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特表2022-509493スペースに制約のあるハイブリッド型線形アクチュエータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(54)【発明の名称】スペースに制約のあるハイブリッド型線形アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F15B 15/08 20060101AFI20220113BHJP
   F16H 25/20 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
F15B15/08
F16H25/20 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021548514
(86)(22)【出願日】2019-10-15
(85)【翻訳文提出日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 US2019056369
(87)【国際公開番号】W WO2020086340
(87)【国際公開日】2020-04-30
(31)【優先権主張番号】16/172,334
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521177452
【氏名又は名称】エルリッチ エンジニアリング,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】オリノ,ディー.クリストファー
【テーマコード(参考)】
3H081
3J062
【Fターム(参考)】
3H081AA02
3H081AA03
3H081CC23
3H081DD02
3J062AA60
3J062AB24
3J062AC07
3J062BA12
3J062CD03
3J062CD22
3J062CD53
(57)【要約】
液圧アクチュエータと協働し、かつ、いくつかの構成要素を共有する、電動モータ駆動の回転要素ねじ線形アクチュエータが提示される。これは、ねじ駆動される一体化されたナットピストン組立体の組込みを通じて達成される。電動のねじ駆動のアクチュエータの使用を組み合わせることはまた、冗長液圧システムの必要性を低減することができ、100%の冗長性を保ちながら、接続部、弁、配管、ポンプ、フィルタなどの50%の排除をもたらす。さらなる利点は、2つの駆動システムが技術的に独立しており、したがって同一の構成要素の欠陥または故障点が理由で両方が故障することがないことである。両システムはまた、液圧アクチュエータだけによって生成される力を上回る力を状況が必要とする場合に、同時に使用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の駆動組立体と第2の駆動組立体を備えるハイブリッド型線形アクチュエータであって、
前記第1の駆動組立体は、
出力軸を有する電動駆動モータと、
前記出力軸に取り付けられた駆動ねじと、
前記駆動ねじに螺合された駆動ナットと、
2つの端部であって、前記駆動ねじの回転が出力ロッドを前進または後退させるように前記駆動ナットに取り付けられた第1の端部と、線形作動される弁への取付けが可能な第2の端部を含む、前記2つの端部を有する出力ロッドと、
を備え、
前記第2の駆動組立体は、
液圧シリンダと、
前記液圧シリンダ内に配置され、かつ、前記出力ロッドに連結されたピストンと、
前記液圧シリンダに流体的に接続され、かつ、前記ピストンのいずれかの側で前記液圧シリンダを選択的に加圧し、それにより前記液圧シリンダ内の前記ピストンの位置を変化させ、それにより前記出力ロッドを伸張および後退させるように動作可能である、液圧ポンプと、
を備え、
前記駆動ねじが、少なくとも部分的に前記液圧シリンダ内に配置され、かつ、一体構造のものである、ハイブリッド型線形アクチュエータ。
【請求項2】
前記液圧シリンダ内の前記ピストンが、前記駆動ねじを回転させるように動作可能である、請求項1に記載のハイブリッド型線形アクチュエータ。
【請求項3】
前記駆動ねじと前記電動駆動モータの前記出力軸との間に介在された分離機構をさらに備え、前記分離機構が、前記駆動ねじと前記出力軸とを選択的に結合および分離するように動作可能である、請求項1に記載のハイブリッド型線形アクチュエータ。
【請求項4】
前記駆動ねじおよび前記出力ロッドが、同軸である、請求項1に記載のハイブリッド型線形アクチュエータ。
【請求項5】
前記出力ロッドが、中空内部を備え、前記駆動ねじが、前記出力ロッドの前記中空内部内に延在する、請求項1に記載のハイブリッド型線形アクチュエータ。
【請求項6】
前記駆動ナットが、前記出力ロッドの前記中空内部内に配置される、請求項1に記載のハイブリッド型線形アクチュエータ。
【請求項7】
前記アクチュエータが、前記液圧シリンダに流体的に接続され、かつ、前記ピストンの少なくとも一方の側で前記液圧シリンダを選択的に加圧するように動作可能な液圧アキュムレータを備える第3の駆動組立体を有する、請求項1に記載のハイブリッド型線形アクチュエータ。
【請求項8】
小型のハイブリッド型線形アクチュエータであって、
内側チャンバ、近位端部、および遠位端部を有する液圧シリンダと、
前記液圧シリンダの前記遠位端部から延在する出力ロッドであって、近位端部および遠位端部を有する、出力ロッドと、
前記出力ロッドの前記近位端部上のピストンであって、前記ピストンは、前記液圧シリンダの前記内側チャンバ内に配置され、前記ピストンが、前記液圧シリンダの前記内側チャンバを第1の圧力チャンバと第2の圧力チャンバとに分割する、ピストンと、
前記液圧シリンダの前記第1の圧力チャンバ内に配置されたねじ穴であって、前記ねじ穴が、前記出力ロッドに対して固定された回転不能な関係で配置される、ねじ穴と、
駆動ねじの回転が前記出力ロッドを移動させるように、前記第1の圧力チャンバ内に配置され、かつ、前記ねじ穴内に設置された駆動ねじと、
を備える、ハイブリッド型線形アクチュエータ。
【請求項9】
前記出力ロッドが、中空内部をさらに備え、前記駆動ねじの遠位端部が、前記出力ロッドの前記中空内部内に延在する、請求項8に記載のハイブリッド型線形アクチュエータ。
【請求項10】
前記駆動ねじの近位端部が、前記液圧シリンダの前記近位端部から延在する、請求項8に記載のハイブリッド型線形アクチュエータ。
【請求項11】
駆動システムにより前記駆動ねじの前記近位端部に連結された出力軸を有する電動モータをさらに備える、請求項8に記載のハイブリッド型線形アクチュエータ。
【請求項12】
前記駆動システムが、ベルト、チェーン、および歯車のうちの1つを備える、請求項8に記載のハイブリッド型線形アクチュエータ。
【請求項13】
前記駆動システムが、前記出力軸と前記駆動ねじとを選択的に結合および分離するように動作可能な分離機構を備える、請求項8に記載のハイブリッド型線形アクチュエータ。
【請求項14】
前記第1のチャンバに流体的に接続された第1の弁であって、開位置と閉位置との間で動作可能である、第1の弁と、
前記第2のチャンバに流体的に接続された第2の弁であって、開位置と閉位置との間で動作可能である、第2の弁と、
をさらに備える、請求項8に記載のハイブリッド型線形アクチュエータ。
【請求項15】
前記第1の弁および前記第2の弁に流体的に接続された液圧ポンプをさらに備える、請求項14に記載のハイブリッド型線形アクチュエータ。
【請求項16】
スペースに制約のある領域内で使用するための冗長動力源を有する線形アクチュエータであって、
近位端部および遠位端部を有する出力ロッドと、第1の駆動組立体と、第2の駆動組立体と、を備え、
前記出力ロッドは、
その近位端部からその遠位端部に向かって延在する中空通路を有し、
前記第1の駆動組立体は、
前記出力ロッドに対して回転不能かつ固定された位置に配置された駆動ナットと、
前記出力ロッドの前記中空通路内に延在するように前記駆動ナット内に設置された駆動ねじと、
出力軸の回転が前記駆動ねじを回転させ、それにより前記出力ロッドを伸張および後退させるように、前記駆動ねじに連結された前記出力軸を有する、電動駆動モータと、
を備え、
前記第2の駆動組立体は、
液圧シリンダと、
前記液圧シリンダ内に配置され、かつ、前記出力ロッドに連結されたピストンと、
前記液圧シリンダに流体的に接続され、かつ、前記ピストンのいずれかの側で前記液圧シリンダを選択的に加圧し、それにより前記液圧シリンダ内の前記ピストンの位置を変化させ、それにより前記出力ロッドを伸張および後退させるように動作可能である、液圧ポンプと、
を備える、線形アクチュエータ。
【請求項17】
小型のハイブリッド型線形アクチュエータであって、
出力ロッドと、第1の駆動組立体と、第2の駆動組立体とを備え、
前記第1の駆動組立体は、
前記出力ロッドに連結された駆動ナットと、
前記駆動ナット内に設置された駆動ねじと、
出力軸の回転が前記駆動ねじを回転させ、それにより前記出力ロッドを伸張および後退させるように、前記駆動ねじに連結された前記出力軸を有する、電動駆動モータと、
を備え、
前記第2の駆動組立体は、
液圧シリンダと、
前記液圧シリンダ内に配置され、かつ、前記出力ロッドに連結されたピストンと、
前記液圧シリンダに流体的に接続され、かつ、前記ピストンのいずれかの側で前記液圧シリンダを選択的に加圧し、それにより前記液圧シリンダ内の前記ピストンの位置を変化させ、それにより前記出力ロッドを伸張および後退させるように動作可能である、液圧ポンプと、
を備え、
前記第1の駆動組立体および前記第2の駆動組立体が、他方の駆動組立体が故障した場合に、前記出力ロッドを伸張および後退させることが個々に可能であり、
前記出力ロッドが、中空内部を備え、前記駆動ねじが、前記出力ロッドの前記中空内部内に延在する、ハイブリッド型線形アクチュエータ。
【請求項18】
液圧流体および前記駆動ねじが、同じハウジング内に位置する、請求項17に記載のハイブリッド型線形アクチュエータ。
【請求項19】
前記第1の駆動組立体および前記第2の駆動組立体が、前記出力ロッドにかかる推力を増大するために同時に動作され得る、請求項17に記載のハイブリッド型線形アクチュエータ。
【請求項20】
前記第2の駆動組立体が、前記ロッドの伸張または後退のいずれかの際に前記ピストンを移動させるための推力を作り出すために使用され、前記ピストンに逆らう前記液圧によって生成される前記推力が、前記第1の駆動組立体内の前記ねじを受動的に後方駆動することを可能とされる、請求項17に記載のハイブリッド型線形アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータに関し、特に、スペースに制約のある環境およびアクチュエータの機能が重大な意味を持つ状況において機能しなければならないアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
石油およびガス産業では、精製所が、原油を精製するために使用される様々な精製プロセスの組合わせで構成される。いくつかのプロセスは、重油の質を高めることを対象とする。そのようなプロセスの1つは、流動クラッキング(fluidized cracking)として、またはより具体的には、流動接触分解(FCC:Fluidized Catalytic Cracking)および/もしくはフレキシコーカとして一般に知られている。どちらのプロセスも、原油を価値の高いハイオクタンガソリンを高比率で精製する能力が理由で、重要な精製プロセスである。どちらのプロセスも、最長で5から7年以上にわたって絶え間なく1日24時間継続する。
【0003】
一般に、流体クラッキング(Fluidic Cracking)は、触媒(小さな砂様の粒子)を利用し、この触媒は、プロセス中、触媒の表面上でのコークスの形成を可能にする。次いで、コークスが形成された(coked up)触媒は、プロセスの別のセクションへ流され、そのセクションでは、コークス粒子は、焼き払われるか(FCC)、または、より高い等級の製品にガス化される(フレキシコーキング)。
【0004】
プロセスは、触媒がプロセスの1つのセクションから次のセクションへ流れることを可能にする、蒸気による触媒の「流動化」によって機能する。これらの流動化粒子の流れの制御は、プロセスの効率性および安全性の両方に重要である。触媒流の比は、効率性を最大限に高めるために、FCCプロセスに対して正確に制御されなければならない。動作の効率性に重要なプロセスの別の部分は、ガスオフストリームおよび再生塔煙道ガスの管理である。
【0005】
重要なことには、プロセスの意図的でない停止または制御不能が発生した場合、触媒、ガスオフストリーム、および煙道ガスの流れは、異常状態の間中、制御されなければならず、または、弁は、開位置、閉位置、または部分的開位置のいずれかである所定の位置に直ちにつかなければならない。弁が特定の異常状態に適切に反応するのを失敗することは、精製所、人員、および周囲の地域社会にとって破局的であり得る爆発をもたらす可能性がある。
【0006】
触媒、ガスオフストリーム、および煙道ガス蒸気の流れは、場合により、滑り弁、プラグ弁、蝶形弁などの様々なタイプの弁によって調節される。触媒流の制御の正確さは、弁が高速度で正確に位置決めされることが可能であることを必要とする。
【0007】
FCCユニットの動作には、ゲート位置を常に制御できることを確実にすることが重要である。いかなる状況下でも弁を位置決めする能力を有することが重要な要件なので、システムは、何層かの冗長性を有して設計されなければならない。これは、構成要素の故障が発生した場合でも弁の位置決めが常に可能であること、および、バックアップシステム/バックアップ構成要素が必要に応じて弁を位置決めするという主要任務をすぐに引き継げる状態になることを確実にすることである。
【0008】
これらの動作上の要件を達成するために、FCC滑り弁は、従来、線形液圧アクチュエータに依存してきた。線形アクチュエータは、液圧シリンダへの流体流および圧力を制御するのに必要とされる液圧ポンプ、リザーバ、および関連する弁と対にされる。ポンプ、リザーバ、弁、フィルタ、および制御IOを含むシステムは、典型的には、「液圧動力ユニット」と呼ばれる。
【0009】
石油精製所で使用される弁を作動させるために使用されるアクチュエータは、サイズ制約の対象となることが多い。弁は、地面の上方の台の上に位置することが多い。弁を動かすために使用されるアクチュエータは、台の縁部にまたは機械類にもたれて配置されることが多い。結果として、線形作動される弁は、もはや作られ得ず、または、アクチュエータは、台の縁部を越えて延在して、メンテナンスを非常に困難にし得る。さらに、液圧動力ユニットの位置は制限され、また、その位置は、液圧動力ユニットの設計の変更を必然的に伴うことがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のいくつかの実施形態は、液圧アクチュエータと同じスペースを占める電動モータ駆動の回転要素ねじ線形アクチュエータを利用する。これは、ねじ駆動のナットと液圧シリンダに見られるピストンおよびシールとを直接統合することを通じて達成される。本発明では、統合されたナットピストン組立体は、単一のステムに直接取り付けられ、これは次いで、ゲート弁上のステムに結合され、ゲートの位置決めを可能にし得る。電動のねじ駆動アクチュエータの使用を組み合わせることもまた、冗長液圧システムの必要性を低減することができ、100%の冗長性を保ちながら、接続部、弁、配管、ポンプ、フィルタなどの50%の排除をもたらす。さらなる利点は、2つの駆動システムが技術的に独立しており、したがって同一の構成要素の欠陥または故障点のために両方が故障することがないことである。システムはまた、液圧アクチュエータだけによって生成される力を上回る力を状況が必要とする場合に、同時に使用され得る。
【0011】
ねじナットおよびピストンは単一のユニットに統合され、また、分離され得ないので、ねじは、ねじを回転させるモータを介してでも、ナットの移動をもたらすピストンナット組立体の一方の側に印加される液圧流体および圧力を介してでも、ナットが移動するときは常に回転することになる。ピストンを液圧で移動させることがねじ駆動装置の後方駆動をもたらす場合、液圧は、分離される能力を有するモータとともに、ねじおよび歯車箱の後方駆動に関連する荷重を克服しなければならない。同様に、ねじおよびモータを使用してアクチュエータを移動させる場合、推力出力は、液圧配管および弁の関連する経路を通じて液圧空間(hydraulic volume)の外へ液圧流体を押し出すことに伴う損失を克服しなければならない。
【0012】
本発明の1つの実施形態は、簡易化された液圧システムを利用し、この液圧システムは、動力供給停止ストローク要件に応じる能力を有しながら、冗長性の層を作り出す様々な方法で構成され得る。電動モータへの動力を伴わずにアクチュエータを位置決めし続ける能力は、液圧アキュムレータのセットの使用によって得られる。アキュムレータは、動力貯蔵のための手段を提供し、かつ、モータに対する動力損失が起きた場合にアクチュエータに導入され得る。
【0013】
液圧システムは、従来の液圧動力ユニットの液圧システムと比較すると、非常に簡易化される。液圧アキュムレータに充填するまたは液圧アキュムレータ内の充填量を維持する1つの方法は、電動モータ駆動のねじを使用して一体化されたナットピストンを押して、アキュムレータに向けられる流体流れおよび圧力を作り出すことであり得る。これは、プロセスによる要求に応じて流体コーキング弁(fluidic coking valve)を位置決めするのと同時に達成され得る。モータねじ駆動出力は、滑り弁上のゲートを移動させるための負荷要件に加えて、アキュムレータに充填するときに生じる追加的な負荷に対応しなければならない。
【0014】
さらなる冗長性の層を作り出すために、液圧回路は液圧ポンプを含み、この液圧ポンプは、ピストンを移動させるためにモータねじ駆動装置を使用する上記のバックアップ方法とともに、必要な場合にアキュムレータに再充填するために循環のオンおよびオフをすることができる。そのように構成されたシステムには、3層の冗長性が存在する。第1の層は、一体化されたナット/ピストン組立体を移動させるための電動モータねじの使用である。第2の層は、アキュムレータ内に貯蔵された流体動力の使用である。第3の層は、ポンプ、ならびにシステムを動かすためにポンプが生み出す圧力および流れの使用である。
【0015】
液圧システムに関しては、液圧システムは、従来の液圧動力ユニットの液圧システムよりも著しく簡易化され、また、弁、または冗長ポンプおよびリザーバを必要としない。したがって、簡易化されたシステムは、非常に小型で、自給式となり、かつ、アクチュエータおよび弁に比較的接近して位置決めされ得る。これは、液圧動力ユニットからアクチュエータまで延びることを必要とされる長いホースまたは管の行程に関連する損失を低減するのに有益である。これらの弁が精製所において位置決めされる場所は、非常に限られており、また、人員のための退出経路を遮ったりメンテナンスに関してアクセス問題を生じさせたりする可能性があることが多いので、システムのサイズの縮小はまた、エンドユーザにとって役立つことである。冗長液圧システムの必要性に対してこの一体化された設計と排除とを使用する実施形態は、流体コークス化業務にこのシステムの重要な利点を提供する。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態は、電動モータ駆動の回転要素ねじを利用して、流動クラッキング制御弁および/またはフレキシコーキング制御弁の持続的な不断の動作の要件に対処する。ナットと液圧ピストンとを一体化することにより、従来の液圧システムの費用および複雑さを抑えて、必要とされる異常状態動作要件が達成され得る。システムはまた、従来の液圧システムに必要とされる制御の複雑さ、したがって費用を抑える。システムは、流動クラッキングシステムおよび/またはフレキシコーキングに必要とされる、技術的に独立したシステム冗長性の複数の層を有する。これは、流体クラッキング弁の場合、流体クラッキング弁があらゆる状況下で動作可能であり続けられることを確実にする。一般に、FCCおよびフレキシコーカ上の設備のためのスペースは課題である。このシステムならば、従来のシステムに対して、FCCおよびフレキシコーカにおける設置のためのスペース要件を最小限に抑えて、メンテナンスのためのより良好なアクセス可能性をもたらす。さらなる便益には、緊急事態の際に人員が構造体から安全に離れるための改善された退出が含まれ得る。
【0017】
本発明の目的および特徴は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を添付の図面と併せて読むことにより、より詳細に明らかになるであろう。これらの図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示すものであり、したがって本発明の範囲を限定するものと考えられるべきものではないと理解して、本発明は、添付の図面の使用を通じて、さらなる特異性および詳細とともに記述されかつ説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】線形作動される弁に接続された単一のロッドに線形力出力を個々にまたは一緒に提供するために電動線形アクチュエータと液圧線形アクチュエータとを組み合わせる実施形態の斜視図である。
図2】従来のねじ駆動の線形アクチュエータと液圧アクチュエータの両方を組み合わせる完全に統合された実施形態の立面図である。
図3】ハイブリッド型電動/液圧線形アクチュエータの拡大破断図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
電動モータねじ駆動の線形アクチュエータの特徴と液圧線形アクチュエータの特徴とを組み合わせる線形電動アクチュエータシステムが提示される。2つのタイプの線形アクチュエータを組み合わせることの便益は、停止およびプロセス中断を防ぐための冗長性を必要とする用途に独立冗長システムのための手段を提供することである。
【0020】
真に独立した冗長システムの便益に加えて、これまでにないいくつかの新規な制御選択肢が実現され得る。電動モータねじ駆動のアクチュエータによってのみ得られる固有のかつ独立した動作特性と、液圧線形アクチュエータによってのみ見出される固有のかつ独立した動作特性とを組み合わせることにより、これまでにない新規な制御機能が実行され得る。
【0021】
冗長性のある一体化されたシステムを作り出すために、電動および液圧のアクチュエータを組み合わせて一緒に機能するシステムにするための2つの実施形態が存在する。図1における実施形態は、液圧シリンダを含む個々の要素と、共通の取付け板を介して2つを接続する線形電動アクチュエータとの組合わせ、ならびに作動ロッドの端部のそれぞれを束ねる結合組立体を示す。
【0022】
図2に示された一体化された実施形態は、電動アクチュエータねじ駆動アクチュエータのナットに物理的に組み込まれおよび/またはナットを捕捉するガイド/軸受およびシールを含む液圧ピストンを設計することにより、電気的な技術と液圧の技術とを統合する。この手法では、液圧流体および駆動ねじは、同じスペースを占める。この実施形態は、システムにおける故障点を最小限に抑えるとともに、システムの物理的なサイズを最小限に抑える。
【0023】
次に図1における実施形態を参照すると、軸受取付け案内フレーム組立体14に取り付けられた液圧線形アクチュエータ10および電動線形アクチュエータ12の双方を有する実施形態が示されている。取付け板16、ロッドタイブロック線形案内軸受20、線形案内軸受レール21、ロッドタイブロック22、およびロッド案内軸受18などの構成要素は、フレーム組立体14に全て取り付けられる。フレーム組立体14は、レール24によって取り付けられた端部取付け板で構成されている。レールには、線形案内軸受20および線形案内軸受レール21が取り付けられる。ロッド案内軸受18は、端板16内に、また、フレーム組立体14の一部分内に取り付けられる。ロッド端部タイブロック22は、液圧アクチュエータロッド26および電動アクチュエータロッド28の両方を束ねる。ロッドタイブロック22は、線形レール21および線形案内軸受20によって案内される。液圧アクチュエータロッド26および電動アクチュエータロッド28は、ロッドタイブロック22に接続され、ロッドタイブロック22もまた、中心に取り付けられた単一のロッド30に接続され、このロッド30は、単一の線形出力を提供する。
【0024】
液圧アクチュエータロッド26もしくは電動アクチュエータロッド28のどちらかまたは両方の作動により、ロッドタイブロック22が移動され、するとロッドタイブロック22は、単一の中心ロッド30をロッド案内軸受18を通して移動させる。ロッド案内軸受18は、単一の中心ロッド30に低摩擦の案内を提供し、かつ、単一の中心ロッド30の移動方向ではない方向に付与された力に対応する。単一の中心ロッド30は、線形作動される弁に取り付けられる。
【0025】
伸張/後退ロッド26、28を一緒に接続することにより、または、電動および液圧のアクチュエータを他の実施形態におけるように同じスペースを物理的に占める単一のユニットに設計することにより、冗長性のあるシステムが実現される。ユニットは、両方のシステムの固有の制御能力を同時に利用するために、様々な状況下で動作され得る。
【0026】
第2の実施形態では、これは、図2に示されたものであるが、電動モータねじ駆動の線形アクチュエータの特徴と液圧線形アクチュエータの特徴とを組み合わせる線形電動アクチュエータシステムを利用する。2つのタイプの線形アクチュエータを組み合わせることの便益は、停止およびプロセス中断を防ぐために冗長性を必要とする用途に、独立した冗長性のあるシステムのための手段を提供することである。
【0027】
真に独立した冗長性のあるシステムの便益に加えて、これまでにないいくつかの新規な制御選択肢が実現され得る。電動モータねじ駆動のアクチュエータによってのみ得られる固有のかつ独立した動作特性と、液圧線形アクチュエータによってのみ見出される固有のかつ独立した動作特性とを組み合わせることにより、これまでにない新規な制御機能が実行され得る。この実施形態では、2つの技術は、電動アクチュエータねじ駆動アクチュエータのナットに物理的に組み込まれおよび/またはナットを捕捉するガイド/軸受およびシールを含む液圧ピストンを設計することにより、一体化される。この実施形態では、液圧流体および駆動ねじは、同じスペースを占める。この実施形態は、故障点を最小限に抑えるが、スペース、特にシステムの長さも最小限に抑える。ユニットはまた、両方のシステムの固有の制御能力を同時に利用するために、様々な状況下で動作され得る。
【0028】
ロッドの伸張または後退のいずれかの際にナットピストン組立体を移動させるための推力を作り出すために液圧流体動力が使用される場合、ピストンに逆らう液圧によって生成される推力は、ねじおよび伝動機構を受動的に後方駆動することを可能とされる。電動モータの動作を介して印加されるトルクは存在しない。高効率のねじの使用により、ねじを後方駆動させるのに必要とされる力は、最小限に抑えられる。
【0029】
伸張/後退ロッドにおける推力を作り出すために電動モータに動力が供給されるときに、液圧システムは、液圧流体をピストンの一方の側から他方の側へ最小限の損失で通過させることを可能とされる。液圧流体を制御弁に押し通すことに起因する推力損失は、制御弁および液圧管路の寸法決め(sizing)によって決定される。
あるいは、液圧は、流体損失(これは、推力生成における損失に相当するであろう)を解決するために、電動モータからのトルクの印加とともに、駆動ねじナットの速度および方向と調和させるようにピストンのいずれかの側に印加される。これは、伸張/後退ロッドの移動に最大速度が必要とされる状況で有用であろう。
【0030】
次に図2を参照すると、ねじ駆動の線形電動アクチュエータと液圧アクチュエータとを組み合わせる、完全に一体化されたユニットが示されている。電動モータ44が、軸位置合わせ結合部48を通じて歯車減速機46を駆動する。離隔器(standoff)50が、モータ44と歯車減速機46とそれらを接続する軸との間にスペースを作り出す。第1段階歯車減速機46は、歯車ハウジング54の内側の駆動ベルト/チェーン/歯車52を駆動する。ベルト、チェーン、または歯車がこの目的のために使用され得ることが、理解されるであろう。ベルト56が、ベルト/チェーン組立体内の駆動歯車/プーリで構成された第2段階歯車組59の出力軸に取り付けられたシステムと、ねじ58の駆動端部とを駆動する。用途の要件ごとに速度および/または推力を変更するために様々なサイズの歯車が使用され得ることが、理解されるであろう。歯車組46、52、59は、モータ仕様と相まって、ねじ/ナット60の速度および推力を決定する。駆動ねじ保持ナット62が、駆動ねじ58を捕捉し、かつ、正確な位置合わせ/推力軸受予荷重を提供するために、また、印加される力の方向の変化によるねじ端部の疲労を防ぐために、予め張力をかけられる。推力軸受ハウジング64、ならびに駆動ねじ推力および位置合わせ軸受組66が、駆動ねじ58を位置合わせされたままにする。ピストン69が、アクチュエータロッド76を押すまたは引くために、液圧によって動かされる。液圧流体は、液圧流体供給管路68を通じて提供される。ピストン/ナット案内ハウジング70が、駆動ねじ58を取り囲んでいる。これは、液圧システムのための圧力境界の一部を形成し、かつ、ピストン/ナット組立体が軸受ハウジング64および駆動ねじ58と同心であるように、ピストン/ナット組立体の位置合わせを実現する。液圧流体戻り管路72が、ロッド側液圧空間を形成する液圧チャンバの前方(ロッド側)に液圧流体が入るまたはそこから出ることを可能にする。ロッド案内シール組立体74が、滑りロッドのための案内を提供し、かつ、滑りロッドのための軸受としての機能を果たす。この組立体はまた、ロッドおよび前方液圧空間の封止を提供する。アクチュエータロッド76は、ピストン/ナットキャリヤ78に、したがってピストン69に直接接続されかつ封止される。ロッド76の中空部分が、ピストン69のねじ側のみからの液圧にさらされる。ピストン/ナットキャリヤ上の液圧ピストンシールは、ハウジング内の組立体の一方の側を、他方の側から封止する。
【0031】
これは、クレビス端部上に封止される中空のプッシュロッドを使用してなされる。プッシュチューブは、ナットキャリヤ/ピストンに取り付けられかつ封止される。組立体81は、ピストン69の一方の側から他方の側への液圧流体圧力を封止する。
【0032】
次に図3を参照すると、駆動ねじ保持リング80が、ピストン/ロッド組立体81内で駆動ねじナット69を捕捉しかつ保持して示されている。ピストン/ナット摩耗ガイド86が、ピストン/ナット組立体81を案内する。液圧ピストンシール88が、前方または外径ロッド側液圧空間をロッド液圧空間の後方または内径から分離する。ピストン/ナット摩耗ガイド90が、ピストン/ナット組立体81を案内する。
【0033】
電動モータねじ駆動システムは、モータ44から歯車/動力52、および46伝達システムを通じて駆動ねじ58内へ回転およびトルク出力を取得する。ナット/ピストン組立体81は、回転を妨げられる。主たる駆動ねじ58は回転しており、ナット60は回転することを可能とされないので、ナット60は、ねじ58軸の中心線と一致した線形位置を変える。ナットキャリヤ/ピストン組立体81は、ロッド76に接続され、かつ、印加された荷重によって動かされるときにロッド76を直線的に並進させることができる。推力出力は、システムにおける慣性損失および摩擦損失(および、本発明の場合では流体損失)を差し引いたモータ出力トルクと相関している。
【0034】
冗長性を有して設計された従来の液圧システムは、個々の構成要素の故障の影響を最小限に抑えるために、冗長なポンプと弁制御システムを含む液圧動力ユニットを利用する。そのようなシステムのスペース要件、複雑さ、および費用は、かなりのものである。これらの構成要素を掛け合わせることによって作り出される冗長性は、本発明では、効率的な電動のねじ駆動線形アクチュエータを利用する、スペース効率の良いシステムにおいて再現され得る。さらに、本システムの冗長性は、2つの異なる技術を利用し、これにより、1つのシステムに固有の欠点が増大されることを防ぎ、したがって、真に独立した冗長性のあるシステムを作り出す。
【0035】
ハイブリッド型電動-液圧アクチュエータシステムは、シリンダがシリンダ内または組み合わせられた電動液圧シリンダ内で液圧流体をピストンの一方の側から他方の側へ受動的に移動させることを可能にするための追加の弁とともに、従来の液圧シリンダを制御するための典型的な液圧システム弁を利用する。これは、ピストンが液圧システムとは無関係に電動モータ駆動システムからねじ/駆動装置へのトルク入力によって移動されることを可能にする。
【0036】
ロッド76の伸張または後退のいずれかの際にナットピストン組立体81を移動させるための推力を作り出すために液圧流体動力が使用される場合、ピストン69に逆らう液圧によって生成される推力は、ねじ58および伝動機構を受動的に後方駆動することを可能とされる。電動モータの動作を介して印加されるトルクは存在しない。高効率のねじ58の使用により、ねじ58を後方駆動させるのに必要とされる力は、最小限に抑えられる。
【0037】
伸張/後退ロッド76における推力を作り出すために電動モータ44に動力が供給されるときに、液圧システムは、液圧流体をピストンの一方の側から他方の側へ最小限の損失で通過させることを可能とされる。液圧流体を制御弁に押し通すことに起因する推力損失は、制御弁および液圧管路の寸法決めによって決定される。
【0038】
あるいは、液圧は、電動モータ44からのトルクの印加とともに、流体損失(これは、推力生成における損失に相当するであろう)を解決するために、電動モータ44からのトルクの印加とともに、駆動ねじナット60の速度および方向を調和させるように、ピストン69のいずれかの側に印加され得る。これは、伸張/後退ロッド76の移動に最大速度が必要とされる状況で有用であろう。
【0039】
この実施形態は、電動のねじ駆動の線形アクチュエータの機能性と、従来の液圧線形アクチュエータシステムの機能性とを組み合わせる。システムは、互いに連結された独立した電動アクチュエータまたは独立した液圧アクチュエータシステムとして機能するように設計されているので、組み合わせられたシステムの基本的な動作下での制御は、他方のシステムの故障によって影響されない。組み合わせられたシステムの機能は、動作に必要とされる論理を管理するためのマイクロコントローラまたはPLCなどの高水準の制御システムによって管理されるべきである。入力は多数あり、冗長位置エンコーダ、圧力センサ、サーボおよび制御弁、VFD、ならびにソフトスタータを含む。位置には、液圧システムバイパスによる電気的動作(後退)、液圧システムバイパスによる電気的動作(伸張)、受動的に後方駆動されるねじによる液圧システムの動作(伸張)、および、受動的に後方駆動されるねじによる液圧システムの動作(後退)が含まれ得る。明白であるが、これらの位置間のあらゆる位置も実現可能である。液圧減速および位置決め支援を伴う電気的動作、液圧ハードストップ最終位置決めを伴う電気的動作、電気的な最終位置決めを伴う液圧動作、および、アキュムレータのポンプ無し変更を伴う電気的動作もまた、利用可能である。アキュムレータは、液圧動力システムが故障したときでもロッド76を液圧で作動させるために使用される加圧液圧流体を蓄えるために使用される。アキュムレータはまた、ロッド76の電気的作動に液圧支援を提供し得る。
【0040】
上記の発明を実施するための形態では、本開示を合理化する目的のために、本開示の様々な特徴が、単一の実施形態においてグループ化された。この開示の方法は、特許請求する開示が各請求項に明記されるよりも多くの特徴を必要とするという意図の反映であると解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、発明の態様は、上記に開示された単一の実施形態の全ての特徴を含むものではない。上記の構成は本開示の原理の適用の説明に役立つものに過ぎないことが、理解されるべきである。多くの修正および代替的な構成が、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によって考案されるであろうし、添付の特許請求の範囲は、そのような修正および構成に及ぶことが意図されている。したがって、本開示は図面に示されかつ具体的にまた詳細に上記で説明されたが、サイズ、材料、形状、形態、機能および動作方法、組立て、ならびに使用の方法における変形を含むがこれらに限定されない多くの修正が本明細書において明記された原理および概念から逸脱することなしになされ得ることは、当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
【国際調査報告】