(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-24
(54)【発明の名称】ヒートパイプ冷却を備える制御棒駆動機構
(51)【国際特許分類】
G21C 7/14 20060101AFI20220117BHJP
F28D 15/02 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
G21C7/14 800
G21C7/14 110
F28D15/02 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021513384
(86)(22)【出願日】2018-12-21
(85)【翻訳文提出日】2021-03-24
(86)【国際出願番号】 US2018067128
(87)【国際公開番号】W WO2020068146
(87)【国際公開日】2020-04-02
(32)【優先日】2018-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511117093
【氏名又は名称】ニュースケール パワー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ロブシャイド、 クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ノエル、 デレク
(57)【要約】
原子炉制御棒駆動機構(CRDM)のための冷却システムが、CRDMの中に又はCRDMの隣に配置される蒸発セクションと、当該蒸発セクションに流体的に結合される凝縮セクションとを含む。冷却システムは、CRDMにおける駆動コイルから上に延びる一セットのヒートフィンと、当該駆動コイル及びヒートフィンを通るように延びるヒートパイプとを含んでよい。流体が、ヒートパイプの蒸発セクションにある間に、CRDMにより生じた熱により蒸発して当該蒸発セクションから外に移動し、ヒートフィンにおいて凝縮セクションの中に入る。流体は、凝縮セクションにある間に冷却されて凝縮して再循環し、蒸発セクションの中に戻る。この受動自然循環冷却システムにより、CRDMを冷却するべく典型的に使用される水ホース、配管及び水ポンプ機器の数又は空冷のための要件が減り又はゼロになるので、原子炉の信頼性が高まり、原子炉の動作及び保守が単純化される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉制御棒駆動機構(CRDM)のための冷却システムであって、
前記CRDMの中に又は前記CRDMの隣に配置される蒸発セクションと、
前記蒸発セクションに流体的に結合される凝縮セクションと、
流体と
を含み、
前記流体は、
前記蒸発セクションにある間に前記CRDMにより生じた熱により蒸発して前記蒸発セクションから外に流れ出し、前記凝縮セクションの中に入ることと、
前記CRDMから離れるように動いた後に前記凝縮セクションにある間に凝縮して再循環し、前記蒸発セクションの中に戻ることと
を行うべく構成される、冷却システム。
【請求項2】
前記CRDMにおいて駆動コイルから上に延びる一セットのヒートフィンを含み、
前記蒸発セクションは前記駆動コイル及びヒートフィンの内側部分を通るように延び、
前記凝縮セクションは前記駆動コイル及びヒートフィンの外側部分を通るように延びる、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記ヒートフィンは、前記CRDMにおける接続解除磁石を電磁気的に保持するべく構成される接続解除コイルのまわりに延びる、請求項2に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記駆動コイル及び前記ヒートフィンが環状駆動シャフトハウジングまわりの細長い環状形状を形成する、請求項2に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記駆動コイル及び前記ヒートフィンを通るようにループに延びるヒートパイプを含む、請求項2に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記ヒートフィンに配置される前記ヒートパイプの内側部分のまわりに形成される絶縁体を含む、請求項5の冷却システム。
【請求項7】
前記ヒートフィンに配置される前記ヒートパイプの外側まわりに形成される凝縮チャネルを含む、請求項6の冷却システム。
【請求項8】
前記ヒートパイプは前記CRDMから、前記原子炉を収容する容器の内表面まで延び、又は
前記ヒートパイプは、前記原子炉を収容する容器の外側の環境まで熱を伝達する構造物まで延びる、請求項5の冷却システム。
【請求項9】
前記CRDMは、
駆動シャフトハウジングの外側表面まわりに配置される複数の駆動コイルと、
前記駆動シャフトハウジングの内側表面まわりに配置される複数の駆動磁石と、
上端が前記駆動磁石に接続されて下端が核制御棒集合体に接続される一の駆動シャフトと
を含み、
前記駆動コイルを作動させることにより前記駆動磁石が持ち上げられて前記駆動シャフト及び核制御棒集合体が上昇し、
前記冷却システムは、前記駆動シャフト及び前記核制御棒集合体が持ち上げられている間に前記駆動コイルにより発生する熱を除去する、請求項1の冷却システム。
【請求項10】
原子炉制御棒駆動機構(CRDM)のための冷却システムであって、
原子炉圧力容器の上端から上に延びる一の駆動シャフトハウジングと、
上端が前記駆動シャフトハウジングの中に延びて下端が前記原子炉圧力容器の下端に配置される制御棒集合体に結合される一の駆動シャフトと、
前記駆動シャフトを直線的に変位させて前記制御棒集合体を上昇及び下降させるべく構成される前記駆動シャフトハウジングに結合される一の駆動機構と、
前記駆動機構の中に又は前記駆動機構の隣に配置される複数のヒートパイプと、
前記駆動機構からの熱を除去するべく蒸発及び凝縮を介して前記ヒートパイプを通って循環するべく構成される前記ヒートパイプの中に配置される流体と
を含む、冷却システム。
【請求項11】
前記駆動機構から上に延びる複数のヒートフィンを含み、
前記ヒートパイプは前記駆動機構及び前記ヒートフィンを通るように延びる、請求項10の冷却システム。
【請求項12】
前記ヒートフィンを通るように延びるヒートパイプの内側部分を少なくとも部分的に取り囲む絶縁体を含む、請求項11の冷却システム。
【請求項13】
前記ヒートフィンを通るように延びるヒートパイプの外側を少なくとも部分的に取り囲む複数の凝縮チャネルを含む、請求項12の冷却システム。
【請求項14】
前記ヒートパイプは上に延びて前記駆動機構及び前記ヒートフィンを通り、下へと戻るように延びて前記ヒートフィン及び駆動機構を通ってループを形成する、請求項11の冷却システム。
【請求項15】
前記ヒートフィンは前記駆動機構から鉛直上方に延びて前記駆動シャフトハウジングから径方向外方に延びる、請求項11の冷却システム。
【請求項16】
前記原子炉圧力容器を少なくとも部分的に封止する格納容器を含み、前記ヒートパイプは前記駆動機構から外に出て前記格納容器の内側表面まで延びる、請求項10の冷却システム。
【請求項17】
原子炉において制御棒駆動機構(CRDM)を冷却するシステムであって、
流体を包含する複数の管を含み、
前記管は、
前記CRDMの中に又は前記CRDMの隣に配置される蒸発セクションと、
前記蒸発セクションに流体的に接続される凝縮セクションと
を含み、
前記蒸発セクションにおける流体は前記CRDMにより発生する熱により蒸発するように構成され、
前記凝縮セクションは、前記蒸発がされた流体を凝縮し、前記凝縮がされた流体を重力又は毛管作用を介して前記蒸発セクションまで戻すように循環させる、システム。
【請求項18】
前記CRDMにおける複数の駆動コイルから外へと延びる複数のヒートフィンをさらに含み、
前記管は前記駆動コイル及び前記ヒートフィンを通るように延びるループを形成する、請求項17のシステム。
【請求項19】
前記管の前記蒸発セクションは、前記駆動コイルの内側部分と前記ヒートフィンの内側部分とに沿って延び、
前記管の前記凝縮セクションは、前記駆動コイルの外側部分と前記ヒートフィンの外側部分とに沿って延びる、請求項18のシステム。
【請求項20】
前記ヒートフィンの内側部分に沿って延びる管の少なくとも一部分を取り囲む絶縁体と、
前記ヒートフィンの外側部分に沿って延びる管の少なくとも一部分を取り囲む複数の凝縮チャネルと
を含む、請求項19のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年9月25日に出願された「ヒートパイプ冷却を備える制御棒駆動機構」との名称の米国仮特許出願第62/736,250号の優先権を主張し、その内容は全体がここに参照により組み入れられる。
【0002】
本願はまた、米国仮出願第62/441,015号の優先権を主張する2017年12月29日に出願された「遠隔接続解除機構を備える制御棒駆動機構(CDRM)」との名称の米国特許出願第15/858,727号の一部継続出願でもあり、その内容は全体がここに参照により組み入れられる。
【0003】
政府の利益
本発明は、エネルギー省から受注した契約第DE-NE0000633号に基づく政府の支援によりなされている。政府は、本発明に所定の権利を有する。
【0004】
本開示は一般に、原子炉制御棒駆動機構のための冷却システムに関する。
【背景技術】
【0005】
原子炉圧力容器(RPV)の頂部にある制御棒駆動機構(CRDM)は、急速制御棒挿入(SCRAM)中に重力によって駆動シャフトを操作又は解放することができる。CRDMは、RPVを格納する上部格納容器(CNV)内に配置され、駆動シャフトの動きを制御するべく電気モータを使用し得る。電気モータは、圧力容器バウンダリを横切る電磁力によって遠隔的に駆動され得る。
【0006】
CRDM電気モータは典型的に、炉コンポーネント冷却水システム(RCCWS)又は強制空気冷却によって冷却される。水冷システムには、電気モータコイルから熱を除去する水を循環させるべく水ホースの複雑な配列が組み入れられる。燃料交換のためにRPVをCNVから取り外すとき、これらのホースは取り外すのが困難である。冷却システムにおける漏洩又は閉塞により引き起こされるCRDM故障が、格納排気システム(CES)に原子炉をシャットダウンさせるトリガーとなり得る。代替的な空冷システムは、いくつかの原子炉にとって十分とはいえない。例えば、排気されたCNVは、RPVの外側まわりに真空環境をもたらすので、冷却オプションとしての対流熱伝達が排除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実全昭58-127385号公報
【特許文献2】特開昭63-083693号公報
【発明の概要】
【0008】
簡略化された冷却システムが、排気された格納容器(CNV)において動作する間に、制御棒駆動機構(CRDM)の電気モータを冷却するべくヒートパイプを使用する。この冷却システムは、炉コンポーネント冷却水システム(RCCWS)による動的水冷に依存することがないので、CRDM、CNV及びRCCWSの設計を大幅に簡略化し、潜在的な格納排気システム(CES)トリガー、及び意図しない冷却漏洩又は閉塞によるCRDM故障を回避する。
【0009】
冷却システムは、有効な対流熱伝達を妨げる真空環境で動作するCRDMにとっての冷却制約を克服する。ヒートパイプは、CRDM電気コイルからの熱を、当該CRDM電気コイルの上に配置されたフィン付き熱交換器へ伝達することができるので、周囲のCNV容器壁への真空を介した放射による熱伝達能力が増大される。冷却システムは、電気コイルと同じ又はこれよりも大きな直径エンベロープを包括することができるので、外部電力又は外部流体移送を必要としない。代替オプションにおいて、CRDMの上にあるヒートパイプの低温端をCNV容器壁に直接取り付けることができるので、伝導性熱伝達をさらに促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
含まれる図面は例示目的であり、開示される発明のシステム、装置、方法及びコンピュータ可読記憶媒体のための可能な構造及び動作の例を提供するべく与えられる。これらの図面は、開示される実装例の要旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によってなされ得る形態及び詳細の任意の変更を何ら制限しない。
【0011】
【
図2】格納容器内部の制御棒駆動機構(CRDM)を備える炉圧力容器の上部ヘッドの斜視側断面図である。
【
図3】核燃料集合体に部分的に挿入された制御棒集合体の斜視図である。
【
図5】単ヒンジタイプ制御棒駆動機構の側面図である。
【
図6】単ヒンジタイプ制御棒駆動機構の平面図である。
【
図8】制御棒駆動機構内の単ヒンジラッチアセンブリのさらなる拡大詳細側断面図である。
【
図10】
図8の単ヒンジラッチアセンブリの断面平面図である。
【
図12】二重ヒンジタイプ制御棒駆動機構の側面図である。
【
図14】
図12の制御棒駆動機構内にある二重ヒンジラッチアセンブリの拡大側断面図である。
【
図15】
図14の二重ヒンジラッチアセンブリの断面平面図である。
【
図16A-16C】
図16A~
図16Gは、異なる制御棒駆動機構(
図5又は
図12)動作状態を示す模式図であって、
図16A~
図16Bは、駆動シャフトに係合して直線的に動かす駆動機構を使用する一例のプロセスを示す。
図16C~16Gは、駆動シャフトを制御棒集合体から結合解除するべく遠隔接続解除システムを使用する一例のプロセスを示す。
【
図16D-16E】
図16C~16Gは、駆動シャフトを制御棒集合体から結合解除するべく遠隔接続解除システムを使用する一例のプロセスを示す。
【
図16F-16G】
図16C~16Gは、駆動シャフトを制御棒集合体から結合解除するべく遠隔接続解除システムを使用する一例のプロセスを示す。
【
図17】CRDM冷却システムを使用する上部格納容器内にある炉圧力容器の上部ヘッドの斜視側断面図である。
【
図18】CRDM冷却システムの分離斜視図である。
【
図19】CRDM冷却システムの下部断面の断面平面図である。
【
図20】CRDM冷却システムの上部セクションの断面平面図である。
【
図21】CRDM冷却システムの上部セクションの拡大断面平面図である。
【
図22】CRDM冷却システムの等角側断面図である。
【
図23】CRDM冷却システムの拡大等角側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、炉圧力容器52を含む一例の一体型炉モジュール5を示す。炉心6が、炉圧力容器52の下部ヘッド55の近くに配置されるように示される。炉心6は、炉心6の側部まわりを取り囲むシュラウド22に配置してよい。ライザーセクション24が、蒸気発生器30が取り囲む炉心6まわりに配置される。
【0013】
一次冷却材28が炉心6により核分裂事象の結果として加熱されると、一次冷却材28は、シュラウド22から上に向けられ、炉心6の上に配置されたアニュラス23の中に入り、ライザー24から外に出る。これは、付加的な一次冷却材28がシュラウド22の中に引き込まれ、ひいては炉心6により加熱されることをもたらし、さらに多くの一次冷却材28がシュラウド22の中へと引き込まれる。ライザー24から出てくる一次冷却材28は、蒸気発生器30により冷却され、炉圧力容器52の外側へと向けられ、その後、自然循環を介して炉圧力容器52の底まで戻される。
【0014】
一次冷却材28は、炉心6を通過するように循環して高温冷却材THとなり、その後、ライザーセクション24を通って上昇し続ける。ここで、一次冷却材28はアニュラスを降りて戻るように向けられ、蒸気発生器30により冷却されて低温冷却材TCになる。一以上の制御棒駆動機構(CRDM)10が、炉心6の上に配置される複数の制御棒集合体80とのインタフェイスをなすように構成され得る一定数の駆動シャフト20に動作可能に結合される。
【0015】
炉圧力容器バッフルプレート45が、一次冷却材28を炉圧力容器52の下端55へと向けるように構成され得る。炉圧力容器バッフルプレート45の表面が、ライザーセクション24から出る一次冷却材28と直接接触して偏向させ得る。いくつかの例において、炉圧力容器バッフルプレート45は、ステンレス鋼又は他の材料から作られてよい。
【0016】
炉圧力容器52の下端55は、楕円形、ドーム形、凹形又は半球形の部分55Aを含み得る。この楕円形部分55Aは、一次冷却材28を炉心6へと向ける。楕円形部分55Aは、流量を増加させ、炉心6を通る一次冷却材の自然循環を促進し得る。冷却材流28のさらなる最適化が、バウンダリ層分離領域及びよどみ領域をなくし/最小限にするべく原子炉圧力容器バッフルプレート45の曲率半径を修正することによって得られる。
【0017】
炉圧力容器バッフルプレート45は、ライザーセクション24の頂部と加圧器領域40との間に配置されるように示される。加圧器領域40は、炉圧力容器52の上端56又はヘッドの中の、圧力を制御し又は蒸気ドームを維持するように構成された一以上の加熱器及び一のスプレイノズルを含むように示される。炉圧力容器バッフルプレート45の上に配置される一次冷却材28が相対的にサブクールの冷却材TSUBを含む一方、炉圧力容器52の上端56における加圧器領域40内の一次冷却材28は、実質的に飽和の冷却材TSATを含み得る。
【0018】
一次冷却材28の流体レベルが、炉圧力容器バッフルプレート45の上にかつ加圧器領域40内に、存在するように示され、炉圧力容器バッフルプレート45と炉圧力容器52の下端55との間の全容積が、炉モジュール5の通常動作中に一次冷却材28で一杯になり得る。
【0019】
シュラウド22が、炉心6に挿入され又は炉心6から除去される制御棒アセンブリ80を案内する働きをする一以上の制御棒案内管94を支持し得る。いくつかの例において、駆動シャフト20は、炉心6に対する制御棒集合体80の位置を制御するべく炉圧力容器バッフルプレート45及びライザーセクション24を貫通することができる。
【0020】
炉圧力容器52はフランジを含み得る。これにより、上部ヘッド55を、炉圧力容器52の上部炉容器本体60に取り外し可能に取り付けることができる。いくつかの例において、下部ヘッド55が、例えば燃料交換動作中、上部炉容器本体60から分離されるとき、ライザーセクション24、バッフルプレート45及び他の内部構造物が上部炉容器本体60の中に保持される一方、炉心6は下部ヘッド55の中に保持される。
【0021】
付加的に、上部炉容器本体60は、格納容器70の中に収容され得る。格納容器70と原子炉圧力容器74との間に配置される格納領域52に存在する任意の空気又は他のガスを、原子炉起動前又は起動中に除去し又は排出し得る。格納領域74から排出又は排気されるガスは、非凝縮性ガス及び/又は凝縮性ガスを含み得る。緊急動作中に、蒸気及び/又は水蒸気を原子炉圧力容器52から格納領域74に排出してよく、又は無視できる量の(水素のような)非凝縮性ガスのみを格納領域74の中へと排出又は解放してよい。
【0022】
図2は、炉モジュール5、及び一例の制御棒駆動機構(CRDM)アセンブリ10の上部断面図を示す。炉モジュール5は、CRDM10の少なくとも一部分を収容する上部格納容器76を含み得る。複数の駆動シャフトハウジング77が、上部格納容器76内に配置される。CRDM10に関連付けられた複数の駆動シャフト20が、主要格納容器70に収容される炉圧力容器52の中に配置される。駆動シャフトハウジング77は、炉モジュール5の動作中に駆動シャフト20の少なくとも一部分を収容するように構成される。いくつかの例において、CRDM10の実質的にすべてが、主要格納容器70の中に収容される。
【0023】
上部格納容器76が、主要格納容器70に取り外し可能に取り付けられる。上部格納容器76を取り外すことにより、ピーク格納圧力及び/又は水位に影響を及ぼし得る炉モジュール5の全体的なサイズ及び/又は容積を低減することができる。炉モジュール5の全体的な高さの低減に加え、上部格納容器76を主要格納容器70から取り外すことによりさらに、炉モジュール5の重量及び輸送高さを低減することができる。いくつかの例の炉モジュールにおいて、炉モジュール5の全体的高さが1フィート(30.48センチメートル)低減されるごとに数トンの重量を取り除くことができる。
【0024】
炉圧力容器52及び/又は主要格納容器70は、一以上の鋼容器を含み得る。付加的に、主要格納容器70は一以上のフランジを含み得る、これにより、主要格納容器70の頂部ヘッド又は底部ヘッドを、例えば燃料交換動作中に、格納容器本体から取り外すことができる。
【0025】
燃料交換時、炉モジュール5は、オペレーティングベイから燃料交換ベイへと再配置され得る。炉モジュール5において一連の分解ステップを行うことができる。オペレーティングベイは、炉モジュール5が水中で輸送されるように水を介して燃料交換ベイに接続される。主要格納容器70を分解することができる。例えば、頂部ヘッド又は底部ヘッドを、CRDM10及び/又は炉圧力容器52へのアクセスを得るべく格納容器本体から分離することができる。燃料交換のこの段階では、炉圧力容器52は、燃料交換ベイにおける周囲の水に完全に浸漬されたままとなり得る。いくつかの例において、複数の駆動シャフトハウジング77のようなCRDM10の上部を、ドライ環境におけるCRDM10へのアクセスを容易にするべく水の上方に配置することができる。他例において、CRDM10全体が、燃料交換ベイにおける水プールに浸漬されてよい。
【0026】
CRDM10は、ノズル78によって炉圧力容器52の上部ヘッドに取り付けられる。ノズル78は、燃料交換動作中に主要格納容器70が部分的に又は完全に分解されるとき、CRDM10を支持するべく構成される。加えて、CRDM10は、炉圧力容器52の中で駆動シャフト20の位置を支持及び/又は制御するように構成される。
【0027】
炉圧力容器52は、実質的にカプセル形状の容器を含み得る。いくつかの例において、炉圧力容器52は、高さが近似的に20メートルとなり得る。駆動シャフト20は、CRDM10から延び、炉圧力容器52の上部ヘッドに配置され、炉圧力容器52の下部ヘッドの中に入る。これにより、駆動シャフト20を、炉心6の中に挿入される制御棒集合体80に接続することができる(
図1)。したがって、炉圧力容器52の上部ヘッドから炉心6までの距離は、炉圧力容器52の全体高さ未満ではあるが、駆動シャフト20の長さとなり得る。駆動シャフト20もまた、近似的に20メートルの長さであり、又は、いくつかの例において、炉圧力容器52の高さよりも若干短くなる。
【0028】
図3は、炉心6において核燃料集合体90の部分的に上方に保持され、かつ、核燃料集合体90の中に部分的に挿入された、制御棒集合体80の斜視図である。上述したように、多数の駆動シャフト20が、制御棒駆動機構10から延びて炉心6の頂部まで降りる。制御棒集合体80は、駆動シャフト20の下端に取り付けられる円筒ハブ82を含み得る。アーム84が円筒ハブ82から径方向外側へと延び、アーム84の遠位端が制御棒86の上端に取り付けられる。
【0029】
制御棒86は核燃料集合体90の中へと延びる。核燃料集合体90は代替的に、炉心6の一部を形成する燃料バンドルとも称される。核燃料集合体90は、多数の案内管94を支持する頂部ノズル92を含み得る。案内管94は、ノズル92から降りるようにかつ核燃料棒(図示せず)の間に延びる。制御棒86は、核燃料棒内のウラン及びプルトニウムの核分裂率を制御する。
【0030】
制御棒86は典型的に、核燃料集合体90の上方で駆動シャフト20によって保持され、又は核燃料集合体90の中にわずかに挿入されて保持される。炉心6は過熱し得る。核SCRAM動作が開始される。ここで、
図1における制御CRDM10が駆動シャフト20を解放して、制御棒86を案内管94の中にかつ核燃料棒の間に落とす。
【0031】
図4Aは、一例の炉圧力容器52の断面図を示す。CRDM10は、炉圧力容器52の上部ヘッド96に取り付けられ、複数の駆動シャフト20を支持するべく構成される。これらの駆動シャフト20は、炉圧力容器52の上部炉容器本体60の長さを貫通し、炉圧力容器52の下部ヘッド98に配置される炉心6へと向かう。いくつかの例において、下部ヘッド98は、例えば複数のボルトにより、フランジ100において上部炉容器本体60に取り外し可能に取り付けられる。
【0032】
一定数の核燃料棒を収容することに加え、炉心6は、複数の制御棒集合体80を受容するべく構成され得る。これらの制御棒集合体80は、炉心6のパワー出力を制御するべく燃料棒間に可動に挿入され得る。炉心6がパワーを発生すると、駆動シャフト20の下端102が制御棒集合体80に接続される。加えて、CRDM10は、炉圧力容器52内で駆動シャフト20を上又は下に動かすことによって、炉心6における制御棒集合体80のロケーションを制御するように構成される。
【0033】
駆動シャフト20の上端104は、例えば制御棒集合体80が炉心6から取り外されるときに、炉圧力容器52の上部ヘッド96の上に配置されるCRDM圧力ハウジング77に収容される。いくつかの例において、CRDM圧力ハウジング77は、駆動シャフト20の上端104を収容するべく構成された単数の圧力容器を含み得る。他例において、CRDM圧力ハウジング77は、それぞれの駆動シャフト20のための別個のハウジングを含み得る。
【0034】
駆動シャフト20の下端102は、制御棒集合体80から接続解除されているように示され、例えば炉心6の燃料交換動作に関連付けられてよい。燃料交換動作の初期ステージの間、下部ヘッド98が上部炉容器本体60に取り付けられたままである一方、駆動シャフト20が制御棒集合体80から接続解除される。炉圧力容器52が、いくつかの例において水プールを含み得る周囲環境に対して完全に封止されたままとなる。この水プールは、燃料交換動作の初期ステージの間、少なくとも部分的に炉圧力容器52を取り囲む。
【0035】
CRDM10は、遠隔接続解除機構を含み得る。この遠隔接続解除機構により、炉圧力容器52を開放又は分解することなしに駆動シャフト20を制御棒集合体80から接続解除することができる。いくつかの例において、炉圧力容器52は、炉心6、制御棒集合体80、及び駆動シャフト20の下端102を取り囲む封止領域106を形成する。駆動シャフト20を遠隔的に接続解除することにより、制御棒集合体80は、駆動シャフト20が少なくとも部分的にCRDM圧力ハウジング77の中に引き抜かれるときでも炉心6内に留まり得る。
【0036】
図4Bは、
図4Aの一例の炉圧力容器52が部分的に分解されることを示す。燃料交換動作の間、下部ヘッド98は、炉圧力容器52の上部炉容器本体60から分離される。いくつかの例において、下部ヘッド98が燃料交換ステーションの中に静止したまま保持される一方、上部炉容器本体60は、クレーンによって持ち上げられ、炉心6へのアクセスを容易にするべく下部ヘッド98から離れるように動かされる。
【0037】
駆動シャフト20は、後退位置又は引き込み位置にあるように示される。その結果、下端102が完全に上部炉容器本体60及び/又はCRDM圧力ハウジング77の中に保持される。例えば、CRDM10は、駆動シャフト20の下端102を、上部炉容器60を下部ヘッド98の上側フランジ110に取り付けられて一緒になるべく使用される下側フランジ108の上方へと持ち上げるように構成される。駆動シャフト20の下端102を上部炉容器本体60の中へと引き込むことにより、燃料交換動作中に下側フランジ108と上側フランジ110との間に付加的なクリアランスが得られるので、上部炉容器本体60の輸送及び/又は格納の間に駆動シャフト20が外部オブジェクトに接触したり破損したりすることが防止される。加えて、駆動シャフト20の上端104も同様に、駆動シャフト20が後退位置又は引き込み位置にあるとき、CRDM圧力ハウジング77によって収容及び/又は保護することができる。
【0038】
上述したように、制御棒集合体80は、燃料交換動作の一部又はすべての間に炉心6に完全に挿入したままとすることができる。いくつかの例において、制御棒集合体80の挿入を炉心6内に維持することは、原子力規制及び/又は安全上の考慮によって指示され得る。
【0039】
単ヒンジタイプ制御棒駆動機構
【0040】
図5は遠隔接続解除機構を含む単ヒンジタイプ制御棒駆動機構88の側面図であり、
図6はその平面図である。
図5及び6を参照すると、駆動シャフトハウジング77が駆動シャフト20の上端の上にラッチ機構138まわりに延びる。駆動シャフトハウジング77は代替的に、上部圧力バウンダリと称される。
【0041】
上述したように、駆動シャフト20は、駆動シャフトハウジング77の下端に頂部が接続されたノズル78を通って
図2の炉圧力容器(RPV)52に入る。駆動シャフト20の下端は、以下で詳述される制御棒集合体80に取り外し可能に接続される。
【0042】
制御棒駆動機構88は、駆動シャフト20を上昇及び下降させる駆動アセンブリ122を含み、制御棒集合体80に取り付けられる。制御棒駆動機構88はまた、駆動シャフト20を制御棒集合体80から接続解除する接続解除アセンブリ120も含む。駆動アセンブリ122及び接続解除アセンブリ120は双方とも、RPV52の外側から電気制御信号を介して遠隔的に作動させ及び制御することができる。
【0043】
図7は、制御棒駆動機構88の側断面図であり、
図8は、制御棒駆動機構88において使用される単ヒンジラッチアセンブリ138の詳細な断面図である。
図7及び8を参照すると、駆動シャフトハウジング77及びノズル78に貫通孔158が設けられる。ボルト(図示せず)が、駆動シャフトハウジング77をノズル78に接続するべく孔158に挿入される。ノズル78は、上述した
図2に示されるように、RPV52の上部ヘッドから上へと延びる。
【0044】
接続解除棒132が駆動シャフト20の全長を貫通し、円筒接続解除磁石134が接続解除棒132の上端に取り付けられる。接続解除磁石134が上に延びて駆動シャフトハウジング77の中に入り、環状接続解除コイル136が、駆動シャフトハウジング77及び接続解除磁石134のまわりに延びる。接続解除コイル136は作動すると、接続解除磁石134を上昇した位置に保持することができる。これにより、接続解除棒132が駆動シャフト20の中で鉛直上方に後退することが許容される。
【0045】
駆動シャフト20の上端が、ねじ付き外側表面140を含む。一例において、ねじ140は、駆動シャフト20を直線的に変位させるべくACME(登録商標)タイプのねじを含み得る。もちろん、任意の他タイプのねじ又はギアも使用してよい。駆動シャフト20は、接続解除磁石134の下方から駆動シャフトハウジング77及びノズル78を通って延び、RPV52の上部ヘッド(
図1)に入る。駆動シャフト20はさらにRPV52の長さを通って延び、下端が、制御棒集合体80に接続されるグラップル126を含む。接続解除磁石134及び接続解除コイル136が接続解除アセンブリ120を包括する。
【0046】
複数の駆動コイル128の一の環状配列体が駆動シャフトハウジング77の外側まわりに延び、駆動シャフトハウジング77の内側にある複数の駆動磁石130の一の環状配列体が駆動シャフト20まわりに延びる。複数の駆動コイル128を連続的に作動させることにより、駆動磁石130を上昇させることができる。
図8における交互する駆動コイル128を交互に作動させることにより、駆動磁石130を駆動シャフト20の中心軸156まわりに回転させることができる。駆動コイル128、駆動シャフト130及びラッチアセンブリ138が駆動アセンブリ122を形成する。
【0047】
単ヒンジラッチアセンブリ138は下端が、駆動シャフトハウジング77に結合され、頂部が駆動シャフト130に結合される。ラッチアセンブリ138は環状ベース142を含む。環状ベース142は、駆動シャフト20まわりに延びる中心開口を含む。リップ143が、ベース142の外側下端から外へと延び、駆動シャフトハウジング77の下端とノズル78の上端との間に形成される凹部の中に着座する。リップ143は、ノズル78の上面に押し付けられる押し付け保持ベース142として機能する。
【0048】
環状カラー148が回転可能にベース142に取り付けられ、ステップ144を含む。ステップ144は、ベース142の頂部まわりに延びるベアリング154の頂部に取り付けられる。カラー146もまた、駆動シャフト20を受容してそのまわりに延びる中心開口を含む。カラー146は、鉛直/高さ方向の下方にあるベース142に保持されるが、駆動シャフト20の中心軸156まわりにベアリング154及びベース142の頂部で回転する。
【0049】
グリッパ150の外側端が、第1ピン152Aによりカラー148の上端に枢動可能に取り付けられる。グリッパ150の内側端が、第2ピン152Bを介してラッチ146の下端に枢動可能に取り付けられる。ラッチ146の上端が駆動シャフト130に取り付けられる。駆動磁石130が下げられると、ラッチ146の下端がカラー148のステップ144の頂部に載置される。
【0050】
駆動コイル128は作動すると、駆動磁石130を鉛直上方に持ち上げ、さらにはラッチ146も持ち上げる。ラッチ146を持ち上げることにより、グリッパ150の内側端が上方に回転して駆動シャフト20のねじ140に係合する。グリッパ150の外側端は、カラー148により鉛直方向の所定位置に保持されているピン152Aまわりに回転する。
【0051】
グリッパ150の内側端が上昇した後、駆動コイル128は、駆動磁石130を駆動シャフト20の中心軸156まわりに回転させ始める。駆動磁石130の下端が、上昇したラッチ146及び取り付けられたグリッパ150を駆動シャフト20の外周まわりに回転させ始める。グリッパ150が回転することにより、カラー148もまた、ベース142により高さ方向の所定位置に保持されたまま、ベース142の頂部の上で中心軸156まわりに回転する。
【0052】
グリッパ150の内側端がねじ140内を回転するので、駆動シャフト20が軸方向に、かつ、駆動シャフトハウジング77及びノズル78の内側で直線的に上方に、動く。駆動コイル128は、駆動磁石130を反対方向に回転させ、さらには、ねじ140内に取り付けられたグリッパ150を反対方向に回転させてよい。したがって、グリッパ150は、電気制御システムにより指示されるように駆動シャフト20を、軸方向にかつ直線的に上方向又は下方向に動かす。
【0053】
駆動コイル128の作動解除により、駆動磁石130は鉛直下方に落ちる。グリッパ150の内側端もまた、ピン152Bまわりに回転してねじ140から係合解除される。ここで、駆動シャフト20はグリッパ150から解放され、鉛直下方に重力により自由落下する。
【0054】
図9は、駆動アセンブリ122の断面平面図である。環状駆動コイル128が、駆動シャフトハウジング77の外側まわりに延び、環状駆動磁石130が駆動シャフトハウジング77の内側まわりに延びる。駆動シャフト20が、駆動磁石130に形成された中心開口を貫通し、接続解除棒132が、駆動シャフト20の中心軸に沿って形成された孔を貫通する。ねじ140が、駆動シャフト20の外側表面まわりに延びる。
【0055】
複数の駆動コイル128が連続的に作動されると電磁場が発生し、駆動磁石130が鉛直方向に持ち上げられる。駆動コイル128が交互パターンで作動すると、電磁場もまた、駆動磁石130を中心軸まわりに回転させ、駆動アセンブリ122を実質的に電気モータのように動作させる。例えば、電気制御システムは、第1期間中に駆動コイルAを作動させ、交互の第2期間中に駆動コイルBを作動させる。駆動コイルA及びBを交互に作動させることにより、駆動磁石Mの、駆動シャフト20を貫通する鉛直軸まわりの回転が引き起こされる。
【0056】
図10は、単ヒンジラッチアセンブリ138の断面平面図である。接続解除棒132が、駆動シャフト20の中心を貫通する。ねじ140が、駆動シャフト20の外側表面まわりに延びる。ラッチ146が環状断面形状を有し、ピン152Bを介してグリッパ150の内側端に取り付けられる。カラー148もまた環状断面形状を有し、ピン152Aを介してグリッパ150の外側端に取り付けられる。上述したように、ラッチ146は駆動磁石130に取り付けられて鉛直方向に上下動をすることができる。駆動シャフトハウジング77もまた環状断面形状を有し、駆動シャフト20と同心に整列される。なお、駆動シャフト20まわりには任意数のグリッパ150を配置してよい。例えば、4つのグリッパ150を駆動シャフト20まわりに90度離間させて配置してよい。
【0057】
図11A~
図11Eは、制御棒駆動機構88の異なる動作位置を示す側断面図である。
図11Aを参照すると、駆動アセンブリ122が下降状態にあることが示される。駆動コイル128が作動解除されて駆動磁石130が、制御棒集合体80が炉心6(
図1)に完全に挿入された下降位置にある。下降した駆動磁石130は、取り付けられたラッチ146により、グリッパ150を駆動シャフト20のねじ140から解放している。
【0058】
電力喪失又は強制SCRAMの間、駆動コイル128は作動解除されるので、駆動シャフト20が下方に重力降下するのが許容され、ラッチアセンブリ138から接続解除される。それに応じて、取り付けられた制御棒集合体80が燃料集合体90の中に落下し、炉心6(
図1及び
図3を参照)をニュートラルにする。すなわち、CRDM88は、電力喪失時に作動解除されるときはいつでも炉心6を自動的にスクラムさせるという利点を有する。
【0059】
接続解除アセンブリ120もまた下降状態にあることが示される。接続解除コイル136が作動解除され、接続解除磁石134は、駆動シャフト20の頂部に着座する下降位置にある。下降位置において、接続解除棒132の下端は、グラップル126の往復動アーム127A及び127B間に延びる。広げられて離間するグラップルアーム127Aとグラップルアーム127Bとが、制御棒集合体80の円筒ハブ82における溝に対して押圧されて当該溝の中にロックされる。
【0060】
図11Bは、駆動アセンブリ122が上昇状態にあることを示す。駆動コイル128が作動して駆動磁石130が上昇位置にある。上昇した駆動磁石130により、取り付けられたラッチ146が上昇し、駆動シャフト20のねじ140と連動するグリッパ150の内側端を上方に動かす。ロックされたグリッパ150が、駆動磁石130の回転方向に基づいて駆動シャフト20を上昇又は下降させることができる。
【0061】
接続解除アセンブリ120が依然として、接続解除棒132がグラップルアーム127A及び127B間に挿入されたままの下降状態にあることが示される。広げられて離間するグラップルアーム127Aとグラップルアーム127Bとが円筒ハブ82の内側にロックされたままなので、駆動シャフト20の下端が制御棒集合体80にロックされる。
【0062】
図11Cは、駆動アセンブリ122が上昇状態にあることを示す。駆動コイル128が作動して駆動磁石130が上昇し、取り付けられたラッチ146が上方に動いてグリッパ150の内側端がねじ140に係合する。駆動コイル128はまた、駆動磁石130を回転させ始め、グリッパ150を駆動シャフト20の係合ねじまわりに回転させる。グリッパ150の回転により、駆動シャフト20が軸方向にかつ直線的に上方へと強制されて駆動シャフトハウジング77の中に入り、接続された制御棒集合体80が、炉心への反応度挿入が引き起こされない程度の短距離だけ(いわゆる不感帯域内で)持ち上げられる。
【0063】
駆動シャフト20が上昇することにより、接続解除磁石134も上昇し、取り付けられた接続解除棒132の下端がグラップルアーム127Aとグラップルアーム127Bとの間に維持される。換言すると、駆動シャフト20及び接続解除棒132を一緒に上昇させることにより、以下に説明される接続解除に先立って、駆動シャフト20の下端が制御棒駆動機構80に取り付けられたままとなる。
【0064】
図11Dは、駆動アセンブリ122が下降状態にあり、接続解除アセンブリ120が上昇状態にあることを示す。駆動シャフト20及び接続解除磁石134が
図11Cに示される上昇位置にあるとき、接続解除コイル136が作動する。駆動コイル128はこのとき、駆動磁石130を、駆動シャフト20を鉛直下方に下降させる反対方向に回転させる。それと同時に、接続解除コイル136は、接続解除磁石134を上昇位置に保持する。グリッパ150が駆動シャフト20を直線下方に動かし続けると、接続解除棒132の下端が上へと摺動し、グラップル126の間から外に出る。これに応じてグラップルアーム127A及び127Bは内向きに往復動して制御棒集合体80から接続解除され、制御棒集合体80は短距離だけ落下する。代替的に、接続解除コイル136が接続解除磁石134を上昇位置に保持したまま、駆動コイル128が作動解除されて駆動シャフト20を落下させ、制御棒集合体80を接続解除する。
【0065】
図11Eは、接続解除アセンブリ120及び駆動アセンブリ122の双方が下降状態にあることを示す。接続解除コイル136が作動解除されると、接続解除磁石134が解放され、接続解除棒132の下端が、グラップルアーム127Aとグラップルアーム127Bとの間で摺動する。駆動コイル128はこのとき作動解除され、グリッパ150が駆動シャフト20から接続解除される。広げられて離間するグラップル126がその後、制御棒集合体80の頂部に着座する。
【0066】
よって、駆動シャフト20を直線的に変位させるべく、さらには、炉心燃料交換動作中に駆動シャフト20を制御棒集合体80から接続解除するべく、駆動コイル128及び接続解除コイル136を、遠隔的に作動させ及び作動解除することができる。燃料交換をして炉容器52(
図4A及び
図4B)の再組み立てをした後の制御棒集合体80の再接続は、
図11Aから
図11Dに示されるステップの逆順で行ってもよい。
【0067】
二重ヒンジタイプ制御棒駆動機構
【0068】
図12は、二重ヒンジタイプ制御棒駆動機構159の側面図である。
図13A及び
図13Bは、制御棒駆動機構159の側断面図である。
図14は、二重ヒンジラッチアセンブリ160の詳細図である。
【0069】
図12、
図13A、
図13B及び
図14を参照すると、制御棒駆動機構159における駆動アセンブリ122及び接続解除アセンブリ120が、上述したものと実質的に同じ駆動及び接続解除のコイル及び磁石を含む。駆動シャフトハウジング77及びノズル78もまたすべて、上述したものと実質的に同じである。接続解除棒132、駆動シャフト20、及びねじ付き外側表面140もまた、上述したものと同様である。
【0070】
上述と同様に、複数の駆動コイル128を連続的に作動させることにより、駆動磁石130を上昇させて環状駆動コイル128に整列させることができる。隣接する駆動コイル128の交互作動により、駆動磁石130が駆動シャフト20の中心軸156まわりに回転し、駆動シャフト20及び取り付けられた制御棒集合体80の直線的な動きが強制される。
【0071】
二重ヒンジラッチアセンブリ160は下端が駆動シャフトハウジング77に結合され、上端が駆動磁石130に結合される。ラッチアセンブリ160は、駆動シャフト20まわりに延びる中心開口を含む上述と同様のベース142を含む。同様のリップ143が、ベース142の外側下端から外へと延び、駆動シャフトハウジング77の下端とノズル78の上端との間に形成される凹部の中に着座する。リップ143は、ノズル78の上面に押し付けられる押し付け保持ベース142として機能する。
【0072】
図13Aを参照すると、駆動アセンブリ122が上昇状態にあることが示される。駆動コイル128を作動させることにより、駆動磁石130及び取り付けられたラッチ162が上昇する。グリッパ164の下端が上方かつ内向きに動いて駆動シャフト20のねじ140に係合する。ロックされたグリッパ164がこのとき、駆動磁石130の回転方向に基づいて駆動シャフト20を上昇又は下降させることができる。
【0073】
接続解除アセンブリ120が、接続解除棒132の下端がグラップル126のアーム127Aとアーム127Bとの間に挿入される下降位置にあることが示される。広げられて離間するアーム127Aとアーム127Bとが、円筒ハブ82の内側にロックされるので、駆動シャフト20の下端が制御棒集合体80にロックされる。
【0074】
図13Bを参照すると、駆動アセンブリ122及び接続解除アセンブリ120が下降状態にあることが示される。駆動コイル128を作動解除することにより、駆動磁石130及び取り付けられたラッチ162が下降する。グリッパ164は、下方かつ外向きに動いて駆動シャフト20のねじ140との係合が解除される。
【0075】
接続解除アセンブリ120は依然として、作動解除されているように示される。ここで、接続解除棒132がグラップル126のアーム127Aとアーム127Bとの間に挿入されたままとなる。広げられて離間するアーム127Aとアーム127Bとが、円筒ハブ82の内側にロックされたままなので、駆動シャフト20の下端が制御棒集合体80にロックされる。
【0076】
図14において、
図8と同様の設計の環状カラー148がベース142に取り付けられるが、回転方向にはベース142から結合解除されており、同様のステップ144を含む。ステップ144は、ベース142の頂部まわりに延びるベアリング154の頂部に取り付けられる。カラー146もまた、駆動シャフト20を受容してそのまわりに延びる中心開口を含む。カラー146は、鉛直/高さ方向の下方にあるベース142に保持されるが、駆動シャフト20の中心軸156まわりにベアリング154及びベース142の頂部で回転する。
【0077】
ヒンジ168の外側端が、第1ピン166Aによりカラー148の上端に枢動可能に取り付けられる。ヒンジ168の内側端が、第2ピン166Bを介してグリッパ164の下端に枢動可能に取り付けられる。ラッチ162の上端が駆動磁石130に取り付けられ、ラッチの下端が第3ピン166Cを介してグリッパ164の上端に枢動可能に取り付けられる。
【0078】
駆動コイル128は作動すると、駆動磁石130を鉛直上方に持ち上げ、さらにはラッチ162を上昇させる。グリッパ164及びヒンジ168の内側端もまた上方に動き、グリッパ164の下端が内向きに動いて駆動シャフト20のねじ140に係合する。
【0079】
グリッパ164の下端の係合後、駆動コイル128は、駆動磁石130を駆動シャフト20の中心軸156まわりに回転させ始める。駆動磁石130の下端もまた、上昇したラッチ146及び係合したグリッパ164を駆動シャフト20まわりに回転させ始める。グリッパ164が回転することにより、カラー148もまた、ベース142により鉛直下方に保持されたまま中心軸156まわりに回転する。
【0080】
グリッパ164の内側端が、係合したねじ140内を回転するので、駆動シャフト20が、駆動シャフトハウジング77及びノズル78の内側で直線的に上方に動く。駆動コイル128は、駆動磁石130を反対方向に回転させ、ひいては、ねじ140内のグリッパ164を反対方向に回転させ、駆動シャフト20を軸方向下向きに動かす。
【0081】
駆動コイル128の作動解除により、駆動磁石130及びグリッパ164の内側端が垂直下向きに落ちる。ヒンジ168もまた下向きかつ外方に回転し、グリッパ164の下端をねじ140から係合解除する。ここで、駆動シャフト20がグリッパ150から解放され、鉛直下方に重力により自由落下する。
【0082】
図15は、二重ヒンジラッチアセンブリ160の断面平面図である。接続解除棒132が、駆動シャフト20の中心線を通って延びる。ねじ140が、駆動シャフト20の外側表面まわりに延びる。ラッチ162が環状断面形状を有し、ラッチ162の下端がグリッパ164の上端に取り付けられる。カラー148もまた環状断面形状を有し、ピン166Aを介してグリッパ168の外側端に取り付けられる。上述したように、カラー146は駆動磁石130に取り付けられて鉛直方向に上下動をすることができる。駆動シャフトハウジング77もまた環状断面形状を有し、駆動シャフト20と同心に整列される。
【0083】
図16A~
図16Gは、上述した単ヒンジタイプ制御棒駆動機構88又は二重ヒンジタイプ制御棒駆動機構159の異なる動作を示す簡略化された模式図であり、ここに記載されるCRDM機能を達成するための主要な要素に焦点が当てられる。説明目的のため、以下の略語が使用される。
駆動コイル128=A
駆動磁石130=B
ラッチ146、162=C
駆動シャフト20=D
グリッパ150、164=E
接続解除コイル136=F
接続解除磁石134=G
グラップル126=H
駆動シャフトハウジング77=I
ベース142=J
接続解除棒132=K
制御棒集合体80=CRA
【0084】
同心の電磁コイルA及びFが、代替的に圧力バウンダリとも称される駆動シャフトハウジングIの外側に延びる。当該外側のコイルA及びFが、圧力バウンダリIの内側で円筒状の磁石B及びGそれぞれを動かすべく相互作用をする。
【0085】
図16Aを参照すると、最初に駆動コイルAが通電解除される。ラッチCが環状駆動磁石Bに固定され、駆動シャフトハウジングIの内側でベースJに載置される。
【0086】
図16Bを参照すると、駆動コイルAが通電され、駆動磁石Bを駆動コイルAと整列するまで上方に持ち上げる。これによりラッチCが持ち上げられてグリッパEに係合する。グリッパEは、圧力バウンダリIの内側に対して鉛直方向に固定されるがラッチCの回転を許容するピンまわりに枢動する。グリッパEが、駆動シャフトDのねじ付き溝に嵌り込む。
【0087】
図16Cを参照すると、駆動コイルAを特定のシーケンスで動作させることにより、駆動磁石B及びラッチCが回転運動をするようになるが、同時に依然として駆動コイルAと同じ高さを維持する。これにより、グリッパEの係合解除が防止される。グリッパEの回転運動は、駆動ロッドD及び取り付けられたCRAを上昇させる直線的な駆動シャフトの動きに変換される。
【0088】
図16Aに戻ると、SCRAM信号又は電力喪失の際、駆動コイルAは駆動磁石Bを解放し、ラッチCの落下ゆえにグリッパEの下方かつ外方への枢動が引き起こされる。これにより、駆動シャフトDの重力駆動落下により、取り付けられたCRAが炉心の中に落下する安全機能が与えられる。
【0089】
図16D~
図16Gは、
図4A及び
図4Bにおける炉圧力容器52の分解に先立って、どのようにして駆動シャフトDをCRAから遠隔接続解除するのかを示す。駆動コイルAが最初に通電解除されてラッチCはベースJ上に載置される。これは、
図16Aに示される最初の駆動シャフト係合構成と同様である。
【0090】
図16Dを参照すると、駆動コイルAが作動して駆動磁石B及びラッチCを上昇させ、グリッパEの駆動シャフトDとの係合を引き起こす。
図11Cに示されるように、駆動コイルAはこのとき、駆動磁石B及びラッチCに回転運動を生じさせるが、同時に駆動コイルAと同じ高さを維持する。グリッパEの回転により駆動シャフトD及び接続解除磁石Gが直線的に上方に動いて上昇位置になり、取り付けられたCRAが、炉心への反応度挿入が引き起こされない程度の短距離だけ(いわゆる不感帯域内で)持ち上げられる。
【0091】
図16Eを参照すると、駆動コイルAが依然として通電されて駆動磁石B、駆動シャフトD、接続解除磁石G及び接続解除棒Kを上昇位置に保持している。接続解除コイルFが通電されて接続解除磁石G及び取り付けられた接続解除棒Kを、鉛直方向の所定位置に保持する。駆動コイルAはこのとき、駆動磁石B、ラッチC及びグリッパEを反対方向に回転させて駆動シャフトDを直線的に下降させる。駆動シャフトDの下端にあるグラップルHが、現在のところCRAを保持しており、接続解除棒Kの下端が上に動いてグラップルアームの外に出る。グラップルHのアームが収縮してCRAを、
図3における燃料集合体頂部ノズル92の頂部に再び載置されるまで短距離だけ落下させる。
【0092】
図16Fを参照すると、駆動コイルAは通電されたままであり、それゆえ駆動磁石Bを所定位置に保持する。接続解除コイルFはこのとき通電解除される。これにより接続解除磁石Gが解放され、駆動シャフトDの底部において接続解除棒Kの下端がグラップルHに挿入されてグラップルHを拡張させる。
【0093】
図16Gを参照すると、駆動コイルAが通電解除され、環状駆動磁石B及びラッチCが解放される。駆動シャフトDは、グラップルHが係合されることなくCRA円筒ハブの頂部に載置されるまで、短距離だけ落下する。これにより、炉圧力容器の上部セクションと下部セクションとを、CRAを取り外すことなく燃料交換するべく分離することが許容される。
【0094】
グラップルHのCRAへの再接続が、逆の順序で行われる。駆動コイルAは、駆動シャフトD及び接続解除磁石Gを鉛直上方に動かして上昇位置にする。接続解除コイルFが作動して接続解除磁石G及び接続解除棒Kを上昇位置に保持する。駆動コイルAはこのとき、駆動シャフトDを下降させ、グラップルHを収縮させてCRAの中に挿入する。接続解除コイルFはこのとき作動解除され、接続解除磁石G、及び接続解除棒Kの下端がグラップルHの間に落下する。グラップルHが拡張してCRAにロックされる。
【0095】
代替的に、グラップルHは、接続解除コイルFの電磁力を使用して接続解除磁石Gを引っぱり上げることにより、CRAに再係合される。駆動コイルAに同時通電することなしに接続解除磁石Gが動いて上昇位置となる。駆動シャフトDの重量は、接続解除棒Kのみが駆動シャフトDの内側で上方に動く程度に十分に大きい。グラップルHが収縮してCRA円筒ハブに挿入される。このとき接続解除コイルFが作動解除されるので、接続解除棒Kの底部が落下してグラップルHの中に戻る。グラップルHが拡張してCRAにロックされる。
【0096】
CRDM冷却システム
【0097】
図17は、一体型冷却システム180を備えた一例の制御棒駆動機構(CRDM)88を有する炉モジュール5の上部断面図を示す。
図18は、CRDM88及び冷却システム180をさらに詳しく示す等角斜視図である。炉モジュール5は、上述したものを収容する同じ上部格納容器76を含む。複数の駆動シャフトハウジング77が上部格納容器76内に配置される。またも上述したように、複数の駆動シャフト20が、駆動シャフトハウジング77の下端に頂部が接続されたノズル78を通って下へと延びてRPV52の中に入る。
【0098】
駆動シャフトハウジング77は、上述したCRDM88、接続解除アセンブリ120、駆動アセンブリ122、単ヒンジラッチアセンブリ138又は二重ヒンジタイプ制御棒駆動機構159のいずれかを保持し得る。上述したように、駆動アセンブリ122は駆動シャフト20を上昇及び下降させ、接続解除アセンブリ120は駆動シャフト20を制御棒集合体80(
図3)から接続解除することができる。駆動アセンブリ122及び接続解除アセンブリ120は双方とも、RPV52の外側から電気制御信号を介して遠隔的に作動させ及び制御することができる。
【0099】
またも上述したように、格納容器70と原子炉圧力容器74との間に配置される格納領域52に存在する任意の空気又は他のガスを、原子炉起動前又は起動中に除去し又は排出し得る。格納領域74から排出又は排気されるガスは、非凝縮性ガス及び/又は凝縮性ガスを含み得る。
【0100】
冷却システム180は、一セットのヒートフィン184を含む。これらの熱フィン184は、駆動コイル128の頂部から上へと延びて接続解除アセンブリ120を取り囲む。ヒートフィン184は、平板形状を有してよく、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、又は他の熱伝導性金属のような任意のヒートシンク材料から形成されてよい。ヒートフィン184は、RPV52とCNV70との間に形成された格納領域74内の温度を低くするCNV表面への放射熱伝達のための改善された経路を有する。ヒートフィン184は、CRDM88の設置面積を実質的に増加させることなく、駆動コイル128によって生じる熱を除去することができる。
【0101】
一例において、ヒートフィン184は、駆動コイル128を保持する外側金属エンクロージャ185に取り付けられ又は形成されてよい。例えば、駆動コイル128及びヒートフィン184を、駆動シャフトハウジング77上を摺動可能な同じモジュール式環状エンクロージャとなるように形成してよい。
【0102】
図19は、CRDM冷却システム180の下側部分の断面平面図である。
図9において上述したように、環状駆動コイル128が駆動シャフトハウジング77の外周まわりに延び、環状駆動磁石130が駆動シャフトハウジング77の内側まわりに延びる。駆動シャフト20が、駆動磁石130に形成された中心開口を貫通し、接続解除棒132が、駆動シャフト20の中心軸に沿って形成された孔を貫通する。ねじ140が、駆動シャフト20の外側表面まわりに延びる。
【0103】
複数の冷却チャネル186が、駆動コイル128を通って及び/又は駆動コイル128同士の間に鉛直方向に延び、いずれもがヒートパイプ190を形成又は保持する。例えば、チャネル186は、流体を保持して一緒になってヒートパイプ190として動作する金属管を保持してよい。この例において、外側ヒートパイプ190Aと内側ヒートパイプ190Bとの対が4つ、ループの片道で各駆動コイル128を通るように延びる。代替的に、外側ヒートパイプ190A及び内側ヒートパイプ190Bをヒートパイプ190と称する。
【0104】
図20は、CRDM冷却システム180の上側部分の断面平面図であり、
図21は、CRDM冷却システム180の当該上側部分の拡大平面断面図である。複数の冷却チャネル188がヒートフィン184を通るように鉛直方向に延び、再びであるがいずれも、ヒートパイプ190として動作する管を形成又は保持する。冷却チャネル188は、ヒートパイプループ190を形成するべく駆動コイル128においてチャネル186に接続され又はチャネル186と連続するように形成される。
【0105】
図5~
図7において上述したように、円筒状の接続解除磁石134が、接続解除棒132(
図7)の上端に取り付けられる。接続解除磁石134が上に延びて駆動シャフトハウジング77の中に入り、環状接続解除コイル136が、駆動シャフトハウジング77及び接続解除磁石134のまわりに延びる。ヒートフィン184は接続解除コイル136から径方向外側に延び、一例において、ヒートパイプ190の上部セクションを包含する。ヒートパイプ190A及び190Bは、ループの片道で各ヒートフィン184を通るように上に延びる。
【0106】
ヒートパイプ190A及び190Bの蒸発セクションが、ヒートフィン184の内側に沿って延び、ヒートフィン184において絶縁体196に覆われる。一例において、絶縁体196は、任意のタイプのミネラルウール、ケイ酸カルシウム、ガラス繊維、微孔質耐火物、ガラス繊維フェルト、反射性金属絶縁体(RMI)、又は原子力発電所において絶縁パイプに通常使用される任意の他の材料としてよい。
【0107】
ヒートパイプ190A及び190Bの凝縮セクションが、ヒートパイプ190A及び190Bの絶縁体セクションに流体的に結合され、ヒートフィン184の外側横側部に沿って延び、凝縮チャネル198によって取り囲まれる。一例において、凝縮チャネル198は、ヒートパイプ190の外面から径方向外側に延びる一群の高熱伝導性金属ストリップ又はスロットである。凝縮チャネル198は、ヒートパイプ190の凝縮セクションの外表面積を、CNV70(
図17)により形成された冷却器格納領域74にさらす。熱伝達率をさらに増加させるべく、ヒートフィン184内のヒートパイプ190の凝縮部分まわりに任意の他のタイプのヒートフィン又はヒートシンクを形成してよい。
【0108】
図22は、冷却システム180の等角側断面図であり、
図23は、冷却システム180の詳細な等角側断面図である。この例において、多数対の外側及び内側循環ヒートパイプループ190A及び190Bがそれぞれ、各駆動コイル128及びヒートフィン184を通るように延びる。外側ヒートパイプ190Aが、駆動コイル128及びヒートフィン184の内側横側部及び外側横側部に沿って延びる。内側ヒートパイプ190Bが、外側ヒートパイプ190Aの内側で駆動コイル128及びヒートフィン184を通るように延びる。
【0109】
ヒートパイプ190は、駆動コイル128の下端から上へ延びて上端を通過し、その後さらに、ヒートフィン184の下端から上へ延びて上端を通過する。ヒートパイプ190の上端が接続解除コイル136から径方向外側に延び、ヒートパイプ190の下端が駆動シャフトハウジング77に向かって径方向内向きに延びて連続ループを形成する。
【0110】
代替的なオプションは、ヒートパイプ190の冷たい上部セクション194を、CRDM88上方のCNV70の内壁に直接取り付け、熱を伝導によってCNV表面に伝達することである。例えば、ヒートパイプ190は、さらに上に延びてヒートフィン184又は駆動コイル128の頂部から外に出てCNV70の内壁に接触するループを含んでもよい。双方の代替例において、ひとたび熱がCNVに伝達されると、この熱はCNVの外側の環境に放散される。
【0111】
駆動コイル128及びヒートフィン184の内側横側部の近くに配置されるヒートパイプ190A及び190Bの内側部分を蒸発セクション208と称し、ヒートフィン184の外側横側部の近くに延びるヒートパイプ190A及び190Bの外側部分を凝縮セクション210と称する。蒸発セクション208と凝縮セクション210とは流体的に結合されて一緒になる。
【0112】
ヒートパイプ190は、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、又は任意の他の熱伝導性金属のような任意の材料から形成された任意の円形、楕円形、又は平坦な形状の管又はオリフィスを含んでよい。ヒートパイプ190は、水、アンモニア、メタノール、液体ナトリウム等の熱伝達可能な任意の流体200を包含してよい。流体200は、加熱されると蒸発状態200Aに変わり、冷却されると凝縮状態200Bに変わる。
【0113】
流体200の蒸発及び凝縮により、ヒートパイプ190を通る流体の流れがもたらされ、この流れが駆動コイル128から熱を除去する。例えば、駆動コイル128は、動作している間、流体200Aを蒸発させる熱を発生させる。蒸発した流体200Aは、ヒートパイプ190の蒸発セクション208を通って上昇して熱を駆動コイル128から奪うように伝達する。
【0114】
上述したように、ヒートパイプ190の上部凝縮セクション210にある絶縁体材料196は、蒸発した流体200Aを移送する。ヒートパイプ190の上部凝縮セクション210にある凝縮チャネル198により、蒸発した流体200Aは凝固し、凝縮した流体200Bの液滴になる。ヒートパイプ190において他のタイプの多孔質媒体を使用して、蒸発した流体200Aを凝固して凝縮した流体200Bにする補助とすることもできる。
【0115】
凝縮した流体200Bは、重力又は毛管作用により鉛直下方に、ヒートパイプ190の凝縮セクション210を通るように落下する。駆動コイル128はこのとき、凝縮された流体200Bを再加熱して蒸発した200Aに戻し、ヒートパイプ190を通って戻るように流体200を再循環させ、駆動コイル128からの熱をさらに除去する。流体200の流れ方向及び流量を制御するべく、駆動コイル128の上流においてヒートパイプ190に流量制限器(図示せず)を配置してよい。
【0116】
受動冷却システム180により、能動RCCWSシステムにおいて通常使用される水ホース、配管及び水ポンプ機器の数が減り又はゼロになる。簡略化された冷却システム180はまた、電気駆動コイル128を保守オペレーション中に容易に交換することができるモジュール式CRDM88設計を与えるべく、ヒートパイプ190を一体型の駆動コイル128及びヒートフィン184に埋め込む。冷却システム180はまた、CRDM電気コイル128が真空環境でCRDM圧力バウンダリの外側に配置される加圧水型原子炉(PWR)のCRDM設計における対流熱冷却の限界を克服する。
【0117】
好ましい実施形態の原理が記載及び図示されたが、かかる原理から逸脱することなく、これらの実施形態の配列及び詳細を変更してよいことは明らかである。特許請求の範囲は、以下の特許請求の範囲の要旨及び範囲内にあるすべての修正例及びバリエーションに対して作られる。
【0118】
上述した動作のいくつかをソフトウェアに実装し、他の動作をハードウェアで実装することができる。ここに記載される動作、プロセス又は方法の一以上を、ここに記載されて例示の図面を参照するものと同様の装置、デバイス又はシステムによって実施してよい。
【0119】
当業者にわかることだが、開示の実装例は、特定の詳細の一部又はすべてを与えることなく実施することができる。他例において、開示の実装例を不必要に曖昧にすることを避けるべく、所定のプロセス又は方法が詳細に説明されていない。他の実装例及び応用例も可能であり、したがって、以下の例は、範囲又は設定のいずれにおいても、決定的又は限定的とみなすべきはない。
【0120】
明細書の一部を形成し、特定の実装例を図示により示す添付図面が参照されている。これらの開示される実装例が、当業者が当該実装例を実施することを可能にするべく十分詳細に記載されているにもかかわらず、これらの例が限定ではないことを理解するべきであり、他の実装例を使用してよく、その要旨及び範囲から逸脱することなく開示の実装例に対して変更を加えてよい。
【0121】
ここに与えられる例は、主に加圧水型原子炉及び/又は軽水型原子炉を記載してきたが、これらの例が他のタイプの電力システムに適用され得ることは、当業者にとって明らかである。例えば、その例又はバリエーションはまた、沸騰水型原子炉、ナトリウム液体金属原子炉、ガス冷却型原子炉、ペブルベッド型原子炉、及び/又は他のタイプの原子炉設計によって動作可能とすることもできる。
【0122】
なお、例はいずれかの特定タイプの炉冷却機構に限られるわけではなく、原子核反応の中で又は原子核反応に関連付けられる熱生成のために用いられるいずれかの特定タイプの燃料に限られるわけでもない。ここに記載されるいずれの比率及び値も単なる例として与えられる。原子炉システムの実物大又は縮尺モデルの構築等による実験を介して他の比率及び値を決定してよい。
【国際調査報告】