(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-21
(54)【発明の名称】失透速度を低下させた高屈折率ケイ酸塩ガラス組成物
(51)【国際特許分類】
C03C 3/068 20060101AFI20220114BHJP
G02B 1/00 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
C03C3/068
G02B1/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021529425
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(85)【翻訳文提出日】2021-07-20
(86)【国際出願番号】 US2019061111
(87)【国際公開番号】W WO2020112353
(87)【国際公開日】2020-06-04
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ガスパール マルケス,パウロ ホルヘ
【テーマコード(参考)】
4G062
【Fターム(参考)】
4G062AA01
4G062BB01
4G062DA04
4G062DA05
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4G062MM02
4G062NN02
4G062NN29
(57)【要約】
ガラス組成物が提供される。該ガラス組成物は、25~40質量%のSiO2;2.5~10質量%のB2O3;0~10質量%のAl2O3;0~15質量%のLi2O;合計で0~16質量%のLi2O、Na2O、及びK2O;10~25質量%のCaO;0~15質量%のBaO;0~5質量%のMgO;0~5質量%のSrO;合計で10~30質量%のCaO、BaO、MgO、及びSrO;0~7質量%のZnO;2~10質量%のZrO;2~15質量%のTiO2;5~25質量%のNb2O5;0~5質量%のTa2O5;5~25質量%のLa2O3;及び、0~5質量%のY2O3を含む。該ガラス組成物は、約1.74~約1.80の屈折率、約3.5g/cm3~約4.0g/cm3の密度、約1℃/分~約50℃/分の臨界冷却速度、及び25ポアズを超える液相粘度を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス組成物であって、
25~40質量%のSiO
2;
2.5~10質量%のB
2O
3;
0~10質量%のAl
2O
3;
0~15質量%のLi
2O;
10~25質量%のCaO;
0~15質量%のBaO;
0~5質量%のMgO;
0~5質量%のSrO;
0~7質量%のZnO;
2~10質量%のZrO;
2~15質量%のTiO
2;
5~25質量%のNb
2O
5;
0~5質量%のTa
2O
5;
5~25質量%のLa
2O
3;及び
0~5質量%のY
2O
3、を含み、
前記ガラスが、約1.74~約1.80の屈折率、約3.5g/cm
3~約4.0g/cm
3の密度、約1℃/分~約50℃/分の臨界冷却速度、及び25ポアズを超える液相粘度を有する、
ガラス組成物。
【請求項2】
前記臨界冷却速度が約1℃/分~約25℃/分である、請求項1に記載のガラス組成物。
【請求項3】
(i)前記Li
2O、Na
2O、及びK
2O含有量が、0質量%~約16質量%である、又は(ii)前記CaO、BaO、MgO、及びSrO含有量が、約10質量%~約30質量%である、のうちの少なくとも一方である、
請求項1又は2に記載のガラス組成物。
【請求項4】
前記ガラスがの385nmにおける透過率が約80%~約90%である、請求項1から3のいずれか一項に記載のガラス組成物。
【請求項5】
前記ガラスが、ヒ素(As)、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、水銀(Hg)、クロム(Cr)、タリウム(Tl)、又はバナジウム(V)を含まない、請求項1から4のいずれか一項に記載のガラス組成物。
【請求項6】
ガラスを形成する方法において、該方法が、
ガラス成分の混合物を提供する工程であって、25~40質量%のSiO
2;2.5~10質量%のB
2O
3;0~10質量%のAl
2O
3;0~15質量%のLi
2O;10~25質量%のCaO;0~15質量%のBaO;0~5質量%のMgO;0~5質量%のSrO;0~7質量%のZnO;2~10質量%のZrO;2~15質量%のTiO
2;5~25質量%のNb
2O
5;0~5質量%のTa
2O
5;5~25質量%のLa
2O
3;及び、0~5質量%のY
2O
3、を含むガラス成分の混合物を提供する工程;
前記混合物を少なくとも1,350℃の温度に加熱して溶融ガラスを形成する工程;及び
前記溶融したガラスを約1℃/分~約50℃/分の臨界冷却速度で冷却してガラスを形成する工程
を含み、
前記ガラスが目に見える微結晶を含まない、
ガラスを形成する方法。
【請求項7】
前記溶融したガラスが、約1℃/分~約25℃/分の臨界冷却速度で冷却される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ガラスが、(i)約1.74~約1.80の屈折率、約3.5g/cm
3~約4.0g/cm
3の密度、及び75Pを超える液相粘度、又は(ii)約30~約35のアッベ数のうちの少なくとも一方を有する、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記ガラス成分の混合物が、約28質量%のSiO
2;約3質量%のB
2O
3;約16質量%のCaO;約8質量%のBaO;約16質量%のLa
2O
3;約3質量%のZrO
2;約18質量%のNb
2O
5;及び、約8質量%のTiO
2を含む、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ガラス組成物であって、
25~30質量%のSiO
2;
2.5~6質量%のB
2O
3;
0~10質量%のLi
2O;
15~20質量%のCaO;
0~10質量%のBaO;
10~25質量%のLa
2O
3;
2~10質量%のZrO
2;
5~20質量%のNb
2O
5;及び
2~10質量%のTiO
2
を含み、
前記ガラス組成物が、約1℃/分~約50℃/分の臨界冷却速度及び25ポアズを超える液相粘度を有する、
ガラス組成物。
【請求項11】
前記BaO、La
2O
3、ZrO
2、Nb
2O
5、及びTiO
2含有量が、約40質量%~約55質量%である、請求項10に記載のガラス組成物。
【請求項12】
前記ガラスが、(i)385nmにおける約80%~約90%の透過率、又は(ii)約1.74~約1.80の屈折率及び約3.5g/cm
3~約4.0g/cm
3の密度のうちの少なくとも一方を有する、請求項10又は11に記載のガラス組成物。
【請求項13】
前記ガラス組成物が、約28質量%のSiO
2;約3質量%のB
2O
3;約16質量%のCaO;約8質量%のBaO;約16質量%のLa
2O
3;約3質量%のZrO
2;約18質量%のNb
2O
5;及び、約8質量%のTiO
2を含む、請求項10から12のいずれか一項に記載のガラス組成物。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、その全体がここに参照することによって本願に援用される、2018年11月29日出願の米国仮特許出願第62/772728号に対する優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、高屈折率ケイ酸塩ガラス組成物に関し、より詳細には、失透速度を低下させたケイ酸塩ガラス組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
高屈折率(nD)かつ低密度のガラスは、顕微鏡、眼鏡、ディスプレイ、仮想現実デバイス、並びに高度の補正及び最小重量を必要とする拡張現実デバイスを含めた多種の光学デバイスにおいてとりわけ望ましいと長い間認識されてきた。現在知られている低密度かつ非常に高屈折率のガラスは、高い分散性を示すか、又は別の言い方をすれば、低いアッベ数(ν)、すなわち、しばしば30未満のアッベ数(ν)を有し、その結果、レンズの側面に虹色が現れる。加えて、これらの同じ高屈折率ガラスはまた、不十分な熱安定性を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、改善された光学性能、信頼性、及び改善された光学デバイスを製造するための製造コストにつながりうる改善された材料を提供する改善された高屈折率ガラス組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の幾つかの態様によれば、ガラス組成物が提供される。該ガラス組成物は、25~40質量%のSiO2;2.5~10質量%のB2O3;0~10質量%のAl2O3;0~15質量%のLi2O;合計で0~16質量%のLi2O、Na2O、及びK2O;10~25質量%のCaO;0~15質量%のBaO;0~5質量%のMgO;0~5質量%のSrO;合計で10~30質量%のCaO、BaO、MgO、及びSrO;0~7質量%のZnO;2~10質量%のZrO;2~15質量%のTiO2;5~25質量%のNb2O5;0~5質量%のTa2O5;5~25質量%のLa2O3;及び、0~5質量%のY2O3を含む。該ガラス組成物は、約1.74~約1.80の屈折率、約3.5g/cm3~約4.0g/cm3の密度、約1℃/分~約50℃/分の臨界冷却速度、及び25ポアズを超える液相粘度を有する。
【0006】
本開示の幾つかの態様によれば、ガラスを形成する方法が提供される。該方法は、ガラス成分の混合物を提供する工程であって、25~40質量%のSiO2;2.5~10質量%のB2O3;0~10質量%のAl2O3;0~15質量%のLi2O;10~25質量%のCaO;0~15質量%のBaO;0~5質量%のMgO;0~5質量%のSrO;0~7質量%のZnO;2~10質量%のZrO;2~15質量%のTiO2;5~25質量%のNb2O5;0~5質量%のTa2O5;5~25質量%のLa2O3;及び、0~5質量%のY2O3を含む、工程;混合物を少なくとも1,350℃の温度に加熱して溶融ガラスを形成する工程;及び、溶融したガラスを約1℃/分~約50℃/分の臨界冷却速度で冷却してガラスを形成する工程を含む。該ガラスは、肉眼又は光学顕微鏡下で観察される目に見える微結晶(例えば、石又は結晶)を含んでおらず、約1.74~約1.80の屈折率、約3.5g/cm3~約4.0g/cm3の密度、約1℃/分~約50℃/分の臨界冷却速度、及び25ポアズを超える液相粘度を有する。
【0007】
本開示の他の態様によれば、ガラス組成物が提供される。該ガラス組成物は、25~30質量%のSiO2;2.5~6質量%のB2O3;0~10質量%のLi2O;15~20質量%のCaO;0~10質量%のBaO;10~25質量%のLa2O3;2~10質量%のZrO2;5~20質量%のNb2O5;及び、2~10質量%のTiO2を含む。該ガラス組成物は、約1℃/分~約50℃/分の臨界冷却速度及び25ポアズを超える液相粘度を有する。
【0008】
追加の特徴及び利点は、以下の詳細な説明に記載され、一部には、その説明から当業者に容易に明らかとなり、あるいは、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付の図面を含めた本明細書に記載される実施形態を実施することによって認識されよう。
【0009】
前述の概要及び後述する詳細な説明はいずれも、単なる例示であり、特許請求の範囲の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することが意図されていることが理解されるべきである。添付の図面は、さらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれて、その一部を構成する。図面は、1つ以上の実施形態を例証しており、その説明とともに、さまざまな実施形態の原理及び動作を説明する役割を担う。
【0010】
以下は、添付図面の図の説明である。図は必ずしも縮尺どおりではなく、図面内の特定の特徴及び特定の図は、明確さ及び簡潔さのために、縮尺おいて又は概略図において誇張して示される場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の幾つかの態様による、10℃/分の加熱速度での実施例1の示差走査熱量測定(DSC)のプロット
【
図2】本開示の幾つかの態様による、1150℃から600℃まで5℃/分で冷却された実施例4のガラスの写真
【
図3】本開示の幾つかの態様による、1150℃から600℃まで10℃/分で冷却された実施例4のガラスの写真
【
図4】本開示の幾つかの態様による、1150℃から600℃まで30℃/分で冷却された実施例4のガラスの写真
【発明を実施するための形態】
【0012】
追加の特徴及び利点は、以下の詳細な説明に記載されており、その説明から当業者には明らかであるか、あるいは特許請求の範囲及び添付の図面とともに以下の説明に記載される実施形態を実施することによって認識されるであろう。
【0013】
本明細書で使用する「及び/又は」という用語は、2つ以上の項目の列挙において用いられる場合、列挙された項目のいずれか1つを単独で使用できること、若しくは、列挙された項目の2つ以上の任意の組合せを使用できることを意味する。例えば、組成物が成分A、B、及び/又はCを含むと記載されている場合、組成物は、Aのみ;Bのみ;Cのみ;AとBの組合せ;AとCの組合せ;BとCの組合せ;又はA、B、及びCの組合せを含むことができる。
【0014】
本明細書では、第1と第2、上部と下部などの関係用語は、単に、ある存在又は動作を別の存在又は動作と区別するために用いられており、このような存在又は動作間の実際のこのような関係又は順序を必ずしも要求又は暗示するものではない。
【0015】
本開示の変更は、当業者及び本開示を製造又は使用する者に想起されるであろう。したがって、図面に示され、上記説明された実施形態は、単に例示を目的とするものであり、均等論を含めて、特許法の原則に従って解釈されるように、以下の特許請求の範囲によって定められる本開示の範囲を限定することは意図されていないものと理解される。
【0016】
本開示の目的では、「結合」という用語(そのすべての形態:結合、結合する、結合された等)は、概して、2つの構成要素の互いに対する直接的又は間接的な連結を意味する。このような連結は、本質的に固定されていても、本質的に移動可能であってもよい。このような連結は、2つの構成要素と、互いに単一の一体成形体として若しくは2つの構成要素を備えた単一の一体成形体として一体的に形成された追加の中間部材とによって達成されうる。このような連結は、特に明記しない限り、本質的に永続的であっても、本質的に取り外し可能又は解除可能であってもよい。
【0017】
本明細書で用いられる場合、「約」という用語は、量、サイズ、配合、パラメータ、及び他の量及び特性が正確ではなく、かつ、正確である必要はなく、許容誤差、変換係数、四捨五入、測定誤差など、並びに当業者に知られている他の要因を反映して、必要に応じて近似及び/又はより大きく又はより小さくてもよいことを意味する。範囲の値又は端点を説明する際に「約」という用語が用いられる場合、本開示は、言及される特定の値又は端点を含むと理解されるべきである。明細書の範囲の数値又は端点が「約」を記載しているかどうかにかかわらず、範囲の数値又は端点は、「約」によって修飾されたものと、修飾されていないものの2つの実施形態を含むことが意図されている。さらには、範囲の各々の端点は、他の端点に関連して、及び他の端点とは独立してのいずれにおいても重要であることが理解されよう。
【0018】
本明細書で用いられる用語「実質的な」、「実質的に」、及びそれらの変形は、記載された特徴が値又は説明に等しい又はほぼ等しいことを示すことが意図されている。例えば、「実質的に平坦な」表面は、平坦な又はほぼ平坦な表面を示すことが意図されている。さらには、「実質的に」は、2つの値が等しいか、又はほぼ等しいことを示すことが意図されている。幾つかの実施形態では、「実質的に」は、互いの約10%以内、例えば、互いの約5%以内、又は互いの約2%以内などの値を意味しうる。
【0019】
本明細書で用いられる方向用語(例えば、上、下、右、左、前、後、上部、底部)は、描かれた図を参照してのみ作られており、絶対的な方向を意味することは意図されていない。
【0020】
本明細書で用いられる場合、用語「the」、「a」、又は「an」は、「少なくとも1つ」を意味し、明示的に反対の指示がない限り、「1つのみ」に限定されるべきではない。よって、例えば、「ある1つの(a)構成要素」への言及は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、そのような構成要素を2つ以上有する実施形態を含む。
【0021】
本開示は、高い屈折率(>1.75)、高い透過率、低い密度(<3.8g/cm3)、高い熱安定性、及び化学的耐久性を提供することができるクラスの高屈折率ケイ酸塩ガラス組成物を教示する。これらの提供されるガラスは、透明性が高く、結晶化に対する耐性があり、化学的に耐性があり、かつ高屈折性でありうる。該ガラス組成物は、25~40質量%のSiO2;2.5~10質量%のB2O3;0~10質量%のAl2O3;0~15質量%のLi2O;合計で0~16質量%のLi2O、Na2O、及びK2O;10~25質量%のCaO;0~15質量%のBaO;0~5質量%のMgO;0~5質量%のSrO;合計で10~30質量%のCaO、BaO、MgO、及びSrO;0~7質量%のZnO;2~10質量%のZrO2;2~15質量%のTiO2;5~25質量%のNb2O5;0~5質量%のTa2O5;5~25質量%のLa2O3;及び、0~5質量%のY2O3を含みうる。本開示のさまざまな態様では、ガラス組成物は、他の成分を約0質量%~約5質量%の範囲で含みうる。幾つかの態様では、ガラス組成物は、約1.74~約1.80の屈折率、約3.5g/cm3~約4.0g/cm3の密度、約1℃/分~約50℃/分の臨界冷却速度、及び25ポアズを超える液相粘度(P)を有する。さまざまな例では、液相粘度は、25ポアズ超、50ポアズ超、又は75ポアズ超でありうる。これらの組成物を形成するために用いられる主成分は、SiO2;B2O3;例えば、Al2O3、Li2O、Na2O、CaO、BaO、SrOを含むアルカリ及びアルカリ土類酸化物;及び、高屈折率成分:ZnO、ZrO2、TiO2、La2O3、Nb2O5を含みうる。本明細書に開示されるガラス組成物は、ヒトの健康及び/又は環境に有害であると疑われる成分を含まなくてよい。具体的には、幾つかの態様では、本明細書のガラス組成物は、ヒ素(As)、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、水銀(Hg)、クロム(Cr)、タリウム(Tl)、又はバナジウム(V)を含まないように設計することができる。他の態様では、気泡のないガラスを得るために、清澄剤を添加する必要がない。
【0022】
幾つかの態様では、ガラス組成物は、25~30質量%のSiO2;2.5~6質量%のB2O3;0~10質量%のLi2O;15~20質量%のCaO;0~10質量%のBaO;10~25質量%のLa2O3;2~10質量%のZrO2;5~20質量%のNb2O5;及び、2~10質量%のTiO2を含むことができ、ここで、40~55質量%は、BaO、La2O3、ZrO2、Nb2O5、及びTiO2の合計である。他の態様では、ガラス組成物はまた、約28質量%のSiO2;約3質量%のB2O3;約16質量%のCaO;約8質量%のBaO;約16質量%のLa2O3;約3質量%のZrO2;約18質量%のNb2O5;及び、約8質量%のTiO2を含むこともでき、ここで、BaO、La2O3、ZrO2、Nb2O5、及びTiO2の質量%での合計は、約53質量%である。
【0023】
本明細書に開示されるガラス組成物は、臨界冷却速度(Qc)によって測定される失透抵抗(速度論)を含む、幾つかの改善された特性を提供することができる。ガラスの臨界冷却速度は速度論的に駆動され、結晶化を回避するためにそれぞれの非晶質溶融ガラス組成物の冷却に必要な速度を提供する。例えば、55℃/分のガラスの臨界一定冷却速度は、ガラスの結晶化を防ぐために、対応する溶融ガラスを少なくとも55℃/分の速度で冷却する必要があることを意味する。ガラスの結晶化は、不均一な光学特性又は目に見える欠陥ももたらしうる。試料全体にわたる均一かつ急速な速度(例えば、50℃/分以上)で溶融ガラスを冷却すると、処理に費用がかかる可能性、及び/又は問題が発生する可能性がある。逆に、5℃/分の臨界冷却速度を有するガラスは、結晶化を防ぐために、それぞれの溶融ガラスを5℃/分で冷却することのみを必要とすることを意味する。このような例では、5℃/分の臨界冷却速度よりも速く試料を冷却しても、結晶化などの悪影響をもたらさないであろうことから、一貫した均一に分散した光学特性を有するガラス試料の調製において、製造業者に柔軟性を提示する可能性がある。例えば、低い臨界冷却速度を有するガラス組成物を使用して、さまざまなガラス成形技法(例えば、鋳造、プレス、圧延、延伸など)でシート又はチューブなどの薄い物体を成形することができる。幾つかの態様では、ガラス組成物は、約30℃/分未満、約25℃/分未満、約20℃/分未満、約17.5℃/分未満、約15℃/分未満、約12.5℃/分未満、約10℃/分未満、約7.5℃/分未満、約5℃/分未満、又は約2.5℃/分未満の臨界冷却速度を有しうる。幾つかの態様では、ガラス組成物は、約30℃/分、約25℃/分、約20℃/分、約17.5℃/分、約15℃/分、約12.5℃/分、約10℃/分、約7.5℃/分、約5℃/分、又は約2.5℃/分の臨界冷却速度を有しうる。幾つかの態様では、ガラス組成物は、約1℃/分~約50℃/分、約1℃/分~約45℃/分、約1℃/分~約40℃/分、約1℃/分~約35℃/分、約1℃/分~約30℃/分、約1℃/分~約25℃/分、約1℃/分~約20℃/分、約1℃/分~約15℃/分、約1℃/分~約10℃/分、又は約1℃/分~約5℃/分の臨界冷却速度を有しうる。
【0024】
従来、ガラス試料の液相粘度(ηliq)(P)は、ガラスの加工性を説明するために提供された。ガラスの液相粘度は、ガラスの所与の粘度で結晶が形成され始める、熱力学的に駆動される特性である。さまざまな溶融ガラス試料の液相粘度値を比較することは、結晶の形成を開始する前に試料がどの程度粘性又は液体である必要があるかを製造業者が認識するのに役立つであろう。臨界冷却速度について上で論じたように、ガラスが冷却されているときに生じる結晶化は、不均一な光学特性又は目に見える欠陥につながる可能性がある。液相粘度の値が高いほど、格子に結晶欠陥が形成し始めるのにガラスの粘度を高くする必要がある。ガラスの製造業者は従来、処理上の考慮事項において液相粘度を考慮してきたが、処理条件を所望の用途に合わせるために、臨界冷却速度と液相粘度の両方を監視する必要がある。幾つかの態様では、ガラス組成物は、15超、25超、50超、75超、100超、125超、150超、175超、又は200超の液相粘度を有しうる。幾つかの態様では、ガラス組成物は、約15、約25、約50、約75、約100、約125、約150、約175、又は約200の液相粘度を有しうる。
【0025】
屈折率が1.75を超えるガラスを使用して、大きい構造(例えば、直径が150mmを超える)及び/又は小さい構造(例えば、厚さが0.5mm未満のガラスウェハ)を製造するために用いられる成形プロセス(例えば、延伸、薄肉圧延)では、所望の形状比を実現するために非常に流動性の高いガラス(成形粘度<50ポアズ)が必要である。ガラス液相粘度は、考慮することは重要であるが、それぞれの構造の形成を制限する要因ではなく、むしろ、失透の問題が発生する前にガラスの形成に利用可能な時間を制御する結晶成長として現れる、失透速度論である。上記のように、臨界冷却速度と液相粘度の両方を考慮し、バランスをとることにより、所与の構造の形成に必要とされるパラメータが決定する。
【0026】
ガラスのKAは、ガラスの動的熱安定性若しくは加熱又は冷却中の失透に対する耐性に関連しており、ここで、KAは、ガラス転移温度(Tg)とDSCによって測定される最初の結晶化ピークの温度開始との差(Δ)を定義する。DSCで測定するKAは、粒径分布及び加熱速度に依存する。本開示のさまざまな態様では、KA測定のための粒径は、少なくとも約15μm、少なくとも約20μm、少なくとも約25μm、少なくとも約30μm、少なくとも約35μm、少なくとも約40μm、少なくとも約45μm、及び/又はそれらの組合せ又は範囲でありうる。本開示の幾つかの態様では、加熱速度は、少なくとも約5℃、少なくとも約10℃、少なくとも約15℃、少なくとも約20℃、及び/又はそれらの組合せ又は範囲でありうる。KA温度が高いほど、ガラスは失透又は結晶化に対してより耐性になる。幾つかの態様では、KAは、約175℃超、約180℃超、約185℃超、約190℃超、約195℃超、約200℃超、又は約205℃超である。他の態様では、KAは、約175℃、約180℃、約185℃、約190℃、約195℃、約200℃、又は約205℃である。KA値及びQc値の測定は、両方とも、標準化された技法によって管理されているわけではないが、実施例のセクションで定義されている。
【0027】
幾つかの態様では、本明細書に開示されるさまざまなガラスの実施形態についての屈折率は、約1.74~約1.80の範囲であってよく、10mm光路で約80%を超える可視全透過率(Tvis)を有する。幾つかの態様では、ガラスの屈折率は、約1.74超、約1.75超、約1.76超、約1.77超、約1.78超、約1.79超、又は約1.80超でありうる。他の態様では、屈折率は、約1.74、約1.75、約1.76、約1.77、約1.78、約1.79、又は約1.80でありうる。幾つかの態様では、ガラスの可視全透過率(Tvis)は、10mm光路で約80%、10mm光路で約82.5%、10mm光路で約85%、10mm光路で約87.5%、又は10mm光路で約90%でありうる。
【0028】
幾つかの態様では、本明細書に開示されるさまざまなガラスの実施形態の密度は、約3.25g/cm3~約4.0g/cm3、約3.4g/cm3~約3.8g/cm3、約3.5g/cm3~約3.75g/cm3、又は約3.6g/cm3~約3.7g/cm3の範囲でありうる。幾つかの態様では、ガラス密度は、約3.25g/cm3、約3.30g/cm3、約3.35g/cm3、約3.40g/cm3、約3.45g/cm3、約3.50g/cm3、約3.55g/cm3、約3.60g/cm3、約3.65g/cm3、約3.70g/cm3、又は約3.75g/cm3でありうる。
【0029】
幾つかの態様では、本明細書に開示されるさまざまなガラスの実施形態は、約50未満、約45未満、約40未満、約35未満、約30未満、又は約25未満のアッベ数(ν)を有する。
【0030】
次に、
図1を参照すると、本開示の幾つかの態様による、10℃/分の加熱速度で取られた、以下に記載される実施例1の示差走査熱量測定(DSC)のプロットが提供されている。ガラス転移温度を示唆する最初の吸熱が615℃で観察され、それに続き、ガラス結晶化事象に対応する大きい発熱ピークが観察された。ガラス結晶化事象に関連する大きい発熱ピークは、DSCプロットにおける最も高く鋭いピークである。ガラス結晶化事象に関連する大きい発熱ピークはまた、DSCプロットによって記録された最もエネルギーの高い事象である。ガラス結晶化事象のピーク開始は、808℃で記録されている。ガラス転移温度(Tg)と最初の結晶化ピークの開始温度とのΔとして定義されるKA値は、808℃-615℃=193℃である。複合ピークである吸熱ピークが約980℃で観察された。複合吸熱ピークは、以前に形成された結晶の結晶融解事象によって誘起される。
【0031】
次に、
図2、3及び4を参照すると、ガラスが5℃/分、10℃/分、及び30℃/分の速度で1150℃から600℃に冷却される、以下に詳述される実施例4の組成物に対応する幾つかの写真が提示されている。
図2の写真は、ガラスパテ全体に形成された結晶、特に脈理のある中央部分に散乱した結晶を示している。
図3及び4の写真は、10℃/分、及び30℃/分の速度で冷却しても結晶が形成されなかったことを実証し、示している。したがって、臨界冷却速度(Q
c)は、実施例4のガラスでは、10℃/分から10℃/分の間にある。
【実施例】
【0032】
材料
市販の材料を使用して本明細書に開示されるガラス組成物を形成した。それぞれの成分は、受け取ったまま使用した。
【0033】
示差走査熱量測定(DSC)の測定
ガラス試料のガラス転移温度(Tg)及び溶融転移温度(Tx)の開始は、示差走査熱量計(PYRIS PERKIN ELMER)を使用して10℃/分の加熱速度で測定した。ガラス試料は、粒径分布が制御されたガラス粉末(25~38μm)として測定した。各測定には約30mgのガラス粉末を使用した。
【0034】
密度の測定
それぞれのガラス試料の密度は、Helium Pycnometer Accupy 1330Micromeriticを使用して測定した。
【0035】
透過率(T%)の測定
ガラス透過率は、拡散光を収集するためのLabsphere DRA-CA-5500を含む、UV-VIS-NIR分光光度計CARY500スキャンを使用して、研磨したガラス試料(2.0mm)で測定した。透過率%は、380mmから800nmまで1ナノメートル間隔で測定した。
【0036】
高温粘度の測定
ガラス溶融粘度は、ASTM C-965の手順Aに準拠して、回転スピンドル粘度計を使用して測定した。この技法は、溶融ガラスの粘度/温度曲線を生成するために、一定角速度法を使用して特定の温度での粘度を測定する。
【0037】
液相温度の測定
液相温度は、小さい白金のカップに入れた小さいガラス片を使用して測定した。次に、ガラスを所与の温度で17時間熱処理し、その後、室温まで空気急冷した。ガラス試料のガラス/空気側及び白金/ガラス側の結晶の存在を検出するために、倍率(1,000~4,000倍)の光学顕微鏡を使用した。液相温度は、処理温度に対して結晶が形成されていることが観察されたときに確認した。
【0038】
屈折率及びアッベ数の測定
屈折率及びアッベ数の測定は、Metricon Model 2010 PrismCouplerを使用して587nmのレーザ波長で行った。屈折計により、臨界反射角を使用して材料の屈折率を測定した。屈折率nの材料が屈折率npを使用してプリズムに結合されたならば、プリズムのベースに向けられたレーザ光は、入射角が臨界角(θc)より小さくなるまで完全に反射されるであろう。θcの式は、「θc=arcsin(n/np)」である。
【0039】
臨界冷却速度の測定
Qc又はRcは、臨界冷却速度として定義され、一定の冷却中に失透が生じるガラス溶融物の一定の冷却速度の閾値の値である。臨界冷却速度は、多くの場合、TTT図(以下を参照)から決定され、ここで、ガラスは所与の温度で等温的に加熱され、結晶の体積パーセント(体積%)は時間の関数として決定される。結晶体積分率が0.1である、温度対時間条件の例を示す線がプロットされている。本明細書では、非等温法を採用した。この試験では、所与の体積(1.0cm3)のガラスを白金皿に入れる。次に、ガラスを電気炉でTLiq+50℃で30分間予熱した後、一定の冷却速度(すなわち、60℃/分)で室温まで(熱電対をガラスに接触させて正確に)冷却する。最後に、ガラスを次に光学顕微鏡(1,000倍)で検査し、ガラス/白金界面の側に結晶が確認されているかどうかをチェックする。
【0040】
実施例1~5
実施例1~5は、1000g(総重量)の原料(すなわち、石英、ホウ酸、炭酸カルシウム、酸化ニオブなど)を純粋な白金るつぼに入れて混合し、充填されたるつぼを1350℃に予熱されたGlobar加熱炉に導入することによって調製した。次に、炉を1500℃の温度まで上昇させ、この温度で4時間保持した。次に、それぞれの溶融物を冷却したステンレス鋼のテーブルに注ぎ、6mmの厚さのシートパテにひとまとめにした。次に、対応するシートパテを650℃でアニールした。実施例1~6の製造に用いられる個々の成分が下記表1に提示される:
【0041】
【0042】
実施例1~6についての屈折率、アッベ数、密度、ガラス転移温度(Tg)、Tx発熱ピークの開始、KA、液相、Qc、液相粘度(P)、及び10mmでの透過率が、下記表2に提示される:
【0043】
【0044】
ホウ素含有量が増加及び/又はリチウム含有量が低下すると(実施例1と実施例4、実施例1と実施例5、及び実施例1と実施例6を参照)、液相温度が大幅に低下するのではなく、臨界冷却速度Qcが実施例1のガラスで測定されたQc>55℃/分に対して1℃/分<Qc<5℃/分に向上することが示された。実施例6におけるリチウムのバリウムによる置換は、液相粘度及びQcの有意な増加を示した。加えて、実施例6のガラスは、液相粘度が高く、Qcが低いことに起因して、実施例1よりも失透に対してより耐性があることが示されていることから、実施例6の比屈折は実施例1より劣っている。ΣBaO+La2O3+ZrO2+Nb2O5+TiO2の含有量が増加すると、屈折率及び密度も増加することにも留意されたい。
【0045】
記載されたデバイス及び他の構成要素の構築が特定の材料に限定されない場合があることが、当業者に理解されよう。本明細書に開示されるデバイスの他の例示的な実施形態は、本明細書に別段の記載がない限り、多種多様な材料から形成することができる。
【0046】
本開示の目的では、「結合された」という用語(そのすべての形態、結合する、結合している、結合された等)は、概して、2つの構成要素(電気的又は機械的)の互いに対する直接的又は間接的な連結を意味する。このような連結は、本質的に固定されていても、本質的に移動可能であってもよい。このような連結は、2つの構成要素(電気的又は機械的)と、互いに又は2つの構成要素と単一の一体成形体として一体的に形成された追加の中間部材とによって達成されうる。このような連結は、特に明記しない限り本質的に永続的であっても、本質的に取り外し可能又は解除可能であってもよい。
【0047】
例示的な実施形態に示されるようなデバイスの要素の構造及び配置は、例示にすぎないことに留意することも重要である。本開示では、本発明の幾つかの実施形態のみが詳細に説明されているが、本開示を検討する当業者は、列挙された主題の新規かつ非自明な教示及び利点から実質的に逸脱することなく、多くの修正(例えば、さまざまな要素のサイズ、寸法、構造、形状、及び比率のバリエーション、パラメータの値、取り付け配置、材料の使用、色、向きなど)が可能であることを容易に理解するであろう。例えば、一体的に形成されたものとして示されている要素は複数の部品で構成されている場合があり、あるいは複数の部品として示されている要素は一体的に形成されていてもよく、境界面の操作は、逆にするか、さもなければ変更することができ、構造、及び/又は部材、又はコネクタ、又はシステムの他の要素の長さ又は幅は変更することができ、要素間に提供される調整位置の性質又は数は変更される場合がある。システムの要素及び/又はアセンブリは、多種多様な色、テクスチャ、及び組合せのいずれかで、十分な強度又は耐久性を提供する多種多様な材料のいずれかから構築されうることに留意されたい。したがって、このようなすべての変更は、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。他の置換、修正、変更、及び省略は、本発明の精神から逸脱することなく、所望の及び他の例示的な実施形態の設計、動作条件、及び配置においてなされうる。
【0048】
記載された任意のプロセス又は記載されたプロセス内のステップは、他の開示されたプロセス又はステップと組み合わせて、本デバイスの範囲内の構造を形成しうることが理解されよう。本明細書に開示される例示的な構造及びプロセスは、例示を目的としてあり、限定的なものとして解釈されるべきではない。
【0049】
本発明の概念から逸脱することなく、前述の構造に変更及び修正がなされうることも理解されるべきである。さらには、このような概念は、特許請求の範囲がその言語によって明示的に別段の定めをしていない限り、以下の特許請求の範囲によってカバーされることを意図しているものと理解されるべきである。
【0050】
上記説明は、単に例示された実施形態の説明と見なされる。デバイスの変更は、当業者又はデバイスを製造又は使用する人々に想起されるであろう。したがって、図面に示され、上記説明された実施形態は、単に例示を目的とするものであり、均等論を含めて、特許法の原則に従って解釈されるように、以下の特許請求の範囲によって定められる本デバイスの範囲を限定することは意図されていないものと理解されたい。
【0051】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0052】
実施形態1
ガラス組成物であって、
25~40質量%のSiO2;
2.5~10質量%のB2O3;
0~10質量%のAl2O3;
0~15質量%のLi2O;
10~25質量%のCaO;
0~15質量%のBaO;
0~5質量%のMgO;
0~5質量%のSrO;
0~7質量%のZnO;
2~10質量%のZrO;
2~15質量%のTiO2;
5~25質量%のNb2O5;
0~5質量%のTa2O5;
5~25質量%のLa2O3;及び
0~5質量%のY2O3
を含み、
前記ガラスが、約1.74~約1.80の屈折率、約3.5g/cm3~約4.0g/cm3の密度、約1℃/分~約50℃/分の臨界冷却速度、及び25ポアズを超える液相粘度を有する、
ガラス組成物。
【0053】
実施形態2
前記臨界冷却速度が約1℃/分~約25℃/分である、実施形態1に記載のガラス組成物。
【0054】
実施形態3
前記臨界冷却速度が約1℃/分~約10℃/分である、実施形態1に記載のガラス組成物。
【0055】
実施形態4
前記臨界冷却速度が約1℃/分~約5℃/分である、実施形態1に記載のガラス組成物。
【0056】
実施形態5
前記Li2O、Na2O、及びK2O含有量が、0質量%~約16質量%である、実施形態1から4のいずれかに記載のガラス組成物。
【0057】
実施形態6
前記CaO、BaO、MgO、及びSrO含有量が、約10質量%の~約30質量%である、実施形態1から5のいずれかに記載のガラス組成物。
【0058】
実施形態7
前記ガラスの385nmにおける透過率が約80%~約90%である、実施形態1から6のいずれかに記載のガラス組成物。
【0059】
実施形態8
前記ガラスが、ヒ素(As)、鉛(Pb)、カドミウム(Cd)、水銀(Hg)、クロム(Cr)、タリウム(Tl)、又はバナジウム(V)を含まない、実施形態1から7のいずれかに記載のガラス組成物。
【0060】
実施形態9
ガラスを形成する方法において、該方法が、
ガラス成分の混合物を提供する工程であって、25~40質量%のSiO2;2.5~10質量%のB2O3;0~10質量%のAl2O3;0~15質量%のLi2O;10~25質量%のCaO;0~15質量%のBaO;0~5質量%のMgO;0~5質量%のSrO;0~7質量%のZnO;2~10質量%のZrO;2~15質量%のTiO2;5~25質量%のNb2O5;0~5質量%のTa2O5;5~25質量%のLa2O3;及び、0~5質量%のY2O3を含むガラス成分の混合物を提供する工程;
前記混合物を少なくとも1,350℃の温度に加熱して溶融ガラスを形成する工程;及び
前記溶融したガラスを約1℃/分~約50℃/分の臨界冷却速度で冷却してガラスを形成する工程
を含み、
前記ガラスが目に見える微結晶を含まない、
ガラスを形成する方法。
【0061】
実施形態10
前記溶融したガラスが、約1℃/分~約25℃/分の臨界冷却速度で冷却される、実施形態9に記載の方法。
【0062】
実施形態11
前記溶融したガラスが、約1℃/分~約10℃/分の臨界冷却速度で冷却される、実施形態9に記載の方法。
【0063】
実施形態12
前記ガラスが、約1.74~約1.80の屈折率、約3.5g/cm3~約4.0g/cm3の密度、及び75Pを超える液相粘度を有する、実施形態9から11のいずれかに記載の方法。
【0064】
実施形態13
前記ガラスが約30~約35のアッベ数を有する、実施形態9から12のいずれかに記載の方法。
【0065】
実施形態14
前記ガラス成分の混合物が、約28質量%のSiO2;約3質量%のB2O3;約16質量%のCaO;約8質量%のBaO;約16質量%のLa2O3;約3質量%のZrO2;約18質量%のNb2O5;及び、約8質量%のTiO2を含む、実施形態9から13のいずれかに記載の方法。
【0066】
実施形態15
ガラス組成物であって、
25~30質量%のSiO2;
2.5~6質量%のB2O3;
0~10質量%のLi2O;
15~20質量%のCaO;
0~10質量%のBaO;
10~25質量%のLa2O3;
2~10質量%のZrO2;
5~20質量%のNb2O5;及び
2~10質量%のTiO2
を含み、
前記ガラス組成物が、約1℃/分~約50℃/分の臨界冷却速度及び25ポアズを超える液相粘度を有する、
ガラス組成物。
【0067】
実施形態16
前記BaO、La2O3、ZrO2、Nb2O5、及びTiO2含有量が、約40質量%~約55質量%である、実施形態15に記載のガラス組成物。
【0068】
実施形態17
前記臨界冷却速度が約1℃/分~約5℃/分である、実施形態15又は16に記載のガラス組成物。
【0069】
実施形態18
前記ガラスの385nmにおける透過率が約80%~約90%である、実施形態15から17のいずれかに記載のガラス組成物。
【0070】
実施形態19
前記ガラス組成物が、約1.74~約1.80の屈折率及び約3.5g/cm3~約4.0g/cm3の密度を有する、実施形態15から18のいずれかに記載のガラス組成物。
【0071】
実施形態20
前記ガラス組成物が、約28質量%のSiO2;約3質量%のB2O3;約16質量%のCaO;約8質量%のBaO;約16質量%のLa2O3;約3質量%のZrO2;約18質量%のNb2O5;及び、約8質量%のTiO2を含む、実施形態15から19のいずれかに記載のガラス組成物。
【国際調査報告】