IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ リアクティブ ロボティックス ゲーエムベーハーの特許一覧

特表2022-509629人の脚を移動機構に接続するためのデバイス
<>
  • 特表-人の脚を移動機構に接続するためのデバイス 図1
  • 特表-人の脚を移動機構に接続するためのデバイス 図2a
  • 特表-人の脚を移動機構に接続するためのデバイス 図2b
  • 特表-人の脚を移動機構に接続するためのデバイス 図3a
  • 特表-人の脚を移動機構に接続するためのデバイス 図3b
  • 特表-人の脚を移動機構に接続するためのデバイス 図4a
  • 特表-人の脚を移動機構に接続するためのデバイス 図4b
  • 特表-人の脚を移動機構に接続するためのデバイス 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-21
(54)【発明の名称】人の脚を移動機構に接続するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61G 5/14 20060101AFI20220114BHJP
   A61G 1/04 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
A61G5/14
A61G1/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021528947
(86)(22)【出願日】2019-11-25
(85)【翻訳文提出日】2021-07-14
(86)【国際出願番号】 DE2019101006
(87)【国際公開番号】W WO2020103985
(87)【国際公開日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】102018129647.9
(32)【優先日】2018-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518093178
【氏名又は名称】リアクティブ ロボティックス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ケーニヒ,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】グロッセ-ダンカー,マクシミリアン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】シュラファー,ラモナ スザンナ
(72)【発明者】
【氏名】オシュワルド,ヘルムート
(72)【発明者】
【氏名】シコール,オラフ
(72)【発明者】
【氏名】ケスルメイアー,マンフレッド
(57)【要約】
本発明は人の脚を移動機構(30)に接続するためのデバイス(1)に関し、デバイス(1)は、少なくとも、保持要素(11)であって、保持要素を移動機構(30)に直接接続するための少なくとも1つの接続要素(111)を有する、保持要素(11)と、人の脚を保持要素(11)に固定するための固定手段(13)とを含む。本発明に従ったデバイス(1)は、デバイス(1)へのユーザの単純で速い接続と、ユーザと一緒に移動機構(30)へのデバイス(1)の単純で速い接続も可能にする利点をもたらす。第三者及びまたユーザ自身がデバイスを動作させるのが容易であり、デバイスを洗浄及び消毒するのが容易であり、ユーザに高レベルの着心地を提供する。本発明に従ったデバイス(1)は、また、移動機構(30)から、特に、ユーザの脚までの移動伝達の制御を確実にし、さらに、デバイス(1)をコスト効率良く生成できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の脚を移動機構(30)に接続するためのデバイス(1)であって、少なくとも、
保持要素(11)であって、
前記保持要素(11)は、前記保持要素(11)を前記移動機構(30)に直接接続するための少なくとも1つの接続要素(111)を有する、保持要素(11)と、
前記人の脚を前記保持要素(11)に固定するための固定手段(13)と、を含み、
前記接続要素(111)は、前記接続要素(111)の縦軸(1111)に対する前記保持要素(11)の回転を可能にするように設計されることを特徴とする、デバイス(1)。
【請求項2】
前記保持要素(11)は、少なくとも部分的に、弧状に設計され、弧(119)は前記接続要素(11)の延長線の反対に開いており、前記保持要素(11)の近位縦側(114)及び遠位縦側(115)の開口半径(R;R)は等しいまたは異なることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス(1)。
【請求項3】
前記保持要素(11)は比較的に硬質材料、特に、プラスチックから作られることを特徴とする、請求項1または2に記載のデバイス(1)。
【請求項4】
前記保持要素(11)は、少なくとも部分的に、表面処理、特に、表面コーティングされることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のデバイス(1)。
【請求項5】
上側(117)に対して、特に、近位縦側(114)ならびに遠位縦側(115)に対して及び/または前記保持要素(11)の前記横側(116)に対して、前記接続要素(111)は前記保持要素(11)の前記上側(117)の中央に配置されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のデバイス(1)。
【請求項6】
前記接続要素(111)はピンとして設計され、前記保持要素(11)の開口を通って誘導されるのが好ましく、前記保持要素(11)に回転可能に搭載される、または前記保持要素(11)に固定して配置されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載のデバイス(1)。
【請求項7】
前記保持要素(11)は、前記保持要素(11)の前記上側(117)に、前記固定手段(13)のためのホルダ(112)を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載のデバイス(1)。
【請求項8】
直接的または間接的に、特に、締結手段(113)を介して前記保持要素(11)に接続される少なくとも2つのホルダ(112)が設けられ、
前記ホルダ(112)は、前記保持要素(11)の前記上側(117)に対する縦軸(LA)ならびに/もしくは垂線(N)に対して旋回可能に設計され、及び/または、
前記ホルダ(112)は、前記保持要素(11)の前記上側(117)に対する横軸(QA)ならびに/もしくは前記垂線(N)に対して回転可能に設計されることを特徴とする、請求項7に記載のデバイス(1)。
【請求項9】
前記固定手段(13)は、可撓性材料から形成されること及び/または少なくとも1つの閉鎖部(131)を有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載のデバイス(1)。
【請求項10】
前記固定手段(13)は、前記固定手段(13)の横側(132)の少なくとも1つを介して、前記保持要素(11)に可逆的に接続可能であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載のデバイス(1)。
【請求項11】
前記保持要素(11)、特に、前記保持要素(11)の下側(118)に設計上対応するのが好ましい第1のパッド要素(14)は、前記保持要素(11)の前記下側(118)に配置でき、少なくとも1つの接続手段(141)を介して直接的または間接的に、前記保持要素(11)に可逆的に接続可能であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載のデバイス(1)。
【請求項12】
前記第1のパッド要素(14)、特に、前記第1のパッド要素(14)の接続手段(141)は、少なくとも1つの閉鎖部(1411)、特に、ホック及び/または磁気閉鎖部の形態を含むことを特徴とする、請求項11に記載のデバイス(1)。
【請求項13】
特に、少なくとも部分的に弧状の第2のパッド要素(15)は、前記固定手段(13)に配置されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載のデバイス(1)。
【請求項14】
前記第2のパッド要素(15)は前記固定手段(13)の縦側(133)に対して変位可能であり、及び/または、特に、誘導スロットならびに/もしくはトンネルによって具体化された、あるいは面ファスナ(151)として設計されたホルダ(151)を介して、前記固定手段(13)に可逆的に接続可能であることを特徴とする、請求項13に記載のデバイス(1)。
【請求項15】
前記第1のパッド要素(14)または前記第2のパッド要素(15)は、
全体的または部分的に、弾性材料から作られ、
前記第2のパッド要素(15)は、さらに、剛体材料、特に、プラスチック、好ましくは、前記保持要素(11)と同じプラスチックから作られた支持要素(152)を含むことを特徴とする、請求項13または14に記載のデバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の脚を移動機構に接続するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト肢の移動を自動化するために、特に、モビリゼーション治療もしくはリハビリテーション手段に関連して、またはスポーツ向けの訓練中に、近年、例えば、人の脚及び/または脚を制御して自動的に移動することを可能にする、いくつかのロボット支援移動機構が開発されている。例えば、独国特許発明第102015117596号明細書では、寝たきり患者のためのリハビリテーション機構と、当該リハビリテーション機構を制御するための方法と、またリハビリテーション機構を備えるベッドとが開示されている。国際公開第00/61059号では、患者が起立台に保持され、自動化された脚移動が脚ごとに膝部及び脚部から成る駆動機構によって実行される、移動治療のためのデバイス及び方法が開示されている。ここでは、駆動機構の膝部は、患者の各々の脚の下、特に、各々の膝関節の下にあり、膝部の延長部を通って脚を上げるもしくは下げる、または起立台の平面に垂直に膝部を引き込む。最後に、国際公開第97/00661号では、特に、患者の脚の運動及び支持の制御を可能にする運動装置及び運動方法が開示されている。この目的のために、特に、治療に合わせて、膝の移動の自由度を制御できる膝装具が開示されている。
【0003】
係る移動訓練の自動化を成功させるための決定的要因は、特に、自動化された移動機構と各々の人との物理接続に起因し、訓練する人または患者の快適性に加えて、トレーナー、理学療法士、及び/または看護スタッフにとって簡単な取り扱い、同様に、人、特に、脚または腕等の外肢への移動機構によって事前に決定された移動伝達の制御の実現性は、重要な役割を果たす。特に、寝たきりの集中治療患者の場合、カテーテルまたは診断デバイスの測定線等の医療的に要求される他の治療装置との係るモビリゼーション手段の互換性も重要である。多くの場合、その装置の複雑な設定により、先行技術から対応する目的について既知である脚整形器具は、各々の患者の病状を考慮して、対応する移動機構にユーザを迅速に接続することを可能にしない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許発明第102015117596号明細書
【特許文献2】国際公開第00/61059号
【特許文献3】国際公開第97/00661号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この説明を基に説明を進めると、本発明の目的は、人の脚を移動機構に接続するためのデバイスを利用可能にすることであり、先行技術に対して、デバイスを改善し、特に、簡略化し、ユーザ自身及び第三者が衛生状態下で取り扱うことを容易にし、高レベルの快適性を提供し、移動機構から、特に、人の脚までの移動伝達の制御を確実にしながら、さらに、デバイスをコスト効率良く生成できる。
【0006】
この目的は、独立請求項の請求項1の特徴を有する人の脚を移動機構に接続するためのデバイスによって達成される。個々または相互に組み合わせて使用できるさらなる利点をもたらす実施形態及び開発は、従属請求項の主題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従ったデバイスは、少なくとも1つの保持要素であって、保持要素は、保持要素を移動機構に直接接続するための少なくとも1つの接続要素を有する、少なくとも1つの保持要素と、人の脚を保持要素に固定するための固定手段とを含み、接続要素は、接続要素の縦軸に対する保持要素の回転を可能にするように設計されることを特徴とする。
【0008】
本発明に従ったデバイスは、デバイスへのユーザの単純で速い接続と、ユーザと一緒に移動機構へのデバイスの単純で速い接続も可能にする利点をもたらす。第三者及びユーザ自身がデバイスを動作させるのが容易であり、デバイスを洗浄及び消毒するのが容易であり、ユーザに高レベルの着心地を提供する。本発明に従ったデバイスは、また、移動機構から、特に、ユーザの脚までの移動伝達の制御を確実にし、さらに、デバイスをコスト効率良く生成できる。回転能力は、ユーザと移動機構との間の接続における自由度の追加を生じさせる利点をもたらし、その結果として、ユーザの脚または膝にかかる望ましくない外力を減らすことができ、着心地を向上させ、損傷のリスクを減らすことを生じさせる利点をもたらす。さらに、したがって、本デバイスは、さらに、ユーザの脚、特に、大腿部の形状に良好に適応でき、デバイスにかけられる圧力及び/またはデバイスを介して導入される力は、また、大腿部の全面にわたって特に均一に分配できる。前述と同様に、これは、着心地を向上させ、ユーザの皮膚に圧点が発生する可能性を少なくする利点をもたらす。
【0009】
本発明の好ましい実施形態では、保持要素は、少なくとも部分的に、弧状に設計でき、弧は接続要素の延長線の反対に開いており、保持要素の近位縦側及び遠位縦側の開口半径(R;R)は等しいまたは異なる。少なくとも部分的に弧状に設計された保持要素は、人の脚、特に、大腿部の解剖学的形状に適応できる利点をもたらす。第1の保持要素の近位縦側の開口半径(R)及び遠位縦側の開口半径(R)は異なり、すなわち、2つの異なる半径によって定義され、特に、保持要素が円錐形、好ましくは、遠位方向に先細りになる形状を有し、ひいては、大腿部の普通の解剖学的形状に十分に適応するようになる場合に特に好ましい。
【0010】
本発明のさらなる実施形態では、保持要素は比較的に硬質材料、特に、プラスチックから作ることができるのが好ましい。
【0011】
このように比較的に硬質材料から作られた保持要素は、患者の脚の安定した保持と、また、デバイスを介して、リハビリテーション機構から患者の脚、特に、大腿部まで、比較的大きい表面積にわたって分配される力の伝達の制御とを可能にする利点をもたらす。大きい表面積にわたって供給される力の分配は、ユーザの訓練の快適性を高める利点をもたらす。プラスチック、特に、プラスチック射出成形または3D印刷技術等の工業生産に適切なプラスチックまたはプラスチック混合物の使用により、好ましくは3D印刷方法によって、さらに、異なるサイズ(異なる長さ、幅、弧半径等)の比較的に安価な生成を可能にする利点をもたらす。さらに、プラスチックから作られた保持要素は、比較的に低重量、十分な強度及びロバスト性、ひいては、十分な寿命を有する利点をもたらし、また、洗浄または消毒するのが容易になる利点をもたらす。
【0012】
さらに、保持要素は、表面処理、特に、表面コーティングされる場合に好ましい。表面処理、特に、表面コーティングは、保持要素の単純な及び速い洗浄または消毒を向上させる利点をもたらし、それにより、保持要素は、さらに最高の衛生に関する要求がある区域で異なるユーザによる連続使用の間に移動機構に接続されたままにできる利点をもたらす。表面コーティングは、細菌減少物質、特に、銀イオン及び/または銅イオンを含み、それによって、表面コーティング自体は、細菌減少効果をもたらす場合に特に利点をもたらす。
【0013】
本発明のさらに好ましい実施形態では、接続要素は、好ましくは上側に対して、特に、近位縦側ならびに遠位縦側に対して及び/または保持要素の横側に対して、保持要素の上側の中央に配置できる。接続手段の中央配列は、移動機構からユーザの脚までの力の均一の導入を可能にする利点をもたらす。
【0014】
さらに、保持要素が、保持要素の上側に、固定手段のためのホルダを有することが好都合であることを証明している。ここでは、特に、締結手段を介して、保持要素に直接的または間接的に接続される少なくとも2つのホルダを提供する場合に特に利点をもたらし、ホルダは、保持要素の上側に対する縦軸ならびに/もしくは垂線に対して旋回可能に設計され、及び/または、ホルダは、保持要素の上側に対する横軸ならびに/もしくは垂線に対して回転可能に設計される。係るホルダによって保持要素に接続される固定手段について、利点をもたらすように、各々のユーザ(異なる大腿部の角度/直径等)の解剖学的構造が考慮され、本デバイスは、デバイス自体を円錐形に形成することによって円錐形の脚または円錐形の大腿部に適応するのに、デバイス自体を円筒形に形成することによって、円筒形の脚または円筒形の大腿部に適応するのに特に適切である。
【0015】
さらなる実施形態では、固定手段は、可撓性材料から形成されること及び/または少なくとも1つの閉鎖部を有することが好都合であることを証明している。可撓性の固定手段は、保持要素またはデバイスに、ひいては、移動機構へのユーザの単純及び快適な接続を可能にする利点をもたらす。特に、閉鎖部の提供は、医療用カテーテルに接続されるユーザをデバイスに、ひいては、移動機構に容易に接続することを可能にする利点をもたらす。さらに、このように設計された固定手段は、ユーザの大腿部への可撓性材料の適応を可能にする利点をもたらし、これにより、更に、ユーザの脚または大腿部に大きい表面積にわたって力を伝達することを可能にすることによって、使用の利便性を高める利点をもたらす。さらに、この種類の固定手段は、着心地を向上できる利点をもたらし、また、保持要素及びユーザの衛生的な分別を確実にでき、訓練または治療が完了するまで、固定手段をユーザに接続したままにでき、個々に洗浄または消毒できる利点をもたらす。
【0016】
さらに、固定手段が、固定手段の横側の少なくとも1つを介して、保持要素に可逆的に接続可能であり得る実施形態が好ましい。可逆的接続は、少なくとも1つの面閉鎖部ならびに/もしくはホックの提供によって及び/または少なくとも1つの磁気閉鎖部等によって実現できるのが好ましく、特に、集中治療患者によって使用されるときのいずれかの医療状況を考慮して、例えば、医療用カテーテルの接続を考慮して、デバイスの単純にバックルで留めることまたはバックルを外すことを可能にする利点をもたらす。さらに、可逆的接続は、固定手段を、特に、異なる長さ及び/または異なる種類の別の固定手段と交換することを可能にする利点をもたらし、ひいては、各々のユーザへの適応能力を改善する利点をもたらす。
【0017】
また、本発明の実施形態では、保持要素、特に、保持要素の下側に設計上対応するのが好ましい第1のパッド要素が、保持要素の下側に配置でき、少なくとも1つの接続手段を介して直接的または間接的に、保持要素に可逆的に接続可能であり得ることで好都合であることを証明している。第1のパッド要素は、着心地を向上できる利点をもたらし、また、保持要素及びユーザの衛生的な分別を確実にでき、訓練または治療が完了するまで、第1のパッド要素をユーザに接続したままにでき、個々に洗浄または消毒できる利点をもたらす。代替として、第1のパッド要素は、また、比較的に剛体コア、特に、プラスチックから、比較的に軟質カバー、特に、シリコーン等から形成できる。
【0018】
同様に、第1のパッド要素、特に、第1のパッド要素の接続手段は、少なくとも1つの閉鎖部、特に、ホック及び/または磁気閉鎖部の形態を含む場合に利点をもたらす。結果として、第1のパッド要素は、迅速に及び容易に、保持要素に締結でき、再度、保持要素から解放できる利点をもたらす。磁気閉鎖部の場合、プラスチックケース内の平面磁石を使用できるのが好ましく、これは、衛生を可能にするシームレス構造物によって衛生的な利点をもたらす。
【0019】
さらに好ましい実施形態では、特に、少なくとも部分的に弧状の第2のパッド要素は、固定手段に配置できる。第2のパッド要素は、さらに、ユーザを安定でき、固定手段が大腿部に割り込むことを防止することによって、もしくは大腿部に対して擦れることを防止することによって、または大腿部の下側にかかる圧負荷を減らすことによって、ユーザの着心地を向上できる利点をもたらす。
【0020】
また、第2のパッド要素は固定手段の縦側に対して変位可能であり、及び/または特に、誘導スロットならびに/もしくはトンネルによって具体化された、あるいは面ファスナとして設計されたホルダを介して、固定手段に可逆的に接続可能である場合に利点がある。これは、各々のユーザの解剖学的構造に対するデバイスの調節能力または適応能力を改善できる利点をもたらし、可能性があるサイズの最小の変動でデバイスを生成することを可能にする一方、同時に、大きい範囲の解剖学的サイズの関係を対象に含む。
【0021】
最後に、本発明の実施形態では、第1のパッド要素または第2のパッド要素は、全体的または部分的に、弾性材料から作られ、第2のパッド要素は、さらに、剛体材料、特に、プラスチック、好ましくは、保持要素と同じプラスチックから作られた支持要素を含むことで好都合になることを証明している。弾性材料の使用による、ユーザの脚または大腿部に追加のパッドを提供し、ひいては、さらに、着心地を向上させる利点をもたらす。剛体材料の使用により、(可撓性の)固定手段のパッド手段の単純配列と比較して、第2のパッド手段の良好な固定(寸法安定性)を可能にする利点をもたらす。代替として、第2のパッド要素は、また、比較的に剛体コア、特に、プラスチックから、比較的に軟質カバー、特に、シリコーン等から形成できる。
【0022】
本発明の追加の詳細及びさらなる利点は、添付の概略図と併せて、好ましい例示的な実施形態に基づいて下記に説明されるが、本発明はその実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に従ったデバイスの実施形態の側面図を示す。
図2a】固定手段のホルダの実施形態の前面図を示す。
図2b図2aのホルダの側面図を示す。
図3a】保持要素の実施形態の縦軸に沿った断面を示す。
図3b図3aの保持要素の平面図を示す。
図4a】第1のパッド要素の実施形態の平面図を示す。
図4b図4aの第1のパッド要素の実施形態の側面図を示す。
図5】第2のパッド要素の実施形態の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の好ましい実施形態の以下の説明では、同一の引用符号は同じまたは同等の構成要素を示す。
【0025】
図1は、本発明に従ったデバイス1の実施形態の側面図を示す。人の脚を移動機構30に接続するための本発明に従ったデバイス1は、少なくとも1つの保持要素11であって、第1の保持要素11を移動機構30に直接接続するための少なくとも1つの接続要素111を有する、保持要素11と、人の脚を保持要素11に固定するための固定手段13とを含む。
【0026】
接続要素111は、好ましくは上側117に対して、特に、近位縦側114ならびに遠位縦側115に対して及び/または保持要素11の横側116に対して、保持要素11の上側117の中央に配置できる。本発明に従って、接続要素111は、接続要素111の縦軸1111に対する保持要素11の回転を可能にするように設計される。図1に示される本発明の実施形態では、接続要素111はピンとして設計され、保持要素11の開口を通って誘導でき、保持要素11に回転可能に搭載できる、または保持要素11に固定して配置できる。接続要素は、プラスチックから、特に、保持要素11と同じプラスチックから生成できるが、金属から作られるのが好ましく、この理由として、金属から作られた接続手段111、特に、金属ピンは、より大きい力に耐えることが可能であるためである。移動機構30へのデバイス1の速い接続のために、または移動機構30からのデバイス1の速い取り外しのために、接続手段111は、さらに、移動機構30の急動ファスナに対応するように設計できるのが好ましい。
【0027】
保持要素11は、少なくとも部分的に、弧状に設計でき、弧119は接続要素11の延長線の反対に開いている。弧119は2つの開口半径R;Rによって定義され、保持要素11の近位縦側114の開口半径R及び遠位縦側115の開口半径Rは等しくなり得るまたは異なり得る。保持要素11は、比較的に硬質材料、特に、プラスチックから作ることができ、ユーザの脚の安定した保持を可能にし、可能な限り均一である力分布を可能にする十分な安定性を有することで利点をもたらす一方、同時に、さらに、保持要素11は、ある程度まで曲がることが可能であり、ひいては、さらに、ユーザの脚、特に、大腿部に適応できることを確実にするのに十分に可撓性がある。さらに、保持要素11は、表面処理、特に、表面コーティングできるのが好ましい。
【0028】
また、図1から、保持要素11は、保持要素11の上側117に、固定手段13のためのホルダ112を有し得るのが好ましいことが分かる。
【0029】
図2a及び図2bでは、前面図(図2a)及び側面図(図2b)で、固定手段13のための係るホルダ112の実施形態が示される。ホルダ112は保持要素11と同じ材料から形成できるのが好ましく、したがって、本発明に従ったデバイス1を製造するための3D印刷方法では、保持要素11と一緒に生成され、保持要素11に既に接続できる利点をもたらす。図2bから分かるように、ホルダ112は、保持要素11に配置されるとき、保持要素11の表面117からわずかに突出するように、わずかに湾曲できる利点をもたらす。この目的のために、わずかに湾曲するホルダ112は保持要素11に接続できるのが好ましく、それにより、ホルダ112の凸面は保持要素11の表面から離れる方向に向かう。
【0030】
図3aは保持要素11の実施形態の縦軸LAに沿った断面を示し、図3bは図3aの保持要素11の平面図を示す。
【0031】
示されるように、直接的または間接的に、締結手段113を介して保持要素11に接続される少なくとも2つのホルダ112が設けられる場合に利点をもたらす。ホルダ112は、保持要素11の上側117に対する縦軸LA及び/または垂線Nに対して旋回可能に設計できる。代替としてまたは加えて、ホルダ112は、保持要素11の上側117に対する横軸QA及び/または垂線Nに対して回転可能に設計できる。図3a及び図3bでは、ここに示される2つのホルダ112のこの柔軟性は、旋回角度SW1(図3b)及びSW2(図3a)によって示される。2つの旋回角度SW1及びSW2の記号によって表される旋回運動及び/または回転運動のいずれかの所望の組み合わせは、ホルダ112のそれぞれごとに、全ての3つの空間方向における運動の自由度を生じさせる利点をもたらす。ここに示される本発明の実施形態では、この動きやすさは、小穴状の締結手段113を配置させることによって技術的に実現し、締結手段113は、保持要素11の表面117に保持要素11と同じ材料から作られるのが好ましく、これは、同様に、保持要素の3D印刷中に既に行うことができる利点をもたらす。次に、ホルダ112はそれぞれ少なくとも1つの開口を有し得るのが好ましく、少なくとも1つの開口は、この小穴状の締結手段113に対応して設計され、締結手段113を介して、ホルダ112は保持要素11に接続できる。
【0032】
一般的に、このように設計された旋回可能及び/または回転可能に搭載されたホルダは、ユーザの脚、特に、大腿部の解剖学的形状に適応することを可能にする利点をもたらし、例えば、保持要素11及び固定手段13で構成される円錐形の構造を可能にする利点をもたらす。保持要素の近位縦側114の比較的幅広の開口半径Rと、保持要素11の遠位縦側115の比較的狭い開口半径Rとの組み合わせは、特に、横側116が遠位縦側115に向かって先細りになるように、図3bに示されるように(ホルダ112と比較することによって、明確に見られる)、脚または大腿部に適応する円錐形の構造を支持でき、ひいては、また、着心地を向上できる利点をもたらす。
【0033】
固定手段13は、可撓性材料(例えば、可撓性の面テープ)から形成できるのが好ましく、その結果として、ユーザと保持要素11との間の接続を容易にしやすくなる。代替として、またはこれに加えて、固定手段113は、図1に示されるように、少なくとも1つの閉鎖部131、好ましくは、面閉鎖部または磁気閉鎖部を有し得、これにより、特に、ユーザが移動機構30を用いて動かす予定の寝たきり患者、特に、昏睡状態の患者である場合、接続をさらに簡略化できる。係る患者は、多くの場合、カテーテルによって医療行為が提供され、患者を移動機構30に接続するときに患者の扱いを考慮する必要がある。図1に示されるように、固定手段13は、固定手段13の横側132の少なくとも1つを介して、保持要素11に可逆的に接続可能であり得るのが好ましい。しかしながら、したがって、固定手段113は、固定手段113の2つの横側132を介して、好ましくは、ホルダ112を介して、保持要素11に可逆的に接続可能であることも可能であり、特に、2つの閉鎖部131を有し得る。
【0034】
さらに、保持要素11、特に、保持要素11の下側118に設計上対応するのが好ましい第1のパッド要素14は、保持要素11の下側118に配置でき、少なくとも1つの接続手段141を介して直接的または間接的に、保持要素11に可逆的に接続可能であり得る。
【0035】
図4a及び図4bでは、平面図(図4a)及び側面図(図4b)で、第1のパッド要素14の実施形態が示される。示されるように、第1のパッド要素14、特に、第1のパッド要素14の接続手段141は、少なくとも1つの閉鎖部1411、特に、ホック及び/または磁気閉鎖部の形態を含むことで利点をもたらす。
【0036】
また、図1では、特に、少なくとも部分的に弧状の第2のパッド要素15は固定手段13に配置でき、デバイス1の使用中に、第1のパッド要素14と同様に、接続要素111の縦軸1111に対して対称的に実質的に軸方向に同様に配置されることが示される。
【0037】
最後に、図5は、係る第2のパッド要素15の実施形態の平面図を示す。ここでは、第2のパッド要素15は固定手段13の縦側133に対して変位可能であり、及び/または特に、誘導スロットならびに/もしくはトンネルによって具体化された、あるいは面ファスナとして設計されたホルダ151を介して、固定手段13に可逆的に接続可能である場合に利点がある。さらに、第1のパッド要素14または第2のパッド要素15は、全体的または部分的に、弾性材料から作ることができる利点をもたらし、第2のパッド要素15は、さらに、剛体材料、特に、プラスチック、好ましくは、保持要素11と同じプラスチックから作られた支持要素152を含む。特に、図4bから分かるように、第1のパッド要素14及び第2のパッド要素15は、最後に、着心地をさらに向上させるために丸端を有し得る。
【0038】
本発明に従ったデバイス1は、デバイス1へのユーザの単純で速い接続と、ユーザと一緒に移動機構30へのデバイス1の単純で速い接続も可能にする利点をもたらす。第三者及びユーザ自身がデバイスを動作させるのが容易であり、デバイスを洗浄及び消毒するのが容易であり、ユーザに高レベルの着心地を提供する。本発明に従ったデバイス1は、また、移動機構30から、特に、ユーザの脚までの移動伝達の制御を確実にし、さらに、デバイス1をコスト効率良く生成できる。
【符号の説明】
【0039】
1 デバイス
11 保持要素
111 接続要素
1111 接続要素111の縦軸
112 固定手段13のためのホルダ
113 ホルダ112のための締結手段
114 保持要素11の近位縦側
115 保持要素11の遠位縦側
116 保持要素11の横側
117 保持要素11の上側
118 保持要素11の下側
119 弧
13 固定手段
131 閉鎖部
132 固定手段13の横側
133 固定手段13の縦側
14 第1のパッド要素
141 接続要素
1411 閉鎖部
142 表面
143 パッド要素14の縦側
144 パッド要素14の横側
15 第2のパッド要素
151 固定手段13のためのホルダ
152 第2のパッド要素15のための支持要素
30 移動機構
LA デバイス1の縦軸
QA デバイス1の横軸
N 保持要素11の上側116の垂線
保持要素11の近位縦側114の開口半径
保持要素11の遠位縦側115の開口半径
SW1 第1の旋回角度
SW2 第2の旋回角度
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
【国際調査報告】