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特表2022-509210高炉におけるレースウェイ深さの制御のための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(54)【発明の名称】高炉におけるレースウェイ深さの制御のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C21B 5/00 20060101AFI20220113BHJP
   C21B 7/24 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
C21B5/00 316
C21B7/24 305
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021529860
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(85)【翻訳文提出日】2021-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2019081096
(87)【国際公開番号】W WO2020108987
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】18208604.1
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500252006
【氏名又は名称】タタ、スティール、アイモイデン、ベスローテン、フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】TATA STEEL IJMUIDEN BV
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100172557
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 啓靖
(72)【発明者】
【氏名】ステファン、ボーン
【テーマコード(参考)】
4K012
4K015
【Fターム(参考)】
4K012BD01
4K015KA05
(57)【要約】
本発明は、羽口を通る熱風流を制御システムにより制御することを含む、高炉におけるレースウェイ深さの制御のための方法であって、前記制御システムが、レーダーセンサーにより、前記羽口を通じてレースウェイ深さ測定値の測定を実行し、前記レーダーセンサーが、前記レースウェイ深さ測定値を前記制御システムに送信し、前記制御システムが、前記レースウェイ深さ測定値を、予め定められたレースウェイ深さと比較し、前記制御システムが、前記高炉の周囲にわたって分割された複数のレーダーセンサーにより、複数の羽口を通じて前記レースウェイ深さ測定値の測定を実行する、前記方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
羽口(9)を通る熱風流(8)を制御システム(16)により制御することを含む、高炉(1)におけるレースウェイ深さ(R)の制御のための方法であって、
前記制御システム(16)が、レーダーセンサー(15)により、前記羽口(9)を通じてレースウェイ深さ測定値(RM)の測定を実行し、
前記レーダーセンサー(15)が、前記レースウェイ深さ測定値(RM)を前記制御システム(16)に送信し、
前記制御システム(16)が、前記レースウェイ深さ測定値(RM)を、予め定められたレースウェイ深さ(RP)と比較し、
前記制御システム(16)が、前記高炉(1)の周囲にわたって分割された複数のレーダーセンサー(15)により、複数の羽口(9)を通じて前記レースウェイ深さ測定値(RM)の測定を実行することを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
前記制御システム(16)が、前記高炉(1)の周囲にわたって均一なレースウェイ深さ(R)を実現するために、前記複数の羽口(9)に関して、前記レースウェイ深さ測定値(RM)を、前記予め定められたレースウェイ深さ(RP)と比較することにより、前記複数の羽口(9)を通る前記熱風流(8)を制御することを特徴とする、請求項1に記載のレースウェイ深さ(R)の制御のための方法。
【請求項3】
前記制御システム(16)が、前記レースウェイ深さ測定値(RM)が前記予め定められたレースウェイ深さ(RP)よりも大きい値を有する場合には、1以上の羽口(9)を通る前記熱風流(8)を減少させ、前記レースウェイ深さ測定値(RM)が前記予め定められたレースウェイ深さ(RP)よりも小さい値を有する場合には、1以上の羽口(9)を通る前記熱風流(8)を増加させることを特徴とする、請求項1又は2に記載のレースウェイ深さ(R)の制御のための方法。
【請求項4】
前記制御システム(16)が、前記レースウェイ深さ測定値(RM)を、前記制御システム(16)に送信された1以上の他の高炉制御測定値(M)と組み合わせて、1以上の羽口(9)を通る前記熱風流(8)を制御し、前記1以上の他の高炉制御測定値(M)が、炉頂ガス温度、炉頂ガス組成、赤外線及び/又は可視光イメージ、分光測定値、CO及び/又はCO量、壁温及び圧力測定値を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のレースウェイ深さ(R)の制御のための方法。
【請求項5】
前記制御システム(16)が、2以上の羽口(9)からなる1以上の羽口群を介して前記熱風流(8)を制御すること特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のレースウェイ深さ(R)の制御のための方法。
【請求項6】
前記制御システム(16)が、前記高炉(1)の周囲にわたって前記レースウェイ深さ(R)の視覚化(17)を提供することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のレースウェイ深さ(R)の制御のための方法。
【請求項7】
前記複数のレーダーセンサー(15)が、前記レースウェイ深さ測定値(RM)を前記制御システム(16)に連続的に送信することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のレースウェイ深さ(R)の制御のための方法。
【請求項8】
高炉(1)におけるレースウェイ深さ(R)の制御のためのシステムであって、
前記システムが、羽口(9)を通る熱風流(8)を制御するための制御システム(16)を備えており、
前記制御システム(16)が、前記羽口(9)を通じてレースウェイ深さ測定値(RM)の測定を実行するためのレーダーセンサー(15)を備えており、
前記レーダーセンサー(15)が、前記レースウェイ深さ測定値(RM)を前記制御システム(16)に送信するように構成されており、
前記制御システム(16)が、前記レースウェイ深さ測定値(RM)を、予め定められたレースウェイ深さ(RP)と比較するように構成されており、
前記制御システム(16)が、前記高炉(1)の周囲にわたって分割された複数のレーダーセンサー(15)により、複数の羽口(9)を通じて前記レースウェイ深さ測定値(RM)の測定を実行するように構成されていることを特徴とする、前記システム。
【請求項9】
前記制御システム(16)が、前記高炉(1)の周囲にわたって均一なレースウェイ深さ(R)を実現するために、前記複数の羽口(9)に関して、前記レースウェイ深さ測定値(RM)を、前記予め定められたレースウェイ深さ(RP)と比較することにより、前記複数の羽口(9)を通る前記熱風流(8)を制御するように構成されていることを特徴とする、請求項8に記載のレースウェイ深さ(R)の制御のためのシステム。
【請求項10】
前記制御システム(16)が、前記レースウェイ深さ測定値(RM)が前記予め定められたレースウェイ深さ(RP)よりも大きい値を有する場合には、1以上の羽口(9)を通る前記熱風流(8)を減少させ、前記レースウェイ深さ測定値(RM)が前記予め定められたレースウェイ深さ(RP)よりも小さい値を有する場合には、1以上の羽口(9)を通る前記熱風流(8)を増加させるように構成されていることを特徴とする、請求項8又は9に記載のレースウェイ深さ(R)の制御のためのシステム。
【請求項11】
前記制御システム(16)が、前記レースウェイ深さ測定値(RM)を、前記制御システム(16)に送信された1以上の他の高炉制御測定値(M)と組み合わせて、1以上の羽口(9)を通る前記熱風流(8)を制御するように構成されており、前記1以上の他の高炉制御測定値(M)が、炉頂ガス温度、炉頂ガス組成、赤外線及び/又は可視光イメージ、分光測定値、CO及び/又はCO量、壁温及び圧力測定値を含む群から選択されることを特徴とする、請求項8~10のいずれか一項に記載のレースウェイ深さ(R)の制御のためのシステム。
【請求項12】
前記制御システム(16)が、2以上の羽口(9)からなる1以上の羽口群を介して前記熱風流(8)を制御するように構成されていること特徴とする、請求項8~11のいずれか一項に記載のレースウェイ深さ(R)の制御のためのシステム。
【請求項13】
前記制御システム(16)が、前記高炉(1)の周囲にわたって前記レースウェイ深さ(R)の視覚化(17)を提供するように構成されていることを特徴とする、請求項8~12のいずれか一項に記載のレースウェイ深さ(R)の制御のためのシステム。
【請求項14】
前記複数のレーダーセンサー(15)が、前記レースウェイ深さ測定値(RM)を前記制御システム(16)に連続的に送信するように構成されていることを特徴とする、請求項8~13のいずれか一項に記載のレースウェイ深さ(R)の制御のためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、羽口(tuyere)を通る熱風流(hot blast flow)を制御システムにより制御することを含む、高炉(blast furnace)におけるレースウェイ深さ(raceway depth)の制御のための方法であって、前記制御システムが、レーダーセンサーにより、前記羽口を通じてレースウェイ深さ測定値の測定を実行し、前記レーダーセンサーが、前記レースウェイ深さ測定値を前記制御システムに送信し、前記制御システムが、前記レースウェイ深さ測定値を、予め定められたレースウェイ深さと比較する、前記方法に関する。また、本発明は、レースウェイ深さの制御のためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
高炉は数百年前から知られている。しかしながら、高炉内の状態は過酷(hostile)であり、アクセスできないため、ほとんど不明である。可能であったとしても、測定、特に高炉の底部における測定は、複雑である。所望の特性を有する溶鉄(hot iron)に到達するための操作ノウハウ及び経験は、製鉄業者にとって非常に重要である。底部における測定は、高炉の外縁又はその近くににおいてのみ行うことができる。上部における状態は、一般的に、より良好である。
【0003】
非常に重要なプロセスパラメータは、レースウェイのサイズ、主に深さである。レースウェイ深さは、主に、羽口を通る熱風流(酸素富化空気)により形成される。レースウェイ深さは、高炉の底部におけるガス及びインジェクションされる石炭(injection coal)の燃焼に関係しており、これまで正確に測定することはできなかった。従来、温度センサー及び圧力センサーが高炉の壁に設けられていたが、測定値は、高炉の底部における状態を表すものではなかった。さらに、異なる羽口にわたる熱風及び石炭の分布、並びに、高炉の底部の内部状態に対する影響は、ほとんど知られていない。高炉の安定性及び均一性は、良好な速度で一定の品質を生み出すために非常に重要であるため、製鉄業者は、高炉におけるプロセスのより良好な制御を切望している。
【0004】
レースウェイ深さは、石炭のインジェクション速度、転化率、充填プロファイル(高炉のローディング方法)、ガスの流れ、融着帯(cohesive zone)の特性、炉芯(dead man)の特性、タッピングの実施(tapping practice)及び石炭/熱風流の混合物に依存することが知られている。また、レースウェイは特定の時点で「崩壊(collapse)」し、その後構築されると考えられている。これは周期的な動きであるが、予測できないプロセスであると考えられている。
【0005】
比較的浅い深さを有し、頻繁な崩壊を伴う小さなレースウェイサイズは、特定のレースウェイを出て、底部に、さらに高炉のシャフトに上昇するガス流量が少ないことを示す。羽口を通るガス流を増加させると、コークス床に対する運動エネルギーが増加し、それにより、より深いレースウェイが形成される。
【0006】
CN106191350Aには、長期間にわたる測定値に従ってレースウェイ深さを測定するための、レーダーシステムの使用が記載されている。測定は、モデルをデータで満たす(fill the model with data)ために、個々の羽口で実行される。しかしながら、提案された方法は、プロセス制御が十分に正確でない。レーダー測定システム自体は、市場においてサプライヤーから入手することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、レースウェイ深さの制御のためのより良好な測定方法及びシステムを提供することである。さらなる目的は、高炉における製鉄プロセスのより良好なプロセス制御及びより良好な安定性により、高炉におけるプロセスを改善することである。さらなる目的は、高炉の生産性を向上させることである。別の目的は、製鉄プロセスの歩留まりを増加させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的を達成するために、添付の特許請求の範囲の1以上の特徴に従う方法及びシステムが提案される。
【0009】
本発明の方法は、制御システムが、高炉の周囲にわたって分割された複数のレーダーセンサー(a plurality of radar sensors divided over the circumference of the blast furnace)により、複数の羽口を通じてレースウェイ深さ測定値の測定を実行することをさらに含む。レーダーセンサーによる異なる羽口を通じたレースウェイ深さの測定は、レースウェイ深さが高炉の周囲にわたって大きく異なることを明らかにした。安定したプロセスのためには、高炉の周囲にわたって均一なレースウェイ深さが好ましいと考えられる。高炉は、高炉の周囲にわたって分割された複数の羽口(a plurality of tuyeres divided over the circumference of the blast furnace)を備えているため、高炉の周囲にわたって分割された複数のレーダーセンサーは、複数の羽口を通る熱風流のより良好な制御を可能にする。個々のレーダーセンサーは、ある特定の羽口専用にしてもよいが、安定性及び精度を高めるために、2以上のレーダーセンサーを1つの羽口専用にしてもよい。
【0010】
好ましい実施形態において、制御システムは、高炉の周囲にわたって均一なレースウェイ深さを実現するために、複数の羽口に関して、レースウェイ深さ測定値を、予め定められたレースウェイ深さと比較することにより、複数の羽口を通る熱風流を制御する。複数の羽口を通る熱風流を制御することには、制御が同期して行われるという利点がある。したがって、複数の羽口に関するレースウェイ深さ測定値と予め定められたレースウェイ深さとの間の差をそれぞれ制御することができる。高炉の周囲にわたる熱風流は、羽口に設けられたバルブを用いて、制御システムにより制御される。バルブは、公知の方法で開閉することができる。予め定められたレースウェイ深さは、過去の測定値に従って設定された深さであり、これらの測定値の結果は、特定の状況下で時間とともに変化する可能性があり、特定の高炉にも関連する。
【0011】
本発明の方法において、複数のレーダーセンサー、好ましくは小さい開口角(small opening angle)を有する複数のレーダーセンサーは、これらのレーダーセンサーが高炉の周囲にわたって分割された1以上の羽口を通じて測定を行うように配置される。レーダーセンサーは、レースウェイ深さからデータを収集し、データは、制御システムに送信される。その後、データは、制御システムにより処理される。予め定めされたレースウェイ深さは、最小レースウェイ深さ及び最大レースウェイ深さを規定することにより、レースウェイ深さの範囲として設定することができ、最小レースウェイ深さと最大レースウェイ深さとの間の値は、レースウェイ深さの最適値と考えられる。さらに、最大の安定性、歩留まり及び速度を実現するために、レースウェイ深さが高炉の周囲にわたって均一であることが有益であると考えられる。
【0012】
好ましい実施形態において、制御システムは、レースウェイ深さ測定値が予め定められたレースウェイ深さよりも大きい値を有する場合には、1以上の羽口を通る熱風流を減少させ、レースウェイ深さ測定値が予め定められたレースウェイ深さよりも小さい値を有する場合には、1以上の羽口を通る熱風流を増加させる。一般的に、熱風流が大きいほど、レースウェイ深さは深くなる。したがって、熱風流は、レースウェイ深さに直接関係する。予め定められたレースウェイ深さは、高炉内の最適なプロセスに関して設定された理想的な状態である。
【0013】
さらに好ましい実施形態において、制御システムは、レースウェイ深さ測定値を、制御システムに送信された1以上の他の高炉制御測定値と組み合わせて、1以上の羽口を通る熱風流を制御し、1以上の他の高炉制御測定値は、炉頂ガス(top gas)温度、炉頂ガス組成、赤外線及び/又は可視光イメージ(infrared and/or visual light images)、分光測定値、CO及び/又はCO量、壁温及び圧力測定値を含む群から選択される。制御システムに送信される1以上の他の測定値を、レースウェイ深さ測定値と組み合わせることが好ましい。このようにして、高炉内のプロセス状態(processing conditions)をより完全に制御することができる。制御システムは、常に(constantly)、複数のセンサー(a number of sensors)からデータを収集している。測定値を組み合わせることにより、データの組み合わせに基づいて、より最適化された高炉運転を確立することができる。
【0014】
さらに好ましい実施形態において、制御システムは、2以上の羽口からなる1以上の羽口群を介して熱風流を制御する。高炉内のプロセスに対してより大きな影響を与えるために、2以上の羽口をグループ化することが好ましい。個々の羽口は、他の羽口にもある程度の影響を及ぼし、このようにして制御をさらに高めることができる。羽口群は、測定されたレースウェイ深さに応じて選択することができる。2以上の羽口からなる個々の羽口群は、互いに隣接する2以上の羽口によって形成されることが必要な場合がある。しかしながら、互いに離反する(opposite to each other)2以上の羽口をグループ化することが必要な場合もある。これは、高炉内の特定のプロセス状態に依存し、制御システムは、高炉の周囲にわたる異なるレースウェイ深さ測定値に応じて、望ましい組み合わせを設定することができる。明らかであろうが、個々の羽口群は、2、3、4又は5以上の羽口から構成することができ、個々の羽口群は、高炉の周囲にわたって、互いに、隣接して、離反して(oppositely)又は別のパターンにより配置することができるため、羽口群の組み合わせは、ほぼ無数に存在する。
【0015】
さらに好ましい実施形態において、制御システムは、高炉の周囲にわたってレースウェイ深さの視覚化(visualisation)を提供する。このようにして、プロセスオペレータは、高炉の周囲にわたってレースウェイ深さの概要を視覚的に即座に知ることができる。視覚化は、理解がかなり容易であるため、データのリストよりも有利であることが知られている。そして、必要に応じて熱風流を増減する必要がある場所が、システムがこれを自動的に制御しない場合であっても、プロセスオペレータに即座に明らかとなる。視覚化は、プロセス制御スクリーンに表示される。
【0016】
さらに好ましい実施形態において、複数のレーダーセンサーは、レースウェイ深さ測定値を制御システムに連続的に送信する。個々の羽口を通る熱風流を個別に又は連続的に制御することが好ましい。個々の羽口を個別に制御することにより、個々の羽口が、他の羽口から独立して、熱風流量値に設定され得ることが保証される。最新の高炉は連続的に鉄を生産することから、これは、予め定められたレースウェイ深さに近づけ続けるために、測定も連続的に行われることが好ましいことを意味する。また、これは、測定がリアルタイムで行われ、即時の制御及び均一性が遅滞なく保証されることを意味する。このようにして、レースウェイ深さの急激な変化も測定することができる。もちろん、高炉内の状態の必要性及び安定性に応じて、時間の間隔も設定することができる。これにより、本発明の方法及びシステムの適応性(flexibility)が高まる。
【0017】
以下、本発明は、本発明に従う例示的な実施形態の図面を参照してさらに説明されるが、これにより、添付の特許請求の範囲が限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、高炉の断面図である。
図2図2は、図1のセクションの一部の拡大図である。
図3図3は、動作中のシステムを示す図である。
図4図4は、動作中のシステムの上面図である。
図5図5は、準最適な状態(sub-optimal condition)での高炉の周囲にわたるレースウェイ深さ測定の図である。
図6図6は、最適な状態での高炉の周囲にわたるレースウェイ深さ測定の図である。
図7図7は、プロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図において同じ符号が付されるときはいつでも、これらの番号は同じ部分を指す。
【0020】
図1は、シャフト(2)、融着帯(cohesive zone)(3)、滴下帯(drippling zone)(4)及び炉芯部(dead man zone)(5)を有する高炉(1)の断面図を示す。滴下帯(4)には、レースウェイ深さ(R)を有するレースウェイ(6)が示されており、図2には、より明確に示されている。
【0021】
図2は、レースウェイ(6)のレースウェイ深さ(R)を示す。レースウェイは、羽口(9)を通る熱風流(8)により、鳥の巣領域(birds nest)(7)の前の高炉コークス床(coke bed)に形成される。羽口(9)の位置が示されており、高炉(1)の壁(14)の開口部を通じて設けられている。図中の矢印は、熱風流(8)を示し、熱風流(8)は、羽口(9)を通じて、滴下帯(4)の鳥の巣領域(7)の前のコークス床に流れ込み、それにより、レースウェイ深さ(R)を有するレースウェイ(6)を形成する。
【0022】
図3は、バッスル管(10)が羽口(9)に接続していることを示す。バッスル管(10)は、高炉の周囲に延在しており、バルブ(18)を介して羽口(9)に熱風流(8)を供給する。石炭インジェクションランス(11)も構成の一部である。さらに、高炉(1)の羽口(9)を通じて測定を行うように構成されたレーダーセンサー(15)が示されている。レーダーセンサー(15)は、その信号を、羽口(9)を通じて送信し、形成されたレースウェイ(6)のレースウェイ深さ(R)を測定する。次いで、レーダーセンサー(15)は、レースウェイ深さ測定値(RM)を制御システム(16)に送信する。これは、図7に図式的により明確に示されている。
【0023】
図4は、羽口(9)に設けられたレーダーセンサー(15)の上面図の一例を示す。明確化を目的として、3個のレーダーセンサー(15)のみが示されているが、高炉(1)の周囲にわたって分割された複数の羽口(9)にさらに多くのレーダーセンサー(15)を設けることもできる。レースウェイ深さ(R)を有するレースウェイ(6)が明確に示されている。高炉(1)の設計に応じて、他の構成のレーダーセンサー(15)を選択することができる。明確化を目的として、壁(14)も示されている。
【0024】
図5は、高炉(1)の周囲にわたって分割された複数の羽口(9)におけるレースウェイ深さ(R)の視覚化(17)を示す。個々のドットは、レースウェイ深さ(R)を表し、この視覚化では、30のレースウェイ深さ(R)を有する30の羽口(9)が示されている。これは、準最適な高炉プロセス(sub-optimal blast furnace process)においてプロットがどのように見えるかの一例である。示されているように、いくつかのレースウェイ深さ(R)が、高炉(1)の周囲にわたって存在し、高炉(1)の周囲にわたってレースウェイ深さ(R)の均一な分布は存在しない。
【0025】
図6には、最適な状態がプロットされている。全てのレースウェイ深さ(R)(図5に示されるように、30のレースウェイ深さ(R)を有する30の羽口(9))は、羽口(9)を通る熱風流(8)により形成され、同じ値を有し、したがって、高炉(1)の周囲にわたって均一なレースウェイ深さ(R)が実現される。
【0026】
図7は、本発明の方法のフローチャートを示す。複数のレーダーセンサー(15)は、高炉(1)の周囲にわたって分割された複数の羽口(9)を通じてレースウェイ深さ測定値(RM)の測定を実行する。レースウェイ深さ測定値(RM)は、特定のレースウェイ(6)のレースウェイ深さ(R)からの信号の結果である。このレースウェイ深さ測定値(RM)は、レーダーセンサー(15)により制御システム(16)に送信される。制御システムは、複数の羽口(9)を通る熱風流(8)を制御することにより、高炉(1)のプロセスを制御している。制御システム(16)は、1以上のレースウェイ深さ測定値(RM)を、予め定められたレースウェイ深さ(RP)と比較する。これは、所望の値に設定することができ、主として、制御システムに保存されている履歴データに基づいている。制御システムは、高炉(1)の周囲にわたって均一なレースウェイ深さ(R)を実現するために、レースウェイ深さ測定値(RM)と予め定められたレースウェイ深さ(RP)との差に従って、複数の羽口(9)を通る熱風流(8)を制御する。
【0027】
制御システム(16)は、炉頂ガス温度、炉頂ガス組成、赤外線及び/又は可視光イメージ、分光測定値、CO及び/又はCO量、壁温及び圧力測定値等の、複数の他のセンサーからのデータを収集するようにも調整されている。これらの他の測定値は、(M)で示されている。制御システム(16)は、他の測定データ(M)を収集するだけでなく、それらを分析し、それらをレースウェイ深さ測定値(RM)と組み合わせて、羽口(9)を通る熱風流(8)を適宜調整するように、調整されている。プロセスオペレータが高炉(1)内のレースウェイ深さ(R)の迅速かつ有益な表示を取得することができるように、プロセス制御スクリーン(17)上にレースウェイ深さ(R)の視覚化を提供する可能性も示されている。これらの視覚化は、図5及び6により明確に示されている。
【0028】
以上、本発明の例示的な実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は、これらの特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明から逸脱することなく様々な変更を加えることができる。したがって、説明された例示的な実施形態は、厳密にそれに従って添付の特許請求の範囲を解釈するために使用されてはならない。むしろ、これらの例示的な実施形態は、特許請求の範囲をこれらの例示的な実施形態に限定することを意図するものではなく、添付の特許請求の範囲の文言を説明することを単に意図するものである。したがって、本発明の保護の範囲は、添付の特許請求の範囲のみに従って解釈され、請求項の文言における起こり得る曖昧さは、これらの例示的な実施形態を使用して解決される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】