(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-21
(54)【発明の名称】ガラス製作プロセスにおいて気泡を制御する方法
(51)【国際特許分類】
C03B 5/225 20060101AFI20220114BHJP
C03B 5/193 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
C03B5/225
C03B5/193
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021528404
(86)(22)【出願日】2019-11-12
(85)【翻訳文提出日】2021-07-16
(86)【国際出願番号】 US2019060993
(87)【国際公開番号】W WO2020112348
(87)【国際公開日】2020-06-04
(32)【優先日】2018-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】アドキンス,ローラ ローズ ヴァン コット
(72)【発明者】
【氏名】デ アンジェリス,ギルバート
(72)【発明者】
【氏名】ドゥラムリア,メーガン オーロラ
(72)【発明者】
【氏名】ラロンツ,ピエール
(57)【要約】
容器内に含まれるか、または容器を通って流れる溶融ガラスの体積の自由表面上の気泡を収縮させ、それにより、溶融ガラスの体積への気泡の再混入を最小限に抑え、溶融ガラスから生産された完成したガラス製品中の気泡の発生を抑えるための方法が開示される。気泡の供給源の位置を特定する方法についても記述される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス製作プロセスにおいて気泡を制御する方法であって、
溶融ガラスを含む容器の自由容積内にカバーガスを流すステップであって、前記溶融ガラスが自由表面を有し、前記自由表面上に気泡がある、ステップ
を含み、
前記カバーガス中の酸素の分圧が、前記気泡中の酸素の分圧よりも低く、前記カバーガスの相対湿度が約1%以下である、
方法。
【請求項2】
前記カバーガス中の酸素の濃度が約1体積%以下である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記酸素の濃度が、約0.05体積%~約0.2体積%の範囲である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記カバーガスがN
2を含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記カバーガス中の前記N
2の濃度が約98体積%以上である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記溶融ガラスをガラス物品に成形するステップをさらに含む、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
ガラス製作プロセスにおいて気泡を制御する方法であって、
第1の容器内で溶融ガラスを形成するステップと、
前記溶融ガラスを前記第1の容器の下流の第2の容器内に流すステップであって、前記第2の容器が、前記溶融ガラスの自由表面の上方に自由容積を含み、前記第2の容器内の前記溶融ガラスが、前記自由表面上に気泡を有する、ステップと、
前記自由容積内にカバーガスを流すステップと
を含み、
前記カバーガス中の酸素の分圧が、前記気泡中の酸素の分圧よりも低く、前記カバーガスの相対湿度が約1%以下である、
方法。
【請求項8】
前記カバーガス中の酸素の濃度が約1体積%以下である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記第1の容器内の前記溶融ガラスが第1の温度を有し、前記方法が、前記第2の容器内の前記溶融ガラスを前記第1の温度よりも高い第2の温度に加熱するステップをさらに含む、請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
前記カバーガスがN
2を含む、請求項7から9までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2018年11月28日に出願された米国仮出願第62/772,247号の優先権の利益を主張するものであり、その内容は、以下に完全に記載されているかのように、その全体が参照により本明細書に援用される。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、ガラス物品を形成するための方法に関し、より詳細には、容器内の溶融ガラスの体積表面における気泡の気泡サイズを小さくすることによって気泡を制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
照明パネルまたは液晶もしくは他の形態の視覚的ディスプレイの製造に使用されるガラス基材などの光学的品質のガラス物品の製造には、様々な通路(例えば、容器)を通る溶融ガラスの輸送を含む高温プロセスが伴う。一部の容器には、自由容積、例えば、溶融ガラスの表面の上方のガス状雰囲気を含むものがある。表面に上昇した気泡は、表面に到達すると直ぐに破裂し、それによって気泡がなくなることが一般に期待されるが、場合によっては破裂せず、それによって溶融ガラスに再混入する恐れがある。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記述する方法は、ガラス融液の表面にあるガス気泡のサイズを小さくすることができる。幾つかの実施形態では、この気泡サイズの縮小は、気泡の崩壊をもたらすことができる。それゆえ、完成したガラス物品内の気泡(ブリスター)の発生を抑えることができる。
【0005】
したがって、ガラス製作プロセスにおいて気泡を制御する方法であって、第1の容器内で溶融ガラスを形成するステップと、溶融ガラスを第1の容器の下流の第2の容器内に流すステップであって、第2の容器が、溶融ガラスの自由表面の上方に自由容積を含み、第2の容器内の溶融ガラスが、自由表面上に気泡を有する、ステップと、自由容積内にカバーガスを流すステップとを含み、カバーガス中の酸素の分圧が、気泡中の酸素の分圧よりも低く、カバーガスの相対湿度が約1%以下である、方法が開示される。
【0006】
カバーガス中の酸素の濃度を、約1体積%以下、例えば、約0.5体積%以下、例えば、約0.2体積%以下、例えば、約0.05体積%~約0.2体積%の範囲、約0.075体積%~約1.5体積%の範囲などとすることができる。
【0007】
方法は、第2の容器内の溶融ガラスを、第1の容器内の溶融ガラスの第1の温度よりも高い第2の温度に加熱するステップをさらに含んでもよい。
【0008】
幾つかの実施形態では、加熱するステップは、第2の温度を1600℃以上に上昇させることを含むことができる。
【0009】
幾つかの実施形態では、カバーガスはN2を含むことができる。例えば、カバーガスの大部分のガスがN2であってよい。例えば、カバーガスは、78体積%以上、例えば、約85体積%以上、約90体積%以上、約95体積%以上、約98体積%以上、または約99.8体積%以上の濃度のN2を含んでもよい。
【0010】
方法はまた、溶融ガラスを第2の容器から成形装置に流し、溶融ガラスをガラス物品に成形するステップをさらに含んでもよい。
【0011】
他の実施形態では、ガラス製作プロセスにおいて気泡を制御する方法であって、第1の容器内で溶融ガラスを形成するステップと、溶融ガラスを第1の容器の下流の第2の容器内に流すステップであって、第2の容器が、溶融ガラスの自由表面の上方に自由容積を含み、第2の容器内の溶融ガラスが自由表面上に気泡を有する、ステップと、自由容積内にカバーガスを流すステップであって、カバーガスが、50体積%以上の濃度のN2と、約0.05体積%~約0.2体積%の範囲の濃度のO2とを含み、約1%以下の相対湿度を有する、ステップとを含む方法が記述される。
【0012】
様々な実施形態では、カバーガスは、98体積%以上、78体積%以上、例えば、約85体積%以上、約90体積%以上、約95体積%以上、約98体積%以上、または約99.8体積%以上の濃度のN2を含むことができる。
【0013】
幾つかの実施形態では、カバーガス中のO2の濃度は、約0.05体積%~約0.2体積%の範囲、例えば、約0.075体積%~約0.15体積%の範囲とすることができる。
【0014】
幾つかの実施形態では、カバーガスの相対湿度は、約0.1%以下、例えば、約0.05%以下とすることができる。
【0015】
幾つかの実施形態では、方法は、下流側装置において気泡が溶融ガラスに導入された位置を決定するために、タグガスをカバーガスと混合するステップを含むことができる。
【0016】
方法は、溶融ガラスを第2の容器から成形装置に流し、溶融ガラスをガラス物品に成形するステップであって、ガラス物品が気泡を含む、ステップをさらに含んでもよい。
【0017】
方法はまた、気泡中のタグガスの存在を検出するステップをさらに含んでもよい。
【0018】
また他の実施形態では、ガラス製作プロセスにおいて気泡を制御する方法であって、第1の容器内で溶融ガラスを形成するステップと、溶融ガラスを第1の容器の下流の第2の容器内に流すステップであって、第2の容器が、溶融ガラスの自由表面の上方に自由容積を含む、ステップと、自由容積内にカバーガスを流すステップであって、カバーガスが、80体積%以上の濃度のN2と、約0.05体積%~約0.2体積%の範囲の濃度のO2と、タグガスとを含み、約0.1%以下の相対湿度を有する、ステップとを含む方法が開示される。
【0019】
タグガスは、アルゴン、クリプトン、ネオン、ヘリウム、およびキセノンからなる群から選択することができる。
【0020】
様々な実施形態では、第2の容器は清澄容器とすることができ、カバーガスは第1のカバーガスとすることができ、タグガスは第1のタグガスとすることができる。方法は、溶融ガラスを第2の容器から第3の容器に流すステップと、第3の容器に含まれる自由容積内に第2のカバーガスを流すステップであって、第2のカバーガスが、第1のタグガスとは異なる第2のタグガスを含む、ステップとをさらに含んでもよい。
【0021】
第2のカバーガスは、さらに、80体積%以上の濃度のN2と、約0.05体積%~約0.2体積%の範囲の濃度のO2とを含み、約0.1%以下の相対湿度を有してもよい。
【0022】
方法はまた、溶融ガラスを第3の容器から成形装置に流し、溶融ガラスをガラス物品に成形するステップであって、ガラス物品が気泡を含む、ステップをさらに含んでもよい。
【0023】
方法はまた、気泡中の第1のタグガスまたは第2のタグガスの少なくとも一方を検出するステップをさらに含んでもよい。
【0024】
本明細書に開示する実施形態の追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明に記載され、部分的には、その説明から当業者にとって明らかになるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、および添付図面を含めて、本明細書に記述するような実施形態を実践することによって認識されるであろう。
【0025】
上述した全般的な説明と以下の詳細な説明との両方が、本明細書に開示する実施形態の性質および特徴を理解するための概要または枠組みを提示することを意図した実施形態を提示していることを理解されたい。添付図面は、更なる理解をもたらすために含まれており、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、本開示の様々な実施形態を示し、説明と合わせて、それらの原理および動作を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】気泡がマランゴニ効果を受けるときの溶融ガラスの気泡の一連の概略図である。
【
図2】本開示の実施形態による例示的なガラス製作装置の概略図である。
【
図3】乾燥したカバーガスを清澄容器に供給するためのガス供給管を含む例示的な清澄容器の断面図である。
【
図4】乾燥したカバーガスを清澄容器に供給するための例示的なガス供給管の詳細な断面図である。
【
図5】乾燥したカバーガスを撹拌容器に供給するための入口を含む例示的な撹拌容器の断面図である。
【
図6】タグガスを乾燥したカバーガスと混合するように構成された混合チャンバの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本開示の実施形態について詳細に言及し、それらの例を添付図面に示す。可能な場合には、同一の参照数字は、同一または同様の部分を参照するために図面を通して使用される。しかし、本開示は多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載された実施形態に限定して解釈されるべきではない。
【0028】
本明細書では、「約」ある値から、かつ/または「約」別の値までとして、範囲を表現する可能性がある。そのような範囲を表現するときに、別の実施形態が、ある値から、かつ/または他の値までを含む。同様に、先行詞「約」の使用により近似値として値を表現するときに、値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。各範囲の端点は、他の端点との関係でも、他の端点から独立してでも、有意であることがさらに理解されるであろう。
【0029】
本明細書で使用し得る方向を示す用語、例えば、上、下、右、左、前、後、頂、底は、描かれた図についてのみ言及しており、絶対的な向きを示唆することを意図していない。
【0030】
特に明示しない限り、本明細書に記載する任意の方法が、そのステップを特定の順序で実行することを要求していると解釈されることも、装置の任意の特定の向きを要求していると解釈されることも意図していない。したがって、方法の請求項がそのステップが従うべき順序を実際に記載していない場合、装置の請求項が個々の構成要素に対する順序もしくは向きを実際に記載していない場合、ステップが特定の順序に限定されることを請求項もしくは明細書が特に具体的に記載していない場合、または装置の構成要素に対する特定の順序もしくは向きを記載していない場合に、いかなる観点でも順序または向きが推測されることを決して意図していない。このことは、ステップの配列、動作フロー、構成要素の順序、または構成要素の向きに関する論理的な事項、文法的な構成または句読点から得られる平易な意味、および本明細書に記載する実施形態の数または種類を含む、解釈のためのあらゆる潜在的な明示されていない根拠に当てはまる。
【0031】
本明細書で使用するとき、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が別段に明示していない限り、複数の参照対象を含む。したがって、例えば、「1つの(a)」構成要素についての言及は、文脈が別段に明示していない限り、2つ以上のそのような構成要素を有する態様を含む。
【0032】
本明細書で使用する場合、溶融ガラスなどの溶融材料を含む導管または他の容器の文脈中での用語「自由容積」は、溶融ガラスによって占められていない導管および/または容器の容積を指すと解釈されるべきである。特に、自由容積は、容器内の溶融ガラスの表面と容器の頂部との間に広がり、例えば、1種以上のガスまたは蒸気を含み得る。自由容積は、溶融材料の「自由表面」で溶融材料と接触する。溶融材料は、容器内に含まれてもよく、または容器を通って流れてもよい。
【0033】
本明細書で使用する場合、「溶融ガラス」は、冷却されるとガラス状態になり得る溶融材料を意味すると解釈されるべきである。特に示さない限り、名詞である場合の溶融ガラスという用語は、「融液」という用語と同義に使用される。溶融ガラスは、例えば、大部分がシリカガラスを形成してもよいが、本開示はそのように限定されない。
【0034】
本明細書で使用する場合、「酸化還元」という用語は、還元化学反応または酸化化学反応のいずれか一方または両方を指す。
【0035】
本明細書で使用する場合、用語「備える(comprise、comprises、comprising)」およびそれらの変化形と、「含む(include、includes、including)」およびそれらの変化形とは両方とも、いずれもオープンエンドの移行句として解釈されるべきである。
【0036】
本明細書で使用する場合、耐火性材料は、約538℃を上回る環境にさらされる構造体に、またはシステムの構成要素として、適用可能な化学的および物理的特性を有する非金属材料である。
【0037】
ガラス物品内のブリスター(気泡)は、商業的には一般に望ましくなく、また、その存在により、生産歩留まりが低下し得る。ガラス物品内の気泡は、ガラス融液中で発生し、例えば、溶融ガラスを容器内で加熱して溶融ガラスの粘度を低下させ、また溶融ガラスの酸化還元状態を変化させて、既存の気泡中に追加の酸素を放出させ、溶融ガラス中の気泡を成長させる、清澄プロセスによって除去することができる。酸素富化気泡の浮力が増し、溶融ガラスの粘度の低下と相まって、溶融ガラスの自由表面への気泡の上昇が促され、そこで気泡が破裂する。気泡中に含まれるガスは、自由容積に入った後、意図的な排気によって、または容器内の漏出口もしくは他の出口を通って、容器から出ることができる。泡は、例えば、酸素(O2)、二酸化硫黄(SO2)、および/または二酸化炭素(CO2)を含む、溶融プロセスから生じる様々なガスの混合物を含んでもよい。泡はさらに、例えば、水蒸気(H2O)の形の水またはヒドロキシル(OH-)を含んでもよい。
【0038】
歴史的に、気泡の破裂は、気泡がガラス融液の自由表面に到達すると直ぐに起きるものと想定されていた。しかし、気泡は、融液の上方のガス状雰囲気との交換が行われ、その後に融液内に再混入できるほどの十分な時間にわたり、融液の表面で持続できることが判明した。
【0039】
完成したガラス物品内のブリスターを分析すると、かなりの割合でN2ガスが含まれていた。調査されたガラスは、元々は測定可能な量の溶存窒素を含んでおらず、窒素は、金属容器の自由容積を含む雰囲気中で、容器の酸化を抑えるために(例えば、自由容積を周辺雰囲気に開放、例えば排気されたままにし得る)しばしば使用されるガスの大部分であるため、ブリスターは、融液の上方、すなわち融液の自由表面の上方の自由容積内の雰囲気との交換中に、高いN2ガス含有量を得たと理論づけられる。このガス交換には、ガス交換に適応し、また気泡が溶融ガラスの体積に再進入した後に、最終的なガラス製品にブリスターとして固定されるのに十分な時間にわたり、融液の表面で気泡が持続する必要がある。再混入に寄与し得る溶融ガラスの自由表面は、例えば、清澄容器や撹拌容器に見られるが、自由表面は、例えば、溶融ガラスをある容器から別の容器に搬送するために使用される導管などの他の容器にも見られる場合がある。しかし、融液中の気泡が融液の自由表面に到達した後に最終的なガラス物品内のブリスターとして現れるには、気泡はまず、融液の自由表面にあるときに破裂しないようにしなければならない。
【0040】
溶融ガラスのプール内では、気泡の破裂には、気泡が融液の表面にあるときの気泡膜の流出が先行する。流出は、規則的な流出および不規則な流出の2つの主要な手段によって起きる。規則的な流出では、気泡膜を構成する液体が重力によって流出して融液中に戻るため、気泡膜は時間とともに薄くなる。十分な材料が膜から流出して、特に気泡頂部で、膜の厚さが閾値厚さまで薄くなると、気泡が破裂する。不規則な流出では、溶融材料の帯が膜の表面を横切る場合があり、膜の厚さは、規則的な流出の場合よりもはるかにゆっくりと時間とともに薄くなる。不規則な流出は、気泡膜に沿った表面張力の勾配により、表面張力の低い領域から高い領域への物質の流れが生じるマランゴニ効果(ギブス-マランゴニ効果)によって生じると考えられる。マランゴニ効果は、重力による流出とは逆の流れを生じさせ、特に気泡頂部で、気泡壁の厚さを、破裂が起きる閾値を上回る厚さに保つことができる。
【0041】
理論に拘束されることを望むものではないが、溶融ガラスを含む容器内の高温、溶融ガラス中の揮発成分の存在、および特定のガラス製作プロセスにおける自由表面上で気泡が一般的に別々になる(相互に関連しない)性質により、気泡膜の表面張力の勾配がもたらされ得ると考えられる。この勾配により、マランゴニ効果の結果として、融液の表面での気泡寿命を長くする、例えば気泡頂部での、気泡膜の厚膜化が生じる可能性がある。
図1を参照すると、気泡寿命の一連の期間が示されている。(a)では、溶融ガラスの自由表面6に到達した直後の気泡4が示されている。気泡4は、頂部厚さt1と基部厚さt2との間の概ね均一な膜厚を伴って示されている。(b)では、気泡膜は、矢印8で示し、また気泡頂部での著しい薄膜化によって表されるように、流出して融液に戻り始めている。高温では、ガラス融液の様々な化学成分が融液の自由表面で揮発によって失われ得ることに留意すべきである。ホウ素などの特定の化学成分が失われると、溶融ガラスの表面張力が大きくなる。他の揮発成分としては、アルカリ(Li、Na、K、Rb、Cs、およびFr)ならびにアルカリ土類(Be、Mg、Ca、Sr、Ba、およびRa)を挙げることができる。追加の揮発成分としては、V、Ti、およびFを挙げることができる。融液からの成分の揮発は、溶融ガラスの自由表面と比べて気泡膜において多くなる。これは、気泡膜が大量の融液から大きく隔てられ、膜の両側(すなわち、気泡の内側と気泡の外側)に雰囲気を含んでいるためである。より重要なことに、初期流出中の気泡頂部での気泡膜の薄膜化は、気泡頂部での成分の揮発が、気泡膜基部での成分の揮発よりも、気泡頂部での表面張力に大きな影響を及ぼすことを意味する。このことは、所与の蒸発速度により、膜の厚い部分よりも膜の薄い部分で局所的な融液の組成がより速く変化し得、したがって、気泡膜の薄い部分が気泡膜基部よりも表面張力の大きな変化を比例して受け得ることに少なくともよって起こり得る。例えば、揮発成分が気泡膜の内部から周囲の雰囲気に放出される経路は、膜の薄い部分の方が膜の厚い部分よりも短くなり得る。気泡膜の上側(頂部)部分と大量の融液の表面に最も近い気泡膜基部との間に結果として形成される表面張力の勾配が、マランゴニ効果を促す。したがって、
図1を再び参照すると、(c)では、溶融ガラスの流れ8が反転し、溶融ガラスが流出せずに気泡頂部に流れ、それにより、例えば(b)と比べて、頂部厚さt1が増す。マランゴニ効果は、対処しなければ、不規則な流出を引き起こし、かつ/または長引かせ、気泡寿命を延ばし得る。したがって、局所温度を上昇させて粘度を低下させ、気泡の流出、さらには気泡の破裂の誘発を助けることにより、逆にマランゴニ効果が深刻化し、気泡寿命が延び得ることが理解できる。
【0042】
過去の研究は、例えば清澄容器内や混合装置内などの溶融ガラスの上方の雰囲気中に界面活性剤を導入し、それにより、気泡膜の薄膜化を促し、気泡の破裂時間を早めることに向けられてきた。例えば、国際公開第2018/170392号には、高い酸素含有量(例えば、約10体積%以上)の加湿ガスを、溶融ガラスを含む容器に導入することが記載されている。しかし、高い酸素含有量は、場合によっては、高い運転温度での金属容器、例えば白金を含む容器の、急速な酸化を促す場合がある。
【0043】
したがって、本明細書で後述するように、表面気泡の破裂を速めるのではなく、表面気泡を小さくする、例えば収縮させることに依存する方法が開示される。そのような収縮は、場合によっては、気泡の完全な崩壊につながり、それにより、溶融ガラス中に再混入するために利用可能な気泡の数を少なくする。
【0044】
図2に示すのは、例示的なガラス製造装置10である。幾つかの実施形態では、ガラス製造装置10は、溶融容器14を含み得るガラス溶融炉12を備えることができる。溶融容器14に加えて、ガラス溶融炉12は、原料を加熱して溶融ガラスに変化させるように構成された加熱要素(例えば、燃焼バーナおよび/または電極)などの1つ以上の追加の構成要素を任意に含むことができる。例えば、溶融容器14は、燃焼バーナと、電流を原料に流すことにより原料のジュール加熱によってエネルギーを加える直接加熱との両方により、原料にエネルギーを加える電気ブーストされた溶融容器であってもよい。本明細書で使用する場合、電気ブーストされた溶融容器は、ジュール加熱とガラス表面の燃焼加熱との両方によって熱エネルギーを得る溶融容器であり、ジュール加熱によって原料および/または融液に付与されるエネルギーの量は、融液に加えられる全エネルギーの約20%以上である。
【0045】
更なる実施形態では、ガラス溶融炉12は、溶融容器からの熱損失を抑える熱管理装置(例えば、断熱構成要素)を含んでもよい。また更なる実施形態では、ガラス溶融炉12は、原料からガラス融液への溶融を促す電子デバイスおよび/または電気機械デバイスを含んでもよい。ガラス溶融炉12はまた、支持構造(例えば、支持シャーシ、支持部材など)または他の構成要素をさらに含んでもよい。
【0046】
ガラス溶融容器14は、耐火性セラミック材料のような耐火性材料、例えばアルミナまたはジルコニアを含む耐火性セラミック材料から形成され得るが、耐火性セラミック材料は、代替的にまたは任意の組み合わせで使用する、イットリウム(例えば、イットリア、イットリア安定化ジルコニア、リン酸イットリウム)、ジルコン(ZrSiO4)、またはアルミナ-ジルコニア-シリカ、さらには酸化クロムなどの他の耐火性材料を含んでもよい。幾つかの例では、ガラス溶融容器14は、耐火性セラミックレンガから構築されてもよい。
【0047】
幾つかの実施形態では、溶融炉12は、ガラス物品、例えば不定長のガラスリボンを作製するように構成されたガラス製造装置の構成要素として組み込まれてもよいが、更なる実施形態では、ガラス製造装置は、他のガラス物品、限定することなく、他の多くのガラス物品が企図されるが、例えば、ガラス棒、ガラス管、ガラス外囲器(例えば、照明具、例えば電球用のガラス外囲器)、およびガラスレンズを形成するように構成されてもよい。幾つかの例では、溶融炉は、スロットドロー装置、フロートバス装置、ダウンドロー装置(例えば、フュージョンダウンドロー装置)、アップドロー装置、プレス装置、圧延装置、チューブ引き装置、または本開示の恩恵を受ける任意の他のガラス製造装置を構成するガラス製造装置の構成要素として組み込まれてもよい。例として、
図2は、後続の処理で個々のガラスシートにするためにガラスリボンを融着延伸するか、またはガラスリボンをスプール上に圧延するためのフュージョンダウンドローガラス製造装置10の構成要素としてのガラス溶融炉12を模式的に示している。
【0048】
ガラス製造装置10(例えば、フュージョンダウンドロー装置10)は、ガラス溶融容器14の上流に配置された上流側ガラス製造装置16を任意に含むことができる。幾つかの例では、上流側ガラス製造装置16の一部分または全体が、ガラス溶融炉12の一部として組み込まれてもよい。
【0049】
また
図2を参照すると、上流側ガラス製造装置16は、原料貯蔵ビン18と、原料送出装置20と、原料送出装置20に接続されたモータ22とを含むことができる。原料貯蔵ビン18は、矢印26で示すように、1つ以上の供給ポートを通してガラス溶融炉12の溶融容器14に供給可能な量の原料24を貯蔵するように構成され得る。原料24は典型的に、1種以上のガラス形成用金属酸化物および1種以上の改質剤を含む。原料24はまた、以前の溶融および/または形成運転による廃棄ガラス、例えばカレットを含むことができる。幾つかの例では、原料送出装置20には、原料送出装置20が所定量の原料24を貯蔵ビン18から溶融容器14に送出するように、モータ22によって動力を供給することができる。更なる例では、モータ22は、原料送出装置20に動力を供給して、溶融ガラスの流れ方向に関して溶融容器14の下流で感知される溶融ガラスのレベルに基づいて、制御された速度で原料24を導入することができる。溶融容器14内の原料24は、その後に加熱されて溶融ガラス28を形成することができる。
【0050】
ガラス製造装置10はまた、溶融ガラス28の流れ方向に関してガラス溶融炉12の下流に配置された下流側ガラス製造装置30を任意に含むことができる。幾つかの例では、下流側ガラス製造装置30の一部分が、ガラス溶融炉12の一部として組み込まれてもよい。しかし、幾つかの例では、後述する第1の接続導管32、または下流側ガラス製造装置30の他の部分が、ガラス溶融炉12の一部として組み込まれてもよい。第1の接続導管32を含む、下流側ガラス製造装置の要素が、貴金属から形成されてもよい。適切な貴金属としては、白金、イリジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、およびパラジウムからなる金属群から選択される白金族金属、またはそれらの合金を挙げることができる。例えば、ガラス製造装置の下流側構成要素は、約70質量%~約90質量%の白金と約10質量%~約30質量%のロジウムとからなる白金-ロジウム合金から形成することができる。しかし、他の適切な金属としては、モリブデン、レニウム、タンタル、チタン、タングステン、およびそれらの合金を挙げることができる。
【0051】
下流側ガラス製造装置30は、溶融容器14の下流に位置し、上述した第1の接続導管32を介して溶融容器14に結合された、清澄容器34などの第1の調整(例えば、処理)容器を含むことができる。幾つかの例では、溶融ガラス28は、第1の接続導管32を介して溶融容器14から清澄容器34に重力供給されてもよい。例えば、重力によって溶融ガラス28が第1の接続導管32を通って溶融容器14から清澄容器34に推進されてもよい。しかし、他の調整容器が、溶融容器14の下流に、例えば溶融容器14と清澄容器34との間などに、配置されてもよいことは理解されるべきである。幾つかの実施形態では、溶融容器と清澄容器との間に、調整容器を採用して、一次溶融容器からの溶融ガラスを、溶融プロセスを継続するために二次容器内でさらに加熱してもよく、または、清澄容器に入る前に一次溶融容器内で溶融ガラスの温度よりも低い温度に冷却してもよい。
【0052】
前述したように、様々な技術によって溶融ガラス28から気泡を除去してもよい。例えば、原料24は、加熱されると化学還元反応を起こして酸素を放出する酸化スズなどの多価化合物(例えば、清澄剤)を含んでもよい。他の適切な清澄剤としては、限定しないが、ヒ素、アンチモン、鉄、およびセリウムが挙げられるが、前述したように、ヒ素および/またはアンチモンの使用は、環境上の理由から推奨されない場合がある。清澄容器34は、溶融容器の温度よりも高温に加熱され得、それによって清澄剤を加熱する。融液に含まれる1種以上の清澄剤の温度誘発化学還元によって生成された酸素は、溶融プロセスにおいて溶融炉内で生成された気泡に合体または拡散することができ、酸素富化気泡は、清澄容器内の溶融ガラスを通って上昇し、外圧の減少につれて直径を増すことができる。拡大して浮力を増したガス気泡は、清澄容器内の溶融ガラスの自由表面に上昇して破裂し、気泡中のガスは、清澄容器の外に排気される。これらの気泡は、溶融ガラスを通って上昇するときに、清澄容器内の溶融ガラスの機械的混合をさらに誘発することができる。
【0053】
ガラス製作装置の1つ以上の容器、例えば清澄容器内の溶融ガラスの表面の気泡は概して、別々の気泡として上昇し、溶融ガラスの自由表面に一般に別々の気泡の深さよりも大きくない気泡の層を形成する場合があることに留意すべきである。ガラス製作プロセスには、水中燃焼プロセスのように、溶融ガラスの表面に多数の気泡の深さで厚くて持続する泡を生成するものがあり、融液自体は、最大で30%の空隙を含む場合がある。本明細書で使用する場合、泡とは、相互接続された薄い膜によって分離された大量のガスの集合である。泡の例としては、グラスに入ったビールおよび泡風呂の泡が挙げられる。一方、本開示の対象である溶融ガラスの自由表面に到達する気泡は、典型的に性質上別々であり、シャンパングラス内の気泡のように溶融ガラスを通って上昇するものであり、溶融炉内または表面下での燃焼プロセスが行われる方法に見られる、持続する厚い泡とは区別されるべきである。本明細書に記述する方法は、泡の形成および持続に対処するのに有用であり得る。しかし、泡を構成する気泡の表面層のみが自由容積内の雰囲気にさらされるため、効果は低下する。
【0054】
下流側ガラス製造装置30は、清澄容器34の下流に流れる溶融ガラスを混合するための、混合装置36、例えば撹拌容器などの別の調整容器をさらに含むことができる。混合装置36は、均質なガラス融液を供給するために使用され、それにより、さもなければ清澄容器から出る清澄化された溶融ガラス中に存在し得る、化学的または熱的な不均質性を抑えることができる。図示したように、清澄容器34は、第2の接続導管38によって混合装置36に結合されてもよい。幾つかの実施形態では、溶融ガラス28は、第2の接続導管38を通って清澄容器34から混合装置36に重力供給されてもよい。例えば、重力によって溶融ガラス28が第2の接続導管38を通って清澄容器34から混合装置36に推進されてもよい。典型的に、混合装置内の溶融ガラスは、自由表面を有し、自由表面と混合装置の頂部との間には、自由容積が広がる。混合装置36は、溶融ガラスの流れ方向に関して清澄容器34の下流に示されているが、混合装置36は、他の実施形態では清澄容器34の上流に配置されてもよいことに留意されたい。幾つかの実施形態では、下流側ガラス製造装置30は、複数の混合装置、例えば、清澄容器34の上流の混合装置と、清澄容器34の下流の混合装置とを含んでもよい。これら複数の混合装置は、同じ設計であってもよいし、互いに異なる設計であってもよい。幾つかの実施形態では、容器および/または導管の1つ以上は、内部に配置されて溶融ガラスの混合およびその後の均質化を促す静的混合ベーンを含んでもよい。
【0055】
下流側ガラス製造装置30は、混合装置36の下流に配置され得る送出容器40のような別の調整容器をさらに含むことができる。送出容器40は、下流側成形装置に供給される溶融ガラス28を調整してもよい。例えば、送出容器40は、溶融ガラス28の均一な流れを調節し、出口導管44を通して成形体42に供給する、蓄積器および/または流量制御器として機能することができる。送出容器40内の溶融ガラスは、幾つかの実施形態では、自由表面を有することができ、自由容積が、自由表面から送出容器の頂部まで上向きに広がる。図示するように、混合装置36は、第3の接続導管46によって送出容器40に結合されてもよい。幾つかの例では、溶融ガラス28は、第3の接続導管46を通って混合装置36から送出容器40に重力供給されてもよい。例えば、重力によって溶融ガラス28が第3の接続導管46を通って混合装置36から送出容器40に推進されてもよい。
【0056】
下流側ガラス製造装置30は、入口導管50を含む、上述した成形体42を備える成形装置48をさらに含むことができる。出口導管44は、溶融ガラス28を送出容器40から成形装置48の入口導管50に送出するように配置することができる。フュージョンダウンドローガラス製作装置の成形体42は、成形体の上面に配置された樋52と、成形体の底縁(根部)56に沿って延伸方向に収束する収束成形面54(一面のみを示す)とを備えることができる。送出容器40、出口導管44、および入口導管50を経て成形体樋に送出された溶融ガラスは、樋の壁から溢れ、溶融ガラスの個別の流れとして収束成形面54に沿って下降する。成形体樋内の溶融ガラスは、自由表面を有し、自由容積が、溶融ガラスの自由表面から、成形体が配置された筐体の頂部まで広がっていることに留意されたい。収束成形面の少なくとも一部分を流下する溶融ガラスの流れは、ダムおよびエッジ誘導器によって遮断されて誘導される。溶融ガラスの個別の流れは、収束成形面同士が合わさる成形体の底縁(根部)56に沿って下方で合流し、溶融ガラスが冷却されて材料の粘度が増すと、重力、エッジロール、引っ張りロール(図示せず)などによってガラスリボンに下向きの張力をかけてガラスリボンの寸法を制御することにより、根部56から延伸方向60に延伸される溶融ガラスの単一のリボン58を生成する。したがって、ガラスリボン58は、粘弾性転移を経て、ガラスリボン58に安定した寸法特性を与える機械的特性を獲得する。ガラスリボン58は、幾つかの実施形態では、ガラスリボンの弾性領域においてガラス分離装置(図示せず)によって個々のガラスシート62に分離されてもよく、更なる実施形態では、ガラスリボンは、スプールに巻かれ、更なる処理のために保管されてもよい。
【0057】
以下では、本開示の実施形態について清澄容器の文脈で記述するが、このような実施形態は、清澄容器に限定されず、溶融ガラスの体積の自由表面の上に自由容積を含む他の容器に適用されてもよく、このような容器としては、撹拌容器、送出容器、および溶融ガラスを含み、かつ/または搬送し、また融液の上に自由容積を含み得る他の容器および/または導管が挙げられることが理解される。以下で使用する場合、「容器」という用語は、例えば清澄容器や撹拌容器などの処理容器と、そのような個別の処理容器同士を接続する導管との両方を包含すると考えられる。
【0058】
図3は、例示的な清澄容器34の側断面図である。清澄容器34は、内部を通って流れる溶融ガラス28の体積と、溶融ガラス28の自由表面66の上方に位置する自由容積64中に含まれるガス状雰囲気とを含む。溶融ガラスは、矢印68で示すように、第1の端部で清澄容器34に流入し、矢印70で示すように、反対側の第2の端部で清澄容器34から流出する。例えば、溶融ガラスは、接続導管32を通って清澄容器34に流入し、接続導管38を通って清澄容器34から流出することができる。清澄容器内の溶融ガラスは、典型的には容器自体内に形成される電流によって、例えば約1600℃~約1700℃の範囲、約1650℃~1700℃の範囲など、溶融温度よりも高温に加熱することができるが、更なる実施形態では、清澄容器は、他の手段、例えば外部加熱要素(図示せず)によって加熱することができる。幾つかの実施形態では、溶融ガラスは、最大で約1720℃など1700℃超の温度に加熱されてもよい。
【0059】
図3に示すように、清澄容器34は、電気フランジ72、例えば少なくとも2つの電気フランジを備えることができ、電気フランジは、電気フランジ間および清澄容器の1つ以上の仕切り壁内で電流が形成されるように、それぞれの電極部分74によって給電源(図示せず)と電気的に連通している。幾つかの実施形態では、例えば、3つの電気フランジ、4つの電気フランジ、または5つ以上の電気フランジなど、多数の電気フランジを使用してもよく、電気フランジ間での温度ゾーンの局所的な選択加熱によって、清澄容器および/または取り付けられた接続導管を複数の温度ゾーンに区分することができる。気泡の成長による気泡の浮力の増加、および温度上昇による溶融ガラスの粘度の低下により、気泡にかかる上向きの力を増加させ、溶融ガラス中での気泡4の上昇に対する抵抗を減少させ、それによって自由表面66への気泡の上昇が促される。自由表面66では、気泡が破裂し、内部に含まれるガスが自由容積64中に放出されてもよい。例えば、気泡中に含まれるガスは、酸素(O
2)、二酸化硫黄(SO
2)、および二酸化炭素(CO
2)を含むことができる。気泡は、水(H
2O)をさらに含んでもよい。様々な実施形態では、清澄剤による酸素放出により気泡が酸素富化されるため、気泡内部の成分の大部分が酸素となる場合がある。気泡の破裂によって放出されたガスは、幾つかの実施形態では、矢印82で示すように、任意的な排気管80を介して、清澄容器の外に排気されてもよい。排気管80は、垂直の向きで示されており、清澄容器の頂部で清澄容器34に入るが、排気管80の向きおよび位置は、この点に限定されない。例えば、排気管80は、水平に向けられ、清澄容器の側面に沿って清澄容器に入るか、または他の任意の適切な向き、角度、もしくは位置とすることができる。幾つかの実施形態では、排気管80は、例えば、外部電気抵抗加熱要素(複数可)84などの1つ以上の加熱要素により、加熱されてもよいが、更なる実施形態では、排気管80は、清澄容器34と同様の方法で排気管内に直接電流を形成することによって加熱されてもよい。しかし、さらに記述するように、自由表面66に到達する幾つかの気泡が、前述した理由により自由表面66での長い滞留時間中でも破裂しない場合があり、清澄容器を通って流れる溶融ガラス中に再混入する場合がある。
【0060】
本明細書に記述する実施形態によれば、ガス供給源90から供給される乾燥したカバーガス88を、乾燥ガスが容器内の溶融ガラスを「カバー」するように、清澄容器ガス供給管86を通して自由表面66の上方の自由容積64に注入することができる。清澄容器ガス供給管86は、垂直の向きに示されており、清澄容器の頂部で清澄容器34に入るが、清澄容器ガス供給管86の向きおよび位置は、この点に限定されない。例えば、清澄容器ガス供給管86は、水平に向けられ、清澄容器の側面に沿って清澄容器に入るか、または任意の他の適切な向き、角度、または位置とすることができる。カバーガス88は、様々な実施形態では、約1%以下の相対湿度、例えば、約0.5%以下、約0.1%以下、ゼロパーセント(0%)などの約0.05%以下の相対湿度であることができ、例えば窒素などの不活性ガスをさらに含むことができるが、更なる実施形態では、不活性ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの希ガス、または前述した不活性ガスのいずれかの組み合わせであってもよい。
【0061】
清澄容器34に供給されるカバーガス88の平均酸素(O2)含有量は、気泡から外への酸素の拡散を確実にするために、気泡中の酸素含有量よりも少なくあるべきである。すなわち、気泡の外側のカバーガス中の酸素の分圧は、気泡の内側の酸素の分圧よりも小さくあるべきである。例えば、様々な実施形態では、清澄容器34に供給されるカバーガス88は、0.2体積%以下のO2含有量、例えば、約0.05体積%~約0.2体積%の範囲、約0.075体積%~約1.5体積%の範囲などのO2含有量を有してもよい。カバーガス中には、カバーガス中の高濃度の窒素による清澄容器の白金で構成された壁の還元を防ぐのに十分な酸素が存在するべきである。しかし、酸素の濃度は、白金で構成された壁の有害な酸化を防ぐのに十分に低くなければならない。したがって、様々な実施形態では、カバーガス88は、約0.05体積%~約0.2体積%の範囲の酸素を含み、約0.5%以下の相対湿度を有し、大部分が窒素ガスであることができる。他の実施形態では、カバーガス88は、約0.075体積%~約0.15体積%の範囲の酸素を含み、約0.1%以下の相対湿度を有し、大部分が窒素ガスであることができる。また他の実施形態では、カバーガス88は、約0.075体積%~約0.15体積%の範囲の酸素を含み、約0.05%以下の相対湿度を有し、大部分が窒素ガスであることができる。幾つかの実施形態では、カバーガスは、78体積%以上、例えば、約85体積%以上、約90体積%以上、約95体積%以上、約98体積%以上、または約99.8体積%以上の濃度のN2を含んでもよい。
【0062】
カバーガス88によって自由容積64に供給される低酸素、低湿度の雰囲気は、清澄容器34内の溶融ガラス28の表面上の気泡の内側から気泡膜を横切って自由容積64に至るガスおよび/または蒸気の正味の流れを生じさせることができ、前述したように、放出されたガスおよび/または蒸気(例えば、水蒸気)は、排気管80を通って自由容積64から出ることができる。気泡から気泡膜を横切って拡散するガスおよび/または蒸気の放出により、気泡を収縮させることができる。収縮により、溶融ガラスの流れに再混入できないほどに気泡が小さくなり、気泡がより多く破裂することができる。幾つかの実施形態では、そのような収縮により、気泡を完全に崩壊させることができる。
【0063】
カバーガス88の流量は、約1回転/分以上約1回転/時間以下の範囲(それらの間の全ての範囲および部分範囲を含む)とすることができる。本明細書で使用する場合、「回転」とは、単位時間当たりで自由容積の容積に相当する流量を意味する。例えば、容積が1立方メートルである場合、1回転/分は、1立方メートル/分に等しいガス流量を意味する。4立方メートルの容積に対する2回転/分のガスの供給は、8立方メートル/分の流量を意味する。選択される流量は、富化ガスが供給される自由容積のサイズに依存する。カバーガスの流量は、例えば、約0.02回転/分~約1回転/分の範囲、約0.05回転/分~約1回転/分の範囲、約0.1回転/分~約1回転/分の範囲、約0.5回転/分~約1回転/分の範囲、または約0.8回転/分~約1回転/分の範囲(それらの間の全ての範囲および部分範囲を含む)とすることができる。
【0064】
幾つかの実施形態では、清澄容器ガス供給管86を加熱し、それにより、清澄容器34に供給されるカバーガス88を加熱してもよい。例えば、清澄容器ガス供給管86、ひいてはカバーガス88は、外部電気抵抗加熱要素(複数可)92などの1つ以上の加熱要素によって加熱されてもよいが、更なる実施形態では、清澄容器ガス供給管86は、清澄容器34を加熱する方法と同様に、清澄容器ガス供給管内に直接電流を形成することによって加熱されてもよい。例えば、清澄容器ガス供給管86は、清澄容器34に関して記述したような、給電源と電気的に連通している1つ以上の電気フランジを含んでもよい。
【0065】
図4は、溶融ガラス28の自由表面66(図示せず)の上方で清澄容器34の壁100を貫通するように示されている、例示的な清澄容器ガス供給管86の断面図である。清澄容器ガス供給管86は、清澄容器ガス供給管が清澄容器壁100を貫通している補強スリーブ102を通って延びるように示されている。加えて、補強プレート104が、補強スリーブ102に隣接し、清澄容器壁100の上方および下方に位置し、それに取り付けられるように示されている。補強プレート104、補強スリーブ102、および清澄容器壁100は、溶接などによって互いに取り付けることができる。例えば、補強プレート104は、清澄容器壁100および補強スリーブ102に溶接することができる。加えて、実施形態では、補強スリーブ102は、清澄容器ガス供給管86に溶接することができる。補強プレート104および補強スリーブ102は、清澄容器ガス供給管が清澄容器を貫通する箇所で、清澄容器壁および清澄容器ガス供給管86に追加の厚さおよび剛性をもたらす。これは、いずれも白金合金の薄いシートで形成することができ、システムの初期加熱中に金属が膨張すると容易に変形するためである。
【0066】
清澄容器ガス供給管86は、閉じた底部108と、排出ポート110とをさらに含んでもよく、排出ポートは、清澄容器ガス供給管の底部付近で清澄容器ガス供給管の側壁111に配置され、カバーガス88が(例えば、下流方向を向いた)清澄容器34内の溶融ガラスの流れ方向112と概ね平行な方向で清澄容器ガス供給管86から排出され得るように向けられる。カバーガス88と溶融ガラス28の概ね平行な流れにより、ガス供給管から排出されるカバーガス88が溶融ガラスの自由表面66に直接衝突することを最小限に抑えるかまたは排除し、溶融ガラスの自由表面の冷却を避けることができる。そのような冷却により、完成製品の欠陥として現れ得る溶融ガラス中の不均一な粘度が引き起こされ得る。加えて、ガス供給管がサイドポートになっていると、揮発しやすいホウ素のようなガラス成分などの凝縮物が排出ポートに蓄積し、最終的に下方の溶融ガラスに落下する可能性が低くなる。
【0067】
幾つかの実施形態では、清澄容器34に代えて、またはそれに加えて、混合装置36にカバーガス88を供給してもよい。
図5は、例示的な混合装置36の断面図である。混合装置36は、撹拌容器200と、撹拌容器200の上に配置された撹拌容器カバー202とを含むことができる。混合装置36は、撹拌容器200内に回転可能に取り付けられた撹拌器204をさらに含んでもよく、撹拌器204は、撹拌容器カバー202を通って延びるシャフト206と、シャフト206から延びる複数の混合ブレード208とを含み、撹拌器204の少なくとも一部が、溶融ガラス28に浸漬される。シャフト206は、例えば、撹拌器を回転させるために使用されるチェーンまたはギア駆動装置によって、モータ(図示せず)に結合されてもよい。
図5に示す実施形態では、溶融ガラスは、矢印210および212でそれぞれ示すように、導管38を通って撹拌容器200に入り、回転する撹拌器の混合ブレードの間を下向きに流れて導管46を通って出る。溶融ガラス28の自由表面216と容器カバー202との間には、自由容積214が配置されて維持されてもよい。
【0068】
混合装置36は、撹拌容器ガス供給管218および任意的な撹拌容器排気管220をさらに含んでもよい。実施形態では、撹拌容器ガス供給管218、または存在する場合の撹拌容器排気管220の一方または両方は、撹拌容器カバー202を通って延び、自由表面216の上方の自由容積214に開口するように配置することができる。撹拌容器ガス供給管218および撹拌容器排気管220は、垂直の向きで撹拌容器カバー202を通って入るように示されているが、撹拌容器ガス供給管218および/または撹拌容器排気管220の向き、角度、または位置は、この点に限定されない。カバーガス88は、矢印222で示すように、撹拌容器ガス供給管218を通して撹拌容器200内の自由表面216の上方の自由容積214に注入することができる。清澄容器と同様に、自由容積214に供給されるカバーガス中の酸素の分圧は、自由表面216に存在する気泡の内側の酸素の分圧以下とすることができる。
【0069】
カバーガス88の流量は、約1回転/分以上約1回転/時間以下の範囲(それらの間の全ての範囲および部分範囲を含む)とすることができる。本明細書で使用する場合、「回転」とは、単位時間当たりで自由容積の容積に相当する流量を意味する。例えば、容積が1立方メートルである場合、1回転/分は、1立方メートル/分に等しいガス流量を意味する。4立方メートルの容積に対する2回転/分のガスの供給は、8立方メートル/分の流量を意味する。流量は、富化ガスが供給される自由容積のサイズに依存する。例えば、流量は、約0.02回転/分~約2回転/分の範囲、約0.05回転/分~約1回転/分の範囲、約0.1回転/分~約1回転/分の範囲、約0.5回転/分~約1回転/分の範囲、または約0.8回転/分~約1回転/分の範囲(それらの間の全ての範囲および部分範囲を含む)とすることができる。自由表面216の上方の攪拌容器200の自由容積214中のガスは、矢印224で示すように、攪拌容器排気管220を通して排出することができる。幾つかの実施形態では、流量は、約1標準リットル/分(slpm)~約50slpmの範囲、例えば、約1slpm~約30slpmの範囲とすることができる。
【0070】
清澄剤が撹拌容器内で有意な酸素泡を供給する可能性は低いが、例えば、溶融容器内から発生した泡、または清澄プロセス中に再混入した泡などの泡が撹拌容器内の溶融ガラスの表面に依然として上昇する場合があることに留意すべきである。加えて、ホウ素などの特定のガラス成分の揮発が、撹拌容器内で依然として起こり得る。
【0071】
実施形態では、撹拌容器ガス供給管218を加熱し、それにより、撹拌容器200に供給されるカバーガス88を加熱してもよい。例えば、撹拌容器ガス供給管218、ひいてはカバーガス88は、外部電気抵抗加熱要素(複数可)226などの1つ以上の加熱要素によって加熱されてもよいが、更なる実施形態では、撹拌容器ガス供給管218は、撹拌容器ガス供給管内に直接電流を形成することによって加熱されてもよい。幾つかの実施形態では、撹拌容器排気管220は、存在する場合、例えば、外部電気抵抗加熱要素(複数可)228などの1つ以上の加熱要素によって加熱されてもよいが、更なる実施形態では、撹拌容器排気管220は、撹拌容器排気管内に直接電流を形成することによって加熱されてもよい。幾つかの実施形態では、撹拌容器排気管が必要ない場合もあり、この場合、排気は、例えば、撹拌容器カバー202と撹拌容器200との間の漏出口によって得られる。
【0072】
幾つかの実施形態では、非反応性ガス、例えば、アルゴン、クリプトン、ネオン、キセノンなどの希ガス、または他の非反応性ガスを、カバーガスに、例えば、清澄器内の自由容積に注入されるカバーガスに、または攪拌容器内の自由容積に注入されるカバーガスに、ガラス製作プロセスの結果として得られる完成したガラス物品内のブリスターの供給源を特定するための補助手段として、所定の濃度で添加することができる。すなわち、溶融ガラス中の気泡は、気泡形成の場所を決定する手段としての検出可能な量の非反応性ガスとタグ付けすることができる。例えば、特定の第1の非反応性ガス(以下、「タグ」ガス)を、清澄容器34に、例えば、それぞれの容器ガス供給管(例えば、清澄容器ガス供給管86)と流体連通するガス混合チャンバに、供給されるカバーガスに添加することができる。適切なタグガスとしては、アルゴン、クリプトン、ネオン、ヘリウム、およびキセノンを挙げることができるが、これらに限定されない。例示的なガス混合チャンバが
図6に示されており、カバーガス88は、ガス供給管86内に延び、開放端304でガス供給管86内に開口する供給ライン302を通してガス混合チャンバ300に供給される。開放端304からガス供給管86へのカバーガスの流れにより、開放端304に低圧領域が形成され、低圧領域は、(ガス供給管86と流体連通している)タグガス供給通路308からガス供給管86にタグガス306を引き込み、そこでタグガス306がカバーガス88と混合する。タグガス308がカバーガス88と混合された後、カバーガス88を清澄容器34に供給することができる。しかし、当業者に知られているような様々な他のガス混合装置を使用してもよい。
【0073】
完成したガラス物品内で検出されたブリスターは、第1のタグガスが、清澄容器に供給されるカバーガスに添加された第1のタグガスの濃度と一致する濃度でブリスター中に存在するかどうかを判定し、それにより、ブリスターの供給源を清澄容器として特定するために、例えば質量分析によって、分析することができる。しかし、清澄容器に供給されるタグガスの濃度と一致しない濃度のタグガスがブリスター中で検出された場合、ブリスターの供給源が清澄容器ではないことが示され得る。同様に、第1のタグガスとは異なる第2のタグガスを、異なる容器、例えば撹拌容器に供給されるカバーガスに添加することができる。その後、ガラス物品内のブリスターの分析を使用して、第1のタグガスを含むブリスターの数(存在する場合)、および/または第2のタグガスを含むブリスターの数(存在する場合)を決定し、それにより、ブリスターの供給源をより良好に識別および定量化することができる。例えば、第2のタグガスが検出されるが、第1のタグガスが検出されない場合、ブリスターの供給源は、第2のタグガスが注入された容器に由来すると推測され得る。第1のタグガスと第2のタグガスとの両方が気泡中に存在することは、気泡が複数の容器間の輸送に耐え、両方の容器内の溶融ガラスの表面に存在することを示し得る。
【0074】
1種以上のタグガスは典型的に、カバーガスを構成する大部分のガスではない。例えば、カバーガスを含む大部分のガス(50%以上)がN2である場合、カバーガスは50%未満のタグガスを含んでもよく、タグガスは大部分のガスとは異なる。
【0075】
本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、本開示の実施形態に様々な変更および変形を施せることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、先の説明では、清澄容器および撹拌容器を中心に説明したが、本明細書に記述する実施形態は、清澄容器および撹拌容器について上述したような流量およびガス組成を使用して、自由表面を有する溶融ガラスを含む、送出容器40などの他の容器に適用することができる。それゆえ、本開示は、そのような変更および変形を、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内に入ることを条件に包含することが意図されている。
【0076】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0077】
実施形態1
ガラス製作プロセスにおいて気泡を制御する方法であって、
溶融ガラスを含む容器の自由容積内にカバーガスを流すステップであって、前記溶融ガラスが自由表面を有し、前記自由表面上に気泡がある、ステップ
を含み、
前記カバーガス中の酸素の分圧が、前記気泡中の酸素の分圧よりも低く、前記カバーガスの相対湿度が約1%以下である、
方法。
【0078】
実施形態2
前記カバーガス中の酸素の濃度が約1体積%以下である、実施形態1記載の方法。
【0079】
実施形態3
前記酸素の濃度が、約0.05体積%~約0.2体積%の範囲である、実施形態2記載の方法。
【0080】
実施形態4
前記カバーガスがN2を含む、実施形態1から3までのいずれか1つ記載の方法。
【0081】
実施形態5
前記カバーガス中の前記N2の濃度が約98体積%以上である、実施形態4記載の方法。
【0082】
実施形態6
前記溶融ガラスをガラス物品に成形するステップをさらに含む、実施形態1から5までのいずれか1つ記載の方法。
【0083】
実施形態7
ガラス製作プロセスにおいて気泡を制御する方法であって、
第1の容器内で溶融ガラスを形成するステップと、
前記溶融ガラスを前記第1の容器の下流の第2の容器内に流すステップであって、前記第2の容器が、前記溶融ガラスの自由表面の上方に自由容積を含み、前記第2の容器内の前記溶融ガラスが、前記自由表面上に気泡を有する、ステップと、
前記自由容積内にカバーガスを流すステップと
を含み、
前記カバーガス中の酸素の分圧が、前記気泡中の酸素の分圧よりも低く、前記カバーガスの相対湿度が約1%以下である、
方法。
【0084】
実施形態8
前記カバーガス中の酸素の濃度が約1体積%以下である、実施形態7記載の方法。
【0085】
実施形態9
前記酸素の濃度が、約0.05体積%~約0.2体積%の範囲である、実施形態8記載の方法。
【0086】
実施形態10
前記第1の容器内の前記溶融ガラスが第1の温度を有し、前記方法が、前記第2の容器内の前記溶融ガラスを前記第1の温度よりも高い第2の温度に加熱するステップをさらに含む、実施形態7から9までのいずれか1つ記載の方法。
【0087】
実施形態11
前記第2の温度が1600℃以上である、実施形態10記載の方法。
【0088】
実施形態12
前記カバーガスがN2を含む、実施形態7から11までのいずれか1つ記載の方法。
【0089】
実施形態13
前記カバーガス中の前記N2の濃度が約98体積%以上である、実施形態12記載の方法。
【0090】
実施形態14
前記溶融ガラスを前記第2の容器から成形装置に流し、前記溶融ガラスをガラス物品に成形するステップをさらに含む、実施形態7から13までのいずれか1つ記載の方法。
【0091】
実施形態15
ガラス製作プロセスにおいて気泡を制御する方法であって、
第1の容器内で溶融ガラスを形成するステップと、
前記溶融ガラスを前記第1の容器の下流の第2の容器内に流すステップであって、前記第2の容器が、前記溶融ガラスの自由表面の上方に自由容積を含む、ステップと、
前記自由容積内にカバーガスを流すステップであって、前記カバーガスが、50体積%以上の濃度のN2と、約0.05体積%~約0.2体積%の範囲の濃度のO2とを含み、約1%以下の相対湿度を有する、ステップと
を含む、方法。
【0092】
実施形態16
前記カバーガスが、98体積%以上の濃度のN2を含む、実施形態15記載の方法。
【0093】
実施形態17
前記カバーガス中のO2の前記濃度が、約0.05体積%~約0.15体積%の範囲である、実施形態16記載の方法。
【0094】
実施形態18
前記カバーガスの前記相対湿度が約0.1%以下である、実施形態17記載の方法。
【0095】
実施形態19
前記カバーガスを前記自由容積内に流す前に、タグガスを前記カバーガスと混合するステップをさらに含む、実施形態15から18までのいずれか1つ記載の方法。
【0096】
実施形態20
前記溶融ガラスを前記第2の容器から成形装置に流し、前記溶融ガラスをガラス物品に成形するステップであって、前記ガラス物品が気泡を含む、ステップをさらに含む、実施形態19記載の方法。
【0097】
実施形態21
前記気泡中の前記タグガスの存在を検出するステップをさらに含む、実施形態20記載の方法。
【0098】
実施形態22
ガラス製作プロセスにおいて気泡を制御する方法であって、
第1の容器内で溶融ガラスを形成するステップと、
前記溶融ガラスを前記第1の容器の下流の第2の容器内に流すステップであって、前記第2の容器が、前記溶融ガラスの自由表面の上方に自由容積を含む、ステップと、
前記自由容積内にカバーガスを流すステップであって、前記カバーガスが、80体積%以上の濃度のN2と、約0.05体積%~約0.2体積%の範囲の濃度のO2と、タグガスとを含み、約0.1%以下の相対湿度を有する、ステップと
を含む、方法。
【0099】
実施形態23
前記タグガスが、アルゴン、クリプトン、ネオン、ヘリウム、およびキセノンからなる群から選択される、実施形態22記載の方法。
【0100】
実施形態24
前記第2の容器が清澄容器であり、前記カバーガスが第1のカバーガスであり、前記タグガスが第1のタグガスであり、前記方法が、前記溶融ガラスを前記第2の容器から第3の容器に流すステップと、前記第3の容器に含まれる自由容積内に第2のカバーガスを流すステップであって、前記第2のカバーガスが、前記第1のタグガスとは異なる第2のタグガスを含む、ステップとをさらに含む、実施形態23記載の方法。
【0101】
実施形態25
前記第2のカバーガスが、さらに、80体積%以上の濃度のN2と、約0.05体積%~約0.2体積%の範囲の濃度のO2とを含み、約0.1%以下の相対湿度を有する、実施形態24記載の方法。
【0102】
実施形態26
前記溶融ガラスを前記第3の容器から成形装置に流し、前記溶融ガラスをガラス物品に成形するステップであって、前記ガラス物品が気泡を含む、ステップをさらに含む、実施形態25記載の方法。
【0103】
実施形態27
前記気泡中の前記第1のタグガスまたは前記第2のタグガスの少なくとも一方を検出するステップをさらに含む、実施形態25記載の方法。
【国際調査報告】