(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-21
(54)【発明の名称】複合板紙構造および箱構造
(51)【国際特許分類】
B65D 81/03 20060101AFI20220114BHJP
B32B 3/30 20060101ALI20220114BHJP
B32B 3/24 20060101ALI20220114BHJP
B32B 29/00 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
B65D81/03 100Z
B32B3/30
B32B3/24 Z
B32B29/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525826
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(85)【翻訳文提出日】2021-05-31
(86)【国際出願番号】 CN2019117842
(87)【国際公開番号】W WO2020098668
(87)【国際公開日】2020-05-22
(31)【優先権主張番号】201811362232.6
(32)【優先日】2018-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201822036760.4
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510055161
【氏名又は名称】呉銘遠
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】呉銘遠
【テーマコード(参考)】
3E066
4F100
【Fターム(参考)】
3E066AA24
3E066BA02
3E066CA01
3E066CA03
3E066CA11
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3E066LA07
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3E066MA06
3E066MA07
4F100AK01B
4F100BA02
4F100BA07
4F100DC11B
4F100DD04B
4F100DD05A
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4F100JK01
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4F100JL03
(57)【要約】
複合板紙構造および箱構造が提供される。複合板紙構造によると、貫通穴(214)およびくぼみ(21)を使用することによって、材料費および製造費を大幅に低減する条件下で、板紙の構造性能は大幅に改善され、板紙の曲げ抵抗は、板紙が段ボールなどの既存の板紙と取って代わることが可能であり、箱などの構造に適用可能であり、材料費および製造費を大幅に低減する条件下で既存の板紙および箱構造に取って代わることが可能であり、繰り返し使用可能でもあり、環境保護および関連の産業に大きく貢献するように改善される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板形状である支持板紙と、
板面側およびくぼみ側を画成する複数のくぼみを有する構造板であって、前記構造板は前記くぼみ側を有する前記支持板紙の片側に配設される、構造板と、を含むことを特徴とする、
複合板紙構造。
【請求項2】
前記くぼみは閉環状の形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の複合板紙構造。
【請求項3】
前記構造板は、少なくとも2つのくぼみを連結するための連結リブをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の複合板紙構造。
【請求項4】
前記支持板紙は少なくとも1つのくぼみをさらに含み、前記支持板紙の前記くぼみは前記構造板の前記くぼみに接触しているかまたは接触していないことを特徴とする、請求項1に記載の複合板紙構造。
【請求項5】
平板形状である支持板紙と、
厚板であり、かつ前記支持板紙の片側に配設するための複数の貫通孔を有する構造板と、を備えることを特徴とする、
複合板紙構造。
【請求項6】
前記くぼみは閉環状の形状を有することを特徴とする、請求項5に記載の複合板紙構。
【請求項7】
複数の複合板紙によって形成される箱構造であって、
前記複合板紙は支持板紙および構造板を含み、
前記支持板紙は平板形状であり、
前記構造板は板面側およびくぼみ側を画成するための複数のくぼみを有し、
前記構造板は前記くぼみ側を有する前記支持板紙の片側に配設されることを特徴とする、
箱構造。
【請求項8】
前記くぼみは閉環状の形状を有することを特徴とする、請求項7に記載の箱構造。
【請求項9】
前記構造板は少なくとも2つのくぼみを連結するための連結リブをさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載の箱構造。
【請求項10】
前記支持板紙は少なくとも1つのくぼみをさらに含み、前記支持板紙の前記くぼみは前記構造板の前記くぼみに接触しているかまたは接触していないことを特徴とする、請求項7に記載の箱構造。
【請求項11】
複数の構造板によって形成される箱構造であって、
前記構造板は複数のくぼみを有することを特徴とする、
箱構造。
【請求項12】
前記くぼみは閉環状の形状を有することを特徴とする、請求項11に記載の箱構造。
【請求項13】
前記構造板は少なくとも2つのくぼみを連結するための連結リブをさらに含むことを特徴とする、請求項11に記載の箱構造。
【請求項14】
隣接した構造板の前記くぼみは、種々の向きまたはタイプを有することを特徴とする、請求項11に記載の箱構造。
【請求項15】
隣接した構造板の前記くぼみは接触位置で互いに嵌合することを特徴とする、請求項11に記載の箱構造。
【請求項16】
補強ストリップは前記隣接した構造板の間に配置されることを特徴とする、請求項11に記載の箱構造。
【請求項17】
枠板は前記構造板の外側に配置されることを特徴とする、請求項11に記載の箱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合板紙構造に関し、とりわけ、材料を大幅に節約することが可能であり、かつ高い曲げ抵抗およびねじり強度を達成することが可能である複合板紙構造およびこの箱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
現在存在している箱は、一般的に、段ボールおよび紙製ハニカム板を含む紙から作られる。段ボールは紙の少なくとも3層から成る。紙の上側および下側は平面紙であり、中央は波形ストリップである。そのようにして、3層構造は一般的な箱構造を形成するように十分な強度を与える。この固有の構造的関係により、波形ストリップ構造のみが横方向の曲げ抵抗を与えることが可能である。長手方向に沿った曲げについては、外力によって損傷しやすい。
【0003】
紙製ハニカム板は、複数の方向に抵抗を与えるために従来の段ボールの波形ストリップに取って代わるハチの巣を模倣した6面構造である。従って、箱全体の構造強度は大幅に改善可能である。しかしながら、製造プロセスが現実的に複雑すぎて、使用される材料の量を減らせないため、現在市場に出回っている紙箱は、依然大部分が段ボールから作られている。
【0004】
さらに、段ボールは防水加工されておらず、箱は、外部の湿度であっても、または内側に保管された物品によって生成される湿度であっても、耐湿性が弱い。輸送される物品の保管環境または制約に関するいくつかの要件が考えられる。近年、環境保護に関する意識が高まって、箱の再利用は常に目標となっているが、これは段ボールの製造がかなりのエネルギーを消費しかつ汚染しているからである。前述の制約、および段ボール箱が外部衝突によって容易に変形することにより、数回繰り返し使用した後、この状態および強度が大幅に低減することになる。よって、再利用の機会が低減する。
【0005】
上記の問題を解決するために、当技術分野では、既存の段ボールに取って代わりかつ該段ボールからもたらされる関連の問題を克服するための新しい複合板紙構造が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、上述した問題を解決するために複合板紙構造およびこの箱構造を提供することである。本発明は、簡易な構造を使用することによって、十分な曲げ抵抗、外力に対する耐捻回性、およびねじり強度がもたらされ得る。
【0007】
本発明の別の目的は、複合板紙構造およびこの箱構造を提供することである。材料使用量を低減させる一方、製造費および材料費が低減される。また、本発明は、簡易でありかつ容易く製作されるため、既存の段ボール、他のタイプの平板、およびこれらで形成される箱に取って代わることが可能である。
【0008】
本発明の別の目的は、複合板紙構造およびこの箱構造を提供することである。本発明は、プラスチック、発泡材料、プラスチック紙、金属、および他の材料が使用される時、使用量が低減されるだけでなく、再利用可能性が増大する。また、構造強度および曲げ抵抗が改善されることにより、既存の運輸業が箱の再利用またはリサイクル材料の再製造を実施するのに役立ち、環境保護、エネルギー節約、および炭素還元の必要性が満たされる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的、および本発明によって解決される技術的問題は、以下の技術的解決策によって達成される。
【0010】
本発明は、平板形状である支持板紙と、板面側およびくぼみ側を画成する複数のくぼみを有する構造板であって、構造板はくぼみ側を有する支持板紙の片側に配設される、構造板と、を含むことを特徴とする複合板紙構造を提供する。
【0011】
本発明の目的、および本発明によって解決される技術的問題は、また、以下の技術的手段によってさらに実現可能である。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態では、くぼみは閉環状の形状を有する。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態では、構造板は、少なくとも2つのくぼみを連結するための連結リブをさらに含む。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態では、支持板紙は少なくとも1つのくぼみをさらに含み、支持板紙のくぼみは構造板のくぼみに接触しているかまたは接触していない。
【0015】
本発明は、平板形状である支持板紙と、厚板であり、かつ支持板紙の片側に配設するための複数の貫通孔を有する構造板と、を備えることを特徴とする複合板紙構造をさらに提供する。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態では、くぼみは閉環状の形状を有する。
【0017】
本発明は、複数の複合板紙によって形成される箱構造であって、複合板紙は支持板紙および構造板を含み、支持板紙は平板形状であり、構造板は、板面側およびくぼみ側を画成するための複数のくぼみを有し、構造板はくぼみ側を有する支持板紙の片側に配設されることを特徴とする、箱構造をさらに提供する。
【0018】
本発明の目的、および本発明によって解決される技術的問題は、また、以下の技術的手段によってさらに実現可能である。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態では、くぼみは閉環状の形状を有する。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態では、構造板は少なくとも2つのくぼみを連結するための連結リブをさらに含む。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態では、支持板紙は少なくとも1つのくぼみをさらに含み、支持板紙のくぼみは構造板のくぼみに接触しているかまたは接触していない。
【0022】
本発明は、複数の構造板によって形成される箱構造であって、構造板は複数のくぼみを有することを特徴とする、箱構造をさらに提供する。
【0023】
本発明の目的、および本発明によって解決される技術的問題は、また、以下の技術的手段によってさらに実現可能である。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態では、くぼみは閉環状の形状を有する。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態では、構造板は少なくとも2つのくぼみを連結するための連結リブをさらに含む。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態では、隣接した構造板のくぼみは、種々の向きまたはタイプを有する。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態では、隣接した構造板のくぼみは接触位置で互いに嵌合する。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態では、補強ストリップは隣接した構造板の間に配置される。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態では、枠板は構造板の外側に配置される。
【0030】
本発明の複合板紙構造によると、複合板紙構造は支持板紙および構造板を含む。構造板は、板面側およびくぼみ側を画成するための複数のくぼみを含み、構造板はくぼみ側を有する支持板紙の片側に配設される。従って、曲げ抵抗、外力に対する耐捻回性、およびねじり強度は、くぼみによって提供される横構造によって大幅に改善される。
【0031】
本発明の別の実施形態の複合板紙構造によると、発泡材料または他の厚板に適応される。穿孔、合成、または接合などによって、材料の使用を低減しながら、曲げ抵抗、外力に対する耐捻回性、およびねじり強度を改善するための横構造が提供される。
【0032】
さらに、上述した板構造によって形成される箱は、簡易な構造を有するだけでなく、製造費および材料費を大幅に低減する。また、この向上した構造強度により、損傷する可能性が低くなり、これによって使用の繰り返しが促進される。運輸業で箱の再利用を実施することは、環境保護、エネルギー節約、および炭素還元の必要性を満たす。
【0033】
本発明の別の実施形態の箱構造によると、箱は単一層構造板によって形成され、構造板は複数のくぼみを有する。曲げ抵抗、外力に対する耐捻回性、およびねじり強度は、くぼみによってもたらされる横構造によって大幅に改善される。従って、該構造は、簡易な構造を有するだけでなく、製造費および材料費を大幅に低減する。また、この向上した構造強度により、損傷する可能性が低くなり、これによって使用の繰り返しが促進される。運輸業で箱の再利用を実施することは、環境保護、エネルギー節約、および炭素還元の必要性を満たす。
【0034】
本発明の適用性のさらなる範囲は、以降に挙げられる詳細な説明から明らかとなるであろう。しかしながら、詳細な説明および具体的な例は本発明の好ましい実施形態を指示しているが、本発明の趣旨および範囲内のさまざまな変更および修正がこの詳細な説明から当業者には明らかとなるであろうため、例示としてのみ挙げられていることは、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図2A】本発明の複合板紙の構造板の概略図である。
【
図2B】本発明の複合板紙の構造板の概略図である。
【
図2C】本発明の複合板紙の構造板の概略図である。
【
図3】本発明の複合板紙の連結リブを有する構造板の概略図である。
【
図4A】本発明の複合板紙の柱状物と共に構造板の概略図である。
【
図4B】本発明の複合板紙の柱状物と共に構造板の概略図である。
【
図5A】本発明の複合板紙の構造板の別の実施形態の概略図である。
【
図5B】本発明の複合板紙の構造板の別の実施形態の概略図である。
【
図6】本発明の複合板紙の構造板の別の実施形態の概略図である。
【
図7】本発明の箱構造の1つの実施形態の概略図である。
【
図8】本発明の箱構造の別の実施形態の概略図である。
【
図9】本発明の補強ストリップおよび枠板を有する箱構造の概略図である。
【
図10】本発明の箱構造の別の実施形態の概略図である。
【
図11】本発明の内側嵌合による箱構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
当業者が本発明の特性および効果を理解できるようにするために、以下に、明細書および特許請求の範囲において述べられる用語の全般的な説明および定義を挙げる。定義されない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語は全て、本発明に関連する技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。矛盾が生じた場合には、定義を含む本明細書を優先する。
【0037】
本明細書において使用されている時、用語「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、またはこれらの任意の他の変形は、非排他的包含を含んでいることが意図されている。例えば、要素の列挙を含む構成要素、構造、物品、または装置は、これらの要素のみに必ずしも限定されるわけではないが、明示的に列挙されていないまたはこのような構成要素、構造、物品、または装置に固有の他の要素を含んでよい。さらに、反対であることが明示的に記述されていない限り、用語「または(or)」は、包括的な「または」を指し、排他的な「または」を指すものではない。例えば、条件「AまたはB」は、下記、Aは真(または存在する)かつBは偽(または存在しない)、Aは偽(または存在しない)かつBは真(または存在する)、およびAおよびB両方共が真(または存在する)、のいずれか1つによって満たされる。さらに、「備える(comprises)」、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、またはこれらの任意の他の変形などの非限定型の移行句が使用される時はいつでも、「本質的に~から成る」および「~から成る」などの移行句も開示されかつ含まれると理解されたい。
【0038】
本明細書では、第1および第2などの用語は、同様の要素同士を区別するために使用され、必ずしも起こった順序または時間的な順序を説明するために使用されるわけではない。そのように使用される用語が適切な状況下で置き換え可能であり、本明細書に記載される発明の実施形態が本明細書に説明または例示されるもの以外の順序で動作可能であることは理解されたい。
【0039】
以下の用語または定義は単に本発明を理解する際の助けとなるように提供されている。これらの定義は、当業者が理解している範囲よりも狭いと解釈されるべきではない。
【0040】
本発明による複合板紙構造およびこの箱構造について、
図1Aおよび
図1Bを参照する。複合板紙構造は支持板紙10および構造板20を含む。支持板紙10は基本的に平板形状であり、構造板20は複数のくぼみ21を有する。従って、構造板20は板面側201およびくぼみ側202が画成されることになる。該構造によると、くぼみ21はくぼみ壁211およびくぼみ底部212を含む。
構造板20は、材料および応用に左右されるが、糊付け、高周波接合、超音波接合、熱圧縮、および型締などのさまざまなやり方によってくぼみ側202を有する支持板紙10の片側に配設される。しかしながら、上記は単なる例であり、これらの方法のみを採用することに限定されない。材料には、プラスチック、紙、発泡材料、ポリマー、金属、またはこれらの組み合わせがあり得る。
【0041】
従って、支持板紙10および構造板20によって形成される複合板紙は、くぼみ21によってもたらされる横構造により、曲げ抵抗、外力に対する耐捻回性、および耐ねじり強度が改善されている。くぼみ21のいわゆる横構造は支持板紙10および構造板20の平面に対応していることに留意されたい。換言すれば、くぼみ21は構造板20の表面に略垂直に形成されるため、支持板紙10および構造板201を支持することは不可避的に板の表面による角度を形成することになる(全般的にまたはほぼ垂直であるが、垂直であることに限定されず、傾斜面の配置構成が用いられ得る)。従って、複合板紙全体が外力によって曲がる時、くぼみ壁211が力に対して対応する抵抗をもたらし得る。従って、曲げ抵抗、外力に対する耐捻回性、および耐ねじり強度が改善され得る。くぼみ21が3次元円柱状構造であることで、くぼみ21によってもたらされる抵抗がまた多方向であることは、留意されるべきである。
【0042】
支持板紙10および構造板20が接合された後、構造板20のくぼみ底部212および支持板紙10は、接合後は分離されない。くぼみ底部212と支持板紙10との間の結合力と組み合わせられた、支持板紙10および構造板20の引張抵抗により、支持板紙10および構造板20の表面の曲げ展開または曲げ圧縮が制限されることになって、曲げ抵抗の構造性能がさらに改善される。他方、くぼみ21自体の3次元構造に加えて、構造板20上の複数のくぼみ21の関係により、くぼみ21の間の平面を通過するのではなく、くぼみ21の位置(くぼみ壁211)を通り過ぎない力が加えられる場合でも、曲げ抵抗、外力によるゆがみに対する抵抗、および曲げ抵抗を改善する目的を達成することは、くぼみ21によって依然制限されかつ影響されることになる。
【0043】
また、くぼみ21の形状および構成について、上記のような
図1Aにおける正方形構造に加えて、円形(
図2Aを参照)または六角形(
図2Bを参照)、長尺形などであってもよい。規則的分布(
図1Aを参照)以外に、互い違いに配置する(
図2Aを参照)、またはハチの巣状の最小充填配置(
図2Bを参照)も可能である。本発明は、このような配置または形状に限定されず、上述した形状および配置以外に、任意の他の形状および配置が適用可能である。また、くぼみ21の深さも等しいかまたは等しくないものであってよい。
形状および配置はまた、前述のタイプのいずれかの混合であってよい。くぼみ21の構成の密度はまた、実際の必要性に従って判断可能である。先に述べたように、くぼみ21の構成の密度が大きくなると、くぼみ21の間の制限が増大し、かつ構造強度が大きくなる。さらに、
図2Cを参照する。くぼみ21の間の配置が正方形および線形配置の場合に比較的緩い場合、くぼみ21の間の制限は比較的弱くなる。しかしながら、材料自体の強度が十分である場合、または強度の要件が低くなっている場合、この配置構成も採用可能である。しかしながら、より良い強度および抵抗の要件を考慮する場合、互い違いの配置がより良好である(
図2Aおよび
図2Bを参照)。
【0044】
くぼみ21の形成に関して、スタンピング、真空成形、ホットプレス、高周波または超音波プレス加工、圧延、直接形成など、板材料の種々の材料に基づくさまざまな方法を判断することも可能である。また、本発明はこのような製造方法に限定されず、他の形成方法も適用されてよい。
【0045】
さらに、上記のくぼみ21は互いに独立しており、すなわち、それぞれのくぼみ21は互いに相互に連通していない。同じ概念に基づく強度をさらに高めるために、
図3を参照する。少なくとも2つのくぼみ2を連結するための連結リブ22がまた、くぼみ21の間に加えられて強度をさらに高めることが考えられる。その結果、くぼみ21の間の平面はくぼみ21によってだけでなく、連結リブ22の存在によっても制限され、これによって強度がさらに改善される。
連結リブ22の深さは、くぼみ21の深さより低いかまたはこれに等しいものであってよい。連結されるくぼみの形状および量はまた、具体的に限定されない。連結リブ22の構成位置は、強化される必要がある位置に従って配置可能である。このように、構造板20上のくぼみ21全てが連結リブ22を有することは必ずしも必要というわけではない。
【0046】
さらに、
図4Aに示されるように、くぼみ21は閉環状の形状でもあり得る。くぼみ21内に突出部213がある。突出部213の形状はくぼみ21と同じであるまたは異なっている可能性があり、突出部213の高さはまた、くぼみ21の深さと等しいかまたはこれより低い可能性がある。
図4Bを参照する。構造板20に対応する支持板紙10はまた、複数の柱状物11を有する場合があり、柱状物11は、結合力を高めるために、くぼみ21の突出部213の底部と組み合わせ(挿入)可能である。また、柱状物11はくぼみ21の位置に対応してもよいししなくてもよい。上述されるように、この形状、位置、配置、高さなどは、変更可能であり、図に示されるタイプに限定さない。
【0047】
他方では、上記のくぼみ21、突出部213、柱状物11、または構造板20は、壁、底部、または表面に種々の穿孔を形成することで、強度を高めかつ使用される材料を大幅に低減することが可能である。
【0048】
また、
図5Aを参照する。厚板(例えば、発泡材料)がある場合、くぼみ21を有する構造板20を形成するために、ホットプレス、直接形成などによって形成可能である。また、くぼみ21の側壁が空洞である場合、
図1Aおよび
図1Bに示される構造と同様の構造が形成されることになる。
構造板20はまた、
図6に示されるように、穿孔214を形成するために直接穿孔可能であり、これによって、使用される材料量を低減する目的を達成する一方で、曲げ、外力による捻転、およびねじれに耐える能力をもたらすことが可能である。残りの配置、形状、位置などの変形は、先に説明したように変えられてもよく、これについて本明細書では繰り返し述べることはない。
【0049】
図7を参照する。前述の実施形態のいずれか1つの複合板紙から箱が作られ、これは最も一般的な段ボール箱に取って代わることが可能である。強度は大幅に改善可能であり、材料の使用量は低減され、比強度は高い。また、箱が防水材料から作られる場合、防水性および防湿性が達成される。また、箱の耐久性が高くなり、それによって繰り返しの使用が大幅に促される。
【0050】
本発明の別の実施形態である
図8を参照されたい。箱構造は、前述の実施形態のいずれか1つの複合板紙の(構造シートともいう)構造板20の1つの層のみで形成される。同様に、構造板20は(くぼみ本体ともいう)複数のくぼみ21を有する。くぼみ21によってもたらされる横構造により、曲げ、外力による捻回、およびねじれに対する抵抗が改善可能である。
くぼみ21のいわゆる横構造は構造板20の平面に対応していることに留意されたい。換言すれば、くぼみ21は構造板20の表面に略垂直であるように形成されるため、構造板201は不可避的に板の表面による角度を形成することになる(全般的にまたはほぼ垂直であるが、垂直であることに限定されず、傾斜面の配置構成が用いられ得る)。従って、箱構造全体に外力または荷重が加えられる時、くぼみ壁211は該力または荷重に対して対応する抵抗をもたらし得る。よって、曲げ抵抗、外力に対する耐捻回性、および耐ねじり強度は改善され得る。従って、この箱は最も一般的な段ボール箱に取って代わることが可能である。強度は大幅に改善可能であり、材料の使用量は低減され、比強度は高い。製作の困難さはかなり低減され、これは生産効率を改善するのに有益である。また、箱が防水材料から作られる場合、防水性および防湿性が達成される。また、箱の耐久性が高くなり、それによって繰り返しの使用がかなり促される。
【0051】
箱は、単一の構造板20を折り重ねかつ接合箇所で連結することによって、または複数の構造板20と直接嵌合することによって形成される。構造板20の間の接合方法は限定される必要はなく、例えば、熱接合、接着、型締、ロッキング、および釘打ちなどが使用可能である。さらに、補強ストリップ23は隣接した構造板20の間を補強するために使用可能であり、補強ストリップ23は、
図9に示されるように、枠板24を形成するために延在させることさえ可能である。
【0052】
さらに、構造板20上のくぼみ21が方向性を有する(例えば、図に示されるような細長いストリップ)場合の
図10を参照されたい。応力のバランスを取りかつ強度を高めるために、隣接した構造板20のくぼみ21は種々の向きまたはタイプを有する。
図10は、前述の規則的なパターン、他の不規則的なまたは非幾何学的なパターンもしくはロゴ、特別な登録商標、パターンなどに加えて、任意の形状および配置構成であってよく、かつこの深さ、位置、角度は変化させることが可能である、単なる例示である。
設計および構成はまた、それぞれの面の要件に従って修正可能である。例えば、底面は、(六角形のハチの巣状配置など)高強度のパターンおよび構成で設計可能であり、側面は、中強度のパターンおよび配置で構成可能であり、上面はまた、ロゴ、特別な登録商標、パターンなどとして設計可能である。さらに、
図11に示されるように、隣接した構造板20のくぼみ21は、箱の内部の接触位置で互いに嵌合して、この嵌合および箱全体の強度をさらに改善する、または補強ストリップ23または枠板24などに取って代わることが可能である。
【0053】
本発明が上記のように説明されることで、本発明が多くのやり方で変えられ得ることは明らかとなるであろう。このような変形は、本発明の趣旨および範囲からの逸脱とみなされるべきではなく、当業者には明らかであろうこのような修正は全て、以下の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
10 支持板紙
11 柱状物
20 構造板
201 板面側
202 くぼみ側
21 くぼみ
211 くぼみ壁
212 くぼみ底部
213 突出部
214 穿孔
22 連結リブ
23 補強ストリップ
24 枠板
【国際調査報告】