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特表2022-509446半径方向の安定化を図るフライホイールの回転子を浮上させるための磁気軸受
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(54)【発明の名称】半径方向の安定化を図るフライホイールの回転子を浮上させるための磁気軸受
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/09 20060101AFI20220113BHJP
   F16F 15/31 20060101ALI20220113BHJP
   F16C 32/04 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
H02K7/09
F16F15/31 H
F16C32/04 A
F16C32/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547961
(86)(22)【出願日】2019-10-22
(85)【翻訳文提出日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 IB2019001140
(87)【国際公開番号】W WO2020084345
(87)【国際公開日】2020-04-30
(31)【優先権主張番号】62/749,083
(32)【優先日】2018-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521175562
【氏名又は名称】ワッツアップ パワー エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】スパイアマン、マーティン
(72)【発明者】
【氏名】バール、クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ニールセン、カスパー、ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ビョーク、ラスマス
(72)【発明者】
【氏名】コンベスコット、バレール
(72)【発明者】
【氏名】グラナータ、ヤコポ
【テーマコード(参考)】
3J102
5H607
【Fターム(参考)】
3J102AA01
3J102BA04
3J102BA18
3J102CA10
3J102CA27
3J102DA02
3J102DA03
3J102DA07
3J102DA09
3J102DA12
3J102DA15
3J102GA09
5H607AA12
5H607BB02
5H607EE42
5H607GG19
(57)【要約】
フライホイールシステムは、底部支持部を有する固定子、(b)重力荷重として機能し、底部支持部の上方において回転軸心の周りを回転するように構成された回転子、および底部磁気浮上軸受を備えている。底部磁気浮上システムは、(a)回転子の底端部に機械的に連結された第1の磁石のリングと、(b)第1の磁石のリングの下方において、底部支持部に機械的に連結された第2の磁石のリングを備えており、第2の磁石は、第1の磁石に反発して、底部支持部の上方の重力荷重の少なくとも一部を磁気的に支持している。底部磁気浮上軸受は、(c)回転子の底端部に機械的に連結された第3の磁石のリングと、(d)第3の磁石のリングから半径方向外側に向かって、底部支持部に機械的に連結された第4の磁石のリングをさらに備えており、第4の磁石は、第3の磁石に反発して、少なくとも固定子に対する回転子の半径方向の偏心を軽減する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部支持部を有する固定子と、
重力荷重として機能し、前記底部支持部の上方において回転軸心の周りを回転するように構成された回転子と、
底部磁気浮上軸受を備え、
前記底部磁気浮上軸受は、
前記回転子の底端部に機械的に連結された第1の磁石のリングと、
前記第1の磁石のリングの下方において、前記底部支持部に機械的に連結された第2の磁石のリングと、
前記底端部に機械的に連結された第3の磁石のリングと、
前記第3の磁石のリングから半径方向外側に向かって、前記底部支持部に機械的に連結された第4の磁石のリングを備えており、
前記第2の磁石は、前記第1の磁石に反発して、前記底部支持部の上方の前記重力荷重の少なくとも一部を磁気的に支持しており、
前記第4の磁石は、前記第3の磁石に反発して、少なくとも前記固定子に対する前記回転子の半径方向の偏心を軽減する、フライホイールシステム。
【請求項2】
前記第1の磁石のそれぞれ、前記第2の磁石のそれぞれ、前記第3の磁石のそれぞれ、および前記第4の磁石のそれぞれは、永久磁石である、請求項1に記載のフライホイール。
【請求項3】
前記第1の磁石および前記第2の磁石のそれぞれの磁場は、前記回転軸心と平行である、請求項1に記載のフライホイールシステム。
【請求項4】
前記第3の磁石および前記第4の磁石のそれぞれの磁場は、前記回転軸心に対して直交している、請求項3に記載のフライホイールシステム。
【請求項5】
前記第1の磁石、前記第2の磁石、前記第3の磁石、および前記第4の磁石は、前記底部支持部の上方において、それぞれ第1の高さ、第2の高さ、第3の高さ、および第4の高さに配置されており、前記第1の高さは前記第2の高さよりも高く、前記第3の高さは前記第4の高さよりも高い、請求項1に記載のフライホイールシステム。
【請求項6】
前記3の磁石と前記第4の磁石との間の磁気結合は、前記重力荷重の少なくとも一部を支持することにさらに寄与している、請求項5に記載のフライホイールシステム。
【請求項7】
前記第1の磁石、前記第2の磁石、前記第3の磁石、および前記第4の磁石は、前記回転軸心を中心として、それぞれ第1の直径、第2の直径、第3の直径、および第4の直径を有するように配置されており、前記第3の直径は前記第1の直径および前記第2の直径よりも大きく、前記第4の直径は前記第3の直径よりも大きい、請求項5に記載のフライホイールシステム。
【請求項8】
前記第1の直径および前記第2の直径は同一である、請求項7に記載のフライホイールシステム。
【請求項9】
前記第3の高さは前記第1の高さよりも高い、請求項7に記載のフライホイールシステム。
【請求項10】
前記第1の磁石の磁場は、前記回転軸心と平行であり、前記第3の磁石の磁場は、前記回転軸心に対して直交しており、前記第1の磁石のそれぞれは上極と下極を有しており、前記第3の磁石のそれぞれは内極と外極を有しており、前記第1の磁石の1つと前記第3の磁石の1つの最も近接している対のそれぞれにおいて、(a)前記内極は前記下極よりも前記上極に近く、(b)前記上極は前記外極よりも前記内極に近く、前記内極および前記下極のそれぞれは、N極およびS極のどちらか一方であり、前記外極および前記上極のそれぞれは、前記N極および前記S極のうちの他方である、請求項9に記載のフライホイールシステム。
【請求項11】
前記最も近接している対のそれぞれにおいて、前記第1の磁石の磁場と前記第3の磁石の磁場は、互いに結合されている、請求項10に記載のフライホイールシステム。
【請求項12】
前記第1の磁石、前記第2の磁石、前記第3の磁石、および前記第4の磁石は、前記回転軸心を中心として、それぞれ前記第1の直径、前記第2の直径、前記第3の直径、および前記第4の直径を有するように配置されており、前記第4の直径は前記第1の直径および前記第2の直径よりも小さく、前記第3の直径は前記第4の直径よりも小さい、請求項5に記載のフライホイールシステム。
【請求項13】
前記第1の直径および前記第2の直径は同一である、請求項12に記載のフライホイールシステム。
【請求項14】
前記第2の高さは前記第4の高さよりも高い、請求項12に記載のフライホイールシステム。
【請求項15】
前記第2の磁石の磁場は前記回転軸心と平行であり、前記第4の磁石の磁場は前記回転軸心に対して直交しており、前記第2の磁石のそれぞれは上極と下極を有しており、前記第4の磁石のそれぞれは内極と外極を有しており、前記第2の磁石の1つと前記第4の磁石の1つの最も近接している対のそれぞれにおいて、(a)前記内極は前記下極よりも前記上極に近く、(b)前記上極は前記外極よりも前記内極に近く、前記内極および前記下極のそれぞれは、N極およびS極のどちらか一方であり、前記外極および前記上極のそれぞれは、前記N極と前記S極のうちの他方である、請求項14に記載のフライホイールシステム。
【請求項16】
前記最も近接している対のそれぞれにおいて、前記第2の磁石と前記第4の磁石とが互いに磁気的に連結されている、請求項15に記載のフライホイールシステム。
【請求項17】
前記フライホイールシステムは、
前記固定子に実装された頂部支持部と、
頂部磁気浮上軸受をさらに備え、
前記頂部磁気浮上軸受は、
前記回転子の上端に機械的に連結された第5の磁石のリングと、
前記第5磁石のリングの上方において、前記頂部支持部に機械的に連結された第6磁石のリングと、
前記上端に機械的に連結された第7の磁石のリングと、
前記第7の磁石のリングから半径方向外側に向かって、前記頂部支持部に機械的に連結された第8の磁石のリングを備えており、
前記第6磁石は、前記第5磁石に反発して、前記底部支持部の上方の前記回転子の上向きの動きを制限し、
前記第8の磁石は、前記第7の磁石に反発して、前記第7の磁石と前記第8の磁石との間の磁気結合は、前記第3の磁石と前記第4の磁石との間の磁気結合とともに、少なくとも前記回転子の半径方向の偏心を軽減する、請求項1に記載のフライホイールシステム。
【請求項18】
前記第5の磁石、前記第6の磁石、前記第7の磁石、および前記第8の磁石は、前記底部支持部の上方において、それぞれ第5の高さ、第6の高さ、第7の高さ、および第8の高さに配置されており、前記第6の高さは前記第5の高さよりも高く、前記第8の高さは前記第7の高さよりも高い、請求項17に記載のフライホイールシステム。
【請求項19】
前記第7の磁石と前記第8の磁石と間の磁気結合は、前記回転子の前記上向きの動きを制限することにさらに寄与している、請求項18に記載のフライホイールシステム。
【請求項20】
前記フライホイールシステムは、
発電機と、
能動型磁気軸受と、
受動型予備磁気軸受をさらに備え、
前記発電機は、
前記回転子に機械的に連結された複数の第1の永久磁石と、
前記固定子に機械的に連結された発電機固定子を備えており、
前記発電機固定子は、前記第1の永久磁石との相互作用によって、前記回転子の回転エネルギーと前記発電機固定子の巻線の電流とを変換するように構成されており、
前記能動型磁気軸受は、
前記回転子に機械的に連結された複数の磁化可能な要素と、
前記固定子に機械的に連結され、前記複数の磁化可能な要素に磁気的に連結して、前記固定子に対して前記回転子を能動的に安定化するように構成された複数の電磁石を備え、
前記受動型予備磁気軸受は、
前記回転子に機械的に連結された複数の第2の永久磁石と、
前記固定子に機械的に連結され、前記第2の永久磁石に磁気的に連結して、前記能動型磁気軸受が故障した場合に、予備として、前記固定子に対して前記回転子を安定化させるように構成された複数の第3の永久磁石を備えている、請求項1に記載のフライホイールシステム。
【請求項21】
前記受動型予備磁気軸受は、前記底部磁気浮上軸受よりも半径方向内側にあり、前記底部磁気浮上軸受は、前記受動型予備磁気軸受よりも前記発電機から離れている、請求項20に記載のフライホイールシステム。
【請求項22】
前記回転子には、開口部が形成されており、前記固定子は、前記開口部を通過し、前記頂部支持部を前記底部支持部に接続する軸をさらに備えており、前記回転子は、前記軸の周りを回転するように構成されており、前記発電機および前記能動型磁気軸受のそれぞれは、前記軸に実装されており、前記能動型磁気軸受は、前記発電機よりも前記底部支持部に近接しており、前記受動型予備磁気軸受は、前記能動型磁気軸受よりも前記底部支持部に近接している、請求項21に記載のフライホイールシステム。
【請求項23】
フライホイールシステムの回転子を浮上させ、かつ前記回転子を半径方向において安定化させるための方法であって、
前記回転子に機械的に連結された複数の第1の磁石に、受動的に上向きの磁力を加えて、前記回転子の重力荷重の少なくとも一部を支える工程と、
前記回転子に機械的に連結された複数の第2の磁石に、受動的に半径方向内向きの力を加えて、少なくとも前記回転子の半径方向の偏心を軽減する工程を含む、方法。
【請求項24】
前記第2の磁石に、受動的に第2の上向きの磁力を加える工程をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記回転子の下方において、支持部に機械的に連結された永久磁石組立体と、前記第1の磁石および前記第2の磁石との間の磁気結合の少なくとも一部によって、前記鉛直方向上向きの磁力および前記半径方向内向きの磁力を生成する工程を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記回転子に機械的に連結された複数の第3の磁石に、受動的に下向きの磁力を加えて、前記回転子の上方への動きを制限する工程と、
前記回転子に機械的に連結された複数の第4の磁石に、受動的に半径方向内向きの力を加えて、前記回転子の半径方向の偏心の軽減に寄与する工程をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記第4の磁石に、受動的に第2の下向きの磁力を加える工程をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2018年10月22日に出願された米国特許出願第62/749,083号の優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
フライホイールシステムは、回転エネルギーを回転質量、すなわち回転子に蓄える機械装置である。回転子に蓄えられるエネルギー量は、回転子の回転速度の2乗に比例する。回転子は、フライホイールシステムが回転子の回転エネルギーと電気エネルギーとの間で変換することを可能にするために、電磁発電機固定子に磁気的に連結され得る。発電機固定子は、回転子を減速して、回転子から抽出された回転エネルギーから電気エネルギーを生成してもよいし、発電機固定子は、電気エネルギーを受け取り、この電気エネルギーを回転子の回転エネルギーに変換して、回転子を加速させてもよい。フライホイールシステムは、大きなエネルギー貯蔵容量を持つように設計されてもよく、さらに、エネルギーの供給と吸収を迅速に行うことができる。フライホイールシステムの一般的な用途には、(a)燃焼発電機の固定子などの他のエネルギー源の出力のピークシェービング、(b)エネルギー貯蔵、(c)バックアップ電源、および(d)迅速なエネルギー供給などが挙げられる。
【0003】
フライホイールシステムでの低損失エネルギー貯蔵には、非常に少ない摩擦で回転子が回転する必要がある。したがって、高性能フライホイールの回転子は、通常、重力に逆らうように磁気浮上させる。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態では、フライホイールシステムは、底部支持部を有する固定子と、重力荷重として機能し、前記底部支持部の上方において回転軸心の周りを回転するように構成された回転子と、底部磁気浮上軸受を備えている。前記底部磁気浮上軸受は、(a)前記回転子の底端部に機械的に連結された第1の磁石のリングと、(b)前記第1の磁石のリングの下方において、前記底部支持部に機械的に連結された第2の磁石のリングを備えており、前記第2の磁石は、前記第1の磁石に反発して、前記底部支持部の上方の前記重力荷重の少なくとも一部を磁気的に支持している。前記底部磁気浮上軸受は、(c)前記底端部に機械的に連結された第3の磁石のリングと、(d)前記第3の磁石のリングから半径方向外側に向かって、前記底部支持部に機械的に連結された第4の磁石のリングをさらに備えており、前記第4の磁石は、前記第3の磁石に反発して、少なくとも前記固定子に対する前記回転子の半径方向の偏心を軽減する。
【0005】
一実施形態では、フライホイールシステムの回転子を浮上させて半径方向に安定化するための方法は、(a)前記回転子に機械的に連結された複数の第1の磁石に受動的に上向きの磁力を加えて、前記回転子の重力荷重の少なくとも一部を支える工程と、(b)前記回転子に機械的に連結された複数の第2の磁石に半径方向内向きの力を受動的に加えて、少なくとも前記回転子の半径方向の偏心を軽減する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、一実施形態における、半径方向の安定化を図る回転子を浮上させるための磁気浮上軸受を備えたフライホイールシステムを示す図である。
【0007】
図2図2は、一実施形態における、回転軸を有し、半径方向の安定化を図る回転子を浮上させるための磁気浮上軸受を備えたフライホイールシステムを示す図である。
【0008】
図3図3は、一実施形態における、固定軸を有し、半径方向の安定化を図る回転子を浮上させるための磁気浮上軸受を備えたフライホイールシステムを示す図である。
【0009】
図4図4は、一実施形態における、軸方向および半径方向の両方を安定化する4リング磁気浮上軸受を示す図である。
【0010】
図5図5は、一実施形態における、4リング磁気軸受を備えたフライホイールシステムを示す図である。
【0011】
図6図6は、一実施形態における、図5に示すフライホイールシステムに実装された図4の4リング磁気浮上軸受の3つの高さ構成のうちの1つを示す図である。
図7図7は、一実施形態における、図5に示すフライホイールシステムに実装された図4の4リング磁気浮上軸受の3つの高さ構成のうちの1つを示す図である。
図8図8は、一実施形態における、図5に示すフライホイールシステムに実装された図4の4リング磁気浮上軸受の3つの高さ構成のうちの1つを示す図である。
【0012】
図9図9は、一実施形態における、図5に示すフライホイールシステムに実装された図4の4リング磁気浮上軸受の極性構成の一例を示す図である。
【0013】
図10図10は、一実施形態における、図5に示すフライホイールシステムに実装された図4の4リング磁気浮上軸受の他の極性構成を示す図である。
【0014】
図11図11は、一実施形態における、軸方向および半径方向の両方を安定化する他の4リング磁気浮上軸受を備えた他のフライホイールシステムを示す図である。
【0015】
図12図12は、一実施形態における、図11の4リング磁気浮上軸受の3つの高さ構成のうちの1つを示す図である。
図13図13は、一実施形態における、図11の4リング磁気浮上軸受の3つの高さ構成のうちの1つを示す図である。
図14図14は、一実施形態における、図11の4リング磁気浮上軸受の3つの高さ構成のうちの1つを示す図である。
【0016】
図15図15は、一実施形態における、(a)固定軸、(b)半径方向の安定化を図る回転子を浮上させるための少なくとも1つの磁気浮上軸受、および(c)前記少なくとも1つの磁気浮上軸受から離れた前記固定軸に実装された他の磁気モジュールを備えたフライホイールシステムを示す図である。
【0017】
図16図16は、一実施形態における、フライホイールシステムの回転子を浮上させて半径方向の安定化を図るための方法を示す図である。
【0018】
図17図17は、300キログラムの回転子で使用するように構成された様々な磁気浮上軸受について計算された軸方向および半径方向の力の例を示す図である。
【0019】
図18図18は、1500キログラムの回転子で使用するように構成された様々な磁気浮上軸受について計算された軸方向および半径方向の力の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
フライホイールシステムは、従来の電力網に接続されておらず、代わりにいわゆるマイクログリッドに依存している洋上環境または陸上環境での使用が検討されている。これらの環境では、フライホイールシステムはエネルギー源として機能し、例えば、エネルギー貯蔵、バックアップ電源、ピークシェービング、および/または周波数制御などの電力機能を提供することができる。フライホイールシステムは、短期的な高い電力需要に対して迅速に対応することができる。掘削船、半潜水型掘削プラットフォーム、その他の船舶などの不安定な環境、または地震が発生しやすい地域に実装された場合、フライホイールシステムは、フライホイールシステムの性能と寿命の両方に影響を与えるほどの大きな力にさらされる。
【0021】
フライホイールシステムは、フライホイールシステムの基材の上方でフライホイールの回転子を浮上させる磁気浮上軸受を用いることが多い。従来、この磁気浮上軸受は、重力に逆らうように構成されており、この目的のために、実質的に鉛直な回転軸心の周りを回転する回転子に対して軸方向の力を加える。本明細書において、「軸方向」は、フライホイールの回転軸心と平行な方向を指し、「半径方向」は、回転軸心から離れる方向または回転軸心に近づく方向のいずれかで回転軸心に対して垂直な方向を指す。従来の磁気浮上軸受は、回転子の底部に取り付けられた複数の永久磁石の第1の組と、これら永久磁石の第1の組の下方の基材に取り付けられた複数の永久磁石の第2の組を備えている。これら永久磁石の2つの組は互いに反発して、回転子に上向きの力を加える。しかしながら、永久磁石の第1の組と第2の組との間で磁気結合が反発する性質により、永久磁石の第2の組の上方において、完全に整列している永久磁石の第1の組に対応する回転子位置には、不安定な平衡状態が生じる。したがって、従来の磁気浮上軸受によって発生する上向きの力は、軸方向には回転子の位置を安定させることはできるが、従来の磁気浮上軸受では、半径方向には本質的に不安定である。高性能フライホイールシステムは、例えば、(a)フライホイールが設置された環境の動き、(b)回転子を加速または減速するために電動機/発電機によって回転子に加えられるトルクなど、結果として半径方向の不安定さが発生した場合に、半径方向の回転子位置を能動的に安定化するための能動型磁気軸受を組み込むことができる。これらの能動型磁気軸受は、従来の磁気浮上軸受で生じる半径方向の不安定さを打ち消すことも可能である。しかしながら、このような能動的な安定化は電力に依存しているため、能動型磁気軸受によって実行される動作は、結果的にフライホイールシステムのエネルギー効率を低下させる。
【0022】
本明細書では、フライホイールの回転子を浮上させるための磁気浮上軸受を備え、半径方向の安定化を実現するフライホイールシステムが開示される。当該磁気浮上軸受は、電力を消費することなく、受動的な磁気結合を用いて軸方向および半径方向の両方の安定化を実現することができる。当該磁気浮上軸受によって行われる半径方向の安定化は、磁気浮上軸受によって軸方向の安定化することによって生じる半径方向の不安定さを解消し、あるいは少なくとも軽減することができる。
したがって、当該磁気浮上軸受は、フライホイールシステムのエネルギー効率を改善されることが可能である。
【0023】
図1は、半径方向の安定化を図る回転子を浮上させるための磁気浮上軸受を備えたフライホイールシステム100の一実施形態を示している。図1は、例示的なフライホイールシステム100を示しており、フライホイールシステム100は、少なくとも時々動きにさらされ得る基材180上に配置されている。フライホイールシステム100は、回転子110および底部支持部122を備えている。回転子110は、回転軸心190を中心に、方向192または方向192の逆方向に回転するように構成されている。フライホイールシステム100は、回転子110を底部支持部122の上方で浮上させるとともに、回転子110の回転軸心190に対する半径方向の安定化を提供するための底部磁気浮上軸受130をさらに備えている。フライホイールシステム100は、底部磁気浮上軸受130が、底部支持部122の上方の回転子110の重力荷重の少なくとも一部を支持するように、回転軸心190が公称鉛直であるものとして動作するように構成されてもよい。ここで、特に明記しない限り、回転子の「回転軸心」は、回転子の公称回転軸心を指し、回転子の実際の回転軸心は、少なくとも一時的に公称回転軸心から外れる可能性があることを理解されたい。
【0024】
底部磁気浮上軸受130は、底部支持部122に機械的に連結された磁気構造体132、および回転子110の底端部に機械的に連結された磁気構造体134を備えている。磁気構造体132は、磁気構造体134に反発して、回転子110に(a)方向194に沿った軸方向上向きの力、および(b)方向196と逆方向の半径方向内向きの力の両方を加える。この半径方向内向きの力は、回転子110の半径方向の偏心を打ち消す。このような半径方向の偏心は、軸方向上向きの力を生成する磁場に関連する不安定さの結果として、フライホイールシステム100が配置された環境の動きの結果として、および/またはフライホイールシステム100の他の機能的な構成要素により回転子110に加えられるトルクの結果として、発生し得る。一実施形態では、磁気構造体132,134は、永久磁石を利用する受動型磁気構造体であり、底部磁気浮上軸受130は電力を消費しない。
【0025】
図1の例では、底部支持部122は、例えば、建物の床または船舶に搭載されたデッキなどの基材180によって支持されている。底部支持部122は、基材180に実質的に堅固に連結されているため、基材180が動くときに底部支持部122も基材180とともに動く。基材180は、例えば、矢印152で示される水平方向の並進、矢印154で示される縦方向の並進、および150で示される回転などの様々な方向、またはそれらの組み合わせで移動することがある。底部磁気浮上軸受130によって回転子110を軸方向および半径方向において安定化させることにより、基材180の動きによって引き起こされる回転子110と底部支持部122との間の相対的な動きを少なくとも部分的に打ち消すことができる。
【0026】
回転子110の重量は、10から10,000キログラムの間であり得る。回転子110に比較的大量の回転エネルギーを貯蔵するように構成された一実施形態では、例えば、沖合の環境での使用を目的としたフライホイールシステム100では、回転子110の重量は、1トンから2トンの間であり、例えば1.5トンである。他の実装形態では、回転子110に少量の回転エネルギーを貯蔵するように構成され、例えば、家庭用のフライホイールシステム100では、回転子110の重量は、10から100キログラムの間である。
【0027】
一実施形態では、フライホイールシステム100は、回転子110の上端の上方に配置された頂部支持部124をさらに備えている。底部支持部122および頂部支持部124は、固定子120の一部であってもよい。図面の明確化のために図1には図示されていないが、頂部支持部124を備えたフライホイールシステム100の実施形態では、頂部磁気浮上軸受をさらに備えていてもよい。この頂部磁気浮上軸受は、底部磁気浮上軸受130と同一または類似であってもよく、例えば、頂部支持部124に機械的に連結された磁気構造体132の第2の例と、回転子110の上端に機械的に連結された磁気構造体134の第2の例を備えている。この頂部磁気浮上軸受が実装されることにより、回転子110の上方への動きを制限するだけでなく、その上端において回転子110の半径方向の安定化を行う。回転子110の上方への動きを制限することは、基材180が下方(および上方)に動く場合において有利となることがある。なぜならば、このような場合では、回転子110と頂部支持部124との間の距離が減少しやすいからである。頂部磁気浮上軸受は、回転子110が頂部支持部124にぶつかるのを防ぐ役割を果たすとともに、半径方向の安定化を行うことができる。
【0028】
なお、図1では、回転子110、磁気構造体132、および磁気構造体134のそれぞれが円筒形を有しているが、回転子110、磁気構造体132、および磁気構造体134のうちのいずれか1つの形状は、円筒形を有していなくてもよい。例えば、回転子110の表面は、回転子110と固定子120との間の相互作用を容易にする機能をもつ構成部材を収容し、配置するための凹部および/または凸部を有していてもよい。同様に、底部支持部122および頂部支持部124のいずれか一方の形状は、図1に示したものと異なっていてもよい。
【0029】
本明細書中、フライホイールシステムの構成要素の「頂部」および「底部」は、鉛直回転軸心190を基準とする。本明細書に開示されるフライホイールシステムは、非鉛直回転軸心で配向され得ることを理解されたい。例えば、動作環境に設置する前に、または動作環境によって公称鉛直な回転軸心の向きが鉛直から外れる場合(例えば、ほぼ鉛直な向きの軸で動作するように設計されたフライホイールシステムを支持する基材が動くとき、および/または振動中)などである。同様に、本明細書で使用される「上方」および「下方」という用語は、鉛直回転軸心を基準とする。
【0030】
図2は、回転軸を有し、半径方向の安定化を図る回転子を浮上させるための磁気浮上軸受を備えたフライホイールシステム200の一実施形態を示している。図2は、フライホイールシステム200の断面図を示しており、この断面は、回転軸心190を含む平面である。フライホイールシステム200は、フライホイールシステム100の一実施形態である。フライホイールシステム200は、回転子210、底部支持部222、および底部磁気浮上軸受130を備えている。回転子210は、軸212を備えた回転子110の一実施形態である。軸212は、回転子210の残りの部分とともに回転する。底部支持部222は、底部支持部122の一実施形態であり、回転子210およびその軸212に(少なくとも磁気的に)連結するように特別に調整されている。磁気構造体132は、底部支持部122に機械的に連結されており、磁気構造体134は、回転子210の底端部に機械的に連結されている。
【0031】
一実施形態では、フライホイールシステム200は、頂部支持部224および頂部磁気浮上軸受230をさらに備えている。頂部支持部224は、回転子210およびその軸212と(少なくとも磁気的に)連結するように特別に調整された頂部支持部124の一実施形態である。図1を参照して上述したように、頂部磁気浮上軸受230は、底部磁気浮上軸受130と同一または類似であってもよい。頂部磁気浮上軸受230は、頂部支持部224に機械的に連結された磁気構造体232と、回転子210の上端に機械的に連結された磁気構造体234を備えている。磁気構造体232は、磁気構造体132と同一または類似であってもよく、磁気構造体234は、磁気構造体134と同一または類似であってもよい。
【0032】
底部支持部222と回転子210との間の空間、および頂部支持部224(備えている場合)と回転子210との間の空間において、フライホイールシステム200は、界面領域280を形成する。界面領域280は、底部磁気浮上軸受130を収容しており、頂部支持部224を備えている場合には、頂部磁気浮上軸受230を収容している。界面領域280は、(a)回転子210と、(b)底部支持部222および頂部支持部224(備えている場合)との間の相互作用を容易にする他の機能をもつ部材を収容していてもよい。このような機能的な構成要素は、以下を含み得る。すなわち、(a)回転子の回転エネルギーをフライホイールシステムの電気エネルギー出力に磁気的に変換し、逆に、フライホイールシステムへの電気エネルギー入力を回転子の回転エネルギーに磁気的に変換する1つまたは複数の発電機、および/または(b)固定子に対する回転子の相対位置を能動的に安定化させる1つまたは複数の能動型磁気軸受である。能動型磁気軸受には、能動型磁気軸受が故障した場合に回転子の安定化を行うための1つまたは複数の受動型予備磁気軸受が付属されていてもよい。本明細書中、「能動型磁気軸受」は、入力信号に基づいて調整可能な軸受のことを指す。能動型磁気軸受は、フィードバックループ内に1つまたは複数のセンサを備えていてもよい。
【0033】
固定子220は、底部支持部222および頂部支持部224ととともに、回転子210を含む筐体を形成する、半径方向の壁228をさらに備えていてもよい。この筐体は、真空の筐体であってもよい。
【0034】
回転子210は、横方向の幅262および高さ260を有している。一実施形態では、横方向の幅262は、回転軸心190に沿って一定である。他の実施形態では、横方向の幅262は、例えば、図1を参照して上述したように、回転軸心に沿った位置の関数として変化する。横方向の幅262は直径であってもよい。横方向の幅262および高さ260のそれぞれは、10から200センチメートルの範囲内であってもよい。
【0035】
図3は、固定軸を有し、半径方向の安定化を図る回転子を浮上させるための磁気浮上軸受を備えたフライホイールシステム300の一実施形態を示している。図3は、フライホイールシステム300の断面図を示しており、この断面は、回転軸心190を含む平面である。フライホイールシステム300は、フライホイールシステム100の一実施形態である。フライホイールシステム300は、回転子310および固定子320をそれぞれ備えた実施形態である。固定子320は、底部支持部322、頂部支持部324、および底部支持部322と頂部支持部324を接続する固定軸326を備えている。固定軸326は、回転子310が固定軸326の周りを回転するように、回転子310の開口部を通過する。底部支持部322および頂部支持部324は、底部支持部122および頂部支持部124の一実施形態であり、それぞれ、固定軸326および回転子310とともに使用するために特別に構成されている。固定子320は、半径方向の壁228をさらに備えていてもよい。半径方向の壁228は、底部支持部322および頂部支持部324とともに、回転子310の筐体を形成している。この筐体は、真空の筐体であってもよい。
【0036】
フライホイールシステム300は、底部磁気浮上軸受130をさらに備えている。磁気構造体132は、底部支持部322に機械的に連結されており、磁気構造体134は、回転子310の底端部に機械的に連結されている。フライホイールシステム300は、磁気構造体132,134が頂部支持部324および回転子310の上端にそれぞれ機械的に連結された、頂部磁気浮上軸受230を備えていてもよい。
【0037】
フライホイールシステム300は、回転子310と固定子320との間の相互作用を容易にする機能的な構成要素を収容し得る界面領域380を形成している。フライホイールシステム200の界面領域280と比較すると、フライホイールシステム300の界面領域380は、固定軸326と回転子310と間の開口部312内の空間をさらに含む。回転子310の高さ260全体に亘る開口部312と、開口部312の高さ全体を貫通する固定軸326によって、フライホイールシステム300は、フライホイールシステム200の界面領域280と比較すると、回転子110と固定子120との間に比較的大きく広がった界面領域380を有している。この比較的大きく広がった界面領域380は、フライホイールシステム300に実装された異なる磁性部品間で比較的広い間隔を保つことができ、その結果、このような異なる磁性部品間の潜在的な磁気結合を最小化するように、異なる磁性部品を配置することができる。特に、大きく広がった界面領域380により、底部磁気浮上軸受130および頂部磁気浮上軸受230を他の磁場源から比較的離れた場所に配置することができる。したがって、界面領域380は、底部磁気浮上軸受130および頂部磁気浮上軸受230(備えている場合)による軸方向および半径方向の安定化のための最適条件を提供することができる。これは、完全な受動型である底部磁気浮上軸受130および頂部磁気浮上軸受230の実施形態にとっては特に重要な利点である。なぜならば、これらの実施形態では、底部磁気浮上軸受130および頂部磁気浮上軸受230は、他の磁場を補償するために能動的に調整することができないからである。他の磁場源が底部磁気浮上軸受130、(および備えている場合は、頂部磁気浮上軸受230)に近いフライホイールシステム200,300の実施形態では、磁気シールドを実装して、底部磁気浮上軸受130(および含まれている場合は、頂部磁気浮上軸受230)の性能に対する、このような他の磁場源の影響を軽減することができる。
【0038】
固定軸326および開口部312は、それぞれ横方向の幅370,372を有している。一実施形態では、横方向の幅370,372のそれぞれは、回転軸心190に沿って一定である。他の実施形態では、横方向の幅370,372の一方または両方は、回転軸心に沿った位置の関数として変化する。横方向の幅370,372のそれぞれは、直径であってもよい。横方向の幅370と横方向の幅372との間の差は、1から20ミリメートルの範囲内であってもよい。横方向の幅372の横方向の幅262に対する比率は、5から50パーセントの範囲内であってもよい。横方向の幅370は、3から100ミリメートルの範囲内であってもよい。固定軸326は、鋼を含んでいるか、またはステンレス鋼などの鋼から構成されてもよい。
【0039】
図4は、軸方向および半径方向の両方の安定化を行う4リング磁気浮上軸受400の斜視図である。4リング磁気浮上軸受400は、底部磁気浮上軸受130および頂部磁気浮上軸受230のいずれか一方の例である。4リング磁気浮上軸受400は、フライホイールシステム200,300のいずれか1つに実装されていてもよい。図5は、4リング磁気浮上軸受400を実装したフライホイールシステム500の断面側面図を示している。フライホイールシステム500は、4リング磁気浮上軸受400として、底部磁気浮上軸受130および頂部磁気浮上軸受230の一方または両方を実装したフライホイールシステム100の一実施形態である。以下の説明では、図4および図5を参照するのが最もよい。図5は、回転子110の途中で切断されたフライホイールシステム500の底部のみを示している。図4は、フライホイールシステム500に実装されたときに、回転子110を通過した視点から見た4リング磁気浮上軸受400の斜視図を示している。
【0040】
4リング磁気浮上軸受400は、(a)磁石412のリング410、(b)磁石422のリング420、(c)磁石432のリング430、および(d)磁石442のリング440を備えている。各リング410,420,430,440は、回転軸心190を取り囲んでいる。リング410,430は、磁気構造体134の一実施形態であり、リング420,440は、磁気構造体132の一実施形態である。使用の一実施形態では、リング410,430は、回転子110の底端部に機械的に連結されており、リング420,440は、(図5に示されるように)底部支持部122に機械的に連結されている。このように、4リング磁気浮上軸受400は、底部磁気浮上軸受130の一実施形態を表している。他の実施形態では、リング410,430は、回転子110の上端に機械的に連結されており、リング420,440は、頂部支持部124に機械的に連結されている。このように、4リング磁気浮上軸受400は、頂部磁気浮上軸受230の実施形態を形成する。一実施形態では、磁石412,422,432,442は永久磁石であり、4リング磁気浮上軸受400は、受動的に磁気による安定化を行うように構成されている。リング410,430は、実質的に同心円状であってもよく、リング420,440は、実質的に同心円状であってもよい。回転子110が回転軸心190に対して半径方向に中心にあるとき、リング410,420,430,440は同心円状であってもよい。
【0041】
磁石422は磁石412に反発し、実質的または主に軸方向に、これらの間に加わる力により、軸方向の安定化を提供する。磁石442は磁石432に反発し、これらの間に加わる力が半径方向の成分を含むことにより、半径方向の安定化を提供する。磁石442と磁石432との間に加わる力は、軸方向の成分をさらに含んでいてもよく、したがって、半径方向の安定化に加えて軸方向の安定化に寄与することができる。磁石442と磁石432との間の磁気結合によって行われる半径方向の安定化は、磁石422と磁石412との間の磁気結合によって生じる半径方向の不安定さを解消し、あるいは少なくとも軽減することができる。
【0042】
図4に示す例では、磁石412,422,432,442のそれぞれは、立方体の形状を有している。各立方体の一辺の長さは、1から20ミリメートルの範囲内であってもよく、例えば、2から4ミリメートルである。しかしながら、本明細書の範囲から逸脱することなく、1つまたは複数の磁石412,422,432,442の形状および/または寸法は、図4に示したものと異なってもよく、リング410,420,430,440のうちの1つまたは複数の磁石の数は、図4に示したものとは異なってもよい。リング410とリング420の間隔は、数分の1ミリメートルから数ミリメートルの範囲内であってもよい。同様に、リング430と440の間の半径方向の距離は、数分の1ミリメートルから数ミリメートルの範囲内であってもよい。リング410とリング420の間隔は、これらの間の軸方向の力の所望の強さを達成するように設定することができる。同様に、リング430とリング440との間の半径方向の距離(および軸方向の距離)は、これらの間の半径方向(および軸方向)の力の所望の強さを達成するように設定することができる。一実施形態では、リング410,420,430,440は、半径方向の力よりも強い軸方向の力を生成するように構成されている。
【0043】
図5に示すように、リング410,420,430,440は、それぞれ直径518,528,538,548を有しており、底部支持部122からの高さ516,526,536,546の位置にそれぞれ配置される。これらの高さは、回転子110が底部支持部122に対して移動するときに変化することがあり、これらの高さは、フライホイールシステム500の安定した望ましい構成に関連する公称高さを示していることを理解されたい。高さ516は、高さ526よりも高い。直径518,528は、図4および図5に示すように、実質的に同一であってもよいし、互いにわずかに異なっていてもよい。直径548は直径538よりも大きく、直径538は直径528,518よりも大きい。高さ536は高さ516よりも高い。図4および図5に示すように、高さ536は高さ546よりも高い。しかしながら、本明細書の範囲から逸脱することなく、高さ536,546は同一であってもよいし、高さ536は高さ546よりも低くてもよい。
【0044】
図4は、磁石412,422,432,442の極性の例を示している。矢印482は、N極を示し、直線の先端480は、S極を示している。図示の例では、(a)磁石412,422のそれぞれの極性は、フライホイールシステム500において、磁石412のN極が回転子110を向き、磁石422のN極が回転子110から離れる方向を向くように、回転軸心190と平行であり、(b)磁石432,442のそれぞれの極性は、磁石432のN極が回転軸心190から離れる方向を向き、磁石442のN極が回転軸心190を向くように、回転軸心190に対して垂直である。本明細書の範囲から逸脱することなく、リング410とリング420とが互いに反発し、リング430とリング440とが互いに反発する限り、異なる極性の方向であってもよい。一例では、高さ536と高さ546は異なる高さであり、磁石432と磁石442の極性は、回転軸心190に対して斜めの方向に沿って互いに向き合っている。
【0045】
フライホイールシステム500は、リング420,440を底部支持部122に機械的に連結する取り付け部材552を備えていてもよい。図5に示すように、回転子110には、回転軸心190を取り囲む溝が形成されていてもよく、取り付け部材552が溝に入り込んで、リング410,420,430,440を意図された相対位置に配置している。あるいは、回転子110は、底部支持部122に向かって突出している取り付け部材(図5には図示せず)を備えることにより、リング410,420,430,440を意図された相対位置に配置してもよい。一実施形態では、リング410,430は、回転子110内または回転子110上の取り付け部材550に取り付けられている。
【0046】
図6図7、および図8は、フライホイールシステム500における4リング磁気浮上軸受400の3つのそれぞれの高さ構成600,700,800を示している。図6図7、および図8は、図5の左側部分の図に対応している。以下の説明では、図6図7、および図8を参照するのが最もよい。高さ構成600,700,800は、リング430の高さ536とリング440の高さ546との間の関係が互いに異なっている(図5の高さの定義を参照)。高さ構成600では、高さ536と高さ546は同一である。高さ構成700では、高さ536は高さ546よりも高い。高さ構成800では、高さ536は高さ546よりも低い。
【0047】
高さ構成600では、公称高さにおいて、リング430とリング440との間の磁気結合は、純粋にこれらの間の半径方向の力に対応する。高さ構成600,700では、それぞれの公称高さにおいて、リング430とリング440との間の磁気結合に関連する力は、半径方向成分および軸方向成分の両方を有している。高さ構成700では、公称高さにおいて、軸方向の力の成分は、底部支持部122から離れる方向に、回転子110に上向きにかかる力に対応する。したがって、高さ構成700の公称高さにおいて、リング430とリング440との間の軸方向の力の成分は、リング410とリング420との間の磁気結合による軸方向の安定化にさらに寄与する。対照的に、高さ構成800の公称高さでは、リング430とリング440との間の軸方向の力の成分は、回転子110を底部支持部122に向かって押すことにより、リング410とリング420との間の磁気結合によって生成される軸方向の力に逆らうように作用する。動作中、フライホイールシステム500は、その環境、例えば、基材180の軸方向の動きの影響を受けることがあり、高さ536と高さ546との間の関係は、このような軸方向の動きの結果として動的に変化することがある。
【0048】
以下の実施例Iに示されるデータは、少なくとも特定の状況下では、高さ構成800が不安定であることを示している。実施例Iは、高さ536が高さ546より低くなると、リング420,440がリング410,430に及ぼす軸方向の反発力が減少することを示している。したがって、高さ構成600,700は、高さ構成800よりも高い安定性を提供することができる。また、高さ構成600における回転子110の下方への動きは、実質的に高さ構成800に対応しており、このような動きは、フライホイールシステム500の実際の使用中に発生する可能性が高く、高さ構成700は、高さ構成600よりも高い安定性を提供することができる。一実施形態では、フライホイールシステム500は、高さ構成700に従って構成され、公称高さ536,546は、基材180が動いている間であっても、リング430がリング440よりも高さを維持するように調整されている。
【0049】
図6図7、および図8は、リング410,420,430,440の極性を示しており、リング410,420,430,440内に矢印で示されている。図4および図5を参照して上述したように、極性は、図6図7、および図8に示すものとは異なっていてもよい。
【0050】
図9は、フライホイールシステム500における4リング磁気浮上軸受400の極性構成900の一例を示している。極性構成900は、高さ構成600,700,800のうちのいずれか1つとともに実装されてもよい。極性構成900では、リング410,430は、以下のいずれかである。(a)リング410のN極は、リング430のN極よりもリング430のS極に近く、リング430のS極は、リング410のS極よりもリング410のN極に近いか、または(b)リング410のS極は、リング430のS極よりもリング430のN極に近く、リング430のN極は、リング410のN極よりもリング410のS極に近い。その結果、リング410,430からのそれぞれの磁場は、互いに適度に整列している。リング410とリング430との間に効果的な磁気シールドが適用されない場合、リング410,430からの磁場の働きによって、結合磁場950を形成することがある。取り付け部材550は、この磁場の組み合わせを促進するために非磁性材料で構成され、結合磁場950を形成してもよい。
【0051】
図10は、フライホイールシステム500における4リング磁気浮上軸受400の他の極性構成1000を示している。極性構成1000は、高さ構成600,700,800のうちのいずれか1つとともに実装されてもよい。極性構成1000では、リング410とリング430との間の極性の関係は、極性構成900の場合とは逆になる。極性構成1000では、リング410,430の極性は、以下のいずれかである。(a)リング410のN極は、リング430のS極よりもリング430のN極に近く、リング430のN極は、リング410のS極よりもリング410のN極に近い、または(b)リング410のS極は、リング430のN極よりもリング430のS極に近く、リング430のS極は、リング410のN極よりもリング410のS極に近い。その結果、リング410,430からのそれぞれの磁場は、互いに整列しない。リング410,430からの磁場の相互相殺を回避するために、極性構成1000は、リング410およびリング430との間に磁気シールド1050を用いてもよい。
【0052】
図11は、図5と同様の断面側面図で示されており、軸方向および半径方向の両方の安定化を実現するための他の4リング磁気浮上軸受1102を備えた他のフライホイールシステム1100を示している。4リング磁気浮上軸受1102は、底部磁気浮上軸受130および頂部磁気浮上軸受230のいずれか一方の例である。4リング磁気浮上軸受1102は、フライホイールシステム200およびフライホイールシステム300のいずれかに実装されてもよい。フライホイールシステム1100は、フライホイールシステム100の一実施形態であり、このフライホイールシステム100は、底部磁気浮上軸受130および頂部磁気浮上軸受230の一方または両方をそれぞれの4リング磁気浮上軸受1102として実装している。
【0053】
4リング磁気浮上軸受1102は、(a)磁石のリング1110、(b)磁石のリング1120、(c)磁石のリング1130、および(d)磁石のリング1140を備えている。これらリング1110,1120,1130,1140のそれぞれは、回転軸心190を取り囲んでいる。リング1110,1130は、磁気構造体134の一実施形態であり、リング1120,1140は、磁気構造体132の一実施形態である。使用の一実施形態では、リング1110,1130は、回転子110の底端部に機械的に連結されており、リング1120,1140は、底部支持部122に機械的に連結されている。使用の他の実施形態では、リング1110,1130は回転子110の上端に機械的に連結されており、リング1120,1140は頂部支持部124に機械的に連結されている。リング1110,1120,1130,1140のそれぞれは、例えば、図4を参照して上述したように、複数の磁石を備えていてもよい。一実施形態では、これら磁石のそれぞれは永久磁石であり、4リング磁気浮上軸受1102は、磁気によって受動的に安定化するように構成される。
【0054】
リング1120はリング1110に反発し、実質的または主に軸方向に、これらの間に加わる力により、軸方向の安定化を提供する。リング1140はリング1130に反発し、これらの間に加わる力が半径方向の成分を含むことにより、半径方向の安定化を提供する。リング1130とリング1140との間に加わる力は、軸方向の成分をさらに含んでいてもよく、したがって、半径方向の安定化に加えて軸方向の安定化に寄与することができる。リング1140とリング1130との間の磁気結合による半径方向の安定化は、リング1120とリング1110との間の磁気結合によって生じる半径方向の不安定さを解消し、あるいは少なくとも軽減することができる。
【0055】
リング1110とリング1120の間隔は、数分の1ミリメートルから数ミリメートルの範囲内であってもよい。同様に、リング1130とリング1140との間の半径方向の距離は、数分の1ミリメートルから数ミリメートルの範囲内であってもよい。リング1110とリング1120の間隔は、これらの間の軸方向の力の所望の強さを達成するように設定することができる。同様に、リング1130とリング1140との間の半径方向距離(および軸方向距離)は、これらの間の半径方向(および軸方向)の力の所望の強度を達成するように設定することができる。一実施形態では、リング1110,1120,1130,1140は、半径方向の力よりも強い軸方向の力を加えるように構成される。
【0056】
リング1110,1120,1130,1140は、直径1118,1128,1138,1148をそれぞれ有しており、底部支持部122からの高さ1116,1126,1136,1146の位置にそれぞれ配置される。これらの高さは、回転子110が底部支持部122に対して相対的に移動するときに変化することがあり、これらの高さは、フライホイールシステム1100の安定した望ましい構成に関連する公称高さを示していることを理解されたい。高さ1116は、高さ1126よりも高い。直径1118,1128は、図11に示すように、実質的に同一であってもよいし、互いにわずかに異なっていてもよい。直径1148は直径1138よりも大きく、直径1148は直径1128,1118よりも小さい。高さ1116は高さ1136よりも高い。図11に示すように、高さ1136は高さ1146よりも高い。しかしながら、本明細書の範囲から逸脱することなく、高さ1136,1146は同一であってもよいし、高さ1136は高さ1146よりも低くてもよい。
【0057】
一実施形態では、(a)リング1110,1120のそれぞれの極性は回転軸心190と平行であり、(b)リング1130,1140のそれぞれの極性は回転軸心190に対して垂直である。本明細書の範囲から逸脱することなく、リング1110とリング1120とが互いに反発し、リング1130とリング1140とが互いに反発する限り、異なる極性の方向であってもよい。一例では、高さ1136と高さ1146は異なる高さであり、磁石1132と磁石1142の極性は、回転軸心190に対して斜めの方向に沿って互いに向き合っている。
【0058】
フライホイールシステム1100は、リング1120,1140を底部支持部122に機械的に連結する取り付け部材1152を備えていてもよい。図11に示すように、回転子110には、回転軸心190を取り囲む溝が形成されていてもよく、取り付け部材1152が溝に入り込んで、リング1110,1120,1130,1140を意図された相対位置に配置している。あるいは、回転子110は、底部支持部122に向かって突出している取り付け部材(図11には図示せず)を備えることにより、リング1110,1120,1130,1140を意図された相対位置に配置してもよい。一実施形態では、リング1110,1130は、回転子110内または回転子110上の取り付け部材1150に取り付けられている。
【0059】
図12図13、および図14は、フライホイールシステム1100における4リング磁気浮上軸受1102の3つのそれぞれの高さ構成1200,1300,1400を示している。図12図13、および図14は、図11の左側部分の図に対応している。以下の説明では、図12図13、および図14を参照するのが最もよい。高さ構成1200,1300,1400は、リング1130の高さ1136とリング1140の高さ1146との間の関係が互いに異なっている(図11の高さの定義を参照)。高さ構成1200では、高さ1136と高さ1146は同一である。高さ構成1300では、高さ1136は高さ1146よりも高い。高さ構成1400では、高さ1136は高さ1146よりも低い。
【0060】
高さ構成1200では、公称高さにおいて、リング1130とリング1140との間の磁気結合は、純粋にこれらの間の半径方向の力に対応する。高さ構成1300,1400では、それぞれの公称高さにおいて、リング1130とリング1140との間の磁気結合は、これらの間に半径方向の力および軸方向の力の両方を生成する。高さ構成1300では、公称高さにおいて、軸方向の力は、底部支持部122から離れる方向に、回転子110に上向きにかかる力に対応する。したがって、高さ構成1300の公称高さにおいて、リング1130とリング1140との間の軸方向の力は、リング1110とリング1120との間の磁気結合による軸方向の安定化にさらに寄与する。対照的に、高さ構成1400の公称高さでは、リング1130とリング1140との間の軸方向の力は、回転子110を底部支持部122に向かって押すことにより、リング1110とリング1120との間の磁気結合によって生成される軸方向の力に逆らうように作用する。動作中、フライホイールシステム1100は、その環境、例えば、基材180の軸方向の動きの影響を受けることがあり、高さ1136と高さ1146との間の関係は、このような軸方向の動きの結果として動的に変化することがある。
【0061】
図6図7、および図8を参照して上述したものと同様の理由により、高さ構成1200,1300,1400は、高さ構成600,700,800と同様の安定化特性を有する。
【0062】
リング410とリング430は、4リング磁気浮上軸受400において互いに近接しているのに対し、リング1120とリング1140は、4リング磁気浮上軸受1102において互いに近接している。図9および図10を参照して上述した極性構成900および極性構成1000は、4リング磁気浮上軸受1102のリング1120およびリング1130に転用することができる。
【0063】
図15は、(a)固定軸、(b)半径方向の安定化を図る回転子を浮上させるための少なくとも1つの磁気浮上軸受、および(c)前記少なくとも1つの磁気浮上軸受から離れた前記固定軸に実装された他の磁気モジュールを有するフライホイールシステム1500の一実施形態を示している。フライホイールシステム1500は、少なくとも1つの発電機1510、少なくとも1つの能動型磁気軸受1530、および少なくとも1つの受動型予備磁気軸受1520を備えたフライホイールシステム300の一実施形態である。フライホイールシステム1500は、1つまたは複数の能動型縦方向安定化磁気軸受1540をさらに備えていてもよい。
【0064】
フライホイールシステム1500では、底部磁気浮上軸受130は、開口部312および固定軸326から離れて実装されている。一実施形態では、フライホイールシステム1500は、開口部312および固定軸326から離れて実装された頂部磁気浮上軸受230も備えている。少なくとも1つの発電機1510、少なくとも1つの能動型磁気軸受1530、少なくとも1つの受動型予備磁気軸受1520、および備えている場合には、1つまたは複数の能動型縦方向安定化磁気軸受1540のそれぞれは、(a)底部磁気浮上軸受130(および備えている場合、頂部磁気浮上軸受230)における外部磁場の存在、および/または(b)このような外部磁場を軽減するための磁気シールドの必要性を最小化するように、固定軸326に配置される。
【0065】
図15は、1つの発電機1510、2つの能動型磁気軸受1530、および2つの受動型予備磁気軸受1520を示している。しかしながら、本明細書の範囲から逸脱することなく、フライホイールシステム1500は、発電機1510、能動型磁気軸受1530、および受動型予備磁気軸受1520のうちのいずれか1つは、異なる数であってもよい。同様に、本明細書の範囲から逸脱することなく、1つまたは複数の能動型縦方向安定化磁気軸受1540を実装したフライホイールシステム1500の一実施形態では、能動型縦方向安定化磁気軸受1540の数は、図15に示す数と異なってもよい。
【0066】
各発電機1510は、回転子310の回転エネルギーをフライホイールシステム1500の電気エネルギー出力に磁気的に変換し、逆に、フライホイールシステム1500への電気エネルギー入力を回転子310の回転エネルギーに磁気的に変換する。発電機1510は、(i)回転子310に機械的に連結された複数の永久磁石1514、および(ii)固定軸326に機械的に連結された発電機固定子1512を備えていてもよい。発電機固定子1512は、永久磁石1514に磁気的に連結して、回転子310の回転エネルギーと発電機固定子1412の巻線を流れる電流とを変換する。
【0067】
能動型磁気軸受1530は、固定子320に対する回転子310の相対位置を能動的に安定化する。各能動型磁気軸受1530は、(i)回転子310に機械的に連結された複数の磁化可能な部材1534、および(ii)固定軸326に機械的に連結された複数の電磁石1532を備えていてもよい。電磁石1532は、磁化可能な部材1534に磁気的に連結して、固定子320に対して回転子310を能動的に安定化する。各能動型磁気軸受1530は、回転子310の位置および/または動きを感知する1つまたは複数のセンサ1536をさらに備え、能動的なフィードバック信号を電磁石1532に送信してもよい。
【0068】
受動型予備磁気軸受1520は、能動型磁気軸受1530が故障した場合に回転子310を安定化させる。各受動型予備磁気軸受1520は、(i)回転子310に機械的に連結された複数の永久磁石1524、および(ii)固定軸326に機械的に連結された複数の永久磁石1522を備えている。永久磁石1522は、永久磁石1524に磁気的に連結して、1つまたは複数の能動型磁気軸受1430が電力を失った場合や、故障した場合に、予備として、固定子320に対して回転子310を安定化させる。一実施形態では、1つの受動型予備磁気軸受1520は底部支持部322の近傍に配置されている。この実施形態では、受動型予備磁気軸受1520を固定軸326に配置し、底部磁気浮上軸受130から半径方向内側に配置することにより、これら2つの磁気モジュール間の磁気干渉が軽減される。他の実施形態では、1つの受動型予備磁気軸受1520が頂部支持部324の近傍に配置され、フライホイールシステム1500は頂部磁気浮上軸受230を備えている。この実施形態では、受動型予備磁気軸受1520を固定軸326に配置し、頂部磁気浮上軸受230から半径方向内側に配置することにより、これらの2つの磁気モジュール間の磁気干渉を軽減する。
【0069】
能動型縦方向安定化磁気軸受1540は、固定子320に対する回転子310の軸方向における相対的な位置を能動的に安定化させる。各能動型縦方向安定化磁気軸受1540は、(i)回転子310に機械的に連結された複数の永久磁石1544、および(ii)固定軸326に機械的に連結された複数の電磁石1542を備えている。電磁石1542は永久磁石1544に磁気的に連結して、固定子320に対する回転子310の相対的な軸方向位置を能動的に安定化する。各能動型縦方向安定化磁気軸受1540は、回転子310の位置および/または動きを感知する1つまたは複数のセンサ(図15には図示せず)をさらに備え、能動的なフィードバック信号を電磁石1542に送信してもよい。
【0070】
図16は、フライホイールシステム500またはフライホイールシステム1100などのフライホイールシステムの回転子を浮上させ、かつ回転子を半径方向において安定化させるための方法1600の一実施形態を示している。方法1600は、ステップ1610およびステップ1620を含む。ステップ1610は、回転子に機械的に連結された複数の第1の磁石に、受動的に上向きの磁力を加えて、回転子の重力荷重の少なくとも一部を支える。ステップ1610は、底部磁気浮上軸受130として実装された4リング磁気浮上軸受400によって実行されてもよい。このようなステップ1610の一例では、リング420は、図4および図5を参照して上述したように、リング410に上向きの磁力を及ぼす。あるいは、ステップ1610は、底部磁気浮上軸受130として実装された4リング磁気浮上軸受1102によって実行されてもよい。このようなステップ1610の一例では、リング1120は、図11を参照して上述したように、リング1110に上向きの力を及ぼす。ステップ1620は、回転子に機械的に連結された複数の第2の磁石に、受動的に半径方向内向きの力を加えて、少なくとも回転子の半径方向の偏心を軽減する。ステップ1620は、底部磁気浮上軸受130として実装された4リング磁気浮上軸受400によって実行されてもよい。このようなステップ1620の一例では、リング440は、図4および図5を参照して上述したように、リング430に半径方向内向きの力を及ぼす。あるいは、ステップ1620は、底部磁気浮上軸受130として実装された4リング磁気浮上軸受1102によって実行されてもよい。このようなステップ1620の一例では、リング1140は、図11を参照して上述したように、リング1130に半径方向内向きの力を及ぼす。
【0071】
一実施形態では、方法1600は、第2の磁石に、受動的に第2の上向きの磁力を加えるステップ1630をさらに含む。ステップ1630は、底部磁気浮上軸受130として実装された4リング磁気浮上軸受400によって実行されてもよい。このようなステップ1630の一例では、リング440は、例えば、図7を参照して上述したように、リング430に上向きの軸方向の力を及ぼす。あるいは、ステップ1630は、底部磁気浮上軸受130として実装された4リング磁気浮上軸受1102によって実行されてもよい。このようなステップ1630の一例では、リング1140は、例えば、図13を参照して上述したように、リング1130に上向きの軸方向の力を及ぼす。
【0072】
任意選択で、方法1600は、(a)回転子の下方の支持部に機械的に連結された永久磁石組立体と、(b)第1の磁石および第2の磁石との間の磁気結合の少なくとも一部によって、(ステップ1610,1620、および任意選択でステップ1630の)鉛直方向上向きの磁力および半径方向内向きの磁力を生成することを含む。例えば、リング410とリング430は、図9を参照して上述したように、互いに磁気的に連結されていてもよく、あるいは、上述したように、リング1120とリング1140は、互いに磁気的に連結されていてもよい。
【0073】
一実施形態では、方法1600は、ステップ1640およびステップ1650をさらに含む。ステップ1640は、回転子に機械的に連結された複数の第3の磁石に、受動的に下向きの磁力を加えて、回転子の上方への動きを制限する。ステップ1640は、頂部磁気浮上軸受230として実装された4リング磁気浮上軸受400によって実行されてもよい。このようなステップ1640の一例では、リング420は、図4および図5を参照して上述したように、リング410に下向きの磁力を及ぼす。あるいは、ステップ1640は、頂部磁気浮上軸受230として実装された4リング磁気浮上軸受1102によって実行されてもよい。このようなステップ1610の一例では、リング1120は、図11を参照して上述したように、リング1110に下向きの力を及ぼす。ステップ1650は、回転子に機械的に連結された複数の第4の磁石に、受動的に半径方向内向きの力を加えて、回転子の半径方向の偏心の軽減に寄与する。ステップ1650は、頂部磁気浮上軸受230として実装された4リング磁気浮上軸受400によって実行されてもよい。このようなステップ1650の一例では、リング440は、図4および図5を参照して上述したように、リング430に半径方向内向きの力を及ぼす。あるいは、ステップ1650は、頂部磁気浮上軸受230として実装された4リング磁気浮上軸受1102によって実行されてもよい。このようなステップ1650の一例では、リング1140は、図11を参照して上述したように、リング1130に半径方向内向きの力を及ぼす。
【0074】
ステップ1640およびステップ1650を含む方法1600の一実施形態は、第4の磁石に、受動的に第2の下向きの磁力を加えるステップ1660をさらに含んでもよい。ステップ1660は、頂部磁気浮上軸受230として実装された4リング磁気浮上軸受400によって実行されてもよい。このようなステップ1660の一例では、リング440は、例えば、図7を参照して上述したように、リング430に下向きの軸方向の力を及ぼす。あるいは、ステップ1660は、頂部磁気浮上軸受230として実装された4リング磁気浮上軸受1102によって実行されてもよい。このようなステップ1660の一例では、リング1140は、例えば、図13を参照して上述したように、リング1130に下向きの軸方向の力を及ぼす。
実施例I:300キログラムの回転子の安定化
【0075】
この実施例では、300キログラムの実施形態の回転子110を浮上させるように構成された4リング磁気浮上軸受400の実施形態について、軸方向および半径方向の力が計算されている。この結果は、図17にグラフで示している。グラフ1720およびグラフ1722は、高さ構成700による4リング磁気浮上軸受400の一実施形態に関するものである。グラフ1730およびグラフ1732は、高さ構成800による4リング磁気浮上軸受400の一実施形態に関するものである。グラフ1710およびグラフ1712は、リング430およびリング440を有していない4リング磁気浮上軸受400に対応する軸方向のみの磁気浮上軸受に関するものである。
【0076】
グラフ1710,1720,1730のそれぞれは、回転子110の軸方向の位置の関数として、上向きの軸方向の力を示している。グラフ1712,1722,1732のそれぞれは、回転子110の複数の軸方向の位置について、半径方向の偏心距離の関数として、半径方向の力を示している。半径方向の力が正の値のとき、半径方向の力が外向きであること、すなわち、偏心していることを示す。
【0077】
基準となる例として、最初のグラフ1710,1712では、軸方向のみの磁気浮上軸受は、回転子110が下降するにつれて大きくなる安定した上向きの軸方向の力を生成しており、望ましい(グラフ1710を参照)。しかしながら、半径方向外向きの力は相当大きい。半径方向の中心から少しでも外れると、回転子110に強い半径方向外向きの力がかかる。これにより、望ましくない半径方向の不安定さが生じるため、能動型磁気軸受によって打ち消される必要がある。
【0078】
次に、高さ構成700による4リング磁気浮上軸受400の実施形態では、グラフ1720は、回転子110が降下するにつれて大きくなる安定した上向きの軸方向の力を示しており、望ましい。グラフ1722は、グラフ1712と比較して半径方向外向きの力が大幅に減少していることを示している。これは、4リング磁気浮上軸受400の本実施例による安定性の向上を示している。グラフ1722の半径方向外向きの力は、グラフ1712の半径方向外向きの力よりも大幅に小さいため、これらの力はより容易に打ち消され、結果として、フライホイールシステムはよりエネルギー効率が高くなる。
【0079】
最後に、高さ構成800による4リング磁気浮上軸受400の実施形態では、グラフ1730は、回転子110がある高さよりも降下すると小さくなる不安定な上向きの軸方向の力を示している。これは、グラフ1720に示された挙動よりも望ましくない場合がある。グラフ1732は、グラフ1722と同様の大きさの半径方向の力を示しているが、異なる点は、グラフ1732の半径方向の力は、最小の高さで半径方向内側になることである。
実施例II:1500キログラムの回転子の安定化
【0080】
この実施例では、1500キログラムの実施形態の回転子110を浮上させるように構成された4リング磁気浮上軸受400の実施形態について、軸方向および半径方向の力が計算されている。ここで検討する実施形態は、高さ構成700によって構成されている。この結果は、図18にグラフで示している。グラフ1810は、回転子110の複数の半径方向の偏心距離について、回転子110の軸方向の位置の関数として、上向きの軸方向の力を示している。グラフ1812は、回転子110の複数の軸方向の位置について、半径方向の偏心距離の関数として、半径方向の力を示している。半径方向の力が正の値のとき、半径方向の力が外向きであること、すなわち偏心していることを指示す。グラフ1810およびグラフ1812に表された挙動は、回転子110の質量が大きいため、結果として、はるかに大きい値で力の大きさが示されていることを除いて、グラフ1720およびグラフ1722に表されたものと同様である。
特徴の組み合わせ
【0081】
上述した特徴および以下に記載する特徴は、本明細書の範囲から逸脱することなく、様々な方法で組み合わせることができる。例えば、本明細書に記載されたフライホイールシステム、または関連する方法の態様は、本明細書に記載された他のフライホイールシステム、または関連する方法の特徴を組み込むか、または交換できることが理解されるだろう。以下の実施例は、上述した実施形態の可能な、非限定的な組み合わせを示している。本発明の意図および範囲から逸脱することなく、本明細書の方法および装置に他の多くの変更および修正を加えることができることは明らかであろう。
【0082】
(A1)フライホイールシステムは、(a)底部支持部を有する固定子、(b)重力荷重として機能し、底部支持部の上方において回転軸心の周りを回転するように構成された回転子、および(c)底部磁気浮上軸受を備えている。底部磁気浮上システムは、(i)回転子の底端部に機械的に連結された第1の磁石のリングと、(ii)第1の磁石のリングの下方において、底部支持部に機械的に連結された第2の磁石のリングを備えており、第2の磁石は、第1の磁石に反発して、底部支持部の上方の重力荷重の少なくとも一部を磁気的に支持している。底部磁気浮上システムは、(iii)回転子の底端部に機械的に連結された第3の磁石のリングと、(iv)第3の磁石のリングから半径方向外側に向かって、底部支持部に機械的に連結された第4の磁石のリングをさらに備えており、第4の磁石は、第3の磁石に反発して、少なくとも固定子に対する回転子の半径方向の偏心を軽減する。
【0083】
(A2)(A1)に記載のフライホイールにおいて、第1の磁石のそれぞれ、第2の磁石のそれぞれ、第3の磁石のそれぞれ、第4の磁石のそれぞれは、永久磁石であってもよい。
【0084】
(A3)(A1)および(A2)のいずれかに記載のフライホイールシステムにおいて、第1の磁石および第2の磁石のそれぞれの磁場は、回転軸心と平行であってもよい。
【0085】
(A4)(A3)に記載のフライホイールシステムにおいて、第3の磁石および第4の磁石のそれぞれの磁場は、回転軸心に対して直交してもよい。
【0086】
(A5)(A1)乃至(A4)のいずれかに記載のフライホイールシステムにおいて、第1の磁石、第2の磁石、第3の磁石、および第4の磁石は、底部支持部の上方において、それぞれ第1の高さ、第2の高さ、第3の高さ、および第4の高さに配置されてもよい。第1の高さは第2の高さよりも高く、第3の高さは第4の高さよりも高い。
【0087】
(A6)(A5)に記載のフライホイールシステムにおいて、第3の磁石と第4の磁石との間の磁気結合は、重力荷重の少なくとも一部を支持することにさらに寄与してもよい。
【0088】
(A7)(A5)および(A6)のいずれかに記載のフライホイールシステムにおいて、第1の磁石、第2の磁石、第3の磁石、および第4の磁石は、回転軸心を中心として、それぞれ第1の直径、第2の直径、第3の直径、および第4の直径を有するように配置されており、第3の直径は第1の直径および第2の直径よりも大きく、第4の直径は第3の直径よりも大きい。
【0089】
(A8)(A7)に記載のフライホイールシステムにおいて、第1の直径および第2の直径は同一であってもよい。
【0090】
(A9)(A7)および(A8)のいずれかに記載のフライホイールシステムにおいて、第3の高さは第1の高さよりも高くてもよい。
【0091】
(A10)(A9)に記載のフライホイールシステムにおいて、第1の磁石の磁場は、回転軸心と平行であってもよく、第3の磁石の磁場は、回転軸心に対して直交してもよい。第1の磁石のそれぞれは上極と下極を有していてもよく、第3の磁石のそれぞれは内極と外極を有していてもよい。第1の磁石の1つと第3の磁石の1つの最も近接している対のそれぞれにおいて、内極は下極よりも上極に近く、上極は外極よりも内極に近く、内極と下極のそれぞれは、N極およびS極のどちらか一方であり、外極と上極のそれぞれは、N極およびS極のうちの他方である。
【0092】
(A11)(A10)に記載のフライホイールシステムにおいて、最も近接している対のそれぞれにおいて、第1の磁石の磁場と第3の磁石の磁場は、互いに結合されていてもよい。
【0093】
(A12)(A1)乃至(A6)のいずれかに記載のフライホイールシステムにおいて、第1の磁石、第2の磁石、第3の磁石、および第4の磁石は、回転軸心を中心として、それぞれ第1の直径、第2の直径、第3の直径、および第4の直径を有するように配置されてもよい。第4の直径は第1の直径および第2の直径よりも小さくてもよく、第3の直径は第4の直径よりも小さい。
【0094】
(A13)(A12)に記載のフライホイールシステムにおいて、第1の直径および第2の直径は同一であってもよい。
【0095】
(A14)(A11)乃至(A13)のいずれかに記載のフライホイールシステムにおいて、第2の高さは第4の高さよりも高くてもよい。
【0096】
(A15)(A14)に記載のフライホイールシステムにおいて、第2の磁石の磁場は回転軸心と平行であってもよく、第4の磁石の磁場は回転軸心に対して直交してもよい。第2の磁石のそれぞれは上極と下極を有していてもよく、第4の磁石のそれぞれは内極と外極を有していてもよい。第2の磁石の1つと第4の磁石の1つの最も近接している対のそれぞれにおいて、内極は下極よりも上極に近く、上極は外極よりも内極に近く、内極と下極のそれぞれは、N極とS極のどちらか一方であり、外極と上極のそれぞれはN極とS極のうちの他方である。
【0097】
(A16)(A15)に記載のフライホイールシステムにおいて、最も近接する対のそれぞれは、第2の磁石と第4の磁石とが互いに磁気的に連結されていてもよい。
【0098】
(A17)(A1)乃至(A16)のいずれかに記載のフライホイールシステムは、固定子に実装された頂部支持部と、頂部磁気浮上軸受をさらに備えていてもよい。頂部磁気浮上軸受は、(i)回転子の上端に機械的に連結された第5の磁石のリングと、(ii)第5磁石のリングの上方において、頂部支持部に機械的に連結された第6磁石のリングを備えており、第6磁石は、第5磁石に反発して、底部支持部の上方の回転子の上向きの動きを制限する。頂部磁気浮上軸受は、(iii)上端に機械的に連結された第7の磁石のリングと、(iv)第7の磁石のリングから半径方向外側に向かって、頂部支持部に機械的に連結された第8の磁石のリングをさらに備えており、第8の磁石は、第7の磁石に反発して、第7の磁石と第8の磁石との間の磁気結合は、第3の磁石と第4の磁石との間の磁気結合とともに、少なくとも回転子の半径方向の偏心を軽減する。
【0099】
(A18)(A17)に記載のフライホイールシステムにおいて、第5の磁石、第6の磁石、第7の磁石、および第8の磁石は、底部支持部の上方において、それぞれ第5の高さ、第6の高さ、第7の高さ、および第8の高さに配置されてもよく、第6の高さは第5の高さよりも高く、第8の高さは第7の高さよりも高い。
【0100】
(A19)(A18)に記載のフライホイールシステムにおいて、第7の磁石と第8の磁石と間の磁気結合は、回転子の上向きの動きを制限することにさらに寄与してもよい。
【0101】
(A20)(A1)乃至(A19)のいずれかに記載のフライホイールシステムは、(a)発電機をさらに備えていてもよく、この発電機は、(i)回転子に機械的に連結された複数の第1の永久磁石と、(ii)固定子に機械的に連結された発電機固定子を備えている。発電機固定子は、第1の永久磁石との相互作用によって、回転子の回転エネルギーと発電機固定子の巻線の電流とを変換するように構成されている。フライホイールシステムは、(b)能動型磁気軸受をさらに備えていてもよく、この能動型磁気軸受は、(i)回転子に機械的に連結された複数の磁化可能な要素と、(ii)固定子に機械的に連結され、複数の磁化可能な要素に磁気的に連結して、固定子に対して回転子を能動的に安定化するように構成された複数の電磁石を備えている。フライホイールシステムは、(c)受動型予備磁気軸受をさらに備えていてもよく、受動型予備磁気軸受は、(i)回転子に機械的に連結された複数の第2の永久磁石と、(ii)固定子に機械的に連結され、第2の永久磁石に磁気的に連結して、能動型磁気軸受が故障した場合に、予備として、固定子に対して回転子を安定化させるように構成された複数の第3の永久磁石を備えている。
【0102】
(A21)(A20)に記載のフライホイールシステムにおいて、受動型予備磁気軸受は、底部磁気浮上軸受よりも半径方向内側にあり、底部磁気浮上軸受は、受動型予備磁気軸受よりも発電機から離れていてもよい。
【0103】
(A22)請求項21に記載のフライホイールシステムにおいて、回転子には、開口部が形成されていてもよく、固定子は、開口部を通過し、頂部支持部を底部支持部に接続する軸をさらに備えていてもよく、回転子は、軸の周りを回転するように構成されてもよい。発電機および能動型磁気軸受のそれぞれは、軸に実装されてもよく、能動型磁気軸受は、発電機よりも底部支持部に近接していてもよく、受動型予備磁気軸受は、能動型磁気軸受よりも底部支持部に近接していてもよい。
【0104】
(B1)フライホイールシステムの回転子を浮上させ、かつ回転子を半径方向において安定化させるための方法は、(a)回転子に機械的に連結された複数の第1の磁石に、受動的に上向きの磁力を加えて、回転子の重力荷重の少なくとも一部を支える工程と、(b)回転子に機械的に連結された複数の第2の磁石に、受動的に半径方向内向きの力を加えて、少なくとも回転子の半径方向の偏心を軽減する工程を含む。
【0105】
(B2)(B1)に記載の方法は、第2の磁石に、受動的に第2の上向きの磁力を加える工程をさらに含んでもよい。
【0106】
(B3)(B1)および(B2)のいずれかに記載の方法は、(i)回転子の下方において、支持部に機械的に連結された永久磁石組立体と、(ii)第1の磁石および第2の磁石との間の磁気結合の少なくとも一部によって、鉛直方向上向きの磁力および半径方向内向きの磁力を生成する工程を含んでもよい。
【0107】
(B4)(B1)乃至(B3)のいずれかに記載の方法は、回転子に機械的に連結された複数の第3の磁石に、受動的に下向きの磁力を加えて、回転子の上方への動きを制限する工程、および回転子に機械的に連結された複数の第4の磁石に、受動的に半径方向内向きの力を加えて、回転子の半径方向の偏心の軽減に寄与する工程をさらに含んでもよい。
【0108】
(B5)(B4)に記載の方法は、第4の磁石に、受動的に第2の下向きの磁力を加える工程をさらに含んでもよい。
【0109】
本明細書の範囲から逸脱することなく、上述したシステムおよび方法に変更を加えることができる。したがって、上記の説明に含まれ、添付の図面に示されている事項は、限定的な意味ではなく、例示として解釈されるべきであることに留意されたい。以下の特許請求の範囲は、本明細書に記載の一般的および特定の特徴、ならびに言語の問題としてそれらの間にあると言われる可能性がある本システムおよび方法の範囲のすべての記載を網羅することを意図している。

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【国際調査報告】