(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-24
(54)【発明の名称】細胞におけるC3の発現を阻害するための核酸
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20220117BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20220117BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20220117BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20220117BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220117BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20220117BHJP
A61P 33/06 20060101ALI20220117BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20220117BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20220117BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20220117BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220117BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20220117BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20220117BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20220117BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20220117BHJP
A61P 13/00 20060101ALI20220117BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20220117BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61K31/713
A61K48/00
A61K47/54
A61K45/00
A61P31/04
A61P33/06
A61P7/06
A61P1/02
A61P9/00
A61P29/00
A61P37/06
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P27/02
A61P9/10
A61P13/00
A61P13/12
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A61P43/00 105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021529315
(86)(22)【出願日】2019-11-22
(85)【翻訳文提出日】2021-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2019082267
(87)【国際公開番号】W WO2020104669
(87)【国際公開日】2020-05-28
(32)【優先日】2018-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519359952
【氏名又は名称】サイレンス・セラピューティクス・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヴェレーナ・アウミラー
(72)【発明者】
【氏名】ジビレ・ダーメス
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェン・シューベルト
(72)【発明者】
【氏名】ユーディット・ハウプトマン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・フラウエンドルフ
(72)【発明者】
【氏名】マリー・ヴィークストレーム・リンドホルム
(72)【発明者】
【氏名】アドリエン・ヴァインガルトナー
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス・ベトゲ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076DD66
4C076EE59
4C084AA13
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA331
4C084ZA332
4C084ZA361
4C084ZA362
4C084ZA401
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4C084ZA511
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4C084ZA552
4C084ZA671
4C084ZA672
4C084ZA811
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4C084ZA962
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4C084ZB211
4C084ZB212
4C084ZB351
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4C084ZC75
4C086AA01
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4C086MA04
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4C086ZA33
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4C086ZB08
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4C086ZB21
4C086ZB35
4C086ZB38
4C086ZC41
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、補体成分C3遺伝子発現を妨げるか、又はその発現を阻害する核酸産物に関する。上記核酸は、好ましくは、補体成分C3関連の疾患、障害若しくは症候群、特に、C3糸球体症(C3G)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、ループス腎炎、IgA腎症(IgA N)、寒冷凝集素症(CAD)、重症筋無力症(MG)、及び原発性膜性腎症の治療、防止又はそれらを患うリスクの低減としての使用のためものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補体成分C3の発現を阻害するための二重鎖核酸であって、前記核酸が、第1の鎖及び第2の鎖を含み、前記第1の鎖の配列が、配列番号361、95、111、125、131、1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、97、99、101、103、105、107、109、113、115、117、119、121、123、127、129又は133のいずれか1つと、3個以下のヌクレオチドが異なる少なくとも15個のヌクレオチドの配列を含む、核酸。
【請求項2】
医薬としての使用のための補体成分C3の発現を阻害することが可能な二重鎖核酸。
【請求項3】
前記第1の鎖及び前記第2の鎖が、17ヌクレオチド長~25ヌクレオチド長の二本鎖領域を形成する、請求項1又は2に記載の核酸。
【請求項4】
RNA干渉を媒介する、請求項1から3のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項5】
前記第1及び/又は第2の鎖の少なくとも1個のヌクレオチドが、修飾ヌクレオチド、好ましくは、2'-F修飾ヌクレオチド等の天然に存在しないヌクレオチドである、請求項1から4のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項6】
前記第1の鎖の少なくともヌクレオチド2及びヌクレオチド14が、第1の修飾によって修飾され、前記ヌクレオチドが、前記第1の鎖の5'末端にあるヌクレオチド番号1に始まって連続して番号付けされる、請求項1から5のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項7】
前記第1の鎖が、その5'末端に末端5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項8】
前記核酸が、前記第1及び/又は前記第2の鎖の末端の2個又は3個の3'ヌクレオチド及び/又は5'ヌクレオチド間にホスホロチオエート結合を含み、好ましくは、残りのヌクレオチド間の結合が、ホスホジエステル結合である、請求項1から7のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項9】
第1の鎖の3'末端にある2個、3個若しくは4個の末端ヌクレオチドのそれぞれの間にホスホロジチオエート結合を含み、並びに/或いは第2の鎖の3'末端にある2個、3個若しくは4個の末端ヌクレオチドのそれぞれの間にホスホロジチオエート結合を、及び/又は第2の鎖の5'末端にある2個、3個若しくは4個の末端ヌクレオチドのそれぞれの間にホスホロジチオエート結合を含み、第1の鎖の5'末端にある2個、3個若しくは4個の末端ヌクレオチドの間にホスホロジチオエート結合以外の結合を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項10】
リガンドにコンジュゲートされる、請求項1から9のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項11】
前記リガンドが、(i)1つ又は複数のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分又はその誘導体、及び(ii)リンカーを含み、前記リンカーが、少なくとも1つの前記GalNAc部分又はその誘導体を、前記核酸にコンジュゲートする、請求項10に記載の核酸。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の核酸及び送達ビヒクル及び/又は生理学的に許容可能な賦形剤及び/又は担体及び/又は希釈剤及び/又は緩衝液及び/又は防腐剤、及び/又はオリゴヌクレオチド、小分子、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体及びペプチドを含む群から選択される更なる治療剤を含む組成物。
【請求項13】
医薬としての使用のための請求項1及び3から11のいずれか一項に記載の核酸又は請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
疾患、障害若しくは症候群の防止、疾患、障害若しくは症候群を患うリスクの減少、又は疾患、障害若しくは症候群の治療における使用のための請求項1及び3から11のいずれか一項に記載の核酸又は請求項12に記載の組成物であって、前記疾患、障害又は症候群が、好ましくは、補体媒介性の疾患、障害又は症候群である、核酸又は組成物。
【請求項15】
疾患、障害若しくは症候群の防止、疾患、障害若しくは症候群を患うリスクの減少、又は疾患、障害若しくは症候群の治療における請求項1及び3から11のいずれか一項に記載の核酸又は請求項12に記載の組成物の使用であって、前記疾患、障害又は症候群が、好ましくは、C3糸球体症(C3G)である、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C3補体成分遺伝子発現を妨げるか、又は阻害する核酸産物に関する。本発明は更に、身体における補体成分C3の補体経路調節解除及び/若しくは過剰活性化、又は異所発現若しくは局在化若しくは蓄積と関連付けられる疾患及び障害の治療のため等の、かかる阻害の治療上の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発現されたmRNAを相補的に結合することが可能な二重鎖RNA(dsRNA)は、RNA干渉(RNAi)と称されているメカニズムによって、遺伝子発現を阻止することが可能であることがわかっている(Fireら、1998年、Nature. 1998年2月19日;391(6669):806~11頁及びElbashirら、2001年、Nature. 2001年5月24日;411(6836):494~8頁)。短dsRNAは、脊椎動物を含む多くの生物において、遺伝子特異的な転写後サイレンシングを導き、遺伝子機能を研究するための有用なツールとなっている。RNAiは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に負荷されるサイレンシングトリガーに相同的なメッセンジャーRNAを分解する配列特異的な多成分ヌクレアーゼであるRISC複合体によって媒介される。siRNA、アンチセンスRNA、及びミクロRNA等の干渉RNA(本明細書中ではiRNAと称される)は、遺伝子サイレンシング、即ち、mRNA分子の分解によりタンパク質の遺伝子翻訳を阻害することによって、タンパク質の形成を防止するオリゴヌクレオチドである。遺伝子サイレンシング剤は、医学における治療用途にとってますます重要になっている。
【0003】
Watts及びCorey in the Journal of Pathology(2012年、Vol 226、365~379頁)によると、核酸サイレンシングトリガーを設計するのに使用することができるアルゴリズムが存在するが、これらは全て、厳しい制限を有する。アルゴリズムは、標的mRNAの三次構造又はRNA結合タンパク質の介入等の要因を考慮しないため、強力なiRNAを同定するのに様々な実験法を利用し得る。したがって、最小のオフターゲット効果を有する強力な核酸サイレンシングトリガーの発見は、複雑なプロセスである。これらの高荷電分子の医薬品開発のためには、それらを、経済的に合成して、標的組織に分布させて、細胞に進入して、許容可能な毒性限界内で機能することができることが必要である。
【0004】
補体系又は経路は、侵入病原体に対する宿主防御の自然免疫系の部分である。補体系又は経路は主に、前駆体の形態で血流に循環する多数のタンパク質で構成される。補体成分タンパク質C3(本明細書中では、単にC3とも称される)を含む、補体系を形成するタンパク質の大部分は、主に肝臓において肝細胞によって合成されて、血流へと分泌される。系の活性化は、炎症反応を招き、食細胞の誘引及びオプソニン作用、したがって、病原体、免疫複合体及び細胞残屑の排除をもたらす(Janeway's Immunobiology 第9版)。補体系は、3つの経路から構成されており(古典的な経路、レプチン経路及び代替経路)、それらは全て、いわゆる補体成分3転換酵素複合体の形成に収束する。これらの酵素複合体は、補体成分C3タンパク質をC3a及びC3bへと切断する。切断されると、C3bは、今度はC5a及びC5bへと切断する複合体の部分を成す。切断後、C5bは、膜侵襲複合体である主要な補体経路エフェクターの重要な成分の1つである。したがって、C3は、補体系活性化経路の重要な成分である。
【0005】
幾つかの疾患が、補体経路の異常な後天的又は遺伝的活性化と、並びにC3の異常発現又は過剰発現と関連付けられる。中でもとりわけ、これらは、C3糸球体症(C3G)、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、免疫複合体媒介性糸球体腎炎(IC媒介性GN)、感染後糸球体腎炎(PIGN)、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、虚血再灌流傷害及びIgA腎症(IgA N、Ricklinら、Nephrology、2016年及びその他に概説されている)である。これらの疾患の大部分が、腎臓と関連付けられる。というのは、この臓器が、補体誘導損傷に対して比類なく感受性が高いためである。しかしながら、他の臓器の疾患はまた、加齢黄斑変性(AMD)、関節リウマチ(RA)、抗好中球細胞質自己抗体関連血管炎(ANCA-AV)、ディスバイオシス歯周病、マラリア貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)及び敗血症等の補体機能障害に関連されることが知られている。
【0006】
C3Gでは、C3は、腎臓における糸球体に蓄積して、それらを塞ぐ。C3の蓄積はまた、腎臓損傷を招く。非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)では、補体系は、赤血球を標的とし、それは、赤血球の溶解を引き起こす。
【0007】
補体系媒介性疾患、障害及び症候群に関して、現在ほんのわずかな治療しかない。モノクローナルヒト化抗体エクリズマブは、それらのうちの1つである。エクリズマブは、補体タンパク質C5に結合して、補体カスケードの末端で膜侵襲複合体を阻止することが知られている(Hillmenら、2006年 NEJM)。しかしながら、上記で列挙した疾患を患う患者の一部のみが、エクリズマブ療法に応答する。したがって、補体媒介性又は関連疾患の医療的処置に対する、まだ満たされていない、高い必要性がある。C3は、補体経路活性化における中心的な因子である。したがって、C3を阻害することにより、多くの補体媒介性疾患に関して有望な治療戦略が提示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,885,968号
【特許文献2】欧州特許第0 758 904 B1号
【特許文献3】国際公開第2017/174657号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Fireら、1998年、Nature. 1998年2月19日;391(6669):806~11頁
【非特許文献2】Elbashirら、2001年、Nature. 2001年5月24日;411(6836):494~8頁
【非特許文献3】Watts and Corey in the Journal of Pathology(2012年、Vol 226、365~379頁
【非特許文献4】Janeway's Immunobiology 第9版
【非特許文献5】Ricklinら、Nephrology、2016年
【非特許文献6】Hillmenら、2006年 NEJM
【非特許文献7】Dubberら(Bioconjug. Chem. 2003年 Jan-Feb;14(1):239~46頁)
【非特許文献8】Weigel, P.H.ら、Biochim. Biophys. Acta. 2002年9月19日;1572(2-3):341~63頁
【非特許文献9】Ishibashi,S.ら、J Biol. Chem. 1994年11月11日;269(45):27803~6頁
【非特許文献10】Biessen EAら, J Med Chem. 1995年4月28日;38(9):1538~46頁
【非特許文献11】Akincら、Mol Ther. 2010年7月;18(7):1357~64頁
【非特許文献12】Hoevelmannら、Chem. Sci.、2016年、7、128~135頁
【非特許文献13】Nairら、J. Am. Chem. Soc.、2014年、136(49)、16958~1696頁
【非特許文献14】Prakash、Nucleic Acids Res.、2015年、43(6)、2993~3011頁
【非特許文献15】Haraszti、Nucleic Acids Res.、2017年、45(13)、7581~7592頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、補体成分C3の発現を阻害するための二重鎖核酸であって、該核酸が、第1の鎖及び第2の鎖を含み、該第1の鎖の配列が、配列番号361、95、111、125、131、1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、97、99、101、103、105、107、109、113、115、117、119、121、123、127、129又は133のいずれか1つと、3個以下のヌクレオチドが異なる少なくとも15個のヌクレオチドの配列を含む、核酸である。
【0011】
一態様は、医薬としての、又は関連する方法における使用のための補体成分C3の発現を阻害することが可能な二重鎖核酸に関する。
【0012】
一態様は、本明細書中に開示される核酸及び送達ビヒクル及び/又は生理学的に許容可能な賦形剤及び/又は担体及び/又は希釈剤及び/又は緩衝液及び/又は防腐剤を含む組成物に関する。
【0013】
一態様は、本明細書中に開示される核酸並びにオリゴヌクレオチド、小分子、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体及びペプチドを含む群から選択される更なる治療剤を含む組成物に関する。
【0014】
一態様は、医薬としての、又は関連する方法における使用のための本明細書中に開示される核酸又は組成物に関する。
【0015】
一態様は、疾患、障害若しくは症候群の防止、疾患、障害若しくは症候群を患うリスクの減少、又は疾患、障害若しくは症候群の治療における使用のための、本明細書中に開示される核酸又は組成物に関する。
【0016】
一態様は、疾患、障害若しくは症候群の防止、疾患、障害若しくは症候群を患うリスクの減少、又は疾患、障害若しくは症候群の治療における、本明細書中に開示される核酸又は組成物の使用であって、該疾患、障害若しくは症候群が、好ましくは、C3糸球体症(C3G)である、使用に関する。
【0017】
一態様は、薬学的に有効な用量の、本明細書中に開示される核酸又は組成物を、治療を必要とする個体に投与する工程を含む、疾患、障害若しくは症候群を防止するか、疾患、障害若しくは症候群を患うリスクを減少させるか、又は疾患、障害若しくは症候群を治療する方法に関し、好ましくは、ここで、核酸又は組成物は、対象に、皮下的に、静脈内に、又は経口投与、直腸投与、肺投与若しくは腹腔内投与により投与される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、二重鎖であり、補体成分C3の発現されたRNA転写物に向けられた核酸及びその組成物に関する。これらの核酸若しくはコンジュゲートされた核酸又は組成物は、C3遺伝子産物の発現の低減が望ましい様々な疾患、障害及び症候群の治療並びに防止において使用することができる。
【0019】
本発明の第1の態様は、好ましくは細胞において、C3の発現を阻害するための二重鎖核酸であり、ここで、核酸は、第1の鎖及び第2の鎖を含み、該第1の鎖の配列は、配列番号361、95、111、125、131、1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、97、99、101、103、105、107、109、113、115、117、119、121、123、127、129又は133の配列のいずれか1つと、3個以下のヌクレオチドが異なる少なくとも15個のヌクレオチドの配列を含む。これらの核酸はとりわけ、前臨床及び臨床開発に関連する様々な種において活性であり、及び/又は関連するオフターゲット効果をほとんど有さないという利点を有する。
【0020】
好ましくは、第1の鎖の配列は、配列番号361、95、111、125、131、1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、97、99、101、103、105、107、109、113、115、117、119、121、123、127、129又は133の配列のいずれか1つと、3個以下のヌクレオチド、好ましくは2個以下のヌクレオチド、より好ましくは1個以下のヌクレオチドが異なるか、また最も好ましくはどのヌクレオチドも異ならない、少なくとも16個、より好ましくは少なくとも17個、更に好ましくは少なくとも18個、最も好ましくは19個全てのヌクレオチドの配列を含む。
【0021】
好ましくは、核酸の第1の鎖の配列は、配列番号361、95、111、125、131、1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、97、99、101、103、105、107、109、113、115、117、119、121、123、127、129又は133の配列のうちの1つからなる。しかしながら、配列は、ヌクレオチドの独自性を変更しない多数の修飾によって修飾されてもよい。例えば、核酸の骨格の修飾は、塩基自体が、参照配列と同じままであるので、ヌクレオチドの独自性を変更させない。
【0022】
本明細書中の参照配列に従う配列を含む核酸は、核酸が、参照配列において規定されるような順序で、近接しているヌクレオチドの配列を含むことを意味する。
【0023】
未修飾ヌクレオチドを含むか、又は未修飾ヌクレオチドからなる参照配列について本明細書中で言及する場合、この参照は、未修飾ヌクレオチドを有する配列に限定されない。同じ参照はまた、全てを含む1個、数個、例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個又はそれよりも多いヌクレオチドが、2'-OMe、2'-F、リガンド、リンカー、3'末端若しくは5'末端修飾又は任意の他の修飾等の修飾によって修飾される同じヌクレオチド配列を包含する。同じ参照はまた、2個又はそれよりも多いヌクレオチドが、天然のホスホジエステル結合によって、又はホスホロチオエート若しくはホスホロジチオエート結合等の任意の他の結合によって、互いに連結される配列を指す。
【0024】
二重鎖核酸は、第1の鎖及び第2の鎖が、それらの長さの少なくとも部分にわたって互いにハイブリダイズして、したがって、生理学的条件下で、例えば、PBS中で、37℃で各鎖1μMの濃度で、二本鎖領域を形成することが可能である核酸である。第1及び第2の鎖は好ましくは、互いにハイブリダイズして、したがって、少なくとも15個のヌクレオチド、好ましくは16個、17個、18個又は19個のヌクレオチドの領域にわたって、二本鎖領域を形成することが可能である。この二本鎖領域は、好ましくはワトソン-クリックの塩基対形成及び/又はゆらぎ塩基対形成(例えば、GU塩基対形成)に基づく、2つの鎖間のヌクレオチド塩基対形成を含む。二本鎖領域内の2つの鎖のヌクレオチドは全て、二本鎖領域を形成するように互いに対形成しない。2つの鎖のヌクレオチド配列間の或る特定数のミスマッチ、欠失又は挿入は許容可能である。第1若しくは第2の鎖のいずれかの末端上のオーバーハング又は二重鎖核酸のいずれかの末端にある不対ヌクレオチドもまた可能である。二重鎖核酸は、好ましくは、生理学的条件下で、安定な二重鎖核酸であり、好ましくは、例えば、PBS中で、各鎖1μMの濃度で、45℃又はそれよりも高い、好ましくは50℃又はそれよりも高い、より好ましくは55℃又はそれよりも高い融解温度(Tm)を有する。
【0025】
生理学的条件下で、安定な二重鎖核酸は、例えば、PBS中で、各鎖1μMの濃度で、45℃又はそれよりも高い、好ましくは50℃又はそれよりも高い、より好ましくは55℃又はそれよりも高いTmを有する二重鎖核酸である。
【0026】
第1の鎖及び第2の鎖は好ましくは、i)それらの長さの一部にわたって、好ましくはそれらの長さの両方の少なくとも15個のヌクレオチドにわたって、ii)第1の鎖の長さ全体にわたって、iii)第2の鎖の長さ全体にわたって、又はiv)第1の鎖及び第2の鎖の両方の長さ全体にわたって、二本鎖領域を形成することが可能である(即ち、互いに相補的である)。或る特定の長さにわたって互いに相補的な鎖は、鎖が、その長さにわたって、ワトソン-クリック又はゆらぎ塩基対形成のいずれかを介して、互いに塩基対形成することが可能であることを意味する。長さのヌクレオチドはそれぞれ、生理学的条件下で、安定な二重鎖ヌクレオチドが形成され得る限りは、所与の長さ全体にわたって、必ずしも他の鎖におけるその対応物と塩基対形成することが可能である必要はない。しかしながら、長さのヌクレオチドはそれぞれ、所与の長さ全体にわたって、他の鎖におけるその対応物と塩基対形成する場合、好ましい。
【0027】
第1の鎖と、標的配列との間の、又は第1の鎖と、第2の鎖との間の或る特定数のミスマッチ、欠失又は挿入は、siRNAの状況で容認することができ、更には、或る特定の場合には、RNA干渉(例えば、阻害)活性を増加させる可能性がある。
【0028】
本発明による核酸の阻害活性は、第1の鎖の全て又は一部と、標的核酸の一部との間での二本鎖領域の形成に依存する。第1の鎖と、標的配列との間に形成される第1の塩基対に始まり、第1の鎖と、標的配列との間に形成される最後の塩基対に終わる(両端を含む)と規定される、第1の鎖と二本鎖領域を形成する標的核酸の一部は、標的核酸配列、又は単に標的配列である。第1の鎖と、第2の鎖との間に形成される二本鎖領域は、第1の鎖と、標的配列との間に形成される二本鎖領域と同じである必要はない。即ち、第2の鎖は、標的配列と異なる配列を有してもよいが、第1の鎖は、少なくとも生理学的条件下で、第2の鎖及び標的配列の両方を有する二本鎖構造を形成することが可能でなくてはならない。
【0029】
第1の鎖と、標的配列との間の相補性は、完全であってもよい(即ち、標的配列と比較した場合に、第1の鎖において、ヌクレオチドのミスマッチ又は挿入又は欠失を伴わない100%の同一性)。
【0030】
第1の鎖と、標的配列との間の相補性は、完全でなくてもよい。相補性は、約70%~約100%であり得る。より具体的には、相補性は、少なくとも70%、80%、85%、90%又は95%及びその中間値であってもよい。
【0031】
第1の鎖と、標的配列の相補配列との間の同一性は、約75%~約100%の範囲であり得る。より具体的には、相補性は、核酸が、補体成分C3の発現を低減又は阻害することが可能であれば、少なくとも75%、80%、85%、90%又は95%及びその中間値であってもよい。
【0032】
第1の鎖と、標的配列との間で100%未満の相補性を有する核酸は、第1の鎖と、標的配列との間に完全な相補性を有する核酸と同じレベルにまで、補体成分C3の発現を低減することが可能であり得る。或いは、第1の鎖と、標的配列との間の100%未満の相補性を有する核酸は、補体成分C3の発現を、完全な相補性を有する核酸によって達成される低減のレベルの15%~100%であるレベルに低減することが可能であり得る。
【0033】
一態様では、本開示の核酸は、
(a)第1の鎖の配列が、Table 1(表1)の第1の鎖の配列のいずれか1つと、3個以下のヌクレオチドが異なる配列を含み、任意選択で、第2の鎖の配列が、表の同じ行の第2の鎖の配列と、3個以下のヌクレオチドが異なる配列を含むか、
(b)第1の鎖の配列が、Table 1(表1)の第1の鎖の配列のいずれか1つと、2個以下のヌクレオチドが異なる配列を含み、任意選択で、第2の鎖の配列が、表の同じ行の第2の鎖の配列と、2個以下のヌクレオチドが異なる配列を含むか、
(c)第1の鎖の配列が、Table 1(表1)の第1の鎖の配列のいずれか1つと、1個以下のヌクレオチドが異なる配列を含み、任意選択で、第2の鎖の配列が、表の同じ行の第2の鎖の配列と、1個以下のヌクレオチドが異なる配列を含むか、
(d)第1の鎖の配列が、Table 1(表1)の第1の鎖の配列のいずれか1つの配列を含み、任意選択で、第2の鎖の配列が、表の同じ行の第2の鎖の配列の配列を含むか、又は
(e)第1の鎖の配列が、Table 1(表1)の第1の鎖の配列のいずれか1つからなり、任意選択で、第2の鎖の配列が、表の同じ行の第2の鎖の配列の配列からなる
核酸であり、Table 1(表1)は、下記である:
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
一態様では、核酸は、
(a)第1の鎖の配列が、配列番号361の配列を含み、任意選択で、第2の鎖の配列が、配列番号112の配列を含むか、又は
(b)第1の鎖の配列が、配列番号95の配列を含み、任意選択で、第2の鎖の配列が、配列番号96の配列を含むか、又は
(c)第1の鎖の配列が、配列番号111の配列を含み、任意選択で、第2の鎖の配列が、配列番号112の配列を含むか、又は
(d)第1の鎖の配列が、配列番号125の配列を含み、任意選択で、第2の鎖の配列が、配列番号126の配列を含むか、又は
(e)第1の鎖の配列が、配列番号131の配列を含み、任意選択で、第2の鎖の配列が、配列番号132の配列を含むか、又は
(f)第1の鎖の配列が、配列番号361からなり、任意選択で、第2の鎖の配列が、配列番号112からなるか、又は
(g)第1の鎖の配列が、配列番号95からなり、任意選択で、第2の鎖の配列が、配列番号96からなるか、又は
(h)第1の鎖の配列が、配列番号111からなり、任意選択で、第2の鎖の配列が、配列番号112からなるか、又は
(i)第1の鎖の配列が、配列番号125からなり、任意選択で、第2の鎖の配列が、配列番号126からなるか、又は
(j)第1の鎖の配列が、配列番号131からなり、任意選択で、第2の鎖の配列が、配列番号132からなる
核酸である。
【0038】
一態様では、第1の鎖の5’最末端のヌクレオチドが、A又はU以外のヌクレオチドである場合、このヌクレオチドは、配列においてA又はUで置き換えられる。好ましくは、第1の鎖の5’最末端のヌクレオチドが、U以外のヌクレオチドである場合、このヌクレオチドは、配列において、Uで、より好ましくは5'-ビニルホスホネートを用いてUで置き換えられる。
【0039】
本発明の核酸が、例えばTable 1(表1)に付与されるような参照第1の鎖及び/又は第2の鎖の配列の配列全体を含まないか、又は一方若しくは両方の鎖が、相当する参照配列と、1個、2個若しくは3個のヌクレオチドが異なる場合、この核酸は、好ましくは、匹敵する実験において、第1の鎖及び第2の鎖の参照配列全体を含む、相当する核酸の阻害活性と比較して、C3阻害活性の少なくとも30%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更に好ましくは少なくとも90%、より一層好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%を保持する。
【0040】
一態様では、核酸は、第1の鎖の配列が、配列番号361の配列を含むか、若しくは好ましくは配列番号361の配列からなり、任意選択で、第2の鎖の配列が、配列番号112の配列の少なくとも15個、好ましくは少なくとも16個、より好ましくは少なくとも17個、更に好ましくは少なくとも18個、最も好ましくは全てのヌクレオチドを含むか、若しくは好ましくは配列番号112の配列の少なくとも15個、好ましくは少なくとも16個、より好ましくは少なくとも17個、更に好ましくは少なくとも18個、最も好ましくは全てのヌクレオチドからなるか、又は第1の鎖の配列が、配列番号95の配列を含むか、若しくは好ましくは配列番号95の配列からなり、任意選択で、第2の鎖の配列が、配列番号96の配列の少なくとも15個、好ましくは少なくとも16個、より好ましくは少なくとも17個、更に好ましくは少なくとも18個、最も好ましくは全てのヌクレオチドを含むか、若しくは好ましくは配列番号96の配列の少なくとも15個、好ましくは少なくとも16個、より好ましくは少なくとも17個、更に好ましくは少なくとも18個、最も好ましくは全てのヌクレオチドからなるか、又は第1の鎖の配列が、配列番号111の配列を含むか、若しくは好ましくは配列番号111の配列からなり、任意選択で、第2の鎖の配列が、配列番号112の配列の少なくとも15個、好ましくは少なくとも16個、より好ましくは少なくとも17個、更に好ましくは少なくとも18個、最も好ましくは全てのヌクレオチドを含むか、若しくは好ましくは配列番号112の配列の少なくとも15個、好ましくは少なくとも16個、より好ましくは少なくとも17個、更に好ましくは少なくとも18個、最も好ましくは全てのヌクレオチドからなるか、又は第1の鎖の配列が、配列番号125の配列を含むか、若しくは好ましくは配列番号125の配列からなり、任意選択で、第2の鎖の配列が、配列番号126の配列の少なくとも15個、好ましくは少なくとも16個、より好ましくは少なくとも17個、更に好ましくは少なくとも18個、最も好ましくは全てのヌクレオチドを含むか、若しくは好ましくは配列番号126の配列の少なくとも15個、好ましくは少なくとも16個、より好ましくは少なくとも17個、更に好ましくは少なくとも18個、最も好ましくは全てのヌクレオチドからなるか
、又は第1の鎖の配列が、配列番号131の配列を含むか、若しくは好ましくは配列番号131の配列からなり、任意選択で、第2の鎖の配列が、配列番号132の配列の少なくとも15個、好ましくは少なくとも16個、より好ましくは少なくとも17個、更に好ましくは少なくとも18個、最も好ましくは全てのヌクレオチドを含むか、若しくは好ましくは配列番号132の配列の少なくとも15個、好ましくは少なくとも16個、より好ましくは少なくとも17個、更に好ましくは少なくとも18個、最も好ましくは全てのヌクレオチドからなる、核酸である。
【0041】
一態様では、核酸は、好ましくは細胞において、C3の発現を阻害するための二重鎖核酸であり、ここで、核酸は、第1の核酸鎖及び第2の核酸鎖を含み、第1の鎖は、配列番号112、96、126、132、2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、98、100、102、104、106、108、110、114、116、118、120、122、124、128、130又は134の配列の核酸に、生理学的条件下でハイブリダイズすることが可能であり、第2の鎖は、第1の鎖に、生理学的条件下でハイブリダイズして、二本鎖領域を形成することが可能である。
【0042】
生理学的条件下でハイブリダイズすることが可能な核酸は、少なくとも二本鎖領域を形成するように、鎖において反対のヌクレオチドの少なくとも一部の間で、塩基対、好ましくはワトソン-クリック又はゆらぎ塩基対を形成することが可能な核酸である。かかる二重鎖核酸は、好ましくは、生理学的条件下で(例えば、PBS中で、37℃で各鎖1μMの濃度で)、安定な二重鎖核酸であり、かかる条件下では、2つの鎖が、互いにハイブリダイズされたままの状態であることを意味する。二重鎖ヌクレオチドのTmは、好ましくは45℃又はそれよりも高く、好ましくは50℃又はそれよりも高く、より好ましくは55℃又はそれよりも高い。
【0043】
一態様は、補体成分C3の発現を阻害するための核酸に関し、ここで、核酸は、Table 5(表6)の配列のいずれかと、3個以下のヌクレオチド、好ましくは2個以下のヌクレオチド、より好ましくは1個以下のヌクレオチドが異なり、また最も好ましくはどのヌクレオチドも異ならない、少なくとも15個、好ましくは少なくとも16個、より好ましくは少なくとも17個、更に好ましくは少なくとも18個、最も好ましくは全てのヌクレオチドの第1の配列を含み、第1の配列は、生理学的条件下で、標的遺伝子転写物(例えば、mRNA)にハイブリダイズすることが可能である。好ましくは、核酸は、Table 5(表6)の配列のいずれかと、3個以下のヌクレオチド、好ましくは2個以下のヌクレオチド、より好ましくは1個以下のヌクレオチドが異なり、また最も好ましくはどのヌクレオチドも異ならない、少なくとも15個、好ましくは少なくとも16個、より好ましくは少なくとも17個、更に好ましくは少なくとも18個、最も好ましくは全てのヌクレオチドの第2の配列を更に含み、第2の配列は、生理学的条件下で、第1の配列にハイブリダイズすることが可能であり、好ましくは、核酸は、RNAi経路を介してC3発現を阻害することが可能なsiRNAである。
【0044】
一態様は、補体成分C3の発現を阻害するための、Table 3(表4)に開示されるような任意の二重鎖核酸に関する。これらの核酸は、各種ヌクレオチド修飾を有する全てのsiRNAである。それらの幾つかは、肝細胞等の、GalNAc受容体を有する細胞を特異的に標的とし得るGalNAc部分を含むコンジュゲートである。
【0045】
一態様は、医薬としての使用のための、好ましくは細胞において補体成分C3の発現を阻害することが可能な二重鎖核酸に関する。
【0046】
本明細書中に記載される核酸は、補体成分C3の発現を阻害することが可能であり得る。阻害は、完全であってもよく、即ち、本発明の核酸の非存在下でのC3の発現レベルと比較して、残存する発現は0%であり得る。C3発現の阻害は、部分的であってもよく、即ち、C3発現の阻害は、本発明の核酸の非存在下でのC3発現の15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%若しくはそれよりも多いか、又は中間値であり得る。阻害のレベルは、処理した試料を、未処理の試料と、又は例えば、C3を標的としないsiRNA等の対照で処理した試料と比較することによって測定され得る。阻害は、C3 mRNA及び/若しくはタンパク質レベル、又はC3の存在若しくは活性と相関するバイオマーカー若しくは指示薬のレベルを測定することによって測定され得る。阻害は、本明細書中に記載される核酸で、in vitroで処理されている可能性のある細胞において測定され得る。或いは、又は更に、阻害は、肝細胞等の細胞、若しくは肝臓組織等の組織、若しくは肝臓等の臓器において、又は血液、血清、リンパ液等の体液若しくは本明細書中に開示される核酸で、これまでに処理された対象から採取した任意の他の身体部分において測定され得る。好ましくは、C3発現の阻害は、本明細書中に開示される二重鎖RNAとの、理想的な条件(適切な濃度及び条件に関しては、実施例を参照)下での24時間又は48時間のin vitroでの処理後に、C3発現細胞において測定されるC3 mRNAレベルを、未処理であったか、又は偽処理であったか、又は対照二重鎖で処理された同じ細胞において測定されるC3 mRNAレベルと比較することによって決定される。
【0047】
本発明の一態様は、第1の鎖及び第2の鎖が互いにハイブリダイズして、それにより二本鎖領域を有する二重鎖核酸を形成することが可能であるように、第1の鎖及び第2の鎖が、周囲でループする核酸の単鎖上に存在する核酸に関する。
【0048】
好ましくは、核酸の第1の鎖及び第2の鎖は、別々の鎖である。2つの別々の鎖は、好ましくはそれぞれ、17ヌクレオチド長~25ヌクレオチド長、より好ましくは18ヌクレオチド長~25ヌクレオチド長である。2つの鎖は、同じ長さ又は異なる長さであり得る。第1の鎖は、17ヌクレオチド長~25ヌクレオチド長であってもよく、好ましくは第1の鎖は、18ヌクレオチド長~24ヌクレオチド長であってもよく、第1の鎖は、18、19、20、21、22、23又は24ヌクレオチド長であってもよい。最も好ましくは、第1の鎖は、19ヌクレオチド長である。第2の鎖は、独立して、17ヌクレオチド長~25ヌクレオチド長であってもよく、好ましくは第2の鎖は、18ヌクレオチド長~24ヌクレオチド長であってもよく、第2の鎖は、18、19、20、21、22、23又は24ヌクレオチド長であってもよい。より好ましくは、第2の鎖は、18ヌクレオチド長又は19ヌクレオチド長であり、最も好ましくは、第2の鎖は、19ヌクレオチド長である。
【0049】
好ましくは、核酸の第1の鎖及び第2の鎖は、17ヌクレオチド長~25ヌクレオチド長の二本鎖領域を形成する。より好ましくは、二本鎖領域は、18ヌクレオチド長~24ヌクレオチド長である。二本鎖領域は、17、18、19、20、21、22、23、24又は25ヌクレオチド長であってもよい。最も好ましい実施形態では、二本鎖領域は、18ヌクレオチド長である。二本鎖領域は、ここでは、第2の鎖のヌクレオチドに塩基対形成される第1の鎖の5’最末端のヌクレオチドから、第2の鎖のヌクレオチドに塩基対形成される第1の鎖の3’最末端のヌクレオチドまでの間の領域(第2の鎖のヌクレオチドに塩基対形成される第1の鎖の5’最末端のヌクレオチド及び第2の鎖のヌクレオチドに塩基対形成される第1の鎖の3’最末端のヌクレオチドを含む)として定義される。二本鎖領域は、他方の鎖におけるヌクレオチドに対して塩基対形成されない一方又は両方の鎖におけるヌクレオチドを含んでもよい。二本鎖領域は、第1の鎖上及び/又は第2の鎖上の1個、2個、3個又は4個のかかるヌクレオチドを含んでもよい。しかしながら、好ましくは、二本鎖領域は、17個~25個の連続したヌクレオチド塩基対からなる。即ち、二本鎖領域は好ましくは、他方の鎖におけるヌクレオチドに対して全て塩基対形成する鎖の両方上の17個~25個の連続したヌクレオチドを含む。より好ましくは、二本鎖領域は、18個又は19個の、最も好ましくは18個の連続したヌクレオチド塩基対からなる。
【0050】
本明細書中に開示される実施形態それぞれでは、核酸は、両方の末端で平滑末端であってもよく、一方の末端でオーバーハングを有し、他方の末端で平滑末端を有してもよく、又は両方の末端でオーバーハングを有してもよい。
【0051】
核酸は、一方の末端でオーバーハングを有し、他方の末端で平滑末端を有してもよい。核酸は、両方の末端でオーバーハングを有してもよい。核酸は、両方の末端で平滑末端であってもよい。核酸は、第1の鎖の5'末端及び第2の鎖の3'末端を有する末端で、又は第1の鎖の3'末端及び第2の鎖の5'末端で、平滑末端であってもよい。
【0052】
核酸は、3'末端又は5'末端でオーバーハングを含んでもよい。核酸は、第1の鎖上に3'オーバーハングを有してもよい。核酸は、第2の鎖上に3'オーバーハングを有してもよい。核酸は、第1の鎖上に5'オーバーハングを有してもよい。核酸は、第2の鎖上に5'オーバーハングを有してもよい。核酸は、第1の鎖の5'末端及び3'末端の両方でオーバーハングを有してもよい。核酸は、第2の鎖の5'末端及び3'末端の両方でオーバーハングを有してもよい。核酸は、第1の鎖上に5'オーバーハングを、また第2の鎖上に3'オーバーハングを有してもよい。核酸は、第1の鎖上に3'オーバーハングを、また第2の鎖上に5'オーバーハングを有してもよい。核酸は、第1の鎖上に3'オーバーハングを、また第2の鎖上に3'オーバーハングを有してもよい。核酸は、第1の鎖上に5'オーバーハングを、また第2の鎖上に5'オーバーハングを有してもよい。
【0053】
第2の鎖若しくは第1の鎖の3'末端又は5'末端にあるオーバーハングは、1、2、3、4及び5ヌクレオチド長からなり得る。任意選択で、オーバーハングは、修飾され得るか、若しくは修飾され得ない1個又は2個のヌクレオチドからなり得る。
【0054】
一実施形態では、第1の鎖の5'末端は、1個、2個又は3個のヌクレオチド、好ましくは1個のヌクレオチドの単鎖オーバーハングである。
【0055】
好ましくは、核酸は、siRNAである。siRNAは、RNA干渉(RNAi)経路により標的遺伝子の発現を阻害することが可能である低分子干渉又は低分子サイレンシングRNAである。阻害は、転写後に、標的遺伝子のmRNA転写物の標的とされる分解後に起きる。siRNAは、RISC複合体の部分を成す。RISC複合体は、標的配列を有する第1の(アンチセンス)鎖の配列相補性によって標的RNAを特異的に標的とする。
【0056】
好ましくは、核酸は、RNA干渉(RNAi)を媒介する。好ましくは、核酸は、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、更に好ましくは少なくとも90%、より一層好ましくは少なくとも95%の阻害、最も好ましくは100%の阻害の有効性でRNA干渉を媒介する。したがって、核酸、又は核酸の少なくとも第1の鎖は、好ましくはRISC複合体に取り込ませることが可能である。したがって、結果として、核酸、又は核酸の少なくとも第1の鎖は、RISC複合体を、核酸、又は核酸の少なくとも第1の鎖が少なくとも部分的に相補的である特異的な標的RNAに導くことが可能である。続いて、RISC複合体は、この標的RNAを特異的に切断して、結果として、RNAが由来する遺伝子の発現の阻害をもたらす。
【0057】
核酸修飾
本発明の核酸の修飾は概して、in vitro及びin vivoでの安定性並びに自然RNA分子に固有なバイオアベイラビリティを含むがこれらに限定されない、潜在的な制限を克服する際に強力なツールを提供する。本発明による核酸は、化学修飾によって修飾され得る。また、修飾核酸は、ヒトにおいてインターフェロン活性を誘導する可能性を最低限に抑えることができる。修飾は、核酸の、標的細胞への機能的送達を更に増強し得る。本発明の修飾核酸は、第1の鎖又は第2の鎖の一方又は両方の1個又は複数の化学的に修飾されたリボヌクレオチドを含み得る。リボヌクレオチドは、塩基、糖又はホスフェート部分の化学的修飾を含み得る。リボ核酸は、核酸若しくは塩基の類似体による置換又は核酸若しくは塩基の類似体の挿入によって修飾され得る。
【0058】
本発明の説明全体にわたって、「同じ修飾又は共通の修飾」は、メチル基(2'-OMe)又はフルオロ基(2'-F)等の基で修飾されたA、G、C又はUであるような、任意のヌクレオチドに対する同じ修飾を意味する。例えば、2'-F-dU、2'-F-dA、2'-F-dC、2'-F-dGは全て、2'-OMe-rU、2'-OMe-rA、2'-OMe-rC、2'-OMe-rGであるように、同じ修飾又は共通の修飾であるとみなされる。対比して、2'-F修飾は、2'-OMe修飾と比較して異なる修飾である。
【0059】
好ましくは、核酸の第1及び/又は第2の鎖の少なくとも1個のヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド、好ましくは天然に存在しないヌクレオチド、例えば、好ましくは2'-F修飾ヌクレオチドである。
【0060】
修飾ヌクレオチドは、糖基の修飾を有するヌクレオチドであり得る。2'水酸基(OH)は、多数の異なる「オキシ」又は「デオキシ」置換基で修飾され得るか、又は置き換えられ得る。
【0061】
「オキシ」-2-水酸基修飾の例として、アルコキシ又はアリールオキシ(OR、例えば、R=H、アルキル(例えば、メチル)、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール又は糖);ポリエチレングリコール(PEG)、O(CH2CH2O)nCH2CH2OR;2'ヒドロキシルが、例えばメチレン架橋によって、同じリボース糖の4'炭素に結合される「ロックド」核酸(LNA);O-AMINE(AMINE=NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、又はジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン、又はポリアミノ)及びアミノアルコキシ、O(CH2)nAMINE(例えば、AMINE=NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、又はジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン、又はポリアミノ)が挙げられる。
【0062】
「デオキシ」修飾として、水素、ハロゲン、アミノ(例えば、NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、又はアミノ酸);NH(CH2CH2NH)nCH2CH2-AMINE(AMINE=NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、又はジヘテロアリールアミノ)、-NHC(O)R(R=アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール又は糖)、シアノ;メルカプト;アルキル-チオ-アルキル;チオアルコキシ;並びにアルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル及びアルキニルが挙げられ、これらは、任意選択で、例えば、アミノ官能性で置換されてもよい。或る特定の実施形態の他の置換基として、2'-メトキシメチル、2'-OCH3、2'-O-アリル、2'-C-アリル、及び2'-フルオロが挙げられる。
【0063】
糖基はまた、リボースにおける相当する炭素の立体化学配置と反対の立体化学配置を保有する1つ又は複数の炭素を含有し得る。したがって、修飾ヌクレオチドは、アラビノース等の糖を含有し得る。
【0064】
修飾ヌクレオチドはまた、「脱塩基」糖を含むことができ、これは、C-1'にある核酸塩基を欠如している。これらの脱塩基糖は、構成する糖原子の1つ又は複数で修飾を更に含有し得る。
【0065】
2'修飾は、1つ又は複数のホスフェートリンカー修飾(例えば、ホスホロチオエート)と組み合わせて使用され得る。
【0066】
本発明の核酸の1個又は複数のヌクレオチドは、修飾され得る。核酸は、少なくとも1個の修飾ヌクレオチドを含み得る。修飾ヌクレオチドは、第1の鎖に存在し得る。修飾ヌクレオチドは、第2の鎖に存在し得る。修飾ヌクレオチドは、二本鎖領域に存在し得る。修飾ヌクレオチドは、二本鎖領域の外側に、即ち、単鎖領域に存在し得る。修飾ヌクレオチドは、第1の鎖上に存在してもよく、二本鎖領域の外側に存在してもよい。修飾ヌクレオチドは、第2の鎖上に存在してもよく、二本鎖領域の外側に存在してもよい。第1の鎖の3'末端ヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドであってもよい。第2の鎖の3'末端ヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドであってもよい。第1の鎖の5'末端ヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドであってもよい。第2の鎖の5'末端ヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドであってもよい。
【0067】
本発明の核酸は、1個の修飾ヌクレオチドを有してもよく、又は本発明の核酸は、約2個~4個の修飾ヌクレオチドを有してもよく、又は核酸は、4個~6個の修飾ヌクレオチド、約6個~8個の修飾ヌクレオチド、約8個~10個の修飾ヌクレオチド、約10個~12個の修飾ヌクレオチド、約12個~14個の修飾ヌクレオチド、約14個~16個の修飾ヌクレオチド、約16個~18個の修飾ヌクレオチド、約18個~20個の修飾ヌクレオチド、約20個~22個の修飾ヌクレオチド、約22個~24個の修飾ヌクレオチド、約24個~26個の修飾ヌクレオチド、若しくは約26個~28個の修飾ヌクレオチドを有してもよい。いずれの場合においても、上記修飾ヌクレオチドを含む核酸は、同じであるが、上記修飾ヌクレオチドを有さない核酸、又はその逆と比較して、その活性の少なくとも50%を保持する。核酸は、同じであるが、上記修飾ヌクレオチドを有さない核酸と比較した場合、その活性の55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%若しくは100%及び中間値を保持し得るか、又は同じであるが、上記修飾ヌクレオチドを有さない核酸の100%を上回る活性を有し得る。
【0068】
修飾ヌクレオチドは、プリン又はピリミジンであり得る。プリンの少なくとも半分は、修飾されてもよい。ピリミジンの少なくとも半分は、修飾されてもよい。プリンは全て、修飾されてもよい。ピリミジンは全て、修飾されてもよい。修飾ヌクレオチドは、3'末端デオキシチミン(dT)ヌクレオチド、2'-O-メチル(2'-OMe)修飾ヌクレオチド、2'修飾ヌクレオチド、2'デオキシ修飾ヌクレオチド、ロックドヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド、2'アミノ修飾ヌクレオチド、2'アルキル修飾ヌクレオチド、2'-デオキシ-2'-フルオロ(2'-F)修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、ホスホルアミデート、非天然塩基を含むヌクレオチド、5'-ホスホロチオエート基を含むヌクレオチド、5'ホスフェート又は5'ホスフェート疑似体を含むヌクレオチド及びコスレテリル誘導体又はドデカン酸ビスデシルアミド基に連結された末端ヌクレオチドからなる群から選択され得る。
【0069】
核酸は、修飾塩基を含むヌクレオチドを含んでもよく、ここで、塩基は、2-アミノアデノシン、2,6-ジアミノプリン、イノシン、ピリジン-4-オン、ピリジン-2-オン、フェニル、シュードウラシル、2,4,6-トリメトキシベンゼン、3-メチルウラシル、ジヒドロウリジン、ナフチル、アミノフェニル、5-アルキルシチジン(例えば、5-メチルシチジン)、5-アルキルウリジン(例えば、リボチミジン)、5-ハロウリジン(例えば、5-ブロモウリジン)、6-アザピリミジン、6-アルキルピリミジン(例えば、6-メチルウリジン)、プロピン、クエオシン(quesosine)、2-チオウリジン、4-チオウリジン、ワイブトシン、ワイブトキソシン、4-アセチルシチジン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジン、5'-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウリジン、ベータ-D-ガラクトシルクエオシン、1-メチルアデノシン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアノシン、3-メチルシチジン、2-メチルアデノシン、2-メチルグアノシン、N6-メチルアデノシン、7-メチルグアノシン、5-メトキシアミノメチル-2-チオウリジン、5-メチルアミノメチルウリジン、5-メチルカルボニルメチルウリジン、5-メチルオキシウリジン、5-メチル-2-チオウリジン、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデノシン、ベータ-D-マンノシルクエオシン、ウリジン-5-オキシ酢酸及び2-チオシチジンから選択される。
【0070】
本明細書中で論述される核酸は、未修飾RNA並びに、例えば有効性又は安定性を改善するために修飾されているRNAが挙げられる。未修飾RNAは、核酸の成分、即ち、糖、塩基及びホスフェート部分が、例えば、ヒト身体において自然に発生するように、天然に存在するものと同じであるか、又は本質的に同じである分子を指す。「修飾ヌクレオチド」という用語は、本明細書中で使用する場合、ヌクレオチドの成分、即ち、糖、塩基、及びホスフェート部分の1つ又は複数は、天然に存在するものと異なるヌクレオチドを指す。「修飾ヌクレオチド」という用語はまた、或る特定の場合において、修飾ヌクレオチドが、糖、塩基又はホスフェート部分等のヌクレオチドの必須成分を欠如しているか、又はその代替物を有するため、その用語の厳密な意味ではヌクレオチドではない分子を指す。核酸のヌクレオチドの1個又は複数が、ヌクレオチドの必須成分を欠如しているか、又はその置換を有する修飾ヌクレオチドによって置き換えられているとしても、かかる修飾ヌクレオチドを含む核酸は依然として、核酸であろうと理解される。
【0071】
本明細書中に記載され、塩基、又はホスフェート部分、又はホスフェート部分の非連結Oの修飾等の、核酸内で行われる修飾の多くは、ポリヌクレオチド分子内で繰り返される。場合によっては、修飾は、ポリヌクレオチドにおける考え得る位置/ヌクレオチド全てで行われるが、多くの場合、修飾は行われない。修飾は、3'又は5'末端位置でのみ行われてもよく、末端ヌクレオチド上の位置等の末端領域で、又は鎖の最後の2個、3個、4個、5個、若しくは10個のヌクレオチドにおいてのみ行われてもよい。修飾は、二重鎖領域、単鎖領域で、又は両方で行われてもよい。修飾は、本発明の核酸の二重鎖領域においてのみ行われてもよく、又は本発明の核酸の単鎖領域においてのみ行われてもよい。非連結O位置におけるホスホロチオエート修飾は、一方又は両方の末端でのみ行われてもよく、末端領域において、例えば末端ヌクレオチド上の位置で、又は鎖の最後の2個、3個、4個、若しくは5個のヌクレオチドにおいてのみ行われてもよく、或いは二本鎖領域で及び/又は単鎖領域で、特に末端で行われてもよい。5'末端及び/又は3'末端は、リン酸化され得る。
【0072】
本発明の核酸の安定性は、オーバーハングにおいて特定の塩基を含むことによって、或いは単鎖オーバーハングにおいて、例えば、5'若しくは3'オーバーハングにおいて、又はその両方において、修飾ヌクレオチドを含むことによって増加され得る。プリンヌクレオチドは、オーバーハングに含まれ得る。3'又は5'オーバーハングにおける塩基の全て又は幾つかは、修飾されてもよい。修飾は、リボース糖の2'-OH基で修飾の使用、リボヌクレオチドに代わるデオキシリボヌクレオチドの使用、及びホスホロチオエート修飾等のホスフェート基における修飾が挙げられ得る。オーバーハングは、標的配列と相同的である必要はない。
【0073】
ヌクレアーゼは、核酸ホスホジエステル結合を加水分解することができる。しかしながら、核酸に対する化学修飾は、改善された特性を付与することができ、オリゴリボヌクレオチドを、ヌクレアーゼに対してより安定にさせることができる。
【0074】
修飾核酸は、本明細書中で使用する場合、下記の1つ又は複数を含み得る:
(i)非連結ホスフェート酸素の一方若しくは両方及び/又は連結ホスフェート酸素(本発明の核酸の5'及び3'末端にあったとしても、連結と称される)の1つ若しくは複数の変更、例えば、置き換え;
(ii)リボース糖の成分、例えば、リボース糖上の2'ヒドロキシルの変更、例えば、置き換え;
(iii)リン酸部分の、「デホスホ」リンカーによる置き換え;
(iv)天然に存在する塩基の修飾又は置き換え;
(v)リボース-ホスフェート骨格の置き換え又は修飾、並びに
(vi)第1の鎖及び/又は第2の鎖の3'末端又は5'末端の修飾、例えば、末端ホスフェート基の除去、修飾若しくは置き換え又は部分、例えば、蛍光標識された部分の、一方若しくは両方の鎖の3'若しくは5'末端のいずれかへのコンジュゲーション。
【0075】
置き換え、修飾、変更という用語は、天然に存在する分子との差を示す。
【0076】
具体的な修飾は、以下で詳細に論述される。
【0077】
核酸は、修飾されている第2の鎖及び/又は第1の鎖上に1個又は複数のヌクレオチドを含んでもよい。
【0078】
交互は、本明細書中に記載される場合、規則的な方法で次々に出現することを意味する。換言すると、交互は、順に繰り返しで出現することを意味する。例えば、ヌクレオチド1個が修飾される場合、次の近接しているヌクレオチドは修飾されず、続く近接しているヌクレオチドが修飾される、等のことである。ヌクレオチド1個が、第1の修飾で修飾され得る場合、次の近接しているヌクレオチドは、第2の修飾で修飾されてもよく、続く近接しているヌクレオチドは、第1の修飾で修飾される、等のことであり、ここで、第1及び第2の修飾は異なる。
【0079】
本発明の幾つかの代表的な修飾核酸配列は、実施例に示される。これらの実施例は、代表的であり、非限定的であると意図される。
【0080】
核酸の一態様では、第1の鎖の少なくともヌクレオチド2及びヌクレオチド14は、好ましくは第1の共通の修飾によって修飾され、ヌクレオチドは、第1の鎖の5'末端にあるヌクレオチド番号1に始まって連続して付番される。第1の修飾は、好ましくは2'-Fである。
【0081】
一態様では、第1の鎖の偶数に付番されたヌクレオチドの少なくとも1個、幾つか又は好ましくは全てが、好ましくは第1の共通の修飾によって修飾され、ヌクレオチドは、第1の鎖の5'末端にあるヌクレオチド番号1に始まって連続して付番される。第1の修飾は、好ましくは2'-Fである。
【0082】
一態様では、第1の鎖の奇数に付番されたヌクレオチドの少なくとも1個、幾つか又は好ましくは全てが修飾され、ヌクレオチドは、第1の鎖の5'末端にあるヌクレオチド番号1に始まって連続して付番される。好ましくは、ヌクレオチドは、第2の修飾によって修飾される。核酸がまた、例えば、第1の鎖のヌクレオチド2及びヌクレオチド14の、又は偶数に付番されたヌクレオチド全ての第1の修飾も含む場合には、この第2の修飾は、第1の修飾と異なることが好ましい。第1の修飾は、好ましくは、2'-OH基と容積が同じサイズであるか、若しくは2'-OH基よりも容積が小さい任意の2'リボース修飾、又はロックド核酸(LNA)、若しくは非ロックド核酸(UNA)、若しくは2'-フルオロアラビノ核酸(FANA)修飾である。2'-OH基と容積が同じサイズであるか、又は2'-OH基よりも容積が小さい2'リボース修飾は、例えば、2'-F、2'-H、2'-ハロ、又は2'-NH2であり得る。第2の修飾は、好ましくは2'-OH基よりも容積が大きい任意の2'リボース修飾である。2'-OH基よりも容積が大きい2'リボース修飾は、例えば、2'-OMe、2'-O-MOE(2'-O-メトキシエチル)、2'-O-アリル又は2'-O-アルキルであり得るが、但し、核酸は、匹敵する条件下で、標的遺伝子の発現を、同じであるが、修飾を有さない核酸と少なくとも同程度にまで低減することが可能である。第1の修飾は、好ましくは2'-Fであり、及び/又は第2の修飾は、好ましくは2'-OMeである。
【0083】
一態様では、第1の鎖の偶数に付番されたヌクレオチドに相当する位置における第2の鎖のヌクレオチドの少なくとも1個、幾つか、又は好ましくは全てが、好ましくは第3の修飾によって修飾される。好ましくは、同じ核酸において、第1の鎖のヌクレオチド2及びヌクレオチド14又は偶数に付番されたヌクレオチド全てが、第1の修飾で修飾される。更に、又は或いは、第1の鎖の奇数に付番されたヌクレオチドは、第2の修飾で修飾される。好ましくは、第3の修飾は、第1の修飾と異なり、及び/又は第3の修飾は、第2の修飾と同じである。第1の修飾は、好ましくは2'-OH基と容積が同じサイズであるか、若しくは2'-OH基よりも容積が小さい任意の2'リボース修飾、又はロックド核酸(LNA)、若しくは非ロックド核酸(UNA)、若しくは2'-フルオロアラビノ核酸(FANA)修飾である。2'-OH基と容積が同じサイズであるか、又は2'-OH基よりも容積が小さい2'リボース修飾は、例えば、2'-F、2'-H、2'-ハロ、又は2'-NH2であり得る。第2及び/又は第3の修飾は、好ましくは2'-OH基よりも容積が大きい任意の2'リボース修飾である。2'-OH基よりも容積が大きい2'リボース修飾は、例えば、2'-OMe、2'-O-MOE(2'-O-メトキシエチル)、2'-O-アリル又は2'-O-アルキルであり得るが、但し、核酸は、匹敵する条件下で、標的遺伝子の発現を、同じであるが、修飾を有さない核酸と少なくとも同程度にまで低減することが可能である。第1の修飾は、好ましくは2'-Fであり、並びに/又は第2及び/若しくは第3の修飾は、好ましくは2'-OMeである。第1の鎖上のヌクレオチドは、第1の鎖の5'末端にあるヌクレオチド番号1に始まって連続して付番される。
【0084】
例えば、第1の鎖の偶数に付番されたヌクレオチドに相当する位置に存在する第2の鎖のヌクレオチドは、第1の鎖の偶数に付番されたヌクレオチドに塩基対形成される第2の鎖のヌクレオチドである。
【0085】
一態様では、第1の鎖の奇数に付番されたヌクレオチドに相当する位置における第2の鎖のヌクレオチドの少なくとも1個、幾つか又は好ましくは全てが、好ましくは第4の修飾によって修飾される。好ましくは、同じ核酸において、第1の鎖のヌクレオチド2及びヌクレオチド14又は偶数に付番されたヌクレオチド全てが、第1の修飾で修飾される。更に、又は或いは、第1の鎖の奇数に付番されたヌクレオチドは、第2の修飾で修飾される。更に、又は或いは、第1の鎖の偶数に付番されたヌクレオチドに相当する位置における第2の鎖のヌクレオチド全てが、第3の修飾で修飾される。第4の修飾は、好ましくは第2の修飾と異なり、好ましくは第3の修飾と異なり、第4の修飾は、好ましくは第1の修飾と同じである。第1及び/又は第4の修飾は、好ましくは2'-OH基と容積が同じサイズであるか、若しくは2'-OH基よりも容積が小さい任意の2'リボース修飾、又はロックド核酸(LNA)、若しくは非ロックド核酸(UNA)、若しくは2'-フルオロアラビノ核酸(FANA)修飾である。2'-OH基と容積が同じサイズであるか、又は2'-OH基よりも容積が小さい2'リボース修飾は、例えば、2'-F、2'-H、2'-ハロ、又は2'-NH2であり得る。第2及び/又は第3の修飾は、好ましくは2'-OH基よりも容積が大きい任意の2'リボース修飾である。2'-OH基よりも容積が大きい2'リボース修飾は、例えば、2'-OMe、2'-O-MOE(2'-O-メトキシエチル)、2'-O-アリル又は2'-O-アルキルであり得るが、但し、核酸は、匹敵する条件下で、標的遺伝子の発現を、同じであるが、修飾を有さない核酸と少なくとも同程度にまで低減することが可能である。第1及び/若しくは第4の修飾は、好ましくは2'-OMe修飾であり、並びに/又は第2及び/若しくは第3の修飾は、好ましくは2'-F修飾である。第1の鎖上のヌクレオチドは、第1の鎖の5'末端にあるヌクレオチド番号1に始まって連続して付番される。
【0086】
核酸の一態様では、第1の鎖のヌクレオチド11又はヌクレオチド13又はヌクレオチド11及び13又はヌクレオチド11~13に相当する位置における第2の鎖のヌクレオチド(単数/複数)は、第4の修飾によって修飾される。好ましくは、第1の鎖のヌクレオチド11又はヌクレオチド13又はヌクレオチド11及び13又はヌクレオチド11~13に相当する位置におけるヌクレオチド(単数/複数)以外の第2の鎖のヌクレオチド全てが、第3の修飾によって修飾される。好ましくは、同じ核酸において、第1の鎖のヌクレオチド2及びヌクレオチド14又は偶数に付番されたヌクレオチド全てが、第1の修飾で修飾される。更に、又は或いは、第1の鎖の奇数に付番されたヌクレオチドは、第2の修飾で修飾される。第4の修飾は、好ましくは第2の修飾と異なり、好ましくは第3の修飾と異なり、第4の修飾は、好ましくは第1の修飾と同じである。第1及び/又は第4の修飾は、好ましくは2'-OH基と容積が同じサイズであるか、若しくは2'-OH基よりも容積が小さい任意の2'リボース修飾、又はロックド核酸(LNA)、若しくは非ロックド核酸(UNA)、若しくは2'-フルオロアラビノ核酸(FANA)修飾である。2'-OH基と容積が同じサイズであるか、又は2'-OH基よりも容積が小さい2'リボース修飾は、例えば、2'-F、2'-H、2'-ハロ、又は2'-NH2であり得る。第2及び/又は第3の修飾は、好ましくは2'-OH基よりも容積が大きい任意の2'リボース修飾である。2'-OH基よりも容積が大きい2'リボース修飾は、例えば、2'-OMe、2'-O-MOE(2'-O-メトキシエチル)、2'-O-アリル又は2'-O-アルキルであり得るが、但し、核酸は、匹敵する条件下で、標的遺伝子の発現を、同じであるが、修飾を有さない核酸と少なくとも同程度にまで低減することが可能である。第1及び/若しくは第4の修飾は、好ましくは2'-OMe修飾であり、並びに/又は第2及び/若しくは第3の修飾は、好ましくは2'-F修飾である。第1の鎖上のヌクレオチドは、第1の鎖の5'末端にあるヌクレオチド番号1に始まって連続して付番される。
【0087】
核酸の一態様では、第1の鎖の偶数に付番されたヌクレオチド全てが、第1の修飾によって修飾され、第1の鎖の奇数に付番されたヌクレオチド全てが、第2の修飾によって修飾され、第1の鎖の偶数に付番されたヌクレオチドに相当する位置における第2の鎖のヌクレオチド全てが、第3の修飾によって修飾され、第1の鎖の奇数に付番されたヌクレオチドに相当する位置における第2の鎖のヌクレオチド全てが、第4の修飾によって修飾され、ここで、第1及び/若しくは第4の修飾は、2'-Fであり、並びに/又は第2及び/若しくは第3の修飾は、2'-OMeである。
【0088】
核酸の一態様では、第1の鎖の偶数に付番されたヌクレオチド全てが、第1の修飾によって修飾され、第1の鎖の奇数に付番されたヌクレオチド全てが、第2の修飾によって修飾され、第1の鎖のヌクレオチド11~13に相当する位置における第2の鎖のヌクレオチド全てが、第4の修飾によって修飾され、第1の鎖のヌクレオチド11~13に相当するヌクレオチド以外の第2の鎖のヌクレオチド全てが、第3の修飾によって修飾され、ここで、第1及び第4の修飾は、2'-Fであり、第2及び第3の修飾は、2'-OMeである。好ましくは、この態様では、第2の鎖の3'末端ヌクレオチドは、逆方向RNAヌクレオチドである(即ち、ヌクレオチドは、通常はそうであろうその5'炭素によるのではなく、その3'炭素により鎖の3'末端に連結される)。第2の鎖の3'末端ヌクレオチドが、逆方向RNAヌクレオチドである場合、逆方向RNAヌクレオチドは、それが天然ヌクレオチド対応物と比較して、いかなる修飾も含まないという意味で、未修飾ヌクレオチドであることが好ましい。具体的には、逆方向RNAヌクレオチドは、好ましくは2'-OHヌクレオチドである。好ましくは、この態様では、第2の鎖の3'末端ヌクレオチドが、逆方向RNAヌクレオチドである場合、核酸は、少なくとも第1の鎖の5'末端を含む末端で平滑末端である。
【0089】
本発明の一態様は、好ましくは細胞において、C3遺伝子の発現を阻害するための本明細書中に開示されるような核酸であり、ここで、上記第1の鎖は、RISCによる核酸のプロセシングを促進するように複数の位置に、修飾ヌクレオチド又は未修飾ヌクレオチドを含む。
【0090】
一態様では、「RISCによるプロセシングを促進する」は、核酸が、RISCによってプロセシングされ得ること、例えば、適切にsiRNA活性が起こり得るように、存在する任意の修飾により、核酸がRISCによってプロセシングされるのを可能にすることを意味する。
【0091】
第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが、2'O-メチル修飾で修飾されず、第1の鎖の11位又は13位又は11位及び13位又は11位、12位及び13位に相当する第2の鎖上のヌクレオチド(単数/複数)が、2'-OMe修飾で修飾されない(換言すると、それらは、修飾されないか、又は2'-OMe以外の修飾で修飾される)、本明細書中に開示されるような核酸である。
【0092】
一態様では、第1の鎖の13位に相当する第2の鎖上のヌクレオチドは、第1の鎖の13位と塩基対を形成するヌクレオチドである。
【0093】
一態様では、第1の鎖の11位に相当する第2の鎖上のヌクレオチドは、第1の鎖の11位と塩基対を形成するヌクレオチドである。
【0094】
一態様では、第1の鎖の12位に相当する第2の鎖上のヌクレオチドは、第1の鎖の12位と塩基対を形成するヌクレオチドである。
【0095】
例えば、二重鎖であり、且つ平滑末端である19量体の核酸において、第1の鎖の13位は、第2の鎖の7位と対形成する。第1の鎖の11位は、第2の鎖の9位と対形成する。この体系は、第2の鎖の他の位置に適用され得る。
【0096】
一態様では、部分的に相補的な第1及び第2の鎖の場合において、第1の鎖上の位置「に相当する」第2の鎖上のヌクレオチドは、その位置が、ミスマッチが存在するが、体系の原理が依然として当てはまる位置である場合には、必ずしも塩基対を形成しなくてもよい。
【0097】
一態様は、第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが、2'-OMe修飾で修飾されず、第1の鎖の11位、又は13位、又は11位及び13位、又は11位~13位に相当する第2の鎖上のヌクレオチドは、2'-F修飾で修飾されない、本明細書中に開示されるような核酸である。
【0098】
一態様は、第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが、2'-F修飾で修飾され、第1の鎖の11位、又は13位、又は11位及び13位、又は11位~13位に相当する第2の鎖上のヌクレオチドは、2'-OMe修飾で修飾される、本明細書中に開示されるような核酸である。
【0099】
一態様は、第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが、2'-F修飾で修飾され、第1の鎖の11位、又は13位、又は11位及び13位、又は11位~13位に相当する第2の鎖上のヌクレオチドは、2'-F修飾で修飾される、本明細書中に開示されるような核酸である。
【0100】
一態様は、好ましくは第1及び第2の鎖の両方の総ヌクレオチドのパーセンテージとして測定される、第1及び/又は第2の鎖の50%を上回るヌクレオチドが、2'-OMe修飾を含み、例えば、55%、60%、65%、70%、75%、80%、若しくは85%、又はそれ以上を上回る第1及び/又は第2の鎖が、2'-OMe修飾を含む、本明細書中に開示されるような核酸である。
【0101】
一態様は、好ましくは第1及び第2の鎖の両方の総ヌクレオチドのパーセンテージとして測定される、第1及び/又は第2の鎖の50%を上回るヌクレオチドが、天然に存在するRNA修飾を含み、例えば、55%、60%、65%、70%、75%、80%、若しくは85%、又はそれ以上を上回る第1及び/又は第2の鎖が、かかる修飾を含む、本明細書中に開示されるような核酸である。適切な天然に存在する修飾として、2'-OMeだけでなく、他の2'糖修飾、特に、DNAヌクレオチドを生じる2'-H修飾が挙げられる。
【0102】
一態様は、好ましくは第1及び第2の鎖の両方の総ヌクレオチドのパーセンテージとして、第1及び/又は第2の鎖上の2'-OM修飾ではない2'修飾を有する、20%以下、例えば15%以下、例えば10%以下のヌクレオチドを含む、本明細書中に開示されるような核酸である。
【0103】
一態様は、2'-OMe修飾ではない2'修飾を有する、第1及び/又は第2の鎖におけるヌクレオチドの数が、7個以下、より好ましくは5個以下、最も好ましくは3個以下である、本明細書中に開示されるような核酸である。
【0104】
一態様は、好ましくは第1及び第2の鎖の両方の総ヌクレオチドのパーセンテージとして、第1及び/又は第2の鎖上の2'-F修飾の20%以下(例えば15%以下又は10%以下)を含む、本明細書中に開示されるような核酸である。
【0105】
一態様は、2'-F修飾を有する、第1及び/又は第2の鎖におけるヌクレオチドの数が、7個以下、より好ましくは5個以下、最も好ましくは3個以下である、本明細書中に開示されるような核酸である。
【0106】
一態様は、第1の鎖の5'末端から2位及び14位、並びに第1の鎖の11位、又は13位、又は11位及び13位、又は11位~13位に相当する第2の鎖上のヌクレオチドを除いて、ヌクレオチド全てが、2'-OMe修飾で修飾される、本明細書中に開示されるような核酸である。好ましくは、2'-OMeで修飾されないヌクレオチドは、2'位にてフルオロで修飾される(2'-F修飾)。
【0107】
核酸のヌクレオチド全てが、糖の2'位で修飾される、本明細書中に開示されるような核酸が好ましい。好ましくは、これらのヌクレオチドは、2'-F修飾で修飾され、ここで、修飾は、2'-OMe修飾ではない。
【0108】
一態様では、核酸は、交互の2'-OMe修飾及び2-F修飾で、第1の鎖上で修飾され、2位及び14位(5'末端から始まって)は、2'-Fで修飾される。好ましくは、第2の鎖は、第1の鎖の11位、又は13位、又は11位及び13位、又は11位~13位に相当する第2の鎖上のヌクレオチドにて2'-F修飾で修飾される。好ましくは、第2の鎖は、相補(二重鎖)領域の第1の位置に始まって3'末端から計数して11位~13位にて2'-F修飾で修飾され、残存する修飾は、天然に存在する修飾、好ましくは2'-OMeである。
【0109】
核酸の一態様では、第1の鎖及び第2の鎖のヌクレオチドはそれぞれ、修飾ヌクレオチドである。
【0110】
「奇数に付番された」という用語は、本明細書中で記載される場合、2で割れない数を意味する。奇数の例は、1、3、5、7、9、11等である。本発明の核酸の第1の鎖の偶数に付番されたヌクレオチドの1個又は複数は、修飾されてもよく、ここで、第1の鎖は、5'から3'に向かって付番される。「偶数に付番された」という用語は、本明細書中で記載される場合、2で均等に割れる数を意味する。偶数の例は、2、4、6、8、10、12、14等である。
【0111】
本明細書中では、第1の鎖のヌクレオチドは、第1の鎖の5'末端にあるヌクレオチド番号1に始まって連続して付番される。第2の鎖のヌクレオチドは、第2の鎖の3'末端にあるヌクレオチド番号1に始まって連続して付番される。
【0112】
第1及び/又は第2の鎖上の1個又は複数のヌクレオチドは、修飾されて、修飾ヌクレオチドを形成し得る。第1の鎖の奇数に付番されたヌクレオチドの1個又は複数は、修飾されてもよい。第1の鎖の偶数に付番されたヌクレオチドの1個又は複数は、少なくとも第2の修飾によって修飾されてもよく、ここで、少なくとも第2の修飾は、1個又は複数の奇数のヌクレオチドに対する修飾と異なる。1個又は複数の修飾された偶数に付番されたヌクレオチドの少なくとも1個が、1個又は複数の修飾された奇数に付番されたヌクレオチドの少なくとも1個に隣接し得る。
【0113】
第1の鎖における複数の奇数に付番されたヌクレオチドは、本発明の核酸において修飾されてもよい。第1の鎖における複数の偶数に付番されたヌクレオチドは、第2の修飾で修飾されてもよい。第1の鎖は、共通の修飾によって修飾される隣接ヌクレオチドを含み得る。第1の鎖はまた、第2の異なる修飾によって修飾される隣接ヌクレオチドを含み得る(即ち、第1の鎖は、互いに隣接しており、且つ第1の修飾によって修飾されるヌクレオチド並びに互いに隣接しており、且つ第1の修飾と異なる第2の修飾によって修飾される他のヌクレオチドを含み得る)。
【0114】
第2の鎖の奇数に付番されたヌクレオチド(ここで、ヌクレオチドは、第2の鎖の3'末端にあるヌクレオチド番号1に始まって連続して付番される)の1個若しくは複数は、第1の鎖の奇数に付番されたヌクレオチド(ここで、ヌクレオチドは、第1の鎖の5'末端にあるヌクレオチド番号1に始まって連続して付番される)の修飾と異なる修飾によって修飾されてもよく、及び/又は第2の鎖の偶数に付番されヌクレオチドの1個若しくは複数は、第1の鎖の奇数に付番されたヌクレオチドの同じ修飾によって修飾されてもよい。第2の鎖の1個又は複数の修飾された偶数に付番されたヌクレオチドの少なくとも1個は、1個又は複数の修飾された奇数に付番されたヌクレオチドに隣接し得る。第2の鎖の複数の奇数に付番されたヌクレオチドは、共通の修飾によって修飾されてもよく、及び/又は複数の偶数に付番されたヌクレオチドは、第1の鎖の奇数に付番されたヌクレオチド上に存在する同じ修飾によって修飾されてもよい。第2の鎖上の複数の奇数に付番されたヌクレオチドは、第1の鎖の奇数に付番されたヌクレオチドの修飾と異なる修飾によって修飾されてもよい。
【0115】
第2の鎖は、共通の修飾によって修飾される隣接ヌクレオチドを含んでもよく、これは、第1の鎖の奇数に付番されたヌクレオチドの修飾と異なる修飾であってもよい。
【0116】
本発明の核酸では、第1の鎖における奇数に付番されたヌクレオチドはそれぞれ、また第2の鎖における偶数に付番されたヌクレオチドはそれぞれ、共通の修飾によって修飾されてもよく、偶数に付番されたヌクレオチドはそれぞれ、第1の鎖において異なる修飾で修飾されてもよく、奇数に付番されたヌクレオチドはそれぞれ、第2の鎖において異なる修飾で修飾されてもよい。
【0117】
本発明の核酸は、第2の鎖の未修飾ヌクレオチド又は異なって修飾されたヌクレオチドに対して、少なくとも1個のヌクレオチドによってシフトされた第1の鎖の修飾ヌクレオチドを有し得る。
【0118】
奇数に付番されたヌクレオチドの1個又は複数、又はそれぞれは、第1の鎖において修飾されてもよく、偶数に付番されたヌクレオチドの1個又は複数、又はそれぞれは、第2の鎖において修飾されてもよい。一方又は両方の鎖上の交互のヌクレオチドの1個又は複数、又はそれぞれは、第2の修飾によって修飾されてもよい。偶数に付番されたヌクレオチドの1個又は複数、又はそれぞれは、第1の鎖において修飾されてもよく、偶数に付番されたヌクレオチドの1個又は複数、又はそれぞれは、第2の鎖において修飾されてもよい。一方又は両方の鎖上の交互のヌクレオチドの1個又は複数、又はそれぞれは、第2の修飾によって修飾されてもよい。奇数に付番されたヌクレオチドの1個又は複数、又はそれぞれは、第1の鎖において修飾されてもよく、奇数に付番されたヌクレオチドの1個又は複数、又はそれぞれは、第2の鎖において共通の修飾によって修飾されてもよい。一方又は両方の鎖上の交互のヌクレオチドの1個又は複数、又はそれぞれは、第2の修飾によって修飾されてもよい。偶数に付番されたヌクレオチドの1個又は複数、又はそれぞれは、第1の鎖において修飾されてもよく、奇数に付番されたヌクレオチドの1個又は複数、又はそれぞれは、第2の鎖において共通の修飾によって修飾されてもよい。一方又は両方の鎖上の交互のヌクレオチドの1個又は複数、又はそれぞれは、第2の修飾によって修飾されてもよい。
【0119】
本発明の核酸は、鎖の一方又は両方において、交互修飾の少なくとも2個の領域を含む単鎖又は二重鎖構築物を含み得る。これらの交互領域は、最大約12個のヌクレオチドを含み得るが、好ましくは約3個~約10個のヌクレオチドを含む。交互のヌクレオチドの領域は、本発明の核酸の一方又は両方の鎖の末端に位置付けられ得る。核酸は、各末端(3'及び5')で交互のヌクレオチドの4個~約10個のヌクレオチドを含んでもよく、これらの領域は、約5個~約12個の近接している未修飾ヌクレオチド又は異なって若しくは共通して修飾されたヌクレオチドで分離され得る。
【0120】
第1の鎖の奇数に付番されたヌクレオチドは、修飾されてもよく、偶数に付番されたヌクレオチドは、第2の修飾で修飾されてもよい。第2の鎖は、共通の修飾で修飾される隣接ヌクレオチドを含んでもよく、それは、第1の鎖の奇数に付番されたヌクレオチドの修飾と同じであり得る。第2の鎖の1個又は複数のヌクレオチドもまた、第2の修飾で修飾されてもよい。第2の修飾を有する1個又は複数のヌクレオチドは、互いに、また第1の鎖の奇数に付番されたヌクレオチドの修飾と同じである修飾を有するヌクレオチドに隣接し得る。第1の鎖はまた、3'末端及び5'末端にある2個のヌクレオチド間にホスホロチオエート結合を含み得る。第2の鎖は、5'末端にある2個のヌクレオチド間にホスホロチオエート結合を含み得る。第2の鎖はまた、5'末端にてリガンドにコンジュゲートされてもよい。
【0121】
本発明の核酸は、共通の修飾で修飾される隣接ヌクレオチドを含む第1の鎖を含み得る。1個又は複数のかかるヌクレオチドは、第2の修飾で修飾され得る1個又は複数のヌクレオチドに隣接し得る。第2の修飾を有する1個又は複数のヌクレオチドは、隣接し得る。第2の鎖は、共通の修飾で修飾される隣接ヌクレオチドを含んでもよく、これらは、第1の鎖の1個又は複数のヌクレオチドの修飾の1つと同じであってもよい。第2の鎖の1個又は複数のヌクレオチドはまた、第2の修飾で修飾され得る。第2の修飾を有する1個又は複数のヌクレオチドは、隣接し得る。第1の鎖はまた、第1の鎖はまた、5'末端及び3'末端にある2個のヌクレオチド間にホスホロチオエート結合を含み得る。第2の鎖は、3'末端にある2個のヌクレオチド間にホスオロチオエート結合を含み得る。第2の鎖はまた、5'末端にてリガンドにコンジュゲートされてもよい。
【0122】
第1の鎖上の5'から3'及び第2の鎖上の3'から5'へ1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23及び25と付番されたヌクレオチドは、第1の鎖上の修飾によって修飾され得る。2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24と付番されたヌクレオチドは、第1の鎖上の第2の修飾によって修飾され得る。1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23と付番されたヌクレオチドは、第2の鎖上の修飾によって修飾され得る。2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24と付番されたヌクレオチドは、第2の鎖上の第2の修飾によって修飾され得る。ヌクレオチドは、本発明の核酸のために、第1の鎖上の5'から3'及び第2の鎖上の3'から5'まで付番される。
【0123】
2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24と付番されたヌクレオチドは、第1の鎖上の修飾によって修飾され得る。1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23と付番されたヌクレオチドは、第1の鎖上の第2の修飾によって修飾され得る。1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23と付番されたヌクレオチドは、第2の鎖上の修飾によって修飾され得る。2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24と付番されたヌクレオチドは、第2の鎖上の第2の修飾によって修飾され得る。
【0124】
明らかに、第1及び/又は第2の鎖が、25ヌクレオチド長よりも短い、例えば、19ヌクレオチド長である場合、修飾されるべき20、21、22、23、24及び25と付番されたヌクレオチドは存在しない。したがって、上記の説明をより短い鎖に当てはめることは、当業者に理解されよう。
【0125】
第1の鎖上の1個又は複数の修飾ヌクレオチドは、共通の修飾を有する第2の鎖上の修飾ヌクレオチドと対形成され得る。第1の鎖上の1個又は複数の修飾ヌクレオチドは、異なる修飾を有する第2の鎖上の修飾ヌクレオチドと対形成され得る。第1の鎖上の1個又は複数の修飾ヌクレオチドは、第2の鎖上の未修飾ヌクレオチドと対形成され得る。第2の鎖上の1個又は複数の修飾ヌクレオチドは、第1の鎖上の未修飾ヌクレオチドと対形成され得る。換言すると、例えば、第2の鎖の交互の領域における修飾は全て、第1の鎖における同一修飾と対形成されるか、或いは、修飾は、他方の鎖における相違した修飾(即ち、第2の修飾又は更なる修飾)と対形成している1つの鎖の交互の領域において、共通の修飾を有する1個のヌクレオチドによって相殺され得るように、交互のヌクレオチドは、2つの鎖上に整列することができる。別の選択肢は、鎖それぞれにおいて、相違した修飾を有することである。
【0126】
第1の鎖上の修飾は、共通の修飾ヌクレオチドが互いに対形成されないように、第2の鎖上の修飾ヌクレオチドに対して、ヌクレオチド1個分シフトされてもよい。
【0127】
修飾(単数及び/若しくは複数)はそれぞれ個々に、3'末端デオキシチミン、2'-OMe、2'デオキシ修飾、2'アミノ修飾、2'アルキル修飾、モルホリノ修飾、ホスホルアミデート修飾、5'-ホスホロチオエート基修飾、5'ホスフェート若しくは5'ホスフェート疑似体修飾及びコレステリル誘導体若しくはドデカン酸ビスデシルアミド基修飾からなる群から選択されてもよく、並びに/又は修飾ヌクレオチドは、ロックド核酸、脱塩基ヌクレオチド若しくは非天然塩基を含むヌクレオチドのいずれか1つであってもよい。
【0128】
少なくとも1つの修飾は、2'-OMeであってもよく、及び/又は少なくとも1つの修飾は、2'-Fであってもよい。本明細書中に記載されるような更なる修飾が、第1及び/又は第2の鎖上に存在してもよい。
【0129】
本発明の核酸は、鎖の末端の1個又は幾つかに逆方向RNAヌクレオチドを含んでもよい。かかる逆方向ヌクレオチドは、核酸に安定性を提供する。好ましくは、核酸は、第1及び/若しくは第2の鎖の3'末端に、並びに/又は第2の鎖の5'末端に少なくとも逆方向ヌクレオチドを含む。より好ましくは、核酸は、第2の鎖の3'末端に逆方向ヌクレオチドを含む。最も好ましくは、核酸は、第2の鎖の3'末端に逆方向RNAヌクレオチドを含み、このヌクレオチドは好ましくは、逆方向Aである。逆方向ヌクレオチドは、通常はそうであろうその5'炭素によるのではなく、その3'炭素により核酸の3'末端に連結されるか、又は通常はそうであろうその3'炭素によるのではなく、その5'炭素により核酸の5'末端に連結されるヌクレオチドである。逆方向ヌクレオチドは好ましくは、オーバーハングとしてではなく、他方の鎖における相当するヌクレオチドの向かい側に、鎖の末端で存在する。したがって、核酸は、好ましくは、逆方向RNAヌクレオチドを含む末端で平滑末端である。逆方向RNAヌクレオチドが鎖の末端に存在することは、好ましくは、鎖のこの末端にある最後のヌクレオチドが、逆方向RNAヌクレオチドであることを意味する。かかるヌクレオチドを有する核酸は、安定であり、合成しやすい。逆方向RNAヌクレオチドは、それが天然ヌクレオチド対応物と比較して、いかなる修飾も含まないという意味で、未修飾ヌクレオチドであることが好ましい。具体的には、逆方向RNAヌクレオチドは、好ましくは2'-OHヌクレオチドである。
【0130】
本発明の核酸は、2'位にて2'-Hで修飾された、したがって、核酸内にDNAヌクレオチドを有する1個又は複数のヌクレオチドを含んでもよい。本発明の核酸は、第1の鎖の5'末端から計数して第1の鎖の2位及び/又は14位にDNAヌクレオチドを含んでもよい。核酸は、第1の鎖の11位、又は13位、又は11位及び13位、又は11位~13位に相当する第2の鎖上にDNAヌクレオチドを含んでもよい。
【0131】
一態様では、本発明の核酸1個当たり1個以下のDNAヌクレオチドが存在する。
【0132】
本発明の核酸は、1個又は複数のLNAヌクレオチドを含んでもよい。本発明の核酸は、第1の鎖の5'末端から計数して第1の鎖の2位及び/又は14位にLNAヌクレオチドを含んでもよい。核酸は、第1の鎖の11位、又は13位、又は11位及び13位、又は11位~13位に相当する第2の鎖上にLNAを含んでもよい。
【0133】
本発明の幾つかの代表的な修飾核酸配列は、実施例に示される。これらの実施例は、代表的であり、非限定的であると意図される。
【0134】
好ましくは、核酸は、それぞれ個々に、2'-OMe修飾及び2'-F修飾を含む群から選択される修飾及び第2の修飾又は更なる修飾を含んでもよい。核酸は、第1の修飾であり得る2'-OMeである修飾、及び2'-Fである第2の修飾を含んでもよい。本発明の核酸はまた、それぞれの鎖若しくは両方の鎖のそれぞれの末端若しくはいずれかの末端の末端にある2個若しくは3個のヌクレオチドにおいて、又はそれらのヌクレオチド間に存在し得るホスホロチオエート修飾及び/又はデオキシ修飾を含んでもよい。
【0135】
核酸の一態様では、第1及び/又は第2の鎖の少なくとも1個のヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドであり、ここで、第1の鎖が、少なくとも1個の修飾ヌクレオチドを含む場合、
(i)第1の鎖のヌクレオチド2及びヌクレオチド14の少なくとも一方若しくは両方が、第1の修飾によって修飾され、及び/又は
(ii)第1の鎖の偶数に付番されたヌクレオチドの少なくとも1個、幾つか、若しくは全てが、第1の修飾によって修飾され、及び/又は
(iii)第1の鎖の奇数に付番されたヌクレオチドの少なくとも1個、幾つか、若しくは全てが、第2の修飾によって修飾され、並びに/或いは
ここで、第2の鎖が、少なくとも1個の修飾ヌクレオチドを含む場合、
(iv)第1の鎖の偶数に付番されたヌクレオチドに相当する位置における第2の鎖のヌクレオチドの少なくとも1個、幾つか、若しくは全てが、第3の修飾によって修飾され、及び/又は
(v)第1の鎖の奇数に付番されたヌクレオチドに相当する位置における第2の鎖のヌクレオチドの少なくとも1個、幾つか、若しくは全てが、第4の修飾によって修飾され、及び/又は
(vi)第1の鎖のヌクレオチド11若しくはヌクレオチド13若しくはヌクレオチド11及び13若しくはヌクレオチド11~13に相当する位置における第2の鎖のヌクレオチドの少なくとも1個、幾つか、若しくは全てが、第4の修飾によって修飾され、及び/又は
(vii)第1の鎖のヌクレオチド11若しくはヌクレオチド13若しくはヌクレオチド11及び13若しくはヌクレオチド11~13に相当する位置以外の位置における第2の鎖のヌクレオチドの少なくとも1個、幾つか、若しくは全てが、第3の修飾によって修飾され、
ここで、第1の鎖上のヌクレオチドは、第1の鎖の5'末端にあるヌクレオチド番号1に始まって連続して付番され、
修飾は、好ましくは下記の少なくとも1つである:
(a)第1の修飾は、好ましくは、第2の修飾及び第3の修飾と異なり、
(b)第1の修飾は、好ましくは、第4の修飾と同じであり、
(c)第2及び第3の修飾は、好ましくは、同じ修飾であり、
(d)第1の修飾は、好ましくは、2'-F修飾であり、
(e)第2の修飾は、好ましくは、2'-OMe修飾であり、
(f)第3の修飾は、好ましくは、2'-OMe修飾であり、及び/又は
(g)第4の修飾は、好ましくは、2'-F修飾であり、
ここで、任意選択で、核酸は、リガンドにコンジュゲートされる。
【0136】
一態様は、好ましくは細胞において、C3の発現を阻害するための二重鎖核酸であり、ここで、核酸は、第1の鎖及び第2の鎖を含み、該第1の鎖の配列は、配列番号361、95、111、125、131、1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、97、99、101、103、105、107、109、113、115、117、119、121、123、127、129又は133、好ましくは配列番号361、95、111、125又は131の配列のいずれか1つと、3個以下のヌクレオチドが異なる少なくとも15個のヌクレオチドの配列を含み、ここで、第1の鎖の偶数に付番されたヌクレオチド全てが、第1の修飾によって修飾され、第1の鎖の奇数に付番されたヌクレオチド全てが、第2の修飾によって修飾され、第1の鎖の偶数に付番されたヌクレオチドに相当する位置における第2の鎖のヌクレオチド全てが、第3の修飾によって修飾され、第1の鎖の奇数に付番されたヌクレオチドに相当する位置における第2の鎖のヌクレオチド全てが、第4の修飾によって修飾され、ここで、第1及び第4の修飾は、2'-Fであり、第2及び第3の修飾は、2'-OMeである。
【0137】
一態様は、好ましくは細胞において、C3の発現を阻害するための二重鎖核酸であり、ここで、核酸は、第1の鎖及び第2の鎖を含み、該第1の鎖の配列は、配列番号361、95、111、125、131、1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、97、99、101、103、105、107、109、113、115、117、119、121、123、127、129又は133、好ましくは配列番号361、95、111、125又は131の配列のいずれか1つと、3個以下のヌクレオチドが異なる少なくとも15個のヌクレオチドの配列を含み、ここで、第1の鎖の偶数に付番されたヌクレオチド全てが、第1の修飾によって修飾され、第1の鎖の奇数に付番されたヌクレオチド全てが、第2の修飾によって修飾され、第1の鎖のヌクレオチド11~13に相当する位置における第2の鎖のヌクレオチド全てが、第4の修飾によって修飾され、第1の鎖のヌクレオチド11~13に相当するヌクレオチド以外の第2の鎖のヌクレオチド全てが、第3の修飾によって修飾され、ここで、第1及び第4の修飾は、2'-Fであり、第2及び第3の修飾は、2'-OMeである。
【0138】
オリゴヌクレオチドの3'及び5'末端は、修飾され得る。かかる修飾は、分子の3'末端若しくは5'末端又は両方の末端に存在し得る。かかる修飾は、末端ホスフェート全体、又はホスフェート基の原子の1つ若しくは複数の修飾又は置き換えを含み得る。例えば、オリゴヌクレオチドの3'及び5'末端は、標識部分、例えばフルオロフォア(例えば、ピレン、TAMRA、フルオレセイン、Cy3又はCy5色素)又は保護基(例えば、硫黄、ケイ素、ホウ素又はエステルに基づく)等の他の機能性分子実体にコンジュゲートされ得る。機能性分子実体は、ホスフェート基及び/又はリンカーにより糖に結合され得る。リンカーの末端原子は、ホスフェート基の連結原子又は糖のC-3'若しくはC-5'のO、N、S若しくはC基に結合され得るか、又はそれを置き換え得る。或いは、リンカーは、ヌクレオチド代替物(例えば、PNA)の末端原子に結合され得るか、又はそれを置き換え得る。これらのスペーサー又はリンカーとして、例えば、-(CH2)n-、-(CH2)nN-、-(CH2)nO-、-(CH2)nS-、-(CH2CH2O)nCH2CH2O-(例えば、n=3又は6)、脱塩基糖、アミド、カルボキシ、アミン、オキシアミン、オキシイミン、チオエーテル、ジスルフィド、チオ尿素、スルホンアミド又はモルホリノ、又はビオチン及びフルオレセイン試薬が挙げられ得る。3'末端は、-OH基であり得る。
【0139】
末端修飾の他の例として、色素、挿入剤(例えば、アクリジン)、架橋剤(例えば、ソラレン、マイトマイシンC)、ポリフィリン(TPPC4、テキサフィリン、サフィリン)、多環式芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ、EDTA、親油性担体(例えば、コレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1-ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3-プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3-(オレイル)リトコール酸、O3-(オレイル)コレン酸、ジメトキシトリチル、又はフェノキサジン)及びペプチドコンジュゲート(例えば、アンテナペディアペプチド、Tatペプチド)、アルキル化剤、ホスフェート、アミノ、メルカプト、PEG(例えば、PEG-40K)、MPEG、[MPEG]2、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射標識マーカー、酵素、ハプテン(例えば、ビオチン)、輸送/吸収促進物質(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスター、アクリジン-イミダゾールコンジュゲート、テトラアザ大環状化合物のEu3+複合体)が挙げられる。
【0140】
末端修飾はまた、分布をモニタリングするのに有用である可能性があり、かかる場合では、付加されるべき基は、フルオロフォア、例えば、フルオレセイン又はAlexa色素を含み得る。末端修飾はまた、取込みを増強するのに有用である可能性があり、これに有用な修飾として、コレステロールが挙げられる。末端修飾はまた、RNA剤を別の部分に架橋するのに有用であり得る。
【0141】
末端修飾は、活性を調節するため、又は分解に対する耐性を調節するためを含む多数の理由で付加され得る。活性を調節するのに有用な末端修飾として、5'末端の、ホスフェート又はホスフェート類似体による修飾が挙げられる。本発明の核酸は、第1又は第2の鎖上で、5'リン酸化され得るか、又は5'の一番目の末端にホスホリル類似体を含み得る。5'-ホスフェート修飾として、RISC媒介遺伝子サイレンシングと適合性であるものを含む。適切な修飾として、5'-モノホスフェート((HO)2(O)P-O-5');5'-ジホスフェート((HO)2(O)P-O-P(HO)(O)-O-5');5'-トリホスフェート((HO)2(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5′);5'-グアノシンキャップ(7-メチル化又はメチル化されていない)(7m-G-O-5'-(HO)(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5');5'-アデノシンキャップ(Appp)、及び任意の修飾又は未修飾ヌクレオチドキャップ構造(N-O-5'-(HO)(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5');5'-モノチオホスフェート(ホスホロチオエート;(HO)2(S)P-O-5');5'-モノジチオホスフェート(ホスホロジチオエート;(HO)(HS)(S)P-O-5')、5'-ホスホロチオレート((HO)2(O)P-S-5');酸素/硫黄で置き換えたモノホスフェート、ジホスフェート及びトリホスフェート(例えば、5'-アルファ-チオトリホスフェート、5'-ガンマ-チオトリホスフェート等)、5'-ホスホルアミデート((HO)2(O)P-NH-5'、(HO)(NH2)(O)P-O-5')、5'-アルキルホスホネート(アルキル=メチル、エチル、イソプロピル、プロピル等、例えば、RP(OH)(O)-O-5'-(式中、Rはアルキルである)、(OH)2(O)P-5'-CH2-)、5'ビニルホスホネート、5'-アルキルエーテルホスホネート(アルキルエーテル=メトキシメチル(MeOCH2-)、エトキシメチル等、例えばRP(OH)(O)-O-5'-(式中、Rは、アルキルエーテルである)の任意の更なる組合せ)が挙げられる。
【0142】
或る特定の部分は、第1の鎖又は第2の鎖の5'末端に連結され得る。これらとして、脱塩基リボース部分、脱塩基デオキシリボース部分、2'-Oアルキル修飾を含む修飾脱塩基リボース及び脱塩基デオキシリボース部分;逆方向脱塩基リボース及び脱塩基デオキシリボース部分並びにそれらの修飾、C6-イミノ-Pi;L-DNA及びL-RNAを含むミラーヌクレオチド;5'OMeヌクレオチド;及び4',5'-メチレンヌクレオチドを含むヌクレオチド類似体;1-(β-D-エリスロフラノシル)ヌクレオチド;4'-チオヌクレオチド、炭素環状ヌクレオチド;5'-アミノ-アルキルホスフェート;1,3-ジアミノ-2-プロピルホスフェート、3-アミノプロピルホスフェート;6-アミノヘキシルホスフェート;12-アミノドデシルホスフェート;ヒドロキシプロピルホスフェート;1,5-アンヒドロヘキシトールヌクレオチド;アルファ-ヌクレオチド;スレオ-ペントフラノシルヌクレオチド;非環状3',4'-セコヌクレオチド;3,4-ジヒドロキシブチルヌクレオチド;3,5-ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、5'-5'-逆方向脱塩基部分;1,4-ブタンジオールホスフェート;5-アミノ;並びに架橋性又は非架橋性メチルホスホネート及び5'-メルカプト部分が挙げられる。
【0143】
本発明はまた、本明細書中に記載される本発明の任意の態様に従う核酸を提供し、ここで、第1の鎖は、その5'末端に末端5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドを有する。この末端5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドは好ましくは、第1の鎖における第2のヌクレオチドに、ホスホジエステル結合によって連結される。
【0144】
核酸の第1の鎖は、式(I)を含み得る:
(vp)-N(po)[N(po)]n-(I)
(式中、「(Vp)-」は、5'(E)-ビニルホスホネートであり、「N」は、ヌクレオチドであり、「po」は、ホスホジエステル結合であり、nは、1~(第1の鎖におけるヌクレオチドの総数-2)であり、好ましくは、nは、1~(第1の鎖におけるヌクレオチドの総数-3)であり、より好ましくは、nは、1~(第1の鎖におけるヌクレオチドの総数-4)である)。
【0145】
好ましくは、末端5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドは、RNAヌクレオチド、好ましくは、(vp)-Uである。
【0146】
末端5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドは、5'末端にある天然ホスフェート基が、E-ビニルホスホネートで置き換えられたヌクレオチドであり、そこでは、5'リン酸化鎖の末端ヌクレオチドの架橋性5'-酸素原子が、メチニル(-CH=)基で置き換えられる:
【0147】
【0148】
5'(E)-ビニルホスホネートは、5'ホスフェート疑似体である。生物学的疑似体は、模倣されている元の分子と同じ機能を実行することが可能であり、また模倣されている元の分子に構造上非常に類似している分子である。本発明の状況では、5'(E)-ビニルホスホネート疑似体は、正常な5'ホスフェートの機能を模倣して、例えば、効率的なRISC負荷を可能にする。更に、わずかに変更された構造のため、5'(E)-ビニルホスホネートは、それを、ホスファターゼ等の酵素による脱リン酸化から保護することによって、5'末端ヌクレオチドを安定化することが可能である。
【0149】
一態様では、第1の鎖は、その5'末端に末端5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドを有し、末端5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドは、第1の鎖における第2のヌクレオチドに、ホスホジエステル結合によって連結され、第1の鎖は、a)1つを上回るホスホジエステル結合、b)少なくとも末端の3個の5'ヌクレオチド間のホスホジエステル結合及び/又はc)少なくとも末端の4個の5'ヌクレオチド間のホスホジエステル結合を含む。
【0150】
一態様では、核酸の第1の鎖及び/又は第2の鎖は、2個のヌクレオチド間に少なくとも1つのホスホロチオエート(ps)結合を含む。
【0151】
一態様では、核酸の第1の鎖及び/又は第2の鎖は、1つを上回るホスホロチオエート結合を含む。
【0152】
一態様では、核酸の第1の鎖及び/又は第2の鎖は、末端の2個の3'ヌクレオチド間にホスホロチオエート結合又は末端の3個の3'ヌクレオチド間にホスホロチオエート結合を含む。好ましくは、第1の鎖及び/又は第2の鎖における他のヌクレオチド間の結合は、ホスホジエステル結合である。
【0153】
一態様では、核酸の第1の鎖及び/又は第2の鎖は、末端の2個の5'ヌクレオチド間にホスホロチオエート結合又は末端の3個の5'ヌクレオチド間にホスホロチオエート結合を含む。
【0154】
一態様では、本発明の核酸は、第1の鎖及び第2の鎖の末端の1つ又は複数上に、1つ又は複数のホスホロチオエート修飾を含む。任意選択で、第1の鎖のそれぞれ又は一方の末端は、1個又は2個又は3個のホスホロチオエート修飾ヌクレオチドを含み得る。任意選択で、第2の鎖のそれぞれ又は一方の末端は、1個又は2個又は3個のホスホロチオエート修飾ヌクレオチドを含み得る。
【0155】
一態様では、核酸は、第1の鎖及び/又は第2の鎖の末端の2個又は3個の3'ヌクレオチド及び/又は5'ヌクレオチド間にホスホロチオエート結合を含む。好ましくは、核酸は、第1の鎖及び/又は第2の鎖の末端の3個の3'ヌクレオチド及び末端の3個の5'ヌクレオチドのそれぞれの間にホスホロチオエート結合を含む。好ましくは、第1の鎖及び/第2の鎖のヌクレオチド間の残存する結合は全て、ホスホジエステル結合である。
【0156】
一態様では、核酸は、第1の鎖の3'末端にある2個、3個若しくは4個の末端ヌクレオチドのそれぞれの間にホスホロジチオエート結合を含み、並びに/或いは第2の鎖の3'末端にある2個、3個若しくは4個の末端ヌクレオチドのそれぞれの間にホスホロジチオエート結合を、及び/又は第2の鎖の5'末端にある2個、3個若しくは4個の末端ヌクレオチドのそれぞれの間にホスホロジチオエート結合を含み、第1の鎖の5'末端にある2個、3個又は4個の末端ヌクレオチド間にホスホロジチオエート結合以外の結合を含む。
【0157】
一態様では、核酸は、第1の鎖及び第2の鎖の末端の3個の3'ヌクレオチドと末端の3個の5'ヌクレオチドとの間にホスホロチオエート結合を含む。好ましくは、第1の鎖及び/又は第2の鎖のヌクレオチド間の残存する結合は全て、ホスホジエステル結合である。
【0158】
一態様では、核酸は:
(i)第1の鎖の末端の3個の3'ヌクレオチドと末端の3個の5'ヌクレオチドとの間にホスホロチオエート結合を有し、
(ii)第2の鎖の3'末端ヌクレオチド上又は5'末端ヌクレオチド上のいずれかで三分岐リガンドにコンジュゲートされ、
(iii)三分岐リガンドにコンジュゲートされた末端に対して反対の末端で、第2の鎖の末端の3個のヌクレオチド間にホスホロチオエート結合を有し、
(iv)第1及び/又は第2の鎖のヌクレオチド間の残存する結合は全て、ホスホジエステル結合である。
【0159】
一態様では、核酸は:
(i)第1の鎖の5'末端に末端5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドを有し、
(ii)第1及び第2の鎖の上の末端の3個の3'ヌクレオチド間、及び第2の鎖の上の末端の3個の5'ヌクレオチド間にホスホロチオエート結合を有し、
(iii)第1及び/又は第2の鎖のヌクレオチド間の残存する結合は全て、ホスホジエステル結合である。
【0160】
本発明の核酸におけるホスホロジチオエートの使用は、その同じ位置にホスホロチオエートを含む分子と比較して、核酸分子の集団の立体化学の変動を低減させる。ホスホロチオエート結合は、キラル中心を導入し、どの非連結酸素が、硫黄と置換されるかを制御することが困難である。ホスホロジチオエートの使用により、キラル中心がその結合に存在しないことが保証され、したがって、核酸分子において使用されるホスホロジチオエート及びホスホロチオエート結合の数に応じて、核酸分子の集団における任意の変動を低減又は排除する。
【0161】
一態様では、核酸は、第1の鎖の3'末端にある2個の末端ヌクレオチド間にホスホロジチオエート結合を、また第2の鎖の3'末端にある2個の末端ヌクレオチド間にホスホロジチオエート結合を、また第2の鎖の5'末端にある2個の末端ヌクレオチド間にホスホロジチオエート結合を含み、第1の鎖の5'末端にある2個、3個又は4個の末端ヌクレオチド間にホスホロジチオエート結合以外の結合を含む。好ましくは、第1の鎖は、その5'末端に末端5'(E)-ビニルホスホネートを有する。この末端5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドは、好ましくは、第1の鎖における第2のヌクレオチドに、ホスホジエステル結合によって連結される。好ましくは、第1の鎖の3'末端にある2個の末端ヌクレオチド間の結合並びに第2の鎖の3'末端及び5'末端にある2個の末端ヌクレオチド間の結合以外の両方の鎖のヌクレオチド間の結合は全て、ホスホジエステル結合である。
【0162】
一態様では、核酸は、第1の鎖上の3個の末端3'ヌクレオチドのそれぞれの間及び/若しくは3個の末端5'ヌクレオチドのそれぞれの間、並びに/又は第2の鎖の3個の末端3'ヌクレオチドのそれぞれの間及び/若しくは3個の末端5'ヌクレオチドのそれぞれの間に、その末端にホスホロジチオエート結合が存在しない場合にはホスホロチオエート結合を含む。末端にホスホロジチオエート結合が存在しないことは、2個の末端ヌクレオチド間、又は好ましくは問題となっている核酸末端の3個の末端ヌクレオチド間の結合が、ホスホロジチオエート結合以外の結合であることを意味する。
【0163】
一態様では、第1の鎖の3'末端にある2個の末端ヌクレオチド間の結合並びに第2の鎖の3'末端及び5'末端にある2個の末端ヌクレオチド間の結合以外の両方の鎖のヌクレオチド間の核酸の結合は全て、ホスホジエステル結合である。
【0164】
他のホスフェート結合修飾が可能である。
【0165】
ホスフェートリンカーはまた、連結酸素の、窒素(架橋ホスホロアミデート)、硫黄(架橋ホスホロチオエート)及び炭素(架橋メチレンホスホネート)による置き換えによって修飾され得る。置き換えは、末端酸素で行われ得る。非連結酸素の、窒素による置き換えが可能である。
【0166】
ホスフェート基はまた、個々に、非リン含有コネクターで置き換えられ得る。
【0167】
ホスフェート基を置き換えることができる部分の例として、シロキサン、カーボネート、カルボキシメチル、カーバメート、アミド、チオエーテル、エチレンオキシドリンカー、スルホネート、スルホンアミド、チエオホルムアセタール、ホルムアセタール、オキシム、メチレンイミノ、メチレンメチルイミノ、メチレンヒドラゾ、メチレンジメチルヒドラゾ及びメチレンオキシメチルイミノが挙げられる。或る特定の実施形態では、置き換えは、メチレンカルボニルアミノ及びメチレンメチルイミノ基を含み得る。
【0168】
ホスフェートリンカー及びリボース糖は、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドで置き換えられ得る。例として、モルホリノ、シクロブチル、ピロリジン及びペプチド核酸(PNA)ヌクレオシド代替物が挙げられる。或る特定の実施形態では、PNA代替物が使用され得る。
【0169】
一態様では、好ましくはRNAiにより補体成分C3の発現を阻害するsiRNAであることが好ましい核酸は、下記の1つ又は複数又は全てを含む:
(i)修飾ヌクレオチド;
(ii)第1の鎖の5'末端から2位及び14位にある2'-OMe修飾ヌクレオチド以外の修飾ヌクレオチド、好ましくは2'-F修飾ヌクレオチド;
(iii)第1の鎖の5'末端にある1から始まって付番される場合に第1の鎖の奇数に付番されたヌクレオチドそれぞれが、2'-OMe修飾ヌクレオチドであり;
(iv)第1の鎖の5'末端にある1から始まって付番される場合に第1の鎖の偶数に付番されたヌクレオチドそれぞれが、2'-F修飾ヌクレオチドであり;
(v)第1の鎖の11位又は13位に相当する第2の鎖のヌクレオチドは、2'-OMe修飾以外の修飾によって修飾され、好ましくは、これらの位置の一方若しくは両方が、2'-F修飾を含み;
(vi)第2の鎖の3'末端にある逆方向ヌクレオチド、好ましくは、3'-3'結合;
(vii)1つ若しくは複数のホスホロチオエート結合;
(viii)1つ若しくは複数のホスホロジチオエート結合;及び/又は
(ix)第1の鎖は、その5'末端に末端5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドを有し、その場合、末端5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドは、好ましくはウリジンであり、第1の鎖における第2のヌクレオチドに、ホスホジエステル結合によって連結されることが好ましい。
【0170】
核酸の特徴は全て、本明細書中に開示される本発明の全ての他の態様と組み合わせることができる。
【0171】
リガンド
本発明の核酸は、リガンドにコンジュゲートされ得る。本発明のオリゴヌクレオチド、特に二重鎖核酸の、in vivoでの細胞への効率的な送達は重要であり、特異的なターゲティング及び細胞外環境から、特に血清タンパク質からの実質的な保護を要する。特異的なターゲティングを達成する方法の1つは、リガンドを核酸にコンジュゲートすることである。リガンドは、核酸を、所要の標的部位へターゲティングするのに役立つ。コンジュゲートされた分子が、種々の受容体媒介エンドサイトーシス経路又は機能的に類似したプロセス等のメカニズムによって、標的細胞により取り込まれるためには、所望の受容体分子に適したリガンドをコンジュゲートする必要がある。
【0172】
一例は、膜ASGR1及びASGR2受容体の様々な比の多量体で構成されるアシアロ糖タンパク質受容体複合体(ASGP-R)であり、これは、肝細胞で非常に豊富であり、また本明細書に記載されるGalNAc部分に対して高い親和性を有する。コンジュゲートされるリガンドとしての、三分岐クラスターグリコシドの使用の最初の開示の1つは、米国特許第5,885,968号であった。3つのGalNAcリガンドを有し、ホスフェート基を含むコンジュゲートが既知であり、Dubberら(Bioconjug. Chem. 2003年 Jan-Feb;14(1):239~46頁)に記載されている。ASGP-R複合体は、D-GalよりもN-アセチル-D-ガラクトサミン(GalNAc)に対して50倍高い親和性を示す。
【0173】
グリコシル化されたタンパク質又は他のオリゴ糖の末端β-ガラクトシルサブユニットを特異的に認識するアシアロ糖タンパク質受容体複合体(ASGP-R)(Weigel, P.H.ら、Biochim. Biophys. Acta. 2002年9月19日;1572(2-3):341~63頁)は、ガラクトース又はガラクトサミンの、薬物物質への共有結合によって、受容体複合体を発現する肝臓の肝細胞に、薬物を送達するのに使用され得る(Ishibashi,S.ら、J Biol. Chem. 1994年11月11日;269(45):27803~6頁)。更に、結合親和性は、ターゲティング分子の反復によって達成される多原子価の影響によって著しく増加され得る(Biessen EAら、J Med Chem. 1995年4月28日;38(9):1538~46頁)。
【0174】
ASGP-R複合体は、末端β-ガラクトシル含有糖タンパク質の、細胞のエンドソームへの活発な取込み用の媒介物質である。したがって、ASGPRは、例えば核酸のようなかかるリガンドにコンジュゲートされた薬物候補の、受容体発現細胞への標的とされる送達に非常に適している(Akincら、Mol Ther. 2010年7月;18(7):1357~64頁)。
【0175】
より一般的には、リガンドは、標的細胞上の少なくとも1つのタイプの受容体に対して親和性を有するように選択される糖類を含み得る。特に、受容体は、哺乳動物肝臓細胞の表面上に存在し、例えば、先述の肝アシアロ糖タンパク質受容体複合体(ASGP-R)である。
【0176】
糖類は、N-アセチルガラクトサミン、マンノース、ガラクトース、グルコース、グルコサミン及びフコースから選択され得る。糖類は、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)であってもよい。
【0177】
したがって、本発明における使用のためのリガンドは、(i)1つ又は複数のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分及びその誘導体、並びに(ii)GalNAc部分を、任意の上述の態様において規定されるような核酸にコンジュゲートするリンカーを含み得る。リンカーは、一価構造又は二価若しくは三価若しくは四価の分岐構造であり得る。ヌクレオチドは、本明細書中で規定されるように修飾され得る。
【0178】
したがって、リガンドは、GalNAcを含み得る。
【0179】
一態様では、核酸は、式(II):
[S-X1-P-X2]3-A-X3- (II)
(式中、
Sは、糖類を表し、好ましくは、糖類は、N-アセチルガラクトサミンであり、
X1は、C3~C6アルキレン又は(-CH2-CH2-O)m(-CH2)2-(式中、mは、1、2又は3である)を表し、
Pは、ホスフェート又は修飾ホスフェート、好ましくはチオホスフェートであり、
X2は、アルキレン又は式(-CH2)n-O-CH2-(式中、n=1~6)のアルキレンエーテルであり、
Aは、分岐単位であり、
X3は、架橋性単位を表し、
ここで、本発明による核酸は、ホスフェート又は修飾ホスフェート、好ましくはチオホスフェートによりX3にコンジュゲートされる)
の化合物を含むリガンドにコンジュゲートされる。
【0180】
式(II)では、分岐単位「A」は、3つの糖類リガンドを収容するために、3つに分岐することが好ましい。分岐単位は、好ましくは、リガンドの残存するテザー部分及び核酸に共有結合される。分岐単位は、アルキル、アミド、ジスルフィド、ポリエチレングリコール、エーテル、チオエーテル及びヒドロキシアミノ基から選択される基を含む分岐状脂肪族基を含み得る。分岐単位は、アルキル及びエーテル基から選択される基を含み得る。
【0181】
分岐単位Aは、
【0182】
【0183】
(式中、A1はそれぞれ独立して、O、S、C=O又はNHを表し、nはそれぞれ独立して、1~20の整数を表す)
から選択される構造を有し得る。
【0184】
分岐単位は、
【0185】
【0186】
(式中、A1はそれぞれ独立して、O、S、C=O又はNHを表し、nはそれぞれ独立して、1~20の整数を表す)
から選択される構造を有し得る。
【0187】
分岐単位は、
【0188】
【0189】
(式中、A1は、O、S、C=O又はNHであり、nはそれぞれ独立して、1~20の整数を表す)
から選択される構造を有し得る。
【0190】
分岐単位は、構造:
【0191】
【0192】
を有し得る。
【0193】
分岐単位は、構造:
【0194】
【0195】
を有し得る。
【0196】
分岐単位は、構造:
【0197】
【0198】
を有し得る。
【0199】
或いは、分岐単位Aは、
【0200】
【0201】
(式中、
R1は、水素又はC1~C10アルキレンであり、
R2は、C1~C10アルキレンである)
から選択される構造を有し得る。
【0202】
任意選択で、分岐単位は、炭素原子のみからなる。
【0203】
「X3」部分は、架橋性単位である。架橋性単位は、線状であり、分岐単位及び核酸に共有結合される。
【0204】
X3は、-C1~C20アルキレン-、-C2~C20アルケニレン-、式-(C1~C20アルキレン)-O-(C1~C20アルキレン)-のアルキレンエーテル、-C(O)-C1~C20アルキレン-、-C0~C4アルキレン(Cy)C0~C4アルキレン-(式中、Cyは、置換若しくは無置換の5員又は6員シクロアルキレン、アリーレン、ヘテロシクリレン又はヘテロアリーレン環を表す)、-C1~C4アルキレン-NHC(O)-C1~C4アルキレン-、-C1~C4アルキレン-C(O)NH-C1~C4アルキレン-、-C1~C4アルキレン-SC(O)-C1~C4アルキレン-、-C1~C4アルキレン-C(O)S-C1~C4アルキレン-、-C1~C4アルキレン-OC(O)-C1~C4アルキレン-、-C1~C4アルキレン-C(O)O-C1~C4アルキレン-、及びC1~C6アルキレン-S-S-C1~C6アルキレン-から選択され得る。
【0205】
X3は、式-(C1~C20アルキレン)-O-(C1~C20アルキレン)-のアルキレンエーテルであってもよい。X3は、式-(C1~C20アルキレン)-O-(C4~C20アルキレン)-のアルキレンエーテルであってもよく、ここで、上記(C4~C20アルキレン)は、Zに連結される。X3は、-CH2-O-C3H6-、-CH2-O-C4H8-、-CH2-O-C6H12-及び-CH2-O-C8H16-、特に-CH2-O-C4H8-、-CH2-O-C6H12-及び-CH2-O-C8H16-からなる群から選択されてもよく、ここで、いずれの場合においても、-CH2-基は、Aに連結される。
【0206】
一態様では、核酸は、式(III):
[S-X1-P-X2]3-A-X3- (III)
(式中、
Sは、糖類、好ましくはGalNAcを表し、
X1は、C3~C6アルキレン又は(-CH2-CH2-O)m(-CH2)2-(式中、mは、1、2又は3である)を表し、
Pは、ホスフェート又は修飾ホスフェート、好ましくはチオホスフェートであり、
X2は、C1~C8アルキレンであり、
Aは、
【0207】
【0208】
から選択される分岐単位であり、
X3は、架橋性単位であり、
ここで、本発明による核酸は、ホスフェート又は修飾ホスフェート、好ましくはチオホスフェートによりX3にコンジュゲートされる)
の化合物を含むリガンドにコンジュゲートされる。
【0209】
分岐単位Aは、構造:
【0210】
【0211】
を有し得る。
【0212】
分岐単位Aは、構造:
【0213】
【0214】
を有してもよく、ここで、X3は、窒素原子に結合される。
【0215】
X3は、C1~C20アルキレンであり得る。好ましくは、X3は、-C3H8-、-C4H8-、-C8H12-及び-C8H16-、特に-C4H8-、-C8H12-及び-C8H16-からなる群から選択される。
【0216】
一態様では、核酸は、式(IV):
[S-X1-P-X2]3-A-X3- (IV)
(式中、
Sは、糖類、好ましくはGalNAcを表し、
X1は、C3~C6アルキレン又は(-CH2-CH2-O)m(-CH2)2-(式中、mは、1、2又は3である)を表し、
Pは、ホスフェート又は修飾ホスフェート、好ましくはチオホスフェートであり、
X2は、式-C3H6-O-CH2-のアルキレンエーテルであり、
Aは、分岐単位であり、
X3は、-CH2-O-CH2-、-CH2-O-C2H4-、-CH2-O-C3H6-、-CH2-O-C4H8-、-CH2-O-C5H10-、-CH2-O-C6H12-、-CH2-O-C7H14-、及び-CH2-O-C8H16-からなる群から選択される式のアルキレンエーテルであり、ここで、いずれの場合においても、-CH2-基は、Aに連結され、X3は、ホスフェート又は修飾ホスフェート、好ましくはチオホスフェートによって本発明による核酸にコンジュゲートされる)
の化合物を含むリガンドにコンジュゲートされる。
【0217】
分岐単位は、炭素を含んでもよい。好ましくは、分岐単位は炭素である。
【0218】
X3は、-CH2-O-C4H8-、-CH2-O-C5H10-、-CH2-O-C6H12-、-CH2-O-C7H14-、及び-CH2-O-C8H16-からなる群から選択され得る。好ましくは、X3は、-CH2-O-C4H8-、-CH2-O-C6H12-及び-CH2-O-C8H16からなる群から選択される。
【0219】
X1は、(-CH2-CH2-O)(-CH2)2-であり得る。X1は、(-CH2-CH2-O)2(-CH2)2-であり得る。X1は、(-CH2-CH2-O)3(-CH2)2-であり得る。好ましくは、X1は、(-CH2-CH2-O)2(-CH2)2-である。或いは、X1は、C3~C6アルキレンを表す。X1は、プロピレンであり得る。X1は、ブチレンであり得る。X1は、ペンチレンであり得る。X1は、ヘキシレンであり得る。好ましくは、アルキルは、線状アルキレンである。特に、X1は、ブチレンであり得る。
【0220】
X2は、式-C3H6-O-CH2-のアルキレンエーテル、即ちC3アルコキシメチレン、又は-CH2CH2CH2OCH2-を表す。
【0221】
上記態様のいずれかに関して、Pが修飾ホスフェート基を表す場合、Pは、
【0222】
【0223】
(式中、Y1及びY2はそれぞれ独立して、=O、=S、-O-、-OH、-SH、-BH3、-OCH2CO2、-OCH2CO2Rx、-OCH2C(S)ORx、及び-ORx(式中、Rxは、C1~C6アルキルを表す)を表し、
【0224】
【0225】
は、化合物の残部への結合を示す)
によって表され得る。
【0226】
修飾ホスフェートとは、非連結酸素の1つ又は複数が置き換えられているホスフェート基を意味する。修飾ホスフェート基の例として、ホスホロチオエート、ホスホロセレネート、ボラノホスフェート、ボラノホスフェートエステル、水素ホスホネート、ホスホロアミデート、アルキル又はアリールホスホネート及びホスホトリエステルが挙げられる。ホスホロジチオエートは、硫黄で置き換えられた両方の非連結酸素を有する。ホスフェート基における1つ、それぞれ又は両方の非連結酸素は独立して、S、Se、B、C、H、N、又はOR(Rは、アルキル又はアリールである)のいずれか1つであり得る。
【0227】
ホスフェートはまた、連結酸素の、窒素(架橋ホスホロアミデート)、硫黄(架橋ホスホロチオエート)及び炭素(架橋メチレンホスホネート)による置き換えによって修飾され得る。置き換えは、末端酸素で行われ得る。非連結酸素の、窒素による置き換えが可能である。
【0228】
例えば、Y1は、-OHを表してもよく、Y2は、=O若しくは=Sを表してもよく、又は
Y1は、-O-を表してもよく、Y2は、=O若しくは=Sを表してもよく、
Y1は、=Oを表してもよく、Y2は、-CH3、-SH、-ORx、若しくは-BH3を表してもよく、
Y1は、=Sを表してもよく、Y2は、-CH3、ORx若しくは-SHを表してもよい。
【0229】
或る特定の場合に、Y1と、Y2との間に非局在化が見られることは、当業者に理解されよう。
【0230】
好ましくは、修飾ホスフェート基は、チオホスフェート基である。チオホスフェート基として、ビチオホスフェート(即ち、ここで、Y1は、=Sを表し、Y2は、-S-を表す)及びモノチオホスフェート(即ち、ここで、Y1は、-Oを表し、Y2は、=Sを表すか、又はY1は、=Oを表し、Y2は、-S-を表す)が挙げられる。好ましくは、Pは、モノチオホスフェートである。ホスフェート基の置き換えにおいてチオホスフェート基を有するコンジュゲートは、in vivoで改善された効力及び作用の持続期間を有することを、本発明者らは見出した。
【0231】
Pはまた、エチルホスホネート(即ち、ここで、Y1は、=Oを表し、Y2は、OCH2CH3を表す)であってもよい。
【0232】
糖類は、標的細胞上の少なくとも1つのタイプの受容体に対して親和性を有するように選択され得る。特に、受容体は、哺乳動物の肝臓細胞の表面上に存在し、例えば、肝アシアロ糖タンパク質受容体複合体(ASGP-R)である。
【0233】
上記態様又は下記態様のいずれかに関して、糖類は、ガラクトサミン、マンノース、ガラクトース、グルコース、グルコサミン及びフルクトースの1つ又は複数を有するN-アセチルから選択され得る。通常、本発明において使用されるべきリガンドとして、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)が挙げられ得る。好ましくは、本発明の化合物は、3つのリガンドを有してもよく、それらはそれぞれ、N-アセチルガラクトサミンを含むことが好ましい。
【0234】
「GalNAc」は、文献中ではN-アセチルガラクトサミンと一般的に称される2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-D-ガラクトピラノースを指す。「GalNAc」又は「N-アセチルガラクトサミン」に関する言及は、β-型:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノース及びα-型:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノースの両方を含む。或る特定の実施形態では、β-型:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノース及びα-型:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノースはともに、交換可能に使用され得る。好ましくは、本発明の化合物は、β-型である2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノースを含む。
【0235】
【0236】
2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-D-ガラクトピラノース
【0237】
【0238】
2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノース
【0239】
【0240】
2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノース
【0241】
一態様では、核酸は、コンジュゲートされた核酸であり、ここで、核酸は、下記構造:
【0242】
【化17-1】
【化17-2】
【化17-3】
【化17-4】
【0243】
(式中、Zは、本明細書中で規定されるような任意の核酸である)
の1つを有する三分岐リガンドにコンジュゲートされる。
【0244】
好ましくは、核酸は、コンジュゲートされた核酸であり、ここで、核酸は、下記構造:
【0245】
【0246】
(式中、Zは、本明細書中で規定されるような任意の核酸である)
を有する三分岐リガンドにコンジュゲートされる。
【0247】
式(II)、式(III)若しくは式(IV)又は本明細書中に開示される三分岐リガンドのいずれか1つのリガンドは、第1の(アンチセンス)鎖の3'末端に、並びに/又は第2の(センス)鎖の3'及び/若しくは5'末端のいずれかに結合され得る。核酸は、式(II)、式(III)若しくは式(IV)又は本明細書中に開示される三分岐リガンドのいずれか1つの、1つよりも多いリガンドを含み得る。しかしながら、式(II)、式(III)若しくは式(IV)又は本明細書中に開示される三分岐リガンドのいずれか1つの単一リガンドが好ましい。というのは、単一のかかるリガンドは、核酸の、標的細胞への効率的なターゲティングに十分であるからである。好ましくは、その場合、リガンドが結合される核酸の末端にある少なくとも最後の2個、好ましくは少なくとも最後の3個、より好ましくは少なくとも最後の4個のヌクレオチドは、ホスホジエステル結合によって連結される。
【0248】
好ましくは、第1の(アンチセンス)鎖の5'末端は、この位置のリガンドが、核酸の生物活性を潜在的に妨げ得るため、式(II)、式(III)若しくは式(IV)又は本明細書中に開示される三分岐リガンドのいずれか1つのリガンドに結合されない。
【0249】
鎖の5'末端に式(II)、式(III)若しくは式(IV)又は本明細書中に開示される三分岐リガンドのいずれか1つの単一リガンドを有する核酸は、3'末端に同じリガンドを有する同じ核酸よりも合成しやすく、したがって、合成するのに安価である。したがって、好ましくは、式(II)、式(III)若しくは式(IV)のいずれか又は本明細書中に開示される三分岐リガンドのいずれか1つの単一リガンドは、核酸の第2の鎖の5'末端に共有結合される(とコンジュゲートされる)。
【0250】
一態様では、核酸の第1の鎖は、式(V):
【0251】
【0252】
(式中、bは、好ましくは0又は1である)
の化合物であり、
第2の鎖は、式(VI):
【0253】
【0254】
(式中、
c及びdは独立して、好ましくは、0又は1であり、
Z1及びZ2はそれぞれ、核酸の第1及び第2の鎖であり、
Yは独立して、O又はSであり、
nは独立して、O、1、2又は3であり、
L1は、リガンドが結合されるリンカーであり、ここで、L1は、式(V)及び式(VI)において、同じであるか、又は異なり、L1が、同じ式内に1つより多く存在する場合に、式(V)及び式(VI)内で、同じであるか、又は異なり、L1は、好ましくは、式(VII)であり、
b+c+dは、好ましくは2又は3である)
の化合物である。
【0255】
好ましくは、式(V)及び式(VI)におけるL1は、式(VII):
【0256】
【0257】
(式中、
Lは、
-(CH2)r-C(O)-(式中、r=2~12)、
-(CH2-CH2-O)s-CH2-C(O)-(式中、s=1~5)、
-(CH2)t-CO-NH-(CH2)t-NH-C(O)-(式中、tは独立して、1~5である)、
-(CH2)u-CO-NH-(CH2)u-C(O)-(式中、uは独立して、1~5である)、
-(CH2)v-NH-C(O)-(式中、vは、2~12である)
を含むか、又は好ましくはそれらからなる群から選択され、
ここで、末端C(O)は、存在する場合には、式(VII)のXに、又はXが存在しない場合には、式(VII)のW1に、又はW1が存在しない場合には、式(VII)のVに結合され、
W1、W3及びW5は個々に、存在しないか、又は
-(CH2)r-(式中、r=1~7)、
-(CH2)s-O-(CH2)s-(式中、sは独立して、0~5である)、
-(CH2)t-S-(CH2)t-(式中、tは独立して、0~5である)
を含むか、又は好ましくはそれらからなる群から選択され、
Xは、存在しないか、又はNH、NCH3若しくはNC2H5を含むか、又は好ましくはそれらからなる群から選択され、
Vは、CH、N、
【0258】
【0259】
(式中、Bは、存在する場合、修飾又は天然核酸塩基である)
を含むか、又は好ましくはそれらからなる群から選択される)
を有する。
【0260】
一態様では、第1の鎖は、式(VIII)
【0261】
【0262】
(式中、bは、好ましくは、0又は1である)
の化合物であり、
第2の鎖は、式(IX):
【0263】
【0264】
(式中、c及びdは独立して、好ましくは、0又は1であり、
Z1及びZ2はそれぞれ、核酸の第1及び第2の鎖であり、
Yは独立して、O又はSであり、
R1は、H又はメチルであり、
nは独立して、好ましくは、0、1、2又は3であり、
Lは、式(VIII)及び式(IX)において、同じであるか、又は異なり、Lが、同じ式内に1つよりも多く存在する場合、式(VIII)及び式(IX)内で、同じであるか、又は異なり、
-(CH2)r-C(O)-(式中、r=2~12)、
-(CH2-CH2-O)s-CH2-C(O)-(式中、s=1~5)、
-(CH2)t-CO-NH-(CH2)t-NH-C(O)-(式中、tは独立して、1~5である)、
-(CH2)u-CO-NH-(CH2)u-C(O)-(式中、uは独立して、1~5である)、
-(CH2)v-NH-C(O)-(式中、vは2~12である)
を含むか、又は好ましくはそれらからなる群から選択され、
ここで、末端C(O)は、存在する場合、NH基(リンカーのNH基であり、ターゲティングリガンドのNH基ではない)に結合され、
b+c+dは、好ましくは、2又は3である)
の化合物である。
【0265】
一態様では、核酸の第1の鎖は、式(X):
【0266】
【0267】
(式中、bは、好ましくは、0又は1である)
の化合物であり、第2の鎖は、式(XI):
【0268】
【0269】
(式中、c及びdは独立して、好ましくは、0若しくは1であり、
Z1及びZ2はそれぞれ、核酸の第1及び第2の鎖であり、
Yは独立して、O若しくはSであり、
nは独立して、好ましくは、0、1、2若しくは3であり、
L2は、式(X)及び式(XI)において、同じであるか、若しくは異なり、b、c及びdによってくくられている部分において、同じであるか、若しくは異なり、
【0270】
【0271】
を含むか、若しくは好ましくはそれらからなる群から選択されるか、又は
nは、0であり、L2は、
【0272】
【0273】
であり、末端OH基は、下記の部分が形成されるように存在しない:
【0274】
【0275】
(式中、
Fは、飽和の分岐状若しくは未分岐状(例えば、未分岐状)のC1~8アルキル(例えば、C1~6アルキル)鎖であり、ここで、炭素原子の1つが、任意選択で、酸素原子と置き換えられるが、但し、上記酸素原子は、別のヘテロ原子(例えば、O若しくはN原子)と少なくとも2つの炭素原子分、分離され、
Lは、式(X)及び式(XI)において、同じであるか、若しくは異なり、
-(CH2)r-C(O)-(式中、r=2~12)、
-(CH2-CH2-O)s-CH2-C(O)-(式中、s=1~5)、
-(CH2)t-CO-NH-(CH2)t-NH-C(O)-(式中、tは独立して、1~5である)、
-(CH2)u-CO-NH-(CH2)u-C(O)-(式中、uは独立して、1~5である)、
-(CH2)v-NH-C(O)-(式中、vは2~12である)
を含むか、若しくは好ましくはそれらからなる群から選択され、ここで、末端C(O)は、存在する場合、NH基(リンカーのNH基であり、ターゲティングリガンドのNH基ではない)に結合され、
b+c+dは、好ましくは、2若しくは3である)
の化合物である。
【0276】
一態様では、式(V)及び式(VI)又は式(VIII)及び式(IX)又は式(X)及び式(XI)の核酸のいずれかにおいて、bは0であり、cは1であり、dは1であるか、bは1であり、cは0であり、dは1であるか、bは1であり、cは1であり、dは0であるか、又はbは1であり、cは1であり、dは1である。好ましくは、bは0であり、cは1であり、dは1であるか、bは1であり、cは0であり、dは1であるか、又はbは1であり、cは1であり、dは1である。最も好ましくは、bは0であり、cは1であり、dは1である。
【0277】
一態様では、Yは、式(V)及び式(VI)又は式(VIII)及び式(IX)又は式(X)及び式(XI)の核酸のいずれかにおいて、Oである。別の態様では、Yは、Sである。好ましい態様では、Yは独立して、式における異なる位置において、O又はSから選択される。
【0278】
一態様では、R1は、式(VIII)及び式(IX)の核酸のいずれかにおいて、H又はメチルである。一態様では、R1は、Hである。別の態様では、R1は、メチルである。
【0279】
一態様では、nは、式(V)及び式(VI)又は式(VIII)及び式(IX)又は式(X)及び式(XI)の核酸のいずれかにおいて、0、1、2又は3である。好ましくは、nは0である。
【0280】
式(X)及び式(XI)の核酸のいずれかにおけるF部分の例として、(CH2)1~6、例えば、(CH2)1~4例えば、CH2、(CH2)4、(CH2)5又は(CH2)6、又はCH2O(CH2)2~3、例えば、CH2O(CH2)CH3が挙げられる。
【0281】
一態様では、式(X)及び式(XI)におけるL2は、
【0282】
【0283】
である。
【0284】
一態様では、L2は、
【0285】
【0286】
である。
【0287】
一態様では、L2は、
【0288】
【0289】
である。
【0290】
一態様では、L2は、
【0291】
【0292】
である。
【0293】
一態様では、nは、0であり、L2は、
【0294】
【0295】
であり、末端OH基は、下記の部分が形成されるように存在しない:
【0296】
【0297】
(式中、Yは、O又はSである)。
【0298】
一態様では、式(V)及び式(VI)又は式(VIII)及び式(IX)又は式(X)及び式(XI)の核酸におけるLは、
-(CH2)r-C(O)-(式中、r=2~12)、
-(CH2-CH2-O)s-CH2-C(O)-(式中、s=1~5)、
-(CH2)t-CO-NH-(CH2)t-NH-C(O)-(式中、tは独立して、1~5である)、
-(CH2)u-CO-NH-(CH2)u-C(O)-(式中、uは独立して、1~5である)、
-(CH2)v-NH-C(O)-(式中、vは2~12である)
を含むか、又は好ましくはそれらからなる群から選択され、ここで、末端C(O)は、NH基に結合される。
【0299】
好ましくは、Lは、-(CH2)r-C(O)-(式中、r=2~12、より好ましくは、r=2~6、更に好ましくは、r=4又は6、例えば4)である。
【0300】
好ましくは、Lは、
【0301】
【0302】
である。
【0303】
b、c及びdによってくくられている部分内で、式(X)及び式(XI)の核酸におけるL2は通常、同じである。b、c及びdによってくくられている部分間で、L2は、同じであり得るか、又は異なり得る。或る実施形態では、cによってくくられている部分におけるL2は、dによってくくられている部分におけるL2と同じである。或る実施形態では、cによってくくられている部分におけるL2は、dによってくくられている部分におけるL2と同じではない。或る実施形態では、b、c及びdによってくくられている部分におけるL2は、例えば、リンカー部分が、セリノール由来のリンカー部分である場合、同じである。
【0304】
セリノール由来のリンカー部分は、即ち、L-セリン異性体、D-セリン異性体、ラセミセリン又は異性体の他の組合せに由来する任意の立体化学のセリノールに基づき得る。本発明の好ましい態様では、セリノール-GalNAc部分(SerGN)は、下記の立体化学:
【0305】
【0306】
を有し、即ち、L-セリン異性体に由来する(S)-セリノール-アミダイト又は(S)-セリノールサクシネート固体支持構成要素に基づく。
【0307】
好ましい態様では、核酸の第1の鎖は、式(VIII)の化合物であり、核酸の第2の鎖は、式(IX)の化合物であり、式中、
bは、0であり、
c及びdは、1であり、
nは、0であり、
Z1及びZ2はそれぞれ、核酸の第1及び第2の鎖であり、
Yは、Sであり、
R1は、Hであり、
Lは、-(CH2)4-C(O)-であり、ここで、Lの末端C(O)は、リンカーのN原子に結合される(即ち、ターゲティングリガンドの考え得るN原子には結合しない)。
【0308】
別の好ましい態様では、核酸の第1の鎖は、式(V)の化合物であり、核酸の第2の鎖は、式(VI)の化合物であり、式中、
bは、0であり、
c及びdは、1であり、
nは、0であり、
Z1及びZ2はそれぞれ、核酸の第1及び第2の鎖であり、
Yは、Sであり、
L1は、式(VII):
(式中、
W1は、-CH2-O-(CH2)3-であり、
W3は、-CH2-であり、
W5は、存在せず、
Vは、CHであり、
Xは、NHであり、
Lは、-(CH2)4-C(O)-であり、ここで、Lの末端C(O)は、式(VII)におけるXのN原子に結合される)
を有する。
【0309】
別の好ましい態様では、核酸の第1の鎖は、式(V)の化合物であり、核酸の第2の鎖は、式(VI)の化合物であり、式中、
bは、0であり、
c及びdは、1であり、
nは、0であり、
Z1及びZ2はそれぞれ、核酸の第1及び第2の鎖であり、
Yは、Sであり、
L1は、式(VII):
(式中、
W1、W3及びW5は、存在せず、
Vは、
【0310】
【0311】
であり、
Xは、存在せず、
Lは、-(CH2)4-C(O)-NH-(CH2)5-C(O)-であり、ここで、Lの末端C(O)は、式(VII)におけるVのN原子に結合される)
を有する。
【0312】
一態様では、核酸は、下記構造:
【0313】
【0314】
を有する三分岐リガンドにコンジュゲートされ、ここで、核酸は、リガンドのホスフェート基を介してリガンドに、a)第2の鎖の5'末端にある最終ヌクレオチドに、b)第2の鎖の3'末端にある最終ヌクレオチドに、又はc)第1の鎖の3'末端にある最終ヌクレオチドにコンジュゲートされる。
【0315】
核酸の一態様では、リガンドを有する核酸によって標的とされる細胞は、肝細胞である。
【0316】
GalNAcが存在する上記リガンドのいずれか1つにおいて、GalNAcは、本明細書中で言及されるもの等の任意の他のターゲティングリガンド、特に、マンノース、ガラクトース、グルコース、グルコサミン及びフコースに代わって置換されてもよい。
【0317】
特に好ましい実施形態は、第1の鎖が、配列番号356を含むか、又は配列番号356からなり、第2の鎖が、任意選択で、配列番号362を含むか、又は配列番号362からなる核酸である。この核酸は、リガンドに更にコンジュゲートされ得る。第1の核酸が、配列番号356を含むか、又は配列番号356からなり、第2の鎖が、任意選択で、配列番号362を含むか、又は配列番号362からなる核酸は、更に好ましい。配列番号356及び配列番号354からなるsiRNAが、最も好ましい。本発明の一態様は、EV0203である。
【0318】
一態様では、核酸は、脂質を含むリガンド、より好ましくは、コレステロールを含むリガンドにコンジュゲートされる。
【0319】
組成物、使用及び方法
本発明はまた、本発明の核酸を含む組成物を提供する。核酸及び組成物は医薬として又は診断剤として、単独で又は他の薬剤との組合せで使用され得る。例えば、本発明の1つ又は複数の核酸は、送達ビヒクル(例えば、リポソーム)及び/又は賦形剤、例えば、担体、希釈剤と組み合わせることができる。防腐剤及び安定剤等の他の薬剤もまた添加され得る。核酸の送達方法は、当該技術分野で既知であり、当業者の知識内である。
【0320】
一態様では、組成物は、本明細書中に開示される核酸及び送達ビヒクル及び/又は生理学的に許容可能な賦形剤及び/又は担体及び/又は希釈剤及び/又は緩衝液及び/又は防腐剤を含む。
【0321】
本発明の核酸又はコンジュゲートされた核酸はまた、別々に、又は同時に、例えば複合単位用量として投与される他の治療用化合物と組み合わせて投与され得る。本発明はまた、例えば安定剤、防腐剤、希釈剤、緩衝液等の生理学的に/薬学的に許容可能な賦形剤中に、本発明による1つ又は複数の核酸を含む組成物を含む。
【0322】
一態様では、組成物は、本明細書中に開示される核酸並びにオリゴヌクレオチド、小分子、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体及びペプチドを含む群から選択される更なる治療剤を含む。好ましくは、更なる治療剤は、補体成分C3又は免疫系の、若しくはより具体的には補体経路のタンパク質等の別の要素の発現又は活性を標的とする、好ましくは阻害する薬剤である。好ましくは、更なる治療剤は、下記:a)補体経路の成分の1つ、好ましくはC3若しくはC5のいずれか又はそれらのサブユニットの1つの発現又は活性を阻害するペプチド、b)生理学的条件下で、補体経路の成分の1つ、好ましくはC3若しくはC5のいずれか又はそれらのサブユニットの1つに特異的に結合する抗体、c)エクリズマブ又はそれらの抗原結合誘導体のうちの1つである。
【0323】
エクリズマブは、補体成分C5に特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体であり、商品名SOLIRIS(登録商標)で商品化されている。エクリズマブは、高い親和性で補体成分C5を特異的に結合して、C5の、C5a及びC5bへの切断を阻害する。抗体は、例えば、欧州特許第0 758 904 B1号及びそのファミリーメンバーに記載されている。
【0324】
本発明の医薬及び組成物に関する投与量レベルは、当業者によって、日常的な実験により決定することができる。一態様では、単位用量は、約0.01mg/kg~約100mg/kg(体重)の核酸又はコンジュゲートされた核酸を含有し得る。或いは、用量は、10mg/kg~25mg/kg(体重)、又は1mg/kg~10mg/kg(体重)、又は0.05mg/kg~5mg/kg(体重)、又は0.1mg/kg~5mg/kg(体重)、又は0.1mg/kg~1mg/kg(体重)、又は0.1mg/kg~0.5mg/kg(体重)、又は0.5mg/kg~1mg/kg(体重)であり得る。或いは、用量は、約0.5mg/kg~約10mg/kg(体重)、又は約0.6mg/kg~約8mg/kg(体重)、又は、約0.7mg/kg~約7mg/kg(体重)、又は約0.8mg/kg~約6mg/kg(体重)、又は約0.9mg/kg~約5.5mg/kg(体重)、又は約1mg/kg~約5mg/kg(体重)、又は約1mg/kg(体重)、又は約3mg/kg(体重)、又は約5mg/kg(体重)であってもよく、ここで、「約」は、表示した値の最大30%、好ましくは最大20%、より好ましくは最大10%、更に好ましくは最大5%、最も好ましくは最大0%の逸脱である。投与量レベルはまた、例えば身体表面積等の他のパラメーターにより算出され得る。
【0325】
医薬組成物はまた、滅菌性の注射可能な水性懸濁液若しくは溶液であってもよく、又は凍結乾燥形態で存在してもよい。
【0326】
本発明の医薬組成物及び医薬は、薬学的に有効な用量で哺乳動物対象に投与され得る。哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、サル若しくは原猿、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、マウス、ラット、ハムスター、ハリネズミ及びモルモット、又は関連性のある他の種から選択され得る。これに基づいて、「C3」は、本明細書中で使用する場合、上述の種において、自然に又は人工的に発現される場合に、上述の種のいずれかにおける核酸又はタンパク質を意味するが、好ましくは、この単語は、ヒト核酸又はタンパク質を意味する。
【0327】
本発明の一態様は、医薬としての使用のための本明細書中に開示される核酸又は組成物である。核酸又は組成物は、好ましくは、疾患、障害若しくは症候群の防止、疾患、障害若しくは症候群を患うリスクの減少、又は疾患、障害若しくは症候群の治療における使用のためのものである。
【0328】
本発明の一態様は、疾患、障害若しくは症候群の防止、疾患、障害若しくは症候群を患うリスクの減少、又は疾患、障害若しくは症候群の治療における、本明細書中に開示されるような核酸又は組成物の使用である。
【0329】
本発明の一態様は、薬学的に有効な用量の、本明細書中に開示される核酸又は組成物を、治療を必要とする個体に投与する工程を含む、疾患、障害若しくは症候群を防止するか、疾患、障害若しくは症候群を患うリスクを減少させるか、又は疾患、障害若しくは症候群を治療する方法であり、好ましくは、ここで、核酸又は組成物は、対象に、皮下的に、静脈内に、又は経口投与、直腸投与、肺投与若しくは腹腔内投与により投与される。好ましくは、核酸又は組成物は、皮下的に投与される。
【0330】
本明細書中に開示される核酸若しくは組成物で防止又は治療されるべき疾患、障害又は症候群は、好ましくは、補体媒介性の疾患、障害若しくは症候群、又は補体経路と関連付けられる疾患、障害若しくは症候群である。
【0331】
本明細書中に開示される核酸若しくは組成物で防止又は治療されるべき疾患、障害又は症候群は、好ましくは、補体経路の異常活性化及び/若しくは過剰活性化(超活性化)と、並びに/又は補体成分C3の過剰発現若しくは異所発現若しくは局在化若しくは蓄積と関連付けられる。C3の蓄積を含む疾患の一例は、C3糸球体症(C3G)である。この疾患では、C3が、腎臓糸球体に蓄積する。防止又は治療されるべき補体経路の異常又は過剰活性化は、遺伝的原因を有し得るか、又は後天的であり得る。好ましくは、防止又は治療されるべき疾患、障害又は症候群は、C3糸球体症(C3G)である。
【0332】
本明細書中に開示される核酸又は組成物で防止若しくは治療されるべき疾患、障害又は症候群は、好ましくは、a)C3糸球体症(C3G)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、ループス腎炎、IgA腎症(IgA N)、寒冷凝集素症(CAD)、重症筋無力症(MG)、原発性膜性腎症、免疫複合体媒介性糸球体腎炎(IC媒介性GN)、感染後糸球体腎炎(PIGN)、全身性エリテマトーデス(SLE)、虚血再灌流傷害、加齢黄斑変性(AMD)、関節リウマチ(RA)、抗好中球細胞質自己抗体関連血管炎(ANCA-AV)、ディスバイオシス歯周病、マラリア貧血及び敗血症を含み、好ましくはそれらからなる群から選択されるか、又はb)C3糸球体症(C3G)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、ループス腎炎、IgA腎症(IgA N)及び原発性膜性腎症を含むか、若しくは好ましくはそれらからなる群から選択されるか、又はc)C3糸球体症(C3G)、抗好中球細胞質自己抗体関連血管炎(ANCA-AV)、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、寒冷凝集素症(CAD)、重症筋無力症(MG)、IgA腎症(IgA N)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)を含むか、若しくは好ましくはそれらからなる群から選択されるか、又はd)疾患、障害又は症候群は、C3糸球体症(C3G)である。本発明による核酸又は組成物で治療されるべき対象は、好ましくは、これらの疾患、障害又は症候群のうちの1つを患う対象である。
【0333】
本明細書中に開示される核酸又は組成物は、週に1度若しくは2度、毎週、2週毎、3週毎、4週毎、5週毎、6週毎、7週毎、又は8週毎の治療を含むレジメンにおける、或いは先述の間隔の組合せ等の様々な投薬頻度を用いたレジメンにおける使用のためのものであり得る。核酸又は組成物は、皮下的に、静脈内に、又は経口、直腸、肺若しくは腹腔内等の任意の他の適用経路を使用して使用するためのものであり得る。好ましくは、核酸又は組成物は、皮下的に使用するためのものである。
【0334】
本明細書中に開示されるような核酸若しくは組成物で処理されたか、又は本明細書中に開示されるような核酸若しくは組成物を受容する細胞及び/若しくは対象において、C3発現は、未処理の細胞及び/又は対象と比較して、15%~最大100%であるが、少なくとも約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、若しくは100%、又は中間値の範囲分が阻害され得る。阻害のレベルは、C3発現若しくは過剰発現又は補体過剰活性化と関連付けられる疾患の治療を可能にし得るか、或いはC3遺伝子産物の機能及び生理学的役割を更に研究するのに役立ち得る。
【0335】
一態様は、上記で列挙されるもののような疾患、障害若しくは症候群、或いは好ましくは、血中若しくは腎臓におけるC3の上昇レベル、又は補体経路の過剰活性化、又はC3発現の阻害が望ましい更なる治療アプローチと関連付けられる更なる病態を治療するための医薬の製造における、本明細書中に開示されるような核酸又は組成物の使用である。
【0336】
また、本明細書中に記載されるような核酸又は組成物を含む組成物の、治療を必要とする個体への投与(かかる病態を改善するために)を含む、上記で列挙されるもの等の疾患、障害若しくは症候群を治療又は防止する方法が本明細書に含まれる。核酸又は組成物は、週に2度、週に1度、2週毎、3週毎、4週毎、5週毎、6週毎、7週毎、若しくは8週毎~12週毎又はそれ以上毎の治療を含むレジメンで、或いは先述の間隔の組合せ等の様々な投薬頻度を用いたレジメンで投与され得る。核酸又はコンジュゲートされた核酸は、皮下的に、若しくは静脈内に、又は経口、直腸、若しくは腹腔内等の他の適用経路で使用するためのものであり得る。
【0337】
本発明の核酸又は組成物は、化学合成、又はin vitro(例えば、ランオフ転写)若しくはin vivoのいずれかで、核酸を発現させることを含む、当該技術分野において日常的な方法を使用して産生され得る。例えば、固相化学合成を使用して、或いはウイルス誘導体又は部分的若しくは完全合成発現系を含む核酸ベースの発現を使用する。一態様では、発現ベクターは、in vitroで、中間宿主生物若しくは細胞型内で、中間若しくは最終生物内で、又は所望の標的細胞内で、本発明の核酸を産生するのに使用され得る。本明細書中に記載される核酸の産生(合成又は酵素的転写)の方法は、当業者に既知である。
【0338】
核酸の化学修飾パターンの使用は、血清中におけるヌクレアーゼ安定性を付与し、例えば、皮下適用経路を実現可能なものにさせる。
【0339】
本発明は、分子及び組織に向けられる送達レベルでの高い特異性を特徴とし、現在利用可能な治療よりも優れた安全性プロファイルを、潜在的に付与する。
【0340】
本明細書中に記載されるような核酸は、リポソームの形態で、脂質を用いて配合され得る。かかる配合物は、リポプレックスとして、当該技術分野において記載され得る。脂質/リポソームを用いた組成物は、本発明の核酸の、標的細胞への送達を助長するのに使用され得る。本明細書中に記載される脂質送達系は、コンジュゲートされたリガンドに対する代替物として使用され得る。脂質送達系ともに、又はリガンドコンジュゲート送達系とともに本発明の核酸を使用する場合に、本明細書中に記載される修飾が存在し得る。
【0341】
かかるリポプレックスは、
i)カチオン性脂質、又はそれらの薬学的に許容可能な塩、
ii)ステロイド、
iii)ホスファチジルエタノールアミンリン脂質、
iv)PEG化脂質
を含む脂質組成物を含み得る。
【0342】
カチオン性脂質は、アミノカチオン性脂質であり得る。
【0343】
カチオン性脂質は、式(XII):
【0344】
【0345】
又はその薬学的に許容可能な塩を有してもよく、式中、
Xは、O、S又はNHを表し、
R1及びR2はそれぞれ独立して、C4~C22線状若しくは分岐状アルキル鎖又は1つ若しくは複数の二重結合を有するC4~C22線状若しくは分岐状アルケニル鎖を表し、ここで、アルキル又はアルケニル鎖は、任意選択で、介在性エステル、アミド又はジスルフィドを含有し、
Xが、S又はNHを表す場合、R3及びR4はそれぞれ独立して、水素、メチル、エチル、モノ若しくはポリアミン部分を表すか、又はR3及びR4は一緒に、ヘテロシクリル環を形成し、
Xが、Oを表す場合、R3及びR4はそれぞれ独立して、水素、メチル、エチル、モノ若しくはポリアミン部分を表すか、又はR3及びR4は一緒に、ヘテロシクリル環を形成するか、又はR3は、水素を表し、且つR4は、C(NH)(NH2)を表す。
【0346】
カチオン性脂質は、式(XIII):
【0347】
【0348】
又はその薬学的に許容可能な塩を有し得る。
【0349】
カチオン性脂質は、式(XIV):
【0350】
【0351】
又はその薬学的に許容可能な塩を有し得る。
【0352】
カチオン性脂質成分の含有量は、組成物の脂質全体の含有量の約55mol%~約65mol%であり得る。特に、カチオン性脂質成分は、組成物の脂質全体の含有量の約59mol%である。
【0353】
組成物は、ステロイドを更に含み得る。ステロイドは、コレステロールであってもよい。ステロイドの含有量は、脂質組成物の脂質全体の含有量の約26mol%~約35mol%であり得る。より詳細には、ステロイドの含有量は、脂質組成物の脂質全体の含有量の約30mol%であり得る。
【0354】
ホスファチジルエタノールアミンリン脂質は、1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DPhyPE)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DLPE)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DMPE)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DPPE)、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DLoPE)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(POPE)、1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DEPE)、1,2-ジスクアレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSQPE)及び1-ステアロイル-2-リノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(SLPE)からなる群から選択され得る。リン脂質の含有量は、組成物の脂質全体の含有量の約10mol%であり得る。
【0355】
ペグ化脂質は、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロール、メトキシポリエチレングリコール(DMG-PEG)及びC16-セラミド-PEGからなる群から選択され得る。ペグ化脂質の含有量は、組成物の脂質全体の含有量の約1mol%~5mol%であり得る。
【0356】
組成物におけるカチオン性脂質成分の含有量は、脂質組成物の脂質全体の含有量の約55mol%~約65mol%、好ましくは、脂質組成物の脂質全体の含有量の約59mol%であり得る。
【0357】
組成物は、55:34:10:1、56:33:10:1、57:32:10:1、58:31:10:1、59:30:10:1、60:29:10:1、61:28:10:1、62:27:10:1、63:26:10:1、64:25:10:1、及び65:24:10:1から選択されるi):ii):iii):iv)の成分のモル比を有し得る。
【0358】
組成物は、構造
【0359】
【0360】
を有するカチオン性脂質
【0361】
構造
【0362】
【0363】
を有するステロイド
【0364】
構造
【0365】
【0366】
を有するホスファチジルエタノールアミンリン脂質
【0367】
及び構造
【0368】
【0369】
を有するペグ化脂質を含み得る。
【0370】
中性リポソーム組成物は、例えば、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)又はジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)から形成され得る。アニオン性リポソーム組成物は、ジミリストイルホスファチジルグリセロールから形成され得るのに対して、アニオン性膜融合リポソームは、主にジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)から形成され得る。別のタイプのリポソーム組成物は、ホスファチジルコリン(PC),例えば、ダイズPC、及び卵PC等から形成され得る。別のタイプは、リン脂質及び/又はホスファチジルコリン及び/又はコレステロールの混合物から形成される。
【0371】
正に帯電した合成カチオン性脂質であるN-[1-(2,3-ジオレイルオイル)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)を使用して、核酸と自発的に相互作用する小リポソームを形成し、組織培養細胞の細胞膜の負に帯電した脂質と融合することが可能な脂質-核酸複合体を形成し得る。DOTMA類似体もまた、リポソームを形成するのに使用することができる。
【0372】
本明細書中に記載される脂質の誘導体及び類似体もまた、リポソームを形成するのに使用され得る。
【0373】
核酸を含有するリポソームは、様々な方法によって調製され得る。一例では、リポソームの脂質成分は、洗浄剤中に溶解され、その結果、ミセルが、脂質成分を用いて形成される。例えば、脂質成分は、両親媒性カチオン性脂質又は脂質コンジュゲートであり得る。洗浄剤は、高い臨界ミセル濃度を有することができ、また非イオン性であってもよい。例示的な洗浄剤として、コール酸塩、CHAPS、オクチルグルコシド、デオキシコール酸塩、及びラウロイルサルコシンが挙げられる。続いて、核酸調製物は、脂質成分を含むミセルに添加される。脂質上のカチオン性基は、核酸と相互作用して、核酸周辺で縮合して、リポソームを形成する。縮合後、洗浄剤は、例えば、透析によって除去されて、核酸のリポソーム調製物が得られる。
【0374】
必要に応じて、縮合に役立つ担体化合物は、例えば、制御された添加によって、縮合反応中に添加され得る。例えば、担体化合物は、核酸以外のポリマー(例えば、スペルミン又はスペルミジン)であり得る。pHはまた、縮合を支持するように調節され得る。
【0375】
核酸配合物は、界面活性剤を含み得る。一実施形態では、核酸は、界面活性剤を含むエマルジョンとして配合される。
【0376】
イオン化されない界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。例として、例えばエチレングリコールエステル、ポリプロピレングリコールエステル、グリセリルエステル等の非イオン性エステル、非イオン性アルカノールアミド、並びに脂肪アルコールエトキシレート、プロポキシ化アルコール及びエトキシル化/プロポキシル化ブロックポリマー等のエーテルが挙げられる。
【0377】
水中に溶解又は分散されると、負の電荷を保有する界面活性剤は、アニオン性界面活性剤である。例として、石鹸等のカルボキシレート、アシルラクチレート、アミノ酸のアシルアミド、アルキルスルフェート及びエトキシル化アルキルスルフェート等の硫酸のエステル、アルキルベンゼンスルホネート等のスルホネート、アシルイセチオネート、アシルタウレート及びスルホサクシネート、及びホスフェートが挙げられる。
【0378】
水中に溶解又は分散されると正の電荷を保有する界面活性剤は、カチオン性界面活性剤である。例として、第四級アンモニウム塩及びエトキシル化アミンが挙げられる。
【0379】
正又は負のいずれかの電荷を保有する能力を有する界面活性剤は、両性界面活性剤である。例として、アクリル酸誘導体、置換アルキルアミド、N-アルキルベタイン及びホスファチドが挙げられる。
【0380】
「ミセル」は、両親媒性分子が、分子の疎水性部分が全て、内向きに方向づけられて、親水性部分が周囲の水性相と接触するようにさせるように球状構造で配置される特定のタイプの分子集合体として、本明細書中で定義される。環境が疎水性である場合には、逆の配置が存在する。ミセルは、核酸、アルカリ金属アルキルスルフェート、及び少なくとも1つのミセル形成化合物の水性溶液を混合することによって形成され得る。
【0381】
例示的なミセル形成化合物として、レシチン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸の薬学的に許容可能な塩、グリコール酸、乳酸、カモミール抽出物、キュウリ抽出物、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、モノオレイン、モノオレエート、モノラウレート、ルリジサ油、マツヨイグサ油、メントール、トリヒドロキシオキソコラニルグリシン及びその薬学的に許容可能な塩、グリセロール、ポリグリセロール、リジン、ポリリジン、トリオレイン、ポリオキシエチレンエーテル及びそれらの類似体、ポリドカノールアルキルエーテル及びそれらの類似体、ケノデオキシコール酸塩、デオキシコール酸塩、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0382】
フェノール及び/又はm-クレゾールは、混合ミセル組成物に添加されて、安定剤及び防腐剤として作用し得る。グリセリン等の等張剤が添加されてもよい。
【0383】
核酸調製物は、微粒子等の粒子に取り込まれてもよい。微粒子は、噴霧乾燥、凍結乾燥、蒸発、流動床乾燥、真空乾燥、又はこれらの方法の組合せによって生産され得る。
【0384】
定義
本明細書中で使用する場合、遺伝子発現に関して、「阻害する」、「ダウンレギュレートする」、又は「低減する」という用語は、遺伝子の発現、或いは1つ若しくは複数のタンパク質又はタンパク質サブユニットをコードするRNA分子又は等価なRNA分子(例えば、mRNA)のレベル、或いは1つ若しくは複数のタンパク質又はタンパク質サブユニットの活性が、本発明の核酸若しくはコンジュゲートされた核酸の非存在下で観察されるものを下回って、又はヒト転写物に対して既知の相同性を有さないsiRNA分子を用いて得られるもの(非サイレンシング対照と本明細書中で称される)と比較した場合に、低減されることを意味する。かかる対照は、本発明の分子に類似した様式でコンジュゲート及び修飾されて、同じ経路によって標的細胞へ送達され得る。本発明の核酸による処理後の発現は、95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、15%を、若しくは中間値を上回って、又は核酸若しくはコンジュゲートされた核酸の非存在下で観察されるものを下回って、低減され得る。発現は、核酸が適用される細胞において測定され得る。或いは、特に核酸が対象に投与される場合、レベルは、細胞の種々の群において、又は組織若しくは臓器において、又は血液若しくは血漿等の体液において測定され得る。阻害のレベルは、好ましくは、条件が、in vitroで、核酸で処理した細胞における標的mRNAレベルに対する核酸の最大効果を示すため、選択されている条件において測定される。阻害のレベルは、例えば、0.038nM~10μM間、好ましくは1nM、10nM又は100nMの濃度の核酸による処理の24時間又は48時間後に測定され得る。これらの条件は、未修飾の、若しくは修飾されている核酸、又はリガンドにコンジュゲートされているか、若しくはコンジュゲートされていない核酸等の種々の核酸配列、又は種々のタイプの核酸に関して異なり得る。阻害のレベルを決定するのに適した条件の例は、実施例に記載されている。
【0385】
核酸とは、遺伝子発現を妨害することが可能な、ヌクレオチドを含む2つの鎖を含む核酸を意味する。阻害は、完全又は部分的であってもよく、標的とされる様式で、遺伝子発現のダウンレギュレーションをもたらす。核酸は、2個の別々のポリヌクレオチド鎖の、ガイド鎖でもあり得る第1の鎖及びパッセンジャー鎖でもあり得る第2の鎖を含む。第1の鎖及び第2の鎖は、二重鎖分子を形成するように「フォールド」バックする自己相補的な同じポリヌクレオチド分子の部分であってもよい。核酸は、siRNA分子であってもよい。
【0386】
核酸は、リボヌクレオチド、修飾リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、又は標的配列若しくは相補鎖上の相当する塩基と「対形成し」得るようにヌクレオチドを模倣することが可能なヌクレオチド類似体非ヌクレオチドを含み得る。核酸は、第1の鎖(当該技術分野では、ガイド鎖としても既知)の全て又は一部及び第2の鎖(当該技術分野では、パッセンジャー鎖としても既知)の全て又は一部によって形成される二重鎖核酸部分又は二本鎖領域を更に含み得る。二本鎖領域は、第1の鎖と、第2の鎖との間に形成される第1の塩基対に始まり、第1の鎖と、第2の鎖との間に形成される最後の塩基対に終わる(両端を含む)として定義される。
【0387】
二本鎖領域とは、ワトソン-クリック塩基対形成又は相補的な若しくは実質的に相補的なオリゴヌクレオチド鎖間で二本鎖を可能にする任意の他の様式のいずれかによって、互いと塩基対を形成する2個の相補的な又は実質的に相補的なオリゴヌクレオチドにおける領域を意味する。例えば、21個のヌクレオチド単位を有するオリゴヌクレオチド鎖は、21個のヌクレオチド単位の別のオリゴヌクレオチドを塩基対形成することができるが、その上で「二本鎖領域」が19個の塩基対からなるように、各鎖上の19個のヌクレオチドのみが、相補的であるか、又は実質的に相補的である。残存する塩基対は、5'オーバーハング及び3'オーバーハングとして、又は単鎖領域として存在し得る。更に、二本鎖領域内で、100%相補性は必要とされず、実質的な相補性が、二本鎖領域内で可能である。実質的な相補性は、鎖が、生物学的条件下でアニーリングすることが可能であるような、鎖間の相補性を指す。2つの鎖が、生物学的条件下でアニーリングすることが可能であるかどうかを経験的に決定する技法は、当該技術分野で周知である。或いは、2つの鎖は、それらが互いにアニーリングするかどうかを決定するために、生物学的条件下で一緒に合成及び添加され得る。少なくとも1つの二本鎖領域を形成する第1の鎖及び第2の鎖の部分は、完全に相補的であってもよく、互いに少なくとも部分的に相補的である。核酸の長さに応じて、第1の鎖と、第2の鎖との間の塩基相補性に関する完璧なマッチは、必ずしも必要とされない。しかしながら、第1の鎖及び第2の鎖は、生理学的条件下でハイブリダイズすることが可能でなくてはならない。
【0388】
本明細書中で使用する場合、「非対形成ヌクレオチド類似体」という用語は、6デスアミノアデノシン(ネブラリン)、4-Me-インドール、3-ニトロピロール、5-ニトロインドール、Ds、Pa、N3-Me リボU、N3-Me リボT、N3-Me dC、N3-Me-dT、N1-Me-dG、N1-Me-dA、N3-エチル-dC、及びN3-Me dCを含むが、これらに限定されない非塩基対形成部分を含むヌクレオチド類似体を意味する。幾つかの実施形態では、非塩基対形成ヌクレオチド類似体は、リボヌクレオチドである。他の実施形態では、非塩基対形成ヌクレオチド類似体は、デオキシリボヌクレオチドである。
【0389】
本明細書中で使用する場合、「末端官能基」という用語は、ハロゲン基、アルコール基、アミン基、カルボキシ基、エステル基、アミド基、アルデヒド基、ケトン基、及びエーテル基を含むが、これらに限定されない。
【0390】
「オーバーハング」は、本明細書中で使用する場合、当該技術分野におけるその一般的で通例の意味を有し、即ち、二重鎖核酸における相補鎖の末端ヌクレオチドを超えて伸長する核酸の単鎖部分である。「平滑末端」という用語は、末端ヌクレオチドが塩基対形成されるかどうかにかかわらず、両鎖が同じ位置で終結する二重鎖核酸を含む。平滑末端にある第1の鎖及び第2の鎖の末端ヌクレオチドは、塩基対形成されてもよい。平滑末端にある第1の鎖及び第2の鎖の末端ヌクレオチドは、塩基対形成されなくてもよい。平滑末端にある第1の鎖及び第2の鎖の末端の2個のヌクレオチドは、塩基対形成されてもよい。平滑末端にある第1の鎖及び第2の鎖の末端の2個のヌクレオチドは、塩基対形成されなくてもよい。
【0391】
「セリノール由来のリンカー部分」という用語は、リンカー部分が、下記構造:
【0392】
【0393】
を含むことを意味する。
【0394】
上記構造のO原子は通常、RNA鎖に連結し、N原子は通常、ターゲティングリガンドに連結する。
【0395】
ここで、本発明は、下記の非限定的な図面及び実施例を参照して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0396】
【
図1A】選択したsiRNAの濃度-応答-曲線を示す図である。
【
図1B】選択したsiRNAの濃度-応答-曲線を示す図である。
【
図1C】選択したsiRNAの濃度-応答-曲線を示す図である。
【
図2A】ヒト初代培養肝細胞における選択したsiRNA GalNAcコンジュゲートの濃度-応答-曲線を示す図である。
【
図2B】ヒト初代培養肝細胞における選択したsiRNA GalNAcコンジュゲートの濃度-応答-曲線を示す図である。
【
図3A】マウス初代培養肝細胞における選択したsiRNA GalNAcコンジュゲートの濃度-応答-曲線を示す図である。
【
図3B】マウス初代培養肝細胞における選択したsiRNA GalNAcコンジュゲートの濃度-応答-曲線を示す図である。
【
図4】
図4A、
図4B及び
図4Cは、それぞれ、初代培養マウス、ヒト及びカニクイザル肝細胞における選択したsiRNA GalNAcコンジュゲートの濃度依存的なC3 mRNA阻害を示す図である。
【
図5】DMT-セリノール(GalNAc)-CEP及びCPGへの考え得る合成経路を示す図である。
【
図6A】選択したsiRNA GalNAcコンジュゲートによるマウスのsc処理に応答した肝細胞におけるin vivo C3 mRNAレベルを示す図である。
【
図6B】選択したsiRNA GalNAcコンジュゲートによるマウスのsc処理に応答した血清中のC3タンパク質レベルを示す図である。
【
図7】
図7A、
図7B及び
図7Cは、ACTIN mRNAに対して正規化した、選択したsiRNA GalNAcコンジュゲート(1nM、10nM及び100nM)とのインキュベーション後の初代培養マウス(A)、カニクイザル(B)及びヒト(C)肝細胞における相対的なC3 mRNA発現を示す図である。
【
図8】
図8A及び
図8Bは、GalNAcとコンジュゲートされたsiRNAであるEV0201、EV0203、EV0204、EV0205及びEV0207の単回投薬の14日後(A)又は42日後(B)のマウス肝臓における%での相対的なC3 mRNA発現を示す図である。データは、棒グラフにおいて平均値±SD(1群当たりn=4)として示される。
【
図9】
図9A~
図9Eは、5mg/kg又は10mg/kgのsiRNAの投薬前に(BL)、5mg/kg又は10mg/kgのsiRNAの投薬後の研究の4日目に、10日目に、14日目に、21日目に、28日目に、35日目に、及び42日目に採取したマウス血清試料由来の%での相対的なC3タンパク質血清レベルを示す図である。データ点は、標準的なC3 ELISAを使用して決定される個々の動物の血清C3レベルを表す。データは、各群のベースライン平均値に対して正規化され、続いて、100%と設定される時間が適合したPBS対照に対して正規化された。プロットした線は、各々の時間点での個々の群の平均値を結んでいる。A)5mg/kg及び10mg/kgのEV0201の投与後の正規化されたC3血清レベル、B)5mg/kg及び10mg/kgのEV0203の投与後の正規化されたC3血清レベル、C)5mg/kgのEV0204の投与後の正規化されたC3血清レベル、D)5mg/kg及び10mg/kgのEV0205の投与後の正規化されたC3血清レベル、E)5mg/kg及び10mg/kgのEV0207の投与後の正規化されたC3血清レベル。
図9Fは、0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg又は5mg/kgのsiRNAによる投薬前に(BL)、0.3mg/kg、1mg/kg、3mg/kg又は5mg/kgのsiRNAによる投薬後の研究の7日目に、14日目に、21日目に及び28日目に採取したマウス血清試料由来の相対的なC3タンパク質血清レベル(%で)を示す図である。
【実施例】
【0397】
(実施例1)
10nM siRNAのトランスフェクション後の試験したsiRNAのC3 mRNAノックダウン有効性を示すHepG2細胞におけるin vitro研究。
siRNA EV0001~EV0100のC3ノックダウン有効性を、HepG2細胞における10nM siRNAのトランスフェクション後に決定した。結果を、以下のTable 2(表2)に示す。ノックダウン後の残存するC3 mRNAレベルは、6%~83%の範囲であった。最も強力なsiRNAは、EV0001、EV0007、EV0008、EV0009、EV0012、EV0013、EV0018、EV0020、EV0030、EV0033、及びEV0004であった。
【0398】
siRNAによるHepG2のトランスフェクションに関して、15,000個の細胞/ウェルの密度で、コラーゲンでコーティングされた96ウェル組織培養プレート(#655150、GBO社、ドイツ)に、細胞を播種した。siRNAのトランスフェクションは、Lipofectamine RNAiMax(Invitrogen/Life Technologies社、カールスルーエ、ドイツ)を用いて、製造業者の説明書に従って、播種の直後に実行した。スクリーンは、10nMでC3 siRNAを用いて四重反復で、非特異的対照及び偽トランスフェクションとして、Aha1をターゲティングするsiRNA、ホタルルシフェラーゼ及び第VII因子を用いて実施された。siRNAとのインキュベーションの24時間後、培地を取り出して、細胞を、培地-溶解混合物(溶解混合物1倍容量、細胞培養培地2倍容量)150μl中に溶解した後、53℃で30分間インキュベートした。bDNAアッセイを、製造業者の説明書に従って実施した。1420 Luminescence Counter(WALLAC VICTOR Light、Perkin Elmer社、ロートガウ-ユゲスハイム、ドイツ)を使用して、インキュベーションの30分後に、RTで暗所にて、発光を読み取った。各ウェルに関して、C3 mRNAレベルを、各々のGAPDH mRNAレベルに対して正規化した。所与のC3 siRNAの活性は、対照ウェルにわたって平均化したC3 mRNA濃度(GAPDH mRNAに対して正規化した)に対する、処理細胞における残存するC3 mRNA濃度(GAPDH mRNAに対して正規化した)のパーセントとして表した。
【0399】
【0400】
【0401】
Table 2(表2):C3 siRNAのスクリーニングの結果-siRNA二本鎖それぞれを形成する単鎖のアイデンティティ並びにそれらの配列及び修飾は、説明の最後にある表に見出され得る。
【0402】
(実施例2)
0.01pM~100nM siRNAのトランスフェクション後の試験したsiRNAのC3 mRNAノックダウン有効性を示すHepG2細胞におけるin vitro研究(濃度-応答-曲線実験)。
siRNA EV0001、EV0008、EV0013、EV0030、EV0033、EV0039、EV0043、EV0053、EV0054、EV0059、EV0060、EV0061、EV0066、EV0072、EV0075、EV0081、EV0091及びEV0098のC3ノックダウン有効性は、HepG2細胞において、0.01pM~100nM siRNAのトランスフェクション後に決定した。siRNA二本鎖それぞれを形成する単鎖のアイデンティティ並びにそれらの配列は、説明の最後にある表に見出され得る。結果を、
図1A、
図1B及び
図1Cに提示する。siRNAは全て、トランスフェクション後にC3 mRNAの用量依存的なノックダウンを示した。最も強力なsiRNAは、EV0008、EV0033及びEV0081であり、残留C3発現は、それぞれ、100nM siRNAで、4.3%、5.3%及び5.3%であった。
【0403】
siRNAによるHepG2のトランスフェクションに関して、15,000個の細胞/ウェルの密度で、コラーゲンでコーティングされた96ウェル組織培養プレート(#655150、GBO社、ドイツ)に、細胞を播種した。siRNAのトランスフェクションは、Lipofectamine RNAiMa(Invitrogen/Life Technologies社、カールスルーエ、ドイツ)を用いて、製造業者の説明書に従って、播種の直後に実行した。濃度-応答実験は、100nMに始まり、6倍希釈段階で0.01pMまで、四重反復でトランスフェクトした10個の濃度でC3 siRNAを用いて行った。偽トランスフェクト細胞は、CRC実験における対照として役立った。siRNAとのインキュベーションの24時間後、培地を取り出して、細胞を、培地-溶解混合物(溶解混合物1倍容量、細胞培養培地2倍容量)150μl中に溶解した後、53℃で30分間インキュベートした。bDNAアッセイを、製造業者の説明書に従って実施した。1420 Luminescence Counter(WALLAC VICTOR Light、Perkin Elmer社、ロートガウ-ユゲスハイム、ドイツ)を使用して、インキュベーションの30分後に、RTで暗所にて、発光を読み取った。各ウェルに関して、C3 mRNAレベルを、各々のGAPDH mRNAレベルに対して正規化した。所与のC3 siRNAの活性は、対照ウェルにわたって平均化したC3 mRNA濃度(GAPDH mRNAに対して正規化した)に対する、処理細胞における残存するC3 mRNA(GAPDH mRNAに対して正規化した)のパーセントとして表した。濃度-応答曲線は、GraphPad Prismバージョン7.05を用いて、更なる制約なしで4パラメーターロジスティック(4PL)モデルを使用してフィッティングした。
【0404】
(実施例3)
濃度-応答-曲線フォーマットにおける試験したsiRNA-GalNAcコンジュゲート(0.038nM~10μM siRNAコンジュゲート)のC3 mRNAノックダウン有効性を示す初代培養ヒト肝細胞におけるin vitro研究。
GalNAc siRNAコンジュゲートEV0101、EV0102、EV0103、EV0104、EV0105、EV0106、EV0107、EV0108、EV0109、EV0110、EV0111及びEV0312とのインキュベーション後のC3 mRNAの発現を、濃度-応答フォーマットで分析した。siRNA二本鎖それぞれを形成する単鎖のアイデンティティ並びにそれらの配列は、説明の最後にある表に見出され得る。結果を、
図2A及び
図2Bに示す。ハウスキーピング遺伝子GAPDHのmRNAレベルは、実験全てに関して対照として役立った。siRNA GalNAcコンジュゲートは全て、濃度依存的な様式でC3 mRNAレベルを減少することが可能であり、10μMでの最大阻害は、それぞれ、32%~70%であった。最も強力なsiRNAは、10μMでのC3 mRNAレベルの61%低減のEV102、67%低減のEV109、69%低減のEV0111、及び70%低減のEV0302であった。
【0405】
ヒト凍結保存初代培養肝細胞は、Primacyt社(シュヴェリーン、ドイツ、cat#GuCPI、Lot# BHum16061-P)から購入した。処理の直前に、細胞を解凍して、解凍媒質(Primacyt社、cat#HTM)を有するチューブに移して、遠心分離して、洗浄培地(Primacyt社、cat#HWM)で洗浄した。ウェル1つにつき90,000個の細胞の密度で、コラーゲンでコーティングされた96ウェルプレート(Greiner-Bio-One社、#655150)上で平板培養培地(Primacyt社、cat#HPM-cryo)に、細胞を播種した。播種の直後、細胞は、平板培養培地中で単層として付着するため、細胞をsiRNAで処理した。各siRNAは、10μMに始まり、4倍希釈段階で38pMまで段階希釈した濃度で、濃度-応答-曲線に関して細胞に適用した。濃度はそれぞれ、四重反復として適用された。5時間後、培地を、維持培地(Primacyt社、cat#HHMM)に交換した。培地は、24時間毎に交換して、播種の48時間後に、Quantigene bDNAアッセイによる分析用に、細胞を収集した。C3 mRNA濃度を、GAPDH mRNAに対して正規化した。濃度-応答-曲線は、GraphPad Prismバージョン7.05を用いて、更なる制約なしで4パラメーターロジスティック(4PL)モデルを使用してフィッティングした。
【0406】
(実施例4)
濃度-応答-曲線フォーマットにおける試験したsiRNA-GalNAcコンジュゲート(0.038nM~10μM siRNAコンジュゲート)のC3 mRNAノックダウン有効性を示す初代培養マウス肝細胞におけるin vitro研究。
濃度-応答フォーマットでのGalNAc siRNAコンジュゲートEV0104、EV0105、EV0107、EV0108、EV0109、EV0110、EV0111及びEV0312とのインキュベーション後のC3 mRNAの発現を、分析した。siRNA二本鎖それぞれを形成する単鎖のアイデンティティ並びにそれらの配列は、説明の最後にある表に見出され得る。ハウスキーピング遺伝子GAPDHのmRNAレベルは、対照として役立った。siRNA GalNAcコンジュゲートは、濃度依存的な様式でC3 mRNAレベルを減少することが可能であり、10μMでの最大阻害は、56%~72%であった。最も強力なsiRNAは、それぞれ、10μMでのC3 mRNAの68%低減のEV0104、67%低減のEV0109、及び72%低減のEV0111であった。
【0407】
凍結保存マウス肝細胞は、Thermo Fisher社(#MSCP10、Lot#MC817)から購入して、平板培養培地(ウィリアムE培地、フェノールレッドなし~総計500ml、Thermo Fisher Sci社、Cat. No. A12176-01に添加されたThermo Fisher Sci社、Cat. No. CM3000補充パック)中に蒔いた。播種の日に、細胞を解凍して、ウェル1つにつき60,000個の細胞の密度で、コラーゲンでコーティングされた96ウェルプレート(Greiner-Bio-One社、#655150)に蒔いた。播種の直後、細胞は、平板培養培地中で単層として付着するため、細胞をsiRNAで処理した。各siRNAは、10μMに始まり、4倍希釈段階で0.038nMまで段階希釈した濃度で、濃度-応答-曲線として細胞に適用した。濃度はそれぞれ、四重反復として適用された。5時間後、培地を、維持培地(Thermo Fisher Sci社、ウィリアムE培地、フェノールレッドなし~総計500ml、Thermo Fisher Sci社、Cat. No. A12176-01に添加されたThermo Fisher Sci社Cat. No. CM4000補充パック)に交換した。培地は、24時間毎に交換して、播種の48時間後に、Quantigene bDNAアッセイによる分析用に、細胞を収集した。
【0408】
結果を、
図3A及び
図3Bに示す。結果は、GAPDH mRNAに対して正規化したsiRNA GalNAcコンジュゲート(0.038nM~10μM)とのインキュベーション後の初代培養マウス肝細胞における残存するC3 mRNA発現%を表す。濃度-応答曲線は、GraphPad Prismバージョン7.05を用いて、更なる制約なしで4パラメーターロジスティック(4PL)モデルを使用してフィッティングした。
【0409】
(実施例5)
1nM、10nM及び100nMの試験したsiRNA-GalNAcコンジュゲートのc3 mRNAノックダウンを示す、初代培養マウス、ヒト及びカニクイザル肝細胞におけるin vitro研究。
1nM、10nM及び100nMのGalNAc siRNAコンジュゲートEV0312及びEV0313とのインキュベーション後のc3 mRNAの発現を分析した。siRNA二本鎖それぞれを形成する単鎖のアイデンティティ並びにそれらの配列は、説明の最後にある表に見出され得る。ハウスキーピング遺伝子アクチンのmRNAレベルは、対照として役立った。
【0410】
40,000個(ヒト)、30,000(マウス)又は45,000個(カニクイザル)の細胞を、コラーゲンでコーティングされた96ウェルプレート上に播種した。表示した濃度のsiRNAを、播種の直後に添加した。処理の24時間後、InviTrap RNA Cell HTS96 Kit/C(Stratec社)を使用して、細胞を溶解した。C3及びアクチンに対するmRNA特異的なプライマー及びプローブを使用して、qPCRを実施した。
【0411】
【0412】
(実施例6)
構成要素の合成
以下に記載するようなDMT-セリノール(GalNAc)-CEP及びCPGに関する合成経路を、
図5で概説する。出発材料DMT-セリノール(H)(1)は、文献で公開されている方法(Hoevelmannら、Chem. Sci.、2016年、7、128~135頁)に従って、市販のL-セリンから作製した。GalNAc(Ac
3)-C
4H
8-COOH(2)は、文献で公開されている方法(Nairら、J. Am. Chem. Soc.、2014年、136(49)、16958~1696頁)に従って、市販のペルアセチル化ガラクトースアミンから出発して調製した。ホスフィチル化試薬2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルクロロホスホルアミダイト(4)は市販されている。(vp)-mU-phosの合成は、Prakash、Nucleic Acids Res.、2015年、43(6)、2993~3011頁及びHaraszti、Nucleic Acids Res.、2017年、45(13)、7581~7592頁に記載されるように実施した。ST43(ST43-phos)並びにST23(ST23-phos)のホスホルアミダイト誘導体の合成は、国際公開第2017/174657号に記載されるように実施することができる。
【0413】
DMT-セリノール(GalNAc)(3)
HBTU(9.16g、24.14mmol)を、GalNAc(Ac3)-C4H8-COOH(2)(11.4 g、25.4mmol)及びDIPEA(8.85ml、50.8mmol)の攪拌溶液に添加した。2分の活性時間後、アセトニトリル(無水)(200ml)中のDMT-セリノール(H)(1)(10g、25.4mmol)溶液を、攪拌混合物に添加した。1時間後、LCMSにより、良好な変換が示された。反応混合物を真空中で濃縮した。残渣をEtOAc中に溶解して、続いて水(2回)及び食塩水で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させて、濾過して、減圧下で濃縮した。残渣を、カラムクロマトグラフィ(CH2Cl2+1% Et3N中に3% MeOH、シリカ700g)で更に精製した。生成物含有画分をプールして、濃縮して、CH2Cl2(2回)で落として(stripped)、オフホワイト色の泡状物としてDMT-セリノール(GalNAc)(3)10.6g(51%)を得た。
【0414】
DMT-セリノール(GalNAc)-CEP(5)
2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルクロロホスホルアミダイト(4)(5.71ml、25.6mmol)を、ジクロロメタン(乾燥)(150ml)中のDMT-セリノール(GalNAc)(3)(15.0g、17.0mmol)、DIPEA(14.9ml、85mmol)及び4Åのモレキュラーシーブの攪拌混合物に、0℃にてアルゴン雰囲気下で徐々に添加した。反応混合物を0℃で1時間攪拌した。TLCにより、完全な変換が示された。反応混合物を濾過して、真空中で濃縮して、濃厚な油状物を得た。残渣をジクロロメタン中に溶解して、フラッシュクロマトグラフィ(トルエン1% ET3N中に0%~50%アセトン、シリカ220g)で更に精製した。生成物含有画分をプールして、真空中で濃縮した。得られた油状物を、MeCN(2回)で落として、無色DMT-セリノール(GalNAc)-CEP(5)泡状物13.5g(77%)を得た。
【0415】
DMT-セリノール(GalNAc)-サクシネート(6)
DMAP(1.11g、9.11mmol)を、ジクロロメタン(50ml)及びピリジン(50ml)の混合物中のDMT-セリノール(GalNAc)(3)(7.5g、9.11mmol)及び無水コハク酸(4.56g、45.6mmol)の攪拌溶液に、アルゴン雰囲気下で添加した。攪拌の16時間後、反応混合物を真空中で濃縮して、残渣をEtOAc中に溶かして、5%クエン酸(aq)で洗浄した。水性層をEtOAcで抽出した。続いて、併せた有機層を、その後、飽和NaHCO3(aq.)及び食塩水で洗浄して、Na2SO4で乾燥させて、濾過して、真空中で濃縮した。更なる精製は、フラッシュクロマトグラフィ(CH2Cl2+1% ET3N中に0%~5% MeOH、シリカ120g)によって達成された。生成物含有画分をプールして、真空中で濃縮した。残渣をMeCN(3回)で落として、DMT-セリノール(GalNAc)-サクシネート(6)5.9g(70%)を得た。
【0416】
DMT-セリノール(GalNAc)-サクシニル-lcaa-CPG(7)
DMT-セリノール(GalNAc)-サクシネート(6)(1当量)及びHBTU(1.1当量)をCH3CN(10ml)中に溶解した。ジイソプロピルエチルアミン(2当量)を溶液に添加して、混合物を2分間、回旋させた後、自然アミノ-lcaa-CPG(500A、88μmol/g、1当量)を添加した。懸濁液を、wristアクションシェーカー上で、室温で16時間、穏やかに振盪させた後、濾過して、アセトニトリルで洗浄した。固体支持体を、減圧下で2時間乾燥させた。支持体上の未反応のアミンは、Ac2O/2,6-ルチジン/NMIとともに室温で攪拌すること(15分×2回)によってキャップした。支持体の洗浄を上記のように繰り返した。固体を真空下で乾燥させて、DMT-セリノール(GalNAc)-サクシニル-lcaa-CPG(7)(負荷:34μmol/g、脱トリチル化アッセイによって決定)を得た。
【0417】
(実施例7)
オリゴヌクレオチド合成
例となる化合物は、以下に記載される方法及び当業者に既知の方法に従って合成した。オリゴヌクレオチド鎖及びリンカー構成要素の構築は、ホスホルアミダイト方法論を適用した固相合成によって実施された。
【0418】
下流の切断、脱保護及び精製は、当該技術分野で既知の標準的な手順に従った。
【0419】
オリゴヌクレオチド合成は、市販の2'O-メチルRNA及び2'フルオロ-2'デオキシRNA塩基付加CPG個体支持体を使用して、AKTA oligopilot 10で実施され、ホスホルアミダイト(全て、標準的な保護、ChemGenes社、LinkTech社)を使用した。DMT-(S)-セリノール(GalNAc)-サクシニル-lcaa-CPG(7)及びDMT-(S)-セリノール(GalNAc)-CEP(5)の合成を、実施例6に記載する。
【0420】
補助的な試薬は、EMP Biotech社から購入した。合成は、乾燥アセトニトリル(H2O 20ppm未満)中のホスホルアミダイトの0.1M溶液を使用して実施し、ベンジルチオテトラゾール(BTT)を活性化因子として使用した(アセトニトリル中に0.3M)。カップリング時間は10分であった。Cap/OX/Cap又はCap/Thio/Capサイクルが適用された(Cap:Ac2O/NMI/ルチジン/アセトニトリル、酸化剤:ピリジン/H2O中に0.05M I2)。ホスホロチオエートは、市販のアセトニトリル中のチオール化試薬50mM EDITH(Link technologies社)を使用して導入された。DMT切断は、トルエン中の3%ジクロロ酢酸による処理によって達成された。プログラムされた合成サイクルの完了時に、ジエチルアミン(DEA)洗浄を実施した。オリゴヌクレオチドは全て、DMT-offモードで合成した。
【0421】
セリノール(GalNAc)部分の結合は、塩基負荷された(S)-DMT-セリノール(GalNAc)-サクシニル-lcaa-CPG(7)又は(S)-DMT-セリノール(GalNAc)-CEP(5)のいずれかの使用によって達成された。三分岐GalNAcクラスター(ST23/ST43)は、分岐トレブラーアミダイト誘導体(C6XLT-phos)、続くGalNAcアミダイト(ST23-phos)の連続的なカップリングによって導入された。(vp)-mU部分の結合は、最終的な合成サイクルにおける(vp)-mU-phosの使用によって達成された。(vp)-mU-phosは、更なる合成伸長に適したヒドロキシ基を提供せず、したがって、DMT基を保有しない。したがって、(vp)-mU-phosのカップリングは、合成終結をもたらす。
【0422】
ビニルホスホネートをマスキングするメチルエステルの除去に関して、完全に構築されたオリゴヌクレオチドを保有するCPGを、減圧下で乾燥させて、ディスクフリットを備えた固相ペプチド合成用の20mlのPPシリンジ反応器(Carl Roth社)に移した。次に、CPGを、CH2Cl2中のTMSBr 250μl及びピリジン177μLの溶液と、室温で接触させて(0.5ml/μmolの固体支持体結合オリゴヌクレオチド)、反応器をLuerキャップで密封した。反応容器を、15分×2回の期間にわたって少し攪拌して、過剰な試薬を廃棄して、残留CPGを、アセトニトリル10mlで2回洗浄した。更なる下流のプロセシングは、任意の他の例となる化合物から変更しなかった。
【0423】
単鎖を、40%メチルアミン水処理(90分、RT)によってCPGから切断した。得られた粗製オリゴヌクレオチドを、AKTA Pure HPLCシステムで塩化ナトリウム勾配を使用してイオン交換クロマトグラフィ(Resource Q、6ml、GE Healthcare社)によって精製した。生成物含有画分をプールして、サイズ排除カラム(Zetadex、EMP Biotech社)で脱塩して、更なる使用まで凍結乾燥した。
【0424】
最終的な単鎖生成物は全て、AEX-HPLCによって分析して、それらの純度を証明した。各々の単鎖生成物のアイデンティティは、LC-MS分析によって証明した。
【0425】
(実施例8)
二重鎖形成
個々の単鎖を、60 OD/mlの濃度でH2O中に溶解した。個々のオリゴヌクレオチド溶液はともに、反応容器中で一緒に添加した。より容易な反応モニタリングのために、滴定を実施した。260nmでのUV吸収によって決定されるように、第1の鎖を、第2の鎖よりも25%過剰に添加した。反応混合物を80℃に5分間加熱した後、徐々にRTまで冷却した。イオン対形成逆相HPLCによって、二重鎖形成をモニタリングした。残留単鎖のUV面積から、第2の鎖の必要とされる量を算出して、反応混合物に添加した。反応を再び80℃に加熱して、徐々にRTまで冷却した。残留単鎖の10%未満が検出されるまで、この手順を繰り返した。
【0426】
(実施例9)
1mg/kg又は5mg/kgのGalNAcコンジュゲートsiRNAの単回皮下投薬後のマウス肝臓組織におけるC3 mRNA及び血清タンパク質のノックダウンを示すin vivo研究。
8週齢の雌C57BL/6Nマウスを、CHARLES RIVER社、ズルツフェルト、ドイツから入手した。動物実験は、2013年7月のバージョンのthe German Protection of Animals Actの倫理ガイドラインに従って実施した。マウスは、体重に従って4匹のマウスの群に無作為化した。研究の0日目に、動物に、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に溶解した1mg/kg若しくは5mg/kgのsiRNAの単回皮下用量又は対照としてPBSのみを付与した。病理学的見解を伴わずに、マウスの生存度、体重及び挙動を、研究中にモニタリングした。適用前に、4日目、10日目及び14日目に、血清試料を採取した。14日目に、研究を終結させて、動物を安楽死させて、肝臓試料を瞬間凍結させて、更なる分析まで-80℃で保管した。分析に関して、Stratec社のInviTrap Spin Tissue RNA Mini Kitを使用して、製造業者のプロトコールに従って、RNAを単離した。C3及びアクチン特異的なプライマープローブセット及びTakyon(商標)One-Step Low RoxProbe 5X MasterMix dTTPを使用して、Applied Biosystems社のQuantStudio6デバイスで、single-plex 384ウェルフォーマットで、QPCRを実施した。発現の差を、デルタデルタCT法を使用して算出し、PBS対照実験に対して正規化したハウスキーピング遺伝子アクチンに対するC3の相対的な発現を、種々のsiRNAの比較に使用した。EV0107、EV0313及びEV0110は、肝臓C3 mRNAの用量依存的ノックダウンを誘導した。最大達成ノックダウンは、それぞれ、5mg/kgのsiRNAを使用したsiRNA EV0107(57%)及びEV0110(61%)を使用して観察された。結果を
図6Aに示す。図は、GalNAcコンジュゲートsiRNA EV0107、EV0313及びEV0110の単回投薬の14日後に、マウス肝臓における%での相対的なC3 mRNA発現を示す。siRNA二本鎖それぞれを形成する単鎖のアイデンティティ並びにそれらの配列は、説明の最後にある表に見出され得る。データは、棒グラフにおいて平均値±SD(1群当たりn=4)として示される。
【0427】
血清試料を、市販のC3 ELISAキットを使用して分析した。分析は、製造業者のプロトコールに従って実行し、C3血清レベルは、各々の投薬前レベルに対して算出した。結果を
図6Bに示す。図は、5mg/kgのEV0313、EV0110及びEV0107 GalNAcコンジュゲートsiRNAの投薬前、5mg/kgのEV0313、EV0110及びEV0107 GalNAcコンジュゲートsiRNAの投薬後の研究の4日目、10日目及び14日目に採取したマウス血清試料由来の%での相対的なC3タンパク質血清レベルを示す。データは、平均値±SD(1群当たりn=3又は4)として示される。
【0428】
(実施例10)
1nM、10nM及び100nMでの試験したsiRNA-GalNAcコンジュゲートのC3ノックダウン有効性を示す初代培養マウス、ヒト及びカニクイザル肝細胞におけるin vitro研究。
1nM、10nM及び100nMでのGalNAc siRNAコンジュゲートEV0201、EV0203、EV0204、EV0205及びEV0207とのインキュベーション後のC3 mRNAの発現を測定した(
図7)。siRNA配列及び修飾を、Table 3(表4)及びTable 5(表6)に列挙する。マウスキーピング遺伝子アクチンのmRNAレベルは、ハウスキーピング対照として役立った。ヒト及びカニクイザル初代培養肝細胞を、コラーゲンIでコーティングされた96ウェルプレート(Life Technologies社)に、ウェル1つにつき40,000個の細胞の密度で播種した。マウス肝細胞は、ウェル1つにつき25,000個の細胞の密度で播種した。GalNAcコンジュゲートsiRNAは、予め規定した培地において蒔いた直後に、最終siRNA濃度100nM、10nM及び1nMになるように添加した。次に、プレートを、37℃にて5%CO
2雰囲気中で24時間インキュベートした。続いて、細胞を溶解させて、InviTrap RNA Cell HTS96 Kit/C(Stratec社)を使用してRNAを単離した。
【0429】
RNA溶液10μlを、それぞれ、ACTB(Eurogentec社)及びC3(BioTez社、ベルリン、ドイツ)に関するアンプリコンセット/配列を用いて実施される逆転写定量的ポリメラーゼ連鎖反応(RT-qPCR)による遺伝子発現分析に使用した。RT-qPCR反応は、ABI StepOne Plus(Applied Biosystems社、Thermo Fisher Scientific社の一部、マサチューセッツ州、USA)を用いて、RT-PCRに関する標準的なプロトコール(48℃30分、95℃10分、95℃で15秒を40サイクル、その後60℃で1分)を使用して実行した。2-デルタデルタCt法としても既知の比較CT法を使用することによって、データを算出した。siRNA EV0201、EV0203、EV0204、EV0205及びEV0207は、初代培養肝細胞におけるC3 mRNAの用量依存的阻害を示す。
【0430】
(実施例11)
最大10mg/kgのGalNAcコンジュゲート修飾siRNAの単回皮下投薬後のマウス肝臓組織におけるC3 mRNA及び血清タンパク質のノックダウンを示すin vivo研究。
siRNA配列及び修飾を、Table 3(表4)及びTable 5(表6)に列挙する。マウスキーピング遺伝子アクチンのmRNAレベルは、ハウスキーピング対照として役立った。約8週齢の雄C57BL/6Nマウスを、CHARLES RIVER社、ズルツフェルト、ドイツから入手した。動物実験は、動物保護を規制するthe Hungarian Act 1998: XXVIIIの原則(Act 2011 CLVIIIによる最新の修正)を順守して、また動物実験に関するGovernment Decree 40/2013で行った。マウスを4匹のマウスの群に割り当てた。研究の0日目に、動物に、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に溶解した5mg/kg若しくは10mg/kgのsiRNAの単回皮下用量又は対照としてPBSのみを付与した。病理学的見解を伴わずに、マウスの生存度、体重及び挙動を、研究中にモニタリングした。適用前に、4日目、10日目、14日目、21日目、28日目、35日目及び42日目に、血清試料を採取した。14日目及び42日目に、それぞれ群の半分を終結させて、動物を安楽死させて、肝臓試料を瞬間凍結させて、更なる分析まで-80℃で保管した。
【0431】
分析に関して、Stratec社のInviTrap Spin Tissue RNA Mini Kitを使用して、製造業者のプロトコールに従って、RNAを単離した。C3及びアクチン特異的なプライマープローブセット及びTakyon(商標)One-Step Low RoxProbe 5X MasterMix dTTPを使用して、Applied Biosystems社のQuantStudio6デバイスで、single-plex 384ウェルフォーマットで、RT-qPCRを実施した。発現の差を、デルタデルタCT法を使用して算出し、PBS群に対して正規化したハウスキーピング遺伝子アクチンに対するC3の相対的な発現を、種々のsiRNAの比較に使用した。
【0432】
試験したsiRNA全て(EV0201、EV0203、EV0204、EV0205及びEV0207)は、5mg/kg又は10mg/kgの単回用量後の14日後に、C3 mRNA発現を、70%を上回って阻害する(
図8A)。42日後、EV0203、EV0204、EV0205及びEV0207によるC3発現の阻害は依然として、10mg/kgのsiRNA用量で80%を上回るノックダウンであった(
図8B)。
【0433】
C3タンパク質レベル分析に関して、血清試料を、市販のC3 ELISAキットを使用して測定した。分析は、製造業者のプロトコールに従って実行し、C3血清レベル%は、ベースラインでの/適用前の群平均値に対して、また時間が適合したPBS対照群の平均値に対して算出した。C3タンパク質分析に関するデータは、RNA分析からの結果と酷似している(
図9)。EV0203、EV0204、EV0205及びEV0207は、持続性のC3血清減少を誘導することが可能であった。10mg/kgの単回適用の42日後の最大80%の低減が、EV0203に関して得られた(
図9B)。EV0203の更なる用量を、28日実験で試験した(
図9F)。驚くべき低用量の3mg/kgのEV0203が、7日目から少なくとも28日目まで、50%超えて血清C3レベルを低減させることが可能であった。
【0434】
(実施例12)
C3糸球体症のマウス疾患モデルにおいて、EV0203を試験する。C3糸球体症疾患モデルとして使用されるマウスは、補体H因子(Cfh)欠損マウス又はCfhに関してヘテロ接合性のマウスである。動物は、種々の用量のEV0203で、1回又は複数回処理する。C3を含む補体因子の腎臓、肝臓及び血清レベルを、皮下siRNA適用後の異なる時間後に分析する。EV0203による処理後に、C3タンパク質レベルは、血清中で低減されると予測され、C3 mRNAレベルは、肝臓組織において低減されると予測される。処理は、腎臓の少なくとも幾つかの部分において、補体沈着(即ち、C3沈着)の低減をもたらすと予測される。補体B因子及び/又はC3の断片化もまた、減少されると予測される。断片化のこれらの減少は、代替的な経路の活性化の減少に付随して起こると予測される。EV0203による処理はまた、C3糸球体症の2つの重要な症状であるタンパク尿及び血尿を軽減すると予測される。したがって、EV0203は、C3関連疾患に関して、特にC3糸球体症及び/又は少なくともその症状に関して強力な治療であると予測される。
【0435】
記述
下記の記述は、本発明の態様を表す。
【0436】
1.補体成分C3の発現を阻害するための二重鎖核酸であって、該核酸が、第1の鎖及び第2の鎖を含み、該第1の鎖の配列が、配列番号361、95、111、125、131、1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、97、99、101、103、105、107、109、113、115、117、119、121、123、127、129又は133のいずれか1つと、3個以下のヌクレオチドが異なる少なくとも15個のヌクレオチドの配列を含む、核酸。
【0437】
2.(a)第1の鎖の配列が、Table 1(表3)の第1の鎖の配列のいずれか1つと、3個以下のヌクレオチドが異なる少なくとも18個のヌクレオチドの配列を含み、任意選択で、第2の鎖の配列が、表の同じ行の第2の鎖の配列と、3個以下のヌクレオチドが異なる少なくとも18個のヌクレオチドの配列を含むか、
(b)第1の鎖の配列が、Table 1(表3)の第1の鎖の配列のいずれか1つと、1個以下のヌクレオチドが異なる少なくとも18個のヌクレオチドの配列を含み、任意選択で、第2の鎖の配列が、表の同じ行の第2の鎖の配列と、1個以下のヌクレオチドが異なる少なくとも18個のヌクレオチドの配列を含むか、
(c)第1の鎖の配列が、Table 1(表3)の第1の鎖の配列のいずれか1つの少なくとも18個のヌクレオチドの配列を含み、任意選択で、第2の鎖の配列が、表の同じ行の第2の鎖の配列の少なくとも18個のヌクレオチドの配列を含むか、又は
(d)第1の鎖の配列が、Table 1(表3)の第1の鎖の配列のいずれか1つからなり、任意選択で、第2の鎖の配列が、表の同じ行の第2の鎖の配列の配列からなり、
Table 1(表3)は、下記:
【0438】
【0439】
【0440】
【0441】
である、記述1に記載の核酸。
【0442】
3.第1の鎖の配列が、配列番号361の配列を含み、任意選択で、第2の鎖の配列が、配列番号112の配列の少なくとも15個のヌクレオチドの配列を含むか、又は第1の鎖の配列が、配列番号95の配列を含み、任意選択で、第2の鎖の配列が、配列番号96の配列の少なくとも15個のヌクレオチドの配列を含むか、又は第1の鎖の配列が、配列番号125の配列を含み、任意選択で、第2の鎖の配列が、配列番号126の配列の少なくとも15個のヌクレオチドの配列を含むか、又は第1の鎖の配列が、配列番号131の配列を含み、任意選択で、第2の鎖の配列が、配列番号132の配列の少なくとも15個のヌクレオチドの配列を含む、上述の記述のいずれか1つに記載の核酸。
【0443】
4.医薬としての使用のための補体成分C3の発現を阻害することが可能な二重鎖核酸。
【0444】
5.第1の鎖及び第2の鎖が、別々の鎖であり、それぞれ18ヌクレオチド長~25ヌクレオチド長である、上述の記述のいずれか1つに記載の核酸。
【0445】
6.第1の鎖及び第2の鎖が、17ヌクレオチド長~25ヌクレオチド長の二本鎖領域を形成する、上述の記述のいずれか1つに記載の核酸。
【0446】
7.二本鎖領域が、17個~25個の連続したヌクレオチド塩基対からなる、上述の記述のいずれか1つに記載の核酸。
【0447】
8.a)両方の末端で平滑末端であるか、
b)一方の末端でオーバーハングを有し、他方の末端で平滑末端を有するか、又は
c)両方の末端でオーバーハングを有する、
上述の記述のいずれか1つに記載の核酸。
【0448】
9.siRNAである、上述の記述のいずれか1つに記載の核酸。
【0449】
10.RNA干渉を媒介する、上述の記述のいずれか1つに記載の核酸。
【0450】
11.第1及び/又は第2の鎖の少なくとも1個のヌクレオチドが、修飾ヌクレオチドである、上述の記述のいずれか1つに記載の核酸。
【0451】
12.第1の鎖の少なくともヌクレオチド2及びヌクレオチド14が、第1の修飾によって修飾され、ヌクレオチドが、第1の鎖の5'末端にあるヌクレオチド番号1に始まって連続して番号付けされる、上述の記述のいずれか1つに記載の核酸。
【0452】
13.第1の鎖の偶数に付番されたヌクレオチドそれぞれが、第1の修飾によって修飾され、ヌクレオチドが、第1の鎖の5'末端にあるヌクレオチド番号1に始まって連続して番号付けされる、上述の記述のいずれか1つに記載の核酸。
【0453】
14.第1の鎖の奇数に付番されたヌクレオチドが、第2の修飾によって修飾され、第2の修飾が、第1の修飾と異なる、記述12又は13に記載の核酸。
【0454】
15.第1の鎖の偶数に付番されたヌクレオチドに相当する位置における第2の鎖のヌクレオチドが、第3の修飾によって修飾され、第3の修飾が、第1の修飾と異なる、記述12~14に記載の核酸。
【0455】
16.第1の鎖の奇数に付番されたヌクレオチドに相当する位置における第2の鎖のヌクレオチドが、第4の修飾によって修飾され、第2の修飾及び/又は第3の修飾が存在する場合、第4の修飾が、第2の修飾と異なり、また第3の修飾と異なる、記述12~15に記載の核酸。
【0456】
17.第1の鎖のヌクレオチド11又はヌクレオチド13又はヌクレオチド11及び13又はヌクレオチド11~13に相当する位置おける第2の鎖のヌクレオチド(単数/複数)が、第4の修飾によって修飾され、好ましくは、第4の修飾によって修飾されない第2の鎖のヌクレオチドが、第3の修飾によって修飾される、記述12~14に記載の核酸。
【0457】
18.第1の修飾及び第4の修飾の両方が核酸中に存在する場合、第1の修飾が、第4の修飾と同じであり、好ましくは、第2の修飾及び第3の修飾の両方が核酸中に存在する場合、第2の修飾が、第3の修飾と同じである、記述12~17に記載の核酸。
【0458】
19.第1の修飾が、2'-F修飾であり、第2の修飾が、核酸中に存在する場合、好ましくは2'-OMe修飾であり、第3の修飾が、核酸中に存在する場合、好ましくは2'-OMe修飾であり、第4の修飾が、核酸中に存在する場合、好ましくは2'-F修飾である、記述12~18に記載の核酸。
【0459】
20.第1の鎖及び第2の鎖のヌクレオチドそれぞれが、修飾ヌクレオチドである、上述の記述のいずれか1つに記載の核酸。
【0460】
21.第1の鎖が、その5'末端に末端5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドを有し、末端5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドが、好ましくは、第1の鎖における第2のヌクレオチドに、ホスホジエステル結合によって連結される、先の記述のいずれか1つに記載の核酸。
【0461】
22.核酸が、第1及び/又は第2の鎖の末端の2個又は3個の3'ヌクレオチド及び/又は5'ヌクレオチド間にホスホロチオエート結合を含み、好ましくは、残存するヌクレオチド間の結合は、ホスホジエステル結合である、上述の記述のいずれか1つに記載の核酸。
【0462】
23.第1の鎖の3'末端にある2個、3個若しくは4個の末端ヌクレオチドのそれぞれの間にホスホロジチオエート結合を含み、並びに/或いは第2の鎖の3'末端にある2個、3個若しくは4個の末端ヌクレオチドのそれぞれの間にホスホロジチオエート結合を、及び/又は第2の鎖の5'末端にある2個、3個若しくは4個の末端ヌクレオチドのそれぞれの間にホスホロジチオエート結合を含み、第1の鎖の5'末端にある2個、3個若しくは4個の末端ヌクレオチドの間にホスホロジチオエート結合以外の結合を含む、記述1~21のいずれか1つに記載の核酸。
【0463】
24.ホスホロジチオエート結合がその末端に存在しない場合、第1の鎖上の3個の末端3'ヌクレオチドのそれぞれの間、及び/若しくは3個の末端5'ヌクレオチドのそれぞれの間、並びに/又は第2の鎖上の3個の末端3'ヌクレオチドのそれぞれの間及び/若しくは3個の末端5'ヌクレオチドのそれぞれの間にホスホロチオエート結合を含む、記述23に記載の核酸。
【0464】
25.第1の鎖の3'末端にある2個の末端ヌクレオチド間の結合並びに第2の鎖の3'末端及び5'末端にある2個の末端ヌクレオチド間の結合以外の両方の鎖のヌクレオチド間の結合全てが、ホスホジエステル結合である、記述23に記載の核酸。
【0465】
26.リガンドにコンジュゲートされる、上述の記述のいずれか1つに記載の核酸。
【0466】
27.リガンドが、(i)1つ又は複数のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分又はその誘導体、及び(ii)リンカーを含み、リンカーが、少なくとも1つのGalNAc部分又はその誘導体を、核酸にコンジュゲートする、記述26に記載の核酸。
【0467】
28.式(II):
[S-X1-P-X2]3-A-X3- (II)
(式中、
Sは、糖類を表し、好ましくは、糖類は、N-アセチルガラクトサミンであり、
X1は、C3~C6アルキレン又は(-CH2-CH2-O)m(-CH2)2-(式中、mは、1、2又は3である)を表し、
Pは、ホスフェート又は修飾ホスフェート、好ましくはチオホスフェートであり、
X2は、アルキレン又は式(-CH2)n-O-CH2-(式中、n=1~6)のアルキレンエーテルであり、
Aは、分岐単位であり、
X3は、架橋性単位を表し、
ここで、記述1~27のいずれかにおいて規定されるような核酸が、ホスフェート又は修飾ホスフェート、好ましくはチオホスフェートによりX3にコンジュゲートされる)
の化合物を含むリガンドにコンジュゲートされる、記述1~27のいずれか1つに記載の核酸。
【0468】
29.核酸の第1の鎖が、式(V):
【0469】
【0470】
(式中、bは、0又は1である)
の化合物であり、第2の鎖は、式(VI):
【0471】
【0472】
(式中、
c及びdは独立して、0又は1であり、
Z1及びZ2はそれぞれ、核酸の第1及び第2の鎖であり、
Yは独立して、O又はSであり、
nは独立して、O、1、2又は3であり、
L1は、リガンドが結合されるリンカーであり、ここで、L1は、式(V)及び式(VI)において、同じであるか、又は異なり、L1が、同じ式内に1つより多く存在する場合、式(V)及び式(VI)内で、同じであるか、又は異なり、
b+c+dは、2又は3である)
の化合物である、記述1~27のいずれか1つに記載の核酸。
【0473】
30.先の記述のいずれか1つに記載の核酸及び送達ビヒクル及び/又は生理学的に許容可能な賦形剤及び/又は担体及び/又は希釈剤及び/又は緩衝液及び/又は防腐剤を含む組成物。
【0474】
31.記述1~29のいずれか1つに記載の核酸並びにオリゴヌクレオチド、小分子、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体及びペプチドを含む群から選択される更なる治療剤を含む組成物。
【0475】
32.医薬としての使用のための記述1~3若しくは記述5~29のいずれか1つに記載の核酸又は記述30若しくは31に記載の組成物。
【0476】
33.疾患、障害若しくは症候群の防止、疾患、障害若しくは症候群を患うリスクの減少、又は疾患、障害若しくは症候群の治療における使用のための記述1~29のいずれか1つに記載の核酸又は記述30~32のいずれか1つに記載の組成物。
【0477】
34.疾患、障害又は症候群が、補体媒介性の疾患、障害又は症候群である、記述33に記載の核酸又は組成物。
【0478】
35.疾患、障害又は症候群が、補体経路の異常活性化及び/若しくは過剰活性化と、及び/又はC3の過剰発現若しくは異所発現若しくは局在化若しくは蓄積と関連付けられる、記述33又は34に記載の核酸又は組成物。
【0479】
36.疾患、障害又は症候群は、
a)C3糸球体症(C3G)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、ループス腎炎、IgA腎症(IgA N)、原発性膜性腎症、免疫複合体媒介性糸球体腎炎(IC媒介性GN)、感染後糸球体腎炎(PIGN)、全身性エリテマトーデス(SLE)、虚血再灌流傷害、加齢黄斑変性(AMD)、関節リウマチ(RA)、抗好中球細胞質自己抗体関連血管炎(ANCA-AV)、ディスバイオシス歯周病、マラリア貧血及び敗血症を含む群から選択されるか、
b)C3糸球体症(C3G)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、ループス腎炎、IgA腎症(IgA N)及び原発性膜性腎症を含む群から選択されるか、又は
c)C3糸球体症(C3G)
である、記述33~35のいずれか1つに記載の核酸又は組成物。
【0480】
37.疾患、障害若しくは症候群の防止、疾患、障害若しくは症候群を患うリスクの減少、又は疾患、障害若しくは症候群の治療における記述1~29のいずれか1つに記載の核酸又は記述30~31のいずれか1つに記載の組成物の使用であって、前記疾患、障害若しくは症候群が、好ましくは、C3糸球体症(C3G)である、使用。
【0481】
38.薬学的に有効な用量の、記述1~29若しくは記述32~36のいずれか1つに記載の核酸又は記述30~36のいずれか1つに記載の組成物を、治療を必要とする個体に投与する工程を含む、疾患、障害若しくは症候群を防止するか、疾患、障害若しくは症候群を患うリスクを減少させるか、又は疾患、障害若しくは症候群を治療する方法であって、好ましくは、核酸又は組成物が、対象に、皮下的に、静脈内に、又は経口投与、直腸投与、又は腹腔内投与により投与される、方法。
【0482】
まとめの表
【0483】
【0484】
【0485】
【0486】
上記の略記の表に示すような略記が、本明細書中で使用され得る。略記のリストは、網羅的ではない可能性があり、更なる略記及びそれらの意味が、本文書全体にわたって見出され得る。
【0487】
【0488】
【0489】
【0490】
【0491】
【0492】
【0493】
【0494】
【0495】
【0496】
【0497】
【0498】
【0499】
【0500】
【0501】
【0502】
【0503】
【配列表】
【国際調査報告】