IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 上海拓界生物医薬科技有限公司の特許一覧

特表2022-509149ピリミジンと5員窒素ヘテロ環の誘導体、その製造方法、およびそれらの医学的使用
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(54)【発明の名称】ピリミジンと5員窒素ヘテロ環の誘導体、その製造方法、およびそれらの医学的使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20220113BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20220113BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20220113BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20220113BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220113BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220113BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
C07D487/04 144
C07D487/04 CSP
C07D519/00 301
C07D519/00 311
A61K31/519
A61K31/5377
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021528869
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(85)【翻訳文提出日】2021-07-19
(86)【国際出願番号】 CN2019121844
(87)【国際公開番号】W WO2020108590
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】201811452514.5
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910577816.3
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】521218294
【氏名又は名称】上海拓界生物医薬科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】TUOJIE BIOTECH(SHANGHAI) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 103, No.14 Building, No.3728 Jinke Road, Free Trade Pilot Zone, Pudong New Area, Shanghai 201203, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】鄒 昊
(72)【発明者】
【氏名】李 正涛
(72)【発明者】
【氏名】王 元昊
(72)【発明者】
【氏名】余 健
(72)【発明者】
【氏名】祝 偉
【テーマコード(参考)】
4C050
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB05
4C050CC08
4C050EE03
4C050FF05
4C050GG04
4C050GG05
4C050HH04
4C072MM02
4C072MM06
4C072UU01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086CB05
4C086CB08
4C086CB09
4C086CB22
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC20
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、ピリミジンと5員窒素ヘテロ環の誘導体、その製造方法、およびそれらの医学的使用に関する。特に、本発明は、一般式(I)で表されるピリミジンと5員窒素ヘテロ環の誘導体、その製造方法、該誘導体を含有する医薬組成物、および、腫瘍または癌の予防および/または治療に使用するためのSHP2阻害剤としてのそれらの使用に関するものであり、ここで、一般式(I)の置換基は、それぞれ、明細書に定義されたとおりである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
[式中、
は、水素原子、重水素原子、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ハロゲン、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、アルケニル、およびヒドロキシアルキルからなる群から選択され;
は、
【化2】
であり、
は、-S-、-NH-、-S(O)-、-S(O)-NH-、-C(=CH)-、-S(O)-、および結合からなる群から選択され;
環Aは、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、該シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、それぞれ独立して、5~12員の単環または多環であり;
各Rは、独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、C3-8シクロアルキル、3~12員のヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、C2-6アルケニル、C4-8シクロアルケニル、C2-6アルキニル、-CHR、-NR、-アルケニル-NR、-アルケニル-O-R、-アルケニル-C(O)、-アルケニル-R、-アルケニル-CO-NR、-アルケニル-NR-CO-NR、-アルケニル-NR-C(O)R、-C(O)NR、-C(O)R、-CO-アルケニル-NR、-NRC(O)R、-C(O)、-O-アルケニル-CO-OR、-O-アルケニル-CO-NR、-O-アルケニル-NR、-OR、-SR、-NR-CO-NR、-NR-アルケニル-NR、-NR-アルケニル-R、-NRS(O)、-NRS(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)NR、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-P(O)R、-N(S(O)R)、および、-S(O)(NR)Rからなる群から選択され、ここで、該アルキル、アルコキシ、アリール、およびヘテロアリールは、それぞれ独立して、任意に、ハロゲン、水素原子、重水素原子、シアノ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、および、ハロアルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基によってさらに置換されていてもよく;
nは、0、1、2、3、4、および5からなる群から選択され;
、X、およびXは、それぞれ独立して、CRおよびNからなる群から選択され、ここで、それらのうちの少なくとも1つはNであり、そして、好ましくは、Xは、CRであり;
は、水素原子、重水素原子、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルチオ、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボニル、カルボキシ、ハロゲン、およびシアノからなる群から選択され;
は、水素、C1-6アルキル、3~12員の単環式ヘテロシクリルまたは多環式ヘテロシクリル、およびC3-8シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、該アルキル、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルは、それぞれ独立して、任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-3アルキル、アミノ、アルキルアミノ、ヒドロキシアルキル、およびアルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく;
は、水素、ヒドロキシ、C1-6アルキル、およびC3-8シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、該アルキルまたはシクロアルキルは、任意に、1つ以上のアミノによって置換されていてもよく;あるいは、
およびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、3~12員の単環式ヘテロシクリルまたは多環式ヘテロシクリルを形成し、ここで、該単環式ヘテロシクリルまたは多環式ヘテロシクリルは、任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、ハロゲン置換または非置換のC1-6アルキル、アミノ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキルアミノ、ハロゲン置換または非置換のアルコキシ、および、-NRS(O)NRからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく;あるいは、
およびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、構造:
【化3】
を形成し、
上式中、sおよびtは、それぞれ独立して、0および1からなる群から選択され;
6aおよびR6bは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、フッ素原子、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、フッ素置換または非置換のアルキル、および、フッ素置換または非置換のアルコキシからなる群から選択されるか;あるいは、R6aおよびR6bは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、CO、C=NH、C=N-OH、3~12員のヘテロシクリル、またはC3-8シクロアルキルを形成し;
pは、0、1、2、3、および4からなる群から選択され;
7aおよびR7bは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、フッ素原子、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、フッ素置換または非置換のアルキル、フッ素置換または非置換のアルコキシ、および、-NRS(O)NRからなる群から選択され;
あるいは、R7aおよびR7bは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3~12員のヘテロシクリル、5~10員のヘテロアリール、C3-8シクロアルキル、およびC=NR7cを形成し、ここで、該環は、任意に置換されていてもよく;
7cは、水素原子、重水素原子、およびC1-6アルキルからなる群から選択され;
qは、0、1、2、3、および4からなる群から選択され;
Wは、存在しないか、あるいは、-O-、-S-、および、-NR-からなる群から選択され;
は、水素原子、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、-C(O)C1-6アルキル、-C(O)1-6アルキル、C1-6アルキルエーテル、ハロゲン置換または非置換のC1-6アルキル、および、ハロゲン置換または非置換のC1-6アルコキシからなる群から選択され;
環Bは、存在しないか、あるいは、3~10員環であり;
【化4】
は、単結合、または二重結合であり;
環Bが存在しない場合、Yは、CR2a2b、NR2a、またはOであり、Yは、CR3a3b、NR3a、またはOであり;
環Bが3~10員環である場合、
3)Yは、CR2aまたはNであり、Yは、CR3aまたはNであり、
【化5】
は、単結合であり;または、
4)Yは、Cであり、および、Yは、Cであり、
【化6】
は、二重結合であり;
2a、R2b、R3a、およびR3bは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、シアノ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、C3-8シクロアルキル、3~12員のヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、C2-6アルケニル、C4-8シクロアルケニル、C2-6アルキニル、-NR、-アルケニル-NR、-アルケニル-O-R、-アルケニル-C(O)、-アルケニル-R、-アルケニル-CO-NR、-アルケニル-NR-CO-NR、-アルケニル-NR-C(O)R、-C(O)NR、-C(O)R、-CO-アルケニル-NR、-NRC(O)R、-C(O)、-O-アルケニル-CO-OR、-O-アルケニル-CO-NR、-O-アルケニル-NR、-OR、-SR、-NR-CO-NR、-NR-アルケニル-NR、-NR-アルケニル-R、-NRS(O)、-NRS(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)NR、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-P(O)R、-N(S(O)R)、および、-S(O)(NR)R、からなる群から選択され、ここで、該アリールおよびヘテロアリールは、それぞれ独立して、任意に、ハロゲン、水素原子、重水素原子、シアノ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、およびハロアルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基によってさらに置換されていてもよく;
およびRは、それぞれ独立して、水素、重水素原子、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、C3-8シクロアルキル、5~10員のヘテロアリール、およびアリールからなる群から選択され、ここで、該アリールおよびヘテロアリールは、それぞれ独立して、任意に、ハロゲン、水素原子、重水素原子、シアノ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、およびハロアルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基によってさらに置換されていてもよく;
mは、0、1、2、3、および4からなる群から選択され;および、
各Rは、独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、C1-6アルキル、およびC1-6アルコキシからなる群から選択され;
あるいは、2つのRは、一緒に結合して、フェニル、5員のヘテロアリール、6員のヘテロアリール、または、3~6員のヘテロシクリルを形成し、ここで、各環は、任意に、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、およびC1-6アルキルからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。]
で示される化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項2】
およびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、構造:
【化7】
[式中、
sおよびtは、それぞれ独立して、0および1からなる群から選択され;
6aおよびR6bは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、C1-6アルキル、およびC1-6アルコキシからなる群から選択されるか;あるいは、R6aおよびR6bは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3~12員のヘテロシクリル、またはC3-8シクロアルキルを形成し;
pは、0、1、および2からなる群から選択され;
7aおよびR7bは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、アミノ、C1-6アルキル、および、-NRS(O)NR、からなる群から選択され、ここで、RおよびRは、請求項1に定義されたとおりであり;
qは、1または2であり;
Wは、存在せず;
環Bは、存在しないか、あるいは、3~10員環であり;
【化8】
は、単結合、または二重結合であり;
環Bが存在しない場合、Yは、CR2a2b、またはOであり、Yは、CR3a3bであり;または、
環Bが3~10員環である場合、
は、CR2aまたはNであり、Yは、CR3aまたはNであり、
【化9】
は、単結合であり;または、
は、Cであり、および、Yは、Cであり、
【化10】
は、二重結合であり;
2a、R2b、およびR3aは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、およびC1-6アルキルからなる群から選択され;
mは、0、1、2、3、および4からなる群から選択され;および、
各Rは、独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、C1-6アルキル、および、C1-6アルコキシからなる群から選択され;
あるいは、2つのRは、一緒に結合して、フェニル、5員のヘテロアリール、6員のヘテロアリール、または、3~6員のヘテロシクリルを形成し、ここで、各環は、任意に、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、およびC1-6アルキルからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。]
を形成している、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
およびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、構造:
【化11】
[式中、
環Bは、ベンゼン環、5員のヘテロ芳香環、および、6員のヘテロ芳香環、好ましくは、ベンゼン環またはピリジン環、からなる群から選択され;
各Rは、独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、シアノ、C1-6アルキル、およびC1-6アルコキシからなる群から選択され;および、
mは、0、1、2、3、および4からなる群から選択される。]
を形成している、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
およびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、構造:
【化12】
[式中、
およびR10は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ヒドロキシ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロゲン、C1-6ヒドロキシアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アミノ、C1-6アルキルアミノ、および、-NRS(O)NR、からなる群から選択され、好ましくは、水素原子、重水素原子、C1-6アルキル、アミノ、および、-NRS(O)NR、からなる群から選択され;または、
およびRは、請求項1に定義されたとおりである。]
を形成している、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が、-S-、または結合であり;
環Aが、アリールまたはヘテロアリールであり;
各Rが、独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、C1-6アルキル、ハロC1-6アルキル、ハロC1-6アルコキシ、C1-6アルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、ヒドロキシ、およびフェニルからなる群から選択され、ここで、該フェニルが、任意に、ハロゲン、水素原子、重水素原子、シアノ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、およびハロアルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基によってさらに置換されていてもよく;各Rが、好ましくは、水素原子、重水素原子、ハロゲン、ハロC1-6アルキル、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロC1-6アルコキシ、およびフェニルからなる群から選択され、ここで、該フェニルが、任意に、ハロゲン、水素原子、重水素原子、シアノ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、およびハロアルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基によってさらに置換されていてもよく;および、
nが、0、1、2、3、4、および5からなる群から選択される、
請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
、X、およびXが、それぞれ独立して、CRおよびNからなる群から選択され、ここで、それらのうちの少なくとも1つが、Nであり、好ましくは、Xが、CRであり、および、Rが、水素原子である、請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
およびXが両方、CRであり、Xが、Nであり、あるいは、Xが、CRであり、XおよびXが両方、Nであり、および、Rが、水素原子である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
が、水素原子、重水素原子、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、アミノ、および、ヒドロキシからなる群から選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
が、水素原子、重水素原子、C1-6アルキル、およびアミノからなる群から選択され;
が、-S-、または結合であり;
環Aが、アリールまたはヘテロアリールであり;
各Rが、独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、ハロC1-6アルキル、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロC1-6アルコキシ、および置換フェニルからなる群から選択され;
nが、0、1、2、3、4、および5からなる群から選択され;
、X、およびXが、それぞれ独立して、CRおよびNからなる群から選択され、ここで、それらのうちの少なくとも1つが、Nであり、好ましくは、Xが、CRであり、および、Rが、水素原子であり;
およびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、構造:
【化13】
を形成し、および、
およびR10が、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、C1-6アルキル、アミノ、および、-NRS(O)NR、からなる群から選択され、ここで、RおよびRが、請求項1に定義されたとおりである、
請求項1または4に記載の化合物。
【請求項10】
が、水素原子、重水素原子、C1-6アルキル、およびアミノからなる群から選択され;
が、-S-、または結合であり;
環Aが、アリールまたはヘテロアリールであり;
各Rが、独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、ハロC1-6アルキル、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロC1-6アルコキシ、および置換フェニルからなる群から選択され;
nが、0、1、2、3、4、および5からなる群から選択され;
、X、およびXが、それぞれ独立して、CRおよびNからなる群から選択され、ここで、それらのうちの少なくとも1つが、Nであり、好ましくは、Xが、CRであり、および、Rが、水素原子であり;
6aおよびR6bが、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、C1-6アルキル、およびC1-6アルコキシからなる群から選択されるか;あるいは、R6aおよびR6bが、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3~12員のヘテロシクリル、または、C3-8シクロアルキルを形成し;
pが、1または2であり;
7aおよびR7bが、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、アミノ、C1-6アルキル、および、-NRS(O)NR、からなる群から選択され、ここで、RおよびRが、請求項1に定義されたとおりであり;
qが、1または2であり;
Wが、存在せず;
環Bが、存在せず、Yが、CR2a2b、またはOであり、Yが、CR3a3bであり;および、
2a、R2b、R3a、およびR3bが、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、およびC1-6アルキルからなる群から選択される、
請求項1または2に記載の化合物。
【請求項11】
が、水素原子、重水素原子、C1-6アルキル、およびアミノからなる群から選択され;
が、-S-、または結合であり;
環Aが、アリールまたはヘテロアリールであり;
各Rが、独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、ハロC1-6アルキル、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロC1-6アルコキシ、および置換フェニルからなる群から選択され;
nが、0、1、2、3、4、および5からなる群から選択され;
、X、およびXが、それぞれ独立して、CRおよびNからなる群から選択され、ここで、それらのうちの少なくとも1つが、Nであり、好ましくは、Xが、CRであり、および、Rが、水素原子であり;
6aおよびR6bが、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、C1-6アルキル、およびC1-6アルコキシからなる群から選択され;
pが、1または2であり;
7aおよびR7bが、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、アミノ、C1-6アルキル、および、-NRS(O)NR、からなる群から選択され、ここで、RおよびRが、請求項1に定義されたとおりであり;
qが、1または2であり;
Wが、存在せず;
環Bが、フェニル、5員のヘテロアリール、および、6員のヘテロアリールからなる群から選択され、;
が、Cであり、Yが、Cであり、
【化14】
が、二重結合であり;
各Rが、独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、C1-6アルキル、およびC1-6アルコキシからなる群から選択され;および、
mが、0、1、2、3、および4からなる群から選択される、
請求項1~3、5、6、および8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
およびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって、構造:
【化15】
を形成し、
が、水素原子、C1-6アルキル、およびアミノからなる群から選択され;
が、-S-、または結合であり;
環Aが、アリールまたはヘテロアリール、好ましくは、フェニルまたはピリジル、であり;
各Rが、独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、シアノ、アミノ、ハロC1-6アルキル、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロC1-6アルコキシ、C1-6アルキルアミノ、ハロC1-6アルキルアミノ、C3-8シクロアルキル、3~12員のヘテロシクリル、-OR、-CHR、および、-NRRからなる群から選択され;
およびRが、それぞれ独立して、水素、重水素原子、ヒドロキシ、C1-6アルキル、およびC3-8シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、該アルキル、ヘテロシクリルおよびシクロアルキルが、それぞれ独立して、任意に、ハロゲン、重水素原子、シアノ、アミノ、および、ヒドロキシからなる群から選択される1つ以上の置換基によってさらに置換されていてもよく;
nが、0、1、2、3、4、および5からなる群から選択され;
が、Nであり、XおよびXが、それぞれ独立して、CRであり、および、Rが、水素原子であり;
sおよびtが、それぞれ独立して、0および1からなる群から選択され;
6aおよびR6bが、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、C1-6アルキル、およびC1-6アルコキシからなる群から選択され;
pが、1であり;
7aおよびR7bが、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、アミノ、およびC1-6アルキルからなる群から選択され;
qが、1であり;
Wが、存在せず;
環Bが、ベンゼン環、5員のヘテロ芳香環、および、6員のヘテロ芳香環からなる群から選択され、好ましくは、ベンゼン環またはピリジン環であり;
が、Cであり、Yが、Cであり;
各Rが、独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、C1-6アルキル、およびC1-6アルコキシからなる群から選択され;および、
mが、0、1、2、3、および4からなる群から選択される、
請求項1または2に記載の化合物。
【請求項13】
式(II):
【化16】
[式中、
は、水素原子、C1-6アルキル、ハロアルキル、およびアミノからなる群から選択され;
は、-S-、または結合であり;
環Aは、アリールまたはヘテロアリール、好ましくは、フェニルまたはピリジル、であり;
各Rは、独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、シアノ、アミノ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロC1-6アルキル、ハロC1-6アルコキシ、C3-8シクロアルキル、3~12員のヘテロシクリル、-OR、-CHR、および、-NRからなる群から選択され;
およびRは、それぞれ独立して、水素、重水素原子、ヒドロキシ、C1-6アルキル、およびC3-8シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、該アルキル、ヘテロシクリルおよびシクロアルキルは、それぞれ独立して、任意に、ハロゲン、重水素原子、シアノ、アミノ、およびヒドロキシからなる群から選択される1つ以上の置換基によってさらに置換されていてもよく;
環Bは、ベンゼン環、5員のヘテロ芳香環、および、6員のヘテロ芳香環からなる群から選択され、好ましくは、ベンゼン環またはピリジン環であり;
各Rは、独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、シアノ、C1-6アルキル、およびC1-6アルコキシからなる群から選択され;
mは、0、1、2、3、および4からなる群から選択され;および、
nは、1、2、3、および4からなる群から選択される。]
で示される化合物である、請求項1~3、5~8、および12のいずれか1項に記載の化合物、その互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項14】
下記の化合物:
【化17】

【化18】

【化19】
のいずれかである、請求項1~13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
請求項1~12および14のいずれか1項に記載の化合物の製造方法であって、
式(I)の化合物が、式(I-A)の化合物、または式(I-B)の化合物であり、工程:
【化20】
式(I-2)の化合物と式(I-3)の化合物を、アルカリ条件下、触媒の存在下、鈴木カップリング反応に供して、式(I-A)の化合物を得ることであって、触媒が、パラジウム/炭素、ラネーニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、1,1’-ビス(ジベンジルホスフィノ)ジクロロフェロセンパラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、および、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル、からなる群から選択され、そして、好ましくは、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、および、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル、からなる群から選択されること;または、
式(I-2)の化合物と式(I-4)の化合物を、アルカリ条件、C-Sカップリング反応に供して、式(I-B)の化合物を得ること;
を含み、
前記アルカリ条件を供給する試薬には、有機塩基および無機塩基が含まれ;有機塩基が、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド、酢酸カリウム、ナトリウムtert-ブトキシド、および、カリウムtert-ブトキシドからなる群から選択され;無機塩基が、水素化ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、および、水酸化リチウムからなる群から選択され;
B(OR)は、ホウ酸塩、またはホウ酸であり;
Zは、ハロゲン、またはスルホニルであり;および、
環A、R、X、X、X、R、R、R、およびnは、請求項1に定義されたとおりである、方法。
【請求項16】
請求項13に記載の化合物の製造方法であって、
式(II)の化合物が、式(II-A)の化合物、または式(II-B)の化合物であり、下記の工程:
【化21】
式(II-7)の化合物と式(II-8)の化合物を、アルカリ条件下、触媒の存在下、鈴木カップリング反応に供して、式(II-A)の化合物を得ること;
または、式(II-7)の化合物と式(II-9)の化合物を、アルカリ条件下、C-Sカップリング反応に供して、式(II-B)の化合物を得ること;
を含み、
前記触媒が、パラジウム/炭素、ラネーニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、1,1’-ビス(ジベンジルホスフィノ)ジクロロフェロセンパラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、および、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル、からなる群から選択され、そして、好ましくは、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、および、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル、からなる群から選択され;
前記アルカリ条件を供給する試薬には、有機塩基および無機塩基が含まれ;有機塩基が、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド、酢酸カリウム、ナトリウムtert-ブトキシド、および、カリウムtert-ブトキシドからなる群から選択され;無機塩基が、水素化ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、および、水酸化リチウムからなる群から選択され;
B(OR)が、ホウ酸塩、またはホウ酸であり;
Zが、ハロゲン、スルホニル、およびスルフィニルからなる群から選択され;
環A、環B、R、R、R、B、m、およびnが、請求項13に定義されたとおりである、方法。
【請求項17】
式(II-5)の化合物を式(II-6)の化合物と、アルカリ条件下、反応させて、式(II-7)の化合物を得る工程:
【化22】
をさらに含み、
前記アルカリ条件を供給する試薬には、有機塩基および無機塩基が含まれ;有機塩基が、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド、酢酸カリウム、ナトリウムtert-ブトキシド、および、カリウムtert-ブトキシドからなる群から選択され;無機塩基が、水素化ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、および、水酸化リチウムからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
式(I-2):
【化23】
[式中、
、X、X、X、R、およびRは、請求項1に定義されたとおりであり;
Zは、ハロゲン、またはスルホニルである。]
で示される化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項19】
式(I-1):
【化24】
[式中、
、X、X、およびXは、請求項1に定義されたとおりであり;
ZおよびZ’は、それぞれ独立して、ハロゲン、およびスルホニルからなる群から選択される。]
で示される化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項20】
式(I-2)の化合物またはその薬学的に許容される塩、または、式(I-1)の化合物またはその薬学的に許容される塩から製造する、式(I)の化合物の製造方法。
【請求項21】
請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩、および、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤、を含む、医薬組成物。
【請求項22】
SHP2活性により媒介される疾患または病気を予防または治療するための医薬の製造における、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩、または、請求項21に記載の医薬組成物、の使用。
【請求項23】
腫瘍または癌を予防および/または治療するための医薬の製造における、SHP2阻害剤としての、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩、または、請求項21に記載の医薬組成物、の使用。
【請求項24】
ヌーナン症候群、レオパード症候群、若年性骨髄単球性白血病、神経芽腫、メラノーマ、急性骨髄性白血病、乳癌、食道癌、肺癌、結腸癌、脳腫瘍、膵臓癌、頭頸部扁平上皮癌、胃癌、肝臓癌、未分化大細胞リンパ腫、または、膠芽腫、を予防または治療するための医薬の製造における、請求項1~14のいずれか1項に記載の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩、または、請求項21に記載の医薬組成物、の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬の分野に属し、ピリミド5員窒素含有ヘテロ環誘導体、その製造方法、および医薬におけるその使用に関する。特に、本発明は、式(I)のピリミド5員窒素含有ヘテロ環誘導体、その製造方法、それを含む医薬組成物、SHP2阻害剤としてのその使用、および、腫瘍または癌を予防および/または治療するための医薬の製造におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
チロシンホスファターゼ-2(SHP2)を含むSrc相同性ドメイン2は、PTPN11遺伝子によってコードされる進化的に保存された非受容体タンパク質チロシンホスファターゼ(PTP)である。SHP2は、主に2つのSH2ドメイン(N-SH2およびC-SH2)と1つのPTP触媒ドメインで構成されている。SHP2は、さまざまなヒト組織で広く発現しており、組織の発達および細胞の恒常性などの維持に重要な役割を果たしている。SHP2は、Ras-マイトジェン活性化プロテインキナーゼ、JAK-STAT、またはホスホイノシタイド3-キナーゼAKT経路を介したシグナル伝達に関与している。PTPN11遺伝子の変異とそれに続くSHP2の変異は、ヌーナン症候群、レオパード症候群、若年性骨髄単球性白血病、神経芽腫、メラノーマ、急性骨髄性白血病、乳癌、肺癌、および結腸癌など(請求項19と同様)、さまざまなヒトの疾患で確認されている。したがって、SHP2は、さまざまな疾患を治療するための新しい治療剤の開発にとって非常に魅力的なターゲットとなる。
【0003】
SHP2のターゲットに関連する公開された特許出願としては、WO2018136264A、WO2015003094A、WO2018160731A、WO2018130928A1、WO2018136265A、WO2018172984A、WO2018081091、WO2016203405、WO2017211303A、WO2018013597Aなどが挙げられる。現在、ノバルティスが開発したSHP2阻害剤TNO155、およびJACOBIOが開発したSHP2阻害剤JAB-3068は、いずれも第I相臨床試験中であり、このターゲットにおいて市場に出ている製品はない。したがって、患者に新しく効果的な抗癌剤を提供するために、より有効性の高い新規なSHP2阻害剤の開発を継続することが求められる。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、式(I):
【化1】
[式中、
は、水素原子、重水素原子、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ハロゲン、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、アルケニル、およびヒドロキシアルキルからなる群から選択され;
は、
【化2】
であり、
は、-S-、-NH-、-S(O)-、-S(O)-NH-、-C(=CH)-、-S(O)-、および結合からなる群から選択され;
環Aは、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択され、ここで、該シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールは、それぞれ独立して、5~12員の単環または多環であり;
各Rは、独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、C3-8シクロアルキル、3~12員のヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、C2-6アルケニル、C4-8シクロアルケニル、C2-6アルキニル、-CHR、-NR、-アルケニル-NR、-アルケニル-O-R、-アルケニル-C(O)、-アルケニル-R、-アルケニル-CO-NR、-アルケニル-NR-CO-NR、-アルケニル-NR-C(O)R、-C(O)NR、-C(O)R、-CO-アルケニル-NR、-NRC(O)R、-C(O)、-O-アルケニル-CO-OR、-O-アルケニル-CO-NR、-O-アルケニル-NR、-OR、-SR、-NR-CO-NR、-NR-アルケニル-NR、-NR-アルケニル-R、-NRS(O)、-NRS(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)NR、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-P(O)R、-N(S(O)R)、および、-S(O)(NR)Rからなる群から選択され、ここで、該アルキル、アルコキシ、アリール、およびヘテロアリールは、それぞれ独立して、任意に、ハロゲン、水素原子、重水素原子、シアノ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、および、ハロアルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基によってさらに置換されていてもよく;
nは、0、1、2、3、4、および5からなる群から選択され;
、X、およびXは、それぞれ独立して、CRおよびNからなる群から選択され、ここで、それらのうちの少なくとも1つはNであり、そして、好ましくは、Xは、CRであり;
は、水素原子、重水素原子、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-6アルキルチオ、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボニル、カルボキシ、ハロゲン、およびシアノからなる群から選択され;
は、水素、C1-6アルキル、3~12員の単環式ヘテロシクリルまたは多環式ヘテロシクリル、およびC3-8シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、該アルキル、ヘテロシクリル、およびシクロアルキルは、それぞれ独立して、任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-3アルキル、アミノ、アルキルアミノ、ヒドロキシアルキル、およびアルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく;
は、水素、ヒドロキシ、C1-6アルキル、およびC3-8シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、該アルキルまたはシクロアルキルは、任意に、1つ以上のアミノによって置換されていてもよく;あるいは、
およびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、3~12員の単環式ヘテロシクリルまたは多環式ヘテロシクリルを形成し、ここで、該単環式ヘテロシクリルまたは多環式ヘテロシクリルは、任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、ハロゲン置換または非置換のC1-6アルキル、アミノ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキルアミノ、ハロゲン置換または非置換のアルコキシ、および、-NRS(O)NRからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよく、そして、該多環式ヘテロシクリルには、これに限定されるものではないが、架橋ヘテロ環およびスピロヘテロ環が含まれ;
およびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になって形成する環としては、これに限定されるものではないが、例えば、
【化3】
が挙げられ;あるいは、
およびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、構造:
【化4】
を形成し、
上式中、sおよびtは、それぞれ独立して、0および1からなる群から選択され;
6aおよびR6bは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、フッ素原子、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、フッ素置換または非置換のアルキル、および、フッ素置換または非置換のアルコキシからなる群から選択されるか;あるいは、R6aおよびR6bは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、CO、C=NH、C=N-OH、3~12員のヘテロシクリル、またはC3-8シクロアルキルを形成し;
pは、0、1、2、3、および4からなる群から選択され;
7aおよびR7bは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、フッ素原子、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、フッ素置換または非置換のアルキル、フッ素置換または非置換のアルコキシ、および、-NRS(O)NRからなる群から選択され;
あるいは、R7aおよびR7bは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3~12員のヘテロシクリル、5~10員のヘテロアリール、C3-8シクロアルキル、およびC=NR7cを形成し、ここで、該環は、任意に置換されていてもよく;
7cは、水素原子、重水素原子、およびC1-6アルキルからなる群から選択され;
qは、0、1、2、3、および4からなる群から選択され;
Wは、存在しないか、あるいは、-O-、-S-、および、-NR-からなる群から選択され;
は、水素原子、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、-C(O)C1-6アルキル、-C(O)1-6アルキル、C1-6アルキルエーテル、ハロゲン置換または非置換のC1-6アルキル、および、ハロゲン置換または非置換のC1-6アルコキシからなる群から選択され;
環Bは、存在しないか、あるいは、3~10員環であり;
【化5】
は、単結合、または二重結合であり;
環Bが存在しない場合、Yは、CR2a2b、NR2a、またはOであり、Yは、CR3a3b、NR3a、またはOであり;
環Bが3~10員環である場合、
1)Yは、CR2aまたはNであり、Yは、CR3aまたはNであり、
【化6】
は、単結合であり;または、
2)Yは、Cであり、および、Yは、Cであり、
【化7】
は、二重結合であり;
2a、R2b、R3a、およびR3bは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、シアノ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、C3-8シクロアルキル、3~12員のヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、C2-6アルケニル、C4-8シクロアルケニル、C2-6アルキニル、-NR、-アルケニル-NR、-アルケニル-O-R、-アルケニル-C(O)、-アルケニル-R、-アルケニル-CO-NR、-アルケニル-NR-CO-NR、-アルケニル-NR-C(O)R、-C(O)NR、-C(O)R、-CO-アルケニル-NR、-NRC(O)R、-C(O)、-O-アルケニル-CO-OR、-O-アルケニル-CO-NR、-O-アルケニル-NR、-OR、-SR、-NR-CO-NR、-NR-アルケニル-NR、-NR-アルケニル-R、-NRS(O)、-NRS(O)R、-NRS(O)NR、-NRS(O)NR、-S(O)NR、-S(O)NR、-S(O)R、-S(O)、-P(O)R、-N(S(O)R)、および、-S(O)(NR)R、からなる群から選択され、ここで、該アリールおよびヘテロアリールは、それぞれ独立して、任意に、ハロゲン、水素原子、重水素原子、シアノ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、およびハロアルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基によってさらに置換されていてもよく;
およびRは、それぞれ独立して、水素、重水素原子、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、C3-8シクロアルキル、5~10員のヘテロアリール、およびアリールからなる群から選択され、ここで、該アリールおよびヘテロアリールは、それぞれ独立して、任意に、ハロゲン、水素原子、重水素原子、シアノ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、およびハロアルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基によってさらに置換されていてもよく;
mは、0、1、2、3、および4からなる群から選択され;および、
各Rは、独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、C1-6アルキル、およびC1-6アルコキシからなる群から選択され;
あるいは、2つのRは、一緒に結合して、フェニル、5員のヘテロアリール、6員のヘテロアリール、または、3~6員のヘテロシクリルを形成し、ここで、各環は、任意に、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、およびC1-6アルキルからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。]
で示される化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩、を提供する。
【0005】
本発明の好ましい実施形態では、式(I)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩において、RおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、構造:
【化8】
[式中、
sおよびtは、それぞれ独立して、0および1からなる群から選択され;
6aおよびR6bは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、C1-6アルキル、およびC1-6アルコキシからなる群から選択されるか;あるいは、R6aおよびR6bは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3~12員のヘテロシクリル、またはC3-8シクロアルキルを形成し;
pは、0、1、および2からなる群から選択され;
7aおよびR7bは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、アミノ、C1-6アルキル、および、-NRS(O)NR、からなる群から選択され、ここで、RおよびRは、上記式(I)で定義されたとおりであり;
qは、1または2であり;
Wは、存在せず;
環Bは、存在しないか、あるいは、3~10員環であり;
【化9】
は、単結合、または二重結合であり;
環Bが存在しない場合、Yは、CR2a2b、またはOであり、Yは、CR3a3bであり;または、
環Bが3~10員環である場合、
は、CR2aまたはNであり、Yは、CR3aまたはNであり、
【化10】
は、単結合であり;または、
は、Cであり、および、Yは、Cであり、
【化11】
は、二重結合であり;
2a、R2b、およびR3aは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、およびC1-6アルキルからなる群から選択され;
mは、0、1、2、3、および4からなる群から選択され;および、
各Rは、独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、C1-6アルキル、および、C1-6アルコキシからなる群から選択され;
あるいは、2つのRは、一緒に結合して、フェニル、5員のヘテロアリール、6員のヘテロアリール、または、3~6員のヘテロシクリルを形成し、ここで、各環は、任意に、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、およびC1-6アルキルからなる群から選択される1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。]
を形成している。
【0006】
本発明の好ましい実施形態では、式(I)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩において、RおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、構造:
【化12】
[式中、
環Bは、ベンゼン環、5員のヘテロ芳香環、および、6員のヘテロ芳香環、好ましくは、ベンゼン環またはピリジン環、からなる群から選択され;
各Rは、独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、シアノ、C1-6アルキル、およびC1-6アルコキシからなる群から選択され;および、
mは、0、1、2、3、および4からなる群から選択される。]
を形成している。
【0007】
本発明の好ましい実施形態では、式(I)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩において、RおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、構造:
【化13】
[式中、
およびR10は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、ヒドロキシ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロゲン、C1-6ヒドロキシアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アミノ、C1-6アルキルアミノ、および、-NRS(O)NR、からなる群から選択され、好ましくは、水素原子、重水素原子、C1-6アルキル、アミノ、および、-NRS(O)NR、からなる群から選択され;または、
およびRは、上記式(I)で定義されたとおりである。]
を形成している。
【0008】
本発明の好ましい実施形態では、式(I)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩において、
は、-S-、または結合であり;
環Aは、アリールまたはヘテロアリールであり;
各Rは、独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、C1-6アルキル、ハロC1-6アルキル、ハロC1-6アルコキシ、C1-6アルコキシ、シアノ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、ヒドロキシ、およびフェニルからなる群から選択され、ここで、該フェニルは、任意に、ハロゲン、水素原子、重水素原子、シアノ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、およびハロアルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基によってさらに置換されていてもよく;各Rは、好ましくは、水素原子、重水素原子、ハロゲン、ハロC1-6アルキル、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロC1-6アルコキシ、およびフェニルからなる群から選択され、ここで、該フェニルは、任意に、ハロゲン、水素原子、重水素原子、シアノ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、およびハロアルコキシからなる群から選択される1つ以上の置換基によってさらに置換されていてもよく;および、
nは、0、1、2、3、4、および5からなる群から選択される。
【0009】
本発明の好ましい実施形態では、式(I)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩において、X、X、およびXは、それぞれ独立して、CRおよびNからなる群から選択され、ここで、それらのうちの少なくとも1つは、Nであり、好ましくは、Xは、CRであり、および、Rは、水素原子である。
【0010】
本発明の好ましい実施形態では、式(I)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩において、XおよびXは両方、CRであり、Xは、Nであり、あるいは、Xは、CRであり、XおよびXは両方、Nであり、および、Rは、水素原子である。
【0011】
本発明の好ましい実施形態では、式(I)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩において、Rは、水素原子、重水素原子、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、アミノ、および、ヒドロキシからなる群から選択される。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、式(I)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩において、
は、水素原子、重水素原子、C1-6アルキル、およびアミノからなる群から選択され;
は、-S-、または結合であり;
環Aは、アリールまたはヘテロアリールであり;
各Rは、独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、ハロC1-6アルキル、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロC1-6アルコキシ、および置換フェニルからなる群から選択され;
nは、0、1、2、3、4、および5からなる群から選択され;
、X、およびXは、それぞれ独立して、CRおよびNからなる群から選択され、ここで、それらのうちの少なくとも1つは、Nであり、好ましくは、Xは、CRであり、および、Rは、水素原子であり;
およびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、構造:
【化14】
を形成し、および、
およびR10は、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、C1-6アルキル、アミノ、および、-NRS(O)NR、からなる群から選択され、ここで、RおよびRは、上記式(I)で定義されたとおりである。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、式(I)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩において、
は、水素原子、重水素原子、C1-6アルキル、およびアミノからなる群から選択され;
は、-S-、または結合であり;
環Aは、アリールまたはヘテロアリールであり;
各Rは、独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、ハロC1-6アルキル、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロC1-6アルコキシ、および置換フェニルからなる群から選択され;
nは、0、1、2、3、4、および5からなる群から選択され;
、X、およびXは、それぞれ独立して、CRおよびNからなる群から選択され、ここで、それらのうちの少なくとも1つは、Nであり、好ましくは、Xは、CRであり、および、Rは、水素原子であり;
6aおよびR6bは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、C1-6アルキル、およびC1-6アルコキシからなる群から選択されるか;あるいは、R6aおよびR6bは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3~12員のヘテロシクリル、または、C3-8シクロアルキルを形成し;
pは、1または2であり;
7aおよびR7bは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、アミノ、C1-6アルキル、および、-NRS(O)NR、からなる群から選択され、ここで、RおよびRは、上記式(I)で定義されたとおりであり;
qは、1または2であり;
Wは、存在せず;
環Bは、存在せず、Yは、CR2a2b、またはOであり、Yは、CR3a3bであり;および、
2a、R2b、R3a、およびR3bは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、およびC1-6アルキルからなる群から選択される。
【0014】
本発明の好ましい実施形態では、式(I)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩において、
は、水素原子、重水素原子、C1-6アルキル、およびアミノからなる群から選択され;
は、-S-、または結合であり;
環Aは、アリールまたはヘテロアリールであり;
各Rは、独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、ハロC1-6アルキル、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロC1-6アルコキシ、および置換フェニルからなる群から選択され;
nは、0、1、2、3、4、および5からなる群から選択され;
、X、およびXは、それぞれ独立して、CRおよびNからなる群から選択され、ここで、それらのうちの少なくとも1つは、Nであり、好ましくは、Xは、CRであり、および、Rは、水素原子であり;
6aおよびR6bは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、C1-6アルキル、およびC1-6アルコキシからなる群から選択され;
pは、1または2であり;
7aおよびR7bは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、アミノ、C1-6アルキル、および、-NRS(O)NR、からなる群から選択され、ここで、RおよびRは、上記式(I)で定義されたとおりであり;
qは、1または2であり;
Wは、存在せず;
環Bは、フェニル、5員のヘテロアリール、および、6員のヘテロアリールからなる群から選択され、;
は、Cであり、Yは、Cであり、
【化15】
は、二重結合であり;
各Rは、独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、C1-6アルキル、およびC1-6アルコキシからなる群から選択され;および、
mは、0、1、2、3、および4からなる群から選択される。
【0015】
本発明の好ましい実施形態では、式(I)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩において、RおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、構造:
【化16】
を形成し、
は、水素原子、C1-6アルキル、およびアミノからなる群から選択され;
は、-S-、または結合であり;
環Aは、アリールまたはヘテロアリール、好ましくは、フェニルまたはピリジル、であり;
各Rは、独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、シアノ、アミノ、ハロC1-6アルキル、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロC1-6アルコキシ、C1-6アルキルアミノ、ハロC1-6アルキルアミノ、C3-8シクロアルキル、3~12員のヘテロシクリル、-OR、-CHR、および、-NRRからなる群から選択され;
およびRは、それぞれ独立して、水素、重水素原子、ヒドロキシ、C1-6アルキル、およびC3-8シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、該アルキル、ヘテロシクリルおよびシクロアルキルは、それぞれ独立して、任意に、ハロゲン、重水素原子、シアノ、アミノ、および、ヒドロキシからなる群から選択される1つ以上の置換基によってさらに置換されていてもよく;
nは、0、1、2、3、4、および5からなる群から選択され;
は、Nであり、XおよびXは、それぞれ独立して、CRであり、および、Rは、水素原子であり;
sおよびtは、それぞれ独立して、0および1からなる群から選択され;
6aおよびR6bは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、C1-6アルキル、およびC1-6アルコキシからなる群から選択され;
pは、1であり;
7aおよびR7bは、それぞれ独立して、水素原子、重水素原子、アミノ、およびC1-6アルキルからなる群から選択され;
qは、1であり;
Wは、存在せず;
環Bは、ベンゼン環、5員のヘテロ芳香環、および、6員のヘテロ芳香環からなる群から選択され、好ましくは、ベンゼン環またはピリジン環であり;
は、Cであり、Yは、Cであり;
各Rは、独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシ、C1-6アルキル、およびC1-6アルコキシからなる群から選択され;および、
mは、0、1、2、3、および4からなる群から選択される。
【0016】
本発明の好ましい実施形態では、式(I)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩は、式(II):
【化17】
[式中、
は、水素原子、C1-6アルキル、ハロアルキル、およびアミノからなる群から選択され;
は、-S-、または結合であり;
環Aは、アリールまたはヘテロアリール、好ましくは、フェニルまたはピリジル、であり;
各Rは、独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、シアノ、アミノ、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロC1-6アルキル、ハロC1-6アルコキシ、C3-8シクロアルキル、3~12員のヘテロシクリル、-OR、-CHR、および、-NRからなる群から選択され;
およびRは、それぞれ独立して、水素、重水素原子、ヒドロキシ、C1-6アルキル、およびC3-8シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、該アルキル、ヘテロシクリルおよびシクロアルキルは、それぞれ独立して、任意に、ハロゲン、重水素原子、シアノ、アミノ、およびヒドロキシからなる群から選択される1つ以上の置換基によってさらに置換されていてもよく;
環Bは、ベンゼン環、5員のヘテロ芳香環、および、6員のヘテロ芳香環からなる群から選択され、好ましくは、ベンゼン環またはピリジン環であり;
各Rは、独立して、水素原子、重水素原子、ハロゲン、シアノ、C1-6アルキル、およびC1-6アルコキシからなる群から選択され;
mは、0、1、2、3、および4からなる群から選択され;および、
nは、1、2、3、および4からなる群から選択される。]
で示される化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩、である。
【0017】
本発明において、Yが結合である場合、本発明によって提供される化合物は、結合の周りの回転の制限のためにアトロプ異性体の混合物として存在してもよく、エナンチオマー過剰率は、0~98%である。化合物が純粋なアトロプ異性体である場合、各キラル中心の立体化学はaRまたはaSで規定することができる。これらの用語は、1つのアトロプ異性体が多い混合物にも使用できる。aRおよびaSのアトロプ異性体は、キラルクロマトグラフィーにより分離できる。
アトロプ異性および軸不斉についてのさらなる説明は、Eliel, E.L. & Wilen, S. H. ‘Stereochemistry of Organic Compounds’ John Wiley and Sons, Inc. 1994、を参照できる。
【0018】
本発明の典型的な式(I)の化合物としては、これに限定されるものではないが、以下の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩、が挙げられる:
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】
【表5】
【0024】
【表6】
【0025】
【表7】
【0026】
【表8】
【0027】
【表9】
【0028】
本発明は、式(I)の化合物の製造方法であって、式(I)の化合物は、式(I-A)の化合物、または式(I-B)の化合物であり、下記の工程:
【化18】
式(I-2)の化合物と式(I-3)の化合物を、アルカリ条件下、触媒の存在下、鈴木カップリング反応に供して、式(I-A)の化合物を得ることであって、触媒が、パラジウム/炭素、ラネーニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、1,1’-ビス(ジベンジルホスフィノ)ジクロロフェロセンパラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、および、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル、からなる群から選択され、そして、好ましくは、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、および、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル、からなる群から選択されること;または、
式(I-2)の化合物と式(I-4)の化合物を、アルカリ条件、C-Sカップリング反応に供して、式(I-B)の化合物を得ること;
を含み、
前記アルカリ条件を供給する試薬には、有機塩基および無機塩基が含まれ;有機塩基が、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド、酢酸カリウム、ナトリウムtert-ブトキシド、および、カリウムtert-ブトキシドからなる群から選択され;無機塩基が、水素化ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、および、水酸化リチウムからなる群から選択され;
B(OR)は、ホウ酸塩、またはホウ酸であり、これには、限定されるものではないが、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビス(1,3,2-ジオキサボロラン)、ビス(ネオペンチルグリコラト)ジボロン、B(OBu-n)、および、B(OPr-i)が含まれ;
Zは、ハロゲンおよびスルホニルからなる群から選択され;および、
、X、X、X、R、R、およびRは、上記式(I)で定義されたとおりであることを特徴とする、方法を提供する。
【0029】
本発明の目的を達成するために、本発明は、下記の合成スキームを適用することができる:
【化19】
式(I-1)の化合物をアンモニア化して、式(I-2)の化合物を得るものであって、ここで、ZおよびZ’は、それぞれ独立して、ハロゲンおよびスルホニルからなる群から選択され、その他の置換基は、上記の実施形態で定義されたとおりであり、本発明の合成スキームの反応溶媒としては、これに限定されるものではないが、酢酸、メタノール、エタノール、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、石油エーテル、酢酸エチル、n-ヘキサン、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、水、N,N-ジメチルホルムアミド、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0030】
本発明は、式(II)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩の製造方法であって、式(II)の化合物は、式(II-A)の化合物、または式(II-B)の化合物であり、下記の工程:
【化20】
式(II-7)の化合物と式(II-8)の化合物を、アルカリ条件下、触媒の存在下、鈴木カップリング反応に供して、式(II-A)の化合物を得ること;
または、式(II-7)の化合物と式(II-9)の化合物を、アルカリ条件下、C-Sカップリング反応に供して、式(II-B)の化合物を得ること;
を含み、
前記触媒が、パラジウム/炭素、ラネーニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、1,1’-ビス(ジベンジルホスフィノ)ジクロロフェロセンパラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、および、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル、からなる群から選択され、そして、好ましくは、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、および、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル、からなる群から選択され;
前記アルカリ条件を供給する試薬には、有機塩基および無機塩基が含まれ;有機塩基が、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド、酢酸カリウム、ナトリウムtert-ブトキシド、および、カリウムtert-ブトキシドからなる群から選択され;無機塩基が、水素化ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、および、水酸化リチウムからなる群から選択され;
B(OR)は、ホウ酸塩、またはホウ酸であり、これには、限定されるものではないが、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビス(1,3,2-ジオキサボロラン)、ビス(ネオペンチルグリコラト)ジボロン、B(OBu-n)、および、B(OPr-i)が含まれ;
Zは、ハロゲン、スルホニル、およびスルフィニルからなる群から選択され;および、
環A、環B、R、R、R、B、m、およびnは、上記式(II)で定義されたとおりである、方法を提供する。
【0031】
本発明により提供される、式(II)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩の製造方法は、式(II-5)の化合物を式(II-6)の化合物と、アルカリ条件下、反応させて、式(II-7)の化合物を得る工程:
【化21】
をさらに含み、
前記アルカリ条件を供給する試薬には、有機塩基および無機塩基が含まれ;有機塩基が、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド、酢酸カリウム、ナトリウムtert-ブトキシド、および、カリウムtert-ブトキシドからなる群から選択され;無機塩基が、水素化ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、および、水酸化リチウムからなる群から選択され、
Z、R、R、環B、およびmは、式(II)で定義されたとおりである。
【0032】
任意に、本発明により提供される、式(II)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩の製造方法は、下記の工程:
【化22】
1)式(II-1)の化合物を式(II-2)の化合物と、アルカリ条件下、反応させて、式(II-3)の化合物を得ること;2)式(II-3)の化合物を、n-ブチルリチウムの存在下、分子内環化反応に供して、式(II-4)の化合物得ること;式(II-4)の化合物を、キラル選択的還元的アミノ化に供し、続いてアミノ保護基を除去して式(II-5)の化合物を得ること、を含み、ここで、アルカリ条件を供給する試薬には、有機塩基および無機塩基が含まれ;有機塩基は、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビストリメチルシリルアミド、酢酸カリウム、ナトリウムtert-ブトキシド、および、カリウムtert-ブトキシドからなる群から選択され;無機塩基は、水素化ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、および、水酸化リチウムからなる群から選択され;および、
Z、R、環B、およびmは、式(II)で定義されたとおりである。
【0033】
本発明は、式(I-2):
【化23】
[式中、
、X、X、X、R、およびRは、式(I)で定義されたとおりであり;
Zは、ハロゲンおよびスルホニルからなる群から選択される。]
で示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、を提供する。
【0034】
本発明は、式(I-1):
【化24】
[式中、
、X、X、およびXは、式(I)で定義されたとおりであり;
ZおよびZ’は、それぞれ独立して、ハロゲン、およびスルホニルからなる群から選択される。]
で示される化合物、またはその薬学的に許容される塩、を提供する。
【0035】
本発明は、式(I-2)の化合物またはその薬学的に許容される塩、または、式(I-1)の化合物またはその薬学的に許容される塩から製造する、式(I)の化合物の製造方法、を提供する。
【0036】
別の態様において、本発明は、治療有効量の式(I)または式(II)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩、および、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤、を含む医薬組成物に関し、本発明の治療有効量は、0.1~2000mgであり得る。本発明はまた、式(I)または式(II)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩、あるいは、式(II)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と混合する工程を含む、医薬組成物の製造方法に関する。
【0037】
本発明はさらに、SHP2阻害剤の製造における、式(I)または式(II)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩、または、それらを含む医薬組成物の使用、に関する。
【0038】
本発明はさらに、SHP2活性により媒介される疾患または病気を治療するための医薬の製造における、式(I)または式(II)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩、または、それらを含む医薬組成物の使用、に関する。
【0039】
本発明はさらに、腫瘍または癌を予防および/または治療するための医薬の製造における、SHP2阻害剤としての、式(I)または式(II)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩、または、それらを含む医薬組成物の使用、に関する。
【0040】
本発明はさらに、ヌーナン症候群、レオパード症候群、若年性骨髄単球性白血病、神経芽腫、メラノーマ、急性骨髄性白血病、乳癌、食道癌、肺癌、結腸癌、脳腫瘍、膵臓癌、頭頸部扁平上皮癌、胃癌、肝臓癌、未分化大細胞リンパ腫、または、膠芽腫、を予防または治療するための医薬の製造における、式(I)または式(II)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩、または、それらを含む医薬組成物の使用、に関する。
【0041】
本発明はさらに、医薬としての使用のための、式(I)または式(II)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩、または、それらを含む医薬組成物、に関する。
【0042】
本発明はまた、SHP2阻害剤としての使用のための、式(I)または式(II)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩、または、それらを含む医薬組成物、に関する。
【0043】
本発明はまた、腫瘍または癌の予防および/または治療における、SHP2阻害剤としての使用のための、式(I)または式(II)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩、または、それらを含む医薬組成物、に関する。
【0044】
本発明はまた、ヌーナン症候群、レオパード症候群、若年性骨髄単球性白血病、神経芽腫、メラノーマ、急性骨髄性白血病、乳癌、食道癌、肺癌、結腸癌、脳腫瘍、膵臓癌、頭頸部扁平上皮癌、胃癌、肝臓癌、未分化大細胞リンパ腫、または、膠芽腫の予防または治療用の、式(I)または式(II)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩、または、それらを含む医薬組成物、に関する。
【0045】
本発明はまた、それを必要とする患者に、治療有効用量の式(I)または式(II)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩を、SHP2阻害剤として、投与するステップを含む、腫瘍または癌の予防および/または治療方法、に関する。
【0046】
本発明はまた、それを必要とする患者に、治療有効用量の式(I)または式(II)の化合物、またはその互変異性体、メソ体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、アトロプ異性体、またはそれらの混合物、またはそれらの薬学的に許容される塩を、SHP2阻害剤として、投与するステップを含む、ヌーナン症候群、レオパード症候群、若年性骨髄単球性白血病、神経芽腫、メラノーマ、急性骨髄性白血病、乳癌、食道癌、肺癌、結腸癌、脳腫瘍、膵臓癌、頭頸部扁平上皮癌、胃癌、肝臓癌、未分化大細胞リンパ腫、または、膠芽腫の、予防および/または治療方法、に関する。
【0047】
有効成分を含む医薬組成物は、経口投与に適した形態、例えば、錠剤、トローチ、飴、水性または油性の懸濁液、分散性の粉末または顆粒、エマルジョン、ハードまたはソフトカプセル、シロップ、またはエリキシルであり得る。経口組成物は、医薬組成物を製造するための当技術分野の既知の方法に従って、製造することができる。そのような組成物は、心地よくて口当たりのよい医薬製剤を提供するために、甘味料、香味料、着色剤および保存剤からなる群から選択される1つまたは複数の成分を含むことができる。錠剤は、錠剤の製造に適した毒性のない薬学的に許容される賦形剤と混合された有効成分を含む。これらの賦形剤は、不活性な賦形剤、造粒剤、崩壊剤、結合剤、および潤滑剤であり得る。錠剤は、コーティングされていなくてもよく、あるいは、薬物の味をマスクする、または胃腸管における有効成分の分解および吸収を遅らせるために、既知の技術によってコーティングすることができ、それにより長期間にわたる持続放出を提供できる。
【0048】
経口製剤はまた、有効成分が不活性な固体希釈剤と混合した、または、有効成分が水溶性担体または油性媒質と混合した、ソフトゼラチンカプセルとして提供され得る。
【0049】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合された有効成分を含む。そのような賦形剤は、懸濁剤、分散剤、または湿潤剤である。水性懸濁液はまた、1つ以上の保存剤、1つ以上の着色剤、1つ以上の香味料、および1つ以上の甘味料を含むことができる。
【0050】
油性懸濁液は、有効成分を植物油または鉱油に懸濁することによって製剤化することができる。油性懸濁液は増粘剤を含むことができる。前記の甘味料および香味料を添加して、口当たりのよい製剤を提供することができる。これらの組成物は、酸化防止剤を加えることによって保存することができる。
【0051】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型エマルジョンの形態であり得る。油相は、植物油、または鉱油、またはそれらの混合物であり得る。適切な乳化剤は、天然に存在するリン脂質であり得る。エマルジョンはまた、甘味料、香味料、保存剤、および酸化防止剤を含むことができる。そのような製剤はまた、粘滑剤、保存剤、着色剤、および酸化防止剤を含むことができる。
【0052】
本発明の医薬組成物は、無菌の注射用の水溶液の形態であり得る。許容できるビヒクルまたは溶媒は、水、リンゲル液、または等張性塩化ナトリウム溶液である。無菌の注射用の製剤は、有効成分が油相に溶解している無菌の注射用の水中油型マイクロエマルジョンであり得る。注射用の溶液またはマイクロエマルジョンは、局所ボーラス注射によって患者の血流に注入することができる。あるいは、溶液およびマイクロエマルジョンは、好ましくは、本発明の化合物が一定の循環濃度を維持する方法で投与される。この一定の濃度を維持するために、連続静脈内送達装置を使用することができる。そのような装置の例は、Deltec CADD-PLUS.TM.5400静脈内注射ポンプ、である。
【0053】
本発明の医薬組成物は、筋肉内および皮下投与用の無菌の注射用の水性または油性の懸濁液の形態であり得る。そのような懸濁液は、既知の技術に従って、上記のような適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤によって製剤化することができる。無菌の注射用の製剤はまた、毒性のない非経口的に許容される希釈剤または溶媒で調製された無菌の注射用の溶液または懸濁液であり得る。さらに、滅菌の不揮発油は、溶剤または懸濁媒質として容易に使用できる。この目的のために、任意のブレンドした不揮発油を使用することができる。さらに、脂肪酸は、注射剤の調製に使用することもできる。
【0054】
本発明の化合物は、直腸投与用の坐剤の形態で投与することができる。これらの医薬組成物は、常温では固体であるが直腸内では液体であり、それにより直腸内で溶融して薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤と、薬物を混合することによって製造することができる。
【0055】
薬物の投与量は、以下の要因を含むがこれらに限定されない様々な要因に依存することは当業者にはよく知られている:特定の化合物の活性、患者の年齢、患者の体重、患者の普段の健康状態、患者の行動、患者の食事、投与時間、投与経路、排泄率、薬剤の組み合わせなど。さらに、治療態様、式(I)の化合物の1日用量、またはその薬学的に許容される塩の種類などの、最適な治療法は、従来の治療レジメンによって検証することができる。
【発明を実施するための形態】
【0056】
定義
特に断りのない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用する用語は、以下の意味を有する。
【0057】
「アルキル」との用語は、1~20個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖の基である、飽和脂肪族炭化水素基を意味し、アルキルは、好ましくは、1~12個の炭素原子を有し、より好ましくは、1~6個の炭素原子を有する。例えば、これに限定されるものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、n-ヘキシル、1-エチル-2-メチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチル、n-ヘプチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,3-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルペンチル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、n-オクチル、2,3-ジメチルヘキシル、2,4-ジメチルヘキシル、2,5-ジメチルヘキシル、2,2-ジメチルヘキシル、3,3-ジメチルヘキシル、4,4-ジメチルヘキシル、2-エチルヘキシル、3-エチルヘキシル、4-エチルヘキシル、2-メチル-2-エチルペンチル、2-メチル-3-エチルペンチル、n-ノニル、2-メチル-2-エチルヘキシル、2-メチル-3-エチルヘキシル、2,2-ジエチルペンチル、n-デシル、3,3-ジエチルヘキシル、2,2-ジエチルヘキシル、および、それらのさまざまな分岐の異性体が挙げられる。より好ましくは、アルキル基は、1~6個の炭素原子を有する低級アルキルであり、これに限定されるものではないが、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、n-ヘキシル、1-エチル-2-メチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチルなどが挙げられる。アルキル基は、置換されていてもよく、あるいは非置換でもよい。置換される場合、置換基は、利用可能な結合点で置換され得る。置換基は、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクリルチオ、オキソ、カルボキシ、および、アルコキシカルボニルからなる群から独立して選択される1つ以上の基である。
【0058】
「シクロアルキル」との用語は、3~20個の炭素原子、好ましくは、3~12個の炭素原子、より好ましくは、3~6個の炭素原子を有する、飽和または部分不飽和の単環式または多環式の炭化水素置換基を意味する。単環式シクロアルキルとしては、これに限定されるものではないが、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロヘプタトリエニル、シクロオクチルなどが挙げられる。多環式シクロアルキルには、スピロ環、縮合環または架橋環を有するシクロアルキルが含まれる。
【0059】
「スピロシクロアルキル」との用語は、1つの共有炭素原子(スピロ原子と呼ばれる)を介して接続された個々の環を有する5~20員の多環式基を意味し、環は、1つまたは複数の二重結合を含むことができるが、いずれの環も完全なπ電子共役系を有さない。スピロシクロアルキルは、好ましくは、6~14員のスピロシクロアルキルであり、より好ましくは、7~10員のスピロシクロアルキルである。環の間で共有されるスピロ原子の数に応じて、スピロシクロアルキルは、モノスピロシクロアルキル、ジスピロシクロアルキル、またはポリスピロシクロアルキルに分類でき、スピロシクロアルキルは、好ましくは、モノスピロシクロアルキルまたはジスピロシクロアルキルであり、より好ましくは、4員/4員、4員/5員、4員/6員、5員/5員、または、5員/6員のモノスピロシクロアルキルである。スピロシクロアルキルとしては、これに限定されるものではないが、例えば、
【化25】
が挙げられる。
【0060】
「ヘテロシクリル」との用語は、1つ以上の環原子が、N、O、および、S(O)(ここで、mは、0~2の整数である)からなる群から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子が炭素原子である、3~20員の飽和または部分不飽和の単環式または多環式の炭化水素置換基を意味し、ただし、環内に、-O-O-、-O-S-、または、-S-S-のものは除かれる。好ましくは、ヘテロシクリルは、1~4個の原子がヘテロ原子である3~12個の環原子を有し;より好ましくは、1~3個の原子がヘテロ原子である3~8個の環原子を有し;および、さらに好ましくは、1~2個の原子がヘテロ原子である3~6個の環原子を有する。単環式ヘテロシクリルとしては、これに限定されるものではないが、例えば、アゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピロリル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ホモピペラジニル、ピラニルなどが挙げられ、好ましくは、アゼチジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、またはモルホリニルが挙げられる。多環式ヘテロシクリルには、スピロ環、縮合環または架橋環を有するヘテロシクリルが含まれる。
【0061】
ヘテロシクリル環は、親構造に結合する環がヘテロシクリルとなって、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルの環に縮合していてもよい。その例としては、これに限定されるものではないが、例えば、
【化26】
などが挙げられる。
【0062】
「アリール」との用語は、π電子共役系を有する、6~14員の全てが炭素の単環式環または多環式縮合環(すなわち、系内の各環は、系内の他の環と隣接する炭素原子のペアを共有する)を意味し、好ましくは、6~10員のアリールであり、例えば、フェニルおよびナフチルであり、より好ましくは、フェニルである。アリール環は、親構造に結合する環がアリール環となって、ヘテロアリール、ヘテロシクリルまたはシクロアルキルの環に縮合していてもよい。その例としては、これに限定されるものではないが、例えば、
【化27】
が挙げられる。
【0063】
アリールは、置換されていてもよく、あるいは非置換でもよい。置換される場合、置換基は、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクリルチオ、カルボキシ、および、アルコキシカルボニルからなる群から独立して選択される1つ以上の基である。
【0064】
「ヘテロアリール」との用語は、O、SおよびNからなる群から選択される1~4個のヘテロ原子を有する、5~14員のヘテロ芳香族系を意味する。ヘテロアリールは、好ましくは、1~3個のヘテロ原子を有する5~10員のヘテロアリールであり、より好ましくは、1~2個のヘテロ原子を有する5員または6員のヘテロアリールであり;好ましくは、例えば、イミダゾリル、フリル、チエニル、チアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、ピロリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、チアジアゾリル、ピラジニルなどであり、好ましくは、イミダゾリル、テトラゾリル、ピリジル、チエニル、ピラゾリル、ピリミジニル、チアゾリルであり、より好ましくは、ピリジルである。ヘテロアリール
環は、親構造に結合する環がヘテロアリール環となって、アリール、ヘテロシクリルまたはシクロアルキルの環に縮合していてもよい。その例としては、これに限定されるものではないが、例えば、
【化28】
が挙げられる。
【0065】
ヘテロアリールは、任意に、置換されていてもよく、あるいは、非置換であってもよい。置換される場合、置換基は、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクリルチオ、カルボキシ、およびアルコキシカルボニル、からなる群から独立して選択される1つ以上の基である。
【0066】
「ハロゲン」との用語は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。
「ハロアルキル」との用語は、1つ以上のハロゲンで置換されたアルキル基を意味し、ここで、アルキルは、上記で定義されたとおりである。
「ハロアルコキシ」との用語は、1つ以上のハロゲンで置換されたアルコキシ基を意味し、ここで、アルコキシは、上記で定義されたとおりである。
【0067】
「ヒドロキシアルキル」との用語は、ヒドロキシで置換されたアルキル基を意味し、ここで、アルキルは、上記で定義されたとおりである。
「アルキルアミノ」との用語は、1つまたは2つのアルキルで置換されたアミノ基を意味し、ここで、アルキルは、上記で定義されたとおりである。
「ヒドロキシ」との用語は、-OH基を意味する。
「ハロゲン」との用語は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。
【0068】
「アミノ」との用語は、-NH基を意味する。
「シアノ」との用語は、-CN基を意味する。
「ニトロ」との用語は、-NO基を意味する。
「オキソ」との用語は、=O基を意味する。
「カルボニル」との用語は、C=O基を意味する。
「カルボキシ」との用語は、-C(O)OH基を意味する。
「チオ」との用語は、-S-基を意味する。
「チオール」との用語は、-SH基を意味する。
【0069】
「任意の」または「任意に」とは、後で説明する事象または状態が発生する可能性があるが、発生する必要はないことを意味し、そのような説明には、事象または状態が発生する状況、または発生しない状況が含まれる。例えば、「任意にアルキルで置換されていてもよいヘテロシクリル」は、アルキル基が存在し得るが、存在する必要はないことを意味し、そのような説明には、ヘテロシクリルがアルキルで置換された状況と、ヘテロシクリルがアルキルで置換されていない状況が含まれる。
【0070】
「置換された」とは、基内の1つ以上の水素原子、好ましくは5つ以下、より好ましくは1~3個の水素原子が、対応する数の置換基によって独立して置き換えられることを意味する。言うまでもなく、置換基は可能な化学的位置にのみ存在する。当業者は、過度の労力なしに、実験または理論によって置換が可能であるか不可能であるかを決定することができる。例えば、遊離水素を有するアミノまたはヒドロキシと不飽和結合(オレフィンなど)を有する炭素原子との組み合わせは不安定であり得る。
【0071】
「医薬組成物」は、本発明の1つ以上の化合物またはその生理学的/薬学的に許容される塩またはプロドラッグと他の化学成分、および生理学的/薬学的に許容される担体および賦形剤などの他の成分との混合物を意味する。医薬組成物の目的は、生物への化合物の投与を容易にすることであり、これは、生物学的活性を示すように、有効成分の吸収を促進する。
【0072】
「薬学的に許容される塩」は、哺乳動物において安全で効果的であり、所望の生物学的活性を有する、本発明の化合物の塩を意味する。
【実施例
【0073】
以下、実施例を参照して本発明をさらに説明するが、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【0074】
化合物の構造は、核磁気共鳴(NMR)および/または質量分析(MS)によって同定した。NMRシフト(δ)は10-6(ppm)で示した。NMRは、Bruker AVANCE-400装置によって測定した。測定用の溶媒は、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d)、重水素化クロロホルム(CDCl)、重水素化メタノール(CDOD)とし、内部標準はテトラメチルシラン(TMS)とした。
MSは、Shimadzu 2010質量分析計、または、Agilent 6110A MSD分光計によって測定した。
【0075】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、Shimadzu LC-20Aシステム、Shimadzu LC-2010HTシリーズ、または、Agilent 1200 LC高圧液体クロマトグラフ(Ultimate XB-C18 3.0*150 mm カラム、または、Xtimate C18 2.1*30 mm カラム)で測定した。
キラルHPLCは、Chiralpak IC-3 100×4.6 mm I.D.、3 μm、Chiralpak AD-3 150×4.6 mm I.D.、3 μm、Chiralpak AD-3 50×4.6 mm I.D.、3 μm、Chiralpak AS-3 150×4.6 mm I.D.、3 μm、Chiralpak AS-3 100×4.6 mm I.D.、3 μm、ChiralCel OD-3 150×4.6 mm I.D.、3 μm、Chiralcel OD-3 100×4.6 mm I.D.、3 μm、ChiralCel OJ-H 150×4.6 mm I.D.、5 μm、Chiralcel OJ-3 150×4.6 mm I.D.、3 μm column、で行った。
【0076】
薄層シリカゲルクロマトグラフィー(TLC)として、Yantai Huanghai HSGF254、または、Qingdao GF254のシリカゲルプレートを使用した。TLCで使用したシリカゲルプレートの寸法は0.15mm~0.2mmであり、薄層クロマトグラフィーによる生成物精製で使用したシリカゲルプレートの寸法は0.4mm~0.5mmであった。
カラムクロマトグラフィーの担体として、Yantai Huanghaiの100~200メッシュ、200~300メッシュ、または300~400メッシュのシリカゲルを一般に使用した。
キラル分取カラムは、DAICEL CHIRALPAK IC (250mm*30mm、10 μm)、または、Phenomenex-Amylose-1 (250mm*30mm、5 μm)、を使用した
CombiFlash急速分取装置は、Combiflash Rf150 (TELEDYNE ISCO)を使用した。
【0077】
平均キナーゼ阻害率、およびIC50値は、NovoStar ELISA(BMG Co.、ドイツ)によって測定した。
【0078】
本発明の既知の出発物質は、当技術分野において知られた方法によって調製することができ、あるいは、ABCR GmbH & Co. KG、Acros Organnics、Aldrich Chemical Company、Accela ChemBio Inc.、Dari chemical Companyなどから、購入することができる。
【0079】
特に断りのない限り、反応はアルゴン雰囲気、または窒素雰囲気下で実施した。
「アルゴン雰囲気」または「窒素雰囲気」とは、反応フラスコにアルゴンまたは窒素のバルーン(約1L)を装着することを意味する。
「水素雰囲気」とは、反応フラスコに水素バルーン(約1L)を装着することを意味する。
加圧水素化反応は、Parr 3916EKX水素化装置、および、Qinglan QL-500水素発生器、またはHC2-SS水素化装置で実施した。
水素化反応では、一般的に、反応系を真空にして水素で満たし、この操作を3回繰り返した。
マイクロ波反応には、CEM Discover-S 908860型マイクロ波反応器を使用した。
特に断りのない限り、溶液は水溶液を意味する。
特に断りのない限り、反応温度は20℃~30℃の室温である。
【0080】
実施例における反応プロセスは、薄層クロマトグラフィー(TLC)によってモニタリングした。反応に使用した展開溶媒、カラムクロマトグラフィーの溶離液系、および化合物の精製のための薄層クロマトグラフィーの展開溶媒系として、A:ジクロロメタン/メタノール系、B:n-ヘキサン/酢酸エチル系、C:石油エーテル/酢酸エチル系、および、D:石油エーテル/酢酸エチル/メタノール系、が用いられた。溶媒の体積比は、化合物の極性に応じて調整し、そしてまた、トリエチルアミンなどのアルカリ試薬や酢酸などの酸性試薬を少量加えて調整した。
【0081】
実施例1
(R)-8-(8-(2,3-ジクロロフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-8-アザスピロ[4.5]デカン-1-アミン
【化29】
【化30】
【0082】
工程1
5-ブロモ-2,4-ジクロロ-6-メチルピリミジン 1b
5-ブロモ-6-メチルピリミジン-2,4-ジオール1a(1.5g、7.32mmol)を8mLのオキシ塩化リンに溶解した。0.3mLのN,N-ジメチルホルムアミドを加え、反応溶液を115℃に昇温し、4時間、撹拌した。反応終了後、反応溶液を減圧下で濃縮し、20mLの氷水混合物に加えた。反応溶液を酢酸エチル(10mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(5mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を収集し、減圧下で濃縮して、黄色の固体として、表題の化合物1b(950mg、収率:54%)を得た。
MS(ESI) m/z 242.8 [M+H]+
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 2.72 (s, 3H).
【0083】
工程2
5-ブロモ-2-クロロ-N-(2,2-ジメトキシエチル)-6-メチルピリミジン-4-アミン 1d
化合物1b(940mg、3.89mmol)、および、2,2-ジメトキシエチルアミン1c(817mg、7.77mmol)を15mLのエタノールに溶解した。1.1mLのトリエチルアミン(785mg、7.77mmol)を0℃で加え、反応溶液を、室温で12時間、撹拌した。反応終了後、反応溶液を減圧下で濃縮した。水を加え、反応溶液を酢酸エチル(10mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を収集し、減圧下で濃縮した。残渣を、石油エーテルおよび酢酸エチルを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、白色の固体として、表題の化合物1d(790mg、収率:65%)を得た。
MS(ESI) m/z 311.8 [M+H] +
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 5.82 (s, 1H), 4.49 (t, J = 4.8 Hz, 1H), 3.66 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 3.45 (s, 6H), 2.48 (s, 3H).
【0084】
工程3
8-ブロモ-7-イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-オール 1e
化合物1d(780mg、2.51mmol)を8mLの濃硫酸に溶解し、65℃で2時間、反応させた。反応終了後、100mLの氷水混合物を加え、pH=6になるまで飽和水酸化ナトリウム溶液を加えた。反応溶液を、ジクロロメタンおよびイソプロパノールの混合液(50mL×3、体積比:3:1)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(150mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を収集し、減圧下で濃縮して、黄色の固体として、表題の化合物1e(560mg、収率:92%)を得た。
MS(ESI) m/z 227.9, 229.9 [M+H] +
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.81 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 2.43 (s, 3H).
【0085】
工程4
8-ブロモ-5-クロロ-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン 1f
N,N-ジイソプロピルエチルアミン(5.6mL、5.57mmol)を、化合物1e(300mg、1.32mmol)、およびオキシ塩化リン(7.58g)の懸濁液に加えた。反応溶液を、110℃で3時間、反応させた。反応終了後、反応溶液を減圧下で濃縮した。50mLの飽和重炭酸ナトリウム水溶液を加え、反応溶液を酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(200mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を収集し、減圧下で濃縮して、黄色の固体として、表題の化合物1f(210mg、収率:36%)を得た。
MS(ESI) m/z 247.9 [M+H] +
1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 8.10 (s, 1H), 7.75 (s, 1H), 2.56 (s, 3H).
【0086】
工程5
(R)-N-(R)-8-(8-ブロモ-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-8-アザスピロ[4.5]デカン-1-イル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド 1h
化合物1f(180mg、0.73mmol)、(R)-2-メチル-N-((R)-8-アザスピロ[4.5]デカン-1-イル)プロパン-2-スルフィンアミド1g(268mg、0.73mmol、特許出願「WO2016203406 A1」に記載の方法により製造)、および、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.36mL、2.19mmol)を、5mLのジメチルスルホキシドに溶解した。反応溶液を、90℃で30分間反応させた。反応終了後、20mLの酢酸エチルと40mLの水を加え、反応溶液を酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を収集し、減圧下で濃縮した。残渣を、ジクロロメタンおよびメタノールを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、白色の固体として、表題の化合物1h(200mg、収率:56%)を得た。
MS(ESI) m/z 468.0, 470.0 [M+H] +
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.77 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.54 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 5.02 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 3.84-3.77 (m, 2H), 3.37-3.33 (m, 1H), 3.17-3.03 (m, 2H), 2.55 (s, 3H), 2.21-2.15 (m, 1H), 2.09-1.89 (m, 3H), 1.81-1.64 (m, 3H), 1.62-1.54 (m, 1H), 1.53-1.39 (m, 2H), 1.26 (s, 9H).
【0087】
工程6
(R)-N-((R)-8-(8-(2,3-ジクロロフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-8-アザスピロ[4.5]デカン-1-イル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド 1j
化合物1h(170mg、0.36mmol)、2,3-ジクロロフェニルボロン酸1i(138mg、0.73mmol)、炭酸セシウム(355mg、1.09mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(42mg、0.036mmol)を、窒素雰囲気下、2mLのトルエンと2mLのエタノールの混合液に順次溶解した。反応溶液を、120℃で1時間反応させた。反応溶液を室温に冷却した。10mLの酢酸エチルと10mLの水を加え、反応溶液を、酢酸エチル(10mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を収集し、減圧下で濃縮した。残渣を、ジクロロメタンおよびメタノールを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色の油として、表題の化合物1j(37mg、収率:19%)を得た。
MS(ESI) m/z 534.4 [M+H] +
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.83-7.25 (m, 5H), 3.92-3.75 (m, 2H), 3.22-2.95 (m, 2H), 2.18 (s, 3H), 2.11-1.18 (m, 20H).
【0088】
工程7
(R)-8-(8-(2,3-ジクロロフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-8-アザスピロ[4.5]デカン-1-アミン 1
化合物1j(25mg、0.047mmol)を、2mLの1,4-ジオキサンに溶解した。1mLの4Mの塩化水素の1,4-ジオキサン溶液を、0℃で加え、反応溶液を、室温で30分間、撹拌した。10mLの酢酸エチルを加えた後、反応溶液を濾過し、酢酸エチル(10mL×3)で洗浄した。得られた固体を、10mLの水に溶解し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液をpH=9になるまで加えた。混合物を、クロロホルム(20mL×2)で抽出した。有機相を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(10mL)、および飽和塩化ナトリウム溶液(20mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を収集し、減圧下で濃縮し、表題の化合物1(9.3mg、収率:42%)を得た。
MS(ESI) m/z 430.1 [M+H] +
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.70-7.62 (m, 2H), 7.47-7.39 (m, 2H), 7.31 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 3.97-3.81 (m, 2H), 3.29-3.18 (m, 2H), 3.11-3.04 (m, 1H), 2.19 (s, 3H), 2.17-2.10 (m, 1H), 2.06-1.90 (m, 3H), 1.88-1.82 (m, 1H), 1.81-1.70 (m, 2H), 1.66-1.50 (m, 3H).
【0089】
実施例2
(3S,4S)-8-(8-(2,3-ジクロロフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン
【化31】
【化32】
【0090】
工程1
(3S,4S)-8-(8-ブロモ-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン 2b
化合物1f(150mg、0.53mmol)、(3S,4S)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン2a(154mg、0.63mmol、特許出願「WO2015107495 A1」に記載の方法により製造)、および、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(31mg、1.06mmol)を、3mLのジメチルスルホキシドに溶解した。反応溶液を、90℃で1時間、反応させた。反応終了後、15mLの酢酸エチルと30mLの水を加え、反応溶液を、酢酸エチル(10mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(10mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を収集し、減圧下で濃縮した。残渣を、ジクロロメタンおよびメタノールを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色の固体として、表題の化合物2b(150mg、収率:75%)を得た。
MS(ESI) m/z 380.1, 382.1 [M+H] +
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.59 (s, 1H), 7.42 (s, 1H), 4.23-4.16 (m, 1H), 3.83 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 3.72 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 3.64-3.55 (m, 2H), 3.30-3.22 (m, 1H), 3.20-3.14 (m, 1H), 3.04 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 2.57 (s, 3H), 2.03-1.98 (m, 1H), 1.93-1.86 (m, 1H), 1.84-1.74 (m, 2H), 1.26 (d, J = 6.4 Hz, 3H).
【0091】
工程2
(3S,4S)-8-(8-(2,3-ジクロロフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン 2
化合物2b(50mg、0.131mmol)、2,3-ジクロロフェニルボロン酸1i(30mg、0.158mmol)、リン酸カリウム(55.6mg、0.262mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(5.95mg、0.007mmol)、および、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニルを、窒素雰囲気下、1mLの1,4-ジオキサンに順次懸濁した。反応溶液を、100℃で1時間、反応させた。反応溶液を室温に冷却した。5mLの酢酸エチルおよび4mLの水を加え、反応溶液を酢酸エチル(8mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(8mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を収集し、減圧下で濃縮した。残渣を、酢酸エチル、メタノールおよびアンモニアを溶離液とするによるシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題の化合物2(9.7mg、収率:16%)を得た。
MS(ESI) m/z 446.1 [M+H] +
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.57-7.50 (m, 2H), 7.41 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 7.32 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.28 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 4.25-4.19 (m, 1H), 3.86 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 3.76 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 3.72-3.63 (m, 2H), 3.40-3.18 (m, 2H), 3.07 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 2.23 (s, 3H), 2.10-2.01 (m, 1H), 1.98-1.77 (m, 3H), 1.27 (d, J = 6.4 Hz, 3H).
【0092】
実施例3
a(R)-(3S,4S)-8-(8-(2,3-ジクロロフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン アトロプ異性体1
実施例4
a(S)-(3S,4S)-8-(8-(2,3-ジクロロフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン アトロプ異性体2
【化33】
実施例2で得た(3S,4S)-8-(8-(2,3-ジクロロフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン(17mg)を、キラルカラム(DAICEL CHIRALPAK IC (250mm*30mm、10 μm))の超臨界流体クロマトグラフィー(移動相:45% EtOH + 0.1% NH3H2O /55% scCO2、流速:80mL/min)によって分離した。
第1の溶離ピークから、5.2mgのアトロプ異性体(d.e.98.91%)を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.72-7.60 (m, 2H), 7.47-7.39 (m, 2H), 7.34-7.25 (m, 1H), 4.95-4.91 (m, 1H), 4.42-4.23 (m, 1H), 3.96-3.88 (m, 1H), 3.80-3.68 (m, 2H), 3.55-3.42 (m, 1H), 3.30-3.07 (m, 2H), 2.18 (s, 3H), 2.05-1.95 (m, 2H), 1.89-1.72 (m, 2H), 1.5 (d, J = 6.8 Hz, 3H).
キラル分析法:Chiralpak IC-3 100 7.47-7.39 (m, 2H)、移動相:A-超臨界二酸化炭素、B-EtOH + 0.05% DEA、流速:2.8 mL/min、イソクラティック溶離40%B、保持時間(RT):1.495分。
第2の溶離ピークから、4.4mgのアトロプ異性体(d.e.99.33%)を得た。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.72-7.60 (m, 2H), 7.46-7.39 (m, 2H), 7.32-7.28 (m, 1H), 5.01-4.90 (m, 1H), 4.45-4.23 (m, 1H), 3.97-3.87 (m, 1H), 3.80-3.65 (m, 2H), 3.55-3.44 (m, 1H), 3.27-3.07 (m, 2H), 2.18 (s, 3H), 2.05-1.94 (m, 2H), 1.87-1.70 (m, 2H), 1.25 (d, J = 6.8 Hz, 3H).
キラル分析法:Chiralpak IC-3 100 7.46-7.39 (m, 2H), 移動相:A-超臨界二酸化炭素、B-EtOH + 0.05% DEA、流速:2.8 mL/min, イソクラティック溶離40%B、保持時間(RT):2.716分。
【0093】
実施例5
(R)-8-(8-(2,3-ジクロロピリジン-4-イル)-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-8-アザスピロ[4.5]デカン-1-アミン
【化34】
実施例1の合成工程において、化合物1iを、化合物(2,3-ジクロロピリジン-4-イル)ボロン酸に置き換えることにより、実施例5の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 431.0 [M+H] +
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 8.42 (d, J= 4.8 Hz, 1H), 7.72 (d, J=2.0 Hz, 1H), 7.46 (d, J=1.6 Hz, 1H), 7.42 (d, J=4.8 Hz, 1H), 3.97-3.84 (m, 2H), 3.29-3.15 (m, 2H), 2.89 (t, J=7.2 Hz, 1H), 2.22 (s, 3H), 2.13-2.04 (m, 1H), 2.01-1.87 (m, 3H), 1.83-1.74 (m, 1H),1.73-1.67 (m, 1H), 1.66-1.58 (m, 1H), 1.55-1.41 (m, 3H).
【0094】
実施例6
(R)-8-(8-(3-クロロ-2-メトキシピリジン-4-イル)-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-8-アザスピロ[4.5]デカン-1-アミン
【化35】
実施例1の合成工程において、化合物1iを、化合物(3-クロロ-2-メトキシピリジン-4-イル)ボロン酸に置き換えることにより、実施例6の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 427.2 [M+H] +
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 8.16 (d, J=5.2 Hz, 1H), 7.69 (s, 1H), 7.45 (s, 1H), 6.95 (d, J=5.2 Hz, 1H), 4.06 (s, 3H), 3.94-3.82 (m, 2H), 3.27-3.16 (m, 2H), 3.01 (t, J=7.2 Hz, 1H), 2.21 (s, 3H), 2.16-2.08 (m, 1H), 2.00-1.91 (m, 2H), 1.88-1.77 (m, 2H), 1.74-1.64 (m, 2H), 1.62-1.45 (m, 3H).
【0095】
実施例7
(R)-8-(8-(2-クロロ-4-(ジフルオロメトキシ)フェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-8-アザスピロ[4.5]デカン-1-アミン
【化36】
実施例1の合成工程において、化合物1iを、化合物(2-クロロ-4-(ジフルオロメトキシ)フェニル)ボロン酸に置き換えることにより、実施例7の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 462.2 [M+H] +
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.68 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 7.44 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 7.24 (dd, J = 2.0, 8.4 Hz, 1H), 6.97 (t, J = 73.6 Hz, 1H), 3.90-3.80 (m, 2H), 3.26-3.13 (m, 2H), 2.92-2.88 (m, 1H), 2.19 (s, 3H), 2.10-1.95 (m, 2H), 1.95-1.87 (m, 2H), 1.84-1.75 (m, 1H), 1.74-1.68 (m, 1H), 1.66-1.58 (m, 1H), 1.56-1.41 (m, 3H).
【0096】
実施例8
(S)-1’-(8-(2,3-ジクロロフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン
【化37】
【化38】
【0097】
工程1
tert-ブチル 1-オキソ-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1’-カルボキシレート 8c
化合物8a(10g、75.66mmol)を、窒素雰囲気下、DMF(300mL)に溶解し、次いで、10℃で、水素化ナトリウム(ケロシンとの60%混合物、9.1g、226.98mmol)を加えた。反応系を室温で30分間撹拌した。化合物tert-ブチル ビス(2-クロロエチル)カルバメート8b(18.3g、75.66mmol)、および、水素化ナトリウム(22.6g、151.32mmol)を加えた。反応溶液を、室温で1時間、反応させ、50℃で12時間、加熱した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)を加え、反応溶液を酢酸エチル(200mL)で抽出した。有機相を合わせ、水(80mL×2)および飽和塩化ナトリウム溶液(80mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を、石油エーテルおよび酢酸エチルを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、褐色の固体として、化合物8c(1.9g、収率:8.34%)を得た。
MS(ESI) m/z 246.0 [M+H-56] +
1H NMR: (400 MHz, CDCl3) δ 7.78 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.62 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 7. 48 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.40 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 4.15-4.13 (m, 2H), 3.08 (s, 2H), 3.05-2.99 (m, 2H), 1.92 (dt, J = 4.4 Hz, J = 13.2 Hz, 2H), 1.49 (s, 9H), 1.40-1.35 (m, 2H).
【0098】
工程2
tert-ブチル (S)-1-((S)-tert-ブチルスルフィニルアミノ)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1’-カルボキシレート 8e
化合物8c(1.60g、5.31mmol)を無水トルエン(20mL)に溶解し、次いで、チタニウムテトラエトキシド(2.42g、10.62mmol)を加えた。反応溶液を、室温で20分間、撹拌した。化合物(R)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド8d(965mg、7.96mmol)を加え、反応系を、90℃で15時間、反応させた。0℃に冷却した後、水素化ホウ素リチウム(139mg、6.37mmol)を加え、反応溶液を30分間反応させた。反応終了後、メタノール(8mL)を0℃で滴下して加えた。水(20mL)および酢酸エチル(30mL)を加え、反応溶液を5分間撹拌した。懸濁物質を珪藻土で濾過し、酢酸エチル(50mL)で洗浄した。反応溶液を酢酸エチル(70mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(30mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を、石油エーテルおよび酢酸エチルを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色の固体として、化合物8e(530mg、収率:24.5%)を得た。
MS(ESI) m/z 307.2 [M+H-Boc] +
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.31 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 7.22-7.18 (m, 3H), 5.56 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.48 (d, J = 10.4 Hz, 1H), 4.02-3.97 (m, 1H), 3.13 (d, J = 15.6 Hz, 1H), 3.08-2.95 (m, 2H), 2.73 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 2.05-1.96 (m, 1H), 1.73-1.72 (m, 1H), 1.54-1.52 (m, 1H), 1.46 (s, 9H), 1.31 (s, 9H).
【0099】
工程3
(S)-N-((S)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-イル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド 8f
化合物8e(460mg、1.13mmol)をジクロロメタン(5mL)に溶解し、次いで、0℃でトリフルオロ酢酸(1mL)を加えた。反応溶液を、室温で1時間、撹拌した。反応溶液を減圧下で濃縮し、粗生成物を得て、飽和重炭酸ナトリウム水溶液をpH=7~8になるまで加えた。反応溶液をジクロロメタン(10mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(8mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、黄色の油として、化合物8f(230mg、収率:66%)を得た。
MS(ESI) m/z 307.2 [M+H]+
【0100】
工程4
(S)-N-((S)-1’-(8-ブロモ-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-イル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド 8g
化合物8f(123mg、0.50mmol)、および化合物1f(230mg、0.75mmol)を、窒素雰囲気下、ジメチルスルホキシド(3mL)に溶解し、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(129mg、1.0mmol)を加えた。反応溶液を、90℃で1時間、撹拌した。酢酸エチル(20mL)および水(10mL)を加え、反応溶液を酢酸エチル(10mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、水(8mL×2)および飽和塩化ナトリウム溶液(8mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を、石油エーテルおよび酢酸エチルを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、白色の固体として、化合物8g(250mg、収率:97%)を得た。
MS(ESI) m/z 516.1, 518.1 [M+H] +
【0101】
工程5
(S)-N-((S)-1’-(8-(2,3-ジクロロフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-イル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド 8h
化合物8g(100mg、0.19mmol)、および、化合物1i(55.3mg、0.29mmol)を、窒素雰囲気下、1,4-ジオキサン(2mL)に溶解し、次いで、室温で、炭酸カリウム(161mg、0.76mmol)を加えた。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(8.7mg、0.0095mmol)、および、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(7.8mg、0.019mmol)を加え、反応溶液を100℃に加熱して1時間撹拌した。酢酸エチル(10mL)および水(8mL)を加え、反応溶液を酢酸エチル(8mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(5mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を、石油エーテルおよび酢酸エチルを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色の固体として、化合物8h(15mg、収率:13.5%)を得た。
MS(ESI) m/z 582.3 [M+H] +
【0102】
工程6
(S)-1’-(8-(2,3-ジクロロフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン 8
化合物8h(15mg、0.026mmol)を、ジクロロメタン(2mL)およびメタノール(0.2mL)に溶解し、次いで、0℃で、塩化水素の1,4-ジオキサンの溶液(0.5mL、4N)を加えた。反応溶液を、室温で20分間、反応させた。反応溶液を減圧下で濃縮し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液を加え、pH=7~8に調整した。反応溶液を、ジクロロメタン(8mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(5mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、化合物8(6.3mg、収率:50.7%)を得た。
MS(ESI) m/z 478.1 [M+H] +
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.72 (s, 1H), 7.65 (d, J = 8 Hz, 1H), 7.45-7.41 (m, 3H), 7.32-7.24 (m, 4H), 4.97-4.95 (m, 1H), 4.86-4.85 (m, 1H), 4.13 (s, 1H), 3.91-3.88 (m, 2H), 3.20 (d, J = 8 Hz, 1H), 2.93 (d, J = 8 Hz, 1H), 2.20 (s, 3H), 2.09-2.06 (m, 2H), 1.72 (d, J = 13.6 Hz, 1H), 1.62 (d, J = 13.6 Hz, 1H).
【0103】
実施例9
(3S,4S)-8-(8-(2,3-ジクロロフェニル)-7-メチル-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-c]ピリミジン-5-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン
【化39】
【化40】
【0104】
工程1
5-ブロモ-2-クロロ-4-ヒドラジンイル-6-メチルピリミジン 9a
化合物1b(3.0g、12.40mmol)をエタノール(30mL)に溶解し、次いで、ヒドラジン水和物(1.86g、37.21mmol)を加えた。反応溶液を、室温で4時間、撹拌し、その後、濾過した。濾過ケーキをエタノール(10mL×3)で洗浄した。得られた固体を、真空下で乾燥し、黄色の固体として、化合物9a(2.8g、収率:95%)を得た。
MS(ESI) m/z 236.7, 238.7 [M+H]+
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 2.43 (s, 3H).
【0105】
工程2
8-ブロモ-5-クロロ-7-メチル-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-c]ピリミジン 9b
化合物9a(1.4g、5.90mmol)をオルトギ酸トリメチル(20mL)に溶解し、反応溶液を、100℃で2時間、反応させた。反応終了後、真空下、反応溶液を濃縮し、得られた粗生成物(1.4g)を、石油エーテルおよび酢酸エチルを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、白色の固体として、化合物9b(330mg、収率:23%)を得た。
MS(ESI) m/z 246.4, 248.4 [M+H] +
【0106】
工程3
(3S,4S)-8-(8-ブロモ-7-メチル-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-c]ピリミジン-5-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン 9c
化合物9b(120mg、0.48mmol)、およびDIEA(310mg、2.40mmol)を、DMSO(4.0mL)に溶解し、次いで、化合物2a(140mg、0.58mmol)を加えた。反応溶液を、90℃で1時間、反応させた。反応終了後、水(50mL)を加え、反応溶液を酢酸エチル(25mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(20mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた残渣を、ジクロロメタンおよびメタノールを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色の固体として、化合物9c(110mg、収率:60%)を得た。
MS(ESI) m/z 381.1, 383.1 [M+H] +
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 8.69 (s, 1H), 4.21-4.15 (m, 1H), 3.82 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 3.75-3.62 (m, 3H), 3.44-3.25 (m, 2H), 3.04 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 2.53 (s, 3H), 2.10-1.98 (m, 1H), 1.95-1.74 (m, 3H), 1.24 (d, J = 6.0 Hz, 3H).
【0107】
工程4
(3S,4S)-8-(8-(2,3-ジクロロフェニル)-7-メチル-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-c]ピリミジン-5-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン 9
化合物9c(50mg、0.13mmol)、化合物1i(30mg、0.16mmol)、およびリン酸カリウム(55.2mg、0.26mmol)を、窒素雰囲気下、1,4-ジオキサン(2mL)に懸濁した。2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシ-ビフェニル(S-Phos、5.3mg、0.013mmol)、および、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd2(dba)3、5.5mg、0.006mmol)を加えた。反応溶液を、10006条件下、1時間、反応させた。反応溶液を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣を、酢酸エチル、メタノールおよびアンモニアを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物9(12.1mg、収率:20.6%)を得た。
MS(ESI) m/z 447.1 [M+H] +
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 8.70 (s, 1H), 7.57 (dd, J = 7.6 Hz, J = 1.6 Hz, 1H), 7.36-7.27 (m, 2H), 4.26-4.18 (m, 1H), 3.89-3.70 (m, 4H), 3.52-3.31 (m, 2H), 3.08 (br s, 1H), 2.23 (s, 3H), 2.11-2.01 (m, 1H), 1.98-1.77 (m, 3H), 1.27 (d, J = 6.4 Hz, 3H).
【0108】
実施例10
(3S,4S)-8-(8-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン
【化41】
【化42】
【0109】
工程1
2-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)-3-オキソブタンニトリル 10b
2-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)アセトニトリル10a(2.0g、11.8mmol)を3.6mLの酢酸エチルに溶解し、次いで、ナトリウムエトキシド(6.8g、11.8mmol)を加えた。反応溶液を、85℃で5時間、撹拌した。反応終了後、反応溶液に30mLの水を加え、飽和クエン酸水溶液を加え、pHを4~5に調整した。反応溶液を酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(40mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を収集し、減圧下で濃縮し、黄色の固体として、化合物10b(2.2g、収率:88%)を得た。
1H NMR: (400MHz, CDCl3) δ 7.42-7.36 (m, 1H), 7.34-7.30 (m, 1H), 7.17-7.11 (m, 1H), 5.18 (s, 1H), 2.43 (s, 3H).
【0110】
工程2
(Z)-2-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)-3-メトキシブト-2-エンニトリル 10c
化合物10b(2.0g、9.45mmol)を、窒素雰囲気下、30mLのテトラヒドロフランに溶解し、次いで、炭酸カリウム(2.61g、18.9mmol)、および硫酸ジメチル(1.79mL、18.9mmol)を加えた。反応溶液を、室温で10時間、反応させた。反応終了後、反応溶液を濃縮した。30mLの水を加え、反応溶液を酢酸エチル(30mL)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(40mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を収集し、減圧下で濃縮した。残渣を、石油エーテルおよび酢酸エチルを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色の油として、表題の化合物10c(2.6g、収率:97%)を得た。
MS(ESI) m/z = 225.8 [M+H]+
1H NMR: (400 MHz, MeOH-d4) δ 7.34-7.28 (m, 1H), 7.22-7.15 (m, 1H), 7.14-7.08 (m, 1H), 3.81 (s, 3H), 2.46 (s, 3H).
【0111】
工程3
4-アミノ-5-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)-6-メチルピリミジン-2-オール 10d
ナトリウムエトキシド(0.90g、13.3mmol)、および尿素(0.40g、6.6mmol)を、化合物10c(1.0g、4.4mmol)のエタノール(5mL)溶液に加えた。反応溶液を、80℃で12時間、反応させた。反応終了後、反応溶液を濾過した。濾液に2Mの塩酸を加え、pH=6に調整し、反応溶液を、ジクロロメタンおよびイソプロパノール(20mL×3、v/v=3:1)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を収集し、減圧下で濃縮した。残渣を、ジクロロメタンおよびメタノールを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色の固体として、化合物10d(0.42g、収率:37%)を得た。
MS (ESI) m/z = 254.1 [M+H]+
1H NMR: (400 MHz, MeOH-d4) δ 7.46-7.54 (m, 2H), 7.24-7.28 (m, 1H), 1.92 (s, 3H).
【0112】
工程4
8-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-オール 10e
2-クロロアセトアルデヒド(0.40mL、2.52mmol)を、化合物10d(0.32g、1.3mmol)のDMF(10mL)溶液に加えた。反応溶液を、80℃で2時間、反応させた。反応終了後、50mLの水を加え、反応溶液を酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を収集し、減圧下で濃縮した。残渣を、石油エーテルおよび酢酸エチルを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、表題の化合物10e(30mg、収率:8%)を得た。
MS(ESI) m/z 277.9 [M+H]+
1H NMR: (400 MHz, CDCl3) δ 7.77 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.58-7.47 (m, 2H), 7.39-7.32 (m, 1H), 7.26 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 6.96 (s, 1H), 2.01 (s, 3H).
【0113】
工程5
5-クロロ-8-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン 10f
オキシ塩化リン(1mL)、およびDIEA(0.2mL、1.2mmol)を、化合物10e(30mg、0.11mmol)に加えた。反応溶液を、110℃で2時間、反応させた。反応溶液を減圧下で濃縮し、ジクロロメタン(50mL)および氷水(100mL)を加え、飽和重炭酸ナトリウム水溶液を加え、pH=8に調整した。反応溶液をジクロロメタン(50mL)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(150mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を収集し、減圧下で濃縮し、黄色の固体として、表題の化合物10f(24mg、収率:75%)を得た。
MS(ESI) m/z 295.8 [M+H]+
1H NMR: (400 MHz, DMSO_d6) δ 8.12 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 7.71 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 7.66-7.60 (m, 1H), 7.58-7.54 (m, 1H), 7.44 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 2.25 (s, 3H).
【0114】
工程6
(3S,4S)-8-(8-(2-クロロ-6-フルオロフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン 10
化合物10f(60mg、0.20mol)をDMSO(1.5mL)に溶解し、次いで、化合物2a(49mg、0.20mmol)、およびDIEA(0.1mL、0.61mmol)を加えた。反応溶液を、90℃で30分間、反応させた。反応終了後、水(40mL)を加え、反応溶液を酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機相を、飽和塩化ナトリウム溶液(50mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を収集し、減圧下で濃縮した。残渣を、ジクロロメタンおよびメタノール(アンモニア0.1%含有)を溶離液とするシリカゲル分取薄層クロマトグラフィーにより精製して、表題の化合物10(32mg、収率:36.4%)を得た。
MS(ESI) m/z 430.2 [M+H]+
1H NMR: TJN180745-173-1C3 (400MHz, MeOD_d4) δ 7.69 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 7.52-7.46 (m, 1H), 7.45 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 7.44-7.41 (m, 1H), 7.26-7.20 (m, 1H), 4.31-4.22 (m, 1H), 3.91 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 3.83-3.72 (m, 3H), 3.37-3.31 (m, 1H), 3.28-3.20 (m, 1H), 3.11 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 2.19 (s, 3H), 2.11-1.95 (m, 2H), 1.87-1.76 (m, 2H), 1.25 (d, J = 6.4 Hz, 3H).
【0115】
実施例11
(3S,4S)-8-(8-(2,3-ジクロロ-6-フルオロフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン
【化43】
実施例10の合成工程において、化合物10aを化合物2-(2,3-ジクロロ-6-フルオロフェニル)アセトニトリルに置き換えることにより、実施例11の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 464.1 [M+H] +
1H NMR: (400Hz, CD3OD) δ 7.78-7.65 (m, 2H), 7.46 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 7.28 (t, J = 8.4 Hz, 1H), 4.35-4.19 (m, 1H), 3.91 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 3.87-3.73 (m, 3H), 3.42-3.33 (m, 1H), 3.30-3.19 (m, 1H), 3.12 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 2.20 (s, 3H), 2.11-1.97 (m, 2H), 1.92-1.76 (m, 2H), 1.25 (d, J = 6.4 Hz, 3H).
【0116】
実施例12
(3S,4S)-8-(8-(2-ブロモ-3-クロロフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン
【化44】
実施例10の合成工程において、化合物10aを化合物2-(2-ブロモ-3-クロロフェニル)アセトニトリルに置き換えることにより、実施例12の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 492.3 [M+H] +
1H NMR: (400MHz, CD3OD) δ 7.70 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.63 (dd, J = 1.6 Hz, 8.0 Hz, 1H), 7.49-7.43 (m, 2H), 7.27 (dd, J = 1.2 Hz, 7.6 Hz, 1H), 4.31-4.22 (m, 1H), 3.90 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 3.80-3.71 (m, 3H), 3.37-3.32 (m, 1H), 3.27-3.19 (m, 1H), 3.10 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 2.17 (s, 3H), 2.07-1.96 (m, 2H), 1.88-1.76 (m, 2H), 1.25 (d, J = 7.2 Hz, 3H).
【0117】
実施例13
(3S,4S)-3-メチル-8-(7-(トリフルオロメチル)-8-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン
【化45】
【化46】
【0118】
工程1
4-クロロ-2-(メチルチオ)-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン 13b
2-(メチルチオ)-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-オール13a(100mg、0.21mmol)をオキシ塩化リン(20mL)に溶解した。反応溶液を、窒素雰囲気下、120℃で5時間、反応させた。反応終了後、反応溶液を減圧下で濃縮し、黄色の固体として、表題の化合物13b(4g、粗生成物)を得て、これを精製することなく、次の工程にそのまま使用した。
【0119】
工程2
N-(2,2-ジメトキシエチル)-2-(メチルチオ)-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-アミン 13c
化合物13b(4g、17.50mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し、次いで、化合物1c(2.84mL、26.24mmol)、およびトリエチルアミン(5.31g、52.49mmol)を加えた。反応溶液を、6~11℃で12時間、反応させた。反応終了後、反応溶液を40mLの水に注いだ。飽和水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを10に調整し、反応溶液を酢酸エチル(25mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム水溶液(25mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた粗生成物を、酢酸エチルおよび石油エーテルを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色の固体として、表題の化合物13c(1.12g、2工程の収率:33%)を得た。
MS(ESI) m/z 298.2 [M+H]+
1H NMR: (400MHz, CD3OD) δ 6.52 (s, 1H), 4.54 (t, J = 5.2 Hz, 1H), 3.59 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 3.40 (s, 6H), 2.50 (s, 3H).
【0120】
工程3
5-ブロモ-N-(2,2-ジメトキシエチル)-2-(メチルチオ)-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-アミン 13d
化合物13c(1.02g、3.43mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(15mL)に溶解し、次いで、N-ブロモスクシンイミド(0.67g、3.77mmol)を加えた。反応溶液を、窒素雰囲気下、70℃で1時間、反応させた。反応終了後、反応溶液を100mLの水に注ぎ、酢酸エチル(40mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた粗生成物を、酢酸エチルおよび石油エーテルを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色の固体として、表題の化合物13d(1.1g、収率:85%)を得た。
MS(ESI) m/z 377.8 [M+H+2]+
1H NMR: (400MHz, CD3OD) δ 4.62 (t, J = 5.2 Hz, 1H), 3.65 (d, J = 5.6 Hz, 2H), 3.41 (s, 6H), 2.51 (s, 3H).
【0121】
工程4
8-ブロモ-5-(メチルチオ)-7-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン 13e
化合物13d(1.05g、2.79mmol)を濃硫酸(15mL)に溶解し、65℃で12時間、反応させた。反応終了後、反応溶液を25mLの酢酸エチルで希釈した。反応溶液を100mLの氷水に注いで、飽和水酸化ナトリウム溶液を加え、pHを11~13に調整した。水相を分離し、酢酸エチル(35mL×3)で抽出した。酢酸エチル相を合わせ、飽和塩化ナトリウム水溶液(25mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、黄色の固体として、表題の化合物13e(642mg、収率:74%)を得た。
MS(ESI) m/z 313.8 [M+H+2]+
1H NMR: (400MHz, CD3OD) δ 8.01 (s, 1H), 7.87 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 2.85 (s, 3H).
【0122】
工程5
8-ブロモ-5-(メチルスルフィニル<スルフェニル>)-7-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン 13f
化合物13e(290mg、0.93mmol)をジクロロメタン(8mL)に溶解し、次いで、0~3℃で、m-クロロペルオキシ安息香酸(481mg、2.79mmol)を加えた。反応溶液を、0~3℃で2時間、反応させた。反応終了後、反応物を、0~3℃で、25mLの飽和亜硫酸水素ナトリウム溶液でクエンチした。反応溶液を、0~3℃で10分間、撹拌し、ジクロロメタン(25mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(30mL×2)、続いて飽和塩化ナトリウム水溶液(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、黄色の固体として、表題の化合物13f(225mg、収率:74%)を得た。
MS(ESI) m/z 327.7 [M+H+2]+
【0123】
工程6
(3S,4S)-8-(8-ブロモ-7-(トリフルオロメチル)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン 13g
化合物13f(163mg、0.67mmol)をジメチルスルホキシド(5mL)に溶解し、次いで、(3S,4S)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン二塩酸塩2a(163mg、0.67mmol)、および、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(260mg、2.01mmol)を加えた。反応溶液を、60℃で2時間、反応させた。反応終了後、反応溶液を30mLの水で希釈した後、クロロホルムおよびイソプロパノールの混合液(3/1、30mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた粗生成物を、メタノールおよびジクロロメタンを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色の固体として、表題の化合物13g(115mg、収率:39%)を得た。
MS(ESI) m/z 435.7 [M+H+2]+
1H NMR: (400MHz, CD3OD) δ 7.78 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 7.57 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 4.23-4.17 (m, 1H), 3.84 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 3.74-3.66 (m, 3H), 3.42-3.35 (m, 1H), 3.33-3.27 (m, 1H), 3.06 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 2.09-2.00 (m, 1H), 1.95-1.88 (m, 1H), 1.86-1.78 (m, 2H), 1.26 (d, J = 6.8 Hz, 3H).
【0124】
工程7
(3S,4S)-3-メチル-8-(7-(トリフルオロメチル)-8-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン 13
化合物13g(100mg、0.23mmol)、および化合物13h(139mg、0.69mmol、特許出願「WO2016203405 A1」に記載の方法により製造)をジメチルスルホキシド(5mL)に溶解し、次いで、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(238mg、1.84mmol)を加えた。反応溶液を、120℃で4時間、反応させた。反応終了後、反応溶液を30mLの酢酸エチルで希釈し、飽和塩化ナトリウム水溶液(20mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた残渣を分取高速液体クロマトグラフィー(Welch Xtimate C18 150*30mm*5μm;条件:37~67%B(A:水(アンモニア0.05%含有)、B:アセトニトリル);流速:25mL/min)により精製して、表題の化合物13(8.9mg、収率:7%)を得た。
MS(ESI) m/z 533.1 [M+H]+
1H NMR: (400MHz, CD3OD) δ 8.44-8.30 (m, 1H), 7.95 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 7.65 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 7.34-7.25 (m, 2H), 4.32-4.19 (m, 1H), 4.07-3.95 (m, 2H), 3.91 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 3.76 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 3.62-3.52 (m, 1H), 3.51-3.42 (m, 1H), 3.09 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 2.10-1.93 (m, 2H), 1.89-1.75 (m, 2H), 1.24 (d, J = 6.4 Hz, 3H).
【0125】
実施例14
1-(8-((3-クロロ-2-フルオロピリジン-4-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-4-メチルピペリジン-4-アミン
【化47】
【化48】
【0126】
工程1
5-ブロモ-2-クロロ-N-(2,2-ジメトキシエチル)ピリミジン-4-アミン 14b
5-ブロモ-2,4-ジクロロピリミジン14a(600mg、2.63mmol)を15mLのエタノールに溶解し、次いで、2,2-ジメトキシエチルアミン1c(554mg、5.27mmol)、およびトリエチルアミン(0.73mL、5.27mmol)を加えた。反応溶液を、室温で12時間、撹拌した。反応終了後、反応溶液を濃縮した。20mLの氷水混合物を加え、反応溶液を酢酸エチル(10mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(5mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を収集し、減圧下で濃縮した。残渣を、石油エーテルおよび酢酸エチルを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色の固体として、化合物14b(710mg、収率:91%)を得た。
MS(ESI) m/z = 295.9, 297.9 [M+H]+
1H NMR: (400 MHz, CDCl3) δ 8.14 (s, 1H), 5.77 (br s, 1H), 4.50 (t, J = 5.2 Hz, 1H), 3.67 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 3.45 (s, 6H).
【0127】
工程2
8-ブロモ-7-イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-オール 14c
化合物14b(700mg、2.36mmol)を7mLの濃硫酸に溶解し、反応溶液を、65℃で2時間、反応させた。反応終了後、100mLの氷水混合物を加え、飽和水酸化ナトリウム溶液をpH=6になるまで加えた。反応溶液を、ジクロロメタンおよびイソプロパノールの混合液(50mL、体積比:3:1)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(150mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を収集し、減圧下で濃縮し、黄色の固体として、表題の化合物14c(330mg、収率:65.3%)を得た。
MS(ESI) m/z = 213.7, 215.7 [M+H]+
1H NMR: (400 MHz, MeOH-d4) δ 7.88 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.51 (s, 1H), 7.43 (d, J = 1.6 Hz, 1H).
【0128】
工程3
8-ブロモ-5-クロロ-イミダゾ[1,2-c]ピリミジン 14d
N,N-ジイソプロピルエチルアミン(6.0mL、36.45mmol)を、化合物14c(300mg、1.4mmol)およびオキシ塩化リン(19.25g)の懸濁液に加えた。反応溶液を、110℃で3時間、反応させた。反応終了後、反応溶液を減圧下で濃縮した。50mLの飽和重炭酸ナトリウム水溶液を加え、反応溶液を酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(80mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を収集し、減圧下で濃縮し、黄色の固体として、表題の化合物14d(230mg、収率:55%)を得た。
MS (ESI) m/z = 231.8, 233.8 [M+H]+
【0129】
工程4
tert-ブチル (1-(8-ブロモイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-4-メチルピペリジン-4-イル)カルバメート 14f
化合物14d(220mg、0.95mmol)、tert-ブチル (4-メチルピペリジン-4-イル)カルバメート14e(203mg、0.95mmol)、および、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.47mL、2.84mmol)を、5mLのジメチルスルホキシドに溶解した。反応溶液を、90℃で1.5時間、反応させた。反応終了後、20mLの酢酸エチルおよび40mLの水を加え、反応溶液を酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を収集し、減圧下で濃縮した。残渣を、ジクロロメタンおよびメタノールを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色の固体として、表題の化合物14f(220mg、収率:54.3%)を得た。
MS(ESI) m/z 409.9 [M+H]+
1H NMR: (400 MHz, CDCl3) δ 7.88 (s, 1H), 7.66 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.49 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 4.45 (br s, 1H), 3.57-3.49 (m, 2H), 3.37-3.27 (m, 2H), 2.26-2.20 (m, 2H), 1.85-1.77 (m, 2H), 1.45 (s, 12H).
【0130】
工程5
tert-ブチル (1-(8-((3-クロロ-2-フルオロピリジン-4-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-4-メチルピペリジン-4-イル)カルバメート 14h
化合物14f(210mg、0.51mmol)、化合物14g(237mg、0.77mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.17mL、1.02mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(23.4mg、0.026mmol)、および、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(29.6mg、0.051mmol)を、窒素雰囲気下、6mLの1,4-ジオキサンに順次溶解した。反応溶液を、100℃で15時間、反応させ、120℃に3時間、加熱した。反応溶液を室温に冷却した。10mLの酢酸エチルおよび10mLの水を加え、反応溶液を酢酸エチル(10mL)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を収集し、減圧下で濃縮した。残渣を、石油エーテルおよび酢酸エチルを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色の固体として、表題の化合物14h(25mg、収率:9.9%)を得た。
MS(ESI) m/z 493.1 [M+H]+
1H NMR: (400 MHz, CDCl3) δ 8.03 (s, 1H), 7.72 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.63 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 7.52 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 6.41 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 4.48 (br s, 1H), 3.78-3.70 (m, 2H), 3.53-3.44 (m, 2H), 2.32-2.25 (m, 2H), 1.88-1.79 (m, 2H), 1.48-1.44 (m, 12H).
【0131】
工程6
1-(8-((3-クロロ-2-フルオロピリジン-4-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-4-メチルピペリジン-4-アミン 14
化合物14h(25mg、0.051mol)を、3mLのジクロロメタンに溶解し、次いで、0℃で、1mLのトリフルオロ酢酸を加えた。反応溶液を、25℃で2時間、反応させた。飽和重炭酸ナトリウム水溶液をpH=9になるまで加え、反応溶液をクロロホルム(20mL×2)で抽出した。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(20mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を収集し、減圧下で濃縮し、表題の化合物14(3.7mg、収率:18.6%)を得た。
MS(ESI) m/z 393.1 [M+H]+
1H NMR: (400 MHz, CDCl3) δ 8.04 (s, 1H), 7.72 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.62 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.51 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 6.43 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 3.71-3.64 (m, 4H), 1.87-1.77 (m, 2H), 1.73-1.66 (m, 2H), 1.30 (s, 3H).
【0132】
実施例15
(R)-8-(8-((3-クロロ-2-フルオロピリジン-4-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-8-アザスピロ[4.5]デカン-1-アミン
【化49】
実施例14の合成工程において、化合物14eを化合物1gに置き換えることにより、実施例15の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 433.1 [M+H]+
1H NMR: (400 MHz, CDCl3) δ 8.03 (s, 1H), 7.72 (d, J= 5.2 Hz, 1H), 7.62 (s, 1H), 7.53 (s, 1H), 6.43 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 4.02-3.91 (m, 2H), 3.33-3.19 (m, 2H),2.94 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 2.13-2.00 (m, 1H), 1.92-1.84 (m, 3H),1.80-1.73 (m, 1H), 1.70-1.65 (m, 1H), 1.51-1.46 (m, 2H), 1.45-1.37 (s, 2H).
【0133】
実施例16
(R)-8-(8-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-8-アザスピロ[4.5]デカン-1-アミン
【化50】
実施例14の合成工程において、化合物14eを化合物1gに置き換え、化合物14gを化合物13hに置き換えることにより、実施例16の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 449.1 [M+H]+
1H NMR: (400 MHz, CDCl3) δ 8.44 (s, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.62 (s, 1H), 7.57-7.47 (m, 2H), 7.25-7.18 (m, 1H), 3.96-3.84 (m, 2H), 3.22 (q, J= 8.0Hz, 2H), 2.93 (t, J= 7.2Hz, 1H), 2.12-2.00 (m, 1H), 1.92-1.83 (m, 3H),1.79-1.74 (m, 1H), 1.66-1.61 (m, 1H), 1.54-1.48 (m, 2H), 1.44-1.38 (m, 2H).
【0134】
実施例17
(3S,4S)-3-メチル-8-(8-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン
【化51】
実施例14の合成工程において、化合物14eを化合物2aに置き換え、化合物14gを化合物13hに置き換えることにより、実施例17の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 479.0 [M+H] +
1H NMR: (400MHz, CD3OD) δ 8.36 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 7.75 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 7.49 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.31 (dd, J = 4.4, 8.4 Hz, 1H), 7.24 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.30-4.22 (m, 1H), 3.94-3.83 (m, 3H), 3.76 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 3.46-3.38 (m, 1H), 3.37-3.32 (m, 1H), 3.09 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 2.53 (s, 3H), 2.07-1.95 (m, 2H), 1.86-1.76 (m, 2H), 1.24 (d, J = 6.4 Hz, 3H).
【0135】
実施例18
(3S,4S)-3-メチル-8-(8-((3-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン
【化52】
実施例14の合成工程において、化合物13eを化合物2aに置き換え、化合物14gを化合物ナトリウム3-(トリフルオロメチル)ピリジン-4-チオレートに置き換えることにより、実施例18の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 465.1 [M+H] +
1H NMR: (400 MHz, CD3OD) δ 8.77-8.63 (m, 1H), 8.36-8.24 (m, 1H), 8.14-8.04 (m, 1H), 7.91-7.80 (m, 1H), 7.61-7.51 (m, 1H), 6.94-6.83(m, 1H), 4.33-4.20 (m, 1H), 4.00-3.84 (m, 3H), 3.80-3.70 (m, 1H), 3.53-3.35 (m, 2H), 3.14-3.05 (m, 1H), 2.11-1.93 (m, 2H), 1.90-1.74 (m, 2H), 1.24 (t, J = 6.0 Hz, 3H).
【0136】
実施例19
1-(8-((3-クロロ-2-フルオロピリジン-4-イル)チオ)-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-c]ピリミジン-5-イル)-4-メチルピペリジン-4-アミン
【化53】
【化54】
【0137】
工程1
5-ブロモ-2-クロロ-4-ヒドラジンイルピリミジン 19a
化合物14a(5.0g、22.0mmol)を、エタノール(55mL)に溶解し、次いで、ヒドラジン水和物(1.4g、26.4mmol)を加えた。反応溶液を、室温で4時間、撹拌し、その後、濾過した。濾過ケーキをn-ヘキサン(30mL)ですすいだ。得られた固体を、真空下で乾燥し、黄色の固体として、化合物19a(3.4g、収率:69%)を得た。
MS(ESI) m/z 222.9, 224.9 [M+H]+
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.03 (br s, 1H), 8.15 (s, 1H), 4.62 (br s, 2H).
【0138】
工程2
8-ブロモ-5-クロロ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-c]ピリミジン 19b
化合物19a(3.2g、14.35mmol)を、オルトギ酸トリメチル(32mL)に溶解し、90℃で2時間、反応溶液を反応させた。反応溶液を濾過した後、濾液を真空下で濃縮し、得られた粗生成物を、石油エーテルおよび酢酸エチルを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色の固体として、表題の化合物(840mg、収率:25%)を得た。
MS(ESI) m/z 234.7 [M+H]+
1H NMR: (400 MHz, CDCl3) δ 9.02 (s, 1H), 8.04 (s, 1H).
【0139】
工程3
tert-ブチル (1-(8-ブロモ-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-c]ピリミジン-5-イル)-4-メチルピペリジン-4-イル)カルバメート 19c
化合物19b(200mg、0.856mmol)、化合物14e(220mg、1.03mmol)、および、DIEA(221mg、1.71mmol)を、DMSO(4.0mL)に溶解した。反応溶液を、28℃で2時間、反応させた。水(150mL)を、0℃でゆっくり滴下して加え、反応溶液を濾過した。濾過ケーキを、真空下で乾燥し、黄色の固体として、化合物19c(400mg、収率:90%)を得た。
MS(ESI) m/z 410.8, 412.8 [M+H]+
1H NMR: (400 MHz, CDCl3) δ 8.76 (s, 1H), 7.82 (s, 1H), 4.46 (br s, 1H), 3.69-3.60 (m, 2H), 3.51-3.39 (m, 2H), 2.32-2.22 (m, 2H), 1.84-1.76 (m, 2H), 1.45 (s, 12H).
【0140】
工程4
tert-ブチル (1-(8-((3-クロロ-2-フルオロピリジン-4-イル)チオ)-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-c]ピリミジン-5-イル)-4-メチルピペリジン-4-イル)カルバメート 19d
化合物19c(200mg、0.486mmol)、化合物14g(108mg、0.583mmol)、および、DIEA(188mg、1.46mmol)を、窒素雰囲気下、1,4-ジオキサン(4mL)に加えた。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(44mg、0.048mmol)、および、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(56mg、0.097mmol)を加えた。反応溶液を、100℃で16時間、反応させた。反応終了後、水(30mL)を加え、反応溶液を酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(30mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。生成物を、石油エーテルおよび酢酸エチルを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色の固体として、表題の化合物19d(129mg、収率:54%)を得た。
MS(ESI) m/z 494.0 [M+H]+
1H NMR: (400 MHz, CDCl3) δ 8.82 (s, 1H), 7.99 (s, 1H), 7.75 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 6.49 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 4.48 (s, 1H), 3.94-3.85 (m, 2H), 3.68-3.59 (m, 2H), 2.38-2.27 (m, 2H), 1.87-1.77 (m, 2H), 1.46 (s, 12H).
【0141】
工程5
1-(8-((3-クロロ-2-フルオロピリジン-4-イル)チオ)-[1,2,4]トリアゾロ[4,3-c]ピリミジン-5-イル)-4-メチルピペリジン-4-アミン 19
化合物19d(129mg、0.26mmol)をジクロロメタン(3.0mL)に溶解し、次いで、トリフルオロ酢酸(1.0mL)を加えた。反応溶液を、室温で1時間反応させた。反応終了後、1NのNaOH水溶液を加え、pHを10に調整した。反応溶液をクロロホルム(15mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(15mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、化合物19(34.5mg、収率:33%)を得た。
MS(ESI) m/z 393.9 [M+H]+
1H NMR: (400 MHz, CDCl3) δ 8.81 (s, 1H), 7.97 (s, 1H), 7.75 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 6.49 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 3.87-3.78 (m, 4H), 1.84-1.77 (m, 2H), 1.69-1.60 (m, 2H), 1.30 (s, 3H).
【0142】
実施例20
(R)-8-(7-アミノ-8-(2,3-ジクロロフェニル)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-8-アザスピロ[4.5]デカン-1-アミン
【化55】
【化56】
【0143】
工程1
5-ブロモ-2-(メチルチオ)ピリミジン-4,6-ジアミン 20a
化合物20a(10g、64mmol)をDMF(100mL)に溶解し、次いで、N-ブロモスクシンイミド(13.7g、76.8mmol)を加えた。反応溶液を、3~7℃で12時間、反応させた。反応終了後、500mLの水を加え、12mLの飽和水酸化ナトリウム溶液を加え、pHを10に調整した。反応溶液を酢酸エチル(200mL×5)で抽出した。有機相を合わせ、減圧下で濃縮した。粗残渣を、メタノールおよびジクロロエタンを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色の固体として、表題の化合物20b(12g、収率:80%)を得た。
MS(ESI) m/z 236.7 [M+H]+
1H NMR: (400MHz, CDCl3) δ 5.12 (br s, 4H), 2.45 (s, 3H).
【0144】
工程2
8-ブロモ-5-(メチルチオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-7-アミン 20c
化合物20b(5.7g、24mmol)をDMF(70mL)に溶解し、次いで、2-クロロアセトアルデヒド(7.1g、36mmol)を加えた。反応溶液を、80℃で2時間、反応させた。反応終了後、500mLの水を加え、飽和水酸化ナトリウム溶液を加え、pHを10に調整した。反応溶液を酢酸エチル(200mL×5)で抽出した。有機相を合わせ、減圧下で濃縮した。粗残渣を、石油エーテルおよび酢酸エチルを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色の固体として、表題の化合物20c(3.6g、収率:57%)を得た。
MS(ESI) m/z 260.8 [M+H]+
1H NMR: (400MHz, CDCl3) δ 7.45 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 7.35 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 4.81 (br s, 2H), 2.71 (s, 3H).
【0145】
工程3
ジ-tert-ブチル (8-ブロモ-5-(メチルチオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-7-イル)アミノジカルボキシレート 20d
化合物20c(3.8g、15mmol)を、THF(40mL)に溶解し、次いで、二炭酸ジ-tert-ブチル(9.6g、44mmol)、および、DMAP(0.34g、2.9mmol)を加えた。反応溶液を、20℃で12時間、反応させた。反応終了後、100mLの水を加え、反応溶液を酢酸エチル(70mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、減圧下で濃縮した。粗残渣を、石油エーテルおよび酢酸エチルを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色の固体として、表題の化合物20d(3.2g、収率:48%)を得た。
MS(ESI) m/z 460.9 [M+H]+
1H NMR: (400MHz, CDCl3) δ 7.74 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.60 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 2.75 (s, 3H), 1.45 (s, 18H).
【0146】
工程4
ジ-tert-ブチル (8-ブロモ-5-(メチルスルフィニル)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-7-イル)アミノジカルボキシレート 20e
化合物20d(0.40g、0.87mmol)をDCM(10mL)に溶解し、次いで、m-クロロペルオキシ安息香酸(0.53g、2.6mmol)を加えた。反応溶液を、0℃で1時間、反応させた。反応終了後、15mLの飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加え、反応溶液を15分間、撹拌した。30mLの水を加え、反応溶液をジクロロメタン(25mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(20mL)、続いて飽和塩化ナトリウム水溶液(20mL)で洗浄し、減圧下で濃縮し、黄色の固体として、表題の化合物20e(0.4g、収率:97%)を得た。
MS(ESI) m/z 476.7 [M+H]+
1H NMR: (400MHz, CDCl3) δ 8.77 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 7.88 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 3.18 (s, 3H), 1.45 (s, 18H).
【0147】
工程5
ジ-tert-ブチル (8-ブロモ-5-((R)-1-(((R)-tert-ブチルスルフィニル)アミノ)-8-アザスピロ[4.5]デカン-8-イル)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-7-イル)アミノジカルボキシレート 20g
化合物20e(1.9g、4.0mmol)、および化合物1g(0.58g、2.3mmol)を、DMSO(20mL)に溶解し、次いで、DIEA(0.87g、6.8mmol)を加えた。反応溶液を、50℃で2時間、反応させた。反応終了後、50mLの水を加え、反応溶液を酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、粗残渣を、アンモニア(10mM)およびメタノールを溶離液とするC-18クロマトグラフィーにより精製して、黄色の固体として、表題の化合物20g(1.0g、収率:37%)を得た。
MS(ESI) m/z 669.3 [M+H]+
1H NMR: (400MHz, CDCl3) δ 7.65 (s, 1H), 7.55 - 7.50 (m, 1H), 3.83 - 3.64 (m, 2H), 3.41 (q, J=6.8 Hz, 1H), 3.25 (d, J=6.0 Hz, 1H), 3.16 - 2.97 (m, 2H), 2.19 - 2.04 (m, 2H), 1.92 - 1.82 (m, 2H), 1.80 - 1.64 (m, 4H), 1.63 - 1.53 (m, 2H), 1.45 (s, 18H), 1.25 (s, 9H).
【0148】
工程6
(R)-N-((R)-8-(7-アミノ-8-ブロモイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-8-アザスピロ[4.5]デカン-1-イル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド 20h
化合物20g(100mg、0.15mmol)をDCM(3mL)に溶解し、次いで、TFA(1mL)を加えた。反応溶液を、5~8℃で1時間、反応させた。反応終了後、反応溶液を減圧下で濃縮した。20mLの水を加え、飽和水酸化ナトリウム溶液を加えてpH=13に調整した。反応溶液を、酢酸エチル(10mL×3)およびジクロロメタン(20mL×3)で順次抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、黄色の固体として、表題の化合物20h(37mg、収率:38%)を得た。
MS(ESI) m/z 469.0 [M+H]+
1H NMR: (400MHz, CDCl3) δ 7.42 - 7.36 (m, 1H), 7.29 - 7.27 (m, 1H), 4.68 (s, 2H), 3.79 - 3.73 (m, 1H), 3.45 - 3.33 (m, 1H), 3.24 (d, J=5.2 Hz, 1H), 3.10 - 2.97 (m, 2H), 2.19 - 2.06 (m, 1H), 2.05 - 1.96 (m, 1H), 1.90 - 1.65 (m, 6H), 1.48 - 1.42 (m, 2H), 1.24 (s, 9H).
【0149】
工程7
(R)-N-((R)-8-(7-アミノ-8-(2,3-ジクロロフェニル)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-8-アザスピロ[4.5]デカン-1-イル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド 20i
化合物20h(100mg、0.21mmol)、および、2,3-ジクロロフェニルボロン酸1i(203mg、1.07mmol)を、窒素雰囲気下、ジオキサン(4mL)に溶解し、次いで、Pd-118(42mg、0.064mmol)、および、ナトリウムtert-ブトキシド(82mg、0.85mmol)を加えた。反応溶液を、マイクロウェーブ下、130℃で30分間、反応させた。反応終了後、反応溶液を減圧下で濃縮し、得られた残渣を、メタノールおよびジクロロエタンを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色の表題の化合物20i(85mg、収率:43%)を得た。
MS(ESI) m/z 535.0 [M+H]+
【0150】
工程8
(R)-8-(7-アミノ-8-(2,3-ジクロロフェニル)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-8-アザスピロ[4.5]デカン-1-アミン 20
化合物20i(80mg、0.085mmol)をジオキサン(3mL)に溶解し、次いで、塩化水素のジオキサン溶液(1mL、4mol/L)を加えた。反応溶液を、0~7℃で30分間、撹拌した。反応終了後、水(25mL)を加え、反応溶液を酢酸エチル(25mL×3)で洗浄した。水相に飽和水酸化ナトリウム溶液を加え、pHを8~9に調整し、水相をジクロロメタン(25mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム水溶液(30mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた粗生成物を分取高速液体クロマトグラフィー(Phenomenex Gemini-NX 150*30mm*5μm;条件:33~63%B(A:水(アンモニア0.04%含有+10mM重炭酸アンモニウム)、B:アセトニトリル);流速:30mL/min)により精製して、表題の化合物20(19.3mg、収率:53%)を得た。
MS(ESI) m/z 431.1 [M+H]+
1H NMR: (400MHz, CD3OD) δ 7.59 (dd, J = 1.6, 8.0 Hz, 1H), 7.42-7.37 (m, 2H), 7.34 (dd, J = 1.6, 8.0 Hz, 1H), 7.18 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 3.92-3.75 (m, 2H), 3.24-3.07 (m, 2H), 2.95 (t, I = 7.2 Hz, 1H), 2.14-2.03 (m, 1H), 1.97-1.88 (m, 2H), 1.86-1.77 (m, 2H), 1.73-1.63 (m, 2H), 1.55-1.43 (m, 3H).
【0151】
実施例21
(3S,4S)-8-(7-アミノ-8-(2,3-ジクロロフェニル)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン
【化57】
実施例20の合成工程において、化合物1gを化合物2aに置き換えることにより、実施例21の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 477.2 [M+H] +
1H NMR: (400MHz, CD3OD) δ 7.60 (dd, J = 2.0 Hz, 8.0 Hz, 1H), 7.43 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.40 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 7.34 (dd, J = 2.0 Hz, 7.6 Hz, 1H), 7.19 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 4.30-4.23 (m, 1H), 3.90 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 3.79-3.70 (m, 3H), 3.28-3.22 (m, 1H), 3.21-3.15 (m, 1H), 3.14-3.10 (m, 1H), 2.09-1.93 (m, 2H), 1.88-1.72 (m, 2H), 1.25 (d, J = 6.4 Hz, 3H).
【0152】
実施例22
(R)-8-(7-アミノ-8-((3-クロロ-2-フルオロピリジン-4-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-8-アザスピロ[4.5]デカン-1-アミン
【化58】
【化59】
【0153】
工程1
(R)-N-((R)-8-(7-アミノ-8-((3-クロロ-2-フルオロピリジン-4-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-8-アザスピロ[4.5]デカン-1-イル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド 22a
化合物20h(50mg、0.11mmol)、および、ナトリウム3-クロロ-2-フルオロピリジン-4-チオレート14g(49mg、0.27mmol)を、ジメチルスルホキシド(4.0mL)に溶解し、次いで、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(76mg、0.59mmol)を加えた。反応溶液を、90℃で20時間、反応させた。反応終了後、酢酸エチル(20mL)を加えた。反応溶液を15mLの飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた粗生成物を、ジクロロメタンおよびメタノールを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色の固体として、化合物22a(36mg、収率:54%)を得た。
MS(ESI) m/z 552.0 [M+H]+
1H NMR: (400MHz, CDCl3) δ 7.74 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 7.29 (s, 1H), 7.27 (s, 1H), 6.52 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 5.10 (br s, 2H), 4.05-3.85 (m, 2H), 3.40 (q, J = 6.8 Hz, 1H), 3.31-3.24 (m, 1H), 3.23-3.07 (m, 2H), 2.14-2.03 (m, 2H), 1.91-1.84 (m, 2H), 1.78-1.56 (m, 4H), 1.52-1.43 (m, 2H), 1.23 (s, 9H).
【0154】
工程2
(R)-8-(7-アミノ-8-((3-クロロ-2-フルオロピリジン-4-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-8-アザスピロ[4.5]デカン-1-アミン 22
化合物22a(33mg、0.052mmol)をジオキサン(3.0mL)に溶解し、次いで、塩酸のメタノール(0.5mL)液を加えた。反応溶液を、6~9℃で0.5時間、反応させた。反応終了後、25mLの水を加え、反応溶液を20mLの酢酸エチルで洗浄した。水相に飽和重炭酸ナトリウム水溶液を加え、pHを8~9に調整し、水相をジクロロメタン(20mL)で抽出した。有機相を合わせ、20mLの飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた粗生成物を分取高速液体クロマトグラフィー(Phenomenex Gemini-NX 150*30mm*5μm;条件:31~61%B(A:水(アンモニア0.04%含有+10mM重炭酸アンモニウム)、B:アセトニトリル);流速:30mL/min)により精製して、表題の化合物22(10mg、収率:38%)を得た。
MS(ESI) m/z 448.1 [M+H]+
1H NMR: (400MHz, CDCl3) δ 7.75 (d, J = 5 .2 Hz, 1H), 7.33 (s, 1H), 7.29-7.27 (m, 1H), 6.54 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 5.06 (br s, 2H), 4.06-3.83 (m, 2H), 3.28-3.12 (m, 2H), 2.94 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 2.11-1.99 (m, 1H), 1.90-1.82 (m, 3H), 1.79-1.75 (m, 1H), 1.73-1.63 (m, 2H), 1.58-1.52 (m, 1H), 1.49-1.42 (m, 2H).
【0155】
実施例23
(R)-8-(7-アミノ-8-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-8-アザスピロ[4.5]デカン-1-アミン
【化60】
実施例22の合成工程において、化合物14gを化合物13hに置き換えることにより、実施例23の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 464.2 [M+H] +
1H NMR: (400MHz, CD3OD) δ 8.39-8.29 (m, 1H), 7.47 (s, 1H), 7.34 (d, J = 2.4 Hz, 2H), 7.19 (s, 1H), 3.97 (t, J = 13.2 Hz, 2H), 3.29-3.16 (m, 2H), 2.94 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 2.15-2.04 (m, 1H), 1.97-1.87 (m, 2H), 1.86-1.75 (m, 2H), 1.75-1.61 (m, 2H), 1.59-1.48 (m, 2H), 1.47-1.39 (m, 1H).
【0156】
実施例24
(3S,4S)-8-(7-アミノ-8-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン
【化61】
実施例22の合成工程において、化合物1gを化合物2aに置き換え、化合物14gを化合物13hに置き換えることにより、実施例24の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 480.2 [M+H] +
1H NMR: (400MHz, CD3OD) δ 8.34 (t, J = 2.8 Hz, 1H), 7.48 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.38-7.31 (m, 2H), 7.19 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 4.30-4.19 (m, 1H), 3.88 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 3.87-3.78 (m, 2H), 3.74 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 3.41-3.33 (m, 1H), 3.30-3.23 (m, 1H), 3.07 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 2.04-1.88 (m, 2H), 1.84-1.72 (m, 2H), 1.23 (d, J = 6.4 Hz, 3H).
【0157】
実施例25
(3S,4S)-8-(7-アミノ-8-((3-クロロ-2-メチルピリジン-4-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン
【化62】
実施例22の合成工程において、化合物1gを化合物2aに置き換え、化合物14gを化合物ナトリウム3-クロロ-2-メチルピリジン-4-チオレートに置き換えることにより、実施例25の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 460.1 [M+H] +
1H NMR: (400MHz, CD3OD) δ 7.95 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 7.48 (s, 1H), 7.18 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 6.56 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 4.28-4.22 (m, 1H), 3.91-3.81 (m, 3H), 3.78-3.73 (m, 1H), 3.41-3.33 (m, 1H), 3.27-3.11 (m, 1H), 3.10-3.06 (m, 1H), 2.03-1.94 (m, 2H), 1.83-1.74 (m, 2H), 1.24 (d, J = 6.4 Hz, 3H).
【0158】
実施例26
(3S,4S)-8-(7-アミノ-8-((3-クロロ-2-フルオロピリジン-4-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-3-メチル-2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカン-4-アミン
【化63】
実施例22の合成工程において、化合物1gを化合物2aに置き換えることにより、実施例26の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 464.2 [M+H] +
1H NMR: (400MHz, CD3OD) δ 7.74 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 7.49 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.18 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 6.60 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 4.29-4.21 (m, 1H), 3.91-3.81 (m, 3H), 3.75 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 3.43-3.34 (m, 1H), 3.29-3.24 (m, 1H), 3.07 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 2.03-1.91 (m, 2H), 1.85-1.72 (m, 2H), 1.24 (d, J = 6.4 Hz, 3H).
【0159】
実施例27
(S)-1’-(8-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-5,7-ジヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン-6,4’-ピペリジン]-5-アミン
【化64】
【化65】
【0160】
工程1
(3-ブロモピリジン-2-イル)メタノール 27b
化合物27a(17.2g、79.6mmol)をメタノール(50mL)に溶解し、次いで、0℃で、水素化ホウ素ナトリウム(15.1g、398mmol)を加えた。反応系を、室温で12時間、撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液(600mL)を加え、反応溶液を酢酸エチル(200mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(200mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、白色の固体として、化合物27b(9.7g、収率:64.8%)を得た。
MS(ESI) m/z 187.8 [M+H] +
1H NMR: (400MHz, MeOD-d4) δ = 8.52 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 8.01 (dd, J = 1.2, 8.0 Hz, 1H), 7.26 (dd, J = 4.4, 6.4 Hz, 1H), 4.77 (s, 2H).
【0161】
工程2
3-ブロモ-2-(クロロメチル)ピリジン 27c
化合物27b(9.70g、51.6mmol)をジクロロメタン(20mL)に溶解し、次いで、室温で、塩化チオニル(7.48mL、103mmol)を加えた。反応溶液を、室温で3時間、撹拌した。反応終了後、0℃で、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(300mL)を加え、反応溶液をジクロロメタン(80mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(100mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、ピンク色の油として、化合物27c(10.3g、収率:96.9%)を得た。
MS(ESI) m/z 207.7 [M+H] +
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ = 8.55-8.45 (m, 1H), 8.12-7.99 (m, 1H), 7.37-7.21 (m, 1H), 4.84-4.80 (m, 2H).
【0162】
工程3
1-(tert-ブチル) 4-エチル 4-((3-ブロモピリジン-2-イル)メチル)ピペリジン-1,4-ジカルボキシレート 27e
化合物27c(9.97g、38.7mmol)を、窒素雰囲気下、テトラヒドロフラン(80mL)に溶解し、-78℃で、LDA(13.5mL、2Mのテトラヒドロフランとn-ヘキサンの溶液)を滴下して加えた。添加終了後、反応溶液を、-78℃で1時間、撹拌した。化合物27d(8.8g、35.07mmol)を、-78℃で滴下して加え、反応溶液を、-78℃で9時間、撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液(400mL)を加え、反応溶液を酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し(100mL×2)、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相を真空下で濃縮し、得られた粗生成物を、石油エーテルおよび酢酸エチルを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色の油として、化合物27e(14.8g、収率:89.4%)を得た。
MS(ESI) m/z 429.0 [M+H]+
【0163】
工程4
4-((3-ブロモピリジン-2-イル)メチル)-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-4-カルボン酸 27f
化合物27e(14.8g、34.6mmol)をメタノール(3mL)に溶解し、次いで、0℃で、水酸化ナトリウム水溶液(13.8g、346mmol、40mLの水に溶解)を加えた。反応溶液を、80℃で12時間、撹拌した。反応終了後、反応溶液を濃縮し、これに酢酸エチル(300mL)および水(300mL)を加えた。飽和水酸化ナトリウム水溶液(10mL)を加え、pHを12に調整した。水相を分離し、酢酸エチル(80mL×2)で洗浄した。得られた水相に、2Nの塩酸(25mL)を加え、pHを3に調整し、水相を酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(150mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、白色の固体として、化合物27f(11.4g、収率:82.4%)を得た。
MS(ESI) m/z 344.0 [M-56+H] +
【0164】
工程5
tert-ブチル 5-オキソ-5,7-ジヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン-6,4’-ピペリジン]-1’-カルボキシレート 27g
水素化ナトリウム(ケロシンとの60%混合物、1.32g、33.1mmol)を、窒素雰囲気下、-15℃で、化合物27f(11.0g、27.6mmol)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液に加えた。反応溶液を、-15℃で1時間、撹拌した。反応溶液を-78℃に冷却し、2.5Mのn-ブチルリチウムのn-ヘキサン溶液(16.5mL、41.3mmol)を滴下して加えた。反応溶液を、-78℃で1時間撹拌した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液(400mL)を、0℃で加え、反応溶液を酢酸エチル(100mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(100mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で濃縮した。得られた粗生成物を、ジクロロメタンおよびメタノールを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、白色の固体として、化合物27g(4.60g、収率:55.2%)を得た。
MS(ESI) m/z 246.9 [M-56+H]+
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ = 8.82 (dd, J = 1.6, 4.8 Hz, 1H), 8.12 (dd, J = 1.6, 7.6 Hz, 1H), 7.50 (dd, J = 4.8, 7.6 Hz, 1H), 4.08 (td, J = 3.6, 13.6 Hz, 2H), 3.25 (s, 2H), 3.12 (br s, 2H), 1.88-1.77 (m, 2H), 1.51 (br s, 2H), 1.49 (s, 9H).
【0165】
工程6
tert-ブチル (S)-5-((S)-tert-ブチルスルフィニルアミノ)-5,7-ジヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン-6,4’-ピペリジン]-1’-カルボキシレート 27h
テトラエチルチタネート(9.4mL、44.6mmol)を窒素雰囲気下、化合物27g(4.50g、14.9mmol)の無水トルエン(80mL)溶液に加えた。反応溶液を、室温で10分間、撹拌した。化合物8d(5.4g、44.6mmol)を加え、反応溶液を、120℃で5時間、反応させた。0℃に冷却した後、水素化ホウ素リチウム(1.58g、89.2mmol)を加え、反応溶液を30分間、反応させた。反応溶液を室温に昇温し、1時間撹拌した。反応終了後、0℃でメタノール(20mL)を滴下して加えた。水(100mL)および酢酸エチル(100mL)を加え、反応溶液を5分間撹拌した。懸濁物質を珪藻土で濾過し、酢酸エチル(300mL)および水(300mL)で洗浄した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(500mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を、石油エーテルおよび酢酸エチルを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色の固体として、化合物27h(4.40g、収率:72.6%)を得た。
MS(ESI) m/z 408.1 [M+H] +
【0166】
工程7
(S)-N-((S)-5,7-ジヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン-6,4’-ピペリジン]-5-イル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド 27i
化合物27g(4.40g、10.8mmol)をジクロロメタン(15mL)に溶解し、次いで、0℃でトリフルオロ酢酸(5mL)を加えた。反応溶液を、0℃で1時間、撹拌した。反応溶液を減圧下で濃縮し、粗生成物を得て、4Mの水酸化ナトリウム水溶液をpH=11になるまで加えた。反応溶液をクロロホルムおよびイソプロパノール(体積比:3:1)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮し、黄色の油として、最終生成物27i(3.32g、収率:100%)を得た。
MS(ESI) m/z 307.9 [M+H]+
【0167】
工程8
(S)-N-((S)-1’-(8-ブロモイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-5,7-ジヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン-6,4’-ピペリジン]-5-イル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド 27j
化合物27i(3.30mg、10.7mmol)、および、化合物10d(2.50g、10.7mmol)を、窒素雰囲気下、ジメチルスルホキシド(40mL)に溶解し、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(7.7g、59.8mmol)を加えた。反応溶液を、90℃で2時間、撹拌した。酢酸エチル(50mL)および水(100mL)を加え、反応溶液を酢酸エチル(50mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(50mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。得られた粗生成物を、ジクロロメタンおよびメタノールを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、化合物27j(2.96g、収率:54.6%)を得た。
MS(ESI) m/z 503.1 [M+H] +
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ = 8.41 (d, J=4.8 Hz, 1H), 7.97 (s, 1H), 7.92 (d, J=1.5 Hz, 1H), 7.81 (d, J=7.5 Hz, 1H), 7.66 (d, J=1.5 Hz, 1H), 7.32 (dd, J=5.0, 7.5 Hz, 1H), 4.61 (br s, 2H), 3.95 - 3.83 (m, 2H), 3.30 - 3.21 (m, 2H), 2.99 (d, J=16.6 Hz, 1H), 2.40 (dt, J=4.0, 12.7 Hz, 1H), 2.14 (dt, J=3.6, 12.4 Hz, 1H), 1.82 (br d, J=13.3 Hz, 1H), 1.54 (br d, J=12.3 Hz, 1H), 1.36 (s, 9H).
【0168】
工程9
(S)-N-((S)-1’-(8-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-5,7-ジヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン-6,4’-ピペリジン]-5-イル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド 27l
化合物27j(70mg、0.14mmol)、および、化合物27k(33mg、0.21mmol、特許出願「WO2016203405 A1」に記載の方法により製造)を、窒素雰囲気下、1,4-ジオキサン(1mL)に溶解し、次いで、室温で、ジイソプロピルエチルアミン(54mg、0.42mmol)を加えた。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(13mg、0.014mmol)、および、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,6’-ジメトキシビフェニル(14mg、0.028mmol)を加えた。反応溶液を110℃に加熱し、12時間、撹拌した。反応終了後、反応溶液を濾過した。濾液を濃縮し、残渣を、水およびメタノールを溶離液とするC-18逆相クロマトグラフィーにより精製して、褐色の油として、化合物27l(45mg、収率:55.1%)を得た。
MS(ESI) m/z 583.1 [M+H]+
【0169】
工程10
(S)-1’-(8-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-5,7-ジヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン-6,4’-ピペリジン]-5-アミン 27
化合物27l(25mg、0.035mmol)を1,4-ジオキサンに溶解し、次いで、0℃で、塩化水素の1,4-ジオキサン溶液(0.2mL、4N)を加えた。反応溶液を、2~7℃で1時間反応させた。反応終了後、水(30mL)を加え、反応溶液を酢酸エチル(15mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣を、C-18逆相クロマトグラフィーにより精製して、化合物27(3.9mg、収率:19.0%)を得た。
MS(ESI) m/z 479.1 [M+H]+
1H NMR: (400 MHz, MeOD-d4) δ = 8.38 (d, J= 4.8 Hz, 1H), 8.06 (s, 1H), 7.90-7.84 (m, 2H), 7.57 (s, 1H), 7.50 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.30 (dd, J = 5.6, 7.6 Hz, 1H), 5.90 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 4.16 (s, 1H), 4.06 (br d, J = 13.6 Hz, 2H), 3.48-3.36 (m, 2H), 3.30-3.24(m, 1H), 3.01(br d, J = 16.4 Hz, 1H), 2.20-2.01 (m, 2H), 1.80-1.71 (m, 1H), 1.61-1.53 (m, 1H).
【0170】
実施例28
(S)-1’-(7-アミノ-8-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-5,7-ジヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン-6,4’-ピペリジン]-5-アミン
【化66】
実施例22の合成工程において、化合物1gを化合物27iに置き換え、化合物14gを化合物13hに置き換えることにより、実施例28の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 513.2 [M+H] +
1H NMR: (400MHz, MeOD-d4) δ 8.39-8.31 (m, 2H), 7.85 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.51 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.40-7.31 (m, 2H), 7.28 (dd, J = 5.2, 7.6 Hz, 1H), 7.20 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 4.09 (s, 1H), 4.07-3.94 (m, 2H), 3.42-3.32 (m, 2H), 3.25 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 2.95 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 2.15-2.00 (m, 2H), 1.76-1.66 (m, 1H), 1.59-1.43 (m, 1H).
【0171】
実施例29
(S)-1’-(7-アミノ-8-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン
【化67】
実施例22の合成工程において、化合物1gを化合物8fに置き換え、化合物14gを化合物27kに置き換えることにより、実施例29の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 493.1 [M+H] +
1HNMR: (400MHz, CD3OD) δ 7.71-7.13 (m, 7H), 5.98 (br s, 1H), 4.16-3.88 (m, 3H), 3.52-3.36 (m, 2H), 3.22-3.09 (m, 1H), 2.95-2.78 (m, 1H), 2.22-1.90 (m, 2H), 1.82-1.40 (m, 2H).
【0172】
実施例30
(S)-1’-(7-アミノ-8-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン
【化68】
実施例22の合成工程において、化合物1gを化合物8fに置き換え、化合物14gを化合物13hに置き換えることにより、実施例30の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 512.2 [M+H] +
1HNMR: (400MHz, CD3OD) δ 8.34 (dd, J = 1.6, 4.0 Hz, 1H), 7.49 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.41-7.37 (m, 1H), 7.36-7.31 (m, 2H), 7.25-7.17 (m, 4H), 4.04-3.92 (m, 3H), 3.39-3.33 (m, 1H), 3.31-3.28 (m, 1H), 3.16 (d, J = 15.6 Hz, 1H), 2.81 (d, J = 15.6 Hz, 1H), 2.12-1.92 (m, 2H), 1.66 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 1.49 (d, J = 13.2 Hz, 1H).
【0173】
実施例31
(S)-1’-(8-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン
【化69】
実施例27の合成工程において、化合物27iを化合物8fに置き換え、化合物27kを化合物13hに置き換えることにより、実施例31の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 497.1 [M+H] +
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 8.39 (s, 1H), 8.05 (d, J= 5.6 Hz, 1H), 7.86 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.56 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.47-7.30 (m, 3H), 7.28-7.16 (m, 3H), 4.12-3.95 (m, 3H), 3.51-3.37 (m, 2H), 3.19 (dd, J = 5.2, 15.2 Hz, 1H), 2.86 (dd, J = 5.2, 15.2 Hz, 1H), 2.16-1.96 (m, 2H),1.77-1.66 (m, 1H), 1.62-1.49 (m, 1H).
【0174】
実施例32
(S)-1’-(8-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-1,3-ジヒドロスピロ[インデン-2,4’-ピペリジン]-1-アミン
【化70】
実施例27の合成工程において、化合物27iを化合物8fに置き換えることにより、実施例32の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 478.1 [M+H] +
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 8.06 (s, 1H), 7.85 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 7.56 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.50 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.44-7.40 (m, 1H), 7.28-7.23 (m, 3H), 5.89 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 4.11 (s, 1H), 4.06-4.00 (m, 2H), 3.45-3.38 (m, 2H), 3.20 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 2.92 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 2.08-2.01 (m, 2H), 1.75-1.68 (m, 1H), 1.63-1.57 (m, 1H).
【0175】
実施例33
(S)-1’-(8-(2,3-ジクロロフェニル)-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-5,7-ジヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン-6,4’-ピペリジン]-5-アミン
【化71】
実施例8の合成工程において、化合物8fを化合物27iに置き換えることにより、実施例33の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 479.1 [M+H] +
1H NMR: (400MHz, CD3OD) δ 8.35 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 7.86 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.64 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.47-7.39 (m, 2H), 7.35-7.25 (m, 2H), 4.11 (s, 1H), 3.91 (d, J = 11.2 Hz, 2H), 3.39-3.31 (m, 1H), 3.29-3.23 (m, 1H), 2.95 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 2.19 (s, 3H), 2.16-2.02 (m, 2H), 1.74 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 1.53 (d, J = 13.2 Hz, 1H).
【0176】
実施例34
(S)-1’-(8-((2-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-5,7-ジヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン-6,4’-ピペリジン]-5-アミン
【化72】
実施例27の合成工程において、化合物27kを化合物13hに置き換えることにより、実施例34の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 498.1 [M+H] +
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 8.39 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 8.36 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 8.05 (s, 1H), 7.88-7.83 (m, 1H), 7.56 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.44 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.36-7.26 (m, 2H), 4.11 (s, 1H), 4.08-4.01 (m, 2H), 3.47-3.36 (m, 2H), 3.27 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 2.97 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 2.18-2.02 (m, 2H), 1.75 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 1.53 (d, J = 14.0 Hz, 1H)
【0177】
実施例35
(S)-1’-(8-((3-クロロ-2-メトキシピリジン-4-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-5,7-ジヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン-6,4’-ピペリジン]-5-アミン
【化73】
実施例27の合成工程において、化合物27kを化合物ナトリウム3-クロロ-2-メトキシピリジン-4-チオレートに置き換えることにより、実施例35の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 494.1 [M+H] +
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 8.38 (d, J=4.4 Hz, 1H), 8.06 (s, 1H), 7.90 - 7.83 (m, 2H), 7.67 (d, J=5.6 Hz, 1H), 7.55 (d, J=1.2 Hz, 1H), 7.30 (dd, J=5.2, 7.6 Hz, 1H), 6.21 (d, J=5.2 Hz, 1H), 4.17 (s, 1H), 4.07 (br d, J=13.2 Hz, 2H), 3.96 (s, 3H), 3.49-3.38 (m, 2H), 3.26 (d, J=16.8 Hz, 1H), 3.01 (d, J=16.8 Hz, 1H), 2.17 - 2.04 (m, 2H), 1.75 (d, J=13.6 Hz, 1H), 1.58 (d, J=13.6 Hz, 1H)
【0178】
実施例36
(S)-1’-(8-((3-クロロ-2-(メチルアミノ)ピリジン-4-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-5,7-ジヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン-6,4’-ピペリジン]-5-アミン
【化74】
実施例27の合成工程において、化合物27kを化合物ナトリウム3-クロロ-2-(シクロプロピルアミノ)ピリジン-4-チオレートに置き換えることにより、実施例36の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 519.3 [M+H] +
1H NMR: (400MHz, MeOD_d4) δ 8.36 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 8.04 (s, 1H), 7.88-7.83 (m, 2H), 7.62 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 7.56 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.29 (dd, J = 5.2, 7.6 Hz, 1H), 5.91 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 4.13-4.00 (m, 3H), 3.50-3.37 (m, 2H), 3.27-3.19 (m, 1H), 2.70-2.63 (m, 1H), 2.18-2.03 (m, 2H), 1.75 (br d, J = 14.0 Hz, 1H), 1.54 (br d, J = 13.2 Hz, 1H), 0.82-0.76 (m, 2H), 0.58-0.52 (m, 2H).
【0179】
実施例37
(S)-1’-(8-((3-フルオロ-2-(メチルアミノ)ピリジン-4-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-5,7-ジヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン-6,4’-ピペリジン]-5-アミン
【化75】
実施例27の合成工程において、化合物27kを化合物ナトリウム3-フルオロ-2-(メチルアミノ)ピリジン-4-チオレートに置き換えることにより、実施例37の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 477.3 [M+H] +
1H NMR: (400MHz, MeOD_d4) δ 8.37 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 8.04 (s, 1H), 7.90-7.82 (m, 2H), 7.57 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.47 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 7.30 (dd, J = 4.8, 7.2 Hz, 1H), 5.90 (t, J = 5.2 Hz, 1H), 4.14 (s, 1H), 4.03 (br d, J = 13.6 Hz, 2H), 3.47-3.35 (m, 2H), 3.27 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 2.99 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 2.92 (s, 3H), 2.14-2.01 (m, 2H), 1.74 (br d, J = 13.2 Hz 1H), 1.55 (br d, J = 14.0 Hz, 1H).
【0180】
実施例38
(S)-1’-(8-((2-(メチルアミノ)ピリジン-3-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-5,7-ジヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン-6,4’-ピペリジン]-5-アミン
【化76】
実施例27の合成工程において、化合物27kを化合物ナトリウム2-(メチルアミノ)ピリジン-3-チオレートに置き換えることにより、実施例38の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 459.2 [M+H] +
1H NMR: (400MHz, MeOD_d4) δ 8.34 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 8.04 (dd, J = 1.6, 5.2 Hz, 1H), 7.85-7.74 (m, 3H), 7.64 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.54 (s, 1H), 7.27 (dd, J = 5.2, 7.6 Hz, 1H), 6.58 (dd, J = 4.8, 7.6 Hz, 1H), 4.08 (s, 1H), 3.84 (br d, J = 13.2 Hz, 2H), 3.30-3.18 (m, 3H), 2.95-2.89 (m, 4H), 2.13-1.98 (m, 2H), 1.69 (br d, J = 13.6 Hz, 1H), 1.48 (br d, J = 14.0 Hz, 1H)
【0181】
実施例39
(S)-1-(4-((5-(5-アミノ-5,7-ジヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン-6,4’-ピペリジン]-1’-イル)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-8-イル)チオ)-3-クロロピリジン-2-イル)-3-メチルアゼチジン-3-オール
【化77】
実施例27の合成工程において、化合物27kを化合物1-(3-クロロ-4-チオールピリジン-2-イル)-3-メチルアゼチジン-3-オールに置き換えることにより、実施例39の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 549.1 [M+H] +
1H NMR: (400MHz, MeOD_d4) δ 8.36 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 8.05 (s, 1H), 7.88-7.82 (m, 2H), 7.62 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 7.56 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.29 (dd, J = 5.2, 7.6 Hz, 1H), 5.98 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 4.16-4.12 (m, 2H), 4.12-4.02 (m, 5H), 3.50-3.36 (m, 2H), 3.27 (br d, J = 16.8 Hz, 1H), 2.97 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 2.18-2.02 (m, 2H), 1.75 (br d, J = 13.2 Hz, 1H), 1.55 (s, 4H).
【0182】
実施例40
(S)-1-(4-((5-(5-アミノ-5,7-ジヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン-6,4’-ピペリジン]-1’-イル)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-8-イル)チオ)-3-クロロピリジン-2-イル)-3-メチルアゼチジン-3-オール
【化78】
実施例27の合成工程において、化合物27kを化合物ナトリウム3-クロロ-2-モルホリノピリジン-4-チオレートに置き換えることにより、実施例40の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 549.2 [M+H] +
1H NMR: (400MHz, MeOD_d4) δ 8.36 (d, J =5.2 Hz, 1H), 8.07 (s, 1H), 7.83-7.89 (m, 2H), 7.79 (d, J =5.2 Hz, 1H), 7.56 (s, 1H), 7.29 (dd, J =5.2, 7.6 Hz, 1H), 6.27 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 4.02-4.14 (m, 3H), 3.80-3.88 (m, 4H), 3.32-3.50 (m, 4H), 3.24-3.29 (m, 3H), 2.97 (br d, J = 16.0 Hz, 1H), 2.04-2.18 (m, 2H), 1.75 (br d, J = 12.8 Hz, 1H), 1.54 (br d, J = 12.8 Hz, 1H).
【0183】
実施例41
(S)-1’-(8-((3-クロロ-2-(メチルアミノ)ピリジン-4-イル)チオ)-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-5,7-ジヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン-6,4’-ピペリジン]-5-アミン
【化79】
【化80】
【0184】
工程1
(S)-N-((S)-1’-(8-ブロモ-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-5,7-ジヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン-6,4’-ピペリジン]-5-イル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド 41a
化合物27i(260mg、0.85mmol)、および、化合物1f(271mg、1.10mmol)を、ジメチルスルホキシド(3mL)に溶解し、次いで、ジイソプロピルエチルアミン(547mg、4.23mmol)を加えた。反応溶液を、90℃で1時間、撹拌した。水(30mL)を加え、反応溶液を酢酸エチル(30mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(50mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた粗生成物を、メタノールおよびジクロロメタンを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、黄色の固体として、化合物41a(370mg、収率:84.5%)を得た。
MS(ESI) m/z 518.8 [M+H] +
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 8.40 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 7.87 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 7.82 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.63 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.33 (dd, J = 5.2, 7.6 Hz, 1H), 4.72-4.66 (m, 1H), 3.95-3.84 (m, 2H), 3.31-3.19 (m, 3H), 3.01-2.94 (m, 1H), 2.58 (s, 3H), 2.37 (dt, J = 4.0, 12.8 Hz, 1H), 2.13 (dt, J = 4.0, 12.8 Hz, 1H), 1.80 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 1.52 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 1.34 (s, 9H).
【0185】
工程2
(S)-N-((S)-1’-(8-((3-クロロ-2-(メチルアミノ)ピリジン-4-イル)チオ)-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-5,7-ジヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン-6,4’-ピペリジン]-5-イル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド 41c
化合物41a(50mg、0.10mmol)、化合物41b(77mg、0.39mmol、特許出願「WO2018013597 A1」に記載の方法により製造)、および、リン酸カリウム(41mg、0.19mmol)を、1,4-ジオキサン(1mL)に溶解した。反応溶液を、撹拌しながら、窒素で3回パージした。1,10-フェナントロリン(3.5mg、0.02mmol)、および、ヨウ化銅(I)(1.8mg、0.01mmol)を、窒素雰囲気下、速やかに加えた。反応溶液を窒素で3回パージし、130℃に加熱し、10時間、撹拌した。水(50mL)を加え、反応溶液を酢酸エチル(40mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液(70mL×2)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた粗生成物を、ジクロロメタンおよびメタノールを溶離液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、白色の固体として、化合物41c(36mg、収率:58.5%)を得た。
MS(ESI) m/z 611.1 [M+H] +
【0186】
工程3
(S)-1’-(8-((3-クロロ-2-(メチルアミノ)ピリジン-4-イル)チオ)-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-5,7-ジヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン-6,4’-ピペリジン]-5-アミン 41
化合物41c(36mg、0.059mmol)を乾燥ジオキサン(1mL)に溶解し、次いで、10℃で、塩化水素の1,4-ジオキサン溶液(1mL、4N)を滴下して加えた。反応溶液を、10℃で15分間、反応させた。水(30mL)を濁った反応溶液に加え、その後、これを酢酸エチル(30×3)で抽出した。飽和重炭酸ナトリウム水溶液を水相に加え、pH=8に調整し、水相をクロロホルム(40mL×4)で抽出した。全ての有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、得られた粗生成物を高速液体クロマトグラフィーにより精製して、化合物41(2.3mg、収率:7.7%)を得た。
MS(ESI) m/z 507.3 [M+H] +
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ = 8.35 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 7.85 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.76 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.58 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 7.48 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 7.29 (dd, J = 5.2 Hz, 7.6 Hz, 1H), 5.75 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 4.12-4.00 (m, 3H), 3.46-3.34 (m, 2H), 3.29-3.23 (m, 1H), 3.01-2.92 (m, 4H), 2.55 (s, 3H), 2.17-2.01 (m, 2H), 1.74 (d, J = 13.6 Hz, 1H), 1.53 (d, J = 13.6 Hz, 1H).
【0187】
実施例42
(S)-1’-(8-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)-7-メチルイミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-5,7-ジヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン-6,4’-ピペリジン]-5-アミン
【化81】
実施例41の合成工程において、化合物41bを化合物27kに置き換えることにより、実施例42の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 493.1 [M+H] +
1H NMR: (400MHz, CDCl3) δ 8.45 (d, J=4.4 Hz, 1H), 7.67 (d, J=7.6 Hz, 1H), 7.61 (d, J=5.2 Hz, 1H), 7.56 (d, J=1.2 Hz, 1H), 7.44 (d, J=1.2 Hz, 1H), 7.18 (dd, J=5.2, 7.6 Hz, 1H), 5.86 (d, J=5.2 Hz, 1H), 4.89 (s, 2H), 4.11 (s, 1H), 4.05 - 3.93 (m, 2H), 3.39 - 3.28 (m, 2H), 3.25 (d, J=16.4 Hz, 1H), 2.93 (d, J=16.4 Hz, 1H), 2.58 (s, 3H), 2.15 - 2.06 (m, 1H), 2.05 - 1.98 (m, 1H), 1.82 - 1.73 (m, 1H), 1.54 - 1.45 (m, 1H).
【0188】
実施例43
(S)-1’-(8-((2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-5,7-ジヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン-6,4’-ピペリジン]-5-アミン
【化82】
実施例27の合成工程において、化合物27kを化合物41bに置き換えることにより、実施例43の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 493.1 [M+H] +
1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 8.36 (d, J=4.8 Hz, 1H), 8.04 (s, 1H), 7.88 - 7.81 (m, 2H), 7.60 - 7.52 (m, 2H), 7.29 (dd, J=5.2, 7.2 Hz, 1H), 5.83 (d, J=5.2 Hz, 1H), 4.12 (s, 1H), 4.05 (d, J=13.6 Hz, 2H), 3.48-3.36 (m, 2H), 3.29-3.23 (m, 1H), 3.01-2.95 (m, 1H), 2.94 (s, 3H), 2.18 - 2.03 (m, 2H), 1.74 (br d, J=13.2 Hz, 1H), 1.54 (br d, J=13.2 Hz, 1H).
【0189】
実施例44
(S)-1’-(8-((3-クロロ-2-(メチルアミノ)ピリジン-4-イル)チオ)イミダゾ[1,2-c]ピリミジン-5-イル)-2-メチル-5,7-ジヒドロスピロ[シクロペンタ[b]ピリジン-6,4’-ピペリジン]-5-アミン
【化83】
実施例27の合成工程において、化合物27aを化合物メチル3-ブロモ-6-メチルピコリネートに置き換え、化合物27kを化合物41bに置き換えることにより、実施例44の化合物を製造した。
MS(ESI) m/z 507.2 [M+H] +
1HNMR: (400MHz, CD3OD) δ 8.04 (s, 1H), 7.85 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 7.76 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.59-7.55 (m, 2H), 7.18 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.83 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 4.15 (s, 1H), 4.12-3.96 (m, 2H), 3.48-3.37 (m, 2H), 3.23 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 2.99 (d, J = 16.8 Hz, 1H), 2.94 (s, 3H), 2.53 (s, 3H), 2.14-2.04 (m, 2H), 1.73 (br d, J = 13.2 Hz, 1H), 1.62 (br d, J = 13.2 Hz, 1H).
【0190】
生物学的アッセイ
本発明を以下の試験例を参照してさらに説明するが、これらの例は、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【0191】
試験例1.SHP2野生型ホスファターゼに対する本発明の化合物のインビトロ活性の測定
1.実験材料と機器
【表10】
【0192】
2.実験手順
0.2nMの組換え発現完全長SHP2(aa1-593)、二重リン酸化部位(配列:H2N-LN(pY)IDLDLY(dPEG8)LST(pY)ASINFQK-amide)を有する0.5nMの活性化ポリペプチドIRS1、および、一連の濃度の試験化合物(最終濃度は1μM、0.3μM、0.1μM、0.03μM、0.01μM、0.003μM、0.001μM、0.0003μM、0.0001μM、0.00003μMとした)を、ホスファターゼ反応溶液(60mMのHEPES、pH7.5、0.005%Brij-35、75mMのNaCl、75mMのKCl、1mMのEDTA、5mMのDTT)に加えた。反応溶液を室温で30分間振とうした(350rpm)。最終濃度が30μMの反応基質DiFMUPを加え、反応液を室温で30分間反応させた。ホスファターゼ反応を、5μLの停止溶液(60mMのHEPES、pH7.5、0.2%SDS)を加えることにより停止させた。Ex358nm/Em455の蛍光値を、蛍光プレートリーダーMD SpectraMaxで読み取った。
化合物のIC50値を、4パラメーターロジット法を用いて計算した。次の式において、xは化合物濃度の対数形を表し、F(x)は効果値(所定の濃度条件下での細胞増殖の阻害率)を表す:F(x)=((A-D)/(1+((x/C)^B)))+D。A、B、CおよびDは、4つのパラメーターである。異なる濃度は異なる阻害率に対応し、それに基づいて逆曲線がプロットされ、阻害剤のIC50を、曲線から計算した。化合物のIC50は、Primer premier6.0で計算した。
SHP2に対する本発明の化合物のインビトロ活性は、上記の試験によって測定された。経口活性を有するSHP2阻害剤SHP099およびRMC4550を陽性薬物として選択した。化合物SHP099の構造は、J. Med. Chem. 2016, 59, 7773-7782の文献に公開されており、その化合物は、Shanghai Haoyuan Chemexpress Co., Ltd.から購入した。化合物RMC4550の構造は、Nature Cell Biology, 2018, 20, 1064-1073の文献に公開されており、その化合物は、Shanghai AppTec Co., Ltd.から購入した。
得られたIC50値を表1に示す。
【0193】
表1.SHP2ホスファターゼに対する本発明の化合物のIC50
【表11】
【0194】
試験例2.SHP2変異体E67KおよびE69Kホスファターゼに対する本発明の化合物のインビトロ活性の測定
1.実験材料および機器
上記の野生型ホスファターゼに対するインビトロ活性の測定を参照
2.実験手順
SHP2E69KおよびE76K変異タンパク質自体は、リン酸化ポリペプチドの活性化に依存しないバックグラウンドの酵素活性を有するため、変異体の酵素活性に対する化合物の阻害は、活性化ポリペプチドの存在下および非存在下で測定した。
E69KおよびE76K(Novoprotein Scientific Inc.製)を有する0.2nMの組換え発現全長SHP2(aa1-593)、二重リン酸化部位(配列:H2N-LN(pY)IDLDLY(dPEG8)LST(pY)ASINFQK-amide)を有する0.5nMの活性化ポリペプチドIRS1(添加または非添加)、および一連の濃度の試験化合物(最終濃度は1μM、0.3μM、0.1μM、0.03μM、0.01μM、0.003μM、0.001μM、0.0003μM、0.0001μM、0.00003μMとした)を、ホスファターゼ反応溶液(60mMのHEPES、pH7.5、0.005%Brij-35、75mMのNaCl、75mMのKCl、1mMのEDTA、5mMのDTT)に加えた。反応溶液を室温で30分間振とうした(350rpm)。最終濃度が30μMの反応基質DiFMUPを加え、反応液を室温で30分間反応させた。ホスファターゼ反応は、5μLの停止溶液(60mMのHEPES、pH7.5、0.2%SDS)を加えることにより停止させた。Ex358nm/Em455の蛍光値を、蛍光プレートリーダーMD SpectraMaxで読み取った。変異体の酵素活性の阻害に対する化合物のIC50値を、試験例1を参照して、4パラメーターロジット法を用いて計算した。
【0195】
表2.SHP2変異体E67KおよびE69Kホスファターゼに対する本発明の化合物のIC50
【表12】
【0196】
試験例3.KYSE-520細胞におけるp-ERKの測定
1.実験材料と機器
【表13】
【0197】
2.実験手順
対数増殖期のKYSE-520細胞(Nanjing Cobioer Biosciences CO.,Ltd.)を、10%FBSを含む1640培地に接種し(30,000細胞/ウェル)、96ウェルプレートで一晩、接着させた(5%CO、37℃)。一連の濃度の試験化合物(10μM、3μM、1μM、0.3μM、0.1μM、0.03μM、0.01μM、0.003μM、0.001μM)を加え、反応液を37℃、5%COで2時間、反応させた。細胞培養を細胞溶解剤で停止させた。KYSE-520細胞のリン酸化ERKのレベルを、ホモジニアス時間分解蛍光HTRF(Cisbio、64ERKPEG)に基づく方法で測定した。蛍光値(Ex337nm/Em625/665nm)を、互換性を有するHTRFリーダー(MD SpectraMax)で読み取った。細胞内リン酸化ERKの阻害に関する化合物のIC50値を、4パラメーターロジット法を用いて計算した。次の式において、xは化合物濃度の対数形を表し、F(x)は効果値(所定の濃度条件下での細胞増殖の阻害率)を表す:F(x)=((A-D)/(1+((x/C)^B)))+D。A、B、CおよびDは、4つのパラメーターである。異なる濃度は異なる阻害率に対応し、それに基づいて逆曲線がプロットされ、阻害剤のIC50を曲線から計算した。化合物のIC50は、Primer premier6.0で計算した。
【0198】
表3.KYSE-520細胞のp-ERKに対する本発明の化合物のIC50
【表14】
【0199】
試験例4.KYSE-520細胞増殖の実験
1.実験材料と機器
【表15】
【0200】
2.実験手順
対数増殖期のKYSE-520細胞を、96ウェルプレートにおいて、10%FBSを含む1640培地に一晩、接着させ(600細胞/ウェル)、一連の濃度の試験化合物(10μM、3μM、1μM、0.3μM、0.1μM、0.03μM、0.01μM、0.003μM、0.001μM)で処理した。処理した細胞プレートを、37℃、5%COで7日間、インキュベートした。Cell Titer-Glo(Promega、G7573)を用いて、処理したプレートの各ウェルの生細胞数を測定した。100μLの検出試薬を各ウェルに加え、プレートを室温で10分間インキュベートした。次いで、各ウェルの蛍光シグナルを、Envisionプレートリーダー(PerkinElmer)で測定した。KYSE-520増殖阻害のIC50値を、4パラメーターロジット法を用いて計算した。次の式において、xは化合物濃度の対数形を表し、F(x)は効果値(所定の濃度条件下での細胞増殖の阻害率)を表す:F(x)=((A-D)/(1+((x/C)^B)))+D。A、B、CおよびDは、4つのパラメーターである。IC50値を、Primer premier6.0による最適曲線で50%の増殖阻害に必要な化合物濃度としてさらに計算した。
【0201】
表4.KYSE-520細胞増殖に対する本発明の化合物のIC50
【表16】
【0202】
試験例5.hERG電流抑制実験
1.実験材料と機器
【表17】
【0203】
2.実験手順
この実験では、手動パッチクランプシステム(HEKA EPC-10信号増幅およびデジタル変換システム、HEKA Electronic、ドイツ、から購入)を用いて、全細胞電流記録を実施した。表面CHO hERG細胞(Sophion Bioscience Inc.、デンマーク、によって提供され、細胞世代番号はP21である)を増殖させた丸いガラススライドを、倒立顕微鏡下の電気生理学的な記録スロットに置いた。記録スロットを細胞外液で継続的に灌流させた(毎分約1mL)。実験では、従来の全細胞パッチクランプ電流記録技術を用いた。実験は通常の室温(~25°C)で実施した。細胞を-80mVの電圧でクランプした。細胞パッチクランプ電圧を、hERGカリウムチャネルを活性化するために+20mVに脱分極し、5秒後に不活性化を除去してテール電流を生成するために-50mVにした。テール電流のピークをhERG電流の値として用いた。上記のステップで記録されたhERGカリウム電流が、記録スロット内の細胞外液の連続灌流下で安定したとき、hERG電流に対する薬物の阻害効果が安定状態に達するまで、試験する薬物を灌流に加えた。一般に、状態が安定しているかどうかを判断するための基準として、最新の3つの連続する電流記録ラインのオーバーラップを使用した。安定状態に達した後、hERG電流が薬物添加前の値に戻るまで、記録スロットを細胞外液で灌流した。試験データを、HEKA Patchmaster(V2x73.2)、Microsoft Excel、およびGraphpad Prism5.0が提供するデータ分析ソフトウェアによって分析した。
【0204】
表5.CHO細胞hERGに対する本発明の化合物のIC50
【表18】
【0205】
薬物動態評価
試験例6.本発明の化合物の薬物動態アッセイ
1.要約
試験動物としてラットを使用した。異なる時点での血漿中の薬物濃度は、ラットへの本発明の化合物の静脈内投与または胃内投与の後に、LC/MS/MS法によって測定した。本発明の化合物の薬物動態学的挙動をラットで試験および評価した。
【0206】
2.試験プロトコル
2.1 試験化合物
実施例3および4においてRTが1.495分のアトロプ異性体、実施例17、実施例41、および実施例43の化合物。
2.2 試験動物
健康な雄のSDラット(6~8週齢)、1群あたり3匹のラット。
2.3 試験化合物の調製
静脈内投与:一定量の試験化合物を秤量し、それに10体積%のN,N-ジメチルアセトアミド、33体積%のトリエチレングリコール、および57体積%の水を加えて、1mg/mLの無色透明の溶液を調製した。
胃内投与:一定量の試験化合物を秤量し、それに0.5質量%のヒプロメロース、0.1体積%のTween 80、および99.4体積%の水を加えて、1mg/mLの白色の懸濁液を調製した。
2.4 投与
一晩絶食させた後、SDラットに、1mg/kgの投与量で試験化合物を静脈内投与するか、あるいは、5mg/kgの投与量で試験化合物を胃内投与した。
【0207】
3.手順
ラットに本発明の化合物を静脈内投与した。投与後、0.083、0.25、0.5、1、2、4、8、および24時間後に、頸静脈から0.2mlの血液を採取した。サンプルをEDTA-K2を含むチューブに入れ、4000rpm、4℃で5分間、遠心分離し、血漿を分離した。血漿サンプルは-75℃で保存した。
あるいは、ラットに本発明の化合物を胃内投与した。投与後、0.25、0.5、1、2、4、8、および24時間後に、頸静脈から0.2mlの血液を採取した。サンプルをEDTA-K2を含むチューブに入れ、4000rpm、4℃で5分間、遠心分離し、血漿を分離した。血漿サンプルは-75℃で保存した。
異なる濃度の試験化合物の胃内投与後のラットの血漿中の試験化合物の含有量を測定した:投与後の各時点における50μLのラット血漿を採取し、それに内部標準デキサメタゾンのアセトニトリル溶液200μL(50ng/mL)を加えた。血漿を30秒間ボルテックス混合し、4700rpm、4℃で15分間、遠心分離した。血漿サンプルから上清を採取し、水を加えて3倍希釈した。2.0μLの上清をLC/MS/MS分析に使用した。
【0208】
4.薬物動態パラメーターの結果
本発明の化合物の薬物動態パラメーターを以下に示す。
【表19】
【0209】
結論
本発明の化合物は吸収がよく、薬物動態学的に有益である。
【国際調査報告】