(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-24
(54)【発明の名称】反射レンズ式ヘッドセットの構成の検出
(51)【国際特許分類】
H04N 5/64 20060101AFI20220117BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
H04N5/64 511A
G02B27/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526700
(86)(22)【出願日】2019-11-18
(85)【翻訳文提出日】2021-07-12
(86)【国際出願番号】 US2019062071
(87)【国際公開番号】W WO2020102818
(87)【国際公開日】2020-05-22
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519358195
【氏名又は名称】ミラ ラボ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コズラウスキー マイク
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199CA42
2H199CA48
2H199CA92
2H199CA96
(57)【要約】
拡張現実システムの状態を検出し、さらには/あるいは拡張現実システムの態様を制御するためのシステムおよび方法。典型的な実施形態は、電話機および/またはヘッドセットの位置の判定に基づいて、仮想的にレンダリングされる物体の状態を変更すること、ユーザにメッセージを提供すること、拡張現実システムおよび/またはディスプレイの機能を制御することを含むことができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石を有している拡張現実ヘッドセットと、
モバイルデバイスのメモリに格納されるように構成されたモバイルデバイスアプリケーションと、
を備える拡張現実システムであって、
前記モバイルデバイスアプリケーションは、前記モバイルデバイスのプロセッサによって実行されたときに、
磁力計から読み取り値を受信し、
当該拡張現実システムの状態を判断する
ように構成されている、拡張現実システム。
【請求項2】
前記拡張現実ヘッドセットは、
挿入されたモバイルデバイスを支持するためのフレームと、
前記モバイルデバイスのディスプレイからの画像を着用者の目へと反射させるための光学アセンブリとを含み、
前記光学アセンブリは、前記フレームに結合するように構成されている、
請求項1に記載の拡張現実システム。
【請求項3】
前記フレームは、前記磁石を含んでおり、
前記光学アセンブリは、別の磁石を含んでいる、
請求項2に記載の拡張現実システム。
【請求項4】
前記磁石および前記別の磁石は、前記光学アセンブリを前記フレームに結合させるために使用される、
請求項3に記載の拡張現実システム。
【請求項5】
前記モバイルデバイスアプリケーションは、
(1)前記モバイルデバイスが前記ヘッドセット内にないこと、
(2)前記モバイルデバイスが第1の向きにて前記フレーム内にあり、前記光学アセンブリが前記フレームに取り付けられていないこと、
(3)前記モバイルデバイスが前記フレームに対する第2の向きにて前記フレーム内にあり、前記光学アセンブリが前記フレームに取り付けられていないこと、
(4)前記モバイルデバイスが第1の向きにて前記フレーム内にあり、前記光学アセンブリが前記フレームに結合していること、
(5)前記モバイルデバイスが第2の向きにて前記フレームの正しい向き内にあり、前記レンズが取り付けられていること、または
(6)これらの組み合わせを判断することを含む当該拡張現実システムの状態の判断を行うように構成される、
請求項2に記載の拡張現実システム。
【請求項6】
当該拡張現実システムの状態の判断は、前記拡張現実ヘッドセットに挿入された前記モバイルデバイスの向きを検出し、前記拡張現実ヘッドセットに対する前記モバイルデバイスのディスプレイの上下の向きを判断することを含み、
前記モバイルデバイスアプリケーションは、前記フレーム内の前記モバイルデバイスの上下の向きに応じて仮想の物体をレンダリングするように構成される、
請求項1に記載の拡張現実システム。
【請求項7】
当該拡張現実システムの状態の判断は、前記拡張現実ヘッドセットに挿入された前記モバイルデバイスの向きを検出し、前記拡張現実ヘッドセットに対する前記モバイルデバイスのディスプレイの上下の向きを判断することを含み、
前記モバイルデバイスアプリケーションは、前記フレーム内の前記モバイルデバイスの上下の向きに応じて仮想の物体をレンダリングするように構成される、
請求項1に記載の拡張現実システム。
【請求項8】
当該拡張現実システムの状態の判断は、前記光学アセンブリの存在を検出することを含む、
請求項2に記載の拡張現実システム。
【請求項9】
前記モバイルデバイスアプリケーションは、前記光学アセンブリの存在の検出に基づいて前記モバイルデバイスのディスプレイを制御するようにさらに構成される、
請求項8に記載の拡張現実システム。
【請求項10】
前記モバイルデバイスのディスプレイの制御は、前記レンズアセンブリが前記フレームに対して存在すると判断されたときにユーザへの表示のために光学要素をレンダリングすることを含む、
請求項9に記載の拡張現実システム。
【請求項11】
ベースライン磁力計読み取り値に対する一連の差分磁力計読み取り値を決定することをさらに含む、
請求項10に記載の拡張現実システム。
【請求項12】
拡張現実システムの状態を判断するための方法であって、
拡張現実システムを用意するステップと、
モバイルデバイス上に格納され、前記モバイルデバイスのプロセッサによって実行されたときに前記拡張現実システムの状態を判断するように構成されたモバイルアプリケーションを用意するステップと、
を含む方法。
【請求項13】
前記モバイルデバイスアプリケーションを保存した前記モバイルデバイスを前記拡張現実システムへと挿入するステップ
をさらに含み、
前記モバイルデバイスアプリケーションは、前記モバイルデバイスによって実行されたときに、
前記モバイルデバイスの磁力計から値を受信するステップ、および
前記拡張現実システムの状態を判断するステップ
を実行するように構成されている、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記拡張現実システムの状態を変化させることによって前記磁力計の読み取りによって検出される読み取り値を変化させること
をさらに含む、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記拡張現実システムは、前記モバイルデバイスと、光学アセンブリとを支持するように構成されたフレームを備える、
請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記フレームは、第1の磁石を備え、前記光学アセンブリは、第2の磁石を備える、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記拡張現実システムの状態の判断は、
(1)前記モバイルデバイスが前記フレーム内にないこと、
(2)前記モバイルデバイスが第1の向きにて前記フレーム内にあり、前記光学アセンブリが前記フレームに取り付けられていないこと、
(3)前記モバイルデバイスが前記フレームに対する第2の向きにて前記フレーム内にあり、前記光学アセンブリが前記フレームに取り付けられていないこと、
(4)前記モバイルデバイスが第1の向きにて前記フレーム内にあり、前記光学アセンブリが前記フレームに結合していること、
(5)前記モバイルデバイスが第2の向きにて前記フレームの正しい向き内にあり、前記レンズが取り付けられていること、または
(6)これらの組み合わせを判断することを含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記拡張現実システムの状態の判断は、前記拡張現実システムに挿入された前記モバイルデバイスの向きを検出し、前記ヘッドセットに対する前記モバイルデバイスのディスプレイの上下の向きを判断することを含み、
前記モバイルデバイスアプリケーションは、前記フレーム内の前記モバイルデバイスの上下の向きに応じて仮想の物体をレンダリングするように構成される、
請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記拡張現実システムの状態の判断は、前記光学アセンブリの存在を検出することを含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記光学アセンブリの存在の検出に基づいて前記モバイルデバイスのディスプレイを制御することをさらに含む、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記モバイルデバイスのディスプレイの制御は、前記レンズアセンブリが前記フレームに対して存在すると判断されたときにユーザへの表示のために光学要素をレンダリングすることを含む、
請求項19に記載の方法。
【請求項22】
ベースライン磁力計読み取り値に対する一連の差分磁力計読み取り値を決定することをさらに含む、
請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)は、ディスプレイに対して固定された位置にある1人の人間によって見られるように意図された画像を生成する。HMDは、仮想現実(VR)または拡張現実(AR)体験に使用することができる。仮想現実体験のHMDは、ユーザの視野全体を没入させ、外界の画像をもたらすことはない。拡張現実体験のHMDは、仮想の画像または予め記録された画像を外界の上に重ね合わせてレンダリングする。
【0002】
2018年4月3日に出願された米国特許出願第15/944,711号は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるが、モバイルデバイスまたは携帯電話機の画面などの平坦な画面が、画面の表示をユーザの目の前方の光学要素へと反射させることによってユーザの視野内に仮想の物体を生成するために使用される典型的な拡張現実システムを説明している。
図1が、この引用出願の
図1に対応し、
図2が、この引用出願の
図3に対応する。
図1は、実際の視野内に仮想の物体を重ねるために、ディスプレイからの画像を光学要素からユーザの目へと反射させることによって拡張現実環境を生成するための典型的なヘッドセットを示している。
図1の典型的なヘッドセット10は、ディスプレイ22を備えるモバイルデバイス18と、光学要素14とを有するモバイルデバイス支持用フレーム12、ならびにディスプレイおよび光学要素をユーザに取り付けるための取り付けシステム16を含む。
図2は、表示画面22および光学要素14からユーザの目への典型的な光路を示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
拡張現実ヘッドセットの典型的な実施形態は、ヘッドセットフレームに挿入されたユーザのモバイルデバイスを使用することを含む。仮想の物体をユーザの視野内に正しくレンダリングするために、モバイルデバイスの表示画面は、フレーム内に適切に配置されなければならない。モバイルデバイスが上下逆さまである場合、画像も同様に上下逆さまにユーザに表示されることになる。モバイルデバイスがフレーム内に完全に、または適切に据えられていない場合、ディスプレイ、反射レンズ、およびユーザの目の間の関係がずれることになるため、表示される仮想の画像が歪む可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書において説明される典型的な実施形態は、ユーザのモバイルデバイスを支持するように構成されたフレームと、フレームに結合し、モバイルデバイスによって表示された画像をユーザへと反射させるように構成された光学要素とを有するヘッドセットシステムを含む。フレームと光学要素との間の取り付け機構が、複数の磁石を含むことができる。これに加え、あるいはこれに代えて、典型的な実施形態は、本明細書に記載の方法において使用するためにフレーム内に磁石を残しつつ、光学要素のための他の取り付け方法を含むことができる。
【0005】
典型的な実施形態は、ユーザのモバイルデバイス内の磁力計によってフレーム内の磁石を検出するシステムおよび方法を含む。典型的な実施形態は、磁力計の読み取り値に対する磁石の影響を使用して、電話機および/またはヘッドセットの位置を判定することを含むことができる。典型的な実施形態は、電話機および/またはヘッドセットの位置の判定に基づいて、仮想的にレンダリングされる物体の状態を変更すること、ユーザにメッセージを提供すること、拡張現実システムおよび/またはディスプレイの機能を制御することを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】本明細書に記載の実施形態による拡張現実システムの使用のための典型的な光線追跡を示している。
【
図3】本明細書に記載の典型的な拡張現実システムを示している。
【
図4】本明細書に記載の典型的な拡張現実システムを示している。
【
図5】本明細書に記載の典型的な拡張現実システムを示している。
【
図6】本明細書に記載の実施形態による拡張現実システムの状態の判定に使用される典型的な磁力計の読み取り値を示している。
【
図7】本明細書に記載の実施形態による拡張現実システムの状態の判定に使用される典型的な磁力計の読み取り値を示している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の詳細な説明は、本発明の原理を、限定の目的ではなく、例として示す。この説明は、本発明の製作および使用を当業者にとって明確に可能にし、本発明のいくつかの実施形態、適応物、変種、代替物、および用途を、現時点において本発明を実施する最良の態様であると考えられる内容を含めて説明する。図面が、本発明の典型的な実施形態の図式的および概略的な表現であり、本発明を限定するものではなく、必ずしも縮尺どおりに描かれていないことを、理解すべきである。
【0008】
図3に見られるように、本明細書に記載の典型的な実施形態は、モバイルデバイスを支持するように構成されたコンパートメントを備えるフレーム12と、フレームに結合し、モバイルデバイス上に表示された画像を反射させるように構成された光学要素14とを有するヘッドセット10システムを含む。ヘッドセット10は、光学要素をフレームに取り外し可能および/または枢動可能に取り付けるために、フレームと光学要素との間に取り付け機構を含むことができる。取り付け機構および/またはフレームは、一つ以上の磁石を含むことができる。
【0009】
図3~
図5は、一方を他方へと支持して取り付けるために使用することができる光学要素14などのレンズアセンブリとヘッドセット12との間の磁気機構の典型的な実施形態を示している。
図3に示されるように、フレーム12が、一つ以上の磁石52を含むことができ、レンズアセンブリが、一つ以上の磁石54を含むことができ、あるいはフレームとレンズアセンブリとの組み合わせが、それぞれ一つ以上の磁気を含むことができる。磁石は、フレームとレンズアセンブリとの間に対応する引き付けペアを定めることができる。例えば、フレーム上の第1の磁石52Aが、レンズアセンブリ上の第1の磁石54Aを引き付けて結合するように構成されてよい。磁石を、レンズアセンブリに対するフレームの所望の相対配置にて互いに引き付け合うように構成することができる。
【0010】
典型的な実施形態において、磁石は、ヘッドセット上の各々の磁石が所与の向きの極性(外側へと向かい、もしくはレンズへと向かい、あるいは一方側へと向き、もしくは他方側へと向く)を有することができるように、極性の向きを変化させることができる。磁石52Aまたは54Bの第1の磁石または組が、第1の極性の向きを定めることができ、磁石52Bまたは54Aの第2の磁石または組が、第2の極性の向きを定めることができる。第1の極性の向きは、第2の極性の向きと反対の方向であってよい。磁石のうちの第1の磁石が、磁石のうちの第2の磁石に隣接して位置することができ、あるいは磁石の第1の組が、磁石の第2の組と交互に位置することができる。反対の極性の配置は、必ずしも一つおきの磁石で入れ替えられる必要はなく、外側の磁石が第1の向きを有してよく、内側の磁石が第2の向きを有してよいなど、グループ化されてもよい。
【0011】
典型的な実施形態において、取り付け機構は、フレームの第1の取り付け機構内の第1の複数の磁石52と、光学要素の第2の取り付け機構内の第2の複数の磁石54とを含むことができ、第1の複数の磁石のうちの隣接する磁石52A、52Bは、第1の複数の磁石の前向き方向の極性が交互になるように、向きが互い違いである。第2の複数の磁石54は、第2の複数の磁石の各々が第1の複数の磁石のうちの一つと整列して対をなすような配置および向きとされてよく、第2の複数の磁石は、第1の複数の磁石のうちの対応する一つに向けられた反対の極性を有する。
【0012】
図示のように、フレームの第1の部分および光学要素の第2の部分は、磁気を有する。典型的な実施形態において、第1の部分および第2の部分は、それぞれ複数の磁気要素を含むことができる。磁気要素の極性は、それぞれの部品の長さに沿って交互であってよい。第1の部分および第2の部分は、各々の部品の対応する磁気要素が互いに引き付け合うように、それぞれの長さに沿って反対の極性の磁気要素を有することができる。同じ部品内の対向する極性を使用して、光学要素をフレームに位置合わせすることができる。典型的な実施形態において、光学要素およびフレームは、それぞれ4つの磁気要素を有する。
【0013】
典型的な実施形態においては、モバイルデバイスの磁力計の読み取り値を受信するために、モバイルデバイスアプリケーションがモバイルデバイスにインストールされる。ヘッドセットのフレーム内の磁石は、モバイルデバイス内の磁力計に影響を及ぼすことができ、したがってヘッドセットのフレーム内の磁石を、ヘッドセット内のモバイルデバイスの向きおよび/またはヘッドセットの構成を判断するために使用することができる。例えば、典型的な実施形態を、(1)モバイルデバイスがヘッドセット内にない、(2)モバイルデバイスがヘッドセット内で上下逆さまであり、レンズはオフである、(3)モバイルデバイスがヘッドセット内で正しい向きにあり、レンズはオフである、(4)モバイルデバイスが上下逆さまでヘッドセット内にあり、レンズはオンである、および/または(5)モバイルデバイスが正しい向きにあり、レンズはオンである、などのヘッドセットおよび/または電話機の構成を検出するために使用することができる。
【0014】
典型的な実施形態は、ディスプレイの上下の向きに適切に対応するように、挿入されたモバイルデバイスの向きを検出することと、フレーム内のモバイルデバイスの向きに応じて仮想の物体をレンダリングすることとを含む。例えば、モバイルデバイスが第1の向きであることが検出されたとき、仮想の物体は第1の位置にレンダリングされるが、モバイルデバイスが第2の向きであることが検出されたとき、仮想の物体は第2の位置にレンダリングされ、第1の位置および第2の位置は、仮想の物体の上下の向きを変えるように画面上で回転させられている。
【0015】
典型的な実施形態は、レンズ/光学要素がヘッドセットフレームに配置されているかどうか、またはヘッドセットフレームに結合しているかどうかを検出することを含む。典型的な実施形態は、ヘッドセットフレームに対するレンズの状態に応じてモバイルデバイスの表示を制御することを含む。例えば、レンズがフレームから外れている場合、ディスプレイ上で実行中の表示および/またはアプリケーションを、電力消費を削減するために、一時的に停止させ、減光し、あるいは他のやり方で変更することができる。レンズがフレーム上にある場合、表示および/またはアプリケーションを起動させ、一時停止から復帰させ、あるいは仮想の物体をユーザへとレンダリングするように構成することができる。
【0016】
典型的な実施形態は、ヘッドセット内の電話機の向きおよび/またはヘッドセットへのレンズの取り付けなど、判定されたヘッドセットの構成に応じて、ユーザのモバイルデバイスの表示の構成を切り替えるためのソフトウェア制御部を含む。ソフトウェア制御部の典型的な実施形態は、レンズを接続すること、ならびに/あるいはモバイルデバイスを回転させ、さらには/あるいは挿入し直すことなど、特定のやり方でヘッドセットを構成するようにユーザへとプロンプトまたは命令を表示するように構成される。ソフトウェア制御部の典型的な実施形態は、判定されたヘッドセット内のモバイルデバイスの構成に基づいて画面表示を自動的に回転させるように構成される。ソフトウェア制御部の典型的な実施形態は、検出されたヘッドセットに対するレンズの構成に基づいてモバイルデバイスの表示の構成を変更するように構成される。表示の構成の変更は、表示またはアプリケーションの一時停止、画面表示の減光または回転、あるいは判定された状態がヘッドセットに接触していないレンズを含む場合の他の機能を含むことができる。ソフトウェア制御部の典型的な実施形態は、ヘッドセットへの光学要素の取り付けに応じて、モバイルデバイス上のアプリケーションを制御/選択するための2次元タッチスクリーンユーザインタフェースと、光学要素からの反射による重ね合わせのための仮想オブジェクトのレンダリングに使用するための3次元立体拡張現実表示の構成との間の自動切り替えを行うように構成される。
【0017】
図6~
図7は、モバイルデバイスがヘッドセット外にある状態、モバイルデバイスが正しい向きでヘッドセット内にあるが、レンズがない状態、モバイルデバイスが正しい向きでヘッドセット内にあり、かつレンズがある状態、モバイルデバイスがヘッドセット外にある状態、モバイルデバイスがヘッドセット内にあるが、向きが正しくなく、レンズがない状態、およびモバイルデバイスがヘッドセット内にあるが、向きが正しくなく、レンズがある状態、を含むヘッドセットのさまざまな識別された状態のもとでユーザのモバイルデバイスから得られた典型的な生および平均の磁力計の読み取り値を示している。正しくない向きとは、ヘッドセットに対するモバイルデバイスの所定の向きと比較して、フレーム内で反転し、あるいは上下逆さまになった向きである。
【0018】
典型的な実施形態は、磁力計から生の値を取得するのではなく、磁力計の読み取り値の差分を測定することを含む。ベースラインの検出された磁力計の読み取り値との差分または比較は、ユーザの地理的位置の変動を補償することができる。典型的な実施形態においては、状態間の差分が、状態の絶対値よりも優先して使用され、なぜならば、絶対値は地理によって変化する可能性がある(磁場の強度が緯度によって変化するため)が、差分の方向は場所に無関係であることができるからである。
【0019】
典型的な実施形態において、本明細書に記載の実施形態によるソフトウェア制御部は、モバイルデバイスの磁力計から値を検出および/または受信する。ソフトウェア制御部は、xの磁力計の値およびzの磁力計の値を使用する。ソフトウェア制御部は、まず、電話機が「静止状態」にあるかどうか、すなわち電話機の磁力計が例えば1~3秒などの時間期間にわたって比較的静止していたかどうかを判定する。静止状態は、xおよびzの読み取り値のデルタ値の履歴を比較して、これらの値の変化が所定の時間にわたって所与のしきい値未満であるかどうかを判定することによって判定される。静止期間において、xの磁力計読み取り値およびzの磁力計読み取り値の平均値を計算し、さらには/あるいは記憶し、さらには/あるいは継続的に更新することができる。典型的な実施形態は、xおよびzの磁力計読み取り値の静止時平均を第1のベースラインとして使用することができる。デバイスが静止状態にないと判定されたとき、すなわちデルタ値の平均がしきい値を超えるときは、第1のベースラインがメモリに保存され、ソフトウェア制御部は、この値の更新および/または保存を中止する。電話機が次の静止状態に入ると、更新された平均のxの磁力計読み取り値および平均のzの磁力計読み取り値が決定され、第2のベースラインとして保存される。第2のベースラインは、第1のベースラインと比較される。第1および第2のベースラインの間の差分が所定のウィンドウ内に入る場合、電話機の向きを決定することができる。例えば、レンズがない状態で、電話機をヘッドセットに上下逆さまに配置すると、iPhone 6についてzの磁力計読み取り値に約-100の変化が生じ、xの磁力計読み取り値に+350の変化が生じる。したがって、ソフトウェア制御部は、第2のベースラインを第1のベースラインと比較し、ベースラインの差分が所定の範囲内にあるときにヘッドセットの構成を判定するように構成される。第1の所定の範囲は、モバイルデバイスが第1の向きで挿入され、レンズがヘッドセットにないことを示すことができ、第2の所定の範囲は、モバイルデバイスが第1の向きで挿入され、レンズがヘッドセット上にあることを示すことができ、第3の所定の範囲は、モバイルデバイスが第2の向きで挿入され、レンズがヘッドセットにないことを示すことができ、第4の所定の範囲は、モバイルデバイスが第2の向きで挿入され、レンズがヘッドセット上にあることを示すことができる。ヘッドセット内のモバイルデバイスの第1の向きおよび第2の向きは、上下逆さまであってよく、あるいは180度の回転のずれであってよい。
【0020】
典型的な実施形態は、さまざまなしきい値および/またはサンプリングレートを使用することができる。例えば、サンプリングレートは、60x/秒であってよい。サンプリングレートは、可変であっても、静的であってもよい。典型的な実施形態において、サンプリングレートは、装置の制限などのシステムの状態に基づくことができる。60フレーム、すなわち約1秒の平均を、平均に使用することができる。サンプリングレートを、ひとたび適切な向きが検出され、デバイスが使用中であると判定されると、サンプリングレートを下げることができるが、システム状態の変化を検出して応答するように依然として監視を続けることができるなど、デバイスの状態に応じて変化させることができる。静止状態を、サンプリング期間中のデルタ絶対値磁力計読み取り値の合計によって判定してもよい。
【0021】
本発明の実施形態を、本明細書においては拡張現実システムに関して説明および例示することができるが、本発明の実施形態が、そのように限定されず、仮想現実システムにもさらに適用可能であることを理解されたい。このシステムの特徴は、任意のヘッドマウントシステムにも適用可能であってよい。さらに、典型的な実施形態は、本明細書に記載の特徴の任意の組み合わせを含むことができる。したがって、記載された特徴、構成要素、または要素の任意の組み合わせが使用可能であり、依然として本明細書の技術的範囲に包含される。典型的な実施形態は、本明細書において、特定の磁石および検出器の向きに関して説明される。システムは、そのように限定されず、本発明は、システムの状態をシステムの磁場および/または磁場の相対変化を検出することによって判定できるようなさまざまな向きまたは検出方式を包含する。
【0022】
典型的な実施形態は、本明細書に記載の特徴の任意の組み合わせも含むことができる。したがって、記載された特徴、構成要素、または要素の任意の組み合わせが使用可能であり、依然として本明細書の技術的範囲に包含される。例えば、特徴として、拡張現実体験のための演算が、ヘッドセットに挿入されたスマートフォンによって実行されること、挿入されたスマートフォンの前向きのカメラが、光学要素を介して妨げのない視野を有すること、トラッキングが、スマートフォンの前向きのカメラからの情報を使用して遂行されること、出力が、スマートフォンの画面上に表示されること、光学要素が、画像をユーザの実際の視野に重ねるようにスマートフォンの画面を反射させる結合器として機能すること、ヘッドセットが、画面からの光が画面とユーザの目との間において遭遇する光学要素を一つだけ有すること、ヘッドセットが、この光学要素の他にはユーザの視野内にデジタル画像を作成し、生成し、あるいは重ねるための追加の光学部品を持たないこと、スマートフォンおよび光学要素が、動作時に固定された位置にあること、ヘッドセットまたはシステムが、動作時に挿入されたモバイルデバイスの位置を固定するためのインサートを含むこと、ヘッドセットが、さまざまなサイズの挿入されるモバイルデバイスに対応するための動的に調整可能な機構を含むこと、ヘッドセットが、画面を遮蔽し、モバイルデバイスをヘッドセットに対して保持するための弾性カバーを含むこと、ヘッドセットが、挿入されたモバイルデバイスの位置決めのための保持用の特徴を含むこと、ヘッドセットが、電話機の他には演算力を含まないこと、光学要素が、取り外し可能であること、光学要素を、コンパートメントに対して保管または輸送のために折り畳むことができること、光学要素が、立体画像を表示するために二つの下位構成部品で構成されること、光学要素が、モバイルデバイスからの画像を反射させるために第1の表面にコーティングを含むこと、光学要素が、モバイルデバイスからの画像の反射を低減するために別の表面に反射防止コーティングを含むこと、光学要素が、球面曲率を含むこと、光学要素が、一様な厚さを有すること、光学要素が磁石を含み、コンパートメントまたはフレームが、光学要素が常に正しい位置に位置するようなヘッドセットのフレームへの光学要素の着脱を可能にする対をなす磁石を含むこと、一体型または取り外し可能なストラップまたはバンドが、ヘッドセットをユーザの顔に固定すること、コンパートメントが、使用時の快適性のための顔クッションを有すること、コンパートメントが、スマートフォンの前向きのカメラを覆う一体型の光学部品を有すること、スマートフォンの前向きのカメラを覆う一体型の光学部品は、トラッキング領域を改善するように前向きのカメラに進入する画像を修正すること、光学部品が、プリズムであること、光学部品が、広角レンズであること、取り付けシステムが、モジュール式のストラップおよび支持フレームを含むこと、取り付けシステムのストラップが、構造的支持を増すための表面の特徴を含むこと、取り付けシステムの支持の特徴は、ユーザの頭部の方のストラップの広い側に刻み目を含むこと、取り付けシステムのストラップが、先細りの厚さを含むこと、取り付けシステムが、向きまたは対をなすペアを定めるようにキーによる対をなす表面を含むこと、およびこれらの任意の組み合わせ、あるいは本明細書に記載の他の特徴を挙げることができる。
【0023】
本発明の実施形態を添付の図面を参照して充分に説明したが、さまざまな変更および修正が、当業者にとって明らかになることに留意されたい。そのような変更および修正は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の技術的範囲に含まれると理解されるべきである。具体的には、典型的な構成要素が本明細書において説明されている。これらの構成要素の任意の組み合わせを、任意の組み合わせで使用することができる。例えば、あらゆる構成要素、特徴、ステップ、または部品は、統合されても、分離されても、さらに分割されても、除去されても、複製されても、追加されても、他のあらゆる構成要素、特徴、ステップ、または部品、あるいは自身との任意の組み合わせにて使用されてもよく、依然として本開示の技術的範囲に含まれる。実施形態は、単なる例にすぎず、特徴の例示的な組み合わせを提供するが、これに限定されるわけではない。
【0024】
典型的な実施形態は、磁石を有している拡張現実ヘッドセットと、モバイルデバイスのメモリに格納されるように構成されたモバイルデバイスアプリケーションとを含む拡張現実システムを含むことができ、モバイルデバイスアプリケーションは、モバイルデバイスのプロセッサによって実行されたときに、磁力計から読み取り値を受信し、拡張現実システムの状態を判断するように構成される。
【0025】
典型的な実施形態は、拡張現実システムの状態を判断するための方法を含み、この方法は、拡張現実システムを用意するステップと、モバイルデバイス上に格納され、モバイルデバイスのプロセッサによって実行されたときに拡張現実システムの状態を判断するように構成されたモバイルアプリケーションを用意するステップとを含む。この方法は、モバイルデバイスアプリケーションを保存したモバイルデバイスを拡張現実システムへと挿入するステップをさらに含むことができ、モバイルデバイスアプリケーションは、モバイルデバイスによって実行されたときに、モバイルデバイスの磁力計から値を受信するステップ、および拡張現実システムの状態を判断するステップを実行するように構成される。さらに、この方法は、拡張現実システムの状態を変化させることによって磁力計によって検出される読み取り値を変化させることを含むことができる。
【0026】
拡張現実システムは、挿入されたモバイルデバイスを支持するためのフレームと、モバイルデバイスのディスプレイからの画像を着用者の目へと反射させるための光学アセンブリとを含むことができる。光学アセンブリは、フレームに結合するように構成されてよい。フレームは、磁石を含むことができ、光学アセンブリは、別の磁石を含むことができる。磁石および別の磁石を、光学アセンブリをフレームに結合させるために使用することができる。
【0027】
このシステムおよび/または方法は、モバイルデバイスアプリケーションを、(1)前記モバイルデバイスが前記ヘッドセット内にないこと、(2)前記モバイルデバイスが第1の向きにて前記フレーム内にあり、前記光学アセンブリが前記フレームに取り付けられていないこと、(3)前記モバイルデバイスが前記フレームに対する第2の向きにて前記フレーム内にあり、前記光学アセンブリが前記フレームに取り付けられていないこと、(4)前記モバイルデバイスが第1の向きにて前記フレーム内にあり、前記光学アセンブリが前記フレームに結合していること、(5)前記モバイルデバイスが第2の向きにて前記フレームの正しい向き内にあり、前記レンズが取り付けられていること、または(6)これらの組み合わせを判断することを含む拡張現実システムの状態の判断を行うように構成することを含むことができる。例えば、システムは、拡張現実ヘッドセットに挿入されたモバイルデバイスの向きを検出し、拡張現実ヘッドセットに対するモバイルデバイスのディスプレイの上下の向きを判定することによって、拡張現実システムの状態を判定することができる。さらに、モバイルデバイスアプリケーションを、フレーム内のモバイルデバイスの上下の向きに応じて仮想の物体をレンダリングするように構成することができる。別の例として、システムは、拡張現実ヘッドセットに挿入されたモバイルデバイスの向きを検出し、拡張現実ヘッドセットに対するモバイルデバイスのディスプレイの上下の向きを判断することによって、拡張現実システムの状態を判断することができ、モバイルデバイスアプリケーションは、フレーム内のモバイルデバイスの上下の向きに応じて仮想の物体をレンダリングするように構成される。
【0028】
さらに、システムおよび/または方法は、光学アセンブリの存在を検出することができる。モバイルデバイスアプリケーションを、光学アセンブリの存在の検出に基づいてモバイルデバイスのディスプレイを制御するように構成することができる。モバイルデバイスのディスプレイの制御は、レンズアセンブリがフレームに対して存在すると判断されたときにユーザへの表示のために光学要素をレンダリングすることを含むことができる。
【0029】
さらに、システムおよび/または方法は、ベースライン磁力計読み取り値に対する一連の差分磁力計読み取り値を決定することを含むことができる。
【0030】
本明細書および特許請求の範囲で使用されるとき、「・・・を備える」および「・・・を含む」という用語およびそれらの変形は、そこで指定された特徴、ステップ、または完全体が含まれることを意味する。これらの用語を、他の特徴、ステップ、または構成要素の存在を排除するものと解釈すべきではない。
【0031】
以上の説明、または以下の特許請求の範囲、あるいは添付の図面に開示され、それぞれの具体的な形態にて表現され、あるいは開示の機能を実行するための手段、または開示の結果を達成するための方法もしくはプロセスに関して表現された特徴を、必要に応じて、個別に使用またはそのような特徴の任意の組み合わせにて使用して、本発明を本発明の多様な形態にて実現することが可能である。
【国際調査報告】