(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(54)【発明の名称】原子炉ジェットポンプの使用方法
(51)【国際特許分類】
G21C 15/25 20060101AFI20220113BHJP
【FI】
G21C15/25
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021548527
(86)(22)【出願日】2019-10-29
(85)【翻訳文提出日】2021-06-28
(86)【国際出願番号】 US2019058548
(87)【国際公開番号】W WO2020092356
(87)【国際公開日】2020-05-07
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508177046
【氏名又は名称】ジーイー-ヒタチ・ニュークリア・エナジー・アメリカズ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GE-HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100186831
【氏名又は名称】梅澤 崇
(72)【発明者】
【氏名】レーン,ハンプトン・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン,ブレット・イー
(72)【発明者】
【氏名】スクーンマーカー,ブランドン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ,リー ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ルーニー,フーポ・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ベル,デイビット・ジェイ
(57)【要約】
スリップジョイントの摩耗や損傷に関係なく、ディフューザ上に軸方向にあることで、スリップジョイントにクランプを固定し、制限流を流すことができる。前記クランプ台座から前記インレットミキサまでの延長部と、これらの延長部は、クランプの外側から調整することで、スリップジョイントを介して個別の予圧や流量制限を達成することができる。延長部は、Oリングであってもよいし、他の形状であってもよい。前記クランプの外側面には、前記延長部を連結して移動させる付勢駆動部が設けられていてもよい。付勢手段は、プランジャにバネを介して連結された外溝にネジキャップを有していてもよい。クランプは、運転性の原子炉環境に曝されたときの物性を維持する材料で製作されており、比較的剛性の高い金属であってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉におけるディフューザとインレットミキサとの接合により形成されたスリップジョイント用クランプであって、
前記ディフューザの上端と前記インレットミキサの外面とに形成された複数の可動クランプアームと、
少なくとも2つのクランプアームを連結して前記2本のクランプアームの前記インレットミキサ周りの移動を許容する連結部と、
横方向に移動して前記インレットミキサに直接接触して前記インレットミキサ及び前記スリップジョイントを通過する流体の流れを制限する、少なくとも1つのクランプアームの内面からの調整可能な延長部と、を備えるクランプ。
【請求項2】
前記複数の可動クランプアームは、前記ディフューザの上部及び内周の全周に連続した環状半体を形成する2つの環状の半体であり、前記調整可能な延長部は、前記2つの環状半体のうちの一方のみの内面にあって移動することを特徴とする請求項1に記載のクランプ。
【請求項3】
前記スリップジョイントは、前記2つの環状半体を、他の相対移動を伴わない単一の軸回りに回転可能なピンであることを特徴とする請求項2に記載のクランプ。
【請求項4】
前記調整可能な延長部を前記クランプの外側面に開放するように移動させる付勢駆動部と、をさらに備えたことを特徴とするクランプ。
【請求項5】
前記外側溝は、前記外側面の外側溝に捕捉されており、前記外側溝は、前記内側面において前記調整可能な延長部を収容する内側溝に接続されていることを特徴とする請求項4に記載のクランプ。
【請求項6】
前記付勢手段は、ネジキャップと、バネと、前記調整可能な延長部を駆動するプランジャとを有することを特徴とする請求項5に記載のクランプ。
【請求項7】
前記外溝は、前記外溝内で回転した際に前記ねじキャップが前記調整可能な延長部に対して左右に移動するように前記ねじキャップに螺合するねじ山を有し、前記ねじ付きキャップ座が前記ばねにあって、前記プランジャと前記ねじキャップとが異なる横速度で移動するように前記ばね座が前記プランジャに固定されていることを特徴とする請求項6に記載のクランプ。
【請求項8】
前記調整可能な延長部はOリングであり、前記プランジャは前記外溝から前記内溝に延びて前記Oリングを接触駆動することを特徴とする請求項7に記載のクランプ。
【請求項9】
前記調整可能な延長部は、前記内面の溝に捕捉された硬質のOリングであることを特徴とする請求項1に記載のクランプ。
【請求項10】
前記Oリングは、ステンレス合金、ジルコニウム合金、及びアルミニウム合金の少なくともいずれかからなることを特徴とする請求項1に記載のクランプ。
【請求項11】
一方のクランプアームにおける軸方向取付部をさらに備え、
前記一方のクランプアームと前記ディフューザとの相対移動を規制するように、前記ディフューザの外側のみに固定されていることを特徴とする請求項1に記載のクランプ。
【請求項12】
前記一方のクランプアームに取込まれた板ばねを含み、前記調整可能な延長部は、前記板ばねよりも軸方向下側に位置することを特徴とする請求項1に記載のクランプ。
【請求項13】
原子炉におけるディフューザとインレットミキサとの接合により形成されたスリップジョイント用クランプであって、
前記スリップジョイントにおける前記ディフューザの内側と前記インレットミキサとに嵌合する少なくとも2つの対向するクランプアームと、
前記インレットミキサを前記クランプアームの少なくとも1つに対して横方向に付勢するスプリングと、
前記2つの対向するクランプアームの周囲にOリングを備え、
前記Oリングは、前記スリップジョイントに充填され、前記Oリングは、前記インレットミキサを付勢するばねとは別に前記インレットミキサに向けて付勢するように構成されていることを特徴とするクランプ。
【請求項14】
前記対向する2つのクランプアームは半円状で、連続した環状半体を形成するよう合流し、前記Oリングは前記環状半体の内面全体に亘って延長していることを特徴とする請求項13に記載のクランプ。
【請求項15】
前記Oリングを連結して移動させて前記クランプの外表面に開口する付勢駆動部と、をさらに備えたことを特徴とする請求項13に記載のクランプ。
【請求項16】
前記付勢駆動部は、前記外表面の外側溝に収納され、前記外側溝は、前記クランプアームの内面において前記Oリングを収納する内側溝に連通していることを特徴とする請求項15に記載のクランプ。
【請求項17】
前記付勢駆動部は、ネジキャップと、バネと、前記Oリングを駆動するプランジャとを有することを特徴とする請求項16に記載のクランプ。
【請求項18】
前記外溝は、前記外溝内で回転した際に前記ねじキャップが前記Oリングに対して横方向に移動するように前記ねじキャップに螺合するねじを含み、前記ねじ付きキャップが前記ばねにあり、前記プランジャと前記ねじキャップとが異なる横速度で移動するように前記ばね座が前記プランジャにあることを特徴とする請求項17に記載のクランプ。
【請求項19】
原子炉ジェットポンプアッセンブリにおけるディフューザとインレットミキサとのスリップジョイントを安定させる方法であって、
前記インレットミキサを軸支することなく、前記インレットミキサを取り囲むように前記ディフューザの軸上にスリップジョイントクランプを軸方向に配置し、
前記スリップジョイントクランプを前記インレットミキサに対して横方向に付勢し、
前記スリップジョイントクランプからの前記インレットミキサに対する延長を制限する流れを横方向に付勢することを特徴とする方法。
【請求項20】
前記軸方向の配置は、前記スリップジョイントクランプを前記ディフューザ上の複数の案内耳に挟持することを含み、
前記延長を制限する流れを横方向に付勢することは、前記スリップジョイントクランプの外面から付勢駆動を回転させて前記スリップジョイントクランプの内面から前記流量制限延長を駆動するものであり、
ピンを中心として2つの環状半体を回転させる横拡大を含み、
前記2つの環状半体の間にボルトを連結してそれ以上の回転を阻止するものである横閉じを含むことを特徴とする請求項19の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
原子炉ジェットポンプの使用方法
【背景技術】
【0002】
図1は、従来の沸騰水型原子炉(BWR)ジェットポンプアッセンブリ8の斜視図である。ジェットポンプアッセンブリ8の主要な構成要素は、ライザー管3と、各ディフューザ2に挿入された2つのインレットミキサ4とを備えている。ジェットポンプ抑止ブラケットは、インレットミキサ4の移動を安定化させ、インレットミキサ4とディフューザ2との界面に存在するスリップジョイント6の動きを抑制するために用いられる。また、1種類の移動は、流れ誘導振動すなわちFIVであり、アッセンブリ8内及び周りの高速流によるスリップジョイントの漏れをもたらす。拘束ブラッケットにより、インレットミキサ4と拘束ブラッケットの間の相対異動を最小限に抑えることができ、スリップジョイント6回りの漏れや損傷を最小限に抑えることができる。
【0003】
図2は、BWRジェットポンプアッセンブリのインレットミキサ4とディフューザ2との間に存在する従来のスリップジョイント6の詳細図である。インレットミキサ4の底部4 aは、ディフューザ2の上部クラウン2 aに挿入されている。ディフューザ2の上端には、インレットミキサ4とディフューザ2との接続を許容するための1つ以上のガイド耳2 bが設けられている。インレットミキサ4とディフューザ2との界面又は嵌合は、スリップジョイント6と称される。
【0004】
図3は、沸騰水型ジェットポンプアッセンブリのインレットミキサ4とディフューザ2との間の従来のスリップジョイント6の断面図であり、部品間の内部関係を示している。インレットミキサ4の最も低い先端部4 bは、ディフューザ2の上部クラウン2aに載置されてスリップジョイント6を構成している。インレットミキサ4の先端4bとディフューザ2の上部クラウン2 aとの公差が摩耗や不適切な加工によって完全に一致しない場合には、インレットミキサFIVがスリップジョイント6内で発生する可能性がある。この界面では、インレットミキサ4の最下端4 bとディフューザ2の上部クラウン2 aとの間と、スリップジョイント6の外部との間で流体の冷却液が漏れるため、フィット性の悪さとFIVの両方によりリークが発生する場合がある。
【0005】
図4は、2017年11月9日公開の米国特許出願公開第2017/0321726、Lane et al、による従来のスリップジョイントクランプ100の説明図であり、ここではその全体を参照して援用されている。スリップジョイントクランプ100は、
図4に示すように、インレットミキサとディフューザ界面とを環状等のスリップジョイントで一致させた形状に形成されている。スリップジョイントクランプ100は、インレットミキサ(例えば、
図2のインレットミキサ4)の外部をスリップジョイントで囲んだ状態で、ディフューザ(例えば、
図2のディフューザ2)に軸方向にシート状に成形されている。なお、スリップジョイントクランプ100は、ディフューザに着座してスリップジョイントのインレットミキサを取り囲むことで、スリップジョイントを完全又は部分的に取り囲んでいてもよいし、一部を囲んでいてもよい。
【0006】
従来のスリップジョイントクランプ100は、スリップジョイント形状に合わせて環状やその他の形状に接合された2つのリング半体120を備えていてもよい。なお、リング半体120は、例えば、クレヴィスピン130を含む、ヒンジやソケット等の相対的な接合機構によって接合されている場合には、互いに移動可能であってもよい。また、クレヴィスピン130は、軸方向位置において、リング半体120を完全に切断したり、相対的に移動させたりすることなく、リング半体120を横方向又は径方向に伸縮させて、クランプ100をディフューザ及び/又はインレットミキサ構造の上を移動させて移動させてもよい。このように、スリップジョイントクランプ100をインレットミキサやディフューザを分解することなくスリップジョイントの周りに設置することができるので、クランプ100は、例えばディフューザに設置する際に、半割体120をこれらの構造体や閉半体120に嵌合させることができるため、スリップジョイントの周りに設置することができる。
【0007】
従来のスリップジョイントクランプ100は、スリップジョイントを中心に着脱可能に横方向に拡張可能な締結要素を備えていてもよい。例えば、カラーボルト135は、他の半体120に装着された状態で、一方の半割体120に螺合する等のリング半体120同士を係合させて絞り込んで、両者の間にカラーボルト135を係合させたときに、各リング半体120が相対移動することのない略円環状に形成されていてもよい。なお、カラーボルト135は、リング半体120の完全嵌合時、すなわちカラーボルト135は、リング半体120を強固に着脱自在に連結する構成とすることができる。これにより、シートを載置するディフューザを横方向に大きく載置することなく、確実にクランプ100を閉じることができる。
【0008】
スリップジョイントクランプ100は、インレットミキサにシート状に成形され、ディフューザの内面に沿ってスリップジョイントで下方に延びる内面121を備えている。内面121は、例えば、リング状に形成されたリング半体120によって形成されている。内面121は、円筒形のインレットミキサの外面と一致するように、軸方向の高さ位置が略円環状であってもよい。内面121は、円筒状のディフューザの外面と、スリップジョイントにおける円筒状のディフューザの内面との界面と一致する下軸方向の位置に、フランジまたは薄肉のリング要素をさらに有していてもよい。このように、従来のスリップジョイントクランプ100は、ディフューザの頂部に外付けしてインレットミキサに外嵌しつつ、ディフューザに内嵌するスリーブのような形状、大きさにすることができる。
【0009】
なお、スリップジョイントクランプ100は、スリップジョイントにおけるディフューザのクラウン等の上端にクランプ100を保持する軸継手やアンカーを備えていてもよい。例えば、クランプ100をディフューザの上端に軸支するために、耳クランプ181は、ディフューザの案内耳(例えば、
図2の耳2b)を中心にしてクランプする形状に形成されていてもよい。ドローボルト182は、耳クランプ181と対になって、耳クランプ181の軸方向の移動を許容し、耳の下側をクランプしてもよい。また、ラチェット面190等のロック機構は、クランプ100における絞りボルト182の一致するラチェット面と対になった状態で、引きボルト182の一方向移動又は張架を許容することができる。なお、ドローボルト182を回すと、耳クランプ181が耳や他の面に押し付けられ、クランプ100が軸方向にクランプされ、ラチェット面190がドローボルト182の後退を阻止して弛みが生じるおそれがある。
【0010】
クランプ100の周りには、複数組の耳クランプ181と、ドローボルト182と、ラチェット190とが配置されている。これにより、クランプ100を複数の半径位置で各ガイド耳に軸方向に固定して締め付けることができ、確実にクランプ100を固定し、ディフューザの上端にのみ軸方向のクランプ力を作用させながら固定することができる。また、ディフューザとインレットミキサとの間のスリップジョイントを略埋めるように半割体120と内面121とを成形すると、クランプ100の軸方向の固定により、流体がスリップジョイントを抜けてしまうことを防止することができる。
【0011】
従来のスリップジョイントクランプ100は、インレットミキサをスリップジョイントで所望の荷重前の状態に独立して押圧又は付勢することができる横荷重駆動装置を備えている。このような横荷重により、インレットミキサを内面121に確実に当接させることができ、さらに、FIVやリークを防止することができる。横荷重駆動は、吸気ミキサーに対する横方向の予圧力を少なくとも750ポンドまでとする。例えば、板バネ140は、天板150に取り付けられた側方駆動ボルト160によって左右方向に駆動されてもよい。ラチェット面170は、板バネ140による750回以上の力が作用するまで、駆動ボルト160の締め付け又は一方向への移動を許容する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
実施形態によれば、ディフューザを軸方向に装填することなく、クランプの外側から多方向に締め付けることができるスリップジョイントクランプを提供することができる。クランプの例としては、ディフューザの上端をクランプするクランプアームと、インレットミキサの外面に、内面からインレットミキサに向けて調整可能な伸長器を設け、流体の流れを制限するクランプを挙げることができる。前記延長部は、前記クランプアームの内部を前記インレットミキサに直接接触させて前記インレットミキサ及び前記スリップジョイントの外部への流体の流通を制限するOリング等の形状であってもよい。付勢駆動部は、前記調整部を前記クランプの外側面に開放するように移動させる。
【0013】
拡張子は、クランプの外面からアクセス可能な付勢駆動部によって、調整可能な延長部が形成された内側の溝に連通する外溝を介して個別に制限されるように駆動することができる。前記付勢駆動部は、プランジャを押圧するバネを圧縮する前記外溝に螺合するネジキャップを備えていてもよい。プランジャは、伸長した状態で溝に到達し、インレットミキサと同じ側方を所望の位置及び/又は予圧に押し当てることができる。溝は、キャップ、プランジャ、又はこれらの延長及び/又は捕捉を制限する形状であってもよい。このように、本実施形態のクランプは、スリップジョイントの周りに設置することができ、フローリミッティングリングをインレットミキサに締め付けて緩めることができる。実施例のクランプは、汚れや焼き付きを防止するために、互い違いに配置されていてもよいし、潤滑されていてもよい。また、実施の形態は、添付図面を参照しながら詳細に説明されるが、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】原子力プラントに用いられる従来のジェットポンプアッセンブリの説明図である。
【
図2】
図1の従来のジェットポンプアッセンブリにおけるスリップジョイントの説明図である。
【
図4】従来のスリップジョイントクランプの説明図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るスリップ防止用スリップジョイントクランプの一例を示す図である。
【
図6】
図5のスリップジョイントクランプの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
これは、特許文献であるため、一般的には、読解時に構築の広いルールを適用する必要がある。なお、この文献に記載されている説明は、特許請求の範囲に記載された事項の一例であって、以下の特許請求の範囲に記載の主題の一例である。なお、本明細書に開示される具体的な構成および機能の詳細は、あくまで例示であって、例示的なものに過ぎず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。ここに開示されていない幾つかの実施形態及び方法は、請求の範囲に記載された発明を限定するものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0016】
なお、順序は、「第1」、「第2」等である。本明細書では、種々の要素を説明する場合があるが、これらの要素は、これらの観点から何ら限定されるものではない。なお、これらの用語は、1つの要素を区別するために用いられるものであり、「第2」以上の規則が存在する場合には、その要素の数は、特に限定されるものではなく、多くの要素を必要とする。例えば、第1の要素を第2の要素と称し、同様に第2の要素を第1の要素と称することもできる。本明細書において、「AND」、「OR」及び「AND/OR」とは、1つの項目、又は、複数の項目、又は、全ての項目が存在することが明示されていない限り、対応する1つ以上の項目の全ての組み合わせを含む。「ETC」とは、「エトセトラ」と定義されており、「AND/OR」の組み合わせにおいて、同じグループに属する他の全ての要素が包含されていることを示す。
【0017】
なお、要素を「接続」、「嵌合」、「装着」、「固定」等という。他の要素には、他の要素と直接結合していてもよいし、介在要素が存在していてもよい。一方、要素を「直接接続」、「直結」等と呼ぶ。他の要素には介在要素が存在しない。また、要素間の関係を説明するために用いる他の用語は、同様に解釈されるべきものである(例えば、「間」-「直接間」、「隣接」-「直接隣接」等)。同様に、「通信可能に接続されている」等の用語には、無線で接続されている仲介装置やネットワーク等を含む、2つの電子機器間での情報交換やルーティングのバリエーションが全て含まれる。
【0018】
本明細書において、「A」、「AN」、「THE」は、特にそうでない旨明示した場合を除き、単数又は複数の態様を含むものとする。「A」、「AN」のような不定冠詞は、いずれも先に導入されたものであり、「THE」のような定冠詞は先のものと同一のものを意味する。このように、「A」又は「AN」は、以前に導入したものと同じものを改変し、定冠詞は、直前に提示したものと同じものを改変したものであることが理解される。また、本明細書において、「含む」等とは、記載された構成、特徴、工程、構成要素、及び/又は、構成要素の存在を特定するものであり、1つ以上の他の特徴、工程、動作、構成要素、及び/又は、それらのグループの存在の有無を意味するものとする。
【0019】
なお、以下に説明する構成及び動作は、図面に記載された順序に沿って行われてもよいし、異なる順序で行われてもよい。例えば、連続して示される2つの動作および/または図形は、その機能・機能に応じて、同時に実行されてもよいし、逆の順序で実行されてもよい。同様に、以下に説明する実施例の各動作は、以下に説明する1つの動作とは別に、ループ等の一連の動作を行うために、繰り返し実行されてもよいし、逐次的に実行されてもよい。なお、以下で説明する特徴や機能を有する実施形態や方法は、いずれの実施形態も本発明の範囲に含まれるものとする。
【0020】
本明細書において、「軸方向」及び「垂直」方向は、原子炉の長軸に沿った上下方向が同一であり、重力方向を向いている場合が多い。「横」方向は、「軸方向」と直交し、特定の軸方向高さで1つの平面内を向く第1の方向である。
発明者らは、損傷・修理したスリップジョイント(滑り継手)から流体の流れや抜けを制限する必要があることを新たに認識した。これは、スリップジョイントを形成しないスリップジョイント修理であって、特に漏洩しやすいスリップジョイントに損傷を与えるおそれがある。以下に説明する実施の形態は、本発明者らが見出した課題等を解決するために独自に解決可能なものである。
本発明は、原子炉ジェットポンプにおけるスリップジョイントに使用可能な流量制限クランプ及びそれを用いたスリップジョイントのクランプ方法を示す。なお、以下に説明する幾つかの実施形態及び実施例は、本発明に係る種々の異なる構成の部分集合を例示したものである。
【0021】
図5は、スリップジョイントクランプ200の一例を示す図である。また、スリップジョイントクランプ200は、
図5に示すように、
図4のスリップジョイントクランプ100と同様の幾つかの特徴を有していてもよく、同様の部分を示すものであってもよい。実施の形態のスリップジョイントクランプ200は、クランプ200の内面121から延びるOリング201を備えている。Oリング201は、クランプ200の内周に完全に又は部分的に延在していてもよいし、連続的に形成されていてもよいし、分断されていてもよい。例えば、Oリング201は、内周面121の全周に亘って延びる2つのリング半体120のうちの1つを半円状に2分割したものであってもよい。このように、Oリング201を移動させながら、半体120の開閉を許容するようにしてもよく、例えば、ディフューザに代えて、Oリング201をOリング201で開閉することができるので、インレットミキサやディフューザを分解することなく、スリップジョイントクランプ200をスリップジョイントの周りに設置することができる。もちろん、Oリング201は連続リングであってもよいし、他の形状であってもよく、Oリング201の一部が内面121の周囲に沿って連続していてもよい。
【0022】
Oリング201は、トロイダル形状であってもよいし、ディフューザ2(
図1)の周囲に嵌合する形状であってもよい。クランプ200を設置した状態で、インレットミキサ4の底部外周部がOリング201に当接し、クランプ200を介してスリップジョイントからの流体の流出が制限される。Oリング201は、ステンレス鋼すなわちX 750やXM 19合金等の微小な変形を伴うインレットミキサ4に対して圧縮可能な弾性材料であってもよい。このように、本実施形態のクランプ200は、設置のためのスリップジョイントの分解を必要とせず、かつ、ピース間の摩耗、損傷、非嵌合の有無にかかわらず、ディフューザ2とインレットミキサ4との間のスリップジョイントからの流体の流れを規制して制限することができる。
【0023】
Oリング201は、インレットミキサ面に対してカスタムバイアスされていてもよい。また、
図6に示すように、Oリング201は、内側面121から内側に延びる溝221に収容されていてもよい。溝221は、Oリング201を内側面から延在させてインレットミキサへの限界流を確保したままの状態で保持するために、フロントガラスやその他の捕捉構造を含んでいてもよい。溝221は、Oリング201を所望の軸方向に保持する任意の位置に加工することができ、例えば、
図5に示すように、実施例クランプ200では、溝221を凹部ハウジング板バネ140の軸方向直下に位置させてもよい。溝221は、付勢プランジャ202をOリング201と同じ横方向に通過させる。付勢プランジャ202は、横方向の伸縮と同方向の力とによって、Oリング201を所望の横位置及び力で所望の横位置に位置決めして付勢してもよい。外側溝220は、プランジャ202のバックフランジを捕捉し、所望の横点を越えた抜けや駆動を防止してもよい。
【0024】
付勢プランジャ202は、外側溝220の内部ばね203および/またはねじキャップ204を介して、外部から駆動される。
図6に示すように、内部ばね203は、付勢プランジャ202とねじキャップ204の肩部やフランジ部に着座し、その間の力を一定にしている。ネジキャップ201は、外溝220のネジ山に螺合するネジ状の外面を有しており、キャップ204が内部バネ203に抗して左右方向に駆動されるようになっている。キャップは、外側溝220内でHEXヘッド等の回転により回転することで、スプリング203を付勢プランジャ202に抗して横方向に付勢している。外側溝220は、クランプ200の外側面から開口しており、オペレータのアクセスおよび操作が可能である。
【0025】
単一のプランジャ202は、Oリング201をインレットミキサで所望の嵌合位置に付勢してもよいし、複数組のプランジャ202、スプリング203、キャップ204をクランプ200の外周に所望の位置に配置して、Oリング201を付勢してもよい。例えば、クランプ200を中心として、Oリング201を90度間隔で4組付勢してもよい。
図6の要素は、他の実施例のクランプ200と同様に、高温流体や放射線に曝された際に、その物性を維持する材料を含む、動作型原子炉環境に対応した材料で構成されている。例えば、ステンレス鋼、鉄合金等の金属、ニッケル合金、ジルコニウム合金等が挙げられる。プランジャ202、スプリング203、キャップ204等には使用可能である。同様に、外溝220とキャップ204との螺合と、キャップ204、スプリング203、プランジャ202との接触との直接的な接続、その他の直接接触点については、焼付き、ファウリング、金属-金属反応を防止するために、交互等の相溶材を用いて潤滑して作製してもよい。
【0026】
Oリング201の締め付け又は緩み止めの一例として、実施形態のクランプ200は、インレットミキサ4(例えばカラーボルト)を中心にしてインレットミキサ4を中心にしてディフューザ2に取り付けられて閉じられた後、インレットミキサ4との接触により収容溝221内に押し戻されるようにしてもよい。操作者は、外溝220が外部に開口し、他の部品やクランプの特徴によって閉塞されていないため、クランプ200の外部のねじキャップ204にアクセスすることができる。操作者は、キャップ204を回転させ(時計回り)、バネ203に向かって左右方向内側に駆動する。この力は、付勢プランジャ202に伝達され、外溝220の端部にまだ着座していない。すると、付勢プランジャ202自体が移動してOリング201を側方に移動させてインレットミキサ面に密着させたり、Oリング201とプランジャ202とが相対的に移動していない状態でスプリング203の圧縮により締め付けられて付勢される。所望の予圧力レベルで、あるいは、所望のレベルまで漏れが生じた場合には、キャップ204の締め付けをしてもよい。同様に、取り外し時には、ネジキャップ204の回転を逆にして、クランプ200を取り外すためのOリング201およびプランジャ202の着脱を行うようにしてもよい。
【0027】
このように、実施例のスリップジョイントクランプ200は、ディフューザに軸方向に固定することができ、その表面にインレットミキサを内面及び整流用Oリング201を介して独立して付勢することができる。ディフューザへの取り付けには、案内耳や他の外部構造体のみを移動させたり、インレットミキサを介在させたりする必要がある。また、本実施形態のクランプ200は、ディフューザの端部にスリップジョイントを設けた後、側方駆動により横方向に付勢され、具体的には入口ミキサ側に付勢されてスリップジョイントからの流体の流出を制限するOリング201を有していてもよい。このように、インレットミキサのディフューザと横方向の予荷重とを独立した軸方向に取り付けることにより、種々のスリップジョイントタイプのクランプと条件の変更が可能となり、このようなスリップジョイントからの漏れを低減することができ、スリップジョイント部品間のFIVの発生や損傷を防止することができる。
【0028】
当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または置換例に想到し得ることは明らかである。例えば、異なる防漏構造体やトリア以外の形状は、適宜、適宜の寸法及び位置決めのみでクランプすることができる。このような変形は、特許請求の範囲から逸脱するとは限らない。
【国際調査報告】