは、前記酸化物成長層をプラズマエッチングして前記アンカー及び前記ポストを形成するステップを含む請求項11に記載の方法。
【請求項21】
前記ポストホールの外の前記酸化物成長層を化学的にエッチングするステップをさらに含む請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記ポストホールを満たし前記デバイス層の前記外側表面を覆うように前記デバイス層上に第2酸化物成長層を形成するステップをさらに含み、
第2酸化物成長層の一部は除去され前記アンカー及び前記ポストが形成される請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記アンカーを平坦化するステップをさらに備える請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記ポストをプラズマエッチングし前記アンカーの高さより低くなるまで前記ポストの高さを低くするステップをさらに備える請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2018年11月16日に出願された米国仮出願No. 62/768,188の利益を主張するものであり、仮出願のすべての開示は、参照することによりこの明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、独創的なウェハボンディングプロセスに関し、このプロセスは電荷がトラップされる現象の点で最適化されており、特に、高濃度でドープされた基板上での製造に適している。
【背景技術】
【0003】
容量性微細加工超音波トランスデューサ(CMUT)は、伝統的な圧電トランスデューサに代わる有望な超音波医用画像診断装置である。この技術は、1994年の開発開始以来、学界で研究されてきたもので、超音波市場への参入は間近に迫っている。しかし、CMUTを使用した医療用プローブは、毎日の使用で最低7年の寿命となるため、この技術の信頼性はメーカーにとってまだ懸念すべき課題である。故障の主な原因は容量性微小電気機械システムの分野ではよく知られており誘電体層内部への電荷注入によるもので、この電荷注入は最終的には絶縁破壊、性能低下、デバイスの故障を引き起こす場合がある。基本的に、CMUTトランスデューサは2つの電極で構成されており、一方は基板上に固定され、もう一方は真空キャビティの上に吊るされ動くことができる。この2つの電極は、動作中にショートする危険性を避けるため、絶縁層である誘電体の薄い層で絶縁されている。2つの電極間の狭い空間と動作に要求される高電界のため、電荷キャリアは一方の電極からもう一方の電極に移動する、そして一般的には絶縁層内に閉じ込められたままとなる。このことは、動作の大幅な変化を引き起こし性能を大幅に低下させる、そしてしばしばデバイスに永久的な損傷を与える。帯電現象は非常に複雑で強力な機能障害を引き起こすため、CMUTトランスデューサ、さらにはMEMsを開発している多くのグループは、このスプリアス効果の影響を回避、または少なくとも低減するために努力している。
【0004】
電荷のトラップに対処するための多くのソリューションが、長年にわたっていくつかの学術団体や産業団体によって提案され、発表され、特許となっている。文献の中で見つかる最も一般的なソリューションの1つが、絶縁層が隔離ポストにより置き換えられるように絶縁層をパターニングすることに基づくものです。このような構造によれば、2つの電極の間の接触面がポストの表面によって制限されるため、電荷のトラップが減少する[1]~[7]。
【0005】
例えば、
図1Aは、普通の絶縁層12を有する伝統的なCMUT10の構造を示し、
図1Bは、内蔵された隔離ポスト22を有する改良されたCMUT20の構造を示す。
図1BのCMUT20は、非常に簡単に作成できるという大きな利点がある。しかし、真空の誘電率が絶縁層の誘電率よりも少なくとも4倍劣っているため(二酸化ケイ素でできた絶縁層を考慮)、デバイスの静電容量の減少を伴う。さらに、この構造では、電極間に注入される電荷の量を減らすことはできても、帯電メカニズム自体を減らすことはできない。つまり、電荷は、まだ、(静電力の損失を補うために電界をわずかに増加させる必要があるため、さらに容易に)ポストの内部を移動する。このような理由から、このソリューションは、隔離ポストの上又は下に電極が存在しないように、上部電極または下部電極をパターニングすることと組み合わせられる。このことは、隔離ポストの内部の電気的ストレスを軽減し、電荷の移動を少なくする。このソリューションは、犠牲層リリースプロセスとして日立により特許となっており[4]、このプロセスでは、
図2Aおよび2Bに示すCMUT30、40のように、隔離ポスト32、42がキャビティの底に横たわるのではなくメンブレンの下にぶら下がっている。
【0006】
このソリューションは、ポスト内部の電気的ストレスが大幅に軽減されるため、特に安全性が高い。しかし、このソリューションでは、少なくとも1つの電極をパターン化する必要があり、これは必ずしも容易ではなく、融着をベースとしたプロセスでは不可能である。同じような手法は、ノースカロライナ州立大学のグループ[7]やアルバータ大学のグループ[6]からも提案されている。実際、機械的な機能と静電的な機能を分離することは良い方法であるが、CMUTセルの本質的な構造について作成することは非常に困難である。例えば、
図3の概略図に示されているように、Kolo Technologies, Inc.の国際特許公開WO2006/123301には、この考えに従った具体的なCMUT50の構造が記載されている。
【0007】
この構造によると、超音波放射に使用されるメンブレン52は非常に硬く、ピストンのような変位を可能にするために、メンブレン52はバネとして使用されるより小さなメンブレン54の上に置かれている。機械的ギャップhmが電気的ギャップheよりも小さければ、電極間の絶縁層を完全に取り除くことができる。そのため、電荷がトラップされる問題が抑制される。この構造の複雑さは、コストの上昇と製造歩留まりの低下につながることが予想されるため、最大の問題である。さらに、このような特異な構造の機械的挙動をしっかりと理解する必要がある。
【0008】
誘電体材料の特性は、電荷がトラップされる問題の重要なパラメータである。一般的に、絶縁層は製造プロセスに応じて窒化ケイ素(SixNy)または二酸化ケイ素(SiO2)で作られている。電荷トラップの軽減は、欠陥密度が低く、バンドギャップが大きい高品質の誘電体を使用することで改善される。このことは、この点について二酸化ケイ素が理論的には窒化ケイ素よりも優れているとしても、製造方法に大きく依存する。より一般的には、スタック全体のバンド図は、電荷のトラップを減らすために考慮すべき重要なパラメータである。Philips Innovation 社は、帯電効果を低減するために特別に開発された酸化物-窒化物-酸化物の多層スタックを備えたCMUTデバイスの特許を取得している[8]。ローマIII大学の研究グループは、高いバンドギャップを利用するために、窒化物層の一部を二酸化ケイ素に置き換えている[9]。絶縁層の品質は、部分的なプラズマエッチングによって強く劣化する。さらに、絶縁材料が自然に生じる二酸化ケイ素の場合、高濃度でドープされた基板から成長すると、ドーパントの影響で結晶構造内部に欠陥が生じる。しかし、高濃度でドープされた基板は使い勝手がよく、特に3Dパッケージを必要としSi貫通電極が採用されているデバイスでは、使い勝手がよい。
【0009】
これらの2つの提案に加えて、電界を小さくし電荷の移動を少なくするためにキャビティの高さを低くする方法、絶縁層を完全に取り除く方法などの電荷がトラップされることを減少させるいくつかの他の方法が提案されている。これらの方法は、工業的に作成するにはほとんど不可能である又はデバイスの性能を低下させると考えられている。電荷がトラップされることを減らしながら音響性能を維持することが、この仕事の主な困難となっている。例えば、キャビティの高さを低くすると、感度が大幅に低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
文献で提案されているさまざまなソリューションは、一般的に性能の低下を伴うと考えられている。このことは、明らかに大きな難点でありCMUTトランスデューサが圧電技術との激しい競争にさらされている多くのケースでは受け入れらない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、電荷トラップ現象について最適化され、特に高濃度でドープした基板上での製造に適している独自のウェハボンディングプロセスに関する。この新しいプロセスは、伝統的な構造と比較して音響性能を維持あるいは向上させ、次のいくつかの興味深い特徴を備えている:(1)複数の隔離ポストがトランスデューサの構造内に部分的に埋もれるような複数の隔離ポストの偏差;(2)SOIウェハのみをパターニングしデバイスを製造することで、高濃度でドープされた基板上に最適な酸化層を成長させる専用の製造戦略、(3)寄生容量の減少。
【0012】
本発明のいくつかの例示的な実施形態によれば、容量性微細加工超音波トランスデューサは、下部電極と、上部電極と、下部電極と上部電極との間に配置され上部電極に取り付けられたメンブレンとを含む。アンカーは、下部電極とメンブレンとの間にキャビティが画定されるようにメンブレンおよび下部電極に接続される。1つ以上のポストはキャビティ内に配置され、ポストの一部がメンブレン内に埋設され下部電極に向かって延びている。
【0013】
いくつかの例示的な実施形態では、アンカーの一部がメンブレンに埋設されている。いくつかの具体的な実施形態では、複数のアンカーのそれぞれは、メンブレン内に部分的に埋設され下部電極まで延びている中央部材と、メンブレン内に実質的に埋設され中央部材を取り囲むガードリングとを含む。いくつかの具体的な実施形態では、中央部材とガードリングは、同じ材料で作られている。いくつかの他の実施形態では、中央部材は第1材料で作られ、ガードリングは第2材料で作られている。さらに他の実施形態では、空のガードリングが中央部材を取り囲むメンブレンにより画定される。
【0014】
いくつかの例示的な実施形態では、複数のポストのそれぞれは、メンブレン内に部分的に埋設され下部電極に向かって延びている中央部材と、メンブレン内に実質的に埋設され中央部材を取り囲むガードリングとを含む。いくつかの具体的な実施形態では、中央部材とガードリングは、同じ材料で作られている。いくつかの他の実施形態では、中央部材は第1材料で作られ、ガードリングは第2材料で作られている。さらに他の実施形態では、空のガードリングが中央部材を取り囲むメンブレンにより画定される。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、下部電極は高濃度でドープされたシリコンのウェハである。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態では、メンブレンは、メンブレンの内部に部分的に延びる複数のポストホールを画定し、前記1つ以上のポストのうち1つは、ポストホールの外へ延びるように複数のポストホールのそれぞれの内部に位置する。いくつかの具体的な実施形態では、1つ以上のポストのそれぞれの側壁と、それぞれのポストホールの内側壁との間に隙間が形成されている。
【0017】
本発明の例示的な実施態様によれば、容量性微細加工超音波トランスデューサの製造方法は、外側表面が露出したアンドープシリコンのデバイス層を準備することから始まる。そして、デバイス層の外側表面をエッチングしてデバイス層の内部に部分的に延びるポストホールを形成する。ポストホールを埋めデバイス層の外側表面を覆うようにデバイス層上に酸化物成長層を形成し、酸化物成長層の一部を除去して、デバイス層の外側表面を超えて延びる複数のアンカーと、ポストホールの内部に部分的に埋設されデバイス層の外側表面を超えて延びる複数のポストとを形成する。そして、複数のアンカーを第1電極に接着して、第1電極、デバイス層、およびアンカーによって画定されるキャビティを形成する。ポストはキャビティ内に配置される。また、デバイス層の外側表面とは反対側のデバイス層の表面上に上部電極を堆積する。
【0018】
いくつかの例示的な実施態様によれば、デバイス層の外側表面がエッチングされデバイス層内に部分的に延びるアンカーホールが形成され、アンカーはアンカーホールの内部に部分的に埋設される。
【0019】
いくつかの具体的な実施態様によれば、デバイス層上に酸化物成長層を形成するステップは、デバイス層の高温熱酸化により実行される。例えば、前記高温熱酸化は、約800℃から約1200℃の温度範囲で行われ、より好ましくは約1100℃で行われる。
【0020】
いくつかの例示的な実施態様によれば、酸化物成長層は、ポストホールの深さより大きい厚さ又はポストホールの深さと等しい厚さまで形成される。いくつかの他の具体的な実施態様によれば、酸化物成長層は、アンカーの高さより大きい厚さ又はアンカーの高さと等しい厚さまで形成される。
【0021】
いくつかの例示的な実施態様によれば、この方法は、酸化物成長層を平坦化するステップをさらに含む。いくつかの具体的な実施態様では、酸化物成長層はデバイス層の外側表面と同じ高さになるまで平坦化される。いくつかの他の具体的な実施態様では、酸化物成長層は、酸化物成長層がアンカーの高さと同じ厚さを有するまで平坦化される。
【0022】
いくつかの例示的な実施態様によれば、プラズマエッチングを使用して酸化物成長層の一部を除去しアンカー及びポストを形成する。
【0023】
いくつかの例示的な実施態様によれば、この方法は、ポストホールの外の酸化物成長層を化学的にエッチングするステップをさらに含む。
【0024】
いくつかの例示的な実施態様によれば、この方法は、ポストホールを満たしデバイス層の外側表面を覆うようにデバイス層上に第2酸化物成長層を形成するステップをさらに含む。そして、第2酸化物成長層の一部は除去されアンカー及びポストが形成される。
【0025】
いくつかの例示的な実施態様によれば、この方法はアンカーを平坦化するステップをさらに備える。
【0026】
いくつかの例示的な実施態様によれば、この方法は、ポストをプラズマエッチングしアンカーの高さより低くなるまでポストの高さを低くするステップをさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0027】
以下、本明細書の実施形態を、特許請求の範囲を限定するものではなく説明のために提供される添付の図面とともに説明する。
【0028】
【
図1A】
図1Aは、普通の絶縁層を有する当技術分野で知られている伝統的なCMUTの構造の概略図である。
【
図1B】
図1Bは、隔離ポストを有する当技術分野で知られている修正CMUTの構造の概略図である。
【
図2A】
図2Aは、メンブレンの下にぶら下がっている隔離ポストを有する当技術分野で知られている別のCMUTの構造の概略図である。
【
図2B】
図2Bは、パターニングされた上部電極を有する当技術分野で知られている別のCMUTの構造の概略図である。
【
図3】
図3は、当技術分野で知られている別のCMUTの構造の概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施態様に従って使用されるSOIウェハの概略図である。
【
図5】
図5は、
図4のSOIウェハ上に形成された第1レジストパターンの概略図である。
【
図6】
図6は、(D)RIEが実行され第1レジストが除去された後の、
図5のSOIウェハの概略図である。
【
図7】
図7は、
図6のSOIウェハ上に形成された第1酸化物成長の概略図である。
【
図8】
図8は、第1CMPが実行された後の
図7のSOIウェハの概略図である。
【
図9】
図9は、
図8のSOIウェハ上に形成された第2レジストパターンの概略図である。
【
図10】
図10は、(D)RIEが実行され第2レジストが除去された後の、
図9のSOIウェハの概略図である。
【
図12】
図12は、
図11のSOIウェハ上に形成された第3レジストパターンの概略図である。
【
図13】
図13は、プラズマエッチングが行われ第3レジストが除去された後の、
図12のSOIウェハの概略図である。
【
図15】
図15は、本発明の第1実施態様に従って作られた完成したCMUTトランスデューサの概略図である。
【
図16】
図16は、本発明の第2実施態様に従って使用されるSOIウェハの概略図である。
【
図17】
図17は、
図16のSOIウェハ上に形成された第1レジストパターンの概略図である。
【
図18】
図18は、(D)RIEが行われ第1レジストが除去された後の、
図17のSOIウェハの概略図である。
【
図21】
図21は、
図20のSOIウェハ上に形成された第2レジストパターンの概略図である。
【
図22】
図22は、プラズマエッチングが行われ第2レジストが除去された後の、
図21のSOIウェハの概略図である。
【
図23】
図23は、
図22のSOIウェハ上に形成された第3レジストパターンの概略図である。
【
図24】
図24は、追加のプラズマエッチングが行われ第3レジストが除去された後の、
図23のSOIウェハの概略図である。
【
図25】
図25は、本発明の第2実施態様に従って作られた完成したCMUTトランスデューサの概略図である。
【
図26】
図26は、本発明の第3実施態様に従って使用されるSOIウェハの概略図である。
【
図27】
図27は、
図26のSOIウェハ上に形成された第1レジストパターンの概略図である。
【
図28】
図28は、(D)RIEが行われ第1レジストが除去された後の、
図27のSOIウェハの概略図である。
【
図30】
図30は、
図29のSOIウェハ上に形成された第2レジストパターンの概略図である。
【
図31】
図31は、プラズマエッチングが行われ第2レジストが除去された後の、
図30のSOIウェハの概略図である。
【
図32】
図32は、本発明の第3実施態様に従って作られた完成したCMUTトランスデューサの概略図である。
【
図34A】
図34Aは、中央部材と同じ材料で作られたガードリングを有する隔離ポストの概略図である。
【
図34B】
図34Bは、中央部材の周りに空のガードリングを有する隔離ポストの概略図である。
【
図34C】
図34Cは、中央部材の材料とは異なる材料で作られたガードリングを有する隔離ポストの概略図である。
【
図35】
図35は、ピストンのようなメンブレンの変位を生じさせるために使用される部分的に埋設されたアンカーの異なる可能な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、電荷トラップ現象に関して最適化した独自のウェハボンディングプロセスに関するもので、特に高濃度でドープされた基板上での製造に適している。この新しいプロセスは、伝統的な構造と比較して音響性能を維持あるいは向上させ、次のいくつかの興味深い特徴を備えている:(1)複数の隔離ポストがトランスデューサの構造内に部分的に埋もれるような複数の隔離ポストの偏差、(2)SOIウェハのみをパターニングしデバイスを製造することで、高濃度でドープされた基板上に最適な酸化層を成長させる専用の製造戦略、(3)寄生容量の減少。
【0030】
本発明は、3つの異なるCMUT構造と、ウェハボンディングに基づいた関連する製造方法を検討しており、これらはSOIウェハ上で主要なステップを製造する特異性を有している。
【0031】
まず
図15を参照すると、本発明に従って作られた1つの例示的なCMUT180は、下部電極172と、上部電極174と、上部電極174に取り付けられ下部電極172と上部電極174の間に配置されたメンブレン116とを含む。アンカー152は、下部電極172とメンブレン116との間にキャビティを画定するように、メンブレン116および下部電極172に接続されており、1つ以上のポスト154がキャビティ内に配置されている。以下でさらに議論するように、アンカー152および隔離ポスト154は、メンブレン116上に形成され、部分的にメンブレン116内に埋設される。別の実施形態では、ここで
図25を参照すると、本発明に従って作られたCMUT280は、同様に、下部電極272と、上部電極274と、メンブレン216上に形成されメンブレン216内に部分的に埋設されたアンカー252および隔離ポスト254を有するメンブレン216とを含む。さらに別の実施形態では、ここで
図32を参照すると、本発明に従って作られたCMUT380は、下部電極372と、上部電極374と、メンブレン316上に形成されメンブレン316内に部分的に埋設されたアンカー352および隔離ポスト354を有するメンブレン316とを含む。
図15、
図25、および
図32に示すように、各実施形態において、ポスト154、254、354は、それぞれのメンブレン116、216、316内に部分的に埋設されている。第1および第2実施形態では、アンカー152,252も同様に、それぞれのメンブレン116,216内に部分的に埋設されている。しかし、第3実施形態では、アンカー352はメンブレン316内に埋設されていない。
【0032】
それぞれの構造は、電荷トラップ現象を低減するという本発明の主な目的を保持し、同時に十分な電気機械的性能(例えば、高い有用なキャパシタンス、低い寄生容量など)を保持する。
【0033】
3つの構造および関連する方法は、参照プロセスと比較した場合、帯電効果をトータル的に低減する次の3つの特徴を共有している。(1)「絶縁体のポスト」原理:メンブレンの表面全体を埋めるのではなく、この絶縁体は1つ又はいくつかのポストにしか存在しない。そのため、(単位体積あたりの帯電について)同じ強さの帯電であっても、(CMUTのバイアスの変化によって測定される)帯電の影響ははるかに小さくなる。(2)この絶縁体のポストは、メンブレンに部分的に埋め込まれるためより厚くなる。このことは、ポスト内部の垂直電場を低減する。(3)この絶縁体はSOI側、つまりアンドープシリコン上に成長させることで、酸化物中のドーパント(つまりトラップ)の存在を回避する。また、1つまたは複数の実施形態についての利点、およびその製造方法について、以下に説明する。
【0034】
第1実施形態
3つの構造および関連する方法に共通する特徴に加えて、
図15に示された構造の第1実施形態は、以下の利点を有する。(1)隔離ポストは、CMUT構造の内部に部分的に埋設されている。このことは、背の高いポストを使うことを可能にし、デバイスの電気容量を維持したまま電気的ストレスを低減する。(2)第1実施形態のCMUTの製造方法では、絶縁体層の部分的なエッチングを必要としないため、エッチングプラズマによる劣化を避けることができる。(3)アンカーがCMUTメンブレンの内部に部分的に埋設されているため、寄生容量が小さくなり、性能が向上する。(4)アンカーは、メンブレンがピストンのような変位を生じるように作ることができ、感度を向上させることができる。
【0035】
本発明のCMUTの第1実施形態を製造する第1の例示的な方法によれば、ここで
図4を参照すると、プロセスは、下から上に向かって、ハンドル112、埋もれた酸化物(BOX)層114、および露出した外側表面118を有するデバイス層116を含む伝統的なシリコンオンインシュレータ(SOI)ウェハ110から始まる。いくつかの例示的な実施形態では、デバイス層116は、アンドープシリコン層116である。
【0036】
次に
図5を参照すると、レジスト120を貫通し画定される開口122を有する第1レジストパターン120がデバイス層116の外側表面118上に堆積され、デバイス層116の外面118を露出させる。以下にさらに説明するように、
図15に関して上述した結果として生じるCMUT180の隔離ポスト154及びアンカー152は、第1レジストパターン120の開口部122の位置に形成される。特に、ポスト154およびアンカー152の横方向の寸法は、この時点で決定される。第1レジストパターン120は、第1フォトリソグラフィーマスクに相当する。
【0037】
次に
図6を参照すると、第1(ディープ)反応性イオンエッチング、すなわち(D)RIEがデバイス層116の外側表面118に対して行われ、
図4に示したレジスト120の開口部122に対応する位置においてデバイス層116内に部分的に延びるアンカーホール126およびポストホール128を形成する。ホール126、128が形成されると、レジスト120は剥離され、
図6に示されるホール126、128を有するデバイス層116が残る。
【0038】
いくつかの例示的な実施態様によれば、形成される隔離ポスト154およびアンカー152の幅は、デバイス層116に画定されたそれぞれのホール126、128の幅に対応する。同様に、ホール126、128の深さは、隔離ポスト154およびアンカー152の高さを決定する。
【0039】
いくつかの実施形態では、アンカーホール126およびポストホール128は、異なる寸法で形成される。例えば、いくつかの好ましい実施形態では、ホール126、128の深さの差が、アンカー152とポスト154との間の高さの差を定める(典型的には、10nm~500nmの範囲内)。これらのホール126、128におけるデバイス層116へのより深いエッチングは、結果として得られるポスト154およびアンカー152の隔離を増加させるが、結果として得られるメンブレン116の機械的強度も低下させる。したがって、ホール126、128の深さは、典型的には、デバイス層116の厚さの約80%未満に保たれる。いくつかの実施形態では、ホール126、128の横方向の寸法は、最終的に残るアンカーまたはポストの非埋設部分の横方向の寸法を、ホールの深さのn倍に加えることによって計算され、ここでnは、典型的には約2.0の係数である。
【0040】
ここで
図7を参照すると、第1酸化物成長層130は、ホール126、128のそれぞれを埋めるとともに、デバイス層116の外側表面118を覆うように、デバイス層116上に形成される。特に、いくつかの好ましい実施形態では、デバイス層116上に第1酸化物成長層130を形成する乾燥雰囲気下で、第1高温熱酸化を行う。いくつかの実施形態では、第1高温熱酸化は、約800℃~約1200℃の範囲の温度、より好ましくは約1100℃の温度で行われる。このプロセスにより酸化物を高い品質にすることができる。いくつかの特定の実施形態では、例えばデバイス層116がアンドープシリコンを含む場合、第1酸化物成長層130は二酸化ケイ素を含む、しかし、本発明の精神と範囲から逸脱することなく他の酸化物も可能である。第1酸化物成長層130の厚さは、好ましくは、デバイス層116に画定されたホール126、128の深さと等しいか、それ以上であるべきである。
【0041】
ここで
図8を参照すると、残りの酸化物成長層130がデバイス層116の外側表面118と同じ高さになるまで、化学機械平坦化(CMP)を行い第1酸化物成長層130を除去する。言い換えれば、この平坦化ステップの後、第1酸化物成長層130は、デバイス層116に画定されたホール126、128内にのみ充填されている。
【0042】
次に
図9を参照すると、第2レジストパターン140が、デバイス層116の外側表面118と、デバイス層116に画定されたホール126、128内に充填された第1酸化物成長層130の残りの部分とから形成された現状の平面上に堆積される。第2レジストパターン140は、レジスト140を貫通する開口142を画定する。この例示的な実施形態では、開口142は、下部に第1酸化物成長層130を露出させるように、ポスト154が形成される箇所の上(すなわち、ポストホール128の上)にのみ設けられる。また、第2レジストパターン140は、第2フォトリソグラフィマスクとなる。
【0043】
次に
図10を参照すると、ポストホール128を満たす酸化物の完全なエッチングが行われる。いくつかの好ましい実施形態では、このエッチングは化学エッチング(例えば、HFエッチング)によって実行されるが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、他のエッチング手段も可能である。エッチングが完了すると、レジスト140が剥離され、ポストホール128は空であるがアンカーホール126は
図9に示す第1酸化物成長層130でまだ満たされている状態のデバイス層116が残る。
【0044】
次に
図11を参照すると、乾燥雰囲気下で第2高温熱酸化を行い、デバイス層116上に第2酸化物成長層150を形成する。いくつかの実施形態では、第2高温熱酸化は、約800℃~約1200℃の範囲の温度、より好ましくは約1100℃の温度で行われる。いくつかの特定の実施形態では、例えばデバイス層116がアンドープシリコンを含む場合、第2酸化物成長層150は二酸化ケイ素を含むが、本発明の精神と範囲から逸脱することなく他の酸化物も可能である。第2酸化物成長層150の厚さは、最終的なアンカー152の非埋設部分の高さと同じか、それよりも高いことが好ましい。
【0045】
次に
図12を参照すると、ポスト154およびアンカー152が形成される箇所の上方以外のあらゆる場所に開口を有する第3レジストパターン160が酸化物成長層150の上面上に堆積される。言い換えれば、第3レジスト160は、アンカーホール126とポストホール128の上方にのみ配置される。第3レジストパターン160の横方向の寸法は、最終的にアンカー152およびポスト154を形成する第2酸化物成長層150の外面における横方向の寸法を定める。特に、いくつかの例示的な実施形態では、第3レジストパターン160は、アンカーホール126およびポストホール128のそれぞれよりもわずかに狭くすることができる。第3レジストパターン160は、第3フォトリソグラフィマスクとなる。
【0046】
図13を参照すると、エッチングを行いマスクされていない酸化物のすべてを除去する。いくつかの好ましい実施形態では、このエッチングはプラズマエッチングによって行われる。いずれにしても、このエッチングは、マスクされていない酸化物成長層150をデバイス層116まで除去し、その結果、デバイス層116のアンカーホール126内に部分的に埋設されたアンカー152と、デバイス層116のポストホール128内に部分的に埋設されたポスト154とを形成することが好ましい。上述したように、いくつかの例示的な実施形態では、第3レジスト160は、ポストホール128のそれぞれよりもわずかに狭い。そのため、プラズマエッチングは、ポスト154の側壁とポストホール128の内側壁との間に隙間を生じさせる。同様に、いくつかの例示的な実施形態では、アンカー152の側壁とアンカーホール126の内側壁との間に同様の隙間が存在するように、第3レジスト160もアンカーホール126のそれぞれよりもわずかに狭い。第3レジスト160の横方向の寸法がアンカーホール126およびポストホール128と同じサイズである実施形態では、そのような隙間は形成されず、酸化物成長層150はデバイス層116の外側表面118までエッチングされる。さらに、当然のことながら、選択エッチングにより酸化物をさまざまな厚さにエッチングすることができ、いくつかの実施形態では、上述のように、この厚さにより、ポスト154の側壁とポストホール128の側内壁との間の隙間を生じさせることができ、上述したアンカー152の側壁とアンカーホール126の側内壁との間の隙間を生じさせることができる。エッチングが選択的でない他の実施形態では、酸化物が所定の距離を均一にエッチングされることに起因して、他の形状が生じることがある。例えば、非選択エッチングでは、ポストの周りには隙間ができるがアンカーの周りには隙間ができない。実際には、関連する寸法(例えば、デバイス層に画定されたホールの幅、酸化物層の厚さ、およびレジストの幅)に応じて、アンカーに段差が形成されてもよい、このアンカーでは、アンカーの下部がアンカーホールの幅であり、アンカーの上部がアンカーホールの上に形成されたレジストのより狭い幅である。
【0047】
いずれにしても、エッチングが完了すると、レジスト160は剥離され、
図13に示されたアンカー152およびポスト154を有するデバイス層116が残る。
【0048】
次に
図14を参照すると、第2CMPがアンカー152に対して実行される。この平坦化ステップは、CMUT180の真空キャビティの高さを定めるためにアンカーの高さを減少させ、同時にアンカー152の最良の平坦化および表面粗さを提供する。用途に応じて、アンカー152の高さ(したがって、キャビティの高さ)は、数十ナノメートルから数百ナノメートルの範囲に低減されるが、すべての例において、アンカー152の高さは、ポスト154の高さよりも高い。
【0049】
次に
図15を参照すると、
図14のSOI110、すなわち、部分的に埋設されたアンカー152およびポスト154を有するハンドル112、BOX層114、およびデバイス層116、が反転され、そして、アンカー152が高濃度でドープされたシリコンの下部ウェハ(すなわち、下部電極172)上に接着(例えば、融着)される。ハンドル112およびBOX層114が除去され、上部電極174がデバイス層116上に堆積される。このことにより、下部電極172と、上部電極174と、メンブレン116上に形成されメンブレン116内に部分的に埋設されたアンカー152および隔離ポスト154を有するメンブレン116(すなわち、デバイス層116)とを有する最終的なCMUT180が得られる。
【0050】
注目すべきは、デバイス層116の厚さ、2つの酸化の持続時間、2つの(D)RIEの深さ、およびCMPの持続時間を変更することにより、所望のアンカーの高さ(すなわち、キャビティの高さ)、所望のポストの高さ、およびメンブレン内に埋設されたアンカーとポストの両方の所望の横方向の寸法を定めることができることである。
【0051】
第2実施形態
本発明の第2実施形態のCMUTを製造する第2の例示的な方法によれば、ここで
図16を参照すると、プロセスは、下から上に向かって、ハンドル212、埋もれた酸化物(BOX)層214、および露出した外側表面218を有するデバイス層216を含む伝統的なSOIウェハ210から始まる。いくつかの例示的な実施形態では、デバイス層216は、アンドープシリコン層216である。
【0052】
ここで
図17を参照すると、デバイス層216の外側表面218を露出させるためにレジスト220を貫通し画定された開口222を有する第1レジストパターン220は、デバイス層216の外側表面218上に堆積される。後述するように、CMUT280の特徴である隔離ポスト254およびアンカー252は、第1レジストパターン220の開口222の位置に形成される。特に、後述するポスト254およびアンカー252の横方向の寸法は、この時点で決定される。なお、第1レジストパターン220は、第1フォトリソグラフィマスクに対応する。
【0053】
次に
図18を参照すると、第1(ディープ)反応性イオンエッチング、すなわち(D)RIEがデバイス層216の外側表面218に対して行われ、
図17に示すレジスト220の開口222に対応する位置においてデバイス層216の内部に向けて部分的に延びるアンカーホール226およびポストホール228を形成する。ホール226、228が形成されると、レジスト220が剥離され、
図18に示すホール226、228を有するデバイス層216が残る。
【0054】
いくつかの例示的な実施態様によれば、形成される隔離ポスト254およびアンカー252の幅は、デバイス層216に画定されたホール226、228の寸法によりこのステップにおいて定められる。同様に、ホール226、228の深さは、最終的なポスト254およびアンカー252の、デバイス層216内に埋設される部分の深さを決定する。
【0055】
デバイス層216内のこれらのホール226、228のディープエッチングは、最終的に得られるポスト/アンカーの隔離を増加させるが、最終的に得られるメンブレンの機械的強度も減少させる。したがって、ホール226、228の深さは、典型的には、デバイス層116の厚さの約80%未満に保たれる。ホール226、228の横方向の寸法は、最終的に残るアンカーまたはポストの非埋設部分の横方向の寸法を、ホールの深さのn倍に加えることによって計算され、ここで、nは、典型的には約2.0の係数である。
【0056】
ここで
図19を参照すると、第1酸化物成長層230は、ホール226、228のそれぞれを埋めるとともにデバイス層216の外側表面218を覆うように、デバイス層216上に形成される。特に、いくつかの好ましい実施形態では、SOIウェハ全体(すなわち、ハンドル212、BOX層214、およびデバイス層216)に対して乾燥雰囲気下で高温乾燥酸化を行い、第1酸化物成長層230を形成する。第1酸化物成長層230の厚さは、最終的に得られるアンカー252の非埋没部の高さと同等またはそれ以上である。いくつかの実施形態では、高温熱酸化は約800℃~約1200℃の範囲の温度で行われ、より好ましくは約1100℃である。
【0057】
ここで
図20を参照すると、化学機械平坦化(CMP)が実行され、第1酸化物成長層230を平らにする。デバイス層216の上面218と、平坦化された第1酸化物成長層230の上面232との間の距離は、最終的なアンカー252の高さを定める。用途に応じて、アンカーの高さは、典型的には、数十ナノメートルから数百ナノメートルの範囲である。
【0058】
ここで、
図21を参照すると、第1酸化物成長層230の現状平面である上面232に第2レジストパターン240が堆積される。第2レジストパターン240は、隔離ポスト254とアンカー252が形成される箇所にのみ配置される。したがって、レジストパターン240は、最終的なポスト254及びアンカー252の横方向の寸法に対応している。第2レジストパターン240は、第2リソグラフィマスクとなる。
【0059】
次に
図22を参照すると、デバイス層216の外側表面218までプラズマエッチングが行われ、第2レジストパターン240によって覆われていない第1酸化物成長層230を除去する。エッチングステップの後、次に、第2レジストパターンは剥離され、最終的に得られるアンカー252と、最終的に得られる隔離ポスト254とが複数のアンカー252間のキャビティと共に残る。
【0060】
ここで
図23を参照すると、隔離ポスト254が部分的にエッチングされることになる箇所のみに開口を有する第3レジストパターン260が堆積される。すなわち、第3レジストパターン260は、デバイス層216の露出した外側表面218とアンカー252とを覆っているが、ポスト254は覆っていない。第3レジストパターン260は、第3フォトリソグラフィマスクに対応している。
【0061】
次に
図24を参照すると、第2プラズマエッチング(すなわち、部分エッチング)が行われ、ポスト254の高さを低くする。このエッチングステップの後、第3レジスト260は剥離され、ポスト254の外側表面(または接触面)と、CMUTデバイス280の隙間(すなわち、メンブレン216の最大変位)を定めるアンカー252の外側表面との間に高さの差がある最終的なアンカー252およびポスト254が残る。
【0062】
ここで
図25を参照すると、SOI210、すなわち、ハンドル212、BOX層214、および部分的に埋設されたアンカー252およびポスト254を有するデバイス層216、を反転させ、高濃度でドープされたシリコンの下部ウェハ(すなわち、下部電極272)上にアンカー252を接着(例えば、融着)し、ハンドル212およびBOX層214を除去し、上部電極274を堆積させる。このことにより、下部電極272と、上部電極274と、メンブレン216(すなわち、デバイス層216)と、メンブレン216上に形成されメンブレン216内に部分的に埋設されたアンカー252および隔離ポスト254とを有する最終的なCMUT280が得られる。
【0063】
図4~15を参照して上述した本発明の第1の方法と比較すると、本発明の第2の例示的な方法は必要とするステップが少なくより単純である。得られたCMUT280は、第1実施形態に従って製造されたCMUT180のすべての利点を維持している、ただし、隔離ポスト254の接触面が部分的にエッチングされており、このエッチングがポスト254の接触面を劣化させて電荷を注入する可能性があることを除く。
【0064】
第3実施形態
本発明の第3実施形態のCMUTを製造する第3の例示的な方法は、より少ない中間ステップを含む簡略化された変形例である。第3の方法では、フォトリソグラフィマスクを2回しか使用しない。加えて、1回の酸化ステップのみで酸化層が得られるため、より質の高い酸化層が得られるという利点がある。さらに、第3実施形態では、部分エッチングステップを回避する。
【0065】
ここで
図26を参照すると、第3の方法は、下から上に向かって、ハンドル312と、埋もれた酸化物(BOX)層314と、露出した外側表面318を有するデバイス層316とを含む伝統的なSOIウェハ310から始まる。いくつかの例示的な実施形態では、デバイス層316は、アンドープシリコン層316である。
【0066】
次に
図27を参照すると、デバイス層316の外側表面318を露出させるためにレジスト320を貫通し画定された開口322を有する第1レジストパターン320がデバイス層316の外側表面318上に堆積される。後述するように、隔離ポスト354は、第1レジストパターン320の開口322の位置に形成される。第1及び2の実施形態とは異なり、第1レジストパターン320の開口はアンカー352の位置に対応していない。第1レジストパターン320は、第1フォトリソグラフィマスクに対応する。
【0067】
ここで
図28を参照すると、部分ドライエッチング(すなわち、反応性イオンエッチング)がデバイス層316の外側表面318に対して行われ、ウェル328が形成される。
ェル328の深さは、直接的に最終的な隙間の高さ(すなわち、下部電極372に接触する前のメンブレン316の最大垂直変位)となる。ウェル328の横方向の寸法は、ポスト354が埋設される最終的な空洞の横方向の寸法に対応する。ウェル328が形成されると、レジスト320が剥離され、
図28に示すウェル328を有するデバイス層316が残る。
【0068】
次に
図29を参照すると、酸化物成長層330は、ウェル328のそれぞれを満たすとともにデバイス層316の外側表面318を覆うように、デバイス層316上に形成される。特に、いくつかの好ましい実施形態では、SOIウェハ全体(すなわち、ハンドル312、BOX層314、およびデバイス層316)に対して、乾燥雰囲気下で高温乾燥酸化が行われ、酸化物成長層330を形成する。いくつかの実施形態では、高温熱酸化は、約800℃~1200℃の範囲の温度で行われ、より好ましくは約1100℃である。酸化物成長層330の厚さは、最終的なアンカー352の高さに対応している。
【0069】
ここで、
図30を参照すると、酸化物成長層330上に第2レジストパターン340が塗布されている。第2レジストパターン340は、隔離ポスト354とアンカー352を形成する箇所にのみ配置される。したがって、レジストパターン340は、最終的なポスト354およびアンカー352の横方向の寸法に対応している。第2レジストパターン340は、第2リソグラフィマスクとなる。
【0070】
次に、
図31を参照すると、高異方性プラズマエッチングで酸化物成長330をパターン化し、第2レジストパターン340によって覆われていない酸化物成長層330をデバイス層216まで除去する。エッチングステップの後、次に、第2レジストパターン340は剥離され、最終的に得られるアンカー352と、複数のアンカー352の間のウェル328内に部分的に埋設された最終的に得られる隔離ポスト354とが残る。
【0071】
次に
図32を参照すると、SOI310(すなわち、アンカー352および部分的に埋設されたポスト354を備えたハンドル312、BOX層314、およびデバイス層316)が反転され、アンカー352が高濃度でドープされたシリコンの下部ウェハ(すなわち、下部電極372)上に接着(例えば、融着)され、ハンドル312およびBOX層314が除去され、そして上部電極374が堆積される。このことにより、下部電極372と、上部電極374と、メンブレン316(すなわち、デバイス層316)と、メンブレン316上に形成されメンブレン316内に部分的に埋設されたアンカー352および隔離ポスト354とを有する最終的なCMUT380が得られる。
【0072】
このように工程を簡略化した結果、隔離ポスト354の高さはアンカー352の高さと同じになっている。そのため、アンカー352における寄生容量は低減されない。
【0073】
実施形態の比較
以下の表1に反映されているように、第1の例示的な方法は、4回のフォトリソグラフィマスクを必要とし、二酸化ケイ素(例えば、最終的に得られるアンカー152および隔離ポスト154)の部分エッチングがなく、アンカー152における寄生容量が低減し、そしてアンドープシリコン層(例えば、デバイス層116)上に二酸化ケイ素(例えば、酸化物成長130、150)を成長させることを伴う。さらに、第2の例示的な方法は、3回のフォトリソグラフィマスクを必要とし、二酸化ケイ素(例えば、最終的に得られるアンカー252および隔離ポスト254)の部分エッチングをもたらし、アンカー252における寄生容量が低減し、そして、アンドープシリコン層(例えば、デバイス層216)上に二酸化ケイ素(例えば、酸化物成長230)を成長させることを伴う。第3の例示的な方法は、2回のフォトリソグラフィマスクを必要とし、二酸化ケイ素の部分エッチング(例えば、最終的に得られるアンカー352および隔離ポスト354)がなく、アンカー250における寄生容量が低減せず、アンドープシリコン層(例えば、デバイス層316)上に二酸化ケイ素(例えば、酸化物成長330)を成長させることを伴う。
【0074】
【0075】
部分的に埋設されたポスト
本発明のCMUTデバイスの性能を向上させ、電荷トラップを低減させることが期待されるという特徴のほとんどは、少なくとも部分的には、部分的に埋設されたポストと、ポストの側面からの電気的破壊を回避するために使用される保護ガードリングに起因する。
【0076】
次に、上述したポスト154、254、354のうちの1つまたは複数のポストの例である隔離ポスト454を示す
図33Aおよび
図33Bを参照すると、図示されているように、ポスト454は、上部電極474から間隔を空けるようにメンブレン416内に部分的に埋設されている。ポスト454は、ガードリング458によって囲まれた中央部材456を含む。
【0077】
本発明のポスト454の中央部材456は、上述のようにメンブレン416内に部分的に埋設され、保護を強化するためのガードリング458によって囲まれるように構成されている。この特定のトポロジーは、新規の発明である。この新しいポスト454(すなわち、中央部材456およびガードリング458)は、全体的にマッシュルームのような形状を有している。シリコン層の熱酸化(例えば、上述したデバイス層116、216、316上における酸化物成長層130、230、330の形成)の間、このプロセスが乾燥酸素中で実行される場合、シリコン層の水平面および垂直面が滑らかな酸化物に変化することが分かっている。このことは主に、シリコン層に形成された空洞の凸角部と凹角部における不均一な成長によるものである。
【0078】
図33Bに示すようにこの例示的なポスト454は実質的に円形であるが、本発明のポストは、
図33Aに示された同じ全体的なマッシュルーム状の形状を依然として含みながら、長方形の形状または任意の他の幾何学的形状を有することもできる。この構造は、隔離ポスト454だけでなく、CMUTセルおよびキャビティの縁を画定するアンカー(例えば、アンカー152、252、352)を作製するために使用することができる。
【0079】
次に
図34A、34B、34Cを参照すると、いくつかの実施形態(
図34A)では、ガードリング458aは、ポスト454の中央部材456と同じ材料で作られている。しかし、ポスト454の主な役割や対象となる用途に応じて、ガードリング458cを別の材料で作ったり(
図34C)、あるいはポスト454の周囲に均等な空のチャネル458bを設けたりすることもできる(
図34B)。ここで、「空の」という用語を使用することは、ガードリングが、例えば、真空/空気の隙間と同じ組成であることを意味する。
【0080】
図34Aに示す変形例は、例えば、第2実施形態の方法で得ることができる。一方、
図34Bに示す変形形態は、例えば、第1実施形態または第3実施形態の方法で得ることができる。最後に、
図34Cの変形形態は、製造プロセスをごくわずかに変更するだけで済む。
図34Bの構成から出発して、メンブレン416およびポスト454の外面全体に第2材料を堆積させ(例えばスパッタリング)、空のガードリング458bを完全に埋める。次に、この第2材料は、ガードリングの領域を除いて部分選択エッチングステップで除去され、第2材料で作られたガードリング458cを残す。
【0081】
ガードリングとして使用するためのいくつかの例示的な材料は、窒化ケイ素、金属酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム)、または半導体産業で使用されている任意の他の誘電体材料などの固体絶縁材料のカテゴリーに属し、準備されたこれらの材料が堆積プロセスによって堆積され、選択エッチングプロセスによって部分的に除去される、すなわち、このエッチングステップは、上述したように中央部材456またはメンブレン416の材料を除去しない。
【0082】
伝統的なCMUTの構造(例えば、
図1Aに示すCMUT10)では、デバイスの静電容量は、式1で与えられる。
【0083】
【0084】
ここで、hgapをキャビティの高さ(すなわち、メンブレンと絶縁層12の間の距離)、hisoを絶縁層12の高さ、Sをメンブレンの全表面、ε0を真空誘電率、εisoを絶縁層の誘電率とする。
【0085】
伝統的な隔離ポストを用いて設計されたCMUTセル(例えば、
図1Bに示すCMUT20)の場合、静電容量は式2によって与えられる。
【0086】
【0087】
ここで、S2はポスト22の全表面であり、S1はSからS2を引いたものに等しい。S1>S2(S1≒S)であるため、第2項は合理的に無視することができる。したがって、この音響構造(Sとhgapは同じ)では、hgap+hiso>hgap+hiso/εisoとなるように、伝統的な隔離ポストを使用することで、デバイスのキャパシタンスが減少することが容易にわかる。さらに、ポストの絶縁破壊を避けるために十分な高さが必要であるため、絶縁層の厚さ hisoをさらに減らすことはできない。
【0088】
本発明の部分的に埋設された隔離ポストでは、再び
図33Aを参照すると、絶縁破壊を回避するのに十分な高さのポスト454の合計高さ(h
iso)を維持しながら、メンブレンから突出しているポスト454の高さ(h
exceed)を低減することができる。このことは、メンブレン416内に埋設されているポスト454の高さ(h
buried)を増加させることによって達成される。このような構造では、静電容量を維持することができ、あるいは、h
exceed<h
gap+h
iso/ε
isoであれば、静電容量を増加させることもできる。
【0089】
さらに、h
exceedを低い値に保ちながら、h
buriedを任意に増加させることができる。このことは、総高さh
isoが伝統的な構造(例えば、
図1Aおよび1B)で使用されるものよりも大きくすることができることを意味し、したがって、隔離ポストを横切る電界を大幅に低減することができる。電荷のトラップは、誘電体材料を横切る電界に直接関係していることはよく知られている。したがって、この新しい構造により全体の性能を低下させることなく背の高い隔離ポストを使用することができ帯電現象を減少させることができる。
【0090】
最後に、隔離ポストをメンブレン内に埋設している場合には、隔離ポストの側面における隔離ポストとメンブレンの界面から絶縁破壊が起こる可能性があることを念頭に置く必要がある。このことにより、h
exceedの減少が制限される。この問題を解決するために、本発明ではガードリングを使用することを提案している。ガードリングの使用において、上部電極の電位と下部電極の電位との間の最短距離が十分に大きい場合、絶縁破壊が回避される。言い換えれば、
図33Aをもう一度参照すると、隔離ポストがキャビティの底部(すなわち、下部電極)に接触している最悪のケースにおいてでも、ポスト454の中央部材456の端面(すなわち、ポスト454の接触面)上の各点からポスト454のガードリング458の埋設面上の各点までの距離は、絶縁破壊を回避するのに十分な大きさでなければならない(
図33B参照)。このことは、ガードリング458を使用することによって確保することができる。さらに、ガードリング458の埋設面が自然な丸い形状をしているため、この構造ではライトニングロッド効果のリスクを大幅に軽減することができる。
【0091】
いくつかの構成では、上述した部分的に埋設されたポスト360の構造は、CMUTセルを画定するアンカー(例えば、アンカー152、252、352)と一緒に使用することができ、場合によっては、真空ガードリングを有する。この場合、セルのアンカーの近傍にあるメンブレンは、メンブレンの中心部よりも著しく薄い。このことは、アンカーに隣接するメンブレンの剛性を小さくするため、メンブレンのピストン的な変位を生じさせることに利用することができる。このことは、デバイスの発信感度が向上させる。
【0092】
特に、
図35を参照すると、部分的に埋設されたアンカーの異なる可能な構成が示されており、これらをメンブレンのピストン状の変位を生じさせるために使用することができる。
図35に示す各構成は、セルの右側を示しているだけであるが、同じ構造はセルの左側にも同様に適用可能である。
【0093】
構成Iは、メンブレンが均一な厚さを有する伝統的なアンカーを示す。
【0094】
構成IIは、真空ガードリングを有する本発明の1つのアンカーを示す。
【0095】
構成IIIは、構成IIと同様の本発明の別のアンカーを示しているが、真空ガードリングはより大きな幅を有している。
【0096】
構成IVは、構成IIと同様の本発明の別のアンカーを示しているが、アンカーの上に残っているシリコンメンブレンはより薄い厚さを有している。
【0097】
構成Vは、構成IVと同様の本発明の別のアンカーを示しているが、上部電極をパターン化しておりピストン状の変位を改良している。
【0098】
部分的に埋設された隔離ポストおよびアンカーに関する上記の説明は、容量性微細加工超音波トランスデューサに関して提供されているが、同様の構造および概念が他の容量性MEMSにも適用可能であることが考えられる。
【0099】
当業者であれば、本発明の教示から逸脱することなく、追加の実施形態が可能であることを認識するであろう。この詳細な説明、特にそこに開示されている例示的な実施形態の具体的な詳細は、主に理解を明確にするために与えられており、本開示を読んだ当業者が本発明の精神または範囲から逸脱することなく修正できることは明らかであるため、本開示から不必要な制限が理解されることはない。
【0100】
参考文献
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[2]Y. Huang, X. Zhuang, E. O. Haeggstrom, a. S. Ergun, C. H. Cheng, and B. T. Khuri-Yakub, 「隔離ポストを備えた容量性微細加工超音波トランスデューサ(CMUTs)」Ultrasonics, vol. 48, no. 1, pp. 74-81, 2008.
[3]Y. Huang and B. T. Khuri-yakub,「隔離ポストを備えた容量性超音波トランスデューサ」2009.
[4]S. Machida, H. Enomoto, Y. Tadaki, and T. Nagata,「超音波トランスデューサとその製造方法」Publication n° US8198782, 2012.
[5]S. Machida, T. Takezaki, T. Kobayashi, H. Tanaka, and T. Nagata, 「誘電体帯電効果が低減した高い信頼性のあるCMUTセル構造」in IEEE International Ultrasonics Symposium, IUS, 2015, pp. 1-4.
[6]B. Greenlay and R. Zemp, 「隔離ポストにより隔離されたCMUT」in 2017 IEEE International Ultrasonics Symposium.
[7]M. M. Mahmud et al.,「改良されたCMUT構造と二重周波数音響血管造影の操作方法」in 2017 IEEE International Ultrasonics Symposium, no. 1160483, pp. 2-5.
[8]J. Klootwijk, P. Dirksen, M. Mulder, and E. Moonen,「容量性微細加工超音波トランスデューサ」, US20150162851A1, 2015
[9]A. S. Savoia, B. Mauti, G. Caliano, L. Maiolo, A. Minotti, and A. Pecora,「逆加工CMUTアレイの効率と信頼性の最適化」in 2017 IEEE International Ultrasonics Symposium.
【国際調査報告】