(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(54)【発明の名称】液体塗布型制振材用の2成分ポリウレタン系
(51)【国際特許分類】
B05D 3/00 20060101AFI20220113BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20220113BHJP
B05D 3/12 20060101ALI20220113BHJP
C09D 175/04 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
B05D3/00 D
B05D7/24 303A
B05D7/24 302T
B05D7/24 301U
B05D3/12 Z
B05D7/24 301V
C09D175/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021548566
(86)(22)【出願日】2019-10-31
(85)【翻訳文提出日】2021-04-28
(86)【国際出願番号】 US2019059208
(87)【国際公開番号】W WO2020092800
(87)【国際公開日】2020-05-07
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509292766
【氏名又は名称】エイチ.ビー.フラー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング・ヴィットヴェブ
(72)【発明者】
【氏名】ティモ・バックス
【テーマコード(参考)】
4D075
4J038
【Fターム(参考)】
4D075AC06
4D075AC92
4D075BB16X
4D075BB92Y
4D075CA05
4D075CA47
4D075CA48
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4D075EC01
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4D075EC33
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4D075EC45
4J038DG051
4J038DG111
4J038DG121
4J038DG131
4J038DG262
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4J038KA04
4J038KA08
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4J038NA27
4J038PB05
4J038PB07
4J038PB09
4J038PC02
4J038PC08
(57)【要約】
構成部品又はデバイスの表面にコーティングを作り出すための方法であって、この方法は、成分A及び成分Bを有する2成分ポリウレタン系を得る工程を含み、成分Aはポリオールを含み、成分Bはイソシアネートを含む。成分A若しくは成分Bのいずれか、又は両成分は、充填剤を含む。本方法は、成分A及び成分Bを混合して、ポリオール、イソシアネート、及び充填剤を含む混合物を形成する工程を含む。本方法は、混合物を構成部品又はデバイスの表面に塗布して、混合物からコーティングを形成する工程と、塗布したコーティングを硬化させる工程と、を含む。コーティングを塗布する工程及び塗布されたコーティングを硬化させる工程は、周囲温度において実行され、混合する工程の直後の混合物の粘度は、23℃において10Pas~500Pasである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面にコーティングを作り出すための方法であって、
a. 成分A及び成分Bを含む2成分ポリウレタン系を得る工程であって、成分Aはポリオールを含み、成分Bはイソシアネートを含み、成分A若しくは成分Bのいずれか、又は両成分が充填剤を含む、工程と、
b. 成分A及び成分Bを混合して、前記ポリオール、前記イソシアネート、及び前記充填剤を含む混合物を形成する工程と、
c. 前記混合物を基材の表面に塗布してコーティングを形成する工程と、
d. 前記コーティングを硬化させる工程と、を含み、
工程c)及び工程d)は、10℃~40℃の周囲温度において実行され、工程b)の直後の前記混合物の粘度は、RV-7スピンドルを用いて10rpmでBrookfield RV粘度計で測定すると、23℃において10Pas~500Pasである、方法。
【請求項2】
成分A及び成分Bの前記混合物の密度が、23℃において0.7~3g/cm
3である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記混合物中の前記ポリオールヒドロキシル基に対する前記イソシアネート基の比率は、0.55~1.2、好ましくは0.6~1.1、より好ましくは0.6~1.0である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
Brookfield RV粘度計で測定すると、成分Aは、23℃において20~1000Pasの粘度を有し、成分Bは、23℃において0.01~10Pasの粘度を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリウレタンコーティングは、押し出しによって塗布されて、薄膜若しくはビードのうちの少なくとも1つを形成する、又は前記ポリウレタンコーティングは、ディスペンサによって、前記ディスペンサに対して垂直である、傾斜している、湾曲している、又は頭上にある表面に塗布される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリウレタンコーティングは消音コーティングであり、DIN EN ISO 6721:1996手順Aに従って、3mmのLASD層厚で0℃~60℃の温度において測定すると、二次(100~150Hz)での最大損失係数が0.1以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
基材の表面に消音コーティングを作り出すための方法であって、
a. 成分A及び成分Bを含む2成分ポリウレタン系を得る工程であって、成分Aはポリオールを含み、成分BはMDIベースのポリメリックイソシアネートを含み、成分A若しくは成分Bのいずれか、又は両成分が充填剤を含む、工程と、
b. 成分A及び成分Bを混合して、前記ポリオール、前記ポリメリックイソシアネート、及び前記充填剤を含む混合物を形成する工程と、
c. 前記混合物を基材の表面に塗布してコーティングを形成する工程と、
d. 前記コーティングを硬化させて、消音コーティングを作り出す工程と、を含み、
工程c)及び工程d)は、10℃~40℃の周囲温度において実行され、前記消音コーティングの二次(100~150Hz)での最大損失係数は、DIN EN ISO 6721:1996手順Aに従って3mmの消音コーティング厚について0℃~60℃の温度において測定すると、0.1以上である、方法。
【請求項8】
前記基材は家電製品又は家電製品部品の一部であり、成分A及び成分Bの前記混合物の密度は、1.7g/cm
3超であり、前記消音コーティングの二次(100~150Hz)での最大損失係数は、DIN EN ISO 6721:1996手順Aに従って3mmのLASD層厚で25℃において測定すると、0.1以上である、又は
前記基材は自動車又は自動車部品の一部であり、成分A及び成分Bの前記混合物の密度は、1.7g/cm
3以下であり、前記消音コーティングの二次(100~150Hz)での最大損失係数は、DIN EN ISO 6721:1996手順Aに従って3mmのLASD層厚で15℃において測定すると、0.1以上である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
成分A及び成分Bの前記混合物の密度は、23℃において0.7~1.2g/cm
3であり、前記消音コーティングの最大損失係数は、DIN EN ISO 6721-3:1996の手順Aに記載のように、Oberst測定によって3mmの層厚かつ二次測定で測定すると、7℃~40℃の温度においてである、又は
成分A及び成分Bの前記混合物の密度は、23℃において1.8~2.2g/cm
3であり、前記消音コーティングの最大損失係数は、DIN EN ISO 6721-3:1996の手順Aに記載のように、Oberst測定によって3mmの層厚かつ二次測定で測定すると、17℃~45℃の温度においてである、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
成分A若しくは成分B、又は両成分が、ポリウレタン重合触媒を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
成分Aは、必須成分としてポリオール、充填剤、及びポリウレタン重合触媒を、好ましくは、
20~60体積%の充填剤、
0超かつ最大0.5体積%のポリウレタン重合触媒の量で含み、
合算して100体積%となる残部はポリオールであり、
また、任意成分として
0~3体積%のレオロジー添加剤と、
0~3体積%の接着促進剤と、
0~3体積%の乾燥剤と、
0~2体積%の分散添加剤と、
0~20体積%の難燃剤と、を含み、
構成要素Bは、必須成分として、
0超かつ最大100体積%のイソシアネートを含み、
また、任意成分として
0~50体積%の充填剤と、
0~6体積%のレオロジー添加剤と、を含み、
前記体積%は、前記成分の総体積に対してである、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
成分A対成分Bの混合比は、体積比で1.1:1~8:1、好ましくは体積比で2:1~6:1、より好ましくは体積比で3:1~5.5:1、より好ましくは体積比で3:1~5:1の範囲である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記イソシアネートはMDIベースである、請求項11及び12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~6のいずれか一項に記載のコーティング又は請求項7~10のいずれか一項に記載の消音コーティングを含む、洗濯機、乾燥機、食器洗浄機、車両、又はその構成部品。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の方法によって得ることができるポリウレタンコーティングでコーティングされた表面を含むデバイス又は構成部品であって、前記コーティングされた表面の振動が、振動時に、コーティングされていない表面の振動と比較して、前記ポリウレタン消音コーティングに起因して低減され、最大損失係数は、0℃~60℃の温度において測定すると、0.1以上である、デバイス又は構成部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2成分ポリウレタン系、その用途、及びその使用法に関する。より具体的には、本明細書では、押出装置を使用して塗布され得る2成分ポリウレタンを開示する。当該2成分ポリウレタン系で作製されたコーティングは、例えば家電製品又は自動車部品、例えば乾燥機又は食器洗浄機の振動など振動を抑制するために特に有用である。本明細書に開示する2成分ポリウレタン系は、液体塗布型制振材(LASD)として有用である。
【背景技術】
【0002】
現在、車両、機械、及び電化製品の製造では、薄肉シートが一般に使用されている。機械的に動かされる部品又は回っているモータの結果として、これらのシートは振動することが多く、したがって音を放射する。例えば、自動車の運転中にエンジン及びホイールによって騒音及び振動が生じる。このため、車体の振動によって自動車の車内で騒音が生じる。生じる騒音は望ましくなく、振動を抑制することによってこの音を抑制又は低減する効果的な対策が望ましい。
【0003】
同じことが、家電製品及びその部品、例えば乾燥機若しくは乾燥機のドラム、又は特定材料で作製されたデバイス及びその部品、例えばプラスチック若しくは金属で作製された部品にも当てはまる。例えば、食器洗浄機の部品、例えばタブ、ハウジング、及び洗浄室は、部分的又は完全にプラスチックで作製される。これらの部品の一部は、振動を抑制して、動作中に生じる騒音を低減させることが必要である。
【0004】
振動によって生じる音の問題に対して業界で使用される一般的な解決策は、デバイス及びデバイス部品の振動によって生じる音を抑制する制振材である。この目的で既知であるものは、場合によっては吸収フェルトと関連している、ビチューメンで作製されたパッドである。ビチューメンパッドは騒音及び振動の抑制に使用され、フェルトは、主として騒音吸収に使用される。ビチューメンは、現在、食器洗浄機に最も好適な制振材であると考えられている。これは、ビチューメンが半流体挙動を、特に高温において有し、したがって、粘性の反応を有するためであり、これにより制振目的に好適となる。しかしながら、この材料には、多環芳香族炭化水素及び硫黄化合物が存在するため、ビチューメンは揮発性有機化合物を放出する場合があり、特に熱に曝露された場合に環境的リスクとなる。ビチューメンはまた、室温、より一般的には低温において制振性能に欠ける場合がある。
【0005】
更に、ビチューメンは一般にホイル又はパッドとして塗布されるが、このことは、複雑な表面を有する基材へのその塗布性を厳しく制限し、ワークピースを作製するための生産ラインの長さ及び複雑さを増加させる。例えば、パッドは、多くの場合、手で切断し、適合させる必要がある。頭上、傾斜面、垂直面、又は曲面にパッドを取り付けることも困難である。パッドの代わりに噴霧によってビチューメンを塗布する方法は、独国特許出願公開第39 32 033 A1号に記載されている。しかしながら、この噴霧プロセスは、165℃~195℃の塗布温度を必要とし、これは、使用前にビチューメン塊を溶融する必要があること、又は加熱容器内で使用するために移送が必要であることを意味する。
【0006】
一部の制振材は、液体形態で塗布される。かかる制振材は、液体塗布型制振材(LASD)と呼ばれ、一般に表面へのコーティングとして、又は間隙用充填剤として使用される。LASDは、塗布され、硬化すると、物体に伝播した騒音を熱エネルギーに変換し、得られるワークピースの質量が高いために、コーティングされていない基材よりも音を吸収し、ワークピースの振動を抑制する。したがって、かかるLASDは、振動するワークピースによって生じる騒音を低減する。最近では、LASDがビチューメンパッドよりも好まれる場合が多い。これは、噴霧によってワークピースに塗布することができ、ロボットシステムによって塗布することができ(潜在的に有害なガスへの人間のオペレータの曝露を回避するのに役立つ)、ビチューメンパッドと比較して軽量であり(したがって、例えば、車及びトラックでの燃料を節約する)、特定の消音要件に調整可能であるためである。
【0007】
最も一般的なLASDは、現状ではアクリル系LASD、ゴム系LASD、及び熱硬化性LASDであり、例えば、商品名TEROSON(登録商標)(Henkel Adhesives(Dusseldorf,Germany)製)で提供されるLASDである。しかしながら、ゴム系及び熱硬化性LASDは、高温(35~45℃)で塗布されなければならず、高温の炉内で硬化される必要がある。アクリル系LASDも高温の炉内で硬化される必要がある。
【0008】
一部のLASDは、通常、スプレーとして塗布されるが、これは、特定の欠点を有し得る。余剰スプレーが生じる場合があり、噴霧によって、頭上面及び傾斜面に滴下及び流出が生じ、垂れが生じ得る。
【0009】
例えば、国際公開第99/55783号は、制振材として使用される2成分ポリウレタンで作製されたスプレーについて記載している。当該スプレーでは、噴霧性を達成するために非常に低い粘度が必要となる。そのポリオール部は6~8Pasの粘度を有し、そのイソシアネート部は1Pasの粘度を有する。
【0010】
欧州特許第2 626 854 B1号は、食器洗浄機の表面にポリウレタンを噴霧することによって作製された、消音コーティングについて記載している。しかしながら、欧州特許第2 626 854 B1号は、かかるポリウレタン系の実行可能な組成物又は特性を教示していない。
【0011】
ポリウレタン発泡体は、場合によっては、制振材として使用され得る。しかしながら、発泡体は、結果として生じる発泡グレードに到達しなければならず、組み立て空間が限られている場合は達成が困難であり得るため、液体成分の自動塗布が困難であるという欠点を有する。
【0012】
従来の液体塗布型制振材(LASD)、特にスプレー塗布型制振材の欠点を有さないLASDが必要とされている。消音目的に好適であり、周囲温度での傾斜面への塗布に好適である必要のあるLASDも必要とされている。更に、更なる熱、例えば炉内での硬化を必要とせず、自動生産ラインに容易に組み込むことができるLASDが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】西独特許第2735153号明細書
【特許文献2】米国特許出願第2011/168217号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102004054546号明細書
【特許文献4】国際公開第2011/023303号
【発明の概要】
【0014】
本明細書では、2成分ポリウレタン系を開示する。当該系の2成分が混合され、次いで、デバイス又は構成部品の一部である基材に塗布される。得られたコーティングは、振動及び結果として生じる音放射を抑制する。
【0015】
具体的には、本開示は、成分A及び成分Bを含む2成分反応性ポリウレタン系であるLASDを提供し、成分Aはポリオールを含み、成分BはMDIをベースとし得るイソシアネートを含む。成分A若しくは成分Bのいずれか、又は両成分は、充填剤を含む。任意選択的に、ポリウレタン系用の重合触媒も、成分A及び/若しくはB、又は両方の混合物中に存在するか、又はこれらに添加されてよい。
【0016】
本明細書では、構成部品又はデバイスの表面にコーティングを作り出すための方法を開示する。本方法は、成分A及び成分Bを含む2成分ポリウレタン系を得る工程を含む。成分Aはポリオールを含み、成分Bはイソシアネートを含む。成分A若しくは成分Bのいずれか、又は両成分は、充填剤を含む。本方法は、成分A及び成分Bを混合して、ポリオール、イソシアネート、及び充填剤を含む混合物を形成する工程を含む。本方法は、混合物を構成部品又はデバイスの表面に塗布して、混合物からコーティングを形成する工程と、塗布したコーティングを硬化させる工程と、を含む。コーティングを塗布する工程及び塗布したコーティングを硬化させる工程は、10℃~40℃の周囲温度において実行され、混合工程直後の混合物の粘度は、RV-7スピンドルを用いて10rpmでBrookfield RV粘度計で測定すると、23℃において10Pas~500Pasである。
【0017】
いくつかの態様では、成分A及び成分Bの混合物の密度は、23℃において0.7~3g/cm3である。いくつかの態様では、混合物中のポリオールヒドロキシル基に対するイソシアネート基の比率は、0.55~1.2、好ましくは0.6~1.1、より好ましくは0.6~1.0である。いくつかの態様では、Brookfield RV粘度計で測定すると、成分Aは、23℃において20~1000Pasの粘度を有し、成分Bは、23℃において0.01~10Pasの範囲の粘度を有する。いくつかの態様では、ポリウレタンコーティングは、押し出しによって塗布されて、薄膜又はビードのうちの少なくとも1つを形成する。
【0018】
いくつかの態様では、ポリウレタンコーティングは、ディスペンサによって、ディスペンサに対して垂直である、傾斜している、湾曲している、又は頭上にある表面に塗布される。いくつかの態様では、ポリウレタンコーティングは消音コーティングであり、DIN EN ISO 6721:1996手順Aに従って3mmのLASD層厚で0~60℃の温度において測定すると、二次(100~150Hz)での最大損失係数は、0.1以上である。
【0019】
また、本明細書では、構成部品又はデバイスの表面に消音コーティングを作り出すための方法も開示する。本方法は、成分A及び成分Bを含む2成分ポリウレタン系を得る工程を含む。成分Aはポリオールを含み、成分BはMDIベースのポリメリックイソシアネートを含む。成分A若しくは成分Bのいずれか、又は両成分は、充填剤を含む。本方法は、成分A及び成分Bを混合して、ポリオール、ポリメリックイソシアネート、及び充填剤を含む混合物を形成する工程と、構成部品又はデバイスの表面に混合物を塗布してコーティングを形成する工程と、コーティングを硬化させて、消音コーティングを作り出す工程と、を含む。塗布する工程及び硬化させる工程は、10℃~40℃の周囲温度において実行される。作り出された消音コーティングの二次(100~150Hz)での最大損失係数は、DIN EN ISO 6721:1996手順Aに従って3mmの消音コーティング厚で0℃~60℃の温度において測定すると、0.1以上である。
【0020】
混合物は、5℃~100℃の塗布温度において塗布され得る。好ましくは、混合物は、周囲温度において塗布され得る。すなわち、塗布前に加熱されない。製造施設内の周囲温度は、10℃~40℃、又は更には15℃~30℃であり得る。コーティングはまた、周囲温度において硬化される。本開示の方法では、塗布中及び/若しくは硬化中の加熱、又は加熱手段の使用は必須ではない。周囲温度における塗布及び硬化は、特に自動生産ラインにおいて有利である。
【0021】
混合物は、10℃~40℃の周囲温度において塗布され、当該周囲温度において硬化させるのに好適である。得られたポリウレタンコーティングは、0℃~60℃の温度において測定すると、0.1以上の最大損失係数を有する消音コーティングである。
【0022】
いくつかの態様では、構成部品は家電製品又は家電製品部品の構成部品であり、成分A及び成分Bの混合物の密度は、1.7g/cm3超であり、消音コーティングの二次(100~150Hz)での最大損失係数は、DIN EN ISO 6721:1996手順Aに従って3mmのLASD層厚で25℃において測定すると、0.1以上である。
【0023】
いくつかの態様では、構成部品は自動車又は自動車部品の構成部品であり、成分A及び成分Bの混合物の密度は、1.7g/cm3以下であり、消音コーティングの二次(100~150Hz)での最大損失係数は、DIN EN ISO 6721:1996手順Aに従って3mmのLASD層厚で15℃において測定すると、0.1以上である。
【0024】
いくつかの態様では、成分A及び成分Bの混合物の密度は、23℃において0.7~1.2g/cm3であり、消音コーティングの最大損失係数は、DIN EN ISO 6721-3:1996の手順Aに記載のように、Oberst測定によって3mmの層厚かつ二次測定で測定すると、7℃~40℃の温度においてである。
【0025】
いくつかの態様では、成分A及び成分Bの混合物の密度は、23℃において1.8~2.2g/cm3であり、消音コーティングの最大損失係数は、DIN EN ISO 6721-3:1996の手順Aに記載のように、Oberst測定によって3mmの層厚かつ二次測定で測定すると、17℃~45℃の温度においてである。
【0026】
いくつかの態様では、成分A若しくは成分B、又は両成分、及び混合物は、ポリウレタン重合触媒を含む。いくつかの態様では、成分Aは、必須成分として、ポリオール、充填剤、及びポリウレタン重合触媒を、好ましくは、20~60体積%の充填剤、0超かつ最大0.5体積%のポリウレタン重合触媒の量で含み、合算して100体積%となる残部はポリオールであり、また任意成分として、0~3体積%のレオロジー添加剤、0~3体積%の接着促進剤、0~3体積%の乾燥剤、0~2体積%の分散添加剤、及び0~20体積%の難燃剤を含む。いくつかの態様では、成分Bは、必須成分として、0超かつ最大100体積%のイソシアネートと、任意成分として、0~50体積%の充填剤と、0~6体積%のレオロジー添加剤と、を含み、体積%は、成分の総体積に対してである。
【0027】
いくつかの態様では、成分A対成分Bの混合比は、体積比で1.1:1~8:1、好ましくは体積比で2:1~6:1、より好ましくは体積比で3:1~5.5:1、より好ましくは体積比で3:1~5:1の範囲である。いくつかの態様では、イソシアネートはMDIベースである。
【0028】
本明細書では、明細書に開示する方法のいずれか1つのコーティングを含む、洗濯機、乾燥機、若しくは食器洗浄機、又はその構成部品も開示する。本開示では、車両又は車両部品を開示し、車両は、明細書に開示する方法のいずれか1つのコーティングを含む、自動車、飛行機、列車、鉄道車両、娯楽車両、オートバイ、バス、宇宙船舶、潜水艦、農業用車両、トラック、及びボートからなる群から選択される。本明細書では、本明細書に開示する方法のうちのいずれか1つによる方法によって得ることができるポリウレタンコーティングでコーティングされた表面を含むデバイス又は構成部品を開示し、振動時の当該コーティングされた表面の振動が、コーティングされていない表面の振動と比較して、当該ポリウレタン消音コーティングに起因して低減され、最大損失係数は、0℃~60℃の温度において測定すると、0.1以上である。
【0029】
本明細書では、本明細書に記載の方法によって得ることができるポリウレタンコーティングでコーティングされた表面を含むデバイス又は構成部品を開示し、振動時の当該コーティングされた表面の振動が、コーティングされていない表面の振動と比較して、当該ポリウレタン消音コーティングに起因して低減され、最大損失係数は、0℃~60℃の温度において測定すると、0.1以上、0.15以上、又は更には0.2以上である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】層厚3.0mmにおいてNCO/OH比が0.8、0.9、及び1.0である実施例1の組成物について、異なる温度における損失係数の二次でのOberst測定の結果を示す。
【
図2】実施例2の組成物について、異なる温度における損失係数の二次でのOberst測定の結果を示す。測定周波数は、100Hz及び200Hzであり、層厚は3.1であり、面密度は6.2kg/m
2であった。
【
図3】NCO/OH比が0.8である実施例3の組成物について、異なる温度における損失係数の二次でのOberst測定の結果を示す。
【0031】
定義
本発明の文脈において以下の定義を適用する。
【0032】
冠詞「a」又は「an」は、別途記載のない限り、「1つ以上」を意味する。
【0033】
全ての重量%値は、当該組成物の総重量に関連して与えられる。全ての体積%は、別途記載のない限り、当該組成物の総体積に対して与えられる。
【0034】
数値範囲が与えられる場合、この範囲内の任意の数もまた、個々に開示されるとみなされるべきである。
【0035】
制振性能は、本発明の文脈において、DIN EN ISO 6721-3:1996の手順AによるOberst測定法で測定される「損失係数」として与えられる。「損失係数」は、損失弾性率と貯蔵弾性率との比率である。無次元数として表される損失係数は、粘弾性系における制振の尺度として一般に使用される。これは、特定の温度及び特定の周波数又は周波数範囲について与えられる。更に、通常は、フーリエ変換、例えば二次フーリエ変換を用いて、振動の次数分析と共に与えられる。制振最大値は、DIN EN ISO 6721-3:1996の手順AによるOberst測定方法を異なる温度、例えば0℃~80℃の温度において実施し、この温度範囲内で最も高い損失係数値を決定することによって測定される。制振最大値は、当該損失係数における温度として与えられる。
【0036】
制振効果は、層厚及び単位面積当たりの質量に相関し、厚さが増加すると、その結果として単位面積当たりの質量が増加し、制振効果が高くなる。
【0037】
本明細書に引用する全ての工業規格(例えば、EN ISO規格)は、特に明記しない限り、本出願の出願日における最新版の規格である(例えば、DIN EN ISO 6721とは、DIN EN ISO 6721-3:1996版を指す)。
【0038】
「高密度LASD」はLASDであり、成分A及び成分Bの混合物が、1.7g/cm3超の密度を有する。好ましくは、高密度LASDの密度は1.8g/cm3~3.0g/cm3、より好ましくは1.8g/cm3~2.6g/cm3、更により好ましくは2.0g/cm3~2.4g/cm3である。
【0039】
「低密度LASD」はLASDであり、成分A及び成分Bの混合物が、1.7g/cm3以下の密度を有する。好ましくは、低密度LASDの密度は0.5g/cm3~1.6g/cm3、より好ましくは0.7g/cm3~1.3g/cm3、更により好ましくは0.8g/cm3~1.2g/cm3である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は、液体塗布型制振材(LASD)として使用するための2成分ポリウレタン系に関する。LASDは、反応性2成分ポリウレタン系から形成される。LASDは、フラットストリーム押出機による塗布に好適であり、この点で、噴霧によって塗布されるポリウレタンベースのコーティングとは異なる。後者は、その粘度がこの塗布モードには低すぎるために、典型的にはフラットストリーム押出機で良好に塗布することができない。すなわち、塗布を制御することが困難であるため、不揃いな厚さをもたらし得る。本発明者らは、より高粘度の2成分ポリウレタン系を使用することが、被スプレー塗布物の問題を回避するのに役立つことを見出した。LASDは、以下の利点のうちの少なくとも1つをもたらす。
- LASDは、フラットストリーム押出機を使用して液体形態で塗布され得る。
- 成分A及び成分Bの混合物は、垂直に(例えば、重力方向から離れる方向でディスペンサから塗布される)、又は傾斜面若しくは曲面に塗布され得る。したがって、制振シート又はスプレーでのコーティングが困難である表面への塗布が可能である。特に、被コーティング面の縁部に至るまでの正確かつ均一な塗布が可能である。スプレーと比較すると、利点は、余剰スプレー又は流出のリスクが低減することである。
- ポリウレタンは、周囲温度において硬化する(一般に10℃~最大40℃、好ましくは最大35℃、温度が高いほど硬化速度が高い)。これにより、生産ラインのヒーターや炉など加熱手段の使用が不要となるため、製造が簡略化され、エネルギーを節約する。
- ポリウレタンの制振曲線は、一定の温度において制振最大値を通過する。制振特性は、最終ワークピースが使用される環境の温度に合わせて調整され得る。
- 制振最大値の位置は、ポリウレタンLASDの成分A及び成分Bの混合比によって調節可能である。
- 混合される成分A及び成分Bのポットライフは、所望に応じて、例えば、添加される触媒の量によって調節可能である。触媒量が高いほど、ポットライフが短い。
- ポリウレタンは、体積収縮をほとんど又は全く示さず、低空間要件を有する。換言すれば、これは、限定された動作空間を有し得る製造プロセスに適用可能である。
- 本明細書に開示する方法によるLASDの塗布は、自動化への高い可能性を有する。
- 周囲温度、一般に10℃~40℃の範囲内の温度において硬化できること、及びコーティングを正確に塗布できることは特に有利である。
【0041】
以下で本発明をより詳細に説明する。本明細書の別個の部分に記載する本発明の特徴及び好ましい特徴は、特に明記しない限り、又は科学的理由のためにかかる組み合わせが不可能でない限り、互いに組み合わせることができることを理解されたい。かかる組み合わせもまた、本発明の一部である。
【0042】
ポリウレタン系の組成物
本発明は、LASDとして使用するための2成分ポリウレタン系に関する。2成分とは、成分A及び成分Bである。
【0043】
成分Aは、ポリオールを含む。加えて、充填剤、ポリウレタン重合触媒、レオロジー添加剤、難燃剤、接着促進剤、及び乾燥剤のうちの1つ以上を含んでよい。着色剤及び酸化防止剤のような更なる従来の添加剤も、成分Aに含まれてよい。
【0044】
成分Bは、ポリウレタンを形成するためのイソシアネートを含む。加えて、充填剤、ポリウレタン重合触媒、難燃剤、及び/又はレオロジー添加剤を含んでよい。着色剤及び酸化防止剤のような更なる従来の添加剤も、成分Bに含まれてよい。
【0045】
成分A
2成分ポリウレタン系において、ポリオールを含む成分が成分Aである。成分Aで使用され得るポリオールは、ポリウレタンの調製に一般的に使用される任意のポリオールであってよい。ポリオールはまた、ジオールを含んでよい。
【0046】
ポリオールは、好ましくは、1.5、2、若しくは3~3.5、4、若しくは4.5、又は前述の値の任意の対の間の値のヒドロキシル官能価を有する。例えば、好適なポリオールは、少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも3~4以下、又は更には3.5以下のヒドロキシル官能価を有するものであってよい。これらの制約内で、有用なポリオールは、例えば、2~1,200、又は25~1,000、又は80~1,000など幅広い範囲にわたって様々であるヒドロキシル価を有する。
【0047】
ポリオール(その型とは無関係)は、好ましくは100g/mol以上、より好ましくは100g/mol~18,000g/molの数平均分子量(Mn)を有する。100g/mol~12000g/molの範囲が更により好ましく、より好ましくは100g/mol~6000g/mol、更により好ましくは100g/mol~4000g/molである。
【0048】
ポリオールは、好ましくは周囲温度において液体である。有用なポリオール類の例としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテル/ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリジエンポリオール、ヒドロキシル官能性天然油ポリオール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0049】
有用なポリエーテルオールは、環式オキシド、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、及びテトラヒドロフランの重合から、又は1種以上のかかるオキシドを、少なくとも2個の活性水素を有する多官能性開始剤、例えば、水、多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、グリセロール、トリメチロール-プロパン、ペンタエリスリトール、及びビスフェノールA)、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリエタノールアミン、及び1,2-プロパンジチオールに添加することによって得ることができる。特に、有用なポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドを適切な開始剤に同時又は逐次添加することによって得られる、ポリオキシプロピレンジオール及びトリオール、ポリ(オキシエチレン-オキシプロピレン)ジオール及びトリオール、並びにテトラヒドロフランの重合によって得られるポリテトラメチレンエーテルグルコールが挙げられる。好ましいポリエーテルポリオールの例としては、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)、及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマーなどポリ(アルキレンオキシド)が挙げられ、ポリ(プロピレンオキシド)が最も好ましい。
【0050】
好適な市販のポリエーテルポリオールは、Dow Chemical Co.(Midland,Michigan)製の、例えばVORANOL 220-56、VORANOL 220-110、VORANOL 220-260、VORANOL 230-56、VORANOL 230-110、及びVORANOL 230-238などVORANOL(登録商標)シリーズの商品名、又はCovestro(Germany)製の、例えばDESMOPHEN 1380 BT、1381 BT、1400 BT、2060 BD、2061 BD、3061 BT、4011 T、4028 BDなどDESMOPHEN(登録商標)シリーズの商品名など様々な商品名で入手可能である。
【0051】
有用なポリエステルポリオールとしては、ポリカルボン酸、それらの無水物、それらのエステル又はそれらのハロゲン化物、及び化学量論的過剰量の多価アルコールの反応生成物から調製されるこれらのポリエステルポリオールが挙げられる。好適なポリカルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸、無水物とそのエステル(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、フタル酸、無水フタル酸、メチル-ヘキサヒドロフタル酸、メチル-ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチル-テトラヒドロフタル酸、メチル-テトラヒドロ無水フタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、及びテトラヒドロフタル酸)、脂肪族ジカルボン酸とその無水物(例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、コハク酸、無水コハク酸、グルタル酸、グルタル酸無水物、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、クロレンド酸、1,2,4-ブタン-トリカルボン酸、デカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、二量体酸、二量体化脂肪酸、三量体脂肪酸、及びフマル酸)、脂環族ジカルボン酸(例えば、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、及び1,4-シクロヘキサンジカルボン酸)、及びこれらの組み合わせなど、ジカルボン酸及びトリカルボン酸が挙げられる。
【0052】
好適な市販のポリエステルポリオールは、例えば、(STEPAN Company(Evansville,Illinois)製の)BC180、PC1011-55、PC1011-210、PC-1017P-55、PC-1028P-210、PC-1040P-55、PC-107-110、PC-2011-225、PC-2019-55、PC-207-125、PC-5040-167、PC-5070P-56、PD-195、PD320、PDP-70、及びPS-2002などSTEPANPOLシリーズの商品名など様々な商品名で入手可能である。
【0053】
ポリエステルポリオールを誘導可能である好適な多価アルコール(すなわち、ポリオール)の例としては、脂肪族ポリオール、例えば、エチレングリコール、プロパンジオール(例えば、1,2-プロパンジオール、及び1,3-プロパンジオール)、ブタンジオール(例えば、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、及び1,2-ブタンジオール)、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-ブチンジオール、ペンタンジオール(例えば、1,5-ペンタンジオール)、ペンテンジオール、ペンチンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(例えば、ジプロピレングリコール、及びトリプロピレングリコール)、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジオール、2量体ジオール、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールF、ポリカプロラクトンポリオール、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、グルコース、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0054】
ポリジエンポリオールも好適である。好ましいポリジエンポリオールは、ポリブタジエンポリオール、特にヒドロキシ末端ポリブタジエン(例えば、47.1 KOH/gのOH数及び2800g/molのモル重量Mnを有する、Cray Valley(France)製のPoly bd(登録商標)45 HTLO、又はDow Chemical(USA)から入手可能である、56のOH数を有するVorapel(登録商標)D3201)である。
【0055】
好適な天然油ポリオールは、1~8、好ましくは1.5~4のヒドロキシル官能価を有する。好適な天然油ポリオールの例としては、動物油及び植物油、好ましくは植物油など天然油から単離されるか、誘導されるか、又は製造されるヒドロキシ官能性油又はヒドロキシ官能性トリグリセリドが挙げられる。使用され得る植物油及び動物油の例としては、大豆油、ベニバナ油、亜麻仁油、コーン油、ヒマワリ油、ヒマシ油、オリーブ油、キャノーラ油、ゴマ油、綿実油、パーム油、菜種油、キリ油、魚油、及びこれらのブレンドが挙げられる。他の好適な油ポリオールとしては、例えば、部分水素化天然油、天然エポキシ化油、遺伝子組み換え天然油、及びこれらの組み合わせなど遺伝子組み換え天然油から誘導されたポリオールが挙げられる。かかる油の例としては、高オレイン酸ベニバナ油、高オレイン酸大豆油、高オレイン酸落花生油、高オレイン酸ヒマワリ油(National Sunflower Association(Mandan,North Dakota)製のNuSun(登録商標)ヒマワリ油など)、高オレイン酸キャノーラ油、高エルカ酸菜種油、及びクランベ油が挙げられるが、これらに限定されない。ヒマシ油は、本出願の文脈において好ましい天然油である。
【0056】
好適な市販のヒドロキシ官能性トリグリセリドは、Acme-Hardesty Co.(Blue Bell,Pennsylvania)製の#1 Castor Oilの商品名、又はBioBased Technologies(Springdale,Arkansas)製の例えば、AGROL 2.0、AGROL 3.6、AGROL 4.0、AGROL 3.0 AOなどAGROLシリーズの商品名など様々な商品名で入手可能である。
【0057】
好適なポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ジメチルカーボネート及びポリオールから誘導されたポリカーボネートポリオールが挙げられ、ポリオールの好適な例としては、脂肪族ポリオール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロパンジオール(例えば、1,2-プロパンジオール、及び1,3-プロパンジオール)、ブタンジオール(例えば、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、及び1,2-ブタンジオール)、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-ブチンジオール、ペンタンジオール(例えば、1,5-ペンタンジオール)、ペンテンジオール、ペンチンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(例えば、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコール)、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジオール、2量体ジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールF、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、グルコース、及びこれらの組み合わせ、並びにエチレンオキシド及びプロピレンオキシドなど有機酸化物から誘導されたポリオールが挙げられる。
【0058】
ジオール及びトリオールは、成分Aにおいて鎖延長剤又は鎖分岐剤として使用されてよく、例えば、利用可能なOH基の数を増加させることにより、低いNCO/OH比を調整する。以下で更に説明するように、NCO/OH比を低下させることを使用して、得られるLASDの制振最大値をより低い温度にシフトさせることができる。場合によっては、NCO/OH比を上昇させることを使用して、得られるLASDの制振最大値をより高い温度にシフトさせることができる。
【0059】
好ましい実施形態では、ポリオールは、ヒマシ油、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテル/ポリエステルポリオール、ポリジエンポリオール、ジプロピレングリコール、及びこれらの2つ以上の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む。
【0060】
より好ましい実施形態では、ポリオールは、ヒマシ油、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリジエンポリオール(特にポリブタジエンポリオール)、ジプロピレングリコール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0061】
更により好ましい実施形態では、ポリオールは、ヒマシ油及びポリエーテルポリオールからなる群、特にヒマシ油及びポリプロピレングリコールからなる群からから選択される。ポリプロピレングリコールは、好ましくは二官能性又は三官能性であり、例えば、二官能性及び三官能性グリコールなど異なる官能基を有するポリプロピレングリコールの混合物も使用されてよい。
【0062】
最も好ましいポリオールは、実施例で使用されるポリオール及びポリオールの組み合わせである。
【0063】
本発明の第1の実施例では、成分Aは、必須成分として、ポリオール、充填剤、及びポリウレタン重合触媒を、20~60体積%の充填剤、0超かつ最大0.5体積%のポリウレタン重合触媒の量で含み、合算して100体積%となる残部はポリオールであり、また任意成分として、0~3体積%のレオロジー添加剤、0~3体積%の接着促進剤、0~3体積%の乾燥剤、0~2体積%の分散添加剤、及び0~20体積%の難燃剤を含み、体積%は、成分Aの総体積に対してである。
【0064】
成分Aは、典型的には、2種以上の異なるポリオールを含み、また2種以上の充填剤を含んでよい。
【0065】
成分Aの総ポリオール含量は、典型的には、5~80重量%、好ましくは10~70重量%の範囲、更により好ましくは20~60重量%の範囲である。
【0066】
成分Aの総充填剤含量は、充填剤が成分A中に存在する場合、0超かつ最大95重量%、好ましくは20~80重量%の範囲、より好ましくは40~70重量%の範囲であり得る。
【0067】
ポリオール含量及び充填剤含量は、低密度LASDが望ましいか、高密度LASDが望ましいかに依存する。ある場合においては、LASDの所望の密度が高いほど、使用される充填剤の密度は高い。低密度LASDは、例えば、車体のような車両及び車両部品に特に好適である。低密度LASDの場合、成分Aの密度は、典型的には、0.5~1.8g/cm3、好ましくは0.5~1.6、より好ましくは0.7~1.3の範囲である。好ましい密度は、1g/cm3である。高密度LASDは、例えば、食器洗浄機のような家電製品に特に好適である。高密度LASDの成分Aの密度は、典型的には、1.8~2.8g/cm3、好ましくは2.0~2.6g/cm3、より好ましくは2.2~2.4g/cm3の範囲である。好ましい密度は、2.3g/cm3である。
【0068】
成分Aと成分Bとを混合することによって作製されるLASDの密度は、成分A及び成分Bの成分、並びに混合比に依存する。
【0069】
高密度LASDの好ましい実施形態では、成分Aは、10~35重量%のポリオールと、50~80重量%の充填剤と、0.005~0.2重量%のポリウレタン重合触媒と、0.1~2重量%の接着促進剤と、0.5~5重量%の乾燥剤と、0.1~3重量%の分散添加剤と、任意選択的に0.2~4重量%のレオロジー添加剤と、5~30重量%の難燃剤とを含む。
【0070】
低密度LASDの好ましい実施形態では、成分Aは、35~70重量%のポリオールと、20~50重量%の充填剤と、0.005~0.2重量%のポリウレタン重合触媒と、0.1~2重量%の接着促進剤と、0.5~5重量%の乾燥剤と、0.1~3重量%の分散添加剤と、任意選択的に0.2~4重量%のレオロジー添加剤と、5~30重量%の難燃剤とを含む。
【0071】
更に、成分Aの粘度は、実施例に記載の方法に従ってスピンドルRV-7で測定すると、23℃において50Pas~500Pas、及び/又は実施例に記載のようにTバースピンドルT-Cで測定すると、23℃において500Pas~5000Pas、好ましくは500Pas~1500Pasであり得る。Tバースピンドルを使用する場合、Helipath(商標)スタンド(AMETEK Brookfield(Middleboro,Massachusetts)から入手可能)など被測定物を貫く螺旋経路を作り出すことができるスタンドと共に使用する必要がある。
【0072】
成分B
本発明において、ポリウレタンを形成するために必要なイソシアネートを含む成分が、成分Bである。
【0073】
成分Bで使用されるイソシアネートは、当該技術分野においてポリウレタンの調製に従来使用されている任意のイソシアネート、又は当該従来のイソシアネートの2種以上の組み合わせであってよい。かかる従来のイソシアネートは、モノメリックイソシアネート、ポリメリックイソシアネート、及びイソシアネートプレポリマーからなる群から選択されてよい。イソシアネートは、一般に、約2以上、例えば、2.1以上、2.3以上、2.5以上、又は更には2.7以上の官能価を有する多官能性イソシアネートであり得る。いくつかの実施形態では、官能価は約2である。イソシアネートは、芳香族又は脂肪族であり得る。芳香族イソシアネートの代表的な例としては、ジフェニルメチレンジイソシアネート(MDI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートが挙げられる。脂肪族ジイソシアネートの代表的な例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加MDI、ドデカンイソシアネート、二量体ジイソシアネート、及び全てのポリマーの三量体イソシアネートが挙げられる。いくつかの実施形態では、イソシアネートとしてはMDI、テトラメチルキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、又はこれらの組み合わせが挙げられ得る。いくつかの実施形態では、イソシアネートはMDIを含み得る。一実施形態では、イソシアネートは、MDIベースである。成分Bは、2種以上のイソシアネートの混合物を含んでよい。
【0074】
好ましくは、成分Bで使用されるイソシアネートは、ポリメリックイソシアネートである。ポリメリックイソシアネートは、一般に、約2超である官能価を有し、いくつかの実施形態では少なくとも約2.3、いくつかの実施形態では約2.3超、いくつかの実施形態では約2.7の官能価を有する。ポリメリックMDIの官能性は、最終用途での予想される架橋密度の指標とすることができる。
【0075】
ポリメリックイソシアネートは、概してイソシアネート化合物の混合物である。実施形態では、ポリメリックMDIは、MDIの混合物(ジイソシアネート)であり、かつより高い官能性のイソシアネートポリマーとすることができる。例えば、ポリメリックMDIは、MDIの混合物、トリイソシアネート、テトラ-イソシアネート、ペンタ-イソシアネート、高級同族体、又はこれらの組み合わせとすることができる。
【0076】
好ましくは、当該ポリメリックイソシアネートとしては、MDI(4,4’-MDI)、MDI異性体(2,4’-MDI、2,2’-MDI)、より高官価の同族体(PMDI)又はそのプレポリマー、及びこれらの組み合わせをベースとするポリメリックイソシアネートのうちの少なくとも1つが挙げられる。より好ましくは、イソシアネートは、MDI異性体(2,4’-MDI、2,2’-MDI)及びより高官能価の同族体(PMDI)を含む、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(4,4’-MDI)のうちの少なくとも1つ又は混合物、例えば、DESMODUR(登録商標)(Covestro AG(Germany)から入手可能)の商品名で販売されているものである。TDI若しくはXDIのような他の芳香族イソシアネート、又はIPDI若しくはHDIのような脂肪族イソシアネートと比較して、室温での蒸気圧が低いために比較的低い毒性を有するという理由で、MDIベースのイソシアネートが好ましい場合がある。これらは更に、芳香族イソシアネートであるため、高速反応性を有する。これらが低価格であり、良好な接着特性を有することは、更なる利点である。
【0077】
本発明の典型的な実施形態では、成分Bはイソシアネートからなる。しかしながら、添加剤、好ましくは充填剤、難燃剤、及びレオロジー添加剤からなる群から選択される添加剤をイソシアネートに添加することも可能である。成分Bがこれらの添加剤のうちの1つ以上を含有する場合、100重量%までの残部がイソシアネートからなる。
【0078】
本発明の第1の実施形態では、成分Bは、必須成分として、40超かつ最大100重量%の少なくとも1種のイソシアネートであって、当該イソシアネートは、好ましくは、MDIベースのポリメリックイソシアネートを含む、又はそれからなる、イソシアネートと、任意成分として、0~50重量%の充填剤と、0~6重量%のレオロジー添加剤と、を含み、重量%は、成分Bの総重量に対してである。
【0079】
着色剤及び酸化防止剤のような更なる従来の添加剤も、成分Bに含まれてよい。難燃剤が成分Bの更なる任意成分である場合、好ましくは0~20重量%の量で存在する。
【0080】
成分Bの密度は、典型的には、1.0~1.4g/cm3、好ましくは1.1~1.3g/cm3、より好ましくは1.15~1.25g/cm3の範囲である。好ましい密度は、1.2g/cm3である。
【0081】
本発明の好ましい実施形態では、成分のうちの1つ、その一部、又はその全ては、成分A及び/又は成分B中に存在する限り、実施例で使用される成分から選択される。特に好ましい実施形態では、全成分が、実施例で使用される成分である。
【0082】
添加剤
本発明の2成分ポリウレタン系は、少なくとも1種の充填剤を含んでよい。充填剤は、成分A中、成分B中、両成分中、又はその形成された混合物中に存在してよい。
【0083】
成分Aで、任意選択的に成分Bでも使用される充填剤は、当該技術分野においてポリウレタン系で典型的に使用される任意の充填剤、又はかかる従来の充填剤の2種以上の組み合わせであってよい。成分A及び成分Bの両方が充填剤を含む場合、2つの成分中の充填剤は同一であっても異なっていてもよい。
【0084】
好ましくは、充填剤は、炭酸カルシウム(例えば、沈降、処理又は未処理、チョーク)、硫酸バリウム(バーライトなど)、中空又は非中空微小球(例えば、セラミック微小球)、ガラス球、硫化鉄、酸化鉄、ボーキサイト、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、ケイ酸マグネシウム水和物、水酸化マグネシウム、石膏、硫酸カルシウム、粘土、石英シリカ、他のケイ酸塩、有機充填剤、金属粉末、及びこれらの2つ以上の組み合わせのうちの少なくとも1つである。
【0085】
好ましい一実施形態では、本発明で使用される充填剤は、炭酸カルシウム若しくは硫酸バリウム、又はこれらの組み合わせ、より好ましくは硫酸バリウムである。当該好ましい充填剤は、他の充填剤と組み合わせて使用されてよく、又は成分A中に存在する唯一の充填剤であってよい。
【0086】
高密度LASDが、例えば家電製品又はその一部をコーティングするために所望される場合、充填剤は、好ましくは高密度を有する充填剤である。充填剤の当該高密度は、好ましくは2.3~5.5g/cm3、より好ましくは2.6~4.6g/cm3である。
【0087】
高密度LASDの場合、充填剤は、好ましくは炭酸カルシウム(例えば、沈降、処理又は未処理)、硫酸バリウム、酸化鉄、ボーキサイト、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、石膏、硫酸カルシウム、チョーク、金属粉末、又はこれらの2つ以上の組み合わせである。高密度LASDの好ましい実施形態では、硫酸バリウムは、充填剤、好ましくは成分A中に30~70重量%の充填剤である。
【0088】
低密度LASDが、例えば、車両部品をコーティングするために所望される場合、充填剤は、好ましくは低密度を有する充填剤である。充填剤の当該低密度は、好ましくは0.1g/cm3~1.2g/cm3である。
【0089】
低密度LASDの場合、充填剤は、炭酸カルシウム(例えば、沈降、処理又は未処理)、中空又は非中空微小球(例えば、セラミック微小球)、ガラス球、シリカ、及びこれらの2つ以上の組み合わせのうちの少なくとも1つである。低密度LASDの好ましい実施形態では、中空微小球又はガラス球は、充填剤であり、好ましくは成分A中に10~50重量%の量の充填剤である。
【0090】
本発明で使用するのに好適な重合触媒は、典型的には、2成分ポリウレタン系の重合に使用される任意の触媒、すなわち、ポリウレタン重合触媒である。かかる触媒は、当該技術分野において既知である。好ましくは、重合触媒は、金属カルボン酸塩及びジブチルスズジラウレート(DBTL)のうちの少なくとも1つである。有用な金属カルボン酸塩としては、例えば、コバルトカルボン酸塩、マンガンカルボン酸塩、及びこれらの混合物が挙げられる。他の有用な触媒としては、アミン触媒が挙げられる。最も好ましくは、触媒はジブチルスズジラウレート(DBTL)である。
【0091】
いくつかの実施形態では、成分Aは、0重量%超、例えば0.005重量%以上の触媒を含む。好ましい上限は、成分Aの総重量に基づいて0.5重量%の触媒である。好ましくは、触媒は、0.001重量%~0.5重量%、より好ましくは0.005重量%~0.45重量%、より好ましくは0.01重量%~0.4重量%、より好ましくは0.01重量%~0.2重量%、より好ましくは0.015重量%~0.1重量%の量で含有される。
【0092】
触媒の量はポットライフに影響を及ぼす。触媒の量が多いほど、ポットライフは短い。したがって、ポットライフは、触媒の量を変更することによって変更され得る。
【0093】
ポットライフの典型的な範囲は、23℃において5分~15分、好ましくは23℃において8分~10分である。好ましいポットライフ時間を実施例に示す。
【0094】
いくつかの実施形態にでは、湿気硬化型触媒(例えば、アミノ-トリアルキルアミン又は2,2’-ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE))がMDIプレポリマーの形成中に存在する。この湿気硬化型触媒は、重合触媒の量に寄与しない。
【0095】
いくつかの実施形態では、レオロジー添加剤が含まれてよい。本発明に好適なレオロジー添加剤は、ポリウレタン系の技術分野において従来の、任意のレオロジー添加剤から選択されてよい。好ましくは、レオロジー添加剤は、チキソトロピー剤である。レオロジー添加剤は、粘土、焼成シリカ、水素化ヒマシ油(例えば、BASF(Ludwigshafen,Germany)製のRILANIT(登録商標))、アミドワックス(例えば、King Industries,Inc(Norwalk,Connecticut)製のDISPARLON)、及びこれらの2つ以上の混合物のうちの少なくとも1つであり得る。最も好ましくは、レオロジー添加剤は、焼成シリカ又は焼成シリカと他のレオロジー添加剤との混合物である。レオロジー添加剤は、基材に塗布されると垂れを阻止するために任意選択的に含まれる。
【0096】
有用な接着促進剤は、ポリウレタン系の技術分野において従来の接着促進剤から選択され得る。好ましくは、これらは、有機シラン(特に、有機官能性シラン、例えば、反応性有機エポキシド及び加水分解性無機メトキシシリル基を有する有機シラン)、有機チタネート、有機ジルコネート、ハロゲン化ポリオレフィン、及びこれらの2つ以上の混合物のうちの少なくとも1つを含む。官能性有機シラン、例えば、実施例で使用される反応性有機エポキシド及び加水分解性無機メトキシシリル基を有する二官能性有機シランが特に好ましい。
【0097】
有用な乾燥剤は、ポリウレタン系の技術分野において従来の乾燥剤のいずれかから選択されてよい。好ましくは、これらは、モレキュラーシーブ、酸化カルシウム、オルトギ酸、及びこれらの2つ以上の混合物のうちの少なくとも1つを含む。最も好ましくは、乾燥剤は、モレキュラーシーブ、又は他の乾燥剤とのその混合物である。成分Bでは、乾燥剤は、p-トルエンスルホニルイソシアネート(PTSI)であってよい。
【0098】
分散剤又は乳化剤など分散添加剤は、例えば、充填剤を分散させるために、及び/又は垂れを回避するために、必要に応じて成分A及び若しくは成分Bに添加されてよい。好適な分散剤の例としては、大豆レシチン、シリコーンポリエーテル、又はシリコーンポリエステルコポリマーなどのレシチンが挙げられる。
【0099】
有用な難燃剤は、ポリウレタン系の技術分野において従来の難燃剤のいずれか1つであってよい。本発明のLASD中に難燃剤が存在する場合、典型的には、成分Aに含まれるが、成分Aの代わりに、又は成分Aに加えてのいずれかで、成分Bにも存在してもよい。
【0100】
好ましくは、難燃剤としては、金属水酸化物、金属酸化物、金属塩、金属混合水酸化物及び/又は酸化物塩、炭素、リン及び窒素化合物、ハロゲン化化合物、並びにこれらの2つ以上の混合物のうちの少なくとも1つが挙げられる。より好ましくは、それらは、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、酸化亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、膨張黒鉛、及びこれらの2つ以上の混合物からなる群から選択される。LASDの成分として本発明で使用される最も好ましい難燃剤は、単一難燃剤として、又は1種以上の他の難燃剤と組み合わせてのいずれかで使用される水酸化アルミニウムである。単一難燃剤である水酸化アルミニウムが最も好ましい。
【0101】
場合によっては、難燃剤は、充填剤でもある。難燃剤が充填剤でもある実施形態では、本明細書に記載の成分中の充填剤の総量は、充填剤でもある任意の難燃剤の量を含む。
【0102】
本発明による成分A及び成分Bは、任意選択的に、例えば、酸化防止剤、可塑剤、着色剤(例えば、顔料及び染料)、界面活性剤、及びこれらの混合物など、1つ以上の他の従来の添加剤を含んでよい。これらの他の添加剤は、典型的には、当該成分の総重量に基づいて、2重量%以下の総量で含有される。
【0103】
本発明のLASDの粒子成分は、静的ミキサーを使用して押出機によって塗布される、2成分ポリウレタン系の技術分野において従来の粒径を有する。
【0104】
本発明のLASDの粒子成分、例えば、チョーク、硫酸バリウム、及びヒュームドシリカの場合、粒径分布は、当該技術分野において従来の分布である。レーザー回折計粒子分析器(分散モジュールHydro MVを装備したMastersize 3000(商標)(Malvern Panalytical(Malvern,United Kingdom)から入手可能)で測定するとき、D90は、典型的には100μm以下である。
【0105】
微小球については、セラミック又はガラスであってよく、レーザー回折計粒子分析器(分散モジュールHydro MVを装備したMastersize 3000(商標)(Malvern Panalytical(Malvern,United Kingdom))で測定するとき、D90は、典型的には300μm未満である。
【0106】
A及びBの混合物
LASD組成物を形成するために、成分A及び成分Bは、所望の比率で混合される。成分A及び成分Bの2成分を混合すると、重合が開始し、ポリウレタンの形成が開始する。混合物中の成分A及び成分Bの組成及び混合比は、特定の用途に所望されるようにイソシアネート基とポリオールヒドロキシ基との当量比が得られるように変更され得る。
【0107】
成分A及び成分Bは、それらの個々の組成に応じて、任意の比率で混合されて、0.55~1.2のNCO/OH比が得られるが、典型的には、成分Aと成分Bとの混合比は、体積比で1.1:1~8:1である。好ましくは、成分A対成分Bの混合比は、体積比で2:1~6:1、より好ましくは体積比で3:1~5.5:1、より好ましくは体積比で3:1~5:1である。
【0108】
0.55未満の比率は、基材へのコーティングの不十分な付着をもたらすことがある。更に、架橋が不完全であることにより、材料がそれ以上硬化しないことがある。更に、硬化物は、加熱により液状になる場合がある。1.2超の比率は、湿気硬化に起因して、最終コーティング中に望ましくない多量の尿素基が組み込まれることになり得る。
【0109】
成分A及び成分Bの混合物の粘度は、実施例に記載の方法に従ってスピンドルRV-7で測定すると、23℃において約10Pas、約25Pas、又は約50Pas~約150Pas、約250Pas、約500Pas、約1000Pas、又は前述の値の任意の対の間の粘度であり得る。例えば、成分A及び成分Bの混合物の粘度は、スピンドルRV-7で測定すると、23℃において10Pas~250Pas、23℃において25Pas~250Pas、又は更には50Pas~150Pasであってよい。
【0110】
一般に、より高い粘度により、スロットダイ及び押出機を使用して、余剰スプレー、流出、又は滴下を生じさせることなく混合物を塗布することが可能となる。更に、この粘度により、ディスペンサに対して垂直である、傾斜している、湾曲している、又は頭上にある表面へのディスペンサでの塗布が可能になる。
【0111】
一般に、粘度が低いほど、成分A及び成分Bの混合物中の成分Aの量は少ない。したがって、混合物の粘度は、混合物中の成分Aの量を変更することによって調整され得る。
【0112】
粘度測定法は、実施例で開示する方法で概要を述べる。当業者は、成分A、成分B、又はこの2つの混合物の粘度を測定するために好適なスピンドル及び回転速度を選択することができる。例えば、スピンドルサイズは、適切に正確な測定値を得るために、被測定物がニュートンであるか、若しくは非ニュートンであるか、又は推定される粘度範囲など被測定物に基づいて選択されてよい。別の実施例では、非ニュートン流体を測定する場合にR-7スピンドルを使用するとき、好適な回転速度が選択されてよい。非ニュートン流体を測定するとき、Tバースピンドルが使用されてよい。Tバースピンドルが使用される場合、Helipath(商標)スタンド(AMETEK Brookfield(Middleboro,Massachusetts))又は類似のデバイスなど、スピンドルが被測定物を貫く螺旋経路を辿りやすくすることができるスタンドを使用することが役に立つことが多い。この技術により、スピンドルは、比較的障害のない、被測定物を貫く経路を辿ることができる。
【0113】
好ましい一実施形態では、LASDは低密度LASDであり、混合された成分A及び成分Bの密度は、23℃において1.7g/cm3以下、好ましくは0.7~1.2g/cm3の範囲である。当該低密度LASDの場合、制振最大値は、好ましくは7℃~23℃の範囲である。
【0114】
低密度LASDでは、成分A中の充填剤は低密度を有する。好ましい実施形態では、成分Aは、充填剤として中空微小球又はガラス球を、好ましくは10~50重量%の範囲で含む。
【0115】
低密度LASDの好ましい実施形態では、成分Aは、35~70重量%のポリオールと、20~50重量%の充填剤と、0.005~0.2重量%のポリウレタン重合触媒と、0.1~2重量%の接着促進剤と、0.5~5重量%の乾燥剤と、0.1~3重量%の分散添加剤と、任意選択的に0.2~4重量%のレオロジー添加剤と、5~30重量%の難燃剤とを含み、成分Bは、100重量%のMDI又はMDIプレポリマーベースのポリメリックイソシアネートを含み、成分A及び成分Bの混合物の密度は1.7g/cm3以下である。
【0116】
別の好ましい実施形態では、LASDは高密度LASDであり、混合された成分A及び成分Bの密度は、23℃において1.7g/cm3超、好ましくは1.8~2.2g/cm3の範囲である。当該低密度LASDの場合、制振最大値は、好ましくは17℃~35℃の範囲である。
【0117】
高密度LASDでは、成分A中の充填剤は高密度を有する。好ましい実施形態では、成分Aは、充填剤として硫酸バリウムを、好ましくは30~70重量%の範囲で含む。
【0118】
高密度LASDの好ましい実施形態では、成分Aは、10~35重量%のポリオールと、50~80重量%の充填剤と、0.005~0.2重量%のポリウレタン重合触媒と、0.1~2重量%の接着促進剤と、0.5~5重量%の乾燥剤と、0.1~3重量%の分散添加剤と、任意選択的に0.2~4重量%のレオロジー添加剤と、5~30重量%の難燃剤とを含み、成分Bは、100重量%のMDI又はMDIプレポリマーベースのポリメリックイソシアネートを含み、成分A及び成分Bの混合物の密度は1.7g/cm3超である。
【0119】
成分Aと成分Bとの混合物の23℃における密度は、典型的には、0.7~3.0g/cm3、好ましくは1.0~2.4g/cm3の範囲である。この密度範囲は、典型的には、0℃~40℃の範囲の制振最大値と結びついている。しかしながら、より低い又はより高い制振最大値も達成可能である。
【0120】
本明細書に開示する方法の1つの更なる利点は、2成分ポリウレタンLASD中の成分A及び成分Bの混合比を調整することによって、液体塗布型制振材の消音特性を調整できることである。好ましくは、この調整は、過剰なヒドロキシル基が存在して、不完全な架橋が生成されるようにする。
【0121】
2成分ポリウレタン系では、NCO/OH比が使用されて、LASDの制振特性を調整し得る。本発明に従って液体塗布型制振材として使用するために、重合するように調製された混合物中の成分A及び成分Bの混合比は、混合物中のポリオールヒドロキシル基(OH)に対するイソシアネート基(NCO)の比率が好ましくは0.55~1.2であるように選択される。
【0122】
図1は、異なる混合比に起因して、制振最大値がどのように変化するかを示す。しかしながら、制振最大値の温度は、NCO/OH比だけに依存するわけではない。他の影響は、例えば、層厚、ポリオールの種類、組成物中に存在する鎖延長剤(例えば、ジオール又はトリオール)の量、及び充填材の密度などである。したがって、NCO/OH比は、制振最大値の調整に使用され得るが、制振最大値に影響する唯一の因子ではない。それにもかかわらず、NCO/OH比を調整することによって制振最大値を変化させ得ることは、本発明のLASDの利点のうちの1つである。
【0123】
0.55~1.2、0.6~1.0、又は更には0.8~1.0の好ましいNCO/OH当量比範囲では、NCO/OH当量比では、ポリウレタンコーティングの形成が可能である、つまり、LASDとして特に好適であり、最終ポリウレタンコーティングの十分な消音特性が達成され得ることが見出された。典型的には、NCO/OH比が低いほど、最大損失係数の温度は低い。
【0124】
したがって、本発明のLASDは、LASD混合物中のOH基に対するNCO基の比率を単純に変更することによって、ユーザが制振最大値を調整できるために有利である。これは、成分A及び成分Bの混合比を変更することによって可能である。
【0125】
被コーティング基材
本発明の2成分ポリウレタン系は、任意の基材にLASDとしてコーティングされてよい。当該基材は平坦であるか、又は湾曲していてよく、その表面は平坦であるか、又は構造化されていてよい。本発明の2成分ポリウレタン系は、スレート葺き表面及び傾斜面をコーティングするため、及びコーティングを、例えば基材の縁部に高精度で位置合わせするために特に有用である。このような高精度の位置合わせは、本発明の2成分ポリウレタン系がフラットストリーム押出機で塗布され得るために可能である。
【0126】
基材は、任意の材料で作製されてよい。基材は、好ましくは、鋼鉄、ステンレス鋼、被覆鋼(例えば、KTL被覆鋼)、アルミニウム、亜鉛鉄板、ポリマー、プラスチック、ガラス繊維強化プラスチック又はポリマー、木材、積層体(例えば、積層床材)、及びこれらの材料の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される材料で作製される。より好ましくは、基材は、鋼鉄、ステンレス鋼、亜鉛鉄板、及びこれらの材料の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される材料で作製される。
【0127】
被コーティングデバイス又はデバイス部品
本発明によるLASDは、基材の任意の表面に塗布されてよい。特に、基材の垂直面、傾斜面、曲面、又は頭上面にLASDを塗布することが可能である。
【0128】
基材は、好ましくは、家電製品(例えば、食器洗浄機、乾燥機、洗濯機)、車両、飛行機、空調装置、農業機械、船舶用機械、宇宙船、ボート、オートバイ、建設機械、換気装置、建設要素、家具、パイプライン、鉄道、埋め込み物、モータ、電力変圧器、屋根材、エレベーター、及びこれらの部品からなる群から選択される装置又は製品の一部である。
【0129】
好ましい実施形態では、基材は車両又は車両部品の一部であり、車両は、好ましくは、自動車、飛行機、列車、鉄道車両、及びボートからなる群から選択される。更により好ましくは、基材は、自動車又は自動車部品(例えば、車体又は自動車ドア)の一部である。当該実施形態では、LASDは、好ましくは低密度LASDである。
【0130】
別の好ましい実施形態では、基材は家電製品又は家電製品の一部である。当該実施形態では、LASDは、好ましくは高密度LASDである。家電製品は、振動することがある、任意の家電製品であってよい。好ましくは、モータを有する電化製品、具体的には、食器洗浄機、洗濯機、乾燥機、ミキサー、冷蔵庫、冷凍庫、ブレンダー、フードプロセッサ、及びタンブラーからなる群から選択される家電製品である。これは、食器洗浄機、洗濯機、又は乾燥機であってよい。例えば、家電製品は、
(i)好ましくは、食器洗浄機の一部が、洗浄機タブ、ハウジング、乾燥機ドラム、洗浄室、ドア、基部、基底部、若しくはこれらの一部である、食器洗浄機若しくはその一部、又は、
(ii)好ましくは乾燥機の一部が、ハウジング、乾燥機用ドラム、ドア、基部、基底部、若しくはこれらの一部である、乾燥機若しくはその一部、又は、
(iii)好ましくは、洗濯機の一部が、タブ、ハウジング、ドア、基部、基底部、若しくはこれらの一部である、洗濯機若しくはその一部であり得る。
【0131】
別の好ましい実施形態では、基材は、シンク、ボウル又はタブ、好ましくは浴槽又は台所の流しの一部である。当該実施形態では、LASDは、好ましくは高密度LASDである。
【0132】
本発明の一実施形態は、本発明によるポリウレタンLASDでコーティングされた表面を含むデバイス又はデバイス部品であり、当該コーティング表面の振動は、コーティングされていない表面の振動と比較すると、当該LASDコーティングに起因して低減されている。
【0133】
表面にLASDをコーティングするための塗布プロセス
本発明のLASDは、押し出し(例えば、フラットストリーム押し出し、ビーズ押し出し、スロットダイ押し出しなど)、又は薄膜若しくはビードを塗布する任意の他の方法によって基材に塗布され得る。フラットストリーム押出機による塗布が好ましい。
【0134】
LASDの塗布は、典型的には、成分A及び成分Bを、例えばフラットストリーム押出機の混合要素内で、混合することを含む。かかる混合要素は、有利には静的ミキサーであってよい。続いて、LASDを基材の表面に塗布する。
【0135】
フラストリーム押出機は、当該技術分野において既知であり(例えば、Atlas Copco(Nacka,Sweden)製又はEisenmann intec(Erftstadt,Germany)製)、当業者は、本発明のLASDを塗布するための適切なフラットストリーム押出機を選択することができるであろう。
【0136】
好ましくは、本発明のLASDを塗布するためのフラットストリーム押出機は、2成分投与ユニット、例えば、2成分ピストン投与ユニット(2Cピストン投与ユニット)、混合要素(好ましくは静的ミキサー)、単一成分/又はLASDを形成する成分混合物の温度を制御するための温度制御部を含む。
【0137】
フラットストリーム押し出しを行うのに好適な好ましい装置は、実施例で使用されたAtlas Copco製アプリケータである。これは、好ましくは実施例で使用される設定を有する。
【0138】
LASDの塗布温度は、5℃~100℃、好ましくは5℃~80℃、より好ましくは5℃~60℃、より好ましくは10℃~50℃、より好ましくは20℃~45℃、更により好ましくは35℃~40℃、最も好ましくは周囲温度であってよい。
【0139】
塗布は、生産ライン上で部分的に若しくは完全に自動で、及び/又はオンラインで実行されてよい。好ましくは、塗布は、生産ライン上で完全に自動かつオンラインで行われる。
【0140】
LASDの塗布後、LASDは、加熱せずに、又は加熱手段を使用せずに、周囲温度で硬化する。周囲温度は、10℃~40℃、好ましくは15℃~30℃、より好ましくは20℃~25℃の製造施設内の温度である。
【0141】
ポリウレタン層
本発明に従って塗布されるポリウレタンは、塗布されて、約0.5mm、1.0mm、2.0mm、又は約3.0~約5.0mm、10mm、15mm、20mm、又は前述の値の任意の対の間の厚さを有する層を形成することができる。好適な厚さは、好ましくは、1mm~5mm、好ましくは2mm~4mm、より好ましくは2mm~3mmの範囲内の厚さであってよい。層厚は制振効果に寄与し、層厚が厚いほど、制振効果は高い。
【0142】
ポリウレタン層の表面重量は、約1kg/m2、2kg/m2、又は3kg/m2~およそ10kg/m2、15kg/m2、20kg/m2、若しくは約40kg/m2、又は前述の値の任意の対の間の任意の表面重量であってよい。
【0143】
制振効果
本発明の2成分ポリウレタン系は、液体塗布型制振材(LASD)である。これは、広い温度範囲にわたって良好な損失係数をもたらし、広範囲の周波数にわたって優れた振動吸収特性をもたらす。その制振効果を
図1~
図3に示す。
【0144】
本発明によるLASDで作製されたポリウレタン層は、測定値が得られる温度範囲にわたり、0.1以上の2次(100~150Hz)での最大損失係数を有する。損失係数は、DIN EN ISO 6721-3:1996の手順Aに記載の試験方法に従って、3mm(±0.2mm)のLASD層厚を使用して、-30℃~80℃の温度範囲にわたって測定される。
【0145】
図に示すように、本明細書に開示するLASDの制振最大値は、-10℃~80℃、より好ましくは0℃~40℃、更により好ましくは10℃~35℃、更により好ましくは15℃~25℃の温度において生じる。
【0146】
好ましくは、成分A及び成分Bの混合物の密度が1.7g/cm3超である場合、本発明によるLASDで作製されるポリウレタン層は、25℃において0.1以上の二次(100~150Hz)での損失係数を有する。
【0147】
別の好ましい態様では、成分A及び成分Bの混合物の密度が1.7g/cm3以下である場合、本発明によるLASDで作製されるポリウレタン層は、15℃において0.1以上の二次(100~150Hz)での損失係数を有する。
【0148】
特に、本発明のLASDは、低周波範囲、例えば1000Hz未満の周波数の音に対して優れた制振効果を有する。制振効果は、10Hz~1000Hzの周波数範囲で特に良好であり、100Hz~500Hzの周波数範囲で更に良好であり、100Hz~250Hzの周波数範囲で更に良好であり、特に100Hz~150Hzの周波数範囲で良好である。
【0149】
30Hz~10,000Hz、特に100Hz~300Hzの周波数範囲は、冷蔵庫、食器洗浄機、ごみ処理機、ブレンダー、及び動作時に振動によって騒音を生じさせ得る他のデバイスなど家電製品における制振評価のために監視される。例えば、食器洗浄機の使用時に電気モータ及び水飛びなどから生じる騒音は、概ねこの周波数範囲内である。自動車車両の場合、30Hz~10,000Hz、又は更には100Hz~約150Hzの二次における制振特性が特に着目される。これは、この周波数が、エンジンから生じる典型的な振動周波数に対応するためである。
【0150】
有用な損失係数値は、高密度LASDでは約25℃において、低密度LASDでは約15℃においてである。この理由は、高密度LASDが通常、家電製品などのデバイスで機能することを意味する一方で、低密度LASDは通常、車両内で機能することを意味することである。車両の通常の年間平均周囲温度は15℃であるが、家電製品の周囲温度は、これよりも概して高い。更に、家電製品は、典型的には、より高い温度で動作し、例えば、食器洗浄機の平均動作温度は40℃である。
【0151】
本発明のLASDは、有利には、フラットストリーム押出機を使用して組成物が塗布されることを有利に可能にする粘度を有する。これにより、通常はコーティングされにくいデバイスの部分、例えば、表面の縁部、傾斜部、又は湾曲部のコーティングが可能になる。LASDの粘度は、マット又はホイルを手で貼り付けるときに正確にやり遂げることが非常に困難である、頭上への塗布を可能にする。
【0152】
傾斜面又は曲面への塗布及び頭上への塗布の場合、本発明のLASDは、好ましくはチキソトロピー添加剤、例えば、焼成シリカを含む。当該添加剤は、好ましくは、成分Aに含まれる。
【0153】
更に、生産ライン上で部分的に又は完全にのいずれかのオンラインで、ロボット又は他の自動化を使用した塗布が可能である。これにより、コスト及び精度が最適化されるだけでなく、ユーザが被コーティング領域上で層厚を変更することも可能になる。
【実施例】
【0154】
ここで、本発明の特定の実施形態を説明する以下の実施例を挙げて本発明を説明する。実施例に記載の成分は、それらの種類の好ましい成分として理解されるものとする。しかしながら、これらの実施例は、単に説明を目的として提示されるものであり、本明細書で上述したように本発明を更に限定することを意図するものではない。
【0155】
実施例に記載の組成物の全成分は、別途記載のない限り市販されており、通常の業務用品質を備えている。実施例で与えられる全てのパーセント(%)値は、別途記載のない限り、当該組成物の総重量に対して与えられる重量%、又は当該組成物の総体積に対して与えられる体積%である。
【0156】
実施例1:難燃剤を含まない高密度LASD
成分A:
ポリオール
ヒマシ油(OH値 およそ164mg KOH/g)。
第1の二官能性ポリプロピレングリコール(OH値 およそ29mg KOH/g)。
第2の二官能性ポリプロピレングリコール(ジプロピレングリコール、OH値 およそ836mg KOH/g)。
【0157】
充填剤:
硫酸バリウム(およそ9のd50[μm]での粒径(レーザー散乱)、及びおよそ4のふるい残分(DIN EN ISO 787-7に従って測定すると、1%中に45μm)。
沈降炭酸カルシウム(およそ21m2/gの比表面積、及び2.6%のコーティング含量)。
【0158】
触媒:
ジブチルスズジラウレート(DBTL)
【0159】
接着促進剤:
シラン(3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン)
【0160】
乾燥剤:
モレキュラーシーブ(微粉状、高多孔質、結晶性アルミノケイ酸塩;3オングストロームの公称開孔(3Åモレキュラーシーブ))。
【0161】
分散添加剤:
大豆レシチン
【0162】
成分B:
ポリメリックMDI(90mPasの粘度、31.5%のNCO含量)
【0163】
【0164】
成分Aの密度は2.4g/cm3であり、成分Bの密度は1.2g/cm3であった。成分AのOH含量は、219.2mmol OH/100mLであった。成分Aの粘度は、Brookfield RV粘度計(AMETEK Brookfield(Middleboro,Massachusetts)製)及び10rpm(23℃)のスピンドルRV-7で測定すると200Pasであり、Brookfield HB粘度計(AMETEK Brookfield)及び0.5rpm(23℃、1分)のTバースピンドルT-Cで測定すると750Pasであった。成分Bの粘度は、Brookfield RV粘度計及び10rpm(23℃)のスピンドルRV-7で測定すると、90mPasであった。
【0165】
以下の混合物を試験した。
【0166】
第1の比率の実施例:NCO/OH比0.8:
この実施例におけるLASDのA:Bの混合比は体積比で5.2:1であり、これは重量比の10:1に相当した。A及びBの硬化生成物の密度は、2.2g/cm
3であった(アルキメデスの原理を使用して測定)。A及びBの混合物中のNCO/OH比は、0.8であった。A及びBの混合物の粘度は、Brookfield RV粘度計及び10rpm(23℃)のスピンドルRV-7で測定すると、およそ100Pasであった。
図1に示すように、得られたLASDは、0℃において制振最大値を有した。
【0167】
第2の比率の実施例:NCO/OH比0.9:
このLASDの混合比A:Bは、体積比で4.7:1であり、これは重量比の9.0:1に相当した。A及びBの硬化生成物の密度は、2.2g/cm
3であった。A及びBの混合物中のNCO/OH比は、0.9であった。この混合物の粘度は、Brookfield RV粘度計及び10rpm(23℃)のスピンドルRV-7で測定すると、およそ95Pasであった。
図1に示すように、得られたLASDは、15℃において制振最大値を有した。
【0168】
第3の比率の実施例:NCO/OH比1.0:
このLASDの混合比A:Bは、体積比で4.2:1であり、これは重量比の8.1:1に相当した。A及びBの硬化生成物の密度は、2.2g/cm
3であった。A及びBの混合物中のNCO/OH比は、1.0であった。混合物の粘度は、Brookfield RV粘度計及び10rpm(23℃)のスピンドルRV-7で測定すると、およそ90Pasであった。
図1に示すように、得られたLASDは、25℃において制振最大値を有した。
【0169】
図1で上述した実施例の結果を比較すると、混合比及びNCO/OH比を変更することによって制振最大値を調整することができる。NCO含量が低いほど、すなわち、NCO/OH比が低いほど、制振最大値の温度は低い。NCO/OH比を増加させると、制振最大値が増加する。これは、例えば食器洗浄機のような家電製品などに好適な高密度LASDである。これらは、通常、40℃又は25℃における制振最大値を必要とするため、これらの装置にはより高いNCO/OH比、例えば、0.9~1.2、好ましくは1.0~1.2の比率が好ましい。
【0170】
実施例2:難燃剤を含む高密度LASD
成分A:
ポリオール
ヒマシ油(OH値 およそ164mg KOH/g)。
三官能性ポリプロピレングリコール(OH値 400mg KOH/g)。
第1の二官能性ポリプロピレングリコール(OH値 およそ29mg KOH/g)。
第2の二官能性ポリプロピレングリコール(ジプロピレングリコール、およそ836mg KOH/gのOH値)
【0171】
充填剤:
硫酸バリウム(およそ9のd50[μm]での粒径(レーザー散乱)、及びおよそ4のふるい残分(DIN EN ISO 787-7に従って測定すると、1%中に45μm)。
沈降炭酸カルシウム(およそ21m2/gの比表面積、及び2.6%のコーティング含量)。
【0172】
レオロジー添加剤:
焼成シリカ(合成、疎水性、非晶質シリカ、およそ120m2/gのBET表面積)
【0173】
触媒:
ジブチルスズジラウレート(DBTL)
【0174】
接着促進剤:
シラン(3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン)
【0175】
乾燥剤:
モレキュラーシーブ(微粉状、高多孔質、結晶性アルミノケイ酸塩;公称開孔:3オングストローム(3Åモレキュラーシーブ))。
【0176】
難燃剤:
水酸化アルミニウム(20~30cm3/100gの吸油率、粒径(レーザー散乱、Cilas)d50[μm]:15~25)。
【0177】
分散添加剤:
大豆レシチン
【0178】
成分B:
ポリメリックMDI(90mPasの粘度、31.5%のNCO含量)
【0179】
【0180】
成分Aの密度は2.2g/cm3であり、成分Bの密度は1.2g/cm3であった。成分AのOH含量は、406.2mmol OH/100mLであった。成分Aの粘度は、Brookfield RV粘度計及び10rpm(23℃)のスピンドルRV-7で測定すると230Pasであり、Brookfield HB粘度計及び0.5rpm(23℃、1分)のTバースピンドルT-Cで測定すると880Pasであった。成分Bの粘度は、Brookfield RV粘度計及び10rpm(23℃)のスピンドルRV-7で測定すると、90mPasであった。
【0181】
このLASDの混合比A:Bは、体積比で3.8:1であり、これは重量比の6.8:1に相当した。A及びBの硬化生成物の密度は、2.0g/cm3であった。A+B混合物中のNCO/OH比は0.6であり、23℃におけるポットライフは10分であった。混合物の粘度は、Brookfield RV粘度計及び10rpm(23℃)のスピンドルRV-7で測定すると、およそ110Pasであった。
【0182】
これは、例えば食器洗浄機のような家電製品などに好適な高密度LASDである。更なる技術的効果として、難燃特性を有する。これは、難燃剤が成分A中に存在するためである。このLASDの制振最大値は、25℃~30℃の範囲内である。3.1mmの層厚及び6.2kg/m
2の表面重量について、100Hz及び200Hzの周波数でのOberst測定の結果を示す
図2を参照されたい。
【0183】
実施例3:低密度LASD
成分A:
ポリオール:
ヒマシ油(OH値:およそ164mg KOH/g)
二官能性ポリプロピレングリコール(ジプロピレングリコール、OH値:およそ836mg KOH/g)
【0184】
充填剤:
セラミック微小球(d50[μm]の粒径(レーザー散乱):70~90)
沈降炭酸カルシウム(およそ21m2/gの比表面積、及び2.6%のコーティング含量)。
【0185】
レオロジー添加剤:
焼成シリカ(合成、疎水性、非晶質シリカ、およそ120m2/gのBET表面積)。
【0186】
触媒:
ジブチルスズジラウレート(DBTL)
【0187】
接着促進剤:
シラン(3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン)
【0188】
乾燥剤:
モレキュラーシーブ(微粉状、高多孔質、結晶性アルミノケイ酸塩;公称開孔:3オングストローム(3Åモレキュラーシーブ))。
【0189】
分散添加剤:
大豆レシチン
【0190】
成分B:
ポリメリックMDI(90mPasの粘度、31.5%のNCO含量)
【0191】
【0192】
成分Aの密度は1.0g/cm3であり、成分Bの密度は1.2g/cm3であった。成分AのOH含量は、241.1mmol OH/100mLであった。成分Aの粘度は、Brookfield RV粘度計及び10rpm(23℃)のスピンドルRV-7で測定すると140Pasであり、Brookfield HB粘度計及び0.5rpm(23℃、1分)のTバースピンドルT-Cで測定すると690Pasであった。成分Bの粘度は、Brookfield RV粘度計及び10rpm(23℃)のスピンドルRV-7で測定すると、90mPasであった。
【0193】
このLASDの混合比A:Bは、体積比で4.8:1であり、これは重量比の3.8:1に相当した。成分A及び成分Bの硬化生成物の密度は、1.0g/cm3であった。A及びBの混合物中のNCO/OH比は0.8であり、23℃におけるポットライフは12分であった。混合物の粘度は、Brookfield RV粘度計及び10rpm(23℃)のスピンドルRV-7で測定すると、およそ70Pasであった。
【0194】
これは、例えば、車体のような車両及び車両部品に特に好適な低密度LASDである。このLASDの制振最大値は、層厚に応じて15℃~20℃の範囲内である。
図3は、3つの異なる層厚のOberst測定の結果を示す。
【0195】
方法1:フラットストリーム押出機での塗布
実施例1~3で測定したコーティングは、実験室において手で塗布した。比較試験(図示せず)は、コーティングの制振特性が、手でコーティングされた基材とフラットストリームでコーティングされた基材との間で大幅には異ならないことを示した。
【0196】
これらの実施例に記載のLASDの成分A及び成分Bは、以下のように、フラットストリーム押出機を使用して基材に塗布してよい。基材は、方法5に記載するように、ばね鋼製のOberstバーである。フラットストリーム押出機は、スロットダイ(フラットストリームノズル)、SYS6000 2K制御ユニット、2成分ピストン投与ユニット(成分A用のADKE 6000_0200投与ユニット及び成分B用のADKE 6000_0080投与ユニット)、成分Bの中心供給装置を備える混合スロットルMVS-2K、温度制御部、及び静的ミキサー(Sulzer、8個の単一セグメント、SCA-No.80725.000050)を備える、Atlas Copco製フラットストリーム押出機であってよい。
【0197】
フラットストリーム押出機による塗布は、塗布速度に応じて、2mm~3mm(±0.02mm)の厚さを有するコーティングをもたらしてよい。
【0198】
方法2:密度の測定
混合物の液体密度は、DIN EN 542:2003-08に従って、50mLの金属製比重瓶中で23℃において測定した。
【0199】
発泡体などの固体の密度は、アルキメデスの原理を使用して測定した。試料の体積は、試料を水体中に配置し、試料によって変位した水の体積を読み取ることによって測定した。試料の重量を測定し、次いで、変位した体積を試料の重量で割ることによって密度を計算した。
【0200】
方法3:粘度の測定
粘度は、DIN EN 52456に基づいて、2つの異なる測定条件下で23℃においてBrookfield粘度計を用いて測定した。使用した特定の条件は、個々の測定結果において示す。
【0201】
測定は、Brookfield RVDV-II粘度計(すなわち、AMETEK Brookfield製のBrookfield RV粘度計)で10rpm(23℃)のスピンドルRV-7、又はBrookfield HBDV-III Ultra粘度計(すなわち、AMETEK Brookfield製のBrookfield HB粘度計)で0.5rpm(23℃)のTバースピンドルT-Cのいずれかを用いて実施した。Tバースピンドル測定によって、チキソトロピー性を考慮した。
【0202】
Tバースピンドルを使用する場合には、Helipath(商標)スタンド(AMETEK Brookfield)を併せて使用して、被測定物を貫く螺旋経路を作り出した。測定は、Tバースピンドルが被測定物の表面に触れるとすぐに開始した。1分後の粘度値をTバースピンドル測定条件下での粘度とした。
【0203】
方法4:ポットライフの測定
ポットライフは23℃で測定した。円錐形であり、頂部直径70mm及び底部直径45mmを有する200mLカップに、所望の混合比の成分A及び成分Bを充填した。長さ300mm、厚さ8mmの木製棒で撹拌することによって、これらの成分を1分間にわたって十分に混合した。混合の開始から開始して、ポットライフを測定した。混合物が攪拌するにはかなり硬くなり次第、ポットライフに到達したとみなした。
【0204】
方法5:損失係数の測定(Oberst測定法)
損失係数は、TWS Michael Schulthes(Lagerdorf,Germany)によって提供されるBSS 202クランプデバイスを使用して、DIN EN ISO 6721-3の手順Aに従って測定した。この手順では、片側にクランプされた金属ストリップに接着されたLASD層の損失係数を、電磁励起曲げ振動の評価によって決定する。
【0205】
設定は以下のとおりであった。
- Oberstバー:240mm×10mm×1mm(ばね鋼;引張強度1000~1300N/mm2)
- コーティング:206mm×10mm×3mm
- 周波数範囲:およそ10~1000Hz
- 被測定次数:二次
【0206】
上記の形状のOberstバーを、長さ206mm及び幅10mmを有するLASD層で測定した。1~10mmの複数の厚さを測定し、損失因子を報告する試料ごとに本明細書及び図に関する凡例で個別に示す。特定の厚さが不要である場合に測定される典型的な厚さは、1~5mm、特に3mmの厚さである。
【0207】
結果は以下のとおりであった。
【0208】
実施例1の高密度LASDは、1.0のNCO/OH比及び厚さ3mmであり、実施例2の高密度LASDは厚さ3.1mmであり、25℃において二次(100~150Hz)による損失係数は、0.1超であった。
【0209】
実施例3の低密度LASDは、厚さ3mmであり、15℃における二次(100~150Hz)による損失係数は、0.1超であった。
【0210】
低密度LASDは15℃において測定した。これは、低密度LASDが自動車用途を意図しており、15℃は車両の年間平均温度であるためである。高密度LASDは25℃において測定した。これは、高密度LASDが、概してより高い温度(例えば、食器洗浄機の洗浄プログラムの平均温度は40℃であり得る)で機能する家電製品を意図していたためである。
【手続補正書】
【提出日】2021-05-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項9
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項9】
成分A及び成分Bの前記混合物の密度は、23℃において0.7~1.2g/cm
3であり、前記消音コーティングの最大損失係数は、DIN EN ISO 6721-3:1996の手順Aに記載のように、Oberst測定によって3mmの層厚かつ二次測定で測定すると、7℃~40℃の温度において
0.1以上である、又は
成分A及び成分Bの前記混合物の密度は、23℃において1.8~2.2g/cm
3であり、前記消音コーティングの最大損失係数は、DIN EN ISO 6721-3:1996の手順Aに記載のように、Oberst測定によって3mmの層厚かつ二次測定で測定すると、17℃~45℃の温度において
0.1以上である、請求項7又は8に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
いくつかの態様では、成分A及び成分Bの混合物の密度は、23℃において0.7~1.2g/cm3であり、消音コーティングの最大損失係数は、DIN EN ISO 6721-3:1996の手順Aに記載のように、Oberst測定によって3mmの層厚かつ二次測定で測定すると、7℃~40℃の温度において0.1以上である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
いくつかの態様では、成分A及び成分Bの混合物の密度は、23℃において1.8~2.2g/cm3であり、消音コーティングの最大損失係数は、DIN EN ISO 6721-3:1996の手順Aに記載のように、Oberst測定によって3mmの層厚かつ二次測定で測定すると、17℃~45℃の温度において0.1以上である。
【国際調査報告】