(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-24
(54)【発明の名称】通信アドレスを設定可能なスイッチトモード電源
(51)【国際特許分類】
H02M 3/00 20060101AFI20220117BHJP
【FI】
H02M3/00 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021529756
(86)(22)【出願日】2018-12-03
(85)【翻訳文提出日】2021-07-20
(86)【国際出願番号】 CN2018119001
(87)【国際公開番号】W WO2020113389
(87)【国際公開日】2020-06-11
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521227078
【氏名又は名称】アステック インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ビン
(72)【発明者】
【氏名】チン,メイ
(72)【発明者】
【氏名】リャン,リアン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ウェンヨン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジシュオ
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA11
5H730BB13
5H730BB14
5H730BB15
5H730BB81
5H730DD04
5H730FF09
5H730VV01
(57)【要約】
スイッチトモード電源は、通信インターフェースと、外部抵抗がアドレス端子に結合されるときに外部抵抗の抵抗を使用して電源の通信アドレスを設定するためのアドレス端子と、を含む。電源は、第1の技術を用いて外部抵抗の第1の抵抗値を決定し、第2の技術を用いて外部抵抗の第2の抵抗値を決定し、第1の抵抗値が閾値より大きい場合、第1の抵抗値を用いて電源の通信アドレスを設定し、第1の抵抗値が閾値より小さい場合、第2の抵抗値を用いて電源の通信アドレスを設定するように構成される。他の例示的なスイッチトモード電源、1つまたは複数の電源を含む電力システム、および電源の通信アドレスを設定するための方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力システムのマスタコントローラと通信するスイッチトモード電源であって、前記スイッチトモード電源は、入力と、出力と、前記入力と前記出力との間に結合された電源回路と、外部抵抗がアドレス端子に結合されたときに前記スイッチトモード電源の通信アドレスを設定するために前記外部抵抗に結合するように構成された前記アドレス端子を含む通信インターフェースと、前記電源回路および前記通信インターフェースに結合された制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記外部抵抗の値が閾値よりも大きい場合に第1の技術を使用して前記スイッチトモード電源の前記通信アドレスを設定し、前記外部抵抗の値が前記閾値よりも小さい場合に第2の技術を使用して前記スイッチトモード電源の前記通信アドレスを設定するように構成される、スイッチトモード電源。
【請求項2】
前記制御回路が、前記外部抵抗の前記値を決定し、前記抵抗の前記決定された値を前記閾値と比較して、前記外部抵抗の前記値が前記閾値よりも大きいか小さいかを決定するように構成される、請求項1に記載のスイッチトモード電源。
【請求項3】
前記制御回路が、前記外部抵抗の前記決定された値を使用して前記スイッチトモード電源の前記通信アドレスを設定するように構成される、請求項1または2に記載のスイッチトモード電源。
【請求項4】
前記制御回路が、前記第1の技術を用いて第1の時間に前記外部抵抗の前記値を決定し、前記外部抵抗の前記第1の決定された値を前記閾値と比較し、前記外部抵抗の前記第1の決定された値が前記閾値よりも小さい場合、前記第2の技術を用いて第2の時間に前記外部抵抗の前記値を決定し、前記外部抵抗の前記第2の決定された値に基づいて前記通信アドレスを設定するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のスイッチトモード電源。
【請求項5】
前記制御回路が、前記外部抵抗の前記第1の決定された値が前記閾値よりも大きい場合、前記第2の技術を用いて前記第2の時間に前記外部抵抗の前記値を決定しない、請求項1から4のいずれか一項に記載のスイッチトモード電源。
【請求項6】
前記制御回路が、前記外部抵抗の前記第2の決定された値を使用して前記通信アドレスを設定するように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載のスイッチトモード電源。
【請求項7】
前記制御回路が、前記第1の技術または前記第2の技術を選択して、前記スイッチトモード電源の前記通信アドレスを設定するように制御可能なスイッチングデバイスを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のスイッチトモード電源。
【請求項8】
前記制御回路が、外部抵抗が前記アドレス端子に結合されるときに前記外部抵抗と分圧回路を形成するための抵抗を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のスイッチトモード電源。
【請求項9】
前記スイッチングデバイスが、第1のスイッチングデバイスであり、前記制御回路が、前記第1のスイッチングデバイスがオフであり、前記外部抵抗が前記アドレス端子に結合されているときに、前記外部抵抗および前記制御回路の前記抵抗を結合して前記分圧回路を形成するための第2のスイッチングデバイスを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のスイッチトモード電源。
【請求項10】
前記第2のスイッチングデバイスが、前記第1のスイッチングデバイスの状態に基づいて制御される、請求項1から9のいずれか一項に記載のスイッチトモード電源。
【請求項11】
前記スイッチングデバイスがオンであり、前記外部抵抗が前記アドレス端子に結合されているとき、前記制御回路が、前記外部抵抗に定電流を出力し、前記外部抵抗の両端の感知電圧に基づいて前記外部抵抗の前記値を決定するように構成される、請求項1から10のいずれか一項に記載のスイッチトモード電源。
【請求項12】
マスタコントローラと、請求項1から11のいずれか一項に記載のスイッチトモード電源を含む複数の電源と、を備える電力システム。
【請求項13】
前記マスタコントローラが、電力管理バス(PMBus)プロトコルを介して前記スイッチトモード電源と通信するように構成されている、請求項12に記載の電力システム。
【請求項14】
外部抵抗に結合された少なくとも1つのアドレス端子を有する通信インターフェースを備える、マスタコントローラと通信するためのスイッチトモード電源の通信アドレスを設定する方法であって、
前記外部抵抗の値が閾値より大きい場合、第1の技術で前記スイッチトモード電源の前記通信アドレスを設定することと、
前記外部抵抗の値が前記閾値より小さい場合、第2の技術で前記スイッチトモード電源の前記通信アドレスを設定することと、を含む方法。
【請求項15】
前記スイッチトモード電源の前記通信アドレスを設定することが、前記スイッチトモード電源の起動後に前記スイッチトモード電源内のスイッチングデバイスをオンにするように制御することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記スイッチトモード電源の前記通信アドレスを設定することが、前記第1の技術を用いて第1の時間に前記外部抵抗の前記値を決定することと、前記外部抵抗の前記第1の決定された値を前記閾値と比較することと、前記外部抵抗の前記第1の決定された値が前記閾値よりも小さい場合、前記第2の技術を用いて第2の時間に前記外部抵抗の前記値を決定することと、前記外部抵抗の前記第2の決定された値に基づいて前記通信アドレスを設定することと、を含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記外部抵抗の前記第1の決定された値が前記閾値よりも大きい場合、前記第2の技術を用いて前記第2の時間に前記外部抵抗の前記値を決定しない、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
スイッチトモード電源であって、通信インターフェースと、外部抵抗がアドレス端子に結合されたときに前記外部抵抗の前記抵抗を用いて前記スイッチトモード電源の通信アドレスを設定するためのアドレス端子と、を有し、第1の技術を用いて前記外部抵抗の第1の抵抗値を決定し、第2の技術を用いて前記外部抵抗の第2の抵抗値を決定し、前記第1の抵抗値が閾値より大きい場合、前記第1の抵抗値を用いて前記スイッチトモード電源の前記通信アドレスを設定し、前記第1の抵抗値が前記閾値より小さい場合、前記第2の抵抗値を用いて前記スイッチトモード電源の前記通信アドレスを設定するように構成されている、スイッチトモード電源。
【請求項19】
前記スイッチトモード電源が、前記外部抵抗の前記第1の抵抗値が前記閾値よりも大きい場合、前記第2の技術を用いて前記外部抵抗の前記第2の抵抗値を決定しない、請求項18に記載のスイッチトモード電源。
【請求項20】
通信インターフェースと、外部抵抗に結合されたアドレス端子と、を含む、マスタコントローラと通信するためのスイッチトモード電源の通信アドレスを設定する方法であって、
第1の技術を用いて前記外部抵抗の第1の抵抗値を決定することと、
第2の技術を用いて前記外部抵抗の第2の抵抗値を決定することと、
前記第1の抵抗値が閾値より大きい場合、前記第1の抵抗値を用いて前記スイッチトモード電源の前記通信アドレスを設定することと、
前記第1の抵抗値が前記閾値より小さい場合、前記第2の抵抗値を用いて前記スイッチトモード電源の前記通信アドレスを設定することと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信アドレスを設定可能なスイッチトモード電源に関する。
【背景技術】
【0002】
このセクションは、必ずしも従来技術ではない本開示に関連する背景情報を提供する。
【0003】
いくつかの電源モジュールは、外部コントローラと通信するための固有の通信アドレスを含む。これにより、各電源モジュールは、外部コントローラおよび他の電源モジュールと通信(例えば、電力管理バス(PMBus)プロトコルなどを介して)することができる。各電源モジュールは、その固有の通信アドレスを設定するために抵抗および特定のアドレス設定技術を使用することができる。アドレス設定技術は、電源モジュールが抵抗に供給される定電流に基づいて抵抗の値を計算し、計算された抵抗値に基づいて通信アドレスを設定する定電流技術であってもよい。あるいは、アドレス設定技術は、電源モジュールが分圧回路を用いて抵抗の値を計算し、計算された抵抗値に基づいて通信アドレスを設定する分圧技術であってもよい。
【発明の概要】
【0004】
このセクションは、本開示の大まかな概要を提供するもので、その全範囲またはその特徴のすべての包括的な開示ではない。
【0005】
本開示の一態様によれば、電力システムのマスタコントローラと通信するためのスイッチトモード(スイッチ型モード)電源が提供される。スイッチトモード電源は、入力と、出力と、入力と出力との間に結合された電源回路と、外部抵抗がアドレス端子に結合されている場合に、スイッチトモード電源の通信アドレスを設定するために外部抵抗に結合するように構成されたアドレス端子を有する通信インターフェースと、電源回路および通信インターフェースに結合された制御回路と、を含む。制御回路は、外部抵抗の値が閾値よりも大きい場合、第1の技術を用いてスイッチトモード電源の通信アドレスを設定し、外部抵抗の値が閾値よりも小さい場合、第2の技術を用いてスイッチトモード電源の通信アドレスを設定するように構成される。
【0006】
本開示の別の態様によれば、マスタコントローラと通信するためのスイッチトモード電源の通信アドレスを設定するための方法が開示される。スイッチトモード電源は、外部抵抗に結合された少なくとも1つのアドレス端子を有する通信インターフェースを含む。本方法は、外部抵抗の値が閾値よりも大きい場合、第1の技術を用いてスイッチトモード電源の通信アドレスを設定することと、外部抵抗の値が閾値よりも小さい場合、第2の技術を用いてスイッチトモード電源の通信アドレスを設定することと、を含む。
【0007】
本開示の別の態様によれば、スイッチトモード電源は、通信インターフェースと、外部抵抗がアドレス端子に結合されるときに外部抵抗の抵抗を使用してスイッチトモード電源の通信アドレスを設定するためのアドレス端子と、を含む。スイッチトモード電源は、第1の技術を用いて外部抵抗の第1の抵抗値を決定し、第2の技術を用いて外部抵抗の第2の抵抗値を決定し、第1の抵抗値が閾値より大きい場合、第1の抵抗値を用いてスイッチトモード電源の通信アドレスを設定し、第1の抵抗値が閾値より小さい場合、第2の抵抗値を用いてスイッチトモード電源の通信アドレスを設定するように構成される。
【0008】
本開示の別の態様によれば、マスタコントローラと通信するためのスイッチトモード電源の通信アドレスを設定するための方法が開示される。スイッチトモード電源は、通信インターフェースと、外部抵抗に結合されたアドレス端子と、を含む。本方法は、第1の技術を用いて外部抵抗の第1の抵抗値を決定することと、第2の技術を用いて外部抵抗の第2の抵抗値を決定することと、第1の抵抗値が閾値より大きい場合、第1の抵抗値を用いてスイッチトモード電源の通信アドレスを設定することと、第1の抵抗値が閾値より小さい場合、第2の抵抗値を用いてスイッチトモード電源の通信アドレスを設定することと、を含む。
【0009】
さらなる態様および適用可能な領域は、本明細書で提供される説明から明らかになるであろう。本開示の様々な態様は、個別に、または1つもしくは複数の他の態様と組み合わせて実施することができることを理解されたい。本明細書の説明および特定の例は、例示のみを目的としており、本開示の範囲を限定することを意図していないことも理解されたい。
【0010】
本明細書に記載の図面は、選択された実施形態の例示のみを目的としており、すべての可能な実装ではなく、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一つの例示的な実施形態による、外部アドレス設定抵抗の値に基づいて異なる技術を使用して電源のアドレスを設定するための制御回路を含む電源のブロック図である。
【
図2】他の例示的な実施形態による、デジタルコントローラを有する制御回路と、電源のアドレスを設定するための駆動回路と、を含む電源のブロック図である。
【
図3】さらに別の例示的な実施形態による、電源のアドレスを設定するために異なる技術を選択するためのスイッチングデバイスを有する駆動回路を有する、制御回路を含む電源の回路ブロック図である。
【
図4】電源のアドレスを設定するために1つの技術を用いる場合の
図3の制御回路の等価回路である。
【
図5】電源のアドレスを設定するために別の技術を用いる場合の
図3の制御回路の等価回路である。
【
図6】別の例示的な実施形態による、
図3の電源のアドレスを設定するための方法のフローチャートである。
【
図7】さらに別の例示的な実施形態による、異なるアドレス設定抵抗値および対応するアドレスをリストするルックアップテーブルのチャートである。
【
図8】別の例示的な実施形態による、電流源を有する制御回路と、電源のアドレスを設定するために異なる技術を選択するための駆動回路と、を含む電源の回路ブロック図である。
【
図9】さらに別の例示的な実施形態による、電源のアドレスを設定するために異なる技術を選択するための1つのスイッチングデバイスおよび1つの抵抗を有する駆動回路を有する、制御回路を含む電源の回路ブロック図である。
【
図10】別の例示的な実施形態による、
図3の電源の回路ブロック図であり、電源は、各々が1つまたは複数の電力スイッチおよび変圧器を有する電源回路を含む。
【
図11】さらに別の例示的な実施形態による、各々が構成通信アドレスを有する二つの電源と、電源と通信するマスタコントローラと、を含む電力システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
対応する参照番号は、図面のいくつかの図を通して対応する部分および/または特徴を示す。
【0013】
例示的な実施形態は、本開示が徹底的であり、当業者に範囲を十分に伝えるように提供される。本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、特定の構成要素、デバイス、および方法の例など、多数の特定の詳細が記載されている。特定の詳細を採用する必要がないこと、例示的な実施形態を多くの異なる形態で具体化することができること、およびいずれも本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことは、当業者には明らかであろう。いくつかの例示的な実施形態では、周知のプロセス、周知のデバイス構造、および周知の技術は詳細には説明されない。
【0014】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施形態を説明するためだけのものであり、限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことが意図され得る。「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は包括的であり、したがって、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。本明細書に記載された方法ステップ、プロセス、および動作は、実行の順序として具体的に特定されない限り、必ずしも説明または図示された特定の順序でそれらの実行を必要とすると解釈されるべきではない。追加のまたは代替の工程が使用されてもよいことも理解されたい。
【0015】
第1、第2、第3などの用語は、様々な要素、構成要素、領域、層および/またはセクションを説明するために本明細書で使用され得るが、これらの要素、構成要素、領域、層および/またはセクションは、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、1つの要素、構成要素、領域、層またはセクションを別の領域、層またはセクションと区別するためにのみ使用され得る。「第1」、「第2」などの用語、および他の数値用語は、本明細書で使用される場合、文脈によって明確に示されない限り、順序または順番を意味しない。したがって、以下で説明する第1の要素、構成要素、領域、層またはセクションは、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層またはセクションと呼ぶことができる。
【0016】
「内側(inner)」、「外側(outer)」、「真下(beneath)」、「下方(below)」、「下側(lower)」、「上方(above)」、「上部(upper)」などの空間的に相対的な用語は、本明細書では、図に示すように、1つの要素または特徴と別の1つまたは複数の要素または1つまたは複数の特徴との関係を説明するための説明を容易にするために使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に示されている向きに加えて、使用中または動作中のデバイスの異なる向きを包含することが意図され得る。例えば、図中のデバイスがひっくり返された場合、他の要素または特徴の「下方(below)」または「真下(beneath)」と記載された要素は、他の要素または特徴の「上方(above)」に配向される。したがって、例示的な用語「下方(below)」は、上方および下方の両方の向きを包含することができる。デバイスは、他の方法で方向づけられ(90度または他の向きに回転され)てもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子はそれに応じて解釈される。
【0017】
ここで、添付の図面を参照して、例示的な実施形態をより完全に説明する。
【0018】
マスタコントローラと通信するための電源の通信アドレスを設定する例示的な方法が本明細書で開示される。電源は、通信インターフェースと、外部抵抗に結合されたアドレス端子と、を含む。本方法は、外部抵抗の抵抗値を決定するために2つの異なる技術を使用することと、次いで、所望の技術で決定された抵抗値を使用して通信アドレスを設定することと、を含むことができる。例えば、本方法は、1つの技術を用いて外部抵抗の抵抗値を決定することと、別の技術を用いて外部抵抗の抵抗値を決定することと、抵抗値が閾値より大きい場合、前者の技術を用いて決定された抵抗値を用いて通信アドレスを設定することと、抵抗値が閾値より小さい場合、後者の技術を用いて決定された抵抗値を用いて通信アドレスを設定することと、を含み得る。
【0019】
2つの異なる技術(手段)を使用して外部抵抗値を決定し、通信アドレスを設定することにより、電源は、単一の技術を使用してその外部抵抗値を決定し、通信アドレスを設定する従来の電源と比較して、より高い信頼度および精度でその通信アドレスを設定することができる。例えば、単一のアドレス設定技術を使用する従来の電源は、ノイズの影響を受けやすく、隣接する抵抗値間の差がほとんどない(通信アドレスに対応する)小さな範囲の離散抵抗値を必要とする場合がある。例えば、低電圧はノイズの影響を受けやすい。このように、外部抵抗の両端の電圧が低いことに基づいて外部抵抗値が決定されると、ノイズによって、決定された抵抗値が歪められ、アドレスの設定が不正確になる恐れがある。さらに、異なる電源に結合された異なる外部抵抗の抵抗値を決定するために使用される電圧は、異なる電源に対してわずかな差を有し得る。そのような場合、これらの比較的類似した電圧に基づいて、(隣接する抵抗値間の差がほとんどない)狭い範囲の離散抵抗値が使用される。離散抵抗値のこの小さな範囲は、異なる電源の通信アドレスを設定するときに不正確さをもたらす。
【0020】
しかしながら、決定された外部抵抗値に基づいて異なるアドレス設定技術を使用することによって、電源のために利用可能な構成可能通信アドレスの数は、従来の電源と比較して増加され得る。これは、使用する適切なアドレス設定技術を選択することにより、隣接する値の差が大きい広範囲の抵抗値が可能になるからである(以下でさらに説明する)。さらに、広範囲の抵抗値に起因して、異なるアドレス設定技術を使用するときに適切な構成可能アドレスを設定する信頼度は、1つのアドレス設定技術を使用する従来の電源と比較して増大する。
【0021】
この技術は、外部抵抗値を決定するために異なる回路を利用することができる。例えば、一方の技術はより高い外部抵抗値に合わせて調整され、他方の技術はより低い外部抵抗値に合わせて調整されてもよい。そのような例では、より高い抵抗値に合わせて調整された技術は、隣接する抵抗値間の大きな差を可能にして、ノイズ歪みの問題を最小限に抑える(そして時には排除する)ことができる。さらに、より低い抵抗値に合わせて調整された技術は、異なる電源に結合された抵抗の値を決定する際に使用される電圧間の大きな差を可能にすることができる。このように、通信アドレスを設定するために、隣接する抵抗値間の大きな差が使用される場合がある。
【0022】
これらの選択可能な技術は、電力システムの1つまたは複数の電源に使用することができる。例えば、異なるアドレスが異なる抵抗値に対応してもよい。したがって、1つの電源に結合された1つの外部抵抗の値は、1つの固有の通信アドレスに対応することができ、電力システム内の別の電源に結合された別の抵抗の値は、別の固有の通信アドレスに対応することができる。
【0023】
本明細書で開示される方法は、例えば、スイッチトモード電源を含む多種多様な電源で実施することができる。 これらの電源は、以下でさらに説明するように、1つまたは複数の電力スイッチを有する1つまたは複数の電源回路を含むことができる。 いくつかの例示的な電源を、
図1~
図11を参照して以下に説明する。しかしながら、本開示の教示は、
図1~
図11に示す特定の例に限定されず、他の電源などにも幅広く適用可能であることを理解されたい。
【0024】
例えば、本開示の1つの例示的な実施形態によるスイッチトモード電源が
図1に示されており、全体として参照番号100で示されている。
図1に示すように、電源100は、通信インターフェース108と、アドレス端子112に結合された外部抵抗Rxの抵抗を使用して電源100の通信アドレスを設定するためのアドレス端子112と、を含む。特に、
図1に示すように、スイッチトモード電源100は、入力102と、出力104と、入力102と出力104との間に結合された電源回路106と、(アドレス端子112を有する)通信インターフェース108と、電源回路106および通信インターフェース108に結合された制御回路110と、を含む。電源100は、1つの技術を用いて外部抵抗Rxの抵抗値を決定し、別の技術を用いて外部抵抗Rxの別の抵抗値を決定し、抵抗値が閾値(例えば、定義された閾値)より大きい場合、前者の技術を用いて決定された抵抗値を用いて電源100の通信アドレスを設定し、抵抗値が閾値より小さい場合、後者の技術を用いて決定された抵抗値を用いて通信アドレスを設定する。
【0025】
図1の電源100は、ACまたはDC電圧および電流を受け取り、ACまたはDC電圧および電流をロードに出力することができる。
図1に示すように、入力102は、電源回路106に結合された電気端子Vin+、Vin-を含み、出力104は、電気端子Vout+、Vout-を含む。電気端子Vin+、Vout+はDC電力端子を表してもよく、電気端子Vin-、Vout-はDC基準(例えば、接地)端子を表してもよい。他の実施形態では、電気端子は、ACライン端子およびAC中性端子を表すことができる。
【0026】
図1の特定の例では、通信インターフェース108は、抵抗Rxに結合するための単一のアドレス端子112を含む。具体的には、抵抗Rxは、アドレス端子112と電力出力104の電気端子Vout-との間に結合される。そのような例では、アドレス端子112は、通信インターフェース108内の唯一の端子であってもよい。他の例では、通信インターフェース108は、抵抗Rxおよび/または通信目的のための他の構成要素に結合するための2つ以上のアドレス端子を含むことができる。
【0027】
図1に示すように、制御回路110は、電源回路106と通信する。例えば、制御回路110は、電源回路106から1つまたは複数の信号114を受信し、電源回路106に1つまたは複数の制御信号116を提供する。信号114は、出力電圧および/または電流、入力電圧および/または電流などの1つまたは複数の感知された(例えば、サンプリングされた)パラメータを表すことができる。制御信号116(例えば、PWM信号など)は、電源回路106内の1つまたは複数の電力スイッチ(図示せず)を制御するための受信信号114に基づいて生成することができる。
【0028】
制御回路110は、電源回路106または別の電源によって電力供給されてもよい。例えば、
図2は、
図1の電源回路106と、制御回路210と、電源信号230を介して制御回路210に電力を供給するための補助電源回路228と、を含むスイッチトモード電源200を示す。補助電源回路228は、電源回路106から入力電力を受け取り、その電力を制御回路210の所望の出力電力に(必要に応じて)変換することができる。他の例では、補助電源回路228は、バッテリなどの別の電源から入力電力を受け取ることができる。
【0029】
いくつかの例では、本明細書で開示される制御回路は、通信アドレスを設定するための技術のうちの1つを選択することができる。例えば、
図2の制御回路210は、電源200の通信アドレスを設定するための特定の技術を選択することができる。例えば、制御回路210は、デジタルコントローラ218と、デジタルコントローラ218に結合された駆動回路220と、を含む。デジタルコントローラ218は、信号222、224を駆動回路220に提供する。 これらの信号222、224は、電源200の通信アドレスを設定するための特定の技術を選択するのに役立ち、駆動回路220に電力を供給することができる。
【0030】
デジタルコントローラ218は、電源200の主コントローラとして機能してもよい。例えば、
図2に示すように、デジタルコントローラ218は、電源回路106から信号114を受信し、電源回路106に制御信号116を提供する。
【0031】
いくつかの例では、駆動回路220は、(本明細書で説明するように)抵抗Rxの値に基づいて所望の技術を選択するための1つまたは複数の構成要素を含むことができる。構成要素は、1つまたは複数のスイッチングデバイス、抵抗、コンデンサなどを含むことができる。例えば、
図3は、所望の技術の選択を支援するための様々な電気構成要素を有する駆動回路320を含むスイッチトモード電源300を示す。具体的には、電源300は、電気端子Vout+(例えば、電力出力)および電気端子Vout-(例えば、接地などの基準電圧)に電力を供給する
図1の電源回路106と、
図1の通信インターフェース108と、
図2の補助電源回路228と、
図2のデジタルコントローラ218および駆動回路320を含む制御回路310と、を含む。
【0032】
図3に示すように、駆動回路320は、2つのスイッチングデバイスQ1、Q2と、2つの抵抗R1、R2と、コンデンサC1と、を含む。スイッチングデバイスQ1は、一方側(例えば、ドレイン)の抵抗R1と他方側(例えば、ソース)のコンデンサC1とに結合され、スイッチングデバイスQ2は、一方側(例えば、ドレイン)の抵抗R2と他方側(例えば、ソース)の電気端子Vout-とに結合されている。コンデンサC1は、スイッチングデバイスQ1と電気端子Vout-との間に結合される。コンデンサC1、スイッチングデバイスQ1(例えば、スイッチングデバイスQ1のソース)、およびアドレス端子112は、ノード332においてともに結合されている。各抵抗R1、R2は、固定の抵抗値を有してもよい。
【0033】
抵抗Rxは、電源300の通信アドレスの設定に用いられる。これにより、電源300は、本明細書で説明するように、マスタ/スレーブ関係でマスタコントローラ(図示せず)と通信することができる。 図示のように、抵抗Rxは、アドレス端子112と電気端子Vout-とにわたって結合される。 例えば、抵抗Rxは、コンデンサC1と並列に結合される。
【0034】
図3に示すように、補助電源回路228は、電圧Vcc、Vcssを制御回路310に供給する。具体的には、デジタルコントローラ218および駆動回路320内の抵抗R1に電圧Vccが与えられ、駆動回路320内の抵抗R2に電圧Vcssが与えられる。いくつかの例では、電圧Vcssは電圧Vccより大きくてもよい。
【0035】
図3の特定の例では、電源300のアドレスを設定するために2つの技術が利用可能である。 具体的には、制御回路310は、(本明細書で説明するように)抵抗Rxの値に応じて定電流技術(手段)および分圧技術(手段)を使用することができる。他の実施形態では、必要に応じて、他の好適なアドレス設定技術(手段)を使用することができる。
【0036】
制御回路310は、スイッチデバイスQ1、Q2を制御することにより、定電流技術または分圧技術を選択してもよい。例えば、スイッチングデバイスQ2のゲートは、制御信号224を受信するためのデジタルコントローラ218に結合され、スイッチングデバイスQ1のゲートは、抵抗R2とスイッチングデバイスQ2との間に結合される。スイッチングデバイスQ1、Q2は相補的に制御される。
【0037】
例えば、スイッチングデバイスQ2をオン(例えば、制御信号224は高である)に制御すると、スイッチングデバイスQ2に基準電圧まで電流が流れることにより、スイッチデバイスQ1のゲート電圧がプルダウンされる。 これにより、スイッチングデバイスQ1がオフする。 このように、スイッチングデバイスQ1の状態は、スイッチングデバイスQ2の状態に基づく。
図4には、スイッチデバイスQ2が閉状態、スイッチデバイスQ1が開状態のときの制御回路310の等価回路400と抵抗Rxとが示されている。
【0038】
この時間の間、制御回路310は、定電流技術を採用する。例えば、スイッチングデバイスQ2がオンの場合、制御回路310は、抵抗Rxに定電流を出力する。具体的には、デジタルコントローラ218は、ノード332を通過して抵抗RxおよびコンデンサC1に至る生成された定電流(例えば、信号222)を出力する。 これを出力電流Ioとして
図4に示す。次に、制御回路310は、生成された定電流Ioに基づいて抵抗Rxの両端の電圧Vxを感知(例えば、サンプリングなど)し、感知電圧Vxに基づいて抵抗Rxの値を決定(例えば、計算など)することができる。例えば、抵抗Rxの値は、感知電圧Vxを出力電流Ioで除算した値に等しい。
【0039】
ただし、スイッチングデバイスQ2がオフのとき、スイッチングデバイスQ1をオンさせる電源信号Vcssに基づいて、スイッチングデバイスQ1のゲート電圧がプルアップされる。 スイッチングデバイスQ1がオンであるとき、抵抗R1(例えば、固定抵抗を有する)は抵抗Rx(例えば、外部抵抗)に結合されて分圧回路を形成する。このため、制御回路310は、スイッチングデバイスQ1がオンのとき(スイッチングデバイスQ2がオフのとき)、分圧技術を用いる。
図5には、スイッチデバイスQ2が開状態、スイッチデバイスQ1が閉状態のときの制御回路310の等価回路500と抵抗Rxとが示されている。
【0040】
この時間の間、制御回路310は、抵抗R1、Rxの比例除算回路に基づいて抵抗Rxの両端の電圧Vxを感知し、次いで抵抗R1の値、感知された電圧Vxおよび電圧Vccに基づいて抵抗Rxの値を決定することができる。例えば、以下の式(1)は、電圧Vx(例えば、出力電圧)を解く従来の分圧の式であり、以下の式(2)は、式(1)に示す抵抗Rxの未知の値を解く。
【0041】
図6は、
図3の電源300の構成可能な通信アドレスを設定するための方法600を示す。方法600に関連して
図3の電源300が具体的に参照されているが、本明細書に開示されている電源のいずれも、通信アドレスを設定するために方法600を用いることができることは明らかである。
【0042】
電源300の起動(例えば、電源オン)後、制御回路310は、上述したような定電流技術などの一技術(例えば、デフォルト技術)で動作するように設定される。これをブロック602に示す。 例えば、デジタルコントローラ218は、スイッチングデバイスQ2をオンに制御することにより、上述したようにスイッチングデバイスQ1をオフにしてもよい。 この時間の間、デジタルコントローラ218は、上述したように抵抗Rxに定電流を生成して供給する。
【0043】
次いで、ブロック604において、抵抗Rxの両端の電圧Vxの値がサンプリングによって得られる。例えば、デジタルコントローラ218は、電圧VxをサンプリングするためのA/Dサンプリングポートを含んでもよい。このサンプリングポートは、定電流を出力してもよい。ブロック604において抵抗Rxの両端の電圧Vxの値が得られた後、ブロック606において抵抗Rxの値が(上述したように)計算される。次に、ブロック608において、抵抗Rxの計算値が、定義された閾値R0と比較される。 例えば、制御回路310は、比較器などの回路を含むことができ、および/またはデジタルコントローラ218は、抵抗Rxの値と閾値R0とを比較するための構成要素、ソフトウェア命令などを含むことができる。
【0044】
抵抗Rxの値が定義された閾値R0より大きい場合、ブロック610において、デフォルト技術(例えば、定電流技術)における抵抗Rxの計算値に基づいて通信アドレスが電源300に設定される。このような例では、可能なサンプリング電圧(例えば、電圧Vx値)間の差と、これらの電圧に基づいて算出された抵抗Rx値の差が大きい。したがって、抵抗Rx値が(例えば、定義された閾値R0と比較して)比較的大きい場合、隣接する抵抗Rx値間のデルタは大きくなり得る(例えば、他の隣接する抵抗Rx値間の他のデルタに対して)。そのような例では、高抵抗の低密度領域(例えば、高抵抗Rx値および隣接する抵抗Rx値間の大きなデルタ)で動作することが望ましい場合がある。これにより、抵抗Rx値に対応するアドレスを高い信頼度で設定することができる。
【0045】
しかしながら、抵抗Rx値が(定義された閾値R0と比較して)比較的小さく、デフォルト技術が採用される場合、可能なサンプリング電圧間の差は、より低い抵抗値に起因してより小さくなる。その結果、算出される抵抗Rx値の差が小さくなる。さらに、抵抗Rx値が小さいため、サンプリングされる電圧Vxが小さく、ノイズの影響を受けやすい。このように、デフォルト技術(例えば、定電流技術)であって、抵抗Rx値が小さい場合には、設定アドレスの信頼度が低下する。
【0046】
抵抗Rx値が定義された閾値R0以下である場合、制御回路310は、上述したように分圧技術などの別の技術に変更する。これをブロック612に示す。 例えば、デジタルコントローラ218は、スイッチングデバイスQ2をオフに制御することにより、上述したようにスイッチングデバイスQ1をオンにしてもよい。
【0047】
図6に示すように、方法600は、ブロック614において抵抗Rxの両端の電圧Vxを(再び)取得することと、ブロック616において(上述したように)抵抗Rx値を(再び)計算することと、を含む。抵抗Rx値が計算された後(例えば、分圧技術で)、ブロック610において、抵抗Rxの計算された値に基づいて電源300に通信アドレスが設定される。そのような例では、抵抗Rx値の差は小さくてもよい(例えば、定電流技術と比較して)。したがって、抵抗Rx値が(例えば、定義された閾値R0と比較して)比較的小さい場合、隣接する抵抗Rx値間のデルタは小さくなり得る(例えば、他の隣接する抵抗Rx値間の他のデルタに対して)。そのような場合、低抵抗の高密度領域(例えば、低抵抗Rx値および隣接する抵抗Rx値間の小さなデルタ)で動作することが望ましい場合がある。
【0048】
そのような例では、抵抗R1値は、可能なサンプリング電圧(例えば、電圧Vx値)間の差が大きいことを保証するように選択することができる。その結果、抵抗Rx値の分解能が向上する。これにより、分圧技術で通信アドレスを設定する際の信頼度を高めることができる。例えば、抵抗R1値は、抵抗Rx値より高くてもよいし、低くてもよい。しかしながら、抵抗R1値に対して抵抗Rx値が大きい場合、可能なサンプリング電圧間の差が減少する(抵抗Rx値の分解能が低下する)可能性がある。
【0049】
いくつかの例では、電源300の通信アドレスおよび/または電力システム内の他の電源の通信アドレスは、ルックアップテーブルに基づいて設定されてもよい。例えば、ルックアップテーブルを制御回路310(例えば、デジタルコントローラ218内のメモリなど)に格納してもよい。ルックアップテーブルは、抵抗Rxの異なる値に対応する異なる構成可能な通信アドレスを含むことができる。このように、抵抗Rxの値が(いずれの技術においても)決定されると、制御回路310は、その抵抗Rxの決定された値に対応する電源300の通信アドレスを設定し得る。
【0050】
例えば、
図7は、様々な抵抗Rx値および対応するアドレスを含むルックアップテーブル700を示す。計算された抵抗Rx値がルックアップテーブル700内の抵抗値であるおよび/またはその定義された許容範囲内にあるとき、ルックアップテーブル700内の対応する通信アドレスを電源300用に選択することができる。例えば、計算された抵抗Rx値が10kΩである(またはその定義された許容範囲内である)場合、電源300の対応するアドレスは96に設定される。 あるいは、計算された抵抗Rx値が158kΩである(またはその定義された許容範囲内である)場合、電源300の対応するアドレスは107に設定される。 別の例では、計算された抵抗Rx値が56.2kΩである(またはその定義された許容範囲内である)場合、電源300の対応するアドレスは102に設定される。
【0051】
図7に示すように、抵抗Rxの値は、10kΩ~232kΩの範囲である。この特定の例では、低抵抗の高密度領域は、抵抗Rx値10kΩ、15kΩ、21kΩ、28kΩ、35.7kΩおよび45.3kΩであってもよく、高抵抗の低密度領域は、抵抗Rx値69.8kΩ、88.7kΩ、107kΩ、130kΩ、158kΩ、191kΩおよび232kΩであってもよい。
図7に示すように、低抵抗の高密度領域における隣接する抵抗Rx値の間のデルタは、高抵抗の低密度領域における隣接する抵抗Rx値の間のデルタよりも小さい。 例えば、抵抗Rx値15kΩと抵抗Rx値21kΩとの間のデルタは6であり、抵抗Rx値191kΩと抵抗Rx値232kΩとの間のデルタは41である。
【0052】
他の例示的な実施形態では、ルックアップテーブルは、様々な電圧Vx値および対応するアドレスを含むことができる。様々な電圧Vx値は、抵抗Rx値と定義された関係を有してもよい。したがって、例えば、同じ量の電流が異なる電源に結合されたアドレス設定抵抗を通過する場合、様々な電圧Vx値は抵抗Rx値と線形関係aを有することができる。他の例では、様々な電圧Vx値は、抵抗Rx値と非線形関係を有してもよい。
【0053】
他の例では、ルックアップテーブル内の隣接する抵抗値間のデルタが実質的に同様である場合、式を使用して電源300の通信アドレスを設定することができる。例えば、ルックアップテーブル(例えば、
図7のルックアップテーブル700)が抵抗Rx値24.9kΩ、49.9kΩ、75kΩおよび100kΩを含む場合、これらの隣接する抵抗値間のデルタはそれぞれ約25である。そのような例では、感知電圧Vxに基づく式を使用して通信アドレスを設定することができる。例えば、通信アドレスは、感知電圧Vxを規定の電圧レベル(例えば、250mVなど)で除算した値に基づいて設定されてもよい。
【0054】
単なる例として、
図3~
図7を参照して、抵抗R1は56kΩであってもよく、抵抗R2は30kΩであってもよく、電圧Vcssは10Vであってもよく、電圧Vccは3.3Vであってもよく、定出力電流Ioは10μAであってもよい。この例では、定義された閾値R0は、テーブル700内の抵抗Rx値の範囲の中央値付近の値(または時には中央値)であってもよい。例えば、定義された閾値R0は、45.3kΩに近い値、45.3kΩ~56.2kΩの範囲の値などに設定されてもよい。
【0055】
例えば、定義された閾値R0を50kΩに設定してもよい。そのような例では、制御回路310が定電流技術を(例えば、上述したようなデフォルト技術として)選択するようにスイッチデバイスQ1、Q2を制御する場合、抵抗Rx値は、感知された電圧Vxを10μA(すなわち、定出力電流Io)で除算することによって計算することができる。計算された抵抗Rx値が約69kΩである場合、制御回路310は、その通信アドレスを(
図7のテーブル700に基づいて)103に設定することができる。しかしながら、抵抗Rx値が(定電流技術を使用して)約25kΩであると決定された場合、制御回路310は、スイッチデバイスQ1、Q2を制御して(上述したように)分圧技術を選択し、電圧Vxを感知し、上記の式(2)に基づいて抵抗Rx値を再計算することができる。そのような例では、再計算された抵抗Rx値が約27.6kΩである場合、制御回路310は、その通信アドレスを(
図7のテーブル700に基づいて)99に設定することができる。
【0056】
図3に関連して上述したように、定電流を生成し、デジタルコントローラ218によって提供することができる。他の実施形態では、デジタルコントローラ218の外部の回路が定電流を生成および提供することができる。 例えば、
図8には、
図1の電源回路106および通信インターフェース108と、
図2の補助電源回路228と、デジタルコントローラ818を有する制御回路810と、駆動回路820と、電流源834と、を含むスイッチト技術電源800が示されている。デジタルコントローラ818は、
図3のデジタルコントローラ218と実質的に同様であるが、抵抗Rxの値を決定するための定電流を提供しない。
図8に示すように、電流源834は、
図8の制御回路810の構成要素であってもよい。他の実施形態では、電流源834は、必要に応じて制御回路の外部に配置されてもよい。
【0057】
図示するように、駆動回路820は、スイッチングデバイスQ1、Q2と、
図3の抵抗R1、R2およびコンデンサC1と、別のスイッチングデバイスQ3と、を含む。スイッチングデバイスQ3は、電流源834とノード332との間に結合される。
【0058】
スイッチングデバイスQ3は、スイッチングデバイスQ2と同様に制御される。例えば、制御信号224が高である場合、スイッチングデバイスQ2およびスイッチングデバイスQ3はオンする。この時間の間、スイッチングデバイスQ1は強制的にオフにされ、電流源834は、上述したように抵抗Rxに定電流(例えば、信号222)を出力する。これは、定電流技術と称することができる。しかしながら、制御信号224が低である場合、スイッチングデバイスQ2およびスイッチングデバイスQ3はオフする。これにより、スイッチングデバイスQ1がオンし、上述したように抵抗R1と抵抗Rxとが分圧回路内で結合される。これは分圧技術と称することができる。
【0059】
図9には、
図1の電源回路106および通信インターフェース108と、
図2の補助電源回路228と、
図2および
図3のデジタルコントローラ218を有する制御回路910と、駆動回路920と、を含むスイッチト技術電源900が示されている。
図9の制御回路910は、
図3の制御回路310と同様に機能する。
【0060】
図9に示すように、駆動回路920は、1つのスイッチングデバイスQ1と、1つの抵抗R1と、1つのコンデンサC1と、を含む。
図3と同様に、
図9のスイッチングデバイスQ1は、一方側(例えば、ドレイン)の抵抗R1と、他方側(例えば、ソース)のコンデンサC1と、に結合されている。スイッチングデバイスQ1、コンデンサC1、およびアドレス端子112は、ノード332においてともに結合されている。
【0061】
動作中、デジタルコントローラ218は、スイッチングデバイスQ1を制御して、電源900の通信アドレスを設定するための異なる技術を選択する。例えば、制御回路910は、スイッチングデバイスQ1をオフに制御することによって、ある技術(例えば、定電流技術)で動作してもよい。これにより、抵抗R1はノード332から切り離される。この時間の間、デジタルコントローラ218は、上述したように抵抗Rxに定電流(例えば、信号222)を供給し得る。これは、電源900の起動後および/または抵抗Rxの値が定義された閾値よりも大きいときに起こり得る。
【0062】
あるいは、制御回路910は、スイッチングデバイスQ1をオンに制御することによって、別の技術(例えば、分圧技術)で動作してもよい。例えば、デジタルコントローラ218は、制御信号224を強制的に高にして、スイッチングデバイスQ1をオンにすることができる。次に、抵抗R1は、抵抗Rxに結合して、上述したように分圧回路を形成する。これは、抵抗Rxの値が定義された閾値以下である場合に起こり得る。
【0063】
本明細書で開示される電源回路は、バック、ブースト、バックブーストなどのトポロジなどの任意の適切なトポロジを含むことができる。さらに、電力回路は、単一のコンバータ段または複数のコンバータ段を含み、AC/DC、DC/ACおよび/またはDC/DC電力変換を提供することができる。いくつかの実施形態では、電力回路は、1つまたは複数の電力スイッチ、絶縁構成要素、抵抗、コンデンサ、インダクタなどを含むことができる。例えば、
図10は、
図3のスイッチトモード電源300を示しているが、電源回路106は電源スイッチ1036および変圧器1038を含み、補助電源回路228は電源スイッチ1040および変圧器1042を含む。
【0064】
いくつかの例では、本明細書で開示される電源のうちの1つまたは複数は、電力システムの一部であってもよい。例えば、
図11には、二つの電源A、Bおよびマスタコントローラ1144を含む電力システム1100が示されている。電源A、Bは、1つまたは複数のロードに電力を供給することができる。マスタコントローラ1144と電源A、Bとは、マスタ/スレーブの関係であってもよい。
【0065】
電源A、Bの各々は、本明細書で開示される電源のいずれか1つを含む任意の適切な電源であってもよい。例えば、各電源A、Bは、本明細書で開示される例のいずれか1つまたは複数によって設定される通信アドレスを含むことができる。このように、マスタコントローラ1144は、設定された通信アドレスに基づいて、各電源A、Bと通信することができる。例えば、マスタコントローラ1144は、電源A、Bの電気的パラメータを表す信号を受信し、電源A、Bに制御信号を提供することができる(例えば、電源A、B内の回路を制御するために)。
【0066】
本明細書で開示される制御回路および/またはマスタコントローラは、アナログ制御回路、デジタル制御回路(例えば、デジタル信号コントローラ(DSC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロコントローラユニット(MCU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向けIC(ASIC)など)、またはハイブリッド制御回路(例えば、デジタル制御ユニットおよびアナログ回路)を含むことができる。例えば、制御回路および/またはマスタコントローラは、本明細書に開示のデジタルコントローラなどのデジタル制御回路および/または本明細書に開示の駆動回路などのアナログ制御回路を含むことができる。さらに、制御回路/マスタコントローラ全体、制御回路/マスタコントローラの一部が、集積回路上に配置されてもよく、または制御回路/マスタコントローラのいずれも集積回路上に配置されなくてもよい。場合によっては、本明細書で開示されるデジタルコントローラは、集積チップであってもよい。
【0067】
いくつかの例では、制御回路は、電力管理バス(PMBus)プロトコルまたは別の好適なプロトコルを介してマスタコントローラと通信することができる。
【0068】
本明細書で開示されるスイッチングデバイスおよび/または電源スイッチは、MOSFETなどの電界効果トランジスタ(FET)、および/または他の好適なデバイスを含むことができる。例えば、
図3および
図8~
図10のスイッチングデバイスQ1、Q2、Q3は、nMOSFETとして示されている。しかしながら、必要に応じて、他の好適なスイッチングデバイスが使用されてもよい。
【0069】
本明細書で開示される端子は、電気接点、ワイヤ、リード、ピン、および/または別の好適な端子を含むことができる。上述したように、本明細書で開示される通信インターフェースは、1つまたは複数のアドレス端子を含むことができる。いくつかの例では、通信インターフェースは、抵抗Rxに結合するためのただ1つのアドレス端子を含むことができる。
【0070】
本明細書で開示された1つまたは複数の特徴を使用することにより、ユーザは、上述したように、高い信頼度で電源の通信アドレスを設定することができる。さらに、その特徴を実装するコストは低い。例えば、駆動回路の特徴は、1つまたは複数の抵抗、コンデンサ、スイッチングデバイスなどの低コストかつ低複雑度の構成要素で実装されてもよい。そのような構成要素として、生産、製造などのコストは最小限であり得る。
【0071】
実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的で提供されている。網羅的であること、または本開示を限定することを意図するものではない。特定の実施形態の個々の要素または特徴は、概して、その特定の実施形態に限定されず、適用可能な場合には交換可能であり、具体的に図示または説明されていなくても、選択された実施形態で使用することができる。これはまた、多くの方法で変更されてもよい。そのような変形は、本開示からの逸脱と見なされるべきではなく、すべてのそのような修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【国際調査報告】