(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-24
(54)【発明の名称】生理学的流体中の循環ケトン体のレベル上昇の測定
(51)【国際特許分類】
A61B 5/145 20060101AFI20220117BHJP
【FI】
A61B5/145
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021522344
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(85)【翻訳文提出日】2021-06-16
(86)【国際出願番号】 US2019064437
(87)【国際公開番号】W WO2020117918
(87)【国際公開日】2020-06-11
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521168782
【氏名又は名称】バイオリンク,インク.
【氏名又は名称原語表記】BIOLINQ,INC.
【住所又は居所原語表記】4535 Towne Centre Court,Suite 200,San Diego,California 92121 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィンドミラー,ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】タングニー,ジャレッド
(72)【発明者】
【氏名】ペイサー,トーマス アーノルド
(72)【発明者】
【氏名】シェルンド,ジョン
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK10
4C038KL01
4C038KL07
4C038KL09
4C038KX01
(57)【要約】
ケトアシドーシスは、生命を脅かす続発症を回避するために迅速な介入を必要とする医学的緊急事態である。着用者の生理学的流体中を循環するケトン化合物のレベルを測定するように構成され、循環ケトン化合物のレベルが所定のレベル又は変化率を超えている場合に着用者への警告を生成することの可能な身体装着型センサ(50)が本明細書に開示される。センサ(50)は、好ましくは、電気化学センサ、光学センサ、ガルバニックセンサ、ボルタンメトリックセンサ、アンペロメトリックセンサ、ポテンショメトリックセンサ、インピーダンスセンサ、抵抗センサ、静電容量センサ、超音波センサ、ラジオ周波数センサ、又はマイクロ波センサのうちの少なくとも1つを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の生理学的流体中を循環するケトン化合物のレベルを測定するように構成され、前記循環ケトン化合物のレベルが所定のレベル又は変化率を超えている場合に前記着用者への警告を生成することが可能である、身体装着型センサ。
【請求項2】
前記センサは、電気化学センサ、光学センサ、ガルバニックセンサ、ボルタンメトリックセンサ、アンペロメトリックセンサ、ポテンショメトリックセンサ、インピーダンスセンサ、抵抗センサ、静電容量センサ、超音波センサ、ラジオ周波数センサ、又はマイクロ波センサのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ケトン化合物は、アセトン、アセト酢酸、又はβ-ヒドロキシ酪酸のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記生理学的流体は、血液、血清、血漿、間質液、皮膚間質液、細胞外液、細胞内液、又は脳脊髄液のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記センサは、前記着用者の生理学的流体中を循環するグルコースを測定するように更に構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記警告は、視覚通知、可聴通知、触覚通知、又はテキスト通知のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記所定のレベルは、閾値、臨床的ケトーシスを示す値、臨床的ケトアシドーシスを示す値、代謝性ケトーシスを示す値、糖尿病性ケトアシドーシスを示す値、代謝性ケトアシドーシスを示す値、又は栄養性ケトーシスを示す値を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記変化率は、微分値又は勾配値を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
着用者の生理学的流体中を循環するケトン化合物のレベルを測定するように構成され、前記生理学的流体中を循環する前記ケトン化合物の持続的な又は準持続的な読み取り値を前記着用者に表示することが可能である、身体装着型センサ。
【請求項10】
前記センサは、電気化学センサ、光学センサ、ガルバニックセンサ、ボルタンメトリックセンサ、アンペロメトリックセンサ、ポテンショメトリックセンサ、インピーダンスセンサ、抵抗センサ、静電容量センサ、超音波センサ、ラジオ周波数センサ、又はマイクロ波センサのうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ケトン化合物は、アセトン、アセト酢酸、及びβ-ヒドロキシ酪酸のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記生理学的流体は、血液、血清、血漿、間質液、皮膚間質液、細胞外液、細胞内液、又は脳脊髄液のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記センサは、前記着用者の生理学的流体中を循環するグルコースを測定するように更に構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記読み取り値は、数値、テキスト通知、及び記号通知のうちの少なくとも1つである、請求項9に記載の装置。
【請求項15】
身体装着型センサの着用者への警告を生成する方法であって、前記警告は、ケトン化合物が増加した代謝状態を示す、方法。
【請求項16】
前記警告は、視覚通知、可聴通知、触覚通知、又はテキスト通知のうちの少なくとも1つである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ウェアラブル装置は、皮膚透過センサ、経皮センサ、皮膚内部センサ、皮内センサ、皮膚直下センサ、又は皮下センサのうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記センサは、光学的、電気的、又は電気化学的手段によって動作する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記代謝状態は、ベースラインの健康状態、正常な健康状態、ケトーシスの状態、又はケトアシドーシスの状態を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記ケトン化合物は、アセトン、アセト酢酸、又はβ-ヒドロキシ酪酸のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
生理学的流体中の循環ケトン体のレベル上昇を測定するための方法であって、
電気化学センサ、光学センサ、ガルバニックセンサ、ボルタンメトリックセンサ、アンペロメトリックセンサ、ポテンショメトリックセンサ、インピーダンスセンサ、抵抗センサ、静電容量センサ、超音波センサ、ラジオ周波数センサ、又はマイクロ波センサのうちの1つを含む身体装着型センサ装置の着用者の生理学的流体中を循環するケトン化合物の濃度を測定することと、
前記測定値を前記身体装着型装置のメモリに格納することと、前記濃度のレベルが所定のレベル、閾値、又は以前の測定値からの変化率を超えているか否かを判定することと、
前記濃度レベルが所定のレベル、閾値、又は以前の測定値からの変化率を超えている場合に警告を生成することと、を含む、方法。
【請求項22】
前記生理学的流体は、血液、血清、血漿、間質液、皮膚間質液、細胞外液、細胞内液及び脳脊髄液のうちの少なくとも1つを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記身体装着型センサ装置はプロセッサを更に備える、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記身体装着型センサ装置の前記プロセッサは、前記着用者の生理学的流体中を循環するグルコースを測定するように更に構成さていれる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記身体装着型センサ装置は、前記警告を生成するように構成されている、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記警告は、視覚通知、可聴通知、触覚通知、又はテキスト通知のうちの少なくとも1つである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記身体装着型センサ装置は無線トランシーバを更に備える、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記身体装着型センサ装置はグラフィカルユーザディスプレイを更に備える、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
前記身体装着型センサ装置は、皮膚透過センサ、経皮センサ、皮膚内部センサ、皮内センサ、皮膚直下センサ、又は皮下センサのうちの少なくとも1つを更に備える、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記警告は、ケトン化合物が増加した代謝状態を示す、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
糖尿病を有する人に対して、前記人にケトンレベルの上昇及び/又は上昇のリスクの増加を知らせ、前記人に糖尿病性ケトアシドーシスへの進行を予防するための治療の必要性を警告する警報を生成する方法であって、
前記人の生理学的流体中のケトンレベルの持続的かつ自律的な検出のためにセンサを利用することであって、前記センサは、別の分析物の前記持続的な測定を主な目的とする身体装着型要素に組み込まれている、ことと、
前記ケトンレベルが所定の閾値を超えている場合に警告を生成することと、を含む、方法。
【請求項32】
ケトン及びグルコースの同時測定値が、皮下脂肪組織センサ内の前記身体装着型要素からのものである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ケトン及びグルコースの同時測定値が、皮内センサ内の前記身体装着型要素からのものである、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
複数のグルコース読み取り値の各々が前記人への表示に持続的に更新され、複数のケトン読み取り値の各々が、持続的に監視されるが、前記ユーザに要求に応じて、又は前記値が所定の閾値を超えている場合にのみ表示される、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記警告が、可聴警告もしくは触覚警告であるか、又は前記警告が、複数のクラウドベースの通知を含む遠隔監視を使用して指定された介護者に送信される、請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の技術は、ユーザの生理学的流体中の循環ケトン体レベルの皮膚装着型分析物選択的センサを使用した測定によってユーザへの実行可能な警告を生成するための装置及び方法を含む。
【背景技術】
【0002】
脂肪酸の過剰消費中に肝臓から産生される水溶性分子であるケトン体は、糖新生、すなわち非炭水化物源からのグルコース(身体の主要なエネルギー源)の産生におけるエネルギー代謝の正常な副産物である。健康な個体では、循環ケトンレベルは典型的には低いが、低食物摂取(絶食)、低炭水化物消費、飢餓、長時間の激しい運動、又は高アルコール摂取中には、肝臓のグリコーゲン貯蔵が枯渇するのに伴ってケトン体のレベルが上昇する場合がある。これは通常、ケトーシスと呼ばれ、比較的無害であり、近年の一連の研究では、食事療法及び運動によるケトジェニックな生活習慣が有益である可能性が示唆されている。しかしながら、1型糖尿病を有する個体では、インスリンの不足に起因してしばしば生じるケトンレベルの上昇が脂肪酸合成を誘発し、その結果、循環ケトン体レベルの急激な上昇を引き起こす可能性がある。この代謝経路は、糖尿病性ケトアシドーシス(diabetic ketoacidosis:DKA)として知られる生命を脅かす危険性のある状態を引き起こすおそれがある。DKAは、初診の糖尿病患者にしばしば存在し、死亡の主な原因である。診断済みの1型糖尿病患者では、DKAは、インスリン服用の不注意な省略、インスリンポンプセットの詰まり、又は自動インスリン送達システムによるインスリン懸濁液の長期間にわたる投与のいずれかに起因する急性インスリン不足からも生じ得る。合併症も、DKA発症の寄与因子となり得る。DKA症状の発現は、重篤な状態となるまで完全には明らかにならず、この段階になると、過度の脱水、頻脈、低血圧、脳浮腫、及び昏睡をしばしば含むDKA合併症を回避するために入院が必要となる。DKAは、1型糖尿病の小児の入院、病的状態及び死亡の主な原因である。
【0003】
従来技術の解決策は、それぞれ比色検出法又は電気化学検出法のいずれかによる尿又は毛細管血中のケトン体の時間的に離散した又は一時的な測定に関するものであった。比色法は、非侵襲的ではあるが、大部分が定性的であり、また、試験片をカラーチャートと比較して、サンプル、典型的には尿中に存在するケトン体の相対的な範囲を判定することを必要とする。一方、電気化学法はやや侵襲的であり、ハンドヘルド測定器と組み合わせると定量的であるものの、指穿刺毛細管血液サンプルを必要とする。ケトン体(典型的には、揮発性の高いアセトン)を呼気分析するより新しい方法が、分析物選択的ガスセンサ又は燃料電池を内蔵したハンドヘルド機器によって可能になっている。これらのシステムは、操作が簡単であり、呼気中のケトンレベルの定量的な読み出しを実現することができるが、食物摂取及び口腔衛生から生じる干渉を含む多くの誤差源を生じやすい。より包括的には、現在のケトン測定方法は、サンプルを単離するためにユーザの行動を必要とする、単一時点での純粋に一時的な測定である。したがって、このようなシステムは、これらのプラットフォームを使用して持続的な、準持続的な、又はオンラインでの監視を行うことはできないために、警告を生成することができない。換言すれば、従来技術は、ユーザがケトアシドーシスのリスクがあることを認識し、利用可能な方法で積極的に測定を行うことを必要とする。多くの状況下では、このアプローチは実用的ではなく、医師の往診、緊急治療室への搬送又は入院の必要性を排除するための十分にタイムリーな測定をユーザに提供することができない。特にDKAに関連する症状が容易に明らかにならない場合、ケトンを検知する受動的かつ自動化された方法が好ましい。
【0004】
従来技術の製品には、以下が含まれる:尿ケトン測定のための比色試験片(
図3):Ketostix(登録商標)Reagent Strips for Urinalysis(レバークーゼン、ドイツのBayer Healthcare);毛細管血ケトン測定のための電気化学検査ストリップ;Precision Xtra(登録商標)Blood Ketone Test Strips(
図4)と組み合わせて使用することが意図されているPrecision Xtra(登録商標)Blood Glucose&Ketone Monitoring System(イリノイ州レイクグラフのAbbott Laboratories);StatStrip Ketone Test Stripsと組み合わせて使用することが意図されているStatStrip(登録商標)Glucose/Ketone Connectivity Meter(マサチューセッツ州ウォルサムのNova Biomedical)と組み合わせて使用することが意図されているnova Max(登録商標)Plus Blood Glucose Monitoring System(マサチューセッツ州ビレリカのNova Diabetes Care);StatStrip Ketone Test Stripと組み合わせて使用することが意図されているStatStrip Glucose/Ketone Xpress 2(登録商標)Meter(マサチューセッツ州ウォルサムのNova Biomedical);Keto-mojo Ketone Test Stripsと組み合わせて使用することが意図されているKeto-mojo(登録商標)Ketone Meter(カリフォルニア州ナパのKeto-mojo);FORA 6(登録商標)Connect Blood β-Ketone Test Stripsと組み合わせて使用することが意図されているFORA 6(登録商標)Connect Blood Glucose and β-Ketone Monitoring System(カリフォルニア州モーパークのForaCare Inc);STAT-Site(登録商標)M β-HB Test Stripsと組み合わせて使用することが意図されているSTAT-Site(登録商標)M Beta-Hydroxybutyrate(BHB)Analyzer(英国カーディフのEKF Diagnostics);ケトン測定用呼気分析器;Ketonix(登録商標)Breath Ketone Analyzer(スウェーデン、ストックホルムのKetonix AB)(
図5);LEVLhome(登録商標)又はLEVLpro(登録商標)装置(ワシントン州シアトルのMedamonitor LLC)。
【0005】
一先行技術特許は、「Systems And Methods For Multiple Analyte Analysis」と題する、Gerberらによる特許文献1であり、複数の分析物分析のためのシステム及び方法を開示している。一実施形態では、方法が、サンプル中の第1及び第2の分析物の濃度を測定することを含む。第1及び第2の分析物は、例えば、グルコース及びヒドロキシブチラートであってもよい。この形態では、ヒドロキシブチラートの濃度が所定の値を超えているという判定に応答して、測定されたヒドロキシブチラートの濃度に関する表示が提供される。この形態の更なる一態様では、測定されたグルコース濃度を表す定量的表示が、測定されたグルコース濃度の値にかかわらず自動的に提供される。別の一実施形態では、システムが、サンプル中の第1及び第2の分析物を評価するために検査要素と相互作用するように構成された計測器を含む。更なる実施形態、形態、目的、特徴、利点、態様、及び利点は、説明及び図面から明らかである。
【0006】
別の先行技術特許文献は、「Device For Determining Fat Expenditure From Ketone Bodies That Have Passed The Skin And Methods For Determining The Same」と題する、Deturkによる特許文献2であり、第1及び第2の開口部と、第1の表面及び第2の表面を有する第1の半透膜と、第3及び第4の表面を有する第2の半透膜と、ケトン体センサと、空隙とを有する検知装置を開示している。第1の開口部は第1の表面に並設され、第2の開口部は第3の表面に並設されている。第1の開口部と第2の開口部との間の空間は空隙であり、ケトン体センサは空隙内に配置される。気体が第1の開口部を通って空隙に浸透してセンサに接触し、第2の開口部を通って空隙から出ることができる。
【0007】
別の先行技術特許文献は、「Methods for Analyte Monitoring Management And Analyte Measurement Data Management,and Articles of Manufacture Related Thereto」と題する、Croutherらによる特許文献3であり、分析物監視管理の方法及びそれに関連する製造品を一般的に開示している。この方法は、分析物測定データを受信するステップと、健康関連パラメータについて分析物測定データを分析するステップとを含む。分析に基づいて、治療プログラムを作成又は修正するための推奨が決定され、ユーザが治療プログラムを作成又は修正することを可能にするユーザインターフェース内で提供される。更に、分析物測定データを管理する方法及びそれに関連する製造品が一般的に提供される。この方法は、ある期間にわたって収集されたデータを表す分析物測定データを受信するステップと、その期間内の分析物エピソードについて分析物測定データを分析するステップとを含む。閾値ベースのエピソード及び/又は変化率ベースのエピソードを測定してもよい。
【0008】
別の先行技術特許文献は、「Ketone Measurement System and Related Method with Accuracy and Reporting Enhancement Features」と題する、Ahmadによる特許文献4であり、携帯型ケトン測定装置がユーザの呼気サンプル又は他の体液サンプル中のケトンレベルを測定し、ケトン測定値をユーザのスマートフォン又は他のモバイル装置上で動作するアプリケーションに送信することを開示している。アプリケーションは、リモートサーバと通信し、測定値をリモートサーバに報告することができる。システムの1つ以上の構成要素(例えば、携帯型ケトン測定装置、モバイルアプリケーション、及び/又はサーバ)は、必要に応じてケトン測定値を調整して、例えば、ユーザの年齢、ユーザの医学的状態、欠けている投薬事象、又は中断された睡眠事象から生じるケトンの変動を補償することができる。幾つかのシナリオでは、アプリケーションは、認証がサーバから受信されるまでユーザへのケトン測定値の表示を保留してもよい。
【0009】
別の先行技術特許文献は、「Systems,Devices,and Methods for Wellness and Nutrition Monitoring and Management using Analyte Data」と題する特許文献5であり、インビボ分析物センサからの分析物データを使用して個人の健康及び栄養を監視及び管理するためのシステム、装置及び方法を開示している。一般に、センサ制御装置が身体への装着用に設けられる。センサ制御装置は、体液中の分析物レベルを測定するためのインビボ分析物センサと、対象の身体活動レベルを測定するための加速度計と、リーダ装置にデータを無線送信するための通信回路と、を含むことができる。更に、この明細書には、分析物測定基準をリーダ装置上に表示し、様々な食品及び/又は食事の分析物応答を比較し、分析物測定基準及び身体活動レベル測定値に基づいて毎日の栄養推奨を変更するための様々なグラフィカルユーザインターフェース並びに他のこの明細書に記載の特徴の実施形態が開示されている。更に、この明細書に開示される実施形態は、様々なタイプの分析物を監視するために使用することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書に記載の技術は、ユーザの生理学的流体中の循環ケトン体レベルの皮膚装着型分析物選択的センサを使用した持続的な測定によってユーザへの実行可能な警告を生成するための装置及び方法を含む。
【0011】
本発明の一態様は、着用者の生理学的流体中を循環するケトン化合物のレベルを測定するように構成され、この循環ケトン化合物のレベルが所定のレベル又は変化率を超えている場合に着用者への警告を生成することの可能な身体装着型センサである。
【0012】
本発明の別の一態様は、着用者の生理学的流体中を循環するケトン化合物のレベルを測定するように構成され、この生理学的流体中を循環するこのケトン化合物の持続的な又は準持続的な読み取り値をこの着用者に表示することの可能な身体装着型センサである。
【0013】
本発明の更に別の一態様は、身体装着型センサの着用者への警告を生成する方法であり、この警告は、ケトン化合物が増加した代謝状態を示す。
【0014】
本発明の更に別の一態様は、生理学的流体中の循環ケトン体のレベル上昇を測定する方法である。この方法は、電気化学センサ、光学センサ、ガルバニックセンサ、ボルタンメトリックセンサ、アンペロメトリックセンサ、ポテンショメトリックセンサ、インピーダンスセンサ、抵抗センサ、静電容量センサ、超音波センサ、ラジオ周波数センサ、及びマイクロ波センサのうちの1つを含む身体装着型センサ装置の着用者の生理学的流体中を循環するケトン化合物の濃度を測定することを含む。この方法はまた、測定値を身体装着型装置のメモリに格納することを含む。この方法はまた、濃度レベルが所定のレベル、閾値、又は以前の測定値からの変化率を超えるか否かを判定することを含む。この方法はまた、濃度レベルが所定のレベル、閾値、又は以前の測定値からの変化率を超える場合に、警告を生成することを含む。
【0015】
センサは、好ましくは、電気化学センサ、光学センサ、ガルバニックセンサ、ボルタンメトリックセンサ、アンペロメトリックセンサ、ポテンショメトリックセンサ、インピーダンスセンサ、抵抗センサ、静電容量センサ、超音波センサ、高周波センサ、及びマイクロ波センサのうちの少なくとも1つを含む。
【0016】
本発明の更に別の一態様は、ケトン化合物の存在を物理的に定量可能な信号に変換するために、酵素などの生体認識要素をセンサに組み込むことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】着用者の生理学的流体中を循環するケトン化合物のレベルを測定するように構成された例示的な身体装着型センサの図であり、この身体装着型センサからの無線読み出しを受信するように構成された着用者のスマートフォンが、着用者への警告を表示している。
【0018】
【
図2】3つのケトン体産生物、すなわち、アセトン、アセト酢酸塩及びD-β-ヒドロキシ酪酸塩を図示した脂肪酸合成代謝経路の概略図である。
【0019】
【
図3】従来技術の使い捨て比色試験ストリップの手段による尿中のケトン体検出を図示したものである。
【0020】
【
図4】使い捨て電気化学試験ストリップの手段による指穿刺毛細管血液サンプル中のケトン体の従来技術の定量化を図示したものである。
【0021】
【
図5】従来技術のハンドヘルド肺活量計による呼気中のケトン体の定量化を図示したものである。
【0022】
【
図6】生理学的流体中の様々な分析物の化学的又は生化学的定量化を容易にするための皮膚貫通電気化学センサの機能化に関与する主要な構成要素を示すブロック図である。
【0023】
【
図7】生理学的流体中を循環する1つ以上のケトン化合物の読み取りに基づく身体装着型センサの着用者への警告の生成に関与する主要な構成要素を示すプロセスフロー図である。
【0024】
【
図8】マイクロニードルベースのバイオセンサ装置と直接インターフェースするように設計されたプロトタイプのウェアラブル装置エンクロージャに含まれる電子回路を示す。
【0025】
【
図9】マイクロニードルベースのバイオセンサ装置と直接インターフェースするように設計されたプロトタイプのウェアラブル装置エンクロージャに含まれる電子回路の別の図を示す。
【0026】
【
図10】ハウジングの視認可能な表面上に配置された金メッキされた圧力コネクタを介してマイクロニードル装置にアクセスする密封ハウジングに収容された電子回路を示す。
【0027】
【
図11】約1000μmの垂直範囲を有する複数の突起を含む皮膚貫通中空マイクロニードルアレイを示し、マイクロニードルアレイの各要素は、選択的バイオセンシング能力を付与するように機能化されている。
【0028】
【
図12A】中空の機能化されていないマイクロニードルアレイを示す。
【0029】
【
図12B】選択的バイオセンシング能力を有する中空の 「充填された」 機能化マイクロニードルアレイを示す。
【0030】
【
図13】マイクロニードルバイオセンサと、生化学信号を内蔵無線トランシーバを介して外部装置に無線送信可能なデジタルデータに変換するのに必要な電子回路を含むプリント回路基板と、を含む全ての機能構成要素を図示した、完全なマイクロニードルバイオセンシングシステムの分解図レンダリングを示す。
【0031】
【
図13A】
図13のマイクロニードルバイオセンサ構成要素の分離拡大図である。
【0032】
【
図14】電子バックボーン(突出部)及び接着剤パッチを含むウェアラブルマイクロニードルバイオセンシングシステムの別の図を示し、マイクロニードルは接着剤パッチ(図示せず)の後面に位置する。
【0033】
【
図15】マイクロニードルベースのバイオセンシングシステムの電子部品ハウジング構成要素及びマイクロニードルアレイを含む皮膚装着型接着剤パッチの後面図を示す。
【0034】
【
図16】マイクロニードルベースのバイオセンシングシステム及びサポート電子システムの主要な機能構成要素を示す詳細なブロック/プロセスフロー図を示す。
【0035】
【
図17】スタンドアロン型ポテンショスタット集積回路の回路図である。
【0036】
【
図18】多部品ポテンショスタットの回路図である。
【0037】
【0038】
【0039】
【
図21】統合アナログフロントエンド及びセンサインターフェースの回路図である。
【0040】
【
図22】ミラー型差動増幅器及びフィルタリングの回路図である。
【0041】
【0042】
【
図24】デジタルポテンショメータ調整式ミラー型計装増幅器の回路図である。
【0043】
【
図25】大型フォームファクタのハンドヘルド分析計の図である。
【0044】
【
図26】小型フォームファクタのハンドヘルド分析計の図である。
【0045】
【
図27】サンプルアルゴリズムのブロック図である。
【0046】
【
図28】小型フォームファクタのハンドヘルド分析計の図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
健康な個体では、循環ケトンレベルは、典型的には0.5ミリモル(「mM」)をはるかに下回る。ケトンレベルのわずかな上昇(すなわち、0.5~1mM)は、典型的には、絶食又は低炭水化物食を行った際に、肝臓がその脂肪蓄積をエネルギーに変換するために除去した結果として通常に起こるケトーシスの徴候である。健康な個体がケトアシドーシス(1mMを上回ると、ケトン体レベルの極度の上昇による血液の酸性化を引き起こす)のリスクに直面することは非常にまれである。グルコースが細胞に入って細胞にエネルギーを供給することを可能にするインスリンが欠乏すると、身体は肝臓中の遊離脂肪酸からエネルギーを除去し、ケトン体の過剰な生成及びこれに続く血液の酸性化を引き起こし、酸/塩基の恒常性を破壊する。糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)の死亡率は2~10%であり、生命を脅かす糖尿病の代謝合併症である。DKAは通常、インスリンの不十分な投与、不十分な炭水化物摂取及び投与されたインスリンへの反応を含む、長期間にわたる高血糖状態及び全体的に不十分な血糖管理によって発現する。糖尿病性ケトアシドーシスのリスクは、合併症によって増大する。例えば、胃腸炎は、インスリン依存性糖尿病の患者におけるDKAの一般的な前兆であるが、その複数の原因の中には、病気で食べることができないならば、インスリン摂取を減らすか、又はなくすべきであるという、一部の患者による誤った考えがある。血中ケトンレベルの上昇の早期検出は、インスリン送達の増加や水分補給の増加などの、急性疾患の発症や緊急医療サービス及び/又は入院の必要性を防ぐための様々な措置を患者が自宅で講じることを可能にすることによって、DKAを回避するのに役立ち得ることが臨床現場で広く理解されている。
【0048】
本発明の解決策は、着用者の生理学的流体中のケトン体分析物を自動化された持続的な方式で選択的に定量化する身体装着型センサ装置及び方法を提供する。ケトン体が所定の閾値又は変化率を超える場合、行動を適時に誘発することができるように警告が生成され、それにより、生命を脅かすおそれのあるケトアシドーシスの発生が回避される。
【0049】
ケトアシドーシスは、ほとんどの場合、未診断の1型糖尿病(type 1 diabetes mellitus:T1D)又は診断済みのT1Dにおけるインスリン不足の結果であり、生命を脅かす続発症を回避するために迅速な介入を必要とする医学的緊急事態である。糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)の徴候は、急性期の身体的な表出を見分けることが困難な場合があり、多くは循環ケトン体が危険なレベルに達して初めて発現する。事実、T1Dを有する個体は、症状の発現がはっきり分かるようになった場合にのみ、利用可能な一時的な方法でケトン体のテストを行うように訓練されており、そのようなシナリオでは、入院を回避するには遅すぎることが多い。ほとんどの場合、矯正処置を自ら施すことは容易ではなく、病院の救急部門への訪問がしばしば必要となる。急性期のDKAの潜在的なエピソードの早期特定(及びこれに続く迅速な矯正処置)により、入院又は地域の緊急治療/救急部門への訪問の必要性を軽減できることは明らかである。有望なクラスの薬物(ナトリウム-グルコース低下輸送体-2(sodium-glucose lowering transporter-2:SGLT2)阻害剤は、尿を介した循環糖の排出を腎臓に行わせることによって血糖を低下させる実質的な能力を提供することで、T1Dを有する個体が正常な血糖レベル(正常血糖、70~180mg/dL血漿グルコース)を達成するのを助ける。これはT1D患者にとって有益であると思われるかもしれないが、これらの薬物は、持続的な高血糖の非存在下では正常血糖性糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)のリスクを増大させることが観察されている。そのような状況下では、これらの薬物を服用している個体は、血糖が十分に制御されているように見えるため、危険なほどに上昇した循環ケトンレベルに気付かない場合がある。ケトン分析のための現在の方法は、血液、尿又は呼気サンプリングのいずれかによって評価されるが、これらの生理学的区画における循環ケトン体の持続的かつ受動的な評価を可能にしない。むしろ、ユーザは、生理学的流体又は蒸気を能動的にサンプリングすることによってケトンをテストする予防的な手段を講じなければならない。この場合、ケトンの検出は(持続的ではなく)散発的であり、警告の提示はユーザによる行動の後にのみ起こり得る。そのようなシナリオでは、DKAの症状がしばしば遅延するために、睡眠中又は活動中のサンプリングは実行不可能であり、ユーザが急性期(すなわち、循環ケトン体の上昇直後)のケトンレベルの変動を識別できる可能性もない。更に、変化率、微分値、又は傾向分析によって生成される警告は、メモリ機能の実装を要し、そのため、判定を行うには少なくとも1つの過去の値の情報を入手しなければならない。多くの場合、過去のアッセイが数日、数週間、又は数ヶ月前に行われているために、個人が思い出せる範囲を超えてしまい、過去の値を入手することが困難である。本開示の能力は、循環ケトンレベルが所定の閾値又は変化率を超えている場合に、身体装着型センサの着用者に自動化された持続的な方式で警告を発するための装置及び方法を提供する。身体装着型センサは、生理学的流体中の循環ケトン体の持続的なオンライン定量化を通じて、ケトンレベルの潜在的に危険な逸脱を識別することにより、ケトンレベルを迅速に制御してDKAを回避し得る一連の行動を起こすように着用者に警告することができる。このような介入は、転帰を改善し、DKAの病的状態及び死亡を減少させる可能性が高い。この新たな、革新的かつ臨床的に有用な能力は、糖尿病の分野における現在の標準的な治療を改善するのに役立ち、したがって、患者、ヘルスケア提供者、及び医療費償還インフラストラクチャの負担を軽減することが期待される。
【0050】
本明細書に開示される装置は、閾値を超える絶対ケトンレベルの上昇又は指定された変化率を超えるケトンレベルの増加に関する警告の自動生成によって、上記の課題に対処する。これには、1つ以上の循環ケトン体(アセト酢酸塩、アセトン、D-β-ヒドロキシ酪酸塩)の存在について生理的流体区画(すなわち、血液、血清、血漿、間質液、皮膚間質液、細胞外液、細胞内液、脳脊髄液)をサンプリングすることができる分析物選択的センサを着用者の身体に貼付することが含まれる。センサは、皮下で、経皮的に、皮膚を通して、皮内で又は皮膚表面上でサンプルを取得し、電気的又は光学的な刺激を使用して、電気的、光学的、又は化学的な変化の発生を促進する。続いて、電圧、電流、電荷、抵抗又はインピーダンス特性が測定され、生理的流体区画内を循環する単一のケトン体又は複数のケトン体の濃度が推定される。身体装着型センサに含まれるプログラム可能なメモリ素子は、ここでは単一のケトン体又は複数のケトン体の絶対値を指す、予めプログラムされた閾値を含む。更に、この素子はまた、過去の読み取り値を保持して、勾配、変化率、微分、又は傾向の算出のための比較評価を行う。この身体装着型センサによって測定された値が所定の値又は閾値を超えると、着用者(及び任意選択的に、家族、ヘルスケア提供者、友人などの着用者のサポートネットワーク)に警告が発せられる。この警告は、着用者のスマートフォン、スマートウォッチ、ウェアラブル装置、タブレット、アイウェア、イヤホン、又は直接に着用者の身体装着型装置への視覚通知、可聴通知、触覚通知、及びテキスト通知の複数の形態をとることができる。傾向/パターン分析を活用して今後のケトン変動を予測することが可能であり、同様に機械学習を使用して、身体装着型装置の着用者をDKAのリスクに曝すシナリオを識別することが可能である。このケトン警告生成能力を、例えば持続的なグルコースモニタなどの別の検知モダリティと組み合わせることもできる。本開示の方法は、単一のケトン体(アセト酢酸塩、アセトン、D-β-ヒドロキシ酪酸塩)又は複数のケトン体の絶対レベル又は変化率が所定の閾値を超えた場合に身体装着型センサ装置の着用者に警告を提示することを容易にする。方法は、着用者の生理学的流体区画(すなわち、血液、血清、血漿、間質液、皮膚間質液、細胞外液、細胞内液、脳脊髄液)内のこれらのケトン体の検出を含む。方法は、電気的又は光学的な刺激を使用して、電気的、光学的、又は化学的な変化の発生を促進するように構成された、皮下、経皮、皮膚透過、皮内又は皮膚表面身体装着型センサを使用した検出に関する。続いて、電圧、電流、電荷、抵抗又はインピーダンス特性が測定され、生理的流体区画内を循環する単一のケトン体又は複数のケトン体の濃度が推定される。この身体装着型センサに含まれるプログラム可能なメモリ素子は、ここでは単一のケトン体又は複数のケトン体の絶対値を指す、予めプログラムされた閾値を含む。更に、この素子はまた、過去の読み取り値を保持して、勾配、変化率、微分、又は傾向の算出のための比較評価を行う。この身体装着型センサによって測定された値が所定の値又は閾値を超えると、警告が発せられる。
【0051】
市販の製品を、身体装着型センサの着用者に警告を提示することに関して本発明を実施する際に利用することができる。そのような市販品には、スマートフォン(すなわち、Apple iPhone(登録商標)、Samsung Galaxy phone)、スマートウォッチ(すなわち、Apple Watch、Fitbit versa)、ウェアラブル装置(すなわち、Fitbit Blaze、Garmin Forerunner)、タブレット(すなわち、Apple iPad(登録商標)、Samsung Galaxyタブ)、アイウェア(すなわちGoogle Glass、Oculus Rift)、イヤホン(すなわち、Apple Earpods、Bose SoundSport Free)、ラップトップ(すなわち、Apple MacBook、Dell XPS)、コンピュータ(すなわち、Apple iMac、Lenovo ThinkCentre)、又は身体装着型装置(すなわちiRhythm Zio)が含まれるが、これらに限定されない。
【0052】
図1は、着用者250の腕256に装着され、着用者の生理学的流体中を循環するケトン化合物のレベルを測定するように構成された、例示的な身体装着型センサ50の図であり、この身体装着型センサ50からの無線読み出しを受信するように構成された着用者のスマートフォン1208が、着用者250への警告を表示している。身体装着型センサ50は、好ましくは、電気的又は光学的刺激が印加されて酸化還元反応を促進し、電圧、電流、電荷、抵抗又はインピーダンス特性が測定されて、センサが位置する生理学的流体区画内に存在する特定のケトン体(アセト酢酸塩、アセトン、D-β-ヒドロキシ酪酸塩)の濃度が推定される、皮下、経皮、皮膚透過、皮内又は皮膚表面センサである。身体装着型センサ50は、好ましくは、過去の測定値を保管するための内蔵メモリを含むように構成される。身体装着型センサ50は、好ましくは、ペアリングされた無線対応装置に測定値を中継するための無線通信機、送信機、又はトランシーバを含むように構成される。
【0053】
図2は、3つのケトン体産生物、すなわち、アセトン、アセト酢酸塩及びD-β-ヒドロキシ酪酸塩を図示した脂肪酸合成代謝経路の概略図である。
図3は、従来技術の使い捨て比色試験ストリップ301の手段300による尿中のケトン体検出を図示したものである。
図4は、従来技術の使い捨て電気化学試験ストリップ401の手段400による指穿刺毛細管血液サンプル中のケトン体の定量化を図示したものである。
図5は、従来技術のハンドヘルド肺活量計501及び502による呼気中のケトン体の定量化を図示したものである。
【0054】
図6は、生理学的流体中の様々な分析物の化学的又は生化学的定量化を容易にするための皮膚貫通電気化学センサの機能化に関与する主要な構成要素を示すブロック図である。ブロック601において、身体装着型センサは、ケトン化合物が所定のレベル、閾値、又は以前の測定値からの変化率を超えるか否かを判定する。ブロック602において、身体装着型センサは、所定のケトン値、閾値、又は変化率を超過していることを示す、身体装着型センサの着用者への警告を生成する。
【0055】
図7に示すように、生理学的流体中の循環ケトン体のレベル上昇を測定する方法が、ブロック701において、身体装着型センサが着用者の生理学的流体中を循環するケトン化合物のレベル又は濃度の測定又は読み取りを行い、次いで測定値又は読み取り値を身体装着型センサのメモリに格納することを含む。このセンサは、着用者の生理学的流体中の循環ケトン化合物の濃度を定量的又は定性的な値に変換する。以前の濃度が、変化率、微分値、又は勾配を求めるためにメモリ素子に格納されてもよい。
【0056】
ブロック702において、身体装着型センサは、ケトン化合物が所定のレベル、閾値、又は以前の測定値からの変化率を超えるか否かを判定する。この測定値又は読み取り値と、ブロック705から入力された所定のレベル、閾値、又は以前の測定値からの変化率との間で比較評価が行われる。
【0057】
ブロック703において、ブロック702におけるアクションの結果が肯定である場合、身体装着型センサは、所定のケトン値、閾値、又は変化率を超過していることを示す、身体装着型センサの着用者への警告を生成する。比較評価の結果が肯定である場合、ケトンレベルが上昇又はケトン変化率が増加した状態を示す、身体装着型センサ装置の着用者への警告が生成される。
【0058】
ブロック704において、ブロック702におけるアクションの結果が否定である場合、身体装着型センサは、次の測定又は読み取りサイクルの前に、(絶対ケトンレベル又はこのケトンレベルの変化率に基づいて)所定の又は可変の時間量だけ待つ。身体装着型センサ装置は、着用者の生理学的流体中を循環するケトン化合物が所定のレベル、閾値、又は以前の測定からの変化率を超えると、これを識別し、続いて着用者に警告するように持続的に動作する。
【0059】
入力は、着用者の生理学的流体中を循環するケトン化合物である。ケトン化合物は、アセトン、アセトン、アセト酢酸及びβ-ヒドロキシ酪酸のうちの少なくとも1つを含むことができる。生理学的流体は、血液、血清、血漿、間質液、皮膚間質液、細胞外液、細胞内液、及び脳脊髄液を含むことができる。
【0060】
所定の閾値、レベル、変化率、微分値、勾配値、又は傾向。循環ケトン化合物の現在の測定値の評価の基準とすることの可能な、定量化された基準値。現在の測定値がこの基準値を超えると、警告が生成される。
【0061】
出力は警告である。警告は、好ましくは、視覚通知、可聴通知、触覚通知、及びテキスト通知のうちの少なくとも1つを含む。警告は、好ましくは、所定の閾値、レベル、変化率、微分値、又は勾配値のうちの少なくとも1つを超過していることを示す。警告は、スマートフォン、スマートウォッチ、ウェアラブル装置、タブレット、アイウェア、イヤホン、ラップトップ、コンピュータ、又は身体装着型装置によって着用者に提示されることが好ましいが、これらに限定されない。警告は、好ましくは、行動を誘発するために、又は純粋に情報のみの目的で発せられる。警告は、着用者に加えて、通信ネットワーク又はインターネット接続を使用して個人又は個人のグループに伝達されてもよい。
【0062】
マイクロニードルベースのバイオセンサが、好ましくは、表皮及び真皮の層を占める生体生理学的媒体(間質液、血液)からの関連する生化学的分析物の経皮分析を容易にするための物理的トランスデューサ/電極として実装される。電気化学アナログフロントエンドは、ボルタンメトリ、アンペロメトリ、ポテンショメトリ、コンダクタンス測定、クーロメトリ、インピーダンス測定、及びポーラログラフィなどのいくつかの電気分析技術のうちの1つ(又は複数)を実行して、マイクロニードルベースのバイオセンサで発生する電気化学反応の制御及び読み出しを容易にする。任意選択的に、電気化学アナログフロントエンドの出力で生成された電気信号は、信号強度を回線レベルまで増加させるために増幅回路に送り込まれる。これに続いて、出力は、任意選択的に、対象の信号を抽出して望ましくないノイズを除去するためにローパスフィルタ又はバンドパスフィルタに送り込まれる。更なる任意選択のステップとして、信号は次に、アナログ信号をデジタルビットストリームに変換するためにアナログ-デジタル変換される。最後に、信号は、(生化学分析物のレベルに応じて)信号を更なる情報処理、解釈、表示、保管及び傾向分析のためのモバイル又はウェアラブル装置に送信するために、無線送信機又はトランシーバ(Bluetooth(登録商標)、WiFi、RFID/NFC、Zigbee、Ant+)にルーティングされる。
【0063】
図8は、マイクロニードルベースのバイオセンサ装置と直接インターフェースするように設計されたウェアラブル装置エンクロージャ20に含まれる電子回路を示す。装置の電子回路は、無線トランシーバ(好ましくはBLUETOOTH(登録商標) LOW ENERGY)と、統合アナログ-デジタル変換器21を有するマイクロコントローラと、高増幅回路22とを備える。
図9は、マイクロニードルベースのバイオセンサ装置と直接インターフェースするように設計されたプロトタイプのウェアラブル装置エンクロージャ20に含まれる電子回路の別の図を示す。電子回路は、高感度電気化学アナログフロントエンド23及びフィルタリング回路24を備える。
【0064】
図10は、ウェアラブル装置エンクロージャ20の視認可能な表面上に配置された金メッキされた圧力コネクタ27を介してマイクロニードル装置にアクセスするウェアラブル装置エンクロージャ20に収容された電子回路を示す。接続ポート25も示されている。
【0065】
図11は、約1000μmの垂直範囲を有する複数の突起を含む皮膚貫通中空マイクロニードルアレイ30を示し、マイクロニードルアレイの各要素は、選択的バイオセンシング能力を付与するように機能化されている。
図12Aは、中空の機能化されていないマイクロニードルアレイ30aを示す。
図12Bは、選択的バイオセンシング能力を有する中空の 「充填された」 機能化マイクロニードルアレイ30bを示す。
【0066】
図13及び
図13Aは、ハウジング部材125と、マイクロニードルバイオセンサ130と、生化学信号を内蔵無線トランシーバを介して外部装置に無線送信されるデジタルデータに変換するのに必要な電子回路を含むプリント回路基板127と、を含む機能構成要素を図示した、完全なマイクロニードルバイオセンシングシステム120の分解図レンダリングを示す。
【0067】
図14は、電子バックボーン(突出部)及び接着剤パッチを含むウェアラブルマイクロニードルバイオセンシングシステム120の上面斜視図を示す。マイクロニードルは、接着剤パッチ(図示せず)の後面に位置する。
【0068】
図15は、マイクロニードルベースのバイオセンシングシステム120の電子部品ハウジング構成要素130及びマイクロニードルアレイ127を含む皮膚装着型接着剤パッチの後面図を示す。
【0069】
図16は、マイクロニードルベースのバイオセンシングシステム及びサポート電子システムの主要な機能構成要素を示す詳細なブロック/プロセスフロー
図1200を示す。ブロック1201において、マイクロニードルアレイを利用して、マイクロニードルベースのバイオセンシングシステムのユーザの表皮及び真皮の層を占める生体生理学的媒体(間質液、血液)から経皮生化学分析物が取得される。ブロック1202において、電気化学アナログフロントエンドは、ボルタンメトリ、アンペロメトリ、ポテンショメトリ、コンダクタンス測定、インピーダンス測定、及びポーラログラフィなどのいくつかの電気分析技術のうちの1つ(又は複数)を実行して、マイクロニードルベースのバイオセンシングシステムで発生する電気化学反応の制御及び読み出しを容易にする。ブロック1203において、電気化学アナログフロントエンドの出力で生成された電気信号は、信号強度を回線レベルまで増加させるために増幅回路に送り込まれる。ブロック1204において、増幅回路からの出力は、対象の信号を抽出して望ましくないノイズを除去するためにローパスフィルタ又はバンドパスフィルタに送り込まれる。ブロック1205において、信号は次に、アナログ信号をデジタルビットストリームに変換するために、ADCでアナログ-デジタル変換される。ブロック1206において、信号は、(生化学分析物のレベルに応じて)信号を更なる情報処理、解釈、表示、保管及び傾向分析のためのモバイル通信装置1208に送信するために、無線送信機又はトランシーバ(BLUETOOTH(登録商標)、WiFi、RFID/NFC、Zigbee、Ant+)1207にルーティングされる。
【0070】
電気化学アナログフロントエンドは、好ましくは、低電力化学検知用途向けの構成可能なAFEポテンショスタットであるTexas Instruments LMP91000センサAFEシステム;低電力化学検知用途向けの構成可能なAFEであるTexas Instruments LMP91200;又は、Cortex-M3及び接続性を備えたメータオンチップであるAnalog Devices ADuCM350 16-Bit Precisionを含む。無線トランシーバは、好ましくは、BLUEGIGA BLE-113A BLUETOOTH(登録商標) Smart Module、又はTexas Instruments CC2540 SimpleLink BLUETOOTH(登録商標) Smart Wireless MCU with USBである。関連するモバイル装置は、好ましくは、ANDROID(登録商標)又はiOS(登録商標)ベースのスマートフォンであるSamsung GALAXY GEAR又はAPPLE WATCH(登録商標)である。
【0071】
マイクロニードルアレイ電気化学バイオセンサは、間質液からの生化学信号を有用な電気信号に変換する。
【0072】
電気化学アナログフロントエンドは、好ましくは、マイクロニードルアレイに固定電位又は時間変化する電位を印加して電気化学反応を誘導し、それによって電流の流れを生じさせること、マイクロニードルアレイに固定電流又は時間変化する電流を印加して電気化学反応を誘導し、それによって電位を生じさせること、電気化学反応又はイオン勾配によって生成された時間変化する開回路電位を測定すること、マイクロニードルトランスデューサでの電気化学反応又は生体親和性反応によって生成された周波数依存インピーダンスを測定すること、及び、マイクロニードルトランスデューサでの電気化学反応又は生体親和性反応によって生成される比抵抗又はコンダクタンスを測定すること、の少なくとも1つ以上を実行する。
【0073】
電気化学アナログフロントエンドは、好ましくは、上記の実施形態のいずれか1つを達成するように動的に構成される。同様に、入力は、システムの感知能力を拡張するために順次又は並列に動作するように配列されることが好ましい。
【0074】
無線トランシーバは、電気化学アナログフロントエンドによって生成された電気信号を、いくつかの標準化された無線伝送プロトコル(Bluetooth(登録商標)、WiFi、NFC、RFID、Zigbee、Ant+)のいずれか1つを使用してモバイル又はウェアラブル装置に無線中継する。任意選択的に、アナログフロントエンドによって生成された電気信号は、無線トランシーバによって中継される前に、増幅、フィルタリング、及び/又はアナログ-デジタル変換及び更なる信号処理を受けることができる。
【0075】
モバイル又はウェアラブル装置は、理解しやすいフォーマットでユーザにセンサ読み取り値を表示し、必要な任意の更なる信号処理を実行する。
【0076】
マイクロニードルアレイベースの電気化学バイオセンサで生成された電気信号の伝達方法は、好ましくは以下のステップを含む。電気化学反応を誘発するため、又はバイオセンサ表面の電気的特性の変化を測定するための電気プローブ信号の印加。生化学信号の電気信号への変換は、生化学信号を、感知された生化学信号の濃度の関数である大きさ又は位相の電気信号に変換する、アンペロメトリ、ボルタンメトリ、ポテンショメトリ、インピーダンス測定、クーロメトリ又はコンダクタンス測定などの電気化学技術を使用して行われる。マイクロニードルアレイベースの電気化学バイオセンサからの生化学信号は、好ましくは、間質液、血液又はその他の生理学的媒体中に見られる、ケトン化合物、代謝産物、電解質、ホルモン、ビタミン、ミネラル、神経伝達物質及びその他の分析物を含む。(相対又は絶対)濃度又はレベルは、関連するするモバイル装置(電話、タブレット)又はウェアラブル装置(スマートウォッチ、フィットネスバンド)上でユーザに表示される。
【0077】
マイクロニードルアレイベースの電気化学バイオセンサで生成された電気信号を伝達する方法。この方法は、皮膚貫通マイクロニードルアレイを電気化学アナログフロントエンドとペアリングして、電気化学反応の誘発又はバイオセンサ表面の電気特性の変化の測定に必要な適切な電位又は電流プローブをマイクロニードルアレイに印加することを含む。皮膚貫通マイクロニードルアレイは、縦方向長さが20~2000μmの複数の突起を含む。複数の突起の全て又はサブセットが、選択的電気化学バイオセンシング能力を付与するように機能化される。本方法はまた、電気プローブに応答して生成された、電圧、電流、周波数、位相、又はコンダクタンスに基づく電気信号を測定することを含む。本方法はまた、電気化学アナログフロントエンドによって測定された電気信号を処理することを含む。本方法はまた、処理動作に続いて、変換された電気信号を無線トランシーバにルーティングすることを含む。本方法はまた、標準化された無線伝送フォーマットを使用して、電気信号を外部の無線対応読み出し装置にブロードキャストすることを含む。
【0078】
処理は、電気化学アナログフロントエンドによって生成された信号の増幅、フィルタリング、及びアナログ-デジタル変換の少なくとも1つを含む。
【0079】
電位又は電流プローブは、好ましくは、定常状態又は時間変化する特性を具現化する。
【0080】
一実施形態は、マイクロニードルアレイベースの電気化学バイオセンサで生成された電気信号を伝達するためのシステムである。このシステムは、マイクロニードルアレイ電気化学バイオセンサ、電気化学アナログフロントエンド、無線トランシーバ、及びウェアラブル又はモバイル装置を含む。マイクロニードルアレイ電気化学バイオセンサは、ユーザの間質液からの生化学信号を複数の電気信号に変換する。無線トランシーバは、電気化学アナログフロントエンドによって生成された複数の電気信号のそれぞれを、標準化された無線伝送プロトコルを使用して、モバイル又はウェアラブル装置に無線中継する。
【0081】
電気化学アナログフロントエンドは、好ましくは、マイクロニードルアレイに固定電流又は時間変化する電流を印加して電気化学反応を誘導し、それによって電位を生じさせる。
【0082】
あるいは、電気化学アナログフロントエンドは、マイクロニードルアレイに固定電位又は時間変化する電位を印加して電気化学反応を誘導し、それによって電流を発生させる。
【0083】
電気化学アナログフロントエンドは、好ましくは、電気化学反応又はイオン勾配によって生成される時間変化する開回路電位を測定する。
【0084】
あるいは、電気化学アナログフロントエンドは、マイクロニードルトランスデューサでの電気化学反応又は生体親和性反応によって生成される周波数依存インピーダンスを測定する。
【0085】
あるいは、電気化学アナログフロントエンドは、マイクロニードルトランスデューサでの電気化学反応又は生体親和性反応によって生成される比抵抗又はコンダクタンスを測定する。
【0086】
モバイル又はウェアラブル装置は、好ましくは、センサ読み取り値をユーザに理解しやすいフォーマットで表示する。
【0087】
マイクロニードルアレイ電気化学バイオセンサは、好ましくは、縦方向長さが20~2000μmの複数の突起を含む。複数の突起の全て又はサブセットが、選択的電気化学バイオセンシング能力を付与するように機能化される。
【0088】
標準化された無線伝送フォーマットは、Bluetooth(登録商標)、WiFi、NFC、RFID、Zigbee、Ant+、又は4G LTEのうちの1つであることが好ましい。
【0089】
外部無線対応読み出し装置は、好ましくは、スマートウォッチ、フィットネストラッカ、スマートフォン、携帯電話、タブレットコンピュータ、又はノートブックコンピュータである。
【0090】
本発明は、感度1nA未満(動作範囲100pA~700uA)のスケーラブルな線形出力ポテンショスタットシステムを構築するために、高精度積分器と一対の高入力インピーダンスかつ高(調整可能)利得の差動増幅器とをカスケード接続した高精度かつ高入力インピーダンスのアナログフロントエンド(スタンドアロンIC又は一連の高入力インピーダンス演算増幅器から構成される)と共に利用することができる。この範囲は、外部利得制御を介して調整することができる。信号分解能をフェムトアンペアレベル又はアトアンペアレベルまで向上させるために、高分解能アナログ-デジタル変換器が利用される。
【0091】
高入力インピーダンスアナログフロントエンドは、調整可能な高精度積分器と一対のミラー型差動増幅器又は任意の様々なそのような差動増幅器とペアリングされる。ミラー型増幅器と減算アルゴリズムとを使用することで、ノイズを低減し、フローティング接地又は接地ドリフトの問題及び外部信号の流入に起因する変動を除去することが可能となる。複合システムは、オフボード遮蔽要素(ファラデーケージなど)を使用せずに極低電流を検出することを可能にする。時間平均ハードウェアフィルタリング及びサンプリングアルゴリズムも、妨害性の信号高調波を除去することによって読み取り値の安定化を助ける。高分解能アナログ-デジタル変換器を利用して、信号分解能をフェムトアンペアレベル又はアトアンペアレベルまで向上させることにより、単一分子感度に近い感度を達成することができる。
【0092】
図17に示すように、調整可能なバイアスアナログフロントエンド/ポテンショスタット29は、高入力インピーダンス演算増幅器及びデジタル-アナログ変換器、又はスタンドアロン型のアナログフロントエンド(「analog front end:AFE」)もしくはアナログインターフェース集積回路パッケージから構成される。
【0093】
調整可能な低ノイズのトランスインピーダンス増幅器(「transimpedance amplifier:TIA」)は、電流の流れを比例電圧信号に変換し、比例電圧信号は、手動での構成要素の選択によって調整可能であるか、又は電子的に制御され、バイパスコンデンサの実装を介して線形利得(TIA)又は積分(積分器)用に構成される。
【0094】
ミラー型(反転入力)高入力インピーダンスかつ高(調整可能)利得の差動増幅器は、物理抵抗器(一連の構成要素-マルチプレクサ、リレー、及び他の信号経路-又は物理的に調整可能なポテンショメータ)あるいは電子制御抵抗器(デジタルポテンショメータ)を介して調整可能であり、ベース差動増幅器又は、計装増幅器を含む任意の様々なそのような増幅器として構成される。AFEとTIAとの組み合わせの電圧極性に応じて、1つの増幅器は信号を表し、第2の増幅器は任意の存在する接地干渉又はバイアスを表す。
【0095】
信号フィルタリングが、差動増幅器後の電磁干渉(「electro-magnetic interference:EMI」)に起因する信号リップルを除去し、能動的もしくは受動的なローパス、ハイパス、バンドパス、又はそれらの任意の組み合わせによって実施される。
【0096】
高分解能アナログ-デジタル変換器が、フィルタリングされたアナログ信号を正確に定量化された値に変換するために利用され、また、信号分解能をフェムトアンペアレベル又はアトアンペアレベルまで向上させるために使用される。
【0097】
サンプリングアルゴリズムは、時間平均サンプリングにオフセットを加えたものを含む。対向する差動増幅器が、EMIによって生じる接地オフセットを減算し、外部遮蔽ケージ又は真の接地接続の必要性を排除するために使用される。
【0098】
図18は、電気化学セル31を有する多部品ポテンショスタット330の回路図である。
【0099】
ポテンショスタット動作の方法ステップは以下の通りである。
【0100】
アナログフロントエンド/ポテンショスタット動作。ポテンショスタット/AFEユニットは、以下のように構成された2つ(
図17)又は3つ(
図18)の精密計装演算増幅器(A1/OA1、OA2、TIA/OA3)から構成される:制御増幅器A1/OA1が、可変(プログラム可能)バイアスと接地(利得A)との間で測定された差動電圧(
図9のV
x)を増幅し、対向電極(CE)を通して電流を供給する。基準電極(RE)で生成された電圧を感知すると、A1/OA1は、その出力電圧を入力(V
RE)値に維持するのに十分な電流を流す。次に、REが調整され、A1/OA2(バッファ又はユニティゲイン増幅器)の出力電位/電流がそれに応じて変更される。したがって、制御増幅器は、参照電極を定電位に維持し、電気化学反応を調停するのに十分な電流を供給する電圧制御電流源として機能する。負のフィードバックを実施する際には、化学合成に必要な全電圧コンプライアンスを可能にするために、A1/OA2が極端な電位まで変動できることが不可欠である。更に、無視できる電流を引き出すために、OA2が非常に高い入力インピーダンスを有することが重要である。そうでなければ、基準電極がその意図された動作電位から逸脱するおそれがある。実際には、20fA(又はそれ未満)の入力バイアス電流を有する精密増幅器を使用することで、ほぼすべての電気化学的研究に適したサブピコアンペアレベルまでの無制限の動作が可能となる。TIA/OA3は、作用電極(working electrode:WE)を介して供給される電流を受け取り、電極WEを通過する電流の量に比例する電圧(抵抗器/コンデンサ回路網R
TIA/C
5+R
4によって変換される)を出力する。
【0101】
アナログフロントエンド及び印加される基準/動作バイアス。
図17及び
図18に示すシステムでは、基準電圧(V
RE/RE)は、それぞれ演算増幅器A1/OA2の反転入力及び非反転入力で一定に保持され、一方、動作電圧は、分圧器、抵抗器回路網、又は他の手段を介して変更され、接続されたセンサに印加される動作バイアスを生成する。CEからWEに流れる電流は、電流をVOUT/Vo=-i
cellR
4/TIAの関係に従って(C2及び/又はVOUT/Voにおける)スケーリングされた電圧出力に変換する可変利得トランスインピーダンス増幅器の非反転入力に送り込まれる。
【0102】
差動増幅器段35を
図19に示す。差動増幅器は、印加された基準電圧(内部IC図ではRE又はC1)及びトランスインピーダンス増幅器からの出力(バッファ段あり又はなし)を受け取るように構成されている。入力は、2つの増幅器の間に並置され、すなわち、基準入力は、一方の増幅器の正端子(負の印加電圧/電流用)及び他方の増幅器の負端子(正の印加電圧/電流用)に接続されている。VOUTは対向する増幅器入力に接続されている。(印加された電流/電圧とは逆の極性の)未使用の増幅器の入力は、ゼロに駆動されるが、システム内に存在する場合には、依然として接地バイアスを有する。差動増幅器の利得は、製造により、又はAFEで読み取られた電圧/電流の量に合わせてリアルタイムで構成することができる。
【0103】
フィルタリングステップ。差動増幅器対から生成された出力は、続いてフィルタリング回路にかけられて、外来ノイズが除去される。信号の振動又はランダムな変動は、接地バイアス、RF干渉、商用電源振動、(3電極センサからの)入力インピーダンス不整合、又は他のソースからのものを含む、いくつかの理由により存在し得る。
【0104】
アナログ-デジタル変換器ステップ。フィルタリングされた信号は、最後に、外部集積回路(「integrated circuit:IC」)内に配置された、又はマイクロコントローラもしくは他のIC内に共配置されたアナログ-デジタル変換器(「analog to digital converter:ADC」)に入り、代表的なデジタル信号に変換される。感度を更に向上させて定量化誤差を最小限とするために、サンプリング分解能を向上させてもよい。
【0105】
収集アルゴリズムステップ。ノイズを更に低減するために、(ADCによるデジタル化に続く)数秒間にわたり、正のバイアス線及び負のバイアス線の両方の時間平均値がマイクロコントローラ/マイクロプロセッサによって収集及び計算される。能動バイアス増幅器(印加電圧/電流)は、装置内に存在するバイアスを除去するために、非能動バイアス増幅器の値(接地オフセット)を減算する。このプロセスにより、感度をピコアンペアレベルとするための遮蔽ケージの必要がなくなる。非能動バイアス増幅器、時間平均データ収集、及びフィルタリング方式は、常に安定したスケーラブルな出力をマイクロコントローラ/プロセッサに提供する。
【0106】
電気化学セル又はセンサ、分析物の入力は、定電位方式(アンペロメトリ、ボルタンメトリなど)で測定される。測定された電圧及び計算された電流値(電気化学セル又はセンサの作用電極及び対向電極を流れる電流の測定)からなる検出システムの出力は、サンプル中の分析物の濃度に対応する。
【0107】
図20は、電気化学セルを流れる電流を検出するための信号流れ図である。電気化学セル26からの電流信号は、調整可能なバイアスアナログフロントエンド41に送られる。信号はトランスインピーダンス増幅器42に送られる。信号は、調整可能なバイアスアナログフロントエンド41及びトランスインピーダンス増幅器42の両方から、ミラー型差動増幅器44に送られる。ミラー型差動増幅器44から生成された出力は、続いてフィルタリング回路46及び47にかけられて、外来ノイズが除去される。信号の振動又はランダムな変動は、接地バイアス、RF干渉、商用電源振動、(3電極センサからの)入力インピーダンス不整合、又は他のソースからのものを含む、いくつかの理由により存在し得る。収集アルゴリズム48では、ノイズを更に低減するために、(ADCによるデジタル化に続く)例えば数秒間などの適切な時間にわたり、正のバイアス線及び負のバイアス線の両方の時間平均値がマイクロコントローラ/マイクロプロセッサによって収集及び計算される。能動バイアス増幅器(印加電圧/電流)は、装置内に存在するバイアスを除去するために、非能動バイアス増幅器の値(接地オフセット)を減算する。このプロセスにより、感度をピコアンペアレベルとするための遮蔽ケージの必要がなくなる。非能動バイアス増幅器、時間平均データ収集、及びフィルタリング方式は、常に安定したスケーラブルな出力をマイクロコントローラ/プロセッサ/ADCに提供する。
【0108】
図21は、統合アナログフロントエンド550及びセンサインターフェースの詳細な回路図である。これは、中央マイクロコントローラ/マイクロプロセッサユニットと通信(SCL線及びSDA線)して、CE(対向電極)線、WE(作用電極)線、及びRE(参照電極)線を介して電気化学センサを制御する、製造業者から入手可能な統合AFEの回路図である。トランスインピーダンス増幅器(TIA)のための構成可能な回路構成要素が、9及び10にわたって存在し、図中で構成されているような積分器を形成する。
【0109】
図22は、ミラー型差動増幅器44´及びフィルタリングの詳細な回路図である。ここでは、個々の演算増幅器構成要素(左側)及び出力に対するローパスフィルタ(右側)を利用するミラー型差動増幅器のセットが示されている。AMORP及びAMORNは正及び負の差動信号であり、AMOUTN及びAMOUTPはフィルタリングされた差動信号である。出力利得は、増幅器に接続された受動抵抗器によって制御される。
【0110】
図23は、固定ミラー型計装増幅器44a及び44bの詳細な回路図である。ここでは、一対の統合計装増幅器を使用するミラー型差動増幅器のセットが示されている。出力利得は、RG端子に接続された単一の抵抗器によって制御される。
【0111】
図24は、デジタルポテンショメータ調整式ミラー型計装増幅器44cの詳細な回路図である。これは、受動構成要素ではなくプログラム可能/デジタル式に選択可能な利得抵抗器集積回路(IC3)を利用する点を除いては、
図23と同様である。
【0112】
図25は、大型フォームファクタのハンドヘルド分析計220の図である。
図26は、小型フォームファクタのハンドヘルド分析計220aの図である。
図28は、小型フォームファクタのハンドヘルド分析計220bの図である。
【0113】
サンプリング及び測定アルゴリズムは、回路ハードウェアを使用して補償又は除去されないノイズ源を最小限に抑えるように設計される。
図27のブロック
図60に示すように、各「サンプル」は、正及び負の両方の差動出力を読み取り、一方を他方から減算することに関する。複数のサンプルを収集し、統計的演算によって分析して、測定値を得ることができる。最も単純な形式では、個々のサンプルの集合から平均及び分散/標準偏差を計算する。サンプリング周期は、他の電源からのノイズの可能性を最小限に抑えるように選択されなければならない。
【0114】
ノイズの主な原因は、フローティング接地及び接地ドリフト、商用電源、及び高周波干渉である。
【0115】
フローティング接地及び接地ドリフトは、様々な手段によって補償される。フローティング接地(DCノイズ)は、対になった差動増幅器の存在によって補償される。接地ドリフトは、複数のサンプルを平均化することによって補償される。正のバイアス/電流を測定する場合、負の出力はフローティング接地に等しくなる。正の出力から負の出力を減算すると、接地ドリフトに起因するノイズが除去される。負のバイアス/電流を測定する場合には、この逆を実行することができる。減算ステップは、複数の読み取り値の平均を使用するのではなく、サンプルごとに実行されるべきである。
【0116】
商用電源も様々な方法で補償される。AC電力線に接続されている時に商用電源に起因して生じる、又は他のAC電力線から電力供給される機器に近接することによって誘発されるノイズは、アルゴリズムサンプリング周期の選択によって補償される。サンプリングは、ライン電力サイクルの周期(60Hz及び50Hzの電力システムの場合、それぞれ16ms又は20ms)又はその任意の倍数(すなわち、2の倍数の場合は32~40msなど)と同じ遅延で実行されるべきではない。サンプリング遅延がライン電力サイクル(16~20ms)未満である場合、少なくとも一つのサイクル(50~60Hz)が複数のサンプルによって捕捉されなければならない。適切な統計分析のためには、標準偏差を適切に推定して電力線高調波を緩和するのに十分なサンプルを収集しなければならない。タイプ1(偽陽性)及びタイプ2(偽陰性)エラーの95%信頼区間については、例えば、少なくとも13個のサンプルが測定されなければならない。これは特定の用途の場合であるが、最低10サンプルが推奨される。最大サンプル数は用途に依存する(例えば身体装着型センサの場合の動きなどの外的要因によって突発的に変動し得る)。
【0117】
高周波干渉、無線送信によるノイズ及びその他の高周波信号は、ハードウェアフィルタリング、特にローパスフィルタリングによって完全に除去される。
【0118】
装置の一実施形態は、D-β-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼなどの酵素及びニコチンアミドアデニンジヌクレオチドなどの補因子がセンサ表面に固定化され、ケトン化合物、すなわち例えばD-β-ヒドロキシ酪酸塩の存在下で、化学量論的に等量の補因子、すなわちニコチンアミドアデニンジヌクレオチドの酸化状態を還元させる、酵素電気化学センサである。この還元型の補因子(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)は、次いで、バイアス電位、電流、DC信号、AC信号、波形、光学又は音響信号の印加によって酸化型に変換される。定量化に続いて、この信号の大きさ、位相、又は他の物理量が評価されて、警告を生成するのに必要な所定のレベル、閾値、又は変化率を超えているか否かが判定される。
【0119】
装置の更に別の一実施形態は、金属又は金属酸化物などの触媒がセンサ又は電極表面上に配され、ケトン化合物、すなわち例えばD-β-ヒドロキシ酪酸塩の存在下で、この化合物をセンサ又は電極表面で直接酸化又は還元され得る電気活性産生物に変換させる、非酵素的電気化学センサである。このセンサ/電極にバイアス電位、電流、DC信号、AC信号、波形、光、又は音響信号を印加すると、この信号の大きさ、位相、又は他の物理量が評価されて、警告を生成するのに必要な所定のレベル、閾値、又は変化率を超えているか否かが判定される。
【0120】
装置の更に別の一実施形態は、金属又は金属酸化物などの触媒がセンサ又は電極表面上に配され、ケトン化合物、すなわち例えばD-β-ヒドロキシ酪酸塩の存在下で、この化合物を直接酸化又は還元させる、非酵素的電気化学センサである。このセンサ/電極にバイアス電位、電流、DC信号、AC信号、波形、光、又は音響信号を印加すると、この信号の大きさ、位相、又は他の物理量が評価されて、警告を生成するのに必要な所定のレベル、閾値、又は変化率を超えているか否かが判定される。
【0121】
装置の更に別の一実施形態は、アノード及びカソードの少なくとも一方がD-β-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼなどの酵素を含み、その上にニコチンアミドアデニンジヌクレオチドなどの補因子又は酸化還元メディエータが固定化された、酵素バイオ燃料電池である。ケトン化合物、すなわち例えばD-β-ヒドロキシ酪酸塩の存在は、化学量論的に等量の補因子、すなわちニコチンアミドアデニンジヌクレオチド又はメディエータに、その酸化状態を変化(還元又は増加)させる。付随する対電極(アノード又はカソード)での酸化又は還元反応と併せて、このアノードでの酸化反応とこのカソードでの還元反応に起因して、これらのアノードとカソードとの間に電圧(起電力)が生じる。次いで、この起電力は、酸化還元反応の大きさに比例する電流を発生させる。定量化に続いて、この信号の大きさ又は他の物理量が評価されて、警告を生成するのに必要な所定のレベル、閾値、又は変化率を超えているか否かが判定される。
【0122】
装置の更に別の一実施形態は、アノード及びカソードの少なくとも一方がD-β-ヒドロキシ酪酸デヒドロゲナーゼなどの酵素を含み、その上にニコチンアミドアデニンジヌクレオチドなどの補因子又は酸化還元メディエータが固定化された、非酵素燃料電池である。ケトン化合物、すなわち例えばD-β-ヒドロキシ酪酸塩の存在は、化学量論的に等量の補因子、すなわちニコチンアミドアデニンジヌクレオチド又はメディエータに、その酸化状態を変化(還元又は増加)させる。付随する対電極(アノード又はカソード)での酸化又は還元反応と併せて、このアノードでの酸化反応とこのカソードでの還元反応に起因して、これらのアノードとカソードとの間に電圧(起電力)が生じる。次いで、この起電力は、酸化還元反応の大きさに比例する電流を発生させる。定量化に続いて、この信号の大きさ又は他の物理量が評価されて、警告を生成するのに必要な所定のレベル、閾値、又は変化率を超えているか否かが判定される。
【0123】
装置の更に別の一実施形態は、ケトン化合物、すなわち例えばD-β-ヒドロキシ酪酸塩に曝露されると色変化又は色強度変調が生じる、比色センサ(任意の染料)である。この変化又は変調の大きさが評価されて、警告を生成するのに必要な所定のレベル、閾値、又は変化率を超えているか否かが判定される。
【0124】
装置の更に別の一実施形態は、任意選択的に蛍光体又は光学的に活性な中間体を備える光学センサである。ケトン化合物、すなわち例えばD-β-ヒドロキシ酪酸塩に曝露されると、吸光度又は発光波長の変化が生じる。この変化の大きさが評価されて、警告を生成するために必要な所定のレベル、閾値、又は変化率を超えているか否かが判定される。
【0125】
更なる一実施形態は、生理学的流体中のケトン化合物又は複数のケトン化合物のレベルが0.6mmol/L以上であるシナリオにおいて、ユーザプロンプトの警告、警報、又は通知を生成することである。
【0126】
更なる一実施形態は、持続的なグルコースモニタによって測定されたユーザの血液(又は間質)中のグルコースがある所定の値(例えば、300mg/dL)を上回り、かつ、生理学的流体中のケトン化合物又は複数のケトン化合物のレベルが、0.4mmol/Lのベースラインからケトンレベル増加に関連する所定のレベルまで増加しているシナリオにおいて、ユーザプロンプトの警告、警報、又は通知を生成することである。
【0127】
更なる一実施形態は、ユーザがナトリウム-グルコース共輸送体-1/2阻害剤などの静脈内、皮下、筋肉内、皮内、又は経口治療を受けており、かつ、生理学的流体中のケトン化合物又は複数のケトン化合物のレベルが0.4mmol/Lのベースラインから増加しているシナリオにおいて、ユーザプロンプトの警告、警報、又は通知を生成することである。
【0128】
更なる一実施形態は、ユーザが自動インスリン送達を受けており、かつ、生理学的流体中のケトン化合物又は複数のケトン化合物のレベルが徐々に増加しているシナリオにおいて、ユーザプロンプトの警告、警報、又は通知を生成することである。
【0129】
更に別の一実施形態は、本質的に視覚的、聴覚的、もしくは触覚的、又はそれらの組み合わせである警告、警報、プロンプトもしくは通知である。
【0130】
更に別の一実施形態は、生理学的流体中のケトン化合物又は複数のケトン化合物のレベルの変化率に基づいて、警告、警報、プロンプト又は通知を生成することである。
【0131】
更に別の一実施形態は、生理学的流体中のケトン化合物又は複数のケトン化合物のレベルの閾値の超過に基づいて、警告、警報、プロンプト又は通知を生成することである。
【0132】
更に別の一実施形態は、生理学的流体中のケトン化合物又は複数のケトン化合物の個別化された又は包括的なリスク階層化に基づいて、警告、警報、プロンプト又は通知を生成することである。
【0133】
更に別の一実施形態は、生理学的流体中のケトン化合物又は複数のケトン化合物が以下の範囲内にあるシナリオにおいて、階層化された警告レベルを生成することである:正常:0.6mmol/L未満;中程度のケトーシス/栄養性ケトーシス:0.6mmol/L~1.5mmol/L;DKAリスク:1.5mmol/L~3.0mmol/L;DKAの可能性あり:3.0mmol/L超。
【0134】
更に別の一実施形態は、生理学的流体中のケトン化合物又は複数のケトン化合物が以下の範囲内にあるシナリオにおいて、ユーザのディスプレイ装置上に固有の色を提示することである:緑色:0.6mmol/L未満;黄色:0.6~1.5mmol/L;赤色:1.5mmol/L超。
【0135】
更に別の一実施形態は、ケトン化合物又は複数のケトン化合物の特定のレベルに関連する様々なリスク階層化を表すアイコン、色、又は形状を提示することである。
【0136】
更に別の一実施形態は、ケトン化合物又は複数のケトン化合物の特定のレベルに関連するリスクの様々な階層化を表す固有の振動又は触覚パターンを生成することである。
【0137】
更に別の一実施形態は、ケトン化合物又は複数のケトン化合物のレベルの増加が測定されたか、又はそのようなケトンの変化率の増加が測定された時刻を記述したレポートを生成することである。
【0138】
更に別の一実施形態は、生理学的流体中のケトン化合物又は複数のケトン化合物のレベルの測定の結果として、治療用化合物の自動化された又はユーザ主導による送達を滴定することである。
【0139】
更に別の一実施形態は、生理学的流体中のケトン化合物又は複数のケトン化合物の測定されたレベル又は変化率に基づいて、DKAの発症予防又は治療のための措置を講じるようにユーザを促すことである。
【0140】
更に別の一実施形態は、数学的関係から導出され、ユーザの血糖状態の管理の程度を示す、統一されたグルコース-ケトン定量値をユーザに提示することである。
【0141】
更に別の一実施形態は、ユーザのエネルギー需要をまかなうために発動されている代謝系を、生理学的流体中のケトン化合物又は複数のケトン化合物の測定されたレベルに基づいて提示することである。任意選択的に、この測定は、生理学的流体中のグルコースのレベルを含み得る。
【0142】
更に別の一実施形態は、生理学的流体中のケトン化合物又は複数のケトン化合物の測定されたレベルに基づいて、ユーザのカロリー消費を提示することである。任意選択的に、この測定は、生理学的流体中のグルコースのレベルを含み得る。
【0143】
更に別の一実施形態は、スマートフォン又はスマートウォッチなどのユーザ上に配置された慣性測定ユニットからの読み取り値を、生理学的流体中のケトン化合物又は複数のケトン化合物のレベルの測定値と共に、身体活動について助言するために組み込むことである。
【0144】
更に別の一実施形態は、生理学的流体中のケトン化合物又は複数のケトン化合物のレベルの測定値を、ユーザの支援ネットワーク、ヘルスケア提供者、緊急対応者、又は他の関連する関係者に、評価のためにデータ送信することである。
【0145】
更に別の一実施形態は、警告、警報、プロンプト又は通知を、生理学的流体中のケトン化合物又は複数のケトン化合物の絶対レベル又はこのレベルの変化率、あるいはその閾値レベルの超過に基づき、ユーザの支援ネットワーク、ヘルスケア提供者、緊急応答者、又は他の関連する関係者に、評価のためにデータ送信することである。
【0146】
更に別の一実施形態は、生理学的流体中のケトン化合物又は複数のケトン化合物の絶対レベル又はこのレベルの変化率、あるいはその閾値レベルの超過を、ユーザの接続されたモバイル装置(すなわち、スマートフォン)又はウェアラブル装置(すなわち、スマートウォッチ)にデータ送信することである。
【0147】
更に別の一実施形態は、警告、警報、プロンプト又は通知を、生理学的流体中のケトン化合物の絶対レベル又はこのレベルの変化率、あるいはその閾値レベルの超過に基づき、ユーザの接続されたモバイル装置(すなわち、スマートフォン)又はウェアラブル装置(すなわち、スマートウォッチ)にデータ送信することである。
【0148】
更に別の一実施形態は、ユーザが持続的なデータ表示、警告、及び/又は通知を有効及び無効にする能力である。
【0149】
更に別の一実施形態は、生理学的流体中のグルコースレベル及び生理学的流体中のケトン化合物又は複数のケトン化合物のレベルの両方の時系列トレースをディスプレイ装置上でユーザに提示することである。
【0150】
更に別の一実施形態は、低リスク(すなわち、正常なCGM読み取り値、SGLT-2治療なし)として識別されたユーザに対して、生理学的流体中のケトン化合物又は複数のケトン化合物の閾値レベルを超過している場合にのみ警告、警報、プロンプト又は通知が提示される、動的又は適応的な通知である。
【0151】
更に別の一実施形態は、生理学的流体中のグルコースレベル及び生理学的流体中のケトン化合物又は複数のケトン化合物のレベルにそれぞれ固有の可聴又は触覚警告及び通知を生成することである。
【0152】
更に別の一実施形態は、生理学的流体中のケトン化合物又は複数のケトン化合物の準持続的な測定値を提示することである。
【0153】
更に別の一実施形態は、ユーザが、(1)インスリンポンプを使用しており、そのために、インスリンポンプ又は輸液セットの機能不全に起因するより高リスクの低インスリン血症を呈している場合;(2)SGLT-2阻害剤などの治療薬を服用しており、正常血糖状態であってもより高い基礎循環ケトン体レベルを呈している場合;(3)インスリンを投与しており、そのために、特定の時間内しか基礎インスリンによってカバーされない可能性が高い場合;(4)意識が散漫になっており、そのためにインスリンの投与を無視している場合;又は(5)炭水化物の制限又は摂取が定められている時間帯が存在する日内パターンに従っている場合に、リスク階層化された警告、警報又は通知を生成することである。
【0154】
更に別の一実施形態は、生理学的流体中のケトン化合物又は複数のケトン化合物の測定されたレベルが0.6mmol/Lを超えている場合に、警告を生成することである。
【0155】
更に別の一実施形態は、生理学的流体中のケトン化合物又は複数のケトン化合物の測定されたレベルが0.6mmol/Lを超えている場合に、警告、警報又は通知を生成することである。
【0156】
更に別の一実施形態は、生理学的流体中のグルコースの測定されたレベルが240mg/dLを超え、かつ、生理学的流体中のケトン化合物又は複数のケトン化合物のレベルが0.4mmol/Lのベースラインレベルから増加している場合に、警告、警報又は通知を生成することである。
【0157】
更に別の一実施形態は、ユーザが治療薬(すなわち、SGLT-2阻害剤)の経口投与を受けており、かつ、生理学的流体中のケトン化合物又は複数のケトン化合物のレベルが0.4mmol/Lのベースラインレベルから増加している場合に、測定されたグルコースのレベルにかかわらず警告、警報又は通知を生成することである。
【0158】
更に別の一実施形態は、ユーザがインスリン注入療法を受けており、かつ、生理学的流体中のケトン化合物又は複数のケトン化合物のレベルが0.4mmol/Lのベースラインレベルから増加している場合に、測定されたグルコースのレベルにかかわらず警告、警報又は通知を生成することである。
【0159】
更に別の一実施形態は、生体表皮又は真皮内でケトン定量化を行うように構成されたマイクロニードルアレイ内に電気化学センサを実装することである。
【0160】
更に別の一実施形態は、生体表皮又は真皮内でグルコース及びケトンの定量化を行うように構成されたマイクロニードルアレイ内に2つの電気化学センサを実装することである。
【0161】
更に別の一実施形態は、生体表皮又は真皮内でケトン及び分析物の定量化を行うように構成されたマイクロニードルアレイ内に複数の電気化学センサを実装することである。
【0162】
更に別の一実施形態は、生体表皮又は真皮内でのケトン及びグルコースの定量化をそれぞれ目的として、1つのマイクロニードルアレイ上に電気化学ケトンセンサを実装すること並びに、第2の別個のマイクロニードルアレイ上に電気化学グルコースセンサを実装することである。
【0163】
更に別の一実施形態は、皮下組織の脂肪組織内でケトン定量化を行うように構成された皮下センサ内に電気化学センサを実装することである。
【0164】
更に別の一実施形態は、皮下組織の脂肪組織内でグルコース及びケトンの定量化を行うように構成された皮下センサ内に2つの電気化学センサを実装することである。
【0165】
更に別の一実施形態は、皮下組織の脂肪組織内でケトン及び分析物の定量化を行うように構成された皮下センサ内に複数の電気化学センサを実装することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0166】
【特許文献1】米国特許第9958409号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2015071994号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2015475094号明細書
【特許文献4】米国特許公開第2015136629号明細書
【特許文献5】PCT国際特許出願公開第WO2018164886号明細書
【国際調査報告】