(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(54)【発明の名称】ベルトを加工する方法
(51)【国際特許分類】
F16G 3/10 20060101AFI20220113BHJP
F16G 1/20 20060101ALI20220113BHJP
【FI】
F16G3/10 B
F16G1/20
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021551327
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(85)【翻訳文提出日】2021-07-16
(86)【国際出願番号】 AT2019060394
(87)【国際公開番号】W WO2020102839
(87)【国際公開日】2020-05-28
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521216430
【氏名又は名称】ベルンドルフ イノベーションズ ウント テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ハイドン
(72)【発明者】
【氏名】アタオラー ヤフィディ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファニー レグラス
(57)【要約】
本発明は、ベルト本体(2)を備えたベルト(1)を加工する方法であって、ベルト本体(2)が第1表面(3)と第2表面(4)とを有しており、第1表面(3)と第2表面(4)とが側面(5)によって互いに結合され、側面(5)のそれぞれが第1表面(3)及び第2表面(4)のそれぞれよりも小さく、ベルト(1)の第1表面(3)及び第2表面(4)のうちの少なくとも一方が、少なくとも1つの層(6,7)を有する被覆体で被覆され、工程i)において、ベルトの被加工領域内で、被覆体を中断するか又は切り欠き、被加工領域内に、被覆体を中断する凹部(9)、特にはギャップ状又は穴状の凹部(9)を形成し、凹部が、少なくとも1つの被覆体の互いに対向する区分によって少なくとも部分的に仕切られ、すぐに続く、又はさらなる中間工程に続く工程ii)において、被覆体の少なくとも1つの層(6,7)の材料と同種の少なくとも1つの材料で、凹部(9)を少なくとも部分的に埋める、ベルト本体を備えたベルト(1)を加工する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト本体(2)を備えたベルト(1)を加工する方法であって、
前記ベルト本体(2)が第1表面(3)と第2表面(4)とを有し、前記第1表面(3)と前記第2表面(4)とが側面(5)によって互いに結合され、前記側面(5)のそれぞれが前記第1表面(3)及び第2表面(4)のそれぞれよりも小さく、前記ベルト(1)の第1表面(3)及び第2表面(4)のうちの少なくとも一方が、少なくとも1つの層(6,7)を有する被覆体(8)で被覆されている、方法において、
工程i)において、前記ベルト(2)の被加工領域の周りに、前記被覆体(8)を中断する凹部(9)、特にはギャップ状又は穴状の凹部(9)を形成し、前記凹部が、前記少なくとも1つの被覆体(8)の互いに対向する区分によって少なくとも部分的に仕切られ、前記被加工領域内で前記ベルト(2)を加工した後、工程ii)において、前記被覆体(8)の前記少なくとも1つの層(6,7)の材料と同種の少なくとも1種の材料(8a)で、前記凹部(9)を少なくとも部分的に埋めることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記ベルト本体(2)が金属から製造されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記被覆体(8)が、非金属材料から、特にはプラスチック、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から製造されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記凹部(9)の底部(9)が前記ベルト本体(2)の前記第1表面(3)の被覆体無しの区分によって形成され、前記凹部(9)を少なくとも部分的に仕切る前記被覆体(8)の互いに対向する区分が、前記ベルト本体(2)の前記第1表面(3)の被覆体無しの区分によって互いに分離されていることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程i)において、前記被覆体が前記ベルト本体(2)の第1表面(3)上に被着され、前記側面に対して横方向又は斜め方向に延びる前記ベルト本体(2)の自由端(10,11)のところで、一方の側で前記ベルト本体(2)のそれぞれ1つの自由端(10,11)によって仕切られた前記ベルト本体(2)の前記第1表面(3)のそれぞれ1つの領域が、前記被覆体のない状態に保たれることを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程i)の後で、且つ工程ii)の前に、前記凹部(9)を形成するために、前記被覆体のない状態に保たれた両自由端(10,11)の端縁部を互いに当接させ、そして互いに結合し、これにより前記ベルト本体(2)がエンドレスベルトになるように結合されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記両自由端(10,11)が、溶接シーム(12)を形成しながら互いに溶接されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記被覆体を、前記凹部(9)の中央へ向かって斜め面取りし、且つ/又はそれぞれ1つの上側と、前記上側に続いて設けられた端面側とを有する段部を形成しつつ段付けし、段付けの場合には、前記ベルト本体(2)の第1表面(3)に対する前記段部の上側の高さが、前記凹部(9)の縁部から前記凹部(9)の中央へ向かって小さくなっていることを特徴とする、請求項1~7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程i)と工程ii)との間で、前記ベルト本体(2)の前記第1表面(3)が露出するまで、前記被覆体が少なくとも1つの傾斜面及び/又は段部を形成しながら取り除かれ、そして続いて、前記ベルト本体(2)が、特に、前記ベルト本体(2)の部分を研削し且つ/又は切り抜き、そして材料を前記ベルト本体(2)内へ挿入することによって加工されることを特徴とする、請求項1~8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記凹部(9)を前記被覆体の材料で埋めるために、噴霧法が用いられることを特徴とする、請求項1~9の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト本体を備えたベルトを加工する方法であって、前記ベルト本体が第1表面と第2表面とを有しており、前記第1表面と前記第2表面とが側面によって互いに結合されており、前記側面のそれぞれが前記表面のそれぞれよりも小さく、前記ベルトの表面のうちの少なくとも一方が少なくとも1つの層を有する被覆体で被覆されている形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
被覆体を備えたベルトを加工するときには、被覆体が加工の邪魔になるという問題が生じる。例えば、結果的に閉じることによりエンドレスベルトにしようとする被覆体付きベルトの場合、被覆体を損傷することなしにこれを実施することが重要である。例えばこのような種類のベルトの自由端を互いに結合するために、ベルト本体の、被覆体とは反対側の被覆体無しの側で、これらの自由端を互いに溶接することができる。しかしながら、このことは被覆体の損傷という多大なリスクに結びつく。さらに、ベルト材料は、溶接時に溶接個所の領域内の被覆体により合金化されることがある。これによりベルト材料の特性が局所的に著しく変化するおそれがある。
【0003】
また、被覆体付きベルトのベルト本体の修理も困難になる。それというのも、このようなベルト本体は通常、ベルトは被覆体がない下側からしか自由にアクセスできないからである。これに加えて、修理を被覆体自体に施すことは、極めて困難であり多大な手間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は従来技術の欠点を克服し、被覆体付きベルトの加工を改善して容易にし、この場合加工済みのベルトの被覆体もベルト本体自体も損傷を被らないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題は、本発明によれば、冒頭で述べた形式の方法によって解決される。すなわち、工程i)において、前記被覆体を中断する凹部、具体的にはギャップ状又は穴状の凹部を前記ベルトの被加工領域の周りに形成し、前記凹部が前記少なくとも1つの被覆体の互いに対向する区分によって少なくとも部分的に仕切られ、前記被加工領域内で前記ベルトを加工した後、工程ii)において、前記被覆体の前記少なくとも1つの層の材料と同種の少なくとも1つの材料で、前記凹部を少なくとも部分的に埋める。
【発明の効果】
【0006】
本発明は例えば、修理という範囲内で、被覆体を有する表面からのベルトの加工を容易に可能にする。本発明による解決手段によって、一方の側又は両方の側に一貫して被覆されたエンドレスベルトの容易な製造も可能になる。ここで指摘しておきたいのは、この関連においてベルトの加工とは、エンドレスな状態又は開いた状態でのベルトの修理とも、ベルトをエンドレスにするプロセスとも理解されることである。
【0007】
本発明の有利な実施態様によれば、ベルト本体は金属から製造されていてよい。
【0008】
前記被覆体が非金属材料から、具体的にはプラスチック、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から製造されていると特に有利であることが判っている。
【0009】
ベルト本体を加工するのに特に適した本発明の1実施態様によれば、前記凹部の底部が前記ベルト本体の前記表面の被覆体無しの区分によって形成され、前記被覆体の、前記凹部を少なくとも部分的に仕切る互いに対向する区分が、前記ベルト本体の前記表面の被覆体無しの区分によって互いに分離されていてよい。
【0010】
本発明の製造に特に適したエンドレスベルトの有利なさらなる構成の場合、工程i)において、前記被覆体が前記ベルト本体の表面上に被着され、前記側面に対して横方向又は斜め方向に延びる前記ベルト本体の自由端のところで、一方の側で前記ベルト本体のそれぞれ1つの自由端によって仕切られた前記ベルト本体の前記表面のそれぞれ1つの領域が、前記被覆体のない状態に保たれるようになっていてよい。
【0011】
さらに、工程i)の後に且つ工程ii)の前に、前記凹部を形成するために、前記被覆体のない状態に保たれた両自由端の端縁部を互いに当接させ、そして互いに結合し、これにより前記ベルト本体がエンドレスベルトになるように結合されてよい。
【0012】
前記両自由端が、溶接シームを形成しながら互いに溶接されると有利である。
【0013】
具体的には、工程ii)で被覆体の材料を被着する際に噴霧法を用いる場合に均一な層厚を達成するために、前記被覆体を、前記凹部の中央へ向かって斜め面取りし、且つ/又はそれぞれ1つの上側と、前記上側に続いて設けられた端面側とを有する段部を形成しつつ段付けし、段付けの場合には、前記ベルト本体の表面に対する前記段部の上側の高さが、前記凹部の縁部から前記凹部の中央へ向かって小さくなっていると有利である。本発明のこのような実施態様によって、特に、噴霧法(スプレー・コーティング)を用いた場合に、被覆されるべき個所上に指向された被覆体材料から成る噴流の内部の被覆体材料の量が、噴流の中心軸線に対して半径方向に減少すると、加工された個所の被覆後に、凹部の中心の中央領域も凹部の縁部領域もほぼ同じ層厚を有することを保証し得る。被覆材料を注入する方法を用いる場合にも、材料は凹部の中央部分に充填された後、本発明のこのような実施態様では縁部領域に制御された状態で到達し、凹部内に分配することができるので、被覆体のほぼ均一な厚さが達成される。これに加えて、本発明のこのような実施態様によって、被加工領域の隣接領域の遮蔽を省くことができる。それというのは、段付けによって、隣接領域内への材料の不所望なオーバーフローを阻止するか又は少なくとも著しく低減することができるからである。遮蔽によって被覆体が損傷されるおそれがあるため、このことは特に有利である。
【0014】
特に既存のベルトの修理に特に適した有利な実施態様の場合、工程i)と工程ii)との間で、前記ベルト本体の前記表面が露出するまで、前記被覆体が少なくとも1つの傾斜面及び/又は段部を形成しながら取り除かれ、そして続いて、前記ベルト本体が、具体的には前記ベルト本体の部分を研削し且つ/又は切り抜き、そして材料を前記ベルト本体内へ挿入することによって加工されるようになっていてよい。
【0015】
前記凹部を前記被覆体の材料で埋めるために、噴霧法が用いられることにより、層厚を特に正確に調節することができる。
【0016】
本発明のより良い理解のために、下記図面に基づき本発明を詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明による加工中の被覆体付きベルトを著しく単純化させて示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
最初に書き留めておくが、種々異なるものとして記載される実施形態において、同一部分には同一参照符号もしくは同一構成部分符号を付す。説明全体に含まれる開示内容は、同一参照符号もしくは同一構成部分符号を有する同一部分に相応して転用することができる。また、説明において選択された位置に関する記述、例えば上、下、側方などは、直接に説明され図示された図面に関するものであり、そして位置が変化したときには、これらの位置に関する記述は相応して新しい位置に転用することができる。
【0019】
図1に示されているように、本発明による方法では、ベルト本体2を備えたベルト1が使用される。ベルト本体は第1表面3と第2表面4とを有している。ベルト本体2は金属から製造されていると有利である。
【0020】
第1表面3と第2表面4とは側面5によって互いに結合されている。側面5のそれぞれは表面3,4のそれぞれよりも小さい。図示の実施例では、ベルト1の表面3,4のうちの一方、つまり表面3は、ここでは2つの層6,7を有する被覆体8で被覆されている。被覆体8は例えば1種の材料もしくは2種以上の相異なる材料8aを噴霧、注入することにより、又は材料8aで塗布することにより行うことができる。
図1に示されたものとは異なり、被覆体8は両方の表面3及び4に被着されていてもよい。さらに、被覆体8は、ただ1つの層又は3つ以上、例えば3つ、4つ又は5つもしくは任意の複数の層を有していてもよい。最も下側の層7とベルト本体2の表面との間には、1つ又は2つ以上の接着剤層を被着することもできる。必要な場合には、接着剤は層6及び7の間、且つ/又は被覆体8の互いに連続する他の層の間に被着されていてもよい。被覆体8もしくは層6,7は1種又は2種以上の非金属材料8aから成っている。このような非金属材料はプラスチック、具体的にはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。被覆体の個々の層6,7の材料8aは互いに区別することができ、異なっていてよく、例えば層6は第1材料から、そして層7は第2材料から成っていてよい。もっとも、層6及び7は同じ材料8aから形成されていることも可能である。
【0021】
工程i)では、特に、被覆体8を中断する、ギャップ、穴、又は切り欠きの形態で、凹部9をベルト1の被加工領域の周りに形成する。凹部9は種々異なる形式で形成することができる。例えばさらに後述するように、凹部9は、例えばベルト1の修理という範囲内では、被覆体8の材料8aを取り除くことにより行うことができ、あるいはベルト1の自由端10,11を結合してエンドレスベルトにすることにより形成することもできる。
【0022】
凹部9は被覆体8の互いに対向する区分によって仕切られる。
図1からさらに判るように、凹部9の底部は、ベルト本体2の表面3の被覆体無しの区分によって形成されていてよい。被覆体8の、凹部9を仕切る互いに対向する区分は、ベルト本体2の表面3の被覆体無しの区分によって互いに分離されている。
【0023】
工程i)において、被覆体はベルト本体2の表面3上に被着することができる。側面に対して横方向又は斜め方向に延びるベルト本体2の自由端10,11のところで、一方の側でベルト本体2のそれぞれ1つの自由端10,11によって仕切られたベルト本体2の表面3のそれぞれ1つの領域が、被覆体のない状態に保たれている。
【0024】
被覆後に、凹部9を形成するために、被覆体のない状態に保たれた両自由端10,11の端縁部を互いに当接させ、そして互いに結合することができ、これによりベルト本体2がエンドレスベルトになるように結合される。両自由端10及び11の結合は溶接によって行われると有利である。これにより溶接シーム12が生じる。溶接シーム12は例えば研削によってさらなる加工を施すことができる。
【0025】
図1から明らかなように、被覆体8は凹部9の中央へ向かって段付けされていてよい。ここでは被覆体8に段部が形成されている。段部はそれぞれ1つの上側と、上側に続いて設けられた端面側とを有している。ここに示された実施形態では、第1段部の上側は層6の上側によって形成される。第1段部の端面側は層6の上側と、ベルト本体2の表面3に対してほぼ平行に延びる、層7の露出した表面とを互いに結合する。層7の今述べた表面は第2段部の上側を形成する。第2段部の端面側は、第2段部の上側と、ベルト本体2の表面3とを結合する。
【0026】
ベルト本体2の表面3に対する段部の上側の高さは、凹部9の縁部から凹部9の中央へ向かって小さくなる。段部を使用する代わりに、被覆体8は凹部9の領域内で斜め面取りされていてもよい。
【0027】
被覆体8の段部を形成するために、材料8aをベルト本体2上に層状に被着することができる。先ず層7を、自由端10及び11の周りの領域を空いたまま残しながら被着し、これに続いて層6を層7上に被着する。
【0028】
例えばベルト本体2上に材料を被着するか又はベルト本体2から材料を取り除くことによって、あるいは両端部10及び11を溶接することによって、ベルト1の被加工領域を加工した後、工程ii)において、被覆体8の少なくとも1つの層6,7の材料と同種の少なくとも1種の材料8aで、凹部9を埋める。凹部9は材料8aでプロセスに関連して部分的に、完全に、又は過剰に高く埋めることができる。凹部9を過剰に高く埋めると、材料が被覆体の隣接領域内へオーバーフローすることになる。
【0029】
材料8aをベルト本体2上へ噴霧する噴霧法で、凹部9が埋められると特に有利である。あるいは、材料8aをブラシ、ローラ、又は静電被覆によって被着するか、又は凹部9内へ注入する方法を用いることもできる。
図1に示された被覆体8の段付けによって、凹部9を埋めるためのこのようなすべての方法において、均一な層厚を達成することができる。それというのは、材料8aを凹部9の中央から均一に縁部へ向かって分配することができるからである。さらに、被加工領域に続く縁部領域の遮蔽を省くことができる。
【0030】
なお最後に形式的なことであるが、構造をより良く理解するために、エレメントは部分的に一定の尺度でなく、且つ/又は拡大し、且つ/又は縮小して示したことを指摘しておく。
【符号の説明】
【0031】
1 ベルト
2 ベルト本体
3 表面
4 表面
5 側面
6 層
7 層
8 被覆体
8a 材料
9 凹部
10 端部
11 端部
12 溶接シーム
【手続補正書】
【提出日】2021-02-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に記載された方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被覆体を備えたベルトを加工するときには、被覆体が加工の邪魔になるという問題が生じる。例えば、結果的に閉じることによりエンドレスベルトにしようとする被覆体付きベルトの場合、被覆体を損傷することなしにこれを実施することが重要である。例えばこのような種類のベルトの自由端を互いに結合するために、ベルト本体の、被覆体とは反対側の被覆体無しの側で、これらの自由端を互いに溶接することができる。しかしながら、このことは被覆体の損傷という多大なリスクに結びつく。さらに、ベルト材料は、溶接時に溶接個所の領域内の被覆体により合金化されることがある。これによりベルト材料の特性が局所的に著しく変化するおそれがある。
【0003】
また、被覆体付きベルトのベルト本体の修理も困難になる。それというのも、このようなベルト本体は通常、ベルトは被覆体がない下側からしか自由にアクセスできないからである。これに加えて、修理を被覆体自体に施すことは、極めて困難であり多大な手間がかかる。被覆体付き薄板を溶接する方法が特許文献1及び特許文献2に基づき公知である。特許文献3は管状の中空体の製造を対象としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第9529033号
【特許文献2】米国特許出願公開第2014003860号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第184330号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は従来技術の欠点を克服し、被覆体付きベルトの加工を改善して容易にし、この場合加工済みのベルトの被覆体もベルト本体自体も損傷を被らないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題は、本発明によれば、請求項1の特徴部分の特徴により、冒頭で述べた形式の方法によって解決される。
【発明の効果】
【0007】
本発明は例えば、修理という範囲内で、被覆体を有する表面からのベルトの加工を容易に可能にする。本発明による解決手段によって、一方の側又は両方の側に一貫して被覆されたエンドレスベルトの容易な製造も可能になる。ここで指摘しておきたいのは、この関連においてベルトの加工とは、エンドレスな状態又は開いた状態でのベルトの修理とも、ベルトをエンドレスにするプロセスとも理解されることである。
【0008】
本発明の有利な実施態様によれば、ベルト本体は金属から製造されていてよい。
【0009】
前記被覆体が非金属材料から、具体的にはプラスチック、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から製造されていると特に有利であることが判っている。
【0010】
ベルト本体を加工するのに特に適した本発明の1実施態様によれば、前記凹部の底部が前記ベルト本体の前記表面の被覆体無しの区分によって形成され、前記被覆体の、前記凹部を少なくとも部分的に仕切る互いに対向する区分が、前記ベルト本体の前記表面の被覆体無しの区分によって互いに分離されていてよい。
【0011】
本発明の製造に特に適したエンドレスベルトの有利なさらなる構成の場合、工程i)において、前記被覆体が前記ベルト本体の表面上に被着され、前記側面に対して横方向又は斜め方向に延びる前記ベルト本体の自由端のところで、一方の側で前記ベルト本体のそれぞれ1つの自由端によって仕切られた前記ベルト本体の前記表面のそれぞれ1つの領域が、前記被覆体のない状態に保たれるようになっていてよい。
【0012】
さらに、工程i)の後に且つ工程ii)の前に、凹部を形成するために、前記被覆体のない状態に保たれた両自由端の端縁部を互いに当接させ、そして互いに結合し、これにより前記ベルト本体がエンドレスベルトになるように結合されてよい。
【0013】
前記両自由端が、溶接シームを形成しながら互いに溶接されると有利である。
【0014】
具体的には、工程ii)で被覆体の材料を被着する際に噴霧法を用いる場合に均一な層厚を達成するために、前記被覆体を、前記凹部の中央へ向かって斜め面取りし、且つ/又はそれぞれ1つの上側と、前記上側に続いて設けられた端面側とを有する段部を形成しつつ段付けし、段付けの場合には、前記ベルト本体の表面に対する前記段部の上側の高さが、前記凹部の縁部から前記凹部の中央へ向かって小さくなっていると有利である。本発明のこのような実施態様によって、特に、噴霧法(スプレー・コーティング)を用いた場合に、被覆されるべき個所上に指向された被覆体材料から成る噴流の内部の被覆体材料の量が、噴流の中心軸線に対して半径方向に減少すると、加工された個所の被覆後に、凹部の中心の中央領域も凹部の縁部領域もほぼ同じ層厚を有することを保証し得る。被覆材料を注入する方法を用いる場合にも、材料は凹部の中央部分に充填された後、本発明のこのような実施態様では縁部領域に制御された状態で到達し、凹部内に分配することができるので、被覆体のほぼ均一な厚さが達成される。これに加えて、本発明のこのような実施態様によって、被加工領域の隣接領域の遮蔽を省くことができる。それというのは、段付けによって、隣接領域内への材料の不所望なオーバーフローを阻止するか又は少なくとも著しく低減することができるからである。遮蔽によって被覆体が損傷されるおそれがあるため、このことは特に有利である。
【0015】
特に既存のベルトの修理に特に適した有利な実施態様の場合、工程i)と工程ii)との間で、前記ベルト本体の前記表面が露出するまで、前記被覆体が少なくとも1つの傾斜面及び/又は段部を形成しながら取り除かれ、そして続いて、前記ベルト本体が、具体的には前記ベルト本体の部分を研削し且つ/又は切り抜き、そして材料を前記ベルト本体内へ挿入することによって加工されるようになっていてよい。
【0016】
前記凹部を前記被覆体の材料で埋めるために、噴霧法が用いられることにより、層厚を特に正確に調節することができる。
【0017】
本発明のより良い理解のために、下記図面に基づき本発明を詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明による加工中の被覆体付きベルトを著しく単純化させて示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
最初に書き留めておくが、種々異なるものとして記載される実施形態において、同一部分には同一参照符号もしくは同一構成部分符号を付す。説明全体に含まれる開示内容は、同一参照符号もしくは同一構成部分符号を有する同一部分に相応して転用することができる。また、説明において選択された位置に関する記述、例えば上、下、側方などは、直接に説明され図示された図面に関するものであり、そして位置が変化したときには、これらの位置に関する記述は相応して新しい位置に転用することができる。
【0020】
図1に示されているように、本発明による方法では、ベルト本体2を備えたベルト1が使用される。ベルト本体は第1表面3と第2表面4とを有している。ベルト本体2は金属から製造されていると有利である。
【0021】
第1表面3と第2表面4とは側面5によって互いに結合されている。側面5のそれぞれは表面3,4のそれぞれよりも小さい。図示の実施例では、ベルト1の表面3,4のうちの一方、つまり表面3は、ここでは2つの層6,7を有する被覆体8で被覆されている。被覆体8は例えば1種の材料もしくは2種以上の相異なる材料8aを噴霧、注入することにより、又は材料8aで塗布することにより行うことができる。
図1に示されたものとは異なり、被覆体8は両方の表面3及び4に被着されていてもよい。さらに、被覆体8は、ただ1つの層又は3つ以上、例えば3つ、4つ又は5つもしくは任意の複数の層を有していてもよい。最も下側の層7とベルト本体2の表面との間には、1つ又は2つ以上の接着剤層を被着することもできる。必要な場合には、接着剤は層6及び7の間、且つ/又は被覆体8の互いに連続する他の層の間に被着されていてもよい。被覆体8もしくは層6,7は1種又は2種以上の非金属材料8aから成っている。このような非金属材料はプラスチック、具体的にはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。被覆体の個々の層6,7の材料8aは互いに区別することができ、異なっていてよく、例えば層6は第1材料から、そして層7は第2材料から成っていてよい。もっとも、層6及び7は同じ材料8aから形成されていることも可能である。
【0022】
工程i)では、特に、被覆体8を中断する、ギャップ、穴、又は切り欠きの形態で、凹部9をベルト1の被加工領域の周りに形成する。凹部9は種々異なる形式で形成することができる。例えばさらに後述するように、凹部9は、例えばベルト1の修理という範囲内では、被覆体8の材料8aを取り除くことにより行うことができ、あるいはベルト1の自由端10,11を結合してエンドレスベルトにすることにより形成することもできる。
【0023】
凹部9は被覆体8の互いに対向する区分によって仕切られる。
図1からさらに判るように、凹部9の底部は、ベルト本体2の表面3の被覆体無しの区分によって形成されていてよい。被覆体8の、凹部9を仕切る互いに対向する区分は、ベルト本体2の表面3の被覆体無しの区分によって互いに分離されている。
【0024】
工程i)において、被覆体はベルト本体2の表面3上に被着することができる。側面に対して横方向又は斜め方向に延びるベルト本体2の自由端10,11のところで、一方の側でベルト本体2のそれぞれ1つの自由端10,11によって仕切られたベルト本体2の表面3のそれぞれ1つの領域が、被覆体のない状態に保たれている。
【0025】
被覆後に、凹部9を形成するために、被覆体のない状態に保たれた両自由端10,11の端縁部を互いに当接させ、そして互いに結合することができ、これによりベルト本体2がエンドレスベルトになるように結合される。両自由端10及び11の結合は溶接によって行われると有利である。これにより溶接シーム12が生じる。溶接シーム12は例えば研削によってさらなる加工を施すことができる。
【0026】
図1から明らかなように、被覆体8は凹部9の中央へ向かって段付けされていてよい。ここでは被覆体8に段部が形成されている。段部はそれぞれ1つの上側と、上側に続いて設けられた端面側とを有している。ここに示された実施形態では、第1段部の上側は層6の上側によって形成される。第1段部の端面側は層6の上側と、ベルト本体2の表面3に対してほぼ平行に延びる、層7の露出した表面とを互いに結合する。層7の今述べた表面は第2段部の上側を形成する。第2段部の端面側は、第2段部の上側と、ベルト本体2の表面3とを結合する。
【0027】
ベルト本体2の表面3に対する段部の上側の高さは、凹部9の縁部から凹部9の中央へ向かって小さくなる。段部を使用する代わりに、被覆体8は凹部9の領域内で斜め面取りされていてもよい。
【0028】
被覆体8の段部を形成するために、材料8aをベルト本体2上に層状に被着することができる。先ず層7を、自由端10及び11の周りの領域を空いたまま残しながら被着し、これに続いて層6を層7上に被着する。
【0029】
例えばベルト本体2上に材料を被着するか又はベルト本体2から材料を取り除くことによって、あるいは両端部10及び11を溶接することによって、ベルト1の被加工領域を加工した後、工程ii)において、被覆体8の少なくとも1つの層6,7の材料と同種の少なくとも1種の材料8aで、凹部9を埋める。凹部9は材料8aでプロセスに関連して部分的に、完全に、又は過剰に高く埋めることができる。凹部9を過剰に高く埋めると、材料が被覆体の隣接領域内へオーバーフローすることになる。
【0030】
材料8aをベルト本体2上へ噴霧する噴霧法で、凹部9が埋められると特に有利である。あるいは、材料8aをブラシ、ローラ、又は静電被覆によって被着するか、又は凹部9内へ注入する方法を用いることもできる。
図1に示された被覆体8の段付けによって、凹部9を埋めるためのこのようなすべての方法において、均一な層厚を達成することができる。それというのは、材料8aを凹部9の中央から均一に縁部へ向かって分配することができるからである。さらに、被加工領域に続く縁部領域の遮蔽を省くことができる。
【0031】
なお最後に形式的なことであるが、構造をより良く理解するために、エレメントは部分的に一定の尺度でなく、且つ/又は拡大し、且つ/又は縮小して示したことを指摘しておく。
【符号の説明】
【0032】
1 ベルト
2 ベルト本体
3 表面
4 表面
5 側面
6 層
7 層
8 被覆体
8a 材料
9 凹部
10 端部
11 端部
12 溶接シーム
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト本体(2)を備えたベルト(1)
からエンドレスベルトを加工
又は製造する方法であって、
前記ベルト本体(2)が第1表面(3)と第2表面(4)とを有し、前記第1表面(3)と前記第2表面(4)とが側面(5)によって互いに結合され、前記側面(5)のそれぞれが前記第1表面(3)及び第2表面(4)のそれぞれよりも小さく、前記ベルト(1)の第1表面(3)及び第2表面(4)のうちの少なくとも一方が、少なくとも1つの層(6,7)を有する被覆体(8)で被覆されている、方法において、
工程i)において、前記ベルト(
1)の被加工領域の周りに、前記被覆体(8)を中断する凹部(9)、特にはギャップ状又は穴状の凹部(9)を形成し、前記凹部が、前記少なくとも1つの被覆体(8)の互いに対向する区分によって少なくとも部分的に仕切られ、前記被加工領域内で前記ベルト(
1)を加工した後、工程ii)において、前記被覆体(8)の前記少なくとも1つの層(6,7)の材料と同種の少なくとも1種の材料(8a)で、前記凹部(9)を少なくとも部分的に埋めることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記ベルト本体(2)が金属から製造されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記被覆体(8)が、非金属材料から、特にはプラスチック、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から製造されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記凹部(9)の底部(9)が前記ベルト本体(2)の前記第1表面(3)の被覆体無しの区分によって形成され、前記凹部(9)を少なくとも部分的に仕切る前記被覆体(8)の互いに対向する区分が、前記ベルト本体(2)の前記第1表面(3)の被覆体無しの区分によって互いに分離されていることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程i)において、前記被覆体が前記ベルト本体(2)の第1表面(3)上に被着され、前記側面に対して横方向又は斜め方向に延びる前記ベルト本体(2)の自由端(10,11)のところで、一方の側で前記ベルト本体(2)のそれぞれ1つの自由端(10,11)によって仕切られた前記ベルト本体(2)の前記第1表面(3)のそれぞれ1つの領域が、前記被覆体のない状態に保たれることを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程i)の後で、且つ工程ii)の前に、前記凹部(9)を形成するために、前記被覆体のない状態に保たれた両自由端(10,11)の端縁部を互いに当接させ、そして互いに結合し、これにより前記ベルト本体(2)が
前記エンドレスベルトになるように結合されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記両自由端(10,11)が、溶接シーム(12)を形成しながら互いに溶接されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記被覆体を、前記凹部(9)の中央へ向かって斜め面取りし、且つ/又はそれぞれ1つの上側と、前記上側に続いて設けられた端面側とを有する段部を形成しつつ段付けし、段付けの場合には、前記ベルト本体(2)の第1表面(3)に対する前記段部の上側の高さが、前記凹部(9)の縁部から前記凹部(9)の中央へ向かって小さくなっていることを特徴とする、請求項1~7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程i)と工程ii)との間で、前記ベルト本体(2)の前記第1表面(3)が露出するまで、前記被覆体が少なくとも1つの傾斜面及び/又は段部を形成しながら取り除かれ、そして続いて、前記ベルト本体(2)が、特に、前記ベルト本体(2)の部分を研削し且つ/又は切り抜き、そして材料を前記ベルト本体(2)内へ挿入することによって加工されることを特徴とする、請求項1~8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記凹部(9)を前記被覆体の材料で埋めるために、噴霧法が用いられることを特徴とする、請求項1~9の何れか一項に記載の方法。
【国際調査報告】