(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(54)【発明の名称】化学機械的細胞爆砕のためのプロセス、方法、およびシステム、ならびにこれにより製造された固体製品および液体製品
(51)【国際特許分類】
D21B 1/02 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
D21B1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547659
(86)(22)【出願日】2019-10-24
(85)【翻訳文提出日】2021-06-22
(86)【国際出願番号】 US2019057943
(87)【国際公開番号】W WO2020086900
(87)【国際公開日】2020-04-30
(32)【優先日】2018-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521177359
【氏名又は名称】ワグラー,ティモシー
(71)【出願人】
【識別番号】521177360
【氏名又は名称】ダンジェロ,リホン エル.
(71)【出願人】
【識別番号】521177371
【氏名又は名称】ガン,チェスター
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100121223
【氏名又は名称】森本 悟道
(72)【発明者】
【氏名】ワグラー,ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】ダンジェロ,リホン エル.
(72)【発明者】
【氏名】ガン,チェスター
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055AA00
4L055AC00
4L055AC01
4L055AC10
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4L055FA20
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4L055GA50
(57)【要約】
1つ以上の添加剤を、リグニン、セルロース、およびヘミセルロースを含む繊維材料と水とを含む原料と組み合わせて、第1の混合物を得るステップと、第1の混合物を調整して、液体製品および乾燥パルプ製品を得るステップと、を含むプロセスを開示する。また、調整プロセスおよび調整プロセスで使用するための機械も開示する。また、開示されたプロセスによって製造された液体製品、乾燥パルプ製品、および繊維ペレット、ならびにそれらの使用方法も開示する。
【選択図】
図4B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の添加剤を繊維材料と水とを含む原料と組み合わせて第1の混合物を得るステップと、
液体製品および乾燥パルプ製品を得るために前記第1の混合物を調整するステップと、を含むプロセス。
【請求項2】
前記繊維材料がセルロースを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記繊維材料がリグニンとヘミセルロースとをさらに含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記原料に含まれる水の量が、前記原料の総重量に対して、約10重量%以上約90重量%以下である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記乾燥パルプ製品が、前記乾燥パルプ製品の総重量に対して約35重量%以下の量の水を含む、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記液体製品が、前記液体製品の総重量に対して約50重量%以上の量の水を含む、請求項4に記載のプロセス。
【請求項7】
前記調整するステップが、
前記第1の混合物にせん断力を加えて前記第1の混合物の圧力を上昇させるステップと、
前記第1の混合物の前記繊維材料の複数の細胞を爆砕させるステップと、を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記調整するステップが、
前記添加剤を前記第1の混合物の前記繊維材料と混合して処理済み材料を形成するステップと、
前記処理済み材料から水の第1の部分を除去するステップと、
前記添加剤を前記水の第1の部分で可溶化するステップと、
前記処理済み材料における前記繊維材料の前記複数の細胞の細胞壁を弱体化するステップと、をさらに含む、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記弱体化するステップが、前記添加剤を前記細胞壁中のリグニンと反応させるステップを含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記調整するステップが、
前記処理済み材料にせん断力を加えて前記処理済み材料の圧力および温度を上昇させるステップと、
前記処理済み材料における前記繊維材料を分別することによって前記処理済み材料中の水の第2の部分を蒸発させるステップと、
前記処理済み材料を大気圧に開放して前記繊維材料の前記複数の細胞の爆砕を誘起するステップと、をさらに含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項11】
前記液体製品が、前記原料に存在するVOCの少なくとも75%を含有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記調整が、約200°F以上約350°F以下の最高温度で行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記添加剤が界面活性剤を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
前記添加剤が、約30g/mol以上約10,000,000g/mol以下の分子量を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
前記乾燥固体製品をペレット化してペレットを形成するステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
前記液体製品が、1つ以上のバイオスティミュラント化合物と水とを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項17】
前記1つ以上のバイオスティミュラント化合物が、ミネラル、タンパク質、アミノ酸、フミン酸、フルボ酸、および1種以上の有機酸、のうちの1つ以上を含む、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記ミネラルが、カリウム、蛍光体、リン、窒素化合物、カルシウム、マグネシウム、硫黄、硫黄(IV)(sulfurous)、ナトリウム、鉄、マンガン、亜鉛、および銅のうちの1つ以上を含む、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記液体製品が、セルロース、リグニン、およびヘミセルロースのうちの1つ以上をさらに含む、請求項16に記載のプロセス。
【請求項20】
請求項1から請求項19のいずれか一項に記載のプロセスによって製造された乾燥パルプ製品。
【請求項21】
請求項1から請求項19のいずれか一項に記載のプロセスによって製造された液体製品。
【請求項22】
1つ以上の添加剤を、水を含む繊維材料と混合するステップと、
前記繊維材料から水の第1の部分を除去するステップと、
前記添加剤を前記水の第1の部分で可溶化するステップと、
前記繊維材料の複数の細胞の細胞壁を弱体化するステップと、
前記繊維材料にせん断力を加えて前記繊維材料の圧力および温度を上昇させるステップと、
前記繊維材料を分別することによって前記繊維材料中の水の第2の部分を蒸発させるステップと、
前記繊維材料を大気圧に開放して前記繊維材料中の前記複数の細胞の爆砕を誘起するステップと、を含む、化学機械的細胞爆砕プロセス。
【請求項23】
前記繊維材料を前記1つ以上の添加剤と混合する際に、前記繊維材料に含まれる水の量が、前記繊維材料の総重量に対して、約5重量%以上約90重量%以下である、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
前記繊維材料を大気圧に開放して前記複数の細胞の爆砕を誘起する際に、前記繊維材料に含まれる水の量が、前記繊維材料の総重量に対して、約35重量%以下である、請求項22に記載のプロセス。
【請求項25】
約200°F以上約350°F以下の最高温度で行われる、請求項22に記載のプロセス。
【請求項26】
前記添加剤が界面活性剤を含む、請求項22に記載のプロセス。
【請求項27】
前記添加剤が、約30g/mol以上約10,000,000g/mol以下の分子量を有する、請求項22に記載のプロセス。
【請求項28】
請求項22から請求項27のいずれか一項に記載のプロセスによって製造された繊維パルプ材料。
【請求項29】
請求項22から請求項28のいずれか一項に記載のプロセスによって製造され、固体微粒子と1つ以上のバイオスティミュラント化合物と水とを含む、液体。
【請求項30】
前記1つ以上のバイオスティミュラント化合物が、ミネラル、タンパク質、アミノ酸、フミン酸、フルボ酸、および1種以上の有機酸、のうちの1つ以上を含む、請求項29に記載の液体。
【請求項31】
前記1種以上の有機酸が、前記液体中に、前記液体の総重量に対して約0.001重量%以上約10重量%以下の量で存在する、請求項30に記載の液体。
【請求項32】
前記水が、前記液体中に、前記液体の総重量に対して約50重量%以上約90重量%以下の量で存在する、請求項29に記載の液体。
【請求項33】
リグニンをさらに含み、前記リグニンが、前記液体中に、前記液体の総重量に対して約0.01重量%以上約75重量%以下の量で存在する、請求項29に記載の液体。
【請求項34】
前記ミネラルが、カリウム、リン、窒素化合物、カルシウム、マグネシウム、硫黄、ナトリウム、鉄、マンガン、亜鉛、および銅のうちの1つ以上を含む、請求項29に記載の液体。
【請求項35】
前記固体微粒子が、前記液体の総重量に対して約0.0001%以上約50%以下の乾燥物重量百分率を有する、請求項29に記載の液体。
【請求項36】
植物の成長を促進する方法であって、請求項29から請求項35のいずれか一項に記載の液体を前記植物に投与するステップを含む方法。
【請求項37】
繊維ペレットであって、
複数本の露出したセルロース繊維を含み、該複数本の露出したセルロース繊維のそれぞれが少なくとも1本の他の露出したセルロース繊維ともつれ合った繊維材料と、
前記繊維ペレットの総重量に対して約35%以下の量の水と、を含む繊維ペレット。
【請求項38】
前記繊維材料が、リグニンおよびヘミセルロースのうちの1つ以上をさらに含む、請求項37に記載の繊維ペレット。
【請求項39】
前記複数本の露出したセルロース繊維が、ねじれた繊維を含む、請求項37に記載の繊維ペレット。
【請求項40】
ペレット耐久性指数(PDI)が75以上である、請求項37に記載の繊維ペレット。
【請求項41】
前記繊維材料が、平均最大断面サイズが約100ナノメートル~約1000ミクロンの繊維を含む、請求項37に記載の繊維ペレット。
【請求項42】
前記繊維ペレットがバインダを含まない、請求項37に記載の繊維ペレット。
【請求項43】
かさ密度が約15kg/m
3以上約800kg/m
3以下である、請求項37に記載の繊維ペレット。
【請求項44】
前記複数本の露出したセルロース繊維が、前記繊維ペレット中に、前記ペレットの総重量に対して2重量%以上の量で存在する、請求項37に記載の繊維ペレット。
【請求項45】
前記複数本の露出したセルロース繊維が、前記繊維ペレット中に、前記ペレットの総重量に対して5重量%以上の量で存在する、請求項44に記載の繊維ペレット。
【請求項46】
前記複数本の露出したセルロース繊維が、前記繊維ペレット中に、前記ペレットの総重量に対して5重量%以上80重量%以下の量で存在する、請求項45に記載の繊維ペレット。
【請求項47】
前記複数本の露出したセルロース繊維が、前記繊維ペレット中に、前記ペレットの総重量に対して5重量%以上60重量%以下の量で存在する、請求項46に記載の繊維ペレット。
【請求項48】
前記複数本の露出したセルロース繊維が、前記繊維ペレット中に、前記ペレットの総重量に対して5重量%以上50重量%以下の量で存在する、請求項47に記載の繊維ペレット。
【請求項49】
前記繊維材料が、前記繊維ペレット中に、前記ペレットの総重量に対して99.99重量%以上の量で存在する、請求項37に記載の繊維ペレット。
【請求項50】
原料処理量を増加させるためのプロセスであって、
1つ以上の添加剤をセルロースを含む繊維材料と水とを含む原料と混合して第1の混合物を得るステップと、
製品を得るために前記原料を緻密化するステップと、を含み、
プロセスの処理量が、添加剤なしのプロセスと比較して1~30%増加する、プロセス。
【請求項51】
前記水が、前記原料中に、前記原料の総重量に対して約5重量%以上約30%以下の量で存在する、請求項50に記載のプロセス。
【請求項52】
前記繊維材料がリグニンをさらに含む、請求項50に記載のプロセス。
【請求項53】
前記原料が、穀物、草、セルロース系材料およびリグノセルロース系材料、骨、食品産業加工廃棄物、ならびにそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む、請求項50に記載のプロセス。
【請求項54】
前記緻密化するステップが、前記製品を、ペレット、ブリケット、ベール、丸太、立方体、およびそれらの組み合わせのうちの1つ以上に形成するステップを含む、請求項50に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2018年10月24日に出願された米国仮特許出願第62/749,919号の利益を主張するものであり、その全内容および趣旨を、以下に完全に記載されているかのように、参照により本明細書に援用する。
【0002】
(開示の分野)
本開示は、概して化学機械的調整プロセスに関する。特に、本開示の各実施形態は、化学機械的細胞爆砕プロセスによって製造された固体製品および液体製品、その製造システムおよび使用システム、ならびに製造方法および使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
原材料を加工して使用可能な付加価値のついた製品にすることは、常に発展し続けている人間の革新の不変の領域である。木質系材料またはその他のリグノセルロース系材料は、例えば、紙、包装材、バイオ燃料、ペレットなどの使用可能な付加価値のついた製品に加工することができる。このようなプロセスの現在の問題は、あらゆるプロセスと同様に、有益な製品を得るために必要とされる、高エネルギー入力と刺激の強い化学物質の添加である。リグノセルロース系材料を加工する際、材料を所望のサイズに粉砕するために大量のシャフトワークが必要とされ、余分な水分と抑制成分とを取り除くために大量の追加エネルギー(例えば、熱および/または圧力)と化学物質(例えば、強酸または強塩基)とが必要である。さらに、加えられた熱による温度上昇が、有機物原材料の蒸発および/または有害な揮発性有機化合物(VOC)への変換を生じさせることがあり、該VOCが大気中に放出される。場合によっては、放出されたVOCやプロセス中に生成された他の危険有害廃棄物をさらに処理するためにエネルギー集約的およびコスト集約的な追加の対策を講じなければならない。有用な製品を危険有害な刺激の強い化学物質を用いずにエネルギー効率よく製造することが、建設/インフラ、建築、エネルギー、エネルギー生産、包装、芝生/ガーデン製品、農業、食品生産、公害防止などの多くの産業のデザインスペースを拡大するために望ましい。さらに、VOC、栄養素、有機酸などの有機原材料の含有量を保持することが、加工時に他の有用な副産物を得るために望ましい。このような副産物は、付加価値製品を製造し、かつ加工のマージンを改善する魅力的な機会をもたらす。
【0004】
そのため、リグノセルロース系(またはその他の)原料から、VOCなどの有害な副生成物を放出することなく、エネルギー効率よくかつクリーンに(すなわち、刺激の強い化学物質を添加せずに)、固体製品および液体製品を製造するためのプロセス、方法、およびシステムが必要とされている。本開示の実施形態は、この要求と、以下の説明を図面と併せて読むと明らかになるその他の要求とに対処するものである。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、概して化学機械的調整プロセスに関する。特に、本開示の実施形態は、化学機械的細胞爆砕プロセスによって製造された固体製品および液体製品、その製造システムおよび使用システム、ならびに製造方法および使用方法に関する。本発明の例示的な一実施形態は、1つ以上の添加剤を繊維材料と水とを含む原料と組み合わせて第1の混合物を得ることと、第1の混合物を調整して液体製品および乾燥パルプ製品を得ることと、を含むプロセスを提供し得る。
【0006】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記繊維材料は、セルロースを含む。
【0007】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記繊維材料は、リグニンとヘミセルロースとをさらに含む。
【0008】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記原料に含まれる水の量は、原料の総重量に対して、約10重量%以上約90重量%以下である。
【0009】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記乾燥パルプ製品は、乾燥パルプ製品の総重量に対して約35重量%以下の量の水を含む。
【0010】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記液体製品は、液体製品の総重量に対して約50重量%以上の量の水を含む。
【0011】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記調整は、第1の混合物にせん断力を加えて第1の混合物の圧力を上昇させることと、第1の混合物の繊維材料の複数の細胞を爆砕させることと、を含む。
【0012】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記調整は、添加剤を第1の混合物の繊維材料と混合して処理済み材料を形成することと、処理済み材料から水の第1の部分を除去することと、添加剤を水の第1の部分で可溶化することと、処理済み材料における繊維材料の複数の細胞の細胞壁を弱体化することと、をさらに含む。
【0013】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記弱体化は、添加剤を細胞壁中のリグニンと反応させることを含む。
【0014】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記調整は、処理済み材料にせん断力を加えて処理済み材料の圧力および温度を上昇させることと、処理済み材料における繊維材料を分別することによって処理済み材料中の水の第2の部分を蒸発させることと、処理済み材料を大気圧に開放して繊維材料の複数の細胞の爆砕を誘起することと、をさらに含む。
【0015】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記液体製品は、原料に存在するVOCの少なくとも75%を含有する。
【0016】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記調整は、約200°F以上約350°F以下の最高温度で行われる。
【0017】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記添加剤は、界面活性剤を含む。
【0018】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記添加剤は、約30g/mol以上約10,000,000g/mol以下の分子量を有する。
【0019】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記プロセスは、乾燥固体製品をペレット化してペレットを形成することをさらに含む。
【0020】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記液体製品は、1つ以上のバイオスティミュラント化合物と水とを含む。
【0021】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記1つ以上のバイオスティミュラント化合物は、ミネラル、タンパク質、アミノ酸、フミン酸、フルボ酸、および1種以上の有機酸、のうちの1つ以上を含む。
【0022】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記ミネラルは、カリウム、蛍光体、リン、窒素化合物、カルシウム、マグネシウム、硫黄、硫黄(IV)(sulfurous)、ナトリウム、鉄、マンガン、亜鉛、および銅のうちの1つ以上を含む。
【0023】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記液体製品は、セルロース、リグニン、およびヘミセルロースのうちの1つ以上をさらに含む。
【0024】
本発明の例示的な一実施形態は、本明細書中に開示のプロセスのいずれかによって製造された乾燥パルプ製品を提供し得る。
【0025】
本発明の別の例示的な実施形態は、本明細書中に開示のプロセスのいずれかによって製造された液体製品を提供し得る。
【0026】
本発明の別の実施形態は、1つ以上の添加剤を、水を含む繊維材料と混合することと、繊維材料から水の第1の部分を除去することと、添加剤を水の第1の部分で可溶化することと、繊維材料の複数の細胞の細胞壁を弱体化することと、繊維材料にせん断力を加えて繊維材料の圧力および温度を上昇させることと、繊維材料を分別することによって繊維材料中の水の第2の部分を蒸発させることと、繊維材料を大気圧に開放して繊維材料中の複数の細胞の爆砕を誘起することと、を含む、化学機械的細胞爆砕プロセスを提供し得る。
【0027】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、繊維材料を1つ以上の添加剤と混合する際に、繊維材料に含まれる水の量が、繊維材料の総重量に対して、約5重量%以上約90重量%以下である。
【0028】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、繊維材料を大気圧に開放して複数の細胞の爆砕を誘起する際に、繊維材料に含まれる水の量が、繊維材料の総重量に対して、約35重量%以下である。
【0029】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記プロセスは、約200°F以上約350°F以下の最高温度で行われる。
【0030】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記添加剤は、界面活性剤を含む。
【0031】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記添加剤は、約30g/mol以上約10,000,000g/mol以下の分子量を有する。
【0032】
本発明の例示的な一実施形態は、本明細書中に開示のプロセスのいずれかによって製造された繊維パルプ材料を提供し得る。
【0033】
本発明の例示的な一実施形態は、本明細書中に開示のプロセスのいずれかによって製造され、固体微粒子と1つ以上のバイオスティミュラント化合物と水とを含む、液体を提供し得る。
【0034】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記1つ以上のバイオスティミュラント化合物は、ミネラル、タンパク質、アミノ酸、フミン酸、フルボ酸、および1種以上の有機酸、のうちの1つ以上を含む。
【0035】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記1種以上の有機酸は、液体中に、液体の総重量に対して約0.001重量%以上約10重量%以下の量で存在する。
【0036】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記水は、液体中に、液体の総重量に対して約50重量%以上約90重量%以下の量で存在する。
【0037】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記液体は、リグニンをさらに含み、リグニンが、液体中に、液体の総重量に対して約0.01重量%以上約75重量%以下の量で存在する。
【0038】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記ミネラルは、カリウム、リン、窒素化合物、カルシウム、マグネシウム、硫黄、ナトリウム、鉄、マンガン、亜鉛、および銅のうちの1つ以上を含む。
【0039】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記固体微粒子は、液体の総重量に対して約0.0001%以上約50%以下の乾燥物重量百分率を有する。
【0040】
本開示の例示的な一実施形態は、本明細書中に開示のプロセスのいずれかによる液体を植物に投与することを含む、植物の成長を促進する方法を提供し得る。
【0041】
本開示の別の実施形態は、繊維ペレットであって、複数本の露出したセルロース繊維を含み、該複数本の露出したセルロース繊維のそれぞれが少なくとも1本の他の露出したセルロース繊維ともつれ合った繊維材料と、繊維ペレットの総重量に対して約35%以下の量の水と、を含む繊維ペレットを提供し得る。
【0042】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記繊維材料は、リグニンおよびヘミセルロースのうちの1つ以上をさらに含む。
【0043】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記複数本の露出したセルロース繊維は、ねじれた繊維を含む。
【0044】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記繊維ペレットは、ペレット耐久性指数(PDI)が75以上である。
【0045】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記繊維材料は、平均最大断面サイズが約100ナノメートル~約1000ミクロンの繊維を含む。
【0046】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記繊維ペレットはバインダを含まない。
【0047】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記繊維ペレットは、かさ密度が約15kg/m3以上約800kg/m3以下である。
【0048】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記複数本の露出したセルロース繊維は、繊維ペレット中に、ペレットの総重量に対して2重量%以上の量で存在する。
【0049】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記複数本の露出したセルロース繊維は、繊維ペレット中に、ペレットの総重量に対して5重量%以上の量で存在する。
【0050】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記複数本の露出したセルロース繊維は、繊維ペレット中に、ペレットの総重量に対して5重量%以上80重量%以下の量で存在する。
【0051】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記複数本の露出したセルロース繊維は、繊維ペレット中に、ペレットの総重量に対して5重量%以上60重量%以下の量で存在する。
【0052】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記複数本の露出したセルロース繊維は、繊維ペレット中に、ペレットの総重量に対して5重量%以上50重量%以下の量で存在する。
【0053】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記繊維材料は、繊維ペレット中に、ペレットの総重量に対して99.99重量%以上の量で存在する。
【0054】
本開示の別の実施形態は、原料処理量を増加させるためのプロセスであって、1つ以上の添加剤をセルロースを含む繊維材料と水とを含む原料と混合して第1の混合物を得ることと、原料を緻密化して製品を得ることと、を含み、プロセスの処理量が、添加剤なしのプロセスと比較して1~30%増加する、プロセスを提供し得る。
【0055】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記水は、原料中に、原料の総重量に対して約5重量%以上約30%以下の量で存在する。
【0056】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記繊維材料は、リグニンをさらに含む。
【0057】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記原料は、穀物、草、セルロース系材料およびリグノセルロース系材料、骨、食品産業加工廃棄物、ならびにそれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む。
【0058】
本明細書中に開示の実施形態のいずれかにおいて、上記緻密化は、製品を、ペレット、ブリケット、ベール、丸太、立方体、およびそれらの組み合わせのうちの1つ以上に形成することを含む。
【0059】
本発明のこれらの態様および他の態様を、下記の発明の詳細な説明および添付の図面において説明する。本発明の実施形態のその他の態様および特徴は、本発明の特定の例示的な実施形態についての以下の説明を図面と共に検討すると、当業者には明らかであろう。本発明の特徴をある一定の実施形態および図面に関して述べる場合があるが、本発明のすべての実施形態が、本明細書で述べる特徴の1つ以上を含み得る。また、1つ以上の実施形態をある特定の有利な特徴を有するものとして述べる場合があるが、このような特徴の1つ以上が、本明細書で述べる本発明のさまざまな実施形態に用いられてもよい。同様に、例示的な実施形態を、装置、システム、または方法の実施形態として以下に述べる場合があるが、このような例示的な実施形態が本発明のさまざまな装置、システム、および方法において実施され得るということが理解されるべきである。
【0060】
本明細書に組み込まれてその一部を構成する添付の図面は、本明細書において開示される主題の複数の実施形態を示すものであり、本明細書において開示される主題の原理を説明するのに役立つ。これらの図面は、本明細書において開示される主題の範囲をいかなる形であっても限定することを意図したものではない。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1】
図1は、本開示のいくつかの実施形態に係る例示的なプロセスを示す。
【
図2】
図2は、繊維材料を処理するための従来のプロセスを、本開示のプロセスとの比較のために示す。
【
図3A】
図3Aは、本開示のいくつかの実施形態に係る例示的な調整プロセスを示す。
【
図3B】
図3Bは、本開示のいくつかの実施形態に係る例示的な調整プロセスを示す。
【
図4A】
図4Aは、従来のプロセスによって製造された繊維ペレットの写真である。
【
図4B】
図4Bは、本開示のいくつかの実施形態に係るプロセスによって製造された繊維ペレットの写真である。
【
図5A】
図5Aは、従来のプロセスによって製造された繊維ペレットの走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【
図5B】
図5Bは、本開示のいくつかの実施形態に係るプロセスによって製造された繊維ペレットのSEM画像である。
【
図6】
図6は、本開示のいくつかの実施形態に係るいくつかのプロセスに使用される機械を示す。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本明細書には、細胞に基づいた(生物学的)材料、特に(a)工業的に処理しにくい点で扱いにくいと見なされかつ(b)市場価値を有する液体副産物を有する材料を同時に脱水、乾燥、分別、抽出、および分離する、圧縮爆砕に基づいたプロセスのための包括的なソリューションが開示される。本明細書において開示される技術は、生物学的材料の状態に依存しない。例えば、未乾燥の(green)リグノセルロース系原料の処理に加えて、コーヒー豆、古紙、木質系建設廃棄物、家禽用敷料、羽毛などの家禽の残留物、バイオソリッド、堆肥生産などの、セルロース系使用済み材料の処理に、本明細書において開示される技術を非常に良好に適用することができる。
【0063】
別の例として、カモガヤからの液体抽出物を、テスト芝生に適用したところ、タンポポが除去され、草が急速に成長した。この結果によって、自治体または芝刈り業者は、刈り取った草を加工して抽出物を芝生に再適用することが可能となる。節水や刺激の強い肥料を避けることには幅広い魅力がある。草抽出物はさらなる可能性も秘めている。別のテストにおいて、カモガヤ抽出物を加熱により加工した。タンパク質が凝固し、そのことにより、このプロセスは、大いに追求されている葉タンパク質濃縮物用途と、Pro-Xanプロセスの非常に実行可能な代替手段とに適したものとなった。このような進歩は、例えば「肉なしタンパク質」市場のデザインスペースを大きく拡大し得る。
【0064】
本明細書において開示される技術は、植物材料を同時に脱水、乾燥、分別、抽出、および分離するだけでなく、結果として得られる、植物細胞が完全に露出した繊維を、根本的に変化させもする。このすべてによって、材料を、バイオエネルギー原料、先端材料生産、吸収剤製造、土壌改良、水ろ過システム、建設業用の強化剤、バイオ医薬品への投入、真菌基質および酵母基質、等々の多くの工業用途のためのフォローアップ処理に用いることができるようになる。そのうちのいくつかの例を以下に概説する。
【0065】
本明細書において開示される技術は、製紙業および繊維板製造などのパルプを利用する産業への投入に最適化される程度に、木質繊維を調整することができる。粒度の大幅な低減によって、より迅速な変換が可能になる。多くの製品が実現可能になり、中でも注目すべきは、グラフェンなどの炭化製品である。グラフェンに関して、このようなプロセスによって、より低コストの生産が可能になり、より優れた美観と、吸水発散および防虫(例えば、蚊)の点などでより優れた性能とを目的として生地に追加することができるようになる。グラフェンは、分解性電子機器、電気化学的エネルギー貯蔵用の再生可能な炭素材料、および回路基板への投入材料としても完璧に適しており、世界中の埋立地に毎年搬入される数百万トンの危険有害物質に取って代わるものである。
【0066】
さらに、スーパーキャパシタなどのグリーンエネルギーシステムに使用される先端材料用の構成要素としてフミン酸などの有機フェノール系化学物質を利用する高度なプロセスが開発されている。本開示のプロセスによって製造された液体抽出物は、フミン酸およびフルボ酸ならびにその他の有機酸に富むものとなり得る。
【0067】
世界のプラスチックの供給過剰によって課せられる環境問題は、リサイクルのための解決策を必要とする。本開示の製品を利用することによって、プラスチックの使用を少なくすることができる。このような材料は、木質プラスチック複合体と称されることが多い。本開示の製品と組み合わせると、プラスチック原料との間でより良好な架橋が起こり得る。この改善された効果によって、複合デッキ材などの消費財の改善が可能になる。また、本明細書中に開示の製品は、本物の木の外観を模倣しかつ物性の改善を達成するために必要な、小さい粒度を提供する。
【0068】
衝突時にジェット燃料のミスト化を防ぐ、カルボン酸からなる持続可能なポリマーを製造する研究も進んでいる。本開示のある特定の製品は、有機カルボン酸に富む。
【0069】
3D印刷は現在主流であるが、利用される材料の圧倒的多数は主として合成材料である。本開示の製品は、改善されたフォームファクタと小さい粒度とにより、3D印刷用のフィラメントとして用いることができる。
【0070】
ナノ結晶やナノフィブリルなどのセルロースナノ材料は、リグノセルロース系材料から製造される、非常に小さい円筒形粒子である。本技術は、その製造を加速し、関連コストを削減することができる。セルロースナノ材料は、現在、世界中で多くの産業、分野、および学問分野において、化学製造、パルプ・紙、複合材、食品包装、および化粧品などの種々の用途に用いられている。
【0071】
セルロースナノ結晶は、セルロースなどの最も豊富に存在するほぼ無尽蔵の天然高分子に由来する優れたナノ材料である。この材料は、多くの産業において、幅広くエキサイティングな可能性を秘めている。かつては樹木などから得るのに膨大なコストがかかると見なされていた露出セルロースは、今では、医療、材料科学、および電子工学において使用されるナノ結晶に変換することができる。本明細書において開示される技術は、リグニンをセルロース表面の露出した「滴」にまとめることによって、木質繊維を調整することができ、その結果、セルロースがより露出した状態になる。この効果によって、より費用対効果が高くより環境に優しい方法でリグニンを除去してセルロースナノ結晶を製造する工業プロセスを開発することが可能になる。
【0072】
本開示のプロセスおよび製品は、マツ、マンサク、ユーカリなどの芳香種に含まれることが多い香り分子から持続可能なポリマーを製造することを可能にする原料として機能し得る。今日の世界において明らかになっている、従来の石油原料によって製造されたポリマーおよびプラスチックに由来する苦闘を考えると、このような本開示のプロセスは、ポリマー製造の改善を提供することができる。
【0073】
近年、薬剤や電子機器などに使用される有益で切望される分子の作成を簡単にする電気化学の進歩が遂げられている。本開示のプロセスは、安価なカルボン酸からのエーテル合成に必要な、カルボカチオンとして知られる重要な反応性中間分子を生成することができる。本明細書において開示される技術による製品は、カルボン酸を豊富に含み、そのことにより、この極めて重要なプロセスのためのさらに安価な原料を提供する。
【0074】
生の未乾燥のリグノセルロース系原料を本開示の技術に従って調整することができる、独特で費用対効果の高い方法によって、園芸における多くの用途が利用可能になる。これらの用途の範囲は、泥炭およびその他のリサイクル不可能物などの持続不可能な成長基質に取って代わることから、非常に効果的な有機的土壌改良を実現することや液体抽出物を有機肥料として適用することにまでわたる。
【0075】
リグノセルロース系材料の化学機械的細胞爆砕によって製造された本開示の製品は、産業用ヘンプ、トマトの茎、および/または多肉植物などの切りたての植物を、発根のために土に入れる前に長時間保存することができるということが分かった。これらの製品を野菜に適用すると、長期の貯蔵寿命のためにそれらの野菜を保存することも可能である。
【0076】
典型的な温室基質は泥炭とパーライトとからなる。泥炭は、炭化水素であり、再生不可能である。本開示のプロセスは、木質系原料を、成長培地に寄与するフォームファクタで製造することができる。泥炭の一部の代わりに本技術による製品の一部を用いることができ、それにより、炭化水素への依存が低減する。さらに、本開示の製品は、本質的に、接種されたキノコの成長培地として機能し得る。拡大されたフォームファクタにより、これらの製品は、成長マットおよび侵食防止マットに圧縮可能でもあり、大幅に削減されたコストでそれが実現される。
【0077】
ハイドロマルチは、侵食が起こり得る急斜面に適用される、繊維/草の種子/肥料の混合品である。現在は、機械的に処理された木質繊維が基材として用いられている。これに対して、本開示の製品は、実質的に少ないエネルギーおよび排出量ではるかに低い価格で製造される、より優れた製品を提供することができる。この結果、表土侵食がより少なくなり、よりきれいな水路となる。ハイドロシーディングは、草の種子と肥料と木質繊維の混合物である。本開示の製品は、より高い吸湿性を実現することができ、そのため、種子の発芽を促進するのに役立つ。
【0078】
自然食品と有機食品の需要は急速に増加している。逆に、継続的な農業は土壌の活力を失わせる。本開示の製品は、有機酸、糖類、フミン酸/フルボ酸、および非常に多様な量のアミノ酸によって形成される性質により、土壌中の窒素およびその他の栄養素の固定に不可欠な、必要な微生物活動を引き寄せる土壌環境を作り出すことができる。
【0079】
本明細書において開示される技術は、かつては関連するコストのために処理に効果的ではないと考えられていたヤナギおよびその他の水分の多い原料に含まれるバイオスティミュラントの抽出を可能にし得る。さらに、本開示の製品の特性は、かつては有機物によってでは不可能と考えられていた非常に特殊な遺伝子発現および遺伝子制御を提供し得る。さまざまな種に含まれる種々のグルタミン濃度などの含有有機化学物質の純粋な性質および量が、非常に効果的な園芸方法を提供する。例えば、広葉樹種を利用して本開示のプロセスによって製造された液体抽出物を、ペカンのクローニング剤として用いることができる。ペカンの木を、種子から育ててもよく、生きている木の幹からクローニングしてもよい。クローニングのプロセスは、クローンの生存に課題がある。クローンが健康な根を追加することができるのが早いほど、その生存の可能性は劇的に増加する。本開示の製品に含まれる多数の有機酸は、健康で急速な根の成長を刺激する成長ホルモンを生成するための構成要素である。
【0080】
別の例として、原料のある特定の種に関して、特に樹皮成分の原料に関して、本明細書において開示される技術は、かなりの量のタンニンを抽出することができる。研究により、タンニンおよび関連するフェノール化合物の定期的な適用後、可溶性窒素の顕著な変化が土壌に現れることが証明されている。これらのタンニン類は、土壌微生物によって基質として利用され、それにより、窒素に対する微生物の需要と微生物バイオマスへの固定化が増加する。この増加は、より多くの窒素が微生物によって固定されることにつながり、より多くの窒素を植物が利用できるようになる。
【0081】
本開示の製品は、有害生物に対する駆除機構および防御機構を、かつては合成化学物質による独占領域と考えられていた園芸市場に提供することもできる。本明細書中に開示の製品によって可能になるアレロパシー効果は、例えば次のように機能し得る。つまり、液体抽出物は、雑草防除への新しいが持続可能なアプローチを可能にすることができる。広葉樹から得られた液体抽出物は、何百万ドルもの農産物を保護するために必要不可欠な、線虫の防除にも非常に効果的であり得る。フェノール類の種々の組み合わせと、その他のバイオスティミュラントおよびアミノ酸の過剰適用とは、合成化学物質に対して、非常に効果的な成長制御の選択肢である。
【0082】
繊維および繊維から製造される液体抽出物などの本明細書において開示される技術は、建設市場に、今まで利用不可能であった投入材料を提供する。繊維を利用できることは、新しく設計された材木、コンクリート、ならびにアスファルト配合物、樹脂、および防腐剤の開発を活性化し得る。
【0083】
木質繊維は、非常に優れた遮音材である。このような製品は、欧州で人気があり、ここ米国でも広まってきている。本開示の製品は、より小さい粒度の改善された緻密化により、さらに優れた遮音性を提供できる。このような本開示の製品は、中密度繊維(MDF)などの改善された繊維系ボードまたは粒子系ボードも可能にし得る。繊維セメントサイディングのような用途の場合は、本明細書中に開示の製品の拡大フォーマットが、コンクリート系サイディングに対して追加のサポートを提供可能である。本明細書において開示される技術は、ダンチク(giant reed)などのような代替のボード材料の使用も可能にし、それにより、環境のために炭素循環を改善する。本開示の製品のフォーマットは、ボード構造に利用されるバインダを少なくすることもでき、それにより、別の環境上の利点をもたらす。
【0084】
本開示の製品は、エンジニアリングボードやサイディングの進歩に使用することもできる。リグニンは木質繊維の主要成分であり、種々のフェノール基で構成されている。抽出物中に含有されるフェノール基を用いて、持続可能な発泡ボードを構築できるようになった。このことは、本技術が、木質繊維に含有されるリグニンの一部を液体抽出物中に可溶化されたものとして生成できることによって可能になった。抽出されたこれらのフェノール類は、発泡ボードの配合に利用することができる。
【0085】
本明細書中に開示の製品は、コンクリートの補強にも役立ち得る。コンクリートに高負荷を支持させるためには、コンクリートを補強する必要がある。典型的には、鋼鉄筋がコンクリートを補強するために用いられている。本開示の製品は非常に優れたコンクリート用補強機構となり得る。
【0086】
本明細書中に開示の技術は、フローリング材などのエンジニアド竹製物品を製造するのに用いることができる。竹は、付加価値製品に変換する前に、分解する必要がある。本開示のプロセスは、竹繊維を竹複合板や竹フローリング材などの有益な製品に容易に変換できる材料に分解することを可能にし得る。
【0087】
本明細書中に開示の技術は、リグノセルロース系繊維からリグニンを部分的に除去することを可能にし得る。このリグニンを液体抽出物中に回収することができる。この抽出物からリグニンを単離し、天然アスファルトの成分として利用することができる。
【0088】
チーク、レッドオークなどのある特定の種の木材からは、本明細書において開示される技術によって、天然の木材防腐剤として作用し得る液体抽出物が生成される。このようなプロセスは一般にアセチル化と表現される。抽出物に含有される酢酸が、かびが生えない環境を作ることができる。かつては十分で費用対効果の高い工業規模までの規模拡大に適応できないと考えられていたが、本明細書において開示される技術はアセチル化を可能にし得る。
【0089】
本明細書において開示される技術は、環境市場および環境改善市場に大きく貢献できる。本開示の製品は、種々の吸着材および濾過材を作成できるほか、バイオソリッドの堆肥化を加速させることができる。吸着材は、こぼれが問題になり得るほぼすべての工業用途で利用されている。本明細書中に開示の製品は、粘土またはおがくずなどの一般的に使用されている材料よりもはるかに高い吸収性を示すことができる。
【0090】
濾過は多くの工業プロセスの一部である。木質繊維は多くの用途において用いられている。濾過効果は、濾過材の表面積と直接相関する。本技術の製品は、典型的な機械加工された木質繊維よりも著しく大きい表面積を提供することができる。本明細書中に開示のプロセスは、規模拡大への適応度も非常に高く、それにより、肥料の流出に起因する赤潮や藻類の問題の制御などの大きな問題に対処することを可能にする。
【0091】
バイオソリッドは、世界で非常に大きな問題になってきている。土壌活用による廃棄は、金属やその他の物質が含まれているため、今や最適とは言えない仕組みであることが判明している。堆肥化は、急速に好ましい廃棄手法になりつつある。本技術によって製造された製品は、必要とされる必須のバクテリアの増殖を速やかに加速させる糖類およびその他の分子を含有し得る。その後、これらのバクテリアの代謝物が、堆肥化されたバイオソリッドに含まれる既に高濃度の栄養素濃度を土台にして増えていく。
【0092】
さらに、本開示の技術によって製造された製品は、癌およびその他の疾患と闘うために非常に有益な植物性医薬品投入材料であることが判明してきているアミノ酸を豊富に含み得る。ジエチルエーテル抽出物およびアルカロイドは、乳癌や人間の健康に対する機能不全疾患の治療のための抗癌剤を可能にすることができる。さらに、短鎖脂肪酸、特に酪酸塩の量的減少は、慢性腎疾患や胃の問題の進行に寄与することが分かっている。本明細書中に開示の製品は、発酵させて加工されると、このような短鎖脂肪酸を豊富に含み得る。これらの製品は、原料の種によっては、糖の低下を助け、健康なコレステロール値の維持につながるベルベリン(berbeine)を含有することもあり、これは、糖尿病の治療の有力なツールとなる。
【0093】
さらに、種々の植物系および非植物系原料を、特定の医薬用として抽出することができる。本技術は、ヘンプおよびカンナビスの加工時に非常に有効である。液体抽出物は、新しい治療法を提供する、有益なカンナビノイドおよびその他の機能性食品を提供する。ユーカリの木のキノ(樹液)からのフラボノイドの種々の抗菌特性も本発明者らの技術によって可能となる。
【0094】
本技術は、人間の健康に関する用途に大きく貢献することができる。本開示の製品の種々の成分は、オークや赤根草(bloodroot)のような、扱いにくい(obstinate)外来の原料から殺虫剤や農薬を製造するのに用いることができる。本技術は、また、アロマテラピー用の非常に低コストの製品や、カンナビスおよび特殊化された/エンジニアドワインへのエンジニアド芳香の投入のためのその他のテルペン類も可能にする。
【0095】
本技術を使用して不溶性食物繊維を製造し、食品添加物として含めるための実験も進行中である。多くの研究により、善玉菌が体内の胃の移動時にこの種類の不溶性繊維を基質として利用すると、生理学的および心理学的改善が高まることが明らかになっている。
【0096】
胃の利点とは別に、本開示の製品を介して利用可能になる短鎖脂肪酸および中鎖脂肪酸は、口腔細菌に対して抗菌活性を示し得る。この種類の治療法は、歯と歯茎の疾患の予防に貢献する。
【0097】
かびは、何十年もの間、住宅の問題として深刻化している。刺激の強い化学物質や噴霧剤は、問題を根絶するための従来のアプローチである。しかしながら、広葉樹や、その他のフェノールを豊富に含む原料から製造された本開示の製品を用いることによって、本技術は、かびだらけの地下室などに対する有機的かび防除機構を可能にし得る。
【0098】
本明細書において開示される技術は、農業市場へ即座に直接応用することができる。開示された製品は、飼料や飲み水に添加した場合に動物の健康を改善するだけでなく、トイレ砂および床敷用途を向上させることができる。開示された製品は、動物の疾患や病気の予防および治療にも直接応用することができる。さらに、本技術は、林業にも貢献することができ、それにより、特別に栽培された木質繊維に適用した場合に循環経済に関与し得る。
【0099】
本明細書中に開示の繊維材料などの製品は、表面積が非常に大きいため、極めて吸着性の高い動物用床敷を作成することができる。この属性により、有害な湿気と脱気(例えば、アンモニア)とを管理することが可能である。これらの製品は、ある特定の種の家畜の乾燥および加温に使用するのに非常に効果的でもあり得る。例えば、豚は、出生時、水分に覆われており、皮膚の感受性が高いことがよくある。このような繊維材料を出生後の豚の皮膚に適用することによって、水分を急速に吸い上げて発散し、皮膚を乾燥させることができ、それにより、体温をより迅速に上昇させることができる。
【0100】
表面積が大きいことによって、今日、バイオ炭を従来の方法よりも効率よく製造できるようにすることも可能である。バイオ炭も、非常に効果的な吸着体であり、特にアンモニアを捕捉するのに非常に効果的である。本開示の製品にバイオ炭を混ぜることにより、家畜、特に、湿気とアンモニアが問題となる家禽にとって、より健康的な環境とすることができる。
【0101】
動物用飼料の点から、本技術は、魚類を含む多くの種の成長と世話に寄与することができる。本開示の製品中の有機酸は、抗生物質の代替として機能し得る。研究によると、有機酸を含む食餌を与えられた豚は、1日の平均飼料消費量と1日の平均体重増加量とが改善されることが示されている。本開示のいくつかの製品は、トリプトファンと、発酵残渣と同様のフォームファクタを有する非常に小さい粒度の繊維の基質とを含有し得る。トリプトファンは、ブタの食餌における、飼料摂取量ひいては成育成績を刺激するために重要な必須アミノ酸である。豚などの単胃生物はトリプトファンを生成しないため、トリプトファンは栄養補助飼料の一部として含まれなければならない。
【0102】
本開示の製品は、タンパク質を生成するカンジダ・ウチリス(Candida Utilis)などの種々の酵母のための非常に有効な基質としても機能し得る。これらのタンパク質には、魚類用飼料の代替品としての可能性がある。さらに、反芻動物のような消化器系を有するいくつかの外来種の魚に関して、本開示の製品に示される露出セルロースが食物源としてより迅速に消化され得る。最後に、海藻およびその他の高タンパク草本系原料などの原料を、本技術によって、代替となる植物性タンパク質に加工することもできる。従来の魚粉の代わりに植物性タンパク質を用いることにより、かなり大きな環境上の利益が得られる。
【0103】
牛、羊、および山羊などの反芻動物に関して、本技術はいくつかの利点を提供することができる。反芻動物の消化器系は、含有リグニンがセルロースを露出させるように十分に調整されていれば、リグノセルロース系材料を消化する可能性を有している。本明細書において開示される技術は、リグニンを「小滴」状に集めることができるため、セルロースを動物の腸内のセルラーゼにとってアクセスしやすくし、それにより、消化と栄養状態を改善する。ある特定の種の木材(例えば、カラマツ)は、アラビノガラクタン、リグニン、フラボノイド、およびジテルペンを多く含むため、牛の肝臓の健康を促進することも証明されている。これらの種類の原料、特にかつて扱いにくすぎると見なされていた原料を反芻動物に対して利用可能にすることは、人間の栄養と幸福に関連して世界的な影響を及ぼすであろう。
【0104】
リグノセルロース系繊維のある特定のサイズと特別に設計されたフォームファクタとは、動物の腸内に特定のマイクロバイオータを生成することになる、酪酸‐2(butyrate-2)などの有機酸の標的活性化を可能にし得る。本技術が種ごとに異なる繊維フォームファクタを加工できることは、このプロセスの商業化に極めて重要である。腸内マイクロバイオームの有益な調節はまた、多数の代謝変化と短鎖脂肪酸を生成する相互依存的経路とに「2つに分けられる(butterflied)」。これらの種類のプレバイオティクス製品は、畜産業が自然食品への需要を満たすために不可欠である。
【0105】
本明細書において開示される技術は、家禽のためにもなり得る。最近の消費者は、抗生物質を与えられた家禽を避けている。抗生物質は家禽の健康と生存性を改善するが、これらの抗生物質の痕跡が屠殺後の鳥に残る可能性がある。タンニンは、脂肪酸と同じように抗菌性を有しているため、家禽飼育における病原体の増殖に対抗することが証明されている。液体抽出物などの本明細書中に開示の製品は、有益な脂肪酸とタンニンとを含有および作成し得る。そのため、本開示の製品は、合成抗生物質を添加することなく鳥の健康を改善するために、家禽の給餌システムおよび給水システムに含ませることができる。
【0106】
最近の知見において、本開示のある特定の製品の発酵によって生成された酪酸は、亜鉛と混合した場合、家禽産業の商業用ブロイラーにおけるウッディ・ブレスト(woody breast)の発生を低減させることが判明している。ウッディ・ブレストは、鶏肉のごく一部における筋肉異常に起因する品質の問題をいう。これは、消費者に健康上のリスクを与えるわけではないが、肉が望ましくないとみなされる原因になる。
【0107】
本技術は、一般に造林(tree farming)と称される森林農業にも応用することができる。森林農業は、樹木またはその他の木本植物の植え付け、手入れ、維持を行う農業の一種である。本開示の製品は、もともと樹木の木部および師部から得られるものであるので、一旦抽出されて加工されると、この業界用の栄養素製剤および手入れ用製品を提供し得る。本技術の前は、樹木中の液体を繊維から蒸発させて揮発性有機化合物に変換しており、これらの揮発性有機化合物が排出規制の課題を生じさせていた。
【0108】
本明細書において開示される技術は、持続可能でクリーンなエネルギーの生産に直接貢献することができる。用途は、バイオ燃料やバイオリファイナリーから、木質ペレット、さらには従来の燃料用の水圧破砕産業にまで及び得る。
【0109】
本技術は、高耐久性、低水分、高エネルギーの木質ペレットを直接作り出す、調整および分別された繊維を製造するために、未乾燥の(湿った)原料を利用することができる。これを、ハンマーミルなどの従来のサイジング機を使用せずにかつ非常に高価な間接乾燥システムを必要とせずに、行うことができる。これらのシステムとそれに伴う資本コストおよび経常コストを回避することは、木質ペレット産業に変革的パラダイムシフトを起こす。つまり、助成金への依存を無くし、世界的規模の工業処理の代替と、林業残渣および農業残渣、竹、水系バイオマス(例えば、藻類、海藻、ケルプなど)およびその他の高水分種などの、かつては加工するには湿りすぎていると見なされていた非常に入手しやすい原料とをもたらすことになるパラダイムシフトである。
【0110】
本明細書において開示される技術は、従来のペレット化方法の価値に貢献することもできる。高品質の木質ペレットを従来の手段で製造することは難しい課題である。ペレットの耐久性の向上を目標として、製造者は、ペレットの耐久性を向上させるための効果的なバインダを幅広く探してきた。乾燥パルプ製品などの本開示の製品は、従来の方法で乾燥させた木質繊維と混合した場合、ペレットのより一層の緻密化と、結合のためのリグニンのより良好な利用とを可能にすることができる。
【0111】
リグノセルロース系繊維のセルロース成分は、セルロース系エタノール生産のための見込みのある素材(base stock)として常に注目されてきた。しかしながら、実現可能な原料とするには、セルロースが特定のセルラーゼに十分にさらされるように、バイオリファイナリーによってリグニンをある程度除去する必要がある。本開示のプロセスは、リグニンの露出と部分的除去を可能にし得る。さらなる処理によって、残りのリグニンを容易に除去することができるようになり得る。さらに、低い動作温度を用いることによって、セルラーゼの効果に悪影響を及ぼし得る抑制成分の形成が防止され得る。これらのプロセスは、セルロースの露出をより多くし、酵素の効果を高める。このような製品は、バイオブタノールおよびその他のバイオエネルギー製品の生産にも適用できる。本明細書において開示される技術によって得られるある特定の製品のフォーマットは、よりクリーンなバイオリファイニング手法の有効化にも適している。このような手法としては、オルガノソルブ法および同時糖化発酵(SSF)法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0112】
天然ガスや石油などの掘削産業に関しても本技術を適用できる。例えば、掘削産業では逸泥防止剤が幅広く用いられている。逸泥防止剤は、泥が割れ目または浸透性の高い地層中に失われるのを遅らせるのに役立つ。本明細書において開示される技術によって製造されることでより小さい粒度が得られるため、油の掘削につきものの亀裂や裂け目を塞ぐためにより優れた流動性と透過性を備えた製品が可能になる。別の例として、本技術の製品から得られるタンニン酸塩は、非常に優れた、環境に安全な掘削流体であることが判明している。
【0113】
本明細書において開示される技術は、食品・飲料市場にも直接貢献することができる。本技術の製品は、特に限定されないが、風味の強化、味覚、および匂いの増強を含む、いくつかの関連する感覚を向上させるために用いることができる。これらの製品は、栄養向上や甘味料の生産にも関与し得、小麦粉含有食品の補助成分としても関与し得る。
【0114】
本開示の製品中のタンニン、具体的にはそこに含有されるエラジタンニンを利用して、ワイン生産者は、製品の「ドライさ」を設計することができ、従来ではオーク樽によって可能になるような時間をかけた酸化過程において得られていた効果をまねることができる。
【0115】
同様に、本開示の製品に含まれるフェノール化合物のいくつかは、栄養価として食品に補うことができ、ある特定のリグノセルロース系種のアントシアニンは認知機能を改善することが証明されている。
【0116】
別の例として、パルプ化後にSSF法を利用して、生成されたアセトインを食品香料として焼成食品に用いることができる。本技術は、科学的にはカンジダ・ウチリスとして知られるトルラ酵母の生産にも非常に積極的に関与し得る。本開示の製品は、その成長のための基質となり得る。トルラ酵母は加工食品やペットフードの香料として広く使用されている。本開示の他の製品のフォームファクタは、食品グレードのセルロースの生産を加速させることもできる。この製品は、通常、トマトソース、サラダドレッシング、アイスクリーム、エネルギーバー、パスタ、パン、およびその他の多くの製品のための増粘剤および嵩増し剤として含まれている。
【0117】
本技術は、ある特定のリグノセルロース系原料に含まれる天然アルコールであるキシリトールの生産にも非常に効果的に貢献することができる。キシリトールは、砂糖の代用品として、「無糖」のチューインガム、ミント、およびその他のキャンディーにおいて、広く使用されている。本開示のプロセスは、バーチなどの原料をはるかに高い費用対効果で調整することができ、全体的なコストを低減させる。また、紙パルプなどの市場やバイオリファイナリーが、従来は機会が失われていた副産物の流れを設けることができるようにもする。
【0118】
パルプは、木材またはその他のセルロース系原材料から化学的または機械的に(または化学的手段と機械的手段の何らかの組み合わせによって)生産される繊維材料である。木質細胞は、セルロース繊維、ヘミセルロース、およびリグニンからなる、生きていない細胞壁を有し、リグニンは、細胞壁に強度を与え、細胞壁を支持している。リグニンは、細胞壁中でセルロース繊維をつなぎ合わせている。そのため、最終的に紙になる個々のセルロース繊維を分離するためには、リグニンを除去しなければならない。
【0119】
従来のパルプ化プロセスは、非常に難しい環境問題を生じさせる。実際、当該産業は、従来、使用される刺激の強い化学物質が主たる原因となって、世界で産業排気、産業排水、および産業排土を最も多く排出している産業の1つである。数千トンの汚染物質が毎年放出されている。当該産業は、世界で最も多くのエネルギーと水を消費する産業の1つでもあり、1トンの製品を生産するために他のどの産業よりも多くの水を使用している。
【0120】
当該産業は、これらの問題に対処するよう、社会から非常に大きな圧力を受けている。環境に優しい化学物質の使用と原料の機械的調整への低エネルギーのアプローチとを含む、持続可能なパルプ化の仕組みの開発に、研究が行われている。
【0121】
蒸気爆砕は、上記産業にとって非常に有望なプロセスである。しかしながら、従来の形態では、リグニン-炭水化物結合体の破壊が不十分であることや、バイオリファイナリーおよび紙用途の場合に発酵抑制成分が生成される可能性があることを含む、多くの経済的問題を示している。さらに、エンジニアド材木(engineered lumber)部門に関しては、繊維をさらに処理する前に乾燥させることも必要である。
【0122】
本明細書において開示される技術は、従来のプロセスと蒸気爆砕プロセスのどちらにも、実質的な利点を提供することができる。従来のプロセスについては、刺激の強い化学物質が使用されず、単糖の分解はほとんど起こらないかまたは全く起こらない。エネルギー要件はかなり低くなり、環境問題は発生しない。反対に、液体製品などの本明細書中に開示の製品は、適用するための土壌養分と樹木生物製剤(tree biologics)とを獲得することができる。その結果得られる繊維も、セルラーゼの作用を非常に受けやすい。
【0123】
バイオリファイナリーと製紙の観点からは、本開示のプロセスの効果によって、オルガノソルブパルプ化などの費用対効果の高いパルプ化プロセスが可能になる。この方法は、リグニンとヘミセルロースを分解するために有機溶媒を用いる。この方法は、今日用いられている現代の方法の中で最もクリーンな方法であると考えられる。
【0124】
製品の観点からは、本技術は、段ボール、成形パルプ、およびフラッフパルプの生産に必要なコストも大幅に削減することができる。今日これらの製品を製造するのに必要とされる原料の大部分は、リサイクル産業から得られている。この原料を再びクリーンで有用なものにするために多くの処理が必要であり、その結果、さらなる環境問題が生じている。
【0125】
エンジニアド材木は、接着剤で、または複合材料を形成するためのその他の固定方法で、繊維どうしを結合することによって製造された人工木材(manufactured wood)製品を含む。本技術は、緻密化された木材、中密度繊維板(MDF)、およびパーティクルボードの製造に直接貢献することができる。本技術は、発展途上にある透明木材市場にも直接貢献することができる。
【0126】
前述のエンジニアド材木製品はすべて、木材チップ、製材所の削りくず、もしくはさらにおがくずと、プレス加工および押出加工された合成樹脂もしくはその他の適切なバインダとから製造される。従来は、この製造に必要な原料を乾燥させる必要があったが、本明細書において開示される技術は、本質的に原料を乾燥させることができ、プロセス中のこのコストのかかるステップを回避することができる。その結果、排出も回避され、本開示のプロセスによって製造された繊維の分別後フォームファクタは、強い製品を作るのに役立ち得る。従来の方法で製造された製品にはバインダも必要であるが、そのほとんどは持続可能ではなく、製造時および廃棄/リサイクル時の両方において、さらなる環境問題を生じさせる。本明細書において開示される技術は、必要なバインダが少なくて済む。さらに、本明細書において開示される技術によって製造された液体抽出物は、前述のように他の市場の利益になるように、持続可能な結合用製品にすることができる。
【0127】
廃棄物の流れを有効利用するには、原料を脱水、乾燥、および調整することが常に欠かさず必要である。これは、従来は、種々のベルトプレス、押出機、およびサイクロン処理を用いて実現されてきた。その後、追加の機械的処理により、廃棄物のサイズを小さくする。本明細書において開示される技術は、これらすべてのプロセスを1つに統合し、原料をこれまでは不可能であった程度まで調整することができる。
【0128】
例えば、本明細書において開示される技術は、使用済みのコーヒー豆を非常に効率よく処理し、ペレットの生産に利用できるようにすることができる。そして、ペレットは、発熱用または発電用の固形燃料として焼却したり、急拡大しているグリル業界でフレーバースモーク製品として利用したりすることができる。別の例として、本技術は、家禽の羽軸を、薄膜用途およびその他の多くの用途向けの今まで利用不可能であったフォームファクタを提供するケラチンを生成するために処理することができる。別の例として、本技術は、柑橘類の皮を、いくつかの産業用途においてより効率的に用いられる非常に優れた形態に加工することができる。本開示のプロセスによって得られる抽出液体も、特に有機化学合成の追求において、多くの可能性を秘めている。
【0129】
本開示のある特定の実施形態を詳細に説明しているが、その他の実施形態を考えられることは理解されるべきである。したがって、本開示の範囲を、以下の説明に記載されているかまたは図面に示されている構成要素の構造および配置の詳細に限定することは、意図されない。本開示の他の実施形態をさまざまな方法で実現または実行することが可能である。また、実施形態について説明する際、明確性のために、特定の専門用語を用いる。各用語は、当業者によって理解される最も広い意味を意図したものであって、同様に動作して同様の目的を達成する技術的等価物をすべて含むことが意図される。
【0130】
本明細書中、「有する(having)」、「有する(has)」、「含む(including)」、または「含む(includes)」などの語の使用は、非限定的(open-ended)であって、「含む(comprising)」または「含む(comprises)」などの語と同じ意味を有し、他の構造、材料、または行為の存在を排除しないことが意図される。同様に、「できる(can)」または「してもよい(may)」などの語の使用は、非限定的であることが意図され、当該構造、材料、または行為が必須ではないことを表すことが意図されるが、このような語を使用しないことが、当該構造、材料、または行為が不可欠であることを表すことを意図するわけではない。当該構造、材料、または行為は、それらが現在不可欠であると考えられる範囲で、そのように認識される。
【0131】
「含む(comprising)」または「含む(containing)」または「含む(including)」は、少なくとも言及された化合物、元素、粒子、または方法ステップが、組成物もしくは物品または方法に存在していることを意味するが、他の化合物、材料、粒子、または方法ステップが言及されたものと同じ機能を有する場合であっても、その化合物、材料、粒子、または方法ステップの存在を排除しない。
【0132】
また、1つ以上の方法ステップについての言及は、追加的方法ステップまたは明白に特定されたそれらのステップ間の中間的方法ステップの存在を排除しないことが、理解されるべきである。
【0133】
本開示の多様な要素を構成するものとして以下で述べる構成要素は、限定的なものではなく、例示的なものであることが意図される。本明細書で説明される構成要素と同一または類似の機能を果たすであろう多くの適切な構成要素が、本開示の範囲に包含されることが意図される。本明細書で説明されないこのような他の構成要素としては、例えば、本開示の主題が開発された後に開発された同様の構成要素を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0134】
本明細書において用いられる「パルプ」なる用語は、脱水、乾燥、分別、および膨張(expanded)された、さまざまな含水率、物理的特性、かさ密度、または種のリグノセルロース系材料を含むことが理解されるべきである。
【0135】
本明細書において用いられる「露出したセルロース繊維」なる用語は、細胞壁中に結合されていないセルロース繊維またはフィブリルをいうことが理解されるべきである。例えば、本開示の細胞爆砕プロセスによってセルロース繊維を露出させることができる。
【0136】
本明細書において用いられる「もつれ合った(entangled)」なる用語は、各繊維の少なくとも一部が別の繊維の少なくとも一部と絡み合い、かつ平行でない場合に、少なくとも2本の繊維どうしがもつれ合っていることをいうことが理解されるべきである
【0137】
本明細書において、1つ以上の添加剤を、リグニン、セルロース、およびヘミセルロースを含む繊維材料と水とを含む原料と組み合わせて第1の混合物を得ることと、該第1の混合物を調整して液体製品および乾燥パルプ製品を得ることと、を含むプロセスが開示される。
【0138】
また、本明細書において、上記プロセスと共に用いられる調整プロセス、機械、および方法が開示される。
【0139】
また、本明細書において、上記プロセスによって製造された液体製品、上記プロセスによって製造された乾燥パルプ製品および/または繊維パルプ材料、ならびに上記プロセスによって製造された繊維ペレットが開示される。
【0140】
本明細書において、繊維材料を含む材料を処理および/または製造するためのプロセス、システム、方法が開示される。上記繊維材料は、セルロース系繊維などの天然繊維を含み得る。例えば、繊維材料は、木質繊維を含み得る。木質繊維は、木材パルプまたはその他のリグノセルロース系繊維源の形態で用意されてもよい。例えば、木質繊維は、南部漂白針葉樹クラフトパルプの形態で用意されてもよい。繊維源の好適な例として、フラッフパルプ、溶解パルプ、機械パルプ、化学パルプ、化学機械パルプ、古紙パルプ、半機械パルプ、半化学パルプ、弱蒸解全化学パルプ、衣類などの消費者廃棄物、ビスコース、レーヨン、リヨセル、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。さらに、繊維材料は、リグニンおよびヘミセルロースを含むものであればいかなる材料であってもよい。
【0141】
繊維材料は、木材チップ、木質繊維、またはその他の木材源の形態であってもよい。木材源の他の好適な例としては、広葉樹、針葉樹、アスペン、バルサ、ブナ、バーチ、マホガニー、ヒッコリー、カエデ、オーク、チーク、ユーカリ、マツ、スギ、ジュニパー、トウヒ、セコイア、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。木質繊維およびリグノセルロース系材料のその他の公知の源を用いてもよいことが理解されている。あるいは、繊維材料は、天然非木質繊維もしくは代替繊維の形態で用意されてもよい。繊維材料を構成し得る天然非木質代替繊維の好適な例としては、例えば、大麦、バガス、竹、小麦および麦稈、亜麻、ヘンプ、ケナフ、ダンチク(arundo donax)、トウモロコシの茎、ジュート、ラミー、綿、羊毛、ライ麦、米、パピルス、エスパルト、サイザルアサ、草、マニラアサ、低木、ススキ、ダンチク(giant reed)、アルファルファ、つる性木本、花、フジ、スイカズラ、クレマチス、クズ、コーヒーおよびその他の豆/豆果、ステビアおよびその他の機能性植物、その他のリグノセルロース系種、成長の早い草、またはこれらの任意の組み合わせが挙げられる。繊維材料が任意の源または天然繊維の任意の組み合わせから得られるその他の任意の天然繊維を含み得ることが理解されている。いくつかの実施形態において、繊維材料を、木材パルプまたはその他に用意された繊維源からハンマーミリングなどの機械的処理またはその他の粉砕処理によって作製されたセルロース系繊維から用意することができる。
【0142】
繊維材料は、約0.01mm以上12mm以下の平均長さを有する繊維を含み得る。例えば、繊維材料は、0.01mm以上(例えば、0.05mm以上、0.10mm以上、0.15mm以上、0.20mm以上、0.25mm以上、0.30mm以上、0.35mm以上、0.40mm以上、0.45mm以上、0.50mm以上、0.55mm以上、0.60mm以上、0.65mm以上、0.70mm以上、0.75mm以上、0.80mm以上、0.85mm以上、0.90mm以上、0.95mm以上、1.0mm以上、1.1mm以上、1.2mm以上、1.3mm以上、1.4mm以上、1.5mm以上、1.6mm以上、1.7mm以上、1.8mm以上、1.9mm以上、2.0mm以上、2.1mm以上、2.2mm以上、2.3mm以上、2.4mm以上、2.5mm以上、2.6mm以上、2.7mm以上、2.8mm以上、2.9mm以上、3.0mm以上、3.5mm以上、4.0mm以上、4.5mm以上、5.0mm以上、5.5mm以上、6.0mm以上、6.5mm以上、7.0mm以上、7.5mm以上、8.0mm以上、8.5mm以上、9.0mm以上、9.5mm以上、10mm以上、10.5mm以上、11mm以上、または11.5mm以上)の平均長さを有する繊維を含み得る。
【0143】
いくつかの実施形態において、繊維材料は、12mm以下(例えば、11.5mm以下、11mm以下、10.5mm以下、10mm以下、9.5mm以下、9.0mm以下、8.5mm以下、8.0mm以下、7.5mm以下、7.0mm以下、6.5mm以下、6.0mm以下、5.5mm以下、5.0mm以下、4.5mm以下、4.0mm以下、3.5mm以下、3.0mm以下、2.9mm以下、2.8mm以下、2.7mm以下、2.6mm以下、2.5mm以下、2.4mm以下、2.3mm以下、2.2mm以下、2.1mm以下、2.0mm以下、1.9mm以下、1.8mm以下、1.7mm以下、1.6mm以下、1.5mm以下、1.4mm以下、1.3mm以下、1.2mm以下、1.1mm以下、1.0mm以下、0.95mm以下、0.90mm以下、0.85mm以下、0.80mm以下、0.75mm以下、0.70mm以下、0.65mm以下、0.60mm以下、0.55mm以下、0.50mm以下、0.45mm以下、0.40mm以下、0.35mm以下、0.30mm以下、0.25mm以下、0.20mm以下、0.15mm以下、0.10mm以下、0.05mm以下)の平均長さを有する繊維を含み得る。
【0144】
いくつかの実施形態において、繊維材料の長さは、0.01mm以上12mm以下(例えば、0.3mm以上7mm以下、0.5mm以上5mm以下、0.7mm以上2.8mm以下、2.9mm以上8mm以下、8mm以上12mm以下、0.01mm以上1mm以下)である。いくつかの実施形態において、繊維材料は、平均繊維長が異なる1種以上の繊維のブレンドを含む。換言すると、いくつかの実施形態において、繊維材料の平均繊維長は二峰性(または三峰性など)を示す。いくつかの例において、繊維材料の平均繊維長は、約1オングストローム以上約5000ミクロン以下であり得る。
【0145】
繊維材料は、さまざまな断面形状(例えば、円形、スカラップ状楕円形、十字形、六溝形(haxachannel)など)の繊維を含み得る。繊維材料は、その断面形状に基づいた断面サイズを有し得る。本明細書において用いられる「断面サイズ」なる用語は、繊維の長さに垂直な平面の最大寸法(すなわち、円筒形繊維では直径、矩形繊維では対角線)をいうことが理解されるべきである。いくつかの実施形態において、繊維材料中の繊維の平均最大断面サイズ(すなわち、丸形繊維の場合は平均直径)は、100ナノメートル以上1000ミクロン以下である。いくつかの実施形態において、繊維材料の平均最大断面サイズは、100ナノメートル以上(例えば、150ナノメートル以上、250ナノメートル以上、350ナノメートル以上、450ナノメートル以上、550ナノメートル以上、650ナノメートル以上、750ナノメートル以上、850ナノメートル以上、950ナノメートル以上、1ミクロン以上、5ミクロン以上、10ミクロン以上、15ミクロン以上、20ミクロン以上、25ミクロン以上、30ミクロン以上、35ミクロン以上、40ミクロン以上、45ミクロン以上、50ミクロン以上、55ミクロン以上、60ミクロン以上、65ミクロン以上、70ミクロン以上、75ミクロン以上、80ミクロン以上、85ミクロン以上、90ミクロン以上、95ミクロン以上、100ミクロン以上、200ミクロン以上、300ミクロン以上、400ミクロン以上、500ミクロン以上、600ミクロン以上、700ミクロン以上、800ミクロン以上、または900ミクロン以上)であり得る。
【0146】
いくつかの実施形態において、繊維材料の平均最大断面サイズは、1000ミクロン以下(例えば、900ミクロン以下、800ミクロン以下、700ミクロン以下、600ミクロン以下、500ミクロン以下、400ミクロン以下、300ミクロン以下、200ミクロン以下、100ミクロン以下、95ミクロン以下、90ミクロン以下、85ミクロン以下、80ミクロン以下、75ミクロン以下、70ミクロン以下、65ミクロン以下、60ミクロン以下、55ミクロン以下、50ミクロン以下、45ミクロン以下、40ミクロン以下、35ミクロン以下、30ミクロン以下、25ミクロン以下、20ミクロン以下、15ミクロン以下、10ミクロン以下、5ミクロン以下、1ミクロン以下、900ナノメートル以下、800ナノメートル以下、700ナノメートル以下、600ナノメートル以下、500ナノメートル以下、400ナノメートル以下、300ナノメートル以下、200ナノメートル以下)であり得る。
【0147】
いくつかの実施形態において、繊維材料の平均最大断面サイズは、約100ナノメートル以上約1000ミクロン以下(例えば、100ナノメートル以上1ミクロン以下、1ミクロン以上10ミクロン以下、10ミクロン以上25ミクロン以下、25ミクロン以上50ミクロン以下、50ミクロン以上75ミクロン以下、75ミクロン以上100ミクロン以下、25ミクロン以上75ミクロン以下、25ミクロン以上100ミクロン以下、100ナノメートル以上10ミクロン以下、100ナノメートル以上25ミクロン以下、1ミクロン以上25ミクロン以下、10ミクロン以上75ミクロン以下、1ミクロン以上1000ミクロン以下、1ミクロン以上900ミクロン以下、1ミクロン以上800ミクロン以下、1ミクロン以上700ミクロン以下、1ミクロン以上600ミクロン以下、1ミクロン以上500ミクロン以下、100ミクロン以上1000ミクロン以下、100ミクロン以上900ミクロン以下、100ミクロン以上800ミクロン以下、100ミクロン以上700ミクロン以下、100ミクロン以上600ミクロン以下、または100ミクロン以上500ミクロン以下)であり得る。いくつかの実施形態において、繊維材料は、平均最大断面サイズが異なる1種以上の繊維のブレンドを含む。換言すると、いくつかの実施形態において、繊維材料の平均最大断面サイズは二峰性(または三峰性など)を示す。いくつかの実施形態において、繊維材料の繊維は、ナノスケールで存在し、平均断面サイズが1ナノメートル以上100ナノメートル以下、または1ナノメートル以上1000ミクロン以下であり得る。
【0148】
本明細書においては、添加物質も開示される。添加物質は、例えば、小分子物質、界面活性剤、またはポリマーを含み得る。いかなる科学的理論にも拘束されることを望むものではないが、添加物質は、繊維材料中のリグニンと相互作用して繊維材料の細胞構造を弱体化させ得る。添加物質は、処理中、触媒的にかつ/または抗力低減剤として作用し得る。
【0149】
添加剤は、リグニンと相互作用可能な水溶性物質であってもよい。添加剤は例えば界面活性剤である。さまざまな界面活性剤が、処理中に、繊維材料と相互作用し(例えば、リグニンを弱体化させ)、触媒的に作用し、抗力低減剤または脱水剤として作用するように、本開示に含まれ得る。本発明で使用される界面活性剤は、親油性の非極性炭化水素基と、極性またはイオン性(例えば、カチオン性、アニオン性、双性など)の官能性親水基とを含有し得る。アニオン性または極性の官能基は、カルボン酸基、エステル基、アミン基、アミド基、イミド基、ヒドロキシル基、エーテル基、ニトリル基、リン酸基、硫酸基、またはスルホン酸基であり得る。カチオン性の官能基は、第一級アミン基、第二級アミン基、第三級アミン基、または第四級アミン基であり得る。本発明において有用なこれらの界面活性剤は、単独で用いられてもよく、組み合わせて用いられてもよい。したがって、界面活性剤の任意の組み合わせには、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、双性(zwitterionic)界面活性剤、両性(amphoteric)界面活性剤、および両性(ampholytic)界面活性剤が含まれ得る。
【0150】
したがって、本発明で使用される界面活性剤は、アニオン界面活性剤であってもよい。アニオン界面活性剤としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、およびアルキルエステルスルホン酸塩などのスルホン酸塩;アルキル硫酸塩、アルキルアルコキシ硫酸塩、およびアルキルアルコキシル化硫酸塩などの硫酸塩;モノアルキルリン酸塩およびジアルキルリン酸塩などのリン酸塩;ホスホン酸塩;脂肪酸、アルキルアルコキシカルボン酸塩、サルコシン酸塩、イセチオン酸塩、およびタウリン酸塩などのカルボン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。カルボン酸塩の具体例としては、ココイルイセチオン酸ナトリウム、オレオイルメチルタウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウレスカルボン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、トリデセスカルボン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ラウロイルサルコシン、およびココイルサルコシン酸塩が挙げられる。硫酸塩の具体例としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、カチオンラウレス硫酸ナトリウム、トリデセス硫酸ナトリウム、トリデシル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸ナトリウム、およびラウリンモノグリセリド硫酸ナトリウム(lauric monoglyceride sodium sulfate)が挙げられる。
【0151】
好適なスルホン酸塩界面活性剤には、アルキルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、リグノスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、モノアルキルスルホコハク酸塩およびジアルキルスルホコハク酸塩、ならびにモノアルキルスルホスクシン酸塩およびジアルキルスルホスクシン酸塩が含まれるが、これらに限定されない。各アルキル基は独立して炭素数約2~20であり、各アルキル基当たり最大約8単位、好ましくは最大約6単位、平均で例えば2、3、もしくは4単位のエチレンオキシドでエトキシル化されていてもよい。アルキルスルホン酸塩およびアリールスルホン酸塩の例示的な例として、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(STBS)およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDBS)がある。
【0152】
スルホコハク酸塩の例示的な例には、スルホコハク酸ジメチコンコポリオール、スルホコハク酸ジアミル、スルホコハク酸ジカプリル、スルホコハク酸ジシクロヘキシル、スルホコハク酸ジヘプチル、スルホコハク酸ジヘキシル、スルホコハク酸ジイソブチル、スルホコハク酸ジオクチル、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム(DOSS)、スルホコハク酸(C12-15)パレス、スルホコハク酸セテアリル、ココポリグルコーススルホコハク酸塩(cocopolyglucose sulfosuccinate)、ココイルブチルグルセス-10スルホコハク酸塩、デセス-5スルホコハク酸塩、デセス-6スルホコハク酸塩、スルホスクシニルウンデシレン酸ジヒドロキシエチル(dihydroxyethyl sulfosuccinylundecylenate)、水添綿実グリセリドスルホコハク酸塩(hydrogenated cottonseed glyceride sulfosuccinate)、スルホコハク酸イソデシル、スルホコハク酸イソステアリル、ラネス-5スルホコハク酸塩、ラウレススルホコハク酸塩、ラウレス-12スルホコハク酸塩、ラウレス-6スルホコハク酸塩、ラウレス-9スルホコハク酸塩、ラウリルスルホコハク酸塩、ノノキシノール-10スルホコハク酸塩、オレス-3スルホコハク酸塩、オレイルスルホコハク酸塩、PEG-10ラウリルクエン酸スルホコハク酸塩、シトセレス(sitosereth)-14スルホコハク酸塩、スルホコハク酸ステアリル、獣脂、スルホコハク酸トリデシル、スルホコハク酸ジトリデシル、ビスグリコールリシノスルホコハク酸塩(bisglycol ricinosulfosuccinate)、ジ(1,3‐ジ‐メチルブチル)スルホコハク酸塩、およびスルホコハク酸シリコーンコポリオールが含まれるが、これらに限定されない。
【0153】
スルホスクシン酸塩の例示的な例には、ラウラミド-MEAスルホコハク酸塩、オレアミドPEG-2スルホコハク酸塩、コカミドMIPA-スルホコハク酸塩、コカミドPEG-3スルホコハク酸塩、イソステアラミドMEA-スルホコハク酸塩、イソステアラミドMIPA-スルホコハク酸塩、ラウラミド-MEAスルホコハク酸塩、ラウラミドPEG-2スルホコハク酸塩、ラウラミドPEG-5スルホコハク酸塩、ミリスタミドMEA-スルホコハク酸塩、オレアミドMEA-スルホコハク酸塩、オレアミドPIPA-スルホコハク酸塩、オレアミドPEG-2スルホコハク酸塩、パルミタミドPEG-2スルホコハク酸塩、パルミトールアミドPEG-2スルホコハク酸塩、PEG-4コカミドMIPA-スルホコハク酸塩、リシノールアミドMEA-スルホコハク酸塩、ステアラミドMEA-スルホコハク酸塩、スルホスクシン酸ステアリル、タラミド(tallamido)MEA-スルホコハク酸塩、獣脂スルホスクシン酸塩、獣脂アミドMEA-スルホコハク酸塩、ウンデシレナミドMEA-スルホコハク酸塩、ウンデシレナミドPEG-2スルホコハク酸塩、小麦胚芽アミド(wheat germamido)MEA-スルホコハク酸塩、および小麦胚芽アミドPEG-2スルホコハク酸塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0154】
アニオン界面活性剤の場合、対イオンは典型的にはナトリウムであるが、代わりに、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、アミン(第一級、第二級、第三級、もしくは第四級)、または他の有機塩基であってもよい。例示的なアミンとしては、イソプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、およびトリエタノールアミンが挙げられる。上記のカチオンの混合物を使用することもできる。
【0155】
いくつかの実施形態において、本発明で使用される界面活性剤は、正味の正電荷を有する少なくとも1つの界面活性剤も含まれる限り、カチオン界面活性剤であってもよい。そのようなカチオン界面活性剤には、主に、第一級、第二級、第三級、または第四級の有機アミンが含まれるが、これらに限定されない。カチオン界面活性剤の場合、対イオンは、塩化物アニオン、臭化物アニオン、メト硫酸アニオン、エト硫酸アニオン、乳酸アニオン、サッカリンアニオン、リン酸アニオン、酢酸アニオン、およびその他の有機酸アニオンであり得る。カチオン性アミンの例としては、ポリエトキシル化オレイル/ステアリルアミン、エトキシル化獣脂アミン、ココアルキルアミン、オレイルアミン、および獣脂アルキルアミンが挙げられる。
【0156】
単一の長いアルキル基を有する第四級アミンの例として、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CETAB)、セチルトリメチルアンモニウムクロリド(CETAC)、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、オレイルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムメトサルフェート(ココトリモニウムメトサルフェートとしても知られる)、セチル-ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムジヒドロゲンホスフェート、バスアミドプロピルコニウムクロリド、ココトリモニウムクロリド、ジステアリルジモニウムクロリド、小麦胚芽-アミドプロパルコニウムクロリド、塩化ベンザルコニウム、ステアリルオクチジウムメトサルフェート、イソステアルアミノプロパル-コニウムクロリド、ジヒドロキシプロピルPEG-5リノールアンモニウムクロリド、PEG-2ステアルモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ジセチルジモニウムクロリド、獣脂トリモニウムクロリド、およびベヘナミドプロピルエチルジモニウムエトサルフェートが挙げられる。
【0157】
2つの長いアルキル基を有する第四級アミンの例として、ジステアリルジモニウムクロリド、ジセチルジモニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド、ステアリルオクチルジモニウムメトサルフェート、二水素化パルモイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、ジパルミトイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、ジオレオイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、およびヒドロキシプロピルビスステアリルジモニウムクロリドが挙げられる。
【0158】
イミダゾリン誘導体の第四級アンモニウム化合物としては、例えば、イソステアリルベンジルイミドニウムクロリド、ココイルベンジルヒドロキシエチルイミダゾリニウムクロリド、ココイルヒドロキシエチルイミダゾリニウムPG-クロリドホスフェート、およびステアリルヒドロキシエチルイミドニウムクロリドが挙げられる。ドデシルピリジニウムクロリドおよびセチルピリジニウムクロリドなどの他の複素環式第四級アンモニウム化合物も使用することができる。
【0159】
本発明で使用される界面活性剤は、非イオン界面活性剤であってもよい。非イオン界面活性剤としては、ポリアルキレンオキシドカルボン酸エステル、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、エトキシル化脂肪アルコール、ポロキサマー、ポリアルキレンオキシド、アルカノールアミド、ポリアクリルアミド、アルコキシル化アルカノールアミド、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、およびアルキル多糖類が挙げられるが、これらに限定されない。ポリアルキレンオキシドカルボン酸エステルは、1つまたは2つの炭素数約8~20のカルボン酸エステル部分と、約5~200個のアルキレンオキシド単位を含むポリアルキレンオキシド部分とを有する。エトキシル化脂肪アルコールは、約5~150個のエチレンオキシド単位を含むエチレンオキシド部分と、炭素数約6~約30の脂肪アルコール部分とを含む。脂肪アルコール部分は、環状であっても直鎖状であっても分枝状であってもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。エトキシル化脂肪アルコールのいくつかの例には、オレスアルコール、ステアレスアルコール、ラウリルアルコール、およびイソセチルアルコールのエチレングリコールエーテルが含まれる。ポロキサマーは、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロック共重合体であり、約15~約100モルのエチレンオキシドを有する。アルキル多糖類(「APS」)界面活性剤(例えば、アルキルポリグリコシド)は、炭素数約6~約30の疎水基と、親水基としての多糖類(例えば、ポリグリコシド)とを含む。
【0160】
好適な非イオン界面活性剤の具体例としては、コカミドジエタノールアミド(「DEA」)、コカミドモノエタノールアミド(「MEA」)、コカミドモノイソプロパノールアミド(「MIPA」)、PEG-5コカミドMEA、ラウラミドDEA、およびラウラミドMEAなどのアルカノールアミド;ラウラミンオキシド、ポリ-N-ビニルホルムアミド、コカミンオキシド、コカミドプロピルアミンオキシド、およびラウラミドプロピルアミンオキシドなどのアルキルアミンオキシド;ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド、およびポリブチレンオキシドなどのポリアルキレンオキシド;ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、およびそれらのブロック共重合体;ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、およびポリソルベート80などのポリソルベートもしくはTween;ポリアクリルアミド-co-アクリル酸ナトリウム(PAAM-co-NaA);ポリアクリルアミド-co-(ナトリウム2-(アクリルアミド)-2メチルプロパンスルホネート)(PAAM-co-NaAMPS);ポリアクリルアミド-co-(ナトリウム3-(アクリルアミド)-3メチルブタノエート)(PAAM-co-NaAMB);およびポリアクリルアミド-co-ジアセトンアクリルアミド(PAAM-coDAAM);アクリルアミド(AM)をベースとする両性高分子電解質(同じ高分子鎖に負電荷と正電荷の両方を含む)、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ナトリウム(NaAMPS)、(2-アクリルアミド2-メチルプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(AMPTAC)、3-アクリルアミド-3-メチルブタン酸ナトリウム(NaAMB)、および3-((2-アクリルアミド-2-メチルプロピル)ジメチルアンモニオ)-1-プロパンスルホネート(AMPDAPS);グアーガム、キサンタンガム、ルーカスビーンガム、ジェランガム、およびアラビアガムなどのガム;ラウリン酸ソルビタン、ジステアリン酸ソルビタン、ラウリン酸、イソステアリン酸、およびジステアリン酸PEG-150などの脂肪酸または脂肪酸エステル;ラウリルアルコールなどの脂肪アルコールまたはエトキシル化脂肪アルコール、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、およびココグルコシドなどのアルキルポリグルコシドが挙げられる。
【0161】
本発明で使用される界面活性剤は、双性であってもよい。つまり、同じ分子が形式的な正電荷と負電荷の両方を有するという意味である。正電荷基は、第四級アンモニウム、ホスホニウム、またはスルホニウムであり得、一方、負電荷基は、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、またはホスホン酸塩であり得る。他の分類の界面活性剤と同様に、疎水性部分は、炭素数約8~18の長い、直鎖状、環状、または分枝状の脂肪族鎖を1つ以上含み得る。双性界面活性剤の具体例としては、ココジメチルカルボキシメチルベタイン、ココベタイン、ラウリルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルα-カルボキシエチルベタイン、セチルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルビス-(2-ヒドロキシエチル)カルボキシメチルベタイン、ステアリルビス-(2-ヒドロキシプロピル)カルボキシメチルベタイン、オレイルジメチルγ-カルボキシプロピルベタイン、およびラウリルビス-(2-ヒドロキシプロピル)αカルボキシ-エチルベタイン、アミドプロピルベタインなどのアルキルベタイン;大豆レシチンなどのレシチン(ホスファチジルコリン);ならびに、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ステアリジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルジメチルスルホエチルベタイン、ラウリルビス-(2-ヒドロキシエチル)スルホプロピルベタイン、およびアルキルアミドプロピルヒドロキシスルタインなどのアルキルスルタインが挙げられる。
【0162】
本発明で使用される界面活性剤は、両性(amphoteric)であってもよい。好適な両性界面活性剤の例としては、アルキルアンフォカルボキシグリシネートおよびアルキルアンフォカルボキシプロピオネート、アルキルアンフォジプロピオネート、アルキルアンフォジアセテート、アルキルアンフォグリシネート、およびアルキルアンフォプロピオネート、ならびにアルキルイミノプロピオネート、アルキルイミノジプロピオネート、およびアルキルアンフォプロピルスルホネートのアンモニウム塩または置換アンモニウム塩が挙げられる。具体例としては、ココアンフォアセテート、ココアンフォプロピオネート、ココアンフォジアセテート、ラウロアンフォアセテート、ラウロアンフォジアセテート、ラウロアンフォジプロピオネート、ラウロアンフォジアセテート、ココアンフォプロピルスルホネート、カプロアンフォジアセテート、カプロアンフォアセテート、カプロアンフォジプロピオネート、およびステアロアンフォアセテートが挙げられる。
【0163】
本発明で使用される界面活性剤は、N-置換ポリイソブテニルコハク酸イミドおよびコハク酸塩、アルキルメタクリレートビニルピロリジノンコポリマー、ポリビニルピロリドン、アルキルメタクリレート-ジアルキルアミノエチルメタクリレートコポリマー、アルキルメタクリレートポリエチレングリコールメタクリレートコポリマー、およびポリステアラミドなどのポリマーであり得る。
【0164】
あるいは、界面活性剤は、油性分散剤であってもよい。油性分散剤としては、アルキルコハク酸イミド、コハク酸エステル、高分子量アミン、ならびにマンニッヒ塩基およびリン酸誘導体が挙げられる。いくつかの具体例としては、ポリイソブテニルコハク酸イミド-ポリエチレンポリアミン、ポリイソブテニルコハク酸エステル、ポリイソブテニルヒドロキシベンジル-ポリエチレンポリアミン、およびビス-ヒドロキシプロピルホスホレート(phosphorate)が挙げられる。
【0165】
本発明で使用される界面活性剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、双性界面活性剤、両性(amphoteric)界面活性剤、および両性(ampholytic)界面活性剤からなる群から選択される2つ以上の組み合わせであってもよい。同じタイプの2つ以上の界面活性剤の組み合わせの好適な例としては、2つのアニオン界面活性剤の混合物、3つのアニオン界面活性剤の混合物、4つのアニオン界面活性剤の混合物、2つのカチオン界面活性剤の混合物、3つのカチオン界面活性剤の混合物、4つのカチオン界面活性剤の混合物、2つの非イオン界面活性剤の混合物、3つの非イオン界面活性剤の混合物、4つの非イオン界面活性剤の混合物、2つの双性界面活性剤の混合物、3つの双性界面活性剤の混合物、4つの双性界面活性剤の混合物、2つの両性(amphoteric)界面活性剤の混合物、3つの両性(amphoteric)界面活性剤の混合物、4つの両性(amphoteric)界面活性剤の混合物、2つの両性(ampholytic)界面活性剤の混合物、3つの両性(ampholytic)界面活性剤の混合物、および4つの両性(ampholytic)界面活性剤の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0166】
異なるタイプの2つの界面活性剤の組み合わせの好適な例としては、1つのアニオン界面活性剤と1つのカチオン界面活性剤の混合物、1つのアニオン界面活性剤と1つの非イオン界面活性剤の混合物、1つのアニオン界面活性剤と1つの双性界面活性剤の混合物、1つのアニオン界面活性剤と1つの両性(amphoteric)界面活性剤の混合物、1つのアニオン界面活性剤と1つの両性(ampholytic)界面活性剤の混合物、1つのカチオン面活性剤と1つの非イオン界面活性剤の混合物、1つのカチオン界面活性剤と1つの双性界面活性剤の混合物、1つのカチオン界面活性剤と1つの両性(amphoteric)界面活性剤の混合物、1つのカチオン界面活性剤と1つの両性(ampholytic)界面活性剤の混合物、1つの非イオン界面活性剤と1つの双性界面活性剤の混合物、1つの非イオン界面活性剤と1つの両性(amphoteric)界面活性剤の混合物、1つの非イオン界面活性剤と1つの両性(ampholytic)界面活性剤の混合物、1つの双性界面活性剤と1つの両性(amphoteric)界面活性剤の混合物、1つの双性界面活性剤と1つの両性(ampholytic)界面活性剤の混合物、および1つの両性(amphoteric)界面活性剤と1つの両性(ampholytic)界面活性剤の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。同じタイプの2つ以上の界面活性剤の組み合わせ、例えば、2つのアニオン界面活性剤の混合物もまた、本発明に含まれる。
【0167】
添加剤の分子量は、約30g/mol以上約10,000,000g/mol以下であり得る。添加剤の分子量は、約500g/mol以上約10,000,000g/mol以下であり得る。添加剤の分子量は、約50g/mol以上約10,000,000g/mol以下であり得る。添加剤の分子量は、約100g/mol以上約10,000,000g/mol以下であり得る。添加剤の分子量は、約250g/mol以上約10,000,000g/mol以下であり得る。添加剤の分子量は、約1,000g/mol以上約10,000,000g/mol以下であり得る。添加剤の分子量は、約1,000g/mol以上約8,000,000g/mol以下であり得る。あるいは、添加剤の分子量は、約5,000g/mol以上約10,000,000g/mol以下、約100,000g/mol以上約10,000,000g/mol以下、約500g/mol以上約1,000,000g/mol以下、約1,000g/mol以上約1,000,000g/mol以下、約1,000g/mol以上約2,000,000g/mol以下、約1,000g/mol以上約3,000,000g/mol以下、または約500g/mol以上約8,000,000g/mol以下であり得る。
【0168】
本開示の実施形態は、乾燥パルプ製品を提供することができる。乾燥パルプ製品は、本開示のプロセスを用いて繊維材料から製造することができ、爆砕された細胞構造を有し得る。乾燥パルプ製品は、さらに処理を行ってペレット、ブリケット、ベール、またはその他の付加価値製品にすることができる。乾燥パルプ製品の粒度(例えば、平均粒子径)は、約1mm以上約10mm以下(例えば、1.5mm以上9.5mm以下、2mm以上9mm以下、2.5mm以上8.5mm以下、3mm以上8mm以下、3.5mm以上7.5mm以下、4mm以上7mm以下、4.5mm以上6.5mm以下、または5mm以上6mm以下)であり得る。
【0169】
本開示の実施形態は、リグニンと水とを含む繊維材料を含む繊維ペレットを提供することができる。本開示の繊維ペレットは、実質的に脱水されたものであり得る。換言すると、繊維ペレットに含まれる水の量は、繊維ペレットの総重量に対して、約20重量%以下(例えば、19重量%以下、18重量%以下、17重量%以下、16重量%以下、15重量%以下、14重量%以下、13重量%以下、12重量%以下、11重量%以下、10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、7重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4.5重量%以下、4重量%以下、3.5重量%以下、3%重量以下、2.5重量%以下、2重量%以下、1.5重量%以下、1重量%以下、または0.5重量%以下)であり得る。
【0170】
いくつかの実施形態において、繊維ペレットに含まれる水の量は、繊維ペレットの総重量に対して、約0.1重量%以上(例えば、19重量%以上、18重量%以上、17重量%以上、16重量%以上、15重量%以上、14重量%以上、13重量%以上、12重量%以上、11重量%以上、10重量%以上、9重量%以上、8重量%以上、7重量%以上、6重量%以上、5重量%以上、4.5重量%以上、4重量%以上、3.5重量%以上、3重量%以上、2.5重量%以上、2重量%以上、1.5重量%以上、1重量%以上、または0.5重量%以上)であり得る。
【0171】
いくつかの実施形態において、繊維ペレットに含まれる水の量は、繊維ペレットの総重量に対して、約0.1重量%以上約20重量%以下(例えば、0.1重量%以上19重量%以下、0.5重量%以上18重量%以下、1重量%以上17重量%以下、1重量%以上20重量%以下、1重量%以上19重量%以下、1重量%以上18重量%以下、1重量%以上16重量%以下、2重量%以上18重量%以下、3重量%以上17重量%以下、4重量%以上16重量%以下、5重量%以上15重量%以下、6重量%以上14重量%以下、7重量%以上13重量%以下、8重量%以上12重量%以下、9重量%以上11重量%以下、0.5重量%以上4.5重量%以下、1重量%以上5重量%以下、1重量%以上4.5重量%以下、1重量%以上4重量%以下、1.5重量%以上3.5重量%以下、または2重量%以上3重量%以下)であり得る。
【0172】
本開示の繊維ペレットは、従来の繊維ペレットに比べても、実質的に改善された機械的性質および構造的完全性を示し得る。例えば、繊維ペレットのペレット耐久性指数(PDI)は、75以上(例えば、76以上、77以上、78以上、79以上、80以上、81以上、82以上、83以上、84以上、85以上、86以上、87以上、88以上、89以上、90以上、91以上、92以上、93以上、94以上、95以上、96以上、97以上、98以上、99以上、または100)であり得る。繊維ペレットのPDIは、例えば、ASAE規格 S269.5 R2016を用いて測定することができる。さらに、本開示の繊維ペレットは、改善された構造的完全性を有し得る。例えば、繊維ペレットは、約1分間~約1年間水中に置いたとき、実質的に最小限の劣化しかしない。本明細書において「実質的に最小限の劣化」とは、繊維ペレットのかさ密度の変化量が10%以下であることと定義される。換言すると、繊維ペレットは、水中時の膨潤および/または吸水が最小限である。
【0173】
また、繊維ペレットは、かさ密度が約15kg/m3以上(例えば、20kg/m3以上、25kg/m3以上、30kg/m3以上、35kg/m3以上、40kg/m3以上、45kg/m3以上、50kg/m3以上、60kg/m3以上、70kg/m3以上、80kg/m3以上、90kg/m3以上、100kg/m3以上、150kg/m3以上、200kg/m3以上、250kg/m3以上、300kg/m3以上、350kg/m3以上、400kg/m3以上、450kg/m3以上、500kg/m3以上、550kg/m3以上、600kg/m3以上、650kg/m3以上、700kg/m3以上、または750kg/m3以上)であり得る。
【0174】
繊維ペレットのかさ密度は、約800kg/m3以下(例えば、20kg/m3以下、25kg/m3以下、30kg/m3以下、35kg/m3以下、40kg/m3以下、45kg/m3以下、50kg/m3以下、60kg/m3以下、70kg/m3以下、80kg/m3以下、90kg/m3以下、100kg/m3以下、150kg/m3以下、200kg/m3以下、250kg/m3以下、300kg/m3以下、350kg/m3以下、400kg/m3以下、450kg/m3以下、500kg/m3以下、550kg/m3以下、600kg/m3以下、650kg/m3以下、700kg/m3以下、または750kg/m3以下)であり得る。
【0175】
繊維ペレットのかさ密度は、約15kg/m3以上約800kg/m3以下(例えば、20kg/m3以上800kg/m3以下、25kg/m3以上800kg/m3以下、30kg/m3以上800kg/m3以下、35kg/m3以上800kg/m3以下、40kg/m3以上800kg/m3以下、45kg/m3以上800kg/m3以下、50kg/m3以上800kg/m3以下、60kg/m3以上800kg/m3以下、70kg/m3以上800kg/m3以下、80kg/m3以上800kg/m3以下、90kg/m3以上800kg/m3以下、100kg/m3以上800kg/m3以下、150kg/m3以上800kg/m3以下、200kg/m3以上800kg/m3以下、250kg/m3以上800kg/m3以下、300kg/m3以上800kg/m3以下、350kg/m3以上800kg/m3以下、400kg/m3以上800kg/m3以下、450kg/m3以上800kg/m3以下、500kg/m3以上800kg/m3以下、550kg/m3以上800kg/m3以下、600kg/m3以上800kg/m3以下、650kg/m3以上800kg/m3以下、700kg/m3以上800kg/m3以下、750kg/m3以上800kg/m3以下、100kg/m3以上750kg/m3以下、100kg/m3以上700kg/m3以下、150kg/m3以上650kg/m3以下、250kg/m3以上750kg/m3以下、300kg/m3以上700kg/m3以下、350kg/m3以上650kg/m3以下、400kg/m3以上600kg/m3、または450kg/m3以上550kg/m3以下)であり得る。
【0176】
繊維ペレットは、上記繊維材料中に複数本の露出したセルロース繊維も含み得る。複数本の露出したセルロース繊維のそれぞれは、
図5Bに示すように、少なくとも1本の他の露出したセルロース繊維ともつれ合った状態であり得る。繊維ペレット中に存在する露出したセルロース繊維の量は、ペレットの総重量に対して、2重量%以上(例えば、3重量%以上、4重量%以上、5重量%以上、6重量%以上、7重量%以上、8重量%以上、9重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、または95重量%以上)であり得る。
【0177】
繊維ペレット中に存在する露出したセルロース繊維の量は、ペレットの総重量に対して、99重量%以下(例えば、3重量%以下、4重量%以下、5重量%以下、6重量%以下、7重量%以下、8重量%以下、9重量%以下、10重量%以下、15重量%以下、20重量%以下、25重量%以下、30重量%以下、35重量%以下、40重量%以下、45重量%以下、50重量%以下、55重量%以下、60重量%以下、65重量%以下、70重量%以下、75重量%以下、80重量%以下、85重量%以下、90重量%以下、または95重量%以下)であり得る。
【0178】
繊維ペレット中に存在する露出したセルロース繊維の量は、ペレットの総重量に対して、2重量%以上99重量%以下(例えば、2重量%以上98重量%以下、2重量%以上95重量%以下、2重量%以上90重量%以下、2重量%以上85重量%以下、2重量%以上80重量%以下、2重量%以上75重量%以下、2重量%以上70重量%以下、2重量%以上65重量%以下、2重量%以上60重量%以下、2重量%以上55重量%以下、2重量%以上50重量%以下、2重量%以上45重量%以下、2重量%以上40重量%以下、2重量%以上35重量%以下、2重量%以上30重量%以下、2重量%以上25重量%以下、3重量%以上99重量%以下、4重量%以上99重量%以下、5重量%以上99重量%以下、5重量%以上95重量%以下、5重量%以上90重量%以下、5重量%以上85重量%以下、5重量%以上80重量%以下、5重量%以上75重量%以下、5重量%以上70重量%以下、5重量%以上65重量%以下、5重量%以上60重量%以下、5重量%以上55重量%以下、5重量%以上50重量%以下、5重量%以上45重量%以下、5重量%以上40重量%以下、5重量%以上35重量%以下、5重量%以上30重量%以下、または5重量%以上25重量%以下)であり得る。
【0179】
本開示の実施形態は、上記繊維材料に由来する液体製品も提供することができ、液体製品は、固体または液体の粒子、バイオスティミュラント化合物、ミネラル、アミノ酸、有機酸、タンパク質、水、およびリグニンを含む。バイオスティミュラント化合物は、フミン酸、フルボ酸、またはその他の有機酸などの化合物を含むことができる。液体製品は、他のバイオスティミュラント化合物を含むこともでき、他のバイオスティミュラント化合物としては、フミン酸誘導体、フミン酸塩、他の有機酸、腐植質、フミン、リグノスルホン酸塩、乳酸、酢酸、ギ酸、クエン酸、シュウ酸、尿酸、リンゴ酸、土壌有機物のその他の誘導体、腐植物、他の生物活性化合物など、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ミネラルには、カリウム、リン、窒素、カルシウム、マグネシウム、硫黄、ナトリウム、鉄、マンガン、亜鉛、銅、もしくはその他の天然ミネラルなど、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。液体製品は、グルタミン酸またはトリプトファンなどのアミノ酸をさらに含むことができる。液体製品は、他の揮発性有機化合物および非揮発性有機化合物をさらに含むことができる。
【0180】
液体製品中に存在するバイオスティミュラント化合物の量は、液体製品の総重量に対して、約0.001重量%以上(例えば、0.005重量%以上、0.01重量%以上、0.05重量%以上、0.1重量%以上、0.2重量%以上、0.3重量%以上、0.4重量%以上、0.5重量%以上、0.6重量%以上、0.7重量%以上、0.8重量%以上、0.9重量%以上、1重量%以上、1.1重量%以上、1.2重量%以上、1.3重量%以上、1.4重量%以上、1.5重量%以上、2重量%以上、2.5重量%以上、3重量%以上、3.5重量%以上、4重量%以上、4.5重量%以上、5重量%以上、5.5重量%以上、6重量%以上、6.5重量%以上、7重量%以上、7.5重量%以上、8重量%以上、8.5重量%以上、9重量%以上、または9.5重量%以上)であり得る。
【0181】
いくつかの実施形態において、液体製品中に存在するバイオスティミュラント化合物の量は、液体製品の総重量に対して、約10重量%以下(例えば、0.005重量%以下、0.01重量%以下、0.05重量%以下、0.1重量%以下、0.2重量%以下、0.3重量%以下、0.4重量%以下、0.5重量%以下、0.6重量%以下、0.7重量%以下、0.8重量%以下、0.9重量%以下、1重量%以下、1.1重量%以下、1.2重量%以下、1.3重量%以下、1.4重量%以下、1.5重量%以下、2重量%以下、2.5重量%以下、3重量%以下、3.5重量%以下、4重量%以下、4.5重量%以下、5重量%以下、5.5重量%以下、6重量%以下、6.5重量%以下、7重量%以下、7.5重量%以下、8重量%以下、8.5重量%以下、9重量%以下、または9.5重量%以下)であり得る。
【0182】
いくつかの実施形態において、液体製品中に存在するバイオスティミュラント化合物の量は、液体製品の総重量に対して、約0.001重量%以上約20重量%以下(例えば、0.005重量%以上10重量%以下、0.01重量%以上10重量%以下、0.05重量%以上10重量%以下、0.1重量%以上10重量%以下、0.2重量%以上10重量%以下、0.3重量%以上10重量%以下、0.4重量%以上10重量%以下、0.5重量%以上10重量%以下、0.6重量%以上10重量%以下、0.7重量%以上10重量%以下、0.8重量%以上10重量%以下、0.9重量%以上10重量%以下、1重量%以上10重量%以下、1重量%以上9.5重量%以下、1重量%以上9重量%以下、1.5重量%以上8.5重量%以下、2重量%以上8重量%以下、2.5重量%以上7.5重量%以下、3重量%以上7重量%以下、3重量%以上6.5重量%以下、3重量%以上6重量%以下、3重量%以上5.5重量%以下、3重量%以上5重量%以下、2.5重量%以上5重量%以下、2重量%以上5重量%以下、1.5重量%以上5重量%以下、1.4重量%以上5重量%以下、1.3重量%以上5重量%以下、1.2重量%以上5重量%以下、1.1重量%以上5重量%以下、1重量%以上5重量%以下、0.9重量%以上5重量%以下、0.8重量%以上5重量%以下、0.7重量%以上5重量%以下、0.6重量%以上5重量%以下、0.5重量%以上5重量%以下、0.4重量%以上5重量%以下、0.3重量%以上5重量%以下、0.2重量%以上5重量%以下、または0.1重量%以上5重量%以下)であり得る。
【0183】
液体製品に含まれる水の量は、液体製品の総重量に対して、約50重量%以上(例えば、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、または85重量%以上)であり得る。いくつかの実施形態において、液体製品に含まれる水の量は、液体製品の総重量に対して、約90重量%以下(例えば、55重量%以下、60重量%以下、65重量%以下、70重量%以下、75重量%以下、80重量%以下、または85重量%以下)であり得る。いくつかの実施形態において、液体製品に含まれる水の量は、液体製品の総重量に対して、約50重量%以上約90重量%以下(例えば、55重量%以上85重量%以下、60重量%以上80重量%以下、または65重量%以上75重量%以下)であり得る。
【0184】
また、液体製品に含まれるリグニンの量は、液体製品の総重量に対して、約0.01重量%以上(例えば、0.05重量%以上、0.1重量%以上、0.5重量%以上、1重量%以上、2重量%以上、3重量%以上、4重量%以上、5重量%以上、6重量%以上、7重量%以上、8重量%以上、9重量%以上、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、または70重量%以上)であり得る。
【0185】
いくつかの実施形態において、液体製品に含まれるリグニンの量は、液体製品の総重量に対して、約75重量%以下(例えば、0.05重量%以下、0.1重量%以下、0.5重量%以下、1重量%以下、2重量%以下、3重量%以下、4重量%以下、5重量%以下、6重量%以下、7重量%以下、8重量%以下、9重量%以下、10重量%以下、15重量%以下、20重量%以下、25重量%以下、30重量%以下、35重量%以下、40重量%以下、45重量%以下、50重量%以下、55重量%以下、60重量%以下、65重量%以下、または70重量%以下)であり得る。
【0186】
いくつかの実施形態において、液体製品に含まれるリグニンの量は、液体製品の総重量に対して、約0.01重量%以上約75重量%以下(例えば、0.05重量%以上75重量%以下、0.1重量%以上75重量%以下、0.5重量%以上75重量%以下、1重量%以上75重量%以下、2重量%以上75重量%以下、2重量%以上75重量%以下、3重量%以上75重量%以下、4重量%以上75重量%以下、5重量%以上75重量%以下、6重量%以上75重量%以下、7重量%以上75重量%以下、8重量%以上75重量%以下、9重量%以上75重量%以下、10重量%以上75重量%以下、15重量%以上75重量%以下、20重量%以上75重量%以下、25重量%以上75重量%以下、30重量%以上70重量%以下、35重量%以上65重量%以下、40重量%以上60重量%以下、または45重量%以上55重量%以下)であり得る。
【0187】
液体製品は、種々の乾燥物も含み得る。換言すると、液体製品の固形分含量は、液体製品の総重量に対して、約0.0001重量%以上(例えば、0.0005重量%以上、0.001重量%以上、0.005重量%以上、0.01重量%以上、0.05重量%以上、0.1重量%以上、0.5重量%以上、1重量%以上、1.5重量%以上、2重量%以上、2.5重量%以上、3重量%以上、3.5重量%以上、4重量%以上、4.5重量%以上、5重量%以上、6重量%以上、7重量%以上、8重量%以上、9重量%以上、10重量%以上、11重量%以上、12重量%以上、13重量%以上、14重量%以上、15重量%以上、16重量%以上、17重量%以上、18重量%以上、19重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、または45重量%以上)であり得る。
【0188】
いくつかの実施形態において、液体製品の固形分含量は、液体製品の総重量に対して、約50重量%以下(例えば、0.0005重量%以下、0.001重量%以下、0.005重量%以下、0.01重量%以下、0.05重量%以下、0.1重量%以下、0.5重量%以下、1重量%以下、1.5重量%以下、2重量%以下、2.5重量%以下、3重量%以下、3.5重量%以下、4重量%以下、4.5重量%以下、5重量%以下、6重量%以下、7重量%以下、8重量%以下、9重量%以下、10重量%以下、11重量%以下、12重量%以下、13重量%以下、14重量%以下、15重量%以下、16重量%以下、17重量%以下、18重量%以下、19重量%以下、20重量%以下、25重量%以下、30重量%以下、35重量%以下、40重量%以下、または45重量%以下)であり得る。
【0189】
いくつかの実施形態において、液体製品の固形分含量は、液体製品の総重量に対して、約0.0001重量%以上約50重量%以下(例えば、0.0005重量%以上50重量%以下、0.001重量%以上50重量%以下、0.005重量%以上50重量%以下、0.01重量%以上50重量%以下、0.05重量%以上50重量%以下、0.1重量%以上50重量%以下、0.5重量%以上50重量%以下、1重量%以上50重量%以下、0.0005重量%以上20重量%以下、0.001重量%以上20重量%以下、0.005重量%以上20重量%以下、0.01重量%以上20重量%以下、0.05重量%以上20重量%以下、0.1重量%以上20重量%以下、0.5重量%以上20重量%以下、1重量%以上20重量%以下、0.0005重量%以上19重量%以下、0.001重量%以上18重量%以下、0.005重量%以上17重量%以下、0.01重量%以上16重量%以下、0.05重量%以上15重量%以下、0.1重量%以上14重量%以下、0.5重量%以上13重量%以下、1重量%以上12重量%以下、1.5重量%以上11重量%以下、2重量%以上10重量%以下、2重量%以上9重量%以下、2重量%以上8重量%以下、2重量%以上7重量%以下、2重量%以上6重量%以下、2重量%以上5重量%以下、2.5重量%以上4.5重量%以下、または3重量%以上4重量%以下)であり得る。
【0190】
液体製品は、酸性であってもよい。例えば、液体製品は、pHが、約7以下(例えば、6.5以下、6以下、5.5以下、5以下、4.5以下、4以下、3.5以下、3以下、2.5以下、2以下、1.5以下、1以下または0.5以下)であり得る。いくつかの実施形態において、液体製品のpHは、約0以上(例えば、6.5以上、6以上、5.5以上、5以上、4.5以上、4以上、3.5以上、3以上、2.5以上、2以上、1.5以上、1以上、または0.5以上)であり得る。いくつかの実施形態において、液体製品のpHは、約0以上約7以下(例えば、0.5以上6.5以下、1以上6以下、1.5以上5.5以下、2以上5以下、2.5以上4.5以下、3以上4以下、0以上6.5以下、0以上6以下、0以上5.5以下、0以上5以下、0以上4.5以下、または0以上4以下)であり得る。
【0191】
さらに、液体製品は、原料中に液状で存在する実質的にすべてのVOCを同伴することができる。換言すると、液体製品にVOCが実質的に封じ込められるため、液体製品の製造プロセスによって発生する気相のVOCは実質的に微量でしかない。本明細書において用いられる「実質的に微量のVOC」なる語句は、VOCの発生量が約10ppm以下であることをいう。
【0192】
また、本明細書においては、上記の液体製品を用いて植物の成長を促進する方法も開示される。本方法は、当該植物に液体製品を投与することを含み得る。種々の液体製品が、上述のように調製可能であり、本開示の範囲内であると考えられ、理解される。
【0193】
ここで、開示された技術の例示的な実施形態を詳細に参照する。それらの例が、添付の図面に示され、本明細書中に開示されている。都合のよい場合には、同じまたは類似の部分を示すために図面全体で同じ参照符号が使用される。
【0194】
図1は、本開示の例示的なプロセス100を示すフローチャートである。ブロック110に示すように、添加剤112を原料114と混合して第1の混合物116を得ることができる。原料114は、繊維材料と水とを含み得る。繊維材料は、リグニンを含み得、本開示の繊維材料から選択することができる。添加剤112の例は上記の通りであるが、抑制剤、消泡剤、指示薬、染料などの他の要素が添加剤112に含まれていてもよいことが理解されるべきである。プロセス100は、次いで、ブロック120またはプロセス100の図示しない他のステップに進むことができる。
【0195】
原料114に関して、原料114に含まれる水の量は、原料114の総重量に対して、約5重量%以上(例えば、10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、30重量%以上、35重量%以上、40重量%以上、45重量%以上、50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、または90重量%以上)であり得る。また、原料114に含まれる水の量は、原料114の総重量に対して、約95重量%以下(例えば、10重量%以下、15重量%以下、20重量%以下、25重量%以下、30重量%以下、35重量%以下、40重量%以下、45重量%以下、50重量%以下、55重量%以下、60重量%以下、65重量%以下、70重量%以下、75重量%以下、80重量%以下、85重量%以下、または90重量%以下)であり得る。あるいは、原料114に含まれる水の量は、原料114の総重量に対して、約5重量%以上約95重量%以下(例えば、5重量%以上90重量%以下、10重量%以上90重量%以下、15重量%以上85重量%以下、20重量%以上80重量%以下、25重量%以上75重量%以下、30重量%以上70重量%以下、35重量%以上65重量%以下、40重量%以上60重量%以下、または45重量%以上55重量%以下)であり得る。
【0196】
ここでブロック120を参照すると、ブロック120において、第1の混合物116を調整して液体製品122および乾燥パルプ製品124を得ることができる。ブロック120における調整の詳細なステップは、
図3によってより具体的に概説する。液体製品122は、原料114中に液状で存在する実質的に全てのVOCを同伴することができる。換言すると、ブロック120における調整ステップは、気相のVOCを実質的に検出不可能な量でしか発生させない。これは、VOCが液体製品122に実質的に封じ込められているためである。液体製品122の例は上記の通りであるが、液体製品122が本開示の任意の実施形態に係る組成を有し得ることが理解されるべきである。
【0197】
ブロック120における調整ステップは、追加の熱をほとんどまたはまったく必要としない温度で行うことができる。換言すると、調整は、外部熱源を必要とせずに、実質的に自己発熱することができる。例えば、ブロック120における調整ステップは、約350°F以下(例えば、340°F以下、330°F以下、320°F以下、310°F以下、300°F以下、290°F以下、280°F以下、270°F以下、260°F以下、250°F以下、240°F以下、230°F以下、220°F以下、または210°F以下)の温度で行うことができる。また、ブロック120における調整ステップは、約200°F以上(例えば、340°F以上、330°F以上、320°F以上、310°F以上、300°F以上、290°F以上、280°F以上、270°F以上、260°F以上、250°F以上、240°F以上、230°F以上、220°F以上、または210°F以上)の温度で行うことができる。さらに、ブロック120における調整ステップは、約200°F以上約350°F以下(例えば、210°F以上340°F以下、220°F以上330°F以下、230°F以上320°F以下、240°F以上310°F以下、250°F以上300°F以下、200°F以上300°F以下、210°F以上290°F以下、220°F以上280°F以下、230°F以上270°F以下、または240°F以上260°F以下)の温度で行うことができる。
【0198】
乾燥パルプ製品124は、繊維材料と水とを含み得る。繊維材料は、原料114の繊維材料と実質的に同様であり得る。乾燥パルプ製品124は、実質的に脱水されていてもよい。例えば、乾燥パルプ製品124に含まれる水の量は、乾燥パルプ製品124の総重量に対して、約35重量%以下(例えば、30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、または1重量%以下)であり得る。また、乾燥パルプ製品124に含まれる水の量は、乾燥パルプ製品124の総重量に対して、約0.5重量%以上(例えば、30重量%以上、25重量%以上、20重量%以上、15重量%以上、10重量%以上、5重量%以上、4重量%以上、3重量%以上、2重量%以上、または1重量%以上)であり得る。あるいは、乾燥パルプ製品124に含まれる水の量は、乾燥パルプ製品124の総重量に対して、約0.5重量%以上約35重量%以下(例えば、0.5重量%以上30重量%以下、1重量%以上25重量%以下、2重量%以上20重量%以下、3重量%以上15重量%以下、4重量%以上10重量%以下、5重量%以上10重量%以下、5重量%以上15重量%以下、5重量%以上20重量%以下、5重量%以上25重量%以下、5重量%以上30重量%以下、10重量%以上30重量%以下、15重量%以上30重量%以下、または20重量%以上30重量%以下)であり得る。プロセス100は、ブロック120の後で、終了してもよく、ブロック130に進んでもよい。プロセス100は、プロセス100の図示しない他のステップに追加で進んでもよい。
【0199】
ブロック130において、乾燥パルプ製品124をさらに処理して有用な製品にすることができる。例えば、乾燥パルプ製品124をペレット化して繊維ペレットを形成することができる。繊維ペレットの例は上記の通りであるが、繊維ペレットは本開示の任意の実施形態に係る組成を有し得ることが理解されるべきである。本明細書において開示される技術により製造された繊維ペレットを
図4Bに示し、
図4Aに示す従来のプロセスによって生産された繊維ペレットと比較する。さらに、従来のプロセスによって生産された繊維ペレットの走査型電子顕微鏡(SEM)画像を
図5Aに示し、
図5Bに示す本開示のプロセスによって生産された繊維ペレットのSEM画像と比較する。あるいは、乾燥パルプ製品124を粉砕して微粒子にすることができる。微粒子は、包装材料、繊維板、板紙などにおいて使用することができる。乾燥パルプ製品124は、製紙に用いたり、他のリグノセルロース系製品の生産に用いたりすることも可能である。乾燥パルプ製品124は、他の繊維材料の機械的性質を改善するためにバインダ繊維として使用することもできる。プロセス100は、ブロック130の後、終了して完了できる。しかしながら、他の実施形態において、プロセス100を続けて図示しない他の処理ステップに進むことができる。
【0200】
図2は、従来のプロセス200を示すフローチャートである。ブロック210に示すように、原料214aは、機械的粉砕処理を受け得る。機械的粉砕処理を完了するために第1の量のシャフトワークが必要である。従来、ブロック210に必要な作業は時間と費用がかかるものであり、非効率なプロセスとなっている。機械的粉砕処理に必要な設備も高価であり、複雑で保守が難しい。そのため、従来のプロセス200のブロック210は望ましくない。従来のプロセス200は、その後、ブロック220に進み得る。
【0201】
ブロック220において、粉砕後の原料214bを1つ以上の乾燥機によって乾燥させて乾燥原料214cを得ることができる。上記1つ以上の乾燥機は、粉砕後原料214bに乾燥機の中を移動させるために、追加のシャフトワークを必要とし、また、上記1つ以上の乾燥機は、粉砕後原料214bの温度を上昇させるために、追加の熱も必要とする。典型的には水を蒸発させるために、1つ以上の乾燥機を加熱するのに必要なエネルギーは、非常に高く、法外にコストがかかる。さらに、粉砕後原料214bを乾燥させるために高温が用いられる結果として、いくつかのVOCが放出される。それらのVOCは、さらに処理される必要があり、追加の高価な設備とエネルギー要件を必要とするか、または、単に大気中に放出され、有害な環境影響を引き起こすか、のいずれかである。そのため、従来のプロセス200のブロック220は望ましくない。従来のプロセス200は、その後、ブロック230に進み得る。
【0202】
ブロック230において、乾燥原料214cに機械的粉砕処理を行って乾燥パルプ製品234を得ることができる。ブロック210と同様に、この機械的粉砕処理を完了するためにも第2の量のシャフトワークが必要である。従来、ブロック230に必要な作業は、時間と費用がかかるものであり、非効率なプロセスとなっている。機械的粉砕処理に必要な設備も高価であり、複雑で保守が難しい。さらに、機械的粉砕処理は、乾燥原料214cを完全にはパルプ化、つまり微粉砕できない。繊維は、さらに粉砕しなければならず、全体強度を低下させるか、または、そのままにしておかれ、凝集を増加させて均一性を低下させる。そのため、従来のプロセス200のブロック230は望ましくない。従来のプロセス200は、ブロック230後、終了して完了できる。しかしながら、他の実施形態において、従来のプロセス200を続けて図示しない他のプロセスステップに進むことができる。
【0203】
従来のプロセス200と対照的に、
図1のプロセス100などの本開示のプロセスは、追加のシャフトワークをほんの少ししか必要とせず、追加の熱もほとんどまたはまったく必要としない。その上、本開示のプロセスは、上述のように、液状のVOCのすべてを実質的に液体製品に同伴させることができ、全体的な環境への影響を低減させる。さらに、追加の熱がほとんどないため、本開示のプロセス中の繊維材料の繊維の角質化を少なくすることができる。この結果、従来のプロセスによって生産された繊維よりもはるかに圧縮性が高い、機械的に優れた繊維となる。したがって、本開示のプロセスは、同じ目標を達成するために用いられる従来のプロセスに比べて、より費用対効果が高く、エネルギー効率が高く、環境に優しい。
【0204】
図3Aは、本開示の例示的な調整プロセス300のフローチャートを示す。理解されるように、調整プロセス300は、実質的に
図1のブロック120において行うことができる。図示するように、ブロック310において、繊維材料(すなわち、第1の混合物116中の)を添加剤と実質的に相互作用させることができる。この相互作用によって、添加剤と繊維材料との間で実質的に処理済みの材料を形成することができる。いかなる科学的理論にも拘束されることを望むものではないが、添加剤は、繊維材料中のリグニンと相互作用して、リグノセルロース細胞の剛性を低下させ、リグニンの可塑性を高めることができる。その後、調整プロセス300は、ブロック320または調整プロセス300の図示しない他のステップに進むことができる。
【0205】
ブロック320において、繊維材料(すなわち、ブロック310で得られた処理済み材料)中の水の第1の部分を遊離させることができる。いかなる科学的理論にも拘束されることを望むものではないが、添加剤は、繊維材料に対する脱水効果または流動抵抗低減効果を発揮し、繊維材料から第1の量の自由水を遊離させることができる。この効果が、調整プロセス300によって除去される水の量を増加させ、追加の乾燥ステップの必要性を低減させる。調整プロセス300は、その後、ブロック330または調整プロセス300の図示しない他のステップに進むことができる。
【0206】
ブロック330において、繊維材料(すなわち、処理済み材料中の)に添加剤を注入することができる。いかなる科学的理論にも拘束されることを望むものではないが、水の解放された第1の部分が添加剤を可溶化し、添加剤を繊維材料に染み込むことを可能にする。調整プロセス300は、その後、ブロック340または調整プロセス300の図示しない他のステップに進むことができる。
【0207】
ブロック340において、繊維材料と注入された添加剤とを相互作用させて、繊維材料中のリグニンを弱体化させることができる。ブロック310において上述したように、いかなる科学的理論にも拘束されることを望むものではないが、添加剤は、繊維材料中のリグニンと相互作用して、リグノセルロース細胞の剛性を低下させ、リグニンの可塑性を高めることができる。ブロック330における注入は、相互作用をさらに強めることができ、ブロック340において処理済み材料をさらに均質化させることができる。調整プロセス300は、その後、
図3Bに示すようにブロック350に進むか、調整プロセス300の図示しない他のステップに進むか、またはブロック340の後で終了することができる。
【0208】
図3Bは、本開示の例示的な調整プロセス300のフローチャートを示す。該プロセスを実施するためのシステムおよび機械を
図4に詳細に示す。図示するように、ブロック350において、繊維材料に圧力勾配を加えることができる。この圧力上昇により、材料の温度を上昇させることができる。いかなる科学的理論にも拘束されることを望むものではないが、添加剤の流動抵抗低減性により、繊維材料に作用する摩擦力が増加し得る。添加剤によって繊維材料中のリグニンの剛性が低下し、可塑性が増加しているため、リグニン(ひいては繊維材料)は、温度上昇時にも破壊されることなく元の状態のままでいられる。調整プロセス300は、その後、ブロック360または調整プロセス300の図示しない他のステップに進むことができる。
【0209】
ブロック360において、繊維材料にせん断力を加えることができる。加えられたせん断力は、繊維材料に作用する摩擦力を増加させることができ、繊維材料の内部温度がさらに上昇する。添加剤によって繊維材料中のリグニンの剛性が低下し、可塑性が増加しているため、リグニン(ひいては繊維材料)は、温度上昇時にも破壊されることなく元の状態のままでいられる。調整プロセス300は、その後、ブロック370または調整プロセス300の図示しない他のステップに進むことができる。なお、ブロック350の圧力勾配ステップとブロック360のせん断力ステップとは、任意の順序で行われてよく、互いに同時に行われてもよい。
【0210】
ブロック370において、繊維材料を分別することによって、繊維材料(すなわち、処理済み材料)中の水の第2の部分を蒸発させることができる。理解されるように、せん断力と摩擦力とが繊維材料を分別でき、追加の自由水が放出される。せん断力と圧力勾配とに起因する温度上昇は、放出された自由水を蒸発させることもできる。いかなる科学的理論にも拘束されることを望むものではないが、繊維材料の細胞壁内部のリグニンは、添加剤によって可塑化され、加圧下で「気球のように膨らむ」ことができるようになっている。換言すると、繊維材料の個々の細胞の内部に含まれる水が、圧力勾配とせん断力/摩擦力とによる温度上昇によって蒸発し始めると、細胞壁中の可塑化されたリグニンは、気球が熱気で満たされていくように、破裂することなく膨張し得る。摩擦力およびせん断力と上昇温度および上昇圧力との下で細胞の体積が増加すると、細胞は無傷のままでありながら、繊維材料をさらに分別することができる。調整プロセス300は、その後、ブロック380または調整プロセス300の図示しない他のステップに進むことができる。
【0211】
ブロック380において、繊維材料(すなわち、処理済み材料中の)を急速に大気圧に開放することができる。いかなる科学的理論にも拘束されることを望むものではないが、この繊維材料の急速減圧によって、繊維材料の化学機械的細胞爆砕を引き起こすことができる。換言すると、繊維材料中の「気球のように膨らんだ」細胞が、完全に破裂できるようになり、細胞内水を放出して繊維材料をさらに分別することができるようになる。理解されるように、調整中、圧力勾配、せん断力、摩擦力、および温度の増加により、繊維材料に多大な応力を与えることができ、その結果、蒸発した水を含む細胞が膨張する。いかなる科学的理論にも拘束されることを望むものではないが、細胞は、リグニンと添加剤の相互作用によって膨張可能となる。繊維材料を急速に大気条件に戻すことによって、化学機械的細胞爆砕プロセスを誘起し、水の最後の部分を放出させて乾燥パルプ製品124を得ることができる。調整プロセス300中に遊離された水の各部分は、他の成分を含んでいてもよく、液体製品122として回収することができることも理解されるであろう。調整プロセス300は、その後、ブロック380の後で終了するか、または、調整プロセス300の図示しない他のステップに進むことができる。
【0212】
本明細書においては、本明細書中に記載のプロセスにおいて使用することができる機械600が開示される。例えば、
図6に示すように、化学機械的細胞爆砕用の機械600を提供することができる。機械600は、入口610を備え得る。原料は入口610を介して機械600に入ることができる。機械は出口620を備え得る。機械は、入口および出口とつながる内部室630を備え得る。内部室630は内面を有する。機械は、入口610、出口620、および内部室630にわたるシャフト640を備え得る。シャフト640は、シャフト640の周りに円周方向に配置された複数の溝を有し、該複数の溝は、第1の部分と第2の部分とを有する。溝の第1の部分は第1のピッチを有し得、溝の第2の部分は第1のピッチとは異なる第2のピッチを有し得る。例えば、第1のピッチが第2のピッチよりも大きくてもよい。
【0213】
内部室630は、内面に配置され、溝の第2の部分に対応した1つ以上のせん断部材632をさらに備え得る。例えば、1つ以上のせん断部材632は、シャーナイフを備え得る。シャーナイフの代わりに他の形態のせん断部材を用いてもよい。シャーナイフは、1つ以上のせん断部材632と複数の溝との間においてせん断力を得るために望まれる任意の高さ、長さ、または角度で作製され得る。
【0214】
シャフトは内部室630と共有する長手方向軸周りに回転するように構成され得、回転によって、溝の第2の部分と1つ以上のせん断部材632との間にせん断力を加えることができる。
【0215】
機械は、機械600の外面から延設されて出口620を実質的に取り囲む保護シールド650をさらに備え得る。保護シールド650は、保護シールド650と出口620との間に内部空間652を有する。機械600は、出口の大きさを制御するように構成された出口ゲート622も備え得る。出口ゲート622は、機械600の中を通る材料の流量を制御するために、拡大および/または縮小するように構成され得る。
【0216】
上述のように、原料は入口610を介して機械600に入ることができる。原料は、原料中の繊維材料の細胞壁を弱体化させるために、機械600の中を進む前に添加剤と混合され得る。その後、原料は、内部室630の中で、せん断部材632と接触するシャフト640の回転によるせん断力を受け始める。せん断力が原料中の繊維材料に作用し始めると、繊維材料を分別する摩擦力によって、内部の圧力と温度とが上昇し始める。材料が内部室630の中を移動し続け、せん断部材632によるせん断を受け続けると、温度と圧力が上昇を続けるため、原料から水を除去することができる。弱体化した細胞壁は、温度および圧力の上昇により膨らみ始め得る。その後、繊維材料は出口620と繊維材料の吐出速度を制御する出口ゲート622とを通過することができる。繊維材料は、出口620から出ると急速に大気圧に開放され得、それにより、細胞爆砕が誘起される。
【0217】
また、本明細書においては、本開示に係る原料処理量を高めるためのプロセスが開示される。1つ以上の添加剤を原料と混合して第1の混合物を得ることができる。原料は、繊維材料と水とを含み得、繊維材料はリグニンを含み得る。繊維材料と添加剤の好適な例は上記の通りであるが、他の例が用いられてもよい。原料中の水分量の好適な例は上記の通りである。原料を緻密化して製品を形成することができる。製品は、ペレット状、ブリケット状、ベール状、丸太状などであってよい。理解されるように、製品は、上記の繊維ペレットと実質的に同様のかさ密度性およびPDIを有し得る。繊維ペレットと製品とが、同様のプロセスによって生産されるためである。プロセスの処理量は、添加剤なしのプロセスの処理量に対して、1%~60%(例えば、1%~30%)増加し得る。いかなる科学的理論にも拘束されることを望むものではないが、添加剤が、抗力低減剤としての機能を果たし、緻密化ステップの処理量を増加させ、生産される製品の割合を高める。このような実施形態を、例えば動物飼料生産率を高めるために用いることができる。
【0218】
実施例
以下の実施例は、例示的なものとして示すが、限定的なものではない。
【0219】
テーダマツ由来の初期含水率50%の木材チップ800ポンドを、本開示のプロセスによって1時間以上調整し、含水率を18%とした。当該プロセスにおいて、48kWの追加エネルギーを使用した。搬送しながら、製造された繊維を風乾し、含水率を16%とした。これを粉砕し、ペレット耐久性指数99、含水率4%、かさ密度750kg/m
3のペレットを製造した。2分間水中に沈めたとき、ペレットが示した劣化は非常に限られていた。調整プロセス中、蒸気は注入されなかった。ペレット化中、追加の熱エネルギーを加えることはなかった。表Iに概略的に示す以下の成分を含む液体抽出物もこの調整によって製造した。
表I.液体製品組成例
【表1】
【0220】
さまざまな図面に示し、上記で述べたように、本開示を複数の例示的な態様に関連して説明してきたが、他の類似の態様を用いることができるということ、つまり、本開示から逸脱することなく本開示と同じ機能を実現するための変更および追加を上記の態様になし得るということが理解されている。例えば、本開示のさまざまな態様において、開示された主題の態様に従って方法および組成を説明してきた。しかしながら、これら説明した態様と同等の他の方法または組成も、本明細書の教示によって企図される。したがって、本開示は、どの態様にも限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲に従ってその幅および範囲を解釈されなければならない。
【0221】
本明細書で開示された実施形態および特許請求の範囲は、それらの適用が、上記説明に記載された構成要素および図面に示された構成要素の構造および配置の詳細に限定されないということが理解されるべきである。むしろ、上記説明および図面は、想定される実施形態の例を提供するものである。本明細書で開示された実施形態および特許請求の範囲は、他の実施形態がさらに可能であり、さまざまな方法での実践および実行がさらに可能である。また、本明細書で使用される言い回しおよび専門用語は、説明を目的としたものであって、特許請求の範囲を限定するものと見なされるべきではないということが理解されるべきである。
【0222】
したがって、当業者であれば、本出願および特許請求の範囲の基礎となる概念を、本出願において提示された実施形態および特許請求の範囲のいくつかの目的を実行するための他の構造、方法、およびシステムの設計の基礎として容易に利用し得るということを理解するであろう。そのため、特許請求の範囲はそのような等価な構造を含むと見なされることが重要である。
【0223】
さらに、上述の要約書の目的は、各特許庁および公衆、とりわけ特許および法律の用語または言い回しに精通していない当業者が、一読して本出願の技術的開示の性質および要旨を速やかに決定できるようにすることである。要約書は、本出願の特許請求の範囲を定義することを意図するものでもなく、特許請求の範囲の範囲をいかなる形であっても限定することを意図するものでもない。本発明は、本明細書に添付の特許請求の範囲によって定義されることが意図される。
【国際調査報告】