(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(54)【発明の名称】特に粘膜および/または傷口を治療するための水性組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/53 20060101AFI20220113BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20220113BHJP
A61P 31/10 20060101ALI20220113BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20220113BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20220113BHJP
A61K 47/18 20060101ALI20220113BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20220113BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20220113BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20220113BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20220113BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20220113BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20220113BHJP
【FI】
A61K31/53
A61P31/00
A61P31/10
A61K9/08
A61K9/06
A61K47/18
A61K47/10
A61K47/32
A61K47/36
A61K47/26
A61K47/44
A61K47/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531014
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(85)【翻訳文提出日】2021-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2019078868
(87)【国際公開番号】W WO2020108880
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】102018220624.4
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】508240177
【氏名又は名称】ビー.ブラウン メルズンゲン アーゲー
【氏名又は名称原語表記】B.BRAUN MELSUNGEN AG
【住所又は居所原語表記】Carl-Braun-Str. 1, 34212 Melsungen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス アーント
(72)【発明者】
【氏名】ナタリー デューク
(72)【発明者】
【氏名】マイケル クルツ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA12
4C076BB21
4C076BB31
4C076CC31
4C076DD07E
4C076DD08E
4C076DD09E
4C076DD13E
4C076DD52
4C076EE16
4C076EE23
4C076EE27
4C076FF11
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC64
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA55
4C086MA63
4C086NA05
4C086ZB35
(57)【要約】
本発明は、水性組成物、特に傷口の治療のための水性組成物であって、下記一般式Iのジヒドロトリアジン化合物、またはその互変異性体、またはその塩と、消泡剤と、を備える、水性組成物に関する。
(式中、R
1は、(i)炭素数1~6個のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1~6個のハロアルキル基、炭素数1~6個のアルキル基、スルホンアミド基、および炭素数1~6個のハロアルコキシ基からなる群から選択される1~3個の置換基で任意に置換されるフェニル基またはフェニルアルキル基、(ii)ナフチル基またはナフチルアルキル基、(iii)複素環基、複素環アルキル基または複素環アミノアルキル基、(iv)1~16個の炭素原子を有するアルキル基、または(v)シクロアルキル基またはシクロアルキルアルキル基を意味し、R
1’は、ジヒドロトリアジン環の1位または3位で窒素原子に結合している水素原子を意味し、R
2およびR
3は、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を意味し、R
4は、7~16個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、点線は、二重結合の位置がジヒドロトリアジン環の1位と2位との間、または2位と3位との間のいずれかであることを示す。)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性組成物、特に水溶液またはハイドロゲルの形態の水性組成物であって、
下記一般式(I)のジヒドロトリアジン化合物、またはその互変異性体、またはその塩と、
消泡剤と、を備える、水性組成物。
【化1】
(式中、R
1は、(i)炭素数1~6個のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1~6個のハロアルキル基、炭素数1~6個のアルキル基、スルホンアミド基、および炭素数1~6個のハロアルコキシ基からなる群から選択される1~3個の置換基で任意に置換されるフェニル基またはフェニルアルキル基、(ii)ナフチル基またはナフチルアルキル基、(iii)複素環基、複素環アルキル基または複素環アミノアルキル基、(iv)1~16個の炭素原子を有するアルキル基、または(v)シクロアルキル基またはシクロアルキルアルキル基を意味し;
R
1’は、ジヒドロトリアジン環の1位または3位で窒素原子に結合している水素原子を意味し;
R
2およびR
3は、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を意味し;
R
4は、7~16個の炭素原子を有するアルキル基を意味し;
点線は、二重結合の位置がジヒドロトリアジン環の1位と2位との間、または2位と3位との間のいずれかであることを示す。)
【請求項2】
R
1は、フッ素原子、塩素原子、ヒドロキシ基、メチル基、tert-ブチル基、トリフルオロメチル基、およびメトキシ基からなる群から選択される1~3個の置換基で任意に置換されるフェニル基またはフェニルアルキル基、特にベンジル基を意味し、
R
1’は、ジヒドロトリアジン環の1位または3位で窒素原子に結合している水素原子を意味し、
R
2およびR
3はともに、メチル基を意味し、
R
4は、n-オクチル基、n-ノニル基またはn-デシル基を意味する、請求項1に記載の水性組成物。
【請求項3】
R
1は、フェニル基、4-クロロフェニル基、2、4-ジフルオロフェニル基、2、3、4-トリフルオロフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、4-メトキシフェニル基、2-メトキシ-4-tert-ブチルフェニル基、4-トリフルオロメトキシフェニル基、ベンジル基、メチルベンジル基、4-メチルベンジル基、4-メトキシベンジル基、3、4-ジメトキシベンジル基、4-ヒドロキシベンジル基、3、4-ジクロロベンジル基、2、3、4-トリクロロベンジル基、4-トリフルオロメチルベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基、1-フェニルプロピル基、2-フェニルプロピル基、3-フェニルプロピル基、好ましくは、4-メチルベンジル基を意味し、
R
1’は、ジヒドロトリアジン環の1位または3位で窒素原子に結合している水素原子を意味し、
R
2およびR
3はともに、メチル基を意味し、
R
4は、n-オクチル基、n-ノニル基またはn-デシル基を意味する、請求項1または2に記載の水性組成物。
【請求項4】
R
1は、メチルベンジル基、好ましくは、4-メチルベンジル基を意味し、
および/または、R
2およびR
3はともに、メチル基を意味し、
および/または、R
4は、n-オクチル基を意味する、請求項1から3のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項5】
R
1は、メチルベンジル基、好ましくは、4-メチルベンジル基を意味し、
R
1’は、ジヒドロトリアジン環の1位または3位で窒素原子に結合している水素原子を意味し、
R
2およびR
3はともに、メチル基を意味し、
R
4は、n-オクチル基を意味する、請求項1から4のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項6】
前記ジヒドロトリアジン化合物は、4-オクチルアミノ-1、6-ジヒドロ-6、6-ジメチル-2-(4’-メチルベンジルアミノ)-1、3、5-トリアジングルコネート、4-オクチルアミノ-3、6-ジヒドロ-6、6-ジメチル-2-(4’-メチルベンジルアミノ)-1、3、5-トリアジングルコネート、またはそれらの互変異性体である、請求項1から5のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項7】
前記ジヒドロトリアジン化合物は、前記水性組成物の総重量に基づいて、0.001重量%~1.00重量%、特に0.01重量%~0.50重量%、好ましくは0.025重量%~0.25重量%の割合を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項8】
前記消泡剤は、アルキルアミド、シリコーン、ポロキサマー、および挙げられた消泡剤のうちの少なくとも2つの組合せからなる群から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項9】
前記消泡剤は、前記水性組成物の総重量に基づいて、0.0001重量%~2.0重量%、特に0.0005重量%~1.5重量%、好ましくは0.001重量%~1.0重量%の割合を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項10】
前記水性組成物は、界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤をさらに備え、
ただし、前記消泡剤および前記界面活性剤は、互いに異なるように選択され、
前記非イオン性界面活性剤は、好ましくは、ポロキサマー、脂肪酸アルコールエトキシレートなどの脂肪酸アルコールアルコキシレート、ポリビニルピロリドン、アルキルポリグルコシド、および挙げられた非イオン性界面活性剤の少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項11】
前記界面活性剤は、双性イオン界面活性剤、特にアルキルアミドアルキルベタイン、好ましくはアルキルアミドエチルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、またはそれらの組合せである、請求項1から10のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項12】
前記水性組成物は、乳化剤をさらに備え、
ただし、前記乳化剤および任意に存在する前記界面活性剤は、互いに異なるように選択され、
前記界面活性剤は、好ましくは、アルコールエトキシレート、アルキルポリグルコシド、ポリソルベート、エトキシル化ヒマシ油、および挙げられた乳化剤の少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項13】
前記界面活性剤は、前記水性組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~10.0重量%、特に0.05重量%~2.0重量%、好ましくは0.1重量%~1.0重量%の活性割合を有し、
および/または前記乳化剤は、前記水性組成物の総重量に基づいて、0.001重量%~1.5重量%、特に0.02重量%~1.0重量%、好ましくは0.05重量%~0.5重量%の割合を有する、請求項10から12のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項14】
前記水性組成物は、添加剤をさらに備え、
前記添加剤は、増粘剤、錯化剤、湿潤剤、酸、アルカリ、有機溶媒、および挙げられた添加剤の少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択される、請求項1から13のいずれか一項に記載の水性組成物。
【請求項15】
粘膜および/または傷口および/または感染および/または感染性疾患の予防または治療への適用のための、請求項1から14のいずれか一項に記載の水性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘膜および/または傷口を治療するのに特に適した水性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヨードホールの形態でヨウ素を包含するヨウ素含有生成物、例えば、ポピドンヨードは、粘膜および傷口の治療のために確立されている。それらは、耐性が良いことでよく知られている。これらの薬剤の使用は、アレルギーおよび感作の可能性のせいで制限されるだけでなく、生物による既知のヨウ素の吸収のせいでも制限される。
【0003】
このために、カチオン性抗菌剤を包含する生成物が提案されている。
【0004】
特に傷口洗浄溶液または傷口ゲルの形態であり得る水性ポリヘキサメチレンビグアナイド含有組成物は、国際公開第03/004013号から公知である。
【0005】
独国特許出願公開第10205883号明細書の主題は、ビスピリジニウムアルカンに基づく水性消毒剤である。
【0006】
国際公開第2007/031520号は、とりわけ、傷口の治療のための医薬組成物の生成のためのオクテニジン二塩酸塩の使用に関する。
【0007】
従来の薬剤は、真菌、特に酵母に対して効果がないという欠点を有する。
【0008】
Octeniseptという名称で入手可能なオクテニジン含有製剤は、良好な粘膜適合性を示すことができるが、深い傷口で使用されると、壊死にまで至る不耐につながる可能性がある。これは、とりわけ、ドイツ連邦医薬品医療機器研究所(https://www.bfarm.de/SharedDocs/Risikoinformationen/Pharmakovigilanz/DE/RHB/2011/rhb-octenisept.html)によって公表されている。
【0009】
オクテニジン含有組成物は、欧州特許出願第0411315号明細書から公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、粘膜および/または傷口を治療するのに適し、同時に、真菌、特に酵母に対する効果が改善された、非常に高い耐性の組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、この目的は、独立請求項1の特徴を有する水性組成物によって達成される。水性組成物の好ましい実施形態は、従属請求項および明細書の主題である。全ての請求項の表現は、明確な参照により本明細書に組み込まれる。
【0012】
本発明による組成物は、水性、すなわち水含有組成物である。水性組成物は、好ましくは、水溶液の形態、すなわち水含有溶液の形態、またはヒドロゲルの形態、すなわち水含有ゲルの形態である。
【0013】
水性組成物は、下記一般式(I)のジヒドロトリアジン化合物、または、その互変異性体、すなわち、一般式(I)の前記ジヒドロトリアジン化合物の変異体、または、その塩、特に薬理学的に許容される塩、すなわち、一般式(I)のジヒドロトリアジン化合物の塩、特に、特に薬理学的に許容される塩と、消泡剤と、を備える。
【0014】
【0015】
式中、R1は、(i)炭素数1~6個のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、炭素数1~6個のハロアルキル基、炭素数1~6個のアルキル基、スルホンアミド基、および炭素数1~6個のハロアルコキシ基からなる群から選択される1~3個の置換基で任意に置換されるフェニル基またはフェニルアルキル基、(ii)ナフチル基またはナフチルアルキル基、(iii)複素環基、複素環アルキル基または複素環アミノアルキル基、(iv)1~16個の炭素原子を有するアルキル基、または(v)シクロアルキル基またはシクロアルキルアルキル基を意味し、
R1’は、ジヒドロトリアジン環の1位または3位で窒素原子に結合している水素原子を意味し、
R2およびR3は、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基を意味し、
R4は、7~16個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、
点線は、二重結合の位置がジヒドロトリアジン環の1位と2位との間、または2位と3位との間のいずれかであることを示す。
【0016】
水性組成物は、粘膜および/または傷口、好ましくは急性または慢性の傷口の予防(prevention)、すなわち、(病気の)予防(prophylaxis)、または、治療、および/または感染の予防(prevention)、すなわち、(病気の)予防(prophylaxis)、または治療、および/または感染性疾患、例えば、丹毒の予防(prevention)、すなわち、(病気の)予防(prophylaxis)、または治療に特に適している。したがって、本発明の文脈において、水性組成物は、水性傷口治療組成物、特に水性消毒組成物とも呼ぶことができる。水性組成物は、好ましくは、水性傷口洗浄溶液である。
【0017】
本発明の文脈において、「ジヒドロトリアジン化合物」という表現は、2つの二重結合のみを有する6員トリアジン環、すなわち、いわゆるジヒドロトリアジン環を有する化合物を意味すると理解されるべきであり、ここで、トリアジン環またはジヒドロトリアジン環は、1位、3位および5位のそれぞれに窒素原子、および2位、4位および6位のそれぞれに炭素原子を有し、二重結合の一方の位置は、トリアジン環またはジヒドロトリアジン環の4位および5位の間であり、他方の二重結合、すなわち、第2のまたは残りの二重結合の位置は、トリアジン環またはジヒドロトリアジン環の1位および2位の間または2位および3位の間のいずれかである。
【0018】
本発明の文脈において、「消泡剤」という表現は、発泡を遅らせ、または弱め、すなわち、小さくし(diminishing)または減らし(reducing)、または発泡を避けることができる化合物を意味すると理解されるべきである。
【0019】
本発明の文脈において、「界面活性剤」という表現は、液体、特に水または水性液体の表面張力、および/または2つの相の間の界面張力を低下させ、分散液の形成を可能にし、あるいは補助する、および/または可溶化剤として作用する化合物を意味すると理解されるべきである。
【0020】
本発明の文脈において、「乳化剤」という表現は、2つの非混和性液体、例えば、油および水を混合してエマルジョンを形成することができ、特にそれらを安定化することができる化合物を意味すると理解されるべきである。
【0021】
本発明の文脈において、「真菌」という表現は、単細胞または多細胞真菌を意味することができる。
【0022】
本発明の文脈において、「酵母」という表現は、出芽または分裂(division)(分裂(splitting))によって増殖する単細胞真菌(いわゆる酵母真菌)を意味すると理解されるべきである。
【0023】
本発明の文脈において、「フェニル基」という表現は、ベンゼン基、すなわち原子基(-C6H5)を意味すると理解されるべきである。
【0024】
本発明の文脈において、「ベンジル基」という表現は、フェニルメチル基(-CH2-C6H5)(以前はα-トリル基とも呼ばれていた)を意味すると理解されるべきである。
【0025】
本発明の文脈において、「フェニルアルキル基」という表現は、特に1~6個の炭素原子を有する直鎖状、すなわち、非分岐、または分岐アルキル基またはアルキレン基がフェニル基に結合している基を意味する。アルキル基またはアルキレン基は、置換または非置換のアルキル基またはアルキレン基であり得る。フェニルアルキル基は、好ましくは、ベンジル基、メチルベンジル基、例えば、特に、4-メチルベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基、1-フェニルプロピル基、2-フェニルプロピル基または3-フェニルプロピル基である。
【0026】
フェニル基またはフェニルアルキル基のベンゼン環は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数が1~6個のアルキル基、炭素数が1~6個のハロアルキル基、炭素数が1~6個のアルコキシ基、炭素数が1~6個のハロアルコキシ基、およびスルホンアミド基からなる群から特に選択される1~3個の置換基を有することができる。
【0027】
本発明の文脈において、「ハロゲン原子」という表現は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味することができる。
【0028】
本発明の文脈において、「炭素数が1~6個のアルキル基」という表現は、関連する直鎖状または分岐アルキル基、すなわち、1~6個の炭素原子を有するアルキル基を意味することができる。アルキル基は、置換または非置換アルキル基であり得る。例えば、炭素数が1~6個のアルキル基は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、sec-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基またはイソヘキシル基であり得る。
【0029】
本発明の文脈において、「炭素数が1~6個のハロアルキル基」という表現は、特に、クロロメチル基、ブロモメチル基、1-クロロエチル基またはトリフルオロメチル基を意味することができる。
【0030】
本発明の文脈において、「炭素数が1~6個のアルコキシ基」という表現は、特に、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基またはイソブトキシ基を意味することができる。
【0031】
本発明の文脈において、「炭素数が1~6個のハロアルコキシ基」という表現は、特に、トリフルオロメトキシ基を意味することができる。
【0032】
本発明の文脈において、「ナフチル基」という表現は、1-ナフチル基または2-ナフチル基を意味することができる。
【0033】
本発明の文脈において、「ナフチルアルキル基」という表現は、特に1~6個の炭素原子を有する、直鎖状、すなわち、非分岐、または分岐アルキル基がナフチル基に結合している基を意味する。アルキル基は、置換または非置換アルキル基であり得る。ナフチルアルキル基は、好ましくは、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基または2-ナフチルエチル基である。
【0034】
本発明の文脈において、「複素環基」という表現は、窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選択される1~3個の原子を含有する3~6員の複素環基を意味し、ベンゼン環が複素環基に縮合することが可能である。複素環基は、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、チアゾリル基、ピペリジル基、ピペラジル基、テトラヒドロフリル基、チエニル基、ピロリル基、ピロリジニル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、ピラゾリル基、テトラヒドロピラニル基、2-オキソテトラヒドロピラニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、モルホリニル基、1、3、5-トリアジニル基、1、2、4-トリアジニル基、キノリル基またはイソキノリル基であり得る。
【0035】
特に、本発明の文脈における複素環基は、2-ピリジル基、3-ピリジル基、4-ピリジル基、2-フリル基、2-チアゾリル基、1-ピペリジル基、1-ピペラジル基、2-キノリル基、3-キノリル基、4-キノリル基、5-キノリル基、8-キノリル基、1-イソキノリル基、3-イソキノリル基、4-イソキノリル基または5-イソキノリル基であり得る。
【0036】
本発明の文脈において、「複素環アルキル基」という表現は、特に1~6個の炭素原子を有する、直鎖状、すなわち非分岐、または分岐アルキル基が、特に前の段落で定義または記載されるような複素環式基に結合している基を意味する。アルキル基は、置換または非置換アルキル基であり得る。複素環アルキル基は、好ましくは、2-ピリジルメチル基、3-ピリジルメチル基、4-ピリジルメチル基、2-ピリジルエチル基、3-ピリジルエチル基、4-ピリジルエチル基、ピラジニルメチル基、ピラジニルエチル基、2-フリルメチル基、2-フリルエチル基、2-チアゾリルメチル基、2-チアゾリルエチル基、4-ピペリジルメチル基、2-キノリルメチル基、3-キノリルメチル基、4-キノリルメチル基、5-キノリルメチル基、8-キノリルメチル基、1-イソキノリルメチル基、3-イソキノリルメチル基、4-イソキノリルメチル基または5-イソキノリルメチル基である。
【0037】
本発明の文脈において、「複素環アミノアルキル基」という表現は、特に、1~12個の炭素原子を有する直鎖状、すなわち、非分岐、または分岐アルキル基が複素環アミノ基に結合している基を意味する。アルキル基は、置換または非置換アルキル基であり得る。複素環アミノアルキル基は、好ましくは、4-アミノ-ジヒドロ-1、3、5-トリアジン-2-イル-アミノ基、4-アルキルアミノ-ジヒドロ-1、3、5-トリアジン-2-イル-アミノ基または4-フェニルアルキルアミノ-ジヒドロ-1、3、5-トリアジン-2-イル-アミノ基である。
【0038】
本発明の文脈において、「1~16個の炭素原子を有するアルキル基」という表現は、1~16個の炭素原子を有する直鎖、すなわち非分岐、または分岐アルキル基を意味する。アルキル基は、置換または非置換アルキル基であり得る。1~16個の炭素原子を有するアルキル基は、好ましくは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基またはn-ヘキサデシル基である。
【0039】
本発明の文脈において、「シクロアルキル基」という表現は、特に、3~6個の炭素原子を有するシクロアルキル基を意味する。例えば、シクロアルキル基は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基またはシクロヘキシル基であり得る。
【0040】
本発明の文脈において、「シクロアルキルアルキル基」という表現は、特に、1~6個の炭素原子を有する直鎖、すなわち非分岐、または分岐アルキル基が、特に、前段落で定義または記載されているシクロアルキル基に結合している基を特に意味する。アルキル基は、置換または非置換アルキル基であり得る。シクロアルキルアルキル基は、好ましくは、シクロヘキシルメチル基、1-シクロヘキシルエチル基または2-シクロヘキシルエチル基である。
【0041】
本発明の文脈において、「7~16個の炭素原子を有するアルキル基」という表現は、7~16個の炭素原子を有する直鎖、すなわち非分岐、または分岐アルキル基を意味する。アルキル基は、置換または非置換アルキル基であり得る。7~16個の炭素原子を有するアルキル基は、好ましくは、n-ヘプチル基、n-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基またはn-ヘキサデシル基である。
【0042】
本発明の文脈において、一般式Iのジヒドロトリアジン化合物に関連して使用される「塩」という表現は、特に、有機酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、イソ酪酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸、コハク酸モノアミド、グルタル酸、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、グリコール酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、フタル酸、サリチル酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸またはメタンスルホン酸の塩を意味し得る。
【0043】
本発明の文脈において、「消毒組成物」という表現は、生体表面、特に粘膜および/または傷口上の微生物を減少させるための、および/または粘膜および/または傷口の予防(prevention)、すなわち(病気の)予防(prophylaxis)、または、粘膜および/または傷口の治療のための、および/または感染および/または感染性疾患の予防(prevention)および/または治療のための組成物を意味すると理解されるべきである。
【0044】
本発明は、第1に、一般式Iのジヒドロトリアジン化合物、またはその互変異性体、またはその塩が、例えばポリヘキサメチレンビグアニドまたは塩酸オクテニジンのような問題になっているタイプの消毒剤と比較して、真菌、特に酵母に対して改善された効力を有するという驚くべき発見に基づく。結果として、特に有利な態様で、特に、真菌によって引き起こされるか、または部分的に引き起こされる傷口および/または感染および/または感染性疾患のより良い予防または治療が可能になる。
【0045】
さらに、驚くべきことに、一般式Iのジヒドロトリアジン化合物、またはその互変異性体、またはその塩と、消泡剤とを組み合わせることにより、低発泡性または無発泡性の組成物を得ることができ、その結果として、第一に、特に粘膜および/または傷口および/または感染および/または感染性疾患の予防(prevention)または治療のためのジヒドロトリアジン化合物の使用が最適化され、または可能とされることが見出された。粘膜および/または傷口の治療および/または洗浄のための一般式Iのジヒドロトリアジン化合物、またはその互変異性体、またはその塩の使用は、(場合によっては)その極端な泡立ち挙動のために予想されなかった。
【0046】
本発明の一実施形態では、
R1は、フッ素原子、塩素原子、ヒドロキシ基、メチル基、tert-ブチル基、トリフルオロメチル基およびメトキシ基からなる群より選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいフェニル基またはフェニルアルキル基を意味し、
R1’は、ジヒドロトリアジン環の1位または3位で窒素原子に結合している水素原子を意味し、
R2およびR3はともに、メチル基を意味し、
R4は、n-オクチル基、n-ノニル基またはn-デシル基を意味する。
【0047】
好ましくは、
R1は、フッ素原子、塩素原子、ヒドロキシ基、メチル基、tert-ブチル基、トリフルオロメチル基およびメトキシ基からなる群より選択される1~3個の置換基で置換されていてもよいフェニル基、ベンジル基または2-フェニルエチル基を意味し、
R1’は、ジヒドロトリアジン環の1位または3位で窒素原子に結合している水素原子を意味し、
R2およびR3はともに、メチル基を意味し、
R4は、n-オクチル基、n-ノニル基またはn-デシル基を意味する。
【0048】
特に好ましくは、
R1は、フッ素原子、塩素原子、ヒドロキシ基、メチル基、tert-ブチル基、トリフルオロメチル基およびメトキシ基からなる群より選択される1~3個の置換基、好ましくは1~3個のメチル基、特に好ましくは1個のメチル基により置換されていてもよいベンジル基を意味し、
R1’は、ジヒドロトリアジン環の1位または3位で窒素原子に結合している水素原子を意味し、
R2およびR3はともに、メチル基を意味し、
R4は、n-オクチル基、n-ノニル基またはn-デシル基を意味する。
【0049】
本発明のさらなる実施形態では、
R1は、フェニル基、4-クロロフェニル基、2、4-ジフルオロフェニル基、2、3、4-トリフルオロフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、4-メトキシフェニル基、2-メトキシ-4-tert-ブチルフェニル基、4-トリフルオロメトキシフェニル基、ベンジル基、メチルベンジル基、例えば、特に4-メチルベンジル基、4-メトキシベンジル基、3、4-ジメトキシベンジル基、4-ヒドロキシベンジル基、3、4-ジクロロベンジル基、2、3、4-トリクロロベンジル基、4-トリフルオロメチルベンジル基、1-フェニルエチル基、2-フェニルエチル基、1-フェニルプロピル基、2-フェニルプロピル基または3-フェニルプロピル基、好ましくはメチルベンジル基、特に好ましくは4-メチルベンジル基を意味し、
R1’は、ジヒドロトリアジン環の1位または3位の窒素原子に結合している水素原子を意味し、
R2およびR3はともに、メチル基を意味し、
R4は、n-オクチル基、n-ノニル基またはn-デシル基を意味する。
【0050】
本発明のさらなる実施形態では、R1は、メチルベンジル基、好ましくは4-メチルベンジル基を意味し、および/またはR2およびR3はともに、メチル基を意味し、および/またはR4は、n-オクチル基を意味する。好ましくは、R1は、メチルベンジル基、好ましくは4-メチルベンジル基を意味し、R2およびR3はともに、メチル基を意味し、R4は、n-オクチル基を意味する。
【0051】
本発明のさらなる実施形態では、R1は、メチルベンジル基、好ましくは4-メチルベンジル基を意味し、R1’は、ジヒドロトリアジン環の1位または3位の窒素原子に結合した水素原子を意味し、R2およびR3はともに、メチル基を意味し、R4は、n-オクチル基を意味する。
【0052】
特に好ましくは、ジヒドロトリアジン化合物は、下記式Iaを有する。
【0053】
【0054】
あるいは、ジヒドロトリアジン化合物は、下記式Ibを有することができる。
【0055】
【0056】
本発明のさらなる実施形態において、ジヒドロトリアジン化合物またはその塩は、6、6-ジメチル-N2-(4-メチルベンジル)-N4-オクチル-1、6-ジヒドロ-[1、3、5]-トリアジン-2、4-ジアミングルコネートとも称され得る4-オクチルアミノ-1、6-ジヒドロ-6、6-ジメチル-2-(4’-メチルベンジルアミノ)-1、3、5-トリアジングルコネート、またはその互変異性体である。ジヒドロトリアジン化合物またはその塩は、好ましくは、6、6-ジメチル-N2-(4-メチルベンジル)-N4-オクチル-1、6-ジヒドロ-[1、3、5]-トリアジン-2、4-ジアミンD-グルコネートとも称され得る4-オクチルアミノ-1、6-ジヒドロ-6、6-ジメチル-2-(4’-メチルベンジルアミノ)-1、3、5-トリアジンD-グルコネート、またはその異性体である。この段落に開示されるジヒドロトリアジン化合物またはこの段落に開示されるジヒドロトリアジン化合物塩は、粘膜および/または傷口および/または感染および/または感染性疾患、特に、真菌、特に酵母によって引き起こされるか、または部分的に引き起こされる、傷口および/または感染および/または感染性疾患の予防(prevention)または治療に特に有効であることが発見されている。
【0057】
前段落で述べたジヒドロトリアジン化合物、または前段落で述べたジヒドロトリアジン化合物塩である4-オクチルアミノ-1、6-ジヒドロ-6、6-ジメチル-2-(4’-メチルベンジルアミノ)-1、3、5-トリアジンD-グルコネートは、フェモタキシジンという名称で市販されており、下記式Ia#で表すことができる。
【0058】
【0059】
本発明のさらなる実施形態において、一般式Iのジヒドロトリアジン化合物、またはその塩は、4-オクチルアミノ-3、6-ジヒドロ-6、6-ジメチル-2-(4’-メチルベンジルアミノ)-1、3、5-トリアジングルコネート、特に4-オクチルアミノ-3、6-ジヒドロ-6、6-ジメチル-2-(4’-メチルベンジルアミノ)-1、3、5-トリアジンD-グルコネート、またはその互変異性体である。
【0060】
本発明のさらなる実施形態において、一般式Iのジヒドロトリアジン化合物、またはその互変異性体、またはその塩は、水性組成物の総重量に基づいて、0.001重量%~1.00重量%、特に0.01重量%~0.50重量%、好ましくは0.025重量%~0.25重量%の割合を有する。特に、ジヒドロトリアジン化合物、またはその互変異性体、またはその塩に関して本段落に開示された割合は、粘膜および/または傷口および/または感染および/または感染性疾患、特に、真菌、特に酵母によって引き起こされるか、または部分的に引き起こされる、傷口および/または感染および/または感染性疾患の予防(prevention)または治療に関して特に有利であることが見出された。
【0061】
本発明のさらなる実施形態において、消泡剤は、アルキルアミド、シリコーン、ポロキサマーおよび挙げられた消泡剤の少なくとも2つの組み合わせ、特に混合物、からなる群から選択される。
【0062】
アルキルアミドは、特に、式がR1-NH-R2のアルキルアミドであり得る。R1は、n-オクチル、イソオクチルまたは2-エチルヘキシルであり、R2は、n-オクタンまたはイソオクタン、n-ノナンまたはイソノナンまたはn-デカンまたはイソデカンである。本発明によれば、アルキルアミドはまた、少なくとも2つの関連するアルキルアミドの組み合わせ、特に混合物であり得る。
【0063】
シリコーンは、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルシロキサン(シロキサンポリエチレングリコールまたはシロキサンポリプロピレングリコール)、または架橋シロキサンとも呼ばれる三次元修飾シロキサン、または挙げられたシリコーンのうちの少なくとも2つの組み合わせ、特に混合物であり得る。
【0064】
ポロキサマーは、好ましくは、分子あたり2~130個の(-CH2-CH2-O-)の構造のユニットおよび/または15~67個の(-CHCH3-CH2-O-)の構造のユニットを有する。
【0065】
本発明の文脈において、「ポロキサマー」という表現は、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドから構成されるブロックコポリマーを意味すると理解されるべきである。
【0066】
特に、ポロキサマーは、ポロキサマー407、ポロキサマー188、またはそれらの組合せ、特に混合物であり得る。
【0067】
さらに、消泡剤は、アルキルアミドとシリコーンとの組み合わせ、特に混合物であり得る。このような消泡剤の組み合わせは、ジヒドラジン化合物、またはその互変異性体、またはその塩の発泡を抑制または弱めることに関して特に有利である。この場合、アルキルアミドは、水性組成物の総重量に基づいて、0.0001重量%~0.1重量%、特に0.0005重量%~0.05重量%、好ましくは0.001重量%~0.05重量%の割合、特に活性割合を有することができ、シリコーンは、水性組成物の総重量に基づいて、0.00001重量%~0.01重量%、特に0.00002重量%~0.005重量%、好ましくは0.00005重量%~0.005重量%の割合、特に活性割合を有することができる。
【0068】
本発明のさらなる実施形態では、消泡剤は、水性組成物の総重量に基づいて、0.0001重量%~2.0重量%、特に0.0005重量%~1.5重量%、好ましくは0.001重量%~1.0重量%の割合を有する。特に、この段落に開示される消泡剤の割合は、一般式Iのジヒドロトリアジン化合物、またはその互変異性体、またはその塩による発泡を抑制することまたは弱めることに関して特に有利であることが見出された。
【0069】
本発明のさらなる実施形態において、水性組成物は、界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤および/または双性イオン性界面活性剤をさらに備え、ただし、界面活性剤、特に非イオン性界面活性剤および/または双性イオン性界面活性剤、および消泡剤は、互いに異なるように、すなわち、界面活性剤および消泡剤が異なる化合物であるように選択される。
【0070】
本発明の文脈において、「非イオン性界面活性剤」という表現は、解離性官能基を全く含まず、したがって、水または水性液体中でイオンに分離しない界面活性剤を指すことが意図される。
【0071】
非イオン性または双性イオン性界面活性剤は、特に、ジヒドロトリアジン化合物との相互作用がほとんどまたは全くなく、さらに、粘膜および傷口が非常に高い耐性を有するという利点を有する。
【0072】
非イオン性界面活性剤は、好ましくは、ポロキサマー、脂肪族アルコールエトキシレートのような脂肪アルコールアルコキシレート、ポリビニルピロリドン、アルキルポリグルコシドおよび挙げられた非イオン性界面活性剤のうちの少なくとも2つの組み合わせ、特に、混合物、からなる群から選択される。この段落に記載され、以下により詳細に記載される非イオン性界面活性剤は、一般式Iのジヒドロトリアジン化合物、またはその互変異性体、またはその塩による刺激性であって、傷口の治療の観点から問題となる刺激性を低減または回避するのに特に適していることが見出されている。
【0073】
ポロキサマーは、好ましくは、分子あたり2~130個の(-CH2-CH2-O-)の構造のユニットおよび/または15~67個の(-CHCH3-CH2-O-)の構造のユニットを有する。
【0074】
ポロキサマーは、特にポロキサマー407、ポロキサマー188、またはそれらの組み合わせ、特に混合物であってよい。
【0075】
界面活性剤としてのポロキサマーの使用は、本発明によれば、ポロキサマーが、界面活性剤の特性に加えて、泡を減衰する、または泡を低減する特性および/または乳化特性も有するので、特に好ましい。その結果として、一般式Iのジヒドロトリアジン化合物、またはその互変異性体、またはその塩による発泡をさらに減衰、減少または抑制すること、および/または水性組成物中の消泡剤の均一な分散を達成または改善することができる点で特に有利である。
【0076】
界面活性剤としてのポリビニルピロリドンの使用は、同様に、本発明によれば、この界面活性剤が界面活性剤の特性に加えて乳化特性を有するので、特に好ましい。前段落でさらに挙げられた利点は、準用される。加えて、ポリビニルピロリドンの使用は、それが水と結合し、したがって粘度調節剤として作用することができるという利点を有する。
【0077】
本発明の文脈において、「脂肪族アルコールアルコキシレート」という表現は、非イオン性界面活性剤を意味すると理解されるべきであり、その親油性部分は、脂肪族アルコールを備え、または脂肪族アルコールからなり、その親水性部分は、ポリアルキレングリコール、特に短鎖ポリアルキレングリコールを備え、またはポリアルキレングリコール、特に短鎖ポリアルキレングリコールからなる。脂肪族アルコールは、特に、カプリル、カプリン、ラウリン、パルミチン、ステアリンまたはオレイン酸、または分岐イソノニル、イソウンデシル、イソトリデシル、イソペンタデシルまたはイソノナデシルアルコールから得られるアルコールであり得る。本発明の文脈において、脂肪酸アルコールアルコキシレートは、ポリアルキレングリコールエーテルとも称することができる。
【0078】
既に述べたように、脂肪族アルコールアルコキシレートは、特に脂肪族アルコールエトキシレートであり得る。
【0079】
脂肪族アルコールエトキシレートは、好ましくは、ラウリルアルコールのポリオキシエチレンエーテル、ミリスチルアルコールのポリオキシエチレンエーテル、セチルアルコールのポリオキシエチレンエーテル、セチルステアリルアルコールのポリオキシエチレンエーテル、ステアリルアルコールのポリオキシエチレンエーテル、オレイルアルコールのポリオキシエチレンエーテル、イソノニルアルコールのポリオキシエチレンエーテル、イソウンデシルアルコールのポリオキシエチレンエーテル、イソトリデシルアルコールのポリオキシエチレンエーテル、イソペンタデシルアルコールのポリオキシエチレンエーテル、イソヘプタデシルアルコールのポリオキシエチレンエーテル、イソノナデシルアルコールのポリオキシエチレンエーテル、または挙げられたポリオキシエチレンエーテルの少なくとも2つの組み合わせ、特に混合物である。
【0080】
脂肪族アルコールエトキシレートは、特に、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(7)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(2)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(6)セチルステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)セチルステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(25)セチルステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(10)モノデシルエーテル、ポリオキシエチレン(10)トリデシルエーテル、および挙げられた脂肪族アルコールエトキシレートの少なくとも2つの組み合わせ、特に混合物、からなる群から選択され得る。
【0081】
換言すれば、脂肪族アルコールエトキシレートは、特に、ラウレス-4、ラウレス-7、ラウレス-9、ラウレス-23、セテス-2、セテス-10、セテス-20、セテアレス-6、セテアレス-20、セテアレス-25、ステアレス-2、ステアレス-10、ステアレス-20、オレス-2、オレス-10、オレス-20、デセス-10、トリデセス-10、および挙げられた脂肪族アルコールエトキシレートの少なくとも2つの組み合わせ、特に混合物、からなる群から選択され得る。
【0082】
脂肪族アルコールアルコキシレート、特に脂肪族アルコールエトキシレートは、界面活性剤の特性を有するだけでなく、さらに乳化特性を有するという利点を有する。
【0083】
本発明の文脈において、「アルキルポリグルコシド」という表現は、1つまたは複数のグルコースユニットおよび1つのアルキルラジカル、特に長鎖アルキルラジカルを備え、または1つまたは複数のグルコースユニットおよび1つのアルキルラジカル、特に長鎖アルキルラジカルからなる非イオン性の糖界面活性剤を意味すると理解されるべきである。1つのグルコースユニットまたは複数のグルコースユニットは、親水性成分として作用/作用し、アルキル基は、疎水性基を表す。
【0084】
アルキルポリグルコシドは、好ましくは、1~5個のグルコースユニットおよび/または6個の炭素原子から20個の炭素原子、特に6個の炭素原子から16個の炭素原子、好ましくは8個の炭素原子から14個の炭素原子を有するアルキルラジカルを備える。
【0085】
アルキルポリグルコシドは、好ましくは、炭素数が8~20個のアルキルポリグルコース、特に、炭素数が8~16個のアルキルポリグルコースである。
【0086】
アルキルポリグルコシドは、特に好ましくは、ラウリルポリグルコース、デシルポリグルコース、ココイルポリグルコース、または挙げられたアルキルポリグルコシドの少なくとも2つの混合物である。デシルポリグルコースのアルキルラジカルは、好ましくは、8個の炭素原子から16個の炭素原子、特に10個の炭素原子を有する。ラウリルポリグルコースのアルキルラジカルは、好ましくは、12個の炭素原子から16個の炭素原子、特に12個の炭素原子を有する。ココイルポリグルコースのアルキルラジカルは、好ましくは8個の炭素原子から16個の炭素原子を有する。
【0087】
アルキルポリグルコシドも、界面活性剤の特性を有するだけでなく、乳化化合物でもあるという利点を有する。
【0088】
本発明のさらなる実施形態では、界面活性剤は、双性イオン界面活性剤である。
【0089】
本発明の文脈において、「双性イオン界面活性剤」という表現は、負および正に荷電した官能基の両方を有する界面活性剤(いわゆる両性界面活性剤)を指すことを意図する。
【0090】
双性イオン界面活性剤は、好ましくは、アルキルアミドアルキルベタイン、特にアルキルアミドエチルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、またはそれらの組み合わせ、特に混合物である。
【0091】
アルキルアミドアルキルベタインは、特に好ましくは、脂肪酸のアルキルアミドアルキルベタインである。脂肪酸は、好ましくは、8~18個の炭素原子を有する。脂肪酸は、飽和または不飽和脂肪酸であり得る。脂肪酸は、好ましくは、カプリル酸、カプリン酸、ウンデシレン酸(ウンデシ-10-エン酸(undec-10-enoic acid))、ウンデシル酸(n-ウンデカン酸)、ラウリン酸、ステアリン酸、リシノール酸またはヤシ脂肪酸である。
【0092】
アルキルアミドアルキルベタインは、好ましくは、カプリルアミドアルキルベタイン、カプラミドアルキルベタイン、ウンデシレナミドアルキルベタイン、ウンデシルアミドアルキルベタイン、ラウラミドアルキルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアラミドアルキルベタイン、リシノレアミドアルキルベタイン、コカミドアルキルベタイン、および挙げられたアルキルアミドアルキルベタインの少なくとも2つの組み合わせ、特に混合物、からなる群から選択される。
【0093】
アルキルアミドエチルベタインは、好ましくは、脂肪酸、特に、8~18個の炭素原子を有する脂肪酸に基づいているアルキルアミドエチルベタインである。脂肪酸は、飽和または不飽和脂肪酸であり得る。脂肪酸は、好ましくは、カプリル酸、カプリン酸、ウンデシレン酸(ウンデシ-10-エン酸(undec-10-enoic acid))、ウンデシル酸(n-ウンデカン酸)、ラウリン酸、ステアリン酸、リシノール酸またはヤシ脂肪酸である。
【0094】
アルキルアミドエチルベタインは、特に好ましくは、カプリルアミドエチルベタイン、カプラミドエチルベタイン、ウンデシレナミドエチルベタイン、ウンデシルアミドエチルベタイン、ラウラミドエチルベタイン、コカミドエチルベタイン、ステアラミドエチルベタイン、リシノレアミドエチルベタイン、および挙げられたアルキルアミドエチルベタインの少なくとも2つの組み合わせ、特に混合物、からなる群から選択される。
【0095】
アルキルアミドプロピルベタインは、好ましくは、脂肪酸、特に8~18個の炭素原子を有する脂肪酸に基づいているアルキルアミドプロピルベタインである。脂肪酸は、飽和または不飽和脂肪酸であり得る。脂肪酸は、好ましくは、カプリル酸、カプリン酸、ウンデシレン酸(ウンデシ-10-エン酸(undec-10-enoic acid))、ウンデシル酸(n-ウンデカン酸)、ラウリン酸、ステアリン酸、リシノール酸またはヤシ脂肪酸である。
【0096】
アルキルアミドプロピルベタインは、特に好ましくは、カプリルアミドプロピルベタイン、カプラミドプロピルベタイン、ウンデシレナミドプロピルベタイン、ウンデシルアミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ステアラミドプロピルベタイン、リシノレアミドプロピルベタイン、および挙げられたアルキルアミドプロピルベタインの少なくとも2つの組み合わせ、特に混合物、からなる群から選択される。
【0097】
任意で提供される界面活性剤は、さらに、前段落に記載された界面活性剤の組み合わせ、特に混合物、特に非イオン性界面活性剤および双性イオン性界面活性剤の組み合わせ、特に混合物であり得る。この点に関して、前段落に記載された界面活性剤を十分に参照する。
【0098】
さらに、界面活性剤は、ポロキサマーであり得る。水性組成物は、界面活性剤とは別に、消泡化合物および/または乳化化合物を備えていない。既に述べたように、ポロキサマーの消泡および/または乳化特性は、消泡剤および/または乳化剤の追加の使用が、特に有利な態様で、不必要であり得ることを意味する。ポロキサマーのさらなる特徴および利点に関しては、先の説明を完全に参照されたい。
【0099】
さらに、界面活性剤は、ポリビニルピロリドンであり得る。水性組成物は、界面活性剤とは別に、消泡化合物および/または乳化化合物および/または水結合化合物を備えていない。既に述べたように、ポリビニルピロリドンの消泡、および/または、乳化および/または増粘すなわち水結合の特性は、消泡剤、および/または乳化剤、および/または増粘剤の追加の使用が、特に有利な態様で、不必要であり得ることを意味する。ポリビニルピロリドンのさらなる特徴および利点に関しては、先の説明を十分に参照されたい。
【0100】
さらに、界面活性剤は、脂肪族アルコールアルコキシレート、特に脂肪族アルコールエトキシレート、および/またはアルキルポリグルコシドであり得る。水性組成物は、界面活性剤とは別に、乳化化合物を備えていない。既に述べたように、脂肪族アルコールアルコキシレート、特に脂肪族アルコールエトキシレート、および/またはアルキルポリグルコシドの乳化特性は、乳化剤の追加の使用が、特に有利な態様で、不必要であり得ることを意味する。脂肪族アルコールアルコキシレート、特に脂肪族アルコールエトキシレート、および/またはアルキルポリグルコシドのさらなる特徴および利点に関して、先の記載を十分に参照されたい。
【0101】
本発明のさらなる実施形態では、界面活性剤は、水性組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~10.0重量%、特に0.05重量%~2.0重量%、好ましくは0.1重量%~1.0重量%の割合、特に活性割合を有する。特に、この段落に開示される界面活性剤の割合は、一般式Iのジヒドロトリアジン化合物、またはその互変異性体、またはその塩の刺激性を有意に減少させるのに特に適している。
【0102】
本発明のさらなる実施形態において、水性組成物は、乳化剤をさらに備え、ただし、乳化剤および任意に存在する界面活性剤は、互いに異なるように、すなわち、乳化剤および界面活性剤が異なる化合物であるように選択される。乳化剤は、好ましくは、アルコールエトキシレート、アルキルポリグルコシド、ポリソルベート、エトキシル化ヒマシ油、および挙げられた乳化剤の少なくとも2つの組み合わせ、特に混合物、からなる群から選択される。界面活性剤のさらなる特徴および利点に関しては、先の説明を十分に参照されたい。
【0103】
アルコールエトキシレートは、好ましくは脂肪族アルコールエトキシレートである。
【0104】
脂肪族アルコールエトキシレートは、特に、ラウリルアルコールのポリオキシエチレンエーテル、ミリスチルアルコールのポリオキシエチレンエーテル、イソノニルアルコールのポリオキシエチレンエーテル、イソウンデシルアルコールのポリオキシエチレンエーテル、イソトリデシルアルコールのポリオキシエチレンエーテル、セチルアルコールのポリオキシエチレンエーテル、セチルステアリルアルコールのポリオキシエチレンエーテル、ステアリルアルコールのポリオキシエチレンエーテル、オレイルアルコールのポリオキシエチレンエーテル、または挙げられたポリオキシエチレンエーテルの少なくとも2つの組み合わせ、特に混合物であり得る。
【0105】
アルコールエトキシレートは、好ましくは、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(7)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(2)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(6)セチルステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)セチルステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(25)セチルステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(10)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(20)オレイルエーテル、ポリオキシエチレン(10)モノデシルエーテル、ポリオキシエチレン(10)トリデシルエーテル、および挙げられた脂肪族アルコールエトキシレートの少なくとも2つの組み合わせ、特に混合物、からなる群から選択される。
【0106】
換言すれば、アルコールエトキシレートは、好ましくは、ラウレス-4、ラウレス-7、ラウレス-9、ラウレス-23、セテス-2、セテス-10、セテス-20、セテアレス-6、セテアレス-20、セテアレス-25、ステアレス-2、ステアレス-10、ステアレス-20、オレス-2、オレス-10、オレス-20、デセス-10、トリデセス-10、および挙げられた脂肪族アルコールエトキシレートの少なくとも2つの組み合わせ、特に混合物、からなる群から選択され得る。
【0107】
アルキルポリグルコシドは、好ましくは、1~5個のグルコースユニット、および/または8個の炭素原子から20個の炭素原子、特に8個の炭素原子から16個の炭素原子、好ましくは8個の炭素原子から14個の炭素原子を有するアルキルラジカルを備える。
【0108】
アルキルポリグルコシドは、好ましくは、炭素数が8~20個のアルキルポリグルコース、特に、炭素数が8~16個のアルキルポリグルコースである。
【0109】
アルキルポリグルコシドは、特に好ましくは、ラウリルポリグルコース、デシルポリグルコース、ココイルポリグルコース、または挙げられたアルキルポリグルコシドの少なくとも2つの混合物である。デシルポリグルコースのアルキルラジカルは、好ましくは8個の炭素原子から16個の炭素原子、特に10個の炭素原子を有する。ラウリルポリグルコースのアルキルラジカルは、好ましくは12個の炭素原子から16個の炭素原子、特に12個の炭素原子を有する。ココイルポリグルコースのアルキルラジカルは、好ましくは8~16個の炭素原子を有する。
【0110】
本発明の文脈において、「ポリソルベート」という表現は、エトキシル化ソルビタン酸脂肪酸エステルを意味すると理解されるべきである。
【0111】
ポリソルベートは、特に、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(4)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン(5)ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノイソステアレート、および挙げられたポリソルベートの少なくとも2つの組合せ、特に混合物、からなる群から選択され得る。
【0112】
換言すれば、ポリソルベートは、特に、ポリソルベート20、ポリソルベート21、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート61、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート81、ポリソルベート85、ポリソルベート120、および挙げられたポリソルベートの少なくとも2つの組み合わせ、特に混合物、からなる群から選択され得る。
【0113】
本発明のさらなる実施形態では、乳化剤は、水性組成物の総重量に基づいて、0.001重量%~1.5重量%、特に0.01重量%~1.5重量%、特に0.02重量%~1.0重量%、好ましくは0.05重量%~0.5重量%の割合を有する。特に、この段落に開示される乳化剤の割合は、水性組成物内の消泡剤の均一な分散に関して特に有利であることが見出された。
【0114】
本発明のさらなる実施形態において、水性組成物は、錯化剤、湿潤剤、酸、アルカリ、有機溶媒、および挙げられた添加剤の少なくとも2つの組み合わせ、特に混合物、からなる群から選択される添加剤をさらに備える。
【0115】
錯化剤は、特に、クエン酸、酒石酸、コハク酸、メチルグリシンジアセテート、エチルジアミンテトラアセテート、N、N’-ビス(カルボキシメチル)-L-グルタメート、ポリアスパラギン酸、イミノジコハク酸、挙げられた錯化剤の塩、および挙げられた錯化剤の少なくとも2つの組み合わせ、特に混合物、からなる群から選択され得る。
【0116】
さらに、錯化剤は、水性組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~10.0重量%、特に0.02重量%~2.0重量%、好ましくは0.05重量%~1.0重量%の割合を有することができる。
【0117】
湿潤剤は、グリセロール、ポリデキストロース、ソルビトール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グルコース、フルクトース、グルクロン酸、ラクトース、乳酸、ラクテート、ラクツロース、スクロース、ヒアルロン酸、キシリトール、キシロース、および挙げられた湿潤剤の少なくとも2つの組合せ、特に混合物、からなる群から選択され得る。
【0118】
さらに、湿潤剤は、水性組成物の総重量に基づいて、0.05重量%~10.0重量%、特に0.1重量%~7.5重量%、好ましくは0.5重量%~5重量%の割合を有することができる。
【0119】
酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、イソ酪酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸、コハク酸モノアミド、グルタル酸、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、グリコール酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、フタル酸、サリチル酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、および挙げられた酸の少なくとも2つの組合せ、特に混合物、からなる群から選択され得る。
【0120】
さらに、酸は、水性組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~10.0重量%、特に0.1重量%~6.0重量%、好ましくは0.1重量%~5.0重量%の割合を有することができる。
【0121】
アルカリは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、および水酸化マグネシウム、および挙げられたアルカリの少なくとも2つの組み合わせ、特に混合物、からなる群から選択され得る。
【0122】
さらに、アルカリは、水性組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~10.0重量%、特に0.1重量%~6.0重量%、好ましくは0.1重量%~5.0重量%の割合を有することができる。
【0123】
有機溶媒は、エタノール、プロパン-1-オール、プロパン-2-オール、および挙げられた有機溶媒の少なくとも2つの組み合わせ、特に混合物、からなる群から選択され得る。
【0124】
さらに、有機溶媒は、水性組成物の総重量に基づいて、0.1重量%~10.0重量%、特に0.5重量%~10.0重量%、好ましくは1.0重量%~10.0重量%の割合を有することができる。
【0125】
水性組成物は、好ましくは、水性組成物の総重量に基づいて、80重量%を超える、特に90重量%を超える水の割合を有する。
【0126】
本発明のさらなる実施形態では、水性組成物は、粘膜および/または傷口、特に急性または慢性の傷口の予防(prevention)または治療への適用または使用、および/または、感染、特に、真菌、特に酵母によって引き起こされるか、または部分的に引き起こされる感染の予防(prevention)または治療への適用または使用、および/または感染性疾患、特に、真菌、特に酵母によって引き起こされるか、または部分的に引き起こされる感染性疾患の予防(prevention)または治療への適用または使用のための水性組成物である。感染性疾患は、例えば、カンジダ症または丹毒であり得る。
【0127】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の好ましい例示的な実施形態の説明によって明らかにされる。ここで、個々の特徴は、それぞれ、単独で、または互いに組み合わせて実現することができる。記載される例示的な実施形態は、単に本発明のさらなる説明のために役立ち、本発明をそれに限定することはない。
【実施例】
【0128】
(1.本発明による傷口洗浄溶液の調製)
9912.5gの水を最初に適当な混合反応器に入れた。次に、わずかなトーラスが水面上に形成されるように撹拌機を調節した。その後、25.00gのTween20(ポリソルベート20)および2.50gのN-(2-エチルヘキシル)イソノナンアミドを添加した。次に、50.00gのコカミドプロピルベタイン(50%)を添加した。次に、10.00gのフェモタキシジンを添加した。その後、混合物を1時間撹拌した。ここで得られた溶液は、下記の表1に報告される組成を有していた。
【0129】
【0130】
表1は、本発明による傷口洗浄溶液の例を示す。
【0131】
(2.本発明によるさらなる傷口洗浄溶液の調製)
9889.0gの水を最初に適当な混合反応器に入れた。次に、わずかなトーラスが水面上に形成されるように撹拌機を調節した。その後、40.00gのTween20および1.00gのポリエーテルシロキサンを添加した。次に、50.00gのコカミドプロピルベタイン(50%)を添加した。最後に、20.00gのフェモタキシジンを添加した。混合物を1時間撹拌した。ここで得られた溶液は、下記の表2に報告される組成を有していた。
【0132】
【0133】
表2は、本発明による傷口洗浄溶液の例を示す。
【0134】
(3.本発明によるさらなる傷口洗浄溶液の調製)
9885.0gの水を最初に適当な混合反応器に入れた。次に、わずかなトーラスが水面上に形成されるように撹拌機を調節した。その後、17.50gのラウレス-7および2.50gのN-(2-エチルヘキシル)イソノナンアミドを添加した。次に、90.00gのウンデシレナミドプロピルベタイン(35%)を添加した。最後に、5.00gのフェモタキシジンを添加した。混合物を1時間撹拌した。ここで得られた溶液は、下記の表3に報告される組成を有していた。
【0135】
【0136】
表3は、本発明によるさらなる傷口洗浄溶液の例を示す。
【0137】
(4.本発明によるさらなる傷口洗浄溶液の調製)
9833.0gの水を最初に適当な混合反応器に入れた。次に、わずかなトーラスが水面上に形成されるように撹拌機を調節した。その後、15.00gのラウレス-7および2.00gのポリエーテルシロキサンを添加した。次に、125.0gのウンデシレナミドプロピルベタイン(35%)を添加した。最後に、25.00gのフェモタキシジンを添加した。混合物を1時間撹拌した。ここで得られた溶液は、下記の表4に報告される組成を有していた。
【0138】
【0139】
表4は、本発明によるさらなる傷口洗浄溶液の例を示す。
【0140】
(5.本発明によるさらなる傷口洗浄溶液の調製)
9904.4gの水を最初に適当な混合反応器に入れた。次に、わずかなトーラスが水面上に形成されるように撹拌機を調節した。その後、15.00gのラウレス-7、0.50gのN-(2-エチルヘキシル)イソノナンアミド、および0.10gの三次元修飾(架橋)シロキサンを添加した。次に、70.00gのカプリルアミドプロピルベタイン(35%)を添加した。最後に、10.00gのフェモタキシジンを添加した。混合物を1時間撹拌した。ここで得られた溶液は、下記の表5に報告される組成を有していた。
【0141】
【0142】
表5は、本発明によるさらなる傷口洗浄溶液の例を示す。
【0143】
(6.本発明によるさらなる傷口洗浄溶液の調製)
9889.5gの水を最初に適当な混合反応器に入れた。次に、わずかなトーラスが水面上に形成されるように撹拌機を調節した。その後、20.00gのポロキサマー188および0.50gの三次元修飾(架橋)シロキサンを添加した。次に、50.00gのコカミドプロピルベタイン(50%)を添加した。最後に、10.00gのフェモタキシジンを添加した。混合物を1時間撹拌した。ここで得られた溶液は、下記の表6に報告される組成を有していた。
【0144】
【0145】
表6は、本発明によるさらなる傷口洗浄溶液の例を示す。
【0146】
(7.本発明によるさらなる傷口洗浄溶液の調製)
9958.0gの水を最初に適当な混合反応器に入れた。次に、わずかなトーラスが水面上に形成されるように撹拌機を調節した。その後、30.00gのTween20および2.00gのN-(2-エチルヘキシル)イソノナンアミドを添加した。次に、10.00gのフェモタキシジンを添加した。その後、混合物を1時間撹拌した。ここで得られた溶液は、下記の表7に報告される組成を有していた。
【0147】
【0148】
表7は、本発明によるさらなる傷口洗浄溶液の例を示す。
【0149】
(8.本発明によるさらなる傷口洗浄溶液の調製)
9966.4gの水を最初に適当な混合反応器に入れた。次に、わずかなトーラスが水面上に形成されるように撹拌機を調節した。その後、12.50gのラウレス-7、1.00gのN-(2-エチルヘキシル)イソノナンアミド、および0.10gの三次元修飾(架橋)シロキサンを添加した。次に、20.00gのフェモタキシジンを添加した。その後、混合物を1時間撹拌した。ここで得られた溶液は、下記の表8に報告される組成を有していた。
【0150】
【0151】
表8は、本発明によるさらなる傷口洗浄溶液の例を示す。
【0152】
(9.本発明によるさらなる傷口洗浄溶液の調製)
9820.0gの水を最初に適切な混合反応器に入れた。次に、わずかなトーラスが水面上に形成されるように撹拌機を調節した。その後、500.00gのポリビニルピロリドンを添加した。次に、70.00gのウンデシレナミドプロピルベタイン(35%)を添加した。次に、10.00gのフェモタキシジンを添加した。その後、混合物を1時間撹拌した。ここで得られた溶液は、下記の表9に報告される組成を有していた。
【0153】
【0154】
表9は、本発明によるさらなる傷口洗浄溶液の例を示す。
【0155】
(10.本発明によるさらなる傷口洗浄溶液の調製)
9890.0gの水を最初に適当な混合反応器に入れた。次に、わずかなトーラスが水面上に形成されるように撹拌機を調節した。その後、100.00gのポロキサマー188を添加した。次に、10.00gのフェモタキシジンを添加した。その後、混合物を1時間撹拌した。ここで得られた溶液は、下記の表10に報告される組成を有していた。
【0156】
【0157】
表10は、本発明によるさらなる傷口洗浄溶液の例を示す。
【0158】
(11.本発明によらない傷口洗浄溶液の調製)
9980.0gの水を最初に適切な混合反応器に入れた。次に、わずかなトーラスが水面上に形成されるように撹拌機を調節した。その後、20.00gのフェモタキシジンを添加した。その後、混合物を1時間撹拌した。ここで得られた溶液は、下記の表11に報告される組成を有していた。
【0159】
【0160】
表11は、本発明によらない傷口洗浄溶液の例を示す。
【0161】
セクション1~10で調製した本発明による傷口洗浄溶液は、水性フェモタキシジン溶液(0.1重量%または0.2重量%(溶液11))と比較して、発泡挙動に大きな差異を示した。本発明による傷口洗浄溶液の場合の泡は、形成のためにより多くのエネルギーを必要とし、次に、非常に短時間、より詳細には数分以内に崩壊したが、比較の目的のために使用されるフェモタキシジン水溶液の場合の泡は、非常に容易に形成され、10時間を超える期間にわたって持続した。特に、製剤5および8は、非常に迅速な泡の崩壊を示した。
【0162】
市販の製剤Octeniseptと比較して、製剤9だけでなく製剤11も、EN13624に従って酵母に対してはっきりとより迅速な効果を示し、HET-CAM試験においても、はっきりと低い刺激性ものであると納得できるであろう。
【0163】
【0164】
log10における微生物数の減少において、EN13624試験に合格する基準は、>4である。
【0165】
HET-CAM(しょう尿膜に対する鶏卵試験)は、化学物質の粘膜適合性を試験するための方法である。CAMは卵の脈絡膜である。試験では、被験物質をCAM上に移す。膜の反応(出血、血管の変化、卵白の変化)をリファレンス(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)と比較して評価する。この試験は、粘膜適合性を試験するための公式の予備試験として認められている。
【0166】
HET-CAMでは、6は中程度の刺激を意味し、1~5の値は、低刺激として評価される。
【国際調査報告】