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特表2022-509732光学歪曲媒体内の表面特性を測定する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-24
(54)【発明の名称】光学歪曲媒体内の表面特性を測定する方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/25 20060101AFI20220117BHJP
   G01B 11/30 20060101ALI20220117BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
G01B11/25 H
G01B11/30 102
G01B11/24 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021520160
(86)(22)【出願日】2018-10-12
(85)【翻訳文提出日】2021-06-04
(86)【国際出願番号】 US2018055548
(87)【国際公開番号】W WO2020076336
(87)【国際公開日】2020-04-16
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】307026857
【氏名又は名称】エレクトリック パワー リサーチ インスチテュート インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【弁理士】
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】ストゥータマイア デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ハッシー デニス
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA26
2F065AA49
2F065AA53
2F065DD15
2F065FF01
2F065FF04
2F065FF09
2F065FF52
2F065GG04
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065QQ17
2F065RR07
(57)【要約】
光源を提供する段階と、物体の少なくとも一部分上に第1の干渉パターンを発生させる段階と、第1の干渉パターンの画像を取り込む段階と、第2の干渉パターンを発生させるように光源の位相をシフトさせる段階と、第2の干渉パターンの画像を取り込む段階と、干渉パターンから歪曲をフィルタリングする段階と、画像に基づいて物体の少なくとも一部分のラップ位相を抽出する段階と、アンラップ位相を発生させるように物体の少なくとも一部分のラップ位相をアンラップする段階と、物体の少なくとも一部分までの計算深度マップ距離を識別する段階と、表面特性を測定するように物体の少なくとも一部分の計算深度マップに理想部分を当て嵌める段階とを含む、物体の少なくとも一部分の表面特性を測定する方法が提供される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の少なくとも一部分の表面特性を測定する方法であって、
少なくとも1つの光源を提供する段階と、
前記物体の前記少なくとも一部分上に第1の干渉パターンを発生させるように前記少なくとも1つの光源からの光を誘導する段階と、
前記第1の干渉パターンの少なくとも1つの第1の画像を取り込む段階と、
第2の干渉パターンを発生させるように前記少なくとも1つの光源の位相をシフトさせる段階と、
前記第2の干渉パターンの少なくとも1つの第2の画像を取り込む段階と、
前記第1の干渉パターン及び/又は前記第2の干渉パターンから歪曲をフィルタリングする段階と、
前記少なくとも1つの第1の画像と前記少なくとも1つの第2の画像とに基づいて前記物体の前記少なくとも一部分のラップ位相を抽出する段階と、
アンラップ位相を生成するように前記物体の前記少なくとも一部分の前記ラップ位相をアンラップする段階と、
前記アンラップ位相に基づいて前記物体の前記少なくとも一部分までの計算深度マップ距離を識別する段階と、
前記表面特性を測定するように前記物体の前記少なくとも一部分の前記計算深度マップに理想部分を当て嵌める段階と、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の干渉パターン及び/又は第2の干渉パターンは、回折格子を通して前記光を誘導し、マスクを通して前記少なくとも1つの光源からの光を観察し、又は該光を基準ビームと組み合わせることによって発生される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、順番に、
少なくとも1つの光源を提供する段階と、
前記物体の前記少なくとも一部分上に第1の干渉パターンを発生させるように前記光源からの光を回折格子を通して該物体の上に誘導する段階と、
前記第1の干渉パターンの少なくとも1つの第1の画像を取り込む段階と、
第2の干渉パターンを発生させるように前記少なくとも1つの光源の前記位相をシフトさせる段階と、
前記第2の干渉パターンの少なくとも1つの第2の画像を取り込む段階と、
前記第1の干渉パターン及び/又は前記第2の干渉パターンから歪曲をフィルタリングする段階と、
前記少なくとも1つの第1の画像と前記少なくとも1つの第2の画像に基づいて前記物体の前記少なくとも一部分のラップ位相を抽出する段階と、
前記物体の前記少なくとも一部分の前記ラップ位相をアンラップする段階と、
前記ラップ位相に基づいて前記物体の前記少なくとも一部分までの計算深度マップ距離を識別する段階と、
前記表面特性を測定するように前記物体の前記少なくとも一部分の前記計算深度マップに理想部分を当て嵌める段階と、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記物体は、液体媒体中に少なくとも部分的に浸漬され、
任意選択的には、前記液体媒体は水を含む、
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記物体は、少なくとも1つの表面上で実質的に円筒形、実質的に球形、又は実質的に平坦であり、
表面特性を測定する前記段階は、物体の少なくとも一部分の厚さ変化を決定する段階を含む、
請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記物体は、実質的に円筒形である、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記物体は、少なくとも1つの核燃料棒又は蒸気発生チューブ又は導管である、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの光源はレーザ、任意選択的にはマルチラインレーザであり、光を誘導する前記段階は、前記物体を収容している空間を通して、調節可能な位相のレーザ干渉縞を投影する段階を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記回折格子及び前記物体は、それらの間に距離dを画定し、
dは、少なくとも、核燃料に関わる安全性配慮に要求される最小距離である、
請求項3から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の干渉パターンの前記少なくとも1つの第1の画像及び/又は前記第2の干渉パターンの前記少なくとも1つの第2の画像を取り込む前記段階は、テレセントリックレンズを用いて物体の前記少なくとも一部分からの光を集光する段階と該画像を撮像センサに誘導する段階とを含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
(a)前記第1の干渉パターンの前記少なくとも1つの第1の画像及び/又は前記第2の干渉パターンの前記少なくとも1つの第2の画像を取り込む前記段階が、周囲光を実質的に遮断するように構成されたフィルタを利用すること、及び/又は
(b)前記第1の干渉パターン及び/又は前記第2の干渉パターンが、少なくとも2つの回折次数を含み、前記物体が、該少なくとも2つの回折次数の重ね合わせ内に位置決めされること、
のうちの少なくとも一方を含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
歪曲をフィルタリングする前記段階は、画像テンソルを、低ランク部分空間プラス疎テンソルに因数分解する段階と、損失関数を利用する段階とを含み、
前記損失関数は、前記低ランク部分空間に対する2次項と前記疎成分に対する少なくとも1つの項とを含む、
請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記低ランク部分空間は、どのように所与の位相が投影干渉パターンに相関するかに関連する情報を含み、
前記低ランク部分空間は、前記物体の相対移動に起因する経時変化に関連する情報を含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
(a)歪曲をフィルタリングする前記段階が、前記回折格子と前記物体の間の媒体内の屈折率の差を解消する段階を含み、該差が、該媒体内の温度の局所的変化の結果を含むこと、
(b)アンラップする前記段階が、窓付きフーリエ解析を含むこと、
(c)理想部分を当て嵌める前記段階が、2次損失関数の最小化又は2次当て嵌めのうちの少なくとも一方を含むこと、及び/又は
(d)理想部分を当て嵌める前記段階が、表面粗度又はチムニーの存在のうちの少なくとも一方を決定する段階を含むこと、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
(a)前記少なくとも1つの第1の画像を取り込む段階及び/又は少なくとも1つの第2の画像を取り込む段階が、低コヒーレンス走査又はコノスコープ走査を含み、歪曲をフィルタリングする前記段階が、時間/空間点クラウドを解析する段階を含むこと、及び/又は
(b)計算深度マップを識別する段階が、前記物体の少なくとも一部分の平均半径を識別する段階若しくはモデル物体中心までの距離を含む表面マッピングを識別する段階のうちの少なくとも一方を含むこと、
のうちの少なくとも一方を含む、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光学歪曲媒体内の表面特性を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業表面は、使用中に腐食し、望ましくない材料を蓄積し、変形し、及び/又は他に変化する場合がある。これらの変化は、例えば、コスト、効率、及び安全性に関して課題を呈する場合がある。厚さ、曲率、粗度、亀裂などのような表面特性の測定は、追跡、解析、及び/又は軽減を可能にすると考えられる。
【0003】
そのような測定値を取得することは、悪環境では困難である場合がある。例えば、原子炉燃料上の腐食生成物堆積物(多くの場合に「クラッド」と呼ばれる)は、電力を制限する及び/又は燃料被覆腐食に至る可能性がある。クラッドの厚さ及び形態(例えば、孔隙率及び/又は組成)を知ることは、これらの事象のリスクを推定し、かつ作動上の選択肢を誘導することを助ける場合がある。
【0004】
クラッドは、苛酷な(水中、照射)環境と潜在的に脆弱な表面を撹乱する結果とによって測定することが特に難しい場合がある。これは、スタイラス表面形状測定法のような従来の検査技術を阻む場合がある。渦流研究が時折行われる場合があるが、高価であり、及び/又は燃料被覆酸化物によって複雑になる。
【0005】
従来の光学技術は、環境温度勾配に起因して屈折率の制御しきれない変化に苦しむ場合がある。例えば、クラッドを有する水中燃料棒は、画像歪曲を引き起こす場合がある対流をもたらす実質的な熱を生成する場合がある。これに加えて、水は、可視範囲外の波長を吸収する。更に、表面反射率及び散乱は、解析されている表面にわたって予想不能に変化する場合がある。
【0006】
核燃料棒のような物体上に蓄積するクラッド及び/又は酸化物の堆積物の測定は、約10から約100ミクロン(約0.3から約4ミル)の可変厚さの測定を伴う。物体上に一般的に見出されるクラッド及び金属酸化物は、核燃料棒に対して約4.0g/cm3のような可変密度を有する場合がある。更に、この蓄積物は、約0.0018mmの直径と蓄積物の容積の約40%から約60%を占める孔隙率とを有するチムニーを含有する場合がある。
【0007】
更に、特に核燃料棒上のクラッド及び/又は酸化物堆積物の測定は、約10メートルの水中及び約2atmの圧力で使用済み燃料プールに通常は格納される使用済み燃料に対して測定値を取得することを伴う場合がある。プール内の温度は、全体としてのプールに対して約25℃から約30℃の平均温度で変化するが、水は、燃料の近くで有意に温められる。この温度勾配は、対流に起因する有意な流れを引き起こす場合があり、これは、更に局所乱流をもたらす場合がある。安全性及び実用性は、燃料との接触を回避すること及び特定の状況で電離放射線への露出を最小にすることを必要とする場合がある。
【0008】
学術文献に説明されて産業に適用されている物体の表面測定のための多くの光学技術が存在する。これらの技術は、干渉分光、コノスコープ、干渉縞表面形状測定、偏光、構造化光及び立体視、スペックル相関、立体写真測定、測光立体、焦点深度(depth from focus)、逆畳み込み顕微鏡、測光、3D走査(飛行時間及び三角測量を含む)、散乱、及び共焦点技術を含む。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「EU指令2013/59/ユーラトム-電離放射線に対する保護(EU Directive 2013/59/Euratom-protection against ionising radiation)」、欧州連合
【非特許文献2】10C.F.R.§20.1201(一般成人向け)、10C.F.R.§20.1207(一般未成年向け)、10C.F.R §20.1208(妊婦向け)、米国
【非特許文献3】Zhou他著「GoDec:高ノイズ事例でのランダム化された低ランク行列及び疎行列の分解(GoDec:Randomized Low-rank & Sparse Matrix Decomposition in Noisy Case)」、2011 International Conference on Machine Learning
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
全ての光学技術は、作動距離と、被写界深度と、横方向、軸線方向、及び時間的分解能との間の根本的なトレードオフを呈している。これらは、根本的な物理的限界、特に回折から生じる。例えば、距離が離れた顕微鏡法は、被写界深度を低減し、走査技術(コノスコープ、低コヒーレンス、三角測量、又は焦点深度など)は、空間分解能を時間分解能とトレードし、走査中のターゲット移動に敏感になる。課題は、歪曲媒体内で距離を置きながら移動ターゲットの適度で同時の空間及び時間分解能の両方を達成することにある。
【0011】
ラッキー撮像、スペックル撮像、及び適応光学系を含む大気乱流に起因する歪曲を低減するための天文学技術が試みられたが、これらは、近接する物体に対して最適化されない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
必要とされるのは、可変かつ変化する屈折率を伴う場合があり、かつ天文学技術が最適であると考えられる状況と比較して物体が比較的近いと考えられる水中環境での物体の少なくとも一部分の表面特性を測定する方法である。データの偏差をターゲットの理想モデルと比較することは、データを運用的に有用にする。例えば、適合半径と元来の燃料棒仕様との差は、複合酸化物及びクラッド厚さの直接推定値であり、これは原子力発電所の運用にとって直接的な関心事である。本発明の実施形態は、熱対流に起因する屈折率の変動からのノイズ及び歪曲に起因してこの分野で他に達成可能なものよりも高い空間又は時間分解能での表面の測定を可能にする。
【0013】
本発明の主題の実施形態は、添付図面を参照して開示され、かつ単に例示目的のためのものである。本発明の主題は、図面に例示する構成の詳細及び構成要素の配置にその適用において限定されない。同じ参照番号は、他に示さない限り、同じ構成要素を示すのに使用される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の主題の例示的実施形態のフローチャートである。
図2】物体上のクラッドの堆積が物体の厚さを変化させることを示す概略断面図である。
図3】物体からのクラッドの除去が物体の厚さを変化させることを示す概略断面図である。
図4】物体上のクラッドの堆積が物体の厚さを変化させてそれが粗面をもたらす場合があることを示す概略断面図である。
図5】物体上のクラッドの堆積が物体の厚さを変化させて欠陥を顕在化させる場合があることを示す概略断面図である。
図6】本発明の主題の例示的実施形態の上面図である。
図7】実施形態に従って測定された10本のピンに対する公称半径に対して計算半径を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態は、少なくとも1つの光源を与える段階と、物体の少なくとも一部分上に第1の干渉パターンを発生させるように光源からの光を誘導する段階と、第1の干渉パターンの少なくとも1つの第1の画像を取り込む段階と、第2の干渉パターンを発生させるように少なくとも1つの光源の位相をシフトさせる段階と、第2の干渉パターンの少なくとも1つの第2の画像を取り込む段階と、第1の干渉パターン及び/又は第2の干渉パターンから歪曲をフィルタリングする段階と、少なくとも1つの第1の画像と少なくとも1つの第2の画像に基づいて物体の少なくとも一部分のラップ位相を抽出する段階と、アンラップ位相を生成するように物体の少なくとも一部分のラップ位相をアンラップする段階と、アンラップ位相に基づいて固定点から物体の少なくとも一部分までの計算深度マップ距離を識別する段階と、表面特性を測定するように物体の少なくとも一部分の計算深度マップに理想部分を当て嵌める段階とを含む物体の少なくとも一部分の表面特性を測定する方法に関する。本明細書に使用する時に、「に基づいて」は、「から導出したデータを利用すると」を意味する場合がある。特定の実施形態では、これらの方法段階は、列挙した順番で実行することができ、又は順番は、方法が望ましい結果を変わらずに取得することができる限り望むように変更することができる。
【0016】
特定の実施形態によれば、少なくとも1つの光源を与える段階は、単色光源を与える段階を含むことができる。単色光源は、レーザとすることができる。レーザは、マルチラインレーザとすることができる。特定の実施形態によれば、レーザは、波長が約390nmから波長が約700nmの単色光を投影することができる。いくつかの実施形態によれば、光源は、波長が約420nmから波長が約480nmの光を投影することができる。いくつかの実施形態によれば、光源は、波長が約450nmの光を投影することができる。少なくとも1つの光源は、物体の少なくとも一部分を収容している空間にわたって、調節可能な位相の干渉パターンを投影するように位置決めすることができる。
【0017】
特定の実施形態によれば、物体の少なくとも一部分上に第1の干渉パターンを発生させるように光源からの光を誘導する段階は、物体の少なくとも一部分を収容している空間にわたって第1の干渉パターンを発生させるように、少なくとも1つの光源からの光を回折格子、マスクを通して誘導する又は基準ビームと組み合わせる段階を含むことができる。物体の少なくとも一部分は、第1の干渉パターンの少なくとも2つの回折次数に重なることができる。特定の実施形態によれば、第1の干渉パターンを発生させる際に異なる波長及び偏光を利用することができる。
【0018】
物体の少なくとも一部分は、液体媒体に少なくとも部分的に浸漬することができ、任意選択的には、液体媒体は水を含む。物体の少なくとも一部分は、少なくとも1つの表面上で実質的に円筒形、実質的に球形、実質的に直方体、又は実質的に平坦とすることができる。特定の実施形態によれば、光学歪曲媒体での表面特性の定量測定は、物体の少なくとも一部分の厚さ変化を決定する段階、物体の少なくとも一部分の孔隙率を決定する段階、物体の少なくとも一部分の組成を決定する段階、又はこれらの段階の組合せのうちの少なくとも1つを含むことができる。特定の実施形態によれば、物体は、核燃料棒又は蒸気発生チューブ又は導管とすることができる。
【0019】
特定の実施形態によれば、本方法は、回折格子と物体がその間に距離dを定め、dが、核燃料に関わる安全性配慮に要求される少なくとも最小距離であるという特徴を含むことができる。距離「d」は、所要の露出時間、材料を実際に取り扱う従事者に必要とされる安全距離、及び/又は利用可能かつ使用される遮蔽体の量に依存して変化する場合がある。安全露出レベルは、当業者には公知であり、例えば、「EU指令2013/59/ユーラトム-電離放射線に対する保護(EU Directive 2013/59/Euratom-protection against ionising radiation)」、欧州連合、並びに10C.F.R.§20.1201(一般成人向け)、10C.F.R.§20.1207(一般未成年向け)、及び10C.F.R §20.1208(妊婦向け)、米国に定められている。更に、材料の破損及び不具合に対して保護するために、使用される機器の保守に関する安全距離を考慮することができる。この目的に対して、異なる遮蔽体、ミラー、及び露出時間を変更して電離放射線への機器の露出を許容レベルに保つことができる。
【0020】
特定の実施形態によれば、第1の干渉パターンの少なくとも1つの第1の画像を取り込む段階は、物体の少なくとも一部分からの光をテレセントリックレンズを用いて集光し、それを撮像センサに誘導する段階を含む。特定の実施形態によれば、少なくとも1つの第1の画像を取り込む段階は、写真を撮影する段階を含むことができる。少なくとも1つの第1の画像を取り込む段階は、ビデオデータを収集する段階を含むことができる。特定の実施形態では、少なくとも1つの第1の画像を取り込む段階は、周囲光を実質的に遮断するように構成されたフィルタを利用することができる。特定の実施形態によれば、テレセントリックレンズは、約103mmの作動距離範囲、約425nmから約675nmの広帯域反射防止コーティング、陽極酸化アルミニウム構造、約12mmから約16mmの視野、及び/又は588nmで0.20%よりも小さい歪曲のうちの少なくとも1つを有することができる。特定の実施形態によれば、撮像センサは、少なくとも1つのカメラを含むことができる。特定の実施形態では、少なくとも1つのカメラは、8ビットピクセル深度、順次走査CMOS、約2.2マイクロメートル×約2.2マイクロメートルのピクセルサイズ、約5.6mm×約4.2mmの感知区域のうちの少なくとも1つを有する1又は2以上の単色カメラであり、及び/又は少なくとも約20dBの最大SN比を有する撮像デバイスを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、カメラは、少なくとも約35dBの最大SN比を有する撮像デバイスを含むことができる。更に別の実施形態によれば、カメラは、少なくとも約38.1dBの最大SN比を有する撮像デバイスを含むことができる。
【0021】
特定の実施形態によれば、少なくとも1つの第1の画像を取り込む段階は、低コヒーレンス走査又はコノスコープ走査を含む。
【0022】
特定の実施形態によれば、第2の干渉パターンの少なくとも1つの第2の画像を取り込む段階は、第2の干渉パターンを発生させる段階を含む。これは、例えば、第1の干渉パターンの位相を変更するために回折格子を移動するように構成されたウォーム歯車ステッパを使用することによって行うことができる。対物スペックル又はインコヒーレント光からなる干渉縞のような他の構造化光を投影することができる。基準ビームと組み合わせること又はマスクを通して観察することのような干渉を確立する他の手段を使用することができる。特定の実施形態によれば、異なる波長及び偏光を利用することができる。少なくとも1つの第2の画像を取り込む段階は、テレセントリックレンズを利用してこの画像を撮像センサに誘導する段階を含むことができる。少なくとも1つの第2の画像を取り込む段階は、写真を撮影する段階を含むことができる。少なくとも1つの第2の画像を取り込む段階は、ビデオデータを収集する段階を含むことができる。特定の実施形態では、少なくとも1つの第2の画像を取り込む段階は、周囲光を実質的に遮断するように構成されたフィルタを利用することができる。特定の実施形態によれば、テレセントリックレンズは、約103mmの作動距離範囲、約425nmから約675nmの広帯域反射防止コーティング、陽極酸化アルミニウム構造、約12mmから約16mmの視野、及び/又は588nmでの0.20%よりも小さい歪曲のうちの少なくとも1つを有することができる。特定の実施形態によれば、撮像センサは、少なくとも1つのカメラを含むことができる。特に、少なくとも1つのカメラは、8ビットピクセル深度、順次走査CMOS、約2.2マイクロメートル×約2.2マイクロメートルのピクセルサイズ、約5.6mm×約4.2mmの感知区域のうちの少なくとも1つを有する1又は2以上の単色カメラであり、及び/又は少なくとも約20dBの最大SN比を有する撮像デバイスを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、カメラは、少なくとも約35dBの最大SN比を有する撮像デバイスを含むことができる。更に別の実施形態によれば、少なくとも1つのカメラは、少なくとも約38.1dBの最大SN比を有する撮像デバイスを含むことができる。
【0023】
特定の実施形態によれば、少なくとも1つの第2の画像を取り込む段階は、低コヒーレンス走査又はコノスコープ走査を含む。
【0024】
特定の実施形態によれば、第1及び/又は第2の干渉パターンから歪曲をフィルタリングする段階は、屈折率の差、物体の移動、及び/又は自然対流の結果とすることができる流れの変化に起因する紛らわしいデータを第1の画像及び/又は第2の画像から除去する段階を含む。流れ及びそれに起因する移動は、例えば、核燃料棒の格納のための使用済み燃料プールを非限定的に含む媒体内の温度の局所的変化をもたらす場合があり、燃料棒は、約2気圧(atm)で約10メートルの水中にプール全体の約25℃から約30℃の範囲にわたるバルク温度で格納されるが、温度は、燃料棒に近いほど暖かい。特定の実施形態によれば、歪曲をフィルタリングする段階は、回折格子と物体の間の媒体内の屈折率の差を解消する段階を含む。回折格子と物体の間の媒体内の屈折率の差は、媒体内の温度の局所的変化の結果を含む場合がある。特定の実施形態によれば、第1及び/又は第2の画像は、テンソルとして近似することができ、テンソルは、ピクセル高さと、ピクセル幅と、位置及び時間を記述するフレームカウントと、任意選択的には2次及び/又は線形損失関数に対応する項との成分を含む場合がある。特定の実施形態によれば、歪曲をフィルタリングする段階は、画像テンソルを、低ランク部分空間プラス疎テンソルに因数分解する段階と、低ランク部分空間に対する2次項と疎成分に対する少なくとも1つの項とを含む損失関数を利用する段階とを含む。低ランク部分空間は、どのように所与の位相が投影干渉パターンに相関するかに関する情報を含むことができる。低ランク部分空間は、物体の相対移動に起因する経時変化に関する情報を含むことができる。
【0025】
特定の実施形態によれば、第1及び/又は第2の干渉パターンから歪曲をフィルタリングする段階は、テンソル分解を含む。第1及び/又は第2の画像はテンソルとして近似することができ、このテンソルは、その和が元のテンソルである3つの加算成分、すなわち低ランク部分空間、疎成分、及び誤差成分に分解することができる。低ランク部分空間部分は、元のテンソルから低ランク部分空間及び疎成分を差し引いた絶対値を最小値まで低減し、この最小値をノイズとする双方向ランダム投影によって決定することができる。この決定は、初期の(又は以前に解かれた)疎成分を用いて低ランク部分空間に関して解くこと、及び初期の(又は以前に解かれた)低ランク部分空間を用いて疎成分に関して解くことである2つの問題を交互方式で解くことによって行うことができ、この場合、低ランク部分空間のランク及び疎成分の濃度が制約される。この決定は、例えば、Zhou他著「GoDec:高ノイズ事例でのランダム化された低ランク行列及び疎行列の分解(GoDec:Randomized Low-rank & Sparse Matrix Decomposition in Noisy Case)」、2011 International Conference on Machine Learningに説明されている。
【0026】
以下の例は、本発明の主題の方法を更に詳しく例示するためにのみ示すものである。本発明の実施形態は、いずれの方式であっても本発明の主題を限定するものと解釈すべきではない。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、歪曲をフィルタリングする段階は、第1及び/又は第2の画像を時間/空間点クラウドとして近似する段階と、この点クラウドを解析する段階と、所与の閾値よりも小さいSN比を有すると決定された部分を排除する段階とを含む。歪曲は、低ランク部分空間に対する2次項と、疎成分に対するL1項とで構成される損失関数を用いて、画像テンソルを低ランク部分空間プラス疎テンソルに因数分解することによって管理することができる。低ランク部分空間は、物体の少なくとも一部分の移動に起因する経時変化を含むどのように所与の位相が投影干渉縞位相に関連するかに関する情報を含む。
【0028】
特定の実施形態によれば、第1及び/又は第2の干渉パターンの回折次数に関する基準データを与えて歪曲をフィルタリングすることを助けるために、固定位置の物体を第1及び第2の画像内に提供することができる。
【0029】
特定の実施形態によれば、少なくとも1つの第1の画像と少なくとも1つの第2の画像に基づいて物体の少なくとも一部分のラップ位相を抽出する段階は、第1及び第2の画像内に取り込まれた所与の画像ピクセルでの回折パターンの位相を決定する段階を含むことができる。
【0030】
特定の実施形態によれば、アンラップ位相を生成するように物体の少なくとも一部分のラップ位相をアンラップする段階は、各ピクセルでの物体の少なくとも一部分までの距離の深度マップを一意的に識別するように干渉縞幾何学形状の知識を利用する段階を含むことができる。特定の実施形態によれば、この段階は、あらゆる形状とすることができる定められた窓内に解析を制約することによって空間情報を抽出し、この空間情報を所与の幾何学形状に当て嵌めることによって行うことができる。
【0031】
特定の実施形態によれば、アンラップ位相に基づいて物体の少なくとも一部分までの計算深度マップ距離を識別する段階は、アンラップ位相を理想物体と比較する段階を含む。特定の実施形態によれば、理想物体は、実質的に円筒形とすることができ、計算深度マップを識別する段階は、物体の少なくとも一部分の平均半径を識別する段階、又はモデル物体中心までの距離を含む表面マッピングを識別する段階のうちの少なくとも一方を含むことができる。
【0032】
限定ではなく例として提供すると、物体が核燃料棒である場合に、理想表面は円柱であり、1つの出力は、元の仕様と比較することができる平均半径であり、別の出力は、表面にわたって理想燃料棒中心までの距離を示すマップである。表面粗度又は他の特性を決定するように変位マッピングを統計的に解析することができる。
【0033】
特定の実施形態によれば、本方法は、表面特性を測定するように物体の少なくとも一部分の計算深度マップに理想部分を当て嵌める段階を含む。特定の実施形態によれば、この段階は、2次損失関数の最小化又は2次当て嵌めによって行うことができる。特定の実施形態によれば、この段階は、物体の表面特性内で局所ピーク及び局所トラフを識別することによって表面粗度の程度及び/又はチムニーの存在を決定する段階を含むことができる。
【0034】
特定の実施形態によれば、理想部分に対する当て嵌めは、任意の位置、向き、及び半径の抽象的な予め決められた形状を観察データに当て嵌める段階を含むことができる。この段階は、数値最適化によって行うことができ、数値最適化は、観察データへの理想部分の最小二乗当て嵌めを含むことができる。特定の実施形態によれば、理想部分に対する当て嵌めは、ターゲットの向き及び位置へのシステムの自己較正を可能にすることができる。
【0035】
特定の実施形態によれば、本方法は、厚さ表面特性を決定するように計算深度マップをモデル深度マップ又は物体の少なくとも一部分の以前に計算した深度マップのうちの少なくとも一方と比較する段階を含み、これは物体の少なくとも一部分の厚さ変化を決定する段階を含むことができる。
【0036】
本方法は、順番に、少なくとも1つの光源を与える段階と、物体の少なくとも一部分上に第1の干渉パターンを発生させるように光源からの光を回折格子を通して物体上に誘導する段階と、第1の干渉パターンの少なくとも1つの第1の画像を取り込む段階と、第2の干渉パターンを発生させるように少なくとも1つの光源の位相をシフトさせる段階と、第2の干渉パターンの少なくとも1つの第2の画像を取り込む段階と、第1の干渉パターン及び/又は第2の干渉パターンから歪曲をフィルタリングする段階と、少なくとも1つの第1の画像と少なくとも1つの第2の画像に基づいて物体の少なくとも一部分のラップ位相を抽出する段階と、物体の少なくとも一部分のラップ位相をアンラップする段階と、ラップ位相に基づいて物体の少なくとも一部分までの計算深度マップ距離を識別する段階と、表面特性を測定するように物体の少なくとも一部分の計算深度マップに理想部分を当て嵌める段階とを含むことができる。
【0037】
図1は、本発明の主題の例示的実施形態のフローチャートである。最初に、ターゲットが位置決めされる(50)。特定の例示的実施形態によれば、ターゲットは、光源と回折格子とによって与えられる少なくとも2つの回折次数内で水中に位置決めされた(50)核燃料棒とすることができる。次いで、フレーム(画像)が取り込まれる(52)。特定の例示的実施形態によれば、フレームは写真とすることができる。特定の例示的実施形態によれば、フレームはビデオとすることができる。次いで、第2の干渉パターンを発生させるように投影位相が調節される(54)。特定の例示的実施形態によれば、これは、回折格子を若干移動し、それによって物体が位置決めされた(50)場所の光干渉縞発生パターンを変更するように構成されたウォーム歯車ステッパを用いて行うことができる。位相を調節(54)した後に、調節された位相を用いて別のフレームが取り込まれる(52)又は歪曲が除去される(56)。特定の例示的実施形態によれば、歪曲は、熱差及び水流によって引き起こされる屈折率変化を排除することによって除去される(56)。特定の例示的実施形態によれば、取り込みフレーム(52)は、ピクセル高さと、ピクセル幅と、位置及び時間を記述するフレームカウントと、任意選択的には2次及び/又は線形損失関数とである成分を含むテンソルとして近似することができる。歪曲が除去された(56)後に、アンラップ位相が抽出される(58)。特定の実施形態によれば、アンラップ位相は、取り込み(52)フレーム(画像)の所与のピクセルでの回折パターンの位相を含む又はこの位相で構成することができる。
【0038】
アンラップ位相が抽出された(58)後に、アンラップ位相からアンラップ位相が抽出される(60)。特定の例示的実施形態によれば、アンラップは、各ピクセルでのターゲットまでの距離の深度マップを一意的に識別する(62)ようにラップ位相を干渉縞幾何学形状の知識と組み合わせる。抽出されたラップ位相(58)をアンラップする(60)ことに基づいて計算深度マップが識別された(62)後に、理想部分が計算深度マップに当て嵌められる(66)。特定の例示的実施形態によれば、理想部分は、欠陥のない部分の記述を含む。特定の例示的実施形態によれば、理想部分を計算深度マップに当て嵌める段階(66)は、2次損失関数を最小にすることによるか又は2次当て嵌めによるとすることができる。理想部分を計算深度マップに当て嵌めた(66)後に、当該パラメータを出力することができる(68)。特定の例示的実施形態によれば、当該パラメータは、核燃料棒のような物体の少なくとも一部分の厚さ変化を含むことができる。特定の例示的実施形態によれば、厚さ変化は、粗度、クラッド及び/又は金属酸化物の一般的な堆積、チムニーの存在、又は洗浄後の燃料棒の表面を表すことができる。
【0039】
図2は、物体上のクラッドの堆積が物体の厚さを変化させることを示す概略断面図である。核燃料棒又は蒸気発生チューブとすることができ、元来の厚さ12とクラッド及び/又は金属酸化物13の蓄積を有する測定厚さ14とを有する物体10の少なくとも一部分が示されている。クラッド及び/又は金属酸化物13の蓄積を有する物体10の少なくとも一部分の測定厚さ14は、元来の厚さ12からの厚さ変化を表している。
【0040】
図3は、物体からのクラッドの除去が物体の厚さを変化させることを示す概略断面図である。クラッド及び/又は金属酸化物15の使用時厚さ16を有する物体10の少なくとも一部分が示されている。クラッド及び/又は金属酸化物15のない物体10の少なくとも一部分の洗浄された厚さ18も示されている。本発明の実施形態の方法は、物体10の少なくとも一部分が、クラッド及び/又は金属酸化物15の層を含む使用時厚さ16から、クラッド及び/又は金属酸化物15のない洗浄された厚さ18に変更された後の結果的な差を示す、核燃料棒の洗浄後の厚さ変化を検出するのに使用することができる。
【0041】
図4は、物体上のクラッドの堆積が物体の厚さを変化させ、それによって粗面がもたらされる可能性があることを示す概略断面図である。クラッド及び/又は金属酸化物17の層を有する物体10の少なくとも一部分が示されている。クラッド及び/又は金属酸化物17の堆積は物体10の少なくとも一部分上で一様ではないので、相対的なピーク24とトラフ20とが存在する。本発明の実施形態の方法は、物体10の少なくとも一部分上へのクラッド及び/又は金属酸化物17の蓄積の粗度を評価するために相対的ピーク厚さ24と相対的トラフ厚さ20とが存在する物体10の少なくとも一部分の厚さ変化を検出するのに使用することができる。
【0042】
図5は、物体上のクラッドの堆積が物体の厚さを変化させて欠陥を顕在化させる可能性があることを示す概略断面図である。クラッド及び/又は金属酸化物19の層を有する物体10の少なくとも一部分が示されている。クラッド及び/又は金属酸化物19を有する物体10の少なくとも一部分の実質的に一様な厚さ26が存在する可能性があるが、局所部分は、クラッド及び/又は金属酸化物19の蓄積を殆ど又は全く示さず、局所欠陥厚さ22を顕在化させる場合がある。
【0043】
図6は、本発明の主題の例示的実施形態の上面図である。物体の少なくとも一部分を含むターゲット38は、少なくとも2つの回折次数36内に位置決めされる。回折次数36は、光源30からの光が回折格子32を通過することによって発生する。ターゲット38上の回折次数36の画像、例えば、写真又はビデオは、フィルタ44を有する少なくとも1つのカメラ42によって取り込まれる。少なくとも1つの第1の画像が取り込まれた後に、位相が、回折格子32を移動するように構成されたウォーム歯車ステッパ34を用いて調節される。位相が調節された後に、ターゲット38上の調節された位相の回折次数36の画像、例えば、写真又はビデオが、フィルタ44を有する少なくとも1つのカメラ42によって取り込まれる。ウォーム歯車ステッパ34とカメラ42は、両方共にコンピュータ40を用いて制御される。
【0044】
図7は、実施形態に従って10本のピンに関して測定された公称半径に対する計算半径を示すグラフである。4750μmから4800μmに及ぶ公称半径を各々が有する10本の実質的に円筒形の異なるピンを本明細書に説明する方法に従って測定した。オフにされた60Wヒータから1cmから5cm内にわたる距離だけ離れた場所で各ピンを5回測定した。50個全ての測定値に関して、計算されて出力された半径は、公称半径の5%以内にあった。これらの測定値に関する標準誤差を計算した結果、ピンの公称半径の0.125%以内である±5.81μmであった。データの線形最良適合を示す回帰直線50が、上側標準誤差線52及び下側標準誤差線54と共に示されている。
【0045】
以下の実施例は、本発明の主題を更に詳しく例示するために示すものに過ぎない。これらの例示的実施例は、いずれの方式でも本発明の主題を限定するものと解釈すべきではない。
【実施例1】
【0046】
4750μmから4800μmに及ぶ公称半径を有する10本の実質的に円筒形のピンを本明細書に説明する方法を用いて測定した。各ピンを60Wヒータの上方1~5cm内にわたる予め決められた距離で水中に沈めた。乱流及び局所屈折率の変動を誘起するようにヒータオンの状態で各ピンに関して各距離で1つの測定値を出力し、更にヒータをオフにした状態で1つの測定値を出力した。出力測定値が公称半径の±5%の範囲外にあった場合に出力を失敗と見なした。結果を下記の表1に示している。
【0047】
(表1)
【0048】
表1に示すように、ヒータの上方1cmの距離ではヒータオンの状態で全ての出力測定値を失敗と見なした。しかし、ヒータから少なくとも3cm離れた距離では、全ての試験測定値が成功であり、残留標準誤差は、3cmの場所及びヒータ作動状態で公称半径の1%よりも小さい41.43μmであった。少なくとも4cmの距離では、残留標準誤差は、公称半径の0.335%よりも小さい15.90μmまで降下した。ヒータオフの状態では、全ての試験が成功であり、残留標準誤差は、ピンの公称半径の0.125%よりも小さい5.81μmであった。従って、本方法は、実質的に円筒形の物体の半径を乱流中で0.335%よりも小さい誤差、及び乱流なしで0.125%よりも小さい誤差という1%よりも小さい誤差しか伴わずに測定することを示した。
【0049】
第1の実施形態では、少なくとも1つの光源を与える段階と、物体の少なくとも一部分上に第1の干渉パターンを発生させるように少なくとも1つの光源からの光を誘導する段階と、第1の干渉パターンの少なくとも1つの第1の画像を取り込む段階と、第2の干渉パターンを発生させるように少なくとも1つの光源の位相をシフトさせる段階と、第2の干渉パターンの少なくとも1つの第2の画像を取り込む段階と、第1の干渉パターン及び/又は第2の干渉パターンから歪曲をフィルタリングする段階と、少なくとも1つの第1の画像と少なくとも1つの第2の画像に基づいて物体の少なくとも一部分のラップ位相を抽出する段階と、アンラップ位相を生成するように物体の少なくとも一部分のラップ位相をアンラップする段階と、アンラップ位相に基づいて物体の少なくとも一部分までの計算深度マップ距離を識別する段階と、表面特性を測定するように物体の少なくとも一部分の計算深度マップに理想部分を当て嵌める段階とを含む物体の少なくとも一部分の表面特性を測定する方法が提供される。
【0050】
第1の実施形態の方法は、第1の干渉パターン及び/又は第2の干渉パターンが、光を回折格子を通して誘導すること、少なくとも1つの光源からの光をマスクを通して観察すること、又は光を基準ビームと組み合わせることによって発生されることを更に提供する。
【0051】
第1又はその後のいずれかの実施形態の方法は、本方法が、順番に、少なくとも1つの光源を与える段階と、物体の少なくとも一部分上に第1の干渉パターンを発生させるように光源からの光を回折格子を通して物体上に誘導する段階と、第1の干渉パターンの少なくとも1つの第1の画像を取り込む段階と、第2の干渉パターンを発生させるように少なくとも1つの光源の位相をシフトさせる段階と、第2の干渉パターンの少なくとも1つの第2の画像を取り込む段階と、第1の干渉パターン及び/又は第2の干渉パターンから歪曲をフィルタリングする段階と、少なくとも1つの第1の画像と少なくとも1つの第2の画像に基づいて物体の少なくとも一部分のラップ位相を抽出する段階と、物体の少なくとも一部分のラップ位相をアンラップする段階と、ラップ位相に基づいて物体の少なくとも一部分までの計算深度マップ距離を識別する段階と、表面特性を測定するように物体の少なくとも一部分の計算深度マップに理想部分を当て嵌める段階とを含むことを更に提供することができる。
【0052】
第1又はその後のいずれかの実施形態の方法は、厚さ表面特性を決定するように計算深度マップをモデル深度マップ又は物体の少なくとも一部分の以前に計算した深度マップのうちの少なくとも一方と比較する段階を更に含み、これは物体の少なくとも一部分の厚さ変化を決定する段階を含むことができる。
【0053】
第1又はその後のいずれかの実施形態の方法は、物体が液体媒体中に少なくとも部分的に浸漬され、任意選択的には液体媒体が水を含むことを更に提供することができる。
【0054】
第1又はその後のいずれかの実施形態の方法は、物体が、少なくとも1つの表面上で実質的に円筒形、実質的に球形、又は実質的に平坦であり、表面特性を測定する段階が、物体の少なくとも一部分の厚さ変化を決定する段階を含むことを更に提供することができる。
【0055】
第1又はその後のいずれかの実施形態の方法は、物体が実質的に円筒形であることを更に提供することができる。
【0056】
第1又はその後のいずれかの実施形態の方法は、物体が少なくとも1つの核燃料棒又は蒸気発生チューブ又は導管であることを更に提供することができる。
【0057】
第1又はその後のいずれかの実施形態の方法は、少なくとも1つの光源が、レーザ、任意選択的にはマルチラインレーザであり、光を誘導する段階が、調節可能な位相のレーザ干渉縞を、物体を収容している空間を通して投影する段階を含むことを更に提供することができる。
【0058】
第1又はその後のいずれかの実施形態の方法は、回折格子と物体がその間に距離dを画定し、dは、少なくともm核燃料に関わる安全性配慮に要求される最小距離であることを更に提供することができる。
【0059】
第1又はその後のいずれかの実施形態の方法は、第1の干渉パターンの少なくとも1つの第1の画像及び/又は第2の干渉パターンの少なくとも1つの第2の画像を取り込む段階が、物体の少なくとも一部分からの光をテレセントリックレンズを用いて集光し、それを撮像センサに誘導する段階を含むことを更に提供することができる。
【0060】
第1又はその後のいずれかの実施形態の方法は、(a)第1の干渉パターンの少なくとも1つの第1の画像及び/又は第2の干渉パターンの少なくとも1つの第2の画像を取り込む段階が、周囲光を実質的に遮断するように構成されたフィルタを利用すること、及び/又は(b)第1の干渉パターン及び/又は第2の干渉パターンが、少なくとも2つの回折次数を含み、物体が、この少なくとも2つの回折次数の重ね合わせ内に位置決めされることのうちの少なくとも1つを更に含むことができる。
【0061】
第1又はその後のいずれかの実施形態の方法は、歪曲をフィルタリングする段階が、画像テンソルを低ランク部分空間プラス疎テンソルに因数分解し、低ランク部分空間に対する2次項と疎成分に対する少なくとも1つの項とを含む損失関数を利用する段階を含むことを更に提供することができる。
【0062】
第1又はその後のいずれかの実施形態の方法は、低ランク部分空間が、どのように所与の位相が投影干渉パターンに相関するかに関する情報を含み、低ランク部分空間が、物体の相対移動に起因する経時変化に関する情報を含むことを更に提供することができる。
【0063】
第1又はその後のいずれかの実施形態の方法は、(a)歪曲をフィルタリングする段階が、回折格子と物体の間の媒体内の屈折率の差を解消する段階を含み、その差は媒体内の温度の局所的変化の結果を含むこと、(b)アンラップする段階が、窓付きフーリエ解析を含むこと、(c)理想部分を当て嵌める段階が、2次損失関数の最小化又は2次当て嵌めのうちの少なくとも一方を含むこと、及び/又は(d)理想部分を当て嵌める段階が、表面粗度又はチムニーの存在のうちの少なくとも一方を決定する段階を含むことのうちの少なくとも1つを更に含むことができる。
【0064】
第1又はその後のいずれかの実施形態の方法は、(a)少なくとも1つの第1の画像を取り込む段階及び/又は少なくとも1つの第2の画像を取り込む段階が、低コヒーレンス走査又はコノスコープ走査を含み、歪曲をフィルタリングする段階が、時間/空間点クラウドを解析する段階を含むこと、及び/又は(b)計算深度マップを識別する段階が、物体の少なくとも一部分の平均半径を識別する段階、又はモデル物体中心までの距離を含む表面マッピングを識別する段階のうちの少なくとも一方を含むことのうちの少なくとも一方を更に含むことができる。
【0065】
本明細書に説明した実施形態は、例示的なものに過ぎず、当業者が本発明の精神及び範囲から逸脱することなく変形及び修正を加えることができることは理解されるであろう。全てのそのような変形及び修正は、上述した本発明に含まれるように意図している。更に、本発明の異なる実施形態を組み合わせて望ましい結果を与えることができるので、開示した全ての実施形態は、必ずしも代替的であるとは限らない。
【符号の説明】
【0066】
10 物体
12 元来の厚さ
13、15、17、19 クラッド及び/又は金属酸化物
14 測定厚さ
16 使用時厚さ
18 洗浄された厚さ
20 相対的トラフ厚さ
22 局所欠陥厚さ
24 相対的ピーク厚さ
26 実質的に一様な厚さ
30 光源
32 回折格子
36 回折次数
38 ターゲット
40 コンピュータ
42 カメラ
44 フィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】