(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-21
(54)【発明の名称】質量分析用汎用型ナノチップおよびその調製方法と応用
(51)【国際特許分類】
H01J 49/04 20060101AFI20220114BHJP
G01N 27/62 20210101ALI20220114BHJP
H01J 49/00 20060101ALI20220114BHJP
H01J 49/40 20060101ALI20220114BHJP
H01J 49/16 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
H01J49/04 180
G01N27/62 G
G01N27/62 F
H01J49/00 040
H01J49/40
H01J49/16 400
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021529106
(86)(22)【出願日】2019-08-07
(85)【翻訳文提出日】2021-06-02
(86)【国際出願番号】 CN2019099604
(87)【国際公開番号】W WO2020103497
(87)【国際公開日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】201811403743.8
(32)【優先日】2018-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521220781
【氏名又は名称】杭州匯健科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】▲ウー▼ 建敏
(72)【発明者】
【氏名】陳 暁明
(72)【発明者】
【氏名】陳 錫勝
(72)【発明者】
【氏名】鐘 巧玲
(72)【発明者】
【氏名】欒 春燕
(72)【発明者】
【氏名】余 捷凱
【テーマコード(参考)】
2G041
【Fターム(参考)】
2G041CA01
2G041DA04
2G041EA03
2G041FA10
2G041GA06
2G041JA07
(57)【要約】
質量分析用汎用型ナノチップならびにその調製方法および応用であり、質量分析技術分野に関する。ナノチップの本体材料(2)はシリコン系半導体材料であり、本体材料(2)の表面にアレイ状のスポットサンプルウェル(1)が分布し、スポットサンプルウェル(2)の内面がナノ構造であり、本体材料(1)の表面に局所的疎水性修飾を有し、アレイ状のスポットサンプルウェル(2)内は親水性領域でスポットサンプルウェル(2)外が疎水性領域であり、またはスポットサンプルウェル(2)内は疎水性領域でスポットサンプルウェル(2)外が親水性領域である。本発明のナノ構造は、測定対象となる生物組織標本表面の分子も抽出し、レーザーエネルギー吸収と利用率を向上し、イオン化効率を高め、質量スペクトルシグナルを増強できる。本汎用型ナノチップは臨床検査分野に幅広く応用できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量分析用汎用型ナノチップであって、ナノチップの本体材料は、シリコン系半導体材料であり、前記本体材料の表面にアレイ状のスポットサンプルウェルが分布し、前記スポットサンプルウェルの内面がナノ構造であり、前記本体材料の表面に局所的疎水性の修飾を有し、疎水性領域がアレイ状の前記スポットサンプルウェル内またはアレイ状の前記スポットサンプルウェル外の前記本体材料の表面であることを特徴とする、質量分析用汎用型ナノチップ。
【請求項2】
前記ナノ構造の厚さは、0.2~5μmである、請求項1に記載の質量分析用汎用型ナノチップ。
【請求項3】
前記ナノ構造としては、ナノワイヤ、ナノファイバー、ナノピラー、ナノピラミッド、ナノ粒子、およびナノポーラスのいずれか1種または複数種が挙げられる、請求項1に記載の質量分析用汎用型ナノチップ。
【請求項4】
前記シリコン系半導体材料としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、シリコン基板上にエピタキシャル成長させた、金属、非金属単体、および酸化物のいずれか1種または複数種が挙げられる、請求項1に記載の質量分析用汎用型ナノチップ。
【請求項5】
前記疎水性領域の表面修飾は、化学蒸着または液相化学修飾を用い、用いられる試薬としてはシラン類、シロキサン類、メルカプタン類、および末端オレフィン類のいずれか1種または複数種が挙げられる、請求項1に記載の質量分析用汎用型ナノチップ。
【請求項6】
アレイ状の前記スポットサンプルウェルの形状は、円形または方形である、請求項1に記載の質量分析用汎用型ナノチップ。
【請求項7】
S1:クリーンルーム内においてレーザーまたは砥石で本体材料をスクライブする本体材料スクライブ工程、
S2:スクライブ後の前記本体材料を濃硫酸/過酸化水素の混合溶液内に入れて超音波洗浄し、次に脱イオン水で前記本体材料の表面の溶液を洗い流し、前記本体材料をエタノール、イソプロパノールの溶液内に順番に入れて超音波洗浄する本体材料洗浄工程、
S3:メタルスタンプ法、フォトリソグラフィー法、ブルーフィルム法、およびシルクスクリーン印刷法のいずれか1種または複数種の方法で、前記本体材料の表面にパターン化した設計を実現するアレイ状のスポットサンプルウェルのパターン化工程、
S4:前記本体材料の表面のパターンに基づき、反応性イオンエッチング、化学蒸着、物理蒸着、原子層堆積、湿式化学エッチング、テンプレート法、水熱法、およびドロップキャスティング法のいずれか1種または複数種の方法で、対応するアレイ状の前記スポットサンプルウェルの位置にナノ構造を調製するアレイ状の前記スポットサンプルウェルの内面のナノ構造の構築工程、
S5:本体材料の表面の疎水性修飾工程、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の質量分析用汎用型ナノチップの調整方法。
【請求項8】
臨床微生物標本の迅速同定、生物標本内の低分子代謝物の迅速な検出、抗生物質感受性試験、組織標本の迅速な質量分析イメージング、SNP遺伝子検出、血清中のタンパク質、ペプチドの検出などの側面を含むことを特徴とする、請求項1に記載の質量分析用汎用型ナノチップの応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量分析技術分野に関し、特に、質量分析用汎用型ナノチップおよびその調製方法と応用に関する。
【背景技術】
【0002】
マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(MALDI-TOF-MS)の原理は、レーザーエネルギーを吸収できるマトリックス化合物を測定対象となる試料と混合して共結晶を形成し、マトリックス吸収エネルギーを測定対象となる試料に伝送することで、測定対象となる試料をイオン化させ、イオンが電場内において高速で飛行管を飛行し、検出器に到達した飛行時間の違いにより、異なる質量電荷比(m/z)が検出される。ソフトイオン化技術として、MALDI-TOFは、薬物スクリーニングおよび臨床検査における重要な検出手段であり、タンパク質、ペプチド、微生物、SNP遺伝子の検出等に応用できる。
【0003】
サンプルターゲットプレートは、MALDI-TOF質量分析計の最も重要な消耗品の1つであり、商業的なターゲットプレートはステンレス鋼材質を用い、繰り返し使用できるが、(1)使用後、アセトン、アセトニトリル、エタノールなどの有機試薬で超音波洗浄する必要があるため、過程が面倒である点、(2)ターゲットプレートの表面に試料の残留および引っかき傷が生じやすく、クロスコンタミネーションが発生し、ターゲットプレートの平坦度およびマトリックス結晶効果に影響を及ぼすことで、臨床標本の同定精度にも影響を及ぼす点、(3)低分子標本を検出する時、マトリックスピークに干渉されやすくなり、核酸標本を検出する時、マトリックス結晶が不均一で、シグナルノイズ比も比較的低く、組織標本の質量分析イメージングを直接行うことができないため、応用範囲も狭い点、(4)調製コストが比較的高く、ハイスループット臨床質量分析や検出分野で大規模なプロモーションが難しくなっている点といった問題点がある。現在使い捨て型ターゲットプレートの多くは、非導電性のプラスチック、繊維を用いて製造され、標本のイオン化と質量スペクトルピーク出現に不利になっている。特許文献1は、ターゲットプレートの基材として繊維ろ紙を使用し、ろ紙の表面のワックス層は、疎水性を実現するために用いられる。特許文献2は、導電性プラスチックをターゲットプレート本体とし、表面が一層の疎水性フィルムで覆われる。この2種類の使い捨て型ターゲットプレートは、コストが比較的低いが、ターゲットプレートの表面に微細構造がなく、ターゲットプレートの表面のサンプルウェルがサンプル担体の役割を果たし、質量スペクトルシグナルのピーク出現への寄与が比較的小さく、ステンレス鋼のターゲットプレートと比較して、質量スペクトルシグナルに明らかな向上がなかった。特許文献3は、ステンレス鋼のターゲットプレートの表面に二酸化チタンのナノ結晶層を焼結させることで、20KDa以上の質量スペクトルシグナルの強度を向上させるが、微生物の同定、ペプチドおよび核酸のテスト分子量領域が20KDa以下である。特許文献4は、ステンレス鋼のターゲットプレートの表面に一層の二酸化チタンナノ薄膜を堆積させ、リン酸化ペプチド精製分野のみに応用している。金属を導電性材料としてナノ材料をドープまたは表面修飾した使い捨て型ターゲットプレートは、製造工程が複雑で、コストも更に増え、検出標本が単一であり、応用分野も限られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許出願公開第107907585号明細書
【特許文献2】中国実用新案第202230053号明細書
【特許文献3】中国特許出願公開第107515243号明細書
【特許文献4】中国特許出願公開第106884156号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、エネルギー吸収と利用率を向上させ、イオン化効率を高め、質量スペクトルシグナルを増強し、臨床検査分野に幅広く応用できる質量分析用汎用型ナノチップおよびその調製方法と応用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明では次のような技術的手段を講じた。
質量分析用汎用型ナノチップであって、ナノチップの本体材料は、シリコン系半導体材料であり、本体材料の表面にアレイ状のスポットサンプルウェルが分布し、スポットサンプルウェルの内面がナノ構造であり、本体材料の表面に局所的疎水性の修飾を有し、疎水性領域がアレイ状のスポットサンプルウェル内またはアレイ状のスポットサンプルウェル外の本体材料の表面であることを特徴とする質量分析用汎用型ナノチップ。
【0007】
さらに、ナノ構造の厚さは、0.2~5μmである。
【0008】
さらに、ナノ構造としては、ナノワイヤ、ナノファイバー、ナノピラー、ナノピラミッド、ナノ粒子、およびナノポーラスのいずれか1種または複数種が挙げられる。
【0009】
さらに、シリコン系半導体材料としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、シリコン基板上にエピタキシャル成長させた、金属、非金属単体、および酸化物のいずれか1種または複数種が挙げられる。
【0010】
さらに、疎水性領域の表面修飾は、化学蒸着または液相化学修飾を用い、用いられる試薬としてはシラン類、シロキサン類、メルカプタン類、および末端オレフィン類のいずれか1種または複数種が挙げられる。
【0011】
さらに、アレイ状のスポットサンプルウェルの形状は、円形または方形である。
【0012】
S1:クリーンルーム内においてレーザーまたは砥石で本体材料をスクライブする本体材料スクライブ工程、
S2:スクライブ後の本体材料を濃硫酸/過酸化水素の混合溶液内に入れて超音波洗浄し、次に脱イオン水で本体材料の表面の溶液を洗い流し、本体材料をエタノール、イソプロパノールの溶液内に順番に入れて超音波洗浄する本体材料洗浄工程、
S3:メタルスタンプ法、フォトリソグラフィー法、ブルーフィルム法、およびシルクスクリーン印刷法のいずれか1種または複数種の方法で本体材料の表面にパターン化した設計を実現するアレイ状のスポットサンプルウェルのパターン化工程、
S4:本体材料の表面のパターンに基づき、反応性イオンエッチング、化学蒸着、物理蒸着、原子層堆積、湿式化学エッチング、テンプレート法、水熱法、およびドロップキャスティング法のいずれか1種または複数種の方法で対応するアレイ状のスポットサンプルウェルの位置にナノ構造を調製するアレイ状のスポットサンプルウェルの内面のナノ構造の構築工程、
S5:本体材料の表面の疎水性修飾工程、
を含むことを特徴とする、質量分析用汎用型ナノチップの調整方法。
【0013】
臨床微生物、真菌等の標本の迅速同定、汗、唾液、指紋、細胞、組織等の生物標本内の低分子代謝物の迅速な検出、抗生物質感受性試験、組織標本の迅速な質量分析イメージング、SNP遺伝子検出、血清中のタンパク質、ペプチドの検出などの側面を含むことを特徴とする、質量分析用汎用型ナノチップの応用。
【発明の効果】
【0014】
従来技術と比較して、本発明の有利な効果は、次のとおりである。
1.本発明のアレイ状のスポットサンプルウェルの内面は、ナノ構造であり、ナノ構造が頂部増強効果を有し、表面の探針先端形状が高エネルギー電界を発生しやすく、分析対象物のイオン化を促進し、これによりスポットサンプルウェル内のナノ構造が、質量スペクトルピーク出現のシグナルノイズ比を高め、質量スペクトルシグナルを増強する点。
2.従来の質量分析の金属ターゲットプレートは、エネルギーを測定対象となる試料に伝達するため、マトリックスに依存し、マトリックスと測定対象となる試料の共結晶について、低分子量物質試験に対するマトリックスの干渉が避けられない。本発明のナノチップスポットサンプルウェル内のナノ構造は、顕著な電磁場増強効果および電荷移動能力を有するため、有機マトリックスを追加で添加する必要がなく、低分子量物質(<1000Da)、例えば抗生物質(小分子薬)、リポソーム、アミノ酸、ビタミン等のマトリックスフリー検出を実現できる点。
3.従来の商業的な金属ターゲットプレートは、一般的に繰り返し利用するため、残留した標本の影響を受けやすく、かつ臨床試験の時、継続的に洗浄する必要があり、時間と労力がかかり、検出スループットが下がり、臨床の需要を満たすことができないが、本発明で用いられる原材料も使用される設備も非常に一般的なものであり、調製方法が簡単であるため、人件費や材料費が低く、チップの使い捨て可能性を実現し、ターゲットプレート洗浄の面倒な工程を省き、試料テストのクロスコンタミネーションも防ぐことができ、質量検出の利便性とスループットが高められる点。
4.本発明は、臨床に広く応用でき、臨床微生物、真菌等の標本の迅速同定、低分子代謝物の迅速な検出、低分子量抗生物質感受性試験、組織標本の迅速な質量分析イメージングおよびSNP遺伝子検出などに使用することができる点。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施例に係るナノチップの構造模式図である。
【
図2】臨床微生物同定における本発明のナノチップの測定結果図である。
【
図3】本発明のナノワイヤターゲットプレートと従来の金属ターゲットプレートのアシネトバクター・バウマニの質量スペクトル比較図である。
【
図4】ナノチップ上の同じターゲットの55ウェルにおける大腸菌の同定スコア値を示す図である。
【
図5】ナノチップのピーク位置変動率を示すグラフである。
【
図6】ナノチップとステンレス鋼ターゲットプレート上の同じ濃度の核酸の質量スペクトルの比較図である。
【
図7a】ステンレス鋼ターゲットプレートとナノチップでシプロフロキサシンを測定して得られた質量スペクトルの比較図である。
【
図7b】ステンレス鋼ターゲットプレートとナノチップ上でエリスロマイシンを測定して得られた質量スペクトルの比較図である。
【
図8a】ナノチップ上で指の汗の低分子代謝物を測定して得られた質量スペクトルグラフである。
【
図8b】ナノチップ上でマウスの腎臓組織のリポソームを測定して得られた質量スペクトルグラフである。
【
図9a】ナノチップで得られたマウス腎臓リポソームの負イオンモード質量スペクトルグラフである。
【
図9b】マウス腎臓組織の6つの質量スペクトルピークのMSI画像である。
【
図10】ナノチップによって測定された血清ペプチドプロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例中の技術的手段を明確かつ完全に説明するが、説明する実施例は本発明の一部の実施例であり、全ての実施例でないことは言うまでもない。本発明中の実施例に基づいて、当業者が創造性の活動をしない前提で得られた全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0017】
本発明は、質量分析用汎用型ナノチップを提供する。ナノチップの本体材料は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、シリコン基板上エピタキシャル金属、非金属単体、および酸化物が挙げられるシリコン系半導体材料である。さらに、シリコン基板上エピタキシャル金属は、鉄、銅、アルミニウム、および金等を含み、非金属単体は、グラフェン、カーボンナノ構造材料を含み、酸化物は、SiO2、Al2O3、TiO2およびZnO等を含む。前記本体材料の表面にアレイ状のスポットサンプルウェルが分布し、スポットサンプルウェルの形状は円形または方形で、アレイ状のスポットサンプルウェル内に測定対象となる試料が入れられ、一部のテスト応用中ではマトリックスを添加する必要がある。
【0018】
前記スポットサンプルウェルの内面は、ナノワイヤ、ナノファイバー、ナノピラー、ナノピラミッド、ナノ粒子、およびナノポーラスが挙げられるナノ構造であり、ナノ構造の厚さは0.2~5μmであり、ナノ構造表面の探針先端形状は、電界増強および電子移動度の改善効果を持ち、レーザーエネルギーを吸収した後電荷分離が起こって高エネルギー電界を発生し、分析対象物のイオン化を促進し、シグナルの強度と感度を大幅に増強させ、ナノ構造の先端部はマイクロ抽出ヘッドと見なすことができ、その先端部が分析物と接触した時分析物の表面の分子をサンプリングすることができる。このため、微生物試験データから、シグナル強度が従来のステンレス鋼ターゲットより優れていることが分かり、抗生物質および代謝低分子データから、マトリックス支援のない場合においてレーザーの下で直接電離解析すると、引き出された化学物質がより効果的に検出できることが分かり、ナノ構造がより大きな比表面積を有し、試料とマトリックス溶液がナノ構造の表面においてより発揮しやすく、乾燥過程を加速させることで、検出スループットを向上させる。
【0019】
閉じ込めを実現するため、前記本体材料の表面は、局所的疎水性修飾を有し、例えば
図1に示す疎水性領域のアレイ状のスポットサンプルウェル1内またはアレイ状のスポットサンプルウェル外の本体材料2の表面であり、前記疎水性領域の表面修飾には、化学蒸着または液相化学修飾を用い、用いられる試薬は、シラン類、シロキサン類、メルカプタン類、または末端オレフィン類である。
【0020】
(実施例)
(実施例1)
本実施例において、ナノチップの本体材料には、シリコン基板上エピタキシャル金属、具体的にはアルミニウムを用いている。本体材料の表面には8×12のアレイ状のスポットサンプルウェルが分布し、スポットサンプルウェルの形状は円形である。ナノワイヤ構造の厚さは0.2μmで、アレイ状のスポットサンプルウェル外の本体材料2の表面が疎水性領域である。疎水性領域の修飾方法は、化学蒸着法が用いられた。
【0021】
(実施例2)
本実施例において、ナノチップの本体材料は、非金属単体、具体的にはグラフェンを用いている。本体材料の表面に8×12のアレイ状のスポットサンプルウェルが分布し、スポットサンプルウェルの形状は円形である。ナノワイヤ構造の厚さは1.5μmで、アレイ状のスポットサンプルウェル1の内面が疎水性領域である。疎水性領域の修飾方法は、液相化学修飾法が用いられた。
【0022】
(実施例3)
本実施例は、次の工程S1~S5を含む質量分析用汎用型ナノチップの調製方法も提供する。
S1:本体材料スクライブ工程:クリーンルーム内においてレーザーまたは砥石で本体材料をスクライブする。スクライブサイズは、質量分析計のターゲットホルダーのサイズおよびサンプルウェル数(96ウェルまたは384ウェル)によって異なり、一般的なサイズは54mm×36mmである。
【0023】
S2:本体材料洗浄工程:スクライブ後の本体材料を濃硫酸/過酸化水素の混合溶液内に入れて超音波洗浄する。溶液における濃硫酸と過酸化水素の比率は1:1~10:1の範囲である。次に脱イオン水で本体材料の表面の溶液を洗い流してから本体材料をエタノール、イソプロパノールの溶液内に順番に入れて超音波洗浄し、本体材料の表面の有機物、ホコリ等を除去する。最後に本体材料の表面を窒素ブローで乾燥させた。
【0024】
S3:アレイ状のスポットサンプルウェルのパターン化工程:メタルスタンプ法、フォトリソグラフィー法、ブルーフィルム法、およびシルクスクリーン印刷法で本体材料の表面にパターン化した設計を実現する。ここでスポッティングホールの直径は、必要に応じて20ミクロン~3ミリメートルの範囲にある。例えばブルーフィルム法では、適切なサイズ、形状のスポットサンプルウェルパターンを有するブルーフィルムを作製し、60℃の温度まで加熱してからブルーフィルムを本体材料の表面に密着させる。次に0.01~0.2gのAgNO3固体を量りとり、10~50mlのHF溶液に溶解させる。HF溶液の濃度は3~5Mである。パターン化された単結晶シリコンウェーハを上記溶液内に入れて10~60分反応させる。エッチングが完了した後シリコンウェーハを硝酸溶液に移して銀を除去する。反応時間は30~60分である。完了後脱イオン水でシリコンウェーハを洗い流し、窒素ブローで乾燥して、アレイ状のスポットサンプルウェルを得た。
【0025】
S4:アレイ状のスポットサンプルウェルの内面のナノ構造の構築工程:本体材料の表面のパターンに基づき、反応性イオンエッチング、化学蒸着、物理蒸着、原子層堆積、湿式化学エッチング、テンプレート法、水熱法、およびドロップキャスティング法で対応するアレイ状のスポットサンプルウェルの位置にナノ構造を調製する。化学蒸着法の場合、温度800~950℃の管状炉内にシランガスを吹き込み、5分~1時間反応させると、本体材料のスポットサンプルウェル内にナノワイヤ構造を成長できた。
【0026】
S5:本体材料の表面の疎水性修飾工程:修飾方法は、液相化学修飾法を用い、トルエンまたはアセトンを溶剤として使用し、ウンデシレン酸の濃度が1~20%であり、5~30分加熱・還流した。
【0027】
(実施例4:臨床微生物同定におけるナノチップの応用)
集菌塗抹法を用い、10μLピペットチップで平板から少量のコロニーを取ってナノチップおよびステンレス鋼ターゲットに軽く塗布し、50%ギ酸水溶液2μLを加え、乾燥後に1μLのCHCAマトリックスを滴下し、室温下で乾燥器に入れて乾燥させた。MALDI-TOF質量分析計で測定を行い、測定にはリニア正イオンモードを用い、測定される分子量は2~20KDaであり、遅延引き出し法を採用した。
図2に示すように、測定結果における市販のステンレス鋼ターゲットプレートおよびナノチップ上の9株の一般的な臨床病原菌の同定状況から、ナノチップ同定結果の精度が高く、スコア値がステンレス鋼ターゲットよりも高く、微生物同定におけるナノチップの利点を反映したことが分かる。
【0028】
同様に、
図3のアシネトバクター・バウマニの質量スペクトルグラフでは、ナノチップに出現したピーク数はステンレス鋼ターゲットより明らかに多く、高いピーク出現の効率によりナノチップの微生物同定スコアおよび精度がステンレス鋼ターゲットより高かった。大腸菌を使用してナノチップのスポットサンプルウェル間の同定再現性を試験した。結果は、
図4に示すように、ナノチップ上の55ウェルの同定スコア値は、均しく2.0以上で、ウェル間の再現性が非常に良好であった。
図5に示すように、さらに大腸菌の5つの標準ピーク位置を利用してナノチップのウェル内およびウェル間の分子量変動率を評価した。金属ターゲットプレートと比較して、ナノチップウェル内のピーク位置変動率の方が低く、300ppm以下であり、ナノチップウェル間のピーク位置変動率は、600ppm以下であった。分子量が5000を超える4つのピーク位置変動率はやや高くなるが、全体から見るとナノチップのウェル内およびウェル間の分子量変動率は均しく600ppm以下であり、微生物同定のニーズを満たしている。
【0029】
(実施例5:SNP検出におけるナノチップの応用)
システム内の遊離dNTPを除去するため、PCRによってSNP部位を含むDNA断片を増幅し、DNAを精製する。その後、一塩基伸長反応を行い、さらに樹脂精製を行い、塩などの不純物を除去する。完了後、増幅されたDNA試料を本発明のターゲットプレートのスポットサンプル領域にドロップすることができ、測定にはリニア正イオンまたは負イオンモードを用い、測定される分子量は2~10KDaであり、遅延引き出し法を採用した。
図6に示すように、被験核酸(配列:CTA CAG GTG AAG GTG;分子量:4657.09Da)が負イオンモードの下で本発明のナノチップによって検出される質量スペクトルのピーク強度は、商業的な金属ターゲットよりもはるかに高く、ナノチップ質量分析計ターゲットの検出感度が大幅に向上していることを実証した。
【0030】
(実施例6:抗生物質感受性実験におけるナノチップの応用)
まず抗生物質のシプロフロキサシンおよびエリスロマイシンを0.05mg/mlの濃度になるようLB液体培地と混合し、ステンレス鋼の金属ターゲットにまず抗生物質とLBの混合溶液をスポットし、乾燥後にCHCAマトリックスを滴下し、ナノチップ上に抗生物質とLB混合溶液をマトリックスなしで直接滴下し、乾燥後に質量スペクトル測定を実施した。測定にはリニア正イオンモードを用い、測定される分子量は<1000Daであり、遅延引き出し法を採用した。
図7aおよび
図7bに示すように、ナノチップ上のシプロフロキサシンとエリスロマイシンの両方の相対信号は、金属ターゲットの信号よりも強いため、培地の干渉が減少し、マトリックスを必要とせずに高品質の抗生物質スペクトルを得ることができた。
【0031】
(実施例7:低分子の検出におけるナノチップの応用)
ナノチップ上のナノワイヤ頂部のマイクロ抽出作用を通じて汗や組織の標本の代謝情報を取得できる。指先を脱イオン水で洗って乾かし、拳を5分間握り締めて指紋の汗をかき、次に指先でナノチップを15秒間軽く押して、質量スペクトル測定を直接実施した。測定は負イオンのリフレクトロンモードを用い、測定される分子量は<1000Daであり、遅延引き出し法を採用した。
図8aに示すように、汗中代謝物の低分子の情報は、マトリックスなしで取得できた。
【0032】
ナノチップをマウス腎組織の実体または切片表面に30秒押し付けた後脱イオン水で洗い流して余分な組織実体を除去し、乾燥後質量スペクトル測定を直接実施した。測定は負イオンのリフレクトロンモードを用い、測定される分子量は<1000Daであり、遅延引き出し法を採用した。
図8bに示すように、マウス腎臓組織の表面にあるリポソームの情報は、マトリックスなしで取得できた。
【0033】
(実施例8:質量分析イメージングにおけるナノチップの応用)
ナノチップは、生体組織の表面の代謝物情報を迅速に取得し、質量分析イメージングを実現できる。本発明のナノチップを組織に直接押し当てることによってサンプリングすることができ、複雑な凍結切片を作製するために数時間を費やす必要はなく、測定プロセスはマトリックスを必要としない。例えば具体的なプロセスとして、ヌードマウスの腎臓組織をガラススライド上に置き、ナノチップの正面を直接接触させ、腎臓組織の表面に30秒間押し当てから、純水でチップの表面を完全に洗浄し、乾燥後に質量スペクトル測定を直接実施した。測定は負イオンのリフレクトロンモードを用い、測定される分子量は<1000Daであり、レーザーパルスは500shotsであり、遅延引き出し法を採用した。
図9aに示すマウス腎臓リポソームの負イオンモードマススペクトルおよび
図9bに示す6つの質量スペクトルピークの画像を得た。腎臓組織の表面の代謝物が効果的に検出され、シグナルは明確で、質量スペクトルピークの776.5と778.5は主に腎皮質領域に分布し、質量スペクトルピークの856.5、878.5、および906.6が主に腎髄質層に集中し、質量分析イメージングの画像から特徴的な代謝物の組織分布特性を得ることができた。
【0034】
(実施例9:血清ペプチドプロファイル検出におけるナノチップの応用)
血清サンプルを緩衝液で10倍に希釈した後、適量を取り、ナノチップに滴下し、風乾後、1μLのCHCA(α-シアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸)の質量分析マトリックスで覆って共結晶を行い、自然乾燥させた後、直接MALDI-TOF質量分析計で検出した。測定はリニア正イオンモードを用い、測定される分子量は1~10KDaであり、レーザーパルスは1000shotsであり、遅延引き出し法を採用した。
図10は、ナノチップ上で測定された血清ペプチドプロファイルであり、信号強度が強く、シグナルノイズ比が高かった。
【0035】
本発明は、上記例示的な実施例の詳細に限られず、かつ本発明の精神又は基本的特徴から逸脱することなく、その他の具体的な形態で本発明を実現できることが、当業者には、明らかとなろう。よって、どの視点からみるかどうかを問わず、均しく実施例を例示的かつ非限定的なものと見なし、本発明の範囲は上記説明ではなく、添付する特許請求の範囲で限定されるため、特許請求の範囲の均等要件の意味及び範囲内に入る全ての変化を本発明内に網羅することを目的とする。
【0036】
[付記]
[付記1]
質量分析用汎用型ナノチップであって、ナノチップの本体材料は、シリコン系半導体材料であり、前記本体材料の表面にアレイ状のスポットサンプルウェルが分布し、前記スポットサンプルウェルの内面がナノ構造であり、前記本体材料の表面に局所的疎水性の修飾を有し、疎水性領域がアレイ状の前記スポットサンプルウェル内またはアレイ状の前記スポットサンプルウェル外の前記本体材料の表面であることを特徴とする、質量分析用汎用型ナノチップ。
【0037】
[付記2]
前記ナノ構造の厚さは、0.2~5μmである、付記1に記載の質量分析用汎用型ナノチップ。
【0038】
[付記3]
前記ナノ構造としては、ナノワイヤ、ナノファイバー、ナノピラー、ナノピラミッド、ナノ粒子、およびナノポーラスのいずれか1種または複数種が挙げられる、付記1に記載の質量分析用汎用型ナノチップ。
【0039】
[付記4]
前記シリコン系半導体材料としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、シリコン基板上にエピタキシャル成長させた、金属、非金属単体、および酸化物のいずれか1種または複数種が挙げられる、付記1に記載の質量分析用汎用型ナノチップ。
【0040】
[付記5]
前記疎水性領域の表面修飾は、化学蒸着または液相化学修飾を用い、用いられる試薬としてはシラン類、シロキサン類、メルカプタン類、および末端オレフィン類のいずれか1種または複数種が挙げられる、付記1に記載の質量分析用汎用型ナノチップ。
【0041】
[付記6]
アレイ状の前記スポットサンプルウェルの形状は、円形または方形である、付記1に記載の質量分析用汎用型ナノチップ。
【0042】
[付記7]
S1:クリーンルーム内においてレーザーまたは砥石で本体材料をスクライブする本体材料スクライブ工程、
S2:スクライブ後の前記本体材料を濃硫酸/過酸化水素の混合溶液内に入れて超音波洗浄し、次に脱イオン水で前記本体材料の表面の溶液を洗い流し、前記本体材料をエタノール、イソプロパノールの溶液内に順番に入れて超音波洗浄する本体材料洗浄工程、
S3:メタルスタンプ法、フォトリソグラフィー法、ブルーフィルム法、およびシルクスクリーン印刷法のいずれか1種または複数種の方法で、前記本体材料の表面にパターン化した設計を実現するアレイ状のスポットサンプルウェルのパターン化工程、
S4:前記本体材料の表面のパターンに基づき、反応性イオンエッチング、化学蒸着、物理蒸着、原子層堆積、湿式化学エッチング、テンプレート法、水熱法、およびドロップキャスティング法のいずれか1種または複数種の方法で、対応するアレイ状の前記スポットサンプルウェルの位置にナノ構造を調製するアレイ状の前記スポットサンプルウェルの内面のナノ構造の構築工程、
S5:本体材料の表面の疎水性修飾工程、
を含むことを特徴とする、付記1に記載の質量分析用汎用型ナノチップの調整方法。
【0043】
[付記8]
臨床微生物標本の迅速同定、生物標本内の低分子代謝物の迅速な検出、抗生物質感受性試験、組織標本の迅速な質量分析イメージング、SNP遺伝子検出、血清中のタンパク質、ペプチドの検出などの側面を含むことを特徴とする、付記1に記載の質量分析用汎用型ナノチップの応用。
【符号の説明】
【0044】
1 アレイ状のスポットサンプルウェル
2 本体材料
【手続補正書】
【提出日】2021-06-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量分析用汎用型ナノチップであって、ナノチップの本体材料は、シリコン系半導体材料であり、前記本体材料の表面にアレイ状のスポットサンプルウェルが分布し、前記スポットサンプルウェルの内面がナノ構造であり、前記本体材料の表面に局所的疎水性の修飾を有し、疎水性領域がアレイ状の前記スポットサンプルウェル内またはアレイ状の前記スポットサンプルウェル外の前記本体材料の表面であ
り、前記質量分析用汎用型ナノチップは、分子量1000Da未満の部分、1~10kDaの部分、2~20kDaの部分、または2~10kDaの部分の検出に用いられることを特徴とする、質量分析用汎用型ナノチップ。
【請求項2】
前記ナノ構造の厚さは、0.2~5μmである、請求項1に記載の質量分析用汎用型ナノチップ。
【請求項3】
前記ナノ構造としては、ナノワイヤ、ナノファイバー、ナノピラー、ナノピラミッド、ナノ粒子、およびナノポーラスのいずれか1種または複数種が挙げられる、請求項1に記載の質量分析用汎用型ナノチップ。
【請求項4】
前記シリコン系半導体材料としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、シリコン基板上にエピタキシャル成長させた、金属、非金属単体、および酸化物のいずれか1種または複数種が挙げられる、請求項1に記載の質量分析用汎用型ナノチップ。
【請求項5】
前記疎水性領域の表面修飾は、化学蒸着または液相化学修飾を用い、用いられる試薬としてはシラン類、シロキサン類、メルカプタン類、および末端オレフィン類のいずれか1種または複数種が挙げられる、請求項1に記載の質量分析用汎用型ナノチップ。
【請求項6】
アレイ状の前記スポットサンプルウェルの形状は、円形または方形である、請求項1に記載の質量分析用汎用型ナノチップ。
【請求項7】
前記ナノ構造は先端部を有する、請求項1に記載の質量分析用汎用型ナノチップ。
【請求項8】
S1:クリーンルーム内においてレーザーまたは砥石で本体材料をスクライブする本体材料スクライブ工程、
S2:スクライブ後の前記本体材料を濃硫酸/過酸化水素の混合溶液内に入れて超音波洗浄し、次に脱イオン水で前記本体材料の表面の溶液を洗い流し、前記本体材料をエタノール、イソプロパノールの溶液内に順番に入れて超音波洗浄する本体材料洗浄工程、
S3:メタルスタンプ法、フォトリソグラフィー法、ブルーフィルム法、およびシルクスクリーン印刷法のいずれか1種または複数種の方法で、前記本体材料の表面にパターン化した設計を実現するアレイ状のスポットサンプルウェルのパターン化工程、
S4:前記本体材料の表面のパターンに基づき、反応性イオンエッチング、化学蒸着、物理蒸着、原子層堆積、湿式化学エッチング、テンプレート法、水熱法、およびドロップキャスティング法のいずれか1種または複数種の方法で、対応するアレイ状の前記スポットサンプルウェルの位置にナノ構造を調製するアレイ状の前記スポットサンプルウェルの内面のナノ構造の構築工程、
S5:本体材料の表面の疎水性修飾工程、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の質量分析用汎用型ナノチップの調整方法。
【請求項9】
臨床微生物標本の迅速同定、生物標本内の低分子代謝物の迅速な検出、抗生物質感受性試験、組織標本の迅速な質量分析イメージング、SNP遺伝子検出、
または、血清中のタンパク質
もしくはペプチドの検出
における、請求項1に記載の質量分析用汎用型ナノチップの応用。
【請求項10】
前記ナノチップのウェル間ピーク位置変動率が600ppm以下である、臨床微生物標本の迅速同定における、請求項9に記載の応用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
(実施例2)
本実施例において、ナノチップの本体材料は、シリコン基板上にエピタキシャル成長させた非金属単体、具体的にはグラフェンを用いている。本体材料の表面に8×12のアレイ状のスポットサンプルウェルが分布し、スポットサンプルウェルの形状は円形である。ナノワイヤ構造の厚さは1.5μmで、アレイ状のスポットサンプルウェル1の内面が疎水性領域である。疎水性領域の修飾方法は、液相化学修飾法が用いられた。
【国際調査報告】