(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(54)【発明の名称】流体採取装置
(51)【国際特許分類】
G01N 1/00 20060101AFI20220113BHJP
G01N 1/10 20060101ALI20220113BHJP
G01N 33/48 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
G01N1/00 101K
G01N1/10 H
G01N1/10 V
G01N33/48 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021548496
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(85)【翻訳文提出日】2021-05-14
(86)【国際出願番号】 MY2019050051
(87)【国際公開番号】W WO2020085893
(87)【国際公開日】2020-04-30
(31)【優先権主張番号】PI2018703918
(32)【優先日】2018-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】MY
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521174831
【氏名又は名称】ウォールテック メディカル センディリアン ベルハッド
【氏名又は名称原語表記】WOHLTEC MEDICAL SDN BHD
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】リュー、ユー アウ
【テーマコード(参考)】
2G045
2G052
【Fターム(参考)】
2G045BB10
2G045CB03
2G045HA06
2G045HA14
2G052AA29
2G052AA30
2G052AA32
2G052AD06
2G052AD26
2G052BA14
2G052CA02
2G052CA13
2G052DA04
2G052DA13
2G052ED17
2G052GA32
(57)【要約】
実験室での分析のための流体採取装置が開示される。装置は、第1のチャンバーを画定するバレルと第2のチャンバーを画定する内管とを備える試料採取管アセンブリを含む。バレルは、一端にルアーチップを備えており、他端は、内管とスライド可能なシール係合状態にある。内管は、一端にルアーチップを備えており、反対側の端には、第1および第2のチャンバーを分離するシールが設けられている。導管は、第2のチャンバーに向かって延びる内管のルアーチップ、または第1のチャンバーに向かって延びるバレルのルアーチップに選択的に提供される。バレルのルアーチップおよび内管のルアーチップは、重力下で流体が滴ることを許容するように選択的に操作され得る少なくとも1つのルアーノブを解放可能に備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実験室での分析のための流体採取装置(100)であって、
(i)試料採取管アセンブリ(200)を備える流体採取装置(100)において、
前記試料採取管アセンブリ(200)は、
a)第1のチャンバー(211)を画定するバレル(210)と、
b)第2のチャンバー(221)を画定する内管またはプランジャー(220)と
を備え、
前記バレル(210)は、一端にルアーチップ(214)を備えており、他端(215)は、その閉鎖系を画定する前記内管(220)とスライド可能なシール係合状態にあり、
前記内管(220)は、一端にルアーチップ(224)を備えており、反対側の端には、前記閉鎖系内にある前記第1および第2のチャンバー(210および221)を分離するシール(222)が設けられ、
導管(212)は、前記第2のチャンバー(221)に向かって延びる前記内管(220)の前記ルアーチップ(224)、または前記第1のチャンバー(211)に向かって延びる前記バレル(220)の前記ルアーチップ(214)のいずれかに選択的に提供されることを特徴とする、流体採取装置(100)。
【請求項2】
前記バレル(210)の前記ルアーチップ(214)および前記内管(220)の前記ルアーチップ(224)は、少なくとも1つのルアーノブ(230aまたは230b)を解放可能に備えており、前記ルアーノブ(230aまたは230b)は、重力下で流体が滴ることを許容するように、前記閉鎖系内における負圧解放のために選択的に緩められるかまたは締め付けられる、請求項1に記載の流体採取装置(100)。
【請求項3】
前記試料採取管アセンブリ(200)は、試料採取または流体採取のために試料採取カップ(300)と協調して接続するように適合されている、請求項1に記載の流体採取装置(100)。
【請求項4】
前記試料または流体が尿を含む、請求項3に記載の流体採取装置(100)。
【請求項5】
前記試料採取管アセンブリ(200)は、前記バレル(210)の前記ルアーチップ(214)に取り付けられた皮下注射針を通して流体を独立して吸引するように適合されている、請求項1に記載の流体採取装置(100)。
【請求項6】
前記試料または流体、特に体液が、血清、血漿、血液、唾液、間質液または細胞質ゾルを含む、請求項5に記載の流体採取装置(100)。
【請求項7】
前記試料採取管アセンブリ(200)は、前記バレル(210)の前記ルアーチップ(214)を介して前記試料採取カップ(300)の注ぎ口(320)に接続されるように適合されている、請求項3に記載の流体採取装置(100)。
【請求項8】
前記試料採取カップ(300)の前記注ぎ口(320)は、ルアーロック(340)を備えている、請求項7に記載の流体採取装置(100)。
【請求項9】
前記試料採取カップ(300)は、カバー(310)を備えている、請求項3に記載の流体採取装置(100)。
【請求項10】
前記カバー(310)は、前記試料採取カップ(300)内の真空または負圧を解放するための圧力解放機構(312)を備えている、請求項9に記載の流体採取装置(100)。
【請求項11】
前記圧力解放機構(312)は、吸引プロセス中の圧力解放のためのルアーノブ(230a)を含む、請求項10に記載の流体採取装置(100)。
【請求項12】
前記試料採取管アセンブリ(200)は、ルアーノブ(230b)を締め付けた状態で前記内管(220)を引っ張る動作によって生じる真空吸引によって、前記試料採取カップ(300)から前記バレル(210)の前記第1のチャンバー(211)に前記流体を吸引するように適合されている、請求項7に記載の流体採取装置(100)。
【請求項13】
前記試料採取管アセンブリ(200)の前記第1のチャンバー(211)から圧力を解放できるように、前記バレル(210)の前記ルアーチップ(214)を開いたまま、前記内管(220)の前記ルアーチップ(224)において前記ルアーノブ(230b)を締め付けた状態で、前記バレル(210)の端が上を向き、前記内管(220)の端が下を向くように、前記試料採取管アセンブリ(200)を反転させることによって、前記流体が前記第1のチャンバー(211)から前記第2のチャンバー(221)に流れるように適合されている、請求項12に記載の流体採取装置(100)。
【請求項14】
前記バレル(210)は、前記試料採取管アセンブリ(200)の前記内管(220)に向かって完全に押され、前記バレル(210)の前記ルアーチップ(214)は、流体分離プロセス用の遠心分離機(400)に入れられる前に、カバー(310)から取り外された前記ルアーノブ(230a)で締め付けられた状態にある、請求項13に記載の流体採取装置(100)。
【請求項15】
前記試料採取管アセンブリ(200)は、流体分離プロセス用の遠心分離機のホルダー(400)の内側に前記内管(220)の端が対向した状態で前記遠心分離機に挿入されるように適合されている、請求項14に記載の流体採取装置(100)。
【請求項16】
前記試料採取管アセンブリ(200)の前記第2のチャンバー(221)から圧力を解放できるように、前記内管(220)の前記ルアーチップ(224)に位置する前記ルアーノブ(230b)を緩められた状態で、カバー(310)から取り外された前記ルアーノブ(230a)が前記バレル(210)の前記ルアーチップ(214)において締め付けられた状態で、前記内管(220)を前記第1のチャンバー(211)に向かって押す動作によって、前記流体が、前記第1のチャンバー(211)から前記第2のチャンバー(221)に流れるように適合されている、請求項12に記載の流体採取装置(100)。
【請求項17】
流体分離プロセス用に遠心分離機に入れられる前に、前記内管(220)の前記ルアーチップ(224)における前記ルアーノブ(230b)が締め付けられている、請求項16に記載の流体採取装置(100)。
【請求項18】
前記試料採取管アセンブリ(200)は、流体分離プロセス用の遠心分離機のホルダー(400)の内側に前記バレル(210)の端が対向した状態で前記遠心分離機に挿入されるように適合されている、請求項16に記載の流体採取装置(100)。
【請求項19】
遠心分離プロセスにより、試料残留物(500)の層および試料沈殿物(510)の層が得られる、請求項15および18に記載の流体採取装置(100)。
【請求項20】
前記試料採取管アセンブリ(200)の前記第2のチャンバー(221)に少なくとも1ミリリットル(1cc)の前記試料沈殿物(510)を残した状態で、前記試料残留物(500)は、前記内管(220)の前記第2のチャンバー(221)から前記導管(212)を通って前記内管(220)の前記ルアーチップ(224)に排出されるように適合されている、請求項19に記載の流体採取装置(100)。
【請求項21】
前記試料採取管アセンブリ(200)の前記第1のチャンバー(211)に少なくとも2mmのスペースを残して、前記バレル(210)が上方に引っ張られる、請求項20に記載の流体採取装置(100)。
【請求項22】
前記内管(220)の前記ルアーチップ(224)に位置する前記ルアーノブ(230b)を解放し、前記試料採取管アセンブリ(200)の前記第2のチャンバー(221)から負圧を解放すべく、前記バレル(210)の前記ルアーチップ(214)に位置する前記ルアーノブ(230a)を緩めることによって、前記試料残留物(500)は排出される、請求項20に記載の流体採取装置(100)。
【請求項23】
前記試料残留物(500)は、前記バレル(210)の前記ルアーチップ(214)を通って前記試料採取管アセンブリ(200)から排出されるように適合されている、請求項20に記載の流体採取装置(100)。
【請求項24】
前記バレル(210)内の前記導管(212)と前記試料採取管アセンブリ(200)の前記第1のチャンバー(211)との間に少なくとも1ミリリットル(1cc)の前記試料沈殿物(510)を残した状態で、前記試料残留物(500)は、前記内管(220)内の前記第2のチャンバー(221)から前記導管(212)を通って前記バレル(210)の前記ルアーチップ(214)に排出されるように適合されている、請求項19に記載の流体採取装置(100)。
【請求項25】
前記バレル(210)の前記ルアーチップ(214)に位置する前記ルアーノブ(230a)を解放し、前記試料採取管アセンブリ(200)の前記第2のチャンバー(221)から負圧を解放できるように、前記内管(220)の前記ルアーチップ(224)に位置する前記ルアーノブ(230b)を緩めることによって、前記試料残留物(500)は排出される、請求項24に記載の流体採取装置(100)。
【請求項26】
前記試料残留物(510)は、前記試料採取管アセンブリ(200)の前記第2のチャンバー(221)から前記内管(220)の前記ルアーチップ(224)を通って排出されるように適合されている、請求項24に記載の流体採取装置(100)。
【請求項27】
排出される前に、前記バレル(210)の前記ルアーチップ(214)および前記内管(220)の前記ルアーチップ(224)の両方の端で前記ルアーノブ(230aおよび230b)が締め付けられた状態で前記試料採取管アセンブリ(200)を振ることによって、前記試料沈殿物(510)が均一に分布する、請求項23および26に記載の流体採取装置(100)。
【請求項28】
前記バレル(210)の端が下を向き、前記内管(220)の端が上を向くように、前記試料採取管アセンブリ(200)を反転させ、前記バレル(210)の前記ルアーチップ(214)に位置する前記ルアーノブ(230a)を解放し、前記試料沈殿物(510)の液滴が前記試料採取管アセンブリ(200)から放出されるように、前記内管(220)の前記ルアーチップ(224)に位置する前記ルアーノブ(230b)を軽く押すことによって、前記試料沈殿物(510)が排出される、請求項27に記載の流体採取装置(100)。
【請求項29】
前記バレル(210)の端が上を向き、前記内管(220)の端が下を向くように、前記試料採取管アセンブリ(200)を反転させ、前記内管(220)の前記ルアーチップ(224)に位置する前記ルアーノブ(230b)を解放し、前記試料採取管アセンブリ(200)の前記第2のチャンバー(221)から負圧を解放できるように、前記バレル(210)の前記ルアーチップ(214)に位置する前記ルアーノブ(230a)を慎重に緩めることによって、前記試料残留物(510)は排出される、請求項27に記載の流体採取装置(100)。
【請求項30】
前記試料沈殿物(510)は、顕微鏡分析のために、前記試料採取管アセンブリ(200)からペトリ皿(600)に液滴で排出される、請求項28および29に記載の流体採取装置(100)。
【請求項31】
実験室での分析のための流体採取方法であって、
a)第2のチャンバー(221)に向かって延在する内管(220)のルアーチップ(224)に構成された導管(212)を備えた請求項1に記載の流体採取装置(100)を提供することと、
b)ルアーノブ(230b)を締め付けた状態で内管(220)を引っ張る動作によって試料または流体を吸引するとともに、前記試料採取管アセンブリ(200)を解放することと、
c)バレル(210)の端が上を向き、内管(220)の端が下を向くように、試料採取管アセンブリ(200)を反転させることと、
d)第1のチャンバー(211)から圧力を解放できるように、前記バレル(210)のルアーチップ(214)を開いたまま、前記内管(220)の前記ルアーチップ(224)に位置する前記ルアーノブ(230b)を締め付けることと、
e)前記バレル(210)を前記内管(220)に向かって完全に押して、前記ルアーノブ(230a)を締め付けることと、
f)前記試料採取管アセンブリ(200)を、流体分離プロセス用の遠心分離機のホルダー(400)の内側に前記内管(220)の端が対向した状態で前記遠心分離機に挿入することと、
g)前記第1のチャンバー(211)に少なくとも2mmのスペースを残して前記バレル(210)を上方に引っ張る前に、前記内管(220)の前記ルアーチップ(224)に位置する前記ルアーノブ(230b)を緩めて解放することと、
h)前記内管(220)の前記ルアーチップ(224)に位置するルアーノブ(230b)を解放し、前記第2のチャンバー(221)から負圧を解放することができるように、前記バレル(210)の前記ルアーチップ(214)に位置する前記ルアーノブ(230a)を緩めることによって、試料残留物(500)を排出することと、
I)少なくとも1ミリリットル(1cc)の試料沈殿物(510)を前記第2のチャンバー(221)内に残すことと、
j)前記ルアーチップ(214および224)の両方の端で前記ルアーノブ(230aおよび230b)が締め付けられた状態で前記試料採取管アセンブリ(200)を振ることによって、前記試料沈殿物(510)を均一に分布することと、
k)前記バレル(210)の端が下を向き、前記内管(220)の端が上を向くように、前記試料採取管アセンブリ(200)を反転させることと、
l)前記バレル(210)の前記ルアーチップ(214)に位置する前記ルアーノブ(230a)を解放し、前記試料沈殿物(510)の液滴が前記試料採取管アセンブリ(200)から放出されるように、前記内管(220)の前記ルアーチップ(224)に位置する前記ルアーノブ(230b)を軽く押すことによって、前記バレル(210)の前記ルアーチップ(214)を介して前記試料沈殿物(510)を排出することと
を備える流体採取方法。
【請求項32】
実験室での分析のための流体採取方法であって、
a)バレル(210)のルアーチップ(210)から第1のチャンバー(211)に向かって延びる導管(212)を備えた、請求項1に記載の流体採取装置(100)を提供することと、
b)ルアーノブ(230b)を締め付けた状態で内管(220)を引っ張る動作によって試料または流体を吸引するとともに、前記試料採取管アセンブリ(200)を解放することと、
c)前記試料採取管アセンブリ(200)の前記第2のチャンバー(221)から圧力を解放できるように、前記内管(220)の前記ルアーチップ(224)における前記ルアーノブ(230b)が緩められた状態で、ルアーノブ(230a)が前記バレル(210)の前記ルアーチップ(214)において締め付けられた状態で、前記内管(210)を前記第1のチャンバー(211)に向かって押す動作によって、流体を前記第1のチャンバー(211)から前記第2のチャンバー(221)に流れることを許容することと、
d)前記内管(220)の前記ルアーチップ(224)に位置する前記ルアーノブ(230b)を締め付けることと、
e)流体分離プロセス用の遠心分離機のホルダー(400)の内側に前記バレル(210)の端が対向した状態で前記遠心分離機に前記試料採取管アセンブリ(220)を挿入することと、
f)前記バレル(210)の前記ルアーチップ(214)に位置する前記ルアーノブ(230a)を解放し、前記第2のチャンバー(221)から負圧を解放できるように、前記内管(220)の前記ルアーチップ(224)に位置する前記ルアーノブ(230b)を緩めることによって、前記内管(220)の前記第2のチャンバー(221)から前記導管(212)を通じて試料残留物(500)を前記バレル(210)の前記ルアーチップ(214)に排出することと、
g)少なくとも1ミリリットル(1cc)の試料沈殿物(510)を前記第2のチャンバー(221)に残すことと、
h)前記ルアーチップ(214および224)の両方の端で前記ルアーノブ(230aおよび230b)が締め付けられた状態で前記試料採取管アセンブリ(200)を振ることによって、前記試料沈殿物(510)を均一に分布させることと、
i)前記バレル(210)の端が上を向き、前記内管(220)の端が下を向くように、前記試料採取管アセンブリ(200)を反転させることと、
j)前記内管(220)の前記ルアーチップ(224)に位置する前記ルアーノブ(230b)を解放し、前記試料採取管アセンブリ(200)の前記第2のチャンバー(221)から負圧を解放できるように、前記バレル(210)の前記ルアーチップ(214)に位置する前記ルアーノブ(230a)を慎重に緩めることによって、前記内管(220)の前記ルアーチップ(224)を通じて前記試料残留物(510)を排出することと
を備える流体採取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料採取装置、より具体的には、実験室での分析目的の流体採取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
試験のための尿または液状試料採取は、通常、治療を受ける人から試料を提供してもらうために排尿用容器を与えることによって行われる。しかしながら、治療を受ける人は、排尿しようとしたり、容器に試料を入れようとしたりするときに、意図せずに手を汚してしまうことがしばしばある。これは、女性が容器を所定の位置に操作し、威厳のある方法で所定の位置に維持して、手を汚さずに尿試料を提供することは特に困難である。その後、試料の一部は、実験室での試験および分析のために、試験管などの他の容器に移される。これは、試料が潜在的にこぼれたり飛び散ったりする可能性があるため、非常に面倒なプロセスになる可能性がある。
【0003】
汚染されていない条件下において容器から他の容器への試料の移送は困難である。容器から試験管または他の容器に試料を注いだり、ピペッティングしたり、漏斗で流し込んだりすることを含むそのような方法は、無菌技術が適合しない場合、元の試料の微生物学的および化学的完全性が犠牲になる可能性があるため、しばしば不利である。さらに、容器および/または試験管または容器の誤ったラベル付けの可能性の増加により、移送の度に、特定の患者に誤った結果をもたらす可能性がある。
【0004】
尿または液状試料、特に体液採取装置を改善するために様々な試みがなされてきた。しかしながら、ほとんどの試みは、1つ以上の理由で完全に満足のいくものではなかった。例えば、尿または液状試料採取装置のいくつかは、それらの設計、構成、材料または部品が広く使用されていないように、特定の欠点を有しているようであるため、不満足なものである。いくつかの試みは、採取容器および蓋に取り付けられたカニューレを提供する装置を含み、それらを通して流体を容器から別の試験管に移すことができる。これにより、移送中に試料がこぼれたり汚染されたりする可能性を減らすことができる。ただし、採取容器からのアリコートの移送には、熟練した技術支援による追加のデバイスおよび工程が必要である。さらに、採取から試料の移送までの時間間隔は変動し、かつ人間の効率に依存し得るため、移送が完了した後も試料は疑わしいままである可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下は、例えば、既存の従来の試料採取装置の主な欠点を示す。
a)治療を受ける人、特に肥満または妊娠している女性が、女性の解剖学的構造の性質上、こぼれたり手を汚染したりすることなく、そのような試料採取カップに排尿することの実施の難しさ。
【0006】
b)採取された尿試料が特に多くの高齢者や体の弱い患者にこぼれる可能性があると、汚染の可能性が大幅に高まり、誤った分析や誤った診断を行うことで尿試料が役に立たなくなる可能性がある。このような誤った分析によって、引き続き尿試料を採取する必要があるため、手順全体の総コストが大幅に増加する。
【0007】
c)医療スタッフによる試料の汚染または尿試料のこぼれ。ラボアシスタントは尿試料にさらされる可能性があり、試料を容器から別の試験管に移す際に院内感染のリスクがある。
【0008】
d)移送プロセスの手動処理による不正確かつ低い効率。採取容器からのアリコートの移送には、熟練した技術支援による追加のデバイス、工程および時間が必要である。
いくつかの先行技術は、体液採取容器と、容器を流体採取位置で支持するためのハンドルとを提供し、ハンドルは、体液の試料を受容するために容器と流体連通する液状試料チャンバーを含む。従って、移送のため、およびチップを介して体液を分配するために、ハンドルは取り外し可能である。ハンドルは、液状試料がチャンバーから寒天プレートなどにストリークすることを可能にするために、チップに可撓性の中空ストリーカーをさらに備えている。しかしながら、従来の体液採取容器はいずれも、沈殿したアリコートを容器から別の試験管に手動で移してさらに試験および分析するために、デュアルチャンバー容器内の残留試料と尿試料の沈殿物を分離することを考慮していない。
【0009】
前述および他の不利な点を考慮して、実験室での分析の目的のために改良された流体採取装置を提供することが望ましい。したがって、本発明の好ましい実施形態の態様は、先行技術と比較して、前述の欠点および問題の1つまたは複数に効率的かつ費用効果の高い方法で対処するように設計されている。本発明およびその特徴の組み合わせは、詳細な説明において説明および例示される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、主に、実験室での分析のための流体採取装置に関する。したがって、流体採取装置は、試料採取管アセンブリを含み、該試料採取管アセンブリは、a)第1のチャンバーを画定するバレルと、b)第2のチャンバーを画定する内管またはプランジャーとを備えることを特徴とする。バレルは、一端にルアーチップを備えており、他端は、その閉鎖系を画定する内管とスライド可能なシール係合状態にあることに留意されたい。内管は、一端にルアーチップを備えており、反対側の端には、前記閉鎖系内にある第1および第2のチャンバーを分離するシールが設けられている。導管は、第2のチャンバーに向かって延びる内管のルアーチップ、または第1のチャンバーに向かって延びるバレルのルアーチップのいずれかに選択的に提供されることに留意されたい。
【0011】
バレルのルアーチップおよび内管のルアーチップは、少なくとも1つのルアーノブを解放可能に備えており、ルアーノブは、重力下で流体が滴ることを許容するように、閉鎖系内における負圧解放のために選択的に緩められるかまたは締め付けられる。
【0012】
本発明の好ましい例示において、試料採取管アセンブリは、試料または流体採取のための試料採取カップと協調的に接続するように適合されている。このような状況下では、試料または流体の採取物は、尿などを含み得る。
【0013】
任意選択であるが本発明に限定されないが、試料採取管アセンブリは、バレルのルアーチップに取り付けられた皮下注射針を通して流体を独立して吸引するように適合されている。そのような状況下では、試料または流体採取物は、血清、血漿、血液、唾液、間質液または細胞質ゾルなどの体液を含み得るが、他のものに限定されない。
【0014】
好ましい例示において、試料採取管アセンブリは、バレルのルアーチップを介して試料採取カップの注ぎ口に接続されるように適合されている。例として、ただしこれに限定されないが、試料採取カップの注ぎ口は、ルアーロックを備えている。試料採取カップは、好ましくは、試料採取カップ内の真空または負圧を解放するための圧力解放機構を備えたカバーを備えていることが理解されよう。したがって、圧力解放機構は、吸引プロセス中の圧力解放のためのルアーノブを含む。
【0015】
試料採取管アセンブリは、ルアーノブを締め付けた状態で内管を引っ張る動作によって生じる真空吸引によって、試料採取カップからバレルの第1のチャンバーに流体を吸引するように適合されていることに留意されたい。この時点で、試料採取カップ内の負圧を解放すべく、試料採取カップのカバーに位置するルアーノブが緩められる。この吸引プロセスは、試料採取カップのカバーの圧力解放機構が作動した後にのみ実行されることに留意されたい。
【0016】
本発明の第1の好ましい例示によれば、試料採取管アセンブリの第1のチャンバーから圧力を解放できるように、バレルのルアーチップを開いたまま、内管のルアーチップにおいてルアーノブを締め付けた状態で、バレルの端が上を向き、内管の端が下を向くように、試料採取管アセンブリを反転させることによって、流体が第1のチャンバーから第2のチャンバーに流れるように適合される。
【0017】
したがって、バレルは、試料採取管アセンブリの内管に向かって完全に押され、バレルのルアーチップは、流体分離プロセスのための遠心分離機に入れられる前に、カバーから取り外されたルアーノブで締め付けられた状態にある。試料採取管アセンブリは、流体分離プロセス用の遠心分離機のホルダーの内側に内管の端が対向した状態で遠心分離機に挿入されるように適合されていることに留意されたい。遠心分離プロセスにより、試料残留物の層および試料沈殿物の層が得られることが理解されよう。
【0018】
内管の導管の周りの第2のチャンバーに少なくとも1ミリリットル(1cc)の試料沈殿物を残した状態で、試料残留物は、内管の第2のチャンバーから導管を通って内管のルアーチップに排出されるように適合されていることに留意する必要がある。バレルが上方に引っ張られて、試料採取管アセンブリの第1のチャンバーに少なくとも2mmのスペースが残されていることが理解されよう。
【0019】
したがって、内管のルアーチップに位置するルアーノブを解放し、試料採取管アセンブリの第2のチャンバーから負圧を解放すべく、バレルのルアーチップに位置するルアーノブを緩めることによって、試料残留物は排出される。排出される前に、バレルのルアーチップおよび内管の両方の端でルアーノブが締め付けられた状態で試料採取管アセンブリを振ることによって、試料沈殿物が均一に分布することが理解されよう。
【0020】
試料沈殿物は、バレルのルアーチップを通って試料採取管アセンブリから排出されるように適合されていることに留意されたい。したがって、バレルの端が下を向き、内管の端が上を向くように、試料採取管アセンブリを反転させ、バレルのルアーチップに位置するルアーノブを解放し、試料沈殿物の液滴が試料採取管アセンブリから放出されるように、内管のルアーチップに位置するルアーノブを軽く押すことによって、試料沈殿物が排出される。
【0021】
好ましくは、しかしこれに限定されないが、試料沈殿物は、顕微鏡分析のために、試料採取管アセンブリからペトリ皿に液滴で排出される。
本発明の第2の好ましい例示によれば、試料採取管アセンブリの第2のチャンバーから圧力を解放できるように、内管のルアーチップにおけるルアーノブを緩めながら、バレルのルアーチップにおいて締め付けられたカバーから取り外されたルアーノブを用いて、内管を第1のチャンバーに向かって押す動作によって、流体は、第1のチャンバーから第2のチャンバーに流れるように適合される。
【0022】
したがって、流体分離プロセスのために遠心分離機に入れられる前に、内管のルアーチップにおけるルアーノブが締め付けられている。試料採取管アセンブリは、流体分離プロセス用の遠心分離機のホルダーの内側にバレルの端が対向した状態で遠心分離機に挿入されるように適合されていることに留意されたい。遠心分離プロセスにより、試料残留物の層および試料沈殿物の層が得られることが理解されよう。
【0023】
バレル内の導管と試料採取管アセンブリの第1のチャンバーとの間に少なくとも1ミリリットル(1cc)の試料沈殿物を残したじょう対で、試料残留物は、内管の第2のチャンバーから導管を通ってバレルのルアーチップに排出されるように適合されていることに留意する必要がある。したがって、バレルのルアーチップに位置するルアーノブを解放し、試料採取管アセンブリの第2のチャンバーから負圧を解放すべく、内管のルアーチップに位置するルアーノブを慎重に緩めることによって、試料残留物は排出される。
【0024】
試料沈殿物は、内管のルアーチップを通って試料採取管アセンブリの第2のチャンバーから排出されるように適合されていることに留意されたい。排出される前に、バレルのルアーチップおよび内管の両方の端でルアーノブが締め付けられた状態で試料採取管アセンブリを振ることによって、試料沈殿物が均一に分布することが理解されよう。したがって、バレルの端が上を向き、内管の端が下を向くように、試料採取管アセンブリを反転させ、内管のルアーチップに位置するルアーノブを解放し、試料採取管アセンブリの第2のチャンバーから負圧を解放できるように、バレルのルアーチップに位置するルアーノブを慎重に緩めることによって、試料残留物は排出される。
【0025】
好ましくは、しかしこれに限定されないが、試料沈殿物は、顕微鏡分析のために、試料採取管アセンブリからペトリ皿に液滴で排出される。
本発明は、第2のチャンバーに向かって延びる内管のルアーチップ、または第1のチャンバーに向かって延びるバレルのルアーチップのいずれかに提供される導管を備える前述の流体採取装置用の流体採取方法を提供する。
【0026】
本発明は、いくつかの新規の特徴と、添付の詳細な説明および図面に以下に完全に説明および図示される部品の組み合わせとからなり、詳細における各種の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく、または本発明の任意の利点を犠牲にすることなく行うことができることが理解される。
【0027】
図面のいくつかは、本開示の単なる概略図であることが理解されよう。そのため、一部の部品は、図示の明瞭化のために実際の縮尺から歪んでいる可能性がある。
本発明は、以下に示す詳細な説明および例示としてのみ与えられ、したがって本発明を限定するものではない添付の図面から完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1a】
図1aは、本発明の第1の好ましい例示による実験室分析のための流体採取装置の透明な分解図である。
【
図1b】
図1bは、本発明の第1の好ましい例示による
図1aの流体採取装置の組み立て図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の第1の好ましい例示による試料採取用の流体採取装置の取り扱いを示す。
【
図3】
図3は、本発明の第1の好ましい例示による試料採取用の流体採取装置の取り扱いを示す。
【
図4】
図4は、本発明の第1の好ましい例示による、試料が試料採取カップから試料採取管アセンブリに吸引されることを示す。
【
図5】
図5は、本発明の第1の好ましい例示に従って、試料採取カップから取り外された試料採取管アセンブリを示す。
【
図6】
図6は、本発明の第1の好ましい例示による試料採取管アセンブリを反転させることによって、試料が第1のチャンバーから第2のチャンバーに流れるように適合されていることを示す。
【
図7a】
図7aは、本発明の第1の好ましい例示による流体分離プロセスのための遠心分離機に入れられる前に、バレルが試料採取管アセンブリの内管に向かって完全に押されていることを示す。
【
図7b】
図7bは、本発明の第1の好ましい例示による流体分離プロセスのための遠心分離機に入れられる前に、バレルが試料採取管アセンブリの内管に向かって完全に押されていることを示す。
【
図8】
図8は、本発明の第1の好ましい例示による流体分離プロセスのために、遠心分離機のホルダーの内側を内管の端に対向させて、試料採取管アセンブリが遠心分離機に挿入されることを示す。
【
図9a】
図9aは、本発明の第1の好ましい例示による、試料採取管アセンブリの第1のチャンバー内に約2mmのスペースを残してバレルが上方に引っ張られていることを示す。
【
図9b】
図9bは、本発明の第1の好ましい例示による、試料採取管アセンブリの第1のチャンバー内に約2mmのスペースを残してバレルが上方に引っ張られていることを示す。
【
図10】
図10は、本発明の第1の好ましい例示による、試料採取管アセンブリからの分離された試料残留物の放出を示す。
【
図11】
図11は、本発明の第1の好ましい例示による、試料沈殿物の均一な分布のために試料採取管アセンブリが振られていることを示す。
【
図12a】
図12aは、本発明の第1の好ましい例示に従って、排出される試料沈殿物のために試料採取管アセンブリが反転されていることを示す。
【
図12b】
図12bは、本発明の第1の好ましい例示に従って、排出される試料沈殿物のために試料採取管アセンブリが反転されていることを示す。
【
図13】
図13は、本発明の第1の好ましい例示による顕微鏡分析のために、分離された沈殿物を試料採取管アセンブリからペトリ皿へ放出することを示す。
【
図14a】
図14aは、本発明の第2の好ましい例示による実験室分析のための流体採取装置の透明な分解図である。
【
図15】
図15は、本発明の第2の好ましい例示による試料採取用の流体採取装置の取り扱いを示す。
【
図16】
図16は、本発明の第2の好ましい例示による試料採取用の流体採取装置の取り扱いを示す。
【
図17】
図17は、本発明の第2の好ましい例示による、試料が試料採取カップから試料採取管アセンブリに吸引されることを示す。
【
図18】
図18は、本発明の第2の好ましい例示に従って、試料採取カップから取り外された試料採取管アセンブリを示す。
【
図19】
図19は、本発明の第2の好ましい例示による遠心分離機または流体分離プロセスのために、試料採取管アセンブリのバレル内に付勢押された内管を示す。
【
図20】
図20は、本発明の第2の好ましい例示による遠心分離機または流体分離プロセスのために、試料採取管アセンブリのバレル内に付勢押された内管を示す。
【
図21】
図21は、本発明の第2の好ましい例示による流体分離プロセスのために、遠心分離機のホルダーの内側をバレルの端に対向させた状態で、試料採取管アセンブリが遠心分離機に挿入されることを示す。
【
図22】
図22は、本発明の第2の好ましい例示による、試料採取管アセンブリからの分離された試料残留物の放出を示す。
【
図23】
図23は、本発明の第2の好ましい例示による、試料採取管アセンブリからの分離された試料残留物の放出を示す。
【
図24】
図24は、本発明の第2の好ましい例示による、試料沈殿物の均一な分布のために試料採取管アセンブリが振られていることを示す。
【
図25a】
図25aは、本発明の第2の好ましい例示に従って、排出される試料沈殿物のために試料採取管アセンブリが反転されていることを示す。
【
図25b】
図25bは、本発明の第2の好ましい例示に従って、排出される試料沈殿物のために試料採取管アセンブリが反転されていることを示す。
【
図26】
図26は、本発明の第2の好ましい例示による顕微鏡分析のために、分離された沈殿物を試料採取管アセンブリからペトリ皿へ放出することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、実験室での分析目的の流体採取装置に関する。以下、本明細書は、本発明の好ましい例示に従って本発明を説明する。しかしながら、説明を本発明の好ましい例示に限定することは、単に本発明の議論を容易にすることであり、当業者は、添付の本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正および同等物を考案できることが想定されることを理解されたい。
【0030】
「例示」という言葉は、本明細書では、例、実例、または例示として役立つことを意味するために使用される。本明細書で「例示」として説明される任意の実施形態は、必ずしも他の実施形態よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。同様に、システム、装置、デバイス、または製造品の「実施形態」という用語は、本発明のすべての実施形態が、記載された部品、構造、特徴、機能、プロセス、利点、効果、または動作モードを含んでいる必要はない。
【0031】
添付の図面に関連して以下に記載される詳細な説明は、本発明の様々な例示的な実施形態を説明するものとして意図されており、本発明を実施することができる唯一の実施形態を表すことを意図するものではない。詳細な説明は、本発明の系統的な理解を提供することを目的とした特定の詳細を含む。しかしながら、本発明がこれらの特定の詳細なしで実施され得ることは当業者には明らかであろう。頭字語および他の説明的な用語は、単に便宜上および明確にするために使用されており、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0032】
本発明の目的のために、「試料」採取装置、「尿試料」採取装置または「流体」採取装置という表現は、同じ解釈を指し、置き換え可能に使用され得る。さらに、「内管」と「プランジャー」という用語も同じ意味で使用され得る。
【0033】
本発明は、既存の従来の試料採取装置に対して1つまたは複数の主要な制限に対処するように設計された、実験室での分析目的のための改良された流体採取装置を提供することを目的とする。したがって、流体採取装置は、簡単かつ費用対効果の高い方法で高い操作信頼性で操作するように適合されており、その装置は以下を含む。i)容易な取り扱いおよび採取のための試料管として同時に機能するハンドル、ii)こぼれまたは手の汚染の排除、iii)正確な試料移送方法を備えた閉鎖系装置の提供、iv)より高い効率、より高い安全性、より良い衛生の実験室を提供し、経済性および製造の単純さの両方に役立ち、さらに使い易さを提供。
【0034】
次に、実験室での分析の目的で改良された流体採取装置を、添付の図面の
図1aから
図26に従って、個別に、またはそれらの任意の組み合わせで説明する。
本発明の第1の好ましい例示によれば、流体採取装置(100)は、概して、試料採取管アセンブリ(200)および試料採取カップ(300)を含む(
図1aおよび
図1bを参照)。したがって、試料採取管アセンブリ(200)は、a)第1のチャンバー(211)を有するバレル(210)と、b)第2のチャンバー(221)を有する内管またはプランジャー(220)とを備える。好ましい例示において、バレル(210)は、一端にルアーチップ(214)を備えており、他端(215)は、その閉鎖系を画定する内管(220)とスライド可能なシール係合状態にあることに留意されたい。限定ではなく例として、内管(220)は、一端にルアーチップ(224)を備えており、反対側の端には、前記閉鎖系内に第1および第2のチャンバー(211,221)を分離するシール(222)が設けられている。本発明の第1の好ましい例示によれば、導管(212)は、第2のチャンバー(221)に向かって延びる内管(220)のルアーチップ(224)に好ましくは提供されることに留意されたい。
【0035】
限定ではなく例として、バレル(210)のルアーチップ(214)および内管(220)のルアーチップ(224)は、少なくとも1つのルアーノブ(230aまたは230b)を解放可能に備えており、ルアーノブ(230aまたは230b)は、重力下で流体が滴ることを許容するように、閉鎖系内における負圧解放のために選択的に緩められるかまたは締め付けられる。ルアーノブ(230aまたは230b)は、例示的ではあるが、本発明の構成および機能を説明するにあたって本明細書で使用されることに留意されたい。しかしながら、所望の最適な動作特性を得るために、同様の機械的および化学的特性を提供することができる気密で強靭な弾性高分子物質または同じグループの材料のような他の変更例、アプローチまたは構成が企図され得る。したがって、本明細書に記載のルアーノブ(230aまたは230b)は、いかなる方法であっても限定として解釈されるべきではない。
【0036】
試料採取管アセンブリ(200)は、ルアーロックシステムを介して試料採取または流体採取のために試料採取カップ(300)と協調的に接続するように適合されていることが理解されよう。このような状況下では、試料または流体の採取物は、尿などを含み得る。
【0037】
任意選択であるが本発明に限定されないが、試料採取管アセンブリ(200)は、バレル(210)(図示しない)のルアーチップ(214)に取り付けられた皮下注射針を通して流体を独立して吸引するように適合されている。そのような状況下で、試料または流体、特に体液の採取は、血清、血漿、血液、唾液、間質液または細胞質ゾルなどを含み得るが、他のものに限定されない。
【0038】
本発明の好ましい例示において、試料採取管アセンブリ(200)は、バレル(210)のルアーチップ(214)を介して試料採取カップ(300)の注ぎ口(320)に接続されるように適合されている(
図1b参照)。限定ではないが例として、試料採取カップ(300)の注ぎ口(320)は、バレル(210)のルアーチップ(214)と係合するためのルアーロック(340)を備えている。ルアーロック(340)は、ねじタイプまたは任意の漏れのない接続、例えばバレル(210)のルアーチップ(214)とのオスおよびメスの嵌合タイプのフィッティングであってもよく、望ましい最適な動作特性を得られるような方法で変更されてもよい。
【0039】
試料採取カップ(300)は、好ましくはカバー(310)を備えていることが理解されよう。限定ではないが例として、カバー(310)は、好ましくは、試料採取カップ(300)内の真空または負圧を解放するための圧力解放機構(312)を備えている。したがって、圧力解放機構(312)は、吸引プロセス中の圧力解放のためのルアーノブ(230a)を含む。圧力解放機構(312)は、吸引プロセスのために作動するように適合されていることに留意されたい。したがって、この吸引プロセスは、試料採取カップ(300)のカバー(310)の圧力解放機構(312)が作動した後にのみ実行される。
【0040】
流体が試料採取カップ(300)内に採取されるとすぐに、試料採取管アセンブリ(200)は、ルアーノブ(230b)を締め付けられた状態で内管(220)を引っ張る動作によって生じる真空吸引によって、試料採取カップ(300)からバレル(210)の第1のチャンバー(211)に流体を吸引するように適合されている(
図2から
図4参照)。吸引プロセスは、カバー(310)のルアーノブ(230a)を緩めて、試料採取カップ(300)内の負圧を解放することによってさらに支援されることが理解されよう。この時点で、試料採取カップ(300)内の負圧を解放すべく、試料採取カップ(300)のカバー(310)に位置するルアーノブ(230a)が緩められる。試料採取管アセンブリ(200)は、尿試料または液体の取り扱いおよび採取を容易にするための試料採取カップ(300)のハンドルとして機能し得ることが理解されよう。
【0041】
試料採取管アセンブリ(200)の第1のチャンバー(211)から圧力を解放できるように、バレル(210)のルアーチップ(214)を開いたまま、内管(220)のルアーチップ(224)においてルアーノブ(230b)を締め付けた状態で、バレル(210)の端が上を向き、内管(220)の端が下を向くように、試料採取管アセンブリ(200)を反転させることによって(
図6参照)、流体が第1のチャンバー(211)から第2のチャンバー(221)に流れるように適合されることに留意されたい。バレル(210)は、試料採取管アセンブリ(200)の内管(220)に向かって完全に押され、バレル(210)のルアーチップ(214)は、流体分離プロセスのための遠心分離機(400)に入れられる前に、カバー(310)から取り外されたルアーノブ(230a)で締め付けられた状態にある(
図7aおよび
図7b参照)。
【0042】
限定ではないが例として、試料採取管アセンブリ(200)は、流体分離プロセス用の遠心分離機(400)のホルダーの内側に内管(220)の端が対向した状態で遠心分離機に挿入されるように適合されている(
図8参照)。遠心分離プロセスにより、試料残留物(500)の層および試料沈殿物(510)の層が得られることが理解されよう。
【0043】
図9aから
図10を参照すると、試料採取管アセンブリ(200)の第2のチャンバー(221)に少なくとも1ミリリットル(1cc)の試料沈殿物(510)を残しておくことができるようにしながら、試料残留物(500)は、内管(220)の第2のチャンバー(221)から導管を(212)通って内管(220)のルアーチップ(224)に排出されるように適合されていることに留意されたい。バレル(210)が上方に引っ張られて、試料採取管アセンブリ(200)の第1のチャンバー(211)に概ねまたは少なくとも2mmのスペースが残されていることにも留意されたい。内管(220)のルアーチップ(214)に位置するルアーノブ(230a)を解放するとともに、試料採取管アセンブリ(200)の第2のチャンバー(221)から負圧を解放できるように、バレル(210)のルアーチップ(224)に位置するルアーノブ(230b)を緩めることによって、試料残留物(500)は排出され得る。
【0044】
本発明の第1の好ましい例示では、試料残留物(510)は、試料採取管アセンブリ(200)の第2のチャンバー(221)からバレル(210)のルアーチップ(214)を通って排出されるように適合されていることに留意されたい。したがって、バレル(210)の端が下を向き、内管(220)の端が上を向くように、試料採取管アセンブリ(200)を反転させ、バレル(210)のルアーチップ(214)に位置するルアーノブ(230a)を解放し、試料沈殿物の液滴が試料採取管アセンブリ(200)から放出されるように、内管(220)のルアーチップ(224)に位置するルアーノブ(230b)を軽く押すことによって、試料沈殿物(510)が排出され得る(
図12aから
図13参照)。好ましくは、しかしこれに限定されないが、試料沈殿物(510)は、顕微鏡分析のために、試料採取管アセンブリ(200)からペトリ皿(600)に液滴で排出され得る(
図13参照)。
【0045】
本発明の第2の好ましい例示によれば、流体採取装置(100)は、概して、試料採取管アセンブリ(200)および試料採取カップ(300)を含む(
図14aおよび
図14bを参照)。したがって、試料採取管アセンブリ(200)は、a)第1のチャンバー(211)を有するバレル(210)と、b)第2のチャンバー(221)を有する内管またはプランジャー(220)とを備える。好ましい例示において、バレル(210)は、一端にルアーチップ(214)を備えており、他端(215)は、その閉鎖系を画定する内管(220)とスライド可能なシール係合状態にあることに留意されたい。限定ではなく例として、内管(220)は、一端にルアーチップ(224)を備えており、反対側の端には、前記閉鎖系内にある第1および第2のチャンバー(211および221)を分離するシール(222)が設けられている。本発明の第2の好ましい実施例によれば、導管(212)は、好ましくは、バレル(210)のルアーチップ(214)から第1のチャンバー(211)に向かって延びることに留意されたい。
【0046】
限定ではなく例として、バレル(210)のルアーチップ(214)および内管(220)のルアーチップ(224)は、少なくとも1つのルアーノブ(230aまたは230b)を解放可能に備えており、ルアーノブ(230aまたは230b)は、重力下で流体が滴ることを許容するように、閉鎖系内における負圧解放のために選択的に緩められるかまたは締め付けられる。ルアーノブ(230aまたは230b)は、例示的ではあるが、本発明の構成および機能を説明するにあたって本明細書で使用されることに留意されたい。しかしながら、所望の最適な動作特性を得るために、同様の機械的および化学的特性を提供することができる気密で強靭な弾性高分子物質または同じグループの材料のような他の変更例、アプローチまたは構成が企図され得る。したがって、本明細書に記載のルアーノブ(230aまたは230b)は、いかなる方法であっても限定として解釈されるべきではない。
【0047】
試料採取管アセンブリ(200)は、ルアーロックシステムを介して試料採取または流体採取のために試料採取カップ(300)と協調的に接続するように適合されていることが理解されよう。このような状況下では、試料または流体の採取物は、尿などを含み得る。
【0048】
任意選択であるが本発明に限定されないが、試料採取管アセンブリ(200)は、バレル(210)(図示しない)のルアーチップ(214)に取り付けられた皮下注射針を通して流体を独立して吸引するように適合されている。そのような状況下で、試料または流体、特に体液の採取は、血清、血漿、血液、唾液、間質液または細胞質ゾルなどを含み得るが、他のものに限定されない。
【0049】
本発明の好ましい例示において、試料採取管アセンブリ(200)は、バレル(210)のルアーチップ(214)を介して試料採取カップ(300)の注ぎ口(320)に接続されるように適合されている(
図14b参照)。限定ではないが例として、試料採取カップ(300)の注ぎ口(320)は、バレル(210)のルアーチップ(214)と係合するためのルアーロック(340)を備えている。ルアーロック(340)は、ねじタイプまたは任意の漏れのない接続、例えばバレル(210)のルアーチップ(214)とのオスおよびメスの嵌合タイプのフィッティングであってもよく、望ましい最適な動作特性を得られるような方法で変更されてもよい。
【0050】
試料採取カップ(300)は、好ましくはカバー(310)を備えていることが理解されよう。限定ではないが例として、カバー(310)は、好ましくは、試料採取カップ(300)内の真空または負圧を解放するための圧力解放機構(312)を備えている。したがって、圧力解放機構(312)は、吸引プロセス中の圧力解放のためのルアーノブ(230a)を含む。圧力解放機構(312)は、吸引プロセスのために作動するように適合されていることに留意されたい。したがって、この吸引プロセスは、試料採取カップ(300)のカバー(310)の圧力解放機構(312)が作動した後にのみ実行される。
【0051】
流体が試料採取カップ(300)内に採取されるとすぐに、試料採取管アセンブリ(200)は、ルアーノブ(230b)を締め付けた状態で内管(220)を引っ張る動作によって生じる真空吸引によって、試料採取カップ(300)からバレル(210)の第1のチャンバー(211)に流体を吸引するように適合されている(
図15から
図17参照)。吸引プロセスは、カバー(310)のルアーノブ(230a)を緩めて、試料採取カップ(300)内の負圧を解放することによってさらに支援されることが理解されよう。この時点で、試料採取カップ(300)内の負圧を解放すべく、試料採取カップ(300)のカバー(310)に位置するルアーノブ(230a)が緩められる。試料採取管アセンブリ(200)は、尿試料または液体の取り扱いおよび採取を容易にするための試料採取カップ(300)のハンドルとして機能し得ることが理解されよう。
【0052】
図18から
図20を参照すると、第1のチャンバー(211)から第2のチャンバー(221)への流体の流れは、内管(220)を第1のチャンバー(211)に向かって押す動作によって達成することができる。したがって、試料採取管アセンブリ(200)の第2のチャンバー(221)から圧力を解放できるように、内管(220)のルアーチップ(224)におけるルアーノブ(230b)を緩める間、締め付けられたカバー(310)から取り外されたルアーノブ(230b)をバレル(210)のルアーチップ(214)まで締め付けることによって、内管を第1のチャンバーに向かって押す動作が達成される。次に、流体分離プロセスのために遠心分離機(400)に入れられる前に、インナーチューブ(220)のルアーチップ(224)に位置するルアーノブ(230b)が締め付けられることが理解されよう。
【0053】
限定ではないが例として、試料採取管アセンブリ(200)は、流体分離プロセス用の遠心分離機(400)のホルダーの内側にバレル(210)の端が対向した状態で遠心分離機に挿入されるように適合されている(
図21参照)。遠心分離プロセスにより、試料残留物(500)の層および試料沈殿物(510)の層が得られることが理解されよう。
【0054】
図22および
図23を参照すると、バレル(210)内の導管(212)と試料採取管アセンブリ(211)の第1のチャンバー(211)との間に少なくとも1ミリリットル(1cc)の試料沈殿物(510)を残しておくことができるようにしながら、試料残留物(500)は、内管(220)の第2のチャンバー(221)から導管(212)を通ってバレル(210)のルアーチップ(214)に排出されるように適合されていることに留意されたい。したがって、バレル(210)のルアーチップ(214)に位置するルアーノブ(230a)を解放するとともに、試料採取管アセンブリ(200)の第2のチャンバー(221)から負圧を解放できるように、内管(220)のルアーチップ(224)に位置するルアーノブ(230b)を緩めることによって、試料残留物(500)は排出され得る。
【0055】
本発明の第2の好ましい例示では、試料残留物(510)は、試料採取管アセンブリ(200)の第2のチャンバー(221)から内管(220)のルアーチップ(224)を通って排出されるように適合されていることに留意されたい。排出される前に、バレル(210)のルアーチップ(214)および内管(220)のルアーチップ(224)の両方の端でルアーノブ(230aおよび230b)が締め付けられた状態で試料採取管アセンブリ(200)を振ることによって、試料沈殿物(510)が均一に分布することが理解されよう(
図24参照)。したがって、バレル(210)の端が上を向き、内管(200)の端が下を向くように、試料採取管アセンブリ(200)を反転させ、内管(220)のルアーチップ(224)に位置するルアーノブ(230b)を解放するとともに、試料採取管アセンブリ(200)の第2のチャンバー(221)から負圧を解放できるように、バレル(210)のルアーチップ(214)に位置するルアーノブ(230a)を慎重に緩めることによって、試料残留物(510)は排出され得る(
図25aおよび
図25b参照)。
図25bおよび
図26は、試料採取チューブアセンブリ(200)の反転位置を示す。好ましくは、しかしこれに限定されないが、試料沈殿物(510)は、顕微鏡分析のために、試料採取管アセンブリ(200)からペトリ皿(600)に液滴で排出される(
図26参照)。
【0056】
上記システムを実行するために使用される様々な要素の構成および配置は、実例および例示的なものにすぎず、本発明を限定するものではないことに留意されたい。当業者は、本明細書で使用されるこれらの構成、配置、および改変が、異なる最適な効果または所望の動作特性を得るように変更され得ることを認識するであろう。したがって、上記の説明は、いかなる方法であっても限定的であると解釈されるべきではなく、本発明を実施するために発明者によって企図される最良の形態として解釈されるべきである。
【0057】
導入された請求項の記載に特定の数が意図されている場合、そのような意図は請求項に明示的に記載され、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しないことが当業者によってさらに理解される。例えば、理解を助けるために、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項の記載を導入するための導入句「少なくとも1つ」または「1つ以上」の使用を含み得る。ただし、そのような句の使用は、たとえ同じ請求項に「1つ以上」または「少なくとも1つ」という導入句が含まれ、「一」または「1つ」などの用語が含まれていたとしても(たとえば、「一」および/または「1つ」は「少なくとも1つ」または「1つ以上」として通常解釈されるべきである)、「一」または「1つ」という請求項の記載の導入が、そのような導入された請求項の記載を含む特定の請求項を、そのような記載を1つだけ含む発明に限定することを意味すると解釈されるべきではない。さらに、導入された請求項の記載に特定の数が明示的に記載されている場合でも、当業者は、そのような記載が少なくとも記載された数を意味すると通常解釈されるべきであることを認識するであろう(例えば、他の修飾語の無い「2つの記載」という記載は、少なくとも2つの記載、または2つ以上の記載を通常意味する)。
【0058】
このように説明されている本発明では、同じものが多くの方法で改変され得ることは明らかであろう。そのような改変は、本発明の原理および範囲からの逸脱と見なされるべきではなく、そのような全ての改変が、以下の特許請求の範囲内に含まれることを意図されることは当業者にとって明らかであろう。
【国際調査報告】