(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(54)【発明の名称】メディカルチェーンネット
(51)【国際特許分類】
A61F 2/28 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
A61F2/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021530274
(86)(22)【出願日】2019-11-28
(85)【翻訳文提出日】2021-07-16
(86)【国際出願番号】 EP2019082963
(87)【国際公開番号】W WO2020109501
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】102018130205.3
(32)【優先日】2018-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルグ ヘティヒ
(72)【発明者】
【氏名】レナ シュヴァンツ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA01
4C097AA06
4C097BB01
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC02
4C097CC11
4C097CC12
4C097SC10
(57)【要約】
本発明は医療製品(1)であって、好ましくは骨欠損の治療中、より詳細には骨欠損の充填および/または閉鎖中に使用するためのチェーンネットの形態であり、複数の個々の要素(2)を有し、互いに隣接する個々の要素(2)が互いに係合する/互いに連鎖されるように互いに接続され、チェーンネットの個々の要素(2)は主要素(3)、および主要素(3)とは異なるように設計された接続要素(4)に細分され、主要素(3)および接続要素(4)は互いに連鎖されたときに、x-y平面において平坦なグリッド構造を形成する、医療製品(1)に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくは骨欠損の治療(特に骨欠損の充填および/または閉塞)に使用するためのチェーンネットの形態の医療製品(1)、特にインプラントであって、複数の個々のリンク要素(2)を有し、前記リンク要素(2)は隣接する前記リンク要素(2)が互いに結合するまたは連結するように互いに接続されており、
前記チェーンネットの個々の前記リンク要素(2)は、複数の主リンク要素(3)と、前記主リンク要素(3)と異なって形成された複数の接続リンク要素(4)とに細分され、前記主リンク要素(3)と前記接続リンク要素(4)は、連結された状態でx-y平面において平面状のグリッド構造を形成することを特徴とする、医療製品(1)。
【請求項2】
前記主リンク要素(3)および前記接続リンク要素(4)が三次元的に形成され、または、前記主リンク要素(3)のみが三次元的に形成され、前記接続リンク要素(4)が二次元的に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の医療製品(1)。
【請求項3】
前記主リンク要素(3)は、z方向に非対称であることを特徴とする、請求項2に記載の医療製品(1)。
【請求項4】
前記平面状のグリッド構造は、z方向に湾曲可能であることを特徴とする、請求項2または3に記載の医療製品(1)。
【請求項5】
複数の前記主リンク要素(3)は、互いに接触することによって、前記平面状のグリッド構造の最大の曲率を予め規定することを特徴とする、請求項4に記載の医療製品(1)。
【請求項6】
前記接続リンク要素(4)は、予め規定された前記最大の曲率に達すると、前記主リンク要素(3)のさらなる動き、特に互いから離れること、を防止することを特徴とする、請求項5に記載の医療製品(1)。
【請求項7】
正のz方向における予め規定された前記最大の曲率は、負のz方向における予め規定された前記最大の曲率と異なることを特徴とする、請求項6に記載の医療製品(1)。
【請求項8】
前記主リンク要素(3)および前記接続リンク要素(4)は、独立した形状を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の医療製品(1)。
【請求項9】
複数の前記主リンク要素(3)は、それぞれ、骨組み形状の、ピラミッドの三角錐台として形成され、複数の前記接続リンク要素(4)は、それぞれ、アイレット形状の多角形、特に六角形として形成されることを特徴とする、請求項6に記載の医療製品(1)。
【請求項10】
前記主リンク要素(3)は、骨組み状、好ましくは細長い、四角形のピラミッドとして形成され、前記接続リンク要素(4)は、ベースに少なくとも4つのアーチ状要素(11)を備え、かつ、対応して少なくとも4つの凹部(6)を備えるドーム形状のグリッドシェルとして形成され、前記凹部(6)は、それぞれ、隣接する2つの前記アーチ状要素(11)の間の中央に配置され、前記凹部(6)の下側縁部は、前記アーチ状要素(11)の頂部の高さ位置に配置されることを特徴とする、請求項6に記載の医療製品(1)。
【請求項11】
複数の前記主リンク要素(3)は、それぞれ、アイレット形状の多角形、特に六角形として形成された、平面を規定する第1のベース要素(12)と、アイレット形状の多角形、特に六角形として形成された、少なくとも1つの平面にわたって延在する第2のベース要素(13)と、を有し、それらは、特に異なる長さの、直交する複数の側縁部(8)を介して角部で互いに接続され、複数の前記接続リンク要素(4)は、それぞれ、ベースで互いに接続された少なくとも3つのアーチ状要素(11)によって形成されていることを特徴とする、請求項6に記載の医療製品(1)。
【請求項12】
複数の前記主リンク要素(3)は、それぞれ、第1および第2の中心点部(9)の接続によって形成され、それら中心点部は、互いに対向し、かつ、外側に屈曲または湾曲した少なくとも4つの側縁部(8)、特に、前記第1の中心点部に近いほど大きくなる膨らみ(15)を有する少なくとも2つの隣接する側縁部(8)、および、前記第2の中心点部(9)に近いほど大きくなる膨らみ(15)を有する少なくとも2つの更なる隣接する側縁部(8)とに接続され、複数の前記接続リンク要素は、それぞれ、2つの骨組み状の閉じた四角形のピラミッドとして形成されており、下側または底側で互いに接続され、閉じた本体を形成することを特徴とする、請求項6に記載の医療製品(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療製品であって、好ましくは骨欠損の治療、特に充填および/または閉鎖に使用するためのチェーンネットの形態であり、複数の個々のリンク要素を有し、隣接する個々のリンク要素が結合/連結されるように互いに接続される医療製品に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの骨格の骨欠損は、ある大きさ以上では、本質的には治癒しない。これは、欠陥がそれ自体では内から治癒できず、医学的治療を必要とすることを意味する。近年、骨欠損の治療のための様々な解決策が確立されている。特に、全人工股関節形成術または全人工膝関節形成術(股関節置換術または膝関節置換術)後の再置換術の際に、空洞性の骨欠損を充填する必要がしばしばある。医療分野では、再置換術は、治療がすでに行われた後における、新たな、通常は外科的な処置であると理解されている。脊椎手術および外傷手術の領域においても骨欠損の充填が必要となることがある。しかしながら、空洞性の骨欠損の充填は、特に骨粗しょう症の骨および腫瘍に冒された骨においては、しばしば困難である。
【0003】
空洞性の骨欠損および/または骨腔とは、ヒトまたは動物の骨、特にヒトまたは動物の関節骨の空洞またはくぼみを意味する。ここで、空洞は、骨外傷、骨疾患、または外科的介入/再介入、特に全人工股関節形成術または全人工膝関節形成術後の再置換の結果であり得る。
【0004】
様々な治療の選択肢が先行技術から知られている。例えば、独国特許出願公開第92013226063号は骨腔の治療に使用するための医療製品を開示しており、この製品は複数の相互接続された部材を備え、それぞれの部材は周方向の境界を有し、隣接する部材の境界は結合している。
【0005】
骨欠損を充填するために、リン酸カルシウムセメントのような、骨に適合させることができる可鍛性の充填材料がしばしば使用される。スキャフォールドはしばしば、骨成長のためのグリッド構造を提供するために使用される。これらのスキャフォールドは予め形成され、堅くて、骨に適合しない。
【0006】
一般に、スキャフォールド(または「骨組み」)は、24ヶ月の期間にわたって徐々に分解する生体吸収性ステントである。
【0007】
寛骨臼の骨欠損を覆うために、可撓性が低い金属メッシュが使用される。寛骨臼は、股関節または骨盤窩であり、解剖学的には骨盤によって形成される股関節の骨の部分を形成する。寛骨臼の骨欠損を覆うための、予め形成された金属製のインプラント、特に再置換メッシュは、例えば、Spieringsによる「Noviomagus Revision Meshes」またはStrykerによる「X―Change Revision Mesh」である。可撓性のあるメッシュ構造は、3Dプリントされた織物構造(多孔性織物)およびメソ構造化された多孔性材料として知られている。
【0008】
Noviomagusの再置換メッシュは、股関節再置換術中の解剖学的形状および外形寸法を回復するために、インパクション骨移植を実施する際の骨グラフトの固定のために設計されている。これらの殺菌ステンレススチールインプラントは、寛骨臼または近位大腿骨への適切な適合を確実にするための解剖学的形状を有する。これらのインプラントは、一般的な人間の解剖学的構造に適合するように設計されているが、個々の患者に容易に適合させることができる。このような適合は、計画された位置でスロットを切断することによって簡単に提供される。
【0009】
さらに、国際公開第201591518号は、膝置換術における骨欠損を修復するために使用される、再置換のためのチタニウムメッシュを開示している。再置換用チタニウムメッシュは、再置換用チタニウムメッシュを人体に埋め込むための横方向リブ付きストラップと、横方向リブ付きストラップを支持するための縦方向リブ付きストラップとを有する。横リブストラップと縦リブストラップを交差させて組み合わせ、メッシュ形状の再置換用チタニウムメッシュを形成している。
【0010】
さらに、欧州特許出願公開第089883号は、骨の隙間を覆うためのメッシュを開示しており、メッシュは生体適合性材料で作られ、アーチ形状のコードの端部にある、いくつかのメッシュポイントからなる構成を有する。その開口部のそれぞれは1mm未満の径を有し、スプリントを収容することができ、かつ、当該開口部は、骨ねじが除去されることを可能にする。
【0011】
さらに、米国特許出願公開第2018/271572号は、骨格の固定、安定化、および修復のための、小型およびマイクロスケールの共形チェーンメッシュ装置、ならびにそれらを作製および使用する方法を記載している。その構造装置は、第1の外面および第2の外面を有するチェーンメッシュを形成する、相互接続された、多角形リンク要素の適合可能なシート(conformable sheet)を備える。この点に関し、相互接続されたリンク要素は、適合可能なシートの第1の外面および第2の外面をそれぞれ形成するように結合する平面を含む。また、骨組織を安定化させ、骨組織を固定するため、骨パッチグラフトとして、または薄い骨組織代替物として、その構造装置を使用する方法も提供されている。
【0012】
上述した出願の欠点は、規定された曲率による機械的安定性がなく、全てのリンク要素が同様に形成されることである。
【0013】
したがって、骨欠損の治療のための現行の解決策は、可鍛性がある塊、完全な剛性をもつスキャフォールド/再置換メッシュ、または骨欠損を覆うための機械的安定性のない、可撓性メッシュ構造のいずれかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明は、特に従来技術の欠点を改善するために、骨欠損の治療のための医療製品であって、適応性があり、可撓性がありながら本質的に剛性であるスキャフォールド/再置換メッシュである、医療製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的は、チェーンネットの個々のリンク要素が接続リンク要素と主リンク要素とに分割されるという点において解決される。接続リンク要素は、主リンク要素と異なって形成され、それによって、接続リンク要素および主リンク要素は、相互に連結されたときに、xy平面において平面状のグリッド構造を形成する。
【0016】
個々のリンク要素の連結によって、平面的に骨欠損を覆うために使用され得る平面状のグリッド/ネットを形成することができる。異なる設計の主リンク要素および接続リンク要素は、それ自体、特に相互接続方式で、平面状のグリッド構造を形成するための緩い接続によって互いに連結され、それらは互いに対して、好ましくは限定された範囲で、移動可能である。
【0017】
骨欠損を覆う用途において、平面状のインプラントを形成する連結された個々のリンク要素の長所は、リンク要素によって覆うことが骨成長のためのスキャフォールドとして、または骨欠損の充填のための境界として、単独で使用され得ることである。
【0018】
本発明の有利な態様は、接続リンク要素および主リンク要素が三次元的に形成されるか、または、主リンク要素のみが三次元的に形成され、接続リンク要素が二次元的に形成されることである。
【0019】
少なくとも二次元の個々のリンク要素を使用することによって、主リンク要素と接続リンク要素との間の様々な組み合わせが可能になり、これは、様々な柔軟性または適応性を有することができる。
【0020】
また、平面状のグリッド構造をz方向に湾曲させることができ、主リンク要素がz方向に非対称であることが好ましい。特に、平面状のグリッド構造は、個々のリンク要素が緩く連結しているために、z方向に湾曲させることができる。
【0021】
複数の主リンク要素が、それらの相互接触によって、平面状のグリッド構造の最大の曲率を予め規定することが有利である。スキャフォールドを適合させるために、第1の態様によるx-y平面に形成された表面は、正および負のz方向の両方に湾曲させることができる。z方向における主リンク要素の非対称の設計は、以下に記載されるように、さらなる可能性をもたらす。
【0022】
本発明の有利な態様は、接続リンク要素が、予め規定された最大の曲率に達したときに、複数の主リンク要素のさらなる移動、特に互いから外れることを防止することである。したがって、医療製品は、特に個々のリンク要素から構築された構造のために、変形性能が制限される。
【0023】
換言すれば、x-y平面にある平面状のグリッド/メッシュは、z方向に湾曲している。所定の/予め規定された曲率に達すると、複数の主リンク要素が互いに接触し、グリッド構造のさらなる湾曲を防止する。この状態になると、複数の主リンク要素は、接続リンク要素が原因で、互いから離れることができない。したがって、主リンク要素と接続リンク要素との相互作用は、予め規定された曲率に対応する最大の曲率に達すると、剛性のグリッド構造を確実にする。これらの利点によって、インプラントが骨に適応し、さらに機械的に安定した方法で骨欠損を覆うことが可能となる。予め規定された望ましい湾曲に達する前に、スキャフォールドは適合のために理想的に設計された柔軟なグリッド構造を提供し、その後、硬化する。
【0024】
換言すれば、ここでの利点は、インプラントが、所定の曲率に達するまでは可撓性があり、予め規定された、特に調整可能な曲率を超えると、硬化し、機械的に負荷に耐えることができるように、骨への適合が可能になることである。
【0025】
さらに、異なる形状の複数の接続リンク要素と組み合わされた異なる形状の複数の主リンク要素により、本解決手段は、異なる最大の曲率を規定または設定することを可能にする。
【0026】
正のz方向における予め規定された最大の曲率が、負のz方向における予め規定された最大の曲率と異なることがさらに好ましい。
【0027】
これは、主リンク要素をz方向に非対称に設計することによって可能になる。したがって、平面状のグリッド構造は、2つの異なる最大の曲率にすることができ、よって、一方の側では、他方の側と異なるように最大の曲率が規定/設定される。z方向における主リンク要素の非対称性は、個々のリンク要素の組み合わせ全体の移動の自由度を異ならせるだけであり、それによって、曲率半径は固定される。
【0028】
例えば、寛骨臼欠損を治療する場合、正のz方向において、20~30mmの最大の曲率半径が使用され、負のz方向における最大の曲率半径は30~45mmである。したがって、正のz方向における曲率半径の相対的な差は、負のz方向よりも20%小さくなる。
【0029】
スカルプレート欠損(Schadelplattendefekts)のフィッティングにおけるスキャフォールドの適用例では、正のz方向における最大の曲率半径は60~60mmであり、負のz方向における最大の曲率半径は60~90mmである。したがって、正のz方向における相対的な曲率半径は、負のz方向における相対的な曲率半径よりも9%小さい。
【0030】
主リンク要素および接続リンク要素が独立した形状(geschlossene Form)を有すると有利である。さらに、各主リンク要素および各接続リンク要素は、閉じた境界によって規定される少なくとも1つの開口部または孔/凹部を有する。加えて、全ての主リンク要素および接続リンク要素が丸みを帯びた縁部を有し、形成され得る先端部が平坦化され、その結果、平面状のグリッドの縁部が、周囲、特に組織を傷つける可能性がないことも有利である。さらに、このようなインプラントが、スキャフォールドを骨に固定することができる固定装置を有することができることは自明である。
【0031】
第1の実施形態によれば、複数の主リンク要素がそれぞれ、骨組み形状のピラミッドの三角錐台として形成され、複数の接続リンク要素がそれぞれ、アイレット形状の多角形、特に六角形として形成されることが有利である。この実施形態によれば、1つの主リンク要素は3つの接続リンク要素と接触し、1つの接続リンク要素は6つの主リンク要素を一緒に保持し、ピラミッドの各三角錐台の側縁部は、接続リンク要素の中心に向いている。
【0032】
第2の実施形態によれば、主リンク要素が骨組み状、好ましくは細長い四角錐状に形成され、接続リンク要素が、少なくとも4つのアーチ状要素をベースに有し、対応して少なくとも4つの(顔形の)凹部を有するドーム形状のグリッドシェルとして形成され、これらの凹部は、それぞれ、隣接する2つのアーチ状要素の間の中央に配置され、凹部の下側縁部がアーチ状要素の頂部の高さ位置に配置されることが好ましい。
【0033】
第3の実施の形態によれば、複数の主リンク要素が、それぞれ、アイレット形状の多角形、特に六角形として形成された、平面を規定する第1のベース要素と、アイレット形状の多角形、特に六角形として形成された、少なくとも1つの平面にわたって延在する第2のベース要素と、を有し、それらは、直交し、特に異なる長さの複数の側縁部を介して角部で互いに接続され、複数の接続リンク要素は、それぞれ、ベースで互いに接続された少なくとも3つのアーチ状要素によって形成されていることが有利である。
【0034】
換言すれば、この好ましい例では、主リンク要素が、後面/前面が相互に傾けられた骨組み状の多角形/六角形の管からなる。
【0035】
第4の実施形態によれば、複数の主リンク要素は、それぞれ、互いに対向する第1および第2の中心点部の接続によって形成され、それらは、外側に湾曲またはアーチ状にされた少なくとも4つの側縁部、特に、第1の中心点部に近づくほど大きくなる膨らみを有する少なくとも2つの隣接する側縁部、および、第2の中心点部に近づくほど大きくなる膨らみを有する少なくとも2つの更なる隣接する側縁部とによって(王冠状に)接続され(したがって、アメリカンフットボールの基礎形状を呈する)、そして、複数の接続リンク要素は、それぞれ、閉じた本体を形成するために、下側または底側で互いに接続された2つの骨組み状の閉じた四角形のピラミッドとして形成されていることが好ましい。
【0036】
医療製品が上述した実施形態の1つにしたがって、正のz方向、すなわち、医療製品の上側の方向に湾曲する場合、主リンク要素の上側を規定する、隣接する主リンク要素の縁部/境界部の間の距離はより大きくなり、主リンク要素の下側を規定する、隣接する主リンク要素の縁部/境界部の間の距離はより小さくなる。主リンク要素の下側を規定する主リンク要素の縁部同士が接触すると、最大の予め規定された曲率に達し、医療製品が硬化するか、または、主リンク要素および接続リンク要素は、それ以上の動きができないように結合する。
【0037】
医療製品が上述した実施形態の1つにしたがって、負のz方向、すなわち、医療製品の下側の方向に湾曲する場合、主リンク要素の下側を規定する、隣接する主リンク要素の縁部/境界部の間の距離はより大きくなり、主リンク要素の上側を規定する、隣接する主リンク要素の縁部/境界部の間の距離はより小さくなる。主リンク要素の上側を規定する主リンク要素の縁部同士が接触すると、最大の予め規定された曲率に達し、医療製品が硬化するか、または、主リンク要素および接続リンク要素は、それ以上の動きができないように結合する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本開示の第1の実施形態による医療製品の図である。
【
図2】本開示の第1の実施形態による三次元主リンク要素を示す図である。
【
図3】本開示の第1の実施形態による二次元接続リンク要素を示す図である。
【
図4】本開示の第1の実施形態による医療製品の部分的な図である。
【
図5】本開示の第2の実施形態による医療製品の図である。
【
図6】本開示の第2の実施形態による三次元主リンク要素を示す図である。
【
図7】本開示の第2の実施形態による三次元接続リンク要素を示す図である。
【
図8】本開示の第2の実施形態による医療製品の部分的な図である。
【
図9】本開示の第3の実施形態による医療製品の図である。
【
図10】本開示の第3の実施形態による三次元主リンク要素を示す図である。
【
図11】本開示の第3の実施形態による三次元接続リンク要素を示す図である。
【
図12】本開示の第3の実施形態による医療製品の部分的な図である。
【
図13】本開示の第4の実施形態による医療製品の図である。
【
図14】本開示の第4の実施形態による三次元主リンク要素を示す図である。
【
図15】本開示の第4の実施形態による三次元接続リンク要素を示す図である。
【
図16】本開示の第4の実施形態による医療製品の部分的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、添付図面に基づいて、本開示の実施形態の例を説明する。図面は本質として単に概略的なものであり、本発明の理解を助けることを意図している。同一の要素は、同一の参照符号によって示される。
【0040】
第1の実施例
図1は、第1の実施形態に係る医療製品1を示す図である。図示された医療製品1は複数の個々のリンク要素2を示しており、これらのリンク要素は、隣接する個々のリンク要素2が相互に連結されるように互いに接続されている。個々のリンク要素2は、互いに異なる幾何学的形態/形状を有する複数の主リンク要素3と複数の接続リンク要素4とに細分/分割することができる。
【0041】
図1に示す、個々のリンク要素2の連結、すなわち主リンク要素3と接続リンク要素4との連結は、x-y平面内にあり、z方向に曲げることができる平面状のグリッド構造を形成する。
【0042】
図2において、主リンク要素3は、平面視で三角形状、特に正三角形の形状を有していることが分かる。第1の主リンク要素3のベース縁部10は、第2の主リンク要素3のベース縁部10に近接している。複数の主リンク要素3がこのようにして互いに接合されるとき、接続リンク要素4が、医療製品1、特にインプラントの中心に位置するならば、6つの主リンク要素3が接続リンク要素4によって互いに接続される。医療製品1の中心に位置する主リンク要素3は、3つの接続リンク要素4と接触している。
【0043】
図2は、本開示の第1の実施形態による三次元主リンク要素3を示す図である。第1の実施形態の主リンク要素3は、骨組み状のピラミッドの三角錐台である。換言すれば、主リンク要素3は、中心に第1の三角形凹部6を有する第1の三次元三角形5と、中心に第2の三角形凹部6を有する第2の三次元三角形7とを有する。第1の三角形5は第2の三角形7の上方に配置されており、第1の三角形5のベース領域は第2の三角形7のベース領域よりも小さい。2つの三角形5および7の先端部9は、異なるベース領域に適応した傾斜角を有する、ピラミッドの錐台の3つの側縁部8を介して互いに接続される。
【0044】
図2に示されている、骨組み状のピラミッドの三角錐台としての主リンク要素3の縁部および角部は、丸みを帯びている。第1の実施形態に係る主リンク要素3は下側三角形7が上側三角形5よりも大きいのでz方向に非対称であり、y軸方向にのみ対称である。特に、3つの側縁部8の傾斜角度は互いに同じまたは異なるものとすることができ、これも対称比に影響を及ぼす。
【0045】
図3は、本開示の第1の実施形態による二次元接続リンク要素4を示す図である。第1の実施形態の接続リンク要素4は例示的に、アイレット形状の六角形として形成される。
【0046】
接続リンク要素4はまた、丸みを帯びた縁部および角部を有する。アイレット状の六角形は全周にわたって均一の厚さを有している。第1の実施形態による接続リンク要素4は、x、y、およびz軸方向において対称であり、点対称である。
【0047】
図4は、第1の実施形態に係る医療製品1の部分的な図である。主リンク要素3が3つの接続リンク要素4と接触していることが分かる。図示されたアイレット形状の六角形の1つの角は、ピラミッドの錐台の側縁部8を保持するために使用される。部分的な図では、ピラミッドの錐台の形状が原因で、隣接する2つの第2の三角形状7のベース側の間の距離は隣接する2つの第1の三角形状5のベース側の間の距離よりも小さいことが示されている。
【0048】
医療製品1が上述の第1の実施形態にしたがって正のz方向に湾曲する場合、すなわち、インプラントの湾曲がピラミッドの錐台の上側に向く場合、ピラミッドの錐台の各上側を規定する、隣接する三角形5のベース縁部の間の距離が増加し、ピラミッドの錐台の各下側を規定する、隣接する三角形7のベース縁部の間の距離が減少する。ピラミッドの錐台の各下側を規定する三角形5のベース縁部同士が接触すると、予め規定された最大の曲率に達し、医療製品1が硬化するか、または、主リンク要素3および接続リンク要素4は、それ以上の動きができないように互いに結合する。
【0049】
医療製品1が上述した第1の実施形態にしたがって負のz方向に湾曲する場合、すなわち、インプラントの湾曲がピラミッドの錐台の下側に向く場合、ピラミッドの錐台の各上側を規定する、隣接する三角形5のベース縁部の間の距離がより小さくなり、ピラミッドの錐台の各下側を規定する、隣接する三角形7のベース縁部の間の距離がより大きくなる。ピラミッドの錐台の各上側を規定する三角形7のベース縁部同士が接触すると、予め規定された最大の曲率に到達し、医療製品1が硬化するか、または、主リンク要素3および接続リンク要素4は、それ以上の動きができないように互いに結合する。
【0050】
図5は、第2の実施形態に係る医療製品1を示す図である。図示された医療製品1は多数の個々のリンク要素2を有し、これらのリンク要素は、隣接する個々のリンク要素2が相互に連結されるように互いに接続される。第1の実施形態と同様に、これらの個々のリンク要素2も、互いに異なる幾何学的形態/形状を有する主リンク要素3と接続リンク要素4とに分割される。
【0051】
図5に示す個々のリンク要素2の連結、すなわち主リンク要素3と接続リンク要素4との連結は、x-y平面内に存在する平面状のグリッド構造であって、z方向に湾曲/屈曲され得る平面状のグリッド構造を形成する。
【0052】
図5では、主リンク要素3が平面視で四角錐形状を有することが分かる。さらに、複数の側縁部8を有するピラミッドの先端部9を見ることができ、側縁部8は四角形のベース領域の角部で終端する。下から見た図は、主リンク要素3のベース領域に対応する、一列に配置された正方形を示している。第1の主リンク要素3のベース縁部10は、第2の主リンク要素3のベース縁部10に近接している。主リンク要素3のこのような接合において、接続リンク要素4が、医療製品1、特にインプラントの中心に位置する場合、4つの主リンク要素3が接続リンク要素4によって互いに接続される。医療製品1の中央に位置する主リンク要素3は、4つの接続リンク要素4と接触している。接続リンク要素4上のアーチ状要素11の構成は、隣接する/隣り合う主リンク要素のベース縁部10に重なるようにはたらく。
【0053】
第2の実施形態の医療製品の縁部は、主リンク要素3によって形成されることが好ましい。
【0054】
図6は、本開示の第2の実施形態に係る三次元主リンク要素3を示す図である。第2の実施形態の主リンク要素3は、骨組み状の細長い四角錐(以下、多面体と呼ぶ)として形成される。換言すれば、これは骨組み状の四角錐であり、骨組み状のピラミッドの4つの側縁部8は、底面/下面に垂直な側縁部8aを介して、四角形のベース領域の角部で終わる。正方形のベース領域もまた、骨組み状であり、4つのベース縁部10を形成する。
【0055】
図7は、本開示の第2の実施形態による接続リンク要素4を示す図である。接続リンク要素4は、ドーム形グリッドシェルの形態であって、少なくとも4つのアーチ状要素11がベースにあり、それに対応して少なくとも4つの楕円形(特に顔形)の凹部6が2つの隣接するアーチ状要素11間の中央に位置し、凹部6の下側縁部がアーチ状要素11の頂部の高さ位置に配置される。
【0056】
換言すれば、第2の実施形態の接続リンク要素4は、ベースに4つのアーチ状要素11を有する交差リブドーム(Kreuzrippengewolbes)の構造と同様の構造を有し、それぞれのアーチ状要素は、楕円形の、特に顔形の、上述した凹部6を有する。この構造は、形状および構造において、4つの脚を有するパビリオンテントとも似ている。
【0057】
図6に示された主リンク要素3および
図7に示された接続リンク要素4の骨組み状の多面体の縁部および角部は、先端部9と同様に、丸みを帯びている。第2の実施形態に係る主リンク要素3は、z方向に非対称であり、y軸方向にのみ対称である。接続リンク要素3は回転対称であり、x軸およびy軸から始まる対称性を有する。
【0058】
図8は、第2の実施形態に係る医療製品1の部分的な図である。主リンク要素3が4つの接続リンク要素4と接触していることが分かる。図示される主リンク要素3の側縁部8は、接触している接続リンク要素4の凹部6を通過している。接続リンク要素4のアーチ状要素11は、多面体のベース縁部10と重なるようにはたらく。
【0059】
医療製品1が上述の第2の実施態様にしたがって正のz方向に湾曲する場合、すなわち、湾曲が多面体の上側の方向に向く場合、多面体の各上側を規定する、隣接する側縁部8間の距離が増大し、多面体の各下側を規定する、隣接する三角形7のベース縁部10間の距離が縮小する。多面体の各下側を規定するベース縁部8同士が接触すると、最大の予め規定された曲率に達し、医療製品1が硬化するか、または、主リンク要素3および接続リンク要素4がそれ以上の動きができないように互いに結合する。
【0060】
医療製品1が上述の第2の実施形態にしたがって負のz方向に湾曲する場合、すなわち、湾曲が多面体の下側に向く場合、ピラミッドの錐台の各上側を規定する多面体の側縁部8間の距離が小さくなり、多面体の各下側を規定する多面体のベース縁部10間の距離が大きくなる。多面体の各上側を規定する多面体の側縁部8同士が接触すると、最大の予め規定された曲率に達し、医療製品1が硬化するか、または、主リンク要素3および接続リンク要素4がそれ以上の動きができないように互いに結合する。
【0061】
図9は、第3の実施形態に係る医療製品1を示す図である。図示された医療製品1は、互いに隣接する個々のリンク要素2が連結されるように相互接続された、複数の個々のリンク要素2を示す。第1および第2の実施形態と同様に、これらの個々のリンク要素2も、互いに異なる幾何学的形態/形状を有する主リンク要素3および接続リンク要素4に細分/分割される。
【0062】
図9に示す個々の要素2の連結、すなわち主リンク要素3と接続リンク要素4との連結は、x-y平面内に存在する平面状のグリッド構造であって、z方向に湾曲され/屈曲され得る平面状のグリッド構造を形成する。
【0063】
図9は、主リンク要素3が平面視で不規則な六角形であることを示している。主リンク要素3の六角形ベース領域のベース縁部10は、隣接する主リンク要素3のベース縁部10と対向する。主リンク要素3のこのような結合において、接続リンク要素4が医療製品1、特にインプラントの中心に位置する場合、主リンク要素3は6つの接続リンク要素4にそれぞれ相互接続される。医療製品1の中央に配置された接続リンク要素4は、3つの主リンク要素3と接触している。
【0064】
第3の実施形態による医療製品の縁部は、好ましくは接続リンク要素4によって形成される。
【0065】
図10は、本開示の第3の実施形態に係る三次元主リンク要素3を示す図である。主リンク要素3は、それぞれ、平面内に存在するアイレット形状の多角形(特に、六角形)として形成された第1のベース要素12と、少なくとも1つの平面にわたって延在するアイレット形状の多角形(特に、六角形)として形成された第2のベース要素13と、を有する。角部において、2つのベース要素12および13は、直交し、特に長さが異なる側縁部8を介して互いに接続される。ベース要素13は上側ベース要素である。
【0066】
換言すれば、第3の実施形態は、互いに上下に配置された2つの六角形であり、これらの六角形は異なる高さ/長さの側縁部8で互いに接続され、側縁部8は下側ベース要素12に対して垂直である。上側ベース要素13は、様々な高さの側縁部8に適合され、したがって、いくつかの高さ位置、特に3つの高さ位置にわたって延在する。
【0067】
図10の描写によれば、最も短い側縁部8が最も長い側縁部8に対向して配置され、4つの残りの側縁部8は、同じ設計のものであり、最も長い側縁部8よりも小さく、最も短い側縁部8よりも長いことが好ましい。
【0068】
図11は、本開示の第3の実施形態による三次元接続リンク要素4を示す図である。接続リンク要素4は、ベースで相互接続された少なくとも3つのアーチ状要素11によって形成される。相互接続されたアーチ状要素11は上向き方向(正のz方向)に開口部を形成する。以下、これを凹部6と呼ぶ。3つのアーチ状要素11の相互接続された基部は、それぞれ、支持脚14を形成する。少なくとも3つの支持脚14は三角形のベース領域にまたがり、外部に向かって足のような形態を有する。
【0069】
図10および
図11に示すように、縁部および角部は丸くなっている。主リンク要素3は、z方向に非対称である。
【0070】
図12は、第3の実施形態に係る医療製品1の部分的な図である。主リンク要素3が6つの接続リンク要素4と接触していることが分かる。図示される主リンク要素3の各側縁部8は、それと接触している接続リンク要素4によって取り囲まれている。接続リンク要素4のアーチ状要素11は、主リンク要素3のベース縁部10上に広がる(ubergreifen)ようにはたらく。換言すれば、接続リンク要素4の凹部6は、3つの隣接する主リンク要素3の各々の側縁部8の周りに広がる。
【0071】
医療製品1が上述の第3の実施形態にしたがって正のz方向に湾曲する場合、すなわち、湾曲が主リンク要素3の上側ベース要素13の方向に向く場合、主リンク要素3の各上側ベース要素13を規定する、隣接する六角形のベース縁部10間の距離が大きくなり、各下側ベース要素12を規定する、隣接する六角形のベース縁部10間の距離が小さくなる。各下側ベース要素12を規定する六角形のベース縁部10同士が接触すると、最大の予め規定された曲率に達し、医療製品1が硬化するか、または、主リンク要素3および接続リンク要素4とが、それ以上の動きができないように互いに結合する。
【0072】
医療製品1が上述の第3の実施形態にしたがって負のz方向に湾曲する場合、すなわち、湾曲が主リンク要素3の下側ベース要素12の方向に向く場合、主リンク要素3の各上側ベース要素12を規定する、隣接する六角形のベース縁部10間の距離が小さくなり、主リンク要素3の各下側ベース要素12を規定する、隣接する六角形のベース縁部10間の距離が大きくなる。主リンク要素3の上側ベース要素13を規定する六角形のベース縁部10同士が接触すると、最大の予め規定された曲率に達し、医療製品1が硬化するか、または、主リンク要素3および接続リンク要素4とが、それ以上の動きができないように互いに結合する。
【0073】
図13は、第4の実施形態に係る医療製品1の一実施形態である。
図13は、第4の実施形態に係る医療製品1の部分的な図である。図示された医療製品1は、互いに隣接する個々のリンク要素2が連結されるように相互接続された、複数の個々のリンク要素2を示す。第1および第2の実施形態によれば、個々のリンク要素2は、互いに異なる幾何学的形態/形状を有する主リンク要素3および接続リンク要素4に細分/分割される。
【0074】
図13に示す個々のリンク要素2の連結、すなわち主リンク要素3と、接続リンク要素4との連結は、x-y平面内に存在する平面状のグリッド構造であって、z方向に曲げることができる平面状のグリッド構造を形成する。
【0075】
図13では、上面図がピラミッド状の先端部9のみを示し、そこから側縁部8が平面状のグリッド構造に導かれる。医療製品を下側から見ると、同じ様子が見える。
【0076】
図14は、本開示の第4の実施形態に係る三次元主リンク要素3を示す図である。主リンク要素は、互いに対向する第1および第2の中心点部9を接続することにより形成される。第1および第2の中心点部9は、外側に湾曲する/アーチ状になる少なくとも4つの側縁部8、特に、第1の中心点部9に近づくほど大きくなる膨らみ15を有する少なくとも2つの隣接する側縁部8と、第2の中心点部9に近づくほど大きくなる膨らみ15を有する少なくとも2つのさらなる隣接する側縁部8と、にクラウン状に接続されている。したがって、膨らみ15は、湾曲した/アーチ状の側縁部8の中心に配置されないことが好ましい。
【0077】
図15は、本開示の第4の実施形態による三次元接続リンク要素4を示す図である。接続リンク要素3は2つの骨組み状の閉じた四角形のピラミッドによって形成され、これらは下側/底側で互いに接続され、閉じた本体を形成する。
【0078】
換言すれば、第4の実施形態の接続リンク要素4は、8つの三角形面、特に正三角形面によって形成され、丸みを帯びた角部および縁部を有し、かつ、形成された三角形面のそれぞれに三角形凹部6を有する、多面体である。この三角形凹部6は、好ましくは、その形において、三角形面に適合する。三角形凹部6の境界は、上述した側縁部8に対応する。4つの収束する側縁部8は、中心点部9を形成する。
【0079】
上述した主リンク要素3および接続リンク要素4の角部および縁部は、丸みを帯びた角部および縁部を有する。
図14の主リンク要素3は、また、z方向に非対称である。
図15に示す接続リンク要素4は、x、yおよびz軸に沿って対称であり、点対称でもある。
【0080】
図16は、本開示の第4の実施形態に係る医療製品1の部分的な図である。主リンク要素3が4つの接続リンク要素4と接触していることが分かる。図示された主リンク要素3の各側縁部8は、接触している接続リンク要素4の、上下に隣接する2つの凹部6によって案内される。
【0081】
医療製品1が上述した第4の実施形態にしたがって正のz方向に湾曲する場合、すなわち、湾曲が主リンク要素3の上側中心点部9に向く場合、主リンク要素3の各上側を規定する、湾曲した側縁部8間の距離が大きくなり、主リンク要素3の各下側を規定する湾曲した側縁部8間の距離が小さくなる。主リンク要素3の各下側を規定する主リンク要素3の側縁部8同士が接触すると、最大の予め規定された曲率に達し、医療製品1が硬化するか、または、主リンク要素3および接続リンク要素4がそれ以上の動きができないように互いに結合する。
【0082】
医療製品1が上述した第4の実施形態にしたがって負のz方向に湾曲する場合、すなわち、湾曲が主リンク要素3の下側の中心点部9に向く場合、主リンク要素3の各上側を規定する湾曲した側縁部8間の距離が小さくなり、主リンク要素3の各下側を規定する湾曲した側縁部8間の距離が大きくなる。主リンク要素3の各下側を規定する主リンク要素3の側縁部8同士が接触すると、最大の予め規定された曲率に達し、医療製品1が硬化するか、または、主リンク要素3および接続リンク要素4がそれ以上の動きができないように互いに結合する。
【0083】
特に、上述した主リンク要素と接続リンク要素との任意の組み合わせが考えられる。
【符号の説明】
【0084】
1 医療製品
2 個々のリンク要素
3 主リンク要素
4 接続リンク要素
5 第1の三角形
6 凹部
7 第2の三角形
8 側縁部
9 中心点部/先端部
10 ベース端部
11 アーチ状部
12 第1のベース要素
13 第2のベース要素
14 支持脚
15 膨らみ
【手続補正書】
【提出日】2021-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨欠損の治療に使用するための医療製品であって、複数の個々のリンク要素を有し、隣接する個々の前記リンク要素が互いに結合するまたは連結するように互いに接続されており、
前記チェーンネットの個々の前記リンク要素は、複数の主リンク要素と、前記主リンク要素と
異なる幾何学的形態を有する複数の接続リンク要素とに細分され、前記主リンク要素と前記接続リンク要素は、連結された状態でx-y平面において平面状のグリッド構造を形成することを特徴とする、医療製品。
【請求項2】
前記主リンク要素および前記接続リンク要素が三次元的に形成され、または、前記主リンク要素のみが三次元的に形成され、前記接続リンク要素が二次元的に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の医療製品。
【請求項3】
前記主リンク要素は、z方向に非対称であることを特徴とする、請求項2に記載の医療製品。
【請求項4】
前記平面状のグリッド構造は、z方向に湾曲可能であることを特徴とする、請求項2または3に記載の医療製品。
【請求項5】
複数の前記主リンク要素は、互いに接触することによって、前記平面状のグリッド構造の最大の曲率を予め規定することを特徴とする、請求項4に記載の医療製品。
【請求項6】
前記接続リンク要素は、予め規定された前記最大の曲率に達すると、前記主リンク要素のさらなる動き、特に互いから離れること、を防止することを特徴とする、請求項5に記載の医療製品。
【請求項7】
正のz方向における予め規定された前記最大の曲率は、負のz方向における予め規定された前記最大の曲率と異なることを特徴とする、請求項6に記載の医療製品。
【請求項8】
前記主リンク要素および前記接続リンク要素は、独立した形状を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の医療製品。
【請求項9】
複数の前記主リンク要素は、それぞれ、骨組み形状の、ピラミッドの三角錐台として形成され、複数の前記接続リンク要素は、それぞれ、アイレット形状の多角形、特に六角形として形成されることを特徴とする、請求項6に記載の医療製品。
【請求項10】
前記主リンク要素は、骨組み
状として形成され、前記接続リンク要素は、ベースに少なくとも4つのアーチ状要素を備え、かつ、対応して少なくとも4つの凹部を備えるドーム形状のグリッドシェルとして形成され、前記凹部は、それぞれ、隣接する2つの前記アーチ状要素の間の中央に配置され、前記凹部の下側縁部は、前記アーチ状要素の頂部の高さ位置に配置されることを特徴とする、請求項6に記載の医療製品。
【請求項11】
複数の前記主リンク要素は、それぞれ、アイレット形状の多角形、特に六角形として形成された、平面を規定する第1のベース要素と、アイレット形状の多角形、特に六角形として形成された、少なくとも1つの平面にわたって延在する第2のベース要素と、を有し、それらは、特に異なる長さの、直交する複数の側縁部を介して角部で互いに接続され、複数の前記接続リンク要素は、それぞれ、ベースで互いに接続された少なくとも3つのアーチ状要素によって形成されていることを特徴とする、請求項6に記載の医療製品。
【請求項12】
複数の前記主リンク要素は、それぞれ、第1および第2の中心点部の接続によって形成され、それら中心点部は、互いに対向し、かつ、外側に屈曲または湾曲した少なくとも4つの側縁部、特に、前記第1の中心点部に近いほど大きくなる膨らみを有する少なくとも2つの隣接する側縁部、および、前記第2の中心点部に近いほど大きくなる膨らみを有する少なくとも2つの更なる隣接する側縁部とに接続され、複数の前記接続リンク要素は、それぞれ、2つの骨組み状の閉じた四角形のピラミッドとして形成されており、下側または底側で互いに接続され、閉じた本体を形成することを特徴とする、請求項6に記載の医療製品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0083
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0083】
特に、上述した主リンク要素と接続リンク要素との任意の組み合わせが考えられる。
以下の項目は、国際出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
[項目1]
好ましくは骨欠損の治療(特に骨欠損の充填および/または閉塞)に使用するためのチェーンネットの形態の医療製品(1)、特にインプラントであって、複数の個々のリンク要素(2)を有し、前記リンク要素(2)は隣接する前記リンク要素(2)が互いに結合するまたは連結するように互いに接続されており、
前記チェーンネットの個々の前記リンク要素(2)は、複数の主リンク要素(3)と、前記主リンク要素(3)と異なって形成された複数の接続リンク要素(4)とに細分され、前記主リンク要素(3)と前記接続リンク要素(4)は、連結された状態でx-y平面において平面状のグリッド構造を形成することを特徴とする、医療製品(1)。
[項目2]
前記主リンク要素(3)および前記接続リンク要素(4)が三次元的に形成され、または、前記主リンク要素(3)のみが三次元的に形成され、前記接続リンク要素(4)が二次元的に形成されていることを特徴とする、項目1に記載の医療製品(1)。
[項目3]
前記主リンク要素(3)は、z方向に非対称であることを特徴とする、項目2に記載の医療製品(1)。
[項目4]
前記平面状のグリッド構造は、z方向に湾曲可能であることを特徴とする、項目2または3に記載の医療製品(1)。
[項目5]
複数の前記主リンク要素(3)は、互いに接触することによって、前記平面状のグリッド構造の最大の曲率を予め規定することを特徴とする、項目4に記載の医療製品(1)。
[項目6]
前記接続リンク要素(4)は、予め規定された前記最大の曲率に達すると、前記主リンク要素(3)のさらなる動き、特に互いから離れること、を防止することを特徴とする、項目5に記載の医療製品(1)。
[項目7]
正のz方向における予め規定された前記最大の曲率は、負のz方向における予め規定された前記最大の曲率と異なることを特徴とする、項目6に記載の医療製品(1)。
[項目8]
前記主リンク要素(3)および前記接続リンク要素(4)は、独立した形状を有することを特徴とする、項目1から7のいずれか一項に記載の医療製品(1)。
[項目9]
複数の前記主リンク要素(3)は、それぞれ、骨組み形状の、ピラミッドの三角錐台として形成され、複数の前記接続リンク要素(4)は、それぞれ、アイレット形状の多角形、特に六角形として形成されることを特徴とする、項目6に記載の医療製品(1)。
[項目10]
前記主リンク要素(3)は、骨組み状、好ましくは細長い、四角形のピラミッドとして形成され、前記接続リンク要素(4)は、ベースに少なくとも4つのアーチ状要素(11)を備え、かつ、対応して少なくとも4つの凹部(6)を備えるドーム形状のグリッドシェルとして形成され、前記凹部(6)は、それぞれ、隣接する2つの前記アーチ状要素(11)の間の中央に配置され、前記凹部(6)の下側縁部は、前記アーチ状要素(11)の頂部の高さ位置に配置されることを特徴とする、項目6に記載の医療製品(1)。
[項目11]
複数の前記主リンク要素(3)は、それぞれ、アイレット形状の多角形、特に六角形として形成された、平面を規定する第1のベース要素(12)と、アイレット形状の多角形、特に六角形として形成された、少なくとも1つの平面にわたって延在する第2のベース要素(13)と、を有し、それらは、特に異なる長さの、直交する複数の側縁部(8)を介して角部で互いに接続され、複数の前記接続リンク要素(4)は、それぞれ、ベースで互いに接続された少なくとも3つのアーチ状要素(11)によって形成されていることを特徴とする、項目6に記載の医療製品(1)。
[項目12]
複数の前記主リンク要素(3)は、それぞれ、第1および第2の中心点部(9)の接続によって形成され、それら中心点部は、互いに対向し、かつ、外側に屈曲または湾曲した少なくとも4つの側縁部(8)、特に、前記第1の中心点部に近いほど大きくなる膨らみ(15)を有する少なくとも2つの隣接する側縁部(8)、および、前記第2の中心点部(9)に近いほど大きくなる膨らみ(15)を有する少なくとも2つの更なる隣接する側縁部(8)とに接続され、複数の前記接続リンク要素は、それぞれ、2つの骨組み状の閉じた四角形のピラミッドとして形成されており、下側または底側で互いに接続され、閉じた本体を形成することを特徴とする、項目6に記載の医療製品(1)。
【国際調査報告】