(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(54)【発明の名称】動物用飼料添加物又は動物用飼料の調製におけるジフェニルプロペノン類化合物の応用
(51)【国際特許分類】
A23K 20/111 20160101AFI20220113BHJP
C07C 49/84 20060101ALI20220113BHJP
C07C 49/807 20060101ALI20220113BHJP
C07C 49/835 20060101ALI20220113BHJP
C07C 49/794 20060101ALI20220113BHJP
C07C 65/38 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
A23K20/111
C07C49/84 G
C07C49/807
C07C49/835
C07C49/794
C07C65/38
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021527858
(86)(22)【出願日】2018-11-19
(85)【翻訳文提出日】2021-07-19
(86)【国際出願番号】 CN2018116274
(87)【国際公開番号】W WO2020102952
(87)【国際公開日】2020-05-28
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521214399
【氏名又は名称】彭 險峰
【氏名又は名称原語表記】PENG, Xianfeng
【住所又は居所原語表記】Room 103, Building 93, Cuishan Lantian Estate, Huanan Country Garden, Panyu North Avenue, Panyu District Guangzhou, Guangdong 511400 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ ▲華▼成
(72)【発明者】
【氏名】彭 險峰
【テーマコード(参考)】
2B150
4H006
【Fターム(参考)】
2B150AA01
2B150AA05
2B150AA07
2B150AA10
2B150AA20
2B150AB02
2B150DA17
2B150DA70
2B150DA71
2B150DA75
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB10
4H006BJ50
4H006BR30
4H006BS30
(57)【要約】
一般式(I)のジフェニルプロペノン類化合物、その立体異性体、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩の、動物用飼料添加物又は動物用飼料の調製における応用に関する。動物養殖試験により、当該ジフェニルプロペノン類化合物、その立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、若しくは飼料に許容可能な塩を動物用飼料添加物又は動物用飼料に応用することで、動物の体重を効果的に増加させ、生存率を高め、動物の生産能力をよく改善することができることが確認された。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)のジフェニルプロペノン類化合物、その立体異性体、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩の、動物用飼料添加物又は動物用飼料の調製における応用であり、
前記一般式において、R
1は、OH、C
1-C
20アルキル基、OC
1-C
20アルキル基、C(= O)OH、C(= O)OC
1-C
20アルキル基、Xからなる群から任意に選択されるものであり、R
2は、OH、C
1-C
20アルキル基、OC
1-C
20アルキル基、Xからなる群から任意に選択されるものであり、n及びmは、それぞれ0から5までの整数であり、Xは、F、Cl、Br、Iのいずれも一つである。
【請求項2】
R
1は、OH、OC
1-C
5アルキル基、C
1-C
5アルキル基、C(= O)OH、C(= O)OC
1-C
5アルキル基、F、Cl、Brからなる群から任意に選択されるものである、ことを特徴とする請求項1に記載の応用。
【請求項3】
R
1は、OH、C(= O)OH、OC
1-C
5アルキル基、Clからなる群から任意に選択されるものである、ことを特徴とする請求項2に記載の応用。
【請求項4】
R
2は、OH、OC
1-C
5アルキル基、C
1-C
5アルキル基、F、Cl、Brからなる群から任意に選択されるものである、ことを特徴とする請求項1に記載の応用。
【請求項5】
R
2は、C
1-C
5アルキル基、OC
1-C
5アルキル基、Clからなる群から任意に選択されるものである、ことを特徴とする請求項4に記載の応用。
【請求項6】
nは0ではない、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の応用。
【請求項7】
R
1は、OH、C(= O)OH、Clから任意に選択されるものであり、R
2は、C
1-C
5アルキル基、Clから任意に選択されるものである、ことを特徴とする請求項6に記載の応用。
【請求項8】
前記ジフェニルプロペノン類化合物は、以下の化合物から選択されるものである、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の応用。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の応用における一般式(I)のジフェニルプロペノン類化合物、その立体異性体、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩、ならびに給餌可能な補助材料、動物用飼料添加物、及び動物用飼料原料のうちの1つ又は複数を含む、ことを特徴とする飼料組成物。
【請求項10】
前記給餌可能な補助材料は、担体、希釈剤、賦形剤、及び溶媒のうちの1つ又は複数から選択され、及び/又は、前記動物用飼料添加物は、栄養飼料添加物、一般的な飼料添加物、及び医薬用飼料添加物のうちの1つ又は複数から選択されるものである、ことを特徴とする請求項9に記載の飼料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物用飼料技術の分野に関し、特に、動物用飼料添加物又は動物用飼料の調製におけるジフェニルプロペノン類化合物の応用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ジフェニルプロペノン類化合物は自然界に広く分布しており、幅広い生物的活性を持つ重要な有機中間体である。
【0003】
飼料添加物とは、飼料の加工、製造、使用の過程で添加される少量又は微量の物質を指し、栄養飼料添加物や一般的な飼料添加物を含む。一般的な飼料添加物とは、飼料の品質を確保又は改善し、飼料の利用率を高めるために飼料に組み込まれる少量又は微量の物質を指す。飼料の利用率を効率的かつ安定的に高め、動物の生産能力を改善することができる本技術分野で一般的に使用される一般的な飼料添加物は、主に、高用量銅剤、高用量亜鉛剤、飼料用抗生物質、化学合成抗菌剤などを含む。ただし、養殖産業におけるこれらの物質の長期使用は、動物の肝臓及び腎臓の毒性、成長阻害、腎機能障害、尿路障害、催奇形性、変異原性、薬剤耐性、薬剤残留物、及び環境汚染などの大きな副作用をもたらす恐れがある。動物の健康を確保し、養殖産業の生産効率を向上させるために、効果的で安定した安全な新しい飼料添加物、特に一般的な飼料添加物を探すことは、本技術分野における最優先の問題となる。
【0004】
現在、飼料添加物又は飼料の調製におけるジフェニルプロペノン類化合物の応用を開示する研究はない。
【発明の概要】
【0005】
これに基づいて、動物用飼料添加物の調製におけるジフェニルプロペノン類化合物の応用を提供する必要がある。
【0006】
一般式(I)のジフェニルプロペノン類化合物、その立体異性体、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩の、動物用飼料添加物又は動物用飼料の調製における応用である。
【0007】
上記一般式において、R1は、OH、C1-C20アルキル基、OC1-C20アルキル基、C(= O)OH、C(= O)OC1-C20アルキル基、Xからなる群から任意に選択されるものであり、R2は、OH、C1-C20アルキル基、OC1-C20アルキル基、Xからなる群から任意に選択されるものであり、n及びmは、0から5までの整数であり、Xは、F、Cl、Br、Iのいずれも一つである。
【0008】
一実施例において、R1は、OH、OC1-C5アルキル基、C1-C5アルキル基、C(= O)OH、C(= O)OC1-C5アルキル基、F、Cl、Brからなる群から任意に選択されるものである。
【0009】
一実施例において、R1は、OH、C(= O)OH、OC1-C5アルキル基、Clからなる群から任意に選択されるものである。
【0010】
一実施例において、R2は、OH、OC1-C5アルキル基、C1-C5アルキル基、F、Cl、Brからなる群から任意に選択されるものである。
【0011】
一実施例において、R2は、C1-C5アルキル基、OC1-C5アルキル基、Clからなる群から任意に選択されるものである。
【0012】
一実施例において、nは0ではない。
【0013】
一実施例において、R1は、OH、C(= O)OH、Clから任意に選択されるものであり、R2は、C1-C5アルキル基、Clから任意に選択されるものである。
【0014】
一実施例において、前記ジフェニルプロペノン類化合物は、以下の化合物から選択されるものである。
【0015】
本発明は、飼料組成物を更に提供する。当該飼料組成物は、請求項1から8のいずれか1項に記載の応用における一般式(I)のジフェニルプロペノン類化合物、その立体異性体、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩、ならびに給餌可能な補助材料、動物用飼料添加物、及び動物用飼料原料のうちの1つ又は複数を含む。
【0016】
一実施例において、前記給餌可能な補助材料は、担体、希釈剤、賦形剤、及び溶媒のうちの1つ又は複数から選択されるものである。
【0017】
一実施例において、前記動物用飼料添加物は、栄養飼料添加物、一般的な飼料添加物、及び医薬用飼料添加物のうちの1つ又は複数から選択されるものである。
【0018】
従来技術と比較して、本発明は以下の有益な効果を有する。
【0019】
本発明は、動物養殖試験により、ジフェニルプロペノン類化合物、その立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、若しくは飼料に許容可能な塩を動物用飼料添加物又は動物用飼料に適用することで、動物の体重を効果的に増加させ、生存率を高め、動物の生産能力をよく改善することができることを確認した。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、具体的な実施例を参照しながら、本発明のジフェニルプロペノン類化合物の動物用飼料添加物の調製における応用についてさらに詳細に説明する。
【0021】
ここで、本発明の特定の実施形態が詳細に説明され、その例は、添加された構造式及び化学式によって示される。本発明は、すべての代替、修正、及び同等の技術案を含むことを意図するものである。これらの技術案は、すべて特許請求の範囲で定義される本発明の範囲に含まれる。なお、明確にするために、本発明の特定の技術的特徴は、複数の独立した実施形態で別々に説明されるが、単一の実施形態で組み合わせ形態で提供されてもよいし、任意の適切なサブ組み合わせ形態で提供されてもよい。
【0022】
化合物:
本発明は、一般式(I)で示される構造を有するジフェニルプロペノン類化合物、その立体異性体、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩が、飼料添加物又は飼料の調製における応用に関するものである。
【0023】
上記一般式において、R1は、ベンゼン環の1位、2位、3位、4位、又は5位での任意の置換基を表し、R2は、ベンゼン環の1’位、2’位、3’位、4’位、又は5’位での任意の置換基を表し、n及びmは、それぞれベンゼン環の置換基R1及びR2の数を表し、R1は、OH、C1-C20アルキル基、OC1-C20アルキル基、C(= O)OH、C(= O)OC1-C20アルキル基、又はXであり、R2は、OH、C1-C20アルキル基、OC1-C20アルキル基、又はXであり、n及びmは、0から5までの整数であり、Xは、F、Cl、Br、Iのいずれも一つである。
【0024】
一般に、「置換」とは、所与の構造内の1つ又は複数の置換可能な水素原子が特定の置換基によって置換されることを意味する。置換は、各置換可能位置で1つの置換基によって置換されることであってもよい。所与の構造式中の複数の位置で特定の1つ又は複数の置換基によって置換されることが可能である場合、置換基は、同じ又は異なる形態で各位置で置換することができる。
【0025】
本発明において、「Ca-Cbアルキル基」は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルなどのa個~b個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖の飽和アルキル基を表し、例えば、「C1-C5アルキル基」は、 1個から5個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖の飽和アルキル基を表す。
【0026】
いくつかの実施形態において、一般式(I)で示されるジフェニルプロペノン及びその誘導体における置換基R1及びR2の数n及びmは、同時に0である。
【0027】
いくつかの実施形態において、一般式(I)で示されるジフェニルプロペノン及びその誘導体におけるR1は、OHである。
【0028】
いくつかの実施形態において、一般式(I)で示されるジフェニルプロペノン及びその誘導体におけるR1は、OC1-C20アルキル基である。
【0029】
さらに、前記R1は、好ましくは、OC1-C5アルキル基である。
【0030】
前記R1は、OC1-C5直鎖アルキル基、具体的には、メトキシ基(OCH3)、エトキシ基(OCH2CH3)、プロポキシ基(O(CH2)2CH3)、ブトキシ基(O(CH2)3CH3)、ペンチルオキシ基(O(CH2)4CH3)であってもよい。
【0031】
前記R1は、OC1-C5分岐鎖アルキル基であり、イソプロポキシ基(OCH2(CH3)2)、及びイソブトキシ基(OC(CH3)3)を含むことでもよく、これに限定されない。
【0032】
いくつかの実施形態において、一般式(I)で示されるジフェニルプロペノン及びその誘導体におけるR1は、C1-C20アルキル基である。
【0033】
さらに、前記R1は、好ましくは、C1-C5アルキル基である。
【0034】
前記R1は、C1-C5直鎖アルキル基、具体的には、メチル基(CH3)、エチル基(CH2CH3)、プロピル基((CH2)2CH3)、ブチル基((CH2)3CH3)、ペンチル基((CH2)4CH3)であってもよい。
【0035】
前記R1は、C1-C5分岐鎖アルキル基であり、イソプロピル基(CH2(CH3)2)、及びイソブチル基(C(CH3)3)を含むことでもよく、これに限定されない。
【0036】
いくつかの実施形態において、一般式(I)で示されるジフェニルプロペノン及びその誘導体におけるR1は、C(= O)OH又はC(= O)OC1-C20アルキル基である。
【0037】
さらに、前記R1は、好ましくは、C(= O)OH又はC(= O)OC1-C5アルキル基である。
【0038】
前記R1は、C(= O)OC1-C5アルキル基である場合、好ましくは、C(= O)OC1-C5直鎖アルキル基、具体的には、C(=O)OCH3、C(= O)OCH2CH3、C(=O)O(CH2)2CH3、C(=O)O(CH2)3CH3又はC(=O)O(CH2)4CH3であってもよい。
【0039】
前記R1は、C(= O)OC1-C5アルキル基である場合、好ましくは、C(= O)OC1-C5分岐鎖アルキル基であり、C(= O)OCH2(CH3)2、及びC(= O)OC(CH3)3を含むことでもよく、これに限定されない。
【0040】
いくつかの実施形態において、一般式(I)で示されるジフェニルプロペノン及びその誘導体におけるR1は、ハロゲンX、具体的には、F、Cl、Br、Iのいずれも一つである。
【0041】
さらに、前記R1は、好ましくは、Clである。
【0042】
いくつかの実施形態において、一般式(I)で示されるジフェニルプロペノン及びその誘導体におけるR2は、OHである。
【0043】
いくつかの実施形態において、一般式(I)で示されるジフェニルプロペノン及びその誘導体におけるR2は、OC1-C20アルキル基である。
【0044】
さらに、前記R2は、好ましくは、OC1-C5アルキル基である。
【0045】
前記R2は、OC1-C5直鎖アルキル基、具体的には、メトキシ基(OCH3)、エトキシ基(OCH2CH3)、プロポキシ基(O(CH2)2CH3)、ブトキシ基(O(CH2)3CH3)、ペンチルオキシ基(O(CH2)4CH3)であってもよい。
【0046】
前記R2は、OC1-C5分岐鎖アルキル基であり、イソプロポキシ基(OCH2(CH3)2)、及びイソブトキシ基(OC(CH3)3)を含むことでもよく、これに限定されない。
【0047】
いくつかの実施形態において、一般式(I)で示されるジフェニルプロペノン及びその誘導体におけるR2は、C1-C20アルキル基である。
【0048】
さらに、前記R2は、好ましくは、C1-C5アルキル基である。
【0049】
前記R2は、C1-C5直鎖アルキル基、具体的には、メチル基(CH3)、エチル基(CH2CH3)、プロピル基((CH2)2CH3)、ブチル基((CH2)3CH3)、ペンチル基((CH2)4CH3)であってもよい。
【0050】
前記R2は、C1-C5分岐鎖アルキル基であり、イソプロピル基(CH2(CH3)2)、及びイソブチル基(C(CH3)3)を含むことでもよく、これに限定されない。
【0051】
いくつかの実施形態において、一般式(I)で示されるジフェニルプロペノン及びその誘導体におけるR2は、ハロゲンX、具体的には、F、Cl、Br、Iのいずれも一つである。
【0052】
さらに、前記R2は、好ましくは、Clである。
【0053】
いくつかの実施形態において、一般式(I)で示されるジフェニルプロペノン及びその誘導体は、R1及び/又はR2の多置換誘導体であり、n及びmは、独立して、1、2、3、4、又は5から選択される。
【0054】
前記nはmと同じであり、1、2、3、4、又は5から選択されでもよい。
【0055】
化合物の調製及び精製:
本発明に係る一般式(I)で示されるジフェニルプロペノン及びその誘導体の調製方法は、主に、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性条件下でアセトフェノンのフェニル置換誘導体(ABと略記)及びベンズアルデヒドのフェニル置換誘導体(BZと略記)を出発物質として発生させるアルドール縮合反応であるClaisen-Schmidt縮合反応に関する。反応プロセスは、一般式(II)に示されている。
【0056】
明確にするために、一般式(II)のNaOHは、水酸化ナトリウムを表すものである。いくつかの技術案では、上記の一般式(II)に示される反応プロセスによって生成される目標生成物(TM)は、適切な条件下で一般式(III)に示されるような互変異性体のコンフィギュレーションの変換を有する。
【0057】
関与する反応物質であるアセトフェノンのフェニル置換誘導体(ABと略記)とベンズアルデヒドのフェニル置換誘導体が反応して、対応するジフェニルプロペノン及びその誘導体を形成し、剛性構造を有する場合、反応基質は反応中に異なる幾何異性体の生成物を生成する可能性がある。
【0058】
上記の幾何異性体及び互変異性体も、本発明の範囲内に含まれる。
【0059】
本発明の「幾何異性体」は、同じ化学構造を有するが原子又は基の空間的な配置が異なる化合物を指し、エナンチオマー、ジアステレオマー、配座異性体、幾何異性体、アトロプ異性体などを含む立体異性体の1つである。「エナンチオマー」とは、互いに重ね合わせることができない像と鏡像の関係にある1つの化合物の2つの異性体を指す。「ジアステレオ異性体」とは、2つ以上のキラル中心があり、分子が互いに像と鏡像の関係にはない立体異性体を指し、それらの融点、沸点、スペクトル特性、反応性などの物理的性質が異なる。ジアステレオマーの混合物は、電気泳動やクロマトグラフィーなどの高分解能分析操作によって分離できる。 「互変異性体」とは、低エネルギー障壁で互いに変換できる、エネルギーの異なる構造異性体を指す。
【0060】
いくつかの実施形態において、本発明によって提供されるジフェニルプロペノン及びその誘導体の調製プロセスは、反応生成物の分離、精製又は再結晶化などのプロセスも関する。反応生成物は、溶媒除去法により反応系から粗生成物として得ることができる。化学的純度が高く、不純物含有量が少ない固形物を得るために、粗生成物を、適切な温度、光及び機械的振動などの条件下でアルコール溶媒、アルコールと水の混合溶媒、又は製品の再結晶に使用できる他の有機溶媒に溶解、結晶化又は沈殿又は再結晶させ、及び分離して、特定の結晶状態を有するジフェニルプロペノン及びその誘導体を得る。前記特定の結晶状態を有するジフェニルプロペノン及びその誘導体は、ジフェニルプロペノン及びその誘導体の結晶、又はジフェニルプロペノン及びその誘導体の溶媒和物である。前記ジフェニルプロペノン及びその誘導体の溶媒和物は、ジフェニルプロペノン及びその誘導体の水和物又はジフェニルプロペノン及びその誘導体のエタノール溶媒和物から選択することができる。
【0061】
本発明の「溶媒和物」は、本発明の化合物が、溶媒分子との接触中、外部条件及び内部条件の原因で、非共有結合の分子間力によって化学当量又は非化学当量の溶媒分子と結合して形成される共晶会合体を指す。溶媒和物を形成する溶媒には、水、アセトン、エタノール、メタノール、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、酢酸、及びイソプロパノールなどの溶媒が含まれるが、これに限定されない。「水和物」とは、水の溶媒分子によって形成される会合体又は結晶を指し、すなわち、非共有結合の分子間力によって化学当量又は非化学当量の水と結合して形成される化合物である。
【0062】
より高い化学的純度及びより低い不純物含有量を有する固体物質を得るために、本発明によって提供されるジフェニルプロペノン及びその誘導体の調製は、更に、塩析法によって後処理を行うことができる。前記塩析法は、酸・塩基の中和、酸・塩基の配位又は酸・塩基のキレート化の原理により、アミノ酸誘導体と対応する有機塩基、無機塩基、有機酸又は無機酸とを塩に形成させて沈殿させ、飼料に許容可能な塩を得るプロセスである。前記無機酸は、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、又はそれらの組み合わせを含むことでもよいが、これに限定されない。前記有機塩基は、アンモニア又はトリエチルアミンを含むことでもよいが、これに限定されない。前記無機塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、又は水酸化カルシウムを含むことでもよいが、これに限定されない。
【0063】
飼料に許容可能な塩は、本発明のジフェニルプロペノン及びその誘導体と、動物に対して無毒である有機塩基、無機塩基、有機酸又は無機酸とによって形成される塩である。前記「飼料に許容可能」とは、物質又は組成物が化学的又は毒物学的に適当でなければないことを指し、組成された飼料又はそれを食べる養殖動物に関連する。
【0064】
いくつかの実施形態において、ジフェニルプロペノン及びその誘導体は、エステル誘導体であり、後処理の塩析・沈殿プロセスにおいて、無機酸又は有機酸と酸・塩基配位塩及び/又は酸・塩基キレート塩を形成する。前記有機酸は、酢酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、マンデル酸塩、フマル酸塩、マロン酸塩、リンゴ酸塩、2-ヒドロキシプロピオン酸塩、ピルビン酸塩、シュウ酸塩、グリコール酸塩、サリチル酸塩、グルクロン酸塩、ガラクチトール酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、安息香酸塩、p-トルイル酸塩、ケイ皮酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、又はそれらの組み合わせを含むことでもよいが、これに限定されない。
【0065】
本発明は、ジフェニルプロペノン類化合物の応用に関する。
【0066】
本発明によって提供される一般式(I)のジフェニルプロペノン類化合物、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩が、動物用飼料添加物又は動物用飼料の調製に適用されるものである。
【0067】
本発明の「動物」とは、無機物質を有機物質に合成することはできなく、有機物のみを食物として摂食、消化、吸収、呼吸、循環、排泄、感覚、運動、及び繁殖などの生命活動を行う人又は養殖動物を指す。「養殖動物」は、家禽、家畜、養殖水産動物、及び猫や犬などのペットを含む、養殖下で合法的に捕獲されている他の動物を含む。「家畜」という用語は、例えば、ブタ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、シカ、及び多くの有用なげっ歯類の動物のいずれかを指す。「家禽」という用語は、例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、ハトなどを含む。「養殖水産動物」という用語は、例えば、魚、エビ、カメ、スッポンなどを含む。
【0068】
本発明によって提供されるジフェニルプロペノン類化合物、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩を利用して、様々な成長段階の動物の生産能力を改善するための非栄養添加物を調製する。前記動物は、様々な成長段階の家畜、家禽、養殖水産動物、又はペットから選択されてもよい。
【0069】
さらに、前記家畜は、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、ウサギ、ミンクまたはロバを含むことでもよいが、これに限定されない。前記家禽は、ニワトリ、七面鳥、アヒル、ガチョウ、ウズラ又はハトを含むことでもよいが、これに限定されない。前記養殖水産動物は、魚、エビ、カメ、カニ、スッポン、ブルフロッグ、タウナギ又はドジョウを含むことでもよいが、これに限定されない。前記ペットは、様々な亜種の犬又は猫を含むことでもよいが、これに限定されない。
【0070】
一実施例において、本発明によって提供されるジフェニルプロペノン類化合物、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩を使用して、ブタの生産能力を改善するための飼料添加物を調製することにより、ブタの1日当たりの平均体重増加及び飼料要求率を改善することができる。
【0071】
他の一実施例において、本発明によって提供されるジフェニルプロペノン類化合物、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩を使用して調製される飼料添加物は、肉用鶏や卵用鶏の生産能力を大幅に向上させることができる。
【0072】
他の一実施例において、本発明によって提供されるジフェニルプロペノン類化合物、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩を使用して、魚の生産能力を改善するための飼料添加物を調製する。
【0073】
動物用飼料添加物の調製に使用される本発明によって提供されるジフェニルプロペノン類化合物の飼料に許容可能な塩は、金属イオン塩である。
【0074】
前記ジフェニルプロペノン類化合物の飼料に許容可能な塩は、一般式(I)で示されるジフェニルプロペノン類化合物の金属イオン塩であってもよい。
【0075】
さらに、一般式(I)で示されるジフェニルプロペノン類化合物に活性Hが含まれる場合、前記金属イオン塩は、前記ジフェニルプロペノン類化合物の活性Hを金属イオンに交換して得られる、飼料添加物又は飼料の調製の要求を満たす塩である。
【0076】
具体的には、前記金属イオンは、一価の金属イオン、二価の金属イオン又は三価の金属イオンから選択される。
【0077】
いくつかの実施例において、前記一価の金属イオンは、ナトリウムイオン(Na(I))、カリウムイオン(K(I))又はリチウムイオン(Li(I))である。
【0078】
いくつかの実施例において、前記二価の金属イオンは、カルシウムイオンCa(II)、マグネシウムイオンMg(II)、銅イオンCu(II)、亜鉛イオンZn(II)、第一鉄イオンFe(II)、マンガンイオンMn(II)、コバルトイオンCo(II)又はニッケルイオンNi(II)である。
【0079】
一実施例において、動物用飼料添加物の調製に使用されるジフェニルプロペノン類化合物の金属イオン塩は、亜鉛イオン塩であり、前記動物用飼料添加物は、高用量の無機亜鉛代替物としての動物用有機亜鉛剤である。
【0080】
一実施例において、動物用飼料添加物の調製に使用されるジフェニルプロペノン類化合物の金属イオン塩は、銅イオン塩であり、前記動物用飼料添加物は、高用量の動物用無機銅代替物としての動物用有機銅である。
【0081】
一実施例において、動物用飼料添加物の調製に使用されるジフェニルプロペノン類化合物の金属イオン塩は、鉄イオン塩であり、前記動物用飼料添加物は、動物用の鉄分サプリメントである。
【0082】
いくつかの実施例において、前記三価の金属イオンは、アルミニウムイオンAl(III)、クロムイオンCr(III)又は鉄イオンFe(III)である。
【0083】
本発明の飼料組成物
【0084】
前記飼料組成物は、一般式(I)で示されるジフェニルプロペノン類化合物、その立体異性体、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩、ならびに給餌可能な補助材料、動物用飼料添加物、及び動物用飼料原料のうちの1つ又は複数を含む。
【0085】
さらに、前記給餌可能な補助材料は、担体、希釈剤、賦形剤、及び溶媒のうちの1つ又は複数から選択されるものである。
【0086】
本発明の飼料とは、工業的に加工及び製造され、動物に餌として与えられる製品を指す。
【0087】
本発明の「組成物」は、1つ又は複数の化合物を有効成分として含む化合物の群を指す。
【0088】
本発明で言及される「含む」は、本発明で明示的に言及される内容を含むだけでなく、他の態様を除外しない、オープンな表現である。
【0089】
本発明の「担体」とは、有効成分を支持することができ、その分散性を改善し、良好な化学的安定性及び吸着性を有する給餌可能な物質を指し、有機担体及び無機担体である。前記有機担体は、粗繊維を多く含む材料であり、とうもろこし粉、とうもろこし穂軸粉、ふすま、籾殻粉、脱脂米ぬか、米ぬか(rice mill by-product)、とうもろこしわら粉、ピーナッツ殻粉などを含むことでもよいが、これに限定されない。前記無機担体は、微量元素のプレミックスの製造に使用される、主にカルシウム塩系とシリコン酸化物系に分けられる鉱物であり、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、バーミキュライト、ゼオライト、セピオライトなどを含むことでもよいが、これに限定されない。
【0090】
本発明の「希釈剤」とは、添加剤の原料を材料中に均一に分配し、高濃度の添加剤の原料を低濃度のプレミックスに希釈する物質を指す。微量成分を互いに分離することにより、有効成分間の相互反応を減らし、関連物質の物理的及び化学的性質には影響することなく有効成分の安定性を高めることができる。希釈剤は、有機希釈剤及び無機希釈剤である。有機希釈剤は、とうもろこし粉、胚芽を除いたとうもろこし粉、デキストロース(グルコース)、スクロース、ふすまを含むセモリナ粉、揚げ大豆粉、小麦ミドリング(次粉)、トウモロコシタンパク質粉を含むことでもよいが、これに限定されない。無機希釈剤には、石灰石、リン酸二水素カルシウム、シェルパウダー、カオリン(白い粘土)、食卓塩、及び硫酸ナトリウムを含むことでもよいが、これに限定されない。
【0091】
前記賦形剤は、物質の固有粘度を誘発する湿潤剤、物質を結合する結合剤、物質のシート全体を多くの微粒子に分解する崩壊剤、粒子間の摩擦を減らすための保持補助剤又は材料の付着を防ぐための粘着防止剤であり、ステアリン酸マグネシウム、タルカムパウダー、植物油、ラウリル硫酸マグネシウム、でんぷん、でんぷんスラリー、水、無機塩、デキストリン、粉砂糖を含むことでもよいが、これに限定されない。
【0092】
本発明の「溶媒」は、固体を溶解又は分散させるのに必要な溶媒を指し、水、エタノール、グリセリンなどを含むことでもよいが、これに限定されない。
【0093】
前記動物用飼料添加物は、栄養飼料添加物、一般的な飼料添加物、又は医薬用飼料添加物のうちの1つ又は複数である。
【0094】
前記栄養飼料添加物とは、飼料栄養素のバランスを取り、飼料の利用を改善し、動物に直接栄養効果を及ぼすために配合飼料に添加される少量又は微量の物質を指し、アミノ酸、アミノ酸塩とその類似体、ビタミン、ビタミンの類似体、ミネラル要素とその複合体(キレート)、微生物酵素製剤又は非タンパク質窒素である。
【0095】
前記一般的な飼料添加物は非栄養添加物とも呼ばれ、飼料の利用を改善し、飼料の品質を確保するために飼料に添加される動物の健康や代謝に有益なの非栄養物質を指し、成長促進剤、防虫剤、調味料及び食欲増進剤、飼料改質剤、飼料修飾剤、飼料貯蔵剤及び中国の漢方薬添加物を含む。
【0096】
より具体的には、前記非栄養添加物は、成長促進剤であり、酪酸、酪酸カルシウム、酪酸ナトリウム、タンニン酸、p-チモール、p-チモールエステル、p-チモール塩、2-ヒドロキシ安息香酸、β-酸、β-エステル、β-酸塩、ヘキサヒドロβ-酸、ヘキサヒドロβ-エステル、ヘキサヒドロβ-酸塩、安息香酸又は安息香酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛を含むことでもよいが、これに限定されない。
【0097】
一実施例において、前記非栄養添加物は酪酸カルシウムである。
【0098】
他の一実施例において、前記非栄養添加物はタンニン酸である。
【0099】
前記医薬用飼料添加物は、動物の病患を予防し、動物の成長を促進する機能を有し、長期間飼料に添加されるために担体又は希釈剤を組み込む動物用医薬品プレミックスを含むことでもよいが、これに限定されない。
【0100】
具体的には、前記医薬用飼料添加物は、ポリミキシン、サリノマイシン、アベラマイシン、バシトラシン、バージニアマイシン、ノシヘプチド、フラボマイシン、エンラマイシン、キトリマイシン、オラキンドックス、オキシテトラサイクリン又はクロルテトラサイクリンを含むことでもよいが、これに限定されない飼料用抗生物質である。
【0101】
前記動物用飼料原料は、穀物とその加工品、油糧種子とその加工品、マメ科植物の種子とその加工品、塊茎、ルートとその加工品、他の種子、果物製品とその加工品、飼料草、粗飼料とその加工品、他の植物、藻類とその加工製品、乳製品とその副産物、陸生動物製品とその副産物、魚、他の水生生物とその副産物、鉱物、微生物発酵産物と副産物、他の飼料原料などの飼料物質である。
【0102】
飼料組成物の用法:
本発明は、上記のジフェニルプロペノン類化合物、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩を含む飼料組成物の応用に関するものである。
【0103】
いくつかの実施例において、上記のジフェニルプロペノン類化合物、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩を含む飼料組成物は、動物用飼料添加物の調製に応用される。
【0104】
上記のジフェニルプロペノン類化合物、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩を含む飼料組成物を使用して調製される動物用飼料添加物は、家畜用飼料添加物、家禽用飼料添加物、養殖水産動物用飼料添加物又はペット用飼料添加物である。
【0105】
具体的には、上記のジフェニルプロペノン類化合物、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩を含む飼料組成物を使用して家畜用飼料添加物を調製する場合、前記家畜は、様々な成長段階のブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、ウサギ、ミンクなどを含むことでもよいが、これに限定されない。
【0106】
具体的には、上記のジフェニルプロペノン類化合物、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩を含む飼料組成物を使用して家禽用飼料添加物を調製する場合、前記家禽は、様々な成長段階のニワトリ、アヒル、ガチョウ、ハトなどを含むことでもよいが、これに限定されない。
【0107】
具体的には、上記のジフェニルプロペノン類化合物、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩を含む飼料組成物を使用して養殖水産動物用飼料添加物を調製する場合、前記養殖水産動物は、様々な成長段階の魚、エビ、カニ、スッポン、タウナギなどを含むことでもよいが、これに限定されない。
【0108】
具体的には、上記のジフェニルプロペノン類化合物、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩を含む飼料組成物を使用してペット用飼料添加物を調製する場合、前記ペットは、養殖下の犬又は猫を含むことでもよいが、これに限定されない。
【0109】
いくつかの実施例において、上記のジフェニルプロペノン類化合物、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩を含む組成物で調製される動物用飼料添加物は、プレミックス、複合プレミックス、液体又は顆粒。
【0110】
いくつかの実施例において、上記のジフェニルプロペノン類化合物、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩を含む飼料組成物は、動物用飼料の調製に適用される。
【0111】
上記のジフェニルプロペノン類化合物、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩を含む飼料組成物を使用して調製される動物用飼料は、家畜用飼料、家禽用飼料、養殖水産動物用飼料又はペット用飼料である。
【0112】
具体的には、上記のジフェニルプロペノン類化合物、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩を含む飼料組成物を使用して家畜用飼料を調製する場合、前記家畜は、様々な成長段階のブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、ウサギ、ミンクなどを含むことでもよいが、これに限定されない。
【0113】
具体的には、上記のジフェニルプロペノン類化合物、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩を含む飼料組成物を使用して家禽用飼料を調製する場合、前記家禽は、様々な成長段階のニワトリ、アヒル、ガチョウ、ハトなどを含むことでもよいが、これに限定されない。
【0114】
具体的には、上記のジフェニルプロペノン類化合物、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩を含む飼料組成物を使用して養殖水産動物用飼料を調製する場合、前記養殖水産動物は、様々な成長段階の魚、エビ、カニ、スッポン、タウナギなどを含むことでもよいが、これに限定されない。
【0115】
具体的には、上記のジフェニルプロペノン類化合物、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩を含む飼料組成物を使用してペット用飼料を調製する場合、前記ペットは、養殖下の犬又は猫を含むことでもよいが、これに限定されない。
【0116】
いくつかの実施例において、ジフェニルプロペノン類化合物、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩を含む飼料組成物で調製される飼料は、単一飼料、濃縮飼料、配合飼料、複合プレミックス又は濃縮サプリメント。
【0117】
具体的には、前記配合飼料は、完全配合飼料である。
【0118】
養殖動物の生産能力を改善する方法:
いくつかの給餌の実施例において、養殖農民は、ジフェニルプロペノン類化合物、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩を含む飼料添加物を飼料と混合して動物に与えることで、動物の生産能力を大幅に改善することができる。
【0119】
いくつかの実施例において、前記飼料添加物は、プレミックス、複合プレミックス、顆粒又は液体であり、動物用飼料と混合されて動物に与えられる。
【0120】
前記動物は、家畜、家禽、養殖水産動物又はペットである。
【0121】
さらに、前記家畜は、様々な成長段階のブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、ウサギ、ミンクなどを含むことでもよいが、これに限定されない。前記家禽は、様々な成長段階のニワトリ、アヒル、ガチョウ、ハトなどを含むことでもよいが、これに限定されない。前記養殖水産動物は、様々な成長段階の魚、エビ、カニ、スッポン、タウナギなどを含むことでもよいが、これに限定されない。前記ペットは、養殖下の犬又は猫を含むことでもよいが、これに限定されない。
【0122】
一実施例において、養殖農民は、ジフェニルプロペノン類化合物、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩を含む飼料添加物を飼料と混合して離乳豚に与えることで、離乳豚の1日の平均体重増加率及び飼料要求率を大幅に向上させることができる。
【0123】
一実施例において、養殖農民は、ジフェニルプロペノン類化合物、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩を含む飼料添加物を飼料と混合して肉用鶏に与えることで、肉用鶏の飼料と肉との比率を減少させ、飼料要求率を大幅に向上させることができる。
【0124】
一実施例において、養殖農民は、ジフェニルプロペノン類化合物、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩を含む飼料添加物を飼料と混合して魚に与える。
【0125】
一実施例において、養殖農民は、ジフェニルプロペノン類化合物、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩を含む飼料添加物を飼料と混合して子犬に与える。
【0126】
他のいくつかの給餌の実施例において、養殖農民は、ジフェニルプロペノン類化合物、その幾何異性体、その互変異性体、その溶媒和物、若しくはその飼料に許容可能な塩を含む飼料組成物を動物に与えることで、動物の生産能力を大幅に改善することができる。
【0127】
前記飼料組成物は、飼料添加物プレミックス、飼料添加物複合プレミックス、顆粒又は液体であり、飼料と混合されて動物に与えられてもよい。
【0128】
一実施例において、前記飼料組成物は、飼料添加物プレミックスである。
【0129】
一実施例において、前記飼料組成物は、飼料添加物複合プレミックスである。
【0130】
前記飼料組成物は、濃縮飼料、配合飼料、複合プレミックス又は濃縮サプリメントであり、動物用飼料として動物に直接与えられてもよい。
【0131】
一実施例において、前記飼料組成物は、完全配合飼料である。
【0132】
養殖試験:
養殖試験に関与したジフェニルプロペノン及びその誘導体を表1に示している。
【実施例1】
【0133】
豚の生産能力に対するジフェニルプロペノン及びその誘導体の影響
【0134】
同様の体重の65日齢の300匹の「Duzhangda」スリーウェイクロス(three-way crossbred)の赤身肉用子豚をランダムに10の治療群に分け、群ごとに3つのリプリケート、リプリケートごとに10匹、オスとメスを、それぞれ半分と半分とした。試験の前に、豚舎及び調理器具を滅菌した。試験期間中、ブタは、同じ豚舎及び同じ養殖条件下で別々の囲いに養殖された。試験期間中、試験豚は、自由に飲食し、1日2回給餌された。各試験群は、対照群及び試験群II~Xである。表2に示すように、対照群には基礎食のみを与え、試験群II~Xには、基礎食に基づいて500ppmの異なるジフェニルプロペノン及びその誘導体を補給した食餌を与えた。全体の養殖期間において、各試験群には、他の抗酸化成分や成長促進剤を追加しなかった。試験期間を28日とし、1つのリプリケートを単位とし、93日齢で水を止めずに飼料を12時間止めた後体重を測定し、各試験群の1日当たりの平均飼料摂取量(ADFI、g / d *匹)、1日当たりの平均体重増加(ADG、g / d *匹)、及び飼料と肉の比率(FCR)を計算した。次のように計算された。
【0135】
1日当たりの平均飼料摂取量=(飼料の総量-残りの量)/(試験日数×リプリケート当たりの豚の数)
1日当たりの平均体重増加=(試験終了時の平均体重-試験開始時の平均体重)/試験日数飼料と肉の比率= 1日当たりの平均飼料摂取量/ 1日当たりの平均体重増加
【0136】
試験結果を表2に示す。本実験で使用した試験サンプルが試験豚の生産能力に及ぼす影響を、飼料摂取量、体重増加、飼料要求率の観点から評価した。結果により、試験サンプルは試験豚の飼料摂取量に明らかな影響を及ぼさないが、各試験群の1日の平均体重増加は、飼料摂取量が対照群よりも少ないかどうかに関係なく、さまざまな程度に増加していた。その中で、試験群VIIは最も明らかであった。飼料と肉の比率については、各試験群は対照群と比較して、約3%~5%減少したことが分かった。
【0137】
【実施例2】
【0138】
肉用鶏の生産能力に対するジフェニルプロペノン及びその誘導体の影響
【0139】
本試験は、単一因子ランダム設計を採用した。同様の体重の平均体重50gの黄色い羽の肉用鶏(三黄羽肉鶏)600匹をランダムに10の治療群に分け、群ごとに3つのリプリケート、オスとメスを、それぞれ半分と半分とし、リプリケートごとに20匹の黄色い羽の肉用鶏とした。試験の前に、鶏舎及び調理器具を滅菌した。試験期間中、肉用鶏は、同じ鶏舎及び同じ養殖条件下で養殖された。基礎食は主にとうもろこし-大豆粕であり、全体の養殖期間において、他の抗酸化成分や成長促進剤を追加しなかった。各試験群は、対照群及び試験群I~Xである。試験群Iは基礎食のみを与えた対照群Iであり、試験群II~Xには、それぞれ350ppmの異なるジフェニルプロペノン及びその誘導体を基礎食に加えた。群分けを表3に示している。試験期間は20日とし、試験鶏は、自由に飲んだり食べたり、1日2回給餌された。1つのリプリケートを単位とし、21日齢で体重を測定し(水を止めずに飼料を12時間止め)、試験鶏の飼料消費量を統計し、各試験鶏の1日当たりの平均飼料摂取量(ADFI、g / d *匹)、1日当たりの平均体重増加(ADG、g / d *匹)、及び飼料と肉の比率(FCR)を計算した。
【0140】
飼料と肉の比率(FCR)= 1日当たりの平均飼料摂取量/ 1日当たりの平均体重増加
【0141】
試験結果を表3に示す。結果により、試験サンプルは試験鶏の飼料摂取量に明らかな影響を及ぼさなく、1日当たりの平均体重増加への影響を対照群と比較して、試験群II以外の各試験群の1日当たりの平均体重増加は、4.6%~19.5%増加し、試験サンプルは、各試験群の飼料と肉の比率に改善効果があり、全体的に約1.3%~7.2%減少したことが分かった。
【0142】
【実施例3】
【0143】
魚用飼料へのジフェニルプロペノン及びその誘導体の応用
【0144】
使用した試験魚は、ソウギョであり、試験は、広州英賽特試験場の水生養殖場で行われた。仕様が同じで健康で活気のあるソウギョ種は、正式な養殖試験に使用される前に、大きなケージで4週間養殖された。実験システムは、浮かぶ小さなケージであった。小さなケージと一時的なケージは、両方とも3500m2、深さが約1.5m、水が完全に曝気された底水である試験場の池に置かれた。試験中、1日空腹だった400匹のソウギョをランダムに10群に分け、群ごとに4つのリプリケート、リプリケートごとに10匹の魚とし、全体的に体重を測定した後、ランダムに40個のケージに入れ、異なる試験用飼料をそれぞれ与えた。試験用飼料はセルフ調製され、異なる試験群には、基本的な飼料に250ppmの異なるジフェニルプロペノン及びその誘導体を加えた飼料を与えた。群分けを表4に示す。この試験では人工制限給餌を採用し、給餌量を週1回調整し、各群の給餌量は(初期体重に応じて)全く同じであり、1日2回(7:30及び15:00)給餌し、合計580gであった。この試験は8週間行われた。
【0145】
パラメータの計算:
体重増加率(%)=(平均最終体重-平均初期体重)/平均初期体重*100
飼料パラメータ= 580 /(平均最終体重-平均初期体重)
【0146】
魚に対する異なるジフェニルプロペノン及びその誘導体の成長促進試験の結果を表4に示した。結果により、ジフェニルプロペノン及びその誘導体を添加した試験群は、対照群と比較して、体重増加及び飼料要求率に対して明らかな改善効果を示さなかったが、各試験群の試験用魚の生存率は対照群よりも明らかに高かった。
【0147】
【0148】
上述した実施例の各技術的特徴は任意に組み合わせることができる。記述の簡潔化のために、上述した実施例における各技術的特徴のあらゆる組合せについて説明していないが、これらの技術的特徴の組合せは矛盾しない限り、本明細書に記述されている範囲内であると考えられるべきである。
【0149】
上述した実施例は、本発明のいくつかの実施形態を示したものにすぎず、その記述が具体的かつ詳細であるが、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。なお、当業者にとって、本発明の趣旨から逸脱しないかぎり、若干の変形及び改良を行うことができ、これらもすべて本発明の保護範囲内にある。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に準ずるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2021-09-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
より高い化学的純度及びより低い不純物含有量を有する固体物質を得るために、本発明によって提供されるジフェニルプロペノン及びその誘導体の調製は、更に、塩析法によって後処理を行うことができる。前記塩析法は、酸・塩基の中和、酸・塩基の配位又は酸・塩基のキレート化の原理により、アミノ酸誘導体と対応する有機塩基、無機塩基、有機酸又は無機酸とを塩に形成させて沈殿させ、飼料に許容可能な塩を得るプロセスである。前記無機酸は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸、又はそれらの組み合わせを含むことでもよいが、これに限定されない。前記有機塩基は、アンモニア又はトリエチルアミンを含むことでもよいが、これに限定されない。前記無機塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、又は水酸化カルシウムを含むことでもよいが、これに限定されない。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
いくつかの実施形態において、ジフェニルプロペノン及びその誘導体は、エステル誘導体であり、後処理の塩析・沈殿プロセスにおいて、無機酸又は有機酸と酸・塩基配位塩及び/又は酸・塩基キレート塩を形成する。前記有機酸は、酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、リンゴ酸、2-ヒドロキシプロピオン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、グルクロン酸、ガラクチトール酸、クエン酸、酒石酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、p-トルイル酸、ケイ皮酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、又はそれらの組み合わせを含むことでもよいが、これに限定されない。
【国際調査報告】