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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-21
(54)【発明の名称】コリダルミンの結晶性塩
(51)【国際特許分類】
   C07D 455/03 20060101AFI20220114BHJP
   A61K 31/4375 20060101ALI20220114BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20220114BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20220114BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20220114BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20220114BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20220114BHJP
   A61P 29/02 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
C07D455/03 CSP
A61K31/4375
A61P1/16
A61P3/06
A61P25/20
A61P25/22
A61P25/04
A61P29/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531365
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(85)【翻訳文提出日】2021-07-28
(86)【国際出願番号】 CN2019118903
(87)【国際公開番号】W WO2020108330
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/118203
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521234825
【氏名又は名称】ヤン、チェン
【氏名又は名称原語表記】YANG ZHENG
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100172557
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 啓靖
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、チェン
(72)【発明者】
【氏名】リー、チェン、ジェーン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB09
4C086GA13
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA05
4C086NA20
4C086ZA02
4C086ZA08
4C086ZA75
4C086ZC33
(57)【要約】
本開示は、以下の化合物(1)(別名:l-コリダルミンまたはl-CDL):
の結晶性塩の形態と、それらの製造方法と、それらの医薬組成物と、慢性疼痛、不安神経症、不眠症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、脂肪肝、メタボリックシンドロームなどの処置のための方法におけるそれらの使用とに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物(1):
【化1】
の結晶性塩の形態。
【請求項2】
前記結晶性塩の形態が、塩酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、硫酸塩またはメシル酸塩である、請求項1に記載の結晶性塩の形態。
【請求項3】
前記結晶性塩の形態が、約9.7°、約10.1°、約14.3°、約15.0°、約17.5°、約18.9°、約21.9°および約23.7°の2θにピークを含むX線粉末回折パターンを有する塩酸塩である、請求項1に記載の結晶性塩の形態。
【請求項4】
前記結晶性塩の形態が、約252℃に示差走査熱量測定サーモグラムの吸熱Tonsetを有し、かつ、約9.7°、約10.1°、約14.3°、約15.0°、約17.5°、約18.9°、約21.9°および約23.7°の2θにピークを含むX線粉末回折パターンを有する塩酸塩である、請求項1に記載の結晶性塩の形態。
【請求項5】
前記結晶性塩の形態が、約11.7°、約13.0°、約15.4°、約16.3°、約19.6°、約22.1°および約24.5°の2θにピークを含むX線粉末回折パターンを有するシュウ酸塩である、請求項1に記載の結晶性塩の形態。
【請求項6】
前記結晶性塩の形態が、約205℃に示差走査熱量測定サーモグラムの吸熱Tonsetを有し、かつ、約11.7°、約13.0°、約15.4°、約16.3°、約19.6°、約22.1°および約24.5°の2θにピークを含むX線粉末回折パターンを有するシュウ酸塩である、請求項1に記載の結晶性塩の形態。
【請求項7】
前記結晶性塩の形態が、約8.0°、約10.4°、約12.4°、約14.0°、約15.3°、約16.4°、約19.3°、約21.5°および約23.3°の2θにピークを含むX線粉末回折パターンを有するマレイン酸塩である、請求項1に記載の結晶性塩の形態。
【請求項8】
前記結晶性塩の形態が、約193℃に示差走査熱量測定サーモグラムの吸熱Tonsetを有し、かつ、約8.0°、約10.4°、約12.4°、約14.0°、約15.3°、約16.4°、約19.3°、約21.5°および約23.3°の2θにピークを含むX線粉末回折パターンを有するマレイン酸塩である、請求項1に記載の結晶性塩の形態。
【請求項9】
前記結晶性塩の形態が、約8.4°、約12.6°、約13.7°、約16.7°、約21.0°、約21.8°、約22.2°および約23.4°の2θにピークを含むX線粉末回折パターンを有する硫酸塩である、請求項1に記載の結晶性塩の形態。
【請求項10】
前記結晶性塩の形態が、約229℃に示差走査熱量測定サーモグラムの吸熱Tonsetを有し、かつ、約8.4°、約12.6°、約13.7°、約16.7°、約21.0°、約21.8°、約22.2°および約23.4°の2θにピークを含むX線粉末回折パターンを有する硫酸塩である、請求項1に記載の結晶性塩の形態。
【請求項11】
前記結晶性塩の形態が、約7.9°、約11.3°、約12.6°、約12.9°、約14.7°、約16.1°、約20.0°および約20.7°の2θにピークを含むX線粉末回折パターンを有するメシル酸塩である、請求項1に記載の結晶性塩の形態。
【請求項12】
前記結晶性塩の形態が、約238℃に示差走査熱量測定サーモグラムの吸熱Tonsetを有し、かつ、約7.9°、約11.3°、約12.6°、約12.9°、約14.7°、約16.1°、約20.0°および約20.7°の2θにピークを含むX線粉末回折パターンを有するメシル酸塩である、請求項1に記載の結晶性塩の形態。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の結晶性塩の形態と、薬学的に許容可能な担体とを含んでなる医薬組成物。
【請求項14】
単一単位剤形である、請求項13の医薬組成物。
【請求項15】
前記結晶性塩の形態が、実質的に純粋な形態である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
哺乳動物における慢性疼痛、不安神経症、不眠症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、脂肪肝およびメタボリックシンドロームを処置する方法であって、前記哺乳動物に対して請求項13~15のいずれか一項に記載の医薬組成物の治療有効量を投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項17】
哺乳動物における慢性疼痛、不安神経症、不眠症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、脂肪肝およびメタボリックシンドロームを処置する方法であって、前記哺乳動物に対して請求項1~12のいずれか一項に記載の結晶性塩の形態の治療有効量を投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項18】
前記結晶性塩の形態の前記治療有効量が、約5mg~約500mgである、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、以下の化合物(1)(別名:l-コリダルミンまたはl-CDL):
【化1】
の結晶性塩の形態と、それらの製造方法と、それらの医薬組成物と、慢性疼痛、不安神経症、不眠症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、脂肪肝、メタボリックシンドロームなどの処置のための方法におけるそれらの使用とに関する。
【背景技術】
【0002】
化合物(1)(別名:l-コリダルミンまたはl-CDL)は、CAS番号:30413-84-4である。化合物(1)は、酸pKaが約5.2である遊離塩基である。有効成分の十分なin vivo曝露を提供しながら、正確に薬学的な要件および仕様を満たすための調合を十分に可能にする形態において、化合物(1)を生成する必要がある。さらに、化合物(1)が生成される方法は、大規模な生成に適した方法である必要がある。さらに、生成物は簡単に処理することができる(例えば、簡単に濾過可能であり、簡単に乾燥させる)形態であることが望ましい。最後に、化合物(1)の医薬品は、特殊な保管条件を必要とせずに、長期間安定であることが望ましい。したがって、化合物(1)の結晶性の薬学的に許容可能な塩を特定する必要がある。
【0003】
さらに、多くの塩の形態は、様々な物理的特性、化学的特性および分光学的特性を示す様々な結晶多形において存在する可能性がある。例えば、塩の特定の多形は、特定の溶媒に溶けやすく、流れやすく、他の溶媒よりも圧縮しやすい場合がある。薬剤候補の場合、特定の多形体はその他の多形体よりも生物学的利用能が高い可能性があるが、その他の多形体は特定の製造条件、保管条件および生物学的条件においてより安定である可能性がある。これは規制の観点から特に重要である。この理由は、薬剤は、正確な純度および特性評価の基準を満たしている場合にのみ、機関、例えば、米国食品医薬品局によって承認されるためである。実際、特定の溶解性および物理化学的(例えば、分光学的)特性を示す化合物の1つの多形の規制当局による承認は、通常、同一の化合物のその他の多形がすぐに承認されることを意味しない。したがって、様々な利点を提供することができる塩の多形を特定する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、以下の化合物(1)(別名:l-コリダルミンまたはl-CDL):
【化2】
の結晶性塩の形態と、それらの製造方法と、それらの医薬組成物と、慢性疼痛、不安神経症、不眠症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、脂肪肝、メタボリックシンドロームなどの処置のための方法におけるそれらの使用とに関する。
【0005】
一態様において、本開示は、化合物(1)の結晶性塩の形態に関する。特定の一態様において、本開示は、化合物(1)の結晶性の塩酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、硫酸塩またはメシル酸塩の形態に関する。
【0006】
一態様において、本開示は、化合物(1)の結晶性塩酸塩の形態に関する。特定の一態様において、化合物(1)の結晶性塩酸塩の形態は、約9.7°、約10.1°、約14.3°、約15.0°、約17.2°、約17.5°、約18.9°、約21.0°、約21.4°、約21.9°および約23.7°の群から選択されたピークを含むX線粉末回折(「XRPD」)パターンならびに/または示差走査熱量測定(「DSC」)サーモグラムの約252℃の吸熱Tonsetを特徴とする。
【0007】
一態様において、本開示は、化合物(1)の結晶性シュウ酸塩の形態に関する。特定の一態様において、化合物(1)の結晶性シュウ酸塩の形態は、約11.7°、約13.0°、約15.4°、約16.3°、約19.0°、約19.6°、約20.4°、約22.1°、約24.5°および約25.2°の群から選択されたピークを含むX線粉末回折パターンならびに/または示差走査熱量測定サーモグラムの約205℃の吸熱Tonsetを特徴とする。
【0008】
一態様において、本開示は、化合物(1)の結晶性マレイン酸塩の形態に関する。特定の一態様において、化合物(1)の結晶性マレイン酸塩の形態は、約8.0°、約10.4°、約12.4°、約14.0°、約15.3°、約16.4°、約19.3°、約20.8°、約21.5°および約23.3°の群から選択されたピークを含むX線粉末回折パターンならびに/または示差走査熱量測定サーモグラムの約193℃の吸熱Tonsetを特徴とする。
【0009】
一態様において、本開示は、化合物(1)の結晶性硫酸塩の形態に関する。特定の一態様において、化合物(1)の結晶性硫酸塩の形態は、約8.4°、約12.6°、約13.7°、約16.0°、約16.7°、約21.0°、約21.8°、約22.2°、約23.4°および約27.5°の群から選択されたピークを含むX線粉末回折パターンならびに/または示差走査熱量測定サーモグラムの約229℃の吸熱Tonsetを特徴とする。
【0010】
一態様において、本開示は、化合物(1)の結晶性メシル酸塩の形態に関する。特定の一態様において、化合物(1)の結晶性メシル酸塩の形態は、約7.9°、約11.3°、約12.6°、約12.9°、約14.7°、約16.1°、約18.8°、約20.0°、約20.7°および約23.6°の群から選択されたピークを含むX線粉末回折パターンならびに/または示差走査熱量測定サーモグラムの約238℃の吸熱Tonsetを特徴とする。
【0011】
一態様において、本開示は、本明細書に開示されている結晶性塩の形態のいずれかと、薬学的に許容可能な担体とを含んでなる医薬組成物を提供する。いくつかの特定の側面において、医薬組成物は、単一単位剤形であり、かつ/あるいは、本明細書に開示される実質的に純粋な結晶性塩の形態を含む。
【0012】
一態様において、本開示は、哺乳動物における慢性疼痛、不安神経症、不眠症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、脂肪肝およびメタボリックシンドロームを処置する方法であって、前記哺乳動物に対して本明細書に開示されている医薬組成物のいずれかの有効量を投与することを含んでなる、前記方法を提供する。
【0013】
別の態様において、本開示は、哺乳動物における慢性疼痛、不安神経症、不眠症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、脂肪肝およびメタボリックシンドロームを処置する方法であって、前記哺乳動物に対して本明細書に開示されている結晶性塩の形態のいずれかの有効量を投与することを含んでなる、前記方法を提供する。投与工程は、経口、静脈内、筋肉内または皮下により、約1mg~約1,000mgの量において、約5mg~約500mgの量において、約10mg~約200mgの量において、約10mg~約150mgの量において、約10mg~約120mgの量において、約10mgの量において、約20mgの量において、約40mgの量において、約80mgの量において、または約120mgの量において実施可能である。
【0014】
本開示のさらなる態様、特徴および利点は、以下の詳細な説明を検討し、理解することにより当業者に対して明らかであろう。
【0015】
明細書に組み込まれ、明細書の一部を形成する添付の図面は、本発明のいくつかの実施形態を示しており、説明とともに、本発明の原理を説明するのに役立つ。図面は、発明の実施形態を説明することのみを目的としており、発明を制限するものとして解釈されるべきではない。本発明のさらなる目的、特徴および利点は、本発明の例示的な実施形態を示す付随する図と併せて、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、化合物(1)の塩酸塩の代表的なHNMRスペクトルを示す図である。
図2図2は、化合物(1)の塩酸塩の形態Iの代表的なXRPDパターンを示す図である。
図3図3は、化合物(1)の塩酸塩の形態Iの代表的な偏光顕微鏡(「PLM」)画像を示す図である。
図4図4は、化合物(1)の塩酸塩の形態Iの代表的な示差走査熱量測定(「DSC」)プロファイルおよび熱重量分析(「TGA」)プロファイルを示す図である。
図5図5は、化合物(1)の塩酸塩の形態Iの代表的な動的蒸気収着(「DVS」)プロファイルを示す図である。
図6図6は、化合物(1)の塩酸塩の形態IIの代表的なXRPDパターンを示す図である。
図7図7は、化合物(1)の塩酸塩の形態IIの代表的なDSCプロファイルおよびTGAプロファイルを示す図である。
図8図8は、化合物(1)の塩酸塩の形態IIIの代表的なXRPDパターンを示す図である。
図9図9は、化合物(1)の塩酸塩の形態IIIの代表的なDSCプロファイルおよびTGAプロファイルを示す図である。
図10図10は、化合物(1)の塩酸塩の形態IVの代表的なXRPDパターンを示す図である。
図11図11は、化合物(1)の塩酸塩の形態IVの代表的なDSCプロファイルおよびTGAプロファイルを示す図である。
図12図12は、化合物(1)の塩酸塩の形態Vの代表的なXRPDパターンを示す図である。
図13図13は、化合物(1)の塩酸塩の形態Vの代表的なDSCプロファイルおよびTGAプロファイルを示す図である。
図14図14は、化合物(1)の塩酸塩の形態VIの代表的なXRPDパターンを示す図である。
図15図15は、化合物(1)の塩酸塩の形態VIの代表的なDSCプロファイルおよびTGAプロファイルを示す図である。
図16図16は、化合物(1)の塩酸塩の形態VIIの代表的なXRPDパターンを示す図である。
図17図17は、化合物(1)の塩酸塩の形態VIIの代表的なDSCプロファイルおよびTGAプロファイルを示す図である。
図18図18は、化合物(1)の塩酸塩の形態I~VIIの代表的なXRPDパターンを、それぞれ下から上に示す図である。
図19図19は、化合物(1)のシュウ酸塩の代表的なHNMRスペクトルを示す図である。
図20図20は、化合物(1)のシュウ酸塩の形態Iの代表的なXRPDパターンを示す図である。
図21図21は、化合物(1)のシュウ酸塩の形態Iの代表的なPLM画像を示す図である。
図22図22は、化合物(1)のシュウ酸塩の形態Iの代表的なDSCプロファイルおよびTGAプロファイルを示す図である。
図23図23は、化合物(1)のシュウ酸塩の形態Iの代表的なDVSプロファイルを示す図である。
図24図24は、化合物(1)のシュウ酸塩の形態IIの代表的なXRPDパターンを示す図である。
図25図25は、化合物(1)のシュウ酸塩の形態IIの代表的なDSCプロファイルおよびTGAプロファイルを示す図である。
図26図26は、化合物(1)のマレイン酸塩の代表的なHNMRスペクトルを示す図である。
図27図27は、化合物(1)のマレイン酸塩の代表的なXRPDパターンを示す図である。
図28図28は、化合物(1)のマレイン酸塩の代表的なPLM画像を示す図である。
図29図29は、化合物(1)のマレイン酸塩の代表的なDSCプロファイルおよびTGAプロファイルを示す図である。
図30図30は、化合物(1)のマレイン酸塩の代表的なDVSプロファイルを示す図である。
図31図31は、(a)化合物(1)、(b)化合物(1)の硫酸塩、(c)化合物(1)のメシル酸塩および(d)化合物(1)のベンゼンスルホン酸塩の代表的なHNMRスペクトルを示す図である。
図32図32は、化合物(1)の硫酸塩の代表的なXRPDパターンを示す図である。
図33図33は、化合物(1)のメシル酸塩の代表的なXRPDパターンを示す図である。
図34図34は、化合物(1)の(a)硫酸塩および(b)メシル酸塩の代表的なPLM画像を示す図である。
図35図35は、化合物(1)の硫酸塩の代表的なDSCプロファイルおよびTGAプロファイルを示す図である。
図36図36は、化合物(1)のメシル酸塩の代表的なDSCプロファイルおよびTGAプロファイルを示す図である。
図37図37Aおよび37Bは、3mg/kg IVおよび10mg/kg POAによりTLZ-16遊離塩基(化合物(1))を投与した雄ラットから得られた血漿の薬物-時間曲線を示す図である。
図38図38は、10mg/kg POBによりTLZ-16HClを投与した雄ラットから得られた血漿の薬物-時間曲線を示す図である。
図39図39は、10mg/kg POCによりTLZ-16マレイン酸塩を投与した雄ラットから得られた血漿の薬物-時間曲線を示す図である。
図40図40は、10mg/kg PODによりTLZ-16メシル酸塩を投与した雄ラットから得られた血漿の薬物-時間曲線を示す図である。
図41図41は、10mg/kg POEによりTLZ-16シュウ酸塩を投与した雄ラットから得られた血漿の薬物-時間曲線を示す図である。
図42図42は、10mg/kg POFによりTLZ-16硫酸塩を投与した雄ラットから得られた血漿の薬物-時間曲線を示す図である。
図43図43は、TLZ-16による血漿の薬物-時間曲線(雄のSDラット、3mg/kg IV、10mg/kg POA&POB&POC&POD&POE&POF(n=3))の比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
以下は、本開示を実践する当業者を支援するために提供される詳細な説明である。当業者は、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の実施形態に改変および変更を加えることができる。本明細書に記載されているすべての刊行物、特許出願、特許、図およびその他の参考文献は、それらの全体が参照により明示的に組み込まれている。
【0018】
本説明は、以下の化合物(1)(別名:l-コリダルミンまたはl-CDL):
【化3】
の結晶性塩の形態と、それらの製造方法と、それらの医薬組成物と、慢性疼痛、不安神経症、不眠症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、脂肪肝、メタボリックシンドロームなどの処置のための方法におけるそれらの使用とを提供する。
【0019】
特に定義されていない限り、本明細書において使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、この開示が属する当業者によって一般的に理解されているのと同一の意味を有する。本説明において使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、開示を制限することを意図したものではない。
【0020】
値の範囲が提供されている場合、文脈がそれ以外(例えば、炭素数を含む群の場合には、範囲内にある各炭素数が提供される)を明確に指示していない限り下限の単位の10分の1までのそれぞれの介在する値、その範囲の上限と下限との間のそれぞれの介在する値、およびその記載された範囲内の任意のその他の記載された値または介在する値は、本開示に含まれる。これらのより小さな範囲の上限および下限は、独立してより小さな範囲に含まれる場合があり、記載された範囲において特に除外された制限を条件として、本開示の範囲内に含まれる場合もある。記載されている範囲に制限の一方または両方が含まれている場合、含まれている両方の制限のうちのいずれかを除外した範囲も本開示に含まれる。
【0021】
以下の用語を使用して、本開示を説明する。特に定義されていない限り、本明細書において使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本開示が属する当業者によって一般的に理解されているのと同一の意味を有する。本説明において使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、開示を制限することを意図したものではない。
【0022】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される冠詞「a」および「an」は、文脈がそれ以外を明確に指示しない限り、冠詞の文法上の対象の1つまたは複数(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「要素」(“an element”)とは、1つの要素または複数の要素を意味する。
【0023】
本明細書および特許請求の範囲において使用される「および/または」という語句は、そのように等位接続された要素の「いずれかまたは両方」、すなわち、ある場合には接続的に(conjunctively)存在し、その他の場合には離接的に(disjunctively)存在する要素を意味すると理解されるべきである。「および/または」により記載された複数の要素は、同一の方法、すなわち、そのように結合された要素の「1つまたは複数」において解釈される必要がある。具体的に特定された要素に関連するか否かにかかわらず、その他の要素は、「および/または」節によって具体的に特定された要素以外に存在してもよい。したがって、非限定的な例として、オープンエンドの言葉(open-ended language)、例えば、「含んでなる」と組み合わせて使用される場合の「Aおよび/またはB」に対する記載は、一実施形態において、Aのみ(B以外の要素を含んでいてもよい);別の実施形態において、Bのみ(A以外の要素を含んでいてもよい);さらに別の実施形態において、AおよびBの両方(その他の要素を含んでいてもよい)を意味することができる。
【0024】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、「または」は、上記で定義された「および/または」と同一の意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト内のアイテムを区切る場合、「または」または「および/または」は、両立的である、すなわち、少なくとも1つを含むが、複数の要素、多くの要素または要素のリストも含まれ、かつ、追加の未記載のアイテムも含んでもよいと解釈される必要がある。反対を明確に示す用語、例えば、「1つだけ」または「厳密に1つ」のみは、あるいは特許請求の範囲において使用される場合の「からなる」は、複数の要素のうちまたは複数の要素のリストのうちの厳密に1つの要素を含むことを意味する。一般に、本明細書において使用される「または」という用語は、排他的な用語、例えば、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つだけ」または「のうちの厳密に1つ」が先行する場合にのみ、排他的な選択肢(すなわち、「一方または他方であり、両方ではない」)を示すものとして解釈されるものとする。
【0025】
特許請求の範囲ならびに上記の明細書において、「含んでなる」、「含む」、「所持する」、「有する」、「含有する」、「含む」、「保持する」、「構成する」などのすべての移行句は、オープンエンドである、すなわち、含むが限定されないことを意味すると理解される必要がある。「からなる」および「本質的にからなる」という移行句のみが、それぞれ、米国特許庁の特許審査基準・便覧のセクション2111.03において記載されているように、クローズまたはセミクローズの移行句である必要がある。
【0026】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、1つまたは複数の要素のリストに関連して、「少なくとも1つ」という語句は、要素のリスト内のいずれかまたは複数の要素から選択された少なくとも1つの要素を意味するが、要素のリスト内に具体的に記載されている各要素およびすべての要素を少なくとも1つ含める必要はなく、要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを除外しないと理解されるべきである。この定義はまた、具体的に特定された要素に関連するか否かにかかわらず、「少なくとも1つ」という語句が参照する要素のリスト内において具体的に特定された要素以外の要素が、存在してもよいことを可能にする。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(言い換えれば、「AまたはBの少なくとも1つ」、言い換えれば「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態において、少なくとも1つのA、場合により複数のAを含み、Bが存在しない(およびB以外の要素を含んでもよい);別の実施形態において、少なくとも1つのB、場合により複数のBを含み、Aが存在しない(およびA以外の要素を含んでもよい);さらに別の実施形態において、少なくとも1つのA、場合により複数のA、および少なくとも1つのB、場合により複数のB(およびその他の要素を含んでもよい)を含む;などを意味する。
【0027】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、本明細書において使用される物質に関して「薬学的に許容可能な」という用語は、物質が健全な医学的判断の問題の範囲内であり、ヒトおよび下等動物の組織に接触する使用に適し、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などがなく、合理的な利益/リスク比に見合い、かつ、その物質が医薬組成物において使用される場合の意図された使用に効果的であることを意味する。
【0028】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、「処置する」、「処置すること」および「処置」という用語は、疾患または障害および/またはその付随する症状の少なくとも1つの緩和を指す。
【0029】
本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、「多形」および「多形形態」という用語は、化合物または複合体の固体結晶形態、例えば、溶媒和物または水和物を指す。同一の化合物の異なる多形は、異なる物理的特性、化学的特性および/または分光学的特性を示す可能性がある。様々な物理的特性は、安定性(例えば、熱または光に対する)、圧縮性および密度(製剤および製品の製造において重要)ならびに溶解速度(バイオアベイラビリティに影響を与え得る)が含むが、これらに限定されない。安定性における違いは、化学的反応性(例えば、異なる酸化であり、その結果、ある多形から構成されている場合の剤形は、別の多形から構成されている場合よりも早く変色する)または機械的特性(例えば、動力学的に望ましい多形が、熱力学的により安定した多形に変換されるにつれて、錠剤が保管時に崩壊する)または両方(例えば、ある多形の錠剤は、高湿度において崩壊を起こしやすくなる)における変化に起因する可能性がある。多形の様々な物理的特性が、それらの加工に影響を与える可能性がある。例えば、ある多形は、溶媒和物を形成する可能性が高いか、または、例えば、その粒子の形状またはサイズ分布のために、別の多形よりも不純物を濾過または洗浄するのが難しい場合がある。
【0030】
グラフィック形式(例えば、XRPD、DSCおよびNMRスペクトル)において提示されるスペクトルまたはデータを指すために本明細書で使用される場合、特に明記されない限り、「ピーク」という用語は、当業者がバックグラウンドノイズに起因しないものとして認識するピークまたはその他の特有の特徴を指す。
【0031】
一般的な分析方法
X線粉末回折分析(XRPD)
固体サンプルは、LynxEye検出器を備えた粉末X線回折計(Bruker D8 advance)によって決定された。機器のパラメータを以下に記載する。
スキャン:3°~40°の2θ
インクリメント:0.02°の2θ
スキャン速度:0.3秒/ステップ
電圧:40KV
電流:40mA
回転:オン
サンプルホルダー:0バックグラウンドサンプルホルダー
【0032】
相対強度は、様々な要因、例えば、サンプル調製、機器、設置手順および分子スペクトルの取得のための設定によって変動し得ることを理解する必要がある。したがって、本明細書に記載されているピークのアサインは、プラスマイナス0.2°の2θの変動を含むことを意図する。
【0033】
熱重量分析(TGA)
総重量損失は、TA Discovery TGA55により取得された。風袋を量ったアルミニウム鍋中でサンプルを加熱し、最終温度まで10℃/分で上昇させた。
【0034】
示差走査熱量測定分析(DSC)
熱分析は、TA Discovery DSC250を使用して実施された。アルミニウム製のピンホール密閉パン中でサンプルを加熱し、50mL/分の窒素パージを伴って最終温度まで10℃/分で上昇させた。なお、温度は、様々な要因、例えば、サンプル調製、機器およびサンプルの純度によって変動し得る。したがって、本明細書で報告されている温度は、プラスマイナス0.5℃の変動を含むことを意図する。
【0035】
偏光顕微鏡(PLM)
PLM分析は、偏光顕微鏡ECLIPSE LV100POL(ニコン、日本)により実施された。
【0036】
H NMR分析
H NMRは、自動サンプラー(B-ACS 120)を備えたBruker Advance300を使用して実施された。
【0037】
動的蒸気収着(DVS)
DVSは、DVS Intrinsic(SMS、英国)を使用して決定された。化合物の約20~50mgをSMS動的蒸気収着モデルDVSに移し、25℃において様々な大気湿度に関する重量変化を記録する。以下のパラメータを使用する。
平衡:60分
RH(%)測定ポイント:
収着:0、10、20、30、40、50、60、70、80、90
脱着:90、80、70、60、50、40、60、20、10、0
【0038】
化合物(1)の塩酸塩
化合物(1)の塩酸塩は、複数種の結晶性多形を示す。
【0039】
形態I
塩酸(「HCl」)塩の形態Iは、アセトン、イソプロパノール(「IPA」)または酢酸エチル(「EtOAc」)を含むがこれらに限定されない様々な溶媒から得ることができる。いくつかの実施形態において、化合物(1)遊離塩基のアセトン、IPAまたはEtOAc溶液に、濃HCl水溶液(12mol/L)を添加することによって、結晶性塩酸塩の形態Iを調製した。表1に、実験条件の詳細を示す。特定の一実施形態において、1.07gの遊離塩基を、HCl(333.3μL)のアセトン溶液(25mL)と一晩撹拌することによって反応させ、結晶性固体を濾過し、40℃、真空下において乾燥させた。形態Iは、HNMR、XRPD、PLM、DVS、TGAおよびDSCによって特徴付けられた。
【0040】
【表1】
【0041】
図1は、形態Iの代表的なHNMRスペクトルを示す。HNMRスペクトルは、6.84ppm付近で~0.17の化学シフトが発生していることを示し、遊離塩基がHClにより塩に変換されていることを示す。
【0042】
図2は、形態Iの代表的なXRPDパターンを示す。パターンは、約9.7°、約10.1°、約14.3°、約15.0°、約17.2°、約17.5°、約18.9°、約21.0°、約21.4°、約21.9°および約23.7°の2θにおけるピーク、好ましくは3つまたは4つ以上の重要なピークを特徴とする。XRPDパターンは、形態Iの結晶が良好な結晶化度を有することを示す。表2に、塩酸塩の形態IのXRPDピークを示す。
【0043】
【表2】
【0044】
代表的なPLM画像を図3に示す。図3は、形態Iが棒状の結晶性固体であることを示す。
【0045】
形態Iの代表的な熱特性を図4に示す。TGAデータは、室温と150℃との間に約0.3%の重量損失が存在し、残留溶媒が少ないことを示す。DSCデータは、開始温度およびピーク温度がそれぞれ252℃および259℃である1つの吸熱ピークを形態Iが有し、吸熱ピークのエンタルピーが約120J/gであることを示す。
【0046】
代表的なDVSデータが図5においてプロットされている。図5は、塩酸塩の形態Iがわずかに吸湿性であり、80%RHにおいて約0.57%を吸収することを示唆している。固体形態は、DVSテスト後も変化しない。
【0047】
形態Iの塩酸塩の2時間での水への溶解度試験は、遊離塩基の溶解度よりも高かった。形態Iの塩酸塩の溶解度は、1mg/mL未満の遊離塩基の溶解度から約19.1mg/mLに改善された。
【0048】
形態II
塩酸塩の形態IIは、メタノールから得ることができる。一実施形態において、形態IIは、塩酸塩形態Iのメタノールスラリーを室温において3日間撹拌すること、および/または50℃において1日間撹拌することによって得ることができる。別の実施形態において、形態IIは、飽和塩酸塩メタノール溶液を蒸発させることによって得ることができる。さらに別の実施形態において、形態IIは、貧溶媒、例えば、メチルt-ブチルエーテル(「MTBE」)、トルエン、EtOAcまたはIPAをメタノール溶液に添加することによって得ることができる。
【0049】
図6は、形態IIの代表的なXRPDパターンを示す。形態IIの代表的な熱特性を図7に示す。TGAおよびDSCのデータは、形態IIがメタノール溶媒和物であることをさらに示す。
【0050】
形態III
塩酸塩の形態IIIは、エタノールから得ることができる。一実施形態において、形態IIIは、塩酸塩形態Iのエタノールスラリーを室温において3日間撹拌すること、および/または50℃において1日間撹拌することによって得ることができる。
【0051】
図8は、形態IIIの代表的なXRPDパターンを示す。形態IIIの代表的な熱特性を図9に示す。TGAおよびDSCのデータは、形態IIIがエタノール溶媒和物であることをさらに示す。
【0052】
形態IV
塩酸塩の形態IVは、水から得ることができる。一実施形態において、形態IVは、塩酸塩形態Iの水スラリーを室温において3日間撹拌することによって得ることができる。
【0053】
図10は、形態IVの代表的なXRPDパターンを示す。形態IVの代表的な熱特性を図11に示す。TGAおよびDSCのデータは、形態IVが水和物であることをさらに示す。
【0054】
形態V
塩酸塩の形態Vは、水から得ることができる。一実施形態において、形態Vは、塩酸塩形態Iの水スラリーを50℃において1日間撹拌することによって得ることができる。
【0055】
図12は、形態Vの代表的なXRPDパターンを示す。形態Vの代表的な熱特性を図13に示す。TGAおよびDSCのデータは、形態Vが水和物であることをさらに示す。
【0056】
形態VI
塩酸塩の形態VIは、アセトニトリル(「ACN」)から得ることができる。一実施形態において、形態VIは、塩酸塩形態Iのアセトニトリルスラリーを50℃において1日間撹拌することによって得ることができる。
【0057】
図14は、形態VIの代表的なXRPDパターンをす。形態VIの代表的な熱特性を図15に示す。TGAおよびDSCのデータは、形態VIがアセトニトリル溶媒和物であることをさらに示す。
【0058】
形態VII
塩酸塩の形態VIIは、エタノールおよび/または水から得ることができる。一実施形態において、形態VIIは、飽和塩酸塩エタノール溶液または飽和塩酸塩水溶液を蒸発させることによって得ることができる。
【0059】
図16は、形態VIIの代表的なXRPDパターンを示す。形態VIの代表的な熱特性を図17に示す。TGAおよびDSCデータは、形態VIIがエタノール溶媒和物または水和物であることをさらに示す。エタノール溶媒和物および水和物のXRPDパターンはほぼ同一であり、形態VIIのエタノール溶媒和物および水和物が類似の結晶格子を有することを示す。
【0060】
図18は、形態I~VIIのXRPDパターンの比較を示す。表3は、塩酸塩の形態II~VIIのDSCおよびTGAのデータを要約する。
【0061】
【表3】
【0062】
化合物(1)のシュウ酸塩
化合物(1)のシュウ酸塩は、2種の結晶性多形を示す。
【0063】
形態I
シュウ酸塩の形態Iは、EtOAcを含むがこれに限定されない、様々な溶媒から得ることができる。一実施形態において、1.07gの遊離塩基を、シュウ酸(420mg)のEtOAc溶液(72mL)と一晩撹拌することによって反応させ、結晶性固体を濾過し、40℃、真空下において乾燥させた。シュウ酸塩の形態Iは、HNMR、XRPD、PLM、DVS、TGAおよびDSCによって特徴付けられた。
【0064】
図19は、シュウ酸塩の形態Iの代表的なHNMRスペクトルを示す。HNMRスペクトルは、6.84ppm付近で~0.17の化学シフトが発生していることを示し、遊離塩基がシュウ酸塩に変換されていることを示す。
【0065】
図20は、シュウ酸塩の形態Iの代表的なXRPDパターンを示す。パターンは約11.7°、約13.0°、約15.4°、約16.3°、約19.0°、約19.6°、約20.4°、約22.1°、約24.5°および約25.2°の2θにおけるピーク、好ましくは3つまたは4つ以上の重要なピークを特徴とする。XRPDパターンは、シュウ酸塩の形態Iの結晶が良好な結晶化度を有することを示す。表4に、シュウ酸塩の形態IのXRPDピークを示す。
【0066】
【表4】
【0067】
代表的なPLM画像を図21に示す。
【0068】
シュウ酸塩の形態Iの代表的な熱特性を図22に示す。TGAデータは、室温と150℃との間に約0.56%の重量損失が存在し、残留溶媒が少ないことを示す。DSCデータは、開始温度およびピーク温度がそれぞれ205℃および206℃である1つの吸熱ピークを形態Iが有し、吸熱ピークのエンタルピーが約100J/gであることを示す。
【0069】
代表的なDVSデータが図23においてプロットされている。図23は、シュウ酸塩の形態Iがわずかに吸湿性であり、80%RHにおいて約0.25重量%を吸収することを示唆している。固体形態は、DVSテスト後も変化しない。
【0070】
形態Iのシュウ酸塩の水への溶解度試験(2時間後)は、遊離塩基の溶解度よりも高かった。形態Iのシュウ塩の溶解度は、1mg/mL未満の遊離塩基の溶解度から約19.2mg/mLに改善された。
【0071】
形態II
シュウ酸塩の形態IIは、メタノールから得ることができる。一実施形態において、形態IIは、シュウ酸塩形態Iのメタノールスラリーを室温で3日間撹拌すること、および/または50℃において1日間撹拌することによって得ることができる。別の実施形態において、シュウ酸塩の形態IIは、貧溶媒、例えば、MTBE、トルエン、EtOAcまたはIPAをメタノール溶液に添加することによって得ることができる。
【0072】
図24は、形態IIの代表的なXRPDパターンを示す。形態IIの代表的な熱特性を図25に示す。TGAおよびDSCのデータは、シュウ酸塩の形態IIがメタノール溶媒和物であることをさらに示す。
【0073】
化合物(1)のマレイン酸塩
マレイン酸塩
マレイン酸塩は、EtOAcおよびMeOHを含むがこれらに限定されない、様々な溶媒から得ることができる。一実施形態において、1.03gの遊離塩基を、マレイン酸(356mg)のEtOAc溶液(72mL)と一晩撹拌することによって反応させ、結晶性固体を濾過し、40℃、真空下において乾燥させた。シュウ酸塩は、HNMR、XRPD、PLM、DVS、TGAおよびDSCによって特徴付けられた。
【0074】
図26は、マレイン酸塩の代表的なHNMRスペクトルを示す。HNMRスペクトルは、マレイン酸が遊離塩基と1:1のモル比でマレイン酸塩を形成していることを示す。
【0075】
図27は、マレイン酸塩の代表的なXRPDパターンを示す。パターンは、約8.0°、約10.4°、約12.4°、約14.0°、約15.3°、約16.4°、約19.3°、約20.8°、約21.5°および約23.3°の2θにおけるピーク、好ましくは3つまたは4つ以上の重要なピークを特徴とする。XRPDパターンは、マレイン酸塩の結晶が良好な結晶化度を有することを示す。表5に、マレイン酸塩のXRPDピークを示す。
【0076】
【表5】
【0077】
代表的なPLM画像を図28に示す。
【0078】
マレイン酸塩の代表的な熱特性を図29に示す。TGAデータは、室温と150℃との間に約0.92%の重量損失が存在することを示す。これは、残留溶媒の損失のためである。DSCデータは、開始温度およびピーク温度がそれぞれ193℃および197℃である1つの吸熱ピークを有し、吸熱ピークのエンタルピーが約104J/gであることを示す。
【0079】
代表的なDVSデータが図30においてプロットされている。図30は、マレイン酸塩がわずかに吸湿性であり、80%RHにおいて約0.085重量%を吸収することを示唆している。固体形態は、DVSテスト後も変化しない。
【0080】
マレイン酸塩の水への溶解度試験(2時間後)は、遊離塩基の溶解度よりも高い。マレイン酸塩の溶解度は、1mg/mL未満の遊離塩基の溶解度から約11.0mg/mLに改善されている。
【0081】
化合物(1)の硫酸塩、メシル酸塩およびベンゼンスルホン酸塩
硫酸塩
硫酸塩は、EtOAcおよびアセトンを含むがこれらに限定されない様々な溶媒から得ることができる。一実施形態において、遊離塩基のEtOAc溶液(1mL、15mg/mL)を、HSOのEtOAc溶液(500μL、0.07mol/L)に添加し、一晩撹拌することによって、結晶性固体を得た。結晶性固体を濾過し、40℃、真空下において乾燥させた。硫酸塩は、HNMR、XRPD、PLM、TGAおよびDSCによって特徴付けられた。
【0082】
メシル酸塩
メシル酸塩は、EtOAcおよびアセトンを含むがこれらに限定されない様々な溶媒から得ることができる。一実施形態において、2.6μL(1当量)のメタンスルホン酸を遊離塩基のEtOAc溶液(1mL、15mg/mL)に添加し、一晩撹拌することによって結晶性固体を得た。結晶性固体を濾過し、40℃、真空下において乾燥させた。メシル酸塩は、HNMR、XRPD、PLM、TGAおよびDSCによって特徴付けられた。
【0083】
ベンゼンスルホン酸塩
ベンゼンスルホン酸塩は、EtOAcおよびアセトンを含むがこれらに限定されない様々な溶媒から得ることができる。一実施形態において、7.6mg(1当量)のベンゼンスルホン酸を、遊離塩基のEtOAc溶液(1mL、15mg/mL)に添加し、一晩撹拌することによって結晶性固体を得た。結晶性固体を濾過し、40℃、真空下において乾燥させた。ベンゼンスルホン酸塩は、HNMR、XRPD、PLM、TGAおよびDSCによって特徴付けられた。XRPDパターンは、硫酸塩およびメシル酸塩の結晶が良好な結晶化度を有し、ベンゼンスルホン酸塩の結晶化度が低いことを示す。
【0084】
図31は、化合物(1)の硫酸塩、メシル酸塩およびベンゼンスルホン酸塩の代表的なHNMRスペクトルを示す。HNMRスペクトルは、化合物(1)が硫酸、メタンスルホン酸およびベンゼンスルホン酸と塩を形成していることを示す。
【0085】
図32は、硫酸塩の代表的なXRPDパターンを示す。硫酸塩のXRPDパターンは、約8.4°、約12.6°、約13.7°、約16.0°、約16.7°、約21.0°、約21.8°、約22.2°、約23.4°および約27.5°の2θにおけるピーク、好ましくは3つまたは4つ以上の重要なピークを特徴とする。図33は、メシル酸塩の代表的なXRPDパターンを示す。メシル酸塩のXRPDパターンは、約7.9°、約11.3°、約12.6°、約12.9°、約14.7°、約16.1°、約18.8°、約20.0°、約20.7°および約23.6°の2θにおけるピーク、好ましくは3つまたは4つ以上の重要なピークを特徴とする。表6および表7は、それぞれ硫酸塩およびメシル酸塩のXRPDピークを示す。
【0086】
【表6】
【0087】
【表7】
【0088】
硫酸塩およびメシル酸塩の代表的なPLM画像を図34に示す。
【0089】
硫酸塩の代表的な熱特性を図35に示す。TGAデータは、室温と150℃との間に約0.89%の重量損失が存在することを示す。これは、残留溶媒の損失のためである。DSCデータは、開始温度およびピーク温度がそれぞれ229℃および234℃である1つの吸熱ピークを硫酸塩が有し、吸熱ピークのエンタルピーが約101J/gであることを示す。メシル酸塩の代表的な熱特性を図36に示す。TGAデータは、室温と150℃との間に約0.73%の重量損失が存在することを示す。これは、残留溶媒の損失のためである。DSCデータは、開始温度およびピーク温度がそれぞれ238℃および240℃である1つの吸熱ピークを硫酸塩が有し、吸熱ピークのエンタルピーが約83J/gであることを示す。
【0090】
硫酸塩およびメシル酸塩の水への溶解度試験(2時間後)は、遊離塩基の溶解度よりも高い。塩の溶解度は、1mg/mL未満の遊離塩基の溶解度から約20mg/mLに改善されている。
【0091】
使用方法および医薬組成物
本発明の結晶性塩の形態は、薬剤の製造、保管および/または使用に有益である物理的特性を示す。
【0092】
本発明は、本発明の結晶性塩の形態を使用して、多種多様な疾患および状態を処置および予防する方法を包含する。それぞれの方法において、治療的または予防的に有効量の結晶性塩または多形が、そのような処置または予防を必要とする患者に投与される。このような疾患および状態の例には、慢性疼痛、不安神経症、不眠症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、脂肪肝およびメタボリックシンドロームが含まれるが、これらに限定されない。本発明の組成物を使用して処置または予防することができるこれらおよびその他の疾患および障害の例は、特許出願番号US20180071269A1、WO2009002873A1、EP1911456A1、CN101327214AおよびCN106176740Aに記載されている。本明細書に引用されている特許および特許出願のそれぞれの全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0093】
本明細書に開示されている結晶性塩の形態のいずれかの治療有効量は、特に限定されるものではなく、投与工程は、経口、静脈内、筋肉内または皮下により、約1mg~約1,000mgの量において、約5mg~約500mgの量において、約10mg~約200mgの量において、約10mg~約150mgの量において、約10mg~約120mgの量において、約10mgの量において、約20mgの量において、約40mgの量において、約80mgの量において、または約120mgの量において実施可能である。
【0094】
処置予定の疾患および対象の状態に応じて、本発明の結晶性塩の形態は、経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、嚢中の注射もしくは注入、皮下注射またはインプラント移植)、吸入スプレー、経鼻、膣、直腸、皮下または局所投与経路によって投与することができ、かつ、各投与経路に対して適切な従来の非毒性の薬学的に許容可能な担体、アジュバントおよびビヒクルを含む適切な投与単位製剤において、単独でまたは一緒に調合することができる。個々の結晶性塩の形態は、異なる溶解性、安定性、およびその他の特性を有するため、処置方法において使用される最適な多形は、投与経路に依存し得る。例えば、水溶液に容易に溶解する結晶性塩の形態は、液体剤形を提供するために使用されることが好ましいが、優れた熱安定性を示す結晶性塩の形態は、固体剤形(例えば、錠剤およびカプセル)の製造において、好ましい場合がある。
【0095】
結晶性塩の形態の物理的特性は、場合によっては、それらのバイオアベイラビリティに影響を与える可能性があるが、様々な疾患および状態の処置において、治療的または予防的に有効な多形の量は、医薬または薬学の分野における当業者によって容易に決定され得る。
【0096】
本発明は、化合物(1)の1種または2種以上の結晶性塩の形態と、場合により1種または2種以上の賦形剤または希釈剤とを含んでなる、処置および予防の方法において使用することができる医薬組成物および単一単位剤形を包含する。特定の組成物および剤形は、参照により本明細書に組み込まれる様々な特許および特許出願に開示されている。
【実施例
【0097】
上記で説明した実施形態に加えてその他の実施形態を、以下の例を参照することによりさらに理解することができる。
【0098】
異なる多形を特定する方法
室温でのスラリー試験
特定の溶媒に一定量の固体を添加し、混合物のスラリーを室温で3日間撹拌した。スラリーを濾過し、XRPDによって特性評価し、得られた新しいパターンをDSCおよびTGAによってさらに分析した。
【0099】
50℃でのスラリー試験
室温でのスラリー試験サンプルを50℃に加熱し、1日間撹拌した。スラリーを濾過し、XRPDによって特性評価し、得られた新しいパターンをDSCおよびTGAによってさらに分析した。
【0100】
蒸発晶析
室温でのスラリー試験サンプルに、一定量の溶媒を添加した。スラリーサンプルを0.22μmメンブレンにより濾過し、次いで、飽和溶液を周囲条件下で蒸発させた。得られた新しいパターンをDSCおよびTGAによってさらに分析した。
【0101】
貧溶媒晶析
一定量の結晶性塩をMeOHおよび/またはHOに添加して溶液を形成し、次いで、貧溶媒を添加して固体を析出させた。固体はXRPDによって特徴付けられ、得られた新しいパターンをDSCおよびTGAによってさらに分析した。
【0102】
塩酸塩の形態Iの調製
1.07gの化合物(1)を25mLのアセトンに溶解させ、次いで、333.3μLの濃HClと反応させた。反応混合物を一晩撹拌し、溶液から固体を析出させた。固体を濾過によって回収し、40℃、真空下において5時間乾燥させた。固体は、PLMおよびXRPDによって結晶性材料として特徴付けられ、DSCの溶融開始温度(「Tonset」)は約252℃であった。
【0103】
シュウ酸塩の形態Iの調製
1.07gの化合物(1)を72mLのEtOAcに溶解させ、次いで、420mgのシュウ酸と反応させた。反応混合物を一晩撹拌し、溶液から固体を析出させた。固体を濾過によって回収し、40℃、真空下において5時間乾燥させた。固体は、PLMおよびXRPDによって結晶性材料として特徴付けられ、DSCの溶融Tonsetは約205℃であった。
【0104】
マレイン酸塩の調製
1.03gの化合物(1)を72mLのEtOAcに溶解させ、次いで、356.2mgのマレイン酸と反応させた。反応混合物を一晩撹拌し、溶液から固体を析出させた。固体を濾過によって回収し、40℃、真空下において5時間乾燥させた。固体は、PLMおよびXRPDによって結晶性材料として特徴付けられ、DSCの溶融Tonsetは約193℃であった。
【0105】
硫酸塩の調製
15mgの化合物(1)を1mLのEtOAcに溶解させ、次いで、HSOのEtOAc溶液(500μL、0.07mol/L)と反応させた。反応混合物を一晩撹拌し、溶液から固体を析出させた。固体を濾過によって回収し、40℃、真空下において5時間乾燥させた。固体は、PLMおよびXRPDによって結晶性材料として特徴付けられ、DSCの溶融Tonsetは約229℃であった。
【0106】
メシル酸塩の調製
15mgの化合物(1)を1mLのEtOAcに溶解させ、次いで、2.6μLのメタンスルホン酸と反応させた。反応混合物を一晩撹拌し、溶液から固体を析出させた。固体を濾過によって回収し、40℃、真空下において5時間乾燥させた。固体は、PLMおよびXRPDによって結晶性材料として特徴付けられ、DSCの溶融Tonsetは約238℃であった。
【0107】
例示的な実施形態
化合物(1):
【化4】
の結晶性塩の形態。
【0108】
結晶性塩の形態が、塩酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、硫酸塩またはメシル酸塩である、化合物(1)の結晶性塩の形態。
【0109】
結晶性塩の形態が、約9.7°、約10.1°、約14.3°、約15.0°、約17.5°、約18.9°、約21.9°および約23.7°の2θの群から選択されるピークを含むX線粉末回折パターンを有する塩酸塩である、化合物(1)の結晶性塩の形態。
【0110】
結晶性塩の形態が、約252℃に示差走査熱量測定サーモグラムの吸熱Tonsetを有し、かつ、約9.7°、約10.1°、約14.3°、約15.0°、約17.5°、約18.9°、約21.9°および約23.7°の2θの群から選択されるピークを含むX線粉末回折パターンを有する塩酸塩である、化合物(1)の結晶性塩形態。
【0111】
結晶性塩の形態が、約11.7°、約13.0°、約15.4°、約16.3°、約19.6°、約22.1°および約24.5°の2θの群から選択されるピークを含むX線粉末回折パターンを有するシュウ酸塩である、化合物(1)の結晶性塩の形態。
【0112】
結晶性塩の形態が、約205℃に示差走査熱量測定サーモグラムの吸熱Tonsetを有し、かつ、約11.7°、約13.0°、約15.4°、約16.3°、約19.6°、約22.1°および約24.5°の2θの群から選択されるピークを含むX線粉末回折パターンを有するシュウ酸塩である、化合物(1)の結晶性塩の形態。
【0113】
結晶性塩の形態が、約8.0°、約10.4°、約12.4°、約14.0°、約15.3°、約16.4°、約19.3°、約21.5°および約23.3°の2θの群から選択されるピークを含むX線粉末回折パターンを有するマレイン酸塩である、化合物(1)の結晶性塩の形態。
【0114】
結晶性塩の形態が、約193℃に示差走査熱量測定サーモグラムの吸熱Tonsetを有し、かつ、約8.0°、約10.4°、約12.4°、約14.0°、約15.3°、約16.4°、約19.3°、約21.5°および約23.3°の2θの群から選択されるピークを含むX線粉末回折パターンを有するマレイン酸塩である、化合物(1)の結晶性塩の形態。
【0115】
結晶性塩の形態が、約8.4°、約12.6°、約13.7°、約16.7°、約21.0°、約21.8°、約22.2°および約23.4°の2θの群から選択されるピークを含むX線粉末回折パターンを有する硫酸塩である、化合物(1)の結晶性塩の形態。
【0116】
結晶性塩の形態が、約229℃に示差走査熱量測定サーモグラムの吸熱Tonsetを有し、かつ、約8.4°、約12.6°、約13.7°、約16.7°、約21.0°、約21.8°、約22.2°および約23.4°の2θの群から選択されるピークを含むX線粉末回折パターンを有する硫酸塩である、化合物(1)の結晶性塩の形態。
【0117】
結晶性塩の形態が、約7.9°、約11.3°、約12.6°、約12.9°、約14.7°、約16.1°、約20.0°および約20.7°の2θの群から選択されるピークを含むX線粉末回折パターンを有するメシル酸塩である、化合物(1)の結晶性塩の形態。
【0118】
結晶性塩の形態が、約238℃に示差走査熱量測定サーモグラムの吸熱Tonsetを有し、かつ、約7.9°、約11.3°、約12.6°、約12.9°、約14.7°、約16.1°、約20.0°および約20.7°の2θの群から選択されるピークを含むX線粉末回折パターンを有するメシル酸塩である、化合物(1)の結晶性塩の形態。
【0119】
本明細書に開示されている結晶性塩の形態のいずれかと、薬学的に許容可能な担体とを含んでなる医薬組成物。
【0120】
単一単位剤形である、本明細書に開示されている結晶性塩形態のいずれかを含んでなる医薬組成物。
【0121】
結晶性塩の形態が、実質的に純粋な形態である、本明細書に開示されている結晶性塩形態のいずれかを含んでなる医薬組成物。
【0122】
哺乳動物における慢性痛、不安神経症、不眠症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、脂肪肝およびメタボリックシンドロームを処置する方法であって、前記哺乳動物に対して本明細書に開示されている医薬組成物のいずれかの治療有効量を投与することを含んでなる、前記方法。
【0123】
哺乳動物における慢性痛、不安神経症、不眠症、高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、脂肪肝およびメタボリックシンドロームを処置する方法であって、前記哺乳動物に対して本明細書に開示されている結晶性塩の形態のいずれかの治療有効量を投与することを含んでなる、前記方法。
【0124】
実施例1:薬物動態および脳への浸透に関する試験
目的
TLZ-16遊離塩基(化合物(1)およびその5種の塩の薬物動態プロファイルおよび脳への浸透を決定すること。
【0125】
試験デザイン
試験群は、以下の表に示されている。
【0126】
【表8】
【0127】
実験手順
【表9】
【0128】
【表10】
【0129】
【表11】
【0130】
【表12】
【0131】
試験物質および投与調合物
【0132】
【表13】
【0133】
【表14】
【0134】
PKサンプル分析
LC-MS/MS法を使用して、血漿サンプル中の試験物質の濃度を分析する。
【0135】
WinNonlin(Phoenix(商標)、バージョン6.1)またはその他の同様のソフトウェアを、薬物動態計算に使用する。以下の薬物動態パラメータを、時間データに対する血漿中濃度からできる限り計算する。
IV投与:T1/2、C0、AUClast、AUCinf、MRTinf、Cl、Vss、回帰のポイント数
PO投与:T1/2、Cmax、Tmax、MRTinf、AUCinf、AUClast、F%、回帰のポイント数
【0136】
記述統計学、例えば、平均値、標準偏差を使用して、薬物動態データを記載する。
【0137】
追加の薬物動態学的または統計的分析が、貢献している科学者の裁量で実行される場合があり、データの概要に記載される。
【0138】
結果
(1)TLZ-16遊離塩基
【表15】
【0139】
【表16】
【0140】
【表17】
【0141】
【表18】
【0142】
(2)TLZ-16HCl
【表19】
【0143】
【表20】
【0144】
(3)TLZ-16マレイン酸塩
【表21】
【0145】
【表22】
【0146】
(4)TLZ-16メシル酸塩
【表23】
【0147】
【表24】
【0148】
(5)TLZ-16シュウ酸塩
【表25】
【0149】
【表26】
【0150】
(6)TLZ-16硫酸塩
【表27】
【0151】
【表28】
【0152】
実験結果は、以下のようにさらにまとめられる。
【0153】
1.TLZ-16遊離塩基と様々な塩との溶解度の比較
形態Iの塩酸塩の溶解度試験(2時間後)は、遊離塩基の溶解度よりも高かった。形態Iの塩酸塩の溶解度は、1mg/mL未満の遊離塩基の溶解度から約19.1mg/mLに改善された。
【0154】
形態Iのシュウ酸塩の水への溶解度試験(2時間後)は、遊離塩基の溶解度よりも高かった。形態Iのシュウ塩の溶解度は、1mg/mL未満の遊離塩基の溶解度から約19.2mg/mLに改善された。
【0155】
マレイン酸塩の水への溶解度試験(2時間後)は、遊離塩基の溶解度よりも高い。マレイン酸塩の溶解度は、1mg/mL未満の遊離塩基の溶解度から約11.0mg/mLに改善されている。
【0156】
硫酸塩およびメシル酸塩の水への溶解度試験(2時間後)は、遊離塩基の溶解度よりも高い。塩の溶解度は、1mg/mL未満の遊離塩基の溶解度から約20mg/mLに改善されている。
【0157】
2.ラット血漿サンプル中のTLZ-16遊離塩基および塩の濃度
【表29】
【0158】
3.TLZ-16遊離塩基のPKパラメータ
ラット血漿中のTLZ-16遊離塩基のPKパラメータ(T1/2、AUC0-t、AUCinf、AUC%Extrap、平均滞留時間(MRT)、クリアランス(CL)、Cmax、F(バイオアベイラビリティ)など)を表9にまとめる。
【0159】
【表30】
【0160】
TLZ-16遊離塩基とその様々な塩のPKパラメータの比較
ラット血漿中のTLZ-16遊離塩基および塩のPKパラメータ((T1/2、AUC0-t、AUCinf、AUC%Extrap、平均滞留時間(MRT)、クリアランス(CL)、Cmax、F(バイオアベイラビリティ))を表10にまとめる。
【0161】
【表31】
【0162】
上記のように、TLZ-16遊離塩基のバイオアベイラビリティ(F値)は、19.3±1.4であり、塩のF値よりも大幅に低い。
【0163】
TLZ-16遊離塩基と比較すると、様々な塩が溶解性において大きな改善を示す。また、上記の薬物動態データは、本発明の塩がより優れたバイオアベイラビリティおよび生体内分布を有することを示す。
【0164】
実施例2:炎症性疼痛の完全フロイントアジュバント(CFA)ラットモデルにおけるTLZ-16-CL(TLZ-16HCl塩)の効果
試験目的:炎症性疼痛の完全フロイントアジュバント(CFA)ラットモデルにおけるTLZ-16-CLの効果を評価すること。
【0165】
この試験は、非GLP試験である。この試験における動物の取り扱い、世話および処置に関連するすべての手順は、実験動物ケア評価認証協会(AAALAC)のガイダンスを受けて、Pharmaronの動物実験委員会(IACUC)によって承認されたガイドラインに従って実施された。
【0166】
試験デザイン
動物
種および系統:SDラット、Beijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.,Ltdから入手
齢:6~8週齢
体重:203~234g
性:雄
【0167】
飼育:動物および飼育の一般的な手順は、Commission on Life Sciences,National Research Councilの標準およびPharmaron,Inc.の標準操作手順(SOP)に準拠した。各ケージに3匹の動物を入れて、一定の温度および湿度の層流ルームにおいて動物を飼育した。動物をポリカーボネートケージ内で飼育し、温度22℃±3℃かつ相対湿度40%~80%に維持され、環境が監視され、換気が良くされた部屋で飼育した。蛍光灯は、1日あたり約12時間の照明を提供した。床材は針葉樹で、週に1回交換された。
【0168】
動物ID:各動物には識別番号が割り当てられ、以下の識別方法が適用された。各ケージのカードには、試験番号、群、性別、用量、動物番号、開始日、試験ディレクター、電話番号などの情報がラベルされた。
【0169】
食事:プロトコルにより指定された期間を除いて、試験期間全体にわたって、照射滅菌された乾燥顆粒食品(Beijing Keaoxieli Feed Co., Ltd、北京、中国)に、動物を自由にアクセスさせた。
【0170】
水:ボトルに入った滅菌飲料水は、検疫期間中および試験期間中、すべての動物が自由に摂取することができた。ボトルとシッパーチューブが取り付けられたストッパーとを、使用前にオートクレーブ処理した。動物施設からの水のサンプルを分析し、水の分析の結果が施設の記録に保持され、獣医師または被指名人によって検査されて、試験結果に干渉または影響する既知の汚染物質が存在しないことを確認した。
【0171】
群および処置
3日目における体重とフォンフレイの閾値とに基づいて、コンピューターで生成される無作為化手順を使用して、動物をそれぞれの群に無作為に割り当てた。試験群および群ごとの処置法を、以下の表に示す。
【0172】
【表32】
【0173】
誘導試薬:CFA、Chondrex Inc.から購入。
ビヒクル:生理食塩水、Shandong Hualu Pharmaceutical Co.,Inc.から供給。
試験化合物:TLZ-16-CL(TLZ-16HCl塩)、Beijing Taizhou Lize Pharmaceutical Technology co.,LTDから供給。
対照:ナプロキセンナトリウム、National Institutes for Food and Drug Controlから供給。
【0174】
誘導手順
誘導試薬:CFA
経路:左足底下注射
投与量:50μL/ラット(結核菌、4mg/mL)
頻度:0日目に単回投与
【0175】
投薬手順および調合
経路:P.O.
容量:5mL/kg
頻度:単回投与
投与時間:CFA注射後72時間
【0176】
調合:試験物質およびビヒクルの調製を、以下の表に示す。
【0177】
【表33】
【0178】
試験方法および測定パラメータ
フォンフレイテスト
試験経過中に、電子式フォンフレイフィラメント(Bioseb、フランス)に対する逃避の閾値を決定することによって、左後足の機械的アロディニアを測定した。フィラメントを、力を強くしながら足の足底表面に対して垂直に適用した。反射性の足の引っ込めを誘発した2~3回の繰り返し刺激(g)の平均をとることによって、反射性の足の引っ込めを誘発するために必要な力を計算した。
【0179】
試験経過中に、フォンフレイテストをCFAの前の閾値、CFA後72時間ならびに投与後1、2および4時間を含む5回実施した。
【0180】
血液回収
血液サンプルをチューブに回収した。血液サンプルを4℃で10分間、8000gで遠心分離して血清サンプルを回収し、合計48個の血清サンプルを-80℃で保存した。
【0181】
統計分析
ソフトウェアSPSS16.0によって、多重比較検定に次いで一元配置分散分析(ANOVA)を群間に適用し、P<0.05が有意であると認められた。
【0182】
結果
10.8mg/kgおよび5.4mg/kgにおいて経口的に単回投与された試験化合物TLZ-16-CLは、投与後1、2および4時間でのフォンフレイテストに基づいて有意な拮抗作用を示した。高評価であるように、20mg/kgでの単回投与後の陽性化合物ナプロキセンは、投与後1、2および4時間でのフォンフレイテストに基づいて有意な拮抗作用を示した。
【0183】
【表34】
【0184】
実施例3:SNIによって誘発される神経障害性疼痛のラットモデルにおけるTLZ-16-CLの鎮痛効果
試験目的:SNIによって誘発される神経障害性疼痛のラットモデルにおけるTLZ-16-CLの効果を評価すること。
【0185】
この試験は、非GLP試験である。この試験における動物の取り扱い、世話および処置に関連するすべての手順は、実験動物ケア評価認証協会(AAALAC)のガイダンスを受けて、Pharmaronの動物実験委員会(IACUC)によって承認されたガイドラインに従って実施された。
【0186】
試験デザイン
動物
種および系統:SDラット、Beijing Vital River Co.,LTDから購入
齢:6~8週齢
体重:192~233g
性:雄
【0187】
飼育:動物の世話および飼育の一般的な手順は、Commission on Life Sciences,National Research Councilの標準およびPharmaron,Inc.の標準操作手順(SOP)に準拠した。各ケージに3匹の動物を入れて、一定の温度および湿度の層流ルームにおいて動物を飼育した。動物をポリカーボネートケージ内で飼育し、温度22℃±3℃かつ相対湿度40%~80%に維持され、環境が監視され、換気が良くされた部屋で飼育した。試験全体を通して、12時間の明かり(午前8時~午後8時)および12時間の暗闇(午後8時~午前8時)の定期的なサイクルの環境において、すべての動物を飼育した。床材は針葉樹で、週に1回交換された。
【0188】
動物ID:各動物には識別番号が割り当てられ、以下の識別方法が適用された。各ケージのカードには、試験番号、群、性別、用量、動物番号、開始日、試験ディレクター、電話番号などの情報がラベルされた。
【0189】
食事:プロトコルにより指定された期間を除いて、試験期間全体にわたって、照射滅菌された乾燥顆粒食品(Beijing Keaoxieli Feed Co., Ltd、北京、中国)に、動物を自由にアクセスさせた。
【0190】
水:ボトルに入った滅菌飲料水は、検疫期間中および試験期間中、すべての動物が自由に摂取することができた。ボトルとシッパーチューブが取り付けられたストッパーとを、使用前にオートクレーブ処理した。動物施設からの水のサンプルを分析し、水の分析の結果が施設の記録に保持され、獣医師または被指名人によって検査されて、試験結果に干渉または影響する既知の汚染物質が存在しないことを確認した。
【0191】
群および処置
10日目における動物の体重、フォンフレイの閾値および体重負荷に基づいて、コンピューターで生成される無作為化手順を使用して、動物をそれぞれの群に無作為に割り当てた。試験群および群ごとの処置法を、以下の表に示す。
【0192】
【表35】
【0193】
試験化合物:TLZ-16-CL、Beijing Taizhou Lize Pharmaceutical Technology co.,LTDから供給
対照化合物:プレガバリン、Jiuding chemical technology co. LTDから供給;およびモルヒネ塩酸塩、Beijing Taizhou Lize Pharmaceutical Technology co.,LTDから提供
【0194】
投薬手順および調合
経路:P.O.(G1.2.4.5.6)、IP(G3)
容量:5mL/kg
頻度:SNI手術後10日目に単回投与
投与時間:10日目
【0195】
調合
試験化合物を投与前に新たに調製した。ビヒクルおよび化合物の調製を、以下の表に記載する。
【0196】
【表36】
【0197】
実験方法および測定パラメータ
体重
試験経過にわたって、毎週ならびに手術前および投薬前に、すべての動物の体重を記録した。
【0198】
神経部分損傷(SNI:Spared Nerve Injury)
麻酔下にある動物の大腿部の側部表面の皮膚に切り込みを入れ、坐骨神経およびその3つの終枝(腓腹神経、総腓骨神経および脛骨神経)を露出する大腿二頭筋を介して、直接的に切開部を作製した。
【0199】
SNIの手順は、腓腹神経を無傷のままにし、脛骨神経および総腓骨神経を軸索切断および結紮することを含む。総腓骨神経および脛骨神経を6.0シルクによりきつく結紮し、結紮部の遠位において切断して、遠位神経の断端の2±4mmを除去した。無傷の腓腹神経との接触および無傷の腓腹神経の伸びを避けるために、細心の注意が払われた。筋肉および皮膚を2つの層において閉じた。0日目にすべての動物の左側の脚を手術した。
【0200】
フォンフレイテスト
試験経過中に、電子式フォンフレイフィラメント(Bioseb、フランス)に対する逃避の閾値を決定することによって、左後足の機械的アロディニアを測定した。フィラメントを、力を強くしながら足の足底表面に対して垂直に適用した。反射性の足の引っ込めを誘発した2回の繰り返し刺激(g)の平均をとることによって、反射性の足の引っ込めを誘発するために必要な力を計算した。
【0201】
群1~6の動物のフォンフレイを、手術前の閾値、投与前の閾値ならびに10日目の投与後1、2および4時間を含む5回測定した。
【0202】
体重負荷テストの差
ラットは、SNIを誘発した足および反対側の足の両方で体重を不均等に分散させた。体重バランスを変更する器具(YLS-11A、JinanYiYan Science and technology development co.,LTD)によって、これを測定した。動物を試験して、後足によって加えられた体重負荷を、床に挿入された床反力計により記録した。SNIを誘発した足と反対側の足との間の平均体重負荷(g)は、10秒後に決定された。
【0203】
群1~6の体重負荷の差を、手術前の閾値、投与前の閾値ならびに10日目の投与後1、2および4時間を含む5回測定した。
【0204】
血液の回収
最後の測定から4時間後に、血液サンプルを群1~6の動物から回収した。血液サンプルをチューブに回収した。血液を30分間置き、次いで、血液サンプルを4℃で10分間、8000gで遠心分離して血清サンプルを回収し、合計60個の血清サンプルを-80℃において保存した。
【0205】
データ解析
すべての統計分析を実施し、有意水準をP<0.05に設定した。試験がデザインされたすべての測定パラメータに対して、群の平均および標準誤差を計算した。ソフトウェアSPSS16.0によって、群間の一元配置分散分析を実行した。
【0206】
結果
この試験において、10.8mg/kgおよび5.4mg/kgで単回投与として経口投与された試験化合物TLZ-16-CLは、投与後1、2および4時間でのフォンフレイテストおよび体重負荷試験に基づいて有意な拮抗作用を示した。2.7mg/kgで単回投与として経口投与された試験化合物TLZ-16-CLは、投与後2時間でのフォンフレイテストおよび体重負荷試験に基づいて有意な拮抗作用を示し、投与後4時間では体重負荷試験のみに基づいて有意な拮抗作用を示した。
【0207】
【表37】
【0208】
【表38】
【0209】
実施例4:絞扼性神経損傷(CCI)ラットモデルにおけるTLZ-16-CLの鎮痛効果
試験目的:CCIラットモデルに対するTLZ-16-CLの鎮痛効果を評価すること。
【0210】
この試験は、非GLP試験である。この試験における動物の取り扱い、世話および処置に関連するすべての手順は、実験動物ケア評価認証協会(AAALAC)のガイダンスを受けて、Pharmaronの動物実験委員会(IACUC)によって承認されたガイドラインに従って実施された。
【0211】
試験デザイン
動物
種および系統:SDラット、Beijing Vital River Co.,Ltdから供給
齢:6~8週齢
体重:257~349g
性:雄
【0212】
飼育:動物および飼育の一般的な手順は、Commission on Life Sciences,National Research Councilの標準およびPharmaron,Inc.の標準操作手順(SOP)に準拠した。各ケージに3匹の動物を入れて、一定の温度および湿度の層流ルームにおいて動物を飼育した。動物をポリカーボネートケージ内で飼育し、温度22℃±3℃かつ相対湿度40%~80%に維持され、環境が監視され、換気が良くされた部屋で飼育した。蛍光灯は、1日あたり約12時間の照明を提供した。床材は針葉樹で、週に1回交換された。
【0213】
動物ID:各動物には識別番号が割り当てられ、以下の識別方法が適用された。各ケージのカードには、試験番号、性別、動物番号、開始日、試験ディレクター、電話番号などの情報がラベルされた。耳のコーディング(ear cording)により個々の動物を識別した。
【0214】
食事:プロトコルにより指定された期間を除いて、試験期間全体にわたって、照射滅菌された乾燥顆粒食品(Beijing Keaoxieli Feed Co., Ltd、北京、中国)に、動物を自由にアクセスさせた。
【0215】
水:ボトルに入った滅菌飲料水は、検疫期間中および試験期間中、すべての動物が自由に摂取することができた。ボトルとシッパーチューブが取り付けられたストッパーとを、使用前にオートクレーブ処理した。動物施設からの水のサンプルを分析し、水の分析の結果が施設の記録に保持され、獣医師または被指名人によって検査されて、試験結果に干渉または影響する既知の汚染物質が存在しないことを確認した。
【0216】
群および処置
13日目における体重、フォンフレイの閾値および体重負荷に基づいて、コンピューターで生成される無作為化手順を使用して、動物をそれぞれの群に無作為に割り当てた(以下の表を参照)。
【0217】
【表39】
【0218】
ビヒクル:0.9%生理食塩水、Shandong Hualu Pharmaceutical Co.,Incから供給;およびメチルセルロース、Sigma-Aldrichから供給
対照化合物1:プレガバリン、JiuDing chemistry(上海),Incから供給
対照化合物2:モルヒネ塩酸塩、Beijing Taizhou Lize Pharmaceutical Technology co.,LTDから供給
試験化合物:TLZ-16-CL、Beijing Taizhou Lize Pharmaceutical Technology co.,LTDから供給
【0219】
投薬手順および調合
経路:P.O.
容量:5mL/kg
頻度:QD*7
投与時間:CCI手術後14日目および20日目から
【0220】
調合
投与前にすべての試験化合物を新たに調製した。ビヒクルおよび化合物の調製を以下の表に記載する。
【0221】
【表40】
【0222】
試験方法および測定パラメータ
体重
試験経過にわたって、投薬前に、すべての動物の体重を記録した。
【0223】
絞扼性神経損傷(CCI)
ラットをイソフルランにより麻酔した。大腿中央部における鈍的切開によって左坐骨神経を露出させ、付着している組織を神経の約10mmのセクションに対して切開した。10mmのクロムガット(chrome catgut)を神経に取り付け、三叉の神経近位部分の周囲に絞扼カフを、カフ間の距離を約1mmにして適用した。切開された筋肉に対して4.0縫合糸により創傷を閉じ、次いで、創傷クリップを皮膚に適用した。
【0224】
フォンフレイテスト
試験経過中に、電子式フォンフレイフィラメント(Bioseb、フランス)に対する逃避の閾値を決定することによって、左後足の機械的アロディニアを測定した。フィラメントを、力を強くしながら足の足底表面に対して垂直に適用した。反射性の足の引っ込めを誘発した2~3回の繰り返し刺激(g)の平均をとることによって、反射性の足の引っ込めを誘発するために必要な力を計算した。
【0225】
CCI手術前の閾値、13日目の投与前の閾値、14日目の投与後1、2および4時間、20日目の投与前の閾値ならびに20日目の投与後1、2および4時間を含む9回、群1~6のフォンフレイテストを実施した。
【0226】
体重負荷テストの差
ラットは、CCIを誘導した足および反対側の足の両方で体重を不均等に分散させた。体重バランスを変更する器具(YLS-11A、JinanYiYan Science and technology development co.,LTD)によって、これを測定した。動物を試験して、後足によって加えられた体重負荷を、床に挿入された床反力計により記録した。用量感染部の足(dose-infection paw)と反対側の足との間の平均体重負荷(g)は、10秒後に決定された。
【0227】
CCI手術前の閾値、13日目の投与前の閾値、14日目の投与後1、2および4時間、20日目の投与前の閾値ならびに20日目の投与後1、2および4時間を含む9回、群1~6の体重負荷の差を実施した。
【0228】
データ解析
ソフトウェアSPSS16.0によって、多重比較検定に次いで一元配置分散分析(ANOVA)を群間に適用し、P<0.05が有意であると認められた。
【0229】
結果
14日目および20日目のフォンフレイおよび体重負荷試験に基づいて、TLZ-16-CLは、5.4mg/kgおよび10.8mg/kgにおいて、投与後1、2および4時間で鎮痛効果を示し、2.7mg/kgにおいても、投与後2および4時間で鎮痛効果を示した。
【0230】
【表41】
【0231】
【表42】
【0232】
【表43】
【0233】
【表44】
【0234】
試験化合物TLZ-16-CLは、絞扼性神経損傷(CCI)ラットモデルにおいて用量依存的に鎮痛効果を示した。14日目および20日目のフォンフレイテストおよび体重負荷試験に基づいて、TLZ-16-CLは、5.4mg/kgおよび10.8mg/kgで、投与後1、2および4時間において鎮痛効果を示し、2.7mg/kgでも、投与後2および4時間において鎮痛効果を示した。
【0235】
上記から、試験化合物TLZ-16-CL(TLZ-16HCl塩)が、炎症性疼痛モデルおよび神経障害性疼痛モデルの両方において有意な鎮痛効果を示すことを理解することができる。
【0236】
均等物
当業者は、ただの日常的な実験を使用して、本明細書に記載されている特定の実施形態および方法に対する多くの均等物を認識し、または確認することができるであろう。このような均等物は、以下のクレームの範囲に含まれることを意図する。
【0237】
本明細書に記載される詳細な例および実施形態は、例示のみを目的とした例として示されており、本開示に限定されるとは決して見なされないものと理解される。その観点において様々な改変または変更が、当業者に提案され、本出願の趣旨および範囲内に含まれ、添付の特許請求の範囲の範囲内と見なされる。例えば、所望の効果を最適化するために成分の相対量を変化させ得、追加の成分を追加し得、かつ/あるいは、類似の成分を1種または2種以上の記載された成分に置き換え得る。本開示のシステム、方法およびプロセスに関連する追加の有利な特徴および機能は、添付の特許請求の範囲から明らかになる。さらに、当業者は、ただの日常的な実験を使用して、本明細書に記載されている開示の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識し、または確認することができるであろう。このような均等物は、以下のクレームの範囲に含まれることを意図する。
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図34(a)】
図34(b)】
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【国際調査報告】