(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(54)【発明の名称】卵胞液の吸引
(51)【国際特許分類】
A61B 10/02 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
A61B10/02 140
A61B10/02 150
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021529862
(86)(22)【出願日】2019-07-02
(85)【翻訳文提出日】2021-07-12
(86)【国際出願番号】 IN2019050491
(87)【国際公開番号】W WO2020110137
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】201841044740
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521167936
【氏名又は名称】パイェリ、 スラヴァン クマール
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】パイェリ、 スラヴァン クマール
(72)【発明者】
【氏名】モカルラ、 パヴァーニ スリーヴィッディヤ
(57)【要約】
本発明は、卵胞液を吸引するデバイス及びシステムを開示する。一実施例では、卵胞液を吸引するための卵子ピックアップ(OPU)デバイスが、第1の端部と第1の端部の反対側の第2の端部とを有する針を含む。針の第1の端部は、卵胞を貫通して吸引力により卵胞から卵胞液を吸引する。OPUデバイスは、針の第2の端部を受け入れるチャネルを有するコネクタを含む。OPUデバイスは、コネクタに接続された弾性チューブをさらに含む。針の第2の端部は、チャネルを通って弾性チューブの内部を通る。弾性チューブは、2つの卵胞間の卵胞液の吸引中に吸引力を調節するために、卵胞の位置を特定して卵胞に針を突き刺している間に圧縮可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵胞から卵胞液を吸引するための卵子ピックアップ(OPU)デバイス(200)であって、
第1の端部(202-1)と前記第1の端部(202-1)の反対側の第2の端部(202-2)とを有する針(202)であって、前記針(202)の第1の端部(202-1)は卵胞を貫通して吸引力により卵胞から卵胞液を吸引する針(202)と、
前記針(202)の第2の端部(202-2)を受け入れるチャネル(206)を有するコネクタ(204)と、
前記コネクタ(204)に接続された弾性チューブ(210)であって、前記針(202)の第2の端部(202-2)は前記チャネル(206)を通って前記弾性チューブ(210)の内部を通り、前記弾性チューブ(210)は、卵胞液の吸引中に吸引力を調整するために、卵胞の位置を特定して卵胞に前記針(202)を突き刺している間に圧縮可能である、弾性チューブ(210)と
を含み、
前記コネクタ(204)は、
本体(205)であって、前記チャネル(206)は前記本体(205)に形成された貫通穴である本体(205)と、
本体(205)から突出するハンドルであって、前記弾性チューブ(210)に対して平行に、前記弾性チューブ(210)の長さに沿って延びるハンドルと
を含む、OPUデバイス(200)。
【請求項2】
前記弾性チューブ(210)は、吸引力を減少させるために圧縮可能であり、吸引力を増加させるために減圧可能である、請求項1に記載のOPUデバイス(200)。
【請求項3】
前記ハンドルは、前記弾性チューブ(210)を通る水平面に対して平行である、請求項1に記載のOPUデバイス(200)。
【請求項4】
前記ハンドル(208)は、円筒形状と、その一部にある挟持形状部とを有し、前記挟持形状部(500)は、
前記弾性チューブ(210)の近位にある第1のエッジと、
前記第1のエッジの反対側かつ前記弾性チューブ(210)の遠位にある第2のエッジであって、前記第1のエッジは前記第2のエッジの長さ及び前記弾性チューブ(210)の断面直径よりも短い長さである第2のエッジと
を有する断面形状を有する、請求項1に記載のOPUデバイス(200)。
【請求項5】
前記断面形状は、
前記第1のエッジの第1の端点を前記第2のエッジの第1の端点に接続する第3のエッジであって、前記第1のエッジの第1の端点及び前記第2のエッジの第1の端点は前記ハンドル(208)の長手方向軸を通る垂直面の第1の側に位置する第3のエッジと、
前記第1のエッジの第2の端点を前記第2のエッジの第2の端点に接続する、前記第3のエッジの反対側の第4のエッジであって、前記第1のエッジの第2の端点及び前記第2のエッジの第2の端点は前記垂直面の第1の側とは反対側の第2の側に位置する第4のエッジと
をさらに有する、請求項4に記載のOPUデバイス(200)。
【請求項6】
前記第3のエッジ及び前記第4のエッジのそれぞれが直線プロファイルを有する、請求項5に記載のOPUデバイス(200)。
【請求項7】
前記第3のエッジ及び前記第4のエッジのそれぞれが、曲線プロファイルを有する、請求項5に記載のOPUデバイス(200)。
【請求項8】
前記曲線プロファイルは、1つの山と1つの谷とを有する、請求項7に記載のOPUデバイス(200)。
【請求項9】
前記ハンドル(208)は、約0.5mmから約10mmの距離だけ前記弾性チューブから離れている、請求項1に記載のOPUデバイス(200)。
【請求項10】
前記ハンドル(208)は、約0.5cmから約2cmの幅を有する、請求項1に記載のOPUデバイス(200)。
【請求項11】
前記ハンドル(208)は、約0.5cmから約3cmの高さを有する、請求項1に記載のOPUデバイス(200)。
【請求項12】
前記ハンドル(208)は、前記ハンドル(208)が人差し指と親指との間で把持されている間に、人差し指と親指を互いに向かって動かすことによって前記弾性チューブ(210)が挟持可能であるように、前記弾性チューブ(210)に対して位置決めされる、請求項1に記載のOPUデバイス(200)。
【請求項13】
前記弾性チューブ(210)は、人差し指と親指との間に挟まれたときに圧縮可能である、請求項12に記載のOPUデバイス(200)。
【請求項14】
前記ハンドル(602)は、前記弾性チューブ(210)を通る水平面に対して垂直であり、前記ハンドル(602)は、前記針(202)の近位にある第1の端部(604)であって、前記コネクタ(204)に連結される第1の端部(604)と、前記第1の端部(604)の反対側の第2の端部(606)であって、卵胞液を前記弾性チューブ(210)から採取チャンバ(102)に運ぶための接続チューブ(108)に連結される第2の端部(606)とを有する、請求項1に記載のOPUデバイス(200)。
【請求項15】
前記ハンドル(602)は、前記コネクタ(204)の一部が第1の突起対(608)の間に保持されるように、前記第1の端部(604)に前記第1の突起対(608)を有する、請求項13に記載のOPUデバイス(200)。
【請求項16】
前記ハンドル(602)は、前記接続チューブ(108)の一部が第2の突起対(610)の間に保持されるように、前記第2の端部(606)に前記第2の突起対(610)を有する、請求項13に記載のOPUデバイス(200)。
【請求項17】
前記ハンドル(602)は、前記弾性チューブ(210)の断面直径よりも大きい幅を有する、請求項13に記載のOPUデバイス(200)。
【請求項18】
前記弾性チューブ(210)は、約1cmから約10cmの長さを有する、請求項1に記載のOPUデバイス(200)。
【請求項19】
前記弾性チューブ(210)は、前記針の外径以上の内径を有する、請求項1に記載のOPUデバイス(200)。
【請求項20】
前記弾性チューブ(210)は、ゴム又はシリコンのいずれか一方で作られる、請求項1に記載のOPUデバイス(200)。
【請求項21】
卵胞から卵胞液を吸引するためのシステム(100)であって、
卵胞液を溜めるための採取チャンバ(102)と、
前記採取チャンバ(102)に連結された吸引ポンプ(104)であって、卵胞から卵胞液を吸引するために吸引力を生成する吸引ポンプ(104)と、
第1の端部と前記第1の端部の反対側の第2の端部とを有する針(202)であって、前記針(202)の第1の端部は卵胞を貫通して吸引力により卵胞から卵胞液を吸引する針(202)と、
前記針(202)の第2の端部を受け入れるチャネル(206)を有するコネクタ(204)と、
前記コネクタ(204)に接続された第1の弾性チューブ(210)であって、前記針(202)の第2の端部は前記チャネル(206)を通って第1の弾性チューブ(210)の内部を通り、前記第1の弾性チューブ(210)は、卵胞液の吸引中に吸引を調節するために、卵胞の位置を特定して同時に卵胞に前記針(202)を突き刺している間に圧縮可能である第1の弾性チューブ(210)と、
を含み、
前記コネクタ(204)は、
本体(205)であって、前記チャネル(205)は前記本体(205)に形成された貫通穴である本体(205)と、
前記本体(205)と一体のハンドルであって、前記第1の弾性チューブ(210)に対して平行でありかつ前記第1の弾性チューブ(210)の長さに沿って延びるハンドルと
を含む、システム(100)。
【請求項22】
前記吸引ポンプ(104)と前記採取チャンバ(102)との間に接続された1組のチャンバであって、コネクタパイプの縦列接続を介して接続される1組のチャンバをさらに含む、請求項21に記載のシステム(100)。
【請求項23】
前記第1の弾性チューブ(210)は、吸引力を減少させるために圧縮可能であり、吸引力を増加させるために減圧可能である、請求項21に記載のシステム(100)。
【請求項24】
前記ハンドルは、前記弾性チューブ(210)を通る水平面に対して平行である、請求項21に記載のシステム(100)。
【請求項25】
前記ハンドル(208)は、約0.5mmから約10mmの距離だけ前記第1の弾性チューブ(210)から離れている、請求項21に記載のシステム(100)。
【請求項26】
前記ハンドル(208)は、約0.5cmから約2cmの幅を有する、請求項21に記載のシステム(100)。
【請求項27】
前記ハンドル(208)は、約0.5cmから約3cmの高さを有する、請求項21に記載のシステム(100)。
【請求項28】
前記ハンドル(208)は、前記ハンドルが人差し指と親指との間で把持されている間に、人差し指と親指の互いの方への動きによって第1の弾性チューブ(210)が挟持可能であるように、前記第1の弾性チューブ(210)に対して平行に配置される、請求項21に記載のシステム(100)。
【請求項29】
前記ハンドル(208)は、円筒形状と、その一部にある挟持形状部とを有し、前記挟持形状部(500)は、
前記弾性チューブ(210)の近位にある第1のエッジと、
前記第1のエッジの反対側かつ前記弾性チューブ(210)の遠位にある第2のエッジであって、前記第1のエッジは前記第2のエッジの長さ及び前記弾性チューブ(210)の断面直径よりも短い長さである第2のエッジと
を有する断面形状を有する、請求項21に記載のシステム(100)。
【請求項30】
前記断面形状は、
前記第1のエッジの第1の端点を前記第2のエッジの第1の端点に接続する第3のエッジであって、前記第1のエッジの第1の端点及び前記第2のエッジの第1の端点は前記ハンドル(208)の長手方向軸を通る垂直面の第1の側に位置する第3のエッジと、
前記第1のエッジの第2の端点を前記第2のエッジの第2の端点に接続する、前記第3のエッジの反対側の第4のエッジであって、前記第1のエッジの第2の端点及び前記第2のエッジの第2の端点は前記垂直面の第1の側とは反対側の第2の側に位置する第4のエッジと
をさらに有する、請求項21に記載のシステム(100)。
【請求項31】
前記ハンドル(602)は、前記弾性チューブ(210)を通る水平面に対して垂直であり、前記ハンドル(602)は、前記針(202)の近位にある第1の端部(604)であって、前記コネクタ(204)に連結される第1の端部(604)と、前記第1の端部(604)の反対側の第2の端部(606)であって、卵胞液を前記弾性チューブ(210)から前記採取チャンバ(102)に運ぶための接続チューブ(108)に連結される第2の端部(606)とを有する、請求項21に記載のシステム(100)。
【請求項32】
前記ハンドル(602)は、前記コネクタ(204)の一部が第1の突起対(608)の間に保持されるように、前記第1の端部(604)に前記第1の突起対(608)を有する、請求項31に記載のシステム(100)。
【請求項33】
前記ハンドル(602)は、前記接続チューブ(108)の一部が第2の突起対(610)の間に保持されるように、前記第2の端部(606)に前記第2の突起対(610)を有する、請求項28に記載のシステム(100)。
【請求項34】
前記ハンドル(602)は、前記弾性チューブ(210)の断面直径よりも大きい幅を有する、請求項31に記載のシステム(100)。
【請求項35】
前記第1の弾性チューブ(210)の端部に連結された第1の端部(108-1)と、前記採取チャンバ(102)に面する第2の端部(108-2)とを有する接続チューブ(108)であって、卵胞液を前記第1の弾性チューブ(210)から前記採取チャンバ(102)に運ぶ接続チューブ(108)をさらに含む、請求項21に記載のシステム(100)。
【請求項36】
針(202)が通される針ガイド(306)が取り付けられた超音波プローブであって、前記針の第1の端部(202-1)を卵胞に向けて導くための超音波プローブをさらに含む、請求項21に記載のシステム(100)。
【請求項37】
前記接続チューブ(108)と前記採取チャンバ(102)との間に接続された第2の弾性チューブ(110)であって、前記第2の弾性チューブ(110)の端部が前記採取チャンバ(102)の近位にあり、前記第2の弾性チューブ(110)は、前記採取チャンバが交換される間、卵巣への卵胞液の逆流を制御するために圧縮可能である第2の弾性チューブ(110)をさらに含む、請求項35に記載のシステム(100)。
【請求項38】
前記第2の弾性チューブ(110)の長さが、約1cmから約2cmの範囲である、請求項37に記載のシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
生殖補助医療(ART)は自然な手段では妊娠することができないカップルの不妊治療を促進する。ARTでは、男性と女性の配偶子(卵子と精子)をカップルから採取し、受精に使用する。体外受精(IVF)は、男性と女性の配偶子が将来の親の体内から採取され、一緒に混合され、実験室などの管理された環境内の培地でのインビトロの(すなわち、体外ので)受精を可能にするARTの一種である。精子細胞による卵子の体外受精は、胚の発生をもたらす。胚は評価され、さらなる発達のために将来の母親の子宮に移される。
【0002】
IVF技術は、将来の親の体からの男性と女性の配偶子の採取を含む。卵子(卵)と呼ばれる女性の配偶子は、将来の母親の卵巣の卵胞から採取される。卵巣は、卵巣の表面及び内部に複数の卵胞を形成することを可能にするホルモンを注入することによって刺激される。卵胞は、液体で満たされた球状構造体のように見える。各卵胞は、約1.5mlから約2.5mlの卵胞液を含み得る。卵子は一般に卵胞液中に配置される。これらの卵胞は、卵巣の内部又は表面にランダムに分布する。体外受精の場合、卵子を含む卵胞液を卵胞から採取する。
【0003】
卵胞液を採取するための従来のシステムは、卵胞の視覚画像を提供する超音波プローブを含む。超音波プローブに針が取り付けられており、針が卵胞の壁を貫通して吸引力により卵胞液を吸引する。針は、全体にわたって内腔を有する。針は、針ガイドを介して超音波プローブに取り付けられる。針ガイドは、超音波プローブに固定され、卵胞を穿刺するための針の前後の動きを容易にする。超音波プローブによって導かれた針は、卵巣を通って卵胞に到達する。超音波プローブは卵巣内の卵胞の位置を特定するのを容易にし、針ガイドは卵胞を穿刺するための針の動きを容易にする。従来のシステムは、採取チャンバ、吸引ポンプ、及び接続チューブをさらに含む。
【0004】
針は、第1の接続チューブを介して採取チャンバに接続される。吸引ポンプは、第2の接続チューブによって採取チャンバに接続される。接続チューブはプラスチックで作られる。卵胞液の採取のために、医師が針を卵巣の卵胞に挿入する。医師は、超音波プローブによって生成された映像に基づいて誘導される。吸引ポンプがオンにされると、吸引ポンプは第2の接続チューブを通して採取チャンバから空気を引き出す。これにより、採取チャンバの内部の流体圧力が低下し、第1の接続チューブに沿って吸引力が作用する。この吸引力は、第1の接続チューブを通して針の先端に伝達され、卵胞の内部に加えられる。この吸引力により、卵胞液は第1の接続チューブに吸引され、採取チャンバに溜められる。
【0005】
従来、卵胞液の採取中、1つの卵胞を完全に吸引した後、針は卵胞間組織(卵巣の組織)を通って別の卵胞に到達する。この卵胞間組織は血管で構成される。したがって、ある卵胞から別の卵胞に針を通すと、吸引力が卵巣の穿刺された血管に作用し、血液の吸引につながる。さらに、穿刺された血管の正の血圧により、血液が針に送り込まれる。この卵巣から吸引された血液は、採取チャンバに溜められた卵胞液と混ざり合い、それによって卵胞液の汚染を引き起こす。卵胞液の血液汚れは、卵胞液の正常な生理学的組成を変化させる。血液で汚れた卵胞液から採取した卵子を用いて行ったIVFは、受精率が最適でなくなる可能性がある。さらに、卵巣からの血液の吸引により、卵巣が外傷又は損傷を受けることがあり、吸引力により、卵巣内に内出血が生じることがある。また、吸引力を持続的に加えると、卵巣の間質組織の小部分が吸引され、それらが卵胞液を汚染し、卵子の喪失を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、卵胞液の吸引中に、卵胞の位置を特定して同時に卵胞に針を突き刺している間に、吸引力を調節するために圧縮性弾性チューブを使用するアプローチを説明する。吸引力が調節されているため、卵巣からの血液の吸引を低減又は除去することができる。したがって、本開示のシステム又は卵子ピックアップ(OPU)デバイスを使用することにより、吸引された卵胞液中の血液汚れの存在を低減又は除去することができ、それにより受精率を高め、卵巣への望ましくない過剰な吸引力を最小限に抑えることによって、IVFの結果及び患者ケアの改善を促進する。
【0007】
本開示は、卵胞から卵胞液を吸引し、吸引圧を制御するためのシステム及びOPUデバイスの例示的な実施を説明する。一実施例では、卵胞液を吸引するためのシステムが記載される。システムは、卵胞液を溜めるための採取チャンバと、採取チャンバに連結された吸引ポンプとを含む。吸引ポンプは、卵胞から卵胞液を吸引するために吸引力を生成するように動作可能である。システムは、第1の端部と、第1の端部の反対側の第2の端部とを有する針を含む。針の第1の端部は卵胞を貫通し、吸引力により卵胞から卵胞液を吸引する。システムは、針の第2の端部を受け入れるチャネルと、チャネルに接続された弾性チューブとを有するコネクタを含む。針の第2の端部は、チャネルを通り、弾性チューブの内部に到達する。弾性チューブは、卵胞液の吸引中に、卵胞の位置を特定して同時に卵胞に針を突き刺している間に、吸引ポンプによって生成される吸引力を調節するために圧縮可能である。
【0008】
したがって、システムでは、上記のように、吸引力は、針が卵胞の内部にあるときに生成及び/又は増加され得、針が2つの卵胞の間の卵巣の組織を通過するとき又は針が卵胞の外にあるときに低減及び/又は除去され得る。一実施例では、第1の弾性チューブは、吸引力を減少させるために圧縮され、吸引ポンプによって生成される吸引力を増加させるために減圧され得る。したがって、針が2つの卵胞の間の卵巣組織を通るとき、弾性チューブを挟んで圧縮することができ、これにより吸引力が低減又は除去され、それによって卵巣の血管又は組織からの制御されない血液の吸引が防止される。針が卵胞の内部に入ると、弾性チューブが減圧され、それによって卵胞の内部に吸引力を加えて、針を通して卵胞液を採取チャンバに吸引することができる。したがって、本開示のシステム及びOPUデバイスでは、卵胞液の採取プロセスを行いながら、吸引力をリアルタイムで制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下の詳細な説明は、図面を参照している。
【0010】
【
図1】一実施例による、卵胞から卵胞液を吸引するためのシステムを示す。
【0011】
【
図2】一実施例による、卵胞から卵胞液を吸引するための卵子ピックアップ(OPU)デバイスを示す。
【0012】
【
図3】一実施例による、OPUデバイスの針が超音波プローブに取り付けられている卵胞液を吸引するためのシステムの一部を示す。
【0013】
【
図4】一実施例による、圧縮状態にあるシステムの弾性チューブを示す。
【0014】
【
図5A】一実施例による、ハンドル及び弾性チューブを有するOPUデバイスの一部を示す。
【0015】
【
図5B-5D】一実施例による、OPUデバイスのハンドル内の挟持形状部の断面図を示す。
【0016】
【
図6】一実施例による、ハンドル及び弾性チューブを有するOPUデバイスの一部を示す。
【0017】
【
図7】一実施例による、ハンドルに押し付けられた弾性チューブの断面図を示す。
【0018】
【
図8】一実施例による、卵胞から卵胞液を吸引するためのシステムにおける採取チャンバの直列接続を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の詳細な説明は、添付の図面(縮尺どおりに描かれていない)を参照する。可能な限り、図面及び以下の説明では同じ符号を用いて同一又は類似の部分を指している。明細書にはいくつかの実施例が記載されているが、変更、適合、及び他の実施は、挟持システムを用いて卵胞及び卵巣の内部で吸引圧をリアルタイムで制御することの範囲内にある。したがって、以下の詳細な説明は、開示された実施例を限定するものではない。代わりに、開示された実施例の適切な範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義され得る。
【0020】
図1は、一実施例による、卵胞から卵胞液を吸引するためのシステム100を示す。システム100は、卵胞から卵胞液を採取するために医師によって操作され得る。システム100は、採取チャンバ102を含む。一実施例では、採取チャンバ102は、ガラス又はプラスチックで作られた使い捨て容器であることができる。一実施例では、採取チャンバは、14mlの容積を有することができる。システム100によって吸引された卵胞液は、採取チャンバ102に溜められる。
図1に示すように、採取チャンバ102は栓103によって閉じられる。栓103は気密である。一実施例では、栓103は、ゴム又はシリコンなどの弾性材料で作られる。
【0021】
システム100は、採取チャンバ102に連結された吸引ポンプ104を含む。
図1に示すように、吸引ポンプ104は、接続チューブ106を介して採取チャンバ102に連結される。接続チューブ106は、採取チャンバ102の内部に存在する第1の端部106-1と、採取チャンバ内の空気を吸引し、採取チャンバ102の内部に真空を作り出すために吸引ポンプ104に連結された第2の端部106-2とを有する。接続チューブの第2の端部106-2は、連結要素(図示せず)を介して吸引ポンプ104に連結されてもよい。接続チューブ106の第1の端部106-1は、採取チャンバ102の内部で栓103を貫通する。接続チューブ106は、第1の接続チューブ106とも呼ばれる。
図1には、1つの採取チャンバ102が示されているが、他の実施例では、直列に接続された複数の採取チャンバがあることができる。一実施例では、1組の採取チャンバを、吸引ポンプ104と採取チャンバ102との間に接続することができ、その場合、1組の採取チャンバは、コネクタパイプの縦列接続を介して接続される。複数の採取チャンバを有するそのような実施例は、
図8を参照して明細書の後半で説明される。
【0022】
システム100は、OPUデバイス200を含む。OPUデバイス200は、
図2を参照して詳細に説明されている。OPUデバイス200は、針202を含む。針202は、
図2に示すように、第1の端部202-1と、第1の端部202-1の反対側の第2の端部202-2とを有する単一内腔針である。
図2には、単一内腔針が示されているが、一実施例では、複数の内腔を有する針もOPUデバイス200で使用することができる。針202の第1の端部202-1は、医師が超音波プローブに取り付けた針ガイド(図示せず)の助けで誘導され、将来の母親の体の内部を通る。第1の端部202-1は、卵胞を貫通して卵胞から卵胞液を吸引することができる。一実施例では、針202の内腔は、卵胞からの卵子(卵母細胞卵丘複合体)の採取を可能にする約0.6mmから約1.6mmの直径を有する。
【0023】
OPUデバイス200は、コネクタ204を含む。コネクタ204は、針202の第2の端部202-2を受け入れるチャネル206を有する本体205を含む。一実施例では、本体205は、円筒構造を有する細長い部分であることができる。チャネル206は、本体205に形成された、針202が通ることができる貫通穴又は通路である。一実施例では、本体205は、環状のシリンダの構造に類似している。コネクタ204は、本体205から突出し、針202の第1の端部202-1から離れて長手方向に延びるハンドル208をさらに含む。ハンドル208は、コネクタ204と一体であり、プラスチック成形によって形成することができ、又は本体205に取り付けられた別個のユニットであることができる。一実施例では、ハンドル208は、約2センチメートル(cm)から約7cmの長さを有する。ハンドル208は、三角形又は円形の断面を有することができる。一実施例では、ハンドル208は、約0.5cmから約2cmの幅を有し、約0.5cmから約3cmの高さを有する。一実施例では、コネクタ204は、典型的には、プラスチックもしくは金属、又はそれらの組み合わせから形成される。
【0024】
図2に示すように、コネクタ204は、傾斜領域205-1を含む。ハンドル208は、傾斜領域205-1を介して本体205に接続されている。一実施例では、傾斜領域205-1は、一端が本体205に接続され、他端がハンドル206に接続された半円状の傾斜である。一実施例では、傾斜領域205-1は、ハンドル208とコネクタ204の本体205との間の傾斜エッジによって形成されてもよい。ハンドル208の他の特徴は、
図5を参照して明細書の後半で説明される。
【0025】
OPUデバイス200は、チャネル206に接続された弾性チューブ210を含む。弾性チューブ210は、200ミリメートル(mm)以上の水銀柱の圧力に耐えることができる中空のチャネルを有するシリンダのような、球状の圧縮可能な構造であることができる。一実施例では、弾性チューブ210は、ゴム又はシリコン又は任意の他の材料などの卵母細胞(卵)に安全な弾性材料から形成される。弾性チューブ210は、コネクタ204の端部にぴったりと取り付けることができる。コネクタ204のハンドル208は、弾性チューブ210の長さに沿って延び、弾性チューブ210に重なる。ハンドル208は、弾性チューブ210を通る水平面Pに対して平行である。ハンドル208は、距離「D」だけ弾性チューブから離れている。一実施例では、距離「D」は、約0.5ミリメートル(mm)から約10mmの範囲である。一実施例では、ハンドル208は、吸引圧を制御する効率的な挟持を容易にするためにハンドル208が人差し指と親指との間で人間工学的に把持されている間に、人差し指と親指を互いに向かって動かすことによって弾性チューブ210が挟まれるように弾性チューブ210に対して位置決めされる。コネクタ204の傾斜領域205-1は、弾性チューブ210の取り付けを容易にしてハンドル208を弾性チューブ210に近接させ、弾性チューブ210とハンドル208を人差し指と親指で同時に把持して操作できるようにする。
【0026】
一実施例では、弾性チューブ210は、約1センチメートルから約10センチメートル以上の長さ、約0.1センチメートルから約1.5センチメートル以上の内径を有する。弾性チューブ210が取り付けられるコネクタ204の端部は、針202が入るコネクタ204の端部とは反対側にある。針202の第2の端部202-2は、チャネル206を通って弾性チューブ210の内部を通る。弾性チューブ210は、第1の弾性チューブ210とも呼ばれる。一実施例では、弾性チューブ210は、針202の外径以上の内径を有する。
【0027】
図1に示すように、システム100は、第1の弾性チューブ210を採取チャンバ102に接続する接続チューブ108をさらに含む。接続チューブ108は、第2の接続チューブ108とも呼ばれる。第2の接続チューブ108は、卵胞から吸引された卵胞液を第1の弾性チューブ210から採取チャンバ102に運ぶ。一実施例では、第2の接続チューブ108はプラスチックから形成される。第2の接続チューブ108は、第1の弾性チューブ210に入る第1の端部108-1と、第1の端部108-1の反対側の第2の端部108-2とを有する。
【0028】
吸引ポンプ104がオンにされると、吸引ポンプ104は、第1の接続チューブ106を通して採取チャンバ102から空気を引き出すことができ、それによって採取チャンバ102内に負の流体圧力を生成することができる。採取チャンバ102内の負の流体圧力により、吸引力が第2の接続チューブ108に沿って針202の第1の端部202-1に伝達される。針202の第1の端部202-1における吸引力は、卵胞から卵胞液を引き出し、卵胞液は次いで、第2の接続チューブ108によって採取チャンバ102に運ばれる。第1の弾性チューブ210は、卵胞液の吸引中に、卵胞の位置を特定して卵胞に針を突き刺している間に、吸引力を調節するために圧縮可能である。
【0029】
システム100は、第2の接続チューブ108と採取チャンバ102との間に接続された第2の弾性チューブ110を含む。第2の接続チューブ108の第2の端部108-2は、第2の弾性チューブ110に入る。第2の弾性チューブ110は、卵巣内に存在する陰圧が原因で針202又は第2の接続チューブ108から卵胞に戻る吸引された卵胞液の逆流を低減又は除去するために圧縮可能である。システム100は、第2の弾性チューブ110内に入り、卵胞液を第2の弾性チューブ110から採取チャンバ102まで運ぶ第3の接続チューブ112を含む。
【0030】
システム100は、
図3に示すように、針202が取り付けられる超音波プローブ302をさらに含む。超音波プローブ302は、それに基づいて医師が針202の第1の端部202-1を卵胞に向けて導くことができる映像を提供することができる。したがって、超音波プローブ302は、卵胞の位置を特定することを容易にする。超音波プローブ302は、卵胞液の吸引を行う間、医師が把持することができる把持ハンドル304を有する。システム100は、クランプによって超音波プローブ302に固定される針ガイド306を含む。一実施例では、針ガイド306は、超音波プローブ302に取り付けられ、針202がそれを通ることを可能にする金属製又はプラスチック製の中空シリンダである。針ガイド306は、卵胞を穿刺するための針202の往復運動及び卵胞液の吸引を可能にする。
【0031】
動作中、医師は、一方の手で超音波プローブ302を保持し、他方の手でハンドル208及び第1の弾性チューブ210を握ることができる。ハンドル208及び第1の弾性チューブ210は、人差し指と親指との間の1つのグリップ内に保持される。一実施例では、超音波プローブ302は、将来の母親の卵巣の位置を特定するために使用される経膣超音波プローブであることができる。超音波プローブは、卵巣の内部構造の映像を提供する。医師は、これらの映像を分析することにより、卵巣の内部の卵胞の位置を特定し、針202の第1の端部202-1を卵胞に向けて導くことができる。針202の第1の端部202-1が卵胞に向かって配置されると、医師は、所定の角度で安定して保持される針ガイド306を通して針202を前方に動かし、それによって卵胞の壁に穴を開け、吸引ポンプ104がオンにされる。吸引ポンプ104が作動し、それによって針202の内腔を通して作用する吸引力を生成し、卵胞から卵胞液を吸引する。卵胞液は、採取チャンバ102に収集される。
【0032】
1つの卵胞からの卵胞液が完全に吸引された後、医師は第1の弾性チューブ210を挟持し、それによって
図4に示すように第1の弾性チューブ210を圧縮する。
図4の矢印Pは、第1の弾性チューブ210を挟持する力を加える方向を示す。一実施例では、第1の弾性チューブ210は、親指と人差し指又は同じ手の他の指などの2つの指の間で両側から挟持することができる。ハンドル208は、ハンドル208が人差し指と親指との間で把持されている間に、人差し指と親指を互いに向かって動かすことによって弾性チューブ210が挟持可能であるように、第1の弾性チューブ210に対して位置決めされる。第1の弾性チューブ210の圧縮は吸引力を減少させる。一実施例では、第1の弾性チューブ210の圧縮が吸引力を0に低減させ、それによって吸引力を完全に除去し、針202を通る流体の吸引を停止することができる。したがって、ハンドル208は、卵胞の位置を特定して卵胞に針202を突き刺している間に、第1の弾性チューブ210を挟持することによって吸引力を調節することができる医師に人間工学的グリップを提供する。
【0033】
次いで、針202の第1の端部202-1は、卵胞間の卵巣組織を通る。第1の弾性チューブ210を挟持することにより吸引力が低減又は除去されるため、針202の内部の流体圧力は、卵巣内の流体圧力に比べて高く、針202が卵胞間の卵巣組織を通って移動する間、血液及び卵巣組織の吸引を防止する。したがって、血液汚れが採取チャンバ102に溜められた卵胞液に混入することが防止される。また、望ましくない血液の吸引又は卵巣組織の吸引に起因する失血による卵巣の外傷が最小限に抑えられ又は除去される。
【0034】
医師が、超音波プローブにガイドされて、針202の第1の端部202-1が別の卵胞に接触するように針202を動かすと、医師は、針202の前方移動によって卵胞壁に穴を開け、第1の弾性チューブ210に対する挟持を解除する。第1の弾性チューブ210に対する挟持が解除されると、
図2に示すように、第1の弾性チューブ210が減圧され、吸引力が増加する。増加した吸引力は、卵胞から卵胞液を引き出し、卵胞液が採取チャンバ102に溜められる間、卵胞液を完全に吸引する。
【0035】
第1の弾性チューブ210を圧縮及び減圧するこのプロセスは、針202が卵巣を通って1つの卵胞から別の卵胞に移動するときに行うことができる。上記の方法で採取チャンバ102内に採取された卵胞液は、血液汚れを最小限しか含まないか又は全く含まないため、吸引された卵胞液はその最適な生理学的状態を保持し、それによってIVFに使用される場合、より高い受精率をもたらし得る。
【0036】
さらに、卵胞液が採取チャンバ102に溜まると、採取チャンバが完全に満たされる可能性がある。したがって、採取チャンバ102は、採取チャンバ102と同様の別の採取チャンバに置き換えることが必要とされる場合がある。採取チャンバ102が卵胞液で満たされると、採取チャンバを交換するために、第1の接続チューブ106及び第3の接続チューブ112を含む栓103を採取チャンバ102から引き抜くことができる。栓103を引き抜くと、吸引ポンプ104によって提供される吸引力がなくなり、卵巣の内部に陰圧が発生する可能性がある。卵巣の内部に生じた陰圧により、採取チャンバ102に溜められた卵胞液が卵巣に逆流する可能性がある。
【0037】
逆流を防止するために、一実施例では、第2の弾性チューブ110を栓103に対して圧縮するか又は押し付けることができる。栓103に対する第2の弾性チューブ110の圧縮は、卵胞液の逆流を防止し、それによって採取チャンバが交換される間の卵胞液の損失を低減/除去することができる。さらに、第2の弾性チューブ110が採取チャンバ102の近位にあるので、第2の弾性チューブ110は、吸引を行う医師の助手が圧縮するか又は押し付けることができ、一方、医師は、吸引のために卵胞の位置を特定して穿刺することに従事し、それによって中断されない卵胞吸引を容易にする。
【0038】
図5Aは、一実施例による、ハンドル208及び弾性チューブ210を有するOPUデバイス200の一部を示す。ハンドル208は、円筒形状を有し、そのハンドルの一部に形成された挟持形状部500を含む。挟持形状部500は、ハンドル208のスロット付き部分によって形成される。ハンドル208が医師によって保持されるとき、挟持形状部500は、一方の側の人差し指と他方の側の親指との間に把持され得る。ハンドル208は、ハンドル208の長さに沿って通る長手方向軸Lを有する。挟持形状部500の断面図を
図5Bから
図5Dに示す。
【0039】
図5Bに示すように、挟持形状部は、第1のエッジ502、第1のエッジ502の反対側の第2のエッジ504、第3のエッジ506、及び第3のエッジ506の反対側の第4のエッジ508を有する断面形状を有する。第1のエッジ502は、第1の端点502-1と、第1の端点502-1の反対側の第2の端点502-2とを有する。第2のエッジ504は、第1の端点504-1と、第1の端点504-1の反対側の第2の端点504-2とを有する。第1及び第2のエッジ502及び504の第1の端点502-1及び504-1は、それぞれ、
図5Bから
図5Dにおいて線Vで表される、ハンドル208の長手方向軸Lを通る垂直面の第1の側に位置する。第1及び第2のエッジ502及び504の第2の端点502-2及び504-2は、それぞれ、垂直面Vの第1の側とは反対側の第2の側に位置する。第3のエッジ506は、第1のエッジ502の第1の端点502-1を第2のエッジ504の第1の端点504-1に接続する。第4のエッジ508は、第1のエッジ502の第2の端点502-2を第2のエッジ504の第2の端点504-2に接続する。
【0040】
第1のエッジ502は弾性チューブ210の近位にあり、第2のエッジ504は弾性チューブ210の遠位にある。第1のエッジ502は、第2のエッジ504の長さよりも短い長さである。第1のエッジ502の長さは、弾性チューブ210の断面直径よりも短い。一実施例では、第1のエッジ502の長さは、完全に圧縮されたときの弾性チューブ210の断面直径以下である。
【0041】
図5Bでは、第3及び第4のエッジ506及び508は、直線プロファイルを有するように示されているが、第3及び第4のエッジ506及び508は、
図5C及び5Dに示されるような曲線プロファイルを有することができる。
図5Cでは、第3及び第4のエッジ506及び508は、凸曲線プロファイルを有するように示されている。第3及び第4のエッジ506及び508の各々の曲線プロファイルは、
図5Dに示すように、1つの山C及び1つの谷Tを有する。
図5Bから
図5Dに示すような挟持形状部は、第1の弾性チューブ210の効率的な挟持と同時に行われる卵胞に穴を開けるための針202の移動とを容易にする。
【0042】
図6は、一実施例による、OPUデバイス100のためのハンドル602を示す。ハンドル602は、弾性チューブ210に対して平行に配置され、弾性チューブ210の長さに沿って延びる。一実施例では、ハンドル602は、円筒形状又は管形状であることができる。ハンドル602は、金属、プラスチックなどから形成することができる。ハンドル602は、弾性チューブ210の断面直径よりも大きい幅を有する。
【0043】
ハンドル602は、弾性チューブ210を通る水平面Pに対して垂直に配置される。ハンドル602は、針202の近位にある第1の端部604を有する。第1の端部604は、コネクタ204に連結される。さらに、ハンドル602は、第1の端部604の反対側にある第2の端部606を有する。第2の端部606は、卵胞液を弾性チューブ210から採取チャンバ102に移送することを可能にする接続チューブ108に連結される。ハンドル602は、卵胞の位置を特定して卵胞に針202を突き刺している間に、弾性チューブ210を挟持することによって吸引力を調節することができる医師に人間工学的グリップを提供する。一実施例では、弾性チューブ210は、弾性チューブ210を一方の指でハンドル602の一方の側に押し付けることによって挟持することができ、一方、ハンドル602は、他方の側で別の指で支持することができる。
【0044】
さらに、ハンドル602は、第1の端部604に第1の突起対608を含む。第1の突起対608は、金属で構成することができる。第1の突起対608は、弾性チューブ210を通る水平面Pに対して平行な延長部分である。第1の突起対608は、それらの間にコネクタ204の一部を保持する。
【0045】
ハンドル602は、第2の端部606に、第1の突起対608の反対側にある第2の突起対610を含む。第2の突起対610は、金属で構成することができる。第2の突起対610は、弾性チューブ210を通る水平面Pに対して平行な延長部分である。第2の突起対610は、それらの間に接続チューブ108の一部が保持されることを可能にする。
【0046】
図7は、一実施例による、ハンドル602に押し付けられた弾性チューブ210の断面図を示す。
図7の断面図は、
図6に示すように、線AA’に沿って矢印の方向にOPUデバイスを見ることによって得ることができる。
図7を参照すると、ハンドル602は2つの面を有する。ハンドル602は、弾性チューブ210に向いている第1の面Qと、第1の面Qの反対側の第2の面Wとを有する。
【0047】
一実施例では、OPUデバイスを操作する医師は、ハンドル602の第2の面Wに人差し指を当てることができる。次いで、医師は、弾性チューブ210がハンドル602の第1の面Qに押し付けられるように、弾性チューブ210を矢印Xの方向に沿って圧縮することができる。第2の面Wに当てられた人差し指は、弾性チューブ210を圧縮するための支持体として機能する。このようにして、弾性チューブ210を2つの指で都合よく圧縮することができる。
【0048】
図8は、一実施例による、卵胞から卵胞液を吸引するためのシステム100内の採取チャンバの直列接続800を示す。一実施例では、採取チャンバの直列接続は、OPUデバイス200などのOPUデバイスと吸引ポンプ104などの吸引ポンプとの間に接続された1組の採取チャンバの縦列接続を指す。
【0049】
図8に示すように、直列接続は、第1の採取チャンバ802、第2の採取チャンバ804、及び第3の接続チャンバ806を含む。直列接続800には3つの採取チャンバが示されているが、直列接続には3つを超える採取チャンバがあることができる。直列接続800において、第1の採取チャンバ802はOPUデバイス200の近位にあり、第3の採取チャンバ806は吸引ポンプ104の近位にある。第1の採取チャンバ802は、第1の縦列コネクタ808を介して第2の接続チャンバ804に接続される。第2の採取チャンバ804は、第2の縦列コネクタ810を介して第3の接続チャンバ806に接続される。第1及び第2のカスケードコネクタは、接続チューブ106などの接続チューブ又はパイプであることができる。一実施例では、第1、第2及び第3の採取チャンバ802、804及び806のそれぞれは、14mlの容積を有することができる。
【0050】
図8を参照すると、第3の接続チューブ112は、卵胞液を第2の弾性チューブ110から第1の採取チャンバ802に運ぶ。第1の接続チューブ106の第1の端部106-1は、第3の採取チャンバ606の内部に存在し、第2の端部106-2は、連結要素(図示せず)を介して吸引ポンプ104に連結される。
【0051】
約2mlから約70mlの卵胞液を1つの卵巣から採取することができる。システム内に1つの接続チャンバがある場合、採取チャンバは1つの卵巣の完全な吸引を可能にするために複数回交換する必要がある。採取チャンバの直列接続800を用いて、採取チャンバを変更することなく約10mlから約150mlの卵胞液を採取することができ、これにより医師による中断のない卵胞吸引が容易になる。
【0052】
本主題の実施は、構造的特徴及び/又は方法に特有の言葉で記載されているが、本主題は、必ずしも記載された特定の特徴又は方法に限定されないことに留意されたい。むしろ、特定の特徴及び方法、本主題に関するいくつかの実施との関連で開示及び説明されている。
【国際調査報告】