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特表2022-509726ポリ乳酸の新規連結エステル及びポリグリコール酸の連結エステル及びその組成物
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  • 特表-ポリ乳酸の新規連結エステル及びポリグリコール酸の連結エステル及びその組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-24
(54)【発明の名称】ポリ乳酸の新規連結エステル及びポリグリコール酸の連結エステル及びその組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/66 20060101AFI20220117BHJP
   D06M 15/507 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
C08G63/66
D06M15/507
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021517295
(86)(22)【出願日】2019-10-03
(85)【翻訳文提出日】2021-05-24
(86)【国際出願番号】 US2019054495
(87)【国際公開番号】W WO2020072772
(87)【国際公開日】2020-04-09
(31)【優先権主張番号】62/828,961
(32)【優先日】2019-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/740,944
(32)【優先日】2018-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515191431
【氏名又は名称】ファッション ケミカルズ、 ゲーエムベーハー ウント ツェーオー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】FASHION CHEMICALS, GMBH & CO KG
(74)【代理人】
【識別番号】100147935
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100080230
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 詔二
(72)【発明者】
【氏名】ラングレー、ジェフリー ティー.
(72)【発明者】
【氏名】マッコイ、ケイ エム.
(72)【発明者】
【氏名】メレディス、ポール シー.
(72)【発明者】
【氏名】シムズ、フィリップ エフ.
【テーマコード(参考)】
4J029
4L033
【Fターム(参考)】
4J029AA01
4J029AA05
4J029AB01
4J029AD01
4J029AE01
4J029AE02
4J029BA02
4J029BA03
4J029BA04
4J029BA05
4J029BA08
4J029BF25
4J029CA03
4J029CA04
4J029CA05
4J029CA06
4J029CB04A
4J029CB05A
4J029CB06A
4J029CB10A
4J029CC06A
4J029EA01
4J029EA05
4J029EH03
4J029FC03
4J029FC29
4J029FC35
4J029FC36
4J029JA121
4J029JB171
4J029JE162
4J029JF031
4J029JF141
4J029JF371
4J029KD02
4J029KD07
4J029KE02
4J029KE05
4L033AA05
4L033AA07
4L033AA08
4L033AB05
4L033AC04
4L033AC06
4L033AC07
4L033CA17
4L033CA22
(57)【要約】
酸と連結しているポリ乳酸のエステル(ポリ乳酸のポリエチレングリコールエステルを含む)が開示されている。ポリ乳酸の代表的な連結エステルは、織物仕上げ剤として使用することができる。直接及び/又はエステル交換反応を介してポリ乳酸の連結エステルを製造する方法も開示されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレングリコールと;
カプラーと;
ポリ乳酸、乳酸、ポリラクチド、ラクチド、ポリ(乳酸-コ-グリコール)酸、ポリグリコール酸、及び/又はグリコール酸を含む乳酸誘導体と;
の反応生成物を含む、化合物。
【請求項2】
ポリエチレングリコールと;
カプラーと;
ポリ乳酸と;
の反応生成物を含む、化合物。
【請求項3】
ポリエチレングリコールと;
カプラーと;
乳酸と;
の反応生成物を含む化合物。
【請求項4】
ポリエチレングリコールと;
カプラーと;
ポリラクチドと;
の反応生成物を含む化合物。
【請求項5】
ポリエチレングリコールと;
カプラーと;
ラクチドと;
の反応生成物を含む化合物。
【請求項6】
ポリエチレングリコールと;
カプラーと;
ポリ(乳酸コグリコール)酸と;
の反応生成物を含む化合物。
【請求項7】
ポリエチレングリコールと;
カプラーと;
ポリグリコール酸と;
の反応生成物を含む化合物。
【請求項8】
ポリエチレングリコールと;
カプラーと;
グリコール酸と;
の反応生成物を含む化合物。
【請求項9】
前記ポリエチレングリコールが、ゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)によって測定して124ダルトン~1450ダルトンの重量平均分子量を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
前記ポリエチレングリコールが、ゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)によって測定して200ダルトン~800ダルトンの重量平均分子量を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
前記ポリエチレングリコールが、ゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)によって測定して400ダルトン~600ダルトンの重量平均分子量を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
前記ポリエチレングリコールが、ゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)によって測定して1000ダルトンを超える重量平均分子量を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
組成物の25モル%未満が、ゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)によって測定して1000ダルトン未満の重量平均分子量を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
組成物の10モル%未満が、ゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)によって測定して500ダルトン未満の重量平均分子量を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
前記カプラーがジカルボン酸を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
前記ジカルボン酸が線状飽和ジカルボン酸を含む、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
前記ジカルボン酸がコハク酸を含む、請求項15に記載の化合物。
【請求項18】
前記ジカルボン酸がマロン酸を含む、請求項15に記載の化合物。
【請求項19】
前記ジカルボン酸がグルタル酸を含む、請求項15に記載の化合物。
【請求項20】
前記ジカルボン酸がアジピン酸を含む、請求項15に記載の化合物。
【請求項21】
前記カプラーがトリカルボン酸を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項22】
前記トリカルボン酸がクエン酸を含む、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
前記トリカルボン酸がイソクエン酸を含む、請求項21に記載の化合物。
【請求項24】
前記トリカルボン酸がアコニット酸を含む、請求項21に記載の化合物。
【請求項25】
前記トリカルボン酸がトリメシン酸を含む、請求項21に記載の化合物。
【請求項26】
前記カプラーが芳香族ジカルボン酸を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項27】
前記芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸を含む、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
前記芳香族ジカルボン酸がイソフタル酸を含む、請求項26に記載の化合物。
【請求項29】
前記芳香族ジカルボン酸がフタル酸を含む、請求項26に記載の化合物。
【請求項30】
前記芳香族ジカルボン酸がジフェン酸を含む、請求項26に記載の化合物。
【請求項31】
前記芳香族ジカルボン酸が2,6-ナフタレンジカルボン酸を含む、請求項26に記載の化合物。
【請求項32】
前記ポリエチレングリコールと前記乳酸誘導体との重量%比率が80:20~20:80である、請求項1~31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項33】
前記ポリエチレングリコールと前記乳酸誘導体との重量%比率が70:30~30:70である、請求項1~31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項34】
前記ポリエチレングリコールと前記乳酸誘導体との重量%比率が60:40~40:60である、請求項1~31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項35】
前記ポリエチレングリコールと前記乳酸誘導体との重量%比が55:45~45:55で請求項1~31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項36】
前記カプラーが前記ポリエチレングリコールに対して0.2~1.0モル当量で存在する、請求項1~31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項37】
前記カプラーがポリエチレングリコールに対して0.4~1.0モル当量で存在する、請求項1~31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項38】
前記反応生成物が生分解性及び/又は堆肥化可能である、請求項1~37のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項39】
以下の式の1つ以上を含む、請求項1に記載の化合物。
【化1】
【請求項40】
前記ポリエチレングリコール、前記カプラー、及び前記乳酸誘導体を反応容器に導入することと;
前記ポリエチレングリコール、前記カプラー及び前記乳酸誘導体を、165℃~200℃の温度で1時間~6時間反応させることと;
を含む、請求項1~39のいずれか1項に記載の化合物の製造法。
【請求項41】
請求項1~39のいずれか1項に記載の化合物を含む湿潤剤組成物。
【請求項42】
請求項41に記載の湿潤剤で処理されたポリエステルを含む織物。
【請求項43】
請求項41に記載の湿潤剤で処理されたポリエステル及び綿を含む織物。
【請求項44】
請求項41に記載の湿潤剤で処理されたポリプロピレンを含む織物。
【請求項45】
請求項41に記載の湿潤剤で処理されたナイロンを含む織物。
【請求項46】
請求項1~39のいずれか1項に記載の化合物と、フッ素系化合物と、を含む汚れ脱離剤。
【請求項47】
前記フッ素系化合物がフルオロカーボンを含む、請求項46に記載の汚れ脱離剤。
【請求項48】
請求項46又は請求項47のいずれか1項に記載の汚れ脱離剤で処理されたポリエステルを含む織物。
【請求項49】
請求項46又は請求項47のいずれか1項に記載の汚れ脱離剤で処理されたポリエステル及び綿を含む織物。
【請求項50】
請求項46又は請求項47のいずれか1項に記載の汚れ脱離剤で処理されたポリプロピレンを含む織物。
【請求項51】
請求項46又は請求項47のいずれか1項に記載の汚れ脱離剤で処理されたナイロンを含む織物。
【請求項52】
請求項1~39のいずれか1項に記載の化合物を含む帯電防止剤。
【請求項53】
請求項52に記載の帯電防止剤で処理されたポリエステルを含む織物。
【請求項54】
請求項52に記載の帯電防止剤で処理されたポリエステル及び綿を含む織物。
【請求項55】
請求項52に記載の帯電防止剤で処理されたポリプロピレンを含む織物。
【請求項56】
請求項52に記載の帯電防止剤で処理されたナイロンを含む織物。
【請求項57】
請求項1~39のいずれか1項に記載の化合物を含む潤滑剤。
【請求項58】
請求項57に記載の潤滑剤で処理されたポリエステルを含む織物。
【請求項59】
請求項57に記載の潤滑剤で処理されたポリエステル及び綿を含む織物。
【請求項60】
請求項57に記載の潤滑剤で処理されたポリプロピレンを含む織物。
【請求項61】
請求項57に記載の潤滑剤で処理されたナイロンを含む織物。
【請求項62】
請求項1~39のいずれか1項に記載の化合物を含む消泡剤組成物。
【請求項63】
請求項1~39のいずれか1項に記載の化合物を含む精錬剤組成物。
【請求項64】
反応容器にポリエチレングリコール、カプラー、ポリ乳酸を導入することと;
前記ポリエチレングリコール、前記カプラー及び前記ポリ乳酸を165~200℃の温度で1時間~6時間反応させることと;
を含む化合物の製造法。
【請求項65】
水と混合された場合に、前記最終反応生成物が透明な無色のエマルジョンを提供する、請求項64に記載の化合物の製造法。
【請求項66】
水と混合された場合に、前記最終反応生成物が透明な無色のエマルジョンを提供する、請求項64に記載の化合物の製造法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本国際出願は、ポリ乳酸の新規連結エステル及びポリグリコール酸の連結エステル及びその組成物に関する係属中の米国特許出願第62/740,944号(2018年10月3日出願)及びポリ乳酸の新規連結エステル及びポリグリコール酸の連結エステル及びその組成物に関する係属中の米国特許出願第62/828,961号(2019年4月3日出願)の利益を主張するものであり、それらの各々が全体として本出願において合体されている。
【0002】
本発明は、カプラーを含むポリ乳酸の新規連結エステル及びポリグリコール酸の連結エステル、並びに新規連結エステルの製造方法に関する。本発明は、また、新規な連結エステルを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリエステル及びポリオレフィンのような高分子量ポリマーは、一般に、糸、布、及び不織布のような繊維及び繊維物品を製造するために使用される。ポリエステル及びポリオレフィンから製造された物品の表面は、それらの化学的性質により疎水性である。多くの用途において、物品の表面が親水性を有することが望ましい。ポリエステル及びポリオレフィン物品には、それらの疎水性に対抗し、親水性を付与するために、局所コーティング又は仕上げ剤がしばしば使用される。ポリ乳酸(「PLA」)やポリオレフィンなどのポリエステルは、おむつなどの吸収製品をはじめ、多くの製品に使用されている。ポリ乳酸は石油の代わりにトウモロコシなどの再生可能な供給源から誘導することができるので、ポリ乳酸は堆肥化可能で生分解性がある。ポリ乳酸はポリプロピレン(「PP」)と同様の特性を持っている。ポリ乳酸は、再生不可能な石油から製造されるポリプロピレン及び他の非生分解性プラスチックの代わりに使用することができる。消費者製品に使用される低分子量化合物の毒性の懸念のために、有利な特性を有することができるポリ乳酸(ポリマー)の低分子量エステルは、認可されていないか、又は使用が許可されていないことがある。従って、低分子量エステルを使用できるように、毒性の問題を克服することが有益であろう。
【発明の概要】
【0004】
出願人は、ポリ乳酸(「PLA」)のエステルがPLAの高分子量エステル(「PLAの連結エステル」又は「連結エステル」)を形成することができ、その上、連結していないPLAの低分子量エステル(「PLAの未連結エステル」)に匹敵する繊維及び繊維から製造された織物に有利な特性を提供することができることを発見した。PLAのPEG連結エステルなどのPLAの連結エステルは堆肥化可能及び/又は生分解性とすることができ、従って、堆肥化可能及び/又は生分解性である製品を製造するためにPLAポリマーと共に有益とすることができる。ポリグリコール酸(「PGA」)のエステルを一緒に連結させて、高分子量エステル(「PGAの連結エステル」)を形成することもでき、その上、連結していないPGAの低分子量エステル(「PGAの未連結エステル」)に匹敵する繊維及び繊維から製造された織物に有利な特性を提供することができる。
【0005】
一態様において、本発明は、ポリ乳酸の連結されたエステルに関する。一実施形態では、ポリ乳酸の連結エステルがジオール、例えばポリエチレングリコール(「PEG」)又は1,3プロパンジオールを含むことができる。他の実施形態では、PLAの連結エステルがポリオール、例えば、ポリグリセロール、糖、及び糖アルコールを含むことができる。他の実施形態では、連結エステルが1個以上のジオールの組み合わせを含むことができる。他の実施形態では、連結エステルが1個以上のポリオールの組み合わせを含むことができる。さらに他の実施形態では、連結エステルが1個以上のジオールと1個以上のポリオールとの組み合わせを含むことができる。
【0006】
他の態様では、本発明はPGAの連結エステルに関する。一実施形態では、PGAの連結エステルがジオール、例えばポリエチレングリコール(「PEG」)又は1,3プロパンジオールを含むことができる。他の実施形態では、PGAの連結エステルがポリオール、例えば、ポリグリセロール、糖、及び糖アルコールを含むことができる。さらに他の実施形態では、連結エステルが1個以上のジオールの組み合わせを含むことができる。他の実施形態では、連結PGAエステルが1個以上のポリオールの組み合わせを含むことができる。さらに他の実施形態では、連結PGAエステルが1個以上のジオールと1個以上のポリオールとの組み合わせを含むことができる。
【0007】
他の態様では、本発明はPLAの連結エステルを製造する(即ち、反応生成物を含む化学化合物を生成する)方法に関する。このようなPLAのエステルは、(i)ジオール及び/又はポリオール、(ii)ポリ乳酸、ラクチド、又は乳酸、及び(iii)カルボン酸(又は「カプラー」)を反応させることによって製造することができる。ジオール及び/又はポリオールの混合物又は配合体は、ポリ乳酸、ラクチド、又は乳酸と反応させて、PLAの連結エステルを生成することもできる。場合により、アルコール(例えば、脂肪族C1~C14アルコール)を反応物質に添加することができる。
【0008】
他の態様では、本発明がPGAのエステルを製造する(即ち、反応生成物を含む化学化合物を生成する)方法に関する。このようなポリグリコール酸のエステルは、(i)ジオール及び/又はポリオール、(ii)PGA又はグリコール酸、及び(3)カプラーを反応させることによって製造することができる。ジオール及び/又はポリオールの混合物又は組み合わせをPGA又はグリコール酸と反応させて、PGAの連結エステルを形成することもできる。場合により、アルコール(例えば、脂肪族C1~C14アルコール)を反応物質に添加することができる。
【0009】
他の態様では、本発明はPLA及び/又はPGAの連結エステルを含有する組成物で処理される織物に関する。ポリ乳酸及びポリグリコール酸の連結エステルは堆肥化可能及び/又は生分解性とすることが可能であり、従って、堆肥化可能及び/又は生分解性である製品を作製するためにポリ乳酸ポリマーと共に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ポリマーの重量平均分子量を決定するために使用される代表的な較正方程式を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一態様において、本発明は酸(例えば、酸カプラー)と一緒に連結されるPLAのエステルに関する。PLAのエステルを一緒に連結(カップリング)することができる適切な酸には、ジカルボン酸(例えば、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、及び/又はアジピン酸)、芳香族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジフェン酸、及び/又は2,6-ナフタレンジカルボン酸)、トリカルボン酸(例えば、クエン酸、アコニット酸、及び/又はトリメシン酸)が含まれる。PLAの連結エステルは、少なくともPLA-PEG-カプラー-PEG-PLAエステル、PLA-PEG-カプラー-PEG-PLAエステル、PEG-PLA-カプラー-PLA-PEG、PEG-PLA-カプラー-PEG-PLA-カプラー-PEG-PLAを含むことができる。
【0012】
他の態様において、本発明は酸(例えば、酸性カプラー)と一緒に連結されるPGAのエステルに関する。PGAのエステルを一緒に連結することができる適切な酸には、ジカルボン酸(例えば、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、及び/又はアジピン酸)、芳香族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジフェン酸、及び/又は2,6-ナフタレンジカルボン酸)、トリカルボン酸(例えば、クエン酸、アコニット酸、及び/又はトリメシン酸)が含まれる。PGAの連結エステルは、少なくともPGA-PEG-カプラー-PEG-PGAエステル、PGA-PEG-カプラー-PEG-PGAエステル、PEG-PGA-カプラー-PGA-PEG、PEG-PGA-カプラー-PEG-PGA-カプラー-PEG-PGAを含むことができる。
【0013】
他の態様では、本発明はPLAの連結エステルを含む組成物に関する。これらの組成物は、PLA及びポリオレフィンなどのポリエステルから製造される織物についての仕上げ剤として使用することができる。PLAの連結エステルは、また、他の合成ポリマー(例えば、ポリアミド、アクリル、ナイロン、ポリプロピレン、及びアラミド)、及び人工繊維(例えば、アセテート、リオセル、及びレーヨン)についての仕上げ剤として有益に使用することができる。PLAの連結エステルは、また、天然繊維(例えば、竹、綿、亜麻、麻、及び羊毛)に有益に使用することができる。PLAの連結エステル及びPLAの連結エステルを含む組成物はPLA及び/又はポリプロピレンから作製された織物などの疎水性材料の表面をコーティングすることができ、そして材料の表面を疎水性から親水性に変化させることができ、又は材料が既に親水性である場合、材料の親水性を増加させることができる。従って、本発明の他の態様は、PLAの1個以上の連結エステルが適用される材料である。
【0014】
他の態様では、本発明はPGAの連結エステルを含む組成物に関する。これらの組成物は、PGA及びポリオレフィンなどのポリエステルから製造される織物についての仕上げ剤として使用することができる。PGAの連結エステルは、また、他の合成ポリマー(例えば、ポリアミド、アクリル、ナイロン、ポリプロピレン、及びアラミド)、及び人工繊維(例えば、アセテート、リオセル、及びレーヨン)についての仕上げ剤として有益に使用することができる。PGAの連結エステルは、また、天然繊維(例えば、竹、綿、亜麻、麻、及び羊毛)に有益に使用することができる。PGAの連結エステル及びPGAの連結エステルを含む組成物はPGA及び/又はポリプロピレンから作製された織物などの疎水性材料の表面をコーティングすることができ、そして材料の表面を疎水性から親水性に変化させることができ、又は材料が既に親水性である場合、材料の親水性を増加させることができる。従って、本発明の他の態様は、PGAの1個以上の連結エステルが適用される材料である。
【0015】
他の態様では、本発明はPLAの連結エステルを含む組成物に関する。これらの組成物は、PLA及びポリオレフィンなどのポリエステルから製造される織物についての仕上げ剤として有益に使用することができる。PLAの連結エステルは、また、他の合成ポリマー(例えば、ポリアミド、アクリル、ナイロン、ポリプロピレン、及びアラミド)、及び人工繊維(例えば、アセテート、リオセル、及びレーヨン)についての仕上げ剤として有益に使用することができる。PLAの連結エステルは、また、天然繊維(例えば、竹、綿、亜麻、麻、及び羊毛)に有益に使用することができる。PLAの連結エステル及びPLAの連結エステルを含む組成物はPLA及び/又はポリプロピレンから作製された織物などの疎水性材料の表面をコーティングすることができ、そして材料の表面を疎水性から親水性に変化させることができ、又は材料が既に親水性である場合、材料の親水性を増加させることができる。従って、本発明の他の態様は、PLAの1個以上の連結エステルが適用される材料である。
【0016】
他の態様では、本発明がPLA及び/又はPGAの連結エステルを含む組成物に関する。これらの組成物は、PLA及びポリオレフィンのようなポリエステルから製造された織物についての仕上げ剤として有益に使用することができる。PLAの連結エステルは、また、他の合成ポリマー(例えば、ポリアミド、アクリル、ナイロン、ポリプロピレン、及びアラミド)、及び人工繊維(例えば、アセテート、リオセル、及びレーヨン)についての仕上げ剤として有益に使用することができる。PLAの連結エステルは、また、天然繊維(例えば、竹、綿、亜麻、麻、及び羊毛)に有益に使用することができる。PLAの連結エステル及びPLAの連結エステルを含む組成物はPLA及び/又はポリプロピレンから作製された織物などの疎水性材料の表面をコーティングすることができ、そして材料の表面を疎水性から親水性に変化させることができ、又は材料が既に親水性である場合、材料の親水性を増加させることができる。従って、本発明の他の態様は、PLAの1個以上の連結エステルが適用される材料である。
【0017】
一実施形態では、材料がスパンボンド、メルトブローン、カーデッド、エアレイド、ウェットレイド、又はそれらの組み合わせなどの不織布を使用することができる。不織布の例としては、おむつ用のポリエステルトップシートが含まれる。他の実施形態では、織物が織られた又は編まれた織物(例えば、スポーツ衣類を含む衣類)であってもよい。織物には、繊維、フィラメント、ヤーン、織物、不織布、及び編物が含まれる。
【0018】
一実施形態では、PLAのエステルは1個以上のポリオール及びPLAのエステルを含む。本明細書中で使用される場合、用語「ポリオール」は1個を超えるヒドロキシル基、例えば、2個のヒドロキシル基(本明細書中ではジオールとも呼ばれる)及び/又は3個以上のヒドロキシル(-OH)基を有する化合物を無制限に含むことができる。
【0019】
ジオールは、C2~C20、例えばC2~C3、C2~C4、C2~C5、C2~C6、C2~C7、C2~C8、C2~C9等、線状、分岐及び/又は環状ジオール、及び/又はそれらのポリマー(ポリエーテルなど)を無制限に含む。ジオールの例としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、PEG、ポリプロピレングリコール(PPG)等、及び/又はそれらの組み合わせ及び/又は混合物を無制限に含む。一実施形態では、PEGは単一のキャップされた(キャップド)PEGを含むことができる。
【0020】
3個以上のヒドロキシル基を有するポリオールは、C3~C20、例えば、C3~C4、C3~C5、C3~C6、C3~C7、C3~C8、C3~C9等、直鎖、分岐及び/又は環状ポリオール、及び/又はそれらのポリマー(例えば、ポリエーテル)を無制限に含む。3個以上のヒドロキシル基を有するポリオールの例としては、グリセロール及び/又はそのポリマー(例えば、トリグリセロール、ペンタグリセロール、及び/又はデカグリセロール)、糖アルコール、糖等、及び/又はそれらの組み合わせ及び/又は混合物を無制限に含む。糖アルコールの例としては、エリトリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、イディトール、ボレミトール、フシトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルトなど、及び/又はそれらの混合物及び/又は組み合わせを無制限に含む。糖の例としては、単糖類及び/又は二糖類、例えば、グルコース、フルクトース、ガラトース、スクロース、ラクトース、マルトース等、並びに/又はそれらの組み合わせ及び/又は混合物を無制限に含む。
【0021】
従って、一実施形態において、PLAの連結エステルは、PLAの連結PEGエステルを含む。他の実施形態では、PLAの連結エステルは、PLAの連結1,3プロパンジオールエステルを含む。さらに他の実施形態では、PLAの連結エステルは、PLAの連結ポリオール(例えば、ポリグリセロール、糖、及び/又は糖アルコール)エステルを含む。さらなる実施形態において、PLAの連結エステルは、以下のPLAの連結エステルのうちの2つ以上を含むことができる:PLAの連結PEGエステル、PLAの連結1,3プロパンジオールエステル、PLAの連結ポリオールエステル、及び/又はそれらの組み合わせ。PLAの連結エステルは、(i)ジオール(例えば、PEG又は1,3プロパンジオール)、及び/又はポリオール(例えば、グリセロール、例えば、トリ-、ペンタ-、又はデカ-グリセロール)、又は糖、又は糖アルコールを(ii)PLA、ラクチド、又は乳酸と反応させることによって作製される連結エステルを含むことができる。ラクチドは、D-、L-、又はDL-ラクチドであり得る。従って、PLAの連結エステルは、PLAのPEG連結エステル、PLAのグリセロール連結エステル、PLAの1,3プロパンジオール連結エステル、PLAの糖連結エステル、及びPLAの糖アルコール連結エステルを含むことができる。他の実施形態では、PLAの連結エステルはPLAのPEG連結エステルを含む。他の実施形態では、組成物はPLAのグリセロール連結エステルを含む。他の実施形態では、組成物はPLAの1,3プロパンジオール連結エステルを含む。他の実施形態では、組成物はPLAの糖連結エステルを含む。他の実施形態では、組成物はPLAの糖アルコール連結エステルを含む。他の実施形態では、PLAの連結エステルはPLAのPEG連結エステル、PLAのグリセロール連結エステル、PLAの1,3プロパンジオール連結エステル、PLAの糖連結エステル、及びPLAの糖アルコール連結エステルの2つ以上の組み合わせを含むことができる。組成物は水及び/又は別の溶媒を、PLAの連結エステルの1個以上と共に含むことができ、織物の仕上げ剤を提供する。
【0022】
他の態様では、本発明はPLAの連結エステルの製造方法に関する。一実施形態では、PLAの連結エステルは、(i)(PEG又は1,3プロパンジオールを無制限に含むことができる上述の)ジオール、及び/又は(ポリグリコール、トリ-、ペンタ-、又はデカ-グリセロールを含むポリグリセロールを無制限に含むことができる上述の)ポリオール、又は糖、又は糖アルコール、(ii)カプラー、及び(iii)PLA、乳酸、及び/又はラクチドを反応させることによって作製することができる。反応は、反応物質を触媒で加熱することによって行うことができる。触媒は塩基性触媒(例えば、炭酸ナトリウム、及び/又は炭酸カルシウム)であり得る。触媒はまた、オクタン酸第一スズのようなルイス酸触媒であってもよい。反応は触媒なしで行うことができる。反応はPLAを溶融し、反応を開始してPLAの連結エステルを形成するのに十分な温度で行われる。PEGとPLAとの間の反応を開始させる温度は140℃~200℃であり得るが、PLAを溶融させるのに必要な温度は少なくとも約160℃である。従って、PEGとPLAとの反応は、160℃~200℃又は170℃~190℃の間で行うことが可能である。溶媒は、ジオール及び/又はポリオール、又はジオール及びポリオールの組み合わせを溶解してPLAとの反応を促進するために使用することができる。場合により、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2-エチルヘキサノール、C8C10アルコールなどの脂肪族C1~C14アルコール)を反応物質に添加することができる。典型的には、アルコールは反応の開始前に反応物質に添加することができる。あるいは、アルコールが反応の開始後に添加することができる。アルコールの添加は有利にはPLAエステルのpHに対する酸の効果を部分的に相殺するために、より高いpHを有するPLAエステルを生成することができる。脂肪族アルコールは、二酸カプラーの量の1~2倍の量で添加することができる。
【0023】
反応物質のジオール及び/又はポリオールに対する初期PLAの重量パーセンテージは、25~75パーセントのPLA及び75~25パーセントのジオール及び/又はポリオール、30~70パーセントのPLA及び70~30パーセントのジオール及び/又はポリオール、35~65パーセントのPLA及び65~35パーセントのジオール及び/又はポリオール、40~60パーセントのPLA及び60~40パーセントのジオール及び/又はポリオール、45~55パーセントのPLA及び55~45パーセントのジオール及び/又はポリオールであり得る。一実施形態ではPLAの初期重量パーセントが反応物質の50パーセントを超え、従って、ジオール及び/又はポリオールの初期重量パーセントは反応物質の50パーセント未満である。初期重量パーセントPEG対PLA比(PEG:PLA)は、75:25~25:75、70:30~30:70、65:35~35:65、60:40~40:60であり得る。ポリエチレングリコールに対する酸カプラーの初期モル比は、0.2~1.0、例えば0.4~1.0(例えば0.4~0.8)であり得る。反応温度は、典型的には160℃~200℃又は170℃~190℃である。
【0024】
PLAの連結エステルの十分な収率を提供するために必要な反応時間は、PLA、ジオール及び/又はポリオールの分子量、反応の温度及び圧力、触媒の使用、並びに直接エステル化の場合、反応中の水の除去速度に基づいて変化し得る。反応時間は、透明で安定な水とのエマルジョンを提供するために、PLAのエステルへのPLAの適切な変換を達成するのに十分である必要がある。ガードナーカラースケールに基づくエマルジョンの色は、4未満、例えば3以下(例えば2未満)であり得る。反応時間は、温度がPLAの融点温度に達した後、1時間~10時間、2時間~6時間、及び3時間~5時間であり得る。典型的には、ポリ乳酸エステルの形成が実質的に完了したことを示す透明ないし濁った塊が形成されるまで(即ち、PLAエステルへのPLAの変換が75、80、85、90、又は95パーセントを超えるまで)、反応を継続する。
【0025】
PEG及びPLAをカプラーと反応させる場合、反応によって形成されるエステル(例えば、代表的な反応生成物)には、以下の式を有するエステルが含まれる:
【化1】
【0026】
前述の式を有する代表的なエステルに関して、nは1より大きくかつ90、80、70、60、50、40、30、20、10、又は5未満の整数であり得、そしてa、b、o、r、s、x、y、及びzは1より大きく10未満又は1より大きく5未満の整数であり得る。整数a、b、n、o、r、s、x、y、及びzは、等しくても等しくなくてもよい。
【0027】
PLAは、トウモロコシ、サトウキビ、テンサイ、及びキャッサバなどの再生可能な材料から作られる。使用することができるPLAは分子量によって限定されず、重量平均分子量(M)が(例えば、10,000~150,000ダルトン(g/モル))であることができる。PEGは典型的には石油から製造されるが、トウモロコシ、サトウキビ、テンサイ及びキャッサバのような全て天然の再生可能な材料から製造することもできる。従って、PLAの連結エステルは全て天然の再生可能な材料から作製することができ、堆肥化可能及び/又は生分解性である。PLAの連結エステル中のPEG単位の重量平均分子量は、100~5000ダルトン、100~4000ダルトン、100~2000ダルトン、100~1000ダルトン、100~800ダルトン、及び100~600ダルトンであり得る。一実施形態では、上記重量平均分子量は約400ダルトンである。PLAの結合PEGエステルの重量平均分子量は、5000ダルトン未満、4000ダルトン未満、3000ダルトン未満、2000ダルトン未満、1000ダルトン未満、975ダルトン未満、950ダルトン未満、900ダルトン未満、800ダルトン未満、700ダルトン未満、600ダルトン未満、500ダルトン未満、又は400ダルトン未満であり得る。ジオール又はポリオールをPLAと反応させることによって作製されるPLAの連結エステルの重量平均分子量は、5000ダルトン未満、4000ダルトン未満、3500ダルトン未満、3000ダルトン未満、2500ダルトン未満、2000ダルトン未満、1500ダルトン未満、1000ダルトン未満、975ダルトン未満、950ダルトン未満、900ダルトン未満、800ダルトン未満、700ダルトン未満、600ダルトン未満、500ダルトン未満、又は400ダルトン未満であり得る。
【0028】
一実施形態において、PGAの連結エステルは、PGAの連結PEGエステルを含む。他の実施形態において、PGAの連結エステルは、PGAの連結1,3プロパンジオールエステルを含む。さらに他の実施形態では、PGAの連結エステルは、PGAの連結ポリオール(例えば、ポリグリセロール、糖、及び/又は糖アルコール)エステルを含む。さらなる実施形態において、PGAの連結エステルは、PGAの以下の連結エステル:PGAの連結PEGエステル、PGAの連結1,3プロパンジオールエステル、PGAの連結ポリオールエステル、及び/又はそれらの組み合わせのうちの2つ以上を含み得る。PGAの連結エステルは、(i)ジオール(例えば、PEG又は1,3プロパンジオール)、及び/又はポリオール(例えば、トリ-、ペンタ-、又はデカ-グリセロールなどのグリセロール)、又は糖、又は糖アルコールを(ii)ポリグリコール酸又はグリコール酸と反応させることによって作製される連結エステルを含むことができる。場合により、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2-エチルヘキサノール、C8C10アルコール等の脂肪族C1~C14アルコール)を反応物質に添加することができる。典型的には、アルコールは、反応の開始前に反応物質に添加することができる。或いは、アルコールを反応の開始後に添加することもできる。アルコールの添加は有利にはPGAエステルのpHに対する酸の効果を部分的に相殺するために、より高いpHを有するPGAエステルを生成し得る。脂肪族アルコールは、二酸カプラーの量の1~2倍の量で添加することができる。
【0029】
従って、PGAの連結エステルは、PGAのPEG連結エステル、PGAのグリセロール連結エステル、PGAの1,3プロパンジオール連結エステル、PGAの糖連結エステル、及びPGAの糖アルコール連結エステルを含むことができる。他の実施形態では、PGAの連結エステルがPGAのPEG連結エステルを含む。他の実施形態では、組成物がPGAのグリセロール連結エステルを含む。他の実施形態では、組成物がPGAの1,3プロパンジオール連結エステルを含む。他の実施形態では、組成物がPGAの糖連結エステルを含む。他の実施形態において、組成物は、PGAの糖アルコール連結エステルを含む。他の実施形態では、PGAの連結エステルがPGAのPEG連結エステル、PGAのグリセロール連結エステル、PGAの1,3プロパンジオール連結エステル、PGAの糖連結エステル、及びPGAの糖アルコール連結エステルの2つ以上の組み合わせを含むことができる。組成物は、水及び/又は別の溶媒を、PGAの1個以上の連結エステルと共に含んで、織物の仕上げ剤を提供することができる。
【0030】
反応物質の最初のPGA対ジオール及び/又はポリオール重量パーセンテージは、25~75パーセントのPGA及び75~25パーセントのジオール及び/又はポリオール、30~70パーセントのPGA及び70~30パーセントのジオール及び/又はポリオール、35~65パーセントのPGA及び65~35パーセントのジオール及び/又はポリオール、40~60パーセントのPGA及び60~40パーセントのジオール及び/又はポリオール、及び45~55パーセントのPGA及び55~45パーセントのジオール及び/又はポリオールであり得る。一実施形態ではPGAの初期重量パーセントは反応物質の50パーセントを超え、従って、ジオール及び/又はポリオールの初期重量パーセントは反応物質の50パーセント未満である。初期重量パーセントPEG対PGA比(PEG:PGA)は、75:25~25:75、70:30~30:70、65:35~35:65、60:40~40:60であり得る。反応温度は、典型的には160℃、及び200℃又は170℃~190℃である。
【0031】
本明細書に記載されるように、PLAのエステルの連結エステル及びPGAの連結エステルの重量平均分子量は、GPCカラムを用いる標準高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)システム及び蒸発光散乱検出(「ELSD」)を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)によって決定することができる。標準の保持時間を較正方程式に当てはめ、そしてこの方程式は未知のポリマーの重量平均分子量を決定するために使用される。使用されるカラムはJordi Gel DVB 500A(300×07.8mm、カタログ番号15071)である。この方法は1ml/分でテトラヒドロフラン(「THF」)を使用するイソクラティックである。標準実行時間は30分であるが、ほとんどの成分は15分以内に溶出する。検出は蒸発光散乱検出器(「ELSD」)を使用して達成される。使用されるELSDユニットは、ELSD LTAアクセサリを有するAlltech 500 ELSDである。LTAユニットは41°Cで動作するように設定されている。ELSDユニットドリフトチューブは70℃に設定し、そして窒素ガス流量は1.84 SLPMに設定している。上記に従って、添付の図1は、ポリマーの重量平均分子量を決定するために使用される代表的な較正方程式を示すものである。
【0032】
他の態様では、本発明は、PGAの連結エステルの製造方法に関する。一実施形態では、本発明の連結エステルは、(i)ジオール(例えば、PEG又は1,3プロパンジオール)及び/又はポリオール(例えば、ポリグリコール、トリ-、ペンタ-、又はデカ-グリセロールを含むポリグリセロール)、又は糖、又は糖アルコール、(ii)カプラー、並びに(iii)PGA、グリコール酸、及び/又はポリ(乳酸-コ-グリコール酸)酸を反応させることによって作製することができる。反応は、反応物質を触媒で加熱することによって行うことができる。触媒は塩基性触媒(例えば、炭酸ナトリウム、及び/又は炭酸カルシウム)であり得る。触媒は、また、オクタン酸第一スズのようなルイス酸触媒であってもよい。反応は触媒なしで行うことができる。反応はPGAを溶融し、かつPGAの連結エステルを形成するための反応を開始するのに十分な温度で行われる。PEGとPLAとの間の反応を開始するための温度は140℃~200℃であり得るが、PGAを溶融するために必要な温度は少なくとも約160℃である。従って、PEGとPGAとの反応は、160℃~200℃、又は170℃~190℃の間で起こり得る。PGAとの反応を促進するために、ジオール及び/又はポリオール、又はジオールとポリオールの組み合わせを溶解するために溶媒を使用することができる。
【0033】
他の実施形態では、本発明の連結エステルは、(i)ジオール(例えば、PEG又は1,3プロパンジオール)、及び/又はポリオール(例えば、トリ-、ペンタ-、又はデカ-グリセロール等のグリセロール)、又は糖、又は糖アルコール、(ii)ラクチド、ラクチド中間体、又は乳酸、及びカプラーを反応させることによる直接エステル化によって製造することができる。ラクチドは、D-ラクチド、L-ラクチド、及び/又はDL-ラクチドであり得る。ラクチド、ラクチド中間体、又は乳酸との反応を促進するために、ジオール又はポリオール、あるいはジオール及び/又はポリオールの組み合わせを溶解するために溶媒を使用することができる。反応は無機酸(例えば、硫酸又は乾燥塩化水素)の存在下で起こり得、無機酸は、反応を加速し、そして水を除去するための触媒として作用する。水の除去は、また例えば、反応混合物を、反応を妨害しない不活性ガス又は乾燥ガス(例えば、窒素)と接触させること、例えば、かき混ぜることによって、及び/又は反応生成物を蒸留することによって、達成され得る。
【0034】
表1(下記)は、成分の投入比、エステル及び連結エステルの特性、並びにエステル及び連結エステルのGPC結果と共に、エステル及び連結エステル(即ち、典型的な反応生成物)を作製するために使用される成分(即ち、反応物質)と共に作製されたポリ乳酸の代表的なPEGエステル及びポリ乳酸の連結PEGエステルを確認する。
【0035】
【表1】
【0036】
本発明の他の態様では、PLAの連結エステルは、仕上げ剤(すなわち、仕上げ剤組成物)を形成するために、PLAの連結エステルを含まない他の化合物又は組成物と組み合わせることができる。仕上げ剤中のPLAの連結エステルの重量パーセントは、PLAの連結エステルの重量の0.1~99.9パーセント又は5~95パーセントであり得る。他の化合物及び/又は組成物の例としては、水、潤滑剤、乳化剤、帯電防止剤、凝集剤、酸化防止剤、腐食防止剤、粘度調整剤、湿潤剤、殺生物剤、pH調整剤、汚れ脱離剤、及び防汚剤が含まれる。代表的な潤滑剤には、鉱油、植物油、及び/又は動物油に由来する、PLAの連結エステル以外のPEG脂肪酸エステル、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化トリグリセリド、グリセロールエステル、ソルビタンエステル、及びアルキルエステル、及び/又はそれらの組み合わせが含まれる。代表的な乳化剤には、非イオン性剤(例えば、アルキルアルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、脂肪アミンエトキシレート、及び脂肪酸エトキシレート、及び/又はそれらの組み合わせ);カチオン性剤(例えば、第四級脂肪アミン、第四級脂肪アミンエトキシレート、第四級イミダゾリン、及び/又はそれらの組み合わせ);並びにアニオン性剤(例えば、エトキシル化アルキルアルコールの硫酸塩及びリン酸塩、脂肪酸石鹸、及び/又はスルホコハク酸アルキルエステル、及び/又はそれらの組み合わせ)が含まれる。代表的な帯電防止剤には、非イオン性剤(例えば、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、脂肪アミンエトキシレート、ポリオキシアルキレングリコール、エーテル、及び/又はエステル、及び/又はそれらの組み合わせ)、カチオン性剤(例えば、第4級アミン、第4級イミダゾリン、及び/又はそれらの組み合わせ)、及びアニオン性剤(例えば、アルキルアルコール硫酸塩及び/又はリン酸塩、及び/又はアルキルアルコールエトキシレート硫酸塩、及び/又はリン酸塩、及び/又はそれらの組み合わせ)が含まれる。
【0037】
典型的な汚れ脱離配合物は、パーマネントプレス樹脂、パーマネントプレス樹脂用触媒、湿潤剤、高密度ポリエチレン樹脂、フッ素系汚れ脱離剤、及び酢酸を含む。上記化合物の典型的な重量パーセンテージは、4.0~10.0のパーマネントプレス樹脂、5.0~10.0のパーマネントプレス樹脂のための触媒、0.25~1.0の湿潤剤、3.0~6.0の高密度ポリエチレン樹脂、5.0~10.0のフッ素系汚れ脱離化学物質、及び0.0~0.25の酢酸である。PLAのPEGエステルは、汚れ脱離剤に対してフッ素系の汚れ脱離化学物質を含む汚れ脱離配合物に添加することができ、その結果、汚れ脱離剤は布に1滴を適用することによって決定されるように、布中により迅速に吸収され得(例えば、10秒未満、5秒未満、4秒未満、3秒未満、又は2秒未満)、従って、汚れ脱離剤で布を処理するための時間を減少させる。さらに、フッ素系汚れ脱離化学物質を含有する汚れ脱離配合物にPLAのPEGエステルを添加する場合、フッ素系化学物質の量は25、50、又は75パーセントまで減少させることができ、汚れ脱離剤はPLAのPEGエステルを含まないフッ素系化学物質の典型的な量(例えば、5.0~10.0重量パーセント)を含有する汚れ脱離剤と同等又はより良好な結果である汚れ脱離結果を依然として提供する。
【0038】
PLAの連結エステルは界面活性剤として作用し、パーソナルケア製品、例えば、石鹸、シャンプー、及びコンディショナーに使用することができる。PLAの連結エステルを含む組成物は、他の界面活性剤、例えば全て天然のポリグルコシドを含むことができる。
【0039】
さらに他の態様では、本発明はPLAの連結エステルで処理された織物に関する。PLAの連結エステルで処理された織物は、親水性のような改善された表面特性を有する。一実施形態では、織物は不織布であり、例えば、スパンボンド、メルトブローン、カード、エアレイド、ウェットレイド、及び/又はそれらの組み合わせである。他の実施形態では、織物は織られているか、又は編まれている。一実施形態では、織物がポリエステル、例えば、PLA及び/又はポリエチレンテレフタレートから作製されるか、又はそれらを含む。他の実施形態では、織物がポリプロピレンから作製されるか、又はポリプロピレンを含む。他の実施形態では、織物がポリエチレンから作製されるか、又はポリエチレンを含む。他の実施形態では、織物がポリプロピレン及びポリエチレンの組み合わせから作製されるか、又はそれらを含む。他の実施形態では、織物がポリアミド、アクリル、アラミド、及び/又はそれらの組み合わせから作製される。他のさらなる実施形態では、織物が人工繊維(例えば、アセテート、リヨセル、及びレーヨン)から作製されるか、又は人工繊維を含む。他の実施形態では、織物が天然繊維(例えば、竹、綿、亜麻、麻、羊毛、及び/又はそれらの組み合わせ)から作製されるか、又はそれらを含む。他の実施形態では、織物が「PBO」としても知られるポリ(ρ-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール)から製造することができる。他の実施形態では織物は「PEEK」としても知られるポリエーテルエーテルケトンから製造することができる。他の実施形態では織物が「PEKK」としても知られるポリエーテルケトンケトンから製造される。織物に適用される場合、PLAの連結エステルは改善された濡れ特性(例えば、比較的速いストライクスルー時間及び複数のストライクスルー時間及び/又は比較的低い再湿潤(又はウェットバック)を与える。
【0040】
本発明のPLAの連結エステルを含む組成物は、EDANA(ヨーロッパディスポーザブル及び不織布協会)及びINDA(不織布工業会)標準試験:不織布液体ストライクスルー時間のためのWSP 070.3.R3(12)によって決定されるように、ポリプロピレン又はPLAから作製された15グラム/平方メートル(gsm)スパンボンド不織布については、5秒以下、4秒以下、又は3秒以下の単一液体ストライクスルー時間を提供することができる。EDANA(ヨーロッパディスポーザブル及び不織布協会)及びINDA(不織布工業会)標準試験:不織布液体ストライクスルー時間のためのWSP 070.3.R3(12)は、参照のため本明細書に組み込まれている。本発明のPLAの連結エステルを含む組成物は、反復された液体ストライクスルー時間についての標準試験:WSP 070.7.R4(12)によって決定されるように、15gsmのPLA又はポリプロピレンスパンボンド不織布に対する最初の3回のストライクスルーについて、5秒以下又は4秒以下の複数回又は反復された液体ストライクスルー時間を提供することができる。標準試験:繰返し液体ストライクスルー時間のためのWSP 070.7.R4(12)は、参照のため本明細書に組み込まれている。
【0041】
本発明のPLAの連結エステルを含む組成物は、また、標準試験:不織布カバーストックウェットバックのためのWSP 080.10.R3(12)によって決定されるように、15gsmのPLAスパンボンド不織布に対して少なくとも0.25グラム以下の再湿潤を提供することができる。標準試験:不織布カバーストックウェットバックのためのWSP 080.10.R3(12)は、参照のために本明細書に組み込まれている。PLAの1個以上の連結エステルを含む組成物は、典型的には、組成物中のPLAの1個以上の連結エステルの重量パーセントがPLAの1個以上の連結エステルの0.1~10.0重量パーセント、0.1~5.0重量パーセント、及び0.1~1.0重量パーセントであり得るように、水を含む。
【0042】
PLAの連結エステルを含む組成物は、仕上げ剤、例えば、漂白、精練、親水性、帯電防止、汚れ脱離(又はしみ脱離)、耐汚れ性、及び抗摩擦仕上げ剤、及び/又はそれらの組み合わせを提供することができる。一実施形態では、これらの仕上げ剤に使用されるPLAのPEG連結エステルは、市販されているPEG 200、PEG 300、PEG 400、PEG 600、PEG 800、PEG 1000、PEG 1200、PEG 1400、PEG 1450及び/又はそれらの混合物から作製することができる。PLAの連結PEGエステルは、また、100~1000、200~800、及び300~700の分子量を有するPEGから作製され得る。PLAのPEG結合PEGエステルは、30:70~70:30、40:60~60:40、及び45:55~55:45のPEG:PLA比を有することができる。好ましい実施形態では、PGAの結合PEGエステルはPEG 400から製造され、そしてPEG:PGA比は50:50である。PGAのPEGエステル、即ち、44:56のPEG:PGA比を有するPGAのPEG 400エステル、50:50のPEG:PGA比を有するPGAの結合PEG 200エステル、50:50のPEG:PGA比を有するPGAの結合PEG 400エステル、50:50のPEG:PGA比を有するPGAの結合PEG 600エステル、50:50のPEG:PGA比を有するPLAのPEG 1450エステルは、好ましい煙及び引火点特性(例えば、煙は171F未満であり、引火は244F未満)及び好ましい摩擦特性を有する。例えば、汚れ脱離仕上げ剤は、PLAのPEGエステル、例えば、上記で確認されたもの、撥油剤/撥水剤、湿潤剤/吸い上げ剤、及び親水性バインダーを含むことができる。一実施形態では、汚れ脱離仕上げ剤は、PLAのエステル、パーマネントプレス樹脂、パーマネントプレス樹脂用の触媒、湿潤剤、高密度ポリエチレン樹脂、フッ素系汚れ脱離化学物質、及び/又はpH調整用の酸(例えば、酢酸、クエン酸又はグリコール酸)を含む。PLAのエステルの添加は、高価なフッ素系汚れ脱離化学物質の必要量を10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、又は60パーセントまで減少させることができ、それと同時に、匹敵するか又は改善された汚れ脱離結果を提供する。PLAのエステルの添加は、液滴反射率を改善する。1リットルの汚れ脱離仕上げ剤は、1~40グラム、1~30グラム、1~20グラム、1~15グラム、又は1~10グラムのPGAのPEGエステルを含むことができる。2リットルの仕上げ剤はPGAのPEGエステルの1リットル量の2倍を含むことができ、3リットルの仕上げ剤は、PLAのPEGエステルの1リットル量の3倍を含むことができる。
【0043】
PLAの連結エステル及び/又はPGAの連結エステルを含む組成物は、ロールコーティング、パディング、滴下、スプレーによって、所望のストライクスルー及び/又は再湿潤特性を提供する量で織物に適用することができる。例えば、PLAのエステルを含む組成物は、0.1~10.0重量パーセントのFOY、0.2~3.0重量パーセントのFOY、0.3~1.0重量パーセントのFOY、及び0.3~0.8重量パーセントのFOY(a finish on yarn:糸に対する仕上げ)レベルを与えるために適用することができる。従って、本発明の他の態様は、上記のPLAの1個以上のエステルで処理された織物、又は上記のPLAの1個以上のエステルを含有する組成物である。
【0044】
PLAの結合PEGエステルを含まない従来の汚れ脱離配合物及びPLAのPEGエステルを含む汚れ脱離配合物を比較する試験の結果を、以下の表2b-2c、3b-3c、4b-4c、5b-5d、6b-6d、及び7b-7dに示す。PLAのPEGエステル及びPLAの連結エステルを含有する汚れ剥離配合物を、100%ポリエステル、ポリエステル/綿ブレンド(65:35ポリ/綿)、及びナイロン織物で試験した。その結果を、プルクラケミカルズ社(Pulcra Chemicals)によって販売されている脱離剤として使用される従来のポリエステルコポリマーであるNonax(登録商標)MMと比較した。
【0045】
ポリエステルコポリマーは、特にアパレル及びスポーツ用布のために、合成繊維に吸水性又は水吸い上げ性を付与するために使用される。ポリエステルコポリマーは、また、布の汚れ脱離特性を改善するといわれている。PLAのPEGエステルは、また、PLAのPEGエステルが織物の静電気を改善するかどうかを決定するために試験された。PLAの3つのエステルを、Nonax(登録商標)MMの商品名でプルクラケミカルズ合同会社(Pulcra Chemicals LLC)によって販売されている一般的なポリエステルコポリマー仕上げ剤と比較した。Nonax(登録商標)MM及びPLAのPEGエステルをパッド法によって布に適用し、次いで乾燥し、布を硬化させた。この配合物を、100%ポリエステル織物、65/35ポリエステル/綿織物及び100%ナイロン織物に適用した。水吸い上げ性を測定するために、処理された布の細長い一片の一端を水に浸漬し、水を布に吸い上げさせた。水を布が吸い上げれば吸い上げるほど、吸い上げ特性は良好である。水を布が吸い上げた距離をミリメートル(「mm」)で測定した。同じ試験手順を、吸い上げ汚れ脱離実験において上記した汚れ脱離のために使用した。汚れ脱離剤中のPLAのエステルの吸い上げ特性を測定する場合、下記の汚れ脱離剤配合物をパッドし、次いで乾燥させ、布上において177℃で硬化させた。
【0046】
汚れ脱離の処方及び試験の結果は、いくつかの表(以下)に記載されており、そこで、より高い数値は、より高い汚れ脱離性能に対応している。
【0047】
【表2a】
【0048】
【表2b】
【0049】
【表2c】
【0050】
【表2d】
【0051】
【表3a】
【0052】
【表3b】
【0053】
【表3c】
【0054】
【表4a】
【0055】
【表4b】
【0056】
【表4c】
【0057】
【表4d】
【0058】
上述のように、100%ポリエステル、65%/35%ポリエステル/綿、及び100%ナイロンに関して、記載したように吸い上げ及び汚れ脱離試験を繰り返した。100%ポリエステルについての結果を以下の表5b~5dに示す。汚れ脱離剤のpHを4~5のpHに調整した。続いて、汚れ脱離剤試験を、上記した100%ポリエステルについて繰り返した。洗浄前の最初の布、5回の洗浄サイクル後の布、及び10回の洗浄サイクル後の布に対して吸い上げ性能、汚れ脱離性能についての試験結果、並びに白色度を、以下の表5a~5eに示す。各汚れ脱離剤のpHをpH4~5の間に調整した。
【0059】
【表5a】
【0060】
【表5b】
【0061】
【表5c】
【0062】
【表5d】
【0063】
【表5e】
【0064】
続いて、吸い上げ剤及び汚れ脱離剤の試験を、上記のように、65/35パーセントポリエステル/綿について繰り返した。洗浄前の最初の布、5回の洗浄サイクル後の布、及び10回の洗浄サイクル後の布に対して吸い上げ性能、汚れ脱離性能についての試験結果を、以下の表6a~6dに示す。各汚れ脱離剤のpHをpH4~5の間に調整した。
【0065】
【表6a】
【0066】
【表6b】
【0067】
【表6c】
【0068】
【表6d】
【0069】
【表7a】
【0070】
【表7b】
【0071】
【表7c】
【0072】
【表7d】
【0073】
前述の詳細な説明は、典型的な実施形態を示す。本開示は、そのような例示的な実施形態に限定されない。本開示は、任意の様々な態様、特徴、又は工程、あるいはそれらの組合せを利用することができる。
【0074】
本明細書及び/又は図面では、実施形態の例が開示されている。特に断らない限り、特定の用語は一般的かつ説明的な意味で使用されており、限定を目的としたものではない。
【0075】
用語「及び/又は」の使用は、1個以上の関連する列挙された項目の任意の及び全ての組み合わせを含む。上記した温度、パーセンテージ、ダルトンなどの範囲について(例えば、「xとyとの間」の形態で)、「間」は範囲に提供される数が範囲に含まれるように(例えば、1と10との間は1と10とを含む)「間を含めて」を意味する。
【0076】
様々な態様、特徴、及び実施形態が本明細書で開示されてきたが、他の態様、特徴、及び実施形態は当業者には明らかであろう。様々な開示された態様、特徴、及び実施形態は例示の目的のためであり、限定することを意図していない。本発明の範囲は、少なくとも以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物を含むことが意図されている。
図1
【手続補正書】
【提出日】2021-09-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエチレングリコールと;
カプラーと;
ポリ乳酸、乳酸、ポリラクチド、ラクチド、ポリ(乳酸-コ-グリコール)酸、ポリグリコール酸、及び/又はグリコール酸を含む乳酸誘導体と;
の反応生成物を含む、化合物。
【請求項2】
前記ポリエチレングリコールが、ゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)によって測定して124ダルトン~1450ダルトンの重量平均分子量を有する、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
組成物の25モル%未満が、ゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)によって測定して1000ダルトン未満の重量平均分子量を有する、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
前記カプラーがジカルボン酸を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
前記カプラーがトリカルボン酸を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
前記カプラーが芳香族ジカルボン酸を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
前記ポリエチレングリコールと前記乳酸誘導体との重量%比率が80:20~20:80である、請求項1~のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
前記カプラーが前記ポリエチレングリコールに対して0.2~1.0モル当量で存在する、請求項1~のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
前記反応生成物が生分解性及び/又は堆肥化可能である、請求項1~のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
以下の式の1つ以上を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の化合物。
【化1】
【請求項11】
前記ポリエチレングリコール、前記カプラー、及び前記乳酸誘導体を反応容器に導入することと;
前記ポリエチレングリコール、前記カプラー及び前記乳酸誘導体を、165℃~200℃の温度で1時間~6時間反応させることと;
を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の化合物の製造法。
【請求項12】
水と混合された場合に、最終反応生成物が透明な無色のエマルジョンを提供する、請求項11に記載の化合物の製造法。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか1項に記載の化合物を含む湿潤剤、汚れ脱離剤、帯電防止剤、潤滑剤、消泡剤又は精錬剤の形態の組成物。
【請求項14】
さらにフッ素系化合物を含む汚れ脱離剤の形態の請求項13記載の組成物
【請求項15】
請求項13に記載の組成物で処理されてなり、
ポリエステル、綿、ポリエチレン及びポリプロピレンのようなポリオレフィン、アクリル、ポリアミド繊維及びそれらの組み合わせからなる群から選択される材料を含む織物又は不織布
【手続補正書】
【提出日】2022-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】削除
【補正の内容】
【誤訳訂正書】
【提出日】2022-01-11
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本国際出願は、ポリ乳酸の新規連結エステル及びポリグリコール酸の連結エステル及びその組成物に関する係属中の米国特許出願第62/740,944号(2018年10月3日出願)及びポリ乳酸の新規連結エステル及びポリグリコール酸の連結エステル及びその組成物に関する係属中の米国特許出願第62/828,961号(2019年4月3日出願)の利益を主張するものであり、それらの各々が全体として本出願において合体されている。
【0002】
本発明は、カプラーを含むポリ乳酸の新規連結エステル及びポリグリコール酸の連結エステル、並びに新規連結エステルの製造方法に関する。本発明は、また、新規な連結エステルを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリエステル及びポリオレフィンのような高分子量ポリマーは、一般に、糸、布、及び不織布のような繊維及び繊維物品を製造するために使用される。ポリエステル及びポリオレフィンから製造された物品の表面は、それらの化学的性質により疎水性である。多くの用途において、物品の表面が親水性を有することが望ましい。ポリエステル及びポリオレフィン物品には、それらの疎水性に対抗し、親水性を付与するために、局所コーティング又は仕上げ剤がしばしば使用される。ポリ乳酸(「PLA」)やポリオレフィンなどのポリエステルは、おむつなどの吸収製品をはじめ、多くの製品に使用されている。ポリ乳酸は石油の代わりにトウモロコシなどの再生可能な供給源から誘導することができるので、ポリ乳酸は堆肥化可能で生分解性がある。ポリ乳酸はポリプロピレン(「PP」)と同様の特性を持っている。ポリ乳酸は、再生不可能な石油から製造されるポリプロピレン及び他の非生分解性プラスチックの代わりに使用することができる。消費者製品に使用される低分子量化合物の毒性の懸念のために、有利な特性を有することができるポリ乳酸(ポリマー)の低分子量エステルは、認可されていないか、又は使用が許可されていないことがある。従って、低分子量エステルを使用できるように、毒性の問題を克服することが有益であろう。
【発明の概要】
【0004】
出願人は、ポリ乳酸(「PLA」)のエステルがPLAの高分子量エステル(「PLAの連結エステル」又は「連結エステル」)を形成することができ、その上、連結していないPLAの低分子量エステル(「PLAの未連結エステル」)に匹敵する繊維及び繊維から製造された織物に有利な特性を提供することができることを発見した。PLAのPEG連結エステルなどのPLAの連結エステルは堆肥化可能及び/又は生分解性とすることができ、従って、堆肥化可能及び/又は生分解性である製品を製造するためにPLAポリマーと共に有益とすることができる。ポリグリコール酸(「PGA」)のエステルを一緒に連結させて、高分子量エステル(「PGAの連結エステル」)を形成することもでき、その上、連結していないPGAの低分子量エステル(「PGAの未連結エステル」)に匹敵する繊維及び繊維から製造された織物に有利な特性を提供することができる。
【0005】
一態様において、本発明は、ポリ乳酸の連結されたエステルに関する。一実施形態では、ポリ乳酸の連結エステルがジオール、例えばポリエチレングリコール(「PEG」)又は1,3プロパンジオールを含むことができる。他の実施形態では、PLAの連結エステルがポリオール、例えば、ポリグリセロール、糖、及び糖アルコールを含むことができる。他の実施形態では、連結エステルが1個以上のジオールの組み合わせを含むことができる。他の実施形態では、連結エステルが1個以上のポリオールの組み合わせを含むことができる。さらに他の実施形態では、連結エステルが1個以上のジオールと1個以上のポリオールとの組み合わせを含むことができる。
【0006】
他の態様では、本発明はPGAの連結エステルに関する。一実施形態では、PGAの連結エステルがジオール、例えばポリエチレングリコール(「PEG」)又は1,3プロパンジオールを含むことができる。他の実施形態では、PGAの連結エステルがポリオール、例えば、ポリグリセロール、糖、及び糖アルコールを含むことができる。さらに他の実施形態では、連結エステルが1個以上のジオールの組み合わせを含むことができる。他の実施形態では、連結PGAエステルが1個以上のポリオールの組み合わせを含むことができる。さらに他の実施形態では、連結PGAエステルが1個以上のジオールと1個以上のポリオールとの組み合わせを含むことができる。
【0007】
他の態様では、本発明はPLAの連結エステルを製造する(即ち、反応生成物を含む化学化合物を生成する)方法に関する。このようなPLAのエステルは、(i)ジオール及び/又はポリオール、(ii)ポリ乳酸、ラクチド、又は乳酸、及び(iii)カルボン酸(又は「カプラー」)を反応させることによって製造することができる。ジオール及び/又はポリオールの混合物又は配合体は、ポリ乳酸、ラクチド、又は乳酸と反応させて、PLAの連結エステルを生成することもできる。場合により、アルコール(例えば、脂肪族C1~C14アルコール)を反応物質に添加することができる。
【0008】
他の態様では、本発明がPGAのエステルを製造する(即ち、反応生成物を含む化学化合物を生成する)方法に関する。このようなポリグリコール酸のエステルは、(i)ジオール及び/又はポリオール、(ii)PGA又はグリコール酸、及び(3)カプラーを反応させることによって製造することができる。ジオール及び/又はポリオールの混合物又は組み合わせをPGA又はグリコール酸と反応させて、PGAの連結エステルを形成することもできる。場合により、アルコール(例えば、脂肪族C1~C14アルコール)を反応物質に添加することができる。
【0009】
他の態様では、本発明はPLA及び/又はPGAの連結エステルを含有する組成物で処理される織物に関する。ポリ乳酸及びポリグリコール酸の連結エステルは堆肥化可能及び/又は生分解性とすることが可能であり、従って、堆肥化可能及び/又は生分解性である製品を作製するためにポリ乳酸ポリマーと共に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
一態様において、本発明は酸(例えば、酸カプラー)と一緒に連結されるPLAのエステルに関する。PLAのエステルを一緒に連結(カップリング)することができる適切な酸には、ジカルボン酸(例えば、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、及び/又はアジピン酸)、芳香族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジフェン酸、及び/又は2,6-ナフタレンジカルボン酸)、トリカルボン酸(例えば、クエン酸、アコニット酸、及び/又はトリメシン酸)が含まれる。PLAの連結エステルは、少なくともPLA-PEG-カプラー-PEG-PLAエステル、PLA-PEG-カプラー-PEG-PLAエステル、PEG-PLA-カプラー-PLA-PEG、PEG-PLA-カプラー-PEG-PLA-カプラー-PEG-PLAを含むことができる。
【0011】
他の態様において、本発明は酸(例えば、酸性カプラー)と一緒に連結されるPGAの
エステルに関する。PGAのエステルを一緒に連結することができる適切な酸には、ジカルボン酸(例えば、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、及び/又はアジピン酸)、芳香族ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジフェン酸、及び/又は2,6-ナフタレンジカルボン酸)、トリカルボン酸(例えば、クエン酸、アコニット酸、及び/又はトリメシン酸)が含まれる。PGAの連結エステルは、少なくともPGA-PEG-カプラー-PEG-PGAエステル、PGA-PEG-カプラー-PEG-PGAエステル、PEG-PGA-カプラー-PGA-PEG、PEG-PGA-カプラー-PEG-PGA-カプラー-PEG-PGAを含むことができる。
【0012】
他の態様では、本発明はPLAの連結エステルを含む組成物に関する。これらの組成物は、PLA及びポリオレフィンなどのポリエステルから製造される織物についての仕上げ剤として使用することができる。PLAの連結エステルは、また、他の合成ポリマー(例えば、ポリアミド、アクリル、ナイロン、ポリプロピレン、及びアラミド)、及び人工繊維(例えば、アセテート、リオセル、及びレーヨン)についての仕上げ剤として有益に使用することができる。PLAの連結エステルは、また、天然繊維(例えば、竹、綿、亜麻、麻、及び羊毛)に有益に使用することができる。PLAの連結エステル及びPLAの連結エステルを含む組成物はPLA及び/又はポリプロピレンから作製された織物などの疎水性材料の表面をコーティングすることができ、そして材料の表面を疎水性から親水性に変化させることができ、又は材料が既に親水性である場合、材料の親水性を増加させることができる。従って、本発明の他の態様は、PLAの1個以上の連結エステルが適用される材料である。
【0013】
他の態様では、本発明はPGAの連結エステルを含む組成物に関する。これらの組成物は、PGA及びポリオレフィンなどのポリエステルから製造される織物についての仕上げ剤として使用することができる。PGAの連結エステルは、また、他の合成ポリマー(例えば、ポリアミド、アクリル、ナイロン、ポリプロピレン、及びアラミド)、及び人工繊維(例えば、アセテート、リオセル、及びレーヨン)についての仕上げ剤として有益に使用することができる。PGAの連結エステルは、また、天然繊維(例えば、竹、綿、亜麻、麻、及び羊毛)に有益に使用することができる。PGAの連結エステル及びPGAの連結エステルを含む組成物はPGA及び/又はポリプロピレンから作製された織物などの疎水性材料の表面をコーティングすることができ、そして材料の表面を疎水性から親水性に変化させることができ、又は材料が既に親水性である場合、材料の親水性を増加させることができる。従って、本発明の他の態様は、PGAの1個以上の連結エステルが適用される材料である。
【0014】
他の態様では、本発明はPLAの連結エステルを含む組成物に関する。これらの組成物は、PLA及びポリオレフィンなどのポリエステルから製造される織物についての仕上げ剤として有益に使用することができる。PLAの連結エステルは、また、他の合成ポリマー(例えば、ポリアミド、アクリル、ナイロン、ポリプロピレン、及びアラミド)、及び人工繊維(例えば、アセテート、リオセル、及びレーヨン)についての仕上げ剤として有益に使用することができる。PLAの連結エステルは、また、天然繊維(例えば、竹、綿、亜麻、麻、及び羊毛)に有益に使用することができる。PLAの連結エステル及びPLAの連結エステルを含む組成物はPLA及び/又はポリプロピレンから作製された織物などの疎水性材料の表面をコーティングすることができ、そして材料の表面を疎水性から親水性に変化させることができ、又は材料が既に親水性である場合、材料の親水性を増加させることができる。従って、本発明の他の態様は、PLAの1個以上の連結エステルが適用される材料である。
【0015】
他の態様では、本発明がPLA及び/又はPGAの連結エステルを含む組成物に関する。これらの組成物は、PLA及びポリオレフィンのようなポリエステルから製造された織物についての仕上げ剤として有益に使用することができる。PLAの連結エステルは、また、他の合成ポリマー(例えば、ポリアミド、アクリル、ナイロン、ポリプロピレン、及びアラミド)、及び人工繊維(例えば、アセテート、リオセル、及びレーヨン)についての仕上げ剤として有益に使用することができる。PLAの連結エステルは、また、天然繊維(例えば、竹、綿、亜麻、麻、及び羊毛)に有益に使用することができる。PLAの連結エステル及びPLAの連結エステルを含む組成物はPLA及び/又はポリプロピレンから作製された織物などの疎水性材料の表面をコーティングすることができ、そして材料の表面を疎水性から親水性に変化させることができ、又は材料が既に親水性である場合、材料の親水性を増加させることができる。従って、本発明の他の態様は、PLAの1個以上の連結エステルが適用される材料である。
【0016】
一実施形態では、材料がスパンボンド、メルトブローン、カーデッド、エアレイド、ウェットレイド、又はそれらの組み合わせなどの不織布を使用することができる。不織布の例としては、おむつ用のポリエステルトップシートが含まれる。他の実施形態では、織物が織られた又は編まれた織物(例えば、スポーツ衣類を含む衣類)であってもよい。織物には、繊維、フィラメント、ヤーン、織物、不織布、及び編物が含まれる。
【0017】
一実施形態では、PLAのエステルは1個以上のポリオール及びPLAのエステルを含む。本明細書中で使用される場合、用語「ポリオール」は1個を超えるヒドロキシル基、例えば、2個のヒドロキシル基(本明細書中ではジオールとも呼ばれる)及び/又は3個以上のヒドロキシル(-OH)基を有する化合物を無制限に含むことができる。
【0018】
ジオールは、C2~C20、例えばC2~C3、C2~C4、C2~C5、C2~C6、C2~C7、C2~C8、C2~C9等、線状、分岐及び/又は環状ジオール、及び/又はそれらのポリマー(ポリエーテルなど)を無制限に含む。ジオールの例としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、PEG、ポリプロピレングリコール(PPG)等、及び/又はそれらの組み合わせ及び/又は混合物を無制限に含む。一実施形態では、PEGは単一のキャップされた(キャップド)PEGを含むことができる。
【0019】
3個以上のヒドロキシル基を有するポリオールは、C3~C20、例えば、C3~C4、C3~C5、C3~C6、C3~C7、C3~C8、C3~C9等、直鎖、分岐及び/又は環状ポリオール、及び/又はそれらのポリマー(例えば、ポリエーテル)を無制限に含む。3個以上のヒドロキシル基を有するポリオールの例としては、グリセロール及び/又はそのポリマー(例えば、トリグリセロール、ペンタグリセロール、及び/又はデカグリセロール)、糖アルコール、糖等、及び/又はそれらの組み合わせ及び/又は混合物を無制限に含む。糖アルコールの例としては、エリトリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、イディトール、ボレミトール、フシトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルトなど、及び/又はそれらの混合物及び/又は組み合わせを無制限に含む。糖の例としては、単糖類及び/又は二糖類、例えば、グルコース、フルクトース、ガラトース、スクロース、ラクトース、マルトース等、並びに/又はそれらの組み合わせ及び/又は混合物を無制限に含む。
【0020】
従って、一実施形態において、PLAの連結エステルは、PLAの連結PEGエステルを含む。他の実施形態では、PLAの連結エステルは、PLAの連結1,3プロパンジオールエステルを含む。さらに他の実施形態では、PLAの連結エステルは、PLAの連結ポリオール(例えば、ポリグリセロール、糖、及び/又は糖アルコール)エステルを含む。さらなる実施形態において、PLAの連結エステルは、以下のPLAの連結エステルのうちの2つ以上を含むことができる:PLAの連結PEGエステル、PLAの連結1,3プロパンジオールエステル、PLAの連結ポリオールエステル、及び/又はそれらの組み合わせ。PLAの連結エステルは、(i)ジオール(例えば、PEG又は1,3プロパンジオール)、及び/又はポリオール(例えば、グリセロール、例えば、トリ-、ペンタ-、又はデカ-グリセロール)、又は糖、又は糖アルコールを(ii)PLA、ラクチド、又は乳酸と反応させることによって作製される連結エステルを含むことができる。ラクチドは、D-、L-、又はDL-ラクチドであり得る。従って、PLAの連結エステルは、PLAのPEG連結エステル、PLAのグリセロール連結エステル、PLAの1,3プロパンジオール連結エステル、PLAの糖連結エステル、及びPLAの糖アルコール連結エステルを含むことができる。他の実施形態では、PLAの連結エステルはPLAのPEG連結エステルを含む。他の実施形態では、組成物はPLAのグリセロール連結エステルを含む。他の実施形態では、組成物はPLAの1,3プロパンジオール連結エステルを含む。他の実施形態では、組成物はPLAの糖連結エステルを含む。他の実施形態では、組成物はPLAの糖アルコール連結エステルを含む。他の実施形態では、PLAの連結エステルはPLAのPEG連結エステル、PLAのグリセロール連結エステル、PLAの1,3プロパンジオール連結エステル、PLAの糖連結エステル、及びPLAの糖アルコール連結エステルの2つ以上の組み合わせを含むことができる。組成物は水及び/又は別の溶媒を、PLAの連結エステルの1個以上と共に含むことができ、織物の仕上げ剤を提供する。
【0021】
他の態様では、本発明はPLAの連結エステルの製造方法に関する。一実施形態では、PLAの連結エステルは、(i)(PEG又は1,3プロパンジオールを無制限に含むことができる上述の)ジオール、及び/又は(ポリグリコール、トリ-、ペンタ-、又はデカ-グリセロールを含むポリグリセロールを無制限に含むことができる上述の)ポリオール、又は糖、又は糖アルコール、(ii)カプラー、及び(iii)PLA、乳酸、及び/又はラクチドを反応させることによって作製することができる。反応は、反応物質を触媒で加熱することによって行うことができる。触媒は塩基性触媒(例えば、炭酸ナトリウム、及び/又は炭酸カルシウム)であり得る。触媒はまた、オクタン酸第一スズのようなルイス酸触媒であってもよい。反応は触媒なしで行うことができる。反応はPLAを溶融し、反応を開始してPLAの連結エステルを形成するのに十分な温度で行われる。PEGとPLAとの間の反応を開始させる温度は140℃~200℃であり得るが、PLAを溶融させるのに必要な温度は少なくとも約160℃である。従って、PEGとPLAとの反応は、160℃~200℃又は170℃~190℃の間で行うことが可能である。溶媒は、ジオール及び/又はポリオール、又はジオール及びポリオールの組み合わせを溶解してPLAとの反応を促進するために使用することができる。場合により、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2-エチルヘキサノール、C8C10アルコールなどの脂肪族C1~C14アルコール)を反応物質に添加することができる。典型的には、アルコールは反応の開始前に反応物質に添加することができる。あるいは、アルコールが反応の開始後に添加することができる。アルコールの添加は有利にはPLAエステルのpHに対する酸の効果を部分的に相殺するために、より高いpHを有するPLAエステルを生成することができる。脂肪族アルコールは、二酸カプラーの量の1~2倍の量で添加することができる。
【0022】
反応物質のジオール及び/又はポリオールに対する初期PLAの重量パーセンテージは、25~75パーセントのPLA及び75~25パーセントのジオール及び/又はポリオール、30~70パーセントのPLA及び70~30パーセントのジオール及び/又はポリオール、35~65パーセントのPLA及び65~35パーセントのジオール及び/又はポリオール、40~60パーセントのPLA及び60~40パーセントのジオール及び/又はポリオール、45~55パーセントのPLA及び55~45パーセントのジオール及び/又はポリオールであり得る。一実施形態ではPLAの初期重量パーセントが反応物質の50パーセントを超え、従って、ジオール及び/又はポリオールの初期重量パーセントは反応物質の50パーセント未満である。初期重量パーセントPEG対PLA比(PEG:PLA)は、75:25~25:75、70:30~30:70、65:35~35:65、60:40~40:60であり得る。ポリエチレングリコールに対する酸カプラーの初期モル比は、0.2~1.0、例えば0.4~1.0(例えば0.4~0.8)であり得る。反応温度は、典型的には160℃~200℃又は170℃~190℃である。
【0023】
PLAの連結エステルの十分な収率を提供するために必要な反応時間は、PLA、ジオール及び/又はポリオールの分子量、反応の温度及び圧力、触媒の使用、並びに直接エステル化の場合、反応中の水の除去速度に基づいて変化し得る。反応時間は、透明で安定な水とのエマルジョンを提供するために、PLAのエステルへのPLAの適切な変換を達成するのに十分である必要がある。ガードナーカラースケールに基づくエマルジョンの色は、4未満、例えば3以下(例えば2未満)であり得る。反応時間は、温度がPLAの融点温度に達した後、1時間~10時間、2時間~6時間、及び3時間~5時間であり得る。典型的には、ポリ乳酸エステルの形成が実質的に完了したことを示す透明ないし濁った塊が形成されるまで(即ち、PLAエステルへのPLAの変換が75、80、85、90、又は95パーセントを超えるまで)、反応を継続する。
【0024】
PEG及びPLAをカプラーと反応させる場合、反応によって形成されるエステル(例えば、代表的な反応生成物)には、以下の式を有するエステルが含まれる:
【化1】
【0025】
前述の式を有する代表的なエステルに関して、nは1より大きくかつ90、80、70、60、50、40、30、20、10、又は5未満の整数であり得、そしてa、b、o、r、s、x、y、及びzは1より大きく10未満又は1より大きく5未満の整数であり得る。整数a、b、n、o、r、s、x、y、及びzは、等しくても等しくなくてもよい。
【0026】
PLAは、トウモロコシ、サトウキビ、テンサイ、及びキャッサバなどの再生可能な材料から作られる。使用することができるPLAは分子量によって限定されず、重量平均分
子量(M)が(例えば、10,000~150,000ダルトン(g/モル))であることができる。PEGは典型的には石油から製造されるが、トウモロコシ、サトウキビ、テンサイ及びキャッサバのような全て天然の再生可能な材料から製造することもできる。従って、PLAの連結エステルは全て天然の再生可能な材料から作製することができ、堆肥化可能及び/又は生分解性である。PLAの連結エステル中のPEG単位の重量平均分子量は、100~5000ダルトン、100~4000ダルトン、100~2000ダルトン、100~1000ダルトン、100~800ダルトン、及び100~600ダルトンであり得る。一実施形態では、上記重量平均分子量は約400ダルトンである。PLAの結合PEGエステルの重量平均分子量は、5000ダルトン未満、4000ダルトン未満、3000ダルトン未満、2000ダルトン未満、1000ダルトン未満、975ダルトン未満、950ダルトン未満、900ダルトン未満、800ダルトン未満、700ダルトン未満、600ダルトン未満、500ダルトン未満、又は400ダルトン未満であり得る。ジオール又はポリオールをPLAと反応させることによって作製されるPLAの連結エステルの重量平均分子量は、5000ダルトン未満、4000ダルトン未満、3500ダルトン未満、3000ダルトン未満、2500ダルトン未満、2000ダルトン未満、1500ダルトン未満、1000ダルトン未満、975ダルトン未満、950ダルトン未満、900ダルトン未満、800ダルトン未満、700ダルトン未満、600ダルトン未満、500ダルトン未満、又は400ダルトン未満であり得る。
【0027】
一実施形態において、PGAの連結エステルは、PGAの連結PEGエステルを含む。他の実施形態において、PGAの連結エステルは、PGAの連結1,3プロパンジオールエステルを含む。さらに他の実施形態では、PGAの連結エステルは、PGAの連結ポリオール(例えば、ポリグリセロール、糖、及び/又は糖アルコール)エステルを含む。さらなる実施形態において、PGAの連結エステルは、PGAの以下の連結エステル:PGAの連結PEGエステル、PGAの連結1,3プロパンジオールエステル、PGAの連結ポリオールエステル、及び/又はそれらの組み合わせのうちの2つ以上を含み得る。PGAの連結エステルは、(i)ジオール(例えば、PEG又は1,3プロパンジオール)、及び/又はポリオール(例えば、トリ-、ペンタ-、又はデカ-グリセロールなどのグリセロール)、又は糖、又は糖アルコールを(ii)ポリグリコール酸又はグリコール酸と反応させることによって作製される連結エステルを含むことができる。場合により、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2-エチルヘキサノール、C8C10アルコール等の脂肪族C1~C14アルコール)を反応物質に添加することができる。典型的には、アルコールは、反応の開始前に反応物質に添加することができる。或いは、アルコールを反応の開始後に添加することもできる。アルコールの添加は有利にはPGAエステルのpHに対する酸の効果を部分的に相殺するために、より高いpHを有するPGAエステルを生成し得る。脂肪族アルコールは、二酸カプラーの量の1~2倍の量で添加することができる。
【0028】
従って、PGAの連結エステルは、PGAのPEG連結エステル、PGAのグリセロール連結エステル、PGAの1,3プロパンジオール連結エステル、PGAの糖連結エステル、及びPGAの糖アルコール連結エステルを含むことができる。他の実施形態では、PGAの連結エステルがPGAのPEG連結エステルを含む。他の実施形態では、組成物がPGAのグリセロール連結エステルを含む。他の実施形態では、組成物がPGAの1,3プロパンジオール連結エステルを含む。他の実施形態では、組成物がPGAの糖連結エステルを含む。他の実施形態において、組成物は、PGAの糖アルコール連結エステルを含む。他の実施形態では、PGAの連結エステルがPGAのPEG連結エステル、PGAのグリセロール連結エステル、PGAの1,3プロパンジオール連結エステル、PGAの糖連結エステル、及びPGAの糖アルコール連結エステルの2つ以上の組み合わせを含むことができる。組成物は、水及び/又は別の溶媒を、PGAの1個以上の連結エステルと共に含んで、織物の仕上げ剤を提供することができる。
【0029】
反応物質の最初のPGA対ジオール及び/又はポリオール重量パーセンテージは、25~75パーセントのPGA及び75~25パーセントのジオール及び/又はポリオール、30~70パーセントのPGA及び70~30パーセントのジオール及び/又はポリオール、35~65パーセントのPGA及び65~35パーセントのジオール及び/又はポリオール、40~60パーセントのPGA及び60~40パーセントのジオール及び/又はポリオール、及び45~55パーセントのPGA及び55~45パーセントのジオール及び/又はポリオールであり得る。一実施形態ではPGAの初期重量パーセントは反応物質の50パーセントを超え、従って、ジオール及び/又はポリオールの初期重量パーセントは反応物質の50パーセント未満である。初期重量パーセントPEG対PGA比(PEG:PGA)は、75:25~25:75、70:30~30:70、65:35~35:65、60:40~40:60であり得る。反応温度は、典型的には160℃、及び200℃又は170℃~190℃である。
【0030】
本明細書に記載されるように、PLAのエステルの連結エステル及びPGAの連結エステルの重量平均分子量は、GPCカラムを用いる標準高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)システム及び蒸発光散乱検出(「ELSD」)を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)によって決定することができる。標準の保持時間を較正方程式に当てはめ、そしてこの方程式は未知のポリマーの重量平均分子量を決定するために使用される。使用されるカラムはJordi Gel DVB 500A(300×07.8mm、カタログ番号15071)である。この方法は1ml/分でテトラヒドロフラン(「THF」)を使用するイソクラティックである。標準実行時間は30分であるが、ほとんどの成分は15分以内に溶出する。検出は蒸発光散乱検出器(「ELSD」)を使用して達成される。使用されるELSDユニットは、ELSD LTAアクセサリを有するAlltech 500 ELSDである。LTAユニットは41°Cで動作するように設定されている。ELSDユニットドリフトチューブは70℃に設定し、そして窒素ガス流量は1.84 SLPMに設定している。上記に従って、添付の図1は、ポリマーの重量平均分子量を決定するために使用される代表的な較正方程式を示すものである。
【0031】
図1
【0032】
他の態様では、本発明は、PGAの連結エステルの製造方法に関する。一実施形態では、本発明の連結エステルは、(i)ジオール(例えば、PEG又は1,3プロパンジオール)及び/又はポリオール(例えば、ポリグリコール、トリ-、ペンタ-、又はデカ-グリセロールを含むポリグリセロール)、又は糖、又は糖アルコール、(ii)カプラー、並びに(iii)PGA、グリコール酸、及び/又はポリ(乳酸-コ-グリコール酸)酸を反応させることによって作製することができる。反応は、反応物質を触媒で加熱することによって行うことができる。触媒は塩基性触媒(例えば、炭酸ナトリウム、及び/又は炭酸カルシウム)であり得る。触媒は、また、オクタン酸第一スズのようなルイス酸触媒であってもよい。反応は触媒なしで行うことができる。反応はPGAを溶融し、かつPGAの連結エステルを形成するための反応を開始するのに十分な温度で行われる。PEGとPLAとの間の反応を開始するための温度は140℃~200℃であり得るが、PGAを溶融するために必要な温度は少なくとも約160℃である。従って、PEGとPGAとの反応は、160℃~200℃、又は170℃~190℃の間で起こり得る。PGAとの反応を促進するために、ジオール及び/又はポリオール、又はジオールとポリオールの組み合わせを溶解するために溶媒を使用することができる。
【0033】
他の実施形態では、本発明の連結エステルは、(i)ジオール(例えば、PEG又は1,3プロパンジオール)、及び/又はポリオール(例えば、トリ-、ペンタ-、又はデカ-グリセロール等のグリセロール)、又は糖、又は糖アルコール、(ii)ラクチド、ラクチド中間体、又は乳酸、及びカプラーを反応させることによる直接エステル化によって製造することができる。ラクチドは、D-ラクチド、L-ラクチド、及び/又はDL-ラクチドであり得る。ラクチド、ラクチド中間体、又は乳酸との反応を促進するために、ジオール又はポリオール、あるいはジオール及び/又はポリオールの組み合わせを溶解するために溶媒を使用することができる。反応は無機酸(例えば、硫酸又は乾燥塩化水素)の存在下で起こり得、無機酸は、反応を加速し、そして水を除去するための触媒として作用する。水の除去は、また例えば、反応混合物を、反応を妨害しない不活性ガス又は乾燥ガス(例えば、窒素)と接触させること、例えば、かき混ぜることによって、及び/又は反応生成物を蒸留することによって、達成され得る。
【0034】
表1(下記)は、成分の投入比、エステル及び連結エステルの特性、並びにエステル及び連結エステルのGPC結果と共に、エステル及び連結エステル(即ち、典型的な反応生成物)を作製するために使用される成分(即ち、反応物質)と共に作製されたポリ乳酸の代表的なPEGエステル及びポリ乳酸の連結PEGエステルを確認する。
【0035】
【表1】
【0036】
本発明の他の態様では、PLAの連結エステルは、仕上げ剤(すなわち、仕上げ剤組成物)を形成するために、PLAの連結エステルを含まない他の化合物又は組成物と組み合わせることができる。仕上げ剤中のPLAの連結エステルの重量パーセントは、PLAの連結エステルの重量の0.1~99.9パーセント又は5~95パーセントであり得る。他の化合物及び/又は組成物の例としては、水、潤滑剤、乳化剤、帯電防止剤、凝集剤、
酸化防止剤、腐食防止剤、粘度調整剤、湿潤剤、殺生物剤、pH調整剤、汚れ脱離剤、及び防汚剤が含まれる。代表的な潤滑剤には、鉱油、植物油、及び/又は動物油に由来する、PLAの連結エステル以外のPEG脂肪酸エステル、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化トリグリセリド、グリセロールエステル、ソルビタンエステル、及びアルキルエステル、及び/又はそれらの組み合わせが含まれる。代表的な乳化剤には、非イオン性剤(例えば、アルキルアルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、脂肪アミンエトキシレート、及び脂肪酸エトキシレート、及び/又はそれらの組み合わせ);カチオン性剤(例えば、第四級脂肪アミン、第四級脂肪アミンエトキシレート、第四級イミダゾリン、及び/又はそれらの組み合わせ);並びにアニオン性剤(例えば、エトキシル化アルキルアルコールの硫酸塩及びリン酸塩、脂肪酸石鹸、及び/又はスルホコハク酸アルキルエステル、及び/又はそれらの組み合わせ)が含まれる。代表的な帯電防止剤には、非イオン性剤(例えば、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、脂肪アミンエトキシレート、ポリオキシアルキレングリコール、エーテル、及び/又はエステル、及び/又はそれらの組み合わせ)、カチオン性剤(例えば、第4級アミン、第4級イミダゾリン、及び/又はそれらの組み合わせ)、及びアニオン性剤(例えば、アルキルアルコール硫酸塩及び/又はリン酸塩、及び/又はアルキルアルコールエトキシレート硫酸塩、及び/又はリン酸塩、及び/又はそれらの組み合わせ)が含まれる。
【0037】
典型的な汚れ脱離配合物は、パーマネントプレス樹脂、パーマネントプレス樹脂用触媒、湿潤剤、高密度ポリエチレン樹脂、フッ素系汚れ脱離剤、及び酢酸を含む。上記化合物の典型的な重量パーセンテージは、4.0~10.0のパーマネントプレス樹脂、5.0~10.0のパーマネントプレス樹脂のための触媒、0.25~1.0の湿潤剤、3.0~6.0の高密度ポリエチレン樹脂、5.0~10.0のフッ素系汚れ脱離化学物質、及び0.0~0.25の酢酸である。PLAのPEGエステルは、汚れ脱離剤に対してフッ素系の汚れ脱離化学物質を含む汚れ脱離配合物に添加することができ、その結果、汚れ脱離剤は布に1滴を適用することによって決定されるように、布中により迅速に吸収され得(例えば、10秒未満、5秒未満、4秒未満、3秒未満、又は2秒未満)、従って、汚れ脱離剤で布を処理するための時間を減少させる。さらに、フッ素系汚れ脱離化学物質を含有する汚れ脱離配合物にPLAのPEGエステルを添加する場合、フッ素系化学物質の量は25、50、又は75パーセントまで減少させることができ、汚れ脱離剤はPLAのPEGエステルを含まないフッ素系化学物質の典型的な量(例えば、5.0~10.0重量パーセント)を含有する汚れ脱離剤と同等又はより良好な結果である汚れ脱離結果を依然として提供する。
【0038】
PLAの連結エステルは界面活性剤として作用し、パーソナルケア製品、例えば、石鹸、シャンプー、及びコンディショナーに使用することができる。PLAの連結エステルを含む組成物は、他の界面活性剤、例えば全て天然のポリグルコシドを含むことができる。
【0039】
さらに他の態様では、本発明はPLAの連結エステルで処理された織物に関する。PLAの連結エステルで処理された織物は、親水性のような改善された表面特性を有する。一実施形態では、織物は不織布であり、例えば、スパンボンド、メルトブローン、カード、エアレイド、ウェットレイド、及び/又はそれらの組み合わせである。他の実施形態では、織物は織られているか、又は編まれている。一実施形態では、織物がポリエステル、例えば、PLA及び/又はポリエチレンテレフタレートから作製されるか、又はそれらを含む。他の実施形態では、織物がポリプロピレンから作製されるか、又はポリプロピレンを含む。他の実施形態では、織物がポリエチレンから作製されるか、又はポリエチレンを含む。他の実施形態では、織物がポリプロピレン及びポリエチレンの組み合わせから作製されるか、又はそれらを含む。他の実施形態では、織物がポリアミド、アクリル、アラミド、及び/又はそれらの組み合わせから作製される。他のさらなる実施形態では、織物が人工繊維(例えば、アセテート、リヨセル、及びレーヨン)から作製されるか、又は人工繊維を含む。他の実施形態では、織物が天然繊維(例えば、竹、綿、亜麻、麻、羊毛、及び/又はそれらの組み合わせ)から作製されるか、又はそれらを含む。他の実施形態では、織物が「PBO」としても知られるポリ(ρ-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール)から製造することができる。他の実施形態では織物は「PEEK」としても知られるポリエーテルエーテルケトンから製造することができる。他の実施形態では織物が「PEKK」としても知られるポリエーテルケトンケトンから製造される。織物に適用される場合、PLAの連結エステルは改善された濡れ特性(例えば、比較的速いストライクスルー時間及び複数のストライクスルー時間及び/又は比較的低い再湿潤(又はウェットバック)を与える。
【0040】
本発明のPLAの連結エステルを含む組成物は、EDANA(ヨーロッパディスポーザブル及び不織布協会)及びINDA(不織布工業会)標準試験:不織布液体ストライクスルー時間のためのWSP 070.3.R3(12)によって決定されるように、ポリプロピレン又はPLAから作製された15グラム/平方メートル(gsm)スパンボンド不織布については、5秒以下、4秒以下、又は3秒以下の単一液体ストライクスルー時間を提供することができる。EDANA(ヨーロッパディスポーザブル及び不織布協会)及びINDA(不織布工業会)標準試験:不織布液体ストライクスルー時間のためのWSP 070.3.R3(12)は、参照のため本明細書に組み込まれている。本発明のPLAの連結エステルを含む組成物は、反復された液体ストライクスルー時間についての標準試験:WSP 070.7.R4(12)によって決定されるように、15gsmのPLA又はポリプロピレンスパンボンド不織布に対する最初の3回のストライクスルーについて、5秒以下又は4秒以下の複数回又は反復された液体ストライクスルー時間を提供することができる。標準試験:繰返し液体ストライクスルー時間のためのWSP 070.7.R4(12)は、参照のため本明細書に組み込まれている。
【0041】
本発明のPLAの連結エステルを含む組成物は、また、標準試験:不織布カバーストックウェットバックのためのWSP 080.10.R3(12)によって決定されるように、15gsmのPLAスパンボンド不織布に対して少なくとも0.25グラム以下の再湿潤を提供することができる。標準試験:不織布カバーストックウェットバックのためのWSP 080.10.R3(12)は、参照のために本明細書に組み込まれている。PLAの1個以上の連結エステルを含む組成物は、典型的には、組成物中のPLAの1個以上の連結エステルの重量パーセントがPLAの1個以上の連結エステルの0.1~10.0重量パーセント、0.1~5.0重量パーセント、及び0.1~1.0重量パーセントであり得るように、水を含む。
【0042】
PLAの連結エステルを含む組成物は、仕上げ剤、例えば、漂白、精練、親水性、帯電防止、汚れ脱離(又はしみ脱離)、耐汚れ性、及び抗摩擦仕上げ剤、及び/又はそれらの組み合わせを提供することができる。一実施形態では、これらの仕上げ剤に使用されるPLAのPEG連結エステルは、市販されているPEG 200、PEG 300、PEG
400、PEG 600、PEG 800、PEG 1000、PEG 1200、PEG 1400、PEG 1450及び/又はそれらの混合物から作製することができる。PLAの連結PEGエステルは、また、100~1000、200~800、及び300~700の分子量を有するPEGから作製され得る。PLAのPEG結合PEGエステルは、30:70~70:30、40:60~60:40、及び45:55~55:45のPEG:PLA比を有することができる。好ましい実施形態では、PGAの結合PEGエステルはPEG 400から製造され、そしてPEG:PGA比は50:50である。PGAのPEGエステル、即ち、44:56のPEG:PGA比を有するPGAのPEG 400エステル、50:50のPEG:PGA比を有するPGAの結合PEG 200エステル、50:50のPEG:PGA比を有するPGAの結合PEG 400エステル、50:50のPEG:PGA比を有するPGAの結合PEG 600エステル、50:50のPEG:PGA比を有するPLAのPEG 1450エステルは、好ましい煙及び引火点特性(例えば、煙は171F未満であり、引火は244F未満)及び好ましい摩擦特性を有する。例えば、汚れ脱離仕上げ剤は、PLAのPEGエステル、例えば、上記で確認されたもの、撥油剤/撥水剤、湿潤剤/吸い上げ剤、及び親水性バインダーを含むことができる。一実施形態では、汚れ脱離仕上げ剤は、PLAのエステル、パーマネントプレス樹脂、パーマネントプレス樹脂用の触媒、湿潤剤、高密度ポリエチレン樹脂、フッ素系汚れ脱離化学物質、及び/又はpH調整用の酸(例えば、酢酸、クエン酸又はグリコール酸)を含む。PLAのエステルの添加は、高価なフッ素系汚れ脱離化学物質の必要量を10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、又は60パーセントまで減少させることができ、それと同時に、匹敵するか又は改善された汚れ脱離結果を提供する。PLAのエステルの添加は、液滴反射率を改善する。1リットルの汚れ脱離仕上げ剤は、1~40グラム、1~30グラム、1~20グラム、1~15グラム、又は1~10グラムのPGAのPEGエステルを含むことができる。2リットルの仕上げ剤はPGAのPEGエステルの1リットル量の2倍を含むことができ、3リットルの仕上げ剤は、PLAのPEGエステルの1リットル量の3倍を含むことができる。
【0043】
PLAの連結エステル及び/又はPGAの連結エステルを含む組成物は、ロールコーティング、パディング、滴下、スプレーによって、所望のストライクスルー及び/又は再湿潤特性を提供する量で織物に適用することができる。例えば、PLAのエステルを含む組成物は、0.1~10.0重量パーセントのFOY、0.2~3.0重量パーセントのFOY、0.3~1.0重量パーセントのFOY、及び0.3~0.8重量パーセントのFOY(a finish on yarn:糸に対する仕上げ)レベルを与えるために適用することができる。従って、本発明の他の態様は、上記のPLAの1個以上のエステルで処理された織物、又は上記のPLAの1個以上のエステルを含有する組成物である。
【0044】
PLAの結合PEGエステルを含まない従来の汚れ脱離配合物及びPLAのPEGエステルを含む汚れ脱離配合物を比較する試験の結果を、以下の表2b-2c、3b-3c、4b-4c、5b-5d、6b-6d、及び7b-7dに示す。PLAのPEGエステル及びPLAの連結エステルを含有する汚れ剥離配合物を、100%ポリエステル、ポリエステル/綿ブレンド(65:35ポリ/綿)、及びナイロン織物で試験した。その結果を、プルクラケミカルズ社(Pulcra Chemicals)によって販売されている脱離剤として使用される従来のポリエステルコポリマーであるNonax(登録商標)MMと比較した。
【0045】
ポリエステルコポリマーは、特にアパレル及びスポーツ用布のために、合成繊維に吸水性又は水吸い上げ性を付与するために使用される。ポリエステルコポリマーは、また、布の汚れ脱離特性を改善するといわれている。PLAのPEGエステルは、また、PLAのPEGエステルが織物の静電気を改善するかどうかを決定するために試験された。PLAの3つのエステルを、Nonax(登録商標)MMの商品名でプルクラケミカルズ合同会社(Pulcra Chemicals LLC)によって販売されている一般的なポリエステルコポリマー仕上げ剤と比較した。Nonax(登録商標)MM及びPLAのPEGエステルをパッド法によって布に適用し、次いで乾燥し、布を硬化させた。この配合物を、100%ポリエステル織物、65/35ポリエステル/綿織物及び100%ナイロン織物に適用した。水吸い上げ性を測定するために、処理された布の細長い一片の一端を水に浸漬し、水を布に吸い上げさせた。水を布が吸い上げれば吸い上げるほど、吸い上げ特性は良好である。水を布が吸い上げた距離をミリメートル(「mm」)で測定した。同じ試験手順を、吸い上げ汚れ脱離実験において上記した汚れ脱離のために使用した。汚れ脱離剤中のPLAのエステルの吸い上げ特性を測定する場合、下記の汚れ脱離剤配合物をパッドし、次いで乾燥させ、布上において177℃で硬化させた。
【0046】
汚れ脱離の処方及び試験の結果は、いくつかの表(以下)に記載されており、そこで、より高い数値は、より高い汚れ脱離性能に対応している。
【0047】
【表2a】
【0048】
【表2b】
【0049】
【表2c】
【0050】
【表2d】
【0051】
【表3a】
【0052】
【表3b】
【0053】
【表3c】
【0054】
【表4a】
【0055】
【表4b】
【0056】
【表4c】
【0057】
【表4d】
【0058】
上述のように、100%ポリエステル、65%/35%ポリエステル/綿、及び100%ナイロンに関して、記載したように吸い上げ及び汚れ脱離試験を繰り返した。100%ポリエステルについての結果を以下の表5b~5dに示す。汚れ脱離剤のpHを4~5のpHに調整した。続いて、汚れ脱離剤試験を、上記した100%ポリエステルについて繰り返した。洗浄前の最初の布、5回の洗浄サイクル後の布、及び10回の洗浄サイクル後の布に対して吸い上げ性能、汚れ脱離性能についての試験結果、並びに白色度を、以下の表5a~5eに示す。各汚れ脱離剤のpHをpH4~5の間に調整した。
【0059】
【表5a】
【0060】
【表5b】
【0061】
【表5c】
【0062】
【表5d】
【0063】
【表5e】
【0064】
続いて、吸い上げ剤及び汚れ脱離剤の試験を、上記のように、65/35パーセントポリエステル/綿について繰り返した。洗浄前の最初の布、5回の洗浄サイクル後の布、及び10回の洗浄サイクル後の布に対して吸い上げ性能、汚れ脱離性能についての試験結果を、以下の表6a~6dに示す。各汚れ脱離剤のpHをpH4~5の間に調整した。
【0065】
【表6a】
【0066】
【表6b】
【0067】
【表6c】
【0068】
【表6d】
【0069】
【表7a】
【0070】
【表7b】
【0071】
【表7c】
【0072】
【表7d】
【0073】
前述の詳細な説明は、典型的な実施形態を示す。本開示は、そのような例示的な実施形態に限定されない。本開示は、任意の様々な態様、特徴、又は工程、あるいはそれらの組合せを利用することができる。
【0074】
本明細書及び/又は図面では、実施形態の例が開示されている。特に断らない限り、特定の用語は一般的かつ説明的な意味で使用されており、限定を目的としたものではない。
【0075】
用語「及び/又は」の使用は、1個以上の関連する列挙された項目の任意の及び全ての組み合わせを含む。上記した温度、パーセンテージ、ダルトンなどの範囲について(例えば、「xとyとの間」の形態で)、「間」は範囲に提供される数が範囲に含まれるように(例えば、1と10との間は1と10とを含む)「間を含めて」を意味する。
【0076】
様々な態様、特徴、及び実施形態が本明細書で開示されてきたが、他の態様、特徴、及び実施形態は当業者には明らかであろう。様々な開示された態様、特徴、及び実施形態は例示の目的のためであり、限定することを意図していない。本発明の範囲は、少なくとも以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物を含むことが意図されている。
【国際調査報告】