(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-24
(54)【発明の名称】タンパク質間相互作用スクリーニングのためのシステム
(51)【国際特許分類】
C12N 15/62 20060101AFI20220117BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20220117BHJP
C12N 15/33 20060101ALI20220117BHJP
C12N 15/57 20060101ALI20220117BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20220117BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20220117BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20220117BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20220117BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20220117BHJP
【FI】
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/12
C12N15/33
C12N15/57
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12Q1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021530298
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(85)【翻訳文提出日】2021-07-26
(86)【国際出願番号】 US2019064969
(87)【国際公開番号】W WO2020118198
(87)【国際公開日】2020-06-11
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521229005
【氏名又は名称】オクタント,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】チャン,レオン イェン-リー
(72)【発明者】
【氏名】クーパー,アーロン ロス
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
4B063QA18
4B063QQ08
4B063QR77
4B063QX02
4B065AA90X
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
4B065CA46
(57)【要約】
【解決手段】本明細書に記載されるのは、タンパク質間相互作用を調べるのに有用な方法およびシステムである。これらのシステムは、インビボで完全に機能的な断片を形成するために、互いに補足可能であるポリペプチドの非機能的断片を利用する。完全に機能的なポリペプチドは、レポーター要素に結合して、これを活性化するか、または抑制することができる転写調節ポリペプチドを放出する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質間相互作用スクリーニングのためのシステムであって、該システムは、
a)プロテアーゼポリペプチドの第1の断片、プロテアーゼ切断部位、および転写調節ポリペプチドに連結されたベイトポリペプチドをコードする第1の核酸と、
b)プロテアーゼポリペプチドの第2の断片に連結されたプレイポリペプチドをコードする第2の核酸と、
c)レポーター要素を含む第3の核酸と、を含み、ここで、前記レポーター要素は、調節要素、第1のレポーター遺伝子および第2のレポーター遺伝子を含み、ここで、前記調節要素は、前記転写調節ポリペプチドによって結合されるように構成され、ここで、前記第2のレポーター遺伝子は、前記プレイポリペプチドに特有のRNA配列をコードする、システム。
【請求項2】
前記プロテアーゼポリペプチドの第1の断片、および前記プロテアーゼポリペプチドの第2の断片は、前記ベイトポリペプチドが前記プレイポリペプチドと相互作用するとき活性プロテアーゼを形成し、その際に、前記プロテアーゼ切断部位が、前記活性プロテアーゼによって切断され、前記転写調節ポリペプチドが、前記ベイトポリペプチドから放出され、前記調節要素に結合し、前記第1のレポーター遺伝子、および第2のレポーター遺伝子の転写を開始する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プロテアーゼポリペプチドの第1の断片は、プロテアーゼポリペプチドのC末端断片であり、前記プロテアーゼポリペプチドの第2の断片は、プロテアーゼポリペプチドのN末端断片である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロテアーゼポリペプチドの第1の断片は、プロテアーゼポリペプチドのN末端断片であり、前記プロテアーゼポリペプチドの第2の断片は、プロテアーゼポリペプチドのC末端断片である、請求項1に記載システム。
【請求項5】
前記プロテアーゼポリペプチドの第1の断片および前記プロテアーゼポリペプチドの第2の断片は、タバコエッチウイルス核封入体-aエンドペプチダーゼ(TEVプロテアーゼ)に由来する、請求項1~4のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項6】
前記転写調節ポリペプチドは、合成転写因子を含む、請求項1~5のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項7】
前記合成転写因子は、Gal4 DNA結合ドメインおよびGal4-VPR活性化ドメインの融合を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記転写調節ポリペプチドは、転写リプレッサーを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第2の核酸は、前記プレイポリペプチドに連結された前記第2の転写調節ポリペプチドをコードし、ここで、前記第2の転写調節ポリペプチドは、前記活性プロテアーゼによって切断されるように構成される、請求項1~8のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項10】
前記ベイトポリペプチド、またはプレイポリペプチドは、膜結合シグナル伝達ポリペプチドである、請求項1~9のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項11】
前記膜結合ベイトポリペプチド、または前記プレイポリペプチドは、Gタンパク質共役受容体、受容体チロシンキナーゼ、またはイオンチャネルを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記膜結合シグナル伝達ポリペプチド、または前記プレイポリペプチドは、Gタンパク質共役受容体を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記ベイトポリペプチド、または前記プレイポリペプチドは、細胞内シグナル伝達ポリペプチドである、請求項1~9のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項14】
細胞内の前記ベイトポリペプチド、または前記プレイポリペプチドは、核ホルモン受容体を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記ベイトポリペプチド、または前記プレイポリペプチドは、潜在的に前記ベイトポリペプチドと相互作用する細胞内分子を含む、請求項1~14のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項16】
前記調節要素は、誘導可能な調節要素を含む、請求項1~14のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項17】
前記誘導可能な調節要素は、Gal4上流活性化配列(Gal4UAS)を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1のレポーター遺伝子は、蛍光タンパク質、ルシフェラーゼタンパク質、ベタ-ガラクトシダーゼ、ベタ-グルクロニダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌された胎盤性アルカリホスファターゼをコードする、請求項1~17のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項19】
前記第1のレポーター遺伝子は、蛍光タンパク質、またはルシフェラーゼタンパク質をコードする、請求項1~18のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の核酸は、プロモーターがない蛍光タンパク質をコードする配列を含む、請求項1~19のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項21】
前記蛍光タンパク質は、緑色蛍光タンパク質である、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記第1の核酸は、部位特異的組み込みをゲノムへと方向付ける配列を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
前記第1の核酸は、部位特異的組み込みをゲノムへと方向付けるattB配列を含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記第2の核酸は、選択可能な表面マーカーをコードする配列を含む、請求項1~23のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項25】
前記選択可能な表面マーカーは、赤血球凝集素ポリペプチドである、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
請求項1~25のいずれか1つに記載の前記第1の核酸、前記第2の核酸および/または前記第3の核酸を含む、細胞。
【請求項27】
前記第1の核酸、前記第2の核酸および/または前記第3の核酸は、転位因子を対象とする組み込み部位で組み込まれる、請求項26に記載の細胞。
【請求項28】
前記第1の核酸、前記第2の核酸および/または前記第3の核酸は、所定のゲノムの位置で組み込まれる、請求項26に記載の細胞。
【請求項29】
タンパク質間相互作用に対する試験物質の効果を試験する方法であって、該方法は、請求項26~28のいずれか1つに記載の細胞または細胞の集団を、前記試験物質に接触させる工程を含む、方法。
【請求項30】
前記試験物質が化学物質である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
タンパク質間相互作用スクリーニングのためのシステムであって、該システムは、
a)ユビキチンポリペプチドの第1の断片に連結されたベイトポリペプチドをコードする第1の核酸と、
b)ユビキチンポリペプチドの第2の断片、および転写調節ポリペプチドに連結されたプレイポリペプチドをコードする第2の核酸と、
c)レポーター要素を含む第3の核酸と、を含み、ここで、前記レポーター要素は、調節要素、第1のレポーター遺伝子および第2のレポーター遺伝子を含み、ここで、前記調節要素は、前記転写調節ポリペプチドによって結合されるように構成され、ここで、前記第2のレポーター遺伝子は、前記プレイポリペプチドに特有のRNA配列をコードする、システム。
【請求項32】
前記ユビキチンポリペプチドの第1の断片、および前記ユビキチンポリペプチドの第2の断片は、前記ベイトポリペプチドがプレイポリペプチドと相互作用するとき切断可能なユビキチン分子を形成し、その際に、前記切断可能なユビキチン分子が、脱ユビキチン化酵素によって切断され、前記転写調節ポリペプチドが、前記ベイトポリペプチドから放出され、前記第1のレポーター遺伝子、および前記第2のレポーター遺伝子の転写を開始する、請求項31に記載システム。
【請求項33】
前記ユビキチンポリペプチドの第1の断片は、ユビキチンポリペプチドのC末端断片であり、ユビキチンポリペプチドの第2の断片は、ユビキチンポリペプチドのN末端断片である、請求項31に記載システム。
【請求項34】
前記ユビキチンポリペプチドの第1の断片は、ユビキチンポリペプチドのN末端断片であり、ユビキチンポリペプチドの第2の断片は、ユビキチンポリペプチドのC末端断片である、請求項31に記載システム。
【請求項35】
前記転写調節ポリペプチドは、合成転写因子を含む、請求項31~34のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項36】
前記合成転写因子は、Gal4 DNA結合ドメインおよびGal4-VPR活性化ドメインの融合を含む、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記転写調節ポリペプチドは、転写リプレッサーを含む、請求項31~34のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項38】
前記ベイトポリペプチド、または前記プレイポリペプチドは、膜結合シグナル伝達ポリペプチドである、請求項31~37のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項39】
前記膜結合シグナル伝達ポリペプチドは、Gタンパク質共役受容体、受容体チロシンキナーゼ、またはイオンチャネルを含む、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記膜結合シグナル伝達ポリペプチドは、Gタンパク質共役受容体を含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
前記ベイトポリペプチド、または前記プレイポリペプチドは、細胞内シグナル伝達ポリペプチドである、請求項31~36のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項42】
細胞内の前記ベイトポリペプチド、または前記プレイポリペプチドは、核ホルモン受容体を含む、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記ベイトポリペプチド、または前記プレイポリペプチドは、潜在的に前記シグナル伝達ポリペプチドと相互作用する細胞内分子を含む、請求項31~42のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項44】
前記調節要素は、誘導可能な調節要素を含む、請求項31~43のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項45】
前記誘導可能な調節要素は、Gal4上流活性化配列(Gal4UAS)を含む、請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記第1のレポーター遺伝子は、蛍光タンパク質、ルシフェラーゼタンパク質、ベタ-ガラクトシダーゼ、ベタ-グルクロニダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、または分泌された胎盤性アルカリホスファターゼをコードする、請求項31~45のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項47】
前記第1のレポーター遺伝子は、蛍光タンパク質、またはルシフェラーゼタンパク質をコードする、請求項31~45のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項48】
前記第1の核酸は、プロモーターがない蛍光タンパク質をコードする配列を含む、請求項31~47のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項49】
前記蛍光タンパク質は、緑色蛍光タンパク質である、請求項48に記載のシステム。
【請求項50】
前記第1の核酸は、部位特異的組み込みをゲノムへと方向付ける配列を含む、請求項31~49のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項51】
前記第1の核酸は、部位特異的組み込みをゲノムへと方向付けるattB配列を含む、請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
前記第2の核酸は、選択可能な表面マーカーをコードする配列を含む、請求項31~51のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項53】
前記選択可能な表面マーカーは、赤血球凝集素ポリペプチドである、請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
請求項31~53のいずれか1つに記載の前記第1の核酸、前記第2の核酸、または前記第3の核酸を含む、細胞。
【請求項55】
前記第1の核酸、前記第2の核酸、または前記第3の核酸は、転位因を対象とする組み込み部位で組み込まれる、請求項54に記載の細胞。
【請求項56】
前記第1の核酸、前記第2の核酸、または前記第3の核酸は、所定のゲノムの位置で組み込まれる、請求項54に記載の細胞。
【請求項57】
前記第1の核酸、前記第2の核酸、または前記第3の核酸は、ゲノムの位置で単一のコピーとして組み込まれる、請求項54に記載の細胞。
【請求項58】
タンパク質間相互作用に対する試験物質の効果を試験する方法であって、該方法は、請求項54~57のいずれか1つに記載の細胞または細胞の集団を、前記試験物質に接触させる工程を含む、方法。
【請求項59】
前記試験物質が化学物質である、請求項58に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本発明は、2018年12月7日に出願された米国仮特許出願第62/776,992号の利益を主張し、これは参照によって本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0002】
本明細書に記載されるのは、タンパク質間相互作用を調べ、タンパク質間相互作用のアンタゴニストまたはアゴニストをスクリーニングし、または新しいタンパク質間相互作用を発見するための、有用な核酸、システムおよび方法である。これらの核酸およびシステムは、小分子または、Gタンパク質共役受容体、受容体チロシンキナーゼ、イオンチャネル、および核受容体などのシグナル伝達経路の生物学的なアゴニストまたはアンタゴニストをスクリーニングするのに有用である。一態様では、システムは、核酸を含み、該核酸は、a)標的配列を切断することができる酵素の非機能的断片に融合された、または内因性酵素によって切断されることができるベイトタンパク質と、b)標的配列を切断することができる酵素の非機能的断片に融合された、またはa)の酵素または標的配列を補足する内因性酵素によって切断されることができるプレイタンパク質(例えば、試験タンパク質)および転写調節タンパク質と、c)転写調節タンパク質によって結合されることができる調節要素の制御下でのレポーター遺伝子と、をコードする。ベイトとプレイの会合は、転写調節タンパク質が切断され、レポーター遺伝子を活性化することを可能にする、完全に機能的酵素または標的配列を再構成する。このシステムでは、レポーター遺伝子は、個々のプレイタンパク質に特有である、特有の分子識別子(UMI)を含む。これは、任意の所定の刺激がベイトとプレイの相互作用に与える効果を調べることができる試験の多重化を可能にする。
【0003】
本明細書に記載される一態様では、タンパク質間相互作用スクリーニングのためのシステムであって、該システムは、(a)ユビキチンポリペプチドの第1の断片に連結されたベイトポリペプチドをコードする第1の核酸と、(b)ユビキチンポリペプチドの第2の断片、および転写調節ポリペプチドに連結されたプレイポリペプチドをコードする第2の核酸と、(c)レポーター要素を含む第3の核酸と、を含み、ここで、前記レポーター要素は、調節要素、第1のレポーター遺伝子および第2のレポーター遺伝子を含み、ここで、前記調節要素は、前記転写調節ポリペプチドによって結合されるように構成され、ここで、前記第2のレポーター遺伝子は、前記プレイポリペプチドに特有のRNA配列をコードし、ここで、前記ユビキチンポリペプチドの第1の断片は、ユビキチンポリペプチドの第2の断片と、前記ベイトポリペプチドがプレイポリペプチドと相互作用するときに切断可能なユビキチン分子を形成し、ここで、前記切断可能なユビキチン分子が、脱ユビキチン化酵素によって切断され、前記転写調節ポリペプチドが、ベイトポリペプチドから放出され、前記第1のレポーター遺伝子、および第2のレポーター遺伝子の転写を開始する。ある実施形態では、前記ユビキチンポリペプチドの第1の断片は、ユビキチンポリペプチドのC末端断片であり、前記ユビキチンポリペプチドの第2の断片は、ユビキチンポリペプチドのN末端断片である。ある実施形態では、前記ユビキチンポリペプチドの第1の断片は、ユビキチンポリペプチドのN末端断片であり、前記ユビキチンポリペプチドの第2の断片は、ユビキチンポリペプチドのC末端断片である。ある実施形態では、前記転写調節ポリペプチドは、合成転写因子を含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、Gal4DNA結合ドメインおよびGal4-VPR活性化ドメインの融合を含む。ある実施形態では、前記ベイトポリペプチド、または前記プレイポリペプチドは、膜結合シグナル伝達ポリペプチドである。ある実施形態では、前記膜結合ベイトポリペプチド、または前記プレイポリペプチドは、Gタンパク質共役受容体、受容体チロシンキナーゼ、またはイオンチャネルを含む。ある実施形態では、前記膜結合ベイトポリペプチド、または前記プレイポリペプチドは、Gタンパク質共役受容体を含む。ある実施形態では、前記ベイトポリペプチド、または前記プレイポリペプチドは、細胞内シグナル伝達ポリペプチドである。ある実施形態では、前記細胞内ベイトポリペプチド、または前記プレイポリペプチドは、核ホルモン受容体を含む。ある実施形態では、前記ベイトポリペプチド、または前記プレイポリペプチドは、潜在的に前記シグナル伝達ポリペプチドと相互作用する細胞内分子を含む。ある実施形態では、前記調節要素は、誘導可能な調節要素を含む。ある実施形態では、前記誘導可能な調節要素は、Gal4上流活性化配列(Gal4UAS)を含む。ある実施形態では、前記第1のレポーター遺伝子は、蛍光タンパク質、ルシフェラーゼタンパク質、ベータ-ガラクトシダーゼ、ベータ-グルクロニダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、または分泌された胎盤性アルカリホスファターゼをコードする。ある実施形態では、前記第1のレポーター遺伝子は、蛍光タンパク質、またはルシフェラーゼタンパク質をコードする。ある実施形態では、前記第1の核酸は、プロモーターがない蛍光タンパク質をコードする配列を含む。ある実施形態では、前記蛍光タンパク質は、緑蛍光タンパク質である。ある実施形態では、前記第1の核酸は、部位特異的組み込みをゲノムへと方向付ける配列を含む。ある実施形態では、前記第1の核酸は、部位特異的組み込みをゲノムへと方向付けるattB配列を含む。ある実施形態では、第2の核酸は、選択可能な表面マーカーをコードする配列を含む。ある実施形態では、前記選択可能な表面マーカーは、赤血球凝集素ポリペプチドである。ある実施形態では、前記第1の核酸、第2の核酸および/または第3の核酸を含む細胞が本明細書に記載される。ある実施形態では、前記第1の核酸、第2の核酸および/または第3の核酸は、転位因子のための組み込み部位で組み込まれる。ある実施形態では、前記第1の核酸、第2の核酸および/または第3の核酸は、所定のゲノムの位置で組み込まれる。ある実施形態では、タンパク質間相互作用に対する試験物質の効果を試験する方法が本明細書に記載され、該方法は、本明細書に記載されるシステムを含む細胞または細胞の集団を、前記試験物質に接触させることを含む。ある実施形態では、試験物質は化学物質である。
【0004】
本明細書に記載された一態様では、タンパク質間相互作用スクリーニングのためのシステムであって、該システムは、(a)プロテアーゼのポリペプチドの第1の断片、プロテアーゼ切断部位、および転写調節ポリペプチドに連結されたベイトポリペプチドをコードする第1の核酸と、(b)プロテアーゼポリペプチドの第2の断片に連結されたプレイポリペプチドをコードする第2の核酸と、(c)レポーター要素を含む第3の核酸と、を含み、ここで、前記レポーター要素は、調節要素、第1のレポーター遺伝子および第2のレポーター遺伝子を含み、ここで、前記調節要素は、前記転写調節ポリペプチドによって結合されるように構成され、ここで、前記第2のレポーター遺伝子は、前記プレイポリペプチドに特有のRNA配列をコードし、ここで、前記プロテアーゼポリペプチドの第1の断片は、プロテアーゼポリペプチドの第2の断片と、前記ベイトポリペプチドが前記プレイポリペプチドと相互作用する活性プロテアーゼを形成し、ここで、前記プロテアーゼ切断部位が、前記活性プロテアーゼによって切断され、前記転写調節ポリペプチドが、前記ベイトポリペプチドから放出され、前記調節要素に結合し、前記第1のレポーター遺伝子、および第2のレポーター遺伝子の転写を開始する。ある実施形態では、前記プロテアーゼポリペプチドの第1の断片は、プロテアーゼポリペプチドのC末端断片であり、前記プロテアーゼポリペプチドの第2の断片は、プロテアーゼポリペプチドのN末端断片である。ある実施形態では、前記プロテアーゼポリペプチドの第1の断片は、プロテアーゼポリペプチドのN末端断片であり、前記プロテアーゼポリペプチドの第2の断片は、プロテアーゼポリペプチドのC末端断片である。ある実施形態では、前記プロテアーゼポリペプチドの第1の断片および前記プロテアーゼポリペプチドの第2の断片は、タバコエッチウイルス核封入体-aエンドペプチダーゼ(TEVプロテアーゼ)に由来する。ある実施形態では、前記転写調節ポリペプチドは、合成転写因子を含む。前記合成転写因子は、Gal4DNA結合ドメインおよびGal4-VPR活性化ドメインの融合を含む。ある実施形態では、前記第2の核酸は、前記プレイポリペプチドに連結された前記第2の転写調節ポリペプチドをコードし、ここで、第2の転写調節ポリペプチドは、前記活性プロテアーゼによって切断されるように構成される。ある実施形態では、前記ベイトポリペプチド、または前記プレイポリペプチドは、膜結合シグナル伝達ポリペプチドである。ある実施形態では、前記膜結合ベイトポリペプチド、または前記プレイポリペプチドは、Gタンパク質共役受容体、受容体チロシンキナーゼ、またはイオンチャネルを含む。ある実施形態では、前記膜結合シグナル伝達ポリペプチド、または前記プレイポリペプチドは、Gタンパク質共役受容体を含む。ある実施形態では、前記ベイトポリペプチド、または前記プレイポリペプチドは、細胞内シグナル伝達ポリペプチドである。ある実施形態では、前記細胞内ベイトポリペプチド、または前記プレイポリペプチドは、核ホルモン受容体を含む。ある実施形態では、前記ベイトポリペプチド、または前記プレイポリペプチドは、潜在的に前記シグナル伝達ポリペプチドと相互作用する細胞内分子を含む。ある実施形態では、前記調節要素は、誘導可能な調節要素を含む。ある実施形態では、前記誘導可能な調節要素は、Gal4上流活性化配列(Gal4UAS)を含む。ある実施形態では、前記第1のレポーター遺伝子は、蛍光タンパク質、ルシフェラーゼタンパク質、ベータ-ガラクトシダーゼ、ベータ-グルクロニダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌された胎盤性アルカリホスファターゼをコードする。ある実施形態では、前記第1のレポーター遺伝子は、蛍光タンパク質、またはルシフェラーゼタンパク質をコードする。ある実施形態では、前記第1の核酸は、プロモーターがない蛍光タンパク質をコードする配列を含む。ある実施形態では、前記蛍光タンパク質は、緑蛍光タンパク質である。ある実施形態では、前記第1の核酸は、部位特異的組み込みをゲノムへと方向付ける配列を含む。ある実施形態では、前記第1の核酸は、部位特異的組み込みをゲノムへと方向付けるattB配列を含む。ある実施形態では、第2の核酸は、選択可能な表面マーカーをコードする配列を含む。ある実施形態では、前記選択可能な表面マーカーは、赤血球凝集素ポリペプチドである。ある実施形態では、前記第1の核酸、第2の核酸および/または第3の核酸を含む細胞が本明細書に記載される。ある実施形態では、前記第1の核酸、第2の核酸および/または第3の核酸は、転位因子のための組み込み部位で組み込まれる。ある実施形態では、前記第1の核酸、第2の核酸および/または第3の核酸は、所定のゲノムの位置で組み込まれる。ある実施形態では、タンパク質間相互作用に対する試験物質の効果を試験する方法が本明細書に記載され、該方法は、本明細書に記載されるシステムを含む細胞または細胞の集団を、前記試験物質に接触させることを含む。ある実施形態では、試験物質は化学物質である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A】(膜関連の)プレイポリペプチドにベイトポリペプチド(ARRB2)を結合させる前の定常状態で、分解プロテアーゼ(左)または分解ユビキチン(右)のタンパク質間相互作用システムの概略を示す。
【
図1B】(膜関連の)プレイポリペプチドにベイトポリペプチド(ARRB2)を結合させた後の定常状態で、分解プロテアーゼ(左)または分解ユビキチン(右)のタンパク質間相互作用システムの概略を示す。
【
図2】デュアル分解-TEVシステムと比較して、発光レポーター分解ユビキチンの倍誘導を説明する。
【
図3A】分解ユビキチンのタンパク質間相互作用システムを使用して、Xamoterolで処置された細胞の用量反応曲線を示す。
【
図3B】デュアル分解-TEVのタンパク質間相互作用システムを使用して、Xamoterolで処置された細胞の用量反応曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書に記載された一態様では、タンパク質間相互作用スクリーニングのためのシステムであって、該システムは、(a)ユビキチンポリペプチドの第1の断片に連結されたベイトポリペプチド、またはプレイポリペプチドをコードする第1の核酸と、(b)ユビキチンポリペプチドの第2の断片、および転写調節ポリペプチドに連結されたプレイポリペプチド、またはベイトポリペプチドをコードする第2の核酸と、(c)前記転写調節ポリペプチドによって結合される調節要素、およびレポーター要素を含む第3の核酸と、を含み、ここで、前記ユビキチンポリペプチドの第1の断片は、ユビキチンポリペプチドの第2の断片と、前記ベイトポリペプチドがプレイポリペプチドと相互作用するときに切断可能なユビキチン分子を形成し、ここで、前記切断可能なユビキチン分子が、脱ユビキチン化酵素によって切断され、前記転写調節ポリペプチドが、前記ベイトポリペプチドから放出され、前記調節要素に結合し、および前記レポーター要素の転写を開始する。
【0007】
本明細書に記載された他の態様では、タンパク質間相互作用スクリーニングのためのシステムであって、該システムは、(a)ユビキチンポリペプチドの第1の断片に連結されたベイトポリペプチド、またはプレイポリペプチドをコードする第1の核酸と、(b)ユビキチンポリペプチドの第2の断片、および転写調節ポリペプチドに連結されたプレイポリペプチド、またはベイトポリペプチドをコードする、かつ前記転写調節ポリペプチドによって結合される調節要素およびレポーター要素を含む第2の核酸と、を含み、ここで、前記ユビキチンポリペプチドの第1の断片は、ユビキチンポリペプチドの第2の断片と、前記ベイトポリペプチドがプレイポリペプチドと相互作用するときに切断可能なユビキチン分子を形成し、ここで、前記切断可能なユビキチン分子が、脱ユビキチン化酵素によって切断され、前記転写調節ポリペプチドが、前記ベイトポリペプチドから放出され、前記調節要素に結合し、および前記レポーター要素の転写を開始する。
【0008】
本明細書に記載された他の態様では、タンパク質間相互作用スクリーニングのためのシステムであって、該システムは、(a)ユビキチンポリペプチドの第1の断片に連結されたベイトポリペプチド、またはプレイポリペプチドをコードする、かつ転写調節ポリペプチドによって結合される調節要素、およびレポーター要素を含む第1の核酸と、を含み、(b)ユビキチンポリペプチドの第2の断片、および前記転写調節ポリペプチドに連結されたプレイポリペプチド、またはベイトポリペプチドをコードする第2の核酸と、ここで、前記ユビキチンポリペプチドの第1の断片は、ユビキチンポリペプチドの第2の断片と、前記ベイトポリペプチドがプレイポリペプチドと相互作用するときに切断可能なユビキチン分子を形成し、ここで、前記切断可能なユビキチン分子が、脱ユビキチン化酵素によって切断され、前記転写調節ポリペプチドが、前記ベイトポリペプチドから放出され、前記調節要素に結合し、および前記レポーター要素の転写を開始する。
【0009】
本明細書に記載された他の態様では、タンパク質間相互作用のための試験方法であって、該方法は、(a)細胞を物理的または化学的刺激にさらす工程であって、前記細胞は、(i)ユビキチンポリペプチドの第1の断片に連結されたベイトポリペプチド、またはベイトポリペプチドをコードする第1の核酸と、(ii)ユビキチンポリペプチドの第2の断片、および転写調節ポリペプチドに連結されたプレイポリペプチド、またはベイトポリペプチドをコードする第2の核酸と、(iii)前記転写調節ポリペプチドによって結合される調節要素、およびレポーター要素を含む第3の核酸と、を含み、ここで、前記ユビキチンポリペプチドの第1の断片は、ユビキチンポリペプチドの第2の断片と、前記ベイトポリペプチドがプレイポリペプチドと相互作用するときに切断可能なユビキチン分子を形成し、ここで、前記切断可能なユビキチン分子が、脱ユビキチン化酵素によって切断され、前記転写調節ポリペプチドが、前記ベイトポリペプチドから放出され、前記調節要素に結合し、および前記レポーター要素の転写を開始する、工程と、(b)前記レポーター要素の転写を測定する少なくとも1つの試験を実施する工程と、を含む。
【0010】
本明細書に記載された他の態様では、タンパク質間相互作用のための分析方法であって、該方法は、(a)細胞を物理的または化学的刺激にさらす工程であって、前記細胞は、(i)ユビキチンポリペプチドの第1の断片に連結されたベイトポリペプチド、またはベイトポリペプチドをコードする第1の核酸と、(ii)ユビキチンポリペプチドの第2の断片、および転写調節ポリペプチドに連結されたプレイポリペプチド、またはベイトポリペプチドをコードする、かつ前記転写調節ポリペプチドによって結合される調節要素およびレポーター要素を含む第2の核酸と、を含み、ここで、前記ユビキチンポリペプチドの第1の断片は、ユビキチンポリペプチドの第2の断片と、前記ベイトポリペプチドがプレイポリペプチドと相互作用するときに切断可能なユビキチン分子を形成し、ここで、前記切断可能なユビキチン分子が、脱ユビキチン化酵素によって切断され、前記転写調節ポリペプチドが、前記ベイトポリペプチドから放出され、前記調節要素に結合し、および前記レポーター要素の転写を開始する、工程と、(b)前記レポーター要素の転写を測定する少なくとも1つの試験を実施する工程と、を含む。
【0011】
本明細書に記載される他の態様では、タンパク質間相互作用のための分析方法であって、該方法は、(a)細胞を物理的または化学的刺激にさらす工程であって、前記細胞は、(i)ユビキチンポリペプチドの第1の断片に連結されたベイトポリペプチド、またはプレイポリペプチドをコードする、かつ転写調節ポリペプチドによって結合される調節要素、およびレポーター要素を含む第1の核酸と、(ii)ユビキチンポリペプチドの第2の断片、および前記転写調節ポリペプチドに連結されたプレイポリペプチド、またはベイトポリペプチドをコードする第2の核酸と、を含み、ここで、前記ユビキチンポリペプチドの第1の断片は、ユビキチンポリペプチドの第2の断片と、前記ベイトポリペプチドがプレイポリペプチドと相互作用するときに切断可能なユビキチン分子を形成し、ここで、前記切断可能なユビキチン分子が、脱ユビキチン化酵素によって切断され、前記転写調節ポリペプチドが、前記ベイトポリペプチドから放出され、前記調節要素に結合し、および前記レポーター要素の転写を開始する、工程と、(b)前記レポーター要素の転写を測定する少なくとも1つの試験を実施する工程と、を含む。
【0012】
本明細書に記載される他の態様では、タンパク質間相互作用スクリーニングのためのシステムであって、該システムは、(a)プロテアーゼのポリペプチドの第1の断片、プロテアーゼ切断部位、および転写調節ポリペプチドに連結されたベイトポリペプチド、またはプレイポリペプチドをコードする第1の核酸と、(b)プロテアーゼポリペプチドの第2の断片に連結されたプレイポリペプチド、またはベイトポリペプチドをコードする第2の核酸と、(c)前記転写調節ポリペプチドによって結合される調節要素、およびレポーター要素を含む第3の核酸と、を含み、前記プロテアーゼポリペプチドの第1の断片は、プロテアーゼポリペプチドの第2の断片と、ベイトポリペプチドが前記プレイポリペプチドと相互作用する活性プロテアーゼを形成し、ここで、前記プロテアーゼ切断部位が、前記活性プロテアーゼによって切断され、前記転写調節ポリペプチドが、前記ベイトポリペプチドから放出され、前記調節要素に結合し、および前記レポーター要素の転写を開始する。
【0013】
本明細書に記載される他の態様では、タンパク質間相互作用スクリーニングのためのシステムであって、該システムは、(a)プロテアーゼのポリペプチドの第1の断片、プロテアーゼ切断部位、および転写調節ポリペプチドに連結されたベイトポリペプチド、またはプレイポリペプチドをコードする第1の核酸と、(b)プロテアーゼポリペプチドの第2の断片に連結されたプレイポリペプチド、またはベイトをコードする、かつ前記転写調節ポリペプチドによって結合される調節要素およびレポーター要素を含む第2の核酸と、を含み、前記プロテアーゼポリペプチドの第1の断片は、プロテアーゼポリペプチドの第2の断片と、ベイトポリペプチドが前記プレイポリペプチドと相互作用する活性プロテアーゼを形成し、ここで、前記プロテアーゼ切断部位が、前記活性プロテアーゼによって切断され、前記転写調節ポリペプチドが、前記ベイトポリペプチドから放出され、前記調節要素に結合し、および前記レポーター要素の転写を開始する。
【0014】
本明細書に記載される他の態様では、タンパク質間相互作用スクリーニングのためのシステムであって、該システムは、(a)プロテアーゼポリペプチドの第1の断片、プロテアーゼ切断部位、および転写調節ポリペプチドに連結されたベイトポリペプチド、またはプレイポリペプチドをコードする、かつ前記転写調節ポリペプチドによって結合される調節要素、およびレポーター要素を含む第1の核酸と、(b)プロテアーゼポリペプチドの第2の断片に連結されたプレイポリペプチド、またはベイトポリペプチドをコードする第2の核酸と、を含み、ここで、前記プロテアーゼポリペプチドの第1の断片は、プロテアーゼポリペプチドの第2の断片と、ベイトポリペプチドが前記プレイポリペプチドと相互作用する活性プロテアーゼを形成し、ここで、前記プロテアーゼ切断部位が、前記活性プロテアーゼによって切断され、前記転写調節ポリペプチドが、前記ベイトポリペプチドから放出され、前記調節要素に結合し、および前記レポーター要素の転写を開始する。
【0015】
本明細書に記載された他の態様では、タンパク質間相互作用のための分析方法であって、該方法は、(a)細胞を物理的または化学的刺激にさらす工程であって、前記細胞は、(i)プロテアーゼのポリペプチドの第1の断片、プロテアーゼ切断部位、および転写調節ポリペプチドに連結されたベイトポリペプチド、またはプレイポリペプチドをコードする第1の核酸と、(ii)プロテアーゼポリペプチドの第2の断片に連結されたプレイポリペプチド、またはベイトポリペプチドをコードする第2の核酸と、(iii)前記転写調節ポリペプチドによって結合される調節要素、およびレポーター要素を含む第3の核酸と、を含み、前記プロテアーゼポリペプチドの第1の断片は、プロテアーゼポリペプチドの第2の断片と、ベイトポリペプチドが前記プレイポリペプチドと相互作用する活性プロテアーゼを形成し、ここで、前記プロテアーゼ切断部位が、前記活性プロテアーゼによって切断され、前記転写調節ポリペプチドが、前記ベイトポリペプチドから放出され、前記調節要素に結合し、および前記レポーター要素の転写を開始する、工程と、(b)前記レポーター要素の転写を測定する少なくとも1つの試験を実施する工程と、を含む。
【0016】
本明細書に記載された他の態様では、タンパク質間相互作用のための試験方法であって、該方法は、(a)細胞を物理的または化学的刺激にさらす工程であって、前記細胞は、(i)プロテアーゼのポリペプチドの第1の断片、プロテアーゼ切断部位、および転写調節ポリペプチドに連結されたベイトポリペプチド、またはプレイポリペプチドをコードする第1の核酸と、(ii)プロテアーゼポリペプチドの第2の断片に連結されたプレイポリペプチド、またはベイトをコードする、かつ前記転写調節ポリペプチドによって結合される調節要素およびレポーター要素を含む第2の核酸と、を含み、前記プロテアーゼポリペプチドの第1の断片は、プロテアーゼポリペプチドの第2の断片と、ベイトポリペプチドが前記プレイポリペプチドと相互作用する活性プロテアーゼを形成し、ここで、前記プロテアーゼ切断部位が、前記活性プロテアーゼによって切断され、前記転写調節ポリペプチドが、前記ベイトポリペプチドから放出され、前記調節要素に結合し、および前記レポーター要素の転写を開始する、工程と、(b)前記レポーター要素の転写を測定する少なくとも1つの試験を実施する工程と、を含む。
【0017】
本明細書に記載された他の態様では、タンパク質間相互作用のための分析方法であって、該方法は、(a)細胞を物理的または化学的刺激にさらす工程であって、前記細胞は、(i)プロテアーゼポリペプチドの第1の断片、プロテアーゼ切断部位、および転写調節ポリペプチドに連結されたベイトポリペプチド、またはプレイポリペプチドをコードする、かつ前記転写調節ポリペプチドによって結合される調節要素、およびレポーター要素を含む第1の核酸と、(ii)プロテアーゼポリペプチドの第2の断片に連結されたプレイポリペプチド、またはベイトポリペプチドをコードする第2の核酸と、前記プロテアーゼポリペプチドの第1の断片は、プロテアーゼポリペプチドの第2の断片と、ベイトポリペプチドが前記プレイポリペプチドと相互作用する活性プロテアーゼを形成し、ここで、前記プロテアーゼ切断部位が、前記活性プロテアーゼによって切断され、前記転写調節ポリペプチドが、前記ベイトポリペプチドから放出され、前記調節要素に結合し、および前記レポーター要素の転写を開始する、工程と、(b)前記レポーター要素の転写を測定する少なくとも1つの試験を実施する工程と、を含む。
【0018】
以下の記載では、様々な実施形態の完全な理解を与えるために、特定の詳細について説明されている。しかしながら、当業者は、これらの詳細がなくとも提供される実施形態を実行し得ることが理解されよう。文脈が特別に必要としない限り、以下の明細書と請求項の全体にわたって、「含む(comprise)」という単語およびその変更形態(例えば、「含む(comprises)」または「含むこと(comprising)」)は、開かれた包括的な意味で、すなわち、「限定されないが、~を含む」という意味で解釈されるものとする。明細書および添付の請求項内で用いられるように、単数形「a」、「an」および「the」は、内容が他に明確に指示していない限り、複数の指示物を含む。「または」との用語は、その内容がそれ以外のものを明確に指示していない限り、「および/または」を含む意味で一般に用いられていることにも留意されたい。さらに、本明細書で提供される見出しは、便宜上のものであり、主題の実施形態の範囲や意味を解釈するものではない。
【0019】
本明細書で使用されるように、「約」との用語は、明示される量に10%近い量を指す。
【0020】
「ポリペプチド」および「タンパク質」との用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために交換可能に使用され、最小限の長さに限定されない。提供されるポリペプチド鎖および他のペプチド、例えば、リンカー、結合するペプチド、を含むポリペプチドは、天然および/または非天然アミノ酸残基を含むアミノ酸残基を含む場合がある。この用語は、ポリペプチドの発現後修飾、例えば、グリコシル化、シアリル化(sialylation)、アセチル化、リン酸化などを含む。いくつかの態様では、タンパク質が所望の活性を維持する限り、ポリペプチドは、本来または天然の配列に関して修飾を含む場合がある。これらの修飾は、部位特異的変異誘発を通じて行われる、計画的なものであってもよいし、またはPCR増幅に起因してタンパク質またはエラーをもたらす宿主の変化を通じて行われる、偶発性のものであってもよい。
【0021】
参照ポリペプチド配列に対する配列同一性の割合(%)は、最大の配列同一性の割合を達成するために、必要に応じて配列を平行にしてギャップを導入し、及び任意の同類置換を配列同一性の一部として考慮しなかった後の、参照ポリペプチド配列におけるアミノ酸残基と同一である、候補配列におけるアミノ酸残基の割合を指す。アミノ酸配列同一性の割合を決定する目的のための整列は、当該技術分野の様々な方法で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公開されている利用可能なコンピューターソフトウェアを利用して達成可能である。配列を整列させるための適切なパラメータは、比較される配列の全長にわたって最大の整列を達成するために必要とされるアルゴリズムを含んで決定されることができる。しかしながら、本明細書の目的のために、アミノ酸配列同一性値の%は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用して生成される。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech, Inc.によって著され、およびソースコードは米国著作権事務所、Washington D.C.、20559、にユーザ証拠書類とともに出願され、それが同事務所にて米国著作権登録第TXU510087号下で登録された。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.、サウス・サンフランシスコ、カリフォルニア州、の公的に利用可能であり、またはソースコードからコンパイルされてもよい。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX V4.0Dを含むUNIXオペレーティングシステム上で使用のためにコンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによってセットされ変化しない。
【0022】
ALIGN-2がアミノ酸配列比較のために使用される事象では、所定のアミノ酸配列Bに対して、所定のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性の%は、(それは、所定のアミノ酸配列Bに対してアミノ酸配列同一性の特定%を有するまたは含む所定のアミノ酸配列Aとして代替的に表現されることができる)以下のように計算される:X/Yに100をかけたものであり、ここで、Xが、配列整列プログラムALIGN-2によってそのプログラムのAとBの整列における同一のマッチとして得点されたアミノ酸残基の数であり、およびYが、Bにおけるアミノ酸残基の合計数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、Bに関するAのアミノ酸配列同一性の%は、Aに関するBのアミノ酸配列同一性の%と等しくない、と理解されるであろう。特に別記しない限り、本明細書に使用される全てのアミノ酸配列同一性値の%は、直接先行の段落に記載されるように、ALIGN-2コンピュータプログラムを使用して、得られる。
【0023】
本明細書に記載されるシステムのポリペプチドは、核酸によってコードされることができる。核酸は、2つ以上のヌクレオチド塩基を含む一種のポリヌクレオチドである。ある実施形態では、核酸は、ポリヌクレオチドをコードするポリペプチドを細胞内に転写するために使用することができるベクターの成分である。本明細書に使用されるように、「ベクター」との用語は、連結された別の核酸を運ぶことができる核酸分子を指す。ベクターの1つの種類は、ゲノムの組み込みベクター、または「組み込みベクター」であり、それは、宿主細胞の染色体DNA内に組み込まれることができる。ベクターの別の種類は、「エピゾームの」ベクター、例えば、染色体外の複製可能な核酸である。ベクターが動作可能なようにリンクされた遺伝子の発現を方向付けることができるベクターは、本明細書で「発現ベクター」と呼ばれる。適切なベクターは、プラスミド、バクテリア人工染色体、酵母人工染色体、ウイルスベクターなどを含む。発現ベクターにおいて、転写の制御で使用される、プロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナルなどの調節要素は、哺乳動物、微生物、ウイルス、または昆虫の遺伝子に由来する場合がある。宿主内で複製する能力は、通常、複製起点によって与えられ、および形質転換体の認識を促進する選択遺伝子は、さらに取り込まれる場合がある。レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスなどのウイルスに由来したベクターが使用される場合がある。プラスシドベクターは、染色体の位置内に組み込まれるために線形化され得る。ベクターは、部位特異的な組み込みを、ゲノム中の定義された位置内に、または制限された部位のセット(例えば、AttP-AttB再組み換え)へと方向付ける配列を含むことができる。さらに、ベクターは、組み込みのための転位因子に由来した配列を含むことができる。
【0024】
本明細書で使用されるように、「トランスフェクション」または「トランスフェクトされた」との用語は、ラボラトリーにおいて一般的に使用されるプロセスを通じて、外因性の核酸を細胞内に故意に導入する方法を指す。トランスフェクションは、例えば、リポフェクション、リン酸カルシウム沈澱反応、ウイルスの形質導入またはエレクトロポレーションによって影響され得る。トランスフェクションは、一時的または安定的であり得る。
【0025】
システムの概要
本明細書に記載されるシステム、核酸および方法は、タンパク質間相互作用をスクリーニングするのに有益である。ある実施形態では、タンパク質間相互作用は、物理的または化学的な刺激などの外部刺激前後に測定することができ、あるいは並行して実行される制御条件と比較されることができる。化学的刺激は、アゴニストまたはアンタゴニストの小分子、あるいは生物学的分子であり得る。ある実施形態では、本システムは、創薬の目的のためにスクリーニングするのに有用である。システムは、ベイトポリペプチド、プレイポリペプチド、およびレポーター要素をコードする核酸を最小限に含む。ベイトポリペプチドは、切断可能な分子、または切断する分子(例えば、プロテアーゼ)の第1の断片を含む。プレイポリペプチドは、切断可能な分子または切断する分子の第2の断片を含む。ある実施形態では、プレイポリペプチドは、複数のプレイポリペプチドのライブラリーであり、各々のプレイポリペプチドは、異なる核酸によってコードされ、および、例えば、特有の分子識別子などの異なるレポーターと一対にされる。プレイポリペプチド、またはベイトポリペプチドのいずれかは、転写調節ポリペプチドをさらに含む。2つの断片が接近すると、完全な機能的切断可能な分子、または切断する分子が形成され、および転写調節ポリペプチドは、システムによって供給された完全に形成されたプロテアーゼの切断、または切断可能な分子上に作用する内因性プロテアーゼのいずれかによって放出される。切断の際、転写活性ポリペプチドが放出される。その後、放出された転写活性ポリペプチドは、転写活性ポリペプチドによって結合され得るプロモーターの制御下でレポーター遺伝子の転写を活性化する。ある実施形態では、レポーター遺伝子は、特定のプレイポリペプチドに特有である。システムのさらなるオプション機能は、提供される第2の転写調節を含み、該転写調節は、第1の転写調節ポリペプチドと同じポリペプチドにコンジュゲートし、または別のポリペプチド上で提供される。さらに、ある実施形態では、転写調節ポリペプチドは、構成的に活性なレポーター要素に対して5’であるリプレッサー要素を結合し得る転写リプレッサーポリペプチドと置き換えられ、レポーター要素は、レポーター遺伝子およびUMIを含む。これは、タンパク質間相互作用の破壊を決定することを可能にする。このシステムを含む核酸は、本明細書に記載されるシステムの構成要素でトランスフェクトされた細胞の識別および選択を可能にする追加の要素をさらに含んでもよい。
【0026】
ある実施形態では、ベイトポリペプチド、プレイポリペプチドをコードし、かつレポーター要素を含む核酸は、別個の核酸分子、例えば、別個のプラスミド、またはウイルスベクター、上で存在する。ある実施形態では、レポーター要素は、ベイトポリペプチドと同じ核酸分子上に存在する。ある実施形態では、レポーター要素は、プレイポリペプチドと同じ核酸分子上に存在する。
【0027】
ある実施形態では、本明細書に記載されるのは、ベイトポリペプチド、プレイポリペプチドをコードする核酸、および創薬に使用されるレポーター要素を含むシステムを展開させる方法である。ある実施形態では、方法は、核酸が細胞によって内面化され発現される(例えば、トランスフェクトされる)のに十分な条件下で、核酸を細胞または細胞集団と接触させる工程と、細胞を物理的または化学的刺激と接触させる工程と、1つ以上の試験によってレポーター要素の活性化を決定する工程と、を含む。ある実施形態では、方法は、ベイトポリペプチド、プレイポリペプチドをコードする核酸、およびレポーター要素を含む細胞または細胞集団を接触させる工程と、1つ以上の試験によってレポーター要素の活性化を決定する工程と、を含む。
【0028】
本明細書に記載されるシステムは、多数の用途を有する。スクリーニングツールとしての1つの用途は、
図1Aおよび
図1Bに描かれ、それらは、単一細胞の単一の相互作用を描く。しかしながら、この反応が、単一細胞に何度も生じており、および様々な細胞が、少なくとも10
1、10
2、10
3、10
4、10
5の異なるプレイポリペプチドを含むライブラリーの一部である様々な特異的プレイポリペプチドを含むことができることは、理解されるであろう。ある非制限的な実施形態では、
図1Aを参照して、プレイポリペプチドは、プロテアーゼ(TEV、左側)またはユビキチン(Ub、右側)のいずれかの断片に連結される。潜在的な相互作用物質のライブラリーであるプレイポリペプチドは、ベイトに連結された断片の活性を機能的に補足することができるTEVまたはUbの相補的な断片を含む。概略図は膜貫通ベイトを示すが、ある実施形態では、これは、溶解可能な細胞質ポリペプチド、または細胞内小器官の膜と関連して存在するポリペプチドであり得る。ベイトおよびプレイポリペプチドの相互作用で、
図1Bに示されるように、機能的に再構成されたプロテアーゼ(TEV、左)は、その活性化ドメイン(Gal4)を通ってレポーター要素を活性化させるプロモーターを結合させることができる転写因子(TF)を放出するために、プロテアーゼ切断部位(TCS)を切断する。ユビキチンの場合には、内因性脱ユビキチン化酵素(DUB)は、その活性化ドメイン(Gal4)を通ってレポーター要素を活性化するプロモーターを結合することができる転写因子(TF)を放出するために、完全に再構成されたユビキチンを切断することができる。
【0029】
ベイトポリペプチドおよびプレイポリペプチド
本明細書に記載されるシステム、核酸および方法は、ベイトポリペプチドおよびプレイポリペプチドの間のタンパク質間相互作用を調べるのに有用である。ベイトまたはプレイポリペプチドの相互作用は、それらがヒト疾患の病態または病因においてある役割を果たす場合、興味深いものであり得る。したがって、ベイトポリペプチドと、ベイトポリペプチドと相互作用するプレイポリペプチドとの間の相互作用を試験する多重化された、および効率的な方法を提供することができるシステムには、高い有用性がある。ある実施形態では、ベイトまたはプレイポリペプチドは、細胞表面に発現された受容体、またはチャンネルタンパク質を含む。細胞表面シグナル伝達ポリペプチドは、細胞膜に挿入されるまたは連結され、およびリガンドによって結合された、または物理的な刺激を受けた時の細胞の生体機能に影響を与えるシグナルを形質導入するタンパク質である。ある実施形態では、ベイトポリペプチドは、Gタンパク質共役受容体、受容体チロシンキナーゼ、またはイオンチャネルを含む。
【0030】
ある実施形態では、ベイトまたはプレイポリペプチドは、Gタンパク質共役受容体ファミリーメンバーを含む。Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、7-(パス)-膜貫通ドメイン受容体としても知られており、リガンド結合細胞表面シグナル伝達タンパク質である。リガンドがGPCRに結合すると、GPCRの構造変化を引き起こし、それがグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)として働くことを可能にする。その後、GPCRは、Gタンパク質に結合されたGDPをGTPに交換することによって、関連するGタンパク質を活性化することができる。その後、Gタンパク質のαサブユニットは、結合されたGTPとともに、αサブユニット型(Gαs、Gαi/o、Gαq/11、Gα12/13)に直接依存して、細胞内シグナル伝達タンパク質、または標的機能的タンパク質にさらに影響を与えるために、βとγのサブユニットから解離することができる。クラスA、BとCに広く分類された、ヒトゲノム中でコードされた少なくとも約800のGPCRがある。
【0031】
ある実施形態では、ベイトまたはプレイポリペプチドは、受容体チロシンキナーゼファミリーメンバーを含む。受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、多くのポリペプチド成長因子、サイトカイン類およびホルモンのための高親和性細胞表面受容体である。受容体チロシンキナーゼは、正常な細胞のプロセスの重要な調節因子であるだけでなく、多くの癌の種類の発症および進行において決定的な役割を果たすと示された。任意のメンバーが、本明細書に記載されるシステムでのベイトまたはプレイポリペプチドとして利用され得るRTKのクラスは、多数く存在する。ある実施形態では、RTKベイトポリペプチドは、RTKクラスI(EGF受容体ファミリー)(ErbBファミリー);RTKクラスII(インスリン受容体ファミリー);RTKクラスIII(PDGF受容体ファミリー);RTKクラスIV(VEGF受容体ファミリー);RTKクラスV(FGF受容体ファミリー);RTKクラスVI(CCK受容体ファミリー);RTKクラスVII(NGF受容体ファミリー);RTKクラスVIII(HGF受容体ファミリー);RTKクラスIX(Eph受容体ファミリー);RTKクラスX(AXL受容体ファミリー);RTKクラスXI(TIE受容体ファミリー);RTKクラスXII(RYK受容体ファミリー);RTKクラスXIII(DDR受容体ファミリー);RTKクラスXIV(RET受容体ファミリー);RTKクラスXV(ROS受容体ファミリー);RTKクラスXVI(LTK受容体ファミリー);RTKクラスXVII(ROR受容体ファミリー);RTKクラスXVIII(MuSK受容体ファミリー);RTKクラスXIX(LMR受容体);または、RTKクラスXX(決定されない)メンバーを含む。
【0032】
ある実施形態では、ベイトまたはプレイポリペプチドは、イオンチャネルを含む。イオンチャネルは、イオンがチャネル孔を通って通過することを可能にする孔形成膜タンパク質である。イオンチャネルは、電圧ゲート、リガンドゲート、環状ヌクレオチドゲート、機械受容(mechanosensitive)ゲート、他のイオン(例えば、カルシウム)によるゲート、光ゲート、または温度ゲートなどのゲートによって分類されてもよい。イオンチャネルも、ゲートされたイオン種別に分類され、カリウム、ナトリウム、カルシウム、プロトン、非選択的カチオン、または塩化物を含んでもよい。
【0033】
ある実施形態では、ベイトまたはプレイポリペプチドは、細胞内シグナル伝達タンパク質を含む。ある実施形態では、細胞内シグナル伝達タンパク質は、核ホルモン受容体を含む。核ホルモン受容体は、小分子リガンドによって結合され、核で転写を開始するために他のタンパク質と相互作用する、細胞内のタンパク質のクラスである。核ホルモン受容体は、シャペロン分子に関連した細胞質、またはDNAに関連した核に存在し得る。核ホルモン受容体は、以下のように、いくつかの群に分けられる:甲状腺ホルモン受容体;レチノイン酸受容体;ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体;Rev-ErbA;RAR関連オーファン受容体;肝臓X受容体様;ビタミンD受容体様;2つのDNA結合ドメインを有するNR;肝細胞核因子-4;レチノイドX受容体;睾丸受容体;TLX/PNR;COUP/EAR;エストロゲン受容体;エストロゲン関連受容体;3-ケトステロイド受容体;NGFIB/NURR1/NOR1;SF1/LRH1;GCNF;およびDAX/SHP。これらの群内では、核ホルモン受容体は、NRNC記号によって表示される:NR1A1;NR1A2;NR1B1;NR1B2;NR1B3;NR1C1;NR1C2;NR1C3;NR1D1;NR1D2;NR1F1;NR1F2;NR1F3;NR1H3;NR1H2;NR1H4;NR1H5[44];NR1I1;NR1I2;NR1I3;NR1X1;NR1X2;NR1X3;NR2A1;NR2A2;NR2B1;NR2B2;NR2B3;NR2C1;NR2C2;NR2E1;NR2E3;NR2F1;NR2F2;NR2F6;NR3A1;NR3A2;NR3B1;NR3B2;NR3B3;NR3C1;NR3C2;NR3C3;NR3C4;NR4A1;NR4A2;NR4A3;NR5A1;NR5A2;NR6A1;NR0B1;またはNR0B2。ある実施形態では、ベイトまたはプレイポリペプチドは、以下の1つ以上を含む:NR1A1;NR1A2;NR1B1;NR1B2;NR1B3;NR1C1;NR1C2;NR1C3;NR1D1;NR1D2;NR1F1;NR1F2;NR1F3;NR1H3;NR1H2;NR1H4;NR1H5[44];NR1I1;NR1I2;NR1I3;NR1X1;NR1X2;NR1X3;NR2A1;NR2A2;NR2B1;NR2B2;NR2B3;NR2C1;NR2C2;NR2E1;NR2E3;NR2F1;NR2F2;NR2F6;NR3A1;NR3A2;NR3B1;NR3B2;NR3B3;NR3C1;NR3C2;NR3C3;NR3C4;NR4A1;NR4A2;NR4A3;NR5A1;NR5A2;NR6A1;NR0B1;またはNR0B2。
【0034】
一般的に、本明細書に使用される方法は、多数のプレイポリペプチドと比較して、1つまたは少数のベイトポリペプチドを調べるために使用される。例えば、GPCRシグナル伝達では、複数のGPCRは、単一Gαサブユニットと相互作用する場合がある。一般のGα(ベイトポリペプチド)は、大量のGPCR(プレイポリペプチド)で試験されてもよい。ある実施形態では、プレイポリペプチドは、複数のプレイポリペプチドとして供給され、該プレイポリペプチドは、単一のベイトポリペプチドと相互作用する、または潜在的に相互作用する複数の核酸によってコードされる。
【0035】
試験方法
上記載のシステムは、様々な方法を使用して、有効に利用され得る。システムは、定常状態と、物理的または化学的刺激に反応した状態の両方で、タンパク質間相互作用を調べる方法に有用である。レポーター要素が、特定のプレイポリペプチドと対になったUMIを含む場合、システムは多重試験で展開され得る。
【0036】
1つの非限定的で、例示的な例では、複数の細胞は、マルチウェルプレートの1つのウェルでインキュベートされた。複数の細胞は、転写調節ポリペプチドに連結されたプレイポリペプチドのライブラリーをコードする複数の核酸でトランスフェクトされ、およびプレイポリペプチド特異的UMIを有するレポーター要素を含む。細胞は、ベイトポリペプチドをコードする核酸を既に含むことができ、または、ベイトポリペプチドをコードする核酸は、プレイポリペプチドと共にトランスフェクトされ得る。その後、トランスフェクトされた細胞は、化学的刺激と接触させられ、UMIを含むレポーター遺伝子の発現を可能にするための十分な時間の後に、細胞溶解物は採取され、mRNAは逆転写され、およびUMIの配列決定は次世代配列決定技術によって実行される。配列決定結果は、転写が活性化されたか否か、および任意の活性化の規模を示す。この例では、活性化は、プレイポリペプチドをベイトポリペプチドと緊密に関連させる化学的刺激を示し得る。プレイポリペプチドが転写リプレッサーを含む場合、反対の相互作用は、照合されことができる(例えば、タンパク質間相互作用の破壊を引き起こす化学的刺激)。
【0037】
ある実施形態では、試験は、6、12、24、48、96、または384-ウェルフォーマットなどのマルチウェルフォーマットで実行される。ある実施形態では、各々のウェルに、異なる試験化学物質が供給され、または、試験化学物質は、二重、三重または四重のウェルで供給される。試験は、1つ以上の陽性または陰性対照ウェルをさらに含むことができる。
【0038】
分解分子
ある実施形態では、本明細書に記載されるシステム、核酸、および方法は、切断可能な分子の2つの断片の分子相補性に依存する。例えば、ベイトポリペプチドは第1の断片を含み、およびプレイポリペプチドは第2の断片を含む。第1と第2の断片が重複することができる一方、各断片は独立して完全な機能を欠いている。その結果、ベイトポリペプチドおよびプレイポリペプチドが接近させられると、第1と第2の断片は、単一の切断可能な分子を形成するために結合する。
【0039】
ある実施形態では、本明細書に記載されるシステム、核酸、および方法で使用するための切断可能な分子は、ユビキチン分子である。ユビキチンは、真核生物間で高度に保存され、タンパク質ホメオスタシスに重要な役割を果たす76アミノ酸タンパク質である。ユビキチンがポリペプチドに添加されると、それは、様々な細胞のプロセスによる破壊のためにそのポリペプチドをマーキングする。ユビキチンは、脱ユビキチン化酵素によってマーキングされたポリペプチドから切断されることよって再利用される。ユビキチン-60Sリボソームタンパク質L40は、以下の配列を含む:MQIFVKTLTGKTITLEVEPSDTIENVKAKIQDKEGIPPDQQRLIFA GKQLEDGRTLSDYNIQKESTLHLVLRLRGG(配列番号1)。ある実施形態では、本明細書に記載される核酸は、長さが少なくとも約25、30、35、40、45、または50、またはそれの任意の整数のアミノ酸であり、かつ配列番号1に規定されるものに少なくとも約90%、95%、97%、98%、99%、または100%一致するユビキチン分子の断片をコードする。ある実施形態では、ユビキチンポリペプチドの第1の断片は、ユビキチンポリペプチドのC末端断片(Cub)であり、ユビキチンポリペプチドの第2の断片は、ユビキチンポリペプチドのN末端断片(Nub)である。ある実施形態では、ユビキチンポリペプチドの第1の断片は、ユビキチンポリペプチドのN末端断片(Nub)であり、ユビキチンポリペプチドの第2の断片は、ユビキチンポリペプチドのC末端断片(Cub)である。
【0040】
ある実施形態では、本明細書に記載されるシステム、核酸、および方法は、プロテアーゼ分子の2つの断片の分子相補性に依存する。例えば、ベイトポリペプチドは、第1の断片を含み、およびプレイポリペプチドは第2の断片を含む。第1と第2の断片は、各断片が独立して完全な機能を不足することを重複することができる。その結果、ベイトポリペプチドおよびプレイポリペプチドが接近すると、第1と第2の断片は、単一の機能性プロテアーゼ分子を形成するために結合する。
【0041】
ある実施形態では、本明細書に記載されるシステム、核酸、および方法で使用するための機能性プロテアーゼは、1つの、タバコエッチウイルス核封入体-aエンドペプチダーゼ(TEVプロテアーゼ)からである。TEVは、キモトリプシン様プロテアーゼのPA氏族のメンバーである。TEVのアミノ酸配列は、SLFKGPRDYNPISSTICHLTNESDGHTTSLYGIGFGPFIITNKHLFRRNNGTLLVQSLHGVFKVKNTTTLQQHLIDGRDMIIIRMPKDFPPFPQKLKFREPQREERICLVTTNFQTKSMSSMVSDTSCTFPSSDGIFWKHWIQTKDGQCGSPLVSTRDGFIVGIHSASNFTNTNNYFTSVPKNFMELLTNQEAQQWVSGWRLNADSVLWGGHKVFMVKPEEPFQPVKEATQLMN(配列番号2)に規定される。ある実施形態では、本明細書に記載される核酸は、長さが少なくとも約25、30、35、40、45、50、55,60,65,70,75,80,85,90,95,または100、またはそれの任意の整数のアミノ酸であり、かつ配列番号Xに規定されるものに少なくとも約90%、95%、97%、98%、99%、または100%一致するTEVの断片をコードする。TEVは、高度特異的であり、アミノ酸配列EXLYΦQ\φを含むポリペプチドを切断し、ここで、Xは任意の残基であり、Φは任意の大きいまたは中型の疎水性残基であり、およびφは任意の小さな疎水性または極性残基である。TEVは、ENLYFQ\Sアミノ酸配列に対する最適な効率を示す。ある実施形態では、TEVポリペプチドの第1の断片は、TEVポリペプチドのC末端断片(CTEV)であり、TEVポリペプチドの第2の断片は、TEVポリペプチドのN末端断片(NTEV)である。ある実施形態では、TEVポリペプチドの第1の断片は、TEVポリペプチドのN末端断片(NTEV)であり、TEVポリペプチドの第2の断片は、ユビキチンポリペプチドのC末端断片(CTEV)である。
【0042】
転写因子
本明細書に記載される方法、核酸、およびシステムでは、転写調節ポリペプチドは、ベイトポリペプチドまたはプレイポリペプチドに結合されて、さらに存在する。分解された切断分子あるいは分解された切断可能分子が分子補完されると、転写調節ポリペプチドは、切断され、および活性型で放出される。この切断は、内因性酵素(例えば、脱ユビキチン化酵素)、または分解された分子自体(例えば、再構成されたTEVプロテアーゼ)の作用によって影響を受け得る。ある実施形態では、転写調節ポリペプチドは、プレイポリペプチドに結合される。ある実施形態では、転写調節ポリペプチドは、ベイトポリペプチドに結合される。ある実施形態では、システムは、同じポリペプチドあるいは異なるポリペプチドに結合される2つの転写調節ポリペプチドを含む。ある実施形態では、プレイポリペプチドは転写調節ポリペプチドに結合される、および、ベイトポリペプチドは転写調節ポリペプチドに結合される。
【0043】
ある実施形態では、転写調節ポリペプチドは転写因子である。本明細書に記載されるシステムは、レポーター試験において一般的に、または潜在的に使用可能な任意の転写因子と適合する。使用される一般的な転写因子はLexA、Gal4、VP16(単純ヘルペスウイルスから)、熱ショック因子(HSF)、NFAT、またはCREBを含む。ある実施形態では、転写因子は、第1の転写因子由来のDNA結合ドメインと、第2の転写因子由来の転写調節ドメインと、を含む、合成転写因子である。ある実施形態では、転写因子はGAL4-VP16キメラ転写因子を含む。ある実施形態では、転写因子はGAL4-VPRキメラ転写因子を含む。Gal4-VPRキメラ転写因子の配列は、MKLLSSIEQACDICRLKKLKCSKEKPKCAKCLKNNWECRYSPKTKRSPLTRAHLTEVESRLERLEQLFLLIFPREDLDMILKMDSLQDIKALLTGLFVQDNVNKDAVTDRLASVETDMPLTLRQHRISATSSSEESSNKGQRQLTVSASGSGRAGKPIPNPLLGLDSTDALDDFDLDMLGSDALDDFDLDMLGSDALDDFDLDMLGSDALDDFDLDMLGSPKKKRKVGSQYLPDTDDRHRIEEKRKRTYETFKSIMKKSPFSGPTDPRPPPRRIAVPSRSSASVPKPAPQPYPFTSSLSTINYDEFPTMVFPSGQISQASALAPAPPQVLPQAPAPAPAPAMVSALAQAPAPVPVLAPGPPQAVAPPAPKPTQAGEGTLSEALLQLQFDDEDLGALLGNSTDPAVFTDLASVDNSEFQQLLNQGIPVAPHTTEPMLMEYPEAITRLVTGAQRPPDPAPAPLGAPGLPNGLLSGDEDFSSIADMDFSALLSQISSGSGSGSRDSREGMFLPKPEAGSAISDVFEGREVCQPKRIRPFHPPGSPWANRPLPASLAPTPTGPVHEPVGSLTPAPVPQPLDPAPAVTPEASHLLEDPDEETSQAVKALREMADTVIPQKEEAAICGQMDLSHPPPRGHLDELTTTLESMTEDLNLDSPLTPELNEILDTFLNDECLLHAMHISTGLSIFDTSLF(配列番号10)において規定される配列で与えられる。ある実施形態では、本明細書に記載された核酸は、配列番号10において規定されるアミノ酸配列に少なくとも約90%、95%、97%、98%、99%、または100%一致するアミノ酸配列で転写因子をコードする。
【0044】
ある実施形態では、システムは、転写リプレッサーを使用することにより、タンパク質間相互作用の喪失についての情報を供給することができる。ある実施形態では、転写調節ポリペプチドは転写リプレッサーである。ある実施形態では、転写リプレッサーはKRABドメイン(配列 RTLVTFKDVFVDFTREEWKLLDTAQQIVYRNVMLENYKNLVSLGYQLTKPDVILRLEKGEEP)(配列番号4)を含む。ある実施形態では、転写リプレッサーは、第1の転写因子由来のDNA結合ドメインと、転写リプレッサータンパク質由来の転写リプレッサードメインと、を含む合成リプレッサーである。ある実施形態では、アミノ酸配列で転写リプレッサーは、配列番号4に定されるアミノ酸配列に少なくとも約90%、95%、97%、98%、99%、または100%一致する。
【0045】
一態様では、転写調節ポリペプチドは合成転写因子である。合成転写因子は、遺伝子発現を標的とし、および調整することができる人工タンパク質である。いくつかの合成転写因子は、複数の様々な遺伝子のドメインを含有しているキメラタンパク質である。ある実施形態では、合成転写因子は、1つの遺伝子由来のDNA結合ドメインと、別の遺伝子由来の転写制御ドメインと、を含む。
【0046】
ある実施形態では、前記合成転写因子には、調節要素ヌクレオチド配列について、どの内因性転写因子よりも高い特異性がある。ある実施形態では、前記合成転写因子は、内因性のプロモーターによって結合可能ではない合成転写因子プロモーターヌクレオチド配列を結合する。ある実施形態では、前記合成転写因子は、結果として、レポーターのバックグラウンド生成が内因性転写因子の使用によるものよりも少なくなる。
【0047】
ある実施形態では、前記DNA結合ドメインは、本発明の転写のリレー方式を含有している細胞に対して非内因性である。ある実施形態では、第1の転写因子由来の前記DNA結合ドメインは、Gal4、PPR1、LexA、Lac9、またはその組み合わせのである。ある実施形態では、前記DNA結合ドメインは、MKLLSSIEQACDICRLKKLKCSKEKPKCAKCLKNNWECRYSPKTKRSPLTRAHLTEVESRLERLEQLFLLIFPREDLDMILKMDSLQDIKALLTGLFVQDNVNKDAVTDRLASVETDMPLTLRQHRISATSSSEESSNKGQRQLTVS(配列番号21)において規定されるアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、前記DNA結合ドメインは、MKKKNSKKSNRTDSKRGDSNGSKSRTACKRCRKKKCDSCKRCAKVCVSDATGKDVRSYVDRAVMMRVKYGVDTKRGNATSDDDKKYSSVSS(配列番号22)において規定されるアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、前記DNA結合ドメインは、MKSRTACKRCRLKKIKCDQEFPSCKRCAKLEVPCYSPKTKRSPLTRAHLTEVESRLERLEQLFLLIFPREDLDMILKMDSLQDIKALLTGLFVQDNVNKDAVTDRLASVETDMPLTLRQHRISATSSSEESSNKGQRQLTVS(配列番号23)において規定されるアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、前記DNA結合ドメインは、MKSRTACKRCRLKKIKCDQEFPSCKRCAKLEVPCVSSPKTKRSPLTRAHLTEVESRLERLEQLFLLIFPREDLDMILKMDSLQDIKALLTGLFVQDNVNKDAVTDRLASVETDMPLTLRQHRISATSSSEESSNKGQRQLTVS(配列番号24)において規定されるアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、前記DNA結合ドメインは、MNKKSSEVMHQACDACRKKKWKCSKTVPTCTNCLKYNLDCVYSPQVVRTPLTRAHLTEMENRVAELEQFLKELFPVWDIDRLLQQKDTYRIRELLTMGSTNTVPGLASNNIDSSLEQPVAFGTAQPAQSLSTDPAVQSQAYPMQPV(配列番号25)において規定されるアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、前記DNA結合ドメインは、MNKKSSEVMHQACVECRQQKSKCDAHERAPEPCTKCAKKNVPCIVYSPQVVRTPLTRAHLTEMENRVAELEQFLKELFPVWDIDRLLQQKDTYRIRELLTMGSTNTVPGLASNNIDSSLEQPVAFGTAQPAQSLSTDPAVQSQAYPMQPV(配列番号26)において規定されるアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、前記DNA結合ドメインは、MNKKSSEVMHQACKRCRLKKIKCDQEFPSCKRCLKYNLDCVYSPQVVRTPLTRAHLTEMENRVAELEQFLKELFPVWDIDRLLQQKDTYRIRELLTMGSTNTVPGLASNNIDSSLEQPVAFGTAQPAQSLSTDPAVQSQAYPMQPV(配列番号27)において規定されるアミノ酸配列を含む。ある実施形態では、前記DNA結合ドメインは、MNKKSSEVMHQACKRCRLKKIKCDQEFPSCKRCAKLEVPCVYSPQVVRTPLTRAHLTEMENRVAELEQFLKELFPVWDIDRLLQQKDTYRIRELLTMGSTNTVPGLASNNIDSSLEQPVAFGTAQPAQSLSTDPAVQSQAYPMQPV(配列番号28)において規定されるアミノ酸配列を含む。
【0048】
ある実施形態では、前記DNA結合ドメインは、配列番号1のアミノ酸配列変異体を含む。ある実施形態では、配列番号1のアミノ酸配列変異体は、R15W、K23P、K23T、K23W、K23M、K23N、F68R、F68Q、L69P、L70P、Q9E、Q9A、Q9N、R15K、R15A、R15M、K18R、K18A、K18M、K23R、K23A、K23M、またはそれらの組み合わせである。ある実施形態では、配列番号21のアミノ酸配列変異体はR15Wである。ある実施形態では、配列番号21のアミノ酸配列変異体はK23Pである。ある実施形態では、配列番号21のアミノ酸配列変異体はK23Tである。ある実施形態では、配列番号21のアミノ酸配列変異体はK23Wである。ある実施形態では、配列番号21のアミノ酸配列変異体はK23Mである。ある実施形態では、配列番号21のアミノ酸配列変異体はK23Nである。ある実施形態では、配列番号21のアミノ酸配列変異体はF68Rである。ある実施形態では、配列番号21のアミノ酸配列変異体はF68Qである。ある実施形態では、配列番号21のアミノ酸配列変異体はL69Pである。ある実施形態では、配列番号21のアミノ酸配列変異体はL70Pである。ある実施形態では、配列番号21のアミノ酸配列変異体はQ9Eである。ある実施形態では、配列番号21のアミノ酸配列変異体はQ9Aである。ある実施形態では、配列番号21のアミノ酸配列変異体はQ9Nである。ある実施形態では、配列番号21のアミノ酸配列変異体はR15Kである。ある実施形態では、配列番号21のアミノ酸配列変異体はR15Aである。ある実施形態では、配列番号21のアミノ酸配列変異体はR15Mである。ある実施形態では、配列番号21のアミノ酸配列変異体はK18Rである。ある実施形態では、配列番号21のアミノ酸配列変異体はK18Aである。ある実施形態では、配列番号21のアミノ酸配列変異体はK18Mである。ある実施形態では、配列番号21のアミノ酸配列変異体はK23Rである。ある実施形態では、配列番号21のアミノ酸配列変異体はK23Aである。ある実施形態では、配列番号21のアミノ酸配列変異体はK23Mである。
【0049】
ある実施形態では、第2の転写因子由来の前記転写活性化ドメインは、VP64、p65、Rta、およびそれらの組み合わせである。ある実施形態では、前記転写活性化ドメインは、RAGKPIPNPLLGLDSTDALDDFDLDMLGSDALDDFDLDMLGSDALDDFDLDMLGSDALDDFDLDMLGSPKKKRKVGSQYLPDTDDRHRIEEKRKRTYETFKSIMKKSPFSGPTDPRPPPRRIAVPSRSSASVPKPAPQPYPFTSSLSTINYDEFPTMVFPSGQISQASALAPAPPQVLPQAPAPAPAPAMVSALAQAPAPVPVLAPGPPQAVAPPAPKPTQAGEGTLSEALLQLQFDDEDLGALLGNSTDPAVFTDLASVDNSEFQQLLNQGIPVAPHTTEPMLMEYPEAITRLVTGAQRPPDPAPAPLGAPGLPNGLLSGDEDFSSIADMDFSALLSQISSGSGSGSRDSREGMFLPKPEAGSAISDVFEGREVCQPKRIRPFHPPGSPWANRPLPASLAPTPTGPVHEPVGSLTPAPVPQPLDPAPAVTPEASHLLEDPDEETSQAVKALREMADTVIPQKEEAAICGQMDLSHPPPRGHLDELTTTLESMTEDLNLDSPLTPELNEILDTFLNDECLLHAMHISTGLSIFDTSLF(配列番号14)において規定されるアミノ酸配列を含む。
【0050】
ある実施形態では、本明細書に記載された核酸は、配列番号14において規定される配列に少なくとも90%、95%、97%、98%、99%、または100%一致するVPRアミノ酸配列で転写因子をコードする。ある実施形態では、本明細書に記載された核酸は、配列番号14に規定される配列に少なくとも90%一致するVPRアミノ酸配列で転写因子をコードする。ある実施形態では、本明細書に記載された核酸は、配列番号14に規定される配列に少なくとも95%一致するVPRアミノ酸配列で転写因子をコードする。ある実施形態では、本明細書に記載された核酸は、配列番号14に規定される配列に少なくとも97%一致するVPRアミノ酸配列で転写因子をコードする。ある実施形態では、本明細書に記載された核酸は、配列番号14に規定される配列に少なくとも98%一致するVPRアミノ酸配列で転写因子をコードする。ある実施形態では、本明細書に記載された核酸は、配列番号14に規定される配列に少なくとも99%一致するVPRアミノ酸配列で転写因子をコードする。ある実施形態では、本明細書に記載された核酸は、配列番号14に規定される配列に100%一致するVPRアミノ酸配列で転写因子をコードする。
【0051】
ある実施形態では、合成転写因子上の転写活性化ドメインは、転写活性化を増加または減少させるアミノ酸配列変異体を含む。ある実施形態では、転写活性化を増加または減少させるアミノ酸配列変異体を含む前記転写活性化ドメインは、配列番号14の配列変異体である。
【0052】
ある実施形態では、転写因子核酸の核酸配列によってコードされた合成転写因子は、前記合成転写因子を不安定化するポリペプチド配列含み、「デグロン(degron)」とも呼ばれる。ある実施形態では、前記転写因子を不安定化する前記ポリペプチド配列は、PESTポリペプチド配列を含む。PESTポリペプチド配列は、複数のアミノ酸を含有しているポリペプチド配列であり、ここで前記ポリペプチド配列は、アミノ酸プロリン、グルタミン酸、セリン、および/またはトレオニンに富んでいる。ある実施形態では、前記転写因子を不安定化する前記ポリペプチド配列はCL1ポリペプチド配列を含む。CL1ポリペプチド配列は、分解シグナルとして作用し、最終的な合成転写因子の半減期がより短くなる場合がある。ある実施形態では、前記合成転写因子を不安定化する前記ポリペプチド配列は、レポーターのバックグラウンドシグナルの減少を支援する。
【0053】
ある実施形態では、前記合成転写因子はGAL4-VP16キメラ転写因子を含む。ある実施形態では、転写因子はGAL4-VPRキメラ転写因子を含む。Gal4-VPRキメラ転写因子の配列は、MKLLSSIEQACDICRLKKLKCSKEKPKCAKCLKNNWECRYSPKTKRSPLTRAHLTEVESRLERLEQLFLLIFPREDLDMILKMDSLQDIKALLTGLFVQDNVNKDAVTDRLASVETDMPLTLRQHRISATSSSEESSNKGQRQLTVSASGSGRAGKPIPNPLLGLDSTDALDDFDLDMLGSDALDDFDLDMLGSDALDDFDLDMLGSDALDDFDLDMLGSPKKKRKVGSQYLPDTDDRHRIEEKRKRTYETFKSIMKKSPFSGPTDPRPPPRRIAVPSRSSASVPKPAPQPYPFTSSLSTINYDEFPTMVFPSGQISQASALAPAPPQVLPQAPAPAPAPAMVSALAQAPAPVPVLAPGPPQAVAPPAPKPTQAGEGTLSEALLQLQFDDEDLGALLGNSTDPAVFTDLASVDNSEFQQLLNQGIPVAPHTTEPMLMEYPEAITRLVTGAQRPPDPAPAPLGAPGLPNGLLSGDEDFSSIADMDFSALLSQISSGSGSGSRDSREGMFLPKPEAGSAISDVFEGREVCQPKRIRPFHPPGSPWANRPLPASLAPTPTGPVHEPVGSLTPAPVPQPLDPAPAVTPEASHLLEDPDEETSQAVKALREMADTVIPQKEEAAICGQMDLSHPPPRGHLDELTTTLESMTEDLNLDSPLTPELNEILDTFLNDECLLHAMHISTGLSIFDTSLF(配列番号10)において規定される配列で与えられる。ある実施形態では、本明細書に記載された核酸は、配列番号10において規定されるアミノ酸配列に少なくとも90%、95%、97%、98%、99%、または100%一致するアミノ酸配列で転写因子をコードする。ある実施形態では、本明細書に記載された核酸は、配列番号10に規定される配列に少なくとも90%一致するアミノ酸配列で転写因子をコードする。ある実施形態では、本明細書に記載された核酸は、配列番号10に規定される配列に少なくとも95%一致するアミノ酸配列で転写因子をコードする。ある実施形態では、本明細書に記載された核酸は、配列番号10に規定される配列に少なくとも97%一致するアミノ酸配列で転写因子をコードする。ある実施形態では、本明細書に記載された核酸は、配列番号10に規定される配列に少なくとも98%一致するアミノ酸配列で転写因子をコードする。ある実施形態では、本明細書に記載された核酸は、配列番号10に規定される配列に少なくとも99%一致するアミノ酸配列で転写因子をコードする。ある実施形態では、本明細書に記載された核酸は、配列番号10に規定される配列に100%一致するアミノ酸配列で転写因子をコードする。
【0054】
ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号21において規定されるアミノ酸配列によってもたらされるGal4 DNA結合ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号21において規定される配列と少なくとも90%、95%、97%、98%、99%、または100%一致するアミノ酸配列を備えたDNA結合ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号21に規定される配列に少なくとも90%一致するアミノ酸配列を備えたDNA結合ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号21に規定される配列に少なくとも95%一致するアミノ酸配列を備えたDNA結合ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号21に規定される配列に少なくとも97%一致するアミノ酸配列を備えたDNA結合ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号21に規定される配列に少なくとも98%一致するアミノ酸配列を備えたDNA結合ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号21に規定される配列に少なくとも99%一致するアミノ酸配列を備えたDNA結合ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号21に規定される配列に100%一致するアミノ酸配列を備えたDNA結合ドメインを含む。
【0055】
ある実施形態では、前記合成転写因子が、RAGKPIPNPLLGLDSTDALDDFDLDMLGSDALDDFDLDMLGSDALDDFDLDMLGSDALDDFDLDMLGSPKKKRKV(配列番号11)において規定されるアミノ酸配列によってもたらされるVP64由来の転写活性化ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号11において規定される配列と少なくとも90%、95%、97%、98%、99%、または100%一致するアミノ酸配列を備えた転写活性化ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号11に規定される配列に少なくとも90%一致するアミノ酸配列を備えた転写活性化ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号11に規定される配列に少なくとも95%一致するアミノ酸配列を備えた転写活性化ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号11に規定される配列に少なくとも97%一致するアミノ酸配列を備えた転写活性化ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号11に規定される配列に少なくとも98%一致するアミノ酸配列を備えた転写活性化ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号11に規定される配列に少なくとも99%一致するアミノ酸配列を備えた転写活性化ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号11に規定される配列に100%一致するアミノ酸配列を備えた転写活性化ドメインを含む。
【0056】
ある実施形態では、前記合成転写因子が、QYLPDTDDRHRIEEKRKRTYETFKSIMKKSPFSGPTDPRPPPRRIAVPSRSSASVPKPAPQPYPFTSSLSTINYDEFPTMVFPSGQISQASALAPAPPQVLPQAPAPAPAPAMVSALAQAPAPVPVLAPGPPQAVAPPAPKPTQAGEGTLSEALLQLQFDDEDLGALLGNSTDPAVFTDLASVDNSEFQQLLNQGIPVAPHTTEPMLMEYPEAITRLVTGAQRPPDPAPAPLGAPGLPNGLLSGDEDFSSIADMDFSALLSQISS(配列番号12)において規定されるアミノ酸配列によってもたらされるp65由来の転写活性化ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号12において規定される配列と少なくとも90%、95%、97%、98%、99%、または100%一致するアミノ酸配列を備えた転写活性化ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号12に規定される配列に少なくとも90%一致するアミノ酸配列を備えた転写活性化ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号12に規定される配列に少なくとも95%一致するアミノ酸配列を備えた転写活性化ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号12に規定される配列に少なくとも97%一致するアミノ酸配列を備えた転写活性化ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号12に規定される配列に少なくとも98%一致するアミノ酸配列を備えた転写活性化ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号12に規定される配列に少なくとも99%一致するアミノ酸配列を備えた転写活性化ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号12に規定される配列に100%一致するアミノ酸配列を備えた転写活性化ドメインを含む。
【0057】
ある実施形態では、前記合成転写因子がRDSREGMFLPKPEAGSAISDVFEGREVCQPKRIRPFHPPGSPWANRPLPASLAPTPTGPVHEPVGSLTPAPVPQPLDPAPAVTPEASHLLEDPDEETSQAVKALREMADTVIPQKEEAAICGQMDLSHPPPRGHLDELTTTLESMTEDLNLDSPLTPELNEILDTFLNDECLLHAMHISTGLSIFDTSLF(配列番号13)において規定されるアミノ酸配列によってもたらされるRta由来の転写活性化ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号13において規定される配列と少なくとも90%、95%、97%、98%、99%、または100%一致するアミノ酸配列を備えた転写活性化ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号13に規定される配列に少なくとも90%一致するアミノ酸配列を備えた転写活性化ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号13に規定される配列に少なくとも95%一致するアミノ酸配列を備えた転写活性化ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号13に規定される配列に少なくとも97%一致するアミノ酸配列を備えた転写活性化ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号13に規定される配列に少なくとも98%一致するアミノ酸配列を備えた転写活性化ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号13に規定される配列に少なくとも99%一致するアミノ酸配列を備えた転写活性化ドメインを含む。ある実施形態では、前記合成転写因子は、配列番号13に規定される配列に100%一致するアミノ酸配列を備えた転写活性化ドメインを含む。
【0058】
レポーター要素
レポーター要素は、転写調節ポリペプチドおよびレポーター遺伝子によって結合されることができる調節要素を最小限に含む。レポーター遺伝子は、特有の分子識別子(UMI)を最小限に含む。特有の分子識別子は、所定のプレイポリペプチドに特有のヌクレオチド配列である。切断された転写活性化因子によるUMIレポーター遺伝子の活性化は、配列決定によって決定することができる。ある実施形態では、レポーター要素は、UMIおよび、蛍光タンパク質、ルシフェラーゼ遺伝子、ベターガラクトシダーゼ遺伝子、ベターグルクロニダーゼ遺伝子、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子、分泌された胎盤性アルカリホスファターゼ遺伝子から選択されたさらなるレポーター遺伝子を含む。これらの遺伝子は、特定の酵素活性のために試験されることができ、または蛍光レポーターの場合には蛍光発光のために試験されることができるレポーターポリペプチドをコードする。ある実施形態では、蛍光タンパク質は緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、またはシアン蛍光タンパク質(CFP)を含む。
【0059】
本明細書に記載されるシステムは、転写因子結合を通してレポーター遺伝子の活性化を制御する様々な制御配列を利用することができる。制御配列は、上に詳述された、転写調節ポリペプチドまたは転写リプレッサーポリペプチドによって結合されることができる。一般的に、それは、制御配列が、UMI、レポーター遺伝子、または両方に対する5’であるように、構成される。ある実施形態では、制御配列は、Gal4-VPRキメラ転写因子によって結合される得るGal4-UASを含む。
【0060】
UMIの転写が、特定のプレイポリペプチドのベイトとの関連を示すので、UMIは、同じ試験中の様々なプレイペプチドの多重化を可能にする。UMIは、ベイトポリペプチドと少なくとも100、500、1,000、2,000、3,000、4,000、5,000、6,000、7,000、8,000、9,000、10,000プレイポリペプチドとの間の相互作用の多重決定を可能にするために、十分な多様性を可能にする任意の長さになり得る。一般的に、UMIは、8~20のヌクレオチドの長さになるが、それはより長くてもよい。ある実施形態では、UMIの長さは、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20のヌクレオチドである。
【0061】
レポーターの活性化
レポーターの活性化は、UMIの配列決定を可能にする任意の適切な方法で測定することができ、多重方法で配列決定を可能する方法が好ましい。ある実施形態では、次世代シークンシング技術は、UMIの配列を決定するために使用される。次世代シークンシングは、パイロシークンシング、合成によるシークンシング、単一分子シークンシング、秒-生成シークンシング、ナノポアシーケンシング、ライゲーションシーケンシング、またはハイブリダイゼーションによる配列決定などの多数の種類のシークンシングを包含する。次世代シーケンシングプラットフォームは、lllumina(RNA-Seq)およびHelicos(Digital Gene Expressionまたは「DGE」)の市販のものである。次世代シーケンシング方法は、以下によって商業化されたものを含むが、それらに限定されない:1)Margulies et al.,Nature(2005)437:376-380(2005)、および米国特許第7,244,559号、第7,335,762号、第7,211,390号、第7,244,567号、第7,264,929号、第7,323,305号、に記載された方法および装置を含むが、これらに限定されない454/Roche Lifesciences;2)米国出願シリアル番号第11/167046号、および米国特許第7501245号、第7491498号、第7276720号、および米国特許出願公報US20090061439、US20080087826、US20060286566、US2006002471 1、US20060024678、US20080213770とUS20080103058に記載されるようにHelicos Biosciences Corporation (Cambridge、MA);3)Applied Biosystems(例えば、SOLiD sequencing);4)Dover Systems(例えば、Polonator G.007 sequencing);5)米国特許第5,750,341号、第6,306,597号、および第5,969,119号に記載されるようにlllumina,Inc.;6)米国特許第7,462,452号、第7,476,504号、第7,405,281号、第7,170,050号、第7,462,468号、第7,476,503号、第7,315,019号、第7,302,146号、第7,313,308号、および米国出願公報US20090029385、US20090068655、US20090024331とUS20080206764に記載されるようにPacific Biosciences。そのような方法および装置は、本明細書に例として提供され、限定するようには意図されない。
【0062】
さらなるレポーター分子の活性化は、ルシフェラーゼタンパク質、ベータ-ガラクトシダーゼタンパク質、ベータ-グルクロニダーゼタンパク質、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼタンパク質、分泌された胎盤性アルカリホスファターゼタンパク質、または蛍光タンパク質を検出するための基準試験を使用して決定され得る。一般的に、これらは、検出可能なシグナルが、基板に対するタンパク質酵素活性に基づいて産生される酵素試験である。例えば、ルシフェラーゼ発現は、照度計でルシフェラーゼ基板の存在下で測定され得る。蛍光レポーターは、基板を必要とすることなく、およびシグナルは、蛍光顕微鏡検査法または蛍光性のプレートリーダによって測定され得る。蛍光レポーターは、生細胞におけるレポーターの活性化を測定するのに特に有用である。
【0063】
マーカー
ある実施形態では、本明細書に記載された核酸は、選択ポリペプチドまたはマーキングポリペプチドをコードする1つ以上の追加の遺伝子をさらに含む。ある実施形態では、本明細書に記載される核酸は、トランスフェクトされた細胞に抗生物質耐性を与えるポリペプチドをコードする1つ以上の追加遺伝子をさらに含む。例えば、核酸は、ネオマイシン/G418耐性、ピューロマイシン耐性、ゼオシン耐性、またはブラストサイジン耐性に対する抗生物質耐性を与える抗生物質耐性遺伝子などの選択可能なマーカーを含むことができる。ある実施形態では、本明細書に記載される核酸は、細胞表面上で発現されるエピトープタグを含むポリペプチドをコードする1つ以上の追加遺伝子をさらに含む。これは、親和性精製または細胞選別が、記載される核酸によってトランスフェクトされた細胞を収集することを可能にする。ある実施形態では、エピトープタグは、c-Mycタグ、赤血球凝集素(HA)タグ、ヒスチジンタグ、V5タグ、またはFLAGタグを含む。ある実施形態では、本明細書に記載される核酸は、蛍光ポリペプチドをコードする1つ以上の追加のプロモーターがない遺伝子をさらに含む。そのような遺伝子は、トランスフェクションが組み込みを及ぼすように意図され、特定位置または着地パッド(landing pad)が標的とされる場合に有用である。これらの例では、細胞ゲノムでの「着地パッド」は、プロモーターがない遺伝子でのプロモーターの不足を補足することができ、プロモーターがない遺伝子が意図したゲノム位置へと組み込まれる場合に限り、プロモーターがない遺伝子の発現を及ぼすことができるプロモーターを含む。適切な組み込みを有する細胞は、フローサイトメトリーおよび細胞選別によって選択され得る。この種のマーカーは、意図した核酸の単一コピーのみが、ゲノムに組み込まれたことをさらに保証すること、かつ異所性の過剰発現を回避させることができる。ある実施形態では、ベイトポリペプチドをコードする核酸は、トランスフェクトされた細胞に抗生物質耐性を与えるポリペプチドをコードする遺伝子と、細胞表面上で発現されるエピトープタグを含むポリペプチドをコードする遺伝子と、または蛍光ポリペプチドをコードするプロモーターがない遺伝子と、を含む。
【0064】
細胞
本明細書に記載される方法に有用な細胞は、一般的に、ベイトポリペプチド、プレイポリペプチドをコードする、1つ以上の外因性核酸とトランスジェニックに容易に再現されることができる、またはレポーター要素を含むものである。ベイトポリペプチド、プレイポリペプチドをコードし、かつレポーター要素を含むシステム核酸は、リン酸カルシウムトランスフェクション、脂質に基づいたトランスフェクション(例えば、Lipofectamine(商標)、Lipofectamine-2000(商標)、Lipofectamine-3000(商標)またはFugene(登録商標)HD)、エレクトロポレーション、またはウイルス形質導入などの当技術分野において知られている方法を使用して、適切な細胞株にトランスフェクトされる、または形質導入されることができる。細胞は、適切な組織培養容器中で培養密度に、または培養密度の近くまで育てられた同じ種類の細胞の集団であり得る。
【0065】
ある実施形態では、使用される細胞は、ベイトポリペプチドをコードする核酸、レポーター要素を含む核酸、または両方の安定した組み込みを含む。安定した細胞株は、線形化された核酸のランダムな組み込み、ウイルスまたはトランスポゾンに方向付けられる組み込み、または、例えば、AttPとAttB部位との間の部位特異的組換を使用して、方向付けられた組み込みを使用して作成され得る。ある実施形態では、細胞は、ベイトポリペプチドをコードする核酸の単一ゲノム組み込みを含む。ある実施形態では、細胞は、レポーター要素を含む核酸の単一ゲノム組み込みを含む。ある実施形態では、細胞は、ベイトポリペプチドをコードする核酸の単一組み込み、およびレポーター要素を含む核酸の単一ゲノム組み込みを含む。
【0066】
ある実施形態では、システムで使用される細胞または細胞集団は真核細胞である。ある実施形態では、細胞または細胞集団は哺乳動物細胞である。ある実施形態では、細胞または細胞集団はヒト細胞である。ある実施形態では、細胞または細胞集団は、SH-SY5Y、ヒト神経芽細胞腫;Hep G2、ヒト白人肝細胞癌;293(HEK293として知られる)、ヒト胎芽腎臓;RAW264.7、マウス単球マクロファージ;HeLa、ヒト頚部類上皮癌;MRC-5(PD 19)、ヒト胎児肺;A2780、ヒト卵巣癌;CACO-2、ヒト白人結腸腺癌;THP1、ヒト単球性白血病;A549、ヒト白人肺癌;MRC-5(PD 30)、ヒト胎児肺;MCF7、ヒト白人乳腺腺癌;SNL76/7、マウスSIM株胎児線維芽細胞;C2C12、マウスC3H筋肉筋芽細胞;JurkatE6.1、ヒト白血病T細胞リンパ芽球;U937、ヒト白人細網肉腫;L929、マウス、C3H/An結合組織;3T3 L1、マウス胎芽;HL60、ヒトのコーカサス人の前骨髄球の白血病;PC-12、ラット副腎褐色細胞腫;HT29、ヒト白人結腸腺癌;OE33、ヒト白人食道癌;OE19、ヒト白人食道癌;NIH3T3、マウススイスNIH胎芽;MDA-MB-231、ヒト白人乳腺腺癌;K562、ヒト白人慢性骨髄性白血病;U-87 MG、ヒト膠芽腫星細胞腫;MRC-5(PD 25)、ヒト胎児肺;A2780cis、ヒト卵巣癌;B9、マウスB細胞ハイブリドーマ;CHO-K1、ハムスター中国卵巣;MDCK、イヌコッカースパニエル腎臓;1321N1、ヒト脳星細胞腫;A431、ヒト扁平上皮癌;ATDC5、AT805由来マウス129奇形癌;RCC4 PLUS VECTOR ALONE、ネオマイシン抵抗を与える、pcDNA3、空発現ベクターで安定してトランスフェクトされた腎細胞癌細胞株RCC4;HUVEC(S200-05n)、ヒトの事前スクリーニングされた臍静脈内皮細胞(HUVEC);新生児の;Vero、アフリカミドリザル腎臓;RCC4 PLUS VHL、pcDNA3-VHLで安定してトランスフェクトされた腎細胞癌細胞株RCC4;Fao、ラット肝臓癌;J774A.1、マウスBALB/c単球マクロファージ;MC3T3-E1、マウスC57BL/6頭蓋冠;J774.2、マウスBALB/c単球マクロファージ;PNT1A、ヒト思春期後前立腺正常、SV40で不朽された;U-2 OS、ヒト骨肉腫;hCT 116、ヒト結腸癌;MA104、アフリカミドリザル腎臓;BEAS-2B、ヒト気管支上皮、正常;NB2-11、ラットリンパ腫;BHK 21(クローン13)、ハムスターシリア腎臓;NS0、マウス骨髄腫;Neuro 2a、マウスアルビノ神経芽細胞腫;SP2/0-Ag14、マウスxマウス骨髄腫、産生しない;T47D、ヒト乳腺腫瘍;1301、ヒトT細胞白血病;MDCK-II、イヌコッカースパニエル腎臓;PNT2、ヒト前立腺正常、SV40で不朽された;PC-3、ヒト白人前立腺腺癌;TF1、ヒト赤白血病;COS-7、アフリカミドリザル腎臓、SV40で変換された;MDCK、イヌコッカースパニエル腎臓;HUVEC(200-05n)、ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC);新生児の;NCI-H322、ヒト白人気管支肺胞上皮癌;SK.N.SH、ヒト白人神経芽細胞腫;LNCaP.FGC、ヒト白人前立腺癌;OE21、ヒト白人食道扁平上皮癌;PSN1、ヒト膵臓腺癌;ISHIKAWA、ヒトアジア子宮内膜腺癌;MFE-280、ヒト白人子宮内膜腺癌;MG-63、ヒト骨肉腫;RK、13ウサギ腎臓、BVDV陰性;EoL-1細胞、ヒト好酸球性白血病;VCaP、ヒト前立腺癌転移;tsA201、ヒト胚腎臓、SV40で変換された;CHO、ハムスター中国卵巣;HT 1080、ヒト線維肉腫;PANC-1、ヒト白人膵臓;Saos-2、ヒト初代骨原性肉腫;線維芽細胞増殖培地(116K-500)、線維芽細胞増殖培地キット;ND7/23、マウス神経芽細胞腫xラットニューロンハイブリッド;SK-OV-3、ヒト白人卵巣腺癌;COV434、ヒト卵巣顆粒層腫瘍;Hep3B、ヒト肝細胞癌;Vero(WHO)、アフリカミドリザル腎臓;Nthy-ori3-1、ヒト甲状腺袋果状上皮;U373MG(Uppsala)、ヒト膠芽腫星細胞腫;A375、ヒト悪性黒色腫;AGS、ヒト白人胃腺癌;CAKI2、ヒト白人腎臓癌;COLO205、ヒト白人結腸腺癌;COR-L23、ヒト白人肺大細胞癌;IMR32、ヒト白人神経芽細胞腫;QT35、ウズラ日本線維肉腫;WI38、ヒト白人胎児肺;HMVII、ヒト膣悪性黒色腫;HT55、ヒト結腸癌;TK6、ヒト・リンパ芽球、チミジンキナーゼ・ヘテロ接合体;SP2/0-AG14(AC-FREE)、分泌しないマウスxマウスハイブリドーマ、無血清、動物成分(AC)無し;AR42J、またはラット外分泌腺膵臓腫瘍、あるいはそれらの任意の組み合わせである。
【実施例】
【0067】
以下の実施例は、本明細書に記載される構成および方法の実施形態を表すものであり、いかなる方法でも限定することを意図していない。
【0068】
実施例1―例示的タンパク質相互作用スクリーン
この実施例では、
図1Aおよび
図1Bに構成されるように、分解ユビキチンまたは分解TEVシステムを使用するスクリーンは、GPCRシグナル伝達を誘導する潜在的化合物をスクリーニングするために使用される。1日目に、30,000細胞/ウェルで96ウェルのアッセイプレートに細胞を蒔く。細胞を、100uLのDMEM+10%のFBSに蒔き、GPCR誘導のレベルに応じて、50-300ng/mLのドキシサイクリン、15ug/mLのcumate(分解ユビキチンのため)または7.5ug/mLのcumate(デュアル分解-TEVのため)を有する50uLのOPTIMEMを添加する。この実施例の細胞は、ベイトタンパク質をコードする安定して組み込まれた核酸、および一時的にトランスフェクトされたプレイタンパク質をコードする複数の核酸を含む。2日目に、各々のウェルに、50uLのOPTIMEMにおける所望の濃度でテスト化合物を添加する。約24時間後、ルシフェラーゼ活性試験、またはRNA抽出のために溶解緩衝液を添加する。RNAは、標準方法またはキットを使用して抽出され得る。RNAの量は、RT-qPCRまたはRNASeqなどの標準下流試験によって定量化することができる。ルシフェラーゼ活性は、PromegaBright-Gloシステムを使用して、試験され得、Thermo Fisher Luminoskanなどの標準照度計上で読み出される一方、配列決定ライブラリー調製後に、RNAseqは、Illumina MiSeq上で実施することができる。ルシフェラーゼの例示的な誘導は
図2に示される。
【0069】
実施例2―分解TEVおよび分解Ubのシステムの用量反応
この実施例では、分解TEVまたは分解UBのシステムは、所定の化学的刺激に対するアゴニスト反応、この場合、β1アドレナリンアゴニストXamoterol、を決定するために展開される。
【0070】
この実施例では、細胞株のライブラリーは、分解ユビキチン(
図3A)または分解TEV(
図3B)の配置のいずれかに構築された。このライブラリーは、各々が特有のRNAバーコードに対になった異なるGPCRプレイタンパク質を各々が発現する細胞のライブラリーを含む。1日目に、細胞は、ポリL-リジンでコーティングされた384-ウェル・アッセイ・プレートで、22,000細胞/ウェルで、25uLのDMEM+10%のFBSに蒔いた。2日目に、培地を、1000ng/mLのドキシサイクリンおよび120ug/mLのcumateを有する25uLのOPTI-MEMと取り替えた。3日目に、培地を、ビヒクルDMSO、またはテスト化合物xamoterolの濃度の用量範囲を有する20uLのOPTI-MEMと取り替えた。約24時間後、溶解緩衝液がRNA抽出のために添加された。抽出されたRNAは、配列決定ライブラリーを調製するために、Luna One-Step RT-qPCR mixを用いた単一工程で逆転写され増幅され、およびRNAバーコードのレベルは、RNAseqによって定量化される。
【0071】
本発明の好ましい実施形態が本明細書中で示され、記載されてきたが、このような実施形態はほんの一例として提供されているに過ぎないことが当業者に明らかであろう。当業者には、本発明から逸脱することなく多数の変形、変更および代替が、見出されるであろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代替案が、本発明の実施に際して利用され得ることを理解されたい。
【0072】
本明細書で参照されるすべての公開物、特許出願、特許、およびその他の試料は、あたかも個々の公開物、特許出願、特許、または他の試料が、参照により本明細書に全体的に組み込まれるように具体的かつ個別に示されるように、参照により本明細書に組み込まれている。参照により組み込まれている文章に含まれる定義は、本開示での定義と矛盾する程度まで除外される。
【配列表】
【国際調査報告】