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特表2022-509399物体を撮像するための超音波走査システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(54)【発明の名称】物体を撮像するための超音波走査システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/06 20060101AFI20220113BHJP
   G01N 29/265 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
G01N29/06
G01N29/265
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547907
(86)(22)【出願日】2019-10-25
(85)【翻訳文提出日】2021-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2019079195
(87)【国際公開番号】W WO2020084117
(87)【国際公開日】2020-04-30
(31)【優先権主張番号】1817502.6
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521181596
【氏名又は名称】ドルフィテック、アクティーゼルスカブ
【氏名又は名称原語表記】DOLPHITECH AS
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】エスキル、スコグルンド
(72)【発明者】
【氏名】イングベ、ラウドベルゲット
(72)【発明者】
【氏名】ウーステイン、クナウセルド
(72)【発明者】
【氏名】ウービンデ、シルヤーセン
(72)【発明者】
【氏名】ビュールン-ハラルデ、ティルド
(72)【発明者】
【氏名】リングバル、フレードリク
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047BA03
2G047BC09
2G047BC10
2G047CA01
2G047DB02
2G047GA19
2G047GA21
2G047GB02
2G047GF34
2G047GG35
2G047GG47
2G047GH06
(57)【要約】
物体を撮像するための走査システムであって、走査システムは、物体に向かって超音波信号を送信し、かつ物体から反射された超音波信号を受信し、それによって物体の内部構造に関するデータを取得することができるように構成された走査装置と、走査装置の位置を感知するための位置センサと、感知された位置に応じて走査システムのユーザに指示を提供するように構成された指示ユニットとを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を撮像するための走査システムであって、前記走査システムが、
物体に向かって超音波信号を送信し、物体から反射された超音波信号を受信し、それによって物体の内部構造に関するデータを取得することができるように構成された走査装置と、
前記走査装置の位置を感知するための位置センサと、
前記感知された位置に応じて前記走査システムのユーザに指示を提供するように構成された指示ユニットと
を備える、走査システム。
【請求項2】
前記ユーザへの前記指示が、
前記感知された位置で前記走査装置を再配向させること、
前記感知された位置でさらなる走査を実行すること、および
前記走査装置を新しい位置に移動させること
のうちの1つまたは複数の指示を含む、請求項1に記載の走査システム。
【請求項3】
前記感知された位置でさらなる走査を実行するための前記指示は、1回または複数回の以前の走査に関連する品質の尺度に応じて前記ユーザに提供される、請求項2に記載の走査システム。
【請求項4】
前記品質の尺度は、前記1回または複数回の以前の走査中に取得されたデータの信号対雑音比の尺度を含む、請求項3に記載の走査システム。
【請求項5】
前記走査システムは、前記走査装置を移動させる方向を前記ユーザに示すためのインジケータを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の走査システム。
【請求項6】
前記ユーザへの前記指示は、異なる位置から物体の内部体積を撮像するように前記走査装置を移動させる指示を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の走査システム。
【請求項7】
前記位置センサは、局所位置決めシステムおよび遠隔位置決めシステムのうちの1つまたは複数を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の走査システム。
【請求項8】
前記局所位置決めシステムは、回転エンコーダおよび慣性測定ユニットのうちの1つまたは複数を備える、請求項7に記載の走査システム。
【請求項9】
前記遠隔位置決めシステムは、前記走査装置に設けられたエミッタと、前記走査装置から遠隔に配置された複数の検出器とを備える、請求項7または8に記載の走査システム。
【請求項10】
前記エミッタが電磁放射線を放出し、前記検出器が前記放出された放射線を検出するように構成される、請求項9に記載の走査システム。
【請求項11】
前記位置センサは、複数の位置決めシステムからのデータを組み合わせるように構成される、請求項1から10のいずれか一項に記載の走査システム。
【請求項12】
前記位置センサは、各位置決めシステムの精度の尺度に応じて前記複数の位置決めシステムからの前記データを組み合わせるように構成される、請求項11に記載の走査システム。
【請求項13】
前記感知された位置に応じて前記走査装置を構成するように構成された構成ユニットをさらに備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の走査システム。
【請求項14】
前記構成ユニットは、前記走査装置を構成するための構成データを選択し、かつ前記選択された構成データを前記走査装置に送信して前記走査装置を構成するように構成される、請求項13に記載の走査システム。
【請求項15】
前記構成データは、前記走査システムの物理的再構成に関するデータを含み、前記ユーザへの前記指示は、前記走査システムの前記物理的構成を変更する指示を含む、請求項14に記載の走査システム。
【請求項16】
物体を撮像するための走査システムであって、前記走査システムが、
物体に向かって超音波信号を送信し、物体から反射された超音波信号を受信し、それによって物体の内部構造に関するデータを取得することができるように構成された走査装置と、
前記走査装置の位置を感知するための位置センサと、
前記取得されたデータおよび前記データが取得された前記走査装置の前記感知された位置に応じて物体を表す画像を生成するように構成された画像生成ユニットと
を備える、走査システム。
【請求項17】
前記画像生成ユニットが、
第1の感知された位置で取得された第1の走査データ内の特徴を検出し、
第2の感知された位置で取得された第2の走査データ内の特徴を検出し、
前記第1および第2の感知された位置に基づいて、前記第1の走査データおよび前記第2の走査データの各々における前記検出された特徴が同じ特徴であると判定し、
前記判定に応じて、前記第1の走査データと前記第2の走査データとを組み合わせる
ように構成される、請求項16に記載の走査システム。
【請求項18】
物体を撮像するための走査システムであって、前記走査システムが、
物体に向かって超音波信号を送信し、物体から反射された超音波信号を受信し、それによって物体の内部構造に関するデータを取得することができるように構成された走査装置と、
前記走査装置の位置を感知するための位置センサと、
前記感知された位置および前記取得されたデータに応じて前記走査装置の前記位置の推定値を決定するように構成されたプロセッサと
を備える、走査システム。
【請求項19】
物体を撮像するための走査システムであって、前記走査システムが、
物体に向かって超音波信号を送信し、物体から反射された超音波信号を受信し、それによって物体の内部構造に関するデータを取得することができるように構成された走査装置であって、前記走査装置が非平面構成を有する、走査装置と、
前記走査装置の非平面構成を感知するためのセンサと、
前記感知された非平面構成に応じて前記走査装置を構成するように構成された構成ユニットと
を備える、走査システム。
【請求項20】
前記センサは、歪みゲージおよびエンコーダホイールのうちの1つまたは複数を備える、請求項19に記載の走査システム。
【請求項21】
前記走査システムは、前記走査装置の位置を感知するための位置センサをさらに備え、前記構成ユニットは、前記感知された位置に応じて前記走査装置を構成するように構成される、請求項19または20に記載の走査システム。
【請求項22】
物体を撮像するための走査システムであって、前記走査システムが、
物体に向かって超音波信号を送信し、物体から反射された超音波信号を受信し、それによって物体の内部構造に関するデータを取得することができるように構成された走査装置と、
前記走査装置の位置を感知するための位置センサと、
前記複数の走査の各々に関する前記走査装置の前記感知された位置に応じて、複数の走査から得られたデータを組み合わせるように構成されたプロセッサと
を備える、走査システム。
【請求項23】
前記位置センサは、複数の位置決めシステムを備え、前記プロセッサは、前記複数の位置決めシステムの各々の精度の尺度に応じて前記複数の走査から得られたデータを組み合わせるように構成されている、請求項22に記載の走査システム。
【請求項24】
前記位置センサは、1つの基準フレーム内の位置を決定し、かつその決定された位置を別の基準フレームに変換するように構成されたさらなる位置決めシステムを備える、請求項1から23のいずれか一項に記載の走査システム。
【請求項25】
前記さらなる位置決めシステムは、前記走査システムによって取り込まれた画像内の1つまたは複数のマーカに応じて、前記決定された位置を前記他の基準フレームに変換するための変換を決定するように構成される、請求項24に記載の走査システム。
【請求項26】
第1の走査タイプの複数の走査に、第2の走査タイプの少なくとも1回の走査を差し込むように構成される、請求項1から25のいずれか一項に記載の走査システム。
【請求項27】
前記第1の走査タイプの前記複数の走査に、前記第2の走査タイプの前記少なくとも1回の走査を規則的に差し込むように構成される、請求項26に記載の走査装置。
【請求項28】
散在する走査モードを有する超音波走査装置で物体を走査する方法であって、前記超音波走査装置が振動素子の配列を備え、前記振動素子を使用して、物体に向かって超音波信号を送信し、物体から反射された超音波信号を受信し、それによって物体の内部構造に関するデータを取得することができるように構成され、前記方法が、
第1の組の振動素子を使用して、第1のタイプの第1の数の超音波パルスを送信するステップと、
第2の組の振動素子を使用して、前記第1のタイプとは異なる第2のタイプの第2の数の超音波パルスを送信するステップと
を含む、方法。
【請求項29】
前記走査装置が所定の距離の倍数だけ移動した、または
前記第1のタイプの所定数の超音波パルスが送信された
と判定すると、前記第2のタイプの前記第2の数の超音波パルスを送信するステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の数のパルスおよび前記第2の数のパルスのうちの少なくとも1つは、試験対象の物体、試験対象の物体の材料、試験対象の物体の厚さ、試験対象の物体の特徴、前記走査装置の移動速度、前記配列のサイズ、前記配列の形状、および振動素子のサイズのうちの1つまたは複数に応じて選択される、請求項28または請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記所定の距離は、試験対象の物体、試験対象の物体の材料、試験対象の物体の厚さ、試験対象の物体の特徴、前記走査装置の移動速度、前記配列のサイズ、前記配列の形状、および振動素子のサイズのうちの1つまたは複数に応じて選択される、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の組の振動素子は前記第2の組の振動素子とは異なる、請求項28から31のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体を撮像するための走査システムに関する。特に、物体の表面下の構造的特徴を撮像するための走査システムに関する。この走査システムは、層間剥離、剥離、および剥落などの表面下の材料欠陥を撮像するのに特に有用であり得る。
【背景技術】
【0002】
超音波は、物体を検出し、距離を測定するために使用することができる振動音圧波である。伝えられた音波は、異なる音響インピーダンス特性を有する材料に遭遇すると反射および屈折する。これらの反射および屈折が検出および分析される場合、結果として得られるデータを使用して、音波が伝わった環境を記述することができる。
【0003】
超音波を使用して、物体の特定の構造的特徴を識別することができる。例えば、超音波は、試料中の欠陥のサイズおよび位置を検出することによって非破壊試験に使用され得る。積層構造内の異なる層、衝撃損傷、ボアホールなどといった、構造的特徴の様々な材料、試料深度および種類をカバーする、非破壊試験から利益を得ることができる広範な用途がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、広範な異なる用途でうまく機能することができる感知装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、物体を撮像するための走査システムが提供され、走査システムは、
物体に向かって超音波信号を送信し、物体から反射された超音波信号を受信し、それによって物体の内部構造に関するデータを取得することができるように構成された走査装置と、
走査装置の位置を感知するための位置センサと、
感知された位置に応じて走査システムのユーザに指示を提供するように構成された指示ユニットと
を備える。
【0006】
ユーザへの指示は、感知された位置で走査装置を再配向させること、感知された位置でさらなる走査を実行すること、および走査装置を新しい位置に移動させることのうちの1つまたは複数の指示を含み得る。感知された位置でさらなる走査を実行する指示は、1回または複数回の以前の走査に関連する品質の尺度に応じてユーザに提供されてもよい。品質の尺度は、1回または複数回の以前の走査中に取得されたデータの信号対雑音比の尺度を含み得る。
【0007】
走査システムは、走査装置を移動させる方向をユーザに示すためのインジケータを備え得る。
【0008】
ユーザへの指示は、異なる位置から物体の内部体積を撮像するように走査装置を移動させる指示を含み得る。
【0009】
位置センサは、局所位置決めシステムおよび遠隔位置決めシステムのうちの1つまたは複数を備え得る。局所位置決めシステムは、回転エンコーダおよび慣性測定ユニットのうちの1つまたは複数を備え得る。遠隔位置決めシステムは、走査装置に設けられたエミッタと、走査装置から遠隔に配置された複数の検出器とを備え得る。エミッタは電磁放射線を放出してもよく、検出器は放出された放射線を検出するように構成されてもよい。
【0010】
位置センサは、複数の位置決めシステムからのデータを組み合わせるように構成されてもよい。位置センサは、各位置決めシステムの精度の尺度に応じて複数の位置決めシステムからのデータを組み合わせるように構成されてもよい。
【0011】
走査システムは、感知された位置に応じて走査装置を構成するように構成された構成ユニットをさらに備え得る。構成ユニットは、走査装置を構成するための構成データを選択し、選択された構成データを走査装置に送信して走査装置を構成するように構成されてもよい。構成データは、走査システムの物理的再構成に関するデータを含み得、ユーザへの指示は、走査システムの物理的構成を変更する指示を含み得る。
【0012】
本発明の別の態様によれば、物体を撮像するための走査システムが提供され、走査システムは、
物体に向かって超音波信号を送信し、物体から反射された超音波信号を受信し、それによって物体の内部構造に関するデータを取得することができるように構成された走査装置と、
走査装置の位置を感知するための位置センサと、
取得されたデータおよびデータが取得された走査装置の感知された位置に応じて物体を表す画像を生成するように構成された画像生成ユニットと
を備える。
【0013】
画像生成ユニットは、第1の感知された位置で取得された第1の走査データ内の特徴を検出し、第2の感知された位置で取得された第2の走査データ内の特徴を検出し、第1および第2の感知された位置に基づいて、第1の走査データおよび前記第2の走査データの各々における検出された特徴が同じ特徴であると判定し、判定に応じて、第1の走査データと第2の走査データとを組み合わせるように構成され得る。
【0014】
本発明の別の態様によれば、物体を撮像するための走査システムが提供され、走査システムは、
物体に向かって超音波信号を送信し、物体から反射された超音波信号を受信し、それによって物体の内部構造に関するデータを取得することができるように構成された走査装置と、
走査装置の位置を感知するための位置センサと、
感知された位置および取得されたデータに応じて走査装置の位置の推定値を決定するように構成されたプロセッサと
を備える。
【0015】
本発明の別の態様によれば、物体を撮像するための走査システムが提供され、走査システムは、
物体に向かって超音波信号を送信し、物体から反射された超音波信号を受信し、それによって物体の内部構造に関するデータを取得することができるように構成された走査装置であって、走査装置が非平面構成を有する、走査装置と、
走査装置の非平面構成を感知するためのセンサと、
感知された非平面構成に応じて走査装置を構成するように構成された構成ユニットと
を備える。
【0016】
センサは、歪みゲージおよびエンコーダホイールのうちの1つまたは複数を備え得る。走査システムは、走査装置の位置を感知するための位置センサをさらに備えてもよく、構成ユニットは、感知された位置に応じて走査装置を構成するように構成されてもよい。
【0017】
本発明の別の態様によれば、物体を撮像するための走査システムが提供され、走査システムは、
物体に向かって超音波信号を送信し、物体から反射された超音波信号を受信し、それによって物体の内部構造に関するデータを取得することができるように構成された走査装置と、
走査装置の位置を感知するための位置センサと、
複数の走査の各々に関する走査装置の感知された位置に応じて、複数の走査から得られたデータを組み合わせるように構成されたプロセッサと
を備える。
【0018】
位置センサは、複数の位置決めシステムを備えてもよく、プロセッサは、複数の位置決めシステムの各々の精度の尺度に応じて複数の走査から得られたデータを組み合わせるように構成されてもよい。
【0019】
位置センサは、1つの基準フレーム内の位置を決定し、その決定された位置を別の基準フレームに変換するように構成されたさらなる位置決めシステムを備えてもよい。さらなる位置決めシステムは、走査システムによって取り込まれた画像内の1つまたは複数のマーカに応じて、決定された位置を他の基準フレームに変換するための変換を決定するように構成され得る。
【0020】
走査システムは、第1の走査タイプの複数の走査に、第2の走査タイプの少なくとも1回の走査を差し込むように構成されてもよい。走査システムは、第1の走査タイプの複数の走査に、第2の走査タイプの少なくとも1回の走査を規則的に差し込むように構成されてもよい。
【0021】
本発明の別の態様によれば、散在する走査モードを有する超音波走査装置で物体を走査する方法が提供され、超音波走査装置は振動素子の配列を備え、振動素子を使用して、物体に向かって超音波信号を送信し、物体から反射された超音波信号を受信し、それによって物体の内部構造に関するデータを取得することができるように構成され、方法は、
第1の組の振動素子を使用して、第1のタイプの第1の数の超音波パルスを送信するステップと、
第2の組の振動素子を使用して、第1のタイプとは異なる第2のタイプの第2の数の超音波パルスを送信するステップと
を含む。
【0022】
本方法は、走査装置が所定の距離の倍数だけ移動した、または第1のタイプの所定数の超音波パルスが送信されたと判定すると、第2のタイプの第2の数の超音波パルスを送信するステップを含み得る。
【0023】
第1の数のパルスおよび第2の数のパルスのうちの少なくとも1つは、試験対象の物体、試験対象の物体の材料、試験対象の物体の厚さ、試験対象の物体の特徴、走査装置の移動速度、配列のサイズ、配列の形状、および振動素子のサイズのうちの1つまたは複数に応じて選択されてもよい。
【0024】
所定の距離は、試験対象の物体、試験対象の物体の材料、試験対象の物体の厚さ、試験対象の物体の特徴、走査装置の移動速度、配列のサイズ、配列の形状、および振動素子のサイズのうちの1つまたは複数に応じて選択されてもよい。
【0025】
第1の組の振動素子は、第2の組の振動素子と異なっていてもよい。
【0026】
上記の任意の態様の任意の1つまたは複数の特徴は、任意の他の態様と組み合わされ得る。これらは、単に簡潔にするために、ここでは完全に記載されていない。
【0027】
以下、添付図面を参照して、本発明を例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】物体を撮像するための装置を示す図である。
図2】走査装置および物体の一例を示す図である。
図3】走査装置の機能ブロックの一例を示す図である。
図4】垂直に対してある角度で物体を走査する例を示す図である。
図5】走査装置上のインジケータの一例を示す図である。
図6a】2つの位置で物体を走査する例を示す図である。
図6b】2つの位置で物体を走査する別の例を示す図である。
図7】走査装置を動作させる方法を示す図である。
図8】画像を生成する方法を示す図である。
図9】走査に関連する品質の尺度に応じて物体を走査する方法を示す図である。
図10】位置を推定する方法を示す図である。
図11】走査装置を構成する方法を示す図である。
図12a】振動子モジュールの例を示す図である。
図12b】振動子モジュールの例を示す図である。
図13a】振動子モジュールおよび結合部の例を示す図である。
図13b】振動子モジュールおよび結合部の例を示す図である。
図14】表面下特徴を撮像する2つの振動子モジュールを示す図である。
図15a】直交する導電線を含む振動子マトリックスの一例を示す図である。
図15b】複数のグループにグループ化された図15aのマトリックスの振動素子を示す図である。
図16a】散在する走査モードで物体を走査する例示的な方法を示す図である。
図16b】散在する走査モードで物体を走査する別の例示的な方法を示す図である。
図16c】散在する走査モードで物体を走査する別の例示的な方法を示す図である。
図17a】物体の表現を示す図である。
図17b】物体の表現を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
走査装置は、物体の表面下の異なる深さに位置する構造的特徴に関する情報を収集し得る。この情報を取得する1つの方法は、物体に向けて音波パルスを送信し、任意の反射を検出することである。人間のオペレータが物体の表面下の構造的欠陥のサイズ、形状、および深さを認識および評価することができるように、収集された情報を描写する画像を生成することが有用である。これは、表面下の構造的欠陥が危険であり得る多くの産業用途にとって不可欠な活動である。一例が、航空機の整備である。
【0030】
通常、オペレータは、オペレータが見たい構造が物体の表面下にあるため、装置によって生成された画像に完全に依拠することになる。したがって、オペレータが物体の構造を効果的に評価できるように情報が撮像されることが重要である。
【0031】
超音波振動子は、電気信号によって圧電材料を振動させ、超音波信号を生成するように駆動される、圧電材料を利用する。逆に、音響信号が受信される場合、超音波振動子は圧電材料を振動させ、検出することができる電気信号を発生させる。
【0032】
振動子を備える別の走査装置が撮像対象の物体の表面に密着することができることが望ましい。走査装置は、様々な方法で物体の表面に密着し得る。走査装置は、走査装置が物体に押し付けられるときに物体の表面に適合するように柔軟であり得る。走査装置は、物体に対して走査装置を配置する前に、物体の表面形状に適合するように予め構成されてもよい。超音波振動子に用いることができる圧電材料の一例は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)である。
【0033】
物体の表面下を撮像するための、本明細書に記載される走査システムの操作装置などの手持ち式デバイスの例が図1に示されている。デバイス101は、一体型ディスプレイを有することもできるが、この例では、タブレットコンピュータ102に画像を出力する。タブレットとの接続は、図示のように、有線とすることもでき、または無線とすることもできる。デバイスは、超音波信号を送信および受信するためのマトリックス配列103を有する。好適には、配列は、振動素子の配列を形成するように交差パターンで配列された複数の電極を備える超音波振動子によって実装される。振動素子は、送信と受信との間で切り替えられ得る。図示の手持ち式装置は、超音波信号を物体に結合するための乾式結合層104などの結合層を備える。結合層はまた、振動子が送信から受信に切り替わるための時間を可能にするために超音波信号を遅延させる。乾式結合層は、超音波信号を結合するために液体を使用する傾向がある他の撮像システムに優るいくつかの利点を提供する。これは、産業環境では実際的ではない可能性がある。ときどき使用されるように、液体カプラがブラダに収容されている場合、これにより正確な深さ測定値を得ることを困難になり、これは非破壊試験用途には理想的ではないすべての例において、結合層が設けられる必要はない。
【0034】
マトリックス配列103は二次元であるため、画像を取得するために物体を横切ってマトリックス配列を移動させる必要はない。典型的なマトリックス配列は、30mm×30mmであり得るが、マトリックス配列のサイズおよび形状は、用途に合わせて変えることができる。デバイスは、オペレータによって物体に対して真っ直ぐに保持され得る。一般に、オペレータはすでに、物体のどこに表面下の欠陥または材料欠陥があり得るか、例えば、構成要素が、衝撃を受けている可能性があるか、または応力集中を引き起こす可能性がある1つまたは複数のドリルまたはリベット穴を備える可能性があること、を適切に理解しているであろう。デバイスは反射パルスをリアルタイムで適切に処理するので、オペレータはデバイスを任意の関心領域に簡単に配置することができる。
【0035】
手持ち式デバイスはまた、オペレータがパルス形状および対応するフィルタを変更するために使用することができるダイヤル105または他のユーザ入力デバイスも備える。最も適切なパルス形状は、撮像されている構造的特徴の種類およびそれが物体内のどこに位置するかに依存し得る。オペレータは、ディスプレイを介してタイムゲーティングを調整することによって、異なる深さで物体を見ることができる。装置に、タブレット102などの手持ち式ディスプレイに、または一体型ディスプレイに出力させることは、オペレータがディスプレイ上で見えるものに応じて物体上で振動子を容易に移動させ、または装置の設定を変更し、瞬間的な結果を得ることができるので、有利である。他の配置では、オペレータは、非手持ち式ディスプレイ(PCなど)と物体との間を歩いて、物体上の新しい設定または位置が試験されることになるたびに再走査し続けなければならない可能性がある。
【0036】
物体の表面下の構造的特徴を撮像するための走査装置が図2に示されている。装置は、全体として201で示されており、送信機202と、受信機203と、信号プロセッサ204と、画像生成器205とを備える。いくつかの例では、送信機および受信機は、超音波振動子によって実装され得る。送信機および受信機は、例示を容易にするためにのみ、図2において互いに隣接して示されている。送信機202は、撮像対象の物体206に向けて特定の形状を有する音波パルスを送信するように適切に構成される。受信機203は、物体からの送信された音波パルスの反射を受信するように適切に構成される。物体の表面下特徴が、207に示されている。
【0037】
装置の一実施形態に含まれる機能ブロックの例が図3に示されている。
【0038】
この例では、送信機および受信機は、振動素子312のマトリックス配列を備える超音波振動子301によって実装される。振動素子は、超音波を送信および/または受信する。マトリックス配列は、交差パターンで配列されたいくつかの平行な細長い電極を備え得、交点は、振動素子を形成する。送信機電極は、特定の形状を有するパルスパターンを特定の電極に供給する送信機モジュール302に接続される。送信機制御部304は、作動される送信機電極を選択する。所与の時点に作動される送信機電極の数は変動し得る。送信機電極は、個別にまたはグループ単位で順に作動され得る。好適には、送信機制御部は送信機電極に、一連の音波パルスを物体に送信させ、生成された画像が連続的に更新されることを可能にする。送信機電極はまた、特定の周波数を使用してパルスを送信するようにも制御され得る。周波数は、100kHz~30MHzであり得、好ましくは0.5MHz~15MHzであり、最も好ましくは0.5MHz~10MHzである。
【0039】
受信機電極は、物体から放射される音波を感知する。これらの音波は、物体に送信された音波パルスの反射である。受信機モジュールは、これらの信号を受信および増幅する。信号は、アナログ・デジタル変換器によってサンプリングされる。受信機制御部は、受信機電極を、送信機電極が送信した後に受信するよう適切に制御する。装置は、送信および受信を交互に行い得る。一実施形態では、電極は、送信と受信の両方が可能であり得、その場合、受信機制御部および送信機制御部は、電極をそれらの送信状態と受信状態との間で切り替える。好ましくは、装置において送信される音波パルスと受信されるそれらの反射との間に多少の遅延がある。装置は、電極が送信から受信に切り替わるのに必要な遅延を提供するための結合層を含み得る。遅延は、相対深度が計算されるときに補償され得る。結合層は、好ましくは、送信された音波の低減衰を提供する。
【0040】
各振動素子は、画像内の画素に対応し得る。言い換えれば、各画素は、振動素子のうちの1つで受信された信号を表し得る。これは、1対1対応である必要はない。単一の振動素子が2つ以上の画素に対応し得、その逆も可能である。各画像は、1つのパルスから受信された信号を表し得る。「1つの」パルスは、通常、多くの異なる振動素子によって送信されることを理解されたい。「1つの」パルスのこれらのバージョンはまた、異なる時点にも送信され得、例えば、マトリックス配列を、配列の各行を順に作動させることによって振動素子の「波」を作動させるように構成することもできる。しかしながら、試料の単一の画像を生成するために使用されるのはパルスの反射であるため、この送信パルスの集合は依然として「1つの」パルスを表すと考えることができる。試料の画像のビデオストリームを生成するために使用される一連のパルス内のすべてのパルスについても同じことが当てはまる。
【0041】
パルス選択モジュール303は、送信されるべき特定のパルス形状を選択する。これは、振動子によって超音波パルスに変換される電子パルスパターンを送信機モジュールに供給するパルス発生器を含み得る。パルス選択モジュールは、メモリ314に格納された複数の予め定義されたパルス形状にアクセスすることができる。パルス選択モジュールは、自動的にまたはユーザ入力に基づいて送信されるパルス形状を選択し得る。パルスの形状は、撮像されている構造的特徴の種類、その深さ、材料の種類などに応じて選択され得る。一般に、パルス形状は、オペレータに物体の高品質画像を提供するために、信号プロセッサ305が収集することができ、かつ/または画像エンハンスメントモジュール310が改善することができる情報を最適化するように選択されるべきである。
【0042】
走査装置の位置は、位置センサ320によって感知することができる。位置センサ320は、1つまたは複数の位置決めシステムを備えてもよい。位置センサは、プロセッサおよびメモリ314に結合されてもよい。システムは、位置センサによって感知された位置がメモリに保存されて、プロセッサにとってアクセス可能であるように構成されてもよい。
【0043】
システムは、走査システムのユーザに指示を提供するように構成された指示ユニットを備え得る。指示ユニットは、位置センサによって感知された位置に応じてユーザに指示を提供するように構成されてもよい。プロセッサ305は、指示ユニット322を備えることができる。いくつかの例では、指示ユニットは、ディスプレイなどのインジケータ上に指示を表示させるように構成されてもよい。指示が表示されるようにされるインジケータは、走査装置に対して局所的であってもよい。例えば、走査装置がインジケータを備えてもよい。インジケータは、走査装置から離れていてもよく、例えば、走査装置が結合され得るPCに備えられてもよい。
【0044】
感知された位置に応じて走査装置を構成するように構成された構成ユニットを設けることができる。構成ユニット324は、プロセッサ305およびメモリ314に結合されてもよい。構成ユニットは、感知された位置にメモリを介して適切にアクセスできるが、いくつかの例では、これに加えて、またはこれに代えて、位置センサ320に直接結合されてもよい。
【0045】
位置は、所望の基準フレームに対する位置および/または向き情報を含み得る。基準フレームは、撮像対象の物体が位置する作業台、撮像対象の物体が位置する部屋または格納庫、撮像対象の物体(例えば、自動車または飛行機)または撮像対象の物体の一部(例えば、飛行機の翼部)を含むことができる。
【0046】
位置は、2D(例えば、湾曲した表面、またはそうでなければ非平面の表面を含む、物体の2D表面の上など)および/または3Dで決定することができる。位置は、最大6自由度で決定することができ、例えば、位置は、x、y、およびz軸のそれぞれに沿った位置と、x、y、およびz軸のそれぞれを中心とした回転とを含むことができる。
【0047】
位置センサは、好ましくは、走査装置自体で位置データを生成することによって、走査装置から離れて走査装置の位置を監視することによって、またはこれらの手法のいくつかの組み合わせによって、基準フレームに対する走査装置の位置を決定するように構成される。
【0048】
ユーザへの指示は、感知された位置で走査装置を再配向させる指示を含み得る。これにより、走査装置がその感知された位置で航空機部品などの物体の既知の向きに最適に適用されることを保証することができる。システムは、走査装置の位置に隣接する物体における欠陥または修理された欠陥などの特徴の知識を有してもよく、物体から画像データを最適に取得するように走査装置を適用するようにユーザに指示することができる。図4に示す例では、溶接部402が物体404に示されている。溶接部の位置は既知であってもよい。システムは、(図4の向きに関して)垂直に対してある角度で溶接部に隣接する物体を走査することが適切であると判定し得る。図示の例では、望ましい走査方向は、垂直に対して約45度の角度である。走査装置406をこの位置に配置することにより、走査装置が単に溶接部に隣接して垂直に保たれた場合よりも、溶接部に関する追加のデータを得ることができる。
【0049】
いくつかの例では、システムは、走査装置の向きに応じて、走査装置または走査装置の一部の摩耗を検出するように構成される。走査装置が位置する場所を知ることにより、その場所における物体表面の向きの決定が可能になる。走査装置の向きに基づいて、物体表面に対する走査装置の角度を決定することができる。この角度が、例えば、予想される角度と2~3度異なる場合、これは、走査装置の表面、例えば振動子または結合部の表面が、摩耗していることを示し得る。走査装置の一部が摩耗しているという判定に応じて、システムは、摩耗した部品を交換するようにユーザに促すことができる。これにより、システム動作が所望の許容範囲内に留まることを保証することができる。部品が摩耗しているとシステムが判定する角度は、予め選択され、および/またはユーザが構成可能であり得る。
【0050】
いくつかの例では、ユーザへの指示は、例えば同じ位置で1回または複数回のさらなる走査を実行するために、物体を再走査するための指示を含む。したがって、ユーザは、走査装置によって既に走査された物体の領域にわたって走査するように促される場合がある。
【0051】
物体を再走査するための指示は、以前の走査に関連する品質の尺度、または以前の走査の組み合わせに関連する品質の尺度に応じてユーザに提供されてもよい。品質の尺度は、以前の1回または複数回の走査中に得られたデータの信号対雑音比の尺度を含み得る。
【0052】
図7を参照すると、方法は、走査装置の位置を感知することを含むことができる(701)。感知された位置に応じて走査装置の構成を行うことができる(702)。感知された位置に応じてユーザに指示を提供することができる(703)。任意選択的に、本方法は、走査装置を再配向する(704)、物体、例えば物体上の特定の位置を再走査する(705)、および物体上の新しい位置を走査する(706)指示を提供することの1つまたは複数をさらに含み得る。
【0053】
取得されると、プロセッサは走査からのデータを分析することができる。分析は、データの品質に関する情報を明らかにすることができる。そのような情報は、データの処理に応じてデータに割り当てられた数値であり得る1回または複数回の走査から得られたデータに関連する品質の尺度の形態をとることができる。データの処理は、閾値などの既知のメトリックに対してデータを処理することを含み得る。品質の尺度は、データの信号対雑音比(SNR)を含むことができる。
【0054】
適切には、単一の走査からのデータを処理して、そのデータの品質の尺度を生成することができる。物体の表面の所与の走査領域、または物体の所与の走査体積に関して2回以上の走査が得られてもよい。これらの複数の走査は、例えばプロセッサによって組み合わされてもよい。いくつかの例では、複数の走査からのデータは平均化されてもよい。他の組み合わせ技術も当業者には明らかであろう。走査装置の位置が走査間で変化する場合、プロセッサは、走査を実行した走査装置の感知された位置にアクセスし、その感知された位置またはそれらの感知された位置に応じて走査を処理するように適切に構成される。
【0055】
例えば、走査装置が物体の表面上の1つの位置で走査を行い、次いで第1の走査位置と部分的に重なる別の走査位置に横方向に移動する場合、プロセッサは、表面上の重複領域(および走査の重複体積)に関して2回の走査からのデータを組み合わせるように構成することができる。
【0056】
図8を参照すると、方法は、複数の位置で物体を走査することを含み得る(801)。各走査に対する走査装置の位置を決定することができる(802)。複数の走査および感知された位置に応じて画像を生成することができる(803)。
【0057】
所与の走査領域または走査体積のより多くの走査が取得され、プロセッサによって組み合わされると、結果として得られるデータの品質は向上する可能性がある。例えば、一連の走査からのデータを組み合わせる場合、SNRが高くなる可能性がある。
【0058】
いくつかの例では、走査システムは、品質の所与の尺度、例えばSNR閾値を満たすデータを取得するようにユーザが指示されるように構成される。プロセッサは、好ましくは、メモリにアクセスするように構成され、メモリには、走査装置によって取得されたデータの品質の尺度を保存することができ、1つまたは複数の所望の品質の尺度を保存することができる。例えば、データ(または組み合わされたデータ)の現在のSNRをメモリに保存することができる。所望のSNR閾値を、メモリに保存することができる。プロセッサは、現在の品質尺度を所望の品質尺度と比較して、品質尺度が満たされているかどうかを判定するように適切に構成される。品質の尺度が満たされる場合、例えば、現在のSNRがSNR閾値以上である場合、走査システムは、別の走査位置に移るようにユーザに促すことができる。品質の尺度がまだ満たされていない場合、例えば、現在のSNRがSNR閾値よりも低い場合、走査システムは、その位置を再走査するようにユーザに促し、それによって追加のデータを取得し、SNRを改善することができる。
【0059】
この手法は、走査システムの効率的な使用を可能にする。各走査からより良好な品質のデータを得ることができる状況では、所望の品質尺度を満たすために、より少ない数の走査を実行することができる。各走査からのデータ品質がより低い状況では、品質の尺度が満たされることを保証するために、より多くの走査を実行することができる。したがって、本手法は、取得されたデータに応じて、例えばデータから取得された品質の尺度に応じて、実行される走査回数の動的変動を可能にする。走査回数のこの動的変動は、走査が不必要に実行されないことを意味する可能性があり(品質の尺度が既に満たされている場合)、時間を節約することができる。走査回数の動的変動は、品質の尺度が満たされることを保証するために必要なデータが、走査装置が物体に隣接して所定の位置にある間に得られることを意味することができ、後で同じ場所で走査をセットアップする必要性を回避する。この手法はまた、特にその走査位置へのアクセスが困難であるおよび/または時間がかかる場合に、所望の走査を取得するのに必要な全体的な時間を短縮するのに役立つ可能性が高い。
【0060】
図9を参照すると、方法は、走査装置を使用して物体を走査し、走査から得られたデータに関連する品質の尺度を決定することを含み得る(901)。決定された品質の尺度に応じて、同じ位置で物体を再走査するか否かに関する決定を行うことができる(902)。
【0061】
所与の領域の走査は、走査装置がその領域に隣接する固定位置に留まる状態で順次実行される必要はない。走査装置を物体上の異なる位置に配置すること、および/または物体を横切って移動させることが可能である。位置センサは、各走査に関する走査装置の位置を感知するように構成される。プロセッサは、走査からのデータと共にこの感知された位置を使用して、そのデータを他の走査からのデータと組み合わせるように構成することができる。
【0062】
いくつかの例では、ユーザへの指示は、走査装置を新しい位置に移動させる指示を含むことができる。プロセッサは、物体内の特徴を検出することができ、検出された特徴を探索するような方向に走査装置を移動させるようにユーザに指示することができる。例えば、特徴がx方向に長手方向の範囲を有する場合、走査システムは、特徴がその長さに沿って特徴付けられることを確実にするために、特徴が検出されると、x方向に沿って移動させるようにユーザに指示することができる。
【0063】
いくつかの例では、例えば検出された特徴の長手方向の範囲を決定するために、ユーザは、走査装置を所定の走査パターンから離れるように移動させるように指示される場合がある。ユーザへの指示は、所定の走査パターンに向かって戻る指示を含む場合がある。
【0064】
走査システムは、走査装置を移動させる方向をユーザに示すためのインジケータを備え得る。インジケータは、ディスプレイを備えることができる。インジケータは、走査装置が移動されるべき方向に従って点灯することができる光のマトリックスを含むことができる。インジケータは、一連の矢印、例えば、上、下、左および右を指す矢印を含み得る。追加的または代替的に、他の方向を示す矢印を設けることができる。
【0065】
走査装置は、インジケータを備えることができる。インジケータを備える走査装置の一例を図5に示す。図5は、走査装置502上に配置された矢印501を示す。矢印は、少なくとも部分的に半透明であってもよく、それぞれの光を覆うように設けられてもよい。ライトが照らされると、対応する矢印が照らされ、ユーザに方向を示す。
【0066】
したがって、走査装置のユーザは、離れたインジケータを参照する必要なく、走査装置を移動させる方向について知ることができる。これは、走査装置が走査システムの残りの部分から離れて使用されている場合に特に有用であり得る。これは、例えば、走査されている物体が大きく、ユーザが物体の比較的高い部分を走査するために、はしごに上る場合であり得る。ユーザが、走査装置をどの方向に移動させるべきかを見出すために、はしごの下に戻る必要がある場合、不便である。したがって、走査装置にインジケータを設けることはより便利である。
【0067】
いくつかの例では、インジケータは、走査装置が結合され得るタブレットコンピュータ上に設けられてもよい。
【0068】
ユーザへの指示は、異なる位置から物体の内部体積を撮像するように走査装置を移動させる指示を含み得る。例えば、物体の上面などの表面が走査装置によって走査されており、走査された体積内で欠陥などの特徴が検出された場合、システムは、ユーザに、逆の(この例では下側)表面から物体を走査するように指示することができる。これにより、検出された特徴についてさらなる詳細を提供することができ、その特徴のより正確な特徴付けを可能にする。
【0069】
走査された体積を再走査するようにユーザが指示される表面は、初期走査表面と反対である必要はない。いくつかの例では、特徴は角付近で検出される場合があり、一方の側から角を最初に走査した後、走査システムは、他方の側から角を走査するようにユーザに指示することができる。走査方向のこの組み合わせは、システムが物体内で検出された特徴に関するより正確なデータを取得することを可能にする。
【0070】
異なる位置から物体を走査する例を図6aおよび図6bに示す。図6aは、表面下特徴602を備える物体601を示す。物体は、1つの位置にある走査装置(603で示され、矢印は走査の方向を示す)によって走査され得る。物体は、第1の走査位置に面する別の位置にある走査装置(604で示され、矢印は走査の方向を示す)によって再走査され得る。両方の走査が表面下特徴602を撮像し、その特徴のより正確な画像を生成することを可能にする。
【0071】
図6bは、表面下特徴612を備える物体610を示す。物体は、1つの位置にある走査装置(613で示され、矢印は走査の方向を示す)によって走査され得る。物体は、第1の位置の近くにあり、そこから角度的にオフセットされた別の位置にある走査装置(614で示され、矢印は走査の方向を示す)によって再走査され得る。両方の走査が表面下特徴612を撮像し、その特徴のより正確な画像を生成することを可能にする。
【0072】
いくつかの例では、位置センサは、局所位置決めシステムを備える。局所位置決めシステムは、走査装置において位置データを生成するように構成される。局所位置決めシステムによって生成される位置データは、絶対位置データ、例えば基準フレームに対する走査装置の位置を示すデータ、および/または相対位置データ、例えば既知の位置に対するデータであってもよい。相対位置データは、いくつかの例では、走査装置が既知の位置から移動した距離、および/または走査装置が既知の向きから回転した角度の表示を含むことができる。相対位置データは、走査装置がどのように移動されるかを決定するために絶対位置データ(例えば、既知の開始位置および/または既知の開始方向)と組み合わせて使用される場合に有用である。いくつかの例では、相対位置データを使用して、絶対位置データのみを使用する場合と比較して位置決定の精度を高めることができる。
【0073】
局所位置決めシステムは、回転エンコーダを備えてもよい。回転エンコーダは、物体の表面上を移動するためのボールと、少なくとも一方向におけるボールの回転を検出するためにボールに結合された1つまたは複数のエンコーダとを含み得る。回転エンコーダは、互いに角度的にオフセットされた、例えば垂直なそれぞれの軸の周りを回転するように構成された2つのエンコーダホイール(またはシリンダ)を備え得る。エンコーダホイールは、ボールと適切に接触し、ボールの回転に応じて回転するように構成される。
【0074】
適切には、回転エンコーダは、垂直方向、例えばxおよびy方向の動きを検出するように構成される。いくつかの例では、単一方向の動きを検出するために単一のエンコーダホイールを設けることができる。2つのエンコーダホイールが設けられるいくつかの例では、エンコーダホイールは、互いに垂直なそれぞれの軸を中心に回転する必要はない。
【0075】
ボールは、少なくともいくつかの例では、物体に面するように構成された走査装置の側面に向かって配置される。ボールは、好ましくは、物体に面するように構成された走査装置の側面から突出する。いくつかの例では、ボールは、ボールが走査装置の内外に移動可能であるように、走査装置に対して移動可能な弾性機構に取り付けられる。この配置は、ボールが物体の表面に接触することを可能にして、その物体に沿った走査装置の移動を検出すると同時に、走査装置の超音波透過面が所望の力で物体に適用されることを可能にする。いくつかの例では、ボールの提供は、走査装置が物体の表面に加えることができる力に影響を及ぼさない。
【0076】
各エンコーダホイールは、走査装置がそのエンコーダホイールによって検出される方向で物体の表面に沿って移動する距離を示す信号を出力するように構成される。1つのエンコーダホイールがx方向に沿った距離を検出するように構成され、別のエンコーダホイールがy方向に沿った距離を検出するように構成される上記の例では、局所位置決めシステムは、x方向に移動した距離を示す1つの信号と、y方向に移動した距離を示す別の信号とを出力することができる。本明細書で参照されるx方向およびy方向は、物体または物体の環境などの基準フレームに対して特定の方向に向けられる必要はないことに留意されたい。むしろ、x方向およびy方向は、これらの例では、方向が互いに垂直であることを示す。
【0077】
局所位置決めシステムは、光学位置決めシステムを備えてもよい。光学位置決めシステムは、走査装置が表面を横切って移動するときに、物体の表面から反射された光の検出に応じて位置の変化を決定するように構成され得る。光学的位置決めシステムは、物体の表面からの鏡面反射光を検出してもよい。
【0078】
いくつかの例では、局所位置決めシステムは慣性測定ユニットを備える。慣性測定ユニットは、ジャイロスコープおよび/または加速度計を備えることができる。慣性測定ユニットは、1軸加速度計を備え得る。慣性測定ユニットは、2軸加速度計を備え得る。慣性測定ユニットは、3軸加速度計を備え得る。
【0079】
適切には、局所位置決めシステムは、走査装置の汎用I/Oインターフェースに結合される。走査装置は、振動子を備える振動子モジュールを備えてもよい。局所位置決めシステムは、振動子モジュールに、例えば振動子に隣接して設けられてもよい。そのような配置の例を図12aおよび図12bに示す。図12aは、振動子1202と局所位置決めシステム1204とを備える振動子モジュール1200を示す。振動子1202は、試験対象の物体に面するために振動子モジュールの表面に配置される。局所位置決めシステムは、振動子に隣接して、振動子モジュールの同じ表面に設けられる。局所位置決めシステムは、振動子モジュールのハウジング内に配置される。このように局所位置決めシステムを位置決めすることは、局所位置決めシステムを保護するのに役立つことができる。
【0080】
本明細書の他の箇所で説明するように、局所位置決めシステムは、回転エンコーダおよび/または光学位置決めシステムを備え得る。試験対象の物体に面するために振動子モジュールの表面に局所位置決めシステムを設けることにより、振動子モジュールが試験対象の物体の表面を横切って移動するときに、局所位置決めシステムが局所位置または相対局所位置を決定することが可能になる。
【0081】
代替的な構成が図12bに示されている。図12aに示す例と同様に、振動子モジュール1200は、振動子1202および局所位置決めシステム1204を備える。しかしながら、この例では、局所位置決めシステムは、振動子モジュールのハウジングの外側に結合される。この手法は、振動子モジュールの製造を単純化することができる。図示のように、振動子1202は、振動子モジュールのハウジングの内部全体にわたって設けることができる。これにより、ハウジング内の振動子の保持を単純化することができる。この手法はまた、既存の振動子モジュールへの局所位置決めシステムの後付けを容易にする。ハウジング内に局所位置決めシステムを設けるように振動子モジュールを再設計する必要はない。むしろ、局所位置決めシステムは、振動子モジュールの一部として、ハウジングの外部に有用に設けられ得る。適切には、局所位置決めシステムは、例えば図12aに示す局所位置決めシステムと同様の方法で、試験対象の物体の表面と係合するように設けられる。
【0082】
局所位置決めシステムは、物体に面するための局所位置決めシステムの表面が、物体に面するための振動子の表面と同じ平面に沿っているように設けることができる。適切には、局所位置決めシステムの表面および振動子の表面は、互いに連続しているか、または実質的に連続している。
【0083】
局所位置決めシステムを振動子に隣接して配置することにより、試験対象の物体の部分に対する局所位置決め決定の精度を高めることができる。例えば、物体が平坦な物体ではない場合、物体の表面が振動子によって走査されるときに局所位置決めシステムが物体の表面と係合することができるように、局所位置決めシステムを振動子に隣接して、または比較的近接して位置決めすることが有用であり得る。
【0084】
次に、図13aおよび図13bを参照して、代替的な配置を説明する。いくつかの使用事例では、振動子モジュールは、試験対象の物体に対して直接配置することができる。そのような場合、図12aおよび図12bの配置を使用することができる。他の使用事例では、振動子と試験対象の物体の表面との間に乾式結合などの結合を設けることが望ましい場合がある。これは、物体への超音波の送信を改善するために、および/または振動子で反射を受信するタイミングに所望の遅延を導入するために行うことができる。結合は、図13aおよび図13bに示すように、結合シューによって提供することができる。図13aは、振動子1302を備える振動子モジュール1300を示す。局所位置決めシステム1304は、結合シューなどの結合部1306上に、またはその一部として設けられる。局所位置決めシステムは、有線接続1308および/または無線によって、振動子モジュール、例えば振動子モジュールの汎用I/Oインターフェースに接続することができる。局所位置決めシステム1304が無線接続モジュールを備える場合、局所位置決めシステムは、追加的または代替的に、遠隔システムに直接接続し得る。
【0085】
局所位置決めシステムは、図13aに示すように結合部の外部に(例えば、結合部の外面に取り付けられて)、または図13bに示すように結合部の内部に(例えば、結合部の一部として、または結合部の凹部内に)設けられてもよい。
【0086】
適切には、局所位置決めシステム1304は、試験対象の物体に面するための局所位置決めシステムの表面が、物体に面するための結合部の表面と同じ平面に沿っているように設けられる。適切には、局所位置決めシステムの表面および結合部の表面は、互いに連続しているか、または実質的に連続している。
【0087】
ハウジングの内部または外部のいずれかに第1の局所位置決めシステムを有する振動子モジュールに、第2の局所位置決めシステムを含む結合部を設けることができる配置が提供されてもよいことが理解されよう。この場合、第1の局所位置決めシステムは、振動子モジュールが結合部なしで使用される場合に使用することができ、第2の局所位置決めシステムは、振動子モジュールが結合部ありで使用される場合に使用することができる。この手法は、振動子モジュールおよび局所位置決めシステムの使用に柔軟性を提供する。
【0088】
図12および図13を参照して上述した局所位置決めシステムの例は、局所位置または相対局所移動を決定するために、試験対象の物体の表面とインターフェースするように構成される。
【0089】
局所位置決めシステムは、試験対象の物体の表面とインターフェースする必要なしに、局所位置または相対局所移動を決定するように構成することができる。例えば、局所位置決めシステムは、ジャイロスコープを備えることができる。
【0090】
いくつかの実装形態では、局所位置決めシステムは、試験対象の物体の表面とインターフェースすることによって局所位置または相対局所移動を決定するように構成された配置と、試験対象の物体の表面とインターフェースする必要なしに局所位置または相対局所移動を決定するように構成された別の配置とを備えることができる。他の実施態様では、これらの配置のうちの1つのみを設ける必要がある。
【0091】
局所位置決めシステムが、ジャイロスコープなど、物体と直接インターフェースする必要がない配置を含む場合、局所位置決めシステムは、振動子モジュールの走査面に配置される必要はない。そのような場合、局所位置決めシステムは、振動子モジュールの上部に、すなわち走査面から離れて設けることができる。振動子モジュールのいくつかの実装形態では、局所位置決めシステムが適切に結合される汎用I/Oポートを振動子モジュールの上部に配置することができるので、この位置は便利である。局所位置決めシステムのこの位置はまた、よりコンパクトな走査面を提供することを可能にする。局所位置決めシステムが振動子から離間している場合、局所位置決めシステムおよび振動子の相対位置決めは、局所位置決めシステムによって振動子の位置を決定できるように、製造中に適切に決定することができる。
【0092】
いくつかの例では、位置センサは遠隔位置決めシステムを備える。遠隔位置決めシステムは、好ましくは、絶対位置データを決定するように構成される。遠隔位置決めシステムは、走査装置に設けられたエミッタと、走査装置から遠隔に配置された複数の検出器とを備え得る。いくつかの例では、1つまたは複数のエミッタが走査装置から離れて設けられてもよく、1つまたは複数の検出器が走査装置に設けられてもよい。
【0093】
エミッタは電磁放射線を放出してもよく、検出器は放出された放射線を検出するように構成されてもよい。いくつかの例では、エミッタは赤外光であり、検出器は赤外光を検出するように構成された画像センサである。
【0094】
他の例では、エミッタは電波を放出することができ、検出器は無線検出器であり得る。遠隔位置決めシステムは、放射された電磁放射を三角測量することによって絶対位置データを決定することができる。遠隔位置決めシステムは、放射された電磁放射の飛行時間測定値を使用して絶対位置データを決定することができる。
【0095】
走査装置がエミッタを備えてもよい。
【0096】
好ましくは、走査システム、例えば走査システムの位置センサは、複数の位置決めシステムからのデータを組み合わせるように構成される。複数の位置決めシステムは、少なくとも1つの局所位置決めシステムを備え得る。複数の位置決めシステムは、少なくとも1つの遠隔位置決めシステムを備え得る。好ましくは、複数の位置決めシステムは、少なくとも1つの局所位置決めシステムと少なくとも1つの遠隔位置決めシステムとを備える。
【0097】
状況によっては、遠隔位置決めシステムは、物体上の位置を常に一意に決定することができない場合がある。この例は、遠隔位置決めシステムが赤外線送信機および赤外線受信機を備える場合である。赤外線受信機にとって赤外線送信機が常に見える場合、走査装置がどこに配置されているかを決定することは可能である。しかしながら、走査装置を操作するユーザ、別の物体、または走査装置自体の一部が、送信機と受信機との間の視野を遮る場合があり得る。これが発生すると、赤外線送信機と赤外線受信機とを備える遠隔位置決めシステムは、もはや走査装置の位置を正確に決定することができなくなる可能性がある。
【0098】
上述したような状況において走査装置の位置の精度を高めることができるさらなる位置決めシステムが提供され得る。
【0099】
さらなる位置決めシステムは、第1の基準フレームにおける第1の位置および第2の基準フレームにおける第2の位置を決定することができる。さらなる位置決めシステムは、第2の基準フレームと第1の基準フレームとの間の変換を決定することにより、第1の基準フレームにおける第2の位置を決定することができる。
【0100】
第1の基準フレームは、適切には、位置が物体に対して一意に決定されることを可能にする。例えば、第1の基準フレームは、例えば、物体全体、物体の一意に決定可能な部分、物体を配置可能な作業台、または物体を配置可能な部屋または格納庫に関することができる。第2の基準フレームは、位置が物体に対して一意に決定されることが可能でないようなものであってもよい。例えば、第2の基準フレームは、物体の別の部分と区別できない可能性がある物体の部分に関連することができる。
【0101】
例えば、さらなる位置決めシステムは、物体から2つの距離で使用することができる。第1の距離は第2の距離よりも大きい。物体から第1の距離において、さらなる位置決めシステムは、比較的広い視野を有する。したがって、この比較的広い視野は、第1の基準フレームを定義することができる。比較的広い視野が物体全体を包含する場合、物体上の位置を一意に決定することができる。比較的広い視野は、位置が一意に決定可能であるために物体全体を包含する必要はないことに留意されたい。
【0102】
物体から第2の距離において、さらなる位置決めシステムは、比較的狭い視野(すなわち、第1の距離における比較的広い視野よりも狭い)を有する。比較的狭い視野は、第2の基準フレームを定義することができる。比較的狭い視野が物体の固有の特徴を含まない場合、物体に対する第2の基準フレームの相対位置が分からない可能性があるため、物体に固有の方法で第2の基準フレーム内の位置を定義することができない可能性がある。
【0103】
航空機の翼などの物体の異なる視野が互いにどのように関連し得るかを示す図17aおよび図17bを参照する。図17aは、第1の視野内の翼1702の一部の図を示す。第1の視野は、翼の大部分を包含する。翼は、航空機格納庫に配置することができる。1704で示される第1の基準フレームは、(x、y)によって定義することができる。第1の基準フレームは、格納庫に関する。したがって、第1の基準フレームにおける位置は、翼上の位置を一意に定義することができる。
【0104】
図17bは、図17aと同じ翼1702の部分を示す。図17bには、さらに2つの視野が示されている。第2の視野は1706で示されている。第2の視野内の第2の基準フレームは、(x、y)によって定義することができる。第3の視野は1708で示されている。第3の視野内の第3の基準フレームは、(x、y)によって定義することができる。第2の視野および第3の視野の各々は、第1の視野よりも狭い。多くの状況では、第2の基準フレーム内の点(x,y)と、別の基準フレーム、例えば第1の基準フレームまたは第3の基準フレーム内のその点(または別の点)との間の空間的関係を決定することは不可能であり得る。したがって、第2の基準フレームにおける点(x,y)の位置は、翼1702に対して一意に決定することができない場合がある。
【0105】
比較的大きな距離では、比較的広い視野(例えば、第1の視野)により、物体上の点を一意に決定することができる。比較的小さな距離では、比較的狭い視野(例えば、第2の視野または第3の視野)により、物体上の点を一意に決定することができない場合がある。したがって、1つの基準フレーム内の位置を別の基準フレームに変換する方法を考慮することが有用である。
【0106】
第1の基準フレームと第2の基準フレームとの間のリンクを提供することができる1つまたは複数のマーカ1710が設けられてもよい。1つまたは複数のマーカは、物体に対して位置的に固定され、または物体と係合するように、物体に取り付けることができる。例えば、1つまたは複数のマーカは、接着、磁気、吸着カップなどを介して物体に取り付けることができる。一般に、1つまたは複数のマーカは、任意の適切な方法で物体に取り付けるか、または物体と位置合わせすることができる。例えば、マーカを、重力の影響下で物体上に保持することができる。場合によっては重力のみを使用して物体上にマーカを保持することで十分である可能性があるが、例えば傾斜面にマーカをしっかりと取り付けることができるように、より安全な方法でマーカを取り付けることが一般に望ましい。
【0107】
適切には、マーカは、物体の構造に影響を及ぼさない方法で物体に取り付けられるか、または物体上に保持される。したがって、物体の損傷を回避することができる。
【0108】
適切には、複数のマーカの各々は互いに区別可能である。適切には、マーカまたは各マーカは、マーカの回転を決定することができるように構成され、例えば、マーカまたは各マーカは、回転非対称の特徴を含むことができる。
【0109】
ここで、マーカが第1の基準フレームと第2の基準フレームとの間のリンクを提供することができる方法を説明する。1つまたは複数のマーカを物体に適用することができ、第1の距離でさらなる位置決めシステムを使用して、第1の基準フレーム内のマーカの各々の物体上の位置を決定する。これにより、各マーカの位置を物体上で一意に決定することができる。
【0110】
さらなる位置決めシステムを第2の距離で使用して、例えばより狭い視野で物体の表現を取得することによって、1つまたは複数のマーカに対する第2の基準フレーム内の物体上の位置を決定することができる。それらの1つまたは複数のマーカの第1の基準フレーム内の位置の知識に基づいて、第2の基準フレーム内の決定された位置を第1の基準フレーム内の位置に変換することができ、物体上の位置は一意に決定される。
【0111】
各マーカが別個である場合、より狭い第2の視野における物体の表現が単一のマーカを包含することのみが必要である。マーカの向きを一意に決定することができる場合、すなわちマーカが回転対称性を有しない場合、そのマーカの存在は、全体として、すなわち第1の基準フレーム内で、物体上の位置を一意に決定することができるのに十分である。マーカが回転対称性を有する場合、より狭い第2の視野における物体の表現は、2つ以上のマーカ、または少なくとも1つのマーカおよび物体の縁部などの別の特徴的な特徴を包含することが必要であり得る。この場合、第1の基準フレームに対する第2の基準フレームの向きを一意に決定することができる。したがって、この場合、マーカは、互いに異なるマーカである必要はない。
【0112】
さらなる位置決めシステムは、物体および/または1つもしくは複数のマーカの画像を取り込むための画像取込装置を備え得る。適切には、マーカは視覚的に互いに区別可能である。第1の距離にある画像取込装置の(比較的広い)第1の視野は、第1の基準フレームを定義し得る。第2の距離にある画像取込装置の(比較的狭い)第2の視野は、第2の基準フレームを定義し得る。画像取込装置は、カメラを備えてもよい。画像取込装置は、CCDを備えてもよい。
【0113】
したがって、さらなる位置決めシステムの画像取込装置は、航空機の翼などの物体から第1の距離にあるときに複数のマーカの画像を取り込むために使用することができる。翼に近づくと、画像取込装置の視野は、単一のマーカのみを包含し得る。これにもかかわらず、画像取込装置によって取り込まれた画像内の位置を、全体として物体(例えば、翼)に対して依然として一意に決定することができる。
【0114】
位置センサは、各位置決めシステムの精度の尺度に応じて複数の位置決めシステムからのデータを組み合わせるように構成されてもよい。
【0115】
例えば、データを、より正確なデータを強調するように組み合わせることができる。いくつかの例では、データの重み付け合成を実行することができる。各位置決めシステムからのデータに適用される重み付けは、その位置決めシステムの精度の尺度に基づくことができる。
【0116】
精度の尺度は、位置決めシステムの精度の推定を含むことができる。精度の尺度は、位置決めシステムの較正された精度を含むことができる。精度の尺度は、位置決めシステムの平均精度を含むことができる。
【0117】
いくつかの例では、重み付けをユーザが選択することができる。この手法により、ユーザは、例えば異なる位置データセット間の所望のバランスを得るために、所望のようにシステムを構成することができる。
【0118】
適切には、位置決めシステムからのデータはフィルタリングされる。フィルタリングは、好ましくは、データを組み合わせる前に行われる。フィルタリングは、統計的フィルタリング方法を含むことができる。フィルタリングは、カルマンフィルタを適用することを含むことができる。フィルタは、重み付きフィルタであってもよい。重み付きフィルタによって適用される重み付けは、そのデータが得られたそれぞれの位置決めシステムの精度の尺度に基づくことができる。
【0119】
構成ユニットは、走査装置を構成するための構成データを選択し、選択された構成データを走査装置に送信して走査装置を構成するように構成されてもよい。
【0120】
感知された位置は、走査装置が隣接して配置されている物体または物体の一部を示すことができる。例えば、感知された位置は、走査装置が金属プレートに隣接しているか、または積層ポリマーに隣接しているかを示すことができる。走査システムは、1つまたは複数の物体の位置を知ることにより物体に関するこの情報を決定するように適切に構成される。物体に関するそのような情報を、走査システムにとってアクセス可能なデータベースに保存することができる。走査システムは、データベースの少なくとも一部を含み得る。適切には、データベースの少なくとも一部は遠隔に、例えばクラウド内に設けることができる。
【0121】
いくつかの例では、構成データは、複数のパルステンプレートから1つのパルステンプレートを選択するためのデータを含む。走査装置は、複数のパルステンプレートにアクセスすることができる。複数のパルステンプレートは、異なるタイミングおよび/または形状のパルスを含む。パルステンプレートの各々は、少なくとも1つの他のパルステンプレートとは異なる特性を有してもよい。したがって、試験対象の物体における所与の材料および/または予想される特徴について、所与のパルステンプレートは、別のパルステンプレートよりも多くの情報またはより正確な情報をもたらすと予想され得る。
【0122】
いくつかの例では、走査装置は、物体への超音波パルスとしての生成および送信のために複数のパルステンプレートから1つのパルスを選択するように構成されたパルス選択モジュールにアクセスすることができる。構成データは、パルス選択モジュールを制御して、走査装置の位置に隣接して位置する物体または物体の一部に適切なパルステンプレートを選択するように構成することができる。
【0123】
パルステンプレートは、感知された位置に隣接する物体の材料および/または感知された位置に隣接する物体において予想される特徴に応じて選択することができる。
【0124】
構成データは、走査システムの物理的再構成に関するデータを含み得、ユーザへの指示は、走査システムの物理的構成を変更する指示を含み得る。走査システムは、インジケータ上でシステムの物理的再構成を示すように構成されてもよい。
【0125】
走査システムの物理的構成は、放射された超音波信号を物体に結合し、反射された超音波信号を走査装置に結合するために走査装置に提供される結合の存在および/またはタイプを含むことができる。結合の物理的再構成は、結合をまっすぐな結合から角度の付いた結合に、または角度の付いた結合からまっすぐな結合に変更することを含むことができる。一例では、走査装置が物体表面の下に延びる溶接部に近づけられ、溶接部を走査することが望まれる場合、感知された位置は、走査装置が溶接部に隣接していることを示すことができ、指示ユニットは、溶接部の側面を適切に撮像できるように、平坦な結合を角度の付いた結合に変更するようにユーザに指示することができる。
【0126】
感知された位置は、走査装置が配置される既知のタイプの材料を示すことができる。いくつかの例では、異なる材料タイプに対して異なる結合が適切であり得、例えば、結合部の厚さおよび/または材料は、その材料へのおよびその材料からの超音波信号の結合効率を最適化するように選択することができる。いくつかの例では、構成データは、感知された位置の材料に適切または最も適切な特定の結合に関するデータを含むことができる。所望の結合がその時点で走査装置に設けられている結合ではない場合、ユーザへの指示は、結合を所望の結合に変更するようにユーザに指示することができる。この手法は、感知された位置で試験対象の物体を走査するために走査装置が最適化されることを保証することができる。
【0127】
振動子に取り付けられ得る異なる結合部は、サイズ、周波数伝達、インピーダンス、硬度および/または厚さのうちの1つまたは複数が異なり得る。振動子の縁部または縁部に向かって、封止要素を設けることができる。封止要素は、振動子の周囲に設けられてもよい。封止要素は、ゴムシールなどの弾性シールであってもよい。シールを設けることにより、振動子モジュールを水密に保ちながら、結合部を迅速かつ容易に交換することが可能になる。
【0128】
本技術は、物体を撮像するための走査システムに関し得、走査システムは、物体に向かって超音波信号を送信し、かつ物体から反射された超音波信号を受信し、それによって物体の内部構造に関するデータを取得することができるように構成された走査装置を備える。走査システムは、走査装置の位置を感知するための位置センサをさらに備えてもよい。走査システムはまた、物体の内部構造に関するデータ(例えば、取得されたデータ)およびそのデータが取得された走査装置の感知された位置に応じて物体を表す画像を生成するように構成された画像生成ユニットを備えることができる。
【0129】
各走査からのデータが取得されるときの走査装置の位置を知ることにより、画像生成ユニットは、1つの走査から取得されたデータが別の走査から取得されたデータにどのように関連するかを決定することができる。例えば、走査が物体の所与の表面上の隣接する位置からのものである場合、画像生成ユニットはこれを決定することができ、それに応じて両方の走査からのデータに応じて合成画像を生成することができる。例えば、第1の走査が、走査装置を用いて、例えば物体表面上の所与の位置の左側で実行され、第2の走査が、走査装置を用いて、例えば物体表面上の同じ所与の位置の右側で実行される場合、合成画像は、各別個の走査から生成された画像を位置合わせすることによって生成することができる。
【0130】
別の例では、走査が実行される物体表面上の領域は、重なってもよく、または互いに離間していてもよい。走査が実行されるときの走査装置の位置を知ることにより、結果として得られる画像を適切に組み合わせることができる。前者の場合、画像は、画像の適切な部分で一緒につなぎ合わせることができる。後者の場合、例えば、物体のモデル上に表示されるときに、画像を互いに適切に離間させることができる。
【0131】
1つのフレーム(または走査)から別のフレームへ、および/または走査の1つの画素から別の画素へ、データ内でパターンを識別することができる。識別されたパターンは、画像をつなぎ合わせるために使用することができる。データはビットマップデータであってもよく、標準的なパターン認識技術を使用してデータ内のパターンを識別することができる。画像は、画像処理アルゴリズムを使用して一緒につなぎ合わせることができる。識別されたパターンは複雑であり得る。例えば、データは、A走査、B走査およびC走査のうちの1つまたはいくつかの組み合わせを含むことができる。したがって、パターンを識別し、画像スティッチングを実行するときに、深度を考慮に入れることができる。深度を考慮に入れることは、1つのフレームから別のフレーム、すなわち1つの画像から別の画像への位置のトラッキングを支援することができる。
【0132】
このようにして画像(またはより一般的には、取り込まれたデータ)を組み合わせるかまたはつなぎ合わせることにより、合成画像を構築することが可能になる。合成画像は、物体上の1つの位置(または2つ以上の別個の位置)に関して生成することができる。例えば、物体のCADモデルなどの物体のモデル上にデータを示すことができる。物体を横切って走査装置を移動させると、または物体の異なる部分を走査すると、このデータをモデルの関連部分に示すことができる。したがって、走査装置を物体の表面を横切って移動させることにより、物体のモデルをデータで「塗装」することができる。これにより、リアルタイムで走査結果の視覚的表示をシステムのユーザに提供することができる。有用には、この手法はまた、信号対雑音比が所望の閾値または予め設定された閾値を下回る場所をユーザに示すことができ、より正確な画像を取得するためにユーザが物体を再走査することを可能にする。
【0133】
「前壁」検出システムが使用され得る。そのような前壁検出システムは、試験対象の材料の前面への超音波の貫通エコーを監視するように構成することができる。理想的には、貫通エコーは可能な限り小さく保たれ、それにより、可能な限り多くの超音波エネルギーが試験対象の材料に入る。貫通エコーが高い場合、これは、振動子と試験対象の物体との間の結合が不十分であることを示すことができる。したがって、前壁検出システムは、貫通エコーが閾値(これは、例えば、絶対振幅値、または伝送エネルギーの比であってもよい)を超えるかどうかを判定するように構成することができ、貫通エコーが閾値を超えることに応答して、振動子と物体との間の結合が良好な走査結果を達成するには不十分であると判定することができる。次いで、システムは、ユーザに物体を再走査するように促し、および/または結合を改善するための措置を講じることができる。
【0134】
そのような手法は、ユーザが、走査範囲のギャップおよび/または不十分な走査結果が現れる可能性がある場所をリアルタイムで認識することを可能にし、ギャップを除去し、および/または走査結果を改善し、物体のすべての関連部分からデータを取得するために、ユーザがそれらの位置で物体を走査することを可能にする。この機能をリアルタイムで提供することは、欠落データを取得するために走査を後で再びセットアップする必要がないことを意味することができる。むしろ、走査を単一のプロセスでより効率的に実行することができる。
【0135】
「塗装された」モデルは、ディスプレイ、例えば走査装置のユーザが保持するディスプレイに表示されてもよい。例えば、走査装置は、ディスプレイを備えるタブレットコンピュータに結合されてもよく、リアルタイムの走査結果はそのディスプレイに示される。「塗装された」モデルは、拡張現実ディスプレイ、または例えばユーザが着用する眼鏡内の仮想現実ディスプレイによってユーザに表示されてもよい。これにより、取り込まれたデータを物体自体にオーバーレイすることができ、走査位置のより明確な指示をユーザに提供する。
【0136】
走査は、異なる向きで走査装置を用いて実行されてもよい。向き情報を含む走査装置の位置を知ることにより、画像生成ユニットは、画像を一緒に組み合わせるときに、各別個の走査から生成された画像を正しく方向付けることができる。
【0137】
図14を参照すると、これは、物体1406内の表面下特徴1404を撮像する2つの振動子モジュール1402(または、2つの位置で使用される単一の振動子モジュール)を示している。両方の画像は、表面下特徴に関する情報を含む。異なる撮像方向に起因して、表面下特徴に関する情報は、画像間で異なる可能性が高い。画像を取り込むときの振動子モジュールの相対的な向きおよび位置を知ることにより、取り込まれた画像間のより正確な位置合わせが可能になり、生成される表面下特徴のより正確な3D表現をもたらし、その表現のより正確な解析を容易にすることができる。
【0138】
いくつかの例では、画像生成ユニットは、第1の感知された位置で取得された第1の走査データ内の特徴を検出し、第2の感知された位置で取得された第2の走査データ内の特徴を検出し、第1および第2の感知された位置に基づいて、第1の走査データおよび前記第2の走査データの各々における検出された特徴が同じ特徴であると判定し、判定に応じて、第1の走査データと第2の走査データとを組み合わせるように構成される。
【0139】
画像生成ユニットは、第1の走査データ内の検出された特徴の向きおよび第2の走査データ内の検出された特徴の向きを決定するように構成されてもよい。画像生成ユニットは、決定された向きに応じて、例えば決定された向きの差に応じて、第1の走査データと第2の走査データとを組み合わせるように適切に構成される。例えば、第1の走査データおよび第2の走査データの一方または他方を、決定された向きの決定された差だけ回転させることができる。適切には、第1の走査データおよび第2の走査データは、決定された向きの決定された差によって互いに対して回転される。次に、第1の走査データおよび第2の走査データを組み合わせることができる。
【0140】
例えば、画像生成ユニットは、第1の走査データから画像を導出するように構成することができる。画像は、欠陥、物体内の材料の移行、またはリベットなどの特徴を示すことができる。画像生成ユニットは、第2の走査データから別の画像を導出するように構成することができる。この画像もまた、特徴を示し得る。例えば画像生成ユニットによって、各走査のための走査装置の感知された走査位置に基づいて、画像内の識別された特徴が互いに対応する、例えばそれらが同じ特徴であると判定された場合、画像生成ユニットは、この判定に基づいて画像を組み合わせるように適切に構成される。これは、画像が正しくつなぎ合わされていることの追加のチェックとして使用することができ、画像の組み合わせの精度、および/または画像をつなぎ合わせることができる信頼性を高めることができる。
【0141】
一例を挙げると、例えば、位置を0.5mm以内まで感知することができるとする。画像内の特徴を0.1mm以内まで検出することができる場合、検出された特徴に基づく画像位置合わせは、画像位置合わせの精度の向上につながる可能性がある。これらの図は、精度の潜在的な向上を説明するための単なる例である。この手法の利点は、他の位置誤差が存在する場合に得ることができる。これらの画像で検出された特徴に基づく画像の位置合わせは、特徴検出位置誤差が位置感知誤差よりも小さい場合に、画像位置合わせの精度の向上につながる可能性があることが理解されよう。
【0142】
いくつかの例では、特徴検出位置誤差が位置感知誤差と同じまたはそれより大きい場合でも、精度の向上を得ることができる。例えば、感知された位置のオフセット誤差、および/または経時的な誤差のドリフトがあり得る。特徴検出は、物体の特徴の知識に基づいて、より正確な位置を提供することができる。例えば、材料の移行が例えばx=4[単位]で発生することが知られており、材料の移行に対応する感知された位置がx=(4.3±1)[単位]である場合、オフセット誤差などの追加の誤差が存在すると判定することができる。この誤差が経時的に変化する場合、ドリフト誤差であると判定することができる。したがって、特徴の検出された位置、ここでは材料の移行は、画像の位置および/または位置合わせの全体的な精度を高めるために使用することができる。
【0143】
適切には、振動子は、振動素子のマトリックス配列を備える。振動子は、128×128配列の16384個の振動素子を備えてもよい。これらの振動素子の各々は、データの画素を生成するために使用され得る。これらの振動素子を別々に使用することにより、位置の決定において画素レベルの精度を得ることができる。振動子は、32mm×32mmであってもよい。したがって、1画素は、約0.25mm×0.25mmをカバーし得る。振動素子を別々に使用する必要はない。一群の振動素子を一緒に使用することができる。有用には、これにより信号対雑音比を増加させることができる。
【0144】
通常、走査装置は、物体を横切って移動するときに一連のパルスを放出し、それらのパルスの反射を検出して物体の表面下構造に関する情報を取得する。放出されるパルスはすべて同じタイプのパルスである必要はなく、同じ振動素子または振動素子群によって放出される必要はない。有利には、送信されるパルスの性質を変えることによって物体に関する追加のデータを得ることができる。
【0145】
典型的な走査装置は、毎秒約10~100フレームで走査するように構成され得る。すなわち、走査装置は、毎秒10から100の超音波「ショット」を送信することができる。好ましくは、走査装置は、毎秒約80~100フレームで走査するように構成される。これらの「ショット」のサブセットを使用して異なる走査を実行し、それによって単一のパスで追加のデータを取得することができる。
【0146】
例えば、n番目のショットごとにトラッキングショットとすることができる。トラッキングショットは、例えば試験体の厚さまたは試験体の後壁の厚さを決定するために、より大きなエネルギーを有するパルスとすることができ、それによってより正確な深度走査を提供することができる。例えば、試験体が管である場合、管の壁の厚さを決定することができる。nは5~10の範囲内であってもよく、したがって5~10番目ごとのパルスはトラッキングパルスであり得る。
【0147】
走査装置は、トラッキングショットが走査装置の運動方向に沿って2~3mmごとに放出されるように構成されてもよい。
【0148】
図15は、走査タイプをどのように変えることができるかを示している。図15aは、直交する導電ライン1504、1506(明確にするためにサブセットのみが示されている)を含む振動子マトリックス1502を示し、その交点は振動素子を画定する。超音波の送信は、単一の振動素子または振動素子のラインを駆動することによって引き起こされ得る。図15bは、マトリックス1502の振動素子を複数のグループにグループ化することができる代替形態を示す。図示のように、振動素子は、第1グループ1508、第2グループ1510、第3グループ1512、第4グループ1514および第5グループ1516にグループ化される。第1~第4グループは重ならず、一般にそれぞれがマトリックス1502の4分の1を画定する。第5グループは、第1~第4グループのそれぞれの一部と重なっている。他の形状およびサイズのグループを、必要に応じて定義することができる。所望に応じて、他の数のグループを定義してもよい。
【0149】
グループのすべての例において振動素子のマトリックス配列の全体をカバーする必要はない。グループは、共に振動子配列のサブセットをカバーしてもよい。
【0150】
トラッキングショットでは、振動素子のグループ、例えば第1~第5グループのうちの1つまたは複数の素子のすべてを一度に発射することができる。より多くの振動素子を一度に発射すると、得られる超音波パルスのエネルギーが増加し、それにより、より少ない振動素子を使用して放出されるパルスと比較して、そのパルスからより正確な深度を得ることが可能になる。
【0151】
標準的な走査にトラッキング走査を差し込むことにより、単一のパスで、走査体積に関する詳細だけでなく正確な深度を得ることができる。より一般的には、走査装置を使用して、第1の走査タイプの複数の走査に、第2の走査タイプの少なくとも1回の走査を差し込むことができる。走査装置を使用して、第1の走査タイプの複数の走査に、第3の走査タイプの少なくとも1回の走査を差し込むことができる。適切には第2の走査タイプの走査、および任意選択的に第3の走査タイプの走査が、第1の走査タイプの走査に規則的に差し込まれる。
【0152】
場合によっては、トラッキングショットのために同時に発射される振動素子のグループは、任意の形状、例えばユーザ定義の形状とすることができる。トラッキングショットのために同時に発射される振動素子のグループは、以前の走査で識別された特徴の形状に対応する形状であり得る。以前の走査は直前の走査であってもよいが、そうである必要はない。このようにして、その特徴の深度、またはその特徴の平均深度をより正確に決定することができる。
【0153】
このようにしてトラッキングショットを使用すると、規則的な間隔でより正確な深度を得ることができる。これにより、走査装置を使用して生成された画像の合成を支援することができる。例えば、後壁または壁厚などの物体の特徴の小さな変動は、トラッキング走査によって正確に決定することができ、走査装置の位置が走査間でどのように変化したかをより正確に決定するために使用することができ、それにより、別々の走査で取り込まれた画像からより正確な合成画像を形成することが可能になる。
【0154】
ここで、図16a~図16cを参照して、散在する走査モードで物体を走査する方法を説明する。最初に図16aを参照すると、方法は1600で開始される。この方法は、第1の組の振動素子を使用して第1の数のパルスを送信すること(1602)を含む。送信された第1の数のパルスの反射が受信される。第1の組の振動素子は、マトリックス振動子配列の少なくとも一部である。第1の組の振動素子は、単一の振動素子を含んでもよい。第1の組の振動素子は、複数の振動素子を含んでもよい。第1の数のパルスは、第1の走査タイプ、例えば体積走査のパルスである。第1の数のパルスは、適切には複数のパルスである。
【0155】
この方法は、第2の組の振動素子を使用して第2の数のパルスを送信すること(1604)を含む。送信された第2の数のパルスの反射が受信される。第2の組の振動素子は、マトリックス振動子配列の少なくとも一部である。第2の組の振動素子は、適切には、複数の振動素子を含む。第2の組の振動素子は、適切には、第1の組の振動素子とは異なる。例えば、第2の組の振動素子は、第1の組の振動素子よりも多くの振動素子を含むことができる。第2の組の振動素子は、第1の組の振動素子と少なくとも部分的に重なってもよい。例えば、第2の組の振動素子は、振動子マトリックス配列の追加の振動素子と共に、第1の組の振動素子の振動素子を含んでもよい。第2の数のパルスは、第1の走査タイプとは異なる第2の走査タイプのパルスである。第2の走査タイプは、例えば、深度走査であってもよい。第2の数のパルスは、単一のパルスを含んでもよい。第2の数のパルスは、複数のパルスを含んでもよい。第2の数のパルスは、第1の数のパルスより少なくてもよい。
【0156】
第1の数のパルスおよび/または第2の数のパルスは、例えば、試験対象の物体、試験対象の物体の材料、試験対象の物体の厚さ、試験対象の物体の特徴、走査装置の移動速度、振動子配列のサイズ、振動子配列の形状、および振動素子のサイズのうちの1つまたは複数に応じて選択されてもよい。
【0157】
次いで、本方法は、走査が完了したかどうかを判定することができ(1606)、完了した場合には終了することができ(1608)、そうでなければ、本方法は、第1の組の振動素子を使用して第1の数のパルスを送信するようにループバックすることを含むことができる(1602)。
【0158】
一例では、パルスの第1の数は9であり、パルスの第2の数は1である。したがって、第2のタイプの走査は、第1のタイプの走査の10ショット目ごとに差し込まれる。
【0159】
代替例では、第1のタイプの走査の特定の数のパルスの後に第2のタイプの走査を繰り返すのではなく、走査装置の特定の移動距離の後に第2のタイプの走査を実行することができる。例えば、走査装置は、閾値距離の倍数で移動するまで第1のタイプの走査のパルスを送信し、次いで、第2のタイプの走査の所定数のパルスを送信し(または、走査装置が特定の距離を移動するまで第2のタイプの走査のパルスを送信し)、その後、閾値距離の次の倍数で移動するまで第1のタイプの走査のパルスの送信に戻るように構成することができる。閾値距離は、2~3mmとすることができる。必要に応じて、任意の他の閾値距離を選択することができる。閾値距離は、例えば、試験対象の物体、試験対象の物体の材料、試験対象の物体の厚さ、試験対象の物体の特徴、走査装置の移動速度、振動子配列のサイズ、振動子配列の形状、および振動素子のサイズのうちの1つまたは複数に応じて選択されてもよい。
【0160】
図16aに示すように、2つの異なる走査モードを散在させることができる。他の例では、より多くの走査モードを互いに散在させることができる。3つの走査モードを散在させる例を図16bおよび図16cに示す。これらの技術を任意の所望の数の走査モードに拡張できることは当業者には明らかであろう。
【0161】
図16bを参照すると、散在する走査モードで物体を走査する方法は、1610で開始される。図16aの例と同様に、本方法は、第1の組の振動素子を使用して第1の数のパルスを送信すること(1602)を含む。送信された第1の数のパルスの反射が受信される。
【0162】
この方法は、第2の組の振動素子を使用して第2の数のパルスを送信すること(1604)を含む。送信された第2の数のパルスの反射が受信される。
【0163】
本方法は、第1の組の振動素子を再び使用して第1の数のパルスを送信すること(1616)を含む。送信された第1の数のパルスの反射が受信される。
【0164】
この方法は、第3の組の振動素子を使用して第3の数のパルスを送信すること(1618)を含む。送信された第3の数のパルスの反射が受信される。第3の組の振動素子は、マトリックス振動子配列の少なくとも一部である。第3の組の振動素子は、適切には、複数の振動素子を含む。第3の組の振動素子は、適切には、第1の組の振動素子および/または第2の組の振動素子とは異なる。例えば、第3の組の振動素子は、第1および/または第2の組の振動素子と比較して異なる数の振動素子を含むことができる。第3の組の振動素子は、第1および/または第2の組の振動素子の振動素子とは異なる形状を形成する振動素子を含むことができる。例えば、第3の組の振動素子は、マトリックス配列の平面上に投影された関心のある特徴の形状に対応する形状の振動素子を含むことができる。第3の組の振動素子は、第1および/または第2の組の振動素子と少なくとも部分的に重なってもよい。第3の数のパルスは、第1および第2の走査タイプとは異なる第3の走査タイプのパルスである。第3の走査タイプは、例えば、関心のある特定の表面下特徴に関連する走査であり得る。第3の数のパルスは、単一のパルスを含んでもよい。第3の数のパルスは、複数のパルスを含んでもよい。第3の数のパルスは、第1の数のパルスより少なくてもよい。
【0165】
第1の数のパルスおよび/または第2の数のパルスおよび/または第3の数のパルスは、例えば、試験対象の物体、試験対象の物体の材料、試験対象の物体の厚さ、試験対象の物体の特徴、走査装置の移動速度、振動子配列のサイズ、振動子配列の形状、および振動素子のサイズのうちの1つまたは複数に応じて選択されてもよい。
【0166】
本方法は、1620において走査が完了したかどうかを判定することができ、完了した場合には終了することができ(1622)、そうでなければ、本方法は、第1の組の振動素子を使用して第1の数のパルスを送信するようにループバックすることを含むことができる(1602)。
【0167】
一例では、パルスの第1の数は8であり、パルスの第2の数は1であり、パルスの第3の数は1である。したがって、第2および第3のタイプの走査は、第1のタイプの走査の10ショット目ごとに差し込まれる。パルスの第2の数は、パルスの第3の数より大きくても小さくてもよい。したがって、第2のタイプの走査は、第3のタイプの走査よりも長いまたは短い持続時間で行われ得る。
【0168】
図16bに示す例では、第1のタイプの走査は、第2のタイプの走査と第3のタイプの走査との間で行われる。これはそうである必要はない。図16cを参照すると、第1のタイプの走査(1602)、第2のタイプの走査(1604)、および第3のタイプの走査(1636)を順に実行することができる。
【0169】
代替形態では、第2および/または第3のタイプの走査は、他のタイプの走査の特定の数のパルスの後に繰り返されるのではなく、第2および/または第3のタイプの走査は、走査装置の特定の移動距離の後に他のタイプの走査に差し込むことができる。例えば、走査装置は、閾値距離の倍数で移動するまで第1のタイプの走査のパルスを送信し、次いで、第2のタイプの走査の所定数のパルスを送信し(または、走査装置が特定の距離を移動するまで第2のタイプの走査のパルスを送信し)、その後、閾値距離の次の倍数で移動するまで第1のタイプの走査のパルスの送信に戻るように構成することができる。この時点で、走査装置は、第3のタイプの走査の所定数のパルスを送信する(または走査装置が特定の距離を移動するまで第3のタイプの走査のパルスを送信する)ように構成することができる。閾値距離は、2~3mmとすることができる。必要に応じて、任意の他の閾値距離を選択することができる。閾値距離は、例えば、試験対象の物体、試験対象の物体の材料、試験対象の物体の厚さ、試験対象の物体の特徴、走査装置の移動速度、振動子配列のサイズ、振動子配列の形状、および振動素子のサイズのうちの1つまたは複数に応じて選択されてもよい。第1のタイプのパルスの送信から第2のタイプのパルスへの変化を開始する閾値距離は、第1のタイプのパルスの送信から第3のタイプのパルスへの変化を開始する閾値距離、または第2のタイプのパルスの送信から第3のタイプのパルスへの変化を開始する閾値距離と同じであっても異なっていてもよい。
【0170】
いくつかの例では、物体を撮像するための走査システムは、物体に向かって超音波信号を送信し、かつ物体から反射された超音波信号を受信し、それによって物体の内部構造に関するデータを取得することができるように構成された走査装置を備えることができる。走査システムは、走査装置の位置を感知するための位置センサをさらに備えることができる。走査システムはまた、感知された位置および物体の内部構造に関するデータ(例えば、取得されたデータ)に応じて、走査装置の位置の推定値を決定するように構成されたプロセッサを備えることができる。
【0171】
図10を参照すると、方法は、物体を走査することを含み得る(1001)。走査結果において物体の特徴を識別することができる(1002)。走査を実行した走査装置の位置を決定することができる(1003)。感知された位置が、識別された特徴に応じて決定された位置と異なる場合、位置の推定値は、識別された特徴の位置に応じて決定することができる(1004)。
【0172】
走査システムは、表示のために画像生成ユニットによって生成された画像を出力するように構成されてもよい。出力画像は合成画像を含むことができる。
【0173】
走査システムは、出力画像を物体のビュー上に表示するように構成されてもよい。物体のビューは、いくつかの例では、カメラから取得された物体のビューである。カメラから取得された物体のビューは、ライブフィードを含み得る。物体のビューは、走査方向と同じ方向からである必要はない。適切には、走査システムは、視野方向の差を補償し、出力画像を物体のビューに適切に適用するように構成される。適切には、走査システムは、出力画像に1または複数の変換を適用するように構成される。
【0174】
物体のビューは、タブレットコンピュータのディスプレイなどのディスプレイに表示されてもよい。物体のビューがライブフィードを含む場合、ビューは、カメラ位置が変化するにつれて変化し得る。適切には、走査システムは、走査データを取り込む走査装置と物体のビューを取り込むカメラとの間の位置の相対的な変化を決定し、それに応じて出力画像を物体のビューに適用するように構成される。いくつかの例では、カメラは、慣性測位システムなどの測位システムに関連付けられ、カメラが移動するときのカメラの位置は、関連する測位システムからの出力に応じて決定することができる。
【0175】
物体のビューは、仮想現実ビューおよび拡張現実ビューのうちの1つを含み得る。
【0176】
出力画像は、物体の仮想現実ビューに表示することができる。これにより、出力画像を、物体の以前に取り込まれたビュー、物体のコンピュータ生成ビュー、または物体のこれら2つのビューの何らかの組み合わせに適用することが可能になる。他の例では、出力画像は、拡張現実(AR)ビューの一部として表示することができる。例えば、出力画像は、AR眼鏡のユーザが物体をリアルタイムで見ることを可能にするAR眼鏡上に表示することができ、出力画像は、ユーザが物体のリアルタイムビューに重ね合わされている出力画像を見るように眼鏡のディスプレイに適用される。この手法は、走査装置のユーザである必要がない人が、走査装置によって撮像された物体の内部を検査するために、物体の周りを歩くことなどによって物体を見ることを可能にする。
【0177】
いくつかの例では、物体を撮像するための走査システムは、物体に向かって超音波信号を送信し、かつ物体から反射された超音波信号を受信し、それによって物体の内部構造に関するデータを取得することができるように構成された走査装置を備えることができる。走査装置は、非平面構成を有してもよい。走査システムは、走査装置の非平面構成を感知するためのセンサをさらに備えることができる。走査システムは、感知された非平面構成に応じて走査装置を構成するように構成された構成ユニットを備えてもよい。
【0178】
走査装置が非平面構成を有する場合、非平面構成に応じて、例えば走査装置による生成のためのパルステンプレートなどの構成を選択することが適切であり得る。例えば、走査装置に凹状の送信面を採用する場合、最適なパルステンプレートは、走査装置に凸状の送信面を採用する場合とは異なる可能性がある。同様に、1つまたは複数の平面を含む非平面表面を走査装置に採用する場合、最適なパルステンプレートは再び異なる可能性がある。同様に、一連の振動素子の各々が発射されるタイミングは、非平面構成に応じて異なる可能性がある。
【0179】
最適なパルステンプレートの違いは、少なくとも部分的に、それぞれの非平面構成の各々に適切な異なる合焦に起因する可能性が高い。
【0180】
走査装置が可撓性である場合、例えば、走査装置が、可撓性送信機および可撓性受信機が結合される可撓性支持体を含む場合、センサは、走査装置によって採用される非平面構成の変化を感知するように構成されてもよい。構成ユニットは、いくつかの例では、非平面構成の感知された変化に応じて走査装置を再構成するように構成される。この手法は、走査装置の送信面が変化するにつれて、走査装置の構成がそれに応じて変更され、それによって走査プロセスの最適化を可能にすることを確実にするのに役立つ。
【0181】
いくつかの例では、センサは、歪みゲージおよびエンコーダホイールのうちの1つまたは複数を備えることができる。歪みゲージは、走査装置の非平面構成の形状を決定することができる変形を感知することができる。歪みゲージは、平面構成または既知の非平面構成からの変形を感知するように構成されてもよい。
【0182】
エンコーダホイールは、例えば異なる振動子部間のヒンジなど、走査装置のジョイント結合部に、またはジョイント結合部に隣接して設けられ得る。エンコーダホイールは、光学エンコーダおよび磁気エンコーダのうちの1つまたは複数を備えることができる。エンコーダホイールは、走査装置の部品が互いに対して回転する角度を示すデータを生成するように構成されてもよい。エンコーダホイールが相対データ(例えば、部品が互いに対して回転する量に関するデータ)を提供する場合、走査装置の初期状態(例えば、相対回転の前)を知ることにより、非平面構成の決定が可能になる。いくつかの例では、エンコーダは、走査装置の部品の相対位置、例えば走査装置の異なる部品間の角度に関する絶対データを生成するように構成される。
【0183】
いくつかの例では、走査システムは、走査装置の位置を感知するための位置センサをさらに備え、構成ユニットは、感知された位置に応じて走査装置を構成するように構成されてもよい。
【0184】
位置センサは、走査装置がどの物体に、または物体のどの部分に隣接しているかの決定を行うことを可能にすることができる。走査装置が物体の凹面に隣接し、走査装置が物体の凹面と一致する固定凸面を有する場合、走査システムは、走査装置が物体に密接に適合すると判定することができ、それに応じて走査装置の構成を選択することができる。
【0185】
他の例では、走査装置が物体の凹面に隣接し、走査装置が、物体の凹面と正確に一致しない固定凸面を有する場合、走査システムは、走査装置が前の例のように物体に対して密接に適合しないと判定することができる。したがって、この例では、走査装置と物体との間に潜在的により悪い超音波結合があることが予想され得る。したがって、この結合を考慮に入れた走査装置による使用のためのパルステンプレートを選択することが望ましい場合がある。例えば、この例では、より高い出力を有するパルステンプレートが選択されてもよく、これは結合不良によるエネルギー損失にもかかわらず許容可能な結果をもたらし得る。
【0186】
他の例では、走査装置の非平面構成は変更可能であってもよい。感知された位置は、走査装置の位置に隣接する物体の表面プロファイルの決定を行うことを可能にする。例えば、走査装置が物体の外部角に向かっている場合、構成ユニットは、その外部角の形状に最も適した走査装置の構成データを選択するように構成することができる。走査装置のユーザが、例えば走査装置の非平面構成を変更することによって、走査装置を物理的に再構成する必要がある例では、走査システムは、走査装置が移動する物体の形状に基づいてこの再構成を実行するようにユーザに促すことができる。この手法は、走査装置が物体の表面に適用されたときに適切に構成されることを確実にするのに役立つことができ、より正確なデータの生成および/またはより効率的なデータの取り込みをもたらすことができる。
【0187】
図11を参照すると、方法は、走査装置の非平面構成を感知すること(1101)を含み得る。この方法は、感知された非平面構成に応じて走査装置を構成すること(1102)をさらに含み得る。
【0188】
本明細書に記載される装置および方法は、炭素繊維強化ポリマー(CFRP)などの複合材料の剥離および層間剥離を検出するのに特に適している。これは航空機の整備にとって重要である。また、応力集中部分として機能し得るリベット穴の周りの剥落を検出することもできる。この装置は、はるかに大きな構成要素の小さな領域を撮像することが求められる用途に特に適している。この装置は、軽量で携帯可能であり、使いやすい。この装置は、物体上の必要な場所に配置されるように、オペレータが手で容易に持ち運ぶことができる。
【0189】
本明細書の各図に示される構造は、装置内のいくつかの機能ブロックに対応することを意図されている。これは例示のためのものにすぎない。図に例示されている機能ブロックは、装置が実行するように構成されている異なる機能を表しており、それらは、装置内の物理的構成要素間の厳密な分割を定義することを意図されていない。いくつかの機能の性能は、いくつかの異なる物理的構成要素に分割されてもよい。1つの特定の構成要素が、いくつかの異なる機能を果たしてもよい。図は、チップ上のハードウェアの異なる部分間、またはソフトウェア内の異なるプログラム、プロシージャもしくは機能間の厳密な分割を定義することを意図されていない。機能は、ハードウェアもしくはソフトウェア、またはこれら2つの組み合わせで実行され得る。任意のそのようなソフトウェアは、好ましくは、メモリ(RAM、キャッシュ、FLASH、ROM、ハードディスクなど)または他の記憶手段(USBスティック、フラッシュ、ROM、CD、ディスクなど)といった非一時的コンピュータ可読媒体に格納される。装置は、ただ1つの物理デバイスを備え得るか、またはいくつかの別個のデバイスを備え得る。例えば、信号処理および画像生成の一部は、携帯型の手持ち式デバイスで実行され得、一部は、PC、PDA、またはタブレットなどの別個のデバイスで実行され得る。いくつかの例では、画像生成の全体が別個のデバイスで実行され得る。本明細書に記載される機能ユニットのいずれも、クラウドの一部として実装され得る。
【0190】
本出願人は、本明細書に記載される各個別の特徴および2つ以上のそのような特徴の任意の組み合わせを、そのような特徴または特徴の組み合わせが本明細書で開示される問題を解決するかどうかにかかわらず、特許請求の範囲に限定されずに、そのような特徴または組み合わせが、当業者の一般常識に照らして全体として本明細書に基づいて実行される限りにおいて、本明細書により別個に開示する。本出願人は、本発明の態様が、任意のそのような個別の特徴または特徴の組み合わせからなり得ることを示す。前述の説明を考慮すると、本発明の範囲内で様々な変更が行われ得ることが当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6(a)】
図6(b)】
図7
図8
図9
図10
図11
図12(a)】
図12(b)】
図13(a)】
図13(b)】
図14
図15(a)】
図15(b)】
図16A
図16B
図16C
図17(a)】
図17(b)】
【国際調査報告】