(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-24
(54)【発明の名称】木製樽板および飲料用の樽
(51)【国際特許分類】
B65D 8/04 20060101AFI20220117BHJP
C12H 1/22 20060101ALI20220117BHJP
B65D 25/02 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
B65D8/04 A
C12H1/22
B65D25/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525062
(86)(22)【出願日】2019-10-21
(85)【翻訳文提出日】2021-06-02
(86)【国際出願番号】 ES2019000064
(87)【国際公開番号】W WO2020094893
(87)【国際公開日】2020-05-14
(32)【優先日】2018-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521194873
【氏名又は名称】バルチェドール キャスク エセ.エレ.
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】グティエレス アラウホ,イヴァン
【テーマコード(参考)】
3E061
3E062
4B128
【Fターム(参考)】
3E061AA09
3E061AB02
3E061AC09
3E061DA01
3E062AA08
3E062AB02
3E062AC04
3E062BA20
3E062BB01
3E062BB09
4B128AC15
4B128AG04
4B128AG05
4B128AG07
4B128AP31
4B128AT10
(57)【要約】
本発明は、アルコール飲料または蒸留酒飲料を熟成または貯蔵するための木製樽板および樽に関する。前記樽板の内面は、少なくとも2つの第1のチャネルと、前記複数の第1のチャネルと交差する、少なくとも2つの第2のチャネルと、を備え、複数の幾何学的要素のパターンを決定する、機械加工を有する。前記複数の要素は、前記樽内に収容される液体に浸かったままとなり、より大きな接触表面を提供する。それによって、木材自体の物質の前記液体へのより多くの移動がもたらされる。さらに、前記交差したチャネルによって形成される前記パターンは、前記液体が前記樽内部の前記液体の出入りのための開口部を有する前記複数の樽板のうちの1つを通して抽出されるときに、前記液体のための連続的で障害物のない経路を可能にする。それによって、不必要な損失、および、前記樽の将来の再使用にとって望ましくない内部残留物が防止される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面、外面および樽板の長さを決定する2つの長手方向側面により互いに接合された、その両端部のそれぞれに側面を有する樽用の木製樽板(20)において、
前記内面は、
少なくとも2つの第1の機械加工されたチャネルと、
前記複数の第1のチャネルと交差する少なくとも2つの第2の機械加工されたチャネルと、
前記複数の交差するチャネルによって決定され、前記複数のチャネル間に位置する複数の幾何学的要素によって形成されるパターンと、
を備え、
前記樽板(20)は、前記チャネルの底部に対応するその前記内面上の第1の表面(29)と、前記幾何学的要素の頂部に対応するその前記内面上の第2の表面(28)とを有し、両者の高さの差は、前記複数のチャネルの深さを決定し、その前記内面上の前記第1の表面(29)と前記外面との差は、前記樽板(20)の基部(19)を決定することを特徴とする、樽用の木製樽板。
【請求項2】
前記樽板は、前記樽板の少なくとも1つの第1のチャネルを分断する、そのほぼ中心に位置する貫通開口部を備えることを特徴とする、請求項1に記載の樽板。
【請求項3】
前記樽板は、前記樽板の両端部に対応する、その前記内面上の第3の表面(4)を備え、それは材料を中空にするためのまたは除去するための機械加工の結果である、請求項1または2に記載の樽板。
【請求項4】
前記樽板は、
第1の方向(D3-1)において互いに平行でかつ等距離である少なくとも3つの第1のチャネルと、
第2の方向(D3-2)において互いに平行でかつ等距離である少なくとも3つの第2のチャネルと、
第3および第4の方向(D3-3およびD3-4)において互いに垂直であり、かつ、前記第1および第2の方向(D3-1およびD3-2)における前記複数のチャネルに対して交差する少なくとも2つの別のチャネルと、を備え、
複数の三角柱のパターンを形成し、その底面は、直角三角形であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の樽板。
【請求項5】
前記樽板は、
第1の方向(D3-2)において平行でかつ等距離である少なくとも3つの第1のチャネルと、
その両端部を接合する前記樽板の該第1の長手方向側面(30)と一致する軌道を有する少なくとも1つの第2のチャネルと、
その両端部を接合する前記樽板の該第2の長手方向側面(31)と一致する軌道を有する少なくとも1つの第3のチャネルと、
前記樽板の前記第1の長手方向側面(30)の軌道と前記樽板の前記第2の長手方向側面(31)の軌道との間に挿入される軌道と一致する少なくとも1つの第4のチャネルと、
互いに交差し、第3および第4の方向(D3-3およびD3-4)ヘの方向のバリエーションを有し、および前記複数のチャネルに対して交差する少なくとも2つの他のチャネルと、を備え、
複数の三角柱のパターンを形成し、その底面はさまざまな大きさおよび形状を有する直角三角形であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の樽板。
【請求項6】
前記複数の三角柱は、その底面の該直角が湾曲させられたものであることを特徴とする、請求項4または5に記載の樽板。
【請求項7】
前記樽板は、
第1の方向(D2-1)において互いに平行でかつ等距離である少なくとも3つの第1のチャネルと、
第2の方向(D2-2)において互いに平行でかつ等距離である少なくとも3つの第2のチャネルと、
第3の方向(D2-3)において互いに平行でかつ等距離である少なくとも3つの第3のチャネルと、を備え、
それらのすべては互いに交差し、複数の三角柱のパターンを形成し、その底面は正三角形であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の樽板。
【請求項8】
前記樽板は、
第1の方向(D2-1)において互いに平行でかつ等距離である少なくとも3つの第1のチャネルと、
第2の方向(D2-2)への方向のバリエーションを有する少なくとも3つの第2のチャネルと、
第3の方向(D2-3)への方向のバリエーションを有する少なくとも3つの第3のチャネルと、を備え、
それらのすべては互いに交差し、複数の三角柱のパターンを形成し、その底面はさまざまな大きさおよび形状を有する三角形であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の樽板。
【請求項9】
前記樽板は、
その両端部を接合する前記樽板の該第1の長手方向側面(30)と一致する軌道を有する少なくとも1つの第1のチャネルと、
その両端部を接合する前記樽板の該第2の長手方向側面(31)と一致する軌道を有する少なくとも1つの第2のチャネルと、
前記樽板の前記第1の長手方向側面(30)の軌道と前記樽板の前記第2の長手方向側面(31)の軌道との間に挿入される軌道と一致する少なくとも1つの第3のチャネルと、
第2の方向(D2-2)への方向のバリエーションを有する少なくとも3つの第2のチャネルと、
第3の方向(D2-3)への方向のバリエーションを有する少なくとも3つの第3のチャネルと、を備え、
それらのすべては互いに交差し、複数の三角柱のパターンを形成し、その底面はさまざまな大きさおよび形状を有する三角形であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の樽板。
【請求項10】
前記樽板の前記第1の長手方向側面(30)と前記樽板の前記第2の長手方向側面(31)との間に挿入される前記軌道は、湾曲され得る、または、直線であり得ることを特徴とする、請求項9に記載の樽板。
【請求項11】
第1の方向(D4-1)において平行でかつ等距離である少なくとも2つの第1のチャネルと、
前記複数の第1のチャネルに対して交差する、第2の方向(D4-2)において互いに平行でかつ等距離である少なくとも2つの第2のチャネルと、を備え、
複数の菱形角柱のパターンを形成することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の樽板。
【請求項12】
第1の方向(D4-1)への方向のバリエーションを有する少なくとも2つの第1のチャネルと、
前記複数の第1のチャネルに対して交差する、第2の方向(D4-2)への方向のバリエーションを有する少なくとも2つの第2のチャネルと、を備え、
複数の菱形角柱のパターンを形成することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の樽板。
【請求項13】
互いに平行である前記複数の第2のチャネルは、前記複数の第1のチャネルと直交することを特徴とする、請求項11に記載の樽板。
【請求項14】
前記複数の幾何学的要素の間で決定される、前記複数のチャネルの幅または太さは、各チャネルにおいて等しいことを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の樽板。
【請求項15】
前記複数の幾何学的要素の間で決定される、前記複数のチャネルの幅または太さは、各チャネルにおいて等しくないものもあることを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の樽板。
【請求項16】
前記複数のチャネルは、同じ深さを有することを特徴とする、請求項1~15のいずれか1項に記載の樽板。
【請求項17】
前記複数のチャネルは、種々の深さを有することを特徴とする、請求項1~16のいずれか1項に記載の樽板。
【請求項18】
前記チャネルの深さは、前記チャネルに沿って可変であることを特徴とする、請求項1~17のいずれか1項に記載の樽板。
【請求項19】
複数の樽板と、前記複数の樽板の両端部の各々に配置された2つの蓋とによって形成される木製樽において、
請求項1に記載の樽板を少なくとも1つ備えることを特徴とする、木製樽。
【請求項20】
前記木製樽は、請求項2に記載の樽板を少なくとも1つ備えることを特徴とする、請求項19に記載の樽。
【請求項21】
前記木製樽は、請求項3に記載の樽板を少なくとも1つ備えることを特徴とする、請求項19に記載の樽。
【請求項22】
前記木製樽は、請求項4~18のいずれか1項に記載の樽板を備えることを特徴とする、請求項19に記載の樽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木製樽板および樽板によって形成される飲料用の樽に関し、該飲料は特に、アルコール飲料または蒸留酒飲料である。
【0002】
本発明は、例えばワインまたはウイスキーのような、アルコール飲料または蒸留酒飲料の熟成および貯蔵を意図した樽の製造の分野に属する。
【背景技術】
【0003】
現在、アルコール飲料または蒸留酒飲料を特殊化させるための解決策が探求されている。前記特殊化は、前記飲料に新しい芳香、風味または色を与えることからなる。この特殊化は、市場だけでなく、権限のある者、団体または機関に認められるように、その熟成または貯蔵用の木製樽において行われなければならない。このため、飲料中の新しい芳香、風味または色の探求においてより複雑な結果を達成するために、種々の樽の解決策が生じてきた。
【0004】
従来技術で提案されている解決策の1つは、様々なシステムによって、液体と樽の内側との間の接触面を増大させることである。これにより、これらの樽内に収容される液体の熟成は、接触面が滑らかである樽内におけるよりも早い。液体は木材から来る物質をより多量に受け取り、そのことが液体により強い色および芳香を与え、さらに、該収容される液体の熟成プロセスを加速するためである。種々の解決策の中で、われわれは液体の熟成プロセス中に、樽内部のさまざまな木製構造物が浸漬することを見出している。特許文献FR2504498A1、ES2194601A1、FR2864965A1およびUS20160097023Aは、樽内部の木製構造物または要素の使用を提案している。
【0005】
樽の樽板の外側から独立した構造物が導入されるこれらの場合については、スコッチウイスキー協会(the Scotch whisky Association:SWA)等のいくつかの団体からの抵抗がある。それは、樽の内側に要素または構造物を導入することが、ウイスキー製造の古典的なスタイルに反することを考慮してのものであり、それらの団体は、このタイプの樽を用いてウイスキーを熟成させることに対して、「スコッチウイスキー」起源の名称の使用を許可していない。
【0006】
数十年間提案されてきた別の解決策は、樽の壁の内面、すなわち液体と直接接触する状態にあるものに形成された種々の溝を通して、樽の接触面を増大させることである。この接触面は、樽を構成し樽板と呼ばれる各部材の内側によって形成されるものである。したがって、われわれは樽板の内面に、横方向の切断、長手方向の切断、または円形の空洞を見出し、場合によっては両者の組み合わせも見出す。特許文献US3372633、US3842723、WO2012/175097A1、US9212343およびGB2549202A1では、液体との樽の内部接触表面を増大させるための種々の解決策が提案されている。
【0007】
これらの場合において、得られる追加の接触面がわずかであり、また、解決策の実行に制限があるせいで、該解決策は著しい改善を示さない。このタイプの解決策に伴うさらなる問題は、樽からの液体の抽出において見出される。前記液体の蓄積が、種々の穿孔において生じるからである。これらの蓄積は、樽内部の液体の望ましくない貯蔵だけでなく、結果として得られる液体の総体積の損失をも引き起こす。この態様は、該プロセスにおいて、複数の樽の使用および様々な液体の組み合わせを必要とする飲料の場合に特に重要であり得る。樽内に導入される液体に先行する液体の滞留残留物が樽内で見つかり得るためであり、また、樽が完全に空になっていないことがあり得るからである。このようにして、制御されず、または、望ましくなく、そして場合によっては許されざる結果が作り出されることとなる。これは、例えば「スコッチウイスキー」の場合であり、液体の熟成に使用される樽は、以前に約2年間、内部にオロローソワインまたはシェリー酒を収容している。そのため、蒸留したばかりのウイスキーで満たすときに、樽内部に前記オロローソワインまたはシェリー酒からの残留液体を有するという問題がある。これは、「スコッチウイスキー協会」(SWA)が許さないものである。
【0008】
したがって、収容される液体に付与される諸属性のかなりの増加を達成するために、その実行が実現可能である接触表面の増大を兼ね備える解決策が必要であると思われる。該解決策は、同時に、樽を完全に空にするという観点から指摘される問題を解決し、それによって、生産物の損失を防止し、結果として得られる液体を作るプロセスに先立って液体が蓄積することを防止する。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、アルコール飲料または蒸留酒飲料を熟成または貯蔵するための木製の樽板および樽であって、樽の蓋が設置され、および、樽の外側に領域がある樽板の内面の両端部において、材料を中空にするための、または除去するための第1の機械加工を有し、また、樽の内部にとどまる領域に対応する、樽板の内面の残りの表面において、第2の機械加工を有する、樽板に関する。該樽板は、少なくとも2つの第1のチャネルと、第1のチャネルと交差する少なくとも2つの第2のチャネルと、を備え、それらは、複数の幾何学的要素のパターンを決定する。前記機械加工を有する複数の樽板を、樽の形成のために接合した後、該(複数の)幾何学的要素は、樽内に収容される液体に浸かったままの状態となり、樽板の材料、木材、および貯蔵される液体の間で、より大きな接触表面を有することとなる。それによって、木材自体の物質の前記液体へのより多くの移動がもたらされる。さらに、前記交差したチャネルによって形成される前記パターンは、液体の出入りのための樽内部の開口部を有する樽板の1つを通って液体が抽出されるときに、液体のための連続的で障害物のない経路を可能にし、それによって、不必要な損失、および、樽の将来の再使用にとって望ましくない内部残留物を防止する。前記パターンは、好ましくは樽板の内面の形状にパラメトリックに適合されて配置され、それは製造プロセスの要求、樽の内部に貯蔵される飲料の要求、または最終顧客のニーズに従うものであり、また、湾曲した状態でその機能を最適化するためのものである。なお、該湾曲した状態は、いったん樽が構成されると、樽板が最終的に有することになるものである。したがって、本発明の第1の態様は、請求項1に記載の樽板である。
【0010】
詳細には、本発明の態様に係る樽板は、アルコール飲料または蒸留酒飲料の貯蔵および/または熟成を意図する、樽用の木製樽板である。前記樽板は、内面と、外面と、2つの長手方向側面とによって互いに接合された、その両端部の各々に側面を有し、これらの側面は、樽板の長さを決定する。該樽板はその内面に、材料を中空にし、または除去するための処理から得られ、蓋を収容する領域および樽の外側にとどまる領域に対応する、平坦な表面を備える。また、該樽板はその内面に、少なくとも2つの第1の機械加工チャネルと、前記第1のチャネルと交差する、少なくとも2つの第2の機械加工チャネルと、を備える。これらのチャネルは、前記内面の残りの表面上にあり、かつ、いったん樽が形成されると、樽の内部にとどまる領域に対応している。また、該樽板は、前記交差したチャネルによって定められ、前記(複数の)チャネル間に位置する(複数の)幾何学的要素によって形成されるパターンを形成する。その結果、該樽板は、チャネルの底部における第1の内部表面と、前記幾何学的要素の頂部に対応する第2の内部表面と、その両端部に対応し、かつ、第1の表面と高さが一致する第3の内部表面と、を有し、両者の高さの差がチャネルの深さを決定することとなり、第1の内面と第3の内面との一方の、外面との差が、樽板の基部を決定する。樽板の(複数の)長手方向側面は、樽の組立て条件に応じて、湾曲させられる代わりに、直線状とされ得る。
【0011】
加えて、製造要件のために必要であれば、樽板は樽板の内面の形状を得るために、その輪郭または周囲に、より詳細には、樽板の2つの長手方向側面に、プロファイル処理(profiling treatment)を受けてもよく、その後、種々の機械加工処理がそれに続いて実行されることとなる。前記処理の目的は、樽への樽板の組立を容易にするために、樽板の両端部における樽板の幅を減少させることである。いったん前記処理が行われると、樽板の2つの長手方向側面は樽の(複数の)製造要件において確立されているように、直線状であり得る、あるいは湾曲され得る。
【0012】
樽板の内面の第1の機械加工は、蓋を収容する領域、および、前記樽板の両端部に対応する樽の外側にとどまる領域において、行われる。この機械加工は、材料を中空にするか、または、材料を除去するためのものであり、樽板の目標(物)はその領域において、樽板の基部が有することとなる最終的な厚さを有し、前記基部の規格化されたまたは標準化された厚さは、約2~3cmである。
【0013】
樽板の内面の残りの領域におけるものであって、一旦樽が形成されればその樽の内部表面に対応する領域におけるものである第2の機械加工は、(複数の)幾何学的要素を有する前記パターンを形成するために、数値制御によって実行されることが好ましい。該パターン、および、それを形成する該(複数の)幾何学的要素は、機械加工プロセスで作り出された切削の結果であって、そのため、前記樽板の最終的な結果物は、処理を受けた表面に垂直な、(複数の)要素が突き出したものとなり、該結果物は樽板の基部上に立ち、前記基部の規格化されたまたは標準化された厚さは約2~3cmである。前記パターンは、収容される液体との木材の接触面がかなり増すようにし、同時にそれは、樽が空になるときに、障壁なく流れていくことを可能にし、それによって、前記樽内部の液体の損失および蓄積を防ぐ。複数の樽板によって形成される樽を空にし、および充填するため、前記樽板のうちの1つ、または、少なくとも1つは、該樽板のほぼ中心に位置し該樽板の少なくとも1つの第1のチャネルを分断する貫通開口部を備える。その結果、樽がその上に支えられているような樽板内に位置する、または、それに隣接する該複数のもののうちの1つのものの内に位置する出口開口部に液体が到達するまで、該液体はさまざまな樽板のさまざまな接続されたチャネルを通って移動する。
【0014】
空にするという目的を達成するために、少なくとも2つの第1のチャネルと、前記複数の第1のチャネルと交差する少なくとも2つの第2のチャネルとによって常に決定されている、種々のパターンの選択肢がある。その結果、樽板の内面上の該(複数の)チャネルの配置は、樽板の内面のパターンを形成する、種々の(複数の)幾何学的要素を生じさせる。前記パターンは、好ましくはパラメトリックに、前記樽板の内面に適合されて配置される。パラメトリックであるとは、アルゴリズムフローチャートに基づく例の設計プロセスとして理解される。それにより、(複数の)設計要件とこのプロセスの最終設計製品との間に存在する関係を定義する、および組織化するパラメータおよびルールが指示されることが可能になる。該設計のこのパラダイムは、複雑な構造を作り出すことによって、単純な幾何学的形状を通じて材料を組織化する可能性またはモデリングする可能性を無数のやり方で操作しようとするものである。木製樽板は好ましくはその中心点と比べて、その両端部においてより小さな幅を有し、その2つの長手方向側面が好ましくは湾曲しているという事実のために、前記パターンは、樽板の内面が有する周囲または輪郭に適合し、湾曲した状態でその機能を最適化する。該湾曲した状態は、樽がいったん構成されると、樽板が最終的に有することになるものである。いくつかの代替実施形態が、請求項4~13に含まれている。
【0015】
内面に機械加工されたこれらの幾何学的要素を達成するためには、従来技術に係る樽板の通常の厚さであるところの、約2~3cmよりも大きな厚さを有する樽板から始める必要がある。この追加的な厚さは、チャネルの機械加工の結果であり、樽板の内面にパターンを構成するところの、(複数の)幾何学的要素の高さを決定することとなる。上述のように、(複数の)幾何学的要素の高さは、該(複数の)チャネルの深さを決定する。そして、該樽板は、該チャネルの底部に第1の内部表面と、該幾何学的要素の頂部に対応する第2の内部表面と、該樽板の両端部に対応し、該第1の表面と高さの一致する、第3の内部表面と、を有し、両者の高さの差が、チャネルの深さ、および、(複数の)幾何学的要素の高さを決定する。
【0016】
要素のこの高さ、またはチャネルの深さは、木材の諸特性、樽内に貯蔵される飲料の要求、または最終顧客のニーズに応じて、変わり得る。樽板が樽を形成するときには、(複数の)幾何学的要素の高さが、樽板の該湾曲によって決定される最大の高さを有することを、考慮しなければならない。機械加工の結果であり、その基部に垂直であり、樽の作成から得られる曲面に含まれる前記要素は、ある高さで始めたときに互いに衝突し得るのであり、これは防止されるべき状況であるからである。さらに、機械加工から得られるチャネルは、機械加工に使用される切削工具またはカッターに応じ、また、構造要件によって決定される、種々の幅を有することができる。チャネルは、同じまたは種々の幅を有し得る。種々のチャネルの深さは、等しくてもよく、チャネルに応じて異なっていてもよく、または1つの同じチャネルにおいて変化していてもよい。
【0017】
本発明の第2の態様は、請求項19に記載の樽である。樽は、複数の樽板および2つの蓋から構成され、上述の内部構成を有する少なくとも1つの樽板を有する。加えて、樽内の液体の出入りのための開口部を有する樽板は、上述の内部構成を組み込んでいても組み込んでいなくてもよい。
【0018】
樽板の内部表面、より詳細には、一旦形成されると樽の内側にとどまる領域に対応する領域で行われる機械加工により、木材の内部繊維は樽の内側に収容される液体に曝される。これにより、前記樽に、木材から前記液体に物質を伝達する、より高い能力が提供される。
【0019】
本発明で提案される解決策は、木製樽が通常受ける様々なトースト処理または火炎曝露処理に適合する。トースト処理は、現行システムによって実施することができる。樽はその実施工程中に、これらの特徴的な特性を木材に付与する火炎に曝される。また、樽板は最終的な樽を形成するために一緒に組み立てられるために、個々にトースト処理され得る。
【0020】
樽板は、樽の形成および仕上げ処理において行われる、確立されている仕上げ処理を受けることとなる。
【0021】
この目的のため、本発明は、機械加工によって、樽を形成する樽板の内部表面に効率的な幾何学的形状を作り出すことに焦点を当てており、その結果、樽内に収容された液体を完全に空にすることができ、それによって、樽の以前の使用において含まれた液体の残余を防止し、同時に、接触面を増大させるための大幅に改善された状態を提供する。
【0022】
以下の説明に付随する図面は、本発明を実施するための種々の代替実施形態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1の幾何学的パターンを有する樽板の詳細の平面図を示す。
【
図2】第2の幾何学的パターンを有する樽板の詳細の平面図を示す。
【
図3】第3の幾何学的パターンを有する樽板の詳細の平面図を示す。
【
図4】第4の幾何学的パターンを有する樽板の詳細の平面図を示す。
【
図5】入口および出口開口部との合流点における第1の幾何学的パターンを有する樽板の詳細の平面図を示す。
【
図6】入口および出口開口部との合流点における第2の幾何学的パターンを有する樽板の詳細の平面図を示す。
【
図7】入口および出口開口部との合流点における第3の幾何学的パターンを有する樽板の詳細の平面図を示す。
【
図8】入口および出口開口部との合流点における第4の幾何学的パターンを有する樽板の詳細の平面図を示す。
【
図9】
図1の幾何学的パターンを有し、樽板の内面の周囲または輪郭にパラメトリックに適合されて配置された、本発明による樽板の斜視図を示す。
【
図13】
図9の幾何学的パターンを有し、樽からの液体の出入りのための開口部を有する、樽板の平面図を示す。
【
図16】垂直位置に配置された
図14の樽の断面斜視図を示す。
【
図17】樽内の液体の出入口開口部を有する樽板上に配置され、空にする状態において、水平位置に配置された
図14の樽の断面斜視図を示す。
【
図18】
図3の幾何学的パターンを有する樽板部分の詳細を示す。樽内に収容される液体への木材からの物質の伝達が、矢印によって概念的に表されている。
【
図19】
図3の幾何学的パターンを有する樽板部分の詳細を示す。
【
図20】
図3の幾何学的パターンを有する樽板の平面図を示す。
【
図23】
図3の幾何学的パターンを有する、樽板の内面に長方形形状を有する樽板の平面図を示す。
【
図24】
図3の幾何学的パターンに対応する樽板の平面図を示す。該パターンは、樽板の内面の周囲または輪郭にパラメトリックに適合されて配置されており、樽板の2つの長手方向側面は直線的である。
【
図25】
図3の幾何学的パターンに対応する樽板の平面図を示す。該パターンは、樽板の内面の周囲または輪郭にパラメトリックに適合されて配置されており、樽板の2つの長手方向側面は湾曲している。
【
図26】
図3の幾何学的パターンの網目に対応する樽板の平面図を示す。該パターンは、樽板の内面の周囲または輪郭にパラメトリックに適合されて配置されており、樽板の2つの長手方向側面は湾曲している。
【
図27】
図3の幾何学的パターンの網目に対応する樽板の平面図を示す。該パターンは、樽板の内面の周囲または輪郭にパラメトリックに適合されて配置されており、樽板の2つの長手方向側面は湾曲している。
【
図28】
図2の幾何学的パターンの網目に対応する樽板の平面図を示す。該パターンは、樽板の内面の周囲または輪郭にパラメトリックに適合されて配置されており、樽板の2つの長手方向側面は湾曲している。
【
図29】
図2の幾何学的パターンの網目に対応する樽板の平面図を示す。該パターンは、樽板の内面の周囲または輪郭にパラメトリックに適合されて配置されており、樽板の2つの長手方向側面は湾曲している。
【
図30】
図2の幾何学的パターンの網目に対応する樽板の平面図を示す。該パターンは、樽板の内面の周囲または輪郭にパラメトリックに適合されて配置されており、樽板の2つの長手方向側面は湾曲している。
【
図31】
図2の幾何学的パターンの網目に対応する樽板の平面図を示す。該パターンは、樽板の内面の周囲または輪郭にパラメトリックに適合されて配置されており、樽板の2つの長手方向側面は湾曲している。
【
図32】
図4の幾何学的パターンの網目に対応する樽板の平面図を示す。該パターンは、樽板の内面の周囲または輪郭にパラメトリックに適合されて配置されており、樽板の2つの長手方向側面は湾曲している。
【
図33】
図4の幾何学的パターンの網目に対応する樽板の平面図を示す。該パターンは、樽板の内面の周囲または輪郭にパラメトリックに適合されて配置されており、樽板の2つの長手方向側面は湾曲している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態の異なる代替例を、前述の図面を参照して以下に説明する。
【0025】
本発明は、上述したように樽板20に関する。樽板20は、樽の蓋が設置され、樽の外側に領域がある、その内面の両端部において、材料を中空にするための、または除去するための第1の機械加工を、その内面上に有する。該第1の機械加工は、好ましくは数値制御によって実行される。また、樽板20は、樽の内部にとどまる領域に対応する、その内面の残りの表面において、第2の機械加工を有する。該第2の機械加工は、好ましくは数値制御によって実行される。樽板20は、少なくとも2つの第1のチャネルと、第1のチャネルと交差する少なくとも2つの第2のチャネルと、を備え、それらは、複数の幾何学的要素のパターンを決定する。これらのパターンは、チャネルの数、および、その軌道または方向に応じて、変化し得る。樽板20の内面の機械加工は、チャネルの底部に対応する第1の内面29と、幾何学的要素7の頂部に対応する第2の内面28と、樽板の両端部に対応し、かつ、第1の内面29と高さが一致する第3の内面4とによって決定され、両者の高さの差が、チャネルの深さを決定する。さらに、樽板20の第1の内面29と樽板20の第3の内面4とのうちの一方の、樽板20の外面に対しての差が、樽板20の基部19を決定する。
【0026】
該機械加工プロセスから生じる樽板20の第1の実施例が
図9~
図13に示されている。ここには、その内面にさまざまなチャネルを機械加工した後の木製樽板20が見られる。詳細には、
図9~
図13に示す樽板20は、
図1の機械加工パターンを有し、該機械加工パターンは、樽板の内面の周囲または輪郭に、パラメトリックに適合され、配置されるが、
図2~
図4に示すような他の機械加工パターンを、
図20~
図25の第2の実施例に示すように、使用することもできる。
図20~
図25では、樽板20は、
図3の機械加工パターンを有する。該機械加工パターンは、樽板の内面の周囲または輪郭にパラメトリックに適合され、配置されている。樽板20は、厚さ2~3cmの基部19と、樽板20の前記内面にある、複数のチャネル3の機械加工から得られる幾何学的要素7とによって、その形を定められる。これらの要素7の各々は、チャネル3によって互いに分離され、それは機械加工ツール自体によって作り出される。
図13は、出口開口部1を有する樽板21を示す。詳細には、
図13に示す樽板21は、
図5の機械加工パターンを有し、該機械加工パターンは、樽板の内面の周囲または輪郭にパラメトリックに適合され、配置されるが、例えば
図6~
図8に示すような他の機械加工パターンを使用することもできる。
図23~
図25は、
図3の機械加工パターンを、樽板の製造要件に従って、樽板20の輪郭または周囲のさまざまな選択肢に適合させたものを示す。詳細には、
図23は、長方形の周囲を有し、
図24は、その2つの長手方向側面30および31上に、直線状の、切削、研磨または機械加工処理を有し、
図25は、その2つの長手方向側面30および31上に、湾曲した、切削、研磨または機械加工処理を有する。
【0027】
いったん樽板20が機械加工され完成すると、
図14に示される樽22が、前記樽板20および21によって組み立てられ、形成される。したがって、樽22は、好ましくは単一の樽板21を有し、単一の出口開口部1は、好ましくは樽板21の中心に配置され、樽板21は、開口部1をもたない複数の樽板20の間にある。
【0028】
その結果、幾何学的枠組または網目を形成する幾何学的要素または角柱7の内壁23が出来上がる。幾何学的要素または角柱7は、樽を形成する樽板の内面の周囲または輪郭に、パラメトリックに適合され、配置される(
図1~4)。それは、木材と収容される液体との間の接触面を増やし、樽22から出口開口部1を通じて前記液体を全て抽出できるようにし、前記液体が内部に留まるのを防ぐことで液体の損失を防ぎ、そして、残留物の望ましくない蓄積を防止する。
【0029】
図17は、樽22の断面図を示す。矢印は、樽22からの液体の流出24を表し、流出は、出口開口部1を通って継続的に、常に生成され、樽内部に液体の望ましくない漏れまたは蓄積物を生じ得る、いかなるタイプの障壁またはキャビティももたない。
【0030】
図18は、樽板の一実施例の詳細を示す。
図18では、機械加工された要素7の各々が、その壁の木材の内部繊維26を露出させた状態に置き、収容される液体に対して、物質27がより大きく寄与できるようにしている。該繊維のその配置は、滲み出しやすさがより大きいからである。
【0031】
加えて、樽板20のために提案される解決策は、樽22のその内面の蓋25にも適用され得る。
【0032】
上述したように、樽板20の内面に機械加工された複数のチャネル3の目的は、その配置、および、それらが形を決定する幾何学的要素または角柱とは無関係に、2つある。1つは、木材と、前記樽板によって形成された樽22内に貯蔵された液体との間の接触面を増やすことであり、もう1つは、樽22を形成する複数の樽板20の間にある少なくとも1つの樽板内に配置された、液体の入口および出口開口部1を通じて、樽を完全に空にできるようにすることである。
図5~
図8は、機械加工された複数のチャネル3によって形を決定される幾何学的要素7を有するさまざまなパターンを示す。それは、複数のチャネル3が樽22の入口および出口開口部1と合流する領域に中心があり、本発明の目的であるところの、空にすることが容易である状態を、より明確に示すためのものである。
【0033】
図5~
図8の各々において、直交して配置された4つの矢印2が識別され、樽板20の各詳細図の外側に位置している。それは、樽22の特徴的な湾曲および樽22の内側に収容される液体の出口方向を表している。それぞれの図において、その内側のチャネル3内に配置された矢印によって、開口部1を通って樽22からその出口まで液体が従う方向を、特定の方法で観察することができる。
【0034】
詳細には、
図1は、樽板20の内面の周囲または輪郭にパラメトリックに適合されて配置された、
図9~
図17の実施例に使用される、樽板20の詳細を示す。それは、特定の数の軸によって定められる枠組から得られる複数の幾何学的要素7のパターンからなる。該特定の数の軸は、4つの方向、つまり、第1の方向D1-1、第2の方向D1-2、第3の方向D1-3および第4の方向D1-4に配置され、各方向D1-1、D1-2、D1-3およびD1-4に対応する(複数の)軸同士で、平行かつ等距離に配置されている。4つの方向のうちの2つである、第1および第2の方向、つまり該枠組のD1-1およびD1-2は、互いに直交し、好ましくは樽の2つの主軸である、横軸(T-T´)(本体の大きい方の寸法に垂直な軸)および縦軸(L-L´)(本体の大きい方の寸法を有する方向の軸)と一致する。他の2方向、つまり、第3の方向であるD1-3および第4の方向であるD1-4もまた、互いに直交し、設計に応じて異なる角度で回転したものとなっているが、その角度は、好ましくは第1の方向D1-1および第2の方向D1-2に対して45°である。4つの方向D1-1、D1-2、D1-3およびD1-4のそれぞれにおいて平行かつ等距離に配置される(複数の)軸は、(複数の)共通する交点で互いに交わり、三角形の網目を形成し、その(複数の)辺は、大きさおよび形状において等しく、この場合には(複数の)直角三角形である。機械加工は、前記第1、第2、第3および第4の方向D1-1、D1-2、D1-3およびD1-4を有する該枠組の該(複数の)軸に沿って行われ、(複数の)チャネル3を作り出す。また、該機械加工は、結果として、樽板の底面上に突き出した結果物として、前記(複数の)幾何学的要素7を与える。該(複数の)幾何学的要素7は、大きさおよび形状において等しく、直角三角形形状の底面を有する(複数の)三角柱のパターンを形成する。その該直角は、その後、湾曲処理を受ける。
【0035】
樽板への前記パターンの適用における前記パターンは、樽板の内面の周囲または輪郭に対してパラメトリックに適合されて配置されることが好ましい。4つの方向D1-1、D1-2、D1-3およびD1-4のそれぞれにおいて平行かつ等距離に配置される(複数の)軸が、第1、第2、第3および第4の方向D1-1、D1-2、D1-3およびD1-4のそれぞれに対応する該(複数の)軸同士で、さまざまな方向を取り得る。したがって、前記(複数の)軸がその平行状態を失し得、そのために、結果として得られる三角形の網目は、さまざまな大きさおよび形状を有する三角形によって形成されることとなる。機械加工は、前記第1、第2、第3および第4の方向、すなわちD1-1、D1-2、D1-3およびD1-4の方向においてバリエーションを有しつつ、枠組の該(複数の)軸に沿って行われ、(複数の)チャネル3が作り出される。また、該機械加工は、結果として、樽板の底面上に突き出した結果物として、幾何学的要素7を与える。幾何学的要素7は、樽板の内面の周囲または輪郭へのその適合のために、さまざまな大きさおよび形状を有する。前記(複数の)幾何学的要素は、1つの代替実施形態として、樽板の中央および広い方の領域でその最大の大きさを有し、それらは、狭い方の端の領域に向かって大きさが次第に減少する。そして、直角三角形形状の底面を有する(複数の)三角柱のパターンを形成する。その該直角はその後、湾曲処理を受ける。1つの選択肢では、第1の方向(D1-2)において平行かつ等距離にある所定の数のチャネルと、樽板の両端部を接合する樽板の第1の長手方向側面30の軌道と一致する第2のチャネルと、樽板の両端部を接合する樽板の第2の長手方向側面31の軌道と一致する第3のチャネルと、該第1および第2の長手方向側面の軌道と一致する(複数の)チャネルの間に挿入され、前述のチャネルと交差する所定の数のチャネルと、(複数の)バリエーションの第3および第4の方向(D1-3およびD1-4)で互いに交差し、前述のチャネルに対して交差する、他の一連のチャネルと、を備え得る。そして、(複数の)三角柱のパターンを形成し、その底部は、さまざまな大きさおよび形状を有する直角三角形であり得、その該直角はその後、湾曲処理を受け得る。
【0036】
図2に表される第2の実施形態は、3つの方向、つまり、第1の方向D2-1、第2の方向D2-2および第3の方向D2-3に配置され、各方向D2-1、D2-2およびD2-3に対応する(複数の)軸同士で平行かつ等距離に配置される、所定の数の軸によって定められる枠組から得られる、(複数の)幾何学的要素7のパターンによって形成される樽板の詳細を示す。3つの方向のうちの1つ、すなわち該枠組の第1の方向D2-1は、樽の2つの主軸、すなわち横軸(T-T´)または縦軸(L-L´)のうちの1つと一致することが好ましい。3つの方向、すなわち第1の方向D2-1、第2の方向D2-2および第3の方向D2-3のそれぞれにおいて等距離に配置される(複数の)軸は、共通する交点で互いに交わり、三角形の網目を形成する。その(複数の)辺の大きさおよび形状は等しく、この場合には、(複数の)正三角形である。正三角形の内角は60°であるから、六つの三角形は一点に集まり、360°を占める。言い換えれば、六つの三角形は六角形となる。機械加工は、枠組の該(複数の)軸に沿って行われ、前述の方向D2-1、D2-2およびD2-3を有する第1、第2および第3の(複数の)チャネル3を作り出す。また、該機械加工は、結果として、樽板の底面上に突き出した結果物として、前記(複数の)幾何学的要素7を与える。前記(複数の)幾何学的要素7は、大きさおよび形状において等しく、正三角形形状の底面を有する(複数の)三角柱のパターンを形成する。
【0037】
樽板への前記パターンの適用における前記パターンは、前記樽板の内面の形状にパラメトリックに適合されて配置されることが好ましい。3つの方向D2-1、D2-2およびD2-3のそれぞれにおいて平行かつ等距離に配置される(複数の)軸が、第1、第2および第3の方向D2-1、D2-2およびD2-3のそれぞれに対応する(複数の)軸同士で、さまざまな方向を取り得る。したがって、該(複数の)軸がその平行状態を失し得、そのために、結果として得られる三角形の網目が、さまざまな大きさおよび形状を有する三角形によって形成されることとなる。機械加工は、前記第1、第2および第3の方向、すなわちD2-1、D2-2およびD2-3の方向のバリエーションを有しつつ、枠組の該(複数の)軸に沿って行われ、(複数の)チャネル3が作り出される。また、該機械加工は、結果として、樽板の底面上に突き出した結果物として、幾何学的要素7を与える。幾何学的要素7は、樽板の内面の周囲または輪郭へのその適合のために、さまざまな大きさおよび形状を有する。前記(複数の)幾何学的要素は、1つの代替実施形態として、樽板の中央および広い方の領域においてその最大の大きさを有し、それらは狭い方の端の領域に向かって次第に大きさが減少する。そして(複数の)三角柱のパターンを形成し、底面は三角形形状である。1つの選択肢では、第1の方向(D2-1)において互いに平行かつ等距離にある所定の数のチャネルと、第2の方向(D2-2)に対して方向のバリエーションを有する所定の数のチャネルと、第3の方向(D2-3)において方向のバリエーションを有する所定の数のチャネルとを含み得る。それらは全て互いに交差し、(複数の)三角柱のパターンを形成し、その(複数の)底面は、さまざまな大きさおよび形状を有する三角形である。
図28~
図31は、このパターンの幾何学的網目を樽板の上に適用してパラメトリックに配置した、4つの場合を示している。
【0038】
図3に表される第3の実施形態は、
図18~19および
図20~25の実施例に用いられる樽板の詳細を示す。該実施形態は、幾何学的要素7が直角三角形形状の底面を有する三角柱であり、その該直角は、その後の湾曲処理を受けない、という底面の違いを除き、
図1の実施形態と同じである。樽板への前記パターンの適用における前記パターンは、該樽板の内面の周囲または輪郭に対してパラメトリックに適合されて配置されることが好ましい。4つの方向D3-1、D3-2、D3-3およびD3-4のそれぞれにおいて平行かつ等距離に配置された(複数の)軸は、第1、第2、第3および第4の方向D3-1、D3-2、D3-3およびD3-4のそれぞれに対応する(複数の)軸同士で、さまざまな方向を取り得る。したがって、前記(複数の)軸はその平行状態を失し得、そのために、結果として得られる三角形の網目は、さまざまな大きさおよび形状を有する三角形によって形成されることになる。機械加工は、前記第1、第2、第3および第4の方向、すなわちD3-1、D3-2、D3-3およびD3-4の方向のバリエーションを有しつつ、枠組の該(複数の)軸に沿って行われ、複数のチャネル3が作り出される。また、機械加工は、結果として、樽板の底面上に突き出した結果物として、幾何学的要素7を与える。幾何学的要素7は、
図20~25で詳細に示されているように、樽板の内面の周囲または輪郭へのその適合のために、さまざまな大きさおよび形状を有する。前記(複数の)幾何学的要素は、1つの代替実施形態として、樽板の中央および広い方の領域でその最大の大きさを有し(
図22)、それらは樽板の狭い方の端の領域に向かって次第に大きさが減少する(
図21)。そして、直角三角形形状の底面を有する(複数の)三角柱のパターンを形成する。
図23~
図25には、前記パターンを、樽板の周囲または輪郭のさまざまな選択肢に適合させる、実施例を見ることができる。
図26および
図27は、このパターンの幾何学的網目を樽板の上に適用してパラメトリックに配置した、2つの場合を示している。
【0039】
図4に表される第4の実施形態は、2つの方向、つまり、第1の方向D4-1および第2の方向D4-2に配置され、各方向D4-1およびD4-2に対応する(複数の)軸同士で平行かつ等距離に配置される、所定の数の軸によって定められる枠組から得られる、(複数の)幾何学的要素7のパターンによって形成される樽板の詳細を示す。不規則な多角形の網目が作り出され、この場合は菱形である。これらの2つの方向、すなわち第1のD4-1および第2のD4-2はまた、互いに直交して配置され得、樽の主軸、すなわち横軸(T-T´)または縦軸(L-L´)に対して好ましくは45°回転したものであり得る。その結果、向かい合う頂点同士を結ぶ、該枠組の(複数の)多角形の(複数の)内部対角線は、樽の2つの主軸、すなわち横軸(T-T´)または縦軸(L-L´)に対して平行となる。機械加工は、枠組の該(複数の)軸に沿って行われ、前述した方向、すなわちD4-1およびD4-2に、第1および第2の(複数の)チャネル3を作り出す。また、該機械加工は、結果として、大きさおよび形状が等しい、樽板の底面上に突き出した結果物として、前記幾何学的要素7を与える。そして、2つの方向D4-1およびD4-2の間の角度に応じて菱形または正方形の形状の底面を有する、角柱のパターンが形成される。
【0040】
樽板への前記パターンの適用における前記パターンは、前記樽板の内面の形状にパラメトリックに適合されて配置されることが好ましい。2つの方向D4-1およびD4-2のそれぞれにおいて平行かつ等距離に配置される(複数の)軸は、第1および第2の方向D4-1およびD4-2のそれぞれに対応する(複数の)軸同士で、さまざまな方向を取り得る。したがって、該(複数の)軸はその平行状態を失し得、そのために、結果として得られる不規則な多角形の網目は、さまざまな大きさおよび形状を有する菱形によって形成されることになる。機械加工は、前記第1および第2の方向、すなわちD4-1およびD4-2の方向のバリエーションを有しつつ、枠組の該(複数の)軸に沿って行われ、(複数の)チャネル3が作り出される。また、該機械加工は、結果として、樽板の底面上に突き出した結果物として、幾何学的要素7を与える。幾何学的要素7は、樽板の内面の周囲または輪郭へのその適合のために、さまざまな大きさおよび形状を有する。前記(複数の)幾何学的要素は、1つの代替実施形態として、樽板の中央および広い方の領域でその最大の大きさを有し、それらは狭い方の端の領域に向かって大きさが次第に減少する。そして、菱形形状の底面を有する(複数の)角柱のパターンを形成する。
図32および
図33は、このパターンの幾何学的網目を樽板の上に適用してパラメトリックに配置した、2つの場合を示している。
【0041】
図5~
図8は、
図1~
図4と同じパターンを有し、出口開口部1を有する樽板の詳細を示している。
【国際調査報告】