(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-21
(54)【発明の名称】マルチソースシステムを用いたスケーラブルな撮影領域のイメージングのための機器および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20220114BHJP
A61N 5/00 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
A61B6/03 377
A61B6/03 373
A61B6/03 350F
A61B6/03 320K
A61N5/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531088
(86)(22)【出願日】2019-11-25
(85)【翻訳文提出日】2021-06-25
(86)【国際出願番号】 US2019063085
(87)【国際公開番号】W WO2020112683
(87)【国際公開日】2020-06-04
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505172824
【氏名又は名称】アキュレイ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】ギャニオン,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ユイ,ジーツォン
(72)【発明者】
【氏名】シー,ジェイコブ
【テーマコード(参考)】
4C082
4C093
【Fターム(参考)】
4C082AE03
4C093AA22
4C093AA25
4C093CA15
4C093EA06
4C093EA07
4C093EA14
4C093EB17
4C093FA16
4C093FE14
(57)【要約】
【解決手段】
マルチモーダルイメージング機器および方法は、異なるエネルギーレベル(例えば、kVおよびMV)を含む、複数の放射線源を備える回転可能ガントリシステムを含む。高速スリップリング手法およびヘリカルスキャンによって、IGRTのためのものを含む、複数の放射線源からのデータを結合または利用して、向上した画像およびワークフローを生成することができる。特徴には、大きな撮影領域(LFOV)MVイメージング、kV関心領域(ROI)イメージングおよびスケーラブル撮影領域(SFOV)デュアルエネルギーイメージングが含まれる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチモーダルイメージング機器であって、
患者サポートの周りに少なくとも部分的に位置づけられた回転可能ガントリシステムと、
前記回転可能ガントリシステムに連結され、イメージング放射線のために構成された、第1の放射線源と、
前記第1の放射線源により放出された第1の放射線ビームの形状を調整するように構成された、第1のビームフォーマと、
前記回転可能ガントリシステムに連結され、イメージング放射線または治療放射線のうち少なくとも1つのために構成され、前記第1の放射線源よりも高いエネルギーレベルを含む、第2の放射線源と、
前記第2の放射線源により放出された第2の放射線ビームの形状を調整するように構成された、第2のビームフォーマと、
前記回転可能ガントリシステムに連結され、かつ前記第1の放射線源または前記第2の放射線源のうち少なくとも1つから放射線を受け取るように位置づけられた、少なくとも1つの放射線検出器と、を備え、
前記機器が、スキャン中に、前記第1の放射線源から、患者の第1の領域に関連する第1の測定されたプロジェクションデータと、前記第2の放射線源から、前記患者の第2の領域に関連する第2の測定されたプロジェクションデータと、を取得する、マルチモーダルイメージング機器。
【請求項2】
前記第1の放射線源が、最大150keVのキロ電子ボルトピーク光子エネルギー(keV)を備え、前記第2の放射線源が、1MeV以上のメガ電子ボルトピーク光子エネルギー(MeV)を含む、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記第2の放射線源が、3MeVのピークエネルギーおよび約1MeVの平均エネルギーを含む、請求項1に記載の機器。
【請求項4】
データ処理システムであって、
前記第1の測定されたプロジェクションデータおよび前記第2の測定されたプロジェクションデータを受け取り、
データの処理または前記患者の画像の再構成のために、前記第1の測定されたプロジェクションデータと、前記第2の測定されたプロジェクションデータとを組み合わせるように構成された、データ処理システムを更に備える、請求項1に記載の機器。
【請求項5】
前記第1の測定されたプロジェクションデータおよび前記第2の測定されたプロジェクションデータが、同時に取得される、または互いから50ms以下で取得される、請求項1に記載の機器。
【請求項6】
前記第1の領域および前記第2の領域が互いに重複する、請求項1に記載の機器。
【請求項7】
前記第1の測定されたプロジェクションデータが前記第2の領域で切り捨てられるか、または前記第2の測定されたプロジェクションデータが前記第1の領域で切り捨てられる、請求項1に記載の機器。
【請求項8】
前記スキャンが、ヘリカルスキャンを含む、請求項1に記載の機器。
【請求項9】
前記少なくとも1つの放射線検出器が、
前記回転可能ガントリシステムに連結され、かつ前記第1の放射線源から放射線を受け取るように位置づけられた、第1の検出器と、
前記回転可能ガントリシステムに連結され、かつ前記第2の放射線源から放射線を受け取るように位置づけられた、第2の検出器と、を備え、
前記第2のビームフォーマおよび前記第2の検出器は、前記第2の放射線ビームが前記患者の体軸横断面における前記第2の領域を通って投影し、前記患者の前記体軸横断面における前記第1の領域の全てを通って投影しないように構成され、
前記第1のビームフォーマおよび前記第1の検出器は、前記第1の放射線ビームが前記患者の前記第1の領域を通って投影するように構成され、
前記第1の領域における前記第2の放射線源からの評価されたプロジェクションデータが、前記第1の測定されたプロジェクションデータに基づいている、
請求項1に記載の機器。
【請求項10】
前記第1の領域が前記患者の周辺領域を含み、前記第2の領域が前記患者の中央領域を含む、請求項9に記載の機器。
【請求項11】
前記第1の放射線ビームおよび前記第2の放射線ビームが、前記体軸横断面にて重複する、請求項9に記載の機器。
【請求項12】
前記第2の検出器によって利用可能な最大の体軸横断撮影領域が、前記体軸横断面における前記患者の幅よりも少ない、請求項9に記載の機器。
【請求項13】
前記第1のビームフォーマが、
第1の開口であって、前記第1の放射線ビームが前記第1の開口によって前記患者の体軸横断面における標的領域を通って投影するように構成された、第1の開口と、
第2の開口であって、前記第1の放射線ビームが前記第2の開口によって前記患者の前記体軸横断面における周辺領域を通って投影するように構成された、第2の開口と、を備え、
前記標的領域および前記周辺領域は、前記体軸横断面にて重複せず、
前記少なくとも1つの放射線検出器は、前記回転可能ガントリシステムに連結され、かつ前記第1の放射線源からの放射線を受け取るように位置づけられた、第1の検出器を備え、前記第1の検出器が、前記スキャン中に、最も外側に投影された患者境界線外部に配置された前記第1の検出器の最も外側の縁を有する固定位置に存在する、請求項1に記載の機器。
【請求項14】
前記標的領域と前記周辺領域との間の前記第1の放射線源からの評価されたプロジェクションデータが、前記第2の測定されたプロジェクションデータに基づいている、請求項13に記載の機器。
【請求項15】
前記少なくとも1つの放射線検出器が、前記回転可能ガントリシステムに連結され、かつ前記第2の放射線源からの放射線を受け取るように位置づけられた、第2の検出器を備え、
前記第2のビームフォーマおよび前記第2の検出器は、前記第2の放射線ビームが、前記患者の前記体軸横断面における前記標的領域および前記周辺領域の間の中間領域を通って投影するように構成され、
前記中間領域が、前記体軸横断面にて、前記標的領域および前記周辺領域と重複する、
請求項14に記載の機器。
【請求項16】
前記少なくとも1つの放射線検出器が、前記回転可能ガントリシステムに連結され、かつ前記第1の放射線源からの放射線を受け取るように位置づけられた、第1の検出器を備え、前記第1のビームフォーマおよび前記第1の検出器が、前記第1の放射線ビームが、前記スキャン中に、前記患者の標的領域の全ての点を通って投影するように、体軸横断面に構成され、
前記第1の放射線源の任意の角度位置のため、前記患者の前記標的領域における任意の体軸横断点が、任意のサンプリングされた方位角度にて前記第1の放射線源によって可視化され、前記第1のビームフォーマが、前記スキャン中に動的に絞られる、
請求項1に記載の機器。
【請求項17】
前記第1のビームフォーマおよび前記第1の検出器は、前記第1の放射線源に関連する第1の体軸方向の撮影領域(FOV)が、前記第2の放射線源に関連する第2の体軸方向のFOVよりも大きいように、体軸方向で構成され、
前記第1のビームフォーマおよび前記第1の検出器は、前記第1の放射線源の任意の角度位置のために、前記第1の放射線源に関連する第1の体軸横断FOVにおける任意の点と、前記第2の放射線源に関連する前記第2の体軸FOVにおける任意の点は、任意のサンプリングされた方位角度にて、前記第1の放射線源によって可視化されるように体軸横断方向にて構成され、
前記第2の放射線源からの評価されたプロジェクションデータは、前記患者のプロジェクションが前記第2の体軸横断FOVを超えて延在する際に、前記第1の測定されたプロジェクションデータに基づき、
前記画像が、前記第1の体軸横断FOVと、前記第2の体軸横断FOVの重複領域内部にて物質分離のために使用され、成分物質の画像を生じる、
請求項16に記載の機器。
【請求項18】
前記第1の放射線源が前記回転可能ガントリシステムの第1の回転可能ガントリに連結され、前記第2の放射線源が前記回転可能ガントリシステムの第2の回転可能ガントリに連結される、請求項1に記載の機器。
【請求項19】
マルチモーダルイメージング機器からプロジェクションデータを取得する方法であって、
イメージング放射線のために構成された第1の放射線源から、患者の第1の領域に関連する第1の測定されたプロジェクションデータを受け取ることと、
イメージング放射線または治療放射線のうち少なくとも1つのために構成され、前記第1の放射線源よりも高いエネルギーレベルを有する第2の放射線源から、患者の第2の領域に関連する第2の測定されたプロジェクションデータを受け取ることと、
前記患者の画像を再構成するために、前記第1の測定されたプロジェクションデータおよび前記第2の測定されたプロジェクションデータを提供することと、を含む、方法。
【請求項20】
前記第1の測定されたプロジェクションデータおよび前記第2の測定されたプロジェクションデータが、同時に取得される、または互いから50ms内で取得される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
放射線治療供給装置であって、
患者サポートの周りに少なくとも部分的に位置づけられた回転可能ガントリシステムと、
前記回転可能ガントリシステムに連結され、イメージング放射線のために構成された、第1の放射線源と、
前記第1の放射線源により放出された第1の放射線ビームの形状を調整するように構成された、第1のビームフォーマと、
前記回転可能ガントリシステムに連結され、イメージング放射線または治療放射線のうち少なくとも1つのために構成され、前記第1の放射線源よりも高いエネルギーレベルを備える、第2の放射線源と、
前記第2の放射線源により放出された第2の放射線ビームの形状を調整するように構成された、第2のビームフォーマと、
前記回転可能ガントリシステムに連結され、かつ前記第1の放射線源または前記第2の放射線源のうち少なくとも1つから放射線を受け取るように位置づけられた、少なくとも1つの放射線検出器と、
データ処理システムであって、
前記第1の放射線源からの第1の測定されたプロジェクションデータと、前記第2の放射線源からの第2の測定されたプロジェクションデータとを受け取り、
オンラインの適応可能なIGRTのための画像を再構成するために、前記第1の測定されたプロジェクションデータと、前記第2の測定されたプロジェクションデータとを組み合わせるように構成された、データ処理システムと、を備える、放射線治療供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年11月30日出願の米国特許仮出願第62/773,712号(代理人整理番号第38935/04001号);2018年11月30日出願の米国特許仮出願第62/773,700号(代理人整理番号第38935/04002号);2019年1月25日出願の米国特許仮出願第62/796,831号(代理人整理番号第38935/04004号);2019年2月1日出願の米国特許仮出願第62/800,287号(代理人整理番号第38935/04003号);2019年2月5日出願の米国特許仮出願第62/801,260号(代理人整理番号第38935/04006号);2019年3月4日出願の米国特許仮出願第62/813,335号(代理人整理番号第38935/04007号);2019年3月20日出願の米国特許仮出願第62/821,116号(代理人整理番号第38935/04009号);2019年4月19日出願の米国特許仮出願第62/836,357号(代理人整理番号第38935/04016号);2019年4月19日出願の米国特許仮出願第62/836,352号(代理人整理番号第38935/04017号);2019年5月6日出願の米国特許仮出願第62/843,796号(代理人整理番号第38935/04005号);および2019年7月25日出願の米国特許仮出願第62/878,364号(代理人整理番号第38935/04008号)を含む、11件の米国特許仮出願の利益を主張する。本出願はまた、「MULTIMODAL RADIATION APPARATUS AND METHODS」と題する代理人整理番号第38935/04019号;「INTEGRATED HELICAL FAN-BEAM COMPUTED TOMOGRAPHY IN IMAGE-GUIDED RADIATION TREATMENT DEVICE」と題する代理人整理番号第38935/04011号;「COMPUTED TOMOGRAPHY SYSTEM AND METHOD FOR IMAGE IMPROVEMENT USING PRIOR IMAGE」と題する代理人整理番号第38935/04010号;「OPTIMIZED SCANNING METHODS AND TOMOGRAPHY SYSTEM USING REGION OF INTEREST DATA」と題する代理人整理番号第38935/04013号;「HELICAL CONE-BEAM COMPUTED TOMOGRAPHY IMAGING WITH AN OFF-CENTERED DETECTOR」と題する代理人整理番号第38935/04015号;「MULTI-PASS COMPUTED TOMOGRAPHY SCANS FOR IMPROVED WORKFLOW AND PERFORMANCE」と題する代理人整理番号第38935/04021号;「METHOD AND APPARATUS FOR SCATTER ESTIMATION IN CONE-BEAM COMPUTED TOMOGRAPHY」と題する代理人整理番号第38935/04012号;「ASYMMETRIC SCATTER FITTING FOR OPTIMAL PANEL READOUT IN CONE-BEAM COMPUTED TOMOGRAPHY」と題する代理人整理番号第38935/04014号;「METHOD AND APPARATUS FOR IMPROVING SCATTER ESTIMATION AND CORRECTION IN IMAGING」と題する代理人整理番号第38935/04018号;および「METHOD AND APPARATUS FOR IMAGE RECONSTRUCTION AND CORRECTION USING INTER-FRACTIONAL INFORMATION」と題する代理人整理番号第38935/04022号を含む、同日に出願された10件の非仮出願である米国特許出願に関する。上記にて確認された1つまたは複数の特許出願および1つまたは複数の特許全ての内容は、本明細書に参照として完全に組み入れられる。
【0002】
開示された手法の態様は、イメージングのためにマルチモーダル放射線を利用することに関し、より詳細には、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン中のスケーラブルな撮影領域を含むイメージングを向上させるために、低エネルギー放射線(例えば、キロボルトX線(kV))および高エネルギー放射線(例えば、メガボルトX線(MV))とを組み合わせて利用することに関する。
【背景技術】
【0003】
腫瘍および病変などの病理学的解剖学的構造は、手術といった侵襲的処置で治療され得るが、これは有害であり、患者にとってリスクが高い可能性がある。病理学的解剖学的構造(例えば、腫瘍、病変、血管奇形、神経障害など)を治療するための非侵襲的方法は外部ビーム放射線治療である。これは典型的には、X線といった放射線ビームを発生させるため、線形加速器(LINAC)といった治療放射線源を用いる。ある種類の外部ビーム放射線治療では、治療放射線源は撮影領域における複数の角度から腫瘍部位に一連のX線ビームを向ける。治療放射線源の角度が変化するにつれて、全てのビームは腫瘍部位を通過するが、腫瘍との往復の途中で健常な組織である異なる領域を通過する。結果として、腫瘍における累積放射線量は高く、健常な組織に対する累積放射線量は比較的低い。
【0004】
用語「手術的照射」は、大量の割合で分割あたり低線量を供給するよりも少ない治療セッションまたは分割にて病変を壊死させるのに十分な線量で放射線を標的領域に印加する処置を指す。手術的照射は、典型的には放射線治療とは区別されるように、分割あたり比較的高い放射線量(例えば、500~2000センチグレイ)および寡分割照射(例えば、1~5分割または治療日)によって特徴付けられる。放射線治療は、典型的には分割あたり低線量(例えば、100~200センチグレイ)および過分割照射(例えば、30から45の分割)を特徴とする。簡便さのために、用語「放射線治療(radiation treatment)」および「放射線治療(radiation therapy)」は、特段明記しない限り、手術的照射および/または放射線治療を意味するように本明細書では互換可能に使用される。
【0005】
画像誘導放射線治療(IGRT)システムには、ガントリベースのシステムおよびロボットアームベースのシステムが含まれる。ガントリベースのシステムにおいては、ガントリはアイソセンタを通過する軸の周りで治療放射線源を回転させる。ガントリベースのシステムは、C-アームガントリを含む。この中で治療放射線源はカンチレバー様の方式で取り付けられており、アイソセンタを通過する軸を中心として回転する。ガントリベースのシステムは、リングガントリを更に含む。これは、中で患者の身体をリング/トロイドのボアを通って伸展させる環状形状を一般には有する。また、治療放射線源は、リング円周上に取り付けられ、アイソセンタを通過する軸を中心に回転する。従来のガントリシステム(リングまたはC-アーム)は、放射線源の回転軌道によって定義される設定角度にて治療放射線を供給する。ロボットアームベースのシステムでは、治療放射線源は、患者の上および周囲に延在する関節式ロボットアームに取り付けられ、ロボットアームは、少なくとも5つの自由度を提供するように構成されている。ロボットアームベースのシステムは、複数の面外方向からの治療放射線の供給、すなわちノンコプラナーな供給を行う能力を提供する。
【0006】
各放射線治療システムは、放射線供給処置を設定し、いくつかの実施例ではこれを誘導して治療中の標的の動きを追跡するために使用される治療中の画像を提供するイメージングシステムと関連づけられる。MVイメージングシステムは、セットアップおよび治療中の画像のために患者を撮像するため、治療源の反対側に検出器を配置することができる。一方で他のアプローチは、患者のセットアップおよび治療中の画像のため、別個の独立した1つまたは複数の画像放射線源および/または1つまたは複数の検出器を利用する。治療中の標的または標的ボリュームの追跡は、治療中画像と、事前または治療前画像情報と比較することによって達成される。治療前画像の情報には、例えばCTデータ、コーンビームCT(CBCT)データ、核磁気共鳴画像法(MRI)データ、陽電子放出断層撮影(PET)データまたは3D回転血管造影検査(3DRA)データ、およびこれらのイメージング診断手段から得られた任意の情報(例えば、限定するわけではないが、デジタル再構成シミュレーション画像(DRR))が含まれてよい。
【0007】
1つの一般的なシナリオでは、治療源は、治療放射線(これは例えば、MV線源であってもよい)を生成するLINACであり、イメージングシステムは、より低いエネルギーのイメージング放射線(その各々は例えば、kV線源であってもよい)を生成する1つまたは複数の独立したX線イメージング線源を備える。治療中の画像には、1つまたは複数の異なる視点(例えば、立体X線画像)で取得された1つまたは複数(好ましくは少なくとも2つ)の2次元画像(典型的にはX線)を含むことができる。これは例えば、3次元治療前画像情報から導出された2次元DRRと比較することができる。DRRは、3Dイメージングデータを介して仮想X線を投影することによって生成された合成X線画像である。この場合、仮想X線の方向および向きは、治療中のX線イメージングシステムの幾何学的形状をシミュレートする。次に、得られるDRRは治療中のX線イメージングシステムとほぼ同じスケールおよび視点を有し、治療中のX線画像と比較して標的の位置および向きを決定することができる。これは次に、標的への放射線の供給を誘導するために使用することができる。
【0008】
別の一般的なシナリオでは、ガントリに取り付けられた治療放射線源または独立したX線イメージング線源(例えば、kV線源)のいずれかは、複数の視野を取得し、立体画像、すなわちCT画像を再構成するために使用される。プロジェクションとも呼ばれる表示は、3Dボリュームまたは個々の体軸方向スライスを再構成するための完全な数学的サポートを提供するため、少なくとも180度にイメージングビームのファン角度を加えて取得される。X線源の反対側に取り付けられたイメージング検出器は、一度にシングルスライスのデータを取得するために使用される単列検出器、または一度に多くのスライスのデータを取得するための多列検出器または完全2Dパネル検出器であり得る。
【0009】
CBCTはまた、放射線治療システムと連携させて使用するための治療中のイメージング診断手段として、場合によってはkVイメージング診断手段として、他の場合にはMV(ポータル)イメージング診断手段として提案されている。治療前にCBCT治療計画画像を治療計画のために取得することができる。その後、各治療時の前に、CBCT画像を取得してこれをCBCT治療前治療計画画像と比較することができる。この比較結果は、治療時に治療計画を修正するのに使用し、治療間のセットアップエラーおよび/または治療間の臓器の動きを補正することができる。
【0010】
従来のCTイメージングが標的ボリュームを通過する1Dプロジェクションから2Dスライスを再構成し、次に2Dスライスが積み重ねられて3D体積画像を形成する一方、CBCTイメージングは、標的ボリュームの2Dプロジェクションから3D体積画像を直接構成する。当該技術分野で既知であるように、CBCTは標的ボリュームの周りに単一のガントリ回転(より具体的には、少なくとも180度の回転にファンビーム角度を加える)から3D画像ボリュームを形成する能力を提供する。一方、従来のCTはスライスあたり1回転(単列検出器の場合)またはスライスあたり1/M回転(M列を有する準線型多列検出器の場合)を必要とする。CBCTはまた、より等方性の空間分解能を提供する。その一方で従来のCTは、長手方向における空間分解能をスライス厚さに制限する。ただし、従来のCTシステムは、自身の2次元検出器の近くでCBCTシステムにより通常提供され得るよりも、リニア列検出器または準線型列検出器の近くで実質的に高いコリメーション角度を通常は提供するため、散乱ノイズおよびアーチファクトは、従来のCTシステムよりもCBCTシステムにとって大きな課題である。(単一回転、非ヘリカル)CBCTに関する別の主要な問題(散乱以外)は、中央スライスを除く全てのスライス(線源軌道を含む平面)でのサンプリングが不十分であることである。
【0011】
プロジェクションデータが横方向に切り捨てられる場合も存在する(すなわち、プロジェクションデータは、物体の体軸横断範囲の分割のみを捕捉する)。例えば、典型的なCTシステムの体軸横断方向の撮影領域(FOV)は、40cm~70cmの範囲である。これは患者全体をカバーするのに十分な大きさではない場合があり、横方向でのデータ切り捨てが生じる。別の例は、X線散乱混入の低減(これによる軟組織の視認性の向上)のための小関心領域(ROI)のイメージングである。プロジェクションデータにおけるこうした横方向の切り捨ては、不十分なデータといった問題をもたらし、これにより再構成画像におけるCT数に著しく偏りがかかる。
【0012】
拡張されたFOV CTの横方向に切り捨てられたデータに適切に対処するために解決策が必要とされる。大半のCTスキャナは単独のX線源を有するので、利用可能なデータを外挿することによる欠落データへの近似は可能ではあるが不適切である。こうした近似には、スキャン対象の形状および原料、またはプロジェクションデータの形状の想定が関与する場合がある。より高度な近似には、データ整合性の条件または問題が関与する場合がある。
【発明の概要】
【0013】
一実施形態では、マルチモーダルイメージング機器は、患者サポートの周りに少なくとも部分的に位置づけられた回転可能ガントリシステムと、回転可能ガントリシステムに連結され、イメージング放射線のために構成された、第1の放射線源と、第1の放射線源により放出された第1の放射線ビームの形状を調整するように構成された、第1のビームフォーマと、回転可能ガントリシステムに連結され、イメージング放射線または治療放射線のうち少なくとも1つのために構成され、第1の放射線源よりも高いエネルギーレベルを含む、第2の放射線源と、第2の放射線源により放出された第2の放射線ビームの形状を調整するように構成された第2のビームフォーマと、回転可能ガントリシステムに連結され、かつ第1の放射線源または第2の放射線源のうち少なくとも1つからの放射線を受け取るように位置づけられた、少なくとも1つの放射線検出器と、を含む。この場合機器は、スキャン中、第1の放射線源からの、患者の第1の領域に関連する第1の測定されたプロジェクションデータと、第2の放射線源からの、患者の第2の領域に関連する第2の測定されたプロジェクションデータと、を取得する。
【0014】
一実施形態に関して記載および/または例示された機能は、1つもしくは複数の他の実施形態において、同様の方法もしくは類似の方法で、および/または他の実施形態の特徴と組み合わせて、もしくはその代わりに使用され得る。
【0015】
本発明の説明は、特許請求の範囲で使用される単語または特許請求の範囲もしくは発明の範囲を何ら限定するものではない。特許請求の範囲にて使用される用語は、それらの完全に一般的な意味の全てを有する。
【0016】
本明細書内に組み入れられ、かつ本明細書の一部を構成する添付の図面において、本明細書の実施形態が例示され、これらは上にて提供される本発明の一般的な説明、および以下で提供される詳細な説明と共に、本発明の実施形態を例証するのに貢献している。図中にて例示されている要素の範囲(例えば、ボックス、一群のボックス、または他の形状)は、範囲の一実施形態を表すことが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、一要素は複数の要素として設計されることがある。または複数の要素は、一要素として設計されることがある。いくつかの実施形態では、別の構成要素の内部構成要素として示される要素は、外部構成要素として実装されることがあり、その逆の可能性もある。更には、要素は尺度どおりに描かれていないことがある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】開示された手法の一態様に関連する、例示的なマルチモーダル放射線治療機器の透視図である。
【
図2】開示された手法の一態様に関連する、例示的なマルチモーダル放射線治療機器の概略図である。
【
図4】例示的なマルチモーダルスキャン構成の例示を示す。
【
図5】別の例示的なマルチモーダルスキャン構成の例示を示す。
【
図6】体軸横断面にて例示的な大きな患者を通して投影している、例示的なマルチモーダルスキャン構成の例示を示す。
【
図7】放射線システムの重畳図を有する、体軸面にて例示的な大きな患者を通して投影している
図6に示されている、例示的なマルチモーダルスキャン構成の別の例示を示す。
【
図8】
図7に示される標的のズームイン部分の例示を示す。
【
図9】kVプロジェクションデータを用いて、欠落しているMVプロジェクションデータに近づけるため、複数の放射線診断手段からのスキャンデータを組み合わせる例示的な方法を表すフローチャートである。
【
図10】体軸横断面にて例示的な患者を通して投影している、例示的なマルチモーダルスキャン構成の例示を示す。
【
図11】
図10に示される例示的なマルチモーダルスキャン構成のMVサブシステムの例示を示す。
【
図12】
図10に示される例示的なマルチモーダルスキャン構成のkVサブシステムの例示を示す。
【
図13】重畳図における、
図10に示されるマルチモーダルスキャン構成によって作成された種々のFOV領域の例示を示す。
【
図14】MVプロジェクションデータを用いて、欠落しているkVプロジェクションデータに近づけるため、複数の放射線診断手段からのスキャンデータを組み合わせる例示的な方法を表すフローチャートである。
【
図15】放射線システムの重畳図を有する、体軸面にて例示的な患者を通して投影している例示的なマルチモーダルスキャン構成の例示を示す。
【
図16】例示的な回転中、体軸横断面における例示的な患者を通して投影している、
図15に示されているマルチモーダルスキャン構成中の例示的なkV放射線源の例示を示す。
【
図17】別の例示的な回転中、体軸横断面における例示的な患者を通して投影している、
図15に示されているマルチモーダルスキャン構成中の例示的なkV放射線源の例示を示す。
【
図18】重畳図における、
図16および
図17に示されるkV放射線源によって作成された種々のFOV領域の例示を示す。
【
図19】別の診断手段からの対応するプロジェクションデータに基づき、欠落しているMVプロジェクションデータおよび/またはkVプロジェクションデータに近づけるために、複数の放射線診断手段からのスキャンデータを組み合わせる例示的な方法を表すフローチャートである。
【
図20】放射線治療装置を用いるIGRTの例示的な方法を表すフローチャートである。
【
図21】画像ベースの例示的な供給前ステップ/オプションを表すブロック図である。
【
図22】イメージング中、および/またはその後の画像ベースの供給前ステップ中に利用され得る例示的なデータ源を表すブロック図である。
【
図23】放射線治療装置を用いた患者のセットアップまたは患者の位置合わせを含む、例示的な方法を表すフローチャートである。
【
図24】放射線治療装置を用いた適応可能なIGRTを含む、例示的な方法を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下は、本開示を通して使用され得る例示的な用語の定義を含む。全ての単語の単数形および複数形の両方は、それぞれの意味の範囲内にある。
【0019】
本明細書で使用される場合、「構成要素」は、ハードウェアの一部、ソフトウェアの一部、またはそれらの組合せとして定義され得る。ハードウェアの一部は、少なくともプロセッサ、およびメモリの一部を含み、このメモリは実行するための指示を含む。構成要素は装置に関連づけられてよい。
【0020】
本明細書で使用される場合、「回路」と同義である「論理」は、1つもしくは複数の機能、または1つもしくは複数の動作を実行するためのハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアおよび/またはそれぞれの組合せを含むが、これに限定されない。例えば、所望の用途または必要性を基にした場合、論理はソフトウェア制御マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)といった個別論理、または他のプログラム済の論理装置および/もしくはコントローラを含んでよい。論理はまた、ソフトウェアとして完全に組み入れられてもよい。
【0021】
本明細書で使用される場合、「プロセッサ」は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理装置(CPU)、およびデジタルシグナルプロセッサ(DSP)など、任意に組み合わせた状態である1つもしくは複数の実質的に任意の数のプロセッサシステム、または独立型プロセッサを含むがこれに限定されない。プロセッサは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、プログラム可能リードオンリーメモリ(PROM)、消去可能なプログラム可能リードオンリーメモリ(EPROM)、クロック、デコーダ、メモリコントローラ、または割り込みコントローラなど、プロセッサの操作を支持する種々の他の回路に関連づけられてよい。これらの支持回路は、プロセッサまたはその関連する電子パッケージの内部または外部にあってよい。支持回路はプロセッサと動作的に通信する状態である。支持回路は、ブロック図または他の図ではプロセッサと必ずしも分離した状態で示されていない。
【0022】
本明細書で使用される場合、「信号」は、アナログまたはデジタル信号、1つまたは複数のコンピュータ命令、ビットまたはビットストリームなどを含む1つまたは複数の電気信号を含むが、これらに限定されない。
【0023】
本明細書で使用される場合、「ソフトウェア」は、コンピュータ、プロセッサ、論理および/または他の電子装置に、機能、動作を実施させおよび/または所望の方式にて動作させる、1つまたは複数のコンピュータ可読命令および/または実行命令を含むがこれに限定されない。命令は、個別の用途を含むルーチン、アルゴリズム、モジュールまたはプログラムなどの種々の形式で組み入れられてよい。または動的にリンクされたソースまたはライブラリからコーディングしてよい。
【0024】
上記の例示的な定義が提供されているが、本明細書と一致する最も広い合理的な解釈がこれらのおよび他の用語に使用されることは、出願人の意図である。
【0025】
以下により詳細に説明するように、開示された手法の実施形態は、マルチモーダルイメージング/放射線治療装置および方法に関する。いくつかの実施形態では、放射線治療供給装置および方法は、IGRTと連携させて、またはIGRTの一部として、イメージングのための一体型低エネルギー放射線源ならびに治療および/またはイメージングのための高エネルギー放射線源を利用することができる。特に、例えば放射線治療供給装置および方法は、治療処置のための高エネルギー放射線源と連動して回転(例えば、ヘリカルまたはステップアンドシュート)画像取得を用い、ガントリでのイメージングのための低エネルギーに絞られた放射線源と組み合わせることができる。補完的な情報および利点は、低エネルギー放射線源(例えば、kV)から、および高エネルギー放射線源(例えば、MV)から利用され得る。例えば、軟組織の固有コントラストは、低エネルギーではより高くなり得る。一方、高エネルギーでは広範な構造または高密度の構造を通る一次光子の枯渇はない。より高品質の画像を得るために、KVイメージングデータおよびMVイメージングデータを使用して互いに補完することができる。高品質のボリュームイメージングは、適応可能な治療モニタリングを目的として、および治療計画/治療再計画を目的として、標的およびリスク臓器(OARS)の視覚化に必要とされ得る。いくつかの実施形態では、マルチモーダルシステムはまた、位置決め、動体追跡および/または特徴付け性能または補正性能に使用され得る。
【0026】
画像取得手法には、複数回の回転スキャンが含まれるが、それ以外の場合ではこれらを使用することができる。この回転スキャンは例えば、連続スキャン(例えば、ガントリボアを通る患者サポートの長手方向の動きと共に、中心軸周りのヘリカル線源軌道を有する)、患者サポートの漸次的な長手方向の動きを伴う、非連続的なストップアンドリバース方式の全周スキャン、ステップアンドシュート方式の全周スキャンなどであってよい。
【0027】
種々の実施形態と関連して、マルチモーダル機器は放射線源を絞る。これは、ビームを制限するために、例えばビームフォーマ(コリメータが含まれてよい)を使用して、例えばコーンビームまたはファンビームへと絞ることを含む。一実施形態では、絞られたビームは患者が移動する間に連続して回転するガントリと組み合わされ、これによってヘリカル画像取得を得ることができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、高品質のボリューム画像を完成させるため、増加したスキャン回転に関連する時間は、高いガントリレート/速度(例えば1分あたり最大10回転(rpm)、最大20rpm、最大60rpm、またはそれ以上のrpmを含む、高速スリップリング回転を例えば使用する)、高いフレームレート、および/またはスパースデータ再構成手法により減少され、放射線治療供給プラットフォーム上にてCT品質イメージングを提供することができる。検出器(種々の列/スライスサイズ、構成、ダイナミックレンジなどを有する)、スキャンピッチ、および/または動的コリメーションは、種々の実施形態では追加の特徴である。これには、検出器の部分を選択的に照射すること、および有効な読出し領域を選択的に定義することが含まれる。
【0029】
マルチモーダル機器および方法は、放射線の源により放出された放射線ビームの選択的かつ可変コリメーションを提供することができる。これは、放射線ビームの形状を調整して、関連する放射線検出器(例えば、X線放射線源からの放射線を受けるように位置づけられた放射線検出器)の全体の有効領域よりも少ない領域に照射させることを含む。更に、検出器の一次領域のみを直接放射線に照射することにより、検出器の影領域は散乱のみを受け取ることが可能となる。いくつかの実施形態では、検出器の影領域における散乱測定(およびいくつかの実施形態では、周縁部領域における測定)を使用し、プロジェクションデータを受けている検出器の一次領域における散乱を評価することが可能である。
【0030】
マルチモーダル機器および方法は、選択的かつ可変的な検出器の読出し領域および範囲を提供する。これは、読出し速度の向上のために、検出器の読出し範囲を調整して検出器の有効領域を制限することを含む。例えば、利用可能な影領域よりも少ないデータを読み出し、散乱評価のために使用することが可能である。選択的な読出しとビームフォーミングを組み合わせることで、散乱フィッティング手法の種々の最適化が可能となる。
【0031】
図1および
図2を参照すると、マルチモーダル機器10が示されている。マルチモーダル機器10は、放射線治療装置に関連づけられてよいおよび/または組み込まれてよい(
図2に示される)。これは、例えばIGRT供給システム(例えば、
図3に示され、以下にて詳細に記載されるIGRT供給システム104)としてIGRTを含むがこれに限定されない種々の用途に使用され得ることが理解されるであろう。マルチモーダル機器10は、サポートユニットまたはハウジング14によって支持されるか、そうでない場合には収容される、ガントリ12と呼ばれる回転可能ガントリシステムを含む。本明細書におけるガントリは、標的の周りで回転する際、1つまたは複数の放射線源および/または関連する検出器を支持可能である1つまたは複数のガントリ(例えばリングまたはC-アーム)を備えるガントリシステムを指す。例えば、一実施形態では、第1の放射線源およびその関連する検出器は、ガントリシステムの第1のガントリに取り付け可能であり、第2の放射線源およびその連携された検出器は、ガントリシステムの第2のガントリに取り付け可能である。別の実施形態では、1つ超の放射線源および1つまたは複数の関連する検出器は、ガントリシステムの同じガントリに取り付け可能である。これは例えば、ガントリシステムが1つのみのガントリからなる場合を含む。ガントリ、放射線源および放射線検出器の種々の組合せは、同じ機器内部にて同じボリュームを画像化および/または処理するための種々のガントリシステム構成へと組み合わせられてよい。例えば、kV放射線源およびMV放射線源は、ガントリシステムの同じガントリまたは異なるガントリ上に取り付け可能であり、IGRTシステムの一部として画像化および/または治療するために選択的に使用され得る。異なるガントリへと取り付けられた場合、放射線源は独立して回転可能である。ただし、同じ(またはほぼ同じ)ボリュームを同時に画像化することも依然として可能である。回転可能リングガントリ12は、上述されるように10rpmまたはそれ以上の能力を有してよい。回転可能ガントリ12は、画像化および/または治療のために、患者がその中へとおよびそれを通って移動および位置づけ可能であるガントリボア16を定義する。一実施形態に従い、回転可能ガントリ12は、スリップリングガントリとして構成され、1つまたは複数の検出器によって受け取られた高品質のイメージングデータ用に十分な帯域幅を提供しながらも、放射線源および関連する1つまたは複数の放射線検出器の連続回転を提供する。スリップリングガントリは、装置に関連する電力および信号を運ぶケーブルの巻き取りおよび巻出しを目的とする交互方向でのガントリ回転を省くことができる。かかる構成により、IGRTシステムに組み込まれた場合であったとしても、CBCTを含む連続ヘリカル断層撮影が可能となる。上述されるように、単一回転CBCTに関する主要な問題は、中央スライス(回転を含有するスライス)を除く全てのスライスでのサンプリングが不十分なことである。この問題は、ヘリカル軌道のコーンビームイメージングによって克服可能である。
【0032】
患者サポート18は、回転可能ガントリ12に隣接して位置づけられ、典型的には水平位置にて、回転可能ガントリ12の中への長手方向の移動および内部での長手方向の移動に対して患者を支持するように構成される。患者サポート18は、例えば、ガントリ12の回転面に対して垂直な方向(ガントリ12の回転軸に沿って、またはこれに並行である)に患者を移動させることが可能である。患者サポート18は、患者および患者サポート18の動きを制御するための患者サポートコントローラへと動作可能に連結され得る。患者サポートコントローラは、命令されたイメージングおよび/または治療計画に従い、患者の長手方向軸を中心とした回転のため、回転可能ガントリ12および回転しているガントリへと取り付けられた放射線源と同期され得る。患者サポートはまた、患者サポートがボア16内部に存在する場合には限定された範囲で上下左右に動かされ、最適な治療のために患者位置を調整することが可能である。ガントリ12の前方から見た場合、軸x、yおよびzが示される。x軸は水平方向で右方向を指しており、y軸はガントリ面を指し、z軸は垂直方向で上方向を指している。x軸、y軸およびz軸は右手の法則に従う。
【0033】
図2にて示されるように、マルチモーダル機器10は、回転可能ガントリ12に連結されるか、それ以外の場合にはこれによって支持されている低エネルギー放射線源(例えば、kV)30を含む。この実施形態では、低エネルギー放射線源30はイメージング放射線源であり、高品質画像を生成するための放射線ビーム(32として一般には示される)を放出する。この実施形態では、イメージング放射線源はX線源30であり、これはキロ電圧(kV)源(例えば、約20kV~約150kVの範囲であるエネルギーレベルを有する、医療用X線源)として構成されている。一実施形態では、放射線のkV放射線源は、最大150keVであるキロ電子ボルトピーク光子エネルギー(keV)を含む。イメージング放射線源は、イメージングに適した任意の種類の伝送源であり得る。例えば、イメージング放射線源は例えば、X線発生源(CT向けのものを含む)または他の方法であってよく、十分なエネルギーおよび線束(例えばガンマ線源(例えばコバルト-57、122keVでのエネルギーピーク)、X線蛍光源(Pb k線を通過する蛍光源など、約70keVおよび約82keVでの2つのピーク)など)を用いて光子を生成する。本明細書におけるX線、X線イメージング、X線イメージング線源などの参照は、特定の実施形態にとって例示的なものである。他のイメージング伝送源は、種々の他の実施形態において互換可能に使用され得る。X線検出器34(例えば2次元フラット検出器または湾曲検出器)は、回転可能ガントリ12と連結され得るか、またはそれ以外の場合にはこれによって支持され得る。X線検出器34は、X線源30から放射線を受け取るように位置づけられ、X線源30と連動して回転可能である。
【0034】
X線検出器34は、開示された手法の範囲から逸脱することなく、多数の構成をとり得ることが理解されるであろう。
図2に例示されるように、X線検出器34はフラットパネル検出器(例えば、マルチスライスフラットパネル検出器)として構成され得る。別の例示的な実施形態に従い、X線検出器34は湾曲検出器として構成され得る。検出器34は、減衰されていない放射線量を検出またはこれを測定することができる。したがって、患者または関連する患者のROI(最初に生成されたものと比較して)によって実際に減衰されたものを推量することが可能である。検出器34は、低エネルギー放射線源30が患者の周りで回転し、患者に対して放射線を放出する場合、異なる角度からの減衰データを検出またはその他の場合には収集することができる。
【0035】
図1および
図2はリングガントリ12に取り付けられた放射線源30を有するマルチモーダル機器10を表すが、他の実施形態は、例えばC-アームガントリおよびロボットアームベースのシステムを含む、他の種類の回転可能なイメージング機器を含んでよい。ガントリベースのシステムにおいては、ガントリはアイソセンタを通過する軸の周りでイメージング放射線源30を回転させる。ガントリベースのシステムは、C-アームガントリを含む。この中でイメージング放射線源30はカンチレバー様の方式で上に取り付けられており、アイソセンタを通過する軸を中心として回転する。ガントリベースのシステムは、例えば回転可能ガントリ12といったリングガントリを更に含む。これは、中で患者の身体をリング/トロイドのボアを通って伸展させる環状形状を一般には有する。また、イメージング放射線源30は、リング円周上に取り付けられ、アイソセンタを通過する軸を中心に回転する。いくつかの実施形態では、ガントリ12は連続して回転する。他の実施形態では、ガントリ12は、繰り返し回転と逆回転するケーブルベースのシステムを利用する。
【0036】
コリメータまたはビームフォーマアセンブリ(36として一般には示される)は、X線源30に対して位置づけられ、X線源30により放出された放射線ビーム32の形状を選択的に制御および調整し、X線検出器34の有効領域の位置または領域を選択的に照射する。ビームフォーマはまた、放射線ビーム32をX線検出器34上に位置づける方法を制御することができる。一実施形態では、ビームフォーマ36は、単一の運動度/運動次元を有することがある(例えば、より薄いまたはより厚いスリットを作成するため)。別の実施形態では、ビームフォーマ36は、2つの運動度/運動次元を有し得る(例えば、種々のサイズにサイズ決めされた長方形を作成するため)。他の実施形態では、ビームフォーマ36は、例えば平行四辺形を含む、他の種々の動的に制御された形状にする能力を有してよい。こうした形状の全ては、スキャン中に動的に調整され得る。いくつかの実施形態では、ビームフォーマの遮断部分を回転および/または並進させることができる。
【0037】
ビームフォーマ36を制御し、多くの幾何学的形状にてX線源30により放出された放射線ビーム32の形状を動的に調整することができる。この幾何学的形状には、単列検出器幅または多列検出器を含むもの(これは検出器の有効領域の一部分にすぎない可能性がある)と同様に低いビーム厚さ(幅)を有するファンビームまたはコーンビームが含まれるがこれに限定されない。種々の実施形態では、ビーム厚さは、より大きな検出器の有効領域のうち数センチメートルを照射してもよい。例えば、5~6センチメートルの検出器のうち、3~4センチメートル(検出器面の長手方向で測定)は、イメージング放射線32に選択的に照射されてもよい。この実施形態では、3~4センチメートルのプロジェクション画像データは、後述されるように、それぞれの読取り値を用いて、散乱データを捕捉するのに使用され得る、一方のまたは各側面における非照射の検出器領域のうち、約1~2センチメートルを用いて捕捉されてもよい。
【0038】
他の実施形態では、有効な検出器の大半の部分は、イメージング放射線に選択的に照射されてもよい。例えばいくつかの実施形態では、ビーム厚さは約2センチメートル、約1センチメートル、1センチメートル未満、または同様のサイズの範囲へと減少されてよい。これはより小さな検出器の場合も含む。他の実施形態では、ビーム厚さは約4センチメートル、約5センチメートル、5センチメートル超、または同様のサイズの範囲へと増加されてよい。これはより大きな検出器の場合も含む。種々の実施形態では、照射対有効検出器領域の比率は、30~90%、または50~75%であってよい。他の実施形態では、照射対有効検出器領域の比率は、60~70%であってよい。ただし他の実施形態では、種々の他の照射領域および有効領域のサイズまたは照射対有効検出器領域の比率は適することがある。ビームおよび検出器は、検出器の影領域(有効ではあるが直接放射線に照射されない)が周縁部領域を超えて散乱データを捕捉するには十分であるように構成され得る。
【0039】
種々の実施形態には、測定データが一次(照射)領域および影領域にとって十分であるが、速度および線量制御のために最適化もされるように、検出器の選択的照射を制御する特徴(例えば、ビームサイズ、ビーム/開口の中心、視準、コリメーション、ピッチ、検出器の読出し範囲、検出器の読出し中心など)の最適化が含まれてよい。X線源30からの放射線ビーム32が、例えば狭いおよび広いFOVスキャンの組合せを含む、実施されている特定のイメージングタスクおよび散乱評価プロセスに基づいて同等、またはそれより小さいX線検出器34を射程に入れるように、ビームフォーマ36の形状/位置および検出器34の読出し範囲が制御され得る。機器10は、単一回転コーンビーム画像と、広いビーム角度のコーンビーム画像および狭いビーム角度のコーンビーム画像を、ヘリカルまたはその他の両方で取得する能力を有する。
【0040】
ビームフォーマ36は、このビームフォーマ36にX線源30により放出された放射線ビーム32の形状を調整させる種々の方法で構成されてよい。例えば、ビームフォーマ36は一連のジョー、またはX線源30からの放射線ビームが絞られた方式で通過し得る開口のサイズを画定および選択的に調整する他の適する部材を含むように構成され得る。1つの例示的な構成に関連して、ビームフォーマ36は上部ジョーおよび下部ジョーを含み得る。この場合、上部ジョーおよび下部ジョーは異なる方向(例えば平行な方向)に可動し、X線源30からの放射線ビームが通過する開口のサイズを調整し、かつ更には患者に対するビーム32位置を調整して最適化されたイメージングおよび最小化された患者線量を目的として、画像化される患者の一部分のみを放射線照射する。
【0041】
一実施形態に従い、X線源30からの放射線ビーム32の形状は画像取得中に変更され得る。別の言い方をすれば、例示的な一実施形態に従い、ビームフォーマ36のリーフ位置および/または開口幅は、スキャン前またはスキャン中に調整され得る。例えば一実施形態に従い、ビームフォーマ36は、放射線ビーム32は十分な一次領域/影領域を有する形状を有し、イメージング中に関心対象(例えば前立腺)のみを含むように調整されるよう、X線源30の回転中に選択的に制御および動的に調整され得る。X線源30により放出された放射線ビーム32の形状は、所望の画像取得に応じてスキャン中またはスキャン後に変更され得る。これは更に詳細に後述されるように、イメージングのフィードバックおよび/または治療的なフィードバックに基づいてよい。
【0042】
図2にて示されるように、マルチモーダル機器10は、回転可能ガントリ12に連結されるか、それ以外の場合にはこれによって支持されている高エネルギー放射線源(例えば、MV)20を含む放射線治療装置と一体になっていてよい。一実施形態に従い、高エネルギー放射線源20は、関心領域内で患者内部の腫瘍を治療するために使用される高エネルギーの放射線源などの治療放射線源として構成される。他の実施形態では、高エネルギー放射線源20はまた、イメージング放射線源として構成されるか、またはそのようなものとして少なくとも利用される。治療放射線源は、高エネルギーのX線ビーム(例えばMV X線ビーム)、および/もしくは高エネルギーの粒子ビーム(例えば電子ビーム、光子ビーム、もしくは炭素などの重イオンのビーム)または高エネルギー放射線の別の適した形態であり得ることが理解されるであろう。一実施形態では、高エネルギー放射線源20は、1MeV以上のメガ電子ボルトピーク光子エネルギー(MeV)を含む。一実施形態では、高エネルギーのX線ビームは、0.8MeVよりも大きな平均エネルギーを有する。別の実施形態では、高エネルギーのX線ビームは、0.2MeVよりも大きな平均エネルギーを有する。別の実施形態では、高エネルギーのX線ビームは150keVよりも大きな平均エネルギーを有する。一般には、高エネルギー放射線源20は低エネルギー放射線源30よりも高いエネルギーレベル(ピークおよび/または平均など)を有する。
【0043】
一実施形態では、高エネルギー放射線源20は治療放射線(例えばMV)を発生するLINACであり、イメージングシステムは相対的に低強度で低エネルギーのイメージング放射線(例えばkV)を生成する独立した低エネルギー放射線源30を備える。他の実施形態では、治療放射線源20は例えばCo-60など、一般には1MeV超のエネルギーを有し得る放射性同位体であり得る。高エネルギー放射線源20は、治療計画に従い患者サポート18上に支持されている患者内部の関心領域(ROI)に対し、1つまたは複数の放射線ビームを放出可能である(22によって一般には示される)。
【0044】
種々の実施形態では、高エネルギー放射線源20は治療放射線源およびイメージング放射線源として利用される。詳細に後述されるように、放射線源20、30は、互いに連携して使用され、高品質かつより良好な利用画像を提供し得る。本明細書における治療放射線源20に対する参照は、高エネルギー放射線源20と、イメージングのためにのみ使用され得る低エネルギー放射線源30とを区別するためのものである。ただし、治療放射線源20に対する参照は、治療放射線源20(高エネルギー放射線源)が治療および/またはイメージングに利用され得る実施形態を含む。他の実施形態では、少なくとも1つの追加の放射線源は回転可能ガントリ12に連結され、かつ放射線源20、30のピーク光子エネルギーとは別のピーク光子エネルギーにて、プロジェクションデータを取得するように操作され得る。
【0045】
検出器24は、回転可能ガントリ12に連結、それ以外の場合にはこれに支持され、治療放射線源20からの放射線22を受け取るように位置づけられ得る。検出器24は、減衰されていない放射線量を検出またはこれを測定することができる。したがって、患者または関連する患者のROI(最初に生成されたものと比較して)によって実際に減衰されたものを推量することが可能である。検出器24は、治療放射線源20が患者の周りで回転し、患者に対して放射線を放出する場合、異なる角度からの減衰データを検出またはその他の場合には収集することができる。
【0046】
治療放射線源20は、ビームフォーマまたはコリメータを含むことができるか、またはそれ以外の場合ではこれに関連し得ることが理解されるであろう。治療放射線源20に関連しているビームフォーマは、イメージング線源30に関するビームフォーマ36と同様に、多くの方法において構成され得る。例えば、ビームフォーマはマルチリーフコリメータ(MLC)として構成され得る。これは、最小限開放位置または閉鎖位置と、最大限開放位置との間の1つまたは複数の位置へと移動するように操作可能である、複数の組み合わされたリーフを含み得る。リーフは、放射線源により放出される放射線ビームの所望の形状を獲得するために、所望の位置へと移動され得ることが理解されるであろう。一実施形態では、MLCにより、サブミリメートルの標的精度が可能となる。
【0047】
治療放射線源20は、イメージング線源30と同一平面、またはこれとは異なる面(オフセット)へと取り付けられ、構成され、および/または移動されてよい。いくつかの実施形態では、放射線源20、30の同時放射化により生じた散乱は、放射面をオフセットすることで徐々に減少されてよい。他の実施形態では、放射化を挿入することにより散乱を回避することができる。例えば、同時マルチモーダルイメージングについては、この取得は同時発生であり得、同時発生する個々のパルスを有しない。別の実施形態では、例えばkV検出器におけるMV散乱といった問題に対処するため、シャドーベースの散乱補正の使用が使用され得る。
【0048】
放射線治療装置と統合される際、マルチモーダル機器10は画像を提供することができる。これは放射線供給処置(治療)をセットアップ(例えば位置合わせおよび/または登録)、計画および/または管理するために使用される。典型的なセットアップは、現在の(治療中の)画像と治療前画像の情報とを比較することで達成される。治療前画像の情報には、例えばCTデータ、コーンビームCTデータ、MRIデータ、PETデータまたは3D回転血管造影検査(3DRA)データおよび/または上述の機器もしくは他のイメージング診断手段から得られた任意の情報を含んでよい。いくつかの実施形態では、マルチモーダル機器10は治療中の患者、標的またはROIの動きを追跡し得る。
【0049】
再構成プロセッサ40は、検出器24および/または検出器34に動作可能に連結され得る。一実施形態では、再構成プロセッサ40は、検出器24、34によって受け取られた、放射線源20、30からの放射線に基づく患者画像を生成させるように構成されている。再構成プロセッサ40は、以下により完全に記載される方法を実行するために使用されるように構成され得ることが理解されるであろう。機器10はまた、処理アルゴリズムおよび再構成アルゴリズムならびにソフトウェア、イメージングパラメータ、事前画像か、それ以外の場合では事前取得された画像からの画像データ(例えば計画画像)、治療計画などを含むがこれに限定されない情報を保存するのに適しているメモリ44を含むことができる。
【0050】
マルチモーダル機器10は、操作者/ユーザインタフェース48を含むことができる。この場合、機器10の操作者は、機器10と相互作用するか、またはそれ以外の場合ではこれを制御し、スキャンに関連する入力またはイメージングパラメータなどを提供することができる。操作者インタフェース48は、キーボード、マウス、音声起動コントローラなどの任意の適した入力装置を含むことができる。機器10はまた、機器10の操作者に出力を提供するために、ディスプレイ52または他の人間が読取り可能な要素を含むことができる。例えば、ディスプレイ52により、操作者は再構成された患者画像およびイメージングパラメータまたはスキャンパラメータなど、機器10の操作に関連する他の情報を観察することができる。
【0051】
図2に示されるように、マルチモーダル機器10は機器10の1つまたは複数の構成要素と動作可能に連結されたコントローラ(60として一般には示される)を含む。コントローラ60は、X線源30および/または治療放射線源20、ならびに回転可能ガントリ12の回転速度および位置を制御するガントリモータコントローラへと電力およびタイミング信号を提供することを含む、機器10の全体的な機能および操作を制御する。コントローラ60は、患者サポートのコントローラ、ガントリコントローラ、治療放射線源20および/またはX線源30に連結されたコントローラ、ビームフォーマのコントローラ、検出器24および/またはX線検出器34に連結されたコントローラなどのうち、1つまたは複数を包含することができることが理解されるであろう。一実施形態では、コントローラ60は、他の構成要素、装置および/またはコントローラを制御可能であるシステムコントローラである。
【0052】
種々の実施形態では、再構成プロセッサ40、操作者インタフェース48、ディスプレイ52、コントローラ60および/または他の構成要素は、1つもしくは複数の構成要素または装置と組み合わせられてよい。
【0053】
機器10は種々の構成要素、論理およびソフトウェアを含んでよい。一実施形態では、コントローラ60はプロセッサ、メモリおよびソフトウェアを含む。限定するわけではなく例として、マルチモーダル機器および/または放射線治療システムは、特定の用途のため、イメージングおよび/またはIGRTに関連する1つまたは複数のルーチンまたはステップを実施可能である、種々の他の装置および構成要素(例えば、特にガントリ、放射線源、コリメータ、検出器、コントローラ、電源、患者サポート)を含むことができる。ルーチンには、イメージング、画像ベースの供給前ステップ、および/または個々の装置の設定、構成および/または位置(例えば、経路/軌道)を含む治療供給が含まれ得るが、これらはメモリ内に保存されてよい。更には、1つまたは複数のコントローラは、1つもしくは複数の装置および/またはメモリ内に保存された1つもしくは複数のルーチンもしくはプロセスに従い、構成要素を直接または間接的に制御することができる。直接制御の一例は、種々の放射線源またはイメージングまたは治療に関連するコリメータパラメータ(電力、速度、位置、タイミング、調節など)の設定である。間接制御の一例は、位置、経路、速度などを、患者サポートのコントローラまたは他の周辺装置へと通信することである。機器に関連することがある種々のコントローラのヒエラルキーは、任意の適した方法によって取り決められ、所望の装置および構成要素へと、適切なコマンドおよび/または情報を伝達することができる。
【0054】
加えて、当業者はこのシステムおよび方法は他のコンピュータシステム構成で実装されてよいことを理解するであろう。本発明の例示された態様は、分散コンピュータ環境にて実施されてよく、この環境では、特定のタスクは通信ネットワークを介して接続されるローカル処理装置またはリモート処理装置によって実行される。例えば一実施形態では、再構成プロセッサ40は個別のシステムに関連づけられてよい。分散コンピュータ環境では、プログラムモジュールはローカルおよびリモートメモリ保存装置の両方に配置されてよい。例えば、リモートデータベース、ローカルデータベース、クラウドコンピュータプラットフォーム、クラウドデータベースまたはそれらの組合せは、機器10を用いて利用され得る。
【0055】
マルチモーダル機器10は、コンピュータを含む本発明の種々の態様を実施するための例示的な環境を利用することができる。このコンピュータには、コントローラ60(例えば、プロセッサおよびメモリ44であり得るメモリを含む)ならびにシステムバスを含む。システムバスは、プロセッサに対してのメモリを含むがこれに限定されない、システム構成要素に連結することができ、他のシステム、コントローラ、構成要素、装置およびプロセッサと通信することができる。メモリには、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードドライブ、フラッシュドライブおよびコンピュータ可読媒体の他の形態を含むことができる。メモリは、ルーチンおよびパラメータを含む、種々のソフトウェアおよび例えば治療計画を含み得るデータを保存することができる。
【0056】
治療放射線源20および/またはX線源30は、治療放射線源20およびX線源30の相対的な操作を制御するように構成されたコントローラ60に動作可能に連結され得る。例えばX線源30は治療放射線源20で制御することができ、かつこれと同時に操作可能である。これに加えてまたは代替的には、X線源30は実施される特定の治療計画および/またはイメージング計画に応じて、治療放射線源20により制御および順次操作することができる。例えば種々の実施形態では、放射線源20、30からの測定されたプロジェクションデータは、同時に(または本質的に/例えば、互いに約50ms内などほぼ(ある程度)同時に)または順次(例えば、秒、分などによって分離)取得されるように放射線源20、30を操作することができる。
【0057】
放射線源20、30および1つまたは複数の検出器24、34は、多くの方法においてイメージングおよび/または治療スキャン中に患者の周りでの回転を提供するように構成され得ることが理解されるであろう。一実施形態では、患者サポート18の長手方向の動きを伴う線源20、30の動きと照射を同期させることで、処置中、患者画像の連続ヘリカル取得またはスキャンを提供することができる。放射線源20、30および1つまたは複数の検出器24、34の連続回転(例えば、連続した患者の運動速度を有するガントリの連続回転および一定回転)に加え、開示された手法の範囲から逸脱することなく他の変形例が使用され得ることが理解されるであろう。例えば、回転可能ガントリ12および患者サポートは、サポートが回転可能ガントリ12に対して移動するように(一定速度または可変速度にて)制御される際、ガントリ12が「往復」方式(例えば、時計回りの回転および反時計回りの回転を交互する)にて患者サポート上に支持された患者の周りを回転する(上記のように、連続方式のものとは対照的に)ように、制御され得る。別の実施形態では連続ステップアンドシュート全周スキャンを用いることで、長手方向での患者サポート18の動き(ステップ)は、所望のボリュームが捕捉されるまで回転可能ガントリ12によるスキャン回転(シュート)と交互される。マルチモーダル機器10は、ボリュームベースおよび平面ベースの画像取得を行う能力を有する。例えば種々の実施形態では、マルチモーダル機器10を使用してボリューム画像および/または平面画像を取得し、以下に記載する散乱評価/散乱補正方法を含む関連する処理を実行することができる。
【0058】
プロジェクションデータの生成のため、種々の他の種類の放射線源および/または患者サポートの移動を利用し、放射線源および患者の相対運動を取得してもよい。上記機器10の種々の実施形態との組合せを含む、放射線源および/または患者サポートの非連続的な動き、連続しているが可変的な/非一定(直線および非直線を含む)な移動、速度、および/または軌道など、ならびにそれらの組合せが使用されてよい。
【0059】
一実施形態では、ガントリ12の回転速度、患者サポート18の速度、ビームフォーマの形状および/または検出器の読取り値は、画像取得中は全て一定であり得る。他の実施形態では、これらの変数のうち1つまたは複数は、画像取得および/または治療中に動的に変化し得る。ガントリ12の回転速度、患者サポート18の速度、ビームフォーマの形状、および/または検出器の読取り値は異なる因子と均衡させるために変更されてよい。この因子は例えば、画質、画像取得時間、線量、ワークフローなどを含む。
【0060】
他の実施形態では、これらの特徴は1つまたは複数の他の画像ベースの作用または処置と組み合わせられる。この作用または処置は例えば、患者の設定、適応可能な治療モニタリング、治療計画などを含む。
【0061】
図3は、例示的な放射線治療環境300を示す。放射線治療環境300は、参照イメージングシステム102およびIGRTシステム104を含む。IGRTシステム104は例えば、マルチモーダル機器10およびその種々の構成要素および上記の装置を備えてよい。
【0062】
一実施形態では、参照イメージングシステム102は、例えばCTシステムまたはMRIシステムといった高精度ボリュームイメージングシステムを含むことができる。多くの臨床環境におけるコストおよびワークフローを考慮するといった観点では、参照イメージングシステム102は、臨床環境または病院環境において種々の異なる目的に使用される一般目的の手段であり、IGRTシステム104または環境300に特化されるわけではない。むしろ、参照イメージングシステム102は、それ自体の個別の部屋またはアーチ構造の部屋に配置されてもよく、IGRTシステム104とは別個の、より一般化された基準にて購入、設置および/または維持される。したがって、
図3の実施形態では、参照イメージングシステム102はIGRTシステム104とは異なるものとして例示されている。他の実施形態では、参照イメージングシステム102は、IGRTシステム104の一体型構成要素として考えられてよい。例えば、マルチモーダル機器10は、参照イメージングシステム102およびIGRTシステム104として機能する能力を有する。
【0063】
この実施形態では、IGRTシステム104は、患者サポートまたは治療カウチTC上に位置づけられた患者Pの標的ボリュームに高エネルギーX線治療放射線を選択的に適用する、高エネルギー放射線治療(MV)線源108を備える。MV線源108は、システムコントローラ114、および一実施形態ではより詳細には、治療放射線制御サブシステム128の制御下で治療放射線を適用する。システムコントローラ114は、処理回路網120と、検出器コントローラ122と、カウチ位置コントローラ124と、kV放射線コントローラ126とを更に備え、各々は本明細書で更に記載される1つまたは複数の機能を達成するようにプログラムおよび構成される。1つまたは複数のイメージング(kV)放射線源110は、kV放射線コントローラ126の制御下で、比較的低エネルギーのX線イメージング放射線を選択的に放出し、イメージング放射線は1つまたは複数の検出器112によって捕捉される。1つまたは複数の検出器112は、標的ボリュームを通って伝搬されたMV線源108からの高エネルギーX線治療放射線を捕捉することができる。
【0064】
各kV放射線源110およびMV放射線源108は、動的に移動可能であるため、IGRTシステム104および/または治療室の(x、y、z)座標系に対して精密に測定可能および/または精密に決定可能な幾何学的形状を有する。
【0065】
カウチポジショナー130は、カウチTCを位置づけるため、カウチ位置コントローラ124によって作動させることができる。いくつかの実施形態では、非X線ベースの位置センシングシステム134は、光学ベースまたは超音波ベースの方法といった電離放射線が関与しない1つまたは複数の方法を用いて、患者に戦略的に取り付けられた1つもしくは複数の外部マーカの位置および/もしくは動きを検知し、ならびに/または患者の皮膚表面自体の位置および/もしくは動きを検知する。IGRTシステム104は、操作者ワークステーション116および治療計画システム118を更に含む。
【0066】
一般的な臨床診療では、治療計画は、参照イメージングシステム102によって生成された事前取得された治療計画画像または事前画像データ106に対して実行される。事前取得された治療計画画像106は、患者が受けることになる1つまたは複数の放射線治療時の、実質的に前もって(例えば、1日~2日前)取得された高分解能三次元CT画像であることが多い。IGRTシステム104の治療室を例示した(x、y、z)治療室の座標系とは対照的に、事前取得された治療計画画像106の(i、j、k)座標系を例示することにより
図3で示されるように、治療計画画像106の座標系と治療室の座標系との間では、一般には既存または固有の位置合わせまたはレジストレーションは存在していない。治療計画プロセス中、医師は典型的には、治療計画画像内に座標系(例えば、治療計画画像106におけるi、j、k)を確立する。これは本明細書では計画画像座標系または計画画像参照フレームとも呼ばれ得る。放射線治療計画は、各治療時の間にMV線源108により適用される高エネルギー治療放射線ビームの種々の向き、サイズ、持続時間などを決定する計画画像座標系で策定される。標的への治療放射線の正確な供給は、供給および追跡システム(存在する場合)の全体が治療室の座標系に較正されることから、治療室の座標系と計画画像座標系との位置合わせが必要となる。この位置合わせは精密である必要はなく、カウチの調整またはビーム供給の調整を使用し、2つの座標系間の位置合わせにおけるオフセットを考慮することが可能であると理解されるであろう。
【0067】
一実施形態では、各治療時の直前に、本明細書にて以下で更に記載される1つまたは複数の実施形態によるものを含むkVイメージング放射線源110による画像誘導下にて、画像ベースの供給前ステップが実行されてよい。例えば、計画画像座標系(例えば限定されるものではないが、CT画像または計画画像上で治療計画を作成する間に医師によって定義される)は、ここでは初期治療位置合わせまたは初期治療位置と呼ばれる治療室の座標系との初期位置合わせに位置づけられるように、患者は物理的に位置づけられるか、または位置合わせされ得る。この位置合わせは、一般には患者セットアップまたは患者の位置合わせと呼ばれる。標的ボリュームの位置に応じて、標的ボリュームは、位置および向きを変化させる可能性ならびに/または患者の移動および/もしくは呼吸などの生理学的サイクルによるボリューム変形を受ける可能性がある。本明細書で使用される場合、治療中の位置合わせの変動または治療中の位置の変動という用語は、標的ボリュームの現在の状態が初期治療位置の位置合わせと異なる位置、向きおよび/またはボリューム形状の変動を指すために使用される。治療計画の座標系と治療室の座標系との間の既知の関係により、治療中の位置合わせの変動という用語はまた、標的ボリュームの現在の状態が治療計画の座標系の状態と異なる位置、向き、またはボリューム形状の変動を指すために使用することができる。より一般には、初期治療位置合わせまたは初期治療位置という用語は、本明細書では、治療開始時における、患者セットアップ時の患者の身体部分の特定の物理的姿勢または配置(位置、向きおよびボリューム形状を含む)を指す。
【0068】
非X線ベースの位置センシングシステム134もまた、提供することができる。この非X線ベースの位置センシングシステム134は、例えば、呼吸に応答して動く患者の胸部に何らかの方法で固定された外部マーカを含むことができる。これは標的位置を精密に決定することができる。呼吸をモニタリングするための他の機構もまた使用されてよい。例えば、準静的位置の位置決め、心臓ゲーティングのためのEKGなどを含む、他の非呼吸位置センシングシステム134も使用することができる。システム134は、例えば単眼または立体X線プロジェクションによって決定されるように、外部マーカの動きを標的の動きと相関させることができる。したがって非X線ベースの位置センシングシステム134により、システムコントローラ114が外部マーカの動きを監視し、相関モデルを使用してリアルタイムで(例えば、~約60Hz)標的をどこに配置するかを精密に予測し、治療ビームを標的に向けることが可能となる。移動する標的の治療が進行するにつれて、追加のX線画像が取得され、相関モデルを検証および更新するためにこれが使用され得る。
【0069】
本明細書で使用される場合、医療画像の「レジストレーション」は、それらの医療画像に生じる、対応する解剖学的特徴または他の(例えば基準)特徴の数学的関係の決定を指す。レジストレーションは、医療画像の一方または両方に適用される際に、対応する解剖学的特徴のオーバーレイを引き起こす1つまたは複数の空間変換の決定を含むことができるがこれに限定されない。空間変換には、剛体変換および/または変形可能な変換が含まれ得る。また、医用画像が異なる座標系または基準フレームからのものである場合には、それらの座標系または基準フレームの差異を考慮することができる。医用画像が同じイメージングシステムを使用して取得されず、かつ同時に取得されない場合、レジストレーションプロセスには、異なるイメージングシステムのイメージング診断手段、イメージング幾何学的形状、および/または基準フレームとの間の差異を考慮する第1の変換の決定と、取得時間の間で発生した身体部分における根本的な解剖学的差異(例えば、位置決め差、全体的な移動、身体部分内部の異なる構造間の相対的な動き、全体的な変形、身体部分内部の局所的な変形など)を考慮する第2の変換の決定とを共に含むことができ、ただしこれらに限定されない。
【0070】
画像のレジストレーションは、参照イメージングシステム102とIGRT供給システム104との間、ならびに/または1つもしくは複数の低エネルギー線源110および高エネルギー線源108(およびそれらに関連する検出器112)を含む、マルチモーダルIGRT供給システム104の種々の診断手段から導出されたデータおよび/もしくは画像の間で実施することができる。特に、機器10に戻って参照すると、レジストレーションは、放射線源20、30および検出器24、34から導出されたデータおよび/または画像間で実施することができる。
【0071】
IGRTの文脈におけるものを含むデュアルソースシステム(例えば、kV-MV)イメージングは、これらの環境で使用される典型的なイメージングシステムのいくつかの問題および制限に対処し、解決することができる。一般には、kVサブシステムからのデータ取得とMVサブシステムからのデータ取得とを組み合わせることにより、種々の向上を得ることができる。例えば、いくつかの実施形態では、kVプロジェクションデータを使用してMVプロジェクションデータを完成させることができ、その逆も可能である。他の実施形態では、MVプロジェクションデータは、ROI kVイメージングのために使用することができる。更に他の実施形態では、両方の診断手段からのデータを使用して互いに補完することができる。この方法は、画質の向上のため(例えば、X線散乱の減少、およびこれによる軟組織のコントラストの向上)、肥満患者のスキャン、ROI画像化などに有意であり得る。
【0072】
一実施形態では例えば、一次イメージングシステムを使用して取得された標的ROIに対応するプロジェクションデータは、一次イメージングシステムのスキャンFOVの外側の領域に対応する二次イメージングシステムを使用して取得された追加のプロジェクションデータと組み合わせることができる。一実施形態では、次に二次イメージングシステムからのプロジェクションデータを使用し、画像再構成に必要な一次イメージングシステムのスキャンFOVの外側の欠落データまたは不完全データを評価することができる。例えば、肥満患者のスキャンの場合、MVサブシステムを使用して患者の中央領域(横方向に切り捨てられている)を取得することができ、kVサブシステムを使用して患者の周辺領域を取得することができる。次に、kVプロジェクションデータを使用し、画像再構成の品質を向上させるために欠落したMVプロジェクションデータを評価するのを支援する。
【0073】
いくつかの他の例示的な実施形態は、以下にて詳細に記載されるであろう。これらの実施形態の各々は、1つまたは複数の例示的なスキャン構成を使用することができる。
【0074】
一実施形態では
図4は、例示的なマルチモーダルスキャン構成400の図を示す。リングガントリ410の正面を見ると、
図4はリングガントリ410に取り付けられた高エネルギー放射線源420(例えば、MV)および低エネルギー放射線源430(例えば、kV)を示す。放射線源420、430は、互いに直交して取り付けられた状態で示されているが、他の実施形態は、他の角度関係ならびに追加の放射線源および/または検出器を含むことができる。高エネルギー放射線源420は、コリメータまたはビームフォーマ426によって放射線を投射し、検出器424の一部へと投射する放射線ビーム422を生成するように示されている。この構成では、高エネルギー放射線源420は、体軸横断FOV428を有する。低エネルギー放射線源430は、ビームフォーマ436によって放射線を投射し、検出器434の一部へと投射する放射線ビーム432を生成するように示されている。この構成では、低エネルギー放射線源430は、体軸横断FOV438を有する。検出器434は、その範囲435内部の中心に置かれた状態で示されている。このようにして、放射線源420、430は、重複する体軸横断FOVを通って放射線を投射する。この実施形態では、マルチモーダルスキャン構成400は、低エネルギーFOV438よりも大きな体軸横断FOVを有する高エネルギーFOV428を示す。
【0075】
別の実施形態では、
図5は例示的なマルチモーダルスキャン構成500の例示を示す。リングガントリ410の正面を見ると、
図5はまた、リングガントリ410に直交して取り付けられた高エネルギー放射線源420および低エネルギー放射線源430を示す。高エネルギー放射線源420は、ビームフォーマ526によって放射線を投射し、検出器524へと投射する放射線ビーム522を生成するように示されている。この構成では、高エネルギー放射線源420は、体軸横断FOV528を有する。低エネルギー放射線源430は、ビームフォーマ536によって放射線を投射し、オフセットされた検出器534へと投射する放射線ビーム532を生成するように示されている。この構成では、低エネルギー放射線源430は、少なくとも180度の回転を有する体軸横断FOV538を有する。このようにして、放射線源420、430はまた、重複する体軸横断FOVを通って放射線を投射する。この実施形態では、マルチモーダルスキャン構成500は、高エネルギーFOV528よりも大きな体軸横断FOVを有する低エネルギーFOV538を示す。
【0076】
これらの実施形態および他の実施形態では、マルチモーダルシステムは、例えばMV(例えば、MVCT)およびkV(例えば、kVCT)といった2つまたは複数のサブイメージングシステムからなり得る。MVイメージングシステムは、MV放射線源(例えば、420)およびMV放射線検出器(例えば、424)からなり、kVイメージングシステムは、kV放射線源(例えば、430)およびkV放射線検出器(例えば、434)からなる。それぞれのビームフォーマ(例えば、426および/または436)もまた、サブシステムに含まれ得る。MVイメージングシステムおよびkVイメージングシステムは、必ずしも同一平面上にあるとは限らない。例えば、2つのサブシステム間の短い長手方向距離は許容され得る。kVシステムは、MVシステムから約90度離れることができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、MV検出器を固定することができ、これにより固定されたスキャンFOVが得られる。一方、kV検出器は、上記
図4~
図5に示されるように、kVイメージングシステムの対応するスキャンFOVが順応可能であるように、ガントリ平面内の線に沿って並進可能である。そのような順応性のあるスキャンFOVは、患者への不必要なX線線量を回避するために作動可能なビームフォーマを用いて実行することができる。システムはまた、患者前および患者後ろの他のフィルタを含んでよい。
【0078】
例えば、ビームフォーマ構成、放射線源角度、検出器位置などを含む種々の因子を使用し、放射線源のそれぞれのFOV(例えば、体軸横断方向および体軸方向)を制御することができる。いくつかの実施形態では、放射線源420、430は、長手方向に(y軸に沿って)物理的にオフセットされてよく、異なる時間で(時間的にオフセットされて)患者をスキャンしてもよい。
【0079】
一実施形態では、
図6は、体軸横断面615にて例示的な大型患者605を通して投影している、例示的なマルチモーダルスキャン構成600の例示を示す。この実施形態は、MVシステムの体軸横断FOVを超えて延在する大型患者のイメージングにとって適用可能であり、および/または患者へのX線線量を低減するために適用可能であり得る。リングガントリ610の正面を見ると、
図6はまた、リングガントリ610に直交して取り付けられたMV放射線源620およびkV放射線源630を示す。
【0080】
MV放射線源620は、ビームフォーマ626によって放射線を投射し、検出器624へと投射する放射線ビーム622を生成するように示されている。この構成では、MV放射線源620は、628によって境界付けられた中央領域627に体軸横断FOVを有する。
【0081】
kV放射線源630は、ビームフォーマ636によって放射線を投射し、オフセットされた検出器634へと投射する放射線ビーム632を生成するように示されている。フラットパネル検出器634は、その範囲635内部で、および非照射領域633とオフセットした状態で示されている(ビームフォーマ636に起因する)。この構成では、kV放射線源630は、少なくとも180度の回転で638および639によって境界付けられた周辺領域637に体軸横断FOVを有する。
【0082】
このようにして、放射線源620、630は、隣接するまたは重複する体軸横断FOV(すなわち、中央領域627と周辺領域637とが重複する場合)を通って放射線を投射する。いくつかの実施形態では、ボウタイフィルタ(図示せず)を利用し、より大きな検出器634のダイナミックレンジを可能とすることができる。
【0083】
図7は、放射線システムの重畳図を有する、体軸方向(長手方向)面715にて例示的な大型患者605を通して投影している、例示的なマルチモーダルスキャン構成600の別の例示を示す。リングガントリ(図示せず)の側面を見ると、
図7は、同じ体軸方向平面715内で回転および重ね合わされた、MV放射線源620およびkV放射線源630の位置を示す。放射線源620、630は、必ずしも同じ平面内に取り付けられるわけではなく、典型的には互いに対して取り付けられるわけではない(例えばそれらは、90度離れてガントリシステムに取り付けられてよい)が、それぞれの図および特徴の例示的な重複を示すために
図7に重ね合わされて示されている。他の実施形態は、他の角度関係ならびに追加の放射線源および/または検出器を含むことができる。
【0084】
MV放射線源620は、ビームフォーマ626によって放射線を投射し、検出器624へと投射する放射線ビーム622を生成するように示されている。この構成では、MV放射線源620は、体軸FOV727を有する。kV放射線源630は、ビームフォーマ636によって放射線を投射し、検出器634の一部へと投射する放射線ビーム632を生成するように示されている。この構成では、kV放射線源630は、体軸FOV737を有する。検出器634は、ビームフォーマ636により直接放射線から遮断される影領域633と共に示されている。検出器は、体軸方向および/または体軸横断方向に影領域を有し得る。このようにして、放射線源620、630は、重複する体軸FOVを通って放射線を投射する。
【0085】
図8は、
図7に示される体軸方向平面715のズームイン部分800を示す。放射線ビーム622、632は、患者605を通過するように示されている。MVシステム体軸FOV領域727は828によって境界付けられ、kVシステム体軸FOV領域737は838によって境界付けられ、重複するイメージングデータを提供する。ここで、kVシステム体軸FOV737は、領域840として示されるMVシステム体軸FOV727を超えてイメージングデータを提供する。
【0086】
上述されるように、この構成は大型または肥満患者の撮像を含む、大撮影領域(LFOV)のMVイメージング用に設計することができる。マルチモーダルシステムのMVサブシステムとkVサブシステムの両方を使用することができる。一実施形態では、
図6の体軸横断面615に示されるように、MVシステムを使用して、スキャンされた患者605の中央領域627に対応するプロジェクションデータを取得する。MVプロジェクションデータは、患者605のサイズが大型であり、かつMV検出器624の体軸横断FOV628が制限されるために切り捨てられる。kVシステムを使用し、スキャンされた患者605の周辺領域637に対応するプロジェクションデータを取得する。kVプロジェクションデータはまた、中央領域627の境界628内部にある境界639の内側で切り捨てられる。同じ角度位置(異なるタイミングに対応し得る)におけるkVプロジェクションデータとMVプロジェクションデータとの間に重複があることが必要とされる。2つのサブシステムの設計はまた、
図7~
図8の体軸方向(長手方向)にも示されている。
【0087】
以下のフローチャートおよびブロック図は、上記のマルチモーダル放射線システムに関連する例示的な構成および方法論を例示する。例示的な方法論は論理、ソフトウェア、ハードウェアまたはそれらの組合せで実行されてよい。加えて、処置および方法は順に表されているが、ブロックは直列および/または並列を含む異なる順で実行されてよい。更には、追加のステップまたはそれよりも少ないステップが使用されてよい。
【0088】
図9は、kVプロジェクションデータを用いた周辺領域における、欠落しているMVプロジェクションデータに近づけるために、上記の放射線診断手段といった複数の放射線診断手段からのスキャンデータを組み合わせる例示的な方法900を表すフローチャートである。ステップ910では方法900は、マルチモーダルシステムの各診断手段に対するスキャン設計を含む、スキャン構成を決定する。ステップ920では、中央領域のMVスキャンが実行される。ステップ930では、周辺領域のkVスキャンが実行される。上記のように、それぞれのスキャンは、MVスキャンデータ922(周辺領域で切り捨て)およびkVスキャンデータ932(中央領域で切り捨て)を生成する。次に、ステップ940では方法900は、kVスキャンデータ932を使用またはこれを組み合わせてMVスキャンデータ922を完成させ、完全なMV投影または非切り捨てMVデータ942を形成する。次に、ステップ950では方法900は、例えばMV画像を再構成するために、非切り捨てMVデータ942を処理する。ステップ960では、再構成されたMV画像を出力することができる。
【0089】
別の実施形態では、
図10は、体軸横断面1015にて例示的な患者1005を通して投影している、例示的なマルチモーダルスキャン構成1000の例示を示す。この実施形態は、特に例えば軟組織の可視化を目的として、患者に対するX線線量を低減し、X線散乱を低減し、および/またはkV画質を向上させるためにイメージングに適用可能であり得る。リングガントリ1010の正面を見ると、
図10はまた、リングガントリ1010に直交して取り付けられたMV放射線源1020およびkV放射線源1030を示す。
【0090】
MV放射線源1020は、ビームフォーマ1026によって放射線を投射し、検出器1024へと投射する放射線ビーム1022を生成するように示されている。検出器1024は、ビームフォーマ1026により直接放射線から遮断される影領域1023と共に示されている。この構成では、MV放射線源1020は、1028および1029によって境界付けられた中間領域1027に体軸横断FOVを有する。
図11は、例示的なマルチモーダルスキャン構成1000のMVサブシステム1100の例示を示す。
【0091】
kV放射線源1030は、2つの開口を有するビームフォーマ1036によって放射線を投射し、オフセットされた検出器部分1034および1044へと投射する、1つまたは複数の放射線ビーム1032を生成するように示されている。フラットパネル検出器は、その範囲1035内部で、および非照射領域1033とオフセットした状態で示されている(ビームフォーマ1036に起因する)。この構成では、kV放射線源1030は、関心の部分に対して、および1048によって境界付けられた中央領域1047における、少なくとも180度の回転で1038および1039によって境界付けられた周辺領域1037に体軸横断FOVを有する。いくつかの実施形態では、中央領域1047は、患者の標的領域を含むことができる。
図12は、例示的なマルチモーダルスキャン構成1000のkVサブシステム1200の例示を示す。本実施形態はkV中央領域1047とkV周辺領域の両方を含むが、他の実施形態ではこの両方を含む必要はない。例えば別の実施形態では、(1つのkV開口を有する)中央領域1047のみを含む。
【0092】
このようにして、放射線源1020、1030は、隣接するまたは重複する体軸横断FOV(すなわち、MV中間領域1027が、kV周辺領域1037およびkV中央領域1047と重複する場合)を通って放射線を投射する。
図13は、重畳
図1300におけるマルチモーダルスキャン構成1000によって作成されたMV FOV中間領域1027ならびにkV FOV周辺領域1037およびFOV中央領域1047の例示を示す。特に、MV FOV中間領域1027とkV FOV中央領域1047は、領域1310(網掛け部分)で重複し、MV FOV中間領域1027とkV FOV周辺領域1037は、領域1312(網掛け部分)で重複する。
【0093】
上述されるようにこの構成は、X線線量を低減し、X線散乱を低減し、および/またはkV画質を向上させることを含む、kV関心領域(ROI)イメージング用に設計することができる。他の実施形態では、MV ROIイメージングに同様の構成を使用することができる。マルチモーダルシステムのMVサブシステムとkVサブシステムの両方を使用することができる。一実施形態では、
図10および
図12の体軸横断面1015に示されるように、kVサブシステム1200は、2つのスキャンFOV1037、1047を提供する。中央領域1047は中央に位置し、周辺領域1037は周辺部に配置されるドーナツ形状である。中央領域1047は、患者の標的ROIであり得る。一方、周辺領域1037は、補助目的であり得る。2つのスキャンFOV1037、1047は切断されているため、精密な画像再構成に必要な2つのスキャンFOV1037、1047間のプロジェクションデータが欠落している。一実施形態では、これらの欠落kVデータの評価は、例えば補間による利用可能なkVプロジェクションデータに基づき得る。周辺領域1037のkVプロジェクションデータは、患者の範囲情報を提供するので、この欠落データの評価にとって重要である。ただし上述されるように、より単純化されたROIの一実施形態では、周辺領域1037は使用されない。
【0094】
この実施形態では、周辺スキャンFOV 1037に対応するkVビームフォーマ1036部分は、線量を減ずるために患者の形状に適応可能であり得る(事前CTデータの使用を含むことができる)。MVプロジェクションデータは、用途に応じて必要であってもなくてもよい。一実施形態では、
図10および
図11の体軸横断面1015に示されるように、MVサブシステム1100は、より良好なkVデータ完成のための情報を提供するように、kVスキャンFOV1037、1047を補正または補完することができるスキャンFOV1027内のプロジェクションデータを提供することができる。フラットパネル検出器のより大きなダイナミックレンジを可能にするためにボウタイフィルタが含まれ得ることに留意されたい。
【0095】
図14は、MVプロジェクションデータを用いて中間領域内の欠落しているkVプロジェクションデータに近づけるために、上記のような複数の放射線診断手段からのスキャンデータを組み合わせる例示的な方法1400を表すフローチャートである。ステップ1410では、方法1400は、マルチモーダルシステムの各診断手段に対するスキャン設計を含む、スキャン構成を決定する。ステップ1420では、中間領域のMVスキャンが実行される。ステップ1430では、周辺領域のkVスキャンが実行される(周辺領域を含む実施形態の場合)。ステップ1440では、中央領域のkVスキャンが実行される。上記のようにそれぞれのスキャンは、MV中間スキャンデータ1422(周辺領域および中央領域で切り捨て)、kV周辺スキャンデータ1432(中間領域で切り捨て)、およびkV中央スキャンデータ1442(中間領域で切り捨て)を生成する。KVプロジェクションデータは、kV周辺領域と中央領域との間で欠落している。次に、ステップ1450では方法1500は、MVスキャンデータ1422を使用またはこれを組み合わせてkVスキャンデータ1432、1442を完成させ、完全なkV投影または非切り捨てMVデータ1452を形成する。ステップ1450はまた、MVスキャンデータ1422の使用に加えて、またはその代わりに、kVスキャンデータ1432、1442(例えば、MVスキャンデータ1422により最適化される)、利用可能な場合には事前CTデータ(pCT)などといった補間を含むことができる。レジストレーション、リビニングおよび/または他のプロセス(例えば、減衰定数の正規化、散乱補正、スケーリングなど)もまた、ステップ1450に関与してよい。kV周辺スキャン1430がない実施形態では、kVデータ1432は利用不可能であり、使用されない。次に、ステップ1460では、方法1400は、例えばkV画像を再構成するために非切り捨てkVデータ1452を処理する。ステップ1470では、再構成されたkV画像を出力することができる。
【0096】
MVスキャンデータ1422(例えば、ステップ1420を介する)および/またはpCTデータが利用可能な実施形態では、ステップ1450にてそれらのデータを使用して、欠落しているkVデータの評価を向上させることができる。評価されたデータの使用は、主に再構成に関与する広域フィルトレーションオペレータのためのものであり得る。いくつかの実施形態では、ROI領域での画像再構成の実行のみが推奨され得る。
【0097】
上述されるように、いくつかの実施形態では、kV周辺スキャンFOV1037に対応するビームフォーマ1036部分は、患者形状に従って患者線量を更に低減するように適応可能であり得る。大まかな患者形状は、例えばpCT、スカウトビュー、プロジェクションからの適応可能フィードバックなどによって評価することができる。いくつかの実施形態では、中央スキャンFOV1047に対応するビームフォーマ1036部分は、ROI選択の柔軟性を提供するため、非中央ROIに適応可能である。他の実施形態は、両方の適応手法の組合せを使用してよい。
【0098】
欠落しているkVプロジェクションデータのより正確な評価を提供するため、MVサブシステム1100を使用し、kV周辺スキャンFOV1037と中央スキャンFOV1047との間に配置されるスキャンFOV1027を有する、散乱低減スキャンおよび/または線量低減スキャン1420を提供することができる。このプロセス(例えば、ステップ1450にて)は、MVデータとkVデータとの間のレジストレーション、リビニングおよび/またはマッピングに関与してよい。利用可能なpCTデータを使用し、欠落しているkVプロジェクションデータの評価精度を向上させることができる。このプロセス(例えば、ステップ1450にて)は、pCTデータとkVデータとの間のレジストレーション、リビニングおよび/またはマッピングに関与してよい。
【0099】
別の実施形態では、
図15は、放射線システムの重畳図を有する、体軸方向(長手方向)面1515にて例示的な患者1505を通して投影している、例示的なマルチモーダルスキャン構成1500の例示を示す。この実施形態は、IGRTのための例えばSFOV構成を含む種々のオプションを提供する、スケーラブルなFOV(SFOV)デュアルエネルギーイメージングに適用可能である。この実施形態は、スケーラブルな体軸横断FOVとスケーラブルな体軸FOVの両方の一例である。一般には、より広いkV体軸FOVにより、有限のセル寸法にわたるMVプロジェクションのより良好なモデリングが可能である。これは、単列MV検出器にとって重要であり、これによりマルチモーダル画像のスライス厚さを向上させる。リングガントリ(図示せず)の側面を見ると、
図15は、同じ体軸方向平面1515内で回転および重ね合わされた、MV放射線源1520およびkV放射線源1530の位置を示す。放射線源1520、1530は、必ずしも同じ平面内に取り付けられるわけではなく、典型的には互いに対して取り付けられるわけではない(例えばそれらは、90度離れてガントリに取り付けられてよい)が、それぞれの図および特徴の例示的な重複を示すために
図15に重ね合わされて示されている。他の実施形態は、他の角度関係ならびに追加の放射線源および/または検出器を含むことができる。
【0100】
MV放射線源1520は、ビームフォーマ1526によって放射線を投射し、検出器1524へと投射する放射線ビーム1522を生成するように示されている。この構成では、MV放射線源1520は、角度位置λにて、1528によって境界付けられた体軸FOV1527を有する。前の回転中、1520’として指定されたMV放射線源は、λ-2πラジアン(完全1回転の差)である角度位置にて、1528’によって境界付けられた隣接する体軸FOV1527’を有する。後の回転中、1520’’として指定されたMV放射線源は、λ+2πラジアンである角度位置にて、1528’’によって境界付けられた隣接する体軸FOV1527’’を有する。プライム表記(’)は、非プライム形態または他のプライム形態もしくは位置と比較すると、システムの構成要素が移動または変更したことを示すために使用される。例えば、「1520」、「1520’」および「1520’’」は全て、MV放射線源1520を指すが、これらは異なる角度位置にある。
【0101】
kV放射線源1530は、ビームフォーマ1536によって放射線を投射し、検出器1534の一部へと投射する放射線ビーム1532を生成するように示されている。この構成では、kV放射線源1530は、1538によって境界付けられた体軸FOV1537を有する。検出器1534は、ビームフォーマ1536により直接放射線から遮断される影領域1533と共に示されている。検出器は、体軸方向および/または体軸横断方向に影領域を有し得る。
【0102】
このようにして、放射線源1520、1530は、重複する体軸FOV(例えば、体軸方向のMV FOV1527’+1527+1527’’=体軸方向kV FOV1537)を通って放射線を投射する。この実施形態では、MV放射線源1520は3回転を必要とするが、一方でkV放射線源は同じ体軸FOV幅を蓄積するために1回転を必要とする。上述されるように、
図15における放射線源1520、1530の重畳図は、例示のみを目的としている。kVサブシステムおよびMVサブシステムは、異なるタイミングにて例示された角度位置に到達することができる。また、この角度位置では、これらのサブシステムは異なる長手方向位置を有し得る。kVサブシステムは、MVサブシステムFOV1527よりもはるかに大きい長手方向スキャンFOV1537を提供する。これは後述されるように、例えば複数の回転中に、より大きな平面内(体軸横断)スキャンFOVを完成させるために、kVサブシステムに追加の時間を提供する。
【0103】
図16および
図17は、異なる回転中に、体軸横断面1615における例示的な患者1505を通して投影しているマルチモーダルスキャン構成1500中の例示的なkV放射線源1530の例示を示す。
【0104】
リングガントリ1610の正面を見ると、
図16は回転A中にリングガントリ1610に取り付けられたkV放射線源1530を示す。kV放射線源1530は、ビームフォーマ1536を通した放射線を投影するように示され、オフセット検出器1534へと投影している放射線ビーム1532を生成する。フラットパネル検出器1534は、その範囲1635内部で、および非照射領域1533とオフセットした状態で示されている(ビームフォーマ1536に起因する)。検出器は、体軸方向および/または体軸横断方向に影領域を有し得る。回転A中のこの構成では、kV放射線源1530は、少なくとも360度の回転で1538および1539によって境界付けられた周辺領域1537に体軸横断FOVを有する。
【0105】
図17は回転B中にリングガントリ1610に取り付けられたkV放射線源1530を示す。kV放射線源1530は、ビームフォーマ1536’を通した放射線を投影するように示され、オフセット検出器1534へと投影している放射線ビーム1532’を生成する。フラットパネル検出器1534’は、その範囲1635内部で、および非照射領域1533と中央に置かれた状態で示されている(ビームフォーマ1536’による)。回転B中のこの構成では、kV放射線源1530は、1538’によって境界付けられた中央領域1537’に体軸横断FOVを有する。中央領域1537’は、患者1505の標的ROIに対応してよい。標的ROIがアイソセンタから離れている実施形態では、ビームフォーマ1536’の動的コリメーションが必要とされる。
【0106】
このようにして、放射線源1530は、隣接するまたは重複する体軸横断FOV(すなわち、周辺領域1537と中央領域1537’とが重複する場合)を通って放射線を投射する。周辺kVスキャンFOV1537(ドーナツ形状)は、中心から外れた検出器位置1534に対応する。一方、中心kVスキャンFOV1537’(円板形状)は、中心に置かれた検出器位置1534’に対応する。2つのkVスキャンFOV1537、1537’の結合により、完全で大きなkVスキャンFOVがもたらされる。この実施形態では、回転Aおよび回転Bのそれぞれの間、kV体軸横断FOV1537、1537’は
図18の重畳
図1800に示されるように領域1810で重複する。異なる実施形態では、kV放射線源1530は、ビームフォーマ1536が患者1505の体軸横断面1615における周辺領域1537への投影と、中央領域1537’への投影との間で移行するときにオンまたはオフにすることができる。
【0107】
図16および
図17に示される体軸横断
図1615、1615’は、回転AおよびBの間、
図15に示される種々の角度位置(λ-2π、λ、λ+2π)にて体軸方向
図1515と一致させることができる。FOVは、図の異なる視点において個別に示されている、時間的に一致する体軸特性および体軸横断特性を有する。例えば、kV放射線源1530のFOV1537は、種々の回転中に、
図15に示される体軸方向の特性、ならびに
図16および
図17に示される体軸横断の特性を同時に包含する。
【0108】
この実施形態では、kV検出器1534は、長手方向(例えば、
図15に示されるように)にてMV検出器1524よりもはるかに大きいものであり得る。MVスキャンFOV1527よりもはるかに大きな長手方向kVスキャンFOV1537を使用することで、kVサブシステムは、より大きい平面内(体軸横断方向)スキャンFOVを提供するための更に多くの時間を有する。
【0109】
いくつかの実施形態では、重要な設計パラメータは、照射されたkV検出器1534がより小さいMV検出器1524よりもどれだけ大きいかというものであり得る。例えば、HをアイソセンタにおけるMV検出器幅とする。sHを、1よりも大きいスカラーといった状態にする、アイソセンタにおける照射されたkV検出器幅とする。一実施形態では、sの値を決定する基準は、任意の回転角度において、1)標的平面内スキャンFOVの内部にある任意の点、および2)MV放射線源1520により視認可能である任意の点は、任意の方位角度で少なくとも1回、kV放射線源1530により視認可能でなければならないというものである。この要件は、kV検出器1534の移動と、動的ビームフォーマ1536の使用を組み合わせることによって達成され得る。この実施形態では、kV検出器1534およびkVビームフォーマ1536の動きが両方とも連続的であることを確実にするのもまた重要である。
【0110】
図15~
図18は、この要件を充足する例示的な実施形態を示す。この実施形態では、体軸方向(長手方向)kV FOV1537は、体軸方向MV FOV1527よりも約3倍大きい。ある回転角度(λ)は、
図15に示されるように、物体の現在のMV照射部分(境界1528により示される)は、1528’、1528および1528’’のそれぞれに示されるように、事前の回転(λ-2π)、現在の回転(λ)および次の回転(λ+2π)によって同じ方位角度にて可視化される。これらの3つの回転の間、ある回転(例えば、
図16に示されるような回転A)は、kV FOV1537を有する周辺kVスキャンのみに限定され、別の回転(例えば、
図17に示されるような回転B)は、kV FOV 1537’を有する中央kVスキャンのみに限定される。ある回転の(左)縁を使用し、周辺領域1537と中央領域1537’の間の移行が滑らかとなることを確実とすることができる。この構成1500を使用し、同じROIにおけるMVプロジェクションデータおよびkVプロジェクションデータの両方を提供することができる。これにより、ROIのためのデュアルエネルギーイメージングが可能となる。
【0111】
この実施形態では、
図16~
図18に示される2つのkVスキャンFOV1537、1537’は、連続して取得されなくてよい。検出器を一方の位置から他方の位置に並進させるためには、一定の時間が必要とされ得る。ただし、上述されるように、kVサブシステムはMVサブシステムFOV1527よりもはるかに大きい体軸FOV1537を提供することから、完全な体軸MVスキャンのために必要とされる同じ時間の間、より大きい体軸横断スキャンFOVを完成させるためにkVサブシステムのために追加時間が利用可能である。例えば、一実施形態では、ステップ1-第1の完全回転(回転数は0→1.0)では、第1のkVスキャン完全回転(例えば、kVビームフォーマは中央体軸横断FOVに焦点を合わせた状態である、
図17に示された回転B)は、第1のMVスキャン完全回転(例えば、
図15に示されたλ-2π回転)と一致させることができ;ステップ2-次の半回転(回転数は1.0→1.5)では、kVビームフォーマおよび/またはkV検出器の周辺体軸横断領域への並進は、第2のMVスキャン回転の第1の半回転(例えば、
図15に示された、第1のλ回転の半回転)と一致させることができ;ステップ3-次の完全回転(回転数は1.5→2.5)では、第2のkVスキャン完全回転(例えば、kVビームフォーマは周辺体軸横断FOVに焦点を合わせた状態である、
図16に示された回転A)は、第2のMVスキャン回転の第2の半回転(例えば、
図15に示されたλ回転の第2の半回転)および第3のMVスキャン回転の第1の半回転(例えば、
図15に示されたλ+2π回転の第1の半回転)と一致させることができ;ステップ4-次の半回転(回転数は2.5→3.0)では、kVビームフォーマおよび/またはkV検出器の中央体軸横断領域への後退方向での並進は、第3のMVスキャン回転の第2の半回転(例えば、
図15に示された、λ+2π回転の第2の半回転)と一致させることができる。これらの4つのステップは、サイクルとして繰り返すことができる。このようにして、重複期間中に(例えば、3回転の全回転中)、デュアルエネルギー源1520、1530から完全な体軸方向および体軸横断方向のカバリッジを取得することができる。上記のように、同じ領域のkVスキャンおよびMVスキャンのタイミングは、リングガントリ1610内部の放射線源1520、1530の取り付け位置により、いくらかオフセットされ得る。
【0112】
図19は、別の診断手段からの対応するプロジェクションデータに基づき、欠落しているMVプロジェクションデータおよび/またはkVプロジェクションデータに近づけるために、上記の放射線診断手段といった複数の放射線診断手段からのスキャンデータを組み合わせる例示的な方法1900を表すフローチャートである。ステップ1910では、方法1900は、マルチモーダルシステムの各診断手段に対するスキャン設計を含む、スキャン構成を決定する。ステップ1920では、中央領域の例示的なMVスキャンが実行される。ステップ1930では、周辺領域の例示的なkVスキャンが実行される。上記のように、それぞれのスキャンは、MVスキャンデータ1922(周辺領域で切り捨てられてよい)およびkVスキャンデータ1932(中央領域で切り捨てられてよい)を生成する。
【0113】
ステップ1940では、方法1900は、MVスキャンデータ1922がプロジェクションデータを欠落しているかどうかを決定する。そうである場合、ステップ1950では方法1900は、kVスキャンデータ1932を使用またはこれを組み合わせてMVスキャンデータ1922を完成(例えば評価)させ、完全なMVプロジェクションデータまたは非切り捨てMVデータ1952を形成する。MVスキャンデータ1922がプロジェクションデータを欠落していない場合、MVスキャンデータ1922は非切り捨てMVデータ1952である。次に、ステップ1970では、方法1900は、例えばMV画像を再構成するために非切り捨てMVデータ1952を処理する。ステップ1972では、再構成されたMV画像を出力することができる。
【0114】
ステップ1945では、方法1900は、kVスキャンデータ1932がプロジェクションデータを欠落しているかどうかを決定する。はいである場合、ステップ1960では方法1900は、MVスキャンデータ1922を使用またはこれを組み合わせてkVスキャンデータ1932を完成(例えば評価)させ、完全なkVプロジェクションデータまたは非切り捨てkVデータ1962を形成する。kVスキャンデータ1932がプロジェクションデータを欠落していない場合、kVスキャンデータ1932は非切り捨てkVデータ1962である。次に、ステップ1980では、方法1900は、例えばkV画像を再構成するために非切り捨てkVデータ1962を処理する。ステップ1982では、再構成されたkV画像を出力することができる。方法ステップ1950および/または1960中のデータ評価は、レジストレーション、リビニング、マッピングおよび/または上記の他のプロセスを含むことができる。
【0115】
方法1900はまた、再構成画像を成分物質に分解するために物質逆補正エンジンを利用するステップ1990を含んでよい。一実施形態では、1つまたは複数の出力画像は、kV放射線源とMV放射線源の体軸横断FOVとの重複領域内部の物質分離に使用され、成分物質画像を得る。次に、ステップ1995において、成分物質の画像を出力することができる。
【0116】
特定の実施形態を記載したが、他の実施形態では、体軸横断FOVおよび体軸FOVの両方が、種々の組合せでマルチモーダルシステムの各放射線源にとってスケーラブルであることは理解すべきである(すなわち、マルチモーダルシステムの各診断手段は、スケーラブルな体軸横断FOVおよび/または体軸FOVを有することができる。)。いくつかの実施形態では、同じおよび/または異なる診断手段のFOVは、同じであってよい(例えば、体軸横断方向および/または体軸方向)。加えて更なる実施形態では、FOVは隣接するが重複しなくてもよく、間に空間を有してもよく、1つのFOVが重複することなく他のFOV内部に存在するようにまとめられてもよく、これらの組合せであってもよい。
【0117】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数の放射線源は、スパースデータに使用されてよく、異なる分解能、速度、軌道、周波数、電力レベル、線量、FOVなどを利用してもよい。いずれの場合でも、2つまたは複数の放射線診断手段からのデータは、画質、速度、線量、ワークフロー、治療精度/精度などを向上させるために組み合わせて使用され得る。
【0118】
種々の実施形態では、上記の例示的なスキャン構成(例えば、400、500、600、1000、1500)および方法(例えば、900、1400、1900)ならびに以下に記載のスキャン構成および方法は、放射線治療環境300を介することを含む、マルチモーダル機器10を用いて実装されてよい。
【0119】
いくつかの実施形態では、スキャン構成はヘリカルスキャン軌道を含む。ヘリカルファンビームMVCT(MVCT)が取得する幾何学的形状は、例えば、広い横断像(例えば、アイソセンタでは約40cm)、精密かつ安定した画像再構成のための十分なデータを提供することが可能、およびプロジェクション画像における散乱部分の低減を含む複数の利点を提供することができる。これらの特徴は、臨床の最先端のコーンビームMVCTよりも再構成画像の品質を向上させることができる。特に、例えばこれらの利点の原因は、ファン絞られたMV治療/イメージングビームであり、かつMV線源および検出器が、上記のように全方向からのイメージングを可能とする連続回転スリップリングシステムに取り付けられているという事実である。操作中、システム(例えば機器10)は、2πラジアン超を超えて連続的に画像化し、ケーブルをほどくか、不規則なイメージング軌道を用いるために停止することなく並進するカウチ上の患者に対して、ヘリカル軌道で線源および検出器を移動させることができる。
【0120】
種々の実施形態では、マルチモーダル機器10は、マルチエネルギー(例えば、低エネルギーおよび高エネルギー)プロジェクションデータを提供する線源を有する、Nタプルの線源および検出器CTシステム(各プロジェクション画像データが同時に取得することができるようにN個の線源およびN個または別の個数の検出器が位置づけられる場合)を含むことができる。ファンビームイメージングの幾何学的形状の使用(例えば、ヘリカルスキャン軌道を用いる)と、同時マルチエネルギーkV/MVイメージング装置を組み合わせることで、本明細書に記載の利点を得る。典型的な既存のシステムは、kV線源またはMV線源のいずれかのコーンビームイメージングの幾何学的形状に個別に限定される。これは上記のように、ファンビームイメージングの幾何学的形状を超える顕著な欠点を有する。
【0121】
種々の実施形態では、高エネルギーのMVファンビームプロジェクションおよび低エネルギーのkVファンビームプロジェクションまたはコーンビームプロジェクションは、同時CT再構成にて取得され得る。いくつかの実施形態では、MVプロジェクションは演繹的な情報として使用され、kVCTのアーチファクトを修正することができる。または、量的イメージングおよび物質分離のためのデュアルエネルギーCT再構成に使用され得る。更には、マルチリーフコリメータ(MLC)変調MVプロジェクションデータは、治療中常に利用可能であり、治療供給と同時発生するkVCT再構成に影響を及ぼすことができる。デュアルエネルギー再構成から得られた電子密度画像は、オンラインおよびオフラインの線量測定用途の両方にて使用されることができる。
【0122】
いくつかの実施形態では、上記の方法は、好ましいワークフローに基づいて同時またはインターリーブ方式にて実行することができる。例えば、マルチモーダルスキャンを実行することができ、得られたスキャンデータを上記の種々の特徴および利点のうちの2つまたは複数に利用することができる。
【0123】
プロジェクションドメインにおいて上記機器および方法を使用する際、各プロジェクション視点が平面画像である場合には、各プロジェクション視点に散乱補正が適用され得る。種々の実施形態は、異なるスキャン幾何学的形状、検出器の位置づけ(オフセット検出器を含む)、および/またはビームフォーマのウインドウ形状を利用することができる。
【0124】
上記のように、開示された手法の態様は放射線治療装置およびIGRTと連携させて、またはIGRTの一部として使用することを目的とし、一体型低エネルギー(例えば、kV)および高エネルギー(例えば、MV)源を含む、マルチモーダル放射線源を利用する方法で利用され得る。一実施形態に従い、画像取得方法論は、高速スリップリング回転を共に伴う、ヘリカル線源軌道(例えばガントリボアを通る患者サポートの長手方向の移動を共に伴う、中央軸を中心とする連続する線源回転)、または全周スキャンを含み得るか、そうでない場合にはこれを利用し、例えば、放射線治療供給プラットフォームにおけるkVのCTイメージングを提供する。
【0125】
いくつかの実施形態では、ボリューム画像を完成させるための複数のビーム回転に関連した任意の潜在的なスキャン時間の増加は、高いkVフレームレート、高いガントリレート、および/またはスパースデータの再構成手法によって軽減され得るか、そうでない場合にはオフセットされることが理解されるであろう。選択的に制御可能なコリメータ/ビームフォーマを上記のように提供することで、特定の用途および/または医療的な必要性に応じて、ユーザが画質に対する画像取得時間をトレードオフか、それ以外の場合ではこれを変更するシステムが可能となることが更に理解されるであろう。放射線治療供給装置を制御し、高速の画像取得時間(例えば動体追跡用)を伴う半回転または単一回転型のコーンビームCTスキャン(散乱によって画質を低減する可能性を有する)、およびより長い取得時間を伴うが散乱が減少することによって画像品質を上昇させる、狭い/スリットファンビームを有する全周または連続ヘリカル取得を提供することができることもまた理解されるであろう。1つまたは複数の最適化プロセスはまた、スキャン設計を決定し、ビームの位置づけを決定し、読出し範囲を決定し、散乱の評価などを行うために上記実施形態の全てに適用可能である。
【0126】
図20は、放射線治療装置(例えば、マルチモーダル機器10を含む)を用いた、IGRTの例示的な方法2000を表すフローチャートである。事前データ2005は、患者の画像(例えば事前画像であり、これは事前CT画像を含む、事前取得された計画画像であってもよい)、治療計画、ファントム情報、モデル、演繹的な情報などを含むことができる。いくつかの実施形態では、事前データ2005は、同様の放射線治療装置によるが、より早い時間で作成される。ステップ2010では、放射線源(例えば、マルチモーダル機器10の線源30からのkV放射線および/または線源20からのMV放射線)を使用して患者のイメージングが実行される。種々の実施形態では、イメージングはファンビーム幾何学的形状またはコーンビーム幾何学的形状を有するヘリカルスキャンまたは全周スキャンを含む。ステップ2010は、上記の手法を用いて、高品質(HQ)の1つまたは複数の画像またはイメージング/スキャンデータ2015を生成する。いくつかの実施形態では、画質を調整し、画質/分解能と線量とのバランスを最適化してよい。換言すれば、全ての画像が最高品質である必要はない。または画質を調整し、画質/分解能と画像取得時間とのバランスを最適化またはトレードオフしてよい。イメージングステップ2010はまた、画像処理2020を含み、イメージングデータ/スキャンデータ2015に基づく患者画像を生成する(例えば、上記方法に従う)。画像処理ステップ2020は、イメージングステップ2010の一部分として示されている。いくつかの実施形態では、画像処理ステップ2020は、画像処理が個別の装置によって実行される場合を含む、個別のステップである。
【0127】
次に、ステップ2030では、以下に記載の1つまたは複数の画像ベースの供給前ステップは、ステップ2010からのイメージング/スキャンデータ2015に少なくとも部分的に基づいて実行される。更に詳細に後述されるように、ステップ2030は、治療処置および(その後の)イメージング計画に関連する種々のパラメータを決定することを含み得る。いくつかの実施形態では、画像ベースの供給前ステップ(2030)は、治療供給(2040)前により多くのイメージング(2010)を必要としてよい。ステップ2030は、適応可能な放射線治療ルーチンの一部として、イメージングデータ2015に基づく治療計画を適応させることを含み得る。いくつかの実施形態では、画像ベースの供給前ステップ2030は、リアルタイム治療計画を含んでよい。実施形態はまた、上記のように、イメージング放射線源および治療放射線源の同時放射化、重複放射化および/または交互放射化を含んでよい。リアルタイム治療計画は、こうした種類のイメージングおよび治療放射線放射化手法(同時、重複および/または交互)のいずれかまたは全てに関与してよい。
【0128】
次に、ステップ2040では、治療処置の供給は、高エネルギー放射線(例えば、放射線源20からのMV放射線)の源を用いて実行される。ステップ2040は、治療計画に従って患者に治療線量2045を供給する。いくつかの実施形態では、IGRT方法2000は、種々の間隔(例えば、分割間)にて追加のイメージング用のステップ2010に戻り、その後、必要に応じて画像ベースの供給前ステップ(2030)および/または治療供給(2040)することを含んでよい。このようにして、高品質のイメージングデータ2015は、適応可能な治療が可能なある機器10を用いてIGRT中に生成および利用されてよい。上述されるように、ステップ2010、2030および/または2040は、同時に、重複して、および/または交互に実行されてよい。
【0129】
IGRTは、少なくとも2つの一般的な目標を含み得る。すなわち、(i)標的ボリュームに、高度な原体線量分布を供給すること、および(ii)全治療時を通して高精度で治療ビームを供給することである。第3の目標は、可能な限り部分あたり最小時間にて、2つの一般的な目標を達成することであり得る。治療ビームの正確な供給には、高品質の画像を使用して標的ボリュームの体位位置を識別および/または追跡する能力を必要とされる。供給速度を増加する能力は、治療計画に従い、正確に、精密におよび高速に放射線源を移動させる能力を必要とする。
【0130】
図21は、上記のステップ2030に関連し得る、例示的な画像ベースの供給前ステップ/オプションを表すブロック
図2100である。上記のマルチモーダル機器10(例えば、放射線治療装置の一部として)は、種々の方法にて使用され得る低エネルギー(例えば、kV)および高エネルギー(例えば、MV)画像を生成することができ、本発明の範囲から逸脱しない限り、画像ベースの供給前ステップ(2030)を目的とすることを含むことが理解されるであろう。例えば、放射線治療装置によって生成された画像2015を使用し、治療前にセットアップまたは患者の位置合わせをすることができる(2110)。患者の位置合わせには、現在のイメージングデータ2015を、より早い治療前スキャンおよび/または治療計画を含む、計画に関連するイメージングデータと相関させることまたはこれに登録することが含まれ得る。患者の位置合わせはまた、患者が供給システムの範囲内部に物理的に存在しているかどうかを確認するための、放射線源に対する患者の物理的位置についてのフィードバックを含み得る。必要な場合には、患者はそれに合うように調整され得る。いくつかの実施形態では、患者の位置合わせのイメージングは、線量は最小化するものの、適正な位置合わせ情報を提供するように意図的により品質が低くてもよい。例示的な患者の位置合わせプロセスは以下にて記載される。
【0131】
マルチモーダル機器10によって生成された画像はまた、治療計画または治療再計画(2120)のために使用され得る。種々の実施形態では、ステップ2120は治療計画を確認すること、治療計画を修正すること、新規治療計画を作成すること、および/または一連の治療計画(時々「1日の計画」と呼ばれる)から治療計画を選択することを含み得る。例えば、イメージングデータ2015は、標的ボリュームまたはROIは治療計画を発展させた場合のものと同様であることを示す。次に、治療計画を確認することが可能である。ただし、標的ボリュームまたはROIが同じものでない場合には、治療処置の再計画が必要となる場合がある。再計画の場合、イメージングデータ2015(ステップ2010にてマルチモーダル機器10によって生成される)は高品質であるため、イメージングデータ2015は治療計画または治療再計画(例えば、新規治療計画または修正された治療計画を作成する)のために使用され得る。このようにして、異なる装置による治療前CTイメージングは必要とされない。いくつかの実施形態では、確認および/または治療再計画は、種々の治療の前および/または後に進行中の処置であってよい。
【0132】
別の例示的なユースケースに従い、マルチモーダル機器10によって生成された画像を使用し、イメージング線量(2130)を計算することができる。これは、患者に対する全体線量を進行中に決定するために、および/またはその後のイメージング計画のために使用されてよい。その後のイメージングの品質はまた、例えば品質と線量のバランスをとるために、治療計画の一部として決定されてよい。別の例示的なユースケースに従い、マルチモーダル機器10によって生成された画像を使用し、治療線量(2140)を計算することができる。これは、患者に対する全体線量を進行中に決定するために使用されてよい。および/または治療計画もしくは治療再計画の一部として含まれてよい。
【0133】
他の例示的なユースケースに従い、マルチモーダル機器10によって生成された画像は、他のイメージング(2150)および/または他の治療(2160)パラメータまたは計画を計画または調整するのと関連させて使用され得る。これは例えば、適応可能な治療および/または治療計画の作成の一部として含まれている。別の例示的なユースケースに従い、マルチモーダル機器10によって生成された画像は、適応可能な治療モニタリング(2170)と関連させて使用され得る。これには、治療供給をモニタリングし、必要に応じて適応させることが含まれ得る。
【0134】
画像ベースの供給前ステップ(2030)は、相互に排他的なものではない。例えば、種々の実施形態では、計算治療線量(2140)は単独のステップであり得る。ならびに/または適応可能な治療モニタリング(2170)および/もしくは治療計画(2120)の一部であり得る。種々の実施形態では、画像ベースの供給前ステップ(2030)は、自動的におよび/または人間による関与を伴い手動で実行され得る。
【0135】
図22は、イメージング(2010)中、および/またはその後の画像ベースの供給前ステップ(2030)中に利用され得る例示的なデータ源を表すブロック
図2200である。検出器データ2210は、放射線検出器(例えば、24、34)によって受け取られたデータを表す。プロジェクションデータ2220は、絞られたビーム領域にて入射する放射線により生成されたデータであり、上では有効領域と呼ばれる。周縁部データ2230は、周縁部領域にて入射する放射線により生成されたデータである。散乱データ2240は、上記のような周縁部領域の外側の周辺領域および/または決定された散乱にて入射する放射線により生成されたデータである。別の実施形態では、2つの源20、30が同時またはインターリーブ方式にて操作される際には、散乱データ2240を使用して治療放射線源20(例えば、MV)からの散乱の残留効果を決定することができる。
【0136】
このようにして、周縁部データ2230および/または散乱データ2240を利用し、イメージングステップ2010によって生成された画像の品質を向上させてよい。いくつかの実施形態では、周縁部データ2230および/もしくは散乱データ2240は、プロジェクションデータ2220と組み合わせられ、ならびに/または検出器(例えば、24、34)でのデータ収集の時間で、適用可能なイメージング設定2250、治療設定2260(例えば、同時イメージングおよび/または治療放射線の場合)、およびマルチモーダル機器10に関連する任意の他のデータ2270といった観点にて解析されてよい。他の実施形態では、データは治療計画ステップ2030のために使用されてよい。
【0137】
図23および
図24は、上記の方法の使用を含むIGRT中にマルチモーダル機器10を用いて搭載イメージングと関連する種々のフォワードシーケンスおよびフィードバックシーケンスの例を含む、イメージング2010、画像ベースの供給前ステップ2030、および治療供給2040ユースケースの例示的な実施形態を表す。
【0138】
図23は、放射線治療装置(例えば、マルチモーダル機器10を含む)を用いた、患者セットアップまたは位置合わせを含む例示的な方法2300を表す、フローチャートである。事前データ2305は、患者の画像(例えば、上記の事前CT画像を含む事前画像であり、事前取得された計画画像であってよい)を含むことができる。いくつかの実施形態では、事前データ2305は、同様の放射線治療装置によって、より早い時間で作成される。ステップ2310では、患者の初期または予備の位置合わせを実行することができる。次に、ステップ2320では、例えば上記のステップ2010で説明するようなものを含む、マルチモーダル機器10の低エネルギー放射線源および/または高エネルギー放射線源(例えば、線源30からのkV放射線および/または線源20からのMV放射線)を使用して搭載イメージングスキャンが実行される。種々の実施形態では、搭載イメージングは、ファンビーム幾何学的形状またはコーンビーム幾何学的形状を有するヘリカルスキャンまたは全周スキャンを含む。ステップ2320は、上記の手法を使用してオンラインイメージング/スキャンデータ2330を生成する。イメージングステップ2320はまた、画像処理を含み、イメージングデータ/スキャンデータ2330に基づく患者画像を生成することができる(例えば、上記方法に従う)。これは例えば、上記ブロック2020に記載されるものを含む。
【0139】
次に、ステップ2340は、例えば上記のブロック2110に記載されるようなものを含むオンラインスキャンデータ2330に少なくとも部分的に基づいて、位置合わせ補正が必要かどうかを決定する。位置合わせ補正または調整が必要な場合、方法2300は、オンラインスキャンデータ2330に少なくとも部分的に基づいて、位置合わせ補正のためにステップ2350に進む。位置合わせ補正後、次に方法は、確認または更なる改良ループとして追加のイメージングのためにステップ2320に戻ることができる。ステップ2340からの位置合わせ補正または調整が必要でない場合、方法2300は、治療供給のためにステップ2360に進む。治療後、次に方法2300は、確認または更なる改良ループとして追加のイメージングのためにステップ2320に戻ることができる。
【0140】
図24は、放射線治療装置(例えば、マルチモーダル機器10を含む)を用いた、適応可能なIGRTの例示的な方法2400を表すフローチャートである。事前治療計画データ2405は、治療計画および患者の画像(例えば事前画像であり、これは上記の事前CT画像を含む、事前取得された計画画像であってもよい)、ファントム情報、モデル、演繹的な情報などを含むことができる。いくつかの実施形態では、事前データ2405は、同様の放射線治療装置によるが、より早い時間で作成される。ステップ2410では、例えば、事前治療計画および任意の追加情報に基づき、初期または予備治療計画を採用することができる。次に、ステップ2420では、例えば上記のステップ2010で説明するようなものを含む、マルチモーダル機器10の低エネルギー放射線源および/または高エネルギー放射線源(例えば、線源30からのkV放射線および/または線源20からのMV放射線)を使用して搭載イメージングスキャンが実行される。種々の実施形態では、搭載イメージングは、ファンビーム幾何学的形状またはコーンビーム幾何学的形状を有するヘリカルスキャンまたは全周スキャンを含む。ステップ2420は、上記の手法を使用してオンラインイメージング/スキャンデータ2430を生成する。イメージングステップ2420はまた、画像処理を含み、イメージングデータ/スキャンデータ2430に基づく患者画像を生成することができる(例えば、上記方法に従う)。これは例えば、上記ブロック2020に記載されるものを含む。
【0141】
次にステップ2440は、例えば上記のブロック2120に記載されるようなものを含むオンラインスキャンデータ2430に少なくとも部分的に基づき、治療計画を再計画するか、または適応させることを必要とするか必要かどうかを決定する。治療計画を適応または再計画する必要がない場合、方法2400は治療供給のためにステップ2450に進む。治療計画を適応または再計画する必要がある場合、方法2400は、オンラインスキャンデータ2430に少なくとも部分的に基づき、治療計画を適合させるステップ2460に進む。治療計画を適応させた後、方法は治療供給のためにステップ2450に進むことができる。治療後、次に方法2400は、確認または更なる改良ループとして追加のイメージングのためにステップ2420に戻ることができる。
【0142】
いくつかの実施形態では、方法2300、2400および他の方法は、好ましいワークフローに基づいて同時またはインターリーブ方式にて実行され得る。例えば、搭載イメージングスキャンは、2320および2420スキャンの両方として実行および利用され、同じデータを用いて治療および連続位置合わせを同時に確認することができる。他の実施形態では、画像ベースの供給前ステップ2030のうち2つまたは複数は、同じイメージングデータ2015および/または画像処理2020が画像ベースの供給前ステップ2030のうちの1つ超のために利用される場合を含む、好ましいワークフローに基づいて同時にまたはインターリーブ方式にて実行され得る。
【0143】
他の種々の実施形態は、IGRT中にマルチモーダル機器10を用いる搭載イメージングを有する他のユースケースを含む。例えば、画像は、供給解析および/またはMVCTを用いる再計画のために治療計画CT(pCT)と「マージ」する。この線量計算の実施形態では、kVスキャンは、各部分の時点にて、pCTが身体の輪郭へと適切に変形させることができるように、各角度における皮膚-空気界面を発見するための、狭く、非常に低い線量の「パイロット」ビームであり得る。
【0144】
開示された手法は、特定の態様、実施形態または実施形態に関して示され説明されてきたが、本明細書および添付の図面を読んで理解すると、同等の変更および修正が当業者に思い浮かぶことは明らかである。特に、上述の要素(構成要素、アセンブリ、装置、部材、組成物など)によって実行される様々な機能に関して、そのような要素を説明するために使用される用語(「手段」への参照を含む)は、特に指示されない限り、本明細書に示される例示的な態様、実施形態または開示された技術の実施形態における機能を実行する開示された構造と構造的に同等ではないとしても、記載された要素(すなわち、機能的に同等であるもの)の指定された機能を実行する任意の要素に対応することが意図される。更に、開示された手法の特定の特徴は、いくつかの例示された態様または実施形態のうちの1つまたは複数のみに関して上で記載されている場合があるが、そのような特徴は、任意の所与のまたは特定の用途にとって所望され、有利であり得るように、他の実施形態の1つまたは複数の他の特徴と組み合わせることができる。
【0145】
本明細書で説明した実施形態は、上記のシステムおよび方法に関連しているが、これらの実施形態は例示的であることを意図しており、これらの実施形態の適用性を本明細書に記載した説明のみに限定することを意図するものではない。本発明をその実施形態の説明によって例示してきたが、実施形態をある程度詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に限定し、あるいは決して限定することは、本出願人の意図ではない。さらなる利点および修正は、当業者には容易に明らかになるであろう。したがって、本発明のより広い態様は、図示および説明された特定の詳細、例示的な装置および方法、ならびに例示的な例に限定されない。したがって、出願人の一般的な発明概念の精神または範囲から逸脱することなく、そのような詳細から逸脱することができる。
【国際調査報告】