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特表2022-509617排気ガス処理装置の動作を制御する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-21
(54)【発明の名称】排気ガス処理装置の動作を制御する方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/18 20060101AFI20220114BHJP
   F01N 3/36 20060101ALI20220114BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20220114BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20220114BHJP
   F01N 3/025 20060101ALI20220114BHJP
   F01N 3/035 20060101ALI20220114BHJP
   F02D 41/04 20060101ALI20220114BHJP
   F02D 41/34 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
F01N3/18 B
F01N3/36 R
F01N3/18 C
F01N3/24 E
F01N3/08 B
F01N3/24 C
F01N3/025 101
F01N3/035 E
F02D41/04
F02D41/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021527136
(86)(22)【出願日】2019-11-18
(85)【翻訳文提出日】2021-05-18
(86)【国際出願番号】 EP2019025399
(87)【国際公開番号】W WO2020104055
(87)【国際公開日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】1818837.5
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501169419
【氏名又は名称】パーキンズ エンジンズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Perkins Engines Company Limited
【住所又は居所原語表記】Eastfield Peterborough PE1 5FQ United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イーガー、アンソニー、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ロイド、トーマス、イー.
(72)【発明者】
【氏名】ムアハウス、ピーター
【テーマコード(参考)】
3G091
3G190
3G301
【Fターム(参考)】
3G091AA18
3G091AA28
3G091AB02
3G091AB05
3G091AB13
3G091BA07
3G091CA18
3G091CB01
3G091DB11
3G091EA01
3G091EA17
3G091EA30
3G091EA35
3G091FA01
3G091FA08
3G091HA15
3G091HA16
3G190AA12
3G190BA49
3G190CA01
3G190CB18
3G190CB19
3G190CB23
3G190CB26
3G190DA03
3G190DA04
3G190DB12
3G190DB23
3G190DB75
3G190DC02
3G190DC05
3G190EA01
3G190EA23
3G301JA21
3G301KA04
3G301MA23
3G301PE01Z
(57)【要約】
内燃機関および排気ガス処理装置を備えるエンジンアセンブリを制御する方法が開示されている。後処理アセンブリは、時々、クリーニングを必要とすることがあり、これが、後処理アセンブリの能動的熱管理を伴う場合、方法は、(a)エンジン速度の第一の制限を課すステップと、(b)エンジンの安全状態を待機するステップと、(c)クリーニングプロセスを実施するステップであって、(i)燃料が、ディーゼル酸化触媒内の排気ガス温度の上昇を目標とするため、燃料が前記ディーゼル酸化触媒内で燃焼するために燃焼することなく前記エンジンを通過するようにエンジンに燃料を注入することと、(ii)エンジン速度の第一の制限を除去することと、エンジン速度設定点を目標とすることであって、エンジン速度設定点が、エンジン速度の第一の制限よりも高速にある、エンジン速度の第一の制限を除去することと、エンジン速度設定点を目標とすることと、を含む、クリーニングプロセスを実施するステップと、を実行することを伴う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関および排気ガス処理装置を備えるエンジンアセンブリを制御する方法であって、
前記排気ガス処理装置が、ディーゼル酸化触媒を備える第一の後処理モジュールと、前記第一の後処理モジュールの下流の第二の後処理モジュールと、を備え、
前記エンジンアセンブリが、前記第二の後処理モジュールの効率の数値表示を提供するように構成され、
前記方法が、
前記効率の数値表示を第一の閾値と比較することと、前記効率の数値表示が、効率が前記第一の閾値を下回るようなものである場合、
(a)エンジン速度の第一の制限を実施するステップと、
(b)エンジン安全状態の状態を待機するステップと、
(c)前記第二の後処理モジュールの一次クリーニングプロセスを実施するステップであって、前記一次クリーニングプロセスが、
(i)前記燃料が、前記ディーゼル酸化触媒内の排気ガス温度の第一の増加ΔTを目標とするために、前記燃料が前記ディーゼル酸化触媒内で燃焼するために燃焼することなく前記エンジンを通過するように、エンジン燃焼イベント後に前記エンジンに燃料を注入することと、
(ii)前記エンジン速度の第一の制限を除去し、エンジン速度設定点を目標とすることであって、前記エンジン速度設定点が、前記のエンジン速度の第一の制限よりも高速にある、前記エンジン速度の第一の制限を除去し、エンジン速度設定点を目標とすることと、を順次または同時に含む、一次クリーニングプロセスを実施するステップと、を順次実行することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第二の後処理装置の前記一次クリーニングプロセスを実施する前記ステップ中に、前記エンジン安全状態の状態が中断された場合、前記方法が、前記エンジン速度の第一の制限を実施する前記ステップに戻る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エンジンが再始動された場合に、前記方法が、請求項1または請求項2に記載の前記方法を再開する前に、所定の遅延期間にわたって前記エンジン速度設定点の前記目標化を除去することを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
所定の遅延期間にわたり前記エンジン速度設定点の前記目標化を除去するために前記エンジンを再始動する前記ステップが、限られた回数のエンジン再始動のみに対して利用可能である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記エンジン速度の第一の制限が、前記エンジンの通常のアイドル速度と同等である、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記設定点目標エンジン速度が、前記エンジンの改良されたアイドル速度と同等である、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、請求項1に記載の前記方法のステップに先行する、
前記効率の数値表示を第二の閾値と比較するステップであって、前記第二の閾値が、前記第一の閾値よりも高い効率を表す、比較するステップと、前記効率の数値表示が、前記第一の閾値と前記第二の閾値の間にある場合、
前記第二の後処理モジュールの二次クリーニングプロセスを実施するステップであって、前記二次クリーニングプロセスは、前記燃料が、ΔT2<ΔTである、前記ディーゼル酸化触媒内の排気ガス温度の第二の増加、ΔTを目標にするため、前記燃料が前記ディーゼル酸化触媒内で燃焼するために燃焼することなく前記エンジンを通過するように、エンジン燃焼イベント後に前記エンジンに燃料を注入するステップを含む、二次クリーニングプロセスを実施するステップと、をさらに含む、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記効率の数値表示が、前記第一の閾値と第二の閾値の間にある場合、前記方法が、エンジン速度の特定の制限を課さないことを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記効率の数値表示が前記第一の閾値と第二の閾値の間にある場合、前記方法が、前記エンジン速度の第一の制限よりも高速を表すエンジン速度の第二の制限を課すことを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、請求項1に記載の前記方法のステップに先行する、
前記効率の数値表示を第三の閾値と比較するステップと、前記効率の数値表示が前記第三の閾値効率値を下回る場合、
前記一次クリーニングプロセスが必要であることを運転者に通知するため警告ランプを提供するステップと、をさらに含み、
前記第三の閾値が、前記第一の閾値より高い効率を表す、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、請求項1に記載の前記方法のステップに先行する、
前記効率の数値表示を、第四の閾値と比較するステップと、前記効率の数値表示が、前記第四の閾値効率値を下回る場合、
前記一次クリーニングプロセスが必要であることを運転者に通知するため可聴警報を提供するステップと、をさらに含み、
前記第四の閾値は、前記第三の閾値より高い効率を表す、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、前記効率の数値表示が減少するにつれて、前記内燃機関の有用な作業出力に増加する制限が加えられる、エスカレーションアーキテクチャをさらに含む、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記効率の数値表示を臨界閾値と比較することとをさらに含み、前記効率の数値表示が前記臨界閾値を下回る場合、前記方法が、前記内燃機関の使用を完全に防止することを含む、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記第二の後処理モジュールが、ディーゼル粒子フィルタモジュールを備え、前記効率の数値表示が、DPFすすの負荷の関数を含む、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記第二の後処理モジュールが、選択的触媒還元モジュールを備え、前記効率の数値表示が、SCR背圧の関数を含む、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
内燃機関および排気ガス処理装置を備える内燃機関アセンブリであって、
前記排気ガス処理装置は、ディーゼル酸化触媒を備える第一の後処理モジュールと、前記第一の後処理モジュールの下流の第二の後処理モジュールと、を備え、
前記エンジンアセンブリは、前記第二の後処理モジュールの効率の数値表示を提供するように構成され、
前記内燃機関アセンブリが、
前記効率の数値表示を第一の閾値と比較し、前記効率の数値表示が、効率が前記第一の閾値を下回るようなものである場合、
(a)エンジン速度の第一の制限を実施するステップと、
(b)エンジン安全状態の状態を待機するステップと、
(c)前記第二の後処理モジュールの一次クリーニングプロセスを実施するステップであって、前記一次クリーニングプロセスが、
(i)前記燃料が、前記ディーゼル酸化触媒内の排気ガス温度の第一の増加ΔTを目標とするため、前記燃料が前記ディーゼル酸化触媒内で燃焼するために燃焼することなく前記エンジンを通過するように、エンジン燃焼イベント後に前記エンジンに燃料を注入することと、
(ii)前記エンジン速度の第一の制限を除去し、エンジン速度設定点を目標とすることであって、前記エンジン速度設定点が、前記エンジン速度の第一の制限よりも高速にある、前記エンジン速度の第一の制限を除去し、エンジン速度設定点を目標とすることと、を順次または同時に含む、一次クリーニングプロセスを実施するステップと、を順次実行するように構成されるエンジン制御モジュールをさらに備える、内燃機関アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排気ガス処理の分野に関し、詳細には、排気ガス処理装置の動作の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
排気ガス処理装置は、複数のモジュールを備えてもよく、各モジュールは、排気ガスの一つまたは複数の成分を処理することを意図している。モジュールは、排気ガスが各モジュールを順次通過するように直列に配置されてもよい。排気ガス処理装置は、ディーゼル酸化触媒(DOC)モジュールを備える第一の後処理モジュールと、第一の後処理モジュールの下流の第二の後処理モジュールとを備えてもよい。第二の後処理モジュールは、ディーゼル粒子フィルタ(DPF)モジュールおよび/または選択的触媒還元(SCR)モジュールを備えてもよい。第二の後処理モジュールは、DPFモジュールおよびSCRモジュールの両方を備える場合、SCRモジュールは、DPFモジュールの下流であってもよい。
【0003】
ディーゼル酸化触媒モジュールは、排気ガスの成分を酸化させ得る。ディーゼル粒子フィルタモジュールは、存在する場合、排気ガスからのすすを濾過して、そのすすが大気に放出されることを防止し得る。SCRモジュールが存在する場合、排気ガス中に存在するNOがアンモニアと化学反応して窒素および水を生成するようにさせ得る。
【0004】
各モジュールで適切な温度を達成および維持することは、所望の結果を達成するために重要であり得る。
【0005】
第二の後処理モジュールに到達する前に排気ガスの温度を上昇させるために、ディーゼル酸化触媒の下流に到着する排気ガスの温度を上昇させるために、通過する排気ガスの温度を上昇させるために、ディーゼル酸化触媒モジュールを使用することが知られている。これは、ディーゼル酸化触媒内で酸化のためディーゼル酸化触媒モジュールの上流に未燃燃料を導入することによって達成され、それによって、ディーゼル酸化触媒モジュールを離れる排気ガスの温度を増加させることができる。
【0006】
したがって、燃焼のための燃料の注入に加えて、燃料が酸化することなく一つまたは複数のシリンダから排出されることを意図して、燃焼後イベントとして、エンジンのシリンダの一つ以上に燃料を注入してもよい。この燃料は、ディーゼル酸化触媒モジュール内で酸化し、それによってその中の排気ガスの温度を上昇させ得る。このように燃料の注入は、HC投与と称され得る。
【0007】
ディーゼル粒子フィルタモジュールの性能は、存在する場合、ディーゼル粒子フィルタモジュール内に閉じ込められたすすの量によって影響され得る。再生またはクリーニング戦略として知られる戦略を使用して、ディーゼル粒子フィルタモジュール内に閉じ込められたすすの量を低減させることを求め得る。こうした戦略は、必要に応じて、ディーゼル粒子フィルタモジュール内のススの燃焼を確実にするための技術を含み得る。例えば、燃焼は、ディーゼル粒子フィルタモジュール内の温度の上昇によって促進され得る。
【0008】
ディーゼル粒子フィルタモジュールに閉じ込められたすすの量が、排気ガス処理装置の性能、ひいてはエンジン性能に影響を与え得る場合がある。例えば、大量のすすがディーゼル粒子フィルタモジュールに閉じ込められている場合、閉じ込められたすすによって引き起こされる背圧は、エンジン性能に影響を与え得る。
【0009】
SCRモジュールの性能は、存在する場合、SCRモジュール内の堆積物の蓄積によっても影響され得、これは、SCRモジュールを通過する排気ガスの適切な熱管理によって低減または管理され得る。
【0010】
再生/クリーニング戦略の適切な階層を有することにより、排気ガス処理装置の性能が改善され得る。さらに、機械のダウンタイムも低減する可能性がある。さらに、サービス間隔を延ばすこともできる。
【0011】
クリーニング戦略は、2種類のクリーニング戦略に分けられてもよい。第一の種類の戦略は、エンジンのユーザに著しい影響を与える可能性が高い閾値を下回るエンジンの性能に影響を与える措置を取ることを伴い得る。第二の種類の戦略は、ユーザが有用な作業のためにエンジンを使用し続けるのを可能にしながら、実施することができない場合があるような、より実質的なものであってもよい。第一の種類のクリーニング戦略と第二の種類のクリーニング戦略を区別する目的で、簡略化のために、本書では、第一の種類の戦略を小規模なクリーニング戦略と呼称し、第二の種類の戦略を主要なクリーニング戦略と呼称する。この文脈において小規模および主要という用語は、単に用語をラベル付けするものであり、達成されるクリーニングの大きさの絶対的な要件を意味するものとして理解されるべきではない。
【発明の概要】
【0012】
この背景に対して、内燃機関および排気ガス処理装置を備えるエンジンアセンブリを制御する方法が提供され、
排気ガス処理装置は、ディーゼル酸化触媒を備える第一の後処理モジュールと、第一の後処理モジュールの下流の第二の後処理モジュールと、を備え、
エンジンアセンブリは、第二の後処理モジュールの効率の数値表示を提供するように構成され、
方法が、
効率の数値表示を第一の閾値と比較することと、効率の数値表示が、効率が第一の閾値を下回るようなものである場合、
(a)エンジン速度の第一の制限を実施するステップと、
(b)エンジン安全状態の状態を待機するステップと、
(c)第二の後処理モジュールの一次クリーニングプロセスを実施するステップであって、一次クリーニングプロセスが、
(i)燃料が、ディーゼル酸化触媒内の排気ガス温度の第一の増加ΔTを目標とするために、燃料がディーゼル酸化触媒内で燃焼するために燃焼することなくエンジンを通過するように、エンジン燃焼イベント後にエンジンに燃料を注入することと、
(ii)エンジン速度の第一の制限を除去し、エンジン速度設定点を目標とすることであって、エンジン速度設定点が、エンジン速度の第一の制限よりも高速にある、エンジン速度の第一の制限を除去することと、エンジン速度設定点を目標とすることと、を順次または同時に含む、一次クリーニングプロセスを実施するステップと、を順次実行することと、を含む。
【0013】
したがって、有利なことに、排気ガスの温度は、(a)第二のエンジン速度制限が第一のものよりも高いことを理由にエンジン内の燃焼の増加、および(b)DOCモジュールにおける燃料注入後の燃焼、の両方によって増加する。
【0014】
特定の配置では、方法は、効率の数値表示が減少するにつれて、内燃機関の有用な作業出力に対する増加する制限が課される、エスカレーションアーキテクチャをさらに含む。
【0015】
したがって、有利なことに、本開示の方法は、後処理効率が、その戦略内の適切な後処理クリーニングプロセスの実施によって回復するまで、エンジンで達成可能な有用な作業に対する増加する制限をユーザに提示する、エスカレートする後処理クリーニング戦略を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
ここで、本開示の実施形態は、添付図面を参照して説明される。
【0017】
図1図1は、本開示の方法が適用され得るエンジンアセンブリの高度に概略的な表現を示す。
図2図2は、本開示によるエンジンアセンブリを制御する方法の第一の実施形態のフローチャートを示す。
図3図3は、本開示によるエンジンアセンブリを制御する方法の第二の実施形態のフローチャートを示す。
図4図4は、本開示によるエンジンアセンブリを制御する方法の第三の実施形態のフローチャートを示す。
図5図5は、本開示による、後処理システムクリーニングプロセスのためのエスカレーション戦略の第一の実施形態の表現を示す。
図6図6は、本開示による、後処理システムクリーニングプロセスのためのエスカレーション戦略の第二の実施形態の表現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の方法の文脈を理解するために、本方法によって制御され得るエンジンアセンブリ500の可能な排気ガス処理装置550の説明に従う。当業者が容易に理解するように、本開示の方法は、幅広い排気ガス処理装置に適用可能であり、本開示の方法の文脈を理解する上で単に読者を支援するために提供される、以下に記載される特定の例に限定されない。
【0019】
図1の排気ガス処理装置550は、流体流路515、520、525、530、535を備え、それを通して、流体は、大気への放出前の排気ガスの処理のために、様々なモジュール520、530を通って連続的に流れてもよい。
【0020】
エンジン510の下流の流体流路は、直列に、DOCモジュールを備える第一の後処理モジュール520の入口とエンジン510の出口を連結する第一の導管515、第二の後処理モジュール530の入口と第一の後処理モジュール520の出口を連結する第二の導管525、および第二の後処理モジュール530から大気への出口を提供する第三の導管535を備え得る。第二の後処理モジュールは、DPFモジュールおよび/またはSCRモジュールを備えてもよい。第二の後処理モジュールは、DPFモジュールおよびSCRモジュールの両方を備える場合、SCRモジュールは、DPFモジュールの下流であってもよい。さらなるモジュール(図示せず)は、他のモジュールの下流または上流に存在してもよい。そのような追加のモジュールが存在する場合、別個のDPFモジュールまたは別個のSCRモジュールを含んでもよい。
【0021】
エンジン510は、排気導管515および一つまたは複数の燃焼シリンダ(図示せず)を有する燃焼ユニット(図示せず)を備えてもよい。一つまたは複数のシリンダの各々は、ピストン、燃料噴射器、吸気弁、および排気導管につながる排気弁を備え得る。燃料は、燃料噴射器を介してその(または各)燃焼シリンダ内に注入されてもよい。燃料噴射器は、制御されたタイミングパターンに従って燃料を注入するように構成されてもよい。
【0022】
排気ガス処理装置内の排気ガスの温度を上昇させるために、例えば、後処理クリーニングプロセスの一部として、排気ガス温度を上昇させるためにDOCモジュール520内の燃料を燃焼することが知られている。この目的のために燃料をDOCモジュール520に直接注入することは可能であるが、エンジン510の燃焼シリンダに既に存在する燃料噴射器を用いることによって、別個の噴射器の必要性を回避することも可能である。これは、燃料が燃焼することなくシリンダを直接通過し、従ってDOCモジュール510内の燃焼のために利用可能となるような条件であるとき、燃焼サイクル(例えば、シリンダの排気ストローク中)の時に、エンジンの燃焼シリンダに燃料を注入することによる、DOCモジュール510内での燃焼用の燃料の注入を伴い得る。このような注入は、シリンダ内で燃焼し、従来の方法でピストンを駆動するために時間を決める主要な注入と区別し、補助注入または燃焼後の注入と称され得る。
【0023】
(例えば、DPFモジュールからのすす堆積物の除去による)排気ガス処理装置の改善された効率をもたらすことを意図したプロセスは、後処理システムクリーニングプロセスまたは再生プロセスとして記述され得る。
【0024】
後処理クリーニングが必要とされる程度は、後処理効率が低下した程度次第であり得る。
【0025】
DPFモジュールの場合、DPFクリーニングが必要とされる程度は、DPF中に存在すると感知または推定されるすすの量次第であり得る。感知または推定されたすすの量は、すすの負荷として記述され得る。適度のすすの負荷は、すすの負荷がより重大である場合に必要とされるものとは異なるクリーニング戦略を促し得る。すすの負荷に応答して異なるDPFクリーニングプロセスを提供することが知られている。さらに、増加するすすの負荷に応じて、一連のますます有効なDPFクリーニングプロセスをエスカレートすることが知られている。
【0026】
SCRモジュールの場合、SCRクリーニングが必要とされる程度は、SCRモジュール内に堆積物が蓄積した程度次第であり得る。堆積物を感知するよりもむしろ、以前のクリーニングイベントの所定の期間の後、堆積物が蓄積した可能性が高いことが単に仮定され得るので、SCRのクリーニングのタイミングは、以前のクリーニングイベント以降の所定の時間間隔に単に基づいてもよい。
【0027】
本開示によるエンジンアセンブリを制御する方法100の実施形態を図2に示す。この方法は、主要なクリーニング戦略を呼び出すことを伴い、それによって、主要なクリーニング戦略は、運転者が有用な作業を実行するためにエンジンを使用することを効果的に防止する。
【0028】
方法は、ステップ110で、後処理効率データ(感知または推定されうる)を受信し、ステップ120で、後処理効率の減少(例えば、すす堆積物の蓄積によって引き起こされる)が、後処理効率が閾値を下回るようなものであるかを判定することを伴う。閾値は、絶対的な効率レベルまたは百分率効率、あるいは効率の関数である何らかの他の変数を表し得る。言い換えれば、効率の不足が、効率が閾値レベルを下回るほど十分に大きいかどうかが判定される。効率は、測定されるか、または推定されるかに関わらず、数値的に表現され得る。
【0029】
効率の数値表示が第一の閾値を下回ると判定される場合、方法は、ステップ130で第一のエンジン速度制限を実施することを伴う。
【0030】
第一のエンジン速度制限は、エンジン110が実行できる有用な作業の量を制限することを意図し得る。これは、運転者に直ちにすべての有用な作業を中止することを強制することはなく、通常のエンジン動作と両立しない後処理クリーニングプロセスが必要であるという非常に顕著なシグナルをエンジンアセンブリ100の運転者に提供してもよい。
【0031】
この第一の速度制限の導入の結果として、運転者は、有用な作業をすべて中止し、機械を駐車する(エンジンを停止することなく)適切な機会に到達することが意図され得る。
【0032】
方法を進める条件には、「安全状態」の状態に達したかどうかの判定を伴い得る。安全状態の状態は、機械を停止することなく、有用な作業が停止した(例えば、エンジンがアイドリングする)と判定することを含み得る。
【0033】
方法は、ステップ140で、安全状態の条件に達したかを判定することをさらに含んでもよい。安全状態の状態に達した場合、方法は、ステップ150で、専用のDPFクリーニングプロセスを呼び出すことを伴いうる。
【0034】
専用の後処理クリーニングプロセスは、エンジンが他の有用な作業を実行するのと並行して行うのではなく、専用のクリーニング段階の間に行われ得るため、専用と称され得る。この段階の間、エンジンの制御戦略は、主にまたは排他的に、後処理のクリーニングを目標とし得る。
【0035】
専用の後処理クリーニングプロセスは、二つ以上の要素を含んでもよい。
【0036】
一つの要素は、シリンダ燃焼を増加させ、エンジン510を退出し、後処理装置550に到達する排気ガスの温度を上昇させるため、(第一のエンジン速度制限の下で動作するときよりも、エンジン速度設定点で動作するとき、エンジン510においてより多くの燃焼が発生し得るように)第一のエンジン速度制限よりも高い場合があるエンジン速度設定点152を目標とすることを伴い得る。
【0037】
別の要素は、燃料がエンジン510のシリンダ内で燃焼せず、代わりにそれが燃焼するDOCモジュール520に到着し、それによってDOCモジュール520内の排気ガスの温度をさらに上昇させるように、補助注入151で燃料を注入することであってもよい。これらの補助注入は、ΔTの温度上昇を目標とするように構成されてもよい。
【0038】
要約すると、エンジン速度の増加は、エンジンを退出し、後処理装置に進入する排気ガスの温度の増加をもたらしうる一方、補助注入は、DOCモジュール520内で燃焼し、それによって、第二の後処理モジュールの上流にあるDOCモジュール520内の排気ガスの温度の上昇をもたらし得る。
【0039】
補助注入151で燃料を注入するステップは、エンジン速度設定点152を目標とするステップの前、後、または同時に開始し得る。
【0040】
燃焼後の燃料噴射の性質(タイミングおよび体積など)が、通常のエンジン作業と両立しない専用の後処理クリーニングプロセスをもたらすものである場合がある。
【0041】
燃焼後イベントにおいてエンジンに注入された燃料のDOCモジュール内の燃焼と共に後処理装置に入る排気温度の上昇の組み合わせは、第二の後処理モジュール内の温度の有意な上昇をもたらす。この温度上昇は、存在する場合、DPF内の蓄積したすすの燃焼をもたらしてもよく、これは、すす負荷が減少し、および/または存在する場合、SCR内のアンモニア堆積物の燃焼をもたらし得ることを意味する。
【0042】
方法の代替的な実施形態を図3に示す。この実施形態は、図2に示すものと類似しており、追加の機能を提供する。追加の機能は、ステップ260で、安全状態の状態が停止した場合に、後処理クリーニングプロセスを中断することを含む。安全状態の状態は、例えば、ユーザが、有用な作業をするためなど、機械を制御しようと試みた場合に、停止し得る。さらに、後処理クリーニングプロセスの中断は、ステップ130で、第一のエンジン速度制限の復帰と、第一の実施形態のプロセスの反復とが続く場合があり、それにより、安全状態の状態に戻るときのみ、後処理クリーニングプロセスを再開することができる。
【0043】
方法のさらなる代替的な実施形態を図4に示す。この実施形態は、図3に示すものと類似しており、さらにさらなる機能を提供する。
【0044】
この実施形態は、運転者が有用な作業が絶対に必要であるとみなす状況があり得ることを認識する。例えば、エンジンを備える機械を危険な状況から(例えば、他の機械から離れるなど)移動させることは絶対に必要とみなされ得る。図4の実施形態は、このような機会を運転者に可能にする方法を示す。
【0045】
図4の実施形態では、方法は、ステップ370で、後処理クリーニングプロセスの終了を開始し、エンジンを再始動することによって通常のエンジン動作に戻る可能性を可能にする。これは、本方法の少なくとも部分的な中断をもたらし、本方法を再度開始する前に、制限された時間遅延を開始する。遅延が終了すると、方法は、図4に示すように、後処理効率データ(ステップ110)を受信するステップ、または代替的に(図4に示さず)、ステップ130で第一のエンジン速度制限を実施するステップなど、方法ループの適切な点で再開され得る。
【0046】
エンジンの再始動の状態は、クイック再始動に限定される場合がある。クイック再始動は、エンジンが停止され、例えば、5秒または10秒の制限された時間内に再始動するものであってよい。このように、後処理クリーニングプロセスの終了を開始する可能性は、機械をより長い期間使用せず、その後に再始動することによって単に利用可能なだけではない。
【0047】
図4の実施形態(図示せず)のさらなる変形では、後処理クリーニングプロセスからの終了の開始、およびエンジンを再始動することによる通常のエンジン動作への復帰は、一回、二回、三回、または三回超など、限られた回数の機会のみの選択肢として利用可能であり得る。このように、運転者は、効果的に運転者が後処理クリーニングプロセスを回避できなくなる前に、正常な運転者の制御を回復する機会の回数が限定されている。
【0048】
上述の実施形態ならびに、図2、3および4に図示する実施形態は、各段階で、通常のエンジン作業を実行する目的で、運転者がエンジンを制御する機会を減少させる一方で、後処理クリーニングプロセスが発生する可能性を増大させるためのエスカレーション戦略の一部である場合がある。
【0049】
図2、3および4の実施形態はすべて、有用な作業を実行するためのエンジンの使用を効果的に防止する、主要な後処理クリーニング戦略をもたらす可能性がある。図2、3、および4の実施形態は、主要なクリーニングプロセスが実施される前に発生する、エンジンのユーザ制御が中断されない、小規模なクリーニングプロセスを含む、より広範な戦略のセットの一部を形成し得る。
【0050】
一つの特定の実施形態によれば、第一のレベルの戦略は、単に小規模な熱管理および時おり燃焼後の燃料注入を伴って、使用者には明らかではない、熱管理のための適度な介入を提供し得ることであってよい。そのような燃焼後燃料注入は、Tの温度上昇を目標とするように構成され得る。
【0051】
第二のレベル戦略では、ユーザが有用な作業を実行するためにエンジンを使用するのを妨げることなく、ユーザにとって少し明らかであり得る、わずかに控えめな効果をもたらす大量の燃焼後注入が起こる場合がある。
【0052】
第三のレベル戦略では、運転者に、専用の後処理クリーニングプロセスが必要であるという目に見える警告が提供される場合がある。これは、おそらくその後処理クリーニング順序を手動で開始することによって、主要な後処理クリーニングプロセスが行われることを可能にするために、通常の作業を停止する機会を見つけるようにユーザに警告する(しかしユーザに強要しない)ことを意図している。
【0053】
第四のレベル戦略は、第三のレベル戦略の可視アラートが、第四のレベル戦略の可聴アラートの代わりになり得ることを除いて、第三のレベル戦略と同一であってもよい。
【0054】
次いで、第五のレベル戦略は、図2、3、または4の実施形態の方法を開始することである場合がある。
【0055】
図6は、図5の実施形態よりもさらに多くのエスカレーションレベルを有する、エスカレーション戦略の実施形態を示す。
【0056】
包括的な戦略は、後処理効率をエンジンの使用を通して積極的に管理することに努め、後処理効率の低下が、より重要な後処理クリーニングを保証するのに十分な閾値に達したときに、運転者が有用な作業を実行することを試みず、代わりに専用の後処理クリーニングプロセスが行われるようにすることを奨励することであり得る。次いで、包括的な戦略は、ユーザが、主要な後処理クリーニングプロセスの開始を許可しない場合、ユーザにその主要な後処理クリーニングプロセスが行われるように説得するために、ますます厳格なステップを導入しうる。厳格なステップとは、例えば、可視かつ可聴の警告を提供することによって、その後、有用な作業を実行するような方法でエンジンを制御するユーザの能力を制限する、ユーザに行動をとるように説得する可能性が高くなる可能性があるステップを意味する。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本開示に記載される戦略は、背圧弁を持たないエンジンに特に適切でありうる。存在する場合、背圧弁は、温度上昇の目的で圧力を制御するために、後処理熱管理においてしばしば使用される。背圧弁がなく、その弁に関与する技術が利用できないエンジンについては、本明細書に明記される技術が特に適用可能である。
【0058】
背圧弁を有しないエンジンでは、吸気スロットル弁は、エンジン速度を適切に制限するために本明細書に記載のプロセスの一部として制御される可能性がある。
【0059】
とは言え、本明細書に記載する戦略は、適切な熱管理によって効率が改善され得る後処理装置を有する任意の内燃機関に適用され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】