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特表2022-509819揮発性有機化合物を実質的に含まない、ポリウレタン層を有する複合構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-24
(54)【発明の名称】揮発性有機化合物を実質的に含まない、ポリウレタン層を有する複合構造体
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/40 20060101AFI20220117BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20220117BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20220117BHJP
   C08G 18/83 20060101ALI20220117BHJP
   B32B 5/24 20060101ALI20220117BHJP
   D06N 3/14 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
B32B27/40
C08G18/00 C
C08G18/10
C08G18/83 030
B32B5/24 101
D06N3/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021529753
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(85)【翻訳文提出日】2021-07-26
(86)【国際出願番号】 NL2019050793
(87)【国際公開番号】W WO2020111945
(87)【国際公開日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】2022103
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501236847
【氏名又は名称】シュタール インタナショナル ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マルティヌス・ヨハンネス・ファン・デン・ベルフ
(72)【発明者】
【氏名】リック・アンドレアス・ルイス・ヤンセン
(72)【発明者】
【氏名】マールテン・ヤスペルス
(72)【発明者】
【氏名】マルク・ダニング
(72)【発明者】
【氏名】リューク・ランベルトゥス・クリスティナ・オライフェ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・ヴィレム・モメルス
(72)【発明者】
【氏名】ワウテル・ゴトフリードゥス・アントニウス・フェルミューレン
【テーマコード(参考)】
4F055
4F100
4J034
【Fターム(参考)】
4F055AA01
4F055AA03
4F055AA21
4F055BA13
4F055BA19
4F055CA05
4F055DA08
4F055EA01
4F055EA22
4F055EA23
4F055EA30
4F055FA05
4F055FA08
4F055FA10
4F055FA15
4F055FA37
4F055GA03
4F055GA11
4F055GA32
4F100AH03B
4F100AK03B
4F100AK15B
4F100AK51B
4F100AT00
4F100CB02B
4F100CC02E
4F100DG11A
4F100DG12A
4F100DJ03B
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4F100EH112
4F100EH462
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4F100GB33
4F100GB71
4F100JC00
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4J034CA13
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4J034CD09
4J034DA01
4J034DB01
4J034DB03
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4J034DB07
4J034DF02
4J034DG03
4J034DG04
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4J034HA07
4J034HA14
4J034HC03
4J034HC22
4J034HC46
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4J034HC61
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA42
4J034JA43
4J034LB10
4J034QB17
4J034QC03
4J034RA03
4J034RA12
(57)【要約】
本発明は、揮発性有機化合物(VOC)を実質的に含まない、1つまたは複数のポリウレタン層を有する複合構造体に関する。さらに、本発明は、こうした複合構造体の製造方法に関する。さらに、本発明は、こうした複合構造体の、特に人工皮革としての使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3つ以上の層を含み、そのうち少なくとも2つの層がポリウレタンをベースとする複合構造体であって、前記層は、1)支持層、2)ポリウレタン分散物をベースとする接着層、3)ポリウレタンをベースとするスキン層、4)任意の、ポリウレタン分散物であってもよいポリウレタンをベースとするプレスキン層、及び5)任意の、ポリウレタン分散物及び/またはポリアクリレート分散物をベースとするラッカー層であり、前記層の各々が、揮発性有機化合物を実質的に含まない組成物から形成される、複合構造体。
【請求項2】
支持層が、織物支持層、またはPVC、ポリオレフィン、もしくはポリウレタンフォーム製の支持層である、請求項1に記載の複合構造体。
【請求項3】
ラッカー層が、例えばポリイソシアネートまたはポリカルボジイミドで架橋されている、請求項1または2に記載の複合構造体。
【請求項4】
スキン層がポリウレタン分散物製でない、請求項1から3のいずれか1項に記載の複合構造体。
【請求項5】
スキン層が、ポリイソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーと、固形材料である反応性水素を含有する化合物と、任意の起泡剤とを含むポリウレタン製剤から製造され、前記反応性水素含有化合物が、好ましくは、ポリヒドラジド、ポリセミカルバジド、ポリスルホニルヒドラジド、またはカルボジヒドラジドであり、前記反応性水素含有化合物が、粉砕され、且つ反応性水素含有化合物に対して非反応性である材料中に分散されている、請求項4に記載の複合構造体。
【請求項6】
スキン層がアクリル樹脂を含まない、請求項1から5のいずれか1項に記載の複合構造体。
【請求項7】
ラッカー層が、ポリアクリレートダラー、ポリウレタンダラー、シリカダラー、シリコーン系ダラー、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の複合構造体。
【請求項8】
接着層を形成するための、または任意のプレスキン層を形成するためのポリウレタン分散物が、50wt%以上の固形分を有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の複合構造体。
【請求項9】
接着層を形成するための、または任意のプレスキン層を形成するためのポリウレタン分散物が、中和剤、例えば、無機塩基または不揮発性第三級アミンまたはこれらの組み合わせを含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の複合構造体。
【請求項10】
各層を形成するための組成物の各々が、1000ppm未満のVOC含量を有する、請求項1から9のいずれか1項に記載の複合構造体。
【請求項11】
複合構造体の全ての層を製造するために使用される成分中のVOCの総量が、1000ppm未満である、請求項1から10のいずれか1項に記載の複合構造体。
【請求項12】
複合構造体中のVOCの総量が、VDA-277法に従って測定され、アセトン当量で再計算した場合に、100ppm未満である、請求項1から11のいずれか1項に記載の複合構造体。
【請求項13】
複合構造体中のVOCの量が、VDA-278法に従って測定され、トルエン当量で再計算した場合に、500ppm未満である、請求項1から12のいずれか1項に記載の複合構造体。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の複合構造体を製造する方法であって、
a)揮発性有機化合物を実質的に含まないポリウレタン分散物を、担体、例えば剥離紙に、0.05から0.15mmの厚さにコーティングし、乾燥によりプレスキン層を形成する工程;
b)プレスキン層に、揮発性有機化合物を実質的に含まないポリウレタン組成物をコーティングし、その後、150から170℃の温度で熱硬化させてスキン層を形成する工程;
c)揮発性有機化合物を実質的に含まないポリウレタン分散物である接着剤を、スキン層に0.01から0.15mmの厚さにコーティングし、その上に支持体、例えば布地を接着させ、次いで60から90℃で乾燥させ、100から130℃で硬化させる工程;
d)担体を剥離する工程;及び
e)揮発性有機化合物を実質的に含まないポリウレタン分散物及び/またはポリアクリレート分散物からなるラッカー層を、プレスキン層の上に任意に塗布し、その後乾燥させる工程;
を含む、方法。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか1項に記載の複合構造体を製造する方法であって、
a)担体、例えば剥離紙に、揮発性有機化合物を実質的に含まないポリウレタン組成物を0.1から0.4mmの厚さにコーティングし、その後、150から170℃の温度で熱硬化させてスキン層を形成する工程;
b)揮発性有機化合物を実質的に含まないポリウレタン分散物である接着剤を、スキン層に0.01から0.15mmの厚さでコーティングし、その上に支持体、例えば布地を接着させ、次いで60から90℃で乾燥させ、100から130℃で硬化させる工程;
c)担体を剥離する工程、及び
d)揮発性有機化合物を実質的に含まないポリウレタン分散物及び/またはポリアクリレート分散物からなるラッカー層を、スキン層の上に任意に塗布し、その後乾燥させる工程;
を含む、方法。
【請求項16】
請求項1から13のいずれか1項に規定の複合構造体の人工皮革または装飾内装材としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性有機化合物(VOC)を実質的に含まない、2つ以上のポリウレタン層を有する複合構造体に関する。さらに、本発明は、こうした複合構造体の製造方法に関する。さらに、本発明は、こうした複合構造体の、特に人工皮革としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
複合構造体とは、著しく異なる物理的または化学的特性を有し、組み合わせると個々の成分とは異なる特性を有する材料をもたらす2つ以上の構成材料から製造され、また、複合構造体の特性は、多くの場合に個々の成分の特性よりも優れている。個々の成分は完成した構造体の中で分離し、別個のままであることから、複合体は混合物及びや固溶体とは異なる。複合構造体の重要な例は、人工皮革であり、これは模造皮革または合成皮革とも呼称される。人工皮革は、皮革の代替品として、皮革様の仕上がりが必要であるものの実際の皮革では費用がかかりすぎるか不適切である、家具製造、衣類、靴、及び他の用途の分野で使用される。人工皮革は、通常は複数の層からなる柔軟な複合材料であり、最上層は摩耗及び衝撃から保護するためのポリマー層であり、これが外観を決定し、また、支持層は通常は織物、またはPVC、ポリオレフィン、もしくはポリウレタンなどの材料であり、これが人工皮革に機械的強度を与える。人工皮革は、天然皮皮革を代替する経済的かつ多機能な方法を提供する。基材、例えば織物または不織布の表面のポリウレタン層を含む人工皮革は、長年に亘り広く使用されている。こうした人工皮革には、防汚性、耐水性、柔軟性、耐摩耗性、及び非粘着性などの品質が求められ、また、しばしば表面摩擦係数が低いことも求められる。
【0003】
これまで、人工皮革の製造においては、溶剤、共溶剤、または別の揮発性有機成分を含む成分が使用されてきた。VOCを含まない人工皮革を得るための方法は、KR101565376に記載のように、人工皮革を高温で長期間エイジングさせることによる後処理である。VOCの放出試験に合格するための別の方法は、CN107794775に記載のように、人工皮革を構成する様々な層に吸収剤を添加すること、あるいは、CN105297462に記載のように、人工皮革を構成する様々な層にVOC防止粒子を添加することである。低VOCの人工皮革を得るための別の方法は、US9574072のような、ブロック化ハイソリッド樹脂を適用することであるが、硬化工程の間にブロック化剤がコーティング内に部分的に捕捉されて残る可能性があり、かくして得られる人工皮革が一定量のブロック化剤を依然含み、よって一定量のVOCを依然として含むという問題が残っている。
【0004】
US2015/354133は、低いVOCレベルを有する合成皮革に関し、(a)布地、(b)界面活性剤を含む水性ポリウレタン分散物から誘導されるポリウレタンフォーム、及び(c)湿潤剤及びアクリルポリマー及び任意のポリウレタン分散物を含むスキン層を含む多層構造について記載している。耐摩耗性を付与するための追加の仕上げ層を、スキン層の上に設けることができる。前記多層構造を製造するための水性ベースの方法は、布地上にコーティングされたポリウレタンフォームを提供する工程、このフォームを、スキン層を挟んで剥離紙に貼り付ける工程、及び剥離紙を除去する工程を含む。
【0005】
KR2017/0119141もまた低VOCレベルを有する合成皮革に関し、スキン層としての水分散ポリウレタン及び接着層としての無溶剤2液型ポリウレタンを含む3層構造を記載している。しかしながら、スキン層の無溶剤ポリウレタン分散物には、塩基として揮発性アミンが含まれる。この製造方法は、ポリウレタン水性分散物を剥離紙に塗布する工程及びこれを乾燥させてスキン層を形成する工程の後、無溶剤二液型ポリウレタン接着剤を前記スキン層の表面に塗布して乾燥させる工程、次いでベース層を接着層に積層し、最終的に剥離紙を除去する工程を含む。
【0006】
人工皮革にVOCが存在することは望ましくない。なぜなら、人工皮革の寿命中にこのVOCが放出されると、人をVOCにさらしかねず、特に人工皮革が自動車の内装のような狭い空間で使用される場合には、頭痛、吐き気、疲労などを引き起こしかねない。さらに、いくつかの国では、企業が一定期間に放出してよいVOCの量を制限する法律が制定されており、このこともVOCの量を削減しようとする動機となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】KR101565376
【特許文献2】CN107794775
【特許文献3】CN105297462
【特許文献4】US9574072
【特許文献5】US2015/354133
【特許文献6】KR2017/0119141
【特許文献7】EP1233991
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、VOCレベルがゼロであるかまたは非常に低い人工皮革として使用することができるポリウレタンベースの1つ以上の層を含む複合構造体を、特別な成分を添加することなく、あるいは製造後に複合体の後処理をすることなく、また複合体の他の特性を損なうことなく、提供することである。本発明のさらに別の目的は、前記複合構造体を製造するための適切な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、複合体の各構成層に、それ自体がVOCを含まない樹脂及びポリマー混合物を使用することによって達成される。したがって、複合構造体の製造中及び使用中にVOCが放出されることはなく、同時に、得られる複合構造体はその他の全ての特性を満足のいくレベルで維持する。
【0010】
したがって、本発明は、実質的にVOCを含まず、3つ以上の層を含み、そのうち少なくとも2つの層がポリウレタンをベースとする複合構造体であって、前記層は、1)支持層、2)ポリウレタン分散物をベースとする接着層、3)ポリウレタンをベースとするスキン層、4)任意の、ポリウレタン分散物であってもよいポリウレタンをベースとするプレスキン層、及び5)任意の、ポリウレタン分散物及び/またはポリアクリレート分散物をベースとするラッカー層であり、前記層の各々が、揮発性有機化合物を実質的に含まない組成物から形成される、複合構造体を提供する。
【0011】
本発明の文脈において、VOCなる語は、その高い蒸気圧及び低い沸点のために空気中に素早く蒸発する有機化合物を意味し、VOCとは、欧州指令2004/42/ECに従う101.3kPaの標準圧力で測定して、250℃以下の初期沸点を有するあらゆる有機化合物とみなされる。こうした複合構造体の製造過程で通常使用されるVOCとして、様々な溶剤、共溶剤、及び揮発性アミンを挙げることができ、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、1-エチル-2-ピロリドン、1-メチル-2-ピロリドン、トリメチルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、N,N-ジエチルエタノールアミン、4-エチルモルホリンがある。
【0012】
本発明の文脈において、実質的にVOCを含まない組成物なる語は、複合構造体の各層を製造するために使用される組成物中のVOCの量が1000ppm以下、好ましくは500ppm以下、より好ましくは200ppm以下であることを意味する。本発明の文脈において、実質的にVOCを含まない複合構造体とは、VDA-277法に従って測定される複合構造体中のVOCの総量が、100ppm未満、好ましくは50ppm未満、より好ましくは30ppm未満であることを意味し、ここではVOCの総量はアセトン当量として再計算されており、VDA-278法に従って測定される複合構造体中のVOCの総量が、500ppm以下、好ましくは400ppm以下、より好ましくは300ppm以下であることを意味し、ここではVOCの総量はトルエン当量として再計算されている。アセトン当量及びトルエン当量への再計算は、VOC総量を1つのまとまった数値で報告できるようにするために行われ、他の成分は、測定における反応の強度がそれぞれアセトン及びトルエンのそれと同じであるかのように扱われる。これは、検出される全成分の検量線を測定することは不可能であることから、アセトン、トルエンの検量線を用いて他の成分の量を導き出すためである。その後これらをすべて合計して、1回の測定につき1つの値とする。
【0013】
本発明の主な利点は、本発明の複合構造体が、実質的にVOCを含まない人工皮革の実現のために、残留VOCを除去するための長期間のエイジングを要することなく、VOCを吸収するための吸着剤を必要とすることなく、実質的にVOCを含まないことである。
【0014】
本発明の複合構造体は、実質的にVOCを含まないだけでなく、VDA278法に従って測定した凝縮性物質の含有量(FOG値)が低く、ここで検出可能なFOG範囲は、テトラデカン(C14)からドトリアコンタン(C32)までの沸点/溶出範囲内の物質のものである。これは本発明の別の利点である。
【0015】
本発明の文脈において、ポリウレタンなる語は、ポリウレタンに次いで、ポリウレア、ポリイソシアヌレート、イソシアヌレート変性ポリウレタン、及び別の誘導体、例えば、カルボジイミド、アロホネート、ビウレット、ウレトイミンなどによって変性されたポリウレタンをさらに含むことを意味する。
【0016】
本複合構造体の支持層は、好ましくは、織物支持層、またはPVC、ポリオレフィン、ポリウレタンフォーム製の支持層である。
【0017】
本複合構造体の接着層は、実質的に(水以外の)溶媒、特に揮発性溶媒を含まず、実質的に揮発性アミンを含まないポリウレタン分散物に基づく。
【0018】
本発明の複合構造体のスキン層は、実質的に(揮発性)溶剤を含まないポリウレタン組成物をベースとする。本発明の好ましい実施態様においては、前記スキン層は、ポリウレタン分散物をベースとしない。本発明の好ましい実施態様では、前記ポリウレタンスキン層は、ポリイソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマーと固体材料である反応性水素含有化合物と任意に起泡剤とを含む低溶媒または無溶媒のポリウレタン製剤に基づき、前記反応性水素含有化合物は、好ましくはポリヒドラジド、ポリセミカルバジド、ポリスルホニルヒドラジド、またはカルボジヒドラジドであり、反応性水素を含有する化合物は粉砕され、また反応性水素を含有する化合物に対して非反応性の材料中に分散されている。前記ポリイソシアネート官能性ポリウレタンプレポリマー及び前記反応性水素含有化合物は、前記製剤中に、好ましくは0.5から1.5の化学量論的比率で、より好ましくは0.9から1.1の比率で存在する。前記製剤は常温で少なくとも1日は安定であり、常温で層として塗布した後、上記化合物を80から200℃で1から10分間反応させる。こうした低溶剤または無溶剤のポリウレタン組成物及びこれらを基材に塗布する方法は、EP1233991に記載されており、これは参照により本明細書中に援用することとする。ポリウレタン分散物に基づくスキン層よりも、こうしたポリウレタン組成物に基づくスキン層を使用する利点は、前記組成物は、より厚く適用することができ、乾燥後の厚さが湿潤厚さと本質的に同等であることである。ポリウレタン分散物を用いた場合には、層の厚さに上限があり、また、乾燥厚さは湿潤厚さよりも格段に薄くなる。本発明の組成物のスキン層は、一般的に100ミクロンから400ミクロンの厚さを有しており、これは上述のようなポリウレタン組成物を用いて1回の動作で塗布することができる。仮にポリウレタン分散物をスキン層に使用するならば、スキン層の1回の動作によるコーティングで得られる最大の厚さは、湿潤ポリウレタン分散物の150ミクロンであり、これは、ポリウレタン分散物の固形分レベルに応じて約50から90ミクロンの乾燥厚さをもたらす。しかるに、しばしば必要とされる厚さである200から400ミクロンの乾燥スキン層の合計厚さを望む場合、期待されるスキン層の厚さを得るためには数回のコーティング動作
が必要となるが、これには、手間がかかり、さらなるコストが嵩む。
【0019】
本発明の好ましい実施態様では、スキン層はアクリル樹脂をベースにしておらず、特に主なバインダーとしては含んでもいない。ポリウレタンが、本発明の複合構造体のスキン層に、アクリルに代えて使用される。アクリル樹脂よりもポリウレタンが有利であるのは、ポリウレタンが、特に低温、例えば-10℃から-30℃でアクリル樹脂よりも高い柔軟性を有する点、さらに、十分な柔軟性を保持しつつポリウレタンにはより多量のフィラーを添加することができる点である。
【0020】
本複合構造体の任意のプレスキン層は、ポリウレタンをベースとしており、これは実質的に(水以外の)(揮発性)溶剤を含まず、実質的に揮発性のアミンを含まないポリウレタン分散物であってよい。
【0021】
本複合構造体の任意のラッカー層は、実質的に(揮発性)溶剤を含まず、且つ実質的に揮発性アミンを含まず、且つ任意に艶消し剤、流動剤、触覚剤(haptic agent)、顔料、または染料を含んでいてよい、ポリウレタン分散物及び/またはポリアクリレート分散物をベースとする。ラッカー層は、ポリアクリレートダラー、ポリウレタンダラー、シリカダラー、シリコーン系ダラー、またはこれらのいずれかの組み合わせを含んでいてよい。ラッカー層はまた、例えば、ポリイソシアネートまたはポリカルボジイミドで架橋されていてよい。
【0022】
本発明の第2の態様によれば、それ自体が既に実質的にVOCを含まない成分を用いて複合構造体を製造する方法も提供される。 本発明の複合構造体を製造するための好ましい方法は、いわゆるリバースコーティングによるものである。
【0023】
一実施態様によれば、この方法は、
a)実質的に(揮発性)溶剤を含まず、且つ実質的に揮発性アミンを含まないポリウレタン分散物であってよいポリウレタンを、担体、例えば剥離紙に、0.05から0.15mmの厚さにコーティングし、乾燥によりプレスキン層を形成する工程;
b)プレスキン層に、実質的に(揮発性)溶剤を含まず、且つ好ましくはEP1233991に記載の方法により製造されたポリウレタン層を、0.1から0.4mmの厚さでコーティングし、その後、150から170℃の温度で熱硬化させてスキン層を形成する工程;
c)実質的に(揮発性)溶剤を含まず、且つ実質的に揮発性アミンを含まないポリウレタン分散物である接着剤を、スキン層に、0.01から0.15mmの厚さにコーティングし、その上に支持体、例えば布地を接着させ、次いで60から90℃で乾燥させ、100から130℃で硬化させる工程;
d)担体を剥離する工程;及び
e)任意に、プレスキン層の上にラッカー層を塗布し、その後ラッカー層を乾燥させる工程であって、前記ラッカー層が、実質的に(揮発性)溶剤を含まず、且つ実質的に揮発性アミンを含まず、且つ任意に艶消し剤、流動剤、触覚剤、顔料、または染料をさらに含むポリウレタン分散物及び/またはポリアクリレート分散物から製造される工程;
を含む。
【0024】
別の実施態様では、この方法は、
a)担体、例えば剥離紙に、実質的に(揮発性)溶剤を含まず、且つ好ましくはEP1233991に記載の方法により製造されたポリウレタン層を、0.1から0.4mmの厚さでコーティングし、その後、150から170℃の温度で熱硬化させてスキン層を形成する工程;
b)実質的に(揮発性)溶剤を含まず、且つ実質的に揮発性アミンを含まないポリウレタン分散物である接着剤を、スキン層に、0.01から0.15mmの厚さでコーティングし、その上に支持体、例えば布地を接着させ、次いで60から90℃で乾燥させ、100から130℃で硬化させる工程;
c)担体を剥離する工程;及び
d)任意に、スキン層の上にラッカー層を塗布し、その後ラッカー層を乾燥させる工程であって、前記ラッカー層が、実質的に(揮発性)溶剤を含まず、且つ実質的に揮発性アミンを含まず、且つ任意に艶消し剤、流動剤、触覚剤、顔料、または染料をさらに含むポリウレタン分散物及び/またはポリアクリレート分散物から製造される工程;
を含む。
【0025】
接着層と任意のプレスキン層と任意のラッカー層に使用されるポリウレタン分散物が、実質的に(揮発性)有機溶剤を含まず、実質的に揮発性アミンを含まず、また実質的にその他のVOCを含まないことが、本発明による複合構造体の構築の必須の部分である。
【0026】
ポリウレタン分散物は、一般に、ポリウレタンプレポリマーを水中に分散させることによって製造される。適切なプレポリマーは、イソシアネート成分をポリオールと反応させることによって製造してよい。
【0027】
好ましいプレポリマーは、脂肪族ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、または芳香族ジイソシアネートと脂肪族ジイソシアネートとの混合物、例えば、トルエン-2,4-ジイソシアネート、トルエン-2,6-ジイソシアネート、及びこれらの混合物、ジフェニルメタン-4,4-ジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,6-ヘキシルジイソシアネート、1,5-ペンチルジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、2,2,4-トリメチル-1,6-ジイソシアナトヘキサン(2,2,4-異性体、2,4,4-異性体、またはこれらの混合物)、1,4-シクロヘキシルジイソシアネート、ノルボニルジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、及び/または1,5-ナフチレンジイソシアネートで製造してよい。ポリイソシアネートの混合物を使用することができ、また、ウレタン、アロファネート、ウレア、ビウレット、カルボジイミド、ウレトンイミン、またはイソシアヌレート残基の導入によって変性されたポリイソシアネートも使用できる。特に好ましいポリイソシアネートは、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネートを含む脂肪族ポリイソシアネートである。
【0028】
プレポリマーの調製に使用しうる500から6000の範囲の分子量を有するポリマーポリオールには、特に、ジオール及びトリオール及びこれらの混合物が含まれるが、より官能性の高いポリオールも、例えばジオールと混和させてマイナー成分として使用してよい。ポリオールは、ポリウレタン配合物に使用される、または使用が提案されるポリマーポリオールの、任意の化学クラスのメンバーであってもよい。好ましいポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリオレフィンポリオール、もしくはポリシロキサンポリオール、またはこれらの混合物の群から選択される。好ましいポリオールの分子量は、700から4000である。プレポリマーの調製に任意に使用してよい500以下の分子量を有するポリオールには、特に、ジオール及びトリオール、及びこれらの混合物が含まれるが、より官能性の高いポリオールを使用してもよい。こうした低分子量ポリオールの例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、シクロヘキサンジメタノール、フランジメタノール、グリセロール、及びこうしたポリオールとプロピレンオキシド及び/またはエチレンオキシドとの分子量499までの反応生成物が含まれる。
【0029】
ポリウレタンプレポリマーの水中への分散は、プレポリマーに親水性基を組み込むことによって達成できる。このため、一般的に別のポリオールがプレポリマーの形成時に存在し、例えば、ポリエトキシジオール、ポリ(エトキシ/プロポキシ)ジオール、ペンダントエトキシまたは(エトキシ/プロポキシ)鎖を含むジオール、カルボン酸を含むジオール、スルホン基を含むジオール、ホスフェート基を含むジオール、ポリエトキシモノオール、ポリ(エトキシ/プロポキシ)モノオール、ペンダントエトキシまたは(エトキシ/プロポキシ)鎖を含むモノオール、カルボン酸もしくはスルホン酸または塩を含むモノオール、あるいはこれらの混合物が存在する。カルボン酸を含むジオールには、カルボキシル基含有ジオール及びトリオール、例えば、式:R-C-(CH2-OH)2-COOHにおいて、Rが水素またはアルキルであるジヒドロキシアルカン酸が含まれる。こうしたカルボキシル含有ジオールの例は、2,2-ジメチロールプロピオン酸及び2,2-ジメチロールブタン酸である。別の有用な酸基含有化合物には、アミノカルボン酸、例えば、リジン、システイン、及び3,5-ジアミノ安息香酸、及びスルホン酸、例えば、4,6-ジアミノベンゼン-1,3-ジスルホン酸が含まれる。
【0030】
カルボン酸官能は、一般的に中和剤、例えば、無機塩基または不揮発性第三級アミンにより、ポリウレタンプレポリマーの水中への分散前または分散中に中和される。ポリウレタンプレポリマー及び第三級アミン官能性ウレタンプレポリマーまたはオリゴマーまたはその分散物は、いずれも、水分散性を向上させるため、塗布時の基材への接着性を向上させるため、性能上の理由のため、または潜在的な架橋部位としての目的のために、追加の官能基を含んでよい。適切な官能基は、高割合でエトキシ官能基を有するポリアルコキシ官能、第三級アミンまたは第四級アミン官能、パーフルオロ官能、組み込まれたシリコン官能、ヒドラジド官能、またはヒドラゾン官能、ケトン、アセトアセテート、またはアルデヒド官能、またはそれらの混合物である。
【0031】
プレポリマー中に存在する任意の酸基のアニオン性基への変換は、水性分散体の形成前、形成後、または形成と同時に、前記酸性基を中和することによって実施してよい。適切な中和剤には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、または第3級アミン、例えばN-ブチルジエタノールアミン、N,N-ビス[3(ジメチルアミノ)プロピル]-N’,N’-ジメチルプロパン-1,3-ジアミンが含まれる。
【0032】
本発明の実施に有用なポリウレタンプレポリマーは、通常の方法で、化学量論的過剰量の有機ポリイソシアネートを、500から6000の範囲の分子量を有するポリマーポリオール及び他の必要なイソシアネート反応性化合物と、実質的に無水の条件下、約30℃から約130℃の間の温度で、イソシアネート基とヒドロキシル基との間の反応が実質的に完了するまで反応させることによって調製してよい。ポリイソシアネートと活性水素含有成分は、イソシアネート基の数とヒドロキシル基の数の比が約1.1:1から約6:1の範囲内、好ましくは1.5:1から3:1の範囲内となるような割合で反応させるのが好適である。所望により、触媒、例えば、カルボン酸ビスマス、カルボン酸亜鉛、ジラウリン酸ジブチルチン、キレートアルミニウム、キレートジルコニウム、オクタン酸第一スズ、またはトリエチレンジアミンを用いてプレポリマー形成を補助してよい。
【0033】
本発明の実施に有用なプレポリマーは、分散工程の条件下で実質的に液体であるべきであり、これは、これらプレポリマーが、Brookfield LVF粘度計を用いて測定して、90℃の温度で100,000mPa.s以下の粘度を有しているべきであることを意味する。
【0034】
本発明に用いられるポリウレタン分散物は、一般に延長剤を含むが、これは、この拡張剤をポリウレタンプレポリマーのイソシアネート官能と反応させることにより、ポリウレタンプレポリマーの分子量を確立させるために用いられる。プレポリマーと反応する活性水素含有延長剤には、ポリオール、アミノアルコール、アンモニア、第一級もしくは第二級の脂肪族、脂環族、芳香族、アリール脂肪族(araliphatic)、もしくは複素環式のアミン、特にジアミン、ヒドラジン、または置換ヒドラジンが適切である。水溶性延長剤が好ましく、水自体も有効な場合がある。本明細書中において有用な適切な延長剤の例には、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、ピペラジン、2-メチルピペラジン、フェニレンジアミン、ビス(3-アミノプロピルアミン)、2-[(2-アミノエチル)アミノ]エタンスルホン酸ナトリウム、トリレンジアミン、キシレンジアミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、3,3’-ジニトロベンジジン、4,4’メチレンビス(2-クロロアニリン)、3,3’-ジクロロ-4,4’-ビフェニルジアミン、2,6-ジアミノピリジン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、メンタンジアミン、m-キシレンジアミン、5-アミノ-1,3,3-トリメチル-シクロヘキサンメチル-アミン、アミン末端ポリエーテル、例えば、Huntsman Chemical Company製のJeffamine D-230、及びジエチレントリアミンとアクリレートとの付加物またはその加水分解生成物が含まれる。また、ヒドラジン、アジン類、例えばアセトンアジン、置換ヒドラジン類、例えばジメチルヒドラジン、1,6-ヘキサメチレン-ビス-ヒドラジン、カルボジヒドラジン、ジカルボン酸及びスルホン酸のヒドラジド類、アジピン酸モノヒドラジドもしくはジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、1,3-フェニレンジスルホン酸ジヒドラジド、オメガアミノカプロン酸ジヒドラジド、ラクトンとヒドラジンを反応させたヒドラジド、例えばγ-ヒドロキシル酪酸ヒドラジド、ビス-セミ-カルバジド、グリコール、例えば上述の任意のグリコールのビスヒドラジドカルボン
酸エステルなどの材料も適切である。使用される延長剤の量は、プレポリマー中の遊離のNCO基にほぼ相当するべきであり、鎖延長剤中の活性水素とプレポリマー中のNCO基の比は、好ましくは0.7:1から2.0:1の範囲である。むろん、水が延長剤として使用される場合は、延長剤と分散媒質との両方として機能する水が遊離のNCO基に対して超過剰で存在することから、これらの比率は適用されない。
【0035】
ポリウレタンプレポリマーが、分散後しばらくの間は幾分かのイソシアネート反応性を保持しうる一方で、本発明の目的のためには、ポリウレタンプレポリマー分散物は、完全に反応したポリウレタンポリマー分散物であるとみなされる。また、本発明の目的のためには、ポリウレタンプレポリマーまたはポリウレタンポリマーは、別のタイプの構造、例えばウレア基を含むことができる。
【0036】
水性ポリウレタン分散物は、分散物の全質量に基づいて、少なくとも30wt%、好ましくは少なくとも40wt%、より好ましくは少なくとも55wt%のポリウレタンポリマー粒子を含む。当業者が従来行っているように、質量割合は、どの成分が蒸発し、どの成分が蒸発しないかを考慮して、事前に計算される。固形分の割合は、後の段階で確認のために測定され、そのためには、少量を計量し、その後105℃のオーブンに1時間入れ、残りの量を測定する。この制御ステップでは、ゆっくりと蒸発する成分が存在する場合、より高温/より長時間の体制も選択することができる。
【0037】
所望により、乳化剤、消泡剤、難燃剤、増粘剤、安定剤、酸化防止剤、及び/または沈降防止剤の量は、プレポリマーまたは水相に含まれていてよく、あるいは水性ポリウレタン分散物に添加されていてよい。
【0038】
このようにして調製されたプレポリマーと水相を混合し、ポリウレタン分散物を得る。ここで、拡張剤が水と異なる場合には、延長剤を、分散工程の前に水相に添加すること、または分散工程の間に添加すること、または分散工程の後に分散物に添加することができる。任意に、中和剤、未希釈または水で希釈した添加剤、例えば乳化剤、消泡剤、難燃剤、増粘剤、安定剤、酸化防止剤及び/または沈降防止剤を、水相または分散物に添加することができる。
【0039】
水性ポリウレタン分散物の粘度は、Brookfield LVF粘度計を用い、25℃で測定して、一般に1000mPa.sより低く、好ましくは750より低く、より好ましくは500より低く、最も好ましくは250mPa.sより低い。
【0040】
本発明の複合構造体に使用するための、実質的に揮発性有機化合物を含まないポリウレタン分散物の特に好ましい調製方法は、以下:
i)アセトンまたは他の(揮発性)溶剤の実質的な非存在下で、イソシアネート、ポリオール(一般に親水性基を有するポリオールを含む)、及び成分Aからポリウレタンプレポリマーを合成する工程であって、前記成分Aは、x個のヒドロキシル基及びy個のアミン基を有し、ここでx及びyはいずれも独立して0であっても0以上であってもよく、x+y≧2であり、且つ成分Aが、カルボキシレート、スルホネート、またはホスフェート基などの塩を形成しうる追加の官能基を有する工程;及び
ii)得られたプレポリマーを、水、1つ以上の中和剤、例えばアルカリ金属水酸化物、及び任意の乳化剤を含む水相に分散させ、成分Bを含む1つ以上の延長剤と反応させてポリウレタンを形成する工程であって、前記成分Bは、x個のヒドロキシル基及びy個のアミン基を有し、x及びyのいずれもが独立して0であっても0以上であってもよく、x+y≧2であり、且つ成分Bが、カルボキシレート基、スルホネート基またはホスフェート基などの塩を形成しうる追加の官能基を有し、ポリウレタンの分散物が少なくとも50質量%の固形分を有し、実質的にアセトンまたは他の(揮発性の)溶剤を含まず、アミンまたは250℃以下の沸点を有する別の揮発性化合物を実質的に含まないようにする工程;
を含む。
【0041】
第3の態様では、本発明は、こうした複合構造体の、特に人工皮革としての使用に関する。
【0042】
本発明の複合構造体の厚さは、一般的に0.8から1.2mmであり、支持層の厚さは一般に500から1000ミクロンである。残りの厚さはコーティング層によるものであり、その中でもスキン層が一般に最も厚い。本発明の複合構造体における様々なコーティング層の厚さは、一般的に以下の範囲内:接着層については30から60ミクロン、スキン層については100から400ミクロン、任意のプレスキン層については10から60ミクロン、及び任意のラッカー層については5から20ミクロンである。
【0043】
上述の具体的な実施態様は、全て本発明に従う実施態様である。様々な実施態様を相互に組み合わせてよい。ある特定の実施態様について記載された特徴を取り上げて、物理学法則がこうした組み合わせを禁じるものでない限り、別の特定の実施態様に取り込むか、または別の特定の実施態様と組み合わせてもよい。
【0044】
本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに詳しく説明される。これらの実施例において言及される成分の部及びパーセンテージは、特記のない限り、本明細書の他の部分及び特許請求の範囲におけるのと同様に、これらの成分が存在する全組成物の質量に対して示される。
【実施例
【0045】
実施例1:ポリウレタン分散物の調製
窒素雰囲気下で、分子量2000のポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール415g、分子量1000のヘキサンジオールから誘導されるポリカーボネートジオール57g、及びジメチロールプロパン酸4gの混合物を、攪拌しつつ50℃に加熱した。70gの3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネートと25gのヘキサメチレンジイソシアネートを加え、混合物を85℃に加熱して1.5時間撹拌し、ポリウレタンプレポリマーを形成した。反応物を冷却し、残存するNCOの量を測定した。このプレポリマーを、390gの水、15gのSynperonic PE/L62(Croda社製の乳化剤)、1.2gの水酸化カリウム、及び13gのVestamin A95(Evonik社製の2-[(2-アミノエチル)アミノ]エタンスルホン酸ナトリウムの溶液)からなる水相に分散させた。その後、8gのヒドラジン水和物を加え、分散物を15分間撹拌した。分散物の固形分は60%であった。分散物の粘度は、Brookfield LVF粘度計を用いて25℃で測定して、200mPa.sであった。
【0046】
実施例2:ポリウレタン分散物の調製
窒素雰囲気下で、ペンタンジオールとヘキサンジオールから誘導される分子量2000のポリカーボネートジオール205g、ヘキサンジオールから誘導される分子量1000のポリカーボネートジオール205g、ジメチロールプロパン酸4g、及びYmer-120(Perstorp社製の直鎖状2官能ポリエチレングリコールモノメチルエーテル)14gの混合物を、撹拌しつつ50℃に加熱した。115gの3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネートと30gのヘキサメチレンジイソシアネートを加え、混合物を85℃に加熱して1.5時間撹拌し、ポリウレタンプレポリマーを形成した。反応物を冷却し、残存するNCOの量を測定した。このプレポリマーを、390gの水、15gのSynperonic PE/L62(Croda社製の乳化剤)、1.8gの水酸化カリウム、6gのVestamin A95(Evonik社製の2-[(2-アミノエチル)アミノ]エタンスルホン酸ナトリウムの溶液)、及び3gのヒドラジン水和物からなる水相に分散させた。その後、13gのヒドラジン水和物を加え、分散物を15分間撹拌した。分散物の固形分は60%であった。分散物の粘度は、Brookfield LVF粘度計を用いて25℃で測定して、200mPa.sであった。
【0047】
実施例3:ポリウレタン分散物の調製
窒素雰囲気下で、分子量4000のポリプロピレングリコール495gとジメチロールプロパン酸10gの混合物を撹拌しながら50℃に加熱した。85gのジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネートを加え、混合物を110℃に加熱して2.5時間撹拌し、ポリウレタンプレポリマーを形成した。反応物を冷却し、残存するNCOの量を測定した。このプレポリマーを、395gの水、2.5gのMarlipal O13/90(Sasol社製の乳化剤)、及び1.5gの水酸化カリウムからなる水相に分散させた。その後、6gのヒドラジン水和物を加え、分散物を15分間撹拌した。分散物の固形分は60%であった。分散物の粘度は、Brookfield LVF粘度計を用いて25℃で測定して、100mPa.sであった。
【0048】
実施例4:ラッカー組成物の調製
386gのRH-22-067(Stahl Europe社製の水性ポリウレタン/ポリアクリル分散物)に、撹拌しつつ、1gのBYK-035(BYK社製の消泡剤)、175gのDaiplacoat Clear(Dainichiseika Color & Chemicals社製のポリウレタン艶消し剤)、16gのRheolate HX 6008(Elementis社製の増粘剤)、412gの水、5gのTego Airex 902W(Evonik社製の脱気エマルジョン(deaerator emulsion))、及び4gのDow Corning 501W添加剤(Dow Corning社製の湿潤剤)を添加する。
【0049】
実施例5:ラッカー組成物の調製
196gの実施例2に、撹拌しつつ、600gの水、1gのBYK-035(BYK社製の消泡剤)、175gのDaiplacoat Clear(Dainichiseika Color & Chemicals社製のポリウレタン艶消し剤)、17gのRheolate HX 6008(Elementis社製の増粘剤)、5gのTego Airex 902W(Evonik社製の脱気エマルジョン(deaerator emulsion))、及び4gのDow Corning 501W添加剤(Dow Corning社製の湿潤剤)を添加する。
【0050】
実施例9:複合構造体の調製
a)実施例1のポリウレタン分散物50部、実施例2のポリウレタン分散物50部、PP-39-611(Stahl Europe bv社製の黒色顔料ペースト)10部、及びRheolate HX 6008(Elementis社製の増粘剤)2部の混合物を、0.1mm厚さで剥離紙(UC Rockport #R028)に塗布し、80℃のオーブンで2分間乾燥させてプレスキン層を形成し;b)プレスキン層を、100部のPermaQure HS-2798(Stahl Europe bv社製)、9部のPermaQure XR-2303(Stahl Europe bv社製)、及び5部のGP-16-249(Stahl Europe bv社製の黒色顔料ペーストである)の混合物で、0.3mm厚さにコーティングし、次いでこれを165℃のオーブンで2分間加熱硬化させてスキン層を形成し;c)実施例3のポリウレタン分散物40部とXR-92-210(Stahl Europe bv社製のイソシアネート架橋剤)1部との混合物である接着剤をスキン層上に厚さ0.1mmにコーティングし、その上に織物(PES/CO#480)を接着した後、80℃で2分間乾燥させ、120℃で2分間硬化させ;d)剥離紙を剥離し;さらにe)100部の実施例4、3部のXR-92-910、4部のRheolate HX 6008、8部のHM-54-006、及び2部のHM-2186(いずれもStahl Europe bv社製)の混合物であるラッカー層を厚さ0.02で適用し、続いて80℃で1分間乾燥させ、120℃で2分間硬化させた。
【0051】
実施例10~20:複合構造体の調製
実施例9の手順に従ったが、表1に示すように、プレスキン、スキン、及びラッカーに他の成分を使用した。プレスキンが実施例2のみで製造されると表示されている実施例では、プレスキンのための混合物は、100部の実施例2のポリウレタン分散物、10部のPP-39-611、及び2部のRheolate HX 6008であった。スキンがHS-2798/HS-13-030で製造されると表示されている実施例では、スキンのための混合物は、33部のPermaQure HS-2798、67部のPermaQure HS-13-030(Stahl Europe bv社製)、13部のPermaQure XR-2303、及び5部のGP-16-249であった。ラッカーが架橋剤XR-13-554で製造されると表示されている実施例では、ラッカーの混合物は、100部の実施例4、3.5部のXR-13-554(Stahl Europe bv社製のポリカルボジイミド架橋剤)、4部のRheolate HX 6008、8部のHM-54-006、及び2部のHM-2186であった。
【0052】
表には、明示の目的で、実施例9の組成物も記載されている。表にはまた、比較例が記載され、これは、接着剤としてRU-92-299(Stahl Europe bv社製の揮発性アミンを含むポリウレタン分散物)、プレスキンとしてRU-92-299及びRU-92-605(Stahl Europe bv社製の揮発性アミンを含むポリウレタン分散物)の混合物、及びラッカーとしてWF-3649(Stahl Europe bv社製のポリウレタン分散物、揮発性アミン及び共溶剤を含むラッカー混合物)を用いて製造される。
【0053】
【表1】
【0054】
実施例21~32:複合構造体の調製
実施例9の手順に従ったが、表2に示すように、プレスキン、スキン、及びラッカーに他の成分を使用した。実施例30~32では、ラッカーを塗布しなかった。プレスキンがHS-13-030/HS-2729で製造されると表示されている実施例では、プレスキンのための混合物は、33部のPermaQure HS-2729、67部のPermaQure HS-13-030、13部のPermaQure XR-2303(すべてStahl Europe bv社製)、及び5部のGP-16-249(Stahl Europe bv社製の黒色顔料ペースト)であった。プレスキンがHS-13-030/HS-2729で製造されると表示されている実施例では、プレスキンのための混合物は、33部のPermaQure HS-2729、67部のPermaQure HS-13-030、13部のPermaQure XR-2303、及び5部のGP-16-249であった。スキンがHS-2798 Foamedで製造されると表示されている実施例では、プレスキンのための混合物は、100部のPermaQure HS-2798、9部のPermaQure XR-2303、5部のGP-16-249、及び2部のMA-2738(Stahl Europe bv社製のExpancelタイプの起泡剤)であった。また、スキンがParmaQure HS-2729で製造されると表示されている実施例では、スキンのための混合物は、67部のParmaQure HS-13-030、33部のParmaQure HS-2729、13部のParmaQure XR-2303、及び5部のGP-16-196(Stahl Europe bv社製の白色顔料ペースト)であった。結果として、実施例23、26、29、及び32は白色であったが、他のすべての実施例は黒色であった。ラッカーが架橋剤XR-13-554で製造されると表示されている実施例では、ラッカーの混合物は、100部の実施例4、3.5部のXR-13-554、4部のRheolate HX 6008、8部のHM-54-006、及び2部のHM-2186であった。
【0055】
【表2】
【0056】
実施例33:複合構造体の試験
実施例9~32及び比較例で製造した複合構造体を、いくつかの特性について試験した。その結果を表3に報告する。60°における光沢は、Dr Lange反射率計を用いて測定した。高温キセノン抵抗は、ISO 105-B06オプション3、1-3-5サイクルに従って測定され、デルタE及び光沢シフト(gloss shift)が報告された。デルタE及び光沢シフトは、最も低い値が最良である。高温キセノン抵抗は、太陽光に多く曝される表面、例えば、自動車のダッシュボード及び車のシートにとって重要である。バリーフレックス抵抗は、ISO 32100に従い、室温にて100000万回の屈曲について測定され、5から0までで最も低いスコアが最良である。バリーフレックス抵抗は、柔軟であるべき表面、例えば、車のシート及び足元カバー(gaiter)にとって重要である。バリーフレックス抵抗は、 柔軟性を必要としない表面、例えば、自動車のダッシュボードにとっては重要でない。耐薬品性は、ドライ摩擦と、水、イソプロパノール、エタノール、及び炭化水素の混合物であって脱脂剤として市販のEssence Fを用いた摩擦試験で得られたスコアの平均値である。耐薬品性は、ISO 105-X12に従って測定した。摩擦の回数は10回であり、1から5までで最高のスコアが最良である。耐薬品性は、手及び清掃が触れる表面、例えば、車のシート及び足元カバーにとっても、重要である。加水分解による光沢シフトは、新たなサンプルの上記60°における光沢とサンプルをDIN EN 20 105-A05に準拠した加水分解条件下(温度70℃、相対湿度90%、3週間)においた後の60°における光沢とを比較することによって行った。最低の光沢シフトが最良である。テーバー摩耗は、ASTM D 3884に従って測定され、500サイクルが使用され、5から1までで最低スコアが最良である。耐摩耗性は、摩耗にさらされる表面、例えば、車のシートにとって重要である。スティック・スリップはVDA 230-206に従って測定され、10から1までで最低値が最良である。スティック・スリップ性能は、互いに滑る可能性のある表面、例えば、車のシートにとって重要である。
【0057】
【表3】
【0058】
実施例10、11、12、14、15、16、17、18、19、20、27、28、30、及び31は、比較例と同様、高温キセノン暴露後のデルタEの試験で良好なスコアを示した。実施例10、11、12、14、15、16、17、18、19、20、29は、比較例と同様、高温キセノン暴露後の光沢シフトの試験で良好なスコアを示した。実施例9、10、13、14、17、18、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、及び32は、比較例と同様、バリーフレックス試験で良好なスコアを示した。実施例13、14、17、19、20、23、24、25、26、29は、比較例と同様、耐薬品性試験で良好なスコアを示した。加水分解後の光沢シフトの試験では、試験した全ての実施例が良好なスコアを示した。実施例13、14、15、25、28は、テーバー試験で良好なスコアを示した。スティック・スリップ試験では、試験した全ての実施例が良好なスコアを示した。
【0059】
様々な表面に対する様々な試験の重要性、例えば、車のシート、足元カバー、または自動車のダッシュボードについての要件を念頭に置くと、実施例13、14、17、25、29は、バリーフレックス、耐薬品性、テーバー摩耗、及びスティック・スリップに関する結果が良好から満足のいくものであるため、車のシートに使用するのに適しており、また、実施例10、11、12、14、15、16、17、18、19、及び20は、高温キセノン暴露後のデルタE及び光沢シフトについて良好から満足のいく結果が得られているため、自動車のダッシュボードに使用するのに適しており、また、実施例13、14、17、23、24、25、及び29は、バリーフレックス及び耐薬品性について良好から満足のいく結果が得られているため、足元カバーに使用するのに適している。このことは、実質的にVOCを含まない一方で、こうした複合構造体の特定の用途に関する試験要件について良好なスコアを得る、本発明による複合構造体が得られることを示す。
【0060】
実施例34:VOCに関する複合構造体の試験
前の実施例で製造された数個の複合構造体を、揮発性成分の存在について試験した。その結果を表4に報告する。
【0061】
揮発性有機化合物の総量(TVOC)を、ヘッドスペース分析を用いたVDA277法に従って測定した。使用した装置はInterscience Trace 1300 ガスクロマトグラフ Interscience ISQ (Single Quadrupole MS)であった。カラムは、Restek Stabil wax(登録商標)-MSで、30メートル、0.25mmのID、0.25μmのdfのものであった。GCオーブン温度プログラムは、50℃で3分間等温にした後、12℃/分の速度で200℃まで加熱し、その後200℃で4分間等温とした。サンプルの調製は、0.5gのサンプルを10mgから25mgの間に切り分け、ヘッドスペースバイアルに移した。サンプルを120℃のヘッドスペースオーブンに5時間入れた後、1mlの蒸気をGCMSに注入した。サンプルは二重に測定した。平均TVOC値及び主な放出化合物(>1μgC/g)を報告する。TVOC値をアセトン当量として算出した。
【0062】
揮発性有機化合物の排出量(VOC値)及び凝縮性物質の割合(s-VOCまたはFOG値)を、TD-GCMSによりVDA278法に従って測定した。使用した装置は、Markes TD100-xr自動熱脱着機、Interscience Trace 1300 ガスクロマトグラフ、及びInterscience ISQ QD (Single Quadrupole MS)であった。カラムはRestek Rxi(登録商標)-5Sil MSで、30メートル、0.25mmのID、0.25μmのdfのものであった。GCオーブンの温度プログラムは、TVOCの場合、40℃で2分間等温にした後、3℃/分の速度で92℃まで加熱し、5℃/分の速度で160℃まで加熱し、10℃/分の速度で280℃まで加熱し、その後280℃で10分間等温とした。GCオーブンの温度プログラムは、FOGの場合、50℃で2分間等温にした後、25℃/分の速度で160℃まで加熱し、10℃/分の速度で280℃まで加熱し、その後280℃で30分間等温とした。検出可能なVOCの範囲は、沸騰/溶出範囲のペンタコサン(C25)までの物質であった。検出可能なFOGの範囲は、沸騰/溶出範囲のテトラデカン(C14)からドトリアコンタン(C32)までの物質であった。サンプル調製は 約10mgのサンプルをガラス製の脱着管に移した。この管を熱脱着ユニットに入れ、VOC測定については90℃で30分、FOG測定については120℃で60分脱着させた。サンプルは二重に測定した。平均TVOC値と平均総FOG値を報告する。TVOC値はトルエン当量として算出し、TFOG値はヘキサデカン当量で算出した。
【0063】
【表4】
【0064】
揮発性化合物の存在について測定した実施例9、13、17、30、31及び32は、VDA277による総VOC、VDA278による総VOC、及びVDA278による総FOGが、比較例よりも格段に少量であることを示す。このことは、本発明に従って製造された複合構造体が実際にはるかに少量の揮発性成分を含んでおり、これが、複合構造体の層を製造するために、実質的に(揮発性)溶媒を含まず、かつ実質的に揮発性アミンを含まない成分を使用したためであることを示している。
【国際調査報告】