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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-21
(54)【発明の名称】変性ポリイソシアネート
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/08 20060101AFI20220114BHJP
   C08G 18/02 20060101ALI20220114BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20220114BHJP
   C08G 18/79 20060101ALI20220114BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20220114BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
C08G18/08 019
C08G18/02 020
C08G18/10
C08G18/79 010
C08G18/00 C
C09D175/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021528441
(86)(22)【出願日】2019-11-25
(85)【翻訳文提出日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2019082334
(87)【国際公開番号】W WO2020109189
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】201811463491.8
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910256348.X
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520204744
【氏名又は名称】コベストロ・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・アンド・コー・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ラース,ハンス-ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】リュー,ハオ
(72)【発明者】
【氏名】シー,ナー
(72)【発明者】
【氏名】シ,グウォッピン
(72)【発明者】
【氏名】マ,ヤギャン
(72)【発明者】
【氏名】シャー,ティアン
【テーマコード(参考)】
4J034
4J038
【Fターム(参考)】
4J034AA04
4J034CA02
4J034CA13
4J034CB01
4J034CC26
4J034CC45
4J034CC52
4J034CC62
4J034CC65
4J034CD09
4J034DA01
4J034DB01
4J034DG03
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC22
4J034HC33
4J034HC35
4J034HC46
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4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034HD04
4J034HD07
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4J034HD15
4J034JA01
4J034JA23
4J034JA32
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4J034KA01
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4J034KE01
4J034KE02
4J034QA03
4J034QB08
4J034QB13
4J034QB14
4J034QC05
4J034RA07
4J034RA08
4J038DG191
4J038DG261
4J038GA13
4J038NA24
4J038NA25
4J038PC01
4J038PC05
(57)【要約】
本発明は、変性ポリイソシアネートおよびその使用、特には水溶性または水分散性コーティングの架橋成分としての使用に関する。変性ポリイソシアネートは、以下の成分:少なくとも1つのアミノスルホン酸;少なくとも1つのポリイソシアネート;少なくとも1つの第三級アミン;および任意にエチレンオキシド基を含有するポリエーテルアルコールを含む系の反応によって得られる。変性ポリイソシアネートは、少なくとも1つのイミノオキサジアジンジオン構造および少なくとも1つのイソシアヌレート構造を含み、イミノオキサジアジンジオン構造とイソシアヌレート構造の重量比が、1:300~1:5である。変性ポリイソシアネートのスルホネート基の量は、100重量%としての変性ポリイソシアネートの量に対して、0.75重量%~1.1重量%である。その粘度は、DIN EN ISO 3219:1994-10に従い23℃の温度および10s-1のせん断速度で決定され、500mPa・s~10000mPa・sである。本発明の変性ポリイソシアネートを含むコーティングは、手動で十分に撹拌でき、得られるコーティング層は、高い光沢および良好な透明性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分:
a.式I
【化1】
(ここで、
R1およびR2は、それぞれ独立して、水素、置換されているか又は置換されていない及び/又はヘテロ原子を含有する、1~18個の炭素原子を有する脂肪族基、置換されているか又は置換されていない及び/又はヘテロ原子を含有する、3~18個の炭素原子を有する環状脂肪族基、置換されているか又は置換されていない及び/又はヘテロ原子を含有する、1~18個の炭素原子を有する芳香族基を表す;R1およびR2は、互いに反応して、3~8個の炭素原子を有する環状脂肪族基、または酸素原子または窒素原子で置換された3~8個の炭素原子を有する複素環基を形成することができる;
R3は、2~8個の炭素原子を有する線状または分岐状の脂肪族基を表す)
によって表される少なくとも1つのアミノスルホン酸;
b.少なくとも1つのポリイソシアネート;
c.少なくとも1つの第三級アミン;および
d.任意に、エチレンオキシド基を含有するポリエーテルアルコール;
を含む系の反応によって得られた変性ポリイソシアネートであって、
前記変性ポリイソシアネートが、少なくとも1つのイミノオキサジアジンジオン構造および少なくとも1つのイソシアヌレート構造を含み、前記イミノオキサジアジンジオン構造と前記イソシアヌレート構造の重量比が、1:300~1:5であり;前記変性ポリイソシアネートのスルホネート基の量が、100重量%としての前記変性ポリイソシアネートの量に対して、0.75重量%~1.1重量%であり;前記変性ポリイソシアネートの粘度が、DIN EN ISO 3219:1994-10に従い23℃の温度および10s-1のせん断速度で決定され、500mPa・s~10000mPa・sである、変性ポリイソシアネート。
【請求項2】
前記変性ポリイソシアネートは、前記イミノオキサジアジンジオン構造と前記イソシアヌレート構造の重量比が1:200~1:5、好ましくは1:100~1:5、さらに好ましくは1:100~1:6、さらにより好ましくは1:30~1:7、最も好ましくは1:30~1:20であることを特徴とする、請求項1に記載の変性ポリイソシアネート。
【請求項3】
前記変性ポリイソシアネートの粘度が、DIN EN ISO 3219:1994-10に従い23℃の温度および10s-1のせん断速度で決定され、500mPa・s~7000mPa・s、好ましくは1000mPa・s~7000mPa・s、最も好ましくは3000mPa・s~7000mPa・sであることを特徴とする、請求項1に記載の変性ポリイソシアネート。
【請求項4】
前記変性ポリイソシアネートのスルホネート基の量が、100重量%としての前記変性ポリイソシアネートの量に対して、0.75重量%~1.0重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の変性ポリイソシアネート。
【請求項5】
R3が、2~4個の炭素原子を有する線状または分岐状の脂肪族基、さらに好ましくは2~3個の炭素原子を有する線状または分岐状の脂肪族基、最も好ましくは3個の炭素原子を有する線状または分岐状の脂肪族基を表すことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の変性ポリイソシアネート。
【請求項6】
前記アミノスルホン酸が、3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸、4-(シクロヘキシルアミノ)-1-ブタンスルホン酸および2-(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸の化合物の1つ以上、さらに好ましくは3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸および4-(シクロヘキシルアミノ)-1-ブタンスルホン酸の化合物の1つ以上、最も好ましくは3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の変性ポリイソシアネート。
【請求項7】
前記アミノスルホン酸の量が、100重量%としての成分aおよびbの量に対して、1.5重量%~3.5重量%、好ましくは2重量%~3重量%、最も好ましくは2.2重量%~2.9重量%であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の変性ポリイソシアネート。
【請求項8】
前記ポリイソシアネートが、少なくとも1つのイミノオキサジアジンジオン構造および少なくとも1つのイソシアヌレート構造を含み、前記イミノオキサジアジンジオン構造と前記イソシアヌレート構造の重量比が、1:300~1:5、好ましくは1:200~1:5、さらに好ましくは1:100~1:5、さらにより好ましくは1:100~1:6、さらに好ましくは1:30~1:7、最も好ましくは1:30~1:20であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の変性ポリイソシアネート。
【請求項9】
前記ポリイソシアネートが、脂肪族ポリイソシアネートおよび環状脂肪族ポリイソシアネート、好ましくは脂肪族ポリイソシアネート、最も好ましくはイソシアヌレート構造およびイミノオキサジアジンジオン構造を有するヘキサメチレンジイソシアネートの誘導体の化合物の1つ以上であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の変性ポリイソシアネート。
【請求項10】
前記エチレンオキシド基を含有するポリエーテルアルコールは、エチレンオキシド基の含有量が、100重量%としての反応の成分の量に対して、0~17重量%、好ましくは0~13重量%、最も好ましくは0~5重量%であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の変性ポリイソシアネート。
【請求項11】
前記変性ポリイソシアネートが、以下の成分:
a.3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸;
b.イソシアヌレート構造およびイミノオキサジアジンジオン構造を有するヘキサメチレンジイソシアネートの誘導体;および
c.第三級アミン;
を含む系の反応によって得られ、
前記変性ポリイソシアネートの前記イミノオキサジアジンジオン構造と前記イソシアヌレート構造の重量比が、1:30~1:7であり、前記変性ポリイソシアネートのスルホネート基の量が、100重量%としての前記変性ポリイソシアネートの量に対して、0.75重量%~1.1重量%であり;前記変性ポリイソシアネートの粘度が、DIN EN ISO 3219:1994-10に従い23℃の温度および10s-1のせん断速度で決定され、500mPa・s~10000mPa・sであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の変性ポリイソシアネート。
【請求項12】
前記変性ポリイソシアネートが、以下の成分:
a.3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸(ここで、3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸の量が、100重量%としての成分aおよびbの量に対して2重量%~3重量%である);
b.イソシアヌレート構造およびイミノオキサジアジンジオン構造を有するヘキサメチレンジイソシアネートの誘導体(ここで、前記イソシアヌレート構造およびイミノオキサジアジンジオン構造を有するヘキサメチレンジイソシアネートの誘導体の前記イミノオキサジアジンジオン構造と前記イソシアヌレート構造の重量比が、好ましくは1:30~1:20である);および
c.前記3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸のスルホネート基に対して0.3~1.9のモル当量比で存在するN,N-ジメチルシクロヘキシルアミン;
を含む系の反応によって得られ、
前記変性ポリイソシアネートの前記イミノオキサジアジンジオン構造と前記イソシアヌレート構造の重量比が、1:30~1:20であり;前記変性ポリイソシアネートのスルホネート基の量が、100重量%としての前記変性ポリイソシアネートの量に対して、0.75重量%~1.0重量%であり;前記変性ポリイソシアネートの粘度が、DIN EN ISO 3219:1994-10に従い23℃の温度および10s-1のせん断速度で決定され、3000mPa・s~7000mPa・sであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の変性ポリイソシアネート。
【請求項13】
ポリウレタンの調製における開始成分としての請求項1~12のいずれか一項に記載の変性ポリイソシアネートの使用。
【請求項14】
水溶性または水分散性コーティング、接着剤またはシーラント中の架橋成分としての請求項1~12のいずれか一項に記載の変性ポリイソシアネートの使用。
【請求項15】
ブロッキング剤によってブロックされたポリイソシアネートの調製のための開始成分としての請求項1~12のいずれか一項に記載の変性ポリイソシアネートの使用。
【請求項16】
請求項1~12のいずれか一項に記載の変性ポリイソシアネートを含むコーティング、接着剤またはシーラント。
【請求項17】
請求項16に記載のコーティング、接着剤またはシーラントでコーティングされた基材。
【請求項18】
コーティング、接着剤またはシーラントの手動撹拌挙動を改善するための請求項1~12のいずれか一項に記載の変性ポリイソシアネートの使用。
【請求項19】
水溶性または水分散性の水性二成分コーティングにおける架橋成分としての請求項1~12のいずれか一項に記載の変性ポリイソシアネートの使用。
【請求項20】
少なくとも1つの水性ヒドロキシ樹脂分散液と、請求項1~12のいずれか一項に記載の少なくとも1つの変性ポリイソシアネートと、任意に助剤と、任意に添加剤とを含む水性二成分コーティング。
【請求項21】
水性二成分コーティングを調製するための方法であって、水性ヒドロキシ樹脂分散液、任意に助剤、および任意に添加剤を任意の方法で混合して混合物を得、請求項1~12のいずれか一項に記載の変性ポリイソシアネートおよび前記混合物を混合し、手動で撹拌して水性二成分コーティングを得る工程を含む方法。
【請求項22】
基材と、該基材に請求項20に記載の水性二成分コーティングを適用することによって形成されたコーティングとを含む製品。
【請求項23】
前記基材が、木材、金属、合金または無機材料であることを特徴とする、請求項22に記載の製品。
【請求項24】
前記製品が家具であることを特徴とする、請求項22に記載の製品。
【請求項25】
請求項20に記載の水性二成分コーティングを基材に適用し、続いて硬化および乾燥させる工程を含む、製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変性ポリイソシアネートおよびその使用、特には水溶性または水分散性コーティングの架橋成分としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、水分散性変性ポリイソシアネートは、様々な国においてますます厳しくなる環境規制に対応して、様々な適用分野においてますます重要になってきている。水分散性変性ポリイソシアネートはしばしば、水性二成分コーティングまたは水性分散体接着剤、シーラント中の架橋成分として使用される。水分散性変性ポリイソシアネートは、水性分散体の架橋のための布地仕上げまたはホルムアルデヒドを含まない布地印刷インクに使用され、加えて、紙の湿式強化処理のための助剤として使用される(例えば、EP-A0959087およびここで引用される文献を参照されたい)。
【0003】
現在、水分散性変性ポリイソシアネートは、2つのタイプ:非イオン変性タイプおよびイオン変性タイプに広く分類できる。非イオン変性ポリイソシアネート、特にポリエーテル変性ポリイソシアネートが広く使用されているが、それらは依然として多くの欠点を有する。例えば、非常に高い粘度は分散中に克服されるべきであるので、比較的大きな剪断力(例えば、高速撹拌)のみが水中の均一な分散を得るために適用され得る。また、別の例では、このようなポリエーテル変性ポリイソシアネートを水性二成分コーティング中の架橋剤として用いる場合、より良好な分散性を達成できるように、一般に比較的多量のポリエーテルが導入される。一方、コーティングから形成されたコーティング層の耐水性が持続的に影響を受ける。他方、ポリエーテル変性ポリイソシアネート中のイソシアネートの濃度は著しく低下し、架橋密度は低下する。
【0004】
上記の欠点を克服するために、イオン変性ポリイソシアネートを使用する試みがなされてきた。
【0005】
水分散性カルボン酸基変性ポリイソシアネートは、例えば、ポリイソシアネート構造にカルボン酸基を導入することにより得られる(EP-A0443138、EP-A0510438およびEP-A0548669)。カルボン酸基変性ポリイソシアネートは、高剪断力を使用せずに撹拌することで水中に分散させることができる。しかしながら、その貯蔵安定性は、比較的乏しく、特にカルボン酸基が中和された後に劣っている。なぜなら、カルボキシレート基は、例えば、ポリイソシアヌレートへの三量体化、またはα-ポリアミド構造の形成を伴う、室温でのイソシアネート基の重合をもたらす特定の触媒活性を有するからである。これは、カルボン酸基変性ポリイソシアネートのゲル化を引き起こし、劣った貯蔵安定性をもたらす。
【0006】
別の例は、ポリイソシアネートをスルホン酸基で修飾することによって得られる水分散性スルホン酸基変性ポリイソシアネートである。CN101754990Aは、ベンゼン環を含む4-アミノトルエン-2-スルホン酸を用いてポリイソシアネートを変性する方法を開示している。得られたスルホン酸基変性ポリイソシアネートは、カルボン酸基変性ポリイソシアネートよりも良好な水分散性を有する。しかしながら、その中に存在するベンゼン環は、形成されるコーティング層の耐黄変性を低下させる。CN1190450Cは、親水性改質剤として3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸および2-(シクロヘキシルアミノ)-エタンスルホン酸、相間移動触媒として第三級アミンおよび中和剤を使用する変性ポリイソシアネートの調製を開示している。CN104448232は、親水性改質試薬として4-(シクロヘキシルアミノ)-ブタンスルホン酸および相間移動触媒として第三級アミンを使用して変性ポリイソシアネートを得る、変性ポリイソシアネートの調製を開示している。
【0007】
上記スルホン酸基変性ポリイソシアネートは、非常に高い剪断力なしに水中に分散させることができる。しかしながら、実際の操作では、操作者は、コーティングを得るために、最初にスルホン酸基変性ポリイソシアネートを70~80%程度まで溶媒で希釈してその粘度を低下させ、次いでそれを他のコーティング成分と混合し、手動撹拌によって分散させる必要が依然としてある。溶媒の添加は、コーティングのVOC含量を著しく増加させ、環境及び人体に損傷を引き起こす場合がある。
【0008】
したがって、手動で十分に撹拌することができ、溶媒希釈なしで良好な分散性を示す変性ポリイソシアネートが、当業界で必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】EP-A0959087
【特許文献2】EP-A0443138
【特許文献3】EP-A0510438
【特許文献4】EP-A0548669
【特許文献5】CN101754990A
【特許文献6】CN1190450C
【特許文献7】CN104448232
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、変性ポリイソシアネートおよびその使用、特には水溶性または水分散性コーティングの架橋成分としての使用を提供することにある。
【0011】
本発明の変性ポリイソシアネートは、以下の成分:
a.式I
【化1】
(ここで、
R1およびR2は、独立して、水素、置換されているか又は置換されていない及び/又はヘテロ原子を含有する、1~18個の炭素原子を有する脂肪族基、置換されているか又は置換されていない及び/又はヘテロ原子を含有する、3~18個の炭素原子を有する環状脂肪族基、置換されているか又は置換されていない及び/又はヘテロ原子を含有する、1~18個の炭素原子を有する芳香族基を表す;R1およびR2は、互いに反応して、3~8個の炭素原子を有する環状脂肪族基、または酸素原子または窒素原子で置換された3~8個の炭素原子を有する複素環基を形成することができる;
R3は、2~8個の炭素原子を有する線状または分岐状の脂肪族基を表す)
によって表される少なくとも1つのアミノスルホン酸;
b.少なくとも1つのポリイソシアネート;
c.少なくとも1つの第三級アミン;および
d.任意に、エチレンオキシド基を含有するポリエーテルアルコール;
を含む系の反応によって得られ、
ここで、変性ポリイソシアネートは、少なくとも1つのイミノオキサジアジンジオン構造および少なくとも1つのイソシアヌレート構造を含み、イミノオキサジアジンジオン構造とイソシアヌレート構造の重量比が、1:300~1:5であり;変性ポリイソシアネートのスルホネート基(スルホネート基は、80g/molのモル重量を有するSO を意味する)の量が、100重量%としての変性ポリイソシアネートの量に対して、0.75重量%~1.1重量%であり;変性ポリイソシアネートの粘度が、DIN EN ISO 3219:1994-10に従い23℃の温度および10s-1のせん断速度で決定され、500mPa・s~10000mPa・sである。
【0012】
本発明の一態様によれば、本発明の変性ポリイソシアネートの製造方法が提供され、ここで、成分a、成分bおよび任意に成分dは、成分cの存在下で反応して、前述の変性ポリイソシアネートを与える。
【0013】
本発明のさらなる態様によれば、ポリウレタンの調製における開始成分としての本発明の変性ポリイソシアネートの使用が提供される。
【0014】
本発明のさらなる態様によれば、水溶性または水分散性コーティング、接着剤またはシーラント中の架橋成分としての本発明の変性ポリイソシアネートの使用が提供される。
【0015】
本発明のさらなる態様によれば、ブロッキング剤によってブロックされたポリイソシアネートの調製のための開始成分としての本発明の変性ポリイソシアネートの使用が提供される。
【0016】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明の変性ポリイソシアネートを含むコーティング、接着剤またはシーラントが提供される。
【0017】
本発明のさらに別の態様によれば、本発明のコーティング、接着剤またはシーラントでコーティングされた基材が提供される。
【0018】
本発明のさらに別の態様によれば、コーティング、接着剤またはシーラントの手動撹拌挙動を改善するための本発明の変性ポリイソシアネートの使用が提供される。
【0019】
本発明のさらに別の態様によれば、水溶性または水分散性水性二成分コーティングにおける架橋成分としての本発明の変性ポリイソシアネートの使用が提供される。
【0020】
本発明のさらに別の態様によれば、少なくとも1つの水性ヒドロキシ樹脂分散液、少なくとも1つの本発明の変性ポリイソシアネート、任意に助剤および任意に添加剤を含む水性二成分コーティングが提供される。
【0021】
本発明のさらに別の態様によれば、水性ヒドロキシ樹脂分散液、任意に助剤、および任意に添加剤を任意の方法で混合して混合物を得、本発明の変性ポリイソシアネートおよび前述の混合物を混合し、手動で撹拌して水性二成分コーティングを得る工程を含む、水性二成分コーティングを調製するための方法が提供される。
【0022】
本発明のさらに別の態様によれば、基材と、該基材に本発明の水性二成分コーティングを適用することによって形成されたコーティングとを含む製品が提供される。製品は、好ましくは家具である。
【0023】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明の水性二成分コーティングを基材に適用し、続いて硬化および乾燥させる工程を含む、製品の製造方法が提供される。
【0024】
本発明の変性ポリイソシアネートは、溶剤希釈なしに他のコーティング成分と直接混合することができ、簡単な手動攪拌により樹脂系中に均一に分散させてコーティングを得ることができ、該コーティングから形成されるコーティング層は、良好な光沢および透明性を有する。
【0025】
本発明の変性ポリイソシアネートを含むコーティング、接着剤またはシーラントの混合による調製中に変性ポリイソシアネートの分散のために溶媒の添加は必要とされない。したがって、得られるコーティング、接着剤またはシーラントは、VOC含有量が低い。
【0026】
したがって、本発明は、実際に、手動で十分に撹拌することができ、良好な分散性を有する変性ポリイソシアネートを提供する。前述の変性ポリイソシアネートを含むコーティングから形成されるコーティング層は、高い光沢および良好な透明性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、以下の成分:
a.式I
【化2】
(ここで、
R1およびR2は、独立して、水素、置換されているか又は置換されていない及び/又はヘテロ原子を含有する、1~18個の炭素原子を有する脂肪族基、置換されているか又は置換されていない及び/又はヘテロ原子を含有する、3~18個の炭素原子を有する環状脂肪族基、置換されているか又は置換されていない及び/又はヘテロ原子を含有する、1~18個の炭素原子を有する芳香族基を表す;R1およびR2は、互いに反応して、3~8個の炭素原子を有する環状脂肪族基、または酸素原子または窒素原子で置換された3~8個の炭素原子を有する複素環基を形成することができる;
R3は、2~8個の炭素原子を有する線状または分岐状の脂肪族基を表す)
によって表される少なくとも1つのアミノスルホン酸;
b.少なくとも1つのポリイソシアネート;
c.少なくとも1つの第三級アミン;および
d.任意に、エチレンオキシド基を含有するポリエーテルアルコール;
を含む系の反応によって得られる変性ポリイソシアネートであって、
変性ポリイソシアネートが、少なくとも1つのイミノオキサジアジンジオン構造および少なくとも1つのイソシアヌレート構造を含み、イミノオキサジアジンジオン構造とイソシアヌレート構造の重量比が、1:300~1:5であり;変性ポリイソシアネートのスルホネート基(スルホネート基は、80g/molのモル重量を有するSO を意味する)の量が、100重量%としての変性ポリイソシアネートの量に対して、0.75重量%~1.1重量%であり;変性ポリイソシアネートの粘度が、DIN EN ISO 3219:1994-10に従い23℃および10s-1のせん断速度で決定され、500mPa・s~10000mPa・sである、変性ポリイソシアネートを提供する。
【0028】
本発明はまた、変性ポリイソシアネートの調製方法、およびポリウレタンまたはブロッキング剤でブロックされたポリイソシアネートの調製のための、水溶性または水分散性コーティング、接着剤またはシーラントの調製のための、およびコーティング、接着剤またはシーラントの手動撹拌挙動を改善するための、変性ポリイソシアネートの使用、変性ポリイソシアネートを含むコーティング、接着剤またはシーラント、特に木材コーティングにおける変性ポリイソシアネートの使用、水性二成分コーティングの調製方法、前述のコーティングを基材に適用することによって得られる製品、および該製品の製造方法を提供する。
【0029】
変性ポリイソシアネート
本発明の変性ポリイソシアネートはまた、変性ポリイソシアネートの混合物を指してもよい。
【0030】
イミノオキサジアジンジオン構造は、式IIによって表される。
【化3】
ここで、R4、R5およびR6は、それぞれ独立して、同じくまたは異なって、脂肪族、環状脂肪族、芳香族および/または芳香脂肪族ジイソシアネートから1つのイソシアネート基を除去することによって得られる基、脂肪族、環状脂肪族、芳香族および/または芳香脂肪族オリゴマーポリイソシアネートから1つのイソシアネート基を除去することによって得られる基、脂肪族、環状脂肪族、芳香族および/または芳香脂肪族ジイソシアネートから1つのイソシアネート基を除去することによって得られる基をアミノスルホン酸と反応させることによって得られる基、脂肪族、環状脂肪族、芳香族および/または芳香脂肪族オリゴマーポリイソシアネートから1つのイソシアネート基を除去することによって得られる基をアミノスルホン酸と反応させることによって得られる基を表す。
【0031】
イソシアヌレート構造は、式IIIによって表される。
【化4】
ここで、R7、R8およびR9は、それぞれ独立して、同じくまたは異なって、脂肪族、環状脂肪族、芳香族および/または芳香脂肪族ジイソシアネートから1つのイソシアネート基を除去することによって得られる基、脂肪族、環状脂肪族、芳香族および/または芳香脂肪族オリゴマーポリイソシアネートから1つのイソシアネート基を除去することによって得られる基、脂肪族、環状脂肪族、芳香族および/または芳香脂肪族ジイソシアネートから1つのイソシアネート基を除去することによって得られる基をアミノスルホン酸と反応させることによって得られる基、脂肪族、環状脂肪族、芳香族および/または芳香脂肪族オリゴマーポリイソシアネートから1つのイソシアネート基を除去することによって得られる基をアミノスルホン酸と反応させることによって得られる基を表す。
【0032】
R4、R5、R6、R7、R8およびR9は、それぞれ独立して、同一でも異なっていてもよい。
【0033】
変性ポリイソシアネートのイミノオキサジアジンジオン構造とイソシアヌレート構造の重量比は、好ましくは1:200~1:5、好ましくは1:100~1:5、さらに好ましくは1:100~1:6、さらに好ましくは1:30~1:7、最も好ましくは1:30~1:20である。
【0034】
変性ポリイソシアネートのイミノオキサジアジンジオン構造とイソシアヌレート構造の合計重量は、100重量%としての変性ポリイソシアネートの量に対して、5重量%以上である。
【0035】
変性ポリイソシアネートのスルホネート基(スルホネート基は、80g/molのモル重量を有するSO を意味する)の量は、100重量%としての変性ポリイソシアネートの量に対して、好ましくは0.75重量%~1.0重量%である。
【0036】
変性ポリイソシアネートの粘度は、DIN EN ISO 3219:1994-10に従い23℃および10s-1のせん断速度で決定され、好ましくは500mPa・s~7000mPa・s、好ましくは1000mPa・s~7000mPa・s、最も好ましくは3000mPa・s~7000mPa・sである。
【0037】
アミノスルホン酸
R1およびR2は、好ましくは、互いに反応して3~8個の炭素原子を有する環状脂肪族基または酸素原子又は窒素原子で置換された3~8個の炭素原子を有する複素環基を形成することができ、前述の複素環基は、好ましくは更に置換されている。
【0038】
R3は、好ましくは、2~4個の炭素原子を有する線状または分岐状の脂肪族基、さらに好ましくは、2~3個の炭素原子を有する線状または分岐状の脂肪族基、最も好ましくは3個の炭素原子を有する線状または分岐状の脂肪族基を表す。
【0039】
アミノスルホン酸は、式Iで表される1つ以上のアミノスルホン酸の任意の混合物であってよい。
【0040】
アミノスルホン酸は、好ましくは、3-シクロヘキシルアミノプロパン-1-スルホン酸、4-シクロヘキシルアミノ-1-ブタンスルホン酸および2-シクロヘキシルアミノエタン-1-スルホン酸の化合物の1つ以上、さらに好ましくは3-シクロヘキシルアミノプロパン-1-スルホン酸および4-シクロヘキシルアミノ-1-ブタンスルホン酸の化合物の1つ以上、最も好ましくは3-シクロヘキシルアミノプロパン-1-スルホン酸である。
【0041】
アミノスルホン酸の量は、100重量%としての成分aおよびbの量に対して、好ましくは1.5重量%~3.5重量%、さらに好ましくは2重量%~3重量%、最も好ましくは2.2重量%~2.9重量%である。
【0042】
ポリイソシアネート
本発明におけるポリイソシアネートは、変性ポリイソシアネートを調製するための原料成分をいう。
【0043】
ポリイソシアネートは、少なくとも1つのイミノオキサジアジンジオン構造および少なくとも1つのイソシアヌレート構造を含む。
【0044】
イミノオキサジアジンジオン構造は、式IIによって表される。
【化5】
ここで、R4、R5およびR6は、それぞれ独立して、同じくまたは異なって、脂肪族、環状脂肪族、芳香族および/または芳香脂肪族ジイソシアネートから1つのイソシアネート基を除去することによって得られる基、脂肪族、環状脂肪族、芳香族および/または芳香脂肪族オリゴマーポリイソシアネートから1つのイソシアネート基を除去することによって得られる基を表す。
【0045】
イソシアヌレート構造は、式IIIによって表される。
【化6】
ここで、R7、R8およびR9は、それぞれ独立して、同じくまたは異なって、脂肪族、環状脂肪族、芳香族および/または芳香脂肪族ジイソシアネートから1つのイソシアネート基を除去することによって得られる基、脂肪族、環状脂肪族、芳香族および/または芳香脂肪族オリゴマーポリイソシアネートから1つのイソシアネート基を除去することによって得られる基を表す。
【0046】
R4、R5、R6、R7、R8およびR9は、それぞれ独立して、同一でも異なっていてもよい。
【0047】
変性ポリイソシアネートのイミノオキサジアジンジオン構造とイソシアヌレート構造の重量比は、好ましくは1:300~1:5、さらに好ましくは1:200~1:5、さらにより好ましくは1:100~1:5、さらにより好ましくは1:100~1:6、さらにより好ましくは1:30~1:7、最も好ましくは1:30~1:20である。
【0048】
イミノオキサジアジンジオン構造とイソシアヌレート構造の合計重量は、100重量%としてのポリイソシアネートの量に対して、5重量%以上である。
【0049】
ポリイソシアネートのモノマージイソシアネートの含有量は、好ましくは1重量%未満、最も好ましくは0.5重量%未満である。
【0050】
ポリイソシアネートの粘度は、DIN EN ISO 3219:1994-10に従い23℃の温度および10s-1のせん断速度で決定され、好ましくは100mPa・s~9000mPa・s、さらに好ましくは500mPa・s~8000mPa・s、最も好ましくは500mPa・s~6000mPa・sである。
【0051】
ポリイソシアネートの量は、100重量%としての変性ポリイソシアネートを調製するための反応の成分に対して、好ましくは5重量%以上である。
【0052】
ポリイソシアネートは、好ましくは、以下の化合物の1つ以上である:脂肪族ポリイソシアネート、環状脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートおよび芳香族ポリイソシアネート。
【0053】
イソシアヌレート構造およびイミノオキサジアジンジオン構造に加えて、ポリイソシアネートは、以下の構造単位の1つ以上をさらに含んでもよい:ウレタン、ビウレット、ウレトジオンおよびアロファネート。
【0054】
ポリイソシアネートは、好ましくは、少なくとも2つのジイソシアネートから構成され、例えば以下の文献に記載されるように、単純な脂肪族、環状脂肪族、芳香脂肪族および/または芳香族ジイソシアネートの変性によって調製される:J.Prakt.Chem.336(1994)185-200、DE-A1670666、DE-A1954093、DE-A2414413、DE-A2452532、DE-A2641380、DE-A3700209、DE-A3900053およびDE-A3928503、またはEP-A0336205、EP-A0339396およびEP-A0798299。ジイソシアネートは、液相または気相中でのホスゲン化によって、またはホスゲンを含まないプロセス、例えば、熱ウレタン開裂によって調製することができる。
【0055】
ジイソシアネートの重量平均分子量は、140~400であることが好ましい。
【0056】
ジイソシアネートは、好ましくは、以下の化合物の1つ以上である:1,4-ジイソシアナトブタン、1,5-ジイソシアナトペンタン(ペンタメチレンジイソシアネート、PDI)、1,6-ジイソシアナトヘキサン(ヘキサメチレンジイソシアネート、HDI)、2-メチル-1,5-ジイソシアナトペンタン、1,5-ジイソシアナト-2,2-ジメチルペンタン、2,2,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、2,4,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン、1,10-ジイソシアナトデカン、1,3-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアナトメチル)-シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナトメチル)-シクロヘキサン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、2,4’および4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン(H12-MDI)、1-イソシアナト-1-メチル-4(3)イソシアナト-メチルシクロヘキサン、ビス(イソシアナトメチル)-ノルボルナン、1,3-および1,4-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン(キシリレンジイソシアネート、XDI)、1,3-および1,4-ビス(2-イソシアナト-プロパン-2-イル)-ベンゼン(TMXDI)、2,4-および2,6-ジイソシアナトトルエン(TDI)、2,4’-および4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン(MDI)および1,5-ジイソシアナトナフタレン(NDI)。
【0057】
ポリイソシアネートは、好ましくは、以下の化合物:脂肪族ポリイソシアネートおよび環状脂肪族ポリイソシアネートの1つ以上、さらに好ましくは、脂肪族ポリイソシアネート、より好ましくは、イソシアヌレート構造およびイミノオキサジアジンジオン構造を含有する誘導体であって、以下の化合物:ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよび4,4’-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンの1つ以上に基づくもの、さらに好ましくは、イソシアヌレート構造およびイミノオキサジアジンジオン構造を含有する誘導体であって、以下の化合物:ヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートの1つ以上に基づくもの、最も好ましくはイソシアヌレート構造およびイミノオキサジアジンジオン構造を含有する誘導体であって、ヘキサメチレンジイソシアネートに基づくものである。
【0058】
第三級アミン
本発明の第三級アミンは、アミノスルホン酸のスルホン酸基を中和するために使用される。
【0059】
第三級アミンは、好ましくは、以下の化合物の1つ以上である:第三級モノアミン、第三級ジアミン、およびイソシアネートに対して反応性の基を含有する他の第三級アミン。
【0060】
第三級モノアミンは、好ましくは、以下の化合物の1つ以上である:トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-メチルピペリジンおよびN-エチルピペリジンおよびN,N-ジメチルシクロヘキシルアミン。
【0061】
第三級ジアミンは、好ましくは、以下の化合物の1つ以上である:1,3-ビス-(ジメチルアミノ)-プロパン、1,4-ビス-(ジメチルアミノ)-ブタン、およびN,N’-ジメチルピペラジン。
【0062】
第三級アミンは、最も好ましくは、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミンである。
【0063】
イソシアネートに対して反応性の基を含む他の第三級アミンは、好ましくは、アルカノールアミン、例えば、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミンおよび/またはトリエタノールアミンなどである。
【0064】
アミノスルホン酸のスルホネート基に対する第三級アミンのモル当量比は、好ましくは0.3~1.9、最も好ましくは0.6~1.4である。
【0065】
第三級アミンの量は、成分a、bおよび任意に成分dの反応を触媒するのに十分な量である。しかしながら、ポリウレタン化学において知られる他の通常の触媒は、本発明の方法における反応を促進するために任意に使用される。通常の触媒は、好ましくは、以下の化合物の1つ以上である:他の第三級アミンおよび金属塩。
【0066】
他の第三級アミンは、好ましくは、以下の化合物の1つ以上である:トリエチルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミン、N,N-エンドエチレンピペラジン、N-メチルピペリジン、ペンタメチル-ジエチレントリアミン、N,N-ジメチル-アミノシクロヘキサンおよびN,N’-ジメチルピペラジン。
【0067】
金属塩は、好ましくは、以下の化合物の1つ以上である:塩化第二鉄、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、塩化亜鉛、n-オクタン酸亜鉛、2-エチル-1-ヘキサン酸亜鉛、2-エチルカプロン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトネート、スズn-オクトエート、スズ2-エチル-1-ヘキサノエート、スズエチルヘキサノエート、スズラウレート、スズパルミテート、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジクロリド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジアセテートおよびモリブデングリコレート。
【0068】
通常の触媒の量は、100重量%としての反応の成分の量に対して、好ましくは0.001重量%~2重量%、最も好ましくは0.005重量%~0.5重量%である。
【0069】
エチレンオキシド基を含有するポリエーテルアルコール
エチレンオキシド基を含有するポリエーテルアルコールは、本発明の変性ポリイソシアネートの製造方法において、100重量%としての反応の成分の量に対して、0~17重量%、好ましくは0~13重量%、最も好ましくは0~5重量%の量で使用される。
【0070】
エチレンオキシド基を含有するポリエーテルアルコールは、好ましくは、1分子当たり5~30個、最も好ましくは7~25個のエチレンオキシド基の統計的平均を含む。
【0071】
エチレンオキシド基を含有するポリエーテルアルコールは、既知の方法で、例えば、Ullmanns Encyclopaedie der technischen Chemie,第4版,第19巻,Verlag Chemie Weinheim,31-38頁に記載された、適切な原料分子のアルコキシル化によって、得ることができる。
【0072】
適切な原料分子は、好ましくは、以下の化合物の1つ以上である:飽和一価アルコール、不飽和アルコール、芳香族アルコール、芳香脂肪族アルコール、第二級モノアミン、および複素環式第二級アミン。
【0073】
飽和一価アルコールは、好ましくは、以下の化合物の1つ以上である:メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、異性体ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、n-デシルアルコール、n-ドデシルアルコール、n-テトラデシルアルコール、n-ヘキサデカノール、n-オクタデシルアルコール、シクロヘキサノール、異性体メチルシクロヘキサノール、ヒドロキシメチルシクロヘキサン、3-エチル-3-オキセタンメタノールおよびテトラヒドロフルフリルアルコール。
【0074】
不飽和アルコールは、好ましくは、以下の化合物の1つ以上である:アリルアルコール、1,1-ジメチル-アリルアルコール、およびオレイルアルコール。
【0075】
芳香族アルコールは、好ましくは、以下の化合物の1つ以上である:フェノール、異性体クレゾールおよびメトキシフェノール。
【0076】
芳香脂肪族アルコールは、好ましくは、以下の化合物の1つ以上である:ベンジルアルコール、アニシルアルコールおよびシンナミルアルコール。
【0077】
第二級モノアミンは、好ましくは、以下の化合物の1つ以上である:ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ-n-ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ビス(2-エチルヘキシル)-アミン、N-メチルシクロヘキシルアミン、N-エチルシクロヘキシルアミンおよびジシクロヘキシルアミン。
【0078】
複素環式第二級アミンは、好ましくは、以下の化合物の1つ以上である:モルホリン、ピロリジン、ピペリジンおよび1H-ピラゾール。
【0079】
好適な原料分子は、さらに好ましくは、1~4個の炭素原子を有する飽和一価アルコールであり、最も好ましくはメタノールである。
【0080】
アルコキシル化反応に適したアルキレンオキシド、特にエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドは、アルコキシル化反応において任意の順序でまたは混合物として使用することができる。
【0081】
エチレンオキシド基を含有するポリエーテルアルコールは、エチレンオキシド基を含有する1つ以上のポリエーテルアルコールの任意の混合物であってもよい。
【0082】
エチレンオキシド基を含有するポリエーテルアルコール中のアルキレンオキシド単位は、好ましくは30mol%以上、最も好ましくは40mol%以上のエチレンオキシド基を含有する。
【0083】
エチレンオキシド基を含有するポリエーテルアルコールは、最も好ましくは、1分子当たり統計平均7~30個、最も好ましくは7~25個のエチレンオキシド基を含むポリエチレングリコール-メチルエーテルアルコールである。
【0084】
本発明に係るエチレンオキシド基を含有するポリエーテルアルコールは、さらに添加してもよい。あるいは、ポリイソシアネートは、エチレンオキシドポリエーテル単位を既に含んでいてもよい。ポリイソシアネートが既にエチレンオキシドポリエーテル単位を含む場合、ポリイソシアネートは、エチレンオキシドポリエーテルアルコールで親水性に変性され、例えば、EPA0959087,2頁,25~46行に記載された方法によって調製されたポリイソシアネートである。
【0085】
溶媒
変性ポリイソシアネートを調製するための反応の成分は、溶媒をさらに含んでもよい。
【0086】
溶媒は、変性ポリイソシアネートの調製に有用であることが知られている通常の溶媒であり、好ましくは以下の化合物の1つ以上である:酢酸エチル、酢酸ブチル、1-メトキシプロパン-2-イルアセテート、3-メトキシ-n-ブチルアセテート、アセトン、2-ブタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、石油溶媒、より高度に置換された芳香族化合物、カーボネート、ラクトン、プロピレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールブチルエーテルアセテート、N-メチルピロリドンおよびN-メチルカプロラクタム。
【0087】
より高度に置換された芳香族化合物は、好ましくは、商品名Solvesso、Isopar、NapparおよびShellsolの溶媒ナフサである。
【0088】
カーボネートは、好ましくは、以下の化合物の1つ以上である:ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、1,2-エチレンカーボネート、および1,2-プロピレンカーボネート。
【0089】
ラクトンは、好ましくは、以下の化合物の1つ以上である:β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトン、およびε-メチルカプロラクトン。
【0090】
変性ポリイソシアネートは、好ましくは、以下の成分:
a.式I
【化7】
(ここで、
R1およびR2は、独立して、水素、置換されているか又は置換されていない及び/又はヘテロ原子を含有する、1~18個の炭素原子を有する脂肪族基、置換されているか又は置換されていない及び/又はヘテロ原子を含有する、3~18個の炭素原子を有する環状脂肪族基、置換されているか又は置換されていない及び/又はヘテロ原子を含有する、1~18個の炭素原子を有する芳香族基を表す;R1およびR2は、互いに反応して、3~8個の炭素原子を有する環状脂肪族基、または酸素原子または窒素原子で置換された3~8個の炭素原子を有する複素環基を形成することができる;
R3は、2~8個の炭素原子を有する線状または分岐状の脂肪族基を表す)
によって表される少なくとも1つのアミノスルホン酸;
b.少なくとも1つのポリイソシアネート;
c.少なくとも1つの第三級アミン;および
d.任意に、エチレンオキシド基を含有するポリエーテルアルコール;
を含む系の反応によって得られ、
ここで、変性ポリイソシアネートが、少なくとも1つのイミノオキサジアジンジオン構造および少なくとも1つのイソシアヌレート構造を含み、イミノオキサジアジンジオン構造とイソシアヌレート構造の重量比が、1:300~1:5であり;変性ポリイソシアネートのスルホネート基(スルホネート基は、80g/molのモル重量を有するSO を意味する)の量が、100重量%としての変性ポリイソシアネートの量に対して、0.75重量%~1.1重量%であり;変性ポリイソシアネートの粘度が、DIN EN ISO 3219:1994-10に従い23℃および10s-1のせん断速度で決定され、500mPa・s~10000mPa・sであり、アミノスルホン酸の含有量が、1.5重量%~3.5重量%であり、ポリイソシアネートが、少なくとも1つのイミノオキサジアジンジオン構造および少なくとも1つのイソシアヌレート構造を含み、イミノオキサジアジンジオン構造とイソシアヌレート構造の重量比が、1:300~1:5である。
【0091】
変性ポリイソシアネートは、より好ましくは、以下の成分:
a.3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸;
b.イソシアヌレート構造およびイミノオキサジアジンジオン構造を有するヘキサメチレンジイソシアネートの誘導体;および
c.第三級アミン;
を含む系の反応によって得られ、
変性ポリイソシアネートのイミノオキサジアジンジオン構造とイソシアヌレート構造の重量比が、1:30~1:7であり、変性ポリイソシアネートのスルホネート基(スルホネート基は、80g/molのモル重量を有するSO を意味する)の量が、100重量%としての変性ポリイソシアネートの量に対して、0.75重量%~1.1重量%であり;変性ポリイソシアネートの粘度が、DIN EN ISO 3219:1994-10に従い23℃の温度および10s-1のせん断速度で決定され、500mPa・s~10000mPa・sである。
【0092】
第三級アミンは、好ましくはN,N-ジメチルシクロヘキシルアミンである。
【0093】
変性イソシアネートのイミノオキサジアジンジオン構造とイソシアヌレート構造の重量比は、好ましくは1:30~1:20である。
【0094】
変性ポリイソシアネートのスルホネート基(スルホネート基は、80g/molのモル重量を有するSO を意味する)の量は、100重量%としての変性ポリイソシアネートの量に対して、好ましくは0.75重量%~1.0重量%である。
【0095】
変性ポリイソシアネートの粘性は、DIN EN ISO 3219:1994-10に従い23℃の温度および10s-1のせん断速度で測定され、好ましくは500mPa・s~7000mPa・s、さらに好ましくは1000mPa・s~7000mPa・s、最も好ましくは3000mPa・s~7000mPa・sである。
【0096】
3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸のスルホネート基に対する第三級アミンのモル当量比は、好ましくは0.3~1.9である。
【0097】
3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸の量は、100重量%としての成分aおよびbの量に対して、2重量%~3重量%である。
【0098】
イソシアヌレート構造およびイミノオキサジアジンジオン構造を有するヘキサメチレンジイソシアネートの誘導体のイミノオキサジアジンジオン構造とイソシアヌレート構造の重量比は、好ましくは1:30~1:7、最も好ましくは1:30~1:20である。
【0099】
変性ポリイソシアネートは、最も好ましくは、以下の成分:
a.3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸(ここで、3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸の量が、100重量%としての成分aおよびbの量に対して2重量%~3重量%である);
b.イソシアヌレート構造およびイミノオキサジアジンジオン構造を有するヘキサメチレンジイソシアネートの誘導体(ここで、イソシアヌレート構造およびイミノオキサジアジンジオン構造を有するヘキサメチレンジイソシアネートの誘導体のイミノオキサジアジンジオン構造とイソシアヌレート構造の重量比が、好ましくは1:30~1:20である);および
c.3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸のスルホネート基に対して0.3~1.9のモル当量比を有するN,N-ジメチルシクロヘキシルアミン;
を含む系の反応によって得られ、
変性ポリイソシアネートのイミノオキサジアジンジオン構造とイソシアヌレート構造の重量比が、1:30~1:20であり;変性ポリイソシアネートのスルホネート基(スルホネート基は、80g/molのモル重量を有するSO を意味する)の量が、100重量%としての変性ポリイソシアネートの量に対して、0.75重量%~1.0重量%であり;変性ポリイソシアネートの粘度が、DIN EN ISO 3219:1994-10に従い23℃の温度および10s-1のせん断速度で決定され、3000mPa・s~7000mPa・sである。
【0100】
変性ポリイソシアネートの調製方法
変性ポリイソシアネートの調製方法は、成分a、成分b、成分cおよび任意に成分dの存在下において40℃~150℃の温度で反応を行い、NCO基とNCO基に対して反応性の基のモル当量比を2:1~400:1として維持する工程を含む。
【0101】
反応温度は、好ましくは50℃~130℃である。
【0102】
NCO基とNCO基に対して反応性の基のモル当量比は、好ましくは4:1~250:1であり、最も好ましくは、理論的に計算されたNCO含有量が反応において達成されるまでである。
【0103】
変性ポリイソシアネートは、透明、無色またはほぼ無色である。
【0104】
使用
変性ポリイソシアネートは、好ましくは、水性エマルションの形態で使用される。
【0105】
本発明のポリイソシアネートは、好ましくは、イソシアネート基に対して反応性の基、特に水酸基を有する水溶性または水分散性コーティング、接着剤またはシーラントのための架橋成分として使用され、このような水性コーティング、接着剤またはシーラントに基づくコーティング層の製造に使用される。
【0106】
本発明の変性ポリイソシアネートを水溶性または水分散性コーティングの成分のための架橋成分として使用する場合、変性ポリイソシアネートのNCO基とNCO基に対して反応性の基、特に水酸基のモル比は、好ましくは0.5:1~2:1である。
【0107】
本発明の変性ポリイソシアネートを水溶性または水分散性接着剤またはシーラント中の架橋成分として使用する場合、必要に応じて、比較的少量で、非官能性の水溶性または水分散性接着剤またはシーラント中に組み込まれてもよく、その結果、例えば、接着性を向上させるための添加剤として、非常に特異的な特性が得られる。例えば、吸収性ハロゲン化物を含まない製紙助剤または添加剤として、あるいはコンクリートまたはモルタルなどの無機建築材料のために使用される。
【0108】
前述の変性ポリイソシアネートを含むコーティング、接着剤またはシーラントは、前述の変性ポリイソシアネートと異なるポリイソシアネートをさらに含んでもよい。前述の変性ポリイソシアネートとは異なるポリイソシアネートは、前述の変性ポリイソシアネートが樹脂成分と混合される前に、前述の変性ポリイソシアネートに加えられることが好ましい。
【0109】
前述の変性ポリイソシアネートとは異なるポリイソシアネートは、好ましくは、水性ヒドロキシ樹脂分散液および変性ポリイソシアネートを含むコーティング、接着剤またはシーラントの特性が影響を受けないような量で使用される。この組み合わせについて、本発明の変性ポリイソシアネートは、前述の変性ポリイソシアネートと異なるポリイソシアネートのための乳化剤として作用する。
【0110】
ポリウレタンの調製における使用
変性ポリイソシアネートはまた、水性一成分ポリウレタン系において、ブロッキング剤でブロックされた形態で使用することができる。適したブロッキング剤は、例えば、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセトキシム、ブタノンオキシム、ε-カプロラクタム、3,5-ジメチルピラゾール、1,2,4-トリアゾール、ジメチル-1,2,4-トリアゾール、イミダゾールまたはこれらブロッキング剤の任意の混合物である。
【0111】
変性ポリイソシアネートは、水中での乳化性に優れ、均一に分布させることができる。前述の変性ポリイソシアネートのポリウレタンから形成されたコーティング層は、優れた光学特性、特に高い表面光沢および高い透明性を有する。
【0112】
製品の製造方法
コーティングは、当業者に知られている機械的ツールを使用して、または2成分スプレーガンを使用して実施することができる。
【0113】
基材は、任意の基材であってよく、好ましくは、金属、木材、合金、無機材料、ガラス、石、セラミック原料、コンクリート、硬質合成材料、軟質合成材料、布地、革または紙、最も好ましくは、木材、金属、合金または無機材料である。
【0114】
基材は、コーティングされる前に、任意に、通常のプライマーを有していてもよい。
【0115】
水性二成分コーティング
水性ヒドロキシ樹脂分散液は、水酸基含有ポリアクリレートの分散液であることが好ましく、重量平均分子量が1000~10000の水酸基含有ポリアクリレートの分散液であることが最も好ましい。
【0116】
大体において、水に可溶または分散可能であり、イソシアネートに対して反応性の基を含む全ての化合物は、本発明の水性二成分コーティングのための反応パートナーとして、例えば水中に分散されたポリウレタンまたはポリウレアとして、適しており、ここで、活性水素原子は、ウレタンまたはウレア基に存在し、ポリウレタンまたはポリウレアを変性ポリイソシアネートで架橋することができる。
【0117】
水性二成分コーティングは、任意に、コーティングの分野における通常の助剤および添加剤、例えば、以下の物質の1つ以上などを含んでもよい:フロー助剤、着色顔料、充填剤、消泡剤、共溶媒、艶消剤、および乳化剤。
【0118】
水性二成分コーティングを室温で乾燥させることによって形成されるコーティング層は、良好な特性を有する。
【0119】
水性二成分コーティングはまた、高温で乾燥させてもよいし、260℃までの温度で乾燥させてもよい。
【0120】
水性二成分コーティングは、木材コーティング、テキスタイルコーティング、プラスチックコーティング、建築コーティングまたは金属コーティングであってもよく、最も好ましくは木材コーティングである。
【実施例
【0121】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書中の用語の定義が、当業者によって一般に理解される意味と矛盾する場合、ここに記載される定義が優先される。
【0122】
特に明記しない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される成分の量、反応条件などを表現する全ての数字は「約」という用語によって修飾されると理解される。したがって、反対に示されない限り、ここに記載される数値パラメータは、所望のように特性に応じて変化させることができる近似値である。
【0123】
特に明記しない限り、本明細書で使用される「a」、「an」および「the」は「少なくとも1つ」または「1つ以上」を含むことを意味し、例えば、「成分(a component)」は、1つ以上の成分を指し、したがって、2つ以上の成分が、実施形態の実施において企図され、使用され、または使用され得る。
【0124】
ここで使用されるように、「および/または」は、言及された要素の1つまたはすべてを指す。
【0125】
ここで使用されるように、「含む(including)」および「含む(comprising)」は、言及された要素のみが存在する場合、および言及された要素に加えて他の言及されていない要素が存在する場合も包含する。
【0126】
本発明における全てのパーセンテージは、特に明記しない限り、重量パーセンテージである。
【0127】
本発明の分析測定は、特に明記しない限り、23℃で行われた。
【0128】
ポリイソシアネート中のイミノオキサジアジンジオン構造とイソシアヌレート構造の重量比は、13C NMRによって決定された。試験装置は、Bruker DPX-400であった。イミノオキサジアジンジオン構造:イソシアヌレート構造の重量比=1:(積分面積@148.4ppm)/(積分面積@147.9ppm+積分面積@144.5ppm+積分面積@135.3ppm)である。
【0129】
本発明のポリイソシアネートから変性ポリイソシアネートを調製するための反応において、変性ポリイソシアネート中のイミノオキサジアジンジオン構造とイソシアヌレート構造の重量比は、ポリイソシアネート中のイミノオキサジアジンジオン構造とイソシアヌレート構造の重量比と同じである。
【0130】
粘性は、DIN EN ISO 3219:1994-10に従って、23℃の温度およびせん断速度10s-1で決定された。MV-DINローターを選択した。
イソシアネート基(NCO)含量は、DIN-EN ISO 11909:2007-05に従って決定された。測定データは、遊離および潜在的に遊離のNCO含有量を指す。
色値試験の標準:DIN-EN1557:1997-03。
光沢試験の標準:GB/T 9754-2007。
ヘイズ試験の標準:ASTM E430-11。
【0131】
原材料および試薬
ポリイソシアネートP1:撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素注入管および滴下漏斗を備えた4口フラスコを窒素雰囲気下で配置した。これにヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)850gを加え、撹拌しながら65℃に加熱した。次に、5.5gのトリメチル-2-メチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド(イソブタノールで5重量%に希釈した溶液)を触媒として加えた。反応液のNCO含有量が45.6重量%になったところで、1.1gのリン酸ジ-n-ブチルを添加して反応を停止させた。未反応モノマーを140℃および0.05mbarの真空にて薄膜エバポレーターにより除去した。不揮発分100重量%、粘性1200mPa・s(23.5℃)、NCO含有量23.0重量%、HDIモノマー濃度0.25重量%、イミノオキサジアジンジオン構造とイソシアヌレート構造の重量比1:27.57のポリイソシアネートP1を得た。
【0132】
ポリイソシアネートP2:P1の調製方法を実施した。反応液のNCO含量が38%になったところで反応を終了した。未反応モノマーを140℃および0.05mbarの真空で薄膜エバポレーターにより除去した。不揮発分100重量%、粘度3000mPa・s(23.5℃)、NCO含有量21.7重量%、HDIモノマー濃度0.25重量%、イミノオキサジアジンジオン構造とイソシアヌレート構造の重量比1:20.28のポリイソシアネートP2を得た。
【0133】
ポリイソシアネートP3:P1の調製方法を実施した。反応液のNCO含有量が32%になったところで反応を終了した。未反応モノマーを140℃および0.05mbarの真空で薄膜エバポレーターにより除去した。不揮発分100重量%、粘度16000mPa・s(23.5℃)、NCO含有量20.0重量%、HDIモノマー濃度0.25重量%、イミノオキサジアジンジオン構造とイソシアヌレート構造の重量比1:27.57のポリイソシアネートP3を得た。
【0134】
ポリイソシアネートP4:P1の調製方法を実施した。触媒としてテトラブチルホスホニウム水素ジフルオリド溶液を用いた(重量比2:1のイソプロパノール/メタノール溶媒で50%に希釈した)。反応液のNCO含有量が32%になったところでリン酸ジブチルを添加して反応を終了した。不揮発分100重量%、粘度700mPa・s(23.5℃)、NCO含有量23.4重量%、HDIモノマー濃度0.25重量%、イミノオキサジアジンジオン構造とイソシアヌレート構造の重量比1:1.28のポリイソシアネートP4を得た。
【0135】
Tolonate HDT-LV2:ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとする市販品で、NCO含有量23.0重量%およびHDIモノマー濃度0.5重量%未満で、イミノオキサジアジンジオン構造とイソシアヌレート構造の重量比が検出限界未満で、VENCOREXから入手できる。
テトラブチルホスホニウム水素ジフルオリド溶液:Jinjinle Chemical Companyから購入した。
イソプロパノール:Sigma-Aldrichから購入した。
メタノール:Sigma-Aldrichから購入した。
3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸:Sigma-Aldrichから購入した。
N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン:Sigma-Aldrichから購入した。
トリメチル-2-メチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド:Sigma-Aldrichから購入した。
Bayhydrol A 2470:Covestro,Germanyから入手できる水性ヒドロキシアクリレート分散液。
BYK028:BYK,Germanyから購入したシリコーン消泡剤(ポリエチレングリコール中のフォーム破壊ポリシロキサンと疎水性粒子の混合物)。
BYK346:BYK,Germanyから入手できる湿潤レベリング剤(ポリエーテル変性シロキサン溶液)。
BUTYL CELLOSOLVE:共溶媒、エチレングリコールブチルエーテル、Dow Chemical,USAから購入した。
RHEOVIS PU 1291:レオロジー添加剤、会合性増粘剤:疎水性変性エトキシ化ウレタン、BASF,Germanyから購入した。
【0136】
変性ポリイソシアネート1
27g(0.14eq)のポリイソシアネートP2、100g(0.53eq)のTolonate HDT-LV2、3.6g(0.016eq)の3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸および2.08g(0.016mol)のジメチルシクロヘキシルアミンを、乾燥窒素下、80℃で4時間撹拌し、室温に冷却した。本発明の変性ポリイソシアネートを以下の特徴的なデータで得た。前述の変性ポリイソシアネートは無色透明な溶液の形態であった:
固形分:100重量%
NCO含有量:20.78重量%
粘度(23℃):2907mPa・s
色値(ハーゼン):57
スルホネート基含有量:0.98重量%(スルホネート基は80g/molのモル重量を有するSO を意味する)
イミノオキサジアジンジオン/イソシアヌレート:1:100
エチレンオキシド基含有量:0.0重量%
【0137】
変性ポリイソシアネート2
215.44g(1.10eq)のポリイソシアネートP2、502.5g(2.72eq)のポリイソシアネートP1、20.3g(0.09eq)の3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸および11.7g(0.09mol)のジメチルシクロヘキシルアミンを、乾燥窒素下、80℃で4時間撹拌し、室温に冷却した。本発明の変性ポリイソシアネートを以下の特徴的なデータで得た。前述の変性ポリイソシアネートは、無色透明な溶液の形態であった:
固形分:100重量%
NCO含有量:21.32重量%
粘度(23℃):3293mPa・s
色値(ハーゼン):18
スルホネート基含有量:0.98重量%(スルホネート基は80g/molのモル重量を有するSO を意味する)
イミノオキサジアジンジオン/イソシアヌレート:1:26.07
エチレンオキシド基含有量:0.0重量%
【0138】
変性ポリイソシアネート3
1705g(8.74eq)のポリイソシアネートP2、48.3g(0.22eq)の3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸および27.8g(0.22mol)のジメチルシクロヘキシルアミンを、乾燥窒素下、80℃で4時間撹拌し、室温に冷却した。本発明の変性ポリイソシアネートを以下の特徴的なデータで得た。前述の変性ポリイソシアネートは、無色透明の溶液の形態であった:
固形分:100重量%
NCO含有量:20.47重量%
粘度(23℃):5992mPa・s
色値(ハーゼン):7
スルホネート基含有量:0.98重量%(スルホネート基は80g/molのモル重量を有するSO を意味する)
イミノオキサジアジンジオン/イソシアヌレート:1:21.2
エチレンオキシド基含有量:0.0重量%
【0139】
変性ポリイソシアネート4
657g(3.37eq)のポリイソシアネートP2、69.8g(0.39eq)のポリイソシアネートP4、20.6g(0.09eq)の3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸および11.9g(0.09mol)のジメチルシクロヘキシルアミンを、乾燥窒素下、80℃で4時間撹拌し、室温に冷却した。本発明の変性ポリイソシアネートを以下の特徴的なデータで得た。前述の変性ポリイソシアネートは、無色透明な溶液の形態であった:
固形分:100重量%
NCO含有量:20.11重量%
粘度(23℃):6645mPa・s
色値(ハーゼン):18
スルホネート基含有量:0.98重量%(スルホネート基は80g/molのモル重量を有するSO を意味する)
イミノオキサジアジンジオン/イソシアヌレート:1:11.35
エチレンオキシド基含有量:0.0重量%
【0140】
変性ポリイソシアネート5
565.01g(2.90eq)のポリイソシアネートP2、131g(0.73eq)のポリイソシアネートP4、19.7g(0.09eq)の3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸および11.9g(0.09mol)のジメチルシクロヘキシルアミンを、乾燥窒素下、80℃で4時間撹拌し、室温に冷却した。本発明の変性ポリイソシアネートを以下の特徴的なデータで得た。前述の変性ポリイソシアネートは無色透明の溶液の形態であった:
固形分:100重量%
NCO含有量:20.7重量%
粘度(23℃):4690mPa・s
色値(ハーゼン):17
スルホネート基含有量:0.98重量%(スルホネート基は80g/molのモル重量を有するSO を意味する)
イミノオキサジアジンジオン/イソシアヌレート:1:7.67
エチレンオキシド基含有量:0.0重量%
【0141】
変性ポリイソシアネート6
718g(3.68eq)のポリイソシアネートP2、16.3g(0.07eq)の3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸および8.82g(0.07mol)のジメチルシクロヘキシルアミンを、乾燥窒素下、80℃で4時間撹拌し、室温に冷却した。本発明の変性ポリイソシアネートの混合物を以下の特性データで得た。変性ポリイソシアネートの前述の混合物は、無色透明な溶液の形態であった:
固形分:100重量%
NCO含有量:20.6重量%
粘度(23℃):5743mPa・s
色値(ハーゼン):20
スルホネート基含有量:0.79重量%(スルホネート基は80g/molのモル重量を有するSO を意味する)
イミノオキサジアジンジオン/イソシアヌレート:1:21.03
エチレンオキシド基含有量:0.0重量%
【0142】
変性ポリイソシアネート7
125g(0.6eq)の変性ポリイソシアネート3、1.92g(0.005mol)の、メタノールから開始した、350の平均分子量を有する一官能性ポリエチレンオキシドポリエーテルアルコールを、乾燥窒素下、95℃で4時間撹拌し、室温に冷却した。変性ポリイソシアネートを以下の特性データで得た。前述の変性ポリイソシアネートは無色透明の溶液の形態であった:
固形分:100重量%
NCO含有量:19.46重量%
粘度(23℃):9839mPa・s
色値(ハーゼン):0
スルホネート基含有量:0.96重量%(スルホネート基は80g/molのモル重量を有するSO を意味する)
イミノオキサジアジンジオン/イソシアヌレート:1:21.3
エチレンオキシド基含有量:1.4重量%
【0143】
比較変性ポリイソシアネート1
718.21g(3.68eq)のポリイソシアネートP2、12.78g(0.06eq)の3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸および7.72g(0.06mol)のジメチルシクロヘキシルアミンを、乾燥窒素下、80℃で4時間撹拌し、室温に冷却した。比較変性ポリイソシアネートを以下の特性データで得た。前述の比較変性ポリイソシアネートは、無色透明な溶液の形態であった:
固形分:100重量%
NCO含有量:20.85重量%
粘度(23℃):5296mPa・s
色値(ハーゼン):14
スルホネート基含有量:0.62重量%(スルホネート基は80g/molのモル重量を有するSO を意味する)
イミノオキサジアジンジオン/イソシアヌレート:1:20.89
エチレンオキシド基含有量:0.0重量%
【0144】
比較変性ポリイソシアネート2
718.02g(3.68eq)のポリイソシアネートP2、15.24g(0.07eq)の3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸および8.82g(0.07eq)のジメチルシクロヘキシルアミンを、乾燥窒素下、80℃で4時間撹拌し、室温に冷却した。比較変性ポリイソシアネートを以下の特性データで得た。前述の比較変性ポリイソシアネートは、無色透明な溶液の形態であった:
固形分:100重量%
NCO含有量:20.26重量%
粘度(23℃):7012mPa・s
色値(ハーゼン):20
スルホネート基含有量:0.73重量%(スルホネート基は80g/molのモル重量を有するSO を意味する)
イミノオキサジアジンジオン/イソシアヌレート:1:20.98
エチレンオキシド基含有量:0.0重量%
【0145】
比較変性ポリイソシアネート3
718.1g(3.68eq)のポリイソシアネートP2、24g(0.11eq)の3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸および14.01g(0.11mol)のジメチルシクロヘキシルアミンを、乾燥窒素下、80℃で4時間撹拌し、室温に冷却した。比較変性ポリイソシアネートを以下の特性データで得た。前述の比較変性ポリイソシアネートは、無色透明な溶液の形態であった:
固形分:100重量%
NCO含有量:19.76重量%
粘度(23℃):9361mPa・s
色値(ハーゼン):18
スルホネート基含有量:1.15重量%(スルホネート基は80g/molのモル重量を有するSO を意味する)
イミノオキサジアジンジオン/イソシアヌレート:1:21.41
エチレンオキシド基含有量:0.0重量%
【0146】
比較変性ポリイソシアネート4
717.9g(3.42eq)のポリイソシアネートP3、20.31g(0.09eq)の3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸および11.7g(0.09mol)のジメチルシクロヘキシルアミンを、乾燥窒素下、80℃で4時間撹拌し、室温に冷却した。比較変性ポリイソシアネートを以下の特性データで得た。前述の比較変性ポリイソシアネートは、無色透明な溶液の形態であった:
固形分:100重量%
NCO含有量:17.64重量%
粘度(23℃):32740mPa・s
色値(ハーゼン):24
スルホネート基含有量:0.98重量%(スルホネート基は80g/molのモル重量を有するSO を意味する)
イミノオキサジアジンジオン/イソシアヌレート:1:27.57
エチレンオキシド基含有量:0.0重量%
【0147】
比較変性ポリイソシアネート5
428.7g(2.20eq)のポリイソシアネートP2、285.12g(1.58eq)のポリイソシアネートP4、20.32g(0.09eq)の3-シクロヘキシルアミノプロパンスルホン酸および11.7g(0.09mol)のジメチルシクロヘキシルアミンを、乾燥窒素下、80℃で4時間撹拌し、室温に冷却した。比較変性ポリイソシアネートを以下の特性データで得た。前述の比較変性ポリイソシアネートは、無色透明な溶液の形態であった:
固形分:100重量%
NCO含有量:20.9重量%
粘度(23℃):3501mPa・s
色値(ハーゼン):16
スルホネート基含有量:0.98重量%(スルホネート基は80g/molのモル重量を有するSO を意味する)
イミノオキサジアジンジオン/イソシアヌレート:1:4.15
エチレンオキシド基含有量:0.0重量%
【0148】
実施例および比較例の水性二成分コーティングの調製方法
成分Aの配合:表1に示した配合に従って、消泡剤、レベリング剤、共溶媒、レオロジー添加剤および水を、ヒドロキシアクリル樹脂またはヒドロキシポリウレタン樹脂に連続的に添加した。それを1500rpmの高速で20分間分散させた。このようにして成分Aを得た。
【0149】
【表1】
【0150】
50gの成分Aおよび本発明の変性ポリイソシアネートまたは比較変性ポリイソシアネート(イソシアネート基と水酸基のモル比は1.5:1であった)を混合し、木製スティックを用いて手動で30秒間撹拌した。このようにして、実施例および比較例の水性二成分コーティングを得た。
【0151】
水分散性の試験法
7.5gの水を水性二成分コーティングに加えた。その混合物を手動で均一に撹拌し、100メッシュフィルタ篩で濾過した。フィルタ篩上の残渣を視覚的に観察した。フィルタ篩上に存在する残留物が少ないほど、樹脂系中の変性ポリイソシアネートの分散性は良好になる。フィルタ篩上の残留物の量によれば、樹脂系中の変性ポリイソシアネートの分散性は、1~3と等級付けられた。1は、フィルタ篩上の残留物が大量であることを意味する;2は、フィルタ篩上の残留物が比較的多いことを意味する;3は、フィルタ篩上に残留物がほとんどないことを意味する。1は最も悪いことを意味し、3は最も良いことを意味する。
【0152】
光沢およびヘイズの試験条件
7.5gの水を水性二成分コーティングに加えた。その混合物を手動で均一に撹拌し、100メッシュフィルタ篩で濾過した。濾過したコーティングを黒色プラスチック板に120μmの湿潤膜厚で適用し、空気中で乾燥させた。このようにしてコーティング層を得、その光沢及びヘイズを測定した。
【0153】
光沢およびヘイズの評価標準:60°光沢>80、ヘイズ値<100。60°光沢値が大きいほどコーティング層の光沢が高く、ヘイズ値が大きいほどコーティング層の透明度が低いことを示す。
表2は、実施例1~5および比較例1の水性二成分コーティングの配合および試験結果を示す。
表3は、実施例3、6および比較例2~4の水性二成分コーティングの配合および試験結果を示す。
表4は、実施例3、7および比較例5の水性二成分コーティングの配合および試験結果を示す。
表5は、実施例3、8および比較例1、6の水性二成分コーティングの配合および試験結果を示す。
【0154】
【表2】
【0155】
実施例1~5の水性二成分コーティングに含まれる変性ポリイソシアネートのイミノオキサジアジンジオン構造とイソシアヌレート構造の重量比は、1:300~1:5であった。特に1:100~1:5で、水性二成分コーティングは、フィルタ篩上の残留物がほとんどなく、変性ポリイソシアネートは、コーティング成分中で良好な分散性を示し、すなわち、そのコーティングは、手動で十分に撹拌することができ、そのコーティングによって形成されたコーティング層は、優れた透明性および光沢を示した。
【0156】
比較例1の比較水性二成分コーティングに含まれる比較変性ポリイソシアネート中のイミノオキサジアジンジオン構造とイソシアヌレート構造の重量比は、1:4.15であった。そのコーティングによって形成されたコーティング層は、優れた透明性および光沢を示した。しかしながら、水性二成分コーティングは、フィルタ篩上の残留物が多量で、比較変性ポリイソシアネートは、コーティング成分における不十分な分散性を示し、すなわち、そのコーティングを手動で撹拌する能力は不十分であった。
【0157】
【表3】
【0158】
実施例3および6の水性二成分コーティングに含まれる変性ポリイソシアネートのスルホネート基の含有量は、0.75重量%~1.1重量%であった。水性二成分コーティングは、フィルタ篩上の残留物がほとんどなかった。変性ポリイソシアネートは、コーティング成分中で良好な分散性を有し、すなわち、そのコーティングは手動で十分に撹拌することができ、そのコーティングによって形成されたコーティング層は、優れた透明性および光沢を有した。
【0159】
比較例2~4の比較水性二成分コーティングに含まれる比較変性ポリイソシアネートのスルホネート基の含有量は、0.75重量%~1.1重量%よりも少ないかまたは多かった。水性二成分コーティングは、フィルタ篩上に残留物が比較的多かった。比較変性ポリイソシアネートは、コーティング成分中での不十分な分散性を示し、すなわち、そのコーティングを手動で撹拌する能力は不十分であった。あるいは、そのコーティングによって形成されたコーティング層は、不十分な透明性および光沢を示した。
【0160】
【表4】
【0161】
実施例3および7の水性二成分コーティングに含まれる変性ポリイソシアネートの粘度は、500mPa・s~10000mPa・sであった。水性二成分コーティングは、フィルタ篩上に残留物がほとんどなかった。変性ポリイソシアネートは、コーティング成分中で良好な分散性を示し、すなわち、そのコーティングは、手動で十分に撹拌することができた。そのコーティングによって形成されたコーティング層は、優れた透明性および光沢を示した。
【0162】
比較例5の比較水性二成分コーティングに含まれる比較変性ポリイソシアネートは、10000mPa・sを超える粘度を有していた。そのコーティングによって形成されたコーティング層は、不十分な透明性および光沢を示した。水性二成分コーティングは、フィルタ篩上の残留物が比較的多かった。比較変性ポリイソシアネートは、コーティング成分中で不十分な分散性を示し、すなわち、そのコーティングを手動で撹拌する能力は不十分であった。
【0163】
【表5】
【0164】
水性二成分コーティングに含まれる変性ポリイソシアネートが有機溶媒で希釈されたか否かにかかわらず、水性二成分コーティングは、フィルタ篩上の残留物がほとんどなかった。変性ポリイソシアネートは、コーティング成分中で良好な分散性を示し、すなわち、そのコーティングを手動で十分に撹拌することができた。そのコーティングによって形成されたコーティング層は、優れた透明性および光沢を示した。
【0165】
比較例1の比較水性二成分コーティングに含まれる比較変性ポリイソシアネートは、コーティング成分中での不十分な分散性を示した。比較変性ポリイソシアネートを有機溶媒で希釈した後(比較例6)、その分散性が大幅に向上した。
【0166】
本発明が、上述の特定の詳細に限定されず、本発明の精神または主な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で実施されてもよいことは当業者に明らかである。したがって、その実施形態は、すべての点で例示的であって限定的でなものではないと見なされるべきである。したがって、本発明の範囲は、前述の説明ではなく、特許請求の範囲によって定義される。したがって、特許請求の範囲の均等物の意味および範囲に該当する限り、いかなる変更も、本発明に属するものと見なされる。
【国際調査報告】