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特表2022-509803マルチレベル光強度刺激に基づく単一微細藻類細胞の活性検出装置及び方法
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  • 特表-マルチレベル光強度刺激に基づく単一微細藻類細胞の活性検出装置及び方法 図1
  • 特表-マルチレベル光強度刺激に基づく単一微細藻類細胞の活性検出装置及び方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-24
(54)【発明の名称】マルチレベル光強度刺激に基づく単一微細藻類細胞の活性検出装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/64 20060101AFI20220117BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
G01N21/64 Z
C12M1/34 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021528970
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(85)【翻訳文提出日】2021-07-15
(86)【国際出願番号】 CN2019121979
(87)【国際公開番号】W WO2020114327
(87)【国際公開日】2020-06-11
(31)【優先権主張番号】201811488823.8
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515352847
【氏名又は名称】大連海事大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】王 俊生
(72)【発明者】
【氏名】丁 格格
(72)【発明者】
【氏名】王 蘭蘭
(72)【発明者】
【氏名】潘 新祥
【テーマコード(参考)】
2G043
4B029
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043CA04
2G043DA05
2G043EA01
2G043FA03
2G043GA06
2G043GA08
2G043GB21
2G043JA03
2G043KA02
2G043LA01
2G043NA01
4B029AA07
4B029BB04
4B029CC01
4B029FA01
4B029GB10
(57)【要約】
本発明は、光源モジュール、マイクロ流体チップ、蛍光採集モジュール、データ処理モジュール、及び電源モジュールを含む、マルチレベル光強度刺激に基づく単一微細藻類細胞の活性検出装置及び方法を提供する。マイクロ流体チップは単一微細藻類細胞の活性を検出するマイクロプラットフォームとして、基板と基板に固定されたコーティング層とからなる。チップには、試料溶液供給孔、通路、検出領域、及び試料溶液排出孔が凹んで形成され、本発明において全てのモジュールが79cm×49cm×43cmの直方体装置に集積されている。光源モジュールによって励起する検出光の光強度は暗順応の蛍光生成量を監視するための非常に弱いレベルにする必要がなく、また、最大蛍光生成量を評価するための飽和レベルにする必要がなく、検出可能な微細藻類細胞は種類、個体形態、サイズ、細胞構造に制限されない。本発明の技術的手段は従来の微細藻類細胞活性検出方法において単一微細藻類細胞の活性を定量評価できないことに起因した一般性や誤差等における問題点を解決した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源モジュール、マイクロ流体チップ、蛍光採集モジュール、データ処理モジュール、及び電源モジュールを含み、前記電源モジュールは、前記光源モジュール、前記蛍光採集モジュール、及び前記データ処理モジュールの入力端にそれぞれ接続され、前記マイクロ流体チップは、前記光源モジュールの出力端と前記蛍光採集モジュールの入力端とにそれぞれ接続され、前記データ処理モジュールは、前記蛍光採集モジュールの出力端に接続され、前記光源モジュール、前記マイクロ流体チップ、前記蛍光採集モジュール、前記データ処理モジュール、及び前記電源モジュールは、長さ79mm×幅49mm×高さ43mmの直方体装置に集積され、
前記マイクロ流体チップは、基板と前記基板に固定されたコーティング層とを含み、前記コーティング層には、試料溶液供給孔、通路I、検出領域I、通路II、検出領域II、通路III、及び試料溶液排出孔が凹んで形成され、使用する際に、前記試料溶液供給孔に単一微細藻類細胞を含有する試料溶液を滴下し、マイクロポンプの駆動により、前記試料溶液中の前記単一微細藻類細胞は所定の流速で順に前記通路Iに沿って前記検出領域Iに流入し、極めて短い前記通路IIを通って前記検出領域IIに流入し、最後に前記通路IIIを通って前記試料溶液排出孔に流入し、
前記光源モジュールは、電圧安定回路、光源固定構造、及び光透過孔アセンブリに緊密に貼り合わせられるレーザー発生装置Iとレーザー発生装置IIとを含み、
前記蛍光採集モジュールは、スリットシート、赤色光フィルター、及び光電センサーを含む、
ことを特徴とするマルチレベル光強度刺激に基づく単一微細藻類細胞の活性検出装置。
【請求項2】
前記通路IIの長さは既知であり、前記単一微細藻類細胞が前記検出領域Iに現れた時、前記単一微細藻類細胞が前記検出領域IIに現れる時点を推定できる、請求項1に記載のマルチレベル光強度刺激に基づく単一微細藻類細胞の活性検出装置。
【請求項3】
前記レーザー発生装置Iは前記マイクロ流体チップ中の前記検出領域Iに対向して比較的弱い青色光を発し、前記レーザー発生装置IIは前記マイクロ流体チップ中の前記検出領域IIに対向して比較的強い青色光を発する、請求項1に記載のマルチレベル光強度刺激に基づく単一微細藻類細胞の活性検出装置。
【請求項4】
前記基板はガラス板であり、前記コーティング層はポリジメチルシロキサンコーティング層である、請求項1に記載のマルチレベル光強度刺激に基づく単一微細藻類細胞の活性検出装置。
【請求項5】
単一微細藻類細胞を含有する試料溶液をマイクロ流体チップの試料溶液供給孔に滴下する工程1と、
順に電源モジュール、光源モジュール、蛍光採集モジュール、及びデータ処理モジュールをオンにし、マイクロポンプの駆動により、前記試料溶液中の前記単一微細藻類細胞が所定の流速で順に通路Iに沿って検出領域Iに流入し、極めて短い通路IIを通って検出領域IIに流入し、最後に通路IIIを通って試料溶液排出孔に流入する工程2と、
前記光源モジュール中のレーザー発生装置Iが比較的弱い青色レーザーを発して前記マイクロ流体チップ中の前記検出領域Iに照射し、レーザー発生装置IIが比較的強い青色レーザーを発して前記マイクロ流体チップ中の前記検出領域IIに照射し、前記試料溶液中の前記単一微細藻類細胞が先後して前記検出領域Iと前記検出領域IIを通る時に刺激されて異なる生成量の蛍光を生成する工程3と、
前記単一微細藻類細胞が先後して生成した異なる強度の前記蛍光が、それぞれ、前記蛍光採集モジュール中のスリットシート、赤色光フィルターを通ることにより迷光をフィルタアウトした後、光電センサーに採集される工程4と、
採集した単一微細藻類細胞の蛍光生成量をデータ線によって前記データ処理モジュールに伝送して処理分析を行う工程5と、
前記単一微細藻類細胞が前記光源モジュール中の前記レーザー発生装置Iが発した比較的弱い青色レーザーに刺激されて生成した前記蛍光生成量をFで示し、前記単一微細藻類細胞が前記光源モジュール中のレーザー発生装置IIが発した比較的強い青色レーザーに刺激されて生成した前記蛍光生成量をFで示すと、前記データ処理モジュールは、式F=(F-F)/Fによって有効蛍光生成量Fを得、前記有効蛍光生成量Fに基づいて前記単一微細藻類細胞の活性を判断する工程6と、
を含む、
ことを特徴とするマルチレベル光強度刺激に基づく単一微細藻類細胞の活性検出方法。
【請求項6】
前記工程6において前記有効蛍光生成量Fに基づいて前記単一微細藻類細胞の活性を判断するプロセスは、
>0.6である場合、当該単一微細藻類細胞が高活性状態にあることを示す工程61と、
0.3≦F≦0.6である場合、当該単一微細藻類細胞が低活性状態にあるか、又は当該単一微細藻類細胞がある程度で損傷を受けたが致命的ではない状態にあるかを示す工程62と、
<0.3である場合、当該単一微細藻類細胞が既に死亡したか、又は死亡に瀕しているかを示す工程63と、
を含む、請求項5に記載のマルチレベル光強度刺激に基づく単一微細藻類細胞の活性検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一微細藻類細胞の活性を検出する技術分野に関し、具体的に言えば、特にマルチレベル光強度刺激に基づく単一微細藻類細胞の活性検出装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中国の海岸線は3.2万キロメートルと長く、主権管轄海域面積が473万平方キロメートルに至り、5つの気候帯に跨がり、生態系種類が多い。このような自然特徴のため、中国は海洋生物の侵入に遭う可能性が高い。中国の海上輸送産業や海水養殖産業が興るにつれて、侵入生物が多くなってきている情勢に直面している。その中で、赤潮を引き起こすリスクのある十数種の藻類が船舶バラスト水により持ち込まれたことがあるが、赤潮が引き起こされると、地元の海洋生態系の構造や機能が殆ど完全に崩壊することになり、海域の元の生物群集や生態系の安定性をひどく脅かしてしまう。
【0003】
従来の微細藻類細胞活性検出装置では、活性検出は1つの微細藻類群集にしか実施できない。しかしながら、危害性が高い微細藻類群集が低い活性状態を示す場合でも、従来の検出方法では、高い活性状態を有する単一微細藻類細胞の存在を排除できず、有害微細藻類の侵入を防ぐことに不利である。なお、従来の方式によって単一の微細藻類の活性を検出するには、現場で試料を採取し実験室で分析するという通常の検出プロセスを採用することを必要とされるが、実際の応用では水中の微細藻類を現場でリアルタイムでオンラインで連続して検出する必要がある。また、実験室で使用される機器は大型で、高価で、操作が複雑で、操作に専門知識を持つ者が必要とされ、集積して便利に携帯することができないので、現場での検出が不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来の微細藻類細胞活性検出方法における、単一微細藻類細胞の活性を定量評価できず、現場での検出が不可能で、検出機器が高価で、試料処理が煩わしく、試料使用量が多い等のことによる一般性や誤差に関する上記技術的問題点に鑑みて、マルチレベル光強度刺激に基づく単一微細藻類細胞の活性検出装置及び方法を提供する。本発明により、単一微細藻類細胞の活性検出における問題点を根本的に解決でき、環境科学分野に対し重要な科学的意義と現実的な価値を有する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の技術的手段は以下の通りである。
【0006】
本発明の一態様は、マルチレベル光強度刺激に基づく単一微細藻類細胞の活性検出装置であって、光源モジュール、マイクロ流体チップ、蛍光採集モジュール、データ処理モジュール、及び電源モジュールを含み、電源モジュールは、光源モジュール、蛍光採集モジュール、及びデータ処理モジュールの入力端にそれぞれ接続され、マイクロ流体チップは、光源モジュールの出力端と蛍光採集モジュールの入力端とにそれぞれ接続され、データ処理モジュールは、蛍光採集モジュールの出力端に接続され、光源モジュール、マイクロ流体チップ、蛍光採集モジュール、データ処理モジュール、及び電源モジュールは、長さ79mm×幅49mm×高さ43mmの直方体装置に集積され、
マイクロ流体チップは、基板と基板に固定されたコーティング層とを含み、コーティング層には、試料溶液供給孔、通路I、検出領域I、通路II、検出領域II、通路III、及び試料溶液排出孔が凹んで形成され、使用する際に、試料溶液供給孔に単一微細藻類細胞を含有する試料溶液を滴下し、マイクロポンプの駆動により、試料溶液中の単一微細藻類細胞は所定の流速で順に通路Iに沿って検出領域Iに流入し、極めて短い通路IIを通って検出領域IIに流入し、最後に通路IIIを通って試料溶液排出孔に流入し、
光源モジュールは、電圧安定回路、光源固定構造、及び光透過孔アセンブリに緊密に貼り合わせられるレーザー発生装置Iとレーザー発生装置IIとを含み、
蛍光採集モジュールは、スリットシート、赤色光フィルター、及び光電センサーを含む。
【0007】
さらに、通路IIの長さは既知であり、単一微細藻類細胞が検出領域Iに現れた時、単一微細藻類細胞が検出領域IIに現れる時点を推定できる。
【0008】
さらに、レーザー発生装置Iはマイクロ流体チップ中の検出領域Iに対向して比較的弱い青色光を発し、レーザー発生装置IIはマイクロ流体チップ中の検出領域IIに対向して比較的強い青色光を発する。
【0009】
さらに、基板はガラス板であり、コーティング層はポリジメチルシロキサンコーティング層である。
【0010】
本発明の他の一態様は、マルチレベル光強度刺激に基づく単一微細藻類細胞の活性検出方法であって、
試料の滴下:単一微細藻類細胞を含有する試料溶液をマイクロ流体チップの試料溶液供給孔に滴下する工程1と、
装置の起動:順に電源モジュール、光源モジュール、蛍光採集モジュール、及びデータ処理モジュールをオンにし、マイクロポンプの駆動により、試料溶液中の単一微細藻類細胞が所定の流速で順に通路Iに沿って検出領域Iに流入し、極めて短い通路IIを通って検出領域IIに流入し、最後に通路IIIを通って試料溶液排出孔に流入する工程2と、
マルチレベルの光強度刺激による単一微細藻類細胞の蛍光生成:光源モジュール中のレーザー発生装置Iが比較的弱い青色レーザーを発してマイクロ流体チップ中の検出領域Iに照射し、レーザー発生装置IIが比較的強い青色レーザーを発してマイクロ流体チップ中の検出領域IIに照射し、試料溶液中の単一微細藻類細胞が先後して検出領域Iと検出領域IIを通る時、刺激されて異なる生成量の蛍光を生成する工程3と、
単一微細藻類細胞の蛍光生成量の採集:単一微細藻類細胞が先後して生成した異なる強度の蛍光が、それぞれ、蛍光採集モジュール中のスリットシート、赤色光フィルターを通ることにより迷光をフィルタアウトした後、光電センサーに採集される工程4と、
以上で採集した単一微細藻類細胞の蛍光生成量に対するデータ分析:採集した単一微細藻類細胞の蛍光生成量をデータ線によってデータ処理モジュールに伝送して処理分析を行う工程5と、
単一微細藻類細胞に対する活性評価:単一微細藻類細胞が光源モジュール中のレーザー発生装置Iが発した比較的弱い青色レーザーに刺激されて生成した蛍光生成量をFで示し、単一微細藻類細胞が光源モジュール中のレーザー発生装置IIが発した比較的強い青色レーザーに刺激されて生成した蛍光生成量をFで示すと、データ処理モジュールは、式F=(F-F)/Fによって有効蛍光生成量F得、Fに基づいて単一微細藻類細胞の活性を判断する工程6とを、
備える。
【0011】
さらに、前記工程6において有効蛍光生成量Fに基づいて単一微細藻類細胞の活性を判断するプロセスは、
>0.6である場合、当該単一微細藻類細胞が高活性状態にあることを示す工程61と、
0.3≦F≦0.6である場合、当該単一微細藻類細胞が低活性状態にあるか、又はこの単一微細藻類細胞がある程度で損傷を受けたが、致命的ではない状態にあるかを示す工程62と、
<0.3である場合、当該単一微細藻類細胞が既に死亡したか、又は死亡に瀕しているかを示す工程63とを、備える。
【発明の効果】
【0012】
従来技術と比べると、本発明は以下のメリットを有する。
1.本発明は、従来の微細藻類細胞活性検出方法において単一微細藻類細胞の活性を定量評価できず、現場で検出できず、検出機器が高価で、試料処理が煩わしく、試料使用量が多いことによってもたらされる一般性や誤差等の問題を解決し、単一微細藻類細胞の活性検出問題を根本的に解決しており、環境科学分野に対し重要な科学的意義と現実的な価値を有する。
2.本発明は、単一微細藻類細胞の活性を検出するマイクロプラットフォームとしてマイクロ流体チップを採用し、関連モジュールに対して小体積の構造形態を採用してもよく、全てのモジュールを79cm×49cm×43cmの直方体装置に集積している。従来の大型検出機器と比べると、本発明は、小型で、軽量で、コストが低く、試料使用量が少なく、携帯しやすく、手持ち携帯型として現場検出に用いることができる等のメリットを有する。
3.本発明は、試料槽に試料を加えた後、後続の工程は全てインテリジェント化が完成しているので、いかなる専門知識も要らず、専門知識を持つ者の操作が要らず、工程が少なく、操作が簡単であり、試料処理が煩わしいという問題を解決した。
4.本発明に記載の光源モジュールによって励起する検出光の光強度は、暗順応の蛍光生成量を監視するための非常に弱いレベルにする必要がなく、また、検出光の光強度は、最大蛍光生成量を評価するための飽和レベルにする必要がない。技術上の難度を低減すると共に、異なる微細藻類細胞の暗順応レベルが異なることに制限されないため、適用範囲がより広くなり、検出可能な微細藻類細胞は種類、個体形態、サイズ、細胞構造に制限されない。
【0013】
上記理由から、本発明は単一微細藻類細胞の活性検出等の分野に広範に普及可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の実施例又は従来技術における技術的手段をより明確に説明するために、以下、実施例又は従来技術の記述に使用する必要がある図面を簡単に紹介するが、下記説明に用いられる図面は本発明の一部の実施例であり、当業者であれば、創造的労動を行わずにこれらの図面に基づいて他の図面を得るのができることはいうまでもない。
【0015】
図1】本発明の検出装置の構造模式図である。
図2】本発明のマイクロ流体チップの構造模式図である。
図3】本発明の蛍光採集モジュールの構造模式図である。
図4】本発明の光源モジュールの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
相互に違反しない限り、本発明における実施例及び実施例における特徴を相互に組み合わせることができるのを説明する必要がある。以下、図面を参照して実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明の実施例の目的、技術手段及びメリットをより明らかにするために、以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術手段を明らかで完全に説明するが、説明される実施例が全ての実施例ではなく、本発明の一部の実施例に過ぎないことはいうまでもない。以下の少なくとも1つの例示的実施例に対する説明は実際に説明するためのものに過ぎなく、決して本発明及びその応用や使用に何の制限も加えない。当業者が本発明における実施例に基づいて、創造的労動を行うことなく得た他の実施例は、全て本発明が保護する範囲に含まれるものとする。
【0018】
本明細書で使用される技術用語は具体的な実施形態を記述するためのものに過ぎず、本発明による例示的実施形態を限定する意図がないことに注意されたい。例えば、文脈に別に明記しない限り、本明細書で使用される単数形態は複数形態も含む意図があり、なお、本明細書で技術用語の「含有する」及び/又は「含む」を使用する時に、特徴、工程、操作、デバイス、アセンブリ及び/又はそれらの組合せが存在するのを示すことも理解されたい。
【0019】
別に具体的に説明しない限り、これらの実施例に記載の部材と工程の相対的配置、数式及び数値は本発明の範囲を限定するものではない。また、説明の便宜上、図面に示す各部分のサイズは実際の比例関係に基づいて描かれたものではないことを理解すべきである。当業者に既知の技術、方法及びデバイスについての詳細な検討を省略する場合があるが、適切な場合に、前記技術、方法及びデバイスを授権明細書の一部と見なすべきである。本明細書に示し、及び検討する全ての例において、全ての具体的な値は限定するものではなく、例示的なものと解釈すべきである。従って、例示的実施例の他の例は異なる値を有してもよい。類似する符号と文字は下記の図面において類似項目を示すため、ある項目が1つの図面で定義されると、その以降の図面でそれについて更に検討する必要がないことに注意されたい。
【0020】
本発明の記述では、「前、後、上、下、左、右」、「横方向、縱方向、垂直、水平」及び「頂、底」等の方位詞で示す方位又は位置関係は一般に図面に基づいて示す方位又は位置関係であり、その目的はただ本発明を容易に記述、及び記述を簡単化するためであり、反対に説明しない限り、これらの方位詞は示される装置又は素子が必ず特定の方位を有し又は特定の方位で構成され操作されることを明示も暗示もしないので、本発明の保護範囲を限定するものと理解してはならず、方位詞の「内、外」は各部材自身の輪郭に対する内外を指すことを理解されたい。
【0021】
説明の便宜上、本明細書では、例えば図に示すデバイス又は特徴と他のデバイス又は特徴との空間位置関係を記述するために、例えば、「…の上」、「…の上方」、「…の上面」、「上の」等の空間相対技術用語を用いてよい。空間相対技術用語は、図に記載の方位以外、デバイスの使用又は操作での異なる方位をも含むのを意図することを理解すべきである。例えば、図面におけるデバイスを反対に配置した場合に、「他のデバイス又は構造の上方」又は「他のデバイス又は構造の上」と記述したデバイスはその後で「他のデバイス又は構造の下方」又は「他のデバイス又は構造の下」と位置決めされる。従って、例示的技術用語の「…の上方」は「…の上方」及び「…の下方」といった2種の方位を含むことが可能である。このデバイスを他の異なる方式で位置決めすることもでき(90度回転させ又は他の方位に位置させる)、そしてここで使用する空間相対記載を対応的に解釈する。
【0022】
なお、「第1」、「第2」等の用語を用いて部品を限定する目的は、ただ対応する部品を区別しやすくすることにあり、特に断らない限り、上記用語は特別な意味がないため、本発明の保護範囲を限定するものと理解してはならないことを説明すべきである。
【0023】
(実施例1)
図1に示すように、本発明の一実施形態は、マルチレベル光強度刺激に基づく単一微細藻類細胞の活性検出装置であって、光源モジュール、マイクロ流体チップ、蛍光採集モジュール、データ処理モジュール、及び電源モジュールを含み、電源モジュールは、光源モジュール、蛍光採集モジュール、及びデータ処理モジュールの入力端にそれぞれ接続され、マイクロ流体チップは、光源モジュールの出力端と蛍光採集モジュールの入力端とにそれぞれ接続され、データ処理モジュールは蛍光採集モジュールの出力端に接続され、光源モジュール、マイクロ流体チップ、蛍光採集モジュール、データ処理モジュール、及び電源モジュールは、長さ79mm×幅49mm×高さ43mmの直方体装置に集積される。
【0024】
図2に示すように、マイクロ流体チップは、基板と基板に固定されたコーティング層とを含み、基板はガラス板であり、コーティング層はポリジメチルシロキサンコーティング層であり、コーティング層には、試料溶液供給孔、通路I、検出領域I、通路II、検出領域II、通路III、及び試料溶液排出孔が凹んで形成されており、使用する際に、試料溶液供給孔に試料溶液を滴下し、マイクロポンプの駆動により、試料溶液中の単一微細藻類細胞が所定の流速で順に通路Iに沿って検出領域Iに流入し、極めて短い通路IIを通って検出領域IIに流入し、最後に通路IIIを通って試料溶液排出孔に流入する。通路IIの長さは既知であり、単一微細藻類細胞が検出領域Iに現れた時、単一微細藻類細胞が検出領域IIに現れる時点を推定できる。光源モジュールは、電圧安定回路、光源固定構造、及び光透過孔アセンブリに緊密に貼り合わせられるレーザー発生装置Iとレーザー発生装置IIとを含み、レーザー発生装置Iはマイクロ流体チップ中の検出領域Iに対向して比較的弱い青色光を発し、レーザー発生装置IIはマイクロ流体チップ中の検出領域IIに対向して比較的強い青色光を発する。蛍光採集モジュールはスリットシート、赤色光フィルター及び光電センサーを含む。
【0025】
(実施例2)
実施例1を基に、更に、マルチレベル光強度刺激に基づく単一微細藻類細胞の活性検出方法を提供する。該検出方法は、
試料の滴下:単一微細藻類細胞を含有する試料溶液をマイクロ流体チップの試料溶液供給孔に滴下する工程1と、
装置の起動:順に電源モジュール、光源モジュール、蛍光採集モジュール、及びデータ処理モジュールをオンにし、マイクロポンプの駆動により、試料溶液中の単一微細藻類細胞が所定の流速で順に通路Iに沿って検出領域Iに流入し、極めて短い通路IIを通って検出領域IIに流入し、最後に通路IIIを通って試料溶液排出孔に流入する工程2と、
マルチレベルの光強度刺激による単一微細藻類細胞の蛍光生成:光源モジュール中のレーザー発生装置Iが比較的弱い青色レーザーを発してマイクロ流体チップ中の検出領域Iに照射し、レーザー発生装置IIが比較的強い青色レーザーを発してマイクロ流体チップ中の検出領域IIに照射し、試料溶液中の単一微細藻類細胞が先後して検出領域Iと検出領域IIを通る時、刺激されて異なる生成量の蛍光を生成する工程3と、
単一微細藻類細胞の蛍光生成量の採集:単一微細藻類細胞が先後して生成した異なる強度の蛍光は、それぞれ、蛍光採集モジュール中のスリットシート、赤色光フィルターを通ることにより迷光をフィルタアウトした後、光電センサーに採集される工程4と、
以上で採集した単一微細藻類細胞の蛍光生成量に対するデータ分析:採集した単一微細藻類細胞の蛍光生成量をデータ線によってデータ処理モジュールに伝送して処理分析を行う工程5と、
単一微細藻類細胞に対する活性評価:単一微細藻類細胞が光源モジュール中のレーザー発生装置Iが発した比較的弱い青色レーザーに刺激されて生成した蛍光生成量をFで示し、単一微細藻類細胞が光源モジュール中のレーザー発生装置IIが発した比較的強い青色レーザーに刺激されて生成した蛍光生成量をFで示すと、データ処理モジュールは、式F=(F-F)/Fによって有効蛍光生成量Fを得、有効蛍光生成量Fに基づいて単一微細藻類細胞の活性を判断する工程6と、を備え、
さらに、工程6において有効蛍光生成量Fに基づいて単一微細藻類細胞の活性を判断するプロセスは、
>0.6である場合、当該単一微細藻類細胞が高活性状態にあることを示す工程61と、
0.3≦F≦0.6である場合、当該単一微細藻類細胞が低活性状態にあるか、又はこの単一微細藻類細胞がある程度で損傷を受けたが、致命的ではない状態にあるかを示す工程62と、
<0.3である場合、当該単一微細藻類細胞が既に死亡したか、又は死亡に瀕しているかを示す工程63と、を備える。
【0026】
最後に以下のことを説明すべきである。以上の各実施例は本発明の技術的手段を説明するためのものに過ぎず、それを限定するものではなく、上述した各実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、上述した各実施例に記載の技術的手段を修正するか、その術的特徴の一部又は全部に同等な取り替えを実施することも可能であり、これらの修正や取り替えによって、対応する技術的手段の本質が本発明の各実施例の技術的手段の範囲から逸脱しないことは当業者に自明である。
【0027】
[付記]
[付記1]
光源モジュール、マイクロ流体チップ、蛍光採集モジュール、データ処理モジュール、及び電源モジュールを含み、前記電源モジュールは、前記光源モジュール、前記蛍光採集モジュール、及び前記データ処理モジュールの入力端にそれぞれ接続され、前記マイクロ流体チップは、前記光源モジュールの出力端と前記蛍光採集モジュールの入力端とにそれぞれ接続され、前記データ処理モジュールは、前記蛍光採集モジュールの出力端に接続され、前記光源モジュール、前記マイクロ流体チップ、前記蛍光採集モジュール、前記データ処理モジュール、及び前記電源モジュールは、長さ79mm×幅49mm×高さ43mmの直方体装置に集積され、
前記マイクロ流体チップは、基板と前記基板に固定されたコーティング層とを含み、前記コーティング層には、試料溶液供給孔、通路I、検出領域I、通路II、検出領域II、通路III、及び試料溶液排出孔が凹んで形成され、使用する際に、前記試料溶液供給孔に単一微細藻類細胞を含有する試料溶液を滴下し、マイクロポンプの駆動により、前記試料溶液中の前記単一微細藻類細胞は所定の流速で順に前記通路Iに沿って前記検出領域Iに流入し、極めて短い前記通路IIを通って前記検出領域IIに流入し、最後に前記通路IIIを通って前記試料溶液排出孔に流入し、
前記光源モジュールは、電圧安定回路、光源固定構造、及び光透過孔アセンブリに緊密に貼り合わせられるレーザー発生装置Iとレーザー発生装置IIとを含み、
前記蛍光採集モジュールは、スリットシート、赤色光フィルター、及び光電センサーを含む、
ことを特徴とするマルチレベル光強度刺激に基づく単一微細藻類細胞の活性検出装置。
【0028】
[付記2]
前記通路IIの長さは既知であり、前記単一微細藻類細胞が前記検出領域Iに現れた時、前記単一微細藻類細胞が前記検出領域IIに現れる時点を推定できる、付記1に記載のマルチレベル光強度刺激に基づく単一微細藻類細胞の活性検出装置。
【0029】
[付記3]
前記レーザー発生装置Iは前記マイクロ流体チップ中の前記検出領域Iに対向して比較的弱い青色光を発し、前記レーザー発生装置IIは前記マイクロ流体チップ中の前記検出領域IIに対向して比較的強い青色光を発する、付記1に記載のマルチレベル光強度刺激に基づく単一微細藻類細胞の活性検出装置。
【0030】
[付記4]
前記基板はガラス板であり、前記コーティング層はポリジメチルシロキサンコーティング層である、付記1に記載のマルチレベル光強度刺激に基づく単一微細藻類細胞の活性検出装置。
【0031】
[付記5]
単一微細藻類細胞を含有する試料溶液をマイクロ流体チップの試料溶液供給孔に滴下する工程1と、
順に電源モジュール、光源モジュール、蛍光採集モジュール、及びデータ処理モジュールをオンにし、マイクロポンプの駆動により、前記試料溶液中の前記単一微細藻類細胞が所定の流速で順に通路Iに沿って検出領域Iに流入し、極めて短い通路IIを通って検出領域IIに流入し、最後に通路IIIを通って試料溶液排出孔に流入する工程2と、
前記光源モジュール中のレーザー発生装置Iが比較的弱い青色レーザーを発して前記マイクロ流体チップ中の前記検出領域Iに照射し、レーザー発生装置IIが比較的強い青色レーザーを発して前記マイクロ流体チップ中の前記検出領域IIに照射し、前記試料溶液中の前記単一微細藻類細胞が先後して前記検出領域Iと前記検出領域IIを通る時に刺激されて異なる生成量の蛍光を生成する工程3と、
前記単一微細藻類細胞が先後して生成した異なる強度の前記蛍光が、それぞれ、前記蛍光採集モジュール中のスリットシート、赤色光フィルターを通ることにより迷光をフィルタアウトした後、光電センサーに採集される工程4と、
採集した単一微細藻類細胞の蛍光生成量をデータ線によって前記データ処理モジュールに伝送して処理分析を行う工程5と、
前記単一微細藻類細胞が前記光源モジュール中の前記レーザー発生装置Iが発した比較的弱い青色レーザーに刺激されて生成した前記蛍光生成量をFで示し、前記単一微細藻類細胞が前記光源モジュール中のレーザー発生装置IIが発した比較的強い青色レーザーに刺激されて生成した前記蛍光生成量をFで示すと、前記データ処理モジュールは、式F=(F-F)/Fによって有効蛍光生成量Fを得、前記有効蛍光生成量Fに基づいて前記単一微細藻類細胞の活性を判断する工程6と、
を含む、
ことを特徴とするマルチレベル光強度刺激に基づく単一微細藻類細胞の活性検出方法。
【0032】
[付記6]
前記工程6において前記有効蛍光生成量Fに基づいて前記単一微細藻類細胞の活性を判断するプロセスは、
>0.6である場合、当該単一微細藻類細胞が高活性状態にあることを示す工程61と、
0.3≦F≦0.6である場合、当該単一微細藻類細胞が低活性状態にあるか、又は当該単一微細藻類細胞がある程度で損傷を受けたが致命的ではない状態にあるかを示す工程62と、
<0.3である場合、当該単一微細藻類細胞が既に死亡したか、又は死亡に瀕しているかを示す工程63と、
を含む、付記5に記載のマルチレベル光強度刺激に基づく単一微細藻類細胞の活性検出方法。
【符号の説明】
【0033】
1 電源モジュール
2 光源モジュール
3 マイクロ流体チップ
4 蛍光採集モジュール
5 データ処理モジュール
6 レーザー発生装置I
7 レーザー発生装置II
8 試料溶液供給孔
9 通路I
10 検出領域I
11 通路II
12 検出領域II
13 通路III
14 試料溶液排出孔
15 マイクロポンプ
16 スリットシート
17 赤色光フィルター
18 光電センサー
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】