(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-24
(54)【発明の名称】細胞培養監視のための小型光学結像システム
(51)【国際特許分類】
G02B 21/12 20060101AFI20220117BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
G02B21/12
C12M1/34 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021529768
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(85)【翻訳文提出日】2021-07-20
(86)【国際出願番号】 US2019062137
(87)【国際公開番号】W WO2020112434
(87)【国際公開日】2020-06-04
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】コブ,ジョシュア モンロー
(72)【発明者】
【氏名】サンソン,マーク クリスチャン
【テーマコード(参考)】
2H052
4B029
【Fターム(参考)】
2H052AC02
2H052AC07
2H052AD02
2H052AF14
4B029AA07
4B029BB11
4B029FA11
(57)【要約】
細胞培養監視のための小型光学結像システムが提供される。このシステムは、照明源と、細胞培養容器の第1の表面と照明源との間に配置されたコリメートレンズとを有する照明セグメントを含む。照明源およびコリメートレンズは、細胞培養容器の第1の表面に対し斜角でこの第1の表面を通して光を透過させるように配置される。このシステムは、検出器と、細胞培養容器の第1の表面と検出器との間に配置されたレンズとを有する検出セグメントも含む。レンズは、開口絞りを介して検出器に光を集束させ、検出器は、細胞培養容器の第1の表面からこの第1の表面に対し斜角で出射する光を受光する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞培養監視のための光学監視システムであって、
細胞培養室内に光を放出するように構成された照明系と、
前記照明系によって照明された前記細胞培養室の内容物を結像させるように構成された結像系と
を有し、
前記照明系および前記結像系は前記細胞培養室の同じ側にある、
光学監視システム。
【請求項2】
前記内容物は前記細胞培養室の第1の表面上に配置されている、請求項1記載の光学監視システム。
【請求項3】
前記光学監視システムは、前記照明系から放出される前記光を、前記細胞培養容器の第2の表面を用いて方向転換させることにより、前記内容物を結像させるように構成されており、前記光は前記結像系に向けて方向転換させられ、
前記第2の表面は、前記照明系および前記結像系とは反対側に位置する前記内容物の一方の側にある、
請求項1または2記載の光学監視システム。
【請求項4】
前記照明系は、
前記光を放出するように構成された照明源と、
前記照明源と前記内容物との間の前記光の光路中に配置されたコリメートレンズと
を有する、
請求項1から3までのいずれか1項記載の光学監視システム。
【請求項5】
前記照明系は、前記照明系から前記細胞培養室に向けて前記光を方向転換させるためのミラーをさらに有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の光学監視システム。
【請求項6】
前記結像系は、
前記内容物の像を受け取るための検出器と、
前記内容物と前記検出器との間の前記光の光路中に配置された結像レンズと
を有する、
請求項1から5までのいずれか1項記載の光学監視システム。
【請求項7】
前記結像系は、前記結像レンズと前記検出器との間の前記光の光路中に配置された開口絞りをさらに有する、請求項6記載の光学監視システム。
【請求項8】
前記開口絞りはテレセントリック絞りである、請求項7記載の光学監視システム。
【請求項9】
前記照明系から放出された前記光は、前記第1の表面に対し斜角で該第1の表面を透過させられる、請求項2から8までのいずれか1項記載の光学監視システム。
【請求項10】
前記結像系に向かって方向転換させられた前記光は、前記第1の表面に対し斜角で該第1の表面を透過させられる、請求項2から9までのいずれか1項記載の光学監視システム。
【請求項11】
前記検出器は検出表面を有し、前記検出表面に対する法線は、該検出表面に入射する前記光の光路方向に対し相対的に斜角を成しており、
前記光路方向に対し相対的な前記検出表面の法線の前記斜角は、像視野全体にわたり焦点が合っている前記内容物の像を生成するように構成されている、
請求項6から10までのいずれか1項記載の光学監視システム。
【請求項12】
前記第1の表面は、前記細胞培養容器の第1の細胞培養室の下面であり、前記下面は、該下面において細胞を培養するように構成されており、
前記第2の表面は、前記第1の細胞培養室の上面、前記細胞培養容器の第2の細胞培養室の下面、前記第2の細胞培養室の上面、および前記細胞培養容器の他の表面のうちの少なくとも1つであり、
前記第2の細胞培養室は、前記照明系および前記結像系とは反対側に位置する前記第1の細胞培養室の一方の側に配置されている、
請求項2から11までのいずれか1項記載の光学監視システム。
【請求項13】
前記細胞培養容器は複数の細胞培養室を有する、請求項1から12までのいずれか1項記載の光学監視システム。
【請求項14】
前記照明源は前記コリメートレンズの光軸からオフセットされており、
前記照明源は、発光ダイオード(LED)または非LED光源のうちの少なくとも一方を有し、または
これらの組み合わせを有する、
請求項4から13までのいずれか1項記載の光学監視システム。
【請求項15】
前記検出器は、光を電気信号に変換するように構成されたセンサを有する、請求項6から14までのいずれか1項記載の光学監視システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、米国特許法第120条のもと、2018年11月30日に出願された米国仮特許出願第62/773899号の優先権の利益を主張し、その内容は本明細書の依拠するところであって、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は概して、細胞などの微細構造を結像させるための方法および装置に関する。より詳細には本開示は、細胞培養の結像および監視のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
細胞培養は、薬剤スクリーニング、毒性試験、遺伝子工学、治療用タンパク質およびワクチンの製造など、幅広い分野において重要かつ価値のある多くの用途を見出した不可欠なツールである。一般に、哺乳動物細胞株は培養器内で培養され、そこにおいて温度、湿度、CO2含有量を詳細に監視および制御することが有益である。細胞培養プロセス中、培地によって充填された培養容器に播種した細胞を、下流のプロセスで処理する前に、それらが成長しているときに監視する必要がある。
【0004】
たとえば、細胞培養の培養密度が監視される。本明細書で使用される場合、「培養密度」という用語は、細胞が占める細胞培養基材表面の割合を指すために使用される。一般的に、細胞は80%~90%の培養密度に達すると継代培養または継代され、その理由は、細胞が成長し過ぎると、それらの増殖および遺伝子発現の表現型が失われる可能性があるからである。細胞培養密度に加え、細胞移動追跡、細胞密度測定、総細胞数推定など、他の幅広い重要な用途も頻繁な観察を必要とする。
【0005】
これらの用途を視覚化するために、研究者は通常、卓上型光学顕微鏡を使用する。細胞培養器から細胞と細胞培養培地の双方を含む細胞培養容器を取り出し、光学顕微鏡の試料台に載置し、顕微鏡の接眼レンズ(アイピース)を通して、明視野モードで細胞を観察する。しかしながら卓上型顕光学微鏡による観察方法には、いくつかの大きな欠点がある。たとえば、研究者は細胞培養器から細胞培養容器を頻繁に手動で取り出さなければならない。細胞培養容器を細胞培養器から取り出すと、温度、雰囲気、湿度などの環境変化を細胞が受けるため、このような手順は、細胞培養プロセスを妨害する可能性がある。また、細胞培養容器が細胞培養器外で殺菌処理が不完全な実験器具と頻繁に接触することで、細胞培養物が汚染される可能性がある。微生物(細菌、真菌、酵母など)による細胞培養物の汚染は、細胞の生化学的および生物物理学的な挙動を変化させ、または細胞死を引き起こす可能性すらある。
【発明の概要】
【0006】
本開示の1つの実施形態によれば、細胞培養監視のための光学監視システムが提供される。このシステムは、細胞培養室内に光を放出する照明系と、照明系によって照明された細胞培養室の内容物を結像させる結像系とを含む。照明系と結像系とは、細胞培養室の同じ側に配置されている。このシステムは、細胞培養室の第1の表面上に配置された細胞培養室の内容物を結像させるように配置されている。光学監視システムは、照明系から放出された光を、細胞培養容器の第2の表面を用いて方向転換させることにより内容物を結像させ、この光は結像系に向けて方向転換される。第2の表面は、照明系および結像系とは反対側に位置する内容物の一方の側にある。
【0007】
本開示の1つの実施形態によれば、細胞培養を非侵襲的に監視するための細胞培養監視システムが提供される。このシステムは、細胞が培養される表面を備えた細胞培養室を有する細胞培養容器を含む。このシステムは、光学監視システムを有する少なくとも1つの監視モジュールをさらに含む。光学監視システムは、細胞培養室内に光を放出する照明系と、この照明系によって照明された細胞培養室の内容物を結像させる結像系とを含む。照明系と結像系とは、細胞培養室の同じ側に配置されている。このシステムは、細胞培養室の第1の表面上に配置された細胞培養室の内容物を結像させるように配置されている。光学監視システムは、照明系から放出された光を、細胞培養容器の第2の表面を用いて方向転換させることにより内容物を結像させ、この光は結像系に向けて方向転換される。第2の表面は、照明系および結像系とは反対側に位置する内容物の一方の側にある。
【0008】
本開示の1つの実施形態によれば、細胞培養監視のための光学結像システムが提供される。このシステムは、照明源およびコリメータレンズを含み、このコリメータレンズは、細胞培養容器の第1の表面と照明源との間に配置され、この場合、照明源は、細胞培養容器の第1の表面に対し斜角で光を放出するように構成され、さらにこのシステムは検出器およびレンズを含み、このレンズは、細胞培養容器の第1の表面と検出器との間に配置され、この場合、レンズは、開口絞りを介して検出器に光を集束させ、さらにこの場合、検出器は、細胞培養容器の第1の表面に対し斜角でこの第1の表面から出射した光を受光するように構成されている。
【0009】
本開示の1つの実施形態によれば、細胞培養を非侵襲的に測定するように構成された細胞培養監視システムが提供される。このシステムは、複数の細胞培養層と、少なくとも1つの監視層と、少なくとも1つの監視モジュールとを有し、複数の細胞培養層の各々は1つの細胞培養室を有し、細胞培養室は、細胞が接着する少なくとも1つの表面を有し、少なくとも1つの監視層は、監視層の細胞培養室を取り囲む外壁を有し、この外壁は、細胞が接着する少なくとも1つの表面を有し、少なくとも1つの監視層は、外壁に少なくとも1つの凹部を有し、さらに少なくとも1つの監視モジュールは、少なくとも1つの凹部のうち少なくとも1つの凹部内に配置され、光学結像システムおよび分析物モニタのうちの少なくとも一方を有する。
【0010】
さらなる特徴および利点を以下の詳細な説明に記載するが、これらは部分的にはその説明から当業者に容易に明らかとなるであろうし、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲ならびに添付の図面を含めて、本明細書において説明されている実施形態を実施することにより認識されるであろう。
【0011】
上述の一般的な説明および以下の詳細な説明の双方はいずれも例示的なものにすぎず、特許請求の範囲の性質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供することを意図していることを理解されたい。添付の図面は、さらなる理解をもたらすために含まれており、本明細書に組み込まれてその一部を構成する。図面は1つ以上の実施形態を示しており、それらの図面は説明と併せて、様々な実施形態の原理および動作を説明するために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示は、単に非限定的な例として記載される以下の説明および添付図面からより明確に理解されるであろう。
【
図1】従来のバックライト式顕微鏡を概略的に示す図である。
【
図2】本開示の実施形態による細胞培養監視のための小型光学結像システムを概略的に示す図である。
【
図3】本開示の実施形態による多層細胞培養システムの細胞培養監視のための小型光学結像システムを概略的に示す図である。
【
図4】本開示の実施形態による結像モジュールの一例を示す図である。
【
図5】本開示の実施形態による細胞培養監視のための小型光学結像システムの構成要素を概略的に示す図である。
【
図6】本開示の実施形態による種々のコンピュータプロセスおよびシステムを実装するために使用することができる内部ハードウェアの一例を示す図である。
【
図7】本開示の実施形態による遠隔監視をサポートする細胞培養の非侵襲的測定のための監視層の一例を示す斜視図である。
【
図8】本開示の実施形態による監視モジュールの一例を示す図である。
【
図9】本開示の実施形態による遠隔監視をサポートする細胞培養の非侵襲的測定のための、積層細胞培養容器システムの一例を示す斜視図である。
【
図10】本開示の実施形態による監視層の凹部の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本実施形態を詳細に参照するが、添付の図面にはその例が示されている。それらの図面全体にわたり、同一の部材または類似の部材の参照にはできるかぎり同一の参照番号を用いることにする。
【0014】
単数形の不定冠詞および定冠詞は、文脈が明らかに別段の定めをしないかぎり、複数形のそれを含む。同じ特徴を列挙しているすべての範囲の終点は、独立して組み合わせ可能であり、列挙された終点を含む。参考文献はすべて、参照により本明細書に記載されているものとする。
【0015】
本明細書において使用される場合、「を具備する」、「を具備している」、「を含む」、「を含んでいる」、「を有する」、「を有している」または同種のものは、制約されないそれらの意味で使用され、一般に「を含むが、それに限定されない」ということを意味する。
【0016】
本明細書において使用されるすべての科学用語および技術用語は、特に断りのないかぎり、当技術分野において一般に使用される意味を有する。本明細書において提供される定義は、本明細書においてしばしば使用される特定の用語の理解を容易にするためであり、本開示の範囲を限定することは意図されていない。
【0017】
本開示について以下では、最初は一般的に、その後、いくつかの例示的な実施形態に基づいて詳細に説明する。個々の例示的な実施形態において互いに組み合わせて示された特徴は、すべてが実現される必要はない。特に、個々の特徴は、省略されてもよいし、あるいは同じ例示的な実施形態または他の例示的な実施形態の示された他の特徴と、何らかの他の形式で組み合わされてもよい。
【0018】
用語「上部」、「下部」、「側部」、「よりも上」、「よりも下」、「の上」、「の下」およびこれらに類するものは、本明細書では記述的な目的で使用され、必ずしも永続的な相対位置を記述するためには使用されない。このように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本開示の実施形態はたとえば、図示されたまたは他の手法で説明されたものとは別の向きで動作可能である、ということを理解されたい。
【0019】
図1は、明視野顕微鏡法(またはケーラー照明)で使用される構成要素の配置を示す。ケーラー照明では、被写体は後ろから照明される。言い換えれば、撮影対象は、照明源と対象の像の観察者(または像を検出する検出器)との間にある。たとえば
図1は、結像対象物2(たとえば細胞)を収容した容器1を示す。光源3は、1つ以上の複数のレンズなど1つ以上の光学素子4を通過可能な照明路5に光を投射する。次いで、照明路5における光が対象物2を背面から照明する。その後、結像路8に沿って光学素子6を介して、検出器7(または観察者)にバックライト像が投射される。ケーラー法が用いられる理由は、これらの細胞を高いコントラストで観察するために必要とされる照明は、細胞の背後から到来しなければならないからであり、つまり細胞を透過し、次いで顕微鏡の対物レンズに入射する背面照明でなければならないからである。しかしながら、光学結像システムと照明系とは異なる場所(すなわち結像させられる物体または細胞のそれぞれ反対側)に位置しているため、このことは難易度が高い。スペースが最優先され、容器が多層細胞培養容器になる場合もある細胞の培養に用いられる現実のシステムでは、このことは特に問題を孕むものである。
【0020】
本開示の実施形態によれば、結像させられる細胞の同じ側に結像チャネルと照明チャネルとが配置される、という利点がもたらされる。したがって、結像チャネルおよび照明チャネルを細胞培養スタックの同じ領域に位置させることができ、それによってトレイスタックの変更およびチャネル間の位置合わせが容易になる。これに加え本開示の実施形態によれば、結像のために細胞培養容器を定位置に留めることができる小型の結像解決手段が提供され、これによって細胞培養容器を結像プラットフォームに移動させる必要がなくなる。容器のこのような再配置は細胞を妨害し、結果として生じる細胞培養に悪影響を与えるおそれがあるため、望ましくない。
【0021】
本開示の実施形態は、細胞培養監視のための小型光学結像システムに関する。このシステムは、照明源およびコリメータレンズを含み、このコリメータレンズは、細胞培養容器の表面と照明源との間に配置され、この場合、照明源は、細胞培養容器の表面に対し斜角で光を放出するように構成され、さらにこのシステムは検出器およびレンズを含み、このレンズは、細胞培養容器の表面と検出器との間に配置され、この場合、レンズは、開口絞りを介して検出器に光を集束させ、さらにこの場合、検出器は、細胞培養容器の表面に対し斜角でこの表面から出射した光を受光するように構成されている。このシステムは、明視野モードで動作するように構成されており、これにより明視野像の像解析を介して、細胞培養健康状態の様々な観点について判定することができる。これに加え、本明細書に記載のシステムの占有面積は小さく、これによって、明視野モードを使用して細胞培養状態の継続的な監視を可能にするよう、細胞培養容器にシステムを組み込むことができるようになり、または細胞培養容器に取り外し可能に結合させることができるようになる。
【0022】
図2には、本開示の実施形態による細胞培養監視のための小型光学結像システムが概略的に示されている。
図2の概略的な図解が縮尺通りに描かれていないことを理解されたい。図示されているように、小型光学結像システム100は、照明源10およびコリメートレンズ20を含む。照明源10は、コリメートレンズ20によってコリメートされ細胞培養容器30の第1の表面50に配向させられた光を放出するように、方向付けられている。照明源10をたとえば、以下に限定されるものではないが、発光ダイオード(LED)またはLEDアレイとすることができる。択一的に照明源10を非LED光源とすることができ、たとえば白熱光源、小型蛍光(CFL)光源、ハロゲン光源、または光ビームを生成および放出するように構成された他の光源とすることができる。照明源10は、可視スペクトル内の任意の波長または波長の組み合わせの白色光または着色光を生成することができる。
【0023】
さらに
図2に示されているように、小型光学結像システム100は検出器80を含む。検出器80は、センサに入射する光を検出し、その光を電気信号に変換するイメージセンサを含む。イメージセンサを、電荷結合素子(CCD)センサ、相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサ、または光を電気信号に変換することができる他の任意のタイプのセンサとすることができる。択一的に検出器80は、単にCCD、CMOS、または他のセンサを含むことができる。システム100は、集光用のレンズ60と、細胞培養容器30の第1の表面50と検出器80との間に配置された開口絞り70とをさらに含み、この場合、レンズ60は集光し、開口絞り70を介して検出器80上に光を集束させる。
【0024】
本開示の実施形態によれば、照明源10、コリメートレンズ20、および照明源10から出射された光の経路内の他の任意の光学素子は、細胞培養容器30に入射するときの光ビームの方向が第1の表面50に対し斜角となるよう、光を透過するように配置されている。同様に、検出器80は、細胞培養容器30の第1の表面50に対し斜角でこの第1の表面50から出射する光を受光するために、所定の角度で配置されている。小型結像システム100の動作中、光ビームは照明源10から細胞培養容器30の第1の表面50の方向に放出され、この場合、第1の表面50は結像対象の生細胞を含む。光ビームは、細胞培養容器30の細胞培養室90に入りそこを通過して進行し、細胞培養室90の反対側に配置された細胞培養容器30の第2の表面40に接触して、検出器80の方向に所定の角度で方向転換させられる。方向転換させられた後、光は細胞培養容器30の第1の表面50上の細胞を通過してから、照明源の像のサイズが開口サイズを下回るように、レンズ60により開口絞り70に集束される。照明源10の像が開口サイズを下回るように、開口絞り70のところに照明源10の像が生成される。テレセントリック絞りを下回るならば、結像させられた細胞を明瞭に見ることができるように、結像させられた細胞について適切なコントラストが生成される。照明源の像は開口絞りに対し共役である。
【0025】
図示されているように、照明源10および検出器80は、細胞培養容器30の第1の表面50の同じ側に配置されるように構成されている。この構成により、システム100は明視野モードで動作することができ、したがって結像対象の細胞が背面から照明される。明視野モードでは、照明源からの光が結像対物レンズアセンブリに直接入射し、観察対象物が透過光の一部を吸収し、その位相を変化させ、または方向転換させて、試料が明るい背景上で暗く見えるようにする。明視野モードで動作させた場合、システム100は、以下に限定されるものではないが、細胞数、細胞培養密度、細胞密度、細胞遊走追跡を含む明視野像の像解析を通して、細胞培養健康状態の様々な観点について判定することができる。
【0026】
図3には、本開示の実施形態による小型光学結像システム100の一例が示されており、このシステムは多層細胞培養容器31内の細胞を結像させる。光学結像システム100の構成要素は、
図2における同様の参照符号の構成要素に対応している。多層細胞培養容器31は第1の細胞培養室90aを含み、これは第1の表面50aと、第1の表面50aとは反対側に位置する第1の細胞培養室90aの一方の側における第2の表面40aとを有する。多層細胞培養容器31は第2の細胞培養室90bをさらに含み、これは第1の表面50bと、第1の表面50bとは反対側に位置する細胞培養室90bの一方の側における第2の表面40bとを有する。小型光学結像システム100は、
図2を参照して上述したのと同じように動作する。しかしながら多層細胞培養容器31の場合、照明源10からの光ビームを、第2の細胞培養室90bの表面から検出システムに向けて方向転換させることができるように、光学結像システム100を配置することができる。
【0027】
本開示の実施形態によれば、
図3に示されているような多層細胞培養容器内における結像対象の細胞をたとえば、結像させられる細胞を含む細胞培養室以外の細胞培養室の表面から方向転換させられた照明を用いて結像させることができる。
図3の多層細胞培養容器31は、2つの細胞培養室90a、90bのみを示しているが、ここで考えられるのは、小型光学結像システムの実施形態を、種々の層数または細胞培養室数を有する多層細胞培養容器において使用することができる、ということである。したがって光学系の照明源からの光ビームを、結像対象の細胞を含む細胞培養室のすぐ上の細胞培養室の表面によって方向転換させることができ、または結像対象の細胞を含む細胞培養室よりも2つ上のレベルの、またはそれよりもさらに上のレベルの細胞培養室によって、光ビームを配向させることができる。さらに、照明源からの光ビームを方向転換させるために使用される表面を、細胞培養室の下面(たとえば第1の表面50b)とすることができ、または細胞培養室の上面(たとえば第2の表面40b)とすることができる。いくつかの実施形態によれば、
図2および
図3に示されているようにたとえば、各細胞培養室は上面および下面を有することができる。ここで考えられるのは、多層細胞培養容器内の所与の細胞培養室の上面を容器の上層の下面とすることができる、ということである。
【0028】
図4には、本開示の実施形態による結像システム100の一例として結像モジュール140が示されている。本明細書で説明されているように、結像モジュール140を、容器内に含まれる細胞を結像させるために、細胞培養容器上に、または細胞培養容器に隣接して配置されるように、寸法設定および形状設定することができる。1つの実施形態の1つの例によれば、結像モジュール140は、細胞培養室を非侵襲的に監視するために、容器の監視層側面における凹部内に適合するように、寸法設定および形状設定されている。たとえば
図2および
図3に示されているように、結像モジュール140は、透過中に細胞を背面から照明するための照明系141と、細胞培養容器の表面の領域の像を形成するための結像系145とを含む。照明系141は、照明源142およびレンズ143を含み、結像系145は、レンズ147、開口絞り148および検出器149を含む。本明細書で使用される場合、「レンズ」は、レンズを通過する光を配向させる、および/または集束させる1つ以上の光学素子のことを指すことができる。照明系141のレンズ143は、光源のコリメートされた像を生成し、このコリメート像が細胞培養容器の第1の表面(たとえば細胞成長表面)を通過し、細胞培養容器の第2の表面で反射して、第1の表面上で成長する細胞を背面から照明するようにする。次いで、背面から照明された光が結像系145に入射し、照明源の像がレンズ147によって開口絞り148中に再び結像させられ、次いで細胞の像が検出器149上に生成される。1つ以上の実施形態によれば、開口絞り148はテレセントリック絞りである。像全体にわたる光の角度分布が同じであることを保証するために、レンズ147の後側焦点にテレセントリック絞りが配置される。
【0029】
照明系141は任意選択的に、照明源142を起点とする光ビームの光路を方向転換させるための反射器144を含む。同様に、結像系145は任意選択的に、照明源142から到来し細胞培養室を経由してレンズ147および/または検出器149に向かう光ビームの光路を方向転換させるための反射器146を含んでいる。反射器144、146を使用することによって、結像モジュール140のサイズを小型にすることができるよう、光路を制御することができる。たとえば照明系141と結像系145とを、互いに実質的に平行とすることができ、照明系141および結像系145を双方共に、細胞が成長する細胞培養室表面に対し実質的に平行とすることができる。この例示的な配置により、より多くのスペースを犠牲にすることなく、多層細胞培養容器を含む細胞培養容器に組み込むことのできる小型結像モジュール140が可能になる。結像モジュール140のサイズが小さいため、単一の細胞培養容器は、細胞培養表面の複数の領域または多層細胞培養容器内の複数の層を監視するために、複数の結像モジュール140を収容することができる。ここで理解されたいのは、結像モジュール140を、以下で説明するように結像モジュール140と分析物モニタとを含む監視モジュールに組み込むことができる、ということである。
【0030】
反射器144を、照明源からの光を方向転換させるために使用することができるけれども、光を配向させる別の手法があるということを理解されたい。たとえば照明源142を、照明源からの光が細胞培養容器の中に直接的に放出され、容器表面に対し相対的に正しい角度であるように、結像モジュール140の内部に配置することができる。いくつかの実施形態によれば、照明光源142を、照明光学系(たとえばレンズ143)の軸からオフセットさせることができる。照明源142のオフセット量によって、照明角度から容器内へ放出される光の照明角度が規定されることになる。
【0031】
図5には、小型光学結像システム100の付加的な構成要素がさらに示されている。これらの構成要素を、
図4の結像モジュール140に組み込みことができる。図示されているように、小型光学結像システム100は、システム100の様々な構成要素を制御するように構成されたコントローラモジュール170をさらに含むことができる。たとえばコントローラモジュール170を、照明源10および/または検出器80の一方または両方を制御するように構成することができる。コントローラモジュール170を、通信モジュール150およびイメージプロセッサ160の一方または両方を制御するように構成することもできる。
【0032】
小型光学結像システム100は、検出器80からイメージプロセッサ160に像を転送するように構成された通信モジュール150をさらに含むことができる。通信モジュール150を、有線コネクションまたは無線コネクションを介して通信するように構成することができ、以下に限定されるものではないが、このようなコネクションには、IEEE 802.11の標準ファミリ(たとえば、WiFi)、Bluetoothコネクション、セルラネットワークコネクション、RFコネクション、Universal Serial Bus(USB)、Ethernetコネクション、または他の任意のデータコネクションのうちの1つまたは複数に準拠するデータコネクションが含まれる。イメージプロセッサ160を、検出器80から受け取った像を記録および分析するように構成することができる。本開示の小型光学結像システム100のユーザによる固有のセットアップが必要になる可能性があるので、通信モジュール150およびイメージプロセッサ160を、単一の電子デバイス上または複数の電子デバイス上にあるものとすることができ、たとえば1つ以上のデスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットPC、または他のコンピュータシステムなどのところにあるものとすることができる。コントローラモジュール170、通信モジュール150およびイメージプロセッサ160は、小型光学結像システム100に特定の機能をもたらすように、相互に作用し合うことができる。たとえば小型光学結像システム100を、非一時的コンピュータ可読媒体に細胞培養像データ(たとえば細胞数、細胞培養密度、細胞密度、細胞遊走追跡または細菌汚染)を記録し、細胞培養像データとこのデータの抽出元の細胞培養像とがリンクされるように、適合させることができる。小型光学結像システム100を、時系列の複数の細胞培養像の分析を通じて、経時的に細胞培養健康状態パラメータを決定するように、適合させることができる。小型光学結像システム100は、カメラモジュールの設定およびパラメータ、たとえば焦点面、絞り、シャッタスピード、感度(たとえばISO)、ホワイトバランスなどを調整する能力といった付加的な機能を提供することができる。いくつかの実施形態によれば、小型光学結像システムを、ユーザが細胞培養の像またはビデオを記録および/または分析できるように、適合させることができる。別の実施形態によれば、小型光学結像システム100によってユーザは、予め定められた頻度で、予め定められた持続時間にわたり細胞培養像が記録および/または分析されるように、監視周期および/または監視頻度を設定することができる。別の実施形態によれば、定義された頻度で連続的に不定の持続時間にわたり、細胞培養像を記録および/または分析することができる。別の実施形態によれば、コンパクト光学結像システム100は、遠隔ユーザデバイスと通信することができる。遠隔ユーザデバイスをたとえば、携帯電話機器、タブレットコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、または他のコンピューティングシステムとすることができる。小型光学結像システム100は、1つ以上の細胞培養像および/または関連する細胞培養データを、遠隔ユーザデバイスに送信することができる。いくつかの実施形態によれば遠隔ユーザデバイスを、上述の機能のいずれかを含む小型光学結像システム100を制御するよう、適合させることができる。
【0033】
図6には、本明細書で説明されている様々なコンピュータプロセスおよびシステムを設けるために、または実装するために、使用することができる内部ハードウェアの一例が示されている。たとえば、上述の小型光学結像システム100または結像モジュール140は、
図6に示されているようなモバイルデバイスハードウェアを含むことができる。電気的なバス500は、図示されている他のハードウェア構成要素を相互接続する情報ハイウェイとして用いられる。CPU505はシステムの中央処理ユニットであり、このユニットはプログラムの実行に必要とされる計算および論理演算を実施する。CPU505は、単独で、または他の要素のうちの1つまたは複数との組み合わせとして、1つの処理デバイス、コンピューティングデバイスまたはプロセッサであり、したがってこれらの用語が本開示において使用される。CPUまたは「プロセッサ」は、プログラミング命令を実行する電子デバイスの1つの構成要素である。「プロセッサ」なる用語は、単一のプロセッサまたは1つのプロセスの様々なステップを共に実装する複数のプロセッサのいずれかを指すことができる。単一のプロセッサが必要とされること、または複数のプロセッサが必要とされることが、文脈から特に明示されていないかぎりは、「プロセッサ」なる用語は、単数の実施形態および複数の実施形態の双方を含む。メモリデバイスの例を構成するのは、読み出し専用メモリ(ROM)510およびランダムアクセスメモリ(RAM)515である。「メモリデバイス」という用語および類似の用語は、単一デバイスの実施形態、プログラミングまたはデータを共に記憶する複数のデバイス、あるいはかかるデバイスの個々のセクタを含む。
【0034】
コントローラ520は、システムバス500に対するデータストレージ設備として用いられる1つ以上の任意選択的なメモリデバイス525と相互作用する。これらのメモリデバイス525はたとえば、外付けディスクドライブまたは内蔵ディスクドライブ、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、USBドライブ、またはデータストレージ設備として用いられる他のタイプのデバイスを含むことができる。前述のように、これらの様々なドライブおよびコントローラは、任意選択的なデバイスである。これに加えメモリデバイス525を、任意のソフトウェアモジュールまたは命令、補助データ、インシデントデータを格納するための個別ファイル、分割表および/または回帰モデルのグループを格納するための共通ファイル、あるいは上述の情報を格納するための1つ以上のデータベースを含むように構成することができる。
【0035】
上述のプロセスに関連する機能ステップのいずれかを実施するためのプログラム命令、ソフトウェア、またはインタラクティブモジュールを、ROM510および/またはRAM515に格納することができる。任意選択的に、プログラム命令を、コンパクトディスク、ディジタルディスク、フラッシュメモリ、メモリカード、USBドライブ、光ディスク記憶媒体および/または他の記録媒体など、非一時的コンピュータ可読媒体に格納することができる。
【0036】
任意選択的なディスプレイインタフェース540によって、バス500からの情報を、オーディオ、ビジュアル、グラフィックまたは英数字のフォーマットでディスプレイ545に表示可能にすることができる。外部デバイスとの通信を、種々の通信ポート550を用いて行うことができる。通信ポート550を、インターネット、ローカルエリアネットワークまたはセルラ電話データネットワークなどの通信ネットワークに取り付けることができる。
【0037】
ハードウェアは、スキャナのイメージセンサ560などの入力デバイス、またはキーボード、マウス、ジョイスティック、タッチスクリーン、リモコン、ポインティングデバイス、ビデオ入力デバイスおよび/またはオーディオ入力デバイスなど他の入力デバイス565からのデータを受信できるようにするインタフェース555を、さらに含むこともできる。
【0038】
したがってシステム100または結像モジュール140は小さい占有面積を有することができ、これによってシステム100を通常の培養器内部に配置することができる。以下でなされるさらなる説明から理解されるように、本明細書で説明されているシステム100の占有面積が小さいことから、明視野モードを用いて細胞培養状態の連続的な監視が可能になるよう、システム100を細胞培養容器30、31内に組み込むことができるようになり、または細胞培養容器30、31に取り外し可能に結合することができるようになる。
【0039】
本開示の実施形態によれば、本明細書で説明されている小型光学結像システム100を、細胞培養容器30、31の一体構成要素または取り外し可能な構成要素として含めることができる。細胞培養容器30、31を、以下に限定されるものではないが、フラスコ、皿、チューブ、マルチウェルプレート、マイクロプレート、多層細胞培養システム、または積層細胞培養容器システムを含む任意の典型的な細胞培養容器とすることができる。細胞培養容器30を、可視波長で透明な材料、たとえばポリスチレン、ポリカーボネート(PC)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、またはポリプロピレン(PP)、またはポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)から形成することができる。
【0040】
本明細書で説明されているように、細胞培養容器30は、少なくとも1つの凹部を含む監視層を含むことができ、少なくとも1つの凹部は、本明細書で説明されている小型光学結像システム100を収容するように構成されている。任意選択的に少なくとも1つの凹部を、本明細書で説明されている小型光学結像システム100を含む監視モジュールを収容するように構成することができる。本明細書で説明されている細胞培養容器30、31を、培養中に細胞が接着する平坦な表面を一般に含む接着細胞培養容器とすることができる。本開示の実施形態によれば細胞培養密度の監視が可能となり、小型光学結像システム100または監視モジュールから遠隔地のユーザに監視データを送信するために、通信コンポーネントを利用することができる。この構成を、単回使用または複数回使用の積層容器において実装することができる。
【0041】
実施にあたり、細胞を妨害することなくリアルタイムで特定の測定を完了させることのできる細胞培養システムによって、換言すればクローズドシステムによって、無菌細胞成長環境の維持を容易にすることができる。たとえば、細胞培養室の外部にある監視システムによって、細胞にじかに接触することなく、また、成長環境を汚染することなく、細胞の成長および健康状態といった細胞状態を測定するための非侵襲的方法を提供することができる。本明細書において使用される場合、「クローズドシステム」という用語は、システムの内容物が周囲雰囲気に対し開放されていないシステムのことを指す。このシステムは、周囲雰囲気から汚染物質が入り込むのを制限または阻止する、キャップなどの密封装置を含むことができる。必須ではないが、システムの内容物の無菌性を保証するために、システムを密封することができる。
【0042】
本開示の実施形態によれば、細胞培養層の外側に配置された監視モジュールを備えた接着細胞培養容器のクローズドシステムの動作が提供される。本開示の実施形態によれば、監視層から遠隔地のユーザへの細胞状態の送信が可能になる。監視層を、1つの積層細胞培養容器内の他の細胞培養層間に配置することができ、積層の様々な層の細胞培養室の測定を行うことができる。このクローズドシステムは無菌状態のままであり、たとえば培養器内にそのまま残すことによって、リアルタイムの細胞状態データを取得しながら、細胞を連続的に成長させることが可能である。
【0043】
小型光学結像システム100および/または監視モジュールを細胞培養室の外部に配置することによって、無菌性を維持し、遠隔での自動化されたプロセス制御を可能にすることができる。細胞の培養密度を遠隔監視することによって、本開示の実施形態によれば、オペレータは、細胞産生における次の工程のタイミングを最適化することで、細胞処理の歩留まりを高めることができ、このようにすることで操作が少なくなり、運用コストが低減される。本開示によれば、システム制御を自動化するメカニズムが提供され、それによってオペレータを熟練度の低い技術者とすることができ、人件費が削減される。外部の遠隔実装によって、本開示によれば、コストのかからない環境で動作可能な細胞産生クローズドシステム向けに、主要なコンポーネントが提供される。
【0044】
図7には、本開示の実施形態による細胞培養監視を支援する細胞培養室の非侵襲的測定のための監視層の斜視図が示されている。監視層120は、細胞培養室110を取り囲む外壁130と、外壁130から細胞培養室110の内部に向かって内側に拡がる少なくとも1つの凹部115とを含む。
図7に示されている監視層120は4つの凹部115を含むが、本開示の実施形態による監視層120は、任意の個数の凹部115を含むことができることを理解されたい。後でさらに詳しく説明するように、凹部115は、結像モジュール140または監視モジュール250を収容するように構成されている。したがって凹部115と監視モジュール250または結像モジュール140とは、対応する形状を有することができる。監視層120を、広い温度範囲で動作するように構成することができ、たとえば監視層120は、細胞成長用に構成された培養器内で動作可能である。いくつかの例によれば、監視層120を、
図9に示されているような積層細胞培養容器の一部とすることができる。
【0045】
図8には、本開示の実施形態による監視モジュールが示されている。本明細書で説明されているように、監視モジュール250は、前面240を有する先端部230を含むことができ、前面240は、細胞培養室の非侵襲的監視のために、監視層120の凹部115の内壁410cに接触するように構成されている。監視モジュール250は、(
図2に示されているシステム100または
図4の結像モジュール140と同様の構成を有する)小型光学結像システム205および分析物モニタ210のうちの少なくとも一方をさらに含む。監視モジュール250は、小型光学結像システム205および分析物モニタ210のうちの一方を含むことができ、または択一的に
図8に示されているように、小型光学結像システム205および分析物モニタ210の両方を含むことができる、ということを理解されたい。
図4の結像モジュール140は、光学結像システムのみを備えた監視モジュールの一例である。
【0046】
本開示の実施形態によれば、監視モジュール250(または結像モジュール140)は、モジュール140、250を凹部115に収容することができるように、監視層120の凹部115の形状に対応する形状を有することができる。
図10に示されているように、凹部115は、側壁410aおよび410bならびに内壁410cを有することができる。側壁410a、410bを、凹部115が等脚台形の形状を有するように、約90度よりも大きい角度αで、監視層120の外壁130から凹部115の内壁410cまで延在させることができる。たとえば、監視モジュール250の先端部230は、対応する等脚台形の形状を有することができ、または直交形状を有することができ、この場合、先端部230の前面240の幅は、凹部115の内壁410cの幅よりも広くない。択一的に側壁410a、410bを、監視層120の外壁130に対し垂直に、かつ互いに平行に延在させることができる。したがって、
図8に示されているような監視モジュール250の先端部230は、側壁410a、410bが外壁130に対して垂直に延在することにより形成される形状に対応する直交形状を有することができる。択一的に、側壁410a、410bは凹面形状を有することができ、監視モジュール250の先端部230は、凹部115の凹面形状の側壁410a、410bに収容されるように構成された曲線的な機構を有することができる。上述の監視層120の凹部115および監視モジュール250の先端部230の形状は、単に例としての意味をもつにすぎない。凹部115は、任意の形状を有することができ、監視モジュール250は、凹部115内に監視モジュール250を収容することができ、かつ先端部230の前面240が凹部115の内壁410cに接触するように、任意の対応する形状を有することができる。
【0047】
図9には、本開示の実施形態による細胞培養室110、305の非侵襲的測定のために、監視モジュール250と共に使用することができる積層細胞培養容器システム300の斜視図が示されている。積層細胞培養容器システム300は、複数の細胞培養層310と、少なくとも1つの監視層120とを含むことができる。
【0048】
図示されているように、積層細胞培養容器システム300は、任意の個数の細胞培養層310および任意の個数の監視層120を含むことができる。
図9に示されているように、細胞培養容器システム300は、監視層120の下の細胞培養層310および監視層120の上の細胞培養層310を含むことができる。細胞培養容器システム300が複数の監視層100を含む場合に、システム300は、複数の監視層120のうち任意の2つの監視層の間に、任意の個数の細胞培養層310を含むことができる。たとえば細胞培養容器システム300は、各監視層120間に1~50個の細胞培養層310を含むことができ、たとえば2~40個の細胞培養層310、または3~35個の細胞培養層310、または5~30個の細胞培養層310、または10~25個の細胞培養層310ですら、各監視層120間に含むことができ、さらにこれらの間のすべての値を含むことができる。複数の監視層100の異なるセット間の細胞培養層310の個数を、同じ積層細胞培養容器システム300内で変えることができる、ということを理解されたい。これに加え積層細胞培養容器システム300を、培養器内などにおいて広い温度範囲にわたり細胞成長のために計画された温度で動作するように構成することができる。
【0049】
図10には、本開示の実施形態による例示的な保持機構がさらに示されている。図示されているように、監視層120の外壁130は、凹部115の側壁410aおよび410bによって形成された開口部のエッジに留め具420を含む。留め具420は、監視モジュール250上の対応する収容部内に収まるように構成されており、それによって監視モジュール250が凹部115内に保持される。
図7には他の例示的な保持機構が示されている。図示されているように、凹部115の基部410dは隆起チャネル430を含む。隆起チャネル430は、監視モジュール250の下面における対応するノッチ内に収まるように構成されており、それによって監視モジュール250が凹部115内に保持される。他の任意選択的形態として、保持機構を、監視モジュール250の少なくとも1つの表面における付勢された保持留め具(図示せず)とすることができる。付勢された保持留め具は、電話回線コネクタおよびイーサネットケーブルコネクタのために使用されるものとして知られているものと同様のデザインおよび機能を有することができる。凹部は少なくとも1つの留め具溝(図示せず)を含むことができ、この留め具溝は、監視モジュール250の1つの表面上の対応する付勢された保持留め具を収容し、付勢されたこの保持留め具と共働して監視モジュール250の動きを制限し、凹部115内に監視モジュール250を保持する。
【0050】
本開示の実施形態によれば、小型光学結像システム205および分析物モニタ210は、層間の測定および監視を含め、細胞培養室110、305内の細胞の細胞状態および媒体の分析物状態を検出することができる。場合によっては、ただ1つの小型光学結像システム100が、複数の積層細胞培養室110、305の細胞の細胞状態を監視することができ、またはただ1つの分析物モニタ210が、複数の積層細胞培養室110、305の媒体の分析物状態を監視することができる。
【0051】
小型光学結像システム205を、監視層120の細胞培養室110内における細胞状態を測定するように構成することができ、または監視層120の上方または下方に配置された細胞培養層310の細胞培養室305内における細胞状態を測定するように構成することができる。同様に分析物モニタ210を、監視層120の細胞培養室110内における分析物を監視するように構成することができ、または監視層120の上方または下方に配置された細胞培養層310の細胞培養室305内における分析物を監視するように構成することができる。監視モジュール250が、小型光学結像システム205および分析物モニタ210の双方を含む場合に、システム205およびモニタ210の双方を、監視層120の細胞培養室110を監視するように構成することができ、またはシステム205およびモニタ210の双方を、監視層120の上方または下方に配置された細胞培養層310の少なくとも1つの細胞培養室305を監視するように構成することができる。任意選択的に、監視モジュール250が、小型光学結像システム205および分析物モニタ210の双方を含む場合に、小型光学結像システム205および分析物モニタ210のうちの一方を、監視層120の細胞培養室110を監視するように構成することができ、小型光学結像ステム205および分析物モニタ210のうちの他方を、監視層120の上方または下方に配置された細胞培養層310の少なくとも1つの細胞培養室305を監視するように構成することができる。
【0052】
非限定的な一例として、照明系141または小型光学結像システム205を、
図2または
図3に示されているように、照明源によって放出された光ビームの方向が、細胞培養層310の表面に対し斜角で監視層120の上方または下方に配置された細胞培養層310の細胞培養室305に入るように、構成することができる。同様に、結像系145の検出器149またはシステム205の検出器は、監視層120の上方または下方に配置された細胞培養層310から検出器により受光される光ビームの方向に対し相対的に斜角で、配置されている。光ビームの方向も、結像させられる細胞が位置する細胞培養層310の領域を通過する際に、細胞培養層310の表面に対し斜角を成している。光は細胞培養容器の表面を斜角で透過するため、その表面に接着した細胞に対し相対的に光ビームも斜角を成している。その結果、検出器が光ビームに対し垂直であるならば、視野全体にわたり焦点のずれが生じることになる。よって、シャインプルーフの原理に従い、細胞が視野全体にわたり焦点が合った状態で結像可能であるように、光ビームに対し相対的に斜角で検出器を配置することができる。細胞培養層310の第1の表面が結像対象の生細胞を含む場合には、小型光学結像システム205の動作中、監視層120内に配置された照明源から監視層120の上方または下方に配置された細胞培養層310の方向に、光ビームが放出される。光ビームは、細胞培養層310の細胞培養室305に入りそこを通過して進行し、細胞培養室305の反対側に配置された細胞培養層310の第2の表面に接触して、監視層120内に配置された検出器の方向に所定の角度で方向転換させられる。方向転換させられた後、光は細胞培養層310の第1の表面上の細胞を通過し、監視層120内に配置された検出器に集束される。
【0053】
例示的な実装形態
以下は、開示された保護対象の実装形態の様々な態様の説明である。各々の態様は、開示された保護対象の様々な特徴、特性または利点のうちの1つまたは複数を含むことができる。これらの実装形態は、開示されている保護対象のうちいくつかの態様を示すことを意図しており、すべての可能な実装形態の包括的または網羅的な説明と見なされるべきではない。
【0054】
態様1は、細胞培養監視のための光学監視システムであって、細胞培養室内に光を放出するように構成された照明系と、前記照明系によって照明された前記細胞培養室の内容物を結像させるように構成された結像系とを有し、前記照明系および前記結像系は前記細胞培養室の同じ側にある、細胞培養監視のための光学監視システムに関する。
【0055】
態様2は、前記内容物は前記細胞培養室の第1の表面上に配置されている、態様1記載の光学監視システムに関する。
【0056】
態様3は、前記光学監視システムは、前記照明系から放出される前記光を、前記細胞培養容器の第2の表面を用いて方向転換させることにより、前記内容物を結像させるように構成されており、前記光は前記結像系に向けて方向転換させられ、前記第2の表面は、前記照明系および前記結像系とは反対側に位置する前記内容物の一方の側にある、態様1または2記載の光学監視システムに関する。
【0057】
態様4は、前記照明系は、前記光を放出するように構成された照明源と、前記照明源と前記内容物との間の前記光の光路中に配置されたコリメートレンズとを有する、態様1から3までのいずれか1つ記載の光学監視システムに関する。
【0058】
態様5は、前記照明系は、前記照明系から前記細胞培養室に向けて前記光を方向転換させるためのミラーをさらに有する、態様1から4までのいずれか1つ記載の光学監視システムに関する。
【0059】
態様6は、前記結像系は、前記内容物の像を受け取るための検出器と、前記内容物と前記検出器との間の前記光の光路中に配置された結像レンズとを有する、態様1から5までのいずれか1つ記載の光学監視システムに関する。
【0060】
態様7は、前記結像系は、前記結像レンズと前記検出器との間の前記光の光路中に配置された開口絞りをさらに有する、態様6記載の光学監視システムに関する。
【0061】
態様8は、前記開口絞りはテレセントリック絞りである、態様7記載の光学監視システムに関する。
【0062】
態様9は、前記照明系から放出された前記光は、前記第1の表面に対し斜角で該第1の表面を透過させられる、態様2から8までのいずれか1つ記載の光学監視システムに関する。
【0063】
態様10は、前記結像系に向かって方向転換させられた前記光は、前記第1の表面に対し斜角で該第1の表面を透過させられる、態様2から9までのいずれか1つ記載の光学監視システムに関する。
【0064】
態様11は、前記検出器は検出表面を有し、前記検出表面に対する法線は、該検出表面に入射する前記光の光路方向に対し相対的に斜角を成している、態様6から10までのいずれか1つ記載の光学監視システムに関する。
【0065】
態様12は、前記光路方向に対し相対的な前記検出表面の法線の前記斜角は、像視野全体にわたり焦点が合っている前記内容物の像を生成するように構成されている、態様11記載の光学監視システムに関する。
【0066】
態様13は、前記第1の表面は、前記細胞培養容器の第1の細胞培養室の下面であり、前記下面は、該下面において細胞を培養するように構成されており、前記第2の表面は、前記第1の細胞培養室の上面、前記細胞培養容器の第2の細胞培養室の下面、前記第2の細胞培養室の上面、および前記細胞培養容器の他の表面のうちの少なくとも1つであり、前記第2の細胞培養室は、前記照明系および前記結像系とは反対側に位置する前記第1の細胞培養室の一方の側に配置されている、態様2から12までのいずれか1つ記載の光学監視システムに関する。
【0067】
態様14は、前記細胞培養容器は複数の細胞培養室を有する、態様1から13までのいずれか1つ記載の光学監視システムに関する。
【0068】
態様15は、前記照明源は前記コリメートレンズの光軸からオフセットされている、態様4から14までのいずれか1つ記載の光学監視システムに関する。
【0069】
態様16は、前記照明源は、発光ダイオード(LED)または非LED光源のうちの少なくとも一方を有する、態様4から15までのいずれか1つ記載の光学監視システムに関する。
【0070】
態様17は、前記検出器は、光を電気信号に変換するように構成されたセンサを有する、態様6から16までのいずれか1つ記載の光学監視システムに関する。
【0071】
態様18は、前記検出器は、電荷結合素子(CCD)センサおよび相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサから成るグループから選択されたセンサを有する、態様17記載の光学監視システムに関する。
【0072】
態様19は、前記システムを制御するように構成されたコントローラモジュールをさらに有する、態様1から18までのいずれか1つ記載の光学監視システムに関する。
【0073】
態様20は、前記結像系または前記検出器からイメージプロセッサに像を転送するように構成された通信モジュールをさらに有する、態様1から19までのいずれか1つ記載の光学監視システムに関する。
【0074】
態様21は、前記通信モジュールは、有線コネクションおよび無線コネクションのうちの少なくとも一方を介して通信するように構成されている、態様20記載の光学監視システムに関する。
【0075】
態様22は、細胞培養を非侵襲的に監視するように構成された細胞培養監視システムであって、細胞培養室を有し該細胞培養室の表面上で細胞が培養される細胞培養容器と、態様1から21までのいずれか1つ記載の光学監視システムを有する少なくとも1つの監視モジュールとを有する、細胞培養監視システムに関する。
【0076】
態様23は、前記細胞培養容器は、積層配置された複数の細胞培養室を有する、態様22記載の細胞培養監視システムに関する。
【0077】
態様24は、前記細胞培養室と共に積層配置された少なくとも1つの監視層をさらに有し、該少なくとも1つの監視層内に前記少なくとも1つの監視モジュールが配置されている、態様22または23記載の細胞培養監視システムに関する。
【0078】
態様25は、前記少なくとも1つの監視層は、監視層の細胞培養室を取り囲む外壁を有し、該外壁は、細胞が接着する少なくとも1つの表面を有し、前記少なくとも1つの監視層は、前記外壁に少なくとも1つの凹部を有し、前記少なくとも1つの監視モジュールは、前記少なくとも1つの凹部のうち少なくとも1つの凹部内に配置されている、態様24記載の細胞培養監視システムに関する。
【0079】
態様26は、前記監視モジュールは、前記細胞培養室内の分析物を監視するように構成された分析物モニタをさらに有する、態様22から25までのいずれか1つ記載の細胞培養監視システムに関する。
【0080】
態様27は、前記監視モジュールは、前記少なくとも1つの監視層の上方または下方に配置された細胞培養層の細胞培養室を監視するように構成されている、態様24から26までのいずれか1つ記載の細胞培養監視システムに関する。
【0081】
態様28は、細胞培養監視のための光学結像システムであって、照明セグメントと検出セグメントとを有し、前記照明セグメントは、照明源と、細胞培養容器の第1の表面と前記照明源との間に配置されたコリメートレンズとを有し、前記照明源および前記コリメートレンズは、前記照明源からの光を、前記細胞培養容器の前記第1の表面に対し斜角で該第1の表面を通して透過させるように構成されており、前記検出セグメントは、検出器と、前記細胞培養容器の前記第1の表面と前記検出器との間に配置されたレンズとを有し、前記レンズは、開口絞りを介して前記検出器に光を集束させ、前記検出器は、前記細胞培養容器の前記第1の表面から出射した光を受光するように構成されており、前記光は前記第1の表面から、該第1の表面に対し斜角で出射する、細胞培養監視のための光学結像システムに関する。
【0082】
態様29は、前記照明セグメントおよび前記検出セグメントは、前記照明セグメントから放出された前記光が、前記細胞培養容器の細胞培養室の反対側において、前記第1の表面に対し相対的に配置された前記細胞培養容器の第2の表面に接触し、該第2の表面によって前記検出セグメントに向かって方向転換されるように、構成されている、態様28記載の光学結像システムに関する。
【0083】
態様30は、前記光は前記照明セグメントによって、前記第1の表面に対し斜角で該第1の表面を通して前記第2の表面に向かって透過させられ、前記第2の表面からの前記光は、前記第1の表面に対し斜角で該第1の表面を通して前記検出セグメントに向かって透過させられる、態様29記載の光学結像システムに関する。
【0084】
態様31は、前記照明源は発光ダイオードを有する、態様28から30までのいずれか1つ記載の光学結像システムに関する。
【0085】
態様32は、前記照明源は非発光ダイオード光源を有する、態様28から31までのいずれか1つ記載の光学結像システムに関する。
【0086】
態様33は、前記検出器は、光を電気信号に変換するように構成されたセンサを有する、態様28記載の光学結像システムに関する。
【0087】
態様34は、前記検出器は、電荷結合素子(CCD)センサおよび相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサから成るグループから選択されたセンサを有する、態様28記載の光学結像システムに関する。
【0088】
態様35は、前記システムを制御するように構成されたコントローラモジュールをさらに有する、態様28から34までのいずれか1つ記載の光学結像システムに関する。
【0089】
態様36は、前記検出器からイメージプロセッサに像を転送するように構成された通信モジュールをさらに有する、態様28から35までのいずれか1つ記載の光学結像システムに関する。
【0090】
態様37は、前記通信モジュールは、有線コネクションを介して通信するように構成されている、態様36記載の光学結像システムに関する。
【0091】
態様38は、前記通信モジュールは、無線コネクションを介して通信するように構成されている、態様36記載の光学結像システムに関する。
【0092】
態様39は、細胞培養を非侵襲的に測定するように構成された細胞培養監視システムであって、複数の細胞培養層と、少なくとも1つの監視層と、少なくとも1つの監視モジュールとを有し、前記複数の細胞培養層の各々は1つの細胞培養室を有し、前記細胞培養室は、細胞が接着する少なくとも1つの表面を有し、前記少なくとも1つの監視層は、監視層の細胞培養室を取り囲む外壁を有し、該外壁は、細胞が接着する少なくとも1つの表面を有し、前記少なくとも1つの監視層は、前記外壁に少なくとも1つの凹部を有し、前記少なくとも1つの監視モジュールは、前記少なくとも1つの凹部のうち少なくとも1つの凹部内に配置され、光学結像システムおよび分析物モニタのうちの少なくとも一方を有する、細胞培養監視システムに関する。
【0093】
態様40は、前記少なくとも1つの監視モジュールは、光学結像システムおよび分析物モニタの両方を有する、態様39記載のシステムに関する。
【0094】
態様41は、前記光学結像システムおよび分析物モニタのうちの少なくとも一方は、前記少なくとも1つの監視層の上方または下方に配置された細胞培養層の細胞培養室を監視するように構成されている、態様39記載のシステムに関する。
【0095】
態様42は、前記少なくとも1つの凹部は、前記少なくとも1つの監視モジュールの先端部の前面に接触するように構成された内壁を有する、態様39記載のシステムに関する。
【0096】
態様43は、複数の監視層を有する、態様39記載のシステムに関する。
【0097】
態様44は、前記複数の監視層のうち2つの監視層の間に1~50個の細胞培養層を有する、態様43記載のシステムに関する。
【0098】
態様45は、前記複数の監視層のうち2つの監視層の間に2~40個の細胞培養層を有する、態様43記載のシステムに関する。
【0099】
態様46は、前記複数の監視層のうち2つの監視層の間に3~35個の細胞培養層を有する、態様43記載のシステムに関する。
【0100】
態様47は、前記複数の監視層のうち2つの監視層の間に5~30個の細胞培養層を有する、態様43記載のシステムに関する。
【0101】
態様48は、前記複数の監視層のうち2つの監視層の間に10~25個の細胞培養層を有する、態様43記載のシステムに関する。
【0102】
態様49は、前記光学結像システムは照明セグメントと検出セグメントとを有し、前記照明セグメントは、照明源と、前記複数の細胞培養層のうち少なくとも1つの細胞培養層の第1の表面と前記照明源との間に配置されたコリメートレンズとを有し、前記照明源および前記コリメートレンズは、前記照明源からの光を、前記細胞培養層の前記第1の表面に対し斜角で該第1の表面を通して透過させるように構成されており、前記検出セグメントは、検出器と、前記細胞培養層の前記第1の表面と前記検出器との間に配置されたレンズとを有し、前記レンズは、開口絞りを介して前記検出器に光を集束させ、前記検出器は、前記細胞培養層の前記第1の表面から出射した光を受光するように構成されており、前記光は前記第1の表面から、該第1の表面に対し斜角で出射する、態様39記載のシステムに関する。
【0103】
態様50は、前記照明源から放出された光は、前記細胞培養容器の細胞培養室の反対側において、前記第1の表面に対し相対的に配置された前記細胞培養容器の第2の表面に接触し、該第2の表面によって前記検出セグメントに向かって方向転換される、態様49記載のシステムに関する。
【0104】
態様51は、前記照明源は発光ダイオードを有する、態様49または50記載のシステムに関する。
【0105】
態様52は、前記照明源は非発光ダイオード光源を有する、態様49または50記載のシステムに関する。
【0106】
態様53は、前記検出器は、光を電気信号に変換するように構成されたセンサを有する、態様49から52までのいずれか1つ記載のシステムに関する。
【0107】
態様54は、前記検出器からイメージプロセッサに像を転送するように構成された通信モジュールをさらに有する、態様49から53までのいずれか1つ記載のシステムに関する。
【0108】
態様55は、前記通信モジュールは、有線コネクションを介して通信するように構成されている、態様54記載のシステムに関する。
【0109】
本開示は限られた数の実施形態を含むものであるが、本開示の恩恵を受ける当業者であれば、本開示の範囲から逸脱しない他の実施形態を案出可能であることを理解するであろう。
【0110】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0111】
実施形態1
細胞培養監視のための光学監視システムであって、細胞培養室内に光を放出するように構成された照明系と、前記照明系によって照明された前記細胞培養室の内容物を結像させるように構成された結像系とを有し、前記照明系および前記結像系は前記細胞培養室の同じ側にある、光学監視システム。
【0112】
実施形態2
前記内容物は前記細胞培養室の第1の表面上に配置されている、実施形態1記載の光学監視システム。
【0113】
実施形態3
前記光学監視システムは、前記照明系から放出される前記光を、前記細胞培養容器の第2の表面を用いて方向転換させることにより、前記内容物を結像させるように構成されており、前記光は前記結像系に向けて方向転換させられ、前記第2の表面は、前記照明系および前記結像系とは反対側に位置する前記内容物の一方の側にある、実施形態1または2記載の光学監視システム。
【0114】
実施形態4
前記照明系は、前記光を放出するように構成された照明源と、前記照明源と前記内容物との間の前記光の光路中に配置されたコリメートレンズとを有する、実施形態1から3までのいずれか1つ記載の光学監視システム。
【0115】
実施形態5
前記照明系は、前記照明系から前記細胞培養室に向けて前記光を方向転換させるためのミラーをさらに有する、実施形態1から4までのいずれか1つ記載の光学監視システム。
【0116】
実施形態6
前記結像系は、前記内容物の像を受け取るための検出器と、前記内容物と前記検出器との間の前記光の光路中に配置された結像レンズとを有する、実施形態1から5までのいずれか1つ記載の光学監視システム。
【0117】
実施形態7
前記結像系は、前記結像レンズと前記検出器との間の前記光の光路中に配置された開口絞りをさらに有する、実施形態6記載の光学監視システム。
【0118】
実施形態8
前記開口絞りはテレセントリック絞りである、実施形態7記載の光学監視システム。
【0119】
実施形態9
前記照明系から放出された前記光は、前記第1の表面に対し斜角で該第1の表面を透過させられる、実施形態2から8までのいずれか1つ記載の光学監視システム。
【0120】
実施形態10
前記結像系に向かって方向転換させられた前記光は、前記第1の表面に対し斜角で該第1の表面を透過させられる、実施形態2から9までのいずれか1つ記載の光学監視システム。
【0121】
実施形態11
前記検出器は検出表面を有し、前記検出表面に対する法線は、該検出表面に入射する前記光の光路方向に対し相対的に斜角を成している、実施形態6から10までのいずれか1つ記載の光学監視システム。
【0122】
実施形態12
前記光路方向に対し相対的な前記検出表面の法線の前記斜角は、像視野全体にわたり焦点が合っている前記内容物の像を生成するように構成されている、実施形態11記載の光学監視システム。
【0123】
実施形態13
前記第1の表面は、前記細胞培養容器の第1の細胞培養室の下面であり、前記下面は、該下面において細胞を培養するように構成されており、前記第2の表面は、前記第1の細胞培養室の上面、前記細胞培養容器の第2の細胞培養室の下面、前記第2の細胞培養室の上面、および前記細胞培養容器の他の表面のうちの少なくとも1つであり、前記第2の細胞培養室は、前記照明系および前記結像系とは反対側に位置する前記第1の細胞培養室の一方の側に配置されている、実施形態2から12までのいずれか1つ記載の光学監視システム。
【0124】
実施形態14
前記細胞培養容器は複数の細胞培養室を有する、実施形態1から13までのいずれか1つ記載の光学監視システム。
【0125】
実施形態15
前記照明源は前記コリメートレンズの光軸からオフセットされている、実施形態4から14までのいずれか1つ記載の光学監視システム。
【0126】
実施形態16
前記照明源は、発光ダイオード(LED)または非LED光源のうちの少なくとも一方を有する、実施形態4から15までのいずれか1つ記載の光学監視システム。
【0127】
実施形態17
前記検出器は、光を電気信号に変換するように構成されたセンサを有する、実施形態6から16までのいずれか1つ記載の光学監視システム。
【0128】
実施形態18
前記検出器は、電荷結合素子(CCD)センサおよび相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサから成るグループから選択されたセンサを有する、実施形態17記載の光学監視システム。
【0129】
実施形態19
前記システムを制御するように構成されたコントローラモジュールをさらに有する、実施形態1から18までのいずれか1つ記載の光学監視システム。
【0130】
実施形態20
前記結像系または前記検出器からイメージプロセッサに像を転送するように構成された通信モジュールをさらに有する、実施形態1から19までのいずれか1つ記載の光学監視システム。
【0131】
実施形態21
前記通信モジュールは、有線コネクションおよび無線コネクションのうちの少なくとも一方を介して通信するように構成されている、実施形態20記載の光学監視システム。
【0132】
実施形態22
細胞培養を非侵襲的に監視するように構成された細胞培養監視システムであって、細胞培養室を有し該細胞培養室の表面上で細胞が培養される細胞培養容器と、実施形態1から21までのいずれか1つ記載の光学監視システムを有する少なくとも1つの監視モジュールとを有する、細胞培養監視システム。
【0133】
実施形態23
前記細胞培養容器は、積層配置された複数の細胞培養室を有する、実施形態22記載の細胞培養監視システム。
【0134】
実施形態24
前記細胞培養室と共に積層配置された少なくとも1つの監視層をさらに有し、該少なくとも1つの監視層内に前記少なくとも1つの監視モジュールが配置されている、実施形態22または23記載の細胞培養監視システム。
【0135】
実施形態25
前記少なくとも1つの監視層は、監視層の細胞培養室を取り囲む外壁を有し、該外壁は、細胞が接着する少なくとも1つの表面を有し、前記少なくとも1つの監視層は、前記外壁に少なくとも1つの凹部を有し、前記少なくとも1つの監視モジュールは、前記少なくとも1つの凹部のうち少なくとも1つの凹部内に配置されている、実施形態24記載の細胞培養監視システム。
【0136】
実施形態26
前記監視モジュールは、前記細胞培養室内の分析物を監視するように構成された分析物モニタをさらに有する、実施形態22から25までのいずれか1つ記載の細胞培養監視システム。
【0137】
実施形態27
前記監視モジュールは、前記少なくとも1つの監視層の上方または下方に配置された細胞培養層の細胞培養室を監視するように構成されている、実施形態24から26までのいずれか1つ記載の細胞培養監視システム。
【0138】
実施形態28
細胞培養監視のための光学結像システムであって、照明セグメントと検出セグメントとを有し、前記照明セグメントは、照明源と、細胞培養容器の第1の表面と前記照明源との間に配置されたコリメートレンズとを有し、前記照明源および前記コリメートレンズは、前記照明源からの光を、前記細胞培養容器の前記第1の表面に対し斜角で該第1の表面を通して透過させるように構成されており、前記検出セグメントは、検出器と、前記細胞培養容器の前記第1の表面と前記検出器との間に配置されたレンズとを有し、前記レンズは、開口絞りを介して前記検出器に光を集束させ、前記検出器は、前記細胞培養容器の前記第1の表面から出射した光を受光するように構成されており、前記光は前記第1の表面から、該第1の表面に対し斜角で出射する、光学結像システム。
【0139】
実施形態29
前記照明セグメントおよび前記検出セグメントは、前記照明セグメントから放出された前記光が、前記細胞培養容器の細胞培養室の反対側において、前記第1の表面に対し相対的に配置された前記細胞培養容器の第2の表面に接触し、該第2の表面によって前記検出セグメントに向かって方向転換されるように、構成されている、実施形態28記載の光学結像システム。
【0140】
実施形態30
前記光は前記照明セグメントによって、前記第1の表面に対し斜角で該第1の表面を通して前記第2の表面に向かって透過させられ、前記第2の表面からの前記光は、前記第1の表面に対し斜角で該第1の表面を通して前記検出セグメントに向かって透過させられる、実施形態29記載の光学結像システム。
【0141】
実施形態31
前記照明源は発光ダイオードを有する、実施形態28から30までのいずれか1つ記載の光学結像システム。
【0142】
実施形態32
前記照明源は非発光ダイオード光源を有する、実施形態28から31までのいずれか1つ記載の光学結像システム。
【0143】
実施形態33
前記検出器は、光を電気信号に変換するように構成されたセンサを有する、実施形態28記載の光学結像システム。
【0144】
実施形態34
前記検出器は、電荷結合素子(CCD)センサおよび相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサから成るグループから選択されたセンサを有する、実施形態28記載の光学結像システム。
【0145】
実施形態35
前記システムを制御するように構成されたコントローラモジュールをさらに有する、実施形態28から34までのいずれか1つ記載の光学結像システム。
【0146】
実施形態36
前記検出器からイメージプロセッサに像を転送するように構成された通信モジュールをさらに有する、実施形態28から35までのいずれか1つ記載の光学結像システム。
【0147】
実施形態37
前記通信モジュールは、有線コネクションを介して通信するように構成されている、実施形態36記載の光学結像システム。
【0148】
実施形態38
前記通信モジュールは、無線コネクションを介して通信するように構成されている、実施形態36記載の光学結像システム。
【0149】
実施形態39
細胞培養を非侵襲的に測定するように構成された細胞培養監視システムであって、複数の細胞培養層と、少なくとも1つの監視層と、少なくとも1つの監視モジュールとを有し、前記複数の細胞培養層の各々は1つの細胞培養室を有し、前記細胞培養室は、細胞が接着する少なくとも1つの表面を有し、前記少なくとも1つの監視層は、監視層の細胞培養室を取り囲む外壁を有し、該外壁は、細胞が接着する少なくとも1つの表面を有し、前記少なくとも1つの監視層は、前記外壁に少なくとも1つの凹部を有し、前記少なくとも1つの監視モジュールは、前記少なくとも1つの凹部のうち少なくとも1つの凹部内に配置され、光学結像システムおよび分析物モニタのうちの少なくとも一方を有する、細胞培養監視システム。
【0150】
実施形態40
前記少なくとも1つの監視モジュールは、光学結像システムおよび分析物モニタの両方を有する、実施形態39記載のシステム。
【0151】
実施形態41
前記光学結像システムおよび分析物モニタのうちの少なくとも一方は、前記少なくとも1つの監視層の上方または下方に配置された細胞培養層の細胞培養室を監視するように構成されている、実施形態39記載のシステム。
【0152】
実施形態42
前記少なくとも1つの凹部は、前記少なくとも1つの監視モジュールの先端部の前面に接触するように構成された内壁を有する、実施形態39記載のシステム。
【0153】
実施形態43
複数の監視層を有する、実施形態39記載のシステム。
【0154】
実施形態44
前記複数の監視層のうち2つの監視層の間に1~50個の細胞培養層を有する、実施形態43記載のシステム。
【0155】
実施形態45
前記複数の監視層のうち2つの監視層の間に2~40個の細胞培養層を有する、実施形態43記載のシステム。
【0156】
実施形態46
前記複数の監視層のうち2つの監視層の間に3~35個の細胞培養層を有する、実施形態43記載のシステム。
【0157】
実施形態47
前記複数の監視層のうち2つの監視層の間に5~30個の細胞培養層を有する、実施形態43記載のシステム。
【0158】
実施形態48
前記複数の監視層のうち2つの監視層の間に10~25個の細胞培養層を有する、実施形態43記載のシステム。
【0159】
実施形態49
前記光学結像システムは照明セグメントと検出セグメントとを有し、前記照明セグメントは、照明源と、前記複数の細胞培養層のうち少なくとも1つの細胞培養層の第1の表面と前記照明源との間に配置されたコリメートレンズとを有し、前記照明源および前記コリメートレンズは、前記照明源からの光を、前記細胞培養層の前記第1の表面に対し斜角で該第1の表面を通して透過させるように構成されており、前記検出セグメントは、検出器と、前記細胞培養層の前記第1の表面と前記検出器との間に配置されたレンズとを有し、前記レンズは、開口絞りを介して前記検出器に光を集束させ、前記検出器は、前記細胞培養層の前記第1の表面から出射した光を受光するように構成されており、前記光は前記第1の表面から、該第1の表面に対し斜角で出射する、実施形態39記載のシステム。
【0160】
実施形態50
前記照明源から放出された光は、前記細胞培養容器の細胞培養室の反対側において、前記第1の表面に対し相対的に配置された前記細胞培養容器の第2の表面に接触し、該第2の表面によって前記検出セグメントに向かって方向転換される、実施形態49記載のシステム。
【0161】
実施形態51
前記照明源は発光ダイオードを有する、実施形態49または50記載のシステム。
【0162】
実施形態52
前記照明源は非発光ダイオード光源を有する、実施形態49または50記載のシステム。
【0163】
実施形態53
前記検出器は、光を電気信号に変換するように構成されたセンサを有する、実施形態49から52までのいずれか1つ記載のシステム。
【0164】
実施形態54
前記検出器からイメージプロセッサに像を転送するように構成された通信モジュールをさらに有する、実施形態49から53までのいずれか1つ記載のシステム。
【0165】
実施形態55
前記通信モジュールは、有線コネクションを介して通信するように構成されている、実施形態54記載のシステム。
【0166】
実施形態56
前記通信モジュールは、無線コネクションを介して通信するように構成されている、実施形態54記載のシステム。
【国際調査報告】