(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-24
(54)【発明の名称】軽質炭化水素の分離方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
C07C 7/04 20060101AFI20220117BHJP
C07C 11/04 20060101ALI20220117BHJP
C07C 11/06 20060101ALI20220117BHJP
F25J 3/02 20060101ALI20220117BHJP
F25J 3/06 20060101ALI20220117BHJP
F25J 3/08 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
C07C7/04
C07C11/04
C07C11/06
F25J3/02 B
F25J3/06
F25J3/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021520300
(86)(22)【出願日】2019-09-29
(85)【翻訳文提出日】2021-04-08
(86)【国際出願番号】 CN2019109082
(87)【国際公開番号】W WO2020073853
(87)【国際公開日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】201811168501.5
(32)【優先日】2018-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811169248.5
(32)【優先日】2018-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】521148670
【氏名又は名称】中国石油▲化▼工股▲フン▼有限公司北京▲化▼工研究院
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲羅▼ 淑娟
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲東▼▲風▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 明森
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲麗▼▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲ヤン▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 智信
(72)【発明者】
【氏名】李 春芳
(72)【発明者】
【氏名】田 峻
【テーマコード(参考)】
4D047
4H006
【Fターム(参考)】
4D047AA09
4D047AB08
4D047BA03
4D047BB08
4D047CA19
4D047DA01
4D047DA05
4H006AA02
4H006AD11
4H006BD40
4H006BD53
4H006BD84
(57)【要約】
軽質炭化水素を分離するための方法及びシステムであって、前記方法は圧縮、冷却、吸収、脱着、精留、分解及び分解ガスを圧縮ステップに循環することを含み、それは高い温度で操作することができ、機器材質に対する要求が低下し、エネルギー消費及び投資を大幅に低下させる。その分離方法及びシステムを採用すると、製品の品質が高く、方法が簡単であり、飽和リソースの十分な利用を保証し、製品価値を大幅に向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽質炭化水素を分離するための方法であって、
(1)分離対象である、C2以上のオレフィンから選択されるものとC1~C4のアルカンから選択されるものを含むC1~C4を含有する炭化水素系材料を圧縮及び冷却し、圧縮及び冷却後の炭化水素系材料を生成するステップと、
(2)前記圧縮及び冷却後の炭化水素系材料を吸収剤と接触させることにより、その中のC2以上の炭化水素系を吸収し、溶媒リッチ材料を生成するステップと、
(3)前記溶媒リッチ材料を精留し、オレフィン及び飽和アルカンを含有する気相材料及び溶媒リーン材料を生成するステップと、
(4)前記オレフィン及び飽和アルカンを含有する気相材料に対して、1回又は複数回の精留を行い、1本又は複数本の飽和アルカンに富む液相材料を生成するステップと、
(5)前記1本又は複数本の飽和アルカンに富む液相材料を分解し、分解ガスを生成するステップと、
(6)前記分解ガスをステップ(1)に循環するステップと、を含む、軽質炭化水素を分離するための方法。
【請求項2】
ステップ(6)に記載の前記分解ガスをステップ(1)に循環するステップは、前記分解ガスを前記分離対象であるC1~C4を含有する炭化水素系材料と合併した後に一緒に圧縮及び冷却すること、又は前記分解ガスをまず圧縮してから、次に圧縮されたC1~C4を含有する炭化水素系材料と合併し、冷却すること、又は前記分解ガスをまず圧縮及び冷却してから、次に圧縮及び冷却されたC1~C4を含有する炭化水素系材料と合併すること、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記C2以上のオレフィンはエチレン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、1,3-ブタジエンから選択される1種又は複数種であり、
好ましくは、前記C1~C4のアルカンは、メタン、エタン、プロパン、ノルマルプロパン、イソプロパン、ノルマルブタン、t-ブタン及びイソブタンから選択される1種又は複数種であり、
好ましくは、前記飽和アルカンは、エタン、プロパン、ノルマルブタン及びイソブタンから選択される1種又は複数種であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記吸収剤は、C3のアルカンを含有するC3留分、C4のアルカンを含有するC4留分、及びC5のアルカンを含有するC5留分であり、
好ましくは、前記C3のアルカンはノルマルプロパンであり、前記C4のアルカンはノルマルブタンであり、前記C5のアルカンはノルマルペンタン及びイソペンタンから選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記分解の温度は500~850℃であり、好ましくは600~800℃であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップ(1)において、前記C1~C4を含有する炭化水素系材料は2.0~5.0MPaに圧縮され、及び/又は、
前記C1~C4を含有する炭化水素系材料は-40℃~20℃、例えば、5℃~20℃又は-40℃~-10℃に冷却されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記C1~C4を含有する炭化水素系材料は、メタンの酸化によるエチレンの製造における反応ガス、精製所の乾燥ガス、石炭化学工業の乾燥ガス、接触分解の生成物、フィッシャートロプシュ排気ガス、プロパン脱水素生成物、フレアガス/分離されたGasガス及び分離されたシェールガスのうちの1種又は複数種から由来することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップ(2)において、第1の吸収塔において、前記圧縮及び冷却後の炭化水素系材料を吸収剤と接触させ、塔頂から軽質成分を含有する気相ストリームを得て、塔釜から溶媒リッチ材料を得て、好ましくは、第1の吸収塔の理論段数は30~80であり、操作圧力は2.0~6.0MPaであることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ステップ(3)において、前記吸収剤を第1の精留塔に送り込んで精留を行い、塔頂からオレフィン及び飽和アルカンを含有する気相材料を得て、塔釜から溶媒リーン材料を得て、
好ましくは、第1の精留塔の理論段数は20~60であり、操作圧力は1.0~4.0MPaであることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ステップ(4)は、
前記オレフィン及び飽和アルカンを含有する気相材料を第2の精留塔に送り込んで精留を行い、塔頂からエタン及びエチレンを含有する第1のストリームを得て、塔釜からC3以上の炭化水素系を含有する第2のストリームを得て、前記第1のストリームを第3の精留塔に送り込んで精留を行い、サイドラインからエチレン製品ストリームを得て、塔頂からエチレンを含有する第3のストリームを得て、塔釜からエタンに富む第4のストリームを得ることを含み、
任意選択的に、前記第1のストリームが第3の精留塔に入る前に第1の水素化反応器に送り込んで選択的水素化反応を行ってアルキン及び/又はアルカジエンを除去し、
好ましくは、第2の精留塔の理論段数は30~80であり、操作圧力は1.0~5.0MPaであり、
好ましくは、第3の精留塔の理論段数は50~130であり、操作圧力は1.0~4.0MPaであることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ステップ(4)は、
前記第2のストリームを第4の精留塔で精留し、塔頂からプロパン及びプロピレンを含有する第5のストリームを得て、塔釜から飽和アルカンに富む第6のストリームを得ることをさらに含み、
好ましくは、前記第4の精留塔の理論段数は30~80であり、操作圧力は0.1~3.0MPaであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップ(4)は、
第5のストリームを第5の精留塔に送り込んで精留し、サイドラインからプロピレン製品ストリームを得て、塔頂からプロピレンを含有する第7のストリームを得て、塔釜からプロパンに富む第8のストリームを得ることをさらに含み、
任意選択的に、前記第5のストリームが第5の精留塔に入る前に第2の水素化反応器に送り込んで選択的水素化反応を行ってアルキン及び/又はアルカジエンを除去し、
任意選択的に、前記第7のストリームの一部又は全部をステップ(1)に循環し、
好ましくは、前記第5の精留塔の理論段数は100~200であり、操作圧力は1.0~4.0MPaであることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第4のストリーム、第6のストリーム及び第8のストリームのうちの1本又は複数本は、好ましくは全てを分解し、分解ガスを生成することを特徴とする、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ステップ(4)は、
第2のストリームを第5の精留塔で精留し、サイドラインからプロピレン製品ストリームを得て、塔頂からプロピレンを含有する第9のストリームを得て、塔釜から飽和アルカンに富む第10のストリームを得るステップと、
任意選択的に、前記第9のストリームの一部又は全部をステップ(1)に循環するステップと、
任意選択的に、前記第2のストリームが第5の精留塔に入る前に第3の水素化反応器に送り込んで選択的水素化反応を行ってアルキン及び/又はアルカジエンを除去するステップと、をさらに含み、
好ましくは、前記第5の精留塔の理論段数は100~200であり、操作圧力は1.0~4.0MPaであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記第4のストリームと第6のストリームのうちの1本又は全てを分解し、分解ガスを生成することを特徴とする、請求項10又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記溶媒リーン材料を循環吸収剤として第1の吸収塔に輸送することを特徴とする、請求項9~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
第1の吸収塔の塔頂からの前記軽質成分を含有する気相ストリームを第2の吸収塔に輸送してその中の再吸収剤と接触させることにより、持ち出された吸収剤及び第1の吸収塔中の吸収剤に吸収されていないC2炭化水素系を吸収し、
好ましくは、前記再吸収剤はガソリン、重質ナフサ及び芳香族炭化水素残油から選択され、
好ましくは、前記第2の吸収塔の理論段数は15~60であり、操作圧力は1.0~5.0MPaであることを特徴とする、請求項8~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
第2の吸収塔の塔頂から得られた排気ガスは境界領域外に排出され、塔釜から得られた液相材料は境界領域外に排出されるか又は他の処理を行うことを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記他の処理は、第2の吸収塔の塔釜から得られた液相材料を第6の精留塔に送り込んで精留し、塔頂から得られた気相ストリームを第1の吸収塔に送り込んで循環吸収剤とし、塔釜から得られた液相ストリームを第2の吸収塔に送って循環再吸収剤とすることを含み、
好ましくは、前記第6の精留塔の理論段数は10~50であり、操作圧力は0.1~2.0MPaであることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
第1の吸収塔の塔頂からの前記軽質成分を含有する気相ストリームに対して冷熱エネルギー回収を行い、好ましくは冷熱エネルギー回収を冷熱エネルギー回収ユニットで行い、好ましくは、前記冷熱エネルギー回収ユニットは、コールドボックス、膨張機、増圧機及びフラッシュタンクを含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項21】
前記軽質成分を含有する気相ストリームをコールドボックスを流れて降温させた後、膨張、フラッシュ蒸発を行うことにより、吸収されていないC2炭化水素系及び混入された吸収剤を回収し、C2炭化水素系を含有しない排気ガスを膨張機により駆動された増圧機により昇圧させた後に排出することを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記軽質成分を含有する気相ストリームはコールドボックスに入って-80℃~-35℃に冷却し、その後に膨張機によりガスを膨張させ、その後にフラッシュタンクに送ってフラッシュ蒸発し、フラッシュタンクの頂部のガスはコールドボックスに入り、その後に膨張機により駆動された増圧機により昇圧させた後に排出され、タンクの底部の液体は第1の吸収塔の頂部に戻されることを特徴とする、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記分解ガスは、廃熱ボイラーにより熱量を回収した後、油洗浄塔及び/又は水洗浄塔に入り、次にステップ(1)に循環して圧縮することを特徴とする、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
軽質炭化水素を分離するためのシステムであって、
圧縮冷却ユニット、吸収ユニット、脱着ユニット、精留ユニット及び分解ユニットを含み、前記吸収ユニットはそれぞれ前記圧縮冷却ユニットと前記脱着ユニットに接続され、前記精留ユニットはそれぞれ前記脱着ユニットと前記分解ユニットに接続され、前記分解ユニットは前記圧縮冷却ユニットに接続される、軽質炭化水素を分離するためのシステム。
【請求項25】
前記圧縮冷却ユニットは圧縮機(2)及び熱交換器(3)を含み、前記吸収ユニットは第1の吸収塔(4)を含み、前記脱着ユニットは第1の精留塔(5)を含み、前記精留ユニットは第2の精留塔(6)及び第3の精留塔(8)を含み、前記分解ユニットは分解炉(14)を含むことを特徴とする、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記圧縮機(2)の出口は熱交換器(3)の入口に接続され、前記熱交換器(3)の出口は前記第1の吸収塔(4)の第1の入口に接続され、前記第1の吸収塔(4)の塔釜出口は前記第1の精留塔(5)の入口に接続され、前記第1の精留塔(5)の塔頂出口は前記第2の精留塔(6)の入口に接続されることを特徴とする、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記第2の精留塔(6)の塔頂出口は第3の精留塔(8)の入口に接続され、前記第3の精留塔(8)の塔釜出口は前記分解炉(14)の第1の入口に接続され、任意選択的に、前記第2の精留塔(6)の塔頂と第3の精留塔(8)との間に第1の水素化反応器(7)が設置され、任意選択的に、前記第3の精留塔(8)の塔頂出口は前記圧縮機(2)の入口に接続されることを特徴とする、請求項25又は26に記載のシステム。
【請求項28】
前記精留ユニットはさらに第4の精留塔(9)を含み、ここで、前記第4の精留塔(9)の入口は前記第2の精留塔(6)の塔釜出口に接続され、前記第4の精留塔(9)の塔釜出口は前記分解炉(14)の第1の入口及び/又は第2の入口に接続されることを特徴とする、請求項25~27のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
前記精留ユニットはさらに第5の精留塔(11)を含み、ここで、前記第4の精留塔(9)の塔頂出口は前記第5の精留塔(11)の入口に接続され、前記第5の精留塔(11)と前記第4の精留塔(9)との間に任意選択的に第2の水素化反応器(10)が設置され、前記第5の精留塔の塔釜出口は前記分解炉の第1の入口及び/又は第2の入口及び/又は第3の入口に接続され、任意選択的に、前記第5の精留塔(11)の塔頂出口は前記圧縮機(2)の第1の入口に接続されることを特徴とする、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記分解ユニットはさらに廃熱ボイラー(15)、及び油洗浄塔及び/又は水洗浄塔(16)を含み、ここで前記分解炉(14)の出口は前記廃熱ボイラー(15)の入口に接続され、前記廃熱ボイラー(15)の出口は前記油洗浄塔及び/又は水洗浄塔(16)の入口に接続され、前記油洗浄塔及び/又は水洗浄塔(16)の出口は前記圧縮機(2)の第1の入口及び/又は第2の入口に接続されることを特徴とする、請求項25~29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
前記第1の吸収塔(4)の塔釜出口は前記第1の精留塔(5)の入口に接続され、前記第1の吸収塔(4)の塔頂出口は第2の吸収塔(12)の第1の入口に接続され、前記第2の吸収塔(12)の塔釜出口は任意選択的に第6の精留塔(13)の入口に接続されることを特徴とする、請求項25~30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項32】
前記第6の精留塔(13)の塔頂出口は前記第1の吸収塔(4)の第2の入口に接続され、前記第6の精留塔(13)の塔釜出口は前記第2の吸収塔(12)の第2の入口に接続されることを特徴とする、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記第1の吸収塔(4)の塔釜出口は前記第1の精留塔(5)の入口に接続され、前記第1の吸収塔(4)の塔頂出口は冷熱エネルギー回収ユニットに接続されることを特徴とする、請求項25~30のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
前記冷熱エネルギー回収ユニットはコールドボックス(23)、膨張機(24)、フラッシュタンク(25)及び増圧機(26)を含み、ここで前記コールドボックスの第1の入口は前記第1の吸収塔(4)の塔頂出口に接続され、前記コールドボックスの第1の出口は膨張機の入口に接続され、前記膨張機の出口は前記フラッシュタンクの入口に接続され、前記フラッシュタンクの第1の出口は前記コールドボックスの第2の入口に接続され、前記コールドボックスの第2の出口は前記増圧機の入口に接続され、任意選択的に前記フラッシュタンクの第2の出口は前記第1の吸収塔の第2の入口に接続されることを特徴とする、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記システムは、前記第1の精留塔と前記第2の精留塔との間に設置された浄化装置をさらに含み、第1の精留塔の塔頂からの材料中の酸性ガス及び/又は水分を除去するために用いられ、及び/又は、
前記システムは、前記圧縮機と熱交換器との間に設置された浄化装置をさらに含み、圧縮機からの材料中の酸性ガス及び/又は水分を除去するために用いられることを特徴とする、請求項25~34のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は2018年10月8日に提出された出願番号が201811168501.5であり、発明の名称が「メタンの酸化カップリングによるエチレン製造における反応ガスの分離方法及び装置」であり、2018年10月8日に提出された出願番号が201811169248.5であり、発明の名称が「メタンの酸化カップリングによるエチレン製造における反応ガスの分離方法及び装置」である中国特許出願の優先権を享受することを請求し、それらの全ての内容が引用により本明細書に結合される。
【0002】
本発明は化学工業分野に属し、具体的には、軽質炭化水素を分離するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
エチレンは、最も重要な基礎有機化学工業原料として、長期にわたって、その製造は石油分解の経路に依存し、これにより生じた環境汚染などの問題もますます深刻になっている。原油の価格が上昇し続けることに伴い、エチレン分解原料の価格の上昇を引き起こし、同時にエチレン分解原料の供給不足も顕著になる。この現状に直面し、世界各国はエネルギーの利用構造を調整しながら、新しいエチレンの製造経路を絶えず探している。2010年、米国のシェールガスの分野での突破に伴い、大量の採掘しにくいメタンが採掘され、メタンの化学工業的利用は業界の注目を集め、したがってメタンの酸化カップリングによるエチレン、エタンの製造に対する研究は再び世界中の研究のホットスポットとなる。
【0004】
メタンの酸化カップリングによるエチレンの製造の目標としては、触媒の作用で、メタンをエチレンに変換することであり、その反応生成物は複雑であり、主にメタン、エチレン、エタン、CO、CO2、O2などがある。本分野では、エチレンを反応混合物から分離する方法が多く提案されている。
【0005】
US20150368167では、OCM反応生成物の分離方法が開示され、分離ユニットにより3つの製品ストリーム、C2リッチストリーム、窒素リッチストリーム及びメタンリッチストリームを得ることができる。OCM反応生成物は、まず、第1の分離塔でC2リッチストリーム及びメタン窒素ストリームを得て、次に、第2の分離塔で窒素リッチストリーム及びメタンリッチストリームを得る。分離方法はいずれも低温精留を採用するため、分離ユニット全体の温度が非常に低く、1番目の分離塔の塔頂の温度が-162℃程度まで低く、2番目の分離塔の塔頂の温度が-210℃程度まで低く、これは機器の材質に対する要求が非常に高く、投資コストを大幅に増加させ、エネルギー消費が高い。
【0006】
CN201710006765.Xでは、メタンの酸化カップリングによるエチレン製造における反応生成物の分離プロセスが開示され、そのプロセスでは、反応生成物に対して圧縮、アルコールアミン法、乾燥、極低温精留等の工程により、成分を一つずつ分離し、最終的にポリマーグレードのエチレン製品を得て、エチレンの回収率が99%以上である。この特許出願は、製品の品質を明らかに向上させるが、分離は依然として極低温精留であり、コールドボックスにより低いレベルの冷熱エネルギーを提供する必要がある。
【0007】
WO2015105911では、酸化カップリングによってメタンをエチレンに変換し、次にエチレンを選択可能な高級炭化水素生成物に変換する、メタンの酸化カップリングシステムが開示されている。しかし、この特許出願では、OCM生成ガス中のエチレンとその他の成分、例えば未反応のメタン、エタン、CO、CO2、窒素、水等の分離に対して、依然として低温精留が採用されている。第1の分離器はメタン/窒素とC2以上の成分を分離するために用いられ、その分離器の動作温度は-160℃程度まで低く、第2の分離器はメタンと窒素を分離するために用いられ、その動作温度は-200℃程度まで低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US20150368167
【特許文献2】CN201710006765.X
【特許文献3】WO2015105911
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、軽質炭化水素を分離するための方法及びシステムを提供することである。その方法は軽質炭化水素系の分離の操作温度を大幅に向上させることができ、エネルギー消費が低く、フローが簡単であり、操作制御しやすい。なお、本発明が提供する方法は、吸収と分解を結合することにより、運転中の補充吸収剤の添加量を大幅に減少させることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様において、本発明は、軽質炭化水素を分離するための方法であって、
(1)分離対象である、C2以上のオレフィンから選択されるものとC1~C4のアルカンから選択されるものを含むC1~C4を含有する炭化水素系材料を圧縮及び冷却し、圧縮及び冷却後の炭化水素系材料を生成するステップと、
(2)前記圧縮及び冷却後の炭化水素系材料を吸収剤と接触させることにより、その中のC2以上の炭化水素系を吸収し、溶媒リッチ材料を生成するステップと、
(3)前記溶媒リッチ材料を精留し、オレフィン及び飽和アルカンを含有する気相材料及び溶媒リーン材料を生成するステップと、
(4)前記オレフィン及び飽和アルカンを含有する気相材料に対して、1回又は複数回の精留を行い、1本又は複数本の飽和アルカンに富む液相材料を生成するステップと、
(5)前記1本又は複数本の飽和アルカンに富む液相材料を分解し、分解ガスを生成するステップと、
(6)前記分解ガスをステップ(1)に循環するステップと、を含む、軽質炭化水素を分離するための方法を提供する。
【0011】
第2の態様において、本発明は、本発明の第1の態様に記載の方法を実施するために用いることができる、軽質炭化水素を分離するためのシステムをさらに提供する。
【0012】
本発明が提供する軽質炭化水素を分離するためのシステムは、
圧縮冷却ユニット、吸収ユニット、脱着ユニット、精留ユニット及び分解ユニットを含み、前記吸収ユニットはそれぞれ前記圧縮冷却ユニットと前記脱着ユニットに接続され、前記精留ユニットはそれぞれ前記脱着ユニットと前記分解ユニットに接続され、前記分解ユニットは前記圧縮冷却ユニットに接続される。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以下の有益な効果を有する。
1、本発明が提供する分離方法はプロセスが簡単であり、製品の品質が高い。
本発明により、飽和リソースも十分に利用され、製品の価値を大幅に向上させる。本発明は分解及び吸収-脱着を結合して、例えばOCM反応ガスのような軽質炭化水素系材料の分離に用いられ、飽和リソース、例えばエタン、プロパン、ブタンを、分解炉に直接的に送って処理し、得られた分解ガスを分離対象である軽質炭化水素と共に、分離装置に入れて処理することができる。エタン、プロパン、ブタン等の炭化水素系の分解により生成されたガスにおいて、豊富なC2、C3オレフィンを含有すると同時にC4炭化水素、C5炭化水素を含有するため、本願が提供するプロセスは、一方でエチレン、プロピレンの生産量を向上させることができ、他方で分解ガス中のC4炭化水素、C5炭化水素は吸収塔の吸収剤として使用することができ、システムへの補充吸収剤の使用量を低減することができる。
【0014】
本発明が提供する分離方法は高い温度で実施することができ、例えば-35℃以上、ひいては10℃以上で操作することができ、それにより機器材質に対する要求が低下し、プロピレン冷凍圧縮機を採用すればプロセス全体の冷熱エネルギーの需要を満たすことができる。
【0015】
本発明が提供するプロセスは操作温度が高く、分離ガスの浄化を吸収-脱着の後に行うことができる。主に、分離ガスが吸収塔に入った後、ガス混合物中の異なる成分の溶媒での溶解度が異なることを利用し、ガス混合物を分離し、CO2等の不純物の溶媒での溶解度が非常に低いため、吸収塔により供給材料中の大部分のCO2等の不純物を除去することができる。これは後続の浄化ユニットの処理量を大幅に低下させ、エネルギー消費を低下させる。CO2含有量が高いOCM反応ガスのような軽質炭化水素系材料に対して、本発明を採用すると、プロセスのエネルギー消費を明らかに低減することができる。
【0016】
図面を参照して本発明の例示的な実施形態をより詳細に説明することにより、本発明の上記及び他の目的、特徴及び利点はより明らかになり、ここで、本発明の例示的な実施形態において、同じ参照符号は一般的に同じ部品を代表する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例1に係るメタンの酸化カップリングによるエチレン製造における反応ガスの分離方法のフローチャートを示す。
【
図2】本発明の実施例2に係るメタンの酸化カップリングによるエチレン製造における反応ガスの分離方法のフローチャートを示す。
【
図3】本発明の実施例3に係るメタンの酸化カップリングによるエチレン製造における反応ガスの分離方法のフローチャートを示す。
【
図4】本発明の実施例4に係るメタンの酸化カップリングによるエチレン製造における反応ガスの分離方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施例を参照して本発明の実施形態を詳細に説明するが、当業者であれば、以下の実施例は本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものと見なすべきではないことが理解される。
【0019】
第1の態様において、本発明は、軽質炭化水素を分離するための方法であって、
(1)分離対象である、C2以上のオレフィンから選択されるものとC1~C4のアルカンから選択されるものを含むC1~C4を含有する炭化水素系材料を圧縮及び冷却し、圧縮及び冷却後の炭化水素系材料を生成するステップと、
(2)前記圧縮及び冷却後の炭化水素系材料を吸収剤と接触させることにより、その中のC2以上の炭化水素系を吸収し、溶媒リッチ材料を生成するステップと、
(3)前記溶媒リッチ材料を精留し、オレフィン及び飽和アルカンを含有する気相材料及び溶媒リーン材料を生成するステップと、
(4)前記オレフィン及び飽和アルカンを含有する気相材料に対して、1回又は複数回の精留を行い、1本又は複数本の飽和アルカンに富む液相材料を生成するステップと、
(5)前記1本又は複数本の飽和アルカンに富む液相材料を分解し、分解ガスを生成するステップと、
(6)前記分解ガスをステップ(1)に循環するステップと、を含む、軽質炭化水素を分離するための方法を提供する。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(6)に記載の前記分解ガスをステップ(1)に循環するステップは、前記分解ガスを前記分離対象であるC1~C4を含有する炭化水素系材料と合併した後に一緒に圧縮及び冷却すること、又は前記分解ガスをまず圧縮してから、次に圧縮されたC1~C4を含有する炭化水素系材料と合併し、冷却すること、又は前記分解ガスをまず圧縮及び冷却してから、次に圧縮及び冷却されたC1~C4を含有する炭化水素系材料と合併すること、を含む。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記C1~C4を含有する炭化水素系材料は、メタンの酸化によるエチレンの製造における反応ガス、精製所の乾燥ガス、石炭化学工業の乾燥ガス、接触分解の生成物、フィッシャートロプシュ排気ガス、プロパン脱水素生成物、フレアガス/分離されたGasガス及び分離されたシェールガスのうちの1種又は複数種から由来する。いくつかの実施例において、前記C1~C4を含有する炭化水素系材料は、メタンの酸化によるエチレン製造用反応器の反応ガス(OCM反応ガスと略称する)から由来するものである。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記C2以上のオレフィンはエチレン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、1,3-ブタジエンから選択される1種又は複数種である。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記C1~C4のアルカンは、メタン、エタン、プロパン、ノルマルブタン及びイソブタンから選択される1種又は複数種である。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記飽和アルカンは、エタン、プロパン、ノルマルブタン及びイソブタンから選択される1種又は複数種である。いくつかの実施例によれば、前記1本又は複数本の飽和アルカンに富む液相材料はエタンに富む液相材料を含む。前記1本又は複数本の飽和アルカンに富む液相材料はエタンに富む液相材料及びプロパンに富む液相材料を含む。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記ステップ(4)において、1本又は複数本のアルカンに富む液相ストリームを生成すると同時に、1本又は複数本のオレフィンに富む液相又は気相材料をさらに生成する。いくつかの実施例によれば、前記1本又は複数本のオレフィンに富む液相材料はエチレンに富む液相又は気相材料を含む。前記1本又は複数本のオレフィンに富む液相材料はエチレンに富む気相又は液相材料及びプロピレンに富む気相又は液相材料を含む。
【0026】
本発明において、用語「富む」とは、材料においてその成分のモル含有量が50%以上、例えば80%以上、90%以上、95%以上、98%以上、99%以上を占めることを意味する。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記吸収剤は、C3のアルカンを含有するC3留分、C4のアルカンを含有するC4留分、及びC5のアルカンを含有するC5留分である。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記C3のアルカンはノルマルプロパンであり、前記C4のアルカンはノルマルブタンであり、前記C5のアルカンはノルマルペンタン及びイソペンタンから選択される。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記分解の温度は500~850℃であり、好ましくは600~800℃である。前記分解ガスはオレフィン及びアルカンを含む。
【0030】
本願において、「飽和アルカン」と「アルカン」とは互いに交換することができる。本発明のいくつかの実施形態によれば、ステップ(1)において、前記C1~C4を含有する炭化水素系材料は2.0~5.0MPaに圧縮される。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記C1~C4を含有する炭化水素系材料は-40℃~20℃、例えば、5℃~20℃又は-40℃~-10℃に冷却される。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記ステップ(2)において、第1の吸収塔において、前記圧縮及び冷却後の炭化水素系材料を吸収剤と接触させ、塔頂から軽質成分を含有する気相ストリームを得て、塔釜から溶媒リッチ材料を得て、好ましくは、第1の吸収塔の理論段数は30~80であり、操作圧力は2.0~6.0MPaである。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記ステップ(3)において、前記吸収剤を第1の精留塔に送り込んで精留を行い、塔頂からオレフィン及び飽和アルカンを含有する気相材料を得て、塔釜から溶媒リーン材料を得る。ステップ(3)の目的は吸収剤を脱着することである。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記方法は、ステップ(3)の後に第1の精留塔の塔頂から得られたオレフィン及び飽和アルカンを含有する気相材料を浄化することにより、その中の酸性成分及び/又は水分を除去してから、浄化処理後の材料に対してステップ(4)を行うことをさらに含む。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記方法は、ステップ(1)における圧縮された炭化水素系材料を浄化することにより、その中の酸性成分及び/又は水分を除去してから、浄化処理後の材料を冷却することをさらに含む。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の精留塔の理論段数は20~60であり、操作圧力は1.0~4.0MPaである。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記ステップ(4)は、
前記オレフィン及び飽和アルカンを含有する気相材料を第2の精留塔に送り込んで精留を行い、塔頂からエタン及びエチレンを含有する第1のストリームを得て、塔釜からC3以上の炭化水素系を含有する第2のストリームを得て、前記第1のストリームを第3の精留塔に送り込んで精留を行い、サイドラインからエチレン製品ストリームを得て、塔頂からエチレンを含有する第3のストリームを得て、塔釜からエタンに富む第4のストリームを得ることを含む。
【0038】
任意選択的に、前記第1のストリームが第3の精留塔に入る前に第1の水素化反応器に送り込んで選択的水素化反応を行ってアルキン及び/又はアルカジエンを除去する。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第2の精留塔の理論段数は30~80であり、操作圧力は1.0~5.0MPaである。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第3の精留塔の理論段数は50~130であり、操作圧力は1.0~4.0MPaである。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記ステップ(4)は、
前記第2のストリームを第4の精留塔で精留し、塔頂からプロパン及びプロピレンを含有する第5のストリームを得て、塔釜から飽和アルカンに富む第6のストリームを得ることをさらに含む。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記第4の精留塔の理論段数は30~80であり、操作圧力は0.1~3.0MPaである。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記ステップ(4)は、
第5のストリームを第5の精留塔に送り込んで精留し、サイドラインからプロピレン製品ストリームを得て、塔頂からプロピレンを含有する第7のストリームを得て、塔釜からプロパンに富む第8のストリームを得ることをさらに含み、
任意選択的に、前記第5のストリームが第5の精留塔に入る前に第2の水素化反応器に送り込んで選択的水素化反応を行ってアルキン及び/又はアルカジエンを除去する。
任意選択的に、前記第7のストリームの一部又は全部をステップ(1)に循環する。
好ましくは、前記第5の精留塔の理論段数は100~200であり、操作圧力は1.0~4.0MPaである。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記第4のストリーム、第6のストリーム及び第8のストリームのうちの1本又は複数本は、好ましくは全てを分解し、分解ガスを生成する。これにより生成された分解ガスはオレフィン及びアルカンを含み、一部又は全部をステップ(1)に循環することにより、オレフィンの生産量を向上させることができるだけでなく、吸収剤の補充使用量を低減することもできる。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記ステップ(4)は、
第2のストリームを第5の精留塔で精留し、サイドラインからプロピレン製品ストリームを得て、塔頂からプロピレンを含有する第9のストリームを得て、塔釜から飽和アルカンに富む第10のストリームを得るステップと、
任意選択的に、前記第9のストリームの一部又は全部をステップ(1)に循環するステップと、
任意選択的に、前記第2のストリームが第5の精留塔に入る前に第3の水素化反応器に送り込んで選択的水素化反応を行ってアルキン及び/又はアルカジエンを除去するステップと、をさらに含む。
好ましくは、前記第5の精留塔の理論段数は100~200であり、操作圧力は1.0~4.0MPaである。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記第4のストリームと第6のストリームのうちの1本又は全てを分解し、分解ガスを生成する。これにより生成された分解ガスはオレフィン及びアルカンを含み、一部又は全部をステップ(1)に循環することにより、オレフィンの生産量を向上させることができるだけでなく、吸収剤の補充使用量を低減することもできる。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記溶媒リーン材料を循環吸収剤として第1の吸収塔に輸送する。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の吸収塔の塔頂からの前記軽質成分を含有する気相ストリームを第2の吸収塔に輸送してその中の再吸収剤と接触させることにより、持ち出された吸収剤及び第1の吸収塔中の吸収剤に吸収されていないC2炭化水素系を吸収する。好ましくは、前記再吸収剤はガソリン、重質ナフサ及び芳香族炭化水素残油から選択され、
好ましくは、前記第2の吸収塔の理論段数は15~60であり、操作圧力は1.0~5.0MPaである。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第2の吸収塔の塔頂から得られた排気ガスは境界領域外に排出され、塔釜から得られた液相材料は境界領域外に排出されるか又は他の処理を行う。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記他の処理は、第2の吸収塔の塔釜から得られた液相材料を第6の精留塔に送り込んで精留し、塔頂から得られた気相ストリームを第1の吸収塔に送り込んで循環吸収剤とし、塔釜から得られた液相ストリームを第2の吸収塔に送って循環再吸収剤とすることを含む。
【0051】
好ましくは、前記第6の精留塔の理論段数は10~50であり、操作圧力は0.1~2.0MPaである。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態によれば、第1の吸収塔の塔頂からの前記軽質成分を含有する気相ストリームに対して冷熱エネルギー回収(cold energy recovery)を行い、好ましくは冷熱エネルギー回収を冷熱エネルギー回収ユニットで行い、好ましくは、前記冷熱エネルギー回収ユニットは、コールドボックス、膨張機、増圧機及びフラッシュタンクを含む。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記軽質成分を含有する気相ストリームをコールドボックスを流れて降温させた後、膨張、フラッシュ蒸発を行うことにより、吸収されていないC2炭化水素系及び混入された吸収剤を回収し、C2炭化水素系を含有しない排気ガスを膨張機により駆動された増圧機により昇圧させた後に排出する。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記軽質成分を含有する気相ストリームはコールドボックスに入って-80℃~-35℃に冷却し、その後に膨張機によりガスを膨張させ、その後にフラッシュタンクに送ってフラッシュ蒸発し、フラッシュタンクの頂部のガスはコールドボックスに入り、その後に膨張機により駆動された増圧機により昇圧させた後に排出され、タンクの底部の液体は第1の吸収塔の頂部に戻される。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記分解ガスは、廃熱ボイラーにより熱量を回収した後、油洗浄塔及び/又は水洗浄塔に入り、次にステップ(1)に循環して圧縮する。
【0056】
本発明が提供する軽質炭化水素を分離するためのシステムは、
圧縮冷却ユニット、吸収ユニット、脱着ユニット、精留ユニット及び分解ユニットを含み、前記吸収ユニットはそれぞれ前記圧縮冷却ユニットと前記脱着ユニットに接続され、前記精留ユニットはそれぞれ前記脱着ユニットと前記分解ユニットに接続され、前記分解ユニットは前記圧縮冷却ユニットに接続される。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記圧縮冷却ユニットは圧縮機(2)及び熱交換器(3)を含み、前記吸収ユニットは第1の吸収塔(4)を含み、前記脱着ユニットは第1の精留塔(5)を含み、前記精留ユニットは第2の精留塔(6)及び第3の精留塔(8)を含み、前記分解ユニットは分解炉(14)を含む。
【0058】
本発明に用いられる分解炉の種類は特に限定されない。分解ガスはまず廃熱ボイラーに入って熱量を回収し、次に水洗浄塔により降温する。必要であれば、分解ステップにおいて油洗浄塔をさらに設置することができる。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記圧縮機(2)の出口は熱交換器(3)の入口に接続され、前記熱交換器(3)の出口は前記第1の吸収塔(4)の第1の入口に接続され、前記第1の吸収塔(4)の塔釜出口は前記第1の精留塔(5)の入口に接続され、前記第1の精留塔(5)の塔頂出口は前記第2の精留塔(6)の入口に接続される。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記第2の精留塔(6)の塔頂出口は第3の精留塔(8)の入口に接続され、前記第3の精留塔(8)の塔釜出口は前記分解炉(14)の第1の入口に接続され、任意選択的に、前記第2の精留塔(6)の塔頂と第3の精留塔(8)との間に第1の水素化反応器(7)が設置され、任意選択的に、前記第3の精留塔(8)の塔頂出口は前記圧縮機(2)の入口に接続される。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記精留ユニットはさらに第4の精留塔(9)を含み、ここで、前記第4の精留塔(9)の入口は前記第2の精留塔(6)の塔釜出口に接続され、前記第4の精留塔(9)の塔釜出口は前記分解炉(14)の第1の入口及び/又は第2の入口に接続される。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記精留ユニットはさらに第5の精留塔(11)を含み、ここで、前記第4の精留塔(9)の塔頂出口は前記第5の精留塔(11)の入口に接続され、前記第5の精留塔(11)と前記第4の精留塔(9)との間に任意選択的に第2の水素化反応器(10)が設置され、前記第5の精留塔の塔釜出口は前記分解炉の第1の入口及び/又は第2の入口及び/又は第3の入口に接続され、任意選択的に、前記第5の精留塔(11)の塔頂出口は前記圧縮機(2)の第1の入口に接続される。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記分解ユニットはさらに廃熱ボイラー(15)、及び油洗浄塔及び/又は水洗浄塔(16)を含み、ここで前記分解炉(14)の出口は前記廃熱ボイラー(15)の入口に接続され、前記廃熱ボイラー(15)の出口は前記油洗浄塔及び/又は水洗浄塔(16)の入口に接続され、前記油洗浄塔及び/又は水洗浄塔(16)の出口は前記圧縮機(2)の第1の入口及び/又は第2の入口に接続される。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記第1の吸収塔(4)の塔釜出口は前記第1の精留塔(5)の入口に接続され、前記第1の吸収塔(4)の塔頂出口は第2の吸収塔(12)の第1の入口に接続され、前記第2の吸収塔(12)の塔釜出口は任意選択的に第6の精留塔(13)の入口に接続される。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記第6の精留塔(13)の塔頂出口は前記第1の吸収塔(4)の第2の入口に接続され、前記第6の精留塔(13)の塔釜出口は前記第2の吸収塔(12)の第2の入口に接続される。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記第1の吸収塔(4)の塔釜出口は前記第1の精留塔(5)の入口に接続され、前記第1の吸収塔(4)の塔頂出口は冷熱エネルギー回収ユニットに接続される。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記冷熱エネルギー回収ユニットはコールドボックス(23)、膨張機(24)、フラッシュタンク(25)及び増圧機(26)を含み、ここで前記コールドボックスの第1の入口は前記第1の吸収塔(4)の塔頂出口に接続され、前記コールドボックスの第1の出口は膨張機の入口に接続され、前記膨張機の出口は前記フラッシュタンクの入口に接続され、前記フラッシュタンクの第1の出口は前記コールドボックスの第2の入口に接続され、前記コールドボックスの第2の出口は前記増圧機の入口に接続され、任意選択的に前記フラッシュタンクの第2の出口は前記第1の吸収塔の第2の入口に接続される。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態によれば、前記システムは、前記第1の精留塔と前記第2の精留塔との間に設置された浄化装置をさらに含み、第1の精留塔の塔頂からの材料中の酸性ガス及び/又は水分を除去するために用いられる。
【0069】
本発明の他の実施形態によれば、前記システムは、前記圧縮機と熱交換器との間に設置された浄化装置をさらに含み、圧縮機からの材料中の酸性ガス及び/又は水分を除去するために用いられる。
【0070】
第1の、第2の、第3の、第4の、第5の、第6の精留塔等を含む精留塔の入口は、一般的に塔体の側壁に設置され、好ましくは側壁の中部に設置される。
【0071】
第1の吸収塔及び第2の吸収塔の入口は、一般的に塔体の側壁に設置され、好ましくは側壁の上部に設置される。
【0072】
実施例1
図1に示すような分離方法を用いて、メタンの酸化カップリングによるエチレン製造における反応ガスを分離する。
プロセスフローは以下のとおりである。
メタン18及び酸素ガス又は酸素リッチガス17は、メタンの酸化カップリングによるエチレン製造用反応器1で反応した後、得られたOCM反応ガスは圧縮機2により段階的に圧力を上昇させ、さらに熱交換器3により冷却された後に吸収塔4に入る。吸収塔4の頂部のガスは再吸収塔12に送られ、吸収塔4の底部の材料は脱着塔5に入り、再吸収塔12の塔頂の排気ガス22は境界領域の外に送られ、塔釜のストリームはガソリン脱着塔13に送られ、脱着塔5の塔釜の貧溶媒は熱交換された後に吸収塔4に戻され、脱着塔5の塔頂から抽出された気相は脱エタン塔6に入り、脱エタン塔6の塔頂の材料はC2水素化反応器7により脱アルキンされた後にエチレン精留塔8に入り、エチレン精留塔8の塔頂の気相は圧縮機の段間に戻され、サイドラインからエチレン製品19を抽出し、塔釜の材料は分解炉14に送られ、脱エタン塔6の塔釜の材料は脱プロパン塔9に送られ、脱プロパン塔9の塔頂の材料はC3水素化反応器10により脱アルキンされた後にプロピレン精留塔11に入り、プロピレン精留塔11の塔頂の気相は圧縮機の段間に戻され、サイドラインからプロピレン製品20を抽出し、塔釜の材料は分解炉14に送られ、脱プロパン塔9の塔釜の材料はC4製品21として抽出され、分解炉14内で分解により得られた分解ガスは廃熱ボイラー15により熱量を回収し、油洗浄塔/水洗浄塔16に入り、次に圧縮機2の第1段の吸入タンクに送られる。
メタンの酸化カップリングによるエチレン製造用反応器の出口の成分は、表1に示すとおりである。
【0073】
【0074】
具体的な操作ステップは以下のとおりである。
(1)圧縮:OCM反応ガスは圧縮システムに送られ、5段階の圧縮を経て、圧力が4.2MPaに上昇する。
(2)冷却:昇圧後のOCM反応ガスを15℃に冷却した後に吸収塔4に入れる。
(3)吸収:吸収塔4の理論段数は55であり、操作圧力は3.8MPaである。使用される吸収溶剤はエーテルで処理されたC4(etherified C4)であり、吸収溶剤は吸収塔の塔頂から塔内に入り、OCM反応ガスは第30枚の塔板から入る。OCM反応ガス中のC2及びそれ以上の成分は溶媒に吸収され、塔釜から抽出され、塔頂はメタン、酸素ガス、CO等の軽質成分であり、少量の吸収剤が混入される。
(4)脱着:脱着塔5の理論段数は40であり、操作圧力は2.4MPaであり、操作温度は15℃程度である。脱着後の塔頂気相を浄化ユニットに送られ、塔釜の貧溶媒を段階的に熱交換した後に15℃まで冷却して吸収塔4に戻して循環使用する。
(5)浄化:アミン洗浄/アルカリ洗浄塔で脱酸性ガス処理を行った後、次に脱酸処理後のガスを乾燥する。
(6)脱エタン:浄化された材料は脱エタン塔に入り、脱エタン塔の理論段数は50であり、操作圧力は2.0MPaであり、操作温度は-20℃である。脱エタン塔6の塔頂から抽出されたエチレン及びエタンに富む材料は、C2水素化反応器に送られ、水素化によりその中のアセチレン等のアルキンを除去し、脱エタン塔の塔釜材料を脱プロパン塔に送る。
(7)エチレン精留:C2水素化反応器からの材料はエチレン精留塔8に入り、エチレン精留塔の理論段数は90であり、操作圧力は2.0MPaであり、操作温度は-35℃である。エチレン精留塔の塔頂気相を圧縮機の第4段の入口に戻し、サイドラインからエチレン製品を抽出し、塔釜材料を分解炉14に送る。
(8)脱プロパン:脱プロパン塔9の理論段数は40であり、操作圧力は0.7MPaであり、脱プロパン塔の操作温度は16℃である。脱プロパン塔の塔頂材料をC3水素化反応器に送り、その中のアルキン及び/又はアルカジエンを除去し、脱プロパン塔の塔釜材料をC4製品として抽出する。
(9)プロピレン精留:C3水素化反応器からの材料はプロピレン精留塔に入り、プロピレン精留塔の理論段数は160であり、操作圧力は1.7MPaであり、操作温度は40℃である。プロピレン精留塔の塔頂気相を圧縮機の第4段の入口に戻し、サイドラインからプロピレン製品を抽出し、塔釜材料は主にプロパンであり、分解炉に送られる。
(10)分解:ステップ(7)及び(9)からの塔釜材料は分解炉に入り、その中のエタン、プロパン、ノルマルブタン等のアルカンを分解し、分解炉の出口温度が850℃以下であり、材料が分解炉内に0.3秒以下滞留する。分解ガスはまず廃熱ボイラーにより熱量を回収し、次に水洗浄塔により温度を下げた後、圧縮機の第1段の入口に送られる。
(11)再吸収:吸収塔の塔頂からのガスは再吸収塔に入り、再吸収塔の理論段数は20であり、操作圧力は3.8MPaであり、再吸収剤は塔頂から入り、持ち出された吸収剤及び吸収されなかったC2成分を吸収し、再吸収塔の塔頂の排気ガスは境界領域外に送られ、塔釜ストリームはガソリン脱着塔に送られる。
(12)ガソリン脱着:再吸収塔からの塔釜ストリームはガソリン脱着塔に入り、ガソリン脱着塔の理論段数は好ましくは28であり、操作圧力は0.5MPaであり、操作温度は15℃である。ガソリン脱着塔の塔頂ガスは冷却された後に吸収塔に送られ、塔釜からガソリンリーン溶媒が得られ、降温された後、再吸収塔に戻される。
得られたエチレン製品の成分を表2に示し、エチレン製品の生産量を表12に示す。得られたプロピレン製品の成分を表3に示す。
【0075】
【0076】
本実施例において、エチレン製品の純度はポリマーグレードのエチレンの仕様要件に達し、プロピレン製品の純度は化学グレードのプロピレンの仕様要件に達し、エチレンの回収率は99.7%である。
本実施例を採用すると、分解炉の追加により、吸収塔に入るガスには分解ガスが含まれ、補充吸収剤の使用量を約22%低減することができ、具体的には、表6に示すとおりである。
【0077】
実施例2
図2に示すような分離方法を用いて、メタンの酸化カップリングによるエチレン製造における反応ガスを分離する。
プロセスフローは以下のとおりである。
メタン18及び酸素ガス又は酸素リッチガス17は、メタンの酸化カップリングによるエチレン製造用反応器1で反応した後、得られたOCM反応ガスは圧縮機2により段階的に圧力を上昇させ、さらに熱交換器3により冷却された後に吸収塔4に入る。吸収塔4の頂部のガスは再吸収塔12に送られ、吸収塔4の底部の材料は脱着塔5に入り、再吸収塔12の塔頂の排気ガス22は境界領域の外に送られ、塔釜のストリームはガソリン脱着塔13に送られ、脱着塔5の塔釜の貧溶媒は熱交換された後に吸収塔4に戻され、脱着塔5の塔頂から抽出された気相は脱エタン塔6に入り、脱エタン塔6の塔頂の材料はC2水素化反応器7により脱アルキンされた後にエチレン精留塔8に入り、エチレン精留塔8の塔頂の気相は圧縮機の段間に戻され、サイドラインからエチレン製品19を抽出し、塔釜の材料は分解炉14に送られ、脱エタン塔6の塔釜の材料は脱プロパン塔9に送られ、脱プロパン塔9の塔頂の材料はC3水素化反応器10により脱アルキンされた後にプロピレン精留塔11に入り、プロピレン精留塔11の塔頂の気相は圧縮機の段間に戻され、サイドラインからプロピレン製品20を抽出し、塔釜の材料は分解炉14に送られ、脱プロパン塔9の塔釜の材料は分解炉14に送られ、分解炉14内で分解により得られた分解ガスは廃熱ボイラー15により熱量を回収し、油洗浄塔/水洗浄塔16に入り、次に圧縮機2の第1段の吸入タンクに送られる。
具体的な操作ステップについては、本実施例と実施例1との相違点は、ノルマルブタンを吸収剤として選択すること、脱プロパン塔9の塔釜の材料も分解炉14に送られることである。
メタンの酸化カップリングによるエチレン製造用反応器の出口の成分は、表1に示すとおりである。
得られたエチレン製品の成分を表4に示し、エチレン製品の生産量を表12に示す。
【0078】
【0079】
得られたプロピレン製品の成分を表5に示す。
【0080】
【0081】
本実施例において、エチレン製品の純度はポリマーグレードのエチレンの仕様要件に達し、プロピレン製品の純度は化学グレードのプロピレンの仕様要件に達し、エチレンの回収率は99.5%である。
本実施例を採用すると、分解炉の追加により、吸収塔に入るガスには分解ガスが含まれ、補充吸収剤の使用量を約30%低減することができ、具体的には、表6に示すとおりである。
【0082】
比較例1
実施例2との相違点は、分解炉が設置されておらず、ステップ(7)、(8)及び(9)の塔釜の材料が境界領域外に排出されることのみである。
【0083】
【0084】
実施例1及び実施例2と比較例1との比較から、エチレン精留塔、プロピレン精留塔及び/又は脱プロパン塔を含む塔釜の材料を分解炉に送り込んで分解し、次に圧縮段に再循環することにより、同じエチレン回収率、同じ重質成分抽出量、及び類似する溶剤比である場合、補充吸収剤量はいずれも明らかに低下することがわかる。
同時に、吸収塔が一部のCO2を処理できるため、後続の脱炭素処理量を明らかに減少させることができ、具体的な結果は以下の表7に示すとおりである。
【0085】
【0086】
実施例3
図3に示すような分離方法を用いて、メタンの酸化カップリングによるエチレン製造における反応ガスを分離する。
プロセスフローは以下のとおりである。
酸素ガス又は酸素リッチガス17及びメタン18は、メタンの酸化カップリングによるエチレン製造用反応器1に入り、酸化カップリングの反応を行った後、得られたOCM反応ガスは圧縮機2により段階的に圧力を上昇させ、さらに熱交換器3により冷却された後に吸収塔4に入る。吸収塔4の頂部のガスはコールドボックス23により冷却され、その後に膨張機24に入りガスを膨張させ、その後にフラッシュタンク25に送られフラッシュ蒸発し、フラッシュタンク25の頂部の排気ガス22はコールドボックス23に入り、膨張機24により駆動された増圧機26により昇圧させた後に排出され、フラッシュタンク25の底部の液体は吸収塔4の頂部に戻される。吸収塔4の底部の材料は脱着塔5に入り、脱着塔5の塔釜の貧溶媒は熱交換され後に吸収塔4の頂部に戻され、脱着塔5の塔頂から抽出されたガスは脱エタン塔6に入り、脱エタン塔6の塔頂の材料はC2水素化反応器7を経過した後にエチレン精留塔8に入り、脱エタン塔6の塔釜の材料はC3水素化反応器10を経過した後にプロピレン精留塔11に入り、エチレン精留塔8のサイドラインからエチレン製品19を抽出し、塔頂のガスは圧縮機2の段間に戻され、塔釜のエタンは分解炉14に送られ、プロピレン精留塔11のサイドラインからプロピレン製品20を抽出し、塔頂のガスは圧縮機2の段間に戻され、塔釜のプロパンは分解炉14に送られる。分解炉14内で分解により得られた分解ガスは廃熱ボイラー15により熱量を回収し、油洗浄塔/水洗浄塔16に入り、次に圧縮機2の第1段の吸入タンクに送られる。
メタンの酸化カップリングによるエチレン製造用反応器の出口の成分は、表1に示すとおりである。
具体的には、以下のステップを含む。
(1)圧縮:OCM反応ガスは圧縮システムに送られ、3段階の圧縮を経て、圧力が1.0MPaに上昇し、その後にアミン洗浄塔に送られ浄化される。
(2)浄化:アミン洗浄塔で脱酸性ガス処理を行った後、OCM反応ガスを乾燥する。
(3)冷却:浄化処理後のガスを圧縮し続け、圧力を3MPaまで上昇させ、次に段階的に-35℃まで冷却した後に吸収塔に入れる。
(4)吸収:吸収塔の理論段数は55であり、操作圧力は2.7MPaであり、塔頂温度は-27℃である。使用される吸収溶剤はプロパンに富むC3留分であり、溶剤は吸収塔の塔頂から塔内に入り、OCM反応ガスは第30枚の塔板から入る。OCM反応ガス中のC2及びそれ以上の成分は溶媒に吸収され、塔釜から抽出され、塔頂はメタン、酸素ガス、CO等の軽質成分であり、少量の吸収剤が混入される。
(5)脱着:脱着塔の理論段数は30であり、操作圧力は2.2MPaである。脱着後の脱着塔の塔頂ガスは脱エタン塔に送られ、塔釜の貧溶媒は段階的に熱交換された後に-35℃に冷却され吸収塔に戻され循環使用される。
(6)脱エタン:脱エタン塔の理論段数は50であり、操作圧力は2.0MPaである。脱エタン塔の塔頂からエチレン及びエタンに富むC2成分を抽出し、塔釜からプロピレン及びプロパンに富むC3成分を抽出する。
(7)エチレン精留:エチレン精留塔の理論段数は90であり、操作圧力は2.0MPaである。脱エタン塔の塔頂からのガスはまずC2水素化反応器に送られてアルキンを除去し、次にエチレン精留塔に送られ、エチレン精留塔の塔頂ガスは圧縮機の第4段の入口に戻され、サイドラインからエチレン製品を抽出し、塔釜はエタンリッチ製品であり、分解炉に送られる。
(8)プロピレン精留:プロピレン精留塔の理論段数は140であり、操作圧力は1.7MPaである。脱エタン塔の塔釜からの材料はまずC3水素化反応器に送られアルキン、アルカジエンが除去され、次にプロピレン精留塔に送られ、プロピレン精留塔のサイドラインからプロピレン製品を抽出し、塔頂ガスは圧縮機の第4段の入口に戻され、塔釜はプロパンリッチ製品であり、分解炉に送られる。
(9)分解:ステップ(7)で得られたエタンリッチ製品及びステップ(8)で得られたプロパンリッチ製品は分解炉に送られ、分解温度は850℃以下であり、滞留時間は0.3秒以下である。得られた分解ガスはまず廃熱ボイラーにより熱量を回収し、次に油洗浄塔/水洗浄塔により降温し、次に圧縮機の第1段の吸入タンクに送られる。
(10)冷熱エネルギー回収:吸収塔の塔頂の吸収されなかったガスをコールドボックスに入れて温度を-45℃に下げ、次にフラッシュタンクに入れてフラッシュ蒸発し、フラッシュタンクの底部の液体を吸収塔の頂部に戻し、頂部のメタン、酸素ガス、CO等の成分に富む排気ガスをコールドボックスに入れ、膨張機により駆動された増圧機により昇圧させた後に排出する。
得られたエチレン製品の成分を表8に示し、エチレン製品の生産量を表12に示す。
【0087】
【0088】
得られたプロピレン製品の成分を表9に示す。
【0089】
【0090】
実施例4
図4に示すような分離方法を用いて、メタンの酸化カップリングによるエチレン製造における反応ガスを分離する。
メタンの酸化カップリングによるエチレン製造用反応器の出口の成分は、表1に示すとおりである。
具体的には、以下のステップを含む。
(1)圧縮:OCM反応ガスは圧縮システムに送られ、3段階の圧縮を経て、圧力が1.0MPaに上昇し、その後にアミン洗浄塔に送られ浄化される。
(2)浄化:アミン洗浄塔で脱酸性ガス処理を行った後、OCM反応ガスを乾燥する。
(3)冷却:浄化処理後のガスを圧縮し続け、圧力を3MPaまで上昇させ、次に段階的に-35℃まで冷却した後に吸収塔に入れる。
(4)吸収:吸収塔の理論段数は55であり、操作圧力は2.7MPaであり、塔頂温度は-27℃である。使用される吸収溶剤はノルマルブタンであり、溶剤は吸収塔の塔頂から塔内に入り、OCM反応ガスは第30枚の塔板から入る。OCM反応ガス中のC2及びそれ以上の成分は溶媒に吸収され、塔釜から抽出され、塔頂はメタン、酸素ガス、CO等の軽質成分であり、少量の吸収剤が混入される。
(5)脱着:脱着塔の理論段数は30であり、操作圧力は2.2MPaである。脱着後の脱着塔の塔頂ガスは脱エタン塔に送られ、塔釜の貧溶媒は段階的に熱交換された後に-35℃に冷却され吸収塔に戻され循環使用される。
(6)脱エタン:脱エタン塔の理論段数は50であり、操作圧力は2.0MPaである。脱エタン塔の塔頂からエチレン及びエタンに富むC2成分を抽出し、塔釜からプロピレン及びプロパンに富むC3成分を抽出する。
(7)エチレン精留:エチレン精留塔の理論段数は90であり、操作圧力は2.0MPaである。脱エタン塔の塔頂からのガスはまずC2水素化反応器に送られてアルキンを除去し、次にエチレン精留塔に送られ、エチレン精留塔の塔頂ガスは圧縮機の第4段の入口に戻され、サイドラインからエチレン製品を抽出し、塔釜はエタンリッチ製品であり、分解炉に送られる。
(8)脱プロパン:脱プロパン塔の理論段数は40であり、操作圧力は0.7MPaである。脱プロパン塔の塔頂材料はC3水素化反応器に送られ、その中のアルキン及び/又はアルカジエンが除去され、脱プロパン塔の塔釜材料はC4リッチ製品であり、分解炉に送られる。
(9)プロピレン精留:C3水素化反応器からの材料はプロピレン精留塔に入り、プロピレン精留塔の理論段数は160であり、操作圧力は1.7MPaである。プロピレン精留塔の塔頂気相は圧縮機の第4段の入口に戻され、サイドラインからプロピレン製品を抽出し、塔釜材料は主にプロパンリッチ製品であり、分解炉に送られる。
(10)分解:ステップ(7)で得られたエタンリッチ製品、ステップ(8)で得られたC4リッチ製品、及びステップ(9)で得られたプロパンリッチ製品は分解炉に送られ、得られた分解ガスはまず廃熱ボイラーにより熱量を回収し、次に油洗浄塔/水洗浄塔により降温し、次に圧縮機の第1段の吸入タンクに送られる。
(11)冷熱エネルギー回収:吸収塔の塔頂の吸収されなかったガスをコールドボックスに入れて温度を-45℃に下げ、次にフラッシュタンクに入れてフラッシュ蒸発し、フラッシュタンクの底部の液体を吸収塔の頂部に戻し、頂部のメタン、酸素ガス、CO等の成分に富む排気ガスをコールドボックスに入れ、膨張機により駆動された増圧機により昇圧させた後に排出する。
得られたエチレン製品の成分を表10に示し、エチレン製品の生産量を表12に示す。
【0091】
【0092】
得られたプロピレン製品の成分を表11に示す。
【0093】
【0094】
実施例4において、補充する必要がある吸収剤の量は2887Kg/hであり、エチレンの回収率は99.9%である。
【0095】
比較例2
実施例4との相違点は、分解炉が設置されておらず、ステップ(7)で得られたエタンリッチ製品、ステップ(8)で得られたC4リッチ製品、及びステップ(9)で得られたプロパンリッチ製品が境界領域外に排出されることのみである。
比較例2において、補充する必要がある吸収剤の量は3654Kg/hである。
比較例2に比べて、実施例4では補充する必要がある吸収剤の使用量は21%減少する。
【0096】
【0097】
以上に記載の実施例は本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではないことに留意されたい。規定に応じて本発明の請求の範囲内に本発明を変更したり、本発明の範囲及び精神から逸脱しない範囲内に本発明を修正したりすることができる。ここで説明された本発明は特定の方法、材料及び実施例に関するが、本発明がその中に開示された特定の例に限定されることを意味するものではなく、逆に、本発明は他の全ての同じ機能を有する方法及び応用に拡張することができる。
【符号の説明】
【0098】
1:メタンの酸化カップリングによるエチレン製造用反応器、2:圧縮機、3:熱交換器、4:第1の吸収塔(吸収塔と呼ぶことができる)、5:第1の精留塔(脱着塔と呼ぶことができる)、6:第2の精留塔(脱エタン塔と呼ぶことができる)、7:第1の水素化反応器(C2水素化反応器と呼ぶことができる)、8:第3の精留塔(エチレン精留塔と呼ぶことができる)、9:第4の精留塔(脱プロパン塔と呼ぶことができる)、10:第2の水素化反応器(C3水素化反応器と呼ぶことができる)、11:第5の精留塔(プロピレン精留塔と呼ぶことができる)、12:第2の吸収塔(再吸収塔と呼ぶことができる)、13:第6の精留塔(ガソリン脱着塔と呼ぶことができる)、14:分解炉、15:廃熱ボイラー、16:油洗浄塔/水洗浄塔、17:酸素ガス又は酸素リッチガス、18:メタン、19:エチレン製品、20:プロピレン製品、21:C4製品、22:排気ガス、23:コールドボックス、24:膨張機、25:フラッシュタンク、26:増圧機
【国際調査報告】