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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-21
(54)【発明の名称】画像誘導手術のための追跡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20220114BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20220114BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20220114BHJP
【FI】
A61B34/20
G06F3/01 510
G06T19/00 600
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021524279
(86)(22)【出願日】2019-11-14
(85)【翻訳文提出日】2021-04-28
(86)【国際出願番号】 IB2019059770
(87)【国際公開番号】W WO2020109903
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】16/200,144
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.SMALLTALK
(71)【出願人】
【識別番号】521188539
【氏名又は名称】オーグメディクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086461
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 和則
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ、スタート
(72)【発明者】
【氏名】エリメレック、ニザン
【テーマコード(参考)】
5B050
5E555
【Fターム(参考)】
5B050AA02
5B050BA09
5B050DA04
5B050EA09
5B050EA19
5B050EA27
5B050FA02
5B050FA05
5E555AA63
5E555AA76
5E555BA04
5E555BA22
5E555BA38
5E555BB04
5E555BB22
5E555BB38
5E555BC01
5E555CA42
5E555CA44
5E555CB48
5E555CB72
5E555CB74
5E555DA08
5E555DA09
5E555DB53
5E555FA00
(57)【要約】
ディスプレイ(30)を含む第1のヘッドマウント装置(28)上に配置された第1の追跡装置(34)を使用して、第1の視線からツールの一部(22)および患者マーカー(38)を追跡することを含む装置および方法が記載される。ツールの一部と患者マーカーは、2番目の追跡装置(34´/60)を使用して、第2の視線から追跡される。患者マーカーの一部とツールの一部の両方が第1の視線内にある場合、拡張現実画像は、第1の追跡装置から受信したデータに基づいて、かつ第2の追跡装置からのデータを使用せずに、第1のディスプレイ上に生成される。少なくとも患者マーカーの一部とツールの一部が両方共には第1の視線内にない場合、ツールの仮想画像および患者の解剖学的構造は、第2の追跡装置から受信したデータを使用して生成される。他の実施形態についても記載される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体の一部の内に配置されるように構成されたツールと共に使用するための方法であって:
第1の人により装着される第1のヘッドマウント装置上に配置される第1の追跡装置を使用して、前記ツールおよび前記患者の体の上に置かれた患者マーカーの一部を第1の視線から追跡するステップであって、前記第1のヘッドマウント装置は第1のヘッドマウントディスプレイを備えるステップと;
第2の追跡装置を使用して、前記ツールと前記患者の体の上に置かれた患者マーカーとの一部を第2の視線から追跡するステップと;
少なくとも1つのコンピュータプロセッサを使用して:
前記患者マーカーの少なくとも一部と前記ツールの一部が両方とも前記第1の視線内にある場合、前記第1の追跡装置から受信したデータに基づいて、かつ前記第2の追跡装置からのデータを使用せずに、前記第1のヘッドマウントディスプレイ上に拡張現実画像を生成するステップであって、前記拡張現実画像は、(b)前記患者の体に重ねられた(a)前記ツールおよび前記患者の解剖学的構造の仮想画像を有する、ステップと;
前記患者マーカーの少なくとも一部と前記ツールの一部が両方共には前記第1の視線内にない場合、少なくとも部分的に前記第2の追跡装置から受信したデータに基づいて、前記第1のヘッドマウントディスプレイ上に前記ツールおよび前記患者の解剖学的構造の仮想画像を生成するステップと;
を有する、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ツールの一部を追跡する前記ステップは、ツールマーカーを追跡するステップを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の追跡装置を使用して、前記ツールおよび前記患者の体の上に置かれた患者マーカーの一部を第2の視線から追跡する前記ステップは、静止位置に配置された前記第2の追跡装置を使用して、前記ツールと前記患者マーカーの少なくとも一部を追跡するステップを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の追跡装置を使用して前記ツールおよび前記患者マーカーの少なくとも一部を追跡する前記ステップは、第1のカメラを使用して前記ツールおよび前記患者マーカーの少なくとも一部を追跡するステップを有し、前記第2の追跡装置を使用して前記ツールおよび前記患者マーカーの少なくとも一部を追跡するステップは、第2のカメラを使用して前記ツールおよび前記患者マーカーの少なくとも一部を追跡するステップを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも部分的に前記第2の追跡装置から受信したデータに基づいて、前記第1のヘッドマウントディスプレイ上に前記ツールおよび前記患者の解剖学的構造の仮想画像を生成する前記ステップは:
前記患者マーカーの一部が前記第1の視線内にあり、前記ツールの一部が前記第1の視線内にないことに応答して:
前記第2の追跡装置から受信したデータを使用して、被験者の解剖学的構造に対する前記ツールの位置を決定するステップと;
前記被験者の解剖学的構造に対する前記ツールの前記決定された位置に基づいて、前記第1のヘッドマウントディスプレイ上に前記ツールおよび前記患者の解剖学的構造の仮想画像を生成するステップと;
前記第1の追跡装置から受信したデータに基づいて、前記第1のヘッドマウント装置に対する前記患者の体の位置を決定するステップと;そして
前記第1のヘッドマウント装置に対する前記患者の体の前記決定された位置に基づいて、前記患者の体に仮想画像を重ねるステップと;
を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも部分的に前記第2の追跡装置から受信したデータに基づいて、前記第1のヘッドマウントディスプレイ上に前記ツールおよび前記患者の解剖学的構造の仮想画像を生成する前記ステップは:
前記ツールの一部が前記第1の視線内にあり、前記患者マーカーの一部が前記第1の視線内にないことに応答して:
前記第2の追跡装置から受信したデータを使用して、被験者の解剖学的構造に対する前記ツールの位置を決定するステップと;
前記被験者の解剖学的構造に対する前記ツールの前記決定された位置に基づいて、前記第1のヘッドマウントディスプレイ上に前記ツールおよび前記患者の解剖学的構造の仮想画像を生成するステップと;
を有する、ことを特徴とする請求項1-5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のヘッドマウントディスプレイ上に前記ツールおよび前記患者の解剖学的構造の仮想画像を生成する前記ステップは、
前記患者マーカーの一部が前記第1の視線内にあったときに前記第1の追跡装置から受信したデータに基づいて決定された、前記第1のヘッドマウント装置に対する前記患者の体の位置に基づいて、前記患者の体上に前記仮想画像を重ねるステップをさらに有する、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記患者の体上に前記仮想画像を重ねる前記ステップは、前記第1のヘッドマウント装置に配置された慣性測定ユニットを使用して、前記患者マーカーの一部が前記第1の視線内にあった時間と前記患者マーカーの一部が前記第1の視線内に無い時間との間の時間において、前記ヘッドマウント装置の動きを追跡するステップを有する、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも部分的に前記第2の追跡装置から受信したデータに基づいて、前記第1のヘッドマウントディスプレイ上に前記ツールおよび前記患者の解剖学的構造の仮想画像を生成する前記ステップは:
前記ツールの一部および前記患者マーカーの一部が共に前記第1の視線内にないことに応答して:
前記第2の追跡装置から受信したデータを使用して、前記被験者の解剖学的構造に対する前記ツールの位置を決定するステップと;
前記被験者の解剖学的構造に対する前記ツールの前記決定された位置に基づいて、前記第1のヘッドマウントディスプレイ上に前記ツールと前記患者の解剖学的構造の仮想画像を生成するステップと;
を有する、ことを特徴とする請求項1-5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のヘッドマウントディスプレイ上に前記ツールおよび前記患者の解剖学的構造の仮想画像を生成する前記ステップは、
前記患者マーカーの一部が前記第1の視線内にあったときに前記第1の追跡装置から受信したデータに基づいて決定された、前記第1のヘッドマウント装置に対する前記患者の体の位置に基づいて、前記患者の体の上に仮想画像を重ねるステップをさらに有する、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記患者の体の上に仮想画像を重ねる前記ステップは、前記第1のヘッドマウント装置に配置された慣性測定ユニットを使用して、前記患者マーカーの一部が前記第1の視線内にあった時間と前記患者マーカーの一部が前記第1の視線内に無い時間との間の時間において、前記ヘッドマウント装置の動きを追跡するステップを有する、ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の追跡装置を使用して、前記ツールと前記患者マーカーとの少なくとも一部を前記第2の視線から追跡する前記ステップは、第2の人が着用する第2のヘッドマウント装置上に配置された第2の追跡装置を使用して前記第2の視線から前記ツールおよび前記患者マーカーの少なくとも一部を追跡するステップを有する、ことを特徴とする請求項1-5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第2のヘッドマウント装置は、第2のヘッドマウントディスプレイを含み、前記方法は、前記第2のヘッドマウントディスプレイ上にさらなる拡張現実画像を生成するステップをさらに有する、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
患者の体の一部内に配置されるように構成されたツールと共に使用するための装置であって:
前記患者の体の上に配置されるように構成される患者マーカーと;
第1のヘッドマウントディスプレイと、第1の視線から前記ツールおよび前記患者マーカーの少なくとも一部を追跡するように構成される第1の追跡装置と、を備える第1のヘッドマウント装置と;
第2の視線から前記ツールおよび前記患者マーカーの少なくとも一部を追跡するように構成された第2の追跡装置と;そして
少なくとも1つのコンピュータプロセッサであって:
前記患者マーカーの少なくとも一部と前記ツールの一部が両方とも前記第1の視線内にある場合、前記第1の追跡装置から受信したデータに基づいて、かつ前記第2の追跡装置からのデータを使用せずに、前記第1のヘッドマウントディスプレイ上に拡張現実画像を生成するステップであって、前記拡張現実画像は、(b)前記患者の体に重ねられた(a)前記ツールおよび前記患者の解剖学的構造の仮想画像を有する、ステップと;
前記患者マーカーの少なくとも一部と前記ツールの一部が両方共には前記第1の視線内にない場合、少なくとも部分的に前記第2の追跡装置から受信したデータに基づいて、前記第1のヘッドマウントディスプレイ上に前記ツールおよび前記患者の解剖学的構造の仮想画像を生成するステップと;
を実行するように構成されるコンピュータプロセッサと;
を有することを特徴とする装置。
【請求項15】
前記ツールは、ツールマーカーを有し、前記第1および第2の追跡装置は、前記ツールマーカーを追跡することによって前記ツールの一部を追跡するように構成される、ことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の追跡装置が第1のカメラを有し、前記第2の追跡装置が第2のカメラを有する、ことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記第2の追跡装置が、静止位置に配置された1つの追跡装置を有する、ことを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、前記第2の追跡装置から受信されたデータに少なくとも部分的に基づいて、前記第1のヘッドマウントディスプレイ上に前記ツールおよび前記患者の解剖学的構造の仮想画像を以下のステップにより生成するように構成される、ことを特徴とする、請求項14に記載の装置:
前記患者マーカーの一部が前記第1の視線内にあり、前記ツールの一部が前記第1の視線内にないことに応答して:
前記第2の追跡装置から受信したデータを使用して、被験者の解剖学的構造に対する前記ツールの位置を決定するステップと;
前記被験者の解剖学的構造に対する前記ツールの前記決定された位置に基づいて、前記第1のヘッドマウントディスプレイ上に前記ツールおよび前記患者の解剖学的構造の仮想画像を生成するステップと;
前記第1の追跡装置から受信したデータに基づいて、前記第1のヘッドマウント装置に対する前記患者の体の位置を決定するステップと;そして
前記第1のヘッドマウント装置に対する前記患者の体の前記決定された位置に基づいて、前記患者の体に仮想画像を重ねるステップ。
【請求項19】
前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、前記第2の追跡装置から受信されたデータに少なくとも部分的に基づいて、前記第1のヘッドマウントディスプレイ上に前記ツールおよび前記患者の解剖学的構造の仮想画像を以下のステップにより生成するように構成される、ことを特徴とする、請求項14-18のいずれか一項に記載の装置:
前記ツールの一部が前記第1の視線内にあり、前記患者マーカーの一部が前記第1の視線内にないことに応答して:
前記第2の追跡装置から受信したデータを使用して、被験者の解剖学的構造に対する前記ツールの位置を決定するステップと;
前記被験者の解剖学的構造に対する前記ツールの前記決定された位置に基づいて、前記第1のヘッドマウントディスプレイ上に前記ツールおよび前記患者の解剖学的構造の仮想画像を生成するステップ。
【請求項20】
前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、前記患者マーカーの一部が前記第1の視線内にあったときに前記第1の追跡装置から受信したデータに基づいて決定された、前記第1のヘッドマウント装置に対する前記患者の体の位置に基づいて、前記患者の体上に前記仮想画像を重ねることによって、前記第1のヘッドマウントディスプレイ上に前記ツールおよび前記患者の解剖学的構造の仮想画像を生成するように構成される、ことを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記第1のヘッドマウント装置上に配置された慣性測定ユニットをさらに備え、前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、前記患者マーカーの一部が前記第1の視線内にあった時間と前記患者マーカーの一部が前記第1の視線内に無い時間との間の時間において、前記慣性測定ユニットからのデータを使用して、前記ヘッドマウント装置の動きを追跡することにより、前記第1のヘッドマウントディスプレイ上に前記ツールおよび前記患者の解剖学的構造の仮想画像を生成するように構成される、ことを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、前記第2の追跡装置から受信されたデータに少なくとも部分的に基づいて、前記第1のヘッドマウントディスプレイ上に前記ツールおよび前記患者の解剖学的構造の仮想画像を以下のステップにより生成するように構成される、ことを特徴とする、請求項14-18のいずれか一項に記載の装置:
前記ツールの一部および前記患者マーカーの一部が共に前記第1の視線内にないことに応答して:
前記第2の追跡装置から受信したデータを使用して、前記被験者の解剖学的構造に対する前記ツールの位置を決定するステップと;
前記被験者の解剖学的構造に対する前記ツールの前記決定された位置に基づいて、前記第1のヘッドマウントディスプレイ上に前記ツールと前記患者の解剖学的構造の仮想画像を生成するステップ。
【請求項23】
前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、前記患者マーカーの一部が前記第1の視線内にあったときに前記第1の追跡装置から受信したデータに基づいて決定された、前記第1のヘッドマウント装置に対する前記患者の体の位置に基づいて、前記患者の体の上に仮想画像を重ねることによって、前記第1のヘッドマウントディスプレイ上に前記ツールおよび前記患者の解剖学的構造の仮想画像を生成するように構成される、ことを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記第1のヘッドマウント装置上に配置された慣性測定ユニットをさらに備え、前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、慣性測定ユニットからのデータを使用して、前記患者マーカーの一部が前記第1の視線内にあった時間と前記患者マーカーの一部が前記第1の視線内に無い時間との間の時間において、前記ヘッドマウント装置の動きを追跡することによって、前記仮想画像を前記患者の体に重ねるように構成される、ことを特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記第1のヘッドマウント装置は、第1の人が着用するように構成され、前記装置は、第2の人が着用するように構成された第2のヘッドマウント装置をさらに備え、前記第2の追跡装置は、前記第2のヘッドマウント装置上に配置される、ことを特徴とする請求項14-18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記第2のヘッドマウント装置が、第2のヘッドマウントディスプレイを備える、ことを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項27】
患者の体の一部内に配置されるように構成されたツールと共に使用するための方法であって:
第1の人により装着される第1のヘッドマウント装置上に配置される第1の追跡装置を使用して、前記ツールおよび前記患者の体の上に置かれた患者マーカーの一部を第1の視線から追跡するステップであって、前記第1のヘッドマウント装置は第1のヘッドマウントディスプレイを備えるステップと;
第2の人により装着される第2のヘッドマウント装置上に配置される第2の追跡装置を使用して、前記ツールと前記患者の体の上に置かれた患者マーカーとの一部を第2の視線から追跡するステップと;そして
少なくとも1つのコンピュータプロセッサを使用して、前記第2の追跡装置から受信したデータと組み合わされた前記第1の追跡装置から受信したデータに基づいて、前記第1のヘッドマウントディスプレイ上に拡張現実画像を生成するステップであって、前記拡張現実画像は前記拡張現実画像が、(b)前記患者の体に重ねられた(a)前記ツールおよび前記患者の解剖学的構造の仮想画像を有する、ステップと;
を有することを特徴とする方法。
【請求項28】
前記ツールの一部を追跡するステップは、前記ツールマーカーを追跡するステップを有する、ことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第2のヘッドマウント装置が、第2のヘッドマウントディスプレイを含み、前記方法は、前記第2のヘッドマウントディスプレイ上にさらなる拡張現実画像を生成するステップをさらに有する、ことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記第1の追跡装置を使用して前記ツールおよび前記患者マーカーの少なくとも一部を追跡するステップは、第1のカメラを使用して前記ツールおよび前記患者マーカーの少なくとも一部を追跡するステップを有し、前記第2の追跡装置を使用して前記ツールおよび前記患者マーカーの少なくとも一部を追跡するステップは、第2のカメラを使用して前記ツールおよび前記患者マーカーの少なくとも一部を追跡するステップを有する、ことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記第1のヘッドマウントディスプレイ上に拡張現実画像を生成するステップは:
前記第2の追跡装置から受信したデータを使用して、被験者の解剖学的構造に対する前記ツールの位置を決定するステップと;
前記被験者の解剖学的構造に対する前記ツールの前記決定された位置に基づいて、前記第1のヘッドマウントディスプレイ上に前記ツールおよび前記患者の解剖学的構造の仮想画像を生成するステップと;
前記第1の追跡装置から受信したデータに基づいて、前記第1のヘッドマウント装置に対する前記患者の体の位置を決定するステップと;そして
前記第1のヘッドマウント装置に対する前記患者の体の前記決定された位置に基づいて、前記患者の体に仮想画像を重ねるステップと;
を有する、ことを特徴とする請求項27-30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
患者の体の一部内に配置されるように構成されたツールと共に使用するための装置であって:
前記患者の体の上に配置されるように構成される患者マーカーと;
第1の人が着用するように構成された第1のヘッドマウント装置であって、第1のヘッドマウントディスプレイと、第1の視線から前記ツールおよび前記患者マーカーの少なくとも一部を追跡するように構成される第1の追跡装置と、を備える第1のヘッドマウント装置と;
第2の人が着用するように構成された第2のヘッドマウント装置であって、第2のヘッドマウントディスプレイと、第2の視線から前記ツールおよび前記患者マーカーの少なくとも一部を追跡するように構成される第2の追跡装置と、を備える第2のヘッドマウント装置と;そして
少なくとも1つのコンピュータプロセッサであって:
少なくとも1つのコンピュータプロセッサを使用して、前記第2の追跡装置から受信したデータと組み合わされた前記第1の追跡装置から受信したデータに基づいて、前記第1のヘッドマウントディスプレイ上に拡張現実画像を生成するステップであって、前記拡張現実画像は前記拡張現実画像が、(b)前記患者の体に重ねられた(a)前記ツールおよび前記患者の解剖学的構造の仮想画像を有する、ステップを実行するように構成されるコンピュータプロセッサと;
を有することを特徴とする装置。
【請求項33】
前記ツールは、ツールマーカーを有し、前記第1および第2の追跡装置は、前記ツールマーカーを追跡することによって前記ツールの一部を追跡するように構成される、ことを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記第2のヘッドマウント装置が、第2のヘッドマウントディスプレイを備える、ことを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記第1の追跡装置が第1のカメラを有し、前記第2の追跡装置が第2のカメラを有する、ことを特徴とする請求項32に記載の装置。
【請求項36】
前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、以下のステップによって、前記第1のヘッドマウントディスプレイ上に拡張現実画像を生成するように構成される、ことを特徴とする請求項32-35のいずれか一項に記載の装置:
前記第2の追跡装置から受信したデータを使用して、被験者の解剖学的構造に対する前記ツールの位置を決定するステップと;
前記被験者の解剖学的構造に対する前記ツールの前記決定された位置に基づいて、前記第1のヘッドマウントディスプレイ上に前記ツールおよび前記患者の解剖学的構造の仮想画像を生成するステップと;
前記第1の追跡装置から受信したデータに基づいて、前記第1のヘッドマウント装置に対する前記患者の体の位置を決定するステップと;そして
前記第1のヘッドマウント装置に対する前記患者の体の前記決定された位置に基づいて、前記患者の体に仮想画像を重ねるステップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に拡張現実システムに関し、具体的には、画像誘導手術を実行するために使用される拡張現実システムのための追跡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドマウントディスプレイは、拡張現実システムの一部として使用されることがある。ディスプレイは、拡張現実シーンを生成するために使用され、このシーンでは、ヘッドマウントディスプレイのユーザーに見られるシーンが、通常は拡張または補足されることによって変更される。変更はコンピュータによって生成され、そして通常、ユーザーがシーンを見つめている間に、リアルタイムのビデオおよび/または非リアルタイムの画像をユーザーに提示することを含む。
【0003】
幾つかの場合には、拡張現実システムは、医療処置の一部として、画像誘導手術を実行するために使用される。例えば、コンピュータで生成された画像は、処置を実行している医療専門家に提示され得る。画像はヘッドマウントディスプレイ上に提示され、その画像は、処置を受けている患者の解剖学的部分とアライメントされ得る。画像と患者の体とのいくらかのずれは許容できうるが、画像の満足のいく提示のためには、ずれは通常約2~3mmを超えてはいけない。提示された画像と患者の解剖学的構造とのミスアライメントに対するそのような制限を考慮するために、患者の体またはその一部の位置が通常追跡される。
【0004】
幾つかの場合には、処置を実行するために使用されるツールの画像が、ヘッドマウントディスプレイに表示される画像に組み込まれる。ツールの画像を画像に組み込むために、画像および/または患者の解剖学的構造に対するツールの位置が正確に反映されるように、ツールまたはその一部の位置が、通常、追跡される。
【0005】
患者の体やツールの位置を追跡するために一般的に三角測量技術が使用される。そのような技術では、互いに対して既知の配置に配置された複数の画像化デバイスが、患者の体および/またはツール上のフィーチャ(マーカーなど)を検出するために使用される。次に、フィーチャの配置は、画像化デバイスの既知の配置、および各画像化デバイスによって検出されたフィーチャの配置の組み合わせを使用して導出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第9,928,629号
【発明の概要】
【0007】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の医療専門家(例えば、処置を行う外科医)は、第1のヘッドマウント装置を着用する。通常、ヘッドマウント装置には、1つまたは複数のヘッドマウントディスプレイが含まれる。いくつかの実施形態では、ヘッドマウントディスプレイは、一般に、参照により本明細書に組み込まれるベニシュティ(Benishti)氏の米国特許第9,928,629号(特許文献1)に記載されているものと同様である。例えば、ヘッドマウントディスプレイは、医療専門家に拡張現実画像を表示するためなどに、コンピュータプロセッサによって制御されるコンバイナを含み得る。いくつかの実施形態では、(a)コンピュータで生成された画像がディスプレイの第1の部分に投影され、(b)コンピュータで生成された画像が処置を受けている患者の解剖学的部分とアライメントされるように、ディスプレイの第2の部分を通して患者の解剖学的部分が見える状態で、画像がヘッドマウントディスプレイに表示される。通常、コンピュータで生成された画像には、患者の解剖学的構造の仮想画像に重ねられたツールの仮想画像が含まれる。いくつかの実施形態では、(たとえば、患者の解剖学的構造によって隠されているために)医療専門家には見えないツールの一部が、コンピュータで生成された画像に含まれる。
【0008】
典型的には、ヘッドマウント装置は、患者の体の一部(例えば、患者の背中)に対するヘッドマウント装置の配置および向き、および/または患者の体に対するツールの位置と向きの決定を容易にするように構成された追跡装置を備える。例えば、追跡装置は、患者マーカーおよび/またはツールマーカーを画像化するように構成された、カメラなどの画像取得装置を含み得る。典型的には、患者マーカーは、コンピュータプロセッサが、ヘッドマウントディスプレイ上に配置された単一の追跡装置から収集されたデータを使用して、患者の体の部分に対するヘッドマウント装置の配置および向きを決定するのに十分なデータを提供するように構成される。例えば、患者マーカーは、ヘッドマウント装置の追跡装置から見える、要素の配列を含み得、そしてそれは、患者マーカーに対するヘッドマウント装置の任意の配置および向きにおいて、要素の配列が、その場所と方向に固有の見え方を持つように構成される。このようにして、コンピュータプロセッサは、三角測量技術を使用することなく、患者の体の部分に対するヘッドマウント装置の配置および向きを決定することができる。通常、ヘッドマウント装置の追跡装置では単一のカメラが使用される。幾つかの実施形態では、カメラは高速度カメラである。たとえば、カメラは1秒あたり50フレームを超えるフレームを取得しうる。
【0009】
通常、ヘッドマウントディスプレイ上に拡張現実画像を生成するために、コンピュータプロセッサは、患者の体の一部(例えば、患者の背中)に対するヘッドマウント装置の配置および向き、および/または患者の体の部分に対するツールの位置と向きを決定する。上記のように、一般に、患者マーカーは、ヘッドマウント装置に配置されている単一の追跡装置から収集されたデータを使用して、コンピュータプロセッサが患者の体の部分に対するヘッドマウント装置の配置および向きを決定するのに十分なデータを提供するように構成される。しかしながら、いくつかの実施形態では、少なくとも特定の条件下で、コンピュータプロセッサは、第1の医療専門家のヘッドマウントディスプレイ上に画像を生成するために、少なくとも1つの追加の追跡装置(すなわち、第1の医療専門家のヘッドマウント装置に含まれる追跡装置に追加される追跡装置)から受信される追跡データを組み込むように構成される。
【0010】
そのような実施形態では、コンピュータプロセッサは、第1の医療専門家のヘッドマウント装置に含まれる第1の追跡装置が患者マーカーおよび/またはツールマーカーおよび/またはそれらの一部との視線を失った場合に追加データを組み込むように構成される。例えば、コンピュータプロセッサは、処置に同席する追加の医療専門家(例えば、同行外科医または看護師)によって着用されるように構成された追加のヘッドマウント装置の追跡装置からデータを受信するように構成され得る。通常、追加のヘッドマウント装置は、一般に、第1のヘッドマウント装置と同様であり、追加のヘッドマウント装置の追跡装置は、一般に、第1のヘッドマウント装置の追跡装置と同様である。いくつかの実施形態では、患者マーカーの少なくとも一部およびツールの一部(例えば、ツールマーカー)が両方とも第1の追跡装置の視線内にある場合、コンピュータプロセッサは、第1の追跡装置から受信したデータに基づいて、かつ追加の追跡装置から受信したデータを使用せずに、ヘッドマウントディスプレイに拡張現実画像を生成する。患者マーカーの少なくとも一部とツールの一部が共には第1の追跡装置の視線内にない場合、コンピュータプロセッサは、少なくとも部分的に追加の追跡装置から受信したデータに基づいて、第1のヘッドマウントディスプレイ上に拡張現実画像を生成する。
【0011】
本発明の幾つかの実施形態によれば、患者の体の一部内に配置されるように構成されたツールと共に使用するための方法であって:第1の人により装着される第1のヘッドマウント装置上に配置される第1の追跡装置を使用して、ツールおよび患者の体の上に置かれた患者マーカーの一部を第1の視線から追跡するステップであって、第1のヘッドマウント装置は第1のヘッドマウントディスプレイを備えるステップと;第2の追跡装置を使用して、ツールと患者の体の上に置かれた患者マーカーとの一部を第2の視線から追跡するステップと;少なくとも1つのコンピュータプロセッサを使用して:患者マーカーの少なくとも一部とツールの一部が両方とも第1の視線内にある場合、第1の追跡装置から受信したデータに基づいて、かつ第2の追跡装置からのデータを使用せずに、第1のヘッドマウントディスプレイ上に拡張現実画像を生成するステップであって、拡張現実画像は、(b)患者の体に重ねられた(a)ツールおよび患者の解剖学的構造の仮想画像を有する、ステップと;患者マーカーの少なくとも一部とツールの一部が両方共には第1の視線内にない場合、少なくとも部分的に第2の追跡装置から受信したデータに基づいて、第1のヘッドマウントディスプレイ上にツールおよび患者の解剖学的構造の仮想画像を生成するステップと;を有する、ことを特徴とする方法が提供される。
【0012】
幾つかの実施形態では、ツールの一部を追跡するステップは、ツールマーカーを追跡するステップを有する。 幾つかの実施形態では、第2の追跡装置を使用して、ツールおよび患者の体の上に置かれた患者マーカーの一部を第2の視線から追跡するステップは、静止位置に配置された第2の追跡装置を使用して、ツールと患者マーカーの少なくとも一部を追跡するステップを有する。幾つかの実施形態では、第1の追跡装置を使用してツールおよび患者マーカーの少なくとも一部を追跡するステップは、第1のカメラを使用してツールおよび患者マーカーの少なくとも一部を追跡するステップを有し、第2の追跡装置を使用してツールおよび患者マーカーの少なくとも一部を追跡するステップは、第2のカメラを使用してツールおよび患者マーカーの少なくとも一部を追跡するステップを有する。
【0013】
幾つかの実施形態では、少なくとも部分的に第2の追跡装置から受信したデータに基づいて、第1のヘッドマウントディスプレイ上にツールおよび患者の解剖学的構造の仮想画像を生成するステップは:患者マーカーの一部が第1の視線内にあり、ツールの一部が第1の視線内にないことに応答して:第2の追跡装置から受信したデータを使用して、被験者の解剖学的構造に対するツールの配置を決定するステップと;被験者の解剖学的構造に対するツールの決定された配置に基づいて、第1のヘッドマウントディスプレイ上にツールおよび患者の解剖学的構造の仮想画像を生成するステップと;第1の追跡装置から受信したデータに基づいて、第1のヘッドマウント装置に対する患者の体の配置を決定するステップと;そして第1のヘッドマウント装置に対する患者の体の決定された配置に基づいて、患者の体に仮想画像を重ねるステップと;を有する。
【0014】
幾つかの実施形態では、少なくとも部分的に第2の追跡装置から受信したデータに基づいて、第1のヘッドマウントディスプレイ上にツールおよび患者の解剖学的構造の仮想画像を生成するステップは:ツールの一部が第1の視線内にあり、患者マーカーの一部が第1の視線内にないことに応答して: 第2の追跡装置から受信したデータを使用して、被験者の解剖学的構造に対するツールの配置を決定するステップと;被験者の解剖学的構造に対するツールの決定された配置に基づいて、第1のヘッドマウントディスプレイ上にツールおよび患者の解剖学的構造の仮想画像を生成するステップと;を有する。
【0015】
幾つかの実施形態では、第1のヘッドマウントディスプレイ上にツールおよび患者の解剖学的構造の仮想画像を生成するステップは、患者マーカーの一部が第1の視線内にあったときに第1の追跡装置から受信したデータに基づいて決定された、第1のヘッドマウント装置に対する患者の体の位置に基づいて、患者の体上に仮想画像を重ねるステップをさらに有する。
【0016】
幾つかの実施形態では、患者の体上に仮想画像を重ねるステップは、第1のヘッドマウント装置に配置された慣性測定ユニットを使用して、患者マーカーの一部が第1の視線内にあった時間と患者マーカーの一部が第1の視線内に無い時間との間の時間において、ヘッドマウント装置の動きを追跡するステップを有する。
【0017】
幾つかの実施形態では、少なくとも部分的に第2の追跡装置から受信したデータに基づいて、第1のヘッドマウントディスプレイ上にツールおよび患者の解剖学的構造の仮想画像を生成するステップは:ツールの一部および患者マーカーの一部が共に第1の視線内にないことに応答して:第2の追跡装置から受信したデータを使用して、被験者の解剖学的構造に対するツールの位置を決定するステップと;被験者の解剖学的構造に対するツールの決定された位置に基づいて、第1のヘッドマウントディスプレイ上にツールと患者の解剖学的構造の仮想画像を生成するステップと;を有する。
【0018】
幾つかの実施形態では、第1のヘッドマウントディスプレイ上にツールおよび患者の解剖学的構造の仮想画像を生成するステップは、患者マーカーの一部が第1の視線内にあったときに第1の追跡装置から受信したデータに基づいて決定された、第1のヘッドマウント装置に対する患者の体の位置に基づいて、患者の体の上に仮想画像を重ねるステップをさらに有する。幾つかの実施形態では、患者の体の上に仮想画像を重ねるステップは、第1のヘッドマウント装置に配置された慣性測定ユニットを使用して、患者マーカーの一部が第1の視線内にあった時間と患者マーカーの一部が第1の視線内に無い時間との間の時間において、ヘッドマウント装置の動きを追跡するステップを有する。
【0019】
幾つかの実施形態では、第2の追跡装置を使用して、ツールと患者マーカーとの少なくとも一部を第2の視線から追跡するステップは、第2の人が着用する第2のヘッドマウント装置上に配置された第2の追跡装置を使用して第2の視線からツールおよび患者マーカーの少なくとも一部を追跡するステップを有する。幾つかの実施形態では、第2のヘッドマウント装置は、第2のヘッドマウントディスプレイを含み、方法は、第2のヘッドマウントディスプレイ上にさらなる拡張現実画像を生成するステップをさらに有する。
【0020】
本発明の幾つかの実施形態によれば、患者の体の一部内に配置されるように構成されたツールと共に使用するための装置であって:患者の体の上に配置されるように構成される患者マーカーと;第1のヘッドマウントディスプレイと、第1の視線からツールおよび患者マーカーの少なくとも一部を追跡するように構成される第1の追跡装置と、を備える第1のヘッドマウント装置と;第2の視線からツールおよび患者マーカーの少なくとも一部を追跡するように構成された第2の追跡装置と;そして少なくとも1つのコンピュータプロセッサであって:患者マーカーの少なくとも一部とツールの一部が両方とも第1の視線内にある場合、第1の追跡装置から受信したデータに基づいて、かつ第2の追跡装置からのデータを使用せずに、第1のヘッドマウントディスプレイ上に拡張現実画像を生成するステップであって、拡張現実画像は、(b)患者の体に重ねられた(a)ツールおよび患者の解剖学的構造の仮想画像を有する、ステップと;患者マーカーの少なくとも一部とツールの一部が両方共には第1の視線内にない場合、少なくとも部分的に第2の追跡装置から受信したデータに基づいて、第1のヘッドマウントディスプレイ上にツールおよび患者の解剖学的構造の仮想画像を生成するステップと;を実行するように構成されるコンピュータプロセッサと;を有することを特徴とする装置がさらに提供される。
【0021】
本発明の幾つかの実施形態によれば、患者の体の一部内に配置されるように構成されたツールと共に使用するための方法であって:第1の人により装着される第1のヘッドマウント装置上に配置される第1の追跡装置を使用して、ツールおよび患者の体の上に置かれた患者マーカーの一部を第1の視線から追跡するステップであって、第1のヘッドマウント装置は第1のヘッドマウントディスプレイを備えるステップと;第2の人により装着される第2のヘッドマウント装置上に配置される第2の追跡装置を使用して、ツールと患者の体の上に置かれた患者マーカーとの一部を第2の視線から追跡するステップと;そして少なくとも1つのコンピュータプロセッサを使用して、第2の追跡装置から受信したデータと組み合わされた第1の追跡装置から受信したデータに基づいて、第1のヘッドマウントディスプレイ上に拡張現実画像を生成するステップであって、拡張現実画像は拡張現実画像が、(b)患者の体に重ねられた(a)ツールおよび患者の解剖学的構造の仮想画像を有する、ステップと;を有することを特徴とする方法がさらに提供される。
【0022】
幾つかの実施形態では、ツールの一部を追跡するステップは、ツールマーカーを追跡するステップを有する。幾つかの実施形態では、第2のヘッドマウント装置が、第2のヘッドマウントディスプレイを含み、方法は、第2のヘッドマウントディスプレイ上にさらなる拡張現実画像を生成するステップをさらに有する。幾つかの実施形態では、第1の追跡装置を使用してツールおよび患者マーカーの少なくとも一部を追跡するステップは、第1のカメラを使用してツールおよび患者マーカーの少なくとも一部を追跡するステップを有し、第2の追跡装置を使用してツールおよび患者マーカーの少なくとも一部を追跡するステップは、第2のカメラを使用してツールおよび患者マーカーの少なくとも一部を追跡するステップを有する。
【0023】
幾つかの実施形態では、第1のヘッドマウントディスプレイ上に拡張現実画像を生成するステップは:第2の追跡装置から受信したデータを使用して、被験者の解剖学的構造に対するツールの配置を決定するステップと;被験者の解剖学的構造に対するツールの決定された配置に基づいて、第1のヘッドマウントディスプレイ上にツールおよび患者の解剖学的構造の仮想画像を生成するステップと;第1の追跡装置から受信したデータに基づいて、第1のヘッドマウント装置に対する患者の体の配置を決定するステップと;そして第1のヘッドマウント装置に対する患者の体の決定された配置に基づいて、患者の体に仮想画像を重ねるステップと;を有する。
【0024】
本発明の幾つかの実施形態によれば、患者の体の一部内に配置されるように構成されたツールと共に使用するための装置であって:患者の体の上に配置されるように構成される患者マーカーと;第1の人が着用するように構成された第1のヘッドマウント装置であって、第1のヘッドマウントディスプレイと、第1の視線からツールおよび患者マーカーの少なくとも一部を追跡するように構成される第1の追跡装置と、を備える第1のヘッドマウント装置と;第2の人が着用するように構成された第2のヘッドマウント装置であって、第2のヘッドマウントディスプレイと、第2の視線からツールおよび患者マーカーの少なくとも一部を追跡するように構成される第2の追跡装置と、を備える第2のヘッドマウント装置と;そして少なくとも1つのコンピュータプロセッサであって:少なくとも1つのコンピュータプロセッサを使用して、第2の追跡装置から受信したデータと組み合わされた第1の追跡装置から受信したデータに基づいて、第1のヘッドマウントディスプレイ上に拡張現実画像を生成するステップであって、拡張現実画像は拡張現実画像が、(b)患者の体に重ねられた(a)ツールおよび患者の解剖学的構造の仮想画像を有する、ステップを実行するように構成されるコンピュータプロセッサと;を有することを特徴とする装置がさらに提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明は以下の図面を参照した、実施形態の詳細な説明により、より十分に理解されよう:
図1】本発明のいくつかの実施形態による、患者に対して行われる画像誘導手術の概略図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態による、ヘッドマウント装置の概略図である。
図3A-3B】本発明のいくつかの実施形態による、それぞれの医療専門家が着用するヘッドマウント装置のディスプレイの例の概略図である。
図4A-4B】本発明のいくつかの実施形態による、患者マーカーと医療専門家の1人の追跡装置間の視線が少なくとも部分的に遮断されている場合の、それぞれの医療専門家が着用するヘッドマウント装置のディスプレイの例の概略図である。
図5A-5B】本発明のいくつかの実施形態による、患者マーカーと医療専門家の1人の追跡装置間の視線が少なくとも部分的に遮断されている場合の、それぞれの医療専門家が着用するヘッドマウント装置のディスプレイの例の概略図である。
図6A-6B】本発明のいくつかの実施形態による、患者マーカーと医療専門家の1人の追跡装置間の視線が少なくとも部分的に遮断されている場合の、それぞれの医療専門家が着用するヘッドマウント装置のディスプレイの例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここで、本発明のいくつかの実施形態に従って、患者20に対して実行される画像誘導手術を組み込んだ医療処置の概略図である図1を参照する。図1に示される医療処置において、ツール22は、患者の背中に対して動作を実行するために使用され、ツールは、患者の背中27の切開24を介して挿入される。しかしながら本明細書に記載される装置および技術は、必要な変更を加えて、患者の体に対して行われるあらゆる外科的処置で使用されうる。本発明のいくつかの実施形態による、ヘッドマウント装置28の概略図である図2も参照される。
【0027】
幾つかの実施形態では、第1の医療専門家26(たとえば、処置を実行する外科医)が第1のヘッドマウント装置28を装着する。通常、ヘッドマウント装置には1つ以上のヘッドマウントディスプレイ30が含まれる。幾つかの実施形態では、ヘッドマウントディスプレイは、一般に、参照により本明細書に組み込まれる、ベニシュティの米国特許第9,928,629号(特許文献1)に記載されているものと同様である。例えば、ヘッドマウントディスプレイは、拡張現実画像を医療専門家に表示するなど、コンピュータプロセッサ(例えば、以下に説明するコンピュータプロセッサ32および/またはコンピュータプロセッサ45)によって制御されるコンバイナを含み得る。いくつかの実施形態では、画像はヘッドマウントディスプレイ30に提示され、(a)コンピュータ生成画像がプロジェクタ31によってディスプレイの第1の部分33に投影され、(b)コンピュータ生成画像が処置を受けている患者の解剖学的部分とアライメントされ、患者の解剖学的部分は、ディスプレイの第2の部分35を通して見ることができる。通常、コンピュータで生成された画像には、患者の解剖学的構造の仮想画像に重ねられたツールの仮想画像が含まれる。幾つかの実施形態では、(たとえば、患者の解剖学的構造によって隠されているために)医療専門家には見えないツールの一部が、コンピュータで生成された画像に含まれる。
【0028】
画像と患者の体との多少のずれは許容できるが、画像の満足できる提示には、通常、ずれが約2~3mmを超えないようにする必要がある。提示された画像と患者の解剖学的構造とのミスアライメントに対するそのような制限を考慮に入れるために、ヘッドマウント装置に対する患者の体またはその一部の位置が通常追跡される。幾つかの場合には、処置を実行するために使用されるツールの画像が、ヘッドマウントディスプレイに表示される画像に組み込まれる。ツールの画像を画像に組み込むために、患者の解剖学的構造に対するツールの位置が正確に反映されるように、ツールまたはその一部(例えば、ツールマーカー)の位置は、通常追跡される。通常、患者の体に対するツールの決定された配置の誤差が2mm未満になるように、患者の体に対するツールの配置を決定することが望ましい。
【0029】
典型的には、ヘッドマウント装置28は追跡装置34を含み、追跡装置34は、患者の体の一部(例えば、患者の背中)に対する、および/または、ツール22に対する、ヘッドマウント装置28の配置および向き、および/または患者の体の一部に対するツールの位置および向きの決定を容易にするように構成される。例えば、追跡装置は、患者マーカー38および/またはツールマーカー40を画像化するように構成されたカメラなどの画像取得装置36を含み得る。典型的には、単一のカメラが、ヘッドマウント装置の追跡装置に使用される。幾つかの実施形態では、カメラは高速度カメラである。たとえば、カメラは1秒あたり50フレームを超えるフレームを取得しうる。
【0030】
いくつかの実施形態では、追跡装置34は、ヘッドマウント装置に取り付けられた光源42を含む。光源は、通常、光がマーカーからカメラに向かって反射するように、患者マーカーおよび/またはツールマーカーを照射するように構成される。いくつかの実施形態では、画像取得装置36は、光源によって生成される光と同様の波長の光のみを通過させるように構成されたフィルタを含むモノクロカメラである。例えば、光源は、赤外線光源(例えば、700nm~1000nmの間(例えば、700nm~800nmの間)の波長で光を生成する光源)であり得、カメラは、対応する赤外線フィルタを含みうる。いくつかの実施形態では、慣性測定ユニット44(例えば、6自由度で測定するように構成された慣性測定ユニット)が、以下でさらに詳細に説明するように、ヘッドマウント装置上に配置される。いくつかの実施形態では、ヘッドマウント装置は、参照により本明細書に組み込まれるベニシュティの米国特許第9,928,629号(特許文献1)に記載されているように、可視スペクトルのシーンの画像を取得するように構成される追加のカメラ43を含む。いくつかの実施形態では、ヘッドマウント装置28は、例えば、参照により本明細書に組み込まれるベニシュティの米国特許第9,928,629号に記載されているような追加の構成要素を含む。
【0031】
通常、ディスプレイ30上に拡張現実画像を生成するために、コンピュータプロセッサは、患者の体の一部(例えば、患者の背中)に対するヘッドマウント装置28の配置および向き、および/または患者の体に対するツールの位置と向きを決定する。例えば、ヘッドマウント装置内に統合されたコンピュータプロセッサ45は、前述の機能を実行することができる。代替的または追加的に、ヘッドマウント装置の外部に配置され、典型的にはヘッドマウント装置と無線通信するコンピュータプロセッサ32を使用して、これらの機能を実行することができる。コンピュータプロセッサ32は、典型的には、画像誘導手術を容易にするためにヘッドマウント装置と共に使用される処理システム50の一部を構成する。いくつかの実施形態では、処理システムは、システムのオペレータに情報を出力するための出力装置52(例えば、モニタなどのディスプレイ)、および/またはオペレータがシステムにデータを入力できるように構成された入力装置54(ポインティング装置、キーボード、マウスなど)をさらに含む。一般に、本明細書の文脈において、コンピュータプロセッサが特定のステップを実行すると説明される場合、これらのステップは、外部コンピュータプロセッサ32、および/またはヘッドマウント装置内に統合されたコンピュータプロセッサ45によって実行され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、患者マーカーおよび/またはツールマーカーは、光源42によって生成される光を反射するように構成された反射要素を含む。そのような幾つかの実施形態では、光源42からの光を患者マーカーが配置されている関心領域に向けることによって、ヘッドマウント装置に対する被験者の身体の一部の配置および向き(例えば、被験者の背中)が追跡される。代替的または追加的に、被験者の身体の一部に対するツールの配置および向きは、光源42からの光を、患者マーカーおよび/またはツールマーカーが配置されている関心領域に向けることによって追跡される。典型的には、画像取得装置36は、光源に近接してヘッドマウント装置上に配置され、その結果、画像取得装置は、患者マーカーおよび/またはツールマーカーから再帰反射される光を捕捉するように構成される。上記のように、いくつかの実施形態では、画像取得装置は、光源によって生成される光と同様の波長の光のみを通過させるように構成されたフィルタを含むモノクロカメラである。このような実施形態の場合、カメラは通常、ツールマーカーおよび/または患者マーカーの反射要素を示すグレースケール画像を受信する。通常、コンピュータプロセッサは、画像取得装置によって取得された画像を分析することによって、ヘッドマウント装置に対する被験者の体の一部(例えば、被験者の背中)の配置を決定する。さらに典型的には、コンピュータプロセッサは、画像取得装置によって取得された画像を分析することによって、被験者の身体の一部に対するツールの配置および向きを決定する。
【0033】
患者マーカーおよび/またはツールマーカーを追跡するための上記の技術は、例として提示され、そしていくつかの実施形態では、患者マーカーおよび/またはツールマーカーを追跡するために代替の技術が使用されることに留意されたい。例えば、患者マーカーおよび/またはツールマーカーは、光吸収要素、および/または光発生要素を含み得、画像取得装置は、これら要素を検出することによって、患者マーカーおよび/またはツールマーカーを追跡するように構成され得る。代替的または追加的に、異なるタイプの検出器を使用して、患者マーカーおよび/またはツールマーカーを追跡することができる。
【0034】
通常、患者マーカーは、ヘッドマウントディスプレイ上に配置された単一の追跡装置から収集されたデータを使用して、コンピュータプロセッサが患者の体の一部に対するヘッドマウント装置の配置および向きを決定するのに十分なデータを提供するように構成される。例えば、患者マーカーは、ヘッドマウント装置の追跡装置に対して可視の要素配列を含み得、そしてそれは、患者マーカーに対するヘッドマウント装置の任意の配置および向きにおいて、要素の配列が、その配置と方向に固有の外観を持つように構成される。このようにして、コンピュータプロセッサは、三角測量技術を使用することなく、患者の体の部分に対するヘッドマウント装置の配置および向きを決定することができる。
【0035】
上記の段落で説明したように、一般に、患者マーカーは、ヘッドマウントディスプレイに配置された単一の追跡装置から収集されたデータを使用して、コンピュータプロセッサが患者の体の一部に対するヘッドマウント装置の配置および向きを決定するのに十分なデータを提供するように構成される。しかしながら、いくつかの実施形態では、少なくとも特定の状況下で、コンピュータプロセッサは、第1の医療専門家26の第1のヘッドマウント装置28のヘッドマウントディスプレイ30上に画像を生成するために、追加の追跡装置(すなわち、第1の追跡装置34に追加の追跡装置)から受信される追跡データを組み込むように構成される。
【0036】
いくつかのそのような実施形態では、追跡装置34が患者マーカーおよび/またはツールマーカーおよび/またはその一部との視線を失った場合に、コンピュータプロセッサは追加のデータを組み込むように構成される。この例を図1に示し、これは、第1の医療専門家26の右手が、患者マーカー38に関して追跡装置34の視線を遮っていることを示す。幾つかの実施形態では、このような場合コンピュータプロセッサは、例えば図1に示すような、処置に同席する追加の医療専門家26´(例えば、同行する外科医、または看護師)により装着されるように構成される追加のヘッドマウント装置28´の追跡装置34´からデータを受信するように構成される。通常、追加のヘッドマウント装置28´は、第1のヘッドマウント装置28と概略同様であり、追加のヘッドマウント装置の追跡装置34´は、一般に、第1のヘッドマウント装置のそれと概略同様である。いくつかの実施形態では、患者マーカーの少なくとも一部およびツールの一部(例えば、ツールマーカー)が両方とも第1の追跡装置34の視線内にある場合、コンピュータプロセッサは、第1の追跡装置34から受信したデータに基づき、かつ追跡装置34´から受信したデータを使用しないで、ヘッドマウントディスプレイ30上に拡張現実画像を生成する。少なくとも患者マーカーの一部およびツールの一部の両方が必ずしも第1の追跡装置34の視線内にない場合、コンピュータプロセッサは、少なくとも部分的に第2の追跡装置34´から受信したデータに基づいて、ヘッドマウントディスプレイ30上に拡張現実画像を生成する。
【0037】
代替的または追加的に、ヘッドマウント装置に搭載されていない追跡装置60が手術室に配置される。典型的には、追跡装置60は、手術室内の静止位置に配置される。例えば、追跡装置60は、天井に取り付けられ、壁に取り付けられ、および/または三脚などのスタンドに配置され得る。いくつかの実施形態では、追跡装置60は、光源62および画像取得装置64を含み、これらは、光源42および画像取得装置36に関して上記で説明したものとほぼ同様の態様で機能する。
【0038】
ここで、図3Aおよび3Bを参照する。図3Aおよび3Bは、本発明のいくつかの実施形態による、それぞれの医療専門家26´、26が着用するヘッドマウント装置28´、28のディスプレイ30´、30の例の概略図である。図3Aは、図1の患者の右側に示されている第2の医療専門家26´のディスプレイ30´の例を示し、図3Bは、図1の患者の左側に示されている第1の医療専門家26のディスプレイ30の例を示す。通常、ヘッドマウントディスプレイ30およびヘッドマウントディスプレイ30´のそれぞれで生成される画像は、実際の患者解剖学的構造とアライメントされた仮想患者の解剖学的構造と、仮想解剖学的構造とアライメントされた仮想ツールを示す拡張現実図である。上記のように、いくつかの実施形態では、仮想ツールおよび仮想解剖学的構造は、ヘッドマウントディスプレイ30、30´の第1の部分33に表示され、実際の患者の解剖学的構造は、ヘッドマウントディスプレイ30、30´の第2の部分35を通して見ることができる。幾つかの実施形態では、コンピュータプロセッサは2Dと3Dの両方でそのようなビューを生成するように構成される。このようなビューを生成するには、通常、仮想解剖学的構造を実際の患者の解剖学的構造に正しくアライメントするために、患者に対するヘッドマウント装置の配置と向きを追跡する必要がある。図3Aおよび3Bは、各医療専門家の追跡装置34が患者マーカーの明確な視線を有する場合に、それぞれのヘッドマウントディスプレイが通常どのように見えるかを示している。
【0039】
ここで、図4Aおよび4Bを参照する。図4Aおよび4Bは、本発明のいくつかの実施形態による、第1の医療専門家26の追跡装置34の視線が、患者マーカー38に関して少なくとも部分的にブロックされている場合の、それぞれの医療専門家26´、26が着用するヘッドマウント装置28´、28のディスプレイ30´、30の例の概略図である。図4Aは、図1の患者の右側に示されている第2の医療専門家26´のディスプレイ30´の例を示し、図4Bは、図1の患者の左側に示されている第1の医療専門家26のディスプレイ30の例を示す。
【0040】
幾つかのそのような実施形態では、コンピュータプロセッサは、第1の医療専門家26のヘッドマウントディスプレイ30に、第2の追跡装置34´から受信したデータに基づいて決定される、第2の医療専門家26´の仮想ビュー(すなわち、第2の医療専門家の仮想解剖学的構造および仮想ツールについてのビュー)を示す仮想画像を生成する。例えば、第2の医療専門家のビュー全体(仮想解剖学的構造および仮想ツールについてのビュー、ならびに実際の患者の解剖学的構造についてのビューの両方を含む)は、第1の医療専門家のヘッドマウントディスプレイ30に表示され得る。そのような例を図4Aおよび4Bに示し、図4Aおよび4Bは、第2の医療専門家26´のものと同じ全体のビューを表示する、第1の医療専門家26のヘッドマウントディスプレイ30を示している。
【0041】
ここで、図5Aおよび5Bを参照する。図5Aおよび5Bは、本発明のいくつかの実施形態による、第1の医療専門家26の追跡装置34の視線が、患者マーカー38に関して少なくとも部分的にブロックされている場合の、それぞれの医療専門家26´、26が着用するヘッドマウント装置28´、28のディスプレイ30´、30の例の概略図である。図5Aは、図1の患者の右側に示されている第2の医療専門家26´のディスプレイ30´の例を示し、図5Bは、図1の患者の左側に示されている第1の医療専門家26のディスプレイ30の例を示している。いくつかの実施形態では、患者マーカー38に関して第1の医療専門家26の追跡装置34の視線が少なくとも部分的に遮断されている場合、第2の医療専門家の視線からの(ツールと解剖学的構造の)仮想画像が表示され、それが第1の医療専門家の頭に取り付けられたディスプレイ30の全体を実質的に満たし、そして第1の医療専門家は、ディスプレイの透明部分を介して実際の患者の解剖学的構造を見ることはない。そのような実施形態の例は、図5Aおよび5Bに示され、第1の医療専門家のヘッドマウントディスプレイ30の部分33内に表示されたヘッドマウントディスプレイ30´からの仮想画像(図5Aに示される)を示し、そして部分33は、実質的に第1の医療専門家のヘッドマウントディスプレイ30の全体を埋める(図5Bに表示)。
【0042】
ここで、図6Aおよび6Bを参照する。図6Aおよび6Bは、本発明のいくつかの実施形態による、第1の医療専門家26の追跡装置34の視線が、患者マーカー38に関して少なくとも部分的にブロックされている場合の、それぞれの医療専門家26´、26が着用するヘッドマウント装置28´、28のディスプレイ30´、30の例の概略図である。図6Aは、図1の患者の右側に示されている第2の医療専門家26´のディスプレイ30´の例を示し、図6Bは、図1の患者の左側に示されている第1の医療専門家26のディスプレイ30の例を示している。いくつかの実施形態では、追跡装置34が患者マーカーの視線を失い、その結果、追跡装置34を使用して、患者に対するヘッドマウント装置の配置および/または向きが所与のレベルの精度で決定することができない、ことを検出したことに応答して、コンピュータプロセッサは、被験者の仮想解剖学的構造内の仮想ツールの画像を生成するが、コンピュータ生成画像を実際の患者の解剖学的構造とアライメントすることは考慮しない。幾つかのそのような実施形態では、第1の医療専門家のディスプレイ30の部分33に生成される仮想画像は、第1の医療専門家の以前の既知の視線から引き続き表示されるが、解剖学的構造に対するツールの位置は追跡装置34´から受信したデータに基づいて更新される。第1の医療専門家のディスプレイの第2の部分35は透明に保たれ、第1の医療専門家が自身の現在の視線から患者の解剖学的構造を見ることができる。そのような実施形態の例は、6Aおよび6Bに示されている。図6Bに示されるように、患者マーカーに対するヘッドマウント装置28の配置の変化は追跡されずかつ考慮されていないので、これは、仮想画像(部分33に示される)が(部分35に示される)患者の体に対してわずかにミスアライメントする可能性がある。これに関して、一般に、第1の医療専門家は、ツールのナビゲーションのためには、患者の解剖学的構造の仮想画像に重ねられたツールの仮想画像を使用することに留意されたい。そのため、医療専門家は通常、ツールと患者の解剖学的構造の仮想画像が患者の解剖学的構造の自身のビューと一致していなくても、ツールをナビゲートし続けることができる。
【0043】
幾つかの実施形態では、上記の段落で説明したものと一般的に同様の手法が実行されるが、ヘッドマウントディスプレイ30で画像を生成するために使用される追加の追跡データが、第2のヘッドマウント装置28´の追跡装置34´から受信されることに代って、またはそれに追加して、追跡装置60から受信される。
【0044】
いくつかの実施形態では、追跡装置34がツールマーカーの視線を失い、患者に対するツールの配置および/または向きを所与のレベルの精度で決定することができないことを検出したことに応答して、コンピュータプロセッサは、追跡装置34´および/または追跡装置60から受信したデータを使用して、患者に対するツールの配置を決定する。通常、仮想患者の解剖学的構造および現在の配置に示される仮想ツールを含む仮想画像は、ヘッドマウント装置28のヘッドマウントディスプレイ30´に表示され、患者に対するツールの現在の配置は、追跡装置34´および/または追跡装置60から受信したデータに基づいて決定されてきている。
【0045】
幾つかの実施形態では、コンピュータプロセッサは、患者マーカーとツールマーカーが追跡装置34の視線内にある場合でも、第1のヘッドマウント装置28のヘッドマウントディスプレイ30上に画像を生成するために、追加の追跡装置(すなわち、追跡装置34に追加される追跡装置)から受信される追跡データを組み込むように構成される。幾つかの実施形態では、コンピュータプロセッサは、追跡装置34´から受信したデータおよび追跡装置34から受信したデータの組み合わせを使用して、および/または追跡装置60から受信したデータと追跡装置34から受信したデータの組み合わせを使用して、患者に対するツールの配置を決定する。例えば、コンピュータプロセッサは、受信したデータの前述の組み合わせを使用して患者に対するツールの現在の平均(例えば、平均値)配置を決定することができ、そしてコンピュータプロセッサは、仮想解剖学的構造上の仮想ツールの画像をヘッドマウントディスプレイ30上に生成することができ、そこではツールは決定された現在の位置に位置決めされている。
【0046】
幾つかの実施形態では、患者マーカー上の追跡要素の一部が不明瞭になり、追跡装置34の視線内にない場合でも、コンピュータプロセッサは、追跡アルゴリズムを使用して(例えば、カルマンフィルタを使用して)マーカーを追跡することにより、患者に対するヘッドマウント装置の配置を追跡し続ける。通常、そのような場合、少なくとも患者マーカーが部分的に隠されている間、コンピュータプロセッサはマーカーを積極的に識別し続けることはない。むしろ、コンピュータプロセッサは、前述の追跡アルゴリズムを使用して、すでに識別されたマーカーを追跡し続ける。いくつかの実施形態では、患者マーカーの少なくとも一部が追跡装置34の視線内にないように患者マーカーが不明瞭になった場合(例えば、部分的に不明瞭または完全に不明瞭になった場合)、コンピュータプロセッサは、慣性測定ユニット44を使用して、追跡装置34からのデータを使用して決定された患者マーカーの最後の位置と組み合わせて、ヘッドマウント装置に対する患者の配置を決定し続ける。
【0047】
本明細書に記載の本発明の実施形態は、コンピュータプロセッサ32および/または45などのコンピュータまたは任意の命令実行システムにより使用され、またはそれに接続されるプログラムコードを提供する、コンピュータ使用可能またはコンピュータ可読の媒体(例えば、非一過性コンピュータ可読媒体)からアクセス可能な、コンピュータプログラム製品の形をとることができる。本明細書の記載の目的のために、コンピュータ使用可能またはコンピュータ可読媒体は、命令実行システム、機器、または装置によって使用され、またはそれらに接続するプログラムを含み、格納し、通信し、伝播し、または輸送することができる任意の装置であり得る。媒体は、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、または半導体システム(または機器または装置)または伝搬媒体であり得る。通常、コンピュータ使用可能またはコンピュータ可読媒体は、非一過性のコンピュータ使用可能またはコンピュータ可読媒体である。
【0048】
コンピュータ可読媒体の例には、半導体またはソリッドステートメモリ、磁気テープ、リムーバブルコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、リジッド磁気ディスク、および光ディスクが含まれる。光ディスクの現在の例には、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、コンパクトディスク読み取り/書き込み(CD-R/W)、およびDVDが含まれる。
【0049】
プログラムコードを格納および/または実行するのに適したデータ処理システムは、システムバスを介してメモリ要素に直接または間接的に結合された少なくとも1つのプロセッサ(例えば、コンピュータプロセッサ32および/または45)を含む。メモリ要素は、プログラムコードの実際の実行中に使用されるローカルメモリ、バルクストレージ、および、実行中にコードをバルクストレージから取得しなければならない回数を減らすために少なくともいくつかのプログラムコードの一時ストレージを提供する、キャッシュメモリを含むことができる。システムは、プログラム記憶装置上の本発明の指示を読み取り、これらの指示に従って、本発明の実施形態の方法論を実行することができる。
【0050】
ネットワークアダプタをプロセッサに結合して、プロセッサを他のプロセッサ、リモートプリンタ、またはストレージ装置に、介在するプライベートネットワークまたはパブリックネットワークを介して結合できるようにできる。モデム、ケーブルモデム、イーサネットカードは、現在利用可能なネットワークアダプタのほんの一部である。
【0051】
本発明の操作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java、Smalltalk、C ++などのオブジェクト指向プログラミング言語と、Cプログラミング言語または同様のプログラミング言語のような従来の手続き型プログラミング言語を含む、1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで書くことができる。
【0052】
本明細書に記載されるアルゴリズムは、コンピュータプログラム命令によって実行されうることが理解される。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに提供されて、機械を生成し、それによりコンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ(例えば、コンピュータプロセッサ32および/または45)を介して実行される命令が、本明細書で記載されるアルゴリズムで指定された機能/行為を実施するための手段を作成する。これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置に特定の方法で機能するように指示することができる、コンピュータ可読媒体(例えば、非一過性コンピュータ可読媒体)に格納され得、その結果、コンピュータ可読媒体に格納される命令は、アルゴリズムで指定された機能/動作を実行する命令手段を含む製造品を生成する。コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置にロードされて、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置上で一連の操作ステップを実行させて、コンピュータ実行プロセスを生成し、それによりコンピュータまたは他のプログラム可能な装置上で実行する命令は、本出願で記載されるアルゴリズムで指定された機能/行為を実施するためのプロセスを提供する。
【0053】
コンピュータプロセッサ32および/またはコンピュータプロセッサ45は、通常、特定目的コンピュータを製造するためにコンピュータプログラム命令でプログラムされたハードウェア装置である。例えば、図を参照して説明されたアルゴリズムを実行するようにプログラムされた場合、コンピュータプロセッサ32および/または45は、通常、特定目的画像生成コンピュータプロセッサとして機能する。典型的には、コンピュータプロセッサ32および/または45によって実行される本明細書に記載の動作は、実際の物理的物品であるメモリの物理的状態を、使用されるメモリの技術に応じて異なる磁気極性、電荷などを有するように変換する。幾つかの実施形態では、1つのコンピュータプロセッサによって実行されると記載されている操作は、複数のコンピュータプロセッサによって互いに組み合わされて実行される。
【0054】
本発明は、本明細書で特に示され、記載されたものに限定されないことが当業者によって理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、上記の様々な特徴の組み合わせおよびサブ組合せの両方、ならびに前述の記載を読んだときに当業者に想起される先行技術にはないその変形および修正を含む。
図1
図2
図3A-3B】
図4A-4B】
図5A-5B】
図6A-6B】
【国際調査報告】