(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-24
(54)【発明の名称】コーティング組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 201/00 20060101AFI20220117BHJP
C09D 175/04 20060101ALI20220117BHJP
C09D 163/00 20060101ALI20220117BHJP
C09D 133/00 20060101ALI20220117BHJP
C09D 5/02 20060101ALI20220117BHJP
C09D 7/41 20180101ALI20220117BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20220117BHJP
C09K 19/54 20060101ALI20220117BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20220117BHJP
A61Q 3/00 20060101ALI20220117BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20220117BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D175/04
C09D163/00
C09D133/00
C09D5/02
C09D7/41
C09D5/00 D
C09K19/54 Z
B05D7/24 303A
B05D7/24 303E
B05D7/24 302T
B05D7/24 302P
B05D7/24 302J
B05D7/24 302U
B05D7/24 301E
A61Q3/00
A61K8/81
A61K8/19
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021530201
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(85)【翻訳文提出日】2021-07-20
(86)【国際出願番号】 EP2019082684
(87)【国際公開番号】W WO2020109363
(87)【国際公開日】2020-06-04
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519458370
【氏名又は名称】ジアンシーン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100154988
【氏名又は名称】小林 真知
(72)【発明者】
【氏名】ボウカー ローレン
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン ルイーズ
【テーマコード(参考)】
4C083
4D075
4H027
4J038
【Fターム(参考)】
4C083AB051
4C083AB132
4C083AC112
4C083AC212
4C083AD071
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4H027BB12
4J038CG001
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4J038MA10
4J038NA01
4J038PA18
4J038PB01
(57)【要約】
水溶液中に分散された液晶等の色変化成分とポリマーバインダーとを含む水性変色性組成物を含む、コーティング製品。コーティング製品は、水性組成物中に分散又は溶解され得る着色剤も含み、それは下層を提供するための着色剤を含む別の水溶液として提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶液中に分散された色変化成分とバインダーとを含む水性変色性組成物を含むコーティング製品であって、
i)前記水性組成物中に分散又は溶解された着色剤を更に含む;又は
ii)前記色変化成分の下にある着色剤を含む下層を提供するための、前記水性変色性組成物との使用に適応された着色剤を含む別の水溶液を含む、
コーティング製品。
【請求項2】
前記色変化成分は、熱変色性液晶を含む、請求項1に記載のコーティング製品。
【請求項3】
前記色変化成分は、カプセル化液晶を含む、請求項1又は2に記載のコーティング製品。
【請求項4】
前記着色剤は、水溶性染料を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のコーティング製品。
【請求項5】
前記着色剤は、暗色である、請求項1~4のいずれか一項に記載のコーティング製品。
【請求項6】
前記バインダーは、非イオン性の疎水変性エトキシ化ウレタン(HEUR)、アクリルポリマー、スチレン/アクリレートコポリマー、スチレン/アクリレート/アンモニウムメタクリレートコポリマー、エポキシ樹脂及びポリウレタンから選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載のコーティング製品。
【請求項7】
水溶液中に分散されたカプセル化液晶とバインダーとを含む水溶液と、前記水溶液中に提供された、又は別の水溶液中に提供された、暗色着色剤と、を含み、前記バインダーは、非イオン性の疎水変性エトキシ化ウレタン(HEUR)、ポリウレタン、スチレン/アクリレート/アンモニウムメタクリレートコポリマー及び/又はエポキシ樹脂のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のコーティング製品。
【請求項8】
前記水溶液は、UV吸収剤と水とを含む別の水性トップコート組成物を更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のコーティング製品。
【請求項9】
レオロジー改質剤を更に含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のコーティング製品。
【請求項10】
前記レオロジー改質剤は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール及びC
2~C
6アルキレングリコールから選択されるグリコールを含む、請求項9に記載のコーティング製品。
【請求項11】
前記組成物を基準にして6~30%の固形分の濃度のカプセル化液晶と、前記組成物の15~30質量%の固形分のバインダーと、0.1~10%の濃度の暗色着色剤と、0.05~5%の濃度の防腐剤と、を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のコーティング製品。
【請求項12】
0.1~5%の濃度の湿潤剤又は粘度調整剤のうちの少なくとも1つと、0.5~20%の濃度のUV安定剤と、0.01~5%の濃度のレオロジー改質剤と、を含む、請求項11に記載のコーティング製品。
【請求項13】
乾燥若しくは硬化オリゴマー、及び/又は乾燥若しくは硬化モノマーから誘導された乾燥又は硬化バインダーを含む連続相中に分散された色変化成分と、開始剤と、を含む、乾燥又は硬化コーティングであって、前記色変化成分は前記連続相中に分散されている、乾燥又は硬化コーティング。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載の水性変色性組成物を、コーティングしようとする基材に塗布する工程を含む、コーティングを提供する方法。
【請求項15】
下層を前記基材に塗布する工程と、前記下層を乾燥する工程と、次いで前記水性変色性組成物を塗布して、乾燥ネイルコーティングを提供する工程と、を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記変色性組成物の乾燥表面に、UV吸収剤を含む水性トップコート組成物を塗布する工程と、前記塗布したトップコート組成物を乾燥する工程と、を更に含む、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記基材は、ケラチン性爪、人工爪、非ケラチン性爪、ネイルエクステンション、下層のケラチン性爪又は人工爪上の既存のコーティングから選択される、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーティング組成物、特に基材、特に爪及び人工爪並びに爪上の既存のコーティングをコーティングするための液晶組成物に関する。本発明は、特に、色変化効果をもたらす液晶組成物と、黒色染料若しくは顔料と、を含む水性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ケラチン性生体基材(例えば、爪、肌、唇等)及び人工爪(例えば、アクリルネイル、ネイルエクステンション)等の非生体基材をコーティングするための多種多様な装飾化粧品がパーソナルケア市場で入手可能であり、審美的及び/又は機能的効果をもたらす。かかる組成物は、製品の具体的な種類に応じて水性でも溶剤系でもよく、典型的には毒性及びその他の安全性並びに試験に関する規格及びプロトコルに準拠しなければならない。
市販の配合済みのネイル製品は、典型的には液体又はジェルの形態であり、塗りやすさ、コーティングの均一さ、耐久性並びに耐欠損性及び耐洗浄性、鮮やかな色、適度な乾燥時間及び無毒性等の所望の特徴の組合せをもたらす。ネイルコーティングは、典型的には有機溶剤と、着色顔料と、被膜形成成分とを含み、付着すると、溶剤が蒸発して乾燥した耐久性コーティングを残し、更にレオロジー改質剤、可塑剤、着色添加剤(例えば、パール剤、マイカ等)、粘度調整剤、UV添加剤及びその他の成分を含み得る。
色変化効果をもたらす変色性成分を有するネイル組成物は公知である。変色性成分は、例えば温度若しくは圧力の変化、又は光の入射によるエネルギーの適用等の外部条件の変化に応答して、第1状態と第2状態との間で変化し、これらの状態は、両方が着色若しくは白色でもよく、又は一方が着色若しくは白色で、他方が無色であってもよい。変色性成分のうち、温度の変化により変色するものは熱変色性、圧力によるものは感圧変色性、水によるものは水変色性、光によるものは光変色性として知られる。刺激に応答して、異なる状態間で色又は不透明度が変化する変色性成分は、本明細書で「色変化組成物」と呼ばれる。変色性組成物における色変化は、ロイコ染料及び液晶等の様々な種類の材料によってもたらされ得る。
熱変色性組成物は、充分な大きさの温度変化を受けたときに、色が可逆的に変化するか、又は異なる着色状態間で変化、若しくは着色状態と無色状態との間で変化する。典型的には、温度の変化は、色変化材料の色の変化を招く。温度が上昇又は低下すると、色変化材料は、典型的には、完全な着色状態を保持するための最高又は最低温度に達するまで、色を保持する。組成物は、その後、温度の上昇又は低下につれて、徐々に色が変化するか又は無色になり、最終的には完全に色が変化する。熱変色性組成物が冷えると、その温度より低いと色が変化、消失又は再出現する温度に達する。熱変色性材料は、標準的な色変化スキーム及び帯域幅(すなわち、第1の色から第2の色へ、及び逆に第2の色から第1の色への色変化が起こる温度の差)を有しており、例えばLCR Hallcrestから市販されている。
市販のネイルコーティング製品は、典型的には有機溶剤系である。水性ネイルコーティング組成物は公知であるが、商品化が難しいことが判明している。溶剤系ネイルコーティング組成物では、典型的には、被膜形成成分としてニトロセルロースが、酢酸エチル及び酢酸ブチル及びトルエン等の揮発性溶剤と共に用いられる。溶剤の蒸発は、組成物の塗布後の急速な乾燥を望ましくもたらす。有機溶剤系のネイル組成物は、ユーザーの要求に従って調節できるが、かかる有機溶剤と相溶性のない成分の使用が排除される可能性もある。更に、有機溶剤は、有毒、引火性の場合があり、特徴的で望ましくない芳香を有し、かかる製品の製造方法は環境面で不利益となり得る。
変色性化粧品では、色変化はロイコ染料によってもたらされ得るが、特定の溶剤は、かかる材料の色変化特性に影響する場合があり、慎重な配合が要求される。色変化効果及びそれが起こる条件、例えば特定の温度範囲は、ロイコ染料組成物を当業者に公知の方法で改質することで制御できる。
液晶は、典型的には、ロイコ染料よりも強烈な色をもたらす。ただし、有機溶剤は、液晶と有害に相互作用する場合があり、液晶が有機溶剤系製品への使用に適さなくなることから、液晶、特に非カプセル化液晶の色変化特性に好ましくないことが公知である。液晶のカプセル化は多少の保護をもたらすが、有機溶剤はなおカプセルを通過して液晶と相互作用し、この場合も液晶を有機溶剤中での使用に適さないものにする。
液晶の色の強度又は明度は、液晶に反射される光の波長以外も反射される場合に低減又は悪化し得る。従来の溶剤系の黒色ネイルポリッシュを、液晶ネイル製品の下層として使用することが知られている。しかし、下層中の溶剤が上層にある程度移行して、上層の溶剤感受性成分に悪影響を及ぼし得る。
【発明の概要】
【0003】
本発明者らは、液晶と着色剤とを、組合せて又は別々の層で水性溶媒中に有する製品を提供することによって、色変化ネイル製品の液晶が損なわれることなく、強烈な色を有することを見出した。
【0004】
第1の態様では、本発明は、水溶液中に分散された色変化成分とバインダーとを含む水性変色性組成物を含むコーティング製品を提供し、該コーティング製品は、
i)水性組成物中に分散又は溶解された着色剤を更に含む;又は
ii)色変化成分の下にある着色剤を含む下層を提供するための、水性変色性組成物との使用に適応された着色剤を含む別の水溶液を含み、
コーティング製品は、天然爪及び人工爪への塗布に好適である。
色変化成分は、好適には液晶を含む。好ましくは、コーティング製品は、
i)水溶液中に分散された液晶とバインダーとを含む、水性変色性組成物と、
ii)色変化成分の下にある着色剤を含む下層を提供するための、水性変色性組成物との使用に適応された着色剤を含む別の水溶液と、
を含む。
公知のネイルエナメルは、典型的には有機溶剤を含み、又は着色剤等の機能性成分を担持する有機溶剤ベースを有する。液晶、特にカプセル化液晶は、典型的には有機溶剤中で安定ではない。好ましくは、水性変色性組成物は、有機溶剤を実質的に含まない。好ましくは、別の水溶液は、有機溶剤を実質的に含まない。
【0005】
第2の態様では、本発明は、コーティングを提供する方法であって、任意選択で下層を基材に塗布して乾燥した後に、コーティングしようとする基材に本発明による水性組成物を塗布する工程を含み、水性変色性組成物は水溶液中に分散された色変化成分とバインダーとを含み、下層が塗布されていない場合、コーティング製品は、水性組成物中に分散又は溶解された着色剤を更に含む、方法を提供する。
更なる態様では、本発明は、乾燥若しくは硬化オリゴマー、及び/又は乾燥若しくは硬化モノマーから誘導された乾燥又は硬化バインダーを含む連続相中に分散された色変化成分と、開始剤と、を含む乾燥又は硬化コーティングであって、上記色変化成分は上記連続相中に分散されている、コーティングを提供する。
変色性組成物における色変化は、ロイコ染料、特に温度の変化に応答する熱変色性ロイコ染料、UV等の光に応答する光変色性ロイコ染料、水との接触に応答する水変色性ロイコ染料、特定の気体若しくは蒸気の存在に応答し、汚染物質又はその他の環境作用物質の存在の検出に使用できるベイポクロミックロイコ染料、極性の変化に応答するソルバトクロミックロイコ染料、イオン濃度の変化に応答するイオノクロミックロイコ染料、pHの変化、例えば、ネイルの基材若しくは隣接する皮膚のpHの変化を検出できるハロクロミックロイコ染料等、種々の種類の色変化成分によって提供され得る。
色変化成分は、特定の刺激への応答ではなく、ある時間が経過した後に色変化をもたらすように調節されてもよい。
色変化成分は、所定の温度より高温又は所定の温度より低温で、単色をもたらすように選択されてもよい。
色変化成分は、1つ以上の連続する色変化を起こしてもよい。色変化は、可逆的でも不可逆的でもよい。色変化は、刺激(例えば、熱、光、圧力、水、特定の気体、極性、イオン濃度及びpH)の適用、存在又は変化への応答であってもよく、又はいかなる刺激もなく、時間の経過(数秒か数日かにかかわらず)により色が変わり、これは例えば、成分がより短い若しくは長い期間にわたって異なる色を呈する特定の状態にあるように、帯域幅を調節することによって行われる。
熱変色性液晶は、好ましくはカプセル化されており、又は非密閉若しくは非カプセル化であってもよい。ポリマー分散液晶は、連続ポリマー相中に分散された液晶を含む別個の相を有し、該相中で、液晶は、典型的にはミクロンスケール、例えば0.01~50μmの液滴として存在する。非密閉液晶は、水性組成物への組込みが困難であることから、あまり好ましくない。
好ましい実施形態では、色変化成分は、カプセル化液晶を含み、望ましくは、カプセル化液晶のみからなる。
【0006】
コーティング製品は、ケラチン性材料、特に爪の直接的又は間接的なコーティング、並びに人工的な、非ケラチン性ネイル及びネイルエクステンション、例えばアクリルネイルのコーティングに、特に好適である。コーティングは、既存のコーティング、例えばベースコート、ジェルコート、シェラックコート及び磨いたネイルに塗布されてもよく、コーティングされていないネイルに塗布されてもよい。
有利には、本発明の製品は、液晶色変化成分と、固定色又は一定色を提供する着色剤との組合せの有効使用を可能にすることによって、有機溶剤系製品の使用の有害側面なく、印象的で強烈な色又は変色効果の達成を可能にする。水性製品は、漏洩又は誤塗布の際に水又は水系洗浄製品を用いて容易に除去又は洗浄することができ、溶剤系製品又はエナメルリムーバーを用いる必要がない。
コーティング製品は、特定の状況又は雰囲気のための所望の視覚外観を提供するように調整すること、及び温度の帯域幅又は他の外部パラメータ内での単一又は複数の色変化にて、より速い又はより遅い色変化を提供するように適応させることができる。
カプセル体は、好適には、液晶に適合性のある公知のカプセル化材料を含む。一実施形態において、液晶変色性成分は、好適にはゼラチン及びアラビアガム混合物、例えば、アラビアガム及び/又はグルタルアルデヒド架橋ゼラチンを含む壁の中にカプセル化されている。公知の又は後に考案された他のカプセル化材料が使用されてもよい。他の種類のカプセルの例としては、シロキサンベースのカプセル、熱可塑性ポリマーベースのカプセル、及び熱硬化性ポリマーベースのカプセルが挙げられる。
好適な液晶としては、コレステリック液晶が挙げられ、これは典型的にはコレステロール又はその他のステロール誘導化合物(コレステリルカーボネートエステル等)をベースとするか、又はこれらを含む。他の好適な液晶としては、非ステロール系化合物、例えば安息香酸フェニルエステルが挙げられる。
【0007】
コーティング製品は、ロイコ染料を液晶との組合せで更に含み得る。ロイコ染料と液晶との組合せは、複数の、例えば少なくとも3つの色変化を提供するために特に好適である。色変化材料の組合せは、好適には一緒に混合される。
好適なカプセル化液晶は、LCR Hallcrest等の様々な供給源から入手できる。安息香酸フェニルエステル等の非コレステロール系液晶は、高反射率を有する明るく強烈な色効果をもたらし、高級製品に好適である。コレステリック型液晶は、典型的には、非コレステリック液晶よりも強度が低い着色効果をもたらすが、コストが低く、より大規模な市場に適する可能性がある。非コレステリック液晶とコレステリック液晶との混合物を用いて、製品性能及びコストを最適化し得る。好ましい実施形態では、液晶は、好適には、非コレステリック液晶のみを含む。
カプセル化色変化成分、好ましくはカプセル化液晶は、好ましくは変色性組成物の0.5~90質量%、5~70質量%、特に5~60質量%の濃度で存在する。いくつかの実施形態において、カプセル化色変化成分は、変色性組成物の5~50質量%、特に6~30質量%、例えば12質量%、16質量%及び20質量%の濃度で存在し得る。
カプセル化液晶は、好適には、水性スラリー中のマイクロカプセル化液晶のスラリーとして、製品に組み込まれる。好ましくは、スラリーは、水と、カプセル体と、防腐剤とを含む。好適には、カプセル化液晶は、水性スラリーの10~90質量%、好ましくは15~60質量%、特に20~50質量%、例えば40質量%の濃度で存在する。防腐剤は、好適には、水性スラリーの1質量%の濃度で存在する。好適な防腐剤の例としては、ジアゾリジニル尿素、メチルパラベン、プロピルパラベンの混合物のプロピレングリコール溶液であるGermaben IIが挙げられる。フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン及び安息香酸ナトリウムが挙げられるがこれらに限定されない、任意の他の適合性のある防腐剤又は防腐剤の組合せを使用できる。
【0008】
ネイル製品は、通常の使用では色の変化を示さない着色剤も含む。着色剤は、組成物が使用される条件で単色を示す任意の材料を含み得る。単色は、色が変化しない着色剤、例えば、染料及び/又は顔料によってもたらされてもよく、又は色変化が可能であるが、組成物の通常の使用条件下では色変化を起こさない液体着色剤、例えば液晶又はロイコ染料(「スタティック」着色剤として知られる)によってもたらされてもよい。用語「スタティック」は、使用条件下で色が変わらないロイコ染料又は液晶を指す。従って、着色剤は、色変化の能力はあるが、使用条件下で通常は色変化を示さず、固定色を示す。
着色剤は、好適にはスタティック液晶、水溶性の染料、及び/又は固定色であり水分散可能な顔料を含む。好適には、着色剤は染料を含む。顔料は、光を散乱して「白化」効果又は霞み(haziness)をもたらし得る。染料及び/又は顔料は、意図する所望の効果に従って選択されてもよい。顔料は、よりシンギュラーな色変化をもたらしてもよい。
用語「シンギュラー」(singular)は、「ツートン」カラーシステムを指し、スタティックな色、又は着色から無色へ、若しくは無色から着色へ、若しくは第1の色から第2の色への顕著な色変化、又は液晶で典型的に観察される従来の色のスペクトル(赤、緑、及び青)及びこれらの色の間での移行とは異なる2色間での色の変動のいずれかである。例えば、シンギュラーな液晶系は、赤を示さずに緑と青等の2色の間で変動し得る。用語「シンギュラー」は、特定の所定温度又は調節された温度より高温又は低温で観察される単一の色も指す。シンギュラー色液晶は、好適には、より厚いカプセル化壁、例えば5~10μmの壁を有する。
霞みは、顔料の使用によって、又は反射光が回折するように複数層の液晶若しくは複数層のバインダーを適用することによって、視覚効果をもたらすように意図的に付与されてもよい。ネイル製品は、着色剤と色変化成分とが密に混合された単一組成物として着色剤と色変化成分とを含んでもよく、又は色変化成分を含む第1の水性組成物と、着色剤を含む第2の水性組成物という少なくとも別々の2つの水性組成物を含んでもよい。後者の場合、第2の組成物は、好適にはアンダーコートとして基材上に塗布され、その後、色変化成分が、好ましくはアンダーコートが乾燥した後に、アンダーコートの上に塗布される。
着色剤は、固定色であり、視覚外観又は液晶の特性強化を可能にするか又は増進する。着色剤は、任意の色、例えば、赤、オレンジ、黄、緑、青、藍、紫、茶、又は黒であってもよい。暗色は、より強力な変色効果を観察者に与えることから、好ましい。より明るい色は、真珠光沢又は乳白色の効果を付与し、場合によっては望ましくなり得る。着色剤は、染料又は顔料であってもよい。染料は、典型的には水溶性であり、顔料は、典型的には水分散性である。顔料は液晶からの反射を曇らせ、色強度を低下し得ることから、染料が好ましい。
着色剤は、未希釈状態で、粉末として、又は着色剤の溶液として、任意の所望の濃度で、ネイル製品に組み込まれてもよい。着色剤溶液は、着色剤の0.1~10%水溶液を含んでもよく、粉末として添加される場合は、好適には0.1~2.5%、好ましくは0.5~2%、例えば1%の濃度で存在する。着色剤溶液又は分散液は、着色剤溶液の濃度及び製品の着色剤の所望の最終含有量に応じた濃度で、変色性組成物に組み込まれてもよい。例えば、着色剤の1%溶液は、組成物の1~20質量%、好ましくは5~15質量%、例えば10質量%の濃度で含まれてもよい。
好ましくは、着色剤は、黒又は青、例えばカーボンブラックである。好ましい実施形態では、着色剤は、カーボンブラック、酸化鉄、マイカ、黒鉛、合成メラニン及びポリドーパミン顔料を含む。好適な水系黒色染料又は顔料の例としては、MINISOの商標名で入手可能な製品が挙げられる。
【0009】
好ましい実施形態では、本発明は、カプセル化液晶と暗色着色剤、好ましくは黒又は青色着色剤とを水溶液又は分散液中に有する変色性組成物を含む単一組成物を含む、水性コーティング製品を提供する。
有利には、単一組成物は、より使用しやすく、ユーザーは、着色剤アンダーコートを塗布し、その乾燥を待ち、その後液晶を含むオーバーコートを塗る必要がない。単一組成物では、着色剤の割合は液晶を上回り、それにより液晶の有効反射が低下し得る。この実施形態では、より高濃度の液晶を使用して、単一組成物中の着色剤の存在による明度の低下を緩和又は回避できる。
バインダーは、好適には、水溶液に可溶性若しくは分散性である被膜形成ポリマーを含み、魅力的な審美効果、特に優れた表面反射を促進し、強烈な色、異なる色の間のコントラスト、及び応答性色変化並びに基材に対する付着を提供し、他の望ましい特徴が確保され得る。
【0010】
更なる態様では、本発明は、水溶液中に分散されたカプセル化液晶とバインダーとを含む水溶液と、該水溶液中に提供された、又は別の水溶液中に提供された、暗色着色剤と、を含むコーティング製品であって、上記バインダーは、非イオン性の疎水変性エトキシ化ウレタン(HEUR)、ポリウレタン、スチレン/アクリレート/アンモニウムメタクリレートコポリマー及び/又はエポキシ樹脂のうちの少なくとも1つを含む、コーティング製品を提供する。
好適には、バインダーは、非イオン性の疎水変性エトキシ化ウレタン(HEUR)、アクリルポリマー、スチレン/アクリレートコポリマー、スチレン/アクリレート/アンモニウムメタクリレートコポリマー、エポキシ樹脂及びポリウレタンから選択され、例えば、ポリウレタン-2は、へキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、アジピン酸、飽和メチレンジフェニルジイソシアネート及びジメチロールプロピオン酸モノマーのコポリマーである。好ましいバインダーの例としては、Interpolymerから入手可能なSYNTRAN 5620CG、Wanhuaから入手可能なCARFIL 9235、9241及び9240、ポリウレタン-2分散液が挙げられる。
好ましくは、バインダー組成物は透明である。有利には、透明なバインダーは、着色剤、特に液晶からの着色効果を増大する。
バインダーは、好ましくは固形分5~50%の水性組成物として提供され、バインダーが変色性組成物中に30~80、好ましくは40~75、特に50~70質量%の濃度で存在するような濃度で提供される。
本発明による水性コーティング製品は、爪に直接塗布されてもよく、又は爪に既に塗布されたアンダーコートの上に塗布されてもよい。アンダーコートは、好適には、当該技術分野で公知の水性組成物を含んでもよく、当該分野で市販されている任意の組成物を使用してもよい。好適な例としては、Piggi PaintのSOPHIネイルポリッシュ、ACQUARELLA、SUNCOATネイルポリッシュ、LITTLE ONDINEのネイルポリッシュ、KEEKI PURE&SIMPLEネイルポリッシュ、UNTピーラブルネイルポリッシュ、Honeybee gardens Watercoloursネイルポリッシュ、Karmaオーガニック2in1ベースコート/トップコート、Sundaysベースコートネイルポリッシュ及びSundaysハイドレイティングベースコートNo.1が挙げられる。
本発明による水性コーティング製品は、爪に塗布された後、オーバーコートでコーティングされてもよい。オーバーコートは、審美的若しくは機能的効果又はその両方を提供してもよく、例えば、水性ネイル製品の保護コーティングを提供する。オーバーコートは、好適には、当該技術分野で公知の水性組成物を含んでもよく、当該分野で市販されている任意の組成物を使用してもよい。好適なオーバーコートの例としては、SUNCOATクリアトップコートネイルポリッシュ、LITTLE ONDINE水系マットトップコート、Karmaオーガニック2in1ベースコート/トップコート、Sundaysトップコートネイルポリッシュが挙げられる。
【0011】
本発明者らは、UV吸収材料を含むトップコート組成物を提供することで、爪に塗布された製品の寿命が改善されることを見出した。
更なる態様では、本発明は、水溶液中に分散された色変化成分とバインダーとを含む水性変色性組成物を含むコーティング製品を提供し、該コーティング製品は、
i)水性組成物中に分散又は溶解された着色剤を更に含む;又は
ii)色変化成分の下にある着色剤を含む下層を提供するための、水性変色性組成物との使用に適応された着色剤を含む別の水溶液を含み、
製品は、UV吸収剤と水とを含む別の水性トップコート組成物を更に含んでもよい。
コーティング製品は、水性着色剤組成物、別の水性変色性組成物及び水性トップコート組成物を適宜含んでもよく、これらは使用時に爪に逐次的に塗布され、その際各コートは次のコートを塗布する前に乾燥される。水性着色剤組成物及び水性変色性組成物を、一緒に混合して、色変化成分と着色剤とを含むコートの塗布のための単一組成物を提供してもよい。その後、乾燥したコーティングに、トップコート組成物を塗布してもよい。
【0012】
更なる態様では、本発明は、コーティングを提供する方法であって、任意選択で下層を基材に塗布して乾燥した後に、コーティングしようとする基材に本発明による水性組成物を塗布する工程であって、水性変色性組成物は水溶液中に分散された色変化成分とバインダーとを含み、下層が塗布されていない場合、コーティング製品は、水性組成物中に分散又は溶解された着色剤を更に含む、工程と、水性変色性組成物を乾燥する工程と、変色性組成物の乾燥表面に、UV吸収剤を含む水性トップコート組成物を塗布し、塗布したトップコート組成物を乾燥する工程と、を含む、方法を提供する。
好ましくは、UV吸収剤は、トップコート組成物の0.5~10質量%、より好ましくは1~5質量%の濃度で存在する。
任意の公知のUV吸収剤を用いてもよく、好ましい例としては、アボベンゾン、ベンゾフェノン及びメトキシケイ皮酸オクチルが挙げられる。
【0013】
更なる態様では、本発明は、色変化効果を強烈な色で提供するための、水性ネイルコーティング組成物における黒色着色剤と液晶を含む変色性製品との組合せの使用を提供する。変色効果の応答性は、好適には1ミリ秒~10秒である。変化は、好適には、伝導、対流、又は熱放射による加熱又は冷却のいずれかによる温度の変化に応答して起こる。
コーティング製品は、被膜形成又はコーティング形成プロセスによって、例えばスプレー、染色、スクリーン印刷等によって基材に適用することができる。爪に対して、コーティング製品は、従来のブラシを使用して塗布されてもよい。
コーティング製品は、カプセル体のための構造的完全性を確実にするためにカプセル化壁材料と適合性であるべきである。好ましくは、コーティング製品は、水を含み、コーティング製品の10~90質量%、より好ましくは30~80質量%、例えば50質量%の濃度で存在する。
塗布すると、コーティング製品は乾燥する。乾燥時間を短縮するために、溶剤は、乾燥を促進するのに充分であるが液晶を破壊しない微量の有機溶剤を含んでもよい。製品は、アルコール、ケトン又はアルデヒド、例えばエタノール、イソプロパノール;及びアセトンを含んでもよい。好適には、任意のかかる有機溶剤は、全有機溶剤濃度がコーティング製品の20質量%未満、好ましくは10質量%未満となる濃度で存在する。製品が別個の液晶組成物と、別個の黒色染料又は顔料組成物とを含む場合、溶剤は、組成物のいずれか又は両方に存在してもよい。
組成物は、被膜の乾燥を促進するための造膜助剤を含んでもよい。好適な造膜助剤の例としては、へキシレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールn-ブチルエーテル及びジプロピレングリコールジベンゾエートが挙げられる。
ネイル製品は、所望の効果に従って非玉虫色でも玉虫色でもよい。他の外観、例えば真珠光沢、光沢及び蛍光が、特にUVスペクトルに近い入射光により、もたらされてもよい。玉虫色は、好適には、入射光を散乱して、複数の色又は多様な色の揺らめき効果をもたらし、好適な屈折特性を有するネイル製品によって発生する。有利には、PDLC液晶は、玉虫色の品質並びに色変化特性を提供することができる。
【0014】
コーティング製品は、好ましくは、基材にコーティングされた後の製品に硬度及び耐摩耗性を付与するため、耐摩耗添加剤を含む。好適には、耐摩耗添加剤は、酸化ポリエチレンワックス及びバインダーを架橋する架橋剤から選択される。耐摩耗添加剤は、二官能性又は多官能であり、改善された硬度及び/又は耐摩耗性をコーティングに付与し得る架橋の形成を促進する。
ネイル製品は、色強度を促進するための蛍光増白剤を含んでもよい。任意の公知の蛍光増白剤、例えばスチルベンを使用してもよい。
【0015】
任意選択で、コーティング製品は、分散性、流動性及び塗布中の爪上への組成物の広がりを助けるためのレオロジー改質剤も含む。レオロジー改質剤は、好ましくは、経時安定性を増大し、配合物の分離を防止すると同時に、容易な塗布を可能にする。パーソナルケア製品における使用が公知であり、水溶液中に可溶性又は分散性であるレオロジー改質剤が、バインダー組成物に使用され得る。レオロジー改質剤は、天然増粘剤、合成増粘剤、及び/又は分散剤若しくは界面活性剤を含んでもよい。組成物の使用の意図される分野における使用に好適な任意の公知の増粘剤を用いることができる。
天然増粘剤の例としては、卵黄、デンプン、セルロース、アルギネート、キトサン、寒天、クズウコン、カラギーナン、コラーゲン、ゼラチン、グアーガム、ペクチン及びキサンタンガムが挙げられる。合成増粘剤の例としては、アルカリ膨潤性エマルジョン(ASE)、疎水変性アルカリ膨潤性エマルジョン(HASE)、疎水性エトキシ化ウレタン樹脂(HEUR)が挙げられる。好ましい分散剤の例としては、ポリソルベート20/80、ヤシ油脂肪酸グリセリル、カプリリルグルコシドが挙げられる。
系のレオロジーは、シリカ及びカオリン(無水ケイ酸アルミニウム)のような鉱物由来物等の粉末を使用して調節することもできる。
一実施形態において、レオロジー改質剤は、グリコール、好ましくはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール及びC2~C6アルキレングリコール、例えばPEG32、へキシレングリコール及びプロピレングリコールから選択されるグリコールを含む。レオロジー改質剤は、存在する場合、好適には、バインダーの0.1~20質量%、好ましくは1~10質量%、例えば7質量%の濃度で存在する。
【0016】
変色性組成物は、揺変(ずり減粘)特性を改善するため、及び湿潤を促進するために、特定の粘度調整剤も含んでもよい。有利には、組成物は貯蔵時に増粘し、塗布時に容易に減粘することから、貯蔵安定性を促進し、塗布時の性能を改善する。好適には、粘度調整剤は、疎水変性会合性増粘剤、例えばCARFIL 9241を含む。
任意選択で、バインダーは、pH調整剤も含み、より高いアルカリ性度又は酸性度をもたらすように作用し得る。pH調整剤は、バインダーとして使用するポリマーに応じて、固定剤が色変化組成物のカプセル化壁を不利に破壊しないことを確実とするために、必要となる場合がある。パーソナルケア製品への使用が公知のpH調整剤を、バインダー組成物に使用できる。
pH調整剤は、存在する場合、好適には、バインダーの0.1~10質量%、好ましくは0.5~5質量%、例えば3質量%の濃度で存在する。
【0017】
ネイル製品は、天然又は合成抗菌剤等の防腐剤も含んでもよい。天然抗菌剤の例としては、カプリリルグリコール、ティーツリーオイル、ソルビン酸カリウム及びソルビン酸が挙げられる。合成抗菌剤の例としては、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、ジアゾリジニル尿素、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、及びグルコノラクトンが挙げられる。
ネイル製品は、UV添加剤を含んでもよい。二酸化チタン、酸化亜鉛、及びアボベンゾン等の公知のUV添加剤又は吸収剤を用いてもよい。好ましいUV添加剤としては、ベンゾフェノン-4及びフェニルベンゾイミダゾールスルホン酸のMerckから入手可能なEUSOLEX 232が挙げられる。
ネイル製品は、可塑剤を含むこともでき、公知の市販されている可塑剤が好適である。
ネイル製品は、特にヒト又は動物の身体への使用を意図する場合には、香料を含むこともできる。好適な香料の例としては、ペパーミント油、スイートオレンジ精油、メントール、リナロオール、パルファム、酪酸メチル、シトラル、ミルセン、リモネン及びユーカリプトールが挙げられる。
【0018】
所望に応じて、ネイル製品は、色変化成分及び着色剤に加えて、更なる着色剤を含んでもよい。
好適な染料の例としては、化粧品への使用に好適な任意の染料が挙げられ、以下のもの等を組合せて、又はそれ自体で、使用できる;N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール、ヒドロキシエチル-2-ニトロ-p-トルイジン、HCブルーNo.12、3-ニトロ-p-ヒドロキシエチルアミノフェノール、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、アシッドレッド33、HCイエローNo.2、HCオレンジNo.1、HCイエローNo.13、ベーシックイエロー57、HCレッドNo.3、ベーシックレッド76、ベーシックレッド51、アシッドレッド92、ベーシックイエロー87、ベーシックオレンジ31、ベーシックバイオレット2、HCブルーNo.16、アシッドバイオレット43、ベーシックブラウン17及びSensient(登録商標)Cosmetic technologiesによって提供される染料;Arianor Jade Blue(HCブルー15)、phat black DC 9206(CI61565、CI60725、ベーシックブラウン16、アシッドバイオレット43、ベーシックレッド76、CI26100の混合物)、Arianor flash deep black(ベーシックブルー99、ベーシックブラウン16、アシッドバイオレット43、ベーシックレッド76、ベーシックイエロー57、ベーシックブラウン17、ポリクオタニウム-37、加水分解酵母タンパク質)。
好適な顔料の例としては、化粧品への使用に好適な任意の顔料が挙げられ、以下のもの等を組合せて、又はそれ自体で、使用できる;酸化鉄、酸化チタン、合成マイカ(合成フルオロフロゴパイト)、カーボンブラック、レーキ、天然マイカ、シリカ、Covalumine fire red AS(CI15850、アルミナ、トリエトキシカプリリルシラン)、Noir W 699(CI20470、硫酸ナトリウム)、Covalumine astral blue(CI42090、アルミナ、トリエトキシカプリリルシラン)、Unipure white LC986 FSP(CI77891、ペルフルオロオクチルトリエトキシシラン、ポリペルフルオロメチルイソプロピルエーテル)、Unipure red LC3071(CI15850、水酸化アルミニウム)、Unipure white LC987 GCA(CI77891、ココイルグルタミン酸ナトリウム、シスチン、ラウロイルアルギニン)、Covarine white WN9787(CI77891、水、グリセリン、キサンタンガム、クエン酸ナトリウム)、Covapate Uniwhite LC9781(Ricinus Communis(カストール)種子油、CI77891、ポリヒドロキシステアリン酸)、Unipure white LC981 SGP(CI77891、グリセロリン酸ナトリウム)、Vert Covasol W7035(CI19140、CI42090)、unipure yellow LC182 ADT-C(CI77492、イソプロピルチタントリイソステアレート、ビス-PEG-15ジメチコン/IPDIコポリマー、PEG-2ソイアミン)、unipure black LC989 ADT-C(CI77499、イソプロピルチタントリイソステアレート、ビス-PEG-15ジメチコン/IPDIコポリマー、PEG-2ソイアミン)、unipure black LC988 FSP(CI77499、ペルフルオロオクチルトリエトキシシラン、ポリペルフルオロメチルイソプロピルエーテル)。
【0019】
好ましい実施形態では、コーティング製品は、
- 組成物の15~30質量%の固形分の濃度のバインダーであって、好ましくは固形分35%の水中分散液として提供されたときに組成物の40~85質量%の濃度で水性分散液として組み込まれた、バインダーと、
- 組成物を基準にして固形分6~30%の濃度のカプセル化液晶であって、好ましくは40%スラリーとして含まれる、すなわち40%水中スラリー分散液として組み込まれたときに組成物の15%~75質量%の、カプセル化液晶と、
- 0.1~10%の濃度の暗色着色剤と、
- 0.05~5%の濃度の防腐剤と、
- 0.1~5%の濃度の湿潤剤又は粘度調整剤と、
- 0.5~20%の濃度のUV安定剤と、
- 0.01~5%の濃度のレオロジー改質剤と、
- 20~70%の濃度の水性溶剤と、
を含む。
ネイル製品は、好適には、液体を表面に均一なコートとして塗布するためのブラシ又はアプリケータを使用して表面に塗布できるコーティング可能な液体の形態である。ネイル製品がスプレーとして配合される場合、組成物は、非加圧容器から又は噴射剤を使用する加圧容器から分注することができる。意図される用途に好適である任意の公知の噴射剤、例えばブタン、二酸化炭素、エタン及び炭酸ジメチルが使用され得る。
【0020】
本発明を、以下の非限定例によって例示する。特記のない限り、全ての百分率及び部数は本発明の組成物を基準にした質量によるものである。
【実施例】
【0021】
以下の表1に示す組成に従って、多数の本発明のコーティング製品を調製した。組成物は、成分を一緒に混合することで調製した。カプセル化液晶は40%水性スラリーであり、スラリー中の水は組成物の水性成分から提供された。
【表1】
【0022】
CARFIL9235は、34~36%の固形分を有し、25℃で<500mPa・sの粘度を有する、ポリウレタン-2の水性分散液である。
CARFIL9240は、25%の固形分を有し、25℃で<15000~20000mPa・sの粘度を有する、ポリウレタン-2の水性分散液である
WorleeAquaNailは、水、ポリアクリレート-42、アセチルクエン酸トリブチル、セバシン酸ジブチル、フェニルプロパノール、カプリリルグリコール、デシレングリコールを含むポリアクリレート分散液である。
【0023】
実施例1~5の各製品を、標準的なネイルエナメルアプリケータを使用して爪に均一に塗布し、自然乾燥した。次いで、この製品を観察し、硬度2Hまでの異なる硬度の鉛筆の芯で傷つけることで、耐久性を試験した。
実施例1の製品は、ブラシで爪に塗布したときに卓越した明度の色を示し、視覚的に観察された。実施例2~4の製品は、同様の卓越した明度の色を示し、コーティングの均一性が改善されていた。実施例3の組成物は、卓越した明度並びに耐久性及び耐欠損性を示した。実施例5の組成物は、卓越した明度及び充分な耐久性を示し、硬度Hの鉛筆に対して耐欠損性があったが、実施例1~4の製品よりは耐久性が低かった。
コーティングの爪への付着性及び欠損性を、接着性コーティングのASTM試験D3359-09に使用されているスコッチテープ試験と同様の手順を用いて試験した。塗布した全ての組成物は、上記の試験で満足な性能を示した。
【国際調査報告】