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特表2022-509464電気分布ネットワークのための高周波電気ノイズ低減のための受動フィルタ
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  • 特表-電気分布ネットワークのための高周波電気ノイズ低減のための受動フィルタ 図1
  • 特表-電気分布ネットワークのための高周波電気ノイズ低減のための受動フィルタ 図2
  • 特表-電気分布ネットワークのための高周波電気ノイズ低減のための受動フィルタ 図3
  • 特表-電気分布ネットワークのための高周波電気ノイズ低減のための受動フィルタ 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(54)【発明の名称】電気分布ネットワークのための高周波電気ノイズ低減のための受動フィルタ
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/01 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
H02J3/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547990
(86)(22)【出願日】2019-10-25
(85)【翻訳文提出日】2021-05-28
(86)【国際出願番号】 IT2019050224
(87)【国際公開番号】W WO2020089950
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】102018000009853
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521175447
【氏名又は名称】アンドリオーラ,ピエトロ
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【弁理士】
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】アンドリオーラ,ピエトロ
【テーマコード(参考)】
5G066
【Fターム(参考)】
5G066EA01
(57)【要約】
本発明は、電力網における高周波電気ノイズの低減のための装置の分野に関する。また、本発明の受動フィルタ対象物を構成する単相および3相配電ネットワークに関する。電力網のための高周波電気ノイズを低減するための受動フィルタは、第1の抵抗器と前記第1の抵抗器に並列に接続された第1のコンデンサと、前記第1の抵抗器と前記第1のコンデンサが、第2の抵抗器、インダクタ、第2のコンデンサからなるセクションに並列に接続され、後者は第3の抵抗器に並列に接続され、第3の抵抗器に並列に接続された前記第2の抵抗器、前記インダクタ、前記第2のコンデンサが、互いに直列に接続されていることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の抵抗器(2)と、前記第1の抵抗器(2)に並列に接続された第1のコンデンサ(3)とセクションとを備え、前記第1の抵抗器(2)と前記第1のコンデンサ(3)とが前記セクションに並列に接続され、ここで、前記セクションは第2の抵抗器(4)と、第3の抵抗器(7)と、インダクタ(5)と、第2のコンデンサ(6)とを含み、後者は前記第3の抵抗器(7)に並列に接続され、ここで、第3の抵抗器(7)と平行する前記第2の抵抗器(4)と、前記インダクタ(5)と、前記第2のコンデンサ(6)が互いに直列に接続される配電ネットワークのための高周波電気ノイズを低減する受動フィルタ。
【請求項2】
少なくとも1つの負荷(9)と、電力を生成するための発電機(8)とを備える単相配電ネットワークであって、前記負荷(9)は、第1の導体(P1)および第2の導体(N)の手段によって、前記発電機(8)に接続されるものにおいて、第1の導体(P1)と、第2の導体(N)と、請求項1に記載の受動フィルタ(1)とを備え、ここで、前記受動フィルタ(1)は、前記一対の導体(P1、N)の間に接続されることを特徴とする単相配電ネットワーク。
【請求項3】
少なくとも1つの負荷(9)と、電力を生成するための発電機(8)とを備える3相配電ネットワークであって、前記負荷(9)は、3つの導体(P1、P2、P3)の手段によって、前記発電機(8)に接続されるものにおいて、3つの導体(P1、P2、P3)と、請求項1に記載の3つの受動フィルタ(1a、lb、lc)とを備え、ここで、前記受動フィルタ(1a、lb、lc)は、互いにスター接続され、前記受動フィルタ(1a、lb、lc)の各々は、前記導体(P1、P2、P3)に接続されることを特徴とする3相配電ネットワーク。
【請求項4】
少なくとも1つの負荷(9)と、電力を生成するための発電機(8)とを備える3相配電ネットワークであって、前記負荷(9)は3つの導体(P1、P2、P3)の手段によって、前記発電機(8)に接続されるものにおいて、3つの導体(P1、P2、P3)と、請求項1に記載の3つの受動フィルタ(1a、1b、1c)とを備え、ここで、前記受動フィルタ(la、lb、lc)は、互いにデルタ接続され、前記受動フィルタ(1a、1b、lc)の各々は、前記導体(P1、P2、P3)に接続されることを特徴とする3相配電ネットワーク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力網における高周波電気ノイズの低減のための装置の分野に関する。本発明はまた、本発明の受動フィルタ対象物を備える単相および3相配電ネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
配電ネットワークは、本質的に、エネルギーを生産することができる発電所に接続された電力網で構成される。発電所によって生成された電気は、高電圧で、中および低電圧の1つまたはそれ以上の変電所まで輸送され、後者から、電気はさらなる配電線を介して、需要地点、つまりエンドユーザに到達する。
【0003】
配電網を通して配電される電力は、いわゆる高周波電気ノイズを含むことが知られている。前記ノイズは、熱的、磁気的および機械的な性質を持つ電力の追加的損失を発生させる。
【0004】
従って、電力網の本質的な特徴は、前述の電力網を介して輸送される電力の品質である。良好な電力品質は、熱的損失、磁気的損失、機械的損失の低減によって特徴付けられる。一方、悪い電力品質では、表皮効果による追加の損失、磁気ヒステリシスによる損失、渦電流による損失、および、シャフト電流による機械的損失が加わり、電力網、特に変圧器、ケーブル、電気パネル、電気モータ、およびそのようなネットワークに接続されている機械の全般的な過熱を発生させる。
【0005】
このような加熱はまた、kWhで表される電気エネルギーのより大きな消費をもたらす。すべての電力網は、変圧器、ケーブル、パネルおよびモータの温度を上昇させる点で、付加的な損失を引き起こす電力の品質に影響を及ぼす伝導性の障害を受け、発生させることが知られている。
【0006】
その結果、このような障害は、電子機器の誤動作および故障の原因となる。
【0007】
このような障害によって引き起こされるさらなる影響は、消費電力の増加、メンテナンスの増加、および機械や装置のライフサイクルの短縮がある。
【0008】
前述のいくつかの欠点、特に機械や装置のメンテナンスの増加およびライフサイクルの短縮に起因する損害を低減するために、電力網に接続できる機器が現在知られているが、追加的な損失を低減する目的を有していない。実際に、公知の装置は、電力網内に存続し続ける伝導性の障害を排除しない。
【0009】
さらに、公知の装置は、通常50kHzを超える非常に高い周波数から機械や装置を保護し始める。
【0010】
そのため、公知の装置は、機械や装置の誤動作や故障からの保護を可能にするが、追加的な損失を効果的に低減することができず、その結果、このようなネットワークによって供給される機械の電力消費量を削減しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の主な目的は、現在公知の装置の欠点を解決する、電力網における2.5kHzから始まる高周波電気ノイズを低減するための受動フィルタを提供することである。
【0012】
特に、本発明の目的は、電力網における熱的、磁気的および機械的損失を低減するための受動フィルタを提供することであり、このフィルタは、地上への伝導障害を排出せず、2.5kHzから伝導障害を保護および排除し始める。
【0013】
本発明のさらなる目的は、汎用性の高いモジュール式で、設置される電力網に応じて1つまたはそれ以上のモジュールで構成される、電力網のための高周波電気ノイズの低減のための受動フィルタを提供することである。
【0014】
前述の目的は、第1の抵抗器と前記第1の抵抗器に並列に接続された第1のコンデンサと、前記第1の抵抗器と前記第1のコンデンサが、第2の抵抗器、インダクタ、第2のコンデンサからなるセクションに並列に接続され、後者は第3の抵抗器に並列に接続され、第3の抵抗器に並列に接続された前記第2の抵抗器、前記インダクタ、前記第2のコンデンサが、互いに直列に接続されていることを特徴とする、配電ネットワークの高周波電気ノイズを低減するための受動フィルタによって達成される。
【0015】
本発明のさらなる目的は、少なくとも1つの負荷と、電力を生成するための発電機とを備える単相配電ネットワークであって、ここで負荷が、第1の導体および第2の導体の手段によって、前記発電機に接続され、請求項1に記載のフィルタを備え、前記フィルタが、一対の導体の間に接続されていることを特徴とする単相配電ネットワークを提供することである。
【0016】
本発明の他の目的は、少なくとも1つの負荷と電力を生成するための発電機とを備える3相配電ネットワークであって、ここで、前記負荷は3つの導体の手段によって、前記発電機に接続され、本発明による3つのフィルタを備え、前記フィルタは互いにスター接続され、各フィルタが導体に接続されることを特徴とする3相配電ネットワークを提供することである。
【0017】
本発明の最後の目的は、少なくとも1つの負荷と電力を生成するための発電機とを備える3相配電ネットワークであって、ここで、前記負荷は3つの導体の手段によって前記発電機に接続され、本発明による3つのフィルタを備え、ここで、前記フィルタが3つの導体に接続され、互いにデルタ接続されることを特徴とする3相配電ネットワークを提供することである。
【0018】
これら、およびその他の目的は、以下の説明から明らかとなるように、本件特許の範囲のさらなる発展を制限しない、好ましい実施形態において、以下の形態を示す添付の図面とともに、以下で説明される配電ネットワークのための高周波電気ノイズを低減するための受動フィルタによって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】配電ネットワークの高周波電気ノイズを低減するための受動フィルタの概略図である。
図2】単相電力網に接続された配電ネットワークの高周波電気ノイズを低減するための受動フィルタの概略図である。
図3】スター接続された3相電力網に接続された配電ネットワークの高周波電気ノイズを低減するための受動フィルタの概略図である。
図4】デルタ接続された3相電力網に適用された配電ネットワークの高周波電気ノイズを低減するための受動フィルタの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1を参照すると、配電ネットワークのための高周波電気ノイズを低減するための受動フィルタが概略的に示されている。受動フィルタは、以下の説明で符号1として示される。図1に示すように、受動フィルタは、特定の回路のトポロジーに適切に組み合わされた複数の受動部品で構成されている。具体的には、受動フィルタ1は、第1の抵抗器2と、第2の抵抗器4と、第3の抵抗器7とを備える。さらに、受動フィルタ1は、第1のコンデンサ3と、第2のコンデンサ6と、インダクタ5とを備える。これらの構成は、複数あってもよい。
【0021】
図1に示すように、受動フィルタ1は、次の回路トポグラフィを有している:第1の抵抗器2は、第1のコンデンサ3に並列に接続されている。第1の抵抗器2と第1のコンデンサ3はいずれも、第2の抵抗器4、インダクタ5、および第2のコンデンサ6が第3の抵抗器7に並列に接続されたセクションに接続されている。さらに、図1に示すように、この回路部の素子、すなわち、第3の抵抗器7と並列の、第2の抵抗器4、インダクタ5および第2のコンデンサ6は、直列に接続されている。
【0022】
このように構成された受動フィルタ1は、任意の配電ネットワークに接続することができる。例えば、図2は、単相配電ネットワークに接続された受動フィルタを示す。前記配電ネットワークは、少なくとも1つの負荷9と、電力を生成するための発電機8とを含む。さらに図2を参照すると、負荷9は第1の導体P1と第2の導体Nの手段によって発電機8に接続されている。本発明による受動フィルタ1は、前記一対の導体P1とNとの間に接続されている。
【0023】
図3および図4を参照すると、3相配電ネットワークに接続された受動フィルタ1が示されている。図3は、少なくとも1つの負荷9と、電力を生成するための発電機8とを備える3相配電ネットワークを示しており、前記負荷9は、3つの導体P1、P2、P3の手段によって、前記発電機8に接続されている。この実施形態では、配電ネットワークのための高周波電気ノイズを低減するための受動フィルタは、互いにスター接続された3つのフィルタla、lbおよびlcを含む。3つのフィルタla、lbおよびlcの各々は、次に、配電ネットワークの導体P1、P2およびP3に接続される。
【0024】
図4は、少なくとも1つの負荷9と、電力を生成するための発電機8とを備える3相配電ネットワークを示し、前記負荷9は、3つの導体P1、P2、P3の手段によって前記発電機8に接続される。この実施形態では、配電ネットワークのための高周波電気ノイズを低減するための受動フィルタは、互いにデルタ接続された3つのフィルタla、Ibおよび1cを含む。3つのフィルタ1a、1bおよび1cの各々は、次に、配電ネットワークの導体P1、P2およびP3に接続される。
【0025】
本発明による受動フィルタ1は、任意の公知の電力網に存在する高周波「非」電気ノイズに対して、低インピーダンス経路を生成するRLCバンドパスフィルタとして機能する。この受動フィルタは、a)2.5kHzから始まるより低い遮断周波数、b)並列および双方向システムであるという事実、c)フィルタ1が高周波電気ノイズを地上に排出しないこと、を特徴とする。
【0026】
本システムは、以下の影響を低減することにより、設置された電力網における電力損失を低減する。このシステムは、ネットワークに存在するノイズを低減することにより、高周波ノイズに対して低インピーダンス経路を作り出す。電気ノイズの減少は、表皮効果を減少させ、従って、電力網の抵抗が減少するため、ジュール効果による熱損失を減少させる。実際、抵抗は、形状および材料に依存するだけでなく、流れる電流を構成する電流の周波数の平方根に依存する。ノイズの低減は、ヒステリシス(電流の周波数に比例する損失)および寄生電流(電流の周波数の2乗に比例する損失)による磁気損失を低減する。
【0027】
ノイズの低減は、機械的な原因(軸電流、摩擦、振動、摩耗など)の熱損失を低減する。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】