(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(54)【発明の名称】滅菌可能な腹膜透析接続装置
(51)【国際特許分類】
A61M 1/28 20060101AFI20220113BHJP
A61M 39/16 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
A61M1/28 120
A61M39/16
A61M1/28 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526680
(86)(22)【出願日】2019-10-29
(85)【翻訳文提出日】2021-07-13
(86)【国際出願番号】 US2019058568
(87)【国際公開番号】W WO2020101884
(87)【国際公開日】2020-05-22
(32)【優先日】2018-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501335771
【氏名又は名称】ザ・ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100134577
【氏名又は名称】石川 雅章
(72)【発明者】
【氏名】サラ リー
(72)【発明者】
【氏名】ジェームス チン
(72)【発明者】
【氏名】アンナ クレア ベイリー
(72)【発明者】
【氏名】ユージーン オー
(72)【発明者】
【氏名】テジャスヴィ デサイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ホアン
(72)【発明者】
【氏名】ディラン ヒルシュ
(72)【発明者】
【氏名】ハリー ホルヴァート
【テーマコード(参考)】
4C066
4C077
【Fターム(参考)】
4C066AA01
4C066BB10
4C066CC01
4C066DD01
4C066JJ02
4C066JJ04
4C077AA06
4C077BB01
4C077DD22
4C077DD23
4C077EE03
4C077KK09
4C077KK25
(57)【要約】
滅菌可能なコネクタは、滅菌液を提供するために滅菌液リザーバを含むことができる。滅菌可能なコネクタは、コネクタを含むことができる。コネクタは、(例えば、直接的に、または1つ以上の介在するコンポーネントを介して)医療装置に接続するための第1のチューブを受けるための第1の端部を含むことができる。コネクタは、(例えば、直接的に、または1つ以上の介在するコンポーネントを介して)患者に接続するための第2のチューブを受けるための第2の端部を含むことができる。コネクタは、第1のチューブと第2のチューブとの間の流体伝達を可能にするために、第1の端部を第2の端部に連結する本体部を含むことができる。コネクタは、滅菌液リザーバに連結するための本体開口部を含むことができる。滅菌可能なコネクタは、滅菌液を滅菌液リザーバからコネクタに注入するための滅菌液インジェクタを含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌可能なコネクタであって、
滅菌液を提供するための滅菌液リザーバと、
コネクタであって、
第1のチューブを受ける第1の端部と、
第2のチューブを受ける第2の端部と、
前記第1の端部を前記第2の端部に連結して前記第1のチューブと前記第2のチューブとの間の流体伝達を可能にする本体部と、
前記滅菌液リザーバに連結するための本体開口部と、
とを備える、コネクタと、
前記滅菌液を前記滅菌液リザーバから前記コネクタに注入するための滅菌液インジェクタと、
を備える、滅菌可能なコネクタ。
【請求項2】
前記第1のチューブまたは前記第2のチューブのうちの少なくとも1つは、
腹膜透析カセット、
透析液バッグ、
移送セット、
の少なくとも1つに接続するように構成される、請求項1に記載の滅菌可能なコネクタ。
【請求項3】
前記第1のチューブまたは前記第2のチューブのうちの少なくとも1つは、
移送セット、
カセットチューブ、または
透析液バッグチューブ
のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の滅菌可能なコネクタ。
【請求項4】
前記滅菌液インジェクタが、前記滅菌液を注入して、前記コネクタ、前記第1のチューブ、または前記第2のチューブのうちの少なくとも1つの少なくとも一部を滅菌処理するように構成される、請求項1に記載の滅菌可能なコネクタ。
【請求項5】
前記滅菌液を前記コネクタから引き出すための滅菌液リトラクタをさらに備える、請求項1に記載の滅菌可能なコネクタ。
【請求項6】
前記滅菌液インジェクタは、前記滅菌液リトラクタである、請求項5に記載の滅菌可能なコネクタ。
【請求項7】
前記滅菌液インジェクタを前記コネクタから外すことを可能にするために、前記本体開口部に連結された閉鎖可能な弁をさらに備える、請求項1に記載の滅菌可能なコネクタ。
【請求項8】
前記本体開口部は、第1の本体開口部であり、
前記コネクタは、
該コネクタ内の滅菌液を置換するために洗浄液を受ける少なくとも1つの第2の本体開口部を備える、請求項1に記載の滅菌可能なコネクタ。
【請求項9】
前記第2の本体開口部に連結する洗浄液リザーバと、
洗浄液を前記第2の本体開口部に注入して前記コネクタ内の滅菌液を移動させる洗浄液インジェクタと、
をさらに備える、請求項8に記載の滅菌可能なコネクタ。
【請求項10】
前記滅菌液の注入または除去を減衰させる緩衝装置
をさらに備える、請求項1に記載の滅菌可能なコネクタ。
【請求項11】
前記コネクタ内の滅菌液の設定された滞留時間を引き起こす滞留機構、
をさらに備える、請求項1に記載の滅菌可能なコネクタ。
【請求項12】
前記設定された滞留時間が経過したことを示すインジケーター、
をさらに備える、請求項11に記載の滅菌可能なコネクタ。
【請求項13】
腹膜透析サイクラーシステムの第1のチューブを滅菌可能なコネクタの本体部の第1の開口部に取り付けることと、
第2のチューブを滅菌可能なコネクタの前記本体部の第2の開口部に取り付けることと、
前記滅菌可能なコネクタを用いて、滅菌液が、前記本体部の少なくとも一部、前記第1のチューブの少なくとも一部、および前記第2のチューブの少なくとも一部と接するように、前記滅菌可能なコネクタの本体部の第3の開口部に滅菌液を注入することと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記第1のチューブまたは前記第2のチューブのうちの少なくとも1つは、
カセットチューブ、
透析液バッグチューブ、または
移送セットチューブ、
のうちの少なくとも1つである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記滅菌可能なコネクタから滅菌液を引き出すことと、
前記滅菌可能なコネクタの弁を閉じて、前記第3の開口部を密閉することと、
をさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記本体部に洗浄液を注入し、前記滅菌液を置換または希釈すること、
をさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項17】
腹膜透析の実施することであって、
前記腹膜透析のための流体移動経路が本体部を含む、実施すること、
をさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項18】
滅菌液を提供するための滅菌液リザーバと、
該滅菌液リザーバに取り付けられたコネクタと、
前記滅菌液を前記滅菌液リザーバから前記コネクタに注入する滅菌液インジェクタであって、前記滅菌液インジェクタがボタン機構を含む、滅菌液インジェクタと、
を備える、滅菌可能なコネクタ。
【請求項19】
前記ボタン機構は、機械的遅延機構を含む、請求項18に記載の滅菌可能なコネクタ。
【請求項20】
前記ボタン機構は、プッシュボタン、プルボタン、スクイーズボタン、またはツイスト機構のうちの少なくとも1つである、請求項18に記載の滅菌可能なコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年11月14日に出願され、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれている「滅菌可能な腹膜透析接続装置」と題する米国仮特許出願第62/767,250号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
末期腎疾患(ESRD)の治療法として、様々な種類の透析技術が用いられることがある。例えば、血液透析(HD)において、患者は、病院または透析クリニックのような治療センターで治療され得る。この場合、患者は治療センターでの治療セッションに毎週3回以上参加することができる。治療セッションの間、血液透析機械は、第1の注射部位で第1の針を用いて患者の体から患者の血液を取り出し、患者の血液をフィルタし、そして第2の注射部位で第2の針を用いて患者の血液を患者の体内に戻すことができる。このようにして、血液透析装置は、患者の血液の外部濾過を行うことができる。しかし、毎週複数回の治療セッションに参加することは、患者にとって不便であり、ストレスフルであり、痛みがあり、および/または法外な費用がかかるかもしれない。
【0003】
別の種類の透析法は腹膜透析(PD)である。腹膜透析では、患者の腹腔内にカテーテルを外科的に埋め込むことがある。この場合、患者は、外科的に埋め込まれたカテーテルを移送セットと呼ばれる外部チューブに接続することができ、移送セットを腹膜透析サイクル器に接続された使い捨てカセットチューブに接続することができ、これは、透析液を注入し、廃液を除去して透析を行うことができる。腹膜透析を使用することにより、患者は自宅で透析を行うことができ、それにより患者の転帰および満足度を改善し、医療費および不便さを低減することができる。
【発明の概要】
【0004】
上述のように、腹膜透析は、患者が在宅透析を行うことを可能にし、その結果、コストが低減され、利便性が高まり、患者の転帰が改善され、血液透析と比較して患者の満足度が改善され、これは、治療センターで実施され得る。しかしながら、腹膜透析は、腹膜炎と呼ばれる状態である、患者の腹膜のような感染の高いリスクと関連する可能性がある。これは、患者または介護者が、滅菌技術の訓練を受けていないか、滅菌技術の訓練に従わず、非滅菌環境で腹膜透析システムのチューブを接続していない場合に起こりうる。例えば、移送セットおよびカセットチューブは、製造中に滅菌され得るが、移送セットを腹膜透析システムのカセットチューブに接続する場合、患者は、移送セットおよびカセットチューブの端部に素手で触れ得る。これにより、バクテリアや他の微生物がチューブ表面に配置されることがある。腹膜透析の間、透析液は、患者への注射の間、細菌または他の微生物に曝露され得、それにより、患者を感染症のリスクに曝露させる。
【0005】
本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、腹膜透析のための滅菌を可能にするための滅菌可能なコネクタを提供する。例えば、滅菌可能なコネクタは、移送セットに接続するための第1の端部と、カセットチューブに接続するための第2の端部とを有する本体部を含むことができる。さらに、滅菌可能なコネクタは、本体部に接続された滅菌液リザーバと、滅菌液を本体部、移送セット、およびカセットチューブに注入するための滅菌液インジェクタとを含むことができる。このようにして、滅菌液は、滅菌可能なコネクタ、移送セット、およびカセットチューブの表面を滅菌し、それによって、上述したように、移送セットとカセットチューブとを直接的に接続することに対して、患者感染の可能性を低減することができる。本明細書に記載された、いくつかの実施形態は、腹膜透析システム内の移送セットおよびカセットチューブとの連結に関して記載されるが、滅菌可能なコネクタは、腹膜透析システムに関連する他の連結、腹膜透析システム外の他の状況における他の連結、および/または同様のもののために使用され得る。本明細書に記載されるいくつかの実施形態は、腹膜透析システム内での使用に関して記載されるが、本明細書に記載される実施形態は、家庭内静脈内抗感染療法(HIVAT)、家庭内化学療法、および/または同様のものなどの、滅菌されたコネクタが使用される別の状況において使用されてもよい。
【0006】
実施例の以下の詳細な説明は、添付図面を参照する。異なる図面における同一の参照符号は、同一または類似の元素を識別可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】
図1Aは、本明細書に記載される滅菌可能なコネクタの実施例の概観の図である。
【
図1B】
図1Bは、本明細書に記載される滅菌可能なコネクタの実施例の概観の図である。
【
図1C】
図1Cは、本明細書に記載される滅菌可能なコネクタの実施例の概観の図である。
【
図1D】
図1Dは、本明細書に記載される滅菌可能なコネクタの実施例の概観の図である。
【
図2】
図2は、腹膜透析のための滅菌処理例のフローチャートである。
【
図3A】
図3Aは、本明細書に記載される滅菌可能な接続の実施例の図である。
【
図3B】
図3Bは、本明細書に記載される滅菌可能な接続の実施例の図である。
【
図3C】
図3Cは、本明細書に記載される滅菌可能な接続の実施例の図である。
【
図3D】
図3Dは、本明細書に記載される滅菌可能な接続の実施例の図である。
【
図3E】
図3Eは、本明細書に記載される滅菌可能な接続の実施例の図である。
【
図4】
図4は、本明細書に記載される滅菌可能な接続の実施例の図である。
【
図5】
図5は、本明細書に記載される滅菌可能な接続の実施例の図である。
【
図6】
図6は、本明細書に記載される滅菌可能な接続の実施例の図である。
【
図7】
図7は、本明細書に記載される滅菌可能な接続の実施例の図である。
【
図8A】
図8Aは、本明細書に記載される滅菌可能な接続の実施例の図である。
【
図8B】
図8Bは、本明細書に記載される滅菌可能な接続の実施例の図である。
【
図8C】
図8Cは、本明細書に記載される滅菌可能な接続の実施例の図である。
【
図8D】
図8Dは、本明細書に記載される滅菌可能な接続の実施例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1A~1Dは、本明細書に記載される実施例100の概要の図である。
図1Aに示すように、実施例100は、滅菌可能なコネクタ110、カセットチューブ150(例えば、腹膜透析サイクル装置に接続され得る)、および移送セット160(例えば、患者に接続され得る)を含み得る。ここで説明される実施形態の一部は、カセットチューブ150と移送セット160との間の接続に位置される滅菌可能なコネクタ110に関して説明されているが、移送セット160と透析バッグに接続された透析バッグチューブとの間の接続などの他の位置が検討されている。滅菌処理が有利であり得る他の接続もまた、考えられる。
【0009】
図1Aにさらに示されるように、滅菌可能なコネクタ110は、滅菌液リザーバ120、コネクタ130、および滅菌液インジェクタ140を含むことができる。いくつかの実装形態では、滅菌液リザーバ120は、シリンジまたは他のインジェクタのバレルであってもよい。いくつかの実施形態では、滅菌液リザーバ120は、コネクタ130に注入され得る滅菌液122を含み得る。例えば、滅菌液リザーバ120は、コネクタ130、カセットチューブ150、移送セット160などの表面を滅菌するための抗菌流体を含むことができ、それにより、患者感染のリスクを低減する。いくつかの実装形態では、滅菌液リザーバ120は、1ミリリットル(ml)、5ml、10ml、20ml、および/または同種のものなどの特定量の滅菌液122を保持するようなサイズとすることができる。いくつかの実装形態では、滅菌液リザーバ120は、弁(バルブ)124を含むことができる。例えば、弁124は、滅菌液122の注入、滅菌液122の除去、および/または同様のものを可能にし得る。
【0010】
いくつかの実装形態では、弁124は、滅菌液リザーバ120および滅菌液インジェクタ140のディスコネクション(分離)を可能にし得る。例えば、以下に詳述するように、滅菌液122の射出後、滅菌液リザーバ120および滅菌液インジェクタ140は、コネクタ130から切り離されてもよく、弁124は、コネクタ130の開口部を封止してもよい。このようにして、滅菌可能なコネクタ110の一部を取り外すことによって、滅菌可能なコネクタ110が腹膜透析システムのチューブを妨害し、および/または患者の不快感を引き起こす可能性が低減される。さらに、滅菌液リザーバ120は、患者が腹膜透析を行うたびに、新しい滅菌液リザーバ120を取り付けることによって交換可能であり、それによって、接続コネクタ130に関連する使用の不都合および/または困難を低減することができる。
【0011】
いくつかの実装形態では、滅菌液リザーバ120は、絞り機構ピース(絞り片)または滞留機構を含むことができる。例えば、滅菌液リザーバ120は、滅菌液インジェクタ140が滅菌液リザーバ120内に挿入され得る深さ、滅菌液インジェクタ140が滅菌液リザーバ120から除去され得る高さ、滅菌液122がコネクタ130内に留まる滞留時間、滅菌液インジェクタ140が滅菌液122を注入および/または除去する速度などを制御するために、ゴムスライダ、角度付きフラップ、ラッチ付きレバーなどを含むことができる。いくつかの実施形態では、滅菌可能なコネクタ110は、インジケーター装置のような、滞留時間がいつ経過したかを示すインジケーターを含むことができる。さらに、または代替的に、構成された化学反応を使用して、滞留時間がいつ経過したかを示すことができる。
【0012】
いくつかの実施態様では、コネクタ130は、カセットチューブ150と移送セット160との間に配置された本体部であってもよい。例えば、本明細書でより詳しく説明するように、コネクタ130の第1の端部132は、カセットチューブ150を受け入れ(受容)、接続し、コネクタ130の第2の端部134は、移送セット160を受け入れ(受容)、接続することができる。いくつかの実施態様では、コネクタ130は、カセットチューブ150と移送セット160とを連結する管を形成することができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、コネクタ130は、滅菌液122を受けるための本体開口部を含むことができる。いくつかの実施形態では、コネクタ130は、1つ以上の他の開口部を含むことができる。例えば、コネクタ130は、洗浄液を含む1つ以上の洗浄リザーバを受け入れる別の開口部を含むことができる。このケースでは、洗浄液は、滅菌液を注入した後に、コネクタ130に注入され得、洗浄液は、滅菌液を置換し得、それによって、滅菌液122を、コネクタ130から、カセットチューブ150から、移送セット160から、および/または同様のものから除去する。このようにして、患者に滅菌液122が挿入される可能性が低減される。
【0014】
いくつかの実装形態では、滅菌液インジェクタ140は、プランジャフランジ142、プランジャ144、およびプランジャシール146を含むことができる。例えば、滅菌液インジェクタ140は、コネクタ130に滅菌液122を注入し、コネクタ130から滅菌液122を除去するために、滅菌液リザーバ120に挿入され、そこから除去され得るプランジャを形成し得る。いくつかの実施形態では、滅菌液インジェクタ140は、滅菌液122がコネクタ130に注入される速度、滅菌液122がコネクタ130から除去される速度、および/または同種のものを制限し得るダンパ(減衰器)を含み得る。いくつかの実施形態では、ダンパは、滅菌液インジェクタ140を自動的に上昇させて、滅菌液122をコネクタ130から除去するためのバネであってもよい。いくつかの実装形態では、滅菌液インジェクタ140は、プランジャフランジ142の少なくとも一部を形成することができる特定のタイプのボタン機構を含むことができる。例えば、滅菌液インジェクタ140は、プルボタン、プッシュボタン、スクイーズボタン、ツイスト機構、および/または同様のものを含むことができる。いくつかの実施形態では、ボタン機構は、再使用可能な機構であってもよく、滅菌液インジェクタ140の少なくとも一部は、使い捨て可能な機構であってもよい(例えば、コネクタ130、滅菌液リザーバ120、および/または同様のものは、滅菌処理を維持するために使い捨て可能であってもよい)。
【0015】
図1Bに示されるように、および参照番号172により、滅菌可能なコネクタ110の第1の端部132は、カセットチューブ150を受けることができる。例えば、患者は、カセットチューブ150の端部を第1の端部132に取り付けることができ、接続部をシールすることができる。この場合、第1の端部132および/またはカセットチューブ150は、接続部をシールするために、キャップ、クランプ、ネジ端などの取り付け部を含むことができる。参照番号174によって示されるように、滅菌可能なコネクタ110の第2の端部134は、移送セット160を受けることができる。例えば、患者は、移送セット160の端部を第2の端部134に取り付けることができ、接続部をシールすることができる。この場合、第2の端部134および/または移送セット160は、接続部をシールするために、キャップ、クランプ、ネジ端などの取り付け部を含むことができる。いくつかの実施形態では、滅菌可能なコネクタ110は、別の状況で接続されてもよい。例えば、滅菌可能なコネクタ110は、第1の端部132において第1のチューブ(例えば、医療装置または患者に関連する)、第2の端部134において第2のチューブ(例えば、医療装置または患者に関連する)を受け、第1のチューブと第2のチューブとの間の連結部の滅菌を可能にする。いくつかの実施形態では、滅菌可能なコネクタ110は、1つまたは複数の弁、1つまたは複数の他のコネクタ、1つまたは複数の他の管などの1つまたは複数の他の介在構成要素を介して医療機器または患者に接続されてもよい。例えば、第1のチューブは、例えば、医療装置に接続するものとして記載されているが、第1のチューブは、医療装置に直接的に、医療装置に間接的に(例えば、1つ以上の介在するコンポーネントを介して)、および/または同様のものに接続することができる。
【0016】
図1Cに示されるように、および参照番号176により、滅菌液インジェクタ140は、コネクタ130、カセットチューブ150、移送セット160、および/または同様のものに滅菌液122を注入することができる。例えば、患者は、滅菌液インジェクタ140のプランジャを押し下げて、滅菌液122を注入することができる。このケースでは、滅菌液122は、例えば、コネクタ130、カセットチューブ150、移送セット160などの表面の滅菌を可能にするために、しきい値期間にわたって、コネクタ130、カセットチューブ150、移送セット160などに留まることができる。このようにして、滅菌可能なコネクタ110は、カセットチューブ150と移送セット160との間の連結部の滅菌を可能にすることによって、患者感染の可能性を低減する。
【0017】
図1Dに示されるように、および参照番号178により、滅菌液インジェクタ140は、コネクタ130、カセットチューブ150、移送セット160などから滅菌液122を除去することができる。例えば、患者は、滅菌液インジェクタ140のプランジャを上昇させて、滅菌液122を除去することができる。この場合、患者は、上述したように、滅菌液リザーバ120、滅菌液インジェクタ140、および/または同様のものを取り外すことができる。いくつかの実装形態では、滅菌液リトラクタは、滅菌液インジェクタ140から分離されてもよい。例えば、別のプランジャは、滅菌液122をコネクタ130から引き出すことができる。さらに、または代わりに、洗浄液リザーバおよび洗浄液インジェクタは、洗浄液をコネクタ130に注入して、滅菌液122を置き換え、それによって滅菌液122を引き出すことができる。さらに、または代わりに、カセットチューブ150に取り付けられた腹膜透析サイクル器は、滅菌液122を後退させることができる。さらに、または代わりに、図示されるように、滅菌液インジェクタ140は、滅菌液リトラクタであってもよい。
【0018】
幾つかの実施例では、滅菌液122を引き出すことに基づいて、腹膜透析を実施することができる。例えば、シール弁124に基づいて、透析液は、カセットチューブ150、コネクタ130、移送セット160、移送セット160に接続された外科的に埋め込まれたカテーテルなどを介して腹膜透析サイクル器によって患者に注入され得る。同様に、腹膜透析サイクル装置は、廃液を、カセットチューブ150、コネクタ130、移送セット160等を介して患者から取り出すことができる。このようにして、腹膜透析は、滅菌可能なコネクタ110を用いて、患者感染の危険性を減少させて行うことができる。
【0019】
上記のように、
図1A~1Dは、単なる一例として提供される。他の実施例は、
図1A~1Dに関して記載されるものとは異なる場合がある。
【0020】
図2は、腹膜透析のための滅菌のための例示的プロセス200のフローチャートである。いくつかの実施形態では、
図2の1つまたは複数のプロセスブロックは、滅菌可能なコネクタを使用して、患者または介護者によって実行され得る。
【0021】
図2に示すように、プロセス200は、滅菌可能なコネクタ(ブロック210)の接続端部を含むことができる。例えば、患者は、上述のように、滅菌可能なコネクタの端部を接続することができる。いくつかの実施形態では、患者は、腹膜透析サイクルのカセットチューブを、滅菌可能なコネクタの本体部の第1の開口部に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、患者は、滅菌可能なコネクタの本体部の第2の開口部に移送セットを取り付けることができる。いくつかの実施形態では、滅菌可能なコネクタの端部は、例えば、患者との相互作用なしに、カセットチューブおよび移送セットに接続されてもよい。例えば、医用ロボット装置は、カセットチューブと移送セットとを滅菌可能なコネクタに自動的に接続することができる。いくつかの実施形態では、滅菌可能なコネクタの端部は、チューブを介して透析液バッグに接続されてもよい。
【0022】
図2にさらに示されるように、プロセス200は、滅菌可能なコネクタ(ブロック220)を使用して滅菌液を注入することを含み得る。例えば、患者は、上述したように、滅菌可能なコネクタを使用して、滅菌液を注入することができる。いくつかの実施形態では、患者は、滅菌液がカセットチューブの少なくとも一部、移送セットの少なくとも一部、および本体部の少なくとも一部と接触するように、滅菌処理可能コネクタの本体部の第3の開口部に滅菌液を注入することができる。いくつかの実施形態では、医用ロボット装置は、滅菌可能なコネクタの本体部に滅菌液を自動的に注入することができる。いくつかの実施形態では、滅菌可能なコネクタは、本明細書に記載される流体移動経路、別の流体移動経路、および/または同様のものなどの、流体移動経路内の隣り合う構成要素の1つまたは複数の他の相互接続点の間に配置され、および/または、それらを滅菌するために使用されてもよい。
【0023】
図2にさらに示されるように、プロセス200は、滅菌液を後退させることを含み得る(ブロック230)。例えば、患者は、上述したように、滅菌可能なコネクタを使用して、滅菌液を後退させることができる。いくつかの実施形態では、患者は、滅菌可能なコネクタを使用して、滅菌液を後退させ、滅菌液を洗浄液(洗浄流体)で置換または希釈し、および/または同様のものを使用することができる。いくつかの実施形態では、患者は、滅菌可能なコネクタの閉鎖可能な弁を閉鎖して、滅菌可能なコネクタの本体部の第3の開口部を密閉し、滅菌可能なコネクタの一部の分離を可能にしてもよい。
【0024】
図2にさらに示されるように、プロセス200は、腹膜透析を実施することを含み得る(ブロック240)。例えば、患者は、上述したように、腹膜透析を実施することができる。ある実施形態では、患者は、腹膜透析サイクルシステム(例えば、腹膜透析サイクルシステム、1つ以上のチューブ、および/または同様のものを含む)の腹膜透析サイクルを使用して、腹膜透析カセットに接続されたカセットチューブ、滅菌可能なコネクタの本体部、移送セット、および/または同様のものを含む流体移動経路を介して腹膜透析を行うことができる。さらに、または代わりに、流体移動経路は、透析液バッグに接続された透析液流体バッグチューブを含んでもよい。
【0025】
プロセス200は、例えば、任意の単一の実装、または上記の実装の任意の組み合わせ、および/または本明細書の他の箇所に記載される1つ以上の他のプロセスに関連して、追加の実装を含むことができる。
【0026】
図2は、プロセス200のブロック例を示すが、いくつかの実装形態では、プロセス200は、
図2に示されるものとは別の追加のブロック、より少ないブロック、異なるブロック、または異なるように配置されたブロックを含むことができる。加えて、または代替的に、プロセス200のブロックのうちの2つ以上は、並行して実行されてもよい。
【0027】
図3A~3Eは、本明細書に記載される実装例300の図である。
【0028】
図3A~3Eに示すように、実装例300は、滅菌液の射出および/または除去の自動制御を可能にするタイマーメカニズム310を含むことができる。この場合では、ユーザは、滅菌可能なコネクタに滅菌液を注入するために第1のプランジャを押し下げ、機械的遅延機構に取り付けることができる第2のプランジャを押し下げてもよい。第2のプランジャの機械的遅延機構は、第1のプランジャのくぼみに引っかけられたピボットアームを使用して、第1のプランジャを、設定された時間だけ、押し下げられた位置に保持することができる。いくつかの実装形態では、設定された時間量(例えば、構成された滞留時間)は、ばねと、ピボットアームをフック解除することを可能にするラックとインターフェースする一組の回転ギアとを使用して構成することができる。設定された時間の経過後、機械的遅延機構は、ピボットアームを第1のプランジャのくぼみから外すことによって、第2のプランジャを解放することができる。この場合、第1プランジャのスプリング機構が第1プランジャを上昇させ、それによって滅菌液をコネクタから取り出すことができる。いくつかの実装は、機械的遅延機構に関して記載されるが、電気的遅延機構、電気機械的遅延機構、微小電気機械システム(MEMS)遅延機構、および/または同様のものなど、他の遅延機構を使用してもよい。
【0029】
上記のように、
図3A~3Eは、単なる一例として提供される。他の実施例は、
図3A~3Eに関して記載されているものとは異なる場合がある。
【0030】
図4は、本明細書に記載される実装例400の図である。
【0031】
図4に示されるように、プル機構410は、滅菌液の射出および/または除去を可能にするために提供され得る。プル機構410は、アセンブリ420、プーリー430、およびボタン440を含んでもよい。いくつかの実装形態では、プル機構410は、滅菌液インジェクタに対応し、および/または、滅菌液インジェクタに取り付けることができる。プル機構410は、ユーザが例えばひも(ストリング)(例えば、プーリー430およびボタン440とインターフェースする)を引っ張ってアセンブリ420のプランジャに力を加え、それによって滅菌可能なコネクタを使用して滅菌液を注入することを可能にする。いくつかの実施形態では、プル機構410は、ストリング、ワイヤ、または別の種類のコネクタを含むことができる。
【0032】
上述のように、
図4は、単なる一例として提供されている。他の実施例は、
図4に関して記載されたものとは異なる可能性がある。
【0033】
図5は、本明細書に記載される実装例500の図である。
【0034】
図5に示されるように、実装例500は、サイドボタン510を含む。サイドボタン510は、ボタン機構530、ロッド540、および角度付ロッド550を含むアセンブリ520を含んでもよい。サイドボタン510は、滅菌可能なコネクタを使用して滅菌液を注入することを可能にするために、アセンブリ520のプランジャに力をかけるために、ユーザのスクイーズ(絞り)動作を変換する。
【0035】
上述したように、
図5は、単なる一例として提供されている。他の実施例は、
図5に関して記載されているものとは異なる場合がある。
【0036】
図6は、本明細書に記載される実装例600の図である。
【0037】
図6に示すように、実装例600は、トップボタン610を含む。トップボタン610は、アセンブリ620と、フレーム630と、プランジャ640と、ボタン機構650とを含む。トップボタン610は、滅菌可能なコネクタを使用して滅菌液を注入することを可能にするために、組立体620のプランジャに力を加えるためにユーザのプッシュ(押し)動作を変換する。
【0038】
上述のように、
図6は、単なる一例として提供される。他の実施例は、
図6に関して記載されているものとは異なる場合がある。
【0039】
図7は、本明細書に記載される実装例700の図である。
【0040】
図7に示すように、実装例700は、上側ボタン710を含む。上側ボタン710は、アセンブリ720と、ボタン機構730と、フレーム740と、レバー750と、ピン760とを含む。上側ボタン710は、滅菌可能なコネクタを使用して滅菌液を注入することを可能にするために、アセンブリ720のプランジャに力をかけるために、ユーザのスクイーズ(絞り)動作を変換する。
【0041】
以上のように、
図3は、単なる一例として提供されている。他の実施例は、
図7に関して記載されているものとは異なる場合がある。
【0042】
図8A~8Dは、本明細書に記載される実施例800の図である。
【0043】
図8A~8Dに示すように、実装例800は、再利用可能なシリンジシェル接続ピース810、使い捨てプランジャピース820、使い捨て可能なシリンジシェルピース830、および再利用可能な組み合わせピース840を含む。
図8A~8Dに示すように、実装例800は、複数の着脱可能な部品を含み、それによって、使い捨ての滅菌された構成要素を滅菌可能な接続に使用することを可能にする。例えば、シリンジシェル接続ピース810は、使い捨てプランジャピース820が取り付けられている、使い捨てシリンジシェルピース830が取り付けられている、および/または同様のものである、再利用可能な構成要素であり得る。
【0044】
上記のように、
図8A~8Dは、単なる一例として提供されるものである。他の実施例は、
図8A~8Dに関して記載されるものとは異なる場合がある。
【0045】
前述の開示は、例示および説明を提供するが、網羅的であること、または実装を開示された厳密な形態に限定することを意図するものではない。修正および変更は、上記の開示に照らして行うことができ、または実装の実施から得ることができる。
【0046】
本明細書で使用されるように、閾値を満たすことは、状況に応じて、閾値よりも大きい値、閾値を超える値、閾値よりも高い値、閾値以上の値、閾値未満の値、閾値よりも小さい値、閾値よりも低い値、閾値以下の値、閾値に等しい値、等を指すことができる。
【0047】
特徴の特定の組合せが特許請求の範囲に記載され、および/または明細書に開示されているが、これらの組合せは、様々な実装の開示を限定することを意図するものではない。実際、これらの特徴の多くは、特許請求の範囲に具体的に記載されておらず、かつ/または明細書に開示されていない方法で組み合わせることができる。以下に列挙する各従属請求項は、1つのクレームのみに直接依存することができるが、種々の実施形態の開示は、各従属請求項を、クレームセット内の他のすべてのクレームと組み合わせて含む。
【0048】
本明細書中で使用されるいかなるエレメント、操作、またはインストラクションも、明示的に記載されない限り、クリティカルまたは必須であると解釈されるべきではない。また、本明細書中で使用されるアーティクル「1つ(a)」および「1つ(an)」は、1つ以上のアイテムを含むことを意図し、「1つ以上」と互換的に使用することができる。さらに、本明細書中で使用される場合、用語「セット」は、1つ以上のアイテム(例えば、関連するアイテム、無関係のアイテム、関連するアイテムと無関係のアイテムの組み合わせなど)を含むことを意図し、「1つ以上」と互換的に使用することができる。1つのアイテムのみを意図する場合、「1つのみ」または類似の言語を使用する。また、本明細書中で使用される場合、用語「有した(had)」、「有する(have)」、「有している(having)」などは、オープンエンド用語とすることを意図する。さらに、「~に基づく」という句は、特に明記しない限り、「少なくとも部分的には~に基づく」を意味することを意図している。
【国際調査報告】